JP6135175B2 - 多官能エポキシ樹脂組成物、硬化性エポキシ樹脂組成物及び硬化物 - Google Patents

多官能エポキシ樹脂組成物、硬化性エポキシ樹脂組成物及び硬化物 Download PDF

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本発明は、多官能エポキシ樹脂組成物、硬化性エポキシ樹脂組成物及び硬化物に関する。より詳細には、本発明は耐熱性及び流動性に優れた多官能エポキシ樹脂組成物、硬化性エポキシ樹脂組成物及び硬化物に関する。
エポキシ樹脂は、機械的強度、耐熱性、耐湿性、電気特性等に優れた硬化物を与えるために電気・電子部品の封止材料、成形材料、注型材料、積層材料、複合材料、接着剤及び塗料等の幅広い分野に利用されている。
エポキシ樹脂は通常、幅広い分子量分布を有するエポキシ化合物の混合物であるため、硬化させる際の分子量の異なる成分においては硬化速度に差があり、硬化が不均一となったり、特に高分子量の成分比率が多くなると流動性が損なわれることがある。また、電気・電子部品の薄型化に伴い、エポキシ樹脂の耐熱性に対する要求が高まってきており、従来のエポキシ樹脂ではその要求に対応できなくなってきた。
多官能エポキシ樹脂組成物の分子量分布を狭くすることに着目した技術として、特許文献1には、分子量分布の狭いフェノールノボラックの製造法、及び前記フェノールノボラックをエポキシ化したフェノールノボラック型エポキシ樹脂の製造方法が記載されている。また、特許文献2には分子量分布の狭いフェノールノボラック型エポキシ樹脂組成物が記載されている。
特開平8−151425号公報 特開2011−74220号公報
本発明者らの詳細な検討により、前記特許文献1及び特許文献2に記載の多官能エポキシ樹脂組成物においては、高分子量成分を多く含むエポキシ樹脂組成物では十分な流動性が得られていないという問題があること、また、低分子量成分を多く含むエポキシ樹脂組成物では十分な耐熱性を得ることができないという問題があることがわかった。本発明はこれらの従来技術の問題点を解決し、流動性、耐熱性のバランスに優れた多官能性エポキシ樹脂組成物を提供することを目的とする。また、本発明はこの多官能性エポキシ樹脂組成物を含む硬化性エポキシ樹脂組成物、及び該硬化性エポキシ樹脂組成物を硬化させてなる硬化物を提供することも目的とする。
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討した結果、特定構造の多官能エポキシ樹脂組成物であって、該多官能エポキシ樹脂組成物の成分比率が特定範囲であるものが、従来の多官能エポキシ樹脂組成物と比較して流動性、耐熱性に優れることを見出し、本発明を完成したものである。即ち、本発明の要旨は以下の[1]〜[7]に存する。
[1] 下記式(1)で表される多官能エポキシ樹脂組成物であって、エポキシ当量が100〜400g/当量であり、かつ該多官能エポキシ樹脂組成物中に占める式(1)中のn=1の成分割合が0.1〜5重量%、n=2の成分割合が40〜80重量%、n=3の
成分割合が1〜30重量%である多官能エポキシ樹脂組成物。
Figure 0006135175
(上記式(1)中、R及びRはそれぞれ独立して水素原子、炭素数1〜4のアルキル基又はグリシジルエーテル基であり、nは平均値1〜5であり、Aは水素原子又は上記式(2)で表される基である。)
[2] 分子量分布(Mw/Mn)が2.5以下である、[1]に記載の多官能エポキシ樹脂組成物。
[3] 前記多官能エポキシ樹脂組成物中に占める式(1)中のn=1〜3の各成分の合計割合が、50重量%以上である、[1]又は[2]に記載の多官能エポキシ樹脂組成物。
[4] [1]乃至[3]のいずれか1つに記載の多官能エポキシ樹脂組成物と硬化剤とを含む、硬化性エポキシ樹脂組成物。
[5] 前記多官能エポキシ樹脂組成物100重量部に対し、前記硬化剤0.1〜300重量部を含む、[4]に記載の硬化性エポキシ樹脂組成物。
[6] 前記硬化剤が、フェノール系硬化剤、アミン系硬化剤、イミダゾール類及び酸無水物系硬化剤からなる群のうちの少なくとも1種である、[4]又は[5]に記載のエポキシ樹脂組成物。
[7] [4]乃至[6]のいずれか1つに記載のエポキシ樹脂組成物を硬化させてなる硬化物。
本発明によれば、流動性及び耐熱性に優れた多官能エポキシ樹脂組成物、硬化性エポキシ樹脂組成物及び硬化物が提供される。これらの特長を有することから、本発明の多官能エポキシ樹脂組成物、硬化性エポキシ樹脂組成物及び硬化物は、電気・電子材料、CFRP(炭素繊維強化樹脂)、接着剤及び塗料等の分野において応用展開が可能である。
以下に本発明の実施の形態を詳細に説明するが、本発明は以下の説明に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、任意に変形して実施することができる。本明細書において、「〜」を用いてその前後に数値又は物性値を挟んで表現する場合
、その前後の値を含むものとして用いることとする。
〔多官能エポキシ樹脂組成物〕
本発明のエポキシ樹脂組成物は、下記式(1)で表される多官能エポキシ樹脂組成物であって、エポキシ当量が100〜400g/当量であり、かつ該多官能エポキシ樹脂組成物中に占める式(1)中のn=1の成分割合が0.1〜5重量%、n=2の成分割合が40〜80重量%、n=3の成分割合が1〜30重量%である。ここで、n=1、2、3のそれぞれの重量%は、GPC(ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー)測定を行ない、UVスペクトルの面積%として求められる値であり、式(1)におけるn=1〜5の成分の合計が100重量%基準とするものである。この測定方法は、より具体的には後掲の実施例において示される方法によって求めることができる。なお、本発明において、式(1)におけるnがそれぞれ1、2、3である成分をそれぞれ「2核体」、「3核体」、「4核体」と称することがある。
