JP6687079B2 - エポキシ樹脂、エポキシ樹脂組成物及び硬化物 - Google Patents
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Description
本発明のエポキシ樹脂は、下記式(1)で表される。
前記式(2)中、R1及びR2は互いに異なっていてもよく、炭素数2〜20の炭化水素基であり、好ましくは炭素数2〜10の炭化水素基であり、より好ましくは炭素数2〜8の炭化水素基である。R1及びR2の炭化水素基は、鎖状構造の炭化水素基であっても環状構造の炭化水素基であってもよいし、また、鎖状構造と環状構造とからなる炭化水素基であってもよい。より具体的に、R1及びR2の好ましいものとしては、エチレン基、プロピレン基、1,4−ブチレン基、1,5−ペンチレン基、1,6−ヘキシレン基、1,8−オクチレン基、1,4−シクロへキシレン基、シクロへキシル−1,4−メチレン基等が挙げられ、これらの中でもより好ましいものとしては、エチレン基、プロピレン基、1,4−ブチレン基、1,6−ヘキシレン基、シクロへキシル−1,4−メチレン基等が挙げられる。
本発明のエポキシ樹脂のエポキシ当量は、好ましくは200g/当量以上であり、より好ましくは300g/当量以上、更に好ましくは400g/当量以上であり、一方、好ましくは30,000g/当量以下であり、より好ましくは25,000当量以下、更に好ましくは20,000g/当量以下であり、特に好ましくは15,000g/当量以下である。エポキシ当量が上記下限値以上であると可撓性の観点で好ましく、上記上限値以下であるとエポキシ樹脂の取り扱いが良好となる傾向にある。なお、本発明において「エポキシ当量」とは、「1当量のエポキシ基を含むエポキシ樹脂の質量」と定義され、JIS K7236に準じて測定することができる。
本発明のエポキシ樹脂の重量平均分子量(Mw)は、1,000以上が好ましく、1,500以上がより好ましくで、一方、100,000以下が好ましく、50,000以下がより好ましい。重量平均分子量が上記下限値以上であると可撓性の観点で好ましく、上記上限値以下であるとエポキシ樹脂の取り扱いが良好となる傾向にある。なお、エポキシ樹脂の重量平均分子量及び数平均分子量はゲルパーミエーションクロマトグラフィー法(GPC法)により測定することができる。より詳細な方法の例について後述の実施例において説明する。なお、本発明においては、重量平均分子量が10,000未満であるものを「低分子量エポキシ樹脂」と称することがあり、重量平均分子量が10,000以上であるものを「高分子量エポキシ樹脂」と称することがある。
本発明のエポキシ樹脂は可撓性を有するため、可撓性付与材として有用である。可撓性付与材は、ガラス転移温度(Tg)がある程度低い領域であると、低温での使用条件下でも可撓性を維持することができるために好ましい。この観点から、低分子量エポキシ樹脂の場合、ガラス転移温度は、−60℃以上であることが好ましく、−40℃以上であることがより好ましく、一方、5℃以下であることが好ましく、0℃以下であることがより好ましく、−10℃以下であることが更に好ましい。また、同様の観点から、高分子量エポキシ樹脂の場合、−20℃以上であることが好ましく、−10℃以上であることがより好ましく、一方、30℃以下であることが好ましく、10℃以下であることがより好ましい。ガラス転移温度はDSC法(示差走査熱量計)により求めることができる。より詳細には、後掲の実施例に記載の方法により求めることができる。
本発明のエポキシ樹脂は、2官能エポキシ樹脂と二価の水酸基含有化合物を反応させる、二段法によって得ることができる。また、2種類以上の二価の水酸基含有化合物とエピクロロヒドリンを直接反応させる、一段法によっても得ることができる。ただし、二段法では低分子量から高分子量まで様々なエポキシ樹脂を一段法よりも容易に得ることができるため、二段法を用いることが好ましい。
本発明の他の実施態様にかかるエポキシ樹脂は、少なくとも前記式(5)で表される2官能エポキシ樹脂と前記式(6)で表される二価の水酸基含有化合物とを反応させて得られることを特徴とする。
本発明のエポキシ樹脂の製造に用いられる2官能エポキシ樹脂は、前記式(5)で表されるエポキシ樹脂であり、例えば、前記式(6)で表される二価の水酸基含有化合物を、後述の一段法と同様の方法によりエピハロヒドリンと縮合させて得られるエポキシ樹脂が挙げられる。
