以下、図1乃至図15を参照して一実施の形態について説明する。
以下に説明する調光装置10は、光の透過率の調整が求められる様々な技術分野に応用可能であり、適用範囲は特に限定されない。調光装置10は、例えば、建築物の窓ガラスや、ショーケース、屋内の透明パーテーション、車両のウインドウ等の調光を図る部位(外光が入射する部位、例えば、フロントや、サイド、リア、ルーフ等のウインドウ)に配置され、建築物や車両等の内側への入射光の光量を制御することができる。
なお以下に説明する調光装置10は、一実施の形態を例示しているに過ぎない。したがって例えば、調光装置10の構成要素として以下に挙げられている要素の一部が、他の要素に置換されてもよいし、含まれていなくてもよい。また以下に挙げられていない要素が、調光装置10の構成要素として含まれていてもよい。また図面中には、図示と理解のしやすさの便宜上、縮尺及び寸法比等を、実物のそれらから適宜変更又は誇張されている部分がある。
(調光装置)
図1は、本実施の形態による調光装置(合わせガラス)10を示す図である。本実施の形態による調光装置10は、その表面形状が曲面形状を有する3次元形状により構成されており、図1では、一例として、調光装置10が一方の面側に凸となる形状を有している。なお、調光装置10は、これに限らず、例えば、表面形状が平面状(すなわち、平板状)としてもよいし、その表面形状が曲面形状を有する2次元形状(例えば、円筒の一部を構成する形状)等としてもよい。ここで、3次元形状とは、単純な円筒面ではなく、平面を伸縮なしに変形させるだけでは構成できない曲面であり、単一の軸を中心として2次元的に曲がった2次元形状(2次元曲面)、或いは、互いに平行な複数の軸を中心として異なる曲率で2次元的に曲がった2次元形状(2次元曲面)とは区別されるものである。すなわち、3次元形状とは、互いに対して傾斜した複数の軸の各々を中心として、部分的に又は全体的に曲がっている面による形状である。
図1に示すように、本実施の形態による調光装置10は、第1ガラス板11と、第1中間膜13と、第1調光セル20Aと、第3中間膜15と、第2調光セル20Bと、第2中間膜14と、第2ガラス板12とを備えている。第1ガラス板11と、第1中間膜13と、第1調光セル20Aと、第3中間膜15と、第2調光セル20Bと、第2中間膜14と、第2ガラス板12とは、この順番で積層配置されている。
図2は、本実施の形態による調光装置10の層構成を示す断面図である。なお、本実施の形態の調光装置10は、3次元形状の表面形状を有しているが、図2では、理解を容易にするために、調光装置10の表面形状が平面状である場合の断面図を示している。
図2に示すように、調光装置10は、第1ガラス板11と、第2ガラス板12と、第1ガラス板11と第2ガラス板12との間に配置された第1調光セル20A及び第2調光セル20B(以下、調光セル20A、20Bともいう)とを備えている。調光セル20A、20Bは、それぞれ第1基材24と第1透明電極25と第1配向層26とを含む第1積層体21と、第2基材27と第2透明電極28と第2配向層29とを含む第2積層体22と、第1積層体21と第2積層体22との間に配置された液晶層23とを備えている。
第1ガラス板(透明部材)11及び第2ガラス板(透明部材)12は、それぞれ、調光装置10の表裏面に配置され、高い透光性を有する板ガラスである。第1ガラス板11及び第2ガラス板12は、その表面形状が曲面形状を有する3次元形状であり、一方の面側に凸となる曲面形状を有する形状に予め形成されている(図1参照)。この場合、第1ガラス板11及び第2ガラス板12は、第2ガラス板12側に対して第1ガラス板11側が凸状になるように形成されている。また、本実施の形態では、第1ガラス板11及び第2ガラス板12は、厚さが1mm以上4mm以下であり、一例として、いずれも厚さ2mmの板ガラスを用いている。第1ガラス板11及び第2ガラス板12は、無機ガラスでも良く、樹脂ガラスでも良い。樹脂ガラスとしては、例えば、ポリカーボネート、アクリル等を用いることができる。第1ガラス板11及び第2ガラス板12として無機ガラスを用いた場合、耐熱性、耐傷性に優れた調光装置10とすることができる。他方、第1ガラス板11及び第2ガラス板12として樹脂ガラスを用いた場合、調光装置10を軽量化することができる。さらに、第1ガラス板11及び第2ガラス板12には、必要に応じて、ハードコート等の表面処理がなされても良い。
第1中間膜13は、第1ガラス板11と第1調光セル20Aとを接合させる部材である。第2中間膜14は、第2ガラス板12と第2調光セル20Bとを接合させる部材である。同様に、第3中間膜15は、第1調光セル20Aと第2調光セル20Bとを接合させる部材である。本実施の形態では、第1中間膜13、第2中間膜14及び第3中間膜15は、それぞれPVB(ポリビニルブチラール)樹脂製のシートを用いている。なお、第1中間膜13、第2中間膜14及び第3中間膜15の素材としては、上記PVBに限らす、EVA(エチレン・酢酸ビニル共重合体)、COP(シクロオレフィンポリマー)等を用いてもよい。第1中間膜13、第2中間膜14及び第3中間膜15としては、可塑剤を含まないものを用いることが好ましい。また、第1中間膜13、第2中間膜14及び第3中間膜15の厚さに関しても、その材料等に応じて適宜選択してよい。具体的には、第1中間膜13、第2中間膜14及び第3中間膜15の厚さは、300μm以上2.5mm以下としても良く、一例として厚さ760μmのものが用いられる。
調光セル20A、20B(調光フィルム、液晶フィルム)は、それぞれ印加電圧を変化させることにより透過光の光量を制御することができるフィルムである。調光セル20A、20Bは、第1ガラス板11と第2ガラス板12との間に挟持されるように配置されている。この調光セル20A、20Bは、二色性色素を使用したゲストホスト型の液晶層を有しており、液晶に印加する電界により透過光量を変化させる部材である。調光セル20A、20Bは、それぞれフィルム状の第1積層体21と、フィルム状の第2積層体22と、第1積層体21と第2積層体22との間に配置された液晶層23とを備えている。なお、調光セル20A、20Bの構成は、後述するように、アライメントマーク33A、33Bの位置及び外部電極基板35の位置を除き、互いに略同一となっている。
