以下、図1乃至図16を参照して一実施の形態について説明する。
以下に説明する調光装置10は、光の透過率の調整が求められる様々な技術分野に応用可能であり、適用範囲は特に限定されない。調光装置10は、例えば、建築物の窓ガラスや、ショーケース、屋内の透明パーテーション、車両のウインドウ等の調光を図る部位(外光が入射する部位、例えば、フロントや、サイド、リア、ルーフ等のウインドウ)に配置され、建築物や車両等の内側への入射光の光量を制御することができる。
なお以下に説明する調光装置10は、一実施の形態を例示しているに過ぎない。したがって例えば、調光装置10の構成要素として以下に挙げられている要素の一部が、他の要素に置換されてもよいし、含まれていなくてもよい。また以下に挙げられていない要素が、調光装置10の構成要素として含まれていてもよい。また図面中には、図示と理解のしやすさの便宜上、縮尺及び寸法比等を、実物のそれらから適宜変更又は誇張されている部分がある。
(調光装置)
図1は、本実施の形態による調光装置(合わせガラス)10を示す図である。本実施の形態による調光装置10は、その表面形状が曲面形状を有する3次元形状により構成されており、図1では、一例として、調光装置10が一方の面側に凸となる形状を有している。なお、調光装置10は、これに限らず、例えば、表面形状が平面状(すなわち、平板状)としてもよいし、その表面形状が曲面形状を有する2次元形状(例えば、円筒の一部を構成する形状)等としてもよい。ここで、3次元形状とは、単純な円筒面ではなく、平面を伸縮なしに変形させるだけでは構成できない曲面であり、単一の軸を中心として2次元的に曲がった2次元形状(2次元曲面)、或いは、互いに平行な複数の軸を中心として異なる曲率で2次元的に曲がった2次元形状(2次元曲面)とは区別されるものである。すなわち、3次元形状とは、互いに対して傾斜した複数の軸の各々を中心として、部分的に又は全体的に曲がっている面による形状である。
図1に示すように、本実施の形態による調光装置10は、第1ガラス板11と、第1中間膜13と、調光セル20と、第2中間膜14と、第2ガラス板12とを備えている。第1ガラス板11と、第1中間膜13と、調光セル20と、第2中間膜14と、第2ガラス板12とは、この順番で積層配置されている。
図2は、本実施の形態による調光装置10の層構成を示す断面図である。なお、本実施の形態の調光装置10は、3次元形状の表面形状を有しているが、図2では、理解を容易にするために、調光装置10の表面形状が平面状である場合の断面図を示している。
図2に示すように、調光装置10は、第1ガラス板11と、第2ガラス板12と、第1ガラス板11と第2ガラス板12との間に配置された調光セル20とを備えている。調光セル20は、第1基材24と第1透明電極25と第1配向層26とを含む第1積層体21と、第2基材27と第2透明電極28と第2配向層29とを含む第2積層体22と、第1積層体21と第2積層体22との間に配置された液晶層23とを備えている。
第1ガラス板(透明部材)11及び第2ガラス板(透明部材)12は、それぞれ、調光装置10の表裏面に配置され、高い透光性を有する板ガラスである。第1ガラス板11及び第2ガラス板12は、その表面形状が曲面形状を有する3次元形状であり、一方の面側に凸となる曲面形状を有する形状に予め形成されている(図1参照)。この場合、第1ガラス板11及び第2ガラス板12は、第2ガラス板12側に対して第1ガラス板11側が凸状になるように形成されている。また、本実施の形態では、第1ガラス板11及び第2ガラス板12は、厚さが1mm以上4mm以下であり、一例として、いずれも厚さ2mmの板ガラスを用いている。第1ガラス板11及び第2ガラス板12は、無機ガラスでも良く、樹脂ガラスでも良い。樹脂ガラスとしては、例えば、ポリカーボネート、アクリル等を用いることができる。第1ガラス板11及び第2ガラス板12として無機ガラスを用いた場合、耐熱性、耐傷性に優れた調光装置10とすることができる。他方、第1ガラス板11及び第2ガラス板12として樹脂ガラスを用いた場合、調光装置10を軽量化することができる。さらに、第1ガラス板11及び第2ガラス板12には、必要に応じて、ハードコート等の表面処理がなされても良い。
第1中間膜13は、第1ガラス板11と調光セル20とを接合させる部材である。同様に、第2中間膜14は、第2ガラス板12と調光セル20とを接合させる部材である。本実施の形態では、第1中間膜13及び第2中間膜14は、それぞれPVB(ポリビニルブチラール)樹脂製のシートを用いている。なお、第1中間膜13及び第2中間膜14の素材としては、上記PVBに限らす、EVA(エチレン・酢酸ビニル共重合体)、COP(シクロオレフィンポリマー)等を用いてもよい。また、第1中間膜13及び第2中間膜14の厚さに関しても、その材料等に応じて適宜選択してよい。具体的には、第1中間膜13及び第2中間膜14の厚さは、300μm以上2.5mm以下としても良く、一例として厚さ760μmのものが用いられる。
調光セル20(調光フィルム、液晶フィルム)は、印加電圧を変化させることにより透過光の光量を制御することができるフィルムである。調光セル20は、第1ガラス板11と第2ガラス板12との間に挟持されるように配置されている。この調光セル20は、二色性色素を使用したゲストホスト型の液晶層を有しており、液晶に印加する電界により透過光量を変化させる部材である。調光セル20は、フィルム状の第1積層体21と、フィルム状の第2積層体22と、第1積層体21と第2積層体22との間に配置された液晶層23とを備えている。
このうち第1積層体21は、第1基材24と、第1透明電極25と、第1配向層26とを積層して形成される。すなわち、第1中間膜13側から、第1基材24と、第1透明電極25と、第1配向層26とがこの順番で積層配置されている。また第2積層体22は、第2基材27と、第2透明電極28と、第2配向層29とを積層して形成される。すなわち、第2中間膜14側から、第2基材27と、第2透明電極28と、第2配向層29とがこの順番で積層配置されている。
