JP2023036020A - ビスフェノールc型ジグリシジルエーテル、硬化性組成物、硬化物及び電気・電子部品 - Google Patents

ビスフェノールc型ジグリシジルエーテル、硬化性組成物、硬化物及び電気・電子部品 Download PDF

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隆明 渡邊
Takaaki Watanabe
雅翔 西村
Masanari Nishimura
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Abstract

【課題】低分子量で取り扱い性に優れ、耐熱性、低誘電特性に優れたエポキシ樹脂、該エポキシ樹脂と硬化剤とを含むエポキシ樹脂組成物及びその硬化物並びに該エポキシ樹脂組成物からなる電気・電子部品を提供する。【解決手段】式(1)で表されるビスフェノールC型ジグリシジルエーテルであって、式(1)におけるn=0のビスフェノールC型ジグリシジルエーテルの含有量が50~99質量%であり、n=1のビスフェノールC型ジグリシジルエーテルの含有量が1~50質量%である、ビスフェノールC型ジグリシジルエーテル。JPEG2023036020000012.jpg46170(上記式(1)中、nは繰り返し数を表し、0以上の整数である。)【選択図】なし

Description

本発明は、ジグリシジルエーテル、硬化性組成物、硬化物及び電気・電子部品に関し、より詳細には、耐熱性と低誘電特性に優れたビスフェノールC型ジグリシジルエーテル、それを含む硬化性組成物及びその硬化物並びに電気・電子部品に関する。
ジグリシジルエーテルに代表されるエポキシ樹脂は、接着性、耐水性、機械的強度及び電気的特性に優れていることから、接着剤、塗料、土木建築用材料、電気・電子部品の絶縁材料等、様々な分野で使用されている。特に、電気・電子分野では、絶縁注型、積層材料、封止材料等において幅広く使用されている。近年、電気・電子機器に使用される多層回路基板は、機器の小型化、軽量化及び高機能化が進んでおり、更なる多層化、高密度化、薄型化、軽量化と信頼性及び成形加工性の向上等が要求されている。
電気・電子回路用積層板等の電気・電子部品の材料となるエポキシ樹脂に要求される重要な性能として、低誘電特性が挙げられる。近年、情報伝達量、速度の向上のため、通信周波数の高周波化が進んでおり、その中で、伝送損失(α)の増大が大きな課題となっている。このαの値が低いほど、情報信号の減衰が少なく、通信の高い信頼性が確保できることを意味する。αは周波数(f)に比例するため、高周波数領域での通信ではαが大きくなり、信頼性の低下につながる。αを抑える手法として、fと同じく、αが比例する誘電正接(tanδ)を低減する方法が挙げられる。通信信号の高速伝送のためには、tanδの低い材料、即ち、低誘電特性を有する材料が求められている。
また、電気・電子回路用積層板等の電気・電子部品には高い信頼性が求められ、材料となるエポキシ樹脂には、低誘電特性の他、耐熱性、難燃性など、様々な特性とのバランスが求められる。特に、幅広い温度域での信頼性を確保するため、耐熱性は必須特性である。
電気・電子回路用積層板等の電気・電子部品の材料となるエポキシ樹脂として、低分子量タイプのビスフェノールA型エポキシ樹脂(ビスフェノールA型ジグリシジルエーテル)が一般的に広く知られている。また、近年では、様々な骨格を持つジグリシジルエーテルが検討されており、特許文献1には、疎水型のエポキシ樹脂組成物として、種々の構造のビスフェノール型のジグリシジルエーテルが開示されている。
米国特許第10344106号明細書
近年、電気・電子回路用積層板の複雑化や小規模化が進んでおり、薄型化に伴う寸法安定性の向上と、情報通信における情報量、通信速度の増大に伴う通信信号のエネルギー損失の抑制などのため、その樹脂組成は複雑化する傾向があり、溶剤への溶解性や、他の樹脂との相溶性、シリカ等の微粒子フィラーの分散性が良好で、取り扱い性に優れる低分子量タイプのエポキシ樹脂の重要性が増している。
さらに、半導体素子の処理速度の上昇による発熱量の増加、半導体集積回路の微細化(
集積度の上昇)による発熱量の増加に対応し、高温状態下での継続使用にも耐えられるように、使用する材料のエポキシ樹脂及びその硬化物にもより高い耐熱性が求められてきている。低分子量タイプのビスフェノール型グリシジルエーテルの中でも、一般的にビスフェノールA型ジグリシジルエーテルでは、耐熱性と誘電特性の面で十分では無かった。
本発明の課題は、低分子量で取り扱い性に優れ、耐熱性、低誘電特性に優れたエポキシ樹脂、該エポキシ樹脂と硬化剤とを含む硬化性組成物及びその硬化物並びに該硬化性組成物からなる電気・電子部品を提供することである。
本発明者は、鋭意検討した結果、ビスフェノール型ジグリシジルエーテルの中でもビスフェノールC型ジグリシジルエーテルを用いること、そして、そのビスフェノールC型ジグリシジルエーテルの製造の際に種々の反応条件をコントロールすることで、繰り返し構成単位数が0及び1であるビスフェノールC型ジグリシジルエーテルの含有量を制御することができ、この割合や比率が、誘電特性や耐熱性と相関があることを見出した。そして、それらの割合が特定の範囲のビスフェノールC型ジグリシジルエーテルを用いることによって、上記課題が解決できることを見出した。
すなわち、本発明の要旨は、以下の[1]~[9]に存する。
[1] 下記式(1)で表されるビスフェノールC型ジグリシジルエーテルであって、下記式(1)におけるn=0のビスフェノールC型ジグリシジルエーテルの含有量が50~99質量%であり、n=1のビスフェノールC型ジグリシジルエーテルの含有量が1~50質量%である、ビスフェノールC型ジグリシジルエーテル。
Figure 2023036020000001
(上記式(1)中、nは繰り返し数を表し、0以上の整数である。)
[2] エポキシ当量が184~250g/当量である、[1]に記載のビスフェノールC型ジグリシジルエーテル。
[3] 室温で液状であり、150℃での溶融粘度が0.4P以下である、[1]又は[2]に記載のビスフェノールC型ジグリシジルエーテル。
[4] 全塩素量が5,000ppm以下である、[1]~[3]のいずれか1項に記載のビスフェノールC型ジグリシジルエーテル。
[5] [1]~[4]のいずれか1項に記載のビスフェノールC型ジグリシジルエーテル及び硬化剤を含む、硬化性組成物。
[6] 前記ビスフェノールC型ジグリシジルエーテルの固形分100質量部に対して、前記硬化剤を固形分で0.1~100質量部含む、[5]に記載の硬化性組成物。
[7] 前記硬化剤がフェノール系硬化剤、アミド系硬化剤、イミダゾール類及び活性エステル系硬化剤からなる群から選ばれる少なくとも1種である、[5]又は[6]に記載の硬化性組成物。
[8] [5]~[7]のいずれか1項に記載の硬化性組成物を硬化してなる硬化物。
[9] [5]~[7]のいずれか1項に記載の硬化性組成物を用いてなる電気・電子部
品。
