JP6146489B1 - 調光フィルム及び調光フィルムの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】従来に比して汎用性の高い種々の透明フィルム材を使用して作製することができ、さらに全体の厚みを一段と薄くする。【解決手段】透明フィルム材による基材22Aに第1及び第2の電極22B及び22Eを配置してなる第1の積層体22と、透明フィルム材による基材23Aを備え、第1の積層体22に対応する第2の積層体23と、第1及び第2の積層体22及び23により挟持された液晶層24とを備え、第1及び第2の電極22B及び22E間の電界により液晶層24の液晶分子の配向を制御して透過光を制御し、第1の積層体22の基材22Aより液晶層24側、及び第2の積層体23の基材23Aより液晶層24側に、それぞれE型直線偏光板に係る偏光子層22D、23Bを備える調光フィルム。【選択図】図2

Description

本発明は、乗用車の窓等に貼り付けて外来光の透過を制御する調光フィルムに関する。
従来、例えば窓に貼り付けて外来光の透過を制御する調光フィルムに関する工夫が種々に提案されている(特許文献1、2)。このような調光フィルムの1つに、液晶を利用したものがある。この液晶を利用した調光フィルムは、透明電極を作製した透明フィルム材により液晶材料を挟持して液晶セルが作製され、この液晶セルを直線偏光板により挟持して作成される。これによりこの調光フィルムでは、液晶に印加する電界の可変により液晶の配向を可変して外来光を遮光したり透過したりし、さらには透過光量を可変したりし、これらにより外来光の透過を制御する。
このような調光フィルムでは、可撓性を有する透明フィルム材を使用して液晶セルを構成するものの、透過光の偏光面の制御により透過光量を制御することにより、この透明フィルム材には光学異方性の小さなフィルムが適用される。またこの液晶セルを挟持する直線偏光板は、クロスニコル又はパラレルニコルにより配置されるものの、これらの配置においては正面方向については充分に透過光を遮光できるものの、斜め方向については、透過光を充分に遮光できない。これにより調光フィルムでは必要に応じて光学補償に供する補償フィルムを配置することが考えられる。
この液晶セルの駆動には、液晶表示パネルについて提案されている種々の駆動方法を適用することができる。具体的には、例えばTN(Twisted Nematic)方式、IPS(In−Place−Switching)方式、VA(Virtical Alignment)方式等の駆動方式を適用することができる。しかしながら調光フィルムでは、例えば窓ガラスに貼り付けて種々の方向より見て取られる特長がある。これにより視野角依存性の少ないIPS方式により駆動することが好ましいと考えられる。
またIPS方式のうちの、FFS(フリンジフィールドスイッチング)方式によれば、透過率を高くすることができ、これによりこの種の調光フィルムにおける液晶セルの駆動に適用して好ましいと考えられる。ここでIPS方式は、液晶層を挟持する1対の基材のうちの一方の基材に駆動用の透明電極をまとめて作製する構成である。FFS方式では、この一方の基材の全面に、透明電極を作製した後、絶縁層を間に挟んで一定のピッチにより線状電極を作製し、この全面の透明電極と線状電極との間で発生する基材表面の面内方向の電界であるいわゆる横電界により液晶の配向を制御する。
このFFS方式による液晶表示装置に関して、特許文献3には、通常の直線偏光板であるO型の直線偏光板にE型の直線偏光板を積層して液晶セルの出射面に配置することにより、斜め方向から観察する際の特性を向上する工夫が提案されている。また特許文献4等には、E型直線偏光板の構成が開示されている。
ところで調光フィルムは、汎用性の高い透明フィルム材を使用して作製できることが望まれ、さらには全体の厚みを薄くすることが望まれる。
