JP3251690B2 - 液晶表示素子 - Google Patents

液晶表示素子

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JP3251690B2
JP3251690B2 JP04286893A JP4286893A JP3251690B2 JP 3251690 B2 JP3251690 B2 JP 3251690B2 JP 04286893 A JP04286893 A JP 04286893A JP 4286893 A JP4286893 A JP 4286893A JP 3251690 B2 JP3251690 B2 JP 3251690B2
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一之 春原
裕子 岐津
武史 宮城
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は液晶表示素子に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に液晶表示素子は、一定距離を隔て
て対向された一対の基板と、それぞれの前記基板の互い
に対向する表面を被覆する配向膜と、基板間の距離(ギ
ャップ)を一定に保つためのスペーサと、基板間に配向
膜を介して封入された液晶とを具備した構造をとってい
る。
【0003】液晶表示素子において、基板間距離はその
表示特性に重大な影響を及ぼす。素子全面にわたってセ
ルギャップが均一でないと、色むら、表示むら、干渉縞
など表示品位の劣化の原因となる。近年、液晶表示パネ
ルの高精細化、大容量表示化にともない、従来より大き
な面積で高精度に基板間距離を保つことが必要になって
きた。この様な問題を解決するものとして特開昭61−
267736号に示される液晶素子がある。図19は、
従来の液晶表示素子の断面図である。
【0004】表面に画素電極、配線等をマトリックス状
に形成した基板11上に柱状に形成したスペーサ12
と、このスペーサ上に対向基板41が配置されている。
42は配向膜、43は基板11と基板41の間に充填さ
れた液晶である。
【0005】一般に、スペーサの周囲の液晶はスペーサ
表面の影響を受けるので、スペーサの周囲には配向の乱
れた領域44が生じる。特に液晶の配向を規制している
上下基板の配向膜42からもっとも離れたセル中央部に
おいて配向の乱れは最大となり大きく広がる。この配向
の乱れた液晶は光を旋光させることができないため、電
圧のON、OFFによって光をON、OFFすることが
できないという問題がある。従って、電圧無印加時にお
いて、スペーサ12が存在する部分、及びスペーサ周囲
の配向の乱れた領域44では、入射光は旋光されない。
このためノーマリーホワイトのモードでは、白レベルの
表示をするとスペーサ12及びその周辺部の配向の乱れ
た領域44が黒い点となり、表示品位の低下の要因とな
る。同様に、ノーマリーブラックのモードでは、黒レベ
ルの表示をするとスペーサ12及びその周辺部の配向が
乱れた領域44が白い点(光抜け)となり、表示品位の
低下の要因となる。
【0006】従来の液晶表示素子においては、この配向
の乱れは柱状スペーサの周辺部特にその中央部で大きく
広がってしまうので画面上で確認される黒い点或いは白
い点(光抜け)の面積はスペーサ12の面積よりもはる
かに大きくなり人間の目にも十分認識されるものとなっ
てしまう。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上述したように従来の
液晶表示素子では、スペーサ周辺部の配向の乱れた部分
及びスペーサの部分によるノーマリーホワイトのモード
での黒い点或いはノーマリーブラックのモードでの白い
点(光抜け)が大きくなってしまうという欠点があっ
た。そこで、本発明は、黒い点或いは白い点(光抜け)
の面積を十分小さくし素子の表示品位の向上を目的とす
