JP2007263654A - 磁気センサ - Google Patents
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Abstract
素子で磁気センサ素子を構成し、周囲温度変化に対しても安定した出力特性が得られる磁
気センサを提供する。
【解決手段】 SVGMR膜の積層順を一部変えることで固定抵抗膜を形成する。電気抵
抗値と電気抵抗の温度特性が等しいSVGMR膜と固定抵抗膜で、磁気センサ素子を構成
することができる。これにより、周囲温度変化に対して安定した出力特性が得られる磁気
センサを提供できる。
【選択図】 図1
Description
ピンバルブ巨大磁気抵抗効果膜および、スピンバルブ巨大磁気抵抗効果膜と同じ電気抵抗
の温度特性をもつ固定抵抗膜を備えた磁気センサに関するものである。
に、ホール素子のような低価格の感磁素子が多く使用されている。高感度で検出を行う必
要がある場合には、磁気媒体との相対速度が再生出力に依存しない異方性磁気抵抗効果膜
(以下、AMR膜と言う)を有する磁気センサが使用されている。しかしAMR膜を用い
た磁気センサは、磁気抵抗変化率が3%程度と小さいため、得られる出力信号電圧が小さ
い。そこで、磁気抵抗変化率が大きく、回路上では単純な2端子の抵抗として取り扱える
という利点がある巨大磁気抵抗効果膜(GMR膜)を備えた磁気センサが注目され、その
実用化が検討されている。
なっている結合型GMR人工格子膜(以下、結合型GMR膜と言う)が知られている。結
合型GMR膜は磁界変化に対する抵抗変化特性がAMR膜と同じであるため、容易にAM
R膜からの置き換えが可能である。結合型GMR膜は抵抗変化率が10%以上と大きいの
で大出力を得ることができる。しかし、最大抵抗変化を起こす動作磁界強度が大きいので
、大型の動作磁界発生手段が必要となる。また、結合型GMR膜の電気抵抗がAMR膜の
1/2〜1/3程度と小さいため、磁気センサの低消費電力化が難しい。そのため、結合
型GMR膜を用いた磁気センサの用途は、制限を受けるという問題がある。
スピンバルブ型巨大磁気抵抗効果膜(以下、SVGMR膜と言う)がある。SVGMR膜
はハードディスク記憶装置(HDD)の磁気ヘッドに用いられている。SVGMR膜は、
特許文献1に開示されているように、外部磁界の方向が変化しても磁化方向が変化しない
磁化固定層と非磁性導電層、外部磁界の変化に追従して磁化方向が変化する磁化自由層か
ら構成されている。SVGMR膜を加工したセンサ素子(以下、SVGMR素子と言う)
は、結合型GMR膜を加工したセンサ素子に比べ電気抵抗が5〜6倍大きいので、磁気セ
ンサに用いた時低消費電力化が行ない易い。また、1〜160(A/m)[約0.006
〜20(Oe)]と比較的小さい磁場強度領域で動作すると言う特徴がある。以降、本願
の磁気抵抗効果膜は、特に断りのない限りSVGMR膜と言う。
プ)を持って対向して磁気センサ60を配している。磁気センサ60は複数の磁気センサ
素子51からなり、磁気センサ素子51は、磁界により電気抵抗が変化するSVGMR素
子27と、固定抵抗膜で形成した固定抵抗素子28が直列に接続されている。固定抵抗素
子28の他端は接地、SVGMR素子27の他端は電源電圧Vccに接続している。SV
GMR素子27と固定抵抗素子28の接続点31から中点電位を取り、この電圧が磁気セ
ンサ60の出力電圧となる。固定抵抗素子28は磁界によって電気抵抗が変化しないので
電気抵抗は略一定であり、SVGMRセンサ素子27の比較抵抗として働く。SVGMR
