JP2022145193A - 可溶化タンパク質製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】微生物内で発現させた組換えタンパク質の凝集体である封入体について、それに含まれる不溶性タンパク質を、変性剤を用いることなく可溶化し、カラム等を使用せず可溶化タンパク質として分離し、精製する方法を開発する。【解決手段】不溶性画分をリチウム溶液と混合した後、可溶化標的タンパク質を含む可溶性画分と不溶性画分とを分離して、封入体から可溶化標的タンパク質を製造する方法を提供する。【選択図】図1

Description

本発明は、封入体中の不溶性タンパク質から可溶化タンパク質を製造する方法、及びその可溶化タンパク質を分子量に応じて封入体から分離精製する方法に関する。
遺伝子組換え技術を用いて真核生物に由来する目的の組換えタンパク質を大腸菌で発現させた場合、組換えタンパク質は、しばしば細胞内で異常な立体構造を形成して不溶性タンパク質となり、それらが互いに凝集して封入体と呼ばれる不溶性タンパク質凝集体を形成する。
封入体中のタンパク質は、一般にプロテアーゼによる分解を受けにくく、凝集体として他の夾雑物をほとんど含まずに回収することができる。反面、封入体中のタンパク質は、可溶化しなければ精製ができず、また封入体中では生理活性が失われていることが多いため、しばしば可溶化後の再生(リフォールディング)を必要とする。
封入体に含まれる不溶性タンパク質を精製する場合、従来は、尿素又はグアニジン等の変性剤を添加して不溶性タンパク質を可溶化した後にカラム精製する方法が一般的であった(特許文献1及び2、非特許文献1)。しかし、この方法は煩雑な操作が必要な上、生産コストが向上し、収量も下がることが想定される。そこで、カラムを使用せずに簡便かつ安価な方法で封入体に含まれる不溶性タンパク質を精製する新たな技術が求められていた。
特開2011-088922 特表2017-526649
Qiaojing Li. et al. J Vis Exp. (2015) 106:e53432.
本発明では、微生物内で発現させた組換えタンパク質の凝集体である封入体中に含まれる不溶性タンパク質を、変性剤を用いることなく可溶化し、カラム等を使用せずに得られた可溶化タンパク質を分離し、精製する方法を開発する。
上記課題を解決するため、本発明者らが鋭意研究を重ねた結果、封入体を含む不溶性画分を所定の濃度のリチウム溶液と混合することによって、目的とする標的タンパク質を分子量に応じて可溶化し、分離精製する方法を開発した。本発明は、当該新たな知見に基づくものであって、以下を提供する。
(1)封入体から可溶化標的タンパク質を製造する方法であって、不溶性画分をリチウム溶液と混合する混合工程、及び前記混合工程後の可溶化標的タンパク質を含む可溶性画分と不溶性画分とを分離する分離工程を含む前記方法。
(2)前記混合工程前に、標的タンパク質を発現する微生物の細胞破砕液から標的タンパク質を包含する封入体を含む不溶性画分を取得する取得工程を含む、(1)に記載の方法。
(3)前記分離工程後の可溶性画分を回収する回収工程を含む、(1)又は(2)に記載の方法。
(4)前記リチウム溶液の濃度は、標的タンパク質の分子量が、30,000未満のときに1.25Mを超え、かつ5M未満であり、30,000以上50,000未満のときに5M以上8M未満であり、50,000以上のときに9Mを超える濃度である、(1)~(3)のいずれかに記載の方法。
(5)前記リチウム溶液が臭化リチウム溶液である、(1)~(4)のいずれかに記載の方法。
(6)前記標的タンパク質がフィブロインタンパク質又はその派生タンパク質である、(1)~(5)のいずれかに記載の方法。
(7)前記微生物が大腸菌である、(2)~(6)のいずれかに記載の製造方法。
(8)封入体由来の標的タンパク質を可溶化タンパク質として分離し、精製する方法であって、不溶性画分を第1リチウム溶液と混合する第1混合工程、前記第1混合工程後の不溶性画分と可溶性画分を分離する第1分離工程、前記第1分離工程後の可溶性画分を除去する除去工程、前記除去工程後の不溶性画分を第2リチウム溶液と混合する第2混合工程、前記第2混合工程後の不溶性画分と可溶性画分を分離する第2分離工程、を含み、前記第1リチウム溶液の濃度は、目的とする可溶化タンパク質の分子量が30,000未満のときに6M以上であり、30,000以上50,000未満のときに5M以下であり、50,000以上のときに8M未満であって、前記第2リチウム溶液の濃度は、目的とする可溶化タンパク質の分子量が30,000未満のときに1.25Mを超え、かつ6M未満であり、30,000以上50,000未満のときに5Mを超え、かつ8M未満であり、50,000以上のときに8M以上である、前記方法。
(9)前記リチウム溶液が臭化リチウム溶液である、(8)に記載の方法。
(10)前記目的とする可溶化タンパク質が微生物で発現させた外因性タンパク質である、(8)又は(9)に記載の方法。
(11)封入体中の不溶性タンパク質を可溶化する方法であって、不溶性画分をリチウム溶液と混合する混合工程、及び前記混合工程後の可溶化標的タンパク質を含む可溶性画分と不溶性画分とを分離する分離工程を含む前記方法。
(12)前記混合工程前に、標的タンパク質を発現する微生物の細胞破砕液から標的タンパク質を包含する封入体を含む不溶性画分を取得する取得工程を含む、(11)に記載の方法。
(13)前記分離工程後の可溶性画分を回収する回収工程を含む、(11)又は(12)に記載の方法。
(14)前記リチウム溶液の濃度は、標的タンパク質の分子量が、30,000未満のときに1.25Mを超え、かつ6M未満であり、30,000以上50,000未満のときに6M以上8M未満であり、50,000以上のときに9Mを超える濃度である、(11)~(13)のいずれかに記載の方法。
本発明の可溶化タンパク質製造方法によれば、封入体に包含された不溶性の外因性タンパク質を、変性剤等を使用することなく、可溶化タンパク質にすることができる。
本発明の可溶化タンパク質分離精製方法によれば、封入体に含まれる標的タンパク質を、変性剤を使用することなく、その分子量に応じて可溶化標的タンパク質として分離し、精製することができる。