本発明によれば、耐熱性、低誘電特性に優れたエポキシ樹脂、硬化性組成物、硬化物を提供することができる。このため、本発明のエポキシ樹脂及び硬化性組成物は、接着剤、塗料、土木用建築材料、電気・電子部品の絶縁材料等、様々な分野に適用可能であり、特に電気・電子分野における絶縁注型、積層材料、封止材料等として有用である。本発明のエポキシ樹脂及びそれを含む硬化性組成物は、多層プリント配線基板、キャパシタ等の電気・電子回路用積層板、フィルム状接着剤、液状接着剤等の接着剤、半導体封止材料、アンダーフィル材料、3D-LSI用インターチップフィル、絶縁シート、プリプレグ、放熱基板等に好適に用いることができる。
以下に本発明の実施の形態を詳細に説明するが、以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施の態様の一例であり、本発明はその要旨を超えない限り、以下の記載内容に限定されるものではない。なお、本明細書において「~」という表現を用いる場合、その前後の数値又は物性値を含む表現として用いるものとする。
〔ビスフェノールC型ジグリシジルエーテル〕
本発明の一形態であるビスフェノールC型ジグリシジルエーテルは、下記式(1)で表されるビスフェノールC型ジグリシジルエーテル(ビスフェノールC型エポキシ樹脂)であって、下記式(1)において、n=0のビスフェノールC型ジグリシジルエーテル(以下、「n=0体」と略記することがある。)の存在割合が50質量%以上99質量%以下で、n=1のビスフェノールC型ジグリシジルエーテル(以下、「n=1体」と略記することがある。)の存在割合が50質量%以下1質量%以上であることを特徴とする。
本形態のビスフェノールC型ジグリシジルエーテルは、ビスフェノールC型の構造を有すること、また、そのn=0体とn=1体の存在割合を、それぞれ、上記範囲内に制御することによって、誘電特性と耐熱性のバランスをとることができる。
Figure 2023036020000002
上記式(1)中、nは繰り返し数を表し、0以上の整数である。なお、nの上限は特に限定されないが、通常20以下であり、15以下であってもよく、好ましくは10以下である。
本形態のビスフェノールC型ジグリシジルエーテルは、ビスフェノールC型の構造を有することによって、誘電特性、耐熱性を良好に保つことができる。ビスフェノールC型の構造は、構造中のベンゼン環の置換基のメチル基によって回転障壁を有し、空間体積の増加による効果に加え、置換基による立体的・静電的な反発の影響を受けにくく、構造中のベンゼン環が分子間において相互作用することによって、誘電特性、耐熱性を特異的に良好に保つことができる。
本形態のビスフェノールC型ジグリシジルエーテルにおいて、n=0体の含有量は、反応性を向上させ、誘電特性を良好に保つ観点から、60質量%以上が好ましく、より好ましくは70質量%以上、さらに好ましくは80質量%以上であり、特に好ましくは90質量%以上である。一方で、n=0体が高くなるほど、工業的規模でビスフェノールC型ジグリシジルエーテルを製造する際の蒸留などの精製工程の負荷が高くなる恐れがあるため、生産性を向上させる観点から、n=0体の含有量は、98質量%以下が好ましく、より好ましくは97質量%以下であり、さらに好ましくは96質量%以下であり、特に好ましく95質量%以下である。
本形態のビスフェノールC型ジグリシジルエーテルにおいて、n=1体の含有量は、反応性を向上させ、誘電特性、耐熱性を良好に保つことができるという観点から、30質量%以下が好ましく、より好ましくは20質量%以下であり、さらに好ましくは16質量%以下であり、特に好ましくは12質量%以下である。また、一方で、生産性を向上させることができるという観点から、n=1体の含有量は、2質量%以上が好ましく、より好ましくは4質量%以上であり、さらに好ましくは6質量%以上である。
本形態のビスフェノールC型ジグリシジルエーテルは、後述するビスフェノールC型ジグリシジルエーテルの製造方法により、上記特徴を満たすことができる。
本形態のビスフェノールC型ジグリシジルエーテルは、上述のようにn=0体とn=1体を含有するが、n=2以上のビスフェノールC型ジグリシジルエーテルも含んでいてもよい。n=2以上のビスフェノールC型ジグリシジルエーテルを含む場合、その含有量としては、12質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましく、さらに好ましくは2質量%以下である。
なお、ビスフェノールC型ジグリシジルエーテルにおけるn=0体、n=1体、さらにn=2以上の成分の含有量は、後述の実施例の項に示すように、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)による分析で求めることができる。
〔エポキシ当量〕
本形態のビスフェノールC型ジグリシジルエーテルのエポキシ当量は、184~250g/当量の範囲であることが好ましい。耐熱性、誘電特性を良好に保つ観点から、エポキシ当量は240g/当量以下が好ましく、230g/当量以下がより好ましく、210g/当量以下がさらに好ましい。また、生産性を向上させる観点から、185g/当量以上が好ましく、186g/当量以上がより好ましく、187g/当量以上が特に好ましい。エポキシ当量は、後述のビスフェノールC型ジグリシジルエーテルの製造方法によって制御することができる。
〔樹脂性状、溶融粘度〕
本形態のビスフェノールC型ジグリシジルエーテルは、取り扱い性を良好に保ち、各種無機・有機フィラーや高分子成分との相溶性、溶剤への溶解を容易にする観点から、室温で液状であることが好ましい。また、本形態のビスフェノールC型ジグリシジルエーテルの150℃での溶融粘度は、0.4P以下が好ましい。取り扱い性を良好に保つ観点や使用時の工業的な生産性を高める観点、また、硬化剤との相溶性を良好に保ち、誘電特性、耐熱性を高める観点から、0.4P以下が好ましく、0.35P以下がより好ましく、0.3P以下がさらに好ましく、0.25P以下が特に好ましい。なお、150℃における溶融粘度は回転粘度計(ICI粘度計)などを用いて測定することができる。
〔せん断粘度〕
本形態のビスフェノールC型ジグリシジルエーテルは、取り扱い性を良好に保つ観点や使用時の工業的な生産性を高める観点、硬化剤との相溶性を良好に保ち、誘電特性、耐熱性を高める観点、また基材同士の接着性を高める観点から、60℃でのせん断粘度は、47,500mPa・s以下が好ましく、47,000mPa・s以下がより好ましく、46,500mPa・s以下がさらに好ましく、46,000mPa・s以下が特に好ましい。一方で、下限としては特に限定されないが、好ましくは100mPa・s以上であり、より好ましくは600mPa.s以上である。
また、80℃におけるせん断粘度は10000nPa.s以下が好ましく、より好ましくは7000mPa・s以下である。一方、下限としては特に限定されないが、120mPa・s以上が好ましく、より好ましくは150mPa・s以上である。
また、100℃におけるせん断粘度は1000mPa・s以下が好ましく、より好ましくは200mPa・s以下である。
また、125℃におけるせん断粘度は、70mPa・s以下が好ましく、一方で、下限は20mPa・以上が好ましい。
なお、上述の各温度におけるせん断粘度は粘弾性測定装置などを用いて測定することができる。
〔全塩素量〕
本形態のビスフェノールC型ジグリシジルエーテルの全塩素量は、5,000ppm以下が好ましい。また、電気・電子部品、特に絶縁材料に用いた場合の信頼性を向上させる観点から、3,000ppm以下が好ましく、2,000ppm以下がさらに好ましく、
