JP6135175B2 - 多官能エポキシ樹脂組成物、硬化性エポキシ樹脂組成物及び硬化物 - Google Patents
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Description
成分割合が1〜30重量%である多官能エポキシ樹脂組成物。
、その前後の値を含むものとして用いることとする。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、下記式(1)で表される多官能エポキシ樹脂組成物であって、エポキシ当量が100〜400g/当量であり、かつ該多官能エポキシ樹脂組成物中に占める式(1)中のn=1の成分割合が0.1〜5重量%、n=2の成分割合が40〜80重量%、n=3の成分割合が1〜30重量%である。ここで、n=1、2、3のそれぞれの重量%は、GPC(ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー)測定を行ない、UVスペクトルの面積%として求められる値であり、式(1)におけるn=1〜5の成分の合計が100重量%基準とするものである。この測定方法は、より具体的には後掲の実施例において示される方法によって求めることができる。なお、本発明において、式(1)におけるnがそれぞれ1、2、3である成分をそれぞれ「2核体」、「3核体」、「4核体」と称することがある。
ルノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、レゾルシンノボラック型エポキシ樹脂等が挙げられる。これらの中でも流動性と耐熱性の観点から、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂等が好ましい。なお、これらのエポキシ樹脂は通常、分子量分布を有するものであり、「エポキシ樹脂」と称していても、前記の成分比率を満たすものであれば、本発明の多官能エポキシ樹脂組成物に該当するものとみなされる。
本発明の多官能エポキシ樹脂組成物の製造方法は、特に制限されないが、例えば、下記式(3)で表される多官能フェノール化合物の混合物(以下、「原料多官能フェノール樹脂組成物」と称することがある。)であって、該多官能フェノール化合物の混合物中に占める式(3)中のm=1の成分割合が0.1〜5重量%、m=2の成分割合が40〜80重量%、m=3の成分割合が1〜30重量%であるものと、エピハロヒドリンとを反応させることによって得ることができる。
00であり、減圧下の反応の場合は好ましくは20〜100℃、より好ましくは30〜9
0℃、更に好ましくは35℃〜80℃である。反応温度が上記下限以上であると反応を進行させやすいために好ましい。また、反応温度が上記上限以下であると副反応が進行しにくく、特に塩素不純物を低減しやすいために好ましい。
ルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール等のイミダゾール類;エチルトリフェニルホスホニウムアイオダイド等のホスホニウム塩;トリフェニルホスフィン等のホスフィン類等の触媒を用いてもよい。
トン、メチルエチルケトン等のケトン類; ジオキサン、エチレングリコールジメチルエ
ーテル等のエーテル類;メトキシプロパノール等のグリコールエーテル類;ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド等の非プロトン性極性溶媒等の不活性な有機溶媒を使用してもよい。
本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物は、少なくとも前述した本発明の多官能エポキシ樹脂組成物と、硬化剤とを含むものである。また、本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物には、必要に応じて、他のエポキシ樹脂、溶剤等を適宜配合することができる。本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物は硬化性に優れ、また、硬化させたときに顕著に耐熱性に優れた硬化物を与えることができる。
本発明において硬化剤とは、エポキシ樹脂のエポキシ基間の架橋反応及び/又は鎖長延長反応に寄与する物質を示す。なお、本発明においては通常、「硬化促進剤」と呼ばれるものであってもエポキシ樹脂のエポキシ基間の架橋反応及び/又は鎖長延長反応に寄与する物質であれば、硬化剤とみなすこととする。
