JP2014024907A - エポキシ樹脂、エポキシ樹脂組成物及び硬化物 - Google Patents

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Abstract

【課題】硬化性、及び硬化物特性としての耐熱性に優れるエポキシ樹脂、エポキシ樹脂組成物及び硬化物を提供する。
【解決手段】3官能以上のエポキシ樹脂(A)と、多価フェノール化合物(B)とを反応させて得られる多官能エポキシ樹脂を、炭素数1〜4のアルコールと接触させて得られ、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーチャートにおける重量平均分子量(Mw)300以下の成分割合が8%以下であることを特徴とするエポキシ樹脂による。また、該エポキシ樹脂と硬化剤とを含むエポキシ樹脂組成物及び該エポキシ樹脂組成物を硬化してなる硬化物による。
【選択図】なし

Description

本発明は、エポキシ樹脂、エポキシ樹脂組成物及び硬化物に関する。より詳細には本発明は、硬化物特性としての耐熱性及び耐衝撃性に優れるエポキシ樹脂、エポキシ樹脂組成物及び硬化物に関する。
エポキシ樹脂は、流動性、硬化性等の成形性に優れ、機械的強度、耐熱性、耐湿性、電気特性等に優れた硬化物を与えるために電気・電子部品の封止材料、成形材料、注型材料、積層材料、複合材料、接着剤及び塗料等の幅広い分野に利用されている。
しかしながら、エポキシ樹脂は幅広い分子量分布を有しているため、硬化させる際の硬化速度に差があり硬化が不均一となったり、未反応の低分子成分が残存する問題がある。また、電気・電子部品の薄型化に伴い、エポキシ樹脂の耐熱性に対する要求が高まってきており従来の樹脂ではその要求に対応できなくなってきた。
特許文献1では、低級アルコールにて低分子成分を低減もしくは除去した精製ビスフェノール型エポキシ樹脂について記載されている。また、特許文献2では、多官能エポキシ樹脂、ビスフェノール類、及びビスフェノール型エポキシ樹脂を反応させて得られるエポキシ樹脂について記載されている。
特開平7−49552号公報 特開平6−206981号公報
本発明者らの詳細な検討によれば、特許文献1に記載されているのは2官能の精製ビスフェノール型エポキシ樹脂に関するものであり、硬化した際の架橋密度が低く、十分な硬化性、耐熱性が得られないという問題が見出された。また、特許文献2に記載されているものは低分子成分を除去する工程を含んでいないことから、十分な硬化性、耐熱性が得られないという問題が見出された。更に、本発明者らの検討によれば、多官能エポキシ樹脂の低分子成分を除去して得られたエポキシ樹脂の場合、硬化物の架橋点間の距離が短くなるため、耐衝撃性が十分に発現されないという問題点が見出された。本発明は、上記の問題点を解決し、硬化性に優れ、硬化物としたときの耐熱性、耐衝撃性に優れるエポキシ樹脂、エポキシ樹脂組成物及び硬化物を提供することを目的とするものである。
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討した結果、3官能以上のエポキシ樹脂を、多価フェノール化合物と反応させ、更に低級アルコールと接触させて得られるエポキシ樹脂が、従来のエポキシ樹脂と比較して硬化性に優れ、また、特に耐熱性においては低級アルコールと接触させていないエポキシ樹脂を硬化させたものと比較して耐熱性が大きく向上することを見出し、本発明を完成したものである。即ち、本発明の要旨は以下の[1]〜[13]に存する。
[1] 3官能以上のエポキシ樹脂(A)と、多価フェノール化合物(B)とを反応させて得られる多官能エポキシ樹脂を、炭素数1〜4のアルコールと接触させて得られ、ゲル
パーミエーションクロマトグラフィーチャートにおける重量平均分子量(Mw)300以下の成分割合が8%以下であることを特徴とするエポキシ樹脂。
[2] 前記接触により、前記多官能エポキシ樹脂中の重量平均分子量(Mw)300以下の成分を抽出除去させる、[1]に記載のエポキシ樹脂。
[3] 前記多官能エポキシ樹脂が更に2官能エポキシ樹脂(C)を反応させて得られたものである、[1]又は[2]に記載のエポキシ樹脂。
[4] 前記多官能エポキシ樹脂を、炭素数1〜4のアルコールと接触させるに際し、該多官能エポキシ樹脂の親溶媒の存在下で接触させて得られる、[1]乃至[3]のいずれか1つに記載のエポキシ樹脂。
[5] 前記3官能以上のエポキシ樹脂(A)が、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノール変性キシレン樹脂型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂及びビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂からなる群のうちの少なくとも1つである、[1]乃至[4]のいずれか1つに記載のエポキシ樹脂。
[6] エポキシ当量が170〜500g/当量である、[1]乃至[5]のいずれか1つに記載のエポキシ樹脂。
[7] 前記多価フェノール化合物(B)が、ビスフェノール類、ビフェノール類、ベンゼンジオール類、フェノールノボラック樹脂類及びビスフェノール系ノボラック樹脂類からなる群のうちの少なくとも1つである、[1]乃至[6]のいずれか1つに記載のエポキシ樹脂。
[8] 前記2官能エポキシ樹脂(C)が、ビスフェノール型エポキシ樹脂類、又はビフェノール型エポキシ樹脂類である、[1]乃至[7]のいずれか1つに記載のエポキシ樹脂。
[9] 前記多官能エポキシ樹脂の親溶媒が、ケトン系溶媒、芳香族系溶媒及びグリコールエーテル系溶媒からなる群のうちの少なくとも1つである、[1]乃至[8]のいずれか1つに記載のエポキシ樹脂。
[10] [1]乃至[9]のいずれか1つに記載のエポキシ樹脂と硬化剤とを含む、エポキシ樹脂組成物。
[11] 前記エポキシ樹脂100重量部に対し、前記硬化剤を0.1〜200重量部を含む、[10]に記載のエポキシ樹脂組成物。
[12] 前記硬化剤が、フェノール系硬化剤、アミン系硬化剤、イミダゾール類及び酸無水物系硬化剤からなる群のうちの少なくとも1種である、[10]又は[11]に記載のエポキシ樹脂組成物。
[13] [10]乃至[12]のいずれか1つに記載のエポキシ樹脂組成物を硬化させてなる硬化物。
本発明によれば、耐熱性及び耐衝撃性に優れたエポキシ樹脂、エポキシ樹脂組成物及び
硬化物が提供される。これらの特長を有することから、本発明のエポキシ樹脂、エポキシ樹脂組成物及び硬化物は、電気・電子材料、CFRP(炭素繊維強化樹脂)、接着剤及び塗料等の分野において応用展開が可能である。
以下に本発明の実施の形態を詳細に説明するが、本発明は以下の説明に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、任意に変形して実施することができる。本明細書において、「〜」を用いてその前後に数値又は物性値を挟んで表現する場合、その前後の値を含むものとして用いることとする。
〔エポキシ樹脂〕
本発明のエポキシ樹脂は、3官能以上のエポキシ樹脂(A)と、多価フェノール化合物(B)とを反応させて得られる多官能エポキシ樹脂を、炭素数1〜4のアルコールと接触させて得られ、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーチャートにおける重量平均分子量(Mw)300以下の成分割合が8%以下であることを特徴とする。本発明のエポキシ樹脂は、従来公知のエポキシ樹脂と比較して、耐熱性及び耐衝撃性に優れるという特長を有する。これらの特長を有する原因は定かではないが、耐熱性については原料として3官能以上のエポキシ樹脂(A)と多価フェノール化合物(B)とを用いて得られた多官能エポキシ樹脂の低分子量成分を除去することで架橋密度が高められたことに起因するものと考えられ、一方、耐衝撃性については原料として3官能以上のエポキシ樹脂(A)を用いて多価フェノール化合物(B)により鎖長延長させることにより架橋点間距離が長くなったことに起因するものと考えられる。
<3官能以上のエポキシ樹脂(A)>
