JP2012107215A - エポキシ樹脂、エポキシ樹脂組成物および硬化物 - Google Patents

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Abstract

【課題】十分な製膜性、伸び性を有し、熱伝導性、耐熱性、可撓性などの諸物性にも優れたエポキシ樹脂およびその組成物を提供する。
【解決手段】下記式(1)で表され、かつエポキシ当量が2,500g/当量以上30,000g/当量以下であるエポキシ樹脂。エポキシ樹脂成分として少なくともこのエポキシ樹脂と、硬化剤を含むエポキシ樹脂組成物。このエポキシ樹脂組成物を硬化させてなる硬化物。
Figure 2012107215

(Aはビフェニル骨格、Bは水素原子またはグリシジル基)
【選択図】なし

Description

本発明は、樹脂中に含まれる単位骨格が全てビフェニル骨格であり、フィルム成形・塗布等のプロセスに適用するのに十分な製膜性、伸び性を有し、また、熱伝導性、耐熱性、可撓性のバランスに優れたエポキシ樹脂に関する。また本発明は、当該エポキシ樹脂、および硬化剤を含むエポキシ樹脂組成物と、このエポキシ樹脂組成物を硬化させてなる硬化物に関するものである。
エポキシ樹脂は、耐熱性、接着性、耐水性、機械的強度および電気的特性に優れていることから、接着剤、塗料、土木建築用材料、電気・電子部品の絶縁材料等、様々な分野で使用されている。特に、電気・電子分野では、絶縁注型、積層材料、封止材料等において幅広く使用されている。
近年、電気・電子機器に使用される多層回路基板は、機器の小型化、軽量化および高機能化が進んでおり、更なる多層化、高密度化、薄型化、軽量化と、信頼性および成形加工性の向上等が要求されている。
これに伴い、用いられる材料の放熱性が問題になっている。この放熱性については、従来はフィラーの熱伝導性で賄っていたが、更なる高集積化に向けて、マトリクスであるエポキシ樹脂自体の熱伝導性の向上が求められるようになってきた。
これまでにもエポキシ系の高熱伝導材料の開発は行われてきたが、マトリクスとなるエポキシ樹脂自体の熱伝導性よりも、高熱伝導性フィラーを含む組成物の配合最適化を指向したものが多かった。
例えば、特許文献1、2では、高熱伝導性フィラーとして熱伝導率の高い無機化合物の粉末または繊維を配合し、エポキシ樹脂については一般的なビスフェノールA型エポキシ樹脂で非常に分子量の高いものを用いており、エポキシ樹脂自体の熱伝導性には言及してはいない。すなわち、特許文献1,2において、熱伝導性はフィラーが担っており、エポキシ樹脂はフィルムとしての取り扱いやすさを付与しているのみである。
また、特許文献3では、フィラーの形状を特徴付けており、特許文献4では、フィラーの配合による接着性等の低下をエポキシ樹脂と相溶性の高分子量樹脂や反応性高分子量樹脂の配合で改善しており、いずれも使用されているエポキシ樹脂はごく一般的なノボラック型エポキシ樹脂やビスフェノールA型エポキシ樹脂である。
一方、最近では、メソゲン骨格を導入することで、エポキシ樹脂自体の熱伝導性を改良しようとする発明がいくつか開示されている。
例えば、非特許文献1には、種々のメソゲン骨格の導入によるエポキシ樹脂の熱伝導性の向上についての記載があるが、コスト面、プロセス、耐加水分解性や熱安定性を考慮すると実用的とは言えない。
また、特許文献5には、ビフェニル骨格のみを用いた熱伝導性のよいエポキシ樹脂であって、置換されたビフェニル骨格と無置換のビフェニル骨格との両方を有するエポキシ樹脂が開示されている。
特開平04−339815号公報 特開平04−339854号公報 特開平05−259312号公報 特開平10−183086号公報 特開2010−001427号公報
電子部品用エポキシ樹脂の最新技術(シーエムシー出版、2006年、第1章P24〜31、第5章P114〜121)
本発明者らの詳細な検討によれば、特許文献5において実際に合成されているのはごく低分子量のエポキシ樹脂のみであり、このエポキシ樹脂では製膜性に欠けるため、薄膜として用いることが困難であった。さらにエポキシ樹脂単体での熱伝導性は測定されていないため、実施例で開示されている熱伝導率が、エポキシ樹脂によって発現したものであるかどうかは明らかにされていない。また、特許文献5において合成されたエポキシ樹脂を用いて得られた硬化物は、伸びが低く、弾性率が高く、可撓性が低いことが予想される。このために、実際の硬化物として用いる場合にはゴム成分を添加するなどの変性が必要となり、その際には変性による熱伝導率の低下が懸念される。
メソゲン骨格は熱伝導性に優れることは知られているが、従来提案されているメソゲン骨格を有するエポキシ樹脂には、伸び性と熱伝導性を両立できるものがなかった。
また、実用性を考えると、特殊な材料組成や特別な硬化プロセスを必要とせず、現在実用化されているエポキシ樹脂組成物の構成成分を置き換えたり、あるいは単に添加するだけで、可撓性などの硬化物特性を維持したまま、熱伝導性を向上させる材料が求められるものと考えられる。
一方で、電気積層板の絶縁層等として用いるためには、フィルムとしての取り扱い性や塗布等のプロセス適用性に優れた材料が必要とされるが、従来において、このような要求特性を満たした上で、高い熱伝導性を有するエポキシ樹脂は提供されていない。
上記の諸問題点を鑑み、本発明は、フィルム成形・塗布等のプロセスに適用するのに十分な製膜性、伸び性を有し、熱伝導性、耐熱性、可撓性などの諸物性にも優れ、また、硬化物としたときの熱伝導性、耐熱性、可撓性などの硬化物特性のバランスにも優れたエポキシ樹脂およびエポキシ樹脂組成物を提供することを課題とする。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、樹脂中に含まれる単位骨格がすべて特定のビフェニル骨格であり、特定のエポキシ当量を有するエポキシ樹脂が、フィルム成形・塗布等のプロセスに適用するのに十分な製膜性、伸び性、熱伝導性、耐熱性、可撓性などの諸物性のバランスに優れ、また、熱伝導率、可撓性などの硬化物特性のバランスにも優れたものとなることを見出した。
本発明はこのような知見に基いて達成されたものであり、以下を要旨とする。
[1] 下記式(1)で表され、かつエポキシ当量が2,500g/当量以上30,000g/当量以下であるエポキシ樹脂。
Figure 2012107215
(上記式(1)中、Aは下記式(2)で表されるビフェニル骨格であり、Bは水素原子または下記式(3)で表される基であり、nは繰り返し数であり、平均値は1<n<100である。)
Figure 2012107215
(上記式(2)中、Rは、水素原子、炭素数1〜10の炭化水素基、またはハロゲン元素であり、互いに同一であっても異なっていてもよい。)
Figure 2012107215
[2] 前記式(2)におけるRが、水素原子または炭素数が1〜4のアルキル基であり、式(2)で表されるビフェニル骨格は少なくとも一つの水素原子と少なくとも一つの炭素数1〜4のアルキル基を有する[1]に記載のエポキシ樹脂。
[3] エポキシ樹脂成分と硬化剤とを含むエポキシ樹脂組成物において、該エポキシ樹脂成分として少なくとも請求項1または2に記載のエポキシ樹脂を含み、該硬化剤を固形分としての全エポキシ樹脂成分と硬化剤の合計に対して0.1〜60重量%含むエポキシ樹脂組成物。
