JP2023157341A - 感熱記録体 - Google Patents

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Abstract

【課題】印字の長期保存性に優れる感熱記録体の提供。【解決手段】支持体上に少なくとも、中空粒子、接着剤及び無機顔料Iを含有する下塗り層、並びにロイコ染料、顕色剤及び無機顔料IIを含有する感熱記録層をこの順に有する感熱記録体において、前記顕色剤として下記一般式(1):TIFF2023157341000007.tif46170(式中、R1~R5は、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、アミノ基、アルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルカルボニルオキシ基、アリールカルボニルオキシ基、アルキルカルボニルアミノ基、アリールカルボニルアミノ基、アルキルスルホニルアミノ基、アリールスルホニルアミノ基、モノアルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基又はアリールアミノ基を表す。)を含有する感熱記録体。【選択図】なし

Description

本発明は、感熱記録体に関するものである。
無色又は淡色のロイコ染料と、フェノール類又は有機酸との加熱発色反応を利用して発色画像を記録する感熱記録体は、広く実用化されている。このような感熱記録体は、単に加熱するだけで発色画像が形成されるため、記録装置をコンパクトにでき、記録装置の保守も容易で、騒音の発生が少ないなどの利点を有している。そのため感熱記録体は、ラベルプリンタ等の発行機、自動券売機、CD・ATM、飲食店等の注文伝票出力機、科学研究用機器のデータ出力機等における各種情報記録材料として広範囲に使用されている。
一般にフェノール性水酸基を有する顕色剤は、熱応答性に劣ること、印字部が耐水性に劣ることなどの欠点を有する上、ビスフェノールA等のフェノール系化合物はエンドクリン問題を有することから、欧州を中心に非フェノール系顕色剤を使用した感熱記録紙の需要が高まっており、各種新規非フェノール系顕色剤が開発されている。
例えば、特許文献1には、顕色剤として、非フェノール系顕色剤の1種である3-[(フェニルカルバモイル)アミノ]フェニル-4-メチルベンゼンスルホナートを用いた感熱記録体が提案されており、印字部が耐水性に優れ、地肌が熱に対して高い安定性を示すことが報告されている。しかしながら、このような顕色剤は、90℃耐熱地肌カブリは優れているものの、印字の長期保存性が劣ることが判明している。
特許第6529197号公報
本発明は、印字の長期保存性に優れる感熱記録体を提供することを主な目的とする。
本発明者等は、上記目的を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、特定の顕色剤と吸油量が130ml/100g以下の無機顔料とを組み合わせることにより、上記課題が解決されることを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は、下記の感熱記録体に係る。
項1:支持体上に少なくとも、中空粒子、接着剤及び無機顔料Iを含有する下塗り層、並びにロイコ染料、顕色剤及び無機顔料IIを含有する感熱記録層をこの順に有する感熱記録体において、前記顕色剤として下記一般式(1):
Figure 2023157341000001
(式中、R~Rは、同一又は異なって、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、アミノ基、アルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルカルボニルオキシ基、アリールカルボニルオキシ基、アルキルカルボニルアミノ基、アリールカルボニルアミノ基、アルキルスルホニルアミノ基、アリールスルホニルアミノ基、モノアルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基又はアリールアミノ基を表す。)で表される化合物を含有し、無機顔料IIとして吸油量が130ml/100g以下の顔料を含有することを特徴とする感熱記録体。
項2:前記無機顔料Iの含有割合が下塗り層の全固形量のうち60質量%以下である、項1に記載の感熱記録体。
項3:前記無機顔料Iの吸油量が130ml/100g以下である、項1又は2に記載の感熱記録体。
項4:前記無機顔料IIの吸油量が65ml/100g以下である、項1~3のいずれか1項に記載の感熱記録体。
項5:前記無機顔料IIが炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム及びクレーからなる群より選ばれる少なくとも1種である、項1~4のいずれか1項に記載の感熱記録体。
項6:前記中空粒子の含有割合が下塗り層の全固形量のうち5~40質量%である、項1~5のいずれか1項に記載の感熱記録体。
項7:前記中空粒子の平均粒子径(D50)が3~15μmである、項1~6のいずれか1項に記載の感熱記録体。
項8:前記中空粒子の最大粒子径(D100)が10~30μmである、項1~7のいずれか1項に記載の感熱記録体。
項9:前記中空粒子の最大粒子径(D100)と平均粒子径(D50)との比D100/D50が1.8~3.0である、項1~8のいずれか1項に記載の感熱記録体。
項10:前記中空粒子の粒子径2.0μm以下の中空粒子の体積%が1%以下である、項1~9のいずれか1項に記載の感熱記録体。
項11:前記中空粒子の中空率が80~98%である、項1~10のいずれか1項に記載の感熱記録体。
項12:前記下塗り層の接着剤がガラス転移温度が-10℃以下である結着剤樹脂を含む、項1~11のいずれか1項に記載の感熱記録体。
項13:前記下塗り層の接着剤がガラス転移温度が-30℃以下である結着剤樹脂を含む、項1~12のいずれか1項に記載の感熱記録体。
項14:前記一般式(1)で表される化合物が3-[(フェニルカルバモイル)アミノ]フェニル-4-メチルベンゼンスルホナート、2-[(フェニルカルバモイル)アミノ]フェニル-4-メチルベンゼンスルホナート、及び4-[(フェニルカルバモイル)アミノ]フェニル-4-メチルベンゼンスルホナートからなる群より選ばれる少なくとも1種である、項1~13のいずれか1項に記載の感熱記録体。
項15:支持体の少なくとも一方面に粘着層を有する、項1~14のいずれか1項に記載の感熱記録体。
本発明の感熱記録体は、印字の長期保存性に優れる。
本明細書中において、「含む」なる表現については、「含む」、「実質のみからなる」、及び「のみからなる」旨の概念を含む。
本明細書において「~」を用いて表される数値範囲は、「~」前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
本発明におけるラテックスは、分散媒体を乾燥させることにより形成されるゲル又は乾燥皮膜の状態を含む。
本発明は、支持体上に少なくとも、中空粒子、接着剤及び無機顔料Iを含有する下塗り層、並びにロイコ染料、顕色剤及び無機顔料IIを含有する感熱記録層をこの順に有する感熱記録体において、前記顕色剤として下記一般式(1):
Figure 2023157341000002
(式中、R~Rは、同一又は異なって、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、アミノ基、アルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルカルボニルオキシ基、アリールカルボニルオキシ基、アルキルカルボニルアミノ基、アリールカルボニルアミノ基、アルキルスルホニルアミノ基、アリールスルホニルアミノ基、モノアルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基又はアリールアミノ基を表す。)で表される化合物を含有し、無機顔料IIとして吸油量が130ml/100g以下の顔料を含有することを特徴とする。
