JP2020204121A - 横編機 - Google Patents

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健治 北原
Kenji Kitahara
健治 北原
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Abstract

【課題】本体ベッドに対する針床の位置合わせが容易な横編機を提供する。【解決手段】本体ベッドに位置決めされる少なくとも一対の針床を備える横編機において、前記針床における編針が進退する方向をX方向としたとき、前記本体ベッドから突出することで前記針床を貫通する位置決め部材と、前記針床の表面に固定される位置調整板と、を備える。前記針床は、ガタを有した状態で前記位置決め部材が挿入される第一挿入孔と、前記表面に形成される段差と、を備える。前記位置調整板は、ガタを有さない状態で前記位置決め部材が挿入される第二挿入孔と、前記X方向における前記編針の進出側又は後退側に配置される位置決め縁部と、を備え、前記位置決め縁部は前記段差に当接される。【選択図】図3

Description

本発明は、少なくとも一対の針床を備える横編機に関する。
例えば特許文献1には、一対の針床を備える横編機が開示されている。横編機の針床は、フレーム状の本体ベッド上に固定されている。一方の針床の編針と、他方の針床の編針との間に形成される歯口において編地が編成される。歯口の間隔は、編地の品質に影響を与えるため、本体ベッドに対して針床を精度よく固定する必要がある。
特開2011−122249号公報
従来は、本体ベッドに針床を位置合わせしてから、本体ベッドに孔をあけ、その孔にノックピンを差し込むことで本体ベッドに対する針床の位置を決め、ネジ止めにて針床を固定している。そのため、本体ベッドに対する針床の固定が煩雑であるという問題がある。また、ノックピンを用いた従来の構成では、本体ベッドに針床を固定してしまうと、本体ベッドに対する針床の位置を変更することが容易ではない。本体ベッドに対する針床の位置を決める際に、再度、本体ベッドにノックピン用の孔をあける必要があるからである。
上記事情に鑑み、本発明は、本体ベッドに対する針床の位置合わせが容易な横編機を提供することを目的の一つとする。
本発明の横編機は、
本体ベッドと、
前記本体ベッドに位置決めされる少なくとも一対の針床と、を備え、
前記針床は、進退自在に設けられる複数の編針を備える横編機において、
前記針床における前記編針が進退する方向をX方向としたとき、
前記本体ベッドから突出することで前記針床を貫通する位置決め部材と、
前記針床の表面に固定される位置調整板と、を備え、
前記針床は、
ガタを有した状態で前記位置決め部材が挿入される第一挿入孔と、
前記表面に形成される段差と、を備え、
前記位置調整板は、
ガタを有さない状態で前記位置決め部材が挿入される第二挿入孔と、
前記X方向における前記編針の進出側又は後退側に配置される位置決め縁部と、を備え、
前記位置決め縁部は前記段差に当接される。
ここで、ガタ(play)を有さない状態とは、例えば位置決め部材と挿入孔との隙間が0.02mm以上0.06mm以下の状態を意味する。一方、ガタを有した状態とは、例えば位置決め部材と挿入孔との隙間が、0.3mm以上3.0mm以下の状態を意味する。ガタを形成する隙間は、本体ベッドに対する針床の調整幅に余裕代を加えた値とする。
本発明の横編機の一形態として、
前記位置決め縁部は、前記進出側に配置される形態が挙げられる。
本発明の横編機の一形態として、
前記位置調整板は、前記第二挿入孔の中心からの距離が異なる複数の縁部を備え、
前記複数の縁部のいずれかが前記位置決め縁部として機能する形態が挙げられる。
本発明の横編機の一形態として、
前記X方向に直交する前記針床の長さ方向をY方向としたとき、
前記針床の前記Y方向の中間部を前記後退側から支える支持装置を備え、
前記支持装置は、
前記本体ベッドに固定される第一部材と、
前記第一部材に固定され、かつ前記針床を支える第二部材と、
前記Y方向における前記第一部材に対する前記第二部材の位置に応じて、前記X方向における前記第一部材に対する前記第二部材の位置を変化させるカム機構と、を備える。