さらに、第1積層体21と第2積層体22との間には、複数の柱状スペーサー40及び複数のビーズスペーサー31が配置されている。液晶層23は、第1積層体21及び第2積層体22の間において、複数の柱状スペーサー40の間及び複数のビーズスペーサー31の間に充填配置されている。複数の柱状スペーサー40及び複数のビーズスペーサー31は、それぞれ不規則的又は規則的に配置されていても良い。
調光セル20は、この第1積層体21及び第2積層体22に設けられた第1透明電極25及び第2透明電極28の駆動により、液晶層23に設けられたゲストホスト液晶組成物による液晶材料の配向を変化させ、これにより透過光の光量を変化させるものである。
第1基材24及び第2基材27は、透明な樹脂製であって、可撓性を有するフィルムを適用することができる。第1基材24及び第2基材27としては、光学異方性が小さく、また、可視域の波長(380nm以上800nm以下)における透過率が80%以上である透明樹脂フィルムを適用することが望ましい。透明樹脂フィルムの材料としては、例えば、トリアセチルセルロース(TAC)等のアセチルセルロース系樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル系樹脂、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン、ポリメチルペンテン、EVA等のポリオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等のビニル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリサルホン(PEF)、ポリエーテルサルホン(PES)、ポリカーボネート(PC)、ポリスルホン、ポリエーテル(PE)、ポリエーテルケトン(PEK)、(メタ)アクロニトリル、シクロオレフィンポリマー(COP)、シクロオレフィンコポリマー等の樹脂を挙げることができる。透明樹脂フィルムの材料としては、特に、ポリカーボネート、シクロオレフィンポリマー、ポリエチレンテレフタレート等の樹脂が好ましい。また、第1基材24及び第2基材27として用いられる透明樹脂フィルムの厚みは、その材料にもよるが、その透明樹脂フィルムが可撓性を有する範囲内で適宜選択することができる。第1基材24及び第2基材27の厚みは、それぞれ50μm以上200μm以下としても良い。本実施の形態では、第1基材24及び第2基材27の一例として、厚み100μmのポリエチレンテレフタレートフィルムが適用される。
第1透明電極25及び第2透明電極28は、それぞれ第1基材24及び第2基材27(透明樹脂フィルム)に積層される透明導電膜から構成されている。透明導電膜としては、この種の透明樹脂フィルムに適用される各種の透明電極材料を適用することができ、酸化物系の全光透過率が50%以上の透明な金属薄膜を挙げることができる。例えば、酸化錫系、酸化インジウム系、酸化亜鉛系が挙げられる。
酸化錫(SnO2)系としてはネサ(酸化錫SnO2)、ATO(Antimony Tin Oxide:アンチモンドープ酸化錫)、フッ素ドープ酸化錫が挙げられる。酸化インジウム(In2O3)系としては、酸化インジウム、ITO(Indium Tin Oxide:インジウム錫酸化物)、IZO(Indium Zinc Oxide)が挙げられる。酸化亜鉛(ZnO)系としては、酸化亜鉛、AZO(アルミドープ酸化亜鉛)、ガリウムドープ酸化亜鉛が挙げられる。本実施の形態では、第1透明電極25及び第2透明電極28を構成する透明導電膜は、ITOにより形成されている。
ビーズスペーサー31は、液晶層23における外周部を除く部分の厚み(セルギャップ)を規定する部材である。本実施の形態では、ビーズスペーサー31として、球形状のビーズスペーサーを用いている。ビーズスペーサー31の直径は、1μm以上20μm以下、好ましくは3μm以上15μm以下の範囲としても良い。ビーズスペーサー31は、シリカ等による無機材料による構成、有機材料による構成、これらを組み合わせたコアシェル構造の構成等を広く適用することができる。また、このビーズスペーサーは、球形状による構成の他、円柱形状、楕円柱形状、多角柱形状等のロッド形状により構成してもよい。またビーズスペーサー31は、透明部材により製造されるが、必要に応じて着色した材料を適用して色味を調整するようにしてもよい。
なお、本実施の形態では、ビーズスペーサー31は、第2積層体22に設けられるが、これに限定されるものでなく、第1積層体21及び第2積層体22の両方、又は、第1積層体21にのみ設けられるようにしてもよい。また、ビーズスペーサー31は必ずしも設けられていなくてもよい。
第1配向層26及び第2配向層29は、液晶層23に含まれる液晶分子群を所望方向に配向させるための部材である。第1配向層26及び第2配向層29は、光配向層により形成される。光配向層に適用可能な光配向材料は、光配向の手法を適用可能な各種の材料を広く適用することができ、例えば、光分解型、光二量化型、光異性化型等を挙げることができる。本実施の形態では、光二量化型の材料を使用する。光二量化型の材料としては、例えば、シンナメート、クマリン、ベンジリデンフタルイミジン、ベンジリデンアセトフェノン、ジフェニルアセチレン、スチルバゾール、ウラシル、キノリノン、マレインイミド、又は、シンナミリデン酢酸誘導体を有するポリマー等を挙げることができる。中でも、配向規制力が良好である点で、シンナメート、クマリンの一方又は両方を有するポリマーが好ましく用いられる。
なお、光配向層に代えて、ラビング配向層を用いてもよい。ラビング配向層に関しては、ラビング処理を行わないものとしてもよいし、ラビング処理を行い、微細なライン状凹凸形状を賦型処理して配向層を作製してもよい。なお、本実施の形態では、調光セル20は、第1配向層26及び第2配向層29を備えているが、これに限らず、第1配向層26及び第2配向層29を備えない形態としてもよい。