[4] [3]に記載のエポキシ樹脂組成物を硬化させてなる硬化物。
本発明によれば、フィルム成形・塗布等のプロセスに適用するのに十分な製膜性、伸び性を有し、熱伝導性、耐熱性、可撓性などの諸物性にもバランスよく優れ、硬化物としたときの熱伝導性、耐熱性、可撓性などの硬化物特性のバランスにも優れたエポキシ樹脂およびエポキシ樹脂組成物が提供される。
以下に本発明の実施の形態を詳細に説明するが、以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施の形態の一例であり、本発明はその要旨を超えない限り、以下の記載内容に限定されるものではない。
尚、本明細書において「〜」という表現を用いる場合、その前後の数値または物性値を含む表現として用いるものとする。
[エポキシ樹脂]
本発明のエポキシ樹脂は、下記式(1)で表され、かつエポキシ当量が2,500g/当量以上30,000g/当量以下であるものである。以下において、本発明のエポキシ樹脂を「エポキシ樹脂(1)」と称す場合がある。
Figure 2012107215
(上記式(1)中、Aは下記式(2)で表されるビフェニル骨格であり、Bは水素原子または下記式(3)で表される基であり、nは繰り返し数であり、平均値は1<n<100である。)
Figure 2012107215
(上記式(2)中、Rは、水素原子、炭素数1〜10の炭化水素基、またはハロゲン元素であり、互いに同一であっても異なっていてもよい。)
Figure 2012107215
<作用機構>
本発明のエポキシ樹脂は、フィルム成形・塗布等のプロセスに適用するのに十分な製膜性、伸び性を有し、かつ熱伝導性、耐熱性、可撓性などのバランスに優れ、また、硬化物特性のバランスに優れるものである。
(伸び性について)
本発明のエポキシ樹脂が伸び性に優れる理由の詳細は明らかではないが、引っ張りの応力がかかった際の延伸に耐えうる分子鎖長を有し、さらにその応力を緩和するために、重なり合ったビフェニル骨格同士が「滑る」ことができるためであると推測される。また、この時、結晶性が高すぎると、脆く、伸びずに破断してしまうため、適度にアモルファス部分を有していることが重要であるが、本発明のエポキシ樹脂では、ビフェニル骨格が置換基を有することにより、結晶性を適度に低下させることができ、このことが伸び性の発現に繋がっていると考えられる。従って、伸び性の観点からは、前記式(2)におけるRがすべて水素原子ではなく、1つ以上のRが炭化水素基、またはハロゲン元素であることが好ましい。
(熱伝導性について)
熱伝導はフォノンと伝導電子に支配され、金属のように自由電子を有する場合は伝導電子による寄与が大きいが、エポキシ樹脂は一般的に絶縁体であり、絶縁体においてはフォノンが熱伝導の主因子である。フォノンによる熱伝導は振動エネルギーの伝播であるので、振動が減衰しにくく、結晶性の高い材料であるほど熱伝導性に優れる。
本発明のエポキシ樹脂が熱伝導性に優れる理由の詳細は明確ではないが、全ての骨格がビフェニル骨格であることから構造の自由度が少なく、振動エネルギーが減衰しにくいこと、またビフェニル骨格は平面性が高いため、分子間の重なりが良く、より分子運動を拘束できることによるものであると推定される。
(耐熱性について)
エポキシ樹脂は、結晶性がよい方が耐熱性に優れる傾向があり、同一構造のエポキシ樹脂であれば、樹脂の分子量、あるいはエポキシ当量が大きい方が耐熱性に優れる傾向にある。本発明のエポキシ樹脂は適度な結晶性とエポキシ当量の大きさを有することにより耐熱性にも優れる。
(可撓性について)
本発明のエポキシ樹脂は、エポキシ当量が大きいため、可撓性に優れている。また、硬化物としたときにもエポキシ樹脂全体に対する架橋点が少ないために架橋密度が低くなり、硬化物特性としての可撓性にも優れたものである。
<n>
前記式(1)中、nは繰り返し数であり、平均値である。その値の範囲は1<n<100であるが、伸び性と樹脂の取り扱いの両面のバランスから、好ましくは10より大、より好ましくは15より大、更に好ましくは20より大、特に好ましくは25より大、とりわけ好ましくは35より大であり、一方、好ましくは80より小、より好ましくは60より小、特に好ましくは50より小である。例えばnは、10<n<80、特に20<n<50、とりわけ35<n<50であることが好ましい。前記式(1)のnが1以下であると伸び性が全く発現せず、100以上であるとエポキシ樹脂の粘度が高くなり、取り扱いが困難となる傾向がある。
<A>
前記式(1)中、Aは前記式(2)で表されるビフェニル骨格であり、前記式(2)において、Rは、互いに同一であっても異なっていてもよく、水素原子、炭素数1〜10の炭化水素基、またはハロゲン元素を表すが、1分子のエポキシ樹脂において、Rとしては水素原子と炭素数1〜10の炭化水素基との両方を含んでいるものがエポキシ樹脂全体の結晶性とハンドリングの観点から好ましい。Rが同一であると結晶性が高くなり、熱伝導性を高めることが可能であるが、結晶性が高すぎるとエポキシ樹脂をフィルム成形したときの伸びが小さくなる傾向にある。
前記式(2)におけるRは、炭素数1〜10の炭化水素基であるが、好ましくは1〜4のアルキル基、特に好ましくはメチル基である。
尚、Rの炭化水素基は置換基を有していてもよく、その置換基は特に限定されるものではないが、分子量で200以下のものである。
また、Rのハロゲン元素とは、フッ素元素、塩素元素、臭素元素を指し、これらは1種のみでも複数種を含んでいてもよい。
Aのビフェニル骨格は、2,2’−ビフェニル骨格、2,3’−ビフェニル骨格、2,4’−ビフェニル骨格、3,3−ビフェニル骨格、3,4’−ビフェニル骨格、4,4’−ビフェニル骨格のいずれでも良いが、好ましくは4,4’−ビフェニル骨格である。
また、Rとしての水素原子は、2位および/または6位にあることが好ましく、3位および/または5位に炭化水素基があることが好ましい。
<エポキシ当量>
本発明のエポキシ樹脂のエポキシ当量は2,500g/当量以上30,000g/当量以下である。エポキシ当量が2,500g/当量以上であることが、エポキシ樹脂をフィルム成形したときの伸びの観点、また可撓性の観点から好ましく、本発明のエポキシ樹脂のエポキシ当量は好ましくは3,000g/当量以上、より好ましくは5,000g/当量以上である。一方、エポキシ当量が30,000g/当量以下であることが硬化時の反応性の観点から好ましく、本発明のエポキシ樹脂のエポキシ当量は好ましくは15,000g/当量以下、より好ましくは10,000g/当量以下である。エポキシ樹脂のエポキシ当量は、後述の実施例の項に記載される方法で求められる。
<重量平均分子量>
本発明のエポキシ樹脂の重量平均分子量Mwは、10,000以上200,000以下であることが好ましい。重量平均分子量が10,000より低いものでは伸び性、可撓性が低くなる傾向にあり、200,000より高いと樹脂の取り扱いが困難となる傾向にある。エポキシ樹脂の重量平均分子量は、後述の実施例の項に記載される方法で求められる。
<熱伝導率>