ここで従来構成の調光フィルムは、液晶層が5μm程度により形成され、この液晶層を挟持するように厚み100μm程度の透明フィルム材に透明電極等を作製して配置される。また直緯線偏光板は、直線偏光板としての光学的機能を担う光学機能層を厚み数十μmの透明フィルム材により挟持して作製され、光学補償に供する補償フィルムは、厚み数十μmのCプレートが適用される。調光フィルムでは、これらの部材を厚み20μm程度の粘着剤層により順次積層して作製される。これらにより調光フィルムは、従来構成により斜め方向の透過光を充分に遮光できるようにする場合、厚み500μm以上により作製されることになり、可撓性すら十分に確保することが困難になる。これにより厚みに関して、従来の調光フィルムは、実用上未だ不充分な問題がある。
また直線偏光板の間に配置されて液晶層を挟持する透明フィルム材は、液晶層で制御された透過光の偏光面を損なわないようにして直線偏光板に入射することが必要であることにより、光学異方性の小さな透明フィルム材を適用することが必要であり、汎用性の高いPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム等を適用することができない。これにより汎用性の高い材料を使用することに関して実用上未だ不充分な問題がある。
特開平03−47392号公報 特開平08−184273号公報 特開2011−59266号公報 特表平8−511109号公報
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、従来に比して汎用性の高い種々の透明フィルム材を使用して作製することができ、さらに全体の厚みを一段と薄くすることができるようにする。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意研究を重ね、液晶セルに係る透明フィルム材の内側に、E型直線偏光板に係る偏光子層を設ける、との着想に至り、本発明を完成するに至った。
具体的には、本発明では、以下のようなものを提供する。
(1) 透明フィルム材による基材に第1及び第2の電極を配置してなる第1の積層体と、
透明フィルム材による基材を備え、前記第1の積層体に対応する第2の積層体と、
前記第1及び第2の積層体により挟持された液晶層とを備え、
前記第1及び第2の電極間の電界により前記液晶層の液晶分子の配向を制御して透過光を制御し、
前記第1の積層体の前記基材より前記液晶層側、及び前記第2の積層体の前記基材より前記液晶層側に、それぞれE型直線偏光板に係る偏光子層を備える調光フィルム。
(1)によれば、視野角特性に優れたIPS方式により駆動して、さらにはFFS方式により駆動して、直線偏光板として機能する偏光子層が基材より液晶層側に設けられていることにより、基材で透過光が種々に偏光しても、液晶層の透過光には何ら偏光面に影響を与えることが無いようすることができ、これにより基材には例えばPETフィルム等の光学異方性の大きなフィルム材を適用することも可能となり、これにより汎用性の高い透明フィルム材を使用することができる。またこのようなE型直線偏光板に係る偏光子層を適用することにより、斜め方向の透過光を充分に遮光でき、これにより補償フィルムを省略して全体の厚みを薄くすることができる。またこのようなE型直線偏光板に係る偏光子層は、塗工膜により液晶セルの内側に設けることができ、直線偏光板に係る構成を省略することができ、一段と厚みを薄くすることができる。
(2) (1)において、
前記第1の積層体は、
前記基材の全面に前記第1の電極が設けられ、絶縁層を間に挟んで、前記第2の電極による線状電極が設けられ、さらに配向層が設けられ、
前記絶縁層と前記第2の電極との間、又は前記絶縁層と前記第1の電極との間に、前記偏光子層が設けられた調光フィルム。
(2)によれば、FFS方式において、絶縁層と第2の電極との間、又は絶縁層と第1の電極との間に、偏光子層を設けることにより、偏光子層により絶縁層の機能を補って絶縁層の厚みを薄くすることができ、一段と全体の厚みを薄くすることができる。
(3) (1)において、
前記第1の積層体は、
前記基材の全面に前記第1の電極が設けられ、絶縁層を間に挟んで、前記第2の電極による線状電極が設けられ、さらに配向層が設けられ、
