JP6858314B1 - メタクリル酸メチルの製造方法 - Google Patents

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Abstract

酸化エステル化反応器内でメタクロレインとメタノールと分子状酸素とを酸化エステル化させた反応液であって、反応生成物としてのメタクリル酸メチルを含む反応液を、前記酸化エステル化反応器の下流に位置する第1の蒸留塔に供給し、かつ、メタクロレインとメタノールを含む留分を前記第1の蒸留塔の中間部より抜き出し、かつ、メタクリル酸メチルを含む塔底液を前記第1の蒸留塔の塔底より抜き出すことを含む、蒸留工程を含み、前記塔底液中のメタノール濃度が1質量%以上30質量%以下である、メタクリル酸メチルの製造方法。

Description

本発明は、メタクリル酸メチルの製造方法に関する。
近年、メタクロレインとメタノールと分子状酸素とを酸化エステル化反応させて、一挙にメタクリル酸メチルを製造する方法(以下、単に「直メタ法」ともいう。)について鋭意研究がなされている。直メタ法では、メタクロレインに対して過剰のメタノールを用いて反応が行われるため、反応液は、未反応メタクロレインと、未反応メタノールと、反応生成物であるメタクリル酸メチルと、反応副生物である水及びメタクリル酸とを含む混合液として得られる。直メタ法では、過剰のメタノールの存在下で反応させるため、未反応メタノールを回収してリサイクルすることが経済的見地から望ましい。
このような直メタ法を用いた例としては、特許文献1に記載された方法が挙げられる。特許文献1では、直メタ法で得られる反応液、すなわち、メタクロレイン、メタクリル酸メチル、水、メタクリル酸及びメタノールの混合液を該蒸留塔の中間部に供給し、該蒸留塔濃縮部で、メタクロレインとメタノールとを共沸させ、次いで残余のメタノールを反応生成物であるメタクリル酸メチルの一部と共沸させて抜き出し、メタノールとメタクロレインとを同時にメタクリル酸メチルとの混合液として回収する方法が提案されている。ここで、特許文献1に記載の方法によれば、蒸留塔の塔底液には、メタクロレイン及びメタノールが実質的に含まれないとされている。かかる方法によれば、ただ1基の蒸留塔のみという簡略且つ短い工程でメタクロレイン及びメタノールを同時に回収することができ、長期連続運転が可能とされている。
特許第3819419号公報
特許文献1に記載の方法に基づき、蒸留塔の塔底液にメタクロレイン及びメタノールが実質的に含まれないこととすると、塔底液における水濃度が高くなり、塔底液の蒸発潜熱が水の蒸発潜熱に近づくことになる。水の蒸発潜熱はメタノールの蒸発潜熱に比べ、2倍以上となっているため塔底液にメタノールが含まれる場合と比べ蒸留塔を運転するために必要な熱量が増加する。その結果、熱源の消費エネルギーが増加する。さらに塔底液にメタノールが存在しない場合、メタノールが存在する場合と比較して蒸留塔内の温度も高くなる傾向にあるため、重合物の発生により蒸留塔の閉塞に繋がるおそれがある。このように、蒸留に要するエネルギーの低減、及び蒸留塔の閉塞を抑制し、長期間の安定した運転を実現する観点からは、特許文献1の技術には依然として改善の余地がある。
本発明は、上記の従来技術が有する課題に鑑みてなされたものであり、メタクリル酸メチルを製造するに際して、より効率的かつ安定した運転を実現できる、メタクリル酸メチルの製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、このような状況に鑑みて鋭意研究した結果、所定の塔底液におけるメタノール濃度を特定の範囲内とすることにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下の態様を包含する。
[1]
酸化エステル化反応器内でメタクロレインとメタノールと分子状酸素とを酸化エステル化させた反応液であって、反応生成物としてのメタクリル酸メチルを含む反応液を、前記酸化エステル化反応器の下流に位置する第1の蒸留塔に供給し、かつ、メタクロレインとメタノールを含む留分を前記第1の蒸留塔の中間部より抜き出し、かつ、メタクリル酸メチルを含む塔底液を前記第1の蒸留塔の塔底より抜き出すことを含む、蒸留工程を含み、
前記塔底液中のメタノール濃度が1質量%以上30質量%以下である、メタクリル酸メチルの製造方法。
[2]
前記塔底液を軽質相と重質相とに相分離する工程をさらに含む、[1]に記載のメタクリル酸メチルの製造方法。
[3]
前記重質相を第2の蒸留塔で蒸留することにより、メタノールを含む留分を得る工程をさらに含む、[2]に記載のメタクリル酸メチルの製造方法。
[4]
前記第2の蒸留塔より得られたメタノールを含む留分を、前記酸化エステル化反応にリサイクルする、[3]に記載のメタクリル酸メチルの製造方法。
[5]
前記軽質相を精製に供する工程と、
前記精製後の軽質相に重合防止剤を添加する工程と、
をさらに含む、[2]〜[4]のいずれかに記載のメタクリル酸メチルの製造方法。
[6]
前記酸化エステル化反応器内で前記メタクロレインと前記メタノールと前記分子状酸素とを酸化エステル化させて前記反応液を得る工程をさらに含む、[1]〜[5]のいずれかに記載のメタクリル酸メチルの製造方法。
[7]
前記第1の蒸留塔の中間部より抜き出したメタクロレインとメタノールを含む留分を、前記酸化エステル化反応にリサイクルする、[1]〜[6]のいずれかに記載のメタクリル酸メチルの製造方法。
[8]
前記蒸留工程において、更にメタノールを第1の蒸留塔に添加することにより、当該塔底液中のメタノール濃度を調整する、[1]〜[7]のいずれかに記載のメタクリル酸メチルの製造方法。
[9]
前記反応液に含まれるメタクロレインのモル数に対する、前記更に添加するメタノールのモル数比が、0.1以上3.0以下である、[8]に記載のメタクリル酸メチルの製造方法。
[10]
前記蒸留工程において、前記第1の蒸留塔の塔底温度が、45℃以上80℃以下であり、かつ、前記第1の蒸留塔の塔底圧力が、−50kPaG以上0kPaG以下である、[1]〜[9]のいずれかに記載のメタクリル酸メチルの製造方法。
[11]
下記式により算出される前記第1の蒸留塔の塔底液の滞留時間が、1.5時間以下である、[1]〜[10]のいずれかに記載のメタクリル酸メチルの製造方法。
滞留時間(時間)=第1の蒸留塔に存在する塔底液の量(kg)/単位時間当たりの塔底液の抜き出し量(kg/時間)
