JP6314456B2 - エポキシ樹脂、エポキシ樹脂組成物、硬化物及び電気・電子回路用積層板 - Google Patents

エポキシ樹脂、エポキシ樹脂組成物、硬化物及び電気・電子回路用積層板 Download PDF

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Description

本発明は、シクロヘキサノンなどのケトン系溶剤に対する溶剤溶解性、低線膨張性、耐熱性等に優れたエポキシ樹脂に関する。また、該エポキシ樹脂と硬化剤とを含むエポキシ樹脂組成物及びその硬化物並びに該エポキシ樹脂組成物からなる電気・電子回路用積層板に関する。
エポキシ樹脂は、耐熱性、接着性、耐水性、機械的強度及び電気的特性に優れていることから、接着剤、塗料、土木建築用材料、電気・電子部品の絶縁材料等、様々な分野で使用されている。特に、電気・電子分野では、絶縁注型、積層材料、封止材料等において幅広く使用されている。近年、電気・電子機器に使用される多層回路基板は、機器の小型化、軽量化及び高機能化が進んでおり、更なる多層化、高密度化、薄型化、軽量化と信頼性及び成形加工性の向上等が要求されている。
近年、電気・電子機器に使用されるプリント配線板は、機器の小型化、軽量化及び高機能化が進んでおり、特に多層プリント配線板に対し、更なる高多層化、高密度化、薄型化、軽量化と、信頼性及び成形加工性の向上等が要求されている。このように、配線の微細化が進んでいく中で、基板材料となる樹脂側への特性としては、より一層の高耐熱性と低線膨張率性が必要である。
従来より、低線膨張性に優れた熱硬化性樹脂として、ポリイミド樹脂が知られており、フレキシブルプリント配線板分野において主流となっている。しかし、ポリイミド樹脂は、高耐熱性であるがゆえにガラス転移温度(Tg)が非常に高くなる。このため、ポリイミド樹脂は成形加工が難しく、また、特殊な極性溶媒にしか溶解しないため、加工時の取り扱いが非常に難しく、様々な制約を受けるものである。例えば、これまでに知られているイミド骨格化合物は、一般的な有機溶剤、例えばケトン系溶剤への溶解性が十分でなく、ジメチルホルムアミドやN−メチルピロリドンのような高極性溶剤にしか溶解しないという問題があった。一方、エポキシ樹脂は成型加工性、溶剤溶解性に優れているものの、低線膨張性については不十分であるという問題があった。
このような状況に対し、ポリイミド樹脂の利点である耐熱性、低線膨張性と、エポキシ樹脂の利点である成型加工性、取り扱い性の利点を兼ね備えるものとして、本発明者らは特定構造のイミド骨格樹脂を報告した(特許文献1)。
特開2010−090360号公報
本発明者らの更なる検討によれば、特許文献1に記載されているイミド骨格樹脂は従来のポリイミド樹脂と比較すると溶剤溶解性に優れているものの、従来のエポキシ樹脂と同様の成型加工プロセス、詳しくは、他のエポキシ樹脂や硬化剤等を配合して硬化性組成物のワニスを調整し、適当な基材に塗布又は含浸した後に乾燥・硬化するようなプロセスに適用するには溶剤溶解性、特にシクロヘキサノンなどのケトン系溶剤に対する溶解性が不十分であることがわかった。本発明は、上記課題を解決し、溶剤溶解性、低線膨張性、耐熱性等に優れたエポキシ樹脂を提供することを課題とするものである。
上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、本発明者は、特定の環状骨格を有するビスフェノール構造と特定のイミド構造とを有するエポキシ樹脂が、溶剤溶解性、低線膨張性、耐熱性、特にシクロヘキサノン等のケトン系溶剤に対する溶剤溶解性に優れることを見出した。即ち本発明の要旨は以下の[1]〜[18]に存する。
[1] 下記式(1)で表され、重量平均分子量が1,000〜200,000であることを特徴とするエポキシ樹脂。
Figure 0006314456
(上記式(1)中、Aは上記式(2)で表される化学構造及び(3)で表される化学構造
を少なくとも有し、Rは水素原子又は上記式(4)で表される基であり、nは繰り返し数
の平均値であり1以上50以下である。但し、式(1)中の両末端のRのうち、少なくと
もいずれか一方は、式(4)で表される基である。記式(2)中、Rは、水素原子、炭
素数1〜10の炭化水素基又はハロゲン元素であり、互いに同一であっても異なっていて
もよく、Xは環状構造を有する炭素数5〜20の2価の連結基である。上記式(3)中
、Rは、水素原子、炭素数1〜10の炭化水素基又はハロゲン元素であり、互いに同一
であっても異なっていてもよく、ベンゼン環上の隣接した炭素原子に結合した2つのR
は、互いに結合して炭素数4〜20の環状構造を形成してもよい。Rは、水素原子、炭
素数1〜10の炭化水素基又はハロゲン元素であり、互いに同一であっても異なっていて
もよく、ベンゼン環上の隣接した炭素原子に結合した2つのRは、互いに結合して炭素
数4〜20の環状構造を形成してもよい。Xは、直接結合、−SO−、−O−、−C
O−、−C(CF−、−S−又は炭素数1〜20の炭化水素基から選ばれる2価の
連結基である。)
[2] 前記式(2)において、Xがフルオレン構造、シクロドデシレン構造、トリメチルシクロへキシレン構造及びシクロヘキシレン構造から選ばれる少なくとも1種である、[1]に記載のエポキシ樹脂。
[3] 前記式(1)中、前記式(2)で表される化学構造と前記式(3)で表される化学構造のモル比が、1/99〜99/1である、[1]又は[2]に記載のエポキシ樹脂。
[4] 前記式(1)中、Aとして下記式(5)で表される化学構造を含み、該式(5)で表される化学構造のモル数がA全体のモル数に対して1〜99モル%である、[1]乃至[3]のいずれか1つに記載のエポキシ樹脂。
Figure 0006314456
(上記式(5)中、Rは、水素原子、炭素数1〜12の炭化水素基又はハロゲン元素から選ばれる基であり、互いに同一であっても異なっていてもよく、Xは、直接結合、−SO−、−O−、−CO−、−C(CF−、−S−又は炭素数1〜20の非環状炭化水素基から選ばれる2価の連結基である。)
[5] 下記式(6)で表される2官能エポキシ樹脂と、下記式(7)で表されるビスフェノール系化合物とを反応させて得られることを特徴とするエポキシ樹脂。
Figure 0006314456
(上記式(6)及び/又は式(7)中、A’は上記式(2)’で表される化学構造及び(3)’で表される化学構造を少なくとも有し、式(6)中、mは繰り返し数の平均値であり0以上6以下である。上記式(2)’中、R’は、水素原子、炭素数1〜10の炭化水素基又はハロゲン元素であり、互いに同一であっても異なっていてもよく、X’は環状構造を有する炭素数5〜20の2価の連結基である。上記式(3)’中、R’は、水素原子、炭素数1〜10の炭化水素基又はハロゲン元素であり、互いに同一であっても異なっていてもよく、ベンゼン環上の隣接した炭素原子に結合した2つのR’は、互いに結合して炭素数4〜20の環状構造を形成してもよい。R’は、水素原子、炭素数1〜10の炭化水素基又はハロゲン元素であり、互いに同一であっても異なっていてもよく、ベンゼン環上の隣接した炭素原子に結合した2つのR’は、互いに結合して炭素数4〜20の環状構造を形成してもよい。X’は、直接結合、−SO−、−O−、−CO−、−C(CF−、−S−又は炭素数1〜20の炭化水素基から選ばれる2価の連結基である。)
[6] 前記式(2)’において、X’がフルオレン構造、シクロドデシレン構造、トリメチルシクロへキシレン構造及びシクロヘキシレン構造から選ばれる少なくとも1種である、[5]に記載のエポキシ樹脂。
[7] 前記式(6)及び(7)中、前記式(2)’ で表される化学構造と前記式(3
)’で表される化学構造のモル比が、1/99〜99/1である、[5]又は[6]に記載のエポキシ樹脂。
[8] 前記式(6)及び/又は(7)中、A’として下記式(5)’で表される化学構造を含み、該式(5)’で表される化学構造が式(6)及び式(7)におけるA’の合計のモル数に対して1〜99モル%である、[5]乃至[7]のいずれか1つに記載のエポ
キシ樹脂。
Figure 0006314456
(上記式(5)’中、R’は、水素原子、炭素数1〜12の炭化水素基又はハロゲン元素から選ばれる基であり、互いに同一であっても異なっていてもよく、X’は、直接結合、−SO−、−O−、−CO−、−C(CF−、−S−又は炭素数1〜20の非環状炭化水素基から選ばれる2価の連結基である。)
[9] エポキシ当量が500g/当量以上100,000g/当量以下である、[1]乃至[8]のいずれか1つに記載のエポキシ樹脂。
[10] [1]乃至[9]のいずれか1つに記載のエポキシ樹脂と、硬化剤とからなるエポキシ樹脂組成物。
[11] 前記エポキシ樹脂100重量部に対し、前記硬化剤を0.1〜100重量部含む、[10]に記載のエポキシ樹脂組成物。
[12] 更に他のエポキシ樹脂を含み、固形分としての全エポキシ樹脂成分中、他のエポキシ樹脂を1〜99重量%含む、[10]又は[11]に記載のエポキシ樹脂組成物。
[13] 前記全エポキシ樹脂成分100重量部に対し、前記硬化剤を0.1〜100重量部含む、[12]に記載のエポキシ樹脂組成物。
[14] 前記硬化剤がフェノール系硬化剤、アミド系硬化剤及びイミダゾール類からなる群から選ばれる少なくとも1種である、[10]乃至[13]のいずれか1つに記載のエポキシ樹脂組成物。
[15] [10]乃至[14]のいずれか1つに記載のエポキシ樹脂組成物を用いてなる電気・電子回路用積層板。
[16] [10]乃至[14]のいずれか1つに記載のエポキシ樹脂組成物を硬化してなる硬化物。
本発明によれば、溶剤溶解性、低線膨張性、耐熱性等に優れたエポキシ樹脂を提供することができる。このため、本発明のエポキシ樹脂は、接着剤、塗料、土木用建築材料、電気・電子部品の絶縁材料等、様々な分野に適用可能であり、特に電気・電子分野における絶縁注型、積層材料、封止材料等として有用である。本発明のエポキシ樹脂及びそれを含むエポキシ樹脂組成物は、多層プリント配線基板、キャパシタ等の電気・電子回路用積層板、フィルム状接着剤、液状接着剤等の接着剤、半導体封止材料、アンダーフィル材料、3D−LSI用インターチップフィル、絶縁シート、プリプレグ、放熱基板等に好適に用いることができる。
