JP7079525B2 - 不溶性組換えタンパク質凝集体の製造方法 - Google Patents

不溶性組換えタンパク質凝集体の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、不溶性組換えタンパク質を発現する組換え細胞から、当該組換えタンパク質の不溶体を分離する方法によって不溶性組換えタンパク質凝集体を製造する方法、及び、該方法によって得られた不溶性組換えタンパク質凝集体に関する。
目的とするタンパク質の工業規模での生産は、遺伝子組換え宿主細胞を利用して可能になっている。組換え細胞により生産された組換えタンパク質を単離、精製する方法も多数報告されている。
組換え細胞内に組換えタンパク質が不溶体としてコンパクトに不溶性顆粒として生成された場合、宿主細胞由来のタンパク質等の成分を含む懸濁液を遠心分離することより、当該不溶性顆粒を比較的高収率及び高純度で単離することが可能である。例えば、目的とするタンパク質を、水酸化ナトリウム等の金属水酸化物によって可溶化した不溶性の組換え細胞から単離する方法(特許文献1)等が報告されている。
一方、組換えタンパク質が組換え細胞内で可溶化状態、あるいは不溶体であっても、コンパクトな不溶性顆粒とは異なり、遠心分離により分離することが困難である場合には、例えば、以下の精製方法が報告されている。すなわち、ギ酸やプロピオン酸等の有機酸で宿主細胞由来のタンパク質を加水分解処理し、宿主細胞由来の不溶性物質を遠心分離等で除去後、目的とする組換えタンパク質を未変性状態で回収し、クロマトグラフィー等の手法で精製する方法(特許文献2)等が報告されている。当該報告において、目的タンパク質は当該有機酸を添加されても未変性状態のままであり、凝集することはない。
組換え細胞内で、目的とする組換えタンパク質が必ず不溶性顆粒として生成されるわけではなく、目的とする組換えタンパク質自体の性質、あるいは生産時の培地組成、培養温度、生成速度等の培養過程の様々なパラメーターにより、不溶性顆粒の生成状況は大きく変わることが知られている。そのため、できるだけ容易に遠心分離可能な大きな不溶性顆粒を生成するよう、組換えタンパク質の改変、あるいは効率的な生産方法の開発に研究は向けられている。
一方で、遠心分離が困難あるいは非常に時間のかかるような微細な不溶体、あるいは不溶性顆粒を容易に遠心分離、濾過等で分離することのできる方法があれば極めて工業的に有益であるが、そのような方法は知られていない。
特表2013-523665号公報 特表2004-503204号公報
本発明は、目的とする組換えタンパク質を不溶体として細胞内に発現している組換え細胞から、当該組換えタンパク質の不溶体を効率よく分離する方法、及び該分離方法によって組換えタンパク質凝集体を製造する方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、遠心分離が困難、又は非常に時間のかかるような、微細な組換えタンパク質の不溶体又は不溶性顆粒を容易に分離することのできる方法を鋭意検討した結果、効率的に当該不溶体又は不溶性顆粒を凝集させ巨大化させることにより、容易に組換えタンパクを分離できることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、例えば、以下の各発明に関する。
[1] 組換えタンパク質を不溶体として細胞内に発現している組換え細胞から、当該組換えタンパク質の不溶体を凝集体として分離し、組換えタンパク質凝集体を製造する方法であって、
組換え細胞を破砕後に、組換えタンパク質の不溶体を凝集させ、得られた凝集体を分離することを含む、組換えタンパク質凝集体の製造方法。
[2] 上記組換えタンパク質凝集体を、10,000×g以下の遠心力で分離することを含む、[1]に記載の組換えタンパク質凝集体の製造方法。
[3] 上記組換えタンパク質凝集体を、分離板型遠心分離機、バスケット型遠心分離機及びデカンタ型遠心分離機からなる群より選ばれる遠心分離機で分離することを含む、[1]又は[2]に記載の組換えタンパク質凝集体の製造方法。
[4] 上記組換えタンパク質凝集体を、自然沈降又は濾過により分離することを含む、[1]に記載の組換えタンパク質凝集体の製造方法。
[5] 上記組換えタンパク質の不溶体の凝集が、金属塩、酸及びアニオン性凝集剤からなる群から選ばれる1種以上を添加することにより行われる、[1]~[4]のいずれかに記載の組換えタンパク質凝集体の製造方法。
[6] 以下(A)~(C)の工程を含む、組換えタンパク質凝集体の製造方法。
(A)目的とする組換えタンパク質を不溶体として細胞内に発現している組換え細胞を破砕して、組換えタンパク質の不溶体を含む破砕懸濁液を得る工程
(B)(A)工程で得られた破砕懸濁液に金属塩、酸及びアニオン性凝集剤からなる群から選ばれる1種以上を添加し、組換えタンパク質の不溶体を凝集させ、組換えタンパク質凝集体を得る工程
(C)(B)工程で得られた凝集体を懸濁液から分離する工程
[7] 上記(B)工程において、さらに加熱することを含む、[6]に記載の組換えタンパク質凝集体の製造方法。
[8] 上記(B)工程において、さらに撹拌することを含む、請求項7記載の組換えタンパク質凝集体の製造方法。
[9] 上記金属塩が、アルカリ土類金属塩及び土類金属塩からなる群から選ばれる金属塩である、[5]~[8]のいずれかに記載の組換えタンパク質凝集体の製造方法。
[10] 上記金属塩が、アルカリ土類金属ハロゲン化物、アルカリ土類金属硝酸塩、アルカリ土類金属硫酸塩、土類金属ハロゲン化物、土類金属硝酸塩及び土類金属硫酸塩からなる群から選ばれる金属塩である、[9]に記載の組換えタンパク質凝集体の製造方法。
[11] 上記酸が、オキソ酸である、[5]~[10]のいずれかに記載の組換えタンパク質凝集体の製造方法。
[12] 上記オキソ酸が、酢酸、硫酸及びクエン酸からなる群から選ばれるオキソ酸である、[11]に記載の組換えタンパク質凝集体の製造方法。
[13] 上記アニオン性凝集剤が、ポリアクリル酸塩、アニオン性ポリアクリルアミド及びアクリルアミド・アクリル酸塩共重合体からなる群より選ばれるアニオン性凝集剤である、[5]~[12]のいずれかに記載の組換えタンパク質凝集体の製造方法。
[14] 上記組換え細胞の破砕が機械的破砕である、[1]~[13]のいずれかに記載の組換えタンパク質凝集体の製造方法。
[15] 上記組換えタンパク質凝集体の分離が、濾過により行われる、[1]及び[6]~[14]のいずれかに記載の組換えタンパク質凝集体の製造方法。
[16] 上記組換え細胞が、細菌、酵母、糸状真菌、昆虫細胞、植物細胞及び動物細胞からなる群から選ばれる宿主を形質転換した組換え細胞である、[1]~[15]のいずれかに記載の組換えタンパク質凝集体の製造方法。
[17] 上記組換えタンパク質が、構造タンパク質である、[1]~[16]のいずれかに記載の組換えタンパク質凝集体の製造方法。
[18] 上記構造タンパク質が、ケラチン、コラ-ゲン、エラスチン、レシリン、カイコシルク及びスパイダーシルクからなる群から選ばれるタンパク質由来のタンパク質である、[17]に記載の組換えタンパク質凝集体の製造方法。
[19] 得られた組換えタンパク質凝集体の、電気的検知帯法によって測定した粒子径が4μm以上50μm以下である、[1]~[18]のいずれかに記載の組換えタンパク質凝集体の製造方法。
[20] [1]~[18]のいずれかに記載の組換えタンパク質凝集体の製造方法によって得られた組換えタンパク質凝集体であって、電気的検知帯法によって測定した粒子径が4μm以上50μm以下である、組換えタンパク質凝集体。
[21] 組換えタンパク質を不溶体として細胞内に発現している組換え細胞から、当該組換えタンパク質の不溶体を分離する方法であって、
組換え細胞を破砕後に、組換えタンパク質の不溶体を凝集させ、得られた凝集体を分離することを含む、組換えタンパク質の分離方法。
[22] 上記組換えタンパク質凝集体を、10,000×g以下の遠心力で分離することを含む、[21]に記載の組換えタンパク質の分離方法。
[23] 上記組換えタンパク質凝集体を、分離板型遠心分離機、バスケット型遠心分離機及びデカンタ型遠心分離機からなる群より選ばれる遠心分離機で分離することを含む、[21]又は[22]に記載の組換えタンパク質の分離方法。
[24] 上記組換えタンパク質凝集体を、自然沈降又は濾過により分離することを含む、[21]に記載の組換えタンパク質の分離方法。
[25] 上記組換えタンパク質の不溶体の凝集が、金属塩、酸及びアニオン性凝集剤からなる群から選ばれる1種以上を添加することにより行われる、[21]~[24]のいずれかに記載の組換えタンパク質の分離方法。
[26] 以下(A)~(C)の工程を含む、組換えタンパク質の分離方法。
(A)目的とする組換えタンパク質を不溶体として細胞内に発現している組換え細胞を破砕して、組換えタンパク質の不溶体を含む破砕懸濁液を得る工程
(B)(A)工程で得られた破砕懸濁液に金属塩、酸及びアニオン性凝集剤からなる群から選ばれる1種以上を添加し、組換えタンパク質の不溶体を凝集させ、組換えタンパク質凝集体を得る工程
(C)(B)工程で得られた凝集体を懸濁液から分離する工程
[27] (B)工程において、さらに加熱することを含む[26]に記載の組換えタンパク質の分離方法。
[28] (B)工程において、さらに撹拌することを含む[27]に記載の組換えタンパク質の分離方法。
[29] 上記金属塩が、アルカリ土類金属塩及び土類金属塩からなる群から選ばれる金属塩である[25]~[28]のいずれかに記載の組換えタンパク質の分離方法。
[30] 上記金属塩が、アルカリ土類金属ハロゲン化物、アルカリ土類金属硝酸塩、アルカリ土類金属硫酸塩、土類金属ハロゲン化物、土類金属硝酸塩及び土類金属硫酸塩からなる群から選ばれる金属塩である、[29]に記載の組換えタンパク質の分離方法。
[31] 上記酸が、オキソ酸である、[25]~[30]のいずれかに記載の組換えタンパク質の分離方法。
[32] 上記オキソ酸が、酢酸、硫酸及びクエン酸からなる群から選ばれるオキソ酸である、[31]に記載の組換えタンパク質の分離方法。
[33] 上記アニオン性凝集剤が、ポリアクリル酸塩、アニオン性ポリアクリルアミド及びアクリルアミド・アクリル酸塩共重合体からなる群より選ばれるアニオン性凝集剤である、[25]~[32]のいずれかに記載の組換えタンパク質の分離方法。
[34] 上記組換え細胞の破砕が機械的破砕である、[21]~[33]のいずれかに記載の組換えタンパク質の分離方法。
[35] 上記組換えタンパク質凝集体の分離が、濾過により行われる、[21]及び[26]~[34]のいずれかに記載の組換えタンパク質の分離方法。
[36] 上記組換え細胞が、細菌、酵母、糸状真菌、昆虫細胞、植物細胞及び動物細胞からなる群から選ばれる宿主を形質転換した組換え細胞である、[21]~[35]のいずれかに記載の組換えタンパク質の分離方法。
[37] 上記組換えタンパク質が、構造タンパク質である、[21]~[36]のいずれかに記載の組換えタンパク質の分離方法。
[38] 上記構造タンパク質がケラチン、コラ-ゲン、エラスチン、レシリン、カイコシルク及びスパイダーシルクからなる群から選ばれるタンパク質由来のタンパク質である、[37]に記載の組換えタンパク質の分離方法。
[39] [1~38]のいずれかに記載の分離方法を用いて組換えタンパク質凝集体を製造する方法であって、該分離方法によって得られた組換えタンパク質凝集体の、電気的検知帯法によって測定した粒子径が4μm以上50μm以下である組換えタンパク質凝集体の製造方法。
本発明の組換えタンパク質凝集体の製造方法によれば、不溶体を凝集させ巨大化させることができるため、目的とする組換えタンパク質を不溶体として細胞内に発現している組換え細胞から、当該組換えタンパク質の不溶体を、例えば自然沈降、遠心分離又は濾過によって効率よく分離することによって、組換えタンパク質凝集体を製造することができる。さらに、これまで遠心分離、濾過等によって容易に分離できなかった、組換えタンパク質の不溶体又は不溶性顆粒が容易に分離できるのみならず、分離した組換えタンパク質の純度を向上させることができる。本発明によればこのような予想外の効果が奏される。