Figure 0006135175
(上記式(1)中、R及びRはそれぞれ独立して水素原子、炭素数1〜4のアルキル基又はグリシジルエーテル基であり、nは平均値1〜5であり、Aは水素原子又は上記式(2)で表される基である。)
本発明のエポキシ樹脂は、従来公知のエポキシ樹脂と比較して、流動性及び耐熱性に優れるという効果を奏する。これらの特長を有する原因は定かではないが、流動性については4核体以上の成分が3核体の成分よりも少ないことに起因するものと考えられ、耐熱性については2核体の成分が3核体の成分よりも少ないことに起因しているものと考えられる。
前記式(1)において、R及びRはそれぞれ独立して水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基又はグリシジルエーテル基である。R及びRは好ましくは水素原子又はメチル基である。
前記式(1)において、nは平均値を意味するものであり、1〜5である。
前記式(1)において、Aは水素原子又は前記式(2)で表される基であり、一分子中のAは水素原子のみからなる分子であっても式(2)で表される基のみからなる分子であってもよい。ただし、本発明の多官能エポキシ樹脂組成物においては少なくとも式(2)で表される基を含むものとする。
前記式(1)で表されるエポキシ樹脂組成物に該当するものとしては、例えばフェノー
ルノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、レゾルシンノボラック型エポキシ樹脂等が挙げられる。これらの中でも流動性と耐熱性の観点から、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂等が好ましい。なお、これらのエポキシ樹脂は通常、分子量分布を有するものであり、「エポキシ樹脂」と称していても、前記の成分比率を満たすものであれば、本発明の多官能エポキシ樹脂組成物に該当するものとみなされる。
本発明の多官能エポキシ樹脂組成物は、2核体の割合が0.1重量%以上であり、一方、5重量%以下であり、好ましくは3重量%以下である。また、3核体の割合は40重量%以上であり、好ましくは45重量%以上であり、より好ましくは50重量%以上であり、一方、80重量%以下であり、好ましくは75重量%以下である。更に、4核体の割合は1重量%以上であり、一方、30重量%以下であり、好ましくは25重量%以下であり、より好ましくは20重量%以下である。本発明のエポキシ樹脂の2核体の割合が上記上限値以下であると耐熱性を向上させる観点で好ましい。また、本発明のエポキシ樹脂の3核体の割合が上記範囲であると耐熱性、流動性のバランスの観点から好ましい。また、本発明のエポキシ樹脂の4核体の割合が上記上限値以下であると流動性を向上させる観点で好ましい。
本発明の多官能エポキシ樹脂組成物は、該多官能エポキシ樹脂組成物中に占める式(1)中のn=1〜3の各成分の合計の成分割合が、50重量%以上であることが好ましく、60重量%以上であることがより好ましく、70重量%以上であることが更に好ましい。n=1〜3の各成分の合計の成分割合が上記下限値以上であることが流動性、耐熱性のバランスの観点から好ましい。
本発明の多官能エポキシ樹脂組成物は、エポキシ当量が100g/当量以上であり、125g/当量以上であることが好ましく、150g/当量以上であることが更に好ましい。一方、本発明の多官能エポキシ樹脂組成物のエポキシ当量は400g/当量以下であり、350g/当量以下であることが好ましく、300g/当量以下であることが更に好ましく、250g/当量以下であることが特に好ましい。本発明のエポキシ樹脂のエポキシ当量が、上記下限値以上であるとハンドリングの観点で好ましく、一方、上記上限値以下であると硬化性及び耐熱性を向上させる観点で好ましい。
本発明の多官能エポキシ樹脂組成物は、GPC(ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー)測定による分子量分布(Mw/Mn)が2.5以下であることが好ましく、2.0以下であることがより好ましく、1.5以下であることが最も好ましい。本発明の多官能エポキシ樹脂組成物の分子量分布(Mw/Mn)の値が上記上限値以下であると流動性を向上させる観点で好ましい。GPCのより具体的な測定方法については後掲の実施例に記載する。
〔多官能エポキシ樹脂組成物の製造方法〕
本発明の多官能エポキシ樹脂組成物の製造方法は、特に制限されないが、例えば、下記式(3)で表される多官能フェノール化合物の混合物(以下、「原料多官能フェノール樹脂組成物」と称することがある。)であって、該多官能フェノール化合物の混合物中に占める式(3)中のm=1の成分割合が0.1〜5重量%、m=2の成分割合が40〜80重量%、m=3の成分割合が1〜30重量%であるものと、エピハロヒドリンとを反応させることによって得ることができる。
Figure 0006135175
(上記式R1’及びR2’はそれぞれ独立して水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基又はグリシジルエーテル基であり、mは1〜5であり、A’は水素原子である。)
前記式(3)において、R1’及びR2’の定義、好ましい範囲は、前記式(1)におけるR1及びR2のそれぞれと同様である。また、前記式(3)におけるmの定義についても、前記式(1)におけるnと同様である。
本発明に用いることのできる原料多官能フェノール樹脂組成物におけるm=1、2、3の各成分割合は、本発明の多官能エポキシ樹脂組成物における前記のnの各成分割合と同様である。
