JP2013523665A - 不溶性の標的タンパク質の分離 - Google Patents

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Abstract

本発明は、無傷の又は破壊された宿主細胞の懸濁液から不溶性の標的タンパク質を単離する方法に関する。本発明は、上記方法により入手可能な不溶性の標的タンパク質にも関する。
【選択図】なし

Description

本発明は、無傷の又は破壊された宿主細胞の懸濁液から不溶性の標的タンパク質を単離する方法に関する。本発明は、上記方法により入手可能な不溶性の標的タンパク質にも関する。
宿主細胞、例えば微生物細胞の懸濁液から、及び/又は他の不純物から標的タンパク質を単離するシステムが以前に開発されており、このため従来技術の知識を表す。
例として、イオン交換クロマトグラフィ又はサイズ排除クロマトグラフィのようなクロマトグラフィ技法を適用する、可溶性の標的タンパク質の精製及び単離のための標準的なタンパク質精製法が言及される(非特許文献1)。今日適用される他の技術はとりわけ、液液相分離及び限外濾過である(非特許文献1)。変更を加えて、これらの基本的な精製プロセスを、科学目的又は産業目的に要求されるほとんどのタンパク質を精製するように修正することができるが、それらは概して非常に費用が高く、複雑であり、また時間がかかる。
特にシルクタンパク質を扱う特別な方法が非特許文献2で説明されている。この文献では、標的タンパク質の沈殿工程後の宿主細胞タンパク質の熱変性を利用するが、クロマトグラフィによる精製方法を欠いた技法を、技術的用途のために組換えスパイダーシルクタンパク質の精製に適用するのに成功した。シルクタンパク質が自己凝集しやすいことから、この方法には、標的タンパク質のかなりの割合が沈殿し、喪失するために、可溶性タンパク質の精製方法には利用することができないという問題がある。
記載の方法はほとんどの可溶性タンパク質では上手くいくが、凝集傾向があるタンパク質を扱う際には重大な欠点が生じることが明らかである。かかる凝集傾向があるタンパク質は或る特定期間にわたって、溶液中に沈殿しやすく、安定した、多くの場合不溶性のタンパク質凝集体を生じる。これらのタンパク質凝集体は記載の可溶性タンパク質の分画精製プロセスではこれ以上単離することができない。そのため発酵時間及び/又は精製時間は一般的に不要な沈殿を避けるのに重要なパラメータである。上記タンパク質凝集体を、幾つかの洗浄剤を用いて可溶化することができることが知られているが、かかる可溶化がタンパク質収率とタンパク質の質に悪影響を与えることも知られている。加えて、長期間にわたってのタンパク質凝集体の完全な可溶化はほぼ不可能である。
このため、凝集傾向がある標的タンパク質、及び/又は既に凝集した標的タンパク質に対する精製/単離方法を開発する必要があり、該方法は上記標的タンパク質を完全に可溶化することなく、不溶性の宿主細胞タンパク質及び他の残余物を含む画分から、凝集傾向がある標的タンパク質の画分及び/又は凝集した標的タンパク質の画分を分離することに焦点を合わせている。かかる精製方法は高い収率及び高い質で宿主細胞、例えば微生物細胞、及び/又は他の細胞残余物の懸濁液から不溶性の標的タンパク質を単離することを可能にするものとする。またかかる精製方法は費用対効果がよく、迅速で、簡単かつ再現性のあるものとする。
本発明者らは驚くべきことに、標的タンパク質が不溶性であり、全ての又はほとんど全ての他の不溶性の宿主細胞タンパク質、宿主細胞残余物、及び/又は他の潜在的に発酵に関連する不純物を可溶化するのに必要である或る特定の条件下で依然として不溶性であること、並びにこれにより、上記標的タンパク質の不要な可溶化のために又は他の交差反応のために、かなりの量の上記標的タンパク質を失うことなく、ごく少数の精製工程でこれらの標的タンパク質の分離及び精製が可能になることを見出している。
驚くべきことに、不溶性の標的タンパク質の好ましくは少なくとも80%の純度までの精製は、本発明の方法に従って、可溶化した不溶性の宿主細胞部から不溶性の標的タンパク質を分離することにより達成することができる。一部の不溶性の宿主細胞部が完全に溶解せずに、懸濁液中に残っていても、これらの懸濁した宿主細胞部の比密度が不溶性の標的タンパク質のものより低いため、効率的な分離を達成することができ、これにより遠心分離、沈降及び/又は濾過による効率的な分離が可能になる。
本発明の方法は、既知の精製技法と比較して幾つかの顕著な利点を与える。例えば、本発明の方法は複雑な精製工程の数を減らし、そのため迅速で信頼性があり、精製方法を行うのに容易である。加えて、上記方法は高い収率及び質での不溶性の標的タンパク質の精製/単離を可能にする。上記方法は従来の方法と比較した劇的な費用の削減を可能にする。加えて、上記方法は環境にやさしい。
本発明の方法はごく少数の方法工程を含むが、或る特定の標的タンパク質が不溶性であり、適用される条件下で不溶性のままであることをこれまでに完全に予測することができなかった。特にバックグラウンドに対して考慮した場合、タンパク質及び細胞に接したバイオリアクター及び反応タンクを洗浄し、きれいにするのには、適用する塩基濃度(約0.1MのNaOH)が一般的に用いられる。このため、これらの条件を大規模で不溶性の標的タンパク質を精製するのにも適用することができることは、ほとんど自明とはいえない。
Guide to Protein Purification, Academic Press Vol. 182, 1990 Huemmerich et al., Biochemistry 2004, 43, 13604-13612
第1の態様では、本発明は、無傷の又は破壊された宿主細胞の懸濁液から不溶性の標的タンパク質を単離する方法であって、
a)不溶性の標的タンパク質と不溶性の宿主細胞部とを含む無傷の又は破壊された宿主細胞の懸濁液を準備する工程と、
b)少なくとも1つの塩基の水溶液を、上記宿主細胞を破壊し、かつ/又は上記不溶性の宿主細胞部を可溶化するのに十分な量で上記懸濁液に添加する工程と、
c)該不溶性の標的タンパク質を、可溶化した不溶性の宿主細胞部から分離する工程と、
を含み、工程b)では、該標的タンパク質が依然として不溶性であり、該不溶性の宿主細胞部の少なくとも80%が可溶化する、無傷の又は破壊された宿主細胞の懸濁液から不溶性の標的タンパク質を単離する方法を提供する。
第2の態様では、本発明は、第1の態様の方法により入手可能な不溶性の標的タンパク質に関する。
この発明の概要は必ずしも本発明の特徴を全て記載しているわけではない。
本発明を以下で詳細に説明する前に、本発明は本明細書に記載の特定の方法論、プロトコル及び試薬に限定されない(なぜなら、これらの方法論、プロトコル及び試薬は変化し得るものであるためである)ことを理解するべきである。本明細書で用いられる専門用語は特定の実施の形態を説明するためのものにすぎず、本発明の範囲を限定することは意図されず、該範囲は添付の特許請求の範囲でのみ限定されることも理解すべきである。本明細書で他に特に規定されない限り、本明細書で用いられる技術用語及び科学用語は全て、当業者が一般的に理解するものと同じ意味を有する。
好ましくは、本明細書で用いられる用語は、"A multilingual glossary ofbiotechnological terms: (IUPAC Recommendations)", Leuenberger, H.G.W, Nagel, B. and Koelbl, H.編(1995), Helvetica Chimica Acta, CH-4010 Basel, Switzerland)で記載されるように定義される。
幾つかの文献が本明細書の本文全体を通して引用されている。本明細書で引用される文献(全ての特許、特許出願、科学刊行物、製造業者の仕様書、取扱説明書、GenBankアクセッション番号配列寄託書等を含む)の各々が、上記又は下記に関わらず、その全体が参照により本明細書に援用される。本明細書のいずれの記載も、本発明が先行発明のためにかかる開示に先行する権利がないことの承認として解釈されない。
以下で本発明の要素を説明する。これらの要素を特定の実施の形態とともに挙げるが、付加的な実施の形態を作り出すために任意の様式で及び任意の数で該要素を組み合わせることができることを理解すべきである。様々に記載された実施例及び好ましい実施の形態は、本発明を明示的に記載された実施の形態のみに限定するものとは解釈されるべきではない。本記載は明示的に記載された実施の形態を任意の数の開示された及び/又は好ましい要素と組み合わせる実施の形態を支持及び包含するものと理解されるべきである。さらに、本願において記載されたあらゆる要素の任意の並べ替え及び組合せは、文脈上他の意味を示していない限り、本願の記載により開示されているとみなすものとする。
本明細書及び添付の特許請求の範囲を通じて、文脈上他の意味に解する必要がある場合を除き、「含む(comprise)」という言葉、及びその変化形(variations such as "comprises"and "comprising")は、記載の整数若しくは工程、又は整数若しくは工程の群を包含する意図はあるが、任意の他の整数若しくは工程、又は整数若しくは工程の群を排除する意図はないと理解される。
本明細書及び添付の特許請求の範囲に使用される場合、単数形(the singular forms "a","an", and "the")は、文脈上他に明確に示されていない限り複数の対象を含む。
2つ以上のポリペプチドにおける残基は、該残基がポリペプチド構造において類似の位置を占める場合、互いに「対応する」といわれる。2つ以上のポリペプチドにおける類似の位置は、アミノ酸配列又は構造類似性に基づきポリペプチド配列をアラインメントすることにより決定することができることが当該技術分野で既知である。かかるアラインメントツールは当業者にとって既知であり、例えばワールドワイドウェブ上で入手することができる(例えば、標準的な設定、好ましくはAlignでは、EMBOSS::needle、行列:Blosum62、ギャップ開始(Gap Open)10.0、ギャップ伸長(Gap Extend)0.5を用いるClustalW(www.ebi.ac.uk/clustalw)又はAlign(http://www.ebi.ac.uk/emboss/align/index.html))。
第1の態様では、本発明は、無傷の又は破壊された宿主細胞の懸濁液から不溶性の標的タンパク質を単離する方法であって、
a)不溶性の標的タンパク質と不溶性の宿主細胞部とを含む無傷の又は破壊された宿主細胞の懸濁液を準備する工程と、
b)少なくとも1つの塩基の水溶液を、上記宿主細胞を破壊し、かつ/又は上記不溶性の宿主細胞部を可溶化するのに十分な量で上記懸濁液に添加する工程と、
c)該不溶性の標的タンパク質を、可溶化した不溶性の宿主細胞部から分離する工程と、
を含み、工程b)では、該標的タンパク質が依然として不溶性であり、該不溶性の宿主細胞部の少なくとも80%、好ましくは少なくとも85%、より好ましくは少なくとも90%、最も好ましくは少なくとも95%、又は更には100%が可溶化する、無傷の又は破壊された宿主細胞の懸濁液から不溶性の標的タンパク質を単離する方法を提供する。
例えば、本発明は、破壊された宿主細胞の懸濁液から不溶性の標的タンパク質を単離する方法であって、
a)不溶性の標的タンパク質と不溶性の宿主細胞部とを含む破壊された宿主細胞の懸濁液を準備する工程と、
b)少なくとも1つの塩基の水溶液を、上記不溶性の宿主細胞部を可溶化するのに十分な量で上記懸濁液に添加する工程と、
c)該不溶性の標的タンパク質を、可溶化した不溶性の宿主細胞部から分離する工程と、
を含み、工程b)では、該標的タンパク質が依然として不溶性であり、該不溶性の宿主細胞部の少なくとも80%、好ましくは少なくとも85%、より好ましくは少なくとも90%、最も好ましくは少なくとも95%、又は更には100%が可溶化する、破壊された宿主細胞の懸濁液から不溶性の標的タンパク質を単離する方法を提供する。
さらに、例えば、本発明は、無傷の宿主細胞の懸濁液から不溶性の標的タンパク質を単離する方法であって、
a)不溶性の標的タンパク質と不溶性の宿主細胞部とを含む無傷の宿主細胞の懸濁液を準備する工程と、
b)少なくとも1つの塩基の水溶液を、上記宿主細胞を破壊し、かつ上記不溶性の宿主細胞部を可溶化するのに十分な量で上記懸濁液に添加する工程と、
c)該不溶性の標的タンパク質を、可溶化した不溶性の宿主細胞部から分離する工程と、
を含み、工程b)では、該標的タンパク質が依然として不溶性であり、該不溶性の宿主細胞部の少なくとも80%、好ましくは少なくとも85%、より好ましくは少なくとも90%、最も好ましくは少なくとも95%、又は更には100%が可溶化する、無傷の宿主細胞の懸濁液から不溶性の標的タンパク質を単離する方法を提供する。
本発明者らは驚くべきことに、無傷の又は破壊された宿主細胞の懸濁液に存在する不溶性の標的タンパク質、例えばスパイダーシルクタンパク質が、無傷の宿主細胞を破壊するのに、及び/又は全ての若しくはほとんど全ての他の不溶性の宿主細胞部、例えば不溶性の宿主細胞タンパク質、宿主細胞壁、宿主細胞残余物、若しくは他の潜在的に発酵に関連する不純物(例えば発酵残余物)を可溶化するのに要求される或る特定の条件下で不溶性のままであること、並びにこれにより、上記不溶性の標的タンパク質、例えばスパイダーシルクタンパク質を、かなりの量のタンパク質を失うことなく、ごく少数の精製工程で上記懸濁液から簡単に分離及び精製することができることを見出している。
詳細には、本発明者らは、不溶性の宿主細胞部からの不溶性の標的タンパク質の分離が、少なくとも1つの塩基(例えばNaOH)を低濃度で(例えば0.05MのNaOH)含む水溶液を、無傷の又は破壊された宿主細胞の懸濁液に添加することにより達成することができることを予期せず見出している。本発明者らは、少なくとも1つの塩基を含む水溶液が、不溶性の標的タンパク質に影響を与えることなく、宿主細胞を破壊し、かつ/又は不溶性の宿主細胞タンパク質及び残留する細胞残屑を可溶化することを発見している。
発明者らは、この工程の後、対象の不溶性の標的タンパク質を精製するために、可溶化した不溶性の宿主細胞部を含む液相から不溶性の標的タンパク質を含む固相を例えば遠心分離及び/又は濾過により分離すること、並びに任意で標的タンパク質沈殿物を洗浄することだけが要求されることを更に解明している。得られる精製した不溶性の標的タンパク質を更にプロセシングすることなく科学用途又は産業用途に直接使用することができる。
発明者らは驚くべきことに、本発明の方法を用いて、少なくとも80%、好ましくは少なくとも85%又は90%、より好ましくは少なくとも95%、98%又は99%、最も好ましくは少なくとも99.9%又は更には100%、例えば少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.9%、又は100%の純度を有する不溶性の標的タンパク質を単離することができることを確認している。本発明の方法で単離した不溶性の標的タンパク質の大部分は更なる精製工程を必要としない。したがって本発明の方法は、非常に費用が節約され、かつ効果的な精製方法を表す。
「宿主細胞」という用語は、本明細書で使用される場合、対象の標的タンパク質、例えばスパイダーシルクタンパク質等のシルクタンパク質又はその変異体を含む細胞を表す。上記標的タンパク質、例えばスパイダーシルクタンパク質等のシルクタンパク質又はその変異体はポリヌクレオチドで、好ましくは単離ポリヌクレオチドでコードされるものとする。上記ポリヌクレオチドは、(i)それ自体が自由に分散して、(ii)組換えベクターに組み込まれて、又は(iii)宿主細胞ゲノム若しくはミトコンドリアDNAに取り込まれて、宿主細胞内に見出すことができる。宿主細胞を対象の標的タンパク質、例えばスパイダーシルクタンパク質等のシルクタンパク質又はその変異体をコードするポリヌクレオチドの増幅及び発現に使用することができる。
「単離ポリヌクレオチド」という用語は、本明細書で使用される場合、(i)その自然環境から単離した、(ii)ポリメラーゼ連鎖反応により増幅された、及び/又は(iii)全部若しくは一部が合成されたポリヌクレオチドを表し、デオキシリボヌクレオチド又はリボヌクレオチドの塩基の一本鎖又は二本鎖のポリマーを意味し、DNA分子及びRNA分子(センス鎖及びアンチセンス鎖の両方)を包含する。この用語は、cDNA、ゲノムDNA、mRNA及び組換えDNAを包含する。ポリヌクレオチドは全遺伝子又はその一部分からなり得る。
本発明の好ましい実施の形態では、上述のポリヌクレオチドは対象の標的タンパク質をコードする組換えポリヌクレオチドである。「組換えポリヌクレオチド」という用語は、in vitroで合成された又はそうでなければ操作されたポリヌクレオチドを表す。上記組換えポリヌクレオチドでコードされる標的タンパク質は組換え標的タンパク質と指定することができる。上記組換えポリヌクレオチド及び/又は上記組換え標的タンパク質を含む宿主細胞は組換え宿主細胞と指定することができる。
「組換えベクター」という用語は、本明細書で使用される場合、プラスミドベクター、コスミドベクター、ラムダファージベクター等のファージベクター、アデノウイルスベクター若しくはバキュロウイルスベクター等のウイルスベクター、又は細菌人工染色体(BAC)ベクター、酵母人工染色体(YAC)ベクター若しくはP1人工染色体(PAC)ベクター等の人工染色体ベクターを含む当業者に既知の任意のベクターを包含する。上記ベクターは発現ベクター及びクローニングベクターを包含する。発現ベクターはプラスミドベクター及びウイルスベクターを包含し、一般的には所望のコード配列と、特定の宿主生物(例えば細菌、酵母又は植物)における、又はin vitro発現系における操作可能に連結したコード配列の発現に必要である適切なDNA配列を含有する。クローニングベクターは、或る特定の所望のDNA断片を遺伝子操作し、増幅させるのに一般的に用いられ、所望のDNA断片の発現に必要となる機能的な配列を欠いている場合がある。
本発明の好ましい実施の形態では、対象の標的タンパク質をコードするポリヌクレオチドは、発現ベクターに含まれ、宿主細胞におけるその発現を調節するために発現制御配列と操作可能に連結するか、又は宿主細胞におけるその増幅を可能にするためにクローニングベクターに含まれる。対象の標的タンパク質をコードするポリヌクレオチドを含むクローニングベクター又は発現ベクターは通常、形質転換又はトランスフェクションにより宿主細胞に導入される。
本発明の好ましい実施の形態では、宿主細胞は、細菌宿主細胞若しくは酵母宿主細胞等の微生物宿主細胞、植物宿主細胞又は昆虫宿主細胞である。
本発明との関連では、「微生物宿主細胞」という用語は、本明細書で使用される場合、微生物起源の細胞、例えばグラム陰性細菌細胞若しくはグラム陽性細菌細胞等の細菌細胞、例えばエシェリキア属(例えば大腸菌(Escherichia coli))、アナベナ属、カウロバクター属、グルコノバクター属、ロドバクター属、シュードモナス属、パラコッカス属、バチルス属(例えばバチルス・サブチリス(Bacillus subtilis))、ブレビバクテリウム属、コリネバクテリウム属、リゾビウム属(シノリゾビウム属)、フラボバクテリウム属、クレブシエラ属、エンテロバクター属、ラクトバチルス属、ラクトコッカス属、メチロバクテリウム属、プロピオニバクテリウム属、スタフィロコッカス属若しくはストレプトミセス属の細胞、又は有子嚢胞子酵母(エンドミセス目)細胞、担子菌酵母細胞、若しくは不完全菌類(分芽菌)に属する細胞、例えばカンジダ属、ハンゼヌラ属、クリベロミセス属、サッカロミセス属(例えばサッカロミセス・セロビシエ(Saccharomyces cerevisiae))、シゾサッカロミセス属、ピチア属(例えばピチア・パストリス(Pichia pastoris))若しくはヤロウイア属の細胞等の酵母細胞を表す。
本発明との関連では、「昆虫宿主細胞」という用語は、ヨトウガ(Spodopterafrugiperda)又はキンウワバ(Trichoplusia ni)の細胞等の昆虫起源の細胞を表す。好ましくは、昆虫細胞はSF9細胞、SF−21細胞又はHigh−Five細胞である。SF−9細胞及びSF−21細胞はヨトウガ由来の卵巣細胞である。High−Five細胞はキンウワバ由来の卵細胞である。
本発明との関連では、「植物宿主細胞」という用語は、本明細書で使用される場合、タバコ、ジャガイモ又はエンドウの細胞等の植物起源の細胞を表す。
「無傷の又は破壊された宿主細胞の懸濁液」という用語は、本明細書で使用される場合、無傷の又は破壊された宿主細胞を含有する不均一流体を表す。無傷の又は破壊された細胞を懸濁させる流体は、発酵培地、培養培地、水溶液、例えば緩衝水溶液、工業用HO又は脱イオンHOであり得る。緩衝水溶液は例えば、Tris/HClであり得る。緩衝水溶液のpHは、pH5.0〜pH9.0、好ましくはpH6.0〜pH8.0、より好ましくはpH6.7〜pH7.2、例えばTris/HClでは、pH7.0、pH7.5又はpH8.0であり得る。緩衝水溶液は、10mM〜100mMのTris/HCl、より好ましくは10mM〜50mMのTris/HCl、最も好ましくは10mM〜20mMのTris/HCl、例えば10mM、15mM、20mM、25mM、30mM、35mM、40mM、45mM、50mM、55mM、60mM、65mM、70mM、75mM、80mM、85mM、90mM、95mM、又は100mMのTris/HClの溶液であるのが好ましく、上記緩衝水溶液は好ましくは、5.0〜9.0のpH、より好ましくは6.0〜8.0のpH、最も好ましくは6.7〜7.2のpH、例えばTris/HClでは、pH7.0、pH7.5又はpH8.0を有する。培養培地は最小培地又は塩培地であり得る(例えば、Korz et al. Journal of Biotechnology 39, 1995, 59-65を参照されたい)。懸濁液中での無傷の又は破壊された宿主細胞に対する流体の割合は、例えば5%〜95%と異なり得る。このため、「無傷の又は破壊された宿主細胞の懸濁液」という用語は、流体と無傷の又は破壊された宿主細胞との割合が、5%:95%、10%:90%、15%:85%、20%:80%、25%:75%、30%:70%、35%:65%、40%:60%、45%:55%、50%:50%、55%:45%、60%:40%、65%:35%、70%:30%、75%:25%、80%:20%、85%:15%、90%:10%、又は95%:5%であり得る懸濁液を包含する。
本発明との関連では、「無傷の宿主細胞の懸濁液」という用語は、流体中、例えば水溶液(例えば緩衝水溶液)、工業用水、脱イオン水、培養培地又は発酵培地中に懸濁した、無傷の、一般的には溶解していない宿主細胞、例えば微生物宿主細胞、植物宿主細胞又は昆虫宿主細胞を包含する。「破壊された宿主細胞の懸濁液」という用語は、本明細書で使用される場合、細胞壁が破壊され又は大部分が溶解し、流体中、例えば水溶液(例えば緩衝水溶液)、工業用水、脱イオン水、培養培地又は発酵培地中に懸濁した宿主細胞、例えば微生物宿主細胞、植物宿主細胞又は昆虫宿主細胞を包含する。「破壊された宿主細胞の懸濁液」は、(i)非機械的な細胞破壊(例えば酵素による細胞溶解、細胞壁及び/若しくは細胞膜を溶解/部分的に溶解するための若しくは開裂/部分的に開裂させるための化学試薬による細胞処理、又は浸透圧を用いた細胞破砕)、(ii)機械的な細胞破壊(例えば機械による粉砕又はボールミル抽出)、(iii)高圧均質化、又は(iv)超音波処理により、及びそれらの組合せにより調製することができる。
本発明の好ましい実施の形態では、工程a)で準備される無傷の宿主細胞、例えば細菌宿主細胞等の微生物宿主細胞が、好ましくは例えば遠心分離又は濾過による培養培地からの上記細胞の分離後、5%〜20%の、好ましくは5%、10%、15%又は20%の(例えば5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%又は20%の)含水量を有する懸濁液中に、すなわち細胞沈降物中に存在する。本発明の別の好ましい実施の形態では、破壊された宿主細胞、例えば細菌宿主細胞等の微生物宿主細胞が、好ましくは例えば遠心分離又は濾過による培養培地からの上記の破壊された、例えば溶解した若しくは超音波処理した細胞の分離後、5%〜20%の、好ましくは5%、10%、15%又は20%の(例えば5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%又は20%の)含水量を有する懸濁液中に、すなわち細胞沈降物中に存在する。