[12]
前記第1の蒸留塔における塔底液中の中沸点物質含有率が0.1質量%以上である、[1]〜[11]のいずれかに記載のメタクリル酸メチルの製造方法。
[13]
前記中沸点物質が、アクリル酸メチルを含む、[12]に記載のメタクリル酸メチルの製造方法。
[14]
前記塔底液の少なくとも一部を抜き出し、前記酸化エステル化反応器から発生するベントガスと熱交換させて加熱し、前記第1の蒸留塔の塔底に再供給する、[1]〜[13]のいずれかに記載のメタクリル酸メチルの製造方法。
[15]
前記第1の蒸留塔の中間部より抜き出すメタクロレインの量が、前記反応液に含まれるメタクロレインの量の95質量%以上であり、
前記第1の蒸留塔の中間部より抜き出すメタノールの量が、前記反応液に含まれるメタノールの量の70質量%以上である、[1]〜[14]のいずれかに記載のメタクリル酸メチルの製造方法。
[16]
前記第1の蒸留塔の塔頂ガスを冷却して凝縮液を得る工程をさらに含み、
前記凝縮液におけるメタノール濃度が30質量%以下である、[1]〜[15]いずれかに記載のメタクリル酸メチルの製造方法。
本発明によれば、メタクリル酸メチルを製造するに際して、より効率的かつ安定した運転を実現することができる。
図1は、本実施形態に係るメタクリル酸メチルの製造方法に適用し得る製造装置の一例を例示する概略説明図である。 図2は、反応液とは異なる経路からメタノールを第1の蒸留塔に添加する場合の一例を示す概略説明図である。 図3は、反応液とは異なる経路からメタノールを第1の蒸留塔に添加する場合の他の例を示す概略説明図である。 図4は、第2の蒸留塔より得られたメタノールを含む留分を酸化エステル化反応器にリサイクルする場合の一例を示す概略説明図である。
以下、本発明の実施の形態(以下、「本実施形態」ともいう。)について詳細に説明する。なお、本発明は、以下の本実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
本実施形態に係るメタクリル酸メチルの製造方法は、酸化エステル化反応器においてメタクロレインとメタノールと分子状酸素とを酸化エステル化させて得られる反応液であって、反応生成物としてのメタクリル酸メチルを含む反応液を、前記酸化エステル化反応器の下流に位置する第1の蒸留塔に供給し、かつ、メタクロレインとメタノールを含む留分を前記第1の蒸留塔の中間部より抜き出し、かつ、メタクリル酸メチルを含む塔底液を前記第1の蒸留塔の塔底より抜き出すことを含む蒸留工程を含み、前記塔底液中のメタノール濃度が1質量%以上30質量%以下である。このように構成されているため、本実施形態に係るメタクリル酸メチルの製造方法によれば、メタクリル酸メチルを製造するに際して、より効率的かつ安定した運転を実現することができる。
まず、本実施形態に係るメタクリル酸メチルの製造方法に適用し得る製造装置の一例について、図1を用いて説明する。図1に示すように、製造装置10は、メタクロレイン吸収塔1と、酸化エステル化反応器2と、第1の蒸留塔3と、相分離器4と、第2の蒸留塔5と、第1の熱交換器6と、第2の熱交換器7とを備える。
メタクロレイン吸収塔1においては、メタルロレイン含有ガスとメタノールを気液接触させてメタノール中にメタクロレインを吸収させる。メタクロレイン吸収塔1と第1の蒸留塔3との間に位置する酸化エステル化反応器2において、触媒存在下、分子状酸素を供給しながらメタクロレイン及びメタノール(図中では「MeOH」と記載する。)の酸化エステル化を実施し、反応液を得ることができる。酸化エステル化反応器2内では、後述する酸化エステル化反応工程の条件を適用することができる。反応液は、酸化エステル化反応器2の下流に位置する第1の蒸留塔3に供給される。なお、酸化エステル化反応器の中でも、最終の反応器の下流に第1の蒸留塔は位置する。つまり、図1においては1つの酸化エステル化反応器2において酸化エステル化を実施する例を示しているが、当該酸化エステル化反応器は複数直列に設置されていてもよく、その場合は最下流に位置する酸化エステル化反応器のさらに下流に第1の蒸留塔が配される。
次いで第1の蒸留塔3に供給された反応液は蒸留に供される。第1の蒸留塔3の塔底に存在する塔底液が加熱され、第1の蒸留塔3内で蒸留が行われる。第1の蒸留塔3の塔底から塔底液が抜き出され、相分離器4に供給されるが、その塔底液の一部を第1の熱交換器6に供給し加熱して、再度、第1の蒸留塔3の塔底へ供給してもよい。これにより蒸留のための加熱を行うことができる。第1の熱交換器6としては、例えば、リボイラーが用いられる。第1の熱交換器6には、蒸気又は液体などの熱媒体より、外部から熱が供給され塔底液が加熱される。第2の熱交換器7を設けて、酸化エステル化反応器2からの熱を回収し、塔底液を熱交換により加熱してもよい。例えば、第1の蒸留塔3の塔底に存在する塔底液の少なくとも一部を抜き出し、第2の熱交換器7内で加熱して、第1の蒸留塔3の塔底に再供給することで加熱してもよい。なお、第1の蒸留塔3から回収されたメタクロレインやメタノールは、酸化エステル化反応にリサイクルすることができ、具体的には、メタクロレイン吸収塔1及び/又は酸化エステル化反応器2にリサイクルすることができる。
第1の蒸留塔3の塔底液は、第1の蒸留塔3の下流に位置する相分離器4に供給される。相分離器4にて、塔底液を軽質相と重質相とに相分離する。相分離器4で分離された軽質相は、精製工程を経て製品メタクリル酸メチルとして回収される。
相分離器4から分離された重質相は、第2の蒸留塔5で蒸留することにより、メタノールを含む留分Fを得ることができる。回収されたメタノールは、酸化エステル化反応にリサイクルすることができ、具体的には、図1に示すようにメタクロレイン吸収塔1にリサイクルすることができる。また、当該回収されたメタノールは、図4に示すように酸化エステル化反応器2にリサイクルしてもよい。さらに、当該回収されたメタノールは、メタクロレイン吸収塔1及び酸化エステル化反応器2の双方にリサイクルしてもよい。
以下、各工程について詳述する。
(酸化エステル化反応工程)
本実施形態に係るメタクリル酸メチルの製造方法は、酸化エステル化反応器においてメタクロレインとメタノールと分子状酸素とを酸化エステル化させて反応液を得る工程(単に「酸化エステル化反応工程」ともいう。)を有していてもよい。酸化エステル化反応工程においては、反応器内のpH6〜7程度に調整するため水酸化ナトリウム水溶液等のアルカリを加えてもよく、したがって酸化エステル化工程を経て得られる反応液には当該アルカリに由来するアルカリ塩が含まれていてもよい。
