JP7302427B2 - 感熱記録体及びその製造方法 - Google Patents
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Description
また、特許文献2には、下塗り層に用いる熱膨張性樹脂粒子としては、未膨張時の平均粒子径が好ましくは1~25μmであり、加熱により体積が10~50倍に膨張し、中空率が80%以上となるものが好ましいことが開示されている。
また、特許文献2に記載の感熱記録材料は、熱膨張性樹脂粒子の粒子径を均一化する観点を持たず、発泡後の粒子径のばらつきが大きいことにより、下塗り層の表面の平滑性が低下するため、画質に改善の余地を有するものであった。
項2:前記下塗り層中の接着剤が水不溶性樹脂からなる水分散性接着剤である、項1に記載の感熱記録体。
項3:前記水不溶性樹脂がスチレン・ブタジエン共重合体である、項2に記載の感熱記録体。
項4:前記スチレン・ブタジエン共重合体のガラス転移温度が10℃以下である、項3に記載の感熱記録体。
項5:前記スチレン・ブタジエン共重合体の粒子径が150~300nmである、項3または4に記載の感熱記録体。
項6:前記下塗り層中の保水剤が水溶性樹脂からなる水溶性保水剤である、請求項1~5のいずれか1項に記載の感熱記録体。
項7:前記水溶性樹脂が澱粉、ポリビニルアルコール及びカルボキシメチルセルロースよりなる群から選ばれる少なくとも1種である、項6に記載の感熱記録体。
項8:前記中空粒子の中空率が65%以上である、項1~7のいずれか1項に記載の感熱記録体。
項9:前記中空粒子の含有割合が下塗り層の全固形量のうち、5~90質量%である、項1~8のいずれか1項に記載の感熱記録体。
項10:項1~9のいずれか1項に記載の感熱記録体の製造方法であって、中空粒子、接着剤及び保水剤を含む下塗り層用塗料をカーテン塗布法により塗布する工程を含む感熱記録体の製造方法。
本発明における支持体は、種類、形状、寸法等に格別の限定はなく、例えば、上質紙(酸性紙、中性紙)、中質紙、コート紙、アート紙、キャストコート紙、グラシン紙、樹脂ラミネート紙、ポリオレフィン系合成紙、合成繊維紙、不織布、合成樹脂フィルム等の他、各種透明支持体等の中から適宜選択して使用することができる。支持体の厚みは特に制限されず、通常、20~200μm程度である。また、支持体の密度は特に制限されず、0.60~0.85g/cm3程度が好ましい。
本発明の感熱記録体は、支持体と感熱記録層との間に下塗り層を有する。下塗り層は、最大粒子径(D100)が10~30μmである中空粒子を含有し、さらに接着剤及び保水剤を含有している。
中空粒子は、クッション性を向上する観点から有機樹脂からなることが好ましい。中空粒子を含有することによって高い断熱性を有する下塗り層は、感熱記録層に加えられた熱の拡散を防ぎ、感熱記録体としての感度を高めることができる。
まず、樹脂の内部に揮発性液体を封じ込めた粒子を作製し、加熱により前記樹脂を軟化させると共に、前記粒子の内部の液体を気化及び膨張させることで、中空粒子を製造できる。
中空粒子に用いる樹脂には、上記の種々の樹脂の中でも発泡粒子の形状を維持する強度の観点からアクリロニトリル樹脂やポリ塩化ビニリデンとアクリルニトリルを主体とする共重合体樹脂が好ましい。
中空粒子の最大粒子径が10μm以上であると下塗り層のクッション性が向上するため、印字時における感熱記録体のサーマルへッドへの密着性が向上し、高画質の感熱記録体が得られる。この高画質は、最大記録濃度(Dmax)を与えるより低いエネルギーで発色させる中間調における記録濃度の向上をもたらすことができる。
一方、中空粒子の最大粒子径が30μm以下であると下塗り層の平滑性が向上するため、下塗り層を介して設ける感熱記録層を均一化することができ、画像の白抜けの起こりづらい感熱記録体が得られる。
中空粒子の最大粒子径(D100)は、レーザー回析式粒度分布測定装置によって測定することができる。また、電子顕微鏡を使用し、粒子画像(SEM画像)から粒子径をそれぞれ測定し、10個の平均値で示しても構わない。
(1)サンプルの前処理
・サンプルを60℃で一昼夜乾燥してサンプルとする。
(2)試薬
・イソプロピルアルコール(IPA:試薬一級)
(3)測定法
・メスフラスコを精秤する(W1)。
・メスフラスコに乾燥済サンプルを約0.5g取り精秤する(W2)。