工程a)で準備される無傷の又は破壊された宿主細胞の懸濁液中における可溶性の宿主細胞部、例えば細胞小器官、可溶性の宿主細胞タンパク質若しくは可溶性の宿主細胞残余物の、及び/又は他の可溶性成分、例えば可溶性の発酵に関連する不純物、発酵培地の可溶性部若しくは培養培地の可溶性部の量が異なり得ることに留意すべきである。例えば、(i)遠心分離若しくは濾過により培養培地若しくは発酵培地から無傷の若しくは破壊された宿主細胞を分離することにより生じた、5%〜10%の含水量を有する無傷の若しくは破壊された宿主細胞の細胞沈降物中における、又は(ii)上記細胞沈降物を再懸濁させる水溶液中における可溶性の宿主細胞部の及び/又は他の可溶性成分の量は、(i)培養培地若しくは発酵培地中の無傷の宿主細胞の懸濁液中における、又は(ii)培養培地若しくは発酵培地中の破壊された宿主細胞の懸濁液中における可溶性の宿主細胞部の及び/又は他の可溶性成分の量と比較してより低い。可溶性の宿主細胞部及び/又は他の可溶性成分は、懸濁液、例えば特に破壊された宿主細胞の細胞ペレットを、続く工程a)で準備される水溶液で洗浄するとともに、再懸濁させる場合には水溶液中には存在しない可能性もある。
「宿主細胞(例えば微生物、植物又は昆虫の宿主細胞)の懸濁液」は、培養物において又は発酵中に宿主細胞、例えば微生物、植物又は昆虫の宿主細胞を培養することにより準備/作製することができる。標的タンパク質の生成を、宿主細胞、例えば微生物、植物又は昆虫の宿主細胞を効率的に培養することができるバイオリアクター内で行うことができる。3つの交差発酵戦略(intersecting fermentation strategies)を適用することができる:(i)連続発酵、(ii)回分発酵又は(iii)半回分発酵。これらの発酵戦略を組み合わせることもできる。所望の標的タンパク質の最大の収率を、すなわちその高バイオマスを提供することにより得るためには、十分な栄養素を宿主細胞、例えば微生物、植物又は昆虫の宿主細胞に供給し、この処理を関連のプロセスパラメータ(例えば溶存酸素量、pH及び温度)の連続的なモニタリング及び適応と組み合わせることが要求され得る。標的タンパク質発現誘導系(例えばイソプロピル−β−D−チオガラクトピラノシド(IPTG)誘導、糖又はその類似体による誘導、温度依存プロモータを用いた温度誘導、浸透圧により制御されるプロモータを用いた誘導、又は細胞内の代謝性変化により開始される誘導)を使用することができる。多くのパラメータが標的タンパク質の生成及びタンパク質の質に影響を及ぼし得る。特に不溶性の標的タンパク質の収率を増大させるために、より長期間の誘導期、インキュベーション温度の変更、栄養供給の最適化、及び/又は様々な種類の細胞ストレスを適用することができる。慎重に環境(例えば培地構成要素、発酵プロセス中の温度、発酵プロセス期間)を制御することにより、及び凝集の程度を最大とするのに適切な戦略を実行することにより、細胞の培養及び精製プロセス中に生じる標的タンパク質凝集体の量に影響を与えることも可能であり得る。
「宿主細胞(例えば微生物、植物又は昆虫の宿主細胞)の懸濁液」は、例えば遠心分離又は濾過により培養培地から分離された、培養した宿主細胞、例えば微生物、植物又は昆虫の宿主細胞を水溶液、例えば緩衝水溶液中に、工業用水中に、又は脱イオン水中に再懸濁することにより準備/作製することもできる。植物細胞の懸濁液は、例えば上記植物細胞を上記植物から抽出することにより又は植物全体を破壊することにより植物全体から得られた植物細胞を水溶液、例えば緩衝水溶液中に、工業用水中に、又は脱イオン水中に懸濁することにより準備/作製(produced)することもできる。
無傷の宿主細胞の懸濁液を本発明の方法の工程a)で準備することができる場合、上に記載の宿主細胞懸濁液のうちの1つを直接使用することができる。破壊された宿主細胞の懸濁液を本発明の方法の工程a)で準備することができる場合、まず上に記載の懸濁液のうちの1つに含まれる(無傷の)宿主細胞を、例えば非機械的な細胞破壊方法又は機械的な細胞破壊方法(上記を参照されたい)を用いて破壊することができる。
本発明との関連では、「不溶性の標的タンパク質と不溶性の宿主細胞部とを含む破壊された宿主細胞の懸濁液」という用語は、破壊された宿主細胞由来の不溶性の標的タンパク質と、不溶性の宿主細胞部(例えば不溶性の細胞壁部又は不溶性の細胞残屑)とを直接含む懸濁液、例えば培養培地、緩衝水溶液、工業用水又は脱イオン水を表す。これと対比して、「不溶性の標的タンパク質と不溶性の宿主細胞部とを含む無傷の宿主細胞の懸濁液」という用語は、本明細書で使用される場合、不溶性の標的タンパク質と、不溶性の宿主細胞部(例えば不溶性の細胞壁又は不溶性の宿主細胞タンパク質)とが含まれる無傷の宿主細胞を含む懸濁液、例えば培養培地、水溶液(例えば緩衝水溶液)、工業用水又は脱イオン水を表す。
「不溶性の宿主細胞部」という用語は、本明細書で使用される場合、宿主細胞、例えば微生物、植物若しくは昆虫の宿主細胞の、又は標的タンパク質を発現するのに用いられる発現系の一部である、不溶性の宿主細胞タンパク質、細胞壁、細胞膜、細胞壁部、細胞膜部、細胞骨格部、宿主細胞残屑、及び/又は不溶性の細胞質内封入体(例えばシュウ酸カルシウム又は二酸化ケイ素の結晶、デンプン、グリコーゲン又はポリヒドロキシブチレート等のエネルギー貯蔵物質の顆粒)を表す。この用語には本発明の不溶性の標的タンパク質は包含されない。「不溶性の宿主細胞部」という用語は更に、工程a)に存在する条件下で不溶性であり、工程b)に存在する条件下で可溶化する宿主細胞部を表す。
「可溶性の宿主細胞部」という用語は、本明細書で使用される場合、宿主細胞、例えば微生物、植物若しくは昆虫の宿主細胞の、又は標的タンパク質を発現するのに用いられる発現系の一部である、可溶性の宿主細胞タンパク質、細胞小器官、細胞小器官の一部、及び/又は他の可溶性の細胞構成要素を表す。「可溶性の宿主細胞部」という用語は更に、工程a)に存在する条件下で既に可溶性であり、工程b)に存在する条件下でも可溶性のままである宿主細胞部を表す。
「標的タンパク質」という用語は、本発明に関して使用される場合、宿主細胞、例えば微生物、植物又は昆虫の宿主細胞の懸濁液から単離することができる、対象のタンパク質、例えばスパイダーシルクタンパク質若しくは昆虫シルクタンパク質等のシルクタンパク質、コラーゲン、レシリン、又はケラチンを表す。好ましい実施の形態では、上記標的タンパク質は、組換え標的タンパク質、より好ましくは組換えポリヌクレオチドでコードされる組換え標的タンパク質である。更なる実施の形態では、組換え標的タンパク質は、スパイダーシルクタンパク質と昆虫シルクタンパク質とのハイブリッドタンパク質、スパイダーシルクタンパク質とコラーゲンとのハイブリッドタンパク質、スパイダーシルクタンパク質とレシリンとのハイブリッドタンパク質、又はスパイダーシルクタンパク質とケラチンとのハイブリッドタンパク質である。上記標的タンパク質が上記宿主細胞において組換えにより生成されるのが特に好ましい。
好ましい実施の形態では、標的タンパク質は、宿主細胞において、又は懸濁液中で、例えば培養培地中で、水溶液(例えば緩衝水溶液)中で、工業用水中で若しくは脱イオン水中で標的タンパク質凝集体を形成する性質を有する反復単位/ドメインを含むタンパク質である。
別の好ましい実施の形態では、標的タンパク質は、宿主細胞において、又は懸濁液中で、例えば細胞培養培地中で、水溶液(例えば緩衝水溶液)中で、工業用水中で若しくは脱イオン水中で標的タンパク質凝集体の形態で存在する。かかる標的タンパク質凝集体を、細胞足場又は他の細胞内機構に影響を与えることなく、宿主細胞において標的タンパク質の自己凝集により形成することができる。
特に、標的タンパク質凝集体を、細胞足場又は他の細胞内機構に影響を与えることなく、集団又は固体塊への標的タンパク質の多重コピー/単位の自己凝集により形成することができる。標的タンパク質凝集体を、懸濁液中での、例えば細胞培養培地中での、水溶液(例えば緩衝水溶液)中での、工業用水中での又は脱イオン水中での標的タンパク質の自己凝集により形成することもできる。標的タンパク質凝集体を、標的タンパク質分子間の共有結合性又は非共有結合性の相互作用を含み得る幾つかの機構により形成することができる。
好ましくは、標的タンパク質凝集体は、少なくとも85%、より好ましくは少なくとも90%、最も好ましくは少なくとも95%、又は更には100%、例えば少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%のこの標的タンパク質からなり、上記標的タンパク質の多重コピーの凝集により形成される。上記標的タンパク質凝集体は、非特異的な凝集体内で標的タンパク質が共局在化したものであるだけでなく、少なくとも85%、又は更には100%のこの標的タンパク質からなり、標的タンパク質の自己凝集への選好性が示されることは驚くべきことであった。
「不溶性の標的タンパク質」という用語、又は「不溶性の標的タンパク質凝集体」という用語は、本明細書で使用される場合、懸濁液、例えば細胞培養培地、発酵培地、水溶液(例えばTris/HCl(pH7.5)等の緩衝水溶液)、工業用水又は脱イオン水に可溶性ではなく、そのため例えば遠心分離及び/又は濾過により上記懸濁液に存在する可溶性の宿主細胞部から分離することができる標的タンパク質又は標的タンパク質凝集体を表す。加えて、「不溶性の標的タンパク質」という用語、又は「不溶性の標的タンパク質凝集体」という用語は、本明細書で使用される場合、懸濁液、例えば細胞培養培地、発酵培地、水溶液(例えばTris/HCl(pH7.5)等の緩衝水溶液)、工業用水又は脱イオン水に不溶性である他の宿主細胞部が、塩基(例えば0.05MのNaOH)を含む水溶液の上記懸濁液への添加後に可溶性になる一方で、塩基を含む水溶液の上記懸濁液への添加後でも、懸濁液、例えば細胞培養培地、発酵培地、水溶液(例えばTris/HCl(pH7.5)等の緩衝水溶液)、工業用水又は脱イオン水に可溶性ではなく、そのため例えば遠心分離及び/又は濾過により上記懸濁液に存在する可溶化した不溶性の宿主細胞部から分離することができる、標的タンパク質又は標的タンパク質凝集体を表す。
不溶性の標的タンパク質又は不溶性の標的タンパク質凝集体は、10mM〜100mMのTris/HCl、より好ましくは10mM〜50mMのTris/HCl、最も好ましくは10mM〜20mMのTris/HCl、例えば10mM、15mM、20mM、25mM、30mM、35mM、40mM、45mM、50mM、55mM、60mM、65mM、70mM、75mM、80mM、85mM、90mM、95mM、又は100mMのTris/HClの緩衝水溶液に不溶性であり、上記緩衝水溶液は好ましくは、5.0〜9.0のpH、より好ましくは6.0〜8.0のpH、最も好ましくは6.7〜7.2のpH、例えばTris/HClでは、pH7.0、pH7.5又はpH8.0を有するのが好ましい。
例えば本発明の方法の工程a)で、無傷の宿主細胞、例えば微生物、植物又は昆虫の宿主細胞の懸濁液を準備する場合、少なくとも1つの塩基を含む水溶液を、上記宿主細胞を不溶性の宿主細胞部へと破壊し、かつ上記不溶性の宿主細胞部の少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、又は更には100%、例えば少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.9%又は100%が可溶化するような程度まで上記不溶性の宿主細胞部を更に可溶化するのに十分な/要求される量で工程b)において添加する。さらには例えば、本発明の方法の工程a)で、既に破壊された宿主細胞、例えば微生物、植物又は昆虫の宿主細胞の懸濁液、すなわち破壊された細胞由来の不溶性の宿主細胞部を含む懸濁液を準備する場合、少なくとも1つの塩基を含む水溶液を、不溶性の宿主細胞部の少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、又は更には100%、例えば少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.9%又は100%が可溶化するような程度まで上記不溶性の宿主細胞部を可溶化するのに十分な/要求される量で工程b)において添加する。
当業者は、塩基を含む水溶液がどのくらいの量で、宿主細胞、例えば微生物、植物若しくは昆虫の宿主細胞を破壊し、かつ/又は上記不溶性の宿主細胞部の少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、又は更には100%が可溶化するような程度まで、不溶性の宿主細胞部を可溶化するのに十分である/要求されるかを、例えば(i)選択された塩基、例えばNaOHの段階希釈(dilution series)を行い、(ii)選択された塩基(例えばNaOH)を無傷の又は破壊された宿主細胞の懸濁液に幾つかの濃度で添加し(例えば0.01MのNaOH、0.02MのNaOH、0.03MのNaOH、0.04MのNaOH、0.05MのNaOH、0.06MのNaOH、0.07MのNaOH、0.08MのNaOH、0.09MのNaOH、0.1MのNaOH、0.2MのNaOH、0.3MのNaOH、0.4MのNaOH、0.5MのNaOH、0.6MのNaOH、0.7MのNaOH、0.8MのNaOH、0.9MのNaOH、又は1MのNaOHという最終濃度のNaOH)、(iii)例えば遠心分離又は濾過により不溶性の標的タンパク質を完全に又は部分的に可溶化した不溶性の宿主細胞部から分離し、(iv)例えば遠心分離物又は残余分における分離した不溶性の標的タンパク質部分内の不溶性の宿主細胞部の部分を評価し、(v)不溶性の宿主細胞部の少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、又は更には100%を可溶化するのに十分な/要求される塩基の量を求めることにより容易に利用することができる。
「標的タンパク質が依然として不溶性である」という用語は、本明細書で使用される場合、懸濁液に、例えば水溶液(例えば緩衝水溶液)に、培養培地に、発酵培地に、工業用水に、又は脱イオン水に不溶性であり、例えば或る特定の期間にわたって、及び/又は特定の温度で、塩基を含む、上記懸濁液に、例えば上記水溶液(例えば緩衝水溶液)、培養培地、発酵培地、工業用水又は脱イオン水に、例えば少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、又は更には100%、例えば少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.9%、又は100%が不溶性のままであり、このため例えば濾過及び/又は遠心分離による上記標的タンパク質の分離及び単離が可能である、標的タンパク質を表す。
本発明の好ましい実施の形態では、標的タンパク質は、懸濁液に、例えば水溶液(例えば緩衝水溶液)に、培養培地に、発酵培地に、工業用水に、又は脱イオン水に不溶性であり、少なくとも5分、好ましくは少なくとも10分、より好ましくは少なくとも90分、最も好ましくは少なくとも180分の期間にわたって、例えば少なくとも5分、6分、7分、8分、9分、10分、15分、20分、25分、30分、35分、40分、45分、50分、55分、60分、65分、70分、75分、80分、85分、90分、100分、110分、120分、130分、140分、150分、160分、170分、又は180分にわたって、塩基を含む、上記懸濁液に、例えば上記水溶液(例えば緩衝水溶液)、培養培地、発酵培地、工業用水又は脱イオン水に、例えば少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、又は更には100%、例えば少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.9%、又は100%が不溶性のままである。
本発明の更に好ましい実施の形態では、標的タンパク質は、懸濁液に、例えば水溶液(例えば緩衝水溶液)に、培養培地に、発酵培地に、工業用水に、又は脱イオン水に不溶性であり、5分〜180分、好ましくは10分〜90分の期間にわたって、例えば5分、6分、7分、8分、9分、10分、15分、20分、25分、30分、35分、40分、45分、50分、55分、60分、65分、70分、75分、80分、85分、90分、100分、110分、120分、130分、140分、150分、160分、170分、若しくは180分にわたって、及び/又は4℃〜60℃の温度で、例えば4℃、5℃、6℃、7℃、8℃、9℃、10℃、11℃、12℃、13℃、14℃、15℃、16℃、17℃、18℃、19℃、20℃、21℃、22℃、23℃、24℃、25℃、26℃、27℃、28℃、29℃、30℃、31℃、32℃、33℃、34℃、35℃、36℃、37℃、38℃、39℃、40℃、45℃、50℃、55℃、若しくは60℃で塩基を含む、上記懸濁液に、例えば上記水溶液(例えば緩衝水溶液)、培養培地、発酵培地、工業用水又は脱イオン水に、少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、又は更には100%、例えば少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.9%、又は100%が不溶性のままである。
本発明のより好ましい実施の形態では、標的タンパク質は、懸濁液に、例えば水溶液(例えば緩衝水溶液)に、培養培地に、発酵培地に、工業用水に、又は脱イオン水に不溶性であり、15℃、20℃、25℃、30℃、35℃若しくは40℃の温度で10分の期間にわたって、15℃、20℃、25℃、30℃、35℃若しくは40℃の温度で20分の期間にわたって、15℃、20℃、25℃、30℃、35℃若しくは40℃の温度で30分の期間にわたって、水溶液中、15℃、20℃、25℃、30℃、35℃若しくは40℃の温度で40分の期間にわたって、15℃、20℃、25℃、30℃、35℃若しくは40℃の温度で50分の期間にわたって、15℃、20℃、25℃、30℃、35℃若しくは40℃の温度で60分の期間にわたって、又は15℃、20℃、25℃、30℃、35℃若しくは40℃の温度で90分の期間にわたって、塩基を含む上記溶液、例えば上記水溶液、培養培地、発酵培地、工業用水又は脱イオン水に、少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%が不溶性のままである。
本発明の最も好ましい実施の形態では、標的タンパク質は、懸濁液に、例えば水溶液(例えば緩衝水溶液)に、培養培地に、発酵培地に、工業用水に、又は脱イオン水に不溶性であり、5分〜180分、好ましくは10分〜90分の期間にわたって、例えば5分、6分、7分、8分、9分、10分、15分、20分、25分、30分、35分、40分、45分、50分、55分、60分、65分、70分、75分、80分、85分、90分、100分、110分、120分、130分、140分、150分、160分、170分、若しくは180分にわたって、及び/又は4℃〜60℃の温度で、例えば4℃、5℃、6℃、7℃、8℃、9℃、10℃、11℃、12℃、13℃、14℃、15℃、16℃、17℃、18℃、19℃、20℃、21℃、22℃、23℃、24℃、25℃、26℃、27℃、28℃、29℃、30℃、31℃、32℃、33℃、34℃、35℃、36℃、37℃、38℃、39℃、40℃、45℃、50℃、55℃、若しくは60℃で、塩基、例えば水酸化ナトリウム(NaOH)、水酸化カリウム(KOH)及び/若しくは水酸化カルシウム〔Ca(OH)〕等の金属水酸化物並びに/又はアンモニア(最終濃度は0.005M〜1M、好ましくは0.01M〜0.6M、より好ましくは0.02M〜0.2M、0.05M〜0.15M、又は0.04M〜0.1M、最も好ましくは0.04M〜0.06Mの範囲である)を含む、上記懸濁液に、例えば上記水溶液(例えば緩衝水溶液)、培養培地、発酵培地、工業用水又は脱イオン水に、少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、又は更には100%、例えば少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.9%、又は100%が不溶性のままである。
標的タンパク質は、工程b)における少なくとも1つの塩基を含む水溶液の添加後に、15℃〜25℃の温度で10分〜40分の期間にわたって、少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%又は更には100%、例えば少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.9%又は100%が依然として不溶性であるのが特に好ましい。標的タンパク質は、工程b)における少なくとも1つの塩基を含む水溶液の添加後に、20℃〜25℃の温度で20分〜30分の期間にわたって、少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%又は更には100%、例えば少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.9%又は100%が依然として不溶性であるのが特により好ましい。
本発明の更に好ましい実施の形態では、依然として不溶性である標的タンパク質、例えばスパイダーシルクタンパク質を、フィルター、例えば孔径0.1μM又は0.22μMのフィルターを用いて、及び/又は例えば20分間〜30分間の3000×g〜8000×gでの遠心分離により、可溶化した不溶性の宿主細胞部から分離/単離する。
別の好ましい実施の形態では、標的タンパク質は、標的タンパク質凝集体(例えばスパイダーシルクタンパク質凝集体等のシルクタンパク質凝集体)の形態で依然として不溶性である。このため、「標的タンパク質凝集体が依然として不溶性である」という用語は、例えば或る特定の期間にわたって、及び/又は特定の温度で、塩基を含む、懸濁液中で、例えば水溶液(例えば緩衝水溶液)中で、培養培地中で、発酵培地中で、工業用水中で、又は脱イオン水中で可逆的ではないか、又は0.1%、1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%若しくは20%超が可逆的ではなく、このため例えば濾過及び/又は遠心分離による上記標的タンパク質凝集体の分離及び単離が可能である、標的タンパク質凝集体の形成を表す。
「標的タンパク質凝集体が依然として不溶性である」という用語は、例えば或る特定の期間にわたって、及び/又は特定の温度で、塩基を含む、懸濁液に、例えば水溶液(例えば緩衝水溶液)に、培養培地に、発酵培地に、工業用水に、又は脱イオン水に、例えば少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、又は更には100%、例えば少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.9%、又は100%が不溶性のままであり、このため例えば濾過及び/又は遠心分離による上記標的タンパク質の分離及び単離が可能である、標的タンパク質凝集体も表す。
本発明のより好ましい実施の形態では、標的タンパク質凝集体の形成は、5分〜180分、好ましくは10分〜90分の期間にわたって、例えば5分、6分、7分、8分、9分、10分、15分、20分、25分、30分、35分、40分、45分、50分、55分、60分、65分、70分、75分、80分、85分、90分、100分、110分、120分、130分、140分、150分、160分、170分、若しくは180分にわたって、及び/又は4℃〜60℃の温度で、例えば4℃、5℃、6℃、7℃、8℃、9℃、10℃、11℃、12℃、13℃、14℃、15℃、16℃、17℃、18℃、19℃、20℃、21℃、22℃、23℃、24℃、25℃、26℃、27℃、28℃、29℃、30℃、31℃、32℃、33℃、34℃、35℃、36℃、37℃、38℃、39℃、40℃、45℃、50℃、55℃、若しくは60℃で、塩基、例えば金属水酸化物及び/又はアンモニアを含む、懸濁液中で、例えば水溶液(例えば緩衝水溶液)中で、培養培地中で、発酵培地中で、工業用水中で、又は脱イオン水中で可逆的ではないか、又は0.1%、1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%若しくは20%超が可逆的ではない。
本発明の別の実施の形態では、標的タンパク質凝集体は、5分〜180分、好ましくは10分〜90分の期間にわたって、例えば5分、6分、7分、8分、9分、10分、15分、20分、25分、30分、35分、40分、45分、50分、55分、60分、65分、70分、75分、80分、85分、90分、100分、110分、120分、130分、140分、150分、160分、170分、若しくは180分にわたって、及び/又は4℃〜60℃の温度で、例えば4℃、5℃、6℃、7℃、8℃、9℃、10℃、11℃、12℃、13℃、14℃、15℃、16℃、17℃、18℃、19℃、20℃、21℃、22℃、23℃、24℃、25℃、26℃、27℃、28℃、29℃、30℃、31℃、32℃、33℃、34℃、35℃、36℃、37℃、38℃、39℃、40℃、45℃、50℃、55℃、若しくは60℃で、塩基、例えば金属水酸化物及び/又はアンモニアを含む、懸濁液に、例えば水溶液(例えば緩衝水溶液)に、培養培地に、発酵培地に、工業用水に、又は脱イオン水に、少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、又は更には100%、例えば少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.9%、又は100%が不溶性のままである。
