JP2010228171A - 感熱記録体 - Google Patents

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Abstract

【課題】感熱記録層用塗液と保護層用塗液をカーテン塗布法する際、気泡等の混入や膜形成不良を起こさず、安定したカーテン膜を形成し、生産性に優れると共に品質、特に印字保存性に優れる感熱記録体を提供する。
【解決手段】支持体上に、少なくとも感熱記録層及び保護層が、感熱記録層用塗液及び保護層用塗液を用いてカーテン塗布法により形成されたものであり、感熱記録層用塗液が水溶性接着剤を含有し、且つ特定のジアルキルスルホコハク酸塩を含有し、更に顕色剤として2,2’−[4−(4−ヒドロキシフェニルスルホニル)フェノキシ]ジエチルエーテル、4,4’−ビス〔(4−メチル−3−フェノキシカルボニルアミノフェニル)ウレイド〕ジフェニルスルホン、並びに芳香族モノカルボン酸と芳香族ジカルボン酸から形成される複合亜鉛塩から選ばれる少なくとも1種を含有することを特徴とする感熱記録体。
【選択図】 なし

Description

本発明はロイコ染料と顕色剤との発色反応を利用した感熱記録体に関するものである。
無色あるいは淡色の塩基性染料と有機または無機の顕色剤との呈色反応を利用し、熱により両発色物質を接触せしめて発色像を得るようにした感熱記録体はよく知られている。かかる感熱記録体は比較的安価であり、また記録機器がコンパクトで且つその保守も比較的容易であるため、ファクシミリや各種プリンタ等の記録媒体としてのみならず、幅広い分野において使用されている。
一方、紙やフィルム等の基材に塗布液を塗布する方法として、エアナイフ塗布法、ブレード塗布法、ロッド塗布法、ロール塗布法、バー塗布法等の方法が用いられているが、このような方法で作製された感熱記録体は、塗布品質が悪いこと、上層の塗布液の下層への浸み込み、上層塗布時のハジキ等に起因する上層のピンホール、長時間の連続塗布における品質のバラツキ等の問題が生じるほか、高速塗布に限界があること、多数回塗布から生じる生産性の低下等の問題がある。
これらの塗布法に対して、特公昭49−24133公報等に開示されているカーテン塗布法は、塗液の自由落下カーテンを形成し、これを支持体に衝突せしめて塗布する方法であり、塗布品質が良好で、高速塗布適性を有することが知られている。また、複数層の塗液からなる塗膜を形成してカーテン塗布することも可能であり、多層塗布の生産性を大幅に向上することができる。このカーテン塗布法は、基材上にスリット状のコーターリップから塗液を膜状に垂らして塗布するもので、塗液の成膜性や基材への濡れ性を改善して塗布ムラや塗布欠点を防止するために、静的表面張力、動的表面張力、粘度等に対して細かな調整が必要である(特開昭57−39985号公報)。かかる観点から塗布自体の均一安定性は極めて重要であり、それによって得られる感熱記録体の性能や生産効率が大きく左右される。
感熱記録体において、カーテン塗布の際、気泡の混入や膜形成不良等を起こさず、カーテン膜を安定させて均一に塗布するために、感熱記録層中に特定の接着剤や界面活性剤を配合して、カーテン塗布することが提案されている。例えば、感熱記録層用塗液に、エーテル化度が0.7以上であると共に1%粘度が300cps以上であるカルボキシメチルセルロースナトリウム塩を添加すること(特許文献1参照)が提案されている。また、感熱記録層用及び/または保護層用塗液に特定の硫酸エーテル型界面活性剤及び特定のリン酸エステル型界面活性剤を含有させること(特許文献2参照)も提案されている。更に、保護層用塗液にドデシルベンゼンスルホン塩を添加すること(特許文献3参照)や保護層用塗液にアセチレングリコール誘導体とアニオン系界面活性剤の組成物を添加すること(特許文献4参照)も提案されている。その他に、テトラ・メチル・デシン・ジオールにエチレンオキサイドとそれ以外のアルキレンオキサイドを付加させた界面活性剤を感熱記録層用塗液に添加すること(特許文献5参照)も提案されている。
特開平3−211086号公報 特開平10−157299号公報 特開平6−336083号公報 特開2004−314614号公報 特開2005−238539号公報
しかしながら、界面活性剤の添加により表面張力を低下させても、特に高速塗工時あるいは低速塗工時の薄膜塗工において、気泡の混入や膜形成不良等により、膜ゆれ、膜切れ等、安定したカーテン膜が得られない場合があり、また、塗液が基材上にカーテン塗布された瞬間に塗液が均一に引き伸ばされずに塗布ムラが発生し、塗布欠陥となって生産性が低下する問題がある。また、界面活性剤の種類や添加量によっては、発色濃度の低下や印字消色、地肌カブリ等の保存性が低下する等の問題がある。
本発明の課題は、感熱記録層用塗液と保護層用塗液をカーテン塗布法する際、気泡等の混入や膜形成不良を起こさず、安定したカーテン膜を形成し、生産性に優れると共に品質、特に印字保存性に優れる感熱記録体を提供することにある。
本発明者らは、上記従来技術に鑑み、鋭意研究を重ねた結果、上記問題点を解決するに至った。即ち、本発明は下記の感熱記録体にかかる。
項1:支持体上に、ロイコ染料及び顕色剤を含有する感熱記録層、並びに保護層をこの順に有する感熱記録体において、少なくとも前記感熱記録層及び前記保護層が、感熱記録層用塗液及び保護層用塗液を用いてカーテン塗布法により形成されたものであり、前記感熱記録層用塗液が水溶性接着剤を含有し、且つ下記一般式(1)で表されるジアルキルスルホコハク酸塩または下記一般式(2)で表される化合物を含有し、更に顕色剤として2,2’−[4−(4−ヒドロキシフェニルスルホニル)フェノキシ]ジエチルエーテル、4,4’−ビス〔(4−メチル−3−フェノキシカルボニルアミノフェニル)ウレイド〕ジフェニルスルホン、並びに芳香族モノカルボン酸と芳香族ジカルボン酸から形成される複合亜鉛塩から選ばれる少なくとも1種を含有することを特徴とする感熱記録体。
Figure 2010228171
(式中、R、Rは同一または異なる炭素数2〜20の脂肪族または脂環式炭化水素基を表し、Mは水素原子またはカチオン、xは1または2を表す。)
Figure 2010228171
(式中、R〜Rは水素原子、炭素数1〜8の分岐、直鎖または環状の無置換または置換アルキル基、炭素数6〜10の無置換または置換アリール基を表し、R〜R10は水素原子またはメチル基を表し、m及びnはそれぞれ独立に0〜50の整数を表す。)
項2:前記水溶性接着剤として重合度1000〜3000のポリビニルアルコールを感熱記録層の全固形量に対して5〜25質量%含有し、感熱記録層用塗液の25℃におけるB型粘度が200〜2000mPa・sである、項1に記載の感熱記録体。
項3:前記感熱記録層の全固形量に対して、前記一般式(1)で表されるジアルキルスルホコハク酸塩の含有量が0.05〜3質量%であり、前記一般式(2)で表される化合物の含有量が0.1〜5質量%である、項1または2に記載の感熱記録体。
項4:前記芳香族ジカルボン酸がテレフタル酸及び/またはイソフタル酸であり、前記芳香族モノカルボン酸に対する前記芳香族ジカルボン酸の含有モル比率(芳香族ジカルボン酸/芳香族モノカルボン酸)が0.02〜0.80であり、前記芳香族モノカルボン酸及び芳香族ジカルボン酸の含有モル総量に対する前記亜鉛含有量のモル比率(亜鉛/(芳香族モノカルボン酸+芳香族ジカルボン酸))は、0.4〜1.0である、項1〜3のいずれか1項に記載の感熱記録体。
項5:前記保護層用塗液が前記一般式(1)で表されるジアルキルスルホコハク酸塩または前記一般式(2)で表される化合物を含有する、項1〜4のいずれか1項に記載の感熱記録体。
