JP6780301B2 - エポキシ樹脂、エポキシ樹脂組成物及び硬化物 - Google Patents
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Description
近年では、スマートフォンなどの普及に伴い、液晶ディスプレイとタッチパネルを貼り合わせる接着剤や有機ELの液状封止材など、接着性、フィルム製膜性、耐UV性を兼ね備える材料が求められており、それに対応した種々のエポキシ樹脂が開発されている。
本発明のエポキシ樹脂は、下記式(1)で表される、エポキシ当量が200g/当量以上30,000g/当量以下のものである。
本発明のエポキシ樹脂を表す式(1)におけるAには、化学構造(2)及び/又は化学構造(3)の化学構造A1と化学構造(4)である化学構造A2とが共に含まれる。
化学構造(2)は本発明のエポキシ樹脂の原料として用いられる後述の式(6)で表される2官能エポキシ樹脂及び/又は式(7)で表される2価の水酸基含有化合物に由来して導入されるため、式(6)で表される2官能エポキシ樹脂及び/又は式(7)で表される2価の水酸基含有化合物に含まれる化学構造(2)におけるmに基づいて決まる値とみなすこととする。
R5〜R8は各々独立に、水素原子、又はメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基等の炭素数1〜4のアルキル基が好ましい。
本発明のエポキシ樹脂のエポキシ当量は、300g/当量以上であり、好ましくは800g/当量以上、より好ましくは5,000g/当量以上であり、一方、30,000g/当量以下であり、好ましくは25,000当量以下、より好ましくは20,000g/当量以下であり、更に好ましくは15,000g/当量以下である。エポキシ当量が上記下限値以上であると可撓性の観点で好ましく、上記上限値以下であるとエポキシ樹脂の取り扱いが良好となる傾向にある。なお、本発明において「エポキシ当量」とは、「1当量のエポキシ基を含むエポキシ樹脂の質量」と定義され、JIS K7236に準じて測定することができる。
本発明のエポキシ樹脂の重量平均分子量(Mw)は、1,000以上が好ましく、1,500以上がより好ましくで、一方、100,000以下が好ましく、50,000以下がより好ましい。重量平均分子量が上記下限値以上であると可撓性の観点で好ましく、上記上限値以下であるとエポキシ樹脂の取り扱いが良好となる傾向にある。なお、エポキシ樹脂の重量平均分子量及び数平均分子量はゲルパーミエーションクロマトグラフィー法(GPC法)により測定することができる。より詳細な方法の例について後述の実施例において説明する。
本発明のエポキシ樹脂は可撓性を有するため、可撓性付与材として有用である。可撓性付与材は、ガラス転移温度(Tg)がある程度低い領域である方が好ましいが、Tgが室温以下の場合、使用温度が上がると必要以上に軟化するため、好ましくない。この観点から、本発明のエポキシ樹脂のガラス転移温度は、20℃以上であることが好ましく、30℃以上であることがより好ましく、一方、145℃以下であることが好ましく、120℃以下であることがより好ましい。エポキシ樹脂のガラス転移温度はDSC法(示差走査熱量計)により求めることができる。より詳細には、後掲の実施例に記載の方法により求めることができる。
本発明のエポキシ樹脂は、2官能エポキシ樹脂と2価の水酸基含有化合物を反応させる、二段法によって得ることができる。また、2種類以上の2価の水酸基含有化合物とエピクロロヒドリンを直接反応させる、一段法によっても得ることができる。ただし、二段法では一段法よりも低分子量から高分子量まで様々なエポキシ樹脂を容易に得ることができるため、二段法を用いることが好ましい。
本発明のエポキシ樹脂を二段法により製造する方法としては、少なくとも下記式(6)で表される2官能エポキシ樹脂と下記式(7)で表される2価の水酸基含有化合物とを反応させる方法が挙げられる。
本発明のエポキシ樹脂の製造に用いられる2官能エポキシ樹脂は、前記式(6)で表されるエポキシ樹脂であり、例えば、前記式(7)で表される2価の水酸基含有化合物を、後述の一段法と同様の方法によりエピハロヒドリンと縮合させて得られるエポキシ樹脂が挙げられる。
