JP3729472B2 - エポキシ樹脂の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は耐水性、接着性、硬化性に優れる硬化物を与えるエポキシ樹脂およびエポキシ樹脂組成物およびその硬化物に関するものであり、本発明の樹脂及び樹脂組成物は成形材料、注型材料、積層材料、複合材料、塗料、接着剤、レジストなどの広範囲の用途に極めて有用である。
【0002】
【従来の技術】
エポキシ樹脂は種々の硬化剤で硬化させることにより、一般的に機械的性質、耐水性、耐薬品性、耐熱性、電気的性質などの優れた硬化物となり、接着剤、塗料、積層板、成形材料、注型材料などの幅広い分野に利用されている。従来、工業的に最も使用されているエポキシ樹脂としてビスフェノ−ルAにエピクロルヒドリンを反応させて得られる液状および固形のビスフェノ−ルA型エポキシ樹脂がある。その他液状のビスフェノ−ルA型エポキシ樹脂にテトラブロムビスフェノ−ルAを反応させて得られる難燃性固形エポキシ樹脂などが汎用エポキシ樹脂として工業的に使用されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記したような汎用エポキシ樹脂は分子量が大きくなるにつれて、それを使用して得られる硬化物の機械強度は向上するものの吸水率も上昇するという欠点がある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らはこうした実状に鑑み、耐水性、接着性、硬化性に優れた硬化物を与えるエポキシ樹脂組成物を求めて鋭意研究した結果、特定の分子構造を有し、特定の範囲内のエポキシ当量を有するエポキシ樹脂を含有するエポキシ樹脂組成物が、その硬化物において優れた耐水性、接着性、硬化性を付与するものであることを見いだし本発明を完成させるに到った。
【0005】
すなわち本発明は
(1)式(2)
【0006】
【化3】
Figure 0003729472
【0007】
(式中、nは平均値であり正数を表す。)
【0008】
で表されるフェノール樹脂をアルカリ金属水酸化物の存在下、無溶媒あるいは非プロトン性極性溶媒以外の溶媒中でエピハロヒドリンと反応させ得られる式(1)
【0009】
【化4】
Figure 0003729472
【0010】
(式中、nは平均値であり正数を表し、Gはグリシジル基を表す。)
で表されるエポキシ樹脂であって、該エポキシ樹脂のエポキシ当量の値a(g/eq)と原料のフェノール樹脂の水酸基当量の値b(g/eq)との関係がb+56<a<(b+56)×1.1であることを特徴とするエポキシ樹脂、
(2)(a)上記(1)記載のエポキシ樹脂
(b)硬化剤
を含有してなるエポキシ樹脂組成物、
(3)硬化促進剤を含有する上記(2)記載のエポキシ樹脂組成物、
(4)無機充填材を含有する上記(2)または(3)記載のエポキシ樹脂組成物、
(5)上記(2)、(3)または(4)のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物を硬化してなる硬化物
を提供するものである。
【0011】
【発明の実施の形態】
【0012】
式(1)で表されるエポキシ樹脂は、前記式(2)で表される化合物とエピハロヒドリンとの反応をアルカリ金属水酸化物の存在下、無溶媒あるいは非プロトン性極性溶媒以外の溶媒中で行うことにより得ることができる。
【0013】
式(2)で表される化合物においてnの値は平均値であり、正数を表し0.01〜15が好ましい。
【0014】
式(2)で表される化合物から本発明のエポキシ樹脂を得る方法としては公知の方法が採用できる。例えば得られたフェノール樹脂と過剰のエピクロルヒドリン、エピブロムヒドリン等のエピハロヒドリンの溶解混合物に水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物を添加し、または添加しながら20〜120℃の温度で1〜10時間反応させることにより本発明のエポキシ樹脂を得ることが出来る。
【0015】
本発明のエポキシ化合物を得る反応において、アルカリ金属水酸化物はその水溶液を使用してもよく、その場合は該アルカリ金属水酸化物の水溶液を連続的に反応系内に添加すると共に減圧下、または常圧下連続的に水及びエピハロヒドリンを流出させ、更に分液し水は除去しエピハロヒドリンは反応系内に連続的に戻す方法でもよい。