本発明に用いることのできる原料多官能フェノール樹脂組成物は、GPC(ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー)測定による分子量分布(Mw/Mn)が2.5以下であることが好ましく、2.0以下であることがより好ましく、1.5以下であることが最も好ましい。
なお、本発明に用いることのできる原料多官能フェノール樹脂組成物は市販品として入手することができる。このような市販品としては例えば、群栄化学株式会社製フェノールノボラック樹脂LV70S等が挙げられる。
まず、原料多官能フェノール樹脂組成物のフェノール性水酸基1当量当たり通常1〜20当量、好ましくは2〜15当量、より好ましくは3〜10当量に相当する量のエピハロヒドリンに溶解させて均一な溶液とする。エピハロヒドリンの量が上記下限以上であると高分子量化反応を制御しやすく、適切な溶融粘度とすることができるために好ましい。一方、エピハロヒドリンの量が上記上限以下であると生産効率が向上する傾向にあるために好ましい。この反応におけるエピハロヒドリンとしては、通常、エピクロルヒドリン又はエピブロモヒドリンが用いられる。
次いで、この溶液を撹拌しながら、これにフェノール性水酸基1当量当たり通常0.5〜2.0当量、好ましくは0.7〜1.8当量、より好ましくは0.9〜1.6当量に相当する量のアルカリ金属水酸化物を固体又は水溶液で加えて反応させる。アルカリ金属水酸化物の量が上記下限以上であると、未反応の水酸基と生成したエポキシ樹脂が反応しにくく、高分子量化反応を制御しやすいために好ましい。また、アルカリ金属水酸化物の量が上記上限値以下であると、副反応による不純物が生成しにくいために好ましい。ここで用いられるアルカリ金属水酸化物としては通常、水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムが挙げられる。
この反応は、常圧下又は減圧下で行うことができ、反応温度は常圧下の反応の場合は好ましくは20〜150℃ 、より好ましくは30〜120℃、更に好ましくは35℃〜1
00であり、減圧下の反応の場合は好ましくは20〜100℃、より好ましくは30〜9
0℃、更に好ましくは35℃〜80℃である。反応温度が上記下限以上であると反応を進行させやすいために好ましい。また、反応温度が上記上限以下であると副反応が進行しにくく、特に塩素不純物を低減しやすいために好ましい。
反応は必要に応じて所定の温度を保持しながら反応液を共沸させ、揮発する蒸気を冷却して得られた凝縮液を油/水分離し、水分を除いた油分を反応系へ戻す方法により脱水する。アルカリ金属水酸化物の添加は、急激な反応を抑えるために、通常、0.5〜8時間、より好ましくは1〜7時間、更に好ましくは1〜6時間かけて少量ずつを断続的又は連続的に添加することが好ましい。添加時間が上記下限以上であると急激に反応が進行するのを防ぐことができ、反応温度の制御がしやすくなるために好ましい。添加時間が上記上限以下であると塩素不純物が生成しにくくなるために好ましく、また、経済性の観点からも好ましい。全反応時間は通常、1〜10時間である。
反応終了後、不溶性の副生塩を濾別して除くか、水洗により除去した後、未反応のエピハロヒドリンを減圧留去して除くと、目的の多官能エポキシ樹脂組成物を得ることができる。
また、この反応においては、テトラメチルアンモニウムクロリド、テトラエチルアンモニウムブロミド等の第四級アンモニウム塩; ベンジルジメチルアミン、2,4 ,6−トリス( ジメチルアミノメチル) フェノール等の第三級アミン;2−エチル−4− メチ
ルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール等のイミダゾール類;エチルトリフェニルホスホニウムアイオダイド等のホスホニウム塩;トリフェニルホスフィン等のホスフィン類等の触媒を用いてもよい。
更に、この反応においては、エタノール、イソプロパノール等のアルコール類; アセ
トン、メチルエチルケトン等のケトン類; ジオキサン、エチレングリコールジメチルエ
ーテル等のエーテル類;メトキシプロパノール等のグリコールエーテル類;ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド等の非プロトン性極性溶媒等の不活性な有機溶媒を使用してもよい。
更に、上記のようにして得られたエポキシ樹脂の可鹸化ハロゲン量が多すぎる場合は、再処理して十分に可鹸化ハロゲン量が低下した精製多官能エポキシ樹脂組成物を得ることができる。つまり、その粗製多官能エポキシ樹脂組成物を、イソプロピルアルコール、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、トルエン、キシレン、ジオキサン、メトキシプロパノール、ジメチルスルホキシド等の不活性な有機溶媒に再溶解しアルカリ金属水酸化物を固体又は水溶液で加えて約30〜120℃、より好ましくは40〜110℃、更に好ましくは50〜100℃の温度で0.1〜8時間、より好ましくは0.3〜7時間、更に好ましくは0.5〜6時間再閉環反応を行った後、水洗等の方法で過剰のアルカリ金属水酸化物や副性塩を除去し、更に有機溶媒を減圧留去及び/又は水蒸気蒸留を行うと、加水分解性ハロゲン量が低減された多官能エポキシ樹脂組成物を得ることができる。反応温度が上記下限以上であり、また、反応時間が上記下限以上であると再閉環反応が進行しやすいために好ましい。また、反応温度が上記上限以下であり、また、反応時間が上記上限以下であると反応を制御しやすいために好ましい。
〔硬化性エポキシ樹脂組成物〕
