図面を参照して、合わせガラス及び合わせガラスの製造方法について例示する。理解を容易にするため、各図面には各要素が概略的に示されている。したがって各図面に示されている要素には、大きさ、形状及び縮尺等の特性が誇張又は簡略化されている要素が含まれうる。また本明細書に記載されている数値、形状及び材料等は一例に過ぎず、本開示を限定するものではない。また本明細書で用いられている用語は必ずしも厳密な意味には縛られない。したがって幾何学的な特性を示す表現の意味内容は、同様の機能を期待し得る程度の範囲を含むものと解釈しうる。また、「接合」及び「接着」の用語の意味内容は必ずしもお互いから明確には区別されず、概念的に重複する。
図1は、合わせガラス10の一例の概略を示す平面図である。図2は、合わせガラス10の一例の概略を示す断面図である。
図1及び図2に示す合わせガラス10は、第1積層体11、第2積層体12、及び第1積層体11と第2積層体12との間に位置する中間接合体13を備える。第1積層体11は、第1ガラス板21及び調光フィルム20を有する。第2積層体12は第2ガラス板22を有する。中間接合体13は第1積層体11及び第2積層体12を相互に接着する。第1積層体11、第2積層体12及び中間接合体13は、光を透過可能な材料によって構成されている。
第1ガラス板(第1透明基板)21及び第2ガラス板(第2透明基板)22は、剛性が大きく且つ光を透過する部材によって構成されている。典型的には、ソーダライムガラス(青板ガラス)、硼珪酸ガラス(白板ガラス)、石英ガラス、ソーダガラス、及びカリガラス等の透光性の高い板ガラスを、第1ガラス板21及び第2ガラス板22の材料として用いることが可能である。またポリカーボネート及びアクリル等の樹脂ガラス(有機ガラス)を第1ガラス板21及び第2ガラス板22の材料として用いることも可能であり、特にポリカーボネートは耐熱性及び強度の面で好ましい。第1ガラス板21及び第2ガラス板22には、耐擦傷性等の要求特性に応じた処理(例えばハードコート処理等の表面処理)が施されていてもよい。軽量化の観点からは樹脂ガラスが好ましく、耐熱性及び耐傷性の観点からは無機ガラスが好ましい。なお、第1ガラス板21及び第2ガラス板22のそれぞれに代えて、透明基板を用いることが可能である。そのような透明基板の具体的な組成は限定されず、例えば透明な樹脂基材が第1ガラス板21及び/又は第2ガラス板22の代わりに用いられてもよい。
液晶を有する調光フィルム20は、第1積層体11において、積層方向(図2の上下方向)に関して第1ガラス板21と第2ガラス板22との間に位置する。第1積層体11の最外層(図2における最下部)は、第1ガラス板21によって構成されていてもよいし、他の部材によって構成されていてもよい。第2積層体12の最外層(図2における最上部)は、第2ガラス板22によって構成されていてもよいし、他の部材によって構成されていてもよい。
図1及び図2に示すように、合わせガラス10の積層方向と直角を成す方向に関し、調光フィルム20が第1ガラス板21及び/又は第2ガラス板22よりも小さい場合、第1ガラス板21と第2ガラス板22との間において調光フィルム20の外周に沿う額縁状の中間膜が設けられてもよい。当該中間膜は調光フィルム20の全周を取り囲むように設けられていてもよいし、調光フィルム20の一部周囲のみを囲むように設けられていてもよい。また、そのような額縁状の中間膜が設けられていなくてもよい。
図3は、調光フィルム20の一例を示す断面図である。図3に示す調光フィルム20は、第1調光基板31及び第2調光基板32と、第1調光基板31と第2調光基板32との間に配置される第1透明電極33及び第2透明電極34と、第1透明電極33と第2透明電極34との間に配置される第1配向層35及び第2配向層36と、第1配向層35と第2配向層36との間に配置される液晶層37と、を備える。液晶層37は、液晶シール材39により区画されている領域に、複数のスペーサー38とともに液晶が充填されることで形成される。第1透明電極33及び第2透明電極34に与えられる電圧が制御部(図示省略)の制御下で変化させられて液晶層37の液晶分子の配向が調整されることにより、調光フィルム20は透過光量を調節する。
第1調光基板31及び第2調光基板32は、透明な樹脂製の部材であり、可撓性フィルムを用いることができる。例えば、光学異方性が小さく、可視域の波長(例えば380nm~800nm)の透過率が80%以上である透明樹脂フィルムを、第1調光基板31及び第2調光基板32として用いることができる。そのような透明樹脂フィルムの材料として、例えば、トリアセチルセルロース(TAC)等のアセチルセルロース系樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン、ポリメチルペンテン、EVA等のポリオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等のビニル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリサルホン(PEF)、ポリエーテルサルホン(PES)、ポリカーボネート(PC)、ポリスルホン、ポリエーテル、ポリエーテルケトン(PEK)、(メタ)アクロニトリル、シクロオレフィンポリマー(COP)、シクロオレフィンコポリマー等の樹脂を挙げることができる。透明樹脂フィルムの材料としては、特に、ポリカーボネート、シクロオレフィンポリマー、ポリエチレンテレフタレート等の樹脂が好ましい。また第1調光基板31及び第2調光基板32として用いられる透明樹脂フィルムの厚みは、透明樹脂フィルムが可撓性を有する範囲内で適宜に選択されることが好ましい。
第1透明電極33及び第2透明電極34は、それぞれ第1調光基板31及び第2調光基板32に積層される透明導電膜である。透明導電膜としては、各種の透明電極材料を用いることができ、例えば酸化物系(例えば酸化錫系、酸化インジウム系及び酸化亜鉛系)の全光透過率が50%以上の透明な金属薄膜を挙げることができる。酸化錫(SnO2)系としてはネサ(酸化錫SnO2)、ATO(Antimony Tin Oxide:アンチモンドープ酸化錫)、及びフッ素ドープ酸化錫が挙げられる。酸化インジウム(In2O3)系としては、酸化インジウム、ITO(Indium Tin Oxide:インジウム錫酸化物)、及びIZO(Indium Zinc Oxide)が挙げられる。酸化亜鉛(ZnO)系としては、酸化亜鉛、AZO(アルミドープ酸化亜鉛)、及びガリウムドープ酸化亜鉛が挙げられる。
スペーサー38は、液晶層37における外周部を除く部分の厚み(セルギャップ)を規定する。スペーサー38としては、例えば、球形状の透明なビーズスペーサーを用いることができる。スペーサー38に用いられるビーズスペーサーとしては、シリカ等の無機材料による構成、有機材料による構成、或いはこれらを組み合わせたコアシェル構造の構成等を広く用いることができる。ビーズスペーサーは、球形状による構成の他、円柱形状、楕円柱形状、或いは角柱形状等によるロッド形状により構成されていてもよい。スペーサー38は、透明部材により構成されるが、必要に応じて着色した材料を用いて色味が調整されてもよい。
スペーサー38は、上述のビーズスペーサーに限定されない。例えば、フォトレジストを第1調光基板31側に塗工して露光及び現像を行うことにより、円柱形状のスペーサー38を作製してもよい。またスペーサー38は、フォトレジスト以外の任意の方法で、任意の材料が使用されて設けられてもよい。例えば、液晶シール材39と同じ材料を使って、液晶シール材39と同様の製造法により、スペーサー38(例えば柱状のスペーサー38)が設けられてもよい。またスペーサー38の具体的な形状は限定されない。例えば、スペーサー38は、四角柱、円錐、円錐台、四角錐、四角錐台或いは他の柱状形状を有していてもよい。またスペーサー38は、第1配向層35側に固定されていてもよいし、第2配向層36側に固定されていてもよいし、第1配向層35側及び第2配向層36側の両方に固定されていてもよい。