本発明のエポキシ樹脂の製造に用いられる二価の水酸基含有化合物は、前記式(6)で表される二価の水酸基含有化合物である。
本発明のエポキシ樹脂の合成には触媒を用いてもよく、その触媒としては、エポキシ基とフェノール性水酸基、アルコール性水酸基やカルボキシル基との反応を進めるような触媒能を持つ化合物であればどのようなものでもよい。例えば、アルカリ金属化合物、有機リン化合物、第3級アミン、第4級アンモニウム塩、環状アミン類、イミダゾール類等が挙げられる。
本発明のエポキシ樹脂は、その製造時の合成反応の工程において、反応用の溶媒を用いてもよく、その溶媒としては、エポキシ樹脂を溶解するものであればどのようなものでもよい。例えば、芳香族系溶媒、ケトン系溶媒、アミド系溶媒、グリコールエーテル系溶媒等が挙げられる。
エポキシ樹脂の製造時の合成反応における固形分濃度は35〜95重量%が好ましい。このため、前述の溶媒において挙げたものと同様の有機化合物を希釈用の溶剤として用いてもよい。例えば、反応途中で高粘性生成物が生じたときに溶剤を追加添加して反応を続けることもできる。反応終了後、溶剤は必要に応じて、除去することもできるし、更に追加することもできる。なお、本発明においては「溶剤」という語と前述の「溶媒」という語をその使用形態により区別して用いるが、同種のものを用いても異なるものを用いてもよい。
エポキシ樹脂の製造において、2官能エポキシ樹脂と二価の水酸基含有化合物との重合反応は使用する触媒が分解しない程度の反応温度で実施される。反応温度が高すぎると生成するエポキシ樹脂が劣化するおそれがある。逆に温度が低すぎると十分に反応が進まないことがある。これらの理由から反応温度は、好ましくは50〜230℃、より好ましくは120〜200℃である。また、反応時間は通常1〜12時間、好ましくは3〜10時間である。アセトンやメチルエチルケトンのような低沸点溶剤を使用する場合には、オートクレーブを使用して高圧下で反応を行うことで反応温度を確保することができる。
本発明のエポキシ樹脂は、一段法によっても製造することができる。具体的には、前記式(6)で表される二価の水酸基含有化合物を、エピクロロヒドリンと直接反応させればよい。ただし、前述のように、一段法で製造した本発明のエポキシ樹脂のうち、低分子のものについては、二段法における2官能エポキシ樹脂として用いることができる。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、少なくとも前述した本発明のエポキシ樹脂と硬化剤とを含むエポキシ樹脂組成物である。また、本発明のエポキシ樹脂組成物には、必要に応じて、他のエポキシ樹脂、その他の成分などを適宜配合することができる。本発明のエポキシ樹脂組成物は、可撓性と低吸水性のバランスに優れ、各種用途に要求される諸物性を十分に満たす硬化物を与えるものである。
本発明において硬化剤とは、エポキシ樹脂のエポキシ基間の架橋反応及び/又は鎖長延長反応に寄与する物質を意味する。なお、本発明においては通常、「硬化促進剤」と呼ばれるものであってもエポキシ樹脂のエポキシ基間の架橋反応及び/又は鎖長延長反応に寄与する物質であれば、硬化剤とみなすこととする。
硬化剤としてフェノール系硬化剤を用いることが、得られるエポキシ樹脂組成物の取り扱い性と、硬化後の耐熱性を向上させる観点から好ましい。フェノール系硬化剤の具体例としては、ビスフェノールA、ビスフェノールF、4,4’−ジヒドロキシジフェニルメタン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、1,4−ビス(4−ヒドロキシフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−ヒドロキシフェノキシ)ベンゼン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、4,4’−ジヒドロキシジフェニルケトン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、2,2’−ジヒドロキシビフェニル、10−(2,5−ジヒドロキシフェニル)−10H−9−オキサ−10−ホスファフェナンスレン−10−オキサイド、フェノールノボラック、ビスフェノールAノボラック、o−クレゾールノボラック、m−クレゾールノボラック、p−クレゾールノボラック、キシレノールノボラック、ポリ−p−ヒドロキシスチレン、ハイドロキノン、レゾルシン、カテコール、t−ブチルカテコール、t−ブチルハイドロキノン、フルオログリシノール、ピロガロール、t−ブチルピロガロール、アリル化ピロガロール、ポリアリル化ピロガロール、1,2,4−ベンゼントリオール、2,3,4−トリヒドロキシベンゾフェノン、1,2−ジヒドロキシナフタレン、1,3−ジヒドロキシナフタレン、1,4−ジヒドロキシナフタレン、1,5−ジヒドロキシナフタレン、1,6−ジヒドロキシナフタレン、1,7−ジヒドロキシナフタレン、1,8−ジヒドロキシナフタレン、2,3−ジヒドロキシナフタレン、2,4−ジヒドロキシナフタレン、2,5−ジヒドロキシナフタレン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、2,7−ジヒドロキシナフタレン、2,8−ジヒドロキシナフタレン、上記ジヒドロキシナフタレンのアリル化物又はポリアリル化物、アリル化ビスフェノールA、アリル化ビスフェノールF、アリル化フェノールノボラック、アリル化ピロガロール等が例示される。
硬化剤としてアミド系硬化剤を用いることが、耐熱性等の向上の観点から好ましい。アミド系硬化剤としてはジシアンジアミド及びその誘導体、ポリアミド樹脂等が挙げられる。
硬化剤としてアミン系硬化剤(ただし、第3級アミンを除く。)を用いることが、耐熱性等の向上の観点から好ましい。アミン系硬化剤の例としては、脂肪族アミン類、ポリエーテルアミン類、脂環式アミン類、芳香族アミン類などが挙げられる。脂肪族アミン類としては、エチレンジアミン、1,3−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノプロパン、ヘキサメチレンジアミン、2,5−ジメチルヘキサメチレンジアミン、トリメチルヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、イミノビスプロピルアミン、ビス(ヘキサメチレン)トリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、N−ヒドロキシエチルエチレンジアミン、テトラ(ヒドロキシエチル)エチレンジアミン等が例示される。ポリエーテルアミン類としては、トリエチレングリコールジアミン、テトラエチレングリコールジアミン、ジエチレングリコールビス(プロピルアミン)、ポリオキシプロピレンジアミン、ポリオキシプロピレントリアミン類等が例示される。脂環式アミン類としては、イソホロンジアミン、メタセンジアミン、N−アミノエチルピペラジン、ビス(4−アミノ−3−メチルジシクロヘキシル)メタン、ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、3,9−ビス(3−アミノプロピル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン、ノルボルネンジアミン等が例示される。芳香族アミン類としては、テトラクロロ−p−キシレンジアミン、m−キシレンジアミン、p−キシレンジアミン、m−フェニレンジアミン、o−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、2,4−ジアミノアニソール、2,4−トルエンジアミン、2,4−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノ−1,2−ジフェニルエタン、2,4−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、m−アミノフェノール、m−アミノベンジルアミン、ベンジルジメチルアミン、2−ジメチルアミノメチル)フェノール、トリエタノールアミン、メチルベンジルアミン、α−(m−アミノフェニル)エチルアミン、α−(p−アミノフェニル)エチルアミン、ジアミノジエチルジメチルジフェニルメタン、α,α’−ビス(4−アミノフェニル)−p−ジイソプロピルベンゼン等が例示される。
