JP6146999B2 - エポキシ樹脂、エポキシ樹脂組成物及び硬化物 - Google Patents

エポキシ樹脂、エポキシ樹脂組成物及び硬化物 Download PDF

Info

Publication number
JP6146999B2
JP6146999B2 JP2012283164A JP2012283164A JP6146999B2 JP 6146999 B2 JP6146999 B2 JP 6146999B2 JP 2012283164 A JP2012283164 A JP 2012283164A JP 2012283164 A JP2012283164 A JP 2012283164A JP 6146999 B2 JP6146999 B2 JP 6146999B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
epoxy resin
formula
epoxy
thermal conductivity
equivalent
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2012283164A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2013151672A (ja
Inventor
以帆 上村
以帆 上村
高橋 淳
淳 高橋
孝好 平井
孝好 平井
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Chemical Corp
Original Assignee
Mitsubishi Chemical Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Chemical Corp filed Critical Mitsubishi Chemical Corp
Priority to JP2012283164A priority Critical patent/JP6146999B2/ja
Publication of JP2013151672A publication Critical patent/JP2013151672A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6146999B2 publication Critical patent/JP6146999B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Epoxy Resins (AREA)

Description

本発明は、特定のビフェニル骨格を特定の割合で有し、フィルム成形・塗布等のプロセスに適用するのに優れた製膜性、伸び性を有し、熱伝導性、耐熱性、硬化物特性などのバランスにも優れたエポキシ樹脂に関する。また、本発明は、該エポキシ樹脂と硬化物とを含むエポキシ樹脂組成物、及び該エポキシ樹脂組成物を硬化してなる硬化物に関する。
エポキシ樹脂は、耐熱性、接着性、耐水性、機械的強度及び電気的特性に優れていることから、接着剤、塗料、土木建築用材料、電気・電子用材料等、様々な分野で使用されている。特に、電気・電子分野では、絶縁注型、積層材料、封止材料等において幅広く使用されている。
近年、電気・電子分野で使用される積層材料は、機器の小型化、軽量化及び高機能化が進んでおり、特に多層回路基板に対し、更なる多層化、高密度化、薄型化、軽量化と、信頼性及び成形加工性の向上等が要求されている。エポキシ樹脂は前記した特性を有することから、多層回路基板の分野に好適に用いられる。しかしながら、より電子回路の高密度化、高周波化が進んだ電気・電子分野、パワーエレクトロニクス分野においては、電子回路からの発熱が大きくなっていることから、絶縁部に用いられるエポキシ樹脂組成物の放熱性が問題となっている。この放熱性については、従来はフィラーの熱伝導性で賄っていたが、更なる高集積化に向けて、マトリクスであるエポキシ樹脂自体の熱伝導性の向上が求められるようになってきた。
これまでにもエポキシ系の高熱伝導材料の開発は行われてきたが、マトリクスとなるエポキシ樹脂自体の熱伝導性よりも、高熱伝導性フィラーを含む組成物の配合最適化を指向したものが多かった。例えば、特許文献1、2では、高熱伝導性フィラーとして熱伝導率の高い無機化合物の粉末又は繊維を配合したエポキシ樹脂組成物が開示されている。すなわち、特許文献1,2において、熱伝導性はフィラーが担っており、エポキシ樹脂はフィルムとしての取り扱いやすさを付与しているのみであるため、エポキシ樹脂組成物としての熱伝導率は未だ不十分である。
また、特許文献3では、フィラーの形状を特徴付けており、特許文献4では、フィラーの配合による接着性等の低下をエポキシ樹脂と相溶性の高分子量樹脂や反応性高分子量樹脂の配合で改善しており、いずれも使用されているエポキシ樹脂はごく一般的なノボラックやビスフェノールA型エポキシ樹脂である。すなわち、特許文献3及び4においてもエポキシ樹脂そのものの熱伝導率は不十分である。
一方、最近では、メソゲン骨格を導入することで、エポキシ樹脂自体の熱伝導性を改良しようとする発明がいくつか開示されている。例えば、非特許文献1には、種々のメソゲン骨格の導入によるエポキシ樹脂の熱伝導性の向上についての記載があるが、コスト面、プロセス、耐加水分解性や熱安定性を考慮すると実用的とは言えない。
また、特許文献5には、ビフェニル骨格のみを用いた熱伝導性のよいエポキシ樹脂が開示されている。
特開平04−339815号公報 特開平04−339854号公報 特開平05−259312号公報 特開平10−183086号公報 特開2010−001427号公報
電子部品用エポキシ樹脂の最新技術(シーエムシー出版、2006年、第1章P24〜31、第5章P114〜121)
しかしながら、本発明者らの検討によれば、特許文献5において記載されているのはごく低エポキシ当量のエポキシ樹脂のみであり、このエポキシ樹脂では製膜性に欠けるため、薄膜フィルムとして用いることが困難であった。また、特許文献5において合成されたエポキシ樹脂を用いて得られた硬化物は、伸びが低く、弾性率が高く、可撓性が低いことが予想される。このために、実際の硬化物として用いる場合にはゴム成分を添加するなどの変性が必要となり、その際には変性による熱伝導率の低下が懸念される。
メソゲン骨格は熱伝導性に優れていることは知られているが、従来提案されているメソゲン骨格を有するエポキシ樹脂には、伸び性と熱伝導性を両立できるものがなかった。また実用性を考えると、特殊な材料組成や特別な硬化プロセスを必要とせず、現在実用化されているエポキシ樹脂組成物の構成成分を置き換えたり、あるいは単に添加するだけで熱伝導性を向上させ、弾性率などの硬化物特性を大きく変化させない材料が求められるものと考えられる。
一方で、電気・電子分野の積層材料として用いるためには、フィルムとしての取り扱い性や塗布等のプロセス適用性に優れた材料が必要とされるが、従来において、このような要求特性を満たした上で、高い熱伝導性を有するエポキシ樹脂は提供されていない。
上記の諸問題点を鑑み、本発明は、上記課題を解決し、フィルム成形・塗布等のプロセスに適用するのに優れた製膜性、伸び性を有し、熱伝導性、耐熱性、硬化物特性などのバランスにも優れたエポキシ樹脂及びエポキシ樹脂組成物を提供することを課題とするものである。
本発明者らが上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、特定のビフェニル骨格を特定の割合で有するエポキシ樹脂、及び特定のビフェニル骨格を有する、2官能エポキシ樹脂及び/又はビフェノールを特定量反応させて得られるエポキシ樹脂が、伸び性に非常に優れることを見出したものである。即ち本発明の要旨は以下の[1]〜[5]に存する。
[1] エポキシ当量が1,000g/当量以上30,000g/当量以下であって、下記式(1)におけるAが下記式(2)及び(3)で表されるビフェニル骨格を少なくとも有し、かつAにおける式(3)で表されるビフェニル骨格の割合が5〜75モル%であることを特徴とするエポキシ樹脂。
Figure 0006146999
(上記式(1)中、Aは上記式(2)又は(3)で表されるビフェニル骨格であり、Bは水素原子又は上記式(4)で表される基であり、nは5以上250以下の数である。)
[2] 少なくとも2官能エポキシ樹脂(X)とビフェノール化合物(Y)とを反応させて得られるエポキシ樹脂であって、該2官能エポキシ樹脂(X)及び該ビフェノール化合物(Y)がそれぞれ下記式(2)及び/又は式(3)のビフェニル骨格を有し、かつ、用いる2官能エポキシ樹脂(X)及びビフェノール化合物(Y)に含まれる式(2)で表されるビフェニル骨格の合計が95〜25モル%、2官能エポキシ樹脂(X)及びビフェノール化合物(Y)に含まれる式(3)で表されるビフェニル骨格の合計が5〜75モル%であることを特徴とするエポキシ樹脂。
Figure 0006146999
[3] 重量平均分子量が10,000以上100,000以下である[1]又は[2]に記載のエポキシ樹脂。
[4] 少なくとも[1]乃至[3]のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂と硬化剤とを含むエポキシ樹脂組成物であって、固形分としての全エポキシ樹脂成分と硬化剤との合計に対し、硬化剤を0.1〜60重量%含むエポキシ樹脂組成物。
[5] [4]に記載のエポキシ樹脂組成物を硬化させてなる硬化物。
本発明によれば、フィルム成形・塗布等のプロセスに適用するのに優れた製膜性、伸び性を有し、熱伝導性、耐熱性、硬化物特性などのバランスにも優れたエポキシ樹脂及びエポキシ樹脂組成物が得られる。
以下に本発明の実施の形態を詳細に説明するが、以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施の形態の一例であり、本発明はその要旨を超えない限り、以下の記載内容に限定されるものではない。尚、本明細書において「〜」という表現を用いる場合、その前後の数値又は物性値を含む表現として用いるものとする。
[エポキシ樹脂]
本発明のエポキシ樹脂は、エポキシ当量が1,000g/当量以上30,000g/当量以下であって、下記式(1)におけるAが下記式(2)及び(3)で表されるビフェニル骨格を少なくとも有し、かつAにおける式(3)で表されるビフェニル骨格の割合が5〜75モル%であることを特徴とする。
Figure 0006146999
(上記式(1)中、Aは上記式(2)又は(3)で表されるビフェニル骨格であり、Bは水素原子又は上記式(4)で表される基であり、nは5以上250以下の数である。)