フェノール系硬化剤の例としては、ビスフェノールA、ビスフェノールF、4,4’−ジヒドロキシジフェニルメタン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、1,4−ビス(4−ヒドロキシフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−ヒドロキシフェノキシ)ベンゼン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、4,4’−ジヒドロキシジフェニルケトン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、2,2’−ジヒドロキシビフェニル、10−(2,5−ジヒドロキシフェニル)−10H−9−オキサ−10−ホスファフェナンスレン−10−オキサイド、フェノールノボラック、ビスフェノールAノボラック、o−クレゾールノボラック、m−クレゾールノボラック、p−クレゾールノボラック、キシレノールノボラック、ポリ−p−ヒドロキシスチレン、ハイドロキノン、レゾルシン、カテコール、t−ブチルカテコール、t−ブチルハイドロキノン、フルオログリシノール、ピロガロール、t−ブチルピロガロール、アリル化ピロガロール、ポリアリル化ピロガロール、1,2,4−ベンゼントリオール、2,3,4−トリヒドロキシベンゾフェノン、1,2−ジヒドロキシナフタレン、1,3−ジヒドロキシナフタレン、1,4−ジヒドロキシナフタレン、1,5−ジヒドロキシナフタレン、1,6−ジヒドロキシナフタレン、1,7−ジヒドロキシナフタレン、1,8−ジヒドロキシナフタレン、2,3−ジヒドロキシナフタレン、2,4−ジヒドロキシナフタレン、2,5−ジヒドロキシナフタレン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、2,7−ジヒドロキシナフタレン、2,8−ジヒドロキシナフタレン、上記ジヒドロキシナフタレンのアリル化物又はポリアリル化物、アリル化ビスフェノールA、アリル化ビスフェノールF、アリル化フェノールノボラック、アリル化ピロガロール等が例示される。
及び配合比率で組み合わせて用いてもよい。また、硬化剤がフェノール系硬化剤の場合、エポキシ樹脂中のエポキシ基に対する硬化剤中の官能基(フェノール系硬化剤の水酸基)の当量比で0.8〜1.5の範囲となるように用いることが好ましい。
アミン系硬化剤(ただし、第3級アミンを除く。)の例としては、脂肪族アミン類、ポリエーテルアミン類、脂環式アミン類、芳香族アミン類等が挙げられる。脂肪族アミン類としては、エチレンジアミン、1,3−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノプロパン、ヘキサメチレンジアミン、2,5−ジメチルヘキサメチレンジアミン、トリメチルヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、イミノビスプロピルアミン、ビス(ヘキサメチレン)トリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、N−ヒドロキシエチルエチレンジアミン、テトラ(ヒドロキシエチル)エチレンジアミン等が例示される。ポリエーテルアミン類としては、トリエチレングリコールジアミン、テトラエチレングリコールジアミン、ジエチレングリコールビス(プロピルアミン)、ポリオキシプロピレンジアミン、ポリオキシプロピレントリアミン類等が例示される。脂環式アミン類としては、イソホロンジアミン、メタセンジアミン、N−アミノエチルピペラジン、ビス(4−アミノ−3−メチルジシクロヘキシル)メタン、ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、3,9−ビス(3−アミノプロピル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン、ノルボルネンジアミン等が例示される。芳香族アミン類としては、テトラクロロ−p−キシレンジアミン、m−キシレンジアミン、p−キシレンジアミン、m−フェニレンジアミン、o−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、2,4−ジアミノアニソール、2,4−トルエンジアミン、2,4−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノ−1,2−ジフェニルエタン、2,4−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、m−アミノフェノール、m−アミノベンジルアミン、ベンジルジメチルアミン、2−ジメチルアミノメチル)フェノール、トリエタノールアミン、メチルベンジルアミン、α−(m−アミノフェニル)エチルアミン、α−(p−アミノフェニル)エチルアミン、ジアミノジエチルジメチルジフェニルメタン、α,α’−ビス(4−アミノフェニル)−p−ジイソプロピルベンゼン等が例示される。
以上に挙げたアミン系硬化剤は1種のみで用いても、2種以上を任意の組み合わせ及び配合比率で組み合わせて用いてもよい。また、硬化剤がアミン系硬化剤の場合、エポキシ樹脂中のエポキシ基に対する硬化剤中の官能基(アミン系硬化剤のアミノ基)の当量比で0.8〜1.5の範囲となるように用いることが好ましい。
