[第1の実施の形態]
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。始めに、図1および図2を参照して、本発明の第1の実施の形態に係る磁気センサシステムの概略について説明する。本実施の形態に係る磁気センサシステム1は、本実施の形態に係る磁気センサ2と、検出対象磁界を発生する磁界発生器5とを備えている。
磁界発生器5は、回転軸C上に中心が位置するリング状の形状を有し、回転軸Cを中心として回転可能である。磁界発生器5をリングと見なすと、磁気センサ2は、リングの孔に相当する部分に配置されている。また、磁気センサ2は、回転軸C上に配置されている。なお、図1では、磁気センサ2と磁界発生器5を、回転軸Cに沿って互いに離して描いている。磁気センサ2は、磁界発生器5が発生する検出対象磁界を検出して、検出値θsを生成する。検出値θsは、磁気センサ2に対する磁界発生器5の相対的な位置、特に回転位置に対応する。
磁界発生器5は、2つの磁石6A,6Bと、2つのヨーク7A,7Bとを含んでいる。磁石6A,6Bは、回転軸Cを含む仮想の平面を中心として対称な位置に配置されている。磁石6A,6Bの各々は、磁界発生器5の回転方向の両端に位置するN極とS極を有している。ヨーク7Aは、磁石6AのN極と磁石6BのN極を接続している。ヨーク7Bは、磁石6AのS極と磁石6BのS極を接続している。
ここで、図1および図2に示したように、X方向、Y方向、Z方向を定義する。X方向、Y方向、Z方向は、互いに直交する。本実施の形態では、回転軸Cに平行な一方向(図1では右側に向かう方向)をX方向とする。図2では、Y方向を左側に向かう方向として表している。図1および図2では、Z方向を上側に向かう方向として表している。また、X方向とは反対の方向を-X方向とし、Y方向とは反対の方向を-Y方向とし、Z方向とは反対の方向を-Z方向とする。
次に、図1ないし図4を参照して、磁界発生器5が発生する検出対象磁界について説明する。図3は、検出対象磁界について説明するための説明図である。図4は、検出対象磁界の面内成分と垂直成分を示す説明図である。
本実施の形態では、磁石6AのN極から発生される磁束と、磁石6BのN極から発生される磁束は、いずれも、ヨーク7Aから流出してヨーク7Bに流入する。これにより、ヨーク7Aからヨーク7Bに向かう方向の検出対象磁界MFが発生する。
図3および図4において、記号PL1を付した平面は、磁気センサ2および磁界発生器5と交差するYZ平面を表している。以下、この平面を、第1の平面PL1と言う。検出対象磁界MFは、第1の平面PL1内の基準位置P0において第1の方向D1を有している。基準位置P0は、磁気センサ2の内部または表面にある。第1の方向D1は、第1の平面PL1内において所定の可変範囲内で変化するものである。図3において、記号D1を付した矢印は、第1の方向D1と、基準位置P0における検出対象磁界MFの強度とを表している。記号D1を付した矢印の先端は、記号C1を付した円上を移動する。本実施の形態では、第1の方向D1の可変範囲の大きさは、180°以下である。
磁気センサ2と磁界発生器5は、磁気センサ2に対する磁界発生器5の相対的な位置が変化すると、第1の方向D1が変化するように構成されている。すなわち、磁界発生器5が回転軸Cを中心として回転すると、磁気センサ2に対する磁界発生器5の相対的な位置は、磁気センサ2を中心として回転する。これにより、第1の方向D1は、基準位置P0を中心として回転する。
図3および図4において、記号PL3を付した平面は、基準位置P0を通るXY平面を表している。以下、この平面を、基準平面PL3と言う。
本実施の形態では、磁気センサ2に関連する第2の平面が規定される。第2の平面は、第1の平面PL1と基準平面PL3の両方に対して傾いている。第1の平面PL1と第2の平面は、90°以外の二面角αをなして交差する。二面角αは、0°よりも大きく90°よりも小さい。本実施の形態における第2の平面は、Y方向の軸を中心としてXY平面を90°-αの角度だけ回転した平面である。図3および図4に示した平面PL2は、第2の平面の一例である。図3および図4に示した平面PL2は、基準位置P0を通過している。しかし、第2の平面は、基準位置P0を通過するとは限らない。
ここで、Z方向から-X方向に向かってαだけ回転した方向をU方向とし、U方向とは反対の方向を-U方向とする。平面PL2は、U方向およびY方向に平行な平面すなわちUY平面である。
図4に示したように、基準位置P0における検出対象磁界MFは、平面PL2に平行な面内成分MFaと平面PL2に垂直な垂直成分MFbに分けることができる。なお、図4は、基準位置P0における検出対象磁界MFの方向である第1の方向D1がZ方向と一致している状態を表している。面内成分MFaは、第1の方向D1の変化に応じて変化する第2の方向D2を有している。図3において、記号D2を付した矢印は、第2の方向D2と、面内成分MFaの強度とを表している。記号D2を付した矢印の先端は、記号C2を付した楕円上を移動する。
図3には、基準位置P0を通りZ方向に平行な仮想の直線L1と、基準位置P0を通りU方向に平行な仮想の直線L2と、仮想の直線L1と円C1の交点P1,P2と、仮想の直線L2と楕円C2の交点P3,P4とを示している。仮想の直線L2、楕円C2、交点P3,P4および第2の方向D2は、それぞれ、仮想の直線L1、円C1、交点P1,P2および第1の方向D1を、平面PL2に垂直投影したものである。
磁気センサ2は、少なくとも1つの磁気抵抗効果素子(以下、MR素子と記す。)を含んでいる。本実施の形態では、少なくとも1つのMR素子毎に、第2の平面が定義される。本実施の形態では、第2の平面は、対応するMR素子と交差するものとする。
少なくとも1つのMR素子の各々は、それに対応する第2の平面内において変化可能な方向の第1の磁化を有する第1の磁性層を含んでいる。少なくとも1つのMR素子の各々が受ける検出対象磁界MFは、基準位置P0における検出対象磁界MFと同様に、第2の平面に平行な面内成分と第2の平面に垂直な垂直成分に分けることができる。面内成分は、図4に示した面内成分MFaと同様に、第1の方向D1に応じて変化する第2の方向を有している。少なくとも1つのMR素子の各々において、第1の磁化の方向は、第2の方向の変化に応じて変化する。検出値θsは、第1の磁化の方向に依存する。
第2の方向は、第1の方向D1の変化に応じて変化することから、第1の磁化の方向は、第1の方向D1の変化に応じて変化する。従って、検出値θsは、第1の方向D1に対応する。
磁気センサ2が複数のMR素子を含む場合には、複数のMR素子は、検出対象磁界MFを受ける位置によって検出対象磁界MFの方向の実質的な相違が生じない領域内に配置される。そのため、複数のMR素子が受ける検出対象磁界MFの方向は、実質的に同じである。
次に、図5および図6を参照して、磁気センサ2の構成について説明する。図5は、磁気センサ2を示す斜視図である。図6は、磁気センサ2の構成を示す回路図である。図6に示したように、本実施の形態では、磁気センサ2は、少なくとも1つのMR素子を含むと共に第1の磁化の方向に依存する第1の検出信号S1を生成する第1の磁気検出部10を備えている。本実施の形態では、第1の磁気検出部10は、1つのMR素子11を含んでいる。
図5に示したように、磁気センサ2は、更に、MR素子11を支持する基板3を備えている。基板3は、図3および図4に示した第1の平面PL1(YZ平面)に垂直な主面3aを含んでいる。本実施の形態では特に、主面3aは、図3および図4に示した基準平面PL3(XY平面)に平行である。
基板3は、更に、主面3aにおいて開口する溝部3cを有している。溝部3cは、主面3aに対して傾斜した傾斜面3bを含んでいる。傾斜面3bは、平面である。MR素子11は、傾斜面3bに配置されている。MR素子11に対応する第2の平面は、傾斜面3bに平行である。
本実施の形態では、MR素子11が配置されている位置を基準位置P0とし、図3および図4に示した平面PL2を、MR素子11に対応する第2の平面とする。本実施の形態では、便宜上、MR素子11に対応する第2の平面を、第2の平面PL2と記す。傾斜面3bは、第2の平面PL2と同様に、第1の平面PL1に対して二面角αをなすように傾斜し且つUY平面に平行である。
また、本実施の形態では、図4に示した面内成分MFaを、MR素子11が受ける検出対象磁界MFの面内成分とし、図3に示した第2の方向D2を、MR素子11が受ける検出対象磁界MFの面内成分の第2の方向とする。本実施の形態では、便宜上、MR素子11が受ける検出対象磁界MFの面内成分を、面内成分MFaと記し、MR素子11が受ける検出対象磁界MFの面内成分の第2の方向を、第2の方向D2と記す。
図6に示したように、第1の磁気検出部10は、更に、抵抗器12と、信号出力端E1と、電源端V1と、グランド端G1とを含んでいる。なお、第1の磁気検出部10は磁気センサ2の一部であることから、磁気センサ2が抵抗器12、信号出力端E1、電源端V1およびグランド端G1を含んでいるとも言える。MR素子11と抵抗器12は、信号出力端E1を介して直列に接続されている。抵抗器12は、電源端V1と信号出力端E1との間に設けられている。MR素子11は、信号出力端E1とグランド端G1との間に設けられている。電源端V1には、所定の大きさの電源電圧が印加される。グランド端G1はグランドに接続される。