る。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明は、対向する第1及び第2の基板と、この第
1及び第2の基板間に挟持された液晶と、前記第1或は
第2の基板の少なくとも一方に形成され前記液晶を配向
するための配向手段と、前記第1及び第2の基板間に配
置され、前記液晶の厚さを一定に保つ柱状で前記第1及
び第2の基板に接している端の幅よりも前記端と端の間
の部分の幅が狭い部材とを具備することを特徴とする液
晶表示素子を提供するものである。
【0009】また、第2の発明は、対向する第1及び第
2の基板と、この第1及び第2の基板間に挟持された液
晶と、前記第1及び第2の基板間に配置され、前記液晶
の厚さを一定に保つ柱状で、前記第1あるいは第2の基
板の少なくとも一方と接している部分の形状が凹型をし
ている部材とを具備することを特徴とする液晶表示素子
を提供するものである。
【0010】また、柱状部材としての柱状スペ−サの材
料としては、クロムなどの金属、SiO 2 などの無機材
料、ポリイミドなどの有機材料から選ばれる少なくとも
1つの材料を用いることができる。なかでも感光性樹脂
を用いると最も簡単な工程で柱状スペ−サを形成するこ
とができる。柱状スペーサの形状は以下に示す条件に適
合することが望ましい。
【0011】図4に示すように、柱状スペーサの断面に
おいて、上部または下部の幅をL1、中央部の幅をL2
とする。L2の大きさは基板間のギャップが必要とする
精度で均一に保つことができる強度があればいくら小さ
くても問題はない。
【0012】また、L2/L1≦0.95であれば、光
抜けを低減する効果が認められる。さらに、顕著な効果
を得るためには、L2/L1≦0.8であることが好ま
しい。また、本発明では柱状スペーサの中央部の幅を狭
くしているため、スペーサの強度が低下することが予想
される。しかし、柱状スペーサの材料として感光性ポリ
イミドを用いる場合、L2を3 〜200 μmとし、L2/
L1>0.4とすれば、L2=L1(中央部の幅を狭く
していない柱状スペーサ)のものと比較して、基板に加
重をかけた際のスペーサの強度やギャップ制御能に差は
認められなかった。
【0013】
【作用】本発明によれば、柱状のスペーサの端と端の間
の部分例えば中央部をその上下の端よりも凹ませること
により、柱状スペーサ周辺部の液晶の配向の乱れた部
分、特にセル中央部に存在する液晶配向の乱れが最も広
がった領域をこの柱状スペーサの端と端の間の凹んだ部
分に入れることができるので配向の乱れた部分の広がり
を抑えることができる。このことにより、液晶の配向の
乱れによるノーマリーホワイトのモードでの黒い点或い
はノーマリーブラックのモードでの白い点(光抜け)の
面積を十分小さくし素子の表示品位の向上を図ることが
できる。
【0014】また本発明によれば、柱状のスペーサの基
板と接している部分の形状を凹型とすることにより、こ
の凹んだ部分に入っている液晶が光を散乱させる。この
ことにより、ノーマリーブラックモードにおいてスペー
サ部の光抜けの程度(白い点の輝度)を十分小さくし、
素子の表示品位の向上を図ることができる。
【0015】
【実施例】図1〜図4を参照して本発明の第1の実施例
を説明する。
【0016】TFT及び画素電極をマトリックス状に形
成した第1の基板11上に感光性ポリイミドを2000rpm
でスピンコートし、ホットプレートを用いて110 ℃、15
分間プリベークした。
【0017】こうして形成されたポリイミド膜に露光用
マスクを介して柱状スペ−サのパタ−ンを露光した後、
現像処理を行った。露光条件は、極大波長365nm の平行
光で380mJ/cm2 とした。現像条件は、以下の通りであ
る。窒素ガス1.5kg/cm2 の加圧下、流量9ml/min で現像
液を感光性ポリイミド膜に噴霧した(スプレー現像)。
現像時間は、現像液で240 秒、現像液とリンス液の混合
物で10秒、リンス液で10秒とし、さらに窒素ガスを用い
