JP7056419B2 - 合わせガラスの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、合わせガラスの製造方法に関する。
従来、窓等の透光部材と組み合わせて用いられ、外来光の透過を制御する電子ブラインド等に利用可能な調光部材、この調光部材を用いた調光装置が提案されている。これら調光部材の一つとして、液晶層を備えたフィルム状の液晶セルが知られている(例えば、特許文献1、2参照)。また、上述した液晶セルを一対のガラス間に挟み込んで合わせガラスを製造することが提案されている(例えば、特許文献3参照)。
特許第6057012号公報 特許第6120196号公報 特許第6213653号公報
液晶セルを一対のガラス間に挟み込んで合わせガラスを製造する手法として、中間膜を一対のガラス間に挟み込んで合わせガラスを製造する従来の合わせガラスと同様の手法を用いることが考えられる。例えば、液晶セルと中間膜とを一対のガラス板で挟み込んで加熱及び加圧する手法である。しかし、このような従来の合わせガラスと同様の手法では、液晶セルを挟み込んだ合わせガラスを良好に製造できない場合があった。
例えば、液晶セルと中間膜とを一対のガラス板で挟み込んで加熱及び加圧した際に、液晶セル内において液晶が局所的に多く集まる現象(以下、「液晶溜まり」ともいう)が挙げられる。液晶セルに液晶溜まりが生じると、外観不良となるだけでなく、調光性能も低下する。そのため、液晶セルを挟み込んだ合わせガラスにおいては、液晶溜まりの発生を抑制することが望まれていた。
本発明の課題は、液晶溜まりの発生を抑制できる合わせガラスの製造方法を提供することである。
本発明は、以下のような解決手段により前記課題を解決する。なお、理解を容易にするために、本発明の実施形態に対応する符号を付して説明するが、これに限定されない。また、符号を付して説明した構成は、適宜に改良してもよく、少なくとも一部を他の構成物に代替してもよい。
第1の発明は、第1ガラス板(10)の上に第1中間膜(31)を積層する工程と、前記第1中間膜の上に液晶セル(40)を積層する工程と、前記液晶セルよりも厚みが大きく、前記液晶セルの外周を囲む形状の第3中間膜(33)を前記第1中間膜の上に積層する工程と、前記液晶セル及び前記第3中間膜の上に第2中間膜(32)を積層する工程と、前記第2中間膜の上に第2ガラス板(20)を積層する工程と、前記第1ガラス板、前記第1中間膜、前記液晶セル、前記第3中間膜、前記第2中間膜及び前記第2ガラス板からなる積層体(50)を一体に接合する接合工程と、を備え、前記第1中間膜、前記第3中間膜及び前記第2中間膜のうちの少なくとも一つは、前記積層体を積層方向から見た平面視において、前記液晶セルの外周を囲む外周領域に体積調節部を有する合わせガラスの製造方法に関する。
第2の発明は、第1の発明の合わせガラスの製造方法において、前記体積調節部は、穴、貫通穴(35)又はこれらの組合せである合わせガラスの製造方法に関する。
第3の発明は、第1の発明の合わせガラスの製造方法において、前記体積調節部は、前記外周領域に沿って設けられた線状の溝、貫通溝(36)又はこれらの組合せである合わせガラスの製造方法に関する。
第4の発明は、第2又は第3の発明の合わせガラスの製造方法において、前記体積調節部(38、39)は、前記外周領域の四隅に設けられる合わせガラスの製造方法に関する。
第5の発明は、第1から第4までのいずれかの発明の合わせガラスの製造方法において、前記体積調節部の体積は、前記接合工程を実施する前の前記積層体において前記第1中間膜と前記第2中間膜との間に前記液晶セル及び前記第3中間膜の厚さの差により生じる隙間の体積と同じである合わせガラスの製造方法に関する。
本発明によれば、液晶溜まりの発生を抑制できる合わせガラスの製造方法を提供できる。
実施形態の合わせガラス1を示す斜視図である。 実施形態の積層体50の構成を示す分解斜視図である。 液晶セル40の層構成を示す断面図である。 第1の形態における第3中間膜33Aの構成を示す平面図である。 (A)は、第2の形態における第3中間膜33Bの構成を示す平面図である。(B)は、第3の形態における第3中間膜33Cの構成を示す平面図である。 (A)は、第4の形態における第3中間膜33Dの構成を示す平面図である。(B)は、第5の形態における第3中間膜33Eの構成を示す平面図である。 実施形態における合わせガラス1の製造方法を示すフローチャートである。 積層体形成工程を示すフローチャートである。 (A)~(E)は、積層体形成工程を示す図である。 (A)~(C)は、合わせガラス1の製造工程の一部を示す図である。 オートクレーブ工程後における合わせガラス1の層構成を示す断面図である。
以下、図面を参照して、本発明に係る合わせガラスの製造方法について説明する。なお、図1を含め、以下に示す各図は、合わせガラス1の構成を模式的に示している。そのため、各部の大きさ、形状等は、理解を容易にするため、適宜に誇張している。
また、各図には、X-Y-Zの互いに直交する座標系を記載した(一部を除く)。この座標系においては、合わせガラス1の厚さ方向(各層の積層方向)をZ方向とし、このZ方向と直交する平面をX-Y平面とする。また、このX-Y平面を構成する任意の直交する2つの座標軸をX軸、Y軸とする。なお、Z方向において、紙面の上側(表面側)をZ1側、下側(裏面側)をZ2側とする。
なお、本明細書中に記載する数値、形状、材料等は、実施形態としての一例であり、これに限定されるものではなく、適宜に選択して使用してもよい。また、本明細書において、形状や幾何学的条件を特定する用語、例えば、平行、直交等の用語は、厳密に意味するところに加え、平行、直交と見なせる程度の誤差を有する状態をも含むものとする。
図1は、本実施形態の合わせガラス1を示す斜視図である。図2は、本実施形態の積層体50の構成を示す分解斜視図である。なお、図2では、積層体50(合わせガラス1)の表面形状を平面的に示している。
