JP5681152B2 - エポキシ樹脂組成物および成形物 - Google Patents

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Description

本発明は、信頼性に優れた半導体封止、積層板、放熱基板等の電気・電子部品用絶縁材料に有用なエポキシ樹脂組成物及びそれを用いた成形物に関する。
従来、ダイオード、トランジスタ、集積回路等の電気、電子部品や、半導体装置等の封止方法として、例えばエポキシ樹脂やシリコン樹脂等による封止方法やガラス、金属、セラミック等を用いたハーメチックシール法が採用されていたが、近年では信頼性の向上と共に大量生産が可能な、又、コストメリットのあるトランスファー成形による樹脂封止が主流を占めている。
上記トランスファー成形による樹脂封止方法に用いられる樹脂組成物においては、エポキシ樹脂と、硬化剤としてフェノール樹脂を主成分とする樹脂組成物からなる封止材料が一般的に使用されている。
現在、パワーデバイスなどの素子を保護する目的で使用されるエポキシ樹脂組成物は、素子が放出する多量の熱に対応するため、結晶シリカなどの無機充填材を高密度に充填している。
さらには、近年、パワーデバイスは、ICの技術を組み込んだワンチップで構成されるものやモジュール化されたものなどがあり、封止材料に対する熱放散性、熱膨張性の更なる向上が望まれている。
これらの要求に対応するべく、熱伝導率を向上するために結晶シリカ、窒化珪素、窒化アルミニウム、球状アルミナ粉末を使用するといった試みがなされているが(特許文献1、2)、無機充填材の含有率を上げていくと成形時の粘度上昇とともに流動性が低下し、成形性が損なわれるといった問題が生じる。従って、単に無機充填材の含有率を高める方法には限界があった。
上記背景から、マトリックス樹脂自体の高熱伝導率化による方法も検討されており、例えば、特許文献3および特許文献4には、剛直なメソゲン基を有する液晶性の樹脂を用いた樹脂組成物が提案されている。しかし、これらメソゲン基を有するエポキシ樹脂は、ビフェニル構造、アゾメチン構造等の剛直な構造を有する高結晶性で高融点のエポキシ化合物であるため、エポキシ樹脂組成物とする際の取扱い性に劣る欠点があった。さらには、硬化状態において分子を効率よく配向させるためには強力な磁場をかけて硬化させる等の特別な操作が必要であり、工業的に広く利用するためには設備上の大きな制約があった。また、無機充填材との配合系では、マトリックス樹脂の熱伝導率に比べて無機充填材の熱伝導率が圧倒的に大きく、マトリックス樹脂自体の熱伝導率を高くしても、複合材料としての熱伝導率向上には大きく寄与しないという現実があり、十分な熱伝導率向上効果は得られていなかった。
特許文献5には、4,4'−ビスフェノールF型のエポキシ樹脂が示されているが、多官能性のフェノールノボラックを硬化剤として得られる硬化物が実施例として開示されるのみであり、高熱伝導性を発現する高次構造の制御された硬化物を与えるものではない。また、特許文献6には、4,4'−ビスフェノールF型エポキシ樹脂とビフェノールのエポキシ樹脂との混合物をビフェノールと反応させて得られる変性エポキシ樹脂が開示されているが、多官能性のフェノールノボラックを硬化剤として得られる硬化物が実施例として開示されるのみであり、高熱伝導率に加えて低吸水性、高耐熱性および低熱膨張性にも効果を発揮する高次構造の制御された硬化物を与えるものではなかった。特許文献7には、結晶性の4,4'−ビスフェノールF型のエポキシ樹脂が開示され、それを用いた硬化物は光学的異方性を有することが開示されているが、これは偏光顕微鏡観察において光学的異方性が確認できたものであり、液晶性を示すことを示唆するものではあるが、明確な融点を持つ結晶性の成形物を与えるものではなかった。特許文献7には、4,4'−ビスフェノールF型のエポキシ樹脂とビスフェノールFを含む組成物が開示されている。
特開平11−147936号公報 特開2002−309067号公報 特開平11−323162号公報 特開2004−331811号公報 特開平8−73563号公報 特開2007−332196号公報 国際公開2006−008984号公報 特開2007−177180号公報
従って、本発明の目的は、上記問題点を解消し、成形性に優れ、無機充填材と複合化させた場合の熱伝導率が高く、かつ低熱膨張性で耐熱性および耐湿性に優れた成形物を与えるエポキシ樹脂組成物を提供し、更にそれを用いた成形物を提供することである。
上記課題を解決するために、本発明者らは種々検討を行ったところ、特定のエポキシ樹脂と特定の硬化剤を組み合わせた場合において、硬化後、高次構造の制御された成形物が得られ、高熱伝導性、低熱膨張性、高耐熱性および高耐湿性が特異的に向上することを見出し、本発明に到達した。
本発明は、(A)エポキシ樹脂及び(B)硬化剤を含むとするエポキシ樹脂組成物において、エポキシ樹脂の75wt%以上を下記一般式(1)で表される4,4'−ジフェニルメタン構造を持つエポキシ樹脂とし、硬化剤の75wt%以上を下記一般式(2)で表される4,4'−ジフェニルメタン構造を持つフェノール性樹脂を含むエポキシ樹脂組成物とし、エポキシ樹脂中のエポキシ基と硬化剤中の官能基が当量比で0.8〜1.5の範囲としたことを特徴とするエポキシ樹脂組成物である。