(化学構造)
前記式(1)中、Aは前記式(2)又は(3)で表わされるビフェニル骨格であり、Aにおける式(2)で表されるビフェニル骨格の割合が好ましくは95〜25モル%である。式(3)で表されるビフェニル骨格の割合が5モル%〜75モル%である。伸び性と取り扱いの両面のバランスから、Aにおける式(3)の割合は、好ましくは10モル%以上、より好ましくは20モル%以上、さらに好ましくは25モル%以上であり、一方、好ましくは70モル%以下、より好ましくは65モル%以下、特に好ましくは60モル%以下である。Aにおける式(3)で表されるビフェニル骨格の割合が前記の範囲であることにより伸び性が優れたものとなる傾向がある。
なお、Aのビフェニル骨格の割合は、後述のエポキシ樹脂の製造方法の項目において説明する、原料の比率によって制御することができる。このため、本発明のエポキシ樹脂においては、後述の一段法により製造されたエポキシ樹脂において、原料として複数種類のビフェノール化合物(Y)を用いた場合には、その原料ビフェノール化合物(Y)のモル
比がそのままAのビフェニル骨格の割合とみなすこととする。同様に、後述の二段法により製造されたエポキシ樹脂の場合、原料として用いた2官能エポキシ樹脂(X)とビフェノール化合物(Y)とのそれぞれに含まれるビフェニル骨格のモル比が、そのままAのビフェニル骨格の割合とみなすこととする。
前記式(1)中、Bは水素原子又は上記式(4)で表される基(エポキシ基)である。すなわち、式(1)において、Bは末端構造を示すものであり、両末端が水素原子又は式(4)のエポキシ基であってもよく、片末端のみが水素原子又は式(4)のエポキシ基であってもよい。ただし、前記式(1)は、エポキシ樹脂であることから、少なくとも式(1)中のBとして、少なくともエポキシ基を含むものである。本発明のエポキシ樹脂は、通常、これらの末端を有する分子や、次に述べる繰り返し数(n)の異なる分子などの混合物である。また、本発明のエポキシ樹脂におけるエポキシ当量は、式(4)のエポキシ基の存在割合を示すものである。
前記式(1)中、nは繰り返し数であり、平均値である。その値の範囲は5以上250以下の範囲であるが、伸び性と樹脂の取り扱いの両面のバランスから、好ましくは10以上、より好ましくは15以上、更に好ましくは20以上であり、一方、好ましくは200以下、より好ましくは150以下、特に好ましくは100以下、最も好ましいのは70以下である。式(1)のnが5より小さいと製膜性が悪くなったり、伸び性が低くなる傾向があり、一方、250より大きいとエポキシ樹脂の粘度が高くなり、取り扱いが困難となる傾向がある。
(エポキシ当量)
本発明のエポキシ樹脂のエポキシ当量は1,000g/当量以上であり、好ましくは2,000g/当量以上、より好ましくは3,000g/当量以上である。エポキシ当量が前記下限値以上であることが、エポキシ樹脂のフィルム製膜性及びフィルム成形したときの伸びの観点、また可撓性の観点から好ましい。一方、本発明のエポキシ樹脂のエポキシ当量は30,000g/当量以下であり、好ましくは20,000g/当量以下、より好ましくは15,000g/当量以下である。エポキシ当量が前記上限値以下であることが硬化時の反応性の観点から好ましい。エポキシ樹脂のエポキシ当量は、後述の実施例の項に記載される方法で求められる。
(重量平均分子量)
本発明のエポキシ樹脂の重量平均分子量Mwは、10,000以上100,000以下であることが好ましい。重量平均分子量が10,000より低いものでは伸び性、可撓性が低くなる傾向にあり、100,000より高いと樹脂の取り扱いが困難となる傾向にある。エポキシ樹脂の重量平均分子量は、後述の実施例の項に記載される方法で求められる。
(伸び性)
エポキシ樹脂をフィルムとして用いる場合、伸びが大きいことが求められる。本明細書における「伸び性に優れる」又は「伸びが大きい」とは、後述の実施例における評価において、伸び性の値が大きくなることをいう。
本発明のエポキシ樹脂が伸び性に優れる理由の詳細は明らかではないが、引っ張りの応力がかかった際の延伸に耐えうる分子鎖長を有し、さらにその応力を緩和するために、重なり合ったビフェニル骨格同士が「滑る」ことができるためであると推測される。また、この時、結晶性が高すぎると、脆く、伸びずに破断してしまうため、適度にアモルファス部分を有していることが重要であるが、本発明のエポキシ樹脂では、前記式(2)で表されるビフェニル骨格と前記式(3)で表されるビフェニル骨格との割合を制御することに
より、結晶性を適度に低下させることができ、伸び性を優れたものにすることができるものと考えられる。
なお、全てのビフェニル骨格が同時に無置換である場合、得られるエポキシ樹脂の結晶性が高くなり、取り扱いが困難になるとともに、伸び性が悪くなる。
(熱伝導性)
電気・電子分野では、絶縁注型、積層材料、封止材料等においてエポキシ樹脂を用いる場合、材料の熱伝導性の高いことが求められ、本発明のエポキシ樹脂は熱伝導が大きいことが好ましい。熱伝導はフォノンと伝導電子に支配され、金属のように自由電子を有する場合は伝導電子による寄与が大きいが、エポキシ樹脂は一般的に絶縁体であり、絶縁体においてはフォノンが熱伝導の主因子である。フォノンによる熱伝導は振動エネルギーの伝播であるので、振動が減衰しにくく、硬い材料であるほど熱伝導性に優れる。従って、全ての骨格がビフェニル骨格であることが熱伝導性の観点においては好ましい。これは、ビフェニル骨格は平面性が高いため、分子間の重なりが良く、より分子運動を拘束できること、またビフェニル骨格は分子構造の自由度が少なく、振動エネルギーが減衰しにくくなることによるものであると推定される。熱伝導性は例えば熱伝導率によって評価することができる。
本発明のエポキシ樹脂の熱伝導率(硬化前の熱伝導率)は、通常0.18W/(m・K)以上、好ましくは0.19W/(m・K)以上、さらに好ましくは0.20W/(m・K)以上である。なお、一般的にエポキシ樹脂の熱伝導率はエポキシ樹脂の硬化物として評価されることが多く、一般的な硬化していないビスフェノールA型エポキシ樹脂の熱伝導率は通常この値よりも低く、常温で液状であるため伸び性を測定するサンプル作成も不可能である場合が多い。本発明のエポキシ樹脂は、硬化前の樹脂そのものの状態でも製膜性、伸び性に優れ、また熱伝導率にも優れるものである。なお、エポキシ樹脂の熱伝導率は、後述の実施例の項に記載される方法で測定することができる。
(耐熱性)
電気・電子分野では、絶縁注型、積層材料、封止材料等でエポキシ樹脂を使用する場合、エポキシ樹脂が高温にさらされるため、耐熱性に優れることが好ましい。エポキシ樹脂は、結晶性がよい方が耐熱性に優れる傾向があり、同一構造のエポキシ樹脂であれば、樹脂の分子量、あるいはエポキシ当量が高い方が耐熱性に優れる傾向にある。本発明のエポキシ樹脂は、適度な結晶性とエポキシ当量の高さを有することにより耐熱性にも優れたものとすることができる。
本発明のエポキシ樹脂の耐熱性は例えば後述の実施例で示すガラス転移温度(Tg)によって評価することができる。耐熱性をTgで評価する場合、本発明のエポキシ樹脂は100℃以上、220℃以下を達成することができる。エポキシ樹脂のTgは、後述の用途では高い方が好ましく、好ましくは105℃以上であるが、Tgが高過ぎると、加工プロセスで使用する加熱温度で硬化反応が十分に進行せず、品質が安定しなかったり、要求される物性が発現しない、といった問題が生じうるため、200℃以下であることが好ましい。
[エポキシ樹脂の製造方法]
本発明のエポキシ樹脂は、ビフェニル骨格を有する2官能エポキシ樹脂(X)とビフェノール化合物(Y)を反応させる、二段法によって得ることができる。また、1種類又は2種類以上のビフェノール化合物(Y)とエピクロロヒドリンを直接反応させる、一段法によっても得られる。しかし、ビフェノール化合物(Y)は溶剤溶解性が良くないため、一般的に一段法に用いられる溶剤が適用できない場合があるので、二段法を用いることが好
ましい。
本発明のエポキシ樹脂の製造に用いる2官能エポキシ樹脂(X)は、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ビフェノール及び/又は4,4’−ビフェノールをエピハロヒドリンと縮合させて得られるエポキシ樹脂である。
また、本発明のエポキシ樹脂の製造に用いるビフェノール化合物(Y)は、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ビフェノール及び/又は4,4’−ビフェノールである。但し、4,4’―ビフェノール単独での縮合反応は、溶解性の問題から困難であるため、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ビフェノールとの併用が望ましい。また、このようなビフェノール化合物とエピハロヒドリンとを縮合させて得られた2官能エポキシ樹脂(X)を併用することもできる。
(二段法による製造方法)
本発明の他の実施態様のエポキシ樹脂は、少なくとも前記2官能エポキシ樹脂(X)と前記ビフェノール化合物(Y)とを反応させて得られるエポキシ樹脂であって、該2官能エポキシ樹脂(X)及び該ビフェノール化合物(Y)がそれぞれ前記式(2)及び/又は前記式(3)のビフェニル骨格を有し、かつ、用いる2官能エポキシ樹脂(X)及びビフェノール化合物(Y)に含まれる式(2)で表されるビフェニル骨格の合計が95〜25モル%、2官能エポキシ樹脂(X)及びビフェノール化合物(Y)に含まれる式(3)で表されるビフェニル骨格の合計が5〜75モル%であることを特徴とする。
2官能エポキシ樹脂(X)及びビフェノール化合物(Y)に含まれる式(3)で表されるビフェニル骨格の合計は、伸び性と取り扱いの両面のバランスから、好ましくは10モル%以上、より好ましくは20モル%以上、さらに好ましくは25モル%以上であり、一方、好ましくは70モル%以下、より好ましくは65モル%以下、特に好ましくは60モル%以下である。2官能エポキシ樹脂(X)及びビフェノール化合物(Y)に含まれる式(3)で表されるビフェニル骨格の合計が前記の範囲であることにより伸び性が優れたものとなる傾向がある。なお、上記モル%は2官能エポキシ樹脂(X)及びビフェノール化合物(Y)に含まれる式(3)で表されるビフェニル骨格と、2官能エポキシ樹脂(X)及びビフェノール化合物(Y)に含まれる式(2)で表されるビフェニル骨格の合計とを合わせたものを100モル%とした値である。