図1に示すように、本実施形態の合わせガラス1は、一方の面側(図1では、Z1側)に凸となる曲面形状を有する。
本実施形態の合わせガラス1は、表面形状が3次元形状を有する例を挙げて説明するが、これに限らず、その表面形状が一方の面側に凸となる曲面形状を有する2次元形状(例えば、円筒の一部形状)としてもよい。ここで、3次元形状とは、単純な円筒面ではなく、平面を伸縮なしに変形させるだけでは構成できない曲面であり、3次元空間で2つの独立したパラメータで定義される曲面である。例えば、直交するX軸とY軸とをそれぞれ中心軸として、X軸を中心とした曲率半径Rx、Y軸を中心とした曲率半径Ryの2つの曲率基準をパラメータとして有する曲面を例示できる。
なお、本実施形態では、合わせガラス1を厚さ方向(Z方向)から見た平面視において、外周の形状が正方形となる例を示しているが、これに限定されない。合わせガラス1、中間膜30(後述)等の外周の形状は、合わせガラス1を配置する部位の形状に合わせて設定されるものであり、任意の形状となり得る。
本実施形態の説明では、合わせガラス1を構成する各部材が積層されているものを積層体50という。積層体50は、合わせガラス1の各部材が接合される前の状態を指す。そのため、積層体50の層構成は、合わせガラス1と実質的に同等である。
図2に示すように、本実施形態の積層体50は、第1ガラス板10、中間膜30、液晶セル40及び第2ガラス板20が、この順番で積層されている。なお、図1に示す合わせガラス1(積層体50)では、中間膜30の図示を省略している。
第1ガラス板10及び第2ガラス板20は、それぞれ、合わせガラス1の表裏面に配置される部材である。例えば、第1ガラス板10が合わせガラス1の裏面側(Z2側)に配置されるとすると、第2ガラス板20は、合わせガラス1の表面側(Z1側)に配置される。第1ガラス板10及び第2ガラス板20としては、例えば、ソーダライムガラス(青板ガラス)、硼珪酸ガラス(白板ガラス)、石英ガラス、ソーダガラス、カリガラス等の透光性の高い板ガラスを用いることができる。
また、第1ガラス板10及び第2ガラス板20として、樹脂ガラスを用いることができる。樹脂ガラスとしては、例えば、ポリカーボネート、アクリル等を用いることができる。特に、ポリカーボネートは、耐熱性、強度の面で好ましい。更に、ガラス板には、耐擦傷性等の要求特性に応じて、ハードコート等の表面処理がなされてもよい。ガラス板の材料としては、無機ガラスより樹脂ガラスの方が軽量化の面で好ましい。他方、無機ガラスの方が樹脂ガラスよりコスト、耐熱性、耐傷性等の面で好ましい。
中間膜30は、第1ガラス板10と第2ガラス板20との間に設けられる層である。中間膜30は、液晶セル40を間に挟んで、第1ガラス板10と第2ガラス板20とを接合する機能を有する。中間膜30として使用できる素材としては、例えば、PVB(ポリビニルブチラール)、EVA(エチレン・酢酸ビニル共重合体)、COP(シクロオレフィンポリマー)等が挙げられる。
中間膜30は、図2に示すように、第1中間膜31、第2中間膜32及び第3中間膜33により構成される。第1中間膜31は、第1ガラス板10と液晶セル40との間に設けられる中間膜である。第2中間膜32は、第2ガラス板20と液晶セル40との間に設けられる中間膜である。第3中間膜33は、第1中間膜31と第2中間膜32との間において、液晶セル40を除いた領域に設けられる中間膜である。
本実施形態において、中間膜30を構成する第1中間膜31、第2中間膜32及び第3中間膜33は、同一の素材で形成される。これにより、第1中間膜31、第2中間膜32及び第3中間膜33の接合強度をより高めることができる。
第3中間膜33は、積層体50を厚さ方向(Z方向)から見た平面視において、液晶セル40の外周を囲むように形成された中抜きの四角形、すなわち額縁状である。第3中間膜33の平面視での幅としては、例えば、10~40mmが挙げられる。
なお、第3中間膜33は、液晶セル40の外周を囲むような形状であれば、額縁状に限らず、例えば、一辺又は複数の辺が部分的に連続していない形状であってもよい。第3中間膜33の構成については、後述する。
本実施形態において、第1中間膜31、第2中間膜32及び第3中間膜33の形状の外縁は、第1ガラス板10及び第2ガラス板20と一致することが好ましいが、一致しなくてもよい。第3中間膜33の中抜きされた内側の形状は、液晶セル40の外形形状との間に、例えば、2mm程度の隙間S1(図4参照)が生じるように形成される。この隙間S1は、後述するオートクレーブ工程において、積層体50が加熱及び加圧されたときに、第3中間膜33が厚さ方向に潰れることで埋められる。
第1中間膜31、第2中間膜32及び第3中間膜33の一般的な厚さとしては、例えば、380μm、760μmが挙げられる。後述する液晶セル40の厚さを200μm程度とすると、第1中間膜31の上に液晶セル40を積層し、更に第2中間膜32及び第3中間膜33を積層したときに、液晶セル40と第3中間膜33との間には、200~500μm程度の隙間S2(図9(D)参照)が生じる。この隙間S2は、後述するオートクレーブ工程において、積層体50が加熱及び加圧されたときに、第3中間膜33が厚さ方向に潰れることで埋められる。すなわち、オートクレーブ工程により、液晶セル40と、その周囲を囲むように配置された第1中間膜31、第2中間膜32及び第3中間膜33との間の隙間(S1、S2)は埋められるため、内部に空気が残ることはない。
液晶セル40は、後述するように、電極に印加する電圧を変化させることにより、液晶層における液晶分子の配向を制御して、透過光の光量を調節可能な光制御部材である。本実施形態では、液晶層として、後述する二色性色素を使用したゲストホスト液晶組成物が用いられる。合わせガラス1に適用される液晶セル40の厚さとしては、例えば、200μm程度が挙げられる。