本発明で使用する3官能以上のエポキシ樹脂(A)としては、分子内にエポキシ基を2個より多く有する化合物であればどのようなものでもよい。例えば、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、ナフトールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、フェノール変性キシレン型エポキシ樹脂、トリフェノールメタン型エポキシ樹脂、テトラフェノールエタン型エポキシ樹脂や、これら種々のフェノール類と、ヒドロキシベンズアルデヒド、クロトンアルデヒド、グリオキザール等の種々のアルデヒド類との縮合反応で得られる多価フェノール樹脂類、重質油又はピッチ類とフェノール類とホルムアルデヒド類との共縮合樹脂等の各種のフェノール系化合物等を使用したエポキシ樹脂が挙げられる。以上に挙げた多官能エポキシ樹脂は、1種のみでも複数種を組み合わせ使用することもできる。
これらの中でも耐熱性と耐衝撃性のバランスの観点から、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノール変性キシレン樹脂型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂等が好ましい。
本発明に用いる3官能以上のエポキシ樹脂(A)は、エポキシ当量が170g/当量以上であることが好ましく、175g/当量以上であることがより好ましく、200g/当量以上であることが更に好ましい。一方、多官能エポキシ樹脂のエポキシ当量は400g/当量以下であることが好ましく、350g/当量以下であることがより好ましく、300g/当量以下であることが更に好ましく、280g/当量以下であることが最も好ましい。多官能エポキシ樹脂のエポキシ当量が、上記下限値以上であるとハンドリングの観点で好ましく、一方、上記上限値以下であると硬化性及び耐熱性を向上させる観点で好ましい。
3官能以上のエポキシ樹脂(A)は市販品として入手することができる。市販品としては例えば、三菱化学株式会社製「jER(登録商標)154」、三菱化学株式会社製「jER(登録商標)157S70」、三菱化学株式会社製「jER(登録商標)YX7700」、日本化薬株式会社製「EOCN102S70」等が挙げられる。
<多価フェノール化合物(B)>
本発明で使用する多価フェノール(B)としては、水酸基が芳香環に結合したものを2個以上有する化合物であればどのようなものでもよい。例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールE、ビスフェノールZ、ビスフェノールS、ビスフェノールAD、ビスフェノールアセトフェノン、ビスフェノールトリメチルシクロヘキサン、ビスフェノールフルオレン、テトラメチルビスフェノールA、テトラメチルビスフェノールF、テトラ−t−ブチルビスフェノールA、テトラメチルビスフェノールS等のビスフェノール類;ビフェノール、テトラメチルビフェノール、ジメチルビフェノール、テトラ−t−ブチルビフェノール等のビフェノール類;ハイドロキノン、メチルハイドロキノン、ジブチルハイドロキノン、レゾルシン、メチルレゾルシン等のベンゼンジオール類(ここで、「ベンゼンジオール類とは、1つのベンゼン環を有する化合物であって、当該ベンゼン環に2つの水酸基が直接結合した化合物である。);ジヒドロアントラハイドロキノン類;ジヒドロキシジフェニルエーテル等のジヒドロキシジフェニルエーテル類;チオジフェノール等のチオジフェノール類;ジヒドロキシナフタレン等のジヒドロキシナフタレン類;ジヒドロキシスチルベン等のジヒドロキシスチルベン類;フェノールノボラック樹脂類、クレゾールノボラック樹脂類、ビスフェノールAノボラック樹脂等のビスフェノール系ノボラック樹脂類;ナフトールノボラック樹脂、フェノールアラルキル樹脂、テルペンフェノール樹脂、ジシクロペンタジエンフェノール樹脂、フェノールビフェニレン樹脂、フェノール変性キシレン樹脂等の種々のフェノール樹脂類や、これら種々のフェノール類と、ヒドロキシベンズアルデヒド、クロトンアルデヒド、グリオキザール等の種々のアルデヒド類との縮合反応で得られる多価フェノール樹脂類、重質油又はピッチ類とフェノール類とホルムアルデヒド類との共縮合樹脂等の各種のフェノール系化合物等が挙げられる。以上に挙げた多価フェノール化合物(B)は、1種のみでも複数種を組み合わせて使用することもできる。
これらの多価フェノール化合物(B)の中でも、ビスフェノール類、ビフェノール類、ベンゼンジオール類、フェノールノボラック樹脂類が好ましく、ビスフェノール類、ビフェノール類、フェノールノボラック樹脂類がより好ましく、ビスフェノール類、ビフェノール類が更に好ましい。ビスフェノール類の中ではビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ビスフェノールアセトフェノンが好ましく、ビフェノール類の中では4,4’−ビフェノール、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ビフェノールが好ましく、ベンゼンジオール類の中ではレゾルシン、ハイドロキノンが好ましく、フェノールノボラック樹脂類の中ではフェノールノボラック樹脂が好ましい。
多価フェノール化合物(B)は、フェノール性水酸基当量が55g/当量以上であることが好ましく、75g/当量以上であることがより好ましく、95g/当量以上であることが更に好ましい。一方、多価フェノール化合物(B)のフェノール性水酸基当量は500g/当量以下であることが好ましく、350g/当量以下であることがより好ましく、200g/当量以下であることが更に好ましく、100g/当量以下であることが特に好ましい。多価フェノール化合物(B)のフェノール性水酸基当量が、上記下限値以上であると耐衝撃性の観点で好ましく、一方、上記上限値以下であると耐熱性を向上させる観点で好ましい。
<2官能エポキシ樹脂(C)>
本発明のエポキシ樹脂は原料として更に、2官能エポキシ樹脂(C)を用いることが耐衝撃性改良の観点から好ましく、該2官能エポキシ樹脂(C)は、分子内に2個のエポキシ基を有する化合物であればどのようなものでもよい。例えば、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、ビスフェノールEジグリシジルエーテル、ビスフェノールZジグリシジルエーテル、ビスフェノールSジグリシジルエーテル、ビスフェノールADジグリシジルエーテル、ビスフェノールアセトフェノンジグリシジルエーテル、ビスフェノールトリメチルシクロヘキサンジグリシジルエーテル、ビスフェノールフルオレンジグリシジルエーテル、テトラメチルビスフェノールAジグリシジルエーテル、テトラメチルビスフェノールFジグリシジルエーテル、テトラ−t−ブチルビスフェノールAジグリシジルエーテル、テトラメチルビスフェノールSジグリシジルエーテル等のビスフェノール系ジグリシジルエーテル類;ビフェノールジグリシジルエーテル、テトラメチルビフェノールジグリシジルエーテル、ジメチルビフェノールジグリシジルエーテル、テトラ−t−ブチルビフェノールジグリシジルエーテル等のビフェノール系ジグリシジルエーテル類;ハイドロキノンジグリシジルエーテル、メチルハイドロキノンジグリシジルエーテル、ジブチルハイドロキノンジグリシジルエーテル、レゾルシンジグリシジルエーテル、メチルレゾルシンジグリシジルエーテル等のベンゼンジオール系ジグリシジルエーテル類;ジヒドロアントラハイドロキノンジグリシジルエーテル、ジヒドロキシジフェニルエーテルジグリシジルエーテル、チオジフェノールジグリシジルエーテル、ジヒドロキシナフタレンジグリシジルエーテル、これらのエポキシ樹脂の芳香環に水素を添加したタイプのエポキシ樹脂、アジピン酸、コハク酸、フタル酸、テトラヒドロフタル酸、メチルヘキサヒドロフタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、オルソフタル酸、ビフェニルジカルボン酸、ダイマー酸等の種々のカルボン酸類と、エピハロヒドリンとから製造されるエポキシ樹脂、ジアミノジフェニルメタン、アミノフェノール、キシレンジアミン等の種々のアミン化合物と、エピハロヒドリンとから製造されるエポキシ樹脂、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、ポリテトラメチレングリコールジグリシジルエーテル、1,5−ペンタンジオールジグリシジルエーテル、ポリペンタメチレングリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ポリヘキサメチレングリコールジグリシジルエーテル、1,7−ヘプタンジオールジグリシジルエーテル、ポリヘプタメチレングリコールジグリシジルエーテル、1,8−オクタンジオールジグリシジルエーテル、1,10−デカンジオールジグリシジルエーテル、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオールジグリシジルエーテル等の鎖状構造のみからなる(ポリ)アルキレングリコールジグリシジルエーテル、1,4−シクロヘキサンジメタノールジグリシジルエーテル等の環状構造を有するアルキレングリコールジグリシジルエーテル等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。以上に挙げた2官能エポキシ樹脂(C)は1種のみでも複数種を組み合わせて使用することもできる。
