JP2010286237A - 原点検出装置 - Google Patents

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    • G01D5/2457Incremental encoders having reference marks

Abstract

【課題】 特に、原点検出用磁石の相対移動方向の両側に補助磁石を設けて、磁気抵抗効果素子に進入する水平磁場成分を原点非検出空間内で確保できるようにし、従来に比べて高精度に原点検出を行えるようにした原点検出装置を提供することを目的としている。
【解決手段】 原点Pから原点検出用磁石1の移動方向(X方向)の両側には夫々、補助磁石80,81が設けられている。前記原点検出用磁石1と前記補助磁石80,81間の原点非検出空間α,β内にて磁気抵抗効果素子に進入する水平磁場成分H1が確保されるように、前記原点検出用磁石1及び前記補助磁石80,81が着磁されている。
【選択図】図2

Description

本発明は、磁気抵抗効果素子と磁石とを用いた原点検出装置に関する。
下記特許文献1には、磁石の相対移動に対する原点検出用の「磁気センサ素子」に関する発明が開示されている。
しかしながら特許文献1では、磁石と磁気素子との距離がある程度、離れると、前記磁気素子に進入する外部磁界がゼロになってしまう(特許文献1の図4)。特許文献1では、磁石と磁気素子間の距離が遠のいても、センサ出力を生じさせるために、磁気素子側の構成を工夫したものであるが、磁気素子の構成が複雑化し、原点検出精度が低下しやすい。
下記特許文献2には、固定磁性層(ピンド層)の磁化方向が異なる磁気抵抗効果素子の前記固定磁性層に対する固定磁化方法が例えば特許文献2の図13、図14等に開示されているが、原点検出に関する記載はない。
下記特許文献3には、原点検出用の「位置センサー」が開示されており、被検出磁石の磁界を打ち消すためのバイアス磁石を磁気センサに備えるものである。しかしながら、特許文献3に記載された発明も、特許文献1と同様に、磁石と磁気素子との距離がある程度、離れると、前記磁気素子に進入する外部磁界がゼロになってしまう。また、特許文献3の方法では、被検出磁石の磁界強度と、バイアス磁石の磁界強度とのバランスの調整が非常に難しいと考えられるし、また、原点検出となる出力がゼロとなる磁気センサと被検出磁石と相対距離範囲は長いか、あるいは、出力がゼロとなる箇所が複数箇所に存在するものと考えられ、大まかな原点検出しかできない。特許文献4、5には磁界センサとして、磁気抵抗効果素子をブリッジ回路で接続したものである。これらには原点検知のための具体的な磁石の配置および磁気抵抗効果素子の配置については触れられていない。
特開2003−130933号公報 特開2007−64692号公報 特開平5−175483号公報 特開2000−35470号公報 特開2005−69744号公報
そこで本発明は上記従来の課題を解決するためのものであり、特に、従来に比べて原点検出用磁石の相対移動距離を長く設定しても、高精度に原点検知を行うことを可能とした原点検出装置を提供することを目的としている。
本発明における原点検出装置は、
外部磁界に対して電気抵抗値が変化する磁気抵抗効果素子を備える磁気センサと、前記磁気センサと間隔を空けて対向する原点検出用磁石とを備え、前記原点検出用磁石はその中心が前記磁気センサに対する相対基準位置(原点)から相対移動可能に支持されており、
前記原点から前記原点検出用磁石の相対移動方向の両側には夫々、補助磁石が設けられており、前記補助磁石は、前記原点検出用磁石が固定側であるとき、前記原点検出用磁石とともに固定され、前記原点検出用磁石が可動側であるとき、前記原点検出用磁石と連動可能に支持されており、
前記原点検出用磁石と前記補助磁石間の原点非検出空間内にて前記磁気抵抗効果素子に進入する水平磁場成分が確保されるように、前記原点検出用磁石及び前記補助磁石が着磁されていることを特徴とするものである。
これにより、従来に比べて相対移動方向に広い原点非検出空間を確保でき、よって従来に比べて原点検出用磁石の相対移動距離を長く設定しても、高精度に原点検知を行うことが可能になる。
本発明の第1の構成では、前記原点検出用磁石の中心の相対直線移動方向、あるいは前記原点検出用磁石の中心が相対回転移動するとき前記原点を相対回転方向上の接点としたときの接線方向をX方向、前記X方向と直交する高さ方向をZ方向、及び前記X方向及び前記Z方向の双方に直交する方向をY方向とし、
前記原点検出用磁石の中心が前記原点に位置するとき、前記原点検出用磁石と前記磁気センサとはZ方向に対向する位置関係にあり、
前記原点検出用磁石の前記磁気センサとの対向面(X−Y面)がN極あるいはS極のどちらかに着磁されているとともに、前記対向面との反対面が、前記対向面とは異極に着磁されており、
前記補助磁石の原点検出用磁石方向に向く対向面が、前記原点検出用磁石の前記磁気センサとの対向面と異極に着磁されている。
あるいは本発明の第2の構成では、前記原点検出用磁石の中心の相対直線移動方向、あるいは前記原点検出用磁石の中心が相対回転移動するとき前記原点を相対回転方向上の接点としたときの接線方向をX方向、前記X方向と直交する高さ方向をZ方向、及び前記X方向及び前記Z方向の双方に直交する方向をY方向とし、
前記原点検出用磁石の中心が前記原点に位置するとき、前記原点検出用磁石と前記磁気センサとはZ方向に対向する位置関係にあり、
前記原点検出用磁石は、N極とS極とがY方向に並ぶ第1の磁石と、前記第1の磁石とX方向にて並設され、前記第1の磁石とX方向にて対向する極が、前記第1の磁石とは異極となる第2の磁石とで構成され、
前記原点検出用磁石を構成する第1の磁石と近い側に配置された前記補助磁石は前記第2の磁石と同じ着磁の磁石で構成され、前記原点検出用磁石を構成する第2の磁石と近い側に配置された前記補助磁石は前記第1の磁石と同じ着磁の磁石で構成される。あるいは、前記原点検出用磁石を構成する第1の磁石と近い側に配置された前記補助磁石は前記第1の磁石と同じ着磁の磁石で構成され、前記原点検出用磁石を構成する第2の磁石と近い側に配置された前記補助磁石は前記第2の磁石と同じ着磁の磁石で構成されてもよい。
上記第2の構成において、前記補助磁石と前記磁気センサとが最接近したときに前記磁気センサが、前記補助磁石の手前側に位置するように、前記補助磁石は前記原点検出用磁石から見て奥行き方向にずれて配置されていることが好適である。
または本発明の第3の構成では、前記原点検出用磁石の中心の相対直線移動方向、あるいは前記原点検出用磁石の中心が相対回転移動するとき前記原点を相対回転方向上の接点としたときの接線方向をX方向、前記X方向と直交する高さ方向をZ方向、及び前記X方向及び前記Z方向の双方に直交する方向をY方向とし、
前記原点検出用磁石の中心が前記原点に位置するとき、前記原点検出用磁石と前記磁気センサとはY方向に対向する位置関係にあり、
前記原点検出用磁石は、N極とS極とがY方向に並ぶ第1の磁石と、前記第1の磁石とX方向にて並設され、前記第1の磁石とX方向にて対向する極が、前記第1の磁石とは異極となる第2の磁石とで構成され、
前記原点検出用磁石を構成する第1の磁石と近い側に配置された前記補助磁石は前記第1の磁石と同じ着磁の磁石で構成され、前記原点検出用磁石を構成する第2の磁石と近い側に配置された前記補助磁石は前記第2の磁石と同じ着磁の磁石で構成される。
このとき、前記補助磁石は前記原点検出用磁石及び磁気センサから見て奥行き方向にずれて配置されていることが好適である。
また本発明では、前記磁気抵抗効果素子は、磁化方向が一方向に固定された固定磁性層と、磁化方向が水平磁場成分の方向により変動するフリー磁性層と、前記固定磁性層と前記フリー磁性層との間に位置する非磁性層の積層構造を有して構成されていることが微弱な水平磁場成分でも適切に電気抵抗値が変化し高精度な原点検出を行うことができて好適である。
本発明の原点検出装置では、従来に比べて相対移動方向に広い原点非検出空間を確保でき、よって従来に比べて原点検出用磁石の相対移動距離を長く設定しても、高精度に原点検知を行うことが可能になる。
図1は、本発明の第1実施の形態の原点検出装置の斜視図、図2は、図1の正面図、図3は、原点検出用磁石の中心が基準位置(原点)にあるときの磁気抵抗効果素子の固定磁性層及びフリー磁性層の磁化方向を説明するための説明図(平面図)、図4は、原点検出装置を構成する磁気センサの回路構成図、図5は図3の状態から原点検出用磁石が図示左方向(X(−)方向)に移動したときの磁気抵抗効果素子の固定磁性層及びフリー磁性層の磁化方向を説明するための説明図(平面図)、図6は図3の状態から原点検出用磁石が図示右方向(X(+)方向)に移動したときの磁気抵抗効果素子の固定磁性層及びフリー磁性層の磁化方向を説明するための説明図(平面図)、図7は本実施形態における磁気抵抗効果素子を膜厚方向から切断した断面図、図8は、横軸をX方向への原点検出用磁石の原点からの直線移動距離、縦軸を差動出力(センサ出力)としたグラフ、である。
各図におけるX方向は、原点検出用磁石の中心の相対移動直線方向を示し、Z方向は前記X方向と直交する高さ方向を示し、Y方向は、前記X方向及び前記Z方向の双方に直交する方向を示す。
図1に示すように原点検出装置4は、原点検出用磁石1と、前記原点検出用磁石1と高さ方向(図示Z方向)にて間隔を空けて対向する位置に設けられた磁気センサ3とを有して構成される。前記磁気センサ3は基板2の表面2aに設置されている。
図1に示すように前記原点検出用磁石1の前記磁気センサ3と対向する対向面(図示X−Y面;下面)1aは全面がN極に着磁されており、前記対向面1aとの反対面(上面)1bは全面がS極に着磁されている。
