JP2789325B2 - 新規エポキシ樹脂およびエポキシ樹脂組成物 - Google Patents

新規エポキシ樹脂およびエポキシ樹脂組成物

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JP2789325B2
JP2789325B2 JP8060272A JP6027296A JP2789325B2 JP 2789325 B2 JP2789325 B2 JP 2789325B2 JP 8060272 A JP8060272 A JP 8060272A JP 6027296 A JP6027296 A JP 6027296A JP 2789325 B2 JP2789325 B2 JP 2789325B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、その硬化物が耐熱
性、機械的特性に優れた新規エポキシ樹脂、及びそれを
含む樹脂組成物に関する。より詳細には、本発明の新規
エポキシ樹脂、及びそれを含む樹脂組成物は、半導体や
電子部品用封止材、塗料、電気部品の注型材料、積層
板、接着剤等の用途、特に半導体や電子部品用封止材と
して有用である。
【0002】
【従来の技術】従来より、ビスフェノールA型エポキシ
樹脂に代表されるエポキシ樹脂は、接着性、電気特性な
どその優れた特性により、塗料、電気部品の注型材料、
積層板、接着剤、電子部品の封止剤などの用途に広く使
用されている。しかしながら、従来のエポキシ樹脂は強
靭性、耐熱性、寸法安定性、耐湿性などが不足している
場合があり、その使用範囲が制限されることがあった。
例えば、電子部品の封止材の用途に使用された場合、そ
の電子部品を配線基板に実装する段階において高温に曝
された時などに、エポキシ樹脂の耐熱性や強靭性、或い
は耐湿性が不足なために封止材にクラックが発生したり
することがある。
【0003】また、コンデンサーなどの電気部品の注型
材料に使用された時などには、硬化反応中の収縮に基づ
いて発生した内部応力によってエポキシ硬化物に亀裂が
生じることも知られている。強靭性や収縮を改良する方
法としては分子量の高いエポキシ樹脂を使用する方法や
エポキシ樹脂にゴムを分散させる方法(特開昭63ー1
99218)などが検討されているが、いずれの場合も
耐熱性が低下してしまうという欠点がある。また、耐熱
性を向上させる手段としては多官能性エポキシ樹脂を用
いる方法(特開平3ー17117)などが提案されてい
る。しかしながら、多官能性エポキシ樹脂は耐熱性は向
上するものの、強靭性が低下したり、収縮率が大きく寸
法安定性や内部応力に問題がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明は、耐
熱性を損なうことなく強靭性を向上させ、かつ耐湿性、
寸法安定性、機械的強度、さらには半導体封止材などに
求められる、アルミに対する低腐食性など実用物性に優
れたエポキシ樹脂を提供することを課題とするものであ
る。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記課題に
ついて種々検討した結果、ビフェニル骨格を有するエポ
キシ樹脂に対して、適度に柔軟な骨格を有するビスフェ
ノール骨格を導入することにより、エポキシ樹脂に耐熱
性を損なうことなく強靭性を向上させ、かつ耐湿性、寸
法安定性、機械的強度、アルミに対する低腐食性などを
与えることができることを見出し、本発明を完成するに
至った。
【0006】すなわち、本発明は: (A)新規エポキシ樹脂について 式(1) (式中、R〜Rは同一又は互いに異なる、水素、炭
素数1〜5のアルキル基、またはアルケニル基を表し、
Aは式(II) (式中、R、Rは同一又は互いに異なる水素原子、
炭素数1〜3のアルキル基を示す。)で示される、p−
フェニレン選択率が80%以下である構造を示し、1、
m、nは0以上の整数を示す。)で表されるエポキシ化
合物を主成分として含有するエポキシ樹脂を提供する。
【0007】また、 記載のエポキシ樹脂(A)において、式(XII
I)
【化8】 (式中、R1 〜R6 は式(I)の場合と同じであり、o
は1以上の整数を示し、k’〜k’”は0以上の整数を
示す。)の構造を有するエポキシ樹脂(B)の含有率が
40%以下である点にも特徴を有する。また、 エポキシ樹脂(B)の含有率が20%以下である点
にも特徴を有する。また、
【0008】 エポキシ樹脂(B)の含有率が10%
以下である点にも特徴を有する。また、 エポキシ樹脂(B)を実質的に含まない点にも特徴
を有する。また、 加水分解性塩素含有量が1000ppm以下である
点にも特徴を有する。また、 数量平均分子量が330以上5000以下である点
にも特徴を有する。また、 式(1)においてR1 、R2 、R3 、R4 が水素原
子である点にも特徴を有する。また、 式(II)においてR5 、R6 が水素原子である点
にも特徴を有する。また、
【0009】(B)新規エポキシ樹脂の製造方法につい
て (10)式(III)
【化9】 (式中、R1 、R2 、R3 、R4 は式(I)と同じ。k
は0以上の整数である)で示されるグリシジル化合物
と、式(IV)
【化10】 (式中、R5 、R6 は式(II)と同じ。)で示され
る、p位選択率が80%以下のビスフェノール化合物を
触媒の存在下または不存在下で反応させる〜のいず
れかに記載のエポキシ樹脂の製造方法を提供する。ま
た、 (11) 加水分解性塩素含有量が1000ppm以下の式
(III)で示されるグリシジル化合物を使用する点に
も特徴を有する。また、 (12) 多核体含有率が40%以下である式(IV)で示
されるビスフェノール化合物を使用する点にも特徴を有
