JP5950014B1 - 調光フィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】調光フィルムに関して、従来に比して一段と確実に透過光を遮光することができる。【解決手段】透明フィルム材による基材6、15に少なくとも配向層13、17を設けてなる第1及び第2の積層体5D、5Uにより液晶層8を挟持し、第1及び又は第2の積層体5D、5Uに設けられた透明電極11、16の駆動により液晶層8に係る液晶の配光を制御して透過光を制御する。第1及び第2の積層体5D、5Uの基材6、15の光軸が直交する。【選択図】図1

Description

本発明は、例えば窓に貼り付けて外来光の透過を制御する電子ブラインド等に利用可能な調光フィルムに関する。
従来、例えば窓に貼り付けて外来光の透過を制御する調光フィルムに関する工夫が種々に提案されている(特許文献1、2)。このような調光フィルムの1つに、液晶を利用したものがある。この液晶を利用した調光フィルムは、透明電極を作製した透明フィルム材により液晶材料を挟持して液晶セルが作製され、この液晶セルを直線偏光板により挟持して作成される。これによりこの調光フィルムでは、液晶に印加する電界の可変により液晶の配向を可変して外来光を遮光したり透過したりし、さらには透過光量を可変したりし、これらにより外来光の透過を制御する。
ところでこの種の調光フィルムでは、遮光時における透過率を低減して、従来に比して一段と確実に透過光を遮光できるようにすることが望まれる。
特開平03−47392号公報 特開平08−184273号公報
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、調光フィルムに関して、従来に比して一段と確実に透過光を遮光できるようにすることを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意研究を重ね、液晶層の両側で光軸(遅相軸方向)が直交するように透明フィルムを配置することにより、この透明フィルムによる位相差の影響を排除し、遮光時おける透過率を低減する、との着想に至り、本発明を完成するに至った。なおここで遅相軸は、屈折率異方性を有する材料における屈折率が最大となる方向である。
具体的には、本発明では、以下のようなものを提供する。
(1) 透明フィルム材による基材に少なくとも配向層を設けてなる第1及び第2の積層体により液晶層を挟持し、
前記第1及び又は第2の積層体に設けられた透明電極の駆動により前記液晶層に係る液晶の配光を制御して透過光を制御し、
前記第1及び第2の積層体の基材の光軸が直交する調光フィルム。
(1)によれば、第1又は第2の積層体の基材で付与された透過光の位相差を、第2又は第1の積層体の基材の位相差により打ち消すことができ、これにより基材の光学異方性による遮光時における透過率の増大を有効に回避して、遮光時における透過率を低減することができ、従来に比して一段と確実に透過光を遮光することができる。
(2) (1)において、
前記第1及び第2の積層体の前記液晶層とは逆側面に、直線偏光板の光学的機能層を備える調光フィルム。
(2)によれば、より具体的構成により、従来に比して一段と確実に透過光を遮光することができる。
(3) (1)又は(2)において、
前記透明フィルム材が、
ポリカーボネートフィルム、COPフィルムの何れかである調光フィルム。
(3)によれば、より具体的な基材の構成により、従来に比して一段と確実に透過光を遮光することができる。
本発明によれば、調光フィルムに関して、従来に比して一段と確実に透過光を遮光することができる。
本発明の第1実施形態に係る調光フィルムを示す断面図である。 図1の調光フィルムの詳細構成の説明に供する図である。 図1の調光フィルムの他の詳細構成の説明に供する図である。 図1の調光フィルムの比較例の説明に供する図である。 図1の調光フィルムの他の比較例の説明に供する図である。 図1の調光フィルムの製造工程の説明に供するフローチャートである。
〔第1実施形態〕
〔調光フィルム〕
