JP2011064653A - 磁気センサおよびその製造方法 - Google Patents

磁気センサおよびその製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2011064653A
JP2011064653A JP2009217926A JP2009217926A JP2011064653A JP 2011064653 A JP2011064653 A JP 2011064653A JP 2009217926 A JP2009217926 A JP 2009217926A JP 2009217926 A JP2009217926 A JP 2009217926A JP 2011064653 A JP2011064653 A JP 2011064653A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
layer
ferromagnetic
magnetization
layers
magnetoresistive
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2009217926A
Other languages
English (en)
Inventor
Naoki Ota
尚城 太田
Koichi Terunuma
幸一 照沼
Satoshi Miura
聡 三浦
Masanori Sakai
正則 酒井
Hiroshi Yamazaki
寛史 山崎
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
TDK Corp
Original Assignee
TDK Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by TDK Corp filed Critical TDK Corp
Priority to JP2009217926A priority Critical patent/JP2011064653A/ja
Priority to US12/880,599 priority patent/US20110068786A1/en
Priority to EP10009711A priority patent/EP2302406B1/en
Publication of JP2011064653A publication Critical patent/JP2011064653A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01RMEASURING ELECTRIC VARIABLES; MEASURING MAGNETIC VARIABLES
    • G01R33/00Arrangements or instruments for measuring magnetic variables
    • G01R33/02Measuring direction or magnitude of magnetic fields or magnetic flux
    • G01R33/06Measuring direction or magnitude of magnetic fields or magnetic flux using galvano-magnetic devices
    • G01R33/09Magnetoresistive devices
    • G01R33/093Magnetoresistive devices using multilayer structures, e.g. giant magnetoresistance sensors
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B82NANOTECHNOLOGY
    • B82YSPECIFIC USES OR APPLICATIONS OF NANOSTRUCTURES; MEASUREMENT OR ANALYSIS OF NANOSTRUCTURES; MANUFACTURE OR TREATMENT OF NANOSTRUCTURES
    • B82Y25/00Nanomagnetism, e.g. magnetoimpedance, anisotropic magnetoresistance, giant magnetoresistance or tunneling magnetoresistance
    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01RMEASURING ELECTRIC VARIABLES; MEASURING MAGNETIC VARIABLES
    • G01R33/00Arrangements or instruments for measuring magnetic variables
    • G01R33/0052Manufacturing aspects; Manufacturing of single devices, i.e. of semiconductor magnetic sensor chips

Landscapes

  • Physics & Mathematics (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Condensed Matter Physics & Semiconductors (AREA)
  • General Physics & Mathematics (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Nanotechnology (AREA)
  • Crystallography & Structural Chemistry (AREA)
  • Manufacturing & Machinery (AREA)
  • Hall/Mr Elements (AREA)
  • Measuring Magnetic Variables (AREA)

Abstract

【課題】コンパクトな構成でありながら磁場の検出性能に優れ、かつ容易に製造可能な磁気センサを提供する。
【解決手段】第1から第4のMR素子を構成する積層体11,21,31,41は、信号磁場に応じて磁化J61の向きが変化する磁化自由層61と、非磁性の介在層62と、磁化固着層63と、を順にそれぞれ含むものである。磁化固着層63は、非磁性の結合層633を介して交互に積層されて互いに反強磁性結合する第1および第2の強磁性層631,632をそれぞれ1つまたは複数有する。但し、第1および第3のMR素子を構成する積層体11,31における磁化固着層63は、第1の強磁性層631を第2の強磁性層632よりも1つ多く含み、第2および第4のMR素子を構成する磁化固着層63は、磁化自由層61の側から順に第2の強磁性層632と第1の強磁性層631とを同数ずつ含む。
【選択図】図3