する。また、
【0010】(C)エポキシ樹脂組成物について (13)(a)〜のいずれかに記載のエポキシ樹脂、
(b)硬化剤を必須成分とするエポキシ樹脂組成物を提
供する。また、 (14) (a)〜のいずれかに記載のエポキシ樹脂、
(b)硬化剤、(c)硬化促進剤を必須成分とするエポ
キシ樹脂組成物を提供する。また、 (15) (a)〜のいずれかに記載のエポキシ樹脂、
(b)硬化剤、(c)硬化促進剤、(d)無機充填剤を
必須成分とするエポキシ樹脂組成物を提供する。
【0011】以下、本発明を詳細に説明する。 (A)新規エポキシ樹脂 (i) 本発明のエポキシ樹脂は、基本的に、 式(I):
【化11】 (式中、R1 〜R4 は同一又は互いに異なる、水素、炭
素数1〜5のアルキル基、またはアルケニル基を表し、
l、m、nは0以上の整数を示す。Aは式(II)
【化12】
【0012】(式中、R5 、R6 は同一又は互いに異な
る水素原子、炭素数1〜3のアルキル基を示す。)で示
される、p−フェニレン選択率が80%以下である構造
を示し)で表されるものである。式(I)の構造式にお
いて、l、m、nは繰り返し数を表し0以上の整数であ
るが、この値は下記数平均分子量により一義的に制限さ
れるものである。そして、該繰り返し数は、生成するエ
ポキシ樹脂自体が種々の混合物から構成される観点から
数平均値の性格を持つが、一般にlの平均値は0〜1
0、好ましくは0.005〜1、より好ましくは0.0
1〜0.1であり、mの平均値は0.01〜30、好ま
しくは0.1〜20、より好ましくは0.5〜10であ
り、nの平均値は0.1〜30、好ましくは0.2〜2
0、より好ましくは0.5〜10である。
【0013】また、式(III)、(XI)、(XII
I)において、繰り返し数oは1以上の整数であるが、
種々の混合物から構成される観点から数平均値の性格を
有するが、一般的にその平均値はほぼ1〜20である。
更に、繰り返し数k、k’、k”、k’”は0以上の整
数であるが、種々の混合物から構成される観点から数平
均値の性格を有するが、一般的にその平均値は夫々独立
にほぼ0〜30である。
【0014】さらに、本発明のエポキシ樹脂は、好まし
い態様として、以下のエポキシ樹脂が包含される。 式(I)においてR1 、R2 、R3 、R4 が水素原
子であるエポキシ樹脂。 式(II)においてR5 、R6 が水素原子であるエ
ポキシ樹脂。本発明におけるp−フェニレン選択率と
は、式(II)においてベンゼン核に直接結合する炭素
原子と酸素原子との位置関係について、下記の式
(V)、(VI)、(VII)で示される全構造に対す
る、式(V)で示される構造の割合(モル比)を意味す
る。
【化13】
【化14】
【化15】
【0015】(ii) 本発明のエポキシ樹脂(A)の配慮 本発明のエポキシ樹脂(A)は、その製造に際し、反応
原料の1つである上記式(II)又は(IV)のビスフ
ェノール化合物は、しばしば副成分として、式(X
I):
【化16】 (式中、R5 、R6 は式(II)と同じ。oは1以上の
整数を示す。)で示される多核体成分の少量を含むこと
が多い。
【0016】本発明では、下記の理由等から上記多核体
成分を極力含まない反応成分を使用することを好適とす
る。即ち、これら多核体成分の含有量が高いほど本発明
のエポキシ樹脂の合成反応過程における該エポキシ樹脂
の粘度変化が著しくなり、合成反応の制御が難しくなる
ばかりでなく、このような多核体成分が混在することに
よる種々の複雑な副生成物、例えば(XIII)に示さ
れるエポキシ樹脂を含むようになり、本発明の新規樹脂
の性能等の面に悪影響を与える。
【0017】従って、本発明のエポキシ樹脂(A)にお
いては、式(XIII)
【化17】 (式中、R1 〜R6 は式(I)の場合と同じであり、o
は1以上の整数を示し、k’〜k’”は0以上の整数を
示す。)の構造を有するエポキシ樹脂(B)の含有率が
40%以下、好ましくは20%以下、より好ましくは1
0%以下、更に好ましくは5%以下、更により好ましく
は2%以下、特に好ましくはエポキシ樹脂(B)を実質
的に含まないことであることが重要である。もちろん、
副生成物としてエポキシ樹脂(B)は、上記式(XII
I)で表されるエポキシ樹脂のみならず、極微量の式
(IV)及び式(XI)のビスフェノール化合物と式
(III)のエポキシ化合物とが混合反応した構造のも
のも含まれている。
【0018】本発明におけるp−フェニレン選択率は、
80%以下、好ましくは70%以下、より好ましくは6
0%以下である。p−フェニレン選択率が80%を越え
て高すぎると、該エポキシ樹脂の融点又は軟化点が高く
なるため、該エポキシ樹脂を硬化するときに、より高い
温度で行う必要が生じ、そのため該エポキシ樹脂が融解
して硬化剤等と完全に均一に混合する以前に硬化反応が
開始する。従って、得られたエポキシ硬化物の強靭性な
どの機械的特性が低下したり、収縮率が大きくなったり
するので好ましくない。
【0019】また、本発明における加水分解性塩素含有
量とは、後述の、加水分解性塩素含有量の測定方法によ
って求められる。本発明における加水分解性塩素含有量
は1000ppm、好ましくは700ppm以下、さら
に好ましくは500ppm以下、特に好ましくは300
以下が望ましい。加水分解性塩素含有量が1000pp
mを越えて高いと、エポキシ硬化物の耐熱性や耐湿性が
低くなったり、あるいは半導体封止剤として使用された
時にアルミ配線を腐食させるので好ましくない。
【0020】本発明におけるエポキシ樹脂の数平均分子
量は、上記繰り返し数と同じ性格を有するが、330〜
5000、好ましくは350〜3000、より好ましく
