JP2016176911A - 磁気センサ - Google Patents
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Abstract
【課題】磁気検出素子に対して安定したバイアス磁界を印加する。
【解決手段】磁気センサは、MR素子10と、協働してMR素子10に印加されるバイアス磁界を発生するバイアス磁界発生部21,22を備えている。バイアス磁界発生部21,22の各々は、Z方向に沿って積層された第1の反強磁性層、強磁性層および第2の反強磁性層を有している。MR素子10と交差しZ方向に垂直な仮想の平面P上に、Z方向から見てバイアス磁界発生部21,22の間に位置する素子配置領域Rが形成される。素子配置領域Rは、中央領域R3と、そのX方向の両側に位置する端部領域R1,R2を含んでいる。MR素子10は、仮想の平面P上においてMR素子10の全体が中央領域R3内に含まれるように配置されている。
【選択図】図6
【解決手段】磁気センサは、MR素子10と、協働してMR素子10に印加されるバイアス磁界を発生するバイアス磁界発生部21,22を備えている。バイアス磁界発生部21,22の各々は、Z方向に沿って積層された第1の反強磁性層、強磁性層および第2の反強磁性層を有している。MR素子10と交差しZ方向に垂直な仮想の平面P上に、Z方向から見てバイアス磁界発生部21,22の間に位置する素子配置領域Rが形成される。素子配置領域Rは、中央領域R3と、そのX方向の両側に位置する端部領域R1,R2を含んでいる。MR素子10は、仮想の平面P上においてMR素子10の全体が中央領域R3内に含まれるように配置されている。
【選択図】図6
Description
本発明は、磁気検出素子と、協働して磁気検出素子に印加されるバイアス磁界を発生する2つのバイアス磁界発生部とを備えた磁気センサに関する。
近年、種々の用途で、動作体の回転動作や直線的動作に関連する物理量を検出する磁気センサシステムが用いられている。一般的に、磁気センサシステムは、スケールと磁気センサとを備え、磁気センサによって、スケールと磁気センサとの相対的位置関係に関連する信号を生成するようになっている。
磁気センサは、被検出磁界を検出する磁気検出素子を含んでいる。特許文献1には、磁気検出素子として、いわゆるスピンバルブ型の磁気抵抗効果素子(以下、MR素子とも記す。)を用いた磁気センサが記載されている。スピンバルブ型のMR素子は、方向が固定された磁化を有する磁化固定層と、被検出磁界に応じて磁化が変化する自由層と、磁化固定層と自由層の間に配置された非磁性層とを有している。スピンバルブ型のMR素子には、非磁性層がトンネルバリア層であるTMR素子と、非磁性層が非磁性導電層であるGMR素子とが含まれる。
磁気センサには、磁気検出素子に対してバイアス磁界を印加する手段を備えたものがある。バイアス磁界は、例えば、被検出磁界の強度の変化に対して磁気検出素子が線形に応答するようにするために用いられる。また、スピンバルブ型のMR素子を用いた磁気センサでは、バイアス磁界は、被検出磁界がないときに、自由層を単磁区化し、且つ自由層の磁化の方向を一定の方向に向かせるためにも用いられる。
特許文献1には、スピンバルブ型のMR素子と、MR素子を挟むように配置されてバイアス磁界を発生する一対の永久磁石とを備えた磁気センサが記載されている。
特許文献1に記載されているような、バイアス磁界を発生する手段として一対の永久磁石を用いた磁気センサでは、以下のような問題点がある。このような磁気センサは、通常、被検出磁界の強度が永久磁石の保磁力を超えないという条件の下で使用される。しかし、磁気センサは、様々な環境で使用され得るため、永久磁石の保磁力を超える強度の外部磁界が、一時的に永久磁石に印加されることが起こり得る。このような外部磁界が一時的に永久磁石に印加されると、永久磁石の磁化の方向が、当初の方向から変化し、外部磁界がなくなっても当初の方向から変化したままになる場合がある。この場合、バイアス磁界の方向が所望の方向から変化してしまう。
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、磁気検出素子に対して安定したバイアス磁界を印加できるようにした磁気センサを提供することにある。
本発明の磁気センサは、被検出磁界を検出する少なくとも1つの磁気検出素子と、協働して少なくとも1つの磁気検出素子に印加されるバイアス磁界を発生する第1のバイアス磁界発生部および第2のバイアス磁界発生部とを備えている。第1のバイアス磁界発生部と第2のバイアス磁界発生部は、第1の方向に沿って、所定の間隔を開けて配置されている。第1および第2のバイアス磁界発生部の各々は、第1の方向に直交する第2の方向に沿って積層された強磁性層と第1の反強磁性層を含んでいる。強磁性層は、第2の方向の両端に位置する第1の面と第2の面を有している。第1の反強磁性層は、強磁性層の第1の面に接して強磁性層と交換結合している。
第1のバイアス磁界発生部と第2のバイアス磁界発生部の各々は、第1の方向と第2の方向の両方に直交する第3の方向において互いに反対の位置にある第1端および第2端を有している。ここで、少なくとも1つの磁気検出素子と交差し第2の方向に垂直な仮想の平面上に、第2の方向から見たときに第1および第2のバイアス磁界発生部のそれぞれの第1端を通過する第1の仮想の直線と、第2の方向から見たときに第1および第2のバイアス磁界発生部のそれぞれの第2端を通過する第2の仮想の直線とを定義する。本発明の磁気センサでは、上記仮想の平面上に、第2の方向から見て第1のバイアス磁界発生部と第2のバイアス磁界発生部の間に位置し、且つ第1の仮想の直線と第2の仮想の直線との間に位置する素子配置領域が形成されるように、第1および第2のバイアス磁界発生部が配置されている。
素子配置領域は、それぞれ面積を有する第1の端部領域と第2の端部領域と中央領域とを含んでいる。第1の端部領域は、中央領域に対して第1の仮想の直線により近い位置にある。第2の端部領域は、中央領域に対して第2の仮想の直線により近い位置にある。中央領域は、第1の端部領域と第2の端部領域の間に位置して、第1の仮想の直線に平行な第1の境界線を介して第1の端部領域に隣接すると共に、第2の仮想の直線に平行な第2の境界線を介して第2の端部領域に隣接している。少なくとも1つの磁気検出素子は、前記仮想の平面上において少なくとも1つの磁気検出素子の全体が中央領域内に含まれるように、配置されている。
本発明の磁気センサにおいて、強磁性層は、第1の方向に平行な方向の磁化を有していてもよく、少なくとも1つの磁気検出素子の位置におけるバイアス磁界は、強磁性層の磁化の方向と同じ方向の成分を含んでいてもよい。
また、本発明の磁気センサにおいて、第1の仮想の直線と第1の境界線の間の距離と、第2の仮想の直線と第2の境界線の間の距離は、いずれも第1のバイアス磁界発生部と第2のバイアス磁界発生部の間隔の30%であってもよい。
また、本発明の磁気センサにおいて、前記仮想の平面は、第1および第2のバイアス磁界発生部と交差してもよい。
また、本発明の磁気センサにおいて、少なくとも1つの磁気検出素子は、少なくとも1つの磁気抵抗効果素子であってもよい。少なくとも1つの磁気抵抗効果素子は、方向が固定された磁化を有する磁化固定層と、被検出磁界に応じて磁化が変化する自由層と、磁化固定層と自由層の間に配置された非磁性層とを有していてもよい。磁化固定層、非磁性層および自由層は、第2の方向に沿って積層されていてもよい。前記仮想の平面は、第1および第2のバイアス磁界発生部の各々の強磁性層および少なくとも1つの磁気抵抗効果素子の自由層と交差してもよい。