イミダゾール類の例としては、2−フェニルイミダゾール、2−エチル−4(5)−メチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾール、1−シアノ−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾールトリメリテイト、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾリウムトリメリテイト、2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2’−エチル−4’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジンイソシアヌル酸付加体、2−フェニルイミダゾールイソシアヌル酸付加体、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール、及びエポキシ樹脂と上記イミダゾール類との付加体等が例示される。なお、イミダゾール類は触媒能を有するため、一般的には後述する硬化促進剤にも分類されうるが、本発明においては硬化剤として分類するものとする。
酸無水物としては、例えば、フタル酸無水物、トリメリット酸無水物、ピロメリット酸無水物、ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、ドデセニルコハク酸無水物、ポリアジピン酸無水物、ポリアゼライン酸無水物、ポリセバシン酸無水物、ポリ(エチルオクタデカン二酸)無水物、ポリ(フェニルヘキサデカン二酸)無水物、テトラヒドロフタル酸無水物、メチルテトラヒドロフタル酸無水物、メチルヘキサヒドロフタル酸無水物、ヘキサヒドロフタル酸無水物、メチルハイミック酸無水物、テトラヒドロフタル酸無水物、トリアルキルテトラヒドロフタル酸無水物、メチルシクロヘキセンジカルボン酸無水物、メチルシクロヘキセンテトラカルボン酸無水物、エチレングリコールビストリメリテート二無水物、ヘット酸無水物、ナジック酸無水物、メチルナジック酸無水物、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロ−3−フラニル)−3−メチル−3−シクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸無水物、3,4−ジカルボキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−1−ナフタレンコハク酸二無水物、1−メチル−ジカルボキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−1−ナフタレンコハク酸二無水物等が挙げられる。
本発明の多官能エポキシ樹脂組成物に用いることのできる硬化剤としては、以上で挙げたフェノール系硬化剤、アミン系硬化剤、イミダゾール類、酸無水物系硬化剤に限定されず、これら以外のもの(本発明において、「その他の硬化剤」と称することがある。)を用いることができる。その他の硬化剤の例としては、例えば、カチオン重合開始剤、有機リン化合物、第3級アミン、テトラフェニルボロン塩、有機酸ジヒドラジド、ハロゲン化ホウ素アミン錯体、ポリメルカプタン系硬化剤、イソシアネート系硬化剤、ブロックイソシアネート系硬化剤等が挙げられる。
本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物は、本発明の多官能エポキシ樹脂組成物以外に、更に他のエポキシ樹脂を含むことができる。他のエポキシ樹脂を用いることで、不足する物
性を補ったり、種々の物性を向上させたりすることができる。
脂、テトラメチルビフェノール型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ビスフェノールA−アルキレンオキサイド付加体のジグリシジルエーテル、ビスフェノールFのアルキレンオキサイド付加体のジグリシジルエーテル、チオジフェノール型エポキシ樹脂、ジヒドロキシジフェニルエーテル型エポキシ樹脂、テルペンジフェノール型エポキシ樹脂、ハイドロキノン型エポキシ樹脂、メチルハイドロキノン型エポキシ樹脂、ジブチルハイドロキノン型エポキシ樹脂、レゾルシン型エポキシ樹脂、メチルレゾルシン型エポキシ樹脂、ジヒドロキシナフタレン型エポキシ樹脂等が挙げられる。
本発明のエポキシ樹脂を含むエポキシ樹脂組成物には、その機能性の更なる向上を目的として、以上で挙げたもの以外の成分(本発明において「その他の成分」と称することがある。)を含んでいてもよい。このようなその他の成分としては、硬化促進剤(ただし、「硬化剤」に含まれるものを除く。)、保存安定性向上のための紫外線防止剤、無機フィラー、酸化防止剤、カップリング剤、可塑剤、はんだの酸化皮膜除去のためのフラックス、難燃剤、着色剤、顔料、分散剤、乳化剤、低弾性化剤、希釈剤、消泡剤、イオントラップ剤等が挙げられる。