例えば図1に示す原点検出装置4は前記磁気センサ3及び基板2が固定側であり、前記原点検出用磁石1が可動側である。図1では、前記原点検出用磁石1の中心1cは、前記磁気センサ3に対して基準位置(以下、原点Pという)にある。ここで「原点検出用磁石1の中心1c」とは前記原点検出用磁石1の膜厚中心で切断した切断面(図示X−Y平面)の幅方向(図示X方向)及び長さ方向(図示Y方向)の中心を意味するものとする。また、原点Pは、後述する磁気センサ3の差動出力がゼロになるポイントであり、例えば、この第1実施形態では、前記原点検出用磁石1の中心1cが、前記磁気センサ3の中心O1と高さ方向(図示Z方向)に位置したとき、前記原点検出用磁石1の中心1cを原点Pとする。なお原点Pの位置は、後述する磁気センサ3内に配置されている磁気抵抗効果素子の位置の変更等にて変更できるものであり、前記原点Pと前記磁気センサ3との位置関係は、前記磁気センサ3(及び磁石1)が固定側、可動側であるかにかかわらず、変動しない。
そして前記原点検出用磁石1は、その中心1cが、原点Pから図示X方向に直線移動可能に支持されている。
前記磁気センサ3の内部には、図3に示すように4個の巨大磁気抵抗効果素子(GMR素子)が設けられている。
前記巨大磁気抵抗効果素子は、図7に示すように基台10上に下から反強磁性層11、固定磁性層12、非磁性層13、フリー磁性層14及び保護層15の順に積層されている。固定磁性層12は第1固定磁性層12aと第2固定磁性層12cが非磁性中間層12bを介して積層された積層フェリ構造を有している。反強磁性層11はその結晶配向性を向上させるため、下地層11aの上に積層されている。
前記反強磁性層11は例えばIrMnで形成され、下地層11aはシード層として機能するNiFeCrで形成され、前記第1固定磁性層12aおよび第2固定磁性層12cはCoFeで非磁性中間層12bはRuで形成され、前記非磁性層13はCuで形成され、前記フリー磁性層14はCoFeとNiFeの積層で形成され、前記保護層15はTaで形成される。前記巨大磁気抵抗効果素子の層構成は、上記以外の構成であってもよいが、固定磁性層12、非磁性層13及びフリー磁性層14を必須層としている。この場合固定磁性層12は積層フェリ構造でなくてもよい。また前記非磁性層13がAl等の絶縁材料で形成されるとき、前記磁気抵抗効果素子はトンネル型磁気抵抗効果素子(TMR素子)として構成される。磁気抵抗効果素子がTMR素子の場合は、電流を積層膜に対して垂直方向に流すように電極を形成する必要があるが、磁気抵抗効果素子としては巨大磁気抵抗効果素子(GMR素子)と基本的に同じである。
前記反強磁性層11と前記第1固定磁性層12aとの間には磁場中熱処理により交換結合磁界が生じており、非磁性中間層12bを介した層間の交換バイアス磁界により前記第2固定磁性層12cの磁化方向m12は所定方向に固定されている。この実施形態では、前記第2固定磁性層12cの磁化方向m12は図示X(+)方向に固定されている。固定磁性層12の磁化方向は第2固定磁性層12cの磁化方向m12に代表される。一方、フリー磁性層14の磁化方向m14は固定されておらず外部磁界Hによって磁化変動可能となっている。図7では前記磁化方向m14が図示X(+)方向を向いているが、前記外部磁界Hが図示X(+)方向に生じているためである。そして前記フリー磁性層14の磁化方向m14が外部磁界Hに対して磁化変動することで、前記第2固定磁性層12cの磁化方向m12との関係で電気抵抗値が変動する。
図3に示すように磁気抵抗効果素子は、第1の磁気抵抗効果素子17、第2の磁気抵抗効果素子18、第3の磁気抵抗効果素子19及び第4の磁気抵抗効果素子20により構成される。各磁気抵抗効果素子17,18,19,20は全て図7に示す層構成の巨大磁気抵抗効果素子(GMR素子)で構成されている。また図3では、各磁気抵抗効果素子17,18,19,20が矩形状に図示されているが、実際には例えばミアンダ形状で形成されるほうが望ましい。
以下では、各磁気抵抗効果素子17,18,19,20のR−H曲線はすべて同じであるとして説明する。すなわち固定磁性層とフリー磁性層との磁化関係が同じであれば抵抗値は同じである。
図7に示すように、この第1実施形態では、前記フリー磁性層14と非磁性層13との界面と平行な面(図示X−Y面)は、図1に示す原点検出用磁石1の対向面1aと平行な関係にある。
図3に示すように前記第1の磁気抵抗効果素子17及び第2の磁気抵抗効果素子18は共通の基台21上に形成され、前記第1の磁気抵抗効果素子17を構成する固定磁性層12の磁化方向B(図7では符号m12と付したが、ここでは他の磁気抵抗効果素子の磁化方向と区別するために表記を変更した。以下同じである)と前記第2の磁気抵抗効果素子18を構成する固定磁性層12の磁化方向Cは共に図示X(+)方向に固定されている。
一方、第3の磁気抵抗効果素子19及び第4の磁気抵抗効果素子20は、前記第1の磁気抵抗効果素子17及び第2の磁気抵抗効果素子18と別の基板22上に共に設置され、前記第3の磁気抵抗効果素子19を構成する固定磁性層12の磁化方向Dと前記第4の磁気抵抗効果素子20を構成する固定磁性層12の磁化方向Eは共に図示X(−)方向に固定されている。すなわち第1の磁気抵抗効果素子17及び第2の磁気抵抗効果素子18の固定磁性層12の磁化方向B,Cと、前記第3の磁気抵抗効果素子19及び第4の磁気抵抗効果素子20の固定磁性層12の磁化方向D,Eとは反平行の関係となっている。
第1の磁気抵抗効果素子17及び第2の磁気抵抗効果素子18を設置した基台21と第3の磁気抵抗効果素子19及び第4の磁気抵抗効果素子20を設置した基台22を別々としたが、これは、各基台21,22上に設置される磁気抵抗効果素子の固定磁性層12の磁化方向が互いに異なっており同じ磁場中熱処理を行えないためである。よって別々の工程にて、第1の磁気抵抗効果素子17及び第2の磁気抵抗効果素子18と、第3の磁気抵抗効果素子19及び第4の磁気抵抗効果素子20は形成されることになる。
また図3に示すように、磁気センサ3の中心O1から前記原点検出用磁石1の直線移動方向である図示X方向に引いた第1の仮想線と、図示X−Y面内にて前記第1の仮想線に直交する方向に引いた第2の仮想線を引いたとき、前記第1の磁気抵抗効果素子17,第2の磁気抵抗効果素子18,第3の磁気抵抗効果素子19及び第4の磁気抵抗効果素子20は夫々、前記第1の仮想線と第2の仮想線とで仕切られた4つの象限内のいずれかに配置されている。
図3に示すように、前記第1の磁気抵抗効果素子17は、左上象限25内に位置し、第2の磁気抵抗効果素子18は右上象限26内に位置し、第3の磁気抵抗効果素子19は左下象限27内に位置し、第4の磁気抵抗効果素子20は右下象限28内に位置する。
各磁気抵抗効果素子17,18,19,20は、前記磁気センサ3の中心O1上、第1の仮想線上及び第2の仮想線上を跨ぐことなく、前記中心O1から等間隔で離れた位置に配置される。
図4に示すように、前記第1の磁気抵抗効果素子17と第3の磁気抵抗効果素子19は、第1の出力取出し部36を介して直列接続されている。また、前記第2の磁気抵抗効果素子18と第4の磁気抵抗効果素子20は、第2の出力取出し部31を介して直列接続されている。
また、前記第1の磁気抵抗効果素子17と第4の磁気抵抗効果素子20とが入力端子32を介して接続されるとともに、第2の磁気抵抗効果素子18と第3の磁気抵抗効果素子19とがグランド端子33を介して接続されている。
さらに前記第1の出力取出し部36と第2の出力取出し部31とが差動増幅器34を介して外部出力端子35に接続されている。
図3に示す形態では、固定磁性層12の磁化方向B,Cが同一である前記第1の磁気抵抗効果素子17と第2の磁気抵抗効果素子18は、前記第2の仮想線を挟んだ両側のいずれかの象限内(図2では、左上象限25と右上象限26)に配置されるとともに、固定磁性層12の磁化方向D,Eが同一である前記第3の磁気抵抗効果素子19と第4の磁気抵抗効果素子20も、前記第2の仮想線を挟んだ両側の残りの象限内(図2では、左下象限27と右下象限27)に配置されている。
図1に示す原点検出用磁石1は、その中心1cが原点Pにあるとき、図3に示すように、前記原点検出用磁石1は前記基板2上の全ての磁気抵抗効果素子17,18,19,20の素子形成領域(全ての磁気抵抗効果素子が入る大きさの領域。図3に示す点線Aで囲まれた領域)よりも大きい面積で形成されている。
例えば図1に示す前記原点検出用磁石1の幅寸法w1は2〜10mm程度である。また前記原点検出用磁石1の長さ寸法l1は2〜10mm程度である。また前記原点検出用磁石1の厚さ寸法t1は1〜5mm程度である。図3に示す素子形成領域(点線Aで囲んだ範囲)の幅寸法及び長さ寸法は、0.5〜1.5mm程度である。また、図1に示す前記磁気センサ3の幅寸法w2は2〜5mm程度である。また前記磁気センサ3の長さ寸法l2は1.5〜5mm程度である。また前記磁気センサ3の厚さ寸法t2は1〜2mm程度である。また図3に示す各磁気抵抗効果素子17,18,19,20の間隔t3は、0.25〜1mm程度である。
図3に示すように、前記原点検出用磁石1の中心1cが前記原点Pにあるとき、原点検出用磁石1の対向面1aから、各磁気抵抗効果素子17,18,19,20のフリー磁性層14に図示X−Y面内の水平磁場成分H1が作用する。前記水平磁場成分H1は、前記原点検出用磁石1の対向面1aの中心から各磁気抵抗効果素子17,18,19,20に対して放射状に広がる。この結果、図2に示すように、前記第1の磁気抵抗効果素子17のフリー磁性層14の磁化方向F(図7では符号m14と付したが、ここでは他の磁気抵抗効果素子の磁化方向と区別するために表記を変更した。以下同じである)は左斜め上方向になり、前記第2の磁気抵抗効果素子18のフリー磁性層14の磁化方向Gは右斜め上方向になり、前記第3の磁気抵抗効果素子19のフリー磁性層14の磁化方向Yは左斜め下方向になり、前記第4の磁気抵抗効果素子20のフリー磁性層14の磁化方向Iは右斜め下方向になる。
第1の磁気抵抗効果素子17と第4の磁気抵抗効果素子20の固定磁性層12の磁化方向B,Eとフリー磁性層14の磁化方向F,Iとの磁化関係は同じになり、第2の磁気抵抗効果素子18と第3の磁気抵抗効果素子19の固定磁性層12の磁化方向C,Dとフリー磁性層14の磁化方向G,Yの磁化関係は同じになる。その結果、図3に示す差動増幅器34からの差動出力はゼロになり、外部出力端子35から原点検出信号が得られる。