本発明の可溶化タンパク質製造方法における製造フローを示す図である。 本発明の可溶化タンパク質の分離精製方法における製造フローを示す図である。 不溶性画分中の標的タンパク質(bw753ΔCタンパク質)を様々な候補可溶化溶液で可溶化処理した結果を示すSDSポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS-PAGE)図である。図中、横軸の番号は、表1に示した番号に対応する。図中、2本の矢印は可溶化したbw753ΔCタンパク質のバンド位置を示す。 可溶化溶液の可溶化条件を検証した結果を示すSDS-PAGE図である。可溶化溶液には10Mの臭化リチウム溶液を用いた。30℃、60℃、及び80℃の処理温度と、30分、60分、及び120分の処理時間の組み合わせで、図3で使用した不溶性画分に対し可溶化処理を行った。図中、2本の矢印は可溶化したbw753ΔCタンパク質のバンド位置を示す。 可溶化溶液の濃度と可溶化するタンパク質の分子量との相関関係を示すSDS-PAGE図である。 分子量に応じた二段階可溶化処理による夾雑タンパク質の除去、及び標的タンパク質の分離精製結果を示すSDS-PAGE図である。各泳動図において、1:6M臭化リチウム可溶性画分、2:8M臭化リチウム可溶性画分、3:6M臭化リチウム不溶性画分に由来する8M臭化リチウム可溶性画分を示す。Aは可溶化したbw753ΔCタンパク質のバンド位置を、Bは封入体中に含まれている夾雑タンパク質のバンド位置を示す。
1.封入体由来の可溶化タンパク質製造方法
1-1.概要
本発明の第1の態様は、封入体中の不溶性タンパク質を可溶化し、可溶化タンパク質を製造方法である。本発明の可溶化タンパク質製造方法は、封入体を含む不溶性画分をリチウム溶液と混合することによって封入体中のタンパク質を可溶化し、可溶化タンパク質にすることを特徴とする。本発明によれば、遺伝子組換え技術により大腸菌等の微生物内で合成された不溶性標的タンパク質を、効率的に可溶化することによって、可溶化標的タンパク質を得ることができる。
1-2.定義
本明細書で使用する以下の用語について定義する。
本明細書において「封入体」とは、宿主内では本来生成されない組換えタンパク質等の過剰発現や異常な立体構造により、タンパク質を構成するアミノ酸の疎水性残基が分子表面に露出することでタンパク質間の疎水相互作用が生じ形成される不溶性の凝集体をいう。封入体を構成するタンパク質は、原則として不溶性タンパク質である。なお、本明細書では、特に遺伝子組換え微生物の細胞内で外来遺伝子等の発現によって形成される前記不溶性凝集体を意味するものとする。
「可溶性画分」とは、試料を分画処理して得られる水相画分をいう。本明細書では、特に、細胞破砕液を遠心分離又は濾過により分画処理した後に得られる、それぞれ上清又は濾液が該当する。
「不溶性画分」とは、試料を分画処理して得られる疎水画分をいう。本明細書では、特に、細胞破砕液を遠心分離又は濾過により分画処理した後に得られる、それぞれ沈殿又は残渣(濾物)が該当する。
本明細書において「標的タンパク質」とは、本発明の製造方法において、製造、及び取得を目的とするタンパク質をいう。本明細書の標的タンパク質は、原則として微生物中で発現される外因性タンパク質で、封入体中に不溶性タンパク質として含まれる。本明細書において「外因性タンパク質」とは、遺伝子組換え技術等の人為的技術によって宿主に導入された外来遺伝子より発現するタンパク質をいう。限定はしないが、フィブロインタンパク質又はその派生タンパク質が好ましい。
「フィブロインタンパク質」(本明細書では、しばしば「Fibタンパク質」と表記する)とは、絹糸の繊維成分であるフィブロインを構成するタンパク質である。Fibタンパク質には、フィブロインH鎖タンパク質(本明細書では、しばしば「Fib Hタンパク質」と表記する)、フィブロインL鎖タンパク質(本明細書では、しばしば「Fib Lタンパク質」と表記する)が知られているが、いずれであってもよい。好ましくは、フィブロインの主要構成タンパク質であるFib Hタンパク質である。Fibタンパク質は、野生型フィブロインタンパク質(野生型Fibタンパク質)であってもよいし、変異型フィブロインタンパク質であってもよい。
「変異型フィブロインタンパク質」(変異型Fibタンパク質)とは、野生型Fibタンパク質のアミノ酸配列において、1又は複数個のアミノ酸が付加、欠失、又は置換したアミノ酸配列からなるタンパク質、又は前述のアミノ酸配列に対して90%以上、好ましくは95%以上、より好ましくは96%以上、97%以上、98%以上又は99%以上のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列からなるタンパク質が挙げられる。本明細書において「複数個」とは、例えば、2~20個、2~15個、2~10個、2~7個、2~5個、2~4個又は2~3個をいう。「アミノ酸同一性」とは、二つのアミノ酸配列を整列(アラインメント)し、必要に応じて一方又は両方のアミノ酸配列にギャップを導入して、両者のアミノ酸一致度が最も高くなるようにしたときに、変異型アミノ酸配列の全アミノ酸残基に対する野生型アミノ酸配列との同一アミノ酸の割合(%)をいう。
本明細書において「その派生タンパク質」とは、組換えフィブロインタンパク質、又は改変型組換えフィブロインタンパク質をいう。
本明細書において「組換えフィブロインタンパク質」(recombinant fibroin protein: 本明細書では、しばしば「rFibタンパク質」と表記する)とは、遺伝子クローニング技術を用いてクローニングされた組換えフィブロインH鎖遺伝子(本明細書では、しばしば「rFib H遺伝子」と表記する)にコードされるFib Hタンパク質、又は組換えフィブロインL鎖遺伝子(本明細書では、しばしば「rFib L遺伝子」と表記する)にコードされるFib Lタンパク質をいう。rFibタンパク質は、Fibタンパク質の基本構成成分を含んでいれば、野生型の全長Fibタンパク質と同一のアミノ酸配列で構成されている必要はない。また、rFibタンパク質は、単一生物由来のFibタンパク質でなくてもよく、二以上の生物種に由来するポリペプチドで構成されたキメラフィブロインタンパク質(キメラFibタンパク質)であってもよい。例えば、ミノムシとカイコのFib Hタンパク質で構成されたキメラFib Hタンパク質が挙げられる。rFibタンパク質には、前記変異型Fibタンパク質と同様の変異をrFibタンパク質に導入した変異型rFibタンパク質も包含する。
本明細書におけるフィブロインタンパク質の由来生物種は、特に限定をしない。例えば、絹糸虫又はクモ目(Araneae)に属する生物に属する種が挙げられる。