図1は、実施例1の金属塩添加による不溶体の凝集効果を検討した結果を示す写真である。 図2は、実施例2の金属塩添加による不溶体の凝集効果を検討した結果を示す写真である。 図3は、実施例3の、金属塩添加によるハイドロパシーインデックスの異なるタンパク質の不溶体の凝集効果を検討した結果を示す写真である。 図4は、実施例4の、金属塩添加によるハイドロパシーインデックスの異なるタンパク質の不溶体の凝集効果を検討した結果を示す写真である。 図5は、実施例4の、金属塩添加凝集に基づく目的とする組換えタンパク質の純度向上に関する、ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS-PAGE)による分析の結果を示す写真である。Aは、泳動後、全てのタンパク質を染色可能なOriole(商標)蛍光ゲルステイン(Bio-Rad社製)で染色したものであり、Bは、泳動後、PRT410のHisタグ領域に反応するInVision(商標)Hisタグ付きゲル内染色試薬(Thermo Fisher Scientific社製)で染色したものである。 図6は、実施例5の、酸添加による不溶体の凝集効果を検討した結果を示す写真である。 図7は、実施例5の、洗浄した後の不溶体における、酸添加による不溶体の凝集効果を検討した結果を示す写真である。 図8は、実施例6の、酸添加によるハイドロパシーインデックスの異なるタンパク質の不溶体の凝集効果を検討した結果を示す写真である。 図9は、実施例6の、酸添加凝集に基づく目的とする組換えタンパク質の純度向上に関する、SDS-PAGEによる分析の結果を示す写真である。 図10は、実施例8の、凝集剤添加による不溶体の凝集効果を検討した結果を示す写真である。 図11は、実施例9の、アニオン性凝集剤添加凝集に基づく目的とする組換えタンパク質の純度向上に関する、SDS-PAGEによる分析の結果を示す写真である。 図12は、実施例10の、凝集効果を確認するための粒子径の頻度分布及び累積分布を示す図である。 図13は、実施例12の、加熱に基づく夾雑タンパク質の分解に関する、SDS-PAGEによる分析の結果を示す写真である。 図14は、実施例12の、加熱に基づく目的とする組換えタンパク質の純度向上に関する、SDS-PAGEによる分析の結果を示す写真である。 図15は、実施例13の、連続加熱による凝集効果を確認するための、サンプルC、X、1、2、及び3の粒子径の頻度分布及び累積分布を示す図である。 図16は、実施例13の、連続加熱による凝集効果を確認するための、サンプル4、5、6、7、及び8の粒子径の頻度分布及び累積分布を示す図である。
以下、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
一実施形態に係る組換えタンパク質凝集体の製造方法は、組換えタンパク質を不溶体として細胞内に発現している組換え細胞から、当該組換えタンパク質の不溶体を凝集体として分離し、組換えタンパク質凝集体を製造する方法であって、組換え細胞を破砕後に、組換えタンパク質の不溶体を凝集させ、分離することを含むことを特徴とする。当該製造方法は、組換えタンパク質の不溶体の凝集が、金属塩、酸及びアニオン性凝集剤からなる群から選ばれる1種以上を添加することにより行われることが好ましい。
別の実施形態に係る組換えタンパク質凝集体の製造方法は、以下(A)~(C)の工程を含むことを特徴とする:
(A)目的とする組換えタンパク質を不溶体として細胞内に発現している組換え細胞を破砕して、組換えタンパク質の不溶体を含む破砕懸濁液を得る工程
(B)(A)工程で得られた破砕懸濁液に金属塩、酸及びアニオン性凝集剤からなる群から選ばれる1種以上を添加し、組換えタンパク質の不溶体を凝集させ、組換えタンパク質凝集体を得る工程
(C)(B)工程で得られた凝集体を懸濁液から分離する工程
(組換えタンパク質)
本実施形態に係る組換えタンパク質凝集体の製造方法によって分離する不溶性組換えタンパク質(本明細書において、「目的とするタンパク質」という場合がある。)は、不溶体として下記の組換え細胞内にて発現される。組換えタンパク質としては、工業規模での製造が好ましい任意の不溶性タンパク質を挙げることができ、例えば、工業用に利用できるタンパク質、医療用に利用できるタンパク質、構造タンパク質等を挙げることができる。工業用又は医療用に利用できるタンパク質の具体例としては、酵素、制御タンパク質、受容体、ペプチドホルモン、サイトカイン、膜及び輸送タンパク質、予防接種に使用する抗原、ワクチン、抗原結合タンパク質、免疫刺激タンパク質、アレルゲン、完全長抗体及び抗体フラグメント並びにこれらの誘導体を挙げることができる。構造タンパク質の具体例としては、ケラチン、コラ-ゲン、エラスチン、レシリン、カイコシルク及びスパイダーシルク、並びにこれら由来のタンパク質等を挙げることができる。
フィブロイン様タンパク質であるスパイダーシルク又はカイコシルク由来のタンパク質として、例えば、式1:[(A)モチーフ-REP]で表されるドメイン配列を含むタンパク質(ここで、式1中、(A)モチーフは4~20アミノ酸残基から構成されるアミノ酸配列を示し、かつ(A)モチーフ中の全アミノ酸残基数に対するアラニン残基数が80%以上である。REPは10~200アミノ酸残基から構成されるアミノ酸配列を示す。mは8~300の整数を示す。複数存在する(A)モチーフは、互いに同一のアミノ酸配列でもよく、異なるアミノ酸配列でもよい。複数存在するREPは、互いに同一のアミノ酸配列でもよく、異なるアミノ酸配列でもよい。)を挙げることができる。具体的には、配列番号1(PRT410)、配列番号2(PRT853)、配列番号3(PRT647)、配列番号4(PRT699)、及び配列番号5(PRT698)で示されるアミノ酸配列を含むタンパク質等を挙げることができる。これらのタンパク質のハイドロパシーインデックスはそれぞれ-0.81、-0.68、0.04、0.17、及び0.43である。ハイドロパシーインデックスの値は国際公開第2014/103846号に記載の方法に従って算出した値である。
コラーゲン由来のタンパク質として、例えば、式2:[REP2]で表されるドメイン配列を含むタンパク質(ここで、式2中、oは5~300の整数を示す。REP2はGly一X一Yから構成されるアミノ酸配列を示し、X及びYはGly以外の任意のアミノ酸残基を示す。複数存在するREP2は、互いに同一のアミノ酸配列でもよく、異なるアミノ酸配列でもよい。)を挙げることができる。具体的には、配列番号6で示されるアミノ酸配列を含むタンパク質(Collagen-type4-Kai)を挙げることができる。配列番号6で示されるアミノ酸配列は、NCBIデータベースから入手したヒトのコラーゲンタイプ4の部分的な配列(NCBIのGenBankのアクセッション番号:CAA56335.1、GI:3702452)のリピート部分及びモチーフに該当する301残基目から540残基目までのアミノ酸配列のN末端に配列番号10で示されるアミノ酸配列(タグ配列及びヒンジ配列)が付加されたものである。Collagen-type4-Kaiのハイドロパシーインデックスは、-0.75である。
レシリン由来のタンパク質として、例えば、式3:[REP3]で表されるドメイン配列を含むタンパク質(ここで、式3中、pは4~300の整数を示す。REP3はSer一J一J一Tyr一Gly一U-Proから構成されるアミノ酸配列を示す。Jは任意のアミノ酸残基を示し、特にAsp、Ser及びThrからなる群から選ばれるアミノ酸残基であることが好ましい。Uは任意のアミノ酸残基を示し、特にPro、Ala、Thr及びSerからなる群から選ばれるアミノ酸残基であることが好ましい。複数存在するREP3は、互いに同一のアミノ酸配列でもよく、異なるアミノ酸配列でもよい。)を挙げることができる。具体的には配列番号7で示されるアミノ酸配列を含むタンパク質を挙げることができる。配列番号7で示されるアミノ酸配列は、レシリン(NCBIのGenBankのアクセッション番号NP_611157.1、Gl:24654243)のアミノ酸配列において、87残基目のThrをSerに置換し、かつ95残基目のAsnをAspに置換した置換した配列の19残基目から321残基目までのアミノ酸配列のN末端に配列番号10で示されるアミノ酸配列(タグ配列及びヒンジ配列)が付加されたものである。Resilin-Kai(配列番号7)のハイドロパシーインデックスは、-1.22である。
エラスチン由来のタンパク質として、例えば、NCBIのGenBankのアクセッション番号AAC98395(ヒト)、I47076(ヒツジ)、NP786966(ウシ)等のアミノ酸配列を有するタンパク質を挙げることができる。具体的には、配列番号8で示されるアミノ酸配列を含むタンパク質を挙げることができる。配列番号8で示されるアミノ酸配列は、NCBIのGenBankのアクセッション番号AAC98395のアミノ酸配列の121残基目から390残基目までのアミノ酸配列のN末端に配列番号10で示されるアミノ酸配列(タグ配列及びヒンジ配列)が付加されたものである。elastin short(配列番号8)のハイドロパシーインデックスは、0.42である。
ケラチン由来のタンパク質として、例えば、カプラ・ヒルクス(Capra hircus)のタイプIケラチン等を挙げることができる。具体的には、配列番号9で示されるアミノ酸配列(NCBIのGenBankのアクセッション番号ACY30466のアミノ酸配列)を含むタンパク質を挙げることができる。type I keratin 26(配列番号9)のハイドロパシーインデックスは、-0.53である。
(組換え細胞)
本実施形態における組換え細胞は、組換えタンパク質を不溶体として細胞内に発現している組換え細胞であり、遺伝子工学的手法を用いた一般的な方法を用いて取得できる。
組換え細胞は、例えば、目的とするタンパク質をコードする核酸配列と、当該核酸配列に作動可能に連結された1又は複数の調節配列とを有する発現ベクターで宿主(宿主細胞)を形質転換することにより得ることができる。
調節配列は、宿主における組換えタンパク質の発現を制御する配列(例えば、プロモータ、エンハンサー、リボソーム結合配列、転写終結配列等)であり、宿主の種類に応じて適宜選択することができる。発現ベクターの種類は、プラスミドベクター、ウイルスベクター、コスミドベクター、フォスミドベクター、人工染色体ベクター等、宿主の種類に応じて適宜選択することができる。
宿主として、原核生物、並びに酵母、糸状真菌、昆虫細胞、動物細胞及び植物細胞等の真核生物のいずれも好適に用いることができる。細菌、酵母、糸状真菌、昆虫細胞、植物細胞及び動物細胞であることがより好ましい。例えば原核生物の好ましい例として、大腸菌、バチルス・ズブチリス、シュードモナス、コリネバクテリウム、ラクトコッカス等を挙げることができ、より好ましくは、大腸菌細胞を挙げることができる。
発現ベクターとしては、宿主細胞において自立複製が可能、又は宿主の染色体中への組込みが可能で、目的とするタンパク質をコードする核酸を転写できる位置にプロモータを含有しているものが好適に用いられる。リボソーム結合配列、転写終結配列、又はプロモータを制御する遺伝子配列が含まれていてもよい。
プロモータとして、宿主細胞中で機能し、目的とするタンパク質を発現誘導可能な誘導性プロモータであればよい。誘導性プロモータは、誘導物質(発現誘導剤)の存在、リプレッサー分子の非存在、又は温度、浸透圧若しくはpH値の上昇若しくは低下等の物理的要因により、転写を制御できるプロモータである。
原核生物の宿主としては、エシェリヒア属、ブレビバチルス属、セラチア属、バチルス属、ミクロバクテリウム属、ブレビバクテリウム属、コリネバクテリウム属及びシュードモナス属等に属する微生物を挙げることができる。
エシェリヒア属に属する微生物として、例えば、エシェリヒア・コリ BL21(ノバジェン社)、エシェリヒア・コリ BL21(DE3)(ライフテクノロジーズ社)、エシェリヒア・コリ BLR(DE3)(メルクミリポア社)、エシェリヒア・コリ DH1、エシェリヒア・コリ GI698、エシェリヒア・コリ HB101、エシェリヒア・コリ JM109、エシェリヒア・コリ K5(ATCC 23506)、エシェリヒア・コリ KY3276、エシェリヒア・コリ MC1000、エシェリヒア・コリ MG1655(ATCC 47076)、エシェリヒア・コリ No.49、エシェリヒア・コリ Rosetta(DE3)(ノバジェン社)、エシェリヒア・コリ TB1、エシェリヒア・コリ Tuner(ノバジェン社)、エシェリヒア・コリ Tuner(DE3) (ノバジェン社)、エシェリヒア・コリ W1485、エシェリヒア・コリ W3110(ATCC 27325)、エシェリヒア・コリ(Escherichia coli) XL1-Blue、エシェリヒア・コリ XL2-Blue等を挙げることができる。
ブレビバチルス属に属する微生物として、例えば、ブレビバチルス・アグリ、ブレビバチルス・ボルステレンシス、ブレビバチルス・セントロポラスブレビバチルス・フォルモサス、ブレビバチルス・インボカツス、ブレビバチルス・ラチロスポラス、ブレビバチルス・リムノフィルス、ブレビバチルス・パラブレビス、ブレビバチルス・レウスゼリ、ブレビバチルス・サーモルバー、ブレビバチルス・ブレビス47(FERM BP-1223)、ブレビバチルス・ブレビス47K(FERM BP-2308)、ブレビバチルス・ブレビス47-5(FERM BP-1664)、ブレビバチルス・ブレビス47-5Q(JCM8975)、ブレビバチルス・チョウシネンシスHPD31(FERM BP-1087)、ブレビバチルス・チョウシネンシスHPD31-S(FERM BP-6623)、ブレビバチルス・チョウシネンシスHPD31-OK(FERM BP-4573)、ブレビバチルス・チョウシネンシスSP3株(Takara社製)等を挙げることができる。