[支持体]
本発明における支持体は、種類、形状、寸法等に格別の限定はなく、例えば、上質紙(酸性紙、中性紙)、中質紙、コート紙、アート紙、キャストコート紙、グラシン紙、樹脂ラミネート紙、ポリオレフィン系合成紙、合成繊維紙、不織布、合成樹脂フィルム等の他、各種透明支持体等の中から適宜選択して使用することができる。支持体の厚みは特に制限されず、通常、20~200μm程度である。また、支持体の密度は特に制限されず、0.60~0.85g/cm程度が好ましい。
[下塗り層]
本発明の感熱記録体は、支持体と感熱記録層との間に下塗り層を有する。下塗り層は、中空粒子、接着剤及び無機顔料Iを含有している。
(中空粒子)
中空粒子は、クッション性を向上する観点から有機樹脂からなることが好ましい。中空粒子を含有することによって高い断熱性を有する下塗り層は、感熱記録層に加えられた熱の拡散を防ぎ、感熱記録体としての感度を高めることができる。
有機樹脂からなる中空粒子は、その製造方法の違いによって、発泡タイプと非発泡タイプとに分けることができる。これら二種のうち、発泡タイプの中空粒子は、一般に、非発泡タイプの中空粒子より平均粒子径が大きく中空率も高い。そのため、発泡タイプの中空粒子は、非発泡タイプの中空粒子より良好な感度、画質が得られる。
非発泡タイプの中空粒子は、溶液中でシードを重合させた後に、シードを包むように他の樹脂を重合させ、その後内部のシードを膨潤及び溶解させて除去することにより、内部に空洞を形成することで製造できる。内部のシードを膨潤及び溶解させて除去するときには、アルカリ水溶液等が用いられる。アルカリ膨潤性を有するコア粒子を、アルカリ膨潤性を有しないシェル層で被覆したコア-シェル粒子をアルカリ膨潤処理することにより、平均粒子径が比較的大きい非発泡タイプの中空粒子を得ることもできる。
発泡タイプの中空粒子は、樹脂の内部に揮発性液体を封じ込めた粒子を作製し、加熱により前記樹脂を軟化させると共に、前記粒子の内部の液体を気化及び膨張させることで製造できる。
発泡タイプの中空粒子は、製造過程で内部の液体を加熱膨張させることにより、中空率が大きくなり、高い断熱性が得られるため、感熱記録体の感度を高め、記録濃度を向上させることができる。感度の向上は、特に、感熱記録層に加えられる熱エネルギーが小さい中間調領域を発色させる場合に重要である。また、断熱性の高い下塗り層を介して感熱記録層を形成すれば、感熱記録層に加えられた熱の拡散を防ぐことで、画像均一性に優れ、画質を向上させることもできる。そのため、本実施形態では、下塗り層の断熱性の向上に優れた発泡タイプの中空粒子を用いることが好ましい。
発泡タイプの中空粒子に用いることができる樹脂には、スチレン-アクリル樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリアセタール樹脂、塩素化ポリエーテル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、アクリル系樹脂(例えば、アクリロニトリルを構成成分とするアクリル系樹脂)、スチレン系樹脂、塩化ビニリデン系樹脂、ポリ塩化ビニリデンとアクリロニトリルとを主体とする共重合体樹脂等の熱可塑性樹脂が挙げられる。発泡タイプの中空粒子の内部に含まれる気体としては、プロパン、ブタン、イソブタン、空気等が一般的である。中空粒子に用いる樹脂には、上記の種々の樹脂の中でも発泡粒子の形状を維持する強度の観点からアクリロニトリル樹脂及びポリ塩化ビニリデンとアクリロニトリルとを主体とする共重合体樹脂が好ましい。
本発明における中空粒子の最大粒子径は、好ましくは10~30μm、より好ましくは10~25μmである。最大粒子径は、D100とも呼称される。中空粒子の最大粒子径が10μm以上であると下塗り層のクッション性が向上するため、印字時における感熱記録体のサーマルへッドへの密着性が向上し、高画質の感熱記録体が得られる。この高画質は、最大記録濃度(Dmax)を与えるより低いエネルギーで発色させる中間調における記録濃度の向上をもたらすことができる。一方、中空粒子の最大粒子径が30μm以下であると下塗り層の平滑性が向上するため、下塗り層を介して設ける感熱記録層を均一化することができ、画像の白抜けの起こりづらい感熱記録体が得られる。
本発明における中空粒子の平均粒子径は、好ましくは3~15μm、より好ましくは5~15μmである。ここで、平均粒子径は、粒子径で2つに分けたとき、大きい側の粒子と小さい側の粒子の占める容積が等量となる径、つまり50体積%頻度の粒子径であるメジアン径であり、D50とも呼称される。中空粒子の平均粒子径が3μm以上であると下塗り層のクッション性が向上するため、印字時における感熱記録体のサーマルへッドへの密着性が向上し、高画質の感熱記録体が得られる。この高画質は、最大記録濃度(Dmax)を与えるより低いエネルギーで発色させる中間調における記録濃度の向上をもたらすことができる。一方、中空粒子の平均粒子径が15μm以下であると下塗り層の平滑性が向上するため、下塗り層を介して設ける感熱記録層を均一化することができ、画像の白抜けの起こりづらい感熱記録体が得られる。
中空粒子の最大粒子径(D100)及び平均粒子径(D50)は、レーザ回折式粒度分布測定装置によって測定することができる。また、電子顕微鏡を使用し、粒子画像(SEM画像)から粒子径をそれぞれ測定し、10個の平均値で示しても構わない。
中空粒子の最大粒子径(D100)と平均粒子径(D50)との比D100/D50は、粒度分布の程度を示す指標である。この比D100/D50は、好ましくは1.8~3.0、より好ましくは2.0~2.8である。中空粒子のD100/D50が1.8以上であると、中空粒子が十分に発泡し、最大粒子径が十分大きくなり、中空率が高くなり、下塗り層の断熱性を向上させることができる。一方、中空粒子のD100/D50が3.0以下であると中空粒子の大きさが揃うため、下塗り層の平滑性が高まり、画像の白抜けを抑制できる。
レーザ回折式粒度分布測定装置によって求められる粒度分布において、粒子径2.0μm以下の中空粒子の体積%は1%以下であることが好ましい。また、粒子径2.0μm以下の中空粒子は、体積%が0.5%であることが好ましく、含有されないことがより好ましい。粒子径2μm以下の中空粒子は、十分な中空領域を備えるには粒子径が小さすぎるため、断熱性への寄与が極めて小さいと考えられる。下塗り層における粒子径2μm以下の中空粒子の体積%を1%以下とすることにより、記録濃度、画質等を向上させることができる。
中空粒子は、中空率が80~98%であることが好ましく、90~98%であることがより好ましい。中空粒子の中空率が80%以上であると、中空粒子を含有する下塗り層に高い断熱性を付与することができる。一方、中空粒子の中空率が98%以下であると、中空部をくるむ膜の強度を向上することにより、下塗り層形成時にも潰れない中空粒子とすることができる。
中空粒子の中空率は、IPA法により真比重を測定し、真比重値から以下のようにして求められる。
(1)サンプルの前処理
・サンプルを60℃で一昼夜乾燥してサンプルとする。
(2)試薬
・イソプロピルアルコール(IPA:試薬一級)
(3)測定法
・メスフラスコを精秤する(W1)。
・メスフラスコに乾燥済サンプルを約0.5g取り精秤する(W2)。
・IPAを約50mg加え、十分に振とうして完全にカプセル外の空気を除去する。
・IPAを標線まで加えて精評する(W3)。
・ブランクとしてメスフラスコにIPAのみを標線まで加え精評する(W4)。
(4)真比重の算出
真比重={(W2-W1)×((W4-W1)/100)}/{(W4-W1)-(W3-W2)}
(5)中空率の算出
中空率(%)={1-1/(1.1/真比重)}×100
また、中空率は、次式(d/D)×100でも求められる値である。該式中、dは中空粒子の内径を示し、Dは中空粒子の外径を示す。
