JP6497292B2 - エポキシ樹脂、エポキシ樹脂組成物、硬化物及び電気・電子回路用積層板 - Google Patents
エポキシ樹脂、エポキシ樹脂組成物、硬化物及び電気・電子回路用積層板 Download PDFInfo
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Description
8は互いに異なっていてもよく、水素原子、炭素数1〜12の炭化水素基又はハロゲン元素から選ばれる基である。)
、[9]に記載のエポキシ樹脂組成物。
木用建築材料、電気・電子部品の絶縁材料等、様々な分野に適用可能であり、特に電気・電子分野における絶縁注型、積層材料、封止材料等として有用である。本発明のエポキシ樹脂及びそれを含むエポキシ樹脂組成物は、多層プリント配線基板、キャパシタ等の電気・電子回路用積層板、フィルム状接着剤、液状接着剤等の接着剤、半導体封止材料、アンダーフィル材料、3D−LSI用インターチップフィル、絶縁シート、プリプレグ、放熱基板等に好適に用いることができる。
本発明のエポキシ樹脂は、下記式(1)で表され、重量平均分子量が1,000〜200,000であるものである。
前記式(1)中、Aは上記式(2)で表される化学構造を必ず含む。前記式(2)中、R1〜R8は互いに同一であっても異なっていてもよく、水素原子、炭素数1〜10の炭化水素基又はハロゲン元素であり、R1〜R8のうちのベンゼン環上で隣接した任意の2つの置換基は、互いに結合して炭素数4〜20の環状構造を形成してもよい。R1〜R8は、好ましくは水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、臭素原子、フッ素原子であり、より好ましくは水素原子、メチル基、tert−ブチル基である。また、R1〜R8のうちのベンゼン環上で隣接した任意の2つの置換基が互いに結合して炭素数4〜20の環状構造を形成する場合、その環状構造としては、芳香環を含んでいてもよく、例えば、ベンゼン環(炭素数4)、ナフタレン環(炭素数8)、シクロヘキセン環(炭素数4)等が挙げられる、
)Ph-、−CPh2−、9,9−フルオレニレン基、1,1−シクロプロピレン基、1
,1−シクロブチレン基、1,1−シクロペンチレン基、1,1−シクロヘキシレン基、3,3,5−トリメチル−1,1−シクロヘキシレン基、1,1−シクロドデシレン基、1,2−エチレン基、1,2−シクロプロピレン基、1,2−シクロブチレン基、1,2−シクロペンチレン基、1,2−シクロヘキシレン基、1,2−フェニレン基、1,3−
プロピレン基、1,3−シクロブチレン基、1,3−シクロペンチレン基、1,3−シクロヘキシレン基、1,3−フェニレン基、1,4−ブチレン基、1,4−シクロヘキシレン基、1,4−フェニレン基等が挙げられる。
素から選ばれる基である。)
、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数6〜12のアリ
ール基、炭素数2〜12のアルケニル基、炭素数2〜12のアルキニル基又はハロゲン元素から選ばれる基である。
うなものが挙げられる。例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、シクロペンチル基、n−ヘキシル基、イソヘキシル基、シクロヘキシル基、n−ヘプチル基、シクロヘプチル基、メチルシクロヘキシル基、n−オクチル基、シクロオクチル基、n−ノニル基、3,3,5−トリメチルシクロヘキシル基、n−デシル基、シクロデシル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基、シクロドデシル基、ベンジル基、メチルベンジル基、ジメチルベンジル基、トリメチルベンジル基、ナフチルメチル基、フェネチル基、2−フェニルイソプロピル基等である。