項6:支持体と感熱記録層の間に、プラスチック中空粒子と焼成カオリンを含有する下塗り層用塗液をブレード塗布法により塗布及び乾燥して形成された下塗り層を有し、その含有比率が前記焼成カオリン100質量部に対して前記プラスチック中空粒子10〜100質量部である、項1〜5のいずれか1項に記載の感熱記録体。
項7:前記カーテン塗布法が、感熱記録層用塗液と保護層用塗液との同時多層カーテン塗布方式、または感熱記録層用塗液がカーテン方式で塗布され、更に感熱記録層が湿潤状態時に保護層用塗液がカーテン方式で塗布される、項1〜6のいずれか1項に記載の感熱記録体。
本発明の感熱記録体は、感熱記録層用塗液と保護層用塗液をカーテン塗布法する際、気泡等の混入や膜形成不良を起こさず、安定したカーテン膜を形成し、生産性に優れると共に品質、特に印字保存性に優れる。
本発明における感熱記録層用塗液は、水溶性接着剤を含有している。水溶性接着剤としては、重合度1000〜3000のポリビニルアルコールを少なくとも1種以上含有し、塗液の液温25℃におけるB型粘度を200〜2000mPa・sとすることにより、カーテン塗布の際、効果的に気泡の混入や膜形成不良等を抑制し、カーテン膜を安定させて均一に塗布することができ、好ましい。
かかるポリビニルアルコールの含有量は、感熱記録層の全固形量に対して5〜25質量%が好ましく、より好ましくは7〜20質量%である。5質量%以上とすることにより、好ましい粘度範囲を容易に調節でき、また、塗膜の強度を向上し、塗膜の脱落を抑制できる。一方、25質量%以下とすることにより、粘度の上昇を抑え、感度も向上できる。
ポリビニルアルコールの具体例としては、例えば完全鹸化ポリビニルアルコール、部分鹸化ポリビニルアルコール、珪素変性ポリビニルアルコール、ジアセトン変性ポリビニルアルコール、カルボキシ変性ポリビニルアルコール、アセトアセチル変性ポリビニルアルコール等が挙げられる。これらは1種単独または2種以上を組合せて使用できる。
感熱記録層用塗液は、上記一般式(1)で表されるジアルキルスルホコハク酸塩または上記一般式(2)で表される化合物を含有している。
上記一般式(1)で表されるジアルキルスルホコハク酸塩としては、ジアルキルスルホコハク酸塩のアルカリ金属塩またはアンモニウム塩が好ましく用いられ、特にナトリウム塩が好ましい。また、ジアルキルスルホコハク酸塩のアルキル基としては、炭素数2〜20のアルキル基が好ましく、炭素数4〜10のアルキル基が特に好ましい。具体的にはイソブチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基、イソオクチル基、2−エチルヘキシル基等が挙げられるが、特に炭素数8であるオクチル基または2−エチルヘキシル基が好ましい。
上記一般式(2)で表される化合物において、R〜Rは水素原子、炭素数1〜8の分岐、直鎖または環状の無置換または置換アルキル基、炭素数6〜10の無置換または置換アリール基を表し、R〜R10は水素原子またはメチル基を表し、m及びnはそれぞれ独立に0〜50の整数を表す。mとnの和は、5以下が好ましく、更に、m及びnが共に0であることがより好ましい。mとnの和が小さいほど界面活性の効果が大きくなり、m及びnが共に0であると界面活性が最も大きく、カーテン膜の安定性が最大となる。一方、mとnの和が大きくなると界面活性の効果が低下すると共に塗液が泡立ち易くなり、特に本発明のカーテン塗布法では、泡欠陥が発生し易くなったり、地肌カブリや印字消色が悪化する懸念がある。
上記一般式(1)で表されるジアルキルスルホコハク酸塩の含有量は、感熱記録層の全固形量に対して0.05〜3質量%、より好ましくは0.1〜2質量%である。また、上記一般式(2)で表される化合物の含有量は、感熱記録層の全固形量に対して0.1〜5質量%、より好ましくは0.2〜3質量%である。これにより、感熱記録層用塗液の静的表面張力を好ましい範囲に容易に調節することができる。静的表面張力の範囲としては、20〜45mN/mが好ましく、25〜40mN/mがより好ましい。静的表面張力が20mN/m以上とすることにより、塗液の泡立ちを抑制して、生産性や品質を向上し、特に感度や印字保存性をより一層高めることができる。一方、45mN/m以下とすることにより、カーテン膜を安定させ、膜切れを起こし難くし、生産性を向上できる。なお、静的表面張力は、例えば表面張力計(商品名:CBVP−Z、協和界面科学社製)を用いて測定することができる。
感熱記録層用塗液は、顕色剤として、2,2’−[4−(4−ヒドロキシフェニルスルホニル)フェノキシ]ジエチルエーテル、4,4’−ビス〔(4−メチル−3−フェノキシカルボニルアミノフェニル)ウレイド〕ジフェニルスルホン、並びに芳香族モノカルボン酸と芳香族ジカルボン酸から形成される複合亜鉛塩から選ばれる少なくとも1種を含有している。かかる顕色剤の含有量としては、感熱記録層の全固形量に対して1〜45質量%が好ましく、3〜40質量%がより好ましい。1質量%以上とすることにより、印字保存性をより一層向上できる。一方、45質量%以下とすることにより、地肌カブリを抑制し、白色度を向上できる。
芳香族モノカルボン酸と芳香族ジカルボン酸から形成される複合亜鉛塩(以下、単に「複合亜鉛塩」ということがある)は、芳香族モノカルボン酸イオン及び芳香族ジカルボン酸イオンを供給する化合物と、亜鉛含有化合物とを反応させて得られた複合亜鉛塩を感熱記録層中に含有させてもよいし、芳香族モノカルボン酸イオン、芳香族ジカルボン酸イオン及び亜鉛イオンを含有する感熱記録層用塗液を調製し、支持体上に塗布及び乾燥することにより、感熱記録層中に複合亜鉛塩を含有せしめてもよい。
芳香族モノカルボン酸としては、安息香酸、サリチル酸、p−ヒドロキシ安息香酸、p−ニトロ安息香酸、アセチルサリチル酸、p−クロル安息香酸、p−ホルミル安息香酸など、安息香酸の芳香環の水素原子をアルキル、アセチル、ニトロ、ハロゲン、ヒドロキシル、アルデヒド置換又は未置換の安息香酸を用いることができる。複合亜鉛塩の安定性の点からは芳香族にハロゲン原子等の電子吸引基が置換されていることが好ましいが、感熱記録体の製造、焼却処分時にハロゲンガス生成の問題がないという取扱い性の観点、及び価格の点から、安息香酸がもっとも好ましく用いられる。
芳香族ジカルボン酸イオンとしては、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸といった芳香族ジカルボン酸だけでなく、水に溶解して芳香族ジカルボン酸イオンを生成する化合物、例えば、無水フタル酸も用いることができる。これらの芳香族ジカルボン酸イオンは、1種又は2種以上混合して用いることができるが、テレフタル酸、イソフタル酸が、記録部の耐油性、耐可塑剤性が優れるという理由から、好ましく用いられる。
感熱記録層における芳香族モノカルボン酸と芳香族ジカルボン酸との含有割合は、芳香族ジカルボン酸/芳香族モノカルボン酸の含有モル比率として、0.02〜0.80であることが好ましく、より好ましくは0.05〜0.50である。芳香族モノカルボン酸に対する芳香族ジカルボン酸の含有モル比が0.02未満では、顕著な耐油性、耐可塑剤性増大効果が得られにくい傾向にある。一方、芳香族ジカルボン酸の含有モル比率が0.80を越えると、記録濃度が低下する傾向にあり、好ましくない。
感熱記録層における芳香族モノカルボン酸及び芳香族ジカルボン酸の含有モル総量に対する亜鉛含有量のモル比率(亜鉛/(芳香族モノカルボン酸+芳香族ジカルボン酸))は、0.4〜1.0が好ましい。さらに好ましくは0.4〜0.9であり、特に好ましくは0.4〜0.7である。