図1は、本発明の第1実施形態に係る調光フィルムを示す断面図である。この調光フィルム1は、建築物の窓ガラス、ショーケース、屋内の透明パーテーション等の調光を図る部位に、粘着剤層等により貼り付けて使用され、印加電圧の可変により透過光の光量を制御する。
この調光フィルム1は、液晶を利用して透過光を制御するフィルム材あり、直線偏光板2、3により調光フィルム用の液晶セル4を挟持して構成される。ここで直線偏光板2、3は、ポリビニルアルコール(PVA)にヨウ素等を含浸させた後、延伸して直線偏光板としての光学的機能を果たす光学機能層が形成され、TAC(トリアセチルセルロース)等の透明フィルム材による基材により光学機能層を挟持して作製される。直線偏光板2、3は、クロスニコル配置により、紫外線硬化性樹脂等による接着剤層により液晶セル4に配置される。なお直線偏光板2、3には、それぞれ液晶セル4側に光学補償に供する位相差フィルム2A、3Aが設けられるものの、位相差フィルム2A、3Aは、必要に応じて省略してもよい。
液晶セル4は、後述する透明電極への印加電圧により透過光の偏光面を制御する。これにより調光フィルム1は、透過光を制御して種々に調光を図ることができるように構成される。
〔液晶セル〕
液晶セル4は、フィルム形状による第1及び第2の積層体である上側積層体5U及び下側積層体5Dにより液晶層8を挟持して構成される。下側積層体5Dは、透明フィルム材による基材6に、透明電極11、スペーサ12、配向層13を作製して形成される。上側積層体5Uは、透明フィルム材による基材15に、透明電極16、配向層17を積層して形成される。液晶セル4は、この上側積層体5U及び下側積層体5Dに設けられた透明電極11、16の駆動により、TN(Twisted Nematic)方式により液晶層8に設けられた液晶材料の配向を制御し、これにより透過光の偏光面を制御する。
なおTN方式に代えて、VA(Virtical Alignment)方式、IPS(In−Place−Switching)方式等の駆動方式を適用するようにしてよい。なおIPS方式により駆動する場合、上側積層体5U又は下側積層体5Dの透明電極11又は16の何れか一方が省略され、他方の透明電極のパターンニングにより液晶材料に駆動用の電界を印加する。
基材6、15は、この種のフィルム材に適用可能な種々の透明フィルム材を適用することができるものの、光学異方性の小さなフィルム材を適用することが望ましい。この実施形態において、基材6、15は、ポリカーボネートフィルムが適用されるものの、COP(シクロオレフィンポリマー)フィルム等を適用してもよい。
透明電極11、16は、この種のフィルム材に適用される各種の電極材料を適用することができ、この実施形態ではITO(Indium Tin Oxide)による透明電極材により形成される。スペーサ12は、液晶層8の厚みを規定するために設けられ、各種の樹脂材料を広く適用することができるものの、この実施形態ではフォトレジストにより作製され、透明電極11を作製してなる基材6の上に、フォトレジストを塗工して露光、現像することにより作製される。なおスペーサ12は、上側積層体5Uに設けるようにしてもよく、上側積層体5U及び下側積層体5Dの双方に設けるようにしてもよい。
配向層13、17は、ポリイミド樹脂層をラビング処理して作製される。なお配向層13、17は、液晶層8に係る液晶材料に対して配向規制力を発現可能な各種の構成を適用することができ、いわゆる光配向層により作製してもよく、ラビング処理、研磨処理による微細なライン状凹凸形状を賦型処理により作製して形成してもよい。なおスペーサ12は、配向層13の上に設けるようにしてもよい。
なお光配向材料は、光配向の手法を適用可能な各種の材料を適用することができるものの、この実施形態では、一旦配向した後には、紫外線の照射によって配向が変化しない、例えば光2量化型の材料を使用する。この光2量化型の材料については、「M.Schadt, K.Schmitt, V. Kozinkov and V. Chigrinov : Jpn. J. Appl.Phys., 31, 2155 (1992)」、「M. Schadt, H. Seiberle and A. Schuster : Nature, 381, 212(1996)」等に開示されている。