本発明の特に好ましい実施の形態では、標的タンパク質凝集体の形成は、15℃、20℃、25℃、30℃、35℃若しくは40℃の温度で10分の期間にわたって、15℃、20℃、25℃、30℃、35℃若しくは40℃の温度で20分の期間にわたって、15℃、20℃、25℃、30℃、35℃若しくは40℃の温度で30分の期間にわたって、水溶液中、15℃、20℃、25℃、30℃、35℃若しくは40℃の温度で40分の期間にわたって、15℃、20℃、25℃、30℃、35℃若しくは40℃の温度で50分の期間にわたって、15℃、20℃、25℃、30℃、35℃若しくは40℃の温度で60分の期間にわたって、又は15℃、20℃、25℃、30℃、35℃若しくは40℃の温度で90分の期間にわたって、塩基、例えば金属水酸化物及び/又はアンモニアを含む、懸濁液中で、例えば水溶液(例えば緩衝水溶液)中で、培養培地中で、発酵培地中で、工業用水又は脱イオン水中で10%超が可逆的ではない。
本発明の別の実施の形態では、標的タンパク質凝集体は、5分〜180分、好ましくは10分〜90分の期間にわたって、例えば少なくとも5分、6分、7分、8分、9分、10分、15分、20分、25分、30分、35分、40分、45分、50分、55分、60分、65分、70分、75分、80分、85分、90分、100分、110分、120分、130分、140分、150分、160分、170分、若しくは180分にわたって、及び/又は4℃〜60℃の温度で、例えば4℃、5℃、6℃、7℃、8℃、9℃、10℃、11℃、12℃、13℃、14℃、15℃、16℃、17℃、18℃、19℃、20℃、21℃、22℃、23℃、24℃、25℃、26℃、27℃、28℃、29℃、30℃、31℃、32℃、33℃、34℃、35℃、36℃、37℃、38℃、39℃、40℃、45℃、50℃、55℃、若しくは60℃で、塩基、例えば水酸化ナトリウム(NaOH)、水酸化カリウム(KOH)及び/若しくは水酸化カルシウム(CaOH)等の金属水酸化物並びに/又はアンモニア(最終濃度は0.005M〜1M、好ましくは0.01M〜0.6M、より好ましくは0.02M〜0.2M、0.05M〜0.15M、又は0.04M〜0.1M、最も好ましくは0.04M〜0.06Mの範囲である)を含む、懸濁液に、例えば水溶液(例えば緩衝水溶液)に、培養培地に、発酵培地に、工業用水に、又は脱イオン水に、少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、又は更には100%、例えば少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.9%、又は100%が不溶性のままである。
より好ましい実施の形態では、標的タンパク質は、繰り返しドメイン/反復単位を有する標的タンパク質(例えばスパイダーシルクタンパク質等のシルクタンパク質)であり、タンパク質凝集体を形成する性質を有する。タンパク質凝集体が形成されると、上記タンパク質凝集体は好ましくは、懸濁液に、例えば水溶液(例えば緩衝水溶液)に、培養培地に、発酵培地に、工業用水に、又は脱イオン水に不溶性であり、5分〜180分、好ましくは10分〜90分の期間にわたって、例えば5分、6分、7分、8分、9分、10分、15分、20分、25分、30分、35分、40分、45分、50分、55分、60分、65分、70分、75分、80分、85分、90分、100分、110分、120分、130分、140分、150分、160分、170分、若しくは180分にわたって、及び/又は4℃〜60℃の温度で、例えば4℃、5℃、6℃、7℃、8℃、9℃、10℃、11℃、12℃、13℃、14℃、15℃、16℃、17℃、18℃、19℃、20℃、21℃、22℃、23℃、24℃、25℃、26℃、27℃、28℃、29℃、30℃、31℃、32℃、33℃、34℃、35℃、36℃、37℃、38℃、39℃、40℃、45℃、50℃、55℃、若しくは60℃で、塩基、例えば金属水酸化物及び/又はアンモニアを含む、上記懸濁液に、例えば上記水溶液(例えば緩衝水溶液)、培養培地、発酵培地、工業用水又は脱イオン水に、少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、又は更には100%、例えば少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.9%、又は100%が不溶性のままである。
依然として不溶性である標的タンパク質凝集体、例えばスパイダーシルクタンパク質凝集体は、例えば、肉眼、光学顕微鏡若しくは電子顕微鏡を用いることにより離散した粒子として視認可能であり、かつ/又はフィルター、例えば孔径0.1μM若しくは0.22μMのフィルターにより、可溶化した不溶性の宿主細胞部から取り出す/分離することができる。
好ましくは、不溶性の標的タンパク質は、少なくとも85%、より好ましくは少なくとも90%、最も好ましくは少なくとも98%、又は更には100%、例えば少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.9%又は100%の上記標的タンパク質からなるタンパク質凝集体を形成する。「少なくとも85%、より好ましくは少なくとも90%、最も好ましくは少なくとも98%、又は更には100%のこの標的タンパク質からなる標的タンパク質凝集体」という用語は、本発明との関連で使用される場合、標的タンパク質凝集体がこの標的タンパク質の多重コピー/単位の凝集により形成されること、及びこの凝集体が少なくとも85%、より好ましくは少なくとも90%、最も好ましくは少なくとも98%、又は更には100%の上記標的タンパク質からなることを意味する。
本発明の方法の工程b)を標的タンパク質が依然として不溶性である期間にわたって実施するのが好ましい。
本発明の方法の工程b)を5分〜180分、好ましくは10分〜90分、最も好ましくは10分〜40分の期間にわたって、例えば5分、6分、7分、8分、9分、10分、15分、20分、25分、30分、35分、40分、45分、50分、55分、60分、65分、70分、75分、80分、85分、90分、100分、110分、120分、130分、140分、150分、160分、170分、若しくは180分にわたって実施するのがより好ましい。例えば、本発明の方法の工程b)を、例えば20℃〜25℃の温度で無傷の細菌宿主細胞の培養培地由来の不溶性の宿主細胞部を可溶化するために30分〜180分の期間にわたって実施する。
好ましくは、本発明の方法で単離/分離した不溶性の標的タンパク質又は不溶性の標的タンパク質凝集体は、少なくとも50%又は60%、より好ましくは少なくとも70%又は80%、最も好ましくは少なくとも90%、95%、又は更には100%、例えば少なくとも50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.9%、又は100%の純度を有する。
単離した不溶性の標的タンパク質又は標的タンパク質凝集体の少なくとも50%又は60%、より好ましくは少なくとも70%又は80%、最も好ましくは少なくとも90%、95%、又は更には100%、例えば少なくとも50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.9%、又は100%の純度は好ましくは、その少なくとも50%又は60%、より好ましくは少なくとも70%又は80%、最も好ましくは少なくとも90%、95%、又は更には100%、例えば少なくとも50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.9%、又は100%が(i)不溶性の宿主細胞部(例えば不溶性の宿主細胞タンパク質、細胞壁部、細胞膜部、細胞骨格部、宿主細胞残屑及び/又は細胞質内封入体)、及び/又は可溶性の宿主細胞部(例えば可溶性の宿主細胞タンパク質、細胞小器官及び/又は細胞構成要素の一部)を含まない、より好ましくは(i)不溶性の宿主細胞部(例えば不溶性の宿主細胞タンパク質、細胞壁部、細胞膜部、細胞骨格部、宿主細胞残屑及び/又は細胞質内封入体)、及び/又は可溶性の宿主細胞部(例えば可溶性の宿主細胞タンパク質、細胞小器官及び/又は細胞構成要素の一部)と、(ii)可溶性及び/又は不溶性の懸濁液残余物(例えばミネラル及び/又は微量元素等の発酵/培養に関連する不純物)とを含まないことを意味する。
さらに、単離した不溶性の標的タンパク質又は標的タンパク質凝集体の少なくとも50%又は60%、より好ましくは少なくとも70%又は80%、最も好ましくは少なくとも90%、95%、又は更には100%、例えば少なくとも50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.9%、又は100%の純度はより好ましくは、その少なくとも50%又は60%、より好ましくは少なくとも70%又は80%、最も好ましくは少なくとも90%、95%、又は更には100%、例えば少なくとも50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.9%、又は100%が(i)不溶性及び/又は可溶性の宿主細胞タンパク質を含まない、最も好ましくは(i)不溶性及び/又は可溶性の宿主細胞タンパク質と、(ii)不溶性の細胞壁部、細胞膜部、細胞骨格部、宿主細胞残屑、細胞質内封入体、細胞小器官の可溶性部及び/又は可溶性の細胞構成要素とを含まない、更に最も好ましくは(i)不溶性及び/又は可溶性の宿主細胞タンパク質と、(ii)不溶性の細胞壁部、細胞膜部、細胞骨格部、宿主細胞残屑、細胞質内封入体、細胞小器官の可溶性部及び/又は可溶性の細胞構成要素と、(iii)可溶性及び/又は不溶性の懸濁液残余物(例えばミネラル及び/又は微量元素等の発酵/培養に関連する不純物)とを含まないことを意味する。
代替的には、単離した不溶性の標的タンパク質又は標的タンパク質凝集体の少なくとも50%又は60%、より好ましくは少なくとも70%又は80%、最も好ましくは少なくとも90%、95%、又は更には100%、例えば少なくとも50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.9%、又は100%の純度は好ましくは、それが僅か50%又は40%、より好ましくは僅か30%又は20%、最も好ましくは僅か10%、5%又は0%、例えば50%、49%、48%、47%、46%、45%、44%、43%、42%、41%、40%、39%、38%、37%、36%、35%、34%、33%、32%、31%、30%、29%、28%、27%、26%、25%、24%、23%、22%、21%、20%、19%、18%、17%、16%、15%、14%、13%、12%、11%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%又は0%の(i)不溶性の宿主細胞部(例えば不溶性の宿主細胞タンパク質、細胞壁部、細胞膜部、細胞骨格部、宿主細胞残屑及び/又は細胞質内封入体)、及び/又は可溶性の宿主細胞部(例えば可溶性の宿主細胞タンパク質、細胞小器官及び/又は細胞構成要素の一部)しか含まない、より好ましくは(i)不溶性の宿主細胞部(例えば不溶性の宿主細胞タンパク質、細胞壁部、細胞膜部、細胞骨格部、宿主細胞残屑及び/又は細胞質内封入体)、及び/又は可溶性の宿主細胞部(例えば可溶性の宿主細胞タンパク質、細胞小器官及び/又は細胞構成要素の一部)と、(ii)可溶性及び/又は不溶性の懸濁液残余物(例えばミネラル及び/又は微量元素等の発酵/培養に関連する不純物)としか含まないことを意味する。
さらに、単離した不溶性の標的タンパク質又は標的タンパク質凝集体の少なくとも50%又は60%、より好ましくは少なくとも70%又は80%、最も好ましくは少なくとも90%、95%、又は更には100%、例えば少なくとも50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.9%、又は100%の純度はより好ましくは、それが僅か50%又は40%、より好ましくは僅か30%又は20%、最も好ましくは僅か10%、5%又は0%、例えば50%、49%、48%、47%、46%、45%、44%、43%、42%、41%、40%、39%、38%、37%、36%、35%、34%、33%、32%、31%、30%、29%、28%、27%、26%、25%、24%、23%、22%、21%、20%、19%、18%、17%、16%、15%、14%、13%、12%、11%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%又は0%の(i)不溶性及び/又は可溶性の宿主細胞タンパク質しか含まない、最も好ましくは(i)不溶性及び/又は可溶性の宿主細胞タンパク質と、(ii)不溶性の細胞壁部、細胞膜部、細胞骨格部、宿主細胞残屑、細胞質内封入体、細胞小器官の可溶性部及び/又は可溶性の細胞構成要素としか含まない、更に最も好ましくは(i)不溶性及び/又は可溶性の宿主細胞タンパク質と、(ii)不溶性の細胞壁部、細胞膜部、細胞骨格部、宿主細胞残屑、細胞質内封入体、細胞小器官の可溶性部及び/又は可溶性の細胞構成要素と、(iii)可溶性及び/又は不溶性の懸濁液残余物(例えばミネラル及び/又は微量元素等の発酵/培養に関連する不純物)としか含まないことを意味する。
当業者は本発明の方法で単離した不溶性の標的タンパク質又は標的タンパク質凝集体の純度を求める技法を認識している。
単離した不溶性の標的タンパク質又は標的タンパク質凝集体の純度を、(i)分光分析、好ましくは質量分光分析(MS)、(ii)クロマトグラフィ、好ましくは液体クロマトグラフィ(LC)、より好ましくは高速液体クロマトグラフィ(HPLC)、(iii)ゲル電気泳動、好ましくはSDSゲル電気泳動、(iv)ウェスタンブロット法/イムノブロット分析、又は(v)それらの組合せを用いて測定するのが好ましい。
クロマトグラフィ、好ましくは液体クロマトグラフィ(LC)、より好ましくは高速液体クロマトグラフィ(HPLC)を、分光分析、好ましくは質量分光分析(MS)と組み合わせるのが好ましい。したがって単離した不溶性の標的タンパク質又は標的タンパク質凝集体の純度を、液体クロマトグラフィ−質量分光分析(LC−MS)を用いて測定するのが好ましく、高速液体クロマトグラフィ−質量分光分析(HPLC−MS)を用いて測定するのがより好ましい。
好ましくは、本発明の方法で単離した不溶性の標的タンパク質又は標的タンパク質凝集体の純度を乾燥重量ベースで算出する、例えば乾燥重量(wt/wt)ベースで%として表す。
単離した不溶性の標的タンパク質又は標的タンパク質凝集体の乾燥重量を、(i)不溶性及び/又は可溶性の宿主細胞部、より好ましくは(i)不溶性及び/又は可溶性の宿主細胞部と(ii)可溶性及び/又は不溶性の懸濁液残余物(上記を参照されたい)との乾燥重量に対して算出するのが特に好ましい。
単離した不溶性の標的タンパク質又は標的タンパク質凝集体の乾燥重量を、(i)不溶性及び/又は可溶性の宿主細胞タンパク質、より好ましくは(i)不溶性及び/又は可溶性の宿主細胞タンパク質と、(ii)不溶性の細胞壁部、細胞膜部、細胞骨格部、宿主細胞残屑、細胞質内封入体、細胞小器官の可溶性部及び/又は可溶性の細胞構成要素との、最も好ましくは(i)不溶性及び/又は可溶性の宿主細胞タンパク質と、(ii)不溶性の細胞壁部、細胞膜部、細胞骨格部、宿主細胞残屑、細胞質内封入体、細胞小器官の可溶性部及び/又は可溶性の細胞構成要素と、(iii)可溶性及び/又は不溶性の懸濁液残余物(例えばミネラル及び/又は微量元素等の発酵/培養に関連する不純物)との乾燥重量に対して算出するのが更に特に好ましい。
工程b)における塩基を含む水溶液が、7〜14、より好ましくは9〜13、最も好ましくは10〜12のpHを有するのが好ましい。例えば、工程b)における塩基を含む水溶液は、7、7.5、8、8.5、9、9.5、10、10.5、11、11.5、12、12.5、13、13.5、又は14のpHを有する。
本発明の好ましい実施の形態では、塩基は金属水酸化物又はアンモニアである。本発明の別の好ましい実施の形態では、金属水酸化物及びアンモニアが使用される。好ましくは、金属水酸化物は、水酸化ナトリウム(NaOH)、水酸化カリウム(KOH)及び水酸化カルシウム(CaOH)、又はそれらの組合せからなる群から選択される。最も好ましくは、塩基は水酸化ナトリウム(NaOH)である。
好ましくは工程b)における塩基の最終濃度は、0.005M〜1M、好ましくは0.01M〜0.6M、より好ましくは0.02M〜0.2M、0.05M〜0.15M、又は0.04M〜0.1M、最も好ましくは0.04M〜0.06Mの範囲である。例えば本発明の方法の工程b)における塩基の最終濃度は、0.005M、0.01M、0.015M、0.02M、0.025M、0.03M、0.035M、0.04M、0.045M、0.05M、0.055M、0.06M、0.065M、0.07M、0.075M、0.08M、0.085M、0.09M、0.095M、0.1M、0.15M、0.2M、0.25M、0.3M、0.35M、0.4M、0.45M、0.5M、0.55M、0.6M、0.65M、0.7M、0.75M、0.8M、0.85M、0.9M、0.95M、又は1Mである。
本発明の方法の好ましい実施の形態では、工程b)における水酸化ナトリウム(NaOH)、水酸化カリウム(KOH)及び/又は水酸化カルシウム(CaOH)の最終濃度は、0.005M〜1M、好ましくは0.01M〜0.6M、より好ましくは0.02M〜0.2M、0.05M〜0.15M、又は0.04M〜0.1M、最も好ましくは0.04M〜0.06Mの範囲である。例えば本発明の方法の好ましい実施の形態の工程b)における水酸化ナトリウム(NaOH)、水酸化カリウム(KOH)、及び/又は水酸化カルシウム(CaOH)の最終濃度は、0.005M、0.01M、0.015M、0.02M、0.025M、0.03M、0.035M、0.04M、0.045M、0.05M、0.055M、0.06M、0.065M、0.07M、0.075M、0.08M、0.085M、0.09M、0.095M、0.1M、0.15M、0.2M、0.25M、0.3M、0.35M、0.4M、0.45M、0.5M、0.55M、0.6M、0.65M、0.7M、0.75M、0.8M、0.85M、0.9M、0.95M、又は1Mである。
本発明の方法のより好ましい実施の形態では、工程b)における塩基は、水酸化ナトリウム(NaOH)であり、工程b)における水酸化ナトリウム(NaOH)の最終濃度は、0.005M〜1M、好ましくは0.01M〜0.6M、より好ましくは0.02M〜0.2M、0.05M〜0.15M、又は0.04M〜0.1M、最も好ましくは0.04M〜0.06Mの範囲である。例えば、本発明の方法の好ましい実施の形態の工程b)における水酸化ナトリウム(NaOH)の最終濃度は、0.005M、0.01M、0.015M、0.02M、0.025M、0.03M、0.035M、0.04M、0.045M、0.05M、0.055M、0.06M、0.065M、0.07M、0.075M、0.08M、0.085M、0.09M、0.095M、0.1M、0.15M、0.2M、0.25M、0.3M、0.35M、0.4M、0.45M、0.5M、0.55M、0.6M、0.65M、0.7M、0.75M、0.8M、0.85M、0.9M、0.95M、又は1Mである。
好ましくは、無傷の又は破壊された宿主細胞の懸濁液、例えば細胞培養培地、発酵培地、水溶液(例えば緩衝水溶液)、又は5%〜20%、例えば5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%若しくは20%の含水量を有する懸濁液、すなわち細胞沈降物と塩基を含む水溶液との割合は、3:1〜1:20、より好ましくは1:1〜1:10、最も好ましくは1:2〜1:4、例えば3:1、2:1、1:1、1:2、1:3、1:4、1:5、1:6、1:7、1:8、1:9、1:10、1:11、1:12、1:13、1:14、1:15、1:16、1:17、1:18、1:19、1:20の範囲である。
本発明の工程b)を、10分〜30分の期間にわたって、好ましくは20分〜30分の期間にわたって20℃〜25℃の温度で、好ましくは20℃の温度で、0.05M〜0.15Mの最終濃度で、好ましくは0.05Mの最終濃度で塩基として水酸化ナトリウム(NaOH)を含む水溶液を用いて実施するのが特に好ましい。
単離した不溶性の標的タンパク質の収率、純度及び/又は更なる加工性を改善させるために、本方法は、(i)工程b)の前での、(ii)工程b)中での、及び/又は(iii)工程b)の後での、例えば工程b)の前での、工程b)中での、工程b)の後での、工程b)の前と工程b)中とでの、工程b)の前と工程b)の後とでの、工程b)中と工程b)の後とでの、又は工程b)の前と、工程b)中と、工程b)の後とでの少なくとも1つの試薬の添加を更に含むのが好ましい。
好ましくは、試薬は、変性剤、コスモトロピック剤及び洗浄剤からなる群から選択されるか、又はそれらの組合せである。
したがって本発明の好ましい実施の形態では、変性剤、コスモトロピック剤及び/又は洗浄剤を(i)工程b)の前に、(ii)工程b)中に、及び/又は(iii)工程b)の後に添加する。
変性剤は不溶性の宿主細胞部の可溶化を改善し、洗浄剤は宿主細胞、例えば微生物宿主細胞、植物宿主細胞又は昆虫宿主細胞の細胞壁及び/又は細胞膜を可溶化させるのを助ける。加えて、コスモトロピック剤は標的タンパク質凝集体を安定化させるのを助ける。
このため、工程b)の前に、工程b)中に、及び/又は工程b)の後に、無傷の宿主細胞、例えば細菌又は植物の宿主細胞の懸濁液に、好ましくは残留する不溶性の宿主細胞部の可溶化を更に改善する変性剤と組み合わせて、細胞壁及び/又は細胞膜を可溶化させるのを助ける洗浄剤を添加するのが好ましい。したがって、工程b)の前に、工程b)中に、及び/又は工程b)の後に、既に破壊された宿主細胞、例えば細菌又は植物の宿主細胞の懸濁液に、好ましくは不溶性の標的タンパク質凝集体を安定化させるコスモトロピック剤と組み合わせて、残留する不溶性の宿主細胞部の可溶化を改善する変性剤を添加するのも好ましい。
本発明者らは驚くべきことに、工程b)の前での、工程b)中の、及び/又は工程b)の後での変性剤、コスモトロピック剤及び/又は洗浄剤の添加が、単離した不溶性の標的タンパク質の純度を、おおよそ最大で5%〜20%、例えば最大で5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19若しくは20%、及び/又は単離した不溶性の標的タンパク質の収率を、おおよそ最大で5%〜20%、例えば最大で5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19若しくは20%改善させることができることを見出している。例えば、工程b)の前に、工程b)中に、及び/又は工程b)の後に変性剤、コスモトロピック剤、及び/又は洗浄剤を添加せずに、分離工程c)の後に80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%又は95%の純度を有する単離した不溶性の標的タンパク質は、工程b)の前での、工程b)中での、及び/又は工程b)の後での変性剤、コスモトロピック剤、及び/又は洗浄剤の添加後に85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の純度を有し得る。
好ましくは、(i)変性剤は尿素(CHO)若しくは塩酸グアニジン(CH HCl)であり、(ii)コスモトロピック剤はリン酸塩若しくは硫酸塩であり、又は(iii)洗浄剤はTween20、Tween 60、Tween 80、TritonX−15、Triton X−45、Triton X−100、Triton X−102、、Triton X−114、Triton X−151、TritonX−165、Triton X−200、Triton X−207、Triton X−301、Triton X−305、Triton X−405、Triton X−705、SDS又はBrijである。当業者は更に好適な変性剤、コスモトロピック剤又は洗浄剤を選択することが可能である。
好ましくは、リン酸塩はリン酸アンモニウム、リン酸カリウム又はリン酸ナトリウムである。リン酸塩は、無傷の又は破壊された宿主細胞の懸濁液中での、例えば水溶液、発酵培地、培養培地、工業用水又は脱イオン水中での標的タンパク質又は標的タンパク質凝集体の可溶性を低減することができる。好ましくは、硫酸塩は硫酸アンモニウムである。
尿素の最終濃度は、0.1M〜10M、好ましくは1M〜5M、より好ましくは4M〜5Mの範囲であるのが好ましい。例えば尿素の最終濃度は、0.1M、0.2M、0.3M、0.4M、0.5M、0.6M、0.7M、0.8M、0.9M、1M、1.5M、2M、2.5M、3M、3.5M、4M、4.5M、5M、5.5M、6M、6.5M、7M、7.5M、8M、8.5M、9M、9.5M又は10Mである。また塩酸グアニジンの最終濃度は、0.01M〜3M、好ましくは0.1M〜2Mの範囲であるのが好ましい。例えば塩酸グアニジンの最終濃度は、0.01M、0.02M、0.03M、0.04M、0.05M、0.06M、0.07M、0.08M、0.09M、0.1M、0.2M、0.3M、0.4M、0.5M、0.6M、0.7M、0.8M、0.9M、1M、1.1M、1.2M、1.3M、1.4M、1.5M、1.6M、1.7M、1.8M、1.9M、2M、2.1M、2.2M、2.3M、2.4M、2.5M、2.6M、2.7M、2.8M、2.9M又は3Mである。