第1積層体21は、第1基材24と、第1透明電極25と、第1配向層26とを積層して形成される。すなわち、第1中間膜13側から、第1基材24と、第1透明電極25と、第1配向層26とがこの順番で積層配置されている。また第2積層体22は、第2基材27と、第2透明電極28と、第2配向層29とを積層して形成される。すなわち、第2中間膜14側から、第2基材27と、第2透明電極28と、第2配向層29とがこの順番で積層配置されている。
さらに、第1積層体21と第2積層体22との間には、複数の柱状スペーサー40及び複数のビーズスペーサー31が配置されている。液晶層23は、第1積層体21及び第2積層体22の間において、複数の柱状スペーサー40の間及び複数のビーズスペーサー31の間に充填配置されている。複数の柱状スペーサー40及び複数のビーズスペーサー31は、それぞれ不規則的又は規則的に配置されていても良い。
調光セル20A、20Bは、それぞれ第1積層体21及び第2積層体22に設けられた第1透明電極25及び第2透明電極28の駆動により、液晶層23に設けられたゲストホスト液晶組成物による液晶材料の配向を変化させ、これにより透過光の光量を変化させるものである。
第1基材24及び第2基材27は、透明な樹脂製であって、可撓性を有するフィルムを適用することができる。第1基材24及び第2基材27としては、光学異方性が小さく、また、可視域の波長(380nm以上800nm以下)における透過率が80%以上である透明樹脂フィルムを適用することが望ましい。透明樹脂フィルムの材料としては、例えば、トリアセチルセルロース(TAC)等のアセチルセルロース系樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル系樹脂、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン、ポリメチルペンテン、EVA等のポリオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等のビニル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリサルホン(PEF)、ポリエーテルサルホン(PES)、ポリカーボネート(PC)、ポリスルホン、ポリエーテル(PE)、ポリエーテルケトン(PEK)、(メタ)アクロニトリル、シクロオレフィンポリマー(COP)、シクロオレフィンコポリマー等の樹脂を挙げることができる。透明樹脂フィルムの材料としては、特に、ポリカーボネート、シクロオレフィンポリマー、ポリエチレンテレフタレート等の樹脂が好ましい。また、第1基材24及び第2基材27として用いられる透明樹脂フィルムの厚みは、その材料にもよるが、その透明樹脂フィルムが可撓性を有する範囲内で適宜選択することができる。第1基材24及び第2基材27の厚みは、それぞれ50μm以上200μm以下としても良い。本実施の形態では、第1基材24及び第2基材27の一例として、厚み100μmのポリエチレンテレフタレートフィルムが適用される。
第1透明電極25及び第2透明電極28は、それぞれ第1基材24及び第2基材27(透明樹脂フィルム)に積層される透明導電膜から構成されている。透明導電膜としては、この種の透明樹脂フィルムに適用される各種の透明電極材料を適用することができ、酸化物系の全光透過率が50%以上の透明な金属薄膜を挙げることができる。例えば、酸化錫系、酸化インジウム系、酸化亜鉛系が挙げられる。
酸化錫(SnO2)系としてはネサ(酸化錫SnO2)、ATO(Antimony Tin Oxide:アンチモンドープ酸化錫)、フッ素ドープ酸化錫が挙げられる。酸化インジウム(In2O3)系としては、酸化インジウム、ITO(Indium Tin Oxide:インジウム錫酸化物)、IZO(Indium Zinc Oxide)が挙げられる。酸化亜鉛(ZnO)系としては、酸化亜鉛、AZO(アルミドープ酸化亜鉛)、ガリウムドープ酸化亜鉛が挙げられる。本実施の形態では、第1透明電極25及び第2透明電極28を構成する透明導電膜は、ITOにより形成されている。
ビーズスペーサー31は、液晶層23における外周部を除く部分の厚み(セルギャップ)を規定する部材である。本実施の形態では、ビーズスペーサー31として、球形状のビーズスペーサーを用いている。ビーズスペーサー31の直径は、1μm以上20μm以下、好ましくは3μm以上15μm以下の範囲としても良い。ビーズスペーサー31は、シリカ等による無機材料による構成、有機材料による構成、これらを組み合わせたコアシェル構造の構成等を広く適用することができる。また、このビーズスペーサー31は、球形状による構成の他、円柱形状、楕円柱形状、多角柱形状等のロッド形状により構成してもよい。またビーズスペーサー31は、透明部材により製造されるが、必要に応じて着色した材料を適用して色味を調整するようにしてもよい。
なお、本実施の形態では、ビーズスペーサー31は、第2積層体22に設けられるが、これに限定されるものでなく、第1積層体21及び第2積層体22の両方、又は、第1積層体21にのみ設けられるようにしてもよい。
第1配向層26及び第2配向層29は、液晶層23に含まれる液晶分子群を所望方向に配向させるための部材である。第1配向層26及び第2配向層29は、光配向層により形成される。光配向層に適用可能な光配向材料は、光配向の手法を適用可能な各種の材料を広く適用することができ、例えば、光分解型、光二量化型、光異性化型等を挙げることができる。本実施の形態では、光二量化型の材料を使用する。光二量化型の材料としては、例えば、シンナメート、クマリン、ベンジリデンフタルイミジン、ベンジリデンアセトフェノン、ジフェニルアセチレン、スチルバゾール、ウラシル、キノリノン、マレインイミド、又は、シンナミリデン酢酸誘導体を有するポリマー等を挙げることができる。中でも、配向規制力が良好である点で、シンナメート、クマリンの一方又は両方を有するポリマーが好ましく用いられる。
なお、光配向層に代えて、ラビング配向層を用いてもよい。ラビング配向層に関しては、ラビング処理を行わないものとしてもよいし、ラビング処理を行い、微細なライン状凹凸形状を賦型処理して配向層を作製してもよい。なお、本実施の形態では、調光セル20A、20Bは、それぞれ第1配向層26及び第2配向層29を備えているが、これに限らず、第1配向層26及び第2配向層29を備えない形態としてもよい。
液晶層23には、ゲストホスト液晶組成物、二色性色素組成物を広く適用することができる。ゲストホスト液晶組成物にはカイラル剤を含有させるようにして、液晶材料を水平配向させた場合に液晶層23の厚み方向に螺旋形状に配向させるようにしてもよい。