うなものが挙げられる。例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、n−ペントキシ基、イソペントキシ基、ネオペントキシ基、tert−ペントキシ基、シクロペントキシ基、n−ヘキシロキシ基、イソヘキシロキシ基、シクロヘキシロキシ基、n−ヘプトキシ基、シクロヘプトキシ基、メチルシクロヘキシロキシ基、n−オクチロキシ基、シクロオクチロキシ基、n−ノニロキシ基、3,3,5−トリメチルシクロヘキシロキシ基、n−デシロキシ基、シクロデシロキシ基、n−ウンデシロキシ基、n−ドデシロキシ基、シクロドデシロキシ基、ベンジロキシ基、メチルベンジロキシ基、ジメチルベンジロキシ基、トリメチルベンジロキシ基、ナフチルメトキシ基、フェネチロキシ基、2−フェニルイソプロポキシ基等である。
が挙げられる。例えば、フェニル基、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、エチルフェニル基、スチリル基、キシリル基、n−プロピルフェニル基、イソプロピルフェニル基、メシチル基、エチニルフェニル基、ナフチル基、ビニルナフチル基等である。
前記式(4)のR11〜R18の炭素数2〜12のアルケニル基としては次のようなも
のが挙げられる。例えば、ビニル基、1−プロペニル基、2−プロペニル基、1−メチルビニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基、1,3−ブタジエニル基、シクロヘキセニル基、シクロヘキサジエニル基、シンナミル基、ナフチルビニル基等である。
のが挙げられる。例えば、エチニル基、1−プロピニル基、2−プロピニル基、1−ブチニル基、2−ブチニル基、3−ブチニル基、1,3−ブタンジエニル基、フェニルエチニル基、ナフチルエチニル基等である。
前記式(4)のR11〜R18のハロゲン元素としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素
が挙げられる。これらの中でもフッ素が好ましい。
4のアルキル基が好ましく、特に好ましくは水素原子、メチル基である。これは置換基が立体的に大きすぎると、分子間の凝集が妨げられ、耐熱性が低下する可能性があるためである。また、R11〜R18が炭素数1〜4のアルキル基炭素数1〜12の炭化水素基又
はハロゲン元素である場合、R11〜R18の置換数は2または4であることが好ましく
、更に、R11〜R18の置換数が2である場合、該アルキル基は2−位及び2’−位に
あることが好ましく、R11〜R18の置換数が4である場合、該アルキル基は2−位、2
’−位、6−位及び6’−位にあることが好ましい。
本発明のエポキシ樹脂の重量平均分子量(Mw)は、1,000〜200,000である。重量平均分子量が1,000より低いものではフィルム製膜性や伸び性が低くなり、200,000より高いと樹脂の取り扱いが困難となる。本発明のエポキシ樹脂の重量平均分子量(Mw)は、フィルム製膜性や伸び性を向上させる観点から、2,000以上が好ましく、5,000以上がより好ましく、一方、取り扱い性を良好なものとする観点から、160,000以下が好ましく、120,000以下がより好ましく、80,000以下が更に好ましい。なお、エポキシ樹脂の重量平均分子量及び数平均分子量はゲルパーミエーションクロマトグラフィー法(GPC法)により測定することができる。より詳細な方法の例について後述の実施例において説明する。
本発明のエポキシ樹脂は、フィルム製膜性や伸び性を向上させる観点から、エポキシ当量が500g/当量以上であることが好ましく、1,000g/当量以上であることがより好ましく、2,500g/当量以上であることが更に好ましく、3,500g/当量以上であることが特に好ましく、5,000g/当量以上であることが最も好ましい。一方、取り扱い性を良好なものとする観点から、100,000g/当量以下であることが好ましく、50,000g/当量以下であることがより好ましく、30,000g/当量以下であることが更に好ましく、20,000g/当量以下であることが最も好ましい。なお、本発明において「エポキシ当量」とは、「1当量のエポキシ基を含むエポキシ樹脂の質量」と定義され、JIS K7236に準じて測定することができる。
本発明のエポキシ樹脂は、耐熱性に優れるものであり、耐熱性はガラス転移温度(Tg)により評価することができる。本発明のエポキシ樹脂においては、ガラス転移温度(Tg)が好ましくは110℃以上、より好ましくは130℃以上であり、上限については特に制限はないが、通常210℃以下である。ガラス転移温度(Tg)は、DSC法により測定することができる。