液晶層23には、ゲストホスト液晶組成物、二色性色素組成物を広く適用することができる。ゲストホスト液晶組成物にはカイラル剤を含有させるようにして、液晶材料を水平配向させた場合に液晶層23の厚み方向に螺旋形状に配向させるようにしてもよい。また、第1積層体21と第2積層体22との間において、液晶層23を取り囲むように、平面視で環状または枠状のシール材32が配置されている。このシール材32により、第1積層体21と第2積層体22とが一体に保持され、液晶材料の漏出が防止される。シール材32は、エポキシ樹脂、アクリル樹脂等の熱硬化性樹脂や紫外線硬化性樹脂等を適用することができる。
調光セル20は、この遮光時におけるゲストホスト液晶組成物の配向が電界印加時となるように、第1配向層26及び第2配向層29を、一定の方向にプレチルトに係る配向規制力を設定した垂直配向層により構成し、これによりノーマリークリアとして構成される。なお、この透光時の設定を電界印加時としてノーマリーダークとして構成してもよい。ここで、ノーマリーダークとは、液晶に電圧がかかっていない時に透過率が最小となり、黒い画面になる構造である。ノーマリークリアとは、液晶に電圧がかかっていない時に透過率が最大となり、透明となる構造である。
なお、本実施の形態の調光セル20は、ゲストホスト型の液晶層23を備える例を示したが、これに限られるものではない。調光セル20は、二色性色素組成物を用いないTN(Twisted Nematic)方式、VA(Vertical Alignment)方式、IPS(In-Plane-Switching)方式等の液晶層23を備える構成としてもよい。このような液晶層23を備える場合、第1基材24及び第2基材27の表面にそれぞれ直線偏光層をさらに設けることで、調光フィルムとして機能させることができる。
図2に示すように、調光装置10は、調光コントローラ91に接続され、調光コントローラ91にはセンサ装置92及びユーザ操作部93が接続される。調光コントローラ91は、調光装置10の調光状態を制御し、調光装置10による光の遮断及び透過を切り換えたり、調光装置10における光の透過度を変えたりすることができる。具体的には、調光コントローラ91は、調光装置10の外部電極基板35に接続され、調光装置10の液晶層23に印加する電界を調整して液晶層23中の液晶分子の配向を変えることで、調光装置10による光の遮断及び透過を切り換えたり、光の透過度を変えたりすることができる。
調光コントローラ91は、任意の手法に基づいて液晶層23に印加する電界を調整できる。調光コントローラ91は、例えばセンサ装置92の測定結果やユーザ操作部93を介してユーザにより入力される指示(コマンド)に応じて、液晶層23に印加する電界を調整し、調光装置10による光の遮断及び透過を切り換えたり、光の透過度を変えたりすることができる。したがって調光コントローラ91は、液晶層23に印加する電界を、センサ装置92の測定結果に応じて自動的に調整してもよいし、ユーザ操作部93を介したユーザの指示に応じて手動的に調整してもよい。なおセンサ装置92による測定対象は特に限定されず、例えば使用環境の明るさを測定してもよく、この場合、調光装置10による光の遮断及び透過の切り換えや光の透過度の変更が使用環境の明るさに応じて行われる。また調光コントローラ91には、必ずしもセンサ装置92及びユーザ操作部93の両方が接続されている必要はなく、センサ装置92及びユーザ操作部93のうちのいずれか一方のみが接続されていてもよい。
(柱状スペーサー)
次に、柱状スペーサー40の構成について、図3を参照して更に説明する。
柱状スペーサー40は、第1積層体21の第1配向層26と、第2積層体22の第2配向層29との間に複数配置されている。この柱状スペーサー40は、第2積層体22とは接着し、第1積層体21とは接着していない。すなわち、各柱状スペーサー40は、第2配向層29と接着される一方、第1配向層26とは接着されることなく、第1配向層26に対して面で接触ないし密着している。
柱状スペーサー40の高さhは、1μm以上20μm以下、好ましくは3μm以上12μm以下の範囲としても良い。柱状スペーサー40は、後述するように印刷層40Aによって形成され、さらにその頂部を変形させることにより作製される。柱状スペーサー40の材料としては、エポキシ樹脂、アクリル樹脂等の熱硬化性樹脂や紫外線硬化性樹脂等を用いることができる。なお、柱状スペーサー40の材料は、シール材32の材料と同一としても良い。また柱状スペーサー40は、黒色、灰色等の色に着色された不透明部材により製造されるが、透明な材料を用いてもよい。
図3に示すように、各柱状スペーサー40は、全体として略切り株状の中実筒形状を有している。各柱状スペーサー40は、天面41と、天面41に連接された側面42と、側面42に連接された底面43とを有している。このうち底面43は、第2積層体22の第2配向層29と接着されている。底面43は、平面視で略円形、略楕円形等、曲線で囲まれた形状からなる。底面43の幅(最大幅)w1は、20μm以上100μm以下としても良い。
天面41は、第1配向層26と接着されることなく、第1配向層26に対して面で接触ないし密着している。天面41は平坦であり、この平坦面は、第1配向層26及び第2配向層29と略平行な平面から構成される。天面41は、平面視で略円形、略楕円形等、曲線で囲まれた形状からなる。天面41の幅(最大幅)w2は、20μm以上100μm以下としても良い。この場合、天面41は、平面視で底面43よりも小さいが、底面43と同一又は底面43よりも大きくしても良い。
また、側面42は、天面41と底面43との間に位置している。この側面42は、外側から内側に向けて湾曲した曲面を有している。側面42は、水平断面(第1配向層26及び第2配向層29に平行な断面)が略円形、略楕円形等、曲線で囲まれた形状からなる。また、側面42は、上側湾曲部42aと、縮径部42bと、裾部42cとを有している。
このうち上側湾曲部42aは、縮径部42bから天面41側に延びている。上側湾曲部42aの水平断面は、縮径部42bから天面41(第1積層体21)側に向けて徐々に広くなっている。この上側湾曲部42aは、ローラ47(後述)によって押しつぶされることによって天面41とともに形成される。また縮径部42bは、側面42のうち最も水平断面が狭い部分であり、天面41と底面43との中間部分よりも天面41側に位置している。裾部42cは、縮径部42bから底面43側に延びている。裾部42cの水平断面は、縮径部42bから底面43(第2積層体22)側に向けて徐々に広くなっている。なお、側面42の水平断面は、裾部42cの底面43側で最も大きくなっている。
