JP7147768B2 - フォトレジスト用フェノール樹脂組成物及びフォトレジスト組成物 - Google Patents
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Description
また、従来半導体分野で使用されているフォトリソグラフィー技術の中で、レジスト膜をパターニングしたのち、ウェットエッチング法や、ドライエッチング法により配線形成する工程が普及しているが、その技術を液晶表示素子の製造工程でも応用している流れがある。
それに伴い、フォトレジスト用樹脂材料に対する要求性能も高度化かつ多様化しており、高感度、高残膜率、高解像度などの高現像性と、さらにウェットエッチング耐性及びドライエッチング耐性といったエッチング耐性が優れている必要がある。
1. 下記一般式(1)で示されるノボラック型フェノール樹脂(A)とアリーレン骨格及びナフタレン骨格のうち少なくとも一つを構造中に含むノボラック型フェノール樹脂(B)とを(A)と(B)との質量比が5~95:95~5となる量で含むフォトレジスト用フェノール樹脂組成物に関する。
(一般式(1)中、R1は、水素、又は炭素数1以上8以下の直鎖状若しくは分枝状のアルキル基を表し、それぞれ同一又は異なっていてもよい。ただし、R1の少なくとも一つは炭素数1以上8以下の直鎖状若しくは分枝状のアルキル基である。pは、1以上3以下であり、それぞれ同一又は異なっていてもよい。qは、1以上3以下であり、それぞれ同一又は異なっていてもよい。ただし、p+q≦4である。nは、0以上の整数を表す。)
(一般式(4)中、Xは、下記式(4-1)又は(4-2)で示される2価の基を表す。
R2は、水素、炭素数1~6の直鎖状若しくは分枝状のアルキル基、炭素数3~6の環状アルキル基、フェニル基、又はハロゲンを表す。aは、1又は2である。bは、1以上3以下であり、bが2以上の場合、R2はそれぞれ同一又は異なっていてもよい。ただし、a+b≦4である。なお、ノボラック型フェノール樹脂(B)の構造中に一般式(4)で示されるユニットが複数含まれる場合、ノボラック型フェノール樹脂(B)の構造中に含まれる複数のa、b及びR2は、それぞれ同一又は異なっていてもよい。)
(一般式(10)中、R3は、水素、炭素数1~6の直鎖状若しくは分枝状のアルキル基、炭素数3~6の環状アルキル基、フェニル基、ハロゲン原子、カルボキシル基、アルコキシ基、アセチル基、スルホン酸ナトリウム基、ニトロ基、又はアミノ基を表す。R4は、水素、又はメチル基を表す。cは、1以上3以下であり、cが2以上の場合、R3はそれぞれ同一又は異なっていてもよい。なお、ノボラック型フェノール樹脂(B)の構造中に一般式(10)で示されるユニットが複数含まれる場合、ノボラック型フェノール樹脂(B)の構造中に含まれる複数のc、R4及びR3は、それぞれ同一又は異なっていてもよい。)
(一般式(1)中、R1は、水素、又は炭素数1以上8以下の直鎖状若しくは分枝状のアルキル基を表し、それぞれ同一又は異なっていてもよい。ただし、R1の少なくとも一つは炭素数1以上8以下の直鎖状若しくは分枝状のアルキル基である。pは、1以上3以下であり、それぞれ同一又は異なっていてもよい。qは、1以上3以下であり、それぞれ同一又は異なっていてもよい。ただし、p+q≦4である。nは、0以上の整数を表す。)
本発明のフォトレジスト用フェノール樹脂組成物において、ノボラック型フェノール樹脂(A)は、前記一般式(1)で示される。
前記平均値n’は、ノボラック型フェノール樹脂(A)のGPC(ゲル浸透クロマトグラフィー)で測定される、ポリスチレン換算による重量平均分子量(Mw)が、1000~50000となるような値であることが好ましく、1500~30000となるような値であることがより好ましく、1500~25000となるような値であることがさらに好ましく、3000~15000となるような値であることが特に好ましく、5000~12000となるような値であることが最も好ましい。