1,500ppm以下が特に好ましい。なお、全塩素量はJIS K 7243-3に準じて測定することができる。
〔ビスフェノールC型ジグリシジルエーテルの製造方法〕
本形態のビスフェノールC型ジグリシジルエーテルの製造方法としては、例えば、ビスフェノールCとエピハロヒドリンとをアルカリの存在下で反応させることや、ビスフェノールCをアリル化した後に、オレフィン部分を酸化することでエポキシ化することで得ることができる。
本形態のビスフェノールC型ジグリシジルエーテルの製造方法において、原料として使用するビスフェノールCとしては、下記式(2)で表されるビスフェノール化合物を用いる。なお、本発明では、下記式(2)で表される構造を「ビスフェノールC」と定義する。
Figure 2023036020000003
上記式(2)で表されるビスフェノール化合物とエピハロヒドリンとをアルカリの存在下で反応させる反応工程は特に限定されないが、上記式(2)で表されるビスフェノール化合物と、エピハロヒドリンとを一段法により反応させる反応工程が好ましい。
以下、この一段法による反応工程について詳述する。
〔一段法による反応工程〕
一段法による製造方法の具体例としては、式(2)で表されるビスフェノール化合物の水酸基1モルに対し、エピハロヒドリンを、通常1.00~20.0モル、好ましくは1
.50~15.0モル、より好ましくは2.0~12.0モル、さらに好ましくは4.0~10.0モルの割合で反応させることにより製造する方法が挙げられる。使用するエピハロヒドリンの量が少ないと、高分子量体の生成で、粘度の上昇を招くほか、誘電特性や耐熱性が悪化し、エピハロヒドリンの量が多すぎると、経済性が悪化する。
より具体的には、式(2)で表されるビスフェノール化合物とエピクロルヒドリン等のエピハロヒドリンを混合し、アルカリの存在下で反応させる。アルカリとしては、アルカリ金属水酸化物を固体又は水溶液で用いて反応させることが好ましい。この反応は常圧下又は減圧下で行うことができ、反応温度は、常圧下の反応の場合は通常20~150℃であり、減圧下の反応の場合は通常30~80℃である。反応は必要に応じて所定の温度を保持しながら反応液を共沸させ、揮発する蒸気を冷却して得られた凝縮液を油/水分離し、水分を除いた油分を反応系へ戻す方法により脱水しながら行われる。反応系へのアルカリ金属水酸化物の添加は、急激な反応を抑えるために、0.1~10時間かけて少量ずつ断続的もしくは連続的に添加することが好ましい。その全反応時間は通常1~15時間である。
反応終了後、目的生成物であるビスフェノールC型ジグリシジルエーテルを含む反応液から、不溶性の副生塩を濾別して除くか、水洗により除去した後、未反応のエピハロヒドリンを減圧留去して除くと、目的のビスフェノールC型ジグリシジルエーテルが得られる。
この反応におけるエピハロヒドリンとしては、エピクロルヒドリン又はエピブロモヒドリンが用いることが好ましい。アルカリ金属水酸化物としては、水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムを用いることが好ましい。
また、この反応においては、テトラメチルアンモニウムクロリド、テトラエチルアンモニウムブロミドなどの第四級アンモニウム塩;ベンジルジメチルアミン、2,4,6-トリス(ジメチルアミノメチル)フェノールなどの第三級アミン;2-エチル-4-メチルイミダゾール、2-フェニルイミダゾールなどのイミダゾール類;エチルトリフェニルホスホニウムアイオダイドなどのホスホニウム塩;トリフェニルホスフィンなどのホスフィン類などの触媒を用いてもよい。
さらに、この反応においては、エタノール、イソプロピルアルコール、エチレングリコールなどのアルコール類;アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類;ジオキサンなどのエーテル類;メトキシプロパノールなどのグリコールエーテル類;ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミドなどの非プロトン性極性溶媒などの不活性な有機溶媒を使用してもよい。
また、上記のようにして得られたビスフェノールC型ジグリシジルエーテルの可鹸化ハロゲン量については、再処理して十分に可鹸化ハロゲン量が低下した精製ビスフェノールC型ジグリシジルエーテルを得ることができる。この場合には、反応により得られた粗製ビスフェノールC型ジグリシジルエーテルを、イソプロピルアルコール、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、トルエン、キシレン、ジオキサン、メトキシプロパノール、ジメチルスルホキシドなどの不活性な有機溶媒に再溶解し、アルカリ金属水酸化物を固体又は水溶液で加えて約20~120℃の温度で0.5~8時間再閉環反応を行った後、水洗などの方法で過剰のアルカリ金属水酸化物や副生塩を除去し、さらに有機溶媒を減圧留去して除くと、1段法により、精製されたビスフェノールC型ジグリシジルエーテルを得ることができる。
なお、一段法により前記式(1)で表されるビスフェノールC型ジグリシジルエーテル
を製造する場合、原料として少なくとも前記式(2)で表されるビスフェノール化合物を用いるが、式(2)で表されるビスフェノール化合物以外の多価ヒドロキシ化合物(本明細書において「その他の多価ヒドロキシ化合物」と称することがある。)を併用し、前記式(1)のビスフェノールC型ジグリシジルエーテルとその他のエポキシ樹脂との混合物として製造してもよい。ただし、本発明の効果を高める観点から前記式(2)で表されるビスフェノール化合物の割合は、原料として用いる全体の多価ヒドロキシ化合物の全量に対して好ましくは72モル%以上、より好ましくは80モル%以上、さらに好ましくは90モル%以上、特に好ましくは95モル%以上である。また、その上限は100モル%であり、最も好ましくは100モル%である。なお、本明細書における「多価ヒドロキシ化合物」とは2価以上のフェノール化合物及び2価以上のアルコールの総称である。
その他の多価ヒドロキシ化合物としては、ビスフェノールA、ビスフェノールAF、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ビスフェノールAD、ハイドロキノン、レゾルシン、メチルレゾルシン、ビフェノール、テトラメチルビフェノール、ジヒドロキシナフタレン、ジヒドロキシジフェニルエーテル、チオジフェノール類、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、フェノールアラルキル樹脂、ビフェニルアラルキル樹脂、ナフトールアラルキル樹脂、テルペンフェノール樹脂、ジシクロペンタジエンフェノール樹脂、ビスフェノールAノボラック樹脂、ナフトールノボラック樹脂、臭素化ビスフェノールA、臭素化フェノールノボラック樹脂等の種々の多価フェノール類や、種々のフェノール類とベンズアルデヒド、ヒドロキシベンズアルデヒド、クロトンアルデヒド、グリオキザール等の種々のアルデヒド類との縮合反応で得られる多価フェノール樹脂類、キシレン樹脂とフェノール類との縮合反応で得られる多価フェノール樹脂類、重質油又はピッチ類とフェノール類とホルムアルデヒド類との共縮合樹脂等の各種のフェノール樹脂類、エチレングリコール、トリメチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,3-ペンタンジオール、1,4-ペンタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール等の鎖状脂肪族ジオール類;シクロヘキサンジオール、シクロデカンジオール等の環状脂肪族ジオール類;ポリエチレンエーテルグリコール、ポリオキシトリメチレンエーテルグリコール、ポリプロピレンエーテルグリコール等のポリアルキレンエーテルグリコール類等が例示される。