セラチア属に属する微生物として、例えば、セラチア・リクエファシエンス(Serratia liquefacience)ATCC14460、セラチア・エントモフィラ(Serratia entomophila)、セラチア・フィカリア(Serratia ficaria)、セラチア・フォンティコーラ(Serratia fonticola)、セラチア・グリメシ(Serratia grimesii)、セラチア・プロテアマキュランス(Serratia proteamaculans)、セラチア・オドリフェラ(Serratia odorifera)、セラチア・プリムシカ(Serratia plymuthica)、セラチア・ルビダエ(Serratia rubidaea)等を挙げることができる。
バチルス属に属する微生物として、例えば、バチルス・サチラス(Bacillus subtilis)、バチルス・アミロリケファシエンス(Bacillus amyloliquefaciens)等を挙げることができる。
ミクロバクテリウム属に属する微生物として、例えば、ミクロバクテリウム・アンモニアフィラム ATCC15354等を挙げることができる。
ブレビバクテリウム属に属する微生物として、例えば、ブレビバクテリウム・ディバリカタム(コリネバクテリウム・グルタミカム)ATCC14020、ブレビバクテリウム・フラバム(コリネバクテリウム・グルタミカムATCC14067)ATCC13826、ATCC14067、ブレビバクテリウム・インマリオフィラム(Brevibacterium immariophilum)ATCC14068、ブレビバクテリウム・ラクトフェルメンタム(コリネバクテリウム・グルタミカムATCC13869)ATCC13665、ATCC13869、ブレビバクテリウム・ロゼウムATCC13825、ブレビバクテリウム・サッカロリティカム(Brevibacterium saccharolyticum)ATCC14066、ブレビバクテリウム・チオゲニタリスATCC19240、ブレビバクテリウム・アルバムATCC15111、ブレビバクテリウム・セリヌムATCC15112等を挙げることができる。
コリネバクテリウム属に属する微生物として、例えば、コリネバクテリウム・アンモニアゲネス(Corynebacterium ammoniagenes)ATCC6871、ATCC6872、コリネバクテリウム・グルタミカム(Corynebacterium glutamicum)ATCC13032、コリネバクテリウム・グルタミカム ATCC14067、コリネバクテリウム・アセトアシドフィラム(Corynebacterium acetoacidophilum)ATCC13870、コリネバクテリウム・アセトグルタミカムATCC15806、コリネバクテリウム・アルカノリティカムATCC21511、コリネバクテリウム・カルナエATCC15991、コリネバクテリウム・グルタミカムATCC13020,ATCC13032,ATCC13060、コリネバクテリウム・リリウムATCC15990、コリネバクテリウム・メラセコーラATCC17965、コリネバクテリウム・サーモアミノゲネスAJ12340(FERMBP-1539)、コリネバクテリウム・ハーキュリスATCC13868等を挙げることができる。
シュードモナス(Pseudomonas)属に属する微生物として、例えば、シュードモナス・プチダ(Pseudomonas putida)、シュードモナス・フルオレッセンス(Pseudomonas fluorescens)、シュードモナス・ブラシカセラム(Pseudomonas brassicacearum)、シュードモナス・フルバ(Pseudomonas fulva)、及びシュードモナス・エスピー(Pseudomonas sp.)D-0110等を挙げることができる。
上記原核生物の宿主細胞への発現ベクターの導入方法としては、上記宿主細胞へDNAを導入する方法であればいずれも用いることができる。例えば、カルシウムイオンを用いる方法〔Proc. Natl. Acad. Sci. USA,69,2110 (1972)〕、プロトプラスト法(特開昭63-248394)、又はGene,17,107(1982)やMolecular & General Genetics,168,111(1979)に記載の方法等を挙げることができる。
ブレビバチルス属に属する微生物の形質転換は、例えば、Takahashiらの方法(J.Bacteriol.,1983,156:1130-1134)や、Takagiらの方法(Agric.Biol.Chem.,1989,53:3099-3100)、又はOkamotoらの方法(Biosci.Biotechnol.Biochem.,1997,61:202-203)により実施することができる。
目的とするタンパク質をコードする核酸を導入するベクター(以下、単に「ベクター」という。)としては、例えば、pBTrp2、pBTac1、pBTac2(いずれもベーリンガーマンハイム社より市販)、pKK233-2(Pharmacia社製)、pSE280(Invitrogen社製)、pGEMEX-1(Promega社製)、pQE-8(QIAGEN社製)、pKYP10(特開昭58-110600)、pKYP200〔Agric.Biol.Chem.,48,669(1984)〕、pLSA1〔Agric.Biol.Chem.,53,277(1989)〕、pGEL1〔Proc.Natl.Acad.Sci.USA,82,4306(1985)〕、pBluescript II SK(-)(Stratagene社製)、pTrs30〔Escherichiacoli JM109/pTrS30(FERM BP-5407)より調製〕、pTrs32〔Escherichia coli JM109/pTrS32(FERM BP-5408)より調製〕、pGHA2〔Escherichia coli IGHA2(FERM B-400)より調製、特開昭60-221091〕、pGKA2〔Escherichia coli IGKA2(FERM BP-6798)より調製、特開昭60-221091〕、pTerm2(US4686191、US4939094、US5160735)、pSupex、pUB110、pTP5、pC194、pEG400〔J.Bacteriol.,172,2392(1990)〕、pGEX(Pharmacia社製)、pETシステム(Novagen社製)等を挙げることができる。
宿主としてEscherichia coliを用いる場合は、pUC18、pBluescriptII、pSupex、pET22b、pCold等を好適なベクターとして挙げることができる。
ブレビバチルス属に属する微生物に好適なベクターの具体例として、枯草菌ベクターとして公知であるpUB110、又はpHY500(特開平2-31682号公報)、pNY700(特開平4-278091号公報)、pHY4831(J.Bacteriol.,1987,1239-1245)、pNU200(鵜高重三、日本農芸化学会誌1987,61:669-676)、pNU100(Appl.Microbiol.Biotechnol.,1989,30:75-80)、pNU211(J.Biochem.,1992,112:488-491)、pNU211R2L5(特開平7-170984号公報)、pNH301(Appl.Environ.Microbiol.,1992,58:525-531)、pNH326、pNH400(J.Bacteriol.,1995,177:745-749)、pHT210(特開平6-133782号公報)、pHT110R2L5(Appl.Microbiol.Biotechnol.,1994,42:358-363)、又は大腸菌とブレビバチルス属に属する微生物とのシャトルベクターであるpNCO2(特開2002-238569号公報)等を挙げることができる。
原核生物を宿主とした場合のプロモータとしては、宿主細胞中で機能するものであれば制限されない。例えば、trpプロモータ(Ptrp)、lacプロモータ、PLプロモータ、PRプロモータ、T7プロモータ等の大腸菌又はファージ等に由来するプロモータを挙げることができる。またPtrpを2つ直列させたプロモータ(Ptrp×2)、tacプロモータ、lacT7プロモータ、let Iプロモータのように人為的に設計改変されたプロモータ等も用いることができる。 リボソーム結合配列であるシャイン-ダルガノ(Shine-Dalgarno)配列と開始コドンとの間を適当な距離(例えば6~18塩基)に調節したプラスミドを用いることが好ましい。上記発現ベクターにおいて、上記核酸の発現には転写終結配列は必ずしも必要ではないが、目的とするタンパク質をコードする核酸の直下に転写終結配列を配置することが好ましい。
真核生物の宿主としては、例えば、酵母、糸状真菌(カビ等)及び昆虫細胞を挙げることができる。
酵母としては、例えば、サッカロマイセス(Saccharomyces)属、シゾサッカロマイセス(Schizosaccharomyces)属、クリベロマイセス(Kluyveromyces)属、トリコスポロン(Trichosporon)属、シワニオミセス(Schwanniomyces)属、ピキア(Pichia)属、キャンディダ(Candida)属、ヤロウィア属及びハンゼヌラ属等に属する酵母を挙げることができる。より具体的には、サッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)、シゾサッカロマイセス・ポンベ(Schizosaccharomyces pombe)、クリベロマイセス・ラクチス(Kluyveromyces lactis)、クリベロマイセス・マルキシアヌス(Kluyveromyces marxianus)、トリコスポロン・プルランス(Trichosporon pullulans)、シワニオマイセス・アルビウス(Schwanniomyces alluvius)、シワニオマイセス・オシデンタリス(Schwanniomyces occidentalis)、キャンディダ・ユーティリス(Candida utilis)、ピキア・パストリス(Pichia pastoris)ピキア・アングスタ(Pichia angusta)、ピキア・メタノリカ(Pichia methanolica)、ピキア・ポリモルファ(Pichia polymorpha)、ピキア・スチピチス(Pichia stipitis)、ヤロウィア・リポリティカ(Yarrowia lipolytica)、ハンゼヌラ・ポリモルファ(Hansenula polymorpha)等を挙げることができる。
酵母を宿主細胞として用いる場合の発現ベクターは通常、複製起点(宿主における増幅が必要である場合)及び大腸菌中でのベクターの増殖のための選抜マーカ、酵母における組換えタンパク質発現のためのプロモータ及びターミネータ、並びに酵母のための選抜マーカを含むことが好ましい。
発現ベクターが非組込みベクターの場合、さらに自己複製配列(ARS)を含むことが好ましい。これにより細胞内における発現ベクターの安定性を向上させることができる(Myers、A.M.、et al.(1986)Gene 45:299-310)。
酵母を宿主として用いる場合のベクターとしては、例えば、YEP13(ATCC37115)、YEp24(ATCC37051)、YCp50(ATCC37419)、YIp、pHS19、pHS15、pA0804、pHIL3Ol、pHIL-S1、pPIC9K、pPICZα、pGAPZα、pPICZ B等を挙げることができる。
酵母を宿主とした場合のプロモータの具体例としては、酵母中で発現できるものであれば制限されない。例えば、ヘキソースキナーゼ等の解糖系の遺伝子のプロモータ、PHO5プロモータ、PGKプロモータ、GAPプロモータ、ADHプロモータ、gal 1プロモータ、gal 10プロモータ、ヒートショックポリペプチドプロモータ、MFα1 プロモータ、CUP 1プロモータ、pGAPプロモータ、pGCW14プロモータ、AOX1プロモータ、MOXプロモータ等を挙げることができる。
酵母への発現ベクターの導入方法としては、酵母にDNAを導入する方法であればいずれも用いることができ、例えば、エレクトロポレーション法(Methods Enzymol.,194,182(1990))、スフェロプラスト法(Proc.Natl.Acad.Sci.,USA,81,4889(1984))、酢酸リチウム法(J.Bacteriol.,153,163(1983))、Proc.Natl.Acad.Sci.USA,75,1929(1978)に記載の方法等を挙げることができる。