本発明のエポキシ樹脂は、例えば、下記式(5)で表される2官能エポキシ樹脂と、下記式(6)で表されるビスフェノール系化合物とを反応させる、二段法によって得ることができる。また、下記式(6)で表されるビスフェノール系化合物をエピハロヒドリンと反応させる、一段法によっても得ることができる。ただし、二段法では高分子量のエポキシ樹脂を一段法よりも容易に得ることができるため、二段法を用いることが好ましい。
本発明の他の態様にかかるエポキシ樹脂は、前記式(5)で表される2官能エポキシ樹脂と、前記式(6)で表されるビスフェノール系化合物を反応させて得られ、重量平均分子量(Mw)が1,000〜200,000であることを特徴とする。
本発明のエポキシ樹脂の製造に用いられる2官能エポキシ樹脂は、前記式(5)で表されるエポキシ樹脂であり、例えば、前記式(6)で表されるビスフェノール系化合物を、後述の一段法によってエピハロヒドリンと縮合させて得られるエポキシ樹脂等が挙げられる。
前記式(2)’の化学構造が、2官能エポキシ樹脂及びビスフェノール系化合物のいずれに含まれるものであってもよく、またその化学構造の割合も制限されるものではない。
前記式(5)におけるmは繰り返し数の平均値であり、0以上6以下である。
本発明のエポキシ樹脂の製造に用いられるビスフェノール系化合物は、前記式(6)で表されるビスフェノール系化合物である。
本発明のエポキシ樹脂の製造において、上記の2官能エポキシ樹脂とビスフェノール系
化合物の使用量は、その配合当量比で、(エポキシ基):(フェノール性水酸基)=1:0.90〜1.10となるようにするのが好ましい。この当量比が上記範囲であると高分子量化を進行させやすくなるために好ましい。
第4級アンモニウム塩の具体例としては、テトラメチルアンモニウムクロライド、テトラメチルアンモニウムブロマイド、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド、トリエチルメチルアンモニウムクロライド、テトラエチルアンモニウムクロライド、テトラエチルアンモニウムブロマイド、テトラエチルアンモニウムアイオダイド、テトラプロピルアンモニウムブロマイド、テトラプロピルアンモニウムハイドロオキサイド、テトラブチルアンモニウムクロライド、テトラブチルアンモニウムブロマイド、テトラブチルアンモニウムアイオダイド、ベンジルトリメチルアンモニウムクロライド、ベンジルトリメチルアンモニウムブロマイド、ベンジルトリメチルアンモニウムハイドロオキサイド、ベンジルトリブチルアンモニウムクロライド、フェニルトリメチルアンモニウムクロライド等が挙げられる。これらの中でもテトラメチルアンモニウムハイドロオキサイドが好ましい。
イミダゾール類の具体例としては、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール等が挙げられる。
使用することも、2種以上を組み合わせて使用することもできる。
触媒の使用量は反応固形分中、通常0.001〜1重量%であるが、アルカリ金属化合物を使用すると得られるエポキシ樹脂中にアルカリ金属分が残留し、それを使用した電子・電気部品の絶縁特性を悪化させるおそれがあるため、エポキシ樹脂中のリチウム、ナトリウム及びカリウムの原子含有量の合計が通常、60ppm以下、好ましくは50ppm以下である。
アミド系溶媒の具体例としては、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、2−ピロリドン、N−メチルピロリドン等が挙げられる。
エポキシ樹脂の製造において、2官能エポキシ樹脂とビスフェノール系化合物との重合反応は使用する触媒が分解しない程度の反応温度で実施される。反応温度が高すぎると生成するエポキシ樹脂が劣化するおそれがある。逆に温度が低すぎると十分に反応が進まないことがある。これらの理由から反応温度は、好ましくは50〜230℃、より好ましくは120〜200℃である。また、反応時間は通常1〜12時間、好ましくは3〜10時間である。アセトンやメチルエチルケトンのような低沸点溶媒を使用する場合には、オートクレーブを使用して高圧下で反応を行うことで反応温度を確保することができる。