Figure 0005681152
(但し、nは0〜15の数を示す。)
Figure 0005681152
(但し、mは0〜15の数を示す。)
上記エポキシ樹脂組成物は、無機充填材を含むことができる。
また、本発明は、上記のエポキシ樹脂組成物をシート状の繊維基材に含浸し半硬化状態としてなるプリプレグである。
更に、本発明は上記のエポキシ樹脂組成物を加熱、成形して得られる成形物である。この成形物は、次のいずれか1以上を満足することが好ましい。1)熱伝導率が3.5W/m・K以上であること、2)走査示差熱分析における融点のピークが120℃から280℃の範囲にあること、3)走査示差熱分析における樹脂成分換算の吸熱量が5J/g以上であること。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、成形性、信頼性に優れ、かつ高熱伝導性、低吸水性、低熱膨張性、高耐熱性に優れた成形物を与え、半導体封止、積層板、放熱基板等の電気・電子部品用絶縁材料として好適に応用され、優れた高放熱性および寸法安定性が発揮される。
上記一般式(1)で表されるエポキシ樹脂は、4,4'−ジヒドロキシジフェニルメタンとエピクロルヒドリンを反応させることにより製造することができる。ここで、原料に用いる4,4'−ジヒドロキシジフェニルメタンは、通常、フェノールとホルムアルデヒドとの縮合により合成されるが、その際に、2,4'−ジヒドロキシジフェニルメタン、2,2'−ジヒドロキシジフェニルメタン等の異性体、さらにはフェノール核を3つ以上含有する多量体が副生する。これらの異性体および多量体は許される範囲で含まれていても良いが、原料中の4,4'−ジヒドロキシジフェニルメタンの純度が高いものほど好ましく、通常、85wt%以上、好ましくは90wt%以上、より好ましくは95wt%以上である。
上記の反応は、通常のエポキシ化反応と同様に行うことができる。例えば、4,4'−ジヒドロキシジフェニルメタンを過剰のエピクロルヒドリンに溶解した後、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物の存在下に、50〜150℃、好ましくは、60〜100℃の範囲で1〜10時間反応させる方法が挙げられる。この際の、アルカリ金属水酸化物の使用量は、4,4'−ジヒドロキシジフェニルメタン中の水酸基1モルに対して、0.8〜1.2モル、好ましくは、0.9〜1.0モルの範囲である。エピクロルヒドリンは、4,4'−ジヒドロキシジフェニルメタン中の水酸基に対して過剰量が用いられ、通常は、4,4'−ジヒドロキシジフェニルメタン中の水酸基1モルに対して、1.5から15モルである。反応終了後、過剰のエピクロルヒドリンを留去し、残留物をトルエン、メチルイソブチルケトン等の溶剤に溶解し、濾過し、水洗して無機塩を除去し、次いで溶剤を留去することにより目的のエポキシ樹脂を得ることができる。
上記一般式(1)において、nは0〜15の数であるが、nの値はエポキシ樹脂の合成反応時に用いるエピクロルヒドリンの4,4'−ジヒドロキシジフェニルメタンに対するモル比を変えることにより、容易に調整することができる。nの値は、適用する用途に応じて、適宜、選択することができる。例えば、フィラーの高充填率化を求められる半導体封止の用途では、低粘度で結晶性を有するものが好ましく、nの平均値として、0.01〜1.0の範囲にあるものが好適に選択される。これより大きいと粘度が高くなり取り扱い性が低下する。
本発明に用いるエポキシ樹脂は、原料として4,4'−ジヒドロキシジフェニルメタンと別種のフェノール性化合物と混合させたものを用いて合成することができる。この場合の4,4'−ジヒドロキシジフェニルメタンの混合比率は75wt%以上、好ましくは80wt%以上である。別種のフェノール性化合物に特に制約はないが、一分子中に水酸基を2個有する二官能性のものが好ましい。
本発明に用いるエポキシ樹脂は、一般式(1)で表されるエポキシ樹脂をエポキシ樹脂成分中75wt%以上、好ましくは80wt%以上、さらに好ましくは90wt%以上含む。一般式(1)で表されるエポキシ樹脂のエポキシ当量は、通常150から20,000の範囲であるが、好適なエポキシ当量は用途に応じて、適宜、選択される。例えば、半導体封止の用途では、無機フィラーの高充填率化および流動性向上の観点からは低粘度性のものが良く、上記一般式(1)においてn=0体を主成分とするエポキシ当量が160から250の範囲のものが好ましい。また、積層板等の用途においては、フィルム性、可撓性付与の観点から、好ましくは400〜20,000の範囲である。