糸状真菌としては、例えば、アクレモニウム(Acremonium)属、アスペルギルス(Aspergillus)属、ウスチラーゴ(Ustilago)属、トリコデルマ(Trichoderma)属、ノイロスポラ(Neurospora)属、フザリウム(Fusarium)属、フミコーラ(Humicola)属、ペニシリウム(Penicillium)属、マイセリオフトラ(Myceliophtora)属、ボトリティス(Botryts)属、マグナポルサ(Magnaporthe)属、ムコア(Mucor)属、メタリチウム(Metarhizium)属、モナスカス(Monascus)属、リゾプス(Rhizopus)属、及びリゾムコア属に属する菌等を挙げることができる。
糸状真菌の具体例として、アクレモニウム・アラバメンゼ(Acremonium alabamense)、アクレモニウム・セルロリティカス(Acremonium cellulolyticus)、アスペルギルス・アクレアツス(アキュレータス)(Aspergillus aculeatus)、アスペルギルス・アワモリ(Aspergillus awamori)、アスペルギルス・オリゼ(Aspergillus oryzae)、アスペルギルス・サケ(Aspergillus sake)、アスペルギルス・ゾジエ(ソーヤ)(Aspergillus sojae)、アスペルギルス・テュビゲンシス(Aspergillus tubigensis)、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)、アスペルギルス・ニデュランス(Aspergillus nidulans)、アスペルギルス・パラシチクス(Aspergillus parasiticus)、アスペルギルス・フィクム(フィキュウム)(Aspergillus ficuum)、アスペルギルス・フェニクス(Aspergillus phoeicus)、アスペルギルス・フォエチズス(フェチダス)(Aspergillus foetidus)、アスペルギルス・フラーブス(Aspergillus flavus)、アスペルギルス・フミガタス(Aspergillus fumigatus)、アスペルギルス・ヤポニクス(ジャポニカス)(Aspergillus japonicus)、トリコデルマ・ビリデ(Trichoderma viride)、トリコデルマ・ハージアヌム(Trichoderma harzianum)、トリコデルマ・リーゼイ(Trichoderma reseei)、クリソスポリウム・ルクノエンス(Chrysosporium lucknowense)、サーモアスクス(Thermoascus)、スポロトリクム(Sporotrichum)、スポロトリクム・セルロフィルム(Sporotrichum cellulophilum)、タラロマイセス(Talaromyces)、チエラビア・テレストリス(Thielavia terrestris)、チラビア(Thielavia)、ノイロスポラ・クラザ(Neurospora crassa)、フザリウム・オキシスポーラス(Fusarium oxysporus)、フザリウム・グラミネルム(Fusarium graminearum)、フザリウム・ベネナツム(Fusarium venenatum)、フミコーラ・インソレンス(Humicola insolens)、ペニシリウム・クリゾゲナム(Penicillium chrysogenum)、ペニシリウム・カマンベルティ(Penicillium camemberti)、ペニシリウム・カネセンス(Penicillium canescens)、ペニシリウム・エメルソニ(Penicillium emersonii)、ペニシリウム・フニクロスム(Penicillium funiculosum)、ペニシリウム・グリゼオロゼウム(Penicillium griseoroseum)、ペニシリウム・パープロゲナム(Penicillium purpurogenum)、ペニシリウム・ロケフォルチ(Penicillium roqueforti)、マイセリオフトラ・サーモフィルム(Myceliophtaora thermophilum)、ムコア・アンビグス(Mucor ambiguus)、ムコア・シイルシネロイデェス(Mucor circinelloides)、ムコア・フラギリス(Mucor fragilis)、ムコア・ヘマリス(Mucor hiemalis)、ムコア・イナエクイスポラス(Mucor inaequisporus)、ムコア・オブロンジエリプティカス(Mucor oblongiellipticus)、ムコア・ラセモサス(Mucor racemosus)、ムコア・レクルバス(Mucor recurvus)、ムコア・サトゥルニナス(Mocor saturninus)、ムコア・サブティリススミウス(Mocor subtilissmus)、オガタエア・ポリモルファ(Ogataea polymorpha)、ファネロケーテ・クリソスポリウム(Phanerochaete chrysosporium)、リゾムコア・ミーヘイ(Rhizomucor miehei)、リゾムコア・プシルス(Rhizomucor pusillus)、リゾプス・アルヒザス(Rhizopus arrhizus)等を挙げることができる。
糸状真菌を宿主とした場合のプロモータの具体例としては、解糖系に関する遺伝子、構成的発現に関する遺伝子、加水分解に関する酵素遺伝子等いずれであってもよく、具体的にはamyB、glaA、agdA、glaB、TEF1、xynF1tannasegene、No.8AN、gpdA、pgkA、enoA、melO、sodM、catA、catB等を挙げることができる。
糸状真菌への発現ベクターの導入は,従来公知の方法を用いて行うことができる。例えば、Cohenらの方法(塩化カルシウム法)[Proc.Natl.Acad.Sci.USA,69:2110(1972)]、プロトプラスト法[Mol.Gen.Genet.,168:111(1979)]、コンピテント法[J.Mol.Biol.,56:209(1971)]、エレクトロポレーション法等を挙げることができる。
昆虫細胞として、例えば、鱗翅類の昆虫細胞が挙げられ、より具体的には、Sf9、及びSf21等のスポドプテラ・フルギペルダ(Spodoptera frugiperda)由来の昆虫細胞、並びに、High 5等のイラクサギンウワバ(Trichoplusia ni)由来の昆虫細胞等を挙げることができる。
昆虫細胞を宿主として用いる場合のベクターとしては、例えば、夜盗蛾科昆虫に感染するウイルスであるアウトグラファ・カリフォルニカ・ヌクレアー・ポリヘドロシス・ウイルス(Autographa californica nuclear polyhedrosis virus)等のバキュロウイルス(Baculovirus Expression Vectors, A Laboratory Manual,W.H.Freeman and Company,New York(1992))を挙げることができる。
昆虫細胞を宿主として用いる場合には、例えばカレント・プロトコールズ・イン・モレキュラー・バイオロジー、Baculovirus Expression Vectors, A Laboratory Manual,W.H.Freeman and Company, New York(1992)、Bio/Technology,6,47(1988)等に記載された方法によって、ポリペプチドを発現することができる。すなわち、組換え遺伝子導入ベクター及びバキュロウイルスを昆虫細胞に共導入して昆虫細胞培養上清中に組換えウイルス(発現ベクター)を得た後、さらに組換えウイルスを昆虫細胞に感染させ、ポリペプチドを発現させることができる。該方法において用いられる遺伝子導入ベクターとしては、例えば、pVL1392、pVL1393、pBlueBacIII(ともにInvitorogen社製)等を挙げることができる。
組換えウイルスを調製するための、昆虫細胞への組換え遺伝子導入ベクターとバキュロウイルスの共導入方法としては、例えば、リン酸カルシウム法(特開平2-227075)、リポフェクション法(Proc.Natl.Acad.Sci.USA,84,7413(1987))等を挙げることができる。
上記組換えベクターは、形質転換体選択のための選択マーカ遺伝子をさらに含有していることが好ましい。例えば、大腸菌においては、選択マーカ遺伝子としては、テトラサイクリン、アンピシリン、カナマイシン等の各種薬剤に対する耐性遺伝子を用いることができる。栄養要求性に関与する遺伝子変異を相補できる劣性の選択マーカも使用できる。酵母においては、選択マーカ遺伝子として、ジェネティシンに対する耐性遺伝子を用いることができ、栄養要求性に関与する遺伝子変異を相補する遺伝子、LEU2、URA3、TRP1、HIS3等の選択マーカも使用できる。糸状真菌においては、選択マーカ遺伝子として、niaD(Biosci.Biotechnol.Biochem.,59,1795-1797(1995))、argB(Enzyme Microbiol Technol,6,386-389,(1984)),sC(Gene,84,329-334,(1989))、ptrA(BiosciBiotechnol Biochem,64,1416-1421,(2000))、pyrG(BiochemBiophys Res Commun,112,284-289,(1983)),amdS(Gene,26,205-221,(1983))、オーレオバシジン耐性遺伝子(Mol Gen Genet,261,290-296,(1999))、ベノミル耐性遺伝子(Proc Natl Acad Sci USA,83,4869-4873,(1986))及びハイグロマイシン耐性遺伝子(Gene,57,21-26,(1987))からなる群より選ばれるマーカ遺伝子、ロイシン要求性相補遺伝子等を挙げることができる。また、宿主が栄養要求性変異株の場合には、選択マーカ遺伝子として当該栄養要求性を相補する野生型遺伝子を用いることもできる。
上記発現ベクターで形質転換された宿主の選択は、上記核酸に選択的に結合するプローブを用いたプラークハイブリダイゼーション及びコロニーハイブリダイゼーション等で行うことができる。当該プローブとしては、上記核酸の配列情報に基づき、PCR法によって増幅した部分DNA断片をラジオアイソトープ又はジゴキシゲニンで修飾したものを用いることができる。
(組換えタンパク質の発現)
目的とするタンパク質を発現するための上記発現ベクターで形質転換された組換え細胞において、組換えタンパク質は、不溶体として細胞内に発現されている。組換えタンパク質は、組換え細胞を培養培地中で培養することにより発現させることができる。組換え細胞を培養培地中で培養する方法は、宿主の培養に通常用いられる方法に従って行うことができる。
上記宿主が、大腸菌等の原核生物又は酵母等の真核生物である場合、培養培地として、該宿主が資化し得る炭素源、窒素源及び無機塩類等を含有し、該宿主の培養を効率的に行える培地であれば天然培地、合成培地のいずれを用いてもよい。
炭素源としては、該宿主が資化し得るものであればよく、例えば、グルコース、フラクトース、スクロース、及びこれらを含有する糖蜜、デンプン及びデンプン加水分解物等の炭水化物、酢酸及びプロピオン酸等の有機酸、並びにエタノール及びプロパノール等のアルコール類を用いることができる。
窒素源としては、例えば、アンモニア、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、酢酸アンモニウム及びリン酸アンモニウム等の無機酸又は有機酸のアンモニウム塩、その他の含窒素化合物、並びにペプトン、肉エキス、酵母エキス、コーンスチープリカー、カゼイン加水分解物、大豆粕及び大豆粕加水分解物、各種発酵菌体及びその消化物を用いることができる。
無機塩としては、例えば、リン酸第一カリウム、リン酸第二カリウム、リン酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、塩化ナトリウム、硫酸第一鉄、硫酸マンガン、硫酸銅及び炭酸カルシウムを用いることができる。
大腸菌等の原核生物又は酵母等の真核生物の培養は、例えば、振盪培養又は深部通気攪拌培養等の好気的条件下で行うことができる。培養温度は、例えば、15~40℃である。培養時間は、通常16時間~7日間である。培養中の培養培地のpHは3.0~9.0に保持することが好ましい。培養培地のpHの調整は、無機酸、有機酸、アルカリ溶液、尿素、炭酸カルシウム及びアンモニア等を用いて行うことができる。