ノボラック型フェノール樹脂(A)の構造中のフェノール骨格におけるメチル基の位置は、レジスト組成物のエッチング耐性やアルカリ溶解性に影響を及ぼす。パラ位にメチル基が結合したフェノール骨格を多くすることで、エッチング耐性の高いフォトレジスト組成物を得ることができる。パラ位の割合は、50%を超えることが好ましい。メタ位の割合が多い場合には、アルカリ溶解速度が速くなって残膜率が低下するという不都合が生じるおそれがある。メタ位の割合が50%までであれば、そのおそれはない。
前記一般式(1)で示されるノボラック型フェノール樹脂(A)は、下記一般式(3)で示されるフェノール化合物(a1)とホルムアルデヒド(a2)とを、酸性触媒下で縮重合反応させることで得ることができる。
ノボラック型フェノール樹脂(A)の製造において、使用されるフェノール化合物(a1)は、下記一般式(3)で示される。
また、p=2の化合物としては、カテコール、レゾルシン、ヒドロキノンなどが挙げられる。中でも、レゾルシンが好適である。
また、P=3の化合物としては、ヒドロキシキノール、フロログリシノール、ピロガロールなどが挙げられる。
これらのフェノール化合物は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。ただし、R1が炭素数1以上8以下の直鎖状若しくは分枝状のアルキル基であるアルキル置換フェノール化合物を必須成分として含む。
特に、フォトレジスト組成物としたときに、感度、残膜率、解像度、耐熱性をバランスよく備える観点から、フェノール化合物(a1)として、m-クレゾール、p-クレゾール、o-クレゾールのクレゾール類を用いることが好ましく、m-クレゾール、p-クレゾールを用いることがより好ましく、m-クレゾールとp-クレゾールとを組み合わせて用いることがさらに好ましい。
m-クレゾールとp-クレゾールとを組み合わせて用いる場合に、m-クレゾール:p-クレゾールのモル比が20~80:80~20となる量であることが好ましく、30~70:70~30となる量であることがより好ましく、40~60:60~40となる量であることがさらに好ましく、40~50:60~50となる量であることが特に好ましい。
また、ホルムアルデヒド(a2)としては、特に制限はないが、ホルムアルデヒド水溶液を用いてもよく、また、パラホルムアルデヒド、トリオキサンなど酸存在下で分解してホルムアルデヒドとなる重合物を用いてもよい。好ましくは、取り扱いの容易なホルムアルデヒド水溶液であり、市販の42%ホルムアルデヒド水溶液をそのまま好適に使用することができる。
ノボラック型フェノール樹脂(A)の製造において、フェノール化合物(a1)とホルムアルデヒド(a2)とを反応させる際には、フェノール化合物(a1)1モルに対して、ホルムアルデヒド(a2)を、好ましくは0.2~1.0モル、より好ましくは0.5~0.9モルとする。
フェノール化合物(a1)とホルムアルデヒド(a2)とのモル比を上記範囲とすることで、本発明に使用されるノボラック型フェノール樹脂(A)の重量平均分子量(Mw)を好ましい範囲とすることができる。
本発明のノボラック型フェノール樹脂(A)の製造における縮重合反応の反応条件は、通常のフェノール樹脂を調製する際に適用される従来公知の反応条件で構わない。すなわち、使用する酸触媒としては、フェノール成分とホルムアルデヒド成分とを反応させる能力のある酸であれば、特に限定されず、例えば、蓚酸、ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸などの有機スルホン酸、塩酸、硫酸などの無機酸などを単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。中でも、硫酸、蓚酸又はp-トルエンスルホン酸が特に好ましい。
反応溶媒としては、原料のホルムアルデヒドに含まれる水が溶媒の役割を担うことができるが、水以外に、必要によって反応に影響を及ぼさない有機溶媒を使用することもできる。これらの有機溶媒としては、ジエチレングリコールジメチルエーテル、1,2-ジメトキシエタン、1,2-ジエトキシエタンなどのエーテル類;プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどのエステル類;テトラヒドロフラン、ジオキサンなどの環状エーテル類などが挙げられる。
反応溶媒の使用量は、反応原料100質量部あたり、20~1000質量部が好ましい。
