治療薬、診断、試薬の分野、および生物学的アッセイにおいて、例えば、核酸の細胞内翻訳およびコードされた目的とするポリペプチドの産生を引き起こすために、インビトロ、インビボ、インサイツ、またはエクスビボにかかわらず、細胞内に核酸、例えば、リボ核酸(RNA)を送達することができることは大変興味深いことである。非組み込みシグナルセンサーポリヌクレオチドの送達および機能が特に重要である。
1個以上の目的とするポリペプチドをコードするシグナルセンサーポリヌクレオチドの組成物(薬学的組成物を含む)、ならびにその設計、調製、製造、および/または製剤化方法が本明細書に記載される。本明細書に記載の目的とするポリペプチドをコードするシグナルセンサーポリヌクレオチドを選択、設計、および/または利用するためのシステム、プロセス、デバイス、およびキットも提供される。
この目的のために、本発明のポリペプチドは、「シグナルセンサーポリヌクレオチド」と呼ばれ、ポリヌクレオチド治療薬(例えば、mRNA)の層別化、プロファイリングおよび/または個別化に特に役立し、特定の細胞型、疾患または細胞の微小環境または生物学的プロファイルに合わせて調節される、新しいクラスのポリヌクレオチド治療薬によってコードされる。
がんは多様な遺伝子発現パターン、物理化学的環境および転移性または運動性挙動を示すことが知られており、HanahanおよびWeinberg(Cell、2011、144:646−674)によると、がんには6つの特徴がある。これらには、増殖性シグナル伝達を維持すること、成長抑制因子を回避すること、細胞死に対して抵抗すること、複製性不死を可能とすること、血管新生を誘導することならびに浸潤および転移を活性化することが含まれる。これらのがんの特徴または機能によって、がんは生存、増殖および播種し、それぞれは、がんの種類によって、異なる時に異なるパターンで生じる。
正常な細胞に害を及ぼさず、がん細胞を選択的に標的にするがん治療薬の開発は、腫瘍学の各領域で最も重要な進行中の取り組みである。本発明のポリヌクレオチドは、そのような治療薬を代表し、例えばがん細胞または正常な細胞といった細胞型によって、細胞系、シグナル増殖(生存)または死を選択的に安定化または不安定化させ、細胞周期または老化を引き起こし、および/または、免疫応答を活性化または回避する能力を有する。
本発明に従い、シグナルセンサーポリヌクレオチド治療薬を用いて、がん細胞の生存優位性または特徴を不安定にし得る(したがって当該治療薬は細胞傷害性となる)。一実施形態において、診断的な試みには、代謝状態(低酸素性、アシドーシス性)、アポトーシス性対生存性の遺伝子プロファイル、細胞周期対老化の段階、免疫状態および存在するストロマ因子を含む、がんのプロファイリング(事前に必要とはされないが)が挙げられるだろう。
一実施形態において、シグナルセンサーポリヌクレオチドは、がん細胞のトランスクリプトームを攪乱する。この攪乱は1つ以上のシグナル伝達または発現事象に影響を及ぼし得る。例えば、コードされた腫瘍学関連ポリペプチドは、がんに関連する遺伝子の発現を誘導または強化すると分かっている転写因子の上流で作用し得る。そのような転写因子を阻害する(結合または隔離減少または分解のいずれかで)腫瘍学関連ポリペプチドをコードするシグナルセンサーポリヌクレオチドの送達はしたがって、がん細胞のトランスクリプトームを改変し得、治療上の効果を有すだろう。そのような転写因子の1つにHIF−1アルファがある。HIF−1アルファと結合できる、または、その発現がより少ないHIF−1アルファにつながるタンパク質をコードするシグナルセンサーポリヌクレオチドは、HIF−1アルファ制御性遺伝子、例えばVEGFAまたはSLC2A1を効果的に抑制し、がんを不安定化させるだろう。
一実施形態において、がんのプロファイルが、シグナルセンサーポリヌクレオチドが選択される前に評価され得る。そのようなプロファイリングデータは、どの関連ポリペプチドを送達するかの選択に関する情報を与えるであろう。アポトーシス、複製能または代謝シグネチャーといった特徴クラスで分類される遺伝子発現のプロファイリングによって、ポリペプチドに関する動的不安定性スコアリングおよびシグナルセンサーポリヌクレオチドの治療域の最適化を可能にするであろう。本明細書で使用されるとき、「動的不安定性指数」は、正常な対応する細胞と比較して、インビトロのがん細胞で、腫瘍学関連標的タンパク質を50%増大するのに十分なシグナルセンサーポリヌクレオチドの用量を指す。
プロファイリングはまた、アポトーシスクラスに関してカスパーゼ依存性遺伝子発現とカスパーゼ非依存性遺伝子発現との間の区別といった特徴クラス内でなされ得る。または、プロファイリングはアポトーシス、老化(複製能)および代謝クラスの遺伝子プロファイリングといった、複数のクラスにわたって実施され得る。
一実施形態において、本明細書で説明されるシグナルセンサーポリヌクレオチドを用いて、細胞内のポリペプチドの発現および/または量を低減し得る。非制限的な例として、様々な濃度でのMYC阻害剤A、MYC阻害剤B、MYC阻害剤CまたはMYC阻害剤Dの効力を決定するために、MYC阻害剤A、MYC阻害剤B、MYC阻害剤CまたはMYC阻害剤Dを、Hep3B細胞上で使用し得る(例えば実施例55を参照)。
一実施形態において、本明細書に記載されるシグナルセンサーポリヌクレオチドは、細胞傷害性または細胞保護的ないずれかの治療効果を、例えば正常な細胞対がん性の細胞といった特定の細胞に向けることができる。
一実施形態において、シグナルセンサーポリヌクレオチドは腫瘍学関連ポリペプチドだけでなくセンサー配列もコードするであろう。センサー配列としては、例えば、マイクロRNA結合部位、転写因子結合部位、内因性核酸結合分子のための偽受容体として作用するよう操作した人工的な結合部位が挙げられる。「センサー領域」は、少なくとも1つのセンサー配列を含むシグナルセンサーポリヌクレオチドの結合ヌクレオシドの領域である。本発明のシグナルセンサーポリヌクレオチドは、1つ以上のセンサー領域を有し得る。
一実施形態において、1つ以上のセンサー領域が、第1の隣接領域に位置し得る。非制限的な例として、第1の隣接領域のセンサー領域は、少なくとも1つのセンサー配列を含み得る。センサー配列は、mir−122、mir−142−3p、mir−142−5p、mir−146、その断片または変異形であり得るが、これらに限定されない。別の非制限的な例としては、第1の隣接領域のセンサー領域は、mir−122配列といった少なくとも1つのセンサー配列を含み得る。mir−122配列は、amir−122結合部位、mir−122種配列、種配列を有さないmir−122結合部位またはそれらの組み合わせであり得るが、これらに限定されない。
別の実施形態では、1つ以上のセンサー領域が第2の隣接領域に位置し得る。非制限的な例として、第2の隣接領域のセンサー領域はmir−122、mir−142−3p、mir−142−5p、mir−146、その断片または変異形といったセンサー配列を含み得る。別の非制限的な例として、第2の隣接領域のセンサー領域は、3つのセンサー配列を含み得る。センサー配列は、mir−122結合部位、mir−122種配列、種配列を有さないmir−122結合部位またはそれらの組み合わせといったmir−122配列であり得るが、これらに限定されない。さらに別の非制限的な例として、第2の隣接領域のセンサー領域は、3’UTRに位置し、センサー領域は、mir−122配列であるセンサー配列を含み得る。mir−122配列は、mir−122結合部位、mir−122種配列、種配列を有さないmir−122結合部位またはそれらの組み合わせであり得るが、これらに限定されない。
一実施形態において、2つ以上のセンサー領域が、限定はしないが、結合ヌクレオチドの第1の領域、第1の隣接領域および/または第2の隣接領域といったシグナルセンサーポリヌクレオチドの同一領域に位置し得る。非制限的な例として、2つ以上のセンサー領域は、第2の隣接領域に位置する。さらに別の非制限的な例として、3つのセンサー領域が第2の隣接領域で3’UTRに位置する。3つのセンサー領域には、mir−122結合部位、mir−122種配列、種配列を有さないmir−122結合部位またはそれらの組み合わせが含まれ得る。
別の実施形態では、2つ以上のセンサー領域が、限定はしないが、結合ヌクレオチドの第1の領域、第1の隣接領域および/または第2の隣接領域といったシグナルセンサーポリヌクレオチドの異なる領域に位置し得る。非制限的な例として第1のセンサー領域は第1の隣接領域に位置し、第2のセンサー領域は第2の隣接領域に位置する。センサー領域は、同一のセンサー配列または異なるセンサー配列を含み得る。
一実施形態において、開始コドンがセンサー領域内に位置する。
一実施形態において、センサー領域は2つ以上のセンサー配列を含み得る。センサー配列は同一または異なり得る。
一実施形態において、センサー領域は、互いに異なるが、同一のmir結合部位上に基づき得るセンサー配列を2つ以上含み得る。非制限的な例として、センサー領域は、miR結合部位配列を少なくとも1つ、および、種を除いたmir結合部位配列を少なくとも1つ含み得る。別の非制限的な例として、センサー領域は少なくとも1つのmiR結合部位配列および少なくとも1つのmiR種配列を含み得る。さらに別の非制限的な例として、センサー領域は種を除いたmir結合部位配列を少なくとも1つ、および、miR種配列を少なくとも1つ含み得る。
別の実施形態では、センサー領域は、ABABABまたはAABBAABBAABBまたはABCABCABCまたは1回、2回または4回以上繰り返されるその変異形といったパターンのセンサー配列を2つ以上含み得る。これらのパターンで、各文字A、BまたはCは異なるmiR配列を表す。
さらに別の実施形態では、シグナルセンサーポリヌクレオチドは、2つ以上のセンサー領域を含み得、各センサー領域は1つ以上のセンサー配列を有する。非制限的な例として、センサー配列は、ABABABまたはAABBAABBAABBまたはABCABCABCまたは各センサー領域で1回、2回または4回以上繰り返されるその変異形といったパターンであり得る。別の非制限的な例として、センサー配列は、ABABABまたはAABBAABBAABBまたはABCABCABCまたはシグナルセンサーポリヌクレオチド全体にわたって1回、2回または4回以上繰り返されるその変異形といったパターンであり得る。これらのパターンで、各文字A、BまたはCは異なるmiR配列を表す。非制限的な例として、第1のセンサー領域はパターンABAのセンサー配列を有し得、第2のセンサー領域はパターンBABのセンサー配列を有し得、その結果シグナルセンサーポリヌクレオチドのセンサー配列の全体のパターンはABABABである。別の非制限的な例として、第1のセンサー領域はセンサー配列AAを有し得、第2のセンサー領域はセンサー配列BBを有し得、第3のセンサー領域はセンサー配列AAを有し得、第4のセンサー領域はセンサー配列BBを有し得、その結果シグナルセンサーポリヌクレオチドのセンサー配列の全体のパターンはAABBAABBである。
本発明のシグナルセンサーポリヌクレオチドのセンサー配列は、天然mRNAの3−UTRおよび/または5’UTRに1つ以上の制御配列を含み得、当該制御配列は、異なる組織および細胞でのmRNA安定性および翻訳を制御する。そのようなcis調節要素としては、Cis−RNP(リボ核タンパク質)/RBP(RNA結合タンパク質)調節要素、AU豊富な領域AUE、構造化したステムループ、構成的分解要素(CDE)、GC−豊富および他の構造化したmRNAモチーフが挙げられ得るが、これらに限定されない(Parker BJ et al.,Genome Research、2011、21、1929−1943、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)。例えば、CDEは、ロキン(Roquin)タンパク質との相互作用によってmRNA分解を媒介する制御モチーフのクラスである。特に、進行および炎症の調節因子をコードしてマクロファージ内のサイトカイン生産を制限するCDEが多くのmRNAに見られる(Leppek K et al.,Cell、2013、153、869−881、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)。
一実施形態において、特定のCDEが、細胞または組織内でポリペプチドの分解が所望される際に、シグナルセンサーポリヌクレオチドに導入され得る。特定のCDEがまた、タンパク質発現を持続のため細胞または組織内でより安定したmRNAを維持するために、シグナルセンサーポリヌクレオチドから取り除かれてもよい。
一実施形態において、細胞または組織内のmiRNAの有無を決定するためにがん細胞または組織のマイクロRNA(miRNA)プロファイリングを実施して、シグナルセンサーポリヌクレオチドでセンサー配列として使用する適切なマイクロRNAを決定し得る。
マイクロRNA遺伝子制御は、限定はしないが、周辺配列の種、配列の種類(例えば、異種性、同種性および人工的)、周辺配列の調節要素および/または周辺配列での構造要素といった、マイクロRNAの周辺の配列から影響を受け得る。マイクロRNAは5’UTRおよび/または3’UTRの影響を受け得る。非制限的な例として、非ヒト3’UTRは、同一配列の種類のヒト3’UTRと比較すると、目的とするポリペプチドの発現に対するマイクロRNA配列の制御効果を増大し得る。
5’−UTRの他の調節要素および/または構造要素が、マイクロRNA媒介性遺伝子制御に影響を及ぼし得る。そのような例の1つに5’UTRの構造化したIRES(配列内リボソーム進入部位)があり、これは、翻訳伸長因子の結合がタンパク質翻訳を開始するために必要である。EIF4A2が5’UTRのこの二次的に構造化された要素に結合することがマイクロRNA媒介性遺伝子発現には必要である(Meijer HA et
al.,Science、2013、340、82−85、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)。センサーシグナルポリヌクレオチドはさらに、マイクロRNA媒介性遺伝子制御を強化するためにこの構造化した5’UTRを含むように修飾され得る。
少なくとも1つのマイクロRNA部位を本発明のシグナルセンサーポリヌクレオチドの3’UTR内に操作し得る。この文脈では、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10またはそれ以上のマイクロRNA部位を本発明のシグナルセンサーポリヌクレオチの3’UTR内に操作してもよい。一実施形態において、シグナルセンサーポリヌクレオチドに組み込まれたマイクロRNA部位は、同一または異なるマイクロRNA部位であり得る。別の実施形態では、シグナルセンサーポリヌクレオチドに組み込まれたマイクロRNA部位は、体内の同一または異なる組織を標的し得る。非制限的な例として、シグナルセンサーポリヌクレオチドの3’UTRにおける組織、細胞型または疾患特異的マイクロRNA結合部位の導入を通して、特定の細胞型(肝細胞、骨髄系細胞、内皮細胞、がん細胞など)の発現の度合いを低下し得る。
一実施形態において、マイクロRNA部位は、3’UTRの5’末端付近、3’UTRの5’末端と3’末端の間のおよそ真ん中、および/または、3’UTRの3’末端付近に操作され得る。非制限的な例として、マイクロRNA部位は3’UTRの5’末端付近、および、3’UTRの5’末端と3’末端の間のおよそ真ん中に操作され得る。別の非制限的な例として、マイクロRNA部位は、3’UTRの3’末端付近および3’UTRの5’末端と3’末端の間のおよそ真ん中に操作され得る。さらに別の非制限的な例として、マイクロRNA部位は、3’UTRの5’末端付近および3’UTRの3’末端付近に操作され得る。
別の実施形態では、3’UTRは4つのマイクロRNA部位を含み得る。マイクロRNA部位は、完全なマイクロRNA部位、マイクロRNA種配列および/または種配列を有さないマイクロRNA結合部位であり得る。
一実施形態において、シグナルセンサーポリヌクレオチドを、対象の異なる組織で発現するマイクロRNA部位を含むよう操作し得る。非制限的な例として、本発明のシグナルセンサーポリヌクレオチドをmiR−192およびmiR−122を含むように操作し、対象の肝臓および腎臓のシグナルセンサーポリヌクレオチドの発現を制御し得る。別の実施形態では、シグナルセンサーポリヌクレオチドを、同一組織に対して2つ以上のマイクロRNA部位を含むよう操作し得る。例えば、本発明のシグナルセンサーポリヌクレオチドを、miR−17−92およびmiR−126を含むように操作し、対象の内皮細胞のシグナルセンサーポリヌクレオチドの発現を制御し得る。
一実施形態において、本発明のシグナルセンサーポリヌクレオチドがコードする腫瘍学関連ポリペプチドに関連する治療域およびまたは発現差異を、変化させ得る。例えば、がん細胞(または正常な細胞)のmiRNAシグネチャーを利用してがん細胞で死シグナルがより多く発現される(または、正常な細胞では生存シグナル)ようにシグナルセンサーポリヌクレオチドを設計し得る。がん細胞が特定のmiRNAをより低い量で発現する箇所では、そのmiRNA(または複数のmiRNA)のための結合部位をコードするシグナルセンサーポリヌクレオチドがより多く発現れるだろう。したがって、シグナルセンサーポリヌクレオチドがコードする腫瘍学関連ポリペプチドは、細胞死を引き起こすまたは誘導するタンパク質として選択される。同一miRNAをより多く発現する近隣の非がん細胞では、3’UTRにコードされる結合部位すなわち「センサー」に結合するmiRNAの影響のためにシグナルセンサーポリヌクレオチドがより少ない量で発現され得るので、コードされる死シグナルによる影響はより小さいであろう。逆に、miRNAの発現量ががん細胞でより多いがん細胞および非がん細胞を含む組織に細胞生存または細胞保護シグナルが送達され得、結果として、がん細胞により少ない生存シグナルが送達され、正常な細胞により多くの生存シグネチャーが送達される。前のパラダイムに従って、異なるシグナルを有する複数のシグナルセンサーポリヌクレオチドを設計および投与し得る。
一実施形態において、シグナルセンサーポリヌクレオチドの発現を、少なくとも1つのセンサー配列をシグナルセンサーポリヌクレオチドに組み込み、シグナルセンサーポリヌクレオチドを製剤化することで、制御し得る。非制限的な例として、miR−122結合部位を組み込み、カチオン性脂質DLin−KC2−DMAを含む脂質ナノ粒子に製剤化されたポリヌクレオチドを有することで、ポリヌクレオチドを同所腫瘍に標的し得る(例えば、実施例56Aおよび56Bに記載の実験を参照)。
異なる細胞型のマイクロRNAの発現パターンを理解することで、シグナルセンサーポリヌクレオチドを、特定の細胞型において、または、特定の生物学的状況下のみで、より標的化した発現のために操作することができる。組織特異的マイクロRNA結合部位の導入によって、組織、または、がんといった生物学的状況の文脈でのタンパク質発現に最適であり得るシグナルセンサーポリヌクレオチドを設計し得る。
操作したシグナルセンサーポリヌクレオチドを用いて、関連した細胞株で形質移入実験を実施し得、タンパク質の生産を、形質移入後の様々な時点でアッセイし得る。例えば、細胞を異なるマイクロRNA結合部位操作核酸またはシグナルセンサーポリヌクレオチドで形質移入し得、ELISAキットを関連したタンパク質に用いて、形質移入から6時間、12時間、24時間、48時間、72時間および7日後に生産されたタンパク質をアッセイする。インビボ実験もマイクロRNA結合部位操作分子を用いて実施され、製剤化したシグナルセンサーポリヌクレオチドの組織特異的発現の変化を検査し得る。
一実施形態において、本発明のシグナルセンサーポリヌクレオチドは、抗原を提示する細胞による抗原提示を弱めるために、少なくとも1つのマイクロRNAを含み得る。マイクロRNAは、完全なマイクロRNA配列、マイクロRNA種配列、種配列を有さないマイクロRNA配列またはそれらの組み合わせであり得る。非制限的な例として、シグナルセンサーポリヌクレオチドに組み込まれたマイクロRNAは、造血系に特異的であり得る。別の非制限的な例として、抗原提示を弱めるために本発明のシグナルセンサーポリヌクレオチドに組み込まれたマイクロRNAは、miR−142−3pである。
一実施形態において、本発明のシグナルセンサーポリヌクレオチドは、目的とする細胞で、コードされたポリペプチドの発現を低下させるために、少なくとも1つのマイクロRNAを含み得る。非制限的な例として、本発明のシグナルセンサーポリヌクレオチドは、肝臓で目的とするコードされたポリペプチドの発現を低下させるために、少なくとも1つのmiR−122結合部位を含み得る。別の非制限的な例として、本発明のシグナルセンサーポリヌクレオチドは、少なくとも1つのmiR−142−3p結合部位、miR−142−3p種配列、種を有さないmiR−142−3p結合部位、miR−142−5p結合部位、miR−142−5p種配列、種を有さないmiR−142−5p結合部位、miR−146結合部位、miR−146種配列および/または種配列を有さないmiR−146結合部位を含み得る(例えば、実施例47および実施例60に記載される実験を参照)。
本発明に従うと、本明細書で説明されるシグナルセンサーポリヌクレオチドは、当該技術分野の他のポリペプチドコード分子の欠陥を避けるように修飾され得る。したがって、本実施形態では、シグナルセンサーポリヌクレオチドは修飾シグナルセンサーポリヌクレオチドまたは一次構築物、修飾mRNAまたはmmRNAと呼ぶ。
組織における安定性および/もしくは排除、受容体の取り込みおよび/もしくは動態、組成物による細胞到達、翻訳機構との関わり、mRNA半減期、翻訳の効率、免疫回避、タンパク質産生能力、分泌の効率(適用される場合)、血液循環への到達可能性、タンパク質半減期、ならびに/または細胞の状態、機能、および/もしくは活性の調節のうちの1つ以上を改善するように設計された、目的とする腫瘍学関連ポリペプチドをコードするシグナルセンサーポリヌクレオチドポリヌクレオチド、一次構築物、および/またはmmRNAが本明細書の一部分に提供される。
I.本発明の組成物
本発明は、1個以上の目的とする腫瘍学関連ポリペプチドをコードする核酸分子、具体的には、シグナルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物、および/またはmmRNAを提供する。具体的には、本発明はがんまたはがんに関連した疾患、障害に有用なシグナルセンサーポリヌクレオチドを企図する。本明細書で使用されるとき、「シグナルセンサーポリヌクレオチド」は、翻訳された時に細胞(がん細胞または非がん細胞)に「シグナル」を送り、がん細胞に有害または正常な細胞に有益であるか、がん細胞に有害かつ正常な細胞に有利であるかのいずれかである治療効果を生物体にもたらす、1つ以上の目的とする腫瘍学関連ポリペプチドをコードする核酸転写物のことである。シグナルセンサーポリヌクレオチドはさらに、ポリヌクレオチドの微小環境を「感知」し、(a)翻訳されるペプチドまたはタンパクに関連する機能または表現型の結果、(b)シグナルセンサーポリヌクレオチドの発現量、および/または、双方を改変する配列(翻訳可能または不可能)を含んでいてもよい。
「核酸」という用語は、その最も広い意味において、ヌクレオチドのポリマーを含む任意の化合物および/または物質を含む。これらのポリマーは、多くの場合、シグナルセンサーポリヌクレオチドと称される。本発明の例示の核酸またはシグナルセンサーポリヌクレオチドには、リボ核酸(RNA)、デオキシリボ核酸(DNA)、トレオース核酸(TNA)、グリコール核酸(GNA)、ペプチド核酸(PNA)、ロックド核酸(LNA、β−D−リボ配置を有するLNA、α−L−リボ配置を有するα−LNA(LNAのジアステレオマー)、2’−アミノ官能化を有する2’−アミノ−LNA、および2’−アミノ官能化を有する2’−アミノ−α−LNAを含む)、またはこれらのハイブリッドが含まれるが、これらに限定されない。
好ましい実施形態において、シグナルセンサーポリヌクレオチドまたは核酸分子は、メッセンジャーRNA(mRNA)である。本明細書で使用するとき、「メッセンジャーRNA(mRNA)」という用語は、目的とするポリペプチドをコードし、かつ翻訳されてインビトロ、インビボ、インサイツ、またはエクスビボで、コードされた目的とするポリペプチドを産生することができる任意のシグナルセンサーポリヌクレオチドを指す。本発明のシグナルセンサーポリヌクレオチドは、mRNAまたはいずれかの核酸分子であり得、化学的に修飾されていてもよく、または、されていなくてもよい。
従来、mRNA分子の主要成分には、少なくともコーディング領域、5’UTR、3’UTR、5’キャップ、およびポリA尾部が含まれる。この野生型モジュール構造を基に、本発明は、モジュール組織を維持するが、いくつかの実施形態において、シグナルセンサーポリヌクレオチドが導入される部分への細胞の自然免疫応答の実質的な誘導の欠如を含む、有用な特性をポリヌクレオチドに付与する1つ以上の構造および/もしくは化学修飾または改変を含むシグナルセンサーポリヌクレオチドまたは一次RNA構築物を提供することによって従来のmRNA分子の機能の範囲を拡大する。したがって、合成的であり得る本発明の修飾mRNA分子は、「mmRNA」と称される。本明細書で使用するとき、「構造的」特徴または修飾は、2個以上の結合ヌクレオチドが、ヌクレオチド自体への著しい化学修飾なく、シグナルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物、またはmmRNAにおいて挿入、欠失、複製、反転、またはランダム化される特徴または修飾である。化学結合が必然的に破壊および再形成されて構造修飾をもたらすため、構造修飾は、化学的性質のものであり、したがって、化学修飾である。しかしながら、構造修飾は、異なるヌクレオチド配列をもたらす。例えば、ポリヌクレオチド「ATCG」は、「AT−5meC−G」に化学修飾され得る。同一のポリヌクレオチドは、「ATCG」から「ATCCCG」に構造修飾され得る。ここで、ジヌクレオチド「CC」が挿入されており、ポリヌクレオチドへの構造修飾をもたらす。
シグナルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物またはmmRNA構造
本発明のシグナルセンサーポリヌクレオチドは、本明細書で証明されるように核酸系治療薬を用いた効果的なポリペプチド産生の既存の問題の打開に役立つそれらの機能的および/または構造的設計特徴において野生型mRNAと区別される。
図1は、本発明の代表的なシグナルセンサー一次構築物100を示す。本明細書で使用するとき、「一次構築物」または「一次mRNA構築物」という用語は、1個以上の目的とするポリペプチドをコードし、その中でコードされる目的とするポリペプチドが翻訳されることを可能とするのに十分な構造的および/または化学的特徴を保持する、シグナルセンサーポリヌクレオチド転写物を指す。シグナルセンサー一次構築物は、本発明のシグナルセンサーポリヌクレオチドであり得る。構造または化学修飾された場合、一次構築物は、mmRNAと称され得る。