かかる反応液は、酸化エステル化反応工程(直メタ法)により、メタクリル酸メチルを含む混合物として得ることができる。反応液は、典型的には、未反応メタクロレインと、未反応メタノールと、反応生成物であるメタクリル酸メチルと、水と、メタクリル酸又はそのアルカリ塩と、アセトンと、アクリル酸メチルとを含んでいてもよい。酸化エステル化反応工程は、特に限定されないが、公知の反応原料及び反応設備を用い、公知の反応条件を採用して実施することができる。
またこのとき酸化エステル化反応器に投入される触媒としては特に限定されないが、例えば、酸化状態のニッケルと、金とが、例えばシリカ等の担体に担持された不均一触媒の使用が好ましい。
(蒸留工程)
蒸留工程では、まず、酸化エステル化反応器内で、メタクロレインとメタノールと分子状酸素とを酸化エステル化させた反応液であって、反応生成物としてのメタクリル酸メチルを含む反応液を、第1の蒸留塔に供給する。当該反応液は、上述の酸化エステル化反応工程で得られた反応液であってもよい。
上記のとおり、本実施形態に係るメタクリル酸メチルの製造方法では、少なくとも第1の蒸留塔を用いる。第1の蒸留塔は、外部より反応液を供給することができ、かつ、塔底よりメタクリル酸メチルを含む塔底液を回収でき、かつ、中間部から分離された成分を抜き出すことができる構成である限り、その構成は特に限定されず、公知の構成を有するものを採用することができる。すなわち、第1の蒸留塔の形式については特に限定されず、棚段塔でもよく、充填塔でもよい。棚段塔の場合、以下に限定されないが、シーブトレイ、カスケードトレイ、ターボグリッドトレイ、リップルトレイ、デュアルトレイ等を備えるものとすることができる。充填塔の場合、以下に限定されないが、メラパック等の規則充填物や、カスケードミニリング等の不規則充填物を採用することができる。本実施形態において、易重合性物質であるメタクロレインとメタクリル酸メチルを蒸留分離するため、高沸点物や重合物で閉塞しにくい構造あるいは閉塞物除去が容易な構造の塔形式が好ましい。特にメタクリル酸メチルを含む塔底液の回収部となる塔底近傍では、高沸点物や重合物の生成や濃縮による閉塞が起こりやすいため、棚段塔を蒸留塔として使用することが好ましい。また、第1の蒸留塔における蒸留の形式は、バッチ式であっても、連続式であってもよいが、連続式であることが好ましい。
第1の蒸留塔に供給された反応液は、蒸留され、その一部が塔内の底に溜まることとなる。本実施形態では、第1の蒸留塔の底で液が溜まる部分を特に塔底と称し、塔底にある液を特に塔底液と称し、塔底と塔頂を除く部分を中間部と称する。中間部から抜き出す留分の組成は、通常、塔底液や塔頂ガスの組成と相違する。
本実施形態においては、反応液を第1の蒸留塔に供給する限り、供給位置は特に限定されない。より効率的かつ安定した運転を実現する観点から、当該供給位置としては、中間部であることが好ましい。
次いで、蒸留工程では、反応液を酸化エステル化反応器の下流に位置する第1の蒸留塔に供給して蒸留し、メタクロレイン及びメタノールを含む留分Fを前記第1の蒸留塔の中間部より抜き出し、かつ、当該第1の蒸留塔の塔底よりメタクリル酸メチルを含む塔底液を抜き出す。このとき、塔底液中のメタノール濃度を1質量%以上30質量%以下とする。かかる操作の具体例としては、次のとおりである、すなわち、第1の蒸留塔に供給されたメタクロレイン、メタクリル酸メチル、水、メタクリル酸ナトリウム及びメタノールを含む反応液より、メタクロレイン及びメタノールの少なくとも一部を分離して回収する。このとき、第1の蒸留塔の中間部からメタクロレイン及びメタノールを共沸させて抜き出すと共に、第1の蒸留塔の塔底より得られるメタクリル酸メチル、水及びメタノールを含む混合液中のメタノール濃度が1質量%以上30質量%以下となるように第1の蒸留塔を操作することで、第1の蒸留塔からメタクロレインを回収する。より具体的には、第1の蒸留塔の塔底温度を指標として、熱交換器への熱量供給量(例えばリボイラーへの蒸気供給量)や第1の蒸留塔の中間部からの抜出量を制御することにより、上記塔底液のメタノール濃度を調整することができる。例えば、塔底の圧力を−3kPaGとすると、塔底温度が85℃程度になるよう、蒸気量及び中間部からの抜出量を操作する場合は、メタノール濃度は1質量%未満となる傾向にある。また、同圧下、塔底温度が78℃程度になるよう、熱交換器への熱量供給量及び上部からの抜出量を操作する場合は、メタノール濃度は1質量%以上30質量%以下となる傾向にある。さらに、同圧下、塔底温度が68℃程度になるよう、熱交換器への熱量供給量及び中間部からの抜出量を操作する場合は、メタノール濃度は30質量%超となる傾向にある。ただし、上記は典型的な例を挙げたに過ぎず、第1の蒸留塔への供給前における反応液の組成等、諸条件に基づいて適宜調整することが好ましい。
本実施形態では、塔底液中のメタノール濃度を1質量%以上30質量%以下とすることにより、より効率的にかつ安定してメタクリル酸メチルを製造することができる。
塔底液中のメタノール濃度が1質量%未満である場合、すなわち、塔底液がメタノールを実質的に含まない場合、塔底液における水濃度が高くなり、塔底液の蒸発潜熱が水の蒸発潜熱に近づくことになる。水の蒸発潜熱はメタノールの蒸発潜熱に比べ、2倍以上となっているため塔底液にメタノールが含まれる場合と比べ蒸留塔を運転するために必要な熱量が増加する。その結果、例えば、熱源であるリボイラー蒸気流量等が増加する。さらに塔底液にメタノールが存在しない場合、メタノールが存在する場合と比較して塔内温度が高くなる傾向にあるため、重合物の発生に繋がるおそれがある。さらに、後述のとおり、酸化エステル化反応器からのベントガスとの熱交換をする場合も、塔底液自体の温度も高くなる傾向にあるため、製造プロセスにおいて塔底液と塔底液よりも高温の流体とを熱交換する場合に十分な温度差をとり難く、熱回収の効率としても十分なものとは言い難い。
これに対して、塔底液中のメタノール濃度が1質量%以上である場合、塔底液における水の濃度が減少し、これにより蒸発潜熱が減少するため、蒸発に要するエネルギーが減少する。そのため、運転に必要となる蒸気量を削減することができ、結果としてランニングコスト低減に寄与する。さらに、塔底液の温度が低下する傾向にあるため、第1の蒸留塔の塔内温度としても低下する傾向にある。