一般式(1)で表されるエポキシ樹脂の形態も用途に応じて、適宜、選択される。例えば、半導体封止の用途では、粉体で取り扱われる場合が多いため、常温で固形の結晶性のものが好ましく、望ましい融点は50℃以上であり、好ましい150℃での溶融粘度は0.005から0.1Pa・sである。また、積層板等の用途においては、溶剤に溶解させて使用される場合が多いため、エポキシ樹脂の形態に特段の制約はない。
本発明に用いるエポキシ樹脂の純度、特に加水分解性塩素量は、適用する電子部品の信頼性向上の観点より少ない方がよい。特に限定するものではないが、好ましくは1000ppm以下、さらに好ましくは500ppm以下である。なお、本発明でいう加水分解性塩素とは、以下の方法により測定された値をいう。すなわち、試料0.5gをジオキサン30mlに溶解後、1N−KOH、10mlを加え30分間煮沸還流した後、室温まで冷却し、さらに80%アセトン水100mlを加え、0.002N−AgNO3水溶液で電位差滴定を行い得られる値である。
本発明のエポキシ樹脂組成物には、本発明の必須成分として使用される一般式(1)で表されるエポキシ樹脂以外に、エポキシ樹脂成分として分子中にエポキシ基を2個以上有する通常の他のエポキシ樹脂を併用してもよい。他のエポキシ樹脂の例を挙げれば、ビスフェノールA、3,3',5,5'−テトラメチル−4,4'−ジヒドロキシジフェニルメタン、4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、4,4'−ジヒドロキシジフェニルケトン、フルオレンビスフェノール、4,4'−ビフェノール、3,3',5,5'−テトラメチル−4,4'−ジヒドロキシビフェニル、2,2'−ビフェノール、レゾルシン、カテコール、t−ブチルカテコール、t−ブチルハイドロキノン、1,2−ジヒドロキシナフタレン、1,3−ジヒドロキシナフタレン、1,4−ジヒドロキシナフタレン、1,5‐ジヒドロキシナフタレン、1,6−ジヒドロキシナフタレン、1,7−ジヒドロキシナフタレン、1,8−ジヒドロキシナフタレン、2,3−ジヒドロキシナフタレン、2,4−ジヒドロキシナフタレン、2,5−ジヒドロキシナフタレン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、2,7−ジヒドロキシナフタレン、2,8−ジヒドロキシナフタレン、上記ジヒドロキシナフタレンのアリル化物又はポリアリル化物、アリル化ビスフェノールA、アリル化ビスフェノールF、アリル化フェノールノボラック等の2価のフェノール類、あるいは、フェノールノボラック、ビスフェノールAノボラック、o−クレゾールノボラック、m−クレゾールノボラック、p−クレゾールノボラック、キシレノールノボラック、ポリ−p−ヒドロキシスチレン、トリス−(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1,2,2−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、フルオログリシノール、ピロガロール、t−ブチルピロガロール、アリル化ピロガロール、ポリアリル化ピロガロール、1,2,4−ベンゼントリオール、2,3,4−トリヒドロキシベンゾフェノン、フェノールアラルキル樹脂、ナフトールアラルキル樹脂、ジシクロペンタジエン系樹脂等の3価以上のフェノール類、または、テトラブロモビスフェノールA等のハロゲン化ビスフェノール類から誘導されるグリシジルエーテル化物等がある。これら他のエポキシ樹脂は、1種または2種以上を混合して用いることができる。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、一般式(1)で表されるエポキシ樹脂のエポキシ樹脂組成物中の配合割合をエポキシ樹脂成分中75wt%以上であれば、別種のエポキシ樹脂を含んでいても良いが、硬化物とした際の熱伝導率の向上の観点から、二官能性のエポキシ樹脂の合計量が好ましくは80wt%以上、より好ましくは90wt%以上とすることが良い。
一般式(1)のエポキシ樹脂以外のものとして特に好ましいものは、下記一般式(3)で表されるビスフェノール系エポキシ樹脂である。
Figure 0005681152
(但し、R1〜R3は、ハロゲン原子、炭素数1〜8の炭化水素基、または炭素数1〜8のアルコキシ基を示し、mは0〜5の数、Xは単結合、メチレン基、カルボニル基、酸素原子、スルホン基、硫黄原子を示す。)
上記のエポキシ樹脂は、4,4'−ジヒドロキシビフェニル、3,3',5,5'−テトラメチル−4,4'−ジヒドロキシビフェニル、3,3',5,5'−テトラメチル−4,4'−ジヒドロキシジフェニルメタン、4,4'−ジヒドロキシベンゾフェノン、4,4'−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルフィドを原料として、通常のエポキシ化反応を行うことで合成することができる。これらのエポキシ樹脂は、原料段階で4,4'−ジヒドロキシジフェニルメタンと混合させたものを用いて合成することができる。これらのなかで特に好ましいものは、4,4'−ジヒドロキシビフェニル、4,4'−ジヒドロキシジフェニルエーテルから合成されるエポキシ樹脂であり、取扱性に優れた結晶性のエポキシ樹脂を与えるとともに、熱伝導性にも優れた成形物を与えることができる。