本明細書において「絹糸虫」とは、絹糸腺を有し、絹糸を吐糸することのできる昆虫の総称をいう。具体的には、鱗翅目、膜翅目、脈翅目、毛翅目等のうち主として幼虫期に営巣、営繭又は移動のために吐糸することのできる種類を指す。幼虫、又は成虫等の成長ステージは問わない。例えば、鱗翅目であれば、多量の絹糸を吐糸できるカイコガ科(Bombycidae)、ヤママユガ科(Saturniidae)、ミノガ科(Psychidae)、イボタガ科(Brahmaeidae)、オビガ科(Eupterotidae)、カレハガ科(Lasiocampidae)、ヒトリガ科(Archtiidae)、ヤガ科(Noctuidae)等に属する種が挙げられる。具体的には、例えば、Bombyx属に属するカイコガ(B. mori)及びクワコ(B. mandarina)、Samia属に属するシンジュサン(S. cynthia)及びエリサン(S. cynthia ricini)、Antheraea属に属するヤママユガ(A. yamamai)及びサクサン(A. pernyi)、Saturnia属に属するヒメヤママユ(S. japonica)、及びミノガ科であるAcanthopsyche属、Anatolopsyche属、Bacotia属、Bambalina属、Canephora属、Chalioides属、Dahlica属、Diplodoma属、Eumeta属、Eumasia属、Kozhantshikovia属、Mahasena属、Nipponopsyche属、Paranarychia属、Proutia属、Psyche属、Pteroma属、Siederia属、Striglocyrbasia属、Taleporia属、Theriodopteryx属、及びTrigonodoma属に属する種等が該当する。特に、カイコガの幼虫であるカイコ、及びミノガ科に属する蛾の幼虫であるミノムシは絹糸虫として好適である。ミノガの具体例としては、オオミノガ(Eumeta japonica)、チャミノガ(Eumeta minuscula)、及びシバミノガ(Nipponopsyche fuscescens)が挙げられる。
クモ目に属する生物として、例えば、コガネグモ科(Aranidae)、ジョロウグモ科(Nephilidae)、アシナガグモ科(Tetragnathidae)、ヒメグモ科(Theridiidae)、及びサラグモ科(Linyphiidae)に属する種が挙げられる。具体的な例として、Araneus属に属するオニグモ(A. ventricosus)、ヤマオニグモ(A. uyemurai)及びヤエンオニグモ(A. maccacus)、Argiope属に属するコガネグモ(A. amoena)、及びNephila属に属するジョロウグモ(N. clavata)等が挙げられる。
本明細書において「水溶性タンパク質」とは、分子表面にアミノ酸の親水性残基を露出し、水や水溶液に溶解可能なタンパク質をいう。
本明細書において「不溶性タンパク質」とは、水又は水溶液に溶解しないタンパク質をいう。本明細書では、特に微生物内で発現させた、本来は水溶性の外因性タンパク質が細胞内で異常な折り畳みにより立体構造を形成した結果、アミノ酸の疎水性残基がタンパク質表面に露出し、水等に溶解しない性質になったタンパク質をいう。不溶性タンパク質は、細胞内で互いに疎水相互作用により、及び/又は核酸との静電的相互作用により凝集し、前記封入体を形成する。
本明細書において「可溶化」とは、不溶性タンパク質を可溶化処理によって、水溶性タンパク質に変換することをいう。
本明細書において「可溶化タンパク質」とは、不溶性タンパク質の可溶化によって水溶性となったタンパク質をいう。
本明細書において「可溶化標的タンパク質」とは、本態様の製造方法における最終産物であって、不溶性タンパク質として封入体中に含有されていた標的タンパク質が可溶化処理によって可溶化タンパク質に変換されたものをいう。
本明細書において「微生物」とは、細胞内に封入体を蓄積し得る単細胞生物をいい、原則として原核生物が該当する。微生物の種類は限定しない。遺伝子組換え技術において、当該分野で一般的に使用される微生物であればよい。例えば、大腸菌(Escherichia coli)は好適である。なお、本明細書では特に断りのない限り、「微生物」と記載した場合は、遺伝子組換えによって標的タンパク質を発現する形質転換体(遺伝子組換え微生物)を意味するものとする。
1-3.製造方法
本発明の製造方法のフローを図1に示す。本発明の製造方法は、混合工程(S0103)、及び分離工程(S0104)を必須の工程として、また取得工程(S0101)、洗浄工程(S0102)、及び回収工程(S0105)を選択的工程として含む。以下、各工程について具体的に説明をする。
1-3-1.取得工程
「取得工程」(S0101)は、細胞破砕液から不溶性画分を取得する工程である。本工程は後述する混合工程前に、必要に応じて行う選択的工程である。この不溶性画分に標的タンパク質を包含する封入体が含まれる。
本工程で使用する「細胞破砕液」は、微生物の細胞壁を水溶液中で、物理的及び/又は化学的に破砕して得られる細胞抽出液をいう。前記微生物は、標的タンパク質を発現する遺伝子組換え微生物に由来する。遺伝子組換え微生物は、当該分野で公知の形質転換法等によって作製すればよい。限定はしないが、例えば標的タンパク質をコードする遺伝子を含むプラスミド等の発現ベクターをヒートショック法又はエレクトロポレーション法等で微生物細胞内に導入する方法が挙げられる。形質転換した微生物は、導入した発現ベクター等を維持する条件下で培養すればよい。培養後、遠心分離によって微生物を回収し、細胞を破砕して細胞破砕液を調製する。
細胞の破砕方法は、当該分野で公知の細胞破砕方法に準じて行えばよい。例えば、物理的破砕方法であれば、フレンチプレス法や超音波破砕法が挙げられる。これらの物理的破砕方法は、処理時に発生する熱や酸化によるタンパク質変性を防ぐため氷中等の低温下で行うことが好ましい。また、化学的破砕方法として、リゾチーム等の酵素や界面活性剤による細胞壁の分解が挙げられる。
細胞破砕液から不溶性画分を取得する方法は、水溶性画分と不溶性画分とを分離する当該分野で公知の方法に準じて行えばよい。例えば、遠心分離法や濾過法が挙げられる。
遠心分離法では、細胞破砕液を適当な遠心加速度で遠心して水溶性画分である上清と不溶性画分である沈殿に分離した後、上清を除くことで不溶性画分を取得できる。遠心加速度は限定しないが、例えば10,000×G~30,000×Gの範囲内で遠心時間(沈降時間)は遠心加速度に応じて10~30分間の範囲で行えばよい。
濾過法は、細胞破砕液をフィルター(メンブレンフィルター)に通液して、水溶性画分である濾液と不溶性画分である残渣を分離し、フィルター表面上に捕捉された残渣を回収する方法である。フィルター孔径は、0.05μm~10μmの範囲であればよい。
取得工程は、複数回行うことができる。この場合、前回の取得工程で得た上清又は濾液を再度細胞破砕液として使用する。各回の取得条件は同一であってもよいし、異なっていてもよい。通常、回数を重ねるほど、よりストリンジェントな条件にするのが好適である。例えば、遠心分離法であれば、より高回転数にするか、長時間遠心にする。
1-3-2.洗浄工程
「洗浄工程」(S0102)は、前記取得工程(S0101)後の不溶性画分を洗浄する工程で、本態様の製造方法における選択的な工程である。本工程により不溶性画分中に混在する夾雑物を簡易に除去することができる。