液晶セル40を備えた合わせガラス1は、例えば、建築物の窓ガラス、ショーケース、屋内の透明パーテーション、車両のウィンドウ等の調光を図る部位(外光が入射する部位、例えば、フロント、サイド、リア、ルーフ等のウィンドウ)に配置される。液晶セル40へ印加する電圧を変化させることにより、液晶セル40の透過光の光量を調節し、建築物や車両等の内側への入射光又は出射光の光量を調節できる。
次に、液晶セル40の構成について説明する。
図3は、液晶セル40の層構成を示す断面図である。図3は、液晶セル40の表面形状を平面状とした場合の断面図である。
図3に示すように、液晶セル40は、液晶用第1積層体141と液晶用第2積層体142との間に、液晶層44、スペーサー45及びシール材46を挟んで構成される。
液晶用第1積層体141は、基材41Aに、透明電極42A、配向層43Aを積層して形成される。液晶用第2積層体142は、基材41Bに、透明電極42B、配向層43Bを積層して形成される。液晶セル40において、液晶層44(ゲストホスト液晶組成物)における液晶分子の配向は、透明電極42A,42Bに印加する電圧により変化する。液晶層44における液晶分子の配向が変化することにより、液晶層44を透過する光の光量が調節される。
基材41A,41Bは、透明な樹脂製の部材であり、例えば、可撓性を有するフィルムを用いることができる。基材41A,41Bとしては、光学異方性が小さく、また、可視域の波長(380~800nm)における透過率が80%以上である透明樹脂フィルムを用いることが望ましい。
透明樹脂フィルムの材料としては、例えば、トリアセチルセルロース(TAC)等のアセチルセルロース系樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル系樹脂、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン、ポリメチルペンテン、EVA等のポリオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等のビニル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリサルホン(PEF)、ポリエーテルサルホン(PES)、ポリカーボネート(PC)、ポリスルホン、ポリエーテル(PE)、ポリエーテルケトン(PEK)、(メタ)アクロニトリル、シクロオレフィンポリマー(COP)、シクロオレフィンコポリマー等の樹脂を挙げることができる。透明樹脂フィルムの材料としては、特に、ポリカーボネート、シクロオレフィンポリマー、ポリエチレンテレフタレート等の樹脂が好ましい。
また、基材41A,41Bとして用いられる透明樹脂フィルムの厚さは、その材料にもよるが、その透明樹脂フィルムが可撓性を有する範囲内で適宜に選択できる。
透明電極42A,42Bは、それぞれ基材41A,41B(透明樹脂フィルム)に積層される透明導電膜である。
透明導電膜としては、この種の透明樹脂フィルムに適用される各種の透明電極材料を適用することができ、酸化物系の全光透過率が50%以上の透明な金属薄膜を挙げることができる。透明電動膜としては、例えば、酸化錫系、酸化インジウム系、酸化亜鉛系が挙げられる。
酸化錫(SnO)系としては、例えば、ネサ(酸化錫SnO)、ATO(Antimony Tin Oxide:アンチモンドープ酸化錫)、フッ素ドープ酸化錫が挙げられる。
酸化インジウム(In)系としては、例えば、酸化インジウム、ITO(Indium Tin Oxide:インジウム錫酸化物)、IZO(Indium Zinc Oxide)が挙げられる。
酸化亜鉛(ZnO)系としては、例えば、酸化亜鉛、AZO(アルミドープ酸化亜鉛)、ガリウムドープ酸化亜鉛が挙げられる。
スペーサー45は、液晶層44における外周部を除く部分の厚さ(セルギャップ)を規定する部材である。スペーサー45としては、例えば、球形状の透明なビーズスペーサーを用いることができる。
スペーサー45に用いられるビーズスペーサーとしては、シリカ等による無機材料による構成、有機材料による構成、これらを組み合わせたコアシェル構造の構成等を広く適用できる。また、このビーズスペーサーは、球形状による構成の他、円柱形状、角柱形状等のロッド形状による構成でもよい。
なお、液晶層44の厚さを規定するスペーサー45は、上述のビーズスペーサーに限定されず、例えば、フォトレジストを基材41A側に塗工して露光、現像することにより柱形状に作製してもよいし、スクリーン印刷により柱形状に作製してもよい。
また、スペーサー45は、液晶用第2積層体142に設けられてもよいし、液晶用第1積層体141、液晶用第2積層体142の両方、又は、液晶用第1積層体141に設けられてもよい。
配向層43A,43Bは、光配向層により形成される。光配向層に適用可能な光配向材料は、光配向の手法を適用可能な各種の材料を広く適用することができる。光配向材料としては、例えば、光分解型、光二量化型、光異性化型等を挙げることができる。
光二量化型の材料としては、例えば、シンナメート、クマリン、ベンジリデンフタルイミジン、ベンジリデンアセトフェノン、ジフェニルアセチレン、スチルバゾール、ウラシル、キノリノン、マレインイミド、又は、シンナミリデン酢酸誘導体を有するポリマー等を挙げることができる。中でも、配向規制力が良好である点で、シンナメート、クマリンの一方又は両方を有するポリマーが好ましく用いられる。このような光二量化型の材料の具体例としては、例えば特開平9-118717号公報、特表平10-506420号公報、特表2003-505561号公報及びWO2010/150748号公報に記載された化合物が挙げられる。