本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物は、加熱して硬化させることにより、硬化物を得ることができる。硬化反応の条件は特に限定されないが、通常、硬化剤の種類によって硬化温度を以下の通り選択することが好ましい。具体的な温度としては、硬化剤として、脂肪族アミン類、ポリエーテルアミン類、脂環式アミン類を用いる場合では25℃〜100℃、フェノール系硬化剤、芳香族アミン系硬化剤等では130〜200℃、酸無水物系硬化剤とイミダゾール類等では100〜150℃、イミダゾール類等では60〜150℃等である。また、硬化性エポキシ樹脂組成物に硬化促進剤を配合することで、その硬化温度を下げることも可能である。反応時間は1〜20時間が好ましく、より好ましくは2〜18時間、更に好ましくは3〜15時間である。反応時間が上記下限値以上であると硬化反応が十分に進行し、良好な物性を得やすいために好ましい。一方、反応時間が上記上限値以下であると加熱による劣化、加熱する為のエネルギーのロス等が起こりにくいために好ましい。
本発明の多官能エポキシ樹脂組成物は、硬化性及び硬化物特性としての耐熱性に優れたものである。このため、本発明の多官能エポキシ樹脂組成物、硬化性エポキシ樹脂組成物及び硬化物は、封止材料、成形材料、注型材料、積層材料、レジスト材料、複合材料等の電気・電子材料、CFRP(炭素繊維強化樹脂)、接着剤及び塗料等の種々の分野において好適に使用することができる。
1−1)エポキシ当量
JIS K 7236に基づいてエポキシ当量を測定した。
東ソー(株)製「HLC−8320GPC EcoSEC(登録商標)」を使用し、以下の測定条件で、GPC測定を行なった。標準ポリスチレンとして、TSK Standard Polystyrene:F−128(Mw1,090,000、Mn1,030,000)、F−10(Mw106,000、Mn103,000)、F−4(Mw43,000、Mn42,700)、F−2(Mw17,200、Mn16,900)、A−5000(Mw6,400、Mn6,100)、A−2500(Mw2,800、Mn2,700)、A−300(Mw453、Mn387)を使用した検量線を作成し、重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)及び分子量分布(Mw/Mn)をポリスチレン換算値として測定した。また、2核体、3核体、4核体のピークを表−1に示すように同定した。各ピークについてベースラインを引き、このベースラインとピークにより囲まれる部分からUVスペクトルの面積を求めた。このUVスペクトルの面積%から各成分の重量%を求めた。
カラム:東ソー(株)製「TSKGEL SuperHM−H+H5000+H4000+H3000+H2000」
溶離液:テトラヒドロフラン
流速:0.5mL/min
検出:UV(波長254nm)
温度:40℃
試料濃度:0.1重量%
インジェクション量:10μL
ICI粘度計のプレート温度を150℃に設定し、試料を所定量、秤量した。プレート部に秤量した樹脂を置き、上部よりコーンで押えつけ、90秒放置した。その後コーンを回転させて、そのトルク値を溶融粘度として読み取った。ICI粘度計は東海八神社製 CONE PLATE VISCOMETER MODEL CV−1Dを使用した。流動性は60cp以下であるものを合格とした。
<実施例1−1>
温度計、撹拌装置、冷却管を備えた内容量5Lの三口フラスコにフェノールノボラック樹脂(LV70S:群栄化学株式会社製、Mw:475、Mn:453、Mw/Mn:1.05)525g、エピクロルヒドリン2122g、イソプロピルアルコール827gを仕込み、40℃に昇温して均一に溶解させた後、48.5重量%の水酸化ナトリウム水溶液489gを120分かけて滴下した。その間に徐々に昇温し、滴下終了後には系内が65℃になるようにした。その後、65℃で30分保持し反応を完了させ、水洗により副生塩及び過剰の水酸化ナトリウムを除去した。ついで、生成物から減圧下で過剰のエピクロルヒドリンとイソプロパノールを留去して、粗製エポキシ樹脂を得た。この粗製エポキシ樹脂をメチルイソブチルケトン810gに溶解し、48.5重量%の水酸化ナトリウム水溶液15gを加え、65℃の温度で1時間再び反応させた。その後、反応液に第一リン酸ナトリウム水溶液を加えて、過剰の水酸化ナトリウムを中和し、水洗して副生塩を除去した。次いで、減圧下でメチルイソブチルケトンを完全に除去して、目的の多官能エポキシ樹脂組成物750gを得た。この多官能エポキシ樹脂組成物について前記1−1)、1−2)、1−3)の方法でエポキシ当量、重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)及び分子量分布(Mw/Mn)、並びに流動性をそれぞれ求めた。これらの結果を表−1に示す。
