JP6686666B2 - エポキシ樹脂、エポキシ樹脂組成物、硬化物、電気・電子回路用積層板及びエポキシ樹脂の製造方法 - Google Patents
エポキシ樹脂、エポキシ樹脂組成物、硬化物、電気・電子回路用積層板及びエポキシ樹脂の製造方法 Download PDFInfo
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Description
特許文献1には、特定の環状骨格を有するビスフェノール構造と特定のイミド構造をあわせもつエポキシ樹脂が開示されている。
本発明の課題は、上記問題点を解決し、低吸水性及び耐熱性に優れたエポキシ樹脂の提供である。低吸水性に優れると、プリント配線板等の電気・電子回路用積層板の絶縁信頼性や誘電特性の向上の点で有利である。即ち、低吸水性及び耐熱性の両方に優れると、高い信頼性の要求される電気・電子回路用積層板等の用途において有利である。
量が2,000〜50,000g/当量、かつエポキシ当量が数平均分子量以下であるエポキシ樹脂。
構造及び上記式(3)で表される化学構造を有する二価の基を含み、R1及びR2は互い
に同一でも異なっていてもよく、水素原子又は上記式(4)で表される基であり、少なく
ともいずれか一方は上記式(4)で表される基である。R3の5モル%以上は炭素数2〜
10の脂肪族カルボニル基又は芳香族カルボニル基で、残りは水素原子であり、nは繰り
返し数の平均値であり5以上500以下である。上記式(2)、(3)中、X1、X2は
それぞれ独立に直接結合、炭素数1〜13の二価の炭化水素基、−O−、−S−、−SO
2−、−C(CF3)2−及び−CO−から選ばれる基であり、複数のR4は、それぞれ
互いに同一であっても異なっていてもよく、水素原子、炭素数1〜12のアルキル基、炭
素数1〜12のアルコキシ基、炭素数6〜12のアリール基、炭素数2〜12のアルケニ
ル基及び炭素数2〜12のアルキニル基から任意に選ばれる基である。
R5及びR6は、それぞれ互いに同一であっても異なっていてもよく、複数のR5及び
R6は、それぞれ互いに同一であっても異なっていてもよく、水素原子、炭素数1〜10
の炭化水素基、ヒドロキシ基及びハロゲン元素から任意に選ばれる基である。)
6)を含む上記[1]又は[2]に記載のエポキシ樹脂。
二価の基を合計で5モル%以上含む、上記[3]に記載のエポキシ樹脂。
[5] 前記式(2)で表される化学構造を有する二価の基が、前記式(5)及び/又は前
記式(6)である、上記[3]又は[4]の何れかに記載のエポキシ樹脂。
[6]上記[1]及至[5]の何れかに記載のエポキシ樹脂と、硬化剤を含むエポキシ樹脂組成
物。
0重量部含む、上記[6]に記載のエポキシ樹脂組成物。
[8]前記エポキシ樹脂と他のエポキシ樹脂を含み、当該エポキシ樹脂と当該他のエポキシ樹脂との固形分の重量比が、99/1〜1/99である、前記[6]又は[7]に記載のエポキシ樹脂組成物。
[9]前記エポキシ樹脂と他のエポキシ樹脂の固形分の合計100重量部に対し、前記硬化剤を固形分で0.1〜100重量部含む、上記[8]に記載のエポキシ樹脂組成物。
[10]活性エステル系硬化剤からなる群から選ばれる少なくとも1種である、上記[6]乃至[9]のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物。
[12] 前記[6]乃至[10]のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物を用いてなる電気・
電子回路用積層板。
化合物と下記式[9]で表されるビスフェノール化合物を反応させることを特徴とする前記
[1]乃至[5]の何れかに記載のエポキシ樹脂を得る製造方法。
本発明のエポキシ樹脂は、下記式(1)で表され、重量平均分子量が5,000〜200,000、エポキシ当量が2,000〜50,000g/当量、かつエポキシ当量が数平均分子量以下であるものである。
構造及び上記式(3)で表される化学構造を有する二価の基を含み、R1及びR2は互い
に同一でも異なっていてもよく、水素原子又は上記式(4)で表される化学構造であり、