【0016】
また式(1)で表される化合物とエピハロヒドリンの溶解混合物にテトラメチルアンモニウムクロライド、テトラメチルアンモニウムブロマイド、トリメチルベンジルアンモニウムクロクロライド等の4級アンモニウム塩を触媒として添加し50〜150℃で1〜5時間反応させて得られる式(1)の化合物のハロヒドリンエーテル化物にアルカリ金属水酸化物の固体または水溶液を加え、20〜120℃で1〜10時間反応させ脱ハロゲン化水素(閉環)させる方法でもよい。この場合使用される4級アンモニウム塩の量は、式(1)の化合物中の水酸基1個に対して通常1〜10gであり、好ましくは2〜8gである。
【0017】
通常これらの反応において使用されるエピハロヒドリンの量は前記式(2)で表される化合物の水酸基1当量に対し通常1〜20モル、好ましくは2〜10モルである。アルカリ金属水酸化物の使用量は式(2)で表される化合物中の水酸基1当量に対し0.8〜2.0モル、好ましくは0.9〜1.8モルである。更に反応を円滑に進行させるためにメタノール、エタノール等のアルコール類等の非プロトン性極性溶媒以外の溶媒添加して反応を行うことが好ましい。
前記溶媒の使用量はエピハロヒドリンの量に対し通常2〜20重量%、好ましくは4〜15重量%である。
【0018】
これらのエポキシ化反応の反応物を水洗後、または水洗無しに加熱減圧下、100〜150℃、圧力10mmHg以下でエピハロヒドリンや添加溶媒などを除去する。また更に加水分解性ハロゲンの少ないエポキシ化合物とするために、回収したエポキシ樹脂をトルエン、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトンなどの溶剤に溶解し、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物の水溶液を加えて更に反応を行い閉環を確実なものにすることもできる。この場合アルカリ金属水酸化物の使用量はエポキシ化に使用した式(2)の化合物の水酸基1当量に対して通常0.01〜0.3モル、好ましくは0.05〜0.2モルである。反応温度は50〜120℃、反応時間は通常0.5〜2時間である。
【0019】
反応終了後、生成した塩を濾過、水洗などにより除去し、更に、加熱減圧下トルエン、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトンなどの溶剤を留去することにより本発明のエポキシ樹脂が得られる。
【0020】
こうして得られた本発明のエポキシ樹脂は、そのエポキシ当量a(g/eq)と原料のフェノール樹脂(式(2)の化合物)の水酸基当量b(g/eq)との関係が、通常b+56<a<(b+56)×1.1、好ましくは、b+56<a<(b+56)×1.09 である。
【0021】
以下、本発明のエポキシ樹脂組成物について説明する。前記(2)、(3)、(4)記載のエポキシ樹脂組成物において本発明のエポキシ化合物は他のエポキシ樹脂と併用して使用することが出来る。併用する場合、本発明のエポキシ化合物の全エポキシ樹脂中に占める割合は30重量%以上が好ましく、特に40重量%以上が好ましい。
【0022】
本発明のエポキシ化合物と併用しうる他のエポキシ樹脂としてはノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂などが挙げられるがこれらは単独で用いてもよく、2種以上用いてもよい。
【0023】
本発明のエポキシ樹脂組成物において使用される硬化剤としては、例えばアミン系化合物、酸無水物系化合物、アミド系化合物、フェノ−ル系化合物などが挙げられる。用い得る硬化剤の具体例としては、ジアミノジフェニルメタン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ジアミノジフェニルスルホン、イソホロンジアミン、ジシアンジアミド、リノレン酸の2量体とエチレンジアミンとより合成されるポリアミド樹脂、無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、無水マレイン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、無水メチルナジック酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、フェノ−ルノボラック、及びこれらの変性物、イミダゾ−ル、BF3 −アミン錯体、グアニジン誘導体などが挙げられるがこれらに限定されるものではない。これらは単独で用いてもよく、2種以上用いてもよい。