図1を再び参照して、ここで、一次構築物100は、第1の隣接領域104および第2の隣接領域106に隣接する結合ヌクレオチド102の第1の領域を含有する。本明細書で使用するとき、「第1の領域」は、「コーディング領域」もしくは「コード領域」、または単に「第1の領域」と称され得る。この第1の領域は、コードされた目的とする腫瘍学関連ポリペプチドを含み得るが、これに限定されない。目的とする腫瘍学関連ポリペプチドは、その5’末端に、シグナルペプチド配列領域103によってコードされた1つ以上のペプチドシグナル配列を含み得る。隣接領域104は、1つ以上の完全または不完全な5’UTR配列を含む結合ヌクレオチドの領域を含み得る。隣接領域104は、5’末端キャップ108も含み得る。第2の隣接領域106は、1つ以上の完全または不完全な3’UTRを含む結合ヌクレオチドの領域を含み得る。隣接領域106は、3’尾部配列110および3’UTR120も含み得る。
第1の領域102と第1の隣接領域104の5’末端の架橋は、第1の操作領域105である。従来、この操作領域は、開始コドンを含む。あるいは、この操作領域は、開始コドンを含む任意の翻訳開始配列またはシグナルを含み得る。
第1の領域102と第2の隣接領域106の3’末端の架橋は、第2の操作領域107である。従来、この操作領域は、終止コドンを含む。あるいは、この操作領域は、終止コドンを含む任意の翻訳開始配列またはシグナルを含み得る。本発明に従って、複数の連続終止コドンも使用され得る。一実施形態において、本発明の操作領域は2つの終止コドンを含み得る。第1の終止コドンは「TGA」であり得、第2の終止コドンは「TAA」、「TGA」および「TAG」からなる群から選択され得る。操作領域さらに、3つの終止コドンを含み得る。第3の終止コドンは「TAA」、「TGA」および「TAG」からなる群から選択され得る。
図2を見てみると、第2の隣接領域106の3’UTR 120は1つ以上のセンサー配列130を含み得る。少なくとも1つのセンサー配列を含む領域を、「センサー領域」と呼ぶ。本明細書で考察するこれらのセンサー配列は、一次構築物またはシグナルセンサーポリヌクレオチドの局所微小環境のリガンド用の偽受容体(または結合部位)として作用する。例えば、マイクロRNA結合部位またはmiRNA種を、ポリヌクレオチド環境に存在するいずれかのマイクロRNAのための偽受容体として機能するように、センサーとして使用し得る。
概して、本発明のシグナルセンサー一次構築物の第1の領域の最短の長さは、ジペプチド、トリペプチド、テトラペプチド、ペンタペプチド、ヘキサペプチド、ヘプタペプチド、オクタペプチド、ノナペプチド、またはデカペプチドをコードするのに十分な核酸配列の長さであり得る。別の実施形態において、この長さは、2〜30個のアミノ酸、例えば、5〜30、10〜30、2〜25、5〜25、10〜25、または10〜20個のアミノ酸のペプチドをコードするのに十分であり得る。この長さは、少なくとも11、12、13、14、15、17、20、25、もしくは30個のアミノ酸のペプチド、または40個のアミノ酸より長くないペプチド、例えば、35、30、25、20、17、15、14、13、12、11、もしくは10個のアミノ酸より長くないペプチドをコードするのに十分であり得る。ポリヌクレオチド配列がコードし得るジペプチドの例には、カルノシンおよびアンセリンが挙げられるが、それらに限定されない。
概して、本発明の目的とする腫瘍学関連ポリペプチドをコードする第1の領域の長さは、約30ヌクレオチド長を超える(例えば、少なくとも、約35、40、45、50、55、60、70、80、90、100、120、140、160、180、200、250、300、350、400、450、500、600、700、800、900、1,000、1,100、1,200、1,300、1,400、1,500、1,600、1,700、1,800、1,900、2,000、2,500、および3,000、4,000、5,000、6,000、7,000、8,000、9,000、10,000、20,000、30,000、40,000、50,000、60,000、70,000、80,000、90,000、もしくは100,000ヌクレオチド長(100,000を含む)まで、またはそれらを超える)。本明細書で使用するとき、「第1の領域」は、「コーディング領域」もしくは「コード領域」、または単に「第1の領域」と称され得る。
いくつかの実施形態において、シグナルセンサーポリヌクレオチドポリヌクレオチド、一次構築物、またはmmRNAは、約30〜約100,000個のヌクレオチド(例えば、30〜50、30〜100、30〜250、30〜500、30〜1,000、30〜1,500、30〜3,000、30〜5,000、30〜7,000、30〜10,000、30〜25,000、30〜50,000、30〜70,000、100〜250、100〜500、100〜1,000、100〜1,500、100〜3,000、100〜5,000、100〜7,000、100〜10,000、100〜25,000、100〜50,000、100〜70,000、100〜100,000、500〜1,000、500〜1,500、500〜2,000、500〜3,000、500〜5,000、500〜7,000、500〜10,000、500〜25,000、500〜50,000、500〜70,000、500〜100,000、1,000〜1,500、1,000〜2,000、1,000〜3,000、1,000〜5,000、1,000〜7,000、1,000〜10,000、1,000〜25,000、1,000〜50,000、1,000〜70,000、1,000〜100,000、1,500〜3,000、1,500〜5,000、1,500〜7,000、1,500〜10,000、1,500〜25,000、1,500〜50,000、1,500〜70,000、1,500〜100,000、2,000〜3,000、2,000〜5,000、2,000〜7,000、2,000〜10,000、2,000〜25,000、2,000〜50,000、2,000〜70,000、および2,000〜100,000個)を含む。
本発明に従って、第1および第2の隣接領域は、独立して、15〜1,000ヌクレオチド長の範囲(例えば、30、40、45、50、55、60、70、80、90、100、120、140、160、180、200、250、300、350、400、450、500、600、700、800、および900を超えるヌクレオチド長、または少なくとも30、40、45、50、55、60、70、80、90、100、120、140、160、180、200、250、300、350、400、450、500、600、700、800、900、および1,000ヌクレオチド長)であり得る。
本発明に従って、尾部配列は、0〜500ヌクレオチド長の範囲(例えば、少なくとも60、70、80、90、120、140、160、180、200、250、300、350、400、450、または500ヌクレオチド長)であり得る。尾部領域がポリA尾部である場合、長さは、ポリA結合タンパク質結合の単位で、またはその関数として決定され得る。この実施形態において、ポリA尾部は、ポリA結合タンパク質の少なくとも4個の単量体に結合するのに十分な長さである。ポリA結合タンパク質の単量体は、一続きの約38個のヌクレオチドに結合する。したがって、約80個のヌクレオチドおよび160個のヌクレオチドのポリA尾部が機能的であることが観察されている。
本発明に従って、キャッピング領域は、単一のキャップまたはキャップを形成する一連のヌクレオチドを含み得る。この実施形態において、キャッピング領域は、1〜10、例えば、2〜9、3〜8、4〜7、1〜5、5〜10、または少なくとも2、もしくは10以下のヌクレオチド長であり得る。いくつかの実施形態において、キャップは不在である。
本発明に従って、第1および第2の操作領域は、3〜40、例えば、5〜30、10〜20の範囲、15、または少なくとも4、もしくは30以下のヌクレオチド長であり得、開始コドンおよび/または終止コドンに加えて、1つ以上のシグナルおよび/または制限配列を含み得る。
環状シグナルセンサーポリヌクレオチド
本発明に従って、シグナルセンサー一次構築物またはmmRNAは、環化またはコンカテマー化されて翻訳コンピテント分子を生成し、ポリA結合タンパク質と5’末端結合タンパク質との間の相互作用を補助し得る。環化またはコンカテマー化の機構は、少なくとも3つの異なる経路、すなわち1)化学的経路、2)酵素的経路、および3)リボザイム触媒経路を通って生じ得る。新たに形成された5’/3’連結は、分子内または分子間であり得る。
第1の経路において、核酸の5’末端および3’末端は、接近しているときに分子の5’末端と3’末端との間に新たな共有結合を形成する化学反応基を含有し得る。有機溶媒中で、合成mRNA分子の3’末端上の3’−アミノ末端ヌクレオチドが5’−NHS−エステル部分上で求核攻撃を経て新たな5’/3’アミド結合を形成するように、5’末端は、NHS−エステル反応基を含有し得、3’末端は、3’−アミノ末端ヌクレオチドを含有し得る。
第2の経路において、T4 RNAリガーゼを用いて、5’−リン酸化核酸分子を核酸の3’−ヒドロキシル基に酵素結合させて、新たなホスホロジエステル結合を形成することができる。反応の例において、1μgの核酸分子が、製造業者のプロトコルに従って、1〜10単位のT4 RNAリガーゼ(New England Biolabs、Ipswich,MA)と37℃で1時間インキュベートされる。連結反応が、5’領域および3’領域の両方と並んで塩基対合して、酵素的連結反応を補助することができる分裂したオリゴヌクレオチドの存在下で生じ得る。
第3の経路において、cDNA鋳型の5’末端または3’末端のいずれかは、インビトロ転写中に、結果として生じる核酸分子が核酸分子の5’末端を核酸分子の3’末端に連結することができる活性リボザイム配列を含有し得るように、リガーゼリボザイム配列をコードする。リガーゼリボザイムは、I群イントロン、I群イントロン、デルタ肝炎ウイルス、ヘアピンリボザイムに由来し得るか、またはSELEX(試験管内進化法、systematic evolution of ligands by exponential enrichment)によって選択され得る。リボザイムリガーゼ反応は、0〜37℃の温度で1〜24時間かかり得る。
シグナルセンサーポリヌクレオチド多量体
本発明に従って、複数のはっきりと異なるシグナルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物、またはmmRNAは、3’末端で修飾されたヌクレオチドを用いて3’末端を介して結合され得る。化学的複合体形成を用いて、細胞への送達の化学量論を制御することができる。例えば、グリオキシル酸回路酵素、イソクエン酸リアーゼ、およびリンゴ酸シンターゼは、HepG2細胞に1:1の比率で供給されて細胞脂肪酸の代謝を変化させ得る。この比率は、一方のシグナルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物、またはmmRNA種に3’−アジド末端ヌクレオチドを用い、かつ反対側のシグナルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物、またはmmRNA種にC5−エチニルまたはアルキニル含有ヌクレオチドを用いて化学結合シグナルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物、またはmmRNAを化学結合させることによって制御され得る。この修飾されたヌクレオチドは、製造業者のプロトコルに従って末端トランスフェラーゼ(New England Biolabs、Ipswich,MA)を用いて転写後に添加される。3’末端修飾ヌクレオチドの添加後、これら2個のシグナルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物、またはmmRNA種は、銅の存在下または不在下において水溶液中で合わせられて、文献内に記載のクリック化学機構を介して新たな共有結合を形成し得る。
別の例において、3個以上のシグナルセンサーポリヌクレオチドが官能化リンカー分子を用いて結合され得る。例えば、官能化サッカリド分子は、複数の化学反応基(SH−、NH2−、N3等)を含有して3’−官能化シグナルセンサーポリヌクレオチド分子上の同族部分(すなわち、3’−マレイミドエステル、3’−NHS−エステル、アルキニル)と反応するように化学修飾され得る。この修飾されたサッカリド上の反応基の数は、化学量論的様式で制御されて、複合体化されたシグナルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物、またはmmRNAの化学量論比を直接制御し得る。
シグナルセンサーポリヌクレオチド複合体および組み合わせ
腫瘍学関連タンパク質産生をさらに亢進するために、本発明のシグナルセンサーポリヌクレオチド一次構築物またはmmRNAは、他のポリヌクレオチド、腫瘍学関連ポリペプチド、染料、挿入剤(例えば、アクリジン)、架橋剤(例えば、プソラレン、マイトマイシンC)、ポルフィリン(TPPC4、テキサフィリン、サフィリン)、多環芳香族炭化水素(例えば、フェナジン、ジヒドロフェナジン)、人工エンドヌクレアーゼ(例えば、EDTA)、アルキル化剤、リン酸塩、アミノ、メルカプト、PEG(例えば、PEG−40K)、MPEG、[MPEG]2、ポリアミノ、アルキル、置換アルキル、放射標識マーカー、酵素、ハプテン(例えば、ビオチン)、輸送/吸収促進剤(例えば、アスピリン、ビタミンE、葉酸)、合成リボヌクレアーゼ、タンパク質、例えば、糖タンパク質、またはペプチド、例えば、コリガンドに特異的親和性を有する分子、または抗体、例えば、癌細胞、内皮細胞、または骨細胞等の特定の細胞型に結合する抗体、ホルモンおよびホルモン受容体、非ペプチド種、例えば、脂質、レクチン、炭水化物、ビタミン、共同因子、または薬物と複合体化されるように設計され得る。
複合体化は、安定性および/または半減期の増加をもたらし得、シグナルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物、またはmmRNAを、細胞、組織、または生物体の特定の部位に標的化するときに特に有用であり得る。
本発明に従って、シグナルセンサーポリヌクレオチドmmRNAまたは一次構築物は、RNAi剤、siRNA、shRNA、miRNA、miRNA結合部位、アンチセンスRNA、リボザイム、触媒DNA、tRNA、三重らせん形成を誘導するRNA、アプタマー、もしくはベクター等のうちの1つ以上とともに投与され得るか、またはこれらをさらにコードし得る。
一実施形態において、本明細書で説明されるシグナルセンサーポリヌクレオチドは、制限はしないが、米国特許出願第20130216561号に記載される部分といった、様々ながん細胞を標的する部分と複合体化し得、当該出願の内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。シグナルセンサーポリヌクレオチドとがん標的化部分との間の結合は、複合体の効力を高め得る酸切断可能結合であり得、例えば、限定はしないが、米国特許出願第20130216561号に記載される結合が挙げられ、当該出願の内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
二機能性シグナルセンサーポリヌクレオチド
本発明の一実施形態は、二機能性シグナルセンサーポリヌクレオチド(例えば、二機能性一次構築物または二機能性mmRNA)である。その名称が示すように、二機能性シグナルセンサーポリヌクレオチドは、少なくとも2つの機能を有するか、または少なくとも2つの機能の能力があるシグナルセンサーポリヌクレオチドである。これらの分子は、慣例により、多機能性とも称され得る。
二機能性シグナルセンサーポリヌクレオチドの複数の機能は、RNAによってコードされ得る(この機能は、コードされた産物が翻訳されるまで現れ得ない)か、またはポリヌクレオチド自体の特性であり得る。これは、構造的または化学的であり得る。二機能性修飾シグナルセンサーポリヌクレオチドは、ポリヌクレオチドと共有結合的または静電的に関連した機能を含み得る。さらに、これら2つの機能は、シグナルセンサーポリヌクレオチドおよび別の分子の複合体との関連において提供され得る。
二機能性シグナルセンサーポリヌクレオチドは、抗増殖性腫瘍学関連ペプチドをコードし得る。これらのペプチドは、線状、環状、拘束、またはランダムコイルであり得る。これらは、アプタマー、シグナル伝達分子、リガンド、またはこれらの模倣物もしくはミメティックとして機能し得る。抗増殖性ペプチドは、翻訳されると、3〜50アミノ酸長であり得る。それらは、5〜40、10〜30、または約15アミノ酸長であり得る。それらは、一本鎖、多本鎖、または分岐鎖であり得、翻訳されると、複合体、凝集体、または任意の多ユニット構造を形成し得る。
非コードシグナルセンサーポリヌクレオチド
本明細書に記載されるように、部分的または実質的に翻訳可能ではない配列、例えば、非コード領域を有するシグナルセンサーポリヌクレオチドおよび一次構築物が提供される。そのような非コード領域は、シグナルセンサー一次構築物の「第1の領域」であり得る。あるいは、非コード領域は、第1の領域以外の領域であり得る。そのような分子は、通常翻訳されないが、リボソームタンパク質または転移RNA(tRNA)等の1つ以上の翻訳機構成分への結合および隔離のうちの1つ以上によってタンパク質産生に影響を及ぼし、それによって、細胞におけるタンパク質発現を効果的に低下させるか、細胞における1つ以上の経路またはカスケードを調節し得、それが次いでタンパク質レベルを変化させる。シグナルセンサーポリヌクレオチドおよび/または一次構築物は、1個以上の長い非コードRNA(lncRNAもしくはlincRNA)もしくはその部分、低分子核RNA(sno−RNA)、マイクロRNA(miRNA)、低分子干渉RNA(siRNA)、またはPiwi干渉RNA(piRNA)を含有し得るか、あるいはこれらをコードし得る。
栄養要求性シグナルセンサーポリヌクレオチド
一実施形態において、本発明のシグナルセンサーポリヌクレオチドは、栄養要求性であり得る。本明細書で使用されるとき、「栄養要求性」という表現は、腫瘍学関連タンパク質発現が実質的に阻止されるまたは低下するように、空間的または時間的な合図に応答して自身の分解または不活性化を引き起こす、助長するまたは誘導する少なくとも1つの特長を含むシグナルセンサーポリヌクレオチドを指す。そのような空間的または時間的な合図としては、特定の組織もしくは器官または細胞環境といった、翻訳されるシグナルセンサーポリヌクレオチドの位置が挙げられる。温度、pH、イオン強度、含水量などに関わる合図もさらに企図される。
一実施形態において、その特長は、本発明のシグナルセンサーポリヌクレオチドの末端領域に位置する。非制限的な例として、選択された組織での栄養要求性mRNAの発現が実質的に阻止されるまたは低下するように、栄養要求性mRNAは、末端領域に、選択された組織で発現するmiRに結合するmiR結合部位を含み得る。この目的のために例えば、miR−122結合部位を含む栄養要求性mRNAは、肝臓に局在される場合はタンパク質を生産せず、なぜなら、miR−122が肝臓で発現され、miRの結合は栄養要求性mRNAの破壊を実行するからである。非制限的な例として、HEK293細胞はmiR−122を発現せず、その結果、HEK293でmiR−122配列を有するシグナルセンサーポリヌクレオチドの下方制御はほとんど一切ないが、miR−122を発現する肝細胞に関しては、肝細胞でmiR−122配列を有するシグナルセンサーポリヌクレオチドの下方制御があるだろう(例えば実施例19に記載される実験を参照)。別の非制限的な例として、少なくとも1つのmiR−122結合部位、種配列を有さないmiR−122結合部位またはmiR−122結合部位をコードし、有するシグナルセンサーポリヌクレオチドを投与する前に、miR−122の量を、HeLa細胞、初代培養ヒト肝細胞および初代培養ラット肝細胞で測定し得る。投与後、シグナルセンサーポリヌクレオチドの発現を測定して、シグナルセンサーポリヌクレオチドのmiR−122の弱化効果を決定し得る(例えば、実施例41、42、43、57、58および59で説明される実験を参照)。さらに別の非制限的な例として、異なる3’UTRのmiR−122結合部位、miR−122種または種を有さないmiR−122結合部位の効果を、限定はしないが、一番高い弱化効果といった所望する結果のための適切なUTRを決定するために評価し得る(例えば、実施例46に記載される研究を参照)。
一実施形態において、栄養要求性mRNAの分解または不活性化は、pHの変化に反応する特長を含み得る。非制限的な例として、栄養要求性mRNAは、5.0〜6.0のpHまたは6.0〜6.5のpHといった、pH4.5〜8.0の間のpHを有する環境で引き起こされ得る。pHの変化は、0.1単位、0.2単位、0.3単位、0.4単位、0.5単位、0.6単位、0.7単位、0.8単位、0.9単位、1.0単位、1.1単位、1.2単位、1.3単位、1.4単位、1.5単位、1.6単位、1.7単位、1.8単位、1.9単位、2.0単位、2.1単位、2.2単位、2.3単位、2.4単位、2.5単位、2.6単位、2.7単位、2.8単位、2.9単位、3.0単位、3.1単位、3.2単位、3.3単位、3.4単位、3.5単位、3.6単位、3.7単位、3.8単位、3.9単位、4.0単位またはそれ以上の変化であり得る。
別の実施形態では、栄養要求性mRNAの分解または不活性化は、温度の変化によって引き起こされ得る、または、誘導され得る。非制限的な例として、室温から体温の温度の変化である。温度の変化は、1℃未満、5℃未満、10℃未満、15℃未満、20℃未満、25℃未満または25℃超であり得る。
さらに別の実施形態では、栄養要求性mRNAの分解または不活性化は、対象のイオンの量の変化によって引き起こされ得る、または、誘導され得る。イオンは、制限しないが、ナトリウムイオン、カリウムイオン、塩素イオン、カルシウムイオン、マグネシウムイオンおよび/またはリン酸イオンといった、カチオンまたはアニオンであり得る。
目的とする腫瘍学関連ポリペプチド
本発明に従って、シグナルセンサー一次構築物は、1個以上の目的とする腫瘍学関連ポリペプチドまたはその断片をコードするように設計される。目的とする腫瘍学関連ポリペプチドは、全ポリペプチド、複数のポリペプチド、またはポリペプチドの断片を含み得るが、これらに限定されず、これらは、独立して、1個以上の核酸、複数の核酸、核酸の断片、または前述のうちのいずれかの変異形によってコードされ得る。本明細書で使用するとき、「目的とする腫瘍学関連ポリペプチド」という用語は、選択されて本発明のシグナルセンサー一次構築物においてコードされる任意のポリペプチドを指す。本明細書で使用するとき、「ポリペプチド」とは、ほとんどの場合ペプチド結合によって結合されるアミノ酸残基(天然または非天然)のポリマーを意味する。この用語は、本明細書で使用するとき、任意の大きさ、構造、または機能を有するタンパク質、ポリペプチド、およびペプチドを指す。いくつかの例において、コードされたポリペプチドが約50個のアミノ酸よりも小さい場合、このポリペプチドは、ペプチドと称される。ポリペプチドがペプチドである場合、これは、少なくとも約2、3、4、または少なくとも5アミノ酸残基長である。したがって、ポリペプチドは、遺伝子産物、天然に存在するポリペプチド、合成ポリペプチド、相同体、オルソログ、パラログ、前述の断片および他の等価物、変異形、ならびに類似体を含む。ポリペプチドは、単一の分子であり得るか、または二量体、三量体、もしくは四量体等の多分子複合体であり得る。それらは、抗体またはインスリン等の一本鎖または多本鎖ポリペプチドも含み得、会合または結合され得る。ほとんどの場合、ジスルフィド結合が多本鎖ポリペプチドに見られる。「ポリペプチド」という用語は、1個以上のアミノ酸残基が対応する天然に存在するアミノ酸の人工化学的類似体であるアミノ酸ポリマーにも適用され得る。
「ポリペプチド変異形」という用語は、それらのアミノ酸配列が天然配列または参照配列とは異なる分子を指す。アミノ酸配列変異形は、天然配列または参照配列と比較して、アミノ酸配列内のある特定の位置に置換、欠失、および/または挿入を有し得る。通常、変異形は、天然配列または参照配列と少なくとも約50%の同一性(相同性)を有し、好ましくは、それらは、天然配列または参照配列と少なくとも約80%、より好ましくは、少なくとも約90%同一(相同)である。
いくつかの実施形態において、「変異形模倣物」が提供される。本明細書で使用するとき、「変異形模倣物」という用語は、活性化配列を模倣する1個以上のアミノ酸を含有するものである。例えば、グルタミン酸塩は、ホスホロ−トレオニンおよび/またはホスホロ−セリンの模倣物の役割を果たし得る。あるいは、変異形模倣物は、その模倣物を含有する産物の失活または不活性化をもたらし得、例えば、フェニルアラニンは、チロシンの不活性化置換としての機能を果たし得るか、またはアラニンは、セリンの不活性化置換としての機能を果たし得る。
「相同性」は、アミノ酸配列に適用されるとき、最大の相同パーセントを得るために、配列を整列させ、必要に応じてギャップを導入した後の第2の配列のアミノ酸配列内の残基と同一の候補アミノ酸配列内の残基の割合(%)と定義される。整列させるための方法およびコンピュータプログラムは、当技術分野で周知である。相同性が同一性パーセントの計算に依存するが、計算に導入されるギャップおよびペナルティのため値が異なり得ることが理解される。
「相同体」とは、ポリペプチド配列に適用されるとき、第2の種の第2の配列に対してかなりの割合の同一性を有する他の種の対応する配列を意味する。
「類似体」は、親または出発ポリペプチドの特性のうちの1つ以上を依然として維持する、1つ以上のアミノ酸改変、例えば、アミノ酸残基の置換、付加、または欠失によって異なるポリペプチド変異形を含むよう意図される。
本発明は、変異形および誘導体を含むポリペプチド系のいくつかの種類の組成物を企図する。これらは、置換、挿入、欠失、および共有結合変異形および誘導体を含む。「誘導体」という用語は、「変異形」という用語と同義に使用されるが、概して、任意の方法で参照分子または出発分子に対して修飾され、かつ/または変化した分子を指す。
したがって、参照配列、具体的には、本明細書に開示の腫瘍学関連ポリペプチド配列に対して置換、挿入および/または付加、欠失、ならびに共有結合修飾を含有する腫瘍学関連ポリペプチドをコードするシグナルセンサーポリヌクレオチドが、本発明の範囲内に包含される。例えば、配列タグまたはアミノ酸、例えば、1個以上のリジンが、本発明のペプチド配列に付加され得る(例えば、N末端またはC末端で)。配列タグは、ペプチド精製または局在化に使用され得る。リジンを用いて、ペプチド溶解度を増加させるか、またはビオチン化を可能にする。あるいは、ペプチドまたはタンパク質のアミノ酸配列のカルボキシおよびアミノ末端領域に位置するアミノ酸残基が任意に欠失されて、切断配列を提供し得る。あるいは、ある特定のアミノ酸(例えば、C末端またはN末端残基)は、配列の使用に応じて、例えば、可溶性のより大きい配列の一部として配列の発現時に欠失され得るか、または固体支持体に結合され得る。
「置換変異形」とは、ポリペプチドについて言及するとき、天然配列または出発配列内の少なくとも1個のアミノ酸残基が除去され、その場所の同一の位置に異なるアミノ酸が挿入されたものである。これらの置換は、単一置換であり、分子中の1個のアミノ酸のみが置換されたものであり得、またはこれらの置換は、多置換であり、同一の分子中の2個以上のアミノ酸が置換されたものであり得る。
