JP5132036B2 - 液状エポキシ樹脂、エポキシ樹脂組成物及びその硬化物 - Google Patents

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本発明は耐熱性に優れる硬化物を与え、しかも粘度の低い液状エポキシ樹脂及びエポキシ樹脂組成物に関する。
エポキシ樹脂は種々の硬化剤で硬化させることにより、一般的に機械的性質、耐水性、耐薬品性、耐熱性、電気的性質等に優れた硬化物となり、接着剤、塗料、電気的性質等の幅広い分野に利用されている。従来、液状エポキシ樹脂としては、ビスフェノールAのジグリシジルエーテルが最も一般的に使用されている。また更に高耐熱性を要求される分野においては例えば特許文献1においてオルソエチルジアミノジフェニルメタンをグリシジル化した4官能エポキシ樹脂が提案されている。
特開2000−1525号
しかしながら、特許文献1に記載されている4官能エポキシ樹脂は25℃における粘度が約13000mPa・sと通常の液状ビスフェノールA型エポキシ樹脂と同程度であり、低粘度化の更なる要求に対しては十分とはいえない。また、粘度を下げるために有機溶剤などを加えて希釈した場合は、近年において環境汚染の可能性などが指摘されている。
本発明者らはこうした実状に鑑み、耐熱性に優れた硬化物を与える低粘度の液状のエポキシ樹脂を求めて鋭意研究した結果、本発明を完成させるに到った。
すなわち本発明は
(1)下記式(1)
Figure 0005132036
で表される液状エポキシ樹脂、
(2)上記(1)記載のエポキシ樹脂及び硬化剤を含むエポキシ樹脂組成物、
(3)硬化促進剤を含有する上記(2)記載のエポキシ樹脂組成物、
(4)無機充填剤を含有する上記(2)または(3)記載のエポキシ樹脂組成物、
(5)上記(2)、(3)または(4)のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物を硬化してなる硬化物、
を、提供するものである。
本発明のエポキシ樹脂は低粘度の液状であるため、溶剤を用いることなく低粘度の液状組成物が容易に調製出来、更に耐熱性に優れるため高度な信頼性を要求される分野にも適している。また、低毒性が期待できるため広い分野で応用可能である。
本発明において原料としては下記式(2)
Figure 0005132036
で表される化合物が用いられる。この化合物としては例えば、カヤボンドC−300S(日本化薬株式会社製)などが使用できる。本発明のエポキシ樹脂は、式(2)の化合物とエピハロヒドリンとをアルカリ金属水酸化物の存在下で反応させ得ることが出来る。式(2)で表される化合物から本発明のエポキシ樹脂を得る方法としてはそれ自体公知の方法が採用できる。例えば式(2)で表される化合物と過剰のエピクロルヒドリン、エピブロムヒドリンなどのエピハロヒドリンの溶解混合物を50〜90℃で3〜10時間加熱し式(2)で表される化合物のアミノ基をハロヒドリン化反応した後で、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物を添加し、または添加しながら20〜120℃で1〜10時間反応させることにより本発明のエポキシ樹脂を得ることが出来る。
本発明のエポキシ樹脂を得る反応においてハロヒドリン化反応の際に反応を促進させるためにアルコール類を添加することが好ましい。アルコール類の例としてはメタノール、エタノール等が挙げられる。アルコール類の使用量としては式(2)で表される化合物の使用量に対して5〜50重量%が好ましい。
更にハロヒドリン化を促進させる手段として反応系内に少量の水を添加することが好ましい。添加する水の量としては式(2)で表される化合物の使用量に対して2〜20重量%が好ましい。
アルカリ金属水酸化物としては水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が挙げられ固体でも、その水溶液を使用しても良く、水溶液を使用する場合は連続的に反応系内に添加すると同時に減圧下、または常圧下水及びエピハロヒドリンを流出させ更に分液し、水は除去しエピハロヒドリンは反応系内に連続的に戻す方法でもよい。アルカリ金属水酸化物の使用量は式(2)で表される化合物の活性水素1モルに対して通常0.8〜2.0モルであり、好ましくは0.9〜1.8モルである。