以下に本発明の実施の形態を詳細に説明するが、以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施の形態の一例であり、本発明はその要旨を超えない限り、以下の記載内容に限定されるものではない。なお、本明細書において「〜」という表現を用いる場合、その前後の数値又は物性値を含む表現として用いるものとする。
〔エポキシ樹脂〕
本発明のエポキシ樹脂は、下記式(1)で表され、重量平均分子量が1,000〜200,000であることを特徴とする。本発明のエポキシ樹脂によれば、溶剤溶解性、低線膨張性、耐熱性等に優れるという効果を奏する。本発明のエポキシ樹脂がこのような効果を奏する理由は、イミド基を有する式(3)の構造により優れた耐熱性、低線膨張性を得ている一方で、式(2)の構造に含まれるXの構造によって適度に結晶性が低くなり、優れた溶剤溶解性が発現することによると推定される。
Figure 0006314456
(上記式(1)中、Aは上記式(2)で表される化学構造及び(3)で表される化学構造を少なくとも有し、Rは水素原子又は上記式(4)で表される基であり、nは繰り返し数の平均値であり1以上50以下である。上記式(2)中、Rは、水素原子、炭素数1〜10の炭化水素基又はハロゲン元素であり、互いに同一であっても異なっていてもよく、Xは環状構造を有する炭素数5〜20の2価の連結基である。上記式(3)中、Rは、水素原子、炭素数1〜10の炭化水素基又はハロゲン元素であり、互いに同一であっても異なっていてもよく、ベンゼン環上の隣接した炭素原子に結合した2つのRは、互いに結合して炭素数4〜20の環状構造を形成してもよい。Rは、水素原子、炭素数1〜10の炭化水素基又はハロゲン元素であり、互いに同一であっても異なっていてもよく、
ベンゼン環上の隣接した炭素原子に結合した2つのRは、互いに結合して炭素数4〜20の環状構造を形成してもよい。Xは、直接結合、−SO−、−O−、−CO−、−C(CF−、−S−又は炭素数1〜20の炭化水素基から選ばれる2価の連結基である。)
即ち、本発明のエポキシ樹脂は、異なる分子量、異なる末端基構造、異なる分子骨格を有する化合物の混合物を含む概念である。
<化学構造>
前記式(1)中、Aは前記式(2)で表される化学構造及び前記式(3)で表される化学構造を少なくとも有する。
前記式(2)中、Rは、水素原子、炭素数1〜10の炭化水素基又はハロゲン元素であり、互いに同一であっても異なっていてもよい。Rは、好ましくは水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、臭素原子、フッ素原子であり、より好ましくは水素原子、メチル基である。なお、Rが炭素数1〜10の炭化水素基又はハロゲン元素である場合、その置換位置は、Xの結合した炭素を1位とした場合に3位及び/又は5位の位置であることが好ましい。
前記式(2)中、Xは環状構造を有する炭素数5〜20の2価の連結基である。この環状構造は芳香環構造を有していても、非芳香環構造を有していてもよいが、シクロアルキレン構造が直接ビスフェノール構造に結合しているものである。本発明のエポキシ樹脂は、Xが嵩高い構造であるために溶剤溶解性に優れるという特長を有するものと考えられ、Xの炭素数が上記範囲において多いほど十分な嵩高さを有する置換基を形成することができるため、Xの炭素数が、好ましくは6以上であり、より好ましくは7以上であり、最も好ましいのは9以上である。
一方、式(3)で表される構造による分子間の相互作用を利用して耐熱性、低線膨張性を高める観点からは、Xの炭素数が上記範囲において少ない方が好ましく、好ましくは15以下であり、最も好ましいのは13以下である。Xとしては例えば、シクロペンタデシレン構造(炭素数15)、トリシクロペンタジエニレン構造(炭素数15)、フルオレン構造(炭素数13)、シクロドデシレン構造(炭素数12)、フェニルシクロヘキシレン構造(炭素数12)、メンタニレン構造(炭素数10)、アダマンチレン構造(炭素数10)、ジシクロペンタジエニレン構造(炭素数10)、モノメチルシクロヘキシレン構造(炭素数7)、トリメチルシクロヘキシレン構造(炭素数9)、イソプロピルシクロヘキシレン構造(炭素数9)、インダニレン構造(炭素数9)、インデニレン構造(炭素数9)、シクロオクチレン構造(炭素数8)、シクロヘプチレン構造(炭素数7)、シクロへキシレン構造(炭素数6)、シクロペンチレン構造(炭素数5)等が挙げられる。
これらの中でも溶剤溶解性に加えて耐熱性も良好なものとする観点から、好ましくはフルオレン構造、シクロドデシレン構造、トリメチルシクロへキシレン構造、シクロヘキシレン構造であり、より好ましくはフルオレン構造、トリメチルシクロへキシレン構造であり、最も好ましいのはフルオレン構造である。
前記式(3)中、Rは、水素原子、炭素数1〜10の炭化水素基又はハロゲン元素であり、互いに同一であっても異なっていてもよく、ベンゼン環上の隣接した炭素原子に結合した2つのRは、互いに結合して炭素数4〜20の環状構造を形成してもよい。Rは、好ましくは水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、臭素原子、フッ素原子であり、より好ましくは水素原子、メチル基である。なお、Rが炭素数1〜10の炭化水素基又はハロゲン元素である場合、その置換位置は、酸素及び/又は窒素が結合する炭素に対して
オルト位であることが好ましい。また、Rが互いに結合して炭素数4〜20の環状構造を形成する場合、その環状構造としては、芳香環を含んでいてもよく、例えば、ベンゼン環(炭素数4)、ナフタレン環(炭素数8)、シクロヘキセン環(炭素数4)等が挙げられる。なお、ここでいう環状構造の炭素数については、式(3)において、Rが直接結合している芳香環上の炭素についてはRとはみなされないため、例えば、Rが互いに結合してベンゼン環を形成している場合、その炭素数は4と数えることとする。
前記式(3)中、Rは、水素原子、炭素数1〜10の炭化水素基又はハロゲン元素であり、互いに同一であっても異なっていてもよく、ベンゼン環上の隣接した炭素原子に結合した2つのRは、互いに結合して炭素数4〜20の環状構造を形成してもよい。Rは、好ましくは水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、臭素原子、フッ素原子であり、より好ましくは水素原子、メチル基である。なお、Rが炭素数1〜10の炭化水素基又はハロゲン元素である場合、その置換位置は、Xが結合している炭素のオルト位であることが好ましい。また、Rが互いに結合して炭素数4〜20の環状構造を形成する場合、その環状構造としては、芳香環を含んでいてもよく、例えば、ベンゼン環(炭素数4)、ナフタレン環(炭素数8)、シクロヘキセン環(炭素数4)等が挙げられる。
前記式(3)中、Xは、直接結合、−SO−、−O−、−CO−、−C(CF−、−S−又は炭素数1〜20の炭化水素基から選ばれる2価の連結基である。これらの中でもXとしては、直接結合、−O−、−C(CFが好ましく、直接結合が最も好ましい。
前記式(1)中、Rは水素原子又は前記式(4)で表される基(エポキシ基)である。即ち、式(1)において、Rは末端構造を示すものであり、両末端が水素原子又は式(4)のエポキシ基であってもよく、片末端のみが水素原子又は式(4)のエポキシ基であってもよい。ただし、前記式(1)は、エポキシ樹脂であることから、式(1)中のRとして少なくともエポキシ基を含むものである。本発明のエポキシ樹脂は、通常、これらの末端を有する分子や、次に説明する繰り返し数nの異なる分子等の混合物である。
前記式(1)中、nは繰り返し数であり、平均値である。その値の範囲はフィルム製膜性や伸び性の観点から1以上であり、また、樹脂の取り扱い性の観点から50以下である。フィルム製膜性や伸び性を更に良好なものとする観点から好ましくは5以上であり、より好ましくは10以上であり、一方、樹脂の取り扱い性を更に良好なものとする観点から好ましくは40以下である。n数はゲルパーミエーションクロマトグラフィー法(GPC法)により得られた数平均分子量(Mn)並びに原料の化学構造及び組成より算出することができる。数平均分子量を求めるGPC法については具体例を後掲実施例において説明する。
本発明のエポキシ樹脂は、前記式(1)中、前記式(2)で表される化学構造により溶剤溶解性を得ることができ、また、前記式(3)で表される化学構造により耐熱性、低線膨張性を得ることができる。このため、式(1)中に含まれる式(2)で表される化学構造と式(3)で表される化学構造とのモル比([式(2)で表される化学構造のモル数]/[式(3)で表される化学構造のモル数])は、溶剤溶解性の観点から1/99以上であることが好ましく、5/95以上であることがより好ましく、10/90以上であることが更に好ましく、一方、耐熱性、低線膨張性の観点から99/1以下であることが好ましく、90/10以下であることがより好ましく、80/20以下であることが更に好ましく、50/50以下であることが特に好ましい。
また、本発明のエポキシ樹脂には、前記式(1)中のAにおいて、更に式(2)で表される化学構造及び式(3)で表される化学構造以外の化学構造(以下、「その他の化学構
造」と称することがある。)が含まれていてもよい。その他の化学構造としては下記式(5)で表される化学構造が含まれていることが好ましい。より具体的には、溶剤溶解性や製造の容易さの観点からは、より好ましくは前記式(5)で表される化学構造のモル数がA全体のモル数に対し、1モル%以上であることが好ましく、5モル%以上であることがより好ましく、20モル%以上であることが更に好ましく、35モル%以上であることが特に好ましい。一方、式(2)で表される化学構造及び式(3)で表される化学構造による効果を得る観点から、式(5)で表される化学構造は99モル%以下であることが好ましく、95モル%以下であることがより好ましく、80モル%以下であることが更に好ましく、60モル%以下であることが特に好ましい。
Figure 0006314456