これらの中で好ましいものとしてはフェノールノボラック樹脂、フェノールアラルキル樹脂、フェノールとヒドロキシベンズアルデヒドとの縮合反応で得られる多価フェノール樹脂、ビフェニルアラルキル樹脂、ナフトールアラルキル樹脂、エチレングリコール、トリメチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,3-ペンタンジオール、1,4-ペンタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール等の鎖状脂肪族ジオール類、シクロヘキサンジオール、シクロデカンジオール等の環状脂肪族ジオール類、ポリエチレンエーテルグリコール、ポリオキシトリメチレンエーテルグリコール、ポリプロピレンエーテルグリコール等のポリアルキレンエーテルグリコール類等が挙げられる。
前記式(1)におけるn=0体やn=1体の量を制御する方法としては、例えば、上述の反応工程における原料の式(2)で表されるビスフェノール化合物とエピハロヒドリンの仕込みのモル比や、使用するアルカリの量を調整する方法、精製や蒸留によってその量を制御する方法、及びこれらを組み合わせる方法が挙げられる。
具体的には、反応時に用いるエピハロヒドリン量を増加させると、n=0体の含有割合を高めることができ、n=1体の含有割合を低くすることができる。また、原料の式(2)で表されるビスフェノール化合物のフェノール性水酸基1モルに対し、エピハロヒドリンを1モル以上用いると、n=0体の含有割合を高めることでき、1モル未満にすると、n=1体の含有割合、あるいはn=2体以上の成分の含有割合を高めることができる。
また、合成に用いるアルカリ量を反応当量よりも多く用いることで、n=1体の含有割合、あるいはn=2体以上の成分の含有割合を高めることができる。さらに、原料の式(2)で表されるビスフェノール化合物とエピハロヒドリンを反応させ、生成物を得たあと、蒸留操作やカラムクロマトグラフィー操作をすることで、n=0体の含有割合を高めつつ、n=1体の含有割合を低下させる方法もある。蒸留操作やカラムクロマトグラフィー操作の条件によっては、その逆の制御も可能である。
〔硬化性組成物〕
本発明の一形態は硬化性組成物であり、少なくとも前述した本発明の一形態であるビスフェノールC型ジグリシジルエーテル及び硬化剤を含む。また、本形態の硬化性組成物には、必要に応じて、本形態のビスフェノールC型ジグリシジルエーテル以外の他のエポキシ樹脂、無機フィラー、カップリング剤、酸化防止剤等の各種添加剤を適宜配合することができる。本形態の硬化性組成物は、本発明の一形態であるビスフェノールC型ジグリシジルエーテルの配合によって取り扱い性の向上が図れるため、他成分との相溶性、フィラーの添加量の増加やガラスクロスへの含浸性の向上を図ることができ、さらに、高耐熱性、低誘電特性に優れるため、電子部品の微細配線化、多層化、高密度化、高周波化に有利である。
〔硬化剤〕
本明細書において硬化剤とは、エポキシ樹脂のエポキシ基間の架橋反応及び/又は鎖長延長反応に寄与する物質を示す。なお、本明細書においては通常、「硬化促進剤」と呼ばれるものであってもエポキシ樹脂のエポキシ基間の架橋反応及び/又は鎖長延長反応に寄与する物質であれば、硬化剤とみなすこととする。
本形態の硬化性組成物中の硬化剤の含有量は、本発明の一形態であるビスフェノールC型ジグリシジルエーテルの固形分100質量部に対して、好ましくは固形分で0.1~100質量部であり、より好ましくは90質量部以下であり、さらに好ましくは80質量部以下である。
本形態の硬化性組成物が、後述する他のエポキシ樹脂を含む場合、ビスフェノールC型ジグリシジルエーテルと他のエポキシ樹脂との固形分の質量比は、好ましくは99/1~1/99である。
この場合において、本形態の硬化性組成物中の硬化剤の含有量は、ビスフェノールC型ジグリシジルエーテルの多結晶体と他のエポキシ樹脂の固形分の合計100質量部に対して、好ましくは固形分で0.1~100質量部であり、より好ましくは90質量部以下、さらに好ましくは80質量部以下である。
なお、本明細書において、「固形分」とは溶媒を除いた成分を意味し、固体のエポキシ樹脂のみならず、半固形や粘稠な液状物のものをも含むものとする。また、「全エポキシ樹脂成分」とは、本発明の一形態であるビスフェノールC型ジグリシジルエーテルと後述する他のエポキシ樹脂との合計を意味する。
本形態の硬化性組成物に用いる硬化剤としては、特に制限はなく一般的にエポキシ樹脂硬化剤として知られているものはすべて使用できる。耐熱性を高める観点から好ましいものとしてフェノール系硬化剤、アミド系硬化剤、イミダゾール類及び活性エステル系硬化剤等が挙げられる。以下、フェノール系硬化剤、アミド系硬化剤、イミダゾール類、活性エステル系硬化剤及びその他の使用可能な硬化剤の例を挙げる。
<フェノール系硬化剤>
本形態の硬化性組成物に用いる硬化剤としては、フェノール系硬化剤を用いることが、
得られる硬化性組成物の取り扱い性と、硬化後の耐熱性を向上させる観点から好ましい。
フェノール系硬化剤の具体例としては、ビスフェノールA、ビスフェノールF、4,4’-ジヒドロキシジフェニルメタン、4,4’-ジヒドロキシジフェニルエーテル、1,4-ビス(4-ヒドロキシフェノキシ)ベンゼン、1,3-ビス(4-ヒドロキシフェノキシ)ベンゼン、4,4’-ジヒドロキシジフェニルスルフィド、4,4’-ジヒドロキシジフェニルケトン、4,4’-ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’-ジヒドロキシビフェニル、2,2’-ジヒドロキシビフェニル、10-(2,5-ジヒドロキシフェニル)-10H-9-オキサ-10-ホスファフェナンスレン-10-オキサイド、フェノールノボラック、ビスフェノールAノボラック、o-クレゾールノボラック、m-クレゾールノボラック、p-クレゾールノボラック、キシレノールノボラック、ポリ-p-ヒドロキシスチレン、ハイドロキノン、レゾルシン、カテコール、t-ブチルカテコール、t-ブチルハイドロキノン、フルオログリシノール、ピロガロール、t-ブチルピロガロール、アリル化ピロガロール、ポリアリル化ピロガロール、1,2,4-ベンゼントリオール、2,3,4-トリヒドロキシベンゾフェノン、1,2-ジヒドロキシナフタレン、1,3-ジヒドロキシナフタレン、1,4-ジヒドロキシナフタレン、1,5-ジヒドロキシナフタレン、1,6-ジヒドロキシナフタレン、1,7-ジヒドロキシナフタレン、1,8-ジヒドロキシナフタレン、2,3-ジヒドロキシナフタレン、2,4-ジヒドロキシナフタレン、2,5-ジヒドロキシナフタレン、2,6-ジヒドロキシナフタレン、2,7-ジヒドロキシナフタレン、2,8-ジヒドロキシナフタレン、上記ジヒドロキシナフタレンのアリル化物又はポリアリル化物、アリル化ビスフェノールA、アリル化ビスフェノールF、アリル化フェノールノボラック、アリル化ピロガロール等が例示される。