更に、2官能エポキシ樹脂(C)が、ビスフェノール系ジグリシジルエーテル類、ビフェニル系ジグリシジルエーテル類、ポリアルキレンポリオール系ジグリシジルエーテル類であることが好ましく、特にビスフェノール系ジグリシジルエーテル類、ビフェニル系ジグリシジルエーテル類であることが好ましい。
2官能エポキシ樹脂(C)のエポキシ当量は特に制限されないが、2,000g/当量以下が好ましく、1,000g/当量以下がより好ましい。前記上限値以下のものが低粘度であり取り扱いが容易である点、末端基純度が高い点等から好ましい。一方、下限は特に制限されないが、通常、2官能エポキシ樹脂(C)として該当するものは100g/当量以上である。
<原料の配合量>
本発明における原料多官能エポキシ樹脂を製造する際の3官能以上のエポキシ樹脂(A)と多価フェノール化合物(B)との配合比率としては、[3官能以上のエポキシ樹脂(A)のエポキシ基量]:[多価フェノール化合物(B)のフェノール性水酸基量]の比が、好ましくは30.0:1〜1.05:1の範囲であり、より好ましくは20.0:1〜1.20:1、更に好ましくは10.0:1〜1.40:1の範囲である。また、3官能以上のエポキシ樹脂(A)の使用割合としては、本発明のエポキシ樹脂中の固形分に対して10〜99重量%であることが好ましく、より好ましくは20〜97重量%であり、更に好ましくは50〜95重量%であることが耐熱性、耐クラック性を共に優れたものとする点で好ましい。
また、本発明において2官能エポキシ樹脂(C)を使用する場合、配合比率としては、[3官能以上のエポキシ樹脂(A)のエポキシ基量及び2官能エポキシ樹脂(C)のエポキシ基量の重量平均]:[多価フェノール化合物(B)のフェノール性水酸基量]の比が、好ましくは30.0:1〜1.05:1の範囲であり、より好ましくは20.0:1〜1.20:1、更に好ましくは10.0:1〜1.40:1の範囲である。また、3官能以上のエポキシ樹脂(A)の使用割合としては、本発明のエポキシ樹脂中の固形分に対して10〜99重量%であることが好ましく、より好ましくは20〜97重量%であることが、更に好ましくは50〜95重量%であることが耐熱性、耐クラック性を共に優れたものとする点で好ましい。
<炭素数1〜4のアルコール>
本発明のエポキシ樹脂は、その製造工程において、3官能以上のエポキシ樹脂(A)、多価フェノール化合物(B)を反応させて得られる多官能エポキシ樹脂、又は3官能以上のエポキシ樹脂(A)、多価フェノール化合物(B)及び2官能エポキシ樹脂(C)を反応させて得られる多官能エポキシ樹脂に対し、これらの貧溶媒である炭素数1〜4のアルコール(本発明において、炭素数1〜4のアルコールを「低級アルコール」と称することがある。)に接触させる。この操作により低分子量成分が選択的に除去され、硬化性及び耐熱性向上の効果を得ることができる。なお、本発明においては低級アルコールには、エーテル結合、エステル結合、アミド結合等の炭素間に炭素原子以外の原子が結合された分子は含まれず、後述する親溶媒における「グリコールエーテル系溶媒」等とは区別されるものである。
低級アルコールとしては、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、2―メチル−1−プロパノール、2−メチル−2−プロパノールが挙げられる。これらの中でも炭素数1〜2のアルコール、即ちメタノール、エタノールが好ましい。以上で挙げた低級アルコールは1種のみでも2種以上を組み合わせて用いてもよいが、生産性の観点から2種以上を組み合わせて用いることが好ましい。
低級アルコールの使用量はエポキシ樹脂100重量部に対して通常50重量部以上であり、好ましくは100重量部以上である。一方、通常5000重量部以下であり、好ましくは3000重量部以下であり、より好ましくは1000重量部以下であり、特に好ましくは500重量部以下である。
<親溶媒>
本発明のエポキシ樹脂は、その製造工程において、前記多官能エポキシ樹脂を、該多官能エポキシ樹脂の貧溶媒である低級アルコールと接触させるに際し、該多官能エポキシ樹脂の親溶媒の存在下で接触させることが好ましい。溶融状態で低級アルコールに接触している多官能エポキシ樹脂に対し、更に親溶媒を用いることで高軟化点の多官能エポキシ樹脂を溶解しやすくすることができる。なお、本発明において「親溶媒」とは低級アルコー
ルを除く有機溶媒であって、エポキシ樹脂を溶解しうるもの意味する。
多官能エポキシ樹脂の親溶媒としては、芳香族系溶媒、ケトン系溶媒、アミド系溶媒、グリコールエーテル系溶媒等が挙げられる。芳香族系溶媒の具体例としては、ベンゼン、トルエン、キシレン等が挙げられる。ケトン系溶媒としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、2−ヘプタノン、4−ヘプタノン、2−オクタノン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、アセチルアセトン等が挙げられる。アミド系溶媒の具体例としては、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、2−ピロリドン、N−メチルピロリドン等が挙げられる。グリコールエーテル系溶媒の具体例としては、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等が挙げられる。
以上に挙げた親溶媒は1種のみでも2種以上を組み合わせて使用することもできる。また、親溶媒の使用量はエポキシ樹脂100重量部に対して好ましくは5重量部以上であり、より好ましくは10重量部以上であり、一方、好ましくは200重量部以下であり、より好ましくは150重両部以下であり、更に好ましくは100重量部以下である。親溶媒の使用量が上記下限値以上であるとエポキシ樹脂が均一溶融状態となりやすくなるために好ましく、一方、上記上限値以下であると収率の観点から好ましい。
また、親溶媒を用いる場合、親溶媒と低級アルコールとの重量比[親溶媒の重量]/[低級アルコールの重量]が、1/100以上であることが好ましく、5/100以上であることがより好ましく、一方、100/100以下であることが好ましく、75/100以下であることがより好ましい。[親溶媒の重量]/[低級アルコールの重量]が上記下限値以上であるとエポキシ樹脂が均一溶融状態となりやすくなるために好ましく、また、上記上限値以下であると収率の観点で好ましい。
<重量平均分子量(Mw)>
本発明のエポキシ樹脂の重量平均分子量(Mw)は、取り扱い性の観点から、500以上が好ましく、700以上がより好ましく、900以上が更に好ましく、一方、硬化性の観点から、6,000以下が好ましく、5,000以下がより好ましい。なお、エポキシ樹脂の重量平均分子量及び数平均分子量はゲルパーミエーションクロマトグラフィー法(GPC法)により測定することができる。より詳細な方法の例について後述の実施例において説明する。
