JP6699638B2 - 磁気センサ - Google Patents

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Description

本発明は、磁気検出素子を用いて、磁気検出素子が感度を有する方向以外の方向の磁界を検出できるようにした磁気センサに関する。
近年、携帯電話機等の移動体通信機器には、地磁気センサが組み込まれる場合がある。このような用途の地磁気センサには、小型で且つ外部磁界の三次元的な方向を検出できることが求められる。このような地磁気センサは、例えば磁気センサを用いて実現される。磁気センサとしては、基板上に設けられた複数の磁気検出素子を用いたものが知られている。磁気検出素子としては、例えば磁気抵抗効果素子が用いられる。
基板上に設けられる磁気検出素子は、基板の面に平行な方向の磁界を検出するように構成される場合が多い。磁気センサを用いて地磁気センサを実現する場合には、基板の面に垂直な方向の磁界を検出できる磁気センサが必要になる。
特許文献1には、基板の面に平行な方向の磁界を検出する磁気抵抗効果素子を用いて、基板の面に垂直な方向の磁界を検出できるようにした磁気センサが記載されている。この磁気センサは、基板の面に垂直な方向の垂直磁界成分を、基板の面に平行な方向の水平磁界成分に変換して、この水平磁界成分を磁気抵抗効果素子に与える軟磁性体を備えている。
国際公開第2011/068146号
ところで、磁気抵抗効果素子を備えた磁気センサでは、磁気抵抗効果素子に電流を流すための電流路が必要である。
従来、特許文献1に記載された磁気センサのように、磁気抵抗効果素子と、垂直磁界成分を水平磁界成分に変換する軟磁性体とを備えた磁気センサでは、軟磁性体は、磁気抵抗効果素子および電流路に対して絶縁されていた。このような構成の磁気センサでは、軟磁性体が磁気抵抗効果素子および電流路に対して絶縁された構造にするために、構成が複雑になると共に、製造のための工程数が多くなるという問題点があった。
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、通電されることによって磁界を検出する磁気検出素子を用いて、磁気検出素子が感度を有する方向以外の方向の磁界を検出することができ、且つ構成を簡単にすることができる磁気センサを提供することにある。
本発明の磁気センサは、軟磁性体よりなる少なくとも1つのヨークと、少なくとも1つの磁気検出素子と、少なくとも1つの磁気検出素子に電流を流すための電流路とを備えている。少なくとも1つのヨークは、第1の仮想の直線に平行な方向の入力磁界成分を含む入力磁界を受けて、出力磁界を発生する。出力磁界は、第1の仮想の直線と交差する第2の仮想の直線に平行な方向の出力磁界成分であって入力磁界成分に応じて変化する出力磁界成分を含んでいる。少なくとも1つの磁気検出素子は、電流路によって通電されると共に出力磁界を受けて、出力磁界成分に対応する検出値を生成する。少なくとも1つのヨークは、少なくとも1つの磁気検出素子に導通している。
本発明の磁気センサにおいて、第2の仮想の直線は、第1の仮想の直線に直交していてもよい。
また、本発明の磁気センサにおいて、少なくとも1つのヨークは、電流路の少なくとも一部を構成していてもよい。また、少なくとも1つのヨークは、少なくとも1つの磁気検出素子に接していてもよい。
また、本発明の磁気センサは、更に、非磁性導電材料よりなり、少なくとも1つのヨークと少なくとも1つの磁気検出素子を接続する少なくとも1つの導電層を備えていてもよい。
また、本発明の磁気センサにおいて、少なくとも1つの磁気検出素子は、少なくとも1つの磁気抵抗効果素子であってもよい。少なくとも1つの磁気抵抗効果素子は、方向が固定された磁化を有する磁化固定層と、方向が変化可能な磁化を有する自由層と、磁化固定層と自由層の間に配置されたギャップ層とを含んでいてもよい。磁化固定層、ギャップ層および自由層は、第1の仮想の直線に平行な方向に積層されていてもよい。少なくとも1つの磁気抵抗効果素子において、電流は、少なくとも自由層を通過してもよい。あるいは、電流は、磁化固定層、ギャップ層および自由層を通過してもよい。この場合、少なくとも1つのヨークの一部は、少なくとも1つの磁気抵抗効果素子の自由層を兼ねていてもよい。
また、本発明の磁気センサは、更に、電源ポートと、グランドポートと、出力ポートとを備えていてもよい。また、少なくとも1つのヨークは、第1のヨークと第2ヨークであってもよく、少なくとも1つの磁気検出素子は、少なくとも1つの第1の磁気抵抗効果素子と少なくとも1つの第2の磁気抵抗効果素子であってもよい。少なくとも1つの第1の磁気抵抗効果素子は、電源ポートと出力ポートとの間に設けられている。少なくとも1つの第2の磁気抵抗効果素子は、グランドポートと出力ポートとの間に設けられている。電流路は、電源ポートと少なくとも1つの第1の磁気抵抗効果素子とを接続する第1の部分と、グランドポートと少なくとも1つの第2の磁気抵抗効果素子とを接続する第2の部分を含んでいる。
第1のヨークは、第1の方向の第1の出力磁界成分を含む第1の出力磁界を発生する。第2のヨークは、第1の方向とは反対の第2の方向の第2の出力磁界成分を含む第2の出力磁界を発生する。少なくとも1つの第1の磁気抵抗効果素子は、第1の出力磁界を受けて第1の出力磁界成分に対応する検出値である第1の抵抗値を生成する。少なくとも1つの第2の磁気抵抗効果素子は、第2の出力磁界を受けて第2の出力磁界成分に対応する検出値である第2の抵抗値を生成する。入力磁界成分が変化すると、第1の抵抗値と第2の抵抗値の一方は増加し、他方は減少する。出力ポートの電位は、入力磁界成分に依存する。
少なくとも1つの第1の磁気抵抗効果素子と少なくとも1つの第2の磁気抵抗効果素子の各々は、方向が固定された磁化を有する磁化固定層と、方向が変化可能な磁化を有する自由層と、磁化固定層と自由層の間に配置されたギャップ層とを含んでいてもよい。磁化固定層、ギャップ層および自由層は、第1の仮想の直線に平行な方向に積層されていてもよい。
少なくとも1つの第1の磁気抵抗効果素子と少なくとも1つの第2の磁気抵抗効果素子は、互いに接続されていてもよい。また、少なくとも1つの第1の磁気抵抗効果素子と少なくとも1つの第2の磁気抵抗効果素子の各々において、電流は、少なくとも自由層を通過してもよい。
あるいは、少なくとも1つの第1の磁気抵抗効果素子と少なくとも1つの第2の磁気抵抗効果素子の各々において、電流は、磁化固定層、ギャップ層および自由層を通過してもよい。
また、第1のヨークは、電流路の第1の部分の少なくとも一部を構成していてもよく、第2のヨークは、電流路の第2の部分の少なくとも一部を構成していてもよい。
また、第1のヨークは、少なくとも1つの第1の磁気抵抗効果素子に接していてもよく、第2のヨークは、少なくとも1つの第2の磁気抵抗効果素子に接していてもよい。
また、電流路の第1の部分は、非磁性導電材料よりなる第1の導電層を含んでいてもよく、電流路の第2の部分は、非磁性導電材料よりなる第2の導電層を含んでいてもよい。
本発明の磁気センサでは、少なくとも1つのヨークは少なくとも1つの磁気検出素子に導通しているため、少なくとも1つのヨークが少なくとも1つの磁気検出素子に対して絶縁された構造にする必要がない。そのため、本発明の磁気センサによれば、通電されることによって磁界を検出する磁気検出素子を用いて、磁気検出素子が感度を有する方向以外の方向の磁界を検出することができ、且つ構成を簡単にすることができるという効果を奏する。
本発明の第1の実施の形態に係る磁気センサを示す斜視図である。 本発明の第1の実施の形態に係る磁気センサを示す断面図である。 本発明の第1の実施の形態における第1ないし第3のヨークと第1および第2の磁気抵抗効果素子を示す平面図である。 本発明の第1の実施の形態における第1の磁気抵抗効果素子の一部を示す断面図である。 本発明の第1の実施の形態に係る磁気センサの回路構成を示す回路図である。 本発明の第1の実施の形態に係る磁気センサの製造方法における一工程を示す断面図である。 図6に示した工程を示す平面図である。 図6に示した工程に続く工程を示す断面図である。 図8に示した工程を示す平面図である。 図8に示した工程に続く工程を示す断面図である。 図10に示した工程を示す平面図である。 図10に示した工程に続く工程を示す断面図である。 図12に示した工程を示す平面図である。 図12に示した工程に続く工程を示す断面図である。 図14に示した工程を示す平面図である。 本発明の第1の実施の形態に係る磁気センサの動作を説明するための説明図である。 本発明の第1の実施の形態に係る磁気センサの動作を説明するための説明図である。 本発明の第2の実施の形態に係る磁気センサを示す斜視図である。 本発明の第2の実施の形態に係る磁気センサを示す断面図である。 本発明の第2の実施の形態における第1ないし第3のヨーク、第1および第2の磁気抵抗効果素子ならびに第1および第2の導電層を示す平面図である。 本発明の第2の実施の形態に係る磁気センサの製造方法における一工程を示す断面図である。 図21に示した工程を示す平面図である。 本発明の第3の実施の形態に係る磁気センサを示す斜視図である。 本発明の第3の実施の形態に係る磁気センサを示す断面図である。 本発明の第3の実施の形態における第1の磁気抵抗効果素子を示す断面図である。 本発明の第4の実施の形態に係る磁気センサを示す斜視図である。 本発明の第4の実施の形態に係る磁気センサを示す断面図である。 本発明の第4の実施の形態における第1の磁気抵抗効果素子およびその近傍の部分を示す断面図である。 本発明の第5の実施の形態に係る磁気センサを示す斜視図である。 本発明の第5の実施の形態に係る磁気センサを示す断面図である。 本発明の第5の実施の形態における第1の磁気抵抗効果素子およびその近傍の部分を示す断面図である。 本発明の第6の実施の形態に係る磁気センサを示す断面図である。 本発明の第7の実施の形態に係る磁気センサを示す斜視図である。 本発明の第7の実施の形態における第1の素子列の一部を示す平面図である。 本発明の第8の実施の形態に係る磁気センサを示す斜視図である。
[第1の実施の形態]
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。始めに、図1ないし図3を参照して、本発明の第1の実施の形態に係る磁気センサの構成について説明する。図1は、磁気センサ1を示す斜視図である。図2は、磁気センサ1の断面図である。図3は、本実施の形態における第1ないし第3のヨークと第1および第2の磁気抵抗効果素子を示す平面図である。磁気センサ1は、軟磁性体よりなる少なくとも1つのヨークと、少なくとも1つの磁気検出素子と、少なくとも1つの磁気検出素子に電流を流すための電流路30とを備えている。