前記絶縁層が前記偏光子層である調光フィルム。
(3)によれば、FFS方式において、偏光子層を絶縁層として機能させるようにして、絶縁層を省略できることにより、全体構成を簡略化し、製造工程を簡略化することができる。
(4) (1)において、
前記第1の積層体は、
前記基材の全面に前記第1の電極が設けられ、絶縁層を間に挟んで、前記第2の電極による線状電極が設けられ、さらに配向層が設けられ、
前記線状電極と前記配向層との間に前記偏光子層が設けられた調光フィルム。
(4)によれば、FFS方式において、線状電極を偏光子層により覆うように構成することができることにより、偏光子層により線状電極を保護して信頼性を向上することができる。
(5) (1)において、
前記第1の積層体は、
前記基材の全面に前記第1の電極が設けられ、絶縁層を間に挟んで、前記第2の電極による線状電極が設けられ、さらに配向層が設けられ、
前記配向層が前記偏光子層である調光フィルム。
(5)によれば、FFS方式において、偏光子層の配向規制力を有効に利用して配向層を構成することにより、全体構成を簡略化し、工程を簡略化することができる。
(6) (1)において、
前記第1の積層体は、
前記基材の全面に前記第1の電極が設けられ、絶縁層を間に挟んで、前記第2の電極による線状電極が設けられ、さらに配向層が設けられ、
前記第1の電極と前記基材との間に、前記偏光子層が設けられた調光フィルム。
(6)によれば、FFS方式において、偏光子層に係る材料の配向に、種々の手法を適用することができ、生産性を向上することができる。
(7) 透明フィルム材による基材に第1及び第2の電極を配置して第1の積層体を作製する第1の積層体作製工程と、
透明フィルム材による基材を備えた前記第1の積層体に対応する第2の積層体を作製する第2の積層体作製工程と、
液晶層を間に挟んで前記第1及び第2の積層体を積層する積層工程とを備え、
前記第1の積層体作製工程は、
前記第1の積層体の前記基材より前記液晶層側に、E型直線偏光板に係る偏光子層を作製する偏光子層作製工程を備え、
前記第2の積層体作製工程は、
前記第2の積層体の前記基材より前記液晶層側に、E型直線偏光板に係る偏光子層を作製する偏光子層作製工程を備える調光フィルムの製造方法。
(7)によれば、視野角特性に優れたIPS方式により駆動して、さらにはFFS方式により駆動して、直線偏光板として機能する偏光子層が基材より液晶層側に設けられていることにより、基材で透過光が種々に偏光しても、液晶層の透過光には何ら偏光面に影響を与えることが無いようすることができ、これにより基材には例えばPETフィルム等の光学異方性の大きなフィルム材を適用することもでき、これにより汎用性の高い透明フィルム材を使用することができる。またこのようなE型直線偏光板に係る偏光子層を適用することにより、斜め方向の透過光を充分に遮光することができ、これにより補償フィルムを省略して全体の厚みを薄くすることができる。またこのようなE型直線偏光板に係る偏光子層は、塗工膜により液晶セルの内側に設けることができ、直線偏光板に係る構成を省略することができ、一段と厚みを薄くすることができる。
本発明によれば、従来に比して汎用性の高い種々の透明フィルム材を使用して作製することができ、さらに全体の厚みを一段と薄くすることができる。
本発明に係る調光フィルム基本構成の説明に供する断面図である。 本発明の第1実施形態に係る調光フィルムを示す断面図である。 図2の調光フィルムの製造工程を示すフローチャートである。 図3の製造工程における上側積層体作製工程を示すフローチャートである。 図3の製造工程における下側積層体作製工程を示すフローチャートである。 本発明の第2実施形態に係る調光フィルムを示す断面図である。 本発明の第3実施形態に係る調光フィルムを示す断面図である。 本発明の第4実施形態に係る調光フィルムを示す断面図である。 本発明の第5実施形態に係る調光フィルムを示す断面図である。 本発明の第6実施形態に係る調光フィルムを示す断面図である。 本発明の第7実施形態に係る調光フィルムを示す断面図である。 本発明の第8実施形態に係る調光フィルムを示す断面図である。 本発明の第9実施形態に係る調光フィルムを示す断面図である。 本発明の第10実施形態に係る調光フィルムを示す断面図である。 本発明の第11実施形態に係る調光フィルムを示す断面図である。
