JP2012224707A - エポキシ樹脂及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】エポキシ樹脂組成物の硬化物としたときに難燃性、低吸湿性、密着性、曲げ弾性率などの諸物性において優れたものを与えることのできるエポキシ樹脂、及びその製造方法を提供する。
【解決手段】置換基として炭素数1〜4のアルコキシ基を有していてもよい炭素数1〜10のアルキル基置換または非置換ベンゼンとフェノールからなるアルデヒド縮合フェノール系化合物が特定比で含まれる混合物とエピハロヒドリンとを反応させて得られるエポキシ樹脂。
【選択図】なし

Description

本発明は、エポキシ樹脂組成物の硬化物としたときに難燃剤を必須とせずに優れた難燃性を有し、また低吸湿性、密着性、曲げ弾性率などの諸物性において優れるものを与えることのできるエポキシ樹脂、及びその製造方法に関する。
半導体素子の封止には、信頼性、生産性及びコストの面から、エポキシ樹脂組成物が広く用いられている。一般のプラスチック材料と同じく、これら組成物にも難燃性が要求されており、そのために主成分とは別に難燃付与成分として、テトラブロモビスフェノールA 型エポキシ樹脂やブロム化フェノールノボラック型エポキシ樹脂などのブロム化エポ
キシ樹脂と酸化アンチモンが組み合わせて配合されている。
近年、環境保護の観点からダイオキシン類似化合物を発生する危惧のある含ハロゲン化合物や毒性の高いアンチモン化合物の使用を量規制する動きが高まっており、半導体封止用組成物に関しては、上述のブロム化エポキシ樹脂をはじめとするハロゲン化合物や酸化アンチモンを使用することなしに難燃性を達成させる技術が検討されるようになった。たとえば、赤リンを配合する方法(例えば、特許文献1) 、リン酸エステル化合物を配合
する方法(例えば、特許文献2) 、ホスファゼン化合物を配合する方法(例えば、特許
文献3)、金属水酸化物を配合する方法(例えば、特許文献4)などのハロゲン化合物や酸化アンチモンに代わる難燃剤を配合する手法及び充填剤の配合割合を高くする手法(例えば、特許文献5)などが検討されている。
しかし、半導体封止用エポキシ組成物に赤リンを用いた場合は耐湿信頼性の低下や赤リンの打撃発火性に起因する安全性懸念の問題、燐酸エステルやホスファゼン化合物を用いた場合は可塑化による成形性の低下や耐湿信頼性の低下の問題、金属水酸化物を用いた場合や充填剤の配合割合を高くした場合は流動性の低下の問題がそれぞれにあり、いずれの場合もブロム化エポキシ樹脂と酸化アンチモンを併用した封止用エポキシ樹脂組成物と同等の成形性、信頼性を得るに至っていない。充填剤の配合割合を高くした場合は流動性の低下の問題がそれぞれにあり、いずれの場合もブロム化エポキシ樹脂と酸化アンチモンを併用した封止用エポキシ樹脂組成物と同等の成形性、信頼性を得るに至っていない。一方で、高度化した実装方式に対応するため、封止用エポキシ樹脂組成物にはなお一層の成形性、耐ハンダクラック性が要求されており、これらを達成するためには、組成物の速硬化性、流動性、低熱線膨張化、低吸湿性及び密着性等にも十分配慮する必要がある。
これらの要求を満足させるために、芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂変性ノボラック型エポキシ樹脂を用いたものでは、通常のエポキシ樹脂と芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂変性ノボラック型エポキシ樹脂の組成物を用い、耐熱性、接着性を改良すること(例えば、特許文献5) 、芳香族炭化水素樹脂変性ノボラックエポキシ樹脂と多官能性
シアン酸エステル系の組成物を用い、耐熱性を改良すること(例えば、特許文献6) 、
(例えば、特許文献7) などが提案されている。
本発明者は上記従来の課題を克服しうるものとして、先に、エポキシ樹脂として特定の芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂変性ノボラック型エポキシ樹脂を用い、かつ硬化剤として特定の芳香族基を多く含むフェノール樹脂を用いるエポキシ樹脂組成物について報告した(例えば、特許文献8)。しかしながら、半導体封止材用途のエポキシ樹脂組成物では上記の諸物性を更に改良することが求められた。
特開平09−227765号公報 特開平09−235449号公報 特開平08−225714号公報 特開平09−241483号公報 特開平07−048499号公報 特開平05−222148号公報 特開平06−157721号公報 特開2005−171188号公報
本発明は、エポキシ樹脂組成物の硬化物としたときに難燃性、低吸湿性、密着性、曲げ弾性率などの諸物性において優れたものを与えることのできるエポキシ樹脂、及びその製造方法を提供すること課題とする。
本発明は上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、完成されたものである。本発明者らの検討によれば、上記特許文献8で具体的に開示されているエポキシ樹脂組成物の原料フェノール化合物中にはヒドロキシ基を有する芳香環同士がメチレン基を介して結合した化合物が不可避的に含まれており、当該フェノール化合物に対して特定構造のフェノール化合物の割合を多いものを原料として用いたエポキシ樹脂を含むエポキシ樹脂組成物により、諸物性の非常に優れた硬化物が得られることを見出したものである。即ち本発明の要旨は以下の[1]〜[5]に存する。
[1]下記式(1)、(2)及び(3)で表され、下記条件1)及び2)の少なくとも一つを満たすフェノール化合物の混合物とエピハロヒドリンとを反応させて得られるエポキシ樹脂。
1)HPLCにより測定される面積比で、下記式(2)で表されるフェノール化合物の下記式(1)のm=0、n=1で表される化合物に対する比が0.1以上0.6以下
2)HPLCにより測定される面積比で、下記式(3)で表されるフェノール化合物の下記式(1)のm=1、n=1で表される化合物に対する比が0.1以上0.5以下
Figure 2012224707
(上記式(1)〜(3)において、R〜Rは互いに異なっていてもよく、置換基として炭素数1〜4のアルコキシ基を有していてもよい炭素数1〜10のアルキル基を表し、a、b、d、e、g及びhは互いに異なっていてもよく、0〜4の数値を表し、c、f及びiは互いに異なっていてもよく、0〜3の数値を表し、mは0〜5、nは1〜15の数値である。)
[2]エポキシ当量が200g/eq以上1,000g/eq以下である、[1]に記載のエポキシ樹脂。
[3]前記式(1)〜(3)において、a=c=d=f=g=i=0、b=e=h=2であり、かつR、R及びRがメチル基である、[1]または[2]に記載のエポキシ樹脂。
[4]分解開始温度が260℃以上400℃以下である、[1]から[3]までのいずれか1つに記載のエポキシ樹脂。
[5]前記式(1)、(2)及び(3)で表されるフェノール化合物の混合物とエピハロヒドリンとを反応させて得られるエポキシ樹脂の製造方法であって、該フェノール化合物の混合物が以下の条件1)及び2)を同時に満たす、エポキシ樹脂の製造方法。
1)HPLCにより測定される面積比で、下記式(2)で表されるフェノール化合物の下記式(1)のm=0、n=1で表される化合物に対する比が0.1以上0.6以下
2)HPLCにより測定される面積比で、下記式(3)で表されるフェノール化合物の下記式(1)のm=1、n=1で表される化合物に対する比が0.1以上0.5以下
本発明のエポキシ樹脂は、エポキシ樹脂組成物の硬化物としたときに難燃剤を用いなくとも非常に優れた難燃性を有し、また、低吸湿性、密着性、曲げ弾性率に優れたものである。