本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物は、少なくとも前述した本発明の多官能エポキシ樹脂組成物と、硬化剤とを含むものである。また、本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物には、必要に応じて、他のエポキシ樹脂、溶剤等を適宜配合することができる。本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物は硬化性に優れ、また、硬化させたときに顕著に耐熱性に優れた硬化物を与えることができる。
<硬化剤>
本発明において硬化剤とは、エポキシ樹脂のエポキシ基間の架橋反応及び/又は鎖長延長反応に寄与する物質を示す。なお、本発明においては通常、「硬化促進剤」と呼ばれるものであってもエポキシ樹脂のエポキシ基間の架橋反応及び/又は鎖長延長反応に寄与する物質であれば、硬化剤とみなすこととする。
本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物中の硬化剤の含有量は、本発明の多官能エポキシ樹脂組成物100重量部に対して好ましくは0.1〜300重量部である。また、より好ましくは200重量部以下であり、更に好ましくは100重量部以下であり、特に好ましくは50重量部以下である。一方、より好ましくは0.5重量部以上である。
本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物において、後述する他のエポキシ樹脂が含まれる場合には、硬化剤の含有量は、固形分としての全エポキシ樹脂成分100重量部に対して好ましくは0.1〜200重量部である。また、より好ましくは150重量部以下であり、更に好ましくは100重量部以下であり、特に好ましくは80重量部以下であり、一方、より好ましくは0.5重量部以上である。本発明において、「固形分」とは溶媒を除いた成分を意味し、固体のエポキシ樹脂のみならず、半固形や粘稠な液状物のものをも含むものとする。また、「全エポキシ樹脂成分」とは、本発明の多官能エポキシ樹脂組成物と後述する他のエポキシ樹脂との合計を意味する。
本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物に用いる硬化剤としては、特に制限はなく一般的に硬化剤として知られているものはすべて使用することができる。用いる硬化剤としては、エポキシ樹脂のエポキシ基間の架橋反応及び/又は鎖長延長反応に寄与する物質であればどのようなものでもよい。好ましいものとしては、例えば、フェノール系硬化剤、アミン系硬化剤、イミダゾール類、酸無水物系硬化剤等が挙げられる。
<フェノール系硬化剤>
フェノール系硬化剤の例としては、ビスフェノールA、ビスフェノールF、4,4’−ジヒドロキシジフェニルメタン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、1,4−ビス(4−ヒドロキシフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−ヒドロキシフェノキシ)ベンゼン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、4,4’−ジヒドロキシジフェニルケトン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、2,2’−ジヒドロキシビフェニル、10−(2,5−ジヒドロキシフェニル)−10H−9−オキサ−10−ホスファフェナンスレン−10−オキサイド、フェノールノボラック、ビスフェノールAノボラック、o−クレゾールノボラック、m−クレゾールノボラック、p−クレゾールノボラック、キシレノールノボラック、ポリ−p−ヒドロキシスチレン、ハイドロキノン、レゾルシン、カテコール、t−ブチルカテコール、t−ブチルハイドロキノン、フルオログリシノール、ピロガロール、t−ブチルピロガロール、アリル化ピロガロール、ポリアリル化ピロガロール、1,2,4−ベンゼントリオール、2,3,4−トリヒドロキシベンゾフェノン、1,2−ジヒドロキシナフタレン、1,3−ジヒドロキシナフタレン、1,4−ジヒドロキシナフタレン、1,5−ジヒドロキシナフタレン、1,6−ジヒドロキシナフタレン、1,7−ジヒドロキシナフタレン、1,8−ジヒドロキシナフタレン、2,3−ジヒドロキシナフタレン、2,4−ジヒドロキシナフタレン、2,5−ジヒドロキシナフタレン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、2,7−ジヒドロキシナフタレン、2,8−ジヒドロキシナフタレン、上記ジヒドロキシナフタレンのアリル化物又はポリアリル化物、アリル化ビスフェノールA、アリル化ビスフェノールF、アリル化フェノールノボラック、アリル化ピロガロール等が例示される。
以上に挙げたフェノール系硬化剤は1種のみで用いても、2種以上を任意の組み合わせ
及び配合比率で組み合わせて用いてもよい。また、硬化剤がフェノール系硬化剤の場合、エポキシ樹脂中のエポキシ基に対する硬化剤中の官能基(フェノール系硬化剤の水酸基)の当量比で0.8〜1.5の範囲となるように用いることが好ましい。
<アミン系硬化剤>