この場合、天面41と側面42の間の角θ1は曲率を有さない形状となっている。すなわち、天面41と側面42の間の角θ1が、丸みを帯びておらず、また、天面41と側面42とが、連続する一つの曲面により接続されていない。この角θ1は、上側湾曲部42aのうち最も天面41側の部分と天面41とがなす角であり、具体的には、θ1は75°以上105°以下の範囲にあることが好ましい。θ1をこの範囲とすることにより、後述する合わせガラス加工時に、第1積層体21が天面41に沿って湾曲することが抑えられ、調光セル20にかかる圧力を均一に分散させることができる。また、底面43と側面42の間の角θ2は鋭角的に形成されており、曲率を有する形状となっている。この角θ2は、裾部42cのうち最も底面43側の部分と底面43とのなす角であり、具体的には、θ2は60°以上90°以下の範囲にあることが好ましい。
この角θ1、θ2の測定は、調光セル20中にある柱状スペーサー40をその天面41または底面43に対して垂直方向に切断するか、または、切断せずに柱状スペーサー40の柱形状を走査電子顕微鏡(SEM)を用いて撮影することで、角度を測定することができる。
柱状スペーサー40は、調光セル20を平面視した場合の、調光領域(シール材32で囲まれた内部の領域であって、調光装置10の調光に寄与する領域)における単位面積当たりの柱状スペーサー40の占有面積の割合(調光セル20の一面から見た場合の柱状スペーサー40の投影面積の割合,以下、適宜、スペーサーの占有率と呼ぶ)が、0.5%以上10%以下により配置されることが好ましく、0.5%以上8%以下により配置されることがより好ましい。
種々に検討した結果では、このスペーサーの占有率が0.5%未満になるとスペーサー1本当たりに掛かる圧力が大きくなり、柱状スペーサー40が潰れたり、柱状スペーサー40の先端が対向面に貫入して電極を短絡させたりし、また柱状スペーサー40間で基材が撓んでセルギャップが不均一となり、これらにより調光装置10の動作が不安定になり、また外観品位が低下する。
しかしながらスペーサーの占有率が0.5%以上であるようにすれば、このような柱状スペーサー40の変形による第1透明電極25及び第2透明電極28が短絡してしまうことや、セルギャップが局所的に低下することを防止することができ、これにより安定的に動作させて調光装置10の外観品位の低下を防止することができる。
これに対してスペーサーの占有率が10%より大きい場合、より好ましくはスペーサーの占有率が8%より大きい場合、柱状スペーサー40の密度が大きくなり過ぎることにより、柱状スペーサー40による各種の不具合が発生するおそれがある。また、スペーサーの占有率が10%より大きい場合、より好ましくはスペーサーの占有率が8%より大きい場合、ラビング処理時に柱状スペーサー40の影となって正常にラビング痕を作製できない部位の面積が増大することになり、その結果、液晶の配向性が低下するおそれがある。
また柱状スペーサー40が設けられている部位は、何ら液晶が配置されていないことにより、結局、調光装置10では、この柱状スペーサー40が設けられている部位では透過光を遮光することになる。スペーサーの占有率が大きくなると、この柱状スペーサー40による透過光の遮光の影響が顕著に知覚されるようになり、その結果、透過性が低下することになる。またスペーサーの占有率が増大すると、回折光が増大し、回折光が光スポット等により見て取られたりすることになる。
柱状スペーサー40は、個数の観点からすると、調光領域内における半径200μmの範囲内に2個以上30個以下、好ましくは2個以上10個以下配置されていることが好ましい。
調光領域における半径200μmの範囲内の柱状スペーサー40の個数が2個未満(1個または配置されていない)であると、上述した柱状スペーサー40の占有率が0.5%未満とした場合と同様に、柱状スペーサー40の1本当たりに掛かる圧力が大きくなり、柱状スペーサー40が潰れたり、柱状スペーサー40の先端が対向面に貫入して電極を短絡させたりし、また柱状スペーサー40間で基材が撓んでセルギャップが不均一となり、これらにより調光セル20の動作が不安定になり、また外観品位が低下するおそれがある。
しかし、半径200μmの範囲内の柱状スペーサー40の個数が2個以上であると、このような柱状スペーサー40の変形による第1透明電極25及び第2透明電極28が短絡、セルギャップの局所的な低下を防止することができ、これにより安定に動作させて外観品位の低下を防止することができる。
一方、半径200μmの範囲内の柱状スペーサー40の個数が30個より多いと、スペーサーの占有率が10%より大きい場合と同様に、以下の不具合が発生するおそれがある。しかしながら、半径200μmの範囲内の柱状スペーサー40の個数を30個以下とした場合、以下の不具合の発生を抑えることができる。例えば、ラビング処理時に柱状スペーサー40の影となって正常にラビング痕を作製できない部位の面積が増大することになり、その結果、液晶の配向性が低下する。また、柱状スペーサー40が設けられている部位は、何ら液晶が配置されていないことにより、透過光を遮光することになる。これによりスペーサーの占有率が大きくなると、この柱状スペーサー40による透過光の遮光の影響が顕著に知覚されるようになり、その結果、透過性が低下することになる。またスペーサーの占有率が増大すると、回折光が増大し、回折光が光スポット等により見て取られたりすることになる。
また、ゲストホスト方式の調光セル20において、柱状スペーサー40が調光領域内における半径200μmの範囲内に1個以上30個以下、好ましくは1個以上10個以下配置されている場合、基材が多少曲がってギャップ(液晶層23の厚さ)が変わっても、透過率の差や色ムラが見えにくいという効果を達成することができる。