Description

本発明は、磁場の変化を高感度に検出可能な磁気センサおよびその製造方法に関する。
一般に、制御機器の回路に流れる微小な制御電流を正確に検知するにあたっては、その回路内に抵抗を直列接続し、この抵抗の電圧降下を測定する方法を用いる。しかし、この場合には、制御系とは異なる負荷が加わることとなり制御系に対して何らかの悪影響を与える可能性が生じてしまう。このため、制御電流によって発生する電流磁界の勾配を検出することによって間接的に測定する方法が用いられている。具体的には、例えば、トロイダルコアに被測定線を巻き、制御電流をその測定線に供給することによりトロイダルコアの中心部分に生じる磁束をホール素子によって検出するする方法である。
ところが、上記の方法を実現する電流センサでは、小型化が困難であることや直線性あるいは高周波応答性の面で不十分であるなどの問題点が指摘されるようになった。このため、巨大磁気抵抗効果(Giant Magneto-Resistive effect)を発現する巨大磁気抵抗効果素子(以下、GMR素子)を制御電流による誘導磁場中に配置し、その勾配を検出するようにした磁気センサが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。また、これに関連するものとして、GMR素子を備えた磁気センサを利用し、金属基板の表面等の探傷を行うようにした技術も開示されている。このようなGMR素子を用いた磁気センサであれば、比較的検出感度や応答性が向上するうえ、温度変化に対しても安定した検出特性が得られる。特に、誘導磁場を検出を、4つのGMR素子を含むホイートストンブリッジ回路を用いて行うことにより、GMR素子を1つのみ用いて行う場合と比べ、感度および精度をいっそう向上させることができる。
但し、そのホイートストンブリッジ回路は、4つのうちの2つのGMR素子(第1および第2のGMR素子)が、残りの2つのGMR素子(第3および第4のGMR素子)と正反対の振る舞いをするように構成する必要がある。すなわち、例えば第1および第2のGMR素子におけるピンド層の磁化と、第3および第4のGMR素子におけるピンド層の磁化とが正反対の向きに固定されていなければならない。また、ホイートストンブリッジ回路を構成する4つのGMR素子は、可能な限り互いに均質な磁気特性を有することが望ましい。こうした事情から、本出願人は、同一ウェハ上に複数のGMR素子を一括形成し、それら複数のGMR素子を個別にウェハごと切り出したのち、それらのなかから選択された4つのGMR素子を一の基板に適切な向きとなるように配置した磁気センサを既に提案している(例えば特許文献2参照)。あるいは、第1の方向の磁場中において2つのGMR素子を堆積させたのち、第1の方向と逆方向の磁場中において残りの2つのGMR素子を堆積させるようにした磁気センサの製造方法も提案されている(例えば特許文献3参照)。さらに、例えば特許文献4には、所定方向の外部磁場を印加した状態で個別に加熱処理(例えばレーザパルスや電子ビーム等を照射する処理)を行い、一の基板上に配置された4つのGMR素子におけるピンド層の磁化が各々適切な向きとなるようにする方法が提案されている。
米国特許第5621377号明細書 特開2008−111801号公報 特表2003−502674号公報 特表2003−502876号公報
しかしながら、上述の特許文献2,3に記載された磁気センサ等では、製造過程がやや煩雑であり、生産性の面で不利である。また、上記特許文献3では、先に形成したGMR素子におけるピンド層の磁化の向きが、後に形成するGMR素子の形成時に印加される逆方向の磁場の影響を受けてしまい、所定の向きから外れてしまうおそれもある。また、特許文献4の場合には、レーザ照射装置や電子ビーム照射装置などの特殊設備が必要となるうえ、やはり生産性の面で不利である。
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その第1の目的は、コンパクトな構成でありながら磁場の検出性能に優れ、かつ容易に製造可能な磁気センサを提供することにある。本発明の第2の目的は、そのような磁気センサを簡便に製造可能な磁気センサの製造方法を提供することにある。
本発明の第1の磁気センサは、信号磁場に応じて磁化の向きが変化する磁化自由層と、非磁性の介在層と、非磁性の結合層を介して交互に積層されて互いに反強磁性結合する第1および第2の強磁性層をそれぞれ1つまたは複数有する磁化固着層と、第1および第2の強磁性層の各々における磁化の向きを固着する反強磁性層とを順にそれぞれ含む第1および第2の磁気抵抗効果素子を備える。第1の磁気抵抗効果素子における磁化固着層は、第1の強磁性層を第2の強磁性層よりも1つ多く含むものであり、第2の磁気抵抗効果素子における磁化固着層は、磁化自由層の側から順に第2の強磁性層と第1の強磁性層とを同数ずつ含むものである。
本発明の第2の磁気センサは、信号磁場に応じて磁化の向きが変化する磁化自由層と、非磁性の介在層と、非磁性の結合層を介して交互に積層されて互いに反強磁性結合する第1および第2の強磁性層をそれぞれ1つまたは複数有する磁化固着層と、第1および第2の強磁性層の各々における磁化の向きを固着する反強磁性層とを順にそれぞれ含む第1から第4の磁気抵抗効果素子を備える。第1および第3の磁気抵抗効果素子における磁化固着層は、それぞれ、第1の強磁性層を第2の強磁性層よりも1つ多く含むものであり、第2および第4の磁気抵抗効果素子における磁化固着層は、それぞれ、磁化自由層の側から順に第2の強磁性層と第1の強磁性層とを同数ずつ含むものである。ここで、第1および第2の磁気抵抗効果素子の一端同士が第1の接続点において接続され、第3および第4の磁気抵抗効果素子の一端同士が第2の接続点において接続され、第1の磁気抵抗効果素子の他端と第4の磁気抵抗効果素子の他端とが第3の接続点において接続され、第2の磁気抵抗効果素子の他端と第3の磁気抵抗効果素子の他端とが第4の接続点において接続されることによりブリッジ回路が形成されている。
本発明の第1および第2の磁気センサでは、互いに反強磁性結合する第1および第2の強磁性層が非磁性の結合層を介して交互に積層されてなる磁化固着層を反強磁性層と隣接するように設け、第1の磁気抵抗効果素子(および第3の磁気抵抗効果素子)では第1の強磁性層が第2の強磁性層よりも1つ多く存在し、第2の磁気抵抗効果素子(および第4の磁気抵抗効果素子)では第1および第2の強磁性層が同数存在するように構成した。さらに、第1の磁気抵抗効果素子(および第3の磁気抵抗効果素子)では第1の強磁性層が第2の強磁性層よりも磁化自由層の近くに位置する一方、第2の磁気抵抗効果素子(および第4の磁気抵抗効果素子)では第2の強磁性層が第1の強磁性層よりも磁化自由層の近くに位置するようにした。このため、信号磁場に対して第1の磁気抵抗効果素子(および第3の磁気抵抗効果素子)と第2の磁気抵抗効果素子(および第4の磁気抵抗効果素子)とが互いに反対向きの抵抗変化を示すこととなる。ここで、「抵抗変化」とは、「抵抗値の増減」を意味する。すなわち、「互いに反対向きの抵抗変化を示す」とは、信号磁場が印加された際、例えば第1の磁気抵抗効果素子の抵抗値が増加する場合には第2の磁気抵抗効果素子の抵抗値は必ず減少する関係にあることを意味する。このような構成の第1および第2の磁気センサは、例えば、製造過程において一定方向の印加磁場を付与しながら熱アニール処理を行うことにより、各磁化固着層における第1および第2の強磁性層の磁化がそれぞれ所定の向きに一括して設定され得るものである。