洗浄に使用する洗浄液は、特に限定はしない。例えば、水、生理食塩水、リン酸緩衝液、HEPESバッファ、NaHCO3/CO2バッファ、トリス塩酸バッファ、グリシンバッファ等が挙げられる。また、必要に応じてTriton X-100(ポリエチレングリコールモノ-p-イソオクチルフェニルエーテル)、尿素、EDTAなどを添加してもよい。
洗浄方法は限定しない。例えば、不溶性画分を前記洗浄液で懸濁した後、遠心し、再度沈殿物として不溶性画分を回収する方法や、前記懸濁液を、フィルターに通液して、再度濾物として不溶性画分を回収する方法が挙げられる。懸濁を行わずに、単に不溶性画分に前記洗浄液を通液するだけでもよい。
1-3-3.混合工程
「混合工程」(S0103)は、不溶性画分をリチウム溶液と混合する工程である。本工程は、本態様の製造方法における中心的な工程である。本方法によって、封入体中で不溶性タンパク質として包含されていた標的タンパク質は、可溶化タンパク質に変換される。
本工程で使用する不溶性画分は、前記取得工程(S0101)で取得した不溶性画分を使用することができる。
「リチウム溶液」とは、リチウムイオンを含む溶液である。通常、リチウム塩を水や水溶液に溶解して得ることができる。リチウム塩は、水溶液中で電離してリチウムイオンを発生する塩であれば特に限定はしない。例えば、塩化リチウム、臭化リチウム、チオシアン酸リチウム等が挙げられる。好ましくは臭化リチウムである。
封入体に包含される不溶性タンパク質の可溶化は、タンパク質の分子量とリチウム溶液の濃度の相関関係に基づく。したがって、使用するリチウム溶液の濃度は、可溶化すべき標的タンパク質の分子量に応じて定まる。例えば、標的タンパク質の分子量が30,000未満のときはリチウム溶液の濃度を下限は1.25Mを超える濃度、例えば、1.3M以上、1.4M以上、1.5M以上、1.6M以上、1.7M以上、1.8M以上、1.9M以上、2M以上、2.1M以上、2.2M以上、2.3M以上、2.4M以上、又は2.5M以上とする。また上限は6M未満、例えば、5.9M以下、5.8M以下、5.7M以下、5.6M以下、5.5M以下、5.4M以下、5.3M以下、5.2M以下、5.1M以下、又は5M以下とする。また標的タンパク質の分子量が30,000以上50,000未満のときはリチウム溶液の濃度を下限は5Mを超える濃度、例えば、5.1M以上、5.2M以上、5.3M以上、5.4M以上、5.5M以上、5.6M以上、5.7M以上、5.8M以上、5.9M以上、又は6M以上とする。また上限は8M未満、例えば、7.9M以下、7.8M以下、7.7M以下、7.6M以下、7.5M以下、7.4M以下、7.3M以下、7.2M以下、7.1M以下、又は7M以下とする。さらに標的タンパク質の分子量が50,000以上のときはリチウム溶液の濃度を、9Mを超える濃度、例えば、9.1M以上、9.2M以上、93M以上、9.4M以上、9.5M以上、9.6M以上、9.7M以上、9.8M以上、9.9M以上、又は10M以上とする。この時、上限は飽和濃度以下であればよい。
不溶性画分とリチウム溶液との容量混合比は、不溶性画分1g当たり1mL以上ならば、特に限定はしない。例えば、不溶性画分1g当たり1.5mL以上、2mL以上、2.5mL以上、3mL以上、3.5mL以上、4mL以上、4.5mL以上、5mL以上、6mL以上、7mL以上、8mL以上、9mL以上、又は10mL以上であればよい。通常は、2mL~7mLの範囲が好適である。
混合後は、必要に応じて混合液を撹拌してもよい。
混合温度は、10~85℃の範囲内であれば特に限定はしない。例えば15~82℃、18~80℃、20~78℃、25~75℃、28~70℃、又は30~65℃の範囲で行えばよい。タンパク質の変性や失活を防ぐため、60℃以下、又は50℃以下が好ましい。
混合時間は、特に限定はしない。例えば、5分間~180分間、10分間~150分間、15分間~120分間、20分間~90分間、又は30分間~60分間の範囲で行えばよい。
1-3-4.分離工程
「分離工程」(S0104)は、前記混合工程後の可溶性画分と不溶性画分とを分離する工程で、本態様の製造方法における必須の工程である。標的タンパク質は可溶性画分に移行するため、可溶化タンパク質として得ることができる。
本工程は、水溶性画分と不溶性画分とを分離する当該分野で公知の方法に準じて行えばよい。前述の「1-3-1.取得工程」に記載の通り、水溶性画分と不溶性画分とを分離する方法の例として、遠心分離法や濾過法が挙げられる。基本的な手順については、前述の「1-3-1.取得工程」に記載の方法に準ずるため、具体的な記載は省略する。
本工程で得られた可溶性画分中に可溶化された標的タンパク質が包含される。
1-3-5.回収工程
「回収工程」(S0105)は、前記分離工程後の可溶性画分を回収する工程で、本態様の製造方法における選択的な工程である。
前述の「1-3-4.分離工程」で記載したように、分離工程後に得られる可溶性画分中には目的とする可溶化標的タンパク質が包含される。この可溶性画分を回収することで、封入体中に包含されていた不溶性標的タンパク質を水溶液中に含まれる可溶化標的タンパク質として得ることができる。
回収方法は、分離工程で実行した分離方法に応じて行われる。例えば、分離工程で遠心分離法により水溶性画分と不溶性画分とを分離した場合には、上清を回収すればよい。分離工程で濾過法により水溶性画分と不溶性画分とを分離した場合には、濾液を回収すればよい。回収した上清や濾液は、必要に応じて繰り返し分離工程に供することができる。この場合、分離工程では同一方法で分離してもよいし、各回で異なる方法を組み合わせて分離してもよい。例えば、遠心分離法で分離後、回収した上清を濾過法で再度分離し、濾液を回収することで、不溶性の夾雑物を含まない可溶性画分を得ることができる。
回収した可溶性画分から、必要に応じて標的タンパク質を精製してもよい。タンパク質の精製法は、当該分野で公知の方法で行えばよい。例えば、ゲル電気泳動法、ゲル濾過クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、逆相クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、塩析法、溶媒沈殿法、溶媒抽出法、透析法、限外濾過法等を単独で、あるいは適宜組み合わせて使用すればよい。
1-4.効果
本発明の可溶化タンパク質製造方法によれば、宿主微生物内で発現させ、封入体に包含された不溶性の外因性タンパク質を、従来法のように変性剤等を使用することなく、容易に可溶化させて、可溶化タンパク質を製造することができる。
2.封入体由来の可溶化タンパク質分離精製方法
2-1.概要