・IPAを約50mg加え、十分に振とうして完全にカプセル外の空気を除去する。
・IPAを標線まで加えて精評する(W3)。
・ブランクとしてメスフラスコにIPAのみを標線まで加え精評する(W4)。
(4)真比重の算出
真比重={(W2-W1)×((W4-W1)/100)}/{(W4-W1)-(W3-W2)}
(5)中空率の算出
中空率(%)={1-1/(1.1/真比重)}×100
また、下塗り層には、吸油性顔料も加えることが好ましい。吸油性顔料を下塗り層に加えることでスティッキングやヘッド粕といった印字障害を効果的に抑えることができる。吸油性顔料としては、例えば焼成カオリンを挙げることができる。吸油性顔料の含有割合は、下塗り層の全固形量のうち、2~80質量%であることが好ましい。
接着剤としては、水不溶性樹脂からなる水分散性接着剤が好ましい。水分散性接着剤としては、例えば、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン、スチレン・ブタジエン共重合体、スチレン・ブタジエン・アクリロニトリル共重合体、アクリロニトリル・ブタジエン共重合体、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸エステル、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体、ポリブチルメタクリレート、エチレン・酢酸ビニル共重合体、シリル化ウレタン、アクリル・シリコン複合体、及びアクリル・シリコン・ウレタン複合体、尿素樹脂、メラミン樹脂、アミド樹脂、ポリウレタン樹脂等のラテックスが挙げられる。中でも、好ましくはスチレン・ブタジエン共重合体である。ラテックスの含有割合は、広い範囲で選択できるが、一般には下塗り層の全固形量のうち、5質量%以上が好ましく、10質量%以上がより好ましい。一方、40質量%以下が好ましく、30質量%以下がより好ましく、20質量%以下がさらに好ましい。ラテックスの含有割合を10質量%以上とすることにより、下塗り層のクッション性をより一層高められる。
保水剤は、下塗り層に含有させることによって、下塗り層用塗料の支持体側へのマイグレーション、特に接着剤成分のマイグレーションを抑え、中空粒子が偏りのない均一に分布した下塗り層を形成することができる。中空粒子の偏在性が減少すれば下塗り層の平滑性が向上するため、下塗り層を介して設けられる感熱記録層を均一化することができる。これにより、最大粒子径が10~30μmと比較的大きい中空粒子を下塗り層中に均一に分布させ、画像の白抜け等を抑止することができ、最高発色濃度も向上する。保水剤は、水溶性樹脂からなる水溶性保水剤であることが好ましい。なお、本発明において、下塗り層中に最大粒子径(D100)が10~30μmである中空粒子が含有される場合、下塗り層に含有される水溶性樹脂は保水剤に該当し、接着剤には該当しないものとする。
本発明の感熱記録体における感熱記録層には、無色または淡色の各種公知のロイコ染料を含有させることができる。そのようなロイコ染料の具体例を以下に挙げる。
呈色剤は、もちろん、これらに制限されるものではなく、また必要に応じて2種以上の化合物を併用することもできる。
感熱記録体では、感熱記録層上に必要に応じて保護層を備えることもできる。保護層は、顔料及び接着剤を含有することが好ましい。更に保護層には、サーマルヘッドに対するスティッキングを防止する目的で、ポリオレフィンワックス、ステアリン酸亜鉛のような滑剤を含有させることが好ましく、紫外線吸収剤を含有させることもできる。また、光沢を有する保護層を設けることにより、製品の付加価値を高めることもできる。
本発明では、感熱記録体の付加価値を高めるために、これに更に加工を施し、より高い機能を付与した感熱記録体とすることができる。例えば、裏面に粘着剤、再湿接着剤、ディレードタック型の粘着剤等による塗布加工を施すことにより粘着紙、再湿接着紙、ディレードタック紙等とすることができる。また、裏面を利用して、これに熱転写用紙、インクジェット記録用紙、ノーカーボン用紙、静電記録用紙、ゼオグラフィー用紙等としての機能を付与し、両面記録が可能な記録紙とすることもできる。もちろん、両面感熱記録体とすることもできる。また、感熱記録体裏面からの油及び可塑剤の浸透を抑制したり、カールコントロール及び帯電防止のためにバック層を設けることもできる。