MR素子11は、スピンバルブ型のMR素子であってもよいし、異方性MR素子であってもよい。本実施の形態では特に、MR素子11は、スピンバルブ型のMR素子である。この場合、MR素子11は、前述の第1の磁性層の他に、第2の平面PL2に平行な方向の第2の磁化を有する第2の磁性層と、第1の磁性層と第2の磁性層の間に配置されたギャップ層とを含んでいる。第2の磁化の方向は、面内成分MFaの第2の方向D2の変化に応じて変化しない。スピンバルブ型のMR素子は、TMR(トンネル磁気抵抗効果)素子でもよいし、GMR(巨大磁気抵抗効果)素子でもよい。TMR素子では、ギャップ層はトンネルバリア層である。GMR素子では、ギャップ層は非磁性導電層である。MR素子11では、第1の磁性層の第1の磁化の方向が第2の磁性層の第2の磁化の方向に対してなす角度に応じて抵抗値が変化し、この角度が0°のときに抵抗値は最小値となり、角度が180°のときに抵抗値は最大値となる。図5および図6において、塗りつぶした矢印は、第2の磁化の方向を表している。本実施の形態では、第2の磁化の方向は-U方向である。
前述のように、第1の磁化の方向は、面内成分MFaの第2の方向D2の変化に応じて変化し、第2の方向D2は、検出対象磁界MFの第1の方向D1の変化に応じて変化する。従って、第1の方向D1の変化に応じて、MR素子11の抵抗値が変化し、その結果、信号出力端E1の電位が変化する。第1の磁気検出部10は、信号出力端E1の電位に対応する信号を第1の検出信号S1として生成する。第1の検出信号S1は、第1の方向D1の変化に応じて変化する。
第2の磁化の方向は、MR素子11の作製の精度等の観点から、上述の方向からわずかにずれていてもよい。
ここで、図7を参照して、MR素子11の構成の一例について説明する。図7は、MR素子11の一部を示す斜視図である。この例では、MR素子11は、複数の下部電極41と、複数のMR膜50と、複数の上部電極42とを有している。複数の下部電極41は基板3の傾斜面3b上に配置されている。個々の下部電極41は細長い形状を有している。下部電極41の長手方向に隣接する2つの下部電極41の間には、間隙が形成されている。図7に示したように、下部電極41の上面上において、長手方向の両端の近傍に、それぞれMR膜50が配置されている。MR膜50は、下部電極41側から順に積層された第1の磁性層51、ギャップ層52、第2の磁性層53および反強磁性層54を含んでいる。第1の磁性層51は、下部電極41に電気的に接続されている。反強磁性層54は、反強磁性材料よりなり、第2の磁性層53との間で交換結合を生じさせて、第2の磁性層53の磁化の方向を固定する。複数の上部電極42は、複数のMR膜50の上に配置されている。個々の上部電極42は細長い形状を有し、下部電極41の長手方向に隣接する2つの下部電極41上に配置されて隣接する2つのMR膜50の反強磁性層54同士を電気的に接続する。このような構成により、図7に示したMR素子11は、複数の下部電極41と複数の上部電極42とによって直列に接続された複数のMR膜50を有している。なお、MR膜50における層51~54の配置は、図7に示した配置とは上下が反対でもよい。
図6に示したように、磁気センサ2は、更に、第1の検出信号S1に基づいて検出値θsを生成する検出値生成部30を備えている。検出値θsは、第1の検出信号S1に依存する。第1の検出信号S1は、第1の方向D1の変化に応じて変化することから、検出値θsは、第1の方向D1に対応する。検出値生成部30は、例えば特定用途向け集積回路(ASIC)あるいはマイクロコンピュータによって構成されている。
次に、検出値θsの生成方法について説明する。ここで、検出対象磁界MFの第1の方向D1が所定の基準方向に対してなす角度を第1の角度と言い、記号θ1で表す。また、面内成分MFaの第2の方向D2が所定の基準方向に対してなす角度を第2の角度と言い、記号θ2で表す。第2の角度θ2は、第1の角度θ1と対応関係を有している。
図8は、第1の角度θ1の定義を示す説明図である。図8には、図3に示した第1の平面PL1、基準位置P0、第1の方向D1および円C1を示している。第1の平面PL1内において、第1の方向D1は、基準位置P0を中心として回転する。本実施の形態では、Z方向を第1の角度θ1を表すための基準方向とする。第1の角度θ1は、Z方向から図8における時計回り方向に見たときに正の値で表し、Z方向から図8における反時計回り方向に見たときに負の値で表す。
前述のように、本実施の形態では、第1の方向D1の可変範囲の大きさは、180°以下である。以下、第1の角度θ1は、0°以上180°以下の範囲内で変化するものとする。
図9は、第2の角度θ2の定義を示す説明図である。図9には、図3に示した平面PL2すなわち第2の平面PL2、基準位置P0、第2の方向D2および楕円C2を示している。第2の平面PL2内において、第2の方向D2は、MR素子11が配置されている位置すなわち基準位置P0を中心として回転する。本実施の形態では、U方向を第2の角度θ2を表すための基準方向とする。第2の角度θ2は、U方向から図9における時計回り方向に見たときに正の値で表し、U方向から図9における反時計回り方向に見たときに負の値で表す。本実施の形態では、第2の角度θ2は、0°以上180°以下の範囲内で変化する。
検出値生成部30は、第1の角度θ1と対応関係を有する値を検出値θsとして生成する。本実施の形態では、検出値生成部30は、第1の角度θ1そのものを表す値を検出値θsとして生成する。なお、検出値生成部30は、第1の角度θ1そのものを表す値の代わりに、磁気センサ2に対する磁界発生器5の相対的な位置を表す角度と対応関係を有する値を検出値θsとして生成してもよい。磁気センサ2に対する磁界発生器5の相対的な位置を表す角度は、第1の角度θ1と対応関係を有している。
以下、検出値θsの生成方法について具体的に説明する。始めに、検出値θsの生成方法の概要について説明する。図8に示した第1の方向D1を表す矢印は、基準位置P0を原点とするYZ座標系において、MR素子11が受ける検出対象磁界MFの方向と強度を表すベクトルを表していると言える。以下、このベクトルを第1のベクトルと言い、第1のベクトルのY成分とZ成分をそれぞれY1,Z1とする。
また、図9に示した第2の方向D2を表す矢印は、基準位置P0を原点とするYU座標系において、MR素子11が受ける面内成分MFaの方向と強度を表すベクトルを表していると言える。以下、このベクトルを第2のベクトルと言う。第2のベクトルは、第2の平面PL2に第1のベクトルを垂直投影したものであり、第2のベクトルのY成分は、第1のベクトルのY成分と同じ値すなわちY1になる。以下、第2のベクトルのY成分とU成分をそれぞれY1,U1とする。
また、第2のベクトルのU成分U1は、第1のベクトルのZ成分Z1と対応関係を有している。図10は、第1の角度θ1の変化に対するZ1,U1の変化を示す波形図である。図10において、横軸は第1の角度θ1を示し、縦軸はZ1およびU1を示している。また、図10において、符号81を付した曲線はZ1を示し、符号82を付した曲線はU1を示している。なお、図10では、Z1の最大値が1になり、Z1の最小値が-1になるように、Z1を規格化している。また、図10では、二面角αが60°の場合のU1を示している。
Z1は、U1と二面角αを用いて表すことができる。従って、比Y1/Z1は、比Y1/U1と二面角αを用いて表すことができる。比Y1/Z1と第1の角度θ1の関係と、比Y1/U1と第2の角度θ2の関係と、比Y1/Z1と比Y1/U1の関係を利用すると、第1の角度θ1と第2の角度θ2の関係を表す式が得られる。
また、第2の角度θ2を表す値θ2sは、第1の検出信号S1を用いて求めることができる。本実施の形態では、検出値生成部30は、θ2sを求め、第1の角度θ1と第2の角度θ2の関係を表す式にθ2sを代入することによって、検出値θsを生成する。
次に、検出値θsの具体的な計算方法について説明する。比Y1/Z1および比Y1/U1は、それぞれ下記の式(1)、(2)で表される。
Y1/Z1=tanθ1 …(1)
Y1/U1=tanθ2 …(2)
また、Z1は、下記の式(3)で表される。
Z1=U1/cosα …(3)
式(1)を変形し、変形後の式に式(2)、(3)を代入すると、第1の角度θ1と第2の角度θ2の関係を表す下記の式(4)が得られる。なお、“atan”は、アークタンジェントを表す。
θ1=atan(Y1/Z1)
=atan(Y1/(U1/cosα))
=atan(cosα・Y1/U1)
=atan(cosα・tanθ2) …(4)
第1の検出信号S1は、第2の角度θ2が0°のときに第1の検出信号S1の値が1になり、第2の角度θ2が180°のときに第1の検出信号S1の値が-1になり、第2の角度θ2が90°と270°のときに第1の検出信号S1の値が0になるように規格化することができる。この場合、第1の検出信号S1は、下記の式(5)で表される。
S1=cosθ2 …(5)
図6には、検出値生成部30の構成の一例を示している。この例では、検出値生成部30は、第1の演算部31と第2の演算部32を含んでいる。第1の演算部31は、第1の検出信号S1に基づいて、第2の角度θ2を表す値θ2sを算出する。第2の演算部32は、第1の演算部31によって算出された値θ2sに基づいて検出値θsを算出する。第1および第2の演算部31,32は、機能ブロックであってもよいし、物理的に別個の回路であってもよい。
第1の演算部31は、下記の式(6)によって値θ2sを算出する。値θ2sの範囲は、0°以上180°以下である。式(6)は、式(5)におけるθ2をθ2sに置き換えて変形したものである。なお、“acos”は、アークコサインを表す。
θ2s=acosS1 …(6)
第2の演算部32は、後で説明する例外を除いて、下記の式(7)によって検出値θsを算出する。検出値θsの範囲は、0°以上180°以下である。式(7)は、式(4)におけるθ1,θ2を、それぞれθs,θ2sに置き換えたものである。