本発明のエポキシ樹脂の熱伝導率(硬化前の熱伝導率)は、通常0.18W/mK以上、好ましくは0.19W/mK以上、さらに好ましくは0.20W/mK以上である。尚、一般的にエポキシ樹脂の熱伝導率はエポキシ樹脂の硬化物として評価されることが多く、一般的な硬化していないビスフェノールA型エポキシ樹脂の熱伝導率は通常この値よりも低く、液状であるため伸び性を測定するサンプル作成も不可能である場合が多い。本発明のエポキシ樹脂は、硬化前の樹脂そのものの状態でも十分な製膜性と熱伝導率を有し、かつ伸び性とのバランスにも優れるものである。なお、エポキシ樹脂の熱伝導率は、後述の実施例の項に記載される方法で測定される。
<ガラス転移温度:Tg(DSC)>
本発明のエポキシ樹脂は耐熱性に優れるものであり、後掲の実施例の項で示すガラス転移温度Tg(DSC)で評価した場合、100℃以上、220℃以下を達成することができる。エポキシ樹脂のTg(DSC)は、後掲の本発明のエポキシ樹脂を用いる用途では高い方が好ましく、好ましくは105℃以上、より好ましくは115℃以上、更に好ましくは120℃以上であるが、Tg(DSC)が高過ぎると、加工プロセスで使用する加熱温度で硬化反応が十分に進行せず、品質が安定しなかったり、要求される物性が発現しない、といった問題が生じうるため、その上限は通常200℃であることが好ましい。
<製造方法>
本発明のエポキシ樹脂は、例えば、ビフェニル骨格を有する2官能エポキシ樹脂(X)とビフェノール化合物(Y)を反応させる、二段法によって得ることができる。また、1種類または2種類以上のビフェノール化合物(Y)とエピクロロヒドリンを直接反応させる、一段法によっても得られる。しかし、ビフェノール化合物(Y)は溶剤溶解性が良くないため、一般的に一段法に用いられる溶剤が適用できない場合があるので、二段法を用いることが好ましい。
本発明のエポキシ樹脂の製造に用いられる2官能エポキシ樹脂(X)は、ビフェニル骨格を有し、分子内に2個のエポキシ基を持つ化合物であり、下記式(5)で表される。2官能エポキシ樹脂(X)としては、下記式(4)で表されるビフェノール化合物をエピハロヒドリンと反応させて得られるエポキシ樹脂等が挙げられる。
Figure 2012107215
(上記式(4)中、Rは式(2)におけるRと同義であり、また、上記式(5)中、R2’は式(2)おけるRと同義である。)
前記式(4)で表されるビフェノール化合物としては、例えば、2,2’−ビフェノール、2,3’−ビフェノール、2,4’−ビフェノール、3,3’−ビフェノール、3,4’−ビフェノール、4,4’−ビフェノール、2−メチル−4,4’−ビフェノール、3−メチル−4,4’−ビフェノール、2,2’−ジメチル−4,4’−ビフェノール、3,3’−ジメチル−4,4’−ビフェノール、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ビフェノール、2,2’,3,3’,5,5’−ヘキサメチル−4,4’−ビフェノール、2,2’,3,3’,5,5’,6,6’−オクタメチル−4,4’−ビフェノール等が挙げられる。これらの中で好ましいものは、4,4’−ビフェノール、3,3’−ジメチル−4,4’−ビフェノール、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ビフェノールである。エピハロヒドリンとの縮合反応を行う際には、これらのビフェノール化合物は単独で用いてもよく、また複数種を併用してもよい。また、このようなビフェノール化合物とエピハロヒドリンとを縮合させて得られた2官能エポキシ樹脂(X)を複数種併用することもできる。
2官能エポキシ樹脂(X)としては、その末端基不純物である加水分解塩素濃度が200ppm以下であり、αグリコール基濃度が100meq/kg以下である2官能エポキシ樹脂(X)を原料として使用することが好ましい。加水分解塩素濃度が200ppmより大きい場合や、αグリコール基濃度が100meq/kgより大きい場合には、十分に高分子量化しなくなり、好ましくない。
一方、ビフェノール化合物(Y)は、2個の水酸基がビフェニル骨格に結合した化合物であり、前記式(4)で表される。ビフェノール化合物(Y)としては、上記と同様、例えば、2,2’−ビフェノール、2,3’−ビフェノール、2,4’−ビフェノール、3,3’−ビフェノール、3,4’−ビフェノール、4,4’−ビフェノール、2−メチル−4,4’−ビフェノール、3−メチル−4,4’−ビフェノール、2,2’−ジメチル−4,4’−ビフェノール、3,3’−ジメチル−4,4’−ビフェノール、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ビフェノール、2,2’,3,3’,5,5’−ヘキサメチル−4,4’−ビフェノール、2,2’,3,3’,5,5’,6,6’−オクタメチル−4,4’−ビフェノール等が挙げられる。これらの中で好ましいものは、4,4’−ビフェノール、3,3’−ジメチル−4,4’−ビフェノール、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ビフェノールである。これらのビフェノール化合物は複数種を併用することもできる。
なお、上記2官能エポキシ樹脂(X)とビフェノール化合物(Y)に含まれるビフェニル骨格が同時に無置換でないことが好ましく、一分子中に1つ以上の置換基を有することが好ましい。全てが無置換のビフェニル骨格であると、得られるエポキシ樹脂の結晶性が高くなり、伸び性が悪くなる傾向にある。
本発明のエポキシ樹脂の製造において、上記の2官能エポキシ樹脂(X)とビフェノール化合物(Y)の使用量は、その配合当量比で、エポキシ基:フェノール性水酸基=1:0.90〜1.10となるようにするのが好ましい。この当量比が上記範囲であることにより十分に高分子量化を進行させることができる。
本発明のエポキシ樹脂の合成には触媒を用いてもよく、その触媒としては、エポキシ基とフェノール性水酸基、アルコール性水酸基やカルボキシル基との反応を進めるような触媒能を持つ化合物であればどのようなものでもよい。例えば、アルカリ金属化合物、有機リン化合物、第3級アミン、第4級アンモニウム塩、環状アミン類、イミダゾール類等が挙げられる。
アルカリ金属化合物の具体例としては、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化リチウム、塩化カリウム等のアルカリ金属塩、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド等のアルカリ金属アルコキシド、アルカリ金属フェノキシド、水素化ナトリウム、水素化リチウム等のアルカリ金属の水素化物、酢酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム等の有機酸のアルカリ金属塩が挙げられる。
有機リン化合物の具体例としては、トリ−n−プロピルホスフィン、トリ−n−ブチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、テトラメチルホスフォニウムブロマイド、テトラメチルホスフォニウムアイオダイド、テトラメチルホスフォニウムハイドロオキサイド、トリメチルシクロヘキシルホスホニウムクロライド、トリメチルシクロヘキシルホスホニウムブロマイド、トリメチルベンジルホスホニウムクロライド、トリメチルベンジルホスホニウムブロマイド、テトラフェニルホスホニウムブロマイド、トリフェニルメチルホスホニウムブロマイド、トリフェニルメチルホスホニウムアイオダイド、トリフェニルエチルホスホニウムクロライド、トリフェニルエチルホスホニウムブロマイド、トリフェニルエチルホスホニウムアイオダイド、トリフェニルベンジルホスホニウムクロライド、トリフェニルベンジルホスホニウムブロマイドなどが挙げられる。