以下に本発明の実施の形態を詳細に説明するが、以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施の形態の一例であり、本発明はその要旨を超えない限り、以下の記載内容に限定されるものではない。なお、本明細書において「〜」という表現を用いる場合、その前後の数値または物性値を含む表現として用いるものとする。
<エポキシ樹脂>
本発明のエポキシ樹脂は、下記式(1)、(2)及び(3)で表され、下記条件1)及び2)の少なくとも一つを満たすフェノール化合物の混合物とエピハロヒドリンとを反応させて得られるものである。
1)HPLCにより測定される面積比で、下記式(2)で表されるフェノール化合物の下記式(1)のm=0、n=1で表される化合物に対する比が0.1以上0.6以下
2)HPLCにより測定される面積比で、下記式(3)で表されるフェノール化合物の下記式(1)のm=1、n=1で表される化合物に対する比が0.1以上0.5以下
Figure 2012224707
(上記式(1)〜(3)において、R〜Rは互いに異なっていてもよく、置換基として炭素数1〜4のアルコキシ基を有していてもよい炭素数1〜10のアルキル基を表し、a、b、d、e、g及びhは互いに異なっていてもよく、0〜4の数値を表し、c、f及びiは互いに異なっていてもよく、0〜3の数値を表し、mは0〜5、nは1〜15の数値である。)
本発明のエポキシ樹脂は、前記式(1)、(2)及び(3)で表され、前記条件1)及び2)の少なくとも一つを満たすフェノール化合物の混合物とエピハロヒドリンとを反応させて得られるものであるが、難燃性、低吸湿性、密着性等の観点から両方の条件を満たす方が好ましい。
本発明のエポキシ樹脂は、その原料である、前記式(1)〜(3)のフェノール化合物の混合物において、R〜Rは、互いに異なっていてもよく、置換基として炭素数1〜4のアルコキシ基を有していてもよい炭素数1〜10のアルキル基である。後述する硬化物の難燃性の観点から、R〜Rは、炭素数1〜4のアルキル基が好ましく、炭素数1〜2のアルキル基、すなわちメチル基、エチル基がより好ましく、メチル基が最も好ましい。また、本発明の効果を著しく阻害せず、かつ、原料であるフェノール化合物のエポキシ化反応、エポキシ樹脂の高分子量化反応、エポキシ樹脂組成物の硬化反応などにおいて反応しないものであれば、R〜Rのアルキル基は置換基を有していてもよく、このような置換基としては、炭素数1〜4のアルコキシ基が挙げられる。ただし、コスト面や製造の容易さの観点などから、R〜Rのアルキル基は置換基を有しないものが好ましい。更に、原料調達の観点から、好ましくはR、R及びRが同一であり、かつ、R、R及びRが同一であるものが好ましい。
前記式(1)〜(3)のフェノール化合物において、a、b、d、e、g及びhは互いに異なっていてもよく、0〜4の数値である。a、d及びgについては好ましくは0〜1であり、最も好ましいのは0である。一方、b、e、hについては好ましくは1〜3、最も好ましいのは2である。また、前記式(1)〜(3)の化合物において、c、f及びiは互いに異なっていてもよく、0〜3の数値であるが、0が好ましい。上記のそれぞれのa〜iの値が好ましい理由は本発明のエポキシ樹脂を硬化物としたときの難燃性によるものである。尚、a〜iについて、0である場合とは当該芳香環がアルキル基を有しておらず、すべて水素が結合していることを意味する。
mは0〜5の数値である。mは好ましくは0.1以上であり、一方、好ましくは3以下、より好ましくは0.5以下、特に好ましくは0.3以下である。nは1〜15の数値である。nは好ましくは3以上、より好ましくは4以上であり、一方、好ましくは10以下、より好ましくは6以下、特に好ましくは5以下である。m、nはそれぞれ後の実施例における方法により、測定することができる。m、nが小さすぎると難燃性、低吸湿性、密着性が不十分となる。逆に大きすぎると樹脂の溶融粘度が増大し、流動性が低下してしまうおそれがある。
本発明のエポキシ樹脂に用いるフェノール化合物の混合物は、HPLCにより測定される面積比で、下記式(2)で表されるフェノール化合物の下記式(1)のm=0、n=1で表される化合物に対する比が0.1以上0.6以下である。この比は、低い方が難燃性、吸湿性、弾性率などの点で好ましい。
本発明のエポキシ樹脂に用いるフェノール化合物の混合物は、HPLCにより測定される面積比で、下記式(3)で表されるフェノール化合物の下記式(1)のm=1、n=1で表される化合物に対する比が0.1以上0.5以下である。この比は、低い方が難燃性、吸湿性、弾性率などの点で好ましい。
HPLCによる面積比はJIS K0124に従いHPLCを測定する事で求める事が出来る。より具体的な方法を実施例に示す。本発明のエポキシ樹脂は、これらのHPLCによる面積比を満たすフェノール化合物の混合物を原料として選択して製造すればよい。
本明細書において、エポキシ当量とは、1当量のエポキシ基を含むエポキシ樹脂の質量を意味する。本発明のエポキシ樹脂は、エポキシ当量が、150g/eq以上であることが好ましく、180g/eq以上であることがより好ましく、200g/eq以上であることが特に好ましい。一方、1000g/eq以下であることが好ましく、800g/eq以下であることがより好ましく、500g/eq以下であることが更に好ましく、300g/eq.以下であることが最も好ましい。エポキシ当量が小さすぎると吸湿率が高くなる傾向にあり、大きすぎると硬化性が悪くなる傾向にある。エポキシ当量は製造時のエピハロヒドリン、アルカリ金属水酸化物及びフェノール化合物のそれぞれの仕込み比を変
える事などにより、制御することができる。例えば、フェノール化合物に対して、エピハロヒドリンの使用量を多くするとエポキシ当量は小さくなり、エピハロヒドリンの使用量を少なくするとエポキシ当量は大きくなる。また、アルカリ金属水酸化物の使用量は多すぎても少なすぎてもエポキシ当量が高くなる。また、エポキシ当量は後述の実施例に記載する方法で測定可能することができる。
本発明のエポキシ樹脂は溶融粘度が高すぎると、成形時の流動性が損なわれるおそれがあるため、150℃の溶融粘度が、1.5Pa・s以下であることが好ましく、1.0Pa・s以下であることがより好ましく、0.7Pa・s以下であることが更に好ましく、0.5Pa・s以下であることが最も好ましい。一方、本発明のエポキシ樹脂は溶融粘度が低い方が無機充填材を多く充填する事が出来るため、下限値については特に制限されないが、上述したエポキシ当量の場合、通常0.005Pa・s以上である。溶融粘度は製造時のエピハロヒドリン、アルカリ金属水酸化物及びフェノール化合物のそれぞれの仕込み比を変える事により、制御することができる。例えばフェノール化合物に対して、エピハロヒドリンの使用量を多くすると溶融粘度は低くなり、エピハロヒドリンの使用量を少なくすると溶融粘度は高くなる。また、アルカリ金属水酸化物の使用量は多すぎても少なすぎても軟化点が高くなる。また、溶融粘度は後述の実施例に記載する方法で測定可能することができる。
エポキシ樹脂は、軟化点が40℃以上であることが好ましく、45℃以上であることがより好ましく、50℃以上であることが更に好ましく、57℃以上であることが最も好ましい。一方、120℃以下であることが好ましく、110℃以下であることがより好ましく、100℃以下であることが更に好ましい。軟化点が低すぎると固体としての取り扱いが困難になる傾向にあり、高すぎるとフェノール樹脂等との配合性が悪くなる傾向にある。軟化点は製造時のエピハロヒドリン、アルカリ金属水酸化物及びフェノール化合物の仕込み比を変える事などにより、制御することができる。例えば、フェノール化合物に対して、エピハロヒドリンの使用量を多くすると軟化点は低くなり、エピハロヒドリンの割合を少なくすると軟化点は高くなる。アルカリ金属水酸化物の使用量は多すぎても少なすぎても軟化点が高くなる。また、軟化点は後述の実施例に記載する方法で測定可能することができる。