本発明の第1および第2の磁気センサでは、第1および第2の磁気抵抗効果素子(第1から第4の磁気抵抗効果素子)は、同一基板上に設けられていることが望ましい。
本発明の磁気センサの製造方法は、反強磁性層と、複数の強磁性層が非磁性の結合層を介して反強磁性結合する磁化固着層と、非磁性の介在層と、信号磁場に応じて磁化の向きが変化する磁化自由層とを順にそれぞれ含む第1および第2の磁気抵抗効果素子を、基板上における互いに異なる領域を占めるように選択的に形成する工程と、第1および第2の磁気抵抗効果素子に対して一定方向の磁場を印加しつつ加熱することにより、磁化固着層における強磁性層の磁化の向きを一括して設定する工程とを含むものである。ここで、第1の磁気抵抗効果素子を形成する際には、奇数個の強磁性層を有するように磁化固着層を形成し、第2の磁気抵抗効果素子を形成する際には、偶数個の強磁性層を有するように磁化固着層を形成する。
本発明の磁気センサの製造方法では、第1の磁気抵抗効果素子における磁化固着層を奇数個の強磁性層を有するように形成し、第2の磁気抵抗効果素子における磁化固着層を偶数個の強磁性層を有するように形成したので、第1の磁気抵抗効果素子の磁化固着層において最も磁化自由層の近くに位置する強磁性層の磁化の向きが、第2の磁気抵抗効果素子の磁化固着層において最も磁化自由層の近くに位置する強磁性層の磁化の向きと反対向きとなる。このため、信号磁場に対して第1の磁気抵抗効果素子と第2の磁気抵抗効果素子とが互いに反対向きの抵抗変化を示すこととなる。
本発明の磁気センサの製造方法では、例えば第1の磁気抵抗効果素子における磁化固着層を、第1の方向の磁化を有する第1の強磁性層と、第1の方向と反対の第2の方向の磁化を有する第2の強磁性層とが結合層を介して交互に積層される5層構造とし、第2の磁気抵抗効果素子における磁化固着層を、磁化自由層の側から配置される第2の強磁性層と結合層と第1の強磁性層との3層構造とするとよい。
本発明の第1および第2の磁気センサによれば、結合層を介して互いに反強磁性結合する第1および第2の強磁性層の数を調整することにより、信号磁場に対して第1の磁気抵抗効果素子(および第3の磁気抵抗効果素子)と第2の磁気抵抗効果素子(および第4の磁気抵抗効果素子)とが互いに反対向きの抵抗変化を示すようにしたので、第1および第2の磁気抵抗効果素子(第1から第4の磁気抵抗効果素子)をハーフブリッジ接続(フルブリッジ接続)することにより、容易に製造可能、かつ、コンパクトな構成を確保しつつ、良好な磁場検出を実現することができる。また、本発明の磁気センサの製造方法によれば、上記本発明の第1の磁気センサを簡便かつ高精度に製造することができる。
本発明の一実施の形態としての磁気センサの全体構成を表す平面図である。 図1に示した磁気センサの要部構成を拡大して表す斜視図である。 図2に示した第1〜第4のMR素子に含まれる積層体の積層構造を表す断面図である。 図1に示した磁気センサにおける磁場検出回路の構成を示す回路図である。 図1に示した磁気センサの製造方法を説明する一工程を表す断面図である。 図5に続く一工程を表す断面図である。 図6に続く一工程を表す平面図および断面図である。 図7に続く一工程を表す平面図および断面図である。 図8に続く一工程を表す平面図および断面図である。 図9に続く一工程を表す平面図および断面図である。 図10に続く一工程を表す平面図および断面図である。 図11に続く一工程を表す平面図および断面図である。 図12に続く一工程を表す平面図および断面図である。 図13に続く一工程を表す平面図および断面図である。 図14に続く一工程を表す平面図および断面図である。 図15に続く一工程を表す平面図および断面図である。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
最初に、図1などを参照して、本発明における一実施の形態としての磁気センサの構成について説明する。図1は、本実施の形態の磁気センサの全体構成を表す上面図である。また、図2は、この磁気センサの要部構成を拡大して表す斜視図である。
本実施の形態の磁気センサは、基板100の上に、第1〜第4の磁気抵抗効果(MR;Magneto-Resistive effect)素子1〜4、パッド51〜54、導線L1〜L6、差分検出器AMP(後出)などが設けられたものである。この磁気センサは、例えば+Y方向へ印加される信号磁場Hmの大きさを検出するものである。より具体的には、例えばX軸方向へ延在する導体(図示せず)の近傍に配置され、その導体を流れる電流によって誘導される誘導磁場を信号磁場Hmとして検出し、その電流を間接的に測定する電流センサとして用いられる。例えば、パッド51は電源Vcc(後出)と接続され、パッド52は接地され、パッド53,54は、差分検出器AMPの入力側端子とそれぞれ接続されている。
基板100は、磁気センサ全体を支持する矩形状のものであり、例えば、ガラス、硅素(Si)、酸化アルミニウム(Al2 3 )またはAlTiC(Al2 3 −TiC)などのセラミックスによって構成されている。なお、基板100を覆うように、例えば酸化硅素(SiO2 )やAl2 3 などのセラミックスを含有する絶縁層(図示せず)を設けるようにしてもよい。
第1〜第4のMR素子1〜4は、それぞれ、磁気トンネル接合構造を有する積層体11,21,31,41を複数(図1,2では、8つの場合を例示する)含んでいる。図1,2では、第1〜第4のMR素子1〜4が、積層体11,21,31,41を8つずつ含む場合について例示しているが、これに限定されるものではない。信号磁場Hmが印加されると、第1および第3のMR素子1,3の各抵抗値は、信号磁場Hmに応じて互いに同じ向きに変化し、第2および第4のMR素子2,4の各抵抗値は、いずれも、信号磁場Hmに応じて第1および第3のMR素子1,3とは反対向きに変化する。なお、第1〜第4のMR素子1〜4は、積層体11,21,31,41の構成を除き、他は実質的に同様の構成を有している。このため、以下では、積層体11,21,31,41の説明を除き、主に図2を参照して、第1〜第4のMR素子1〜4を代表して第1のMR素子1について説明を行う。
図2に示したように、例えば第1のMR素子1では、各積層体11(11A〜11H)が、厚み方向(積層方向)において上部電極12(12A〜12H)と下部電極13(13A〜13H)との間に挟まれるように配置され、各上部電極12の一端と各下部電極13の一端とを繋いでいる。一端が積層体11と接続された上部電極12の他端は、隣の積層体11と一端が接続された下部電極13の他端と、柱状の接続部14(14A〜14H)によって接続されている。すなわち、全ての積層体11A〜11Hが、上部電極12A〜12H、下部電極13A〜13H、および接続部14A〜14Hによって直列に接続されている。第1のMR素子1の一端に位置する上部電極12Aは、積層体11Aと接続されると共に導線L1(図1参照)とも接続されている。また、第1のMR素子1の他端に位置する下部電極13Hは、積層体11Hと接続されると共に導線L2(図1参照)とも接続されている。このような構成により、導線L1から電流が供給されると、その電流は積層体11A〜11Hを順次経由して導線L2へ流れることとなる。その際、各積層体11では、上部電極12から下部電極13へ向かう方向(−Z方向)へ電流が流れる。上部電極12、下部電極13および接続部14は、いずれも、例えば銅(Cu)などの非磁性の高導電性材料によって構成されている。