液晶層8は、この種の調光フィルムに適用可能な各種の液晶材料を広く適用することができる。なお液晶セル4は、液晶層8を囲むように、シール材19が配置され、このシール材19により上側積層体5U、下側積層体5Dが一体に保持され、液晶材料の漏出が防止される。
〔基材の配置〕
図2は、調光フィルム1における基材6、15の配置の説明に供する図である。調光フィルム1は、同一の材料、厚みによる透明フィルム材が基材6、15に適用されて、光軸L1が直交するように基材6、15が配置される。ここでこの光軸L1の直交の範囲は、計測誤差、製造誤差等をも含めて2つの光軸L1の成す角度が90度±5度以内ではあるものの、遮光時における透過率を実用上充分に抑圧する観点からは、90度±2度以内であることが好ましく、さらには90度±1度以内であることがより好ましい。また基材の厚みは、バラツキがあることにより、同一のフィルム材を基材6、15に適用した場合、基材6の厚み±10μmが基材15の厚みであるものの、遮光時における透過率を実用上充分に抑圧する観点からは、基材6の厚み±10μmが基材15の厚みであることが好ましく、さらには基材6の厚み±5μmが基材15の厚みであることがより好ましい。これによりこの調光フィルム1では、基材6、15で面内位相差が等しくなるようにして、基材6で透過光に付与される位相差を、基材15で付与される位相差により打ち消すようにし、遮光時における透過率(いわゆる黒透過率である)を低減する。これにより調光フィルム1は、従来に比して一段と確実に透過光を遮光する。
すなわちこの実施形態のように、クロスニコル配置による直線偏光板2、3を液晶セル4の両側に配置し、液晶セル4により透過光の偏光面を制御して透過光を制御する構成において、液晶セル4の基材6、15が光学異方性を備えている場合、液晶層8の入射光は、基材6、15の光学異方性により楕円偏光により液晶層8に入射することになる。その結果、何ら透明電極11、16に電圧を印加していない状態で(液晶層8への無電界時)、出射側直線偏光板の透過軸方向成分を含んでなる透過光が液晶層8から出射されることになり、これにより充分に透過率を低減できなくなる。これによりこの種の調光フィルムでは、基材6、15に充分に光学異方性の小さな透明フィルム材が適用される。具体的には、基材6、15にはポリカーボネートフィルム等が適用され、このポリカーボネートフィルムは面内位相差が10nm程度と極めて小さい。
しかしながら種々に実験した結果によれば、このように光学異方性が小さな透明フィルム材であっても、この小さな面内位相差により遮光時の透過率が増大し、この透過率の増大にあっては、無視し得ないことが判った。
しかしながらこの実施形態のように、同一の材料、膜厚による透明フィルム材による基材6、15を、光軸L1が直交するように配置する場合には、入射側の基材で透過光に付与された位相差を、出射側の基材で打ち消すことができ、これにより遮光時における透過率を格段に低減することができる。具体的に、面内位相差が10nmの基材を光軸が平行となるように配置した場合、遮光時の透過率は2%程度であるのに対し、この基材を光軸が直交するように配置した場合、遮光時の透過率を0.2%程度にすることができ、これにより光軸平行配置の場合に比して透過率を1/10にすることができる。
なおこの実施形態において、調光フィルム1は、この基材6、15の光軸L1に対して、基材6、15に積層される直線偏光板3、2は、それぞれ透過軸L2方向が平行となるように設定されているものの、直線偏光板3、2にあっては、要はクロスニコル配置により配置して、配向層13、17による液晶材料の配向方向に対応するように配置されていれば良く、基材6、15の光軸L1に対して種々の向きに配置することができる。
〔実験結果〕
〔実施例1〕
両面にハードコート層が作製されてなる厚み100μmによるポリカーボネートフィルム材を基材6、15に適用し、上述の第1実施形態の構成により調光フィルムを作製した。なお位相差フィルム2A、3Aは省略した。基材6、15、直線偏光板2、3の配置は、図2について上述した傾きによる配置である。この実施例1では、無電界時、透過率が0.2%であり、遮光時、充分に透過光を遮光できることが確認された。