2官能エポキシ樹脂(X)としては、その末端基不純物である加水分解塩素濃度が200ppm以下であり、α−グリコール基濃度が100meq/kg以下である2官能エポキシ樹脂(X)を原料として使用することが好ましい。加水分解塩素濃度が200ppmより大きい場合や、α−グリコール基濃度が100meq/kgより大きい場合には、十分に高分子量化しなくなるおそれがある。
本発明のエポキシ樹脂の製造において、上記の2官能エポキシ樹脂(X)とビフェノール化合物(Y)の使用量は、その配合当量比で、エポキシ基:フェノール性水酸基=1:0.90〜1.10となるようにするのが好ましい。この当量比が上記範囲であることにより十分に高分子量化を進行させることができる。
本発明のエポキシ樹脂の合成には触媒を用いてもよく、その触媒としては、エポキシ基とフェノール性水酸基、アルコール性水酸基やカルボキシル基との反応を進めるような触媒能を持つ化合物であればどのようなものでもよい。例えば、アルカリ金属化合物、有機リン化合物、第3級アミン、第4級アンモニウム塩、環状アミン類、イミダゾール類等が挙げられる。
アルカリ金属化合物の具体例としては、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化リチウム、塩化カリウム等のアルカリ金属塩、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド等のアルカリ金属アルコキシド、アルカリ金属フェノキシド、水素化ナトリウム、水素化リチウム等のアルカリ金属の水素化物、酢酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム等の有機酸のアルカリ金属塩が挙げられる。
有機リン化合物の具体例としては、トリ−n−プロピルホスフィン、トリ−n−ブチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、テトラメチルホスフォニウムブロマイド、テトラメチルホスフォニウムアイオダイド、テトラメチルホスフォニウムハイドロオキサイド、トリメチルシクロヘキシルホスホニウムクロライド、トリメチルシクロヘキシルホスホニウムブロマイド、トリメチルベンジルホスホニウムクロライド、トリメチルベンジルホスホニウムブロマイド、テトラフェニルホスホニウムブロマイド、トリフェニルメチルホスホニウムブロマイド、トリフェニルメチルホスホニウムアイオダイド、トリフェニルエチルホスホニウムクロライド、トリフェニルエチルホスホニウムブロマイド、トリフェニルエチルホスホニウムアイオダイド、トリフェニルベンジルホスホニウムクロライド、トリフェニルベンジルホスホニウムブロマイドなどが挙げられる。
第3級アミンの具体例としては、トリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、トリエタノールアミン、ベンジルジメチルアミンなどが挙げられる。
第4級アンモニウム塩の具体例としては、テトラメチルアンモニウムクロライド、テトラメチルアンモニウムブロマイド、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド、トリエチルメチルアンモニウムクロライド、テトラエチルアンモニウムクロライド、テトラエチルアンモニウムブロマイド、テトラエチルアンモニウムアイオダイド、テトラプロピルアンモニウムブロマイド、テトラプロピルアンモニウムハイドロオキサイド、テトラブチルアンモニウムクロライド、テトラブチルアンモニウムブロマイド、テトラブチルアンモニウムアイオダイド、ベンジルトリメチルアンモニウムクロライド、ベンジルトリメチルアンモニウムブロマイド、ベンジルトリメチルアンモニウムハイドロオキサイド、ベンジルトリブチルアンモニウムクロライド、フェニルトリメチルアンモニウムクロライドなどが挙げられる。これらの中でもテトラメチルアンモニウムハイドロオキサイドが好ましい。
環状アミン類の具体例としては、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7,1,5−ジアザビシクロ(4,3,0)ノネン−5等が挙げられる。
イミダゾール類の具体例としては、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルミダゾール、2−フェニルイミダゾールなどが挙げられる。
以上に挙げた触媒の中でも第4級アンモニウム塩が好ましい。また、触媒は1種のみを使用することも、2種以上を組み合わせて使用することもできる。
触媒の使用量は反応固形分中、通常0.001〜1重量%であるが、アルカリ金属化合物を使用すると得られるエポキシ樹脂中にアルカリ金属分が残留し、それを使用したプリント配線板の絶縁特性を悪化させるおそれがあるため、エポキシ樹脂中のリチウム、ナトリウム及びカリウムの原子含有量の合計が60ppm以下、好ましくは50ppm以下とすることが好ましい。
また、有機リン化合物、第3級アミン、第4級アンモニウム塩、環状アミン類、イミダ
ゾール類等を触媒として使用した場合も、得られるエポキシ樹脂中にこれらが触媒残渣として残留し、アルカリ金属分の残留と同様にプリント配線板の絶縁特性を悪化させるので、エポキシ樹脂中の窒素の含有量が300ppm以下であり、エポキシ樹脂中のリンの含有量が300ppm以下であることが好ましい。さらに好ましくは、エポキシ樹脂中の窒素の含有量が200ppm以下であり、エポキシ樹脂中のリンの含有量が200ppm以下である。
本発明のエポキシ樹脂は、その製造時の合成反応の工程において、反応用の溶媒を用いてもよく、その溶媒としては、エポキシ樹脂を溶解するものであればどのようなものでもよい。例えば、芳香族系溶媒、ケトン系溶媒、アミド系溶媒、グリコールエーテル系溶媒などが挙げられる。
芳香族系溶媒の具体例としては、ベンゼン、トルエン、キシレンなどが挙げられる。ケトン系溶媒の具体例としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、2−ヘプタノン、4−ヘプタノン、2−オクタノン、シクロヘキサノン、アセチルアセトン、ジオキサンなどが挙げられる。反応用のアミド系溶媒の具体例としては、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、2−ピロリドン、N−メチルピロリドンなどが挙げられる。グリコールエーテル系溶媒の具体例としては、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどが挙げられる。これらの溶媒は単独で用いてもよく、2種以上を併用することもできる。
エポキシ樹脂の製造時の合成反応における固形分濃度は35〜95重量%が好ましい。また、反応途中で高粘性生成物が生じたときは溶剤を追加添加して反応を続けることもできる。反応終了後、溶剤は必要に応じて、除去することもできるし、更に追加することもできる。
エポキシ樹脂の製造において、2官能エポキシ樹脂(X)とビフェノール化合物(Y)との重合反応は使用する触媒が分解しない程度の反応温度で実施される。反応温度が高すぎると生成するエポキシ樹脂が劣化するおそれがある。逆に温度が低すぎると十分に反応が進まないことがある。これらの理由から反応温度は、好ましくは50〜230℃、より好ましくは120〜200℃である。また、反応時間は通常1〜12時間、好ましくは3〜10時間である。アセトンやメチルエチルケトンのような低沸点溶剤を使用する場合には、オートクレーブを使用して高圧下で反応を行うことで反応温度を確保することができる。
(一段法による製造)
本発明のエポキシ樹脂は、一段法によっても製造することができる。具体的には、二段法による製造において説明した2種類のビフェノール化合物(Y)を組み合わせて用い、エピクロロヒドリンを直接反応させればよい。ただし、ビフェノール化合物(Y)は溶剤溶解性が良くないため、一般的に一段法に用いられる反応用の溶媒が好適でない場合があるので、前述の二段法を用いることが好ましい。
一段法により製造する場合、特に、前記式(2)及び(3)のそれぞれのビフェニル骨
格を有するフェノール化合物(Y)をその合計100モル%に対して下記割合で使用する。前記式(2)のビフェニル骨格:95〜25モル%
前記式(3)のビフェニル骨格:5〜75モル%
反応に用いるエピハロヒドリンの使用量は、フェノール化合物(Y)のフェノール性水酸基1モル当たり通常、0.8〜20モル、より好ましくは0.9〜15モル、さらに好ましくは1.0〜10モルに相当する量を使用し、フェノール化合物(Y)をエピハロヒドリンに溶解させて均一な溶液とする。エピハロヒドリンの量が少な過ぎると高分子量化し、溶融粘度が増大するなどの問題がある。エピハロヒドリンの量が多過ぎると生産効率が悪くなったり、経済性が悪くなる傾向にある。
ついで、その溶液を撹拌しながら、これにフェノール性水酸基1モル当たり通常、0.5〜2.0モル、より好ましくは0.7〜1.8モル、さらに好ましくは0.9〜1.6モルに相当する量のアルカリ金属水酸化物を固体又は水溶液で加えて反応させる。アルカリ金属水酸化物の量が少な過ぎると、未反応の水酸基と生成したエポキシ樹脂が反応して高分子量化してしまうことがある。また、アルカリ金属水酸化物が多過ぎると、副反応による不純物が生成するおそれがある。
この反応は、常圧下又は減圧下で行うことができ、反応温度は通常、常圧下の反応の場合は通常、20〜150℃ 、より好ましくは30〜120℃、さらに好ましくは35〜
100℃であり、減圧下の反応の場合は20〜100℃、より好ましくは30〜90℃、さらに好ましくは35℃〜80℃である。反応温度が低過ぎると反応が進行せず、目的の生成物が得られにくくなる傾向にある。反応温度が高過ぎると副反応が進行し、特に塩素不純物が増加してしまうことがある。
反応は必要に応じて所定の温度を保持しながら反応液を共沸させ、揮発する蒸気を冷却して得られた凝縮液を油分と水分とに分離し、水分を除いた油分を反応系へ戻す方法により脱水する。アルカリ金属水酸化物の添加は、急激な反応を抑えるために、0.5〜8時間、より好ましくは1〜7時間、さらに好ましくは1〜6時間かけて少量ずつを断続的もしくは連続的に添加する。添加時間が短過ぎると急激に反応が進行し、反応温度の制御が難しくなる傾向にある。添加時間が長過ぎると塩素不純物が生成する、経済性が悪くなるなどの問題が生じることがある。全反応時間は通常、1〜15時間である。
反応終了後、不溶性の副生塩を濾別して除くか、水洗により除去した後、未反応のエピハロヒドリンを減圧留去して除くと、目的のエポキシ樹脂が得られる。この反応におけるエピハロヒドリンとしては、通常、エピクロルヒドリン又はエピブロモヒドリンが用いられる。アルカリ金属水酸化物としては通常、水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムが用いられる。