少なくともいずれか一方は上記式(4)で表される基である。R3の5モル%以上は炭素
数2〜10の脂肪族カルボニル基又は芳香族カルボニル基で、残りは水素原子であり、n
は繰り返し数の平均値であり5以上500以下である。上記式(2)、(3)中、X1、
X2はそれぞれ独立に直接結合、炭素数1〜13の2価の炭化水素基、−O−、−S−、
−SO2−、−C(CF3)2−及び−CO−から選ばれる基であり、複数のR4は、そ
れぞれ互いに同一であっても異なっていてもよく、水素原子、炭素数1〜12のアルキル
基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数6〜12のアリール基、炭素数2〜12のア
ルケニル基及び炭素数2〜12のアルキニル基から任意に選ばれる基である。
前記式(1)中、Aは二価の連結基(但し、直接結合を除く)を表すが、少なくとも上記式(2)で表される化学構造及び上記式(3)で表される化学構造を有する二価の基を含む。即ち、Aは前記式(2)で表される化学構造及び前記式(3)で表される構造を含む。
前記式(1)中、Aに対し前記式(2)で表される化学構造を有する2価の基は、通常、合計で5モル%以上、より好ましくは10モル%以上、更に好ましくは20モル%以上、特に好ましくは30モル%以上含む。上限値は特に限定されるものではないが96%以下が好ましい。
前記式(1)中のAは、前記式(2)及び(3)以外の化学構造を有する2価の基を含んでいてもよい。前記式(2)及び(3)以外の化学構造を有する2価の基としては、例えば、炭素数2〜12の2価の脂肪族炭化水素基等が挙げられる。
ここで、前記式(2)のX1における炭素数1〜13の2価の炭化水素基としては次のようなものが挙げられる。例えば、−CH2−、−CH(CH3)−、−C(CH3)2−、−C(CF3)2−、−CHPh−、−C(CH3)Ph−、−CPh2−、9,9−フルオレニレン基、1,1−シクロプロピレン基、1,1−シクロブチレン基、1,1−シクロペンチレン基、1,1−シクロヘキシレン基、3,3,5−トリメチル−1,1−シクロヘキシレン基、1,1−シクロドデシレン基、1,2−エチレン基、1,2−シクロプロピレン基、1,2−シクロブチレン基、1,2−シクロペンチレン基、1,2−シクロヘキシレン基、1,2−フェニレン基、1,3−プロピレン基、1,3−シクロブチレン基、1,3−シクロペンチレン基、1,3−シクロヘキシレン基、1,3−フェニレン基、1,4−ブチレン基、1,4−シクロヘキシレン基、1,4−フェニレン基等である。
もよいが、好ましくは4,4’−位である。
キル基は2−位、2’−位、6−位及び6’−位にあることが好ましい。
ましい。
芳香族カルボニル基で、残りは水素原子である。本発明のエポキシ樹脂は、R3の5モル
%以上が炭素数1〜10の脂肪族カルボニル基又は芳香族カルボニル基であることにより
、低吸水性が良好となる傾向があり、その割合は、好ましくは、20モル%以上、更に好
ましくは30モル%以上である。その上限は特に限定されないが、製造効率の観点から、
通常、99モル%以下であり、好ましくは95モル%以下である。
基、プロパノイル基、イソプロパノイル基、ブタノイル基、イソブタノイル基、sec−
ブタノイル基、tert−ブタノイル基、ペンタノイル基、イソペンタノイル基、ヘキサ
ノイル基、ヘプタノイル基、シクロヘキシルカルボニル基、オクタノイル基、デカノイル
基、アセトアセチル基、フェニルプロパノイル基、シンナミル基等が挙げられる。中でも
炭素数2〜4のものがより好ましく、具体的にはアセチル基、プロパノイル基、ブタノイ
ル基、アセトアセチル基が好ましい。
ルボニル基としては、ベンゾイル基、メチルベンゾイル基、メトキシベンゾイル基、フリ
ルカルボニル基等が挙げられ、中でもベンゾイル基が好ましい。
本発明のエポキシ樹脂の重量平均分子量(Mw)は5,000〜200,000である。重量平均分子量が5,000より低いものでは製膜性や伸び性が低くなり、200,000より高いと樹脂の取り扱いが困難となる。本発明のエポキシ樹脂の重量平均分子量(Mw)は、製膜性や伸び性を向上させる観点から、10,000以上が好ましく、15,000以上がより好ましく、一方、取り扱い性を良好なものとする観点から、160,000以下が好ましく、120,000以下がより好ましく、80,000以下が更に好ま