また、培養中必要に応じて、アンピシリン及びテトラサイクリン等の抗生物質を培養培地に添加してもよい。プロモータとして誘導性のプロモータを用いた発現ベクターで形質転換した微生物を培養するときには、必要に応じてインデューサーを培地に添加してもよい。例えば、lacプロモータを用いた発現ベクターで形質転換した微生物を培養するときにはイソプロピル-β-D-チオガラクトピラノシド等を、trpプロモータを用いた発現ベクターで形質転換した微生物を培養するときにはインドールアクリル酸等を培地に添加してもよい。
昆虫細胞の培養培地としては、一般に使用されているTNM-FH培地(Pharmingen社製)、Sf-900 II SFM培地(Life Technologies社製)、ExCell400、ExCell405(いずれもJRH Biosciences社製)、Grace’s Insect Medium(Nature,195,788(1962))等を用いることができる。
昆虫細胞の培養は、例えば、培養培地のpH6~7、培養温度25~30℃等の条件下で、培養時間1~5日間とすることができる。また、培養中必要に応じて、ゲンタマイシン等の抗生物質を培養培地に添加してもよい。
宿主が植物細胞の場合、形質転換された植物細胞をそのまま培養してもよく、また植物の器官に分化させて培養することができる。該植物細胞を培養する培地としては、一般に使用されているムラシゲ・アンド・スクーグ(MS)培地、ホワイト(White)培地、又はこれらの培地にオーキシン、サイトカイニン等、植物ホルモンを添加した培地等を用いることができる。
動物細胞の培養は、例えば、培養培地のpH5~9、培養温度20~40℃等の条件下で、培養時間3~60日間とすることができる。また、培養中必要に応じて、カナマイシン、ハイグロマイシン等の抗生物質を培地に添加してもよい。
上記方法により目的とするタンパク質を、不溶体として組換え細胞内において発現させることができる。
(A)組換え細胞の破砕工程
工程(A)は、目的とする組換えタンパク質を不溶体として細胞内に発現している組換え細胞を破砕して、組換えタンパク質の不溶体を含む破砕懸濁液を得る工程である。
組換え細胞の破砕は、公知の方法に準じて行うことができる。すなわち、リゾチーム、ムタノリジン、リチケース、ザイモリエース等の酵素処理による細胞の破砕、有機溶媒等との接触による細胞破砕、浸透圧を用いた細胞破砕、ボールミル、フレンチプレス、高圧ホモジナイザー、超音波処理等の物理的・機械的な細胞破砕及びこれらの組合せにより行うことができる。
組換え細胞の破砕には、上記培養により得られた培養液をそのまま用いることができるが、後に得られる組換えタンパク質の純度を向上させるために、洗浄した組換え細胞の懸濁液を用いることが好ましい。
洗浄した組換え細胞の懸濁液は以下の方法で調製することができる。すなわち、培養液より遠心分離、濾過等により組換え細胞を分離する。後の工程を考慮すると水で洗浄することが好ましく、緩衝水溶液等で洗浄後、さらに水で洗浄することも好ましい。得られた組換え細胞を、上記破砕方法に適した溶液に、適した濃度となるように懸濁することにより調製することができる。
また、培養液より得られた組換え細胞を有機溶媒等で処理し、組換え細胞の宿主由来のタンパク質等の可溶性画分を除去後の不溶性画分を、上記破砕方法に適した溶液に、適した濃度となるように懸濁した懸濁液も用いることができる。この場合、有機溶媒等処理により菌体が破砕されている場合は、当該有機溶媒等処理(有機溶媒等との接触等)を上記破砕処理とみなすことができる。すなわち、有機溶媒等処理後、下記(B)組換えタンパク質不溶体の凝集工程を行うことができる。
適した溶液としては、工業用水、脱イオン水、RO(Reverse Osmosis)水等の水、緩衝水溶液等を挙げることができる。緩衝水溶液としては、例えばTris/HCl緩衝液等をあげることができる。
得られた破砕懸濁液は、組換えタンパク質の不溶体を含む。本明細書において、「不溶体」とは、溶液(懸濁液)に不溶性であるタンパク質を指し、不溶性顆粒を形成する場合もある。
また、破砕懸濁液には容易に遠心分離可能な細胞破壊片が含まれており、これら細胞破壊片を除去後の懸濁液を用いて下記凝集工程を行ってもよい。
さらに、破砕懸濁液中の不溶性顆粒が不純物を巻き込み、遠心分離により分離可能な場合がある。そのような場合には遠心分離し、取得された不溶性顆粒を含む沈殿画分を上記緩衝水溶液に再懸濁させて、下記凝集工程に進んでもよい。
(B)組換えタンパク質不溶体の凝集工程
工程(B)は、上記(A)工程で得られた破砕懸濁液に金属塩、酸及びアニオン性凝集剤からなる群から選ばれる1種以上を添加し、組換えタンパク質の不溶体を凝集させ、組換えタンパク質凝集体を得る工程である。工程(B)において、必要に応じて、加熱及び/又は撹拌することを行ってもよい。
金属塩として、例えば、アルカリ土類金属塩、土類金属塩を挙げることができる。具体的にはアルカリ土類金属ハロゲン化物、アルカリ土類金属硝酸塩、アルカリ土類金属硫酸塩、土類金属ハロゲン化物、土類金属硝酸塩、土類金属硫酸塩等を挙げることができる。金属塩としては2価以上の多価金属塩が好ましい。
アルカリ土類金属ハロゲン化物としては、例えば塩化カルシウム、塩化マグネシウム、臭化マグネシウム、臭化カルシウム、ヨウ化マグネシウム、ヨウ化カルシウム等を挙げることができる。
アルカリ土類金属硝酸塩としては、例えば、硝酸カルシウム、硝酸マグネシウム、硝酸ストロンチウム、硝酸バリウム等を挙げることができる。
アルカリ土類金属硫酸塩としては、例えば、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、硫酸ストロンチウム、硫酸バリウム等を挙げることができる。
土類金属ハロゲン化物としては、例えば三塩化アルミニウム、三塩化ガリウム等を挙げることができる。
土類金属硝酸塩としては、例えば硝酸アルミニウム、硝酸ガリウム等を挙げることができる。
土類金属硫酸塩としては、例えば硫酸アルミニウム、硫酸ガリウム等を挙げることができる。
これらの金属塩は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
好適な金属塩としてはアルカリ金属ハロゲン化物、アルカリ土類金属ハロゲン化物があげられ、具体的な好適例としては、塩化リチウム、塩化カルシウム等を挙げることができる。
金属塩の添加量としては、組換えタンパク質が破砕懸濁液においてコンパクトな不溶性顆粒を形成している場合には少量の添加でも効果が認められ、例えば0.01~20mM、好ましくは1~10mMとなるように金属塩を添加すればよい。不溶性顆粒を形成していない不溶体又は遠心分離では沈降させるために時間の掛かるような不溶性顆粒の場合には、2~50mM、好ましくは5~10mMとなるように金属塩を添加すればよい。
酸としては、無機酸及び有機酸のいずれも用いることができる。好適な酸としてはオキソ酸等を挙げることができる。
無機酸のオキソ酸としては、硫酸、硝酸、リン酸等を挙げることができる。有機酸のオキソ酸としては、蟻酸、酢酸、クエン酸、酒石酸等を挙げることができる。オキソ酸としては、酢酸、硫酸、クエン酸が好ましく、クエン酸がより好ましい。
酸の添加量としては、組換えタンパク質が破砕懸濁液においてコンパクトな不溶性顆粒を形成している場合には少量の添加でも効果が認められ、例えば0.01~20mM、好ましくは1~20mM、さらに好ましくは5~20mMとなるように酸を添加すればよい。不溶性顆粒を形成していない不溶体又は遠心分離では沈降させるために時間の掛かるような不溶性顆粒の場合には、2~50mM、好ましくは10~30mMとなるように酸を添加すればよい。
これらの酸は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
本明細書において「アニオン性凝集剤」とは、有機系のアニオン基を有する高分子凝集剤(ポリマー)を指す。アニオン性凝集剤としては、例えば、ポリアクリル酸塩系、アニオン性ポリアクリルアミド系、アクリルアミド・アクリル酸塩共重合体系等をあげることができる。具体的には、栗田工業社製のクリファームPAシリーズ(PA-923、PA-896、PA-895、PA-893、PA-865、PA-823、PA-813、PA-804、PA-465、PA-404、PA-402、PA-265等)、三井化学アクアポリマー社製のアコフロック(A-95~A-100、A-110~A-150、A-190、A-235H~A-250等)、スミフロック(FA-40~FA-70)、三菱レイヨン社製のダイヤフロックAPシリーズ(AP335B、AP741B、AP825C等)、多木化学株式会社製のタキフロックAシリーズ(A-102~A-106、A-108、A-142、A-162)、戸上電機製作所のトガミフロック(TA-089、TA-104、TA-109、TA-124、TA-144、TAE-2325、TAE-2335、TAE-2644等)等をあげることができる。
これら凝集剤の中には、宿主細胞自体を凝集させる作用を有することもあるため、凝集剤を用いる場合には細胞破壊片をあらかじめ取り除いた破砕懸濁液を用いることが好ましい。アニオン性凝集剤の添加量としては、組換えタンパク質が破砕懸濁液において、0.001~0.1%、好ましくは0.01~0.05%となるようにアニオン性凝集剤を添加すればよい。
金属塩、酸又はアニオン性凝集剤の添加は、それぞれ単独より、組み合わせて添加することにより低濃度の添加で効果が得られる。
(B)の凝集工程において、金属塩、酸及びアニオン性凝集剤からなる群から選ばれる1種以上を添加したのち、凝集を促進し凝集体が大型となるように、加熱を行ってもよい。加熱の手段は特に限定されない。加熱温度(ピーク温度)は特に限定されないが、効率よく不溶体又は不溶性顆粒を得る観点及び菌体死菌化の観点から、目的とする組換えタンパク質の種類に応じて、たとえば加熱温度は60℃以上、好ましくは70℃以上、さらに好ましくは80℃以上である。また目的タンパク質の分解を抑制し、目的タンパク質の純度向上の観点から、目的タンパク質の種類に応じて、たとえば130℃以下、好ましくは110℃以下、さらに好ましくは90℃以下である。
加熱時間(加熱温度を維持する時間)は、特に限定されないが、効率よく不溶体又は不溶性顆粒を得る観点及び菌体死菌化の観点から、目的とする組換えタンパク質の種類に応じて、たとえば0.5時間以上、好ましくは1時間以上、さらに好ましくは2時間以上である。また目的タンパク質の分解を抑制し、作業効率向上の観点から、目的タンパク質の種類に応じて、たとえば15時間以下、好ましくは10時間以下、さらに好ましくは5時間以下である。
破砕懸濁液を連続して加熱する方法により不溶体又は不溶性顆粒を得るための加熱時間を大幅に短縮することができる。破砕懸濁液を連続して加熱する場合の温度は、特に限定されないが、効率よく不溶体又は不溶性顆粒を得る観点及び菌体死菌化の観点から、目的とする組換えタンパク質の種類に応じて、たとえば加熱温度は70℃以上、好ましくは80℃以上、さらに好ましくは90℃以上である。また目的タンパク質の分解を抑制し、目的タンパク質の純度向上の観点から、目的タンパク質の種類に応じて、たとえば140℃以下、好ましくは120℃以下、さらに好ましくは100℃以下である。
破砕懸濁液を連続して加熱する場合の不溶体又は不溶性顆粒を得るための加熱時間は、特に限定されないが、効率よく不溶体又は不溶性顆粒を得る観点及び菌体死菌化の観点から、目的とする組換えタンパク質の種類に応じて、たとえば1秒以上、好ましくは10秒以上、さらに好ましくは30秒以上である。また目的タンパク質の分解を抑制し、作業効率向上の観点から、目的タンパク質の種類に応じて、たとえば120秒以下、好ましくは90秒以下、さらに好ましくは60秒以下である。
破砕懸濁液を連続して加熱する方法は特に限定されず、不溶体又は不溶性顆粒を70℃以上140℃以下に加熱でき、加熱後の温度を120秒間以内で保持できればよく、液体連続殺菌装置等を使用する方法が挙げられ、特に液体連続殺菌装置MINI UHT T-20(パワーポイント・インターナショナル社製)が挙げられる。
(B)の凝集工程において、凝集体が大型となるように、加熱に加えてさらに撹拌を行ってもよい。撹拌の手段は特に限定されない。撹拌速度は特に限定されないが、効率よく不溶性顆粒を得る観点より、溶液中の不溶体の凝集体が沈殿しない速度が好ましく、例えば、70rpm以上、好ましくは150rpm以上、さらに好ましくは300rpm以上である。また形成された不溶体の破砕を抑制する観点から1500rpm以下、好ましくは1000rpm以下、さらに好ましくは500rpm以下である。撹拌時間は、(B)の凝集工程の間の任意の時間に行わればよく、加熱する場合は、加熱と共に行われるのが好ましい。
(C)組換えタンパク質凝集体の分離工程