第1積層体21と第2積層体22との間には、平面視で環状または枠状のシール材32が配置されている。シール材32によって囲まれた領域32aには、液晶層23が配置されている。このシール材32により、第1積層体21と第2積層体22とが一体に保持され、液晶材料の漏出が防止される。シール材32は、エポキシ樹脂、アクリル樹脂等の熱硬化性樹脂や紫外線硬化性樹脂等を適用することができる。
調光セル20A、20Bは、この遮光時におけるゲストホスト液晶組成物の配向が電界印加時となるように、第1配向層26及び第2配向層29を、一定の方向にプレチルトに係る配向規制力を設定した垂直配向層により構成し、これによりノーマリークリアとして構成される。なお、この透光時の設定を電界印加時としてノーマリーダークとして構成してもよい。ここで、ノーマリーダークとは、液晶に電圧がかかっていない時に透過率が最小となり、黒い画面になる構造である。ノーマリークリアとは、液晶に電圧がかかっていない時に透過率が最大となり、透明となる構造である。
なお、図3(a)は、調光セル20A、20Bの液晶層23(遮光状態)を説明するための概略図である。図3(b)は、図3(a)と同じ調光セル20A、20Bの液晶層23(光透過状態)を説明するための概略図である。各調光セル20A、20Bの液晶層23は、それぞれ二色性色素23aと液晶23bとを有している。なお図3(a)及び図3(b)では、二色性色素23a及び液晶23bの配向方向を示すために、二色性色素23a及び液晶23bが概念的に図示されている。
各調光セル20A、20Bの一対の透明電極(第1透明電極25及び第2透明電極28)間の電圧をONとした場合には、液晶層23に所望の電界が印加され、二色性色素23a及び液晶23bが水平方向(すなわち光の進行方向Lと垂直をなす方向)に並ぶ(図3(a)参照)。これにより、液晶層23に進入した光が、二色性色素23aによって遮光(吸収)される。とりわけ、第1調光セル20Aの二色性色素23aの配向は、第2調光セル20Bの二色性色素23aの配向に対して平面視で90°の角度をなすことが好ましい。これにより、液晶層23に進入した光を調光セル20A、20Bによってより効果的に遮光(吸収)することができる。
一方、各調光セル20A、20Bの一対の透明電極(第1透明電極25及び第2透明電極28)間の電圧がOFFとした場合には、第1透明電極25及び第2透明電極28に電圧が印加されず、二色性色素23a及び液晶23bが垂直方向(すなわち光の進行方向L)に並ぶ(図3(b)参照)。この場合、液晶層23を通過する光に対する二色性色素23aの遮光性能は光の振動方向によらずあまり発揮されず、液晶層23に進入した光は高い確率で液晶層23(二色性色素23a及び液晶23b)を通過する。
なお、本実施の形態の調光セル20A、20Bは、ゲストホスト型の液晶層23を備える例を示したが、これに限られるものではない。調光セル20A、20Bは、二色性色素組成物を用いないTN(Twisted Nematic)方式、VA(Vertical Alignment)方式、IPS(In-Plane-Switching)方式等の液晶層23を備える構成としてもよい。このような液晶層23を備える場合、第1基材24及び第2基材27の表面にそれぞれ直線偏光層をさらに設けることで、調光フィルムとして機能させることができる。
再度図2を参照すると、柱状スペーサー40は、第1積層体21の第1配向層26と、第2積層体22の第2配向層29との間に複数配置されている。また柱状スペーサー40は、シール材32によって囲まれた領域32aに位置している。この柱状スペーサー40は、第2積層体22とは接着し、第1積層体21とは接着していない。すなわち、各柱状スペーサー40は、第2配向層29と接着される一方、第1配向層26とは接着されることなく、第1配向層26に対して面で接触ないし密着している。あるいは、柱状スペーサー40は、第1積層体21と接着し、第2積層体22とは接着していなくても良い。
柱状スペーサー40は、フォトレジストによって形成されたものであっても良く、印刷層によって形成されたものであっても良い。なお、本実施の形態では、柱状スペーサー40は、第2積層体22に設けられるが、これに限定されるものでなく、第1積層体21に設けられるようにしてもよい。また、ビーズスペーサー31及び柱状スペーサー40はいずれか一方が設けられていれば良く、必ずしも両方が設けられていなくてもよい。
本実施の形態において、第1調光セル20Aは第1アライメントマーク33Aを有し、第2調光セル20Bは第2アライメントマーク33Bを有している。具体的には、第1アライメントマーク33A及び第2アライメントマーク33B(以下、アライメントマーク33A、33Bともいう)は、それぞれ調光セル20A、20Bのシール材32によって囲まれた領域32aの内側(図2及び図4(a)-(c)参照)又は外側(図5(a)-(c)、図6(a)-(c)及び図7(a)-(c)参照)に設けられている。このアライメントマーク33A、33Bは、後述するように、調光セル20A、20Bを正しく位置決めするために設けられるものである。そして調光装置10において、調光セル20A、20Bが正確に位置決めされているときには、アライメントマーク33A、33B同士が平面視で互いに位置合わせされて一致している。このため、アライメントマーク33A、33Bは、平面視で互いに重なる位置に設けられている。
本明細書中、平面視とは、第1ガラス板11及び第2ガラス板12の表面形状が曲面形状であるか平面形状(非曲面形状)であるかに関わらず、第1ガラス板11及び第2ガラス板12の面に対して垂直な方向から見た場合をいう。
図4(a)-(c)は、アライメントマーク33A、33Bを有する調光セル20A、20Bを示している。このうち図4(a)は、第1調光セル20Aを示す平面図であり、図4(b)は、第2調光セル20Bを示す平面図であり、図4(c)は、第1調光セル20Aと第2調光セル20Bとが重なった状態を示す平面図である。
図4(a)-(c)に示すように、第1アライメントマーク33Aは、第1調光セル20Aのシール材32によって囲まれた領域32aの内側に形成されている。同様に、第2アライメントマーク33Bは、第2調光セル20Bのシール材32によって囲まれた領域32aの内側に形成されている。アライメントマーク33A、33Bは、それぞれ調光セル20A、20Bのシール材32の材料と同一の材料によって形成されている。この場合、アライメントマーク33A、33Bは、それぞれ平面視十字形状である。なお、アライメントマーク33A、33Bの平面形状は、それぞれ十字形状に限らず、円形状、楕円形状、多角形形状等としても良い。また、アライメントマーク33A、33Bの平面形状は互いに同一形状となっているが、これに限らず、互いに異なる形状(例えば十字形状と円形状等)としても良い。