しい。なお、エポキシ樹脂の重量平均分子量及び数平均分子量は前述のゲルパーミエーションクロマトグラフィー法(GPC法)により測定することができる。
本発明のエポキシ樹脂のエポキシ当量は、2,000〜50,000g/当量の範囲である。また、本発明のエポキシ樹脂のエポキシ当量は、本発明のエポキシ樹脂の数平均分子量以下である。なお、これは、本発明のエポキシ樹脂のエポキシ当量の数値と、本発明のエポキシ樹脂の数平均分子量の数値とを対比したものである。エポキシ当量はエポキシ基当たりの分子量であるから、エポキシ当量が数平均分子量以下であることは、平均で一分子当たり一つ以上のエポキシ基が含まれていることを意味する。これにより、本発明のエポキシ樹脂はそれ自体が硬化反応に関与し、架橋構造に組み込まれることが可能である。
本発明のエポキシ樹脂は、例えば、下記式(7)で表される2官能エポキシ樹脂と、下記式(8)で表されるジエステル系化合物、下記式(9)で表されるフェノール化合物とを反応させて得られる。理論的には、公知の方法で合成されたフェノキシ樹脂(高分子量エポキシ樹脂)の二級水酸基を後工程でアシル化する方法でも合成可能と思われるが、実際にはアシル化の反応中に生成する塩化水素やカルボン酸によって末端のエポキシ基が消失してしまうため、本法を用いることが好ましい。
2)及び/又は(3)で表される化学構造を含み、R’3の5モル%以上は炭素数2〜1
0の脂肪族カルボニル基又は芳香族カルボニル基で、残りは水素原子であり、mは繰り返
し数の平均値であり0以上6以下である。但し、式(7)、(8)、(9)中のA’の少
なくとも何れかは、前記式(2)で表される化学構造を有する二価の基を含み、式(7)
、(8)、(9)中のA’の少なくとも何れかは、前記式(3)で表される化学構造を有
する二価の基を含む。)
基と前記式(3)で表される化学構造を有する二価の基とのモル比([式(2)で表される化学構造のモル数]/[式(3)で表される化学構造のモル数])が、1/99〜99/1であることが溶剤溶解性、耐熱性等の物性のバランスをとる観点から好ましい。この効果を高めるため、10/90以上であることがより好ましく、20/80以上であることが更に好ましく、40/60以上であることが特に好ましく、一方、99/1以下であることが好ましく、97/3以下であることがより好ましい。
また、エポキシ樹脂中のリンの含有量が好ましくは2000ppm以下である。更に好ましくは、エポキシ樹脂中の窒素の含有量が1000ppm以下であり、エポキシ樹脂中のリンの含有量が1000ppm以下である。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、少なくとも前述した本発明のエポキシ樹脂と硬化剤とを含むエポキシ樹脂組成物である。また、本発明のエポキシ樹脂組成物には、必要に応じて、他のエポキシ樹脂、無機フィラー、カップリング剤、酸化防止剤等の各種添加剤を適宜配合することができる。本発明のエポキシ樹脂組成物は低吸水性、誘電特性、耐熱性、に優れ、各種用途に要求される諸物性を十分に満たす硬化物を与えるものである。
本発明のエポキシ樹脂に硬化剤を配合してエポキシ樹脂組成物とすることができる。本発明において硬化剤とは、エポキシ樹脂のエポキシ基間の架橋反応及び/又は鎖長延長反応に寄与する物質を示す。なお、本発明においては通常、「硬化促進剤」と呼ばれるものであってもエポキシ樹脂のエポキシ基間の架橋反応及び/又は鎖長延長反応に寄与する物質であれば、硬化剤とみなすこととする。