図8は、横軸をX方向への原点検出用磁石1の原点Pからの図示X方向への直線移動距離、縦軸を差動出力としたグラフ(イメージ図)である。
図3の状態から原点検出用磁石1が図示X(−)方向に移動すると、前記原点検出用磁石1から各磁気抵抗効果素子17,18,19,20のフリー磁性層14に及ぶ水平磁場成分H1の方向が、全体的に徐々に図示X(+)方向に変化する。前記原点検出用磁石1の中心1cが図5に示す位置に到達すると、各磁気抵抗効果素子17,18,19,20のフリー磁性層14の磁化方向J,K,L,Mは図示X(+)方向を向く。この結果、第1の磁気抵抗効果素子17の電気抵抗値は、図3の原点検出時よりも小さく、第2の磁気抵抗効果素子18の電気抵抗値は、図3の原点検出時よりも小さくなり、第3の磁気抵抗効果素子19の電気抵抗値は、図3の原点検出時よりも大きくなり、第4の磁気抵抗効果素子20の電気抵抗値は、図3の原点検出時よりも大きくなる。
したがって図4に示す回路において、各磁気抵抗効果素子17,18,19,20の電気抵抗値に基づき差動出力が生じて、例えば、図8に示すように正(+)の出力が生じる。そして外部出力端子35からは原点非検出信号が得られる。図5は、最も差動出力が大きくなる磁化状態の一つであり、図8に示す正(+)の出力は絶対値で最大となっている。
一方、図3の状態から原点検出用磁石1が図示X(+)方向に移動すると、前記原点検出用磁石1から各磁気抵抗効果素子17,18,19,20のフリー磁性層14に及ぶ水平磁場成分H1の方向が全体的に徐々に図示X(−)方向に変化し、前記原点検出用磁石1の中心1cが図6の位置に到達すると、各磁気抵抗効果素子17,18,19,20のフリー磁性層14の磁化方向W,X,Q,Rは図示X(−)方向を向く。この結果、第1の磁気抵抗効果素子17の電気抵抗値は、図3の原点検出時よりも大きくなり、第2の磁気抵抗効果素子18の電気抵抗値は、図3の原点検出時よりも大きくなり、第3の磁気抵抗効果素子19の電気抵抗値は、図3の原点検出時よりも小さくなり、第4の磁気抵抗効果素子20の電気抵抗値は、図3の原点検出時よりも小さくなる。
したがって図4に示す回路において、各磁気抵抗効果素子17,18,19,20の電気抵抗値に基づき差動出力が生じて、例えば、図8に示すように負(−)の出力が生じる。そして、外部出力端子35からは原点非検出信号が得られる。図6は、最も差動出力が大きくなる磁化状態の一つであり、図8に示す負(−)の出力は最大となっている。
上記のように、本実施形態では、各磁気抵抗効果素子17,18,19,20の前記フリー磁性層14には、前記原点検出用磁石1の直線移動に伴い、前記原点検出用磁石1から前記フリー磁性層14と非磁性層13間の界面と平行な面内(図示X−Y面内)にて方向が変化する水平磁場成分H1が作用している。このように原点検出用磁石1の直線移動範囲内では、フリー磁性層14には水平磁場成分H1が作用してその磁場方向に磁化方向が向く状態が維持されているため、飽和磁化状態あるいはそれに近い状態が保たれている。このように、フリー磁性層の磁化m14が水平磁場成分H1による回転角度によって連続的に変化することに相当し、さらに第1〜第4の磁気抵抗効果素子の差動出力を検知する構造を有することにより原点近傍の出力ヒステリシスを十分に小さくできる。そして図8に示すように、前記原点検出用磁石1の中心1cが、原点Pに位置したとき、差動出力がゼロになり、それ以外の時には差動出力が生じているため、差動出力の有無の判断により、原点検出を行うことができる。ヒステリシスを小さくする上で、フリー磁性層14と第2固定磁性層12cの層間の交換バイアス磁界(Hin)を小さくし、水平磁場成分H1に対しての影響を少なくすることが好ましい。また本実施形態のように積層フェリ構造とすることで、固定磁性層磁化m12とフリー層磁化m14の静磁界的な影響も低減することが好ましい。
本実施形態の特徴的部分は、図1,図2に示すように、原点Pから前記原点検出用磁石1の直線移動方向の両側に、夫々、補助磁石80、81が設けられている点にある。前記補助磁石80,81は、前記原点検出用磁石1と連動可能に支持されている。よって図1に示すように、前記原点検出用磁石1が図示X(+)方向に移動すると、前記補助磁石80,81も図示X(+)方向に同距離だけ移動し、前記原点検出用磁石1が図示X(−)方向に移動すると、前記補助磁石80,81も図示X(−)方向に同距離だけ移動する。
前記補助磁石80,81の前記原点検出用磁石1方向に向く対向面80a,81aは、前記原点検出用磁石1の前記磁気センサ3との対向面1aと異極に着磁されている。この実施形態では、前記原点検出用磁石1の前記対向面1aはN極に着磁されているので、前記補助磁石80,81の前記対向面80a,81aは夫々、S極に着磁されている。
前記原点検出用磁石1と前記補助磁石80,81の材質や形状は同じでも異なってもよい。この実施形態では、前記原点検出用磁石1及び補助磁石80,81は同じ材質でしかも同形状である。例えば前記原点検出用磁石1及び補助磁石80,81は信越化学工業(株)製のネオジウム磁石(型番:N45H)にて形成される。また、図1,図2の実施形態では、同じ形状の3つの磁石を用意し、うち2個の磁石を前記補助磁石80,81として、前記原点検出用磁石1との対向面80a,81aがS極になるように図1,図2に示す前記原点検出用磁石1と異なって立てて支持している。
そして上記のように着磁された補助磁石80,81を、原点検出用磁石1の移動方向(図示X方向)の両側に設けることで、前記原点検出用磁石1と前記補助磁石80,81間の原点非検出空間α、β内では、各磁気抵抗効果素子17,18,19,20に進入する水平磁場成分H1が確保される。ここでの水平磁場成分H1は、前記原点非検出空間αでは図5と同様の図示X(+)方向であり、前記原点非検出空間βでは図6と同様の図示X(−)方向である。なお原点非検出空間は、原点検出用磁石1の中心1cが原点Pから離れた瞬間から生じている。以下に示す他の実施形態においても同様である。
本実施形態によれば、前記補助磁石80,81を設けなかった従来に比べて水平磁場成分H1が作用するX方向に広い原点非検出空間α、βを確保でき、よって従来に比べて原点検出用磁石1の直線移動距離を長く設定しても、高精度に原点検知を行うことが可能になる。
また、上記のように、前記原点非検出空間α内での水平磁場成分H1は、その空間内では、ほぼ同一方向に生じており、また、前記原点非検出空間β内での水平磁場成分H1は、その空間内では、ほぼ同一方向に生じている。図8に示すように原点検出用磁石1が原点Pからある程度離れると、差動出力は正あるいは負に最大となるが、本実施形態ではこの最大出力の状態を安定して得ることができる。しかも図8に示すように、原点検出用磁石1が図示X(−)方向へ移動したときと、図示X(+)方向へ移動したときとで、差動出力の符号が変化するため、原点検出のみならず、前記原点検出用磁石1がどちら方向へ移動したかも検知できる。さらに各磁気抵抗効果素子17,18,19,20を同じ層構成で構成できるので、各磁気抵抗効果素子17,18,19,20の温度特性のばらつき、すなわち抵抗温度係数(TCR)の影響によるばらつきを小さくできる。
なお図3では4つの磁気抵抗効果素子17,18,19,20を用いたが、例えば前記磁気抵抗効果素子は2個であってもよい。例えば図3に示す固定磁性層12の磁化方向C,Dが反平行の第2の磁気抵抗効果素子18と第3の磁気抵抗効果素子19を用い、第1の磁気抵抗効果素子17及び第4の磁気抵抗効果素子20を固定抵抗として、図3の原点検出時にて、差動出力がゼロとなるように各固定抵抗値を調整しておく。なお回路構成は図4と同じである。また前記磁気抵抗効果素子は1個であってもよいが、差動出力を大きくし、また温度特性のばらつき、すなわち抵抗温度係数(TCR)のばらつきによる影響を小さくして、高精度な原点検出を行うには図3に示すように4つの磁気抵抗効果素子17,18,19,20をブリッジ接続することが好適である。
図9は、本発明の第2実施の形態の原点検出装置の斜視図、図10(a)は、図9の磁気センサと原点検出用磁石とが対向した状態にあるときの前記原点検出用磁石と磁気センサとの側面図、図10(b)は、図9の補助磁石(図9の図示右側の補助磁石)と、前記磁気センサとが最接近した状態での前記補助磁石と磁気センサとの側面図、図11は、原点検出用磁石の中心が基準位置(原点)にあるときの磁気抵抗効果素子の固定磁性層及びフリー磁性層の磁化方向を説明するための説明図(平面図)、図12は、図9と一部異なる原点検出装置の斜視図、図13(a)は、図12の前記磁気センサと前記原点検出用磁石とが対向した状態にあるときの前記原点検出用磁石と磁気センサとの側面図、図13(b)は、図12の補助磁石(図12の図示右側の補助磁石)と、前記磁気センサとが最接近した状態での前記補助磁石と磁気センサとの側面図、である。
図9に示すように原点検出装置90は、原点検出用磁石91と、前記原点検出用磁石91と高さ方向(図示Z方向)にて間隔を空けて対向する位置に設けられた磁気センサ92とを有して構成される。前記磁気センサ92は基板93の表面93aに設置されている。
図9に示すように前記原点検出用磁石91は、第1の磁石94と第2の磁石95とで構成されており、前記第1の磁石94は、Y(−)側にN極が、Y(+)側にS極が着磁され、一方、前記第2の磁石95は、Y(−)側にS極が、Y(+)側にN極が着磁されている。図9に示すように、第1の磁石94の極性と、前記第2の磁石95の極性とが図示X方向にて異なるように前記第1の磁石94と前記第2の磁石95とが図示X方向に並設されている。
例えば、この第2実施形態では、前記原点検出用磁石91の中心91cが、前記磁気センサ3の中心O2と高さ方向(図示Z方向)に位置したとき、前記原点検出用磁石1の中心91cを原点Pとする。
図9に示すように、前記原点検出用磁石91は、その中心91cが、原点Pから図示X方向に直線移動可能に支持されている。
前記磁気センサ3の内部には、図11に示すように4個の巨大磁気抵抗効果素子(GMR素子)が設けられている。