は400〜1500、特に好ましくは500〜1000
が望ましい。数平均分子量が330未満であると硬化物
の強靭性の向上が十分でなく、5000を越えて大きい
と硬化物の耐熱性が低下して好ましくない。本発明でい
う数平均分子量とは、2モルのエポキシ基を含有するの
に必要な該エポキシ樹脂のグラム数によって定義され、
実施例の項に記載の測定法によって求められるエポキシ
当量を用いて以下の式により求められる。 (数平均分子量)=(エポキシ当量)×2
【0021】(B)エポキシ樹脂の製造法について 本発明の新規エポキシ樹脂は、基本的に下記の合成法に
より容易に製造できる。すなわち、本発明の新規エポキ
シ樹脂は、式(III):
【化18】 (式中、R1 、R2 、R3 、R4 は式(I)と同じ。k
は0以上の整数である)で示されるグリシジル化合物
と、式(IV):
【化19】 (式中、R5 、R6 は式(II)と同じ。)で示され
る、p位選択率が80%以下のビスフェノール化合物を
触媒の存在下または不存在下で反応させることにより製
造することができる。
【0022】上記グリシジル化合物とビスフェノール化
合物との反応割合は、得られるエポキシ樹脂の性能範囲
に従って広い割合を採用できるが、モル比で0.01〜
0.95、好ましくは0.05〜0.8、より好ましく
は0.1〜0.7、更に好ましくは0.2〜0.5であ
る。該反応割合が0.01未満では、該エポキシ樹脂を
硬化して得られた硬化物の強靱性の効果が現れないため
好ましくなく、また、0.095を越えると耐熱性が低
下してしまう。
【0023】本発明におけるp位選択率とは、該ビスフ
ェノール化合物に含まれる下記式(VIII)、(I
X)、(X)(各々R5 、R6 は式(IV)と同じ)で
示される構造のものについて、ベンゼン核に直接結合す
る炭素原子と水酸基との位置関係が互いにp位にある構
造の割合を示し、式(VIII)、(IX)、(X)の
それぞれのモル比をa、b、cとした場合、p位選択率
は次式により定義される。
【数1】
【0024】
【化20】
【化21】
【化22】 また、式(VIII)、(IX)、(X)のモル比は、
該ビスフェノール化合物をキャピラリーガスクロマトグ
ラフィにてFID検出器を使用して分析した時の面積比
により求めることができる。
【0025】本願発明において用いられる、式(IV)
で示されるビスフェノール化合物としては、ビスフェノ
ールA、ビスフェノールF、ビスフェノールAD等が挙
げられる。一方、これらの化合物は、しばしば副成分と
して、式(XI):
【化23】 (式中、R5 、R6 は式(II)と同じ。oは1以上の
整数を示す。)で示される多核体成分を含む場合がある
が、これら多核体成分の含有量が高いほど本発明のエポ
キシ樹脂の合成反応過程における該エポキシ樹脂の粘度
変化が著しくなり、合成反応の制御が難しくなる。
【0026】従って、使用されるビスフェノール化合物
中における式(XI)で示される多核体成分の含有率は
低いほど望ましい。従って、40%以下、より好ましく
は20%以下、更に好ましくは10%以下、特に好まし
くは5%以下、殊に好ましくは2%以下のビスフェノー
ル化合物が使用される。多核体含有率は、該ビスフェノ
ール化合物をキャピラリーガスクロマトグラフィにてF
ID検出器を使用して分析した時の面積比により求める
ことができる。
【0027】本発明のエポキシ樹脂の製造に当たり、出
発原料を溶解する有機又は無機溶媒中で反応を行うこと
ができるが、反応系の均質性の点から無溶媒下で行うの
が望ましい。ここで使用される触媒としては、例えば塩
基性触媒、四級アンモニウム塩系触媒、リン系触媒等が
挙げられる。塩基性触媒の例としては、水酸化ナトリウ
ム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、トリブチルアミ
ン、トリエチルアミン、トリイソプロピルアミン、ベン
ジルジエチルアミン、2−フェニルイミダゾール、イミ
ダゾール、N−メチルイミダゾールなどが挙げられる。
テトラメチルアンモニウムクロライド、ベンジルトリメ
チルアンモニウムクロライド、テトラエチルアンモニウ
ムクロライド、テトラブチルアンモニウムクロライド、
テトラブチルアンモニウムブロマイドなどが挙げられ、
また、リン系触媒の例としては、トリフェニルホスフィ
ン、トリメチルホスフィン、ベンジルトリフェニルホス
ホニウムブロマイド、アミルトリフェニルホスホニウム
ブロマイド、ヨウ化ベンジルトリフェニルホスホニウ
ム、トリフェニルホスホニウムアイオダイド等が例示さ
れる。
【0028】本発明は、触媒の種類によって制限される
ものではないが、中でもトリフェニルホスフィン等リン
系触媒を使用すると半導体の封止材に使用したときにア
ルミ配線の腐食性が低くなるので好ましい。使用する触
媒の量は、該グリシジル化合物に対して1ppm〜1
%、好ましくは5ppm〜1000ppm、特に好まし
くは10ppm〜500ppmである。使用する触媒の
量が1ppm未満と少なすぎると、反応速度が遅くな
り、また、1%を越えて多すぎると生成したエポキシ樹
脂中に残存する触媒量が多くなりエポキシ樹脂硬化物の
物理的電気的特性が低下したりアルミ配線の腐食性が高
くなるので好ましくない。また、その反応温度は、80
℃〜280℃、好ましくは100℃〜220℃より好ま
しくは120℃〜180℃である。反応温度が80℃未
満と低すぎると反応の進行が遅すぎたり、反応系の粘度
が上昇し反応系の攪拌が困難になり反応が完結し難く、
また、反応温度が280℃を越えて高すぎると樹脂が熱
分解を生じ始めるため好ましくない。
【0029】式(III)に示されたグリシジル化合物
は、式(XII)で示されるビフェニル化合物:
【化24】 (式中、R1 、R2 、R3 、R4 は式(I)と同じ。)
とエピクロロヒドリン、2−メチル−1−クロロヒドリ
ン、エピブロモヒドリン等のエピハロヒドリンを、触媒
の存在下で付加反応させハロヒドリン化合物を生成させ
た後に脱塩酸反応剤を用いて、脱塩酸反応させることに
よって得ることができる。
【0030】その付加反応の際に使用する触媒として
は、テトラメチルアンモニウムクロライド、ベンジルト
リメチルアンモニウムクロライド、テトラブチルアンモ
ニウムクロライド、テトラメチルアンモニウムブロマイ
ド、テトラエチルアンモニウムブロマイド、ヨウ化テト
ラエチルアンモニウム、ヨウ化テトラメチルアンモニウ
ム、テトラプロピルアンモニウムクロライド、ベンジル
トリメチルアンモニウムブロマイド、ヨウ化ベンジルト
リメチルアンモニウム、塩化コリンなどのアンモニウム
塩;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウ
ムなどのアルカリ金属水酸化物;
【0031】水酸化カルシウムなどのアルカリ土類金属
水酸化物;トリブチルアミン、トリイソプロピルアミ
ン、ベンジルジエチルアミン、2−フェニルイミダゾー
ル、イミダゾール、N−メチルイミダゾールなどの塩基
性有機化合物;また、トリフェニルホスフィン、トリメ
チルホスフィン、ベンジルトリフェニルホスホニウムブ
ロマイド、アミルトリフェニルホスホニウムブロマイ
ド、ヨウ化ベンジルトリフェニルホスホニウム等のリン
系化合物が挙げられる。触媒としては、テトラメチルア
ンモニウムクロライド等の使用が望ましい。
【0032】その付加反応の際の反応温度は、20℃〜
160℃、好ましくは50℃〜140℃、より好ましく
は60℃〜130℃、特に好ましくは80℃〜120℃
である。反応温度が20℃未満と低すぎると反応の進行
が遅すぎたり、原料のビフェニル化合物や生成したクロ
ルヒドリン化合物が反応系から析出し、反応が完結しな
かったり、または反応生成物を単離することが困難にな
ったりする。反応温度が160℃を越えて高すぎると反
応系から蒸発するエピハロヒドリンを凝集し回収するこ
とが困難となり工業的に好ましくない。
【0033】脱塩酸反応させる際に使用する脱塩酸反応
剤としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸
化リチウムなどのアルカリ金属水酸化物;水酸化カルシ
ウムなどのアルカリ土類金属水酸化物などが挙げられる
が、特に水酸化ナトリウムの使用が望ましい。脱塩酸反
応剤はそのまま使用しても良いし、水、メタノール、エ
タノールなどの溶媒に溶解して用いても良い。脱塩酸反
応は、反応で生成した水或いは脱塩酸反応剤を添加した
際に同伴された水を反応系外に除去しながら行うのが好
ましく、水を除去する方法としては反応系内の水をエピ
ハロヒドリンと共沸蒸留により留出させ、留出液を水相
および有機相に分液した後、有機相のみを反応系内に戻
す方法が例示される。
【0034】また、上記付加反応、脱塩酸反応の両方、
またはいずれかを行う際にも、反応溶媒を使用しても良
い。使用する反応溶媒としては、例えばトルエン、キシ
レンなどの無極性溶媒;メチルイソブチルケトン、ジオ
キサン、ジメチルスルホキシドなどの極性溶媒等が挙げ
られ、特にジメルスルホキシドを用いると加水分解性塩
素が低減できるので望ましい。また、式(III)で示
されるグリシジル化合物の加水分解性塩素含有量は、得
られた該エポキシ樹脂を、再度脱塩酸反応を行うことに
よって、また、種々の有機溶媒または水より再結晶する
ことによっても低減することができる。
【0035】再結晶において使用される有機溶媒として
は、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、メチ
ルエチルケトン、アセトン、3ーペンタノン、2ーヘキ
サノン、2ーヘプタノン、4ーヘプタノン、ジイソブチ
ルケトン、アセトニトリルアセトン、ホロン、メチルシ
クロヘキサノン、アセトフェノン等のケトン類;ジエチ
ルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジオキサン、フ
ラン、テトラヒドロフラン、ジエチレングリコールジメ
チルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテ
ル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、アセター
ル等のエーテル類;
【0036】酢酸エチル、酢酸ブチル、ジエチレングリ
コールモノアセタート、炭酸エチレン、炭酸プロピレン
等のエステル類;メタノール、エタノール、1ープロパ
ノール、2ープロパノール、1ーブタノール、2ーブタ
ノール、イソブチルアルコール、1ーヘキサノール、2
ーヘキサノール、3ーヘキサノール、1ーペンタノー
ル、2ーペンタノール、3ーペンタノール、グリセリン
等のアルコール類;ヘキサン、シクロヘキサン、ベンゼ
ン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、等の炭化水
素類;クロロホルム、四塩化炭素、クロロベンゼン、ジ
クロロエタン等のハロゲン化炭化水素;ニトロベンゼ
ン、アセトニトリル、ピリジン、ジメチルホルムアミ
ド、ジメチルアセトアミド等の窒素化合物;ジメチルス
ルホキシド等の硫黄化合物等が挙げられる。特に、メチ
ルイソブチルケトンの使用が望ましい。これらの有機溶
媒および水は単独で用いられても良いし、互いに混合さ
れて用いられても良い。
【0037】また、式(III)で示されたグリシジル
化合物は、式(XII)で示されるビフェニル化合物;