第3級アミンの具体例としては、トリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、トリエタノールアミン、ベンジルジメチルアミンなどが挙げられる。
第4級アンモニウム塩の具体例としては、テトラメチルアンモニウムクロライド、テトラメチルアンモニウムブロマイド、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド、トリエチルメチルアンモニウムクロライド、テトラエチルアンモニウムクロライド、テトラエチルアンモニウムブロマイド、テトラエチルアンモニウムアイオダイド、テトラプロピルアンモニウムブロマイド、テトラプロピルアンモニウムハイドロオキサイド、テトラブチルアンモニウムクロライド、テトラブチルアンモニウムブロマイド、テトラブチルアンモニウムアイオダイド、ベンジルトリメチルアンモニウムクロライド、ベンジルトリメチルアンモニウムブロマイド、ベンジルトリメチルアンモニウムハイドロオキサイド、ベンジルトリブチルアンモニウムクロライド、フェニルトリメチルアンモニウムクロライドなどが挙げられる。
環状アミン類の具体例としては、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7,1,5−ジアザビシクロ(4,3,0)ノネン−5等が挙げられる。
イミダゾール類の具体例としては、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾールなどが挙げられる。
これらの触媒は1種のみを使用することも、2種以上組み合わせて使用することもできる。
触媒の使用量は反応固形分中、通常0.001〜1重量%であるが、アルカリ金属化合物を使用すると得られるエポキシ樹脂中にアルカリ金属分が残留し、それを使用したプリント配線板の絶縁特性を悪化させる傾向があるため、エポキシ樹脂中のLi,NaおよびKの含有量の合計が60ppm以下、好ましくは50ppm以下とする必要がある。
また、有機リン化合物、第3級アミン、第4級アンモニウム塩、環状アミン類、イミダゾール類等を触媒として使用した場合も、得られるエポキシ樹脂中にこれらが触媒残渣として残留し、アルカリ金属分の残留と同様にプリント配線板の絶縁特性を悪化させることがあるので、エポキシ樹脂中の窒素の含有量が300ppm以下であり、エポキシ樹脂中のリンの含有量が300ppm以下である必要がある。さらに好ましくは、エポキシ樹脂中の窒素の含有量が200ppm以下であり、エポキシ樹脂中のリンの含有量が200ppm以下である。
本発明のエポキシ樹脂は、その製造時の合成反応の工程において、溶剤を用いてもよく、その溶剤としては、エポキシ樹脂を溶解するものであればどのようなものでもよい。例えば、芳香族系溶剤、ケトン系溶剤、アミド系溶剤、グリコールエーテル系溶剤などが挙げられる。
芳香族系溶剤の具体例としては、ベンゼン、トルエン、キシレンなどが挙げられる。
ケトン系溶剤の具体例としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、2−ヘプタノン、4−ヘプタノン、2−オクタノン、シクロヘキサノン、アセチルアセトン、ジオキサンなどが挙げられる。
アミド系溶剤の具体例としては、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、2−ピロリドン、N−メチルピロリドンなどが挙げられる。
グリコールエーテル系溶剤の具体例としては、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどが挙げられる。
これらの溶剤は単独で用いてもよく、2種以上を併用することもできる。
エポキシ樹脂の製造時の合成反応における固形分濃度は35〜95重量%が好ましい。
また、反応途中で高粘性生成物が生じたときは溶剤を追加添加して反応を続けることもできる。反応終了後、溶剤は必要に応じて、除去することもできるし、更に追加することもできる。
エポキシ樹脂の製造において、2官能エポキシ樹脂(X)とビフェノール化合物(Y)との重合反応は使用する触媒が分解しない程度の反応温度で実施される。反応温度が高すぎると生成するエポキシ樹脂が劣化するおそれがある。逆に温度が低すぎると十分に反応が進まないことがある。これらの理由から反応温度は、好ましくは50〜230℃、より好ましくは120〜200℃である。また、反応時間は通常1〜12時間、好ましくは3〜10時間である。アセトンやメチルエチルケトンのような低沸点溶剤を使用する場合には、オートクレーブを使用して高圧下で反応を行うことで反応温度を確保することができる。
[エポキシ樹脂組成物]
本発明のエポキシ樹脂組成物は、エポキシ樹脂成分として少なくとも上述の本発明のエポキシ樹脂、すなわちエポキシ樹脂(1)と硬化剤を含むものであり、熱伝導性に優れると共に、各種用途に要求される諸物性を十分に満たす硬化物を与える。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、エポキシ樹脂成分としてエポキシ樹脂(1)のみを含むものであってもよく、エポキシ樹脂(1)と共にエポキシ樹脂(1)以外のエポキシ樹脂(以下「他のエポキシ樹脂」と称す場合がある。)を含んでいてもよい。
<作用機構>
これまでに報告されている高熱伝導性エポキシ樹脂の設計思想は、メソゲン部位間の相互作用を利用して分子(鎖)を自発的に配向させたり、外部磁場などの印可によりメソゲンを含む分子(鎖)を配向させることによりフォノン散乱を低減させて熱伝導性を向上させることを主目的としていた。そのため、従来の高熱伝導性エポキシ樹脂はほぼすべてが熱伝導性を高めるために設計されたエポキシ樹脂であり、硬化条件を含めた硬化プロセス等において制限があることが多く、その選択の自由度は低かった。このため、部材や封止剤、接着剤などの製品に従来の高熱伝導性エポキシ樹脂を適用しようとした場合、製品の要求物性と高熱伝導性を両立させることが非常に困難であった。
これに対し、本発明のエポキシ樹脂(1)は、それ自体熱伝導性に優れ、エポキシ樹脂成分として所望の量添加することで硬化物の熱伝導性を高めることが出来ることから、製品への要求物性と高熱伝導性の両立が可能な本発明のエポキシ樹脂組成物を提供することができる。
<他のエポキシ樹脂>
本発明のエポキシ樹脂組成物は、本発明のエポキシ樹脂(1)に加え、他のエポキシ樹脂を含むことが出来る。
他のエポキシ樹脂としては、分子内に2個以上のエポキシ基を有するものであることが好ましく、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、トリフェニルメタン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂等の、各種エポキシ樹脂を使用することができる。
これらは1種を単独でまたは2種以上の混合体として使用することができる。
<硬化剤>
本発明のエポキシ樹脂組成物においては硬化剤が配合される。
本発明における硬化剤とは、エポキシ樹脂のエポキシ基間の架橋反応に寄与する物質を示す。