硬化剤としてイミダゾール類を用いることが、硬化反応を十分に進行させ、耐熱性を向上させる観点から好ましい。イミダゾール類としては、2−フェニルイミダゾール、2−エチル−4(5)−メチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾール、1−シアノ−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾールトリメリテイト、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾリウムトリメリテイト、2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2’−エチル−4’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジンイソシアヌル酸付加体、2−フェニルイミダゾールイソシアヌル酸付加体、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール、及びエポキシ樹脂と上記イミダゾール類との付加体等が例示される。なお、イミダゾール類は触媒能を有するため、一般的には後述する硬化促進剤にも分類されうるが、本発明においては硬化剤として分類するものとする。
硬化剤として酸無水物系硬化剤を用いることが、耐熱性の観点から好ましい。酸無水物系硬化剤としては、酸無水物、酸無水物の変性物等が挙げられる。
硬化剤として有機ホスフィン類を用いることが、硬化性に優れ、電気的信頼性の高い硬化物を与えるという観点から好ましい。有機ホスフィン類としては、トリブチルホスフィン、メチルジフェニルホスフイン、トリフェニルホスフィン、ジフェニルホスフィン、フェニルホスフィン等が例示され、ホスホニウム塩としては、テトラフェニルホスホニウム・テトラフェニルボレート、テトラフェニルホスホニウム・エチルトリフェニルボレート、テトラブチルホスホニウム・テトラブチルボレート等が例示され、テトラフェニルボロン塩としては、2−エチル−4−メチルイミダゾール・テトラフェニルボレート、N−メチルモルホリン・テトラフェニルボレート等が例示される。
本発明のエポキシ樹脂組成物に用いることのできる硬化剤として、フェノール系硬化剤、アミド系硬化剤、アミン系硬化剤、イミダゾール類、酸無水物系硬化剤、有機ホスフィン類以外のものとしては、例えば、メルカプタン系硬化剤、第3級アミン、ホスホニウム塩、テトラフェニルボロン塩、有機酸ジヒドラジド、ハロゲン化ホウ素アミン錯体、イソシアネート系硬化剤、ブロックイソシアネート系硬化剤等が挙げられる。以上に挙げたその他の硬化剤は、1種のみで用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で混合して用いてもよい。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、本発明のエポキシ樹脂に加え、他のエポキシ樹脂を含むことができる。他のエポキシ樹脂を用いることで、不足する物性を補ったり、種々の物性を向上させたりすることができる。
本発明のエポキシ樹脂を含むエポキシ樹脂組成物には、塗膜形成時の取り扱い時に、エポキシ樹脂組成物の粘度を適度に調整するために溶剤を配合し、希釈してもよい。本発明のエポキシ樹脂組成物において、溶剤は、エポキシ樹脂組成物の成形における取り扱い性、作業性を確保するために用いられ、その使用量には特に制限がない。
本発明のエポキシ樹脂を含むエポキシ樹脂組成物には、その機能性の更なる向上を目的として、以上に挙げた以外の成分(本発明において、「その他の成分」と称することがある。)を含んでいてもよい。その他の成分としては、無機フィラー、シランカップリング剤等のカップリング剤、紫外線防止剤、酸化防止剤、可塑剤、フラックス、難燃剤、着色剤、分散剤、乳化剤、低弾性化剤、希釈剤、消泡剤、イオントラップ剤等が挙げられる。
本発明のエポキシ樹脂組成物を硬化してなる硬化物は、可撓性と低吸水性のバランスに優れ、良好な硬化物性を示すものである。なお、ここでいう「硬化」とは熱及び/又は光等によりエポキシ樹脂組成物を意図的に硬化させることを意味するものであり、その硬化の程度は所望の物性、用途により制御すればよい。進行の程度は完全硬化であっても、半硬化の状態であってもよく、特に制限されないが、エポキシ基と硬化剤の硬化反応の反応率として通常5〜95%である。
