JP3591786B2 - ホスファゼン誘導体、樹脂組成物及びその硬化物 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、硬化性樹脂組成物、塗料、接着剤等のバインダー、カップリング剤等の添加剤として有用なホスファゼン誘導体、これを含む樹脂組成物及びその硬化物に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から金属、ガラス等の無機材料と有機材料からなる複合材料の機能(物理的機械強度、接着性、耐熱性、電気特性、耐候性等)の向上あるいは表面処理等を目的として、カップリング剤が用いられている。これらのうち例えば塗料、接着剤、封止材等の幅広い分野に於てシラン系のカップリング剤が多用されている。(以下、これを単にシランカップリング剤という。)
上記で挙げた塗料、接着剤、封止材等は、一般に硬化性樹脂を主成分(マトリックス)とし、更に有機あるいは無機フィラー、顔料、紫外線吸収剤等の種々の混和材を含有する樹脂組成物である。この場合、添加剤として用いられているシランカップリング剤は、有機物(主に硬化性樹脂)に親和性のある官能基と無機物に親和性のある官能基を持っているため、マトリックス中で各種混和材を均一に分散させる機能やマトリックスと混和材との親和性を高め、例えば硬化時の内部クラックを防止する機能を持っている。
【0003】
また一方で例えば封止材の分野ではマトリックスとしてエポキシ樹脂が広く用いられているが近年のICにおける高密度、高集積化は、封止材に対して高耐熱性、高強度を要求するようになった。これらの要求に応えるため種々のフェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂等が提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
最近特に半導体の高集積化による素子の大型化や、新しい実装方式が取り入れられるようになったため、硬化時の内部応力や熱衝撃時の内部応力による硬化物のクラックの発生は大きな問題となっている。内部応力を低減させる方法として例えば可とう性樹脂を添加することが検討されており、例えば前記エポキシ樹脂をシリコーン樹脂で変性した可とう性樹脂を使用すること等が試みられているが充分な効果をあげていない。
また、これらの樹脂を含有する樹脂組成物において第3の成分の種類や量も種々検討されてきており、近年特にフィラーの添加量は樹脂組成物中で70〜80重量%にもなっている。従って、これらフィラーの分散性や、フィラーと硬化性樹脂との密着性を向上させるためのシランカップリング剤の役割は益々重要なものとなっている。
そこで従来の硬化性樹脂の持つ機能(高耐熱性、高強度)とより高いシランカップリング剤としての機能(無機物と有機物との親和性を向上させる機能)とを兼ね備えた樹脂(化合物)の開発が望まれている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記課題解決を目的に鋭意検討した結果、ホスファゼン化合物に反応性有機官能基とケイ素原子含有加水分解性基の両方を導入することによりカップリング機能およびマトリックス(硬化性樹脂)としての機能を併せもつ化合物が得られることを見出し本発明を完成するに至った。
【0006】
すなわち本発明は
(1)式(1)
【0007】
【化2】
【0008】
(式中、nは3以上の整数を示し、2n個のAはそれぞれ独立して、(a)グリシジル基1個以上を有するハイドロキノン、レゾルシノ−ル、カテコ−ル、ビフェノ−ル、ビスフェノ−ルA、ビスフェノ−ルS、ビスフェノ−ルF、ビスフェノ−ルAF、水添ビスフェノ−ルA、臭素化ビスフェノ−ルA、1−メルカプトエタノ−ル、1−メルカプトプロパノ−ル又は1−メルカプトブタノ−ルの残基、(b)3−ヒドロキシプロピルトリメトキシシラン、(3−メルカプトプロピル)メチルジメトキシシラン又は3−メルカプトプロピルトリメトキシシランの残基、または(c)炭素数1〜6の直鎖状、もしくは枝分かれ状のアルコキシル基または炭素数1〜4のアルキルメルカプト基の活性水素を除いた残基を表し、2n個のAのうち少なくとも1つは(a)であり、かつ少なくとも1つは(b)である。)で表されるホスファゼン誘導体、