また、呈色剤における亜鉛のカルボキシル基当量比(亜鉛/芳香族カルボン酸由来のカルボキシル基)は、0.80〜1.50であることが好ましい。芳香族カルボン酸の含有モル総量に対する亜鉛含有量のモル比率が0.4未満、あるいは亜鉛のカルボキシル基当量比が0.8未満であると、塩を形成しないカルボキシルイオンの含有割合が多くなることを意味し、耐油性、耐可塑剤性が低下したり、地肌かぶりが多く発生する恐れがある。一方、芳香族カルボン酸の含有モル総量に対する亜鉛含有量のモル比率が1.0を越えると、記録濃度が低下する傾向にある。また、亜鉛のカルボキシル基当量比が1.50を越える場合も同様に、芳香族ジカルボン酸/芳香族モノカルボン酸の含有モル比率が0.02〜0.80の範囲内であっても、記録部の耐油性、耐可塑剤性が低下する傾向にあり、記録濃度が低下する傾向にある。
本発明における複合亜鉛塩を形成するために用いられる亜鉛イオン供給化合物としては
、酸化亜鉛、硫酸亜鉛、硝酸亜鉛、塩化亜鉛等の亜鉛含有化合物を用いることができ、複合亜鉛塩の製造方法に応じて適宜選択できる。
かかる複合亜鉛塩の製造方法としては、例えば、芳香族モノカルボン酸、芳香族ジカルボン酸及び酸化亜鉛を、所定のモル比率で混合した後、アンモニア水で溶解し、その後乾燥することによって合成してもよいし、芳香族モノカルボン酸及び芳香族ジカルボン酸のナトリウム塩水溶液に、硫酸亜鉛等の亜鉛と無機酸との塩の水溶液を加えて亜鉛塩を析出させる塩交換法によっても合成してもよい。あるいは、芳香族モノカルボン酸、芳香族ジカルボン酸および酸化亜鉛を、所定のモル比率で混合した懸濁液を湿式同時粉砕することによって合成してもよい。芳香族モノカルボン酸、芳香族ジカルボン酸、及び亜鉛の含有モル比率の調節は、亜鉛塩の製造工程、あるいは感熱記録層用塗液における芳香族モノカルボン酸イオン及び芳香族ジカルボン酸イオンを供給できる化合物、亜鉛イオンを供給できる化合物の含有量を調整することにより行なうこともできる。
感熱記録層には、本発明の効果を損なわない範囲において、上記以外の他の顕色剤を含有することができる。かかる顕色剤の具体例としては、例えば、4−tert−ブチルフェノール、4−アセチルフェノール、4−tert−オクチルフェノール、4,4’−sec−ブチリデンジフェノール、4−フェニルフェノール、4,4’−ジヒドロキシジフェニルメタン、4,4’−イソプロピリデンジフェノール、4,4’−シクロヘキシリデンジフェノール、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルサルファイド、4,4’−チオビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、2,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4’−イソプロポキシジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4’−アリルオキシジフェニルスルホン、及びビス(3−アリル−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(p−ヒドロキシフェニル)酢酸ブチル、ビス(p−ヒドロキシフェニル)酢酸メチル等のフェノール性化合物、4−ヒドロキシベンゾフェノン、4−ヒドロキシフタル酸ジメチル、4−ヒドロキシ安息香酸メチル、4−ヒドロキシ安息香酸プロピル、4−ヒドロキシ安息香酸−sec−ブチル、4−ヒドロキシ安息香酸フェニル、4−ヒドロキシ安息香酸ベンジル、4−ヒドロキシ安息香酸トリル、4−ヒドロキシ安息香酸クロロフェニル、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル等のフェノール性化合物、または安息香酸、p−tert−ブチル安息香酸、トリクロル安息香酸、テレフタル酸、サリチル酸、3−tert−ブチルサリチル酸、3−イソプロピルサリチル酸、3−ベンジルサリチル酸、3−(α−メチルベンジル)サリチル酸、3,5−ジ−tert−ブチルサリチル酸等の芳香族カルボン酸、及びこれらフェノール性化合物、芳香族モノカルボン酸亜鉛塩の呈色剤、例えば、4−〔2−(p−メトキシフェノキシ)エチルオキシ〕サリチル酸亜鉛、4−〔3−(p−トリルスルホニル)プロピルオキシ〕サリチル酸亜鉛、5−〔p−(2−p−メトキシフェノキシエトキシ)クミル〕サリチル酸亜鉛等、4,4’−ビス(N−p−トリルスルホニルアミノカルボニルアミノ)ジフェニルメタン、N−p−トルエンスルホニル−N’−3−(p−トルエンスルホニルオキシ)フェニルウレア、N−(p−トルエンスルホニル)−N’−(p−ブトキシカルボニル)フェニルウレア、N−p−トリルスルホニル−N’−フェニルウレア等のウレア化合物が挙げられる。これらの中でも、4,4’−イソプロピリデンジフェノール、4−ヒドロキシ−4’−イソプロポキシジフェニルスルホン、2,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’−ビス(N−p−トリルスルホニルアミノカルボニルアミノ)ジフェニルメタン等が好ましい。これら他の顕色剤の含有量としては、本発明の特定の顕色剤の合計量に対して20質量%以下であることが好ましい。
本発明では、各種公知のロイコ染料を感熱記録層中に含有することができる。黒色発色を与えるロイコ染料としては、例えば3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジ(n−ブチル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジ(n−ペンチル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N-イソアミルアミノ)−6−メチル−7−アリニノフルオラン、3−(N−エチル−p−トルイジノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ピロリジノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(m−トリフルオロメチルアニリノ)フルオラン、3−(N−イソアミル−N−エチルアミノ)−7−(o−クロロアニリノ)フルオラン、3−(N−エチル−N−2−テトラヒドロフルフリルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−クロロ−7−アニリノフルオラン、3−(N−n−ヘキシル−N−エチルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−〔N−(3−エトキシプロピル)−N−エチルアミノ〕−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−〔N−(3−エトキシプロピル)−N−メチルアミノ〕−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(2−クロロアニリノ)フルオラン、3−ジ(n−ブチルアミノ)−7−(2−クロロアニリノ)フルオラン等を挙げることができる。また、必要に応じて、黒とは異なる色調に発色する、例えば赤、赤紫、オレンジ、青、緑等の発色色調を与えるロイコ染料を使用することもできる。これらのロイコ染料は1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明において、ロイコ染料を固体微粒子状態として使用する場合、ロイコ染料を、水を分散媒体として、サンドグラインダー、アトライター、ボールミル、コボーミル等の各種湿式粉砕機によって粉砕し、これをポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、スルホン変性ポリビニルアルコール等の変性ポリビニルアルコール、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、スチレン−無水マレイン酸共重合体塩及びそれらの誘導体等の水溶性合成高分子化合物のほか、必要に応じて界面活性剤、消泡剤等と共に分散媒体中に分散させて分散液とし、この分散液を感熱記録層用塗液の調製に用いることができる。