【0024】
本発明のエポキシ樹脂組成物において硬化剤の使用量は、エポキシ樹脂のエポキシ基1当量に対して0.7〜1.2当量が好ましい。エポキシ基1当量に対して、0.7当量に満たない場合、あるいは1.2当量を超える場合、いずれも硬化が不完全となり良好な硬化物性が得られない恐れがある。
【0025】
また上記硬化剤を用いる際に硬化促進剤を併用しても差し支えない。用いうる硬化促進剤の具体例としては2−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール等のイミダゾ−ル類、2−(ジメチルアミノメチル)フェノール、1,8−ジアザ−ビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7等の第3級アミン類、トリフェニルホスフィン等のホスフィン類、オクチル酸スズ等の金属化合物等が挙げられる。硬化促進剤はエポキシ樹脂100重量部に対して0.1〜5.0重量部が必要に応じ用いられる。
【0026】
本発明のエポキシ樹脂組成物は必要により無機充填材を含有する。用いうる無機充填材の具体例としてはシリカ、アルミナ、タルク等が挙げられる。無機充填材は本発明のエポキシ樹脂組成物中において0〜90重量%を占める量が用いられる。更に本発明のエポキシ樹脂組成物には、シランカップリング剤、ステアリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム等の離型剤、顔料等の種々の配合剤を添加することができる。
【0027】
本発明のエポキシ樹脂組成物は、各成分を均一に混合することにより得られる。
本発明のエポキシ樹脂組成物は従来知られている方法と同様の方法で容易に硬化物とすることができる。例えば本発明のエポキシ樹脂と硬化剤、必要により硬化促進剤及び充填材等の配合材とを必要に応じて押出機、ニ−ダ、ロ−ル等を用いて均一になるまで充分に混合してエポキシ樹脂組成物を得、そのエポキシ樹脂組成物を溶融後注型あるいはトランスファ−成形機などを用いて成形し、さらに80〜200℃で2〜10時間加熱することにより本発明の硬化物を得ることができる。
【0028】
また本発明のエポキシ樹脂組成物をトルエン、キシレン、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等の溶剤に溶解させ、ガラス繊維、カ−ボン繊維、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、アルミナ繊維、紙などの基材に含浸させ加熱乾燥して得たプリプレグを熱プレス成形して硬化物を得ることもできる。この際の溶剤は、本発明のエポキシ樹脂組成物と該溶剤の混合物中で通常10から70重量%、好ましくは15〜70重量%、このましくは15〜65重量%を占める量を用いる。
【0029】
こうして得られる硬化物は機械強度、耐水性に優れており、硬化前のエポキシ樹脂組成物は低粘度で作業性が良好であるため、機械強度、耐水性、低粘度の要求される広範な分野で用いることができる。具体的には封止材料、積層板、絶縁材料などのあらゆる電気・電子材料として有用である。また、成型材料、接着剤、複合材料、塗料などの分野にも用いることができる。
【0030】
【実施例】
次に本発明を実施例、比較例により具体的に説明するが、以下において部は特に断わりのない限り重量部である。
【0031】
実施例1
温度計、滴下ロート、冷却管、撹拌器を取り付けたフラスコに窒素ガスパージを施しながら前記式(2)(式中、nの平均値は0.87であり、水酸基当量は182g/eqであった。)で表される化合物(a)182部をエピクロルヒドリン740部に溶解させた。更にテトラメチルアンモニウムクロライド5部を添加し70℃に加熱しフレーク状水酸化ナトリウム40部を100分かけて分割添加し、その後、更に、70℃で1時間反応させた。反応終了後水洗を行い、生成した塩などを除去し、ロータリーエバポレーターを使用し、130℃で加熱減圧下で過剰のエピクロルヒドリン等を留去し、残留物に472部のメチルイソブチルケトンを加え溶解した。