本発明の第2の態様は、封入体中の不溶性標的タンパク質を可溶化標的タンパク質として分離し、精製する方法である。本態様の方法は、リチウム溶液の濃度に依存して可溶化する不溶性タンパク質の分子量が異なる事象を応用した方法である。本態様の分離精製方法によれば、従来法のような変性剤を使用することなく、封入体中の不溶性タンパク質をその分子量に応じて、可溶化すると共に、他のタンパク質を試料から分離除去することによって精製することができる。
2-2.方法
本態様の方法のフローを図2に示す。本態様の方法は、第1混合工程(S0203)、第1分離工程(S0204)、除去工程(S0205)、第2混合工程(S0206)、及び第2分離工程(S0207)を必須の工程として、また取得工程(S0201)、洗浄工程(S0202)、及び回収工程(S0208)を選択的工程として含む。以下、各工程について具体的に説明をする。
2-2-1.取得工程
「取得工程」(S0201)は、細胞破砕液から不溶性画分を取得する工程である。後述する第1混合工程前に、必要に応じて行う選択的工程である。本工程は第1態様の製造方法に記載の取得工程(S0101)に準ずる。したがって、ここでの具体的な説明については省略をする。
2-2-2.洗浄工程
「洗浄工程」(S0202)は、前記取得工程(S0201)後、及び/又は後述する除去工程(S0205)後の不溶性画分を洗浄する工程で、必要に応じて行う選択的な工程である。本工程は第1態様の製造方法に記載の洗浄工程(S0102)に準ずる。したがって、ここでの具体的な説明については省略をする。
2-2-3.第1混合工程
「第1混合工程」(S0203)は、不溶性標的タンパク質を包含する封入体を含む不溶性画分を第1リチウム溶液と混合する工程で、本方法における必須の工程である。
本工程で使用する不溶性画分は、不溶性標的タンパク質を包含する封入体を含む。この不溶性画分は、前記取得工程(S0201)で取得した不溶性画分を使用することができる。
本工程の基本的な手順や操作は、第1態様の製造方法に記載の混合工程(S0103)に準ずる。したがって、ここでは本工程に特徴的な方法について以下で説明をする。
本工程では、不溶性標的タンパク質を不溶性のままで維持し、封入体中に含まれるそれ以外の不溶性タンパク質を可溶化することを特徴とする。第1態様の製造方法における「1-3-3.混合工程」に記載のように、封入体に包含される不溶性タンパク質の可溶化はタンパク質の分子量とリチウム溶液の濃度の相関関係に基づく。封入体に含まれる標的タンパク質以外の夾雑タンパク質を除去するには、本工程で標的タンパク質を可溶化する濃度以外のリチウム溶液を不溶性画分と混合すればよい。したがって、本工程で使用する第1リチウム溶液は、標的タンパク質の分子量を有する不溶性タンパク質を可溶化しない濃度のリチウム溶液を使用する。
例えば、標的タンパク質の分子量が30,000未満の場合、第1リチウム溶液の濃度を5Mを超える濃度、例えば、5.1M以上、5.2M以上、5.3M以上、5.4M以上、5.5M以上、5.6M以上、5.7M以上、5.8M以上、5.9M以上、又は6M以上にすることによって、封入体中に含まれる30,000以上の分子量を有する不溶性タンパク質は可溶化される。一方、標的タンパク質を含む30,000未満の封入体中のタンパク質は不溶性のままである。同様に、標的タンパク質の分子量が30,000以上50,000未満の場合、第1リチウム溶液の濃度を6M未満、5.9M以下、5.8M以下、5.7M以下、5.6M以下、5.5M以下、5.4M以下、5.3M以下、5.2M以下、5.1M以下、又は5M以下にすることによって、封入体中に含まれる30,000未満の分子量を有する不溶性タンパク質は可溶化されるが、標的タンパク質を含む30,000以上の封入体中のタンパク質は不溶性のままである。さらに、標的タンパク質の分子量が50,000以上の場合、第1リチウム溶液の濃度を8M未満、7.9M以下、7.8M以下、7.7M以下、7.6M以下、7.5M以下、7.4M以下、7.3M以下、7.2M以下、7.1M以下、又は7M以下にすることによって、封入体中に含まれる50,000未満の分子量を有する不溶性タンパク質は可溶化されるが、標的タンパク質を含む50,000以上の封入体中のタンパク質は不溶性のままである。本工程後、後述する第1分離工程で不溶性画分と可溶性画分とに分離すれば、封入体中に含まれる夾雑タンパク質の一部を可溶性画分として分離除去することが可能となる。
2-2-4.第1分離工程
「第1分離工程」(S0204)は、前記第1混合工程(S0203)後の不溶性画分(本明細書では、「第1不溶性画分」と表記する)と可溶性画分(本明細書では、「第1可溶性画分」と表記する)を分離する工程で、本態様の方法における必須の工程である。
本工程の基本的な手順や操作は、第1態様の製造方法に記載の分離工程(S0104)に準ずる。したがって、ここでは分離工程(S0104)との違いについて以下で説明をする。
第1態様の製造方法に記載の分離工程(S0104)との違いは、第1態様の分離工程では分離後の可溶性画分中に可溶化タンパク質として標的タンパク質が包含されていたのに対して、本工程では第1不溶性画分中に不溶性タンパク質として標的タンパク質が包含されている点である。つまり、分離後の回収対象が互いに異なる。具体的には、分離工程(S0104)では分離後の沈殿物又は濾物が不要となるのに対して、本工程(S0204)では分離後の上清又は濾液である第1可溶性画分が不要となる。
2-2-5.除去工程
「除去工程」(S0205)は、前記第1分離工程(S0204)後の第1可溶性画分を除去する工程で、本態様の方法における必須の工程である。
本工程の基本的な手順や操作は、第1態様の製造方法に記載の回収工程(S0105)に準ずる。したがって、共通する手順や操作について、ここでの説明は省略する。ただし、前述の「2-2-4.第1分離工程」の項で説明したように、第1態様の回収工程と本除去工程とでは回収対象が互いに逆であって、第1態様の回収工程では可溶性画分を回収するのに対して、本工程の除去工程では第1可溶性画分を除去し、第1不溶性画分を回収する。これは、封入体中に含まれる不溶性タンパク質のうち、標的タンパク質以外の分子量を有する一部のタンパク質を可溶化することで、標的タンパク質と分離するためである。
第1分離工程~除去工程は、必要に応じて複数回繰り返すことができる。
2-2-6.第2混合工程
「第2混合工程」(S0206)は、前記除去工程後に得られる第1不溶性画分を第2リチウム溶液と混合する工程で、本方法における必須の工程である。
本工程は、第1態様の製造方法に記載の混合工程(S0103)に準ずる。したがって、ここでは混合工程(S0103)との違いについて以下で説明をする。