なお、光配向層に代えて、ラビング配向層を用いてもよい。ラビング配向層に関しては、ラビング処理を行わないものとしてもよいし、ラビング処理を行い、微細なライン状凹凸形状を賦型処理して配向層を作製してもよい。
また、本実施形態において、液晶セル40は、配向層43A,43Bを備える形態を示したが、これに限らず、配向層43A,43Bを備えない形態としてもよい。
液晶層44には、ゲストホスト液晶組成物、二色性色素組成物を広く適用することができる。ゲストホスト液晶組成物にはカイラル剤を含有させるようにして、液晶材料を水平配向させた場合に、液晶層44の厚さ方向に螺旋形状に配向させるようにしてもよい。
液晶セル40には、液晶層44を囲むように、シール材46が設けられている。このシール材46により、液晶用第1積層体141、液晶用第2積層体142が一体に保持され、液晶材料の漏出が防止される。シール材46としては、例えば、エポキシ樹脂、アクリル樹脂等の熱硬化性樹脂、紫外線硬化性樹脂等を用いることができる。
液晶セル40は、遮光時におけるゲストホスト液晶組成物の配向が電界印加時となるように、配向層43A,43Bを一定の方向にプレチルトに係る配向規制力を設定した垂直配向層により構成される。これにより、液晶セル40は、ノーマリークリアとして構成される。なお、この透光時の設定を電界印加時として、ノーマリーダークとして構成してもよい。
ここで、ノーマリーダークとは、液晶に電圧がかかっていない時に透過率が最小となり、黒い画面(遮光状態)となる構造である。ノーマリークリアとは、液晶に電圧がかかっていない時に透過率が最大となり、透明(透過状態)となる構造である。
本実施形態では、液晶セル40において、ゲストホスト型の液晶層44を備える例を示したが、二色性色素組成物を用いないTN(Twisted Nematic)方式、VA(Vertical Alignment)方式、IPS(In-Plane-Switching)方式等の液晶層44を備える構成としてもよい。このような液晶層44を備える場合、各基材41A,41Bの表面に直線偏光層を更に設けることで、液晶セルとして機能させることができる。なお、IPS方式の液晶層とした場合、電極は、液晶層の片側にあればよい。
次に、第3中間膜33の構成について説明する。ここでは、第3中間膜33の構成例を、第1の形態~第5の形態として説明する。なお、以下に説明する図4~図6において、X-Yの座標は、便宜上のものであり、X-Yの向きは逆であってもよい。
図4は、第1の形態における第3中間膜33Aの構成を示す平面図である。
図4に示すように、第1の形態における第3中間膜33は、積層体50(図2参照)を厚さ方向(Z方向)から見た平面視において、液晶セル40の外周を囲む外周領域34に、複数の貫通穴(体積調節部)35を備える。貫通穴35は、第3中間膜33の一方の面から反対側の他方の面に向けて貫通している穴である。貫通穴35は、第3中間膜33に対して、例えば、打ち抜き加工を施すことより形成できる(他の形態の体積調節部についても同様である)。
第1の形態において、貫通穴35の平面視における形状は、同一径の円形であるが、これに限らず、場所により径の異なる円形であってもよい。また、第1の形態では、貫通穴35の平面視における形状を円形とした例について示すが、これに限らず、楕円形、三角形、四角形以上の多角形でもよいし、これらの組み合せであってもよい。
貫通穴35は、後述のオートクレーブ工程において積層体50を加圧した際、第3中間膜33が厚さ方向に潰れやすくする機能を有する。貫通穴35の総体積は、積層体50において、液晶セル40と第3中間膜33との間に形成される隙間S2(後述)の体積と同じとすることが望ましい。なお、貫通穴35の総体積とは、すべての貫通穴35における空洞部分の体積の総和である。
具体的には、後述する図9(D)に示すように、加圧前の積層体50において、第1中間膜31と第2中間膜32との間には、液晶セル40と第3中間膜33との厚さの差により隙間S2が生じる。貫通穴35の総体積は、この隙間S2の体積と同じとなるように設定される。すなわち、一つの貫通穴35の体積は、隙間S2の体積を貫通穴35の数で除算した体積と同じとなる。一つの貫通穴35の体積は、貫通穴35の平面視における開口面積と、第3中間膜33の厚さ(高さ)との積により算出できる。
第3中間膜33の外周領域34に貫通穴35を設けることにより、オートクレーブ工程において積層体50を加圧した際に、貫通穴35を設けない場合と比べて、第3中間膜33が潰れやすくなる。その際、貫通穴35の総体積と、隙間S2の体積とが同じであれば、積層体50を加圧した際に、第3中間膜33を液晶セル40とほぼ同じ厚さとすることができる。第3中間膜33と液晶セル40とをほぼ同じ厚さとした場合の作用については、後述する。
なお、第1の形態において、体積調節部としての貫通穴35は、第3中間膜33の一方の面から反対側の他方の面に向けて貫通していない穴(窪み)であってもよいし、貫通している穴と貫通していない穴との組み合わせであってもよい。
また、複数の貫通穴35は、外周領域34の4辺に均等に配置されることが望ましい。複数の貫通穴35を外周領域34の4辺に均等に配置することにより、加圧された第3中間膜33の厚さをより均一にできる。
次に、第2及び第3の形態について説明する。
なお、以下に説明する各形態において、体積調節部となる部分の機能は、第1の形態と同じであるため、ここでは主に構成の相違点について説明する。
図5(A)は、第2の形態における第3中間膜33Bの構成を示す平面図である。
図5(A)に示すように、第2の形態における第3中間膜33Bは、平面視において、液晶セル40の外周を囲む外周領域34に、2つの貫通溝(体積調節部)36を備える。貫通溝36は、第3中間膜33の一方の面から反対側の他方の面に向けて貫通している溝である。本形態の貫通溝36は、第3中間膜33の外周領域34に沿って連続する矩形状の溝として形成されている。また、本形態の貫通溝36は、第3中間膜33の外周領域34において、相似形となるように2箇所に設けられている。