第1配向層35及び第2配向層36は、光配向層(液晶配向層)により形成される。光配向層に使用可能な光配向材料としては、例えば、光分解型、光二量化型、及び光異性化型等を挙げることができる。光二量化型の材料としては、例えば、シンナメート、クマリン、ベンジリデンフタルイミジン、ベンジリデンアセトフェノン、ジフェニルアセチレン、スチルバゾール、ウラシル、キノリノン、マレインイミド、又は、シンナミリデン酢酸誘導体を有するポリマー等を挙げることができる。中でも、配向規制力が良好である点で、シンナメート及びクマリンの一方又は両方を有するポリマーが好ましく用いられる。光配向層に代えて、ラビング配向層が第1配向層35及び第2配向層36として用いられてもよい。ラビング配向層に関しては、ラビング処理を行わないものとしてもよいし、ラビング処理を行い、微細なライン状凹凸形状を賦型処理して配向層を作製してもよい。図3に示す調光フィルム20は第1配向層35及び第2配向層36を備えるが、これに限られず、調光フィルム20は第1配向層35及び第2配向層36を備えなくてもよい。
液晶層37には、ゲストホスト液晶組成物(二色性色素組成物)などの任意の組成物を広く用いることができる。ゲストホスト液晶組成物はカイラル剤を含有し、液晶材料を水平配向させた場合に、ゲストホスト液晶組成物が液晶層37の厚み方向に螺旋形状に配向させられるようにしてもよい。液晶シール材39は、液晶層37を囲むように設けられており、液晶材料の漏出を防ぐ。液晶シール材39としては、例えば、エポキシ樹脂、アクリル樹脂等の熱硬化性樹脂、或いは紫外線硬化性樹脂等を用いることができる。
図示の調光フィルム20では、電界印加時にゲストホスト液晶組成物の配向が遮光状態となるように、第1配向層35及び第2配向層36が、プレチルトに基づく配向規制力が設定された垂直配向層により構成される。これにより、調光フィルム20はノーマリークリアとして構成される。なお調光フィルム20は、電界印加時にゲストホスト液晶組成物の配向が透光状態となるように、ノーマリーダークとして構成されてもよい。ノーマリーダークの調光フィルム20は、液晶に電界が作用していない状態で光透過率が最小となって遮光状態となる。ノーマリークリアの調光フィルム20は、液晶に電界が作用していない状態で光透過率が最大となって光透過状態となる。
調光フィルム20は上述のゲストホスト型には限定されず、例えば二色性色素組成物を用いないTN(Twisted Nematic)方式、VA(Vertical Alignment)方式、IPS(In-Plane-Switching)方式等を調光フィルム20は採用してもよい。調光フィルム20は、採用する液晶駆動方式に応じた任意の構成を有することができる。例えば調光フィルム20は、必要に応じ、第1調光基板31側及び/又は第2調光基板32側に設けられる直線偏光層を備えていてもよい。また調光フィルム20がIPS方式を採用する場合、電極は液晶層37の一方側にのみ設けられていてもよい。
上述の合わせガラス10は任意の用途に使用可能である。例えば、合わせガラス10は、建築物の窓ガラス、ショーケース、屋内の透明パーテーション、及び車両のウィンドウ等の調光を図る部位(外光が入射する部位、例えば、フロント、サイド、リア、ルーフ等のウィンドウ)に配置されうる。調光フィルム20に印加する電圧を変化させることにより、建築物や車両等の内側への入射光(透過光)の光量を調節できる。
上述の構成を有する合わせガラス10は、第1積層体11及び第2積層体12の各々を接合により作製した後に(ただし第2積層体12が単層構造を有する場合には接合は不要)、中間接合体13により第1積層体11及び第2積層体12を接着することによって製造することが可能である。この場合、第1積層体11の複数の構成層(調光フィルム20及び第1ガラス板21を含む)の接合と、第1積層体11及び第2積層体12の接合との間で、異なる接合方式を採用することが可能である。例えば、圧着性の接着成分を含有する接合体を使って第1ガラス板21及び調光フィルム20を接合する一方で、中間接合体13として非圧着性の接着成分を含有する接合体を使って第1積層体11及び第2積層体12を接合(接着)することができる。
ここで「圧着性の接着成分を含有する接合体」は、隣接物体に対して適切に接着するために加圧(すなわち常圧よりも大きな圧力)が必要な接合体である。常圧は、環境圧であり、通常は大気圧に等しく、標準大気圧としうる。一方、「非圧着性の接着成分を含有する接合体」は、隣接物体に対して適切に接着するために加圧が不要な接合体であり、常圧下で隣接物体と適度に接着することが可能である。「圧着性の接着成分を含有する接合体」としては、例えば、PVB(ポリビニルブチラール樹脂)、EVA(エチレン酢酸ビニル)或いはCOP(シクロオレフィンポリマー)を主成分とする膜体(接合膜)が挙げられる。一方、「非圧着性の接着成分を含有する接合体」としては、例えば、OCR(光学透明樹脂)や硬化樹脂(例えば熱硬化樹脂、常温硬化樹脂、2液混合樹脂、紫外線硬化樹脂、及び電子線硬化樹脂等)が挙げられる。
上述の合わせガラス10によれば、第1積層体11及び第2積層体12の各々において求められる接合特性に応じて、第1積層体11及び第2積層体12の各々において用いられる接合体の成分を選定することができる。また第1積層体11及び第2積層体12の接着において求められる接合特性に応じて、中間接合体13の成分を選定することができる。例えば、「圧着性の接着成分を含有する接合体」の場合、既存の加熱加圧装置(例えばオートクレーブ)を用いて接合処理を比較的簡単に行うことが可能である。また「非圧着性の接着成分を含有する接合体」は、一般に硬化時間(すなわち接合時間)が短い傾向があり、例えば紫外線硬化樹脂によって構成される接合体は1時間程度の紫外線照射によって適切に硬化させられうる。したがって上述の合わせガラス10によれば、第1積層体11及び第2積層体12の各々の特性を向上させつつ、第1積層体11及び第2積層体12の全体の特性を向上させることが可能である。
なお、第1積層体11及び第2積層体12は様々な構成をとることができる。以下、第1積層体11及び第2積層体12の典型的な構成に応じた合わせガラス10の具体的な形態について説明する。
[第1実施形態]
図4~図7は、第1実施形態に係る合わせガラス10の製造方法を説明するための図である。なお第1実施形態の合わせガラス10は、図7に示す層構成を有する。
本実施形態の合わせガラス10(図7参照)において、第1積層体11は、第1ガラス板21、調光フィルム20、調光フィルム20と第1ガラス板21との間に設けられる膜状の第1接合体41、及び第1接合体41上において調光フィルム20に隣り合うように設けられる額縁状の中間膜29を有する。第2積層体12は、第2ガラス板22を有する。第1積層体11及び第2積層体12を相互に接着する中間接合体13は、調光フィルム20及び中間膜29を介して第1ガラス板21とは反対側に位置しており、調光フィルム20及び中間膜29に対して第2ガラス板22を接着する。第1接合体41は圧着性の接着成分を含有する。一方、中間接合体13は非圧着性の接着成分を含有する。
中間膜29は、調光フィルム20を取り囲むように額縁状に設けられている。中間膜29のうち第1ガラス板21とは反対側の面(図7の上面)は、調光フィルム20のうち第1ガラス板21とは反対側の面(図7の上面)と同一平面に含まれることが好ましい。
本実施形態の合わせガラス10は、例えば、以下の工程を含む製造方法によって製造することができる。
まず、第1積層体11が準備される。
本例では、常圧よりも高い圧力下で、圧着性の接着成分(例えばPVB)を含有する第1接合体41を介し、調光フィルム20及び中間膜29が第1ガラス板21に対して取り付けられる。より具体的には、第1ガラス板21、第1接合体41及び調光フィルム20をこの順番で重ねることによって、且つ、第1接合体41上において調光フィルム20を取り囲むように中間膜29を配置することによって、積層構造体が作られる。積層方向と直角を成す方向(図4の左右方向参照)に関し、第1接合体41は、第1ガラス板21と同じサイズか、第1ガラス板21よりも大きなサイズを有することが好ましく、第1ガラス板21の全体が第1接合体41によって覆われることが好ましい。
