JP2004232128A - 丸編機におけるステッチ量の調節装置及び調整方法 - Google Patents

丸編機におけるステッチ量の調節装置及び調整方法 Download PDF

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Abstract

【目的】所要ステッチ量の異なる少なくとも2種類の柄をそれぞれ異なるカムレースの針で編成する。
【構成】回転シリンダーに対向して設置されるカムホルダー(10)に取り付けられるステッチ調整具(22A,22B)を有する丸編機用ステッチ量調節装置(20)である。前記カムホルダー(10)は少なくとも2段のカムレース(12)を有する。前記ステッチ調節具(22A,22B)は、各給糸口において、少なくとも2個設けられており、各ステッチ調節具(22A,22B)は個々にステッチの調整可能であると共に、1個のステッチ調節具(22A)の調整で各カムレース(12)全体のステッチ量調整が可能である。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、丸編機におけるステッチ量の調節装置及び調節方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般的に、ステッチ量は、編み組織に応じたステッチ量に調整しなければならない。たとえば、リブ柄と針抜き柄を組み合わせた編地を編成する場合に、針抜き柄のステッチ量をリブ柄と同じステッチ量ですると、針抜き柄の部分の編目が小さくなりすぎ編成が困難になる。
【0003】
この問題を解決するため、従来、次のような編成方法があった。
(1)針のフック位置からカムの係合するバット位置までの距離を変えて、針抜き部ではリブ部よりその距離が短い針を使用していた。(1ステッチ方式)
(2)針抜き部とリブ部では異なった針を使用し、それに対応した個別のステッチ量調整具によってステッチ量を変えていた。(2ステッチ方式)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
前記(1)の方法では、そのステッチ量の差を針のフック位置からカムの係合するバット位置までの距離によって決定しているため、任意の度目調整は困難であった。また前記の距離が異なる複数種の針を準備する必要があった。
【0005】
前記(2)の方法では、図4のようなリブ部と針抜き部を含んだ組み合わせ柄から図5に示すリブ柄に編み組織の変更を行う場合、その調整手順として任意の針を針抜き部Xに挿入し、全ての針のステッチ量を同一に調整しなければならない。そのために、針抜き部の針D、Eに対応したカムレースD、Eのステッチ量をステッチ調整具により、リブ部の針B、Cに対応したカムレースB、Cのステッチ量と同じになるように調整していた(図6参照)。この作業は針の動作ラインを目視で観測しながら調整する方法もあるが、経験が必要であった。より正確に調整するにはダイヤルゲージなどの計測器を用いなければならず、調整には手数と時間が掛かった。
【0006】
本発明はこの問題を解決するために行われたもので、ステッチ量の異なる少なくとも2種類の柄をそれぞれ異なるカムレースの針で編成することを可能とするステッチ量調節装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成する本発明のステッチ量調節装置は、回転シリンダーに対向して設置されるカムホルダーに取り付けられるステッチ調整具を有する丸編機用ステッチ量調節装置であって、前記カムホルダーは少なくとも2段のカムレースを有し、前記ステッチ調節具は、各給糸口において、少なくとも2個設けられており、各ステッチ調節具は個々にステッチの調整可能であると共に、1個のステッチ調節具の調整で各カムレース全体のステッチ量調整が可能であることを特徴とする。
【0008】
本発明のステッチ量の調節方法は、単一のステッチ調整具でステッチ量を調整することにより全てのカムレースにおいて同一のステッチ量が得られるステッチ量の調節方法であって、各ステッチ調整具に係合するカムセットピース同士が接合の状態において、それぞれのカムレース間のピッチを、針のバット間のピッチと同一になるように設定することを特徴とする。
【0009】
【発明の実施の態様】