重合物は、一般的に温度が高い方が発生しやすいため、塔内温度が低下することにより、塔内での重合物の発生が抑制され、蒸留塔をより長期で運転することが可能となる。特に、塔内で最も温度が高い塔底温度が低下することで、その分リボイラーへ供給される蒸気の飽和温度を低下させることができ、リボイラーでの重合物発生に起因する閉塞防止に繋がる。
以上述べた観点から、塔底液中のメタノール濃度は、好ましくは8質量%以上、より好ましくは15質量%以上である。
一方、塔底液中のメタノール濃度が30質量%超である場合、塔底液が均質相となって2相に分かれなくなる。すなわち、メタクリル酸メチル等を含む軽質層と、水及びメタノールを含む重質相とに分離することが困難となる。かかる不都合を防止するため、塔底液中のメタノール濃度を30質量%以下とする。
また、塔底液中のメタノール濃度は、好ましくは27質量%以下、より好ましくは20質量%以下である。メタノール濃度がこのような範囲内であることにより、軽質相と、重質相との分離にかかる時間を低減でき、さらにはその後の蒸留にてアルカリ塩の析出を抑制し効率よくメタノールを含む留分を回収できる傾向にある。また、後述のとおり、重質相を第2の蒸留塔で蒸留する場合、塔底液中のメタノール濃度が上述の範囲内であることにより、蒸留塔内での塩の析出を抑制することができる傾向にある。
前述したように、酸化エステル化反応器から熱回収を実施する場合、本実施形態に係るメタクリル酸メチルの製造方法によれば、塔底温度が低い方が、酸化エステル化反応器からの回収熱源(例えば、高温流体)との温度差を大きく取れるため、熱回収量が増加し、熱源からの供給熱量を削減することができ、結果としてランニングコスト低減に寄与する。特に酸化エステル化反応器から発生するベントガスは、当該酸化エステル化反応器の内部温度と等しく、当該内部温度としては、例えば、60〜120℃が好ましい。このような温度範囲であると、ベントガスをそのまま排ガスとして処理する場合は多大な熱ロスが発生する。一方、第1の蒸留塔の塔底液温度をベントガスの温度以下として熱交換させることで反応器からの廃熱を回収でき、さらに塔底液とベントガスの温度差を極力大きくすることは熱回収量を向上させることにつながる。加えて熱交換の結果、ベントガスが冷却され、ベントガス中に含まれるメタクロレインやメタノール等の有価物が凝縮し、これを反応原料として回収することも可能となる。以上の観点から、本実施形態においては、前記塔底液の少なくとも一部を、前記酸化エステル化反応器において発生するベントガスとの熱交換により加熱し、当該熱交換後の塔底液を第1の蒸留塔へ再供給することが好ましい。
本実施形態における蒸留工程では、メタクロレイン及びメタノールを含む留分Fを第1の蒸留塔の中間部から回収する。この回収位置としては、第1の蒸留塔の中間部であれば特に限定されないが、反応液の供給部分よりも上側であることが好ましい。また第1の蒸留塔の中間部から回収されるメタクロレインは、第1の蒸留塔に供給される反応液中に含まれるメタクロレインの95質量%以上であることが好ましい。さらに第1の蒸留塔の中間部から回収されるメタノールは、第1の蒸留塔に供給される反応液中に含まれるメタノールの70質量%以上であることが好ましい。
本実施形態に係るメタクリル酸メチルの製造方法は、第1の蒸留塔の中間部より抜き出したメタクロレインとメタノールを含む留分Fを、酸化エステル化反応にリサイクルすることが好ましく、具体的には、メタクロレイン吸収塔及び/又は酸化エステル化反応器にリサイクルすることが好ましい。
特許文献1に記載の方法において、メタクリル酸メチル及び不純物であるアクリル酸メチル等は、メタノールと共沸するため、回収するメタクロレイン及びメタノールと共に反応工程にリサイクルされる場合、反応液中のメタクリル酸メチル及びアクリル酸メチル等の含有率が経時的に増加し、メタクロレイン及びメタノール含有率が減少することでメタクリル酸メチル以外の副生成物発生量が増加し、メタクリル酸メチルの反応収率が悪化する原因となる。特にアクリル酸メチル等の中沸点物質は、ほぼ全量がメタクロレイン及びメタノールと共に反応工程にリサイクルされるため、これを防止すべく、回収したメタクロレイン及びメタノールとともに反応工程以外に抜き出して廃棄する必要がある。これによりメタクロレイン、及びメタノールの回収率が低下して、結果的に原料であるメタクロレイン、メタノール、及び製品であるメタクリル酸メチルを多量にロスしている。上述のとおり、塔底液におけるメタノール濃度を特定の範囲内として反応液を蒸留し、中間部より抜き出したメタクロレイン及びメタノール留分Fを酸化エステル化反応にリサイクルすることで、酸化エステル化反応器内での反応収率の低下が抑制される。
中間部からの留分F中のメタクリル酸メチルは、特に限定されないが、上述した観点から、20.0質量%以下であることが好ましく、15.0質量%以下であることがより好ましく、12.0質量%以下であることが更に好ましい。
上記した他、前記蒸留工程において、更にメタノールを第1の蒸留塔に添加することにより、当該塔底液中のメタノール濃度を調整することもできる。「更にメタノールを第1の蒸留塔に添加する」とは、前記反応液とは異なる経路からメタノールを蒸留塔に添加することを意味する。かかる態様においては、メタノール濃度をより調整しやすくなる傾向にあるため好ましい。
異なる経路としては、例えば、第1の蒸留塔における反応液の供給部分とは異なる位置にメタノール供給部を設け、ここにメタノールを添加することで塔底液中のメタノール濃度を高くすることができる(例えば、図2参照)。かかるメタノール供給部の位置は特に限定されないが、中間部に位置することが好ましい。
また、異なる経路として、図1で例示したような熱回収工程に係る循環系にメタノールを添加することで、第1の蒸留塔に間接的にメタノールを添加する態様も採用できる(例えば、図3参照)。この場合において、添加するメタノールの温度で循環する塔底液の温度を低下させることもでき、それによって熱交換の際の温度差を大きくとることもできるため、かかる操作を行うことは熱回収効率を一層高める観点から好ましい。
本実施形態において、メタノール濃度をより調整しやすくする観点から、前記反応液に含まれるメタクロレインのモル数に対する、前記異なる経路からのメタノールの添加モル数比が、0.1以上3.0以下であることが好ましい。