また、本発明の磁気センサにおいて、第1および第2のバイアス磁界発生部の各々は、更に、強磁性層の第2の面に接して強磁性層と交換結合する第2の反強磁性層を含んでいてもよい。
本発明の磁気センサにおける第1および第2のバイアス磁界発生部では、第1の反強磁性層と強磁性層が交換結合することによって、強磁性層の磁化の方向が規定される。この第1および第2のバイアス磁界発生部では、強磁性層の磁化の方向を反転させるほど大きな強度の外部磁界が一時的に印加されても、そのような外部磁界がなくなれば、強磁性層の磁化の方向は、当初の方向に戻る。従って、本発明の磁気センサによれば、磁気検出素子に対して安定したバイアス磁界を印加することが可能になるという効果を奏する。
[第1の実施の形態]
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。始めに、図1を参照して、本発明の第1の実施の形態に係る磁気センサを含む磁気センサシステムの一例について説明する。図1は、本実施の形態における磁気センサシステムの概略の構成を示す斜視図である。図1に示した磁気センサシステムは、本実施の形態に係る磁気センサ1と、磁気センサ1が検出する被検出磁界を発生する回転スケール50とを備えている。回転スケール50は、回転動作をする図示しない動作体に連動し、所定の中心軸Cを中心として回転方向Dに回転する。これにより、回転スケール50と磁気センサ1との相対的位置関係は、回転方向Dに変化する。磁気センサシステムは、回転スケール50と磁気センサ1との相対的位置関係に関連する物理量を検出する。具体的には、磁気センサシステムは、上記物理量として、回転スケール50と連動する上記動作体の回転位置や回転速度等を検出する。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。始めに、図1を参照して、本発明の第1の実施の形態に係る磁気センサを含む磁気センサシステムの一例について説明する。図1は、本実施の形態における磁気センサシステムの概略の構成を示す斜視図である。図1に示した磁気センサシステムは、本実施の形態に係る磁気センサ1と、磁気センサ1が検出する被検出磁界を発生する回転スケール50とを備えている。回転スケール50は、回転動作をする図示しない動作体に連動し、所定の中心軸Cを中心として回転方向Dに回転する。これにより、回転スケール50と磁気センサ1との相対的位置関係は、回転方向Dに変化する。磁気センサシステムは、回転スケール50と磁気センサ1との相対的位置関係に関連する物理量を検出する。具体的には、磁気センサシステムは、上記物理量として、回転スケール50と連動する上記動作体の回転位置や回転速度等を検出する。
図1に示したように、回転スケール50は、円周方向に交互に配列された複数組のN極とS極を有する多極着磁磁石である。図1に示した例では、回転スケール50は、6組のN極とS極を有している。磁気センサ1は、回転スケール50の外周面に対向する位置に配置されている。
被検出磁界の方向は、回転スケール50と磁気センサ1の相対的位置関係の変化に応じて周期的に変化する。本実施の形態では、被検出磁界の方向は、回転スケール50の回転に伴って変化する。図1に示した例では、回転スケール50が1回転すると、被検出磁界の方向は6回転すなわち6周期変化する。
次に、図2および図3を参照して、磁気センサ1について説明する。図2は、磁気センサ1の斜視図である。図3は、磁気センサ1の回路図である。磁気センサ1は、被検出磁界を検出する少なくとも1つの磁気検出素子と、協働して少なくとも1つの磁気検出素子に印加されるバイアス磁界を発生する第1のバイアス磁界発生部および第2のバイアス磁界発生部とを備えている。本実施の形態では、少なくとも1つの磁気検出素子は、少なくとも1つの磁気抵抗効果素子(以下、MR素子と記す。)である。
本実施の形態では特に、磁気センサ1は、少なくとも1つのMR素子として4つのMR素子10A,10B,10C,10Dを備えている。また、磁気センサ1は、第1および第2のバイアス磁界発生部として、MR素子10A,10B,10C,10Dに対応した4組の第1および第2のバイアス磁界発生部(21A,22A)、(21B,22B)、(21C,22C)、(21D,22D)を備えている。4組の第1および第2のバイアス磁界発生部(21A,22A)、(21B,22B)、(21C,22C)、(21D,22D)は、それぞれ、対応するMR素子10A,10B,10C,10Dに印加されるバイアス磁界を発生する。
第1のバイアス磁界発生部21Aと第2のバイアス磁界発生部22Aは、MR素子10Aを挟むように、第1の方向に沿って、所定の間隔を開けて配置されている。ここで、図2に示したように、X方向、Y方向およびZ方向を定義する。X方向、Y方向、Z方向は、互いに直交する。本実施の形態では、第1の方向をY方向としている。
なお、本出願において用いるX方向、Y方向、Z方向は、いずれも、図2において双方向の矢印で示したように、特定の一方向とその反対方向とを含むものとして定義される。一方、磁界の方向や磁化の方向は、特定の一方向のみを表すものとして定義される。
上記の第1および第2のバイアス磁界発生部21A,22AとMR素子10Aの位置関係と同様に、第1のバイアス磁界発生部21Bと第2のバイアス磁界発生部22Bは、MR素子10Bを挟むように、第1の方向(Y方向)に沿って、所定の間隔を開けて配置されている。第1のバイアス磁界発生部21Cと第2のバイアス磁界発生部22Cは、MR素子10Cを挟むように、第1の方向(Y方向)に沿って、所定の間隔を開けて配置されている。第1のバイアス磁界発生部21Dと第2のバイアス磁界発生部22Dは、MR素子10Dを挟むように、第1の方向(Y方向)に沿って、所定の間隔を開けて配置されている。
磁気センサ1は、更に、図示しない基板と、2つの上部電極31,32と、2つの下部電極41,42とを備えている。下部電極41,42は、図示しない基板の上に配置されている。上部電極31は、基部310と、基部310から二又に分岐した枝部311,312を有している。上部電極32は、基部320と、基部320から二又に分岐した枝部321,322を有している。下部電極41は、基部410と、基部410から二又に分岐した枝部411,412を有している。下部電極42は、基部420と、基部420から二又に分岐した枝部421,422を有している。上部電極31の枝部311は、下部電極41の枝部411に対向している。上部電極31の枝部312は、下部電極42の枝部421に対向している。上部電極32の枝部321は、下部電極41の枝部412に対向している。上部電極32の枝部322は、下部電極42の枝部422に対向している。
MR素子10Aとバイアス磁界発生部21A,22Aは、下部電極41の枝部411と上部電極31の枝部311の間に配置されている。上部電極31および下部電極41は、MR素子10Aに対してZ方向の両側に位置して、MR素子10Aに電流を供給する。
MR素子10Bとバイアス磁界発生部21B,22Bは、下部電極42の枝部421と上部電極31の枝部312の間に配置されている。上部電極31および下部電極42は、MR素子10Bに対してZ方向の両側に位置して、MR素子10Bに電流を供給する。
MR素子10Cとバイアス磁界発生部21C,22Cは、下部電極42の枝部422と上部電極32の枝部322の間に配置されている。上部電極32および下部電極42は、MR素子10Cに対してZ方向の両側に位置して、MR素子10Cに電流を供給する。