貫通溝36の総体積は、積層体50において、液晶セル40と第3中間膜33との間の隙間S2の体積と同じとすることが望ましい。本形態において、連続する一つの貫通溝36の体積は、溝幅と、連続する溝の全長(外周の長さ)と、第3中間膜33の厚さ(高さ)との積により算出できる。貫通溝36の溝幅は、外周領域34の4辺において均等とすることが望ましい。貫通溝36の溝幅を、外周領域34の4辺において均等とすることにより、加圧された第3中間膜33の厚さをより均一にできる。
なお、第2の形態において、貫通溝36は、第3中間膜33の一方の面から反対側の他方の面に向けて貫通していない溝であってもよいし、貫通している溝と貫通していない溝との組み合わせであってもよい。また、貫通溝36の数は、上述した貫通溝36の総体積と隙間S2の体積とが同じであれば、1箇所であってもよいし、3箇所以上あってもよい。
図5(B)は、第3の形態における第3中間膜33Cの構成を示す平面図である。
図5(B)に示すように、第3の形態における第3中間膜33Cは、平面視において、液晶セル40の外周を囲む外周領域34に、体積調節部としての貫通溝37を備える。貫通溝37は、第3中間膜33の一方の面から反対側の他方の面に向けて貫通している溝である。本形態の貫通溝37は、直線形状の溝として形成されており、第3中間膜33の外周領域34において、X-Yの2方向に分かれて、それぞれ平行に配置されている。
貫通溝37の総体積は、積層体50において、液晶セル40と第3中間膜33との間の隙間S2の体積と同じとすることが望ましい。本形態において、一つの貫通溝37の体積は、溝幅と、溝の長さと、第3中間膜33の厚さ(高さ)との積により算出できる。
なお、第3の形態において、貫通溝37は、第3中間膜33の一方の面から反対側の他方の面に向けて貫通していない溝であってもよいし、貫通している溝と貫通していない溝との組み合わせであってもよい。また、貫通溝37の数は、上述した貫通溝37の総体積と隙間S2の体積とが同じであれば、1つでもよいし、3つ以上でもよい。更に、貫通溝37の組み合わせ形状は、図5(B)の例に限らず、異なる組み合わせ形状であってもよい。
次に、第4及び第5の形態について説明する。
図6(A)は、第4の形態における第3中間膜33Dの構成を示す平面図である。
図6(A)に示すように、第4の形態における第3中間膜33Dは、平面視において、液晶セル40の外周を囲む外周領域34の四隅に、それぞれ矩形開口部(体積調節部)38を備える。矩形開口部38は、第3中間膜33Dの一方の面から反対側の他方の面に向けて貫通している正方形の領域である。なお、矩形開口部38の形状は、正方形に限らず、例えば、長方形、扇形等であってもよい。
矩形開口部38の総体積は、積層体50において、液晶セル40と第3中間膜33との間の隙間S2の体積と同じとすることが望ましい。本形態において、1つの矩形開口部38の体積は、矩形状となる領域の平面視における面積と、第3中間膜33の厚さ(高さ)との積により算出できる。本形態において、矩形開口部38の体積は、外周領域34の四隅において均等とすることが望ましい。矩形開口部38の体積を、外周領域34の四隅において均等とすることにより、加圧された第3中間膜33の全体的な厚さをより均一にできる。
なお、第4の形態において、矩形開口部38は、第3中間膜33の一方の面から反対側の他方の面に向けて貫通していない形状であってもよいし、貫通している形状と貫通していない形状との組み合わせであってもよい。
図6(B)は、第5の形態における第3中間膜33Eの構成を示す平面図である。
図6(B)に示すように、第5の形態における第3中間膜33Eは、平面視において、液晶セル40の外周を囲む外周領域34の四隅の近傍に、それぞれ2つの凹部(体積調節部)39を備える。凹部39は、外周領域34の1つの隅(角部)を挟んでX-Yの各方向に2箇所設けられている。凹部39は、第3中間膜33Eの一方の面から反対側の他方の面に向けて貫通している矩形状の領域であり、外周領域34の外側に向けて開口している。なお、凹部39は、矩形状に限らず、三角形、波形、クランク形状等であってもよい。
凹部39の総体積は、積層体50において、液晶セル40と第3中間膜33との間の隙間S2の体積と同じとすることが望ましい。本形態において、1つの凹部39の体積は、矩形状となる領域の平面視における面積と、第3中間膜33の厚さ(高さ)との積により算出できる。本形態において、凹部39の体積は、外周領域34の各四隅の近傍(2箇所)において均等とすることが望ましい。凹部39の体積を、外周領域34の各四隅の近傍において均等とすることにより、加圧された第3中間膜33の全体的な厚さをより均一にできる。
上述した第4及び第5の形態では、第3中間膜33の四隅に体積調節部を設けているため、加熱及び加圧により第3中間膜33の四隅がより潰れやすくなる。第3中間膜33の四隅は、それぞれが側辺に接しているため、加熱及び加圧により潰れにくく、液晶溜まりが発生しやすくなると考えられる。しかし、第4及び第5の形態では、加熱及び加圧により第3中間膜33の四隅が潰れやすくなるため、液晶溜まりの発生をより効果的に抑制できる。
なお、第5の形態において、凹部39は、第3中間膜33の一方の面から反対側の他方の面に向けて貫通していない形状であってもよいし、貫通している形状と貫通していない形状との組み合わせであってもよい。
次に、合わせガラス1の製造方法について説明する。
図7は、本実施形態における合わせガラス1の製造方法を示すフローチャートである。図8は、積層体形成工程を示すフローチャートである。図9(A)~(E)は、積層体形成工程を示す図である。図10(A)~(C)は、合わせガラス1の製造工程の一部を示す図である。図11は、オートクレーブ工程後における合わせガラス1の層構成を示す断面図である。