この積層構造体において、第1ガラス板21とは反対側において調光フィルム20及び中間膜29を覆うように第1剥離シート42が配置される(図4参照)。第1剥離シート42は、剥離性に優れたシートであって、積層構造体の他の構成層(特に調光フィルム20及び中間膜29)に影響を与えることなく又は殆ど与えることなく隣接物体から剥がされることが可能である。第1剥離シート42は、剛性が比較的小さい柔軟なシート部材によって構成可能であり、例えばシリコーン製のシートによって構成されうる。第1剥離シート42は、第1積層体11の接合処理の間に調光フィルム20及び中間膜29に加えられるダメージを軽減する役割がある。そのため、積層方向と直角を成す方向(図4の左右方向参照)に関し、第1剥離シート42は、第1ガラス板21と同じサイズか、第1ガラス板21よりも大きなサイズを有することが好ましく、調光フィルム20及び中間膜29の全体(すなわち図4に示す調光フィルム20及び中間膜29の上面全体)が第1剥離シート42によって覆われることが好ましい。
そして、上記の積層構造体を高温高圧下に置くことによって、第1ガラス板21、第1接合体41、調光フィルム20、中間膜29及び第1剥離シート42を重ねた状態で、常圧よりも高い圧力下で、第1接合体41を介して調光フィルム20及び中間膜29を第1ガラス板21に対して取り付ける。常圧よりも高い圧力下で第1接合体41を介して調光フィルム20及び中間膜29が第1ガラス板21に対して取り付けられた後、第1剥離シート42は剥がされて調光フィルム20及び中間膜29(第1積層体11)から分離される(図5参照)。なお第1剥離シート42は、上述の「仮圧着処理及び脱気処理」の後(且つ「本圧着処理」の前)に、剥がされてもよい。
上述の一連の工程を経ることによって、第1ガラス板21、第1接合体41、中間膜29及び調光フィルム20が積層されている第1積層体11を準備することができる。なお第1積層体11は、他の構成層(例えば任意の機能を発揮する機能層(空隙層を含む))を有していてもよい。
また第2ガラス板22を有する第2積層体12を準備する。本例の第2積層体12は、第2ガラス板22のみを有するが(図6及び図7参照)、他の構成層(例えば任意の機能を発揮する機能層(空隙層を含む))を有していてもよい。
そして図6及び図7に示すように、調光フィルム20及び中間膜29を介して第1ガラス板21とは反対側に位置する中間接合体13を介し、第1積層体11及び第2積層体12を相互に接着する。図6及び図7に示す例では、調光フィルム20及び中間膜29と第2ガラス板22とが、中間接合体13に隣接し、中間接合体13を介して相互に接着される。中間接合体13は非圧着性の接着成分を含有しており、第1積層体11及び第2積層体12は加圧されることなく(すなわち環境圧下(通常は大気圧下)で)接着される。例えば中間接合体13が熱硬化樹脂を含有する場合には、中間接合体13を加熱することによって、第1積層体11及び第2積層体12の接着が促されてもよい。また中間接合体13が常温硬化樹脂を含有する場合、常温(例えば5℃~35℃)の環境下で、中間接合体13の硬化に必要な時間以上、第1積層体11、第2積層体12及び中間接合体13の積層構造体が放置されてもよい。また中間接合体13が紫外線硬化樹脂を含有する場合、紫外線照射器(図示省略)によって中間接合体13に紫外線を照射することによって、第1積層体11及び第2積層体12の接着が促されてもよい。
なお第1積層体11及び第2積層体12に対する熱ダメージ及び圧力ダメージを防ぐ観点からは、中間接合体13を硬化させるための加熱及び加圧は行われないことが望ましい。また中間接合体13によって第1積層体11及び第2積層体12を品質良く接着する観点からは、中間接合体13の収縮率はできるだけ小さい方が好ましく、例えば2%以下の収縮率であることが好ましい。ここでいう収縮率は、第1積層体11及び第2積層体12の接着の前後における中間接合体13の体積に基づいて定められる。例えば、液状の中間接合体13が硬化することによって第1積層体11及び第2積層体12の接着が行われる場合、「「中間接合体13の収縮率」=(「硬化前の中間接合体13の体積」-「硬化後の中間接合体13の体積」)/「硬化前の中間接合体13の体積」」によって中間接合体13の収縮率を表すことができる。
上述の一連の工程を経ることによって、本実施形態の合わせガラス10を製造することができる。
なお第1積層体11を作製するために高温高圧下で積層構造体の接合を行う機器は、限定されない。例えば図8に示す装置と図9に示す装置とを組み合わせて使用することにより、積層体60(本実施形態では第1積層体11)を高温高圧下に置くことができる。すなわち図8に示すように、高温雰囲気の加熱装置61の内側に配置された真空バッグ62内に積層体60を配置した状態で、加熱装置61の外側に設置された真空ポンプ63により真空バッグ62内を真空状態に保持する。これにより積層体60は、高温真空環境下で仮固定され、積層体60(例えば第1接合体41)の脱気処理も同時的に行われる。その後、真空バッグ62から取り出された積層体60を加熱加圧装置(オートクレーブ)64の内側に配置し、高温高圧下で積層体60を本固定することができる。
また図10に示すように、加熱加圧装置64及び真空バッグ62が組み合わされた装置を使用することによって、積層体60を高温高圧下に置くことができる。すなわち加熱加圧装置64の内側に配置された真空バッグ62内に積層体60を配置した状態で、加熱加圧装置64の外側に設置された真空ポンプ63により真空バッグ62内を真空状態に保持する。これにより積層体60は、真空バッグ62内において高温真空環境下に置かれ、且つ、真空バッグ62を介して外側から(すなわち加熱加圧装置64内において)加圧される。なお図10に示す装置では、加熱加圧装置64内に高圧環境を効率良く作り出すために、真空バッグ62と真空ポンプ63とをつなぐ気体流路を、加熱加圧装置64に対して気密な状態で、加熱加圧装置64の内側と外側との間で延在させることが好ましい。
また中間接合体13を第1積層体11と第2積層体12との間に配置する手法は限定されない。例えば、第1積層体11と第2積層体12との間に配置した液状の中間接合体13(流動性を有する中間接合体13)を硬化させることにより、中間接合体13を介して第1積層体11及び第2積層体12を接着する場合、液状の中間接合体13を第1積層体11と第2積層体12との間に配置する必要がある。そのような液状の中間接合体13の配置は、例えば図11及び図12に示す方法によって行うことが可能である。
すなわち図11に示すように、第1積層体11と第2積層体12との間に中間シール膜26を設置し、第1積層体11、第2積層体12及び中間シール膜26によって囲まれる接合スペース27を作り出してもよい。そして、接合剤注入器25により液状の中間接合体13を接合スペース27に注入することによって、第1積層体11との第2積層体12との間に液状の中間接合体13を配置することができる。接合剤注入器25の注入口は、例えば中間シール膜26に設けられた貫通路を通って、接合スペース27に配置することができる。
また図12に示すように、第1積層体11及び第2積層体12のうちの一方(図12に示す例では第1積層体11)に中間シール膜26を設置し、第1積層体11及び第2積層体12がお互いから離れている状態で、中間シール膜26により区画される接合スペース27に中間接合体13を付与してもよい。図12に示す例では、調光フィルム20、中間膜29、及び中間シール膜26によって区画される接合スペース27に(特に調光フィルム20及び中間膜29上に)、中間接合体13が付与される。この際、中間接合体13は、接合スペース27(具体的には調光フィルム20及び中間膜29上)の一箇所にのみ付与されてもよいし、接合スペース27の複数箇所に付与されてもよい。そして、第1積層体11及び第2積層体12のうちの他方(図12に示す例では第2積層体12)が中間シール膜26及び中間接合体13に載せられることによって、第1積層体11との第2積層体12との間に液状の中間接合体13を配置することができる。