MR素子10Dとバイアス磁界発生部21D,22Dは、下部電極41の枝部412と上部電極32の枝部321の間に配置されている。上部電極32および下部電極41は、MR素子10Dに対してZ方向の両側に位置して、MR素子10Dに電流を供給する。
図2に示したように、上部電極31の基部310は、第1の出力ポートE1を含んでいる。上部電極32の基部320は、第2の出力ポートE2を含んでいる。下部電極41の基部410は、電源ポートVを含んでいる。下部電極42の基部420は、グランドポートGを含んでいる。
MR素子10AとMR素子10Bは、上部電極31を介して直列に接続されている。MR素子10CとMR素子10Dは、上部電極32を介して直列に接続されている。
図3に示したように、MR素子10Aの一端は、電源ポートVに接続されている。MR素子10Aの他端は、第1の出力ポートE1に接続されている。MR素子10Bの一端は、第1の出力ポートE1に接続されている。MR素子10Bの他端は、グランドポートGに接続されている。MR素子10A,10Bは、ハーフブリッジ回路を構成している。MR素子10Cの一端は、第2の出力ポートE2に接続されている。MR素子10Cの他端は、グランドポートGに接続されている。MR素子10Dの一端は、電源ポートVに接続されている。MR素子10Dの他端は、第2の出力ポートE2に接続されている。MR素子10C,10Dは、ハーフブリッジ回路を構成している。MR素子10A,10B,10C,10Dは、ホイートストンブリッジ回路を構成している。
電源ポートVには、所定の大きさの電源電圧が印加される。グランドポートGはグランドに接続される。MR素子10A,10B,10C,10Dの各々の抵抗値は、被検出磁界に応じて変化する。MR素子10A,10Cの抵抗値は、同じ位相で変化する。MR素子10B,10Dの抵抗値は、MR素子10A,10Cの抵抗値とは180°異なる位相で変化する。第1の出力ポートE1は、MR素子10A,10Bの接続点の電位に対応した第1の検出信号を出力する。第2の出力ポートE2は、MR素子10D,10Cの接続点の電位に対応した第2の検出信号を出力する。第1および第2の検出信号は、被検出磁界に応じて変化する。第2の検出信号は、第1の検出信号とは位相が180°異なる。磁気センサ1の出力信号は、第1の検出信号と第2の検出信号の差を求めることを含む演算によって生成される。例えば、磁気センサ1の出力信号は、第1の検出信号から第2の検出信号を引いて得られる信号に所定のオフセット電圧を加えることによって生成される。この磁気センサ1の出力信号は、被検出磁界に応じて変化する。
次に、図4および図5を参照して、第1および第2のバイアス磁界発生部について詳しく説明する。図4は、図2に示した磁気センサ1の一部を拡大して示す斜視図である。図5は、図2に示した磁気センサ1の一部を拡大して示す断面図である。なお、以下の説明では、任意のMR素子、第1のバイアス磁界発生部、第2のバイアス磁界発生部、上部電極および下部電極については、それぞれ、符号10,21,22,30,40を付して表す。図4および図5には、任意のMR素子10と、このMR素子10に印加されるバイアス磁界を発生する第1および第2のバイアス磁界発生部21,22と、このMR素子10に電流を供給する上部電極30および下部電極40を示している。
図5に示したように、第1および第2のバイアス磁界発生部21,22の各々は、第1の方向(Y方向)に直交する第2の方向に沿って積層された強磁性層24と第1の反強磁性層23を含んでいる。本実施の形態では、第2の方向をZ方向としている。強磁性層24は、第2の方向(Z方向)の両端に位置する第1の面24aと第2の面24bを有している。第1の反強磁性層23は、強磁性層24の第1の面24aに接して強磁性層と交換結合している。図5に示した例では、第1および第2のバイアス磁界発生部21,22の各々は、更に、強磁性層24の第2の面24bに接して強磁性層24と交換結合する第2の反強磁性層25を含んでいる。この例では、第2の方向(Z方向)に沿って、第1の反強磁性層23と強磁性層24と第2の反強磁性層25が、この順で積層されている。
本実施の形態では、磁気センサ1は、第1および第2のバイアス磁界発生部21,22と下部電極40との間に介在する絶縁層20を備えている。なお、図2および図4では、絶縁層20を省略して、第1および第2のバイアス磁界発生部21,22の配置を模式的に示している。絶縁層20は、下部電極40の上面の上に配置されている。第1の反強磁性層23は、絶縁層20の上面の上に配置されている。第2の反強磁性層25の上面は、上部電極30の下面に接している。絶縁層20は、上部電極30と下部電極40が第1および第2のバイアス磁界発生部21,22を介して導通することを防止する機能と、第1および第2のバイアス磁界発生部21,22のZ方向の位置を調整する機能を有している。なお、磁気センサ1は、絶縁層20の代わりに、第1および第2のバイアス磁界発生部21,22と上部電極30との間に介在する他の絶縁層を備えていてもよい。あるいは、磁気センサ1は、絶縁層20と上記他の絶縁層の両方を備えていてもよい。
強磁性層24は、第1の方向(Y方向)に平行な方向の磁化を有している。強磁性層24の磁化の方向は、第1および第2の反強磁性層23,25と強磁性層24が交換結合することによって規定される。本実施の形態では、第1のバイアス磁界発生部21の強磁性層24の磁化の方向と、第2のバイアス磁界発生部22の強磁性層24の磁化の方向は、同じ方向である。強磁性層24の磁化に基づいて、第1および第2のバイアス磁界発生部21,22は、協働してMR素子10に印加されるバイアス磁界Hbを含む磁界を発生する。MR素子10の位置におけるバイアス磁界Hbは、主成分として、第1の方向(Y方向)に平行な成分であって、強磁性層24の磁化の方向と同じ方向の成分を含んでいる。
強磁性層24は、Co、Fe、Niのうちの1つ以上の元素を含む強磁性材料によって形成されている。このような強磁性材料の例としては、CoFeや、CoFeBや、CoNiFeが挙げられる。強磁性層24は、複数の層の積層体であって、隣接する2つの層が互いに異なる強磁性材料よりなる積層体によって構成されていてもよい。このような強磁性層24の例としては、Co層とCoFe層とCo層の積層体や、Co70Fe30層とCo30Fe70層とCo70Fe30層の積層体が挙げられる。なお、Co70Fe30は、70原子%のCoと30原子%のFeよりなる合金を表し、Co30Fe70は、30原子%のCoと70原子%のFeよりなる合金を表している。第1および第2の反強磁性層23,25は、IrMn、PtMn等の反強磁性材料によって形成されている。強磁性層24の厚みは、8nm以上であることが好ましい。強磁性層24の材料をCoFeとし、強磁性層24の厚みを8nm程度とすると、第1および第2のバイアス磁界発生部21,22によって、10Oe(1Oe=79.6A/m)程度の強度のバイアス磁界Hbを生成することができる。
なお、第2の反強磁性層25は、第1および第2のバイアス磁界発生部21,22の必須の構成要素ではなく、設けられていなくてもよい。
また、図4に示したように、第1のバイアス磁界発生部21と第2のバイアス磁界発生部22の各々は、X方向において互いに反対の位置にある第1端および第2端を有している。X方向は、第1の方向(Y方向)と第2の方向(Z方向)の両方に直交する方向であり、本発明における第3の方向に対応する。以下、第1のバイアス磁界発生部21の第1端および第2端をそれぞれ符号E11,E12で表し、第2のバイアス磁界発生部22の第1端および第2端をそれぞれ符号E21,E22で表す。第1端E11,E21は、MR素子10から見て、第3の方向(X方向)における同じ側にある。