本明細書で使用するとき、「保存アミノ酸置換」という用語は、配列に通常存在するアミノ酸を、同様の大きさ、電荷、または極性を有する異なるアミノ酸で置換することを指す。保存置換の例には、イソロイシン、バリン、およびロイシン等の非極性(疎水性)残基の別の非極性残基との置換が挙げられる。同様に、保存置換の例には、アルギニンとリジン、グルタミンとアスパラギン、およびグリシンのセリン等の極性(親水性)残基の別の残基との置換が挙げられる。さらに、リジン、アルギニン、もしくはヒスチジン等の塩基性残基の別の塩基性残基との置換、またはアスパラギン酸もしくはグルタミン酸等のある酸性残基の別の酸性残基との置換が、保存置換のさらなる例である。非保存置換の例には、イソロイシン、バリン、ロイシン、アラニン、メチオニン等の非極性(疎水性)アミノ酸残基の、システイン、グルタミン、グルタミン酸、もしくはリジン等の極性(親水性)残基との置換、および/または極性残基の非極性残基との置換が挙げられる。
「挿入変異形」とは、ポリペプチドについて言及するとき、1個以上のアミノ酸が天然配列または出発配列内の特定の位置のアミノ酸にすぐ隣接して挿入されたものである。アミノ酸に「すぐ隣接した」とは、アミノ酸のα−カルボキシ官能基またはα−アミノ官能基のいずれかに連結されていることを意味する。
「欠失変異形」とは、ポリペプチドについて言及するとき、天然アミノ酸配列または出発アミノ酸配列内の1個以上のアミノ酸が除去されたものである。通常、欠失変異形は、1個以上のアミノ酸を分子の特定の領域で欠失させる。
「共有結合誘導体」は、ポリペプチドについて言及するとき、有機タンパク質性もしくは非タンパク質性誘導体化剤での天然タンパク質もしくは出発タンパク質の修飾、および/または翻訳後修飾を含む。共有結合修飾は、従来、タンパク質の標的アミノ酸残基を、選択された側鎖または末端残基と反応することができる有機誘導体化剤と反応させることによって、または選択された組換え宿主細胞において機能する翻訳後修飾の機構を利用することによって導入される。結果として生じる共有結合誘導体は、組換え糖タンパク質の免疫親和性精製のための抗タンパク質抗体の生物学的活性、免疫学的アッセイ、または調製に重要な残基の特定を目的としたプログラムにおいて有用である。そのような修飾は、当技術分野の技術の範囲内であり、過度の実験なく行われる。
ある特定の翻訳後修飾は、発現腫瘍学関連ポリペプチドにおける組換え宿主細胞の作用の結果である。グルタミニルおよびアスパラギニル残基は、高い頻度で、翻訳後に対応するグルタミルおよびアスパルチル残基に脱アミド化される。あるいは、これらの残基は、弱酸性条件下で脱アミド化される。これらの残基のいずれかの形態も、本発明に従って産生された腫瘍学関連ポリペプチドに存在し得る。
他の翻訳後修飾は、プロリンおよびリジンのヒドロキシル化、セリルまたはトレオニル残基のヒドロキシル基のリン酸化、リジン、アルギニン、およびヒスチジン側鎖のα−アミノ基のメチル化を含む(T.E.Creighton,Proteins:Structure and Molecular Properties,W.H.Freeman&Co.,San Francisco,pp.79−86(1983))。
「特徴」は、ポリペプチドについて言及するとき、分子のはっきりと異なるアミノ酸配列に基づく成分と定義される。本発明のmmRNAによってコードされるポリペプチドの特徴には、表面出現、局所立体配座形状、折り畳み、ループ、半ループ、ドメイン、半ドメイン、部位、末端、またはこれらの任意の組み合わせが含まれる。
本明細書で使用され、ポリペプチドについて言及するとき、「表面出現」という用語は、タンパク質のポリペプチド系成分が最も外側の表面に現れることを指す。
本明細書で使用され、ポリペプチドについて言及するとき、「局所立体配座形状」という用語は、タンパク質の定義可能な空間内に位置するタンパク質のポリペプチド系構造の出現を意味する。
本明細書で使用され、ポリペプチドについて言及するとき、「折り畳み」という用語は、エネルギー最小化時のアミノ酸配列の結果として生じる立体構造を指す。折り畳みは、折り畳みプロセスの二次または三次レベルで生じ得る。二次レベルの折り畳みの例には、βシートおよびαヘリックスが挙げられる。三次レベルの折り畳みの例には、エネルギー力の凝集または分離が原因で形成されるドメインおよび領域を含む。このようにして形成された領域は、疎水性および親水性ポケット等を含む。
本明細書で使用する「回転」という用語は、タンパク質構造に関するとき、ペプチドまたはポリペプチドの骨格の方向を変化させる屈曲を意味し、1、2、または3個以上のアミノ酸残基が関与し得る。
本明細書で使用され、ポリペプチドについて言及するとき、「ループ」という用語は、ペプチドまたはポリペプチドの骨格の方向を逆転させる役目を果たし得るポリペプチドの構造的特徴を指す。ループがポリペプチドで見つけられ、かつ骨格の方向のみを変化させる場合、これは、4個以上のアミノ酸残基を含み得る。Olivaらは、少なくとも5つのクラスのタンパク質ループを特定している(J.Mol Biol 266(4):814−830;1997)。ループは、開ループまたは閉ループであり得る。閉ループまたは「環状」ループは、架橋部分の間に2、3、4、5、6、7、8、9、または10個以上のアミノ酸を含み得る。そのような架橋部分は、ジスルフィド架橋を有するポリペプチドにおいて典型的なシステイン−システイン架橋(Cys−Cys)を含み得るか、またはあるいは架橋部分は、本明細書で用いられるジブロモジルイル剤(dibromozylyl agent)等の非タンパク質系のものであり得る。
本明細書で使用され、ポリペプチドについて言及するとき、「半ループ」という用語は、それが由来するループとして特定されたアミノ酸残基の少なくとも半数を有するループの部分を指す。ループが必ずしも偶数のアミノ酸残基を含有するわけではないことが理解される。したがって、ループが奇数のアミノ酸を含有するか、または奇数のアミノ酸を含むと特定された場合において、奇数のループの半ループは、ループの整数部分または次の整数部分(ループのアミノ酸の数/2+/−0.5個のアミノ酸)を含む。例えば、7アミノ酸ループと特定されたループは、3個のアミノ酸または4個のアミノ酸(7/2=3.5+/−0.5で3または4になる)の半ループをもたらし得る。
本明細書で使用され、ポリペプチドについて言及するとき、「ドメイン」という用語は、1つ以上の特定可能な構造または機能特徴または特性(例えば、結合能力、タンパク質間の相互作用の部位としての役割を果たす)を有するポリペプチドのモチーフを指す。
本明細書で使用され、ポリペプチドについて言及するとき、「半ドメイン」という用語は、それが由来するドメインとして特定されたアミノ酸残基の少なくとも半数を有するドメインの部分を意味する。ドメインが必ずしも偶数のアミノ酸残基を含有するわけではないことが理解される。したがって、ドメインが奇数のアミノ酸を含有するか、または奇数のアミノ酸を含むと特定された場合において、奇数のドメインの半ドメインは、ドメインの整数部分または次の整数部分(ドメインのアミノ酸の数/2+/−0.5個のアミノ酸)を含む。例えば、7アミノ酸ドメインと特定されたドメインは、3個のアミノ酸または4個のアミノ酸(7/2=3.5+/−0.5で3または4になる)の半ドメインをもたらし得る。サブドメインがドメインまたは半ドメイン内で特定され得、これらのサブドメインが、それらが由来するドメインまたは半ドメインで特定された構造特性または機能特性のすべてに満たない構造特性または機能特性を有することも理解される。本明細書のドメイン型のうちのいずれを含むアミノ酸もポリペプチドの骨格に沿って隣接している必要はない(すなわち、非隣接アミノ酸が構造的に折り畳まれて、ドメイン、半ドメイン、またはサブドメインをもたらし得る)ことも理解される。
本明細書で使用され、ポリペプチドについて言及するとき、「部位」という用語は、アミノ酸系の実施形態に関するとき、「アミノ酸残基」および「アミノ酸側鎖」と同義に使用される。部位は、本発明のポリペプチド系分子内で修飾、操作、改変、誘導体化、または変更され得るペプチドまたはポリペプチド内の位置を表す。
本明細書で使用され、ポリペプチドについて言及するとき、「末端(termini)」または「末端(terminus)」という用語は、ペプチドまたはポリペプチドの端を指す。そのような端は、ペプチドまたはポリペプチドの第1または最終部位に限定されるだけでなく、末端領域にさらなるアミノ酸も含み得る。本発明のポリペプチド系分子は、N末端(アミノ酸によって遊離アミノ基(NH2)で終端する)もC末端(アミノ酸によって遊離カルボキシル基(COOH)で終端する)もいずれも有することを特徴とし得る。本発明のタンパク質は、ある場合には、ジスルフィド結合または非共有結合力(多量体、オリゴマー)によって結び付けられた複数のポリペプチド鎖から成り得る。これらの種類のタンパク質は、複数のN末端およびC末端を有する。あるいは、ポリペプチドの末端は、それらが場合によって有機複合体等の非ポリペプチド系部分で始まるか、または終了するように修飾され得る。
これらの特徴のうちのいずれかが本発明のシグナルセンサー一次構築物またはmmRNAによってコードされるポリペプチドの所望の成分であると特定または定義されると、これらの特徴のいくつかの操作および/または修飾のうちのいずれも、移動、交換、反転、欠失、ランダム化、または複製によって行われ得る。さらに、特徴の操作が本発明の分子に対する修飾と同一の結果をもたらすことが理解される。例えば、ドメインの欠失を伴う操作は、全長分子未満をコードする核酸の修飾のような分子の長さの改変をもたらす。
修飾および操作は、部位特異的変異誘発等であるが、これに限定されない当技術分野で既知の方法によって達成され得る。その後、結果として生じる修飾された分子は、本明細書に記載のアッセイ等のインビトロまたはインビボアッセイ、または当技術分野で既知の任意の他の好適なスクリーニングアッセイを用いて活性について試験され得る。
本発明に従って、腫瘍学関連ポリペプチドは、一連の実験によって発見されるコンセンサス配列を含み得る。本明細書で使用するとき、「コンセンサス」配列とは、1つ以上の部位で可変性を可能にする配列の集合集団を表す単一配列である。
当業者によって認識されるように、タンパク質断片、機能的タンパク質ドメイン、および相同タンパク質も、本発明の目的とする腫瘍学関連ポリペプチドの範囲内であると見なされる。例えば、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、または100を超えるアミノ酸長の参照腫瘍学関連タンパク質の任意のタンパク質断片(少なくとも1個のアミノ酸残基が参照腫瘍学関連ポリペプチド配列よりも短いが、他の点では同一である腫瘍学関連ポリペプチド配列を意味する)が本明細書に提供される。別の例において、本明細書に記載の配列のうちのいずれかと約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、約95%、または約100%同一の一続きの約20、約30、約40、約50、または約100個のアミノ酸を含む任意の腫瘍学関連タンパク質が本発明に従って利用され得る。ある特定の実施形態において、本発明に従って利用されるポリペプチドは、本明細書に提供または参照される配列のうちのいずれかに示される2、3、4、5、6、7、8、9、10以上の変異を含む。
コードされた腫瘍学関連ポリペプチド
本発明のシグナルセンサー一次構築物またはmmRNAは、腫瘍学関連ペプチドおよびタンパク質といった、目的とする腫瘍学関連ポリペプチドをコードするように設計され得る。
一実施形態において、本発明のシグナルセンサー一次構築物またはmmRNAは、参照腫瘍学関連ポリペプチド配列とある特定の同一性を有する変異形ポリペプチドをコードし得る。本明細書で使用される「参照腫瘍学関連ポリペプチド配列」は、出発腫瘍学関連ポリペプチド配列を指す。参照配列は、野生型配列であり得るか、または、別の配列の設計で参照されるいずれかの配列であり得る。「参照ポリペプチド配列」は例えば、表6に挙げられるタンパク質配列のいずれか1つであり得る。
当技術分野で既知の「同一性」という用語は、配列を比較することによって決定される2個以上のペプチドの配列間の関係を指す。当技術分野において、同一性は、2個以上のアミノ酸残基のストリング間のマッチ数によって決定されるペプチド間の配列関連性の程度も意味する。同一性は、特定の数学モデルまたはコンピュータプログラム(すなわち、「アルゴリズム」)によって処理されるギャップアライメント(存在する場合)を有する2つ以上の配列のうちのより小さい配列間の同一のマッチの割合(%)を測定する。関連ペプチドの同一性は、既知の方法によって容易に計算され得る。そのような方法には、Computational Molecular Biology,Lesk,A.M.,ed.,Oxford University Press,New York,1988、Biocomputing:Informatics and Genome Projects,Smith,D.W.,ed.,Academic Press,New York,1993、Computer Analysis of Sequence Data,Part 1,Griffin,A.M.,and Griffin,H.G.,eds.,Humana Press,New Jersey,1994、Sequence Analysis in Molecular Biology,von
Heinje,G.,Academic Press,1987、Sequence Analysis Primer,Gribskov,M.and Devereux,J.,eds.,M.Stockton Press,New York,1991、およびCarillo et al.,SIAM J.Applied Math.48,1073(1988)に記載の方法が含まれるが、これらに限定されない。
いくつかの実施形態において、ポリペプチド変異形は、参照腫瘍学関連ポリペプチドと同一または同様の活性を有し得る。あるいは、変異形は、参照腫瘍学関連ポリペプチドと比較して変化(例えば、増加または減少)した活性を有し得る。概して、本発明の特定のシグナルセンサーポリヌクレオチドまたは腫瘍学関連ポリペプチドの変異形は、本明細書に記載され、かつ当業者に既知の配列アライメントプログラムおよびパラメータによって決定されるように、特定の参照シグナルセンサーポリヌクレオチドまたは腫瘍学関連ポリペプチドの変異形と少なくとも約40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%であるが、100%未満の配列同一性を有する。そのようなアライメントのツールは、BLASTプログラム一式を含む(Stephen F.Altschul,Thomas L.Madden,Alejandro A.Schaffer,Jinghui Zhang,Zheng Zhang,Webb Miller,and David J.Lipman(1997),“Gapped BLAST and PSI−BLAST:a new generation of protein databese search programs”,Nucleic Acids Res.25:3389−3402)。他のツールは、本明細書、具体的には、「同一性」の定義に記載される。
BLASTアルゴリズムの初期設定パラメータは、例えば、予測閾値10、ワードサイズ28、マッチ/ミスマッチスコア1、−2、線形ギャップコストを含む。任意のフィルター、ならびに種特異的繰り返し配列、例えば、ヒト特異的繰り返し配列の選択が適用され得る。
一実施形態において、シグナルセンサーシグナルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物、および/またはmmRNAを用いて対象の疾患、障害および/または状態を治療し得る。
一実施形態において、シグナルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物、および/またはmmRNAを用いて対象の腫瘍成長を軽減、除去または防止し得る。
一実施形態において、シグナルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物および/またはmmRNAを用いて、対象のがんの少なくとも1つの症状を軽減および/または改善し得る。がんの症状としては、脱力感、疼痛および痛み、熱、疲労、体重減少、血液凝固、血液のカルシウム量の上昇、白血球数の低下、息切れ、めまい、頭痛、色素沈着過剰、黄疸、紅斑症、そう痒症、多毛症、排便習慣の変化、膀胱機能の変化、永続的な潰瘍、口内の白い斑点、舌上の白点、異常な出血または排泄、身体部分の肥大またはこぶ、消化不良、呑み込みにくさ、いぼまたはほくろの変化、新しい皮膚の変化およびしつこい咳またはしわがれ声が挙げられ得るが、これらに限定されない。さらに、シグナルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物および/またはmmRNAは、限定されないが、ケモブレイン(chemo brain)、末梢性ニューロパシー、疲労、鬱、吐き気、嘔吐、痛み、貧血、リンパ浮腫、感染症、性的副作用、妊孕能の低下または不妊症、オストミー、不眠症および脱毛といった、がん関連の副作用を軽減し得る。
腫瘍学関連タンパク質または腫瘍学関連ペプチド
本明細書で開示されるシグナルセンサー一次構築物またはmmRNAは、1個以上の有効な、または「試験用の」腫瘍学関連タンパク質または腫瘍学関連ペプチドをコードし得る。
本発明に従うと、現在販売されている、または開発中の1つ以上の腫瘍学関連タンパク質または腫瘍学関連ペプチドが、本発明の腫瘍学関連シグナルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物またはmmRNAによってコードされ得る。理論に束縛されることは望まないが、本発明のシグナルセンサー一次構築物またはmmRNAに組み込むことで、少なくとも部分的に、構築物設計の特異性、純度および選択性のために、治療上の効果の改善をもたらす。
シグナルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物および/またはmmRNAは、生物学的および/または生理的なプロセスおよび/または化合物を改変し得、例えば、がん細胞、前がん細胞および/もしくは他の細胞における、細胞周期、DNA損傷応答(例えば、DNA損傷修復)、アポトーシス、血管新生、細胞運動性、上皮細胞の上皮間葉転換、ホスファチジルイノシトール3(PI3)キナーゼ/Akt細胞性シグナル伝達経路、テロメラーゼ活性および/もしくは発現、腫瘍転移、腫瘍形成、カテプシン、細胞老化、受容体チロシンキナーゼシグナル伝達、代謝および薬物代謝、Gタンパク質シグナル伝達、成長因子および受容体、熱ショックタンパク質、ヒストンデアセチラーゼ、ホルモン受容体、低酸素、ポリADPリボースポリメラーゼ、プロテインキナーゼ、RASシグナル伝達、トピソメラーゼ、転写因子ならびに腫瘍抑制活性が挙げられるが、これらに限定されない。
一実施形態において、シグナルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物および/またはmmRNAを用いて、欠失または突然変異させた遺伝子から生産されるタンパク質を置換する目的で、細胞または組織でポリペプチドを発現させ得る。
さらに、本発明のポリヌクレオチド、一次構築物またはmmRNAを用いて、天然および/または合成由来の発癌物質によって生じた癌を治療し得る。別の実施形態では、ポリヌクレオチド、一次構築物および/またはmmRNAの使用を用いて、他の生物体によって引き起こされるがんおよび/またはウイルス感染によって引き起こされるがんを治療し得る。
隣接領域のセンサー:非翻訳領域(UTR)
遺伝子の非翻訳領域(UTR)は、転写されるが、翻訳されない。5’UTRが転写開始部位で始まり開始コドンに続くが、開始コドンを含まない一方で、3’UTRは、終止コドンの直後に始まり、転写終結シグナルまで続く。核酸分子および翻訳の安定性においてUTRが果たす制御的役割についての報告が相次いでいる。UTRの制御特徴は、本発明のシグナルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物、および/またはmmRNAに組み込まれて、分子の安定性を高め得る。特定の特徴も組み込まれて、万が一それらが望ましくない器官部位に誤指向される場合には転写物の制御された下方制御を確保することができる。非翻訳領域は、mRNAを生産し得、および/または、細胞、組織および/または生物体に送達されて、目的とするポリペプチドを生産し得るベクター系に組み込まれ得る。
一実施形態において、本発明のシグナルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物および/またはmmRNAは、少なくとも1つの末端修飾を含み得る。末端修飾の非制限的な例が、2012年11月26日出願の米国仮特許出願第61/729,933号、表題「Terminally Optimized Modified RNAs」、2012年12月14日出願の米国仮特許出願第61/737,224号、表題「Terminally Optimized RNAs」、2013年1月31日出願の米国仮特許出願第61/758,921号、表題「Differential Targeting Using RNA Constructs」、2013年3月14日出願の米国仮特許出願第61/781,139号、表題「Differential Targeting Using RNA Constructs」、2013年5月31日出願の米国仮特許出願第61/829,359号、表題「Differential Targeting Using RNA Constructs」、2013年6月27日出願の米国仮特許出願第61/839,903号、表題「Differential Targeting
Using RNA Constructs」、2013年7月3日出願の米国仮特許出願第61/842,709号、表題「Differential Targeting
Using RNA Constructs」、2013年7月23日出願の米国仮特許出願第61/857,436号、表題「Differential Targeting Using RNA Constructs」に記載されており、当該仮特許出願の各々の内容は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。これらの末端修飾には、5’キャップ、末端領域におけるマイクロRNA結合部位、鎖終止ヌクレオシド、末端領域における翻訳エンハンサー要素ならびにポリAーGカルテットおよびステムループ配列を含む尾部配列が含まれるが、これらに限定されない。
5’UTRおよび翻訳開始
天然5’UTRは、翻訳開始に関与する特徴を有する。それらは、リボソームが多くの遺伝子の翻訳を開始するプロセスに関与することで一般に知られているコザック配列のような特徴を有する。コザック配列は、コンセンサスCCR(A/G)CCAUGGを有し、式中、Rは、開始コドン(AUG)の3塩基上流のプリン(アデニンまたはグアニン)であり、この後に別の「G」が続く。5’UTRは、伸長因子結合に関与する二次構造を形成することも知られている。例えば、二次5’−UTR構造の1つにeIF4A2伸長因子結合のための構造化したIRESがあり、これは、3’UTRにおけるマイクロRNA媒介性遺伝子抑制に必要である。
伸長因子結合に関わる5’UTRの二次構造は、5’UTRまたは3’UTRで他のRNA結合分子と相互作用し、遺伝子発現を調節し得る。例えば、5’UTRで二次構造化した要素に結合する伸長因子EIF4A2は、マイクロRNA媒介性抑制に必要である(Meijer HA et al.,Science、2013、340、82−85、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)。5’UTRにおける異なる二次構築物が隣接領域に組み込まれ、特定の組織または細胞のmRNAを安定化するかまたは選択的に不安定化するかのいずれかを行い得る。
特定の標的器官の多量に発現した遺伝子において典型的に見られる特徴を操作することによって、本発明のシグナルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物、またはmmRNAの安定性および腫瘍学関連タンパク質産生を高めることができる。例えば、アルブミン、血清アミロイドA、アポリポタンパク質A/B/E、トランスフェリン、αフェトタンパク質、エリスロポエチン、または第VIII因子等の肝臓で発現したmRNAの5’UTR導入を用いて、肝細胞株または肝臓でのmmRNA等の核酸分子の発現を高めることができる。同様に、他の組織特異的mRNAからの5’UTRを用いてその組織での発現を高めることは、筋肉(MyoD、ミオシン、ミオグロビン、ミオゲニン、ヘルクリン(Herculin))、内皮細胞(Tie−1、CD36)、骨髄細胞(C/EBP、AML1、G−CSF、GM−CSF、CD11b、MSR、Fr−1、i−NOS)、白血球(CD45、CD18)、脂肪組織(CD36、GLUT4、ACRP30、アディポネクチン)、および肺上皮細胞(SP−A/B/C/D)において可能である。
他の非UTR配列が、5’UTR(または3’UTR)に組み込まれ得る。例えば、イントロンまたはイントロン配列の一部は、本発明のシグナルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物、またはmmRNAの隣接領域に組み込まれ得る。イントロン配列の組み込みは、タンパク質産生、ならびにmRNA量を増加させ得る。
翻訳エンハンサー要素(TEE)
一実施形態において、シグナルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物、修飾核酸および/またはmmRNAの5’UTRには、少なくとも1つの翻訳上エンハンサーポリヌクレオチド、翻訳エンハンサー要素、翻訳上エンハンサー要素(複数)(集合的に「TEE」(複数可)と呼ぶ)が含まれ得る。非制限的な例として、TEEは、転写プロモーターと開始コドンとの間に位置し得る。5’UTRに少なくとも1つのTEEを有するシグナルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物、修飾核酸および/またはmmRNAは、5’UTRにキャップを含み得る。さらに、キャップ依存性またはキャップ非依存性翻訳を行うシグナルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物、修飾核酸および/またはmmRNAの5’UTRに、少なくとも1つのTEEが位置し得る。
「翻訳上エンハンサー要素」または「翻訳エンハンサー要素」(本明細書では集合的に「TEE」と呼ぶ)という語句は、mRNAから生産されるポリペプチドまたはタンパク質の量を増大する配列を指す。
一実施形態において、TEEはUTRで保存される要素であり、限定はしないが、キャップ依存性またはキャップ非依存性翻訳といった、核酸の翻訳活性を助長することができる。これらの配列の保存は、ヒトを含む14種にわたってPanekら(Nucleic
Acids Research、2013、1−10;参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)によって以前に示されている。