接合スペース27における中間接合体13の付与量は、第2積層体12が中間シール膜26を介して第1積層体11に重ねられた際の接合スペース27の体積に相当する量であり、液状の中間接合体13は、第1積層体11、第2積層体12及び中間シール膜26により区画される接合スペース27に隙間なく充填されることが好ましい。
以上説明したように本実施形態によれば、第1積層体11及び第2積層体12は中間接合体13により常圧下で接着されるので、第1積層体11及び第2積層体12の接着処理に起因する調光フィルム20の液晶の偏在の発生を防ぐことができる。一方、調光フィルム20は膜状の第1接合体41を介して高圧下で第1ガラス板21に対して接合されるので、調光フィルム20を第1ガラス板21に対して位置精度良く取り付けることができる。特に、第1ガラス板21の接合面が平面である場合だけではなく、第1ガラス板21の接合面が曲面である場合にも、調光フィルム20を第1ガラス板21に対して位置精度良く取り付けることができる。すなわち、調光フィルム20を第1ガラス板21の曲面に沿って曲げながら接合することができる。なお調光フィルム20を第1ガラス板21の曲面に接合する場合には、第1接合体41は圧着性の接着成分を含有することが好ましい。このように本実施形態によれば、調光フィルム20の液晶の偏在を防ぎつつ、調光フィルム20を第1ガラス板21に対して位置精度良く取り付けることが可能な合わせガラス10を提供することができる。
なお、第1積層体11を準備する工程において高温高圧下で接合処理を受けた直後の調光フィルム20では、液晶の偏在が生じることがある。しかしながら本実施形態の第1積層体11では、調光フィルム20の一方側(すなわち第1ガラス板21とは反対側)に剛体(すなわちガラス板)が存在しない。そのため第1積層体11が高圧下から解放された後、時間の経過とともに、セルギャップ(液晶層37の厚み)が均一になるように液晶が自然に移動する傾向があることを、本件発明者は実験により確認した。したがって本実施形態によれば、たとえ調光フィルム20に液晶の偏在が生じたとしても、そのような液晶の偏在は時間の経過とともに自然に解消されるため、液晶溜まりのない均一なセルギャップを有する第1積層体11を準備することができる。
また合わせガラス10の形態において、調光フィルム20は、第1ガラス板21及び第2ガラス板22により挟まれるように固定されているので、調光フィルム20のセルギャップを安定的に保持することができる。特に、中間接合体13及び第1接合体41が硬化することによって、より一層安定的にセルギャップを一定に保持することができる。したがって本実施形態の合わせガラス10によれば、合わせガラス10の積層方向が鉛直方向と非平行となるように合わせガラス10が配置されても、重力の影響で生じうる調光フィルム20の液晶の局所的偏在(いわゆる重力ムラ)を防ぐことができる。
また第1接合体41としてPVBを用いることによって、第1ガラス板21が大きな衝撃を受けた際の第1ガラス板21の飛散を防ぐことができる。また第1接合体41として他の機能性接合剤を用いることによって、第1積層体11に様々な機能を付与することが可能である。
また第1剥離シート42を用いることによって、調光フィルム20が剛体(すなわちガラス体)により挟まれていなくても、調光フィルム20(第1積層体11)の接合処理を高圧下で行うことができる。また第1剥離シート42を用いることにより、第1積層体11を作製する際に調光フィルム20に対して他の物体(例えば真空バッグ62)が直接的に接触することを防ぐことができ、調光フィルム20に加えられるダメージを軽減することができる。また第1剥離シート42は剥離性に優れているので、第1剥離シート42を第1積層体11から取り除く際に、調光フィルム20にダメージが与えられない又は殆ど与えられない。
また第2積層体12が第2ガラス板22のみにより構成されることによって、第2積層体12の接合処理が不要になる。
[第2実施形態]
本実施形態において、上述の第1実施形態と同一又は類似の要素には同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。
図13~図16は、第2実施形態に係る合わせガラス10の製造方法を説明するための図である。なお第2実施形態の合わせガラス10は、図16に示す層構成を有する。
本実施形態の合わせガラス10(図16参照)において、第1積層体11は、第1ガラス板21、調光フィルム20、中間膜29、及び、調光フィルム20及び中間膜29と第1ガラス板21との間に設けられる膜状の第1接合体41を有する。第2積層体12は、第2ガラス板22と、第2ガラス板22に対して取り付けられている膜状の第2接合体43とを有する。第1積層体11及び第2積層体12を相互に接着する中間接合体13は、調光フィルム20及び中間膜29を介して第1ガラス板21とは反対側に位置し、且つ、第2接合体43を介して第2ガラス板22とは反対側に位置する。中間接合体13は、調光フィルム20及び中間膜29に対して第2接合体43を接着し、非圧着性の接着成分を含有する。一方、第1接合体41及び第2接合体43のうちの少なくともいずれか一方(本例では第1接合体41及び第2接合体43の両方)は、圧着性の接着成分を含有する。
本実施形態の合わせガラス10は、例えば、以下の工程を含む製造方法によって製造することができる。
まず、上述の第1実施形態と同様にして、第1積層体11が準備される(図4及び図5参照)。
また第2ガラス板22及び第2接合体43を有する第2積層体12が準備される。
本例では、常圧よりも高い圧力下で、圧着性の接着成分(例えばPVB)を含有する第2接合体43が第2ガラス板22に対して取り付けられる。より具体的には、第2ガラス板22及び第2接合体43を積み重ねることによって積層構造体が作られる。積層方向と直角を成す方向(図13の左右方向参照)に関し、第2接合体43は、第2ガラス板22と同じサイズか、第2ガラス板22よりも大きなサイズを有することが好ましく、第2ガラス板22の全体が第2接合体43によって覆われることが好ましい。
この積層構造体において、第2ガラス板22とは反対側において第2接合体43を覆うように第2剥離シート44が配置される(図13参照)。第2剥離シート44は、上述の第1剥離シート42(図4及び図5参照)と同様に、剥離性に優れたシートであり、例えばシリコーン製のシートによって構成されうる。積層方向と直角を成す方向に関し、第2剥離シート44は、第2接合体43と同じサイズか、第2接合体43よりも大きなサイズを有することが好ましく、第2接合体43の全体(すなわち図13に示す第2接合体43の下面全体)が第2剥離シート44によって覆われることが好ましい。
そして、上記の積層構造体を高温高圧下に置くことによって、第2ガラス板22、第2接合体43及び第2剥離シート44を重ねた状態で、常圧よりも高い圧力下で、第2接合体43が第2ガラス板22に対して取り付けられる。常圧よりも高い圧力下で第2接合体43が第2ガラス板22に対して取り付けられた後、第2剥離シート44は剥がされて第2接合体43(第2積層体12)から分離される(図14参照)。なお第2剥離シート44は、上述の「仮圧着処理及び脱気処理」の後(且つ「本圧着処理」の前)に、剥がされてもよい。
上述の一連の工程を経ることによって、第2ガラス板22及び第2接合体43が積層されている第2積層体12を準備することができる。なお第2積層体12は、他の構成層(例えば任意の機能を発揮する機能層(空隙層を含む))を有していてもよい。
そして図15及び図16に示すように、第1積層体11及び第2積層体12は中間接合体13を介して相互に接着される。図15及び図16に示す例では、調光フィルム20及び中間膜29と第2接合体43とが、中間接合体13に隣接し、中間接合体13を介して相互に接着される。
上述の一連の工程を経ることによって、本実施形態の合わせガラス10を製造することができる。