なお、本発明のエポキシ樹脂を製造する際に、前記式(6)におけるA’として化学構造(2)、化学構造(3)及び化学構造(4)のいずれも含まない2官能エポキシ樹脂(以下「その他の2官能エポキシ樹脂」と称す場合がある。)を併用してもよく、その場合には、その他の2官能エポキシ樹脂としては、該A’に公知の任意の化学構造を有するものを用いることができる。
本発明のエポキシ樹脂の製造に用いられる2価の水酸基含有化合物は、前記式(7)で表される2価の水酸基含有化合物である。
なお、本発明のエポキシ樹脂を製造する際に、前記式(7)におけるA’として化学構造(2)、化学構造(3)及び化学構造(4)のいずれも含まない2価の水酸基含有化合物(以下「その他の2価の水酸基含有化合物」と称す場合がある。)を併用してもよく、その場合には、その他の2価の水酸基含有化合物としては、該A’に公知の任意の化学構造を有するものを用いることができる。
本発明のエポキシ樹脂の合成には触媒を用いてもよく、その触媒としては、エポキシ基とフェノール性水酸基、アルコール性水酸基やカルボキシル基との反応を進めるような触媒能を持つ化合物であればどのようなものでもよい。例えば、アルカリ金属化合物、有機リン化合物、第3級アミン、第4級アンモニウム塩、環状アミン類、イミダゾール類等が挙げられる。
本発明のエポキシ樹脂は、その製造時の合成反応の工程において、反応用の溶媒を用いてもよく、その溶媒としては、エポキシ樹脂を溶解するものであればどのようなものでもよい。例えば、芳香族系溶媒、ケトン系溶媒、アミド系溶媒、グリコールエーテル系溶媒等が挙げられる。
エポキシ樹脂の製造時の合成反応における固形分濃度は35〜100重量%が好ましい。このため、前述の溶媒において挙げたものと同様の有機化合物を希釈用の溶剤として用いてもよい。例えば、反応途中で高粘性生成物が生じたときに溶剤を追加添加して反応を続けることもできる。反応終了後、溶剤は必要に応じて、除去することもできるし、更に追加することもできる。なお、本発明においては「溶剤」という語と前述の「溶媒」という語をその使用形態により区別して用いるが、同種のものを用いても異なるものを用いてもよい。
エポキシ樹脂の製造において、2官能エポキシ樹脂と2価の水酸基含有化合物との重合反応は使用する触媒が分解しない程度の反応温度で実施される。反応温度が高すぎると生成するエポキシ樹脂が劣化するおそれがある。逆に温度が低すぎると十分に反応が進まないことがある。これらの理由から反応温度は、好ましくは50〜230℃、より好ましくは120〜200℃である。また、反応時間は通常1〜12時間、好ましくは3〜10時間である。アセトンやメチルエチルケトンのような低沸点溶剤を使用する場合には、オートクレーブを使用して高圧下で反応を行うことで反応温度を確保することができる。
本発明のエポキシ樹脂は、一段法によっても製造することができる。具体的には、前記式(7)で表される2価の水酸基含有化合物を、エピクロロヒドリンと直接反応させればよい。ただし、前述のように、一段法で製造した本発明のエポキシ樹脂のうち、低分子のものについては、二段法における2官能エポキシ樹脂として用いることができる。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、少なくとも前述した本発明のエポキシ樹脂と硬化剤とを含むエポキシ樹脂組成物である。また、本発明のエポキシ樹脂組成物には、必要に応じて、他のエポキシ樹脂、その他の成分などを適宜配合することができる。本発明のエポキシ樹脂組成物は、フィルム製膜性、透明性、耐UV性、可撓性にバランスよく優れ、各種用途に要求される諸物性を十分に満たす硬化物を与えるものである。
本発明において硬化剤とは、エポキシ樹脂のエポキシ基間の架橋反応及び/又は鎖長延長反応に寄与する物質を意味する。なお、本発明においては通常「硬化促進剤」と呼ばれるものであってもエポキシ樹脂のエポキシ基間の架橋反応及び/又は鎖長延長反応に寄与する物質であれば、硬化剤とみなすこととする。