(2)式(1)におけるnの値が3または4である(1)記載のホスファゼン誘導体、
(3)上記(1)または(2)に記載のホスファゼン誘導体を含む樹脂組成物、
(4)(3)に記載の樹脂組成物の硬化物、
に関する。
【0009】
本発明の誘導体の出発原料の例としては、式(2)で表される環状ホスファゼン化合物が挙げられる。
【0010】
【化3】
【0011】
(式中nは3以上の整数を表し、Bはハロゲン原子を表す。)
これらの環状ホスファゼン化合物のうち本発明において用いうる好ましい具体例としてはヘキサクロロシクロトリホスファゼン(式(2)においてB=Cl、n=3)、オクタクロロシクロテトラホスファゼン(B=Cl、n=4)が挙げられる。
【0012】
本発明のホスファゼン誘導体は、以下の2段階の反応によリ合成される。
(A)式(2)の化合物の燐原子に結合しているハロゲン原子と水酸基を有する下記化合物(以下水酸基含有化合物という)、及び骨格中にケイ素原子を有する加水分解性基を有する下記化合物との置換反応
(B)水酸基のエポキシ化反応
以下にこれらの反応の詳細を示す。
【0013】
本発明においては、酸、及びアルカリ触媒の存在下で加水分解し、シロキサン結合を形成する加水分解性基として、アルコキシシリル基を有する化合物が用いられる。
【0014】
上記工程(A)において、アルコキシシリル基を有する化合物(以下ケイ素含有化合物と略す。)は、式(2)の化合物のP原子に結合させるため、同−分子内に更に活性水素を持つ官能または反応基として、水酸基またはメルカプト基を有する化合物が用いられる。
【0015】
本発明においては、ケイ素含有化合物として、3−ヒドロキシプロピルトリメトキシシラン、(3−メルカプトプロピル)メチルジメトキシシラン、又は3−メルカプトプロピルトリメトキシシランが用いられ、これらは2種以上併用する事も可能である。これらの化合物の使用量は環状ホスファゼン化合物のハロゲン原子1当量に対して通常1〜5当量、好ましくは1〜3当量(活性水素当量)である。
【0016】
本発明において、使用される水酸基含有化合物は、分子内に水酸基とこれとは別に活性水素を持つ官能または反応基を有する。具体的には、ハイドロキノン、レゾルシノ−ル、カテコ−ル、ビフェノ−ル、ビスフェノ−ルA、ビスフェノ−ルS、ビスフェノ−ルF、ビスフェノ−ルAF、水添ビスフェノ−ルA、臭素化ビスフェノ−ルA、1−メルカプトエタノ−ル、1−メルカプトプロパノ−ル又は1−メルカプトブタノ−ルが用いられ、これらは2種以上を併用する事も可能である。これらの化合物の使用量は環状ホスファゼン化合物のハロゲン原子1当量に対して通常1〜5当量、好ましくは2〜4当量(活性水素当量)である。
【0017】
また、上記の化合物以外にも最終的に得られるホスファゼン誘導体の活性点を少なくする事により、硬化物の架橋密度を低下させ、硬化物の脆性の改善や融点の低下をはかる目的で非反応性基を式(2)の化合物に導入しても良い。この場合、用いる化合物は、同一分子内に活性水素を持つ官能または反応基のみを一つ有する化合物であれば制限はないが炭素数が6以下のものが好ましい。このような化合物の用いうる具体例としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、i−プロパノール、n−ブタノール、i−ブタノール、n−ヘプタノール、n−ヘキサノール、シクロヘキサノール等のアルコール類、メチルメルカプタン、エチルメルカプタン、プロピルメルカプタン、ブチルメルカプタン等のアルキルメルカプタン類等が挙げられ、これらを2種以上で併用する事も可能である。このように同一分子内に活性水素を持つ官能または反応基のみを一つ有する化合物を以下、非反応性基含有化合物という。
これらの化合物は環状ホスファゼン化合物のハロゲン原子1当量に対して活性水素当量で4当量以下が必要に応じて用いられる。