硬化剤としてフェノール系硬化剤を用いることが、得られるエポキシ樹脂組成物の取り扱い性と、硬化後の耐熱性を向上させる観点から好ましい。フェノール系硬化剤の具体例としては、ビスフェノールA、ビスフェノールF、4,4’−ジヒドロキシジフェニルメタン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、1,4−ビス(4−ヒドロキシフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−ヒドロキシフェノキシ)ベンゼン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、4,4’−ジヒドロキシジフェニルケトン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、2,2’−ジヒドロキシビフェニル、10−(2,5−ジヒドロキシフェニル)−10H−9−オキサ−10−ホスファフェナンスレン−10−オキサイド、フェノールノボラック、ビスフェノールAノボラック、o−クレゾールノボラック、m−クレゾールノボラック、p−クレゾールノボラック、キシレノールノボラック、ポリ−p−ヒドロキシスチレン、ハイドロキノン、レゾルシン、カテコール、t−ブチルカテコール、t−ブチルハイドロキノン、フルオログリシノール、ピロガロール、t−ブチルピロガロール、アリル化ピロガロール、ポリアリル化ピロガロール、1,2,4−ベンゼントリオール、2,3,4−トリヒドロキシベンゾフェノン、1,2−ジヒドロキシナフタレン、1,3−ジヒドロキシナフタレン、1,4−ジヒドロキシナフタレン、1,5−ジヒドロキシナフタレン、1,6−ジヒドロキシナフタレン、1,7−ジヒドロキシナフタレン、1,8−ジヒドロキシナフタレン、2,3−ジヒドロキシナフタレン、2,4−ジヒドロキシナフタレン、2,5−ジヒドロキシナフタレン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、2,7−ジヒドロキシナフタレン、2,8−ジヒドロキシナフタレン、上記ジヒドロキシナフタレンのアリル化物又はポリアリル化物、アリル化ビスフェノールA、アリル化ビスフェノールF、アリル化フェノールノボラック、アリル化ピロガロール等が例示される。
が残留しにくくなるために好ましい。
硬化剤としてアミド系硬化剤を用いることが、耐熱性等の向上の観点から好ましい。硬化剤としてアミド系硬化剤を用いることにより、得られるエポキシ樹脂組成物の耐熱性の向上の観点から好ましい。アミド系硬化剤としてはジシアンジアミド及びその誘導体、ポリアミド樹脂等が挙げられる。
硬化剤としてイミダゾール類(イミダゾール系硬化剤)を用いることが、硬化反応を十分に進行させ、耐熱性を向上させる観点から好ましい。イミダゾール類としては、2−フェニルイミダゾール、2−エチル−4(5)−メチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾール、1−シアノ−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾールトリメリテイト、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾリウムトリメリテイト、2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2’−エチル−4’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジンイソシアヌル酸付加体、2−フェニルイミダゾールイソシアヌル酸付加体、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール、及びエポキシ樹脂と上記イミダゾール類との付加体等が例示される。なお、イミダゾール類は触媒能を有するため、一般的には後述する硬化促進剤にも分類されうるが、本発明においては硬化剤として分類するものとする。