本発明における中空粒子は、比較的粒子径が大きいことから、下塗り層に占める含有割合を少なくすることができる。中空粒子の含有割合は、下塗り層の全固形量のうち、5~40質量%であることが好ましく、5~35質量%であることがより好ましい。中空粒子の含有割合が5質量%以上であると、下塗り層の断熱性を向上させることができる。一方、中空粒子の含有割合が40質量%以下であると、塗工性等の面でも問題が生じづらく、均一な下塗り層を形成し易く、記録濃度を向上できる。また、下塗り層の塗膜強度を高めることができる。
(接着剤)
接着剤としては、例えば、ポリビニルアルコール及びその誘導体、澱粉及びその誘導体、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース等のセルロース誘導体、ポリアクリル酸ソーダ、ポリビニルピロリドン、アクリルアミド-アクリル酸エステル共重合体、アクリルアミド-アクリル酸エステル-メタアクリル酸エステル共重合体、スチレン-無水マレイン酸共重合体、イソブチレン-無水マレイン酸共重合体、カゼイン、ゼラチン及びそれらの誘導体等の水溶性高分子材料、並びにポリ酢酸ビニル、ポリウレタン、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸エステル、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、ポリブチルメタクリレート、エチレン-酢酸ビニル共重合体等のエマルジョン、又はスチレン-ブタジエン系共重合体、スチレン-ブタジエン-アクリル系共重合体等の水不溶性重合体のラテックス等を挙げることができる。これらの中でも、ラテックスを含有する接着剤を用いることが好ましい。接着剤の含有割合は、広い範囲から選択できるが、一般には下塗り層の全固形量のうち、20~70質量%程度が好ましく、25~60質量%程度がより好ましい。
接着剤には、ガラス転移温度(Tg)が-10℃以下である結着剤樹脂が含まれることが好ましい。ガラス転移温度が-10℃以下となることにより、低エネルギー域でも画質を向上させることができる。ガラス転移温度は、低エネルギー域において画質をさらに向上させることができるため、-30℃以下であることがより好ましい。一方、-50℃以下ではベタツキが生じて好ましくないことから、-40℃以上が好ましい。
(無機顔料I)
本発明における下塗り層は、無機顔料Iを含有している。無機顔料Iの吸油量は、記録濃度を高めて、長期保存性を向上させる観点から、130ml/100g以下が好ましく、125ml/100g以下がより好ましく、110ml/100g以下がさらに好ましい。一方、ヘッドカスの発生、スティッキング等の印字障害を効果的に減らす観点から、40ml/100g以上が好ましく、80ml/100g以上がより好ましい。ここで、吸油量は、JIS K 5101の方法に従い、求められる値である。
無機顔料Iとしては、各種のものが使用できるが、好ましくは焼成カオリン、クレー等である。無機顔料Iの含有割合は、長期保存性を向上させる観点から、下塗り層の全固形量のうち、60質量%以下が好ましく、50質量%以下がより好ましい。一方、ヘッドカスの発生、スティッキング等の印字障害を効果的に減らす観点から、下塗り層の全固形量のうち、20質量%以上が好ましく、25質量%以上がより好ましい。
下塗り層は、例えば、水を媒体として、中空粒子、接着剤及び無機顔料I、必要により助剤等を混合することにより調製された下塗り層用塗料を塗布した後、乾燥されて支持体上に形成される。下塗り層用塗料の塗布量は、特に限定するものではないが、乾燥質量で2~20g/m程度が好ましく、2~12g/m程度がより好ましい。
[感熱記録層]
(ロイコ染料)
本発明の感熱記録体における感熱記録層には、無色又は淡色の各種公知のロイコ染料を含有させることができる。そのようなロイコ染料の具体例を以下に挙げる。
ロイコ染料の具体例としては、例えば、3,3-ビス(p-ジメチルアミノフェニル)-6-ジメチルアミノフタリド、3-(4-ジエチルアミノ-2-メチルフェニル)-3-(4-ジメチルアミノフェニル)-6-ジメチルアミノフタリド、フルオラン等の青発色性染料、3-(N-エチル-N-p-トリル)アミノ-7-N-メチルアニリノフルオラン、3-ジエチルアミノ-7-アニリノフルオラン、3-ジエチルアミノ-7-ジベンジルアミノフルオラン、ローダミンB-アニリノラクタム等の緑発色性染料、3,6-ビス(ジエチルアミノ)フルオラン-γ-アニリノラクタム、3-シクロヘキシルアミノ-6-クロロフルオラン、3-ジエチルアミノ-6-メチル-7-クロロフルオラン、3-ジエチルアミノ-7-クロロフルオラン等の赤発色性染料、3-(N-エチル-N-イソアミル)アミノ-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-(N-メチル-N-シクロヘキシル)アミノ-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-ジエチルアミノ-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-ジ(n-ブチル)アミノ-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-ジ(n-ペンチル)アミノ-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-(N-エチル-N-イソアミルアミノ)-6-メチル-7-アリニノフルオラン、3-ジエチルアミノ-7-(m-トリフルオロメチルアニリノ)フルオラン、3-(N-イソアミル-N-エチルアミノ)-7-(o-クロロアニリノ)フルオラン、3-(N-エチル-N-2-テトラヒドロフルフリルアミノ)-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-(N-n-ヘキシル-N-エチルアミノ)-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-〔N-(3-エトキシプロピル)-N-エチルアミノ〕-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-〔N-(3-エトキシプロピル)-N-メチルアミノ〕-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-ジエチルアミノ-7-(2-クロロアニリノ)フルオラン、3-ジ(n-ブチルアミノ)-7-(2-クロロアニリノ)フルオラン、4,4’-ビス-ジメチルアミノベンズヒドリンベンジルエーテル、N-2,4,5-トリクロロフェニルロイコオーラミン、3-ジエチルアミノ-7-ブチルアミノフルオラン、3-エチル-トリルアミノ-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-シクロヘキシル-メチルアミノ-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-ジエチルアミノ-6-クロロ-7-(β-エトキシエチル)アミノフルオラン、3-ジエチルアミノ-6-クロロ-7-(γ-クロロプロピル)アミノフルオラン、3-ジエチルアミノ-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-(N-イソアミル-N-エチルアミノ)-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-ジブチルアミノ-7-クロロアニリノフルオラン、3-ジエチルアミノ-7-(o-クロロフェニルアミノ)フルオラン、3-(N-エチル-p-トルイジノ)-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-(N-エチル-p-トルイジノ)-6-メチル-7-(p-トルイジノ)フルオラン、3-(N-エチル-N-テトラヒドロフルフリルアミノ)-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-ジエチルアミノ-6-クロロ-7-アニリノフルオラン、3-ジメチルアミノ-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-ピロリジノ-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-ピペリジノ-6-メチル-7-アニリノフルオラン、2,2-ビス{4-〔6’-(N-シクロヘキシル-N-メチルアミノ)-3’-メチルスピロ〔フタリド-3,9’-キサンテン-2’-イルアミノ〕フェニル}プロパン、3-ジエチルアミノ-7-(3’-トリフルオロメチルフェニル)アミノフルオラン等の黒発色性染料、3,3-ビス〔1-(4-メトキシフェニル)-1-(4-ジメチルアミノフェニル)エチレン-2-イル〕-4,5,6,7-テトラクロロフタリド、3,3-ビス〔1-(4-メトキシフェニル)-1-(4-ピロリジノフェニル)エチレン-2-イル〕-4,5,6,7-テトラクロロフタリド、3-p-(p-ジメチルアミノアニリノ)アニリノ-6-メチル-7-クロロフルオラン、3-p-(p-クロロアニリノ)アニリノ-6-メチル-7-クロロフルオラン、3,6-ビス(ジメチルアミノ)フルオレン-9-スピロ-3’-(6’-ジメチルアミノ)フタリド等の近赤外領域に吸収波長を有する染料等が挙げられる。もちろん、これらに制限されるものではなく、また必要に応じて2種以上の化合物を併用することもできる。
かかるロイコ染料の含有割合は、特に制限されず、感熱記録層の全固形量のうち、3~30質量%程度が好ましく、5~25質量%程度がより好ましく、7~20質量%程度がさらに好ましい。3質量%以上とすることにより発色能力を高めて、記録濃度を向上できる。30質量%以下とすることにより、耐熱性を向上できる。
(顕色剤)
本発明では顕色剤として、上記一般式(1)で表される化合物を含有する。当該化合物と無機顔料IIとを組み合わせることにより、優れた印字の長期保存性等を発揮することができる。
~Rの、ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子が挙げられ、フッ素原子、塩素原子が好ましい。
アルキル基としては、直鎖、分岐鎖又は環状のいずれでもよく、好ましくは直鎖又は分岐鎖アルキル基、より好ましくは直鎖アルキル基である。通常、炭素数が1~12のアルキル基であり、好ましくは炭素数が1~8のアルキル基であり、より好ましくは炭素数が1~6のアルキル基であり、さらに好ましくは炭素数が1~4のアルキル基である。
アルコキシ基としては、直鎖、分岐鎖又は環状のいずれでもよく、好ましくは直鎖又は分岐鎖アルコキシ基、より好ましくは直鎖アルコキシ基である。通常、炭素数が1~12のアルコキシ基であり、好ましくは炭素数が2~8のアルコキシ基であり、より好ましくは炭素数が2~6のアルコキシ基であり、さらに好ましくは炭素数が2~4のアルコキシ基である。
アルキルカルボニルオキシ基としては、直鎖、分岐鎖又は環状のいずれでもよく、好ましくは直鎖又は分岐鎖アルキルカルボニルオキシ基、より好ましくは直鎖アルキルカルボニルオキシ基である。また、炭素数が1~10のアルキルカルボニルオキシ基が好ましい。
アルキルカルボニルアミノ基としては、直鎖、分岐鎖又は環状のいずれでもよく、好ましくは直鎖又は分岐鎖アルキルカルボニルアミノ基、より好ましくは直鎖アルキルカルボニルアミノ基である。また、炭素数が1~10のアルキルカルボニルアミノ基が好ましい。
アルキルスルホニルアミノ基としては、直鎖、分岐鎖又は環状のいずれでもよく、好ましくは直鎖又は分岐鎖アルキルスルホニルアミノ基、より好ましくは直鎖アルキルスルホニルアミノ基である。また、炭素数が1~10のアルキルスルホニルアミノ基が好ましい。
アリール基とは、5又は6員の芳香族炭化水素環からなる単環又は多環系の基を意味する。アリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基などが挙げられる。
アリールオキシ基としては、好ましくは炭素数が6~12のアリールオキシ基である。アリールカルボニルオキシ基としては、好ましくは炭素数が6~12のアリールカルボニルオキシ基である。アリールカルボニルアミノ基としては、好ましくは炭素数が6~12のアリールカルボニルアミノ基である。アリールスルホニルアミノ基としては、好ましくは炭素数が6~12のアリールスルホニルアミノ基である。
モノアルキルアミノ基としては、直鎖、分岐鎖又は環状のいずれでもよく、好ましくは直鎖又は分岐鎖のモノアルキルアミノ基、より好ましくは直鎖のモノアルキルアミノ基である。また、アルキル基の炭素数が1~10であるモノアルキルアミノ基が好ましい。
ジアルキルアミノ基としては、直鎖、分岐鎖又は環状のいずれでもよく、好ましくは直鎖又は分岐鎖のジアルキルアミノ基、より好ましくは直鎖のジアルキルアミノ基である。また、アルキル基の炭素数が1~10であるジアルキルアミノ基が好ましい。
アリールアミノ基としては、モノアリールアミノ基又はジアリールアミノ基が挙げられ、好ましくは炭素数が6~12のモノアリールアミノ基である。
一般式(1)で表される化合物の具体例としては、R~Rがアルキル基又は水素原子であり、好ましくはR~Rが炭素数1~8の直鎖アルキル基又は水素原子であり、より好ましくはR~Rが炭素数1~4の直鎖アルキル基又は水素原子であり、更に好ましくはR~Rがメチル基又は水素原子である。
一般式(1)で表される化合物のその他の具体例としては、R、R、R及びRが水素原子であり且つRが水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、アミノ基、アルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルカルボニルオキシ基、アルキルカルボニルアミノ基、アリールカルボニルアミノ基、アルキルスルホニルアミノ基、アリールスルホニルアミノ基、モノアルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、又はアリールアミノ基(好ましくは水素原子又はアルキル基、より好ましくは水素原子又は炭素数が1~8のアルキル基、さらに好ましくは水素原子又は炭素数が1~4アルキル基、特に好ましくはメチル基)である。
一般式(1)中のジフェニル尿素構造の一方のベンゼン環に結合する、置換基の置換位置としては、当該ベンゼン環上のアミノカルボニル基に対してオルト位、メタ位又はパラ位が挙げられ、好ましくはオルト位又はメタ位、より好ましくはメタ位である。
一般式(1)で表される化合物としては、特に限定されないが、3-[(フェニルカルバモイル)アミノ]フェニル-4-メチルベンゼンスルホナート、2-[(フェニルカルバモイル)アミノ]フェニル-4-メチルベンゼンスルホナート、及び4-[(フェニルカルバモイル)アミノ]フェニル-4-メチルベンゼンスルホナートからなる群より選ばれる少なくとも1種が好ましい。これらの中でも、3-[(フェニルカルバモイル)アミノ]フェニル-4-メチルベンゼンスルホナートが好ましい。
一般式(1)で表される化合物の含有量は、特に制限されず、使用されるロイコ染料に応じて調整すればよく、一般にロイコ染料1質量部に対して0.5質量部以上が好ましく、0.8質量部以上がより好ましく、1質量部以上がさらに好ましく、1.2質量部以上がより一層好ましく、1.5質量部以上が特に好ましい。一方、一般式(1)で表される化合物の含有量は、ロイコ染料1質量部に対して、10質量部以下が好ましく、5質量部以下がより好ましく、4質量部以下がさらに好ましく、3.5質量部以下が特に好ましい。0.5質量部以上とすることにより、記録性能を高めることができる。一方、10質量部以下とすることにより、高温環境下での地肌カブリを効果的に抑えることができる。