ここで、図1に示したように、X方向、Y方向、Z方向を定義する。X方向、Y方向、Z方向は、互いに直交する。また、X方向とは反対の方向を−X方向とし、Y方向とは反対の方向を−Y方向とし、Z方向とは反対の方向を−Z方向とする。また、以下、基準の位置に対してZ方向の先にある位置を「上方」と言い、基準の位置に対して「上方」とは反対側にある位置を「下方」と言う。また、磁気センサ1の構成要素に関して、Z方向の端に位置する面を「上面」と言い、−Z方向の端に位置する面を「下面」と言う。
また、第1の仮想の直線Lz、第2の仮想の直線Lxおよび第3の仮想の直線Lyを以下のように定義する。図1および図2に示したように、第1の仮想の直線Lzは、Z方向に平行な直線である。第2の仮想の直線Lxは、第1の仮想の直線Lzに交差する直線である。図1および図2に示したように、本実施の形態では、第2の仮想の直線Lxは、第1の仮想の直線Lzに直交し、X方向に平行な直線である。図1および図3に示したように、第3の仮想の直線Lyは、Y方向に平行な直線である。
第1の仮想の直線Lzに平行な方向は、Z方向と−Z方向とを含む。第2の仮想の直線Lxに平行な方向は、X方向と−X方向とを含む。第3の仮想の直線Lyに平行な方向は、Y方向と−Y方向とを含む。
少なくとも1つのヨークは、第1の仮想の直線Lzに平行な方向の入力磁界成分を含む入力磁界を受けて、出力磁界を発生する。出力磁界は、第2の仮想の直線Lxに平行な方向の出力磁界成分であって入力磁界成分に応じて変化する出力磁界成分を含んでいる。また、少なくとも1つのヨークは、少なくとも1つの磁気検出素子に導通している。
本実施の形態では特に、少なくとも1つのヨークは、第1のヨーク11と第2のヨーク12である。第1のヨーク11は、入力磁界を受けて、第2の仮想の直線Lxに平行な第1の方向の第1の出力磁界成分を含む第1の出力磁界を発生する。第2のヨーク12は、入力磁界を受けて、第1の方向とは反対の第2の方向の第2の出力磁界成分を含む第2の出力磁界を発生する。第1および第2のヨーク11,12は、例えば直方体形状を有している。
磁気センサ1は、更に、軟磁性体よりなる第3のヨーク13を備えている。第1の出力磁界成分は、第1のヨーク11と第3のヨーク13との間に生じる。第2の出力磁界成分は、第2のヨーク12と第3のヨーク13との間に生じる。第3のヨーク13は、例えば直方体形状を有している。なお、第3のヨーク13は、磁気センサ1の必須の構成要素ではなく、設けられていなくてもよい。
少なくとも1つの磁気検出素子は、電流路30によって通電されると共に出力磁界を受けて、出力磁界成分に対応する検出値を生成する。本実施の形態では特に、少なくとも1つの磁気検出素子は、第1の磁気抵抗効果素子21と第2の磁気抵抗効果素子22である。後で詳しく説明するが、第1および第2の磁気抵抗効果素子21,22の各々は、積層された複数の層を含んでいる。磁気センサ1は、上記複数の層を含む積層体20を備えている。また、第1および第2の磁気抵抗効果素子21,22は、互いに接続されている。図1ないし図3では、第1の磁気抵抗効果素子21と第2の磁気抵抗効果素子22の境界を点線で示している。
第1ないし第3のヨーク11〜13は、第1のヨーク11、第3のヨーク13、第2のヨーク12の順に、−X方向に並んでいる。また、第1および第2のヨーク11,12は、積層体20の上に配置されている。第3のヨーク13は、積層体20の下に配置されている。第1の磁気抵抗効果素子21は、第1のヨーク11と第3のヨーク13との間を通過するYZ平面と交差するように配置されている。第2の磁気抵抗効果素子22は、第2のヨーク12と第3のヨーク13との間を通過するYZ平面と交差するように配置されている。
第1の磁気抵抗効果素子21は、第1の出力磁界を受けて第1の出力磁界成分に対応する検出値である第1の抵抗値を生成する。第2の磁気抵抗効果素子22は、第2の出力磁界を受けて第2の出力磁界成分に対応する検出値である第2の抵抗値を生成する。
磁気センサ1は、更に、非磁性導電材料よりなる導電層34および端子41,42,43と、非磁性材料よりなる基板51と、絶縁材料よりなる絶縁層52,53,54,55とを備えている。絶縁層52は、基板51の上に配置されている。第3のヨーク13は、絶縁層52の上に配置されている。絶縁層53は、絶縁層52の上において第3のヨーク13の周囲に配置されている。積層体20は、第3のヨーク13および絶縁層53の上に配置されている。第3のヨーク13は、積層体20における第1の磁気抵抗効果素子21と第2の磁気抵抗効果素子22との境界の近傍において、第1の磁気抵抗効果素子21と第2の磁気抵抗効果素子22に接している。絶縁層54は、第3のヨーク13および絶縁層53の上において積層体20の周囲に配置されている。
第1のヨーク11は、第1の磁気抵抗効果素子21および絶縁層54の上に配置されている。第1のヨーク11は、第1の磁気抵抗効果素子21における第2の磁気抵抗効果素子22との境界とは反対側に位置する端部の近傍において、第1の磁気抵抗効果素子21に接している。
第2のヨーク12は、第2の磁気抵抗効果素子22および絶縁層54の上に配置されている。第2のヨーク12は、第2の磁気抵抗効果素子22における第1の磁気抵抗効果素子21との境界とは反対側に位置する端部の近傍において、第2の磁気抵抗効果素子22に接している。
導電層34は、第1の磁気抵抗効果素子21、第2の磁気抵抗効果素子22および絶縁層54の上に配置されている。導電層34は、積層体20における第1の磁気抵抗効果素子21と第2の磁気抵抗効果素子22との境界の近傍において、第1の磁気抵抗効果素子21と第2の磁気抵抗効果素子22に接している。導電層34は、例えば直方体形状を有している。
絶縁層55は、積層体20および絶縁層54の上において第1のヨーク11、第2のヨーク12および導電層34の周囲に配置されている。端子41は、第1のヨーク11および絶縁層55の上に配置され、第1のヨーク11に接している。端子42は、第2のヨーク12および絶縁層55の上に配置され、第2のヨーク12に接している。端子43は、導電層34および絶縁層55の上に配置され、導電層34に接している。
ここで、図5を参照して、磁気センサ1の回路構成について説明する。図5は、磁気センサ1の回路構成を示す回路図である。磁気センサ1は、電源ポートVと、グランドポートGと、出力ポートEとを備えている。図1および図2に示した端子41,42,43は、それぞれ、電源ポートV、グランドポートGおよび出力ポートEに対応している。第1の磁気抵抗効果素子21は、電源ポートVと出力ポートEとの間に設けられている。第2の磁気抵抗効果素子22は、グランドポートGと出力ポートEとの間に設けられている。
磁気センサ1は、更に、第1の磁気抵抗効果素子21と第2の磁気抵抗効果素子22の接続点を出力ポートEに接続する信号線路33を備えている。本実施の形態では、信号線路33は、導電層34(図1および図2参照)によって構成されている。
次に、図1、図2および図5を参照して、電流路30の構成について詳しく説明する。図5に示したように、電流路30は、電源ポートVと第1の磁気抵抗効果素子21とを接続する第1の部分31と、グランドポートGと第2の磁気抵抗効果素子22とを接続する第2の部分32とを含んでいる。
第1のヨーク11は、第1の磁気抵抗効果素子21に導通し、第1の部分31の少なくとも一部を構成している。図1および図2に示したように、本実施の形態では、第1のヨーク11は、第1の磁気抵抗効果素子21と端子41に接し、第1の部分31の全体を構成している。
第2のヨーク12は、第2の磁気抵抗効果素子22に導通し、第2の部分32の少なくとも一部を構成している。図1および図2に示したように、本実施の形態では、第2のヨーク12は、第2の磁気抵抗効果素子22と端子42に接し、第2の部分32の全体を構成している。
次に、図1ないし図5を参照して第1および第2の磁気抵抗効果素子21,22の構成について詳しく説明する。図3に示したように、第1の磁気抵抗効果素子21は、直列に接続された第1の検出部分21Aおよび第2の検出部分21Bを含んでいる。第1および第2の検出部分21A,21Bは、第1の磁気抵抗効果素子21のうち、第1のヨーク11、第3のヨーク13および導電層34のいずれにも接触しない部分によって構成されている。第1および第2の検出部分21A,21Bの各々は、第3の仮想の直線Lyに平行な方向に長い形状を有している。第1の検出部分21Aの一端は、電源ポートVに電気的に接続され、第1の検出部分21Aの他端は、第2の検出部分21Bの一端に電気的に接続されている。第2の検出部分21Bの他端は、出力ポートEに電気的に接続されている。
図3に示したように、第2の磁気抵抗効果素子22は、直列に接続された第3の検出部分22Aおよび第4の検出部分22Bを含んでいる。第3および第4の検出部分22A,22Bは、第2の磁気抵抗効果素子22のうち、第2のヨーク12、第3のヨーク13および導電層34のいずれにも接触しない部分によって構成されている。第3および第4の検出部分22A,22Bの各々は、第3の仮想の直線Lyに平行な方向に長い形状を有している。第3の検出部分22Aの一端は、グランドポートGに電気的に接続され、第3の検出部分22Aの他端は、第4の検出部分22Bの一端に電気的に接続されている。第4の検出部分22Bの他端は、出力ポートEに電気的に接続されている。
第1ないし第3のヨーク11〜13の各々は、Y方向の端に位置する第1の端面と、−Y方向の端に位置する第2の端面を有している。本実施の形態では、第1ないし第3のヨーク11〜13の各々の第1の端面は、XZ平面に平行な同一の第1の仮想の平面上にあり、第1ないし第3のヨーク11〜13の各々の第2の端面は、XZ平面に平行な同一の第2の仮想の平面上にある。第1ないし第4の検出部分21A,21B,22A,22Bは、第1の仮想の平面と第2の仮想の平面との間に配置されている。
図4は、第1の磁気抵抗効果素子21の一部である第1の検出部分21Aを示す断面図である。第1の検出部分21Aは、方向が固定された磁化を有する磁化固定層202と、方向が変化可能な磁化を有する自由層204と、磁化固定層202と自由層204の間に配置されたギャップ層203とを含んでいる。
図4に示した例では、第1の検出部分21Aは、更に、反強磁性層201および保護層205を含んでいる。反強磁性層201、磁化固定層202、ギャップ層203、自由層204および保護層205は、基板51(図2参照)側からこの順に、第1の仮想の直線Lzに平行な方向に積層されている。反強磁性層201は、反強磁性材料よりなり、磁化固定層202との間で交換結合を生じさせて、磁化固定層202の磁化の方向を固定する。保護層205は、その下の自由層204を保護するための層である。
第2ないし第4の検出部分21B,22A,22Bの構成は、第1の検出部分21Aの構成と同じである。そのため、以下の説明では、第2ないし第4の検出部分21B,22A,22Bの構成要素について、第1の検出部分21Aの構成要素と同じ符号を用いる。なお、第1および第2の検出部分21A,21Bは第1の磁気抵抗効果素子21の一部であり、第3および第4の検出部分22A,22Bは第2の磁気抵抗効果素子22の一部であることから、第1および第2の磁気抵抗効果素子21,22の各々が、反強磁性層201、磁化固定層202、ギャップ層203、自由層204および保護層205を含んでいるとも言える。