エポキシ樹脂は、加水分解性ハロゲンが1000ppm以下であることが好ましく、800ppm以下であることがより好ましく、600ppm以下であることが特に好ましい。加水分解性ハロゲンが多すぎると封止材として用いたときに、塩素イオンなどが原因で半導体集積回路のアルミ配線の腐食による不良を起こしてしまうおそれがある。揮発成分が多いと硬化不良を起こしてしまう可能性があると同時に高温での取り扱い時の作業環境の悪化にもつながりうる。なお、「加水分解性ハロゲン」とは後述の実施例に示す方法によって測定される塩素量を意味し、製造過程において適切な反応溶媒を用いたり、適宜蒸留を行うことなどにより低減することができる。
従来、半導体装置が半田処理される際の半田は鉛を含む合金であったが、環境への懸念による鉛の使用撤廃の機運から融点の高い無鉛半田への切り替わりが進んでいる。この無鉛半田の適用により実装温度を従来に比べ約20℃高くすることが好ましい。その為、半導体封止材に用いるエポキシ樹脂の分解開始温度は260℃以上である事が好ましく、270℃以上である事がより好ましく、280℃以上である事が更に好ましい。一方、本発明に用いるエポキシ樹脂では分解開始温度は通常、400℃以下である。分解開始温度とは本発明のエポキシ樹脂が加熱により分解し始める温度であり、JIS K7120に従って測定
することができる。
本発明のエポキシ樹脂におけるジキシリルメタンの含有量は0.9質量%以下であるこ
とが好ましい。ジキシリルメタンの含有量は、好ましくは0.6質量%以下、より好ましくは0.3質量%以下である。ジキシリルメタンの含有量低減のために、原料フェノールの反応条件やエポキシ樹脂を製造する際の精製条件(溶剤を留去する際の条件)等を適宜調整することが好ましい。下記式(4)で表される化合物が多く含まれると、エポキシ樹脂の分解開始温度が低くなったり、エポキシ樹脂組成物を硬化物としたときの耐熱性が低下する等の不具合が発生するおそれがある。
本発明のエポキシ樹脂の揮発性分(水も含む)は0.9質量%以下、好ましくは0.6質量%以下、より好ましくは0.3質量%以下となるよう各種条件等を調整することが好ましい。
<エポキシ樹脂の製造方法>
本発明のエポキシ樹脂は、前記式(1)〜(3)のフェノール化合物を前記の割合で含む原料とエピハロヒドリンとの反応によって得られる。即ち、前記条件1)及び2)を満たす原料を選択して用いることが本発明の効果を奏するエポキシ樹脂を得る上で重要である。このような特定のフェノール化合物の混合物としては、フドー株式会社製ザイスターシリーズなどが挙げられる。
本発明のエポキシ樹脂は、以下に述べる方法によって製造することができる。まず、フェノール性水酸基1当量当たり1〜20モル、より好ましくは2〜15モル、さらに好ましくは3〜10モルに相当する量のエピハロヒドリンに溶解させて均一な溶液とする。エピハロヒドリンの量が少な過ぎると高分子量化し、溶融粘度が増大するなどの問題がある。エピハロヒドリンの量が多過ぎると生産効率が悪くなり、経済性が悪くなる。
ついで、その溶液を撹拌しながら、これにフェノール性水酸基1当量当たり0.5〜2.0モル、より好ましくは0.7〜1.8モル、さらに好ましくは0.9〜1.6モルに相当する量のアルカリ金属水酸化物を固体又は水溶液で加えて反応させる。アルカリ金属水酸化物の量が少な過ぎると、未反応の水酸基と生成したエポキシ樹脂が反応して高分子量化してしまう。またアルカリ金属水酸化物が多過ぎても高分子量化してしまい、所望のエポキシ当量のエポキシ樹脂が得られなかったり、副反応による不純物が生成するおそれがある。この反応は、常圧下又は減圧下で行わせることができ、反応温度は通常、常圧下の反応の場合は20〜150℃ 、より好ましくは30〜120℃、さらに好ましくは3
5℃〜100であり、減圧下の反応の場合は20〜100℃、より好ましくは30〜90℃、さらに好ましくは35℃〜80℃である。反応温度が低過ぎると反応が進行せず、目的の生成物が得られない。反応温度が高過ぎると副反応が進行し、特に塩素不純物が増加してしまう。
反応は必要に応じて所定の温度を保持しながら反応液を共沸させ、揮発する蒸気を冷却して得られた凝縮液を油/ 水分離し、水分を除いた油分を反応系へ戻す方法により脱水
する。アルカリ金属水酸化物の添加は、急激な反応を抑えるために、0.5〜8時間、より好ましくは1〜7時間、さらに好ましくは1〜6時間かけて少量ずつを断続的もしくは連続的に添加する。添加時間が短過ぎると急激に反応が進行し、反応温度の制御が難しくなる、高分子量化してしまう恐れがある。長過ぎると塩素不純物が生成する、経済性が悪くなるなどの問題がある。全反応時間は通常、1〜10時間である。
反応終了後、不溶性の副生塩を濾別して除くか、水洗により除去した後、未反応のエピハロヒドリンを減圧留去して除くと、目的のエポキシ樹脂が得られる。この反応におけるエピハロヒドリンとしては、通常、エピクロルヒドリン又はエピブロモヒドリンが用いられる。アルカリ金属水酸化物としては通常、水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムが用いられる。
また、この反応においては、テトラメチルアンモニウムクロリド、テトラエチルアンモニウムブロミドなどの第四級アンモニウム塩; ベンジルジメチルアミン、2,4 ,6−トリス( ジメチルアミノメチル) フェノールなどの第三級アミン;2−エチル−4−
メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾールなどのイミダゾール類;エチルトリフェニルホスホニウムアイオダイドなどのホスホニウム塩;トリフェニルホスフィンなどのホスフィン類等の触媒を用いてもよい。
さらに、この反応においては、エタノール、イソプロパノールなどのアルコール類;
アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類; ジオキサン、エチレングリコールジメ
チルエーテルなどのエーテル類;メトキシプロパノールなどのグリコールエーテル類;ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミドなどの非プロトン性極性溶媒等の不活性な有機溶媒を使用してもよい。
さらに、上記のようにして得られたエポキシ樹脂の可鹸化ハロゲン量が多すぎる場合は、再処理して十分に可鹸化ハロゲン量が低下した精製エポキシ樹脂を得ることができる。つまり、その粗製エポキシ樹脂を、イソプロピルアルコール、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、トルエン、キシレン、ジオキサン、メトキシプロパノール、ジメチルスルホキシドなどの不活性な有機溶媒に再溶解しアルカリ金属水酸化物を固体又は水溶液で加えて約30〜120℃、より好ましくは40〜110℃、さらに好ましくは50〜100℃ の温度で0.1〜8時間、より好ましくは0.3〜7時間、さらに好ましくは
0.5〜6時間再閉環反応を行った後、水洗等の方法で過剰のアルカリ金属水酸化物や副性塩を除去し、さらに有機溶媒を減圧留去及び/または水蒸気蒸留を行うと、加水分解性ハロゲン量が低減されたエポキシ樹脂を得ることができる。この反応温度が低過ぎたり、反応時間が短すぎたりすると再閉環反応が進行しないことがある。また、反応温度が高過ぎたり、反応時間が長過ぎると反応は進行するが、高分子量化してエポキシ当量が高くなる、軟化点が高くなる、溶融粘度が高くなる恐れがある。
<エポキシ樹脂組成物>
本発明のエポキシ樹脂は、通常、エポキシ樹脂組成物として用いられる。以下にエポキシ樹脂組成物として用いるときの成分、用途、物性などについて詳述する。
[硬化剤]