本発明のエポキシ樹脂は、一段法によっても製造することができる。具体的には、前記式(6)で表されるビスフェノール系化合物を、エピハロヒドリンと直接反応させればよい。ただし、前述のように、一段法で製造した本発明のエポキシ樹脂のうち低分子のものについては、二段法における2官能エポキシ樹脂として用いることができる。
35〜100℃であり、減圧下の反応の場合は好ましくは20〜100℃、より好ましくは30〜90℃、更に好ましくは35〜80℃である。反応温度が上記下限以上であると反応を進行させやすいために好ましい。また、反応温度が上記上限以下であると副反応が進行しにくく、特に塩素不純物が低減しやすいために好ましい。
ハロヒドリンを減圧留去して除くと、目的のエポキシ樹脂が得られる。この反応におけるエピハロヒドリンとしては、通常、エピクロルヒドリン又はエピブロモヒドリンが用いられる。アルカリ金属水酸化物としては通常、水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムが用いられる。
トン、メチルエチルケトン等のケトン類;ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類;メトキシプロパノール等のグリコールエーテル類;ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド等の非プロトン性極性溶媒等の不活性な有機溶媒を使用してもよい。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、少なくとも前述した本発明のエポキシ樹脂と硬化剤とを含むエポキシ樹脂組成物である。また、本発明のエポキシ樹脂組成物には、必要に応じて、他のエポキシ樹脂、無機フィラー、カップリング剤等を適宜配合することができる。本発明のエポキシ樹脂組成物は耐熱性、低線膨張性、低吸湿性、難燃性等に優れ、各種用途に要求される諸物性を十分に満たす硬化物を与えるものである。
本発明のエポキシ樹脂に硬化剤を配合してエポキシ樹脂組成物とすることができる。本発明において硬化剤とは、エポキシ樹脂のエポキシ基間の架橋反応及び/又は鎖長延長反応に寄与する物質を示す。なお、本発明においては通常、「硬化促進剤」と呼ばれるものであってもエポキシ樹脂のエポキシ基間の架橋反応及び/又は鎖長延長反応に寄与する物質であれば、硬化剤とみなすこととする。
本発明のエポキシ樹脂組成物において、後述する他のエポキシ樹脂が含まれる場合には
、固形分としての全エポキシ樹脂成分100重量部に対して好ましくは0.1〜100重量部である。また、より好ましくは80重量部以下であり、更に好ましくは60重量部以下である。本発明において、「固形分」とは溶媒を除いた成分を意味し、固体のエポキシ樹脂のみならず、半固形や粘稠な液状物のものをも含むものとする。また、「全エポキシ樹脂成分」とは、本発明のエポキシ樹脂と後述する他のエポキシ樹脂との合計を意味する。
硬化剤としてフェノール系硬化剤を用いることが、得られるエポキシ樹脂組成物の取り扱い性と、硬化後の耐熱性を向上させる観点から好ましい。フェノール系硬化剤の具体例としては、ビスフェノールA、ビスフェノールF、4,4’−ジヒドロキシジフェニルメタン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、1,4−ビス(4−ヒドロキシフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−ヒドロキシフェノキシ)ベンゼン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、4,4’−ジヒドロキシジフェニルケトン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、2,2’−ジヒドロキシビフェニル、10−(2,5−ジヒドロキシフェニル)−10H−9−オキサ−10−ホスファフェナンスレン−10−オキサイド、フェノールノボラック、ビスフェノールAノボラック、o−クレゾールノボラック、m−