θs=atan(cosα・tanθ2s) …(7)
上記の例外とは、値θ2sが0°または180°のときである。値θ2sが0°または180°のときには、式(7)によるθsの解には、0°と180°の2つの解がある。そこで、第2の演算部32は、値θ2sが0°または180°のときには、値θ2sをそのまま検出値θsとする。これは、第1の角度θ1が0°のときは第2の角度θ2も0°であり、第1の角度θ1が180°のときは第2の角度θ2も180°であることを利用したものである。
なお、検出値生成部30の構成および機能は、上記の例に限られない。例えば、検出値生成部30は、第1の検出信号S1と検出値θsとの対応関係を示すテーブルを保持し、このテーブルを参照して、第1の検出信号S1から検出値θsを生成してもよい。上記テーブルにおける第1の検出信号S1と検出値θsとの対応関係は、上述のように理論的に求められたものであってもよいし、実験によって求められたものであってもよい。
次に、本実施の形態に係る磁気センサシステム1および磁気センサ2の作用および効果について説明する。本実施の形態に係る磁気センサ2の第1の磁気検出部10は、MR素子11を含んでいる。MR素子11は、所定の平面すなわち第2の平面PL2内において変化可能な方向の第1の磁化を有する第1の磁性層を含んでいる。そのため、MR素子11は、所定の平面すなわち第2の平面PL2内で方向が変化する磁界を検出するのに適している。
一方、基準位置P0における検出対象磁界MFは、第1の平面PL1(YZ平面)内において所定の可変範囲内で変化する第1の方向D1を有している。すなわち、検出対象磁界MFの第1の方向D1は、上記の所定の平面外の方向を含む可変範囲内で変化する。本実施の形態によれば、以下のようにして、所定の平面すなわち第2の平面PL2内で方向が変化する磁界を検出するのに適したMR素子11を用いて、所定の平面外の方向を含む可変範囲内で方向が変化する検出対象磁界MFの第1の方向D1に対応する検出値θsを生成することができる。
すなわち、本実施の形態では、MR素子11は基板3の傾斜面3bに配置され、MR素子11に対応する第2の平面PL2は第1の平面PL1に対して二面角αをなすように傾斜している。これにより、MR素子11によって、検出対象磁界MFの一成分である面内成分MFaを検出することができる。面内成分MFaの方向である第2の方向D2は、基準位置P0における検出対象磁界MFの方向である第1の方向D1の変化に応じて変化する。MR素子11において、第1の磁化の方向は、第2の方向D2の変化に応じて変化する。検出値θsは、第1の磁化の方向に依存する。従って、検出値θsは、第1の方向D1に対応する。このようにして、本実施の形態によれば、MR素子11を用いて、第1の方向D1に対応する検出値θsを生成することができる。
ところで、もし、第2の平面PL2が、第1の平面PL1に垂直な平面であったら、第1の方向D1次第では、面内成分MFaの強度が0または0に近い値になる場合がある。第2の平面PL2が第1の平面PL1に垂直な場合の例としては、第2の平面PL2が、X方向の軸を中心としてXY平面を0°より大きく90°より小さい角度だけ回転した平面である場合がある。この場合には、第1の方向D1が第2の平面PL2に垂直であるときに面内成分MFaの強度が0になり、第1の方向D1が第2の平面PL2に垂直に近い方向であるときに面内成分MFaの強度が0に近い値になる。このように、面内成分MFaの強度が0または0に近い値になるときには、検出対象磁界MFの強度のばらつきに対する磁気センサ2の検出精度の低下の程度が大きくなる。
これに対し、本実施の形態では、第1の平面PL1と第2の平面PL2は、90°以外の二面角αをなして交差する。これにより、検出対象磁界MFが存在する限り、可変範囲内における第1の方向D1に関わらず、面内成分MFaの強度が0になることはない。そのため、本実施の形態によれば、MR素子11を用いて、検出精度の低下を抑制しながら、検出対象磁界MFの第1の方向D1に対応する検出値θsを生成することができる。
また、本実施の形態では、第1の平面PL1は、基板3の主面3aに垂直である。これにより、本実施の形態によれば、磁気センサ2と磁界発生器5の位置関係を容易に規定することが可能になる。
以下、二面角αの好ましい範囲について説明する。検出対象磁界MFの強度をH1とすると、面内成分MFaの強度の最小値は、H1cosαである。面内成分MFaの強度の最小値は、H1の10%以上であることが好ましく、30%以上であることがより好ましい。そのため、二面角αは、84°以下であることが好ましく、73°以下であることより好ましい。一方、二面角αが小さすぎると、基板3の傾斜面3b上にMR素子11を形成することが難しくなる。そのため、二面角αは、30°以上であることが好ましく、45°以上であることがより好ましい。以上のことから、二面角αは、30°~84°の範囲内であることが好ましく、45°~73°の範囲内であることがより好ましい。
ところで、MR素子11の第1の磁性層の第1の磁化の方向は、面内成分MFaの第2の方向D2の変化に精度よく追従することが好ましい。そのためには、第1の磁性層は、検出対象磁界MFの第1の方向D1が可変範囲内の少なくとも一部の範囲内にあるときに、検出対象磁界MFによって第1の磁化が飽和状態になる特性を有することが好ましい。第1の磁性層は、第1の方向D1が可変範囲内のいずれの方向であっても、検出対象磁界MFによって第1の磁化が飽和状態になる特性を有することがより好ましい。
また、MR素子11がスピンバルブ型のMR素子である場合、第1の磁性層の第1の磁化の方向が第2の方向D2の変化に精度よく追従するためには、第1の磁性層の一軸磁気異方性は小さいことが好ましい。
MR素子11の第1の磁性層は、第1の方向D1が可変範囲内のいずれの方向であっても、検出対象磁界MFによって第1の磁化が飽和状態になる特性を有していてもよい。この場合には、検出対象磁界MFの強度の変動によって、第1の磁性層の第1の磁化の方向が変動することはない。そのため、この場合には、検出対象磁界MFの強度の変動による検出値θsの変動を抑制することができる。検出対象磁界MFの強度の変動は、例えば、環境温度の変化や、磁気センサ2と磁界発生器5の位置関係の変動によって生じ得る。
本実施の形態では、第1の方向D1の可変範囲の大きさは180°以下である。本実施の形態では特に、磁界発生器5が回転軸Cを中心として回転すると、磁気センサ2に対する磁界発生器5の相対的な回転位置が変化し、その結果、第1の方向D1が変化する。磁気センサ2に対する磁界発生器5の相対的な回転位置の可変範囲も180°以下である。従って、本実施の形態に係る磁気センサシステム1は、回転可能な可動部を含む機器であって、可動部の可変範囲が180°以下である機器における可動部の回転位置を検出する装置として利用することができる。このような機器としては、例えばスロットルがある。
図11は、本実施の形態に係る磁気センサシステム1を適用可能なスロットルの構成を示す説明図である。図11に示したスロットル200は、可動部であるスロットルバルブ201と、このスロットルバルブ201を所定の回転軸を中心として回転可能に支持する本体202とを含んでいる。磁気センサシステム1をスロットル200に適用する場合には、例えば、磁気センサ2はスロットルバルブ201に連動して回転せずに、磁界発生器5がスロットルバルブ201に連動して回転するように、磁気センサシステム1を構成すればよい。
なお、スロットルバルブ201の可変範囲の大きさは90°以下である。磁気センサシステム1をスロットル200に適用する場合には、スロットルバルブ201の回転位置が可変範囲の中央位置のときに図8、図9に示したθ1,θ2が90°になるように磁気センサシステム1を構成すれば、スロットルバルブ201の回転位置の変化に対する第1の検出信号S1の変化の線形性を高めることができる。
本実施の形態に係る磁気センサシステム1を適用可能な他の機器の例としては、シフトレバーがある。このシフトレバーは、レバーと、このレバーを揺動可能に支持する支持部とを含んでいる。このシフトレバーに磁気センサシステム1を適用する場合には、磁気センサ2はレバーに連動して回転せずに、磁界発生器5がレバーに連動して回転するように、磁気センサシステム1を構成すればよい。
[第2の実施の形態]
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。始めに、図12を参照して、本実施の形態に係る磁気センサシステム1が第1の実施の形態と異なる点について説明する。図12は、磁気センサシステム1の概略の構成を示す説明図である。
本実施の形態に係る磁気センサシステム1は、第1の実施の形態における磁界発生器5の代わりに、検出対象磁界MFを発生する磁界発生器105を備えている。磁界発生器105は、回転軸Cを中心として回転可能である。磁界発生器105は、一対の磁石106A,106Bを含んでいる。磁石106A,106Bは、回転軸Cを含む仮想の平面を中心として対称な位置に配置されている。
磁石106A,106Bの各々は、N極とS極を有している。磁石106A,106Bは、磁石106AのN極と磁石106BのS極が対向するような姿勢で配置されている。本実施の形態では、磁界発生器105は、磁石106AのN極から磁石106BのS極に向かう方向の検出対象磁界MFを発生する。
磁気センサ2は、磁気センサ2に対する磁界発生器105の相対的な位置が変化すると、検出対象磁界MFの第1の方向D1(図3および図8参照)が変化するように構成されている。すなわち、磁界発生器105が回転軸Cを中心として回転すると、磁気センサ2に対する磁界発生器105の相対的な位置は、磁気センサ2を中心として回転する。これにより、検出対象磁界MFの第1の方向D1は、基準位置P0を中心として回転する。