硬化剤としてフェノール系硬化剤を用いることが、得られるエポキシ樹脂組成物の取り扱い性と、硬化後の耐熱性を向上させる観点から好ましい。フェノール系硬化剤の具体例としては、ビスフェノールA、ビスフェノールF、4,4’−ジヒドロキシジフェニルメタン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、1,4−ビス(4−ヒドロキシフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−ヒドロキシフェノキシ)ベンゼン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、4,4’−ジヒドロキシジフェニルケトン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、2,2’−ジヒドロキシビフェニル、10−(2,5−ジヒドロキシフェニル)−10H−9−オキサ−10−ホスファフェナンスレン−10−オキサイド、フェノールノボラック、ビスフェノールAノボラック、o−クレゾールノボラック、m−クレゾールノボラック、p−クレゾールノボラック、キシレノールノボラック、ポリ−p−ヒドロキシスチレン、ハイドロキノン、レゾルシン、カテコール、t−ブチルカテコール、t−ブチルハイドロキノン、フルオログリシノール、ピロガロール、t−ブチルピロガロール、アリル化ピロガロール、ポリアリル化ピロガロール、1,2,4−ベンゼントリオール、2,3,4−トリヒドロキシベンゾフェノン、1,2−ジヒドロキシナフタレン、1,3−ジヒドロキシナフタレン、1,4−ジヒドロキシナフタレン、1,5−ジヒドロキシナフタレン、1,6−ジヒドロキシナフタレン、1,7−ジヒドロキシナフタレン、1,8−ジヒドロキシナフタレン、2,3−ジヒドロキシナフタレン、2,4−ジヒドロキシナフタレン、2,5−ジヒドロキシナフタレン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、2,7−ジヒドロキシナフタレン、2,8−ジヒドロキシナフタレン、上記ジヒドロキシナフタレンのアリル化物又はポリアリル化物、アリル化ビスフェノールA、アリル化ビスフェノールF、アリル化フェノールノボラック、アリル化ピロガロール等が例示される。
硬化剤としてアミド系硬化剤を用いることが、耐熱性等の向上の観点から好ましい。アミド系硬化剤としてはジシアンジアミド及びその誘導体、ポリアミド樹脂等が挙げられる。
硬化剤としてアミン系硬化剤(ただし、第3級アミンを除く。)を用いることが、耐熱性等の向上の観点から好ましい。アミン系硬化剤の例としては、脂肪族アミン類、ポリエーテルアミン類、脂環式アミン類、芳香族アミン類などが挙げられる。脂肪族アミン類としては、エチレンジアミン、1,3−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノプロパン、ヘキサメチレンジアミン、2,5−ジメチルヘキサメチレンジアミン、トリメチルヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、イミノビスプロピルアミン、ビス(ヘキサメチレン)トリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、N−ヒドロキシエチルエチレンジアミン、テトラ(ヒドロキシエチル)エチレンジアミン等が例示される。ポリエーテルアミン類としては、トリエチレングリコールジアミン、テトラエチレングリコールジアミン、ジエチレングリコールビス(プロピルアミン)、ポリオキシプロピレンジアミン、ポリオキシプロピレントリアミン類等が例示される。脂環式アミン類としては、イソホロンジアミン、メタセンジアミン、N−アミノエチルピペラジン、ビス(4−アミノ−3−メチルジシクロヘキシル)メタン、ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、3,9−ビス(3−アミノプロピル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン、ノルボルネンジアミン等が例示される。芳香族アミン類としては、テトラクロロ−p−キシレンジアミン、m−キシレンジアミン、p−キシレンジアミン、m−フェニレンジアミン、o−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、2,4−ジアミノアニソール、2,4−トルエンジアミン、2,4−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノ−1,2−ジフェニルエタン、2,4−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、m−アミノフェノール、m−アミノベンジルアミン、ベンジルジメチルアミン、2−(ジメチルアミノメチル)フェノール、トリエタノールアミン、メチルベンジルアミン、α−(m−アミノフェニル)エチルアミン、α−(p−アミノフェニル)エチルアミン、ジアミノジエチルジメチルジフェニルメタン、α,α’−ビス(4−アミノフェニル)−p−ジイソプロピルベンゼン等が例示される。