上記と同様の観点から、0.5以上2.5以下であることがより好ましく、1.0以上2.0以下であることがさらに好ましい。
本実施形態において、塔底液中のメタノール濃度を前述した範囲に調整し、かつ塔内温度を下げて重合物の発生を防止し、より長期の運転をしやすくする観点から、前記蒸留工程において、前記第1の蒸留塔の塔底温度が、45℃以上80℃以下であり、かつ、前記第1の蒸留塔の塔底圧力が、−50kPaG以上0kPaG以下であることが好ましい。
上記と同様の観点から、同圧下で、50℃以上77℃以下であることがより好ましく、55℃以上73℃以下であることがさらに好ましい。
本実施形態において、塔底での滞留時間を一定時間以下として、重合物の発生を防止し、より長期の運転をしやすくする観点から、下記式により算出される前記第1の蒸留塔の塔底液の滞留時間が、1.5時間以下であることが好ましい。
滞留時間(時間)=第1の蒸留塔に存在する塔底液の量(kg)/単位時間当たりの塔底液の抜き出し量(kg/時間)
上記と同様の観点から、1分以上1.0時間以下であることがより好ましく、1分以上45分以下であることがさらに好ましく、5分以上30分以下であることがよりさらに好ましく、5分以上15分以下であることがよりさらに好ましい。
蒸留工程に後続する工程については特に限定されないが、最終製品としてのメタクリル酸メチルの用途に応じ、塔底液として回収されたメタクリル酸メチルの純度を高めたり、反応収率を考慮して所定の成分をリサイクルしたりすることができる。
本実施形態は、より高純度のメタクリル酸メチルを回収すると共に反応収率をより向上させる観点から、前記蒸留工程において回収された塔底液を軽質相と重質相とに相分離する工程をさらに有することが好ましい。前記軽質相は、メタクリル酸メチルを含む油相に相当し、前記重質相は、メタノールを含む水相に相当する。相分離器としては特に限定されず、種々公知のものを採用できる。具体例としては、以下に限定されないが、デカンター、抽出塔、遠心分離機等が挙げられ、これらを組み合わせて直列に配置したものであってもよい。また軽質相と重質相とに相分離する工程の前に、強酸及び任意で水を加えて混合し、反応液に含まれうるメタクロレインジメチルアセタール等の分解、及びメタクリル酸ナトリウムを中和してメタクリル酸として軽質相に移相させることがより好ましい。
本実施形態は、重質相を第2の蒸留塔で蒸留することにより、メタノールを含む留分Fを得る工程、をさらに有することが好ましい。
なお、第2の蒸留塔についても、その構成や形式は特に限定されず、第1の蒸留塔と同様とすることができる。
本実施形態において、前記第2の蒸留塔より得られたメタノールを含む留分Fを、酸化エステル化反応にリサイクルすることが好ましく、具体的には、メタクロレイン吸収塔及び/又は酸化エステル化反応器にリサイクルすることが好ましい。すなわち、図1に例示するように、メタクロレイン吸収塔1にリサイクルしてもよいし、図4に例示するように、酸化エステル化反応器2にリサイクルしてもよい。本実施形態では、第1の蒸留塔において塔底液としてある程度の量のメタノールを抜き出すこととなるため、第2の蒸留塔より得られたメタノールを含む留分Fを、酸化エステル化反応にリサイクルすることは運転効率をより向上させる観点から好ましい。当該留分Fとしては、メタノールを50質量%以上含有することが好ましい。
本実施形態において、第1の蒸留塔から抜き出される塔底液中のメタノール濃度が1質量%以上となるように蒸留の際の運転条件を調整すると、当該メタノール濃度を1質量%未満に調整する場合と比較して、塔底液中の中沸点物質含有率が有意に上昇する。これは第1の蒸留塔から抜き出される塔底液中にメタノールが存在するような運転条件を採用する場合は、中沸点物質は中間部から完全に抜き出されず、メタノールとともに塔底液に残存することとなるためである。このように、第1の蒸留塔から回収される塔底液中に中沸点物質が存在することで、相対的に、中間部からの抜出液の中沸点物質含有率が低下する。
なお、中沸点物質とは、メタクロレインとメタノールの共沸点(60.0℃)とメタクリル酸メチルとメタノールの沸点(64.5℃)との間に沸点を持つ物質、又は、メタノール、メタクロレイン、水等の反応液中に存在する物質と共沸することで共沸点が上記の範囲内となる物質である。例えば、アクリル酸メチルは単体では沸点が86.1℃であるが、メタノールと共沸する性質を有し、その共沸点は62.5℃であるため、中沸点物質に該当する。
この性質を利用すると、第1の蒸留塔の塔底より回収される塔底液を、後続する工程で軽質相と重質相に分離し、さらにその軽質相から低沸点物質を分離するために蒸留することで、低沸点物質とともにアクリル酸メチル等の中沸点物質を高濃度に濃縮して抜き出すことができる。この抜き出し液中にはアクリル酸メチルのほか、アセトン等の低沸点の不純物が大半であるため、抜き出し液を廃棄してもメタクロレイン、メタノール、メタクリル酸メチル等の物質をほとんどロスしない。しかもこの時に用いる蒸留塔としては、第1の蒸留塔とは別体であればよく、新規な構成の蒸留塔を採用する必要もない。例えば、特許文献1において用いられていた低沸点物質を分離するための蒸留塔等、従来公知のものを採用することができる。このようにして、特許文献1において生じ得る、中沸点成分が酸化エステル化反応工程で高濃度に濃縮する問題までも、容易に防ぐことができる。
特許文献1に記載の方法に比べると、反応液中に含まれるメタクリル酸メチルがメタノールと共沸して第1の蒸留塔の中間部から抜き出されにくくなるため、第1の蒸留塔の中間部からの留分F中のメタクリル酸メチルの含有率も低減することができる。留分Fを、前記酸化エステル化反応器にリサイクルする場合、結果的に酸化エステル化反応工程のメタクロレイン、メタノール濃度の上昇に寄与するため、反応収率が向上する。この点、特許文献1の方法では、塔底において中沸点物質は実質的に存在せず、中間部からの留分F中にほぼ全量の中沸点物質が存在する。このため、中沸点物質を分離するために中間部からの留分Fの一部を廃棄処理する必要があり、中間部からの留分F中にはメタクロレイン、メタノール、メタクリル酸メチルが大半を占めているため、廃棄処理によりこれら有価物を多量にロスする。