第1態様の混合工程(S0103)で使用する不溶性画分及び本工程で使用する第1不溶性画分は、いずれも標的タンパク質を不溶性タンパク質の状態で包含する。しかし、本工程の第1不溶性画分は、前記第1混合工程(S0203)~除去工程(S0205)によって、標的タンパク質と分子量の異なる不溶性タンパク質の一部が予め除去されている点、さらに、回収した第1不要性画分を本工程で処理し、標的タンパク質を可溶化し、それ以外を不溶性画分のままにする点が異なる。その他については、基本的に第1態様の混合工程(S0103)と同一の手順、及び操作で行えばよい。
本工程で使用する第2リチウム溶液の濃度は、可溶化すべき標的タンパク質の分子量に応じて定めればよい。例えば、標的タンパク質の分子量が30,000未満であれば、第2リチウム溶液を下限は1.25Mを超える濃度、例えば、1.3M以上、1.4M以上、1.5M以上、1.6M以上、1.7M以上、1.8M以上、1.9M以上、2M以上、2.1M以上、2.2M以上、2.3M以上、2.4M以上、又は2.5M以上、また上限は6M未満、例えば、5.9M以下、5.8M以下、5.7M以下、5.6M以下、5.5M以下、5.4M以下、5.3M以下、5.2M以下、5.1M以下、又は5M以下に設定することで分子量30000未満のタンパク質は可溶化される。一方、それ以外のタンパク質は不溶性のままである。同様に、標的タンパク質の分子量が30,000以上50,000未満であれば、第2リチウム溶液を、下限は5Mを超える濃度、例えば5.1M以上、5.2M以上、5.3M以上、5.4M以上、5.5M以上、5.6M以上、5.7M以上、5.8M以上、5.9M以上、又は6M以上に設定し、また上限は8M未満、7.9M以下、7.8M以下、7.7M以下、7.6M以下、7.5M以下、7.4M以下、7.3M以下、7.2M以下、7.1M以下、又は7M以下に設定する。これによって、分子量が30,000以上50000未満のタンパク質は可溶化されるが、それ以外のタンパク質は不溶性のままである。ここで、30,000未満のタンパク質は第1混合工程(S0203)~除去工程(S0205)で既に可溶化され、除かれているため、ここでは実質的に分子量が30,000以上50,000未満のタンパク質が可溶化されることになる。さらに、標的タンパク質の分子量が50,000以上であれば、第2リチウム溶液を下限は8M以上、例えば9M以上、9.1M以上、9.2M以上、9.3M以上、9.4M以上、9.5M以上、9.6M以上、9.7M以上、9.8M以上、9.9M以上、又は10M以上に設定し、そして上限は飽和濃度以下に設定することで分子量50,000以上のタンパク質を可溶化できる。
2-2-7.第2分離工程
「第2分離工程」(S0207)は、前記第2混合工程(S0206)後の不溶性画分(本明細書では、「第2不溶性画分」と表記する)と可溶性画分(本明細書では、「第2可溶性画分」と表記する)を分離する工程で、本態様の方法における必須の工程である。第2可溶性画分には、可溶化標的タンパク質が含まれる。
本工程の基本的な手順や操作は、第1態様の製造方法に記載の分離工程(S0104)と同一である。したがって、ここでの具体的な説明については省略をする。
2-2-8.回収工程
「回収工程」(S0207)は、第2可溶性画分を回収する工程である。前述のように第2分離工程(S0206)後に得られる第2可溶性画分中には目的とする可溶化標的タンパク質が包含される。この第2可溶性画分を回収することで、封入体中に包含されていた不溶性標的化合物を、他の分子量の不溶性タンパク質を含まない可溶性標的タンパク質として分離精製することができる。
本工程の基本的な手順や操作は、第1態様の製造方法に記載の回収工程(S0105)と同一である。したがって、ここでの具体的な説明については省略をする。
回収した第2可溶性画分は、必要に応じて繰り返し第2分離工程に供することができる。この場合、同一方法で分離してもよいし、各回で異なる方法を組み合わせて分離してもよい。例えば、遠心分離法で分離後、回収した上清を濾過法で再度分離し、濾液を回収することで、不溶性の夾雑物を含まない可溶性画分を得ることができる。
本態様の分離精製方法で回収された可溶性画分に含まれる可溶性標的タンパク質は、すでに精製された状態にあるが、必要に応じてさらに精製を行ってもよい。タンパク質の精製法は、第1態様の製造方法に記載の回収工程(S0105)に記載の公知の方法で行えばよい。
2-3.効果
本発明の可溶化タンパク質分離精製方法によれば、変性剤を使用することなく、封入体に含まれる標的タンパク質を可溶化することができると共に、その分子量に応じて可溶化標的タンパク質を分離し、精製することができる。
本発明の可溶化タンパク質分離精製方法によれば、精製における工程数を減少させ、容易かつ低コストで高純度な可溶化標的タンパク質を得ることができる。
<実施例1:封入体中に含まれる不溶性標的タンパク質の可溶化剤の検討>
(目的)
大腸菌で発現され、封入体中に包含されている不溶性タンパク質を可溶化する非変性可溶化剤を探索する。
(方法)
(1)標的タンパク質の調製
大腸菌で発現させる標的タンパク質として、配列番号2で示す721個のアミノ酸配列からなる「bw753ΔCタンパク質」を用いた。bw753ΔCタンパク質は、配列番号1で示す塩基配列からなるbw753ΔC遺伝子にコードされている。bw753ΔC遺伝子は、特開2018-074403で同定されたオオミノガFib H遺伝子の塩基情報に基づき、WO2020/235692にて新たに構築された改変型組換えミノムシフィブロインH鎖遺伝子(rbFib H遺伝子)である。特願2019-097154の実施例に記載のように、このbw753ΔC遺伝子を発現可能な状態で包含する遺伝子発現ベクターとしてpET-22b-bw753ΔCを構築し、大腸菌BL21(DE3)株(Novagen社)の細胞内に常法を用いて導入して形質転換体bw753ΔC株を得た。
(2)標的タンパク質の発現誘導
bw753ΔC株をLB培地に植菌し、37℃で振盪培養後、OD600が0.7に達した時点で、IPTGを終濃度1mMになるように添加し、さらに20℃で22時間培養してbw753ΔCタンパク質の発現を誘導した。誘導培養後、遠心による沈殿として菌体を回収した。
(3)不溶性画分の単離
回収した菌体を元の培養液量の精製水で懸濁した後、フレンチプレスを用いて菌体破砕を行った。菌体破砕液を12,000×Gで、30分間、15℃にて遠心後、得られた沈澱10gを10gの精製水で懸濁し、2gの懸濁液3本を10,600×Gで20分間、20℃にて再遠心した。得られた沈殿に各1mLの洗浄用緩衝液[100 mM Tris-HCl(pH 7.0), 10mM EDTA・2Na, 2M 尿素, 2% (w/v) Triton X-100]を添加してボルテックスミキサーで再懸濁した。懸濁液を10,600×Gで20分間、20℃にて遠心し、上清を除いて沈殿を回収した。上記、洗浄用緩衝液による懸濁、遠心、及び上清除去による沈殿回収の操作を4回繰り返して洗浄し、再度洗浄用緩衝液で沈殿を懸濁して集め、1.5mLチューブに分注した。最後に16,000×Gで20分間、20℃にて遠心後、上清を除いて、封入体を含む不溶性画分として沈殿を回収した。