〔第1実施形態〕
〔基本構成〕
図1は、本発明に係る調光フィルムの基本構成の説明に供する断面図である。調光フィルム10は、第1及び第2のフィルム状の積層体である下側積層体12及び上側積層体13により液晶層14を挟持して構成される。下側積層体12は、ハードコート層12A、ハードコート層12Cを備えてなる透明フィルム材による基材12Bに透明電極12Dが設けられ、さらに偏光子層12Eが設けられる。また上側積層体13は、ハードコート層13A、ハードコート層13Cを備えてなる透明フィルム材による基材13Bに透明電極13Dが設けられ、さらに偏光子層13Eが設けられる。なお上側積層体13において、偏光子層13Eの液晶層14側には配向層13Fが設けられる。また下側積層体12においては、液晶層14に接するように配向層が設けられるものの、この配向層は偏光子層12Eにより兼用する場合もある。
ここでハードコート層12A、12Cは、厚み10μm、5μm程度により作製される。またハードコート層13A、13Cは、厚み1μm、厚み5μm程度により作製される。基材12B、13Bは、光学異方性の大きな汎用性の高いフィルム材が適用され、例えば厚み100μmのPETフィルムが適用される。また透明電極12D、13Dは、厚み50nmによるITOにより形成される。
偏光子層12E、13Eは、E型の直線偏光板として機能する光学機能層である。これによりこの実施形態では、全体の厚みを薄くし、さらには基材12B、13Bに汎用性の高い種々のフィルム材を適用できるように構成される。
すなわち従来構成の調光フィルムにおいて、直線偏光板に入射光する液晶層の透過光は、液晶層で制御された偏光面を損なわないようにすることが必要であることにより、光学異方性の小さな透明フィルム材を使用することが必要であり、汎用性の高いフィルム材を適用することが難しい。しかしながらこの実施形態のように、直線偏光板として機能する偏光子層12E、13Eを基材12B、13Bの液晶層14側に設ける場合にあっては、基材12B、13Bで透過光が種々に偏光しても、液晶層14の透過光には何ら偏光面に影響を与えることが無いようすることができ、これにより基材12B、13Bには例えばPETフィルム等の光学異方性の大きなフィルム材を適用することも可能であり、これにより汎用性の高い透明フィルム材を使用することができる。
またE型直線偏光板に係る偏光子層12E、13Eを適用することにより、斜め方向の透過光を充分に遮光でき、これにより補償フィルムを設けないようにして全体の厚みを薄くすることができる。
またこのようなE型直線偏光板に係る偏光子層12E、13Eは、塗工膜により液晶セルの内側に設けることができ、これにより基材12B、13Bの液晶層14側に設けるようにして、直線偏光板に係る構成を省略することができ、一段と厚みを薄くすることができる。実際上、この図1に示すように偏光子層12E、13Eを配置する場合、E型直線偏光板に係る偏光子層12E、13Eの厚みが1μm程度であることにより、調光フィルム10全体として厚みを225μm程度とすることができ、これにより従来に比して格段的に厚みを薄くすることができる。
〔第1実施形態の具体的構成〕
図2は、本発明の第1実施形態に係る調光フィルムの具体的構成を示す断面図である。この調光フィルム20は、フィルム形状により形成される。この調光フィルム20は、液晶を利用して透過光を制御する調光フィルムであり、それぞれフィルム形状の第1及び第2の積層体である下側積層体22及び上側積層体23により液晶層24を挟持して形成される。ここで調光フィルム20は、FFS方式により液晶層24に係る液晶分子の配向を制御する横電界方式の液晶セルであり、これにより図1について便宜上説明した構成とは異なり、下側積層体22側に透明電極がまとめて配置される。