図4に示した例では、第1のバイアス磁界発生部21は、第2のバイアス磁界発生部22に向いた第1の端面21aを有している。第2のバイアス磁界発生部22は、第1の端面21aに対向する第2の端面22aを有している。
なお、図4に示した例では、第1および第2のバイアス磁界発生部21,22は、いずれも直方体形状を有し、第2の方向(Z方向)から見た第1および第2のバイアス磁界発生部21,22の形状は、いずれも矩形である。しかし、第2の方向(Z方向)から見た第1および第2のバイアス磁界発生部21,22の形状は、矩形以外の多角形や、外縁の少なくとも一部が曲線からなる形状であってもよい。また、図4に示した例では、第1端E11,E21および第2端E12,E22は、いずれも面の形態である。しかし、第1端E11,E21および第2端E12,E22のうちの少なくとも1つは、線または点の形態であってもよい。
次に、図5を参照して、MR素子10の構成の一例について説明する。本実施の形態では、MR素子10として、スピンバルブ型のMR素子を用いている。MR素子10は、少なくとも、方向が固定された磁化を有する磁化固定層13と、被検出磁界に応じて磁化が変化する自由層15と、磁化固定層13と自由層15の間に配置された非磁性層14とを有している。
図5に示した例では、MR素子10は、更に、下地層11、反強磁性層12および保護層16を有している。この例では、下地層11、反強磁性層12、磁化固定層13、非磁性層14、自由層15および保護層16が、下部電極40側からこの順に、第2の方向(Z方向)に沿って積層されている。下地層11と保護層16は、導電性を有している。下地層11は、図示しない基板の結晶軸の影響を排除し、下地層11の上に形成される各層の結晶性や配向性を向上させるために用いられる。下地層11の材料としては、例えばTaやRuが用いられる。反強磁性層12は、磁化固定層13との交換結合により、磁化固定層13における磁化の方向を固定する層である。反強磁性層12は、IrMn、PtMn等の反強磁性材料によって形成されている。
磁化固定層13では、反強磁性層12との交換結合により、磁化の方向が固定されている。図5に示した例では、磁化固定層13は、反強磁性層12の上に順に積層されたアウター層131、非磁性中間層132およびインナー層133を有し、いわゆるシンセティック固定層になっている。アウター層131とインナー層133は、例えば、CoFe、CoFeB、CoNiFe等の強磁性材料によって形成されている。アウター層131は、反強磁性層12との交換結合により、磁化の方向が固定されている。アウター層131とインナー層133は、反強磁性的に結合し、磁化の方向が互いに逆方向に固定されている。非磁性中間層132は、アウター層131とインナー層133の間に反強磁性交換結合を生じさせ、アウター層131の磁化の方向とインナー層133の磁化の方向を互いに逆方向に固定する。非磁性中間層132は、Ru等の非磁性材料によって形成されている。磁化固定層13がアウター層131、非磁性中間層132およびインナー層133を有する場合には、磁化固定層13の磁化の方向とは、インナー層133の磁化の方向を指す。
MR素子10がTMR素子である場合には、非磁性層14はトンネルバリア層である。トンネルバリア層は、例えば、マグネシウム層の一部または全体を酸化させて形成したものであってもよい。MR素子10がGMR素子である場合には、非磁性層14は非磁性導電層である。自由層15は、例えば、CoFe、CoFeB、NiFe、CoNiFe等の軟磁性材料によって形成されている。保護層16は、その下の各層を保護するための層である。保護層16の材料としては、Ta、Ru、W、Ti等が用いられる。
下地層11は下部電極40に接続され、保護層16は上部電極30に接続されている。MR素子10には、下部電極40と上部電極30によって、電流が供給されるようになっている。この電流は、MR素子10を構成する各層の面と交差する方向、例えばMR素子10を構成する各層の面に対して垂直な方向である第2の方向(Z方向)に流れる。
MR素子10では、自由層15に印加される磁界に応じて、自由層15の磁化が変化する。より詳しく説明すると、自由層15に印加される磁界の方向および大きさに応じて、自由層15の磁化の方向および大きさが変化する。MR素子10の抵抗値は、自由層15の磁化の方向および大きさによって変化する。例えば、自由層15の磁化の大きさが一定の場合には、自由層15の磁化の方向が磁化固定層13の磁化の方向と同じであるときに、MR素子10の抵抗値は最小値となり、自由層15の磁化の方向が磁化固定層13の磁化の方向とは反対方向であるときに、MR素子10の抵抗値は最大値となる。
次に、図2を参照して、MR素子10A〜10Dのそれぞれの磁化固定層13の磁化の方向について説明する。図2において、符号10AP,10BP,10CP,10DPを付した矢印は、それぞれ、MR素子10A,10B,10C,10Dにおける磁化固定層の磁化の方向を表している。図2に示したように、MR素子10Aにおける磁化固定層13の磁化の方向10APは、X方向に平行な方向(図2では左側に向かう方向)であり、MR素子10Bにおける磁化固定層13の磁化の方向10BPは、方向10APとは反対側の方向(図2では右側に向かう方向)である。この場合、方向10AP,10BPに平行な方向すなわちX方向についての被検出磁界の成分の強度に応じて、MR素子10A,10Bの接続点の電位が変化する。第1の出力ポートE1は、MR素子10A,10Bの接続点の電位に対応した第1の検出信号を出力する。第1の検出信号は、X方向についての被検出磁界の成分の強度を表している。
また、図2に示したように、MR素子10Cにおける磁化固定層13の磁化の方向10CPは、方向10APと同じ方向であり、MR素子10Dにおける磁化固定層13の磁化の方向10DPは、方向10BPと同じ方向である。この場合、方向10CP,10DPに平行な方向(方向10AP,10BPに平行な方向と同じ)すなわちX方向についての被検出磁界の成分の強度に応じて、MR素子10C,10Dの接続点の電位が変化する。第2の出力ポートE2は、MR素子10C,10Dの接続点の電位に対応した第2の検出信号を出力する。第2の検出信号は、X方向についての被検出磁界の成分の強度を表している。
MR素子10AとMR素子10Dでは、それらに含まれる磁化固定層13の磁化の方向が互いに反対方向である。また、MR素子10BとMR素子10Cでは、それらに含まれる磁化固定層13の磁化の方向が互いに反対方向である。そのため、第1の検出信号に対する第2の検出信号の位相差は180°になる。
なお、MR素子10A〜10Dにおける磁化固定層13の磁化の方向は、MR素子10A〜10Dの作製の精度等の観点から、上述の方向からわずかにずれていてもよい。
次に、図2を参照して、4組の第1および第2のバイアス磁界発生部(21A,22A)、(21B,22B)、(21C,22C)、(21D,22D)が発生するバイアス磁界Hbについて説明する。図2において記号Hbを付した矢印は、その矢印に最も近い位置にあるMR素子10の位置におけるバイアス磁界Hbの方向を表している。図2に示したように、バイアス磁界Hbは、MR素子10A〜10Dの位置において、Y方向(第1の方向)に平行な方向(図2では右上側に向かう方向)の成分を含んでいる。バイアス磁界Hbは、磁化固定層13の磁化の方向に平行な方向(X方向)についての被検出磁界の成分の強度が0になるときに、自由層15を単磁区化し、且つ自由層15の磁化の方向を一定の方向に向かせるために用いられる。