なお第2積層体12を作製するために高温高圧下で積層構造体の接合を行う機器は、限定されない。例えば、上述の図8~図10に示す装置を使用することにより、積層体60(本実施形態では第1積層体11及び第2積層体12の各々)を高温高圧下に置くことができる。
以上説明したように本実施形態においても、上述の第1実施形態と同様に、第1積層体11及び第2積層体12の接着処理に起因する調光フィルム20の液晶の偏在の発生を防ぎつつ、調光フィルム20を第1ガラス板21に対して位置精度良く取り付けることができる。
また本実施形態において第2接合体43としてPVBを用いることにより、第2ガラス板22が大きな衝撃を受けた際の第2ガラス板22の飛散を防ぐことができる。第2接合体43として他の機能性接合剤を用いることによって、第2積層体12に様々な機能を付与することが可能である。
また第2剥離シート44を用いることによって、第2積層体12の接合処理を高圧下で行うことができる。また第2剥離シート44を用いることにより、第2積層体12を作製する際に第2接合体43に対して他の物体が直接的に接触することを防ぐことができ、第2接合体43に加えられるダメージを軽減することができる。また第2剥離シート44は剥離性に優れているので、第2剥離シート44を第2積層体12から取り除く際に、第2接合体43にダメージが与えられない又は殆ど与えられない。
[第3実施形態]
本実施形態において、上述の第1実施形態及び第2実施形態と同一又は類似の要素には同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。
図17~図20は、第3実施形態に係る合わせガラス10の製造方法を説明するための図である。なお第3実施形態の合わせガラス10は、図20に示す層構成を有する。
本実施形態の合わせガラス10(図20参照)において、第1積層体11は、第1ガラス板21、調光フィルム20、中間膜29、及び、調光フィルム20及び中間膜29と第1ガラス板21との間に設けられる膜状の第1接合体41を有する。第2積層体12は、第2ガラス板22と、第2ガラス板22に対して取り付けられている第2接合体43と、第2接合体43を介して第2ガラス板22に対して取り付けられる介在フィルム(後述の「第2介在フィルム」に対応)45と、を有する。第1積層体11及び第2積層体12を相互に接着する中間接合体13は、調光フィルム20及び中間膜29を介して第1ガラス板21とは反対側に位置し、且つ、介在フィルム45を介して第2ガラス板22及び第2接合体43とは反対側に位置する。中間接合体13は、調光フィルム20及び中間膜29に対して介在フィルム45を接着し、非圧着性の接着成分を含有する。一方、第1接合体41及び第2接合体43のうちの少なくともいずれか一方(本例では第1接合体41及び第2接合体43の両方)は、圧着性の接着成分を含有する。
本実施形態の合わせガラス10は、例えば、以下の工程を含む製造方法によって製造することができる。
まず、上述の第1実施形態及び第2実施形態と同様にして、第1積層体11が準備される(図4及び図5参照)。
また、第2ガラス板22、第2接合体43及び介在フィルム45を有する第2積層体12が準備される。
本例では、常圧よりも高い圧力下で、圧着性の接着成分(例えばPVB)を含有する第2接合体43を介し、介在フィルム45が第2ガラス板22に対して取り付けられる。より具体的には、第2ガラス板22、第2接合体43及び介在フィルム45をこの順番で重ねることによって積層構造体が作られる。積層方向と直角を成す方向(図17の左右方向参照)に関し、介在フィルム45は、第2接合体43と同じサイズか、第2接合体43よりも大きなサイズを有することが好ましく、第2接合体43の全体が介在フィルム45によって覆われることが好ましい。介在フィルム45を構成する材料は限定されないが、後述のように中間接合体13及び第2接合体43の双方との接合性に優れた材料により介在フィルム45を構成することが好ましく、例えばPET(ポリエチレンテレフタレート)によって介在フィルム45を構成してもよい。
この積層構造体において、第2ガラス板22及び第2接合体43とは反対側において介在フィルム45を覆うように第2剥離シート44が配置される(図17参照)。積層方向と直角を成す方向に関し、第2剥離シート44は、介在フィルム45と同じサイズか、介在フィルム45よりも大きなサイズを有することが好ましく、介在フィルム45の全体(すなわち図17に示す介在フィルム45の下面全体)が第2剥離シート44によって覆われることが好ましい。
そして、上記の積層構造体を高温高圧下に置くことによって、第2ガラス板22、第2接合体43、介在フィルム45及び第2剥離シート44を重ねた状態で、常圧よりも高い圧力下で、第2接合体43を介して介在フィルム45が第2ガラス板22に対して取り付けられる。常圧よりも高い圧力下で介在フィルム45が第2ガラス板22に対して取り付けられた後、第2剥離シート44は剥がされて介在フィルム45(第2積層体12)から分離される(図18参照)。なお第2剥離シート44は、上述の「仮圧着処理及び脱気処理」の後(且つ「本圧着処理」の前)に、剥がされてもよい。
上述の一連の工程を経ることによって、第2ガラス板22、第2接合体43及び介在フィルム45が積層されている第2積層体12を準備することができる。なお第2積層体12は、他の構成層(例えば任意の機能を発揮する機能層(空隙層を含む))を有していてもよい。
そして図19及び図20に示すように、第1積層体11及び第2積層体12は中間接合体13を介して相互に接着される。図19及び図20に示す例では、調光フィルム20及び中間膜29と介在フィルム45とが、中間接合体13に隣接し、中間接合体13を介して相互に接着される。
上述の一連の工程を経ることによって、本実施形態の合わせガラス10を製造することができる。
なお第2積層体12を作製するために高温高圧下で積層構造体の接合を行う機器は、限定されない。例えば、上述の図8~図10に示す装置を使用することにより、積層体60(本実施形態では第1積層体11及び第2積層体12の各々)を高温高圧下に置くことができる。
以上説明したように本実施形態においても、上述の第1実施形態及び第2実施形態と同様に、第1積層体11及び第2積層体12の接着処理に起因する調光フィルム20の液晶の偏在の発生を防ぎつつ、調光フィルム20を第1ガラス板21に対して位置精度良く取り付けることができる。
また本実施形態の合わせガラス10では、介在フィルム45を介して中間接合体13及び第2接合体43が接着される。そのため、中間接合体13と第2接合体43との間の接着性が良好ではない場合であっても、介在フィルム45が介在することによって、中間接合体13を第2積層体12に対して良好に接着させることが可能である。したがって、中間接合体13及び第2接合体43の双方との接合性に優れた材料により介在フィルム45を構成することによって、第2接合体43は、必ずしも中間接合体13との接着性に優れていなくてもよい。そのため本実施形態の合わせガラス10によれば、中間接合体13及び/又は第2接合体43に使用される材料の選択の自由度が高い。
[第4実施形態]
本実施形態において、上述の第1~第3実施形態と同一又は類似の要素には同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。
図21~図24は、第4実施形態に係る合わせガラス10の製造方法を説明するための図である。なお第4実施形態の合わせガラス10は、図24に示す層構成を有する。
本実施形態の合わせガラス10(図24参照)において、第1積層体11は、第1ガラス板21、応力緩和層47、第1ガラス板21と応力緩和層47との間に設けられ液晶を有する調光フィルム20、第1ガラス板21と応力緩和層47との間に設けられる中間膜29、及び第1ガラス板21と調光フィルム20及び中間膜29との間に設けられる第1接合体41を有する。第2積層体12は、第2ガラス板22を有する。第1積層体11及び第2積層体12を相互に接着する中間接合体13は、応力緩和層47を介して第1ガラス板21、中間膜29及び調光フィルム20とは反対側に位置しており、応力緩和層47に対して第2ガラス板22を接着する。第1接合体41は圧着性の接着成分を含有する。一方、中間接合体13は非圧着性の接着成分を含有する。