てスピンドライで20秒間乾燥した。このようにして、基
板11上にポリイミドの円柱12を設けた(図1)。次
にこの基板11上にレジストを塗布し、通常のフォトリ
ソグラフィ工程によって円柱12上にレジスト21を残
した(図2)。この工程で使用するフォトマスクは、図
1の工程で用いたマスクと同じものを使用することがで
きる。
【0018】次にこれを60℃のヒドラジン溶液に1 分間
浸透させると円柱の側面よりポリイミドが溶解し、中央
部の幅がその上下端に比べて狭くなる。これを排気型オ
ーブンの中に入れ250 ℃で1 時間キュアして残留してい
る溶媒を揮発させ、中央部がその上下端に比べて狭くな
った柱状スペーサ12−1を形成した(図3)。柱状ス
ペーサ12−1の形状は、高さが5.0 μm で、上端及び
下端の直径が15μm、中央部の幅が最も狭い部分の直径
が11μmのつづみ型をしていた。
【0019】柱状スペーサ12を有する基板表面に配向
膜42として熱硬化性ポリイミドの5 %溶液をロールコ
ーターにより塗布した後、200 ℃で1 時間加熱した。布
を装着したローラーで得られたポリイミド膜表面を擦
り、ラビング配向処理を行った。また、透明電極、カラ
ーフィルタおよびブラックマトリックスを形成した第2
の基板41に配向膜42を塗布し配向処理を行った後、
基板周辺にシール材(図示せず)を印刷した。第1の基
板11と第2の基板41を組み合せ、加圧状態で加熱し
てシール材を硬化させセルをつくり、液晶43を注入し
て対角4 インチの液晶表示素子に組み立てた(図4)。
この液晶表示素子において、シール剤は常温硬化2液性
エポキシ樹脂を、液晶はネマティック液晶組成物を用い
た。
【0020】この実施例によれば、対角4インチの液晶
表示素子でギャップが全面にわたって±0.1μmとい
う高精度で得られた。また、従来の方法で形成された直
径15μmの円柱状のスペーサは、円柱の周囲に直径2
4μmの配向の乱れた領域がみられた。ノーマリーブラ
ックで表示した場合、この配向の乱れた領域が光抜けを
起こし、スペーサの部分に直径24μmの白い点がで
き、表示品位が低下した。このときのコントラストは5
0:1であった。これに対し、本実施例では、直径15
μmの円柱を形成した後、中央部を上下端の幅よりも狭
くした柱状スペーサを形成した。このことにより、柱状
スペーサ中央部の液晶の配向の乱れた領域は、柱状スペ
ーサの凹んだ部分に取り込まれることになる。このよう
な液晶セルを持つ液晶表示素子を作成しノーマリーブラ
ックで表示した場合、配向の乱れによる光抜けの領域は
直径b=15μmとなり、柱周辺部の光抜けを大幅に低
減することができた。この結果、コンストラストが改善
され100:1になり、極めて良好な表示画像が得られ
た。
【0021】本実施例のように柱状スペーサの材料に感
光性樹脂を用いる場合、柱状スペ−サは1mm 2 あたり0.
05個〜700 個の割合で配置されることが好ましい。形状
については、基板に対して垂直な断面は本発明の特徴と
して中央部の幅をその上下の端に比べて狭くしたが、基
板に対して平行な断面は円やだ円が好ましく、正方形、
長方形、三角形などの多角形でもよい。
【0022】本発明による柱状スペ−サの形成に使用さ
れる感光性樹脂には多種にわたるポジ型またはネガ型の
感光性樹脂が使用され得る。例えば、ポリイミド、ポリ
アミド、ポリビニルアルコ−ル、ポリアクリルアミド、
環化ゴム、ノボラック樹脂、ポリエステル、ポリウレタ
ン、アクリレ−ト樹脂、ビスフェノ−ル樹脂またはゼラ
チンを感光性樹脂化したものから選択される少なくとも
一種の樹脂を使用することができる。ポジ型の感光性樹
脂が使用された場合、その露光部が分解され、現像処理
によって選択的に除去される。一方、ネガ型の感光性樹
脂が使用された場合、その露光部は架橋反応または重合
反応が誘起されて固化し、現像処理によって選択的に残
存する。
【0023】一般的には、前記感光性樹脂として感光性
ポリイミドが好ましい。この感光性ポリイミドとしては