本発明のエポキシ樹脂及びそれを含むエポキシ樹脂組成物は、注型、フィルム成形・塗布等のプロセスに適用するのに十分な可撓性を有し、かつ低吸水性にも優れたものであり、接着剤、塗料、光学部材、土木建築用材料、電気・電子部品の絶縁材料等、様々な分野に適用可能である。特に、電気・電子分野における絶縁注型材料、積層材料、封止材料等として有用であり、例えば、電気・電子回路用積層板、電気・電子回路用封止材等が挙げられる。本発明のエポキシ樹脂及びそれを含むエポキシ樹脂組成物の用途の一例としては、半導体封止材料、アンダーフィル材料、3D−LSI用インターチップフィル、ダイボンディング材、フィルム状接着剤、液状接着剤等の接着剤、多層プリント配線基板、キャパシタ等の電気・電子回路用積層板、絶縁シート、プリプレグ、放熱基板、あるいは電気・電子用途での接着改良剤や可撓性付与材などが挙げられるが、何らこれらに限定されるものではない。
東ソー(株)製「HLC−8320GPC EcoSEC(登録商標)」を使用し、以下の測定条件で、標準ポリスチレンとして、TSK Standard Polystyrene:F−128(Mw1,090,000、Mn1,030,000)、F−10(Mw106,000、Mn103,000)、F−4(Mw43,000、Mn42,700)、F−2(Mw17,200、Mn16,900)、A−5000(Mw6,400、Mn6,100)、A−2500(Mw2,800、Mn2,700)、A−300(Mw453、Mn387)を使用した検量線を作成し、重量平均分子量及び数平均分子量をポリスチレン換算値として測定した。
カラム:東ソー(株)製「TSKGEL SuperHM−H+H5000+H4000+H3000+H2000」
溶離液:テトラヒドロフラン
流速:0.5ml/min
検出:UV(波長254nm)
温度:40℃
試料濃度:0.1重量%
インジェクション量:10μl
前記式(1)におけるnの値及びその平均値は、上記で求められた数平均分子量より算出した。
JIS K7236に準じて測定し、固形分換算値として表記した。
エポキシ樹脂及びエポキシ樹脂硬化物について、SIIナノテクノロジー(株)製 示差走査熱量計「DSC7020」を使用し、30〜200℃まで10℃/minで昇温してガラス転移温度を測定した。なお、ここでいうガラス転移温度は、JIS K7121「プラスチックの転移温度測定法」に記載されているうちの「中点ガラス転移温度:Tmg」に基づいて測定した。
(試験片の作成)
低分子量エポキシ樹脂:エポキシ樹脂組成物を減圧下で脱泡させた後、直径50mm、高さ3mmの金型に流し込み、150℃で1時間加熱し、更にその後180℃で1時間硬化させて、試験片を得た。
高分子量エポキシ樹脂:アプリケーターを用いて、エポキシ樹脂組成物をセパレータ(シリコーン処理したポリエチレンテレフタレートフィルム)上に塗膜し、150℃で1時間加熱し、更にその後180℃で1時間硬化させた。このエポキシ樹脂硬化フィルムを40mm×40mmに切り出し、試験片を得た。
(試験条件)
エポキシ樹脂組成物の硬化物を105℃で2時間乾燥した後、エスペック社 HASTチャンバー EHS−211MDを用いて、以下の条件下に放置した後の吸水率を下記式で算出した。
低分子量エポキシ樹脂:121℃、100%RH条件下に24時間放置した。低吸水性は、吸水率が3.5以下であるものを合格、それ以外のものを不合格と評価した。
高分子量エポキシ樹脂:85℃、85%RH条件下に168時間放置した。低吸水性は、吸水率が0.9以下であるものを合格、それ以外のものを不合格と評価した。
(吸水率)=[{(放置後の試験片の質量)−(放置前の試験片の質量)}/(放置前の試験片の質量)]×100
(試験片の作成)
低分子量エポキシ樹脂: 200mm×200mm×8mmのガラス板の片面に離型PETフィルムを貼り付けたものを2枚用意し、その内の1枚をフィルムを貼り付けた側が上に来るように置いた。この上に内径3mmのシリコン製チューブをU字型にセットし、またガラス板の四隅に厚さ3mmの金属製スペーサーを置いた上で、もう1枚のフィルム付ガラス板をフィルム側が向かい合うようにして重ね合わせ、小型万力で2枚のガラス板を固定して硬化物作成用の型を準備した。エポキシ樹脂組成物を減圧下で脱泡した後、準備した型の中に流し入れ、150℃で1時間加熱し、更にその後180℃で1時間硬化させた。このエポキシ樹脂硬化物をダンベル型に打ち抜き、試験片を得た。