図1に示した磁気センサシステムにおいて、磁気センサ1は、Z方向が、磁気センサ1が配置された位置と中心軸Cとを結ぶ直線に対して平行またはほぼ平行になり、X方向が、中心軸Cに垂直な仮想の平面に対して平行またはほぼ平行になる姿勢で、回転スケール50の外周面に対向する位置に配置されている。この場合、MR素子10の位置におけるバイアス磁界Hbの主成分の方向(Y方向に平行な方向)は、図1に示した中心軸Cに対して平行またはほぼ平行になる。
次に、図2、図4ないし図6を参照して、磁気検出素子(MR素子10)と第1および第2のバイアス磁界発生部21,22の位置関係について説明する。図6は、図4および図5に示したMR素子10と第1および第2のバイアス磁界発生部21,22の位置関係を示す説明図である。図5および図6において、記号Pは、少なくとも1つの磁気検出素子と交差し第2の方向(Z方向)に垂直な仮想の平面を示している。仮想の平面Pは、第1および第2のバイアス磁界発生部21,22の両方と交差していてもよいし、両方と交差していなくてもよい。後者の場合には、第1および第2のバイアス磁界発生部21,22の第2の方向(Z方向)の位置は、一致していてもよいし、異なっていてもよい。あるいは、仮想の平面Pは、第1および第2のバイアス磁界発生部21,22のうちの一方と交差し、他方と交差していなくてもよい。
図2、図4および図5には、仮想の平面Pが第1および第2のバイアス磁界発生部21,22の両方と交差する場合の例を示している。この場合、図5に示したように、仮想の平面Pは、第1および第2のバイアス磁界発生部21,22の各々の強磁性層24およびMR素子10の自由層15と交差していてもよい。
ここで、図6に示したように、仮想の平面P上に、第1の仮想の直線L1と第2の仮想の直線L2とを定義する。第1の仮想の直線L1は、第2の方向(Z方向)から見たときに、第1および第2のバイアス磁界発生部21,22のそれぞれの第1端E11,E21を通過する直線である。第2の仮想の直線L2は、第2の方向(Z方向)から見たときに、第1および第2のバイアス磁界発生部21,22のそれぞれの第2端E12,E22を通過する直線である。図6では、第1および第2の仮想の直線L1,L2を破線で示している。第1および第2のバイアス磁界発生部21,22は、第1および第2の仮想の直線L1,L2が第1の方向(Y方向)に平行になるように、形状と位置が規定されていることが好ましい。
第1端E11の少なくとも一部が仮想の平面P上に位置する場合には、第1の仮想の直線L1は、仮想の平面P上における第1端E11の位置を通過する。第1端E11が仮想の平面Pから離れた位置にある場合には、第1の仮想の直線L1は、第1端E11を仮想の平面Pに垂直投影した位置を通過する。
第1端E21の少なくとも一部が仮想の平面P上に位置する場合には、第1の仮想の直線L1は、仮想の平面P上における第1端E21の位置を通過する。第1端E21が仮想の平面Pから離れた位置にある場合には、第1の仮想の直線L1は、第1端E21を仮想の平面Pに垂直投影した位置を通過する。
第2端E12の少なくとも一部が仮想の平面P上に位置する場合には、第2の仮想の直線L2は、仮想の平面P上における第2端E12の位置を通過する。第2端E12が仮想の平面Pから離れた位置にある場合には、第2の仮想の直線L2は、第2端E12を仮想の平面Pに垂直投影した位置を通過する。
第2端E22の少なくとも一部が仮想の平面P上に位置する場合には、第2の仮想の直線L2は、仮想の平面P上における第2端E22の位置を通過する。第2端E22が仮想の平面Pから離れた位置にある場合には、第2の仮想の直線L2は、第2端E22を仮想の平面Pに垂直投影した位置を通過する。
図5および図6に示した例では、仮想の平面Pは、いずれも面の形態である第1端E11,E21および第2端E12,E22と交差している。この場合には、第1の仮想の直線L1は、仮想の平面P上における第1端E11,E21の位置を通過し、第2の仮想の直線L2は、仮想の平面P上における第2端E12,E22の位置を通過する。
第1および第2のバイアス磁界発生部21,22は、仮想の平面P上に、素子配置領域Rが形成されるように配置されている。素子配置領域Rは、第2の方向(Z方向)から見て第1のバイアス磁界発生部21と第2のバイアス磁界発生部22の間に位置し、且つ第1の仮想の直線L1と第2の仮想の直線L2との間に位置する領域である。
素子配置領域Rは、第2の方向(Z方向)から見たときの第1のバイアス磁界発生部21の外縁の一部と、第2の方向(Z方向)から見たときの第2のバイアス磁界発生部22の外縁の一部と、第1の仮想の直線L1と、第2の仮想の直線L2とよって囲まれている。
図5および図6に示した例では、第1のバイアス磁界発生部21の第1の端面21aと、第2のバイアス磁界発生部22の第2の端面22aは、第2の方向(Z方向)に対して平行である。そして、仮想の平面Pは、第1の端面21aおよび第2の端面22aと交差している。この場合には、素子配置領域Rは、第1の端面21aと、第2の端面22aと、第1の仮想の直線L1と、第2の仮想の直線L2とよって囲まれた領域である。
図6に示したように、素子配置領域Rは、それぞれ面積を有する第1の端部領域R1と第2の端部領域R2と中央領域R3とを含んでいる。第1の端部領域R1は、中央領域R3に対して第1の仮想の直線L1により近い位置にある。第2の端部領域R2は、中央領域R3に対して第2の仮想の直線L2により近い位置にある。中央領域R3は、第1の端部領域R1と第2の端部領域R2の間に位置して、第1の仮想の直線L1に平行な第1の境界線B1を介して第1の端部領域R1に隣接すると共に、第2の仮想の直線L2に平行な第2の境界線B2を介して第2の端部領域R2に隣接している。図6では、第1および第2の境界線B1,B2を点線で示している。
少なくとも1つの磁気検出素子は、仮想の平面P上において少なくとも1つの磁気検出素子の全体が中央領域R3内に含まれるように配置されている。本実施の形態では特に、少なくとも1つの磁気検出素子としての1つのMR素子10が、仮想の平面P上においてその全体が中央領域R3内に含まれるように配置されている。
図6に示したように、第1の仮想の直線L1と第1の境界線B1の間の距離を記号D1で表し、第2の仮想の直線L2と第2の境界線B2の間の距離を記号D2で表し、第1のバイアス磁界発生部21と第2のバイアス磁界発生部22の間隔を記号G1で表す。距離D1,D2は、いずれも間隔G1の30%であることが好ましい。その理由については、後で詳しく説明する。
図2、図4ないし図6には、1つのMR素子10のみが中央領域R3内に含まれるように配置されている例を示している。しかし、後で第2の実施の形態で説明するように、複数のMR素子10が中央領域R3内に含まれるように配置されていてもよい。
次に、本実施の形態に係る磁気センサ1および磁気センサシステムの作用および効果について説明する。本実施の形態では、第1および第2のバイアス磁界発生部21,22の各々は、強磁性層24と第1の反強磁性層23を含み、第1の反強磁性層23は、強磁性層24と交換結合している。これにより、強磁性層24の磁化の方向が規定される。第1および第2のバイアス磁界発生部21,22は、各々の強磁性層24の磁化に基づいて、協働してMR素子10に印加されるバイアス磁界Hbを発生する。