合わせガラス1の製造は、図7に示すように、ステップS10において、積層体形成工程を行うことから開始する。ここでは、先に積層体形成工程S10について、図8を参照して説明する。
まず、ステップS11において、図9(A)に示すように、第1ガラス板10を作業台(不図示)に載置し、その第1ガラス板10の上に第1中間膜31を積層する(第1中間膜積層工程)。
次に、ステップS12において、図9(B)に示すように、第1中間膜31の上に液晶セル40を積層する(液晶セル積層工程)。
次に、ステップS13において、図9(C)に示すように、第1中間膜31の上の液晶セル40を除いた領域に第3中間膜33を積層する(第3中間膜積層工程)。本実施形態において、第3中間膜33の外周領域34には、複数の貫通穴35が設けられている。
なお、上述したステップS12の工程とステップS13の工程は、順番が逆であってもよい。
次に、ステップS14において、図9(D)に示すように、第2中間膜32を第3中間膜33の上であって、液晶セル40を除いた領域に積層する(第2中間膜積層工程)。上述したように、液晶セル40と第3中間膜33との間には厚さの差があるため、第2中間膜32を第3中間膜33の上に積層すると、液晶セル40と第3中間膜33との間に隙間S2が生じる。
次に、ステップS15において、図9(E)に示すように、第2中間膜32の上に第2ガラス板20を積層する(第2ガラス板積層工程)。
以上説明した積層体形成工程により、図9(E)に示すように、第1ガラス板10、中間膜30、液晶セル40及び第2ガラス板20が、この順番で積層された積層体50が完成する。
なお、積層体50は、上述した積層体形成工程S10の手順に限らず、他の手順により形成してもよい。例えば、中間膜と液晶セルとを備えたガラス板なしの積層体(中間膜-液晶セル-中間膜)を作製し、この積層体をガラス板に積層してもよい。合わせガラスを三次元形状とした場合、曲面上で中間膜と液晶セルとを積層することが難しい場合もある。そのため、平面上で中間膜と液晶セルとを備えたガラス板なしの積層体を作製し、この積層体を曲面形状のガラス板に積層することにより、合わせガラスをより簡単に且つ精度良く作製できる。
再び、図7に戻って合わせガラス1の製造方法を説明する。
図7において、積層体形成工程S10以降のステップS20~S50に示す工程は、積層体50の接合工程となる。
まず、ステップS20において、図10(A)に示すように、積層体50をバッグ501に封入する(封入工程)。
バッグ501の素材としては、可撓性及び気密性を有するゴム製、シリコン製が好ましい。バッグ501は、柔軟性、耐熱性の観点からシリコン製を用いることがより好ましいが、積層体50を一体に接合する接合工程において、バッグ501に含まれるシリコンの成分が第1ガラス板10,第2ガラス板20の表面へ転写される場合がある。これを抑制したい場合には、バッグ501の素材として、EPDMゴム(エチレン・プロピレン・ジエンゴム)を用いることが好ましい。なお、バッグ501の素材は、これに限らず、例えば、ナイロンフィルであってもよい。
バッグ501は、開口部を十分に封止できることが好ましい。開口部の封止機構に関しては、各種の機構を適宜に選択できる。また、図10(A)に示すように、バッグ501には、通気管502が接続されている。この通気管502からポンプ等(不図示)によりバッグ501内の空気を吸引することにより、バッグ501の内部を真空状態にできる。
封入工程S20において、積層体50は、バッグ501内に、鉛直方向(図の上下方向)の上側に凸となるように配置してもよいし、鉛直方向の下側に凸となるように配置してもよい。
次に、ステップS30において、通気管502を介してポンプ(不図示)によりバッグ501内の空気を吸引し、積層体50の表面にバッグ501を密着させる(吸引工程)。この吸引工程S30を行うことにより、バッグ501が積層体50の表面に密着し、積層体50の内部が真空状態となる。これにより、積層体50には、差圧により高い圧力がかかる。なお、これに限らず、例えば、ポンプ(不図示)の吸引力を調整し、バッグ501内が完全に真空ではないが、バッグ501が積層体50の表面に十分に密着する状態とし、差圧によって積層体50に高い圧力がかかるようにしてもよい。
吸引工程S30では、図10(B)に示すように、バッグ501に封入された積層体50が鉛直方向の下向きに凸となる状態として作業台503に載置して行うことが好ましい。これにより、バッグ501が、十分に積層体50の形状に追従して密着することができ、積層体50の表面への密着度、加圧度を均一にできる。なお、吸引工程S30において、バッグ501に封入された積層体50が鉛直方向の上向きに凸となる状態として作業台503に載置してもよい。図10(B)では、バッグ501に接続された通気管502の図示を省略している。
また、吸引工程S30は、後述する加熱工程S40よりも前に実施することが好ましい。吸引工程S30を加熱工程S40の後に実施すると、積層体50の各層間から空気が抜けきらずに気泡となってしまい、圧着不良、外観不良の要因となるからである。
次に、ステップS40において、図10(C)に示すように、オーブン504内にバッグ501を配置し、所定の温度で加熱する(加熱工程)。加熱工程S40は、通気管502を介してポンプ(不図示)によりバッグ501内の空気を吸引しながら行われる。すなわち、加熱工程S40は、積層体50への圧力を維持しながら行われる。
本実施形態では、オーブン504内において、積層体50が鉛直方向の下側に凸となるように積層体50及びバッグ501を配置する例を示すが、これに限らず、例えば、積層体50が鉛直方向の上側に凸となるように配置してもよい。
吸引工程S30及び加熱工程S40により、後述するように、第1中間膜31、第2中間膜32及び第3中間膜33が溶融し、積層体50の各部材が圧着される。