本発明の好ましい実施の形態では、標的タンパク質又は標的タンパク質凝集体は、20分〜40分の期間にわたって20℃〜25℃の温度で、少なくとも85%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%又は更には100%が、水酸化ナトリウム(NaOH)(例えば0.005M〜0.5Mの範囲の最終濃度で)及び塩酸グアニジン(CHHCl)(例えば0.01M〜3Mの範囲の最終濃度で)又は尿素(例えば0.1M〜10Mの範囲の尿素の最終濃度で)を含む水溶液に依然として不溶性である。
本発明の別の好ましい実施の形態では、標的タンパク質、例えばスパイダーシルクタンパク質C16等のスパイダーシルクタンパク質又は標的タンパク質凝集体は、20分〜40分の期間にわたって20℃〜25℃の温度で、少なくとも85%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%又は更には100%が、水酸化ナトリウム(NaOH)(例えば0.005M〜0.2Mの範囲の最終濃度で)及び塩酸グアニジン(CHHCl)(例えば0.1M〜2Mの範囲の最終濃度で)又は尿素(例えば1M〜5Mの範囲の最終濃度で)を含む水性媒体に依然として不溶性である。
本発明の更に好ましい実施の形態では、標的タンパク質、例えばスパイダーシルクタンパク質C16等のスパイダーシルクタンパク質又は標的タンパク質凝集体は、30分の期間にわたって20℃〜25℃の温度で、少なくとも85%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%又は更には100%が、0.5Mの最終濃度で水酸化ナトリウム(NaOH)を含む水性媒体に依然として不溶性である。
工程c)における可溶化した不溶性の宿主細胞部からの不溶性の標的タンパク質又は不溶性の標的タンパク質凝集体の分離は、遠心分離により達成されるのが好ましい。遠心分離工程は、可溶化した不溶性の宿主細胞部(例えば宿主細胞タンパク質、宿主細胞残屑)、並びに任意で可溶化した不溶性残余物(例えば発酵残余物)、可溶性の宿主細胞部及び/又は他の可溶性の不純物を含む、液相、例えば水溶液(例えば緩衝水溶液)、培養培地、発酵培地、工業用水又は脱イオン水からの不溶性の標的タンパク質又は不溶性の標的タンパク質凝集体を含む固相の分離を可能にする。遠心分離工程後、不溶性の標的タンパク質又は不溶性の標的タンパク質凝集体は沈殿物として存在するが、上清は可溶化した不溶性の宿主細胞部、並びに任意で可溶化した不溶性残余物(例えば発酵残余物)、可溶性の宿主細胞部及び/又は他の可溶性の不純物を含有し、これを廃棄することができる。このため、この分離工程中に、不溶性の標的タンパク質が、可溶化した不溶性の宿主細胞部から、及び任意で液相、例えば水溶液又は培養培地に存在する又は未だに存在する可溶性の宿主細胞部から分離されることは当業者にとって明らかであるものとする。
工程c)における可溶化した不溶性の宿主細胞部からの不溶性の標的タンパク質又は不溶性の標的タンパク質凝集体の分離は、濾過により達成されるのも好ましい。この分離方法では、不溶性の標的タンパク質を、不溶性の標的タンパク質、可溶化した不溶性の宿主細胞部、並びに任意で可溶化した不溶性残余物(例えば発酵残余物)、可溶性の宿主細胞部及び/又は他の可溶性の不純物を含む、液相、例えば水溶液(例えば緩衝水溶液)、培養培地、発酵培地、工業用水又は脱イオン水を、不溶性の標的タンパク質を保持し、可溶化した不溶性の宿主細胞部、並びに任意で可溶化した不溶性残余物(例えば発酵残余物)、可溶性の宿主細胞部及び/又は他の可溶性の不純物を通過させるフィルター膜に通すことにより濃縮する。このため、この分離工程中に、不溶性の標的タンパク質が、可溶化した不溶性の宿主細胞部から、及び任意でフィルター膜を通過する、液相、例えば水溶液又は培養培地に存在する又は未だに存在する可溶性の宿主細胞部から分離されることは当業者にとって明らかであるものとする。本発明の方法の好ましい実施の形態では、不溶性の標的タンパク質と、可溶化した不溶性の宿主細胞部とを含む、液相、例えば水溶液(例えば緩衝水溶液)、培養培地、発酵培地、工業用水又は脱イオン水の動きを、重力圧、真空及び/又は遠心分離により加速させる。
工程c)における可溶化した不溶性の宿主細胞部からの不溶性の標的タンパク質の分離は、沈降により達成されるのが更に好ましい。この分離方法では、不溶性の標的タンパク質又は不溶性の標的タンパク質凝集体を、中に該不溶性の標的タンパク質又は該不溶性の標的タンパク質凝集体が含まれる、流体相、例えば水溶液(例えば緩衝水溶液)、培養培地、発酵培地、工業用水又は脱イオン水から分離沈殿させ、壁に張り付かせる。これは不溶性の標的タンパク質又は不溶性の標的タンパク質凝集体の、それに作用する力、例えば重力に応じた流体中での動きによるものである。可溶化した不溶性の宿主細胞部、並びに任意で可溶化した不溶性残余物(例えば発酵残余物)、可溶性の宿主細胞部及び/又は他の可溶性の不純物は、溶液中に保持され、上清を形成するため、これを簡単に廃棄することができる。
工程c)における可溶化した不溶性の宿主細胞部からの不溶性の標的タンパク質の分離は、遠心分離、沈降及び/又は濾過の組合せ、例えば遠心分離及び濾過、沈降及び濾過、沈降及び遠心分離、又は遠心分離、沈降及び濾過により達成されるのが特に好ましい。
様々な不溶性の標的タンパク質に応じて、遠心分離、沈降又は濾過に関するパラメータは変えることができる。当業者は、可溶化した不溶性の宿主細胞部を不溶性の標的タンパク質から分離/単離するために、適切な分離パラメータ、例えば加速力/G力、及び/若しくは分離に遠心分離を用いた場合の時間、分離に濾過を用いた場合のフィルター径、並びに/又は分離に沈降を用いた場合の沈降時間を容易に適合させることが可能である。
好ましくは、遠心分離を、可溶化した不溶性の宿主細胞部又は可溶化した不溶性の宿主細胞部の大部分を溶液中に維持しながら、不溶性の標的タンパク質又は不溶性の標的タンパク質凝集体の少なくとも80%、より好ましくは少なくとも90%、最も好ましくは少なくとも95%、又は更には100%、例えば少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.9%、又は100%を沈降させるのに十分な加速力/G力で、及び/又はこのような遠心分離時間にわたって実施する。本発明の方法の好ましい実施の形態では、遠心分離を、3000×g〜12000×gで、例えば3000×g、3500×g、4000×g、4500×g、5000×g、5500×g、6000×g、6500×g、7000×g、7500×g、8000×g、8500×g、9000×g、9500×g、10000×g、10500×g、11000×g、11500×g、若しくは12000×gで、及び/又は10分間〜40分間、例えば10分間、11分間、12分間、13分間、14分間、15分間、16分間、17分間、18分間、19分間、20分間、21分間、22分間、23分間、24分間、25分間、26分間、27分間、28分間、29分間、30分間、31分間、32分間、33分間、34分間、35分間、36分間、37分間、38分間、39分間、又は40分間実施する。これらの遠心分離パラメータにより、可溶化した不溶性の宿主細胞部又は可溶化した不溶性の宿主細胞部の大部分を溶液中に維持しながらの、不溶性の標的タンパク質又は不溶性の標的タンパク質凝集体の少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、又は更には100%、例えば少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.9%、又は100%の沈降が可能になる。
同様のことは沈降又は濾過にも当てはまる。好ましくは、沈降を、可溶化した不溶性の宿主細胞部又は可溶化した不溶性の宿主細胞部の大部分を溶液中に維持し、容易に廃棄することができる状態としながら、不溶性の標的タンパク質又は不溶性の標的タンパク質凝集体の少なくとも80%、より好ましくは少なくとも90%、最も好ましくは少なくとも95%、又は更には100%、例えば少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.9%、又は100%を沈降させるのに十分な沈降時間にわたって実施する。本発明の方法の好ましい実施の形態では、沈降を、1時間〜24時間、好ましくは3時間〜15時間、より好ましくは5時間〜10時間の期間にわたって、例えば1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、11時間、12時間、13時間、14時間、15時間、16時間、17時間、18時間、19時間、20時間、21時間、22時間、23時間、又は24時間にわたって実施する。上述の沈降時間により、可溶化した不溶性の宿主細胞部又は可溶化した不溶性の宿主細胞部の大部分を溶液中に維持しながらの、不溶性の標的タンパク質又は不溶性の標的タンパク質凝集体の少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、又は更には100%、例えば少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.9%、又は100%の沈降が可能になる。
好ましくは、濾過を、可溶化した不溶性の宿主細胞部又は可溶化した不溶性の宿主細胞部の大部分がフィルター孔を通ることができる状態としながら、不溶性の標的タンパク質又は不溶性の標的タンパク質凝集体の少なくとも80%、より好ましくは少なくとも90%、最も好ましくは少なくとも95%、又は更には100%、例えば少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.9%、又は100%を保持させるのに十分なフィルター孔径で(with)実施する。このため、濾過を分離方法として用いる場合、フィルターの孔径は不溶性の標的タンパク質又は不溶性の標的タンパク質凝集体よりもわずかに小さいものとする。本発明の方法の好ましい実施の形態では、濾過を、10nm〜200nm、好ましくは20nm〜180nm、より好ましくは50nm〜100nm、例えば10nm、15nm、20nm、25nm、30nm、35nm、40nm、45nm、50nm、60nm、70nm、80nm、90nm、100nm、110nm、120nm、130nm、140nm、150nm、160nm、170nm、180nm、190nm、又は200nmの孔径を有するフィルターを用いて実施する。これらのフィルター孔径のパラメータにより、可溶化した不溶性の宿主細胞部又は可溶化した不溶性の宿主細胞部の大部分がフィルター孔を通ることができる状態としながらの、不溶性の標的タンパク質又は不溶性の標的タンパク質凝集体の少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、又は更には100%、例えば少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.9%、又は100%の保持が可能になる。
好ましくは、工程c)における可溶化した及び/又は不完全に可溶化した不溶性の宿主細胞部からの不溶性の標的タンパク質又は不溶性の標的タンパク質凝集体の分離を容易にするための、懸濁液中での既に可溶化した及び/若しくは不完全に可溶化した不溶性の宿主細胞部のブレンドを改善するために、並びに/又は既に可溶化した及び/若しくは不完全に可溶化した不溶性の宿主細胞部からのより小さい断片の形成を改善するために、本方法は、工程b)の後でかつ工程c)の前に、上記懸濁液の均質化、好ましくは(例えば実施例1に記載のような方法に従って)ホモジナイザーを用いた上記懸濁液の均質化、又は細胞溶解、好ましくは好適な酵素を用いた細胞溶解の工程b’)を更に含む。代替的には、上記の懸濁液の均質化をボールミル又は超音波処理により実施する。
細胞残屑、発酵残余物、塩基、変性剤、洗浄剤及び/又は塩等の更なる不純物を取り除くために、本発明の方法は、工程c)の後に、分離した不溶性の標的タンパク質又は不溶性の標的タンパク質凝集体、好ましくは遠心分離物、沈降物又は残余分を洗浄する工程d)を更に含むのが好ましい。本発明の方法は、工程c)の後に、分離した不溶性の標的タンパク質又は不溶性の標的タンパク質凝集体、好ましくは遠心分離物、沈降物又は残余分を水溶液、有機溶液及び/又は尿素で洗浄する工程d)を更に含むのがより好ましい。
この更なる精製工程は、対象の不溶性の標的タンパク質を含む無傷の宿主細胞を含む培養培地が本発明の方法の工程a)において準備される場合に必要とされる。この工程は、水中に又は水溶液中に再懸濁した宿主細胞沈降物又は宿主細胞ペレットが本発明の方法の工程a)において準備される場合には必要ではない。後者の場合、宿主細胞が、培養培地又は発酵培地から、したがって全て又はほとんど全ての発酵残余物及び/又は不純物から既に分離されている、又は大部分が分離されている。
好ましくは、水溶液は緩衝水溶液である。さらに、好ましくは、有機溶液は、エタノール(EtOH)、メタノール(CHOH)、ヘキサン(C14)、ジエチルエーテル(C10O)及び/又はイソプロパノール(CO)を含有する。
上述のように、本発明の方法のより好ましい実施形態では、工程c)の後の工程d)において、分離した不溶性の標的タンパク質又は不溶性の標的タンパク質凝集体、好ましくは遠心分離物、沈降物又は残余分を尿素で洗浄する。尿素の使用により、工程c)で分離されていない残留している可能性のある宿主細胞タンパク質の更なる除去が可能になる。
本発明者らは驚くべきことに、続く洗浄工程d)により、単離した不溶性の標的タンパク質の純度をおよそ最大で5%〜20%、例えば最大で5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%又は20%改善することができることを見出している。例えば、続く洗浄工程d)がない場合、分離工程c)の後に80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%又は95%の純度を有する単離した不溶性の標的タンパク質は、続く洗浄工程d)の後に85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の純度を有し得る。
好ましくは、本発明の方法を、4℃〜60℃、より好ましくは15℃〜40℃、最も好ましくは15℃〜25℃、又は20℃〜25℃、例えば4℃、5℃、6℃、7℃、8℃、9℃、10℃、11℃、12℃、13℃、14℃、15℃、16℃、17℃、18℃、19℃、20℃、21℃、22℃、23℃、24℃、25℃、26℃、27℃、28℃、29℃、30℃、31℃、32℃、33℃、34℃、35℃、36℃、37℃、38℃、39℃、40℃、41℃、42℃、43℃、44℃、45℃、46℃、47℃、48℃、49℃、50℃、51℃、52℃、53℃、54℃、55℃、56℃、57℃、58℃、59℃又は60℃の温度で実施する。
好ましくは、本発明の方法を、10kPa〜1000kPa、好ましくは50kPa〜150kPa、例えば10kPa、20kPa、30kPa、40kPa、50kPa、60kPa、70kPa、80kPa、90kPa、100kPa、150kPa、200kPa、250kPa、300kPa、350kPa、400kPa、450kPa、500kPa、550kPa、600kPa、650kPa、700kPa、750kPa、800kPa、850kPa、900kPa、950kPa又は1000kPaの圧力で実施する。
無傷の細菌宿主細胞の培養培地、細胞沈降物又は緩衝溶液から不溶性の標的タンパク質(例えばスパイダーシルクタンパク質)を単離する方法は、
a)(i)不溶性の標的タンパク質(例えばスパイダーシルクタンパク質)と不溶性の細菌宿主細胞部とを含む無傷の細菌宿主細胞の培養培地、(ii)好ましくは20%の残存含水量を有する、不溶性の標的タンパク質(例えばスパイダーシルクタンパク質)と不溶性の細菌宿主細胞部とを含む無傷の細菌宿主細胞の細胞沈降物、又は(iii)上記細胞沈降物を再懸濁させた緩衝溶液を準備する工程と、
b)上記細菌宿主細胞を破壊し、上記の不溶性の細菌宿主細胞部を可溶化するために、0.05M〜0.15M、好ましくは0.05Mの最終濃度でNaOHを上記の(i)培養培地、(ii)細胞沈降物又は(iii)緩衝溶液に添加する工程と、
c)3000×g〜12000×gで遠心分離することにより(すなわち不溶性の標的タンパク質が沈殿物として存在し、かつ可溶化した不溶性の細菌宿主細胞部が廃棄することができる上清中にある)、不溶性の標的タンパク質(例えばスパイダーシルクタンパク質)を可溶化した不溶性の細菌宿主細胞部から分離する工程と、
を含み、ここで工程b)では、標的タンパク質が依然として不溶性であり、不溶性の細菌宿主細胞部の少なくとも80%又は85%、好ましくは95%が可溶化するのが好ましい。
破壊された細菌宿主細胞の培養培地、細胞沈降物又は緩衝溶液から不溶性の標的タンパク質(例えばスパイダーシルクタンパク質)を単離する方法は、
a)(i)不溶性の標的タンパク質(例えばスパイダーシルクタンパク質)と不溶性の細菌宿主細胞部とを含む破壊された細菌宿主細胞の培養培地、(ii)好ましくは15%の残存含水量を有する、不溶性の標的タンパク質(例えばスパイダーシルクタンパク質)と不溶性の細菌宿主細胞部とを含む破壊された細菌宿主細胞の細胞沈降物、又は(iii)上記細胞沈降物を再懸濁させた緩衝溶液を準備する工程と、
b)上記の不溶性の細菌宿主細胞部を可溶化するために、0.05M〜0.15M、好ましくは0.15Mの最終濃度でNaOHを上記の(i)培養培地、(ii)細胞沈降物又は(iii)緩衝溶液に添加する工程と、
c)3000×g〜12000×gで遠心分離することにより(すなわち不溶性の標的タンパク質が沈殿物として存在し、かつ可溶化した不溶性の細菌宿主細胞部が廃棄することができる上清中にある)、不溶性の標的タンパク質(例えばスパイダーシルクタンパク質)を可溶化した不溶性の細菌宿主細胞部から分離する工程と、
を含み、ここで工程b)では、標的タンパク質が依然として不溶性であり、不溶性の細菌宿主細胞部の少なくとも80%又は85%、好ましくは95%が可溶化するのも好ましい。
「ポリペプチド」及び「タンパク質」という用語は、本明細書で区別なく使用され、長さ又は翻訳後修飾にかかわらず、アミノ酸の任意のペプチド結合鎖を意味する。
上に規定されるような任意の不溶性の標的タンパク質、好ましくは不溶性の標的タンパク質凝集体を、本発明の方法で単離することができる。しかしながら、不溶性の標的タンパク質、好ましくは不溶性の標的タンパク質凝集体は、シルクタンパク質、特に少なくとも2つの同一の反復単位を含むシルクタンパク質(例えばスパイダーシルクタンパク質又は昆虫シルクタンパク質等の節足動物シルクタンパク質)、コラーゲン、レシリン及びケラチンからなる群から選択されるのが好ましい。好ましくは、コラーゲンはイガイ足糸タンパク質又はヒトコラーゲンである。好ましくは、ケラチンはヒトケラチンである。
本発明との関連では、「シルクタンパク質」、「コラーゲン」、「レシリン」、又は「ケラチン」という用語は、組換え宿主細胞等の宿主細胞(例えば微生物、昆虫又は植物の宿主細胞)、又は組換え発現系等の発現系(例えば微生物、昆虫又は植物の発現系)において発現する、すなわちその自然環境から分離される組換えタンパク質等のタンパク質を表し得る。さらに本発明との関連では、「単離シルクタンパク質」、「単離コラーゲン」、「単離レシリン」、又は「単離ケラチン」という用語は、組換え宿主細胞等の宿主細胞(例えば微生物、昆虫又は植物の宿主細胞)、又は組換え発現系等の発現系(例えば微生物、昆虫又は植物の発現系)において発現する、すなわちその自然環境から分離され、上記宿主細胞又は上記発現系から単離される組換えタンパク質等のタンパク質を表し得る。上述の「発現系」及び「宿主細胞」という用語は本明細書で区別なく使用される。
「シルクタンパク質」は本発明との関連で使用される場合、少なくとも50%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、好ましくは少なくとも95%、最も好ましくは100%の1つの同一の反復単位の多重コピー(例えばA、Q又はC16(ここで2、6又は16は反復単位の数を表す))、又は2つ以上の異なる反復単位の多重コピー(例えば(AQ)24又は(AQ)1216)を含む又はこれからなるアミノ酸配列を有するタンパク質を更に表す。
「反復単位」及び「繰り返し単位」という用語は本発明との関連では区別なく使用され得る。
本発明との関連では、「シルクタンパク質」という用語は、自然発生的なシルクポリペプチドのアミノ酸配列の同一コピー又は自然発生的なシルクポリペプチドのアミノ酸配列の変異体の同一コピー又は両方の組合せを含む又はこれからなる少なくとも2つの同一の反復単位を含む又はこれからなるシルクタンパク質も表す。
本発明との関連では、「反復単位」は、アミノ酸配列において、自然発生的なシルクポリペプチド(例えばMaSpI、ADF−3、ADF−4又はFlag)内で反復して発生する少なくとも1つのペプチドモチーフ(例えばAAAAAA(配列番号13)又はGPGQQ(配列番号4))を含む若しくはこれからなる領域(すなわち同一のアミノ酸配列)、又はそれと実質的に類似のアミノ酸配列(すなわち変動アミノ酸配列)に対応する領域を表す。この点で、「実質的に類似の」は、好ましくはそれぞれの参照となる自然発生的なアミノ酸配列の全長にわたる少なくとも50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は更には99.9%のアミノ酸同一性の程度を意味する。自然発生的なシルクポリペプチド内の対応するアミノ酸配列(すなわち野生型反復単位)と「実質的に類似の」アミノ酸配列を有する「反復単位」は、その性質に関しても類似している。例えば「実質的に類似の反復単位」を含むシルクタンパク質も不溶性であり、その不溶性を保持するため、これも本発明の方法の工程c)において可溶化した不溶性の宿主細胞部から分離することができる。好ましくは、「実質的に類似の反復単位」を含むシルクタンパク質は、水溶液、例えば緩衝水溶液に、培養培地に、発酵培地に、工業用水に、又は脱イオン水に不溶性であり、10分〜90分の期間にわたって、例えば10分、15分、20分、25分、30分、35分、40分、45分、50分、55分、60分、65分、70分、75分、80分、85分、若しくは90分にわたって、及び/又は4℃〜60℃の温度で、例えば4℃、5℃、6℃、7℃、8℃、9℃、10℃、11℃、12℃、13℃、14℃、15℃、16℃、17℃、18℃、19℃、20℃、21℃、22℃、23℃、24℃、25℃、26℃、27℃、28℃、29℃、30℃、31℃、32℃、33℃、34℃、35℃、36℃、37℃、38℃、39℃、40℃、45℃、50℃、55℃、若しくは60℃で、塩基(例えば0.005M〜1MのNaOH)を含む、水溶液、例えば緩衝水溶液に、培養培地に、発酵培地に、工業用水若しくは脱イオン水に80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.9%を超えて、若しくは更には100%が不溶性のままである。本発明の好ましい実施の形態では、依然として不溶性である/不溶性のままである、「実質的に類似の反復単位」を含むシルクタンパク質を、濾過、好ましくは10nm〜200nmの孔径を有するフィルター膜を用いた濾過により、及び/又は遠心分離、好ましくは10分間〜40分間、好ましくは20分間〜40分間の3000×g〜12000×g、より好ましくは4000×g〜8000×gでの遠心分離により可溶化した不溶性の宿主細胞部から分離/単離する。
自然発生的なシルクポリペプチドのアミノ酸配列と「同一の」アミノ酸配列を有する「反復単位」は例えば、MaSp I(配列番号43)、MaSp II(配列番号44)、ADF−3(配列番号1)及び/又はADF−4(配列番号2)の1つ又は複数のペプチドモチーフに対応するシルクポリペプチドの一部分であり得る。自然発生的なシルクポリペプチドのアミノ酸配列と「実質的に類似の」アミノ酸配列を有する「反復単位」は例えば、MaSpI(配列番号43)、MaSpII(配列番号44)、ADF−3(配列番号1)及び/又はADF−4(配列番号2)の1つ又は複数のペプチドモチーフに対応するが、特定のアミノ酸位置に1つ又は複数のアミノ酸置換を有するシルクポリペプチドの一部分であり得る。
「反復単位」は、一般的に自然発生的なシルクポリペプチドのアミノ末端及び/又はカルボキシル末端に存在すると考えられている非反復的な親水性アミノ酸ドメインを含まない。