本実施の形態では、第1の方向D1の可変範囲と磁石106A,106Bの可変範囲は、いずれも360°以内である。従って、本実施の形態に係る磁気センサシステム1は、回転可能な可動部を含む機器であって、可動部の可変範囲が360°以内である機器における可動部の回転位置を検出する装置として利用することができる。このような機器としては、例えば産業用ロボットの関節がある。図12は、産業用ロボット300に磁気センサシステム1を適用した例を示している。
図12に示した産業用ロボット300は、可動部301と、可動部301を回転可能に支持する支持部302とを含んでいる。可動部301と支持部302の連結部分は関節である。可動部301は、回転軸Cを中心として回転する。可動部301の可変範囲は360°以内である。本実施の形態に係る磁気センサシステム1を産業用ロボット300の関節に適用する場合には、例えば、支持部302に磁気センサ2を固定し、可動部301に磁石106A,106Bを固定すればよい。
次に、図13および図14を参照して、本実施の形態に係る磁気センサ2が第1の実施の形態と異なる点について説明する。図13は、磁気センサ2を示す斜視図である。図14は、磁気センサ2の構成を示す回路図である。図14に示したように、本実施の形態に係る磁気センサ2は、第1の磁気検出部10および検出値生成部30の他に、検出対象磁界MFを検出して第1の方向D1に依存する第2の検出信号S2を生成する第2の磁気検出部20を備えている。本実施の形態では、検出値生成部30は、第1の検出信号S1と第2の検出信号S2とに基づいて検出値θsを生成する。検出値θsは、磁気センサ2に対する磁界発生器105の相対的な位置、特に回転位置に対応する。
第2の磁気検出部20は、図13および図14に示すMR素子21を含んでいる。MR素子21は、基板3の主面3aに配置されている。第2の磁気検出部20は、更に、抵抗器22と、信号出力端E2と、電源端V2と、グランド端G2とを含んでいる。MR素子21と抵抗器22は、信号出力端E2を介して直列に接続されている。抵抗器22は、電源端V2と信号出力端E2との間に設けられている。MR素子21は、信号出力端E2とグランド端G2との間に設けられている。電源端V2には、所定の大きさの電源電圧が印加される。グランド端G2はグランドに接続される。
第1の磁気検出部10のMR素子11と第2の磁気検出部20のMR素子21は、検出対象磁界MFを受ける位置によって検出対象磁界MFの方向の実質的な相違が生じない領域内に配置されている。そのため、MR素子11,21が受ける検出対象磁界MFの方向は、実質的に同じである。
本実施の形態では、MR素子21は、MR素子11と同様に、スピンバルブ型のMR素子である。MR素子21は、基準平面PL3(XY平面)に平行な仮想の平面内において変化可能な方向の第3の磁化を有する第3の磁性層と、上記仮想の平面に平行な方向の第4の磁化を有する第4の磁性層と、第3の磁性層と第4の磁性層の間に配置されたギャップ層とを含んでいる。MR素子21では、第3の磁性層の第3の磁化の方向が第4の磁性層の第4の磁化の方向に対してなす角度に応じて抵抗値が変化し、この角度が0°のときに抵抗値は最小値となり、角度が180°のときに抵抗値は最大値となる。図13および図14において、MR素子21内の塗りつぶした矢印は、第4の磁性層の第4の磁化の方向を表している。本実施の形態では、第4の磁性層の第4の磁化の方向は-Y方向である。
第4の磁化の方向は、MR素子21の作製の精度等の観点から、上述の方向からわずかにずれていてもよい。
第3の磁性層は、X方向に平行な方向の一軸磁気異方性を有していてもよい。一軸磁気異方性は、形状磁気異方性であってもよい。この場合、第3の磁性層の第3の磁化の方向は、検出対象磁界MFの、Y方向に平行な方向の成分の強度に応じて変化する。以下、検出対象磁界MFの、Y方向に平行な方向の成分を、Y方向成分と言う。また、Y方向成分の方向がY方向であるときには、Y方向成分の強度を正の値で表し、Y方向成分の方向が-Y方向であるときには、Y方向成分の強度を負の値で表す。Y方向成分の強度は、第1の方向D1がZ方向に対してなす第1の角度θ1(図8参照)に依存する。すなわち、検出対象磁界MFの強度をH1とすると、Y方向成分の強度はH1sinθ1である。従って、第3の磁性層の第3の磁化の方向は、H1sinθ1に依存する。
第2の磁気検出部20の信号出力端E2の電位は、MR素子21の抵抗値に依存する。MR素子21の抵抗値は、H1sinθ1に依存する。第2の磁気検出部20は、信号出力端E2の電位に対応する信号を第2の検出信号S2として生成する。本実施の形態では特に、第2の検出信号S2は、sinθ1となるように規格化されている。
第1の磁気検出部10が生成する第1の検出信号S1は、第1の実施の形態と同様に、式(5)で表されるように規格化されている。
図15は、第2の角度θ2と第1の検出信号S1との関係を示す波形図である。図16は、第1の角度θ1と第2の検出信号S2との関係を示す波形図である。第1の角度θ1が0°のときは第2の角度θ2も0°であり、第1の角度θ1が90°のときは第2の角度θ2も90°であり、第1の角度θ1が180°のときは第2の角度θ2も180°であり、第1の角度θ1が270°のときは第2の角度θ2も270°である。なお、角度θ1,θ2のいずれにおいても、360°は0°と等価である。そのため、以下の説明において、角度θ1,θ2に関して、0°と360°の両方に当てはまる事項に関しては、0°にのみ言及する。
次に、本実施の形態における検出値θsの生成方法について説明する。本実施の形態では、第1の方向D1の可変範囲は、互いに異なる第1の領域R1と第2の領域R2を含んでいる。また、前述のように、第1の方向D1の可変範囲は、360°以内である。以下、第1の角度θ1は、0°以上360°以下の可変範囲内で変化するものとする。ここで、第1の角度θ1が0°より大きく180°より小さくなる第1の方向D1の範囲を第1の領域R1とし、第1の角度θ1が180°より大きく360°より小さくなる第1の方向D1の範囲を第2の領域R2とする。第1の方向D1が第1の領域R1内にあるとき、第1の角度θ1と第2の角度θ2は、いずれも0°より大きく180°より小さい範囲内にある。第1の方向D1が第2の領域R2内にあるとき、第1の角度θ1と第2の角度θ2は、いずれも180°より大きく360°より小さい範囲内にある。
図15に示したように、第1の検出信号S1は、第2の角度θ2の変化に応じて変化する。第2の角度θ2は、第1の角度θ1と同様に、0°以上360°以下の可変範囲内で変化する。0°および180°を除く第2の角度θ2の可変範囲内において、第1の検出信号S1が特定の同じ値になる第2の角度θ2は2つある。同様に、0°および180°を除く第1の角度θ1の可変範囲内において、第1の検出信号S1が特定の同じ値になる第1の角度θ1は2つある。すなわち、0°および180°を除く第1の角度θ1の可変範囲内において、第1の検出信号S1の特定の同じ値に対応する第1の方向D1の候補は2つ存在する。この2つの候補の一方は第1の領域R1に存在し、他方は第2の領域R2に存在する。そのため、第1の角度θ1が0°以上360°以下の可変範囲内で変化する場合には、第1の角度θ1が0°および180°以外の場合には、第1の検出信号S1だけでは第1の方向D1を特定することができない。
本実施の形態では、第1の検出信号S1と第2の検出信号S2とに基づいて、第1の方向D1に一対一で対応する検出値θsを生成することができる。言い換えると、本実施の形態では、第1の検出信号S1と第2の検出信号S2とに基づいて、第1の方向D1を特定することができる。以下、これについて詳しく説明する。
図16に示したように、第1の方向D1が第1の領域R1に存在する場合、すなわち第1の角度θ1が0°より大きく180°より小さい場合には、第2の検出信号S2は正の値になる。また、第1の方向D1が第2の領域R2に存在する場合、すなわち第1の角度θ1が180°より大きく360°より小さい場合には、第2の検出信号S2は負の値になる。このように、第1の検出信号S1の特定の同じ値に対応する第1の方向D1の2つの候補に対応する第2の検出信号S2の2つの値は互いに異なる。従って、第2の検出信号S2を用いれば、第1の方向D1の2つの候補のうちのどちらが真の第1の方向D1であるかが分かる。すなわち、第2の検出信号S2が正の値である場合には、第1の領域R1に存在する第1の方向D1の候補が真の第1の方向D1であり、第2の検出信号S2が負の値である場合には、第2の領域R2に存在する第1の方向D1の候補が真の第1の方向D1である。このように、本実施の形態では、第1の検出信号S1と第2の検出信号S2とに基づいて、第1の方向D1を特定することができる。
本実施の形態では、検出値生成部30は、上記の性質を利用して、第1の方向D1に一対一で対応する検出値θsを生成する。以下、検出値生成部30の構成および処理内容の第1の例と第2の例について説明する。第1および第2の例では、図14に示したように、検出値生成部30は、コンパレータ33と角度演算部34を含んでいる。コンパレータ33は、第2の検出信号S2の値が0以上か否かを判定し、判定結果を出力する。
第1の例では、角度演算部34は、まず、第1の検出信号S1に基づいて、第1の実施の形態における式(6)によって、第2の角度θ2を表す値θ2sを算出する。第1の例では、値θ2sの範囲は、0°以上180°以下である。角度演算部34は、次に、後で説明する例外を除いて、第1の実施の形態における式(7)によって、検出値θsを算出する。本実施の形態では、検出値θsの範囲は、0°以上360°未満である。上記の例外とは、第1の実施の形態と同様に、値θ2sが0°または180°のときである。角度演算部34は、値θ2sが0°または180°のときには、値θ2sをそのまま検出値θsとする。