支持体上に上記各層を形成する方法としては、エアナイフ法、ブレード法、グラビア法、ロールコーター法、スプレー法、ディップ法、バー法、カーテン法、スロットダイ法、スライドダイ法、エクストルージョン法等の既知の塗布方法のいずれを利用してもよい。また、各塗料は1層ずつ塗布及び乾燥して各層を形成してもよく、同一の塗料を2層以上に分けて塗布してもよい。さらに、2つ以上の層を同時に塗布する同時多層塗布を行ってもよい。また、各層を形成し終えた後、または全ての層を形成し終えた後の任意の過程で、スーパーカレンダー、ソフトカレンダー等の既知の方法を用いて平滑化処理することがで
きる。
(1)下塗り層用塗料の調製
焼成カオリン(商品名アンシレックス93、BASF社製)59部、スチレン・ブタジエン共重合体(商品名:SR-104、日本A&L社製、固形分濃度48%、粒子径160nm、ガラス転移温度3℃)41.7部、酸化澱粉(商品名:王子エースA、王子コーンスターチ社製)の25%水溶液4部、中空粒子A(発泡タイプ、平均粒子径9μm、最大粒子径20μm、固形分濃度20%)100部、及び水75.5部からなる組成物を混合攪拌して、下塗り層用塗料を得た。
3-ジ-(n-ブチル)アミノ-6-メチル-7-アニリノフルオラン40部、ポリビニルアルコール(重合度500、鹸化度88%)の10%水溶液40部、及び水20部を混合し、サンドミル(アイメックス社製、サンドグラインダー)を用いて、レーザー回折式粒径測定器SALD2200(島津製作所社製)によるメジアン径が0.5μmになるまで粉砕してロイコ染料分散液(A液)を得た。
4-ヒドロキシ-4’-イソプロポキシジフェニルスルホン (日本曹達社製、 D8)40部、ポリビニルアルコール(重合度500、鹸化度88%)の10%水溶液40部、及び水20部を混合し、サンドミル(アイメックス社製、サンドグラインダー)を用いて、レーザー回折式粒径測定器SALD2200(島津製作所社製)によるメジアン径が0.7μmになるまで粉砕して呈色剤分散液(B液)を得た。
シュウ酸ジ-p-メチルベンジルエステル(商品名:HS-3520、DIC社製)40部、ポリビニルアルコール(重合度500、鹸化度88%)の10%水溶液40部、及び水20部を混合し、サンドミル(アイメックス社製、サンドグラインダー)を用いて、レーザー回折式粒径測定器SALD2200(島津製作所社製)によるメジアン径が1.0μmになるまで粉砕して増感剤分散液(C液)を得た。
A液29.5部、B液59.1部、C液45.4部、ヒドロキシメチルセルロースの5%水溶液20部、完全鹸化ポリビニルアルコール(重合度:1000、鹸化度:99モル%)の10%水溶液45部、ブタジエン系共重合体ラテックス(商品名:L-1571、旭化成社製、固形分濃度48%)9.4部、軽質炭酸カルシウム(商品名:Brilliant-15、白石工業社製)17.1部、パラフィンワックス(商品名:ハイドリンL-700、中京油脂社製、固形分濃度30%)11.7部、アジピン酸ジヒドラジド(大塚化学社製)2部、及び水120部からなる組成物を混合撹拌して感熱記録層用塗料を得た。
アセトアセチル変性ポリビニルアルコール(商品名:ゴーセネックスZ-200、鹸化度:99.4モル%、平均重合度:1000、変性度:5モル%、日本合成化学工業社製)の12%水溶液300部、カオリン(商品名:HYDRAGLOSS90、KaMin LLC社製)19部、水酸化アルミニウム(商品名:ハイジライトH-42M、昭和電工社製)35部、シリカ(商品名:ミズカシルP-527、水澤化学社製)4部、ポリエチレンワックス(商品名:ケミパールW-400、三井化学社製、固形分濃度40%)2.5部、及び水114.5部からなる組成物を混合撹拌して保護層用塗料を得た。
坪量60g/m2の上質紙の片面上に、下塗り層用塗料、感熱記録層用塗料、及び保護層用塗料を乾燥後の塗布量がそれぞれ6.0g/m2、4.0g/m2、2.0g/m2となるように塗布した後、乾燥して、下塗り層、感熱記録層、及び保護層を順次形成した後、スーパーカレンダーで表面を平滑化して感熱記録体を得た。なお、下塗り層は、下塗り層用塗料をカーテン塗布法により塗布した後、乾燥して形成した。
実施例1の下塗り用塗料の調製において、スチレン・ブタジエン共重合体(商品名:SR-104、日本A&L社製、固形分濃度48%、粒子径160nm、ガラス転移温度3℃)41.7部に代えて、スチレン・ブタジエン共重合体(商品名:SR-107、日本A&L社製、固形分濃度48%、粒子径170nm、ガラス転移温度-15℃)41.7部を用いた以外は、実施例1と同様に感熱記録体を得た。