一実施形態において、TEEは実施例45の表35で挙げるTEEのいずれかであり得、その部分および/または断片を含む。TEE配列は、表35に開示されるTEE配列の少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%もしくは99%超を含み得、および/または、TEE配列は、表35に開示されるTEE配列の5〜30個のヌクレオチド断片、5〜25個のヌクレオチド断片、5〜20個のヌクレオチド断片、5〜15個のヌクレオチド断片、5〜10個のヌクレオチド断片を含み得る。
1つの非制限的な例として、公知のTEEは、Gtxホメオドメインタンパク質の5′−リーダーにあり得る(Chappell et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 101:9590−9594、2004、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)。
別の非制限的な例として、TEEは、米国特許出願第20090226470号では配列番号1〜35、米国特許出願第WO20130177581号では配列番号1〜35、国際特許出願第WO2009075886号では配列番号1〜35、国際特許出願第WO2012009644号では配列番号1〜5および7〜645、国際特許出願第WO1999024595号では配列番号1、米国特許出願第US6310197号では配列番号1、および、米国特許出願第US6849405号では配列番号1として開示され、当該出願は各々は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
さらに別の非制限的な例として、限定はしないが、各々の全体が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第US7468275号、米国特許公開第US20070048776号および同第20110124100号ならびに国際特許公開第WO2007025008号および同第2001055369号に記載されるような配列内リボソーム進入部位(IRES)、HCV−IRESまたはIRES要素であり得る。IRES要素としては、限定はしないが、各々の全体が参照により本明細書に組み込まれる、Chappellら(Proc.Natl.Acad.Sci.USA101:9590−9594、2004)およびZhouら(PNAS102:6273−6278、2005)によって、ならびに、米国特許公開第US20070048776号および同第US20110124100号および国際特許公開第WO2007025008号に記載されるGtx配列(例えば、Gtx9−nt、Gtx8−nt、Gtx7−nt)が挙げられ得る。
「翻訳上エンハンサーポリヌクレオチド」または「翻訳エンハンサーポリヌクレオチド配列」は、本明細書で例として挙げられる、および/または、当該技術分野(例えば、米国特許第US6310197号、米国特許第US6849405号、米国特許第US7456273号、米国特許第US7183395号、米国特許第US20090226470号、米国特許第US20070048776号、米国特許第US20110124100号、米国特許第US20090093049号、米国特許第US20130177581号、国際公開第WO2009075886号、国際公開第WO2007025008号、国際公開第WO2012009644号、国際公開第WO2001055371号、国際公開第WO1999024595号、ならびに欧州特許第EP2610341A1号および欧州特許第2610340A1号を参照;各々の全体が参照により本明細書に組み込まれる)で開示される特定のTEEまたはそれらの変異形、相似体まもしくは機能的誘導体を1つ以上含むポリヌクレオチドである。特定のTEEの1または複数の複写物がシグナルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物、修飾核酸および/またはmmRNAに存在し得る。翻訳上エンハンサーポリヌクレオチドのTEEは、1つ以上の配列セグメントで組織化され得る。配列セグメントは、本明細書で例として挙げられる特定のTEEを1つ以上保有し得、各TEEは1つ以上の複写物で存在する。複数の配列セグメントが翻訳上エンハンサーポリヌクレオチドに存在する場合、同種または異種であり得る。したがって、翻訳上エンハンサーポリヌクレオチドの複数の配列セグメントは、同一もしくは異なる種類の本明細書で例示される特定のTEE、特定のTEEそれぞれの同一もしくは異なる数の複写物、および/または、各配列セグメント内にTEEの同一もしくは異なる組織を保有し得る。
一実施形態において、シグナルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物、修飾核酸および/またはmmRNAは、各々の全体が参照により本明細書に組み込まれる、国際公開第WO1999024595号、国際公開第WO2012009644号、国際公開第WO2009075886号、国際公開第WO2007025008号、国際公開第WO1999024595号、欧州特許公開第EP2610341A1号およびEP2610340A1号、米国特許第US6310197号、米国特許第US6849405号、米国特許第US7456273号、米国特許第US7183395号、米国特許第US20090226470号、米国特許第US20110124100号、米国特許第US20070048776号、米国特許第US20090093049号および米国特許第US20130177581号で説明されるTEEを少なくとも1つ含み得る。TEEは、シグナルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物、修飾核酸および/またはmmRNAの5’UTRに位置し得る。
別の実施形態では、シグナルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物、修飾核酸および/またはmmRNAは、各々の全体が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第US20090226470号、米国特許第US20070048776号、米国特許第US20130177581号および米国特許第US20110124100号、国際公開第WO1999024595号、国際公開第WO2012009644号、国際公開第WO2009075886号および国際公開第WO2007025008号、欧州特許第EP2610341A1号および欧州特許第EP2610340A1号、米国特許第US6310197号、米国特許第US6849405号、米国特許第US7456273号、米国特許第US7183395号に記載されるTEEと、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%または少なくとも99%の同一性を有するTEEを少なくとも1つ含み得る。
一実施形態において、シグナルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物、修飾核酸および/またはmmRNAの5’UTRは、少なくとも1個、少なくとも2個、少なくとも3個、少なくとも4個、少なくとも5個、少なくとも6個、少なくとも7個、少なくとも8個、少なくとも9個、少なくとも10個、少なくとも11個、少なくとも12個、少なくとも13個、少なくとも14個、少なくとも15個、少なくとも16個、少なくとも17個、少なくとも18少なくとも19個、少なくとも20個、少なくとも21個、少なくとも22個、少なくとも23個、少なくとも24個、少なくとも25個、少なくとも30個、少なくとも35個、少なくとも40個、少なくとも45個、少なくとも50個、少なくとも55個または60個超のTEE配列を含み得る。本発明のシグナルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物、修飾核酸および/またはmmRNAの5’UTRにおけるTEE配列は、同一または異なるTEE配列であり得る。TEE配列は、ABABABもしくはAABBAABBAABBもしくはABCABCABCまたは1回、2回または4回以上繰り返したその変異形といったパターンであり得る。これらのパターンでは、各文字A、BまたはCは、ヌクレオチドレベルで異なるTEE配列を表す。
一実施形態において、5’UTRは、2つのTEE配列を分離するスペーサーを含み得る。非制限的な例として、スペーサーは15個のヌクレオチドのスペーサーおよび/または当該技術分野で知られる他のスペーサーであり得る。非制限的な例として、5’UTRは、5’UTRで少なくとも1回、少なくとも2回、少なくとも3回、少なくとも4回、少なくとも5回、少なくとも6回、少なくとも7回、少なくとも8回および少なくとも9回または9回超で繰り返されるTEE配列−スペーサーモジュールを含み得る。
別の実施形態では、2つのTEE配列を分離するスペーサーは、本発明のシグナルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物、修飾核酸および/またはmmRNAの翻訳を制御し得る当該技術分野では公知の他の配列を含み得、例えば、本明細書に記載されるmiR配列(例えばmiR結合部位およびmiR種)が挙げられるがこれらに限定されない。非制限的な例として、2つのTEEを分離するために使用される各スペーサーは、異なるmiR配列またはmiR配列の異なる成分(例えば、miR種配列)を含み得る。
一実施形態において、本発明のシグナルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物、修飾核酸および/またはmmRNAの5’UTRにおけるTEEは、米国特許第US20090226470号、米国特許第US20070048776号、米国特許第US20130177581号および米国特許第US20110124100号、国際公開第WO1999024595号、国際公開第WO2012009644号、国際公開第WO2009075886号および国際公開第WO2007025008号、欧州特許第EP2610341A1号および欧州特許第EP2610340A1号、米国特許第US6310197号、米国特許第US6849405号、米国特許第US7456273号、米国特許第US7183395で開示されるTEE配列の少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%または99%超を含み得る。別の実施形態では、本発明のシグナルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物、修飾核酸および/またはmmRNAの5’UTRにおけるTEEは、各々の全体が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第20090226470号、米国特許第20070048776号、米国特許第20130177581号および米国特許第20110124100号、国際公開第WO1999024595号、国際公開第WO2012009644号、国際公開第WO2009075886号および国際公開第WO2007025008号、欧州特許第2610341A1号およびEP2610340A1号、米国特許第6310197号、米国特許第6849405号、米国特許第7456273号、米国特許第7183395号で開示されるTEE配列の5〜30個のヌクレオチド断片、5〜25個のヌクレオチド断片、5〜20個のヌクレオチド断片、5〜15個のヌクレオチド断片、5〜10個のヌクレオチド断片を含み得る。
一実施形態において、本発明のシグナルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物、修飾核酸および/またはmmRNAの5’UTRにおけるTEEは、各々の全体が参照により本明細書に組み込まれる、Chappellら(Proc.Natl.Acad.Sci.USA101:9590−9594、2004)およびZhouら(PNAS102:6273−6278、2005)に開示され、Wellensiekら(Genome−wide profiling of human cap−independent translation−enhancing elements、Nature Methods、2013;DOI:10.1038/NMETH.2522)によって開示された補足表1および補足表2で開示されるTEE配列の少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%または99%超を含み得る。別の実施形態では、本発明のシグナルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物、修飾核酸および/またはmmRNAの5’UTRにおけるTEEは、各々の全体が参照により本明細書に組み込まれる、Chappellら(Proc.Natl.Acad.Sci.USA101:9590−9594、2004)およびZhouら(PNAS102:6273−6278、2005)に開示され、Wellensiekら(Genome−wide profiling of human cap−independent translation−enhancing elements、Nature Methods、2013;DOI:10.1038/NMETH.2522)によって開示された補足表1および補足表2で開示されるTEE配列の5〜30個のヌクレオチド断片、5〜25個のヌクレオチド断片、5〜20個のヌクレオチド断片、5〜15個のヌクレオチド断片、5〜10個のヌクレオチド断片を含み得る。
一実施形態において、本発明のシグナルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物、修飾核酸および/またはmmRNAの5’UTRで用いられるTEEは、IRES配列であり、例えば、各々の全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第7468275号および国際公開第WO2001055369号に記載されるものが挙げられるが、これらに限定されない。
一実施形態において、本発明のシグナルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物、修飾核酸および/またはmmRNAの5’UTRで用いされるTEEは、各々の全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第20070048776号および米国特許第20110124100号ならびに国際公開第WO2007025008号および国際公開第WO2012009644号に記載される方法で識別され得る。
別の実施形態では、本発明のシグナルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物、修飾核酸および/またはmmRNAの5’UTRで用いられるTEEは、各々の全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第7456273号および米国特許第7183395号、米国特許第20090093049号ならびに国際公開第WO2001055371号に記載される転写調節要素であり得る。転写調節要素は、各々の全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第7456273号および米国特許第7183395号、米国特許第20090093049号ならびに国際公開第WO2001055371号に記載される方法といった、当該技術分野で公知の方法で識別され得るが、これらに限定されない。
さらに別の実施形態では、本発明のシグナルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物、修飾核酸および/またはmmRNAの5’UTRで用いられるTEEは、各々の全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第7456273号および米国特許第7183395号、米国特許第20090093049号ならびに国際公開第WO2001055371号に記載されるオリゴヌクレオチドまたはその部分である。
本明細書に記載されるTEEを少なくとも1つ含む5’UTRは、限定はしないが、ベクター系または核酸ベクターといったモノシストロニック配列に組み込まれ得る。非制限的な例として、ベクター系または核酸ベクターは、各々の全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第7456273号および米国特許第7183395号、米国特許第20070048776号、米国特許第20090093049号および米国特許第20110124100号ならびに国際公開第WO2007025008号および国際公開第WO2001055371号に記載されるものを含み得る。
一実施形態において、本明細書に記載されるTEEは、シグナルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物、修飾核酸および/またはmmRNAの5’UTRおよび/または3’UTRに位置し得る。3’UTRに位置するTEEは、5’UTRに位置する、および/または、5’UTRへの組み込みに関して説明されたTEEと同一および/または異なり得る。
一実施形態において、シグナルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物、修飾核酸および/またはmmRNAの3’UTRは、少なくとも1個、少なくとも2個、少なくとも3個、少なくとも4個、少なくとも5個、少なくとも6個、少なくとも7個、少なくとも8個、少なくとも9個、少なくとも10個、少なくとも11個、少なくとも12個、少なくとも13個、少なくとも14個、少なくとも15個、少なくとも16個、少なくとも17個、少なくとも18少なくとも19個、少なくとも20個、少なくとも21個、少なくとも22個、少なくとも23個、少なくとも24個、少なくとも25個、少なくとも30個、少なくとも35個、少なくとも40個、少なくとも45個、少なくとも50個、少なくとも55個または60個超のTEE配列を含み得る。本発明のシグナルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物、修飾核酸および/またはmmRNAの3’UTRにおけるTEE配列は、同一または異なるTEE配列であり得る。TEE配列は、ABABABまたはAABBAABBAABBまたはABCABCABCまたは1回、2回または4回以上繰り返されるその変異形といったパターンであり得る。これらのパターンでは、各文字A、BまたはCはヌクレオチドレベルで異なるTEE配列を表す。
一実施形態において、3’UTRは、2つのTEE配列を分離するスペーサーを含み得る。非制限的な例として、スペーサーは15個のヌクレオチドのスペーサーおよび/または当該技術分野で知られる他のスペーサーであり得る。非制限的な例として、3’UTRは、3’UTRで少なくとも1回、少なくとも2回、少なくとも3回、少なくとも4回、少なくとも5回、少なくとも6回、少なくとも7回、少なくとも8回および少なくとも9回または9回超で繰り返されるTEE配列−スペーサーモジュールを含み得る。
別の実施形態では、2つのTEE配列を分離するスペーサーは、本発明のシグナルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物、修飾核酸および/またはmmRNAの翻訳を制御し得る当該技術分野では公知の他の配列を含み得、例えば、本明細書に記載されるmiR配列(例えばmiR結合部位およびmiR種)が挙げられるがこれらに限定されない。非制限的な例として、2つのTEE配列を分離するために使用される各スペーサーは、異なるmiR配列またはmiR配列の異なる成分(例えば、miR種配列)を含み得る。
一実施形態において、miR配列および/またはTEE配列の組み込みは、ステムループ領域の形状を変え、これは、翻訳を増大および/または低下し得る(例えば、Kedde et al.,A Pumilio−induced RNA structure
switch in p27−3’UTR controls miR−221 and miR−22 accessibility.Nature Cell Biology.2010を参照、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)。
一実施形態において、5’UTRは、少なくとも1つのマイクロRNA配列を含み得る。マイクロRNA配列は、限定はしないが、19または22個のヌクレオチド配列および/または種を有さないマイクロRNA配列であり得る。
一実施形態において、5’UTRにおけるマイクロRNA配列を用いて、本明細書に記載される核酸および/またはmRNAを安定化させ得る。
別の実施形態では、5’UTRにおけるマイクロRNA配列を用いて、限定はしないが、開始コドンといった、翻訳開始の部位の到達性を低下し得る。Matsudaら(PLoS One.2010 11(5):e15057;参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)は、第1の開始コドン(AUG)への到達性を低下させるために、開始コドンの周囲(AUGコドンのAが+1である場合−4〜+37)でアンチセンスロック核酸(LNA)オリゴヌクレオチドおよびエキソン−ジャンクション複合体(EJC)を用いた。Matsudaは、開始コドン周辺の配列をLNAまたはEJCで改変すると、核酸またはmRNAの効率、長さおよび構造上の安定性が影響を受けることを示した。本発明のシグナルセンサーポリヌクレオチドは、翻訳開始の部位の到達性を低下させるために、翻訳開始の部位付近に、Matsudaらが説明したLNAまたはEJCの代わりにマイクロRNA配列を含み得る。翻訳開始の部位は、マイクロRNA配列の前、後ろまたはその中であり得る。非制限的な例として、翻訳開始の部位は、種配列または結合部位といったマイクロRNA配列内に位置し得る。別の非制限的な例として、翻訳開始の部位は、種配列またはmir−122結合部位といったmir−122配列内に位置し得る。
一実施形態において、本発明の核酸またはmRNAは、核酸またはmRNAの領域に、RNA結合タンパク質と相互作用し得るマイクロRNA配列を少なくとも1つ含む。
RNA結合タンパク質(RBP)のためのRNAモチーフ
RNA結合タンパク質(RBP)は、同時転写および転写後遺伝子発現の数多くの側面を制御し得、例えば、RNAスプライシング、局在化、翻訳、ターンオーバー、ポリアデニル化、キャッピング、修飾、搬出および局在化が挙げられるが、これらに限定されない。限定はしないが、RNA認識モチーフ(RR)およびhnRNP K−相同(KH)ドメインといったRNA結合ドメイン(RBD)は通常、RBPとそのRNA標的との間の配列の関連性を制御する(Ray et al.,Nature 2013.499:172−177;参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)。一実施形態において、標準のRBDは短いRNA配列と結合し得る。別の実施形態では、標準RBDは構造RNAを認識できる。
一実施形態において、核酸および/またはmRNAは、限定はしないがRNA結合ドメイン(RBD)といったRNA結合モチーフを少なくとも1つ含み得る。
一実施形態において、RBDは、Rayら(Nature 2013.499:172−177;参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)が記載するRBD、その断片または変異形のいずれかであり得る。
一実施形態において、本発明の核酸またはmRNAは、少なくとも1つのRNA結合ドメイン(RBD)のための配列を含み得る。本発明の核酸またはmRNAが2つ以上のRBDを含む場合、RBDは同一の種由来である必要はなく、または、同一の構造上のクラス由来である必要すらない。
一実施形態において、少なくとも1つの隣接領域(例えば、5’UTRおよび/または3’UTR)は少なくとも1つのRBDを含み得る。別の実施形態では、第1の隣接領域および第2の隣接領域は双方とも少なくとも1つのRBDを含み得る。RBDは同一であり得、または、各RBDは、もう一方のRBDと少なくとも60%の配列同一性を有し得る。非制限的な例として、少なくとも1つのRBDが、本発明の核酸またはmRNAの3’UTRの前、後ろおよび/またはその中に位置し得る。別の非制限的な例として、少なくとも1つのRBDが、3’UTRの最初の300個のヌクレオシドの前またはその中に位置し得る。
別の実施形態では、本発明の核酸および/またはmRNAは、結合ヌクレオシドの第1の領域に少なくとも1つのRBDを含み得る。RBDは、コード領域(例えばORF)の前、後ろまたはその中に位置し得る。
さらに別の実施形態では、結合ヌクレオシドの第1の領域および/または少なくとも1つの隣接領域は、少なくとも1つのRBDを含み得る。非制限的な例として、結合ヌクレオシドの第1の領域は、スプライシング因子に関わるRBDを含み得、少なくとも1つの隣接領域は、安定性および/または翻訳因子のためのRBDを含み得る。
一実施形態において、本発明の核酸および/またはmRNAは、核酸および/またはmRNAのコードおよび/または非コード領域に位置するRBDを少なくとも1つ含み得る。
一実施形態において、少なくとも1つのRBDが少なくとも1つの隣接領域に組み込まれ、本発明の核酸および/またはmRNAの安定性を増大し得る。
一実施形態において、RNA結合タンパク質モチーフのマイクロRNA配列を用いて、限定はしないが、開始コドンといった翻訳開始の部位の到達性を低下させ得る。本発明のシグナルセンサーポリヌクレオチドは、翻訳開始の部位の到達性を低下させるために、翻訳開始の部位付近に、Matsudaらが説明したLNAまたはEJCの代わりにマイクロRNA配列を含み得る。翻訳開始の部位は、マイクロRNA配列の前、後ろまたはその中であり得る。非制限的な例として、翻訳開始の部位は、種配列または結合部位といったマイクロRNA配列内に位置し得る。別の非制限的な例として、翻訳開始の部位は、種配列またはmir−122結合部位といったmir−122配列内に位置し得る。
別の実施形態では、アンチセンスでロックした核酸(LNA)オリゴヌクレオチドおよびエキソン−ジャンクション複合体(EJC)をRNA結合タンパク質モチーフで使用し得る。第1の開始コドン(AUG)への到達性を低下するために、LNAおよびEJCを開始コドンの周辺で(AUGコドンのAを+1とする場合、−4〜+37)使用し得る。
3’UTRおよびAU豊富な要素
3’UTRは、それらに包理される一続きのアデノシン(Adenosine)およびウリジン(Uridine)を有することで知られている。これらのAU豊富な特徴は、特に高代謝回転率を有する遺伝子においてよく見られる。それらの配列特徴および機能特性に基づいて、AU豊富な要素(ARE)は、3つのクラスに分類され得る(Chen et al.,1995):クラスIのAREは、U豊富な領域内にAUUUAモチーフのいくつかの分散したコピーを含有する。C−MycおよびMyoDは、クラスIのAREを含有する。クラスIIのAREは、2個以上の重複したUUAUUUA(U/A)(U/A)九量体を有する。この種のAREを含有する分子は、GM−CSFおよびTNF−aを含む。クラスIIIのAREは、あまり明確にされていない。これらのU豊富な領域は、AUUUAモチーフを含有しない。C−Junおよびミオゲニンが、十分に研究されたこのクラスの例の2つである。AREに結合する大半のタンパク質がメッセンジャーを不安定にすることで知られているが、ELAVファミリーのメンバー、中でも注目すべきHuRがmRNAの安定性を向上させることが実証されている。HuRは、これら3つのクラスのAREに結合する。HuR特異的結合部位を操作して核酸分子の3’UTRに入れることで、HuR結合、ひいてはインビボでのメッセージの安定化につながる。