また、この反応においては、テトラメチルアンモニウムクロリド、テトラエチルアンモニウムブロミドなどの第四級アンモニウム塩; ベンジルジメチルアミン、2,4 ,6−トリス( ジメチルアミノメチル) フェノールなどの第三級アミン;2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾールなどのイミダゾール類;エチルトリフェニルホスホニウムアイオダイドなどのホスホニウム塩;トリフェニルホスフィンなどのホスフィン類等の触媒を用いてもよい。
さらに、この反応においては、エタノール、イソプロパノールなどのアルコール類;アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類;ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテルなどのエーテル類;メトキシプロパノールなどのグリコールエーテル類;ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミドなどの非プロトン性極性溶媒等の不活性な有機溶
媒を使用してもよい。
さらに、上記のようにして得られたエポキシ樹脂の可鹸化ハロゲン量が多すぎる場合は、再処理して十分に可鹸化ハロゲン量が低下した精製エポキシ樹脂を得ることができる。つまり、その粗製エポキシ樹脂を、イソプロピルアルコール、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、トルエン、キシレン、ジオキサン、メトキシプロパノール、ジメチルスルホキシドなどの不活性な有機溶媒に再溶解しアルカリ金属水酸化物を固体又は水溶液で加えて約30〜120℃、より好ましくは40〜110℃、さらに好ましくは50〜100℃ の温度で0.1〜15時間、より好ましくは0.3〜12時間、さらに好まし
くは0.5〜10時間再閉環反応を行った後、水洗等の方法で過剰のアルカリ金属水酸化物や副性塩を除去し、さらに有機溶媒を減圧留去及び/又は水蒸気蒸留を行うと、加水分解性ハロゲン量が低減されたエポキシ樹脂を得ることができる。この反応温度が低過ぎたり、反応時間が短すぎたりすると再閉環反応が進行しないことがある。また、反応温度が高過ぎたり、反応時間が長過ぎると反応は進行するが、高分子量化して必要以上に、エポキシ当量が高くなったり、軟化点が高くなったり、また、溶融粘度が高くなったりする場合がある。
[エポキシ樹脂組成物]
本発明のエポキシ樹脂組成物は、少なくとも前述した本発明のエポキシ樹脂と硬化剤とを含むエポキシ樹脂組成物であって、固形分としての全エポキシ樹脂成分と硬化剤との合計に対し、硬化剤を0.1〜60重量%含むものである。ここで、「固形分」とは、常温(20℃)で揮発する溶媒などを除いた成分を意味し、固体のみならず、半固形や粘稠な液状物をも含むものとし、「全エポキシ樹脂成分」とは、本発明のエポキシ樹脂と後述する他のエポキシ樹脂との合計を意味する。また、本発明のエポキシ樹脂組成物には、必要に応じて、他のエポキシ樹脂、無機フィラーなどを適宜配合することができる。本発明のエポキシ樹脂組成物は、熱伝導性に優れると共に、各種用途に要求される諸物性を十分に満たす硬化物を与えるものである。
これまでに報告されている高熱伝導性エポキシ樹脂の設計思想は、メソゲン部位間の相互作用を利用して分子(鎖)を自発的に配向させたり、外部磁場などの印加によりメソゲンを含む分子(鎖)を配向させることによりフォノン散乱を低減させて熱伝導性を向上させていた。そのため、従来の高熱伝導性エポキシ樹脂はほぼすべてが熱伝導性を高めるために設計されたエポキシ樹脂であり、硬化条件を含めた硬化プロセス等において制限があることが多く、その選択の自由度は低かった。このため、部材や封止材、接着剤などの製品に従来の高熱伝導性エポキシ樹脂を適用しようとした場合、製品の要求物性と高熱伝導性を両立させることが非常に困難であった。
これに対し、本発明のエポキシ樹脂は、それ自体熱伝導性に優れ、エポキシ樹脂成分として所望の量添加することで硬化物の熱伝導性を高めることが出来ることから、製品への要求物性と高熱伝導性の両立が可能な本発明のエポキシ樹脂組成物を提供することができる。
(硬化剤)
本発明のエポキシ樹脂に硬化剤を配合してエポキシ樹脂組成物とすることができる。本発明のエポキシ樹脂と共に用いることのできる硬化剤は、エポキシ樹脂のエポキシ基間の架橋反応に寄与する物質を示す。
本発明のエポキシ樹脂組成物に用いる硬化剤としては、特に制限はなく一般的にエポキシ樹脂硬化剤として知られているものはすべて使用できる。例えば、フェノール系硬化剤、脂肪族アミン、ポリエーテルアミン、脂環式アミン、芳香族アミンなどのアミン系硬化
剤、酸無水物系硬化剤、アミド系硬化剤、第3級アミン、イミダゾール類、有機ホスフィン類、ホスホニウム塩、テトラフェニルボロン塩、有機酸ジヒドラジド、ハロゲン化ホウ素アミン錯体、ポリメルカプタン系硬化剤、イソシアネート系硬化剤、ブロックイソシアネート系硬化剤等が挙げられる。
フェノール系硬化剤の具体例としては、ビスフェノールA、ビスフェノールF、4,4’−ジヒドロキシジフェニルメタン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、1,4−ビス(4−ヒドロキシフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−ヒドロキシフェノキシ)ベンゼン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、4,4’−ジヒドロキシジフェニルケトン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、2,2’−ジヒドロキシビフェニル、10−(2,5−ジヒドロキシフェニル)−10H−9−オキサ−10−ホスファフェナンスレン−10−オキサイド、フェノールノボラック、ビスフェノールAノボラック、o−クレゾールノボラック、m−クレゾールノボラック、p−クレゾールノボラック、キシレノールノボラック、ポリ−p−ヒドロキシスチレン、ハイドロキノン、レゾルシン、カテコール、t−ブチルカテコール、t−ブチルハイドロキノン、フルオログリシノール、ピロガロール、t−ブチルピロガロール、アリル化ピロガロール、ポリアリル化ピロガロール、1,2,4−ベンゼントリオール、2,3,4−トリヒドロキシベンゾフェノン、1,2−ジヒドロキシナフタレン、1,3−ジヒドロキシナフタレン、1,4−ジヒドロキシナフタレン、1,5−ジヒドロキシナフタレン、1,6−ジヒドロキシナフタレン、1,7−ジヒドロキシナフタレン、1,8−ジヒドロキシナフタレン、2,3−ジヒドロキシナフタレン、2,4−ジヒドロキシナフタレン、2,5−ジヒドロキシナフタレン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、2,7−ジヒドロキシナフタレン、2,8−ジヒドロキシナフタレン、上記ジヒドロキシナフタレンのアリル化物又はポリアリル化物、アリル化ビスフェノールA、アリル化ビスフェノールF、アリル化フェノールノボラック、アリル化ピロガロール等が例示される。
アミン系硬化剤の例としては、脂肪族アミン類、ポリエーテルアミン類、脂環式アミン類、芳香族アミン類などが挙げられる。脂肪族アミン類としては、エチレンジアミン、1,3−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノプロパン、ヘキサメチレンジアミン、2,5−ジメチルヘキサメチレンジアミン、トリメチルヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、イミノビスプロピルアミン、ビス(ヘキサメチレン)トリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、N−ヒドロキシエチルエチレンジアミン、テトラ(ヒドロキシエチル)エチレンジアミン等が例示される。ポリエーテルアミン類としては、トリエチレングリコールジアミン、テトラエチレングリコールジアミン、ジエチレングリコールビス(プロピルアミン)、ポリオキシプロピレンジアミン、ポリオキシプロピレントリアミン類等が例示される。脂環式アミン類としては、イソホロンジアミン、メタセンジアミン、N−アミノエチルピペラジン、ビス(4−アミノ−3−メチルジシクロヘキシル)メタン、ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、3,9−ビス(3−アミノプロピル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン、ノルボルネンジアミン等が例示される。芳香族アミン類としては、テトラクロロ−p−キシレンジアミン、m−キシレンジアミン、p−キシレンジアミン、m−フェニレンジアミン、o−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、2,4−ジアミノアニソール、2,4−トルエンジアミン、2,4−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノ−1,2−ジフェニルエタン、2,4−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、m−アミノフェノール、m−アミノベンジルアミン、ベンジルジメチルアミン、2−ジメチルアミノメチル)フェノール、トリエタノールアミン、メチルベンジルアミン、α−(m−アミノフェニル)エチルアミン、α−(p−アミノフェニル)エチルアミン、ジアミノジエチルジメチルジフェニルメタン、α,α’−ビス(4−アミノフェニル)−p−ジイソプロピ
ルベンゼン等が例示される。
酸無水物系硬化剤の具体例としては、ドデセニル無水コハク酸、ポリアジピン酸無水物、ポリアゼライン酸無水物、ポリセバシン酸無水物、ポリ(エチルオクタデカン二酸)無水物、ポリ(フェニルヘキサデカン二酸)無水物、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、無水メチルハイミック酸、テトラヒドロ無水フタル酸、トリアルキルテトラヒドロ無水フタル酸、メチルシクロヘキセンジカルボン酸無水物、メチルシクロヘキセンテトラカルボン酸無水物、無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、エチレングリコールビストリメリテート二無水物、無水ヘット酸、無水ナジック酸、無水メチルナジック酸、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロ−3−フラニル)−3−メチル−3−シクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸無水物、3,4−ジカルボキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−1−ナフタレンコハク酸二無水物、1−メチル−ジカルボキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−1−ナフタレンコハク酸二無水物等が例示される。