(上記式(5)中、Rは、水素原子、炭素数1〜12の炭化水素基又はハロゲン元素から選ばれる基であり、互いに同一であっても異なっていてもよく、Xは、直接結合、−SO−、−O−、−CO−、−C(CF−、−S−又は炭素数1〜20の非環状炭化水素基から選ばれる2価の連結基である。)
前記式(5)中、Rは水素原子、炭素数1〜12の炭化水素基又はハロゲン元素から選ばれる基であり、互いに同一であっても異なっていてもよい。これらの中でもRとしては、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、臭素、フッ素が好ましく、水素原子、メチル基がより好ましい。
前記式(5)中、Xは、直接結合、−SO−、−O−、−CO−、−C(CF−、−S−又は炭素数1〜20の非環状炭化水素基から選ばれる2価の連結基である。ここでXにおける「非環状炭化水素基」とは、ビスフェノール構造が直接結合している炭素原子が環状構造に含まれていないことを意味し、置換基の一つとして環状炭化水素基を有するものはXに含まれるものとする。これらの中でもXとしては、直接結合、−C(CF−、−CH−、−C(CH−が好ましい。
本発明のエポキシ樹脂において、前記式(2)で表される化学構造、前記式(3)で表される化学構造及びその他の化学構造の割合は、後述のエポキシ樹脂の製造方法の項目において説明するように、原料の比率によって制御することができる。このため、本発明のエポキシ樹脂においては、原料として用いた2官能エポキシ樹脂とビスフェノール系化合物とのそれぞれに含まれる化学構造の割合が、そのまま本発明のエポキシ樹脂に含まれる化学構造の割合とみなすこととする。
その他の化学構造として、前記式(5)で表される化学構造以外のものとしては、特に制限されないが、ハイドロキノン、メチルハイドロキノン、ジブチルハイドロキノン、ジヒドロアントラハイドロキノン、レゾルシン、メチルレゾルシン等のベンゼンジオール類(ここで、「ベンゼンジオール類とは、1つのベンゼン環を有する化合物であって、当該ベンゼン環に2つの水酸基が直接結合した化合物である。);ジヒドロキシジフェニルエーテル等のジヒドロキシジフェニルエーテル類;チオジフェノール等のチオジフェノール類;ジヒドロキシナフタレン等のジヒドロキシナフタレン類;ジヒドロキシスチルベン等のジヒドロキシスチルベン類;エチレングリコール、トリメチレングリコール、プロピレ
ングリコール、ブチレングリコール等のアルキレングリコール類、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等のポリアルキレングリコール類、及びこれらをエポキシ化した化合物に由来する化学構造が挙げられる。なお、これらの化学構造は後述する製造方法において、原料である2官能エポキシ樹脂及び/又はビスフェノール化合物と共に上記原料を組み合わせて用いることにより導入することができる。
<重量平均分子量>
本発明のエポキシ樹脂の重量平均分子量(Mw)は、1,000〜200,000である。重量平均分子量が1,000より低いものではフィルム製膜性や伸び性が低くなり、200,000より高いと樹脂の取り扱いが困難となる。本発明のエポキシ樹脂の重量平均分子量Mwは、フィルム製膜性や伸び性を向上させる観点から、2,000以上が好ましく、5,000以上がより好ましく、一方、取り扱い性を良好なものとする観点から、120,000以下が好ましく、80,000以下がより好ましく、50,000以下が更に好ましく、30,000以下が特に好ましい。なお、エポキシ樹脂の重量平均分子量及び数平均分子量はゲルパーミエーションクロマトグラフィー法(GPC法)により測定することができる。より詳細な方法の例について後述の実施例において説明する。
<エポキシ当量>
本発明のエポキシ樹脂は、フィルム製膜性や伸び性を向上させる観点から、好ましくはエポキシ当量が500g/当量以上、より好ましくは1,000g/当量以上、更に好ましくは2,500g/当量以上、特に好ましくは3,500g/当量以上であり、最も好ましくは5,000g/当量以上である。一方、取り扱い性を良好なものとする観点から、100,000g/当量以下が好ましく、より好ましくは50,000g/当量以下、更に好ましくは30,000g/当量以下、特に好ましくは15,000g/当量以下である。なお、本発明において「エポキシ当量」とは、「1当量のエポキシ基を含むエポキシ樹脂の質量」と定義され、JIS K7236に準じて測定することができる。
<ガラス転移温度(Tg)>
本発明のエポキシ樹脂は、耐熱性に優れるものであり、耐熱性はガラス転移温度(Tg)により評価することができる。本発明のエポキシ樹脂においては、ガラス転移温度(Tg)が、好ましくは90℃以上、より好ましくは130℃以上、更に好ましくは150℃以上、より好ましくは160℃以上であり、上限については特に制限はないが、通常210℃以下である。ガラス転移温度は後掲の実施例に記載するようにDSC法により測定することができる。
<エポキシ樹脂の製造方法>
本発明のエポキシ樹脂は、例えば、下記式(6)で表される2官能エポキシ樹脂と、下記式(7)で表されるビスフェノール系化合物とを反応させる、二段法によって得ることができる。また、下記式(7)で表されるビスフェノール系化合物をエピハロヒドリンと反応させる、一段法によっても得ることができる。ただし、二段法では高分子量のエポキシ樹脂を一段法よりも容易に得ることができるため、二段法を用いることが好ましい。
Figure 0006314456
(上記式(6)及び/又は式(7)中、A’は上記式(2)’で表される化学構造及び(3)’で表される化学構造を少なくとも有し、式(6)中、mは繰り返し数の平均値であり0以上6以下である。上記式(2)’中、R’は、水素原子、炭素数1〜10の炭化水素基又はハロゲン元素であり、互いに同一であっても異なっていてもよく、X’は環状構造を有する炭素数5〜20の2価の連結基である。上記式(3)’中、R’は、水素原子、炭素数1〜10の炭化水素基又はハロゲン元素であり、互いに同一であっても異なっていてもよく、ベンゼン環上の隣接した炭素原子に結合した2つのR’は、互いに結合して炭素数4〜20の環状構造を形成してもよい。R’は、水素原子、炭素数1〜10の炭化水素基又はハロゲン元素であり、互いに同一であっても異なっていてもよく、ベンゼン環上の隣接した炭素原子に結合した2つのR’は、互いに結合して炭素数4〜20の環状構造を形成してもよい。X’は、直接結合、−SO−、−O−、−CO−、−C(CF−、−S−又は炭素数1〜20の炭化水素基から選ばれる2価の連結基である。)
[二段法による製造]
本発明の他の態様にかかるエポキシ樹脂は、前記式(6)で表される2官能エポキシ樹脂と、前記式(7)で表されるビスフェノール系化合物を反応させて得られることを特徴とする。
(2官能エポキシ樹脂)
本発明のエポキシ樹脂の製造に用いられる2官能エポキシ樹脂は、前記式(6)で表されるエポキシ樹脂であり、例えば、前記式(7)で表されるビスフェノール系化合物を、後述の一段法と同様の方法によりエピハロヒドリンと縮合させて得られるエポキシ樹脂が
挙げられる。
前記式(6)中、A’は前記式(2)’で表される化学構造を含んでいてもよいし、含まなくともよい。ただし、前記式(7)中のA’が式(2)’ で表される化学構造を含
まない場合は、前記式(6)中のA’は前記式(2)’ で表される化学構造を必ず含む
ものである。また、前記式(6)中、A’は前記式(3)’で表される化学構造を含んでいてもよいし、含まなくともよい。ただし、前記式(7)中のA’が式(3)’ で表さ
れる化学構造を含まない場合は、前記式(6)は前記式(3)’ で表される化学構造を
必ず含むものである。
前記式(2)’におけるR’の定義と好ましいものは、前記式(2)におけるRと同様のものであり、前記式(2)’におけるX’の定義と好ましいものは、それぞれ前記式(2)におけるXと同様のものである。また、前記式(6)におけるmは繰り返し数の平均値であり、0以上6以下である。
前記式(3)’ におけるR’及びR’定義と好ましいものは、それぞれ前記式(
2)におけるR及びRと同様のものである。また、前記式(2)’におけるX’の定義と好ましいものは、前記式(2)におけるXと同様のものである。
(ビスフェノール系化合物)
本発明のエポキシ樹脂の製造に用いられるビスフェノール系化合物は、前記式(7)で表されるビスフェノール系化合物である。
前記式(7)中、A’は前記式(2)’で表される化学構造を含んでいてもよいし、含まなくともよい。ただし、前記式(6)中のA’が式(2)’ で表される化学構造を含
まない場合は、前記式(7)は前記式(2)’ で表される化学構造を必ず含む。即ち、
前記式(6)で表される化学構造中に前記式(2)’で表される化学構造及び(3)’
で表される化学構造のいずれも含まない場合においては、前記式(7)で表されるビスフェノール化合物として、式(2)’で表される化学構造を含むものと式(3)’で表される化学構造を含むものとを少なくとも2種併用することとなる。
また、前記式(7)中、A’は前記式(3)’で表される化学構造を含んでいてもよいし、含まなくともよい。ただし、前記式(6)中のA’が式(3)’ で表される化学構
造を含まない場合は、前記式(7)は前記式(2)’で表される化学構造を必ず含む。つまり、二段法により製造されるエポキシ樹脂には、前記式(2)’で表される化学構造及び前記式(3)’で表される化学構造の両方が必ず含まれるものであり、これを満たす限り、前記式(2)’で表される化学構造及び前記式(3)’ で表される化学構造が、前
記式(6)で表される2官能エポキシ樹脂及び前記式(7)で表されるビスフェノール系化合物のいずれに含まれるものであってもよく、またその化学構造の割合も制限されるものではない。
前記式(6)で表される化学構造及び式(7)で表される化学構造におけるA’全体に対して式(2)’ で表される化学構造及び式(3)’で表される化学構造の合計のモル
数は、1モル%以上が好ましく、5モル%以上が更に好ましく、20モル%以上がより好ましく、35モル%以上が特に好ましい。また、その上限は100モル%であり、99モル%以下が好ましく、95モル%以下がより好ましく、80モル%以下が更に好ましく、65モル%以下が特に好ましい。