本発明の横編機の構成によれば、本体ベッドに対して所望の位置に針床を取り付け易い。また、本発明の横編機の構成によれば、本体ベッドに対する針床の位置を容易に変化させることができる。本発明の横編機では、位置決め部材が挿入される針床の第一挿入孔は、位置決め部材に対してガタを有しているため、本体ベッドに対して針床の位置は厳密に決まっていない。その代わり、本発明の横編機では、位置調整板が本体ベッドの位置決め部材に係合することで、本体ベッドに対する位置調整板の位置が決まっており、位置調整板が針床の段差に当接することで位置調整板に対して針床の位置が決まっている。そのため、位置調整板のサイズに応じて、本体ベッドに対する針床の位置を変化させることができる。
位置決め縁部が、X方向における編針の進出側に配置されることで、針床が位置調整板によって後退側から支えられる。通常、針床における進出側が後退側に比べて高くなっているため、針床の重量を針床の下側から支えられる。
位置調整板が、第二挿入孔の中心からの距離が異なる複数の縁部を備えることで、一つの位置調整板によって針床の位置を異なる複数の位置に変化させられる。
カム機構を備える支持装置は、位置調整板によって調整された針床の位置に応じて、当該針床のY方向の中間部を支えることができる。そのため、針床のY方向の中間部において歯口の間隔が、所望の間隔よりも大きくなることを抑制できる。
図1は、実施形態1に示される横編機の概略側面図である。 図2は、実施形態1に示される横編機の概略上面図である。 図3は、実施形態1に示される横編機における位置調整板近傍の拡大斜視図である。 図4は、実施形態1に示される横編機における位置調整板近傍の部分正面図である。 図5は、図4のV−V断面図である。 図6は、図4のVI−VI断面図である。 図7は、実施形態1に示される横編機における針床の部分正面図である。 図8は、実施形態1に示される位置調整板の正面図である。 図9は、図8に示される位置調整板を裏返して針床に取り付けた状態を示す部分正面図である。 図10は、実施形態1に示される支持装置近傍の部分正面図である 図11は、図10に示す支持装置の第二部材を第一部材に対して動かした状態を示す部分正面図である。 図12は、図10のXII−XII断面図である。 図13は、支持装置に備わる第一部材の正面図である。 図14は、支持装置に備わる第二部材の正面図である。
<実施形態1>
以下、本発明の横編機の実施形態の一例を、図1から図14に基づいて説明する。図中の符号の語尾に『F』又は『B』が付く部材はそれぞれ、横編機1の『前側』又は『後側』に配置される部材である。
≪全体構成≫
本例に示される横編機1は、2枚ベッド横編機である。本例と異なり、4枚ベッド横編機に本発明の構成を適用しても構わない。図1,2に示されるように、本例の横編機1は、本体ベッド2と、本体ベッド2上に配置される一対の針床3F,3Bとを備える。以下、横編機の各構成を詳細に説明する。
≪本体ベッド≫
本体ベッド2は、針床3F,3Bを支持するフレーム状部材である。本体ベッド2は、底部20と、壁部21F,21Bと、傾斜部22F,22Bと、天部23とを備える。底部20は、図示しない横編機の架台上に固定される。
壁部21F(21B)には、針床3F(3B)の長さ方向(図1の奥行方向、図2の左右方向)の中間部を下支えする支持装置6(支持アーム60及び支持ネジ61を含む)が設けられている。支持装置6が設けられる位置は、図2の白抜き矢印で示す部分である。傾斜部22F(22B)には、後述する針床3F(3B)が設けられている。天部23には、針床3F,3Bにおいて編成される編地を通過させる開口23hが設けられている。
本例では、針床3F,3Bの長さ方向に沿って、針床3Fに対して針床3Bを移動させるラッキング機構が設けられている。ラッキング機構は、例えば特許文献1に記載されるように公知である。このラッキング機構は、針床3Bを傾斜部22Bに対して摺動自在に支持する摺動部材29を備える。摺動部材29は本体ベッド2に取り付けられ、摺動部材29の表面は本体ベッド2の表面とほぼ面一になっており、針床3Bはその摺動部材29上に取り付けられる。従って、本明細書において、摺動部材29は本体ベッド2の一部と見做される。
≪針床≫