(C)工程は、(B)工程で得られた凝集体を懸濁液から分離する工程である。破砕懸濁液への金属塩、酸及びアニオン性凝集剤からなる群から選ばれる1種以上の添加と同時に組換えタンパク質不溶体の凝集が始まり、その後適宜な分離手段、例えば、自然沈降、遠心分離又は濾過を用いて凝集体を分離することができる。金属塩、酸及びアニオン性凝集剤からなる群から選ばれる1種以上の添加後、加熱し、必要に応じてさらに撹拌することにより凝集が促進され凝集体が大型となり、より分離が容易となる。
一例では、2,500×g、5~30分の遠心分離により、凝集体を回収することができる。組換えタンパク質が破砕懸濁液において元々遠心分離可能な不溶性顆粒を形成している場合には、金属塩、酸及びアニオン性凝集剤からなる群から選ばれる1種以上の添加し、加熱し、必要に応じて撹拌することにより不溶体顆粒をさらに巨大化し、自然沈降させることも可能である。遠心分離により分離することが困難な組換えタンパク質不溶体も、金属塩、酸及びアニオン性凝集剤からなる群から選ばれる1種以上の添加し、加熱し、必要に応じて撹拌により不溶体顆粒をさらに巨大化し、遠心分離、濾過等により分離可能となる。
これまで不溶性顆粒の遠心分離において、2,500×gのような低遠心力で沈降させることができるとの報告はなく、通常は12,000×g以上の高遠心力の円筒型遠心分離機が利用されている。しかしながら、本発明によればより低遠心力で不溶性組換えタンパク質を凝集体として沈降させることができるため、これまで菌体の分離にしか使用できなかったウェストファリア、クラリファイヤー、アルファ・ラバルといった、分離板型(ディスク型)遠心分離機、及びデカンタ型遠心分離機、さらにたとえばバスケット型遠心分離機を、不溶性組換えタンパク質の分離に使用することができることを意味する。これら分離板型及びデカンタ型遠心分離機は、10,000×g以下の遠心力を有し、大量の懸濁液を連続的に分離処理できるため、極めて工業生産において有用な手段となり得る。
また、上記の凝集工程を行わなかった場合、通常の遠心分離により容易に沈降可能な大型の不溶性顆粒であっても、膜濾過においては目詰まりする可能性が高いが、当該凝集工程を行うことにより容易に膜分離可能となる。特に金属塩、酸及びアニオン性凝集剤からなる群から選ばれる1種以上添加後に、加熱し、必要に応じて撹拌することにより、より容易に膜分離可能となる。
さらに分離操作のみで、当該組換えタンパク質不溶体と分離可能な宿主細胞由来の不純物を除去することができ、組換えタンパク質の純度を向上させることができる。また、分離した組換えタンパク質不溶体を再懸濁して、再度凝集及び分離工程を行うと、より純度を向上させることができる。
(C)組換えタンパク質凝集体の分離工程によって得られた組換えタンパク質凝集体の粒子径は、たとえば電気的検知帯法によって測定することができる。組換えタンパク質凝集体の粒子径は、ろ過性向上の観点から、例えば4μm以上、好ましくは5μm以上、より好ましくは10μm以上、さらに好ましくは15μm以上である。また、凝集体の粒子径の上限は特に限定されないが、50μm以下であってもよく、40μm以下あってもよく、30μm以下であってもよく、20μm以下であってもよい。
電気的検知帯法としては、JIS Z 8832に準拠した粒子径分布測定方法が挙げられ、特に粒子径数分析装置CDA-1000(シスメックス株式会社)を使用した測定方法が挙げられる。
分離によって取得された組換えタンパク質凝集体は、例えば、特表2013-523665号公報に記載の方法等を利用してさらに精製して純度を向上させることができる。
以下、実施例に基づいて本発明をより具体的に説明する。ただし、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(1)目的とするタンパク質発現株(組換え細胞)の作製
配列番号1(PRT410)、配列番号2(PRT853)、配列番号3(PRT647)、配列番号4(PRT699)及び配列番号5(PRT698)で示されるアミノ酸配列を有するクモ糸由来の配列を有するフィブロインをコードする核酸、GEN495、GEN971、GEN740、GEN797及び、GEN796をそれぞれ合成した。当該核酸には、5’末端にNdeIサイト及び終止コドン下流にEcoRIサイトを付加した。各タンパク質のハイドロパシー インデックス(HI)及び分子量は表1に示した通りである。
Figure 0007079525000001
これら5種類の核酸をそれぞれクローニングベクター(pUC118)にクローニングした。その後、同核酸をNdeI及びEcoRIで制限酵素処理して切り出した後、タンパク質発現ベクターpET-22b(+)に組換えて発現ベクターを得た。当該5種類の発現ベクターで、大腸菌BLR(DE3)をそれぞれ形質転換して、目的とするタンパク質を発現する形質転換大腸菌(組換え細胞)を得た。
(2)目的とするタンパク質の発現
上記形質転換大腸菌を、アンピシリンを含む2mLのLB培地で15時間培養した。当該培養液を、アンピシリンを含む100mLのシード培養用培地(表2)にOD600が0.005となるように添加した。培養液温度を30℃に保ち、OD600が5になるまでフラスコ培養を行い(約15時間)、シード培養液を得た。
Figure 0007079525000002
当該シード培養液を500mLの生産培地(表3)を添加したジャーファーメンターにOD600が0.05となるように添加した。培養液温度を37℃に保ち、pH6.9で一定に制御して培養した。また培養液中の溶存酸素濃度を、溶存酸素飽和濃度の20%に維持するようにした。
Figure 0007079525000003
生産培地中のグルコースが完全に消費された直後に、フィード液(グルコース455g/1L、酵母エキス 120g/1L)を1mL/分の速度で添加した。培養液温度を37℃に保ち、pH6.9で一定に制御して培養した。また培養液中の溶存酸素濃度を、溶存酸素飽和濃度の20%に維持するようにし、20時間培養を行った。その後、1Mのイソプロピル-β-チオガラクトピラノシド(IPTG)を培養液に対して終濃度1mMになるよう添加し、目的のタンパク質を発現誘導させた。IPTG添加後20時間経過した時点で、培養液を遠心分離し、菌体を回収した。IPTG添加前とIPTG添加後の培養液から調製した菌体を用いてSDS-PAGEを行い、IPTG添加に依存した目的とするタンパク質サイズのバンドの出現により、目的とするタンパク質が不溶体として発現されていることを確認した。
〔実施例1 金属塩の添加効果その1〕
不溶体としてPRT853(HI:-0.68)を発現している大腸菌BLR(DE3)のRO水懸濁液にDNase(SIGMA-ALDRICH)1.8μg/g湿菌体、及びLysozyme(Thermo Fisher Scientific)を164μg/g湿菌体添加し、高圧ホモジナイザー(GEA, Panda plus)を用い室温、600バールの圧力で4回処理し、菌体を破砕した。破砕後、遠心分離機(TOMY MX-305)を用い、11,000×g、5分間処理し、不溶体を取得した。当該不溶体はこのように、取得するためにはかなりの時間をかけて遠心分離する必要のある、比較的小さな不溶性顆粒であった。当該不溶性顆粒を水に懸濁後、0.5Mとなるように表4に示す金属塩を添加した。図1は、金属塩の添加後、2,680×gで10秒間遠心分離したときの各サンプルの写真である。
多価金属塩を添加することにより、2,680×gで10秒間遠心分離することにより不溶体を沈降させることができることを確認した。
Figure 0007079525000004
〔実施例2 金属塩の添加効果その2〕
実施例1で凝集効果が優れていた金属塩(塩化マグネシウム、塩化カルシウム、硫酸マグネシウム及び硝酸マグネシウム)について、PRT853の不溶体を用いて、低濃度での凝集効果を確認した(表5参照)。図2は、金属塩の添加後、2,680×gで10秒間遠心分離したときの各サンプルの写真である。
いずれの金属塩も1mMでも凝集効果は認められたが、5mM以上で顕著な凝集効果が認められた。
Figure 0007079525000005
〔実施例3 HIの異なるタンパク質での効果〕
疎水性度の異なるタンパク質における金属塩の添加効果を確認した。実施例1と同様の方法で、PRT410(HI:-0.81)、PRT647(HI:0.04)、PRT699(HI:0.17)、PRT698(HI:0.43)の4種類の不溶体について金属塩(塩化カルシウム及び塩化マグネシウム)の添加による凝集効果を確認した。
各不溶体を発現している大腸菌BLR(DE3)のRO水懸濁液にDNase1.8μg/g湿菌体、及びLysozymeを164μg/g湿菌体添加し、高圧ホモジナイザーを用い室温、600バールの圧力で4回処理し、菌体を破砕した。破砕後、当該破砕懸濁液に、10~150mMとなるように、塩化カルシウム又は塩化マグネシウムを添加し、2,680×gで10秒間遠心分離し、凝集の状況を確認した。図3は、金属塩の添加後、2,680×gで10秒間遠心分離したときの各サンプルの写真である。
当該遠心分離操作により、PRT410、PRT699の不溶体は、金属塩(塩化カルシウム及び塩化マグネシウム)を添加することなく沈殿化可能であったが、少量でも金属塩添加により、よりコンパクトに沈殿化させることができることを確認した。一方、PRT647、PRT698は金属塩を添加しなければ当該遠心条件で沈殿化させることができなかったが、金属塩添加により凝集、沈殿化させることができた。特に高濃度にするほど、よりコンパクトに凝集、沈殿化させることができた(図3参照)。
疎水性度の異なるタンパク質において金属塩の添加効果が認められたため、本金属塩添加方法は様々なタンパク質の不溶体の凝集に応用できると考えられる。
〔実施例4 精製純度の向上〕
PRT410、PRT647、PRT699、PRT698の4種類の不溶体は、11,000×g、20℃の遠心分離であれば、5分間で沈降させることができた。遠心分離で得られた当該沈殿画分を再度RO水に懸濁し、当該懸濁液(遠沈再懸濁液)への金属塩の添加効果を確認した。
RO水に再懸濁した不溶体に対して、実施例3と同様にして金属塩の添加効果を確認した。図4は、金属塩の添加後、2,680×gで10秒間遠心分離したときの各サンプルの写真である。図4に示すとおり、実施例3と同様に金属塩添加効果が認められた。また、以下に示すとおり、当該再懸濁により不溶体の純度を向上させることができる。
図5及び表6は、金属塩の添加、及び遠沈再懸濁操作による不溶体の純度向上の結果を示す。図5は、実施例3及び実施例4で得られたPRT410の各処理液をSDS-PAGEで解析した結果(泳動結果)を示す写真である。図5のA及びB中、レーン1には、高圧ホモジナイザーで菌体を破砕した直後のPRT410の懸濁液(破砕懸濁液)、レーン2には、当該破砕懸濁液に10mMとなるように塩化カルシウムを添加し、沈殿化後、2,500×gで5分間遠心分離し、得られた沈殿画分、レーン3には、当該破砕懸濁液に10mMとなるように塩化マグネシウムを添加し、沈殿化後、2,500×gで5分間遠心分離し、得られた沈殿画分、Mレーンには、分子量マーカータンパク質をそれぞれアプライした。
図5のAは、泳動後、全てのタンパク質を染色可能なOriole(商標)蛍光ゲルステイン(Bio-Rad社製)で染色したもの、図5のBは、泳動後、PRT410のHisタグ領域に反応するInVision(商標)Hisタグ付きゲル内染色試薬(Thermo Fisher Scientific社製)で染色したものである。理論分子量が53.6kDaのPRT410は60kDaの分子量マーカに近い位置にバンドとして検出された。
Gel Doc(商標) EZ Gel Imager (BIORAD社製)を用い、Oriole染色したゲルの泳動バンドを解析し、各処理液における、PRT410の精製純度を算出した。結果を表6(破砕直後)に示す。
金属塩を添加せずに得られた沈殿画分の純度は10.5%であったが、金属塩添加によりよりコンパクトに凝集、沈殿化させることができたため、塩化カルシウム添加で30.7%、塩化マグネシウム添加により34.1%まで純度を向上させることができた(図5のレーン1~3、表6(破砕直後)参照)。
また、図5のA及びB中、レーン4には、破砕懸濁液(レーン1)を11,000×g、20℃、5分間の遠心分離により沈降させ、得られた当該沈殿画分を再度RO水に懸濁させた懸濁液(遠沈再懸濁液)、レーン5には、当該遠沈再懸濁液に10mMとなるように塩化カルシウムを添加し、2,500×gで5分間の低速遠心で遠心分離し、得られた沈殿画分、レーン6には、当該遠沈再懸濁液に10mMとなるように塩化マグネシウムを添加し、2,500×gで5分間の低速遠心で遠心分離し、得られた沈殿画分をそれぞれアプライした。高圧ホモジナイザーで菌体を破砕した直後の懸濁液を11,000×g、20℃、5分間の遠心分離により沈降させ、得られた当該沈殿画分を再度RO水に懸濁することにより(遠沈再懸濁液)、10.5%から34.8%に純度を向上させることができる(図5のレーン4、表6(遠沈再懸濁)参照)が、当該遠沈再懸濁液に10mMとなるように塩化カルシウム又は塩化マグネシウムを添加し、不溶体を凝集させることにより、2,500×gで5分間の低速遠心で分離可能となり、また得られた沈殿画分の純度はそれぞれ48.6%及び50.1%まで向上した(図5のレーン5及び6、表6(遠沈再懸濁)参照)、このように、金属塩添加により著しく純度を向上させることができた。