本実施の形態では、第1および第2の磁気抵抗効果素子21,22は、GMR(巨大磁気抵抗効果)素子であり、特に、電流を、GMR素子を構成する各層の面に対してほぼ平行な方向に流すCIP(Current In Plane)タイプのGMR素子である。第1および第2の磁気抵抗効果素子21,22の各々において、電流は、少なくとも自由層204を通過する。また、本実施の形態では、ギャップ層203は非磁性導電層である。
第1の磁気抵抗効果素子21の第1の抵抗値は、第1および第2の検出部分21A,21Bの各々の抵抗値に依存して変化する。また、第2の磁気抵抗効果素子22の第2の抵抗値は、第3および第4の検出部分22A,22Bの各々の抵抗値に依存して変化する。第1ないし第4の検出部分21A,21B,22A,22Bの各々の抵抗値は、自由層204の磁化の方向が磁化固定層202の磁化の方向に対してなす角度に応じて変化し、この角度が0°のときに抵抗値は最小値になり、角度が180°のときに抵抗値は最大値になる。
第1の磁気抵抗効果素子21内の磁化固定層202の磁化の方向と、第2の磁気抵抗効果素子22内の磁化固定層202の磁化の方向は、同じ方向である。本実施の形態では、上記磁化の方向は−X方向である。なお、上記磁化の方向は、後で説明する図16および図17に示されている。
前述のように、第1および第2の検出部分21A,21Bの各々は、第3の仮想の直線Lyに平行な方向に長い形状を有している。これにより、第1および第2の検出部分21A,21Bの各々の自由層204は、磁化容易軸方向が第3の仮想の直線Lyに平行な方向となる形状異方性を有している。そのため、第1の出力磁界成分が存在しない状態では、自由層204の磁化の方向は、第3の仮想の直線Lyに平行な方向になっている。第1の出力磁界成分が存在する場合には、第1の出力磁界成分の方向および強度に応じて、自由層204の磁化の方向が変化する。従って、自由層204の磁化の方向が磁化固定層202の磁化の方向に対してなす角度は、第1および第2の検出部分21A,21Bの各々が受けた第1の出力磁界成分の方向および強度によって変化する。そのため、第1および第2の検出部分21A,21Bの各々の抵抗値ならびに第1の磁気抵抗効果素子21の第1の抵抗値は、第1の出力磁界成分に対応したものとなる。
同様に、第3および第4の検出部分22A,22Bの各々は、第3の仮想の直線Lyに平行な方向に長い形状を有している。これにより、第3および第4の検出部分22A,22Bの各々の自由層204は、磁化容易軸方向が第3の仮想の直線Lyに平行な方向となる形状異方性を有している。そのため、第2の出力磁界成分が存在しない状態では、自由層204の磁化の方向は、第3の仮想の直線Lyに平行な方向になっている。第2の出力磁界成分が存在する場合には、第2の出力磁界成分の方向および強度に応じて、自由層204の磁化の方向が変化する。従って、自由層204の磁化の方向が磁化固定層202の磁化の方向に対してなす角度は、第3および第4の検出部分22A,22Bの各々が受けた第2の出力磁界成分の方向および強度によって変化する。そのため、第3および第4の検出部分22A,22Bの各々の抵抗値ならびに第2の磁気抵抗効果素子22の第2の抵抗値は、第2の出力磁界成分に対応したものとなる。
次に、図6ないし図15を参照して、本実施の形態に係る磁気センサ1の製造方法について説明する。図6および図7は、本実施の形態に係る磁気センサ1の製造方法における一工程を示している。この工程では、基板51の上に、絶縁層52を形成する。
図8および図9は、次の工程を示す。この工程では、まず、例えばめっき法によって、第3のヨーク13を形成する。次に、第3のヨーク13を覆うように、絶縁層53を形成する。次に、例えば化学機械研磨(以下、CMPと記す。)によって、第3のヨーク13が露出するまで、絶縁層53を研磨する。
図10および図11は、次の工程を示す。この工程では、第3のヨーク13および絶縁層53の上に、後にパターニングされることによって積層体20になる積層膜20Pを形成する。積層膜20Pは、積層された複数の層よりなる。
図12および図13は、次の工程を示す。この工程では、まず、積層膜20Pの上に、図示しないマスクを形成する。このマスクは、積層体20の平面形状に対応した平面形状を有している。次に、このマスクをエッチングマスクとして用いて、積層膜20Pをエッチングする。これにより、積層膜20Pは積層体20になり、第1および第2の磁気抵抗効果素子21,22が完成する。次に、マスクを除去する。次に、積層体20を覆うように、絶縁層54を形成する。次に、例えばCMPによって、積層体20が露出するまで、絶縁層54を研磨する。
図14および図15は、次の工程を示す。この工程では、まず、例えばめっき法によって、第1の磁気抵抗効果素子21および絶縁層54の上に第1のヨーク11を形成し、第2の磁気抵抗効果素子22および絶縁層54の上に第2のヨーク12を形成し、第1の磁気抵抗効果素子21、第2の磁気抵抗効果素子22および絶縁層54の上に導電層34を形成する。次に、第1のヨーク11、第2のヨーク12および導電層34を覆うように、絶縁層55を形成する。次に、例えばCMPによって、第1のヨーク11、第2のヨーク12および導電層34が露出するまで、絶縁層55を形成する。次に、例えばめっき法によって、図1および図2に示した端子41,42,43を形成する。これにより、磁気センサ1が完成する。
次に、図16および図17を参照して、磁気センサ1の動作について説明する。図16および図17は、磁気センサ1の動作を説明するための説明図である。図16は、入力磁界成分の方向が−Z方向の場合を示し、図17は、入力磁界成分の方向がZ方向の場合を示している。図16および図17において、符号81を付した矢印は、入力磁界成分に応じて第1のヨーク11内に生じた磁界の方向を表し、符号82を付した矢印は、入力磁界成分に応じて第2のヨーク12内に生じた磁界の方向を表している。また、符号83を付した矢印は、第1の出力磁界成分の方向である第1の方向を表し、符号84を付した矢印は、第2の出力磁界成分の方向である第2の方向を表している。また、符号85を付した矢印は、入力磁界成分に応じて第3のヨーク13内に生じた磁界の方向を表している。また、符号91を付した矢印は、第1の磁気抵抗効果素子21内の磁化固定層202の磁化の方向を表し、符号92を付した矢印は、第2の磁気抵抗効果素子22内の磁化固定層202の磁化の方向を表している。
本実施の形態では、第1および第2の出力磁界成分が存在しない状態では、第1および第2の磁気抵抗効果素子21,22内の自由層204の磁化の方向は、第3の仮想の直線Ly(図1および図3参照)に平行な方向になっている。入力磁界成分の方向が−Z方向の場合、図16に示したように、第1の出力磁界成分の第1の方向(符号83参照)は−X方向になり、第2の出力磁界成分の第2の方向(符号84参照)はX方向になる。この場合、第1の磁気抵抗効果素子21内の自由層204の磁化の方向は、第3の仮想の直線Lyに平行な方向から−X方向に向かって傾き、第2の磁気抵抗効果素子22内の自由層204の磁化の方向は、第3の仮想の直線Lyに平行な方向からX方向に向かって傾く。その結果、第1および第2の出力磁界成分が存在しない状態と比べて、第1の磁気抵抗効果素子21の第1の抵抗値は減少し、第2の磁気抵抗効果素子22の第2の抵抗値は増加する。
入力磁界成分の方向がZ方向の場合、図17に示したように、第1の出力磁界成分の第1の方向(符号83参照)はX方向になり、第2の出力磁界成分の第2の方向(符号84参照)は−X方向になる。この場合、第1の磁気抵抗効果素子21内の自由層204の磁化の方向は、第3の仮想の直線Lyに平行な方向からX方向に向かって傾き、第2の磁気抵抗効果素子22内の自由層204の磁化の方向は、第3の仮想の直線Lyに平行な方向から−X方向に向かって傾く。その結果、第1および第2の出力磁界成分が存在しない状態と比べて、第1の磁気抵抗効果素子21の第1の抵抗値は増加し、第2の磁気抵抗効果素子22の第2の抵抗値は減少する。
第1および第2の出力磁界成分が存在しない状態を基準とした第1および第2の抵抗値の変化量は、第1および第2の磁気抵抗効果素子21,22が受ける第1および第2の出力磁界成分の強度に依存する。第1および第2の出力磁界成分の強度が大きくなると、第1および第2の抵抗値は、その増加量またはその減少量がそれぞれ大きくなる方向に変化する。第1および第2の出力磁界成分の強度が小さくなると、第1および第2の抵抗値は、その増加量またはその減少量がそれぞれ小さくなる方向に変化する。第1および第2の出力磁界成分の強度は、入力磁界成分の強度に依存する。
図5に示した出力ポートEの電位は、入力磁界成分に依存する。すなわち、入力磁界成分の方向と強度が変化すると、上述のように、第1の抵抗値と第2の抵抗値の一方は増加し、他方は減少する。これにより、出力ポートEの電位が変化する。磁気センサ1は、出力ポートEの電位に依存する信号を出力信号として生成する。
なお、本実施の形態では、第1の磁気抵抗効果素子21には、第1のヨーク11、第3のヨーク13および導電層34が接触している。以下、第1の磁気抵抗効果素子21のうち、第1のヨーク11、第3のヨーク13、導電層34のいずれかが接触している部分を第1の接触部分と言い、第1の接触部分以外の部分を第1の非接触部分と言う。第1の非接触部分は、第1および第2の検出部分21A,21Bを含んでいる。電流は、第1の非接触部分には流れるが、第1の接触部分にはほとんど流れない。そのため、第1の非接触部分の抵抗値の変化量が、実質的に、第1の抵抗値の変化量になり、第1の接触部分は、第1の抵抗値の変化に寄与しない。
同様に、本実施の形態では、第2の磁気抵抗効果素子22には、第2のヨーク12、第3のヨーク13および導電層34が接触している。以下、第2の磁気抵抗効果素子22のうち、第2のヨーク12、第3のヨーク13、導電層34のいずれかが接触している部分を第2の接触部分と言い、第2の接触部分以外の部分を第2の非接触部分と言う。第2の非接触部分は、第3および第4の検出部分22A,22Bを含んでいる。電流は、第2の非接触部分には流れるが、第2の接触部分にはほとんど流れない。そのため、第2の非接触部分の抵抗値の変化量が、実質的に、第2の抵抗値の変化量になり、第2の接触部分は、第2の抵抗値の変化に寄与しない。
次に、本実施の形態に係る磁気センサ1の効果について説明する。本実施の形態に係る磁気センサ1は、少なくとも1つのヨークとして、第1および第2のヨーク11,12を備えている。第1のヨーク11は、第1の仮想の直線Lzに平行な方向の入力磁界成分を含む入力磁界を受けて、第2の仮想の直線Lxに平行な第1の方向の第1の出力磁界成分を含む第1の出力磁界を発生する。第2のヨーク12は、第1の仮想の直線Lzに平行な方向の入力磁界成分を含む入力磁界を受けて、第1の方向とは反対の第2の方向の第2の出力磁界成分を含む第2の出力磁界を発生する。第1の磁気抵抗効果素子21は、第1の出力磁界を受けて第1の出力磁界成分に対応する検出値である第1の抵抗値を生成する。第2の磁気抵抗効果素子22は、第2の出力磁界を受けて第2の出力磁界成分に対応する検出値である第2の抵抗値を生成する。このような構成および作用により、本実施の形態によれば、第2の仮想の直線Lxに平行な方向に感度を有する第1および第2の磁気抵抗効果素子21,22を用いて、第1の仮想の直線Lzに平行な方向の磁界を検出することができる。