縮重合反応の反応温度は、特に限定されず、通常50~200℃、好ましくは70~180℃、より好ましくは80~170℃である。50℃よりも低いと反応が進みにくく、200℃を超えると反応の制御が難しくなり、目的とするノボラック型フェノール樹脂(A)を安定的に得ることが難しくなる。
縮重合反応の反応時間は、反応温度にもよるが、通常は0.1~20時間程度である。また、縮重合反応の反応圧力は、通常は常圧下で行われるが、加圧下或いは減圧下で行ってもよい。
縮重合反応終了後の後処理としては、反応を完全に停止するために塩基を添加して酸触媒を中和し、続いて酸触媒を除去するために水を加えて水洗を行うことが好ましい。
本発明のフォトレジスト用フェノール樹脂組成物において、ノボラック型フェノール樹脂(B)は、アリーレン骨格及びナフタレン骨格のうち少なくとも一つを構造中に含む。本発明のフォトレジスト用フェノール樹脂組成物は、ノボラック型フェノール樹脂(B)を含むことにより、フォトレジスト組成物としたときに、高感度、高残膜率、高解像度などの現像性と、ウェットエッチング耐性やドライエッチング耐性などのエッチング耐性とが共に優れたものとなる。
ノボラック型フェノール樹脂(B)において、アリーレン骨格を構造中に含むとは、下記一般式(4)のユニット(構成単位)を少なくとも1つ構造中に含むことを示す。
(一般式(4)中、Xは、下記式(4-1)又は(4-2)で示される2価の基を表す。
R2は、水素、炭素数1~6の直鎖状若しくは分枝状のアルキル基、炭素数3~6の環状アルキル基、フェニル基、又はハロゲンを表す。aは、1又は2である。bは、1以上3以下であり、bが2以上の場合、R2はそれぞれ同一又は異なっていてもよい。ただし、a+b≦4である。なお、ノボラック型フェノール樹脂(B)の構造中に一般式(4)で示されるユニットが複数含まれる場合、ノボラック型フェノール樹脂(B)の構造中に含まれる複数のa、b及びR2は、それぞれ同一又は異なっていてもよい。)
また、ノボラック型フェノール樹脂(B)の構造中に一般式(4)で示されるユニットが複数含まれる場合、ノボラック型フェノール樹脂(B)の構造中に含まれる複数のaは、それぞれ同一又は異なっていてもよい。すなわち、ノボラック型フェノール樹脂(B)は、構造中に1価フェノール(a=1)の骨格と2価フェノール(a=2)の骨格とを同一の構造内に含みうる。
アリーレン骨格を構造中に含むノボラック型フェノール樹脂(B)は、下記一般式(7)で示されるフェノール化合物(b1)と下記一般式(8)又は(9)で示されるベンゼン環又はビフェニル環を含む化合物(b2)とを無触媒又は好ましくは酸触媒の存在下に、縮合反応させることによって好適に得ることができる。
アリーレン骨格を構造中に含むノボラック型フェノール樹脂(B)の製造において、使用されるフェノール化合物(b1)は、下記一般式(7)で示される。
また、a=2の化合物としては、カテコール、レゾルシン、ハイドロキノンなどの2価フェノールなどを好適に挙げることができる。中でも、レゾルシンが好適である。
これらのフェノール化合物は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができるが、フォトレジスト組成物としたときに感度、残膜率、解像度、耐熱性をバランスよく備える観点から、フェノールを単独で用いることが特に好ましい。
アリーレン骨格を構造中に含むノボラック型フェノール樹脂(B)の製造において、使用されるベンゼン環又はビフェニル環を含む化合物(b2)は、前記一般式(7)で示されるフェノール化合物(b1)を架橋する成分であり、下記一般式(8)又は(9)で示される。
アルコキシ基としては、特に制限はないが、炭素数1~6個の脂肪族アルコキシ基が好ましい。具体的には、メトキシ基及びエトキシ基が挙げられるが、フェノール化合物との反応性及び入手のし易さから、メトキシ基が好ましい。
ハロゲンとしては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子が挙げられるが、フェノール化合物との反応性及び入手のし易さから、塩素原子が好ましい。