本金属塩添加方法は、不溶体の凝集に極めて効果があるのみならず、宿主細胞由来の不純物の除去に有効な手段であることが確認された。
Figure 0007079525000006
また、PRT410、PRT647、PRT699、PRT698の4種類の不溶体の遠沈再懸濁液、及び破砕懸濁液に50mMの金属塩を添加し、凝集後に2,680×gで10秒間遠心分離して得られた沈殿画分について、それぞれタンパク質の回収率を求めた。結果を表7に示した。
回収率はマイクロプレートリーダー(TECAN,Infinite F200)により595nmの吸光度を測定し、遠心分離前の吸光度の数値を0%、11,000×g、10分間処理したものの上清の吸光度の数値を100%として算出した。
Figure 0007079525000007
表7から明らかのように、金属塩添加により、極めて高収率で不溶体を回収することができた。
本金属塩添加方法は、不溶性のタンパク質であればその種類に限定されず、また不溶体の存在形態がコンパクトな不溶体顆粒であるか否かに関わらず、不溶体の凝集並びに宿主細胞由来の不純物の除去に極めて有効な手段であり、且つ極めて高収率で不溶体を回収することができる、優れた方法であることが確認された。
〔実施例5 酸の添加効果その1〕
不溶体としてPRT853(HI:-0.68)を発現している大腸菌BLR(DE3)のRO水懸濁液にDNase(SIGMA-ALDRICH)1.8μg/g湿菌体、及びLysozyme(Thermo Fisher Scientific)を164μg/g湿菌体添加し、高圧ホモジナイザー(GEA, Panda plus)を用い室温、600バールの圧力で4回処理し、菌体の破砕懸濁液を取得した。
当該破砕懸濁液に、10~100mMとなるように(サンプル番号と酸の濃度の関係は、表8参照)、酢酸、クエン酸又は硫酸を添加し、2,500×gで30秒間遠心分離し、不溶体の凝集の状況を確認した。図6は、遠心分離後の各サンプルの写真である。酸無添加(サンプル1)では、この低速遠心分離条件で不溶体を沈降させ取得することができなかったが、酸を添加することにより、表8に示すいずれの濃度の酸でもこの低速遠心分離条件で不溶体の凝集体を取得することができた(サンプル2~10)。
RO水に再懸濁した後(遠沈再懸濁液)の不溶体における酸の添加効果についても検討した。すなわち、菌体の破砕懸濁液を、遠心分離機(TOMY MX-305)を用い、11,000×g、5分間処理し、不溶体を取得した。当該不溶体はこのように、酸を添加しなければ取得するためにはかなりの遠心力及び時間をかけて遠心分離する必要のある、比較的小さな不溶性顆粒である。当該不溶体をRO水に懸濁後(遠沈再懸濁液)、上記同様表8に示す濃度の酸を添加し、2,500×gで30秒間遠心分離し、不溶体の凝集の状況を確認した。図7は、遠心分離後の各サンプルの写真である。RO水に再懸濁した遠沈再懸濁液においても、酸で効果的に凝集させることができることが確認できた。また、RO水への再懸濁により、顆粒が洗浄され、培地及び菌体由来成分等が除去されるため、RO水への再懸濁を行わなかった不溶体と比較して、見た目でも純麗な不溶体を取得することができた。
Figure 0007079525000008
〔実施例6 HIの異なるタンパク質での酸の添加効果〕
疎水性度の異なるPRT410(HI:-0.81)、PRT647(HI:0.04)、PRT699(HI:0.17)、PRT698(HI:0.43)の4種類の不溶体について、実施例5と同様の方法で、5~30mMのクエン酸を添加し、不溶体の凝集効果を以下のように確認した。
各不溶体を発現している大腸菌BLR(DE3)のRO水懸濁液にDNase1.8μg/g湿菌体、及びLysozymeを164μg/g湿菌体添加し、高圧ホモジナイザーを用い室温、600バールの圧力で4回処理し、菌体を破砕した。破砕後、当該破砕懸濁液に、5~30mMとなるように、クエン酸を添加し、2,500×gで30秒間遠心分離し、凝集の状況を確認した。図8は、遠心分離後の各サンプルの写真である。
図8中、0、5、10、20及び30は、それぞれクエン酸を添加した濃度(mM)を示す(0mMは、クエン酸無添加。)。Hは、クエン酸無添加懸濁液を11,000×g、5分間遠心分離したサンプルである。
いずれのタンパク質の不溶体も、酸を添加しなければ、11,000×g、5分間の遠心分離条件でなければ取得できなかったが、10mM以上のクエン酸を添加することにより、いずれのタンパク質においても、低速遠心分離により不溶体を取得することができた。5mMのクエン酸添加でも凝集は見られたが、30秒間という短い時間では沈降は不完全であった(図8参照)。
疎水性度の異なるタンパク質において酸の添加効果が認められたため、本酸添加方法は様々なタンパク質の不溶体の凝集に応用できると考えられる。
また、10mMのクエン酸を添加し、低速遠心分により回収したPRT410、PRT647、PRT699、PRT698の4種類の沈殿画分について、実施例4と同様にして、それぞれタンパク質の回収率を求めた。結果を表9に示した。
Figure 0007079525000009
表9から明らかのように、いずれのタンパク質においても、酸添加により、ロスなく不溶体を回収することができた。
次に、回収したPRT410不溶体の純度をSDS-PAGEにより解析した。図9は、PRT410の各処理液をSDS-PAGEで解析した結果(泳動結果)を示す写真である。図9中、Mレーンには、分子量マーカータンパク質、レーン1には、酸無添加の破砕懸濁液、レーン2には、破砕懸濁液に10mMのクエン酸を添加し、回収した不溶体を、タンパク質濃度がそれぞれ1.5μgになるようにアプライした。泳動後の染色には、全てのタンパク質を染色可能なOrioleTM蛍光ゲルステイン(Bio-Rad社製)及びPRT410のHisタグ領域に反応するInVisionTMHisタグ付きゲル内染色試薬(Thermo Fisher Scientific社製)の2種類を用いた。理論分子量が53.6kDaのPRT410は60kDaの分子量マーカに近い位置にバンドとして検出された。
Gel Doc(商標) EZ Gel Imager (BIORAD社製)を用い、Oriole染色したゲルの泳動バンドを解析し、各処理液における、PRT410の精製純度を算出した。結果を表10に示す。
Figure 0007079525000010
酸を添加せずに得られた沈殿画分の純度は11.6%であったが、酸添加によりコンパクトに凝集、沈殿化させることができたため、23.7%まで純度を向上させることができた(図9参照)。
本酸添加方法は、不溶体の凝集に極めて効果があるのみならず、宿主細胞由来の不純物の除去に有効な手段であることが確認された。
本酸添加方法は、不溶性のタンパク質であればその種類に限定されず、また不溶体の存在形態がコンパクトな不溶体顆粒であるか否かに関わらず、不溶体の凝集並びに宿主細胞由来の不純物の除去に極めて有効な手段であり、且つ極めて高収率で不溶体を回収することができる、優れた方法であることが確認された。
〔実施例7 リポ多糖(LPS)除去効果〕
宿主細胞として用いた大腸菌には、グラム陰性菌特有の細胞壁由来の内毒素と呼ばれるLPSが存在する。当該内毒素は過剰に存在すると発熱、多臓器不全、頻脈等の作用を有することが知られており、低減下することが好ましい。本発明の金属塩又は酸添加により凝集させた不溶体中のLPS含量を測定し、LPSの低減下効果を確認した。
金属塩及び酸添加を行っていない不溶体(1)は以下の方法で取得した。
すなわち、PRT853を発現している大腸菌BLR(DE3)のRO水懸濁液にDNase(SIGMA-ALDRICH)1.8μg/g湿菌体、及びLysozyme(Thermo Fisher Scientific)を164μg/g湿菌体添加し、高圧ホモジナイザー(GEA, Panda plus)を用い室温、600バールの圧力で4回処理し、菌体を破砕した。破砕後、遠心分離機(TOMY MX-305)を用い、11,000×g、20分間処理した。沈殿画分を再度RO水に懸濁し、11,000×g、30分間処理した。この洗浄操作を2回行った。得られた沈殿画分を再度RO水に懸濁し、11,000×g、60分間処理し、沈殿画分として不溶体(1)を取得した。当該不溶体(1)の取得は20℃で行った。
金属塩添加で凝集させた不溶体(2)は以下の方法で取得した。
すなわち、高圧ホモジナイザーで4回処理し、菌体を破砕するまでは上記と同様の方法で行なった。破砕後、10mMの塩化カルシウムを添加し、不溶体を凝集させ、2,500×gで10分間処理した。得られた沈殿画分を、再度RO水に懸濁し、2,500×gで10分間処理した。この洗浄操作を2回行い、沈殿画分として金属塩添加による不溶体(2)を取得した。
酸添加で凝集させた不溶体(3)は以下の方法で取得した。
すなわち、金属塩を添加する代わりに、10mMのクエン酸を添加する以外は上記金属塩添加の不溶体(2)の取得と同じ方法で、酸添加による不溶体(3)を取得した。
これら3種類の不溶体中のLPS含量を以下の方法で測定した。
(ア)測定サンプルの調製
上記3種類の不溶体サンプル約75mg(不溶体(1)75.5mg,不溶体(2)75.1mg,不溶体(3)75.0mg)を秤量し、50mg/mLになるように注射用蒸留水(大塚製薬工場株式会社)を加え懸濁液を調製した。ボルテックスミキサーで攪拌後、pHを確認し、5N水酸化ナトリウム水溶液(和光純薬工業株式会社)を加えて中性となるように調整した。当該不溶体サンプルを、ブロックヒーターを用い、90で、20分間加熱処理した。放熱後、10,000rpm、10分間遠心分離を行い、上清を回収し、測定原液とした。
(イ)LPS含量の測定
リムルスES-ilシングルテストワコー(和光純薬工業株式会社)を用い、添付の説明資料に従って、トキシノメーター(ET-6000/J、和光純薬工業株式会社)を用いた比濁時間分析を行った。測定には、エンドトキシン標準品として、キットに添付されているCSE(E.coli UKT-B)を用いた。各検体についてはじめに測定原液を1,000希釈して測定した。不溶体(1)及び不溶体(2)は1,000倍希釈により測定値が得られたが、不溶体(3)は検出限度以下(く0.01EU/mL)であったため、希釈倍率を変え、10倍希釈で測定値を得ることができた。結果を表11に示す。
Figure 0007079525000011
金属塩又は酸を添加して凝集させた不溶体(2)及び(3)では、これらを添加せずに取得した不溶体(1)と比較して、LPS含量が低減されていることが確認された。特に酸で凝集させ取得した不溶体(3)ではLPS含量は極めて低濃度であった。金属塩又は酸を添加して不溶体を凝集、取得する方法はLPS含量を低減させることも可能な優れた方法であった。
〔実施例8 アニオン性凝集剤による凝集効果〕
不溶性顆粒としてPRT853(HI:-0.68)を発現している大腸菌BLR(DE3)のRO水懸濁液にDNase1.8μg/g湿菌体、及びLysozymeを164μg/g湿菌体添加し、高圧ホモジナイザーを用いて室温にて600バールの圧力で4回処理し、菌体を破砕し、破砕懸濁液を得た。破砕後、当該破砕懸濁液に、0.05%となるように、表12に示す凝集剤を添加し、静置あるいは遠心分離(2,680×gで10秒間)により当該不溶性顆粒の沈降状況を確認した。結果を図10に示す。
アニオン性ポリアクリル酸塩系凝集剤(クリファーム PA-896)のみが、静置及び遠心分離のいずれの場合も、不溶性顆粒を効果的に沈降させることができた。
Figure 0007079525000012
〔実施例9 アニオン性凝集剤による純度向上効果〕
実施例8で凝集効果が確認されたアニオン性凝集剤クリファーム PA-896について、菌体の破砕懸濁液及び遠沈再懸濁液への添加効果を確認した。この遠沈再懸濁液は、破砕懸濁液を11,000×g、20℃で5分間遠心分離し、得られた沈殿画分をRO水に再度懸濁した懸濁液である。菌体の破砕懸濁液は、不溶性顆粒としてPRT410(HI:-0.81)を発現している大腸菌BLR(DE3)を用いた以外は実施例8と同様の方法で得た。