アミド系硬化剤としては、ジシアンジアミド、ポリアミド樹脂等が例示される。
第3級アミンとしては、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7、トリエチレンジアミン、ベンジルジメチルアミン、トリエタノールアミン、ジメチルアミノエタノール、トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール等が例示される。
イミダゾール類としては、2−フェニルイミダゾール、2−エチル−4(5)−メチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾール、1−シアノ−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾールトリメリテイト、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾリウムトリメリテイト、2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2’−エチル−4’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジンイソシアヌル酸付加体、2−フェニルイミダゾールイソシアヌル酸付加体、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール、及びエポキシ樹脂と上記イミダゾール類との付加体等が例示される。
有機ホスフィン類としては、トリブチルホスフィン、メチルジフェニルホスフイン、トリフェニルホスフィン、ジフェニルホスフィン、フェニルホスフィン等が例示され、ホスホニウム塩としては、テトラフェニルホスホニウム・テトラフェニルボレート、テトラフェニルホスホニウム・エチルトリフェニルボレート、テトラブチルホスホニウム・テトラブチルボレート等が例示され、テトラフェニルボロン塩としては、2−エチル−4−メチルイミダゾール・テトラフェニルボレート、N−メチルモルホリン・テトラフェニルボレート等が例示される。
これらの硬化剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で混合して用いてもよい。
(他のエポキシ樹脂)
本発明のエポキシ樹脂組成物は、本発明のエポキシ樹脂に加え、他のエポキシ樹脂を含むことができる。
他のエポキシ樹脂としては、分子内に2個以上のエポキシ基を有するものであることが
好ましく、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、トリフェニルメタン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂等の、各種エポキシ樹脂を使用することができる。これらは1種のみでも2種以上の混合体としても使用することができる。
本発明のエポキシ樹脂組成物において、本発明のエポキシ樹脂と他のエポキシ樹脂とを用いる場合、全エポキシ樹脂成分中の本発明のエポキシ樹脂の配合量は、通常1〜100重量%であり、好ましくは1〜99重量%、より好ましくは5〜95重量%である。本発明のエポキシ樹脂の割合が前記下限値以上であることにより、本発明のエポキシ樹脂を配合することによる熱伝導性の向上効果を十分に得ることができ、所望の高熱伝導性を得ることができる。本発明のエポキシ樹脂の割合が前記上限値以下であることにより、他のエポキシ樹脂の配合効果が発揮され、硬化性、硬化物の物性を向上させることができる。
(無機フィラー)
本発明のエポキシ樹脂を含むエポキシ樹脂組成物には無機フィラーを含有していてもよい。無機フィラーを含むことにより、より一層の熱伝導性の向上を図ることができる。本発明で用いる無機フィラーは高い熱伝導性を有するものが好ましく、当該無機フィラーの熱伝導率として1W/(m・K)以上、好ましくは2W/(m・K)以上の高熱伝導性の無機フィラーが好ましい。
無機フィラーとしては、アルミナ(Al:熱伝導率30W/m・K)、窒化アルミニウム(AlN:熱伝導率260W/m・K)、窒化ホウ素(BN:熱伝導率3W/m・K(厚み方向)、275W/m・K(面内方向))、窒化ケイ素(Si:熱伝導率23W/m・K)、シリカ(SiO:熱伝導率1.4W/m・K)などが挙げられる。これらのなかでも、Al、AlN、BN、SiOが好ましく、とりわけAl、BN、SiOが好ましい。
無機フィラーは、その粒径が大き過ぎると硬化物中にボイドが残留しやすくなり、小さ過ぎると凝集しやすくなり分散性が悪くなることから、粒状や扁平状の無機フィラーであれば、平均粒径0.05〜1000μm程度のものを用いることが好ましい。また、凝集状の無機フィラーであれば、平均結晶径が0.01〜5μmで、平均凝集径が1〜1000μmのものを用いることが好ましい。
これらの無機フィラーは、1種のみで用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で混合して用いてもよい。
(溶剤)
本発明のエポキシ樹脂を含むエポキシ樹脂組成物には、塗膜形成時の取り扱い時に、エポキシ樹脂組成物の粘度を適度に調整するために溶剤を配合し、希釈してもよい。
本発明のエポキシ樹脂を含むエポキシ樹脂組成物が含み得る溶剤としては、例えばアセトン、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、酢酸エチル等のエステル類、エチレングリコールモノメチルエーテル等のエーテル類、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類、メタノール、エタノール等のアルコール類、ヘキサン、シクロヘキサン等のアルカン類、トルエン、キシレン等の芳香族類などが挙げられる。
以上に挙げた溶剤は、1種のみで用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率
で混合して用いてもよい。
(その他の添加剤)
本発明のエポキシ樹脂を含むエポキシ樹脂組成物には、その機能性の更なる向上を目的として、各種の添加剤を含んでいてもよい。
このようなその他の添加剤としては、基材との接着性やマトリックス樹脂と無機フィラーとの接着性を向上させるための添加成分として、シランカップリング剤やチタネートカップリング剤等のカップリング剤、保存安定性向上のための紫外線防止剤、酸化防止剤、可塑剤、はんだの酸化皮膜除去のためのフラックス、難燃剤、着色剤、分散剤、乳化剤、低弾性化剤、希釈剤、消泡剤、イオントラップ剤等が挙げられる。
ここで、シランカップリング剤としては、例えば、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等のエポキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン等のアミノシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等のメルカプトシラン、p−スチリルトリメトキシシラン、ビニルトリクロルシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等のビニルシラン、さらに、エポキシ系、アミノ系、ビニル系の高分子タイプのシラン等が挙げられる。
一方、チタネートカップリング剤としては、例えば、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリ(N−アミノエチル・アミノエチル)チタネート、ジイソプロピルビス(ジオクチルホスフェート)チタネート、テトライソプロピルビス(ジオクチルホスファイト)チタネート、テトラオクチルビス(ジトリデシルホスファイト)チタネート、テトラ(2,2−ジアリルオキシメチル−1−ブチル)ビス(ジトリデシル)ホスファイトチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)オキシアセテートチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)エチレンチタネート等が挙げられる。
これらは、いずれも1種のみで用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ、比率で混合して用いてもよい。
<配合組成>
本発明のエポキシ樹脂組成物において、エポキシ樹脂成分は本発明のエポキシ樹脂のみよりなるものであってもよく、本発明のエポキシ樹脂と他のエポキシ樹脂とからなるものであってもよい。本発明のエポキシ樹脂組成物において、固形分としての全エポキシ樹脂成分中のエポキシ樹脂の割合は、通常1〜100重量%、好ましくは1〜99重量%、より好ましくは5〜95重量%である。本発明のエポキシ樹脂の割合が前記下限値以上であることにより、本発明のエポキシ樹脂を配合することによる熱伝導性の向上効果を十分に得ることができ、所望の高熱伝導性を得ることができる。本発明のエポキシ樹脂の割合が前記上限値以下、他のエポキシ樹脂の割合が前記下限値以上であることにより、他のエポキシ樹脂の配合効果が発揮され、硬化性、硬化物の物性を向上させることができるため好ましい。
本発明のエポキシ樹脂組成物中の硬化剤の含有量は、固形分としての全エポキシ樹脂成分と硬化剤の合計に対して0.1〜60重量%である。
硬化剤がフェノール系硬化剤、アミン系硬化剤、酸無水物系硬化剤の場合は、エポキシ樹脂中のエポキシ基と硬化剤中の官能基との当量比で0.8〜1.5の範囲となるように用いることが好ましい。この範囲外であると未反応のエポキシ基や硬化剤の官能基が残留し、所望の物性が得られにくくなる傾向にある。
また、硬化剤がアミド系硬化剤、第3級アミン、イミダゾール類、有機ホスフィン類、ホスホニウム塩、テトラフェニルボロン塩、有機酸ジヒドラジド、ハロゲン化ホウ素アミン錯体、ポリメルカプタン系硬化剤、イソシアネート系硬化剤、ブロックイソシアネート系硬化剤等の場合は、エポキシ樹脂組成物中の固形分としての全エポキシ樹脂成分と硬化剤の合計に対して0.1〜20重量%の範囲で用いることが好ましい。