本発明の効果を損なわない限り、その他の顕色剤を含有してもよい。その他の顕色剤の具体例としては、例えば、4-tert-ブチルフェノール、4-アセチルフェノール、4-tert-オクチルフェノール、4,4’-sec-ブチリデンジフェノール、4-フェニルフェノール、4,4’-ジヒドロキシジフェニルメタン、4,4’-イソプロピリデンジフェノール、4,4’-シクロヘキシリデンジフェニル、4,4’-シクロヘキシリデンジフェノール、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-エタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-1-フェニルエタン、4,4’-ビス(p-トリルスルホニルアミノカルボニルアミノ)ジフェニルメタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、2,2’-ビス〔4-(4-ヒドロキシフェニル)フェノキシ〕ジエチルエーテル、4,4’-ジヒドロキシジフェニルスルフィド、4,4’-チオビス(3-メチル-6-tert-ブチルフェノール)、4,4’-ジヒドロキシジフェニルスルホン、2,4’-ジヒドロキシジフェニルスルホン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-4-メチルペンタン、2,4’-ジヒドロキシジフェニルスルホン、4-ヒドロキシ-4’-イソプロポキシジフェニルスルホン、4-ヒドロキシ-4’-n-プロポキシジフェニルスルホン、4-ヒドロキシ-4’-アリルオキシジフェニルスルホン、4-ヒドロキシ-4’-ベンジルオキシジフェニルスルホン、3,3’-ジアリル-4,4’-ジヒドロキシジフェニルスルホン、ビス(p-ヒドロキシフェニル)酢酸ブチル、ビス(p-ヒドロキシフェニル)酢酸メチル、ヒドロキノンモノベンジルエーテル、ビス(3-アリル-4-ヒドロキシフェニル)スルホン、4-ヒドロキシ-4’-メチルジフェニルスルホン、4-アリルオキシ-4’-ヒドロキシジフェニルスルホン、3,4-ジヒドロキシフェニル-4’-メチルフェニルスルホン、4-ヒドロキシベンゾフェノン、4-ヒドロキシフタル酸ジメチル、4-ヒドロキシ安息香酸メチル、4-ヒドロキシ安息香酸プロピル、4-ヒドロキシ安息香酸-sec-ブチル、4-ヒドロキシ安息香酸フェニル、4-ヒドロキシ安息香酸ベンジル、4-ヒドロキシ安息香酸ベンジルエステル、4-ヒドロキシ安息香酸トリル、4-ヒドロキシ安息香酸クロロフェニル、4,4’-ジヒドロキシジフェニルエーテル等のフェノール性化合物、又は安息香酸、p-クロロ安息香酸、p-tert-ブチル安息香酸、トリクロル安息香酸、テレフタル酸、サリチル酸、3-tert-ブチルサリチル酸、3-イソプロピルサリチル酸、3-ベンジルサリチル酸、3-(α-メチルベンジル)サリチル酸、3,5-ジ-tert-ブチルサリチル酸、4-〔2-(p-メトキシフェノキシ)エチルオキシ〕サリチル酸、4-〔3-(p-トリルスルホニル)プロピルオキシ〕サリチル酸、5-〔p-(2-p-メトキシフェノキシエトキシ)クミル〕サリチル酸、4-{3-(p-トリルスルホニル)プロピルオキシ〕サリチル酸亜鉛等の芳香族カルボン酸、及びこれらフェノール性化合物、芳香族カルボン酸と例えば亜鉛、マグネシウム、アルミニウム、カルシウム、チタン、マンガン、スズ、ニッケル等の多価金属との塩、さらにはチオシアン酸亜鉛のアンチピリン錯体、テレフタルアルデヒド酸と他の芳香族カルボン酸との複合亜鉛塩等の有機酸性物質、N-p-トルエンスルホニル-N’-3-(p-トルエンスルホニルオキシ)フェニルウレア、N-p-トルエンスルホニル-N’-p-ブトキシカルボニルフェニルウレア、N-p-トリルスルホニル-N’-フェニルウレア、N,N’-ジ-m-クロロフェニルチオウレア等のチオ尿素化合物、N-(p-トルエンスルホニル)カルバモイル酸p-クミルフェニルエステル、N-(p-トルエンスルホニル)カルバモイル酸p-ベンジルオキシフェニルエステル、N-[2-(3-フェニルウレイド)フェニル]ベンゼンスルホンアミド、N-(o-トルオイル)-p-トルエンスルホアミド等の分子内に-SONH-結合を有する有機化合物、活性白土、アタパルジャイト、コロイダルシリカ、珪酸アルミニウム等の無機酸性物質等が挙げられる。
その他の顕色剤として、さらに、下記一般式(2)で表される4,4’-ビス〔(4-メチル-3-フェノキシカルボニルアミノフェニル)ウレイド〕ジフェニルスルホン、4,4’-ビス〔(2-メチル-5-フェノキシカルボニルアミノフェニル)ウレイド〕ジフェニルスルホン、4-(2-メチル-3-フェノキシカルボニルアミノフェニル)ウレイド-4’-(4-メチル-5-フェノキシカルボニルアミノフェニル)ウレイドジフェニルスルホン等のウレアウレタン化合物、下記一般式(3)で表されるジフェニルスルホン架橋型化合物、4,4’-ビス(3-トシルウレイド)ジフェニルメタン等が挙げられる。
Figure 2023157341000003
Figure 2023157341000004
(式中、n=1~6)
その他の顕色剤の含有割合は、特に限定されないが、一般式(1)で表される化合物の1質量部に対して0.5質量部以下であることが好ましく、0.3質量部以下であることがより好ましい。
(無機顔料II)
本発明における感熱記録層は、無機顔料IIとして吸油量が130ml/100g以下の顔料を含有している。無機顔料IIの吸油量は、125ml/100g以下が好ましく、100ml/100g以下がより好ましく、65ml/100g以下が最も好ましい。これにより、長期保存性を著しく高めることができる。一方、ヘッドカスの発生、スティッキング等の印字障害を効果的に減らす観点から、30ml/100g以上が好ましい。本発明における感熱記録層は、本発明の効果を損なわない限り、吸油量が130ml/100gを超える顔料を含有してもよい。吸油量が130ml/100gを超える顔料の含有量は、吸油量が130ml/100g以下の顔料1質量部に対して、0.5質量部以下が好ましく、0.3質量部以下がより好ましく、0.1質量部以下がさらに好ましい。吸油量が130ml/100gを超える顔料は、含有されないことが特に好ましい。ここで、吸油量は、JIS K 5101の方法に従い、求められる値である。
無機顔料IIとしては、各種のものが使用できるが、具体例としては、軽質炭酸カルシウム等の炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、カオリン等のクレー、タルク等の無機顔料が挙げられる。これらの中でも、無機顔料IIが炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム及びクレーからなる群より選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。無機顔料IIの種類は、無機顔料Iと異なっていてもよく、同じであってもよい。無機顔料IIの含有割合は、広い範囲から選択できるが、感熱記録層の全固形量のうち、10~50質量%が好ましく、10~40質量%がより好ましく、15~35質量%がさらに好ましい。
本発明では、感熱記録層中に、主に発色像の保存性をより一層高めるために、保存性改良剤をさらに含有させることができる。このような保存性改良剤としては、例えば、1,1,3-トリス(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-シクロヘキシルフェニル)ブタン、1,1,3-トリス(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-tert-ブチルフェニル)ブタン、1,1-ビス(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-tert-ブチルフェニル)ブタン、4,4’-〔1,4-フェニレンビス(1-メチルエチリデン)〕ビスフェノール、4,4’-〔1,3-フェニレンビス(1-メチルエチリデン)〕ビスフェノール等のフェノール化合物;4-ベンジルオキシフェニル-4’-(2-メチル-2,3-エポキシプロピルオキシ)フェニルスルホン、4-(2-メチル-1,2-エポキシエチル)ジフェニルスルホン、4-(2-エチル-1,2-エポキシエチル)ジフェニルスルホン等のエポキシ化合物;並びに1,3,5-トリス(2,6-ジメチルベンジル-3-ヒドロキシ-4-tert-ブチル)イソシアヌル酸等のイソシアヌル酸化合物から選ばれる少なくとも1種以上を用いることができる。もちろん、これらに制限されるものではなく、また必要に応じて2種以上の化合物を併用することもできる。