また、本実施の形態では、第1のヨーク11は第1の磁気抵抗効果素子21に導通し、第2のヨーク12は第2の磁気抵抗効果素子22に導通している。従って、本実施の形態では、第1および第2のヨーク11,12が第1および第2の磁気抵抗効果素子21,22に対して絶縁された構造にする必要がない。これにより、本実施の形態によれば、第1および第2のヨーク11,12を第1および第2の磁気抵抗効果素子21,22から隔てるための絶縁層が不要になり、その結果、磁気センサ1の構成を簡単にすることができる。
また、本実施の形態では、第1のヨーク11は、電流路30の第1の部分31の少なくとも一部を構成し、第2のヨーク12は、電流路30の第2の部分32の少なくとも一部を構成している。本実施の形態では特に、第1のヨーク11は第1の部分31の全体を構成し、第2のヨーク12は第2の部分32の全体を構成している。これにより、本実施の形態によれば、第1および第2のヨーク11,12と、電流路が別々に設けられている場合に比べて、磁気センサ1の構成を簡単にすることができる。
[第2の実施の形態]
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。始めに、図18ないし図20を参照して、本実施の形態に係る磁気センサの構成について説明する。図18は、本実施の形態に係る磁気センサを示す斜視図である。図19は、本実施の形態に係る磁気センサを示す断面図である。図20は、本実施の形態における第1ないし第3のヨーク、第1および第2の磁気抵抗効果素子ならびに第1および第2の導電層を示す平面図である。
本実施の形態に係る磁気センサ1は、以下の点で第1の実施の形態と異なっている。第1のヨーク11は、第1の磁気抵抗効果素子21に接していない。電流路30の第1の部分31は、非磁性導電材料よりなる第1の導電層35を含んでいる。第1の導電層35は、第1の磁気抵抗効果素子21における第2の磁気抵抗効果素子22との境界とは反対側に位置する端部の近傍において、第1の磁気抵抗効果素子21の上面に接していると共に第1のヨーク11の下面に接している。これにより、第1の導電層35は、第1のヨーク11と第1の磁気抵抗効果素子21を接続している。また、第1の導電層35は、第2の仮想の直線Lxに平行な方向に長い形状を有している。
また、第2のヨーク12は、第2の磁気抵抗効果素子22に接していない。電流路30の第2の部分32は、非磁性導電材料よりなる第2の導電層36を含んでいる。第2の導電層36は、第2の磁気抵抗効果素子22における第1の磁気抵抗効果素子21との境界とは反対側に位置する端部の近傍において、第2の磁気抵抗効果素子22の上面に接していると共に第2のヨーク12の下面に接している。これにより、第2の導電層36は、第2のヨーク12と第2の磁気抵抗効果素子22を接続している。また、第2の導電層36は、第2の仮想の直線Lxに平行な方向に長い形状を有している。
また、導電層34は、第1および第2の磁気抵抗効果素子21,22に対して−Y方向の先に配置され、第1および第2の磁気抵抗効果素子21,22に接していない。本実施の形態に係る磁気センサ1は、非磁性導電材料よりなる導電層37を備えている。導電層37は、第3の仮想の直線Lyに平行な方向に長い形状を有している。導電層37の長手方向の一端の近傍の部分は、積層体20における第1の磁気抵抗効果素子21と第2の磁気抵抗効果素子22との境界の近傍において、第1の磁気抵抗効果素子21と第2の磁気抵抗効果素子22のそれぞれの上面に接している。導電層37の長手方向の他端の近傍の部分は、導電層34の下面に接している。これにより、導電層37は、導電層34と第1および第2の磁気抵抗効果素子21,22とを接続している。本実施の形態における信号線路33は、導電層34,37によって構成されている。
本実施の形態に係る磁気センサ1は、更に、非磁性導電材料よりなる導電層38,39を備えている。導電層38は、第1のヨーク11に対してX方向の先に配置され、端子41と第1の導電層35とを接続している。導電層35,38は、本実施の形態における電流路30の第1の部分31を構成している。
導電層39は、第2のヨーク12に対して−X方向の先に配置され、端子42と第2の導電層36とを接続している。導電層36,39は、本実施の形態における電流路30の第2の部分32を構成している。
また、本実施の形態に係る磁気センサ1は、第1の実施の形態における絶縁層55の代わりに、絶縁材料よりなる絶縁層56,57を備えている。第1の導電層35は、第1の磁気抵抗効果素子21および絶縁層54の上に配置されている。第2の導電層36は、第2の磁気抵抗効果素子22および絶縁層54の上に配置されている。導電層37は、第1の磁気抵抗効果素子21、第2の磁気抵抗効果素子22および絶縁層54の上に配置されている。絶縁層56は、積層体20および絶縁層54の上において導電層35,36,37の周囲に配置されている。
第1のヨーク11は、第1の導電層35および絶縁層56の上に配置されている。第2のヨーク12は、第2の導電層36および絶縁層56の上に配置されている。導電層34は、導電層37の上に配置されている。導電層38は、第1の導電層35の上に配置されている。導電層39は、第2の導電層36の上に配置されている。絶縁層57は、導電層35,36,37および絶縁層56の上において第1のヨーク11、第2のヨーク12および導電層34,38,39の周囲に配置されている。端子41は、導電層38および絶縁層57の上に配置されている。端子42は、導電層39および絶縁層57の上に配置されている。端子43は、導電層34および絶縁層57の上に配置されている。
次に、図21および図22を参照して、本実施の形態に係る磁気センサ1の製造方法について説明する。図21および図22は、本実施の形態に係る磁気センサ1の製造方法における一工程を示している。本実施の形態に係る磁気センサ1の製造方法は、絶縁層54を研磨する工程までは、第1の実施の形態と同様である。図21および図22は、次の工程を示す。この工程では、例えばめっき法によって、第1の磁気抵抗効果素子21および絶縁層54の上に第1の導電層35を形成し、第2の磁気抵抗効果素子22および絶縁層54の上に第2の導電層36を形成し、第1の磁気抵抗効果素子21、第2の磁気抵抗効果素子22および絶縁層54の上に導電層37を形成する。次に、導電層35,36,37を覆うように、絶縁層56を形成する。次に、例えばCMPによって、導電層35,36,37が露出するまで、絶縁層56を形成する。
次に、図19を参照して、図21および図22に示した工程よりも後の工程について説明する。この工程では、まず、例えばめっき法によって、第1の導電層35および絶縁層56の上に第1のヨーク11を形成し、第2の導電層36および絶縁層56の上に第2のヨーク12を形成し、導電層37の上に導電層34を形成し、第1の導電層35の上に導電層38を形成し、第2の導電層36の上に導電層39を形成する。次に、第1のヨーク11、第2のヨーク12および導電層34,38,39を覆うように、絶縁層57を形成する。次に、例えばCMPによって、導電層34,38,39が露出するまで、絶縁層57を研磨する。次に、例えばめっき法によって、端子41,42,43を形成する。これにより、磁気センサ1が完成する。
なお、本実施の形態では、第1の実施の形態で説明した、第1のヨーク11が電流路30の第1の部分31の全体を構成し、第2のヨーク12が電流路30の第2の部分32の全体を構成していることによる効果は得られない。本実施の形態におけるその他の構成、作用および効果は、第1の実施の形態と同様である。
[第3の実施の形態]
次に、本発明の第3の実施の形態について説明する。始めに、図23および図24を参照して、本実施の形態に係る磁気センサの構成について説明する。図23は、本実施の形態に係る磁気センサを示す斜視図である。図24は、本実施の形態に係る磁気センサを示す断面図である。本実施の形態に係る磁気センサ1は、以下の点で第1の実施の形態と異なっている。本実施の形態に係る磁気センサ1は、第1の実施の形態における第1および第2の磁気抵抗効果素子21,22の代わりに、第1および第2の磁気抵抗効果素子23A,23Bを備えている。
第1の磁気抵抗効果素子23Aは、第1のヨーク11と第3のヨーク13との間を通過するYZ平面と交差するように配置されている。第2の磁気抵抗効果素子23Bは、第2のヨーク12と第3のヨーク13との間を通過するYZ平面と交差するように配置されている。
本実施の形態では、第3のヨーク13の上面を含むXY平面は、第1および第2のヨーク11,12のそれぞれの下面を含むXY平面の下方に位置している。第1および第2の磁気抵抗効果素子23A,23Bは、第3のヨーク13の上面を含むXY平面から、第1および第2のヨーク11,12のそれぞれの下面を含むXY平面までの空間的な範囲内に配置されている。
第1の磁気抵抗効果素子23Aは、第1のヨーク11から発生される第1の出力磁界を受けて第1の出力磁界成分に対応する検出値である第1の抵抗値を生成する。第2の磁気抵抗効果素子23Bは、第2のヨーク12から発生される第2の出力磁界を受けて第2の出力磁界成分に対応する検出値である第2の抵抗値を生成する。
本実施の形態では、電流路30の第1の部分31は、非磁性導電材料よりなる第1の導電層61を含んでいる。第1の導電層61は、第1のヨーク11の下面と第1の磁気抵抗効果素子23Aの上面とに接し、第1のヨーク11と第1の磁気抵抗効果素子23Aを接続している。第1の導電層61と第1のヨーク11は、本実施の形態における第1の部分31を構成している。すなわち、第1のヨーク11は、第1の部分31の一部を構成している。第1のヨーク11は、第1の磁気抵抗効果素子23Aに導通している。
また、電流路30の第2の部分32は、非磁性導電材料よりなる第2の導電層62を含んでいる。第2の導電層62は、第2のヨーク12の下面と第2の磁気抵抗効果素子23Bの上面とに接し、第2のヨーク12と第2の磁気抵抗効果素子23Bを接続している。第2の導電層62と第2のヨーク12は、本実施の形態における第2の部分32を構成している。すなわち、第2のヨーク12は、第2の部分32の一部を構成している。第2のヨーク12は、第2の磁気抵抗効果素子23Bに導通している。
また、本実施の形態では、電流路30は、第1の磁気抵抗効果素子23Aと第2の磁気抵抗効果素子23Bとを接続する第3の部分133を含んでいる。第3の部分133は、非磁性導電材料よりなる第3の導電層63を含んでいる。第3の導電層63は、第1の磁気抵抗効果素子23Aの下面と第2の磁気抵抗効果素子23Bの下面に接し、第1の磁気抵抗効果素子23Aと第2の磁気抵抗効果素子23Bを接続している。