本発明のエポキシ樹脂組成物が無機フィラーを含む場合、無機フィラーの配合割合は、エポキシ樹脂組成物中の全固形分(通常、エポキシ樹脂組成物中の全固形分とは樹脂組成物中の溶剤を除く成分の合計をさす)に対して好ましくは5〜98重量%、より好ましくは10〜95重量%であり、このエポキシ樹脂組成物を硬化させて得られる硬化物中の体積割合として好ましくは10〜90体積%、より好ましくは15〜85体積%である。無機フィラーの配合量が上記下限値以上であることにより、無機フィラーを配合することによる熱伝導性の向上効果が十分なものとなり、所望の高熱伝導性を得ることができ、上記上限値以下であることにより、成膜性や接着性、硬化物の物を損なうことなく、良好な特性が得られる傾向がある。
本発明のエポキシ樹脂組成物において、溶剤は、前述の如く、エポキシ樹脂組成物の成形における取り扱い性、作業性を確保するために用いられ、その使用量には特に制限がない。
また、その他の添加剤の配合量には特に制限はなく、必要な機能性が得られる程度に、通常の樹脂組成物の配合量で用いられる。
なお、その他の添加剤のうち、カップリング剤の添加量は、エポキシ樹脂組成物中の全固形分に対して0.1〜2.0重量%程度とするのが好ましい。カップリング剤の配合量が少ないと、カップリング剤を配合したことによるマトリックス樹脂と無機フィラーとの密着性の向上効果を十分に得ることができず、多過ぎると得られる硬化物からカップリング剤がブリードアウトするおそれがある。
[硬化物]
本発明のエポキシ樹脂を硬化剤により硬化してなる硬化物は、熱伝導性、耐熱性、伸び性などのバランスに優れ、良好な硬化物性を示すものであり、以下に記載する各種用途に有用である。
[用途]
本発明のエポキシ樹脂及びそれを含むエポキシ樹脂組成物は、フィルム成形・塗布等のプロセスに適用するのに十分な伸び性を有し、かつ熱伝導性、耐熱性とのバランスに優れ、硬化物性にも優れるものであり、接着剤、塗料、土木建築用材料、電気・電子部品の絶縁材料等、様々な分野に適用可能であり、特に、電気・電子分野における絶縁注型、積層材料、封止材料等として有用である。本発明のエポキシ樹脂及びそれを含むエポキシ樹脂組成物の用途の一例としては、多層プリント配線基板、フィルム状接着剤、液状接着剤、半導体封止材料、アンダーフィル材料、3D−LSI用インターチップフィル、絶縁シート、プリプレグ、放熱基板等が挙げられるが、何らこれらに限定されるものではない。
以下、本発明を実施例に基づいてより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例により何ら限定されるものではない。なお、以下の実施例における各種の製造条件や評価結果の値は、本発明の実施態様における上限又は下限の好ましい値としての意味をもつものであり、好ましい範囲は前記した上限又は下限の値と、下記実施例の値又は実施例同士の値との組み合わせで規定される範囲であってもよい。以下において、「部」は全て「重量部」を示す。また、以下における各種物性ないし特性の測定方法は次の通りである。
1)重量平均分子量及び数平均分子量
東ソー(株)製「HLC−8320GPC EcoSEC(登録商標)」を使用し、以下の測定条件で、標準ポリスチレンとして、TSK Standard Polystyrene:F−128(Mw1,090,000、Mn1,0
30,000)、F−10(Mw106,000、Mn103,000)、F−4(Mw43,000、Mn42,700)、F−2(Mw17,200、Mn16,900)、A−5000(Mw6,400、Mn6,100)、A−2500(Mw2,800、Mn2,700)、A−300(Mw453、Mn387)を使用した検量線を作成し、重量平均分子量及び数平均分子量をポリスチレン換算値として測定した。
カラム:東ソー(株)製「TSKGEL SuperHM−H+H5000+H4000+H3000+H2000」
溶離液:テトラヒドロフラン
流速:0.5ml/min
検出:UV(波長254nm)
温度:40℃
試料濃度:0.1重量%
インジェクション量:10μl
2)n数
前記式(1)におけるnの値及びその平均値は、上記で求められた数平均分子量より算出した。
3)エポキシ当量
JIS K 7236に準じて測定し、固形分換算値として表記した。
4)伸び
エポキシ樹脂の溶液をセパレータ(シリコーン処理したポリエチレンテレフタレートフィルム、厚み:100μm)の表面にアプリケーターで塗布し、60℃で1時間、その後150℃で1時間、更に200℃で1時間乾燥させ、厚さ約50μmのエポキシ樹脂フィルムを得た。これを幅1cmに切り出し、インストロン社製 精密万能試験機「INSTRON 5582型」を使用して5mm/minで破断伸度を3回測定した平均値を示した。
5)ガラス転移温度(Tg)
溶剤を乾燥除去したエポキシ樹脂で、SIIナノテクノロジー(株)製 示差走査熱量計「DSC7020」を使用し、30〜200℃まで10℃/minで昇温して測定した。
6)熱伝導率
エポキシ樹脂の溶液(実施例1−1〜1−5及び比較例1−1、1−2)又はエポキシ樹脂組成物(実施例2−1〜2−5及び比較例2−1)を、セパレータ(シリコーン処理したポリエチレンテレフタレートフィルム、厚み:100μm)の表面にドクターブレードで塗布した。
また、エポキシ樹脂組成物については、以下のa又はbの条件で加熱することにより硬化させ、厚さ約50μmの硬化物のフィルムを得た(実施例2−1〜2−5及び比較例2−1)。
a:60℃で1時間、その後150℃で1時間、更に200℃で1時間加熱
b:150℃で2時間、その後200℃で1時間加熱
これらのフィルムについて、以下の装置にて、熱拡散率、比重、比熱を測定し、この3つの測定値を乗じることで熱伝導率を求めた。
熱拡散率:(株)アイフェイズ「アイフェイズ・モバイル 1u」
比重:メトラー・トレド(株)「天秤 XS−204」(「固体比重測定キット」使用)
比熱:セイコーインスツル(株)「DSC320/6200」
[エポキシ樹脂の製造と評価]
<実施例1−1〜1−5及び比較例1−1〜1−2>
表−1に示した配合で化合物(X)、化合物(Y)、触媒及び溶媒を撹拌機付き耐圧反応容器に入れ、窒素ガス雰囲気下、145℃で5時間反応を行った後、溶剤を加えて固形分濃度を調整した。反応生成物から定法により溶剤を除去した後、得られた樹脂について分析を行った。結果を表−1に示す。なお、反応に用いた化合物、触媒及び溶剤は以下の通りである。
<化合物(X)>
(X−A):三菱化学(株)製 商品名「YL6121H」(4,4’−ビフェノール型エポキシ樹脂と3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ビフェノール型エポキシ樹脂の1:1混合物、エポキシ当量171g/当量)
(X−B):三菱化学(株)製 商品名「YX4000」(3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ビフェノール型エポキシ樹脂、エポキシ当量186g/当量)
<化合物(Y)>
(Y−A):3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ビフェノール(水酸基当量121g/当量)
(Y−B):4,4’−ビフェノール(水酸基当量93g/当量)
<触媒>
(C−1):27重量%テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド水溶液
<溶媒(反応用)及び溶剤(希釈用)>
(S−1):シクロヘキサノン
(S−2):N,N−ジメチルアセトアミド
Figure 0006146999
[エポキシ樹脂組成物の製造と評価]
<実施例2−1>
実施例1−1で得られたエポキシ樹脂(Mw 25,097)2.5g(樹脂の固形分0.75g;60重量部)と、ビスフェノールAノボラック型多官能エポキシ樹脂80重量%MEK溶液(三菱化学(株)製 商品名「157S65B80)」)0.625g(樹脂の固形分0.5g;40重量部)と、硬化剤として2−エチル−4(5)−メチルイミダゾール(三菱化学(株)製 商品名「EMI24」)の20重量%溶液(溶剤MEK)0.032g(硬化剤重量0.00625g;0.5重量部)をはかり取り、自転公転ミキサーにて撹拌混合・脱泡を行った。このエポキシ樹脂組成物について前述の方法によ
り硬化フィルムを作製し、その熱伝導率を求めた。結果を表−2に示す。
<実施例2−2〜2−5、比較例2−1>
表−2に示したようにエポキシ樹脂組成物の配合を変更した以外は実施例2−1と同様にエポキシ樹脂組成物を製造した。これらのエポキシ樹脂組成物について、表−2に示した硬化条件にて硬化フィルムを得た。実施例2−1と同様に前述の方法にて熱伝導率を測定した。
なお、表−2の「その他のエポキシ樹脂」、「硬化剤」における略号の意味は下記の通りである。
・その他のエポキシ樹脂
「1256B40」:三菱化学(株)製 ビスフェノールA型エポキシ樹脂40重量%MEK溶液
「157S65B80」:三菱化学(株)製 ビスフェノールAノボラック型多官能エポキシ樹脂80重量%MEK溶液
・硬化剤
「EMI24」:三菱化学(株)製 2−エチル−4(5)−メチルイミダゾール
Figure 0006146999
表−1の結果より、実施例1−1〜1−5のエポキシ樹脂は、比較例1−1のエポキシ樹脂(特開2010−001427号公報の実施例1に類似するエポキシ樹脂)と比較してフィルム製膜性、伸び性、耐熱性のそれぞれが優れていることがわかる。また、比較例1−2のエポキシ樹脂と比較して著しく伸び性に優れていることがわかる。
以上の結果より、本発明のエポキシ樹脂は、フィルム成形・塗布等のプロセスに適用するのに十分な製膜性、伸び性を有し、熱伝導性、耐熱性のバランスにも優れることがわかる。
本発明のエポキシ樹脂及びそれを含むエポキシ樹脂組成物は、フィルム成形・塗布等のプロセスに適用するのに十分な伸び性を有し、かつ熱伝導性、耐熱性とのバランスに優れ、硬化物性にも優れるものであり、接着剤、塗料、土木建築用材料、電気・電子部品の絶縁材料等、様々な分野に適用可能であり、特に、電気・電子分野における絶縁注型、積層材料、封止材料等として有用である。本発明のエポキシ樹脂及びそれを含むエポキシ樹脂組成物の用途の一例としては、多層プリント配線基板、フィルム状接着剤、液状接着剤、半導体封止材料、アンダーフィル材料、3D−LSI用インターチップフィル、絶縁シート、プリプレグ、放熱基板等が挙げられるが、何らこれらに限定されるものではない。