〔実施例2〕
実施例2は、図3に示すように、直線偏光板2、3の透過軸L2が基材15、6の光軸L1に対して45度の角度を成すように配置した。なおこれによりこの実施例2において、配向層13、17は、基材6、15の光軸L1に対して斜め45度の方向がラビング方向に設定される。この実施例2では、この直線偏光板2、3の配置に関する構成が異なる点を除いて、実施例1と同一に構成される。この実施例2でも、無電界時、透過率が0.2%であり、遮光時、充分に透過光を遮光できることが確認された。
〔比較例1〕
比較例1は、図4に示すように、基材5、16の光軸L1が平行になるように配置した点を除いて、実施例1と同一に構成した。この比較例1では、無電界時、透過率が2.0%であり、透過率が高いことが判った。
〔比較例2〕
比較例2は、図5に示すように、基材5、16の光軸L1が平行になるように配置した点を除いて、実施例2と同一に構成した。この比較例2では、無電界時、透過率が2.0%であり、透過率が高いことが判った。
〔製造工程〕
図6は、調光フィルムの製造工程を示すフローチャートである。この製造工程は、電極作製工程SP2おいて、フォトリソグラフィーの手法を適用して、基材6、15の上に透明電極11、16をそれぞれ作成する。さらに続いてスペーサ作製工程SP3において、基材6にフォトレジスト膜を作製した後、露光、現像処理し、これによりスペーサ12を作製する。続いて製造工程は、配向層作製工程SP4において、スペーサ12を作製してなる基材6の上に、また透明電極16を作製してなる基材15の上に、ポリイミド樹脂層の塗工液を塗工した後、乾燥、加熱処理し、これによりポリイミド膜を作製する。またこのポリイミド膜をラビング処理し、これにより配向層13、17を作製する。
また続いてこの製造工程は、封止工程SP5において、配向層13を作製してなる基材6に、ディスペンサーを使用して枠形状によりシール材を塗布した後、この枠形状により囲まれる所定位置に、ディスペンサーを使用して液晶層8に係る液晶材料を滴下する。その後、この製造工程は、基材6、15を積層した後、押圧して加熱し、これにより液晶層8を挟持するようにして、上側積層体5U及び下側積層体5Dをシール材19により貼り合せて一体化し、調光フィルム1を作製する。
〔他の実施形態〕
以上、本発明の実施に好適な具体的な構成を詳述したが、本発明は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上述の実施形態を種々に変更することができる。
すなわち上述の実施形態では、TN方式により液晶材料を駆動する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、VA方式、IPS方式により駆動する場合にも広く適用することができる。
また上述の実施形態では、フォトレジストによりスペーサを作製する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、いわゆるビーズスペーサを適用するようにしてもよい。
1 調光フィルム
2、3 直線偏光板
2A、3A 位相差フィルム
4 液晶セル
5D 下側積層体
5U 上側積層体
6、15 基材
8 液晶層
11、16 透明電極
12 スペーサ
13、17 配向層
19 シール材

Claims (1)

  1. 透明フィルム材による基材に少なくとも配向層を設けてなる第1及び第2の積層体により液晶層を挟持し、
    前記第1及び第2の積層体の前記液晶層とは逆側面に、直線偏光板の光学的機能層を備え、
    前記第1及び又は第2の積層体に設けられた透明電極の駆動により前記液晶層に係る液晶の配光を制御して透過光を制御し、
    前記第1及び第2の積層体の基材の遅相軸が直交し、
    前記透明フィルム材が、
    ポリカーボネートフィルム、COPフィルムの何れかである
    調光フィルム。
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