また、ロイコ染料を溶剤に溶解した後、この溶液を水中で上記水溶性高分子を安定化剤として乳化分散後、この乳化液から溶剤を蒸発させ染料前駆体を固体微粒子化して使用することもできる。いずれの場合も固体微粒子状態で使用する染料前駆体の分散粒子の平均粒子径は、適切な発色感度を得るために0.2〜3.0μmであることが好ましく、より好ましくは0.3〜1.0μmである。
本発明においては、ロイコ染料の使用方法として、上記固体微粒子状態で使用する以外に、有機高分子とロイコ染料とからなる複合粒子としても使用することができる。複合粒子の作製については、公知の方法により可能である。例えば、有機高分子がポリウレア及びポリウレア−ポリウレタンの少なくとも1種である複合粒子の作製方法としては、ロイコ染料、並びに重合によりポリウレア及びポリウレア−ポリウレタンの少なくとも1種を形成する多価イソシアネートのような高分子形成性原料を、100℃以下の沸点を有する水不溶性有機溶剤に溶解混合し、この有機溶剤溶液をポリビニルアルコール等の親水性保護コロイド溶液中に平均粒子径が0.5〜3μm程度となるように乳化分散し、更に必要によりポリアミン等の反応性物質を混合後、この乳化分散液を加熱して有機溶剤を揮発除去し、その後、高分子形成性原料を高分子化することにより複合粒子を調製する方法、あるいはロイコ染料を高分子形成性原料に溶解し、この溶解液を前述の方法で平均粒子径が0.5〜3μm程度に乳化分散後、高分子形成性原料を高分子化することにより調製する方法が挙げられる。
ロイコ染料の含有量は特に限定されないが、感熱記録層の全固形量に対して3〜30質量%程度が好ましい。また、ロイコ染料が複合粒子を形成した形態で含有される場合、複合粒子中のロイコ染料の含有量は、複合粒子の全固形量に対して、好ましくは10〜70質量%程度、より好ましくは30〜60質量%程度である。
本発明において、感熱記録層中のロイコ染料と顕色剤の使用比率は用いるロイコ染料と顕色剤の種類に応じて適宜選択すべきもので、特に限定するものではないが、一般にロイコ染料1質量部に対して1〜7質量部程度、好ましくは1〜4質量部程度の顕色剤が使用される。
更に、感熱記録層には記録感度を高めるための増感剤を含有させることもできる。増感剤の具体例としては、例えばステアリン酸アミド、メトキシカルボニル−N−ステアリン酸ベンズアミド、N−ベンゾイルステアリン酸アミド、N−エイコサン酸アミド、エチレンビステアリン酸アミド、ベヘン酸アミド、メチレンビスステアリン酸アミド、N−メチロールステアリン酸アミド、テレフタル酸ジベンジル、テレフタル酸ジメチル、テレフタル酸ジオクチル、p−ベンジルオキシ安息香酸ベンジル、1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸フェニル、2−ナフチルベンジルエーテル、m−ターフェニル、シュウ酸ジベンジル、シュウ酸−ジ−p−メチルベンジル、シュウ酸−ジ−p−クロロベンジル、p−ベンジルビフェニル、トリルビフェニルエーテル、ジ(p−メトキシフェノキシエチル)エーテル、1,2−ジ(3−メチルフェノキシ)エタン、1,2−ジ(4−メチルフェノキシ)エタン、1,2−ジ(4−メトキシフェノキシ)エタン、1,2−ジ(4−クロロフェノキシ)エタン、1,2−ジフェノキシエタン、1−(4−メトキシフェノキシ)−2−(2−メチルフェノキシ)エタン、p−メチルチオフェニルベンジルエーテル、1,4−ジ(フェニルチオ)ブタン、p−アセトトルイジド、p−アセトフェネチジド、N−アセトアセチル−p−トルイジン、ジ(β−ビフェニルエトキシ)ベンゼン、p−ジ(ビニルオキシエトキシ)ベンゼン、1−イソプロピルフェニル−2−フェニルエタン等が挙げられる。これらの増感剤の使用量は、特に限定されないが、一般に顕色剤1質量部に対して4質量部以下程度の範囲で調節するのが好ましい。
更に、感熱記録層には記録像の保存性を高めるための保存性改良剤を含有させることもできる。保存性改良剤の具体例としては、例えば2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2’−エチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、2,2’−エチリデンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、2,2’−エチリデンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2’−エチリデンビス(4−エチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2’−(2,2−プロピリデン)ビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メトキシ−6−tert−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス(2−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス(5−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス(2−クロロ−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス(2−メトキシ−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス(2−エチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(6−tert−ブチル−m−クレゾール)、1−〔α−メチル−α−(4’−ヒドロキシフェニル)エチル〕−4−〔α’,α’−ビス(4”−ヒドロキシフェニル)エチル〕ベンゼン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−シクロヘキシルフェニル)ブタン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン、4,4’−チオビス(3−メチルフェノール)、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’,5,5’−テトラブロモジフェニルスルホン、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’,5,5’−テトラメチルジフェニルスルホン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジクロロフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン等のヒンダードフェノール化合物、N,N’−ジ−2−ナフチル−p−フェニレンジアミン、2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)リン酸ソーダ等が挙げられる。