素子27が磁気媒体61の漏洩磁界を検知すると、電気抵抗が変化して中点電位が変化す
る。この中点電位の変化を磁気媒体と磁気センサの相対位置信号として検出する。
を組んだ磁気センサ素子52を示す。磁気センサ素子51を逆方向で並列接続した形であ
る。この様にブリッジを組むことで、磁界により電気抵抗が変化するSVGMRセンサ素
子27aと27bで、より電気抵抗の変化量を増幅する効果が得られる。接続点34aと
34b間で、図10の接続点31の約2倍の出力電圧が得られる。
センサ素子51を形成した場合、電気抵抗の温度特性の違いから、磁気センサが高温もし
くは低温にさらされる周囲環境で使用されると、磁気センサ素子の中点電位が変化して精
度良く変位を検出できなくなる。磁気センサを車載用センサとして使用する場合、150
℃以上の耐熱性が要求されるが、例えばCuの温度係数が4.3×10−3(deg.−
1)であるのに対して、SVGMR素子の温度係数は1.0〜1.3×10−3(deg
.−1)であり等しくないため、周囲温度の変化によりブリッジ回路の中点電位が変化す
ることになる。他の導体に用いられる金属のアルミニウムや金、銀の温度係数も4.0〜
4.2×10−3(deg.−1)であり、SVGMR素子の温度係数との差が大きい。
ウム・マンガンを含んだニッケル合金のアルメル、銅と亜鉛の合金の黄銅、白金とロジウ
ムの合金があり、これらの温度係数は1.2〜1.4×10−3(deg.−1)とSV
GMR膜と非常に近いが、同じ値ではない。また、SVGMR膜とシート抵抗値が異なる
ため、素子の形状や厚みを変えて電気抵抗値を合わせることが非常に難しい。また、固定
抵抗膜を得るために余分な製膜装置やスパッターターゲット材が必要となる。
で形成した素子で磁気センサ素子を構成し、周囲温度変化に対しても安定した出力特性が
得られる磁気センサを提供することである。
成したセンサ素子と、磁気抵抗効果膜と電気抵抗の温度特性が等しく、外部磁界がない状
態での電気抵抗も等しく、外部磁界でほとんど抵抗変化しない固定抵抗膜で形成したセン
サ素子で、ブリッジ回路を形成していることが好ましい。
層と、非磁性導電層を挟む磁化固定層および磁化自由層と、磁化固定層の隣に形成される
反強磁性層からなる多層部と、最上位に形成される保護膜とから構成されるSVGMR膜
とすることが好ましい。
ましい。
自由層タイプ、スピンフィルタータイプのいずれの構造のSVGMR膜でも良い。また、
いずれかの積層界面で界面の平坦化を目的として、プラズマ処理を施すことができる。
ることが好ましい。
層順、もしくは非磁性導電層と磁化固定層の積層順を入れ替えた構造とすることで、非磁
性導電層を介しての磁化自由層と磁化固定層間のスピン依存散乱をなくし、GMR効果が
発現しない構造にすることができる。また、固定抵抗膜はSVGMR膜と同じ材料で同じ
膜厚を用いているため、電気抵抗値が同じで電気抵抗の温度特性も同じとなるので、周囲
温度の変化による中点電位の変化を抑えることができる。
ることで、同一基板上に直接形成することができる。SVGMR膜と固定抵抗膜は、一部
積層順を入れ替えただけの構成であるため、同じスパッタ装置で成膜可能で膜厚分布も等
しく成膜することができるため、電気抵抗値と電気抵抗の温度特性のバラツキを低減でき
る。
ことができる。
非磁性導電層の膜厚に最も良く反応する。そのため、非磁性導電層以外の膜厚を変更する
ことなく、非磁性導電層の膜厚調整だけで抵抗膜の電気抵抗値を微調整することができる
。
とすることができる。また、電気抵抗の温度特性が等しいSVGMR膜と固定抵抗膜で磁