ここで、バイアス磁界を発生する手段として第1および第2のバイアス磁界発生部21,22の代わりに一対の永久磁石を用いた比較例の磁気センサと比較しながら、本実施の形態に係る磁気センサ1の効果について説明する。まず、図7と図8を参照して、永久磁石の磁化曲線と第1および第2のバイアス磁界発生部21,22の各々の磁化曲線とを比較する。図7は、永久磁石の磁化曲線を示す特性図である。図8は、第1および第2のバイアス磁界発生部21,22の各々の磁化曲線を示す特性図である。ここでは、第1および第2のバイアス磁界発生部21,22の磁化曲線は一致するものとする。図7および図8において、横軸は磁界を示し、縦軸は磁化を示している。磁界と磁化のいずれに関しても、所定の方向についての大きさを正の値で表し、所定の方向とは反対方向についての大きさを負の値で表す。また、磁化曲線中の矢印は、磁界の変化の方向を表している。また、符号HSで示した磁界の範囲は、被検出磁界の範囲を表している。
比較例の磁気センサは、被検出磁界の強度が永久磁石の保磁力を超えないという条件の下で使用される。しかし、磁気センサは、様々な環境で使用され得るため、永久磁石の保磁力を超える強度の外部磁界が、一時的に永久磁石に印加されることが起こり得る。永久磁石の保磁力を超える強度の外部磁界が、一時的に永久磁石に印加されると、永久磁石の磁化の方向が、当初の方向から変化し、外部磁界がなくなっても当初の方向から変化したままになる場合がある。例えば、図7に示したように、被検出磁界HSの範囲を超える正の値の外部磁界が一時的に永久磁石に印加された場合には、外部磁界がなくなった後で、永久磁石の磁化の方向は正の方向に固定される。一方、被検出磁界HSの範囲を超える負の値の外部磁界が一時的に永久磁石に印加された場合には、外部磁界がなくなった後で、永久磁石の磁化の方向は負の方向に固定される。このようなことから、比較例の磁気センサでは、永久磁石の保磁力を超える強度の外部磁界が、一時的に永久磁石に印加されると、バイアス磁界の方向が所望の方向から変化してしまう場合がある。
これに対し、本実施の形態における第1および第2のバイアス磁界発生部21,22では、図8から理解されるように、強磁性層24の磁化の方向を反転させるほど大きな強度の外部磁界が一時的に印加されても、そのような外部磁界がなくなれば、強磁性層24の磁化の方向は、当初の方向に戻る。従って、本実施の形態によれば、MR素子10に対して安定したバイアス磁界Hbを印加することが可能になる。この効果は、第1および第2のバイアス磁界発生部21,22の各々が第2の反強磁性層25を含むことによって増強される。
また、本実施の形態では、図6に示したように、少なくとも1つのMR素子10は、仮想の平面P上において少なくとも1つのMR素子10の全体が中央領域R3内に含まれるように配置されている。これにより、本実施の形態によれば、MR素子10に対して均一性の高いバイアス磁界Hbを印加することができ、且つ第1および第2のバイアス磁界発生部21,22とMR素子10の相対的な位置関係の変動に対するバイアス磁界Hbの変動を抑えることができる。以下、この効果について詳しく説明する。
始めに、仮想の平面P上において、強磁性層24の磁化の方向と同じ方向のバイアス磁界Hbの成分を、基準成分と定義する。基準成分は、MR素子10に印加されるバイアス磁界Hbの主成分である。
次に、シミュレーションによって、磁気センサ1の第1ないし第3のモデルについて仮想の平面P上におけるバイアス磁界Hbの基準成分の強度分布を調べた結果について説明する。第1のモデルは、図6に示した第1および第2のバイアス磁界発生部21,22のX方向の長さを8.8μmとし、第1のバイアス磁界発生部21と第2のバイアス磁界発生部22の間隔G1を2μmとしたモデルである。第2のモデルは、上記X方向の長さを8.8μmとし、上記間隔G1を3μmとしたモデルである。第3のモデルは、上記X方向の長さを18.8μmとし、上記間隔G1を2μmとしたモデルである。第1ないし第3のモデルでは、仮想の平面Pは、第1および第2のバイアス磁界発生部21,22と交差している。
図9ないし図11は、磁気センサ1の第1ないし第3のモデルの仮想の平面P上におけるバイアス磁界Hbの基準成分の強度分布を示す特性図である。図9ないし図11において、横軸は、図6に示した仮想の平面P上において、中央領域R3の中心点を通り、X方向に平行な直線上の位置を示している。中央領域R3の中心点とは、第1の端面21aと第2の端面22aに対して等距離であって、第1の境界線B1と第2の境界線B2に対しても等距離の点である。図9ないし図11の横軸では、中央領域R3の中心点の位置を0μmとし、中央領域R3の中心点に対して第1の仮想の直線L1側の位置を負の値で表し、中央領域R3の中心点に対して第2の仮想の直線L2側の位置を正の値で表している。図9ないし図11において、縦軸は、仮想の平面P上におけるバイアス磁界Hbの基準成分の強度を示している。なお、図9ないし図11では、仮想の平面P上におけるバイアス磁界Hbの基準成分の強度の最大値が100%になるように規格化している。
図9ないし図11において、記号L1,L2を付した2本の破線の直線は、それぞれ図6に示した第1の仮想の直線L1,L2の位置を表している。記号B1を付した点線の直線は、図6に示した第1の仮想の直線L1と第1の境界線B1の間の距離D1を、間隔G1の30%とした場合における第1の境界線B1の位置を表している。記号B2を付した点線の直線は、図6に示した第2の仮想の直線L2と第2の境界線B2の間の距離D2を、間隔G1の30%とした場合における第2の境界線B2の位置を表している。
図9ないし図11において、直線B1と直線B2の間における基準成分の強度分布は、距離D1,D2をいずれも間隔G1の30%としたときの中央領域R3における基準成分の強度分布を表している。直線L1と直線B1の間における基準成分の強度分布は、第1の端部領域R1における基準成分の強度分布を表している。直線L2と直線B2の間における基準成分の強度分布は、第2の端部領域R2における基準成分の強度分布を表している。
図9ないし図11に示したように、第1の端部領域R1と第2の端部領域R2では、中央領域R3の中心点から離れるに従って、基準成分の強度が急激に減少する。そのため、第1の端部領域R1と第2の端部領域R2では、中央領域R3に比べて、第3の方向(X方向)についての位置の変化に対する基準成分の強度の変化の勾配は明らかに大きい。従って、第2の方向(X方向)から見たときに、MR素子10を、MR素子10の少なくとも一部が第1の端部領域R1または第2の端部領域R2に含まれるように配置した場合に比べて、MR素子10の全体が中央領域R3内に含まれるように配置した方が、MR素子10に対して均一性の高いバイアス磁界Hbを印加することができ、且つ第1および第2のバイアス磁界発生部21,22とMR素子10の相対的な位置関係の変動に対するバイアス磁界の変動を抑えることができる。
図9ないし図11から、距離D1,D2をいずれも間隔G1の30%とした場合、中央領域R3では、基準成分の強度が、仮想の平面P上における基準成分の強度の最大値の80%〜100%の範囲内に収まることが分かる。MR素子10が配置される中央領域R3における基準成分の強度の変動を小さくする観点から、距離D1,D2は、いずれも間隔G1の30%であることが好ましい。