本発明のエポキシ樹脂組成物は硬化剤を含むものである。本発明のエポキシ樹脂組成物において、エポキシ樹脂と共に用いることのできる硬化剤とは、エポキシ樹脂のエポキシ基間の架橋反応に寄与する物質である。
本発明のエポキシ樹脂と共に用いることの可能な硬化剤としては、特に制限はなく一般的にエポキシ樹脂の硬化剤として知られているものはすべて使用できる。例えば、フェノール系硬化剤、脂肪族アミン、ポリエーテルアミン、脂環式アミン、芳香族アミンなどのアミン系硬化剤、酸無水物系硬化剤、アミド系硬化剤、ポリメルカプタン系硬化剤、イソシアネート系硬化剤、ブロックイソシアネート系硬化剤等が挙げられる。
フェノール系硬化剤の具体例としては、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ビスフェノールAD、ハイドロキノン、レゾルシン、メチルレゾルシン、ビフェノール、テトラメチルビフェノール、ジヒドロキシナフタレン、ジヒドロキシジフェニルエーテル、チオジフェノール類、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、フェノールアラルキル樹脂、ビフェニルアラルキル樹脂、ナフトールアラルキル樹脂、テルペンフェノール樹脂、ジシクロペンタジエンフェノール樹脂、ビスフェノールAノボラック樹脂、ナフトールノボラック樹脂、臭素化ビスフェノールA、臭素化フェノールノボラック樹脂などの種々の多価フェノール類や、種々のフェノール類とベンズアルデヒド、ヒドロキシベンズアルデヒド、クロトンアルデヒド、グリオキザールなどの種々の
アルデヒド類との縮合反応で得られる多価フェノール樹脂類、キシレン樹脂とフェノール類との縮合反応で得られる多価フェノール樹脂類、重質油またはピッチ類とフェノール類とホルムアルデヒド類との共縮合樹脂等の各種のフェノール樹脂類等が例示される。これらの中で好ましいものとしてはフェノールノボラック樹脂、フェノールアラルキル樹脂、フェノールとヒドロキシベンズアルデヒドとの縮合反応で得られる多価フェノール樹脂、ビフェニルアラルキル樹脂、ナフトールアラルキル樹脂が挙げられる。これらの中でも好ましいものとしてはフェノールノボラック樹脂、フェノールアラルキル樹脂、フェノールとヒドロキシベンズアルデヒドとの縮合反応で得られる多価フェノール樹脂、ビフェニルアラルキル樹脂、ナフトールアラルキル樹脂等が挙げられる。
アミン系硬化剤の例としては、脂肪族アミン類、ポリエーテルアミン類、脂環式アミン類、芳香族アミン類などが挙げられる。脂肪族アミン類としては、エチレンジアミン、1,3−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノプロパン、ヘキサメチレンジアミン、2,5−ジメチルヘキサメチレンジアミン、トリメチルヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、イミノビスプロピルアミン、ビス(ヘキサメチレン)トリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、N−ヒドロキシエチルエチレンジアミン、テトラ(ヒドロキシエチル)エチレンジアミン等が例示される。ポリエーテルアミン類としては、トリエチレングリコールジアミン、テトラエチレングリコールジアミン、ジエチレングリコールビス(プロピルアミン)、ポリオキシプロピレンジアミン、ポリオキシプロピレントリアミン類等が例示される。脂環式アミン類としては、イソホロンジアミン、メタセンジアミン、N−アミノエチルピペラジン、ビス(4−アミノ−3−メチルジシクロヘキシル)メタン、ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、3,9−ビス(3−アミノプロピル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン、ノルボルネンジアミン等が例示される。芳香族アミン類としては、テトラクロロ−p−キシレンジアミン、m−キシレンジアミン、p−キシレンジアミン、m−フェニレンジアミン、o−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、2,4−ジアミノアニソール、2,4−トルエンジアミン、2,4−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノ−1,2−ジフェニルエタン、2,4−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、m−アミノフェノール、m−アミノベンジルアミン、ベンジルジメチルアミン、2−ジメチルアミノメチル)フェノール、トリエタノールアミン、メチルベンジルアミン、α−(m−アミノフェニル)エチルアミン、α−(p−アミノフェニル)エチルアミン、ジアミノジエチルジメチルジフェニルメタン、α,α’−ビス(4−アミノフェニル)−p−ジイソプロピルベンゼン等が例示される。
酸無水物系硬化剤の具体例としては、ドデセニル無水コハク酸、ポリアジピン酸無水物、ポリアゼライン酸無水物、ポリセバシン酸無水物、ポリ(エチルオクタデカン二酸)無水物、ポリ(フェニルヘキサデカン二酸)無水物、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、無水メチルハイミック酸、テトラヒドロ無水フタル酸、トリアルキルテトラヒドロ無水フタル酸、メチルシクロヘキセンジカルボン酸無水物、メチルシクロヘキセンテトラカルボン酸無水物、無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、エチレングリコールビストリメリテート二無水物、無水ヘット酸、無水ナジック酸、無水メチルナジック酸、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロ−3−フラニル)−3−メチル−3−シクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸無水物、3,4−ジカルボキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−1−ナフタレンコハク酸二無水物、1−メチル−ジカルボキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−1−ナフタレンコハク酸二無水物等が例示される。
アミド系硬化剤としては、ジシアンジアミド、ポリアミド樹脂等が例示される。
以上に挙げた硬化剤の中でもフェノール系硬化剤が加水分解の起こり難い硬化物が得ら
れる、耐熱性に優れた硬化物が得られる、等といった点から好ましい。硬化剤は、1種のみで用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で混合して用いてもよい。
本発明のエポキシ樹脂を含むエポキシ樹脂組成物中の硬化剤の含有量は、全エポキシ樹脂成分に対して0.1〜80重量%であることが好ましく、20〜70重量部であることがより好ましく、0.1〜60重量%であることが更に好ましい。尚、ここでいう「全エポキシ樹脂成分」とは前述の「エポキシ樹脂」と後述の「他のエポキシ樹脂」との合計を意味するものである。
本発明のエポキシ樹脂を含むエポキシ樹脂組成物中の硬化剤の含有量は、0.1〜60重量%であることが好ましい。硬化剤がフェノール系硬化剤、アミン系硬化剤、酸無水物系硬化剤の場合は、エポキシ樹脂中のエポキシ基と硬化剤中の官能基(フェノール系硬化剤の水酸基、アミン系硬化剤のアミノ基、産無水物系硬化剤の酸無水物基)との当量比で0.8〜1.5の範囲となるように用いることが好ましい。この範囲外であると未反応のエポキシ基や硬化剤の官能基が残留し、所望の物性が得られないことがある。