前記磁気センサ92内に設けられる磁気抵抗効果素子の層構成は図7で説明したとおりである。
図9,図10(a)、図11に示すように、この第2実施形態では、前記原点検出用磁石91の中心91cが原点Pにあるとき、前記磁気抵抗効果素子のフリー磁性層14と非磁性層13間の界面と平行な面(図示X−Y面)は、前記原点検出用磁石91の前記磁気抵抗効果素子との対向面91aと平行関係にある。
図11に示すように、前記磁気センサ92内には、4つの磁気抵抗効果素子54,55,56,57が設けられている。また図11に示すように、前記第1の磁気抵抗効果素子54,第2の磁気抵抗効果素子55,第3の磁気抵抗効果素子56及び第4の磁気抵抗効果素子57は夫々、前記第1の仮想線と第2の仮想線とで仕切られた4つの象限内のいずれかに配置されている。
図11に示すように、前記第1の磁気抵抗効果素子54は、左下象限60内に位置し、第2の磁気抵抗効果素子55は左上象限61内に位置し、第3の磁気抵抗効果素子56は右下象限62内に位置し、第4の磁気抵抗効果素子57は右上象限63内に位置する。
回路構成は図4と同じである。すなわち、前記第1の磁気抵抗効果素子54と第3の磁気抵抗効果素子56は、図4に示す第1の出力取出し部36を介して直列接続されている。また、前記第2の磁気抵抗効果素子55と第4の磁気抵抗効果素子57は、図4に示す第2の出力取出し部31を介して直列接続されている。
また、前記第1の磁気抵抗効果素子54と第4の磁気抵抗効果素子57とが図4に示す入力端子32を介して接続されるとともに、第2の磁気抵抗効果素子55と第3の磁気抵抗効果素子56とが図4に示すグランド端子33を介して接続されている。
さらに図4に示すように、前記第1の出力取出し部36と第2の出力取出し部31とが差動増幅器34を介して外部出力端子35に接続されている。
図11に示すように、第1の磁気抵抗効果素子54の固定磁性層の磁化方向54aと、前記第2の磁気抵抗効果素子55の固定磁性層の磁化方向55aは同一方向であり、前記第1の磁気抵抗効果素子54と第2の磁気抵抗効果素子55は共通の基台65上に設置されている。また、前記第3の磁気抵抗効果素子56の固定磁性層の磁化方向56aと前記第4の磁気抵抗効果素子57の固定磁性層の磁化方向57aは前記第1の磁気抵抗効果素子54及び第2の磁気抵抗効果素子55の固定磁性層の磁化方向に対して反平行であり、前記第3の磁気抵抗効果素子56と第4の磁気抵抗効果素子57は共通の基台66上に設置されている。
図11に示すように、前記第1の磁気抵抗効果素子54及び第2の磁気抵抗効果素子55の固定磁性層の磁化方向54a,55aは共に図示Y(+)方向を向いており、前記第3の磁気抵抗効果素子56及び第4の磁気抵抗効果素子57の固定磁性層の磁化方向56a,57aは共に図示Y(−)方向を向いている。
図11に示すように、前記原点検出用磁石91の中心91cが前記原点Pにあるとき、原点検出用磁石91の対向面91aから、各磁気抵抗効果素子54,55,56,57のフリー磁性層には図示X−Y面内の水平磁場成分H2が作用する。第3の磁気抵抗効果素子56及び第4の磁気抵抗効果素子57には、図10(a)にも示すように、前記第1の磁石94から、図示Y(+)方向の水平磁場成分H2が作用する。一方、第1の磁気抵抗効果素子54及び第2の磁気抵抗効果素子55には、前記第2の磁石95から、図示Y(−)方向の水平磁場成分H2が作用する。
この結果、図11に示すように、前記第1の磁気抵抗効果素子54のフリー磁性層の磁化方向54b(図7では符号m14と付したが、ここでは他の磁気抵抗効果素子の磁化方向と区別するために表記を変更した。以下同じである)、及び第2の磁気抵抗効果素子55のフリー磁性層の磁化方向55bは、共に図示Y(−)方向を向き、前記第3の磁気抵抗効果素子56のフリー磁性層の磁化方向56b、及び第4の磁気抵抗効果素子57のフリー磁性層の磁化方向57bは、共に図示Y(+)方向を向く。
これにより、各磁気抵抗効果素子54,55,56,57の固定磁性層の磁化方向54a〜57aとフリー磁性層の磁化方向54b〜57bの磁化関係はすべて同じになり、各磁気抵抗効果素子54,55,56,57の電気抵抗値は同じになる。なお図11に示す磁化関係では、各磁気抵抗効果素子54,55,56,57の電気抵抗値は最大値となる。その結果、図4に示す差動増幅器34からの差動出力はゼロになり、外部出力端子35から原点検出信号が得られる。
図11に示すように前記原点検出用磁石91の中心91cが原点Pにある状態から、例えば前記原点検出用磁石91が図示X(−)方向に移動すると、前記第1の磁気抵抗効果素子54及び第2の磁気抵抗効果素子55のフリー磁性層には、前記第1の磁石94からのY(+)方向の水平磁場成分H2が作用し始め、前記第1の磁気抵抗効果素子54及び第2の磁気抵抗効果素子55の電気抵抗値が変化し、これにより差動出力が生じ、外部出力端子35から原点非検出信号が得られる。
前記第1の磁気抵抗効果素子54及び第2の磁気抵抗効果素子55に図示Y(+)方向の水平磁場成分H2が作用して、前記第1の磁気抵抗効果素子54及び第2の磁気抵抗効果素子55のフリー磁性層14の磁化方向54c、55cは図示Y(+)方向を向き、前記第1の磁気抵抗効果素子54及び第2の磁気抵抗効果素子55の電気抵抗値は最小値となる。一方、第3の磁気抵抗効果素子56及び第4の磁気抵抗効果素子57の電気抵抗値は最大値の状態にあり、図4に示す回路において、差動出力は例えば図8に示す正の最大出力値となる。
一方、図11に示すように前記原点検出用磁石91の中心91cが原点Pにある状態から、前記原点検出用磁石51が図示X(+)方向に移動すると、前記第3の磁気抵抗効果素子56及び第4の磁気抵抗効果素子57のフリー磁性層に、第2の磁石95からの図示Y(−)方向の水平磁場成分H2が作用し始め、前記第3の磁気抵抗効果素子56及び第4の磁気抵抗効果素子57の電気抵抗値が変化し、これにより差動出力が生じ、外部出力端子35から原点非検出信号が得られる。
前記第3の磁気抵抗効果素子56及び第4の磁気抵抗効果素子57に図示Y(−)方向の水平磁場成分H2が作用して、前記第3の磁気抵抗効果素子56及び第4の磁気抵抗効果素子57のフリー磁性層14の磁化方向56c、57cは図示Y(−)方向を向き、前記第3の磁気抵抗効果素子56及び第4の磁気抵抗効果素子57の電気抵抗値は最小値となる。一方、第1の磁気抵抗効果素子54及び第2の磁気抵抗効果素子55の電気抵抗値は最大値の状態にあり、図4に示す回路において、差動出力は例えば図8と同様に負の最大出力値となる。
本実施形態の特徴的部分は、図9に示すように、原点Pから前記原点検出用磁石1の直線移動方向の両側に、夫々、補助磁石96、97が設けられている点にある。前記補助磁石96,97は、前記原点検出用磁石91と連動可能に支持されている。よって図9に示すように、前記原点検出用磁石91が図示X(+)方向に移動すると、前記補助磁石96,97も図示X(+)方向に同距離だけ移動し、前記原点検出用磁石91が図示X(−)方向に移動すると、前記補助磁石96,97も図示X(−)方向に同距離だけ移動する。
前記補助磁石96,97のうち、前記第1の磁石94と近い側に配置された図示右側の補助磁石96は、第2の磁石95と同じ着磁の磁石にて構成され、前記第2の磁石95と近い側に配置された図示左側の補助磁石97は、第1の磁石94と同じ着磁の磁石で構成されている。
そして上記のように着磁された補助磁石96,97を、原点検出用磁石91の移動方向(図示X方向)の両側に設けることで、前記磁気センサ3が前記補助磁石96,97に近づくと空間的に広がる前記補助磁石96,97からの水平磁場成分H2を受ける。図10(b)は、前記磁気センサ92が図9に示す原点検出用磁石91よりも図示右側にある補助磁石96に最接近した状態を示しているが、図10(b)に示すように前記磁気センサ92には、前記補助磁石96から前記第1の磁石94と同じようにY(+)方向の水平磁場成分H2が作用する。
一方、図示しないが、前記磁気センサ92が図9に示す原点検出用磁石91よりも図示左側にある補助磁石97に近づくと、前記磁気センサ92には、前記補助磁石97から前記第2の磁石95と同じようにY(−)方向の水平磁場成分H2が作用する。
このように、補助磁石96,97を、前記原点検出用磁石91の移動方向の両側に設けることで、前記原点検出用磁石91と補助磁石96,97との間の原点非検出空間内では、各磁気抵抗効果素子に進入する水平磁場成分H2が確保される。ここでの水平磁場成分H2は、前記原点検出用磁石91と前記補助磁石96との間の原点非検出空間内では、Y(+)方向であり、前記原点検出用磁石91と前記補助磁石97との間の原点非検出空間内では、Y(−)方向である。
本実施形態によれば、前記補助磁石96,97を設けなかった従来に比べて水平磁場成分H2が作用する広い原点非検出空間を確保でき、よって従来に比べて原点検出用磁石91の直線移動距離を長く設定しても、高精度に原点検知を行うことが可能になる。
なお前記磁気センサ92が、前記原点検出用磁石91及び、補助磁石96,97よりもさらに相対移動方向に離れても、ある程度の相対移動空間内では、補助磁石96,97からの水平磁場成分H2が作用している。すなわち原点非検出空間がより広がって存在している(後述する実験でも証明されている)。
また、前記原点検出用磁石91と前記補助磁石96との間の原点非検出空間内にて発生する水平磁場成分H2は、その空間内では、ほぼ同一方向に生じており、また、前記原点検出用磁石91と前記補助磁石97との間の原点非検出空間内にて発生する水平磁場成分H2は、その空間内では、ほぼ同一方向に生じている。図8に示すように原点検出用磁石91が原点Pからある程度離れると、差動出力は正あるいは負に最大となるが、本実施形態ではこの最大出力の状態を、原点検出用磁石91の移動距離を従来より長く設定しても安定して得ることができる。しかも図8に示すように、原点検出用磁石91が図示X(−)方向へ移動したときと、図示X(+)方向へ移動したときとで、差動出力の符号が変化するため、原点検出のみならず、前記原点検出用磁石91がどちら方向へ移動したかも検知できる。さらに各磁気抵抗効果素子54,55,56,57を同じ層構成で構成できるので、各磁気抵抗効果素子54,55,56,57の温度特性のばらつき、すなわち抵抗温度係数(TCR)のばらつきによる影響を小さくできる。