【化25】 (式中、R1 、R2 、R3 、R4 は式(I)と同じ。)
とエピクロルヒドリンで代表されるエピハロヒドリンお
よび、アルカリ金属水酸化物或いはアルカリ土類金属水
酸化物と触媒の存在下あるいは不存在下で、反応させる
ことによっても得ることができる。式(XII)で示さ
れる化合物としては、例えば4,4’−ビスヒドロキシ
ビフェニル、4,4’−ビスヒドロキシ−3,3’,
5,5’−テトラメチルビフェニル、4,4’−ビスヒ
ドロキシ−3,3’,5,5’−テトラフェニルビフェ
ニル、4,4’−ビスヒドロキシ−3,3’,5,5’
−テトラエチルビフェニル等が例示されるが、その中、
4,4’−ビスヒドロキシビフェニルの使用が望まし
い。
【0038】(C)エポキシ樹脂組成物について 本発明のエポキシ樹脂組成物は、基本的に (a)上記
新規エポキシ樹脂、(b)硬化剤とを必須成分とするも
のである。また、更に、(c)硬化促進剤及び/又は
(d)無機充填剤を必須成分としても良い。本発明のエ
ポキシ樹脂組成物の主要成分を構成する(a) 成分として
は、上記新規エポキシ樹脂単独でも良いし、或いは必要
に応じて他のエポキシ樹脂と併用できる。
【0039】併用できる他のエポキシ樹脂としては、例
えば次のものが挙げられる。 (イ) ビスフェノールAのジグリシジルエーテル類、
(ロ) エポキシフェノールノボラック類、 (ハ) エポキ
シクレゾールノボラック類、 (ニ) その他;フタル酸又
はヘキサヒドロフタル酸とエピクロルヒドリンから得ら
れたエポキシ樹脂、パラヒドロキシ安息香酸とエピクロ
ルヒドリンから得られたエポキシ樹脂、トルイジンやア
ニリン等の芳香族アミンとエピクロルヒドリンから得ら
れたエポキシ樹脂、ビニルシクロヘキセンジオキシド、
1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6
−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル等が挙げられ
る。
【0040】本発明で使用される硬化剤 (b)としては、
アミン系硬化剤、酸無水物系硬化剤、フェノール系硬化
剤、イミダゾール系硬化剤、カチオン系硬化剤を挙げる
ことができるが、特にフェノール系硬化剤の使用が望ま
しい。。アミン系硬化剤としては、例えば、エチレンジ
アミン、1,3−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノ
プロパン、ヘキサメチレンジアミン、2,5−ジメチル
ヘキサメチレンジアミン、トリメチルヘキサメチレンジ
アミン、ジエチレントリアミン、イミノビスプロピルア
ミン、ビス(ヘキサメチレン)トリアミン、トリエチレ
ンテトラミン、
【0041】テトラクロロ−p−キシリレンジアミン、
m−キシリレンジアミン、p−キシリレンジアミン、m
−フェニレンジアミン、o−フェニレンジアミン、p−
フェニレンジアミン、2,4−ジアミノアニゾール、
2,4−トルエンジアミン、2,4−ジアミノジフェニ
ルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、2,
4−ジアミノジフェニルスルフォン、4,4’−ジアミ
ノジフェニルスルフォン、m−アミノフェノール、
【0042】m−アミノベンジルアミン、トリエチルア
ミン、ベンジルジメチルアミン、2−(ジメチルアミノ
メチル)フェノール、2,4,6−トリス(ジメチルア
ミノメチル)フェノール、トリエタノールアミン、メチ
ルベンジルアミン、トーマイド(富士化成)、バーサミ
ド、ジェナミド(ヘンケル白水)、ラッカーマイド(大
日本インキ)、サンマイド(三和化学)、ポリマイド
(三洋化成)等が挙げられるが、特に4,4’−ジアミ
ノジフェニルメタンの使用が望ましい。
【0043】酸無水物系硬化剤としては例えば、ドデセ
ニル無水コハク酸、ポリアジピン酸無水物、ポリアゼラ
イン酸無水物、ポリセバシン酸無水物、ポリ(エチルオ
クタデカン二酸)無水物、ポリ(フェニルヘキサデカン
二酸)無水物、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、メチ
ルヘキサヒドロ無水フタル酸、無水メチルハイミック
酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタ
ル酸、トリアルキルテトラヒドロ無水フタル酸、メチル
シクロヘキセンジカルボン酸無水物、無水フタル酸、無
水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、ベンゾフェノ
ンテトラカルボン酸無水物、エチレングリコールビスト
リメリテート、無水ヘット酸、テトラヒドロ無水フタル
酸等が挙げられる、特にメチルヘキサヒドロ無水フタル
酸の使用が望ましい。
【0044】フェノール系硬化剤としては例えばフェノ
ールノボラック、クレゾールノボラック、カテコールノ
ボラック等が挙げられる、特にフェノールノボラックの
使用が望ましい。イミダゾール系硬化剤しては例えば、
1−メチルイミダゾール、2−メチルイミダゾール、2
−エチル−4−メチルイミダゾール、2−ウンデシルイ
ミダゾール、2−ヘプデシルイミダゾール、2−フェニ
ルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾー
ル、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール、1−
シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾール、
【0045】2−メチルイミダゾール、1−シアノエチ
ル−2−ウンデシルイミダゾール、1−シアノエチル−