距離D1,D2がいずれも間隔G1の30%である場合、仮想の平面P上においてMR素子10の全体が中央領域R3内に含まれるようにするために、図6に示した第1の仮想の直線L1と第2の仮想の直線L2の間隔としては、最小限、間隔G1の60%に、X方向についてMR素子10の幅を加えた大きさを確保すればよい。この条件を満たすように、第1の仮想の直線L1と第2の仮想の直線L2の間隔をなるべく小さくすることにより、磁気センサ1全体の大きさをなるべく小さくしながら、MR素子10に対して均一性の高いバイアス磁界Hbを印加することが可能になる。
なお、仮想の平面Pが第1および第2のバイアス磁界発生部21,22と交差しない場合、第1および第2のバイアス磁界発生部21,22と仮想の平面Pとの間隔が大きくなるほど、中央領域R3における基準成分の強度が減少する。ここで、仮想の平面Pが第1および第2のバイアス磁界発生部21,22と交差すると仮定した場合の中央領域R3の中心点における基準成分の基準成分の強度を基準強度と定義する。仮想の平面Pが第1および第2のバイアス磁界発生部21,22と交差しない場合には、中央領域R3における基準成分の強度の減少量を少なくするために、第1および第2のバイアス磁界発生部21,22と仮想の平面Pとの位置関係は、中央領域R3の中心点における基準成分の強度が基準強度の80%以上になるような位置関係であることが好ましい。
ところで、磁気ディスク装置に用いられる磁気ヘッドにおける再生ヘッド部には、MR素子と、このMR素子を挟むように配置された一対のバイアス磁界発生部を備えた構成のものがある。しかし、この再生ヘッド部では、MR素子と一対のバイアス磁界発生部のそれぞれの一端部の位置が、記録媒体に対向する磁気ヘッドの面である媒体対向面において揃えられている。本実施の形態におけるMR素子10と第1および第2のバイアス磁界発生部21,22の配置では、MR素子10と第1および第2のバイアス磁界発生部21,22のそれぞれの一端部の位置が揃うことはない。従って、磁気ヘッドにおける再生ヘッド部は、本実施の形態におけるMR素子10と第1および第2のバイアス磁界発生部21,22の配置に関する要件を満たさない。また、磁気ヘッドにおける再生ヘッド部では、本実施の形態におけるMR素子10と第1および第2のバイアス磁界発生部21,22の配置に関する要件を満たすようにMR素子を配置することは、MR素子の一端部を媒体対向面から遠ざけてMR素子の感度を低下させることになるため、考えられない。
[第2の実施の形態]
次に、図12を参照して、本発明の第2の実施の形態について説明する。図12は、本実施の形態に係る磁気センサ1におけるMR素子10と第1および第2のバイアス磁界発生部21,22の位置関係を示す説明図である。本実施の形態に係る磁気センサ1は、8つのMR素子10と、4つの第1のバイアス磁界発生部21と、4つの第2のバイアス磁界発生部22と、図示しない基板と、2つの上部電極30と、2つの下部電極40とを備えている。本実施の形態では、第1の実施の形態で説明したMR素子10A,10B,10C,10Dのそれぞれの位置に、上部電極30および下部電極40によって並列接続された2つのMR素子10が配置されている。
次に、図12を参照して、本発明の第2の実施の形態について説明する。図12は、本実施の形態に係る磁気センサ1におけるMR素子10と第1および第2のバイアス磁界発生部21,22の位置関係を示す説明図である。本実施の形態に係る磁気センサ1は、8つのMR素子10と、4つの第1のバイアス磁界発生部21と、4つの第2のバイアス磁界発生部22と、図示しない基板と、2つの上部電極30と、2つの下部電極40とを備えている。本実施の形態では、第1の実施の形態で説明したMR素子10A,10B,10C,10Dのそれぞれの位置に、上部電極30および下部電極40によって並列接続された2つのMR素子10が配置されている。
本実施の形態では、2つのMR素子10は、仮想の平面P上において2つのMR素子10の全体が第1の実施の形態で説明した素子配置領域Rの中央領域R3内に含まれるように配置されている。2つのMR素子10における磁化固定層13の磁化の方向は同一である。本実施の形態によれば、2つのMR素子10に対して均一性の高いバイアス磁界Hbを印加することができると共に、2つのMR素子10に印加されるバイアス磁界Hbの強度差を小さくすることができる。
本実施の形態におけるその他の構成、作用および効果は、第1の実施の形態と同様である。
[第3の実施の形態]
次に、図13を参照して、本発明の第3の実施の形態について説明する。図13は、本実施の形態における磁気センサシステムの概略の構成を示す斜視図である。本実施の形態における磁気センサシステムは、以下の点で第1の実施の形態と異なっている。本実施の形態における磁気センサシステムは、回転スケール50の代わりにリニアスケール150を備えている。リニアスケール150は、交互に直線状に配列された複数組のN極とS極を有している。リニアスケール150は、N極とS極とが並ぶ方向に平行な側面を有している。磁気センサ1は、リニアスケール150の側面に対向する位置に配置されている。
次に、図13を参照して、本発明の第3の実施の形態について説明する。図13は、本実施の形態における磁気センサシステムの概略の構成を示す斜視図である。本実施の形態における磁気センサシステムは、以下の点で第1の実施の形態と異なっている。本実施の形態における磁気センサシステムは、回転スケール50の代わりにリニアスケール150を備えている。リニアスケール150は、交互に直線状に配列された複数組のN極とS極を有している。リニアスケール150は、N極とS極とが並ぶ方向に平行な側面を有している。磁気センサ1は、リニアスケール150の側面に対向する位置に配置されている。
リニアスケール150と磁気センサ1の一方は、図示しない動作体に連動して、所定の方向Dに直線的に移動する。これにより、磁気センサ1に対するリニアスケール150の相対的位置が方向Dに変化する。方向Dは、リニアスケール150のN極とS極が並ぶ方向である。磁気センサシステムは、リニアスケール150と磁気センサ1との相対的位置関係に関連する物理量として、例えば、リニアスケール150と磁気センサ1の一方に連動する上記動作体の位置や速度を検出する。
本実施の形態では、被検出磁界は、リニアスケール150によって発生され、且つ被検出磁界の方向は、磁気センサ1に対するリニアスケール150の相対的位置の変化に伴って変化する。
磁気センサ1の構成は、第1の実施の形態と同じ構成であってもよいし、第2の実施の形態と同じ構成であってもよい。本実施の形態におけるその他の構成、作用および効果は、第1または第2の実施の形態と同様である。
なお、本発明は、上記各実施の形態に限定されず、種々の変更が可能である。例えば、請求の範囲の要件を満たす限り、第1および第2のバイアス磁界発生部21,22の形状および配置、ならびにMR素子10の数、形状および配置は、各実施の形態に示した例に限られず、任意である。
また、MR素子10は、下部電極40側から、下地層11、自由層15、非磁性層14、磁化固定層13、反強磁性層12および保護層16の順に積層されて構成されていてもよい。
1…磁気センサ、10…MR素子、13…磁化固定層、14…非磁性層、15…自由層、21…第1のバイアス磁界発生部、22…第2のバイアス磁界発生部、23…第1の反強磁性層、24…強磁性層、25…第2の反強磁性層、30,31,32…上部電極、40,41,42…下部電極、50…回転スケール、150…リニアスケール。