本発明のエポキシ樹脂は低分子量成分が除去されたものであることによりエポキシ樹脂の硬化性が均一化されたものとなり、また、耐熱性が向上する。本発明においては、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーチャートにおける重量平均分子量(Mw)300以下の成分割合を低分子量成分の量の指標とする。エポキシ樹脂の硬化性及び耐熱性を優れたものとするためには重量平均分子量(Mw)300以下の成分割合が少ない方が好ましく、本発明のエポキシ樹脂は、Mw300以下の成分割合が8%以下であり、好ましくは7%以下であり、より好ましくは6%以下である。なお、エポキシ樹脂の重量平均分子量及び数平均分子量はゲルパーミエーションクロマトグラフィー法(GPC法)により測定することができる。より詳細な方法の例について後述の実施例において説明する。
<エポキシ当量>
本発明のエポキシ樹脂は、取り扱い性の観点から、エポキシ当量が120g/当量以上が好ましく、170g/当量以上がより好ましく、一方、硬化性及び耐熱性を向上させる観点から、800g/当量以下が好ましく、500g/当量以下がより好ましい。なお、本発明において「エポキシ当量」とは、「1当量のエポキシ基を含むエポキシ樹脂の質量」と定義され、JIS K7236に準じて測定することができる。
<エポキシ樹脂の製造方法>
本発明のエポキシ樹脂は、3官能以上のエポキシ樹脂(A)と、多価フェノール化合物(B)とを反応させて得られる多官能エポキシ樹脂を、炭素数1〜4のアルコールと接触させて得ることができる。すなわち、本発明のエポキシ樹脂を製造する工程は、多官能エポキシ樹脂の製造工程、及び多官能エポキシ樹脂と低級アルコールとの接触工程に分けられる。
[多官能エポキシ樹脂の製造工程]
本発明に用いる多官能エポキシ樹脂は、3官能以上のエポキシ樹脂(A)、多価フェノール化合物(B)を反応させて、又は3官能以上のエポキシ樹脂(A)、多価フェノール化合物(B)及び2官能エポキシ樹脂(C)を反応させて得られる。これらの反応においては通常、触媒が用いられる。用いることのできる触媒は、エポキシ基とフェノール性水酸基、アルコール性水酸基やカルボキシル基との反応を進めるような触媒能を持つ化合物であればどのようなものでもよい。例えば、アルカリ金属化合物、有機リン化合物、第3級アミン、第4級アンモニウム塩、環状アミン類、イミダゾール類等があげられる。以下にあげる触媒は1種のみで使用することもできるが、2種以上を任意の組み合わせで用いることもできる。
アルカリ金属化合物の具体例としては、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化カリウム、等のアルカリ金属水酸化物、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化リチウム、塩化カリウム等のアルカリ金属塩、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド等のアルカリ金属アルコキシド、アルカリ金属フェノキシド、水素化ナトリウム、水素化リチウム等、酢酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム等の有機酸のアルカリ金属塩が挙げられる。
有機リン化合物の具体例としては、トリ−n−プロピルホスフィン、トリ−n−ブチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、テトラメチルホスフォニウムブロマイド、テトラメチルホスフォニウムアイオダイド、テトラメチルホスフォニウムハイドロオキサイド、トリメチルシクロヘキシルホスホニウムクロライド、トリメチルシクロヘキシルホスホニウムブロマイド、トリメチルベンジルホスホニウムクロライド、トリメチルベンジルホスホニウムブロマイド、テトラフェニルホスホニウムブロマイド、トリフェニルメチルホスホニウムブロマイド、トリフェニルメチルホスホニウムアイオダイド、トリフェニルエチルホスホニウムクロライド、トリフェニルエチルホスホニウムブロマイド、トリフェニルエチルホスホニウムアイオダイド、トリフェニルベンジルホスホニウムクロライド、トリフェニルベンジルホスホニウムブロマイド等が挙げられる。
第3級アミンの具体例としては、トリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、トリエタノールアミン、ベンジルジメチルアミン等が挙げられる。
第4級アンモニウム塩の具体例としては、テトラメチルアンモニウムクロライド、テトラメチルアンモニウムブロマイド、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド、トリエチルメチルアンモニウムクロライド、テトラエチルアンモニウムクロライド、テトラエ
チルアンモニウムブロマイド、テトラエチルアンモニウムアイオダイド、テトラプロピルアンモニウムブロマイド、テトラプロピルアンモニウムハイドロオキサイド、テトラブチルアンモニウムクロライド、テトラブチルアンモニウムブロマイド、テトラブチルアンモニウムアイオダイド、ベンジルトリメチルアンモニウムクロライド、ベンジルトリメチルアンモニウムブロマイド、ベンジルトリメチルアンモニウムハイドロオキサイド、ベンジルトリブチルアンモニウムクロライド、フェニルトリメチルアンモニウムクロライド、等が挙げられる。
イミダゾール類の具体例としては、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール等が挙げられる。
環状アミン類の具体例としては、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)−7−ウンデセン、1,5ジアザビシクロ(4,3,0)−5−ノネン等が挙げられる。
本発明に用いる多官能エポキシ樹脂は、その製造時の合成反応の工程において、溶媒を用いてもよく、その溶媒としては、原料を溶解するものであれば、どのようなものでもよい。例えば、芳香族系溶媒、ケトン系溶媒、アミド系溶媒、グリコールエーテル系溶媒等が挙げられる。なお、これらの溶媒が親溶媒に該当するものであれば、反応時の溶媒のみならず、そのまま低級アルコールと接触させる際に用いる親溶媒として利用することもできる。
芳香族系溶媒の具体例としては、ベンゼン、トルエン、キシレン等が挙げられる。ケトン系溶媒としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、2−ヘプタノン、4−ヘプタノン、2−オクタノン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、アセチルアセトン等が挙げられる。
アミド系溶媒の具体例としては、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、2−ピロリドン、N−メチルピロリドン等が挙げられる。
グリコールエーテル系溶媒の具体例としては、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等が挙げられる。
以上に挙げた溶媒は1種のみでも2種以上を組み合わせて使用することもできる。また、反応途中で高粘性生成物が生じたときは溶媒を添加して反応を続けることができる。
本発明のエポキシ樹脂は、3官能以上のエポキシ樹脂(A)、多価フェノール化合物(B)を反応させて、又は3官能以上のエポキシ樹脂(A)、多価フェノール化合物(B)及び2官能エポキシ樹脂(C)を反応させて得られる多官能エポキシ樹脂を、後述するように貧溶媒である低級アルコールと混合させて通常、加熱されるものであり、このとき貧溶媒の沸点以下で多官能エポキシ樹脂が軟化することが好ましい。このため、具体的には多官能エポキシ樹脂の軟化点は、120℃以下であることが好ましく、110℃以下であることがより好ましく、100℃以下であることが更に好ましく、90℃以下であることが特に好ましい。
[多官能エポキシ樹脂と低級アルコールとの接触工程]
本発明のエポキシ樹脂は、前述したようにして得られた多官能エポキシ樹脂を、該多官能エポキシ樹脂の貧溶媒である低級アルコールと接触させることにより得ることができる。ここで、該接触とは少なくとも多官能エポキシ樹脂中の重量平均分子量(Mw)が300以下の成分を抽出除去することを意味する。