すなわち調光フィルム20において、下側積層体22は、両面にハードコート層を備えてなる透明フィルム材による基材22Aの全面に、第1の電極である透明電極22Bが形成される。ここでこの基材22Aには、例えばPETフィルムが適用される。また絶縁層22C、偏光子層22Dが順次配置された後、第2の電極である線状電極22Eが配置され、さらに配向層22Fが形成される。これにより調光フィルム20は、全面に形成された透明電極22Bと線状電極22Eとの間の電界により、基材22Aの面内方向の電界であるいわゆる横電界を作製してFFS方式により液晶層24の液晶分子を駆動する。
下側積層体22は、線状電極22Eを作製した後、フォトレジストにより柱形状にスペーサー25が作製され、このスペーサー25により液晶層24の厚みであるセルギャップが保持される。下側積層体22は、さらに配向層22Fが作製される。
上側積層体23は、両面にハードコート層を備えてなる透明フィルム材による基材23Aに、偏光子層23B、配向層23Cが順次作製される。ここで偏光子層22D、23Bは、クロスニコル配置により設けられる。
ここで透明電極22B、線状電極22Eには、ITOが適用される。絶縁層22Cは、この種の液晶セルに適用される有機材料、無機材料による各種絶縁材料を広く適用することができ、この実施形態では有機材料による絶縁材料が適用される。偏光子層22D、23Bは、E型直線偏光板に係る偏光子層に適用可能な各種の構成を適用することができ、例えば特表平8−511109号公報に開示の構成を適用することができ、より具体的には、垂直方向に光学異方性を発現する2色性有機色素の塗工膜により形成される。配向層22F、23Cは、光配向層が適用されるものの、ラビング処理による配向層、微細なライン状凹凸形状を賦型処理により作製する配向層等、種々の構成を適用することができる。
なお調光フィルム20は、液晶層24を囲む枠形状によりシール剤が配置され、このシール剤により液晶層24に係る液晶の漏出が防止され、さらには上側積層体23及び下側積層体22が一体に保持される。ここでシール剤は、液晶の漏出を防止すると共に、上側積層体23及び下側積層体22を一体に保持可能な種々の材料を適用することができるものの、この実施形態では、例えばエポキシ樹脂による熱硬化型樹脂やアクリル樹脂による紫外線硬化樹脂、熱及び紫外線で硬化する硬化樹脂等が適用される。
〔製造工程〕
図3は、調光フィルム20の製造工程の説明に供するフローチャートである。調光フィルムの製造工程は、上側積層体作製工程SP2及び下側積層体作製工程SP3において、それぞれ上側積層体23及び下側積層体22が作製される。また積層工程SP4において、液晶層24を間に挟んで、上側積層体23及び下側積層体22を積層した後、シール剤により一体化して調光フィルム20が作製される。
図4は、上側積層体作製工程SP2を詳細に示すフローチャートである。この上側積層体作製工程SP2(SP11)においては、偏光子層作製工程SP12において、基材23Aに偏光子層23Bの塗工液を塗工した後、乾燥し、これにより偏光子層23Bが作製される。また偏光子層作製工程は、この塗工液の塗工時、又は塗工膜を作製した後、ブレード等により塗工膜を引き伸ばして塗工膜にせん断力を付与し、これによりこの引き伸ばした方向に偏光子層23Bに係る色素を配向させ、これにより直線偏光板として機能するように偏光子層23Bを作製する。続いてこの製造工程は、配向層作製工程SP13において、配向層23Cに係る塗工液を塗工して乾燥させ、続いて直線偏光による紫外線の照射により硬化することにより、配向層24Cを作製する。
図5は、下側積層体作製工程SP3を詳細に示すフローチャートである。この下側積層体作製工程SP3(SP21)においては、電極作製工程SP22において、基材22Aの全面に、スパッタリングによりITOによる透明電極22Bが作製される。続いてこの製造工程は、絶縁層作製工程SP23において、絶縁層22Cの塗工液を塗工した後、乾燥、硬化して絶縁層22Cが作製される。