硬化剤としてイミダゾール類を用いることが、硬化反応を十分に進行させ、耐熱性を向上させる観点から好ましい。イミダゾール類としては、2−フェニルイミダゾール、2−エチル−4(5)−メチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾール、1−シアノ−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾールトリメリテイト、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾリウムトリメリテイト、2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2’−エチル−4’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジンイソシアヌル酸付加体、2−フェニルイミダゾールイソシアヌル酸付加体、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール、及びエポキシ樹脂と上記イミダゾール類との付加体等が例示される。なお、イミダゾール類は触媒能を有するため、一般的には後述する硬化促進剤にも分類されうるが、本発明においては硬化剤として分類するものとする。
硬化剤として酸無水物系硬化剤を用いることが、耐熱性の観点から好ましい。酸無水物系硬化剤としては、酸無水物、酸無水物の変性物等が挙げられる。
硬化剤として有機ホスフィン類を用いることが、硬化性に優れ、電気的信頼性の高い硬化物を与えるという観点から好ましい。有機ホスフィン類としては、トリブチルホスフィン、メチルジフェニルホスフイン、トリフェニルホスフィン、ジフェニルホスフィン、フェニルホスフィン等が例示される。
本発明のエポキシ樹脂組成物に用いることのできる硬化剤として、フェノール系硬化剤、アミド系硬化剤、アミン系硬化剤、イミダゾール類、酸無水物系硬化剤、有機ホスフィン類以外のものとしては、例えば、メルカプタン系硬化剤、第3級アミン、ホスホニウム塩、テトラフェニルボロン塩、有機酸ジヒドラジド、ハロゲン化ホウ素アミン錯体、イソシアネート系硬化剤、ブロックイソシアネート系硬化剤等が挙げられる。このうち、ホスホニウム塩としては、テトラフェニルホスホニウム・テトラフェニルボレート、テトラフェニルホスホニウム・エチルトリフェニルボレート、テトラブチルホスホニウム・テトラブチルボレート等が例示され、テトラフェニルボロン塩としては、2−エチル−4−メチルイミダゾール・テトラフェニルボレート、N−メチルモルホリン・テトラフェニルボレート等が例示される。以上に挙げたその他の硬化剤は、1種のみで用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で混合して用いてもよい。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、本発明のエポキシ樹脂に加え、他のエポキシ樹脂を含むことができる。他のエポキシ樹脂を用いることで、不足する物性を補ったり、種々の物性を向上させたりすることができる。
本発明のエポキシ樹脂を含むエポキシ樹脂組成物には、塗膜形成時の取り扱い時に、エポキシ樹脂組成物の粘度を適度に調整するために溶剤を配合し、希釈してもよい。本発明のエポキシ樹脂組成物において、溶剤は、エポキシ樹脂組成物の成形における取り扱い性、作業性を確保するために用いられ、その使用量には特に制限がない。