本発明に用いる硬化剤としては、特に制限はなく一般的にエポキシ樹脂硬化剤として知られているものはすべて使用できる。例えば、フェノール系硬化剤、脂肪族アミン、ポリエーテルアミン、脂環式アミン、芳香族アミンなどのアミン系硬化剤、酸無水物系硬化剤、アミド系硬化剤、第3級アミン、イミダゾール類、有機ホスフィン類、ホスホニウム塩、テトラフェニルボロン塩、有機酸ジヒドラジド、ハロゲン化ホウ素アミン錯体、ポリメルカプタン系硬化剤、イソシアネート系硬化剤、ブロックイソシアネート系硬化剤等が挙げられる。
フェノール系の硬化剤の具体例としては、ビスフェノールA、ビスフェノールF、4,4’−ジヒドロキシジフェニルメタン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、1,4−ビス(4−ヒドロキシフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−ヒドロキシフェノキシ)ベンゼン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、4,4’−ジヒドロキシジフェニルケトン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、2,2’−ジヒドロキシビフェニル、10−(2,5−ジヒドロキシフェニル)−10H−9−オキサ−10−ホスファフェナンスレン−10−オキサイド、フェノールノボラック、ビスフェノールAノボラック、o−クレゾールノボラック、m−クレゾールノボラック、p−クレゾールノボラック、キシレノールノボラック、ポリ−p−ヒドロキシスチレン、ハイドロキノン、レゾルシン、カテコール、t−ブチルカテコール、t−ブチルハイドロキノン、フルオログリシノール、ピロガロール、t−ブチルピロガロール、アリル化ピロガロール、ポリアリル化ピロガロール、1,2,4−ベンゼントリオール、2,3,4−トリヒドロキシベンゾフェノン、1,2−ジヒドロキシナフタレン、1,3−ジヒドロキシナフタレン、1,4−ジヒドロキシナフタレン、1,5−ジヒドロキシナフタレン、1,6−ジヒドロキシナフタレン、1,7−ジヒドロキシナフタレン、1,8−ジヒドロキシナフタレン、2,3−ジヒドロキシナフタレン、2,4−ジヒドロキシナフタレン、2,5−ジヒドロキシナフタレン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、2,7−ジヒドロキシナフタレン、2,8−ジヒドロキシナフタレン、上記ジヒドロキシナフタレンのアリル化物またはポリアリル化物、アリル化ビスフェノールA、アリル化ビスフェノールF、アリル化フェノールノボラック、アリル化ピロガロール等が例示される。
アミン系硬化剤の具体例として、脂肪族アミン類としては、エチレンジアミン、1,3−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノプロパン、ヘキサメチレンジアミン、2,5−ジメチルヘキサメチレンジアミン、トリメチルヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、イミノビスプロピルアミン、ビス(ヘキサメチレン)トリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、N−ヒドロキシエチルエチレンジアミン、テトラ(ヒドロキシエチル)エチレンジアミン等が例示される。ポリエーテルアミン類としては、トリエチレングリコールジアミン、テトラエチレングリコールジアミン、ジエチレングリコールビス(プロピルアミン)、ポリオキシプロピレンジアミン、ポリオキシプロピレントリアミン類等が例示される。脂環式アミン類としては、イソホロンジアミン、メタセンジアミン、N−アミノエチルピペラジン、ビス(4−アミノ−3−メチルジシクロヘキシル)メタン、ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、3,9−ビス(3−アミノプロピル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン、ノルボルネンジアミン等が例示される。芳香族アミン類としては、テトラクロロ−p−キシレンジアミン、m−キシレンジアミン、p−キシレンジアミン、m−フェニレンジアミン、o−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、2,4−ジアミノアニソール、2,4−トルエンジアミン、2,4−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノ−1,2−ジフェニルエタン、2,4−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、m−アミノフェノール、m−アミノベンジルアミン、ベンジルジメチルアミン、2−ジメチルアミノメチル)フェノール、トリエタノールアミン、メチルベンジルアミン、α−(m−アミノフェニル)エチルアミン、α−(p−アミノフェニル)エチルアミン、ジアミノジエチルジメチルジフェニルメタン、α,α’−ビス(4−アミノフェニル)−p−ジイソプロピルベンゼン等が例示される。
酸無水物系硬化剤の具体例としては、ドデセニル無水コハク酸、ポリアジピン酸無水物、ポリアゼライン酸無水物、ポリセバシン酸無水物、ポリ(エチルオクタデカン二酸)無水物、ポリ(フェニルヘキサデカン二酸)無水物、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、無水メチルハイミック酸、テトラヒドロ無水フタル酸、トリアルキルテトラヒドロ無水フタル酸、メチルシクロヘキセンジカルボン酸無水物、メチルシクロヘキセンテトラカルボン酸無水物、無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、エチレングリコールビストリメリテート二無水物、無水ヘット酸、無水ナジック酸、無水メチルナジック酸、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロ−3−フラニル)−3−メチル−3−シクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸無水物、3,4−ジカルボキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−1−ナフタレンコハク酸二無水物、1−メチル−ジカルボキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−1−ナフタレンコハク酸二無水物等が例示される。
アミド系硬化剤としては、ジシアンジアミド、ポリアミド樹脂等が例示される。
第3級アミンとしては、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7、トリエチレンジアミン、ベンジルジメチルアミン、トリエタノールアミン、ジメチルアミノエタノール、トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール等が例示される。