比較例1−1〜1−3においては、それぞれ下記に示すA〜Cの多官能エポキシ樹脂組成物を使用し、これらについて前記1−1)〜1−3)の方法でエポキシ当量、重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)及び分子量分布(Mw/Mn)、並びに流動性をそれぞれ求めた。これらの結果を表−1に示す。
A:日本化薬株式会社製 EOCN−102S エポキシ当量211g/当量、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂
B:三菱化学株式会社製 jER(登録商標) 154 エポキシ当量178g/eq、フェノールノボラック型エポキシ樹脂
C:三菱化学株式会社製 jER(登録商標) 152 エポキシ当量175g/eq、フェノールノボラック型エポキシ樹脂
2−1)ガラス転移温度(Tg)
硬化物を、SIIナノテクノロジー(株)製「DSC7020」を使用し、30〜300℃まで10℃/minで昇温して測定した。
<実施例2−1>
実施例1−1で合成したエポキシ樹脂組成物100重量部と3−メチル−1,2,3,6−テトラヒドロ無水フタル酸と4−メチル−1,2,3,6−テトラヒドロ無水フタル酸の混合物(日立化成工業株式会社製 HN−2200)86重量部とを混合し、80℃で20分攪拌した後、60℃まで温度を下げて1−ベンジル−2−メチルイミダゾール(三菱化学株式会社製 jERキュア(登録商標)IBMI12)1重量部を加えて5分攪拌して硬化性エポキシ樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物を80℃で4時間、更に180℃で4時間加温して硬化物を得た。得られた硬化物について、前記2−1)の方法にてガラス転移温度(Tg)を測定した。測定した結果を表−2に示す。
D:日立化成工業株式会社製 HN−2200、3−メチル−1,2,3,6−テトラヒドロ無水フタル酸と4−メチル−1,2,3,6−テトラヒドロ無水フタル酸の混合物
E:三菱化学株式会社製 jERキュア(登録商標) IBMI12、1−イソブチル−2−メチルイミダゾール
表−2の配合比率とした以外は実施例2−1と同様の方法で硬化性エポキシ樹脂組成物を得た後、同様にして硬化物を得た。得られた硬化物について、実施例2−1と同様、ガラス転移温度(Tg)を測定した。測定した結果を表−2に示す。
表−1及び表−2からわかるように、本発明のエポキシ樹脂を用いた実施例1−1及び実施例2−1のそれぞれは比較例1−1〜1−3及び比較例2−1〜2−3に対してエポキシ樹脂の流動性と硬化物における耐熱性のバランスに優れたものであった。特に、実施例1−1と比較例1−1及び比較例1−2との比較から、4核体の含有量を下げ、3核体の含有量を上げることで流動性が向上することが示された。また、実施例2−1と比較例2−3との比較から、2核体の含有量を下げ、3核体の含有量を上げることで耐熱性が向上することが示された。
Claims (7)
- 分子量分布(Mw/Mn)が2.5以下である請求項1に記載の多官能エポキシ樹脂組成物。
- 請求項1又は2に記載の多官能エポキシ樹脂組成物と硬化剤とを含む、硬化性エポキシ樹脂組成物。
- 前記多官能エポキシ樹脂組成物100重量部に対し、前記硬化剤0.1〜300重量部を含む、請求項3に記載の硬化性エポキシ樹脂組成物。
- 前記硬化剤が、フェノール系硬化剤、アミン系硬化剤、イミダゾール類及び酸無水物系
硬化剤からなる群のうちの少なくとも1種である、請求項3又は4に記載の硬化性エポキシ樹脂組成物。 - 請求項3乃至5のいずれか1項に記載の硬化性エポキシ樹脂組成物を硬化させてなる硬化物。
- 以下の工程(A)〜工程(D)を経由することを特徴とする請求項1又は2に記載の硬化性エポキシ樹脂組成物の製造方法。
工程(A):下記式(3)で表される多官能フェノール化合物の混合物(以下「原料多官能フェノール樹脂組成物」と称することがある。)であって、該多官能フェノール化合物の混合物中に占める式(3)中のm=1の成分割合が0.1〜5重量%、m=2の成分割合が40〜80重量%、m=3の成分割合が1〜25重量%であるものを、該原料多官能フェノール樹脂組成物のフェノール性水酸基1当量あたり1〜20当量のエピハロヒドリンに溶解させて均一な溶液とする工程。
工程(B):上記の溶液を撹拌しながら、フェノール性水酸基1当量あたり、0.5〜2.0当量に相当する量のアルカリ金属水酸化物を固体又は水溶液として、常圧又は減圧下で、常圧の場合は20〜150℃、減圧下の場合は20〜100℃で、反応液を共沸させながら0.5〜8時間掛けて添加して反応させる工程。
工程(C):所定時間経過後、不溶性の副生塩を濾別又は水洗により除去する工程。
工程(D):未反応のエピハロヒドリンを減圧留去して、目的とする多官能エポキシ樹脂組成物を取得する工程。
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