前記式(6)及び(7)中、前記式(2)’ で表される化学構造と前記式(3)’で
表される化学構造とのモル比([式(2)’で表される化学構造のモル数]/[式(3)
’で表される化学構造のモル数])が、1/99〜99/1であることが溶剤溶解性、耐熱性、低線膨張性等の物性のバランスをとる観点から好ましい。この効果を高めるため、このモル比は、5/95以上であることがより好ましく、10/90以上であることが更に好ましく、一方、99/1以下であることがより好ましく、80/20以下であることが更に好ましく、50/50以下であることが特に好ましい。
また、本発明のエポキシ樹脂の製造に用いる2官能エポキシ樹脂又はビスフェノール系化合物には、式(2)’で表される化学構造及び式(3)’で表される化学構造以外の化学構造が含まれていてもよく、これら以外の化学構造として、下記式(5)’で表される化学構造が含まれていることが好ましい。溶剤溶解性や製造のし易さの観点からは、前記式(6)及び/又は式(7)中のA’全体のモル数に対して下記式(5)’で表される化学構造が、好ましくは1モル%以上、より好ましくは5モル%以上、更に好ましくは20モル%以上、特に好ましくは35モル%以上である。また、イミド構造に起因する耐熱性を十分に発現させるという観点からは、より好ましくは下記式(5)’で表される化学構造が好ましくは99モル%以下、より好ましくは95モル%以下、更に好ましくは80モル%以下、特に好ましくは60モル%以下である。
Figure 0006314456
(上記式(5)’中、R’は、水素原子、炭素数1〜12の炭化水素基又はハロゲン元素から選ばれる基であり、互いに同一であっても異なっていてもよく、X’は、直接結合、−SO−、−O−、−CO−、−C(CF−、−S−又は炭素数1〜20の非環状炭化水素基から選ばれる2価の連結基である。)
前記式(5)’中におけるR’及びX’の定義と好ましいものは、それぞれ前記式(5)におけるR及びXと同様のものである。
前記式(5)’で表される化学構造以外のものとしては、前記した化学構造が該当する。
本発明のエポキシ樹脂の製造において、上記の2官能エポキシ樹脂とビスフェノール系化合物の使用量は、その配合当量比で、(エポキシ基):(フェノール性水酸基)が好ましくは1:0.50〜1:2.00であり、より好ましくは1:0.80〜1:1.20であり、最も好ましくは1:0.90〜1.10である。この当量比が上記範囲であると高分子量化を進行させやすくなるために好ましい。
本発明のエポキシ樹脂の合成には触媒を用いてもよく、その触媒としては、エポキシ基とフェノール性水酸基、アルコール性水酸基やカルボキシル基との反応を進めるような触媒能を持つ化合物であればどのようなものでもよい。例えば、アルカリ金属化合物、有機リン化合物、第3級アミン、第4級アンモニウム塩、環状アミン類、イミダゾール類等の公知の触媒が挙げられる。
アルカリ金属化合物の具体例としては、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物;炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、塩化ナトリウム
、塩化リチウム、塩化カリウム等のアルカリ金属塩;ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド等のアルカリ金属アルコキシド;アルカリ金属フェノキシド、水素化ナトリウム、水素化リチウム等のアルカリ金属の水素化物;酢酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム等の有機酸のアルカリ金属塩が挙げられる。
有機リン化合物の具体例としては、トリ−n−プロピルホスフィン、トリ−n−ブチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、テトラメチルホスホニウムブロマイド、テトラメチルホスホニウムアイオダイド、テトラメチルホスホニウムハイドロオキサイド、テトラブチルホスホニウムハイドロオキサイド、トリメチルシクロヘキシルホスホニウムクロライド、トリメチルシクロヘキシルホスホニウムブロマイド、トリメチルベンジルホスホニウムクロライド、トリメチルベンジルホスホニウムブロマイド、テトラフェニルホスホニウムブロマイド、トリフェニルメチルホスホニウムブロマイド、トリフェニルメチルホスホニウムアイオダイド、トリフェニルエチルホスホニウムクロライド、トリフェニルエチルホスホニウムブロマイド、トリフェニルエチルホスホニウムアイオダイド、トリフェニルベンジルホスホニウムクロライド、トリフェニルベンジルホスホニウムブロマイド等が挙げられる。
第3級アミンの具体例としては、トリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、トリエタノールアミン、ベンジルジメチルアミン等が挙げられる。
第4級アンモニウム塩の具体例としては、テトラメチルアンモニウムクロライド、テトラメチルアンモニウムブロマイド、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド、トリエチルメチルアンモニウムクロライド、テトラエチルアンモニウムクロライド、テトラエチルアンモニウムブロマイド、テトラエチルアンモニウムアイオダイド、テトラエチルアンモニウムハイドロオキサイド、テトラプロピルアンモニウムブロマイド、テトラプロピルアンモニウムハイドロオキサイド、トリブチルメチルアンモニウムハイドロオキサイド、テトラブチルアンモニウムクロライド、テトラブチルアンモニウムブロマイド、テトラブチルアンモニウムアイオダイド、テトラブチルアンモニウムハイドロオキサイド、ベンジルトリメチルアンモニウムクロライド、ベンジルトリメチルアンモニウムブロマイド、ベンジルトリメチルアンモニウムハイドロオキサイド、ベンジルトリブチルアンモニウムクロライド、フェニルトリメチルアンモニウムクロライド等が挙げられる。
環状アミン類の具体例としては、1,4−ジアザビシクロ[2,2,2]オクタン、1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデセン−7、1,5−ジアザビシクロ[4,3,0]ノネン−5等が挙げられる。
イミダゾール類の具体例としては、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール等が挙げられる。
以上に挙げた触媒の中でも第4級アンモニウム塩が好ましい。また、触媒は1種のみを使用することも、2種以上を組み合わせて使用することもできる。触媒の使用量は反応固形分中、通常0.001〜1重量%である。
本発明のエポキシ樹脂は、その製造時の合成反応の工程において、反応用の溶媒を用いてもよく、その溶媒としては、エポキシ樹脂を溶解するものであればどのようなものでもよい。例えば、芳香族系溶媒、ケトン系溶媒、アミド系溶媒、グリコールエーテル系溶媒等が挙げられる。溶媒は1種のみで用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いることもできる。
芳香族系溶媒の具体例としては、ベンゼン、トルエン、キシレン等が挙げられる。ケト
ン系溶媒の具体例としては、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン、2−ヘプタノン、4−ヘプタノン、2−オクタノン、シクロヘキサノン、アセチルアセトン、ジオキサン等が挙げられる。
アミド系溶媒の具体例としては、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、2−ピロリドン、N−メチルピロリドン等が挙げられる。
グリコールエーテル系溶媒の具体例としては、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等が挙げられる。
エポキシ樹脂の製造時の合成反応における固形分濃度は35〜95重量%が好ましい。また、反応途中で高粘性生成物が生じたときは溶媒を追加添加して反応を続けることもできる。反応終了後、溶媒は必要に応じて、除去することもできるし、更に追加することもできる。
エポキシ樹脂の製造において、2官能エポキシ樹脂とビスフェノール系化合物との重合反応は使用する触媒が分解しない程度の反応温度で実施される。反応温度が高すぎると生成するエポキシ樹脂が劣化するおそれがある。逆に温度が低すぎると十分に反応が進まないことがある。これらの理由から反応温度は、好ましくは50〜230℃、より好ましくは120〜200℃である。また、反応時間は通常1〜12時間、好ましくは3〜10時間である。アセトンやメチルエチルケトンのような低沸点溶媒を使用する場合には、オートクレーブを使用して高圧下で反応を行うことで反応温度を確保することができる。
[一段法による製造]
本発明のエポキシ樹脂は、一段法によっても製造することができる。具体的には、前記式(7)で表されるビスフェノール系化合物を、エピハロヒドリンと直接反応させればよい。ただし、前述のように、一段法で製造した本発明のエポキシ樹脂のうち低分子のものについては、二段法における2官能エポキシ樹脂として用いることができる。
一段法により本発明のエポキシ樹脂を製造する場合、原料として用いられる前記式(7)のビスフェノール系化合物中、A’は前記式(2)’で表される化学構造及び式(3)’で表される化学構造を含む。二段法において説明したものと同様の理由により、A’全体に対する式(2)’ で表される化学構造及び式(3)’で表される化学構造の合計の
モル数は、1モル%以上が好ましく、5モル%以上が更に好ましく、20モル%以上がより好ましく、35モル%以上が特に好ましい。また、その上限は100モル%であり、99モル%以下が好ましく、95モル%以下がより好ましく、80モル%以下が更に好ましく、65モル%以下が特に好ましい。式(7)におけるA’を構成する式(2)’で表される化学構造及び式(3)’で表される化学構造以外の化学構造としては前記の「その他の化学構造」が該当する。なお、一段法によって製造されたエポキシ樹脂を、二段法の原料である2官能エポキシ樹脂として用いる場合においては、二段法において説明したように、前記式(6)のビスフェノール系化合物中のA’に占める式(2)’で表される化学構造の割合は特に制限されず、0〜100モル%である。