硬化剤として活性エステル系硬化剤を用いることは、得られる硬化物の吸水性を低下させる観点から好ましい。活性エステル系硬化剤としては、フェノールエステル類、チオフェノールエステル類、N−ヒドロキシアミンエステル類、複素環ヒドロキシ化合物のエステル類等の反応活性の高いエステル基を1分子中に2個以上有する化合物が好ましく、中でも、カルボン酸化合物とフェノール性水酸基を有する芳香族化合物とを反応させたフェノールエステル類がより好ましい。カルボン酸化合物としては、具体的には、安息香酸、酢酸、コハク酸、マレイン酸、イタコン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ピロメリット酸等が挙げられる。フェノール性水酸基を有する芳香族化合物としては、カテコール、1,5−ジヒドロキシナフタレン、1,6−ジヒドロキシナフタレン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、ジヒドロキシベンゾフェノン、トリヒドロキシベンゾフェノン、テトラヒドロキシベンゾフェノン、フロログルシン、ベンゼントリオール、ジシクロペンタジエニルジフェノール、フェノールノボラック等が挙げられる。
比率で混合して用いてもよい。また、活性エステル系硬化剤は、エポキシ樹脂組成物中の全エポキシ樹脂中のエポキシ基に対する硬化剤中の活性エステル基の当量比で0.2〜2.0の範囲となるように用いることが好ましい。
本発明のエポキシ樹脂組成物に用いることのできる硬化剤として、フェノール系硬化剤、アミド系硬化剤及びイミダゾール類以外のものとしては、例えば、アミン系硬化剤(ただし、第3級アミンを除く。)、酸無水物系硬化剤、第3級アミン、有機ホスフィン類、ホスホニウム塩、テトラフェニルボロン塩、有機酸ジヒドラジド、ハロゲン化ホウ素アミン錯体、ポリメルカプタン系硬化剤、イソシアネート系硬化剤、ブロックイソシアネート系硬化剤等が挙げられる。以上で挙げたその他の硬化剤は、1種のみで用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で混合して用いてもよい。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、本発明のエポキシ樹脂に加え、他のエポキシ樹脂を含むことができる。他のエポキシ樹脂を用いることで、不足する物性を補ったり、種々の物性を向上させたりすることができる。
本発明のエポキシ樹脂を含むエポキシ樹脂組成物には、塗膜形成時の取り扱い時に、エポキシ樹脂組成物の粘度を適度に調整するために溶剤を配合し、希釈してもよい。本発明のエポキシ樹脂組成物において、溶剤は、エポキシ樹脂組成物の成形における取り扱い性、作業性を確保するために用いられ、その使用量には特に制限がない。なお、本発明においては「溶剤」という語と前述の「溶媒」という語をその使用形態により区別して用いるが、それぞれ独立して同種のものを用いても異なるものを用いてもよい。
てもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で混合して用いてもよい。
本発明のエポキシ樹脂を含むエポキシ樹脂組成物には、その機能性の更なる向上を目的として、以上で挙げたもの以外の成分(本発明において「その他の成分」と称することがある。)を含んでいてもよい。このようなその他の成分としては、エポキシ樹脂を除く熱硬化性樹脂や光硬化性樹脂、硬化促進剤(ただし、「硬化剤」に含まれるものを除く。)、紫外線防止剤、酸化防止剤、カップリング剤、可塑剤、フラックス、難燃剤、着色剤、分散剤、乳化剤、低弾性化剤、希釈剤、消泡剤、イオントラップ剤、無機フィラー、有機フィラー等が挙げられる。
本発明のエポキシ樹脂を硬化剤により硬化してなる硬化物は、低吸湿性、誘電特性、耐熱性、耐溶剤性等のバランスに優れ、良好な硬化物性を示すものである。ここでいう「硬化」とは熱及び/又は光等によりエポキシ樹脂組成物を意図的に硬化させることを意味するものであり、その硬化の程度は所望の物性、用途により制御すればよい。進行の程度は完全硬化であっても、半硬化の状態であってもよく、特に制限されないが、エポキシ基と硬化剤の硬化反応の反応率として通常5〜95%である。
本発明のエポキシ樹脂は、製膜性に優れ、またこれを含むエポキシ樹脂組成物は、耐薬品性(耐溶剤性)に優れた硬化物を与えるという効果を奏する。このため、接着剤、塗料、土木建築用材料、電気・電子部品の絶縁材料等、様々な分野に適用可能であり、特に、電気・電子分野における絶縁注型、積層材料、封止材料等として有用である。本発明のエポキシ樹脂及びそれを含むエポキシ樹脂組成物の用途の一例としては、多層プリント配線基板、キャパシタ等の電気・電子回路用積層板、フィルム状接着剤、液状接着剤等の接着剤、半導体封止材料、アンダーフィル材料、3D−LSI用インターチップフィル、絶縁シート、プリプレグ、放熱基板等が挙げられるが、何らこれらに限定されるものではない。