更に、感熱記録層には白色度及び画像均一性を向上するため、白色度が高く、平均粒径が10μm以下の微粒子顔料を含有させることもできる。顔料の具体例としては、例えばカオリン、クレー、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、硫酸バリウム、タルク、焼成クレー、焼成カオリン、酸化チタン、酸化亜鉛、珪藻土、微粒子状無水シリカ、活性白土等の無機顔料、スチレンマイクロボール、ナイロンパウダー、ポリエチレンパウダー、尿素−ホルマリン樹脂フィラー、スチレン−メタクリル酸共重合樹脂、ポリスチレン樹脂、生澱粉粒子等の有機顔料が挙げられる。顔料の含有量は、発色濃度を低下させない程度の量、即ち感熱記録層の全固形量に対して50質量%以下が好ましい。
感熱記録層用塗液中には、必要に応じて下記の架橋剤、ワックス類、金属石鹸、有色染料、有色顔料、蛍光染料、撥油剤、消泡剤及び粘度調節剤等の助剤を含有させることができる。
架橋剤としては、例えばグリオキザール等のアルデヒド系化合物、ポリエチレンイミン等のポリアミン系化合物、エポキシ系化合物、ポリアミド樹脂、メラミン樹脂、ジメチロールウレア化合物、アジリジン化合物、ブロックイソシアネート化合物、アジピン酸ジヒドラジド等のカルボン酸ジヒドラジド系化合物並びに過硫酸アンモニウムや塩化第二鉄、及び塩化マグネシウム、四硼酸ソーダ、四硼酸カリウム等の無機化合物または硼酸、硼酸トリエステル、硼素系ポリマー等から選ばれた少なくとも1種の架橋性化合物を感熱記録層の全固形量に対して0.1〜10質量%の範囲で用いることが好ましい。
ワックスとしては、パラフィンワックス、カルナバロウワックス、マイクロクリスタリンワックス、ポリオレフィンワックス、及びポリエチレンワックス等のワックス類、並びに例えばステアリン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド等の高級脂肪酸アミド、高級脂肪酸エステル、及びその誘導体等を挙げることができる。
金属石鹸としては、高級脂肪酸多価金属塩、例えばステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸カルシウム、及びオレイン酸亜鉛等を挙げることができる。
感熱記録層中には、本発明の効果を阻害しない範囲で、ポリビニルアルコール以外の接着剤を含有することもできる。かかる接着剤の具体例としては、例えば、酸化澱粉、酸変性澱粉、リン酸エステル化澱粉、酵素変性澱粉、カチオン変性澱粉、エステル化澱粉、エーテル化澱粉及び酢酸ビニル変性グラフト化澱粉等の澱粉類、重合度500未満のポリビニルアルコール、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、メトキシセルロース、ヒドロキシエチルセルロース及びヒドロキシプロピルメチルセルロース等のセルロース誘導体、ポリアクリル酸ソーダ、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン、アクリル酸アミド−アクリル酸エステル共重合体、アクリル酸アミド−アクリル酸エステル−メタクリル酸共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体アルカリ塩、イソブチレン−無水マレイン酸共重合体アルカリ塩、アルギン酸ソーダ、ゼラチン、カゼイン等の水溶性接着剤、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸エステル、ポリブチルメタクリレート、スチレン−ブタジエン共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、スチレン−ブタジエン−アクリル系共重合体等のラテックスを併用することができる。
感熱記録層は、一般に水を分散媒体とし、例えばボールミル、アトライター、サンドミル等の粉砕機によりロイコ染料と顕色剤、必要に応じて増感剤及び保存安定剤とを一緒に、または別々に分散して得た分散液を用いて、更に接着剤、界面活性剤、必要により助剤とを混合することにより調製された感熱記録層用塗液を、カーテン塗布法により塗布及び乾燥することにより形成される。感熱記録層用塗液の塗布量は特に限定されず、固形分塗布量で1〜12g/m程度が好ましく、2〜10g/mがより好ましく、2.5〜5.5g/mが特に好ましい。
(保護層)
本発明における保護層は、感熱記録層上に少なくとも1層以上を積層してなる。保護層は、従来から公知の感熱記録体に使用されている保護層を利用できる。保護層は、接着剤及び顔料を含有することができる。特に保護層には、サーマルヘッドに対するスティッキングを防止する目的で、ポリオレフィンワックス、ステアリン酸亜鉛等の滑剤を含有させることが好ましく、紫外線吸収剤を含有させることもできる。また、光沢のある保護層を設けることにより、製品の付加価値を高めることもできる。
保護層に用いる接着剤としては、水溶性接着剤及び水分散性接着剤のいずれの水性接着剤も使用できる。水溶性接着剤としては、例えば、完全(部分)鹸化ポリビニルアルコール、アセトアセチル変性ポリビニルアルコール、ジアセトン変性ポリビニルアルコール、カルボキシ変性ポリビニルアルコール、珪素変性ポリビニルアルコール等のポリビニルアルコール、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等のセルロース系樹脂、ゼラチン、カゼイン、スチレン−無水マレイン酸共重合体のアルカリ塩、エチレン−アクリル酸共重合体のアルカリ塩、スチレン−アクリル酸共重合体のアルカリ塩等の水溶性樹脂が挙げられる。水分散性接着剤としては、例えば、スチレン−ブタジエン系ラテックス、アクリル系ラテックス、ウレタン系ラテックス等のラテックスから得られる疎水性樹脂が挙げられる。なかでも、アセトアセチル変性ポリビニルアルコール及びジアセトン変性ポリビニルアルコールは表面のバリア性を向上させ、耐薬品性等の保存性を向上させることができ、好ましく用いられる。これらは、1種単独または2種以上を併用して使用することができる。
接着剤の使用量は、合計で保護層の全固形量に対して10〜80質量%が好ましく、20〜75質量%がより好ましい。10質量%以上とすることにより、バリア性を向上し、且つ表面強度を向上して紙粉の発生を抑えることができる。一方、80質量%以下とすることにより、耐スティッキング性をより一層向上できる。かかる水溶性接着剤及び水分散性接着剤を併用することもできる。その使用比率については、特に限定するものではないが、質量比で水溶性接着剤100質量部に対して5〜100質量部の水分散性接着剤を使用するのが好ましい。
保護層に用いる顔料としては、例えば、炭酸カルシウム、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、二酸化チタン、無定形シリカ、合成マイカ、水酸化アルミニウム、硫酸バリウム、タルク、カオリン、クレー、焼成カオリン等の無機顔料、ナイロン樹脂フィラー、尿素−ホルマリン樹脂フィラー、生デンプン粒子等の有機顔料が挙げられる。なかでも、カオリン、水酸化アルミニウムは可塑剤や油等に対するバリア性の低下が少なく、しかも記録濃度の低下も小さいため、好ましい。
顔料の使用量は、保護層の全固形量に対して5〜80質量%が好ましく、10〜70質量%がより好ましい。5質量%以上とすることにより、サーマルヘッドとの滑りを向上し、スティッキングを起こし難くし、ヘッド粕の発生を抑制できる。一方、80質量%以下とすることにより、バリア性を向上し、保護層としての機能を大幅に向上することができる。