実施例1の下塗り用塗料の調製において、スチレン・ブタジエン共重合体(商品名:SR-104、日本A&L社製、固形分濃度48%、粒子径160nm、ガラス転移温度3℃)41.7部に代えて、スチレン・ブタジエン共重合体(商品名:SR-103、日本A&L社製、固形分濃度48%、粒子径220nm、ガラス転移温度7℃)41.7部を用いた以外は、実施例1と同様に感熱記録体を得た
実施例1の下塗り用塗料の調製において、酸化澱粉(商品名:王子エースA、王子コーンスターチ社製)の25%水溶液4部に代えて、ポリビニルアルコール(商品名:PVA11-98、クラレ社製)15%水溶液6.7部を用いた以外は、実施例1と同様に感熱記録体を得た。
実施例1の下塗り用塗料の調製において、酸化澱粉(商品名:王子エースA、王子コーンスターチ社製)の25%水溶液4部に代えて、カルボキシメチルセルロース(商品名:セロゲン7A、第一工業製薬社製)1部を用いた以外は、実施例1と同様に感熱記録体を得た。
実施例1の下塗り用塗料の調製において、焼成カオリン(商品名アンシレックス93、BASF社製)の量を59部に代えて19部とし、中空粒子A(発泡タイプ、平均粒子径9μm、最大粒子径20μm、固形分濃度20%)の量を100部に代えて300部とした以外は、実施例1と同様に感熱記録体を得た。
実施例1の下塗り用塗料の調製において、中空粒子A(発泡タイプ、平均粒子径9μm、最大粒子径20μm、固形分濃度20%)100部に代えて、中空粒子B(非発泡タイプ、商品名:ローペイクSN-1055、ダウケミカル社製、平均粒子径1μm、最大粒子径2μm、固形分濃度26.5%)75.5部を用いた以外は、実施例1と同様に感熱記録体を得た。
実施例1の下塗り用塗料の調製において、中空粒子A(発泡タイプ、平均粒子径9μm、最大粒子径20μm、固形分濃度20%)100部に代えて、中空粒子C(発泡タイプ、平均粒子径20μm、最大粒子径40μm、固形分濃度15%)133部を用いた以外は、実施例1と同様に感熱記録体を得た。
実施例1の下塗り用塗料の調製において、酸化澱粉(商品名:王子エースA、王子コーンスターチ社製)の25%水溶液4部を使用しなかった以外は、実施例1と同様に感熱記録体を得た。
感熱記録評価機(商品名:TH-PMD、大倉電機社製)を用い、印加エネルギー:0.16mJ/dotの中間調エネルギー領域にて各感熱記録体を記録し、得られた印字部をマクベス濃度計(RD-914、マクベス社製)のビジュアルモードで測定した。数値が大きい程、印字の濃度が濃く、高感度である。
ラベルプリンタ(商品名:L-2000、株式会社イシダ製)を用いてバーコードを記録し、その記録画質を目視で観察し、下記の基準で評価した。
○:画質の白抜けやバーコードの太りがなく、全く問題ない。
△:画質の白抜けやバーコードの太りがほとんどなく、実用上問題ない。
×:画像の白抜けやバーコードの太りがあり、実用上問題となる。
Claims (6)
- 支持体上に中空粒子、接着剤及び保水剤を含有する下塗り層と、ロイコ染料及び呈色剤を含有する感熱記録層とをこの順に有し、前記中空粒子の最大粒子径(D100)が10~30μmである感熱記録体であって、
前記支持体が酸性紙または中性紙であり、前記下塗り層中の接着剤として粒子径が165nm以上のスチレン・ブタジエン共重合体を含有し、前記保水剤としてカルボキシメチルセルロースを含有する、感熱記録体。 - 前記スチレン・ブタジエン共重合体のガラス転移温度が10℃以下である、請求項1に記載の感熱記録体。
- 前記スチレン・ブタジエン共重合体の粒子径が190~300nmである、請求項1または2に記載の感熱記録体。
- 前記中空粒子の中空率が65%以上である、請求項1~3のいずれか1項に記載の感熱記録体。
- 前記中空粒子の含有割合が下塗り層の全固形量のうち、5~90質量%である、請求項1~4のいずれか1項に記載の感熱記録体。
- 請求項1~5のいずれか1項に記載の感熱記録体の製造方法であって、中空粒子、接着剤及び保水剤を含む下塗り層用塗料をカーテン塗布法により塗布する工程を含む感熱記録体の製造方法。
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