本発明による「反復単位」は、3個〜200個又は5個〜150個のアミノ酸長、好ましくは10個〜100個又は15個〜80個のアミノ酸長、より好ましくは18個〜60個又は20個〜40個のアミノ酸長のアミノ酸配列を更に表す。例えば、本発明による反復単位は、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個、20個、21個、22個、23個、24個、25個、26個、27個、28個、29個、30個、31個、32個、33個、34個、35個、36個、37個、38個、39個、40個、41個、42個、43個、44個、45個、46個、47個、48個、49個、50個、51個、52個、53個、54個、55個、56個、57個、58個、59個、60個、61個、62個、63個、64個、65個、66個、67個、68個、69個、70個、71個、72個、73個、74個、75個、76個、77個、78個、79個、80個、81個、82個、83個、84個、85個、86個、87個、88個、89個、90個、91個、92個、93個、94個、95個、96個、97個、98個、99個、100個、105個、110個、115個、120個、125個、130個、135個、140個、145個、150個、155個、160個、165個、170個、175個、180個、185個、190個、195個又は200個のアミノ酸長を有し得る。最も好ましくは、本発明による反復単位は、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、12個、15個、18個、20個、24個、27個、28個、30個、34個、35個又は39個のアミノ酸からなる。
本発明の方法により単離されるシルクタンパク質は好ましくは、6個〜1500個のアミノ酸、又は200個〜1300個のアミノ酸、最も好ましくは250個〜1200個のアミノ酸、又は500個〜1000個のアミノ酸からなる。
好ましくは、本発明の方法により単離されるシルクタンパク質は、2個〜80個の反復単位、3個〜80個の反復単位、又は4個〜60個の反復単位、より好ましくは8個〜48個の反復単位、又は10個〜40個の反復単位、最も好ましくは16個〜32個の反復単位を含む又はこれからなる。例えば、本発明の方法により単離されるシルクタンパク質は、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個、20個、21個、22個、23個、24個、25個、26個、27個、28個、29個、30個、31個、32個、33個、34個、35個、36個、37個、38個、39個、40個、41個、42個、43個、44個、45個、46個、47個、48個、49個、50個、51個、52個、53個、54個、55個、56個、57個、58個、59個、60個、61個、62個、63個、64個、65個、66個、67個、68個、69個、70個、71個、72個、73個、74個、75個、76個、77個、78個、79個又は80個の反復単位を含み得る又はこれからなり得る。最も好ましくは、シルクポリペプチドは、4個、8個、12個、16個、24個、32個又は48個の反復単位を含む。上述のように、本発明の方法により単離されるシルクポリペプチドに含まれる反復単位のうち少なくとも2つが同一の反復単位である。このため、本発明の方法により単離されるシルクポリペプチドは、1つの同一の反復単位の多重コピー(例えばA又はC16(ここで2又は16は反復単位の数を表す))、又は2つ以上の異なる反復単位の多重コピー(例えば(AQ)24又は(QAQ))を含み得る。例えば、本発明の方法により単離されるシルクポリペプチドに含まれ得る80個の反復単位のうち2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個、20個、21個、22個、23個、24個、25個、26個、27個、28個、29個、30個、31個、32個、33個、34個、35個、36個、37個、38個、39個、40個、41個、42個、43個、44個、45個、46個、47個、48個、49個、50個、51個、52個、53個、54個、55個、56個、57個、58個、59個、60個、61個、62個、63個、64個、65個、66個、67個、68個、69個、70個、71個、72個、73個、74個、75個、76個、77個、78個、79個又は80個が、同一の反復単位である。
本発明の方法により単離されるシルクポリペプチドは、当業者に既知の任意のシルクポリペプチドのアミノ酸配列を含み得る又はこれからなり得る。本発明の方法により単離されるシルクポリペプチドは、節足動物シルクポリペプチド、好ましくはスパイダーシルクポリペプチド、又は昆虫シルクポリペプチドのアミノ酸配列を含む又はこれからなるのが好ましい。また本発明の方法により単離されるシルクポリペプチドは、イガイシルクポリペプチドのアミノ酸配列を含み得る又はこれからなり得る。
スパイダーシルクポリペプチドは、大瓶状腺(majorampullate gland)ポリペプチド、例えばドラグラインスパイダーシルクポリペプチド、小瓶状腺(minorampullate gland)ポリペプチド、鞭毛状ポリペプチド、凝集スパイダーシルクポリペプチド、房状スパイダーシルクポリペプチド、又は梨状スパイダーシルクポリペプチドのアミノ酸配列を含む又はこれからなることが好ましい。最も好ましくは、スパイダーシルクポリペプチドは、ドラグラインスパイダーシルクポリペプチド又は鞭毛状スパイダーシルクポリペプチドのアミノ酸配列を含む又はこれからなる。概してコガネグモ科及びコガネグモ上科(Araneoids)の円網を張るクモのドラグラインポリペプチド又は鞭毛状ポリペプチドのドラグラインポリペプチド又は鞭毛状ポリペプチドのアミノ酸配列を選択するのが好ましい。
昆虫シルクポリペプチドは、鱗翅目の昆虫のシルクポリペプチドのアミノ酸配列を含む又はこれからなることが好ましい。より好ましくは、昆虫シルクポリペプチドは、カイコガ科の昆虫、最も好ましくはカイコガ(Bombyx mori)のシルクポリペプチドのアミノ酸配列を含む又はこれからなる。
好ましくは、上述のシルクポリペプチドは組換えにより生成される、すなわち組換え型のシルクポリペプチドである。例えば本発明の方法により単離されるシルクポリペプチドは組換え型のスパイダーシルクポリペプチド(ドラグラインスパイダーシルクポリペプチド若しくは鞭毛状スパイダーシルクポリペプチド等)、組換え型の昆虫シルクポリペプチド、又は組換え型のイガイシルクポリペプチドである。
本発明の方法により単離されるシルクポリペプチドの反復単位は、当業者に既知の自然発生的なシルクポリペプチド内で繰り返し生じる少なくとも1つのペプチドモチーフを含む又はこれからなる任意の領域のアミノ酸配列を含み得る又はこれからなり得る。好ましくは、本発明の方法により単離されるシルクポリペプチドの反復単位は、節足動物シルクポリペプチド内で、より好ましくはスパイダーシルクポリペプチド又は昆虫シルクポリペプチド内で繰り返し生じる少なくとも1つのペプチドモチーフを含む又はこれからなる領域のアミノ酸配列を含む又はこれからなる。また本発明の方法により単離されるシルクポリペプチドの反復単位は、イガイシルクポリペプチド内で繰り返し生じる少なくとも1つのペプチドモチーフを含む又はこれからなる領域のアミノ酸配列を含み得る又はこれからなり得る。
スパイダーシルクの反復単位は、自然発生的な大瓶状腺ポリペプチド、例えばドラグラインスパイダーシルクポリペプチド、小瓶状腺ポリペプチド、鞭毛状ポリペプチド、凝集スパイダーシルクポリペプチド、房状スパイダーシルクポリペプチド、又は梨状スパイダーシルクポリペプチド内で繰り返し生じる少なくとも1つのペプチドモチーフを含む又はこれからなる領域のアミノ酸配列を含む又はこれからなるのが好ましい。最も好ましくは、反復単位は自然発生的なドラグラインスパイダーシルクポリペプチド又は鞭毛状スパイダーシルクポリペプチド内で繰り返し生じる少なくとも1つのペプチドモチーフを含む又はこれからなる領域のアミノ酸配列を含む又はこれからなる。
昆虫シルクの反復単位は、鱗翅目の昆虫の自然発生的なシルクポリペプチド内で繰り返し生じる少なくとも1つのペプチドモチーフを含む又はこれからなる領域のアミノ酸配列を含む又はこれからなるのが好ましい。より好ましくは、昆虫シルクの反復単位は、カイコガ科の昆虫、最も好ましくはカイコガの自然発生的な昆虫シルクポリペプチド内で繰り返し生じる少なくとも1つのペプチドモチーフを含む又はこれからなる領域のアミノ酸配列を含む又はこれからなる。
「コンセンサス配列」という用語は本発明との関連で使用する場合、或る特定の位置における発生頻度が高いアミノ酸(例えば「G」)を含有し、更に決定されていない他のアミノ酸をプレースホルダー「X」に置き換えたアミノ酸配列を表す。
好ましくは、本発明の方法により単離されるシルクタンパク質は、各々が、
i)GPGXX(配列番号3)(ここでXは任意のアミノ酸であり、好ましくはそれぞれの場合で独立してA、S、G、Y、P及びQから選択される任意のアミノ酸である)、
ii)GGX(ここでXは任意のアミノ酸であり、好ましくはそれぞれの場合で独立してY、P、R、S、A、T、N及びQから選択され、より好ましくはそれぞれの場合で独立してY、P及びQから選択される任意のアミノ酸である)、
iii)A(ここでxは5〜10の整数である)
からなる群から選択されるコンセンサス配列を少なくとも1つ、好ましくは1つ含む、少なくとも2つの同一の反復単位を含む、これから本質的になる、又はこれからなる。
本発明の方法により単離されるシルクタンパク質が、各々がGGRPSDTYG(配列番号18)及びGGRPSSSYG(配列番号19)からなる群から選択されるアミノ酸配列を少なくとも1つ、好ましくは1つ含む少なくとも2つの同一の反復単位を含む、又はこれからなることも好ましい。
反復(ペプチド)モチーフGPGXX(配列番号3)及びGGX、すなわち高グリシンモチーフは、シルクポリペプチドに、このため上記モチーフを含有するシルクタンパク質から形成される糸に柔軟性を与える。詳細には、反復GPGXX(配列番号3)モチーフはβ−ターンらせん構造を形成し、シルクポリペプチドに弾性を付与する。大瓶状腺シルク及び鞭毛状シルクは両方ともGPGXX(配列番号3)モチーフを有する。反復GGXモチーフは1つのターン当たり3つのアミノ酸を有するヘリックス構造に関連し、ほとんどのスパイダーシルクで見られる。GGXモチーフはシルクに付加的な弾性を与えることができる。反復ポリアラニンA(ペプチド)モチーフはシルクポリペプチドに強度を与える結晶性β−シート構造を形成する(国際公開第03/057727号)。GGRPSDTYG(配列番号18)及びGGRPSSSYG(配列番号19)(ペプチド)モチーフは、レジリン(国際公開第2008/155304号)から選択されている。レジリンはほとんどの節足動物(節足動物門)で見られる弾性タンパク質である。レジリンは角皮の特定領域に位置しており、低剛性及び高強度を与える(Elvin et al., Nature(473): 999-1002, 2005)。
このため本発明の好ましい実施の形態では、シルクタンパク質は、各々がGPGAS(配列番号5)、GPGSG(配列番号6)、GPGGY(配列番号7)、GPGGP(配列番号8)、GPGGA(配列番号9)、GPGQQ(配列番号4)、GPGGG(配列番号10)、GPGQG(配列番号40)及びGPGGS(配列番号11)からなる群から選択されるアミノ酸配列を少なくとも1つ(例えば1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ又は9つ)、好ましくは1つ含む反復単位を含む、又はこれからなる。本発明の別の好ましい実施の形態では、シルクポリペプチドは、各々がGGY、GGP、GGA、GGR、GGS、GGT、GGN及びGGQからなる群から選択されるアミノ酸配列を少なくとも1つ(例えば1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、8つ、7つ又は8つ)、好ましくは1つ含む反復単位を含む、又はこれからなる。本発明の更に好ましい実施の形態では、シルクポリペプチドは、各々がAAAAA(配列番号12)、AAAAAA(配列番号13)、AAAAAAA(配列番号14)、AAAAAAAA(配列番号15)、AAAAAAAAA(配列番号16)及びAAAAAAAAAA(配列番号17)からなる群から選択されるアミノ酸配列を少なくとも1つ(例えば1つ、2つ、3つ、4つ、5つ又は6つ)、好ましくは1つ含む反復単位を含む、又はこれからなる。
本発明の別の好ましい実施の形態では、シルクタンパク質は、各々がGPGAS(配列番号5)、GPGSG(配列番号6)、GPGGY(配列番号7)、GPGGP(配列番号8)、GPGGA(配列番号9)、GPGQQ(配列番号4)、GPGGG(配列番号10)、GPGQG(配列番号40)、GPGGS(配列番号11)、GGY、GGP、GGA、GGR、GGS、GGT、GGN、GGQ、AAAAA(配列番号12)、AAAAAA(配列番号13)、AAAAAAA(配列番号14)、AAAAAAAA(配列番号15)、AAAAAAAAA(配列番号16)、AAAAAAAAAA(配列番号17)、GGRPSDTYG(配列番号18)、及びGGRPSSSYG(配列番号19)からなる群から選択されるアミノ酸配列を少なくとも1つ(例えば1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個、20個、21個、22個、23個、24個又は25個)、好ましくは1つ含む反復単位を含む、又はこれからなる。
最も好ましくは、本発明の方法により単離されるシルクタンパク質は、
(i)アミノ酸配列として、好ましくはこの順番でGPGAS(配列番号5)、AAAAAA(配列番号13)、GGY及びGPGSG(配列番号6)、
(ii)アミノ酸配列として、好ましくはこの順番でAAAAAAAA(配列番号15)、GPGGY(配列番号7)、GPGGY(配列番号7)及びGPGGP(配列番号8)、
(iii)アミノ酸配列として、GPGQQ(配列番号4)、GPGQQ(配列番号4)、GPGQQ(配列番号4)及びGPGQQ(配列番号4)、
(iv)アミノ酸配列として、好ましくはこの順番でGPGGA(配列番号9)、GGP、GPGGA(配列番号9)、GGP、GPGGA(配列番号9)及びGGP、
(v)アミノ酸配列として、好ましくはこの順番でAAAAAAAA(配列番号15)、GPGQG(配列番号40)及びGGR、
(vi)アミノ酸配列として、好ましくはこの順番でAAAAAAAA(配列番号15)、GPGGG(配列番号10)、GGR、GGN及びGGR、
(vii)アミノ酸配列として、好ましくはこの順番でGGA、GGA、GGA、GGS、GGA及びGGS、及び/又は
(viii)アミノ酸配列として、好ましくはこの順番でGPGGA(配列番号9)、GPGGY(配列番号7)、GPGGS(配列番号11)、GPGGY(配列番号7)、GPGGS(配列番号11)及びGPGGY(配列番号7)
を含むか又はこれからなる反復単位を含む、これから本質的になる、又はこれからなる。
上述のシルクポリペプチドに含まれる反復単位のうち少なくとも2つが同一の反復単位であることに留意すべきである。
好ましくは、本発明の方法により単離されるシルクポリペプチドは、2個〜80個の反復単位、3個〜80個の反復単位、又は4個〜60個の反復単位、より好ましくは8個〜48個の反復単位、又は10個〜40個の反復単位、最も好ましくは16個〜32個の反復単位、すなわち2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個、20個、21個、22個、23個、24個、25個、26個、27個、28個、29個、30個、31個、32個、33個、34個、35個、36個、37個、38個、39個、40個、41個、42個、43個、44個、45個、46個、47個、48個、49個、50個、51個、52個、53個、54個、55個、56個、57個、58個、59個、60個、61個、62個、63個、64個、65個、66個、67個、68個、69個、70個、71個、72個、73個、74個、75個、76個、77個、78個、79個又は80個の反復単位(各々が、
i)GPGXX(配列番号3)(ここでXは任意のアミノ酸であり、好ましくはそれぞれの場合で独立してA、S、G、Y、P及びQから選択される任意のアミノ酸である)、
ii)GGX(ここでXは任意のアミノ酸であり、好ましくはそれぞれの場合で独立してY、P、R、S、A、T、N及びQから選択され、より好ましくはそれぞれの場合で独立してY、P及びQから選択される任意のアミノ酸である)、及び
iii)A(ここでxは5〜10の整数である)
からなる群から選択されるコンセンサス配列を少なくとも1つ、好ましくは1つ含む)を含む、これから本質的になる、又はこれからなる。
上述のように、本発明の方法により単離されるシルクポリペプチドに含まれる反復単位のうち少なくとも2つが同一の反復単位である。
本発明の方法により単離されるシルクタンパク質が、2個〜80個の反復単位、3個〜80個の反復単位又は4個〜60個の反復単位、より好ましくは8個〜48個の反復単位又は10個〜40個の反復単位、最も好ましくは16個〜32個の反復単位(各々がGGRPSDTYG(配列番号18)及びGGRPSSSYG(配列番号19)からなる群から選択されるアミノ酸配列を少なくとも1つ、好ましくは1つ含む)を含む、又はこれからなることも好ましい。
このため、本発明の方法により単離されるシルクタンパク質は好ましくは、2個〜80個の反復単位、3個〜80個の反復単位又は4個〜60個の反復単位、より好ましくは8個〜48個の反復単位又は10個〜40個の反復単位、最も好ましくは16個〜32個の反復単位(各々がGPGAS(配列番号5)、GPGSG(配列番号6)、GPGGY(配列番号7)、GPGGP(配列番号8)、GPGGA(配列番号9)、GPGQQ(配列番号4)、GPGQG(配列番号40)、GPGGG(配列番号10)、GPGGS(配列番号11)、GGY、GGP、GGA、GGR、GGS、GGT、GGN、GGQ、AAAAA(配列番号12)、AAAAAA(配列番号13)、AAAAAAA(配列番号14)、AAAAAAAA(配列番号15)、AAAAAAAAA(配列番号16)、AAAAAAAAAA(配列番号17)、GGRPSDTYG(配列番号18)、及びGGRPSSSYG(配列番号19)からなる群から選択されるアミノ酸配列を少なくとも1つ(例えば1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個、20個、21個、22個、23個、24個又は25個)、好ましくは1つ含む)を含む、又はこれからなる。
最も好ましくは、本発明の方法により単離されるシルクタンパク質は、
(i)アミノ酸配列として、好ましくはこの順番でGPGAS(配列番号5)、AAAAAA(配列番号13)、GGY及びGPGSG(配列番号6)を含む又はこれからなる反復単位、
(ii)アミノ酸配列として、好ましくはこの順番でAAAAAAAA(配列番号15)、GPGGY(配列番号7)、GPGGY(配列番号7)及びGPGGP(配列番号8)を含む又はこれからなる反復単位、
(iii)アミノ酸配列として、GPGQQ(配列番号4)、GPGQQ(配列番号4)、GPGQQ(配列番号4)及びGPGQQ(配列番号4)を含む又はこれからなる反復単位、
(iv)アミノ酸配列として、好ましくはこの順番でGPGGA(配列番号9)、GGP、GPGGA(配列番号9)、GGP、GPGGA(配列番号9)及びGGPを含む又はこれからなる反復単位、
(v)アミノ酸配列として、好ましくはこの順番でAAAAAAAA(配列番号15)、GPGQG(配列番号40)及びGGRを含む又はこれからなる反復単位、
(vi)アミノ酸配列として、好ましくはこの順番でAAAAAAAA(配列番号15)、GPGGG(配列番号10)、GGR、GGN及びGGRを含む又はこれからなる反復単位、
(vii)アミノ酸配列として、好ましくはこの順番でGGA、GGA、GGA、GGS、GGA及びGGSを含む又はこれからなる反復単位、及び/又は
(viii)アミノ酸配列として、好ましくはこの順番でGPGGA(配列番号9)、GPGGY(配列番号7)、GPGGS(配列番号11)、GPGGY(配列番号7)、GPGGS(配列番号11)及びGPGGY(配列番号7)を含む又はこれからなる反復単位
を含む、これから本質的になる、又はこれからなる。
上述のシルクポリペプチドに含まれる反復単位のうち少なくとも2つが同一の反復単位であることに留意すべきである。
好ましくは、本発明の方法により単離されるシルクポリペプチドは、
(i)反復単位として(GPGXX)(配列番号3)(ここでXは任意のアミノ酸であり、好ましくはそれぞれの場合で独立してA、S、G、Y、P及びQから選択される任意のアミノ酸であり、nは2、3、4、5、6、7、8又は9である)、
ii)反復単位として(GGX)(ここでXは任意のアミノ酸であり、好ましくはそれぞれの場合で独立してY、P、R、S、A、T、N及びQから選択され、より好ましくはそれぞれの場合で独立してY、P及びQから選択される任意のアミノ酸であり、nは2、3、4、5、6、7又は8である)、及び/又は
iii)反復単位として(A(ここでxは5〜10の整数であり、nは2、3、4、5、6、7、8、9又は10である)
を含む、これから本質的になる、又はこれからなる。
上述のように、本発明の方法により単離されるシルクポリペプチドに含まれる反復単位のうち少なくとも2つは同一の反復単位である。
反復単位は独立して、モジュールA(配列番号20)、モジュールC(配列番号21)、モジュールQ(配列番号22)、モジュールK(配列番号23)、モジュールsp(配列番号24)、モジュールS(配列番号25)、モジュールR(配列番号26)、モジュールX(配列番号27)若しくはモジュールY(配列番号28)、又はその変異体(すなわちモジュールA変異体、モジュールC変異体、モジュールQ変異体、モジュールK変異体、モジュールsp変異体、モジュールS変異体、モジュールR変異体、モジュールX変異体又はモジュールY変異体)から選択されるのが好ましい。モジュールA(配列番号20)及びモジュールQ(配列番号22)はニワオニグモのADF−3のアミノ酸配列をベースにしている。モジュールC(配列番号21)はニワオニグモ(Araneus diadematus)のADF−4のアミノ酸配列をベースにしている。モジュールK(配列番号23)、モジュールsp(配列番号24)、モジュールX(配列番号27)及びモジュールY(配列番号28)はアメリカジョロウグモ(Nephila clavipes)の鞭毛状タンパク質FLAGのアミノ酸配列をベースにしている(国際公開第2006/008163号)。モジュールS(配列番号25)及びモジュールR(配列番号26)はレジリン(節足動物門)をベースにしている(国際公開第2008/155304号)。
このため本発明の好ましい実施の形態では、シルクポリペプチドの反復単位は、モジュールA:GPYGPGASAAAAAAGGYGPGSGQQ(配列番号20)、モジュールC:GSSAAAAAAAASGPGGYGPENQGPSGPGGYGPGGP(配列番号21)、モジュールQ:GPGQQGPGQQGPGQQGPGQQ(配列番号22)、モジュールK:GPGGAGGPYGPGGAGGPYGPGGAGGPY(配列番号23)、モジュールsp:GGTTIIEDLDITIDGADGPITISEELTI(配列番号24)、モジュールS:PGSSAAAAAAAASGPGQGQGQGQGQGGRPSDTYG(配列番号25)、モジュールR:SAAAAAAAAGPGGGNGGRPSDTYGAPGGGNGGRPSSSYG(配列番号26)、モジュールX:GGAGGAGGAGGSGGAGGS(配列番号27)若しくはモジュールY:GPGGAGPGGYGPGGSGPGGYGPGGSGPGGY(配列番号28)、又はそれらの変異体からなる。
好ましくは、本発明の方法により単離されるシルクタンパク質は、2個〜(to)80個の反復単位、3個〜80個の反復単位又は4個〜60個の反復単位、より好ましくは8個〜48個の反復単位又は10個〜40個の反復単位、最も好ましくは16個〜32個の反復単位、すなわち2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個、20個、21個、22個、23個、24個、25個、26個、27個、28個、29個、30個、31個、32個、33個、34個、35個、36個、37個、38個、39個、40個、41個、42個、43個、44個、45個、46個、47個、48個、49個、50個、51個、52個、53個、54個、55個、56個、57個、58個、59個、60個、61個、62個、63個、64個、65個、66個、67個、68個、69個、70個、71個、72個、73個、74個、75個、76個、77個、78個、79個又は80個の反復単位(独立して、モジュールA(配列番号20)、モジュールC(配列番号21)、モジュールQ(配列番号22)、モジュールK(配列番号23)、モジュールsp(配列番号24)、モジュールS(配列番号25)、モジュールR(配列番号26)、モジュールX(配列番号27)若しくはモジュールY(配列番号28)、又はその変異体(すなわちモジュールA変異体、モジュールC変異体、モジュールQ変異体、モジュールK変異体、モジュールsp変異体、モジュールS変異体、モジュールR変異体、モジュールX変異体又はモジュールY変異体)から選択される)を含む、これから本質的になる、又はこれからなる。本発明の方法により単離されるシルクポリペプチドに含まれる反復単位のうち少なくとも2つが同一の反復単位(モジュール)であることに留意すべきである。