助剤としては、例えばステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ポリエチレンワックス、カルナバロウ、パラフィンワックス、エステルワックス等の滑剤、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、スルホン変性ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸ナトリウム等の界面活性剤、グリオキザール、硼酸、ジアルデヒド澱粉、メチロール尿素、エポキシ系化合物、ヒドラジン系化合物等の耐水化剤(架橋剤)、疎水性ポリカルボン酸共重合物、紫外線吸収剤、蛍光染料、着色染料、離型剤、酸化防止剤等が挙げられる。助剤の使用量は、広い範囲から適宜設定することができる。
本発明において、保護層用塗液には、表面張力を調整してカーテン膜を安定化させるために界面活性剤が添加される。界面活性剤としては、例えば、スルホコハク酸系のアルカリ金属塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アセチレングリコール系化合物、フッ素系界面活性剤、シリコン系界面活性剤、リン酸エステル系界面活性剤、エーテル型界面活性剤或いはベタイン、アミノカルボン酸塩、イミダゾリン誘導体等の両性系界面活性剤等が挙げられるが、特に、感熱記録層用塗液中に含有される上記一般式(1)で表されるジアルキルスルホコハク酸塩、または上記一般式(2)で表される化合物が好ましい。
本発明においては、保護層塗液が上記一般式(1)で表されるジアルキルスルホコハク酸塩を保護層の全固形量に対して、好ましくは0.03〜2.00質量%、より好ましくは0.05〜1.50質量%含有する。または、上記一般式(2)で表される化合物を保護層の全固形量に対して、好ましくは0.05〜3.00質量%、より好ましくは0.10〜2.50質量%含有する。これにより、保護層用塗液の静的表面張力を好ましい範囲に調整することができる。
保護層は、一般に水を媒体とし、接着剤と顔料、界面活性剤、助剤とを混合することにより調製された保護層用塗液を、カーテン塗布法により塗布及び乾燥することにより形成される。保護層用塗液の塗布量は特に限定されず、固形分塗布量で0.5〜7.0g/m程度が好ましく、0.8〜6.0g/mがより好ましく、1.0〜3.5g/mが特に好ましい。なお、保護層は必要に応じて2層以上に分けて形成することができ、各層の組成、塗布量を変えることができる。感熱記録層及び保護層を形成した後、必要に応じて、保護層表面にキャレンダー等の既知の平滑化処理を施してもよい。
(カーテン塗布法)
本発明における感熱記録層及び保護層は、感熱記録層用塗液及び保護層用塗液を用いてカーテン塗布法により形成されている。これにより、保護層のバリア性をより一層高めて耐薬品性を向上でき、しかも生産効率を高め、製造時の消費エネルギーを低減させることができる。
カーテン塗布法とは、塗液を流下して自由落下させ支持体に非接触で塗布する方法であり、スライドカーテン法、カップルカーテン法、ツインカーテン法等の公知のものを採用することができ、特に制限されるものではない。また、特開2006−247611号公報に記載のように、カーテンヘッドから塗液を下向きに噴出させて斜面上で塗液層を形成させ、斜面の終端部の下向きのカーテンガイド部から塗液のカーテンを形成してウエブ面上に塗液層を移行させることもできる。本発明では、感熱記録層用塗液と保護層用塗液との同時多層カーテン塗布方式、または感熱記録層用塗液がカーテン方式で塗布され、更に感熱記録層が湿潤状態時に保護層用塗液がカーテン方式で塗布されることが好ましい。
(下塗り層)
本発明では、支持体と感熱記録層の間に、プラスチック中空粒子と焼成カオリンを含有する下塗り層用塗液をブレード塗布法により塗布及び乾燥して形成された下塗り層を有し、その含有比率が焼成カオリン100質量部に対してプラスチック中空粒子10〜100質量部であることが好ましく、15〜70質量部が更に好ましい。これにより、優れた耐薬品性と耐スティッキング性を得ることができる。
プラスチック中空粒子としては、従来公知のもの、例えば熱可塑性高分子を殻とする微小中空粒子であり、アクリル系樹脂、スチレン樹脂、スチレン−アクリル樹脂、塩化ビニリデン系樹脂とアクリロニトリルを主体とする共重合樹脂、イソボニルメタクリレートとアクリロニトリルを主体とする共重合樹脂等からなる中空率が50〜99%程度の粒子が挙げられる。ここで中空率とは内径と外径の比であり、下記式で表示されるものである。
中空率(%)=(中空粒子の内径/中空粒子の外径)×100
プラスチック中空粒子の含有量を100質量部以下とすることにより、下塗り層表面の疎水性が極端に増加するのを抑制し、感熱記録層用塗液が乾燥工程で不動化するまでの間に下塗り層上で乱れることなく、感熱記録層が均一に形成されるため、保護層のバリア性が向上し、より一層優れた耐薬品性を発揮できる。また、熱溶融物を吸収する能力に優れ、サーマルヘッドへの貼り付き、所謂スティッキングを抑制する効果を向上できる。一方、10質量部以上とすることにより、記録感度と画質を向上し、感熱記録層と保護層との層間混合の抑制効果を向上できる。
プラスチック中空粒子の平均粒子径は、0.4〜2.0μm程度が好ましい。平均粒子径を2.0μm以下とすることにより、下塗り層用塗液をブレード塗布法で塗布する場合に、ストリークやスクラッチ等のトラブルの原因とならず、良好な塗布適性を得ることができる。また、品質面では下塗り層の表面平滑性をより一層高められるため、感熱記録層用塗液及び保護層用塗液をカーテン塗布法で同時多層塗布する場合に、塗布均一性を高めて保護層のバリア性を向上できる。
焼成カオリンとしては、耐スティッキング性を向上する観点から、JIS−K5101で規定する吸油度を70ml/100g以上とすることが好ましい。
本発明は、下塗り層中に特定の顔料を含有させるものであるが、本発明の所望の効果を損なわない限りにおいて、その他の顔料も使用できる。その他の顔料としては、無機及び有機のいずれの顔料も使用できる。特に、吸油度が40ml/100g以上の吸油性顔料を好適に使用できる。吸油性顔料としては、例えば、酸化アルミニウム、炭酸マグネシウム、焼成ケイソウ土、珪酸アルミニウム、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、カオリン、非晶質シリカ、タルク等が挙げられる。また、その他の顔料として、密実のプラスチック粒子を使用することもできる。上記のプラスチック中空粒子及び焼成カオリンを含む顔料の合計量は、下塗り層の全固形量に対して40〜90質量%が好ましい。
下塗り層用塗液に使用される接着剤としては、例えば、水溶性接着剤及び水分散性接着剤のいずれの水性接着剤も使用できる。水溶性接着剤としては、例えば、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、澱粉及び酸化澱粉、酸変性澱粉、リン酸エステル化澱粉、酵素変性澱粉、カチオン変性澱粉、エステル化澱粉、エーテル化澱粉及び酢酸ビニル変性グラフト化澱粉等の澱粉誘導体、メトキシセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、及びエチルセルロース等のセルロース誘導体、ポリアクリル酸ソーダ、ポリビニルピロリドン、アクリル酸アミド−アクリル酸エステル共重合体、アクリル酸アミド−アクリル酸エステル−メタクリル酸共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体アルカリ塩、ポリアクリルアミド、アルギン酸ソーダ、ゼラチン、及びカゼイン等の水溶性高分子が挙げられる。水分散性接着剤としては、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸エステル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリブチルメタクリレート、エチレン−酢酸ビニル共重合体、シリル化ウレタン、アクリル−シリコン複合体、及びアクリル−シリコン−ウレタン複合体等の疎水性重合体のラテックス等が挙げられる。これらは、1種単独又は2種以上を併用して使用することができる。