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、必須成分として、硬化剤として上記一般式(2)で表されるフェノール性樹脂を80wt%以上含むもの使用する。ここで、好ましくはmが0の4,4'−ジヒドロキシジフェニルメタンである。4,4'−ジヒドロキシジフェニルメタンは、エポキシ樹脂の原料として使用したものと同様に、2,4'−ジヒドロキシジフェニルメタン、2,2'−ジヒドロキシジフェニルメタン等の異性体、さらにはフェノール核を3つ以上含有する多量体を許される範囲で含まれていても良いが、硬化剤中の4,4'−ジヒドロキシジフェニルメタンの純度が高いものほど好ましく、通常、85wt%以上、好ましくは90wt%以上、より好ましくは95wt%以上である。
また、本発明のエポキシ樹脂組成物を積層材料用のプリプレグとして応用する場合は、上記一般式(2)において、平均値としてmが0より大きい数のフェノール性樹脂が好適に使用される。この場合の好ましいmの値は平均値として1〜15であり、より好ましくは、2〜15である。mの値が0より大きい数のフェノール性樹脂の製法は、限定されるものではないが、例えば、上記一般式(1)のエポキシ樹脂に対して、過剰量の4,4'−ジヒドロキシジフェニルメタンを反応させる手法を挙げることができる。あるいは、4,4'−ジヒドロキシジフェニルメタンと4,4'−ジヒドロキシジフェニルメタン中の水酸基1モルに対して、1モル以下のエピクロロヒドリンを反応させることにより合成することもできる。
一般式(2)で表されるフェノール性樹脂の水酸基当量は、通常100から20,000の範囲であるが、エポキシ樹脂と同様に、好適な水酸基当量は用途に応じて、適宜、選択される。例えば、半導体封止の用途では、無機フィラーの高充填率化および流動性向上の観点からは低粘度性のものが良く、上記一般式(2)においてm=0体を主成分とする水酸基当量が100から200の範囲のものが好ましい。また、積層板等の用途においては、フィルム性、可撓性付与の観点から、好ましくは200〜20,000の範囲である。この水酸基当量は、2種類以上のエポキシ樹脂を使用する場合においてもこれを満足することが好ましく、この場合、水酸基当量は、全重量(g)/水酸基(モル)で計算される。
本発明のエポキシ樹脂組成物に用いる硬化剤としては、本発明の必須成分である一般式(2)で表されるフェノール性樹脂以外に、一般的にエポキシ樹脂硬化剤として知られているものを必要に応じて組み合わせることができるが、好ましくはフェノール性水酸基を有するフェノール系硬化剤が選択される。
その具体例として、ビスフェノールA、ビスフェノールF、4,4'−ジヒドロキシジフェニルエーテル、1,4−ビス(4−ヒドロキシフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−ヒドロキシフェノキシ)ベンゼン、4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、4,4'−ジヒドロキシジフェニルケトン、4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4'−ジヒドロキシビフェニル、2,2'−ジヒドロキシビフェニル、10−(2,5−ジヒドロキシフェニル)−10H−9−オキサ−10−ホスファフェナンスレン−10−オキサイド、フェノールノボラック、ビスフェノールAノボラック、o−クレゾールノボラック、m−クレゾールノボラック、p−クレゾールノボラック、キシレノールノボラック、ポリ−p−ヒドロキシスチレン、ハイドロキノン、レゾルシン、カテコール、t−ブチルカテコール、t−ブチルハイドロキノン、フルオログリシノール、ピロガロール、t‐ブチルピロガロール、アリル化ピロガロール、ポリアリル化ピロガロール、1,2,4−ベンゼントリオール、2,3,4−トリヒドロキシベンゾフェノン、1,2−ジヒドロキシナフタレン、1,3−ジヒドロキシナフタレン、1,4−ジヒドロキシナフタレン、1,5−ジヒドロキシナフタレン、1,6−ジヒドロキシナフタレン、1,7−ジヒドロキシナフタレン、1,8−ジヒドロキシナフタレン、2,3−ジヒドロキシナフタレン、2,4−ジヒドロキシナフタレン、2,5−ジヒドロキシナフタレン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、2,7−ジヒドロキシナフタレン、2,8−ジヒドロキシナフタレン、上記ジヒドロキシナフタレンのアリル化物又はポリアリル化物、アリル化ビスフェノールA、アリル化ビスフェノールF、アリル化フェノールノボラック、アリル化ピロガロール等を挙げることができる。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、一般式(2)で表されるフェノール性樹脂の配合割合が硬化剤成分中75wt%以上であれば、別種のフェノール性化合物(樹脂)を含んでいても良いが、硬化物とした際の熱伝導率の向上の観点から、二官能性のフェノール性化合物(樹脂)の合計量が好ましくは80wt%以上、より好ましくは90wt%以上とすることが良い。