続いてこの製造工程は、偏光子層作製工程SP24において、偏光子層作製工程SP12と同様にして、偏光子層22Dの塗工液を塗工した後、乾燥し、これにより偏光子層22Dが作製される。続いてこの製造工程は、電極作製工程SP25において、スパッタリング装置を使用したスパッタリングにより、基材22Aの全面に、線状電極22Eに係る金属材料を堆積して金属層が作製され、この金属層のパターンニングにより線状電極22Eが作製される。
続いてこの製造工程は、スペーサー作製工程SP26において、全面にフォトレジスト材を塗布して乾燥、露光、現像することにより、スペーサー25が作製され、続く配向層作製工程SP27において、配向層22Fに係る塗工液を塗工して乾燥、露光することにより、配向層22Fが形成され、これにより下側積層体22が作製される。なお偏光子層23B、22Dの作製方法は、上述の作製手法に限らず、種々の手法を広く適用することができる。
以上の構成によれば、FFS方式の適用により視野角特性を確保して充分な透過率を確保した上で、従来に比して汎用性の高い種々の透明フィルム材を使用して調光フィルムを作製することができ、さらに全体の厚みを一段と薄くして斜め方向の透過光についても十分に遮光することができる。
また絶縁層に偏光子層を積層することにより、絶縁層の機能を偏光子層により補って絶縁層の厚みを薄くすることができ、これにより一段と厚みを薄くすることができる。
〔第2実施形態〕
図6は、本発明の第2実施形態に係る調光フィルムを示す断面図である。この調光フィルム30は、偏光子層22Dと絶縁層22Cの積層の順番が入れ代わっている点を除いて、第1実施形態に係る調光フィルム20と同一に構成される。
この実施形態によれば、偏光子層22Dの上に絶縁層22Cを積層するようにしても、第1実施形態に係る調光フィルム20と同様の効果を得ることができる。またさらに絶縁層により偏光層を覆うことにより、電極作製工程において、絶縁層により偏光層を保護することができ、信頼性を一段と向上し、さらには歩留まりを向上することができる。
〔第3実施形態〕
図7は、本発明の第3実施形態に係る調光フィルムを示す断面図である。この調光フィルム40は、偏光子層22Dを絶縁層として機能させることにより、絶縁層22Cを改めて設け無いように構成している点を除いて、上述の実施形態に係る調光フィルムと同一に構成される。
この実施形態によれば、偏光子層22Dを絶縁層として機能させて絶縁層を省略するようにしても、第1又は第2実施形態に係る調光フィルムと同様の効果を得ることができる。また偏光子層22Dを絶縁層として機能させて絶縁層を省略することにより、構成を簡略化して全体の厚みを薄くし、さらには工程を簡略化することができる。
〔第4実施形態〕
図8は、本発明の第4実施形態に係る調光フィルムを示す断面図である。この調光フィルム50は、透明電極22B、絶縁層22C、線状電極22Eを作製した後、全面に、偏光子層22Dが作製され、さらにスペーサー25が作製される。またその後、配向層22Fが作製される。この実施形態では、これら各部の作製順序が異なる点を除いて、上述の実施形態に係る調光フィルムと同一に構成される。
この実施形態によれば、線状電極22Eの液晶層24側に偏光子層22Dを設けるようにしても、上述の実施形態と同様の効果を得ることができる。またこのように線状電極22Eの液晶層24側に偏光子層22Dを設けることにより、線状電極22Eの全面を偏光子層22Dで覆って線状電極22Eを保護することができ、一段と信頼性を向上することができる。
〔第5実施形態〕
図9は、本発明の第5実施形態に係る調光フィルムを示す断面図である。この調光フィルム60は、透明電極22B、絶縁層22C、線状電極22Eを作製した後、全面に、偏光子層22Dが作製され、さらにスペーサー25が作製される。この調光フィルム60は、このように線状電極22Eの液晶層24側に偏光子層22Dを設けるようにして、この偏光子層22Dの配向規制力により液晶層24の液晶分子を配向させ、これにより配向層を省略する。この実施形態では、係る構成が異なる点を除いて、上述の実施形態に係る調光フィルムと同一に構成される。