図9,図10に示すように、前記補助磁石96,97は、前記原点検出用磁石91よりも奥行き方向(Y(+)方向)にずれて配置されている。図9,図10に示すように前記補助磁石96,97の中心96c,97cは、前記原点検出用磁石91の中心91cから見てY(+)方向にずれている。また、前記磁気センサ3から見た前記補助磁石96,97の正面(X−Z面)96d,97dは、前記原点検出用磁石91の裏面(X−Z面)91eよりも奥行き方向(Y(+)方向)に位置して、前記補助磁石96,97の正面96d,97dと前記原点検出用磁石91の裏面91eとの間にY方向の間隔γが空いている。前記間隔γは、3〜6mm程度であることが好適である。
このため前記磁気センサ92が前記補助磁石96,97に最接近しても図10(b)に示すように前記磁気センサ92の真上に前記補助磁石96,97は無く、前記磁気センサ92は前記補助磁石96,97の手前側の前方域に位置する。
このように、前記補助磁石96,97を前記原点検出用磁石91から見て奥行き方向にずらして配置すると、前記補助磁石96,97と前記原点検出用磁石91間の原点非検出空間をX方向により広げても、磁気センサ92には、前記補助磁石96,97の前方域に空間的に広がる水平磁場成分H2を適切に作用させることができ、前記原点検出用磁石91の移動距離をより長く設定できる。すなわち、磁気センサの感度方向(固定層磁化方向)であるY方向に対し、磁場分布が広く均一になるように補助磁石をシフトさせて配置することに相当する。また前記原点検出用磁石91の中心91cが原点Pにあるとき、前記原点検出用磁石91と前記磁気センサ92は高さ方向にて対向し距離的により近い状態を確保できるので、前記原点検出用磁石91の中心91cが原点Pから離れたときの前記磁気センサ92に作用する水平磁場成分H2を急峻に強くでき、したがって前記原点検出用磁石91の中心91cが原点Pから離れると急峻に差動出力を生じるようにできるため、より高精度に原点検知を行うことが可能になる。
またこの実施形態では図10(b)に示すように補助磁石96から前記磁気センサ92に作用する水平磁場成分H2は、前記補助磁石96の前方領域で回り込んでくる外部磁界であるから、このような回り込む水平磁場成分H2を作るには、前記補助磁石96,97を前記原点検出用磁石91から奥行き方向(図示Y(+)方向)にある程度大きくシフトさせることが必要であり、具体的には、上記したように、前記磁気センサ3から見た前記補助磁石96,97の正面(X−Z面)96d,97dを、前記原点検出用磁石91の裏面(X−Z面)91eよりも奥行き方向(Y(+)方向)に位置させて、前記補助磁石96,97の正面96d,97dと前記原点検出用磁石91の裏面91eとの間にY方向の間隔γを空けることが好適である。
図12は、図9と前記補助磁石100,101の構成が異なるだけで他の構成は同じである。
図12でも図9と同様に、原点Pから前記原点検出用磁石91の直線移動方向(X方向)の両側に、夫々、補助磁石100、101が設けられている。前記補助磁石100,101は、前記原点検出用磁石91と連動可能に支持されている。よって図12に示すように、前記原点検出用磁石91が図示X(+)方向に移動すると、前記補助磁石100,101も図示X(+)方向に同距離だけ移動し、前記原点検出用磁石91が図示X(−)方向に移動すると、前記補助磁石100,101も図示X(−)方向に同距離だけ移動する。
前記補助磁石100,101のうち、前記第1の磁石94と近い側に配置された図示右側の補助磁石101は、第1の磁石94と同じ着磁の磁石にて構成され、前記第2の磁石95と近い側に配置された図示左側の補助磁石101は、第2の磁石95と同じ着磁の磁石で構成されている。
前記原点検出用磁石91の中心91cが原点Pにあるとき、前記磁気センサ92を構成する第3の磁気抵抗効果素子56及び第4の磁気抵抗効果素子57には第1の磁石94からY(+)方向の水平磁場成分H3が作用し、第1の磁気抵抗効果素子54及び第2の磁気抵抗効果素子55には第2の磁石95からY(−)方向の水平磁場成分H3が作用する(図11、図13(a))。
そして上記のように着磁された補助磁石100,101を、原点検出用磁石91の移動方向(図示X方向)の両側に設けることで、前記磁気センサ92が前記補助磁石100,101に近づくと前記補助磁石100,101からの空間的に広がる水平磁場成分H3を受ける。
図13(b)は、前記磁気センサ92が図12に示す原点検出用磁石91よりも図示右側にある補助磁石100に最接近した状態を示しているが、図13(b)に示すように前記磁気センサ92には、前記補助磁石100からY(+)方向の水平磁場成分H3が作用する。
一方、図示しないが、前記磁気センサ92が図12に示す原点検出用磁石91よりも図示左側にある補助磁石101に近づくと、前記磁気センサ92には、前記補助磁石101からY(−)方向の水平磁場成分H3が作用する。
このように、補助磁石100,101を、前記原点検出用磁石91の移動方向の両側に設けることで、前記原点検出用磁石91と補助磁石100,101との間の原点非検出空間内では、各磁気抵抗効果素子に進入する水平磁場成分H3が確保される。ここでの水平磁場成分H3は、前記原点検出用磁石91と前記補助磁石100との間の原点非検出空間内では、Y(+)方向であり、前記原点検出用磁石91と前記補助磁石101との間の原点非検出空間内では、Y(−)方向である。
本実施形態によれば、前記補助磁石100,101を設けなかった従来に比べて水平磁場成分H3が作用する広い原点非検出空間を確保でき、よって従来に比べて原点検出用磁石91の直線移動距離を長く設定しても、高精度に原点検知を行うことが可能になる。
なお前記磁気センサ92が、前記原点検出用磁石91及び、補助磁石100,101からさらに相対移動方向に離れても、ある程度の相対移動空間内では、補助磁石100,101からの水平磁場成分H3が作用している。
また図12に示す実施形態では、磁気センサ92から見て、前記補助磁石100,101の正面(X−Z面)100c,101cが、前記原点検出用磁石91の正面91dよりも奥行き方向(Y(+)方向)に位置している。さらに、前記磁気センサ92と前記補助磁石100,101とが最接近したとき、前記磁気センサ92が前記補助磁石100,101の手前側(Y(−)側)に位置することが好適である(図13(b))。これにより、前記補助磁石100,101と前記原点検出用磁石91間の原点非検出空間をよりX方向に広げても、磁気センサ92には、前記補助磁石100,101の前方域に空間的に広がる水平磁場成分H3を適切に作用させることができ、前記原点検出用磁石91の直線移動距離をより長く設定できる。また前記原点検出用磁石91の中心91cが原点Pにあるとき、前記原点検出用磁石91と前記磁気センサ92は高さ方向にて対向し距離的により近い状態を確保できるので、前記原点検出用磁石91の中心91cが原点Pから離れたときの前記磁気センサ92に作用する水平磁場成分H3を急峻に強くでき、したがって前記原点検出用磁石91の中心91cが原点Pから離れると急峻に差動出力を生じるようにできるため、より高精度に原点検知を行うことが可能になる。
図14は、本発明の第3実施の形態の原点検出装置の斜視図、図15(a)は、図14の前記磁気センサと前記原点検出用磁石とが対向した状態にあるときの前記原点検出用磁石と磁気センサとの側面図、図15(b)は、図14の補助磁石(図14の図示右側の補助磁石)と、前記磁気センサとが最接近した状態での前記補助磁石と磁気センサとの側面図、図16は、原点検出用磁石の中心が基準位置(原点)にあるときの磁気抵抗効果素子の固定磁性層及びフリー磁性層の磁化方向を説明するための説明図(平面図)、である。
図14に示すように原点検出装置50は、原点検出用磁石51と、前記原点検出用磁石51と図示Y方向にて間隔を空けて対向する位置に設けられた磁気センサ52とを有して構成される。前記磁気センサ52は基板53の表面53aに設置されている。
例えば図14に示す原点検出装置50は前記磁気センサ52が固定側であり、前記原点検出用磁石51が可動側である。図14では、前記原点検出用磁石51の中心51cは、前記磁気センサ52に対して基準位置(原点)にある。ここで「原点検出用磁石51の中心51c」とは前記原点検出用磁石51の膜厚中心で切断した切断面(図示X−Y平面)の幅方向(図示X方向)及び長さ方向(図示Y方向)の中心を意味するものとする。また、原点Pは、磁気センサ52の差動出力がゼロになるポイントであり、この第3実施形態では、図16に示す磁気センサ52の中心O3から前記原点検出用磁石51の直線移動方向である図示X方向に引いた第1の仮想線と、図示X−Y面内にて前記第1の仮想線に直交する方向に第2の仮想線を引いたとき、平面視にて前記第2の仮想線上に位置する前記原点検出用磁石51の中心51cを原点Pとする。なお原点Pの位置は、後述する磁気センサ52内に配置されている磁気抵抗効果素子の位置の変更等にて変更できる。
前記原点検出用磁石51は、その中心51cが、原点Pから図示X方向に直線移動可能に支持されている。
図14に示すように前記原点検出用磁石51は、第1の磁石75と第2の磁石76とで構成されており、前記第1の磁石75は、Y(−)側にS極が、Y(+)側にN極が着磁され、一方、前記第2の磁石76は、Y(−)側にN極が、Y(+)側にS極が着磁されている。図14に示すように、第1の磁石75の極性と、前記第2の磁石76の極性とが図示X方向にて異なるように前記第1の磁石75と前記第2の磁石76とが図示X方向に並設されている。
前記磁気センサ52内に設けられる磁気抵抗効果素子の層構成は図7で説明したとおりである。
図14ないし図16に示すように、この第3実施形態では、前記原点検出用磁石51の中心51cが原点Pにあるとき、前記磁気抵抗効果素子のフリー磁性層14と非磁性層13間の界面と平行な面(図示X−Y面)は、前記原点検出用磁石51の前記磁気抵抗効果素子との対向面51aと直交関係にある。