図1に示したように、第2〜第4のMR素子2〜4は、第1のMR素子1における上部電極12、下部電極13および接続部14の各々に対応して、それぞれ上部電極22,32,42、下部電極23,33,43および接続部24,34,44を備えている。第2のMR素子2においては、その一端に位置する上部電極22が導線L1と接続され、その他端に位置する下部電極23は導線L3と接続されている。また、第3のMR素子3においては、その一端に位置する上部電極32が導線L3と接続され、その他端に位置する下部電極33が導線L4と接続されている。さらに、第4のMR素子4においては、その一端に位置する上部電極42が導線L2と接続され、その他端に位置する下部電極43が導線L4と接続されている。また、導線L2は、導線L5を介してパッド53と接続されており、導線L3は、導線L6を介してパッド54と接続されている。
導線L1〜L6は、例えば銅(Cu)などの非磁性の高導電性材料によって構成されている。導線L1,L3〜L6は、例えば上部電極12,22,32,42と同じ階層に位置し、導線L2は、例えば下部電極13,23,33,43と同じ階層に位置する。なお、例えば導線L2および導線L5は、互いに異なる階層に位置するが、それらは厚み方向において銅などからなる柱状部材(図示せず)によって繋がれている。
次に、図3(A),3(B)を参照して、積層体11,21,31,41の構成を説明する。図3(A)に、積層体11,31の概略断面構成を表し、図3(B)に、積層体21,41の概略断面構成を表す。積層体11,21,31,41は、いずれも、上部電極12,22,32,42の側から、磁化自由層61と、介在層62と、磁化固着層63と、反強磁性層64とを順に有するものである。なお、磁化自由層61の、上部電極12,22,32,42側の面を覆うように保護膜を設けるようにしてもよい。また、反強磁性層64と基板100との間に、シード層を設けるようにしてもよい。
磁化自由層61は、信号磁場などの外部磁場に応じて磁化J61の向きが変化する軟質強磁性層であり、例えばX軸方向の磁化容易軸を有するものである。磁化自由層61は、例えばコバルト鉄合金(CoFe)、ニッケル鉄合金(NiFe)あるいはコバルト鉄硼素(CoFeB)、などによって構成される。
介在層62は、例えば酸化マグネシウム(MgO)からなる非磁性のトンネルバリア層であり、量子力学に基づくトンネル電流が通過可能な程度に厚みの薄いものである。MgOからなるトンネルバリア層は、例えば、MgOからなるターゲットを用いたスパッタリング処理のほか、マグネシウム(Mg)の薄膜の酸化処理、あるいは酸素雰囲気中でマグネシウムのスパッタリングを行う反応性スパッタリング処理などによって得られる。また、MgOのほか、アルミニウム(Al),タンタル(Ta),ハフニウム(Hf)の各酸化物もしくは窒化物を用いて介在層62を構成することも可能である。
磁化固着層63は、第1の強磁性層631と第2の強磁性層632とが非磁性の結合層633を介して交互に積層されて反強磁性結合するシンセティック構造を有している。但し、積層体11,31における磁化固着層63と、積層体21,41における磁化固着層63とでは、各々を構成する第1および第2の磁化固着層631,632の数が異なっている。
例えば積層体11,31における磁化固着層63は、第1の強磁性層631を第2の強磁性層632よりも1つ多く含むものである。詳細には、磁化自由層61の側から順に第1の強磁性層631A、結合層633、第2の強磁性層632、結合層633、第1の強磁性層631Bが積層された5層構造をなしている。ここで、第1の強磁性層631(631A,631B)の磁化J631の向きは、積層面内において、第2の強磁性層632の磁化J632の向きと反平行となっている。なお、図3(A)では、積層体11,31における磁化固着層63として5層構造のものを例示したがこれに限定されるものではない。すなわち、積層体11,31における磁化固着層63は、第1の強磁性層631を第2の強磁性層632よりも1つ多く含むものであればよく、例えば結合層633を含めて9層構造としてもよい。
一方、積層体21,41における磁化固着層63は、磁化自由層61の側から順に第2の強磁性層632と第1の強磁性層631とが結合層633を介して交互に同数ずつ積層されたものである。すなわち、第1の強磁性層631と第2の強磁性層632とが結合層633を介して反強磁性結合するシンセティック構造を有している。なお、図3(B)では、第1および第2の強磁性層631,632が結合層633を挟むように各々1層ずつ設けられた3層構造を例示している。しかしながら、積層体21,41における磁化固着層63は、これに限定されるものではなく、第1および第2の強磁性層631,632を各々複数含むものであってもよい。すなわち、積層体21,41における磁化固着層63では、第2の強磁性層632が第1の強磁性層631よりも磁化自由層61に近い位置にあり、かつ第1および第2の強磁性層631,632が同数ずつ含まれていればよく、例えば結合層633を含めて7層構造としてもよい。
このように、積層体11,31における磁化固着層63が、−Y方向に固着された磁化J631を有する第1の強磁性層631を最も磁化自由層61の側に含む一方、積層体21,41における磁化固着層63が、+Y方向に固着された磁化J632を有する第2の強磁性層632を最も磁化自由層61の側に含むようにしたので、信号磁場Hmに対して積層体11,31と積層体21,41とが互いに反対向きの抵抗変化を示すこととなる。すなわち、例えば+Y方向の信号磁場Hmが付与されると、積層体11,31では磁化J61が磁化J631と反平行な向きとなるので高抵抗状態となり、積層体21,41では磁化J61が磁化J632と平行な向きとなるので低抵抗状態となる。したがって、この磁気センサでは、信号磁場Hmが印加されると第1および第3のMR素子1,3の抵抗値は第2および第4のMR素子2,4の抵抗値と逆向きの変化を示す。なお、積層体11,31における磁化固着層63と、積層体21,41における磁化固着層63とでは、全ての第1の強磁性層631の総磁気モーメントの合計、および全ての第2の強磁性層632の総磁気モーメントの合計がそれぞれ互いに等しいことが望ましい。磁気センサとしての検出精度がより向上するからである。なお、ここでいう「総磁気モーメント」とは、その強磁性層を構成する材料の「単位体積あたりの磁気モーメント」と、その強磁性層の体積との積(単位体積当たりの磁気モーメント×体積)である。
第1および第2の強磁性層631,632は、いずれもコバルト(Co)やコバルト鉄合金(CoFe)、コバルト鉄ボロン合金(CoFeB)などの強磁性材料からなり、結合層633は、ルテニウム(Ru)などの非磁性の高導電性材料からなる。なお、磁化固着層63の好ましい構成例は、以下の通りである。
<積層体11,31の磁化固着層63>
第1の強磁性層631B:CoFe層(1.5nm厚)
結合層633:Ru層(0.8nm厚)
第2の強磁性層632:CoFe層(3.0nm厚)
結合層633:Ru層(0.8nm厚)
第1の強磁性層631A:CoFe層(2.0nm厚)
<積層体21,41の磁化固着層63>
第1の強磁性層631:CoFe層(2.5nm厚)