保存性改良剤を使用する場合、その使用量は、保存性改良のために有効な量とすればよく、通常は、感熱記録層の全固形量のうち、1~25質量%程度が好ましく、5~20質量%程度がより好ましい。
本発明における感熱記録層中には増感剤を含有させることもできる。これにより、記録感度を高めることができる。増感剤としては、例えば、ステアリン酸アミド、メトキシカルボニル-N-ステアリン酸ベンズアミルド、N-ベンゾイルステアリン酸アミド、N-エイコサン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド、ベヘン酸アミド、メチレンビスステアリン酸アミド、N-メチロールステアリン酸アミド、テレフタル酸ジベンジル、テレフタル酸ジメチル、テレフタル酸ジオクチル、ジフェニルスルホン、p-ベンジルオキシ安息香酸ベンジル、1-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸フェニル、2-ナフチルベンジルエーテル、m-ターフェニル、p-ベンジルビフェニル、シュウ酸ジ-p-クロロベンジルエステル、シュウ酸ジ-p-メチルベンジルエステル、シュウ酸ジベンジルエステル、p-トリルビフェニルエーテル、ジ(p-メトキシフェノキシエチル)エーテル、1,2-ジ(3-メチルフェノキシ)エタン、1,2-ジ(4-メチルフェノキシ)エタン、1,2-ジ(4-メトキシフェノキシ)エタン、1,2-ジ(4-クロロフェノキシ)エタン、1,2-ジフェノキシエタン、1-(4-メトキシフェノキシ)-2-(3-メチルフェノキシ)エタン、p-メチルチオフェニルベンジルエーテル、1,4-ジ(フェニルチオ)ブタン、p-アセトトルイジド、p-アセトフェネチジド、N-アセトアセチル-p-トルイジン、1,2-ジフェノキシメチルベンゼン、ジ(β-ビフェニルエトキシ)ベンゼン、p-ジ(ビニルオキシエトキシ)ベンゼン、1-イソプロピルフェニル-2-フェニルエタン、アジピン酸ジ-o-クロルベンジル、1,2-ビス(3,4-ジメチルフェニル)エタン、1,3-ビス(2-ナフトキシ)プロパン、ジフェニル、ベンゾフェノン等が挙げられる。これらの中でも、長期保存性を低下させずに増感効果を得る観点から、1,2-ジ(3-メチルフェノキシ)エタンが好ましい。これらは支障のない範囲で併用できる。増感剤の含有割合は、増感のために有効な量とすればよく、通常は、感熱記録層の全固形量のうち、2~25質量%が好ましく、5~20質量%がより好ましく、5~15質量%がさらに好ましい。
感熱記録層を構成する他の成分材料としては接着剤を用い、さらに必要により、架橋剤、ワックス類、金属石鹸、耐水化剤、分散剤、有色染料、蛍光染料等の助剤を用いることができる。
接着剤としては、例えば、ポリビニルアルコール及びその誘導体、澱粉及びその誘導体、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース等のセルロース誘導体、ポリアクリル酸ソーダ、ポリビニルピロリドン、アクリルアミド-アクリル酸エステル共重合体、アクリルアミド-アクリル酸エステル-メタアクリル酸エステル共重合体、スチレン-無水マレイン酸共重合体、イソブチレン-無水マレイン酸共重合体、カゼイン、ゼラチン及びそれらの誘導体等の水溶性高分子材料、並びにポリ酢酸ビニル、ポリウレタン、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸エステル、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、ポリブチルメタクリレート、エチレン-酢酸ビニル共重合体等のエマルジョン、又はスチレン-ブタジエン系共重合体、スチレン-ブタジエン-アクリル系共重合体等の水不溶性重合体のラテックス等を挙げることができる。これらの中でも、ポリビニルアルコール、ラテックス等が好ましい。接着剤の含有割合は、広い範囲から選択できるが、一般には感熱記録層の全固形量のうち、5~30質量%程度が好ましく、10~20質量%程度がより好ましい。
架橋剤を感熱記録層中に含有させることにより、感熱記録層の耐水性を向上させることができる。架橋剤としては、例えば、グリオキザール等のアルデヒド系化合物、ポリエチレンイミン等のポリアミン系化合物、エポキシ系化合物、ポリアミド樹脂、メラミン樹脂、グリオキシル酸塩、ジメチロールウレア化合物、アジリジン化合物、ブロックイソシアネート化合物;過硫酸アンモニウム、塩化第二鉄、塩化マグネシウム、四硼酸ソーダ、四硼酸カリウム等の無機化合物;硼酸、硼酸トリエステル、硼素系ポリマー、ヒドラジド化合物、グリオキシル酸塩等が挙げられる。これらは1種単独で用いてもよいし、2種以上を組合せて使用してもよい。架橋剤の使用量は、感熱記録層の全固形量のうち、1~5質量%程度が好ましい。
感熱記録層は、例えば、水を分散媒体とし、ロイコ染料及び顕色剤をそれぞれ、必要により増感剤若しくは保存性改良剤と一緒に、又は別々にボールミル、コボールミル、アトライター、縦型及び横型のサンドミル等の各種撹拌・湿式粉砕機によりポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、スチレン-無水マレイン酸共重合体塩等のような水溶性合成高分子化合物、その他界面活性剤と共に分散して、それぞれの分散液とした後、平均粒子径が2μm以下となるように微細化して得た分散液を用いて、無機顔料IIを混合し、必要により接着剤、助剤等を混合することにより調製された感熱記録層用塗料を塗布した後、乾燥されて下塗り層上に形成される。感熱記録層の塗布量は、特に制限されず、乾燥後の塗布量で1~12g/m程度が好ましく、2~10g/mがより好ましく、2.5~8g/mがさらに好ましく、3~5.5g/mが特に好ましい。なお、感熱記録層は必要に応じて2層以上に分けて形成することができ、各層の組成と塗布量とは、同一であってもよく、また異なっていてもよい。
[保護層]
感熱記録体では、感熱記録層上に必要に応じて保護層を備えることもできる。保護層は、顔料及び接着剤を含有することが好ましい。さらに保護層には、サーマルヘッドに対するスティッキングを防止する目的で、ポリオレフィンワックス、ステアリン酸亜鉛のような滑剤を含有させることが好ましく、紫外線吸収剤を含有させることもできる。また、光沢を有する保護層を設けることにより、製品の付加価値を高めることもできる。
保護層に含有される顔料としては、特に限定されず、例えば無定形シリカ、カオリン、クレー、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、焼成カオリン、酸化チタン、炭酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、コロイダルシリカ、合成層状雲母等の無機顔料、尿素-ホルマリン樹脂フィラー等のプラスティックピグメント等が挙げられる。
保護層に含有される接着剤としては、特に制限されず、水溶性又は水分散性の水性接着剤を使用できる。接着剤は、感熱記録層に使用できるものの中から適宜選択することができる。これらの接着剤のうち、アセトアセチル変性ポリビニルアルコール、カルボキシ変性ポリビニルアルコール、ジアセトン変性ポリビニルアルコール等の各種変性ポリビニルアルコールがより好ましく用いられる。
保護層は、例えば、水を分散媒体とし、顔料と接着剤、必要により助剤等を混合することにより調製された保護層用塗料を塗布した後、乾燥されて感熱記録層上に形成される。保護層用塗料の塗布量は、特に制限されず、乾燥質量で0.3~15g/m程度が好ましく、0.3~10g/m程度がより好ましく、0.5~8g/m程度がさらに好ましく、1~8g/m程度が特に好ましく、1~5g/m程度がより一層好ましい。なお、保護層は、必要に応じて2層以上に分けて形成することができ、各層の組成と塗布量とは、同一であってもよく、また異なっていてもよい。