図16に示すように、前記磁気センサ52内には、4つの磁気抵抗効果素子54,55,56,57が設けられている。各磁気抵抗効果素子の配置や固定磁性層の磁化方向等は図11と同じである。また回路構成は図4と同じである。
図16に示すように、第1の磁気抵抗効果素子54の固定磁性層の磁化方向54aと、前記第2の磁気抵抗効果素子55の固定磁性層の磁化方向55aは同一方向であり、前記第1の磁気抵抗効果素子54と第2の磁気抵抗効果素子55は共通の基台65上に設置されている。また、前記第3の磁気抵抗効果素子56の固定磁性層の磁化方向56aと前記第4の磁気抵抗効果素子57の固定磁性層の磁化方向57aは前記第1の磁気抵抗効果素子54及び第2の磁気抵抗効果素子55の固定磁性層の磁化方向に対して反平行であり、前記第3の磁気抵抗効果素子56と第4の磁気抵抗効果素子57は共通の基台66上に設置されている。図16に示すように、前記第1の磁気抵抗効果素子54及び第2の磁気抵抗効果素子55の固定磁性層の磁化方向54a,55aは共に図示Y(+)方向を向いており、前記第3の磁気抵抗効果素子56及び第4の磁気抵抗効果素子57の固定磁性層の磁化方向56a,57aは共に図示Y(−)方向を向いている。
図16に示すように、前記原点検出用磁石51の中心51cが前記原点Pにあるとき、原点検出用磁石51の対向面51aから、各磁気抵抗効果素子54,55,56,57のフリー磁性層に図示X−Y面内の水平磁場成分H4が作用する。第3の磁気抵抗効果素子56及び第4の磁気抵抗効果素子57には、図示Y(+)方向の水平磁場成分H4が作用し、第1の磁気抵抗効果素子54及び第2の磁気抵抗効果素子55には、図示Y(−)方向の水平磁場成分H4が作用する。この結果、図16に示すように、前記第1の磁気抵抗効果素子54のフリー磁性層の磁化方向54b(図7では符号m14と付したが、ここでは他の磁気抵抗効果素子の磁化方向と区別するために表記を変更した。以下同じである)、及び第2の磁気抵抗効果素子55のフリー磁性層の磁化方向55bは、共に図示Y(−)方向を向き、前記第3の磁気抵抗効果素子56のフリー磁性層の磁化方向56b、及び第4の磁気抵抗効果素子57のフリー磁性層の磁化方向57bは、共に図示Y(+)方向を向く。
これにより、各磁気抵抗効果素子54,55,56,57の固定磁性層の磁化方向54a〜57aとフリー磁性層の磁化方向54b〜57bの磁化関係はすべて同じになり、各磁気抵抗効果素子54,55,56,57の電気抵抗値は同じになる。なお図16に示す磁化関係では、各磁気抵抗効果素子54,55,56,57の電気抵抗値は最大値となる。その結果、図4に示す差動増幅器34からの差動出力はゼロになり、外部出力端子35から原点検出信号が得られる。
図16に示すように前記原点検出用磁石51の中心51cが原点Pにある状態から、例えば前記原点検出用磁石51が図示X(−)方向に移動すると、前記第1の磁気抵抗効果素子54及び第2の磁気抵抗効果素子55のフリー磁性層に作用する水平磁場成分H4の方向が変化して、前記第1の磁気抵抗効果素子54及び第2の磁気抵抗効果素子55の電気抵抗値が変化し、これにより差動出力が生じ、外部出力端子35から原点非検出信号が得られる。
やがて、前記第1の磁気抵抗効果素子54及び第2の磁気抵抗効果素子55には図示Y(+)方向の水平磁場成分H4が作用して、前記第1の磁気抵抗効果素子54及び第2の磁気抵抗効果素子55のフリー磁性層14の磁化方向54c、55cは図示Y(+)方向を向き、前記第1の磁気抵抗効果素子54及び第2の磁気抵抗効果素子55の電気抵抗値は最小値となる。一方、第3の磁気抵抗効果素子56及び第4の磁気抵抗効果素子57の電気抵抗値は最大値の状態にあり、図4に示す回路において、差動出力は例えば図8に示す正の最大出力値となる。
一方、図16に示すように前記原点検出用磁石51の中心51cが原点Pにある状態から、前記原点検出用磁石51が図示X(+)方向に移動すると、前記第3の磁気抵抗効果素子56及び第4の磁気抵抗効果素子57のフリー磁性層に作用する水平磁場成分H4の方向が変化して、前記第3の磁気抵抗効果素子56及び第4の磁気抵抗効果素子57の電気抵抗値が変化し、これにより差動出力が生じ、外部出力端子35から原点非検出信号が得られる。やがて、前記第3の磁気抵抗効果素子56及び第4の磁気抵抗効果素子57には図示Y(−)方向の水平磁場成分H4が作用して、前記第3の磁気抵抗効果素子56及び第4の磁気抵抗効果素子57のフリー磁性層14の磁化方向56c、57cは図示Y(−)方向を向き、前記第3の磁気抵抗効果素子56及び第4の磁気抵抗効果素子57の電気抵抗値は最小値となる。一方、第1の磁気抵抗効果素子54及び第2の磁気抵抗効果素子55の電気抵抗値は最大値の状態にあり、図4に示す回路において、差動出力は例えば図8と同様に負の最大出力値となる。
図14に示すように、原点Pから前記原点検出用磁石51の直線移動方向(X方向)の両側に、夫々、補助磁石77,78が設けられている。前記補助磁石77,78は、前記原点検出用磁石51と連動可能に支持されている。よって図14に示すように、前記原点検出用磁石51が図示X(+)方向に移動すると、前記補助磁石77,78も図示X(+)方向に同距離だけ移動し、前記原点検出用磁石51が図示X(−)方向に移動すると、前記補助磁石77,78も図示X(−)方向に同距離だけ移動する。
前記補助磁石77,78のうち、前記第1の磁石75と近い側に配置された図示右側の補助磁石77は、第1の磁石75と同じ着磁の磁石にて構成され、前記第2の磁石76と近い側に配置された図示左側の補助磁石78は、第2の磁石76と同じ着磁の磁石で構成されている。
前記原点検出用磁石51の中心51cが原点Pにあるとき、前記磁気センサ52を構成する第3の磁気抵抗効果素子56及び第4の磁気抵抗効果素子57には第1の磁石94からY(+)方向の水平磁場成分H4が作用し、第1の磁気抵抗効果素子54及び第2の磁気抵抗効果素子55には第2の磁石95からY(−)方向の水平磁場成分H4が作用する(図16、図15(a))。
そして上記のように着磁された補助磁石77,78を、原点検出用磁石51の移動方向(図示X方向)の両側に設けることで、前記磁気センサ52が前記補助磁石77,78に近づくと前記補助磁石77,78からの空間的に広がる水平磁場成分H4を受ける。
図15(b)は、前記磁気センサ52が図14に示す原点検出用磁石51よりも図示右側にある補助磁石77に対向した状態を示しているが、図15(b)に示すように前記磁気センサ52には、前記補助磁石77からY(+)方向の水平磁場成分H4が作用する。
一方、図示しないが、前記磁気センサ52が図14に示す原点検出用磁石51よりも図示左側にある補助磁石78に近づくと、前記磁気センサ52には、前記補助磁石78からY(−)方向の水平磁場成分H4が作用する。
このように、補助磁石77,78を、前記原点検出用磁石51の移動方向の両側に設けることで、前記原点検出用磁石51と補助磁石77,78との間の原点非検出空間内では、各磁気抵抗効果素子に進入する水平磁場成分H4が確保される。ここでの水平磁場成分H4は、前記原点検出用磁石51と前記補助磁石77との間の原点非検出空間内では、Y(+)方向であり、前記原点検出用磁石51と前記補助磁石178との間の原点非検出空間内では、Y(−)方向である。
本実施形態によれば、前記補助磁石77,78を設けなかった従来に比べて水平磁場成分H4が作用するX方向への広い原点非検出空間を確保でき、よって従来に比べて原点検出用磁石91の直線移動距離を長く設定しても、高精度に原点検知を行うことが可能になる。
また図14に示す実施形態では、磁気センサ52から見て、前記補助磁石77,78の正面(X−Z面)77d,78dが、前記前記原点検出用磁石51の正面51dよりも奥行き方向(Y(+)方向)に位置している。これにより、前記補助磁石77,78と前記原点検出用磁石51間の原点非検出空間をよりX方向に広げても、磁気センサ52には、前記補助磁石77,78の前方域に空間的に広がる水平磁場成分H4を適切に作用させることができ、前記原点検出用磁石51の直線移動距離をより長く設定できる。また前記原点検出用磁石51の中心51cが原点Pにあるとき、前記原点検出用磁石51と前記磁気センサ52間を距離的により近い状態にできるので、前記原点検出用磁石51の中心51cが原点Pから離れたときの前記磁気センサ52に作用する水平磁場成分H4を急峻に強くでき、したがって前記原点検出用磁石51の中心51cが原点Pから離れると急峻に差動出力を生じるようにできるため、より高精度に原点検知を行うことが可能になる。
上記した第1実施形態ないし第3実施形態の原点検出装置ではいずれも原点検出用磁石及び補助磁石が移動可能に支持されているが、磁気センサ側が移動可能に支持されていてもよい。また、前記磁石及び磁気センサの双方が移動可能であってもよい。
また上記の実施形態では、前記原点検出用磁石が直線移動するものであったが、図17に示すように前記原点検出用磁石1及び補助磁石80,81が回転板70に固定されて、前記回転板70がその中心70aを回転中心として回転するものであってもよい。図17に示す状態では、前記原点検出用磁石1の中心1cが前記磁気センサ3の中心O1と高さ方向(図示Z方向)にて一致した状態であり、前記原点検出用磁石1の中心1cが原点Pにある。このとき、第1の仮想線は、前記原点Pを相対回転方向上の接点としたときの接線方向と平行な方向である。また、図3での固定磁性層の磁化方向B,C,D,Eは、前記原点Pを相対回転方向上の接点としたときの接線方向と平行な方向(図示X方向)を向いている。前記原点検出用磁石1の中心1cが原点Pにある状態では図3で説明したように各磁気抵抗効果素子17,18,19,20のフリー磁性層14に水平磁場成分が作用し、図3に示す固定磁性層とフリー磁性層との磁化関係により、各磁気抵抗効果素子17,18,19,20の電気抵抗値は同じとなり差動出力はゼロとなっている。そして前記回転板70の時計方向、あるいは反時計方向への回転により、前記原点検出用磁石1が原点Pから離れると、図5あるいは図6で説明した、固定磁性層とフリー磁性層との磁化関係により、各磁気抵抗効果素子17,18,19,20の電気抵抗値が変動し、差動出力が生じる。