各ステッチ量調節具は、カムを固定しているカムセットピースに調整可能なように係合させるのが好ましい。このカムセットピースは少なくとも2つからなり、それぞれのカムセットは接合可能であることが好ましい。接合は、カムセットピース同士が段部で接合するようにしてもよいし、爪付きの段部で接合するようにしてもよい。
【0010】
カムセットピースにはニットカム、タックカムを直接に取り付けてもよいし、ステッチカムを直接取り付けてもよい。
【0011】
ステッチ量調節具には手動のものと自動のものがあるが、そのどちらでもよい。手動式の機構としては、水平方向のネジ運動を垂直方向の運動に変換する公知の機構を採用することができる。自動装置の例としては、例えば本出願人の特許第2892392号、特許第2869119号の機構を採用することができる。手動のステッチ量調節具と自動のステッチ量調節具の組合せでもよい。
【0012】
【実施例】
以下、添付の図面に基づき、本発明の実施例を説明する。
【0013】
図1は丸編機の編成部に設けられるカムホルダー10の断面図(図2の1−1断面図)である。図2はカムホルダーの正面図である。図3は、ステッチ量調節装置20を構成するステッチ調整具22Aの分解斜視図である。
【0014】
丸編機の回転シリンダー(図示せず)と対向して設けられるカムホルダー10はボルト11によってカムリング(図示せず)上に固定される。このカムホルダーには編針(図示せず)を制御もしくは作動させるカムレース12(12B,12C,12D,12E)を有する制御カム13が取り付けられている。
【0015】
編地の密度を変更するためにはカム13を上下させる必要がある。そのためには、カム13をカムセットピース14に取り付け、ステッチ量調節装置20(以下、「調節装置」という)によりこのカムセットピースを上下させている。
【0016】
図1に示す調節装置20は手動式のもので、上下方向に2個設けられたステッチ調整具22A,22Bからなる。それぞれの構造はほぼ同一である。
【0017】
上側カムセットピース14Aには、図1、3に示すように、斜め傾斜の切り欠き部14Aaが設けられている。この切り欠き部14Aaに対応して、はまり合うのは、円柱状のネジ21Aに設けられた斜め切り欠き部21Aaである。ネジ21Aの外周部には、このネジ21Aに対応する雌ねじ部を有するステッチ調整具22Aが設けられ、その円筒外周部にはノッチ部22Aaが加工されている。ステッチ調整具22Aはバネ23Aaで付勢されたピン23Aで回転可能に固定されており、ステッチ調整具22Aとネジ21Aはねじ込んだ状態で取り付けられているので、ステッチ調整具22Aの後端22Abをドライバーなどで回転させると、ネジ21Aは左右に移動し、それに伴ってカムセットピース14Aは上下方向の動きをする。
【0018】
前記したように、カムセットピース14Aにカム13が取り付けられているので、カムセットピースの上下動によりカムが上下動する。
【0019】
下側カムセットピース14Bもほぼ同じ構成を有するので、上側カムセットピースの符号の「A」の代わりに「B」を付けて、詳細な説明を省略する。
【0020】
図1に示すように、上側カムセットピース14Aの下端部は段部14Abを形成しており、同じく段部を形成している下側カムセットピース14Bの上端部14Bbと接触可能である。下側カムセットピース14Bを予め上昇させると、それぞれの段部14Ab、14Bbが接触し、上側カムセットピース14Aが下降すると、同時移動が可能である。しかし、下側のステッチ調整装置22Bにより下側カムセットピース14Bを上昇させようとしても、それぞれの段部14Ab,14Bbが接触した状態では、下側カムセットピース14Bは上昇しない。また、それぞれの段部14Ab,14Bbが接触しない状態では上下カムセットピース14A,14Bはそれぞれ単独で移動可能となる。したがって、上下カムセットピース14A,14Bはそれぞれ単独で移動可能であると共に、上側ステッチ調整具22Aにより上下カムセットピース14A,14Bを同時移動が可能であるが、下側ステッチカム調整具20Bでは上下カムセットピース14A,14Bを同時移動することはできない関係にある。
【0021】
<変形例1>
段部は特に設けなくても実施可能である。しかし、接触状態をより確実にするために段部を設けるのが好ましい。
【0022】
<変形例2>