なお、図2において、柱状スペーサー40は、ビーズスペーサー31から平面方向に離間して配置されているが、これに限られるものではない。一部の柱状スペーサー40と一部のビーズスペーサー31とが互いに接触していても良い。あるいは、図4に示すように、一部のビーズスペーサー31が一部の柱状スペーサー40に内包または埋設されて互いに一体化されていても良い。なお、ビーズスペーサー31の全体が柱状スペーサー40に内包されていても良く、ビーズスペーサー31の一部が柱状スペーサー40に内包されていても良い。この場合、ビーズスペーサー31と柱状スペーサー40とが連結されるため、ビーズスペーサー31及び柱状スペーサー40と第2基材27との密着性を向上させることができる。
次に、柱状スペーサー40の変形例について、図5(a)-(d)を参照して説明する。
図5(a)に示すように、柱状スペーサー40の天面41の中心と底面43の中心とが平面方向(第1配向層26及び第2配向層29に平行な面方向)にオフセットされていても良い。この場合、柱状スペーサー40の側面42は、周方向に非回転対称な形状を有する。
図5(b)に示すように、柱状スペーサー40の側面42は、内側から外側に湾曲した曲面を有していても良い。この場合、側面42の水平断面は、天面41側で最も小さくなっている。また、側面42のうち最も水平断面が大きい部分は、天面41と底面43との間に位置している。
図5(c)に示すように、柱状スペーサー40の側面42は、縮径部42bで最も小さくなっており、側面42のうち縮径部42bよりも天面41側の部分は、均一な径を有していても良い。
図5(d)に示すように、柱状スペーサー40の天面41と底面43とが互いに略同一の形状を有していても良い。この場合、側面42のうち最も水平断面が狭い縮径部42bは、天面41と底面43との中間部分に位置している。
次に、平面視における複数の柱状スペーサー40の配置について説明する。
図6に示すように、複数の柱状スペーサー40は、平面視で三角形を複数充填した図形の各頂点に対応する位置にそれぞれ配置されている。具体的には、各柱状スペーサー40は、平面視で、最小単位となる同一の正三角形TR1を複数平面充填した図形の各頂点(正三角格子の格子点)上に配置されている。各正三角形TR1の一辺の長さ(D1)は互いに同一である。このため、各柱状スペーサー40と当該柱状スペーサー40に隣接する柱状スペーサー40との間の間隔(D1)は、互いに均一となっている。なお、各柱状スペーサー40の間隔D1は、230μm以上2000μm以下としても良い。この場合、複数の柱状スペーサー40同士の距離(間隔D1)が均等になるので、調光セルにおける液晶の厚み(セルギャップ)が面内で均一となり、斑ムラの発生を抑制することができる。なお、上記正三角形TR1に代えて、3つの辺の長さが互いに異なる三角形を用いても良い。
なお、斑ムラとは、調光セル20における液晶層23の厚みが面内で不均一に分布することにより、調光セル20の透光率が面内で不均一となる現象をいう。とりわけ、柱状スペーサー40を不規則に配置した場合には、各柱状スペーサー40間の距離が一定でないため、斑ムラとよばれる現象が発生しやすい。すなわち、調光セル20を挟み込んだ合わせガラスにおいては、各部材を一体に圧着する際にその表面に圧力が加わる。このとき、柱状スペーサー40間の距離が離れている箇所はセルギャップ(液晶層23の厚み)が小さくなり、柱状スペーサー40間の距離が近い箇所はセルギャップ(液晶層23の厚み)が大きくなりやすい。このため、柱状スペーサー40を不規則に配置した場合には、調光セル20における液晶層23の厚みが面内で不均一に分布し、これにより透光率が面内で不均一となる斑ムラが発生してしまう。
本明細書中、平面視とは、第1ガラス板11又は第2ガラス板12の面に対して垂直な方向から見た場合をいう。なお、第1ガラス板11及び第2ガラス板12の表面形状が曲面形状となっている場合でも、第1ガラス板11及び第2ガラス板12の厚み方向の湾曲量に対して各柱状スペーサー40の間隔は十分に小さいため、近似的に第1ガラス板11及び第2ガラス板12が平面であると考えることができる。
次に、平面視における複数の柱状スペーサー40の配置の変形例について、図7乃至図10を参照して説明する。
図7に示すように、複数の柱状スペーサー40は、平面視で五角形を複数充填した図形の各頂点に対応する位置にそれぞれ配置されても良い。具体的には、各柱状スペーサー40は、平面視で、最小単位となる同一の等辺五角形PE1を複数平面充填した図形の各頂点に対応する位置に配置されている。各等辺五角形PE1の一辺の長さ(D2)は、各等辺五角形PE1同士の間で互いに同一である。このため、各柱状スペーサー40と当該柱状スペーサー40に隣接する柱状スペーサー40との間の間隔D2は、互いに均一となっている。各柱状スペーサー40の間隔D2は、115μm以上2000μm以下としても良い。この場合、柱状スペーサー40の規則性が低いため(低ピッチで連続的(一直線)に形成されていないため)、複数の柱状スペーサー40による回折光の干渉が周期的に生じにくくなっている。なお、上記等辺五角形PE1に代えて、5つの辺の長さが互いに異なる五角形を用いても良い。
図8に示すように、複数の柱状スペーサー40は、平面視で三角形、四角形及び六角形のうち3種類の多角形を複数平面充填した図形の各頂点に対応する位置にそれぞれ配置されていても良い。具体的には、各柱状スペーサー40は、平面視で、最小単位となる正三角形TR2、正方形SQ1及び正六角形HE1を複数充填した図形の各頂点に対応する位置にそれぞれ配置されている。この場合、複数の正三角形TR2同士の形状は互いに同一であり、複数の正方形SQ1同士の形状は互いに同一であり、複数の正六角形HE1同士の形状は互いに同一である。また、各正三角形TR2の一辺の長さD3と、各正方形SQ1の一辺の長さD3と、各正六角形HE1の一辺の長さD3とは、互いに同一である。このため、各柱状スペーサー40と当該柱状スペーサー40に隣接する柱状スペーサー40との間の間隔D3は、互いに均一となっている。各柱状スペーサー40の間隔D3は、115μm以上2000μm以下としても良い。なお、上記正三角形TR2に代えて、3つの辺の長さが互いに異なる三角形を用いても良く、上記正方形SQ1に代えて、4つの辺の長さが互いに異なる四角形を用いても良く、上記正六角形HE1に代えて、6つの辺の長さが互いに異なる六角形を用いても良い。