本発明のエポキシ樹脂を含むエポキシ樹脂組成物には、その機能性の更なる向上を目的として、以上に挙げた以外の成分(本発明において、「その他の成分」と称することがある。)を含んでいてもよい。その他の成分としては、無機フィラー、シランカップリング剤等のカップリング剤、紫外線防止剤、酸化防止剤、可塑剤、フラックス、難燃剤、着色剤、分散剤、乳化剤、低弾性化剤、希釈剤、消泡剤、イオントラップ剤、レベリング剤、触媒等が挙げられる。
本発明のエポキシ樹脂組成物を硬化してなる硬化物は、フィルム製膜性、透明性、耐UV性、可撓性にバランス良く優れ、良好な硬化物性を示すものである。なお、ここでいう「硬化」とは熱及び/又は光等によりエポキシ樹脂組成物を意図的に硬化させることを意味するものであり、その硬化の程度は所望の物性、用途により制御すればよい。進行の程度は完全硬化であっても、半硬化の状態であってもよく、特に制限されないが、エポキシ基と硬化剤の硬化反応の反応率として通常5〜95%である。
本発明のエポキシ樹脂及びそれを含むエポキシ樹脂組成物は、注型、フィルム成形・塗布等のプロセスに適用するのに十分な可撓性を有し、かつフィルム製膜性、透明性、耐UV性にも優れたものであり、接着剤、塗料、光学部材、土木建築用材料、電気・電子部品の絶縁材料等、様々な分野に適用可能である。特に、電気・電子分野における絶縁注型材料、積層材料、封止材料等として有用であり、例えば、電気・電子回路用積層板、電気・電子回路用封止材等が挙げられる。本発明のエポキシ樹脂及びそれを含むエポキシ樹脂組成物の用途の一例としては、光学材料用接着剤、半導体封止材料、アンダーフィル材料、有機RL用封止材、ダイボンディング材、フィルム状接着剤、液状接着剤等の接着剤、多層プリント配線基板、キャパシタ等の電気・電子回路用積層板、絶縁シート、プリプレグ、放熱基板、あるいは電気・電子・光学用途での接着改良剤や可撓性付与材などが挙げられるが、何らこれらに限定されるものではない。
東ソー(株)製「HLC−8320GPC EcoSEC(登録商標)」を使用し、以下の測定条件で、標準ポリスチレンとして、TSK Standard Polystyrene:F−128(Mw1,090,000、Mn1,030,000)、F−10(Mw106,000、Mn103,000)、F−4(Mw43,000、Mn42,700)、F−2(Mw17,200、Mn16,900)、A−5000(Mw6,400、Mn6,100)、A−2500(Mw2,800、Mn2,700)、A−300(Mw453、Mn387)を使用した検量線を作成し、重量平均分子量及び数平均分子量をポリスチレン換算値として測定した。
カラム:東ソー(株)製「TSKGEL SuperHM−H+H5000+H4000+H3000+H2000」
溶離液:テトラヒドロフラン
流速:0.5ml/min
検出:UV(波長254nm)
温度:40℃
試料濃度:0.1重量%
インジェクション量:10μl
JIS K7236に準じて測定し、固形分換算値として表記した。
エポキシ樹脂について、SIIナノテクノロジー(株)製示差走査熱量計「DSC7020」を使用し、30〜200℃まで10℃/minで昇温してガラス転移温度を測定した。なお、ここでいうガラス転移温度は、JIS K7121「プラスチックの転移温度測定法」に記載されているうちの「中点ガラス転移温度:Tmg」に基づいて測定した。
各実施例及び比較例において、触媒としてテトラ−n−ブチルホスホニウムハイドロオキサイドのみを用い、その量を反応固形分に対して2500ppmとして同様に反応を行っても、残存モノマー(Mn1000以下)が50%以上のものを×、50%未満のものを○として評価した。残存モノマー量はGPC(検出器:RI)の面積%を用いて算出した。
(試験片の作成)
アプリケーターを用いて、エポキシ樹脂組成物をセパレータ(シリコーン処理したポリエチレンテレフタレートフィルム)上に塗布して塗膜を形成し、100℃で3時間加熱し、更にその後140℃で3時間硬化させた。得られたエポキシ樹脂硬化フィルムを40mm×120mmに切り出し、試験片を得た。
(試験条件)
得られた試験片について、日立ハイテクサイエンス社製「UH5300」を用いて、波長190〜890nmの範囲の光の透過率を測定した。波長400nmの光の透過率が89%以上のものを◎、89%未満85%以上のものを○、85%未満82%以上のものを△、82%未満のものを×として評価した。
(試験片の作成)