気センサ素子を構成することで、周囲温度変化に対して安定した出力特性が得られる磁気
センサを実現できる。
るため、同一の部品、部位には同じ符号を用いている。SVGMR膜や固定抵抗膜とこれ
らを用いて形成した素子は同じ様に用いている。例えば、SVGMR膜はSVGMR膜だ
けでなくSVGMR膜を用いて形成した素子を指す場合もある。
積層順を一部変えることで、固定抵抗膜となる理由を詳細に説明する。図1は、反強磁性
層下置タイプ(ボトムタイプ)のSVGMR膜と固定抵抗膜を表している。図1a)は、
基板11上に下地層12、反強磁性層13、磁化固定層14、非磁性導電層15、磁化自
由層16、保護層17の順でスパッタ成膜したボトムタイプのSVGMR膜101である
。外部磁界により磁化自由層16の磁化が回転し、磁化固定層14の磁化方向と成す相対
角度によって電気抵抗が変化する。図1b)は、SVGMRの一部積層順を変えた固定抵
抗膜102で、基板11上に下地層12、反強磁性層13、磁化固定層14、磁化自由層
16、非磁性導電層15、保護層17の順にスパッタ成膜している。固定抵抗膜102は
、SVGMR膜101の磁化自由層16と非磁性導電層15の積層順序を入れ替えた構造
となっている。このため、非磁性導電層15を介してのGMR効果が発現しなくなり、外
部磁界による固定抵抗膜102の電気抵抗値の変化がほぼゼロとなる。
MR効果の発現がなくなる理由は、SVGMR素子の積層構造中でセンス電流の大部分が
流れる非磁性導電層15の位置の移動を最小にするためである。例えば、スピンバルブ構
造を基にして、その材料、各層の成膜条件、膜厚を実質的に変更せず、単にGMR効果を
発現させなくするためには、非磁性導電層15と磁化固定層14を入れ替えても良い。し
かし磁化固定層14は反強磁性層13と接することで交換結合により磁化方向が強く固定
され、外部磁界に反応しにくくなっている。したがって磁化固定層と反強磁性層を分離す
ることは、磁化固定層の磁化固定強度を弱めることになり好ましくない。
順とすることが良い。反強磁性層13も同時に入れ替えることが好ましく、固定抵抗膜1
02’の積層構造は、下地層12/非磁性導電層15/反強磁性層13/磁化固定層14
/磁化自由層16/保護層17とする必要がある。しかし、図2b)の固定抵抗膜102
’の積層構造では非磁性導電層15の位置が、図2a)のSVGMR膜101の非磁性導
電層15の位置と大きく差があるため、同じスパッタ装置内で成膜を行っても膜厚の厚い
反強磁性膜13の影響で、膜厚や膜厚分布を制御することが難しい。このことからも、非
磁性導電層15と磁化自由層16を入れ替えて、固定抵抗膜102を得る、図1a)が好
ましいものである。
る。SVGMR膜101の抵抗変化量をdR1、固定抵抗膜102の抵抗変化量をdR2
とすると、dR1=〔GMR効果による抵抗変化量〕+〔AMR効果による抵抗変化量〕
+〔温度変化による抵抗変化量〕、dR2=〔AMR効果による抵抗変化量〕+〔温度変
化による抵抗変化量〕と表せる。SVGMR膜101に流れるセンス電流の殆どは非磁性
導電層15を流れ、固定抵抗膜102のセンス電流も大部分が非磁性導電層15を流れる
。また、シャント電流の多くは積層膜中で最も膜厚が厚い反強磁性層13を流れるため、
磁化固定層14と磁化自由層16に流れる電流はごく僅かとなる。そのため、〔AMR効
果による抵抗変化量〕は〔GMR効果による抵抗変化量〕に比べ極めて小さく、無視でき
るレベルとなる。もし、〔AMR効果による抵抗変化量〕が僅か存在したとしても、使用
される材料、膜厚が互いに等しいSVGMR膜101と固定抵抗膜102で、図11に示