また、本実施の形態に係る磁気センサ1は、第1の実施の形態における導電層34の代わりに、それぞれ非磁性導電材料よりなる導電層64,65を備えている。導電層64,65は、第1の磁気抵抗効果素子23Aと第2の磁気抵抗効果素子23Bの間において導電層63の上に配置されている。導電層65は、導電層64の上に配置されている。本実施の形態における信号線路33は、導電層64,65によって構成されている。
第3の導電層63は、第3のヨーク13および絶縁層53の上に配置されている。本実施の形態では、絶縁層54は、第3のヨーク13および絶縁層53の上において第1の磁気抵抗効果素子23A、第2の磁気抵抗効果素子23Bおよび導電層63,64の周囲に配置されている。第1の導電層61は、第1の磁気抵抗効果素子23Aおよび絶縁層54の上に配置されている。第2の導電層62は、第2の磁気抵抗効果素子23Bおよび絶縁層54の上に配置されている。第1のヨーク11は、第1の導電層61の上に配置されている。第2のヨーク12は、第2の導電層62の上に配置されている。導電層65は、導電層64の上に配置されている。絶縁層55は、絶縁層54の上において第1のヨーク11、第2のヨーク12および導電層61,62,65の周囲に配置されている。端子43は、導電層65および絶縁層55の上に配置されている。
次に、第1および第2の磁気抵抗効果素子23A,23Bについて詳しく説明する。始めに、図25を参照して、第1の磁気抵抗効果素子23Aの構成について説明する。図25は、第1の磁気抵抗効果素子23Aを示す断面図である。第1の磁気抵抗効果素子23Aは、方向が固定された磁化を有する磁化固定層232と、方向が変化可能な磁化を有する自由層234と、磁化固定層232と自由層234の間に配置されたギャップ層233とを含んでいる。
図25に示した例では、第1の磁気抵抗効果素子23Aは、更に、反強磁性層231および保護層235を含んでいる。反強磁性層231、磁化固定層232、ギャップ層233、自由層234および保護層235は、基板51(図24参照)側からこの順に、第1の仮想の直線Lzに平行な方向に積層されている。反強磁性層231は、反強磁性材料よりなり、磁化固定層232との間で交換結合を生じさせて、磁化固定層232の磁化の方向を固定する。保護層235は、その下の自由層234を保護するための層である。
第2の磁気抵抗効果素子23Bの構成は、第1の磁気抵抗効果素子23Aの構成と同じである。そのため、以下の説明では、第2の磁気抵抗効果素子23Bの構成要素について、第1の磁気抵抗効果素子23Aの構成要素と同じ符号を用いる。
本実施の形態では、第1および第2の磁気抵抗効果素子23A,23Bは、TMR(トンネル磁気抵抗効果)素子である。第1および第2の磁気抵抗効果素子23A,23Bの各々において、電流は、磁化固定層232、ギャップ層233および自由層234を通過する。また、本実施の形態では、ギャップ層233は、トンネルバリア層である。
第1の磁気抵抗効果素子23Aの第1の抵抗値と第2の磁気抵抗効果素子23Bの第2の抵抗値は、自由層234の磁化の方向が磁化固定層232の磁化の方向に対してなす角度に応じて変化し、この角度が0°のときに第1および第2の抵抗値は最小値になり、角度が180°のときに第1および第2の抵抗値は最大値になる。
第1の磁気抵抗効果素子23Aの磁化固定層232の磁化の方向と、第2の磁気抵抗効果素子23Bの磁化固定層232の磁化の方向は、同じ方向である。本実施の形態では、上記磁化の方向は−X方向である。
図23に示したように、第1の磁気抵抗効果素子23Aは、第3の仮想の直線Lyに平行な方向に長い形状を有している。これにより、第1の磁気抵抗効果素子23Aの自由層234は、磁化容易軸方向が第3の仮想の直線Lyに平行な方向となる形状異方性を有している。そのため、第1の出力磁界成分が存在しない状態では、自由層234の磁化の方向は、第3の仮想の直線Lyに平行な方向になっている。第1の出力磁界成分が存在する場合には、第1の出力磁界成分の方向および強度に応じて、自由層234の磁化の方向が変化する。従って、自由層234の磁化の方向が磁化固定層232の磁化の方向に対してなす角度は、第1の磁気抵抗効果素子23Aが受けた第1の出力磁界成分の方向および強度によって変化する。そのため、第1の磁気抵抗効果素子23Aの第1の抵抗値は、第1の出力磁界成分に対応したものとなる。
同様に、第2の磁気抵抗効果素子23Bは、第3の仮想の直線Lyに平行な方向に長い形状を有している。これにより、第2の磁気抵抗効果素子23Bの自由層234は、磁化容易軸方向が第3の仮想の直線Lyに平行な方向となる形状異方性を有している。そのため、第2の出力磁界成分が存在しない状態では、自由層234の磁化の方向は、第3の仮想の直線Lyに平行な方向になっている。第2の出力磁界成分が存在する場合には、第2の出力磁界成分の方向および強度に応じて、自由層234の磁化の方向が変化する。従って、自由層234の磁化の方向が磁化固定層232の磁化の方向に対してなす角度は、第2の磁気抵抗効果素子23Bが受けた第2の出力磁界成分の方向および強度によって変化する。そのため、第2の磁気抵抗効果素子23Bの第2の抵抗値は、第2の出力磁界成分に対応したものとなる。
入力磁界成分、第1の出力磁界成分および第2の出力磁界成分の方向と、第1の磁気抵抗効果素子23Aの第1の抵抗値および第2の磁気抵抗効果素子23Bの第2の抵抗値との関係は、第1の実施の形態で説明した、入力磁界成分、第1の出力磁界成分および第2の出力磁界成分の方向と、第1の磁気抵抗効果素子21の第1の抵抗値および第2の磁気抵抗効果素子22の第2の抵抗値との関係と同様である。
なお、第1および第2の磁気抵抗効果素子23A,23Bは、電流を、第1および第2の磁気抵抗効果素子23A,23Bを構成する各層の面に対してほぼ垂直な方向に流すCPP(Current Perpendicular to Plane)タイプのGMR素子であってもよい。この場合、ギャップ層233は非磁性導電層である。
次に、図24を参照して、本実施の形態に係る磁気センサ1の製造方法について説明する。本実施の形態に係る磁気センサ1の製造方法は、絶縁層53を研磨する工程までは、第1の実施の形態と同様である。本実施の形態では、次に、例えばめっき法によって、第3のヨーク13および絶縁層53の上に、導電層63を形成する。次に、導電層63の上に、第1および第2の磁気抵抗効果素子23A,23Bと導電層64を形成する。導電層64は、例えばめっき法によって形成される。次に、第1の磁気抵抗効果素子23A、第2の磁気抵抗効果素子23Bおよび導電層64を覆うように、絶縁層54を形成する。次に、例えばCMPによって、第1の磁気抵抗効果素子23A、第2の磁気抵抗効果素子23Bおよび導電層64が露出するまで、絶縁層54を研磨する。
次に、例えばめっき法によって、第1の磁気抵抗効果素子23Aおよび絶縁層54の上に第1の導電層61を形成し、第2の磁気抵抗効果素子23Bおよび絶縁層54の上に第2の導電層62を形成する。次に、例えばめっき法によって、第1の導電層61の上に第1のヨーク11を形成し、第2の導電層62の上に第2のヨーク12を形成し、導電層64の上に導電層65を形成する。次に、第1のヨーク11、第2のヨーク12および導電層61,62,65を覆うように、絶縁層55を形成する。次に、例えばCMPによって、第1のヨーク11、第2のヨーク12および導電層65が露出するまで、絶縁層55を形成する。次に、例えばめっき法によって、端子41,42,43を形成する。これにより、磁気センサ1が完成する。
本実施の形態におけるその他の構成、作用および効果は、第1の実施の形態と同様である。
[第4の実施の形態]
次に、本発明の第4の実施の形態について説明する。始めに、図26ないし図28を参照して、本実施の形態に係る磁気センサの構成について説明する。図26は、本実施の形態に係る磁気センサを示す斜視図である。図27は、本実施の形態に係る磁気センサを示す断面図である。図28は、本実施の形態における第1の磁気抵抗効果素子およびその近傍の部分を示す断面図である。本実施の形態に係る磁気センサ1は、以下の点で第3の実施の形態と異なっている。本実施の形態では、第3の実施の形態における第1の導電層61、第2の導電層62および第3の導電層63が設けられていない。
本実施の形態では、第1および第2の磁気抵抗効果素子23A,23Bは、第3のヨーク13および絶縁層53の上に配置されている。図26ないし図28に示したように、第3のヨーク13は、第1の磁気抵抗効果素子23Aにおける−X方向の端に位置する端部の近傍において、第1の磁気抵抗効果素子23Aの下面すなわち反強磁性層231の下面に接している。また、第3のヨーク13は、第2の磁気抵抗効果素子23BにおけるX方向の端に位置する端部の近傍において、第2の磁気抵抗効果素子23Bの下面すなわち反強磁性層231の下面に接している。また、第3のヨーク13は、第1の磁気抵抗効果素子23Aと第2の磁気抵抗効果素子23Bを接続し、本実施の形態における電流路30の第3の部分133を構成している。
また、第1のヨーク11は、第1の磁気抵抗効果素子23Aおよび絶縁層54の上に配置され、第1の磁気抵抗効果素子23Aに接している。図26ないし図28に示したように、第1のヨーク11は、第1の磁気抵抗効果素子23AにおけるX方向の端に位置する端部の近傍において、第1の磁気抵抗効果素子23Aの上面すなわち保護層235の上面に接している。また、第1のヨーク11は、本実施の形態における電流路30の第1の部分31の全体を構成している。
また、第2のヨーク12は、第2の磁気抵抗効果素子23Bおよび絶縁層54の上に配置され、第2の磁気抵抗効果素子23Bに接している。図26および図27に示したように、第2のヨーク12は、第2の磁気抵抗効果素子23Bにおける−X方向の端に位置する端部の近傍において、第2の磁気抵抗効果素子23Bの上面すなわち保護層235の上面に接している。また、第2のヨーク12は、本実施の形態における電流路30の第2の部分32の全体を構成している。
また、本実施の形態では、導電層64は、第1の磁気抵抗効果素子23Aと第2の磁気抵抗効果素子23Bとの間において第3のヨーク13の上に配置されている。本実施の形態における信号線路33は、導電層64,65によって構成されている。
次に、本実施の形態に係る磁気センサ1の製造方法について簡単に説明する。本実施の形態に係る磁気センサ1の製造方法は、導電層61,62,63を形成しない点を除いて、第3の実施の形態に係る磁気センサ1の製造方法と同様である。本実施の形態では、第1および第2の磁気抵抗効果素子23A,23Bは、第3のヨーク13および絶縁層53の上に形成される。導電層64は、第3のヨーク13の上に形成される。第1のヨーク11は、第1の磁気抵抗効果素子23Aおよび絶縁層54の上に形成される。第2のヨーク12は、第2の磁気抵抗効果素子23Bおよび絶縁層54の上に形成される。