本発明のエポキシ樹脂組成物は前述したように電気・電子回路用積層板の用途に好適に用いることができる。本発明において「電気・電子回路用積層板」とは、本発明のエポキシ樹脂組成物を含む層と導電性金属層とを積層したものであり、本発明のエポキシ樹脂組成物を含む層と導電性金属層とを積層したものであれば、電気・電子回路ではなくとも、例えばキャパシタも含む概念として用いられる。なお、電気・電子回路用積層板中には2種以上のエポキシ樹脂組成物からなる層が形成されていてもよく、少なくとも1つの層に
おいて本発明のエポキシ樹脂組成物が用いられていればよい。また、2種以上の導電性金属層が形成されていてもよい。
電気・電子回路用積層板における導電性金属としては、銅、アルミニウム等の金属や、これらの金属を含む合金が挙げられる。本発明において電気・電子回路用積層板の導電性金属層においては、これらの金属の金属箔、あるいはメッキやスパッタリングで形成された金属層を用いることができる。
本発明における電気・電子回路用積層板の製造方法としては、例えば次のような方法が挙げられる。
(1) ガラス繊維、ポリエステル繊維、アラミド繊維、セルロース、ナノファイバーセルロース等の無機及び/又は有機の繊維材料を用いた不織布やクロス等に、本発明のエポキシ樹脂組成物を含浸させてプリプレグとし、導電性金属箔及び/又はメッキにより導電性金属層を設けた後、フォトレジスト等を用いて回路を形成し、こうした層を必要数重ねて積層板とする。
(2) 上記(1)のプリプレグを心材とし、その上(片面又は両面)に、エポキシ樹脂組成物からなる層と導電性金属層を積層する(ビルドアップ法)。このエポキシ樹脂組成物からなる層は有機及び/又は無機のフィラーを含んでいてもよい。
(3) 心材を用いず、エポキシ樹脂組成物からなる層と導電性金属層のみを交互に積層して電気・電子回路用積層板とする。
以下の実施例及び比較例において、物性、特性の評価は以下の1)〜5)に記載の方法で行った。
東ソー(株)製「HLC−8320GPC装置」を使用し、以下の測定条件で、標準ポリスチレンとして、TSK Standard Polystyrene:F−128(Mw:1,090,000、Mn:1,030,000)、F−10(Mw:106,000、Mn:103,000)、F−4(Mw:43,000、Mn:42,700)、F−2(Mw:17,200、Mn:16,900)、A−5000(Mw:6,400、Mn:6,100)、A−2500(Mw:2,800、Mn:2,700)、A−300(Mw:453、Mn:387)を使用した検量線を作成して、重量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)をポリスチレン換算値として測定した。
カラム:東ソー(株)製「TSKGEL SuperHM−H+H5000+H4000+H3000+H2000」
溶離液:テトラヒドロフラン
流速:0.5ml/min
検出:UV(波長254nm)
温度:40℃
試料濃度:0.1重量%
インジェクション量:10μl
前記式(1)におけるnの値は上記で求められた数平均分子量より算出した。
JIS K 7236に準じて測定し、固形分換算値として表記した。
溶剤を乾燥除去したエポキシ樹脂で、SIIナノテクノロジー(株)製「DSC7020」を使用し、30〜250℃まで10℃/minで昇温してガラス転移温度を測定した。なお、ここでいうガラス転移温度は、JIS K7121「プラスチックの転移温度測定法」に記載されているうち「中点ガラス転移温度:Tmg」に基づいて測定した。エポキシ樹脂のガラス転移点が100℃を超えるものを合格とし、表−2に「○」と表記した。また、ガラス転移点が100℃以下のものには「×」と表記した。
エポキシ樹脂組成物の溶液をセパレータ(シリコーン処理したポリエチレンテレフタレートフィルム、厚み:100μm)にアプリケーターで塗布し、160℃で1.5時間、
その後200℃で1.5時間乾燥、硬化させ、厚さ約50μmのエポキシ樹脂硬化フィル