【0018】
前記、ケイ素含有化合物、水酸基含有化合物、非反応性基含有化合物は式(2)の化合物と以下のようにして反応させることができる。例えば式(2)の化合物を溶媒に溶解し、これにこれらの化合物を加え40〜100℃で1〜48時間攪拌する。この場合反応容器内を窒素置換しておくことは特に好ましい。またこれらの化合物は、そのままで式(2)の化合物と反応させることもできるが、必要により水素化ナトリウム、、金属ナトリウム等でナトリウム塩としてもよい。上記において溶媒は活性水素を持たないものであれば特に限定されないが、用いうる具体例としては、テトラヒドロフラン、メチルイソブチルケトン、エチルエーテル等が挙げられる。溶媒の使用量は、用いる原料の合計重量100重量部に対して通常200〜1000重量部である。
【0019】
また、これら化合物と式(2)の化合物とをテトラヒドロフラン、トルエン等の溶媒とともに撹拌しながら、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン等のハロゲン化水素酸トラップ剤を滴下することによっても反応を行う事が出来る。この時の反応は、50〜100℃で1時間〜48時間加熱撹拌する事により行う。この場合の溶媒の使用量は、原料化合物の合計重量100重量部に対して通常200〜2000重量部である。また、ハロゲン化水素酸トラップ剤の使用量は、原料中の活性水素1当量に対して通常1〜1.5当量である。
【0020】
(B)水酸基のエポキシ化反応
上記のようにして得られた分子中に水酸基を有する環状ホスファゼン化合物(以下水酸基含有ホスファゼン化合物という。)は更に以下のようにしてエポキシ化合物(本発明のホスファゼン誘導体)に導くことができる。すなわち、水酸基含有ホスファゼン化合物とエピハロヒドリンとをそのままあるいはジメチルスルホキシドを添加し、テトラメチルアンモニウムクロリド、テトラメチルアンモニウムブロミドなどの第4級アンモニウム塩または水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物などの存在下で反応させる。第4級アンモニウム塩などを用いた場合は、開環付加反応の段階で反応が止まるので次いで上記アルカリ金属水酸化物を加えて閉環反応させる。また、最初からアルカリ金属水酸化物を加えて反応させる場合は、閉環付加反応、及び閉環反応を連続して行なう。
【0021】
エピハロヒドリンとしては通常エピクロルヒドリンが最も入手しやすく好適に用いられるが、エピブロモヒドリンあるいはエピヨードヒドリンを用いてもよい。その使用量は、水酸基含有ホスファゼン化合物の水酸基1モルに対して通常1〜50モル、好ましくは3〜15モルである。またジメチルスルホキシドを用いる場合、その使用量は、用いるエピハロヒドリン100重量部に対して、20重量部〜200重量部である。
【0022】
アルカリ金属水酸化物の使用量は、水酸基含有ホスファゼン化合物の水酸基1モルに対して好ましくは0.8〜1.5モル、特に好ましくは0.9〜1.3モルであり、第4級アンモニウム塩を使用する場合、その使用量は水酸基含有ホスファゼン化合物の水酸基1モルに対して通常0.001〜1モル、好ましくは0.005〜0.5モルである。
【0023】
反応温度は通常20〜130℃、好ましくは30〜100℃である。また、反応で生成した水を反応系外に除去しながら反応を進行させることもできる。反応終了後、副生した塩あるいはジメチルスルホキシド等を水洗などにより除去し、更に過剰のエピハロヒドリンを留去させることにより本発明のホスファゼン誘導体を得ることができる。
【0024】
又、更に不純物を取り除く為、得られたホスファゼン誘導体に更に次のような処理を施してもよい。即ち、得られたホスファゼン誘導体をメチルイソブチルケトンなどの溶媒に溶解し、水酸化ナトリウムなどのアルカリ金属水酸化物の存在下、50〜100℃で0.5〜3時間反応させる。反応終了後、水相が中性になるまで水洗を繰り返し、メチルイソブチルケトンなどの溶媒を減圧下に留去することにより高純度の本発明のホスファゼン誘導体を得ることができる。この際、使用する水酸化ナトリウムなどのアルカリ水酸化物の使用量は、好ましくは、ホスファゼン誘導体のエポキシ基1モルに対して0.01〜0.2モルである。このような処理工程を繰り返すと、更に高純度のホスファゼン誘導体が得られる。