一般式(2)以外のフェノール性化合物(樹脂)として特に好ましいものは、具体的にはヒドロキノン、4,4'−ジヒドロキシビフェニル、4,4'−ジヒドロキシジフェニルエーテル、1,4−ビス(4−ヒドロキシフェノキシ)ベンゼン、4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、1,5−ナフタレンジオール、2,7−ナフタレンジオール、2,6−ナフタレンジオールを例示することができる。これら二官能性フェノール化合物あるいはフェノール性樹脂の使用量は、硬化剤成分中25wt%以下であるが、好ましくは20wt%以下である。
本発明のエポキシ樹脂組成物に用いる硬化剤としては、上記のフェノール系硬化剤以外に、硬化剤として一般的に知られている他の硬化剤を併用して用いることができる。例を挙げれば、アミン系硬化剤、酸無水物系硬化剤、フェノール系硬化剤、ポリメルカプタン系硬化剤、ポリアミノアミド系硬化剤、イソシアネート系硬化剤、ブロックイソシアネート系硬化剤等が挙げられる。これらの硬化剤の配合量は、上記範囲内であって、配合する硬化剤の種類や得られる熱伝導性エポキシ樹脂成形体の物性を考慮して適宜設定すればよい。
アミン系硬化剤の具体例としては、脂肪族アミン類、ポリエーテルポリアミン類、脂環式アミン類、芳香族アミン類等が挙げられる。脂肪族アミン類としては、エチレンジアミン、1,3−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノプロパン、ヘキサメチレンジアミン、2,5−ジメチルヘキサメチレンジアミン、トリメチルヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、イミノビスプロピルアミン、ビス(ヘキサメチレン)トリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、N‐ヒドロキシエチルエチレンジアミン、テトラ(ヒドロキシエチル)エチレンジアミン等が挙げられる。ポリエーテルポリアミン類としては、トリエチレングリコールジアミン、テトラエチレングリコールジアミン、ジエチレングリコールビス(プロピルアミン)、ポリオキシプロピレンジアミン、ポリオキシプロピレントリアミン類等が挙げられる。脂環式アミン類としては、イソホロンジアミン、メタセンジアミン、N−アミノエチルピペラジン、ビス(4−アミノ−3−メチルジシクロヘキシル)メタン、ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、3,9−ビス(3‐アミノプロピル)2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン、ノルボルネンジアミン等が挙げられる。芳香族アミン類としては、テトラクロロ−p−キシレンジアミン、m−キシレンジアミン、p−キシレンジアミン、m−フェニレンジアミン、o−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、2,4−ジアミノアニゾール、2,4−トルエンジアミン、2,4‐ジアミノジフェニルメタン、4,4'−ジアミノジフェニルメタン、4,4'−ジアミノ−1,2−ジフェニルエタン、2,4−ジアミノジフェニルスルホン、4,4'−ジアミノジフェニルスルホン、m−アミノフェノール、m−アミノベンジルアミン、ベンジルジメチルアミン、2−ジメチルアミノメチル)フェノール、トリエタノールアミン、メチルベンジルアミン、α−(m−アミノフェニル)エチルアミン、α−(p−アミノフェニル)エチルアミン、ジアミノジエチルジメチルジフェニルメタン、α,α'−ビス(4−アミノフェニル)−p−ジイソプロピルベンゼン等が挙げられる。
酸無水物系硬化剤の具体例としては、ドデセニル無水コハク酸、ポリアジピン酸無水物、ポリアゼライン酸無水物、ポリセバシン酸無水物、ポリ(エチルオクタデカン二酸)無水物、ポリ(フェニルヘキサデカン二酸)無水物、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、無水メチルハイミック酸、テトラヒドロ無水フタル酸、トリアルキルテトラヒドロ無水フタル酸、メチルシクロヘキセンジカルボン酸無水物、メチルシクロヘキセンテトラカルボン酸無水物、無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、エチレングリコールビストリメリテート、無水ヘット酸、無水ナジック酸、無水メチルナジック酸、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロ−3−フラニル)−3−メチル−3−シクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸無水物、3,4−ジカルボキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−1−ナフタレンコハク酸二無水物、1−メチル−ジカルボキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−1−ナフタレンコハク酸二無水物等が挙げられる。