ムを得た。SIIナノテクノロジー(株)製「TMA/SS6100」を使j用し、30〜250 ℃まで5℃/minで昇温し、ガラス転移温度を測定した。ガラス転移温度が
高いものほど耐熱性に優れたものと評価される。
エポキシ樹脂またはエポキシ樹脂組成物の溶液をセパレータ(シリコーン処理したポリエチレンテレフタレートフィルム、厚み:100μm)にアプリケーターで塗布し、160℃で1.5時間、その後200℃で1.5時間乾燥させ、厚さ約50μmのエポキシ樹脂フィルムを得た。これを4cm×4cmに切り出した試験片を、85℃、85%RHの恒温恒湿槽に168時間放置した後の吸水率を下記式で算出した。
(吸水率)=[{(85℃、85%RHに168時間放置後の試験片の質量)
−(処理前の試験片の質量)}/(処理前の試験片の質量)]×100
低吸水性の評価については、吸水率が0.70%以下のものを低吸水性に優れるものとし、表2に「○」と表記し、吸水率が0.70%を超えるものを「×」と表記した。
以下の実施例・比較例において用いた原料、触媒、溶媒及び溶剤は以下の通りである。
(A−1):三菱化学(株)製 商品名「jER YX4000」(3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ビフェノールジグリシジルエーテル、エポキシ当量186g/当量)
(A−2):三菱化学(株)製 商品名「jER 828US」(ビスフェノールA型エポキシ樹脂、エポキシ当量:186g/当量)
[ジエステル系化合物]
(B−1):4,4’―ジアセトキシビフェニル
(B−2):2,2−ビス(4−アセトキシフェニル)プロパン
(P−1):4,4’−(フルオレン−9,9−ジイル)ビス(2−メチルフェノール)(本州化学(株)製 製品名:BisOC−FL、水酸基当量:189g/当量)
(P−2):N,N’―ビス(2−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−4,4’−ジフタルイミド(前記式(9)で表され、A’として式(3)で表される化学構造を有するビスフェノール化合物に該当する。)(水酸基当量:252g/当量)
(C−1):N,N’−ジメチルアミノピリジン
(C−2):テトラブチルホスホニウムヒドロキシド(40wt%水溶液)
(S−1):シクロヘキサノン
(S−2):メチルエチルケトン(MEK)
<実施例1−1〜1−4、比較例1−1〜1−2>
表−1に示した配合で2官能エポキシ樹脂、ジエステル系化合物、ビスフェノール化合物、触媒および反応用の溶剤を撹拌機付き反応容器に入れ、窒素ガス雰囲気下で、表−1に記載した反応時間、反応温度で反応を行った。その後、希釈用の溶剤を加えて固形分濃度を調整した。得られた樹脂について分析を行った結果を表−2に示す。
<実施例2−1〜2−4、比較例2−1〜2−2>
実施例1−1〜1−4、比較例1−1、1−2で得られたエポキシ樹脂と、その他のエポキシ樹脂及び硬化剤を配合し、よく撹拌してエポキシ樹脂組成物を得た。このエポキシ樹脂組成物をセパレータ(シリコーン処理したポリエチレンテレフタレートフィルム、厚み:100μm)にアプリケーターで塗布した。次いで、160℃で1.5時間、その後
200℃で1.5時間乾燥、硬化させ、厚さ約50μmのエポキシ樹脂硬化物のフィルムを得た。これらについて、前述の方法を用いてガラス転移温度、吸水率を測定した。結果を表−3に示す。なお、表−3の「その他のエポキシ樹脂」、「硬化剤」における略号の意味は下記の通りである。
(D−1):「157S65B80」:三菱化学(株)製 ビスフェノールAノボラック型多官能エポキシ樹脂80重量%MEK溶液
「EMI24」:2−エチル−4(5)−メチルイミダゾール(三菱化学(株)製 製品名:jERキュア(登録商標) EMI24)、20重量%のMEK溶液として使用
は、本願発明の式(1)において、−OR3基を有さず、低吸水性が劣る。これに対して、本発明のエポキシ樹脂(実施例1−1〜1−4)は、耐熱性及び低吸水性がバランスして良好であるとがわかる。また、表―3の結果より、本発明のエポキシ樹脂を用いたエポ