原料として用いる全ビスフェノール系化合物はそのフェノール性水酸基1当量当たり、通常、0.8〜20モル当量、より好ましくは0.9〜15モル当量、更に好ましくは1.0〜10モル当量に相当する量のエピハロヒドリンに溶解させて均一な溶液とする。エピハロヒドリンの量が上記下限以上であると必要以上に高分子量化せず、反応を制御しやすく、また、適切な溶融粘度とすることができるために好ましい。一方、エピハロヒドリンの量が上記上限以下であると生産効率が向上する傾向にあるために好ましい。この反応におけるエピハロヒドリンとしては、通常、エピクロルヒドリン又はエピブロモヒドリンが用いられる。
次いで、その溶液を撹拌しながら、これにフェノール性水酸基1当量当たり通常、0.5〜2.0モル当量、より好ましくは0.7〜1.8モル当量、更に好ましくは0.9〜1.6モル当量に相当する量のアルカリ金属水酸化物を固体又は水溶液で加えて反応させる。アルカリ金属水酸化物の量が上記下限以上であると、未反応の水酸基と生成したエポキシ樹脂が反応しにくく、高分子量化反応を制御しやすいために好ましい。また、アルカリ金属水酸化物が上記上限以下あると、副反応による不純物が生成しにくいために好ましい。アルカリ金属水酸化物としては通常、水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムが用いられる。
この反応は、常圧下又は減圧下で行うことができ、反応温度は通常、常圧下の反応の場合、好ましくは20〜150℃ 、より好ましくは30〜120℃、更に好ましくは35
〜100℃であり、減圧下の反応の場合、好ましくは20〜100℃、より好ましくは30〜90℃、更に好ましくは35〜80℃である。反応温度が上記下限以上であると反応が進行しやすいために好ましい。また、反応温度が上記上限以下であると副反応が進行しにくく、特に塩素不純物が低減しやすいために好ましい。
反応は必要に応じて所定の温度を保持しながら反応液を共沸させ、揮発する蒸気を冷却して得られた凝縮液を油/水分離し、水分を除いた油分を反応系へ戻す方法により脱水する。アルカリ金属水酸化物の添加は、急激な反応を抑えるために、好ましくは0.5〜8時間、より好ましくは1〜7時間、更に好ましくは1〜6時間かけて少量ずつを断続的又は連続的に添加する。添加時間が上記下限以上であると急激に反応が進行するのを防ぐことができ、反応温度の制御がしやすくなるために好ましい。添加時間が上記上限以下であると塩素不純物が生成しにくくなるために好ましく、また、経済性の観点からも好ましい。全反応時間は通常、1〜15時間である。反応終了後、不溶性の副生塩を濾別して除くか、水洗により除去した後、未反応のエピハロヒドリンを減圧留去して除くと、目的のエポキシ樹脂を得ることができる。
また、この反応においては、テトラメチルアンモニウムクロリド、テトラエチルアンモニウムブロミド等の第四級アンモニウム塩; ベンジルジメチルアミン、2,4 ,6−トリス( ジメチルアミノメチル) フェノール等の第三級アミン;2−エチル−4− メチ
ルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール等のイミダゾール類;エチルトリフェニルホスホニウムアイオダイド等のホスホニウム塩;トリフェニルホスフィン等のホスフィン類等の触媒を用いてもよい。
更に、この反応においては、エタノール、イソプロパノール等のアルコール類; アセ
トン、メチルエチルケトン等のケトン類;ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類;メトキシプロパノール等のグリコールエーテル類;ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド等の非プロトン性極性溶媒等の不活性な有機溶媒を使用してもよい。
更に、上記のようにして得られたエポキシ樹脂の可鹸化ハロゲン量が多すぎる場合は、
再処理して十分に可鹸化ハロゲン量が低下した精製エポキシ樹脂を得ることができる。つまり、その粗製エポキシ樹脂を、イソプロピルアルコール、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、トルエン、キシレン、ジオキサン、メトキシプロパノール、ジメチルスルホキシド等の不活性な有機溶媒に再溶解しアルカリ金属水酸化物を固体又は水溶液で加えて好ましくは30〜120℃、より好ましくは40〜110℃、更に好ましくは50〜100℃の温度で好ましくは0.1〜15時間、より好ましくは0.3〜12時間、更に好ましくは0.5〜10時間再閉環反応を行った後、水洗等の方法で過剰のアルカリ金属水酸化物や副生塩を除去し、更に有機溶媒を減圧留去及び/又は水蒸気蒸留を行うと、加水分解性ハロゲン量が低減されたエポキシ樹脂を得ることができる。反応温度が上記下限以上であり、また、反応時間が上記下限以上であると再閉環反応が進行しやすいために好ましい。また、反応温度が上記上限以下であり、また、反応時間が上記上限以下であると高分子量化反応を制御しやすいために好ましい。
〔エポキシ樹脂組成物〕
本発明のエポキシ樹脂組成物は、少なくとも前述した本発明のエポキシ樹脂と硬化剤とを含むエポキシ樹脂組成物である。また、本発明のエポキシ樹脂組成物には、必要に応じて、他のエポキシ樹脂、その他の成分等を適宜配合することができる。本発明のエポキシ樹脂組成物は耐熱性、低線膨張性等に優れ、各種用途に要求される諸物性を十分に満たす硬化物を与えるものである。
<硬化剤>
本発明のエポキシ樹脂に硬化剤を配合してエポキシ樹脂組成物とすることができる。本発明において硬化剤とは、エポキシ樹脂のエポキシ基間の架橋反応及び/又は鎖長延長反応に寄与する物質を示す。なお、本発明においては通常、「硬化促進剤」と呼ばれるものであってもエポキシ樹脂のエポキシ基間の架橋反応及び/又は鎖長延長反応に寄与する物質であれば、硬化剤とみなすこととする。
本発明のエポキシ樹脂組成物中の硬化剤の含有量は、本発明のエポキシ樹脂100重量部に対して好ましくは0.1〜100重量部である。また、より好ましくは80重量部以下であり、更に好ましくは60重量部以下である。
本発明のエポキシ樹脂組成物において、後述する他のエポキシ樹脂が含まれる場合には、固形分としての全エポキシ樹脂成分100重量部に対して好ましくは0.1〜100重量部である。また、より好ましくは80重量部以下であり、更に好ましくは60重量部以下である。本発明において、「固形分」とは溶媒を除いた成分を意味し、固体のエポキシ樹脂のみならず、半固形や粘稠な液状物のものをも含むものとする。また、「全エポキシ樹脂成分」とは、本発明のエポキシ樹脂と後述する他のエポキシ樹脂との合計を意味する。
本発明のエポキシ樹脂組成物に用いる硬化剤としては、特に制限はなく一般的にエポキシ樹脂硬化剤として知られているものはすべて使用できる。耐熱性を高める観点から好ましいものとしてフェノール系硬化剤、アミド系硬化剤及びイミダゾール類が挙げられる。以下、フェノール系硬化剤、アミド系硬化剤、イミダゾール類及びその他の使用可能な硬化剤の例を挙げる。
[フェノール系硬化剤]
硬化剤としてフェノール系硬化剤を用いることが、得られるエポキシ樹脂組成物の取り扱い性と、硬化後の耐熱性を向上させる観点から好ましい。フェノール系硬化剤の具体例としては、ビスフェノールA、ビスフェノールF、4,4’−ジヒドロキシジフェニルメタン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、1,4−ビス(4−ヒドロキシフェ
ノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−ヒドロキシフェノキシ)ベンゼン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、4,4’−ジヒドロキシジフェニルケトン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、2,2’−ジヒドロキシビフェニル、10−(2,5−ジヒドロキシフェニル)−10H−9−オキサ−10−ホスファフェナンスレン−10−オキサイド、フェノールノボラック、ビスフェノールAノボラック、o−クレゾールノボラック、m−クレゾールノボラック、p−クレゾールノボラック、キシレノールノボラック、ポリ−p−ヒドロキシスチレン、ハイドロキノン、レゾルシン、カテコール、t−ブチルカテコール、t−ブチルハイドロキノン、フルオログリシノール、ピロガロール、t−ブチルピロガロール、アリル化ピロガロール、ポリアリル化ピロガロール、1,2,4−ベンゼントリオール、2,3,4−トリヒドロキシベンゾフェノン、1,2−ジヒドロキシナフタレン、1,3−ジヒドロキシナフタレン、1,4−ジヒドロキシナフタレン、1,5−ジヒドロキシナフタレン、1,6−ジヒドロキシナフタレン、1,7−ジヒドロキシナフタレン、1,8−ジヒドロキシナフタレン、2,3−ジヒドロキシナフタレン、2,4−ジヒドロキシナフタレン、2,5−ジヒドロキシナフタレン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、2,7−ジヒドロキシナフタレン、2,8−ジヒドロキシナフタレン、上記ジヒドロキシナフタレンのアリル化物又はポリアリル化物、アリル化ビスフェノールA、アリル化ビスフェノールF、アリル化フェノールノボラック、アリル化ピロガロール等が例示される。
以上で挙げたフェノール系硬化剤は1種のみで用いても、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で混合して用いてもよい。また、硬化剤がフェノール系硬化剤の場合は、エポキシ樹脂中のエポキシ基に対する硬化剤中の官能基の当量比で0.8〜1.5の範囲となるように用いることが好ましい。この範囲内であると未反応のエポキシ基や硬化剤の官能基が残留しにくくなるために好ましい。