アリーレン骨格を構造中に含むノボラック型フェノール樹脂(B)の製造において、フェノール化合物(b1)とベンゼン環又はビフェニル環を含む化合物(b2)とを反応させる際には、フェノール化合物(b1)1モルに対して、ベンゼン環又はビフェニル環を含む化合物(b2)を、好ましくは0.1~1.0モル、より好ましくは0.3~0.6モルとする。
フェノール成分(b1)とビフェニル環又はベンゼン環を含む化合物(b2)とのモル比を上記範囲とすることで、本発明に使用されるアリーレン骨格を構造中に含むノボラック型フェノール樹脂(B)の重量平均分子量(Mw)を好ましい範囲とすることができる。
ノボラック型フェノール樹脂(B)において、ナフタレン骨格を構造中に含むとは、下記一般式(10)のユニットを少なくとも1つ構造中に含むことを示す。
(一般式(10)中、R3は、水素、炭素数1~6の直鎖状若しくは分枝状のアルキル基、炭素数3~6の環状アルキル基、フェニル基、ハロゲン原子、カルボキシル基、アルコキシ基、アセチル基、スルホン酸ナトリウム基、ニトロ基、又はアミノ基を表す。R4は、水素、又はメチル基を表す。cは、1以上3以下であり、cが2以上の場合、R3はそれぞれ同一又は異なっていてもよい。なお、ノボラック型フェノール樹脂(B)の構造中に一般式(10)で示されるユニットが複数含まれる場合、ノボラック型フェノール樹脂(B)の構造中に含まれる複数のc、R4及びR3は、それぞれ同一又は異なっていてもよい。)
ナフタレン骨格を構造中に含むノボラック型フェノール樹脂(B)は、下記一般式(12)で示されるナフトール化合物(c1)と下記一般式(13)で示されるフェノール化合物(c2)とホルムアルデヒド(c3)とを好ましくは酸触媒の存在下に、縮合反応させることによって好適に得ることができる。
ナフタレン骨格を構造中に含むノボラック型フェノール樹脂(B)の製造において、使用されるナフトール化合物(c1)は、下記一般式(12)で示される。
ナフタレン骨格を構造中に含むノボラック型フェノール樹脂(B)の製造において、使用されるフェノール化合物(c2)は、下記一般式(13)で示される。
また、ホルムアルデヒド(c3)としては、特に制限はないが、ホルムアルデヒド水溶液を用いてもよく、また、パラホルムアルデヒド、トリオキサンなど酸存在下で分解してホルムアルデヒドとなる重合物を用いてもよい。好ましくは、取り扱いの容易なホルムアルデヒド水溶液であり、市販の42%ホルムアルデヒド水溶液をそのまま好適に使用することができる。
ナフタレン骨格を構造中に含むノボラック型フェノール樹脂(B)の製造において、ナフトール化合物(c1)、フェノール化合物(c2)とホルムアルデヒド(c3)とを反応させる際には、ナフトール化合物(c1)とフェノール化合物(c2)とからなるフェノール類成分(c1+c2)1モルに対して、ホルムアルデヒド(c3)を、好ましくは0.1~1.0モル、より好ましくは0.3~0.6モルとする。
フェノール類成分(c1+c2)とホルムアルデヒド(c3)とのモル比を上記範囲とすることで、本発明に使用されるナフトール骨格を構造中に含むノボラック型フェノール樹脂(B)の重量平均分子量(Mw)を好ましい範囲とすることができる。
ナフタレン骨格を構造中に含むノボラック型フェノール樹脂(B)の製造において、ナフトール化合物(c1)とフェノール化合物(c2)とのモル比は、ナフトール化合物(c1)1モルに対して、フェノール化合物(c2)を、好ましくは0.1~1.0モル、より好ましくは0.3~0.6モルとする。
ナフトール化合物(c1)とフェノール化合物(c2)とのモル比を上記範囲とすることが、フォトレジスト組成物としたときの感度、残膜率、解像度、耐熱性、エッチング耐性のバランスの観点からは好ましい。
具体的には、フェノール化合物(c2)としてパラクレゾールとホルムアルデヒド(c3)とを水溶中、水酸化ナトリウムなどの塩基性触媒下、反応温度40~50℃で3~6時間反応させて、パラクレゾールのフェノール性水酸基に対する2つのオルト位にメチロール基を有するジメチロール体を得て、次いで得られたパラクレゾールのジメチロール体とナフトール化合物(c1)としてα-ナフトールとを無溶媒又は水、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、トルエン、メチルイソブチルケトンなどの溶媒中、蓚酸、ベンゼンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、塩酸、硫酸又はリン酸などの酸触媒下、反応温度40~85℃で2~15時間反応させる。後処理として水洗し、その後、減圧下、200℃以下で減圧蒸留することにより、未反応原料を除去して、ノボラック型フェノール樹脂(B)を得ることができる。