特に限定されず、アクリル基またはメタクリル基等のラ
ジカル重合性二重結合を含まない感光性ポリイミドが挙
げられる。さらに、前記感光性ポリイミドは、下記[化
1]に示す一般式(I)の反復単位を有するポリマーで
あることが好ましい。
【0024】
【化1】 (但し、R1 はアルキル基、R2 は有機残基一般、nは
正の整数をそれぞれ示す。)
【0025】多くの感光性ポリイミドはイミド化反応を
完成するのに300 〜400 ℃に加熱する必要があるのに対
し、上記構造を有する感光性ポリイミドは既にイミド化
された可溶性タイプのポリイミドであるため、300 〜40
0 ℃といった高温まで加熱する必要がない。したがっ
て、上記構造を有する感光性ポリイミドを用いて柱状ス
ペ−サを形成すれば、TFTアレイやカラーフィルタの
ような比較的熱に弱い部材を損なうことはない。また、
硬化させる際に不要な反応生成物を発生することがない
ため、熱硬化の前後で柱状スペ−サの形状や大きさがほ
とんど変化することがなく、この点でも上記構造を有す
る感光性ポリイミドは好ましい。次に本発明の第2の実
施例を説明する。以下の実施例では同一部分は同一符号
を付してその詳しい説明を省略する。
【0026】柱状スペ−サの形成法を除いては、実施例
1と同じ方法により液晶セルを作製した。柱状スペ−サ
は以下の方法により形成した。本実施例においては、ノ
ーマリーブラックの表示の際柱状スペーサが目だたない
ように柱状スペーサを褐色に形成することに目的があ
る。第1の実施例で示したスペーサと外観が同じなので
図1〜図4を参照し、以下に説明する。
【0027】TFTと画素電極をマトリックス状に形成
した第1の基板11上に感光性ポリイミド「パイライ
ン」(商品名:デュポン製)を3000rpm でスピンコ−ト
し、ホットプレートを用いて75℃、25分間プリベ−クし
た。
【0028】こうして形成された感光性ポリイミド膜に
露光用マスクを介して柱状スペ−サのパタ−ンを露光し
た後、現像処理を行った。露光条件は、極大波長405nm
の平行光で200mJ/cm2 とした。現像はスプレー現像で行
い、現像時間は、現像液で15秒、オーバーラップ4 秒、
リンス液で16秒とし、さらに窒素ガスを用いてスピンド
ライで20秒間乾燥した。これを排気型オーブンの中に入
れた。オーブンの温度を室温から400 ℃まで2時間で直
線的に上昇させ、さらに400 ℃で30分間保ちイミド化を
行い、ポリイミドの円柱を形成した(図1)。
【0029】次に、この上にレジストを塗布し、通常の
フォトリソグラフィ工程で円柱12上にレジスト21を
残した(図2)。この工程で使用するフォトマスクは、
図1の工程で用いたマスクと同じものを使用することが
できる。これをヒドラジン溶液に3 分間浸透させると円
柱の側面よりポリイミドが溶解し、中央部の幅がその上
下の端に比べて狭くなる。これを排気型オーブンの中に
入れ200 ℃で1 時間キュアして残留している溶媒を揮発
させ、中央部が凹んだ柱状スペーサ12−1を形成し
た。このときの柱状スペーサ12の形状は、高さが5.2
μm で、上端及び下端の直径(L1)が15μm、中央部の幅
が最も狭い部分の直径(L2)が11μmのつづみ型をしてい
た。また、その色は褐色であった。
【0030】本実施例で用いたようなポリアミック酸溶
液を塗布し露光・現像した後、300〜400 ℃に加熱して
イミド化させるタイプの感光性ポリイミドを用いると、
加熱後ポリイミドは褐色となり、ノーマリーブラックで
セルを作製した場合には、スペーサ部分の光抜け防止に
有効である。
【0031】この様な柱状スペーサを用いた対角4イン
チの液晶表示素子によれば、ギャップが全面にわたって
±0.2μmという高精度で得られた。また、柱状スペ
ーサの光抜けは直径が15.2μmとなり、ほぼ柱と同
じ大きさになった。つまり本実施例によると、柱状スペ
ーサ周辺の配向の乱れた領域を中央の凹んだ部分にほと
んどすべて取り込むことができ、従来の柱状スペーサで