第1の例では、上記の例外を除いて、式(7)によるθsの解には、2つの解がある。2つの解の一方は、0°より大きく180°未満の範囲内に存在し、2つの解の他方は、180°より大きく360°未満の範囲内に存在する。そこで、角度演算部34は、コンパレータ33の判定結果を用いて、θsの真の値が、式(7)におけるθsの2つの解のいずれであるかを判別する。具体的には、角度演算部34は、第2の検出信号S2の値が0以上である場合には、0°より大きく180°未満の範囲内に存在する解をθsとする。また、角度演算部34は、第2の検出信号S2の値が負の値である場合には、180°より大きく360°未満の範囲内に存在する解をθsとする。
第2の例では、角度演算部34は、まず、第1の検出信号S1に基づいて、第1の実施の形態における式(6)によって、値θ2sを算出する。第2の例では、値θ2sの範囲は、0°以上360°未満である。値θ2sが0°および180°以外のときには、式(6)によるθ2sの解には、2つの解がある。2つの解の一方は、0°より大きく180°未満の範囲内に存在し、2つの解の他方は、180°より大きく360°未満の範囲内に存在する。角度演算部34は、コンパレータ33の判定結果を用いて、θ2sの真の値が、式(6)におけるθ2sの2つの解のいずれであるかを判別する。具体的には、角度演算部34は、第2の検出信号S2の値が0以上である場合には、0°より大きく180°未満の範囲内に存在する解をθ2sとする。また、角度演算部34は、第2の検出信号S2の値が負の値である場合には、180°より大きく360°未満の範囲内に存在する解をθ2sとする。角度演算部34は、値θ2sが0°または180°のときには、値θ2sをそのまま検出値θsとする。
角度演算部34は、次に、第1の実施の形態における式(7)によって、検出値θsを算出する。検出値θsの範囲は、0°以上360°未満である。式(7)によるθsの解には、2つの解がある。2つの解の一方は、0°より大きく180°未満の範囲内に存在し、2つの解の他方は、180°より大きく360°未満の範囲内に存在する。角度演算部34は、2つの解のうち、θ2sの値に近い方をθsとする。
本実施の形態におけるその他の構成、作用および効果は、第1の実施の形態と同様である。
[第3の実施の形態]
次に、本発明の第3の実施の形態について説明する。始めに、図17を参照して、本実施の形態に係る磁気センサ2が第2の実施の形態と異なる点について説明する。図17は、磁気センサ2を示す斜視図である。図17に示したように、本実施の形態では、磁気センサ2の第2の磁気検出部20のMR素子21は、磁気センサ2の第1の磁気検出部10のMR素子11と同様に、基板3の傾斜面3bに配置されている。
第2の実施の形態と同様に、MR素子11,21は、検出対象磁界MFを受ける位置によって検出対象磁界MFの方向の実質的な相違が生じない領域内に配置されている。そのため、MR素子11,21が受ける検出対象磁界MFの方向は、実質的に同じである。
本実施の形態では、MR素子21の第3の磁性層の第3の磁化の方向は、MR素子11に対応する第2の平面PL2(図3および図4参照)と同じ平面内またはこの第2の平面PL2に平行な平面内において変化可能である。第3の磁化の方向は、MR素子11が受ける検出対象磁界MFの面内成分MFaの第2の方向D2(図3および図9参照)の変化に応じて変化する。第3の磁化の方向は、第2の方向D2の変化に精度よく追従することが好ましい。そのためには、第3の磁性層は、検出対象磁界MFの第1の方向D1が可変範囲内の少なくとも一部の範囲内にあるときに、検出対象磁界MFによって第3の磁化が飽和状態になる特性を有することが好ましい。第3の磁性層は、第1の方向D1が可変範囲内のいずれの方向であっても、検出対象磁界MFによって第3の磁化が飽和状態になる特性を有することがより好ましい。
第2の実施の形態で説明したように、MR素子21は、スピンバルブ型のMR素子である。第3の磁性層の第3の磁化の方向が第2の方向D2の変化に精度よく追従するためには、第3の磁性層の一軸磁気異方性は小さいことが好ましい。
第1の実施の形態で説明したように、第2の方向D2は、検出対象磁界MFの第1の方向D1(図3および図8参照)の変化に応じて変化する。従って、第1の方向D1の変化に応じて、MR素子21の抵抗値が変化し、その結果、第2の磁気検出部20の信号出力端E2(図13参照)の電位が変化する。第2の磁気検出部20は、信号出力端E2の電位に対応する信号を第2の検出信号S2として生成する。第2の検出信号S2は、第1の方向D1の変化に応じて変化する。
第2の実施の形態で説明したように、MR素子21の第4の磁性層の第4の磁化の方向は、-Y方向である。第4の磁化の方向は、面内成分MFaの第2の方向D2の変化に応じて変化しない。第2の検出信号S2は、第2の方向D2がU方向に対してなす第2の角度θ2(図9参照)が0°と180°のときに第2の検出信号S2の値が0になり、第2の角度θ2が90°のときに第2の検出信号S2の値が1になり、第2の角度θ2が270°のときに第2の検出信号S2の値が-1になるように規格化することができる。この場合、第2の検出信号S2は、下記の式(8)で表される。
S2=sinθ2 …(8)
次に、本実施の形態における検出値θsの生成方法について説明する。第2の実施の形態で説明したように、0°および180°を除く第1の角度θ1の可変範囲内において、第1の検出信号S1の特定の同じ値に対応する第1の方向D1の候補は2つ存在する。この2つの候補の一方は第1の領域R1に存在し、他方は第2の領域R2に存在する。
式(8)から、第1の方向D1が第1の領域R1に存在する場合、すなわち第2の角度θ2が0°より大きく180°より小さい場合には、第2の検出信号S2は正の値になる。また、第1の方向D1が第2の領域R2に存在する場合、すなわち第2の角度θ2が180°より大きく360°より小さい場合には、第2の検出信号S2は負の値になる。このように、第1の検出信号S1の特定の同じ値に対応する第1の方向D1の2つの候補に対応する第2の検出信号S2の2つの値は互いに異なる。従って、第2の検出信号S2を用いれば、第1の方向D1の2つの候補のうちのどちらが真の第1の方向D1であるかが分かる。すなわち、第2の検出信号S2が正の値である場合には、第1の領域R1に存在する第1の方向D1の候補が真の第1の方向D1であり、第2の検出信号S2が負の値である場合には、第2の領域R2に存在する第1の方向D1の候補が真の第1の方向D1である。このように、本実施の形態では、第1の検出信号S1と第2の検出信号S2とに基づいて、第1の方向D1を特定することができる。
本実施の形態では、検出値生成部30は、上記の性質を利用して、第1の方向D1に一対一で対応する検出値θsを生成する。以下、本実施の形態における検出値生成部30の構成および処理内容の第1の例と第2の例について説明する。第1および第2の例では、検出値生成部30は、第2の実施の形態と同様に、図14に示したコンパレータ33と角度演算部34を含んでいる。ただし、本実施の形態では、角度演算部34は、第1の検出信号S1と第2の検出信号S2とに基づいて、第2の実施の形態における式(6)の代わりに、下記の式(9)によって値θ2sを算出する。本実施の形態における第1および第2の例のその他の内容は、第2の実施の形態における第1および第2の例と同様である。
θ2s=atan(S2/S1) …(9)
本実施の形態におけるその他の構成、作用および効果は、第2の実施の形態と同様である。
[第4の実施の形態]
次に、本発明の第4の実施の形態について説明する。本実施の形態に係る磁気センサ2の構成は、第1の磁気検出部10の構成が異なる点を除いて、第1ないし第3の実施の形態のいずれかと同じである。
図18は、磁気センサ2の少なくとも一部を示す斜視図である。図19は、磁気センサ2の第1の磁気検出部10の構成を示す回路図である。図19に示したように、本実施の形態では、磁気センサ2の第1の磁気検出部10は、第1の実施の形態におけるMR素子11および抵抗器12の代わりに、第1のMR素子13および第2のMR素子14を含んでいる。なお、第1の磁気検出部10は磁気センサ2の一部であることから、磁気センサ2が第1および第2のMR素子13,14を含んでいるとも言える。
磁気センサ2に含まれる全てのMR素子は、検出対象磁界MFを受ける位置によって検出対象磁界MFの方向の実質的な相違が生じない領域内に配置されている。そのため、全てのMR素子が受ける検出対象磁界MFの方向は、実質的に同じである。
本実施の形態では、磁気センサ2の基板3は、第1および第2のMR素子13,14を支持する。図18に示したように、第1および第2のMR素子13,14は、基板3の傾斜面3bに配置されている。本実施の形態において、基準位置P0(図3および図4参照)は、第1のMR素子13または第2のMR素子14が配置されている位置でもよいし、第1のMR素子13と第2のMR素子14の中間の位置でもよい。
図19に示したように、第1および第2のMR素子13,14は、信号出力端E1を介して直列に接続されている。第1のMR素子13は、電源端V1と信号出力端E1との間に設けられている。第2のMR素子14は、信号出力端E1とグランド端G1との間に設けられている。