凝集剤の添加後、2,500×gで5分間遠心分離し、得られた沈殿画分における不溶体の純度をSDS-PAGEで解析した。結果を図11に示す。図11中、レーン1には、高圧ホモジナイザーで菌体を破砕した直後のPRT410の懸濁液(破砕懸濁液)、レーン2には、当該破砕懸濁液に0.01%となるようにクリファーム PA-896を添加し、沈殿化後、2,500×gで5分間遠心分離し、得られた沈殿画分、レーン3には、破砕懸濁液(レーン1)を11,000×g、20℃、5分間の遠心分離により沈降させ、得られた沈殿画分を再度RO水に懸濁させた懸濁液(遠沈再懸濁液)、レーン4には、当該遠沈再懸濁液に0.01%となるようにクリファーム PA-896を添加し、2,500×gで5分間の低速遠心で遠心分離し、得られた沈殿画分をそれぞれアプライした。泳動後の染色には、全てのタンパク質を染色可能なOrioleTM蛍光ゲルステイン(Bio-Rad社製)及びPRT410のHisタグ領域に反応するInVisionTMHisタグ付きゲル内染色試薬(Thermo Fisher Scientific社製)の2種類を用いた。理論分子量が53.6kDaのPRT410は60kDaの分子量マーカに近い位置にバンドとして検出された。
破砕懸濁液に0.01%となるようにクリファーム PA-896を添加し、不溶体を凝集させることにより、2,500×gで5分間の低速遠心で分離可能となり、得られた沈殿画分の純度は12.2%から53.5%に向上した(図11のレーン1及び2、表13(破砕直後)参照)。高圧ホモジナイザーで菌体を破砕した直後の懸濁液を11,000×g、20℃、5分間の遠心分離により沈降させ、得られた当該沈殿画分を再度RO水に懸濁することにより(遠沈再懸濁液)、沈殿画分の純度は12.2%から36.3%に向上させることができる(図11のレーン1及び3、表13(遠沈再懸濁)参照)が、さらに、当該遠沈再懸濁液に0.01%となるようにクリファーム PA-896を添加し、不溶体を凝集させることにより、2,500×gで5分間の低速遠心で分離可能となり、得られた沈殿画分の純度は36.3%からさらに51.8%に向上した(図11のレーン3及び4、表13(遠沈再懸濁)参照)。このように、アニオン性凝集剤添加により著しく純度を向上させることができた。
Figure 0007079525000013
〔実施例10 酸添加、加熱及び撹拌による効果〕
PRT410の不溶体を用いて、加熱による凝集効果を確認した。PRT410を発現している大腸菌BLR(DE3)のRO水懸濁液にDNase1.8μg/g湿菌体、及びLysozymeを164μg/g湿菌体添加し、高圧ホモジナイザーを用い室温、600バールの圧力で4回処理し、菌体を破砕した。破砕後、2,500×gで10分間遠心分離し、上澄み液を廃棄して2.5倍濃縮に調整した後、濃縮液をRO水で2.5倍希釈した。当該破砕懸濁液に、20mMとなるように、クエン酸を添加し、その後、必要に応じて、加熱及び撹拌を行い、凝集体を得た。それぞれのサンプルは表14に記載の条件によって処理した。加熱は、温浴槽を用い、加熱時間は温浴槽が80℃に達した時点からの維持時間であった。撹拌は200rpmで行った。得られた凝集体について、粒子径数分析装置CDA-1000(シスメックス株式会社)を用い、粒子濃度及びメジアン径を測定した。結果は表14に示した。また、図12はメジアン径の頻度分布及び累積分布を示す。
酸の添加をせず、撹拌もしないサンプルX、酸を添加せず加熱しただけのサンプル1、及び、酸を添加せず加熱し、撹拌したサンプル2は、ほとんど凝集効果が認められなかった。一方、加熱/撹拌せず、酸添加のみのサンプル3はサンプルX、1及び2に比べて粒子径の増大が認められた。さらに、80℃にて2時間加熱したサンプル7は、サンプル3に比べてさらなる粒子径の増大が認められた。加熱時間が異なり、さらに撹拌したサンプル4~6は、撹拌することにより、より粒子径の増大効果が認められた。凝集は処理時間に依存するが、少なくとも0.5時間から効果が認められた。この傾向は、図12によって証明されている。濾過性は、粒度分布のピークがシャープであるほど向上するため、酸を添加し、加熱、撹拌を行うことで濾過性が向上することが図12より確認された。
Figure 0007079525000014
〔実施例11 酸の種類による濾過性向上効果〕
PRT410の不溶体を用いて、酸の添加による濾過性の向上効果を確認した。酸添加により濾過することが可能であることを確認したため、酸の種類による濾過性向上効果をクエン酸、塩酸、硫酸の3種類の酸について比較した。実験方法は、酸が異なる以外、実施例10と同じであった。酸処理は、80℃にて2時間、加熱・撹拌し、最大濾過量及び、濾過時間と透過流束の関係に関する結果の一例を表15、及び表16に示す。比較の結果、クエン酸の最大濾過量が最も大きく、透過流束が安定していることから、工業的にはクエン酸が優れていることが確認された。
Figure 0007079525000015
Figure 0007079525000016
〔実施例12 加熱によるタンパク質純度向上効果〕
加熱されたPRT799(配列番号11、200kDa)及び、PRT587(配列番号12、100kDa)の不溶体の純度をSDS-PAGEにより解析した。図13、及び図14は、PRT799及び、PRT587の各処理液をSDS-PAGEで解析した結果(泳動結果)を示す写真である。各処理液は、クエン酸を添加し、pHを3.75に調整した。図13は、レーン1には、80℃、3時間加熱した破砕懸濁液をアプライし、レーン2には、加熱していない破砕懸濁液をアプライした。レーン1の破砕懸濁液は加熱により夾雑タンパク質が分解されていることを確認した。図14のレーン1には加熱をしていない破砕懸濁液をアプライし、レーン2には、80℃、2時間加熱した破砕懸濁液をアプライした。40kDaの分子マーカ付近のバンドが分解されていることが確認され、レーン2の100kDaの分子マーカ付近に検出されているバンド(目的タンパク質)の検出強度が加熱していないレーン1のバンドと比較し1.2倍で検出されていることから、加熱により目的タンパク質の純度向上が確認された。
〔実施例13 連続加熱による効果〕
PRT799の不溶体を用いて、連続加熱による凝集効果を確認した。PRT799を発現している大腸菌BLR(DE3)のRO水懸濁液に、DNaseを1.8μg/g湿菌体、Lysozymeを164μg/g湿菌体で添加し、高圧ホモジナイザーを用いて、室温、600バールの圧力で4回処理し、菌体を破砕した。破砕後、遠心分離機(TOMY MX-305)を用い、2,500×gで10分間遠心分離し、上澄み液を廃棄して、2.5倍濃縮に調整した後、濃縮液をRO水で2.5倍希釈した。当該破砕懸濁液に、20mMとなるように、クエン酸を添加し、その後、加熱を行い、凝集体を得た。それぞれのサンプルは表17に記載の条件によって処理した。加熱は、液体連続殺菌装置MINI UHT T-20(パワーポイント・インターナショナル社製)を用い、加熱温度は80℃、85℃、90℃、又は95℃であり、当該破砕懸濁液の加熱時間は、30秒又は60秒で行った。得られた凝集体について、粒子径数分析装置CDA-1000(シスメックス株式会社)を用い、粒子濃度及びメジアン径を測定した。結果は表17に示した。また、図14及び図15はメジアン径の頻度分布及び累積分布を示す。
Figure 0007079525000017
表17の結果から、温浴槽を用い加熱温度80℃、加熱時間2時間で加熱することで得られたサンプルXの凝集体と、液体連続殺菌装置MINI UHT T-20(パワーポイント・インターナショナル社製)を用い加熱温度が80℃、85℃、90℃、又は95℃、加熱時間が30秒、又は60秒で得られたサンプル1、2、3、4、5、6、7、又は8の凝集体を比較すると、液体連続殺菌装置MINI UHT T-20(パワーポイント・インターナショナル社製)を用いて得られた凝集体は、温浴槽で加熱して得られた凝集体と同等以上の粒子径であった。
当該破砕懸濁液を高温、短時間で加熱することで効率よく凝集体を巨大化できることが図15及び図16よりも確認できた。
〔実施例14 連続加熱による濾過性向上効果〕
サンプルX、5、6、7、及び8の濾過面積及び最大濾過量の結果は表18に示した。表18よれば、液体連続殺菌装置を用いて高温、短時間で加熱する場合の濾過性は、温浴槽を用いて2時間加熱した場合と同程度又は同程度以上であり、当該破砕懸濁液の加熱を高温、短時間とすることで濾過性が向上することを確認した。
Figure 0007079525000018

Claims (18)

  1. 組換えタンパク質を不溶体として細胞内に発現している組換え細胞から、当該組換えタンパク質の不溶体を凝集体として分離し、組換えタンパク質凝集体を製造する方法であって、
    前記方法が、以下(A)~(C)の工程を含む、組換えタンパク質凝集体の製造方法。
    (A)目的とする組換えタンパク質を不溶体として細胞内に発現している組換え細胞を破砕して、組換えタンパク質の不溶体を含む破砕懸濁液を得る工程
    (B)(A)工程で得られた破砕懸濁液に金属塩、酸及びアニオン性凝集剤からなる群から選ばれる1種以上を添加し、組換えタンパク質の不溶体を凝集させ、組換えタンパク質凝集体を得る工程
    (C)(B)工程で得られた凝集体を懸濁液から分離する工程
  2. 前記(C)工程が、前記組換えタンパク質凝集体を、10,000×g以下の遠心力で分離することを含む、請求項1に記載の組換えタンパク質凝集体の製造方法。
  3. 前記(C)工程が、前記組換えタンパク質凝集体を、分離板型遠心分離機、バスケット型遠心分離機及びデカンタ型遠心分離機からなる群より選ばれる遠心分離機で分離することを含む、請求項1又は2に記載の組換えタンパク質凝集体の製造方法。
  4. 前記(C)工程が、前記組換えタンパク質凝集体を、自然沈降又は濾過により分離することを含む、請求項1に記載の組換えタンパク質凝集体の製造方法。
  5. 前記(B)工程において、さらに加熱することを含む、請求項1に記載の組換えタンパク質凝集体の製造方法。
  6. 前記(B)工程において、さらに撹拌することを含む、請求項5に記載の組換えタンパク質凝集体の製造方法。
  7. 前記金属塩が、アルカリ土類金属塩及び土類金属塩からなる群から選ばれる金属塩である、請求項1~6のいずれか一項に記載の組換えタンパク質凝集体の製造方法。
  8. 前記金属塩が、アルカリ土類金属ハロゲン化物、アルカリ土類金属硝酸塩、アルカリ土類金属硫酸塩、土類金属ハロゲン化物、土類金属硝酸塩及び土類金属硫酸塩からなる群から選ばれる金属塩である、請求項7に記載の組換えタンパク質凝集体の製造方法。
  9. 前記酸が、オキソ酸である、請求項1~6のいずれか一項に記載の組換えタンパク質凝集体の製造方法。
  10. 前記オキソ酸が、酢酸、硫酸及びクエン酸からなる群から選ばれるオキソ酸である、請求項9に記載の組換えタンパク質凝集体の製造方法。
  11. 前記アニオン性凝集剤が、ポリアクリル酸塩、アニオン性ポリアクリルアミド及びアクリルアミド・アクリル酸塩共重合体からなる群より選ばれるアニオン性凝集剤である、請求項1~6のいずれか一項に記載の組換えタンパク質凝集体の製造方法。
  12. 前記組換え細胞の破砕が機械的破砕である、請求項1~11のいずれか一項に記載の組換えタンパク質凝集体の製造方法。
  13. 前記組換えタンパク質凝集体の分離が、濾過により行われる、請求項1及び5~12のいずれか一項に記載の組換えタンパク質凝集体の製造方法。
  14. 前記組換え細胞が、細菌、酵母、糸状真菌、昆虫細胞、植物細胞及び動物細胞からなる群から選ばれる宿主を形質転換した組換え細胞である、請求項1~13のいずれか一項に記載の組換えタンパク質凝集体の製造方法。
  15. 得られた組換えタンパク質凝集体の、電気的検知帯法によって測定した粒子径が4μm以上50μm以下である、請求項1~14のいずれか一項に記載の組換えタンパク質凝集体の製造方法。
  16. 前記(A)工程において、前記破砕懸濁液が、前記組換え細胞を破砕して得られた破砕懸濁液からの沈殿画分を緩衝水溶液に再懸濁して得られた破砕懸濁液である、請求項1~15のいずれか一項に記載の組換えタンパク質凝集体の製造方法。
  17. 前記(B)工程において、前記金属塩の添加量が前記破砕懸濁液に対し5~10mMであり、前記酸の添加量が前記破砕懸濁液に対し5~20mM若しくは10~30mMであり、及び/又は、前記アニオン性凝集剤の添加量が前記破砕懸濁液に対し0.01~0.05%である、請求項1~16のいずれか一項に記載の組換えタンパク質凝集体の製造方法。
  18. 前記(C)工程で得られた組換えタンパク質凝集体の、電気的検知帯法によって測定した粒子径が4μm以上50μm以下である、請求項1~17のいずれか一項に記載の組換えタンパク質凝集体の製造方法。
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