(4)候補可溶化溶液による封入体中の不溶性タンパク質の可溶化
表1に示す濃度で10種類の化合物の水溶液を候補可溶化溶液として調製した。
Figure 2022145193000002
(3)で得られた不溶性画分に、各候補可溶化溶液を500μLずつ添加し、ボルテックスミキサーで懸濁した。その後、室温でローテーター(TAITEC社製、RT-50)を使って1晩転倒混和させた後、16,000×Gで20分間、20℃にて遠心し、可溶性画分である上清を回収した。
回収した上清を10%SDS-PAGEによって分画し、泳動後のゲルをクマシーブリリアントブルー(CBB)で全タンパク質染色した。不溶性画分に含まれる封入体中の不溶性標的タンパク質(bw753ΔCタンパク質)は可溶化溶液により可溶化されて上清(可溶化画分)中に可溶化タンパク質として存在すればSDS-PAGEにより分画可能となるため、泳動によってゲル内を移動し、それ自身の分子量位置でバンドを形成することから、各可溶化画分中の標的タンパク質(bw753ΔCタンパク質)の存在を確認した。
(結果)
結果を図3に示す。bw753ΔCタンパク質の分子量に相当するバンドの位置を2本の矢印で示した。飽和チオシアン酸リチウム溶液(No.1)、14.5M塩化リチウム溶液(No.6)、及び12.3M臭化リチウム溶液(No.7)の、いずれもリチウム溶液を候補可溶化溶液として用いた場合のみ、可溶化bw753ΔCタンパク質が確認できた。この結果から、不溶性画分における封入体中の不溶性標的タンパク質を可溶化する可溶化溶液として、リチウム溶液が有効であることが明らかとなった。
なお、No.1、No.6、及びNo.7の各上清を、既知濃度のウシ血清アルブミン(BSA)と並列にSDS-PAGEを行い、泳動後のゲルをCBB染色した後に、BSAバンドの相対量として、各上清中のbw753ΔCタンパク質の可溶化量を算出した結果、不溶性画分1gあたりの可溶化bw753ΔCタンパク質量は、飽和チオシアン酸リチウム溶液は2.7mg、12.3M臭化リチウム溶液は2.8mg、14.5M塩化リチウム溶液は0.3mgであり、12.3M臭化リチウム溶液が最も可溶化率が高かった。さらに、bw753ΔCタンパク質以外の夾雑タンパク質の混在量はいずれも少なかったが、この場合も12.3M臭化リチウム溶液が最も夾雑タンパク質の混在が少なかった。以上の結果より、以降の実施例では、可溶化溶液として臭化リチウム溶液を用いた。
<実施例2:リチウム溶液の可溶化溶液としての条件検証>
(目的)
実施例1で、封入体中の不溶性標的タンパク質を可溶化できる新規可溶化溶液として、リチウム溶液を見出した。そこで、本実施例ではリチウム溶液を用いた封入体中の不溶性タンパク質の至適可溶化条件を処理時間及び処理温度から検証する。
(方法)
実施例1の「(3)不溶性画分の単離」で単離した9本の不溶性画分に、10M臭化リチウム溶液を500μL添加し、ボルテックスミキサーで懸濁した。その後、30℃、60℃、及び80℃の各温度に設定したブロック恒温槽で30分間、60分間、及び120分間インキュベーションさせた後、16,000×Gで20分間、20℃にて遠心し、可溶性画分である上清を回収した。回収した上清は、実施例1と同様の条件でSDS-PAGEを実施し、泳動後のゲルをCBB染色により全タンパク質染色した。
(結果)
結果を図4に示す。この図では、bw753ΔCタンパク質の分子量に相当するバンドのみを示している。図から可溶化溶液として10M臭化リチウム溶液を用いた場合、処理温度や処理時間による可溶化率に大きな差はみられなかった。
<実施例3:リチウム溶液の濃度と不溶性タンパク質の可溶化量>
(目的)
本実施例ではリチウム溶液の濃度と封入体中の不溶性タンパク質の可溶化量の関係について検証する。
(方法)
実施例1の「(3)不溶性画分の単離」で単離した不溶性画分8本に、1.25M、2.5M、5M、6M、7M、8M、9M、及び10Mの臭化リチウム溶液をそれぞれ500μL添加し、ボルテックスミキサーで懸濁した。その後、30℃に設定した恒温水槽で、120分間インキュベーションした後、16,000×Gで20分間、20℃にて遠心し、可溶性画分である上清を回収した。回収した上清は、実施例1と同様の条件でSDS-PAGEを実施し、泳動後のゲルをCBB染色により全タンパク質染色した。
(結果)
結果を図5に示す。bw753ΔCタンパク質の分子量に相当するバンド位置を矢印で示す。非常に興味深いことに、bw753ΔCタンパク質以外の夾雑タンパク質のうち、分子量30,000未満のタンパク質は2.5Mと5Mの臭化リチウム溶液により可溶化されたが6M以上の臭化リチウム溶液ではほとんど可溶化されなかった。さらに、分子量30,000~50,000の夾雑タンパク質は、6M~8Mの臭化リチウム溶液により効率的に可溶化されたが6M未満や10Mではほとんど可溶化されないか、可溶化量が非常に低かった。一方、分子量60,000~70,000のbw753ΔCタンパク質は8M~10Mの臭化リチウム溶液を使用したときに効率的に可溶化された。以上の結果より、リチウム溶液による不溶性タンパク質の可溶化には、リチウム溶液の濃度とタンパク質の分子量との間で相関関係があることが明らかとなった。
<実施例4:標的タンパク質の分子量に基づく、多段階可溶化処理による可溶化標的タンパク質の分離精製方法の確立>
(目的)
実施例3の結果から不溶性画分に含まれる封入体中の不溶性タンパク質は、その分子量に基づく濃度のリチウム溶液を可溶化溶液として用いることで、効率的に可溶化できることが明らかとなった。
上記相関関係を利用して、封入体中に含まれる標的タンパク質以外の不溶性夾雑タンパク質を、それらの分子量の不溶性タンパク質を可溶化し得る濃度のリチウム溶液を用いて可溶化し、除去した後、回収された不溶性画分中に残る標的タンパク質を、その分子量の不溶性タンパク質を可溶化し得る、夾雑タンパク質の可溶化に用いた濃度以外の濃度のリチウム溶液で可溶化することによって、懸濁、及び遠心の操作のみで、可溶化標的タンパク質を高純度で分離精製できることを検証する。
(方法)
(1)6M臭化リチウム溶液処理による可溶性画分の回収
実施例1の「(3)不溶性画分の単離」で単離した不溶性画分に、6M臭化リチウム溶液を500μL添加し、ボルテックスミキサーで懸濁した。その後、30℃に設定した恒温水槽で、120分間インキュベーション後、16,000×Gで20分間、20℃にて遠心し、可溶性画分である上清を「6M臭化リチウム可溶化画分」として回収した。