アミン系硬化剤(ただし、第3級アミンを除く。)の例としては、脂肪族アミン類、ポリエーテルアミン類、脂環式アミン類、芳香族アミン類等が挙げられる。脂肪族アミン類としては、エチレンジアミン、1,3−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノプロパン、ヘキサメチレンジアミン、2,5−ジメチルヘキサメチレンジアミン、トリメチルヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、イミノビスプロピルアミン、ビス(ヘキサメチレン)トリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、N−ヒドロキシエチルエチレンジアミン、テトラ(ヒドロキシエチル)エチレンジアミン等が例示される。ポリエーテルアミン類としては、トリエチレングリコールジアミン、テトラエチレングリコールジアミン、ジエチレングリコールビス(プロピルアミン)、ポリオキシプロピレンジアミン、ポリオキシプロピレントリアミン類等が例示される。脂環式アミン類としては、イソホロンジアミン、メタセンジアミン、N−アミノエチルピペラジン、ビス(4−アミノ−3−メチルジシクロヘキシル)メタン、ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、3,9−ビス(3−アミノプロピル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン、ノルボルネンジアミン等が例示される。芳香族アミン類としては、テトラクロロ−p−キシレンジアミン、m−キシレンジアミン、p−キシレンジアミン、m−フェニレンジアミン、o−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、2,4−ジアミノアニソール、2,4−トルエンジアミン、2,4−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノ−1,2−ジフェニルエタン、2,4−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、m−アミノフェノール、m−アミノベンジルアミン、ベンジルジメチルアミン、2−ジメチルアミノメチル)フェノール、トリエタノールアミン、メチルベンジルアミン、α−(m−アミノフェニル)エチルアミン、α−(p−アミノフェニル)エチルアミン、ジアミノジエチルジメチルジフェニルメタン、α,α’−ビス(4−アミノフェニル)−p−ジイソプロピルベンゼン等が例示される。
以上に挙げたアミン系硬化剤は1種のみで用いても、2種以上を任意の組み合わせ及び配合比率で組み合わせて用いてもよい。また、硬化剤がアミン系硬化剤の場合、エポキシ樹脂中のエポキシ基に対する硬化剤中の官能基(アミン系硬化剤のアミノ基)の当量比で0.8〜1.5の範囲となるように用いることが好ましい。
<イミダゾール類>
イミダゾール類の例としては、2−フェニルイミダゾール、2−エチル−4(5)−メチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾール、1−シアノ−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾールトリメリテイト、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾリウムトリメリテイト、2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2’−エチル−4’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジンイソシアヌル酸付加体、2−フェニルイミダゾールイソシアヌル酸付加体、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール、及びエポキシ樹脂と上記イミダゾール類との付加体等が例示される。なお、イミダゾール類は触媒能を有するため、一般的には後述する硬化促進剤にも分類されうるが、本発明においては硬化剤として分類するものとする。
以上に挙げたイミダゾール類は1種のみで用いても、2種以上を任意の組み合わせ及び配合比率で組み合わせて用いてもよい。硬化剤がイミダゾール類の場合、エポキシ樹脂の固形分に対して0.5〜10重量部の範囲で用いることが好ましい。
<酸無水物系硬化剤>
酸無水物としては、例えば、フタル酸無水物、トリメリット酸無水物、ピロメリット酸無水物、ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、ドデセニルコハク酸無水物、ポリアジピン酸無水物、ポリアゼライン酸無水物、ポリセバシン酸無水物、ポリ(エチルオクタデカン二酸)無水物、ポリ(フェニルヘキサデカン二酸)無水物、テトラヒドロフタル酸無水物、メチルテトラヒドロフタル酸無水物、メチルヘキサヒドロフタル酸無水物、ヘキサヒドロフタル酸無水物、メチルハイミック酸無水物、テトラヒドロフタル酸無水物、トリアルキルテトラヒドロフタル酸無水物、メチルシクロヘキセンジカルボン酸無水物、メチルシクロヘキセンテトラカルボン酸無水物、エチレングリコールビストリメリテート二無水物、ヘット酸無水物、ナジック酸無水物、メチルナジック酸無水物、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロ−3−フラニル)−3−メチル−3−シクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸無水物、3,4−ジカルボキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−1−ナフタレンコハク酸二無水物、1−メチル−ジカルボキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−1−ナフタレンコハク酸二無水物等が挙げられる。
酸無水物の変性物としては、例えば、上述した酸無水物をグリコールで変性したもの等が挙げられる。ここで、変性に用いることのできるグリコールの例としては、エチレンギリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール等のアルキレングリコール類;ポリエチレンギリコール、ポリプロピレングリコール、ポチテトラメチレンエーテルグリコール等のポリエーテルグリコール類等が挙げられる。更には、これらのうちの2種類以上のグリコール及び/又はポリエーテルグリコールの共重合ポリエーテルリコールを用いることもできる。