イミダゾール類としては、2−フェニルイミダゾール、2−エチル−4(5)−メチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾール、1−シアノ−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾールトリメリテイト、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾリウムトリメリテイト、2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2’−エチル−4’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジンイソシアヌル酸付加体、2−フェニルイミダゾールイソシアヌル酸付加体、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール、およびエポキシ樹脂と上記イミダゾール類との付加体等が例示される。
有機ホスフィン類としては、トリブチルホスフィン、メチルジフェニルホスフイン、トリフェニルホスフィン、ジフェニルホスフィン、フェニルホスフィン等が例示され、ホスホニウム塩としては、テトラフェニルホスホニウム・テトラフェニルボレート、テトラフェニルホスホニウム・エチルトリフェニルボレート、テトラブチルホスホニウム・テトラブチルボレート等が例示され、テトラフェニルボロン塩としては、2−エチル−4−メチルイミダゾール・テトラフェニルボレート、N−メチルモルホリン・テトラフェニルボレート等が例示される。
これらの硬化剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせおよび比率で混合して用いてもよい。
[無機充填剤]
本発明のエポキシ樹脂組成物は無機充填剤を含有していてもよく、無機充填剤を含むことにより、より一層の熱伝導性の向上を図ることができる。
本発明で用いる無機充填剤は高い熱伝導性を有するものが好ましく、当該無機充填剤の熱伝導率として1W/m・K以上、好ましくは2W/m・K以上の高熱伝導性無機フィラーが好ましい。
無機充填剤としては、アルミナ(Al:熱伝導率30W/m・K)、窒化アルミニウム(AlN:熱伝導率260W/m・K)、窒化ホウ素(BN:熱伝導率3W/m・K(厚み方向)、275W/m・K(面内方向))、窒化ケイ素(Si:熱伝導率23W/m・K)、シリカ(SiO:熱伝導率1.4W/m・K)などが挙げられ、なかでも、Al、AlN、BN、SiOが好ましく、とりわけAl、BN、SiOが好ましい。
無機充填剤は、その粒径が大き過ぎると硬化物中にボイドが残留しやすくなり、小さ過ぎると凝集しやすくなり分散性が悪くなることから、粒状や扁平状の無機充填剤であれば、平均粒径0.05〜1000μm程度のものを用いることが好ましい。
また、凝集状の無機充填剤であれば、平均結晶径が0.01μm〜5μmで、平均凝集径が1〜1000μmのものを用いることが好ましい。
これらの無機充填剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせおよび比率で混合して用いてもよい。
[溶剤]
本発明のエポキシ樹脂組成物は、塗膜形成時の取り扱い時に、エポキシ樹脂組成物の粘度を適度に調整するために溶剤を配合してもよい。
本発明のエポキシ樹脂組成物が含み得る溶剤としては、例えばアセトン、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、酢酸エチル等のエステル類、エチレングリコールモノメチルエーテル等のエーテル類、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類、メタノール、エタノール等のアルコール類、ヘキサン、シクロヘキサン等のアルカン類、トルエン、キシレン等の芳香族類などが挙げられる。
これらの溶剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせおよび比率で混合して用いてもよい。
[その他の添加剤]
本発明のエポキシ樹脂組成物には、その機能性の更なる向上を目的として、各種の添加剤を含んでいてもよい。
このようなその他の添加剤としては、基材との接着性やマトリックス樹脂と無機充填剤との接着性を向上させるための添加成分として、シランカップリング剤やチタネートカップリング剤等のカップリング剤、保存安定性向上のための紫外線防止剤、酸化防止剤、可塑剤、はんだの酸化皮膜除去のためのフラックス、難燃剤、着色剤、分散剤、乳化剤、低弾性化剤、希釈剤、消泡剤、イオントラップ剤等が挙げられる。
ここで、シランカップリング剤としては、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等のエポキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン等のアミノシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等のメルカプトシラン、p−スチリルトリメトキシシラン、ビニルトリクロルシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等のビニルシラン、さらに、エポキシ系、アミノ系、ビニル系の高分子タイプのシラン等が挙げられる。
一方、チタネートカップリング剤としては、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリ(N−アミノエチル・アミノエチル)チタネート、ジイソプロピルビス(ジオクチルホスフェート)チタネート、テトライソプロピルビス(ジオクチルホスファイト)チタネート、テトラオクチルビス(ジトリデシルホスファイト)チタネート、テトラ(2,2−ジアリルオキシメチル−1−ブチル)ビス(ジトリデシル)ホスファイトチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)オキシアセテートチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)エチレンチタネート等が挙げられる。
これらは、いずれも1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせおよび比率で混合して用いてもよい。
<配合組成>
本発明のエポキシ樹脂組成物において、エポキシ樹脂成分はエポキシ樹脂(1)のみよりなるものであってもよく、エポキシ樹脂(1)と他のエポキシ樹脂とからなるものであってもよい。本発明のエポキシ樹脂組成物において、固形分としての全エポキシ樹脂成分中のエポキシ樹脂(1)の割合は、通常1〜100重量%、好ましくは1〜99重量%、より好ましくは5〜95重量%である。エポキシ樹脂(1)の割合が1重量%以上であることにより、エポキシ樹脂(1)を配合することによる熱伝導性の向上効果を十分に得ることができ、所望の高熱伝導性を得ることができる。エポキシ樹脂(1)の割合が99重量%以下で他のエポキシ樹脂が1重量%以上であることにより、他のエポキシ樹脂の配合効果が発揮され、硬化性、硬化物の物性が十分なものとなる。なお、本発明において「固形分」とは、常温(20℃)で揮発する溶媒などを除いた成分を意味し、固体のみならず、半固形や粘稠な液状物をも含むものとする。