[硬化促進剤]
本発明のエポキシ樹脂を含むエポキシ樹脂組成物には硬化促進剤が好適に用いられる。有機ホスフィン類、ホスホニウム塩、イミダゾール類、第3級アミン、テトラフェニルボロン塩、有機酸ジヒドラジド、ハロゲン化ホウ素アミン錯体などが挙げられる。
硬化促進剤として使用可能な化合物としては、トリフェニルホスフィン、ジフェニル(p−トリル)ホスフィン、トリス(アルキルフェニル)ホスフィン、トリス(アルコキシフェニル)ホスフィン、トリス(アルキル・アルコキシフェニル)ホスフィン、トリス(ジアルキルフェニル)ホスフィン、トリス(トリアルキルフェニル)ホスフィン、トリス(テトラアルキルフェニル)ホスフィン、トリス(ジアルコキシフェニル)ホスフィン、トリス(トリアルコキシフェニル)ホスフィン、トリス(テトラアルコキシフェニル)ホスフィン、トリアルキルホスフィン、ジアルキルアリールホスフィン、アルキルジアリールホスフィン等の有機ホスフィン類又はこれら有機ホスフィン類と有機ボロン類との錯体やこれら有機ホスフィン類と無水マレイン酸、1,4−ベンゾキノン、2,5−トルキノン、1,4−ナフトキノン、2,3−ジメチルベンゾキノン、2,6−ジメチルベンゾキノン、2,3−ジメトキシ−5−メチル−1,4−ベンゾキノン、2,3−ジメトキシ−1,4−ベンゾキノン、フェニル−1,4−ベンゾキノン等のキノン化合物、ジアゾフェニルメタンなどの化合物を付加してなる化合物、2−フェニルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾール、1−シアノ−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾールトリメリテイト、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾリウムトリメリテイト、2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2’−エチル−4’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジンイソシアヌル酸付加体、2−フェニルイミダゾールイソシアヌル酸付加体、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール、及びエポキシ樹脂と上記イミダゾール類と付加してなる化合物、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7、トリエチレンジアミン、ベンジルジメチルアミン、トリエタノールアミン、ジメチルアミノエタノール、トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール等が例示される。
以上に挙げた硬化促進剤の中でも有機ホスフィン類、ホスホニウム塩、イミダゾール類、第3級アミンが好ましく、有機ホスフィン類が最も好ましい。また、硬化促進剤は、上記に挙げたもののうち、1種のみで用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率
で混合して用いてもよい。
硬化促進剤は、十分な硬化促進効果を得るため、エポキシ樹脂組成物中のエポキシ樹脂100重量部に対して0.1重量以上20重量部以下の範囲で用いられる。硬化促進剤の使用量はエポキシ樹脂組成物中のエポキシ樹脂100重量部に対して、好ましくは0.5重量部以上、より好ましくは1重量部以上であり、一方、好ましくは15重量部以下、より好ましくは10重量部以下である。
[無機充填剤]
本発明のエポキシ樹脂を含むエポキシ樹脂組成物には無機充填剤を配合することができる。無機充填剤としては例えば、溶融シリカ、結晶性シリカ、ガラス粉、アルミナ、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、タルクなどが挙げられる。これらの中でも半導体封止の用途に用いる場合には、破砕型及び/又は球状の、溶融及び/又は結晶性シリカ粉末充填材が好ましい。無機充填剤を使用することにより、封止材の熱膨張係数を内部のシリコンチップやリードフレームに近づけることができ、また封止材全体の吸湿量を減らす事ができるため、耐はんだクラック性を向上させることができる。
本発明のエポキシ樹脂組成物に用いる無機充填剤の平均粒径は、1〜50μm、好ましくは1.5〜40μm、より好ましくは2〜30μmである。粒径が細かすぎると溶融粘度が高くなり流動性が低下してしまうことがあり、また、粒径が大きすぎると成形時に金型の狭い隙間に充填剤が目詰まりし材料の充填性を低下させてしまうおそれがある。
本発明のエポキシ樹脂組成物に無機充填剤を用いる場合、エポキシ樹脂組成物全体の70〜95質量%配合することが好ましい。
[他のエポキシ樹脂]
本発明のエポキシ樹脂を含むエポキシ樹脂組成物は、前記式(1)〜(3)のフェノール化合物とエピクロルヒドリンとの反応によって得られるエポキシ樹脂のほかに、その他のエポキシ樹脂(本明細書において「他のエポキシ樹脂」と称することがある)を含むことができる。
他のエポキシ樹脂としては、分子内に2個以上のエポキシ基を有するものであることが好ましく、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールAD、ハイドロキノン、メチルハイドロキノン、ジブチルハイドロキノン、レゾルシン、メチルレゾルシン、ビフェノール、テトラメチルビフェノール、テトラメチルビスフェノールF、ジヒ
ドロキシジフェニルエーテル、チオジフェノール類、ジヒドロキシナフタレン、ジヒドロキシアントラセン、ジヒドロキシジヒドロアントラセン、ジヒドロキシスチルベン類、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ビスフェノールAノボラック樹脂、ナフトールノボラック樹脂、フェノールアラルキル樹脂、ナフトールアラルキル樹脂、ビフェニルアラルキル樹脂、テルペンフェノール樹脂、ジシクロペンタジエンフェノール樹脂などの種々のフェノール類や、種々のフェノール類と、ヒドロキシベンズアルデヒド、クロトンアルデヒド、グリオキザールなどの種々のアルデヒド類との縮合反応で得られる多価フェノール樹脂類、重質油またはピッチ類とフェノール類とホルムアルデヒド類との共縮合樹脂等の各種のフェノール系化合物と、エピハロヒドリンとから製造されるエポキシ樹脂やジアミノジフェニルメタン、アミノフェノール、キシレンジアミンなどの種々のアミン化合物と、エピハロヒドリンとから製造されるエポキシ樹脂、メチルヘキサヒドロフタル酸、ダイマー酸などの種々のカルボン酸類と、エピハロヒドリンとから製造されるエポキシ樹脂などが挙げられる。これらは1種のみでも2種以上の混合体としても使用することもできる。
[その他の成分]
本発明のエポキシ樹脂を含むエポキシ樹脂組成物には、他の一般のエポキシ樹脂組成物
と同様に、各種添加剤を配合することができる。それら各種添加剤としては例えば、カップリング剤、難燃剤、可塑剤、反応性希釈剤、顔料等があげられ、必要に応じて適宜に配合することができる。ただし、本発明のエポキシ樹脂組成物は上記で挙げた成分以外のものを配合することを何ら妨げるものではない。
その難燃剤としては、臭素化エポキシ樹脂、臭素化フェノール樹脂などのハロゲン系難燃剤、三酸化アンチモンなどのアンチモン化合物、赤燐、リン酸エステル類、ホスフィン類などのリン系難燃剤、メラミン誘導体などの窒素系難燃剤及び水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムなどの無機系難燃剤などが挙げられる。本発明のエポキシ樹脂組成物の硬化物は難燃剤を配合しなくとも優れた難燃性を有するものである。このうち、上記のうち特に環境安全性が危惧されている臭素化エポキシ樹脂、臭素化フェノール樹脂などのハロゲン系難燃剤、三酸化アンチモンなどのアンチモン化合物について、これらの難燃剤を配合する必要がないか、少量にすることができる。ただし、組成物中の各成分の種類や配合量により難燃性は変化するので、UL−94規格のV−0あるいはそれに準じた難燃性を確保できるよう各成分の選択や配合量の調整をすることが好ましい。