まず、通常、原料の多官能エポキシ樹脂を低級アルコールと、また、必要に応じて親溶媒を混合し、通常、加熱する。この加熱温度は原料の多官能エポキシ樹脂の軟化点温度以上、低級アルコールの沸点以下で実施することが好ましく、通常50℃以上であり、60℃以上であることが好ましく、一方、通常120℃以下であり、110℃以下であることがより好ましく、100℃以下であることが更に好ましく、85℃以下であることが特に好ましい。なお、多官能エポキシ樹脂を低級アルコール等と混合する際には窒素ガス等の不活性ガス雰囲気下で混合することが多官能エポキシ樹脂の酸化劣化を防ぐ観点、及び安全性の観点から好ましい。
この接触時間は、通常5分以上であり、好ましくは15分以上であり、一方、通常5時間以下であり、好ましくは3時間以下であり、より好ましくは1時間以下である。また、この接触処理の圧力条件は、常圧下、減圧下又は加圧下のいずれでも構わない。
その後、加熱・撹拌を停止し静置する。低級アルコールが原料として用いる多官能エポキシ樹脂の貧溶媒であるため、多官能エポキシ樹脂を主成分とする下層と、低分子成分を溶解した低級アルコールを主成分とする上層とが分離する。この分離した上層を除いて得られる下層から必要に応じて使用する親溶媒及び少量含まれている低級アルコールを高温、減圧下で蒸発させて除けば、目的とする低分子量成分の少ない多官能エポキシ樹脂を得ることができる。
低級アルコールとの混合・撹拌・接触処理は1回のみでなくともよく、数回の操作を繰り返し行ってもよい。その回数に応じてエポキシ樹脂中の低分子量成分の含有量を所望の量にまで容易に低下させることができる。生産性の観点から3〜6回処理するのが好ましい。
〔エポキシ樹脂組成物〕
本発明のエポキシ樹脂組成物は、少なくとも前述した本発明のエポキシ樹脂と、硬化剤とを含むものである。また、本発明のエポキシ樹脂組成物には、必要に応じて、他のエポキシ樹脂、溶剤等を適宜配合することができる。本発明のエポキシ樹脂組成物は硬化性に優れ、また、硬化させたときに顕著に耐熱性に優れた硬化物を与えることができる。
<硬化剤>
本発明において硬化剤とは、エポキシ樹脂のエポキシ基間の架橋反応及び/又は鎖長延長反応に寄与する物質を示す。なお、本発明においては通常、「硬化促進剤」と呼ばれるものであってもエポキシ樹脂のエポキシ基間の架橋反応及び/又は鎖長延長反応に寄与する物質であれば、硬化剤とみなすこととする。
本発明のエポキシ樹脂組成物中の硬化剤の含有量は、本発明のエポキシ樹脂100重量部に対して好ましくは0.1〜200重量部である。また、より好ましくは100重量部以下であり、更に好ましくは75重量部以下であり、特に好ましくは50重量部以下である。一方、より好ましくは0.5重量部以上である。
本発明のエポキシ樹脂組成物において、後述する他のエポキシ樹脂が含まれる場合には
、硬化剤の含有量は、固形分としての全エポキシ樹脂成分100重量部に対して好ましくは0.1〜225重量部である。また、より好ましくは175重量部以下であり、更に好ましくは125重量部以下であり、特に好ましくは105重量部以下であり、一方、より好ましくは0.5重量部以上である。本発明において、「固形分」とは溶媒を除いた成分を意味し、固体のエポキシ樹脂のみならず、半固形や粘稠な液状物のものをも含むものとする。また、「全エポキシ樹脂成分」とは、本発明のエポキシ樹脂と後述する他のエポキシ樹脂との合計を意味する。
本発明のエポキシ樹脂組成物に用いる硬化剤としては、特に制限はなく一般的に硬化剤として知られているものはすべて使用できる。用いる硬化剤としては、エポキシ樹脂のエポキシ基間の架橋反応及び/又は鎖長延長反応に寄与する物質であればどのようなものでもよい。好ましいものとしては、例えば、フェノール系硬化剤、アミン系硬化剤、イミダゾール類、酸無水物系硬化剤等が挙げられる。
<フェノール系硬化剤>
フェノール系硬化剤の例としては、ビスフェノールA、ビスフェノールF、4,4’−ジヒドロキシジフェニルメタン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、1,4−ビス(4−ヒドロキシフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−ヒドロキシフェノキシ)ベンゼン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、4,4’−ジヒドロキシジフェニルケトン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、2,2’−ジヒドロキシビフェニル、10−(2,5−ジヒドロキシフェニル)−10H−9−オキサ−10−ホスファフェナンスレン−10−オキサイド、フェノールノボラック、ビスフェノールAノボラック、o−クレゾールノボラック、m−クレゾールノボラック、p−クレゾールノボラック、キシレノールノボラック、ポリ−p−ヒドロキシスチレン、ハイドロキノン、レゾルシン、カテコール、t−ブチルカテコール、t−ブチルハイドロキノン、フルオログリシノール、ピロガロール、t−ブチルピロガロール、アリル化ピロガロール、ポリアリル化ピロガロール、1,2,4−ベンゼントリオール、2,3,4−トリヒドロキシベンゾフェノン、1,2−ジヒドロキシナフタレン、1,3−ジヒドロキシナフタレン、1,4−ジヒドロキシナフタレン、1,5−ジヒドロキシナフタレン、1,6−ジヒドロキシナフタレン、1,7−ジヒドロキシナフタレン、1,8−ジヒドロキシナフタレン、2,3−ジヒドロキシナフタレン、2,4−ジヒドロキシナフタレン、2,5−ジヒドロキシナフタレン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、2,7−ジヒドロキシナフタレン、2,8−ジヒドロキシナフタレン、上記ジヒドロキシナフタレンのアリル化物又はポリアリル化物、アリル化ビスフェノールA、アリル化ビスフェノールF、アリル化フェノールノボラック、アリル化ピロガロール等が例示される。
以上に挙げたフェノール系硬化剤は1種のみで用いても、2種以上を任意の組み合わせ及び配合比率で組み合わせて用いてもよい。また、硬化剤がフェノール系硬化剤の場合、エポキシ樹脂中のエポキシ基に対する硬化剤中の官能基(フェノール系硬化剤の水酸基)の当量比で0.8〜1.5の範囲となるように用いることが好ましい。
<アミン系硬化剤>
アミン系硬化剤(ただし、第3級アミンを除く。)の例としては、脂肪族アミン類、ポリエーテルアミン類、脂環式アミン類、芳香族アミン類等が挙げられる。脂肪族アミン類としては、エチレンジアミン、1,3−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノプロパン、ヘキサメチレンジアミン、2,5−ジメチルヘキサメチレンジアミン、トリメチルヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、イミノビスプロピルアミン、ビス(ヘキサメチレン)トリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、N−ヒドロキシエチルエチレンジアミン、テトラ(ヒドロキシエチル)エチレンジアミン等が例示される。ポリエーテルアミン類としては、トリエチレングリコ
ールジアミン、テトラエチレングリコールジアミン、ジエチレングリコールビス(プロピルアミン)、ポリオキシプロピレンジアミン、ポリオキシプロピレントリアミン類等が例示される。脂環式アミン類としては、イソホロンジアミン、メタセンジアミン、N−アミノエチルピペラジン、ビス(4−アミノ−3−メチルジシクロヘキシル)メタン、ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、3,9−ビス(3−アミノプロピル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン、ノルボルネンジアミン等が例示される。芳香族アミン類としては、テトラクロロ−p−キシレンジアミン、m−キシレンジアミン、p−キシレンジアミン、m−フェニレンジアミン、o−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、2,4−ジアミノアニソール、2,4−トルエンジアミン、2,4−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノ−1,2−ジフェニルエタン、2,4−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、m−アミノフェノール、m−アミノベンジルアミン、ベンジルジメチルアミン、2−ジメチルアミノメチル)フェノール、トリエタノールアミン、メチルベンジルアミン、α−(m−アミノフェニル)エチルアミン、α−(p−アミノフェニル)エチルアミン、ジアミノジエチルジメチルジフェニルメタン、α,α’−ビス(4−アミノフェニル)−p−ジイソプロピルベンゼン等が例示される。