2−ウンデシルイミダゾリウムトリメリテート、1−シ
アノエチル−2−フェニルイミダゾリウムトリメリテー
ト、2−メチルイミダゾリウムイソシアヌレート、2−
フェニルイミダゾリウムイソシアヌレート、2,4−ジ
アミノ−6−[2−メチルイミダゾリル−(1)]−エ
チル−S−トリアジン、
【0046】2,4−ジアミノ−6−[2−エチル−4
−メチルイミダゾリル−(1)]−エチル−S−トリア
ジン、2,4−ジアミノ−6−[2−ウンデシルイミダ
ゾリル−(1)]−エチル−S−トリアジン、2−フェ
ニル−4,5−メチルイミダゾール、2−フェニル−4
−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール、1−シ
アノエチル−2−フェニル−4,5−ジ(シアノエトキ
シメチル)イミダゾール、1−ドデシル−2−メチル−
3−ベンジルイミダゾリウムクロライド、1,3−ジベ
ンジル−2−メチルイミダゾリウムクロライド等が挙げ
られるが、特に、2−エチル−4−メチルイミダゾール
の使用が望ましい。カチオン系硬化剤としては、三フッ
化ほう素、三フッ化ほう素−アミン錯体等が挙げられ
る。硬化剤(b) の配合量は、エポキシ樹脂(a) の重合度
や硬化剤の種類により異なり一義的に規定できないが、
一般にはエポキシ樹脂100重量部当たり0.1〜20
0重量部、好ましくは1〜100重量部である。
【0047】本発明で使用される硬化促進剤 (c) とし
ては、アミン系硬化剤あるいはイミダゾール系硬化剤と
して上記に例示した化合物、あるいはトリフェニルホス
フィン、トリブチルホスフィン等のリン化合物等が挙げ
られるが、特にリン化合物の使用が望ましい。硬化促進
剤 (c) の配合量は、エポキシ樹脂(a) の重合度や硬化
促進剤の種類により異なるが、エポキシ樹脂100重量
部当たり0.01〜100重量部、好ましくは0.1〜
5である。
【0048】本発明で使用される無機充填剤 (d)として
は、アルミナ、アスベスト、カーボンブラック、グラフ
ァイト、珪藻土、酸化マグネシウム、酸化チタン、水酸
化アルミ、石英粉、溶融シリカ粉、タルク、バライト、
マイカ等が挙げられる。無機充填剤 (d)の配合量は、組
成物100重量部当たり50〜90重量部、好ましくは
60〜85重量部である。また、用途に応じて着色剤、
カップリング剤、難燃剤、離型剤、着色剤、レベリング
剤、ハジキ防止剤、消泡剤等も添加され、また、必要に
応じてガラス繊維、ガラス布、炭素繊維等を含有させる
ことができる。特に、離型剤として、例えば天然ワック
ス、合成ワックス、高級脂肪酸及びその金属塩、パラフ
ィン等が挙げられる。着色剤としてカーボン等が導電剤
の作用を有する点から特に電気・電子部品の用途に望ま
しい。
【0049】難燃剤としては、ノンハロゲンであるもの
が望ましく、例えば無機充填剤や三酸化アンチモン、五
酸化アンチモン、リン酸及びリン化合物等が挙げられ
る。カップリング剤としては、例えばエポキシシラン、
ビニルシラン、アミノシラン、ボラン化合物、アルコキ
シチタネート化合物、アルミキレート化合物等を挙げる
ことができる。
【0050】本発明のエポキシ樹脂組成物を製造するに
は、前記(a) 〜 (d)の必須成分並びに必要に応じて他の
添加成分をも加えて、ローラー、エクストルーダー、ニ
ーダーミキサー、ヘンシェルミキサー等の混合装置を用
いて均一に混練することにより容易に製造できる。もち
ろん、塗料、積層板等の用途に用いる場合のように、繰
り返し単位が低い低粘度の液状の場合には、それ単独で
も或いは有機溶剤に溶解させて塗布又は含浸可能な濃度
まで希釈させて用いることができるが、重合度の調整等
により無溶剤状態で使用することが望ましい。
【0051】(D)新規エポキシ樹脂及びそれを含む樹
脂組成物の有用性 本発明の新規エポキシ樹脂及びそれを含む樹脂組成物
は、耐熱性を損なうことなく強靭性を向上させ、かつ耐
湿性、寸法安定性、機械的強度、さらには半導体封止材
などに求められる、アルミに対する低腐食性など実用物
性に優れているので、塗料、電気・電子分野用の注型材
料、半導体、電気・電子部品用封止材、積層板、接着剤
などの用途に有用であり、特に半導体、電気・電子部品
用封止材等の用途に有効である。
【0052】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明す
るが、それらは本発明の範囲を制限しない。なお、実施
例中「部」とあるのは重量部を示す。応用実施例および
応用比較例における硬化反応は、あらかじめ加熱された
金型に樹脂および硬化剤等の混合物を添加して行った。
ただし、アルミ腐食試験のサンプルはトランスファー成
形により作成した。また、実施例における各種物性の評
価は次の方法で実施した。 エポキシ当量 エポキシ樹脂をベンジルアルコールと1−プロパノール
で溶解する。この溶液にヨウ化カリウム水溶液、ブロモ
フェノールブルー指示薬を添加した後、1規定塩酸にて
滴定し、反応系内が青色から黄色になった点を当量点と
した。当量点より、樹脂のエポキシ当量を以下の式に従
って算出する。 エポキシ当量(g/eq.)=1000×W/(V×N
×F) W;試料の重量(g) V;滴定量(ml) N;滴定に使用した塩酸の規定度(N) F;滴定に使用した塩酸のファクター
【0053】 加水分解性塩素含有量 試料0.1ないし3gを50mlのトルエンに溶解し、
これに0.1規定KOH−メタノール溶液20mlを加
えて15分間煮沸した後、硝酸銀滴定により求められた
塩素含有量から、同じく試料をトルエンに溶解しそのま
ま硝酸銀滴定により求められた無機塩素含有量を差し引
くことにより加水分解性塩素含有量を求めた。 融点 ヤナコ社製、微量融点測定装置MP−J3により測定し