本発明のフォトレジスト用フェノール樹脂組成物は、前記一般式(1)で示されるノボラック型フェノール樹脂(A)と、アリーレン骨格及びナフタレン骨格のうち少なくとも一つを構造中に含むノボラック型フェノール樹脂(B)とをポリマーブレンド(混合)して得られる。
ノボラック型フェノール樹脂(B)が、前記式(5)又は(5’)の構造を有する場合には、ノボラック型フェノール樹脂(A)とノボラック型フェノール樹脂(B)との質量比が60~80:40~20であることが特に好ましく、60~70:40~30であることが最も好ましい。
また、ノボラック型フェノール樹脂(B)が、前記式(6)又は(6’)の構造を有する場合には、ノボラック型フェノール樹脂(A)とノボラック型フェノール樹脂(B)との質量比が60~90:40~10であることが特に好ましく、60~80:40~20であることが最も好ましい。
ノボラック型フェノール樹脂(B)が占める割合が、5質量%未満であると、フォトレジスト組成物としたときのエッチング耐性や密着性の効果が小さくなり、一方、95質量%を越えると、フォトレジスト組成物としたときの感度が高すぎたり耐熱性に劣る場合があり、取り扱い上好ましくない。
本発明のフォトレジスト用フェノール樹脂組成物の製造方法において、ポリマーブレンド(混合)の方法としては、ノボラック型フェノール樹脂(A)とノボラック型フェノール樹脂(B)とを均一に混合できる方法であれば特に限定されない。例えば、ノボラック型フェノール樹脂(A)とノボラック型フェノール樹脂(B)とを溶融混合して得ることができる。
具体的には、一つの製造方法として、あらかじめ合成釜でノボラック型フェノール樹脂(A)を合成して、その中にノボラック型フェノール樹脂(B)を添加して溶融混合した後に後処理を行って、本発明のフォトレジスト用フェノール樹脂組成物を製造することが可能である。場合によっては、あらかじめ合成釜でノボラック型フェノール樹脂(B)を合成して、その中にノボラック型フェノール樹脂(A)を添加して溶融混合した後に処理することで本発明のフォトレジスト用フェノール樹脂組成物を得ることもできる。
また、フォトレジスト組成物を製造する際に、上記各々のノボラック型フェノール樹脂及び後述するその他の添加剤を適当な溶剤に溶解してフォトレジスト組成物として得ることもできる。
本発明のフォトレジスト組成物は、本発明のフォトレジスト用フェノール樹脂組成物とさらに感光剤(E)とを含有する。
ノボラック型フェノール樹脂の分析方法や評価方法は、次の通りである。
以下の条件でGPC測定を行い、ポリスチレン換算による重量平均分子量を求めた。
型式:Waters e2695 Waters(株)製
カラム:Shodex製 LF-804 1本
測定条件:カラム圧力 2.7MPa
溶離液:テトラヒドロフラン(THF)
フローレート:1mL/min
温度:40℃
検出器:UV-Visible Detector 2489
WAVE LENGTH:254nm
インジェクション量:100μmL
試料濃度:5mg/mL
ノボラック型フェノール樹脂3gをPGMEA(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)9gに溶解し、樹脂溶液を調合した。これらを0.2ミクロンメンブレンフィルターで濾過した。これを4インチシリコンウェハー上に約1.5μmの厚みになるようにスピンコーターで塗布し、110℃で60秒間ホットプレート上で乾燥させた。次いで現像液(1.60%テトラメチルアンモニウムヒドロオキシド水溶液)を用い、完全に膜が消失するまでの時間を計測した。初期膜厚を溶解するまでの時間で割った値を溶解速度とした。
JIS K6910に基づく環球法軟化点測定によって行った。
JIS K0070に準じた水酸基当量測定によって行った。
〔合成例A1〕ノボラック型フェノール樹脂(A1)