本発明のエポキシ樹脂組成物では、エポキシ樹脂と硬化剤の配合比率は、エポキシ基と硬化剤中の官能基が当量比で0.8〜1.5の範囲である。この範囲外では硬化後も未反応のエポキシ基、又は硬化剤中の官能基が残留し、電気絶縁材料としての信頼性が低下するため好ましくない。
本発明のエポキシ樹脂組成物には、無機充填材を添加してもよい。無機充填材は、ガラス繊維等の繊維状基材、あるいは繊維状基材と粒子状無機充填材を併用したものであっても良い。繊維状基材と複合化させる場合には、溶剤を使用しワニスとして、シート状とした繊維状基材に含浸し乾燥して本発明のプリプレグとすることができる。このようにして作成したプリプレグは、銅箔、アルミニウム箔、ステンレス箔等の金属基材、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、液晶ポリマー、ポリアミド、ポリイミド、テフロン(登録商標)等の高分子基材と積層し、加熱成形させることにより、プリント配線板、放熱基板等として応用することができる。
本発明のエポキシ樹脂組成物には、従来より公知の硬化促進剤を配合することができる。例を挙げれば、アミン類、イミダゾール類、有機ホスフィン類、ルイス酸等があり、具体的には、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7、トリエチレンジアミン、ベンジルジメチルアミン、トリエタノールアミン、ジメチルアミノエタノール、トリス(ジメチルアミノメチル)フェノールなどの三級アミン、2−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、2−へプタデシルイミダゾールなどのイミダゾール類、トリブチルホスフィン、メチルジフェニルホスフイン、トリフェニルホスフィン、ジフェニルホスフィン、フェニルホスフィンなどの有機ホスフィン類、テトラフェニルホスホニウム・テトラフェニルボレート、テトラフェニルホスホニウム・エチルトリフェニルボレート、テトラブチルホスホニウム・テトラブチルボレートなどのテトラ置換ホスホニウム・テトラ置換ボレート、2−エチル−4−メチルイミダゾール・テトラフェニルポレート、N−メチルモルホリン・テトラフェニルポレートなどのテトラフェニルボロン塩などがある。添加量としては、通常、エポキシ樹脂100重量部に対して、0.2〜10重量部の範囲である。これらは単独で用いても良く、併用しても良い。
上記硬化触媒の添加量は、エポキシ樹脂(難燃剤としての含ハロゲンエポキシ樹脂を含む)と硬化剤の合計に対して、0.1〜10.0wt%が好ましい。0.1wt%未満では成形時間が長くなって成形時の剛性低下による作業性の低下をもたらし、逆に10.0wt%を超えると成形途中で硬化が進んでしまい、未充填が発生し易くなる。
本発明のエポキシ樹脂組成物においては、エポキシ樹脂組成物に一般的に用いられる離型剤としてワックスが使用できる。ワックスとしては、例えばステアリン酸、モンタン酸、モンタン酸エステル、リン酸エステル等が使用可能である。
本発明のエポキシ樹脂組成物においては、無機充填材と樹脂成分の接着力を向上させるため、エポキシ樹脂組成物に一般的に用いられるカップリング剤を用いることができる。カップリング剤としては、例えばエポキシシランが使用可能である。カップリング剤の添加量は、エポキシ樹脂組成物に対して、0.1〜2.0wt%が好ましい。0.1wt%未満では樹脂と基材のなじみが悪く成形性が悪くなり、逆に2.0wt%を超えると連続成形性での成形品汚れが生じる。
また本発明のエポキシ樹脂組成物には、成形時の流動性改良およびリードフレーム等の基材との密着性向上の観点より、熱可塑性のオリゴマー類を添加することができる。熱可塑性のオリゴマー類としては、C5系およびC9系の石油樹脂、スチレン樹脂、インデン樹脂、インデン・スチレン共重合樹脂、インデン・スチレン・フェノール共重合樹脂、インデン・クマロン共重合樹脂、インデン・ベンゾチオフェン共重合樹脂等が例示さえる。添加量としては、通常、エポキシ樹脂100重量部に対して、2〜30重量部の範囲である。