【0025】
本発明のホスファゼン誘導体は、通常のシランカップリン剤としてエポキシあるいはフェノール樹脂組成物等の樹脂組成物の添加剤として用いることもできるが、エポキシ樹脂組成物とすることが特に好ましい。本発明のホスファゼン誘導体を含有する樹脂組成物のうちエポキシ樹脂組成物においては、本発明のホスファゼン誘導体、硬化剤、必要により硬化促進剤を含有する。この場合、本発明のホスファゼン誘導体以外に他のエポキシ樹脂を併用してもよい。併用できる他のエポキシ樹脂としては、フェノールノボラック、クレゾールノボラック、ナフトールノボラック等のノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビスフェノールI型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂などが、用いうる具体例として挙げられるが、これらは単独で用いてもよく、2種以上使用してもよい。これら他のエポキシ樹脂を併用する場合、全エポキシ樹脂中の本発明のホスファゼン誘導体の占める割合は5重量%以上が好ましい。
【0026】
硬化剤としてはアミン系化合物,酸無水物系化合物,アミド系化合物,フェノ−ル系化合物などが挙げられる。用いうる硬化剤の具体例としては、ジアミノジフェニルメタン,ジエチレントリアミン,トリエチレンテトラミン,ジアミノジフェニルスルホン,イソホロンジアミン,ジシアンジアミド,リノレン酸の2量体とエチレンジアミンとより合成されるポリアミド樹脂,無水フタル酸,無水トリメリット酸,無水ピロメリット酸,無水マレイン酸,テトラヒドロ無水フタル酸,メチルテトラヒドロ無水フタル酸,無水メチルナジック酸,ヘキサヒドロ無水フタル酸,メチルヘキサヒドロ無水フタル酸,フェノ−ルノボラック,及びこれらの変性物,イミダゾ−ル,BF3 −アミン錯体,グアニジン誘導体などが用いうる具体例として挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらは単独で用いてもよく、2種以上使用してもよい。硬化剤の使用量は、全エポキシ樹脂(本発明のホスファゼン誘導体及び必要により併用した他のエポキシ樹脂)のエポキシ基1当量に対して0.7〜1.2当量が好ましい。エポキシ基1当量に対して、0.7当量に満たない場合、あるいは1.2当量を超える場合、いずれも硬化が不完全となり良好な硬化物性が得られない恐れがある。
【0027】
また上記硬化剤を用いる際に硬化促進剤を併用しても差し支えない。用いうる硬化促進剤としては例えば2−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール等のイミダゾ−ル類、2−(ジメチルアミノメチル)フェノール、1,8−ジアザ−ビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7等の第3級アミン類、トリフェニルホスフィン等のホスフィン類、オクチル酸スズなどの金属化合物などが挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上使用してもよい。硬化促進剤は、全エポキシ樹脂100重量部に対して0.01〜15重量部が必要に応じ用いられる。
【0028】
以上で述べたエポキシ樹脂組成物には更に必要により、反応性希釈剤、シリカ、アルミナ、タルク、ガラス、金属、セラミックス、有機繊維などの粉体状あるいは繊維状の無機、または有機充填材を含有していてもよい。これらの使用量は、全エポキシ樹脂100重量部に対して、通常1〜200重量部、好ましくは2〜100重量部である。
【0029】