問題となる柱周辺の配向の乱れた領域の広がりをほとん
ど無くすことができた。従って、柱部分の光抜けを最小
限にでき、スペーサを褐色にしたことと併せて、コント
ラストは150:1になり極めて良好な表示画像が得ら
れた。次に本発明の第3の実施例を図5、図6を用いて
説明する。柱状スペ-サの形成法を除いては、実施例1
と同じ方法により液晶セルを作製した。柱状スペ-サは
以下の方法により形成した。
【0032】TFTと画素電極をマトリックス状に形成
した第1の基板11上に感光性ポリイミドを2000rpm で
スピンコ−トし、ホットプレートを用いて60℃、15分間
プリベ−クした。
【0033】こうして形成された感光性ポリイミド膜に
露光用マスクを介して柱状スペ−サのパタ−ンを露光し
た後、現像処理を行った。露光条件は、極大波長365nm
の平行光で100mJ/cm2 とした。現像はスプレー現像で行
った。さらに窒素ガスを用いてスピンドライで20秒間乾
燥した。これを排気型オーブンの中に入れた。オーブン
の温度を室温から400 ℃まで2時間で直線的に上昇さ
せ、さらに400 ℃で30分間保ちイミド化を行い、柱状ス
ペーサ12−2を形成した(図5)。
【0034】本実施例で使用しているような、ポリアミ
ック酸溶液を塗布し露光及び現像後、300 〜400 ℃に加
熱してイミド化させるタイプの感光性ポリイミドは、多
くの場合、365nm 付近に最大の吸収をもつ。本実施例の
ように365nm の光で露光すると膜表面で吸収される光が
多く、膜の下部まで到達する光が少ないので、膜の下部
は光硬化反応が進行しにくい。このため、現像を行うと
図5のような形状の柱状スペーサ12−2となった。
【0035】柱状スペーサ12−2の形状は、高さが5.
0 μm で、上端の直径(L1)が15μm、幅が最も狭い部分
の直径(L2)が12μmであった。また、第1の基板からの
距離(L3)は2 μmであった。
【0036】これを実施例1と同様にして対角4 インチ
の液晶表示素子に組み立てた(図6)。この実施例によ
れば、対角4 インチの液晶表示素子でギャップが前面に
わたって±0.2 μmという高精度で得られた。また、柱
状スペーサの周辺部の光抜けの部分は、直径17μmであ
った。コントラストは80:1となり良好な表示画像が
得られた。
【0037】この様に幅が最も狭い部分が中心になくて
もその効果は発揮される。本発明者の実験の結果セルギ
ャップが5μmの場合(L3)が1 μm以上4μm以下であ
れば十分に効果が現れる。次に本発明の第4の実施例を
図7、図8を用いて説明する。柱状スペ−サの形成法を
除いては、実施例1と同じ方法により液晶セルを作製し
た。柱状スペ−サは以下の方法により形成した。
【0038】TFTと画素電極をマトリックス状に形成
した第1の基板11上に感光性ポリイミドを3000rpm で
スピンコ−トし、ホットプレートを用いて75℃、25分間
プリベ−クした。
【0039】こうして形成された光硬化性ポリイミド膜
に露光用マスクを介して柱状スペ−サのパタ−ンを露光
した後、現像処理を行った。露光条件は、極大波長365n
m の平行光で100mJ/cm2 とした。現像は、スプレー現像
で行い、現像時間は、現像液で15秒、オーバーラップ4
秒、リンス液で16秒とし、さらに窒素ガスを用いてスピ
ンドライで20秒間乾燥した。
【0040】これを排気型オーブンの中に入れた。室温
から400 ℃まで20分間で急速に加熱し、400 ℃に30分間
保つと円柱がその中心に向かって収縮して図7のような
上部と側面が凹の形状になった。この柱状スペーサ12
−3は、高さが5.2 μm で、下端の直径(L1)が15μm、
中央部の幅が最も狭い部分の直径(L2)が12μmであっ
た。
【0041】これを実施例1と同様にして対角4インチ
の液晶表示素子に組み立てた(図8)。基板間のギャッ
プは全面にわたって±0.2μmという高精度で保たれ
ていた。また、柱状スペーサ周辺部の光抜けの部分は、