クレゾールノボラック、p−クレゾールノボラック、キシレノールノボラック、ポリ−p−ヒドロキシスチレン、ハイドロキノン、レゾルシン、カテコール、t−ブチルカテコール、t−ブチルハイドロキノン、フルオログリシノール、ピロガロール、t−ブチルピロガロール、アリル化ピロガロール、ポリアリル化ピロガロール、1,2,4−ベンゼントリオール、2,3,4−トリヒドロキシベンゾフェノン、1,2−ジヒドロキシナフタレン、1,3−ジヒドロキシナフタレン、1,4−ジヒドロキシナフタレン、1,5−ジヒドロキシナフタレン、1,6−ジヒドロキシナフタレン、1,7−ジヒドロキシナフタレン、1,8−ジヒドロキシナフタレン、2,3−ジヒドロキシナフタレン、2,4−ジヒドロキシナフタレン、2,5−ジヒドロキシナフタレン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、2,7−ジヒドロキシナフタレン、2,8−ジヒドロキシナフタレン、上記ジヒドロキシナフタレンのアリル化物又はポリアリル化物、アリル化ビスフェノールA、アリル化ビスフェノールF、アリル化フェノールノボラック、アリル化ピロガロール等が例示される。
硬化剤としてアミド系硬化剤を用いることが、耐熱性等の向上の観点から好ましい。硬化剤としてアミド系硬化剤を用いることにより、得られるエポキシ樹脂組成物の耐熱性の向上の観点から好ましい。アミド系硬化剤としてはジシアンジアミド及びその誘導体、ポリアミド樹脂等が挙げられる。
及び比率で混合して用いてもよい。また、アミド系硬化剤は、エポキシ樹脂組成物中の固形分としての全エポキシ樹脂成分とアミド系硬化剤との合計に対して0.1〜20重量%の範囲で用いることが好ましい。
硬化剤としてイミダゾール類を用いることが、硬化反応を十分に進行させ、耐熱性を向上させる観点から好ましい。イミダゾール類としては、2−フェニルイミダゾール、2−エチル−4(5)−メチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾール、1−シアノ−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾールトリメリテイト、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾリウムトリメリテイト、2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2’−エチル−4’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジンイソシアヌル酸付加体、2−フェニルイミダゾールイソシアヌル酸付加体、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール、及びエポキシ樹脂と上記イミダゾール類との付加体等が例示される。なお、イミダゾール類は触媒能を有するため、一般的には後述する硬化促進剤にも分類されうるが、本発明においては硬化剤として分類するものとする。
本発明のエポキシ樹脂組成物に用いることのできる硬化剤として、フェノール系硬化剤、アミド系硬化剤及びイミダゾール類以外のものとしては、例えば、アミン系硬化剤(ただし、第3級アミンを除く。)、酸無水物系硬化剤、第3級アミン、有機ホスフィン類、ホスホニウム塩、テトラフェニルボロン塩、有機酸ジヒドラジド、ハロゲン化ホウ素アミン錯体、ポリメルカプタン系硬化剤、イソシアネート系硬化剤、ブロックイソシアネート系硬化剤等が挙げられる。以上で挙げたその他の硬化剤は、1種のみで用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で混合して用いてもよい。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、本発明のエポキシ樹脂に加え、他のエポキシ樹脂を含むことができる。他のエポキシ樹脂を用いることで、不足する物性を補ったり、種々の物性を向上させたりすることができる。