[その他の層]
本発明では、支持体の少なくとも一方面に粘着層を有することが好ましい。これにより、感熱記録体の付加価値を高めることができる。粘着層としては、例えば、一方面に粘着剤、再湿接着剤、ディレードタック型の粘着剤等による塗布加工を施すことにより粘着紙、再湿接着紙、ディレードタック紙等とすることができる。また、支持体の感熱記録層とは逆側の面を利用して、これに熱転写用紙、インクジェット記録用紙、ノーカーボン用紙、静電記録用紙、ゼオグラフィー用紙等としての機能を付与し、両面記録が可能な記録紙とすることもできる。もちろん、両面感熱記録体とすることもできる。また、感熱記録体裏面からの油及び可塑剤の浸透を抑制したり、カールコントロールしたり、帯電防止したりするためにバック層を設けることもできる。保護層上にシリコーンを含有した剥離層を塗布加工し、一方面に粘着剤を塗布加工することにより、剥離紙を必要としないライナーレスラベルとすることも可能である。
[感熱記録体]
感熱記録体は、支持体上に上記各層を形成することにより製造することができる。支持体上に上記各層を形成する方法としては、エアナイフ法、ブレード法、グラビア法、ロールコーター法、スプレー法、ディップ法、バー法、カーテン法、スロットダイ法、スライドダイ法、エクストルージョン法等の既知の塗布方法のいずれを利用してもよい。また、各塗料は1層ずつ塗布及び乾燥して各層を形成してもよく、同一の塗料を2層以上に分けて塗布してもよい。さらに、2つ以上の層を同時に塗布する同時多層塗布を行ってもよい。また、各層を形成し終えた後、又は全ての層を形成し終えた後の任意の過程で、スーパーカレンダー、ソフトカレンダー等の既知の方法を用いて平滑化処理することができる。
本発明を実施例により更に詳しく説明するが、本発明はこれらにより限定されるものではない。なお、特に断わらない限り、「部」及び「%」はそれぞれ「質量部」及び「質量%」を示す。平均粒子径、最大粒子径等の粒子径は、レーザ回折式粒度分布測定装置SALD2200(島津製作所社製)によって測定した。ここで、平均粒子径とは、メジアン径(D50)である。
実施例、比較例に用いた中空粒子は以下の通りである。
中空粒子A:平均粒子径(D50)5.0μm、最大粒子径(D100)13.5μm、中空率90%、2μm以下の粒子の割合0.2体積%、固形分濃度15.0%
中空粒子B:平均粒子径(D50)11μm、最大粒子径(D100)23μm、中空率93%、2μm以下の粒子の割合0体積%、固形分濃度15.0%
中空粒子C:ローペイクSN-1055(ダウ社製)平均粒子径(D50)1.0μm、最大粒子径(D100)1.8μm、中空率55%、固形分濃度26.5%
各中空粒子の平均粒子径(D50)と最大粒子径(D100)は、レーザ回折式粒径測定器SALD2200(島津製作所社製)を用いて、屈折率1.70-0.01iにて測定した。
実施例、比較例に用いたラテックスは以下の通りである。
ラテックスA:スチレン-ブタジエン系共重合体ラテックス開発品(Tg:-35℃、粒子径300nm、固形分濃度48%)
ラテックスB:スチレン-ブタジエン系共重合体ラテックス開発品(Tg:-10℃、粒子径190nm、固形分濃度48%)
ラテックスC:スチレン-ブタジエン系共重合体ラテックス(商品名L-1571、旭化成社製、Tg=-3℃、粒子径190nm、固形分濃度48%)
実施例、比較例に用いた無機顔料IIは、以下の通りである。
炭酸カルシウム:商品名:ブリリアント-15、白石工業社製、吸油量56ml/100g
炭酸カルシウム:商品名:カルライトKT、白石工業社製、吸油量120ml/100g
水酸化アルミニウム:商品名:ハイジライトH-42、昭和電工社製、吸油量43ml/100g
クレー:商品名:HYDRAGLOSS90、KaMinLLC社製、吸油量46ml/100g
無定形シリカ:商品名:ニップシールE743、東ソー・シリカ社製、吸油量160ml/100g
(実施例1)
(1)下塗り層用塗工液の調製
中空粒子A100部、焼成カオリン(商品名アンシレックス93、BASF社製、吸油量104ml/100g)38部、ラテックスAを79.2部、酸化澱粉の25%溶液32部、カルボキシメチルセルロース(商品名:セロゲンAGガム、第一工業製薬社製)1.1部、及び水100部を混合撹拌して、下塗り層用塗工液を得た。
(2)ロイコ染料分散液(A液)調製
3-ジ-(n-ブチル)アミノ-6-メチル-7-アニリノフルオラン40部、ポリビニルアルコール(重合度500、鹸化度88%)の10%水溶液40部、及び水20部を混合し、サンドミル(アイメックス社製、サンドグラインダー)を用いて、平均粒子径が0.5μmになるまで粉砕してロイコ染料分散液(A液)を得た。
(3)顕色剤分散液(B液)調製
3-[(フェニルカルバモイル)アミノ]フェニル-4-メチルベンゼンスルホナート40部、ポリビニルアルコール(重合度500、鹸化度88%)の10%水溶液40部、及び水20部を混合し、サンドミル(アイメックス社製、サンドグラインダー)を用いて、平均粒子径が1.0μmになるまで粉砕して顕色剤分散液(B液)を得た。
(4)増感剤分散液(C液)調製
1,2-ジ(3-メチルフェノキシ)エタン(商品名:KS-232、三光社製)40部、ポリビニルアルコール(重合度500、鹸化度88%)の10%水溶液40部、及び水20部を混合し、サンドミル(アイメックス社製、サンドグラインダー)を用いて、平均粒子径が1.0μmになるまで粉砕して増感剤分散液(C液)を得た。
(5)感熱記録層用塗工液の調製
A液29.5部、B液63.6部、C液45.5部、完全鹸化ポリビニルアルコール(商品名:PVA117、鹸化度:99モル%、平均重合度:1700、クラレ社製)の10%水溶液70部、スチレン-ブタジエン系共重合体ラテックス(商品名:L-1571、旭化成社製、固形分濃度48%)20.8部、炭酸カルシウム(商品名:ブリリアント-15、白石工業社製、吸油量56ml/100g)20部、アジピン酸ジヒドラジド(大塚化学社製)2部、及び水150部を混合撹拌して感熱記録層用塗工液を得た。
(6)保護層用塗工液の調製
ジアセトン変性ポリビニルアルコール(商品名:DF-10、日本酢ビ・ポバール社製)の12%水溶液317部、カオリン(商品名:HYDRAGLOSS90、KaMinLLC社製)60部、ポリエチレンワックス(商品名:ケミパールW-400、三井化学社製、固形分濃度40%)0.5部、ステアリン酸亜鉛(商品名:ハイドリンZ-8-36、中京油脂社製、固形分濃度36%)5部、及び水300部からなる組成物を混合撹拌して保護層用塗工液を得た。
(7)感熱記録体の作製
坪量60g/mの上質紙の片面上に、下塗り層用塗工液、感熱記録層用塗工液、及び保護層記録用塗工液を乾燥後の塗布量がそれぞれ4.5g/m、3.8g/m、2.3g/mになるように塗布及び乾燥して、下塗り層、感熱記録層、及び保護層を順次形成した後、スーパーカレンダーで表面を平滑化して感熱記録体を得た。
(実施例2)
実施例1の感熱層用塗工液の調製において、炭酸カルシウムに代えて水酸化アルミニウム(商品名:ハイジライトH-42、昭和軽金属社製、吸油量43ml/100g)を使用した以外は、実施例1と同様に感熱記録体を得た。
(実施例3)
実施例1の感熱層用塗工液の調製において、炭酸カルシウムに代えてクレー(商品名:HG90、カミン社製、吸油量46ml/100g)を使用した以外は、実施例1と同様に感熱記録体を得た。
(実施例4)
実施例1の感熱層用塗工液の調製において、炭酸カルシウム(商品名:ブリリアント-15、白石工業社製、吸油量56ml/100g)に代えて炭酸カルシウム(商品名:カルライトKT、白石工業社製、吸油量120ml/100g)を使用した以外は、実施例1と同様に感熱記録体を得た。
(実施例5)
実施例1の下塗り層用塗工液の調製において、ラテックスA79.2部に代えてラテックスB79.2部とした以外は、実施例1と同様に感熱記録体を得た。
(実施例6)