応力緩和層47は、調光フィルム20及び中間膜29に対し、第1ガラス板21とは反対側で取り付けられる。応力緩和層47を構成する材料は限定されない。応力緩和層47は中間接合体13の収縮の影響を低減する役割を有するため、応力緩和層47を構成する材料は、隣接層(本例では中間接合体13、中間膜29及び調光フィルム20)との接合性に優れた材料が好ましく、中間接合体13の収縮の影響を調光フィルム20に伝えにくい材料が好ましい。例えばPVBによって応力緩和層47が構成されていてもよい。
本実施形態の合わせガラス10は、例えば、以下の工程を含む製造方法によって製造することができる。
まず、第1積層体11が準備される。
本例では、常圧よりも高い圧力下で、圧着性の接着成分(例えばPVB)を含有する第1接合体41を介し、調光フィルム20及び中間膜29が第1ガラス板21に対して取り付けられる。また応力緩和層47が調光フィルム20及び中間膜29に対して取り付けられる。より具体的には、第1ガラス板21、第1接合体41、調光フィルム20、及び応力緩和層47をこの順番で重ねることによって、且つ、第1接合体41と応力緩和層47との間において調光フィルム20を取り囲むように中間膜29を配置することによって、積層構造体が作られる。積層方向と直角を成す方向(図21の左右方向参照)に関し、応力緩和層47は、第1ガラス板21と同じサイズか、第1ガラス板21よりも大きなサイズを有することが好ましく、調光フィルム20及び中間膜29の全体(すなわち図21に示す調光フィルム20及び中間膜29の上面全体)が応力緩和層47によって覆われることが好ましい。
この積層構造体において、第1ガラス板21とは反対側において調光フィルム20、中間膜29及び応力緩和層47を覆うように第1剥離シート42が配置される(図21参照)。第1剥離シート42は、第1積層体11の接合処理の間に調光フィルム20、中間膜29及び応力緩和層47に加えられるダメージを軽減する役割がある。そのため、積層方向と直角を成す方向(図21の左右方向参照)に関し、第1剥離シート42は、応力緩和層47と同じサイズか、応力緩和層47よりも大きなサイズを有することが好ましく、応力緩和層47の全体(すなわち図21に示す応力緩和層47の上面全体)が第1剥離シート42によって覆われることが好ましい。
そして、上記の積層構造体を高温高圧下に置くことによって、第1ガラス板21、第1接合体41、調光フィルム20、中間膜29、応力緩和層47及び第1剥離シート42を重ねた状態で、常圧よりも高い圧力下で、第1接合体41を介して調光フィルム20及び中間膜29を第1ガラス板21に対して取り付け、応力緩和層47を調光フィルム20及び中間膜29に対して取り付ける。常圧よりも高い圧力下で第1接合体41を介して調光フィルム20及び中間膜29が第1ガラス板21に対して取り付けられ、調光フィルム20及び中間膜29に対して応力緩和層47が取り付けられた後、第1剥離シート42は剥がされて応力緩和層47(第1積層体11)から分離される(図22参照)。なお第1剥離シート42は、上述の「仮圧着処理及び脱気処理」の後(且つ「本圧着処理」の前)に、剥がされてもよい。
上述の一連の工程を経ることによって、第1ガラス板21、第1接合体41、調光フィルム20、中間膜29及び応力緩和層47が積層されている第1積層体11を準備することができる。なお第1積層体11は、他の構成層(例えば任意の機能を発揮する機能層(空隙層を含む))を有していてもよい。
また第2ガラス板22を有する第2積層体12を準備する。本例の第2積層体12は、第2ガラス板22のみを有するが(図23及び図24参照)、他の構成層(例えば任意の機能を発揮する機能層(空隙層を含む))を有していてもよい。
そして図23及び図24に示すように、応力緩和層47を介して第1ガラス板21、第1接合体41、中間膜29及び調光フィルム20とは反対側に位置する中間接合体13を介し、第1積層体11及び第2積層体12を相互に接着する。図23及び図24に示す例では、応力緩和層47及び第2ガラス板22が、中間接合体13に隣接し、中間接合体13を介して相互に接着される。
上述の一連の工程を経ることによって、本実施形態の合わせガラス10を製造することができる。
なお第1積層体11を作製するために高温高圧下で積層構造体の接合を行う機器は、限定されない。例えば、上述の図8~図10に示す装置を使用することにより、積層体60(本実施形態では第1積層体11)を高温高圧下に置くことができる。
以上説明したように本実施形態においても、上述の第1~第3実施形態と同様に、第1積層体11及び第2積層体12の接着処理に起因する調光フィルム20の液晶の偏在の発生を防ぎつつ、調光フィルム20を第1ガラス板21に対して位置精度良く取り付けることができる。
また本実施形態の合わせガラス10によれば、応力緩和層47によって中間接合体13の収縮の影響を緩和することができ、調光フィルム20における液晶溜まりの発生をより一層効果的に防ぐことができる。
[第5実施形態]
本実施形態において、上述の第1~第4実施形態と同一又は類似の要素には同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。
図25及び図26は、第5実施形態に係る合わせガラス10の製造方法を説明するための図である。なお第5実施形態の合わせガラス10は、図26に示す層構成を有する。
本実施形態の合わせガラス10(図26参照)において、第1積層体11は、第1ガラス板21、応力緩和層47、第1ガラス板21と応力緩和層47との間に設けられ液晶を有する調光フィルム20、第1ガラス板21と応力緩和層47との間に設けられる中間膜29、及び第1ガラス板21と調光フィルム20及び中間膜29との間に設けられる第1接合体41を有する。第2積層体12は、第2ガラス板22と、第2ガラス板22に対して取り付けられている第2接合体43とを有する。第1積層体11及び第2積層体12を相互に接着する中間接合体13は、応力緩和層47を介して第1ガラス板21、中間膜29及び調光フィルム20とは反対側に位置し、且つ、第2接合体43を介して第2ガラス板22とは反対側に位置する。中間接合体13は、応力緩和層47に対して第2接合体43を接着し、非圧着性の接着成分を含有する。一方、第1接合体41及び第2接合体43のうちの少なくともいずれか一方(本例では第1接合体41及び第2接合体43の両方)は、圧着性の接着成分を含有する。
本実施形態の合わせガラス10は、例えば、以下の工程を含む製造方法によって製造することができる。
まず、上述の第4実施形態と同様にして、第1積層体11が準備される(図21及び図22参照)。
また、上述の第2実施形態と同様にして、第2積層体12が準備される(図13及び図14参照)。
そして図25及び図26に示すように、第1積層体11及び第2積層体12は中間接合体13を介して相互に接着される。図25及び図26に示す例では、応力緩和層47及び第2接合体43が、中間接合体13に隣接し、中間接合体13を介して相互に接着される。
上述の一連の工程を経ることによって、本実施形態の合わせガラス10を製造することができる。
以上説明したように本実施形態においても、上述の第1~第4実施形態と同様に、第1積層体11及び第2積層体12の接着処理に起因する調光フィルム20の液晶の偏在の発生を防ぎつつ、調光フィルム20を第1ガラス板21に対して位置精度良く取り付けることができる。
また本実施形態の合わせガラス10によれば、応力緩和層47によって中間接合体13の収縮の影響を緩和することができる。また第2接合体43としてPVBを用いることによって、第2ガラス板22が大きな衝撃を受けた際の第2ガラス板22の飛散を防ぐことができる。
[第6実施形態]
本実施形態において、上述の第1~第5実施形態と同一又は類似の要素には同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。