他のエポキシ樹脂としては、分子内に2個以上のエポキシ基を有するものであることが好ましく、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビスフェノールAF型エポキシ樹脂、ビスフェノールZ型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、トリフェニルメタン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂等の、各種エポキシ樹脂を使用することができる。これらは1種のみでも2種以上の混合体としても使用することができる。
が、重量平均分子量(Mw)10,000以上であることが好ましく、15,000以上であることがより好ましい。他のエポキシ樹脂の重量平均分子量が上記下限値以上であると、エポキシ樹脂組成物のフィルム製膜性が向上する傾向にある。他のエポキシ樹脂の重量平均分子量の上限については特に制限はないが、通常、20,000以下であり、120,000以下であることが好ましく、80,000以下であることがより好ましく、50,000以下であることが更に好ましい。
本発明のエポキシ樹脂を含むエポキシ樹脂組成物には、塗膜形成時の取り扱い時に、エポキシ樹脂組成物の粘度を適度に調整するために溶剤を配合し、希釈してもよい。本発明のエポキシ樹脂組成物において、溶剤は、エポキシ樹脂組成物の成形における取り扱い性、作業性を確保するために用いられ、その使用量には特に制限がない。なお、本発明においては「溶剤」という語と前述の「溶媒」という語をその使用形態により区別して用いるが、それぞれ独立して同種のものを用いても異なるものを用いてもよい。
本発明のエポキシ樹脂を含むエポキシ樹脂組成物には、その機能性の更なる向上を目的として、以上で挙げたもの以外の成分(本発明において「その他の成分」と称することがある。)を含んでいてもよい。このようなその他の成分としては、硬化促進剤(ただし、「硬化剤」に含まれるものを除く。)、紫外線防止剤、酸化防止剤、カップリング剤、可塑剤、フラックス、難燃剤、着色剤、分散剤、乳化剤、低弾性化剤、希釈剤、消泡剤、イオントラップ剤、無機フィラー、有機フィラー等が挙げられる。
本発明のエポキシ樹脂を硬化剤により硬化してなる硬化物は、高耐熱性、低線膨張性、低吸湿性、難燃性等のバランスに優れ、良好な硬化物性を示すものである。ここでいう「
硬化」とは熱及び/又は光等によりエポキシ樹脂組成物を意図的に硬化させることを意味するものであり、その硬化の程度は所望の物性、用途により制御すればよい。進行の程度は完全硬化であっても、半硬化の状態であってもよく、特に制限されないが、エポキシ基と硬化剤の硬化反応の反応率として通常5〜95%である。
本発明のエポキシ樹脂及びそれを含むエポキシ樹脂組成物は、高耐熱性、低吸湿性、低線膨張性、難燃性、フィルム製膜性(塗膜性)、伸び性等に優れるという効果を奏する。このため、接着剤、塗料、土木建築用材料、電気・電子部品の絶縁材料等、様々な分野に適用可能であり、特に、電気・電子分野における絶縁注型、積層材料、封止材料等として有用である。本発明のエポキシ樹脂及びそれを含むエポキシ樹脂組成物の用途の一例としては、多層プリント配線基板、キャパシタ等の電気・電子回路用積層板、フィルム状接着剤、液状接着剤等の接着剤、半導体封止材料、アンダーフィル材料、3D−LSI用インターチップフィル、絶縁シート、プリプレグ、放熱基板等が挙げられるが、何らこれらに限定されるものではない。
本発明のエポキシ樹脂組成物は前述したように電気・電子回路用積層板の用途に好適に用いることができる。本発明において「電気・電子回路用積層板」とは、本発明のエポキシ樹脂組成物を含む層と導電性金属層とを積層したものであり、本発明のエポキシ樹脂組成物を含む層と導電性金属層とを積層したものであれば、電気・電子回路ではなくとも、例えばキャパシタも含む概念として用いられる。なお、電気・電子回路用積層板中には2種以上のエポキシ樹脂組成物からなる層が形成されていてもよく、少なくとも1つの層において本発明のエポキシ樹脂組成物が用いられていればよい。また、2種以上の導電性金属層が形成されていてもよい。
電気・電子回路用積層板におけるエポキシ樹脂組成物からなる層の厚みは通常10〜200μm程度である。また、導電性金属層の厚みは通常0.2〜70μm程度である。