すなわち偏光子層22Dは、せん断力等により2色性有機色素を配向して作製されることにより、密接して配置された液晶材料に対して配向規制力を発現し、液晶層14の液晶材料を一定の方向に配向させることができる。これによりこの実施形態のように、配向層を省略して全体形状を簡略化することができる。
この実施形態では、偏光子層の配向規制力により液晶層の液晶分子を配向させるようにして、配向層を省略するようにしても、上述の実施形態と同様の効果を得ることができる。またこの実施形態では配向層を省略できることにより、全体構成を簡略化して全体の厚みを薄くし、さらには工程を簡略化することができる。
〔第6実施形態〕
図10は、本発明の第6実施形態に係る調光フィルムを示す断面図である。この調光フィルム70は、基材22Aに偏光子層22Dが作製された後、透明電極22B、絶縁層22C、線状電極22E、スペーサー25、配向層22Fが順次作製され、これにより偏光子層22Dが透明電極22Bと基材22Aとの間に作製される。この実施形態では、係る構成が異なる点を除いて、上述の実施形態に係る調光フィルムと同一に構成される。
この実施形態のように、偏光子層22Dを透明電極22Bと基材22Aとの間に作製するようにしても、上述の実施形態と同様の効果を得ることができる。またこの場合、偏光子層22Dにおける2色性有機色素の配向については、種々の手法を適用することができ、生産性を向上することができる。
〔第7〜11実施形態〕
この実施形態では、上述の第1実施形態から第4実施形態、第6実施形態の上側積層体側について、第5実施形態の下側積層体と同様にして配向層を省略する。
すなわち図11〜図15は、上述の第1実施形態から第4の実施形態、第6実施形態の構成において、上側積層体の配向層を省略し、偏光子層により液晶層14の液晶分子を配向させる構成である。この実施形態のように、上側積層体に関して、偏光子層の配向規制力により液晶層の液晶分子を配向させるようにして、配向層を省略するようにしても、上述の実施形態と同様の効果を得ることができる。またこの実施形態では上側積層体の配向層を省略できることにより、全体構成を簡略化して全体の厚みを薄くし、さらには工程を簡略化することができる。
〔他の実施形態〕
以上、本発明の実施に好適な具体的な構成を詳述したが、本発明は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上述の実施形態を組み合わせ、さらには上述の実施形態を種々に変更することができる。
また上述の実施形態では、フォトレジストを使用して柱形状によりスペーサーを作製する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、いわゆるビーズスペーサーを適用するようにしてもよい。
また上述の実施形態では、FFS方式による調光フィルムに本発明を適用する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、IPS方式による調光フィルムに広く適用することができる。なおこのIPS方式では、櫛歯形状による1対の線状電極を入れ子より配置して横電界を作製することにより、この横電界の作製に係る第1及び第2の電極の構成に対応して上述した実施形態の構成を適宜、適用することができる。
10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、110、130 調光フィルム
12、22 下側積層体
12A、12C、13A、13C ハードコート層
12B、13B、22A、23A 基材
12D、13D、22B 透明電極
12E、13E、22D、23B 偏光子層
13、23 上側積層体
13F、22F、23C 配向層
14、24 液晶層
22C 絶縁層
25 スペーサー

Claims (4)

  1. 透明フィルム材による基材に第1及び第2の電極を配置してなる第1の積層体と、
    透明フィルム材による基材を備え、前記第1の積層体に対応する第2の積層体と、