高分子量エポキシ樹脂:アプリケーターを用いて、エポキシ樹脂組成物をセパレータ(シリコーン処理したポリエチレンテレフタレートフィルム)上に塗膜し、150℃で1時間加熱し、更にその後180℃で1時間硬化させた。このエポキシ樹脂硬化フィルムをダンベル型に打ち抜き、試験片を得た。
(試験条件)
インストロン社製 精密万能試験機「INSTRON 5582型」を使用し、JIS K7161に準じて引張伸びを測定した。
低分子量エポキシ樹脂:可撓性は、引張伸びの値が50%以上であるものを合格、それ以外のものを不合格と評価した。
高分子量エポキシ樹脂:可撓性は、引張伸びの値が25%以上であるものを合格、それ以外のものを不合格と評価した。
以下の実施例、比較例において用いた原料、触媒、溶媒及び溶剤は以下の通りである。
(A−1):1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル(三菱化学(株)製 商品名「YED216D」、エポキシ当量116g/当量)
(A−2):1,4−シクロヘキサンジメタノールジグリシジルエーテル(エポキシ当量143g/当量)(A−3):ポリテトラメチレングリコールジグリシジルエーテル(エポキシ当量435g/当量)
(B−1):4,4’−デシリデンビスフェノール(本州化学工業(株)製 商品名「BisP−DED」、水酸基当量163g/当量)
(B−2):4,4’−(2−エチルヘキシリデン)ビスフェノール(本州化学工業(株)製 商品名「BisP−IOTD」、水酸基当量149g/当量)
(B−3):4,4’−(1,3−ジメチルブチリデン)ビスフェノール(本州化学工業(株)製 商品名「BisP−MIBK」、水酸基当量135g/当量)
(B−4):ビスフェノールF(水酸基当量100g/当量)
(B−5):4,4’(2−メチルプロピリデン)ビスフェノール(本州化学工業製 商品名「BisP−IBTD」、水酸基当量121g/当量)(B−6):9,9−ビス(2−メチル−4−ヒドロキシフェニル)フルオレン(本州化学工業(株)製 商品名「BisOC−FL」、水酸基当量189g/当量)
(B−6):9,9−ビス(2−メチル−4−ヒドロキシフェニル)フルオレン(本州化学工業(株)製 商品名「BisOC−FL」、水酸基当量189g/当量)
(C−1):エチルトリフェニルホスフォニウムアイオダイド 30重量%メチルセロソルブ溶液
(C−2):トリフェニルホスフィン 20重量%MEK溶液
(C−3):テトラメチルアンモニウムハイドロキサイド 27重量%水溶液
(S−1):シクロヘキサノン
(S−2):メチルエチルケトン
(D−1):ビスフェノールAノボラック樹脂(三菱化学(株)製 商品名「YLH129」)
(D−2):2−エチル−4(5)−メチルイミダゾール(三菱化学(株)製 商品名「EMI−24」) 20重量%MEK溶液
(E−1):ビスフェノールアセトフェノンと3,3’,5,5’−テトラメチルビフェノールジグリシジルエーテルとを反応させて得られたエポキシ樹脂(エポキシ当量12,000g/当量、重量平均分子量36,000) 30重量%MEK・シクロヘキサノン混合溶液(MEKとシクロヘキサノンの重量比1:1)
(E−2):ビスフェノールAノボラック型多官能エポキシ樹脂 80重量%MEK溶液(三菱化学(株)製 商品名「157S65B80」
<実施例1−1〜1−2及び比較例1−1,1−3〜1−6>
表−1に示した配合で2官能エポキシ樹脂、二価の水酸基含有化合物、触媒及び溶媒を撹拌機付き耐圧反応容器に入れ、窒素ガス雰囲気下、160℃で5時間反応を行った後、得られた樹脂について分析を行った。結果を表−1に示す。
表−2に示した配合で実施例1−1〜1−2及び比較例1−1〜1,1−3−6のそれぞれで得られたエポキシ樹脂、硬化剤を配合し、よく撹拌してエポキシ樹脂組成物を得た。これらのエポキシ樹脂組成物について、150℃で1時間加熱し、更にその後180℃で1時間加熱することにより硬化させ、エポキシ樹脂硬化物を得た。これらのエポキシ樹脂組成物の硬化物について、前述の方法によりガラス転移温度(Tg)測定、吸水率測定及び引張試験を行なった。結果を表−2に示す。
表−2の結果より、本発明のエポキシ樹脂を用いて得られた実施例2−1〜2−2では、本発明のエポキシ樹脂を用いなかった比較例2−1,2−3〜2−6のそれぞれと比較して可撓性及び低吸水性のバランスに優れたものであることがわかる。