次いでハロヒドリン化反応の反応物を水洗後、加熱減圧下、100〜150℃、圧力10mmHg以下でエピハロヒドリンやアルコール類などを除去する。また更に加水分解性ハロゲンの少ないエポキシ樹脂とするために、回収したエポキシ樹脂をトルエン、メチルイソブチルケトンなどに溶解させ、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物の水溶液を加えて閉環を確実にすることも出来る。この場合、アルカリ金属水酸化物の使用量は式(2)で表される化合物の活性水素1モルに対して通常0.01〜0.3モル、好ましくは0.05〜0.2モルである。反応温度は通常50〜120℃、反応時間は通常0.5〜2時間である。
反応終了後、生成した塩を濾過、水洗などにより除去し加熱減圧下で溶剤を除去することにより本発明のエポキシ樹脂が得られる。
以下、本発明のエポキシ樹脂組成物について説明する。本発明のエポキシ樹脂は硬化剤、硬化促進剤、シアネート樹脂などと組み合わせることにより、硬化性樹脂組成物として使用することが出来る。具体的な用途例としては、半導体用封止材、プリント配線基板、接着剤などである。
本発明のエポキシ樹脂組成物において本発明のエポキシ樹脂は単独で、または他のエポキシ樹脂と併用して用いることが出来る。併用する場合、本発明のエポキシ樹脂の全エポキシ樹脂中に占める割合は30重量%以上が好ましく、特に40重量%以上が好ましい。
本発明のエポキシ樹脂と併用し得るエポキシ樹脂の具体例としてはビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型樹脂、ビフェノール型エポキシ樹脂、トリフェニルメタン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン・フェノール縮合型エポキシ樹脂、ビフェニルノボラック型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂等が挙げられるが、これらは単独で使用してもよく、2種以上併用してもよい。
本発明のエポキシ樹脂組成物が含有する硬化剤としては、例えばアミン系化合物、酸無水物系化合物、アミド系化合物、フェノ−ル系化合物などが挙げられる。用い得る硬化剤の具体例としては、ジアミノジフェニルメタン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ジアミノジフェニルスルホン、イソホロンジアミン、ジシアンジアミド、リノレン酸の2量体とエチレンジアミンより合成されるポリアミド樹脂、無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、無水マレイン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、無水メチルナジック酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、フェノ−ルノボラック、及びこれらの変性物、イミダゾ−ル、BF−アミン錯体、グアニジン誘導体などが挙げられるがこれらに限定されるものではない。これらは単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。
本発明のエポキシ樹脂組成物において硬化剤の使用量は、エポキシ樹脂のエポキシ基1当量に対して0.7〜1.2当量が好ましい。エポキシ基1当量に対して0.7当量に満たない場合、或いは1.2当量を越える場合、いずれも硬化が不完全になり、良好な硬化物性が得られない恐れがある。
また本発明のエポキシ樹脂組成物においては硬化促進剤を使用することも出来る。用い得る硬化促進剤の例としては2−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾールなどのイミダゾール類、2−(ジメチルアミノメチル)フェノール、1,8−ジアザ−ビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7等の第3級アミン類、トリフェニルホスフィンなどのホスフィン類、オクチル酸スズ等の金属化合物が挙げられる。硬化促進剤はエポキシ樹脂100重量部に対して0.1〜5.0重量部が必要に応じ用いられる。