結合層633:Ru層(0.8nm厚)
第2の強磁性層632:CoFe層(2.0nm厚)
反強磁性層64は、白金マンガン合金(PtMn)やイリジウムマンガン合金(IrMn)などの反強磁性材料により構成されている。反強磁性層64は、例えば+Y方向のスピン磁気モーメントと、−Y方向のスピン磁気モーメントとが完全に打ち消し合った状態にあり、隣接する磁化固着層63における第1および第2の強磁性層631,632の磁化J631,J632の向きを、+Y方向または−Y方向へ固着するように作用する。
図4は、磁気センサにおける磁場検出回路の構成を示す概略図である。第1のMR素子1および第2のMR素子2の一端同士が第1の接続点P1において接続され、第3のMR素子3および第4のMR素子4の一端同士が第2の接続点P2において接続され、第1のMR素子1の他端と第4のMR素子4の他端とが第3の接続点P3において接続され、第2のMR素子2の他端と第3のMR素子3の他端とが第4の接続点P4において接続されることにより、ブリッジ回路が構成されている。ここで、第1の接続点P1は、導線L1によって電源Vccと接続されており、第2の接続点P2は、導線L4を介して接地されている。第3の接続点P3および第4の接続点P4は、それぞれ、導線L5,L6を介して差分検出器AMPの入力側端子と接続されている。この差分検出器AMPは、第1の接続点P1と第2の接続点P2との間に電圧が印加されたときの第3の接続点P3と第4の接続点P4との間の電位差(第1および第2のMR素子1,2のそれぞれに生ずる電圧降下の差分)を検出し、差分信号SSとして出力するものである。
次に、本実施の形態の磁気センサを使用し、差分信号SSに基づいて検出対象とする信号磁場Hmを検出する方法について以下に説明する。
図4において、まず、信号磁場Hmが印加されていない状態を考える。ここで、電源Vccから読出電流I0を流したときの第1〜第4のMR素子1〜4における各々の抵抗値をr1〜r4とする。電源Vccからの読出電流I0は、第1の接続点P1において読出電流I1および読出電流I2の2つに分流される。そののち、第1のMR素子1と第3のMR素子3とを通過した読出電流I1と、第2のMR素子2と第4のMR素子4とを通過した読出電流I2とが第2の接続点P2において合流する。この場合、第1の接続点P1と第2の接続点P2との間の電位差Vは、
V=I1×r4+I1×r1=I2×r3+I2×r2
=I1×(r4+r1)=I2×(r3+r2) ……(1)
と表すことができる。
また、第3の接続点P3における電位V1および第4の接続点P4における電位V2は、それぞれ、
V1=V−V4
=V−I1×r4
V2=V−V3
=V−I2×r3
と表せる。よって、第3の接続点P3と第4の接続点P4との間の電位差V0は、
V0=V1−V2
=(V−I1×r4)−(V−I2×r3)
=I2×r3−I1×r4 ……(2)
ここで、(1)式から
V0=r3/(r3+r2)×V−r4/(r4+r1)×V
={r3/(r3+r2)−r4/(r4+r1)}×V ……(3)
となる。このブリッジ回路では、信号磁場Hmが印加されたときに、上記の式(3)で示された第3および第4の接続点P3,P4間の電圧V0を測定することにより、抵抗変化量が得られる。ここで、信号磁場Hmが印加されたときに、抵抗値r1〜r4がそれぞれ変化量ΔR1〜ΔR4だけ増加したとすると、すなわち、信号磁場Hmを印加したときの抵抗値R1〜R4がそれぞれ、
R1=r1+ΔR1
R2=r2+ΔR2
R3=r3+ΔR3
R4=r4+ΔR4
であるとすると、信号磁場Hmを印加した際の電位差V0は、式(3)より、
V0={(r3+ΔR3)/(r3+ΔR3+r2+ΔR2)−(r4+ΔR4)/(r4+ΔR4+r1+ΔR1)}×V ……(4)
となる。すでに述べたように、この磁気センサでは、第1および第3のMR素子1,3の抵抗値R1,R3と第2および第4のMR素子2,4の抵抗値R2,R4とが逆方向に変化するので、変化量ΔR3と変化量ΔR2とが打ち消し合うと共に変化量ΔR4と変化量ΔR1とが打ち消し合うこととなる。このため、信号磁場Hmの印加前後を比較した場合、式(4)の各項における分母の増加はほとんど無い。一方、各項の分子については、変化量ΔR3と変化量ΔR4とは必ず反対の符号を有するので、打ち消し合うことなく増減が現れることとなる。信号磁場Hmが印加されることにより、第2および第4のMR素子2,4では、抵抗値は変化量ΔR2,ΔR4(ΔR2,ΔR4<0)の分だけそれぞれ変化する(実質的に低下する)一方で、第1および第3のMR素子1,3では、抵抗値は変化量ΔR1,ΔR3(ΔR1,ΔR3>0)の分だけそれぞれ変化する(実質的に増加する)からである。
仮に、第1〜第4のMR素子1〜4の全てが完全に同一の特性を有するものとした場合、すなわち、r1=r2=r3=r4=R、かつ、ΔR1=−ΔR2=ΔR3=−ΔR4=ΔRであるとした場合、式(4)は、
V0={(R+ΔR)/(2・R)−(R−ΔR)/(2・R)}×V
=(ΔR/R)×V ……(5)
となる。
以上により、信号磁場Hmと抵抗値の変化量ΔR(もしくはΔR1〜ΔR4)との関係が既知である第1〜第4のMR素子1〜4を用いるようにすれば、式(4)または式(5)に基づき、信号磁場Hmの大きさを求めることができる。
次に、図5〜図16を参照して、磁気センサの製造方法について説明する。なお、図5〜図16は、第1のMR素子1と第2のMR素子2との境界部分近傍を拡大して表すものである。また、図7(A)〜図16(A)は、上面から眺めた図であり、図7(B)〜図16(B)は、図7(A)〜図16(A)の各々に示した切断線に対応する断面図である。
まず、図5に示したように、上記した所定材料からなる基板100を用意し、必要に応じてその表面に絶縁層Z1を設ける。次に、基板100または絶縁層Z1を全面に亘って覆うように、のちに下部電極13,23,33,43となる金属膜M1を、銅などの所定の材料によって形成する。さらに、金属膜M1を全面に亘って覆うように、のちに積層体11,31となるMR膜S1を形成する。MR膜S1は、例えばスパッタリング法により、金属膜M1の上に反強磁性層64、磁化固着層63、介在層62および磁化自由層61を上述の材料を用いて順次積層することにより得られる。但し、磁化固着層63を形成する際には、のちに第1および第2の強磁性層631,632となる強磁性膜(図示せず)を奇数含むように形成する。例えば、反強磁性層64の上に、強磁性膜、非磁性膜、強磁性膜、非磁性膜および強磁性膜を順次積層し、磁化固着層63を得る。MR膜S1の形成ののち、それを全面に亘って覆うように保護膜Cとしてカーボンなどのハードマスクを必要に応じて形成する。
こののち、図6に示したように、第1のMR素子1および第3のMR素子3が形成されることとなる領域R1のみを覆うように、レジストマスクRM1を選択的に形成する。そののち、図7(A),7(B)に示したように、領域R1における保護膜CおよびMR膜S1を残すように、露出した領域の保護膜CおよびMR膜S1をミリングによって選択的に除去する。ここでのミリングは、金属膜M1に到達した時点で終了する。
続いて、レジストマスクRM1を溶解除去したのち、全面に亘って覆うように、のちに積層体21,41となるMR膜S2を形成する(図8(A),8(B)参照)。なお、MR膜S2は、例えばMR膜S1と同様の手順により形成することができる。但し、磁化固着層63を形成する際に、のちに第1および第2の強磁性層631,632となる強磁性膜(図示せず)を偶数含むように形成する点が異なる。