このため、本発明の方法により単離されるシルクポリペプチドは、(i)モジュールAからなる反復単位(複数も可)及び/又はモジュールA変異体からなる反復単位(複数も可)、(ii)モジュールCからなる反復単位(複数も可)及び/又はモジュールC変異体からなる反復単位(複数も可)、(iii)モジュールQからなる反復単位(複数も可)及び/又はモジュールQ変異体からなる反復単位(複数も可)、(iv)(a)モジュールAからなる反復単位(複数も可)及びモジュールQからなる反復単位(複数も可)、(b)モジュールAからなる反復単位(複数も可)及びモジュールQ変異体からなる反復単位(複数も可)、(c)モジュールA変異体からなる反復単位(複数も可)及びモジュールQからなる反復単位(複数も可)、(d)モジュールA変異体からなる反復単位(複数も可)及びモジュールQ変異体からなる反復単位(複数も可)、(v)(a)モジュールAからなる反復単位(複数も可)及びモジュールCからなる反復単位(複数も可)、(b)モジュールAからなる反復単位(複数も可)及びモジュールC変異体からなる反復単位(複数も可)、(c)モジュールA変異体からなる反復単位(複数も可)及びモジュールCからなる反復単位(複数も可)、(d)モジュールA変異体からなる反復単位(複数も可)及びモジュールC変異体からなる反復単位(複数も可)、(vi)(a)モジュールCからなる反復単位(複数も可)及びモジュールQからなる反復単位(複数も可)、(b)モジュールCからなる反復単位(複数も可)及びモジュールQ変異体からなる反復単位(複数も可)、(c)モジュールC変異体からなる反復単位(複数も可)及びモジュールQからなる反復単位(複数も可)、(d)モジュールC変異体からなる反復単位(複数も可)及びモジュールQ変異体からなる反復単位(複数も可)、又は(vii)(a)モジュールAからなる反復単位(複数も可)、モジュールQからなる反復単位(複数も可)及びモジュールCからなる反復単位(複数も可)、(b)モジュールAからなる反復単位(複数も可)、モジュールQからなる反復単位(複数も可)及びモジュールC変異体からなる反復単位(複数も可)、(c)モジュールAからなる反復単位(複数も可)、モジュールQ変異体からなる反復単位(複数も可)及びモジュールCからなる反復単位(複数も可)、(d)モジュールA変異体からなる反復単位(複数も可)、モジュールQからなる反復単位(複数も可)及びモジュールCからなる反復単位(複数も可)、(e)モジュールAからなる反復単位(複数も可)、モジュールQ変異体からなる反復単位(複数も可)及びモジュールC変異体からなる反復単位(複数も可)、(f)モジュールA変異体からなる反復単位(複数も可)、モジュールQ変異体からなる反復単位(複数も可)及びモジュールCからなる反復単位(複数も可)、(g)モジュールA変異体からなる反復単位(複数も可)、モジュールQからなる反復単位(複数も可)及びモジュールC変異体からなる反復単位(複数も可)、(h)モジュールA変異体からなる反復単位(複数も可)、モジュールQ変異体からなる反復単位(複数も可)及びモジュールC変異体からなる反復単位(複数も可)を含む、これから本質的になる、又はこれからなるのが好ましい。
本発明の方法により単離されるシルクポリペプチドが少なくとも2つの同一の反復単位を含む又はこれからなるという条件で、モジュールA、モジュールC、モジュールQ、モジュールK、モジュールsp、モジュールS、モジュールR、モジュールX、モジュールY、又はその変異体(すなわちモジュールA変異体、モジュールC変異体、モジュールQ変異体、モジュールK変異体、モジュールsp変異体、モジュールS変異体、モジュールR変異体、モジュールX変異体又はモジュールY変異体)を各々の任意の組合せ及び任意の数で互いに組み合わせることもできる、すなわち例えば、モジュール(反復単位)Aをモジュール(反復単位)Qと組み合わせることができ(すなわち組合せAQ)、モジュール(反復単位)Cをモジュール(反復単位)Qと組み合わせることができ(すなわち組合せCQ)、モジュール(反復単位)Qをモジュール(反復単位)A及びモジュール(反復単位)Qと組み合わせることができ(すなわち組合せQAQ)、モジュール(反復単位)Aをモジュール(反復単位)A及びモジュール(反復単位)Qと組み合わせることができる(すなわち組合せAAQ)。例えば、本発明の方法により単離されるシルクポリペプチドは、A、(AA)、(AQ)、(QA)、Q、(QQ)、(QAQ)、(AQA)、C、(CC)、(CCC)、(CQ)、(QC)、(QCQ)、(CQC)、(AA)、(QQ)、(AAA)、(QQQ)、(AQQ)、(QQA)、K、sp、S、R、X、Y、(Ksp)、(spK)、(XY)、(YX)、(XX)、(YY)、(XXX)、(YYY)、(AX)、(XA)、(CX)、(XC)、(QX)、(XQ)、(YQ)、(QY)、(SS)、(SR)、(RS)又は(RR)(ここでnは少なくとも2、好ましくは4、8、9、10、12、16、20、24又は32である)を含み得る又はこれからなり得る。シルクポリペプチドが(AQ)12からなる場合、シルクポリペプチドには、モジュール(反復単位)Aが12回存在し、モジュール(反復単位)Qも12回存在し、そのためシルクポリペプチドは24個のモジュール(反復単位)からなることに留意する。(AQ)12からなるシルクポリペプチドのモジュール(繰り返し単位)の配置は以下のとおりである:AQAQAQAQAQAQAQAQAQAQAQAQ。さらに、シルクポリペプチドのモジュール(繰り返し単位)のシルクポリペプチドが(QAQ)からなる場合、シルクポリペプチドには、モジュール(繰り返し単位)Aが8回存在し、モジュール(反復単位)Qが16回存在し、そのためシルクポリペプチドは24個のモジュール(反復単位)からなることに留意する。(QAQ)からなるシルクポリペプチドのモジュール(繰り返し単位)の配置は以下のとおりである:QAQQAQQAQQAQQAQQAQQAQQAQ。
本発明の方法により単離されるシルクポリペプチドはまた、(AQ)、(AQ、(A、(QA)、(QA、(Q、(QAQ、(QAQ)、(QAQ)、(QA、(QQ)、(QAQ、(Q、(AQA、(AQA)、(AQA)、(AQ、(AA)、(AQA、(A(ここでnは少なくとも2、好ましくは4、8、9、10、12、16、20、24又は32であり、はモジュール変異体、すなわちモジュールA変異体又はモジュールQ変異体を示す)を含み得る又はこれからなり得る。
「互いに組み合わせた」又は「互いに連結した」という用語は、本発明との関連では、複数のモジュール(反復単位)が互いに直接組み合わされている若しくは連結されていることを意味し得る、又は本発明との関連では、複数のモジュール(反復単位)が1つ又は複数のスペーサーアミノ酸を介して互いに組み合わされている若しくは連結されていることを意味し得る。好ましい実施の形態では、シルクポリペプチドに含まれるモジュール(反復単位)が互いに直接組み合わされている若しくは連結されている。他の好ましい実施の形態では、シルクポリペプチドに含まれるモジュール(反復単位)が、1個〜25個又は1個〜20個のスペーサーアミノ酸を介して、より好ましくは1個〜15個又は1個〜10個のスペーサーアミノ酸を介して、最も好ましくは1個〜5個のスペーサーアミノ酸を介して、すなわち1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個、20個、21個、22個、23個、24個又は25個のスペーサーアミノ酸を介して互いに組み合わされている又は連結されている。上記スペーサーアミノ酸はタンパク質において自然発生的な任意のアミノ酸であり得る。好ましくは、上記スペーサーアミノ酸はプロリンではない。アラニン又はグリシン等の非荷電アミノ酸が特に好ましい。上記スペーサーアミノ酸は、不溶性であり、その不溶性を保持するというシルクタンパク質の性質を変えることのないアミノ酸であることが好ましく、そのため上記シルクタンパク質を未だに、本発明の方法の工程c)において可溶化した不溶性の宿主細胞部から分離することができる。上記スペーサーアミノ酸は、立体障害を引き起こさないアミノ酸、例えばアラニン又はグリシン等のサイズが小さいアミノ酸であるのが更に好ましい。より好ましい実施の形態では、シルクポリペプチドは、互いに直接組み合わせられるモジュール、及び1個〜25個又は1個〜20個のスペーサーアミノ酸を介して、より好ましくは1個〜15個又は1個〜10個のスペーサーアミノ酸を介して、最も好ましくは1個〜5個のスペーサーアミノ酸を介して、すなわち1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個、20個、21個、22個、23個、24個又は25個のスペーサーアミノ酸を介して互いに組み合わせられるモジュールを含む。
モジュールA、モジュールC、モジュールQ、モジュールK、モジュールsp、モジュールS、モジュールR、モジュールX又はモジュールYの変異体は参照(野生型)モジュールA、モジュールC、モジュールQ、モジュールK、モジュールsp、モジュールS、モジュールR、モジュールX又はモジュールYとは異なり、該変異体はそれらからアミノ酸配列における最大1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個、14個又は15個のアミノ酸変化(すなわち置換、付加、挿入、欠失、N末端切断及び/又はC末端切断)により誘導される。代替的に又は付加的に、このようなモジュール変異体は、変異体の誘導元である参照(野生型)モジュールに対する或る特定の程度の配列同一性を特徴とし得る。このため、モジュールA、モジュールC、モジュールQ、モジュールK、モジュールsp、モジュールS、モジュールR、モジュールX又はモジュールYの変異体は、各参照(野生型)モジュールA、モジュールC、モジュールQ、モジュールK、モジュールsp、モジュールS、モジュールR、モジュールX又はモジュールYに対する少なくとも50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は更には99.9%の配列同一性を有する。好ましくは配列同一性は、各参照(野生型)モジュールA、モジュールC、モジュールQ、モジュールK、モジュールsp、モジュールS、モジュールR、モジュールX又はモジュールYの少なくとも10個、15個、18個、20個、24個、27個、28個、30個、34個、35個又はそれ以上のアミノ酸の連続ストレッチにわたる、好ましくは全長にわたるものである。
配列同一性は、各参照(野生型)モジュールA、モジュールC、モジュールQ、モジュールK、モジュールsp、モジュールS、モジュールR、モジュールX又はモジュールYの全長にわたって少なくとも80%、全長にわたって少なくとも85%、全長にわたって少なくとも90%、全長にわたって少なくとも95%、全長にわたって少なくとも98%、又は全長にわたって少なくとも99%であるのが特に好ましい。配列同一性は、各参照(野生型)モジュールA、モジュールC、モジュールQ、モジュールK、モジュールsp、モジュールS、モジュールR、モジュールX若しくはモジュールYのうちの少なくとも10個、15個、18個、20個、24個、28個若しくは30個のアミノ酸の連続ストレッチにわたって少なくとも80%、少なくとも10個、15個、18個、20個、24個、28個若しくは30個のアミノ酸の連続ストレッチにわたって少なくとも85%、少なくとも10個、15個、18個、20個、24個、28個若しくは30個のアミノ酸の連続ストレッチにわたって少なくとも90%、少なくとも10個、15個、18個、20個、24個、28個若しくは30個のアミノ酸の連続ストレッチにわたって少なくとも95%、少なくとも10個、15個、18個、20個、24個、28個若しくは30個のアミノ酸の連続ストレッチにわたって少なくとも98%、又は少なくとも10個、15個、18個、20個、24個、28個若しくは30個のアミノ酸の連続ストレッチにわたって少なくとも99%であるのが更に特に好ましい。
モジュールA、モジュールC、モジュールQ、モジュールK、モジュールsp、モジュールS、モジュールR、モジュールX又はモジュールYの断片(又は欠失変異体)は好ましくは、そのN末端に及び/又はそのC末端に最大1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個、14個又は15個のアミノ酸の欠失を有する。欠失は内部にあってもよい。
さらに、モジュールA、モジュールC、モジュールQ、モジュールK、モジュールsp、モジュールS、モジュールR、モジュールX又はモジュールYの変異体又は断片は、変異体又は断片の元となるアミノ酸配列に関する修飾が、不溶性であり、その不溶性を保持するというシルクタンパク質の性質を変えることなく、そのため上記シルクタンパク質を未だに、本発明の方法の工程c)において可溶化した不溶性の宿主細胞部から分離することができる場合にのみ、本発明との関連においてモジュールA、モジュールC、モジュールQ、モジュールK、モジュールsp、モジュールS、モジュールR、モジュールX又はモジュールYの変異体又は断片とみなされる。好ましくは、モジュールA、モジュールC、モジュールQ、モジュールK、モジュールsp、モジュールS、モジュールR、モジュールX又はモジュールYの変異体又は断片を含むシルクタンパク質は、水溶液、例えば緩衝水溶液に、培養培地に、発酵培地に、工業用水に、又は脱イオン水に不溶性であり、10分〜90分の期間にわたって、例えば10分、15分、20分、25分、30分、35分、40分、45分、50分、55分、60分、65分、70分、75分、80分、85分、若しくは90分にわたって、及び/又は4℃〜60℃の温度で、例えば4℃、5℃、6℃、7℃、8℃、9℃、10℃、11℃、12℃、13℃、14℃、15℃、16℃、17℃、18℃、19℃、20℃、21℃、22℃、23℃、24℃、25℃、26℃、27℃、28℃、29℃、30℃、31℃、32℃、33℃、34℃、35℃、36℃、37℃、38℃、39℃、40℃、45℃、50℃、55℃、若しくは60℃で、塩基(例えば0.005M〜1MのNaOH)を含む、水溶液、例えば緩衝水溶液に、培養培地に、発酵培地に、工業用水又は脱イオン水に80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.9%を超えて、又は更には100%が不溶性のままである。本発明の好ましい実施の形態では、依然として不溶性である/不溶性のままである、モジュールA、モジュールC、モジュールQ、モジュールK、モジュールsp、モジュールS、モジュールR、モジュールX又はモジュールYの変異体又は断片を含むシルクタンパク質を、濾過、好ましくは10nm〜200nmの孔径を有するフィルター膜を用いた濾過により、及び/又は遠心分離、好ましくは10分間〜40分間、好ましくは20分間〜40分間の3000×g〜12000×g、より好ましくは4000×g〜8000×gでの遠心分離により可溶化した不溶性の宿主細胞部から分離/単離する。
このため本発明の好ましい実施の形態では、反復単位は独立して、モジュールA(配列番号29)、モジュールA(配列番号30)、モジュールC(配列番号31)、モジュールCK1(配列番号32)、モジュールCK2(配列番号33)又はモジュールCKC(配列番号34)から選択される。モジュールA(配列番号29)、モジュールA(配列番号30)、モジュールC(配列番号31)、モジュールCK1(配列番号32)、モジュールCK2(配列番号33)及びモジュールCKC(配列番号34)は、ニワオニグモのADF−3のアミノ酸配列をベースとするモジュールA、及びニワオニグモのADF−4のアミノ酸配列をベースとするモジュールCの変異体である(国際公開第2007/025719号)。モジュールA(配列番号29)では、21位のアミノ酸S(セリン)がアミノ酸C(システイン)に置き換えられており、モジュールA(配列番号30)では、21位のアミノ酸Sがアミノ酸K(リジン)に置き換えられており、モジュールC(配列番号31)では、25位のアミノ酸Sがアミノ酸Cに置き換えられており、モジュールCK1(配列番号32)では、25位のアミノ酸Sがアミノ酸Kに置き換えられており、モジュールCK2(配列番号33)では、20位のアミノ酸E(グルタミン酸)がアミノ酸Kに置き換えられており、モジュールCKC(配列番号34)では、20位のアミノ酸Eがアミノ酸Kに置き換えられており、25位のアミノ酸Sがアミノ酸Cに置き換えられている(国際公開第2007/025719号)。
好ましくは、本発明の方法により単離されるシルクポリペプチドにおける反復単位は、モジュールA:GPYGPGASAAAAAAGGYGPGCGQQ(配列番号29)、モジュールA:GPYGPGASAAAAAAGGYGPGKGQQ(配列番号30)、モジュールC:GSSAAAAAAAASGPGGYGPENQGPCGPGGYGPGGP(配列番号31)、モジュールCK1:GSSAAAAAAAASGPGGYGPENQGPKGPGGYGPGGP(配列番号32)、モジュールCK2:GSSAAAAAAAASGPGGYGPKNQGPSGPGGYGPGGP(配列番号33)、又はモジュールCKC:GSSAAAAAAAASGPGGYGPKNQGPCGPGGYGPGGP(配列番号34)からなる。
本発明の方法により単離されるシルクポリペプチドが、2個〜80個の反復単位、3個〜80個の反復単位又は4個〜60個の反復単位、好ましくは8個〜48個の反復単位又は10個〜40個の反復単位、最も好ましくは16個〜32個の反復単位、すなわち2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個、20個、21個、22個、23個、24個、25個、26個、27個、28個、29個、30個、31個、32個、33個、34個、35個、36個、37個、38個、39個、40個、41個、42個、43個、44個、45個、46個、47個、48個、49個、50個、51個、52個、53個、54個、55個、56個、57個、58個、59個、60個、61個、62個、63個、64個、65個、66個、67個、68個、69個、70個、71個、72個、73個、74個、75個、76個、77個、78個、79個又は80個の反復単位(独立して、モジュールA(配列番号29)、モジュールA(配列番号30)、モジュールC(配列番号31)、モジュールCK1(配列番号32)、モジュールCK2(配列番号33)又はモジュールCKC(配列番号34)から選択される)を含む、これから本質的になる、又はこれからなることも好ましい。例えば、本発明の方法により単離されるシルクポリペプチドは、モジュールC 、モジュールC 、モジュールC 16、モジュールC 32、モジュールA 、モジュールA 又はモジュールA 10を含み得る又はこれからなり得る。本発明の方法により単離されるシルクポリペプチドに含まれる反復単位のうち少なくとも2つが同一の反復単位(モジュール)であることに留意すべきである。
例えば、シルクポリペプチドは、モジュールC 、モジュールC 、モジュールC 16、モジュールC 32、モジュールA 、モジュールA 又はモジュールA 10を含み得る又はこれからなり得る。
本発明の方法により単離されるシルクポリペプチドが少なくとも2つの同一の反復単位を含む又はこれからなるという条件で、モジュールA、モジュールC、モジュールCK1、モジュールCK2及びモジュールCKCを互いに組み合わせることもできる、すなわち例えば、モジュール(反復単位)Aをモジュール(反復単位)Cと組み合わせることができ(すなわち組合せA)、モジュール(反復単位)CK1をモジュール(反復単位)CK2及びモジュール(反復単位)CKCと組み合わせることができる(すなわち組合せCK1K2KC)。このため、本発明の方法により単離されるシルクポリペプチドはまた、モジュール(A、モジュール(C、モジュール(CK1、モジュール(CK2、モジュール(CKC、モジュール(A、モジュール(C、モジュール(CK1K2、モジュール(CK2K1、モジュール(CK1K2K1、モジュール(CK2K1K2、モジュール(CK1K2KC、モジュール(CKCK2KC又はモジュール(CKCK2K1(ここでnは少なくとも2、好ましくは4、5、6、7、8、10、12、16又は20である)を含み得る又はこれからなり得る。「互いに組み合わせた」という用語は上で定義される。
本発明の方法により単離されるシルクポリペプチドは、2個〜80個の反復単位、3個〜80個の反復単位又は4個〜60個の反復単位、好ましくは8個〜48個の反復単位又は10個〜40個の反復単位、最も好ましくは16個〜32個の反復単位、すなわち2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個、20個、21個、22個、23個、24個、25個、26個、27個、28個、29個、30個、31個、32個、33個、34個、35個、36個、37個、38個、39個、40個、41個、42個、43個、44個、45個、46個、47個、48個、49個、50個、51個、52個、53個、54個、55個、56個、57個、58個、59個、60個、61個、62個、63個、64個、65個、66個、67個、68個、69個、70個、71個、72個、73個、74個、75個、76個、77個、78個、79個又は80個の反復単位(独立して、モジュールA(配列番号20)若しくはその変異体、モジュールC(配列番号21)若しくはその変異体、モジュールQ(配列番号22)若しくはその変異体、モジュールK(配列番号23)若しくはその変異体、モジュールsp(配列番号24)若しくはその変異体、モジュールS(配列番号25)若しくはその変異体、モジュールR(配列番号26)若しくはその変異体、モジュールX(配列番号27)若しくはその変異体、モジュールY(配列番号28)若しくはその変異体、モジュールA(配列番号29)、モジュールA(配列番号30)、モジュールC(配列番号31)、モジュールCK1(配列番号32)、モジュールCK2(配列番号33)、又はモジュールCKC(配列番号34)から選択される)を含む、これから本質的になる、又はこれからなるのが更に好ましい。この場合も、本発明の方法により単離されるシルクポリペプチドに含まれる反復単位のうち少なくとも2つが同一の反復単位(モジュール)であることに留意すべきである。
本発明の方法により単離されるシルクポリペプチドが少なくとも2つの同一の反復単位を含む又はこれからなるという条件で、モジュールA、モジュールC、モジュールCK1、モジュールCK2及びモジュールCKCを、モジュールA、モジュールC、モジュールQ、モジュールK、モジュールsp、モジュールS、モジュールR、モジュールX又はモジュールYと互いに組み合わせることもできる、すなわち例えば、モジュール(反復単位)Aをモジュール(反復単位)Cと組み合わせることができ(すなわち組合せAC)、又はモジュール(反復単位)Cをモジュール(反復単位)Cと組み合わせることができる(すなわち組合せCC)。このため、本発明の方法により単離されるシルクポリペプチドはまた、モジュール(AQA、モジュール(QA、モジュール(QAQ)、モジュール(AQA)、モジュール(AQA、モジュール(CC、モジュール(CCC)、モジュール(CC)、モジュール(CC、モジュール(CQ)、モジュール(QC、モジュール(QCQ)、モジュール(CQC)、モジュール(CQC、モジュール(CQC、モジュール(CCK1、モジュール(CK1C)、モジュール(CK1CC)、モジュール(CCK1C)、モジュール(CKCKCC)、モジュール(CCKCKC、モジュール(CKCQ)、モジュール(QCKC、モジュール(QCKCQ)、モジュール(AK1Q)、モジュール(QCK2、又はモジュール(CK1K2C)(ここでnは少なくとも2、好ましくは4、5、6、7、8、10、12、16又は20である)を含み得る又はこれからなり得る。「互いに組み合わせた」という用語は上で定義される。
例えば、本発明の方法により単離されるシルクポリペプチドは、モジュールC16、モジュールC16、モジュールC、モジュールC 、モジュールC 、モジュールC 、モジュールC 、モジュールC(AQ)24又はモジュール(AQ)24を含む又はこれからなる。
本発明の方法により単離されるシルクポリペプチドは、少なくとも1つの非反復(NR)単位、すなわち1個、2個、3個、4個、5個、6個又はそれ以上のNR単位、好ましくは1個のNR単位を更に含むことができる。本発明との関連では、「非反復(NR)単位」という用語は、明らかな反復パターンを示さない、自然発生的なシルクポリペプチドに存在するアミノ酸の領域(非反復単位又はNR単位)を表す。好ましくは、非反復単位のアミノ酸配列は、自然発生的なドラグラインポリペプチド、好ましくはADF−3(配列番号1)若しくはADF−4(配列番号2)の非反復アミノ酸配列に、又はそれと実質的に類似のアミノ酸配列に相当する。