た。 軟化点 JIS K−2207に準拠して測定した。 ガラス転移温度(Tg) TMAにて、圧縮モードにより測定した。
【0054】 引張強度、引張伸率、曲げ強度、曲げ
弾性率、アイゾット強度 JIS K−6911に準拠して求めた。なお、アイゾ
ット強度はノッチ付きで測定した。 破壊靭性値(KIC) ASTM D 5045 に準拠して測定した。 吸水率 硬化成形物から、20mm×20mm×2mmの大きさ
の試験片を取り出し、これを高圧蒸気環境試験器に入
れ、121℃、2気圧で試験片の重量が一定値になるま
で試験を継続し、試験片の重量増加を百分率で表わし
た。
【0055】 収縮率 平面に縦5センチメートル、横30センチメートルの長
方形の開口部を持ち、内径5センチメートルの半円筒形
の窪みを有するステンレス製の金型の中で樹脂を硬化
し、得られた硬化物の長さと金型の長さの差を金型の長
さで除して百分率で表す。 10. そり率 内径5センチメートルのステンレスシャーレの中で樹脂
を硬化し、得られた硬化物の中央部での、ステンレスシ
ャーレ表面と樹脂硬化物の間に生じた間隔W(mm)を
測定し、ステンレスシャーレ内径の実測値をD(mm)
として、次式によりもとめた。 そり率={W/(D×D)}×100000 11. アルミ腐食テスト アルミニウム金属電極の腐食検討用に設計した半導体素
子をトランスファーモールド法によりモールド被覆し
た。得られた成型品を高圧蒸気環境試験器に入れ、12
1℃、2気圧のプレッシャークッカー状態にさらし、5
00時間後に発生するアルミニウムの腐食を測定し、5
0サンプル中の不良サンプルの個数で表記した。
【0056】(合成参考例1) (4,4’−ジヒドロキシビフェニルジグリシジルエー
テルの合成)撹拌装置、温度計を備えた5mlの三つ口
フラスコに、4,4−ジヒドロキシビフェニル300g
(1.6モル)、エピクロルヒドリン4441g(48
モル)、テトラメチルアンモニウムクラリド3.0gを
仕込み、加熱還流下で2時間付加反応させた。次いで内
容物を60℃に冷却し、水分除去装置を装着してから、
水酸化ナトリウムを134.4g(3.2モル)加え、
反応温度55〜60℃、減圧度100〜150mmHg
で生成する水を連続的に共沸除去させ、留出液のうちエ
ピクロルヒドリン層を反応系にもどしながら閉環反応を
行わせた。生成水が56.5mlに達した点を反応終了
点とした。その後、減圧ろ過、水洗を繰り返し、さらに
減圧蒸留により残存エピクロルヒドリンを回収した。こ
のようにして得られた粗グリシジル化合物をメチルエチ
ルケトンから再結晶してグリシジル化合物A(エポキシ
当量154、加水分解性塩素含有量1800ppm)を
得た。グリシジル化合物Aは、式(III)のR1 、R
2 、R3 、R4 基がHである構造を有する。
【0057】(合成参考例2)グリシジル化合物A10
0部を500部のMEKより再結晶させ、グリシジル化
合物B(エポキシ当量152、加水分解性塩素含有量7
80ppm)を得た。グリシジル化合物Bは、式(II
I)のR1 、R2 、R3 、R4 基がHである構造を有す
る。 (合成参考例3)グリシジル化合物B100部を500
部のMEKより再結晶させ、グリシジル化合物C(エポ
キシ当量151、加水分解性塩素含有量156ppm)
を得た。グリシジル化合物Cは、式(III)のR1
2 、R3 、R4 基がHであるの構造を有する。
【0058】(合成実施例1)セパラブルフラスコにグ
リシジル化合物B100部、ビスフェノールF(p位選
択率57%、多核体含有率2%)20部を加え、180
℃にて溶融させた後、冷却し、150℃にて25ミリモ
ル/LNaOHメタノール溶液1.8mlを加え、18
0℃にて3時間反応させてエポキシ樹脂1(数平均分子
量520、加水分解性塩素含有量650ppm)を得
た。エポキシ樹脂1は、式(I)において、R1
2 、R3 、R4 基がHで、式(II)で表されるAに
おいて、R5 、R6 基がHである構造を有する。
【0059】(合成実施例2〜6、8,9)表1に示す
種類と割合のジヒドロキシ化合物とグリシジル化合物を
用いて、合成実施例1と同様にしてエポキシ樹脂2〜エ
ポキシ樹脂6、エポキシ樹脂8,9を得た。得られた樹
脂の性状を表1に示した。エポキシ樹脂2〜6、8,9
は、式(I)において、R1 、R2 、R3 、R4基がH
で、式(II)で表されるAにおいて、R5 、R6 基が
Hである構造を有する。
【0060】(合成実施例7)触媒としてトリフェニル
ホスフィン0.5部を使用した以外は合成実施例1と同
様にしてエポキシ樹脂7を得た。得られた樹脂の性状を
表1に示した。エポキシ樹脂7は、式(I)において、
1 、R2 、R3 、R4 基がHで、式(II)で表され
るAにおいて、R5 、R6 基がHである構造を有する。
【0061】(合成比較例1)セパラブルフラスコにグ
リシジル化合物B100部、ビスフェノールF(p位選
択率98%)33部を加え、180℃にて溶融させた
後、120℃にて25ミリモル/LNaOHメタノール
溶液1.8mlを加え、180℃にて3時間反応させて
エポキシ樹脂10(数平均分子量788、加水分解性塩
素含有量655ppm)を得た。エポキシ樹脂10は、
式(I)において、R1 、R2 、R3 、R4 基がHで、
式(II)で表されるAにおいて、R5 、R6 基がHで
ある構造を有する。
【0062】(合成比較例2)表1に示す種類と割合の
ビフェニル化合物とグリシジル化合物を用いて、エポキ
シ樹脂11を得た。エポキシ樹脂11は、式(I)にお
いて、R1 、R2 、R3 、R4 基がHで、式(II)で
表されるAにおいて、R5 、R6 基がHである構造を有
する。