また、別の実施例として、上下段部を図7のように、それぞれの段部を爪14Ac,14Bc付きの段部14Ad,14Bdとすることもできる。上側カムセットピースの下端部の爪14Acは、下側カムセットピースの上端部の爪14Bcと係合可能である。この構成では、上側カムセットピース14Aを予め上昇させると、それぞれの接合部14Ae,14Beが接触し、下側カムセットピース14Bが下降すると、同時移動が可能である。しかし、段落0026で後述するように、上下カムセットピースの接合部が接合状態にあるとき、それぞれのカムレース間のピッチ(X,Y,Z)は針のバット間のピッチ(A,B,C)と同一になるように設定しておく必要があるため、接合部14Ae,14Be以外で接合状態にあっても、上側ステッチカム調整具22Aにより上下カムセットピース14A,14Bを同時移動させるような設定にはできない。また上側カムセットピースの爪14Acと下側カムセットピースの段部14Bdおよび下側カムセットピースの爪14Bcと上側カムセットピースの段部14Adの間には、それぞれギャップを設けているので、上下カムセットピースはそれぞれ単独で移動可能となる。したがって、上下カムセットピース14A,14Bは、それぞれ単独で移動可能であると共に、下側ステッチカム調整具22Bにより上下カムセットピース14A,14Bを同時移動が可能であるが、上側ステッチカム調整具22Aにより上下カムセットピース14A,14Bを同時移動することはできない関係にある。
【0023】
本発明による複数の調節装置は個々に調整可能であると共に、一方のステッチ量調整具で上下共に調整可能である。したがって、2つのステッチ調節具の場合、例えば、
(1)1つのステッチ調節具により、両方のカムレースともステッチ量を0mm〜3.0mm。
(2)2つのステッチ調節具により、それぞれのカムレースでステッチ量を0mm〜3.0mmと0mm〜3.0mm
というような選択的な調整が可能である。
【0024】
また、3つのステッチ調整具がB,C,Dのカムレースに対応する場合、例えば、
(1)1つのステッチ調整具により、3つのカムレースともステッチ量を0〜3.0mm。
(2)2つのステッチ調整具により。2つのカムレース▲1▼(Bまたは、B,C)のステッチ量を0〜3.0mm、▲2▼(C,DまたはD)のステッチ量を0〜3.0mm。
(3)3つのステッチ調整具により、それぞれのカムレースでステッチ量を0〜3.0mm
というような選択的な調整が可能である。
【0025】
本発明において、図4のようなリブ部と針抜き部を含んだ組み合わせ柄及び図5に示すリブ柄に編み組織を編成する方法を説明する。
【0026】
図8はリブ柄の編成状態を示している。下側のステッチ調整具22Bによって、下側カムセットピース14Bが上側カムセットピース14Aに接合する位置まで下側のカムセットピース14Bを上昇させる。さらに下側のステッチ調整具22Bにより下側のカムセットピース14Bを上昇させようとしたときは、図8のように、下側のネジ21の斜めきり欠き部21aは、下側カムセットピースの切り欠き部と係合しておらず隙間が空いた状態である。この時にそれぞれのカムレース間のピッチ(X,Y,Z)は、針のバット間のピッチ(A,B,C)と同一になるように設定しておく必要がある。この状態において、上側のステッチ調整具22Aでステッチ量を調整すれば全てのカムレースにおいて同一のステッチ量となる。
【0027】
図9はリブ部と針抜き部を含んだ組み合わせ柄の編成状態を示している。より多いステッチ量となる12D・12Eカムレースに対応したD針とE針で針抜き部を編成する。下側のステッチ調整具22Bでより多いステッチ量に調整すれば、Gの寸法は図8のY寸法よりもH寸法だけ多いステッチ量で調整することが出来る。
【0028】
<変形例3>
前記各実施例では、4段のカムレース12(B,C,D,E)となっているが、カムセットピースは上下2段14A,14Bとなっている。このため、上段カムセットピース14Aでは上段2種類のカム(レース)を調整し、下段カムセットピース14Bでは下段2種類のカム(レース)を調整する。4段のカムレースをすべて別々に調整出来るようにするためには、4種類のカムセットピースが必要になる。
【0029】
<変形例4>
図2では、ニットカム13a、タックカム13bを直接カムセットピースに取り付けているが、別の実施例として、図10に示すように、ニットカムをレイジングカム13cとステッチカム13dに、タックカムをタックレイジングカム13eとステッチカム13fに分割しても可能で、この場合はカムセットピースにはステッチカムを取り付け、ステッチ量の変更を行う。
【0030】