アプリケーターを用いて、エポキシ樹脂組成物をセパレータ(シリコーン処理したポリエチレンテレフタレートフィルム)上に塗布して塗膜を形成し、100℃で3時間加熱し、更にその後140℃で3時間硬化させた。得られたエポキシ樹脂硬化フィルムを40mm×120mmに切り出し、試験片を得た。
(試験条件)
得られた試験片に、スガ試験機(株)製「MV3000」〔光源:キセノンランプ(0.4kW/m2),雰囲気:63℃、50%RH〕を用いて2日間、UV照射を行った。UV照射後の試験片について、日立ハイテクサイエンス社製「UH5300」を用いて、波長190〜890nmの範囲の光の透過率を測定した。波長360nmの光の透過率が40%以上かつ波長400nmの光の透過率が50%以上のものを◎、波長360nmの光の透過率が40%未満かつ波長400nmの光の透過率が50%以上のものを○、波長360nmの光の透過率が40%未満かつ波長400nmの光の透過率が50%未満のものを×として評価した。
アプリケーターを用いて、エポキシ樹脂組成物をセパレータ(シリコーン処理したポリエチレンテレフタレートフィルム)上に塗布して塗膜を形成し、100℃で3時間加熱し、更にその後140℃で3時間硬化させた後、外観を観察し、フィルム形状の場合を○、はじいてフィルムの形状を維持していなかったものを×として評価した。
アプリケーターを用いて、エポキシ樹脂組成物をセパレータ(シリコーン処理したポリエチレンテレフタレートフィルム)上に塗布して塗膜を形成し、100℃で3時間加熱し、更にその後140℃で3時間硬化させた。
得られたエポキシ樹脂硬化フィルムを180°折り曲げても割れないものを○、折り曲げ可能な角度が180°未満であるものを△、折り曲げることができないものを×として評価した。
以下の実施例、比較例において用いた原料、触媒、溶媒及び溶剤は以下の通りである。
(化学構造(3)を有する2官能エポキシ樹脂)
(A−1):水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂(三菱化学(株)製 商品名「YX8000」、エポキシ当量198g/当量)(R3,R4=−CH3)
(化学構造(2)を有する2官能エポキシ樹脂)
(A−2):1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル(三菱化学(株)製 商品名「YED216D」、エポキシ当量116g/当量)(R1=−(CH2)6−、m=0)
(その他の2官能エポキシ樹脂)
(A−3):3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ビフェノールジグリシジルエーテル(三菱化学(株)製 商品名「YX4000」、エポキシ当量185g/当量)
(化学構造(4)を有する2価の水酸基含有化合物)
(B−1):ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン(水酸基当量155g/当量)(R5〜R8=−H、R9+R10=3,3,5−トリメチル−1,1−シクロヘキサンジイル基)
(B−2):4,4’−ブチリデンビス−(6−t−ブチル−3−メチルフェノール)(水酸基当量192g/当量)(R5,R7=−CH3、R6,R8=−t−C4H9、R9=−C3H7、R10=−H)
(B−3):ビスフェノールAF(水酸基当量168g/当量)(R5〜R8=−H、R9,R10=−CF3)
(その他の2価の水酸基含有化合物)
(B−4):ビスフェノールF(水酸基当量100g/当量)
(化学構造(2)を有する2価の水酸基含有化合物)
(B−5):1,6−ヘキサンジオール(水酸基当量59g/当量)(R1=−(CH2)6−、m=0)
(C−1):テトラ−n−ブチルホスホニウムハイドロオキサイド 40重量%水溶液
(C−2):テトラアンモニウムハイドロキサイド 27重量%水溶液
(S−1):シクロヘキサノン
(D−1):新日本理化社製「TBN−40C」(酸無水物)
水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂(三菱化学(株)製 商品名「YX8000」、エポキシ当量198g/当量)
<参考例1−1,2,4,5、実施例1−3,6及び比較例1−1〜1−3>