【0063】
【表1】
【0064】(応用実施例1〜8)エポキシ樹脂1〜
6、8,9をジアミノジフェニルスルフォン(DDS)
を硬化剤として、180℃で5時間、200℃で17時
間硬化反応を行った。その配合と、得られた硬化物の物
性を表2に示した。 (応用比較例1,2)エポキシ樹脂10,11をジアミ
ノジフェニルスルフォン(DDS)を硬化剤として、1
80℃で5時間、200℃で17時間硬化反応を行った
(但し、エポキシ樹脂11は200℃で17時間)。そ
の配合と、得られた硬化物の物性を表2に示した。
【0065】
【表2】
【0066】(応用実施例9〜11)エポキシ樹脂3,
4および8をメチルヘキサヒドロキシフタル酸無水物
(MHHPA)を硬化剤として、130℃で5時間、1
70℃で17時間硬化反応を行った。その配合と、得ら
れた硬化物の物性を表3に示した。 (応用比較例3)エポキシ樹脂11をメチルヘキサヒド
ロキシフタル酸無水物(MHHPA)を硬化剤として、
200℃で22時間硬化反応を行った。その配合と、得
られた硬化物の物性を表3に示した。
【0067】
【表3】
【0068】(応用実施例12〜15)エポキシ樹脂
3、4、7および9をフェノール樹脂(PN)を硬化剤
として、15℃で1時間、170℃で6時間硬化反応を
行った。その配合と、得られた硬化物の物性を表4に示
した。 (応用比較例4)エポキシ樹脂11をフェノール樹脂
(PN)を硬化剤として、200℃で5時間硬化反応を
行った。その配合と、得られた硬化物の物性を表4に示
した。
【0069】
【表4】
【0070】
【発明の効果】表1,表2から明らかな様に、本発明の
新規エポキシ樹脂は、強靭性を損なうことなく、優れた
耐熱性や機械的強度を示し、なおかつ、収縮率、そり率
によって評価される寸法安定性、および吸水率によって
評価される耐湿性、さらにはアルミ腐食性においても優
れた性質を示している。

Claims (15)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)式(I) (式中、R〜Rは同一又は互いに異なる、水素、炭
    素数1〜5のアルキル基、またはアルケニル基を表し、
    Aは式(II) (式中、R、Rは同一又は互いに異なる水素原子、
    炭素数1〜3のアルキル基を示す。)で示される、p−
    フェニレン選択率が80%以下である構造を示し、1、
    m、nは0以上の整数を示す。)で表されるエポキシ化
    合物を主成分として含有することを特徴とするエポキシ
    樹脂。
  2. 【請求項2】 請求項1記載のエポキシ樹脂(A)にお
    いて、 式(XIII) 【化3】 (式中、R1 〜R6 は式(I)の場合と同じであり、o
    は1以上の整数を示し、k’〜k’”は0以上の整数を
    示す。)の構造を有するエポキシ樹脂(B)の含有率が
    40%以下であることを特徴とする請求項1記載のエポ
    キシ樹脂。
  3. 【請求項3】 エポキシ樹脂(B)の含有率が20%以
    下であることを特徴とする請求項1記載のエポキシ樹
    脂。
  4. 【請求項4】 エポキシ樹脂(B)の含有率が10%以
    下であることを特徴とする請求項1記載のエポキシ樹
    脂。
  5. 【請求項5】 エポキシ樹脂(B)を実質的に含まない
    ことを特徴とする請求項1記載のエポキシ樹脂。
  6. 【請求項6】 加水分解性塩素含有量が1000ppm
    以下である請求項1〜5のいずれかに記載のエポキシ樹
    脂。
  7. 【請求項7】 数平均分子量が330以上5000以下
    である請求項1〜6のいずれかに記載のエポキシ樹脂。
  8. 【請求項8】 式(I)においてR1 、R2 、R3 、R
    4 が水素原子である請求項1〜7のいずれかに記載のエ
    ポキシ樹脂。
  9. 【請求項9】 式(II)においてR5 、R6 が水素原
    子である請求項1〜8のいずれかに記載のエポキシ樹
    脂。
  10. 【請求項10】 式(III) 【化4】 (式中、R1 、R2 、R3 、R4 は式(I)と同じ。k
    は0以上の整数である)で示されるグリシジル化合物
    と、式(IV) 【化5】 (式中、R5 、R6 は式(II)と同じ。)で示され
    る、p位選択率が80%以下のビスフェノール化合物を
    触媒の存在下または不存在下で反応させることを特徴と
    する、請求項1〜9のいずれかに記載のエポキシ樹脂の
    製造方法。
  11. 【請求項11】 加水分解性塩素含有量が1000pp
    m以下の式(III)で示されるグリシジル化合物を使
    用することを特徴とする、請求項10記載のエポキシ樹
    脂の製造方法。
  12. 【請求項12】 多核体含有率が40%以下である式
    (IV)で示されるビスフェノール化合物を使用するこ
    とを特徴とする、請求項10又は11記載のエポキシ樹
    脂の製造方法。
  13. 【請求項13】 (a)請求項1〜9のいずれかに記載
    のエポキシ樹脂、(b)硬化剤を必須成分とするエポキ
    シ樹脂組成物。
  14. 【請求項14】 (a)請求項1〜9のいずれかに記載
    のエポキシ樹脂、(b)硬化剤、(c)硬化促進剤を必
    須成分とするエポキシ樹脂組成物。
  15. 【請求項15】 (a)請求項1〜9のいずれかに記載
    のエポキシ樹脂、(b)硬化剤、(c)硬化促進剤、
    (d)無機充填剤を必須成分とするエポキシ樹脂組成
    物。
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