以上に挙げたアミン系硬化剤は1種のみで用いても、2種以上を任意の組み合わせ及び配合比率で組み合わせて用いてもよい。また、硬化剤がアミン系硬化剤の場合、エポキシ樹脂中のエポキシ基に対する硬化剤中の官能基(アミン系硬化剤のアミノ基)の当量比で0.8〜1.5の範囲となるように用いることが好ましい。
<イミダゾール類>
イミダゾール類の例としては、2−フェニルイミダゾール、2−エチル−4(5)−メチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾール、1−シアノ−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾールトリメリテイト、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾリウムトリメリテイト、2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2’−エチル−4’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジンイソシアヌル酸付加体、2−フェニルイミダゾールイソシアヌル酸付加体、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール、及びエポキシ樹脂と上記イミダゾール類との付加体等が例示される。なお、イミダゾール類は触媒能を有するため、一般的には後述する硬化促進剤にも分類されうるが、本発明においては硬化剤として分類するものとする。
以上に挙げたイミダゾール類は1種のみで用いても、2種以上を任意の組み合わせ及び配合比率で組み合わせて用いてもよい。硬化剤がイミダゾール類の場合、エポキシ樹脂の固形分に対して0.5〜10重量部の範囲で用いることが好ましい。
<酸無水物系硬化剤>
酸無水物としては、例えば、フタル酸無水物、トリメリット酸無水物、ピロメリット酸無水物、ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、ドデセニルコハク酸無水物、ポリアジピン酸無水物、ポリアゼライン酸無水物、ポリセバシン酸無水物、ポリ(エチルオクタデカン二酸)無水物、ポリ(フェニルヘキサデカン二酸)無水物、テトラヒドロフタル酸無水物、メチルテトラヒドロフタル酸無水物、メチルヘキサヒドロフタル酸無水物、ヘキサヒドロフタル酸無水物、メチルハイミック酸無水物、テトラヒドロフタル酸無水物、トリアルキルテトラヒドロフタル酸無水物、メチルシクロヘキセンジカルボン酸無水物、メチ
ルシクロヘキセンテトラカルボン酸無水物、エチレングリコールビストリメリテート二無水物、ヘット酸無水物、ナジック酸無水物、メチルナジック酸無水物、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロ−3−フラニル)−3−メチル−3−シクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸無水物、3,4−ジカルボキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−1−ナフタレンコハク酸二無水物、1−メチル−ジカルボキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−1−ナフタレンコハク酸二無水物等が挙げられる。
酸無水物の変性物としては、例えば、上述した酸無水物をグリコールで変性したもの等が挙げられる。ここで、変性に用いることのできるグリコールの例としては、エチレンギリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール等のアルキレングリコール類;ポリエチレンギリコール、ポリプロピレングリコール、ポチテトラメチレンエーテルグリコール等のポリエーテルグリコール類等が挙げられる。更には、これらのうちの2種類以上のグリコール及び/又はポリエーテルグリコールの共重合ポリエーテルリコールを用いることもできる。
酸無水物の変性物においては、酸無水物1モルに対してグリコール0.4モル以下で変性させることが好ましい。変性量が上記上限値以下であると、エポキシ樹脂組成物の粘度が高くなり過ぎず、作業性が良好となる傾向にあり、また、エポキシ樹脂との硬化反応の速度も良好となる傾向にある。
以上で挙げた酸無水物硬化剤は1種のみで用いても、2種以上を任意の組み合わせ及び配合比率で組み合わせて用いてもよい。酸無水物系硬化剤を用いる場合、エポキシ樹脂中のエポキシ基に対する硬化剤中の官能基の当量比で0.8〜1.5の範囲となるように用いることが好ましい。この範囲内であると未反応のエポキシ基や硬化剤の官能基が残留しにくくなるために好ましい。
<その他の硬化剤>
本発明のエポキシ樹脂組成物に用いることのできる硬化剤としては、以上で挙げたフェノール系硬化剤、アミン系硬化剤、イミダゾール類、酸無水物系硬化剤に限定されず、これら以外のもの(本発明において、「その他の硬化剤」と称することがある。)を用いることができる。その他の硬化剤の例としては、カチオン重合開始剤、有機リン化合物、第3級アミン、テトラフェニルボロン塩、有機酸ジヒドラジド、ハロゲン化ホウ素アミン錯体、ポリメルカプタン系硬化剤、イソシアネート系硬化剤、ブロックイソシアネート系硬化剤等が挙げられる。
<溶剤>
本発明のエポキシ樹脂組成物には、塗膜形成時の取り扱い時に、エポキシ樹脂組成物の粘度を適度に調整するために溶剤を配合し、希釈してもよい。本発明のエポキシ樹脂組成物において、溶剤は、エポキシ樹脂組成物の成形における取り扱い性、作業性を確保するために用いられ、その使用量には特に制限がない。なお、本発明においては「溶剤」という語と前述の「溶媒」という語をその使用形態により区別して用いるが、それぞれ独立して同種のものを用いても異なるものを用いてもよい。
本発明のエポキシ樹脂組成物が含み得る溶剤としては、例えばアセトン、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、酢酸エチル等のエステル類、エチレングリコールモノメチルエーテル等のエーテル類、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類、メタノール、エタノール等のアルコール類、ヘキサン、シクロヘキサン等のアルカン類、トルエン、キシレン等の芳香族類等が挙げられる。以上に挙げた溶剤は、1種のみで用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で混合して用いてもよい。
<他のエポキシ樹脂>
本発明のエポキシ樹脂組成物は、本発明のエポキシ樹脂に加え、他のエポキシ樹脂を含むことができる。他のエポキシ樹脂を用いることで、不足する物性を補ったり、種々の物性を向上させたりすることができる。
他のエポキシ樹脂は、通常、2官能エポキシ樹脂であり、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビスフェノールZ型エポキシ樹脂、ビスフェノールAF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂、テトラメチルビスフェノールA型エポキシ樹脂、テトラメチルビスフェノールF型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールF型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールS型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールZ型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールAF型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールAD型エポキシ樹脂、ビフェノール型エポキシ樹脂、テトラメチルビフェノール型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ビスフェノールA−アルキレンオキサイド付加体のジグリシジルエーテル、ビスフェノールFのアルキレンオキサイド付加体のジグリシジルエーテル、チオジフェノール型エポキシ樹脂、ジヒドロキシジフェニルエーテル型エポキシ樹脂、テルペンジフェノール型エポキシ樹脂、ハイドロキノン型エポキシ樹脂、メチルハイドロキノン型エポキシ樹脂、ジブチルハイドロキノン型エポキシ樹脂、レゾルシン型エポキシ樹脂、メチルレゾルシン型エポキシ樹脂、ジヒドロキシナフタレン型エポキシ樹脂等が挙げられる。