3’UTRのAU豊富な要素(ARE)の導入、除去、または修飾を用いて、本発明のシグナルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物、またはmmRNAの安定性を調節することができる。特定のポリヌクレオチド、一次構築物、またはmmRNAを操作するとき、AREの1つ以上のコピーが導入されて、本発明のポリヌクレオチド、一次構築物、またはmmRNAの安定性を低下させ、それによって、結果として生じるタンパク質の翻訳を抑制し、その産生を低減させ得る。同様に、AREは、特定および除去されるか、または変異されて、細胞内安定性を向上させ、ひいては結果として生じるタンパク質の翻訳および産生を増加させることができる。本発明のシグナルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物、またはmmRNAを用いた形質移入実験を関連細胞株において行うことができ、タンパク質産生を形質移入後の様々な時点でアッセイすることができる。例えば、細胞を、異なるARE操作分子で形質移入することができ、関連タンパク質に対してELISAキットを用いて形質移入後6時間、12時間、24時間、48時間、および7日時点で産生されたタンパク質をアッセイすることができる。
3’UTRおよび三重鎖
一実施形態において、本発明のシグナル配列ポリヌクレオチドは、シグナル配列ポリヌクレオチドの3’末端上に三重鎖を含み得る。本発明の核酸の3’末端には、三重鎖が、単独またはポリA尾部と組み合わせて含まれ得る。
一実施形態において、本発明のシグナル配列ポリヌクレオチドは、少なくとも、第1および第2のU豊富な領域、第1と第2の領域との間の保存されたステムループ領域ならびにA豊富な領域を含み得る。第1および第2のU豊富な領域およびA豊富な領域は、対合して核酸の3’末端上に三重鎖を形成し得る。この三重鎖は、核酸を安定化し、核酸の翻訳効率を向上させ、および/または、3’末端を分解から保護し得る。例示的な三重鎖としては、転移関連肺腺癌転写物1(MALAT1)、MEN−βおよびポリアデニル化核(PAN)RNAの三重鎖配列(Wilusz et al.,Genes&Development 2012 26:2392−2407を参照;参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)が挙げられるが、これに限定されない。一実施形態において本発明の修飾核酸、強化した修飾RNAまたはリボ核酸の3’末端は、TTTTTCTTTT(配列番号1)を含む第1のU豊富な領域、TTTTGCTTTTT(配列番号2)またはTTTTGCTTTT(配列番号3)を含む第2のU豊富な領域、AAAAAGCAAAA(配列番号4)を含むA豊富な領域を含む。別の実施形態では、本発明の核酸の3’末端は、第1のU豊富な領域、保存された領域、第2のU豊富な領域およびA豊富な領域を含む三重鎖形成構造を含む。
一実施形態において、三重鎖は、クローバー型の構造の前のMALAT1配列の切断から形成され得る。理論に限定される意図はないが、MALAT1は非コードの長いRNAであり、これは、切断された時に三重鎖およびtRNA様クローバー型構造を形成する。MALAT1転写物は次いで核スペックルに局在化し、tRNA様クローバー型は、細胞質に局在化するWilusz et al.,Cell 2008 135(5):919−932;参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)。
非制限的な例として、MALAT1配列を含む本発明の核酸の末端は次いで、クローバー型構造からのRNaseP切断の後、三重鎖を形成し得、これは、核酸を安定化させる(Peart et al.,Non−mRNA 3’ end formation:how the other half lives;WIREs RNA 2013;参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)。
一実施形態において、本明細書に記載されるシグナル配列ポリヌクレオチドは、MALAT1配列を含む。別の実施形態では、シグナル配列ポリヌクレオチドはポリアデニル化され得る。さらに別の実施形態では、シグナル配列ポリヌクレオチドは、ポリアデニル化されていないが、非修飾核酸またはmRNAに比べると、分解に対する耐性が増大している。
一実施形態において、本発明のシグナル配列ポリヌクレオチドは、第2の隣接領域(例えば、3’UTR)にMALAT1配列を含み得る。非制限的な例として、MALAT1配列はヒトまたはマウスであり得る。
別の実施形態では、MALAT1配列のクローバー型構造はまた、RNaseZおよびCCA添加酵素によるプロセシングを経て、mascRNA(MALAT1−関連小細胞質RNA)と呼ばれるtRNA様構造を形成し得る。非制限的な例として、mascRNAは、タンパク質またはその断片をコードし得、および/または、マイクロRNA配列を含み得る。mascRNAは本明細書に記載される化学修飾を少なくとも1つ含み得る。
ステムループ
一実施形態において、本発明の核酸は、限定はしないが、ヒストンステムループといった、ステムループを含み得る。ステムループは、長さが約25個または約26個のヌクレオチドであるヌクレオチド配列であり得、例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、国際公開第WO2013103659号に記載される配列番号7〜17が挙げられるが、これらに限定されない。ヒストンステムループは、コード領域に関して3’(例えば、コード領域の3’末端)に位置し得る。非制限的な例として、ステムループは本明細書に記載される核酸の3’末端に位置し得る。
一実施形態において、ステムループは第2の末端領域に位置し得る。非制限的な例として、ステムループは第2の末端領域の非翻訳領域(例えば、3’UTR)内に位置し得る。
一実施形態において、ヒストンステムループを含む、限定はしないがmRNAといった核酸は、少なくとも1つの鎖終止ヌクレオシドの添加によって安定化され得る。理論に制限されることは望まないが、少なくとも1つの鎖終止ヌクレオシドの添加によって、核酸の分解が遅くなり得、したがって核酸の半減期が増加し得る。
一実施形態において、鎖終止ヌクレオシドは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる国際公開第WO2013103659号で説明されるものであり得るが、これらに限定されない。別の実施形態では、本発明と一緒に使用され得る鎖終止ヌクレオシドとしては、3’−デオキシアデノシン(コルジセピン)、3’−デオキシウリジン、3’−デオキシシトシン、3’−デオキシグアノシン、3’−デオキシチミン、2’,3’−ジデオキシアデノシン、2’,3’−ジデオキシウリジン、2’,3’−ジデオキシシトシン、2’,3’−ジデオキシグアノシン、2’,3’−ジデオキシチミンといった2’,3’−ジデオキシヌクレオシド、2’−デオキシヌクレオシドまたは−O−メチルヌクレオシドが挙げられるが、これらに限定されない。
別の実施形態では、ヒストンステムループを含む、限定はしないがmRNAといった核酸は、オリジオ(oligio)(U)の添加を阻止および/または阻害し得る修飾を核酸の3’領域に行うことで安定化され得る(例えば、国際公開第WO2013103659号を参照、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)。
さらに別の実施形態では、ストンステムループを含む、限定はしないがmRNAといった核酸は、3’−デオキシヌクレオシド、2’,3’−ジデオキシヌクレオシド、3’−0−メチルヌクレオシド、3’−0−エチルヌクレオシド、3’−アラビノシドならびに当該技術分野で公知の、および/または、本明細書に記載される他の修飾ヌクレオシドで終わるオリゴヌクレオチドの添加によって安定化され得る。
一実施形態において、本発明の核酸には、ヒストンステムループ、ポリA尾部配列および/または5’キャップ構造が含まれ得る。ヒストンステムループは、ポリA尾部配列の前および/または後ろにあり得る。ヒストンステムループおよびポリA尾部配列を含む核酸は、本明細書に記載される鎖終止ヌクレオシドを含み得る。
別の実施形態では、本発明の核酸は、ヒストンステムループおよび5’キャップ構造を含み得る。5’キャップ構造は、限定はしないが、本明細書に記載されるおよび/または当該技術分野で知られるものを含み得る。
一実施形態において、保存されたステムループ領域は、本明細書に記載されるmiR配列を含み得る。非制限的な例として、ステムループ領域は、本明細書に記載されるmiR配列の種配列を含み得る。別の非制限的な例では、ステムループ領域はmiR−122種配列を含み得る。
別の実施形態では、保存されるステムループ領域は、本明細書に記載されるmiR配列を含み得、TEE配列も含み得る。
一実施形態において、miR配列および/またはTEE配列の組み込みは、ステムループ領域の形状を変化させ、これによって翻訳が増大/低下し得る(例えば、Kedde et al.,A Pumilio−induced RNA structure switch in p27−3’UTR controls miR−221 and miR−22 accessibility.Nature Cell Biology.2010を参照、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)。
5’キャッピング
mRNAの5’キャップ構造は、核外輸送に関与し、mRNAの安定性を向上させ、mRNAキャップ結合タンパク質(CBP)に結合し、これは、CBPのポリ(A)結合タンパク質との会合を介して細胞におけるmRNA安定性および翻訳適格性に関与し、成熟環状mRNA種を形成する。このキャップはさらに、mRNAスプライシング中に5’近位のイントロンの除去を支援する。
内因性mRNA分子は、5’末端キャップされて、末端グアノシンキャップ残基とmRNA分子の5’末端転写センスヌクレオチドとの間に5’−ppp−5’−トリホスフェート結合をもたらし得る。その後、この5’−グアニル酸キャップがメチル化されて、N7−メチル−グアニル酸残基を生成し得る。mRNAの5’末端の末端および/または前末端転写ヌクレオチドのリボース糖も、任意に2’−O−メチル化され得る。グアニル酸キャップ構造の加水分解および切断を介する5’デキャッピングは、分解するためにmRNA分子等の核酸分子を標的とし得る。
本発明のシグナルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物、およびmmRNAの修飾は、デキャッピングを阻止する非加水分解性のキャップ構造を生成し、その結果mRNAの半減期を増加させ得る。キャップ構造の加水分解が5’−ppp−5’ホスホロジエステル結合の切断を必要とするため、修飾ヌクレオチドが、キャッピング反応中に用いられ得る。例えば、New England Biolabs(Ipswich,MA)のワクシニアキャッピング酵素を製造業者の指示に従ってα−チオ−グアノシンヌクレオチドとともに用いて、5’−ppp−5’キャップにおけるホスホロチオエート結合を引き起こすことができる。α−メチル−ホスホネートおよびセレノ−ホスフェートヌクレオチド等のさらなる修飾グアノシンヌクレオチドを用いることができる。
さらなる修飾には、糖環の2’−ヒドロキシル基におけるmRNAの5’末端および/または5’前末端ヌクレオチドのリボース糖の2’−O−メチル化(上述のもの)が含まれるが、これに限定されない。複数のはっきりと異なる5’−キャップ構造を用いて、mRNA分子等の核酸分子の5’キャップを生成することができる。
本明細書において合成キャップ類似体、化学キャップ、化学キャップ類似体、または構造もしくは機能キャップ類似体とも称されるキャップ類似体は、それらの化学構造の点で天然の(すなわち、内因性、野生型、または生理学的)5’キャップとは異なるが、キャップ機能は保持する。キャップ類似体は、化学的(すなわち、非酵素的)もしくは酵素的に合成され、かつ核酸分子に結合され得る。
例えば、反逆方向キャップ類似体(ARCA)キャップは、5’−5’−トリホスフェート基によって結合される2個のグアニンを含有し、一方のグアニンは、N7メチル基、ならびに3’−O−メチル基(すなわち、N7,3’−O−ジメチル−グアノシン−5’−トリホスフェート−5’−グアノシン(m7G−3’mppp−G、これは同等に3’O−Me−m7G(5’)ppp(5’)Gと指定され得る)を含有する。他方の未修飾グアニンの3’−O原子は、キャップされた核酸分子(例えば、mRNAまたはmmRNA)の5’末端ヌクレオチドに結合される。N7−および3’−O−メチル化グアニンは、キャップされた核酸分子(例えば、mRNAまたはmmRNA)の末端部分を提供する。
別の例示のキャップには、mCAPがあり、これは、ARCAと同様であるが、グアノシン上に2’−O−メチル基(すなわち、N7,2’−O−ジメチル−グアノシン−5’−トリホスフェート−5’−グアノシン、m7Gm−ppp−G)を有する。
キャップ類似体がインビトロ転写反応において同時に起こる核酸分子のキャッピングを可能にする一方で、転写物の最大20%がキャップされないままである。これ、ならびに内因性細胞転写機構によって産生される核酸の内因性5’−キャップ構造とのキャップ類似体の構造差は、翻訳適格性の低下および細胞安定性の低下をもたらし得る。
本発明のシグナルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物、およびmmRNAは、より真正の5’−キャップ構造を生成するために、酵素を用いて転写後にもキャップされ得る。本明細書で使用するとき、「より真正の」という表現は、構造的または機能的のいずれかで内因性または野生型特徴を酷似させるか、または模倣する特徴を指す。すなわち、「より真正の」特徴は、先行技術の合成特徴もしくは類似体等と比較して、より良好に内因性、野生型、天然、もしくは生理学的細胞機能および/もしくは構造を表しているか、またはこれは、対応する内因性、野生型、天然または生理学的特徴を1つ以上の点においてしのぐ。本発明のより真正の5’キャップ構造の非限定的な例には、当技術分野で既知の合成5’キャップ構造(または野生型、天然、または生理学的5’キャップ構造)と比較して、とりわけ、強化されたキャップ結合タンパク質の結合、増加した半減期、低下した5’エンドヌクレアーゼに対する感受性、および/または低下した5’デキャッピングを有するものがある。例えば、組換えワクシニアウイルスキャッピング酵素および組換え2’−O−メチルトランスフェラーゼ酵素は、mRNAの5’末端ヌクレオチドとグアニンキャップヌクレオチドとの間に基準の5’−5’−トリホスフェート結合を生成し得、キャップグアニンは、N7メチル化を含有、mRNAの5’末端ヌクレオチドは、2’−O−メチルを含有する。そのような構造は、キャップ1構造と称される。このキャップは、例えば、当技術分野で既知の他の5’キャップ類似体構造と比較して、より高い翻訳適格性および細胞安定性、ならびに細胞炎症誘発性サイトカインの活性化の低下をもたらす。キャップ構造には、7mG(5’)ppp(5’)N,pN2p(キャップ0)、7mG(5’)ppp(5’)NlmpNp(キャップ1)、および7mG(5’)−ppp(5’)NlmpN2mp(キャップ2)が含まれる。
シグナルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物、またはmmRNAが転写後にキャップされ得、かつこのプロセスがより効率的であるため、ほぼ100%のシグナルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物、またはmmRNAがキャップされ得る。これは、キャップ類似体がインビトロ転写反応の過程でmRNAに結合されるときの約80%とは大いに異なる。
本発明に従って、5’末端キャップは、内因性キャップまたはキャップ類似体を含み得る。本発明に従って、5’末端キャップは、グアニン類似体を含み得る。有用なグアニン類似体には、イノシン、N1−メチル−グアノシン、2’フルオロ−グアノシン、7−デアザ−グアノシン、8−オキソ−グアノシン、2−アミノ−グアノシン、LNA−グアノシン、および2−アジド−グアノシンが含まれる。
ウイルス配列
限定はしないが大麦縞萎縮ウイルス(BYDV−PAV)の翻訳エンハンサー配列といったウイルス配列は、本発明のシグナルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物、またはmmRNAの3’UTRに操作および挿入され得、インビトロおよびインビボで構築物の翻訳を刺激し得る。形質移入実験を関連細胞株において行うことができ、ELISAによってタンパク質産生を形質移入後12時間、24時間、48時間、72時間、および7日時点でアッセイすることができる。
IRES配列
さらに、内部リボソーム進入部位(IRES)を含有し得るシグナルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物、またはmmRNAが提供される。最初に特徴的なピコルナウイルスRNAと特定されたIRESは、5’キャップ構造の不在下でタンパク質合成を開始するときに重要な役割を果たす。IRESは、mRNAの唯一のリボソーム結合部位として働き得るか、または複数のリボソーム結合部位のうちの1つの役割を果たし得る。2個以上の機能的リボソーム結合部位を含有するシグナルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物、またはmmRNAは、リボソーム(「多シストロン性核酸分子」)によって独立して翻訳されるいくつかの腫瘍学関連ペプチドまたは腫瘍学関連ポリペプチドをコードし得る。シグナルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物、またはmmRNAにIRESが提供されるとき、第2の翻訳可能な領域がさらに任意に提供される。本発明に従って用いられ得るIRES配列の例には、制限なく、ピコルナウイルス(例えば、FMDV)、ペストウイルス(CFFV)、ポリオウイルス(PV)、脳心筋炎ウイルス(ECMV)、口蹄疫ウイルス(FMDV)、C型肝炎ウイルス(HCV)、豚コレラウイルス(CSFV)、マウス白血病ウイルス(MLV)、サル免疫不全ウイルス(SIV)、またはコオロギ麻痺ウイルス(CrPV)由来のものが挙げられる。
ポリA尾部
RNA処理中、長いアデニンヌクレオチド鎖(ポリA尾部)が、安定性を向上させるためにmRNA分子といったのポリヌクレオチドに付加され得る。転写直後、転写物の3’末端が切断されて3’ヒドロキシルを遊離させ得る。その後、ポリAポリメラーゼは、アデニンヌクレオチド鎖をRNAに付加する。ポリアデニル化と呼ばれるこのプロセスは100〜250残基長であり得るポリA尾部を付加する。
特有のポリA尾部の長さが、本発明のシグナルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物、またはmmRNAにある特定の利点を提供することが見出されている。
概して、本発明のポリA尾部の長さは、30ヌクレオチド長を超える。別の実施形態において、ポリA尾部は、35ヌクレオチド長を超える(例えば、少なくとも約35、40、45、50、55、60、70、80、90、100、120、140、160、180、200、250、300、350、400、450、500、600、700、800、900、1,000、1,100、1,200、1,300、1,400、1,500、1,600、1,700、1,800、1,900、2,000、2,500、および3,000ヌクレオチド長であるか、またはこれらを超える)。いくつかの実施形態において、シグナルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物、またはmmRNAは、約30〜約3,000個のヌクレオチド(例えば、30〜50、30〜100、30〜250、30〜500、30〜750、30〜1,000、30〜1,500、30〜2,000、30〜2,500、50〜100、50〜250、50〜500、50〜750、50〜1,000、50〜1,500、50〜2,000、50〜2,500、50〜3,000、100〜500、100〜750、100〜1,000、100〜1,500、100〜2,000、100〜2,500、100〜3,000、500〜750、500〜1,000、500〜1,500、500〜2,000、500〜2,500、500〜3,000、1,000〜1,500、1,000〜2,000、1,000〜2,500、1,000〜3,000、1,500〜2,000、1,500〜2,500、1,500〜3,000、2,000〜3,000、2,000〜2,500、および2,500〜3,000個)を含む。
一実施形態において、ポリA尾部は、全体のシグナルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物、またはmmRNAの長さに対して設計される。この設計は、コーディング領域の長さ、特定の特徴もしくは領域の長さ(第1もしくは隣接領域等)に基づき得るか、またはポリヌクレオチド、一次構築物、もしくはmmRNAから発現した最終産物の長さに基づき得る。
この文脈において、ポリA尾部は、シグナルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物、もしくはmmRNA、またはその特徴よりも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、もしくは100%長い長さであり得る。ポリA尾部は、それが属するポリヌクレオチド、一次構築物、またはmmRNAの画分としても設計され得る。この文脈において、ポリA尾部は、構築物の全長または構築物の全長からポリA尾部を差し引いた長さの10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、または90%以上であり得る。
一実施形態において、操作した結合部位、および/またはシグナルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物、またはmmRNAのポリA結合タンパク質のための複合体化を用いて発現を強化し得る。操作した結合部位は、核酸および/またはmRNAの局所微小環境のリガンドのための結合部位として作用し得るセンサー配列であり得る。非制限的な例として、核酸および/またはmRNAは、少なくとも1つの操作した結合部位を含み、ポリA結合タンパク質(PABP)およびその類似体の結合親和性を変化し得る。少なくとも1つの操作した結合部位の組み込みは、PABPおよびその類似体の結合親和性を増大し得る。
さらに、複数のはっきりと異なるシグナルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物、またはmmRNAは、ポリA尾部の3’末端で修飾されたヌクレオチドを用いて3’末端を介してPABP(ポリA結合タンパク質)に結合され得る。形質移入実験を関連細胞株において行うことができ、ELISAによってタンパク質産生を形質移入後12時間、24時間、48時間、72時間、および7日時点でアッセイすることができる。非制限的な例として、形質移入実験を利用して、少なくとも1つの操作した結合部位の添加の結果としての、PABPまたはその類似体の結合親和性に対する効果を評価し得る。
一実施形態において、本発明のシグナルセンサーポリヌクレオチドおよび一次構築物は、ポリAーGカルテットを含むように設計される。G四重項は、DNAおよびRNAの両方においてG豊富な配列によって形成され得る4個のグアニンヌクレオチドの環状水素結合アレイである。この実施形態において、G四重項は、ポリA尾部の終端に組み込まれる。結果として生じるmmRNA構築物は、安定性、タンパク質産生、および様々な時点での半減期他のパラメータについてアッセイされる。ポリAーGカルテットが、120個のヌクレオチドのポリA尾部を単独で用いてもたらされるタンパク質産生の少なくとも75%に相当するタンパク質産生をもたらすことが見出されている。
一実施形態において、本発明の核酸またはmRNAはポリA尾部を含み得、鎖終止ヌクレオシドの添加によって安定化され得る。ポリA尾部を有する核酸および/またはmRNAはさらに5’キャップ構造を含み得る。
別の実施形態では、本発明の核酸またはmRNAは、ポリAーGカルテットを含み得る。ポリAーGカルテットを有する核酸および/またはmRNAはさらに5’キャップ構造を含み得る。
一実施形態において、ポリA尾部またはポリAーGカルテットを含む核酸またはmRNAを安定化させるために用いられ得る鎖終止ヌクレオシドは、限定はしないが、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる国際公開第WO2013103659号に記載されるものであり得る。別の実施形態では、本発明と一緒に用いられ得る鎖終止ヌクレオシドとしては、限定はしないが、3’−デオキシアデノシン(コルジセピン)、3’−デオキシウリジン、3’−デオキシシトシン、3’−デオキシグアノシン、3’−デオキシチミン、2’,3’−ジデオキシアデノシン、2’,3’−ジデオキシウリジン、2’,3’−ジデオキシシトシン、2’,3’−ジデオキシグアノシン、2’,3’−ジデオキシチミンといった2’,3’−ジデオキシヌクレオシド、2’−デオキシヌクレオシド、または−O−メチルヌクレオシドが挙げられる。
別の実施形態では、ポリA尾部またはポリAーGカルテットを含む、限定はしないが、mRNAといった核酸を、オリジオ(U)の添加を阻止および/または阻害し得る、核酸の3’領域への修飾によって安定化し得る(例えば、国際公開第WO2013103659号参照、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)。
さらに別の実施形態では、ポリA尾部またはポリAーGカルテットを含む、限定はしないが、mRNAといった核酸を、3’−デオキシヌクレオシド、2’,3’−ジデオキシヌクレオシド、3’−0−メチルヌクレオシド、3’−0−エチルヌクレオシド、3’−アラビノシドならびに当該技術分野で知られる、および/または、本明細書に記載される他の修飾ヌクレオシドの添加によって安定化し得る。
定量化
一実施形態において、本発明のシグナルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物、またはmmRNAは、1つ以上の体液由来のエクソソームにおいて定量化され得る。本明細書で使用するとき、「体液」には、末梢血、血清、血漿、腹水、尿、脳脊髄液(CSF)、痰、唾液、骨髄、滑液、房水、羊水、耳垢、母乳、気管支肺胞洗浄液、精液、前立腺液、クーパー腺液または射精前液、汗、糞便、毛髪、涙液、嚢胞液、胸膜および腹水、心嚢液、リンパ液、粥状液、乳糜、胆汁、間質液、帯下、膿汁、皮脂、嘔吐物、膣分泌物、粘膜分泌物、水便、膵液、鼻腔からの洗浄液、気管支肺吸引物、胚盤胞腔液、および臍帯血が含まれる。あるいは、エクソソームは、肺、心臓、膵臓、胃、腸、膀胱、腎臓、卵巣、睾丸、皮膚、結腸、乳房、前立腺、脳、食道、肝臓、および胎盤からなる群から選択される器官から回収され得る。