図9に示すように、複数の柱状スペーサー40は、平面視で三角形及び四角形のうち2種類の多角形を複数平面充填した図形の各頂点に対応する位置にそれぞれ配置されていても良い。具体的には、各柱状スペーサー40は、平面視で、最小単位となる正三角形TR3及び正方形SQ2を複数充填した図形の各頂点に対応する位置にそれぞれ配置されている。この場合、複数の正三角形TR3同士の形状は互いに同一であり、複数の正方形SQ2同士の形状は互いに同一である。また、各正三角形TR3の一辺の長さD4と、各正方形SQ2の一辺の長さD4とは、互いに同一である。このため、各柱状スペーサー40と当該柱状スペーサー40に隣接する柱状スペーサー40との間の間隔D4は、互いに均一となっている。各柱状スペーサー40の間隔D4は、115μm以上2000μm以下としても良い。なお、上記正三角形TR3に代えて、3つの辺の長さが互いに異なる三角形を用いても良く、上記正方形SQ2に代えて、4つの辺の長さが互いに異なる四角形を用いても良い。
図7乃至図9において、柱状スペーサー40の配置の規則性が低くなっているため、複数の柱状スペーサー40による回折光の干渉が周期的に生じにくくなっている。また、複数の柱状スペーサー40同士の距離(間隔D2、D3、D4)がそれぞれ均等になっているので、調光セル20における液晶層23の厚み(セルギャップ)が面内で均一となり、斑ムラの発生を抑制することができる。
図10に示すように、複数の柱状スペーサー40は、平面視で正方形を複数充填した図形の各頂点に対応する位置にそれぞれ配置されても良い。具体的には、各柱状スペーサー40は、平面視で、最小単位となる同一の正方形SQ3を複数平面充填した図形の各頂点(正方格子の格子点)上に配置されている。この場合、各正方形SQ3の一辺の長さ(D5)は互いに同一である。このため、各柱状スペーサー40と当該柱状スペーサー40に隣接する柱状スペーサー40との間の間隔(D5)は、互いに均一となっている。
各柱状スペーサー40の間隔D5は、408μm以上2000μmとすることが好ましい。この場合、柱状スペーサー40は規則的に並んでいるが、その間隔D5は560μm以上であり、光の波長に対して十分に大きい。このため、複数の柱状スペーサー40による回折光の干渉を生じにくくすることができる。また、複数の柱状スペーサー40同士の距離(間隔D5)が950μm以下となっているので、柱状スペーサー40同士の距離が大きく開くことはない。このため、調光セル20における液晶層23の厚み(セルギャップ)が面内で不均一になりにくく、斑ムラの発生を抑制することができる。
図11は、調光セル20のうち外部電極基板35の周辺を示す概略断面図である。図11に示すように、第1積層体21と第2積層体22との間には、外部電極基板35が挟み込まれている。この外部電極基板35は、外端が調光コントローラ91(図2参照)に電気的に接続されるとともに、内端が金属層36及び導電フィルム37を介して第1透明電極25及び第2透明電極28に電気的に接続されている。外部電極基板35は、例えばFPC(Flexible Printed Circuit)からなっていても良い。また金属層36は、銅等の導電性の高い金属からなる。導電フィルム37は、例えば異方性導電フィルム(ACF:Anisotropic Conductive Film)からなっていても良い。この場合、外部電極基板35の厚みは、液晶層23の厚みより厚くなっている。このため、第1積層体21と第2積層体22との間隔は、液晶層23が配置される部分よりも外部電極基板35が配置される部分の方が広くなっている。
図11に示すように、柱状スペーサー40及びビーズスペーサー31は、シール材32が設けられる領域にも形成されている。この場合、柱状スペーサー40及びビーズスペーサー31は、シール材32に内包または埋設されて一体化されている。これにより、柱状スペーサー40及びビーズスペーサー31が接着された第2積層体22と、シール材32との密着性を向上させることができる。
また、柱状スペーサー40及びビーズスペーサー31は、外部電極基板35が設けられる領域にも形成されている。この場合、柱状スペーサー40及びビーズスペーサー31は、外部電極基板35を接続する導電フィルム37と一体化されている。これにより、柱状スペーサー40及びビーズスペーサー31が接着された第2積層体22と、外部電極基板35との密着性を向上させることができる。
(調光セルの製造方法)
次に、本実施の形態による調光セル20の製造方法について、図12(a)-(d)、図13(a)-(c)及び図14(a)-(e)を用いて説明する。図12(a)-(d)、図13(a)-(c)及び図14(a)-(e)は、本実施の形態による調光セル20の製造方法を示す断面図である。
まず、図12(a)に示すように、ロール状に供給された第2基材27を準備する。続いて、図12(b)に示すように、スパッタリング装置を使用したスパッタリング等によって、第2基材27上に例えばITOからなる第2透明電極28を形成する。このとき、透明電極を所定のパターン形状となるようにパターンニングしてもよい。
次に、図12(c)に示すように、第2透明電極28を形成した第2基材27上に第2配向層29に係る塗工液を塗工した後、露光し、第2配向層29を作製する。このようにして、第2基材27と、第2透明電極28と、第2配向層29とが積層された第2積層体22が準備される。
なお、図12(a)-(c)に示す工程と同様にして、第1基材24と、第1透明電極25と、第1配向層26とが積層された第1積層体21も準備する。
続いて、図12(d)に示すように、第2積層体22の第2配向層29上に、ビーズスペーサー31を配置する。このビーズスペーサー31の配置は、湿式/乾式散布に加え、種々の配置方法を広く適用することができる。例えば、ビーズスペーサー31を樹脂成分と共に溶剤に分散して製造した塗工液を部分的に塗工した後、乾燥、焼成の処理を順次実行することにより、第2配向層29上にランダムにビーズスペーサー31を配置して移動困難に保持しても良い。なお、図示していないが、このビーズスペーサー31の外周が第2配向層29で覆われるようにしても良い。具体的には、第2配向層29に係る塗工液にビーズスペーサー31を混合させて第2配向層29を形成することにより、ビーズスペーサー31が第2配向層29に薄く覆われて保持される形態にすることができる。