MR膜S2を形成したのち、図9(A),9(B)に示したように、第2のMR素子2および第4のMR素子4が形成されることとなる領域R2のみを覆うように、レジストマスクRM2を選択的に形成する。そののち、図10(A),10(B)に示したように、領域R2におけるMR膜S2を残すように、露出した領域のMR膜S2をミリングによって選択的に除去する。ここでのミリングは、金属膜M1もしくは保護膜Cに到達した時点で終了する。
次いで、図11(A),11(B)に示したように、レジストマスクRM2を溶解除去すると共に保護膜Cをアッシングにより除去したのち、MR膜S1,S2に対するアニール処理を行う。詳細には、例えば+Y方向に印加磁場H1を印加しつつ、MR膜S1,S2を所定の温度(例えば280℃)に加熱することにより、磁化固着層63の磁化J631,632の向きを一括して設定する。このアニール処理により、積層体11,21,31,41における全ての磁化固着層63では、反強磁性層64と隣接する強磁性層が−Y方向の磁化J631を有する第1の強磁性層631となる。具体的には、強磁性膜を奇数含む積層体11,31における磁化固着層63では、−Y方向の磁化J631を有する第1の強磁性層631Bが反強磁性層64と最も近い位置に存在し、同じく−Y方向の磁化J631を有する第1の強磁性層631Aが磁化自由層61と最も近い位置に存在することとなる。また、積層体11,31における磁化固着層63では、−Y方向の磁化J631を有する第1の強磁性層631が+Y方向の磁化J632を有する第2の強磁性層632よりも1層多く存在することとなる。一方、強磁性膜を奇数含む積層体21,41における磁化固着層63では、−Y方向の磁化J631を有する第1の強磁性層631と、+Y方向の磁化J632を有する第2の強磁性層632とが同数ずつ存在することとなる。また、−Y方向の磁化J631を有する第1の強磁性層631が反強磁性層64と最も近い位置に存在する一方で、磁化自由層61と最も近い位置には+Y方向の磁化J632を有する第2の強磁性層632が存在することとなる。なお、ここでの印加磁場H1は、磁化固着層63のシンセティック構造における交換結合磁場を上回る強度、すなわち第1強磁性層631と第2強磁性層632との交換結合磁場よりも大きな強度であることが望ましい。
アニール処理ののち、MR膜S1,S2をパターニングすることにより、所定の位置に、所定の平面形状および寸法を有する柱状の積層体11,21,31,41を形成し、さらにその周囲を埋めるようにAl23 などによって絶縁層Z2を形成する(図12(A),12(B)参照)。但し、図12(A),12(B)では、積層体31,41を図示していない。なお、ここではアニール処理ののちMR膜S1,S2をパターニングするようにしたが、その操作を逆にしてもよい。すなわち、MR膜S1,S2をパターニングすることにより柱状の積層体11,21,31,41を形成したのち、それらに対してアニール処理を行うようにしてもよい。
さらに、図13(A),13(B)に示したように、所定の位置に立設するように接続部14,24,34,44(但し、ここでは接続部34,44を図示せず)を形成したのち、図14(A),14(B)に示したように、積層体11,21,31,41および接続部14,24,34,44、ならびにその近傍領域をレジストマスクRM3によって選択的に覆い、未保護領域の金属膜M1に対するミリングを行う。その結果、下部電極13,23,33,43、および導線L2を得る。
こののち、図15(A),15(B)に示したように、ミリングによって金属膜M1を除去した領域を埋めるようにAl23 などによって絶縁層Z3を形成したのち、レジストマスクRM3を溶解除去する。
続いて、図16(A),16(B)に示したように、積層体11,21,31,41および接続部14,24,34,44の上面と接するように所定形状の上部電極12,22,32,42(ここでは上部電極12,22のみ図示する)を形成すると共に、導線L1,L3〜L6(ここでは導線L3のみ図示する)を形成する。最後に、パッド51〜54を形成するなど、所定の工程を経ることで本実施の形態の磁気センサが完成する。
以上説明したように、本実施の形態によれば、結合層633を介して互いに反強磁性結合する第1および第2の強磁性層631,632の数を調整することにより、信号磁場Hmに対して第1および第3のMR素子1,3と第2および第4のMR素子2,4とが互いに反対向きの抵抗変化を示すようにした。このため、本実施の形態の磁気センサは、同一の基板100上においてフルブリッジ接続された第1〜第4のMR素子1〜4からなる磁場検出回路を有するコンパクトな構成でありながら、高精度な磁場検出を可能とする。また、本実施の形態の磁気センサの製造方法によれば、この磁気センサを簡便かつ高精度に製造することができる。これは、本実施の形態の磁気センサが、レーザ照射装置や電子ビーム照射装置などの特殊設備を用いなくとも、一方向の印加磁場H1を付与しつつ加熱処理を行うことにより磁化固着層63の磁化方向を設定することができるからである。
以上、実施の形態を挙げて本発明を説明したが、本発明はこれらの実施の形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。例えば、上記実施の形態では、4つのMR素子を含む検出回路(フルブリッジ回路)を用いて信号磁場の検出を行う場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば信号磁場によって互いに反対向きの抵抗変化を示す第1および第2のMR素子を備えた検出回路(いわゆるハーフブリッジ回路)を用いて信号磁場の検出を行うようにしてもよい。
また、上記実施の形態等では、MR素子として磁気トンネル接合構造を有するトンネルMR素子を例に挙げて説明するようにしたが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えばCPP型のGMR素子を採用することもできる。その場合、介在層を、トンネルバリア層ではなく、例えば銅(Cu)や金(Au)、あるいはクロム(Cr)などの高導電性の非磁性材料層とする必要がある。
また、上記実施の形態等では、磁気センサとして一定方向へ印加される信号磁場の大きさを検出するものを例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。本発明の磁気センサは、例えば、ある回転面(MR素子の積層面に平行な面)において回転する信号磁場の向きを検出する角度センサとして利用することもできる。この場合、信号磁場の大きさが一定であれば、信号磁場の印加方向と各MR素子における磁化固着層の磁化の向きとの相対角度に応じて抵抗変化量が変化するので、その関係を利用することにより信号磁場の回転角が求められる。
100…基板、1〜4…第1〜第4のMR素子、11,21,31,41…積層体、12,22,32,42…上部電極、13,23,33,43…下部電極、14,24,34,44…接続部、61…磁化自由層、62…介在層、63…磁化固着層、631(631A,631B)…第1の強磁性層、632…第2の強磁性層、633…結合層、64…反強磁性層、Hm…信号磁場、H1…印加磁場、L1〜L6…導線、P1〜P4…接続部。