直径が17μmであった。コントラストは80:1とな
り、良好な表示画像が得られた。
【0042】本実施例は急速に加熱すると樹脂が中心に
向かって収縮する性質を利用して柱状スペーサの中央部
の幅を上下端の幅よりも狭くした。こうすることによっ
てフォトレジストのマスク合わせ、エッチング工程がな
くコストの面で有利である。次に、本発明の第5の実施
例を図9、図10を用いて説明する。本実施例では柱状
スペ−サの形状を変更し、実施例1に記したものと同様
にして柱状スペ−サの形成、並びに液晶セルの作製を行
った。対向する第1の基板11及び第2の基板41のそ
れぞれに台形状の柱状スペーサ12−4を形成する(図
9)。
【0043】次に、上下基板の柱状スペーサが一致する
ように2枚の基板を組み合わせ、実施例1と同様にして
液晶表示素子を作製した(図10)。この場合、中央部
の幅が最も狭くなっている部分の長さを実施例1で述べ
たL2とする。このようにして作製した液晶表示素子で
は、柱状スペーサの周辺部の光抜けを低減することがで
き、良好な表示画像が得られた。次に本発明の第6の実
施例を図11、図12を用いて説明する。本実施例では
柱状スペ−サの形状を実施例1と変更した点以外は、実
施例1に記したものと同様にして柱状スペ−サの形成、
並びに液晶セルの作製を行った。
【0044】対向する第1の基板11及び第2の基板4
1のそれぞれに柱状スペーサの幅が階段状に変化し、中
央部の幅が最も狭くなるようにした柱状スペーサを実施
例1と同様にして形成する(図11)。
【0045】次に、上下基板の柱状スペーサ12−5が
一致するように2枚の基板を組み合わせ、実施例1と同
様にして液晶表示素子を作製した(図12)。この場
合、中央部の幅を最も狭くした部分の長さを実施例1で
述べたL2とする。このようにして作製したセルでは、
柱状スペーサの周辺部の光抜けを低減することができ、
良好な表示画像が得られた。図13〜図16を参照して
本発明の第7の実施例を説明する。柱状スペ−サの形成
法を除いては、実施例1と同じ方法により液晶セルを作
製した。柱状スペ−サは以下の方法により形成した。
【0046】TFT及び画素電極をマトリックス状に形
成した第1の基板11上に感光性ポリイミドを2000rpm
でスピンコ−トし、ホットプレートを用いて110 ℃、15
分間プリベ−クした。
【0047】こうして形成された感光性ポリイミド膜に
露光用マスクを介して柱状スペ−サのパタ−ンを露光し
た後、現像処理を行った。露光条件は、極大波長365nm
の平行光で380mJ/cm2 とした。現像条件は、以下の通り
である。窒素ガス1.5kg/cm2 の加圧下、流量9ml/min で
現像液を感光性ポリイミド膜に噴霧した(スプレー現
像)。現像時間は、現像液で240 秒、現像液とリンス液
の混合物で10秒、リンス液で10秒とし、さらに窒素ガス
を用いてスピンドライで20秒間乾燥した。このようにし
て、基板上にポリイミドの円柱12を設けた(図1
3)。
【0048】次にこの基板11上にレジストを塗布し、
通常のフォトリソグラフィ工程により円柱12上にレジ
スト21を残した(図14)。ここまでの工程は第1の
実施例と同じである。
【0049】次にこれを60℃のヒドラジン溶液に1 分間
浸透させると、レジストがのっていない円柱の上面より
ポリイミドが溶解し、円柱の上面が凹む。これを排気型
オーブンの中に入れ250 ℃で1 時間キュアして残留して
いる溶媒を揮発させ、上面が凹んだ柱状スペーサ12−
6を形成した(図15)。柱状スペーサの形状12−6
は、高さが5.0 μm 、直径が15μmの円柱で、凹んだ部
分は直径が10μm 、深さが2 μm であった。
【0050】柱状スペーサ12−6を有する基板表面に
配向膜42として熱硬化性ポリイミドの5 %溶液をロー
ルコーターにより塗布した後、200 ℃で1 時間加熱し
た。布を装着したローラーで得られたポリイミド膜表面
を擦り、ラビング配向処理を行った。また、透明電極、