以上で挙げたフェノール系硬化剤は1種のみで用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で混合して用いてもよい。
硬化剤としてフェノール系硬化剤を用いる場合、硬化性組成物中の全エポキシ樹脂成分中のエポキシ基に対する硬化剤中の官能基の当量比で0.8~1.5の範囲となるように用いることが好ましい。この範囲内であると未反応のエポキシ基や硬化剤の官能基が残留しにくくなるために好ましい。
<アミド系硬化剤>
本形態の硬化性組成物に用いる硬化剤としては、アミド系硬化剤を用いることが、得られる硬化性組成物の耐熱性の向上の観点から好ましい。
アミド系硬化剤としてはジシアンジアミド及びその誘導体、ポリアミド樹脂等が挙げられる。アミド系硬化剤は1種のみで用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で混合して用いてもよい。
<イミダゾール類>
本形態の硬化性組成物に用いる硬化剤としては、イミダゾール類(イミダゾール系硬化剤)を用いることが、硬化反応を十分に進行させ、耐熱性を向上させる観点から好ましい。
イミダゾール類としては、2-フェニルイミダゾール、2-エチル-4(5)-メチルイミダゾール、2-フェニル-4-メチルイミダゾール、1-ベンジル-2-メチルイミダゾール、1-ベンジル-2-フェニルイミダゾール、1-シアノエチル-2-ウンデシルイミダゾール、1-シアノ-2-フェニルイミダゾール、1-シアノエチル-2-ウンデシルイミダゾールトリメリテイト、1-シアノエチル-2-フェニルイミダゾリウムト
リメリテイト、2,4-ジアミノ-6-〔2’-メチルイミダゾリル-(1’)〕-エチル-s-トリアジン、2,4-ジアミノ-6-〔2’-エチル-4’-メチルイミダゾリル-(1’)〕-エチル-s-トリアジン、2,4-ジアミノ-6-〔2’-メチルイミダゾリル-(1’)〕-エチル-s-トリアジンイソシアヌル酸付加体、2-フェニルイミダゾールイソシアヌル酸付加体、2-フェニル-4,5-ジヒドロキシメチルイミダゾール、2-フェニル-4-メチル-5-ヒドロキシメチルイミダゾール、及びエポキシ樹脂と上記イミダゾール類との付加体等が例示される。なお、イミダゾール類は触媒能を有するため、一般的には後述する硬化促進剤にも分類されうるが、本発明においては硬化剤として分類するものとする。
以上に挙げたイミダゾール類は1種のみで用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で混合して用いてもよい。イミダゾール類は、硬化性組成物中の固形分としての全エポキシ樹脂成分とイミダゾール類との合計に対して0.1~20質量%の範囲で用いることが好ましい。
<活性エステル系硬化剤>
本形態の硬化性組成物に用いる硬化剤としては、活性エステル系硬化剤を用いることが、得られる硬化物の低吸水性、低誘電特性を発現させる観点から好ましい。
活性エステル系硬化剤としては、特に制限はないが、一般にフェノールエステル類、チオフェノールエステル類、N-ヒドロキシアミンエステル類、複素環ヒドロキシ化合物のエステル類等の反応活性の高いエステル基を1分子中に2個以上有する化合物が好ましく用いられる。
上記の活性エステル系硬化剤は、カルボン酸化合物及び/又はチオカルボン酸化合物と、ヒドロキシ化合物及び/又はチオール化合物との縮合反応によって得られるものが好ましい。特に耐熱性向上の観点から、カルボン酸化合物又はそのハライドとヒドロキシ化合物とから得られる活性エステル樹脂が好ましく、カルボン酸化合物又はそのハライドと、フェノール化合物及び/又はナフトール化合物とから得られる活性エステル樹脂がより好ましい。
カルボン酸化合物としては、例えば安息香酸、酢酸、コハク酸、マレイン酸、イタコン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ピロメリット酸等、又はそのハライドが挙げられる。フェノール化合物又はナフトール化合物としては、ハイドロキノン、レゾルシン、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、フェノールフタリン、メチル化ビスフェノールA、メチル化ビスフェノールF、メチル化ビスフェノールS、フェノール、o-クレゾール、m-クレゾール、p-クレゾール、カテコール、α-ナフトール、β-ナフトール、1,5-ジヒドロキシナフタレン、1,6-ジヒドロキシナフタレン、2,6-ジヒドロキシナフタレン、ジヒドロキシベンゾフェノン、トリヒドロキシベンゾフェノン、テトラヒドロキシベンゾフェノン、フロログルシン、ベンゼントリオール、ジシクロペンタジエン-フェノール付加型樹脂等が挙げられる。
活性エステル樹脂として、具体的にはジシクロペンタジエン-フェノール付加構造を含む活性エステル系樹脂、ナフタレン構造を含む活性エステル樹脂、フェノールノボラックのアセチル化物である活性エステル樹脂、フェノールノボラックのベンゾイル化物である活性エステル樹脂等が好ましく、なかでもピール強度の向上に優れるという点で、ジシクロペンタジエン-フェノール付加構造を含む活性エステル樹脂、ナフタレン構造を含む活性エステル樹脂がより好ましい。
ジシクロペンタジエン-フェノール付加構造を含む活性エステル樹脂として、より具体
的には下記一般式(I)、(II)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2023036020000004
[式(I)中、B’はそれぞれ独立に下記構造式(B’-1)~(B’-6)
Figure 2023036020000005
(式(B’-1)~(B’-6)中、Rはそれぞれ独立に水素原子、炭素原子数1~4のアルキル基、炭素原子数1~4のアルコキシ基、フェニル基、アラルキル基のいずれかであり、Rはそれぞれ独立に炭素原子数1~4のアルキル基、炭素原子数1~4のアルコキシ基、フェニル基のいずれかであり、Xは炭素原子数2~6の直鎖のアルキレン基、エーテル結合、カルボニル基、カルボニルオキシ基、スルフィド基、スルホン基のいずれかであり、n、pは1~4の整数である。)
からなる群から選ばれるいずれかの構造部位であり、Rはそれぞれ独立に水素原子、炭素原子数1~4のアルキル基、炭素原子数1~4のアルコキシ基、フェニル基、アラルキル基のいずれかであり、Zはフェニル基、ナフチル基、又は、芳香核上に炭素原子数1~4のアルキル基を1~3個有するフェニル基或いはナフチル基であり、lは0又は1であり、k´は繰り返し単位の平均で0.05~3.5である。]
Figure 2023036020000006
〔式(II)中、Rはフェニル基又はナフチル基であり、l´は0又は1を表し、k″は繰り返し単位の平均で0.05~3.5である。〕
式(II)中、樹脂組成物の硬化物の誘電正接を低下させ、耐熱性を向上させるという観点から、Rはナフチル基が好ましく、l´は0が好ましく、また、k″は0.25~1.5が好ましい。
また、一般式(I)、(II)で表される活性エステル樹脂と類似の硬化剤として、ポリアリレートを用いることもできる。