本実施の形態におけるその他の構成、作用および効果は、第3の実施の形態と同様である。
[第5の実施の形態]
次に、本発明の第5の実施の形態について説明する。始めに、図29ないし図31を参照して、本実施の形態に係る磁気センサの構成について説明する。図29は、本実施の形態に係る磁気センサを示す斜視図である。図30は、本実施の形態に係る磁気センサを示す断面図である。図31は、本実施の形態における第1の磁気抵抗効果素子およびその近傍の部分を示す断面図である。本実施の形態に係る磁気センサ1は、以下の点で第4の実施の形態と異なっている。本実施の形態に係る磁気センサ1は、第4の実施の形態における第1および第2の磁気抵抗効果素子23A,23Bの代わりに、第1および第2の磁気抵抗効果素子24A,24Bを備えている。
図31に示したように、第1の磁気抵抗効果素子24Aは、方向が固定された磁化を有する磁化固定層242と、ギャップ層243とを含んでいる。図31に示した例では、第1の磁気抵抗効果素子24Aは、更に、反強磁性層241を含んでいる。反強磁性層241、磁化固定層242およびギャップ層243は、基板51(図30参照)側からこの順に、第1の仮想の直線Lzに平行な方向に積層されている。反強磁性層241および磁化固定層242は、第1のヨーク11と第3のヨーク13との間を通過するYZ平面と交差するように配置されている。ギャップ層243は、磁化固定層242の上面のうち、第1のヨーク11の下方に位置する一部の上にのみ設けられていてもよい。反強磁性層241は、反強磁性材料よりなり、磁化固定層242との間で交換結合を生じさせて、磁化固定層242の磁化の方向を固定する。
第2の磁気抵抗効果素子24Bの構成は、第1の磁気抵抗効果素子24Aの構成と同じである。そのため、以下の説明では、第2の磁気抵抗効果素子24Bの構成要素について、第1の磁気抵抗効果素子24Aの構成要素と同じ符号を用いる。第2の磁気抵抗効果素子24Bの反強磁性層241および磁化固定層242は、第2のヨーク12と第3のヨーク13との間を通過するYZ平面と交差するように配置されている。第2の磁気抵抗効果素子24Bのギャップ層243は、磁化固定層242の上面のうち、第2のヨーク12の下方に位置する一部の上にのみ設けられていてもよい。
第1の磁気抵抗効果素子24Aの反強磁性層241と第2の磁気抵抗効果素子24Bの反強磁性層241は、第3のヨーク13および絶縁層53の上に配置されている。図29ないし図31に示したように、第3のヨーク13は、第1の磁気抵抗効果素子24Aの反強磁性層241における−X方向の端に位置する端部の近傍において、第1の磁気抵抗効果素子24Aの反強磁性層241に接している。また、第3のヨーク13は、第2の磁気抵抗効果素子24Bの反強磁性層241におけるX方向の端に位置する端部の近傍において、第2の磁気抵抗効果素子24Bの反強磁性層241に接している。絶縁層54は、第3のヨーク13および絶縁層53の上において第1および第2の磁気抵抗効果素子24A,24Bの反強磁性層241、磁化固定層242およびギャップ層243の周囲に配置されている。
本実施の形態では、第1のヨーク11は、第1の磁気抵抗効果素子24Aのギャップ層243および絶縁層54の上に配置され、ギャップ層243に接している。第1の磁気抵抗効果素子24Aは、更に、方向が変化可能な磁化を有する自由層を含んでいる。第1のヨーク11のうち、ギャップ層243に接する面を有する一部分11Fは、第1の磁気抵抗効果素子24Aの自由層を兼ねている。以下、この部分11Fを、自由層相当部分11Fと言う。
また、本実施の形態では、第2のヨーク12は、第2の磁気抵抗効果素子24Bのギャップ層243に接している。第2の磁気抵抗効果素子24Bは、更に、方向が変化可能な磁化を有する自由層を含んでいる。第2のヨーク12のうち、ギャップ層243に接する面を有する一部分12Fは、第2の磁気抵抗効果素子24Bの自由層を兼ねている。以下、この部分12Fを、自由層相当部分12Fと言う。
以下、第1および第2の磁気抵抗効果素子24A,24Bについて、更に詳しく説明する。第1の磁気抵抗効果素子24Aは、第1のヨーク11が発生する第1の出力磁界を受けて第1の出力磁界成分に対応する検出値である第1の抵抗値を生成する。本実施の形態では、第1の出力磁界は、入力磁界に応じて自由層相当部分11F内に生じた磁界を含む。第1の出力磁界成分は、自由層相当部分11F内に生じた磁界における第2の仮想の直線Lxに平行な方向の成分である。
同様に、第2の磁気抵抗効果素子24Bは、第2のヨーク12が発生する第2の出力磁界を受けて第2の出力磁界成分に対応する検出値である第2の抵抗値を生成する。本実施の形態では、第2の出力磁界は、入力磁界に応じて自由層相当部分12F内に生じた磁界を含む。第2の出力磁界成分は、自由層相当部分12F内に生じた磁界における第2の仮想の直線Lxに平行な方向の成分である。
本実施の形態では、第1および第2の磁気抵抗効果素子24A,24Bは、TMR(トンネル磁気抵抗効果)素子である。第1の磁気抵抗効果素子24Aにおいて、電流は、磁化固定層242、ギャップ層243および自由層相当部分11Fを通過する。第2の磁気抵抗効果素子24Bにおいて、電流は、磁化固定層242、ギャップ層243および自由層相当部分12Fを通過する。また、本実施の形態では、ギャップ層243は、トンネルバリア層である。
第1の磁気抵抗効果素子24Aの第1の抵抗値は、自由層相当部分11Fの磁化の方向が磁化固定層242の磁化の方向に対してなす角度に応じて変化し、この角度が0°のときに第1の抵抗値は最小値になり、角度が180°のときに第1の抵抗値は最大値になる。
第2の磁気抵抗効果素子24Bの第2の抵抗値は、自由層相当部分12Fの磁化の方向が磁化固定層242の磁化の方向に対してなす角度に応じて変化し、この角度が0°のときに第2の抵抗値は最小値になり、角度が180°のときに第2の抵抗値は最大値になる。
第1の磁気抵抗効果素子24Aの磁化固定層242の磁化の方向と、第2の磁気抵抗効果素子24Bの磁化固定層242の磁化の方向は、同じ方向である。本実施の形態では、上記磁化の方向は−X方向である。
図29に示したように、第1のヨーク11は、第3の仮想の直線Lyに平行な方向に長い形状を有している。これにより、自由層相当部分11Fを含む第1のヨーク11は、磁化容易軸方向が第3の仮想の直線Lyに平行な方向となる形状異方性を有している。そのため、第1の出力磁界成分が存在しない状態では、自由層相当部分11Fの磁化の方向は、第3の仮想の直線Lyに平行な方向になっている。第1の出力磁界成分が存在する場合には、第1の出力磁界成分の方向および強度に応じて、自由層相当部分11Fの磁化の方向が変化する。従って、自由層相当部分11Fの磁化の方向が磁化固定層242の磁化の方向に対してなす角度は、第1の磁気抵抗効果素子24Aが受けた第1の出力磁界成分の方向および強度によって変化する。そのため、第1の磁気抵抗効果素子24Aの第1の抵抗値は、第1の出力磁界成分に対応したものとなる。
同様に、第2のヨーク12は、第3の仮想の直線Lyに平行な方向に長い形状を有している。これにより、自由層相当部分12Fを含む第2のヨーク12は、磁化容易軸方向が第3の仮想の直線Lyに平行な方向となる形状異方性を有している。そのため、第2の出力磁界成分が存在しない状態では、自由層相当部分12Fの磁化の方向は、第3の仮想の直線Lyに平行な方向になっている。第2の出力磁界成分が存在する場合には、第2の出力磁界成分の方向および強度に応じて、自由層相当部分12Fの磁化の方向が変化する。従って、自由層相当部分12Fの磁化の方向が磁化固定層242の磁化の方向に対してなす角度は、第2の磁気抵抗効果素子24Bが受けた第2の出力磁界成分の方向および強度によって変化する。そのため、第2の磁気抵抗効果素子24Bの第2の抵抗値は、第2の出力磁界成分に対応したものとなる。
入力磁界成分、第1の出力磁界成分および第2の出力磁界成分の方向と、第1の磁気抵抗効果素子24Aの第1の抵抗値および第2の磁気抵抗効果素子24Bの第2の抵抗値との関係は、第4の実施の形態で説明した、入力磁界成分、第1の出力磁界成分および第2の出力磁界成分の方向と、第1の磁気抵抗効果素子23Aの第1の抵抗値および第2の磁気抵抗効果素子23Bの第2の抵抗値との関係と同様である。
なお、第1および第2の磁気抵抗効果素子24A,24Bは、電流を、第1および第2の磁気抵抗効果素子24A,24Bを構成する各層の面に対してほぼ垂直な方向に流すCPPタイプのGMR素子であってもよい。この場合、ギャップ層243は非磁性導電層である。
次に、本実施の形態に係る磁気センサ1の製造方法について簡単に説明する。本実施の形態に係る磁気センサ1の製造方法は、第1および第2の磁気抵抗効果素子23A,23Bの代わりに第1および第2の磁気抵抗効果素子24A,24Bの反強磁性層241、磁化固定層242およびギャップ層243を形成する点を除いて、第4の実施の形態に係る磁気センサ1の製造方法と同様である。第1のヨーク11は、第1の磁気抵抗効果素子24Aのギャップ層243および絶縁層54の上に形成される。第2のヨーク12は、第2の磁気抵抗効果素子24Bのギャップ層243および絶縁層54の上に形成される。
本実施の形態におけるその他の構成、作用および効果は、第4の実施の形態と同様である。
[第6の実施の形態]
次に、本発明の第6の実施の形態について説明する。始めに、図32を参照して、本実施の形態に係る磁気センサの構成について説明する。図32は、本実施の形態に係る磁気センサを示す断面図である。本実施の形態に係る磁気センサ1は、以下の点で第3の実施の形態と異なっている。本実施の形態では、電流路30の第1の部分31は、第3の実施の形態における第1の導電層61の代わりに、第1の導電層71を含んでいる。また、電流路30の第2の部分32は、第3の実施の形態における第2の導電層62の代わりに、第2の導電層72を含んでいる。第1および第2の導電層71,72は、絶縁層53の上に配置されている。
第1の導電層71は、第1のヨーク11の下面と第1の磁気抵抗効果素子23Aの下面に接し、第1のヨーク11と第1の磁気抵抗効果素子23Aを接続している。第1の導電層71と第1のヨーク11は、本実施の形態における第1の部分31を構成している。本実施の形態では、第1のヨーク11は、第1の導電層71の上に積層された第1層11Aおよび第2層11Bを含んでいる。
第2の導電層72は、第2のヨーク12の下面と第2の磁気抵抗効果素子23Bの下面に接し、第2のヨーク12と第2の磁気抵抗効果素子23Bを接続している。第2の導電層72と第2のヨーク12は、本実施の形態における第2の部分32を構成している。本実施の形態では、第2のヨーク12は、第2の導電層72の上に積層された第1層12Aおよび第2層12Bを含んでいる。