[硬化物・用途]
本発明のエポキシ樹脂を含むエポキシ樹脂組成物を加熱して硬化させることにより、硬化物を得ることができる。硬化反応の条件は特に限定されないが、通常、硬化剤の種類によって硬化温度を以下の通り選択することが好ましい。具体的な温度としてはフェノール系硬化剤、芳香族ポリアミンでは130〜200℃、酸無水物類、ジシアンジアミド、イミダゾール誘導体では100〜150℃、脂環族ポリアミン、イミダゾールでは50〜80℃などである。またこれらの硬化剤に促進剤を添加することで、その硬化温度を下げることも可能である。反応時間は1〜20時間が好ましく、より好ましくは2〜18時間、さらに好ましくは3〜15時間である。反応時間が短いと硬化が不十分で所望の物性が得られないことがある。反応時間が長すぎると加熱による劣化、加熱する為のエネルギーのロスなどの問題がある。
本発明のエポキシ樹脂組成物の硬化物は難燃性、低吸湿性、密着性、曲げ弾性率などに優れるものである。これらの諸物性が求められる用途であれば、いかなる用途にも有効に用いることができるが、電気電子分野、特に半導体の封止材の用途に有用である。
本発明のエポキシ樹脂は硬化剤との組成物とし、更に上述のような硬化物としたときに優れた硬化物性を示すものである。以下の硬化物性は硬化剤の種類によらずに維持されるものである。
[難燃性]
本発明のエポキシ樹脂はエポキシ樹脂組成物としたときに、従来用いられてきたブロモ化合物や酸化アンチモン等の環境への影響が懸念される難燃剤を必須とせずに、難燃性に優れた硬化物を得ることが出来る。難燃性に優れる理由は前記式(1)〜(3)のフェノール化合物に由来するエポキシ樹脂が特定の割合で含まれていることにより、硬化物が着火時に発泡した炭化層を形成し、熱や硬化物が分解する時に発生する可燃性ガスを遮断する為であると考えられる。炭化層を形成する為には長鎖のアルキル基は好ましくない。その為、R、Rは好ましくはメチル基又はエチル基であり、更に好ましくはメチル基である。
[吸湿性]
半導体装置を実装する際、赤外線リフローなどの手段での半田処理による半田接合を行う場合、樹脂組成物の硬化物の吸湿によりパッケージ内部に蓄積された水分が高温で急激に気化することによる応力で、パッケージにクラックが発生したり、基板の素子搭載面と樹脂組成物の硬化物との界面で剥離が発生したりすることがある。その為、本発明のエポ
キシ樹脂はエポキシ樹脂組成物としたときに、その硬化物を封止材として用いる場合、吸湿率が低くなることが好ましい。吸湿率は好ましくは0.4質量%以下、より好ましくは0.3質量%以下、更に好ましくは0.2質量%以下である。
吸湿率は以下のようにして測定することができる。直径50mm高さ3mmの円柱の試験片を成形し、エスペック社製 恒温器SPH−201を用いて105℃で2時間乾燥し、その後、試験片の質量を精秤する。続いて乾燥後の試験片をナガノ科学機械製作所社製
恒温恒湿器LH30−11Pを用いて温度85℃、湿度85%の条件下で72時間保存し、質量を精秤する。そして以下の計算式より吸水率を求めることができる。
[(72時間吸湿後の試験片の質量)−(乾燥直後の試験片の質量)]÷(乾燥後の試験片の質量)×100
[曲げ弾性率]
また上記パッケージのクラックの発生や基板の素子搭載面と樹脂組成物の硬化物との界面で剥離を防ぐ手段として低応力化、すなわち硬化物の弾性率を下げることも望まれる。本発明のエポキシ樹脂はエポキシ樹脂組成物を封止材として用いる場合、熱時の弾性率が低くなることが好ましい。250℃での曲げ弾性率は好ましくは1000MPa以下、より
好ましくは800MPa以下、更に好ましくは700MPa以下である。曲げ弾性率はJIS K6911に従い3点曲げ試験を行うことにより測定することができる。
[密着性]
本発明のエポキシ樹脂はエポキシ樹脂組成物としたときにその硬化物は密着性に優れたものである。密着性を優れたものとするためにはエポキシ樹脂の架橋点間距離を適度に保つことが好ましい。具体的には前記式(2)で表されるフェノール化合物の下記式(1)のm=0、n=1で表される化合物に対する比が0.1以上0.7以下、前記式(3)で表されるフェノール化合物の下記式(1)のm=1、n=1で表される化合物に対する比が0.1以上0.5以下とすることが好ましい。
密着性はアルミピール強度を測定する事により確認することができる。本明細書の実施例での条件を例示すると、測定は23℃、湿度50%下で、引っ張り試験機(Instron社製 Instron5582)を使用し、クロスヘッドスピード50 mm/分で実施することができる。試験片
幅は4mmとする。
[線膨張]
本発明のエポキシ樹脂はエポキシ樹脂組成物としたときにその硬化物を封止材として用いた際のガラス転移点以下の線膨張係数α1は5〜25μm/m℃であることが好ましい。より好ましくは5〜20μm/m℃、さらに好ましくは5〜15μm/m℃である。また、ガラス転移点以下の線膨張係数α2は20〜60μm/m℃であることが好ましい。より好ましくは20〜50μm/m℃、さらに好ましくは20〜40μm/m℃である。線膨張係数がこれらの範囲から外れると封止樹脂中に熱応力が増大し、パッシベーションやチップの損傷、アルミ配線のスライド、パッケージクラックなどの不良を起こしてしまうおそれがある。線膨張係数はTMA法(TA instruments社製 TMA 2
940 Thermomechanical Analyzerを使用)にて測定することができる。
以下、本発明を実施例に基づいてより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例により何ら限定されるものではない。以下において、「部」は全て「重量部」を示すものである。尚、以下の実施例における各種の製造条件や評価結果の値は、本発明の実施態様における上限または下限の好ましい値としての意味をもつものであり、好ましい範囲は前記した上限または下限の値と、下記実施例の値または実施例同士の値との組み合わせで規定される範囲であってもよい。
<エポキシ樹脂>
〔製造例1〕
温度計、撹拌装置、冷却管を備えた内容量2Lの三口フラスコに芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂変性ノボラック型フェノール樹脂(フドー社製商品名 ザイスターGP9
0)150g、エピクロルヒドリン434g、イソプロピルアルコール169gを仕込み、40℃に昇温して均一に溶解させた後、48.5質量%の水酸化ナトリウム水溶液74gを60分かけて滴下した。その間に徐々に昇温し、滴下終了後には系内が65℃になるようにした。その後、65℃で30分保持し反応を完了させ、水洗により副生塩及び過剰の水酸化ナトリウムを除去した。ついで、生成物から減圧下で過剰のエピクロルヒドリンとイソプロパノールを留去して、粗製エポキシ樹脂を得た。この粗製エポキシ樹脂をメチルイソブチルケトン300gに溶解させ、48.5質量%の水酸化ナトリウム水溶液5gを加え、65℃の温度で1時間再び反応させた。その後、反応液に第一リン酸ナトリウム水溶液を加えて、過剰の水酸化ナトリウムを中和し、水洗して副生塩を除去した。次いで、減圧下でメチルイソブチルケトンを完全に除去して、目的のエポキシ樹脂180gを得た。得られた樹脂はエポキシ当量269g/eq、加水分解性ハロゲン300ppm、150℃における溶融粘度は0.22Pa・s、軟化点は65℃であった。