[アミド系硬化剤]
硬化剤としてアミド系硬化剤を用いることが、耐熱性等の向上の観点から好ましい。エポキシ樹脂硬化剤としてアミド系エポキシ樹脂硬化剤を用いることにより、得られるエポキシ樹脂組成物の耐熱性の向上の観点から好ましい。アミド系硬化剤としてはジシアンジアミド及びその誘導体、ポリアミド樹脂等が挙げられる。
以上に挙げたフェノール系硬化剤は1種のみで用いても、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で混合して用いてもよい。また、アミド系硬化剤は、エポキシ樹脂組成物中の固形分としての全エポキシ樹脂成分とアミド系硬化剤との合計に対して0.1〜20重量%の範囲で用いることが好ましい。
[イミダゾール類]
硬化剤としてイミダゾール類を用いることが、硬化反応を十分に進行させ、耐熱性を向上させる観点から好ましい。イミダゾール類としては、2−フェニルイミダゾール、2−エチル−4(5)−メチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾール、1−シアノ−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾールトリメリテイト、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾリウムトリメリテイト、2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2’−エチル−4’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジンイソシアヌル酸付加体、2−フェニルイミダゾールイソシアヌル酸付加体、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール、及びエポキシ樹脂と上記イミダゾール類との付加体等が例示される。なお、イ
ミダゾール類は触媒能を有するため、一般的には後述する硬化促進剤にも分類されうるが、本発明においては硬化剤として分類するものとする。
以上に挙げたイミダゾール類は1種のみでも、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で混合して用いてもよい。また、イミダゾール類は、エポキシ樹脂組成物中の固形分としての全エポキシ樹脂成分とイミダゾール類との合計に対して0.1〜20重量%の範囲で用いることが好ましい。
[その他の硬化剤]
本発明のエポキシ樹脂組成物に用いることのできる硬化剤として、フェノール系硬化剤、アミド系硬化剤及びイミダゾール類以外のものとしては、例えば、アミン系硬化剤(ただし、第3級アミンを除く。)、酸無水物系硬化剤、第3級アミン、有機ホスフィン類、ホスホニウム塩、テトラフェニルボロン塩、有機酸ジヒドラジド、ハロゲン化ホウ素アミン錯体、ポリメルカプタン系硬化剤、イソシアネート系硬化剤、ブロックイソシアネート系硬化剤等が挙げられる。これらのその他の硬化剤は、1種のみで用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で用いてもよい。
硬化剤がアミン系硬化剤、酸無水物系硬化剤の場合は、エポキシ樹脂中のエポキシ基に対する硬化剤中の官能基の当量比で0.8〜1.5の範囲となるように用いることが好ましい。この範囲内であると未反応のエポキシ基や硬化剤の官能基が残留しにくくなるために好ましい。また、硬化剤が第3級アミン、有機ホスフィン類、ホスホニウム塩、テトラフェニルボロン塩、有機酸ジヒドラジド、ハロゲン化ホウ素アミン錯体、ポリメルカプタン系硬化剤、イソシアネート系硬化剤、ブロックイソシアネート系硬化剤等の場合は、エポキシ樹脂組成物中の固形分としての全エポキシ樹脂成分と硬化剤との合計に対して0.1〜20重量%の範囲で用いることが好ましい。
<他のエポキシ樹脂>
本発明のエポキシ樹脂組成物は、本発明のエポキシ樹脂に加え、他のエポキシ樹脂を含むことができる。他のエポキシ樹脂を用いることで、不足する物性を補ったり、種々の物性を向上させたりすることができる。
他のエポキシ樹脂としては、分子内に2個以上のエポキシ基を有するものであることが好ましく、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAF型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、トリフェニルメタン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂等の、各種エポキシ樹脂を使用することができる。これらは1種のみでも2種以上の混合体としても使用することができる。
特に、本発明のエポキシ樹脂として、重量平均分子量が1,000〜8,000の比較的低分子量領域のものを用いる場合には、組み合わせて用いる他のエポキシ樹脂が、重量平均分子量10,000以上であることが好ましく、15,000以上であることが好ましい。他のエポキシ樹脂の重量平均分子量が上記下限値以上であると、エポキシ樹脂組成物のフィルム製膜性が良好となる傾向にある。上限については特に制限はないが、通常、200,000以下であり、120,000以下が好ましく、80,000以下がより好ましく、50,000以下が更に好ましい。
本発明のエポキシ樹脂組成物において、本発明のエポキシ樹脂と他のエポキシ樹脂とを用いる場合、固形分としての全エポキシ樹脂成分中の他のエポキシ樹脂の配合量は、好ましくは1重量%以上であり、より好ましくは5重量%以上であり、一方、好ましくは99
重量%以下であり、より好ましくは95重量%以下である。他のエポキシ樹脂の割合が上記下限値以上であることにより、他のエポキシ樹脂を配合することによる物性向上効果を十分に得ることができる。一方、他のエポキシ樹脂の割合が前記上限値以下であることにより、本発明のエポキシ樹脂の効果が十分に発揮され、優れた耐熱性、低線膨張性を得ることができる。
<溶剤>
本発明のエポキシ樹脂を含むエポキシ樹脂組成物には、塗膜形成時の取り扱い時に、エポキシ樹脂組成物の粘度を適度に調整するために溶剤を配合し、希釈してもよい。本発明のエポキシ樹脂組成物において、溶剤は、エポキシ樹脂組成物の成形における取り扱い性、作業性を確保するために用いられ、その使用量には特に制限がない。なお、本発明においては「溶剤」という語と前述の「溶媒」という語をその使用形態により区別して用いることがあるが、それぞれ独立して同種のものを用いても異なるものを用いてもよい。
本発明のエポキシ樹脂を含むエポキシ樹脂組成物が含み得る溶剤としては、例えばアセトン、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、酢酸エチル等のエステル類、エチレングリコールモノメチルエーテル等のエーテル類、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類、メタノール、エタノール等のアルコール類、ヘキサン、シクロヘキサン等のアルカン類、トルエン、キシレン等の芳香族類等が挙げられる。以上に挙げた溶剤は、1種のみで用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で混合して用いてもよい。
<その他の成分>
本発明のエポキシ樹脂を含むエポキシ樹脂組成物には、その機能性の更なる向上を目的として、以上で挙げたもの以外の成分(本発明において「その他の成分」と称することがある。)を含んでいてもよい。このようなその他の成分としては、硬化促進剤(ただし、「硬化剤」に含まれるものを除く。)、無機フィラー、シランカップリング剤、紫外線防止剤、酸化防止剤、可塑剤、はんだの酸化皮膜除去のためのフラックス、難燃剤、着色剤、分散剤、乳化剤、低弾性化剤、希釈剤、消泡剤、イオントラップ剤等が挙げられる。
〔硬化物〕
本発明のエポキシ樹脂を硬化剤により硬化してなる硬化物は、耐熱性、低線膨張性に優れ、良好な硬化物性を示すものである。ここでいう「硬化」とは熱及び/又は光等によりエポキシ樹脂組成物を意図的に硬化させることを意味するものであり、その硬化の程度は所望の物性、用途により制御すればよい。進行の程度は完全硬化であっても、半硬化の状態であってもよく、特に制限されないが、エポキシ基と硬化剤の硬化反応の反応率として通常5〜95%である。
本発明のエポキシ樹脂組成物を硬化又は半硬化させて硬化物又は半硬化物とする際のエポキシ樹脂組成物の硬化方法は、エポキシ樹脂組成物中の配合成分や配合量によっても異なるが、通常、80〜280℃で60〜360分の加熱条件が挙げられる。この加熱は80〜160℃で10〜90分の一次加熱と、一次加熱温度よりも120〜200℃で60〜150分の二次加熱との二段処理を行い、ガラス転移温度(Tg)が二次加熱の温度を超える配合系においては更に150〜280℃で60〜120分の三次加熱を行うことが、硬化不良を少なくするという点で好ましい。
樹脂半硬化物を作製する際には、加熱等により形状が保てる程度にエポキシ樹脂組成物の硬化反応を進行させる。エポキシ樹脂組成物が溶剤を含んでいる場合には、加熱、減圧、風乾等の手法で大部分の溶剤を除去するが、樹脂半硬化物中に5質量%以下の溶剤が残留することもある。
〔用途〕
本発明のエポキシ樹脂は、溶剤溶解性、耐熱性、低線膨張性に優れるという特長を有する。このため、接着剤、塗料、土木建築用材料、電気・電子部品の絶縁材料等、様々な分野に適用可能であり、特に、電気・電子分野における絶縁注型、積層材料、封止材料等として有用である。本発明のエポキシ樹脂及びそれを含むエポキシ樹脂組成物の用途の一例としては、多層プリント配線基板、キャパシタ等の電気・電子回路用積層板、フィルム状接着剤、液状接着剤等の接着剤、半導体封止材料、アンダーフィル材料、3D−LSI用インターチップフィル、絶縁シート、プリプレグ、放熱基板等が挙げられるが、何らこれらに限定されるものではない。
<電気・電子回路用積層板>