非反復単位のアミノ酸配列は、自然発生的なドラグラインポリペプチド、好ましくはADF−3(配列番号1)若しくはADF−4(配列番号2)の非反復カルボキシ末端アミノ酸配列に、又はそれと実質的に類似のアミノ酸配列に相当するのが特に好ましい。より好ましくは、非反復単位のアミノ酸配列は、アミノ酸513〜アミノ酸636を含むADF−3(配列番号1)若しくはアミノ酸302〜アミノ酸410を含むADF−4(配列番号2)の非反復カルボキシ末端アミノ酸配列に、又はそれと実質的に類似のアミノ酸配列に相当する。
この関連で「実質的に類似の」は、好ましくは20個、30個、40個、50個、60個、70個、80個又はそれ以上のアミノ酸にわたる、より好ましくは自然発生的なドラグラインポリペプチド、好ましくはADF−3(配列番号1)又はADF−4(配列番号2)の各参照非反復(カルボキシ末端)アミノ酸配列の全長にわたる少なくとも50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は更には99.9%のアミノ酸同一性の程度を意味する。
自然発生的なドラグラインポリペプチド(すなわち野生型非反復(カルボキシ末端)単位)内の、好ましくはADF−3(配列番号1)又はADF−4(配列番号2)内の対応する非反復(カルボキシ末端)アミノ酸配列と「実質的に類似の」アミノ酸配列を有する「非反復単位」は、その性質に関しても類似している。例えば「実質的に類似の反復単位」を含むシルクタンパク質も不溶性であり、その不溶性を保持するため、これも本発明の方法の工程c)において可溶化した不溶性の宿主細胞部から分離することができる。好ましくは、「実質的に類似の非反復単位」を含むシルクタンパク質は、水溶液、例えば緩衝水溶液に、培養培地に、発酵培地に、工業用水に、又は脱イオン水に不溶性であり、10分〜90分の期間にわたって、例えば10分、15分、20分、25分、30分、35分、40分、45分、50分、55分、60分、65分、70分、75分、80分、85分、若しくは90分にわたって、及び/又は4℃〜60℃の温度で、例えば4℃、5℃、6℃、7℃、8℃、9℃、10℃、11℃、12℃、13℃、14℃、15℃、16℃、17℃、18℃、19℃、20℃、21℃、22℃、23℃、24℃、25℃、26℃、27℃、28℃、29℃、30℃、31℃、32℃、33℃、34℃、35℃、36℃、37℃、38℃、39℃、40℃、45℃、50℃、55℃、若しくは60℃で、塩基(例えば0.005M〜1MのNaOH)を含む、水溶液、例えば緩衝水溶液に、培養培地に、発酵培地に、工業用水又は脱イオン水に80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.9%を超えて、又は更には100%が不溶性のままである。本発明の好ましい実施の形態では、依然として不溶性である/不溶性のままである、「実質的に類似の非反復単位」を含むシルクタンパク質を、濾過、好ましくは10nm〜200nmの孔径を有するフィルター膜を用いた濾過により、及び/又は遠心分離、好ましくは10分間〜40分間、好ましくは20分間〜40分間の3000×g〜12000×g、より好ましくは4000×g〜8000×gでの遠心分離により可溶化した不溶性の宿主細胞部から分離/単離する。
最も好ましくは、非反復(NR)単位は、NR3(配列番号41)若しくはその変異体、又はNR4(配列番号42)若しくはその変異体である。NR3(配列番号41)単位はニワオニグモのADF−3のアミノ酸配列をベースとしており、NR4(配列番号42)単位はニワオニグモのADF−4のアミノ酸配列をベースとしている(国際公開第2006/008163号)。
NR3単位又はNR4単位の変異体は、参照NR3(配列番号41)単位又はNR4(配列番号42)単位とは異なり、該変異体はそれらからアミノ酸配列における最大1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個、20個、25個又は30個のアミノ酸変化(すなわち置換(exchanges)、挿入、欠失、N末端切断及び/又はC末端切断)により誘導される。代替的に又は付加的に、このようなNR3単位又はNR4単位の変異体は、変異体の誘導元である参照NR3単位又はNR4単位に対する或る特定の程度の配列同一性を特徴とし得る。このため、NR3単位又はNR4単位の変異体は、各参照NR3単位又はNR4単位に対する少なくとも50%、55%、60%、65%、70%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は更には99.9%の配列同一性を有する。好ましくは配列同一性は、各参照NR3単位又はNR4単位の少なくとも10個、20個、30個、40個、50個、60個、70個、80個、90個又はそれ以上のアミノ酸の連続ストレッチにわたる、好ましくは全長にわたるものである。
配列同一性は各参照NR3単位又はNR4単位の全長にわたって少なくとも80%、全長にわたって少なくとも85%、全長にわたって少なくとも90%、全長にわたって少なくとも95%、全長にわたって少なくとも98%、又は全長にわたって少なくとも99%であるのが特に好ましい。配列同一性は各参照NR3単位若しくはNR4単位のうちの少なくとも20個、30個、40個、50個、60個、70個若しくは80個のアミノ酸の連続ストレッチにわたって少なくとも80%、少なくとも20個、30個、40個、50個、60個、70個若しくは80個のアミノ酸の連続ストレッチにわたって少なくとも85%、少なくとも20個、30個、40個、50個、60個、70個若しくは80個のアミノ酸の連続ストレッチにわたって少なくとも90%、少なくとも20個、30個、40個、50個、60個、70個若しくは80個のアミノ酸の連続ストレッチにわたって少なくとも95%、少なくとも20個、30個、40個、50個、60個、70個若しくは80個のアミノ酸の連続ストレッチにわたって少なくとも98%、又は少なくとも20個、30個、40個、50個、60個、70個若しくは80個のアミノ酸の連続ストレッチにわたって少なくとも99%であるのが更に特に好ましい。
NR3単位又はNR4単位の断片(又は欠失変異体)は好ましくは、そのN末端に及び/又はそのC末端に最大1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個、20個、21個、22個、23個、24個、25個、30個、35個、40個、45個、50個、55個又は60個のアミノ酸の欠失を有する。欠失は内部にあってもよい。
さらに、NR3単位又はNR4単位の変異体又は断片は、変異体又は断片の元となるアミノ酸配列に関する修飾が、不溶性であり、その不溶性を保持するというシルクタンパク質の性質を変えることなく、そのため上記シルクタンパク質を未だに、本発明の方法の工程c)において可溶化した不溶性の宿主細胞部から分離することができる場合にのみ、本発明との関連においてNR3単位又はNR4単位の変異体又は断片とみなされる。好ましくは、NR3単位又はNR4単位の変異体又は断片を含むシルクタンパク質は、水溶液、例えば緩衝水溶液に、培養培地に、発酵培地に、工業用水に、又は脱イオン水に不溶性であり、10分〜90分の期間にわたって、例えば10分、15分、20分、25分、30分、35分、40分、45分、50分、55分、60分、65分、70分、75分、80分、85分、若しくは90分にわたって、及び/又は4℃〜60℃の温度で、例えば4℃、5℃、6℃、7℃、8℃、9℃、10℃、11℃、12℃、13℃、14℃、15℃、16℃、17℃、18℃、19℃、20℃、21℃、22℃、23℃、24℃、25℃、26℃、27℃、28℃、29℃、30℃、31℃、32℃、33℃、34℃、35℃、36℃、37℃、38℃、39℃、40℃、45℃、50℃、55℃、若しくは60℃で、塩基(例えば0.005M〜1MのNaOH)を含む、水溶液、例えば緩衝水溶液に、培養培地に、発酵培地に、工業用水又は脱イオン水に80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.9%を超えて、又は更には100%が不溶性のままである。本発明の好ましい実施の形態では、依然として不溶性である/不溶性のままである、NR3単位又はNR4単位の変異体又は断片を含むシルクタンパク質を、濾過、好ましくは10nm〜200nmの孔径を有するフィルター膜を用いた濾過により、及び/又は遠心分離、好ましくは10分間〜40分間、好ましくは20分間〜40分間の3000×g〜12000×g、より好ましくは4000×g〜8000×gでの遠心分離により可溶化した不溶性の宿主細胞部から分離/単離する。
好ましくは、本発明の方法により単離されるシルクタンパク質は、ADF−3(配列番号1)又はその変異体、ADF−4(配列番号2)又はその変異体、MaSp I(配列番号43)又はその変異体、MaSp II(配列番号44)又はその変異体、(C)、(C)NR、NR(C)、NR(C)NR、(AQ)、(AQ)NR、NR(AQ)、NR(AQ)NR、(QAQ)、NR(QAQ)、(QAQ)NR、Y、X及びK(ここで、mは2〜64(すなわち2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67又は68)の整数であり、nは6〜24(すなわち6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23又は24)の整数であり、oは8〜16(すなわち8、9、10、11、12、13、14、15又は16)の整数であり、pは8〜16(すなわち8、9、10、11、12、13、14、15又は16)の整数であり、zは1〜3(すなわち1、2又は3)の整数であり、NRは非反復単位を表す)からなる群から選択される。上述の式は以下のうちの1つにより定義される。
(i)式(C)では、配列番号21によるアミノ酸配列で表される、数「m」のCモジュール、すなわち2個〜64個のCモジュールが互いに組み合わせられ、
(ii)式(C)NRでは、配列番号21によるアミノ酸配列で表される、数「m」のCモジュール、すなわち2個〜64個のCモジュールが互いに組み合わせられ、上記Cモジュールはさらに、数「z」の非反復(NR)単位、すなわち1個〜3個の非反復(NR)単位、例えば配列番号41によるアミノ酸配列で表される非反復(NR)単位NR3又は配列番号42によるアミノ酸配列で表される非反復(NR)単位NR4と組み合わせられ、
(iii)式NR(C)では、数「z」の非反復(NR)単位、すなわち1個〜3個の非反復(NR)単位、例えば配列番号41によるアミノ酸配列で表される非反復(NR)単位NR3又は配列番号42によるアミノ酸配列で表される非反復(NR)単位NR4が存在し(z=1)、又は互いに組み合わせられ(z=2又は3)、上記非反復(NR)単位(複数も可)はさらに、配列番号21によるアミノ酸配列で表される、数「m」のCモジュール、すなわち2個〜64個のCモジュールと組み合わせられ、
(iv)式NR(C)NRでは、数「z」の非反復(NR)単位、すなわち1個〜3個の非反復(NR)単位、例えば配列番号41によるアミノ酸配列で表される非反復(NR)単位NR3又は配列番号42によるアミノ酸配列で表される非反復(NR)単位NR4が存在し(z=1)、又は互いに組み合わせられ(z=2又は3)、上記非反復(NR)単位(複数も可)はさらに、配列番号21によるアミノ酸配列で表される、数「m」のCモジュール、すなわち2個〜64個のCモジュールと組み合わせられ、上記モジュールCはさらに、数「z」の非反復(NR)単位、すなわち1個〜3個の非反復(NR)単位、例えば配列番号41によるアミノ酸配列で表される非反復(NR)単位NR3又は配列番号42によるアミノ酸配列で表される非反復(NR)単位NR4と組み合わせられ、
(v)式(AQ)では、数「n」のAモジュールとQモジュールとの組合せ、すなわち6個〜24個のAモジュールとQモジュールとの組合せ(ここでモジュールAは配列番号20によるアミノ酸配列により表され、モジュールQは配列番号22によるアミノ酸配列により表される)が互いに組み合わされ、
(vi)式(AQ)NRでは、数「n」のAモジュールとQモジュールとの組合せ、すなわち6個〜24個のAモジュールとQモジュールとの組合せ(ここでモジュールAは配列番号20によるアミノ酸配列により表され、モジュールQは配列番号22によるアミノ酸配列により表される)が互いに組み合わされ、上記AモジュールとQモジュールとの組合せはさらに、数「z」の非反復(NR)単位、すなわち1個〜3個の非反復(NR)単位、例えば配列番号41によるアミノ酸配列で表される非反復(NR)単位NR3又は配列番号42によるアミノ酸配列で表される非反復(NR)単位NR4と組み合わせられ、
(vii)式NR(AQ)では、数「z」の非反復(NR)単位、すなわち1個〜3個の非反復(NR)単位、例えば配列番号41によるアミノ酸配列で表される非反復(NR)単位NR3又は配列番号42によるアミノ酸配列で表される非反復(NR)単位NR4が存在し(z=1)、又は互いに組み合わせられ(z=2又は3)、上記非反復(NR)単位(複数も可)はさらに、数「n」のAモジュールとQモジュールとの組合せ、すなわち6個〜24個のAモジュールとQモジュールとの組合せ(ここでモジュールAは配列番号20によるアミノ酸配列により表され、モジュールQは配列番号22によるアミノ酸配列により表される)と組み合わせられ、
(viii)式NR(AQ)NRでは、数「z」の非反復(NR)単位、すなわち1個〜3個の非反復(NR)単位、例えば配列番号41によるアミノ酸配列で表される非反復(NR)単位NR3又は配列番号42によるアミノ酸配列で表される非反復(NR)単位NR4が存在し(z=1)、又は互いに組み合わせられ(z=2又は3)、上記非反復(NR)単位(複数も可)はさらに、数「n」のAモジュールとQモジュールとの組合せ、すなわち6個〜24個のAモジュールとQモジュールとの組合せ(ここでモジュールAは配列番号20によるアミノ酸配列により表され、モジュールQは配列番号22によるアミノ酸配列により表される)と組み合わせられ、上記AモジュールとQモジュールとの組合せはさらに、数「z」の非反復(NR)単位、すなわち1〜3個の非反復(NR)単位、例えば配列番号41によるアミノ酸配列で表される非反復(NR)単位NR3又は配列番号42によるアミノ酸配列で表される非反復(NR)単位NR4と組み合わせられ、
(ix)式(QAQ)では、数「o」のQモジュールと、Aモジュールと、Qモジュールとの組合せ、すなわち8個〜16個のQモジュールと、Aモジュールと、Qモジュールとの組合せ(ここでモジュールQは配列番号22によるアミノ酸配列で表され、モジュールAは配列番号20によるアミノ酸配列で表される)が互いに組み合わされ、
(x)式(QAQ)NRでは、数「o」のQモジュールと、Aモジュールと、Qモジュールとの組合せ、すなわち8個〜16個のQモジュールと、Aモジュールと、Qモジュールとの組合せ(ここでモジュールQは配列番号22によるアミノ酸配列で表され、モジュールAは配列番号20によるアミノ酸配列で表される)が互いに組み合わされ、上記Qモジュールと、Aモジュールと、Qモジュールとの組合せはさらに、数「z」の非反復(NR)単位、すなわち1個〜3個の非反復(NR)単位、例えば配列番号41によるアミノ酸配列で表される非反復(NR)単位NR3又は配列番号42によるアミノ酸配列で表される非反復(NR)単位NR4と組み合わせられ、
(xi)式NR(QAQ)では、数「z」の非反復(NR)単位、すなわち1個〜3個の非反復(NR)単位、例えば配列番号41によるアミノ酸配列で表される非反復(NR)単位NR3又は配列番号42によるアミノ酸配列で表される非反復(NR)単位NR4が存在し(z=1)、又は互いに組み合わせられ(z=2又は3)、上記非反復(NR)単位(複数も可)はさらに、数「o」のQモジュールと、Aモジュールと、Qモジュールとの組合せ、すなわち8個〜16個のQモジュールと、Aモジュールと、Qモジュールとの組合せ(ここでモジュールQは配列番号22によるアミノ酸配列で表され、モジュールAは配列番号20によるアミノ酸配列で表される)と組み合わせられ、
(xii)式Yでは、配列番号28によるアミノ酸配列で表される、数「p」のYモジュール、すなわち8個〜16個のYモジュールが互いに組み合わされ、
(xiii)式Xでは、配列番号27によるアミノ酸配列で表される、数「p」のXモジュール、すなわち8個〜16個のXモジュールが互いに組み合わされ、
(xiv)式Kでは、配列番号23によるアミノ酸配列で表される、数「p」のKモジュール、すなわち8個〜16個のKモジュールが互いに組み合わされる。
より好ましくは、
(i)(C)NR若しくはNR(C)におけるzは1であり、mは2〜64(すなわち2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63又は64)の整数であり、(C)NR若しくはNR(C)におけるzは2であり、mは2〜64(すなわち2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63又は64)の整数であり、若しくは(C)NR若しくはNR(C)におけるzは3であり、mは2〜64(すなわち2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63又は64)の整数であり、
(ii)(AQ)NR若しくはNR(AQ)におけるzは1であり、nは6〜24(すなわち6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23又は24)の整数であり、(AQ)NR若しくはNR(AQ)におけるzは2であり、nは6〜24(すなわち6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23又は24)の整数であり、若しくは(AQ)NR若しくはNR(AQ)におけるzは3であり、nは6〜24(すなわち6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23又は24)の整数であり、
(iii)NR(QAQ)若しくは(QAQ)NRにおけるzは1であり、oは8〜16(すなわち8、9、10、11、12、13、14、15又は16)の整数であり、NR(QAQ)若しくは(QAQ)NRにおけるzは2であり、oは8〜16(すなわち8、9、10、11、12、13、14、15又は16)の整数であり、若しくはNR(QAQ)若しくは(QAQ)NRにおけるzは3であり、oは8〜16(すなわち8、9、10、11、12、13、14、15又は16)の整数であり、
(iv)NR(C)NRにおけるzは1であり、mは2〜64(すなわち2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63又は64)の整数であり、NR(C)NRにおけるzは2であり、mは2〜64(すなわち2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63又は64)の整数であり、若しくはNR(C)NRにおけるzは3であり、mは2〜64(すなわち2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63又は64)の整数であり、又は
(v)NR(AQ)NRにおけるzは1であり、nは6〜24(すなわち6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23若しくは24)の整数であり、NR(AQ)NRにおけるzは2であり、nは6〜24(すなわち6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23若しくは24)の整数であり、又はNR(AQ)NRにおけるzは3であり、nは6〜24(すなわち6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23若しくは24)の整数であり、
NRは非反復単位、好ましくはNR3又はNR4を表す。
最も好ましくは、本発明の方法により単離されるシルクタンパク質は、C16NR4、C32NR4、(AQ)12NR3、(AQ)24NR3、(AQ)12、(AQ)24、C16、C32、NR4C16NR4、NR4C32NR4、NR3C16NR3、NR3C32NR3、NR4(AQ)12NR4、NR4(AQ)24NR4、NR3(AQ)12NR3、NR3(AQ)24NR3、(QAQ)又は(QAQ)16である。
ADF−3、ADF−4、MaSp I又はMaSp IIの変異体は、参照(野生型)ADF−3(配列番号1)、ADF−4(配列番号2)、MaSp I(配列番号43)、又はMaSp II(配列番号44)のポリペプチドとは異なり、該変異体はそれらからアミノ酸配列における最大150個(最大1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個、20個、25個、30個、35個、40個、45個、50個、55個、60個、65個、70個、75個、80個、85個、90個、95個、100個、110個、120個、130個、140個又は150個)のアミノ酸変化(すなわち置換、挿入、欠失、N末端切断及び/又はC末端切断)により誘導される。代替的に又は付加的に、このような変異体は、変異体の誘導元である参照(野生型)ポリペプチドに対する或る特定の程度の配列同一性を特徴とし得る。このため、ADF−3、ADF−4、MaSp I又はMaSp IIの変異体は、各参照(野生型)ADF−3、ADF−4、MaSp I又はMaSp IIのポリペプチドに対する少なくとも50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は更には99.9%の配列同一性を有する。好ましくは配列同一性は、各参照(野生型)ADF−3、ADF−4、MaSp I又はMaSp IIのポリペプチドの少なくとも20個、25個、30個、35個、40個、50個、60個、70個、80個、90個、100個、120個、150個、180個、200個、250個、300個、350個、400個又はそれ以上のアミノ酸の連続ストレッチにわたる、好ましくは全長にわたるものである。
配列同一性は、各参照(野生型)ADF−3、ADF−4、MaSp I又はMaSp IIのポリペプチドの全長にわたって少なくとも80%、全長にわたって少なくとも85%、全長にわたって少なくとも90%、全長にわたって少なくとも95%、全長にわたって少なくとも98%、又は全長にわたって少なくとも99%であるのが特に好ましい。配列同一性は、各参照(野生型)ADF−3、ADF−4、MaSp I又はMaSp IIのポリペプチドのうちの少なくとも20個、30個、50個、100個、150個、200個、250個若しくは300個のアミノ酸の連続ストレッチにわたって少なくとも80%、少なくとも20個、30個、50個、100個、150個、200個、250個若しくは300個のアミノ酸の連続ストレッチにわたって少なくとも85%、少なくとも20個、30個、50個、100個、150個、200個、250個若しくは300個のアミノ酸の連続ストレッチにわたって少なくとも90%、少なくとも20個、30個、50個、100個、150個、200個、250個若しくは300個のアミノ酸の連続ストレッチにわたって少なくとも95%、少なくとも20個、30個、50個、100個、150個、200個、250個若しくは300個のアミノ酸の連続ストレッチにわたって少なくとも98%、又は少なくとも20個、30個、50個、100個、150個、200個、250個若しくは300個のアミノ酸の連続ストレッチにわたって少なくとも99%であるのが更に特に好ましい。
ADF−3(配列番号1)ポリペプチドの断片(又は欠失変異体)は好ましくは、そのN末端に及び/又はそのC末端に最大1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、15個、20個、25個、30個、35個、40個、45個、50個、55個、60個、65個、70個、75個、80個、85個、90個、95個、100個、120個、150個、170個、200個、220個、250個、270個、300個、320個、350個、370個、400個、420個、450個、470個、500個、520個、550個、570個、600個又は610個のアミノ酸の欠失を有する。欠失は内部にあってもよい。
ADF−4(配列番号2)ポリペプチドの断片(又は欠失変異体)は好ましくは、そのN末端に及び/又はそのC末端に最大1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、15個、20個、25個、30個、35個、40個、45個、50個、55個、60個、65個、70個、75個、80個、85個、90個、95個、100個、120個、150個、170個、200個、220個、250個、270個、300個、320個、330個、340個、350個、360個、370個、380個又は390個のアミノ酸の欠失を有する。欠失は内部にあってもよい。