本実施の形態では、第1および第2のMR素子13,14に共通の第2の平面PL2が規定される。従って、本実施の形態では、1つの第2の平面PL2は、第1のMR素子13に対応する第2の平面であると共に第2のMR素子14に対応する第2の平面でもある。本実施の形態における第2の平面PL2は、第1の実施の形態におけるMR素子11に対応する第2の平面PL2(図3および図4参照)と同じものである。
本実施の形態では、第1のMR素子13が受ける検出対象磁界MFの面内成分の第2の方向と、第2のMR素子14が受ける検出対象磁界MFの面内成分の第2の方向は、第1の実施の形態における図3に示した第2の方向D2と同じ方向である。
第1および第2のMR素子13,14の各々の構成は、第1の実施の形態におけるMR素子11と同じである。すなわち、第1および第2のMR素子13,14の各々は、第2の平面PL2内において変化可能な方向の第1の磁化を有する第1の磁性層と、第2の平面PL2に平行な方向の第2の磁化を有する第2の磁性層と、第1の磁性層と第2の磁性層の間に配置されたギャップ層とを含んでいる。図18および図19において、塗りつぶした矢印は、第2の磁性層の第2の磁化の方向を表している。本実施の形態では、第1のMR素子13の第2の磁性層の第2の磁化の方向はU方向であり、第2のMR素子14の第2の磁性層の第2の磁化の方向は-U方向である。
第1および第2のMR素子13,14の各々において、第1の磁性層の第1の磁化の方向は、検出対象磁界MFの面内成分MFaの第2の方向D2(図3および図9参照)の変化に応じて変化する。第2の方向D2は、検出対象磁界MFの第1の方向D1(図3および図8参照)の変化に応じて変化する。従って、第1の方向D1の変化に応じて、第1および第2のMR素子13,14の各々の抵抗値が変化する。本実施の形態では、第1の方向D1が変化すると、第1のMR素子13の抵抗値と第2のMR素子14の抵抗値の一方は増加し、他方は減少する。これにより、信号出力端E1の電位が変化する。第1の実施の形態と同様に、第1の磁気検出部10は、信号出力端E1の電位に対応する信号を第1の検出信号S1として生成する。本実施の形態では、検出値θsは、信号出力端E1の電位に依存する。
第2の磁化の方向は、MR素子13,14の作製の精度等の観点から、上述の方向からわずかにずれていてもよい。
本実施の形態におけるその他の構成、作用および効果は、第1ないし第3の実施の形態のいずれかと同様である。
[第5の実施の形態]
次に、本発明の第5の実施の形態について説明する。始めに、図20および図21を参照して、本実施の形態に係る磁気センサ2が第4の実施の形態と異なる点について説明する。図20は、磁気センサ2を示す斜視図である。図21は、磁気センサ2の一断面を示す断面図である。本実施の形態では、磁気センサ2の基板3の溝部3cは、第1の実施の形態における傾斜面3bの代わりに、それぞれ主面3aに対して傾斜した第1の傾斜面3dと第2の傾斜面3eを含んでいる。第1および第2の傾斜面3d,3eは、いずれも平面である。第1の傾斜面3dと第2の傾斜面3eは、それらの間のYZ平面に対して面対称の関係にある。
第4の実施の形態と同様に、磁気センサ2に含まれる全てのMR素子は、検出対象磁界MFを受ける位置によって検出対象磁界MFの方向の実質的な相違が生じない領域内に配置されている。そのため、全てのMR素子が受ける検出対象磁界MFの方向は、実質的に同じである。
磁気センサ2の第1の磁気検出部10の第1のMR素子13は、第1の傾斜面3dに配置されている。磁気センサ2の第1の磁気検出部10の第2のMR素子14は、第2の傾斜面3eに配置されている。図21は、XZ平面に平行な磁気センサ2の断面であって第1および第2のMR素子13,14と交差する断面を示している。
図21に示したように、本実施の形態では、第1および第2のMR素子13,14毎に異なる第2の平面PL21,PL22が規定される。第1のMR素子13に対応する第2の平面PL21は、第1の実施の形態におけるMR素子11に対応する第2の平面PL2(図3および図4参照)と同じものである。従って、第2の平面PL21は、第1の平面PL1と二面角αをなして交差するUY平面である。
第2のMR素子14に対応する第2の平面PL22は、YZ平面に対して第2の平面PL21と面対称の関係にある。ここで、図21に示したように、Z方向からX方向に向かってαだけ回転した方向をV方向とする。また、V方向とは反対の方向を-V方向とする。第2の平面PL22は、第1の平面PL1と二面角αをなして交差し且つV方向およびY方向に平行な平面すなわちVY平面である。
第1の傾斜面3dは、第1の平面PL1に対して二面角αをなすように傾斜し且つUY平面に平行である。従って、第2の平面PL21は、第1の傾斜面3dに平行である。
第2の傾斜面3eは、第1の平面PL1に対して二面角αをなすように傾斜し且つVY平面に平行である。従って、第2の平面PL22は、第2の傾斜面3eに平行である。
本実施の形態では、第1のMR素子13の第1の磁性層は、第1のMR素子13に対応する第2の平面PL21内において変化可能な方向の第1の磁化を有している。第1のMR素子13が受ける検出対象磁界MFは、第2の平面PL21に平行な面内成分(以下、第1の面内成分と言う。)と、第2の平面PL21に垂直な垂直成分に分けることができる。第1の面内成分は、検出対象磁界MFの第1の方向D1に応じて変化する第2の方向を有している。第1のMR素子13の第1の磁性層の第1の磁化の方向は、第1の面内成分の第2の方向の変化に応じて変化する。本実施の形態では、第1の面内成分の第2の方向がU方向に対してなす角度を、第2の角度θ2とする。第1の面内成分の第2の方向がU方向に対してなす角度の正負の定義は、第1の実施の形態で説明した第2の角度θ2の正負の定義と同じである。
また、本実施の形態では、第2のMR素子14の第1の磁性層は、第2のMR素子14に対応する第2の平面PL22内において変化可能な方向の第1の磁化を有している。第2のMR素子14が受ける検出対象磁界MFは、第2の平面PL22に平行な面内成分(以下、第2の面内成分と言う。)と、第2の平面PL22に垂直な垂直成分に分けることができる。第2の面内成分は、検出対象磁界MFの第1の方向D1に応じて変化する第2の方向を有している。第2のMR素子14の第1の磁性層の第1の磁化の方向は、第2の面内成分の第2の方向の変化に応じて変化する。
ここで、第2の面内成分の第2の方向がV方向に対してなす角度を第3の角度と言う。第2のMR素子14に対応する第2の平面PL22内において、第2の面内成分の第2の方向は、第2のMR素子14が配置されている位置を中心として回転する。第3の角度は、V方向からY方向に向かって回転する方向に見たときに正の値で表し、V方向から-Y方向に向かって回転する方向に見たときに負の値で表す。第3の角度は、第2の角度θ2と等しい。
図20および図21において、塗りつぶした矢印は、第1および第2のMR素子13,14の第2の磁性層の第2の磁化の方向を表している。第1のMR素子13の第2の磁性層の第2の磁化の方向はU方向であり、第2のMR素子14の第2の磁性層の第2の磁化の方向は-V方向である。本実施の形態では、第1の方向D1が変化すると、第1のMR素子13の抵抗値と第2のMR素子14の抵抗値の一方は増加し、他方は減少する。これにより、信号出力端E1(図19参照)の電位が変化する。第1の磁気検出部10は、信号出力端E1の電位に対応する信号を第1の検出信号S1として生成する。本実施の形態では、検出値θsは、信号出力端E1の電位に依存する。
第2の磁化の方向は、MR素子13,14の作製の精度等の観点から、上述の方向からわずかにずれていてもよい。
本実施の形態におけるその他の構成、作用および効果は、第4の実施の形態と同様である。
[第6の実施の形態]
次に、本発明の第6の実施の形態について説明する。始めに、図22を参照して、本実施の形態に係る磁気センサ2が第5の実施の形態と異なる点について説明する。図22は、磁気センサ2の第1の磁気検出部10の構成を示す回路図である。図22に示したように、本実施の形態では、磁気センサ2の第1の磁気検出部10は、第1のMR素子13、第2のMR素子14、信号出力端E1、電源端V1およびグランド端G1の他に、抵抗器15を含んでいる。抵抗器15、第1のMR素子13および第2のMR素子14は、電源端V1側からこの順に直列に接続されている。抵抗器15は、電源端V1と信号出力端E1との間に設けられている。第1および第2のMR素子13,14は、信号出力端E1とグランド端G1との間に設けられている。
第5の実施の形態と同様に、磁気センサ2に含まれる全てのMR素子は、検出対象磁界MFを受ける位置によって検出対象磁界MFの方向の実質的な相違が生じない領域内に配置されている。そのため、全てのMR素子が受ける検出対象磁界MFの方向は、実質的に同じである。
図22において、塗りつぶした矢印は、第1および第2のMR素子13,14の第2の磁性層の第2の磁化の方向を表している。本実施の形態では、第1のMR素子13の第2の磁性層の第2の磁化の方向は-U方向(図21参照)であり、第2のMR素子14の第2の磁性層の第2の磁化の方向は-V方向(図21参照)である。
本実施の形態では、検出対象磁界MFの第1の方向D1の変化に伴う第1および第2のMR素子13,14の各々の抵抗値の変化の態様は同じである。そのため、第1の方向D1が変化すると、第1および第2のMR素子13,14の合成抵抗が変化する。これにより、信号出力端E1の電位が変化する。第1の磁気検出部10は、信号出力端E1の電位に依存する信号を第1の検出信号S1として生成する。本実施の形態では、検出値θsは、第1および第2のMR素子13,14の合成抵抗に依存する。
第2の磁化の方向は、MR素子13,14の作製の精度等の観点から、上述の方向からわずかにずれていてもよい。