図17に示すように、前記回転板70の側面には、前記中心線CLから所定の回転角θ1,θ2だけ離れた位置に補助磁石80,81が設けられている。前記補助磁石80,81は前記原点検出用磁石1の回転方向の両側に設けられている。補助磁石80,81を設けたことで、前記原点検出用磁石1と補助磁石80,81間の原点非検出空間では、各磁気抵抗効果素子17,18,19,20に常に水平磁場成分を与えることができる。
図17に示すように、例えば前記原点検出用磁石1のN極に着磁された対向面1aが前記回転板70の側面から外部に露出している。一方、補助磁石80,81は、前記原点検出用磁石1の対向面1aとは異極、すなわちS極に着磁された着磁面(対向面80a,81a)が前記原点検出用磁石1方向に向くように前記回転板70の側面に立てた状態で設置されている。これにより、前記原点検出用磁石1の対向面1aから前記補助磁石80,81に向けて所定方向への水平磁場成分が生じる。
図9、図12、及び図14の各実施形態の原点検出用磁石及び補助磁石も図17に示す回転板70の側面に設置することができる。
本実施形態の磁気抵抗効果素子には巨大磁気抵抗効果素子以外にトンネル型磁気抵抗効果素子を使用することも可能である。
また上記では、差動出力がゼロとなったときに原点検知信号が生成され、差動出力が生じたとき、非原点検知信号が生成される構成であったが、図4に示すブリッジ回路の接続等を変更することで、差動出力が生じたときに原点検知信号が生成され、差動出力がゼロとなったときに、非原点検知信号が生成される構成とすることも可能である。
また、上記した各実施形態においては、原点検出用磁石の両側に夫々、一つずつ補助磁石を設けていたが、複数個ずつ設けてもよい。
図17に示す原点検出装置を用いて、磁気センサに及ぶ水平磁場成分の磁束密度、センサ出力値(差動電位)を求めた。
実験には、幅寸法w1を6mm、長さ寸法l1を8mm、厚さ寸法t1を4mmとした信越化学工業(株)製のネオジウム磁石(型番:N45H)から成る原点検出用磁石1及び補助磁石80,81を用いた。
前記補助磁石80,81を、中心線CLから55度(回転角θ1,θ2)だけ離れた位置に配置した。また前記回転板70の半径Rは40mmであった。
磁気センサ3には、図3に示す構成と同様のものを用いた。磁気センサ3の寸法は幅寸法w2が2mm、長さ寸法l2が2mm、厚さ寸法t2が0.75mmのものを用いた。また各磁気抵抗効果素子17,18,19,20の間隔t3は、0.2mmである。磁気抵抗効果素子はGMR素子を用い、下地層NiFeCr4nm;反強磁性層IrMn8nm;固定磁性層がCoFe1.5nm、Ru0.9nm、CoFe1.5nmの積層フェリ構造;非磁性層がCu2.0nm;フリー磁性層がCoFe1nm、NiFe3nm;保護層がTa5nmの構成のものを用いた。ここでフリー磁性層14と固定磁性層12の層間の交換バイアス磁界(Hin)は0〜0.5mTの範囲で制御されている。
実験では、前記磁気センサ3と前記原点検出用磁石1間の高さ方向(Z方向)の寸法を2mm、4mmとし、前記回転板70を時計方向、及び反時計方向に回転させて、前記磁気センサ3に及ぶ水平磁場成分の磁束密度を測定し、さらにセンサ出力(差動電位)を測定した。その実験結果が図18ないし図20に示されている。ここで回転角度θは図17の時計周りを正としている。すなわち、回転盤が正方向にθ度回転すると、磁石1が、磁気センサ3のX(−)に位置することに対応し、図8の高出力状態になる。図18は、回転角度と磁気センサに作用する水平磁場成分の磁束密度との関係を示す。図19は、回転角度とセンサ出力(差動電位)との関係、図20は、±1度の回転角度とセンサ出力(差動電位)との関係を示すグラフである。ここで回転角度±1度は±0.7mmの範囲での出力状態を示すことに相当する。これは磁石の寸法(6×8×4mm程度)や磁気センサの寸法(2×2×0.75mm程度)に対し、高い精度で原点を検知できることを意味している。
図18に示すように回転角度が±50度の範囲内では水平磁場成分が生じており、図19,図20に示すように、原点検出用磁石の中心が原点Pから離れると(回転角度が0以外になると)、センサ出力が絶対値で大きくなり、回転角度が±50度の範囲内にて安定したセンサ出力が得られることがわかった。よって補助磁石を設けることで回転角度を大きくできることがわかった。
なお、前記磁気センサ3と前記原点検出用磁石1間の高さ方向(Z方向)の寸法を2mm4mmと変えても、センサ出力にほとんど差がなく、いずれも安定した原点検出精度を得ることが出来ることがわかった。
続いて図21に示すように原点検出用磁石91と補助磁石96,97とを配置した。図21(a)は、図17と同じ正面図を示し、図21(b)は側面図を示す。原点検出用磁石91及び補助磁石96,97の着磁は、図9と同じである。
各磁石94,95,96,97の幅寸法(X方向の寸法)を7mm、長さ寸法(Y方向の寸法)を5mm、厚さ寸法を3mmとした。実験にはSmCo磁石を用いた。
また、前記回転板70の半径Rは30mmであった。また、前記補助磁石96,97を中心線CLから40度(回転角θ1,θ2)だけ離れた位置に配置した。
図21(b)に示すように、原点検出用磁石91の裏面91eから前記補助磁石96(97)の裏面96e(97e)までの距離を6mmに設定した。
磁気センサ92には、図11に示す構成と同様のものを用いた。実験では、前記磁気センサ92と前記原点検出用磁石91間の高さ方向(Z方向)の寸法を2mm、4mmとし、前記回転板70を時計方向、及び反時計方向に回転させて、前記磁気センサ92に及ぶ水平磁場成分の磁束密度を測定し、さらにセンサ出力(差動電位)を測定した。その実験結果が図22ないし図24に示されている。
図22は、回転角度と磁気センサに作用する水平磁場成分の磁束密度との関係を示す。図23は、回転角度とセンサ出力(差動電位)との関係、図24は、±1度の回転角度とセンサ出力(差動電位)との関係を示すグラフである。ここで回転角度±1度は±0.5mmの範囲での出力状態を示すことに相当する。これは図21の実施例でも磁石の寸法(7×5×3mm程度)や磁気センサの寸法(2×2×0.75mm程度)に対し、高い精度で原点を検知できることを意味している。
図22に示すように回転角度が±50度の範囲内では水平磁場成分が生じており、図23,図24に示すように、原点検出用磁石の中心が原点Pから離れると(回転角度が0以外になると)、センサ出力が絶対値で大きくなり、回転角度が±50度の範囲内にて安定したセンサ出力が得られることがわかった。よって補助磁石を設けることで、回転角度を大きくできることがわかった。
なお、図21の構成において、前記磁気センサ92と前記原点検出用磁石91間の高さ方向(Z方向)の寸法を2mm、4mmと変えたとき、前記磁気センサ92と前記原点検出用磁石91間の距離を短くすることで原点付近でのセンサ出力を急峻に変化させることができ、高精度な原点検知を行えることがわかった。
また、前記補助磁石96,97は、前記原点検出用磁石91から40度(回転角θ1,θ2)離れた位置に配置したが、図22に示すように回転角度が40度より大きくなっても、小さくはあるが水平磁場成分が作用し、図23に示すように回転角度が50度程度まで安定してセンサ出力を得ることが出来るとわかった。すなわち原点非検出空間を、磁気センサ92が、補助磁石96,97の外側側面よりも相対的にやや通りすぎても確保できることがわかった。
続いて図25に示すように原点検出用磁石51と補助磁石77,78とを配置した。図25(a)は、図17と同じ正面図を示し、図25(b)は側面図を示す。原点検出用磁石51及び補助磁石77,78の着磁は、図14と同じである。
各磁石75,76,77,78の幅寸法(X方向の寸法)を8mm、長さ寸法(Y方向の寸法)を5mm、厚さ寸法を3mmとした。実験にはSmCo磁石を用いた。
また、前記回転板70の半径Rは30mmであった。また、前記補助磁石77,78を中心線CLから40度(回転角θ1,θ2)だけ離れた位置に配置した。
図25(b)に示すように、原点検出用磁石51の正面(対向面51a)から前記補助磁石77(78)の正面77d(78d)までの距離を3mmに設定した。
磁気センサ52には、図16に示す構成と同様のものを用いた。実験では、前記磁気センサ52と前記原点検出用磁石51間の長さ方向(Y方向)の距離を4mm、6mm、8mmとし、前記回転板70を時計方向、及び反時計方向に回転させて、前記磁気センサ52に及ぶ水平磁場成分の磁束密度を測定し、さらにセンサ出力(差動電位)を測定した。その実験結果が図26ないし図28に示されている。
図26は、回転角度と磁気センサに作用する水平磁場成分の磁束密度との関係を示す。図27は、回転角度とセンサ出力(差動電位)との関係、図28は、±1度の回転角度とセンサ出力(差動電位)との関係を示すグラフである。ここで回転角度±1度は±0.5mmの範囲での出力状態を示すことに相当する。これは図25の実施例でも磁石の寸法(8×5×3mm程度)や磁気センサの寸法(2×2×0.75mm程度)に対し、高い精度で原点を検知できることを意味している。
図26に示すように回転角度が±50度の範囲内では水平磁場成分が生じており、図27,図28に示すように、原点検出用磁石の中心が原点Pから離れると(回転角度が0以外になると)、センサ出力が絶対値で大きくなり、回転角度が±50度の範囲内にて安定したセンサ出力が得られることがわかった。よって補助磁石を設けることで、回転角度を大きくできることがわかった。
なお、前記磁気センサ52と前記原点検出用磁石51間の高さ方向(Z方向)の寸法を4mm、6mm、8mmと変えたとき、前記磁気センサ92と前記原点検出用磁石91間の距離を短くすることで原点付近でのセンサ出力を急峻に変化させることができ、高精度な原点検知を行えることがわかった。