温度計、仕込・留出口及び攪拌機を備えた容量1000mLのガラス製フラスコにm-クレゾール75.8g(0.70モル)、p-クレゾール113.8g(1.05モル)、42%ホルマリン77.71g(1.09モル)、及び蓚酸0.7gを入れ、100℃で5時間反応させた後180℃まで昇温して脱水した。その後、30torrで2時間減圧蒸留を行って未反応原料などを除去し、メタ-パラクレゾールノボラック型フェノール樹脂(A1)142gを得た。
得られたメタ-パラクレゾールノボラック型フェノール樹脂(A1)の重量平均分子量は5900であり、アルカリ溶解速度は330オングストローム/秒、軟化点は142℃、水酸基当量は128g/eqであった。
42%ホルマリンを75.25g(1.05モル)に変更した以外は、合成例A1と同様に操作して、メタ-パラクレゾールノボラック型フェノール樹脂(A2)を得た。(A2)の重量平均分子量は5000であり、アルカリ溶解速度は480オングストローム/秒、軟化点は140℃、水酸基当量は127g/eqであった。
42%ホルマリンを83.97g(1.18モル)に変更した以外は、合成例A1と同様に操作して、メタ-パラクレゾールノボラック型フェノール樹脂(A3)を得た。(A3)の重量平均分子量は12000であり、アルカリ溶解速度は100オングストローム/秒、軟化点は158℃、水酸基当量は125g/eqであった。
合成例A1で得られたメタ-パラクレゾールノボラック型フェノール樹脂A1を水蒸気蒸留によりダイマー成分(n=0)を低減させた。
得られたメタ-パラクレゾールノボラック型フェノール樹脂(A4)の重量平均分子量は6300であり、アルカリ溶解速度は310オングストローム/秒、軟化点は155℃、水酸基当量は130g/eqであった。
温度計、仕込・留出口及び攪拌機を備えた容量1000mLのガラス製フラスコにm-クレゾール80.0g(0.74モル)、p-クレゾール80.0g(0.74モル)、42%ホルマリン70.9g(0.99モル)、及び蓚酸0.6gを入れ、100℃で5時間反応させた後180℃まで昇温して脱水した。その後、30torrで2時間減圧蒸留を行って未反応原料などを除去し、ノボラック型フェノール樹脂(A5)144gを得た。
得られたメタ-パラクレゾールノボラック型フェノール樹脂(A5)の重量平均分子量は12000であり、アルカリ溶解速度は170オングストローム/秒、軟化点は162℃、水酸基当量は123g/eqであった。
温度計、仕込・留出口及び攪拌機を備えた容量1000mLのガラス製フラスコにm-クレゾール94.7g(0.88モル)、p-クレゾール142.1g(1.32モル)、о-クレゾール26.32g(0.24モル)、42%ホルマリン116.6g(1.63モル)、及び蓚酸0.92gを入れ、100℃で10時間反応させた後180℃まで昇温して脱水した。その後、30torrで2時間減圧蒸留を行って未反応原料などを除去し、クレゾールノボラック型フェノール樹脂(A6)172gを得た。
得られたノボラック型クレゾール樹脂(A6)の重量平均分子量は6200であり、アルカリ溶解速度は313オングストローム/秒、軟化点は141℃であった。
温度計、仕込・留出口及び攪拌機を備えた容量1000mLのガラス製フラスコにm-クレゾール31.6g(0.29モル)、p-クレゾール126.5g(1.17モル)、レゾルシン17.9g(0.16モル)、42%ホルマリン69.74g(0.98モル)、及び蓚酸1.8gを入れ、100℃で5時間反応させた後180℃まで昇温して脱水した。その後、30torrで2時間減圧蒸留を行って未反応原料などを除去し、ノボラック型フェノール樹脂(A7)141gを得た。
得られたノボラック型クレゾール樹脂(A7)の重量平均分子量は9000であり、アルカリ溶解速度は668オングストローム/秒、軟化点は153℃であった。
ノボラック型フェノール樹脂(B1)
下記一般式(14)で示される、アリーレン骨格としてベンゼン環を構造中に含むノボラック型フェノール樹脂(重量平均分子量:1200、アルカリ溶解速度:4861オングストローム/秒、軟化点:65℃、水酸基当量:175g/eq)である。
前記一般式(14)で示される、アリーレン骨格としてベンゼン環を構造中に含むノボラック型フェノール樹脂(重量平均分子量:4500、アルカリ溶解速度:63オングストローム/秒、軟化点:86℃、水酸基当量:178g/eq)である。