本発明のエポキシ樹脂組成物は前述したように電気・電子回路用積層板の用途に好適に用いることができる。本発明において「電気・電子回路用積層板」とは、本発明のエポキシ樹脂組成物を含む層と導電性金属層とを積層したものであり、本発明のエポキシ樹脂組成物を含む層と導電性金属層とを積層したものであれば、電気・電子回路ではなくとも、例えばキャパシタも含む概念として用いられる。なお、電気・電子回路用積層板中には2種以上のエポキシ樹脂組成物からなる層が形成されていてもよく、少なくとも1つの層において本発明のエポキシ樹脂組成物が用いられていればよい。また、2種以上の導電性金属層が形成されていてもよい。
電気・電子回路用積層板におけるエポキシ樹脂組成物からなる層の厚みは通常10〜200μm程度である。また、導電性金属層の厚みは通常0.2〜70μm程度である。
[導電性金属]
電気・電子回路用積層板における導電性金属としては、銅、アルミニウム等の金属や、これらの金属を含む合金が挙げられる。本発明において電気・電子回路用積層板の導電性金属層においては、これらの金属の金属箔、あるいはメッキやスパッタリングで形成された金属層を用いることができる。
[電気・電子回路用積層板の製造方法]
本発明における電気・電子回路用積層板の製造方法としては、例えば次のような方法が挙げられる。
(1) ガラス繊維、ポリエステル繊維、アラミド繊維、セルロース、ナノファイバーセルロース等の無機及び/又は有機の繊維材料を用いた不織布やクロス等に、本発明のエポキシ樹脂組成物を含浸させてプリプレグとし、導電性金属箔及び/又はメッキにより導電性金属層を設けた後、フォトレジスト等を用いて回路を形成し、こうした層を必要数重ねて積層板とする。
(2) 上記(1)のプリプレグを心材とし、その上(片面又は両面)に、エポキシ樹脂組成物からなる層と導電性金属層を積層する(ビルドアップ法)。このエポキシ樹脂組成物からなる層は有機及び/又は無機のフィラーを含んでいてもよい。
(3) 心材を用いず、エポキシ樹脂組成物からなる層と導電性金属層のみを交互に積層して電気・電子回路用積層板とする。
以下、本発明を実施例に基づいてより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例により何ら限定されるものではない。なお、以下の実施例における各種の製造条件や評価結果の値は、本発明の実施態様における上限又は下限の好ましい値としての意味をもつものであり、好ましい範囲は前記した上限又は下限の値と、下記実施例の値又は実施例同士の値との組み合わせで規定される範囲であってもよい。
〔物性・特性の評価方法〕
以下の実施例及び比較例において、物性、特性の評価は以下の1)〜5)に記載の方法で行った。
1)重量平均分子量及び数平均分子量
東ソー(株)製「HLC−8320GPC EcoSEC(登録商標)」を使用し、以下の測定条件で、標準ポリスチレンとして、TSK Standard Polystyrene:F−128(Mw1,090,000、Mn1,030,000)、F−10(Mw106,000、Mn103,000)、F−4(Mw43,000、Mn42,700)、F−2(Mw17,200、Mn16,900)、A−5000(Mw6,400、Mn6,100)、A−2500(Mw2,800、Mn2,700)、A−300(Mw453、Mn387)を使用した検量線を作成して、重量平均分子量及び数平均分子量をポリスチレン換算値として測定した。
カラム:東ソー(株)製「TSKGEL SuperHM−H+H5000+H4000+H3000+H2000」
溶離液:テトラヒドロフラン
流速:0.5ml/min
検出:UV(波長254nm)
温度:40℃
試料濃度:0.1重量%
インジェクション量:10μl
2)n数
前記式(1)におけるnの値は上記で求められた数平均分子量より算出した。
3)エポキシ当量
JIS K 7236に準じて測定し、固形分換算値として表記した。
4)エポキシ樹脂の耐熱性:ガラス転移温度(Tg)
溶剤を乾燥除去したエポキシ樹脂で、SIIナノテクノロジー(株)製「DSC7020」を使用し、30〜250℃まで10℃/minで昇温してガラス転移温度を測定した。なお、ここでいうガラス転移温度は、JIS K7121「プラスチックの転移温度測定法」に記載されているうち「中点ガラス転移温度:Tmg」に基づいて測定した。ガラス転移温度が高いものほど耐熱性に優れたものと評価される。
5)溶剤溶解性
エポキシ樹脂をシクロヘキサノンに溶解させて25重量%濃度の溶液を調製し、室温で1週間保存した後、析出、白濁が見られないかどうかを目視で確認した。
◎:析出物、白濁が確認されなかったもの。
△:全体的に固化しなかったが、析出物が確認されたもの。
×:全体的に固化したもの。
6)硬化物の耐熱性及び低線膨張性:平均線膨張係数(CTE)
エポキシ樹脂組成物の溶液をセパレータ(シリコーン処理したポリエチレンテレフタレートフィルム、厚み:100μm)にアプリケーターで塗布し、160℃で1.5時間、その後200℃で1.5時間乾燥、硬化させ、厚さ約50μmのエポキシ樹脂硬化フィルムを得た。これを7mm×20mmに切り出して作成した試験片を用い、SIIナノテクノロジー(株)製「TMA/SS6100」を使用し、30〜280℃まで5℃/minで昇温し、ガラス転移温度及び30℃〜150℃の平均線膨張係数を測定した。ガラス転
移温度が高いものほど耐熱性に優れたものと評価され、160℃以上であることが好ましい。また、平均線膨張係数が低いものほど低線膨張性に優れたものと評価され、80ppm以下であることが好ましい。
〔エポキシ樹脂の製造と評価〕
<実施例1−1〜1−14及び比較例1−1〜1−3>
表−1に示した配合で2官能エポキシ樹脂、ビスフェノール系化合物、触媒及び反応用の溶剤を撹拌機付き反応容器に入れ、窒素ガス雰囲気下160℃で、表−1に記載した反応時間で反応を行った。その後、希釈用の溶剤を加えて固形分濃度を調整した。反応生成物から定法により溶剤を除去した後、得られた樹脂について分析を行った。これらについて、前述の方法を用いてガラス転移温度(Tg)及び溶剤溶解性を評価した。以上の結果を表−1に示す。なお、反応に用いた化合物、触媒及び溶剤は以下の通りである。
[ビスフェノール系化合物]
(A−1):4,4’−(フルオレン−9,9−ジイル)ビス(2−メチルフェノール)(前記式(7)で表され、A’として式(2)’で表される化学構造を有するビスフェノール化合物に該当する。)(本州化学(株)製 製品名:BisOC−FL、水酸基当量:189g/当量)
(A−2):1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロドデカン(前記式(7)で表され、A’として式(2)’で表される化学構造を有するビスフェノール化合物に該当する。)(本州化学(株)製 製品名;BisP−CDE、水酸基当量:176g/当量)
(A−3):4,4’−(3,3,5−トリメチルシクロヘキシリデン)ビスフェノール(前記式(7)で表され、A’として式(2)’で表される化学構造を有するビスフェノール化合物に該当する。)(本州化学(株)製 製品名:BisP−TMC、水酸基当量:145g/当量 )
(A−4):4,4’−シクロヘキシリデンビスフェノール(前記式(7)で表され、A’として式(2)’で表される化学構造を有するビスフェノール化合物に該当する。)(本州化学(株)製 製品名:BisZ、水酸基当量:134g/当量 )
(A−5):N,N’―ビス(2−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−4,4’−ジフタルイミド(前記式(7)で表され、A’として式(3)’で表される化学構造を有するビスフェノール化合物に該当する。)(水酸基当量:252g/当量)
(A−6):N,N’−ビス(3−ヒドロキシフェニル)−4,4’−(ビス(トリフルオロメチルメチレン)ジフタルイミド(前記式(7)で表され、A’として式(3)’で表される化学構造を有するビスフェノール化合物に該当する。)(水酸基当量:313g/当量)
Figure 0006314456
[2官能エポキシ樹脂]
(B−1):3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ビフェノールジグリシジルエーテル(前記式(6)で表され、A’として式(5)’で表される化学構造を有する2官能エポキシ樹脂に該当し、0<m<0.5であるもの。)(三菱化学(株)製 製品名:jER(登録商標) YX4000、エポキシ当量:186g/当量)
(B−2):4,4’−ビフェノールジグリシジルエーテルと3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ビフェノールジグリシジルエーテルの1:1混合物(前記式(6)で表され、A’として式(5)’で表される化学構造を有する2官能エポキシ樹脂に該当し、0<m<0.5であるもの。)(三菱化学(株)製 製品名:jER(登録商標) YL6121H、エポキシ当量:171g/当量)
(B−3):ビスフェノールF型エポキシ樹脂(前記式(6)で表され、A’として式(5)’で表される化学構造を有する2官能エポキシ樹脂に該当し、0<m<0.5であるもの。)(三菱化学(株)製 製品名:jER(登録商標) 806H、エポキシ当量:169g/当量)
(B−4):4,4’−(3,3,5−トリメチルシクロヘキシリデン)ビスフェノールジグリシジルエーテル(前記式(6)で表され、A’として式(2)’で表される化学構造を有する2官能エポキシ樹脂に該当し、0<m<0.5であるもの。)(エポキシ当量:224g/当量)
[触媒]
(C−1):27重量%テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド水溶液
(C−2):40重量%テトラブチルホスホニウムハイドロオキサイド水溶液
(C−3):10重量%メチルトリブチルアンモニウムハイドロオキサイド水溶液
(C−4):35重量%テトラエチルアンモニウムハイドロオキサイド水溶液
(C−5):50重量%テトラメチルアンモニウムクロライド水溶液
[溶剤]
(S−1):シクロヘキサノン
(S−2):N,N−ジメチルアセトアミド
Figure 0006314456
〔エポキシ樹脂組成物の製造と耐熱性・低線膨張性評価〕