以上で述べたエポキシ樹脂組成物は、各成分を均一に混合することにより得られる。本発明のホスファゼン誘導体、硬化剤更に必要により硬化促進剤の配合されたエポキシ樹脂組成物は従来知られている方法と同様の方法で容易に硬化物とすることができる。例えば本発明のホスファゼン誘導体、硬化剤更に必要により硬化促進剤、反応性希釈剤、充填材とを必要に応じて押出機,ニ−ダ,ロ−ル等を用いて均一になるまで充分に混合してエポキシ樹脂組成物を得、そのエポキシ樹脂組成物を溶融後注型あるいはトランスファ−成型機などを用いて成型し、さらに80〜200℃で2〜10時間に加熱することにより本発明の硬化物を得ることができる。
【0030】
【実施例】
以下に実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明する。
【0031】
実施例1
温度計、撹拌装置、滴下ロート、及び冷却管を備えた500mlの四口フラスコを窒素置換した後、ヘキサクロロシクロホスファゼン27.8g、NaH87.5g、THF(テトラヒドロフラン)300mlを入れ、室温で撹拌し溶解させた。次いで、プロピルアルコール14.4gを滴下ロートから徐々に滴下した。滴下終了後、60℃で6時間加熱撹拌を行った。次に、温度を室温に戻した後、ビスフェノールA54.3gをTHF100mlに溶解させ、滴下ロートから徐々に滴下した。滴下終了後、70℃で24時間加熱撹拌を行った。次に、温度を室温に戻し、トリエチルアミン8.2gを添加した後、3−ヒドロキシプロピルトリエトキシシラン17.6gを滴下ロートから徐々に滴下し、60℃で6時間反応を行った。反応終了後、反応液を分液ロートに移し、抽出溶媒としてメチルイソブチルケトンを200ml加え、水で数回洗浄を行った。溶液を無水硫酸マグネシウムで脱水を行った後、溶媒を減圧蒸留し、式(3)で表される黄色の粘稠体(生成物(A−1))80.3gを得た。
【0032】
【化4】
【0033】
得られた粘稠体は、赤外線吸収スペクトル分析の結果、870cm−1にベンゼン環に由来する吸収、1040cm−1、1070cm−1の位置にP−O−C結合に由来する吸収、1080cm−1にSi−O−C結合に由来する吸収、1240cm−1にP=N結合に由来する吸収、1280cm−1、3500cm−1にPh−OH(Phはフェニル基を表す。以下同様。)に由来する吸収がみられた。
【0034】
次に温度計、撹拌装置、窒素導入管を備えた反応容器に上記で得られた生成物(A−1)18.5g、エピクロルヒドリン46g及びジメチルスルホキシド20gを仕込み窒素を吹き込みながら、水酸化ナトリウム4.2gを30℃の水浴中で発熱に注意しながら徐々に加えた。添加終了後、40℃にて1時間、50℃で2時間、更に70℃にて1時間反応を行った。
【0035】
反応終了後、メチルイソブチルケトン100mlを加え、分液ロートに移し水相が中性になるまで水洗した。その後、油相から溶媒、未反応エピクロルヒドリンを減圧下に除去した。その後、再び反応器に仕込みメチルイソブチルケトンを100ml加えて溶解させ、20%水酸化ナトリウム水溶液2gを加えて70℃にて1時間、撹拌した。反応終了後、反応混合物を分液ロートに移し、水で洗浄を繰り返した。油相から溶媒を減圧下に除去し本発明のホスファゼン誘導体である黄白色の固体(B−1)を89.1g得た。
【0036】
得られた固体は、赤外線吸収スペクトル分析の結果、3500m−1のPh−OHに由来するピークが消え、940cm−1にエポキシ基に由来する吸収がみられる式(4)で表される構造であった。
【0037】
【化5】
【0038】
実施例2
実施例1で得られた本発明のホスファゼン誘導体(B−1)を26.7g、硬化剤として無水メチルハイミック酸を17.6g、硬化促進剤として2−エチル−4−メチルイミダゾール0.09gを混合し、硝子板上に塗布後、120℃で2時間予備硬化して、180℃で4時間、更に220℃8時間後硬化を行って本発明の硬化物(C−1)を得た。
【0039】
実施例3