した様なブリッジ回路を組み差動をとることで、〔AMR効果による抵抗変化量〕をキャ
ンセルすることができる。
〔温度変化による抵抗変化量〕を無視することができる。しかし、例えば100℃以上の
高温もしくは0℃以下の低温の苛酷な周囲環境で使用する場合は、〔温度変化による抵抗
変化量〕を無視することができなくなる。図11に示した様なブリッジ回路を、材料が異
なるSVGMR膜と固定抵抗膜で構成した場合、SVGMR膜と固定抵抗膜の電気抵抗の
温度特性の違いから、〔温度変化による抵抗変化量〕に差が生じて中点電位が変化し精度
の高い測定ができなくなる。本願特許のSVGMR膜101と固定抵抗膜102は使用す
る材料が同じで、多層膜を構成する各層の膜厚も同じであるため、温度が大きく変化する
周囲環境で使用しても〔温度変化による抵抗変化量〕に差が生じないので、中点電位が変
化することはなく、精度の高い測定ができる磁気センサを提供できるものである。
各層の材料と膜厚を示す。図3a)に示すSVGMR膜111は、電気絶縁性もしくは絶
縁層を有する基板11側からNiFeCr(4nm)/MnPt(15nm)/CoFe
(2nm)/Cu(2nm)/CoFe(1nm)−NiFe(3nm)/Ta(3nm
)の順にスパッタ膜を積層した。NiFeCrが下地層12、MnPtが反強磁性層13
、基板側のCoFeが磁化固定層14、Cuが非磁性導電層15、保護層側のCoFeと
NiFeが磁化自由層16、Taが保護層17と、図1a)に対応している。図1a)で
は、磁化自由層16は1層で表していたが、実施するときはCoFeとNiFeの2層膜
としている。非磁性導電層15のCuとNiFeを直接積層する場合に比べ、CuとNi
Feの間に薄くCoFeを挿入することで、磁気抵抗変化率が大きくなる。そのため、磁
化自由層16はCoFeとNiFeの2層膜とした。磁化自由層16を4層とする時も、
非磁性導電層15のCuと磁化自由層16のCoFeとNiFeの積層順は、磁気抵抗変
化率の面から変えることはない。
3b)の間に、矢印で入れ替えた層を示している。SVGMR膜111の非磁性導電層1
5と磁化自由層16の積層順序を入れ替えたものである。また、磁化自由層16のCoF
eとNiFeの入れ替えた。磁化自由層16のCoFeとNiFeの入れ替えを行わない
と、磁化固定層14のCoFeと連続積層されることになり、CoFeの膜厚が厚くなる
。強磁性体であるCoFeの膜厚が増加することは、前述した〔AMR効果による抵抗変
化量〕の増加につながるため好ましくない。固定抵抗膜112は、基板11側からNiF
eCr(4nm)/MnPt(15nm)/CoFe(2nm)/NiFe(3nm)−
CoFe(1nm)/Cu(2nm)/Ta(3nm)の順に積層した。
抗変化率(dR/R)の温度特性を示す。RsおよびdR/Rの測定は、試料膜を真空中
で室温から350℃までヒーター加熱し、4端子法で測定を行なった。dR/Rの測定は
、磁化固定層の磁化方向およびこれと反対方向に、それぞれ最大7.9(kA/m)(1
00(Oe))の磁界を印加して測定を行なった。室温におけるSVGMR膜111のR
sは19.6(Ω/□)、dR/Rは9.2(%)、固定抵抗膜112のRsは19.4
(Ω/□)、dR/Rは0.2%以下であった。固定抵抗膜112のdR/R0.2%は
、測定器の測定限界値より低い値であるので磁気抵抗変化率は略ゼロと言えるレベルであ
る。図示していないが、電気抵抗の温度特性は、室温〜350℃の温度範囲でSVGMR
膜111と固定抵抗膜112のRsは同じの温度特性を示し、電気抵抗の温度係数は1.