定量化方法において、2mLを超えない試料が対象から得られ、エクソソームが、サイズ排除クロマトグラフィー、密度勾配遠心分離、分画遠心分離、ナノ膜限外濾過、免疫吸収捕獲、親和性精製、微小流体分離、またはこれらの組み合わせによって単離される。分析において、シグナルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物、またはmmRNAのレベルまたは濃度は、投与された構築物の発現レベル、存在、不在、切断、または改変であり得る。このレベルを1つ以上の臨床表現型またはヒト疾患バイオマーカーについてのアッセイと相関させることは、有利である。このアッセイが、構築物特異的プローブ、サイトメトリー、qRT−PCR、実時間PCR、PCR、フローサイトメトリー、電気泳動、質量分析、またはこれらの組み合わせを用いて行われ得る一方で、エクソソームは、酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)等の免疫組織化学法を用いて単離され得る。エクソソームは、サイズ排除クロマトグラフィー、密度勾配遠心分離、分画遠心分離、ナノ膜限外濾過、免疫吸収捕獲、親和性精製、微小流体分離、またはこれらの組み合わせによっても単離され得る。
これらの方法は、残存しているか、または送達されたシグナルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物、またはmmRNAのレベルをリアルタイムで監視する能力を研究者に提供する。これは、本発明のポリヌクレオチド、一次構築物、またはmmRNAが構造および/または化学修飾に起因して内因性形態とは異なるといった理由から、可能である。
II.シグナルセンサーポリヌクレオチドの設計および合成
本発明に従って用いるシグナルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物、またはmmRNAは、化学合成、一般にインビトロ転写(IVT)と称される酵素合成、またはより長い前駆体の酵素的もしくは化学的切断等を含むが、これらに限定されない任意の利用可能な技法に従って調製され得る。RNAを合成する方法は、当技術分野において既知である(例えば、いずれも参照により本明細書に組み込まれる、Gait,M.J.(ed.)Oligoヌクレオチドynthesis:a practical approach,Oxford[Oxfordshire],Washington,DC:IRL Press,1984、およびHerdewijn,P.(ed.)Oligoヌクレオチドynthesis:methods and applications,Methods in Molecular Biology,v.288(Clifton,N.J.)Totowa,N.J.:Humana Press,2005を参照のこと)。
本発明のシグナルセンサー一次構築物の設計および合成のプロセスは、概して、遺伝子構築ステップ、mRNA産生ステップ(修飾を伴うか、または伴わない)、および精製ステップを含む。酵素合成方法において、目的とする腫瘍学関連ポリペプチドをコードする標的シグナルセンサーポリヌクレオチド配列が、増幅されてcDNA鋳型を産生するベクターへの組み込みのために最初に選択される。任意に、標的シグナルセンサーポリヌクレオチド配列および/または任意の隣接配列は、コドン最適化され得る。その後、cDNA鋳型を用いて、インビトロ転写(IVT)によってmRNAを産生する。産生後、mRNAは、精製および浄化プロセスを経り得る。これらのステップは、以下でより詳細に提供される。
遺伝子構築
遺伝子構築ステップは、遺伝子合成、ベクター増幅、プラスミド精製、プラスミド線形化および浄化、ならびにcDNA鋳型合成および浄化を含み得るが、これらに限定されない。
遺伝子合成
目的とする腫瘍学関連ポリペプチドまたは標的が産生のために選択された時点で、シグナルセンサー一次構築物が設計される。一次構築物内で、目的とするポリペプチドをコードする結合ヌクレオシドの第1の領域は、選択された核酸(DNAまたはRNA)転写物のオープンリーディングフレーム(ORF)を用いて構築され得る。ORFは、野生型ORF、アイソフォーム、変異形、またはその断片を含み得る。本明細書で使用するとき、「オープンリーディングフレーム」または「ORF」は、目的とする腫瘍学関連ポリペプチドをコードすることができる核酸配列(DNAまたはRNA)を指すよう意図される。ORFは、多くの場合、開始コドンATGで始まり、ナンセンスまたは終止コドンもしくはシグナルで終わる。
さらに、第1の領域のヌクレオチド配列は、コドン最適化され得る。コドン最適化方法は、当技術分野において既知であり、いくつかの目標のうちの1つ以上を達成する取り組みにおいて有用であり得る。これらの目標には、標的および宿主生物体におけるコドン頻度を一致させて適切な折り畳みを確実にすること、GC含量を付勢させてmRNAの安定性を高めるか、または二次構造を減少させること、遺伝子構築または発現を障害し得る縦列反復コドンまたは塩基泳動を最小限に抑えること、転写および翻訳制御領域をカスタマイズすること、タンパク質輸送配列を挿入または除去すること、コードされたタンパク質における翻訳後修飾部位(例えば、グリコシル化部位)を除去/付加すること、タンパク質ドメインを付加、除去、または組み替えること、制限部位を挿入するか、または欠失させること、リボソーム結合部位およびmRNA分解部位を修飾すること、翻訳速度を調節してタンパク質の様々なドメインの適切な折り畳みを可能にすること、あるいはmRNA内の問題の二次構造を減少させるか、または排除することが含まれる。コドン最適化ツール、アルゴリズム、およびサービスは、当技術分野において既知であり、非限定的な例には、GeneArtのサービス(Life Technologies)および/またはDNA2.0(Menlo Park CA)が挙げられる。一実施形態において、ORF配列は、最適化アルゴリズムを用いて最適化される。各アミノ酸のコドン選択肢が表1に提供される。
表1.コドン選択肢
一実施形態において、ヌクレオチド配列をコドン最適化した後、制限部位を含む領域に関してさらに評価し得る。配列から制限部位を取り除くために、制限部位内の少なくとも1つのヌクレオチドを別のヌクレオチドで置換し得るが、ヌクレオチドの置換はコドン最適化ヌクレオチド配列によってコードされるアミノ酸配列を改変する。
本発明のいくつかの実施形態において有益であると見なされ得る特徴は、シグナルセンサー一次構築物によってコードされ得、第1または第2の隣接領域としてORFに隣接し得る。この隣接領域は、ORFの最適化前および/または後にシグナルセンサー一次構築物に組み込まれ得る。シグナルセンサー一次構築物が5’隣接領域と3’隣接領域の両方を含有する必要はない。そのような特徴の例には、非翻訳領域(UTR)、コザック配列、オリゴ(dT)配列、および検出可能なタグが挙げられるが、これらに限定されず、XbaI認識を有し得る複数のクローニング部位も挙げられ得る。
いくつかの実施形態において、5’UTRおよび/または3’UTRが、隣接領域として提供され得る。複数の5’または3’UTRが、隣接領域に含まれ得、同一または異なる配列であり得る。隣接領域の任意の部分(そのような部分がない場合を含み)が、コドン最適化され得、それらのいずれも、独立して、コドン最適化の前および/または後に1つ以上の異なる構造または化学修飾を含有し得る。特徴の組み合わせは、第1および第2の隣接領域に含まれ得、他の特徴内に含有され得る。例えば、ORFは、ポリA尾部の鋳型付加のために、強力なコザック翻訳開始シグナルを含有し得る5’UTRおよび/またはオリゴ(dT)配列を含み得る3’UTRに隣接し得る。
表2および3は、隣接領域として本発明のシグナルセンサー一次構築物において利用され得る例示のUTRの一覧を提供する。本発明の5’非翻訳領域の代表的な一覧が表2に示される。A、T、C、もしくはGを含む1個以上のヌクレオチドが末端に付加されるか、または末端から除去される5’UTRの変異形が利用され得る。
表2.5’非翻訳領域
本発明の3’非翻訳領域の代表的な一覧が表3に示される。A、T、C、もしくはGを含む1個以上のヌクレオチドが末端に付加されるか、または末端から除去される3’UTRの変異形が利用され得る。
表3.3’非翻訳領域
先の表に列記されるものは例であり、任意の遺伝子由来の任意のUTRが一次構築物のそれぞれの第1または第2の隣接領域に組み込まれ得ることを理解されたい。さらに、任意の既知の遺伝子の複数の野生型UTRが利用され得る。野生型遺伝子の変異形ではない人工UTRを提供することも本発明の範囲内である。これらのUTRもしくはその部分は、それらが選択され得る転写物のUTRもしくはその部分と同一の配向で配置され得るか、または配向もしくは位置を変更し得る。したがって、5’または3’UTRは、反転し、短縮され、延長され、1つ以上の他の5’UTRまたは3’UTRでキメラにされ得る。本明細書で使用する「変更される」という用語は、UTR配列に関するとき、UTRが参照配列との関連である点において変化したことを意味する。例えば、3’または5’UTRは、上で教示される配向もしくは位置の変化によって野生型または天然UTRに対して変更され得るか、またはさらなるヌクレオチドの包含、ヌクレオチドの欠失、ヌクレオチドの交換もしくは転置によって変更され得る。「変更された」UTR(3’または5’にかかわらず)をもたらすこれらの変化のうちのいずれかは、変異形UTRを含む。
一実施形態において、5’または3’UTR等の二重、三重、または四重UTRが用いられ得る。本明細書で使用するとき、「二重」UTRは、同一のUTRの2つのコピーが連続して、または実質的に連続してのいずれかでコードされるものである。例えば、内容が参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、米国特許公開第20100129877号に記載の二重β−グロビン3’UTRが用いられ得る。
パターン化されたUTRを有することも本発明の範囲内である。本明細書で使用するとき、「パターン化されたUTR」は、1回、2回、または3回以上繰り返された繰り返しまたは交互のパターン、例えば、ABABABもしくはAABBAABBAABBもしくはABCABCABCまたはその変異形を示すUTRである。これらのパターンにおいて、各文字、A、B、またはCは、ヌクレオチドレベルでの異なるUTRを表す。
一実施形態において、隣接領域は、そのタンパク質が共通の機能、構造、特性特徴を共有する転写物のファミリーから選択される。例えば、目的とする腫瘍学関連ポリペプチドは、特定の細胞、組織で発現するか、または発生中のある時点で発現するタンパク質のファミリーに属し得る。これらの遺伝子のうちのいずれのUTRも、同一または異なるタンパク質ファミリーの任意の他のUTRと交換されて、新たなキメラ一次転写物を作成し得る。本明細書で使用するとき、「タンパク質のファミリー」は、最も広い意味において、少なくとも1つの機能、構造、特徴、局在化、起源、または発現パターンを共有する2個以上の目的とする腫瘍学関連ポリペプチドの群を指すために用いられる。
最適化後(所望の場合)、シグナルセンサー一次構築物成分は、プラスミド、ウイルス、コスミド、および人工染色体等であるが、これらに限定されないベクターに再構築および変換され得る。例えば、最適化された構築物は、化学的にコンピテントな大腸菌、酵母、アカパンカビ、トウモロコシ、ショウジョウバエ等に再構築および変換され得、高コピー数のプラスミド様または染色体構造は、本明細書に記載の方法によって生じる。
終止コドン
一実施形態において、本発明のシグナルセンサー一次構築物は、3’非翻訳領域(UTR)の前に少なくとも2つの終止コドンを含み得る。終止コドンは、TGA、TAA、およびTAGから選択され得る。一実施形態において、本発明のシグナルセンサー一次構築物は、終止コドンTGAおよびもう1つの終止コドンを含む。さらなる実施形態において、もう1つの終止コドンは、TAAであり得る。
ベクター増幅
シグナルセンサー一次構築物を含有するベクターは、その後、増幅され、Invitrogen PURELINK(商標)HiPure Maxiprepキット(Carlsbad,CA)を用いたマキシプレップ等であるが、これらに限定されない当技術分野で既知の方法を用いてプラスミドが単離および精製される。
プラスミド線形化
プラスミドは、その後、制限酵素および緩衝液の使用等であるが、これらに限定されない当技術分野で既知の方法を用いて線形化され得る。線形化反応物は、例えば、InvitrogenのPURELINK(商標)PCR Microキット(Carlsbad,CA)、ならびに強アニオン交換HPLC、弱アニオン交換HPLC、逆相HPLC(RP−HPLC)、および疎水性相互作用HPLC(HIC−HPLC)等であるが、これらに限定されないHPLCに基づく精製方法、ならびにInvitrogenの標準PURELINK(商標)PCRキット(Carlsbad,CA)を含む方法を用いて精製され得る。精製方法は、もたらされた線形化反応物の大きさに応じて修正され得る。その後、線形化されたプラスミドを用いて、インビトロ転写(IVT)反応のためのcDNAを生成する。
cDNA鋳型合成
cDNA鋳型は、線形化されたプラスミドにポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を経させることによって合成され得る。表4は、本発明のPCR反応において有用であり得るプライマーおよびプローブの一覧である。この一覧が網羅的ではなく、任意の増幅のためのプライマー−プローブ設計が当技術分野の技術の範囲内であることを理解されたい。プローブは、標的分子に対する塩基対合忠実性および塩基対合強度を高めるように化学的に修飾された塩基も含有し得る。そのような修飾には、5−メチル−シチジン、2、6−ジ−アミノ−プリン、2’−フルオロ、ホスホロ−チオエート、またはロックド核酸が含まれ得る。
表4.プライマーおよびプローブ
*UFPはユニバーサル順方向プライマーであり、URPはユニバーサル逆方向プライマーである。
一実施形態において、cDNAは、転写を経る前に配列決定分析のために提出され得る。
シグナルセンサーポリヌクレオチド生産(シグナルセンサーmRNA)
シグナルセンサーポリヌクレオチド産生のプロセスは、インビトロ転写、cDNA鋳型除去およびRNA浄化、ならびにキャッピングおよび/またはテーリング反応を含み得るが、これらに限定されない。
インビトロ転写
先のステップで産生されたcDNAは、インビトロ転写(IVT)系を用いて転写され得る。この系は、典型的には、転写緩衝液、ヌクレオチドトリホスフェート(NTP)、RNase阻害剤、およびポリメラーゼを含む。NTPは、自家で製造され得るか、供給業者から選択され得るか、または本明細書に記載されるように合成され得る。NTPは、天然および非天然(修飾された)NTPを含む本明細書に記載のNTPから選択され得るが、これらに限定されない。ポリメラーゼは、T7 RNAポリメラーゼ、T3 RNAポリメラーゼ、および修飾された核酸に組み込まれることができるポリメラーゼ等であるが、これらに限定されない変異体ポリメラーゼから選択され得るが、これらに限定されない。
RNAポリメラーゼ
任意の数のRNAポリメラーゼまたは変異形が本発明のシグナルセンサー一次構築物の設計において用いられ得る。
RNAポリメラーゼは、RNAポリメラーゼ配列のアミノ酸を挿入するか、または欠失させることによって修飾され得る。非限定的な例として、RNAポリメラーゼは、未修飾RNAポリメラーゼと比較して、2’−修飾ヌクレオチドトリホスフェートを組み込む能力の向上を示すように修飾され得る(参照によりこれらの全体が本明細書に組み込まれる、国際公開第WO2008078180号および米国特許第8,101,385号を参照のこと)。
変異形は、RNAポリメラーゼを進化させ、RNAポリメラーゼアミノ酸および/または核酸配列を最適化し、かつ/または当技術分野で既知の他の方法を用いることによって得られ得る。非限定的な例として、T7 RNAポリメラーゼ変異形は、Esveltら(参照により全体が本明細書に組み込まれる、Nature(2011)472(7344):499−503)によって立案された連続指向進化システムを用いて進化させられ得、T7 RNAポリメラーゼのクローンは、93位のリジンがトレオニンで置換された変異(K93T)、I4M、A7T、E63V、V64D、A65E、D66Y、T76N、C125R、S128R、A136T、N165S、G175R、H176L、Y178H、F182L、L196F、G198V、D208Y、E222K、S228A、Q239R、T243N、G259D、M267I、G280C、H300R、D351A、A354S、E356D、L360P、A383V、Y385C、D388Y、S397R、M401T、N410S、K450R、P451T、G452V、E484A、H523L、H524N、G542V、E565K、K577E、K577M、N601S、S684Y、L699I、K713E、N748D、Q754R、E775K、A827V、D851N、またはL864F等であるが、これらに限定されない少なくとも1つの変異をコードし得る。別の非限定的な例として、T7 RNAポリメラーゼ変異形は、参照により全体が本明細書に組み込まれる、米国特許公開第20100120024号および同第20070117112号に記載の少なくとも1つの変異をコードし得る。RNAポリメラーゼの変異形には、置換変異形、保存アミノ酸置換、挿入変異形、欠失変異形、および/または共有結合誘導体も含まれ得るが、これらに限定されない。
一実施形態において、シグナルセンサー一次構築物は、野生型または変異形RNAポリメラーゼによって認識されるように設計され得る。そうすることで、シグナルセンサー一次構築物は、野生型または親一次構築物由来の配列変化部位または領域を含有するように修飾され得る。
一実施形態において、シグナルセンサー一次構築物は、5’UTR内、5’UTRの前、および/または5’UTRの後に、少なくとも1つの置換および/または挿入を、シグナルセンサー一次構築物のRNAポリメラーゼ結合または認識部位の上流、RNAポリメラーゼ結合または認識部位の下流、TATAボックス配列の上流、TATAボックス配列の下流であるが、一次構築物のコーディング領域の上流に含むように設計され得る。
一実施形態において、シグナルセンサー一次構築物の5’UTRは、同一の塩基のヌクレオチドの少なくとも1つの領域および/またはストリングの挿入によって置換され得る。ヌクレオチドの領域および/またはストリングは、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、または少なくとも8個のヌクレオチドを含み得るが、これらに限定されず、このヌクレオチドは、天然および/または非天然であり得る。非限定的な例として、このヌクレオチド基は、5〜8個のアデニン、シトシン、チミン、本明細書に開示の他のヌクレオチドのうちのいずれかのストリング、および/またはこれらの組み合わせを含み得る。
一実施形態において、シグナルセンサー一次構築物の5’UTRは、アデニン、シトシン、チミン、本明細書に開示の他のヌクレオチドのうちのいずれか、および/またはこれらの組み合わせ等であるが、これらに限定されない2つの異なる塩基のヌクレオチドの少なくとも2つの領域および/またはストリングの挿入によって置換され得る。例えば、5’UTRは、5〜8個のアデニン塩基を挿入し、その後、5〜8個のシトシン塩基を挿入することによって置換され得る。別の例において、5’UTRは、5〜8個のシトシン塩基を挿入し、その後、5〜8個のアデニン塩基を挿入することによって置換され得る。
一実施形態において、シグナルセンサー一次構築物は、RNAポリメラーゼによって認識され得る転写開始部位の下流に少なくとも1つの置換および/または挿入を含み得る。非限定的な例として、少なくとも1つの置換および/または挿入は、転写開始部位のすぐ下流(+1〜+6等であるが、これらに限定されない)の領域内の少なくとも1個の核酸を置換することによって転写開始部位の下流で生じ得る。転写開始部位のすぐ下流のヌクレオチド領域を変化させることにより、開始速度に影響を及ぼし、見かけ上のヌクレオチドトリホスフェート(NTP)反応一定値を増加させ、かつ初期転写物を硬化させることによる転写複合体からの短い転写物の解離を高め得る(参照により全体が本明細書に組み込まれる、Brieba et al.,Biochemistry(2002)41:5144−5149)。少なくとも1個の核酸の修飾、置換、および/または挿入は、核酸配列のサイレント変異を引き起こし得るか、またはアミノ酸配列における変異を引き起こし得る。
一実施形態において、シグナルセンサー一次構築物は、転写開始部位の下流で、少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも11、少なくとも12、または少なくとも13個のグアニン塩基の置換を含み得る。
一実施形態において、シグナルセンサー一次構築物は、転写開始部位のすぐ下流の領域において、少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、または少なくとも6個のグアニン塩基の置換を含み得る。非限定的な例として、その領域内のヌクレオチドがGGGAGAであるとき、グアニン塩基は、少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、または少なくとも4個のアデニンヌクレオチドによって置換され得る。別の非限定的な例において、その領域内のヌクレオチドがGGGAGAであるとき、グアニン塩基は、少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、または少なくとも4個のシトシン塩基によって置換され得る。別の非限定的な例において、その領域内のヌクレオチドがGGGAGAであるとき、グアニン塩基は、少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、もしくは少なくとも4個のチミン、および/または本明細書に記載のヌクレオチドのうちのいずれかによって置換され得る。
一実施形態において、シグナルセンサー一次構築物は、開始コドンの上流に少なくとも1つの置換および/または挿入を含み得る。明確化のために、当業者は、開始コドンがタンパク質コーディング領域の第1のコドンである一方で、転写開始部位が転写が始まる部位であることを理解する。シグナルセンサー一次構築物は、ヌクレオチド塩基の少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、少なくとも7つ、もしくは少なくとも8つの置換および/または挿入を含み得るが、これらに限定されない。ヌクレオチド塩基は、開始コドンの上流の1つ、少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4、もしくは少なくとも5つの位置に挿入または置換され得る。挿入および/または置換されたヌクレオチドは、同一の塩基(例えば、すべてAもしくはすべてCもしくはすべてTもしくはすべてG)、2個の異なる塩基(例えば、AおよびC、AおよびT、もしくはCおよびT)、3個の異なる塩基(例えば、A、C、およびT、もしくはA、C、およびT)、または少なくとも4個の異なる塩基であり得る。非限定的な例として、シグナルセンサー一次構築物内のコーディング領域の上流のグアニン塩基は、アデニン、シトシン、チミン、または本明細書に記載のヌクレオチドのうちのいずれかで置換され得る。別の非限定的な例において、シグナルセンサー一次構築物におけるグアニン塩基の置換は、転写開始部位の下流であり、かつ開始コドンの前の領域に1個のグアニン塩基を残すように設計され得る(参照により全体が本明細書に組み込まれる、Esvelt et al.,Nature(2011)472(7344):499−503を参照のこと)。非限定的な例として、少なくとも5個のヌクレオチドは、転写開始部位の下流および開始コドンの上流の1つの位置に挿入され得、少なくとも5個のヌクレオチドは、同一の塩基型であり得る。
cDNA鋳型除去および浄化
cDNA鋳型は、デオキシリボヌクレアーゼI(DNase I)での処理等であるが、これに限定されない当技術分野で既知の方法を用いて除去され得る。RNA浄化は、Beckman Coulter(Danvers,MA)のAGENCOURT(登録商標)CLEANSEQ(登録商標)システム;強アニオン交換HPLC、弱アニオン交換HPLC、逆相HPLC(RP−HPLC)、および疎水性相互作用HPLC(HIC−HPLC)等であるが、これらに限定されないHPLCに基づく精製方法等であるが、これらに限定されない精製方法も含み得る。
キャッピングおよび/またはテーリング反応
シグナルセンサー一次構築物またはmmRNAは、キャッピングおよび/またはテーリング反応も経り得る。キャッピング反応は、5’キャップをシグナルセンサー一次構築物の5’末端に付加する当技術分野で既知の方法を用いて行われ得る。キャッピングのための方法には、ワクシニアキャッピング酵素(New England Biolabs、Ipswich,MA)の使用が含まれるが、これに限定されない。
ポリAテーリング反応は、2’O−メチルトランスフェラーゼおよび本明細書に記載の方法等であるが、これらに限定されない当技術分野で既知の方法を用いて行われ得る。cDNAから生成されたシグナルセンサー一次構築物がポリTを含まない場合、シグナルセンサー一次構築物が浄化される前にポリAテーリング反応を行うことは有益であり得る。
精製
シグナルセンサー一次構築物またはmmRNA精製は、mRNAまたはmmRNA浄化、品質保証、および品質管理を含み得るが、これらに限定されない。mRNAまたはmmRNA浄化は、AGENCOURT(登録商標)ビーズ(Beckman Coulter Genomics、Danvers,MA);ポリTビーズ;LNA(商標)オリゴT捕捉プローブ(EXIQON(登録商標)Inc、Vedbaek,Denmark);または強アニオン交換HPLC、弱アニオン交換HPLC、逆相HPLC(RP−HPLC)、および疎水性相互作用HPLC(HIC−HPLC)等であるが、これらに限定されないHPLCに基づく精製方法等であるが、これらに限定されない当技術分野で既知の方法を用いて行われ得る。「精製されたmRNAまたはシグナルセンサーmmRNA」等の「精製された」という用語は、ポリヌクレオチドとの関連で用いられるとき、少なくとも1つの混入物質から分離されるものを指す。本明細書で使用するとき、「混入物質」とは、別の物質を不適切、不純、または劣性にする任意の物質である。したがって、精製されたシグナルセンサーポリヌクレオチド(例えば、DNAおよびRNA)は、天然に見られる形態もしくは環境とは異なる形態もしくは環境、またはそれを処理もしくは精製方法に供する前に存在した形態もしくは環境とは異なる形態もしくは環境において存在する。
品質保証および/または品質管理検査は、ゲル電気泳動、紫外線吸収、または分析的HPLC等であるが、これらに限定されない方法を用いて行われ得る。
別の実施形態において、シグナルセンサーmRNAまたはmmRNAは、逆転写PCRを含むが、これに限定されない方法を用いて配列決定され得る。