活性エステル系硬化剤の市販品としては、HPC-8000-65T(ジシクロペンタジエン構造を含む活性エステル硬化剤)、HPC-8150-60T(ナフタレン構造を主骨格に含む活性エステル硬化剤)(各、DIC(株)製)や、W-575、V-575(各、ユニチカ(株)製、ビスフェノール骨格を有するポリアリレート)が挙げられる。
以上に挙げた活性エステル系硬化剤は1種のみで用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で混合して用いてもよい。活性エステル系硬化剤は、硬化性組成物中の全エポキシ樹脂中のエポキシ基に対する硬化剤中の活性エステル基の当量比で0.2~2.0の範囲となるように用いることが好ましい。
<その他の硬化剤>
本形態の硬化性組成物に用いることのできる上記以外のその他の硬化剤としては、例えば、アミン系硬化剤(ただし、第3級アミンを除く。)、酸無水物系硬化剤、第3級アミン、有機ホスフィン類、ホスホニウム塩、テトラフェニルボロン塩、有機酸ジヒドラジド、ハロゲン化ホウ素アミン錯体、ポリメルカプタン系硬化剤、イソシアネート系硬化剤、ブロックイソシアネート系硬化剤、カルボジイミド等が挙げられる。以上で挙げたその他の硬化剤は、1種のみで用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で混合して用いてもよい。
〔他のエポキシ樹脂〕
本形態の硬化性組成物は、他のエポキシ樹脂を含むことができる。他のエポキシ樹脂を用いることで、不足する物性を補ったり、種々の物性を向上させたりすることができる。
他のエポキシ樹脂としては、分子内に2個以上のエポキシ基を有するものであることが好ましく、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールAF型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビスフェノールZ型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、トリフェニルメタン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂等の、各種エポキシ樹脂を使用することができる。これらは1種のみでも2種以上の混合体としても使用することができる。
本形態の硬化性組成物において、本発明の一形態であるビスフェノールC型ジグリシジルエーテルと他のエポキシ樹脂とを用いる場合、固形分としての全エポキシ樹脂成分100質量%中、他のエポキシ樹脂の配合量は、好ましくは1質量%以上であり、より好ましくは5質量%以上であり、さらに好ましくは10質量%以上であり、一方、好ましくは99質量%以下であり、より好ましくは95質量%以下であり、さらに好ましくは90質量%以下である。他のエポキシ樹脂の割合が上記下限値以上であることにより、他のエポキシ樹脂を配合することによる物性向上効果を十分に得ることができる。一方、他のエポキシ樹脂の割合が前記上限値以下であることにより、ビスフェノールC型ジグリシジルエーテルの効果が十分に発揮され、高耐熱性、低誘電特性耐等の物性改善効果を得る観点から好ましい。
〔溶剤〕
本形態の硬化性組成物には、塗膜形成時の取り扱い時に、硬化性組成物の粘度を適度に調整するために溶剤を配合し、希釈してもよい。本発明の硬化性組成物において、溶剤は、硬化性組成物の成形における取り扱い性、作業性を確保するために用いられ、その使用量には特に制限がない。なお、本発明においては「溶剤」という語と前述の「溶媒」という語をその使用形態により区別して用いるが、それぞれ独立して同種のものを用いても異なるものを用いてもよい。
本形態の硬化性組成物が含み得る溶剤としては、例えばアセトン、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、酢酸エチル等のエステル類、エチレングリコールモノメチルエーテル等のエーテル類、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド等のアミド類、メタノール、エタノール等のアルコール類、ヘキサン、シクロヘキサン等のアルカン類、トルエン、キシレン等の芳香族類等が挙げられる。以上に挙げた溶剤は、1種のみで用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で混合して用いてもよい。
〔その他の成分〕
本形態の硬化性組成物には、その機能性の更なる向上を目的として、以上で挙げたもの以外の成分(本発明において「その他の成分」と称することがある。)を含んでいてもよい。このようなその他の成分としては、エポキシ樹脂を除く熱硬化性樹脂や光硬化性樹脂、硬化促進剤(ただし、「硬化剤」に含まれるものを除く。)、紫外線防止剤、酸化防止剤、カップリング剤、可塑剤、フラックス、難燃剤、着色剤、分散剤、乳化剤、低弾性化剤、希釈剤、消泡剤、イオントラップ剤、無機フィラー、有機フィラー等が挙げられる。
〔硬化物〕
本発明の一形態は硬化物であり、本発明の一形態である硬化性組成物を硬化してなる。本発明の一形態であるビスフェノールC型ジグリシジルエーテルを硬化剤により硬化してなる本形態の硬化物は、取り扱い性に優れる硬化性組成物が得られることによって、フィラーの添加量の増加やガラスクロスへの含浸性の向上が可能であり、また、高耐熱性、低誘電特性に優れることから、電子部品の微細配線化、多層化、高密度化、高周波化に有利な硬化物を与える。ここでいう「硬化」とは熱及び/又は光等により硬化性組成物を意図的に硬化させることを意味するものであり、その硬化の程度は所望の物性、用途により制御すればよい。硬化反応の進行の程度は完全硬化であっても、半硬化の状態であってもよく、特に制限されないが、エポキシ基と硬化剤の硬化反応の反応率として通常5~95%である。
本発明の一形態である硬化性組成物を硬化させて本形態の硬化物とする際の硬化性組成物の硬化方法は、硬化性組成物中の配合成分や配合量によっても異なるが、通常、80~280℃で60~360分の加熱条件が挙げられる。この加熱は80~160℃で10~
90分の一次加熱と、120~200℃で60~150分の二次加熱との二段処理を行うことが好ましく、また、ガラス転移温度(Tg)が二次加熱の温度を超える配合系においてはさらに150~280℃で60~120分の三次加熱を行うことが好ましい。このように二次加熱、三次加熱を行うことは硬化不良や溶剤の残留を低減する観点から好ましい。
樹脂半硬化物を作製する際には、加熱等により形状が保てる程度に硬化性組成物の硬化反応を進行させることが好ましい。硬化性組成物が溶剤を含んでいる場合には、通常、加熱、減圧、風乾等の手法で大部分の溶剤を除去するが、樹脂半硬化物中に5質量%以下の溶剤を残留させてもよい。
〔用途〕
本発明の一形態であるビスフェノールC型ジグリシジルエーテルは、生産性、取り扱い性に優れ、且つ、耐熱性、低誘電特性に優れる。また、その硬化性組成物の取り扱い性を向上させることができ、フィラーの添加量の増加や他の樹脂成分との相溶性、ガラスクロスへの含浸性の向上を図ることができる。このため、接着剤、塗料、土木建築用材料、電気・電子部品の絶縁材料等、様々な分野に適用可能であり、特に、電気・電子分野における絶縁注型、積層材料、封止材料等として有用である。