本発明のエポキシ樹脂組成物は必要により無機充填剤を含有し得る。用い得る無機充填剤の具体例としてはシリカ、アルミナ、タルク等が挙げられる。無機充填剤は本発明のエポキシ樹脂組成物において0〜90重量%を占める量が用いられる。更に本発明のエポキシ樹脂組成物には、シランカップリング剤、ステアリン酸、パルチミン酸、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム等の離型剤、顔料などの種々の配合剤を添加することが出来る。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、各成分を均一に混合することにより得られる。本発明のエポキシ樹脂組成物は従来知られている方法と同様の方法で容易にその硬化物とすることが出来る。例えば本発明のエポキシ樹脂と硬化剤ならびに必要により硬化促進剤、無機充填剤及び配合剤とを必要に応じて押出機、ニーダ、ロールなどを用いて均一になるまで十分に混合してエポキシ樹脂組成物を得、そのエポキシ樹脂組成物を溶融後注型あるいはトランスファー成型機などを用いて成型し、更に80〜200℃で2〜10時間加熱することにより硬化物を得ることが出来る。
次に本発明を更に実施例により具体的に説明するが、以下において部は特に断わりのない限り重量部である。
実施例1
温度計、冷却管、分留管、撹拌機を取り付けたフラスコに窒素パージを施しながら、前記式(2)で表される化合物(商品名カヤボンドC−300S 日本化薬株式会社製 融点℃)77.5部に対しエピクロルヒドリン277.5部、メタノール22.5部、水5.0を仕込み撹拌下で80℃まで昇温し、完全に溶解せしめた後、還流下において3.5時間クロルヒドリン化反応を進行せしめた。次いで、温度を65℃まで下げフレーク状水酸化ナトリウム40.4部を100分かけて分割添加した。その後、更に65℃で3時間後反応を行った。次いで水を150部加えて水洗を行い、加熱減圧下でエバポレーターを用いて油層から過剰のエピクロルヒドリンなどを除去した。残留分にメチルイソブチルケトン267部を加えて溶解し、70℃で30%水酸化ナトリウム水溶液10部を加えて1時間反応を行った。反応後、水洗を3回行い、精製塩などを除去した。加熱減圧下でメチルイソブチルケトンを留去し、前記式(1)で表される本発明のエポキシ樹脂(A)115部を得た。得られたエポキシ樹脂のエポキシ当量は147.8g/eq、25℃における粘度は7070mPa・sであった。
実施例2
実施例2として得られたエポキシ樹脂(A)74部に対し硬化剤としてカヤハードMCD(無水メチルナジック酸、日本化薬株式会社製)80部、硬化促進剤として2−エチル−4−メチルイミダゾール(2E4MZ)0.7部を用いて配合し均一に混合した後、金型に注型し80℃で2時間、120℃で2時間、更に200℃で5時間硬化せしめて試験片を作成し、下記の条件でガラス転移温度を測定したところ、205℃であった。
ガラス転移温度
熱機械測定装置(TMA):真空理工(株)製 TM−7000
昇温速度:2℃/min.

Claims (6)

  1. 下記式(2)
    Figure 0005132036
    で表される化合物とエピハロヒドリンの混合物を3〜10時間反応させた後、アルカリ金属水酸化物を添加して反応させることで得られる、下記式(1)
    Figure 0005132036
    で表されるエポキシ樹脂。
  2. 請求項1で表されるエポキシ樹脂及び硬化剤を含むエポキシ樹脂組成物であって、エポキシ樹脂のエポキシ基1当量に対して0.7〜1.2当量の硬化剤を含有するエポキシ樹脂組成物
  3. 硬化促進剤を含有する請求項2記載のエポキシ樹脂組成物であって、エポキシ樹脂100重量部に対して0.1〜5.0重量部の硬化促進剤を含有するエポキシ樹脂組成物
  4. 無機充填剤を含有する請求項2または3記載のエポキシ樹脂組成物であって、エポキシ樹脂組成物において0〜90重量%の無機充填剤を含有するエポキシ樹脂組成物
  5. 請求項2、3または4のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物を硬化してなる硬化物。
  6. 下記式(2)
    Figure 0005132036
    で表される化合物とエピハロヒドリンの混合物を3〜10時間反応させた後、アルカリ金属水酸化物を添加して反応させることを特徴とする、下記式(1)
    Figure 0005132036
    で表されるエポキシ樹脂の製造方法。
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