温度計、撹拌装置、滴下ロート、及び冷却管を備えた500mlの四口フラスコを窒素置換した後、ヘキサクロロシクロホスファゼン27.8g、NaH87.5g、THF300mlを入れ、室温で撹拌し溶解させた。次いで、プロピルアルコール14.4gを滴下ロートから徐々に滴下した。滴下終了後、3−ヒドロキシプロピルトリエトキシシラン17.6gを滴下ロートから徐々に滴下し60℃で6時間加熱撹拌を行った。次に、温度を室温に戻した後、トリエチルアミン25.1gを添加した。次いで、2−メルカプトエタノール18.7gをTHF100mlに溶解させ、滴下ロートから徐々に滴下した。滴下終了後、70℃で24時間加熱撹拌を行った。反応終了後、反応液を分液ロートに移し、抽出溶媒としてメチルイソブチルケトンを200ml加え、水で数回洗浄を行った。溶液を無水硫酸マグネシウムで脱水を行った後、溶媒を減圧蒸留し、式(5)で表される淡黄色の粘稠体((生成物A−2))53.6gを得た。
【0040】
【化6】
【0041】
得られた粘稠体は、赤外線吸収スペクトル分析の結果、720cm−1にS−CH2 に由来する吸収、1040cm−1、1070cm−1の位置にP−O−C結合に由来する吸収、1080cm−1にSi−O−C結合に由来する吸収、1240cm−1にP=N結合に由来する吸収、3420cm−1にOH基に由来する吸収がみられた。
【0042】
次に温度計、撹拌装置、窒素導入管を備えた反応容器に上記で得た生成物(A−2)18.5g、エピクロルヒドリン46g及びジメチルスルホキシド20gを仕込み窒素を吹き込みながら、水酸化ナトリウム4.2gを30℃の水浴中で発熱に注意しながら徐々に加えた。添加終了後、40℃にて1時間、50℃で2時間、更に70℃にて1時間反応を行った。
【0043】
反応終了後、メチルイソブチルケトン100mlを加え、分液ロートに移し水相が中性になるまで水洗した。その後、油相から溶媒、未反応エピクロルヒドリンを減圧下に除去した。その後、再び反応器に仕込みメチルイソブチルケトンを100ml加えて溶解させ、20%水酸化ナトリウム水溶液2gを加えて70℃にて1時間、撹拌した。反応終了後、反応混合物を分液ロートに移し、水で洗浄を繰り返した。油相から溶媒を減圧下に除去し、本発明のホスファゼン誘導体である淡黄色の固体(B−2)を58.1g得た。
【0044】
得られた固体は、赤外線吸収スペクトル分析の結果、3420m−1のOH基に由来するピークが消え、920cm−1にエポキシ基に由来する吸収がみられる式(6)で表される構造の化合物であった。
【0045】
【化7】
【0046】
実施例4
実施例3で得られた本発明のホスファゼン誘導体(B−2)を20.3g、硬化剤として無水メチルハイミック酸を15.6g、硬化促進剤として2−エチル−4−メチルイミダゾール0.06gを混合し、ガラス板上に塗布した後、120℃で2時間予備硬化して、180℃で4時間、更に220℃8時間後硬化を行って本発明の硬化物(C−2)を得た。
【0047】
試験例
硬化物のガラス板との密着性の試験を行った。(試験体は実施例2、4で得られた本発明の硬化物とガラス板との接着物をそのまま用いた。)
密着性試験:粘着テープによる剥離試験を100回行って、剥離しなかった回数を求めた。
評価結果を以下の表1に示す。
【0048】
【表1】
【0049】
表1から明らかなように本発明のホスファゼン誘導体を含有する樹脂組成物から得られた硬化物は、密着性に優れ、本発明のホスファゼン誘導体はカップリング剤としての機能と硬化性樹脂としての機能を併せ持つ。
【0050】
【発明の効果】
本発明のホスファゼン誘導体は、カップリング剤機能、及びマトリックス(硬化性樹脂)としての機能を併せ持つ化合物であり、接着剤、封止材等の分野において極めて有用な化合物である。
Claims (4)
- 式(1)
- 式(1)におけるn の値が3または4である請求項1記載のホスファゼン誘導体。
- 請求項1または2に記載のホスファゼン誘導体を含む樹脂組成物。
- 請求項3に記載の樹脂組成物の硬化物。
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