Claims (4)

  1. エポキシ当量が1,000g/当量以上30,000g/当量以下、重量平均分子量が10,000以上100,000以下であって、下記式(1)におけるAが下記式(2)及び(3)で表されるビフェニル骨格を少なくとも有し、かつAにおける式(3)で表されるビフェニル骨格の割合が5〜75モル%であることを特徴とするエポキシ樹脂。
    Figure 0006146999
    (上記式(1)中、Aは上記式(2)及び(3)で表されるビフェニル骨格を少なくとも有し、Bは水素原子又は上記式(4)で表される基であり、nは5以上50以下の数である。)
  2. 少なくとも2官能エポキシ樹脂(X)とビフェノール化合物(Y)とを反応させて得られるエポキシ樹脂であって、そのエポキシ当量が1,000g/当量以上、30,000g/当量以下、重量平均分子量が10,000以上100,000以下であり、該2官能エポキシ樹脂(X)及び該ビフェノール化合物(Y)がそれぞれ下記式(2)及び/又は式(3)のビフェニル骨格を有し、かつ用いる2官能エポキシ樹脂(X)及びビフェノール化合物(Y)に含まれる式(2)で表されるビフェニル骨格の合計が95〜25モル%、2官能エポキシ樹脂(X)及びビフェノール化合物(Y)に含まれる式(3)で表されるビフェニル骨格の合計が5〜75モル%であることを特徴とするエポキシ樹脂。
    Figure 0006146999
  3. 少なくとも請求項1又はに記載のエポキシ樹脂と硬化剤とを含むエポキシ樹脂組成物であって、固形分としての全エポキシ樹脂成分と硬化剤との合計に対し、硬化剤を0.1〜60重量%含むエポキシ樹脂組成物。
  4. 請求項のエポキシ樹脂組成物を硬化させてなる硬化物。
    (以上)
JP2012283164A 2011-12-26 2012-12-26 エポキシ樹脂、エポキシ樹脂組成物及び硬化物 Active JP6146999B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012283164A JP6146999B2 (ja) 2011-12-26 2012-12-26 エポキシ樹脂、エポキシ樹脂組成物及び硬化物