所定の時間、オーブン504内で加熱及び加圧した後、バッグ501内の空気の吸引を停止して、バッグ501をオーブン504から外に出して冷却する。なお、バッグ501内から空気の吸引を停止するのは、バッグ501をオーブン504から外に出した後でもよい。バッグ501の冷却後、バッグ501から積層体50(合わせガラス1)を取り出すことにより、液晶セル40を一対のガラス間に挟み込んだ合わせガラス1が得られる。
次に、ステップS50において、オートクレーブ工程を行う。オートクレーブ工程S24では、加熱工程S40が終了した積層体50(合わせガラス1)を、オートクレーブ用の圧力容器(不図示)に移し、高圧・高温の環境下で所定時間、更に加熱及び加圧を行う。これにより、積層体50(合わせガラス1)の各部材が更に強く接合されるため、合わせガラス1としての強度をより高めることができる。
このオートクレーブ工程S50において、積層体50は、鉛直方向の下側に凸となるように圧力容器内に配置してもよいし、鉛直方向の上側に凸となるように圧力容器内に配置してもよい。
本実施形態のオートクレーブ工程S50では、加熱工程S40後の積層体50(合わせガラス1)を加熱及び加圧した。
オートクレーブ工程S50が終了することにより、合わせガラス1が完成する。なお、必要に応じて、合わせガラス1の外形の形状を整える切除工程を実施してもよい。
完成した合わせガラス1は、図11に示すように、第3中間膜33が厚さ方向(Z方向)に潰れるため、第3中間膜33と液晶セル40の外形形状との間の隙間S1(図4参照)及び液晶セル40と第2中間膜32との間の隙間S2(図9(D)参照)は埋められる。第3中間膜33に設けられた体積調節部(例えば、貫通穴35)の総体積は、積層体50において液晶セル40と第2中間膜32との間に形成される隙間S2の体積と同じに設定されている。そのため、第3中間膜33が加圧により潰れると、隙間S2に相当する体積分が減るため、第3中間膜33の厚さは、液晶セル40の厚さとほぼ同じとなる。これによれば、加圧中の第1ガラス板10及び第2ガラス板20には、積層体50を厚さ方向の両側から圧縮する応力が作用しないため、オートクレーブ用の圧力容器から積層体50(合わせガラス1)を取り出した際に、第1ガラス板10及び第2ガラス板20が変形して、積層体50を厚さ方向の両側に広げるような応力が作用することはない。
一方、第3中間膜33に体積調節部を設けない積層体50をオートクレーブ工程で加熱及び加圧した場合、第3中間膜33が厚さ方向(Z方向)に潰れるため、第3中間膜33と液晶セル40の外形形状との間の隙間S1及び液晶セル40と第2中間膜32との間の隙間S2は埋められる。しかし、体積調節部のない第3中間膜33が潰れる量は、体積調節部を有する第3中間膜33が潰れる量よりも小さいため、加圧中の第1ガラス板10及び第2ガラス板20には、この潰れ量の差分だけ積層体50を厚さ方向の両側から圧縮する応力が作用する。
そのため、オートクレーブ用の圧力容器から積層体50(合わせガラス1)を取り出して大気開放すると、第1ガラス板10及び第2ガラス板20には、積層体50を厚さ方向の両側から圧縮する応力が作用しなくなる代わりに、復元力により液晶セル40を厚さ方向に広げるような応力が作用する。このような応力により、液晶セル40の基材41A,41B(図3参照)は、厚さ方向の外側に拡げられるため、液晶層44の層厚が不均一になり、液晶溜まり(液晶の局所的な偏在)が生じる。前述したように、液晶セル40の内部で液晶溜まりが生じると、外観不良となるだけでなく、調光性能が低下する。
これに対して、本実施形態の合わせガラス1は、オートクレーブ工程において、第1ガラス板10及び第2ガラス板20には、積層体50を厚さ方向の両側から圧縮するような応力が作用しない。そのため、オートクレーブ用の圧力容器から合わせガラス1を取り出して大気開放したときに、第1ガラス板10及び第2ガラス板20は、復元力により積層体50を厚さ方向に広げるような応力が作用しない。これによれば、液晶セル40の基材41A,41Bは、厚さ方向の外側に拡げられることがないため、液晶層44の層厚が不均一になりにくくなり、液晶溜まりの発生が抑制される。したがって、本実施形態の製造方法により得られた合わせガラス1は、良好な外観を有すると共に、調光性能にも優れている。
なお、積層体50において、第3中間膜33に体積調節部を設けることなく、液晶セル40の厚さに合わせて、第3中間膜33の厚みを調節することによっても、第3中間膜33が潰れた後の厚さを、液晶セル40の厚さとほぼ同じにできる。しかし、中間膜30において、第3中間膜33を所望の厚さで製造することは、大幅なコストの増加を招くため、現実的な解決策にはなり得ない。これに対して、本実施形態の製造方法によれば、液晶セル40と第2中間膜32との間の隙間S2の体積と、体積調節部の総体積とを同じとすればよいため、厚さに規格(例えば、380μm)のある一般的な樹脂フィルムを第3中間膜33として使用できる。したがって、本実施形態の製造方法によれば、製造される合わせガラス1のコストの増加を抑制できる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、前述した実施形態に限定されるものではなく、後述する変形形態のように種々の変形や変更が可能であって、それらも本発明の技術的範囲内に含まれる。また、実施形態に記載した効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、実施形態に記載したものに限定されない。なお、上述の実施形態及び後述する変形形態は、適宜に組み合わせて用いることもできるが、詳細な説明は省略する。
(変形形態)
実施形態では、中間膜30を構成する第1中間膜31、第2中間膜32及び第3中間膜33を、同一の素材で形成する例について説明したが、これに限定されない。中間膜30において、第3中間膜33は、第1中間膜31及び第2中間膜32とは異なる素材により形成されてもよい。