次に、本実施の形態に係る磁気センサ2特有の作用および効果について説明する。基板3の主面3aは、理想的には、第1の実施の形態における図3および図4に示した基準平面PL3(XY平面)に平行である。しかし、磁気センサ2の設置の精度上、磁気センサ2が傾いてしまい、その結果、基板3の主面3aが基準平面PL3に対して傾く場合がある。この場合には、第1のMR素子13に対応する第2の平面PL21(図21参照)が第1の平面PL1(YZ平面)に対してなす二面角(以下、第1の二面角と言う。)と、第2のMR素子14に対応する第2の平面PL22(図21参照)が第1の平面PL1に対してなす二面角(以下、第2の二面角と言う。)が、設計値からずれてしまう。
第1の二面角が設計値からずれると、第1のMR素子13が受ける検出対象磁界MFの第1の面内成分の第2の方向が所望の方向からずれる。すると、第1のMR素子13の第1の磁性層の第1の磁化の方向が所望の方向からずれ、その結果、第1のMR素子13の抵抗値が所望の値からずれる。
同様に、第2の二面角が設計値からずれると、第2のMR素子14が受ける検出対象磁界MFの第2の面内成分の第2の方向が所望の方向からずれる。すると、第2のMR素子14の第1の磁性層の第1の磁化の方向が所望の方向からずれ、その結果、第2のMR素子14の抵抗値が所望の値からずれる。
本実施の形態では、磁気センサ2の傾きによって、第1の二面角と第2の二面角の一方が設計値よりも大きくなるときには、第1の二面角と第2の二面角の他方は設計値よりも小さくなる。そのため、磁気センサ2の傾きによって、第1のMR素子13の抵抗値と第2のMR素子14の抵抗値の一方が所望の値よりも大きくなるときには、第1のMR素子13の抵抗値と第2のMR素子14の抵抗値の他方は所望の値よりも小さくなる。そのため、本実施の形態によれば、磁気センサ2の傾きに伴う第1および第2のMR素子13,14の合成抵抗の変動は小さくなる。従って、本実施の形態によれば、磁気センサ2の傾きに起因する検出精度の低下を防止することができる。
本実施の形態におけるその他の構成、作用および効果は、第5の実施の形態と同様である。
[第7の実施の形態]
次に、本発明の第7の実施の形態について説明する。本実施の形態に係る磁気センサシステム1は、以下の点で第2の実施の形態と異なっている。本実施の形態に係る磁気センサシステム1は、第2の実施の形態に係る磁気センサ2の代わりに、本実施の形態に係る磁気センサ102を備えている。磁気センサ102と磁界発生器105との位置関係は、第2の実施の形態における図12に示した磁気センサ2と磁界発生器105との位置関係と同じである。磁気センサ102は、磁界発生器105が発生する検出対象磁界MFを検出して検出値θsを生成する。
以下、図23ないし図28を参照して、磁気センサ102の構成について説明する。図23は、磁気センサ102を示す斜視図である。図24は、磁気センサ102の一断面を示す断面図である。図25は、磁気センサ102の他の一断面を示す断面図である。図26は、磁気センサ102の構成を示すブロック図である。図27は、本実施の形態における第1の磁気検出部の構成を示す回路図である。図28は、本実施の形態における第2の磁気検出部の構成を示す回路図である。
図26に示したように、磁気センサ102は、第1の検出信号S11を生成する第1の磁気検出部110と、第2の検出信号S12を生成する第2の磁気検出部120と、第1の検出信号S11と第2の検出信号S12とに基づいて検出値θsを生成する検出値生成部130とを備えている。検出値生成部130は、ASICあるいはマイクロコンピュータによって構成されている。
後で詳しく説明するが、第1の磁気検出部110は8つのMR素子を含み、第2の磁気検出部120は4つのMR素子を含んでいる。これらのMR素子は、検出対象磁界MFを受ける位置によって検出対象磁界MFの方向の実質的な相違が生じない領域内に配置されている。そのため、これらのMR素子が受ける検出対象磁界MFの方向は、実質的に同じである。
図23ないし図25に示したように、磁気センサ102は、更に、基板103を備えている。基板103は、第1の実施の形態における図3および図4に示した第1の平面PL1(YZ平面)に垂直な主面103aを含んでいる。また、基板103は、主面103aにおいて開口する2つの溝部103f,103gを有している。溝部103f,103gは、X方向に沿ってこの順に並んでいる。溝部103fは、それぞれ主面103aに対して傾斜した第1の傾斜面103bと第2の傾斜面103cを含んでいる。溝部103gは、それぞれ主面103aに対して傾斜した第1の傾斜面103dと第2の傾斜面103eを含んでいる。第1の傾斜面103bと第2の傾斜面103cは、それらの間のYZ平面に対して面対称の関係にある。同様に、第1の傾斜面103dと第2の傾斜面103eは、それらの間のYZ平面に対して面対称の関係にある。
図27に示したように、第1の磁気検出部110は、8つのMR素子111,112,113,114,115,116,117,118を含んでいる。基板103は、MR素子111~118を支持する。図23に示した例では、MR素子111~114は、X方向に沿ってこの順に一列に並んでいる。また、図23に示した例では、MR素子115~118は、MR素子111~114の-Y方向側の位置において、X方向に沿ってこの順に一列に並んでいる。図23に示したように、MR素子111,115は、第1の傾斜面103bに配置されている。MR素子112,116は、第2の傾斜面103cに配置されている。MR素子113,117は、第1の傾斜面103dに配置されている。MR素子114,118は、第2の傾斜面103eに配置されている。図24は、XZ平面に平行な磁気センサ102の断面であってMR素子111~114と交差する断面を示している。図25は、XZ平面に平行な磁気センサ102の断面であってMR素子115~118と交差する断面を示している。本実施の形態において、基準位置P0(図3および図4参照)は、磁気センサ102の内部または表面にある。
図27に示したように、第1の磁気検出部110は、更に、2つの信号出力端E11,E12と、電源端V11と、グランド端G11と、差分検出器119とを含んでいる。MR素子111,112,113,114は、電源端V11側からこの順に直列に接続されている。MR素子111,112は、電源端V11と信号出力端E11との間に設けられている。MR素子113,114は、信号出力端E11とグランド端G11との間に設けられている。MR素子112,113は、信号出力端E11を介して直列に接続されている。
MR素子115,116,117,118は、電源端V11側からこの順に直列に接続されている。MR素子115,116は、電源端V11と信号出力端E12との間に設けられている。MR素子117,118は、信号出力端E12とグランド端G12との間に設けられている。MR素子116,117は、信号出力端E12を介して直列に接続されている。
電源端V11には、所定の大きさの電源電圧が印加される。グランド端G11はグランドに接続される。差分検出器119は、信号出力端E11,E12の電位差に対応する信号を第1の検出信号S11として出力する。
図24および図25に示したように、本実施の形態では、MR素子111,115に共通の第2の平面PL211と、MR素子112,116に共通の第2の平面PL212と、MR素子113,117に共通の第2の平面PL213と、MR素子114,118に共通の第2の平面PL214が規定される。第2の平面PL211は、第1の実施の形態におけるMR素子11に対応する第2の平面PL2(図3および図4参照)と同じものである。従って、第2の平面PL211は、第1の平面PL1と二面角αをなして交差するUY平面である。
第5の実施の形態と同様に、Z方向からX方向に向かってαだけ回転した方向をV方向とし、V方向とは反対の方向を-V方向とする。第2の平面PL212は、YZ平面に対して第2の平面PL211と面対称の関係にある。第2の平面PL212は、第1の平面PL1と二面角αをなして交差し且つV方向およびY方向に平行な平面すなわちVY平面である。
第2の平面PL213は、第2の平面PL211に平行なUV平面である。第2の平面PL214は、第2の平面PL212に平行なVY平面である。
第1の傾斜面103bは、第1の平面PL1に対して二面角αをなすように傾斜し且つUY平面に平行である。従って、第2の平面PL211は、第1の傾斜面103bに平行である。
第2の傾斜面103cは、第1の平面PL1に対して二面角αをなすように傾斜し且つVY平面に平行である。従って、第2の平面PL212は、第2の傾斜面103cに平行である。
第1の傾斜面103dは、第1の平面PL1に対して二面角αをなすように傾斜し且つUY平面に平行である。従って、第2の平面PL213は、第1の傾斜面103dに平行である。
第2の傾斜面103eは、第1の平面PL1に対して二面角αをなすように傾斜し且つVY平面に平行である。従って、第2の平面PL214は、第2の傾斜面103eに平行である。
MR素子111~118の各々の構成は、第1の実施の形態におけるMR素子11と同じである。すなわち、MR素子111~118の各々は、それに対応する第2の平面内において変化可能な方向の第1の磁化を有する第1の磁性層を含んでいる。
MR素子111,115の各々が受ける検出対象磁界MFは、第2の平面PL211に平行な面内成分(以下、第1の面内成分と言う。)と、第2の平面PL211に垂直な垂直成分に分けることができる。第1の面内成分は、検出対象磁界MFの第1の方向D1に応じて変化する第2の方向を有している。MR素子111,115の各々の第1の磁性層の第1の磁化の方向は、第1の面内成分の第2の方向の変化に応じて変化する。本実施の形態では、第1の面内成分の第2の方向がU方向に対してなす角度を、第2の角度θ2とする。第1の面内成分の第2の方向がU方向に対してなす角度の正負の定義は、第1の実施の形態で説明した第2の角度θ2の正負の定義と同じである。