MaSp I(配列番号43)ポリペプチドの断片(又は欠失変異体)は好ましくは、そのN末端に及び/又はそのC末端に最大1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、15個、20個、25個、30個、35個、40個、45個、50個、55個、60個、65個、70個、75個、80個、85個、90個、95個、100個、150個、200個、250個、300個、350個、400個、450個、500個、550個、600個、620個、640個、660個、670個、680個又は690個のアミノ酸の欠失を有する。欠失は内部にあってもよい。
MaSp II(配列番号44)ポリペプチドの断片(又は欠失変異体)は好ましくは、そのN末端に及び/又はそのC末端に最大1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、15個、20個、25個、30個、35個、40個、45個、50個、55個、60個、65個、70個、75個、80個、85個、90個、95個、100個、150個、200個、250個、300個、350個、400個、450個、500個、520個、540個、560個又は570個のアミノ酸の欠失を有する。欠失は内部にあってもよい。
さらに、ADF−3、ADF−4、MaSp I又はMaSp IIの変異体又は断片は、変異体又は断片の元となるアミノ酸配列に関する修飾が、不溶性であり、その不溶性を保持するというシルクタンパク質の性質を変えることなく、そのため上記シルクタンパク質を未だに、本発明の方法の工程c)において可溶化した不溶性の宿主細胞部から分離することができる場合にのみ、本発明との関連においてADF−3、ADF−4、MaSp I又はMaSp IIの変異体又は断片とみなされる。好ましくは、ADF−3、ADF−4、MaSp I又はMaSp IIの変異体又は断片は、水溶液、例えば緩衝水溶液に、培養培地に、発酵培地に、工業用水に、又は脱イオン水に不溶性であり、10分〜90分の期間にわたって、例えば10分、15分、20分、25分、30分、35分、40分、45分、50分、55分、60分、65分、70分、75分、80分、85分、若しくは90分にわたって、及び/又は4℃〜60℃の温度で、例えば4℃、5℃、6℃、7℃、8℃、9℃、10℃、11℃、12℃、13℃、14℃、15℃、16℃、17℃、18℃、19℃、20℃、21℃、22℃、23℃、24℃、25℃、26℃、27℃、28℃、29℃、30℃、31℃、32℃、33℃、34℃、35℃、36℃、37℃、38℃、39℃、40℃、45℃、50℃、55℃、若しくは60℃で、塩基(例えば0.005M〜1MのNaOH)を含む、水溶液、例えば緩衝水溶液に、培養培地に、発酵培地に、工業用水又は脱イオン水に80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.9%を超えて、又は更には100%が不溶性のままである。本発明の好ましい実施の形態では、依然として不溶性である/不溶性のままである、ADF−3、ADF−4、MaSp I又はMaSp IIの変異体又は断片を、濾過、好ましくは10nm〜200nmの孔径を有するフィルター膜を用いた濾過により、及び/又は遠心分離、好ましくは10分間〜40分間、好ましくは20分間〜40分間の3000×g〜12000×g、より好ましくは4000×g〜8000×gでの遠心分離により可溶化した不溶性の宿主細胞部から分離/単離する。
別の実施の形態では、シルクタンパク質は、
(i)アミノ酸配列GCGGGGGGSGGGG(配列番号35)からなるTAGCYS1
(ii)アミノ酸配列GCGGGGGG(配列番号36)からなるTAGCYS2
(iii)アミノ酸配列GCGGSGGGGSGGGG(配列番号37)からなるTAGCYS3
(iv)アミノ酸配列GKGGGGGGSGGGG(配列番号38)からなるTAGLYS1、及び
(v)アミノ酸配列GKGGGGGG(配列番号39)からなるTAGLYS2
からなる群から選択されるアミノ末端及び/又はカルボキシ末端TAGを更に含む。
これらのTAGは、システイン及び/又はリジンを含有し、物質とシルクタンパク質とをその単離後に共有結合的に連結するのに使用することができる。好ましくは、共有結合的に連結/カップリングする物質は、ポリペプチド、脂質、色素、共役金属、活性炭、及び作用物質からなる群から選択される。
最も好ましくは、本発明の方法により単離されるシルクポリペプチドは、TAGCYS116、C16TAGCYS1、TAGCYS116TAGCYS1、TAGCYS216、C16TAGCYS2、TAGCYS216TAGCYS2、TAGCYS316、C16TAGCYS3、TAGCYS316TAGCYS3、TAGLYS116、C16TAGLYS1、TAGLYS116TAGLYS1、TAGLYS216、C16TAGLYS2、又はTAGLYS216TAGLYS2を含む又はこれからなる。
第2の態様では、本発明は、第1の態様の方法により入手可能な不溶性の標的タンパク質に関する。
更なる態様では、本発明は、タンパク質溶液から不溶性の標的タンパク質を単離する方法であって、
a)不溶性の標的タンパク質を含むタンパク質溶液を準備する工程と、
b)少なくとも1つの塩基の水溶液を、上記宿主細胞を破壊し、かつ/又は上記不溶性の宿主細胞部を可溶化するのに十分な量で上記溶液に添加する工程と、
c)該不溶性の標的タンパク質を、可溶化した不溶性の宿主細胞部から分離する工程と、
を含み、工程b)では、該標的タンパク質が依然として不溶性であり、該不溶性の宿主細胞部の少なくとも80%が可溶化する、タンパク質溶液から不溶性の標的タンパク質を単離する方法を提供する。
好ましくはタンパク質溶液は、不溶性の標的タンパク質を発現するトランスジェニック動物、例えばヤギ、ヒツジ又はウシ由来の乳である。定義、工程b)で添加される塩基の選択、用いられる試薬、プロセスの条件及びパラメータ、並びに単離可能な標的タンパク質に関しては、本発明の第1の態様に関して上記で為された説明を参照する。
本発明の様々な変更形態及び変形形態は、本発明の範囲を逸脱することなく当業者にとって明らかであろう。本発明を特定の望ましい実施形態に関連して説明しているが、特許請求の範囲に記載の本発明は、このような特定の実施形態に過度に限定されないことが理解されるものとする。実際、関連の技術分野の当業者にとって自明である、記載の本発明を実施するための形態の様々な変更形態は、本発明に包含されることが意図される。
添付の図面及び以下の実施例は本発明を単に説明するものであり、添付の特許請求の範囲により示されるような本発明の範囲を限定するものとは決して解釈されないものとする。
相分離を視覚化した図である。細胞残余物は完全に溶解するが、C16標的タンパク質は依然としてペレット画分に不溶性である。様々な作用物質の添加がC16標的タンパク質ペレットの相分離の結果に影響を及ぼす。図1は、実施例2に記載のような一段階の精製を示す。細胞残屑を、A:0.05MのNaOH;B:0.05MのNaOH及び4.8Mの尿素、C:0.05MのNaOH及び0.1% Tween 20、D:4.8Mの尿素、E:2Mの塩酸グアニジン、F:0.1% Tween 20とともに45分間インキュベートした。インキュベーション及びその後の遠心分離工程の後、A、B及びCの沈降物は、ほとんど全てが高純度のC16標的タンパク質からなる白色ペレットを示す。サンプルD、サンプルE及びサンプルFでは、はっきりした相分離は観察されなかった。 実施例2に従って精製された組換えスパイダーシルクタンパク質C16のイムノブロット分析(ウェスタンブロット法)の結果を示す図である。C16をロードしたレーン2は単一のタンパク質シグナルを示す(レーン1はC16陽性対照)。タンパク質分解を観察することはできなかった。標的タンパク質の特異的検出は、SERVAGel(商標)TG10(43210)の同封されたプロトコルに従って共役型のT7タグペプチドにより媒介される。詳細:レーン1:0.5μgの陽性対照C16(Huemmerich et. al., Biochemistry 2004, 43, 13604-13612に従って精製);レーン2:5μgのC16(実施例2に従って精製)。抗体:T7タグ(商標)Antibody HRP Conjugate、カタログ番号:69048−3、Novagen;PVDF膜:Roti(商標)Fluoro−PVDF、PVM020C−099、Roth;イムノブロット分析(ウェスタンブロット法)をSERVAGel(商標)TG10(43210)の同封されたプロトコルに従って実施した。ブロッキング溶液:1×PBSバッファー中の5%粉乳、インキュベーション30分;検出を同封されたプロトコルに従ってLumi−lightPlus−Solution、12015196001、Rocheを用いて達成した。 10μgのC16タンパク質をロードした、実施例2に記載のプロセスに従って精製された組換えスパイダーシルクタンパク質C16のSDS−Page分析(銀染色)(レーン2)が単一のタンパク質シグナルを示すことを示す図である(レーン1はC16タンパク質陽性対照)。図1によると、コンタミネーションを観察することはできなかった。レーン1:10μgのC16陽性対照(Huemmerich et. al., Biochemistry 2004, 43, 13604-13612に従って精製);レーン2:10μgのC16(実施例2に記載のように精製)。SDS−Pageを同封されたプロトコルに従ってSERVAGel(商標)TG10(43210)を用いて実施した。染色を同封されたプロトコルに従ってSERVA Silverstain Kit(35076)を用いて達成した。 実施例2に従って精製された組換えスパイダーシルクタンパク質C16のHPLC分析の結果を示す図である。クロマトグラムは15.057分での単一のはっきりしたピークを示す(280nmの波長で検出される標的タンパク質C16として同定される)。コンタミネーションを観察することはできなかった。カラムのパラメータ:TSK−Gel(商標)HPLC Column G3000 SWXL、Tosoh Bioscience、番号08541、内径:7.8mm、長さ:30.0cm。流量は0.5ml/分で一定であった。 Huemmerich et al., Biochemistry 2004, 43, 13604-13612による精製方法と実施例2による精製方法とを、精製されたC16タンパク質(標的タンパク質)の量に関して比較した図である。本方法(実施例2を参照されたい)に従って精製された場合の標的タンパク質C16の収率(89%)は、Huemmerich et al., Biochemistry 2004, 43, 13604-13612による方法の収率(10.4%)と比較して有意に高かった(およそ9倍)ことが示された。図5は、実施例2に従って精製された標的C16タンパク質の収率を示す。精製方法(Huemmerich et. al., Biochemistry 2004, 43, 13604-13612)と実施例2に記載のような精製方法との両方を精製されたC16タンパク質の量に関して比較した。 実施例2に記載のように0.05Mの水酸化ナトリウムで処理した精製された組換えスパイダーシルクタンパク質C16の安定性アッセイの結果を示す図である。5分〜24時間の期間の0.05Mの水酸化ナトリウムとのインキュベーション後に有意なタンパク質分解を観察することはできなかった。標的タンパク質の同定はHPLC実行における蛍光検出器により媒介される(励起波長:275nm、発光波長:305nm;勾配:アイソクラチック(isocratic)、溶出液:100mMのTris/HCl(pH7.5))。サンプルをインキュベーションの様々な時点(5分、10分、20分、30分、1時間、3時間、7時間及び24時間)で採取した。それぞれのクロマトグラムのデータをわずかな差異のより良好な検出のために100%に対して正規化した。
標的タンパク質を分離するために、発明者らは、ニワオニグモ(European garden cross spider Araneus diadematus)由来のドラグラインシルクタンパク質ADF−4から誘導される合成シルクポリペプチドC16を例示的に設計した。該タンパク質は、ADF−3及び/又はADF−4、並びにそれらの変異体が効率的な集合挙動を示すというこれまでの観察結果に基づいて選択された。
実施例I:微生物細胞の懸濁液の調製
微生物細胞を室温で900バールの圧力でホモジナイザー[APV Gaulin GmbH、LAB60−15 RBFI]を用いて2回溶解/破壊した。得られる細胞残屑溶液を9000×gで30分間、20℃で遠心分離した。上清を廃棄し、細胞残屑沈降物を一段階の精製に用いた。
実施例II:C16の単離
微生物細胞溶液の調製による細胞残屑沈降物(実施例1)の湿重量を、要求される希釈容量を調整するために求めた。細胞残屑沈降物(湿重量)と0.05MのNaOHとの比率は1:3(w/w)であった。本実施例では、細胞残屑沈降物は5グラムと測定された。したがってサンプル添加物の重量は15グラムと算出された。本実験の添加物は、A:0.05MのNaOH;B:0.05MのNaOH及び4.8Mの尿素、C:0.05MのNaOH及び0.1% Tween 20、D:4.8Mの尿素、E:2Mの塩酸グアニジン、又はF:0.1% Tween 20であった。全てのサンプルを十分にかき混ぜながら20℃で45分間インキュベートした。インキュベーション後、サンプルを8000×gで、30分間、20℃で遠心分離した(図1を参照されたい)。A、B及びCの沈降物は、ほとんど全てが高純度のC16標的タンパク質からなる白色ペレットを示した。サンプルD、サンプルE及びサンプルFでは、はっきりした相分離は観察されなかった。
この工程の後、凝集したC16タンパク質(標的タンパク質)はペレット画分に存在し、上清は廃棄した。HOによる2回の更なる洗浄工程(8000×g、30分、20℃での遠心分離)を実施し、C16標的タンパク質の純度を増大させた。このようにして得られたC16標的タンパク質を、SDS−Page分析(銀染色)[染色を同封されたプロトコルに従ってSERVA Silverstain Kit(35076)を用いて実行した](図3を参照されたい)、イムノブロット分析(ウェスタンブロット法)[イムノブロット分析(ウェスタンブロット法)をSERVAGel(商標)TG10(43210)の同封されたプロトコルに従って実施した。ブロッキング溶液:1×PBSバッファー中の5%粉乳、インキュベーション30分;検出を同封されたプロトコルに従ってLumi−lightPlus−Solution、12015196001、Rocheを用いて達成した](図2を参照されたい)、及びHPLC分析[カラムのパラメータ:TSK−Gel(商標)HPLC Column G3000 SWXL、Tosoh Bioscience、番号08541、内径:7.8mm、長さ:30.0cm。流量は0.5ml/分で一定であった](図4を参照されたい)において分析した。
実施例III:標準的なプロセスと比較したC16の単離:
微生物細胞の調製による細胞残屑沈降物の湿重量を、要求される希釈容量を調整するために求めた。細胞残屑沈降物(湿重量)と0.05MのNaOHとの比率は1:3(w/w)であった。本実施例では、細胞残屑沈降物は1キログラムと測定された。したがって0.05MのNaOHの重量は3kgと算出された(総重量:4kg)。サンプルを混合しながら20℃で45分間インキュベートした。インキュベーション後、サンプルを8000×gで、30分間、20℃で遠心分離した。この工程の後、C16標的タンパク質はペレット画分に存在し、上清は廃棄した。HOによる2回の更なる洗浄工程(8000×g、30分、20℃での遠心分離)を実施し、C16標的タンパク質の純度を増大させた。本実施例では、精製されたC16標的タンパク質の量を、Huemmerich et al., Biochemistry 2004, 43, 13604-13612に記載されたような精製方法のものと比較した。本方法と対比して、Huemmerich et al.による精製は、微生物細胞の調製による細胞破壊後に上清を用いて実施された。
精製されたC16標的タンパク質の量に関して、実施例2に記載のように精製した場合に標的タンパク質C16の収率は有意に高かった(およそ9倍)ことが示された(表1、図5を参照されたい)。
実施例IV:C16のタンパク質安定性
標的タンパク質C16を含有する微生物細胞溶液を0.05MのNaOHで処理した。実施例1及び実施例2に記載のように、微生物細胞を、室温で900バールの圧力でホモジナイザー[APV Gaulin GmbH、LAB60−15 RBFI]を用いて2回溶解した。得られる細胞残屑溶液を9000×gで30分間、20℃で遠心分離した。上清を廃棄し、細胞残屑沈降物を一段階の精製に用いた。微生物細胞溶液の調製による細胞残屑沈降物(実施例1)の湿重量を、要求される希釈容量を調整するために求めた。細胞残屑沈降物(湿重量)と0.05MのNaOHとの比率は1:3(w/w)であった。
サンプルをインキュベーションの様々な時点(5分、10分、20分、30分、1時間、3時間、7時間及び24時間)で採取した。それぞれのクロマトグラムのデータをわずかな差異のより良好な検出のために100%に対して正規化した。図6に示すように、5分〜24時間の期間の0.05MのNaOHとのインキュベーション後に有意なタンパク質分解は起こらない。機器パラメータ:TSK−Gel(商標)HPLC Column G3000 SWXL、内径:7.8mm、長さ:30.0cm。流量:0.5ml/分、蛍光検出:励起波長:275nm、発光波長:305nm;勾配:アイソクラチック、溶出液:100mMのTris/HCl(pH7.5)。

Claims (28)

  1. 無傷の又は破壊された宿主細胞の懸濁液から不溶性の標的タンパク質を単離する方法であって、
    a)不溶性の標的タンパク質と不溶性の宿主細胞部とを含む無傷の又は破壊された宿主細胞の懸濁液を準備する工程と、
    b)少なくとも1つの塩基の水溶液を、前記宿主細胞を破壊し、かつ/又は前記不溶性の宿主細胞部を可溶化するのに十分な量で前記懸濁液に添加する工程と、
    c)該不溶性の標的タンパク質を、可溶化した不溶性の宿主細胞部から分離する工程と、
    を含み、工程b)では、該標的タンパク質が依然として不溶性であり、該不溶性の宿主細胞部の少なくとも80%が可溶化する、無傷の又は破壊された宿主細胞の懸濁液から不溶性の標的タンパク質を単離する方法。
  2. 宿主細胞が細菌、酵母、植物又は昆虫の宿主細胞である、請求項1に記載の方法。
  3. 単離した不溶性の標的タンパク質が、少なくとも80%、又は少なくとも90%、又は95%の純度を有する、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 塩基が金属水酸化物及び/又はアンモニアである、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
  5. 金属水酸化物が、水酸化ナトリウム(NaOH)、水酸化カリウム(KOH)、及び水酸化カルシウム(CaOH)からなる群から選択されるか、又はそれらの組合せである、請求項4に記載の方法。
  6. 塩基が水酸化ナトリウム(NaOH)である、請求項5に記載の方法。
  7. 工程(b)での該塩基の最終濃度が、0.005M〜1M、又は0.01M〜0.6M、又は0.02M〜0.2M、又は0.04M〜0.06Mの範囲である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
  8. (i)工程b)の前での、(ii)工程b)中での、及び/又は(iii)工程b)の後での少なくとも1つの試薬の添加を更に含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
  9. 試薬が変性剤、コスモトロピック剤及び洗浄剤からなる群から選択されるか、又はそれらの組合せである、請求項8に記載の方法。
  10. (i)変性剤が尿素(CHO)若しくは塩酸グアニジン(CHHCl)であり、
    (ii)該コスモトロピック剤がリン酸塩若しくは硫酸塩であり、又は
    (iii)該洗浄剤がTween20、Triton X−100、SDS若しくはBrijである、請求項9に記載の方法。
  11. (i)尿素の最終濃度が0.1M〜10M、若しくは1M〜5Mの範囲であり、又は
    (ii)塩酸グアニジンの最終濃度が0.01M〜3M、若しくは0.1M〜2Mの範囲である、請求項10に記載の方法。
  12. 工程c)における該可溶化した不溶性の宿主細胞部からの該不溶性の標的タンパク質の分離が、遠心分離、沈降及び/又は濾過により達成される、請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法。
  13. 工程b)の後で、かつ工程c)の前に前記懸濁液の均質化工程b’)を更に含む、請求項1〜12のいずれか一項に記載の方法。
  14. 工程c)の後に、分離した不溶性の標的タンパク質、又は遠心分離物、沈降物若しくは残余分を水溶液、有機溶液、及び/又は尿素で洗浄する工程d)を更に含む、請求項1〜13のいずれか一項に記載の方法。
  15. 有機溶液が、エタノール(EtOH)、メタノール(CHOH)、ヘキサン(C14)、ジエチルエーテル(C10O)及び/又はイソプロパノール(CO)を含有する、請求項14に記載の方法。
  16. 標的タンパク質が、工程b)での少なくとも1つの塩基を含む水溶液の添加の後でも10分〜40分の期間にわたって15℃〜25℃の温度で少なくとも90%、又は少なくとも95%が依然として不溶性である、請求項1〜15のいずれか一項に記載の方法。
  17. 不溶性の標的タンパク質が、少なくとも85%の前記標的タンパク質からなるタンパク質凝集体を形成する、請求項1〜16のいずれか一項に記載の方法。
  18. 不溶性の標的タンパク質が、少なくとも2つの同一の反復単位を含むシルクタンパク質、コラーゲン及びケラチンからなる群から選択される、請求項1〜17のいずれか一項に記載の方法。
  19. シルクタンパク質が、各々が、
    i)GPGXX(配列番号3)(ここでXは任意のアミノ酸、又はそれぞれの場合で独立してA、S、G、Y、P及びQから選択される任意のアミノ酸である)、
    ii)GGX(ここでXは任意のアミノ酸、又はそれぞれの場合で独立してY、P、R、S、A、T、N及びQから選択される任意のアミノ酸である)、及び
    iii)A(ここでxは5〜10の整数である)
    からなる群から選択されるコンセンサス配列を少なくとも1つ含む少なくとも2つの同一の反復単位を含む、請求項18に記載の方法。
  20. 反復単位が独立して、モジュールA(配列番号20)、モジュールC(配列番号21)、モジュールQ(配列番号22)、モジュールK(配列番号23)、モジュールsp(配列番号24)、モジュールS(配列番号25)、モジュールR(配列番号26)、モジュールX(配列番号27)若しくはモジュールY(配列番号28)、又はその変異体から選択される、請求項18又は19に記載の方法。
  21. シルクタンパク質が少なくとも1つの非反復(NR)単位を更に含む、請求項18〜20のいずれか一項に記載の方法。
  22. NR単位が、NR3(配列番号41)若しくはその変異体、又はNR4(配列番号42)若しくはその変異体である、請求項21に記載の方法。
  23. シルクタンパク質が、ADF−3(配列番号1)又はその変異体、ADF−4(配列番号2)又はその変異体、MaSp I(配列番号43)又はその変異体、MaSp II(配列番号44)又はその変異体、(C)、(C)NR、NR(C)、NR(C)NR、(AQ)、(AQ)NR、NR(AQ)、NR(AQ)NR(QAQ)、NR(QAQ)、(QAQ)NR、Y、X、及びK(ここで、mは2〜64の整数であり、nは6〜24の整数であり、oは8〜16の整数であり、pは8〜16の整数であり、zは1〜3の整数であり、NRは非反復単位を表す)からなる群から選択される、請求項18〜22のいずれか一項に記載の方法。
  24. シルクタンパク質が、C16NR4、C32NR4、(AQ)12NR3、(AQ)24NR3、(AQ)12、(AQ)24、C16、C32、NR4C16NR4、NR4C32NR4、NR3C16NR3、NR3C32NR3、NR4(AQ)12NR4、NR4(AQ)24NR4、NR3(AQ)12NR3、NR3(AQ)24NR3、(QAQ)又は(QAQ)16である、請求項23に記載の方法。
  25. シルクタンパク質が、TAGCYS1(配列番号35)、TAGCYS2(配列番号36)、TAGCYS3(配列番号37)、TAGLYS1(配列番号38)及びTAGLYS2(配列番号39)からなる群から選択されるアミノ末端及び/又はカルボキシ末端のTAGを更に含む、請求項18〜24のいずれか一項に記載の方法。
  26. 4℃〜60℃、又は15℃〜40℃の温度で実施する、請求項1〜25のいずれか一項に記載の方法。
  27. 10kPa〜1000kPa、又は50kPa〜150kPaの圧力で実施する、請求項1〜26のいずれか一項に記載の方法。
  28. 請求項1〜27のいずれか一項に記載の方法により入手可能な不溶性の標的タンパク質。
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