次に、第2積層体22上に柱状スペーサー40を形成する。
この間、まず図13(a)に示すように、第2積層体22上に柱状スペーサー40を形成するための印刷層40Aを印刷により形成する。この印刷層40Aは、各柱状スペーサー40に対応する位置にそれぞれドット状に配置され、第2積層体22の第2配向層29上に接着される。なお、印刷層40Aの厚みは、柱状スペーサー40の厚みよりも若干厚く形成される。印刷層40Aを形成する方法は問わないが、例えば円筒状の版46を用いてロータリースクリーン印刷法により印刷層40Aを形成しても良い。印刷層40Aは、エポキシ樹脂、アクリル樹脂等の熱硬化性樹脂や紫外線硬化性樹脂等から構成される。このようにして形成された印刷層40Aは、その頂部が表面張力により丸みを帯びており、頂部の周縁部の角部は曲率を有している。
次に、図13(b)に示すように、円筒状のローラ47を準備する。次いで、図13(c)に示すように、このローラ47を用いて未硬化の印刷層40Aの頂部を押しつぶして平坦化する。この押しつぶす作業と同時に、押しつぶされた印刷層40Aを熱又は紫外線によって硬化する。ローラ47によって押しつぶされることにより、印刷層40Aの頂部に平坦な天面41が形成される。
なお、上記においては、柱状スペーサー40を作製する方法はこれに限られるものではない。例えば、予め頂部が平坦な印刷層40Aを転写ローラ上に配置しておき、この印刷層40Aを転写ローラから第2積層体22に転写し、その後、印刷層40Aを熱又は紫外線によって硬化することにより、柱状スペーサー40を形成しても良い。あるいは、第2積層体22に印刷層40Aを形成し、これを硬化した後、印刷層40Aの頂部を研磨することにより平坦化しても良い。あるいは、第2積層体22に印刷層40Aを形成した後、図示しないセパレータによって印刷層40Aの頂部を押しつぶして平坦化し、これを硬化した後、セパレータを剥離除去しても良い。
このようにして、図14(a)に示すように、平坦な天面41を有し、天面41と側面42の間の角が曲率を有さない柱状スペーサー40が得られる。
次に、図14(b)に示すように、第2積層体22の第2配向層29上にディスペンサを使用してシール材32を塗布する。このシール材32は、液晶層23を作製する部位を取り囲むように枠形状に塗布される。
次いで、図14(c)(d)に示すように、第2積層体22と第1積層体21とを互いに積層し、複数の柱状スペーサー40間に液晶層23を配置する。この場合、まず図14(c)に示すように、シール材32によって囲まれた領域に液晶層23を構成する液晶を滴下する。このとき、液晶層23は、シール材32の内側であって、柱状スペーサー40及びビーズスペーサー31の周囲に充填される。
続いて、図14(d)に示すように、液晶層23を配置した第2積層体22と、予め準備した第1積層体21とを互いに積層して押圧する。その後、紫外線を照射することによりシール材32を半硬化させた後、加熱し、これにより第1積層体21と第2積層体22とを一体化する。なお、このとき柱状スペーサー40は、第1積層体21と接着されることはなく、第1積層体21に接触した状態を維持する。その後、このようにして作製された第1積層体21と第2積層体22との積層体をトリミングすることにより所望の大きさに切断する。
なお、上述したように、液晶層23を配置した後、第2積層体22と第1積層体21とを互いに積層することが好ましいが、これに限らず、第2積層体22と第1積層体21とを互いに積層した後、液晶層23を配置するようにしても良い。
次いで、図14(e)に示すように、第1積層体21と第2積層体22との間に外部電極基板35を取り付けることにより、本実施の形態による調光セル20が得られる。
(調光装置の製造方法)
次に、本実施の形態による調光装置10の製造方法(合わせガラス加工方法)について、図15(a)-(c)を用いて説明する。図15(a)-(c)は、調光装置10の製造方法を示す断面図である。
まず、図15(a)に示すように、第1ガラス板11及び第2ガラス板12を準備するとともに、第1ガラス板11及び第2ガラス板12によって第1中間膜13と調光セル20と第2中間膜14とを挟み、積層体10Aを作製する。ここで、第1ガラス板11及び第2ガラス板12は、予め、表面形状が3次元形状である曲面形状が賦形されている。
次に、図15(b)に示すように、積層体10Aをバッグ51に封入する。バッグ51は、可撓性及び気密性を有するゴム製やシリコン製が好適である。また、このバッグ51には、通気管52が接続されており、この通気管52を介して不図示のポンプによりバッグ51内の空気を吸引する。これにより、積層体10Aの各部材間に残る空気を吸引し、調光装置10の内部に気泡等が残ることによる圧着不良を抑制できる。本実施の形態では、バッグ51内及び積層体10Aの内部が真空状態となるように吸引し、積層体10Aに対して差圧により大気圧程度(0.1MPa)の圧力がかかる例を挙げて説明する。しかしながら、これに限らず、例えば、不図示のポンプの吸引力を調整し、バッグ51内が完全に真空ではないが、積層体10Aの各部材間の空気が十分に吸引され、積層体10Aに対して、差圧により大気圧よりも小さい圧力がかかる状態としてもよい。
続いて、図15(c)に示すように、バッグ51に積層体10Aを封入した後、バッグ51ごと加熱・加圧装置53内へ配置する。続いて、所定の温度及び時間で、バッグ51ごと積層体10Aを加熱する。本実施の形態においては、第1中間膜13及び第2中間膜14の軟化温度以上の温度で所定の時間、積層体10Aを加熱する。このとき、通気管52を介して不図示のポンプによりバッグ51内の空気を吸引することが好ましい。加熱・加圧装置53として使用する装置は、積層体10Aに対して十分に加熱や加圧が行えるのであれば特に限定しないが、例えば、オーブンやオートクレーブ用の装置等が挙げられる。この加熱により、第1中間膜13及び第2中間膜14が溶融し、積層体10Aの第1ガラス板11、第1中間膜13、調光セル20、第2中間膜14及び第2ガラス板12が圧着されて一体に接合され、調光装置10が得られる。