【0032】
更にこのメチルイソブチルケトンの溶液を70℃に加熱し30重量%の水酸化ナトリウム水溶液10部を添加し1時間反応させた後、洗浄液のpHが中性となるまで水洗を繰り返した。更に水層は分離除去し、ロータリエバポレーターを使用して油層から加熱減圧下メチルイソブチルケトンを留去し、前記式(1)で表される本発明のエポキシ樹脂(A)227部を得た。得られたエポキシ樹脂の軟化点は73.3℃、150℃における溶融粘度は2.4ポイズでありエポキシ当量は254g/eqであった。
【0033】
実施例2
実施例1において化合物(a)の代わりに化合物(b)(nの平均値0.67、水酸基当量175g/eq)175部を用い実施例1と同様に反応を行い、前記式(1)で表されるエポキシ樹脂(B)222部を得た。得られたエポキシ樹脂の軟化点は65.3℃、150℃における溶融粘度は1.0ポイズでありエポキシ当量は248g/eqであった。
【0034】
実施例3
実施例1において化合物(a)の代わりに化合物(c)(nの平均値0.37、水酸基当量170g/eq)170部を用い実施例1と同様に反応を行い、前記式(1)で表されるエポキシ樹脂(C)217部を得た。得られたエポキシ樹脂の軟化点は56.6℃、150℃における溶融粘度は0.5ポイズでありエポキシ当量は240g/eqであった。
【0035】
実施例4〜6として得られたエポキシ樹脂(A)、(B)、(C)を用い、硬化剤としてフェノールノボラック(水酸基当量106g/eq、軟化点83℃)を用い、更に硬化促進剤(トリフェニルホスフィン)を用いて表1の配合物の組成の欄に示した量配合し、70〜80℃で15分間ロール混練、冷却、粉砕しゲルタイムを測定した。また、更にこの粉砕物をタブレット化し、トランスファー成型機により樹脂成形体を調製し、160℃で2時間、更に180℃で8時間硬化させた。
【0036】
このようにして得られた硬化物の物性を測定した結果を表1の硬化物の物性の欄に示す。なお、表1の配合物の組成の欄の数値は重量部を表し、エポキシ樹脂の物性の欄のa、bはそれぞれ用いたエポキシ樹脂のエポキシ当量(g/eq)及びフェノールノボラックの水酸基当量(g/eq)を表す。また物性値の測定及びトランスファー成型は以下の方法で行った。
ゲルタイム
175℃のホットプレート上でタブレット化する前の粉砕品を動かしながら加熱しゲル化するまでの時間を測定した。
Figure 0003729472
【0037】
【表1】
Figure 0003729472
【0038】
表1より明らかなように本発明のエポキシ樹脂組成物は、その硬化物において高い耐熱性及び低い吸水性を保持したまま、短いゲルタイムを示した。
【0039】
【発明の効果】
本発明のエポキシ樹脂を含有するエポキシ樹脂組成物は、高い耐熱性及び低い吸水性を保持したまま、ゲルタイムを短縮することができ、工業的に生産性の向上が可能となる。従って、本発明のエポキシ樹脂は、電気電子部品用絶縁材料(高信頼性半導体封止材料など)及び積層板(プリント配線板など)やCFRPを始めとする各種複合材料、塗料、接着剤、レジストなどの広範囲の用途にきわめて有用である。

Claims (1)

  1. 下記式(2)
    Figure 0003729472
    (式中、nは平均値であり0.01〜15を表す。)
    で表されるフェノール樹脂をアルカリ金属水酸化物及び4級アンモニウム塩の存在下、無溶媒あるいは非プロトン性極性溶媒以外の溶媒中で、エピハロヒドリンと反応させることを特徴とする下記式(1)
    Figure 0003729472
    (式中、nは平均値であり正数を表し、Gはグリシジル基を表す。)で表されるエポキシ樹脂であって、該エポキシ樹脂のエポキシ当量の値a(g/eq)と原料のフェノール樹脂の水酸基当量の値b(g/eq)との関係がb+56<a<(b+56)×1.1であるエポキシ樹脂の製造方法
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