さらに本発明のエポキシ樹脂組成物には、一般的にエポキシ樹脂組成物に使用可能なものを適宜配合して用いることができる。例えば、リン系難燃剤、ブロム化合物や三酸化アンチモン等の難燃剤、及びカーボンブラックや有機染料等の着色剤等を使用することができる。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、エポキシ樹脂、硬化剤、無機充填材と、カップリング剤以外のその他の成分をミキサー等によって均一に混合した後、カップリング剤を添加し、加熱ロール、ニーダー等によって混練して製造する。これらの成分の配合順序には特に制限はない。更に又、混練後に溶融混練物の粉砕を行い、パウダー化することやタブレット化することも可能である。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、エポキシ樹脂、硬化剤を樹脂成分の主成分とする。好ましくは、樹脂成分中、エポキシ樹脂と硬化剤を60wt%以上、好ましくは80wt%以上含む。なお、樹脂成分には、エポキシ樹脂、硬化剤、その他の樹脂の他に、熱をかけて成形することにより樹脂となるモノマーを含む。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、電気絶縁材料として有用であり、特に半導体装置に封止用として好適に用いられる。
本発明のエポキシ樹脂組成物を用いて成形物を得るためには、例えば、トランスファー成形、プレス成形、注型成形、射出成形、押出成形等の方法が適用されるが、量産性の観点からは、トランスファー成形が好ましい。この成形の際、重合が生じて硬化して、熱硬化性樹脂又は熱可塑性樹脂となる。ここで、硬化樹脂は、熱可塑性樹脂を含む意味で使用される。本発明の成形物は、硬化樹脂が成形されてなる。
本発明の成形物は、三次元架橋をしたものであることが一般的であるが、必ずしも三次元架橋体である必要はなく、熱可塑性の二次元高分子よりなる成形物であっても良い。特に、二官能性エポキシ樹脂を二官能性硬化剤と反応させた場合、通常は、エポキシ基の開環反応で生成する二級水酸基がさらにエポキシ基と反応することにより三次元架橋体となるが、硬化条件を選択することで熱可塑性の二次元高分子成形体とすることができる。高熱伝導性の観点から結晶性の成形物とすることが望ましいが、三次元架橋は、一般的に結晶性を阻害するため、架橋を少なくして二次元高分子が主体の成形体とすることが良い。成形物の結晶性の発現は、走査示差熱分析で結晶の融解に伴う吸熱ピークを融点として観測により確認することができる。好ましい融点は120℃から280℃の範囲であり、より好ましくは150℃から220℃の範囲である。
本発明の成形物の結晶化度は高いものほどよく、結晶化の程度は走査示差熱分析での結晶の融解に伴う吸熱量から評価することができる。好ましい吸熱量は、充填材を除いた樹脂成分の単位重量あたり5J/g以上である。より好ましくは10J/g以上であり、特に好ましくは20J/g以上である。これより小さいと成形物としての熱伝導率向上効果が小さい。また、低熱膨張性および耐熱性向上の観点からも結晶性が高いほど好ましい。なお、ここでいう吸熱量は、示差熱分析計により、約10mgを精秤した試料を用いて、窒素気流下、昇温速度10℃/分の条件で測定して得られる吸熱量を指す。
本発明の成形物は、上記成形方法により加熱成形させることにより得ることができるが、通常、成形温度としては80℃から250℃であるが、成形物の結晶化度を上げるためには、成形物の融点よりも低い温度で成形することが望ましい。好ましい成形温度は100℃から200℃の範囲であり、より好ましくは130℃から180℃である。また、好ましい成形時間は30秒から1時間であり、より好ましくは1分から30分である。さらに成形後、ポストキュアにより、さらに結晶化度を上げることができる。通常、ポストキュア温度は130℃から250℃であり、時間は1時間から20時間の範囲であるが、好ましくは、示差熱分析における吸熱ピーク温度よりも5℃から40℃低い温度で、1時間から24時間かけてポストキュアを行うことが望ましい。また、成形物の好ましい熱伝導率は3.5W/m・K以上であり、特に好ましくは6W/m・K以上である。
以下実施例により本発明をさらに具体的に説明する。
参考例1
4,4'−ジヒドロキシジフェニルメタン1000gをエピクロルヒドリン6500gに溶解し、60℃にて減圧下(約130Torr)、48%水酸化ナトリウム水溶液808gを4時間かけて滴下した。この間、生成する水はエピクロルヒドリンとの共沸により系外に除き、留出したエピクロルヒドリンは系内に戻した。滴下終了後、さらに1時間反応を継続して脱水後、エピクロルヒドリンを留去し、メチルイソブチルケトン3500gを加えた後、水洗を行い塩を除いた。その後、80℃にて20%水酸化ナトリウムを100g添加して2時間攪拌し、温水1000mLで水洗した。その後、分液により水を除去後、メチルイソブチルケトンを減圧留去し、淡黄色結晶状のエポキシ樹脂1460gを得た(エポキシ樹脂A)。
エポキシ樹脂Aのキャピラリー法による融点は59℃から65℃であり、150℃での粘度は6.2mPa・sであった。エポキシ当量は164であり、加水分解性塩素は280ppm、得られた樹脂のGPC測定より求められた一般式(1)における各成分比は、n=0が91.5%、n=1が7.2%であった。ここで、加水分解性塩素とは、試料0.5gをジオキサン30mlに溶解後、1N−KOH、10mlを加え30分間煮沸還流した後、室温まで冷却し、さらに80%アセトン水100mlを加えたものを、0.002N−AgNO3水溶液で電位差滴定を行うことにより測定された値である。また融点とは、キャピラリー法により昇温速度2℃/分で得られる値である。粘度はBROOKFIELD製、CAP2000Hで測定し、軟化点はJIS K−6911に従い環球法で測定した。また、GPC測定は、装置;日本ウォーターズ(株)製、515A型、カラム;TSK−GEL2000×3本およびTSK−GEL4000×1本(いずれも東ソー(株)製)、溶媒;テトラヒドロフラン、流量;1 ml/min、温度;38℃、検出器;RIの条件に従った。