また、本実施の形態では、第3のヨーク13は、絶縁層52の上に積層された第1層13Aおよび第2層13Bを含んでいる。絶縁層54は、絶縁層53の上において、第1のヨーク11の第1層11A、第2のヨーク12の第1層12A、第1の磁気抵抗効果素子23A、第2の磁気抵抗効果素子23B、第3のヨーク13の第2層13B、第1の導電層71および第2の導電層72の周囲に配置されている。
また、本実施の形態では、電流路30の第3の部分133は、第3の実施の形態における第3の導電層63の代わりに、非磁性導電材料よりなる第3の導電層73を含んでいる。第3の導電層73は、第3のヨーク13の第2層13B、第1の磁気抵抗効果素子23A、第2の磁気抵抗効果素子23Bおよび絶縁層54の上に配置されている。これにより、第3の導電層73は、第1の磁気抵抗効果素子23Aの上面と第2の磁気抵抗効果素子23Bの上面に接し、第1の磁気抵抗効果素子23Aと第2の磁気抵抗効果素子23Bとを接続している。
導電層65は、第3の導電層73の上に配置されている。本実施の形態における信号線路33は、導電層65によって構成されている。絶縁層55は、絶縁層54の上において第1のヨーク11の第2層11B、第2のヨーク12の第2層12Bおよび導電層65,73の周囲に配置されている。なお、本実施の形態では、第3の実施の形態における導電層64は設けられていない。
次に、図32を参照して、本実施の形態に係る磁気センサ1の製造方法について説明する。本実施の形態に係る磁気センサ1の製造方法は、絶縁層52を形成する工程までは、第1の実施の形態と同様である。本実施の形態では、次に、例えばめっき法によって、絶縁層52の上に、第3のヨーク13の第1層13Aを形成する。次に、第1層13Aを覆うように、絶縁層53を形成する。次に、例えばCMPによって、第1層13Aが露出するまで、絶縁層53を研磨する。
次に、例えばめっき法によって、絶縁層53の上に、第1の導電層71と第2の導電層72を形成する。次に、第1の導電層71の上に第1の磁気抵抗効果素子23Aと第1のヨーク11の第1層11Aを形成し、第2の導電層72の上に第2の磁気抵抗効果素子23Bと第2のヨーク12の第1層12Aを形成し、第3のヨーク13の第1層13Aの上に第3のヨーク13の第2層13Bを形成する。第1層11A,12Aおよび第2層13Bは、例えばめっき法によって形成される。
次に、第1の磁気抵抗効果素子23A、第2の磁気抵抗効果素子23B、第1層11A,12Aおよび第2層13Bを覆うように、絶縁層54を形成する。次に、例えばCMPによって、第1の磁気抵抗効果素子23A、第2の磁気抵抗効果素子23B、第1層11A,12Aおよび第2層13Bが露出するまで、絶縁層54を研磨する。次に、例えばめっき法によって、第1の磁気抵抗効果素子23A、第2の磁気抵抗効果素子23B、第2層13Bおよび絶縁層54の上に、導電層73を形成する。次に、例えばめっき法によって、第1層11Aの上に第1のヨーク11の第2層11Bを形成し、第1層12Aの上に第2のヨーク12の第2層12Bを形成し、導電層73の上に導電層65を形成する。その後の工程は、第3の実施の形態と同様である。
本実施の形態では、第1および第2の磁気抵抗効果素子23A,23Bは、第1および第2のヨーク11,12のそれぞれの下面を含むXY平面上に位置している。図32に示した構成では、第3のヨーク13の上面は、上記XY平面の上方に位置し、第3の導電層73の下面に接している。第3のヨーク13は、第2層13Bを含んでいなくてもよい。また、第3のヨーク13の上面は、第3の導電層73の下面に接していなくてもよい。この場合には、第3のヨーク13の上面は、上記XY平面の上方または下方に位置していてもよいし、上記XY平面上に位置していてもよい。また、磁気抵抗効果素子23Aに印加される第1の出力磁界成分と磁気抵抗効果素子23Bに印加される第2の出力磁界成分が大きくなるように、第3のヨーク13の上面のZ方向の位置を調整してもよい。
本実施の形態におけるその他の構成、作用および効果は、第3の実施の形態と同様である。
[第7の実施の形態]
次に、本発明の第7の実施の形態について説明する。図33は、本実施の形態に係る磁気センサを示す斜視図である。図34は、本実施の形態における第1の素子列の一部およびその近傍の部分を示す平面図である。
本実施の形態に係る磁気センサ1は、以下の点で第3の実施の形態と異なっている。本実施の形態では、第3の実施の形態における1つの第1の磁気抵抗効果素子23Aの代わりに第1の素子列25Aを備え、第3の実施の形態における1つの第2の磁気抵抗効果素子23Bの代わりに第2の素子列25Bを備えている。第1の素子列25Aは、電源ポートVと出力ポートEとの間に設けられている。第2の素子列25Bは、グランドポートGと出力ポートEとの間に設けられている。
また、本実施の形態では、第3の実施の形態における第1の導電層61、第2の導電層62および第3の導電層63の代わりに、それぞれ非磁性導電材料よりなる第1の導電層161、第2の導電層162および第3の導電層163を備えている。
第1の導電層161の上面は、第1のヨーク11の下面に接している。第2の導電層162の上面は、第2のヨーク12の下面に接している。第3の導電層163の上面は、導電層34の下面に接している。
第1の素子列25Aは、複数の磁気抵抗効果素子26Aと、この複数の磁気抵抗効果素子26Aが直列に接続されるように、回路構成上隣接する2つの磁気抵抗効果素子26Aを接続する1つ以上の第1の接続層とを含んでいる。同様に、第2の素子列25Bは、複数の磁気抵抗効果素子26Bと、この複数の磁気抵抗効果素子26Bが直列に接続されるように、回路構成上隣接する2つの磁気抵抗効果素子26Bを接続する1つ以上の第2の接続層とを含んでいる。1つ以上の第1の接続層と1つ以上の第2の接続層の各々は、非磁性導電材料よりなる。
複数の磁気抵抗効果素子26Aは、本発明における少なくとも1つの第1の磁気抵抗効果素子に対応する。複数の磁気抵抗効果素子26Bは、本発明における少なくとも1つの第2の磁気抵抗効果素子に対応する。
複数の磁気抵抗効果素子26Aと複数の磁気抵抗効果素子26Bの各々は、図25に示した磁気抵抗効果素子23Aと同様の構成を有すると共に、第3の仮想の直線Lyに平行な方向に長い形状を有している。
複数の磁気抵抗効果素子26Aの各々は、第1のヨーク11から発生される第1の出力磁界を受けて第1の出力磁界成分に対応する検出値である第1の抵抗値を生成する。複数の磁気抵抗効果素子26Bの各々は、第2のヨーク12から発生される第2の出力磁界を受けて第2の出力磁界成分に対応する検出値である第2の抵抗値を生成する。
図33には、第1の素子列25Aが8つの磁気抵抗効果素子26Aを含み、第2の素子列25Bが8つの磁気抵抗効果素子26Bを含む例を示している。この例では、第1の素子列25Aは、1つ以上の第1の接続層として、4つの下部接続層27Aと3つの上部接続層28Aとを含んでいる。また、第2の素子列25Bは、1つ以上の第2の接続層として、4つの下部接続層27Bと3つの上部接続層28Bとを含んでいる。
ここで、8つの磁気抵抗効果素子26Aを、回路構成上電源ポートVに近い順に、1番目ないし8番目の磁気抵抗効果素子26Aと呼ぶ。1番目ないし4番目の磁気抵抗効果素子26Aは、この順に−Y方向に一列に並んでいる。5番目ないし8番目の磁気抵抗効果素子26Aは、この順にY方向に一列に並んでいる。5番目ないし8番目の磁気抵抗効果素子26Aの列は、1番目ないし4番目の磁気抵抗効果素子26Aの列に対して、−X方向の先に配置されている。
また、8つの磁気抵抗効果素子26Bを、回路構成上グランドポートGに近い順に、1番目ないし8番目の磁気抵抗効果素子26Bと呼ぶ。1番目ないし4番目の磁気抵抗効果素子26Bは、この順に−Y方向に一列に並んでいる。5番目ないし8番目の磁気抵抗効果素子26Bは、この順にY方向に一列に並んでいる。5番目ないし8番目の磁気抵抗効果素子26Bの列は、1番目ないし4番目の磁気抵抗効果素子26Bの列に対して、X方向の先に配置されている。
図34は、第1の素子列25Aの一部を示す平面図である。図34に示したように、1つの下部接続層27Aは、回路構成上隣接する2つの磁気抵抗効果素子26Aのそれぞれの下面に接し、この2つの磁気抵抗効果素子26Aを電気的に接続している。1つの上部接続層28Aは、回路構成上隣接する2つの磁気抵抗効果素子26Aであって互いに異なる下部接続層27Aに接する2つの2つの磁気抵抗効果素子26Aのそれぞれの上面に接し、この2つの磁気抵抗効果素子26Aを電気的に接続している。第2の素子列25Bの構成は、第1の素子列25Aと同様である。
1番目の磁気抵抗効果素子26Aの上面は第1の導電層161の下面に接し、1番目の磁気抵抗効果素子26Aの下面は1つの下部接続層27Aの上面に接している。8番目の磁気抵抗効果素子26Aの上面は第3の導電層163の下面に接し、8番目の磁気抵抗効果素子26Aの下面は他の1つの下部接続層27Aの上面に接している。
1番目の磁気抵抗効果素子26Bの上面は第2の導電層162の下面に接し、1番目の磁気抵抗効果素子26Bの下面は1つの下部接続層27Bの上面に接している。8番目の磁気抵抗効果素子26Bの上面は第3の導電層163の下面に接し、8番目の磁気抵抗効果素子26Bの下面は他の1つの下部接続層27Bの上面に接している。
本実施の形態では、第3のヨーク13の上面を含むXY平面は、第1および第2のヨーク11,12のそれぞれの下面を含むXY平面の下方に位置している。複数の磁気抵抗効果素子26A,26Bは、第3のヨーク13の上面を含むXY平面から、第1および第2のヨーク11,12のそれぞれの下面を含むXY平面までの空間的な範囲内に配置されている。
第1のヨーク11と第1の導電層161は、電流路30の第1の部分31を構成している。第2のヨーク12と第2の導電層162は、電流路30の第2の部分32を構成している。第3の導電層163は、電流路30の第3の部分133を構成している。第3の部分133は、第1の素子列25Aと第2の素子列25Bとを接続している。
また、本実施の形態における電流路30は、第1の素子列25Aに含まれる1つ以上の第1の接続層と、第2の素子列25Bに含まれる1つ以上の第2の接続層とを含んでいる。
本実施の形態におけるその他の構成、作用および効果は、第3の実施の形態と同様である。
[第8の実施の形態]
次に、本発明の第8の実施の形態について説明する。図35は、本実施の形態に係る磁気センサを示す斜視図である。
本実施の形態に係る磁気センサ1は、以下の点で第7の実施の形態と異なっている。本実施の形態では、第1の素子列25Aは、1つ以上の第1の接続層として、3つの下部接続層27Aと4つの上部接続層28Aとを含んでいる。また、第2の素子列25Bは、1つ以上の第2の接続層として、3つの下部接続層27Bと4つの上部接続層28Bとを含んでいる。
本実施の形態では、1番目の磁気抵抗効果素子26Aの下面は第1の導電層161の上面に接し、1番目の磁気抵抗効果素子26Aの上面は1つの上部接続層28Aの下面に接している。8番目の磁気抵抗効果素子26Aの下面は第3の導電層163の上面に接し、8番目の磁気抵抗効果素子26Aの上面は他の1つの上部接続層28Aの下面に接している。