<実施例2−1〜2−10>
表−2に示した割合で、実施例1−1〜1−4、1−7〜1−10、1−12〜1−13で得られたエポキシ樹脂、その他のエポキシ樹脂及び硬化剤を配合し、よく撹拌してエ
ポキシ樹脂組成物を得た。このエポキシ樹脂組成物をセパレータ(シリコーン処理したポリエチレンテレフタレートフィルム、厚み:100μm)にアプリケーターで塗布した。次いで、実施例2−1〜2−9については160℃で1時間、その後200℃で1時間、更に250℃で1時間乾燥、硬化させ、実施例2−10については160℃で1.5時間、その後200℃で1.5時間乾燥、硬化させた。厚さ約50μmのエポキシ樹脂硬化物のフィルムを得た。これらについて、前述の方法を用いてガラス転移温度、平均線膨張係数を測定した。結果を表−2に示す。なお、表−2の「その他のエポキシ樹脂」、「硬化剤」における略号の意味は下記の通りである。
[その他のエポキシ樹脂]
(D−1):「157S65B80」:三菱化学(株)製 ビスフェノールAノボラック型多官能エポキシ樹脂80重量%MEK溶液
(D−2):ビスフェノールアセトフェノンと3,3’,5,5’−テトラメチルビフェノールジグリシジルエーテルとを反応させて得られたエポキシ樹脂 (エポキシ当量12,000g/当量、重量平均分子量36,000) 30重量%MEK・シクロヘキサノン混合溶液(MEKとシクロヘキサノンの重量比1:1)
[硬化剤]
「EMI24」:2−エチル−4(5)−メチルイミダゾール(三菱化学(株)製 製品名:jERキュア(登録商標) EMI24)
Figure 0006314456
〔結果の評価〕
実施例1−1〜1−14のエポキシ樹脂は、前記式(2)に該当し、Xとして、フルオレン構造、シクロドデシレン構造、トリメチルシクロヘキシレン構造又はシクロヘキシレン構造を有するエポキシ樹脂であり、比較例1−1〜1−3のエポキシ樹脂は前記式(
2)に該当する構造を有さないエポキシ樹脂である。表−1の結果より、実施例1−1〜1−14のエポキシ樹脂は、比較例1−1〜1−3に対し、シクロヘキサノンへの溶解性が優れていることがわかる。また、表−2の結果より、実施例1−1〜1−14のエポキシ樹脂を用いた硬化フィルムは、耐熱性及び低線膨張性に優れることがわかる。
本発明のエポキシ樹脂は、溶剤溶解性、耐熱性、低線膨張性に優れるという特長を有する。このため、接着剤、塗料、土木建築用材料、電気・電子部品の絶縁材料等、様々な分野に適用可能であり、特に、電気・電子分野における絶縁注型、積層材料、封止材料等として有用である。本発明のエポキシ樹脂及びそれを含むエポキシ樹脂組成物の用途の一例としては、多層プリント配線基板、キャパシタ等の電気・電子回路用積層板、フィルム状接着剤、液状接着剤等の接着剤、半導体封止材料、アンダーフィル材料、3D−LSI用インターチップフィル、絶縁シート、プリプレグ、放熱基板等が挙げられるが、何らこれらに限定されるものではない。

Claims (16)

  1. 下記式(1)で表され、重量平均分子量が1,000〜200,000であることを特
    徴とするエポキシ樹脂。
    Figure 0006314456
    (上記式(1)中、Aは上記式(2)で表される化学構造及び(3)で表される化学構造
    を少なくとも有し、Rは水素原子又は上記式(4)で表される基であり、nは繰り返し数
    の平均値であり1以上50以下である。但し、式(1)中の両末端のRのうち、少なくと
    もいずれか一方は、式(4)で表される基である。上記式(2)中、Rは、水素原子、
    炭素数1〜10の炭化水素基又はハロゲン元素であり、互いに同一であっても異なってい
    てもよく、Xは環状構造を有する炭素数5〜20の2価の連結基である。上記式(3)
    中、Rは、水素原子、炭素数1〜10の炭化水素基又はハロゲン元素であり、互いに同
    一であっても異なっていてもよく、ベンゼン環上の隣接した炭素原子に結合した2つのR
    は、互いに結合して炭素数4〜20の環状構造を形成してもよい。Rは、水素原子、
    炭素数1〜10の炭化水素基又はハロゲン元素であり、互いに同一であっても異なってい
    てもよく、ベンゼン環上の隣接した炭素原子に結合した2つのRは、互いに結合して炭
    素数4〜20の環状構造を形成してもよい。Xは、直接結合、−SO−、−O−、−
    CO−、−C(CF−、−S−又は炭素数1〜20の炭化水素基から選ばれる2価
    の連結基である。)
  2. 前記式(2)において、Xがフルオレン構造、シクロドデシレン構造、トリメチルシ
    クロへキシレン構造及びシクロヘキシレン構造から選ばれる少なくとも1種である、請求
    項1に記載のエポキシ樹脂。
  3. 前記式(1)中、前記式(2)で表される化学構造と前記式(3)で表される化学構造
    のモル比が、1/99〜99/1である、請求項1又は2に記載のエポキシ樹脂。
  4. 前記式(1)中、Aとして下記式(5)で表される化学構造を含み、該式(5)で表さ
    れる化学構造のモル数がA全体のモル数に対して1〜99モル%である、請求項1乃至3
    のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂。
    Figure 0006314456
    (上記式(5)中、Rは、水素原子、炭素数1〜12の炭化水素基又はハロゲン元素か
    ら選ばれる基であり、互いに同一であっても異なっていてもよく、Xは、直接結合、−
    SO−、−O−、−CO−、−C(CF−、−S−又は炭素数1〜20の非環状
    炭化水素基から選ばれる2価の連結基である。)
  5. 下記式(6)で表される2官能エポキシ樹脂と、下記式(7)で表されるビスフェノー
    ル系化合物とを反応させて得られることを特徴とするエポキシ樹脂。
    Figure 0006314456
    (上記式(6)及び/又は式(7)中、A’は上記式(2)’で表される化学構造及び(
    3)’で表される化学構造を少なくとも有し、式(6)中、mは繰り返し数の平均値であ
    り0以上6以下である。上記式(2)’中、R’は、水素原子、炭素数1〜10の炭化
    水素基又はハロゲン元素であり、互いに同一であっても異なっていてもよく、X’は環
    状構造を有する炭素数5〜20の2価の連結基である。上記式(3)’中、R’は、水
    素原子、炭素数1〜10の炭化水素基又はハロゲン元素であり、互いに同一であっても異
    なっていてもよく、ベンゼン環上の隣接した炭素原子に結合した2つのR’は、互いに
    結合して炭素数4〜20の環状構造を形成してもよい。R’は、水素原子、炭素数1〜
    10の炭化水素基又はハロゲン元素であり、互いに同一であっても異なっていてもよく、
    ベンゼン環上の隣接した炭素原子に結合した2つのR’は、互いに結合して炭素数4〜
    20の環状構造を形成してもよい。X’は、直接結合、−SO−、−O−、−CO−
    、−C(CF−、−S−又は炭素数1〜20の炭化水素基から選ばれる2価の連結
    基である。)
  6. 前記式(2)’において、X’がフルオレン構造、シクロドデシレン構造、トリメチ
    ルシクロへキシレン構造及びシクロヘキシレン構造から選ばれる少なくとも1種である、
    請求項5に記載のエポキシ樹脂。
  7. 前記式(6)及び(7)中、前記式(2)’ で表される化学構造と前記式(3)’で
    表される化学構造のモル比が、1/99〜99/1である、請求項5又は6に記載のエポ
    キシ樹脂。
  8. 前記式(6)及び/又は(7)中、A’として下記式(5)’で表される化学構造を含
    み、該式(5)’で表される化学構造が式(6)及び式(7)におけるA’の合計のモル
    数に対して1〜99モル%である、請求項5乃至7のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂

    Figure 0006314456
    (上記式(5)’中、R’は、水素原子、炭素数1〜12の炭化水素基又はハロゲン元
    素から選ばれる基であり、互いに同一であっても異なっていてもよく、X’は、直接結
    合、−SO−、−O−、−CO−、−C(CF−、−S−又は炭素数1〜20の
    非環状炭化水素基から選ばれる2価の連結基である。)
  9. エポキシ当量が500g/当量以上100,000g/当量以下である、請求項1乃至
    8のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂。
  10. 請求項1乃至9のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂と、硬化剤とからなるエポキシ樹
    脂組成物。
  11. 前記エポキシ樹脂100重量部に対し、前記硬化剤を0.1〜100重量部含む、請求
    項10に記載のエポキシ樹脂組成物。
  12. 更に他のエポキシ樹脂を含み、固形分としての全エポキシ樹脂成分中、他のエポキシ樹
    脂を1〜99重量%含む、請求項10又は11に記載のエポキシ樹脂組成物。
  13. 前記全エポキシ樹脂成分100重量部に対し、前記硬化剤を0.1〜100重量部含む
    、請求項12に記載のエポキシ樹脂組成物。
  14. 前記硬化剤がフェノール系硬化剤、アミド系硬化剤及びイミダゾール類からなる群から
    選ばれる少なくとも1種である、請求項10乃至13のいずれか1項に記載のエポキシ樹
    脂組成物。
  15. 請求項10乃至14のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物を用いてなる電気・電
    子回路用積層板。
  16. 請求項10乃至14のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物を硬化してなる硬化物
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