針床3F,3Bは、その長さ方向に並列される複数の編針(図示せず)を備える。各編針は、針床3F,3Bの長さ方向に直交する方向に進退自在に設けられている。本例では、編針の進退方向をX方向、針床3F,3Bの長さ方向をY方向、X方向とY方向の両方に直交する針床3F,3Bの厚さ方向をZ方向とする。以降の説明において、編針の進出側(進出方向)と後退側(後退方向)をそれぞれ、X方向の進出側(進出方向)とX方向の後退側(後退方向)と呼ぶ場合がある。これらX方向、Y方向、及びZ方向は、各図において両端矢印で示される。針床3F,3Bは、図1の横編機1の側面図に示されるように山型に配置されるため、針床3FのY方向と針床3BのY方向は一致するが、針床3FのX方向(Z方向)と針床3BのX方向(Z方向)は一致しない。
針床3FのX方向の先端と、針床3BのX方向の先端との間には歯口10が形成される。歯口10の位置で編成された編地は、本体ベッド2の開口23hを通って横編機1の外部に排出される。
≪本体ベッドに対する針床の位置合わせ機構≫
針床3F,3Bは、本体ベッド2に対して位置合わせされる。針床3F,3BのX方向の位置は、歯口10の間隔に影響を与え、編地の品質に影響を与えるため、重要である。
本体ベッド2に対する針床3F,3BのX方向の位置は、図2に示されるように、針床3F,3BのY方向の両端部に設けられる位置調整板4によって行われる。以降、図2に示される針床3Fの紙面左側に配置される位置調整板4を例にして、位置調整板4による針床3F,3Bの位置合わせ機構を図3から図9に基づいて説明する。
図3は、図2に示される針床3Fの紙面左側に配置される位置調整板4近傍の拡大斜視図である。本体ベッド2に対する針床3FのX方向の位置は、本体ベッド2から突出する位置決め部材5と、位置調整板4との係合によって決まる。
[針床における構成]
本例では、図7に示されるように、針床3FのY方向の端部に、位置調整板4を設けるための凹部31が形成されている。凹部31は、針床3Fの表面側(図2の本体ベッド2と反対側)に設けられている。
凹部31には、第一挿入孔30と、一対の貫通孔38と、一対のネジ孔39とが設けられている。第一挿入孔30は、凹部31の中央に設けられる。第一挿入孔30の内径は、後述するカラー50の中間部50cの外径よりも、L2−L1+αmm大きい(図5,6など)。L1とL2については、図8を参照して後述する。αは余裕代であり、例えば2mmである。一対の貫通孔38は、針床3FのY方向に第一挿入孔30を挟む位置に設けられている。貫通孔38の内径は、後述するネジ2bの軸部の外径よりも、L2−L1+βmm大きい(図6)。βは余裕代であり、例えば1.5mmである。一対のネジ孔39は、編針のX方向に第一挿入孔30を挟む位置に設けられている。これらの役割については後述する。
[位置決め部材]
本例の位置決め部材5は、円筒状のカラー50と、カラー50を本体ベッド2の傾斜部22F(図1,2)に固定するネジ51とで構成される。カラー50は高剛性の材料、例えば金属などで構成される。カラー50の内部には、図5,6に示されるように、ネジ51が貫通されるネジ孔50hが形成されている。ネジ孔50hは、ネジ51の軸部が挿入される細径部と、ネジ51のヘッドが収納される太径部とを備える。太径部によってネジ51がカラー50から突出することを防止できる。ここで、カラー50は円筒状の部材に限定されない。例えば、カラー50は角筒状などであっても良い。
本例のカラー50は、その軸方向の中間部50cの外径が、他の部分の外径よりも大きくなっている。カラー50における中間部50cから先端部に向かう部分は先細り形状となっている。このような形状のカラー50は、後述する第一挿入孔30と第二挿入孔40に挿入し易い。
カラー50は、針床3Fに形成される第一挿入孔30に挿入され、針床3Fを貫通している。第一挿入孔30の内径は、カラー50の中間部50c(最も径が大きい部分)の外形よりも大きくなっているので、カラー50は、第一挿入孔30に対してガタを有する状態で挿入されている。
[位置調整板]
位置調整板4は、図8に示すように、平板状の部材である。位置調整板4は、その外周輪郭線を構成する第一縁部41と第二縁部42と第三縁部43と第四縁部44とを備える。第三縁部43と第四縁部44にはそれぞれ切欠き部46,47が形成されている。この切欠き部46,47は、図3などに示されるように、針床3Fを本体ベッド2に固定するネジ2bを回避するためのものである。また、第四縁部44には、位置調整板4の向きを示す切欠き状のマーク部48を備える。マーク部48はペイント又は刻印などであっても良い。