酸無水物の変性物においては、酸無水物1モルに対してグリコール0.4モル以下で変性させることが好ましい。変性量が上記上限値以下であると、エポキシ樹脂組成物の粘度が高くなり過ぎず、作業性が良好となる傾向にあり、また、エポキシ樹脂との硬化反応の速度も良好となる傾向にある。
以上で挙げた酸無水物硬化剤は1種のみで用いても、2種以上を任意の組み合わせ及び配合比率で組み合わせて用いてもよい。酸無水物系硬化剤を用いる場合、エポキシ樹脂中のエポキシ基に対する硬化剤中の官能基の当量比で0.8〜1.5の範囲となるように用いることが好ましい。この範囲内であると未反応のエポキシ基や硬化剤の官能基が残留しにくくなるために好ましい。
<その他の硬化剤>
本発明の多官能エポキシ樹脂組成物に用いることのできる硬化剤としては、以上で挙げたフェノール系硬化剤、アミン系硬化剤、イミダゾール類、酸無水物系硬化剤に限定されず、これら以外のもの(本発明において、「その他の硬化剤」と称することがある。)を用いることができる。その他の硬化剤の例としては、例えば、カチオン重合開始剤、有機リン化合物、第3級アミン、テトラフェニルボロン塩、有機酸ジヒドラジド、ハロゲン化ホウ素アミン錯体、ポリメルカプタン系硬化剤、イソシアネート系硬化剤、ブロックイソシアネート系硬化剤等が挙げられる。
<他のエポキシ樹脂>
本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物は、本発明の多官能エポキシ樹脂組成物以外に、更に他のエポキシ樹脂を含むことができる。他のエポキシ樹脂を用いることで、不足する物
性を補ったり、種々の物性を向上させたりすることができる。
他のエポキシ樹脂は、通常、2官能エポキシ樹脂であり、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、 スフェノールS型エポキシ樹脂、ビスフェノールZ型エポキシ樹脂、ビスフェノールAF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂、テトラメチルビスフェノールA型エポキシ樹脂、テトラメチルビスフェノールF型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールF型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールS型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールZ型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールAF型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールAD型エポキシ樹脂、ビフェノール型エポキシ樹
脂、テトラメチルビフェノール型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ビスフェノールA−アルキレンオキサイド付加体のジグリシジルエーテル、ビスフェノールFのアルキレンオキサイド付加体のジグリシジルエーテル、チオジフェノール型エポキシ樹脂、ジヒドロキシジフェニルエーテル型エポキシ樹脂、テルペンジフェノール型エポキシ樹脂、ハイドロキノン型エポキシ樹脂、メチルハイドロキノン型エポキシ樹脂、ジブチルハイドロキノン型エポキシ樹脂、レゾルシン型エポキシ樹脂、メチルレゾルシン型エポキシ樹脂、ジヒドロキシナフタレン型エポキシ樹脂等が挙げられる。
本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物において、他のエポキシ樹脂を用いる場合、固形分としての全エポキシ樹脂成分中の他のエポキシ樹脂の配合量は、好ましくは1重量%以上であり、より好ましくは10重量%以上であり、一方、好ましくは99重量%以下であり、より好ましくは80重量%以下、更に好ましくは50重量%以下である。他のエポキシ樹脂の割合が上記下限値以上であることにより、他のエポキシ樹脂を配合することによる物性向上効果を十分に得ることができる。一方、他のエポキシ樹脂の割合が前記上限値以下であることにより、本発明のエポキシ樹脂の効果、即ち耐熱性、流動性の向上効果を得ることができるために好ましい。
<その他の成分>
本発明のエポキシ樹脂を含むエポキシ樹脂組成物には、その機能性の更なる向上を目的として、以上で挙げたもの以外の成分(本発明において「その他の成分」と称することがある。)を含んでいてもよい。このようなその他の成分としては、硬化促進剤(ただし、「硬化剤」に含まれるものを除く。)、保存安定性向上のための紫外線防止剤、無機フィラー、酸化防止剤、カップリング剤、可塑剤、はんだの酸化皮膜除去のためのフラックス、難燃剤、着色剤、顔料、分散剤、乳化剤、低弾性化剤、希釈剤、消泡剤、イオントラップ剤等が挙げられる。
〔硬化物〕
本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物は、加熱して硬化させることにより、硬化物を得ることができる。硬化反応の条件は特に限定されないが、通常、硬化剤の種類によって硬化温度を以下の通り選択することが好ましい。具体的な温度としては、硬化剤として、脂肪族アミン類、ポリエーテルアミン類、脂環式アミン類を用いる場合では25℃〜100℃、フェノール系硬化剤、芳香族アミン系硬化剤等では130〜200℃、酸無水物系硬化剤とイミダゾール類等では100〜150℃、イミダゾール類等では60〜150℃等である。また、硬化性エポキシ樹脂組成物に硬化促進剤を配合することで、その硬化温度を下げることも可能である。反応時間は1〜20時間が好ましく、より好ましくは2〜18時間、更に好ましくは3〜15時間である。反応時間が上記下限値以上であると硬化反応が十分に進行し、良好な物性を得やすいために好ましい。一方、反応時間が上記上限値以下であると加熱による劣化、加熱する為のエネルギーのロス等が起こりにくいために好ましい。