もっとも、本実施形態において、中間部からの留分Fの一部を廃棄処理することで、さらに酸化エステル化反応における中沸点成分濃縮を低減してもよい。この場合、中間部からの留分F中の中沸点物質含有率が特許文献1の方法と比較して低いため、中間部からの留分Fをさらに1つ以上の蒸留塔で蒸留し、メタクロレイン、メタノール、メタクリル酸メチルを分離・回収してから中沸点物質を廃棄することが好ましい。
第1の蒸留塔から回収される塔底液中の中沸点物質の含有率は、特に限定されないが、上述した観点から、0.1質量%以上であることが好ましく、0.5質量%以上であることがより好ましく、1.0質量%以上であることがさらに好ましく、2.0質量%以上であることがよりさらに好ましい。本実施形態において、中沸点物質がアクリル酸メチルを含む場合、アクリル酸メチル濃度として、0.1質量%以上であることが好ましく、0.5質量%以上であることがより好ましく、1.0質量%以上であることがさらに好ましい。
中間部からの留分F中の中沸点物質含有率は、特に限定されないが、上述した観点から、10.0質量%以下であることが好ましく、7.0質量%以下であることがより好ましく、4.0質量%以下であることが更に好ましく、3.0質量%以下であることがより更に好ましく、1.0質量%以下であることがより更に好ましい。本実施形態において、中沸点物質がアクリル酸メチルを含む場合、中間部からの留分F中のアクリル酸メチル濃度含有率は、10.0質量%以下であることが好ましく、7.0質量%以下であることがより好ましく、4.0質量%以下であることが更に好ましく、3.0質量%以下であることがより更に好ましく、1.0質量%以下であることがより更に好ましい。
本実施形態において、第1の蒸留塔の塔頂より抜き出したガスは、凝縮器にて冷却し、凝縮液とすることができる。この凝縮液の一部は還流液として第1の蒸留塔の塔頂部に供給し、残りの凝縮液はアセトンなどの軽沸点物質の濃縮防止の為、系外に抜き出して廃棄処理等するのが好ましい。そのため、前記凝縮液中のメタノール濃度は極力低いことが好ましく、具体的には30質量%以下が好ましい。
本実施形態において、第1の蒸留塔の塔底液を相分離して得た軽質相にはメタクリル酸メチルやメタクリル酸以外の反応副生物が不純物として含まれている。これらの不純物の中には製品の色味等の品質に影響を及ぼすものがある可能性があるため、不純物を精製して除去することが望ましい。精製方法については特に限定されないが、メタクリル酸メチルとの沸点差を利用した方法が一般的であり、例えば蒸留塔により蒸留し、メタクリル酸メチルを含む留分を得ることができる。
また精製した軽質相はメタクリル酸メチルの重合が発生しやすいため、重合防止剤を添加することが好ましい。添加する重合防止剤の種類としては特に限定されないが、2,4−ジメチル−6−tert−ブチルフェノール等が好ましい。
以下に実施例を挙げて本実施形態をより具体的に説明するが、本実施形態はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。また、各種物性の評価方法は下記に示すとおりとした。
[実施例1]
図1に例示する製造装置と同様の構成を備える製造装置を用い、次のとおりメタクリル酸メチルの製造を行った。下記一連の手順で製造装置の運転を一年間行った。なお、当該実施例中各成分の量等の値は定常運転に達してからの値である。メタクロレイン吸収塔で、メタルロレイン含有ガスとメタノールを気液接触させてメタノール中にメタクロレインを吸収させて、メタクロレインとメタノールの混合液を酸化エステル化反応器に送液した。酸化エステル化反応器内で、メタクロレインとメタノールの混合液に、触媒の存在下、酸素含有ガスを供給して酸化エステル化反応させた。この時、反応器内のpH7.0となるよう水酸化ナトリウム水溶液を加えた。この反応によって得られた反応液の組成はメタクロレイン8.1質量%、メタクリル酸メチル37.0質量%、水8.0質量%、メタクリル酸ナトリウム1.5質量%、メタノール40.0質量%、アセトン3.0質量%、及びアクリル酸メチル2.4質量%であった。メタクロレイン、メタクリル酸メチル、水、メタクリル酸ナトリウム、メタノール、アセトン及びアクリル酸メチル含む反応液を、第1の蒸留塔に供給した。ここで、第1の蒸留塔としては、径10cm、高さ6m、実段数45のシーブトレイを装着した棚段塔型式の蒸留塔を用い、反応液は、当該蒸留塔の塔頂から30段目の位置より633.6g/hの量で供給した。また、塔頂からは、塔内流下液中の重合禁止剤濃度が100質量ppm以上になるように重合禁止剤として、ハイドロキノンを供給した。
蒸留は、次のとおり実施した。すなわち、第1の蒸留塔の塔頂温度は53℃、塔底温度は73℃、塔底圧力−3kPaGに操作し、当該蒸留塔の塔頂から5段目の位置よりメタクロレイン、メタノールを主成分とする留分Fを抜き出した。該留分F中のメタクロレインは14.4質量%、メタノールは63.8質量%、アクリル酸メチル5.8質量%、メタクリル酸メチル11.6質量%の組成であり、蒸留塔に供給したメタクロレイン96.9質量%、メタノール78.8質量%が当該蒸留塔にて回収できた。当該留分を反応原料としてメタクロレイン吸収塔へリサイクルした。また、第1の蒸留塔の塔底からは塔底液を回収した。回収された塔底液中のメタノール濃度は14.8質量%であり、アクリル酸メチル濃度は0.5質量%であり、水の濃度は16.1質量%であった。さらに塔頂ガスを凝縮させた凝縮液中のメタノール濃度は22.3質量%であった。また第1の蒸留塔における塔底液の滞留時間は5分とした。
上述した条件で運転を継続した結果、1年間にわたって第1の蒸留塔のトレイ間の差圧上昇やリボイラーでの差圧上昇は発生せず、連続して運転出来た。なお、トレイ間の差圧上昇、リボイラーでの差圧上昇が発生しないことは、トレイ間、リボイラー内での重合物が発生していないことを示唆しており、このような重合物が発生していないことに起因して、連続して運転できたものと考えられる。また、1年間の運転後に蒸留塔及びリボイラーを開放して目視点検したところ、機器内部に顕著な重合物の付着は見られなかった。
なお、上述の運転において、塔底液を回収した後の操作としては、次のとおりであった。すなわち、第1の蒸留塔より回収した塔底液に硫酸を加えてpH=3に調整し、さらに相分離器に供給したところ、すぐにメタクリル酸メチル及びメタクリル酸を含む軽質相とメタノールと水を含む重質相に分離できた。また、分離した重質相を第2の蒸留塔に供給して蒸留し、メタノールを回収した。前述の1年運転後において、第2の蒸留塔内にアルカリ塩の析出は見られなかった。