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2011283697 2011-12-26
JP2011283697 2011-12-26
JP2012283164A JP6146999B2 (ja) 2011-12-26 2012-12-26 エポキシ樹脂、エポキシ樹脂組成物及び硬化物

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2013151672A JP2013151672A (ja) 2013-08-08
JP6146999B2 true JP6146999B2 (ja) 2017-06-14

Family

ID=49048259

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2012283164A Active JP6146999B2 (ja) 2011-12-26 2012-12-26 エポキシ樹脂、エポキシ樹脂組成物及び硬化物

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6146999B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN112771123B (zh) * 2018-10-11 2023-08-04 三菱化学株式会社 树脂组合物、树脂固化物及复合成形体

Family Cites Families (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP3885664B2 (ja) * 2002-06-03 2007-02-21 新神戸電機株式会社 プリプレグ、積層板およびプリント配線板
JP5348740B2 (ja) * 2008-06-23 2013-11-20 日本化薬株式会社 エポキシ樹脂、エポキシ樹脂組成物、およびその硬化物
JP2010106228A (ja) * 2008-09-30 2010-05-13 Tdk Corp エポキシ樹脂組成物、並びに、これを用いた硬化物、半硬化物、プリプレグ及び複合基板

Also Published As

Publication number Publication date
JP2013151672A (ja) 2013-08-08

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6687079B2 (ja) エポキシ樹脂、エポキシ樹脂組成物及び硬化物
JP5831122B2 (ja) 三次元集積回路用の層間充填材組成物、塗布液及び三次元集積回路の製造方法
JP5737129B2 (ja) エポキシ樹脂、エポキシ樹脂組成物および硬化物
JP6268753B2 (ja) エポキシ樹脂、エポキシ樹脂組成物、硬化物及び電気・電子回路用積層板
WO2010029855A1 (ja) 可溶性イミド骨格樹脂、可溶性イミド骨格樹脂溶液組成物、硬化性樹脂組成物、およびその硬化物
JP6340877B2 (ja) リン含有エポキシ樹脂、リン含有エポキシ樹脂組成物、硬化物及び電気・電子回路用積層板
JP5760997B2 (ja) エポキシ樹脂、エポキシ樹脂組成物及び硬化物
JP2015000952A (ja) エポキシ樹脂組成物およびその硬化物
JP2019172996A (ja) エポキシ樹脂、エポキシ樹脂組成物及び硬化物
JP2013221120A (ja) エポキシ樹脂組成物および該エポキシ樹脂組成物を硬化させてなる硬化物
JP6119376B2 (ja) エポキシ樹脂、エポキシ樹脂組成物及び硬化物
JP6780301B2 (ja) エポキシ樹脂、エポキシ樹脂組成物及び硬化物
JP6303627B2 (ja) エポキシ樹脂組成物および硬化物
JP5768529B2 (ja) 三次元積層型半導体装置用の層間充填材組成物及びその塗布液
JP6146999B2 (ja) エポキシ樹脂、エポキシ樹脂組成物及び硬化物
JP2013006972A (ja) エポキシ樹脂組成物及び該エポキシ樹脂組成物を硬化させてなる硬化物
JP6950394B2 (ja) エポキシ樹脂、エポキシ樹脂組成物及び硬化物
JP6135175B2 (ja) 多官能エポキシ樹脂組成物、硬化性エポキシ樹脂組成物及び硬化物
JP2017048387A (ja) エポキシ樹脂、エポキシ樹脂組成物、硬化物及び電気・電子部品
JP5716512B2 (ja) エポキシ樹脂及びその製造方法
JP2789325B2 (ja) 新規エポキシ樹脂およびエポキシ樹脂組成物
JPWO2020080292A1 (ja) 硬化性樹脂組成物、硬化物及びシート状成形体
JP2012116936A (ja) エポキシ樹脂
JP7502916B2 (ja) エポキシ樹脂、エポキシ樹脂組成物及び硬化物
JP6291978B2 (ja) リン含有エポキシ樹脂、リン含有エポキシ樹脂組成物、硬化物及び電気・電子回路用積層板

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20150618

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20160526

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20160614

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20160804

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20161108

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20161209

TRDD Decision of grant or rejection written
A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A712

Effective date: 20170419

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20170425

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20170516

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 6146999

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151