実施形態では、第3中間膜33に体積調節部を設けた例について説明したが、これに限定されない。体積調節部は、第1中間膜31、第2中間膜32、第3中間膜33のうちの少なくとも一つの外周領域に設けられていればよい。第1中間膜31又は第2中間膜32の外周領域は、積層体50の平面視したときに、液晶セル40の外周を囲む形状の領域である。
実施形態では、接合工程として、加熱工程S40の後に、オートクレーブ工程S50を行う例を示したが、これに限定されない。中間膜30の材料等によっては、接合工程として、封入工程S20の後、吸引工程S30及び加熱工程S40のみを行ってもよい。また、加熱工程S40を行わず、接合工程として、封入工程S20の後、吸引工程S30及びオートクレーブ工程S50のみを行ってもよい。
実施形態では、加熱工程S40において、オーブン504(図10(C)参照)を用いる例を示したが、これに限定されない。液晶セル40(液晶層44)の特性等によっては、減圧オーブン(不図示)を用いてもよい。減圧オーブンとは、オーブン内が減圧された状態で積層体50を加熱できる装置である。減圧オーブンを用いることにより、加熱時に積層体50へかかる圧力を、前述のオーブン504に比べて小さくできる。
実施形態では、吸引工程S30を作業台503(図10(B)参照)の上で行った後、積層体50が封入されたバッグ501をオーブン504内へ入れて加熱工程S40を行う例を示したが、これに限定されない。例えば、加熱していない状態のオーブン504内に積層体50を封入したバッグ501を載置し、オーブン504内で吸引工程S30を行った後、オーブン504において加熱工程S40を行ってもよい。
実施形態では、吸引工程S30を作業台503の上で行った後、積層体50が封入されたバッグ501をオーブン504内へ入れて加熱工程を行い、バッグ501から積層体50を取り出してオートクレーブ用の圧力容器(不図示)に入れてオートクレーブ工程S50を行う例を示したが、これに限定されない。積層体50が封入されたバッグ501を、オートクレーブ用の圧力容器に入れたまま、吸引工程S30、加熱工程S40、オートクレーブ工程S50を連続して行ってもよい。なお、この場合も、少なくとも吸引工程S30において、積層体50を鉛直方向の下側に凸となるように載置することが好ましい。
また、吸引工程S30及び加熱工程S40においては、ポンプ(不図示)によりバッグ501内の空気を吸引する力を制御することにより、積層体50へかかる圧力を調整できる。
実施形態では、第1中間膜31と第2中間膜32との間に、液晶セル40のみを積層する例について説明したが、これに限定されない。液晶セル40の片面又は両面に、例えば、UVカットフィルム等の機能性フィルムを積層してもよい。その場合、積層した機能性フィルムを含めた厚さを液晶セル40の厚さとして、隙間S2(図9(D)参照)の体積を算出すればよい。
1 合わせガラス
10 第1ガラス板
20 第2ガラス板
30 中間膜
31 第1中間膜
32 第2中間膜
33 第3中間膜
35 貫通穴
36、37 貫通溝
38 矩形開口部
39 凹部
40 液晶セル
50 積層体

Claims (4)

  1. 第1ガラス板の上に第1中間膜を積層する工程と、
    前記第1中間膜の上に液晶セルを積層する工程と、
    前記液晶セルよりも厚みが大きく、前記液晶セルの外周を囲む形状の第3中間膜を前記第1中間膜の上に積層する工程と、
    前記液晶セル及び前記第3中間膜の上に第2中間膜を積層する工程と、
    前記第2中間膜の上に第2ガラス板を積層する工程と、
    前記第1ガラス板、前記第1中間膜、前記液晶セル、前記第3中間膜、前記第2中間膜及び前記第2ガラス板からなる積層体を一体に接合する接合工程と、
    を備え、
    前記第1中間膜、前記第3中間膜及び前記第2中間膜のうちの少なくとも一つは、前記積層体を積層方向から見た平面視において、前記液晶セルの外周を囲む外周領域に体積調節部を有し、
    前記体積調節部は、穴、貫通穴又はこれらの組合せである合わせガラスの製造方法。
  2. 第1ガラス板の上に第1中間膜を積層する工程と、
    前記第1中間膜の上に液晶セルを積層する工程と、
    前記液晶セルよりも厚みが大きく、前記液晶セルの外周を囲む形状の第3中間膜を前記第1中間膜の上に積層する工程と、
    前記液晶セル及び前記第3中間膜の上に第2中間膜を積層する工程と、
    前記第2中間膜の上に第2ガラス板を積層する工程と、
    前記第1ガラス板、前記第1中間膜、前記液晶セル、前記第3中間膜、前記第2中間膜及び前記第2ガラス板からなる積層体を一体に接合する接合工程と、
    を備え、
    前記第1中間膜、前記第3中間膜及び前記第2中間膜のうちの少なくとも一つは、前記積層体を積層方向から見た平面視において、前記液晶セルの外周を囲む外周領域に体積調節部を有し、
    前記体積調節部は、前記外周領域に沿って設けられた線状の溝、貫通溝又はこれらの組合せである合わせガラスの製造方法。
  3. 請求項1又は請求項2に記載の合わせガラスの製造方法において、
    前記体積調節部は、前記外周領域の四隅に設けられる合わせガラスの製造方法。
  4. 請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の合わせガラスの製造方法において、
    前記体積調節部の体積は、前記接合工程を実施する前の前記積層体において前記第1中間膜と前記第2中間膜との間に前記液晶セル及び前記第3中間膜の厚さの差により生じる隙間の体積と同じである合わせガラスの製造方法。
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