〔製造例2〕
製造例1において芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂変性ノボラック型フェノール樹脂(フドー社製商品名 ザイスターGP90)を芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂変
性ノボラック型フェノール樹脂(フドー社製商品名 ザイスターGP100)に、エピク
ロルヒドリンの量を440gに、イソプロピルアルコールを170gに、1回目の48.5質量%の水酸化ナトリウム水溶液の量を75gとした以外は、製造例1と同様の操作を行い、エポキシ樹脂を得た。得られた樹脂はエポキシ当量は269g/eq、加水分解性ハロゲンは300ppm、150℃における溶融粘度は0.22Pa・s、軟化点は65℃であった。
〔製造例3〕
特開2005−171188記載の予備製造例、製造例1に従いエポキシ樹脂を得た。得られた樹脂はエポキシ当量249g/eq、加水分解性ハロゲン400ppm、150℃における溶融粘度は0.18Pa・s、軟化点は63℃であった。
〔製造例4〕
製造例1において芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂変性ノボラック型フェノール樹脂(フドー社製商品名 ザイスターGP90)を芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂変
性ノボラック型フェノール樹脂(フドー社製商品名 ニカノール(登録商標)GP−20
0)に、エピクロルヒドリンの量を695gに、イソプロピルアルコールを270gに、1回目の48.5質量%の水酸化ナトリウム水溶液の量を94gとした以外は、製造例1と同様の操作を行い、エポキシ樹脂を得た。得られた樹脂はエポキシ当量252g/eq、加水分解性ハロゲン660ppm、150℃における溶融粘度は2.24Pa・s、軟化点は86℃であった。
〔製造例5〕
製造例1において芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂変性ノボラック型フェノール樹脂(フドー社製商品名 ザイスターGP100)を芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂
変性ノボラック型フェノール樹脂(フドー社製商品名 ニカノール(登録商標)P−10
0)に、エピクロルヒドリンの量を587gに、イソプロピルアルコールを228gに、1回目の48.5質量%の水酸化ナトリウム水溶液の量を79gとした以外は、製造例1と同様の操作を行い、エポキシ樹脂を得た。得られた樹脂はエポキシ当量286g/eq、加水分解性ハロゲン500ppm、150℃における溶融粘度は3.12Pa・s、軟
化点は87℃であった。
<エポキシ樹脂の物性・特性測定>
製造例1〜5の各エポキシ樹脂において、以下の物性・特性測定を行った。これらの測定結果を表−1に示す。
・HPLC測定
前記式(4)と前記式(5)及び(6)で表される化合物の比率はHPLCの面積%の比率から次の計算式により求めた。下記式(4)のm=0, n=1で表される化合物のHPLCのピークは26.3、27.7、28.9分に確認され、これらのピーク面積の合計を取った。下記式(4)のm=1, n=1で表される化合物のHPLCのピークは39.8〜41.7分に確認され、の複数のピーク面積の合計とした。下記式(5)で表される化合物のピークは31.1〜32.9分の複数のピーク面積の合計とした。下記式(6)で表される化合物のピークは44.3〜45.6分に確認され、これらのピーク面積の合計を取った。尚、ピークの帰属は、それぞれのピークについて、マススペクトルを測定することにより行った。
(下記式(5)で表される化合物の面積%)/(式(1)においてm=0, n=1で表される化合物の面積%)
(この比を化合物比Xとする。)
または
(前記式(6)で表される化合物の面積%)/(前記式(1)でm=1, n=1で表される化合物の面積%)
(この比を化合物比Yとする。)
尚、HPLCはJIS K0124に基づき、Waters社製高速液体クロマトグラフィー Waters 2690〔カラム:東ソー社製TSKgel ODS−120A
(カラム寸法4.6mmI.D.×15cm)、溶離液:アセトニトリル/水=30/70を60分で100/0にするグラジエント分析、流速:1ml/min、検出器:UV(254nm)、温度35℃、試料濃度0.1%、インジェクション量:10μl、ピーク面積の解析ソフト:Waters社 Empower2〕により測定した。JIS K
0124に基くピーク面積は、各ピークに対して直線のベースラインを引き、ベースラインとピークによって囲まれる面積とした。
Figure 2012224707
・式(1)におけるm、n
式(1)におけるm、nはGPCにより求めた重量平均分子量と水酸基当量とから求めた。
重量平均分子量は東ソー社製GPC HLC−8120GPC装置を使用し、標準ポリスチレンとして、TSK Standard Polystyrene: F-128(Mw1,090,000、Mn1,030,000)、F-10(Mw106,000、Mn103,000)、F-4(Mw43,000、Mn42,700)、F-2(Mw17,200、Mn16,900) 、A-5000(Mw6,400、Mn6,100)、A-2500(Mw2,800、Mn2,700)、A-300(Mw453、Mn387)を使用した検量線を作成し、ポリスチレン換算値として測定した。
カラム:東ソー社製 TSKGEL SuperHM-H+H5000+H4000+H3000+H2000
溶離液:THF。流速:0.6ml/min
検出:UV(254nm)
温度:40℃。試料濃度:0.1%
インジェクション量:10μl。
・フェノール化合物の水酸基当量
水酸基当量は以下の通り測定した。
共栓付き三角フラスコに原料として用いたフェノール化合物10g、ピリジン−無水酢
酸混合溶液40g(体積比3:1)を精秤して加え回転子を入れてマグネチックスターラ
ー上で溶解した。60℃恒温槽にて2.5時間反応させた後、水10gを加えて反応を停止した。マグネチックスターラーで回転子を攪拌させながら、クレゾールレッド・チモールブルー混合指示薬を2滴加え5N水酸化ナトリウム溶液で終点まで滴定した。終点は溶液の色が黄色から青紫色に変化した時点を終点とした。クレゾールレッド・チモールブルー混合指示薬はクレゾールレッド0.01g、チモールブルー0.01gをエタノール5mL、水5mLに溶解し調整した。上記と同様の操作をフェノール樹脂を加えず、空試験として行った。そして、次式により水酸基当量を計算した。
200 × W / ((TB/SB)×S−T)
ここではWはサンプル質量(g)、TBは空試験に要した水酸化ナトリウム溶液の量(ml)、SBは空試験に要したピリジン−無水酢酸混合溶液の量(g)、Sはフェノール
樹脂の滴定に要したピリジン−無水酢酸混合溶液の量(g)、Tはフェノール樹脂の滴定に要した水酸化ナトリウム溶液の量(ml)である。
・エポキシ当量
JIS K7236に従い、測定した。
・加水分解性ハロゲン
ビーカーに試料1.0 gを精評し、ジオキサン30mlを加え、完全に溶解した。1Nアルコー
ル性KOH 5mlをホールピペットで加えた後、ビーカーに冷却管をつけ、オイルバス中で30
分間煮沸還流した。1Nアルコール性KOHは事前に1Lメスフラスコに水酸化カリウム56.1gを秤量し、95.0%エタノールで溶解し調整した。その後ビーカーを冷却し、メタノール5ml、80%アセトン水100mlを加えた.ビーカーに回転子を入れ、硝酸2mlを加え、0.01N硝酸銀
標準溶液を用い、電位差滴定装置にて滴定した。次式より加水分解性ハロゲンを計算した.