図4(a)-(c)において、アライメントマーク33A、33Bは、それぞれ領域32aの内側であって、シール材32の角部近傍に配置されている。しかしながら、アライメントマーク33A、33Bの配置位置や個数は、これに限られるものではない。アライメントマーク33A、33Bは、各調光セル20A、20Bに1つ又は複数設けられていれば良い。例えば、アライメントマーク33A、33Bが領域32aの四隅にそれぞれ、合計4つ配置されていても良い。なお、アライメントマーク33A、33Bを目立たせないようにするため、アライメントマーク33A、33Bをシール材32に近い位置に配置することが好ましい。
このように、調光セル20A、20Bがアライメントマーク33A、33Bを有していることにより、調光装置10を製造する合わせガラス加工の際、調光セル20A、20Bを互いに正確に位置決めすることができ、調光セル20A、20Bの光軸を互いに正確に合わせることができる。また、アライメントマーク33A、33Bがシール材32の材料と同一の材料によって形成されるので、シール材32を形成する工程でアライメントマーク33A、33Bも一緒に形成することができる。
図5(a)-(c)は、アライメントマーク33A、33Bを有する調光セル20A、20Bの変形例を示している。このうち図5(a)は、第1調光セル20Aを示す平面図であり、図5(b)は、第2調光セル20Bを示す平面図であり、図5(c)は、第1調光セル20Aと第2調光セル20Bとが重なった状態を示す平面図である。
図5(a)-(c)に示すように、アライメントマーク33A、33Bは、それぞれ調光セル20A、20Bのシール材32の材料と同一の材料によって領域32aの外側に形成されている。この場合、アライメントマーク33A、33Bは、それぞれ平面視で一直線状に、シール材32から連続して延びている。なお、アライメントマーク33A、33Bの平面形状は、それぞれ直線形状に限らず、曲線形状等としても良い。この場合、アライメントマーク33A、33Bの平面形状は互いに同一形状となっているが、これに限らず、互いに異なる形状としても良い。
アライメントマーク33A、33Bは、それぞれ領域32aの外側に一対設けられ、具体的には、シール材32の対向する一対の辺からそれぞれ外側に延びている。しかしながら、アライメントマーク33A、33Bの配置位置や個数は、これに限られるものではない。アライメントマーク33A、33Bは、各調光セル20A、20Bに1つ又は複数設けられていれば良い。例えば、アライメントマーク33A、33Bが領域32aの四隅から延びていても良い。
この場合、アライメントマーク33A、33Bが領域32aの外側に位置しているので、アライメントマーク33A、33Bを目立たせないようにすることができる。また、アライメントマーク33A、33Bがシール材32の材料と同一の材料によって形成されるので、シール材32を形成する工程でアライメントマーク33A、33Bも一緒に形成することができる。
図6(a)-(c)は、アライメントマーク33A、33Bを有する調光セル20A、20Bの他の変形例を示している。このうち図6(a)は、第1調光セル20Aを示す平面図であり、図6(b)は、第2調光セル20Bを示す平面図であり、図6(c)は、第1調光セル20Aと第2調光セル20Bとが重なった状態を示す平面図である。
図6(a)-(c)に示すように、アライメントマーク33A、33Bは、それぞれ領域32aの外側に形成されるとともに、面方向外側に向けて突出する突出片34aからなっている。このアライメントマーク33A、33B(突出片34a)は、それぞれ第1積層体21及び第2積層体22のいずれか一方を含んでおり、かつ下記の組合せのいずれかとなっている。(i)アライメントマーク33Aが第1積層体21を含み、アライメントマーク33Bが第1積層体21を含む。(ii)アライメントマーク33Aが第2積層体22を含み、アライメントマーク33Bが第1積層体21を含む。(iii)アライメントマーク33Aが第2積層体22を含み、アライメントマーク33Bが第2積層体22を含む。アライメントマーク33A、33Bが上記いずれかの構成をもつ場合、アライメントマーク33A、33Bの電極(第1透明電極25又は第2透明電極28)同士の間に、基材(第1基材24又は第2基材27)が介在される。これにより、合わせガラス加工時に、後述する積層体10Aを高圧でプレスした際、アライメントマーク33A、33Bの電極同士が短絡しないようにすることができる。また、アライメントマーク33A、33Bは、それぞれ平面視で矩形状となっているが、これに限らず、半円形状等としても良い。なお、アライメントマーク33A、33Bの平面形状は互いに同一形状となっているが、これに限らず、互いに異なる形状としても良い。
アライメントマーク33A、33Bは、それぞれ第1積層体21及び第2積層体22の一辺の略中央部に1つ設けられている。しかしながら、アライメントマーク33A、33Bの配置位置や個数は、これに限られるものではない。アライメントマーク33A、33Bは、各調光セル20A、20Bに1つ又は複数設けられていれば良い。
この場合、アライメントマーク33A、33Bが領域32aの外側に位置しているので、アライメントマーク33A、33Bを目立たせないようにすることができる。また、第1積層体21と第2積層体22との積層体をトリミングする工程で、アライメントマーク33A、33Bも一緒に形成することができる。
図7(a)-(c)は、アライメントマーク33A、33Bを有する調光セル20A、20Bの他の変形例を示している。このうち図7(a)は、第1調光セル20Aを示す平面図であり、図7(b)は、第2調光セル20Bを示す平面図であり、図7(c)は、第1調光セル20Aと第2調光セル20Bとが重なった状態を示す平面図である。
図7(a)-(c)に示すように、アライメントマーク33A、33Bは、それぞれ領域32aの外側に形成されるとともに、面方向外側に向けて突出する突出片34aを含んでいる。また、突出片34a上には、シール材32の材料と同一の材料によって延伸部34bが形成されている。この場合、延伸部34bは、それぞれ平面視で一直線状に、シール材32から連続して延びている。なお、突出片34aの構成は図6(a)-(c)に示す構成と略同様であり、延伸部34bの構成は図5(a)-(c)に示す構成と略同様である。