また、前記補助磁石77,78は、前記原点検出用磁石51から40度(回転角θ1,θ2)離れた位置に配置したが、図26に示すように回転角度が40度より大きくなっても、小さくはあるが水平磁場成分が作用し、図27に示すように回転角度が50度程度まで安定してセンサ出力を得ることが出来るとわかった。すなわち原点非検出空間を、磁気センサ52が、補助磁石77,78の外側側面よりも相対的にやや通りすぎても確保できることがわかった。
本発明の第1実施の形態の原点検出装置の斜視図、 図1の正面図、 原点検出用磁石の中心が基準位置(原点)にあるときの磁気抵抗効果素子の固定磁性層及びフリー磁性層の磁化方向を説明するための説明図(平面図)、 原点検出装置を構成する磁気センサの回路構成図、 図3の状態から原点検出用磁石が図示左方向(X(−)方向)に移動したときの磁気抵抗効果素子の固定磁性層及びフリー磁性層の磁化方向を説明するための説明図(平面図)、 図3の状態から原点検出用磁石が図示右方向(X(+)方向)に移動したときの磁気抵抗効果素子の固定磁性層及びフリー磁性層の磁化方向を説明するための説明図(平面図)、 本実施形態における磁気抵抗効果素子を膜厚方向から切断した断面図、 横軸をX方向への原点検出用磁石の原点からの直線移動距離、縦軸を差動出力(センサ出力)としたグラフ、 本発明の第2実施の形態の原点検出装置の斜視図、 (a)は、図9の磁気センサと原点検出用磁石とが対向した状態にあるときの前記原点検出用磁石と磁気センサとの側面図、(b)は、図9の補助磁石(図9の図示右側の補助磁石)と、前記磁気センサとが最接近した状態での前記補助磁石と磁気センサとの側面図、 原点検出用磁石の中心が基準位置(原点)にあるときの磁気抵抗効果素子の固定磁性層及びフリー磁性層の磁化方向を説明するための説明図(平面図)、 図9と一部異なる原点検出装置の斜視図、 (a)は、図12の前記磁気センサと前記原点検出用磁石とが対向した状態にあるときの前記原点検出用磁石と磁気センサとの側面図、(b)は、図12の補助磁石(図12の図示右側の補助磁石)と、前記磁気センサとが最接近した状態での前記補助磁石と磁気センサとの側面図、 本発明の第3実施の形態の原点検出装置の斜視図、 (a)は、図14の前記磁気センサと前記原点検出用磁石とが対向した状態にあるときの前記原点検出用磁石と磁気センサとの側面図、(b)は、図14の補助磁石(図14の図示右側の補助磁石)と、前記磁気センサとが最接近した状態での前記補助磁石と磁気センサとの側面図、 原点検出用磁石の中心が基準位置(原点)にあるときの磁気抵抗効果素子の固定磁性層及びフリー磁性層の磁化方向を説明するための説明図(平面図)、 別の原点検出装置の構成を示す側面図、 第1実施形態の原点検知装置を構成する原点検出用磁石及び補助磁石を回転板に取り付けた構成における、回転角度と磁気センサに作用する水平磁場成分の磁束密度との関係を示すグラフ、 第1実施形態の原点検知装置を構成する原点検出用磁石及び補助磁石を回転板に取り付けた構成における、回転角度とセンサ出力(差動電位)との関係を示すグラフ、 第1実施形態の原点検知装置を構成する原点検出用磁石及び補助磁石を回転板に取り付けた構成における、±1度の回転角度とセンサ出力(差動電位)との関係を示すグラフ、 (a)は、着磁を図9と同じとした原点検出用磁石及び補助磁石を回転板に取り付けた状態での原点検知装置の正面図、(b)はその側面図、 図21の原点検出装置における、回転角度と磁気センサに作用する水平磁場成分の磁束密度との関係を示すグラフ、 図21の原点検出装置における、回転角度とセンサ出力(差動電位)との関係を示すグラフ、 図21の原点検出装置における、±1度の回転角度とセンサ出力(差動電位)との関係を示すグラフ、 (a)は、着磁を図14と同じとした原点検出用磁石及び補助磁石を回転板に取り付けた状態での原点検知装置の正面図、(b)はその側面図、 図25の原点検出装置における、回転角度と磁気センサに作用する水平磁場成分の磁束密度との関係を示すグラフ、 図25の原点検出装置における、回転角度とセンサ出力(差動電位)との関係を示すグラフ、 図25の原点検出装置における、±1度の回転角度とセンサ出力(差動電位)との関係を示すグラフ、
符号の説明
1、51、91 原点検出用磁石
2、53、93 基板
3、52、92 磁気センサ
4、50、90 原点検出装置
11 反強磁性層
11a 下地層
12 固定磁性層
12a 第1固定磁性層
12b 非磁性中間層
12c 第2固定磁性層
13 非磁性層
14 フリー磁性層
15 保護層
17、54 第1の磁気抵抗効果素子
18、55 第2の磁気抵抗効果素子
19、56 第3の磁気抵抗効果素子
20、57 第4の磁気抵抗効果素子
25、26、27、28、60、61、62、63 象限
31、36 出力取出し部
32 入力端子
33 グランド端子
34 差動増幅器
35 外部出力端子
70 回転板
75、94 第1の磁石
76、95 第2の磁石
77、78、80、81、96、97 補助磁石
B、C、D、E、54a、55a、56a、57a 固定磁性層の磁化方向
F、G、I、J、K、L、M、Q、R、S、T、U、V、W、X、Y、54b、54c、55b、55c、56b、56c、57b、57c フリー磁性層の磁化方向
O1、O2、O3 磁気センサの中心
P 原点
α、β 原点非検出空間

Claims (8)

  1. 外部磁界に対して電気抵抗値が変化する磁気抵抗効果素子を備える磁気センサと、前記磁気センサと間隔を空けて対向する原点検出用磁石とを備え、前記原点検出用磁石はその中心が前記磁気センサに対する相対基準位置(原点)から相対移動可能に支持されており、
    前記原点から前記原点検出用磁石の相対移動方向の両側には夫々、補助磁石が設けられており、前記補助磁石は、前記原点検出用磁石が固定側であるとき、前記原点検出用磁石とともに固定され、前記原点検出用磁石が可動側であるとき、前記原点検出用磁石と連動可能に支持されており、
    前記原点検出用磁石と前記補助磁石間の原点非検出空間内にて前記磁気抵抗効果素子に進入する水平磁場成分が確保されるように、前記原点検出用磁石及び前記補助磁石が着磁されていることを特徴とする原点検出装置。
  2. 前記原点検出用磁石の中心の相対直線移動方向、あるいは前記原点検出用磁石の中心が相対回転移動するとき前記原点を相対回転方向上の接点としたときの接線方向をX方向、前記X方向と直交する高さ方向をZ方向、及び前記X方向及び前記Z方向の双方に直交する方向をY方向とし、
    前記原点検出用磁石の中心が前記原点に位置するとき、前記原点検出用磁石と前記磁気センサとはZ方向に対向する位置関係にあり、
    前記原点検出用磁石の前記磁気センサとの対向面(X−Y面)がN極あるいはS極のどちらかに着磁されているとともに、前記対向面との反対面が、前記対向面とは異極に着磁されており、
    前記補助磁石の原点検出用磁石方向に向く対向面が、前記原点検出用磁石の前記磁気センサとの対向面と異極に着磁されている請求項1記載の原点検出装置。
  3. 前記原点検出用磁石の中心の相対直線移動方向、あるいは前記原点検出用磁石の中心が相対回転移動するとき前記原点を相対回転方向上の接点としたときの接線方向をX方向、前記X方向と直交する高さ方向をZ方向、及び前記X方向及び前記Z方向の双方に直交する方向をY方向とし、
    前記原点検出用磁石の中心が前記原点に位置するとき、前記原点検出用磁石と前記磁気センサとはZ方向に対向する位置関係にあり、
    前記原点検出用磁石は、N極とS極とがY方向に並ぶ第1の磁石と、前記第1の磁石とX方向にて並設され、前記第1の磁石とX方向にて対向する極が、前記第1の磁石とは異極となる第2の磁石とで構成され、
    前記原点検出用磁石を構成する第1の磁石と近い側に配置された前記補助磁石は前記第2の磁石と同じ着磁の磁石で構成され、前記原点検出用磁石を構成する第2の磁石と近い側に配置された前記補助磁石は前記第1の磁石と同じ着磁の磁石で構成される請求項1記載の原点検出装置。
  4. 前記原点検出用磁石を構成する第1の磁石と近い側に配置された前記補助磁石は前記第1の磁石と同じ着磁の磁石で構成され、前記原点検出用磁石を構成する第2の磁石と近い側に配置された前記補助磁石は前記第2の磁石と同じ着磁の磁石で構成される請求項3記載の原点検出装置。
  5. 前記補助磁石と前記磁気センサとが最接近したときに前記磁気センサが、前記補助磁石の手前側に位置するように、前記補助磁石は前記原点検出用磁石から見て奥行き方向にずれて配置されている請求項3又は4に記載の原点検出装置。
  6. 前記原点検出用磁石の中心の相対直線移動方向、あるいは前記原点検出用磁石の中心が相対回転移動するとき前記原点を相対回転方向上の接点としたときの接線方向をX方向、前記X方向と直交する高さ方向をZ方向、及び前記X方向及び前記Z方向の双方に直交する方向をY方向とし、
    前記原点検出用磁石の中心が前記原点に位置するとき、前記原点検出用磁石と前記磁気センサとはY方向に対向する位置関係にあり、
    前記原点検出用磁石は、N極とS極とがY方向に並ぶ第1の磁石と、前記第1の磁石とX方向にて並設され、前記第1の磁石とX方向にて対向する極が、前記第1の磁石とは異極となる第2の磁石とで構成され、
    前記原点検出用磁石を構成する第1の磁石と近い側に配置された前記補助磁石は前記第1の磁石と同じ着磁の磁石で構成され、前記原点検出用磁石を構成する第2の磁石と近い側に配置された前記補助磁石は前記第2の磁石と同じ着磁の磁石で構成される請求項1記載の原点検出装置。
  7. 前記補助磁石は前記原点検出用磁石及び磁気センサから見て奥行き方向にずれて配置されている請求項6記載の原点検出装置。
  8. 前記磁気抵抗効果素子は、磁化方向が一方向に固定された固定磁性層と、磁化方向が水平磁場成分の方向により変動するフリー磁性層と、前記固定磁性層と前記フリー磁性層との間に位置する非磁性層の積層構造を有して構成されている請求項1ないし7のいずれかに記載の原点検出装置。
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