また、本発明のエポキシ樹脂組成物中の硬化剤の含有量は、固形分としての全エポキシ樹脂成分と硬化剤の合計に対して0.1〜60重量%である。
硬化剤がフェノール系硬化剤、アミン系硬化剤、酸無水物系硬化剤の場合は、エポキシ樹脂中のエポキシ基と硬化剤中の官能基との当量比で0.8〜1.5の範囲となるように用いることが好ましい。この範囲外であると未反応のエポキシ基や硬化剤の官能基が残留し、所望の物性が得られないことがある。
また、硬化剤がアミド系硬化剤、第3級アミン、イミダゾール類、有機ホスフィン類、ホスホニウム塩、テトラフェニルボロン塩、有機酸ジヒドラジド、ハロゲン化ホウ素アミン錯体、ポリメルカプタン系硬化剤、イソシアネート系硬化剤、ブロックイソシアネート系硬化剤等の場合は、エポキシ樹脂組成物中の固形分としての全エポキシ樹脂成分と硬化剤の合計に対して0.1〜20重量%の範囲で用いることが好ましい。
本発明のエポキシ樹脂組成物が無機充填剤を含む場合、無機充填剤の配合割合は、エポキシ樹脂組成物中の全固形分(通常、エポキシ樹脂組成物中の全固形分とは樹脂組成物中の溶剤を除く成分の合計をさす)に対して好ましくは5〜98重量%、より好ましくは10〜95重量%であり、このエポキシ樹脂組成物を硬化させて得られる硬化物中の体積割合として好ましくは10〜90体積%、より好ましくは15〜85体積%である。
無機充填剤の配合量が上記下限値以上であることにより、無機充填剤を配合することによる熱伝導性の向上効果が十分なものとなり、所望の高熱伝導性を得ることができ、上記上限値以下であることにより、成膜性や接着性、硬化物の物を損なうことなく、良好な特性が得られる。
本発明のエポキシ樹脂組成物において、溶剤は、前述の如く、エポキシ樹脂組成物の成形における取り扱い性、作業性を確保するために用いられ、その使用量には特に制限がない。
また、その他の添加剤の配合量には特に制限はなく、必要な機能性が得られる程度に、通常の樹脂組成物の配合量で用いられる。
なお、その他の添加剤のうち、カップリング剤の添加量は、エポキシ樹脂組成物中の全固形分に対して0.1〜2.0重量%程度とするのが好ましい。カップリング剤の配合量が少ないと、カップリング剤を配合したことによるマトリックス樹脂と無機充填剤との密着性の向上効果を十分に得ることができず、多過ぎると得られる硬化物からカップリング剤がブリードアウトするおそれがある。
[硬化物]
本発明の硬化物は、前述の本発明のエポキシ樹脂組成物を硬化させてなるものであり、伸び性、熱伝導性、耐熱性のバランスに優れ、良好な硬化物特性を示すものである。本発明の硬化物は上記の優れた硬化物特性を有するため、以下に記載する各種用途に有用である。
[用途]
本発明のエポキシ樹脂およびエポキシ樹脂組成物は、フィルム成形・塗布等のプロセスに適用するのに十分な伸び性を有し、かつ熱伝導性、耐熱性とのバランスに優れ、硬化物特性にも優れるものであり、接着剤、塗料、土木建築用材料、電気・電子部品の絶縁材料等、様々な分野に適用可能であり、特に、電気・電子分野における絶縁注型、積層材料、封止材料等として有用である。
本発明のエポキシ樹脂およびエポキシ樹脂組成物の用途の一例としては、多層プリント配線基板、フィルム状接着剤、液状接着剤、半導体封止材料、アンダーフィル材料、3D−LSI用インターチップフィル、絶縁シート、プリプレグ、放熱基板等が挙げられるが、何らこれらに限定されるものではない。
以下、本発明を実施例に基づいてより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例により何ら限定されるものではない。なお、以下の実施例における各種の製造条件や評価結果の値は、本発明の実施形態における上限又は下限の好ましい値として意味をもつものであり、好ましい範囲は前記した上限又は下限の値と、下記実施例の値又は実施例同士の値との組み合わせで規定される範囲であってもよい。
以下において、「部」は全て「重量部」を示す。
また、以下における各種特性の測定方法は次の通りである。
[特性の測定方法]
<分子量>
高速ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)装置(東ソー(株)製 HLC−8320GPC EcoSEC(登録商標))を使用し、以下の測定条件で、標準ポリスチレンとして、TSK Standard Polystyrene:F−128(Mw1,090,000、Mn1,030,000)、F−10(Mw106,000、Mn103,000)、F−4(Mw43,000、Mn42,700)、F−2(Mw17,200、Mn16,900)、A−5000(Mw6,400、Mn6,100)、A−2500(Mw2,800、Mn2,700)、A−300(Mw453、Mn387)を使用した検量線を作成し、重量平均分子量および数平均分子量をポリスチレン換算値として測定した。
カラム:東ソー(株)製「TSKGEL SuperHM−H+H5000+H4000+H3000+H2000」
溶離液:テトラヒドロフラン
流速:0.5ml/分
検出:UV(波長254nm)
温度:40℃
試料濃度:0.1重量%
インジェクション量:10μl
<n数>
前記式(1)におけるnの値およびその平均値は、上記で求められた数平均分子量より算出した。
<エポキシ当量>
JIS K 7236に準じて測定し、固形分換算値として表記した。
<エポキシ樹脂のガラス転移温度:Tg(DSC)>
溶剤を乾燥除去したエポキシ樹脂で、SIIナノテクノロジー(株)製 示差走査熱量計「DSC7020」を使用し、30〜200℃まで10℃/分で昇温して測定した。
<伸び>
エポキシ樹脂の溶液をセパレータ(シリコーン処理したポリエチレンテレフタレートフィルム、厚み:100μm)にアプリケーターで塗布し、以下のaまたはbの条件で乾燥させ、厚さ約50μmのエポキシ樹脂フィルムを得た。
a:60℃で1時間、その後150℃で1時間、更に200℃で1時間乾燥
b:150℃で2時間、その後200℃で1時間乾燥
これを幅1cmに切り出し、精密万能試験機(インストロン社製 INSTRON 5582型)を使用して5mm/分で3回測定した平均値を示した。
<熱伝導率>
エポキシ樹脂の溶液(実施例1−1〜1−3及び比較例1−1)またはエポキシ樹脂組成物(実施例2−1〜2−5、比較例2−1、実施例3−1〜3−3及び比較例3−1)を、セパレータ(シリコーン処理したポリエチレンテレフタレートフィルム、厚み:100μm)にドクターブレードで塗布した。
エポキシ樹脂の溶液については、以下のaまたはbの条件で加熱乾燥させ、厚さ約50μmのエポキシ樹脂のフィルムを得た(実施例1−1〜1−3及び比較例1−1)。
a:60℃で1時間、その後150℃で1時間、更に200℃で1時間加熱
b:150℃で2時間、その後、200℃で1時間加熱
また、エポキシ樹脂組成物については、上記のaまたはbの条件で加熱することにより硬化させ、厚さ約50μmの硬化物のフィルムを得た(実施例2−1〜2−5、比較例2−1、実施例3−1〜3−3及び比較例3−1)。
これらのフィルムについて、以下の装置にて、熱拡散率、比重、比熱を測定し、この3つの測定値を乗じることで熱伝導率を求めた。
熱拡散率:(株)アイフェイズ「アイフェイズ・モバイル 1u」
比重:メトラー・トレド(株)「天秤 XS−204」(「固体比重測定キット」使用)
比熱:セイコーインスツル(株)「DSC320/6200」