この場合、アライメントマーク33A、33Bが領域32aの外側に位置しているので、アライメントマーク33A、33Bを目立たせないようにすることができる。また、シール材32を形成する工程で延伸部34bを形成することができ、第1積層体21と第2積層体22との積層体をトリミングする工程で、突出片34aを形成することができる。さらに、延伸部34bを設けたことにより、調光セル20A、20Bの突出片34a同士が接触しにくくなり、突出片34aに含まれる第1透明電極25と第2透明電極28との短絡を防止することができる。
再度図2を参照すると、調光装置10は、調光コントローラ91に接続され、調光コントローラ91にはセンサ装置92及びユーザ操作部93が接続される。調光コントローラ91は、調光装置10の調光状態を制御し、調光装置10による光の遮断及び透過を切り換えたり、調光装置10における光の透過度を変えたりすることができる。具体的には、調光コントローラ91は、各調光セル20A、20Bの外部電極基板35に接続され、調光装置10の液晶層23に印加する電界を調整して液晶層23中の液晶分子の配向を変えることで、調光装置10による光の遮断及び透過を切り換えたり、光の透過度を変えたりすることができる。
調光コントローラ91は、任意の手法に基づいて各調光セル20A、20Bの液晶層23に印加する電界を調整できる。調光コントローラ91は、例えばセンサ装置92の測定結果やユーザ操作部93を介してユーザにより入力される指示(コマンド)に応じて、液晶層23に印加する電界を調整し、調光装置10による光の遮断及び透過を切り換えたり、光の透過度を変えたりすることができる。したがって調光コントローラ91は、液晶層23に印加する電界を、センサ装置92の測定結果に応じて自動的に調整してもよいし、ユーザ操作部93を介したユーザの指示に応じて手動的に調整してもよい。なおセンサ装置92による測定対象は特に限定されず、例えば使用環境の明るさを測定してもよく、この場合、調光装置10による光の遮断及び透過の切り換えや光の透過度の変更が使用環境の明るさに応じて行われる。また調光コントローラ91には、必ずしもセンサ装置92及びユーザ操作部93の両方が接続されている必要はなく、センサ装置92及びユーザ操作部93のうちのいずれか一方のみが接続されていてもよい。
図8は、各調光セル20A、20Bのうち、外部電極基板35の周辺を示す概略断面図である。図8に示すように、第1積層体21と第2積層体22との間には、外部電極基板35が挟み込まれている。外部電極基板35は、シール材32によって囲まれた領域32aの平面方向外側に位置している。この外部電極基板35は、外端が調光コントローラ91(図2参照)に電気的に接続されるとともに、内端が導電フィルム37を介して第1透明電極25及び第2透明電極28に電気的に接続されている。外部電極基板35は、例えばFPC(Flexible Printed Circuit)からなっていても良い。また導電フィルム37は、例えば異方性導電フィルム(ACF:Anisotropic Conductive Film)からなっていても良い。この場合、外部電極基板35の厚みは、液晶層23の厚みより厚くなっている。このため、第1積層体21と第2積層体22との間隔は、液晶層23が配置される部分よりも外部電極基板35が配置される部分の方が広くなっている。
本実施の形態において、第1調光セル20Aの外部電極基板35と、第2調光セル20Bの外部電極基板35とは、平面視で互いにずれて配置されている。具体的には、図2に示すように、第1調光セル20Aの外部電極基板35と、第2調光セル20Bの外部電極基板35とは、調光セル20A、20Bの中心に対して互いに反対側となる位置に配置されている。上述したように、第1積層体21と第2積層体22との間隔は、液晶層23が配置される部分よりも外部電極基板35が配置される部分の方が広い。このため、調光セル20A、20Bの外部電極基板35同士の位置をずらすことにより、調光セル20A、20Bの外部電極基板35同士が重ならないようにし、調光セル20A、20Bを重ねた際、外部電極基板35の周辺で第1積層体21と第2積層体22との間隔が局所的に大きくなることを抑制している。これにより、液晶層23の液晶が不均一に分布することを軽減し、局所的に液晶が多く存在する現象である液晶だまりの発生を抑え、調光装置10の品質や外観を高めることができる。
図9乃至図11は、調光セル20A、20Bの外部電極基板35の各種配置を示す平面図である。図9乃至図11は、それぞれ調光セル20A、20Bを重ねた状態を示す平面図である。
図9(a)、(b)において、第1調光セル20Aの外部電極基板35と、第2調光セル20Bの外部電極基板35とは、調光セル20A、20Bの中心に対して互いに反対側となる位置に配置されている。すなわち、第1調光セル20Aの外部電極基板35が、第1調光セル20Aの辺S1上に配置され、第2調光セル20Bの外部電極基板35が、第2調光セル20Bの辺S3上に配置され、これら辺S1と辺S3とが、平面視で互いに対向する位置にある。なお、調光セル20A、20Bの各辺は、必ずしも直線状である必要はなく、曲線状に形成されていても良い。
図9(a)において、第1調光セル20Aの外部電極基板35と、第2調光セル20Bの外部電極基板35とは、それぞれ調光セル20A、20Bの角部近傍に位置しており、互いに調光セル20A、20Bの略対角線上に位置している。また、図9(b)において、第1調光セル20Aの外部電極基板35と、第2調光セル20Bの外部電極基板35とは、それぞれ調光セル20A、20Bの辺S1、S3の長手方向中央に位置し、互いに対向している。図9(a)、(b)において、調光セル20A、20Bの外部電極基板35同士の距離が離れているので、合わせガラス加工時に積層体10A(後述)に加わる圧力をバランス良く分散することができ、液晶だまりの発生を効果的に抑えることができる。
図10(a)、(b)において、第1調光セル20Aの外部電極基板35と、第2調光セル20Bの外部電極基板35とは、互いに略直交する位置に配置されている。すなわち、第1調光セル20Aの外部電極基板35が、第1調光セル20Aの辺S1上に配置され、第2調光セル20Bの外部電極基板35が、第2調光セル20Bの辺S2上に配置され、これら辺S1と辺S2とが、平面視で互いに隣接(直交)する位置にある。