なお、上述のとおり、蒸留により第1の蒸留塔から回収された塔底液中のアクリル酸メチル濃度は0.5質量%であり、塔底液中の中沸点物質濃度としては0.1質量%以上と評価された。また、反応液に含まれるアクリル酸メチルのうち、10.7質量%が塔底から抜き出せたため、アクリル酸メチルの酸化エステル化反応器における濃縮は見られなかった。
[実施例2]
第1の蒸留塔において、塔頂温度を53℃、塔底温度を72℃としたこと以外は実施例1と同条件にて操作し、メタクリル酸メチルの製造を行った。蒸留により回収された塔底液中のメタノール濃度は20.5質量%であった。この状態で運転した結果、実施例1と同様に第1の蒸留塔のトレイ間の差圧上昇やリボイラーでの差圧上昇は発生せず、1年間連続で運転でき、蒸留塔及びリボイラーを1年間運転後に開放して目視点検したところ、機器内部に顕著な重合物の付着は見られなかった。
なお、上述の運転において、塔底液を回収した後の操作としては、次のとおりであった。すなわち、第1の蒸留塔より回収した塔底液に硫酸を加えてpH=3に調整し、さらに相分離器に供給したところ、すぐに軽質相と重質相に分離できた。また、分離した重質相を第2の蒸留塔に供給して蒸留し、メタノールを回収した。前述の1年運転後において、第2の蒸留塔内にアルカリ塩の析出は見られなかった。また、蒸留により第1の蒸留塔から回収された塔底液中のアクリル酸メチル濃度は0.7質量%であり、塔底液中の中沸点物質濃度としては0.1質量%以上と評価された。また、反応液に含まれるアクリル酸メチルのうち、15.4質量%が塔底から抜き出せたため、アクリル酸メチルの酸化エステル化反応器における濃縮は見られなかった。また、酸化エステル化反応によるメタクリル酸メチルの運転1年間の平均反応収率は、実施例1と比較して同程度であった。
[実施例3]
第1の蒸留塔において、塔頂温度は53℃、塔底温度は76℃で操作したこと以外は実施例1と同条件にて操作し、メタクリル酸メチルの製造を行った。蒸留により回収された塔底液中のメタノール濃度は7.6質量%であった。この状態で運転した結果、実施例1と同様に1年間蒸留塔のトレイ間の差圧上昇やリボイラーでの差圧上昇は発生せず、連続して運転出来た。そして1年間の運転後に蒸留塔及びリボイラーを開放して目視点検したところ、機器内部に顕著な重合物の付着は見られなかった。
なお、上述の運転において、塔底液を回収した後の操作としては、次のとおりであった。すなわち、第1の蒸留塔より回収した塔底液に硫酸を加えてpH=3に調整し、さらに相分離器に供給したところ、すぐに軽質相と重質相に分離できた。また、分離した重質相を第2の蒸留塔に供給して蒸留し、メタノールを回収した。前述の1年運転後において、第2の蒸留塔内にアルカリ塩の析出は見られなかった。さらに、蒸留により第1の蒸留塔から回収された塔底液中のアクリル酸メチル濃度は0.3質量%であり、塔底液中の中沸点物質濃度としては0.1質量%以上と評価された。また、反応液に含まれるアクリル酸メチルのうち、4.8質量%しか塔底から抜き出せなかったため、アクリル酸メチルが酸化エステル化反応器において濃縮した。結果、メタクリル酸メチルの運転1年間の平均反応収率が実施例1と比較して1.4質量%低下したが、実用上問題はなかった。
[実施例4]
第1の蒸留塔において、塔頂温度は53℃、塔底温度は71℃で操作したこと以外は実施例1と同条件にて操作し、メタクリル酸メチルの製造を行った。蒸留により回収された塔底液中のメタノール濃度は27.5質量%であった。この状態で運転した結果、1年間蒸留塔のトレイ間の差圧上昇やリボイラーでの差圧上昇は発生せず、連続して運転出来た。そして1年間の運転後に蒸留塔及びリボイラーを開放して目視点検したところ、機器内部に顕著な重合物の付着は見られなかった。
なお、上述の運転において、塔底液を回収した後の操作としては、次のとおりであった。すなわち、第1の蒸留塔より回収した塔底液に硫酸を加えてpH=3に調整し、さらに相分離器に供給した。その結果、軽質相と重質相に分離はできたものの、分離に要する時間が顕著に増加した。さらに分離した重質相を観察するとアルカリ塩がわずかに析出していることが確認されたが、この重質相に水を加えると容易に溶解した。前述の1年運転後において、第2の蒸留塔内にアルカリ塩の析出はわずかにみられたが、実用上問題はなかった。さらに、蒸留により第1の蒸留塔から回収された塔底液中のアクリル酸メチル濃度は1.0質量%であり、塔底液中の中沸点物質濃度としては0.1質量%以上と評価された。また、反応液に含まれるアクリル酸メチルのうち、24.6質量%が塔底から抜き出せたため、アクリル酸メチルの酸化エステル化反応器における濃縮は見られなかった。また、酸化エステル化反応によるメタクリル酸メチルの運転1年間の平均反応収率は、実施例1と比較して同程度であった。
[実施例5]
第1の蒸留塔において、塔頂温度は53℃、塔底温度は79℃で操作したこと以外は実施例1と同条件にて操作し、メタクリル酸メチルの製造を行った。蒸留により回収された塔底液中のメタノール濃度は1.8質量%であった。この状態で運転した結果、1年間蒸留塔のトレイ間の差圧上昇やリボイラーでの差圧上昇は発生せず、連続して運転出来た。しかし1年間の運転後に蒸留塔及びリボイラーを開放して目視点検したところ、シーブトレイのダウンカマーの裏側に重合物の付着を確認した。
なお、上述の運転において、塔底液を回収した後の操作としては、次のとおりであった。すなわち、第1の蒸留塔より回収した塔底液に硫酸を加えてpH=3に調整し、さらに相分離器に供給したところ、すぐに軽質相と重質相に分離できた。また、分離した重質相を第2の蒸留塔に供給して蒸留し、メタノールを回収した。前述の1年運転後において、第2の蒸留塔内にアルカリ塩の析出は見られなかった。さらに、蒸留により第1の蒸留塔から回収された塔底液中のアクリル酸メチル濃度は0.2質量%であり、塔底液中の中沸点物質濃度としては0.1質量%以上と評価された。また、供給液に含まれるアクリル酸メチルのうち、2.8質量%しか塔底から抜き出せなかったため、アクリル酸メチルが酸化エステル化反応器において濃縮した。結果、メタクリル酸メチルの運転1年間の平均反応収率が実施例1と比較して3.6質量%低下したが、実用上問題はなかった。
[比較例1]