2x10−3(deg.−1)であった。SVGMR膜111のdR/Rは温度の上昇と
ともに減少するが、固定抵抗膜112のdR/Rは温度によらず略ゼロで磁気抵抗効果を
示さなかった。SVGMR膜111と固定抵抗膜112で形成したセンサ素子で、図10
、図11に示した磁気センサ素子51,52を形成することで、磁気センサ60の周囲温
度の変化によっても中点電位が変化しない磁気センサが得られた。
GMR膜と固定抵抗膜を示している。実施例1の反強磁性層下置タイプ(ボトムタイプ)
SVGMR膜の積層順を略逆にした構造である。図5a)に示す様に、基板11側から下
地層12、磁化自由層16、非磁性導電層15、磁化固定層14、反強磁性層13、保護
層17でSVGMR膜121を形成している。材料と膜厚は、基板11側からNiFeC
r(4nm)/NiFe(3nm)−CoFe(1nm)/Cu(2nm)/CoFe(
2nm)/MnPt(15nm)/Ta(3nm)の順にスパッタ膜を積層した、反強磁
性層上置タイプ(トップタイプ)のSVGMR膜121である。図5b)に固定抵抗膜1
22を示す。SVGMR膜121の非磁性導電層15と磁化自由層16の順を入れ替えて
いるので、基板11側から下地層12、非磁性導電層15、磁化自由層16、磁化固定層
14、反強磁性層13、保護層17で固定抵抗膜122を形成している。膜材料と膜厚は
、基板11側からNiFeCr(4nm)/Cu(2nm)/CoFe(1nm)−Ni
Fe(3nm)/CoFe(2nm)/MnPt(15nm)/Ta(3nm)の順にス
パッタ膜を積層した。
と固定抵抗膜を示している。図6a)に示す様に、基板11側からNiFeCr(4nm
)/MnPt(12nm)/CoFe(1.8nm)−Ru(0.9nm)−CoFe(
2.2nm)/Cu(2nm)/CoFe(1nm)−NiFe(2nm)/Ta(3n
m)の順にスパッタ膜を積層したボトム積層フェリ固定層タイプのSVGMR膜131で
ある。NiFeCrが下地層12、MnPtが反強磁性層13、下地層側のRuとこれを
挟むCoFeが磁化固定層14、Cuが非磁性導電層15、保護層側のCoFeとNiF
eが磁化自由層16、Taが保護層17にそれぞれ対応する。図5b)に固定抵抗膜13
2を示す。SVGMR膜131の非磁性導電層15と磁化自由層16の積層順を入れ替え
、また磁化自由層のCoFeとNiFeの順を入れ替えた。膜材料と膜厚は、基板11側
からNiFeCr(4nm)/MnPt(12nm)/CoFe(1.8nm)−Ru(
0.9nm)−CoFe(2.2nm)/NiFe(2nm)−CoFe(1nm)/C
u(2nm)/Ta(3nm)の順に積層した。
層タイプのSVGMR膜と固定抵抗膜を示している。図7a)に示す様に、基板11側か
らNiFeCr(4nm)/MnPt(12nm)/CoFe(1.5nm)−Ru(0
.9nm)−CoFe(2nm)/Cu(2nm)/CoFe(1nm)−NiFe(2
nm)−Ru(0.9nm)−NiFe(2nm)/Ta(3nm)の順にスパッタ膜を
積層したボトム積層フェリ固定層および積層フェリ自由層タイプのSVGMR膜141で
ある。NiFeCrが下地層12、MnPtが反強磁性層13、下地層側のRuとこれを
挟むCoFeが磁化固定層14、Cuが非磁性導電層15、保護層側のCoFeとこれに
接するRuを挟むNiFeが磁化自由層16、Taが保護層17にそれぞれ対応する。図
7b)の固定抵抗膜142は、SVGMR膜141の非磁性導電層15と磁化自由層16
の積層順を入れ替え、また磁化自由層のCoFeと磁化自由層の基板側のNiFeとを入
れ替えた。膜材料と膜厚は、基板11側からNiFeCr(4nm)/MnPt(12n
m)/CoFe(1.5nm)−Ru(0.9nm)−CoFe(2nm)/NiFe(
2nm)−CoFe1nm)−Ru(0.9nm)−NiFe(2nm)/Cu(2nm
)/Ta(3nm)の順に積層した。
と固定抵抗膜を示している。図8a)に示す様に、基板11側からNiFeCr(4nm
)/NiFe(2nm)−CoFe(1nm)/Cu(2nm)/CoFe(2nm)−
Ru(0.9nm)−CoFe(1.5nm)/MnPt(12nm)/Ta(3nm)
の順にスパッタ膜を積層させたトップ積層フェリ固定層タイプのSVGMR膜151であ