表−1に示した配合で2官能エポキシ樹脂、2価の水酸基含有化合物、触媒及び溶媒を撹拌機付き耐圧反応容器に入れ、窒素ガス雰囲気下、145℃で7時間反応を行った。反応生成物から定法により溶媒を除去した後、得られたエポキシ樹脂について分析を行った。結果を表−1に示す。
表−2に示した配合で参考例1−1,2,4,5、実施例1−3,6及び比較例1−1〜1−3のそれぞれで得られたエポキシ樹脂を固形分40%(シクロヘキサノン:メチルエチルケトン=1:1[重量比])にしたもの、配合用エポキシ樹脂、硬化剤を配合し、更に、以下の添加剤を添加してよく撹拌し、エポキシ樹脂組成物を得た。
酸化防止剤(東京化成工業社製「BHT」):0.013重量部
酸化防止剤(アデカ社製「135A」):0.013重量部
触媒(日本化学工業社製「PX−4MP」):0.0032重量部
レベリング剤(AGCセイミケミカル社製「サーフロンS−651」):0.0408重量部
表−2の結果より、本発明のエポキシ樹脂を用いて得られた実施例2−3,2−6のエポキシ樹脂組成物は、本発明のエポキシ樹脂を用いなかった比較例2−1〜比較例2−2のエポキシ樹脂組成物のそれぞれと比較して透明性及び耐UV性のバランスに優れたものであることがわかる。また、全く芳香環構造を含まない比較例2−3より反応性が高く、フィルム製膜性が良好であることが分かる。
さらに、実施例2−6は上記特徴に加えて可撓性にも優れ、実施例2−3、2−6は特に耐UV性が優れ、実施例2−6は特に透明性に優れる。
Claims (15)
- 下記式(1)で表される、エポキシ当量が200g/当量以上30,000g/当量以下であるエポキシ樹脂。
- 前記式(1)中、前記式(2)で表される化学構造が、化学構造A1全体に対して0.1〜100モル%含まれる、請求項1に記載のエポキシ樹脂。
- 前記式(1)中の化学構造A1と化学構造A2とのモル比が1/99〜99/1である、請求項1又は2に記載のエポキシ樹脂。
- 前記式(3)で表される化学構造が、水添ビスフェノールA型構造及び/又は水添ビスフェノールF型構造を含む、請求項1乃至3のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂。
- 前記式(2)のmが0である、請求項1乃至4のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂。
- 重量平均分子量が1,000〜100,000である、請求項1乃至5のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂。
- 請求項1乃至6のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂と硬化剤とを含むエポキシ樹脂組成物。
- 前記エポキシ樹脂100重量部に対し硬化剤を0.1〜100重量部含む請求項7に記載のエポキシ樹脂組成物。
- 前記硬化剤が、フェノール系硬化剤、アミド系硬化剤、アミン系硬化剤、イミダゾール類、酸無水物系硬化剤、及び有機ホスフィン類からなる群から選ばれる少なくとも1である、請求項7又は8に記載のエポキシ樹脂組成物。
- 請求項7乃至9のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物からなる電気・電子回路用封止材。
- 請求項7乃至9のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物からなる電気・電子回路用積層板。
- 請求項7乃至9のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物からなる光学部材。
- 請求項7乃至9のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物からなる接着剤。
- 請求項7乃至9のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物からなる塗料。
- 請求項7乃至9のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物を硬化してなる硬化物。
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