参考例2
攪拌機、温度計、冷却管、窒素導入管のついた1L、4口セパラブルフラスコに、合成例1で合成したエポキシ樹脂400gと4,4'−ジヒドロキシジフェニルメタン61.0gを仕込み、窒素気流下、攪拌しながら150℃にて溶融混合した後、トリフェニルホスフィン0.2gを加え、2時間反応を行った。反応後、得られたエポキシ樹脂(エポキシ樹脂B)は、室温に放冷することにより、結晶性を示し固化した。得られたエポキシ樹脂Bのエポキシ当量は264g/eq.、融点は90から112℃、150℃での粘度は0.041Pa・sであった。また、得られた樹脂のGPC測定より求められた一般式(1)における各成分比は、n=0が46.8%、n=2が27.0%、n=4が12.1%、n≧6が13.7%であった。ここで、粘度はコントラバス社製レオマット115で測定した。また、GPC測定は、装置;HLC−82A(東ソー(株)製)、カラム;TSK−GEL2000×3本およびTSK−GEL4000×1本(いずれも東ソー(株)製)、溶媒;テトラヒドロフラン、流量;1 ml/min、温度;38℃、検出器;RIの条件に従った。
実施例1〜6、比較例1〜5
エポキシ樹脂成分として、参考例1、2のエポキシ樹脂(エポキシ樹脂A、B)、ビフェニル系エポキシ樹脂(エポキシ樹脂C:ジャパンエポキシレジン製、YL−6121(4,4'−ジヒドロキシビフェニルのエポキシ化物と3,3',5,5'−テトラメチル−4,4'−ジヒドロキシビフェニルのエポキシ化物との1:1の混合物)、3,3',5,5'−テトラメチル−4,4'−ジヒドロキシジフェニルメタンのエポキシ化物(エポキシ樹脂D:東都化成製、YSLV−80XY、エポキシ当量192)、ビスフェノールF型エポキシ樹脂(エポキシ樹脂E:東都化成製、YDF−170;エポキシ当量171)又はビスフェノールA型エポキシ樹脂(エポキシ樹脂F:東都化成製、YD−128;エポキシ当量189)を使用した。硬化剤として4,4'−ジヒドロキシジフェニルメタン(硬化剤A)、ビスフェノールA(硬化剤B)、4,4'−ジヒドロキシビフェニル(硬化剤C)、4,4'−ジヒドロキシジフェニルエーテル(硬化剤D)又はフェノールノボラック(硬化剤E:群栄化学製、PSM−4261;OH当量103、軟化点 82℃)を使用した。硬化促進剤としてトリフェニルホスフィン、無機充填材として、球状アルミナ(平均粒径12.2μm)を使用した。
表1に示す成分を配合し、ミキサーで十分混合した後、加熱ロールで約5分間混練したものを冷却し、粉砕してそれぞれ実施例1〜6、比較例1〜3のエポキシ樹脂組成物を得た。このエポキシ樹脂組成物を用いて表1に示す条件で成形およびポストキュアを行い、成形物の物性を評価した。結果をまとめて表1に示す。なお、表1中の各配合物の数字は重量部を表す。また、評価は次により行った。
(1)熱伝導率:NETZSCH製LFA447型熱伝導率計を用いて非定常熱線法により測定した。
(2)融点、融解熱の測定(DSC法):示差走査熱量分析装置(セイコーインスツル製DSC6200型)を用い、昇温速度10℃/分で測定した。
(3)線膨張係数、ガラス転移温度:セイコーインスツル(株)製TMA120C型熱機械測定装置を用いて、昇温速度10℃/分にて測定した。
(4)吸水率:直径50mm、厚さ3mmの円盤を成形し、ポストキュア後、85℃、相対湿度85%の条件で100時間吸湿させた後の重量変化率とした。
Figure 0005681152

Claims (2)

  1. (A)エポキシ樹脂及び(B)硬化剤を含むエポキシ樹脂組成物を成形、硬化して得られる成形物であって、エポキシ樹脂組成物におけるエポキシ樹脂の75wt%以上を下記一般式(1)で表される4,4'−ジフェニルメタン構造を持つエポキシ樹脂とし、硬化剤の75wt%以上を下記一般式(2)で表される4,4'−ジフェニルメタン構造を持つフェノール性樹脂とし、エポキシ樹脂中のエポキシ基と硬化剤中の官能基が当量比(エポキシ基/硬化剤中の官能基)で0.8〜1.5の範囲としたものであり、成形物の走査示差熱分析における融点のピークが120℃から280℃の範囲にあることを特徴とする成形物。
    Figure 0005681152
    (但し、nは0〜15の数を示す。)
    Figure 0005681152
    (但し、mは0〜15の数を示す。)
  2. 走査示差熱分析における樹脂成分換算の吸熱量が5J/g以上である請求項1に記載の成形物
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