以上は、回転シリンダーに対向して設置されるカムホルダーに取り付けられるステッチ調整具について記載しているが、これに限定されるものでなく、回転ダイヤルに対向して設置されるカムホルダーに取り付けられるステッチ調整具についても同様に実施可能である。
【0031】
【発明の効果】
本発明の装置によれば、次の効果が得られる。
(1)1つの給糸口における各カムレースで同一ステッチ量であることが望ましいリブ柄などでは、各カムレースのステッチ量を同一に編成することが可能である。
(2)1つの給糸口におけるいずれかのカムレースで異なったステッチ量が必要であるリブ柄と針抜き柄からなる組み合わせ柄などでは、一方のカムレースでリブ柄を、他方のカムレースでより大きなステッチ量が必要な針抜き柄を編成することが可能である。
【0032】
本発明の方法によれば、単一のステッチ調整具でステッチ量を調整すれば全てのカムレースにおいて同一のステッチ量が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】丸編機の編成部に設けられるカムホルダーの断面図(図2の1−1断面図)である。
【図2】カムホルダーの正面図である。
【図3】ステッチ量調節装置の分解斜視図である。
【図4】リブ部と針抜き部を含んだ組み合わせ柄である。
【図5】リブ柄である。
【図6】図4の柄から図5の柄に編み組織の変更を行う場合に、カムレースのステッチ量を変更する状態を示すカムレースの正面図である。
【図7】上下カムセットピースの接合方法の別の実施例を示す側面図である。
【図8】本発明によるリブ柄の編成状態を示している。
【図9】本発明によるリブ部と針抜き部を含んだ組み合わせ柄の編成状態を示している。
【図10】制御カムの別の実施例を示す正面図である。
【符号の説明】
10 カムホルダー
B,C,D,E カムレース
13 制御カム
14A,14B カムセットピース
14Aa,14Ba 斜め切り欠き部
14Ab,14Bb 切り欠き段部
14Ac,14Bc 爪
14Ad,14Bd 爪付き段部
20 ステッチ量調節装置
21A,21B ネジ
21Aa,21Ba 斜め切り欠き部
22A,22B ステッチ調整具
22Aa,22Ba ノッチ調整部
22Ab,22Bb 後端
23A,23B ピン
24A,24B ギャップ除去用バネ

Claims (8)

  1. 回転シリンダーに対向して設置されるカムホルダー(10)に取り付けられるステッチ調整具(22A,22B)を有する丸編機におけるステッチ量の調節装置(20)であって、
    前記カムホルダー(10)は少なくとも2段のカムレース(12)を有し、
    前記ステッチ調節具(22A,22B)は、各給糸口において、少なくとも2個設けられており、各ステッチ調節具(22A,22B)は個々にステッチの調整可能であると共に、1個のステッチ調節具(22A)の調整で各カムレース(12)全体のステッチ量調整が可能であることを特徴とする丸編機におけるステッチ量の調節装置。
  2. 前記ステッチ調整具(22A,22B)が、カムを固定しているカムセットピース(14A,14B)に調整可能なように係合している請求項1記載の装置。
  3. 前記カムセットピース(14A,14B)が少なくとも2つからなり、それぞれのカムセットピース(14A,14B)は接合可能である請求項2記載の装置。
  4. 前記少なくとも2つのカムセットピース(14A,14B)同士が段部(14Ab,14Bb)で接合する請求項3記載の装置。
  5. 前記少なくとも2つのカムセットピース(14A,14B)同士が爪(14Ac,14Bc)付きの段部(14Ad,14Bd)で接合する請求項3記載の装置。
  6. ニットカム(13a)及びタックカム(13b)を直接カムセットピースに取り付けた請求項1記載の装置。
  7. ステッチカム(13d,13f)を直接カムセットピースに取り付けた請求項1記載の装置。
  8. 単一のステッチ調整具(22A,22B)でステッチ量を調整することにより全てのカムレースにおいて同一のステッチ量が得られるステッチ量の調節方法であって、
    各ステッチ調整具(22A,22B)に係合するカムセットピース(14A,14B)同士が接合の状態において、それぞれのカムレース間のピッチ(X,Y,Z)を、針のバット間のピッチ(A,B,C)と同一になるように設定することを特徴とする丸編機におけるステッチ量の調節方法。
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