図27及び図28は、第6実施形態に係る合わせガラス10の製造方法を説明するための図である。なお第6実施形態の合わせガラス10は、図28に示す層構成を有する。
本実施形態の合わせガラス10(図28参照)において、第1積層体11は、第1ガラス板21、応力緩和層47、第1ガラス板21と応力緩和層47との間に設けられ液晶を有する調光フィルム20、第1ガラス板21と応力緩和層47との間に設けられる中間膜29、及び第1ガラス板21と調光フィルム20及び中間膜29との間に設けられる第1接合体41を有する。第2積層体12は、第2ガラス板22と、第2ガラス板22に対して取り付けられている第2接合体43と、第2接合体43を介して第2ガラス板22に対して取り付けられる介在フィルム45と、を有する。第1積層体11及び第2積層体12を相互に接着する中間接合体13は、応力緩和層47を介して第1ガラス板21、中間膜29及び調光フィルム20とは反対側に位置し、且つ、介在フィルム45を介して第2ガラス板22とは反対側に位置する。中間接合体13は、応力緩和層47に対して介在フィルム45を接着し、非圧着性の接着成分を含有する。一方、第1接合体41及び第2接合体43のうちの少なくともいずれか一方(本例では第1接合体41及び第2接合体43の両方)は、圧着性の接着成分を含有する。
本実施形態の合わせガラス10は、例えば、以下の工程を含む製造方法によって製造することができる。
まず、上述の第4実施形態と同様にして、第1積層体11が準備される(図21及び図22参照)。
また、上述の第3実施形態と同様にして、第2積層体12が準備される(図17及び図18参照)。
そして図27及び図28に示すように、第1積層体11及び第2積層体12は中間接合体13を介して相互に接着される。図27及び図28に示す例では、応力緩和層47及び介在フィルム45が、中間接合体13に隣接し、中間接合体13を介して相互に接着される。
上述の一連の工程を経ることによって、本実施形態の合わせガラス10を製造することができる。
以上説明したように本実施形態においても、上述の第1~第5実施形態と同様に、第1積層体11及び第2積層体12の接着処理に起因する調光フィルム20の液晶の偏在の発生を防ぎつつ、調光フィルム20を第1ガラス板21に対して位置精度良く取り付けることができる。
また本実施形態の合わせガラス10によれば、応力緩和層47によって中間接合体13の収縮の影響を緩和することができる。また介在フィルム45が介在することによって、中間接合体13を第2積層体12に対して良好に接着させることができ、中間接合体13及び/又は第2接合体43に使用される材料の選択の自由度が高い。
[第7実施形態]
本実施形態において、上述の第1~第6実施形態と同一又は類似の要素には同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。
図29~図32は、第7実施形態に係る合わせガラス10の製造方法を説明するための図である。なお第7実施形態の合わせガラス10は、図32に示す層構成を有する。
本実施形態の合わせガラス10(図32参照)において、第1積層体11は、第1ガラス板21、第1介在フィルム49、第1ガラス板21と第1介在フィルム49との間に設けられ液晶を有する調光フィルム20、第1ガラス板21と第1介在フィルム49との間に設けられる中間膜29、第1ガラス板21と調光フィルム20及び中間膜29との間に設けられる第1接合体41、及び第1介在フィルム49と調光フィルム20及び中間膜29との間に設けられる応力緩和層47を有する。第2積層体12は、第2ガラス板22を有する。第1積層体11及び第2積層体12を相互に接着する中間接合体13は、第1介在フィルム49を介して第1ガラス板21、中間膜29、調光フィルム20及び応力緩和層47とは反対側に位置しており、第1介在フィルム49に対して第2ガラス板22を接着する。第1接合体41は圧着性の接着成分を含有する。一方、中間接合体13は非圧着性の接着成分を含有する。
第1介在フィルム49は、応力緩和層47に対して第1ガラス板21とは反対側で取り付けられる。第1介在フィルム49を構成する材料は限定されないが、後述のように中間接合体13及び応力緩和層47の双方との接合性に優れた材料により第1介在フィルム49を構成することが好ましく、例えばPETによって第1介在フィルム49を構成してもよい。
本実施形態の合わせガラス10は、例えば、以下の工程を含む製造方法によって製造することができる。
まず、第1積層体11が準備される。
本例では、常圧よりも高い圧力下で、圧着性の接着成分(例えばPVB)を含有する第1接合体41を介し、調光フィルム20及び中間膜29が第1ガラス板21に対して取り付けられる。また応力緩和層47が調光フィルム20及び中間膜29に対して取り付けられる。また第1介在フィルム49が応力緩和層47に対して取り付けられる。より具体的には、第1ガラス板21、第1接合体41、調光フィルム20、応力緩和層47及び第1介在フィルム49をこの順番で重ねることによって、且つ、第1接合体41と応力緩和層47との間において調光フィルム20を取り囲むように中間膜29を配置することによって、積層構造体が作られる。積層方向と直角を成す方向(図29の左右方向参照)に関し、第1介在フィルム49は、応力緩和層47と同じサイズか、応力緩和層47よりも大きなサイズを有することが好ましく、応力緩和層47の全体が第1介在フィルム49によって覆われることが好ましい。
この積層構造体において、第1ガラス板21とは反対側において調光フィルム20、中間膜29、応力緩和層47及び第1介在フィルム49を覆うように第1剥離シート42が配置される(図29参照)。第1剥離シート42は、第1積層体11の接合処理の間に調光フィルム20、中間膜29、応力緩和層47及び第1介在フィルム49に加えられるダメージを軽減する役割がある。そのため、積層方向と直角を成す方向(図29の左右方向参照)に関し、第1剥離シート42は、第1介在フィルム49と同じサイズか、第1介在フィルム49よりも大きなサイズを有することが好ましく、第1介在フィルム49の全体(すなわち図29に示す第1介在フィルム49の上面全体)が第1剥離シート42によって覆われることが好ましい。
そして、上記の積層構造体を高温高圧下に置くことによって、第1ガラス板21、第1接合体41、調光フィルム20、中間膜29、応力緩和層47、第1介在フィルム49及び第1剥離シート42を重ねた状態で、常圧よりも高い圧力下で、第1接合体41を介して調光フィルム20及び中間膜29を第1ガラス板21に対して取り付け、応力緩和層47を調光フィルム20及び中間膜29に対して取り付け、第1介在フィルム49を応力緩和層47に対して取り付ける。常圧よりも高い圧力下で第1接合体41を介して調光フィルム20及び中間膜29が第1ガラス板21に対して取り付けられ、調光フィルム20及び中間膜29に対して応力緩和層47が取り付けられ、応力緩和層47に対して第1介在フィルム49が取り付けられた後、第1剥離シート42は剥がされて第1介在フィルム49(第1積層体11)から分離される(図30参照)。なお第1剥離シート42は、上述の「仮圧着処理及び脱気処理」の後(且つ「本圧着処理」の前)に、剥がされてもよい。
上述の一連の工程を経ることによって、第1ガラス板21、第1接合体41、調光フィルム20、中間膜29、応力緩和層47及び第1介在フィルム49が積層されている第1積層体11を準備することができる。なお第1積層体11は、他の構成層(例えば任意の機能を発揮する機能層(空隙層を含む))を有していてもよい。
また第2ガラス板22を有する第2積層体12を準備する。本例の第2積層体12は、第2ガラス板22のみを有するが(図31及び図32参照)、他の構成層(例えば任意の機能を発揮する機能層(空隙層を含む))を有していてもよい。
そして図31及び図32に示すように、第1介在フィルム49を介して第1ガラス板21、第1接合体41、調光フィルム20、中間膜29及び応力緩和層47とは反対側に位置する中間接合体13を介し、第1積層体11及び第2積層体12を相互に接着する。図31及び図32に示す例では、第1介在フィルム49及び第2ガラス板22が、中間接合体13に隣接し、中間接合体13を介して相互に接着される。