比較例の磁気センサは、被検出磁界の強度が永久磁石の保磁力を超えないという条件の下で使用される。しかし、磁気センサは、様々な環境で使用され得るため、永久磁石の保磁力を超える強度の外部磁界が、一時的に永久磁石に印加されることが起こり得る。永久磁石の保磁力を超える強度の外部磁界が、一時的に永久磁石に印加されると、永久磁石の磁化の方向が、当初の方向から変化し、外部磁界がなくなっても当初の方向から変化したままになる場合がある。例えば、図7に示したように、被検出磁界の範囲HSを超える正の値の外部磁界が一時的に永久磁石に印加された場合には、外部磁界がなくなった後で、永久磁石の磁化の方向は正の方向に固定される。一方、被検出磁界の範囲HSを超える負の値の外部磁界が一時的に永久磁石に印加された場合には、外部磁界がなくなった後で、永久磁石の磁化の方向は負の方向に固定される。このようなことから、比較例の磁気センサでは、永久磁石の保磁力を超える強度の外部磁界が、一時的に永久磁石に印加されると、バイアス磁界の方向が所望の方向から変化してしまう場合がある。
図9ないし図11において、記号L1,L2を付した2本の破線の直線は、それぞれ図6に示した第1および第2の仮想の直線L1,L2の位置を表している。記号B1を付した点線の直線は、図6に示した第1の仮想の直線L1と第1の境界線B1の間の距離D1を、間隔G1の30%とした場合における第1の境界線B1の位置を表している。記号B2を付した点線の直線は、図6に示した第2の仮想の直線L2と第2の境界線B2の間の距離D2を、間隔G1の30%とした場合における第2の境界線B2の位置を表している。
図9ないし図11に示したように、第1の端部領域R1と第2の端部領域R2では、中央領域R3の中心点から離れるに従って、基準成分の強度が急激に減少する。そのため、第1の端部領域R1と第2の端部領域R2では、中央領域R3に比べて、第3の方向(X方向)についての位置の変化に対する基準成分の強度の変化の勾配は明らかに大きい。従って、第2の方向(Z方向)から見たときに、MR素子10を、MR素子10の少なくとも一部が第1の端部領域R1または第2の端部領域R2に含まれるように配置した場合に比べて、MR素子10の全体が中央領域R3内に含まれるように配置した方が、MR素子10に対して均一性の高いバイアス磁界Hbを印加することができ、且つ第1および第2のバイアス磁界発生部21,22とMR素子10の相対的な位置関係の変動に対するバイアス磁界の変動を抑えることができる。
なお、仮想の平面Pが第1および第2のバイアス磁界発生部21,22と交差しない場合、第1および第2のバイアス磁界発生部21,22と仮想の平面Pとの間隔が大きくなるほど、中央領域R3における基準成分の強度が減少する。ここで、仮想の平面Pが第1および第2のバイアス磁界発生部21,22と交差すると仮定した場合の中央領域R3の中心点における基準成分の強度を基準強度と定義する。仮想の平面Pが第1および第2のバイアス磁界発生部21,22と交差しない場合には、中央領域R3における基準成分の強度の減少量を少なくするために、第1および第2のバイアス磁界発生部21,22と仮想の平面Pとの位置関係は、中央領域R3の中心点における基準成分の強度が基準強度の80%以上になるような位置関係であることが好ましい。
Claims (8)
- 被検出磁界を検出する少なくとも1つの磁気検出素子と、
協働して前記少なくとも1つの磁気検出素子に印加されるバイアス磁界を発生する第1のバイアス磁界発生部および第2のバイアス磁界発生部とを備えた磁気センサであって、
前記第1のバイアス磁界発生部と前記第2のバイアス磁界発生部は、第1の方向に沿って、所定の間隔を開けて配置され、
前記第1および第2のバイアス磁界発生部の各々は、前記第1の方向に直交する第2の方向に沿って積層された強磁性層と第1の反強磁性層を含み、
前記強磁性層は、前記第2の方向の両端に位置する第1の面と第2の面を有し、
前記第1の反強磁性層は、前記強磁性層の前記第1の面に接して前記強磁性層と交換結合し、
前記第1のバイアス磁界発生部と前記第2のバイアス磁界発生部の各々は、前記第1の方向と前記第2の方向の両方に直交する第3の方向において互いに反対の位置にある第1端および第2端を有し、
前記少なくとも1つの磁気検出素子と交差し前記第2の方向に垂直な仮想の平面上に、前記第2の方向から見たときに前記第1および第2のバイアス磁界発生部のそれぞれの前記第1端を通過する第1の仮想の直線と、前記第2の方向から見たときに前記第1および第2のバイアス磁界発生部のそれぞれの前記第2端を通過する第2の仮想の直線とを定義したときに、前記仮想の平面上に、前記第2の方向から見て前記第1のバイアス磁界発生部と前記第2のバイアス磁界発生部の間に位置し、且つ前記第1の仮想の直線と前記第2の仮想の直線との間に位置する素子配置領域が形成されるように、前記第1および第2のバイアス磁界発生部が配置され、
前記素子配置領域は、それぞれ面積を有する第1の端部領域と第2の端部領域と中央領域とを含み、
前記第1の端部領域は、前記中央領域に対して前記第1の仮想の直線により近い位置にあり、
前記第2の端部領域は、前記中央領域に対して前記第2の仮想の直線により近い位置にあり、
前記中央領域は、前記第1の端部領域と前記第2の端部領域の間に位置して、前記第1の仮想の直線に平行な第1の境界線を介して前記第1の端部領域に隣接すると共に、前記第2の仮想の直線に平行な第2の境界線を介して前記第2の端部領域に隣接し、
前記少なくとも1つの磁気検出素子は、前記仮想の平面上において前記少なくとも1つの磁気検出素子の全体が前記中央領域内に含まれるように、配置されていることを特徴とする磁気センサ。 - 前記強磁性層は、前記第1の方向に平行な方向の磁化を有し、
前記少なくとも1つの磁気検出素子の位置における前記バイアス磁界は、前記強磁性層の前記磁化の方向と同じ方向の成分を含むことを特徴とする請求項1記載の磁気センサ。 - 前記第1の仮想の直線と前記第1の境界線の間の距離と、前記第2の仮想の直線と前記第2の境界線の間の距離は、いずれも前記第1のバイアス磁界発生部と前記第2のバイアス磁界発生部の間隔の30%であることを特徴とする請求項1または2記載の磁気センサ。
- 前記仮想の平面は、前記第1および第2のバイアス磁界発生部と交差することを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の磁気センサ。
- 前記少なくとも1つの磁気検出素子は、少なくとも1つの磁気抵抗効果素子であることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の磁気センサ。
- 前記少なくとも1つの磁気抵抗効果素子は、方向が固定された磁化を有する磁化固定層と、前記被検出磁界に応じて磁化が変化する自由層と、前記磁化固定層と前記自由層の間に配置された非磁性層とを有し、
前記磁化固定層、前記非磁性層および前記自由層は、前記第2の方向に沿って積層されていることを特徴とする請求項5記載の磁気センサ。 - 前記仮想の平面は、前記第1および第2のバイアス磁界発生部の各々の前記強磁性層および前記少なくとも1つの磁気抵抗効果素子の前記自由層と交差することを特徴とする請求項6記載の磁気センサ。
- 前記第1および第2のバイアス磁界発生部の各々は、更に、前記強磁性層の前記第2の面に接して前記強磁性層と交換結合する第2の反強磁性層を含むことを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載の磁気センサ。
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