位置調整板4は、第二挿入孔40と一対の貫通孔49とを備える。第二挿入孔40は、位置調整板4の中央部に設けられている。第二挿入孔40の内径は、カラー50の中間部50cの外径とほぼ同じである(図5,6)。一対の貫通孔49は、第二挿入孔40を挟んで第一縁部41側と第二縁部42側に設けられている。貫通孔49の内径は、後述するネジ3bの軸部の外径よりも大きい(図5)。
本例の位置調整板4では、第二挿入孔40の中心から第一縁部41までの距離L1と、第二挿入孔40の中心から第二縁部42までの距離L2とが異なる。距離L2は、距離L1よりも若干長くなっている。例えば、L2−L1は、0.2mm以上1mm以下とすることが挙げられる。本例のL2−L1は0.3mmである。
図8に示される位置調整板4は、図3から図6に示されるように、針床3Fの表面に形成される凹部31に配置されている。図5,6に示されるように、凹部31に配置された位置調整板4の第二挿入孔40は、針床3Fの第一挿入孔30に重複している。そのため、カラー50は、第一挿入孔30と第二挿入孔40とに挿入される。そのカラー50の中間部50cは、ちょうど第二挿入孔40の内部に配置される。本例の中間部50cの外径は20mm(+0.01〜+0.03mm)である。また、本例の第二挿入孔40の内径は20mm(−0.03〜−0.01mm)である。中間部50cの外径と第二挿入孔40の内径はほぼ同じであるため、カラー50は、第二挿入孔40に対してガタを有さない状態で挿入されている。
凹部31に配置された位置調整板4の第一縁部41は、X方向の進出側(紙面上側)に配置されている。第二縁部42は、X方向の後退側(紙面下側)に配置されている。第三縁部43は、Y方向の外方側(紙面左側)に配置されている。第四縁部44は、Y方向の内方側(紙面右側)に配置されている。本例では、第一縁部41が、凹部31における進出側の内壁311(段差)に当接しているが、第二縁部42は、凹部31の後退側の内壁312には当接していない。つまり、第一縁部41が、針床3Fの段差311に当接し、位置調整板4に対する針床3FのX方向の位置を決める位置決め縁部45として機能している。本例とは異なり、第二縁部42を凹部31の後退側の内壁312に当接させ、位置調整板4に対する針床3Fの位置を決めても良い。この場合、第二縁部42が位置決め縁部45として機能する。
本例では、第四縁部44は、凹部31におけるY方向の内方側の内壁314(段差)に当接している。この当接によって、針床3FのY方向における針床3Fの位置も決められている。第四縁部44は、必ずしも凹部31の内壁314に当接する必要はない。
ここで、位置決め縁部45は、平坦で無くても良い。位置決め縁部45が例えばくさび形状となっていれば、位置決め縁部45が凹部の内壁(段差)に当接されることで、X方向及び針床のY方向における針床の位置が決まる。
本例の位置調整板4の厚さは、本例の凹部31の深さとほぼ同じである。もちろん、位置調整板4の厚さは、凹部31の深さよりも厚くても良いし、薄くても良い。
位置調整板4は、ネジ3bによって針床3Fにネジ止めされている。図5に示されるように、ネジ3bは、位置調整板4の貫通孔49を貫通し、針床3Fのネジ孔39にネジ結合されているが、本体ベッド2に到達していない。従って、位置調整板4は、位置決め部材5を介してのみ、本体ベッド2に対して固定されている。
≪針床の固定手順≫
針床3Fは、例えば以下の手順で本体ベッド2に固定される。まず、本体ベッド2にカラー50をネジ51で仮止めする。次いで、位置調整板4の第一縁部41(位置決め縁部45)を針床3Fの凹部31の段差311に当接させ、ネジ3bによって位置調整板4を針床3Fに固定する(図5)。位置調整板4が固定された針床3Fを本体ベッド2に載せ、位置調整板4の第二挿入孔40にカラー50を係合させる。治具によって本体ベッド2に対する針床3FのX方向の位置を微調整し、ネジ2bを針床3Fの貫通孔38に貫通させ、本体ベッド2のネジ孔28にネジ結合させると共に、ネジ51を本締めする(図6)。その結果、針床3Fが本体ベッド2に固定される。このように、本例の横編機1では、取付作業者が、本体ベッド2に対して針床3Fの位置を決める際に、本体ベッド2にノックピン用の孔をあける必要がなく、針床3Fの位置決めが容易である。