上述の一連の工程を経ることによって、本実施形態の合わせガラス10を製造することができる。
なお第1積層体11を作製するために高温高圧下で積層構造体の接合を行う機器は、限定されない。例えば、上述の図8~図10に示す装置を使用することにより、積層体60(本実施形態では第1積層体11)を高温高圧下に置くことができる。
以上説明したように本実施形態においても、上述の第1~第6実施形態と同様に、第1積層体11及び第2積層体12の接着処理に起因する調光フィルム20の液晶の偏在の発生を防ぎつつ、調光フィルム20を第1ガラス板21に対して位置精度良く取り付けることができる。
また本実施形態の合わせガラス10によれば、応力緩和層47及び第1介在フィルム49によって中間接合体13の収縮の影響を緩和することができる。
また本実施形態の合わせガラス10によれば、第1介在フィルム49を介して中間接合体13及び応力緩和層47が接着される。そのため、中間接合体13と応力緩和層47との間の接着性が良好ではない場合であっても、第1介在フィルム49が介在することによって、中間接合体13を第1積層体11に対して良好に接着させることができる。したがって、中間接合体13及び応力緩和層47の双方との接合性に優れた材料により第1介在フィルム49を構成することによって、応力緩和層47は、必ずしも中間接合体13との接着性に優れていなくてもよい。そのため本実施形態では、中間接合体13及び/又は応力緩和層47に使用される材料の選択の自由度が高い。
[第8実施形態]
本実施形態において、上述の第1~第7実施形態と同一又は類似の要素には同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。
図33及び図34は、第8実施形態に係る合わせガラス10の製造方法を説明するための図である。なお第8実施形態の合わせガラス10は、図34に示す層構成を有する。
本実施形態の合わせガラス10(図34参照)において、第1積層体11は、第1ガラス板21、第1介在フィルム49、第1ガラス板21と第1介在フィルム49との間に設けられ液晶を有する調光フィルム20、第1ガラス板21と第1介在フィルム49との間に設けられる中間膜29、第1ガラス板21と調光フィルム20及び中間膜29との間に設けられる第1接合体41、及び第1介在フィルム49と調光フィルム20及び中間膜29との間に設けられる応力緩和層47を有する。第2積層体12は、第2ガラス板22と、第2ガラス板22に対して取り付けられている第2接合体43とを有する。第1積層体11及び第2積層体12を相互に接着する中間接合体13は、第1介在フィルム49を介して第1ガラス板21、調光フィルム20、中間膜29及び応力緩和層47とは反対側に位置し、且つ、第2接合体43を介して第2ガラス板22とは反対側に位置する。中間接合体13は、第1介在フィルム49に対して第2接合体43を接着し、非圧着性の接着成分を含有する。一方、第1接合体41及び第2接合体43のうちの少なくともいずれか一方(本例では第1接合体41及び第2接合体43の両方)は、圧着性の接着成分を含有する。
本実施形態の合わせガラス10は、例えば、以下の工程を含む製造方法によって製造することができる。
まず、上述の第7実施形態と同様にして、第1積層体11が準備される(図29及び図30参照)。
また、上述の第2実施形態及び第5実施形態と同様にして、第2積層体12が準備される(図13及び図14参照)。
そして図33及び図34に示すように、第1積層体11及び第2積層体12は中間接合体13を介して相互に接着される。図33及び図34に示す例では、第1介在フィルム49及び第2接合体43が、中間接合体13に隣接し、中間接合体13を介して相互に接着される。
上述の一連の工程を経ることによって、本実施形態の合わせガラス10を製造することができる。
以上説明したように本実施形態においても、上述の第1~第7実施形態と同様に、第1積層体11及び第2積層体12の接着処理に起因する調光フィルム20の液晶の偏在の発生を防ぎつつ、調光フィルム20を第1ガラス板21に対して位置精度良く取り付けることができる。
また本実施形態の合わせガラス10によれば、第1介在フィルム49が介在することによって、中間接合体13を第1積層体11に対して良好に接着させることができる。また第2接合体43としてPVBを用いることによって、第2ガラス板22が大きな衝撃を受けた際の第2ガラス板22の飛散を防ぐことができる。
[第9実施形態]
本実施形態において、上述の第1~第8実施形態と同一又は類似の要素には同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。
図35及び図36は、第9実施形態に係る合わせガラス10の製造方法を説明するための図である。なお第9実施形態の合わせガラス10は、図36に示す層構成を有する。
本実施形態の合わせガラス10(図36参照)において、第1積層体11は、第1ガラス板21、第1介在フィルム49、第1ガラス板21と第1介在フィルム49との間に設けられ液晶を有する調光フィルム20、第1ガラス板21と第1介在フィルム49との間に設けられる中間膜29、第1ガラス板21と調光フィルム20及び中間膜29との間に設けられる第1接合体41、及び第1介在フィルム49と調光フィルム20及び中間膜29との間に設けられる応力緩和層47を有する。第2積層体12は、第2ガラス板22と、第2ガラス板22に対して取り付けられている第2接合体43と、第2接合体43を介して第2ガラス板22に対して取り付けられる第2介在フィルム45(上述の第3実施形態及び第6実施形態における介在フィルム45に対応)と、を有する。第1積層体11及び第2積層体12を相互に接着する中間接合体13は、第1介在フィルム49を介して第1ガラス板21、調光フィルム20、中間膜29及び応力緩和層47とは反対側に位置し、且つ、第2介在フィルム45を介して第2ガラス板22とは反対側に位置する。中間接合体13は、第1介在フィルム49に対して第2介在フィルム45を接着し、非圧着性の接着成分を含有する。一方、第1接合体41及び第2接合体43のうちの少なくともいずれか一方(本例では第1接合体41及び第2接合体43の両方)は、圧着性の接着成分を含有する。
本実施形態の合わせガラス10は、例えば、以下の工程を含む製造方法によって製造することができる。
まず、上述の第7実施形態及び第8実施形態と同様にして、第1積層体11が準備される(図29及び図30参照)。
また、上述の第3実施形態及び第6実施形態と同様にして、第2積層体12が準備される(図17及び図18参照)。
そして図35及び図36に示すように、第1積層体11及び第2積層体12は中間接合体13を介して相互に接着される。図35及び図36に示す例では、第1介在フィルム49及び第2介在フィルム45が、中間接合体13に隣接し、中間接合体13を介して相互に接着される。
上述の一連の工程を経ることによって、本実施形態の合わせガラス10を製造することができる。
以上説明したように本実施形態においても、上述の第1~第8実施形態と同様に、第1積層体11及び第2積層体12の接着処理に起因する調光フィルム20の液晶の偏在の発生を防ぎつつ、調光フィルム20を第1ガラス板21に対して位置精度良く取り付けることができる。
また本実施形態の合わせガラス10によれば、第1介在フィルム49が介在することによって、中間接合体13を第1積層体11に対して良好に接着させることができる。また第2介在フィルム45が介在することによって、中間接合体13を第2積層体12に対して良好に接着させることができる。
上記実施形態及び変形例に開示されている複数の構成要素を必要に応じて適宜組み合せることも可能である。また、上記実施形態及び変形例に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。また、上述の実施形態及び変形例の各要素に各種の変形が加えられてもよい。