第1の蒸留塔において、塔頂温度は53℃、塔底温度は84℃で操作したこと以外は実施例1と同条件にて操作し、メタクリル酸メチルの製造を行った。蒸留により回収された塔底液中のメタノール濃度は1570質量ppmであった。この状態で3か月間運転したところ、蒸留塔差圧及びリボイラーチューブ内差圧が上昇し、蒸留塔トレイ及びリボイラーが閉塞傾向となり、運転不能となった為、運転を停止した。運転停止後の点検の結果、トレイ裏面とリボイラーのチューブがメタクリル酸メチル由来の重合物で閉塞していた。なお、第1の蒸留塔より回収した塔底液に硫酸を加えてpH=3に調整し、さらに相分離器に供給したところ、すぐに軽質相と重質相に分離できた。さらに塔底液中のアクリル酸メチル濃度は80質量ppmであり、塔底液中の中沸点物質濃度としては232質量ppm程度(0.1質量%未満)と評価された。また、反応液に含まれるアクリル酸メチルのうち、0.1質量%しか塔底から抜き出せず、アクリル酸メチルが酸化エステル化反応器において濃縮した。メタクリル酸メチルの反応収率は徐々に低下し、メタクリル酸メチルの運転1年間の平均反応収率が実施例1と比較して5.6質量%低下した。
[比較例2]
第1の蒸留塔において、塔頂温度は53℃、塔底温度は70℃で操作したこと以外は実施例1と同条件にて操作し、メタクリル酸メチルの製造を行った。蒸留により回収された塔底液中のメタノール濃度は32.0質量%であった。
なお、上述の運転において、塔底液を回収した後の操作としては、次のとおりであった。すなわち、第1の蒸留塔より回収した塔底液に硫酸を加えてpH=3に調整し、さらに相分離器に供給したところ、塔底液は均一相となったため、当該蒸留塔の次工程にて重質相と軽質相に分離することができなかった。さらに、この塔底液を観察するとアルカリ塩が多量に析出していることが確認され、実施例4と同様に水を加えてもアルカリ塩がすべて溶解しなかった。その結果、第2の蒸留塔でアルカリ塩が多量に析出し、配管やトレイが閉塞したため運転不能となった。このように第2の蒸留塔が運転不能であったため、酸化エステル化反応器におけるアクリル酸メチルの濃縮及びメタクリル酸メチルの反応収率は評価できなかった。
1 メタクロレイン吸収塔
2 酸化エステル化反応器
3 第1の蒸留塔
4 相分離器
5 第2の蒸留塔
6 第1の熱交換器
7 第2の熱交換器
10 製造装置

Claims (16)

  1. 酸化エステル化反応器内でメタクロレインとメタノールと分子状酸素とを酸化エステル化させた反応液であって、反応生成物としてのメタクリル酸メチルを含む反応液を、前記酸化エステル化反応器の下流に位置する第1の蒸留塔に供給し、かつ、メタクロレインとメタノールを含む留分を前記第1の蒸留塔の中間部より抜き出し、かつ、メタクリル酸メチルを含む塔底液を前記第1の蒸留塔の塔底より抜き出すことを含む、蒸留工程を含み、
    前記塔底液中のメタノール濃度が1質量%以上30質量%以下である、メタクリル酸メチルの製造方法。
  2. 前記塔底液を軽質相と重質相とに相分離する工程をさらに含む、請求項1に記載のメタクリル酸メチルの製造方法。
  3. 前記重質相を第2の蒸留塔で蒸留することにより、メタノールを含む留分を得る工程をさらに含む、請求項2に記載のメタクリル酸メチルの製造方法。
  4. 前記第2の蒸留塔より得られたメタノールを含む留分を、前記酸化エステル化反応にリサイクルする、請求項3に記載のメタクリル酸メチルの製造方法。
  5. 前記軽質相を精製に供する工程と、
    前記精製後の軽質相に重合防止剤を添加する工程と、
    をさらに含む、請求項2〜4のいずれか1項に記載のメタクリル酸メチルの製造方法。
  6. 前記酸化エステル化反応器内で前記メタクロレインと前記メタノールと前記分子状酸素とを酸化エステル化させて前記反応液を得る工程をさらに含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載のメタクリル酸メチルの製造方法。
  7. 前記第1の蒸留塔の中間部より抜き出したメタクロレインとメタノールを含む留分を、前記酸化エステル化反応にリサイクルする、請求項1〜6のいずれか1項に記載のメタクリル酸メチルの製造方法。
  8. 前記蒸留工程において、更にメタノールを第1の蒸留塔に添加することにより、当該塔底液中のメタノール濃度を調整する、請求項1〜7のいずれか1項に記載のメタクリル酸メチルの製造方法。
  9. 前記反応液に含まれるメタクロレインのモル数に対する、前記更に添加するメタノールのモル数比が、0.1以上3.0以下である、請求項8に記載のメタクリル酸メチルの製造方法。
  10. 前記蒸留工程において、前記第1の蒸留塔の塔底温度が、45℃以上80℃以下であり、かつ、前記第1の蒸留塔の塔底圧力が、−50kPaG以上0kPaG以下である、請求項1〜9のいずれか1項に記載のメタクリル酸メチルの製造方法。
  11. 下記式により算出される前記第1の蒸留塔の塔底液の滞留時間が、1.5時間以下である、請求項1〜10のいずれか1項に記載のメタクリル酸メチルの製造方法。
    滞留時間(時間)=第1の蒸留塔に存在する塔底液の量(kg)/単位時間当たりの塔底液の抜き出し量(kg/時間)
  12. 前記第1の蒸留塔における塔底液中の中沸点物質含有率が0.1質量%以上である、請求項1〜11のいずれか1項に記載のメタクリル酸メチルの製造方法。
  13. 前記中沸点物質が、アクリル酸メチルを含む、請求項12に記載のメタクリル酸メチルの製造方法。
  14. 前記塔底液の少なくとも一部を抜き出し、前記酸化エステル化反応器から発生するベントガスと熱交換させて加熱し、前記第1の蒸留塔の塔底に再供給する、請求項1〜13のいずれか1項に記載のメタクリル酸メチルの製造方法。
  15. 前記第1の蒸留塔の中間部より抜き出すメタクロレインの量が、前記反応液に含まれるメタクロレインの量の95質量%以上であり、
    前記第1の蒸留塔の中間部より抜き出すメタノールの量が、前記反応液に含まれるメタノールの量の70質量%以上である、請求項1〜14のいずれか1項に記載のメタクリル酸メチルの製造方法。
  16. 前記第1の蒸留塔の塔頂ガスを冷却して凝縮液を得る工程をさらに含み、
    前記凝縮液におけるメタノール濃度が30質量%以下である、請求項1〜15いずれか1項に記載のメタクリル酸メチルの製造方法。
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