る。NiFeCrが下地層12、下地層に接するNiFeとこの上に成膜されるCoFe
が磁化自由層16、Cuが非磁性導電層15、保護層側のRuとこれを挟むCoFeが磁
化固定層16、MnPtが反強磁性層13、Taが保護層17にそれぞれ対応する。図8
b)に示す固定抵抗膜152は、SVGMR膜151の非磁性導電層15と磁化自由層1
6の積層順序を入れ替え、また磁化自由層のCoFeとNiFeを入れ替えた。膜材料と
膜厚は、基板11側からNiFeCr(4nm)/Cu(2nm)/CoFe(1nm)
−NiFe(2nm)/CoFe(2nm)−Ru(0.9nm)−CoFe(1.5n
m)/MnPt(12nm)/Ta(3nm)の順に積層した。
層タイプのSVGMR膜と固定抵抗膜を示している。図9a)に示す様に、基板11側か
らNiFeCr(4nm)/NiFe(2nm)−Ru(0.9nm)−NiFe(2n
m)−CoFe(1nm)/Cu(2nm)/CoFe(2nm)−Ru(0.9nm)
−CoFe(1.5nm)/MnPt(12nm)/Ta(3nm)の順にスパッタ膜を
積層した、トップ積層フェリ固定層および積層フェリ自由層タイプのSVGMR膜161
である。NiFeCrが下地層12、下地層側のRuとこれを挟むNiFe、およびこの
上に成膜されるCoFeが磁化自由層16、Cuが非磁性導電層15、保護層側のRuと
これを挟むCoFeが磁化固定層16、MnPtが反強磁性層13、Taが保護層17に
それぞれ対応する図9b)に示す固定抵抗膜162は、SVGMR膜161の非磁性導電
層15と磁化自由層16の積層順を入れ替え、また磁化自由層のCoFeと磁化自由層の
保護層側のNiFeを入れ替えた。膜材料と膜厚は、基板11側からNiFeCr(4n
m)/Cu(2nm)/NiFe(2nm)−Ru(0.9nm)−CoFe(1nm)
−NiFe(2nm)/CoFe(2nm)−Ru(0.9nm)−CoFe(1.5n
m)/MnPt(12nm)/Ta(3nm)の順に積層した。
定抵抗膜のRsは同じで、また室温〜350℃の温度範囲でRsの温度特性も同じであっ
た。温度係数は実施例2〜6の全ての膜で1.〜1.2x10−3(deg.−1)の範
囲にあり良く一致した。またSVGMR膜と積層順序を入れ替えた実施例2〜6のいずれ
の固定抵抗膜も、室温〜350℃の温度範囲でdR/Rは0.2%以下であった。dR/
R0.2%以下は、測定器の測定限界値より低い値であるので磁気抵抗変化率は略ゼロと
言えるレベルである。
13 反強磁性層、14 磁化固定層、
15 非磁性導電層、16 磁化自由層、
17 保護層、27 SVGMR素子、
28 固定抵抗素子、31,32,33,34 端子、
51,52 磁気センサ素子、60 磁気センサ、
61 磁気媒体、
101,111,121,131,141,151,161 SVGMR膜、
102,112,122,132,142,152,162 固定抵抗膜。
Claims (6)
- 外部磁界に反応して電気抵抗が変化する磁気抵抗効果膜で形成したセンサ素子と、磁気
抵抗効果膜と電気抵抗の温度特性が等しく、外部磁界がない状態での電気抵抗も等しく、
外部磁界でほとんど抵抗変化しない固定抵抗膜で形成したセンサ素子で、ブリッジ回路を
形成していることを特徴とする磁気センサ。 - 磁気抵抗効果膜が基板上に形成された単層または複数層からなる下地層と、非磁性導電
層と非磁性導電層を挟む磁化固定層および磁化自由層と、磁化固定層の隣に形成される反
強磁性層からなる多層部と、最上位に形成される保護膜とから構成されるスピンバルブ型
巨大磁気抵抗効果膜(SVGMR膜)であることを特徴とする請求項1に記載の磁気セン
サ。 - 多層部で磁化固定層および/または磁化自由層は、単層または複数層からなることを特
徴とする請求項2に記載の磁気センサ。 - 固定抵抗膜は磁気抵抗効果膜と同じ材料で構成され、一部積層順序を入れ替えた構成に
したことを特徴とする請求項1および2のいずれかに記載の磁気センサ。 - 磁気抵抗効果膜と固定抵抗膜が同一の基板上に形成されていることを特徴とする請求項
1および2に記載の磁気センサ。 - 固定抵抗膜は非磁性導電層の膜厚を変えることで電気抵抗値を調整することを特徴とす
る請求項1および2に記載の磁気センサ。
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