Claims (7)

  1. 信号磁場に応じて磁化の向きが変化する磁化自由層と、
    非磁性の介在層と、
    非磁性の結合層を介して交互に積層されて互いに反強磁性結合する第1および第2の強磁性層をそれぞれ1つまたは複数有する磁化固着層と、
    前記第1および第2の強磁性層の各々における磁化の向きを固着する反強磁性層と
    を順にそれぞれ含む第1および第2の磁気抵抗効果素子を備え、
    前記第1の磁気抵抗効果素子における磁化固着層は、前記第1の強磁性層を前記第2の強磁性層よりも1つ多く含み、
    前記第2の磁気抵抗効果素子における磁化固着層は、前記磁化自由層の側から順に前記第2の強磁性層と前記第1の強磁性層とを同数ずつ含む
    ことを特徴とする磁気センサ。
  2. 前記第1の磁気抵抗効果素子における磁化固着層は、一の前記第2の強磁性層と、これを挟んで対向する一対の前記第1の強磁性層と、前記一の第2の強磁性層と前記一対の第1の強磁性層との間に位置する一対の前記結合層との5層構造からなり、
    前記第2の磁気抵抗効果素子における磁化固着層は、前記磁化自由層の側から配置される一の前記第2の強磁性層と一の前記結合層と一の前記第1の強磁性層との3層構造からなる
    ことを特徴とする請求項1に記載の磁気センサ。
  3. 前記第1および第2の磁気抵抗効果素子は、同一基板上に設けられていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の磁気センサ。
  4. 信号磁場に応じて磁化の向きが変化する磁化自由層と、
    非磁性の介在層と、
    非磁性の結合層を介して交互に積層されて互いに反強磁性結合する第1および第2の強磁性層をそれぞれ1つまたは複数有する磁化固着層と、
    前記第1および第2の強磁性層の各々における磁化の向きを固着する反強磁性層と
    を順にそれぞれ含む第1から第4の磁気抵抗効果素子を備え、
    前記第1および第3の磁気抵抗効果素子における磁化固着層は、それぞれ、前記第1の強磁性層を前記第2の強磁性層よりも1つ多く含み、
    前記第2および第4の磁気抵抗効果素子における磁化固着層は、それぞれ、前記磁化自由層の側から順に前記第2の強磁性層と前記第1の強磁性層とを同数ずつ含み、
    前記第1および第2の磁気抵抗効果素子の一端同士が第1の接続点において接続され、前記第3および第4の磁気抵抗効果素子の一端同士が第2の接続点において接続され、前記第1の磁気抵抗効果素子の他端と前記第4の磁気抵抗効果素子の他端とが第3の接続点において接続され、前記第2の磁気抵抗効果素子の他端と前記第3の磁気抵抗効果素子の他端とが第4の接続点において接続されることによりブリッジ回路が形成されている
    ことを特徴とする磁気センサ。
  5. 前記第1の接続部と前記第2の接続部との間に電圧が印加されたときの前記第3の接続部と前記第4の接続部との間の電位差を検出する差分検出部をさらに備えた
    ことを特徴とする請求項4記載の磁気センサ。
  6. 反強磁性層と、複数の強磁性層が非磁性の結合層を介して反強磁性結合する磁化固着層と、非磁性の介在層と、信号磁場に応じて磁化の向きが変化する磁化自由層とを順にそれぞれ含む第1および第2の磁気抵抗効果素子を、基板上における互いに異なる領域を占めるように選択的に形成する工程と、
    前記第1および第2の磁気抵抗効果素子に対して一定方向の磁場を印加しつつ加熱することにより、前記磁化固着層における強磁性層の磁化の向きを一括して設定する工程と
    を含み、
    前記第1の磁気抵抗効果素子を形成する際には、奇数個の前記強磁性層を有するように前記磁化固着層を形成し、
    前記第2の磁気抵抗効果素子を形成する際には、偶数個の前記強磁性層を有するように前記磁化固着層を形成する
    ことを特徴とする磁気センサの製造方法。
  7. 前記第1の磁気抵抗効果素子における磁化固着層を、第1の方向の磁化を有する第1の強磁性層と、前記結合層と、前記第1の方向と反対の第2の方向の磁化を有する第2の強磁性層と、前記第1の強磁性層と、前記結合層と、前記第2の強磁性層との5層構造とし、
    前記第2の磁気抵抗効果素子における磁化固着層を、前記磁化自由層の側から配置される前記第2の強磁性層と前記結合層と前記第1の強磁性層との3層構造とする
    ことを特徴とする請求項6に記載の磁気センサの製造方法。
JP2009217926A 2009-09-18 2009-09-18 磁気センサおよびその製造方法 Pending JP2011064653A (ja)