本発明のエポキシ樹脂組成物において、本発明のエポキシ樹脂と他のエポキシ樹脂とを用いる場合、固形分としての全エポキシ樹脂成分中の他のエポキシ樹脂の配合量は、好ましくは1重量%以上であり、より好ましくは5重量%以上であり、一方、好ましくは99重量%以下であり、より好ましくは95重量%以下である。他のエポキシ樹脂の割合が上記下限値以上であることにより、他のエポキシ樹脂を配合することによる物性向上効果を十分に得ることができる。一方、他のエポキシ樹脂の割合が前記上限値以下であることにより、本発明のエポキシ樹脂の効果、即ち硬化性、耐熱性、耐衝撃性等の向上効果を得ることができる。なお、本発明のエポキシ樹脂においては前記多官能エポキシ樹脂と他のエポキシ樹脂とを予め混合してから低級アルコールと接触させることにより製造されるものであってもよい。
<その他の成分>
本発明のエポキシ樹脂を含むエポキシ樹脂組成物には、その機能性の更なる向上を目的として、以上で挙げたもの以外の成分(本発明において「その他の成分」と称することがある。)を含んでいてもよい。このようなその他の成分としては、硬化促進剤(ただし、「硬化剤」に含まれるものを除く。)、保存安定性向上のための紫外線防止剤、無機フィラー、酸化防止剤、カップリング剤、可塑剤、はんだの酸化皮膜除去のためのフラックス、難燃剤、着色剤、顔料、分散剤、乳化剤、低弾性化剤、希釈剤、消泡剤、イオントラップ剤等が挙げられる。
〔硬化物〕
本発明のエポキシ樹脂組成物は、エポキシ樹脂及び硬化剤を配合したワニスを調製後、加熱して硬化させることにより、硬化物を得ることができる。ここで、本発明における「ワニス」とは、各成分を配合したエポキシ樹脂組成物であって、未硬化の状態のものをいう。硬化反応の条件は特に限定されないが、通常、硬化剤の種類によって硬化温度を以下の通り選択することが好ましい。具体的な温度としては、硬化剤として、フェノール系硬化剤、アミン系硬化剤、酸無水物系硬化剤、イミダゾール類等では、通常50〜200℃である。また、これらの硬化剤と共に硬化促進剤を用いることで硬化温度を下げることも
可能である。反応時間は1〜20時間が好ましく、より好ましくは2〜18時間、更に好ましくは3〜15時間である。反応時間が上記下限値以上であると硬化反応が十分に進行し、所望の物性が得られやすくなる傾向があるために好ましい。また、反応時間が上記上限値以下であると加熱による劣化や加熱する為のエネルギーのロス等の問題が生じにくいために好ましい。
〔用途〕
本発明のエポキシ樹脂溶液及びエポキシ樹脂組成物は、硬化性及び硬化物特性としての耐熱性に優れたものである。このため、本発明のエポキシ樹脂、エポキシ樹脂組成物及び硬化物は、封止材料、成形材料、注型材料、積層材料、レジスト材料、複合材料等の電気・電子材料、CFRP(炭素繊維強化樹脂)、接着剤及び塗料等の分野において好適に使用することができる。
以下、本発明を実施例に基づいてより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例により何ら限定されるものではない。なお、以下の実施例における各種の製造条件や評価結果の値は、本発明の実施態様における上限又は下限の好ましい値としての意味をもつものであり、好ましい範囲は前記した上限又は下限の値と、下記実施例の値又は実施例同士の値との組み合わせで規定される範囲であってもよい。
[原料]
以下の実施例及び比較例において使用した原料は以下の通りである。
<3官能以上のエポキシ樹脂(A)>
A−1:クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(三菱化学株式会社製 jER(登録商標)180S55、エポキシ当量:205g/当量)
A−2:フェノールノボラック型エポキシ樹脂(フェノールノボラック(分子量分布:Mw/Mnが1.5未満)とエピクロルヒドリンを反応させて合成したもの。エポキシ当量:173g/当量)
<多価フェノール化合物(B)>
B−1:ビスフェノールF(フェノール性水酸基当量:100g/当量)
<2官能エポキシ樹脂(C)>
C−1:ビスフェノールFジグリシジルエーテル(エポキシ当量:169g/当量)
C−2:ビスフェノールAジグリシジルエーテル(エポキシ当量:641g/当量)
[エポキシ樹脂の評価方法]
1−1)エポキシ当量
JIS K 7236に基づいてエポキシ当量を測定した。
1−2)重量平均分子量Mw及び数平均分子量Mn
東ソー(株)製「HLC−8320GPC EcoSEC(登録商標)」を使用し、以下の測定条件で、標準ポリスチレンとして、TSK Standard Polystyrene:F−128(Mw1,090,000、Mn1,030,000)、F−10(Mw106,000、Mn103,000)、F−4(Mw43,000、Mn42,700)、F−2(Mw17,200、Mn16,900)、A−5000(Mw6,400、Mn6,100)、A−2500(Mw2,800、Mn2,700)、A−300(Mw453、Mn387)を使用した検量線を作成し、重量平均分子量及び数平均分子量をポリスチレン換算値として測定した。
カラム:東ソー(株)製「TSKGEL SuperHM−H+H5000+H4000+H3000+H2000」
溶離液:テトラヒドロフラン
流速:0.5mL/min
検出:UV(波長254nm)
温度:40℃
試料濃度:0.1重量%
インジェクション量:10μL
さらに、上記方法によって求められたMwについて、Mwが300以下の量をGPCチャートの成分全体の面積に対するMw300以下の成分の占める面積%として求めた。この結果を表−1中、「Mw300以下の成分」と表記した。
[硬化物の評価方法]
2−1)ガラス転移温度(Tg)
エポキシ樹脂組成物をメチルエチルケトンにて樹脂分70重量%のワニスを調整した。アプリケーターを用いて、このワニスをテフロン(登録商標)シート上に塗布し80℃のオーブン中で1時間かけて乾燥させ、120℃で2時間、175℃で6時間オーブンの中で硬化させ、硬化物のフィルムを得た。各実施例・比較例で得られた硬化物のフィルムを用い、SIIナノテクノロジー(株)製 示差走査熱量計「DSC7020」を使用し、30〜200℃まで10℃/minで昇温して測定し、ガラス転移温度(Tg)を求めた。ガラス転移温度の値が大きいほど耐熱性に優れるものと評価される。
2−2)デュポン式耐おもり落下性試験
エポキシ樹脂組成物をメチルエチルケトンにて樹脂分70重量%のワニスを調整した。このワニスを用いてボンデライト鋼板上に塗布し、80℃のオーブン中で1時間かけて乾燥させ、120℃で2時間、175℃で6時間オーブンの中で硬化させ試験片を作成したこの試験片を用いてJIS K5600−5−3に基づきデュポン式耐おもり落下性試験を実施した。
半径6.25mmの撃ち型と受け台に半径6.25mmの撃ち型を取り付け、試験片の塗面を上向きにしてその間に挟み、1kgのおもりをある高さから落下させ、塗膜の割れ、剥がれの生じない最大の高さH(mm)を求めた。この高さが高いほど耐衝撃性に優れるものと判断し、以下の通り評価を行った。
○・・・150mm≦H
×・・・H<150mm
[エポキシ樹脂の製造と評価]
<実施例1−1>