回収した上清(6M臭化リチウム可溶化画分)はSDS-PAGEを実施し、泳動後のゲルをCBB染色により全タンパク質染色を行った。
(2)8M臭化リチウム溶液処理による可溶性画分の回収
実施例1の「(3)不溶性画分の単離」で単離した不溶性画分に、8M臭化リチウム溶液を500μL添加し、ボルテックスミキサーで懸濁した。その後、30℃に設定した恒温水槽で、120分間インキュベーション後、16,000×Gで20分間、20℃にて遠心し、可溶性画分である上清を「8M臭化リチウム可溶化画分」として回収した。回収した上清(8M臭化リチウム可溶化画分)はSDS-PAGEを実施し、泳動後のゲルをCBB染色により全タンパク質染色を行った。
(3)6M及び8Mの臭化リチウム溶液を用いた二段階可溶化処理による可溶性画分の回収
実施例1の「(3)不溶性画分の単離」で単離した不溶性画分に、6M臭化リチウム溶液を500μL添加し、ボルテックスミキサーで懸濁した。その後、30℃に設定した恒温水槽で、120分間インキュベーションした後、16,000×Gで20分間、20℃にて遠心した。沈殿物として得られた「6M臭化リチウム不溶性画分」に精製水500μLを添加、懸濁した。16,000×Gで20分間、20℃にて再遠心した後、上清を除いて、再び沈殿を回収した。この精製水による懸濁、遠心、及び上清除去(沈殿回収)の3ステップからなる一連の操作を3回繰り返して「6M臭化リチウム不溶性画分」を洗浄した。洗浄後した「6M臭化リチウム不溶性画分」に8M臭化リチウム溶液を500μLで添加、懸濁し、30℃、120分間インキュベーション後、16,000×Gで20分間、20℃にて遠心し、可溶性画分である上清(8M臭化リチウム可溶化画分)を回収した。この2段階の可溶化処理後に回収した上清(6M/8M臭化リチウム可溶化画分)はSDS-PAGEを実施し、泳動後のゲルをCBB染色により全タンパク質染色を行った。
(結果)
結果を図6に示す。図中、各SDS-PAGE画像の下に記載したレーン1、2及び3は、それぞれ、上記方法の(1)、(2)及び(3)に記載の各処理後に回収された可溶化画分の泳動図である。不溶性画分を6Mの臭化リチウム溶液で可溶化した6M臭化リチウム可溶化画分(レーン1)では、標的タンパク質であるbw753ΔCタンパク質(A)は可溶化されていないが、分子量50,000以下の夾雑タンパク質(B)は可溶化されていた。また、不溶性画分を8Mの臭化リチウム溶液で可溶化した8M臭化リチウム可溶化画分(レーン2)では、標的タンパク質であるbw753ΔCタンパク質(A)が可溶化されているものの、夾雑タンパク質(B)も同時に可溶されていた。一方、不溶性画分を6Mの臭化リチウム溶液で可溶化し、その処理で得られた6M臭化リチウム不溶性画分を8Mの臭化リチウム溶液で可溶化して得られた、二段階可溶化処理による6M/8M臭化リチウム可溶化画分(レーン3)においても、標的タンパク質であるbw753ΔCタンパク質(A)が可溶化されていたが、夾雑タンパク質(B)はほとんど検出されなかった。以上の結果より、濃度の異なるリチウム溶液を用いて多段階で可溶化処理を行うことによって、標的タンパク質を高純度で効率的に可溶化できることが確認された。

Claims (12)

  1. 封入体から可溶化標的タンパク質を製造する方法であって、
    不溶性画分をリチウム溶液と混合する混合工程、及び
    前記混合工程後の可溶化標的タンパク質を含む可溶性画分と不溶性画分とを分離する分離工程
    を含む前記方法。
  2. 前記混合工程前に、標的タンパク質を発現する微生物の細胞破砕液から標的タンパク質を包含する封入体を含む不溶性画分を取得する取得工程を含む、請求項1に記載の方法。
  3. 前記分離工程後の可溶性画分を回収する回収工程を含む、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 前記リチウム溶液の濃度は、標的タンパク質の分子量が、
    30,000未満のときに1.25Mを超え、かつ5M未満であり、
    30,000以上50,000未満のときに5M以上8M未満であり、
    50,000以上のときに9Mを超える濃度である、
    請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
  5. 前記リチウム溶液が臭化リチウム溶液である、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
  6. 前記標的タンパク質がフィブロインタンパク質又はその派生タンパク質である、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
  7. 前記微生物が大腸菌である、請求項2~6のいずれか一項に記載の方法。
  8. 封入体由来の標的タンパク質を可溶化タンパク質として分離し、精製する方法であって、
    不溶性画分を第1リチウム溶液と混合する第1混合工程、
    前記第1混合工程後の不溶性画分と可溶性画分を分離する第1分離工程、
    前記第1分離工程後の可溶性画分を除去する除去工程、
    前記除去工程後に得られる不溶性画分を第2リチウム溶液と混合する第2混合工程、及び
    前記第2混合工程後の不溶性画分と可溶性画分を分離する第2分離工程、
    を含み、
    前記第1リチウム溶液の濃度は、目的とする可溶化タンパク質の分子量が、
    30,000未満のときに6M以上であり、
    30,000以上50,000未満のときに5M以下であり、
    50,000以上のときに8M未満であって、
    前記第2リチウム溶液の濃度は、目的とする可溶化タンパク質の分子量が、
    30,000未満のときに1.25Mを超え、かつ6M未満であり、
    30,000以上50,000未満のときに5Mを超え、かつ8M未満であり、
    50,000以上のときに8M以上である、
    前記方法。
  9. 前記混合工程前に、標的タンパク質を発現する微生物の細胞破砕液から標的タンパク質を包含する封入体を含む不溶性画分を取得する取得工程を含む、請求項8に記載の方法。
  10. 前記第2分離工程後の可溶性画分を回収する回収工程を含む、請求項8又は9に記載の方法。
  11. 前記リチウム溶液が臭化リチウム溶液である、請求項8~10のいずれか一項に記載の方法。
  12. 前記目的とする可溶化タンパク質が前記微生物で発現させた外因性タンパク質である、請求項9~11のいずれか一項に記載の方法。
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