〔用途〕
本発明の多官能エポキシ樹脂組成物は、硬化性及び硬化物特性としての耐熱性に優れたものである。このため、本発明の多官能エポキシ樹脂組成物、硬化性エポキシ樹脂組成物及び硬化物は、封止材料、成形材料、注型材料、積層材料、レジスト材料、複合材料等の電気・電子材料、CFRP(炭素繊維強化樹脂)、接着剤及び塗料等の種々の分野において好適に使用することができる。
以下、本発明を実施例に基づいてより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例により何ら限定されるものではない。なお、以下の実施例における各種の製造条件や評価結果の値は、本発明の実施態様における上限又は下限の好ましい値としての意味をもつものであり、好ましい範囲は前記した上限又は下限の値と、下記実施例の値又は実施例同士の値との組み合わせで規定される範囲であってもよい。
[エポキシ樹脂の評価方法]
1−1)エポキシ当量
JIS K 7236に基づいてエポキシ当量を測定した。
1−2)2核体、3核体及び4核体の成分比率、重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)及び分子量分布(Mw/Mn)
東ソー(株)製「HLC−8320GPC EcoSEC(登録商標)」を使用し、以下の測定条件で、GPC測定を行なった。標準ポリスチレンとして、TSK Standard Polystyrene:F−128(Mw1,090,000、Mn1,030,000)、F−10(Mw106,000、Mn103,000)、F−4(Mw43,000、Mn42,700)、F−2(Mw17,200、Mn16,900)、A−5000(Mw6,400、Mn6,100)、A−2500(Mw2,800、Mn2,700)、A−300(Mw453、Mn387)を使用した検量線を作成し、重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)及び分子量分布(Mw/Mn)をポリスチレン換算値として測定した。また、2核体、3核体、4核体のピークを表−1に示すように同定した。各ピークについてベースラインを引き、このベースラインとピークにより囲まれる部分からUVスペクトルの面積を求めた。このUVスペクトルの面積%から各成分の重量%を求めた。
カラム:東ソー(株)製「TSKGEL SuperHM−H+H5000+H4000+H3000+H2000」
溶離液:テトラヒドロフラン
流速:0.5mL/min
検出:UV(波長254nm)
温度:40℃
試料濃度:0.1重量%
インジェクション量:10μL
1−3)流動性
ICI粘度計のプレート温度を150℃に設定し、試料を所定量、秤量した。プレート部に秤量した樹脂を置き、上部よりコーンで押えつけ、90秒放置した。その後コーンを回転させて、そのトルク値を溶融粘度として読み取った。ICI粘度計は東海八神社製 CONE PLATE VISCOMETER MODEL CV−1Dを使用した。流動性は60cp以下であるものを合格とした。
[多官能エポキシ樹脂組成物の製造と評価]
<実施例1−1>
温度計、撹拌装置、冷却管を備えた内容量5Lの三口フラスコにフェノールノボラック樹脂(LV70S:群栄化学株式会社製、Mw:475、Mn:453、Mw/Mn:1.05)525g、エピクロルヒドリン2122g、イソプロピルアルコール827gを仕込み、40℃に昇温して均一に溶解させた後、48.5重量%の水酸化ナトリウム水溶液489gを120分かけて滴下した。その間に徐々に昇温し、滴下終了後には系内が65℃になるようにした。その後、65℃で30分保持し反応を完了させ、水洗により副生塩及び過剰の水酸化ナトリウムを除去した。ついで、生成物から減圧下で過剰のエピクロルヒドリンとイソプロパノールを留去して、粗製エポキシ樹脂を得た。この粗製エポキシ樹脂をメチルイソブチルケトン810gに溶解し、48.5重量%の水酸化ナトリウム水溶液15gを加え、65℃の温度で1時間再び反応させた。その後、反応液に第一リン酸ナトリウム水溶液を加えて、過剰の水酸化ナトリウムを中和し、水洗して副生塩を除去した。次いで、減圧下でメチルイソブチルケトンを完全に除去して、目的の多官能エポキシ樹脂組成物750gを得た。この多官能エポキシ樹脂組成物について前記1−1)、1−2)、1−3)の方法でエポキシ当量、重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)及び分子量分布(Mw/Mn)、並びに流動性をそれぞれ求めた。これらの結果を表−1に示す。
<比較例1−1〜1−3>
比較例1−1〜1−3においては、それぞれ下記に示すA〜Cの多官能エポキシ樹脂組成物を使用し、これらについて前記1−1)〜1−3)の方法でエポキシ当量、重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)及び分子量分布(Mw/Mn)、並びに流動性をそれぞれ求めた。これらの結果を表−1に示す。
A:日本化薬株式会社製 EOCN−102S エポキシ当量211g/当量、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂
B:三菱化学株式会社製 jER(登録商標) 154 エポキシ当量178g/eq、フェノールノボラック型エポキシ樹脂
C:三菱化学株式会社製 jER(登録商標) 152 エポキシ当量175g/eq、フェノールノボラック型エポキシ樹脂
Figure 0006135175