Priority Applications (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009217926A JP2011064653A (ja) 2009-09-18 2009-09-18 磁気センサおよびその製造方法
US12/880,599 US20110068786A1 (en) 2009-09-18 2010-09-13 Magnetic sensor and manufacturing method thereof
EP10009711A EP2302406B1 (en) 2009-09-18 2010-09-16 Magnetic sensor and manufacturing method thereof

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009217926A JP2011064653A (ja) 2009-09-18 2009-09-18 磁気センサおよびその製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2011064653A true JP2011064653A (ja) 2011-03-31

Family

ID=43066818

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2009217926A Pending JP2011064653A (ja) 2009-09-18 2009-09-18 磁気センサおよびその製造方法

Country Status (3)

Country Link
US (1) US20110068786A1 (ja)
EP (1) EP2302406B1 (ja)
JP (1) JP2011064653A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2018517128A (ja) * 2015-04-16 2018-06-28 江▲蘇▼多▲維▼科技有限公司Multidimension Technology Co., Ltd. 単一パッケージ高磁場磁気抵抗角度センサ
CN112051524A (zh) * 2019-06-05 2020-12-08 Tdk株式会社 磁传感器和磁传感器系统

Families Citing this family (16)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5740268B2 (ja) * 2011-09-27 2015-06-24 株式会社東芝 表示装置
TWI468715B (zh) * 2012-10-22 2015-01-11 Ind Tech Res Inst 用於感測外部磁場之磁場感測器
US9529060B2 (en) 2014-01-09 2016-12-27 Allegro Microsystems, Llc Magnetoresistance element with improved response to magnetic fields
EP3300534B1 (en) 2015-06-05 2020-11-11 Allegro MicroSystems, LLC Spin valve magnetoresistance element with improved response to magnetic fields
JP2017108067A (ja) 2015-12-11 2017-06-15 Tdk株式会社 磁気抵抗効果素子
US10620279B2 (en) 2017-05-19 2020-04-14 Allegro Microsystems, Llc Magnetoresistance element with increased operational range
US11022661B2 (en) 2017-05-19 2021-06-01 Allegro Microsystems, Llc Magnetoresistance element with increased operational range
JP6885797B2 (ja) * 2017-06-12 2021-06-16 昭和電工株式会社 磁気センサ及び磁気センサの製造方法
JP6791183B2 (ja) * 2018-03-16 2020-11-25 Tdk株式会社 磁気抵抗効果素子及びその製造方法、並びに位置検出装置
JP6900936B2 (ja) 2018-06-08 2021-07-14 Tdk株式会社 磁気検出装置
US11493573B2 (en) * 2019-08-27 2022-11-08 Western Digital Technologies, Inc. Magnetic sensor with dual TMR films and the method of making the same
US11428758B2 (en) * 2019-08-27 2022-08-30 Western Digital Technologies, Inc. High sensitivity TMR magnetic sensor
JP2021105576A (ja) * 2019-12-26 2021-07-26 昭和電工株式会社 磁気センサ
CN111398879B (zh) * 2020-03-09 2021-06-18 兰州大学 一种基于p-n结光致磁阻传感器的新方法
EP3974857A1 (en) * 2020-09-25 2022-03-30 Showa Denko K.K. Magnetic sensor
US11719771B1 (en) 2022-06-02 2023-08-08 Allegro Microsystems, Llc Magnetoresistive sensor having seed layer hysteresis suppression

Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002092829A (ja) * 2000-09-21 2002-03-29 Fujitsu Ltd 磁気抵抗センサ及び磁気抵抗ヘッド
JP2002305339A (ja) * 2001-01-19 2002-10-18 Headway Technologies Inc 被固定膜およびその形成方法、ならびにスピンバルブ構造体およびその形成方法
JP2004521513A (ja) * 2001-06-09 2004-07-15 ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング 磁気抵抗型積層構造体および該構造体を備えたグラジオメータ
JP2006098088A (ja) * 2004-09-28 2006-04-13 Yamaha Corp 巨大磁気抵抗効果素子を用いた磁気センサ及び同磁気センサの製造方法
JP2008151528A (ja) * 2006-12-14 2008-07-03 Hitachi Metals Ltd 磁気センサーおよび磁気エンコーダー

Family Cites Families (11)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
DE4300605C2 (de) * 1993-01-13 1994-12-15 Lust Electronic Systeme Gmbh Sensorchip
EP1105743B1 (en) 1999-06-18 2005-12-28 Koninklijke Philips Electronics N.V. Method for manufacturing a magnetic sensor device
JP2003502876A (ja) 1999-06-18 2003-01-21 コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ 不可逆特性を持つ磁気システムおよびこの種システムを作成し修理し操作する方法
JP4028971B2 (ja) * 2001-08-28 2008-01-09 アルプス電気株式会社 磁気センサの組立方法
US6771472B1 (en) * 2001-12-07 2004-08-03 Seagate Technology Llc Structure to achieve thermally stable high sensitivity and linear range in bridge GMR sensor using SAF magnetic alignments
JP3824600B2 (ja) * 2003-07-30 2006-09-20 株式会社東芝 磁気抵抗効果素子および磁気メモリ
KR100698413B1 (ko) * 2004-09-28 2007-03-23 야마하 가부시키가이샤 거대 자기저항 소자를 이용한 자기 센서 및 그 제조 방법
JP4573736B2 (ja) * 2005-08-31 2010-11-04 三菱電機株式会社 磁界検出装置
JP4361077B2 (ja) * 2006-10-31 2009-11-11 Tdk株式会社 磁気センサおよびその製造方法
DE102007032867B4 (de) * 2007-07-13 2009-12-24 Infineon Technologies Ag Magnetoresistive Magnetfeldsensorstrukturen und Herstellungsverfahren
US7881023B2 (en) * 2008-01-24 2011-02-01 Tdk Corporation Magnetoresistive device of the CPP type, and magnetic disk system

Patent Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002092829A (ja) * 2000-09-21 2002-03-29 Fujitsu Ltd 磁気抵抗センサ及び磁気抵抗ヘッド
JP2002305339A (ja) * 2001-01-19 2002-10-18 Headway Technologies Inc 被固定膜およびその形成方法、ならびにスピンバルブ構造体およびその形成方法
JP2004521513A (ja) * 2001-06-09 2004-07-15 ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング 磁気抵抗型積層構造体および該構造体を備えたグラジオメータ
JP2006098088A (ja) * 2004-09-28 2006-04-13 Yamaha Corp 巨大磁気抵抗効果素子を用いた磁気センサ及び同磁気センサの製造方法
JP2008151528A (ja) * 2006-12-14 2008-07-03 Hitachi Metals Ltd 磁気センサーおよび磁気エンコーダー

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2018517128A (ja) * 2015-04-16 2018-06-28 江▲蘇▼多▲維▼科技有限公司Multidimension Technology Co., Ltd. 単一パッケージ高磁場磁気抵抗角度センサ
CN112051524A (zh) * 2019-06-05 2020-12-08 Tdk株式会社 磁传感器和磁传感器系统
CN112051524B (zh) * 2019-06-05 2023-12-08 Tdk株式会社 磁传感器和磁传感器系统

Also Published As

Publication number Publication date
US20110068786A1 (en) 2011-03-24
EP2302406B1 (en) 2012-10-03
EP2302406A1 (en) 2011-03-30

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4930627B2 (ja) 磁気センサ
EP2302406B1 (en) Magnetic sensor and manufacturing method thereof
US8760158B2 (en) Current sensor
JP5250108B2 (ja) 磁気平衡式電流センサ
JP6984792B2 (ja) 磁気センサ、磁気センサアレイ、磁場分布測定装置、および位置特定装置
US8451003B2 (en) Magnetic sensor having magneto-resistive elements on a substrate
JP6233863B2 (ja) 磁気センサおよび磁気センサの製造方法ならびに電流センサ
JP2005236134A (ja) 磁気検出素子およびその形成方法ならびに磁気センサ、電流計
JP5888402B2 (ja) 磁気センサ素子
JP2008111801A (ja) 磁気センサおよびその製造方法
WO2012090631A1 (ja) 磁気比例式電流センサ
JP5447616B2 (ja) 磁気センサの製造方法
US20130057274A1 (en) Current sensor
JP2011027633A (ja) 磁気センサおよびその製造方法
JP5597305B2 (ja) 電流センサ
JP6870639B2 (ja) 磁気検出装置
JP2012119613A (ja) 磁気検出素子及びそれを用いた磁気センサ
JP6484940B2 (ja) 磁気抵抗素子、磁気センサ及び電流センサ
JP6039697B2 (ja) 巨大磁気抵抗効果素子およびそれを用いた電流センサ
JP2007263654A (ja) 磁気センサ
JP5540326B2 (ja) 電流センサ
JP2019086290A (ja) 磁気センサ
JP2001217478A (ja) 磁気抵抗素子
JP7261656B2 (ja) 磁気センサおよびその製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20110426

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20110906