<実施例3−1>
表−3に示した配合で2官能エポキシ樹脂、二価の水酸基含有化合物、触媒及び溶媒を撹拌機付き耐圧反応容器に入れ、窒素ガス雰囲気下、135℃で5時間反応を行った後、溶剤を加えて固形分濃度を調整した。反応生成物から定法により溶剤を除去した後、得られたエポキシ樹脂について分析を行った。結果を表−3に示す。
表−4に示した配合で実施例3−1で得られたエポキシ樹脂、その他のエポキシ樹脂、硬化剤を配合し、よく撹拌してエポキシ樹脂組成物を得た。これらのエポキシ樹脂組成物について、セパレータ(シリコーン処理したポリエチレンテレフタレートフィルム)にアプリケーターで塗布し、150℃で1時間加熱し、更にその後180℃で1時間加熱することにより、硬化させ、エポキシ樹脂硬化物のフィルムを得た。これらのエポキシ樹脂硬化物のフィルムについて、前述の方法によりガラス転移温度(Tg)測定、吸水率測定及び引張試験を行なった。結果を表−4に示す。
表−4の結果より、本発明のエポキシ樹脂を用いて得られた実施例4−1では、本発明のエポキシ樹脂を用いなかった比較例4−2と比較して可撓性及び低吸水性のバランスに優れたものであることがわかる。
Claims (14)
- 下記式(5)で表される2官能エポキシ樹脂と、下記式(6)で表される二価の水酸基含有化合物とを反応させて得られることを特徴とするエポキシ樹脂。
上記式(6)中、A’は上記式(3’)で表される化学構造を少なくとも有し、式(3’)中、R’3〜R’10は互いに異なっていてもよく、水素原子、炭素数1〜12の炭化水素基又はハロゲン元素であり、R’11は水素原子又は炭素数1〜3の炭化水素基から選ばれる基であり、R’12は炭素数4〜20の直鎖状の炭化水素基である。) - 前記式(5)及び(6)中、前記式(2’)で表される化学構造が、A’全体のモル数に対して1〜99モル%含まれる、請求項1に記載のエポキシ樹脂。
- 前記式(5)及び前記式(6)中のA’として、前記式(2’)で表される化学構造と前記式(3’)で表される化学構造とのモル比が1/99〜99/1である、請求項1又は2に記載のエポキシ樹脂。
- エポキシ当量が200g/当量以上30,000g/当量以下である、請求項1乃至3のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂。
- 重量平均分子量が1,000〜100,000である、請求項1乃至4のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂。
- 請求項1乃至5のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂と、硬化剤とを含む、エポキシ樹脂組成物。
- 前記エポキシ樹脂100重量部に対し、硬化剤を0.01〜100重量部含む、請求項6に記載のエポキシ樹脂組成物。
- 前記硬化剤が、フェノール系硬化剤、アミド系硬化剤、アミン系硬化剤、イミダゾール類、酸無水物系硬化剤、有機ホスフィン類からなる群のうちの少なくとも1つである、請求項6又は7に記載のエポキシ樹脂組成物。
- 請求項6乃至8のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物からなる電気・電子回路用封止材。
- 請求項6乃至8のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物からなる電気・電子回路用積層板。
- 請求項6乃至8のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物からなる光学部材。
- 請求項6乃至8のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物からなる接着剤。
- 請求項6乃至8のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物からなる塗料。
- 請求項6乃至8のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物を硬化してなる硬化物。
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