実施例1の下塗り層用塗工液の調製において、ラテックスA79.2部に代えてラテックスC79.2部とした以外は、実施例1と同様に感熱記録体を得た。
(実施例7)
実施例1の下塗り層用塗工液の調製において、中空粒子A100部に代えて中空粒子B100部とした以外は、実施例1と同様に感熱記録体を得た。
(実施例8)
実施例1の下塗り層用塗工液の調製において、焼成カオリンの量を38部に代えて66部とし、ラテックスAの量を79.2部に代えて20.8部とし、水の量を100部に代えて130部とした以外は、実施例1と同様に感熱記録体を得た。
(実施例9)
実施例1の下塗り層用塗工液の調製において、焼成カオリンの量を38部に代えて66部とし、ラテックスA79.2部に代えてラテックスC20.8部とし、中空粒子A100部に代えて中空粒子C56.6部として、水の量を100部に代えて180部とした以外は、実施例1と同様に感熱記録体を得た。
(比較例1)
実施例1の感熱記録層用塗工液の調製において、炭酸カルシウムに変えて無定形シリカ(商品名:ニップシールE743、東ソー・シリカ社製)とした以外は、実施例1と同様に感熱記録体を得た。
(比較例2)
(8)顕色剤分散液(D液)調製
4-ヒドロキシ-4‘-イソプロポキシジフェニルスルホン(商品名:D-8、日本曹達者性)40部、ポリビニルアルコール(重合度500、鹸化度88%)の10%水溶液40部、及び水20部を混合し、サンドミル(アイメックス社製、サンドグラインダー)を用いて、平均粒子径が1.0μmになるまで粉砕して顕色剤分散液(D液)を得た。
比較例1の感熱記録層用塗工液の調製において、顕色剤分散液A液に代えて顕色剤分散液C液を使用した以外は、比較例1と同様に感熱記録体を得た。
上記の実施例及び比較例について、以下の方法で評価を行った。その結果は、表1に示す通りであった。
[記録濃度]
感熱記録評価機(商品名:TH-PMD、大倉電機社製)を用い、印加エネルギー:0.13mJ/dot(中間調発色濃度)と0.18mJ/dot(高階調発色濃度)にて各感熱記録体を記録し、得られた印字部を分光濃度計(X-Rite504、X-Rite社製)で測定した。数値が大きい程、印字の濃度が濃いことを示している。
・中間調発色濃度は、評価基準を下記とした。
発色濃度0.90以上:高速印字にも対応可能で、非常に優れている。
発色濃度0.80以上:実用上必要とされる。
発色濃度0.80未満:低感度で白抜けなどの欠陥が多く、実用上問題がある。
・高階調発色濃度は、評価基準を下記とした。
発色濃度1.30以上:非常に優れている。
発色濃度1.20以上:実用上必要とされる。
発色濃度1.20未満:印字濃度が低く、実用上好ましくない。
[印字の長期保存性]
感熱記録評価機(商品名:TH-PMD、大倉電機社製)を用い、印加エネルギー:0.13mJ/dot(中間調発色濃度)と0.18mJ/dot(高階調発色濃度)にて各感熱記録体を印字し、23℃、50%RH、暗所の環境下にて、3ヵ月静置した後の中間調発色濃度と高階調発色濃度部の光学濃度を分光濃度計(X-Rite504、X-Rite社製)で測定した。また、下記式により、記録部の残存率を求めた。
残存率(%)=(処理後の記録濃度/処理前の記録濃度)×100
・評価基準を下記とした。
残存率95%以上:非常に優れている。
残存率85%以上:優れている
残存率80%以上:実用上問題ない。
残存率80%未満:処理後の記録濃度が低く、実用上問題がある。
[90℃耐熱性]
ラベルプリンタ(商品名:L-2000、株式会社イシダ製)を用いて発色させた各感熱記録体のサンプルを、90℃のチャンバーにて1時間静置し、処理した後の白紙部の光学濃度を分光濃度計(X-Rite504、X-Rite社製)で測定した。
・評価基準を下記とした。
処理後の白紙部の濃度0.10以下:非常に優れている。
処理後の白紙部の濃度0.20以下:実用上問題ない。
処理後の白紙部の濃度0.20超:地肌カブリが強く、実用上問題ある。
Figure 2023157341000005
表1からわかるように、実施例1~8の感熱記録体の記録濃度は優れており、印字の長期保存性は実用上問題ないレベルであった。実施例9の感熱記録体の中間調濃度が低いものの、印字の長期保存性は実用上問題ないレベルであった。一方、比較例1は印字の長期保存性が著しく劣っていた。比較例2は顕色剤を変更することにより、記録濃度と印字の長期保存性が優れていたが、90℃耐熱性の白紙部の濃度が劣っていた。

Claims (15)

  1. 支持体上に少なくとも、中空粒子、接着剤及び無機顔料Iを含有する下塗り層、並びにロイコ染料、顕色剤及び無機顔料IIを含有する感熱記録層をこの順に有する感熱記録体において、前記顕色剤として下記一般式(1):
    Figure 2023157341000006
    (式中、R~Rは、同一又は異なって、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、アミノ基、アルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルカルボニルオキシ基、アリールカルボニルオキシ基、アルキルカルボニルアミノ基、アリールカルボニルアミノ基、アルキルスルホニルアミノ基、アリールスルホニルアミノ基、モノアルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基又はアリールアミノ基を表す。)で表される化合物を含有し、無機顔料IIとして吸油量が130ml/100g以下の顔料を含有することを特徴とする感熱記録体。
  2. 前記無機顔料Iの含有割合が下塗り層の全固形量のうち60質量%以下である、請求項1に記載の感熱記録体。
  3. 前記無機顔料Iの吸油量が130ml/100g以下である、請求項1又は2に記載の感熱記録体。
  4. 前記無機顔料IIの吸油量が65ml/100g以下である、請求項1~3のいずれか1項に記載の感熱記録体。
  5. 前記無機顔料IIが炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム及びクレーからなる群より選ばれる少なくとも1種である、請求項1~4のいずれか1項に記載の感熱記録体。
  6. 前記中空粒子の含有割合が下塗り層の全固形量のうち5~40質量%である、請求項1~5のいずれか1項に記載の感熱記録体。
  7. 前記中空粒子の平均粒子径(D50)が3~15μmである、請求項1~6のいずれか1項に記載の感熱記録体。
  8. 前記中空粒子の最大粒子径(D100)が10~30μmである、請求項1~7のいずれか1項に記載の感熱記録体。
  9. 前記中空粒子の最大粒子径(D100)と平均粒子径(D50)との比D100/D50が1.8~3.0である、請求項1~8のいずれか一項に記載の感熱記録体。
  10. 前記中空粒子の粒子径2.0μm以下の中空粒子の体積%が1%以下である、請求項1~9のいずれか一項に記載の感熱記録体。
  11. 前記中空粒子の中空率が80~98%である、請求項1~10のいずれか1項に記載の感熱記録体。
  12. 前記下塗り層の接着剤がガラス転移温度が-10℃以下である結着剤樹脂を含む、請求項1~11のいずれか1項に記載の感熱記録体。
  13. 前記下塗り層の接着剤がガラス転移温度が-30℃以下である結着剤樹脂を含む、請求項1~12のいずれか1項に記載の感熱記録体。
  14. 前記一般式(1)で表される化合物が3-[(フェニルカルバモイル)アミノ]フェニル-4-メチルベンゼンスルホナート、2-[(フェニルカルバモイル)アミノ]フェニル-4-メチルベンゼンスルホナート、及び4-[(フェニルカルバモイル)アミノ]フェニル-4-メチルベンゼンスルホナートからなる群より選ばれる少なくとも1種である、請求項1~13のいずれか1項に記載の感熱記録体。
  15. 支持体の少なくとも一方面に粘着層を有する、請求項1~14のいずれか1項に記載の感熱記録体。
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