電気・電子回路用積層板における導電性金属としては、銅、アルミニウム等の金属や、これらの金属を含む合金が挙げられる。本発明において電気・電子回路用積層板の導電性金属層においては、これらの金属の金属箔、あるいはメッキやスパッタリングで形成された金属層を用いることができる。
本発明における電気・電子回路用積層板の製造方法としては、例えば次のような方法が
挙げられる。
(1) ガラス繊維、ポリエステル繊維、アラミド繊維、セルロース、ナノファイバーセルロース等の無機及び/又は有機の繊維材料を用いた不織布やクロス等に、本発明のエポキシ樹脂組成物を含浸させてプリプレグとし、導電性金属箔及び/又はメッキにより導電性金属層を設けた後、フォトレジスト等を用いて回路を形成し、こうした層を必要数重ねて積層板とする。
(2) 上記(1)のプリプレグを心材とし、その上(片面又は両面)に、エポキシ樹脂組成物からなる層と導電性金属層を積層する(ビルドアップ法)。このエポキシ樹脂組成物からなる層は有機及び/又は無機のフィラーを含んでいてもよい。
(3) 心材を用いず、エポキシ樹脂組成物からなる層と導電性金属層のみを交互に積層して電気・電子回路用積層板とする。
以下の実施例及び比較例において、物性、特性の評価は以下の1)〜5)に記載の方法で行った。
東ソー(株)製「HLC−8320GPC装置」を使用し、以下の測定条件で、標準ポリスチレンとして、TSK Standard Polystyrene:F−128(Mw:1,090,000、Mn:1,030,000)、F−10(Mw:106,000、Mn:103,000)、F−4(Mw:43,000、Mn:42,700)、F−2(Mw:17,200、Mn:16,900)、A−5000(Mw:6,400、Mn:6,100)、A−2500(Mw:2,800、Mn:2,700)、A−300(Mw:453、Mn:387)を使用した検量線を作成して、重量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)をポリスチレン換算値として測定した。
カラム:東ソー(株)製「TSKGEL SuperHM−H+H5000+H4000+H3000+H2000」
溶離液:テトラヒドロフラン
流速:0.5ml/min
検出:UV(波長254nm)
温度:40℃
試料濃度:0.1重量%
インジェクション量:10μl
前記式(1)におけるnの値は上記で求められた数平均分子量より算出した。
JIS K 7236に準じて測定し、固形分換算値として表記した。
溶剤を乾燥除去したエポキシ樹脂、又はエポキシ樹脂硬化物のフィルムについて、SIIナノテクノロジー(株)製「DSC7020」を使用し、30〜250℃まで10℃/
minで昇温してガラス転移温度を測定した。なお、ここでいうガラス転移温度は、JIS K7121「プラスチックの転移温度測定法」に記載されているうち「中点ガラス転移温度:Tmg」に基づいて測定した。
エポキシ樹脂の溶液をセパレータ(シリコーン処理したポリエチレンテレフタレートフィルム、厚み:100μm)にアプリケーターで塗布し、160℃で1.5時間、その後
200℃で1.5時間乾燥させ、厚さ約50μmのエポキシ樹脂フィルムを得た。これを
4cm×4cmに切り出した試験片を、85℃、85%RHの恒温恒湿槽に168時間放置した後の吸水率を下記式で算出した。
(吸水率)=[{(85℃、85%RHに168時間放置後の試験片の質量)
−(処理前の試験片の質量)}/(処理前の試験片の質量)]×100
以下の実施例・比較例において用いた原料、触媒、溶媒及び溶剤は以下の通りである。
(A−1):三菱化学(株)製 商品名「YX4000」(3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ビフェノールジグリシジルエーテル、エポキシ当量186g/当量)
(B−1):9,9−ビス[4−(4−ヒドロキシフェノキシ)フェニル]フルオレン(下記式で表される化合物、田岡化学製 製品名:TBIS−PEP、水酸基当量267g/当量)
(B−2):ビスフェノールフルオレノン(水酸基当量175g/当量)
(B−3):ビスフェノールアセトフェノン(水酸基当量145g/当量)