一実施形態において、シグナルセンサーmRNAまたはmmRNAは、紫外可視分光法(UV/Vis)等であるが、これに限定されない方法を用いて定量化され得る。UV/Vis分光計の非限定的な例には、NANODROP(登録商標)分光計(ThermoFisher、Waltham,MA)がある。定量化されたシグナルセンサーmRNAまたはmmRNAは、シグナルセンサーmRNAまたはmmRNAが適切な大きさであり得るかを決定し、シグナルセンサーmRNAまたはmmRNAの分解が生じていないことを確認するために分析され得る。シグナルセンサーmRNAおよび/またはmmRNAの分解は、アガロースゲル電気泳動;強アニオン交換HPLC、弱アニオン交換HPLC、逆相HPLC(RP−HPLC)、および疎水性相互作用HPLC(HIC−HPLC)等であるが、これらに限定されないHPLCに基づく精製方法;液体クロマトグラフィー質量分析(LCMS);キャピラリー電気泳動(CE);ならびにキャピラリーゲル電気泳動(CGE)等であるが、これらに限定されない方法を用いて確認され得る。
シグナルペプチドまたはタンパク質
シグナルセンサー一次構築物またはmmRNAは、ポリペプチドの治療関連部位への輸送を促進するさらなる特徴もコードし得る。タンパク質輸送を支援するそのような特徴の1つに、シグナルペプチド配列がある。本明細書で使用するとき、「シグナル配列」または「シグナルペプチド」とは、それぞれ、コーディング領域またはコードされたポリペプチドの5’(またはN末端)に組み込まれる、それぞれ、約9〜200ヌクレオチド長(3〜60アミノ酸長)のポリヌクレオチドまたはポリペプチドである。これらの配列の付加は、1つ以上の分泌経路を通るコードされた腫瘍学関連ポリペプチドの小胞体への輸送をもたらす。いくつかのシグナルペプチドは、タンパク質が輸送された後にシグナルペプチダーゼによってタンパク質から切断される。
表5は、本発明のシグナルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物、またはmmRNAをコードするために組み込まれ得るシグナルタンパク質またはペプチドの代表的な一覧である。
表5.シグナルペプチド
この表において、SSは分泌シグナルであり、MLSはミトコンドリアリーダーシグナルである。本発明のシグナルセンサー一次構築物またはmmRNAは、配列番号94〜155のシグナルぺプチド配列のうちのいずれか、またはその断片もしくは変異形をコードするように設計され得る。これらの配列は、腫瘍学関連ポリペプチドコーディング領域の最初、中間、もしくは最後に含まれ得るか、またはあるいは隣接領域に含まれ得る。さらに、本発明のシグナルセンサーポリヌクレオチド一次構築物のうちのいずれかは、配列番号32〜93によって定義される配列のうちの1つ以上も含み得る。これらは、第1の領域またはいずれかの隣接領域に存在し得る。
本発明において利用され得るさらなるシグナルぺプチド配列は、例えば、http://www.signalpeptide.de/またはhttp://proline.bic.nus.edu.sg/spdb/で見出されるデータベース等のデータベースに教示されるシグナル配列を含む。米国特許第8,124,379号、同第7,413,875号、および同第7,385,034号に記載のものも本発明の範囲内であり、これら各々の内容は、参照によりこれらの全体が本明細書に組み込まれる。
一実施形態において、シグナルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物またはmmRNAは、核局在化シグナル(NLS)および/または核外移行シグナル(NES)をコードする核酸配列を含み得る。一態様では、シグナルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物またはmmRNAは、核局在化シグナル(NLS)をコードする核酸配列を含み得る。NLSをコードするシグナルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物またはmmRNAは、腫瘍学関連ポリペプチドを核内に輸送し、核微小環境に生存または死シグナルを輸送することができるであろう。別の態様では、シグナルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物またはmmRNAは、NES1および/またはNES2といった、核外輸送シグナルをコードする核酸配列を含み得る。非制限的な例として、シグナルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物またはmmRNAは、NES1、NES2およびNLSシグナルをコードし得、ならびに、HIF1−アルファと相互作用してがん細胞のトランスクリプトームを改変するために、翻訳可能ではない腫瘍学関連ポリペプチドまたはスクランブル配列をコードし得る。
標的選択
本発明に従って、シグナルセンサー一次構築物は、少なくとも1つの目的とする腫瘍学関連ポリペプチドをコードする結合ヌクレオシドの少なくとも1つの第1の領域を含む。本発明の、目的とする腫瘍学関連ポリペプチド、つまり「標的」または腫瘍学関連タンパク質および腫瘍学関連ペプチドが表6、表7および表41に列記される。腫瘍学関連ポリペプチドは、その機能およびがん介入の領域に基づいてクラスに分けられ得る。例えば、(1)アポトーシスまたは生存シグナルの不釣り合いに関連した標的(AS標的)が挙げられ得る。これらは、カスパーゼ依存またはカスパーゼ非依存性標的;(2)複製能力または抗老化(CC/S標的);(3)アシドーシスまたは低酸素症(O2が1%超)の併発を含む代謝性ストレス(M標的);(4)免疫応答(I標的);および(5)DNA損傷/保護(DDR標的)であり得る。
表6に示されるのは、目的とする腫瘍学関連ポリペプチドの名前および説明に加えて、ENSEMBL転写物ID(ENST)、ENSEMBLタンパク質ID(ENSP)であり、それぞれ適用可能な場所に存在し、ならびに、利用可能な場合には最適化配列番号(OPT.配列番号)も示される。標的はまた、グループで分類され、「AS」はアポトーシスシグナル伝達に関わる標的を指し;「M」は代謝プロセスに関わる標的を指し、および、「CC/S」は、細胞周期および老化に関わる標的を指す。
表6.腫瘍学関連標的
表7に示されるのは、よく知られたがん症候群、腫瘍抑制遺伝子、腫瘍抑制遺伝子の機能、染色体の位置および観察される腫瘍の種類である。本発明のシグナルセンサーポリヌクレオチドは、表に挙げられるもののいずれかのための治療薬として設計され得る。
表7.家族性がん症候群標的
上記標的に加え、腫瘍学関連ポリペプチドは、免疫系の活性T細胞に識別され得るいずれかの「死シグナル」タンパク質を含み得る。センサーシグナルポリヌクレオチドによってコードされるそのような自殺シグナルタンパク質を、操作したマイクロRNA結合部位および/または本明細書に記載される他の調節要素を通して特定の組織または細胞(例えばがん細胞)で選択的に発現させ得る。このタンパク質のグループは、がん細胞の表面上に発現した場合、T細胞を刺激して、T細胞媒介性免疫応答を誘導し得、こうしてがん細胞を殺す。非制限的な例として、「死シグナル」を表すとして知られるタンパク質のグループには、CD80、CD86、B7およびMHC IIなどが含まれる。
タンパク質切断シグナルおよび部位
一実施形態において、本発明の腫瘍学関連ポリペプチドは、少なくとも1個のタンパク質切断部位を含有する少なくとも1個のタンパク質切断シグナルを含み得る。タンパク質切断部位は、N末端とC末端の真ん中、N末端と中間点との間、中間点とC末端との間、およびこれらの組み合わせ等であるが、これらに限定されないN末端とC末端との間の任意の空間で、N末端、C末端に位置し得る。
本発明の腫瘍学関連ポリペプチドは、プロタンパク質コンバターゼ(またはプロホルモンコンバターゼ)、トロンビン、または第Xa因子タンパク質切断シグナルを含み得るが、これらに限定されない。プロタンパク質コンバターゼは、プロホルモンコンバターゼ1/3(PC1/3)、PC2、フーリン、PC4、PC5/6、対合塩基性アミノ酸切断酵素4(PACE4)、およびPC7として既知の酵母ケキシンに関連した7個の塩基性アミノ酸特異的サブチリシン様セリンプロテイナーゼと、サブチリシンケキシンアイソザイム1(SKI−1)およびプロタンパク質コンバターゼサブチリシンケキシン9(PCSK9)と呼ばれる非塩基性残基で切断する他の2個のサブチラーゼを含む9個のプロテイナーゼのファミリーである。タンパク質切断シグナルアミノ酸配列の非限定的な例が表8に列記される。表8において、「X」は、任意のアミノ酸を指し、「n」は、0、2、4、または6個のアミノ酸であり得、「
*」は、タンパク質切断部位を指す。表8において、配列番号2499は、nが4であるときを指し、配列番号2500は、nが6であるときを指す。
表8.タンパク質切断部位配列
一実施形態において、本発明のシグナルセンサー一次構築物およびmmRNAは、一次構築物またはmmRNAが少なくとも1個のコードされたタンパク質切断シグナルを含有するように操作され得る。コードされたタンパク質切断シグナルは、開始コドンの前、開始コドンの後、コーディング領域の前、コーディング領域内に位置し得、例えば、コーディング領域の中間、開始コドンと中間点との間、中間点と終止コドンとの間、コーディング領域の後、終止コドンの後、2つの終止コドンの間、終止コドンの後、およびこれらの組み合わせ等であるが、これらに限定されない。
一実施形態において、本発明のシグナルセンサー一次構築物またはmmRNAは、少なくとも1個のタンパク質切断部位を含有する少なくとも1個のコードされたタンパク質切断シグナルを含み得る。コードされたタンパク質切断シグナルは、プロタンパク質コンバターゼ(もしくはプロホルモンコンバターゼ)、トロンビン、および/または第Xa因子タンパク質切断シグナルを含み得るが、これらに限定されない。当業者であれば、上の表1または他の既知の方法を用いて、本発明のシグナルセンサー一次構築物またはmmRNAに含める適切なコードされたタンパク質切断シグナルを決定することができる。例えば、表8のシグナルから始め、表1のコドンを考慮して、結果として生じる腫瘍学関連ポリペプチドにおいてタンパク質シグナルを生成し得るシグナルセンサー一次構築物のシグナルを設計することができる。
一実施形態において、本発明の腫瘍学関連ポリペプチドは、少なくとも1個のタンパク質切断シグナルおよび/または部位を含む。
非限定的な例として、参照によりこれらの全体が本明細書に組み込まれる、米国特許第7,374,930号および米国特許公開第20090227660号は、フーリン切断部位を用いて、発現産物におけるGLP−1のN末端メチオニンをその細胞のゴルジ装置から切断する。一実施形態において、本発明のポリペプチドは、少なくとも1個のタンパク質切断シグナルおよび/または部位を含むが、但し、ポリペプチドがGLP−1ではないことを条件とする。
一実施形態において、本発明のシグナルセンサー一次構築物またはmmRNAは、少なくとも1個のコードされたタンパク質切断シグナルおよび/または部位を含む。
一実施形態において、本発明のシグナルセンサー一次構築物またはmmRNAは、少なくとも1個のコードされたタンパク質切断シグナルおよび/または部位を含むが、但し、シグナルセンサー一次構築物またはmmRNAがGLP−1をコードしないことを条件とする。
一実施形態において、本発明のシグナルセンサー一次構築物またはmmRNAは、2つ以上のコーディング領域を含み得る。複数のコーディング領域が本発明のシグナルセンサー一次構築物またはmmRNAに存在する場合、複数のコーディング領域は、コードされたタンパク質切断部位によって分離され得る。非限定的な例として、シグナルセンサー一次構築物またはmmRNAは、順序付けられたパターンで書き込まれ得る。そのようなパターンは、AXBY形態に従い、式中、AおよびBは、同一もしくは異なるコーディング領域であり得、かつ/または同一もしくは異なる腫瘍学関連ポリペプチドをコードし得るコーディング領域であり、XおよびYは、同一もしくは異なるタンパク質切断シグナルをコードし得るコードされたタンパク質切断シグナルである。第2のそのようなパターンは、AXYBZ形態に従い、式中、AおよびBは、同一もしくは異なるコーディング領域であり得、かつ/または同一もしくは異なる腫瘍学関連ポリペプチドをコードし得るコーディング領域であり、X、Y、およびZは、同一もしくは異なるタンパク質切断シグナルをコードし得るコードされたタンパク質切断シグナルである。第3のパターンは、ABXCY形態に従い、A、B、およびCは、同一もしくは異なるコーディング領域であり得、かつ/または同一もしくは異なる腫瘍学関連ポリペプチドをコードし得るコーディング領域であり、XおよびYは、同一もしくは異なるタンパク質切断シグナルをコードし得るコードされたタンパク質切断シグナルである。
一実施形態において、腫瘍学関連ポリペプチド、シグナルセンサー一次構築物およびmmRNAはまた、ポリペプチド、シグナルセンサー一次構築物およびmmRNAがタンパク質切断部位に特異的であるプロテアーゼでの処理によって担体領域または融合パートナーから放出され得るように、前記タンパク質切断部位をコードする配列も含有し得る。
マイクロRNA
マイクロRNA(またはmiRNA)は、核酸分子の3’UTRに結合し、かつ核酸分子安定性を低下させるか、または翻訳を阻害するかのいずれかによって遺伝子発現を下方制御する19〜25ヌクレオチド長の非コードRNAである。本発明の修飾核酸(mRNA)、強化した修飾RNAまたはリボ核酸は、1つ以上のマイクロRNA標的配列、マイクロRNA配列またはマイクロRNA種を含み得る。そのような配列は、米国特許公開第US2005/0261218号および米国特許公開第US2005/0059005号に教示されるもの等の任意の既知のマイクロRNAに対応し得、これらの内容は、参照によりこれらの全体が本明細書に組み込まれる。非制限的な実施形態として、ヒトゲノムの、公知のマイクロRNA、その配列および結合部位配列が下記表9に列記される。
マイクロRNA配列は、「種」領域、すなわち、成熟マイクロRNAの2〜8位の領域における配列を含み、この配列は、miRNA標的配列に対して完全なワトソン・クリック相補性を有する。マイクロRNA種は、成熟マイクロRNAの2〜8位または2〜7位を含み得る。いくつかの実施形態において、マイクロRNA種は、7個のヌクレオチド(例えば、成熟マイクロRNAのヌクレオチド2〜8位)を含み得、対応するmiRNA標的におけるこの種相補的部位には、マイクロRNA1位と反対のアデニン(A)が隣接する。いくつかの実施形態において、マイクロRNA種は、6個のヌクレオチド(例えば、成熟マイクロRNAのヌクレオチド2〜7位)を含み得、対応するmiRNA標的における種相補的部位は、マイクロRNA1位と反対のアデニン(A)に隣接する。例えば、Grimson A,Farh KK,Johnston WK,Garrett−Engele P,Lim LP,Bartel DP;Mol Cell.2007 Jul
6;27(1):91−105を参照されたく、各々の全体が参照により本明細書に組み込まれる。マイクロRNA種の塩基は、標的配列と完全な相補性を有する。マイクロRNA標的配列を操作して、本発明の核酸またはmRNAの3’UTRに入れることによって、分解または翻訳減少のためにこの分子を標的化することができるが、但し、問題のマイクロRNAが利用可能であることを条件とする。このプロセスは、核酸分子送達時のオフターゲット効果の危険を低下させる。マイクロRNA、マイクロRNA標的領域、およびそれらの発現パターンの特定、ならびに生物学におけるそれらの役割が報告されている(各々の全体が参照により本明細書に組み込まれる、Bonauer et al.,Curr Drug Targets 2010 11:943−949、Anand and Cheresh Curr Opin Hematol 2011 18:171−176、Contreras and Rao Leukemia 2012 26:404−413(2011 Dec 20.doi:10.1038/leu.2011.356)、Bartel Cell 2009 136:215−233、Landgraf et al.,Cell,2007 129:1401−1414、Gentner and Naldini,Tissue Antigens.2012 80:393−403およびこれらの文献内の全引用文献)。
例えば、シグナルセンサーポリヌクレオチドが肝臓に送達されることが意図されないが、そこで落ち着く場合、miR−122の1つまたは複数の標的部位が操作されて、シグナルセンサーポリヌクレオチドの3’UTRに入れられると、肝臓中に豊富なマイクロRNAであるmiR−122が目的とする遺伝子の発現を阻害することができる。異なるマイクロRNAの1つまたは複数の結合部位の導入を操作して、シグナルセンサーポリヌクレオチドの長寿命、安定性、およびタンパク質翻訳をさらに減少させることができる。本明細書で使用するとき、「マイクロRNA部位」という用語は、マイクロRNA標的部位もしくはマイクロRNA認識部位、またはマイクロRNAが結合もしくは会合する任意のヌクレオチド配列を指す。「結合」は、従来のワトソン・クリックハイブリダイゼーション規則に従い得るか、あるいはマイクロRNA部位に、またはマイクロRNA部位に隣接して標的配列を有するマイクロRNAの任意の安定した会合を示し得ることを理解されたい。
逆に、本発明のシグナルセンサーポリヌクレオチドの目的のために、特定の組織でのタンパク質発現を増加させるために自然に生じるマイクロRNA結合部位を操作して配列から出す(すなわち、配列から除去する)ことができる。例えば、miR−122結合部位が除去されて、肝臓でのタンパク質発現を改善することができる。
一実施形態において、細胞傷害性または細胞保護性mRNA治療薬を、限定はしないが正常および/またはがん細胞(例えばHEP3BまたはSNU449)といった特定の細胞に指向するために、シグナルセンサーポリヌクレオチドは少なくとも1つのmiRNA結合部位を3’UTRに含み得る。非制限的な例として、強いアポトーシスシグナルおよび少なくとも1つのmiR−122a結合部位がシグナルセンサーポリヌクレオチドによってコードされ、ここで、当該少なくとも1つのmiR−122a結合部位は3’UTRに位置する。別の非制限的な例として、アポトーシス誘導因子短アイソフォーム(AIFsh)および少なくとも1つのmiR−122a結合部位がシグナルセンサーポリヌクレオチドによってコードされ、ここで、当該少なくとも1つのmiR−122a結合部位は3’UTRに位置する。さらに別の非制限的な例として、構成的活性型(C.A.)カスパーゼ6および少なくとも1つのmiR−122a結合部位がシグナルセンサーポリヌクレオチドによってコードされ、ここで、当該少なくとも1つのmiR−122a結合部位は3’UTRに位置する。別の非制限的な例として、HSV1−tkおよび少なくとも1つのmiR−122a結合部位がシグナルセンサーポリヌクレオチドによってコードされ、ここで、当該少なくとも1つのmiR−122a結合部位が3’UTRに位置する。
別の実施形態では、細胞傷害性または細胞保護性mRNA治療薬を、限定はしないが正常および/またはがん細胞(例えばHEP3BまたはSNU449)といった特定の細胞に指向するために、シグナルセンサーポリヌクレオチドは3つのmiRNA結合部位を3’UTRに含み得る。非制限的な例として、強いアポトーシスシグナルおよび3つのmiR−122a結合部位がシグナルセンサーポリヌクレオチドによってコードされ、ここで、当該3つのmiR−122a結合部位は3’UTRに位置する。別の非制限的な例として、アポトーシス誘導因子短アイソフォーム(AIFsh)および3つのmiR−122a結合部位がシグナルセンサーポリヌクレオチドによってコードされ、ここで、当該3つのmiR−122a結合部位は3’UTRに位置する。さらに別の非制限的な例として、構成的活性型(C.A.)カスパーゼ6および3つのmiR−122a結合部位がシグナルセンサーポリヌクレオチドによってコードされ、ここで、当該3つのmiR−122a結合部位は3’UTRに位置する。別の非制限的な例として、HSV1−tkおよび3つのmiR−122a結合部位がシグナルセンサーポリヌクレオチドによってコードされ、ここで、当該3つのmiR−122a結合部位が3’UTRに位置する。
複数の組織での発現の制御は、導入もしく除去または1もしくは複数のマイクロRNA結合部位を通して達成され得る。下記表10で示されるのは、異なる組織および細胞で差次的に発現され、しばしば異なる種類の疾患に関連する(例えば、がん細胞)マイクロRNAである。マイクロRNA結合部位の除去もしくは挿入またはいずれかの組み合わせの決定は、がん細胞におけるマイクロRNA発現パターンおよびそのプロファイリング次第である。
マイクロRNAがmRNAを制御し、それによってタンパク質発現を制御することが分かっている組織の例としては、肝臓(miR−122)、筋肉(miR−133、miR−206、miR−208)、内皮細胞(miR−17−92、miR−126)、骨髄系細胞(miR−142−3p、miR−142−5p、miR−16、miR−21、miR−223、miR−24、miR−27)、神経系(mir−124a、miR−9)、多能性細胞(miR−302、miR−367、miR−290、miR−371、miR−373)、膵島細胞(miR−375)、脂肪組織(let−7、miR−30c)、心臓(miR−1d、miR−149)、腎臓(miR−192、miR−194、miR−204)、および肺上皮細胞(let−7、miR−133、miR−126)が挙げられるが、これらに限定されない。
具体的には、マイクロRNAは免疫細胞(造血細胞)で差次的に発現することで知られており、例えば、抗原提示細胞(APC)(例えば、樹状細胞およびマクロファージ)、マクロファージ、単球、Bリンパ球、Tリンパ球、顆粒球、ナチュラルキラー細胞などである。免疫細胞特異的マイクロRNAは、免疫原性、自己免疫、感染症に対する免疫応答、炎症、ならびに、遺伝子療法および組織/器官移植後の所望されない免疫応答にも関わる。免疫細胞特異的マイクロRNAはまた、造血細胞(免疫細胞)の発達、増殖、分化およびアポトーシスの多くの側面を制御する。例えば、miR−142およびmiR−146は免疫細胞で排他的に発現され、特に骨髄系樹状細胞で豊富である。miR−142結合部位を本発明のシグナルセンサーポリヌクレオチドの3’−UTRに導入することは、miR−142媒介性mRNA分解を通して、抗原提示細胞での遺伝子発現を選択的に抑制し得、プロフェッショナルなAPC(例えば、樹状細胞)での抗原提示を制限し、それによって、遺伝子送達後の抗原媒介性免疫応答を阻止する(Annoni A et al.,blood,2009,114,5152−5161を参照、その内容は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)。
一実施形態において、免疫細胞、特に抗原提示細胞で発現されることが知られているマイクロRNA結合部位は、操作されてシグナルセンサーポリヌクレオチドに入れられて、マイクロRNA媒介性RNA分解を通してAPCのセンサーポリヌクレオチドの発現を抑制し、センサーポリヌクレオチドの発現が免疫細胞特異的マイクロRNAが発現されない非免疫細胞では維持される一方で、抗原媒介性免疫応答を抑え得る。例えば、肝臓特異的タンパク質によって引き起こされる免疫原性反応を阻止するために、miR−122結合部位を取り除き得、miR−142(および/またはmirR−146)結合部位が操作されてシグナルセンサーポリヌクレオチドの3’UTRに入れられ得る(例えば、実施例38に記載される構築物ならびに実施例39および40で説明される実験を参照)。
APCおよびマクロファージのmRNAの選択的分解および抑制をさらに駆り立てるために、シグナルセンサーポリヌクレオチドは、3’UTRに別の陰性調節要素を、単独か、またはmir−142および/またはmir−146結合部位との組み合わせのいずれかで含み得る。非制限的な例として、1つの調節要素は、構成的分解要素(CDE)である。
免疫細胞特異的マイクロRNAとしては、hsa−let−7a−2−3p、hsa−let−7a−3p、hsa−7a−5p、hsa−let−7c、hsa−let−7e−3p、hsa−let−7e−5p、hsa−let−7g−3p、hsa−let−7g−5p、hsa−let−7i−3p、hsa−let−7i−5p、miR−10a−3p、miR−10a−5p、miR−1184、hsa−let−7f−1−−3p、hsa−let−7f−2−−5p、hsa−let−7f−5p、miR−125b−1−3p、miR−125b−2−3p、miR−125b−5p、miR−1279、miR−130a−3p、miR−130a−5p、miR−132−3p、miR−132−5p、miR−142−3p、miR−142−5p、miR−143−3p、miR−143−5p、miR−146a−3p、miR−146a−5p、miR−146b−3p、miR−146b−5p、miR−147a、miR−147b、miR−148a−5p、miR−148a−3p、miR−150−3p、miR−150−5p、miR−151b、miR−155−3p、miR−155−5p、miR−15a−3p、miR−15a−5p、miR−15b−5p、miR−15b−3p、miR−16−1−3p、miR−16−2−3p、miR−16−5p、miR−17−5p、miR−181a−3p、miR−181a−5p、miR−181a−2−3p、miR−182−3p、miR−182−5p、miR−197−3p、miR−197−5p、miR−21−5p、miR−21−3p、miR−214−3p、miR−214−5p、miR−223−3p、miR−223−5p、miR−221−3p、miR−221−5p、miR−23b−3p、miR−23b−5p、miR−24−1−5p、miR−24−2−5p、miR−24−3p、miR−26a−1−3p、miR−26a−2−3p、miR−26a−5p、miR−26b−3p、miR−26b−5p、miR−27a−3p、miR−27a−5p、miR−27b−3p、miR−27b−5p、miR−28−3p、miR−28−5p、miR−2909、miR−29a−3p、miR−29a−5p、miR−29b−1−5p、miR−29b−2−5p、miR−29c−3p、miR−29c−5p、miR−30e−3p、miR−30e−5p、miR−331−5p、miR−339−3p、miR−339−5p、miR−345−3p、miR−345−5p、miR−346、miR−34a−3p、miR−34a−5p、miR−363−3p、miR−363−5p、miR−372、miR−377−3p、miR−377−5p、miR−493−3p、miR−493−5p、miR−542、miR−548b−5p、miR548c−5p、miR−548i、miR−548j、miR−548n、miR−574−3p、miR−598、miR−718、miR−935、miR−99a−3p、miR−99a−5p、miR−99b−3pおよびmiR−99b−5pが挙げられるが、これらに限定されない。下記表11に示されるのは、特定の種類の免疫細胞に濃縮されたマイクロRNAである。さらに、新規のマイクロRNAが、ミクロアレーハイブリダイゼーションおよびミクロトーム分析を通して当該技術分野の免疫細胞で発見された(Jima DD et al.,Blood,2010,116:e118−e127;Vaz C et al.,BMC Genomics,2010,11,288,各内容は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる).