その後、第1中間膜13及び第2中間膜14の軟化温度以上で、積層体10A(調光装置10)を所定の時間、加熱する均し工程を行う。この均し工程を行うことにより、所定の値よりも小さくなっていたセルギャップが本来の値に戻り、液晶溜り等の液晶の偏在が解消され、セルギャップ(液晶層23の厚み)が均一となる。この均し工程は、積層体10Aの各部材を接合した後、積層体10A(調光装置10)を一旦冷却してから行ってもよいし、積層体10Aの接合から連続して、継続的に行ってもよい。また、バッグ51内の空気の吸引を行う必要がない場合等には、バッグ51から積層体10A(調光装置10)を取り出して均し工程を行ってもよい。
ところで、このようにして調光装置10を製造する合わせガラス加工の際、積層体10Aの各部材には圧力が加わる。この際、スペーサー(柱状スペーサー40及びビーズスペーサー31)が位置する部分では、本来のセルギャップ(液晶層23の厚み)を維持しているが、柱状スペーサー40及びビーズスペーサー31から離れると、本来のセルギャップの値よりも小さくなる。そして、このようなセルギャップにムラが生じると、調光装置10に外観不良が生じたり、調光機能が不均一化になったりする等、その品質が低下するおそれがある。
とりわけ、仮にスペーサーの上面が曲率を有していると、積層体10Aに加わる圧力が均一に分散できず、液晶の偏りによってセルギャップにムラが生じやすい。例えば、比較例として、ビーズスペーサー101のみを用いる場合(図16(a))や、フォトレジストによって作製されたフォトレジストスペーサー102を用いる場合(図16(b))、スペーサーの上面が曲率を有している。このため、積層体10Aに加わる圧力によって、積層体10Aの各部材がスペーサーの上面に沿って湾曲し、スペーサーの存在する箇所と存在しない箇所とでセルギャップが均一化しないおそれがある。
これに対して本実施の形態によれば、柱状スペーサー40の天面41を平坦化し、天面41と側面42の間の角が曲率を有さないようになっている。これにより、合わせガラス加工時に積層体10Aに加わる圧力によって、第1積層体21が柱状スペーサー40の天面41に沿って湾曲することが抑えられる。この結果、柱状スペーサー40の存在する箇所と柱状スペーサー40の存在しない箇所とで、セルギャップを均一化することができる(図16(c))。また、柱状スペーサー40の天面41が第1積層体21と同じ平面を形成するため、合わせガラス加工時の圧力を天面41の全体に均一に分散することができる。これにより、調光セル20に液晶だまり(局所的に液晶が多く存在する現象)が生じることが抑えられ、優れた調光特性をもつ調光装置10を作製することができる。また、柱状スペーサー40の天面41が平坦なので、柱状スペーサー40を調光装置10の外部から視認され難くすることができる。
また、本実施の形態によれば、柱状スペーサー40が、第2積層体22にのみに接着している。これにより、調光装置10の表面形状が曲面形状を有する場合でも、調光セル20の強度を保ちながら、調光セル20がその曲面形状に追従しやすくすることができる。
また、本実施の形態によれば、柱状スペーサー40の側面42は、第2積層体22側に向けて水平断面が徐々に広くなる裾部42cを有する。これにより柱状スペーサー40と第2積層体22との密着性を向上させることができる。特に、調光装置10が曲面合わせガラスであり、調光セル20をその曲面形状に追従させた場合でも、柱状スペーサー40が第2積層体22から分離しない。また、液晶層23の液晶が裾部42cに沿って流動するので、液晶が部分的にたまり難い。
また、本実施の形態によれば、第1積層体21と第2積層体22との間に、複数のビーズスペーサー31が配置されている。一般に、柱状スペーサー40の方がビーズスペーサー31よりも平面視の大きさが大きく、視認され易いので、ビーズスペーサー31を混在させてスペーサーの機能を一部担わせることで、柱状スペーサー40の数を減らし、柱状スペーサー40を視認され難くすることができる。
また、本実施の形態によれば、一部のビーズスペーサー31と一部の柱状スペーサー40とが互いに接触又は一体化されている。これにより柱状スペーサー40と第2積層体22との密着性を向上させることができる。特に、調光装置10が曲面合わせガラスであり、調光セル20をその曲面形状に追従させた場合でも、柱状スペーサー40が第2積層体22から分離しないようにすることができる。また、上述したように、第2配向層29に係る塗工液にビーズスペーサー31を混合させて第2配向層29を形成した場合、ビーズスペーサー31が第2配向層29に薄く覆われて、保持される形態にすることができる。この場合、特に、第2配向層29で覆われたビーズスペーサー31と柱状スペーサー40とが互いに接触又は一体化されていることにより、柱状スペーサー40と第2積層体22の密着性を更に向上させることができる。
また、本実施の形態によれば、柱状スペーサー40は、外部電極基板35が設けられる領域にも形成されている。これにより、柱状スペーサー40が接着された第2積層体22と、外部電極基板35との密着性を向上させることができる。
また、本実施の形態によれば、柱状スペーサー40は、シール材32が設けられる領域にも形成されている。これにより、柱状スペーサー40が接着された第2積層体22と、シール材32との密着性を向上させることができる。
また、本実施の形態によれば、柱状スペーサー40の天面41と側面42との間の角θ1は、75°以上105°以下である。これにより、第1積層体21が柱状スペーサー40の天面41に沿って湾曲することが抑制される。このため、柱状スペーサー40の存在する箇所と柱状スペーサー40の存在しない箇所とで、セルギャップを均一化することができる。
上記各実施の形態及び変形例に開示されている複数の構成要素を必要に応じて適宜組合せることも可能である。あるいは、上記各実施の形態及び変形例に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。