接着剤の使用量は特に限定されず、塗膜強度や感熱記録層の記録感度との兼ね合いで決定されるが、下塗り層に含まれる顔料100質量部に対して、3〜100質量部が好ましく、5〜50質量部がより好ましく、7〜40質量部が特に好ましい。また、下塗り層用塗液中には、必要に応じて、各種公知の増粘剤、ワックス、消泡剤、界面活性剤等の助剤を含有させることもできる。
下塗り層は、一般に水を媒体として、プラスチック中空粒子及び焼成カオリンと、接着剤、必要により助剤とを混合することにより調製された下塗り層用塗液を、支持体上にブレード塗布法で塗布及び乾燥することにより形成される。本発明では、特にブレード塗布法を選択することにより、下塗り層表面の凹凸を少なくすることができ、下塗り層上に形成される感熱記録層と保護層の塗布厚みを均一にして、保護層のバリア性を向上できる。
ブレード塗布法は、ベベルタイプやベントタイプに代表されるブレードを使用した塗布法に限らず、ロッドブレード法やビルブレード法等も含み、またオフマシンコーターに限られるものではなく、抄紙機に設置したオンマシンコーターで塗布してもよい。下塗り層を形成した後、必要に応じて、下塗り層表面にキャレンダー等の既知の平滑化処理を施してもよい。
下塗り層の塗布量は特に限定されず、感熱記録体の特性に応じて適宜選択すればよいが、2g/m以上が好ましく、3g/m以上がより好ましく、4〜10g/mが更に好ましく、5.5〜8.5g/mが特に好ましい。
(支持体)
本発明における支持体としては、特に限定されず、例えば、酸性上質紙、中性上質紙、古紙含有上質紙等の上質紙、アート紙、合成紙、PETフィルム、不織布中質紙、コート紙、キャストコート紙、グラシン紙、樹脂ラミネート紙、ポリオレフィン系合成紙、合成繊維紙、不織布、合成樹脂フィルム等のほか、各種透明支持体等を適宜選択して使用することができる。
(感熱記録体)
本発明においては、感熱記録体の付加価値を高めるために、これに更に加工を施し、より高い機能を付与した感熱記録体とすることができる。例えば、裏面に粘着剤、再湿接着剤、ディレードタック型の粘着剤等の塗布加工を施すことにより粘着紙、再湿接着紙、ディレードタック紙として使用することができる。或いは磁気加工を施すことにより裏面に磁気記録可能な層を有する感熱記録体とすることもできる。特に、粘着加工、及び磁気加工を施したものは感熱ラベルや、感熱磁気乗車券等の用途に有用である。また、裏面を利用して、これに熱転写用紙、インクジェット用紙、ノーカーボン用紙、静電記録紙、ゼログラフィ用紙としての機能を付与し、両面記録が可能な記録材料とすることもできる。勿論、両面感熱記録体とすることもできる。
また、本発明の感熱記録体は多色感熱記録体とすることもできる。一般に多色感熱記録体は、加熱温度の差、または熱エネルギーの差を利用する試みであり、一般に、支持体上に異なる色調に発色する高温発色層と低温発色層を順次積層して構成されたものであってこれらを大別すると消色型と加色型の2種類、マイクロカプセルを用いた方法及び有機高分子と染料前駆体からなる複合粒子を使用して多色感熱記録体を製造する方法がある。
以下に実施例を示し、本発明をより具体的に説明するが、勿論これらに限定されるものではない。また、特に断らない限り例中の「部」及び「%」はそれぞれ「質量部」及び「質量%」を示す。
実施例1
・下塗り層用塗液の調製
吸油量110ml/100gの焼成カオリン60部、プラスチック中空粒子エマルジョン(商品名:AE852、スチレン−アクリル共重合樹脂中空粒子、固形分濃度26%、中空率80%、平均粒子径1.0μm、JSR社製)80部、接着剤として固形分濃度48%のスチレン−ブタジエン共重合体ラテックス(商品名:L−1571、旭化成ケミカルズ社製)20部、カルボキシメチルセルロース(商品名:セロゲン7A、第一工業製薬社製)の5%水溶液20部、酸化澱粉(商品名:王子エースA、王子コーンスターチ社製)の20%水溶液25部、及び水60部を混合して下塗り層用塗液を得た。
・ロイコ染料分散液(A液)の調製
3−ジ(n−ブチル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン10部、メチルセルロースの5%水溶液5部及び水15部からなる組成物を、サンドミルによりレーザー回折式粒度分布測定装置によるメジアン径(商品名:SALD2200、島津製作所社製による50%値)が0.5μmとなるまで粉砕してA液を得た。
・顕色剤分散液(B―1液)の調製
4―ヒドロキシ−4’−イソプロポキシジフェニルスルホン10部、メチルセルロースの5%水溶液5部、及び水15部からなる組成物を、サンドミルによりレーザー回折式粒度分布測定装置によるメジアン径(商品名:SALD2200、島津製作所社製による50%値)が1.0μmとなるまで粉砕してB−1液を得た。
・顕色剤分散液(B―2液)の調製
2,2’−[4−(4−ヒドロキシフェニルスルホニル)フェノキシ]ジエチルエーテル10部、メチルセルロースの5%水溶液5部、及び水15部からなる組成物を、サンドミルによりレーザー回折式粒度分布測定装置によるメジアン径(商品名:SALD2200、島津製作所社製による50%値)が1.0μmとなるまで粉砕してB−2液を得た。
・増感剤分散液(C液)の調製
1,2−ジ(3−メチルフェノキシ)エタン20部、メチルセルロースの5%水溶液5部、及び水55部からなる組成物を、サンドミルよりレーザー回折式粒度分布測定装置によるメジアン径(商品名:SALD2200、島津製作所社製による50%値)が1.0μmとなるまで粉砕してC液を得た。
・感熱記録層用塗液の調製
A液25部、B−1液40部、B−2液15部、C液55部、水酸化アルミニウム(商品名:ハイジライトH−42M、昭和電工社製)20部、完全鹸化PVA(商品名:PVA110、重合度1000、鹸化度98・5mol%、クラレ社製)15%水溶液50部、部分鹸化PVA(商品名:PVA205、重合度500、鹸化度88.0mol%、クラレ社製)20%水溶液20部、アジピン酸ジヒドラジドの35%水分散液5部、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム塩(商品名:サンモリンOT−70、サンノプコ社製)の5%水溶液10部からなる組成物を混合して感熱記録層用塗液を得た。
・保護層用塗液の調製
カオリン(商品名:UW−90、エンゲルハード社製)50部を水50部に分散して得られた分散液と、アセトアセチル変性ポリビニルアルコール(商品名:ゴーセファイマーZ―200、日本合成化学社製)の10%水溶液400部、ステアリン酸亜鉛(商品名:ハイドリンZ−8−36、固形分濃度36%、中京油脂社製)25部、更にジオクチルスルホコハク酸ナトリウム塩(商品名:サンモリンOT−70、サンノプコ社製)の5%水溶液10部を混合して保護層用塗液を得た。
・感熱記録体の作製
坪量60g/mの上質紙の片面に、下塗り層用塗液を乾燥後の塗布量が7g/mとなるようにブレードコーターにて塗布及び乾燥して下塗り層塗布済み原紙を得た。更に下塗り層塗布済み原紙の上に、感熱記録層用塗液と保護層用塗液をスライドホッパー型カーテン塗布装置を用いて、下塗り層側から感熱記録層用塗液、保護層用塗液の順で構成される塗液膜を形成し、各層の固形分塗布量が感熱記録層4g/m、保護層2.5g/mとなるように、塗布速度600m/分にてカーテン塗布法により同時多層塗布及び乾燥して、感熱記録層及び保護層を形成した後、スーパーカレンダーによって保護層表面を処理し、その表面の平滑度が王研式平滑度計で1000〜4000秒の感熱記録体を得た。