加水分解性ハロゲン(ppm) = ((A−B)×35.5×N×F×103)/W
但し、A:試料の滴定に要した0.01N硝酸銀標準溶液の量(ml)、B:空試験の滴定に要した0.01N硝酸銀標準溶液の量(ml)、N:硝酸銀標準溶液の規定度、F:硝酸銀標準溶液の力価、W:サンプル量(g)である。
・軟化点
JIS K7234(環球法)に従い、測定した。
・溶融粘度
ICI粘度計のプレート温度を150℃に設定し、試料を所定量、秤量した。プレート部に秤量した樹脂を置き、上部よりコーンで押えつけ、90秒放置した。その後コーンを回転させて、そのトルク値を溶融粘度として読み取った。ICI粘度計は東海八神社製 CONE PLATE VISCOMETER MODEL CV-1Dを使用した。
・ジキシリルメタン含有量
ガスクロマトグラフィーを用い、内部標準法により測定した。内部標準物質にはベンジルアルコール(和光純薬社製 特級)を使用した。尚、ガスクロマトグラフィーはHEWLETT PACKARD社製HP6890、カラムはHP−1を使用した。
・分解開始温度
JIS K7120に従い、測定した。測定装置はエスアイアイ・ナノテクノロジー社製高温型
示差熱重量同時測定装置TG/DTA7200を用い、流入ガスの流量は毎分100ml、加熱速度は毎分10℃で温度を上昇させて測定した。
尚、TG曲線が質量増加の場合、質量の最大値での温度を、一段階質量減少の場合、開始温度を、多段階質量減少である場合、第一次開始温度を分解開始温度とした。
<エポキシ樹脂組成物>
〔エポキシ樹脂組成物実施例3〜9及び比較例1〜4〕
表−2に示したように、エポキシ樹脂として製造例1〜5で得られたエポキシ樹脂、テトラメチルビフェノールから誘導されたエポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂又はオルソクレゾールノボラック樹脂から誘導されたエポキシ樹脂、エポキシ樹脂用硬化剤としてフェノールノボラック樹脂、フェノールアラルキル樹脂、トリスフェノールメタン樹脂、ビフェニルフェノール樹脂、ナフトールアラルキル樹脂、無機充填剤としてシリカ粉末、硬化促進剤としてトリフェニルホスフィンを用い、さらにカップリング剤としてエポキシシラン、離形剤としてカルナバワックスをそれぞれ用いて、各エポキシ樹脂組成物を配合した。次いで、各配合物をミキシングロールを用いて70〜120℃の温度で5分間溶融混練した。得られた各溶融混合物は薄板状に取り出し冷却した後、粉砕して各成形材料を得た。これらの各成形材料を用い低圧トランスファー成形機で金型温度175℃、成形時間180秒で成形して、各試験片を得、
180℃で8時間ポストキュアさせた。ポストキュア後の各試験片のガラス転移温度、曲げ強度、曲げ弾性率、吸湿率、密着性、及び難燃性を試験した結果を表−2に示した。また、エポキシ樹脂と硬化剤の混合溶融粘度を表−2に示した。
Figure 2012224707
Figure 2012224707

Claims (5)

  1. 下記式(1)、(2)及び(3)で表され、下記条件1)及び2)の少なくとも一つを満たすフェノール化合物の混合物とエピハロヒドリンとを反応させて得られるエポキシ樹脂。
    1)HPLCにより測定される面積比で、下記式(2)で表されるフェノール化合物の下記式(1)のm=0、n=1で表される化合物に対する比が0.1以上0.6以下
    2)HPLCにより測定される面積比で、下記式(3)で表されるフェノール化合物の下記式(1)のm=1、n=1で表される化合物に対する比が0.1以上0.5以下
    Figure 2012224707
    (上記式(1)〜(3)において、R〜Rは互いに異なっていてもよく、置換基として炭素数1〜4のアルコキシ基を有していてもよい炭素数1〜10のアルキル基を表し、a、b、d、e、g及びhは互いに異なっていてもよく、0〜4の数値を表し、c、f及びiは互いに異なっていてもよく、0〜3の数値を表し、mは0〜5、nは1〜15の数値である。)
  2. エポキシ当量が200g/eq以上1,000g/eq以下である、請求項1に記載のエポキシ樹脂。
  3. 前記式(1)〜(3)において、a=c=d=f=g=i=0、b=e=h=2であり、かつR、R及びRがメチル基である、請求項1または2に記載のエポキシ樹脂。
  4. 分解開始温度が260℃以上400℃以下である、請求項1から3までのいずれか1項に記載のエポキシ樹脂。
  5. 前記式(1)、(2)及び(3)で表されるフェノール化合物の混合物とエピハロヒドリンとを反応させて得られるエポキシ樹脂の製造方法であって、該フェノール化合物の混合物が以下の条件1)及び2)を同時に満たす、エポキシ樹脂の製造方法。
    1)HPLCにより測定される面積比で、下記式(2)で表されるフェノール化合物の下記式(1)のm=0、n=1で表される化合物に対する比が0.1以上0.6以下
    2)HPLCにより測定される面積比で、下記式(3)で表されるフェノール化合物の下記式(1)のm=1、n=1で表される化合物に対する比が0.1以上0.5以下
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