本体ベッド2に対する針床3FのX方向の位置を変える場合、位置調整板4を別のサイズのものに変更すればよい。その際、カラー50のネジ51は緩める必要がない。ここで、本例の位置調整板4では、図8に示されるように、第二挿入孔40の中心からの第一縁部41までの距離L1と、第二挿入孔40の中心から第二縁部42の距離とが異なる。そのため、図9に示されるように、第一縁部41と第二縁部42のX方向の位置が逆となるように位置調整板4を裏返して凹部31に取り付けることで、本体ベッド2に対する針床3FのX方向の位置を変えることができる。この場合、位置調整板4の第二縁部42が、位置決め縁部45として機能する。このように、本例の横編機1では、位置調整板4を取り替えたり、位置調整板4の向きを変えたりするだけで、本体ベッド2に対する針床3Fの位置を決めることができる。
≪その他の構成≫
本例の横編機1は、図1に示されるように、針床3F,3BのY方向の中間部を後退側から支える支持装置6を備える。支持装置6の構成は、主に図10から図14を参照して説明する。
図10,11に示される支持装置6は、第一部材7と第二部材8とカム機構とを備える。第一部材7は、ネジ7bによって本体ベッド2に固定されている。また、第一部材7は、図12に示されるように、支持ネジ61によってX方向の後退側(歯口10と反対側)から支持されている。支持ネジ61は、図1に示されるように、支持アーム60によって本体ベッド2に固定されている。従って、第一部材7は、本体ベッド2に対して不動である。
第一部材7は、板状部材である(図13)。第一部材7は、二つのネジ孔71と二つの長孔72とを備える。ネジ孔71には、ネジ8bがネジ結合される(図12)。つまり、ネジ孔71は、第一部材7の上に第二部材8を重ねて固定するためのものである。一方、長孔72は、X方向に長いレーストラック形状となっている。長孔72には、ネジ7b(図10,11)が貫通される。ネジ7bは、本体ベッド2にネジ結合される。
第一部材7の上端は、凹凸を有する。この凹凸形状のうち、X方向の進出方向に突出する凸部が第一カム面79となっている。凹凸形状の凹部は、後述する第二カム面89に接触しない。また、第一部材7には、二つのマーク部77,78が形成されている。両マーク部77,78は、X方向にずれた位置に配置されている。マーク部77,78は、第一部材7に対する第二部材8の位置を示すもので、孔でも良いし、凹みでも良いし、刻印でも良い。
第二部材8は、板状部材であって、その上端(X方向の進出側の端部)に支持縁部85を備える(図14)。支持縁部85は、針床3Fの下端面(X方向の後退側の端面)に当接する。既に述べたように、第二部材8はネジ8bによって第一部材7に固定されており(図10,11)、その第一部材7は本体ベッド2に固定されている。従って、第二部材8の支持縁部85によって、針床3Fはその下端側から支えられる。
この第二部材8は、二つの表面凹部80と、一つの裏面凹部83と、二つの第一貫通孔81と、二つの第二貫通孔82と、を備える(図12,14)。第二部材8の表面側に形成される表面凹部80は、Y方向に長いレーストラック形状である。表面凹部80は、ネジ8bの座面となる部分である(図10から図12)。第一貫通孔81は、表面凹部80と裏面凹部83とに連通している。第一貫通孔81は、Y方向に長くなったレーストラック形状の長孔である。第一貫通孔81にはネジ8bが貫通される。
第二貫通孔82は、第二部材8の表面と裏面凹部83とに連通している。第二貫通孔82は、Y方向に長くなったレーストラック形状の長孔である。第二貫通孔82には、ネジ7b(図10,11)が貫通される。この第二貫通孔82と表面凹部80とは、Y方向に交互に配置されている。第二貫通孔82は、表面凹部80よりもX方向の後退側(紙面下側)に配置されている。
裏面凹部83のX方向の後退側の部分は、第二部材8の端面に開口している。一方、裏面凹部83における進出側の内周面は、凹凸形状の第二カム面89となっている。第二カム面89は、図10,11に示されるように、第一カム面79に対向している。これらカム面79,89によって、第一部材7に対する第二部材8のX方向の位置を変化させるカム機構が構成されている。