(C−1):40重量%テトラブチルホスホニウムハイドロオキサイド水溶液
(C−2):27重量%テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド水溶液
(S−1):シクロヘキサノン
(S−2):メチルエチルケトン(MEK)
<実施例1−1、1−2、比較例1−1>
表−1に示した配合で2官能エポキシ樹脂、ビスフェノール系化合物、触媒および反応用の溶剤を撹拌機付き反応容器に入れ、窒素ガス雰囲気下で、表−1に記載した反応時間、反応温度で反応を行った。その後、希釈用の溶剤を加えて固形分濃度を調整した。反応生成物から定法により溶剤を除去した後、得られた樹脂について分析を行った。結果を表−2に示す。
<実施例2−1>
実施例1−1で得られたエポキシ樹脂と、ビスフェノールAノボラック型多官能エポキシ樹脂80重量%MEK溶液(三菱化学(株)製 商品名「157S65B80)」)と、硬化剤として2−エチル−4(5)−メチルイミダゾール(三菱化学(株)製 商品名「EMI24」)の20重量%MEK溶液を、固形分の質量比で95:5:0.5となる
ようにはかり取り、よく撹拌してエポキシ樹脂組成物を得た。このエポキシ樹脂組成物をセパレータ(シリコーン処理したポリエチレンテレフタレートフィルム、厚み:100μm)にアプリケーターで塗布し、160℃で1.5時間、その後200℃で1.5時間乾燥、硬化させ、厚さ約50μmのエポキシ樹脂硬化物のフィルムを得た。これらについて、前述の方法を用いてガラス転移点、吸水率を測定した。結果を表−3に示す。なお、表
−3の「その他のエポキシ樹脂」、「硬化剤」における略号の意味は下記の通りである。
使用するエポキシ樹脂を比較例1−1で得られたものに変更する以外は、実施例2−1と同様の方法で実施した。
「157S65B80」:三菱化学(株)製 ビスフェノールAノボラック型多官能エポキシ樹脂80重量%MEK溶液
「EMI24」:三菱化学(株)製 2−エチル−4(5)−メチルイミダゾール
Claims (14)
- 下記式(1)で表され、重量平均分子量が1,000〜200,000であるエポキシ樹脂。
- 前記式(1)中、前記式(2)で表される化学構造がA全体のモル数に対して1〜99モル%含まれる、請求項1に記載のエポキシ樹脂。
- 下記式(5)で表される2官能エポキシ樹脂と、下記式(6)で表されるビスフェノール系化合物とを反応させて得られ、重量平均分子量が1,000〜200,000であるエポキシ樹脂。
- 前記式(5)及び/又は(6)中、前記式(2)’で表される化学構造が、A’全体のモル数に対して1〜99モル%である、請求項4に記載のエポキシ樹脂。
- エポキシ当量が500g/当量以上100,000g/当量以下である、請求項1乃至6のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂。
- 請求項1乃至8のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂と、硬化剤とからなるエポキシ樹脂組成物。
- 前記エポキシ樹脂100重量部に対し、前記硬化剤を0.1〜100重量部含む、請求
項9に記載のエポキシ樹脂組成物。 - 更に他のエポキシ樹脂を含み、固形分としての全エポキシ樹脂成分中、他のエポキシ樹脂を1〜99重量%含む、請求項9又は10に記載のエポキシ樹脂組成物。
- 更に他のエポキシ樹脂を含み、固形分としての全エポキシ樹脂成分100重量部に対し、前記硬化剤を0.1〜100重量部含む、請求項9乃至11のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物。
- 請求項9乃至12のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物を硬化してなる硬化物。
- 請求項9乃至12のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物からなる電気・電子回路用積層板。
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