キシ樹脂組成物は、比較例に比べて耐熱性及び低吸水性がバランスして良好であることがわかる。
Claims (13)
- 下記式(1)で表され、重量平均分子量が5,000〜200,000、エポキシ当量が
2,000〜50,000g/当量、かつエポキシ当量が数平均分子量以下であるエポキ
シ樹脂。
構造及び上記式(3)で表される化学構造を有する二価の基を含み、R1及びR2は互い
に同一でも異なっていてもよく、水素原子又は上記式(4)で表される基であり、少なく
ともいずれか一方は上記式(4)で表される基である。R3の5モル%以上は炭素数2〜
10の脂肪族カルボニル基又は芳香族カルボニル基で、残りは水素原子であり、nは繰り
返し数の平均値であり5以上500以下である。上記式(2)、(3)中、X1、X2は
それぞれ独立に直接結合、炭素数1〜13の二価の炭化水素基、−O−、−S−、−SO
2−、−C(CF3)2−及び−CO−から選ばれる基であり、複数のR4は、それぞれ
互いに同一であっても異なっていてもよく、水素原子、炭素数1〜12のアルキル基、炭
素数1〜12のアルコキシ基、炭素数6〜12のアリール基、炭素数2〜12のアルケニ
ル基及び炭素数2〜12のアルキニル基から任意に選ばれる基である。
R5及びR6は、それぞれ互いに同一であっても異なっていてもよく、複数のR5及び
R6は、それぞれ互いに同一であっても異なっていてもよく、水素原子、炭素数1〜10
の炭化水素基、ヒドロキシ基及びハロゲン元素から任意に選ばれる基である。) - 前記Aに対し前記式(3)で表される化学構造を有する二価の基を4モル%以上含む、
請求項1に記載のエポキシ樹脂。 - 前記Aに対し前記式(5)及び/又は前記式(6)で表される化学構造を有する二価の
基を合計で5モル%以上含む、請求項3に記載のエポキシ樹脂。 - 前記式(2)で表される化学構造を有する二価の基が、前記式(5)及び/又は前記式
(6)である、請求項3又は4に記載のエポキシ樹脂。 - 請求項1乃至5の何れか1項に記載のエポキシ樹脂と、硬化剤を含むエポキシ樹脂組成
物。 - 前記エポキシ樹脂の固形分100重量部に対し、前記硬化剤を固形分で0.1〜100
重量部含む、請求項6に記載のエポキシ樹脂組成物。 - 前記エポキシ樹脂と他のエポキシ樹脂を含み、当該エポキシ樹脂と当該他のエポキシ樹
脂との固形分の重量比が、99/1〜1/99である、請求項6又は7に記載のエポキシ
樹脂組成物。 - 前記エポキシ樹脂と他のエポキシ樹脂の固形分の合計100重量部に対し、前記硬化剤
を固形分で0.1〜100重量部含む、請求項8に記載のエポキシ樹脂組成物。 - 前記硬化剤がフェノール系硬化剤、アミド系硬化剤、イミダゾール系硬化剤及び活性エ
ステル系硬化剤からなる群から選ばれる少なくとも1種である、請求項6乃至9のいずれ
か1項に記載のエポキシ樹脂組成物。 - 請求項6乃至10のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物を硬化してなる硬化物。
- 請求項6乃至10のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物を用いてなる電気・電子
回路用積層板。 - 下記式(7)で表される2官能エポキシ樹脂と、下記式(8)で表されるジエステル系
化合物と下記式(9)で表されるビスフェノール化合物を反応させることを特徴とする請
求項1〜5の何れか1項に記載のエポキシ樹脂の製造方法。
(上記式(7)、(8)、(9)中、A’は二価の連結基を表すが、少なくとも前記式(
2)及び/又は(3)で表される化学構造を有する二価の基を含み、R’3の5モル%以
上は炭素数1〜10の脂肪族カルボニル基又は芳香族カルボニル基で、残りは水素原子で
あり、mは繰り返し数の平均値であり0以上6以下である。但し、式(7)、(8)、(
9)中のA’の少なくとも何れかは、前記式(2)で表される化学構造を有する二価の基
を含み、式(7)、(8)、(9)中のA’の少なくとも何れかは、前記式(3)で表さ
れる化学構造を有する二価の基を含む。)
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