ビスフェノールC型ジグリシジルエーテル及びそれを含む硬化性組成物の用途の一例としては、多層プリント配線基板、キャパシタ等の電気・電子回路用積層板といった電気・電子部品、フィルム状接着剤、液状接着剤等の接着剤、半導体封止材料、アンダーフィル材料、3D-LSI用インターチップフィル、絶縁シート、プリプレグ、放熱基板等が挙げられるが、何らこれらに限定されるものではない。
本発明の一形態は電気・電子部品であり、本発明の一形態である硬化性組成物を用いてなる。本発明において「電気・電子回路用積層板」とは、本発明の一形態である硬化性組成物を含む層と導電性金属層とを積層したものであり、硬化性組成物を含む層と導電性金属層とを積層したものであれば、電気・電子回路ではなくとも、例えばキャパシタも含む概念として用いられる。なお、電気・電子回路用積層板中には2種以上の硬化性組成物からなる層が形成されていてもよく、少なくとも1つの層において本発明の一形態である硬化性組成物が用いられていればよい。また、2種以上の導電性金属層が形成されていてもよい。
電気・電子回路用積層板における本発明の一形態である硬化性組成物からなる層の厚みは通常10~200μm程度である。また、導電性金属層の厚みは通常0.2~70μm程度である。
〔導電性金属〕
電気・電子回路用積層板における導電性金属としては、銅、アルミニウム等の金属や、これらの金属を含む合金が挙げられる。本形態において電気・電子回路用積層板の導電性金属層においては、これらの金属の金属箔、あるいはメッキやスパッタリングで形成された金属層を用いることができる。
〔電気・電子回路用積層板の製造方法〕
本形態における電気・電子回路用積層板の製造方法としては、例えば次のような方法が挙げられる。
(1) ガラス繊維、ポリエステル繊維、アラミド繊維、セルロース、ナノファイバーセルロース等の無機及び/又は有機の繊維材料を用いた不織布やクロス等に、本発明の硬化性組成物を含浸させてプリプレグとし、導電性金属箔及び/又はメッキにより導電性金属
層を設けた後、フォトレジスト等を用いて回路を形成し、こうした層を必要数重ねて積層板とする。
(2) 上記(1)のプリプレグを芯材とし、その上(片面又は両面)に、本発明の硬化性組成物からなる層と導電性金属層を積層する(ビルドアップ法)。この硬化性組成物からなる層は有機及び/又は無機のフィラーを含んでいてもよい。
(3) 芯材を用いず、本発明の硬化性組成物からなる層と導電性金属層のみを交互に積層して電気・電子回路用積層板とする。
以下、本発明を実施例に基づいてより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例により何ら限定されるものではない。なお、以下の実施例における各種の製造条件や評価結果の値は、本発明の実施態様における上限又は下限の好ましい値としての意味をもつものであり、好ましい範囲は前記した上限又は下限の値と、下記実施例の値又は実施例同士の値との組み合わせで規定される範囲であってもよい。
〔物性・特性の評価方法〕
以下の実施例及び比較例において、物性、特性の評価は以下の(1)~(6)に記載の方法で行った。
(1)ビスフェノールC型ジグリシジルエーテル中の構成比率の分析
東ソー(株)製「HLC-8320GPC装置」を使用し、東ソー(株)製の「TSKGEL SuperHM-H+H5000+H4000+H3000+H2000」を用いて分離を行い、分析チャートから上記式(1)におけるn=0体、n=1体、n=2体(n=2のもの)の含有比率を求めた。
溶離液:テトラヒドロフラン
流速:0.5ml/min
検出:UV
温度:40℃
試料濃度:0.1~0.2質量%
インジェクション量:10μl
(2)エポキシ当量
JIS K 7236に準じて測定し、固形分換算値として表記した。
(3)溶融粘度
東海八神(株)製コーンプレート粘度計(ICI粘度計)を用い、150℃に調整した粘度計の熱板の上で試料を溶融させ、回転速度750rpmで粘度を測定した。
(4)全塩素量
JIS K 7243-3に準じて測定した値を表記した。
(5)取り扱い性、相溶性
表2記載の通り配合した樹脂組成物を50mlのガラス製サンプル瓶に入れ、以下の通り評価した。
目視で濁りが無く、ガラス瓶を傾けた際に流動し、透明であるもの:〇
目視でやや濁りが見られるもの:△
目視で濁りが見られ光が透過しないもの:×
(6)誘電特性
エポキシ樹脂硬化物のフィルムを、幅2mm、長さ80mmの試験片に切断し、該試験
片について、ネットワークアナライザーを用いて、空洞共振摂動法により測定周波数(1GHzと10GHz)での誘電特性(誘電率:Dk、誘電正接:Df)を測定した。以下、使用装置と測定環境の詳細を示す。なお、誘電特性の算出には、空洞共振器の製造元が提供する専用の計測ソフトウェアを用いた。
使用装置:ネットワークアナライザー Agilent Tecnologies社製
E8361A
空洞共振器 CP215(1GHz)、CP184(10GHz) 関東電子応用開発社製
測定環境:温度23℃、相対湿度50%RH
(7)ガラス転移温度(Tg)
溶剤を乾燥除去したエポキシ樹脂で、SIIナノテクノロジー(株)製「DSC7020」を使用し、30~250℃まで10℃/minで昇温してガラス転移温度を測定した。なお、ここでいうガラス転移温度は、JIS K7121「プラスチックの転移温度測定法」に記載されているうち「中間点ガラス転移温度:Tmg」に基づいて測定した。
(8)せん断粘度
サーモフィッシャーサイエンティフィック(株)製、粘弾性測定装置HAAKE MARS 40 TM-EL-Hを用い、プレートに試料を滴下した後、パラレルプレートを
用いて回転速度750rpmで25~125℃まで5℃/min昇温した際の25℃、40℃、60℃、80℃、100℃及び125℃の粘度を測定した。
〔原料等〕
以下の実施例及び比較例において用いた原料とその合成方法は以下の通りである。
〔実施例1:ビスフェノールC型ジグリシジルエーテルの合成〕
2L容のフラスコ中にビスフェノールC(4,4’-(1-メチルエチリデン)ビス(2-メチルフェノール))250g、エピクロルヒドリン1174g及びイソプロピルアルコール458g、純水163gを仕込み、40℃の温度で攪拌しながら均一な溶液とした。次いで、48.5質量%の水酸化ナトリウム溶液187gを温度40~65℃の範囲で、1.5時間かけて滴下し、さらに65℃で30分間保持しエポキシ化の反応を完結させた。反応終了後、未反応のエピクロルヒドリン及びイソプロピルアルコールを145℃まで昇温しながら減圧下で留去した。
次いで、メチルイソブチルケトン439gを系内に加え溶解した後、65℃に昇温し、48.5質量%の水酸化ナトリウム溶液8gを添加して1時間反応させた。反応後溶液を純水にて4回洗浄し、メチルイソブチルケトンを温度100~150℃にて、減圧下で留去し、室温で液体状態のビスフェノールC型ジグリシジルエーテル346gを得た。得られたビスフェノールC型エポキシ樹脂組成物の構成比率(質量%)は、GPC分析からビスフェノールC型ジグリシジルエーテルのn=0体が91.2質量%、n=1体が8質量%、n=2体が0.8質量%であった。
ビスフェノールC型ジグリシジルエーテルのn=0~2体のそれぞれの化学構造は下記式(3)~(5)の通りであった。