MR素子112,116の各々が受ける検出対象磁界MFは、第2の平面PL212に平行な面内成分(以下、第2の面内成分と言う。)と、第2の平面PL212に垂直な垂直成分に分けることができる。第2の面内成分は、検出対象磁界MFの第1の方向D1に応じて変化する第2の方向を有している。MR素子112,116の各々の第1の磁性層の第1の磁化の方向は、第2の面内成分の第2の方向の変化に応じて変化する。
ここで、第2の面内成分の第2の方向がV方向に対してなす角度を第3の角度と言う。第2の平面PL212内において、第2の面内成分の第2の方向は、MR素子112,116の各々が配置されている位置を中心として回転する。第3の角度は、V方向からY方向に向かって回転する方向に見たときに正の値で表し、V方向から-Y方向に向かって回転する方向に見たときに負の値で表す。第3の角度は、第2の角度θ2と等しい。
MR素子113,117の各々が受ける検出対象磁界MFは、第2の平面PL213に平行な面内成分(以下、第3の面内成分と言う。)と、第2の平面PL213に垂直な垂直成分に分けることができる。第3の面内成分は、検出対象磁界MFの第1の方向D1に応じて変化する第2の方向を有している。MR素子113,117の各々の第1の磁性層の第1の磁化の方向は、第3の面内成分の第2の方向の変化に応じて変化する。
ここで、第3の面内成分の第2の方向がU方向に対してなす角度を第4の角度と言う。第2の平面PL213内において、第3の面内成分の第2の方向は、MR素子113,117の各々が配置されている位置を中心として回転する。第4の角度は、U方向からY方向に向かって回転する方向に見たときに正の値で表し、U方向から-Y方向に向かって回転する方向に見たときに負の値で表す。第4の角度は、第2の角度θ2と等しい。
MR素子114,118の各々が受ける検出対象磁界MFは、第2の平面PL214に平行な面内成分(以下、第4の面内成分と言う。)と、第2の平面PL214に垂直な垂直成分に分けることができる。第4の面内成分は、検出対象磁界MFの第1の方向D1に応じて変化する第2の方向を有している。MR素子114,118の各々の第1の磁性層の第1の磁化の方向は、第4の面内成分の第2の方向の変化に応じて変化する。
ここで、第4の面内成分の第2の方向がV方向に対してなす角度を第5の角度と言う。第2の平面PL214内において、第4の面内成分の第2の方向は、MR素子114,118の各々が配置されている位置を中心として回転する。第5の角度は、V方向からY方向に向かって回転する方向に見たときに正の値で表し、V方向から-Y方向に向かって回転する方向に見たときに負の値で表す。第5の角度は、第2の角度θ2と等しい。
MR素子111~118の各々は、更に、各々に対応する第2の平面に平行な方向の第2の磁化を有する第2の磁性層と、第1の磁性層と第2の磁性層の間に配置されたギャップ層とを含んでいる。図24、図25および図27において、塗りつぶした矢印は、第2の磁性層の第2の磁化の方向を表している。本実施の形態では、MR素子111,117の各々の第2の磁性層の第2の磁化の方向はU方向であり、MR素子112,118の各々の第2の磁性層の第2の磁化の方向はV方向であり、MR素子113,115の各々の第2の磁性層の第2の磁化の方向は-U方向であり、MR素子114,116の各々の第2の磁性層の第2の磁化の方向は-V方向である。
MR素子111~118の各々において、第1の磁性層の第1の磁化の方向は、検出対象磁界MFの第1の方向D1の変化に応じて変化する。従って、第1の方向D1の変化に応じて、MR素子111~118の各々の抵抗値が変化する。その結果、第1の検出信号S11は、第1の方向D1の変化に応じて変化する。
第2の磁化の方向は、MR素子111~118の作製の精度等の観点から、上述の方向からわずかにずれていてもよい。
前述のように、第3ないし第5の角度は、いずれも、第2の角度θ2と等しい。第1の検出信号S11は、第2の角度θ2が0°のときに第1の検出信号S11の値が1になり、第2の角度θ2が180°のときに第1の検出信号S11の値が-1になり、第2の角度θ2が90°と270°のときに第1の検出信号S11の値が0になるように規格化することができる。この場合、第1の検出信号S11は、下記の式(10)で表される。
S11=cosθ2 …(10)
図28に示したように、第2の磁気検出部120は、4つのMR素子121,122,123,124を含んでいる。図23に示したように、MR素子121~124は、主面103aに配置されている。図23に示した例では、MR素子121,122は、MR素子111の-X方向側の位置において、X方向に沿ってこの順に並んでいる。また、図23に示した例では、MR素子123,124は、MR素子121,122の-Y方向側の位置且つMR素子115の-X方向側の位置において、X方向に沿ってこの順に並んでいる。
図28に示したように、第2の磁気検出部120は、更に、2つの信号出力端E21,E22と、電源端V12と、グランド端G12と、差分検出器125とを含んでいる。MR素子121は、電源端V12と信号出力端E21との間に設けられている。MR素子122は、信号出力端E21とグランド端G12との間に設けられている。MR素子121,122は、信号出力端E21を介して直列に接続されている。
MR素子123は、電源端V12と信号出力端E22との間に設けられている。MR素子124は、信号出力端E22とグランド端G12との間に設けられている。MR素子123,124は、信号出力端E22を介して直列に接続されている。電源端V12には、所定の大きさの電源電圧が印加される。グランド端G12はグランドに接続される。差分検出器125は、信号出力端E21,E22の電位差に対応する信号を第2の検出信号S12として出力する。
MR素子121~124の各々の構成は、第2の実施の形態におけるMR素子21と同じである。すなわち、MR素子121~124の各々は、基準平面PL3(XY平面)に平行な仮想の平面内において変化可能な方向の第3の磁化を有する第3の磁性層と、上記仮想の平面に平行な方向の第4の磁化を有する第4の磁性層と、第3の磁性層と第4の磁性層の間に配置されたギャップ層とを含んでいる。図24および図25においてMR素子121~124の近傍に描いた記号と、図28における塗りつぶした矢印は、第4の磁性層の第4の磁化の方向を表している。本実施の形態では、MR素子121,124の第4の磁性層の第4の磁化の方向はY方向であり、MR素子122,123の第4の磁性層の第4の磁化の方向は-Y方向である。
第4の磁化の方向は、MR素子121~124の作製の精度等の観点から、上述の方向からわずかにずれていてもよい。
第2の実施の形態におけるMR素子21と同様に、MR素子121~124の各々の第3の磁性層は、X方向に平行な方向の一軸磁気異方性を有していてもよい。この場合、第3の磁性層の第3の磁化の方向は、検出対象磁界MFのY方向成分の強度すなわちH1sinθ1に応じて変化する。従って、H1sinθ1の変化に応じて、MR素子121~124の各々の抵抗値が変化する。その結果、第2の検出信号S12は、H1sinθ1の変化に応じて変化する。本実施の形態では特に、第2の検出信号S12は、sinθ1となるように規格化されている。
本実施の形態における検出値θsの生成方法は、第1および第2の検出信号S1,S2が第1および第2の検出信号S11,S12に変わる点を除いて、第2の実施の形態と同様である。また、検出値生成部130の構成および機能は、第2の実施の形態における第1および第2の検出信号S1,S2が第1および第2の検出信号S11,S12に変わる点を除いて、第2の実施の形態における検出値生成部30と同様である。
次に、本実施の形態に係る磁気センサ102特有の作用および効果について説明する。基板103の主面103aは、理想的には、第1の実施の形態における図3および図4に示した基準平面PL3(XY平面)に平行である。しかし、磁気センサ102の設置の精度上、磁気センサ102が傾いてしまい、その結果、基板103の主面103aが基準平面PL3に対して傾く場合がある。この場合には、第2の平面PL211,PL212,PL213,PL214の各々が第1の平面PL1(YZ平面)に対してなす二面角αが、設計値からずれてしまう。
本実施の形態では、第6の実施の形態におけるMR素子13,14と同様に、磁気センサ102の傾きによって、MR素子111,112の抵抗値の一方が所望の値よりも大きくなるときには、MR素子111,112の抵抗値の他方は所望の値よりも小さくなる。そのため、本実施の形態によれば、磁気センサ102の傾きに伴うMR素子111,112の合成抵抗の変動は小さくなる。
上記のMR素子111,112の組についての説明は、MR素子113,114の組、MR素子115,116の組、およびMR素子117,118の組にも当てはまる。従って、本実施の形態よれば、磁気センサ102の傾きに起因する第1の磁気検出部110の検出精度の低下を防止することができる。
本実施の形態におけるその他の構成、作用および効果は、第2または第6の実施の形態と同様である。
なお、本発明は、上記各実施の形態に限定されず、種々の変更が可能である。例えば、第7の実施の形態に係る磁気センサ102は、第2の磁気検出部120の代わりに、第2または第3の実施の形態における第2の磁気検出部20を備えていてもよい。