図10(a)において、第1調光セル20Aの外部電極基板35と、第2調光セル20Bの外部電極基板35とは、それぞれ調光セル20A、20Bの辺S1、S2の長手方向中央に位置している。また、図10(b)において、第1調光セル20Aの外部電極基板35と、第2調光セル20Bの外部電極基板35とは、それぞれ調光セル20A、20Bの同一の角部近傍に位置している。図10(a)、(b)において、合わせガラス加工時に積層体10A(後述)に加わる圧力をバランス良く分散し、液晶だまりの発生を効果的に抑えることができる。また、調光セル20A、20Bの外部電極基板35同士の距離が近いので、外部電極基板35への給電を行いやすくすることができる。
図11(a)、(b)において、第1調光セル20Aの外部電極基板35と、第2調光セル20Bの外部電極基板35とは、互いに横方向に並んで配置されている。すなわち、第1調光セル20Aの外部電極基板35と第2調光セル20Bの外部電極基板35とが、平面視で調光セル20A、20Bの同一の辺S1上に配置されている。なお、調光セル20A、20Bの同一の辺S1とは、調光セル20A、20Bを重ねた際に、互いに重なり合う関係にある辺をいう。
図11(a)において、第1調光セル20Aの外部電極基板35と、第2調光セル20Bの外部電極基板35とは、調光セル20A、20Bの互いに異なる角部近傍に位置している。また、図11(b)において、第1調光セル20Aの外部電極基板35と、第2調光セル20Bの外部電極基板35とは、ともに調光セル20A、20Bの辺S1の長手方向中央近傍に位置している。図11(a)、(b)において、調光セル20A、20Bの外部電極基板35を同一の辺S1上に配置したことにより、外部電極基板35への給電を行いやすくすることができる。
(調光セルの製造方法)
次に、本実施の形態による調光セル20A、20Bの製造方法について、図12(a)-(d)及び図13(a)-(e)を用いて説明する。図12(a)-(d)及び図13(a)-(e)は、本実施の形態による第1調光セル20Aの製造方法を示す断面図である。なお、以下においては、はじめに第1調光セル20Aの製造方法について説明する。
まず、図12(a)に示すように、ロール状に供給された第2基材27を準備する。続いて、図12(b)に示すように、スパッタリング装置を使用したスパッタリング等によって、第2基材27上に例えばITOからなる第2透明電極28を形成する。このとき、透明電極を所定のパターン形状となるようにパターンニングしてもよい。
次に、図12(c)に示すように、第2透明電極28を形成した第2基材27上に第2配向層29に係る塗工液を塗工し、第2配向層29を作製する。このようにして、第2基材27と、第2透明電極28と、第2配向層29とが積層された第2積層体22が準備される。
なお、図12(a)-(c)に示す工程と同様にして、第1基材24と、第1透明電極25と、第1配向層26とが積層された第1積層体21も準備する。
続いて、図12(d)に示すように、第2積層体22の第2配向層29上に、ビーズスペーサー31を配置する。このビーズスペーサー31の配置は、湿式/乾式散布に加え、種々の配置方法を広く適用することができる。例えば、ビーズスペーサー31を樹脂成分と共に溶剤に分散して製造した塗工液を部分的に塗工した後、乾燥、焼成の処理を順次実行することにより、第2配向層29上にランダムにビーズスペーサー31を配置して移動困難に保持しても良い。なお、図示していないが、第2透明電極28上にビーズスペーサー31を配置し、このビーズスペーサー31の外周が第2配向層29で覆われるようにしても良い。具体的には、第2配向層29に係る塗工液にビーズスペーサー31を混合させて第2配向層29を形成することにより、ビーズスペーサー31が第2配向層29に薄く覆われて保持される形態にすることができる。
次に、図13(a)に示すように、第2積層体22上に柱状スペーサー40を形成する。この柱状スペーサー40は、フォトリソグラフィ技術によって形成されても良い。この場合、柱状スペーサー40を構成する塗工液(フォトレジスト)を塗工、乾燥した後、各柱状スペーサー40の配置に応じて定められるパターンが形成されたマスクを使用して、フォトレジストを露光及び現像することにより、柱状スペーサー40が作製される。あるいは、柱状スペーサー40は、印刷層によって形成されても良い。なお、ビーズスペーサー31を形成する工程(図12(d))及び柱状スペーサー40を形成する工程(図13(a))のいずれか一方が設けられていれば良く、必ずしも両方が設けられていなくてもよい。
次に、図13(b)に示すように、第2積層体22の第2配向層29上にディスペンサを使用してシール材32を塗布する。このシール材32は、液晶層23を作製する部位を取り囲むように枠形状に塗布される。同様に、シール材32によって囲まれた領域32aの内側に、ディスペンサを使用して第1アライメントマーク33Aを設ける。第1アライメントマーク33Aは、シール材32の材料と同一の材料によって形成される。この場合、第1アライメントマーク33Aは、シール材32によって囲まれた領域32aの内側に形成されるが(図2及び図4(a)-(c)参照)、これに限らず、領域32aの外側に形成されても良い(図5(a)-(c)及び図7(a)-(c)参照)。
次いで、図13(c)に示すように、シール材32によって囲まれた領域32aに液晶層23を構成する液晶を滴下する。このとき、液晶層23は、シール材32によって囲まれた領域32aの内側であって、柱状スペーサー40及びビーズスペーサー31の周囲に充填される。
続いて、図13(d)に示すように、液晶層23を配置した第2積層体22と、予め準備した第1積層体21とを互いに積層して押圧する。その後、紫外線を照射することによりシール材32を半硬化させた後、加熱し、これにより第1積層体21と第2積層体22とを一体化する。なお、このとき柱状スペーサー40は、第1積層体21と接着されることはなく、第1積層体21に接触した状態を維持する。その後、このようにして作製された第1積層体21と第2積層体22との積層体をトリミングすることにより所望の大きさに切断する。なお、アライメントマーク33Aが突出片34aを含む場合(図6(a)-(c)及び図7(a)-(c)参照)、このトリミング時に突出片34aも併せて形成され、これにより第1アライメントマーク33Aが設けられる。
次いで、図13(e)に示すように、第1積層体21と第2積層体22との間に外部電極基板35を取り付けることにより、本実施の形態による第1調光セル20Aが得られる。
上記工程(図12(a)-(d)及び図13(a)-(e))と略同様にして、第2アライメントマーク33Bを有する第2調光セル20Bを作製する。なお、第2調光セル20Bの構成は、アライメントマーク33Bの位置及び外部電極基板35の位置を除き、第1調光セル20Aの構成と同一である。
(調光装置の製造方法)
次に、本実施の形態による調光装置10の製造方法(合わせガラス加工方法)について、図14(a)-(c)及び図15を用いて説明する。図14(a)-(c)は、調光装置10の製造方法を示す断面図であり、図15は、調光装置を構成する積層体10Aを示す断面図である。
まず、図14(a)に示すように、第1ガラス板11及び第2ガラス板12を準備する。続いて、第1ガラス板11及び第2ガラス板12によって、第1中間膜13、第1調光セル20A、第3中間膜15、第2調光セル20B及び第2中間膜14を挟み、積層体10Aを作製する。ここで、第1ガラス板11及び第2ガラス板12は、予め、表面形状が3次元形状である曲面形状が賦形されている。また、第1調光セル20Aと第2調光セル20Bについても、それぞれ熱成形により3次元形状である曲面形状に予め賦形しても良い。
この際、図15に示すように、第1調光セル20Aの第1アライメントマーク33Aと、第2調光セル20Bの第2アライメントマーク33Bとを平面視で互いに重なり合うように位置合わせする。これにより、調光セル20A、20Bの表面形状が曲面形状を有する場合でも、調光セル20A、20Bを正確に位置合わせすることができ、調光セル20A、20Bの光軸がずれることを抑えることができる。他方、このとき第1調光セル20Aの外部電極基板35と、第2調光セル20Bの外部電極基板35とは、平面視で互いにずれて配置される。これにより、調光セル20A、20Bの外部電極基板35同士が重なることがなく、外部電極基板35の周辺で第1積層体21と第2積層体22との間隔が局所的に大きくなることを抑制し、液晶層23の液晶を面内で均一に分布させることができる。
次に、図14(b)に示すように、積層体10Aをバッグ51に封入する。バッグ51は、可撓性及び気密性を有するゴム製やシリコン製が好適である。また、このバッグ51には、通気管52が接続されており、この通気管52を介して不図示のポンプによりバッグ51内の空気を吸引する。これにより、積層体10Aの各部材間に残る空気を吸引し、調光装置10の内部に気泡等が残ることによる圧着不良を抑制できる。本実施の形態では、バッグ51内及び積層体10Aの内部が真空状態となるように吸引し、積層体10Aに対して差圧により大気圧程度(0.1MPa)の圧力がかかる例を挙げて説明する。しかしながら、これに限らず、例えば、不図示のポンプの吸引力を調整し、バッグ51内が完全に真空ではないが、積層体10Aの各部材間の空気が十分に吸引され、積層体10Aに対して、差圧により大気圧よりも小さい圧力がかかる状態としてもよい。
続いて、図14(c)に示すように、バッグ51に積層体10Aを封入した後、バッグ51ごと加熱・加圧装置53内へ配置する。続いて、所定の温度及び時間で、バッグ51ごと積層体10Aを加熱する。本実施の形態においては、第1中間膜13、第2中間膜14及び第3中間膜15の軟化温度以上の温度で所定の時間、積層体10Aを加熱する。このとき、通気管52を介して不図示のポンプによりバッグ51内の空気を吸引することが好ましい。加熱・加圧装置53として使用する装置は、積層体10Aに対して十分に加熱や加圧が行えるのであれば特に限定しないが、例えば、オーブンやオートクレーブ用の装置等が挙げられる。この加熱により、第1中間膜13、第2中間膜14及び第3中間膜15が溶融し、積層体10Aの第1ガラス板11、第1中間膜13、第1調光セル20A、第3中間膜15、第2調光セル20B、第2中間膜14及び第2ガラス板12が圧着されて一体に接合され、調光装置10が得られる。
その後、第1中間膜13、第2中間膜14及び第3中間膜15の軟化温度以上で、積層体10A(調光装置10)を所定の時間、加熱する均し工程を行う。この均し工程を行うことにより、所定の値よりも小さくなっていたセルギャップが本来の値に戻り、液晶溜り等の液晶の偏在が解消され、セルギャップ(液晶層23の厚み)が均一となる。この均し工程は、積層体10Aの各部材を接合した後、積層体10A(調光装置10)を一旦冷却してから行ってもよいし、積層体10Aの接合から連続して、継続的に行ってもよい。また、バッグ51内の空気の吸引を行う必要がない場合等には、バッグ51から積層体10A(調光装置10)を取り出して均し工程を行ってもよい。
以上説明したように、本実施の形態によれば、調光セル20A、20Bはそれぞれアライメントマーク33A、33Bを有している。合わせガラス加工時に、第1調光セル20Aのアライメントマーク33Aと、第2調光セル20Bのアライメントマーク33Bとは、互いに位置合わせされる。これにより、調光セル20A、20Bを正確に位置合わせすることができ、調光セル20A、20Bの光軸がずれることを抑制することができる。この結果、調光装置10の遮光性等の光学特性が低下することを抑制することができる。
また、本実施の形態によれば、第1調光セル20Aの外部電極基板35と、第2調光セル20Bの外部電極基板35とが、平面視で互いにずれて配置されている。これにより、調光セル20A、20Bの外部電極基板35同士が重ならないようにし、外部電極基板35を設けた箇所で第1積層体21と第2積層体22との間隔が局所的に大きくなることを抑制している。このため、液晶層23の液晶を均一に分布させることができ、局所的に液晶が多く存在する現象である液晶だまりの発生を抑え、調光装置10の品質や外観を高めることができる。
(第1の変形例)
次に、図16を参照して、本実施の形態の第1の変形例について説明する。図16は本実施の形態の第1の変形例による調光装置を示す断面図である。図16に示す第1の変形例は、調光セル20が1層である点が上述した実施の形態と異なるものである。図16において、図1乃至図15に示す形態と同一部分には同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
図16に示すように、調光装置10は、第1ガラス板11と、第1中間膜13と、調光セル20と、第2中間膜14と、第2ガラス板12とを備えている。第1ガラス板11と、第1中間膜13と、調光セル20と、第2中間膜14と、第2ガラス板12とは、この順番で積層配置されている。このうち調光セル20の構成は、上述した第1調光セル20A又は第2調光セル20Bの構成と略同一である。