カラーフィルタおよびブラックマトリックスを形成した
第2の基板41に配向膜42を塗布し配向処理を行った
後、基板周辺にシール材(図示せず)を印刷した。第1
の基板11と第2の基板41を組み合せ、加圧状態で加
熱してシール材を硬化させセルをつくり、液晶43を注
入して対角4 インチ液晶表示素子に組み立てた(図1
6)。この液晶表示素子において、シール剤は常温硬化
2液性エポキシ樹脂を、液晶はネマティック液晶組成物
を用いた。
【0051】この実施例によれば、対角4インチの液晶
表示素子でギャップが全面にわたって±0.1μmとい
う高精度で得られた。また、柱状スペーサ部の光抜け
(ノーマリーホワイトモードの場合は黒い点)を低減す
ることができ、極めて良好な表示画像が得られた。
【0052】柱状スペ−サの材料としては、クロムなど
の金属、SiO 2 などの無機材料、ポリイミドなどの有機
材料から選ばれる少なくとも1つの材料を用いることが
できる。なかでも感光性樹脂を用いると最も簡単な工程
で柱状スペ−サを形成することができる。
【0053】以上詳述したように本実施例は、基板と接
している部分の形状を凹型とした柱状スペーサを採用す
ることにより、この凹んだ部分に入っている液晶が光を
散乱させるので、液晶表示素子の光抜けの程度を著しく
小さくすることができる。次に図17及び図18を用い
て本発明の第8の実施例を説明する。
【0054】柱状スペ−サの形成法を除いては、実施例
1と同じ方法により液晶セルを作製した。柱状スペ−サ
は以下の方法により形成した。本実施例においては、ヒ
ドラジン等によるポリイミドのエッチングを行わずに、
より簡単な工程で柱状スペーサを形成することに目的が
ある。
【0055】TFTと画素電極をマトリックス状に形成
した第1の基板11上に感光性ポリイミド前駆体を3000
rpm でスピンコ−トし、ホットプレートを用いて75℃、
25分間プリベ−クした。
【0056】こうして形成された光硬化性ポリイミド膜
に露光用マスクを介して柱状スペ−サのパタ−ンを露光
した後、現像処理を行った。露光条件は、極大波長365n
m の平行光で100mJ/cm2 とした。現像は、スプレー現像
で行った。さらに窒素ガスを用いてスピンドライで20秒
間乾燥した。
【0057】これを排気型オーブンの中に入れた。室温
から400 ℃まで20分間で急速に加熱し、400 ℃に30分間
保つと、柱状スペーサがその中心に向かって収縮して図
17のような上部と側面が凹の形状になった。この柱状
スペーサ12−7は、高さが5.2 μm で、下端の直径が
15μm、中央部の幅が最も狭い部分の直径が12μmであ
った。また、凹んでいる部分は、直径が12μm で深さが
1 μm であった。
【0058】これを実施例1と同様にして対角4インチ
の液晶表示素子に組み立てた(図18)。基板間のギャ
ップは全面にわたって±0.2μmという高精度で保た
れていた。また、柱状スペーサ及びその周辺部の光抜け
を低減することができ、更に柱状スペーサの上部の凹ん
でいる部分に液晶が入り込み柱状スペーサ部の光抜け
(ノーマリーホワイトモードの場合は黒い点)を低減す
ることができ、極めて良好な表示画像が得られた。
【0059】以上詳述したように本実施例は、基板と接
している部分の形状を凹型とした柱状スペーサを採用す
ることにより、この凹んだ部分に入っている液晶が光を
散乱させるので、液晶表示素子の光抜けの程度を著しく
小さくすることができる。
【0060】これら実施例は本発明の理解を容易にする
目的で記載されたものであり、本発明を限定するもので
はない。また、アクティブ・マトリックス型の液晶表示
素子、単純マトリックス型液晶表示素子やカラ−液晶投
射型表示装置にも適用することができる。また、実施例
においては、液晶を配向する配向手段としてラビング処
理した配向膜を使用したが、この他に基板にミクロンオ
ーダで加工した溝、或はレーザを用いる方法等他の方法
を用いても良い。その他本発明の主旨を逸脱すること無
く種々変形することが可能である。