<硬化物のガラス転移温度:Tg(DMA)及び貯蔵弾性率E’>
得られた硬化物のフィルムのガラス転移温度Tg(DMA)、並びに30℃及び200℃における弾性率を動的粘弾性測定装置(DMA)により測定した。動的粘弾性測定により、貯蔵弾性率E’、損失弾性率E''の値が得られる。ガラス転移温度Tg(DMA)は、損失正接tanδ(=E''/E’)の最大値より求めた。また、30℃及び200℃における弾性率は、貯蔵弾性率E’の値を用いた。
ガラス転移温度Tg(DMA)が高いほど耐熱性に優れるものと評価し、また、弾性率(貯蔵弾性率E’)の値が低いほど可撓性に優れるものと評価した。
なお、動的粘弾性測定の測定条件は下記の通りである。
装置:TAインスツルメント社製 RSAIII
測定温度範囲:30℃〜200℃
引張荷重:100mN(初期静荷重)
周波数:1Hz
昇温速度:2℃/分
サンプル幅:3mm
スパン間距離:20mm
[エポキシ樹脂の製造と評価]
<実施例1−1〜1−3及び比較例1−1>
表−1に示した配合で化合物(X)、化合物(Y)、触媒および反応用溶剤を撹拌機付き耐圧反応容器に入れ、窒素ガス雰囲気下、180℃で5時間反応を行った後、希釈用溶剤を加えて固形分濃度を調整した。反応生成物から定法により溶剤を除去した後、得られた樹脂について分析を行った。結果を表−1に示す。
なお、反応に用いた化合物、触媒および溶剤は以下の通りである。
<化合物(X)>
(X−A):三菱化学(株)製 商品名「YL6121H」(4,4’−ビフェノール型エポキシ樹脂と3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ビフェノール型エポキシ樹脂の1:1混合物、エポキシ当量171g/当量)
(X−B):三菱化学(株)製 商品名「YX4000」(3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ビフェノールジグリシジルエーテル、エポキシ当量186g/当量)
<化合物(Y)>
(Y−A):3,3’−ジメチル−4,4’−ビフェノール(OH当量107g/当量、本州化学(株)製)
(Y−B):3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ビフェノール(OH当量121g/当量)
(Y−C):4,4’−ビフェノール(OH当量93g/当量)
<触媒>
(C−1):27重量%テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド水溶液
(C−2):50重量%テトラメチルアンモニウムクロライド水溶液
<溶剤>
(S−1):シクロヘキサノン
(S−2):メチルエチルケトン
Figure 2012107215
[エポキシ樹脂組成物の製造と評価]
<実施例2−1>
実施例1−1で得られたエポキシ樹脂(Mw59,741)2.5g(樹脂の固形分0.75g;60重量部)と、ビスフェノールAノボラック型多官能エポキシ樹脂80重量%MEK溶液(三菱化学(株)製 商品名「157S65B80)」)0.625g(樹脂の固形分0.5g;40重量部)と、硬化剤として2−エチル−4(5)−メチルイミダゾール(三菱化学(株)製 商品名「EMI24」)の20重量%溶液(溶剤MEK)0.032g(硬化剤重量0.00625g;0.5重量部)をはかり取り、自転公転ミキサーにて撹拌混合・脱泡を行った。このエポキシ樹脂組成物について前述の方法により硬化フィルムを作製し、その熱伝導率を求めた。結果を表−2に示す。
<実施例2−2〜2−5、比較例2−1、実施例3−1〜3−3及び比較例3−1>
表−2または表−3に示したようにエポキシ樹脂組成物の配合を変更した以外は実施例2−1と同様にエポキシ樹脂組成物を製造し、表−2または表−3に示した硬化条件にて硬化フィルムを得た。実施例2−1と同様に前述の方法にて熱伝導率を測定し、実施例3−1〜3−3及び比較例3−1については、更に、前述の方法にてガラス転移温度Tg(TMA)、及び30℃と200℃とのそれぞれにおける貯蔵弾性率E’を測定した。
なお、表−2及び表−3の「その他のエポキシ樹脂」、「硬化剤」における略号の意味は下記の通りである。
・その他のエポキシ樹脂
「1256B40」:三菱化学(株)製 ビスフェノールA型エポキシ樹脂40重量%MEK溶液
「157S65B80」:三菱化学(株)製 ビスフェノールAノボラック型多官能エポキシ樹脂80重量%MEK溶液
「NC−3000−H」:日本化薬(株)製 ビフェニル型多官能エポキシ樹脂
「NC−3000」:日本化薬(株)製 ビフェニル型多官能エポキシ樹脂
・硬化剤
「EMI24」:三菱化学(株)製 2−エチル−4(5)−メチルイミダゾール
Figure 2012107215
Figure 2012107215
表−1の結果より、実施例1−1〜1−3のエポキシ樹脂は、比較例1−1のエポキシ樹脂(特開2010−001427号公報の実施例1に類似するエポキシ樹脂)と比較してフィルム製膜性、伸び性、耐熱性のそれぞれが優れていることがわかる。
また、表−2の結果より、実施例2−1〜2−5のエポキシ樹脂は、比較例2−1よりも熱伝導性に優れていることがわかる。
更に、表−3の結果より、実施例3−1〜3−3のエポキシ樹脂は、比較例3−1のエポキシ樹脂よりも剛直な骨格を有しているにも関わらず、その硬化物は同等の可撓性を有し、かつ熱伝導性は比較例3−1よりも優れたものであることがわかる。
以上の結果より、本発明のエポキシ樹脂は、フィルム成形・塗布等のプロセスに適用するのに十分な製膜性、伸び性を有し、熱伝導性、耐熱性のバランスにも優れることがわかる。また、本発明のエポキシ樹脂から得られる硬化物の弾性率は比較例と同等であり、可撓性を維持したまま、特別な材料組成や硬化プロセスを必要とせずに既存の材料に置き換えるだけで熱伝導性を向上させることが出来るものであることがわかる。

Claims (4)

  1. 下記式(1)で表され、かつエポキシ当量が2,500g/当量以上30,000g/当量以下であるエポキシ樹脂。
    Figure 2012107215
    (上記式(1)中、Aは下記式(2)で表されるビフェニル骨格であり、Bは水素原子または下記式(3)で表される基であり、nは繰り返し数であり、平均値は1<n<100である。)
    Figure 2012107215
    (上記式(2)中、Rは、水素原子、炭素数1〜10の炭化水素基、またはハロゲン元素であり、互いに同一であっても異なっていてもよい。)
    Figure 2012107215
  2. 前記式(2)におけるRが、水素原子または炭素数が1〜4のアルキル基であり、式(2)で表されるビフェニル骨格は少なくとも一つの水素原子と少なくとも一つの炭素数1〜4のアルキル基を有する請求項1に記載のエポキシ樹脂。
  3. エポキシ樹脂成分と硬化剤とを含むエポキシ樹脂組成物において、該エポキシ樹脂成分として少なくとも請求項1または2に記載のエポキシ樹脂を含み、該硬化剤を固形分としての全エポキシ樹脂成分と硬化剤の合計に対して0.1〜60重量%含むエポキシ樹脂組成物。
  4. 請求項3に記載のエポキシ樹脂組成物を硬化させてなる硬化物。
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