図16において、調光セル20は、アライメントマーク33を有している。また、第1ガラス板11、第2ガラス板12には、それぞれアライメントマーク16a、16bが設けられている。この調光装置10において、第1ガラス板11と、調光セル20と、第2ガラス板12とが互いに正確に位置決めされているときには、調光セル20のアライメントマーク33と、第1ガラス板11のアライメントマーク16aと、第2ガラス板12のアライメントマーク16bとが、平面視で互いに位置合わせされて重なり合っている。なお、アライメントマーク33の構成は、上述したアライメントマーク33A、33Bの構成と同一とすることができる(図4乃至図7参照)。また、アライメントマーク16a、16bは、それぞれ第1ガラス板11及び第2ガラス板12に例えば印刷等により形成されたものである。アライメントマーク16a、16bの平面形状は、例えばアライメントマーク33の平面形状と同一にしても良い。
これにより、調光セル20と第1ガラス板11及び第2ガラス板12とを正確に位置合わせすることができるので、調光装置10の遮光性等の光学特性が低下することを抑制することができる。
(第2の変形例)
次に、図17乃至図19を参照して、本実施の形態の第2の変形例について説明する。図17乃至図19は本実施の形態の第2の変形例による調光装置を示す断面図である。図17乃至図19に示す第2の変形例は、調光セル20が1層であり、さらに偏光板61を有する点が上述した実施の形態と異なるものである。図17において、図1乃至図15に示す形態と同一部分には同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
図17に示すように、調光装置10は、第1ガラス板11と、第1中間膜13と、調光セル20と、第2中間膜14と、第2ガラス板12とを備えている。第1ガラス板11と、第1中間膜13と、調光セル20と、第3中間膜15と、偏光板(直線偏光板)61と、第2中間膜14と、第2ガラス板12とは、この順番で積層配置されている。このうち調光セル20の構成は、上述した第1調光セル20A又は第2調光セル20Bの構成と略同一である。
図17において、調光セル20は、アライメントマーク33を有している。また、第1ガラス板11、第2ガラス板12には、それぞれアライメントマーク16a、16bが設けられている。さらに、偏光板61には、アライメントマーク62が設けられている。この調光装置10において、第1ガラス板11と、調光セル20と、偏光板61と、第2ガラス板12とが互いに正確に位置決めされているときには、調光セル20のアライメントマーク33と、偏光板61のアライメントマーク62と、第1ガラス板11のアライメントマーク16aと、第2ガラス板12のアライメントマーク16bとが、平面視で互いに位置合わせされて重なり合っている。なお、アライメントマーク33の構成は、上述したアライメントマーク33A、33Bの構成と同一とすることができる(図4乃至図7参照)。また、アライメントマーク16a、16bの構成は、上述した第1の変形例の場合と同一とすることができる(図16参照)。
図17において、アライメントマーク16a、16b、33、62を利用して、第1ガラス板11、第1中間膜13、調光セル20、第3中間膜15、偏光板61、第2中間膜14及び第2ガラス板12を位置合わせしつつ積層し、その後、合わせガラス加工を実施する。
なお、第3中間膜15に代えて、光学透明粘着フィルム(OCA:Optical Clear Adhesive Film)を用いても良い。この場合、まずアライメントマーク33、62を利用して、偏光板61と調光セル20とを光学透明粘着フィルムによって貼り合せて貼合体を作製する。その後、アライメントマーク16a、16b、33、62を利用して、第1ガラス板11、第1中間膜13、上記貼合体、第2中間膜14及び第2ガラス板12を位置合わせしつつ積層し、合わせガラス加工を実施する。このような光学透明粘着フィルムとしては、例えば透明性に優れるアクリル系粘着剤等によって構成可能な粘着層を用いても良い。
図18(a)に示すように、アライメントマーク62は、偏光板61の面内にレーザーカットにより形成された凹部からなっていても良い。図18(a)において、アライメントマーク62は、平面視十字形状を有している。このようなアライメントマーク62は、偏光板61をレーザーカットするときに出力を調整し、偏光板61を厚み方向に貫通しない程度の深さに形成したものであっても良い。
また、図18(b)に示すように、アライメントマーク62は、偏光板61の面方向外側に向けて突出する突出片62aからなっていても良い。このようなアライメントマーク62は、偏光板61の外周をレーザーカットにより形成するときに、併せて突出片62aとして形成しても良い。この場合、調光セル20は突出片34a(図6(a)-(c)参照)からなるアライメントマーク33を有している。そして、調光セル20の突出片34aと偏光板61の突出片62aとを互いに重ね合わせることにより、調光セル20と偏光板61とを正確に位置決めすることができる。
あるいは、図19(a)(b)に示すように、アライメントマーク62として、偏光板61を覆う保護フィルム63に形成されたストライプを用いても良い。このアライメントマーク62としてのストライプは、保護フィルム63上に予め印刷されている。保護フィルム63は、調光装置10を製造する際、調光セル20との位置決めを行うまでの間、偏光板61を保護するために設けられている。保護フィルム63のアライメントマーク62とを用いて調光セル20と調光セル20のアライメントマーク33とを位置合わせすることにより、偏光板61と調光セル20とが位置決めされた後、保護フィルム63は剥離除去される。したがって、完成後の調光装置10には、保護フィルム63は設けられていない。
このように、調光セル20と偏光板61と第1ガラス板11と第2ガラス板12とを正確に位置合わせすることができるので、偏光板61を有する調光装置10の遮光性等の光学特性が低下することを抑制することができる。
上記各実施の形態及び変形例に開示されている複数の構成要素を必要に応じて適宜組合せることも可能である。あるいは、上記各実施の形態及び変形例に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。