第一部材7に対する第二部材8のX方向の位置を変えるには、ネジ8bのみを緩めて、第二部材8をY方向にスライドさせる。図10では、第一部材7のカム面79の凸部(進出方向に突出する部分)が、第二部材8のカム面89の凸部(後退方向に突出する部分)に配置されている。一方、図10の第二部材8を紙面右側に移動させた状態を示す図11では、カム面79の凸部が、カム面89の凹部(進出方向に窪んだ部分)に配置されている。その結果、図11における第二部材8の支持縁部85は、図10における位置よりも低くなる。この支持装置6によれば、図2に示されるように、位置調整板4によって調整された針床3Fの位置に応じて、針床3FのY方向の中間部(白抜き矢印の位置)を支えることができる。そのため、針床3FのY方向の中間部において歯口10の間隔が、所望の間隔よりも大きくなることを抑制できる。言うまでもないが、支持装置6による針床3Fの支持は、位置調整板4による針床3Fの位置の調整が終わった後に行う。
ここで、本例では、第一部材7にマーク部77,78が形成されており、図10の状態ではマーク部78のみが、図11の状態ではマーク部77のみが視認可能に構成されている。そのため、第二部材8がX方向の進出側にあるか、後退側にあるかを容易に確認できる。
本例とは異なり、第一部材7の凹凸形状の上端全体を第一カム面79とし、第二部材8の凹凸形状のうち、X方向の後退方向に突出する凸部を第二カム面89としても良い。
<実施形態2>
実施形態1では、位置調整板4が、針床3Fに形成される凹部31の内壁311(段差)に当接される構成が示されている。この凹部31の代わりに、針床3Fの表面から突出する凸部を形成し、その凸部の外壁(段差)に位置調整板4が当て止めされる構成であっても良い。ピン状の複数の凸部を形成し、それらの凸部に位置調整板4が当て止めされる構成であっても良い。その他の構成として、位置調整板4が三つ以上の位置決め縁部45を備えていても良い。
1 横編機
10 歯口
2 本体ベッド
2b ネジ
20 底部、21F,21B 壁部、22F,22B 傾斜部、23 天部
28 ネジ孔、29 摺動部材、23h 開口
3F,3B 針床
3b ネジ
30 第一挿入孔、31 凹部、311,312,314 内壁(段差)
38 貫通孔、39 ネジ孔
4 位置調整板
40 第二挿入孔
41 第一縁部、42 第二縁部、43 第三縁部 44 第四縁部
45 位置決め縁部、46,47 切欠き部、48 マーク部、49 貫通孔
5 位置決め部材
50 カラー、50c 中間部、50h ネジ孔、51 ネジ
6 支持装置
60 支持アーム、61 支持ネジ
7 第一部材、7b ネジ
71 ネジ孔、72 長孔、77,78 マーク部、79 第一カム面
8 第二部材、8b ネジ
80 表面凹部、81 第一貫通孔、82 第二貫通孔、83 裏面凹部
85 支持縁部、89 第二カム面

Claims (4)

  1. 本体ベッドと、
    前記本体ベッドに位置決めされる少なくとも一対の針床と、を備え、
    前記針床は、進退自在に設けられる複数の編針を備える横編機において、
    前記針床における前記編針が進退する方向をX方向としたとき、
    前記本体ベッドから突出することで前記針床を貫通する位置決め部材と、
    前記針床の表面に固定される位置調整板と、を備え、
    前記針床は、
    ガタを有した状態で前記位置決め部材が挿入される第一挿入孔と、
    前記表面に形成される段差と、を備え、
    前記位置調整板は、
    ガタを有さない状態で前記位置決め部材が挿入される第二挿入孔と、
    前記X方向における前記編針の進出側又は後退側に配置される位置決め縁部と、を備え、
    前記位置決め縁部は前記段差に当接される横編機。
  2. 前記位置決め縁部は、前記進出側に配置される請求項1に記載の横編機。
  3. 前記位置調整板は、前記第二挿入孔の中心からの距離が異なる複数の縁部を備え、
    前記複数の縁部のいずれかが前記位置決め縁部として機能する請求項1又は請求項2に記載の横編機。
  4. 前記X方向に直交する前記針床の長さ方向をY方向としたとき、
    前記針床の前記Y方向の中間部を前記後退側から支える支持装置を備え、
    前記支持装置は、
    前記本体ベッドに固定される第一部材と、
    前記第一部材に固定され、かつ前記針床を支える第二部材と、
    前記Y方向における前記第一部材に対する前記第二部材の位置に応じて、前記X方向における前記第一部材に対する前記第二部材の位置を変化させるカム機構と、を備える請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の横編機。
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