実施例2
実施例1の感熱記録層用塗液の調製において、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム塩の5%水溶液10部に代えて、2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオールのエトキシル化体、エチレンオキサイドの付加モル数10(商品名:オルフィンE1010、日信化学社製)の5%水溶液10部を用いた以外は、実施例1と同様にして感熱記録体を得た。
実施例3
・顕色剤分散液(B−3液)の調製
4,4’−ビス〔(4−メチル−3−フェノキシカルボニルアミノフェニル)ウレイド〕ジフェニルスルホン10部、ケイ酸マグネシウム0.5部、メチルセルロースの5%水溶液5部及び水15部からなる組成物を、サンドミルによりレーザー回折式粒度分布測定装置によるメジアン径(商品名:SALD2200、島津製作所社製による50%値)が1.0μmとなるまで粉砕した。更に、この分散液を70℃で4時間加熱処理を行いB−3液を得た。
実施例1の感熱記録層用塗液の調製において、B−2液の15部に代えて、B−3液の15部を用いた以外は、実施例1と同様にして感熱記録体を得た。
実施例4
・顕色剤分散液(B−4液)の調製
安息香酸122.1部、テレフタル酸16.6部、酸化亜鉛48.8部、鹸化度88モル%、重合度300のポリビニルアルコールの20%水溶液93.8部、天然油脂系消泡剤の5%エマルション40部、及び水199部からなる組成物(懸濁液)を、サンドミルによりレーザー回折式粒度分布測定装置によるメジアン径が1.5μmとなる様に処理してB−4液を得た。
実施例1の感熱記録層用塗液の調製において、B−1液の40部及びB−2液の15部に代えて、B−4液の60部を用いた以外は、実施例1と同様にして感熱記録体を得た。
実施例5
実施例1の感熱記録層用塗液の調製において、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム塩の5%水溶液の量を10部に代えて60部とした以外は実施例1と同様にして感熱記録体を得た。
比較例1
実施例1の感熱記録層用塗液の調製及び保護層用塗液の調製において、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム塩を使用しなかった以外は、実施例1と同様にしてカーテン塗布を実施したが、カーテン膜が安定せず、頻繁に膜切れが発生したため、塗布を中止した。
比較例2
実施例1の感熱記録層用塗液の調製において、B−1液の40部及びB−2液の15部に代えて、B−1液の55部を用いた以外は、実施例1と同様にして感熱記録体を得た。
かくして得られた感熱記録体について、以下の評価を行った。その結果を表1に示す。
(カーテン膜切れ)
カーテン膜切れについて、塗液膜(自由落下している膜)の安定性を目視評価した。
◎:膜切れが全く観察されない。
○:膜切れがほとんど観察されない。
×:カーテン膜切れが発生し、操業上問題である。
(記録感度)
感熱記録用シミュレーター(TH−PMD、大倉電機社製)を用い、印加エネルギー0.24mJ/dotにて記録し、記録部の記録濃度をマクベス濃度計(RD−914、マクベス社製)のビジュアルモードで測定した。
(耐可塑剤性)
上記0.24mJ/dotで発色させた感熱記録体の印字部分を、直径約5cmのアクリル製円筒に塩ビラップフィルム(ハイエスソフトTM350、日本カーバイド工業社製)で上下から挟み込むように巻きつけ、40℃の環境で24時間放置した後、印字部分の濃度をマクベス濃度計(商品名:RD−914、マクベス社製)のビジュアルモードで測定した。放置前の濃度(記録感度の濃度)に近いほど、印字保存性に優れる。
Figure 2010228171
本発明の感熱記録体は、カーテン塗布する際、カーテン膜形成不良を起こさず、安定したカーテン膜を形成し、感熱記録層及び保護層塗液をカーテン塗布法により同時多層塗布することにより生産性に優れ、また記録感度、及び印字保存性に優れた感熱記録体を提供できる。

Claims (7)

  1. 支持体上に、ロイコ染料及び顕色剤を含有する感熱記録層、並びに保護層をこの順に有する感熱記録体において、少なくとも前記感熱記録層及び前記保護層が、感熱記録層用塗液及び保護層用塗液を用いてカーテン塗布法により形成されたものであり、前記感熱記録層用塗液が水溶性接着剤を含有し、且つ下記一般式(1)で表されるジアルキルスルホコハク酸塩または下記一般式(2)で表される化合物を含有し、更に顕色剤として2,2’−[4−(4−ヒドロキシフェニルスルホニル)フェノキシ]ジエチルエーテル、4,4’−ビス〔(4−メチル−3−フェノキシカルボニルアミノフェニル)ウレイド〕ジフェニルスルホン、並びに芳香族モノカルボン酸と芳香族ジカルボン酸から形成される複合亜鉛塩から選ばれる少なくとも1種を含有することを特徴とする感熱記録体。
    Figure 2010228171
    (式中、R、Rは同一または異なる炭素数2〜20の脂肪族または脂環式炭化水素基を表し、Mは水素原子またはカチオン、xは1または2を表す。)
    Figure 2010228171
    (式中、R〜Rは水素原子、炭素数1〜8の分岐、直鎖または環状の無置換または置換アルキル基、炭素数6〜10の無置換または置換アリール基を表し、R〜R10は水素原子またはメチル基を表し、m及びnはそれぞれ独立に0〜50の整数を表す。)
  2. 前記水溶性接着剤として重合度1000〜3000のポリビニルアルコールを感熱記録層の全固形量に対して5〜25質量%含有し、感熱記録層用塗液の25℃におけるB型粘度が200〜2000mPa・sである、請求項1に記載の感熱記録体。
  3. 前記感熱記録層の全固形量に対して、前記一般式(1)で表されるジアルキルスルホコハク酸塩の含有量が0.05〜3質量%であり、前記一般式(2)で表される化合物の含有量が0.1〜5質量%である、請求項1または2に記載の感熱記録体。
  4. 前記芳香族ジカルボン酸がテレフタル酸及び/またはイソフタル酸であり、前記芳香族モノカルボン酸に対する前記芳香族ジカルボン酸の含有モル比率(芳香族ジカルボン酸/芳香族モノカルボン酸)が0.02〜0.80であり、前記芳香族モノカルボン酸及び芳香族ジカルボン酸の含有モル総量に対する前記亜鉛含有量のモル比率(亜鉛/(芳香族モノカルボン酸+芳香族ジカルボン酸))は、0.4〜1.0である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の感熱記録体。
  5. 前記保護層用塗液が前記一般式(1)で表されるジアルキルスルホコハク酸塩または前記一般式(2)で表される化合物を含有する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の感熱記録体。
  6. 支持体と感熱記録層の間に、プラスチック中空粒子と焼成カオリンを含有する下塗り層用塗液をブレード塗布法により塗布及び乾燥して形成された下塗り層を有し、その含有比率が前記焼成カオリン100質量部に対して前記プラスチック中空粒子10〜100質量部である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の感熱記録体。
  7. 前記カーテン塗布法が、感熱記録層用塗液と保護層用塗液との同時多層カーテン塗布方式、または感熱記録層用塗液がカーテン方式で塗布され、更に感熱記録層が湿潤状態時に保護層用塗液がカーテン方式で塗布される、請求項1〜6のいずれか1項に記載の感熱記録体。
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