[硬化物の評価方法]
2−1)ガラス転移温度(Tg)
硬化物を、SIIナノテクノロジー(株)製「DSC7020」を使用し、30〜300℃まで10℃/minで昇温して測定した。
[硬化性エポキシ樹脂組成物及び硬化物の製造と評価]
<実施例2−1>
実施例1−1で合成したエポキシ樹脂組成物100重量部と3−メチル−1,2,3,6−テトラヒドロ無水フタル酸と4−メチル−1,2,3,6−テトラヒドロ無水フタル酸の混合物(日立化成工業株式会社製 HN−2200)86重量部とを混合し、80℃で20分攪拌した後、60℃まで温度を下げて1−ベンジル−2−メチルイミダゾール(三菱化学株式会社製 jERキュア(登録商標)IBMI12)1重量部を加えて5分攪拌して硬化性エポキシ樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物を80℃で4時間、更に180℃で4時間加温して硬化物を得た。得られた硬化物について、前記2−1)の方法にてガラス転移温度(Tg)を測定した。測定した結果を表−2に示す。
なお、表−2中、硬化剤と硬化促進剤については以下の略号を用いた。
D:日立化成工業株式会社製 HN−2200、3−メチル−1,2,3,6−テトラヒドロ無水フタル酸と4−メチル−1,2,3,6−テトラヒドロ無水フタル酸の混合物
E:三菱化学株式会社製 jERキュア(登録商標) IBMI12、1−イソブチル−2−メチルイミダゾール
<比較例2−1〜2−3>
表−2の配合比率とした以外は実施例2−1と同様の方法で硬化性エポキシ樹脂組成物を得た後、同様にして硬化物を得た。得られた硬化物について、実施例2−1と同様、ガラス転移温度(Tg)を測定した。測定した結果を表−2に示す。
Figure 0006135175
[結果の評価]
表−1及び表−2からわかるように、本発明のエポキシ樹脂を用いた実施例1−1及び実施例2−1のそれぞれは比較例1−1〜1−3及び比較例2−1〜2−3に対してエポキシ樹脂の流動性と硬化物における耐熱性のバランスに優れたものであった。特に、実施例1−1と比較例1−1及び比較例1−2との比較から、4核体の含有量を下げ、3核体の含有量を上げることで流動性が向上することが示された。また、実施例2−1と比較例2−3との比較から、2核体の含有量を下げ、3核体の含有量を上げることで耐熱性が向上することが示された。
本発明のエポキシ樹脂及びエポキシ樹脂組成物は、流動性、耐熱性に優れたものである。このため、本発明のエポキシ樹脂、エポキシ樹脂組成物及び硬化物は、封止材料、成形材料、注型材料、積層材料、レジスト材料、複合材料等の電気・電子材料、CFRP(炭素繊維強化樹脂)、接着剤及び塗料等の分野において好適に使用することができる。

Claims (7)

  1. 下記式(1)で表される多官能エポキシ樹脂組成物であって、エポキシ当量が100〜400g/当量であり、かつ該多官能エポキシ樹脂組成物中に占める式(1)中のn=1の成分割合が、0.1〜5重量%、n=2の成分割合が40〜80重量%、n=3の成分割合が1〜25重量%であり、かつn=1〜3の合計成分割合が70重量%以上である多官能エポキシ樹脂組成物。
    Figure 0006135175
    (上記式(1)中、R 及びR はそれぞれ独立して水素原子、炭素数1〜4のアルキル基又はグリシジルエーテル基であり、nは平均値1〜5であり、Aは水素原子又は上記式(2)で表される基である。)
  2. 分子量分布(Mw/Mn)が2.5以下である請求項1に記載の多官能エポキシ樹脂組成物。
  3. 請求項1又は2に記載の多官能エポキシ樹脂組成物と硬化剤とを含む、硬化性エポキシ樹脂組成物。
  4. 前記多官能エポキシ樹脂組成物100重量部に対し、前記硬化剤0.1〜300重量部を含む、請求項3に記載の硬化性エポキシ樹脂組成物。
  5. 前記硬化剤が、フェノール系硬化剤、アミン系硬化剤、イミダゾール類及び酸無水物系
    硬化剤からなる群のうちの少なくとも1種である、請求項3又は4に記載の硬化性エポキシ樹脂組成物。
  6. 請求項3乃至5のいずれか1項に記載の硬化性エポキシ樹脂組成物を硬化させてなる硬化物。
  7. 以下の工程(A)〜工程(D)を経由することを特徴とする請求項1又は2に記載の硬化性エポキシ樹脂組成物の製造方法。
    工程(A):下記式(3)で表される多官能フェノール化合物の混合物(以下「原料多官能フェノール樹脂組成物」と称することがある。)であって、該多官能フェノール化合物の混合物中に占める式(3)中のm=1の成分割合が0.1〜5重量%、m=2の成分割合が40〜80重量%、m=3の成分割合が1〜25重量%であるものを、該原料多官能フェノール樹脂組成物のフェノール性水酸基1当量あたり1〜20当量のエピハロヒドリンに溶解させて均一な溶液とする工程。
    Figure 0006135175
    Figure 0006135175
    (上記式(3)中、R ‘及びR ’はそれぞれ独立して水素原子、炭素数1〜4のアルキル基又はグリシジルエーテル基であり、nは平均値1〜5であり、A‘は水素原子又は上記式(2)で表される基である。)
    工程(B):上記の溶液を撹拌しながら、フェノール性水酸基1当量あたり、0.5〜2.0当量に相当する量のアルカリ金属水酸化物を固体又は水溶液として、常圧又は減圧下で、常圧の場合は20〜150℃、減圧下の場合は20〜100℃で、反応液を共沸させながら0.5〜8時間掛けて添加して反応させる工程。
    工程(C):所定時間経過後、不溶性の副生塩を濾別又は水洗により除去する工程。
    工程(D):未反応のエピハロヒドリンを減圧留去して、目的とする多官能エポキシ樹脂組成物を取得する工程。
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