【0061】
【発明の効果】以上詳述したように本発明は、端と端の
間の部分の幅が上下の幅よりも狭くしている柱状スペー
サを採用することにより、スペーサによる配向の乱れを
凹んでいる部分に取り込むことができるので、液晶表示
素子の画面上の黒い点、或は光抜けの面積を必要最小限
に抑えることができる。また、スペーサの基板と接して
いる部分を凹ませることにより、この部分の液晶が光を
散乱させスペーサ部での光抜けを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1の実施例に係る液晶表示素子の
製造工程を説明する断面図。
【図2】 本発明の第1の実施例に係る液晶表示素子の
製造工程を説明する断面図。
【図3】 本発明の第1の実施例に係る液晶表示素子の
製造工程を説明する断面図。
【図4】 本発明の第1の実施例に係る液晶表示素子の
断面図。
【図5】 本発明の第3の実施例に係る液晶表示素子の
製造工程を説明する断面図。
【図6】 本発明の第3の実施例に係る液晶表示素子の
断面図。
【図7】 本発明の第4の実施例に係る液晶表示素子の
製造工程を説明する断面図。
【図8】 本発明の第4の実施例に係る液晶表示素子の
断面図。
【図9】 本発明の第5の実施例に係る液晶表示素子の
製造工程を説明する断面図。
【図10】 本発明の第5の実施例に係る液晶表示素子
の断面図。
【図11】 本発明の第6の実施例に係る液晶表示素子
の製造工程を説明する断面図。
【図12】 本発明の第6の実施例に係る液晶表示素子
の製造工程を説明する断面図。
【図13】 本発明の第7の実施例に係る液晶表示素子
の製造工程を説明する断面図。
【図14】 本発明の第7の実施例に係る液晶表示素子
の製造工程を説明する断面図。
【図15】 本発明の第7の実施例に係る液晶表示素子
の製造工程を説明する断面図。
【図16】 本発明の第7の実施例に係る液晶表示素子
の断面図。
【図17】 本発明の第8の実施例に係る液晶表示素子
の製造工程を説明する断面図。
【図18】 本発明の第7の実施例に係る液晶表示素子
の断面図。
【図19】 従来の液晶表示素子の断面図。
【符号の説明】
11…第1の基板 12…柱状スペーサ 21…レジスト 41…第2の基板 42…配向膜 43…液晶 44…配向の乱れた領域
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 宮城 武史 神奈川県川崎市幸区小向東芝町1番地 株式会社東芝 研究開発センター内 (56)参考文献 特開 昭62−8128(JP,A) 特開 平1−152424(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G02F 1/1339 500

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】対向する第1及び第2の基板と、 前記第1及び第2の基板間に挟持された液晶と、 前記第1及び第2の基板上に形成され、前記液晶を配向
    する配向手段と、 前記第1及び第2の基板間に配置され、単一材からなる
    柱状部材を具備し、 前記柱状部材は、前記第1及び第2の基板に接している
    端の幅をL1、前記端及び端との間の部分の幅をL2と
    するとき、0.4< L2/L1≦0.95 であることを特徴とする液晶表示素子。
  2. 【請求項2】前記柱状部材は感光性樹脂からなることを
    特徴とする請求項1記載の液晶表示素子。
  3. 【請求項3】前記柱状部材は、 0.4<L2/L1≦0.8 であることを特徴とする請求項1記載の液晶表示素子。
  4. 【請求項4】前記柱状部材は、第1及び第2の基板上の
    直径が中央部の直径に比べて大きい円錐台を組み合わせ
    たことを特徴とする請求項1記載の液晶表示素子。
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