表−1に示す配合にて原料、触媒及び親溶媒を耐圧反応容器に入れ、窒素ガス雰囲気下160℃で5時間、反応を行った。反応終了後、表−1に示す配合にて低級アルコールとして、日本アルコール販売株式会社製工業用エタノール「ソルミックスA−11」(エタノール227重量部、メタノール36重量部及びイソプロパノール3重量部の混合物)を用い、これを窒素ガス雰囲気下で混合溶解させ、系内の温度を75℃に制御しながら30分間撹拌した。その後、撹拌を停止して静置して2層に分離したところで上層の工業用エタノールを除去した。さらに工業用エタノールによる同様の洗浄操作を5回行った。次に、150℃、5kPa以下の加熱、減圧下において低級アルコール及びメチルイソブチルケトンを蒸発させて除き、低分子量成分を除去したエポキシ樹脂を得た。このエポキシ樹脂について前記1−1)、1−2)の方法でエポキシ当量、重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)をそれぞれ求めた。これらの結果を表−1に示す。
<実施例1−2〜1−4>
表−1に示す配合にて原料、触媒及び親溶媒を用いた以外は実施例1−1と同様にして反応を行った。反応終了後、「ソルミックスA−11」の使用量を表−1に示すように変更した以外は実施例1−1と同様にして洗浄操作を行った。この洗浄操作は実施例1−2及び1−4では3回、1−3では5回行った。その後、実施例1−1と同様にして低級アルコール及びメチルイソブチルケトンを蒸発させて除き、低分子量成分を除去したエポキシ樹脂を得た。それぞれのエポキシ樹脂について、実施例1−1と同様にエポキシ当量、重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)をそれぞれ求めた。これらの結果を表−1に示す。
<比較例1−1及び1−2>
表−1に示す配合にて原料、触媒及び親溶媒を用いて実施例1−1と同様の条件で反応を行った。低級アルコールによる洗浄は行わなかった。反応終了後、150℃、5kPa以下の加熱、減圧下においてメチルイソブチルケトンを蒸発させて除き、エポキシ樹脂を得た。得られたエポキシ樹脂について前記1−1)、1−2)の方法でエポキシ当量、重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)をそれぞれ求めた。これらの結果を表−1に示す。
<比較例1−3〜1−5>
原料の種類と使用量、及び洗浄に用いる「ソルミックスA−11」の使用量を表−1に示すように変更した以外は実施例1−1と同様にして低分子量成分を除去したエポキシ樹脂を得た。それぞれのエポキシ樹脂について、実施例1−1と同様にエポキシ当量、重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)をそれぞれ求めた。これらの結果を表−1に示す。
Figure 2014024907
[エポキシ樹脂組成物及び硬化物の製造と評価]
<実施例2−1>
表−2に示すように、実施例1−1で得られたエポキシ樹脂100重量部、硬化剤として1−イソブチル−2−メチルイミダゾール(三菱化学株式会社製 jERキュア(登録商標)IBMI)1重量部を用い、エポキシ樹脂組成物を製造した。得られたエポキシ樹脂組成物について、前記2−1)及び3−1)の方法にてガラス転移温度(Tg)及びデュポン式耐おもり落下性試験の測定をそれぞれ行い、耐熱性及び耐衝撃性の評価を行った。得られた結果を表−2に示す。
<実施例2−2〜2−4及び比較例2−1〜2−5>
表−2に示す配合とした以外は実施例2−1と同様にしてエポキシ樹脂組成物を得た。得られたエポキシ樹脂組成物について実施例2−1と同様にして耐熱性及び耐衝撃性を評価した。得られた結果を表−2に示す。
Figure 2014024907
[結果の評価]
表−2からわかるように、本発明のエポキシ樹脂を用いた実施例2−1〜2−4はいずれも比較例2−1〜2−4に対して硬化物における耐熱性と耐衝撃性のバランスに優れた
ものであった。特に、実施例2−2と比較例2−1との比較及び実施例2−3と比較例2−2との比較から、低級アルコールに接触させることにより硬化物の耐熱性が格段に向上することが示された。また、実施例2−1と比較例2−3との比較及び実施例2−3と比較例2−4との比較から、原料として多価フェノール化合物(B)を用いることにより耐衝撃性が向上することが示された。
本発明のエポキシ樹脂溶液及びエポキシ樹脂組成物は、硬化物特性としての耐熱性、及び耐衝撃性に優れたものである。このため、本発明の本発明のエポキシ樹脂、エポキシ樹脂組成物及び硬化物は、封止材料、成形材料、注型材料、積層材料、レジスト材料、複合材料等の電気・電子材料、CFRP(炭素繊維強化樹脂)、接着剤及び塗料等の分野において好適に使用することができる。

Claims (13)

  1. 3官能以上のエポキシ樹脂(A)と、多価フェノール化合物(B)とを反応させて得られる多官能エポキシ樹脂を、炭素数1〜4のアルコールと接触させて得られ、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーチャートにおける重量平均分子量(Mw)300以下の成分割合が8%以下であることを特徴とするエポキシ樹脂。
  2. 前記接触により、前記多官能エポキシ樹脂中の重量平均分子量(Mw)300以下の成分を抽出除去させる、請求項1に記載のエポキシ樹脂。
  3. 前記多官能エポキシ樹脂が更に2官能エポキシ樹脂(C)を反応させて得られたものである、請求項1又は2に記載のエポキシ樹脂。
  4. 前記多官能エポキシ樹脂を、炭素数1〜4のアルコールと接触させるに際し、該多官能エポキシ樹脂の親溶媒の存在下で接触させて得られる、請求項1乃至3のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂。
  5. 前記3官能以上のエポキシ樹脂(A)が、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノール変性キシレン樹脂型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂及びビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂からなる群のうちの少なくとも1つである、請求項1乃至4のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂。
  6. エポキシ当量が170〜500g/当量である、請求項1乃至5のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂。
  7. 前記多価フェノール化合物(B)が、ビスフェノール類、ビフェノール類、ベンゼンジオール類、フェノールノボラック樹脂類及びビスフェノール系ノボラック樹脂類からなる群のうちの少なくとも1つである、請求項1乃至6のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂。
  8. 前記2官能エポキシ樹脂(C)が、ビスフェノール型エポキシ樹脂類、又はビフェノール型エポキシ樹脂類である、請求項1乃至7のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂。
  9. 前記多官能エポキシ樹脂の親溶媒が、ケトン系溶媒、芳香族系溶媒及びグリコールエーテル系溶媒からなる群のうちの少なくとも1つである、請求項1乃至8のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂。
  10. 請求項1乃至9のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂と硬化剤とを含む、エポキシ樹脂組成物。
  11. 前記エポキシ樹脂100重量部に対し、前記硬化剤を0.1〜200重量部を含む、請求項10に記載のエポキシ樹脂組成物。
  12. 前記硬化剤が、フェノール系硬化剤、アミン系硬化剤、イミダゾール類及び酸無水物系硬化剤からなる群のうちの少なくとも1種である、請求項10又は11に記載のエポキシ樹脂組成物。
  13. 請求項10乃至12のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物を硬化させてなる硬化物。
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