下記一般式(15)で示される、アリーレン骨格としてビフェニル環を構造中に含むノボラック型フェノール樹脂(重量平均分子量:1070、アルカリ溶解速度:828オングストローム/秒、軟化点:66℃、水酸基当量:203g/eq)である。
前記一般式(15)で示される、アリーレン骨格としてビフェニル環を構造中に含むノボラック型フェノール樹脂(重量平均分子量:1400、アルカリ溶解速度:95オングストローム/秒、軟化点:73℃、水酸基当量:206g/eq)である。
下記一般式(16)で示される、アリーレン骨格としてナフタレン骨格を構造中に含むノボラック型フェノール樹脂(重量平均分子量:730、アルカリ溶解速度:5768オングストローム/秒、軟化点:114、水酸基当量:143g/eq)である。
次に、本発明のフォトレジスト用フェノール樹脂組成物及びそれを用いたフォトレジスト組成物の実施例を示す。
なお、フォトレジスト用フェノール樹脂組成物及びフォトレジスト組成物の分析方法や評価方法は次の通りである。
(1)重量平均分子量(Mw)、(2)アルカリ溶解速度(DR)、及び(3)軟化点(SP)について、前記ノボラック型フェノール樹脂の分析方法や評価方法と同じ方法により行った。
(1)感度、残膜率、解像度
フォトレジスト組成物を4インチシリコンウェハー上にスピンコーターで塗布し、110℃、60秒間ホットプレート上で乾燥させて、厚みが15000Åの塗膜を形成した。その後、縮小投影露光装置を用い、露光時間を段階的に変えて最適な露光量を確認したうえで、最適な露光量になるように露光した。次いで現像液(2.38%テトラメチルアンモニウムヒドロオキサイド水溶液)を用い、60秒間現像し、リンス、乾燥を行った。
感度は、走査型電子顕微鏡により、得たれたパターンのパターン形状を観察することにより、以下の基準で評価を行った。
AA:3mJ/cm2未満で画像が形成できる。
A:5mJ/cm2未満で画像が形成できる。
B:5~60mJ/cm2で画像が形成できる。
未露光部の残膜厚から残膜率を求めた。残膜率とは、現像後の感光性樹脂の膜厚と現像前の感光性樹脂の膜厚の比であり、下記式により表される値である。
残膜率(%)=(現像後の感光性樹脂の膜厚/現像前の感光性樹脂の膜厚)×100
解像度は、テストチャートマスクを用い、下記基準で評価した。
◎:1.5μライン&スペースが解像できる。
○:2.0μライン&スペースが解像できる。
×:2.0μライン&スペースが解像できない。
ポジ型パターンの得られたレジスト膜に対して、エッチングガスとしてCF4を用い、0.7sccm、80Wのエッチング条件で、エッチング装置を用いて、ドライエッチングを行い、エッチング前後の膜厚を測定してレジストパターンのエッチングレートを求めた。結果をフォトレジスト用フェノール樹脂組成物として、ノボラック型フェノール樹脂(A)のみを用いた場合のエッチングレートと比較した。
フォトレジスト用ノボラック型フェノール樹脂組成物のエッチングレートとフォトレジスト用ノボラック型フェノール樹脂組成物に使用したノボラック型フェノール樹脂(A)のみの場合のエッチングレートとの比([フォトレジスト用ノボラック型フェノール樹脂
のエッチングレート]/[ノボラック型フェノール樹脂(A)のみの場合のエッチングレート])を、下記基準で評価した。
◎:0.75未満の場合
○:0.75以上~0.90以下の場合
×:0.90を超える場合
合成例A2で得られたノボラック型フェノール樹脂(A2)と合成例B1で得られたノボラック型フェノール樹脂(B1)とを溶融混合してフォトレジスト用フェノール樹脂組成物を調製した。具体的には、温度計、仕込・留出口及び攪拌機を備えた容量500mLのガラス製フラスコに、ノボラック型フェノール樹脂(A2)70gとノボラック型フェノール樹脂(B1)30gとを下記表2に示す配合で混合し、185℃の温度条件下で溶融混合してフォトレジスト用フェノール樹脂組成物を調製した。
得られたフォトレジスト用フェノール樹脂組成物の重量平均分子量は3300であり、アルカリ溶解速度は1210オングストローム/秒であり、軟化点は139℃であった。