Figure 2023036020000007
〔実施例2:ビスフェノールC型ジグリシジルエーテルの合成〕
純水490gに変更した以外は実施例1と同様にして室温で液体状態のビスフェノールC型ジグリシジルエーテル346gを得た。得られたビスフェノールC型エポキシ樹脂組成物の構成比率(質量%)は、GPC分析からビスフェノールC型ジグリシジルエーテルのn=0体が91.0質量%、n=1体が8.4質量%、n=2体が0.6質量%であった。
〔実施例3:ビスフェノールC型ジグリシジルエーテルの合成〕
エピクロルヒドリン1807g、イソプロピルアルコール704g、純水251gに変更した以外は実施例1と同様にして室温で液体状態のビスフェノールC型ジグリシジルエーテル350gを得た。得られたビスフェノールC型エポキシ樹脂組成物の構成比率(質量%)は、GPC分析からビスフェノールC型ジグリシジルエーテルのn=0体が95.0質量%、n=1体が4.5質量%、n=2体が0.5質量%であった。
〔実施例4:ビスフェノールC型ジグリシジルエーテルの合成〕
エピクロルヒドリン723g、イソプロピルアルコール282g、純水100gに変更した以外は実施例1と同様にして室温で液体状態のビスフェノールC型ジグリシジルエーテル342gを得た。得られたビスフェノールC型エポキシ樹脂組成物の構成比率(質量%)は、GPC分析からビスフェノールC型ジグリシジルエーテルのn=0体が87.7質量%、n=1体が11.2質量%、n=2体が1.1質量%であった。
〔実施例5:ビスフェノールC型ジグリシジルエーテルの合成〕
エピクロルヒドリン271g、イソプロピルアルコール106g、純水38gに変更した以外は実施例1と同様にして室温で液体状態のビスフェノールC型ジグリシジルエーテル340gを得た。得られたビスフェノールC型エポキシ樹脂組成物の構成比率(質量%)は、GPC分析からビスフェノールC型ジグリシジルエーテルのn=0体が61.7質量%、n=1体が27.0質量%、n=2体が11.3質量%であった。
<比較例1:ビスフェノールA型ジグリシジルエーテル(商品名:jER828US(三
菱ケミカル製))>
下記式(6)~(8)に示す化学構造のものを、式(6)(n=0体)を84.0質量%、式(7)(n=1体)を14.0質量%、下記式(8)(n=2体)を2.0質量%含有するビスフェノールA型ジグリシジルエーテルを得た。
Figure 2023036020000008
<比較例2:ビスフェノールC型ジグリシジルエーテル>
エピクロルヒドリン225.8g、イソプロピルアルコール88g、純水31gに変更した以外は実施例1と同様にして室温で液体状態のビスフェノールC型ジグリシジルエーテル308gを得た。得られたビスフェノールC型エポキシ樹脂組成物の構成比率(質量%)は、GPC分析からビスフェノールC型ジグリシジルエーテルのn=0体が41.0質量%、n=1体が28.7質量%、n=2体が15.4質量%であった。
実施例1~実施例5、比較例1及び比較例2の各種分析値を表1に示す。
Figure 2023036020000009
ビスフェノール型グリシジルエーテルからエポキシ樹脂組成物を得るにあたり、下記の
硬化剤(B)、その他エポキシ樹脂(D)、硬化促進剤(E)を用いた
〔硬化剤(B)〕
(B-1):市販のポリアリレート樹脂(ビスフェノール骨格を有するポリアリレート、活性当量:220g/当量)
〔その他エポキシ樹脂(D)〕
(D-1):フィルム化剤となる他のエポキシ樹脂として高分子エポキシ樹脂(三菱ケミカル製、商品名「YX7891T30」、Mn:10,000、Mw:30,000、エポキシ当量:6,000g/当量、樹脂含量:30質量%)
〔硬化促進剤(E)〕
(E-1):DMAP:4,4’-ジメチルアミノピリジン
〔実施例6~10、比較例3~4〕
市販のポリアリレート樹脂(B-1)を樹脂含量40質量%となるようにシクロヘキサノンへ溶解した。4,4’-ジメチルアミノピリジン(E-1)を含量5質量%となるようにトルエンへ溶解した。各樹脂溶液を表2に記載する固形分となるように調製、混合し、エポキシ樹脂組成物を得た。得られたエポキシ樹脂組成物について、取り扱い性、相溶性を評価した。得られたエポキシ樹脂組成物の溶液を離形PETフィルム(シリコーン処理したポリエチレンテレフタレートフィルム)に300μm厚、幅5cmのアプリケーターで塗布し、160℃で1.5時間、その後200℃で1.5時間乾燥させ、エポキシ樹脂硬化物のフィルムを得た。これらについて、前述の手法に従って耐熱性、誘電特性を評価した。結果を併せて表2に示す。
Figure 2023036020000010
表1、2より、本発明のビスフェノールC型ジグリシジルエーテルは取り扱い性に優れ、誘電特性、耐熱性に優れることが分かる。
本発明によれば、取り扱い性に優れ、且つ、高耐熱性、低誘電特性に優れたビスフェノールC型ジグリシジルエーテル、硬化性組成物及びその硬化物を得ることができる。本発
明のビスフェノールC型ジグリシジルエーテル、硬化性組成物及びその硬化物は、接着剤、塗料、土木建築用材料、電気・電子部品の絶縁材料等、様々な分野に適用可能であり、特に、電気・電子分野における絶縁注型、積層材料、封止材料等として有用である。
本発明のビスフェノールC型ジグリシジルエーテル、硬化性組成物及びその硬化物の用途の一例としては、多層プリント配線基板、キャパシタ等の電気・電子回路用積層板、フィルム状接着剤、液状接着剤等の接着剤、半導体封止材料、アンダーフィル材料、3D-LSI用インターチップフィル、絶縁シート、プリプレグ、放熱基板等が挙げられるが、何らこれらに限定されるものではない。

Claims (9)

  1. 下記式(1)で表されるビスフェノールC型ジグリシジルエーテルであって、下記式(1)におけるn=0のビスフェノールC型ジグリシジルエーテルの含有量が50~99質量%であり、n=1のビスフェノールC型ジグリシジルエーテルの含有量が1~50質量%である、ビスフェノールC型ジグリシジルエーテル。
    Figure 2023036020000011
    (上記式(1)中、nは繰り返し数を表し、0以上の整数である。)
  2. エポキシ当量が184~250g/当量である、請求項1に記載のビスフェノールC型ジグリシジルエーテル。
  3. 室温で液状であり、150℃での溶融粘度が0.4P以下である、請求項1に記載のビスフェノールC型ジグリシジルエーテル。
  4. 全塩素量が5,000ppm以下である、請求項1に記載のビスフェノールC型ジグリシジルエーテル。
  5. 請求項1~4のいずれか1項に記載のビスフェノールC型ジグリシジルエーテル及び硬化剤を含む、硬化性組成物。
  6. 前記ビスフェノールC型ジグリシジルエーテルの固形分100質量部に対して、前記硬化剤を固形分で0.1~100質量部含む、請求項5に記載の硬化性組成物。
  7. 前記硬化剤がフェノール系硬化剤、アミド系硬化剤、イミダゾール類及び活性エステル系硬化剤からなる群から選ばれる少なくとも1種である、請求項5に記載の硬化性組成物。
  8. 請求項5に記載の硬化性組成物を硬化してなる硬化物。
  9. 請求項5に記載の硬化性組成物を用いてなる電気・電子部品。
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