    前記第1及び第2の積層体により挟持された液晶層とを備え、
    前記第1及び第2の電極間の電界により前記液晶層の液晶分子の配向を制御して透過光を制御し、
    前記第1の積層体の前記基材より前記液晶層側、及び前記第2の積層体の前記基材より前記液晶層側に、それぞれE型直線偏光板に係る偏光子層を備え、
    前記第1の積層体及び前記第2の積層体のうち少なくともいずれかの前記基材は、ポリエチレンテレフタレートにより形成され、
    前記第1の積層体は、
    前記基材の全面に前記第1の電極が設けられ、絶縁層を間に挟んで、前記第2の電極による線状電極が設けられ、さらに配向層が設けられ、
    前記絶縁層が前記偏光子層である
    調光フィルム。
  2. 透明フィルム材による基材に第1及び第2の電極を配置してなる第1の積層体と、
    透明フィルム材による基材を備え、前記第1の積層体に対応する第2の積層体と、
    前記第1及び第2の積層体により挟持された液晶層とを備え、
    前記第1及び第2の電極間の電界により前記液晶層の液晶分子の配向を制御して透過光を制御し、
    前記第1の積層体の前記基材より前記液晶層側、及び前記第2の積層体の前記基材より前記液晶層側に、それぞれE型直線偏光板に係る偏光子層を備え、
    前記第1の積層体及び前記第2の積層体のうち少なくともいずれかの前記基材は、ポリエチレンテレフタレートにより形成され、
    前記第1の積層体は、
    前記基材の全面に前記第1の電極が設けられ、絶縁層を間に挟んで、前記第2の電極による線状電極が設けられ、さらに配向層が設けられ、
    前記配向層が前記偏光子層である
    調光フィルム。
  3. 透明フィルム材による基材に第1及び第2の電極を配置して第1の積層体を作製する第1の積層体作製工程と、
    透明フィルム材による基材を備えた前記第1の積層体に対応する第2の積層体を作製する第2の積層体作製工程と、
    液晶層を間に挟んで前記第1及び第2の積層体を積層する積層工程とを備え、
    前記第1の積層体作製工程は、
    前記第1の積層体の前記基材より前記液晶層側に、E型直線偏光板に係る偏光子層を作製する偏光子層作製工程を備え、
    前記第2の積層体作製工程は、
    前記第2の積層体の前記基材より前記液晶層側に、E型直線偏光板に係る偏光子層を作製する偏光子層作製工程を備え、
    前記第1の積層体及び前記第2の積層体のうち少なくともいずれかの前記基材は、ポリエチレンテレフタレートにより形成され、
    前記第1の積層体作製工程は、
    前記基材の全面に前記第1の電極を形成し、絶縁層を間に挟んで、前記第2の電極による線状電極を形成し、さらに配向層を形成し、
    前記絶縁層が前記偏光子層である
    調光フィルムの製造方法。
  4. 透明フィルム材による基材に第1及び第2の電極を配置して第1の積層体を作製する第1の積層体作製工程と、
    透明フィルム材による基材を備えた前記第1の積層体に対応する第2の積層体を作製する第2の積層体作製工程と、
    液晶層を間に挟んで前記第1及び第2の積層体を積層する積層工程とを備え、
    前記第1の積層体作製工程は、
    前記第1の積層体の前記基材より前記液晶層側に、E型直線偏光板に係る偏光子層を作製する偏光子層作製工程を備え、
    前記第2の積層体作製工程は、
    前記第2の積層体の前記基材より前記液晶層側に、E型直線偏光板に係る偏光子層を作製する偏光子層作製工程を備え、
    前記第1の積層体及び前記第2の積層体のうち少なくともいずれかの前記基材は、ポリエチレンテレフタレートにより形成され、
    前記第1の積層体作製工程は、
    前記基材の全面に前記第1の電極を形成し、絶縁層を間に挟んで、前記第2の電極による線状電極を形成し、さらに配向層を形成し、
    前記配向層が前記偏光子層である
    調光フィルムの製造方法。
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