また、1番目の磁気抵抗効果素子26Bの下面は第2の導電層162の上面に接し、1番目の磁気抵抗効果素子26Bの上面は1つの上部接続層28Bの下面に接している。8番目の磁気抵抗効果素子26Bの下面は第3の導電層163の上面に接し、8番目の磁気抵抗効果素子26Bの上面は他の1つの上部接続層28Bの下面に接している。
本実施の形態では、複数の磁気抵抗効果素子26A,26Bは、第1および第2のヨーク11,12のそれぞれの下面を含むXY平面上に位置している。第3のヨーク13の上面は、第3の導電層163の下面に接していてもよいし、接していなくてもよい。また、複数の磁気抵抗効果素子26Aに印加される第1の出力磁界成分と複数の磁気抵抗効果素子26Bに印加される第2の出力磁界成分が大きくなるように、第3のヨーク13の上面のZ方向の位置を調整してもよい。
本実施の形態におけるその他の構成、作用および効果は、第7の実施の形態と同様である。
なお、本発明は、上記各実施の形態に限定されず、種々の変更が可能である。例えば、請求の範囲の要件を満たす限り、少なくとも1つのヨーク、少なくとも1つの磁気検出素子の数、形状および配置は、各実施の形態に示した例に限られず、任意である。例えば、磁気センサ1は、少なくとも1つの磁気検出素子として、1つの磁気抵抗効果素子を備えていてもよいし、3つ以上の磁気抵抗効果素子を備えていてもよい。
また、磁気抵抗効果素子は、反強磁性層を含まない構成であってもよい。この構成は、例えば、反強磁性層および磁化固定層の代わりに、2つの強磁性層とこの2つの強磁性層の間に配置された非磁性金属層と含む人工反強磁性構造の磁化固定層を含む構成であってもよい。
また、第1および第2の実施の形態における第1ないし第4の検出部分21A,21B,22A,22Bの各々や、第3、第4および第6ないし第8の実施の形態における複数の磁気抵抗効果素子の各々は、円形等の特定の方向に形状異方性を有しないような平面形状を有していてもよい。この場合、検出部分21A,21B,22A,22Bの各々または磁気抵抗効果素子の各々に対して、第3の仮想の直線Lyに平行な方向のバイアス磁界を印加してもよい。具体的には、上記バイアス磁界を印加する複数の磁石を設けてもよいし、第1および第2のヨーク11,12に第3の仮想の直線Lyに平行な方向の磁化を設定していてもよいし、自由層と保護層との間に反強磁性層を設けてもよい。
また、第1および第2の実施の形態における第1ないし第4の検出部分21A,21B,22A,22Bの各々の自由層204と、第3、第4および第6ないし第8の実施の形態における複数の磁気抵抗効果素子の各々の自由層234は、磁化容易軸方向が第1の仮想の直線Lzに平行な方向となる垂直磁化膜によって構成されていてもよい。
1…磁気センサ、11…第1のヨーク、12…第2のヨーク、13…第3のヨーク、20…積層体、21…第1の磁気抵抗効果素子、22…第2の磁気抵抗効果素子、30…電流路、31…導電層、41,42,43…端子、51…基板、52,53,54,55…絶縁層。

Claims (13)

  1. 軟磁性体よりなる少なくとも1つのヨークと、少なくとも1つの磁気検出素子と、前記少なくとも1つの磁気検出素子に電流を流すための電流路とを備えた磁気センサであって、
    前記少なくとも1つのヨークは、第1の仮想の直線に平行な方向の入力磁界成分を含む入力磁界を受けて、出力磁界を発生し、
    前記出力磁界は、前記第1の仮想の直線と交差する第2の仮想の直線に平行な方向の出力磁界成分であって前記入力磁界成分に応じて変化する出力磁界成分を含み、
    前記少なくとも1つの磁気検出素子は、前記電流路によって通電されると共に前記出力磁界を受けて、前記出力磁界成分に対応する検出値を生成し、
    前記少なくとも1つのヨークは、前記少なくとも1つの磁気検出素子に導通し
    前記磁気センサは、更に、非磁性導電材料よりなり、前記少なくとも1つのヨークと前記少なくとも1つの磁気検出素子を接続する少なくとも1つの導電層を備え、
    前記少なくとも1つのヨークと前記少なくとも1つの磁気検出素子の各々は、前記第1の仮想の直線に平行な一方向である第3の方向の端に位置する第1の面を有し、
    前記少なくとも1つの導電層の各々は、その導電層が接続する前記少なくとも1つのヨークのうちの1つの前記第1の面と前記少なくとも1つの磁気検出素子のうちの1つの前記第1の面に接していることを特徴とする磁気センサ。
  2. 前記第2の仮想の直線は、前記第1の仮想の直線に直交していることを特徴とする請求項1記載の磁気センサ。
  3. 前記少なくとも1つのヨークは、前記電流路の少なくとも一部を構成していることを特徴とする請求項1または2記載の磁気センサ。
  4. 前記少なくとも1つの磁気検出素子は、少なくとも1つの磁気抵抗効果素子であることを特徴とする請求項1ないしのいずれかに記載の磁気センサ。
  5. 前記少なくとも1つの磁気抵抗効果素子は、方向が固定された磁化を有する磁化固定層と、方向が変化可能な磁化を有する自由層と、前記磁化固定層と前記自由層の間に配置されたギャップ層とを含み、
    前記磁化固定層、前記ギャップ層および前記自由層は、前記第1の仮想の直線に平行な方向に積層されていることを特徴とする請求項記載の磁気センサ。
  6. 前記少なくとも1つの磁気抵抗効果素子において、前記電流は、少なくとも前記自由層を通過することを特徴とする請求項記載の磁気センサ。
  7. 前記少なくとも1つの磁気抵抗効果素子において、前記電流は、前記磁化固定層、前記ギャップ層および前記自由層を通過することを特徴とする請求項記載の磁気センサ。
  8. 更に、軟磁性体よりなる第3のヨークと、
    非磁性導電材料よりなる第3の導電層とを備え、
    前記出力磁界成分は、前記少なくとも1つのヨークと前記第3のヨークとの間に生じ、
    前記第3のヨークと前記少なくとも1つの磁気検出素子の各々は、前記第3の方向とは反対の第4の方向の端に位置する第2の面を有し、
    前記第3の導電層は、前記第3のヨークの前記第2の面と前記少なくとも1つの磁気検出素子のうちの1つの前記第2の面に接していることを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載の磁気センサ。
  9. 更に、電源ポートと、グランドポートと、出力ポートとを備え、
    前記少なくとも1つのヨークは、第1のヨークと第2のヨークであり、
    前記少なくとも1つの磁気検出素子は、少なくとも1つの第1の磁気抵抗効果素子と少なくとも1つの第2の磁気抵抗効果素子であり、
    前記少なくとも1つの第1の磁気抵抗効果素子は、前記電源ポートと前記出力ポートとの間に設けられ、
    前記少なくとも1つの第2の磁気抵抗効果素子は、前記グランドポートと前記出力ポートとの間に設けられ、
    前記電流路は、前記電源ポートと前記少なくとも1つの第1の磁気抵抗効果素子とを接続する第1の部分と、前記グランドポートと前記少なくとも1つの第2の磁気抵抗効果素子とを接続する第2の部分を含み、
    前記第1のヨークは、第1の方向の第1の出力磁界成分を含む第1の出力磁界を発生し、
    前記第2のヨークは、前記第1の方向とは反対の第2の方向の第2の出力磁界成分を含む第2の出力磁界を発生し、
    前記少なくとも1つの第1の磁気抵抗効果素子は、前記第1の出力磁界を受けて前記第1の出力磁界成分に対応する検出値である第1の抵抗値を生成し、
    前記少なくとも1つの第2の磁気抵抗効果素子は、前記第2の出力磁界を受けて前記第2の出力磁界成分に対応する検出値である第2の抵抗値を生成し、
    前記入力磁界成分が変化すると、前記第1の抵抗値と前記第2の抵抗値の一方は増加し、他方は減少し、
    前記出力ポートの電位は、前記入力磁界成分に依存し、
    前記電流路の前記第1の部分は、非磁性導電材料よりなる第1の導電層を含み、
    前記電流路の前記第2の部分は、非磁性導電材料よりなる第2の導電層を含み、
    前記第1のヨーク、前記第2のヨーク、前記少なくとも1つの第1の磁気抵抗効果素子および前記少なくとも1つの第2の磁気抵抗効果素子の各々は、前記第1の面を有し、
    前記第1の導電層は、前記第1のヨークの前記第1の面と前記少なくとも1つの第1の磁気抵抗効果素子のうちの1つの前記第1の面に接し、前記第1のヨークと前記少なくとも1つの第1の磁気抵抗効果素子のうちの1つを接続し、
    前記第2の導電層は、前記第2のヨークの前記第1の面と前記少なくとも1つの第2の磁気抵抗効果素子のうちの1つの前記第1の面に接し、前記第2のヨークと前記少なくとも1つの第2の磁気抵抗効果素子のうちの1つを接続していることを特徴とする請求項1または2記載の磁気センサ。
  10. 前記少なくとも1つの第1の磁気抵抗効果素子と前記少なくとも1つの第2の磁気抵抗効果素子の各々は、方向が固定された磁化を有する磁化固定層と、方向が変化可能な磁化を有する自由層と、前記磁化固定層と前記自由層の間に配置されたギャップ層とを含み、
    前記磁化固定層、前記ギャップ層および前記自由層は、前記第1の仮想の直線に平行な方向に積層されていることを特徴とする請求項記載の磁気センサ。
  11. 前記少なくとも1つの第1の磁気抵抗効果素子と前記少なくとも1つの第2の磁気抵抗効果素子の各々において、前記電流は、前記磁化固定層、前記ギャップ層および前記自由層を通過することを特徴とする請求項10記載の磁気センサ。
  12. 前記第1のヨークは、前記電流路の前記第1の部分の少なくとも一部を構成し、前記第2のヨークは、前記電流路の前記第2の部分の少なくとも一部を構成していることを特徴とする請求項ないし11のいずれかに記載の磁気センサ。
  13. 更に、軟磁性体よりなる第3のヨークを備え、
    前記第1の出力磁界成分は、前記第1のヨークと前記第3のヨークとの間に生じ、
    前記第2の出力磁界成分は、前記第2のヨークと前記第3のヨークとの間に生じ、
    前記電流路は、更に、前記少なくとも1つの第1の磁気抵抗効果素子と前記少なくとも1つの第2の磁気抵抗効果素子とを接続する第3の部分を含み、
    前記電流路の前記第3の部分は、非磁性導電材料よりなる第3の導電層を含み、
    前記第3のヨーク、前記少なくとも1つの第1の磁気抵抗効果素子および前記少なくとも1つの第2の磁気抵抗効果素子の各々は、前記第3の方向とは反対の第4の方向の端に位置する第2の面を有し、
    前記第3の導電層は、前記少なくとも1つの第1の磁気抵抗効果素子のうちの1つの前記第2の面と前記少なくとも1つの第2の磁気抵抗効果素子のうちの1つの前記第2の面と、前記第3のヨークの前記第2の面に接し、前記少なくとも1つの第1の磁気抵抗効果素子のうちの1つと前記少なくとも1つの第2の磁気抵抗効果素子のうちの1つを接続していることを特徴とする請求項9ないし12のいずれかに記載の磁気センサ。
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