このフォトレジスト用フェノール樹脂組成物について特性の評価を行った結果を表2に示した。
このフォトレジスト組成物について特性の評価を行った結果を表2に示した。
合成例で得られたノボラック型フェノール樹脂(A1)~(A7)とノボラック型フェノール樹脂(B1)~(B5)とを下記表2に示す配合により、実施例1と同様の方法により溶融混合してフォトレジスト用フェノール樹脂組成物を得た。
得られたフォトレジスト用フェノール樹脂組成物について特性の評価を行った結果を表2に示した。
次に、得られたフォトレジスト用フェノール樹脂組成物を用いて実施例1と同様の方法によりフォトレジスト組成物を得た。
得られたフォトレジスト組成物について特性の評価を行った結果を表2に示した。
例えば、実施例2と比較例3との比較から、実施例2のフォトレジスト用フェノール樹脂組成物を用いたレジスト組成物は、比較例3のノボラック型フェノール樹脂A3を単独で用いた場合と比較して、耐ドライエッチング性が向上していることがわかる。
また、実施例2と比較例8との比較から、実施例2のレジスト組成物は、比較例8のものと比較して残膜率が向上していることがわかる。
また、実施例2と比較例3及び比較例8との比較から、実施例2のレジスト組成物の解像度は、比較例3の解像度が○で比較例8の解像度が×にもかかわらず、実施例2の解像度が◎と向上していることがわかる。
Claims (4)
- 下記一般式(1)で示されるノボラック型フェノール樹脂(A)とアリーレン骨格及びナフタレン骨格のうち少なくとも一つを構造中に含むノボラック型フェノール樹脂(B)とを(A)と(B)との質量比が5~95:95~5となる量で含み、キノンジアジド化合物を感光剤として用いるフォトレジスト用のフェノール樹脂組成物であって、
前記アリーレン骨格は下記一般式(4)で示されるユニットであることを特徴とするフォトレジスト用フェノール樹脂組成物。
(一般式(1)中、R1は、水素、又は炭素数1以上8以下の直鎖状若しくは分枝状のアルキル基を表し、それぞれ同一又は異なっていてもよい。ただし、R1の少なくとも一つは炭素数1以上8以下の直鎖状若しくは分枝状のアルキル基である。pは、1以上3以下であり、それぞれ同一又は異なっていてもよい。qは、1以上3以下であり、それぞれ同一又は異なっていてもよい。ただし、p+q≦4である。nは、0以上の整数を表す。)
(一般式(4)中、Xは、下記式(4-1)又は(4-2)で示される2価の基を表す。
R2は、水素、炭素数1~6の直鎖状若しくは分枝状のアルキル基、炭素数3~6の環状アルキル基、フェニル基、又はハロゲンを表す。aは、1又は2である。bは、1以上3以下であり、bが2以上の場合、R2はそれぞれ同一又は異なっていてもよい。ただし、a+b≦4である。なお、ノボラック型フェノール樹脂(B)の構造中に一般式(4)で示されるユニットが複数含まれる場合、ノボラック型フェノール樹脂(B)の構造中に含まれる複数のa、b及びR2は、それぞれ同一又は異なっていてもよい。) - ノボラック型フェノール樹脂(B)が、前記一般式(4)で示されるユニットを構造中に含む請求項1記載のフォトレジスト用フェノール樹脂組成物。
- ノボラック型フェノール樹脂(B)が、下記一般式(10)で示されるユニットを構造中に含む請求項1記載のフォトレジスト用フェノール樹脂組成物。
(一般式(10)中、R3は、水素、炭素数1~6の直鎖状若しくは分枝状のアルキル基、炭素数3~6の環状アルキル基、フェニル基、ハロゲン原子、カルボキシル基、アルコキシ基、アセチル基、スルホン酸ナトリウム基、ニトロ基、又はアミノ基を表す。R4は、水素、又はメチル基を表す。cは、1以上3以下であり、cが2以上の場合、R3はそれぞれ同一又は異なっていてもよい。なお、ノボラック型フェノール樹脂(B)の構造中に一般式(10)で示されるユニットが複数含まれる場合、ノボラック型フェノール樹脂(B)の構造中に含まれる複数のc、R4及びR3は、それぞれ同一又は異なっていてもよい。) - 請求項1乃至3いずれか記載のフォトレジスト用フェノール樹脂組成物と感光剤としてのキノンジアジド化合物とを含むことを特徴とするフォトレジスト組成物。
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