肝臓で発現すると分かっているマイクロRNAとしては、miR−107, miR−122−3p, miR−122−5p, miR−1228−3p, miR−1228−5p, miR−1249, miR−129−5p, miR−1303, miR−151a−3p, miR−151a−5p, miR−152, miR−194−3p, miR−194−5p, miR−199a−3p, miR−199a−5p, miR−199b−3p, miR−199b−5p, miR−296−5p,
miR−557, miR−581, miR−939−3p, miR−939−5pが挙げられるが、これらに限定されない。いずれの肝臓特異的マイクロRNA由来のマイクロRNA結合部位も、シグナルセンサーポリヌクレオチドに導入、またはシグナルセンサーポリヌクレオチドから除去して、肝臓におけるシグナルセンサーポリヌクレオチドの発現を制御し得る。肝臓特異的マイクロRNA結合部位は、単独で操作され得、または、肝臓のタンパク質発現に対する免疫応答を阻止するために、免疫細胞(例えばAPC)マイクロRNA結合部位とさらに組み合わせて操作され得る。
肺で発現すると分かっているマイクロRNAとしては、let−7a−2−3p、let−7a−3p、let−7a−5p、miR−126−3p、miR−126−5p、miR−127−3p、miR−127−5p、miR−130a−3p、miR−130a−5p、miR−130b−3p、miR−130b−5p、miR−133a、miR−133b、miR−134、miR−18a−3p、miR−18a−5p、miR−18b−3p、miR−18b−5p、miR−24−1−5p、miR−24−2−5p、miR−24−3p、miR−296−3p、miR−296−5p、miR−32−3p、miR−337−3p、miR−337−5p、miR−381−3p、miR−381−5pが挙げられるが、これらに限定されない。いずれの肺特異的マイクロRNA由来のマイクロRNA結合部位も、シグナルセンサーポリヌクレオチドに導入、またはシグナルセンサーポリヌクレオチドから除去して、肺におけるシグナルセンサーポリヌクレオチドの発現を制御し得る。肺特異的マイクロRNA結合部位は、単独で操作され得、または、肺のタンパク質発現に対する免疫応答を阻止するために、免疫細胞(例えばAPC)マイクロRNA結合部位とさらに組み合わせて操作され得る。
心臓で発現すると分かっているマイクロRNAとしては、miR−1、miR−133a、miR−133b、miR−149−3p、miR−149−5p、miR−186−3p、miR−186−5p、miR−208a、miR−208b、miR−210、miR−296−3p、miR−320、miR−451a、miR−451b、miR−499a−3p、miR−499a−5p、miR−499b−3p、miR−499b−5p、miR−744−3p、miR−744−5p、miR−92b−3pおよびmiR−92b−5pが挙げられるが、これらに限定されない。いずれの心臓特異的マイクロRNA由来のマイクロRNA結合部位も、シグナルセンサーポリヌクレオチドに導入、またはシグナルセンサーポリヌクレオチドから除去して、心臓におけるシグナルセンサーポリヌクレオチドの発現を制御し得る。心臓特異的マイクロRNA結合部位は、単独で操作され得、または、心臓のタンパク質発現に対する免疫応答を阻止するために、免疫細胞(例えばAPC)マイクロRNA結合部位とさらに組み合わせて操作され得る。
神経系で発現すると分かっているマイクロRNAとしては、miR−124−5p、miR−125a−3p、miR−125a−5p、miR−125b−1−3p、miR−125b−2−3p、miR−125b−5p、miR−1271−3p、miR−1271−5p、miR−128、miR−132−5p、miR−135a−3p、miR−135a−5p、miR−135b−3p、miR−135b−5p、miR−137、miR−139−5p、miR−139−3p、miR−149−3p、miR−149−5p、miR−153、miR−181c−3p、miR−181c−5p、miR−183−3p、miR−183−5p、miR−190a、miR−190b、miR−212−3p、miR−212−5p、miR−219−1−3p、miR−219−2−3p、miR−23a−3p、miR−23a−5p、miR−30a−5p、miR−30b−3p、miR−30b−5p、miR−30c−1−3p、miR−30c−2−3p、miR−30c−5p、miR−30d−3p、miR−30d−5p、miR−329、miR−342−3p、miR−3665、miR−3666、miR−380−3p、miR−380−5p、miR−383、miR−410、miR−425−3p、miR−425−5p、miR−454−3p、miR−454−5p、miR−483、miR−510、miR−516a−3p、miR−548b−5p、miR−548c−5p、miR−571、miR−7−1−3p、miR−7−2−3p、miR−7−5p、miR−802、miR−922、miR−9−3pおよびmiR−9−5pが挙げられるが、これらに限定されない。神経系で濃縮されるマイクロRNAにはさらにニューロンで特異的に発現するものが含まれ、例えば、miR−132−3p、miR−132−3p、miR−148b−3p、miR−148b−5p、miR−151a−3p、miR−151a−5p、miR−212−3p、miR−212−5p、miR−320b、miR−320e、miR−323a−3p、miR−323a−5p、miR−324−5p、miR−325、miR−326、miR−328、miR−922が挙げられるがこれらに限定はされず、ならびに、グリア細胞で特異的に発現されるものが含まれ、例えば、miR−1250、miR−219−1−3p、miR−219−2−3p、miR−219−5p、miR−23a−3p、miR−23a−5p、miR−3065−3p、miR−3065−5p、miR−30e−3p、miR−30e−5p、miR−32−5p、miR−338−5p、miR−657が挙げられるが、これらに限定されない。いずれのCNS特異的マイクロRNA由来のマイクロRNA結合部位も、シグナルセンサーポリヌクレオチドに導入、またはシグナルセンサーポリヌクレオチドから除去して、神経系におけるシグナルセンサーポリヌクレオチドの発現を制御し得る。神経系特異的マイクロRNA結合部位は、単独で操作され得、または、神経系のタンパク質発現に対する免疫応答を阻止するために、免疫細胞(例えばAPC)マイクロRNA結合部位とさらに組み合わせて操作され得る。
膵臓で発現すると分かっているマイクロRNAとしては、miR−105−3p、miR−105−5p、miR−184、miR−195−3p、miR−195−5p、miR−196a−3p、miR−196a−5p、miR−214−3p、miR−214−5p、miR−216a−3p、miR−216a−5p、miR−30a−3p、miR−33a−3p、miR−33a−5p、miR−375、miR−7−1−3p、miR−7−2−3p、miR−493−3p、miR−493−5pおよびmiR−944が挙げられるが、これらに限定されない。いずれの膵臓特異的マイクロRNA由来のマイクロRNA結合部位も、シグナルセンサーポリヌクレオチドに導入、またはシグナルセンサーポリヌクレオチドから除去して、膵臓におけるシグナルセンサーポリヌクレオチドの制御を調節し得る。膵臓特異的マイクロRNA結合部位は、単独で操作され得、または、膵臓のタンパク質発現に対する免疫応答を阻止するために、免疫細胞(例えばAPC)マイクロRNA結合部位とさらに組み合わせて操作され得る。
腎臓で発現すると分かっているマイクロRNAとしてはさらに、miR−122−3p、miR−145−5p、miR−17−5p、miR−192−3p、miR−192−5p、miR−194−3p、miR−194−5p、miR−20a−3p、miR−20a−5p、miR−204−3p、miR−204−5p、miR−210、miR−216a−3p、miR−216a−5p、miR−296−3p、miR−30a−3p、miR−30a−5p、miR−30b−3p、miR−30b−5p、miR−30c−1−3p、miR−30c−2−3p、miR30c−5p、miR−324−3p、miR−335−3p、miR−335−5p、miR−363−3p、miR−363−5pおよびmiR−562が挙げられるが、これらに限定されない。いずれの腎臓特異的マイクロRNA由来のマイクロRNA結合部位も、シグナルセンサーポリヌクレオチドに導入、またはシグナルセンサーポリヌクレオチドから除去して、腎臓におけるシグナルセンサーポリヌクレオチドの発現を制御し得る。腎臓特異的マイクロRNA結合部位は、単独で操作され得、または、腎臓のタンパク質発現に対する免疫応答を阻止するために、免疫細胞(例えばAPC)マイクロRNA結合部位とさらに組み合わせて操作され得る。
筋肉で発現すると分かっているマイクロRNAとしてはさらに、let−7g−3p、let−7g−5p、miR−1、miR−1286、miR−133a、miR−133b、miR−140−3p、miR−143−3p、miR−143−5p、miR−145−3p、miR−145−5p、miR−188−3p、miR−188−5p、miR−206、miR−208a、miR−208b、miR−25−3pおよびmiR−25−5pが挙げられるが、これらに限定されない。いずれの筋肉特異的マイクロRNA由来のマイクロRNA結合部位も、シグナルセンサーポリヌクレオチドに導入、またはシグナルセンサーポリヌクレオチドから除去して、筋肉におけるシグナルセンサーポリヌクレオチドの発現を制御し得る。筋肉特異的マイクロRNA結合部位は、単独で操作され得、または、筋肉のタンパク質発現に対する免疫応答を阻止するために、免疫細胞(例えばAPC)マイクロRNA結合部位とさらに組み合わせて操作され得る。
マイクロRNAは内皮細胞、上皮細胞および脂肪細胞といった異なる種類の細胞では差次的に発現される。例えば、内皮細胞で発現されるマイクロRNAとしては、let−7b−3p、let−7b−5p、miR−100−3p、miR−100−5p、miR−101−3p、miR−101−5p、miR−126−3p、miR−126−5p、miR−1236−3p、miR−1236−5p、miR−130a−3p、miR−130a−5p、miR−17−5p、miR−17−3p、miR−18a−3p、miR−18a−5p、miR−19a−3p、miR−19a−5p、miR−19b−1−5p、miR−19b−2−5p、miR−19b−3p、miR−20a−3p、miR−20a−5p、miR−217、miR−210、miR−21−3p、miR−21−5p、miR−221−3p、miR−221−5p、miR−222−3p、miR−222−5p、miR−23a−3p、miR−23a−5p、miR−296−5p、miR−361−3p、miR−361−5p、miR−421、miR−424−3p、miR−424−5p、miR−513a−5p、miR−92a−1−5p、miR−92a−2−5p、miR−92a−3p、miR−92b−3pおよびmiR−92b−5pが挙げられるが、これらに限定されない。多くの新規マイクロRNAが、ディープ配列決定分析から内皮細胞で発見された(Voellenkle C et
al.,RNA,2012,18,472−484,参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。)いずれかの内皮細胞特異的マイクロRNA由来のマイクロRNA結合部位は、シグナルセンサーポリヌクレオチドに導入、またはシグナルセンサーポリヌクレオチドから除去して、様々な状態で内皮細胞におけるシグナルセンサーポリヌクレオチドの発現を制御し得る。
さらなる例として、上皮細胞で発現されるマイクロRNAとしては、let−7b−3p、let−7b−5p、miR−1246、miR−200a−3p、miR−200a−5p、miR−200b−3p、miR−200b−5p、miR−200c−3p、miR−200c−5p、miR−338−3p、miR−429、miR−451a、miR−451b、miR−494、miR−802および呼吸性繊毛上皮細胞で特異的であるmiR−34a、miR−34b−5p、miR−34c−5p、miR−449a、miR−449b−3p、miR−449b−5p;肺上皮細胞で特異的であるlet−7ファミリー、miR−133a、miR−133b、miR−126;腎臓上皮細胞で特異的であるmiR−382−3p、miR−382−5pならび角膜上皮細胞で特異的であるmiR−762が挙げられるが、これらに限定されない。いずれの上皮細胞特異的マイクロRNA由来のマイクロRNA結合部位も、シグナルセンサーポリヌクレオチドに導入、またはシグナルセンサーポリヌクレオチドから除去して、様々な状態で上皮細胞におけるシグナルセンサーポリヌクレオチドの発現を制御し得る。
さらに、大きなグループのマイクロRNAは胚幹細胞で濃縮され、幹細胞の自己複製、ならびに、神経細胞、心臓、造血細胞、皮膚細胞、骨形成原細胞および筋細胞といった様々な細胞系列の発達および/または分化を制御する(Kuppusamy KT et al.,Curr.Mol Med,2013,13(5),757−764;Vidigal JA and Ventura A,Semin Cancer Biol.2012,22(5−6),428−436;Goff LA et al.,PLoS One,2009,4:e7192;Morin RD et al.,Genome Res,2008,18,610−621;Yoo JK et al.,Stem Cells Dev.2012,21(11),2049−2057,各々の全体が参照により本明細書に組み込まれる)。胚性幹細胞に豊富であるマイクロRNAとしては、let−7a−2−3p、let−a−3p、let−7a−5p、let7d−3p、let−7d−5p、miR−103a−2−3p、miR−103a−5p、miR−106b−3p、miR−106b−5p、miR−1246、miR−1275、miR−138−1−3p、miR−138−2−3p、miR−138−5p、miR−154−3p、miR−154−5p、miR−200c−3p、miR−200c−5p、miR−290、miR−301a−3p、miR−301a−5p、miR−302a−3p、miR−302a−5p、miR−302b−3p、miR−302b−5p、miR−302c−3p、miR−302c−5p、miR−302d−3p、miR−302d−5p、miR−302e、miR−367−3p、miR−367−5p、miR−369−3p、miR−369−5p、miR−370、miR−371、miR−373、miR−380−5p、miR−423−3p、miR−423−5p、miR−486−5p、miR−520c−3p、miR−548e、miR−548f、miR−548g−3p、miR−548g−5p、miR−548i、miR−548k、miR−548l、miR−548m、miR−548n、miR−548o−3p、miR−548o−5p、miR−548p、miR−664a−3p、miR−664a−5p、miR−664b−3p、miR−664b−5p、miR−766−3p、miR−766−5p、miR−885−3p、miR−885−5p、miR−93−3p、miR−93−5p、miR−941、miR−96−3p、miR−96−5p、miR−99b−3pおよびmiR−99b−5pが挙げられるが、これらに限定されない。多くの予測された新規マイクロRNAがヒト胚性幹細胞でのディープ配列決定によって発見されている(Morin RD et al.,Genome Res,2008,18,610−621;Goff LA et al.,PLoS One,2009,4:e7192;Bar M et al.,Stem cells,2008,26,2496−2505,各内容が参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)。
一実施形態において、胚性幹細胞特異的マイクロRNAの結合部位は、シグナルセンサーポリヌクレオチドの3−UTRに封入され、またはシグナルセンサーポリヌクレオチドの3−UTRから除去して、胚性幹細胞の発達および/もしくは分化を調節、変性状態の幹細胞の老化を阻害(例えば、変性疾患)、または、疾患状態にある肝細胞(例えばがん幹細胞)の老化およびアポトーシスを刺激し得る。
様々ながん細胞/組織および他の疾患でのマイクロRNAの発現差異をプロファイリングするために、多くのマイクロRNA発現の研究がなされ、当該技術分野で説明されている。特定のがん細胞で異常に過剰発現されるマイクロRNAもあれば、過小発現されるマイクロRNAある。例えば、マイクロRNAはがん細胞(国際公開第WO2008/154098号、米国特許第US2013/0059015号、米国特許第US2013/0042333号、国際公開第WO2011/157294号)、がん幹細胞(米国特許第US2012/0053224号)、膵臓癌および疾患(米国特許第US2009/0131348号、米国特許第US2011/0171646号、米国特許第US2010/0286232号、米国特許第US8389210号)、喘息および炎症(米国特許第US8415096号)、前立腺癌(米国特許第US2013/0053264号)、肝細胞癌(国際公開第WO2012/151212号、米国特許第US2012/0329672号、国際公開第WO2008/054828号、米国特許第US8252538号)、肺癌細胞(国際公開第WO2011/076143号、国際公開第WO2013/033640号、国際公開第WO2009/070653号、米国特許第US2010/0323357号)、皮膚T細胞リンパ腫(国際公開第WO2013/011378号)、結腸直腸癌細胞(国際公開第WO2011/0281756号、国際公開第WO2011/076142号)、癌陽性リンパ節(国際公開第WO2009/100430号、米国特許第US2009/0263803号)、上咽頭癌(欧州特許第EP2112235号)、慢性閉塞性肺疾患(米国特許第US2012/0264626号、米国特許第US2013/0053263号)、甲状腺癌(国際公開第WO2013/066678号)、卵巣癌細胞(米国特許第US2012/0309645号、国際公開第WO2011/095623号)、乳癌細胞(国際公開第WO2008/154098号、国際公開第WO2007/081740号、米国特許第US2012/0214699号)、白血病およびリンパ腫(国際公開第WO2008/073915号、米国特許第US2009/0092974号、米国特許第US2012/0316081号、米国特許第US2012/0283310号、国際公開第WO2010/018563号、各内容は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)で差次的に発現される。
具体的には、特定のがんおよび/または腫瘍細胞で過剰発現されるマイクロRNA部位は、腫瘍学関連ポリペプチドをコードするシグナルセンサーポリヌクレオチドの3’UTRから除去され得、がん細胞で過剰発現されるマイクロRNAによって抑制される発現を回復し、こうして、例えば、転写刺激および/または抑圧、細胞周期停止、アポトーシスならびに細胞死といった、対応する生物学的機能を改善する。マイクロRNA発現が上方制御されない正常な細胞および組織は、影響を受けないままである。
マイクロRNAはまた、血管新生といった複雑な生物学的プロセスを制御し得る(miR−132) (Anand and Cheresh Curr Opin Hematol 2011 18:171−176)。本発明のシグナルセンサーポリヌクレオチドでは、シグナルセンサーポリヌクレオチド発現の発現を生物学的に関連のある細胞型または関連のある生物学的プロセスの文脈に合わせるために、そのようなプロセスに関連するマイクロRNAの結合部位を除去または導入し得る。この文脈において、シグナルセンサーポリヌクレオチドは栄養要求性シグナルセンサーポリヌクレオチドとして定義される。
表9は、本発明と使用され得る、miRおよびmiR結合部位(miR BS)ならびにこれらの配列を包括的ではないが列挙したものである。
表9.Mirおよびmir結合部位
表10に示される通り、マイクロRNAは異なる組織および細胞で差次的に発現され、しばしば異なる種類の疾患に関連する(例えばがん細胞)。マイクロRNA結合部位の除去もしくは挿入またはいずれかの組み合わせの決定は、がん細胞におけるマイクロRNA発現パターンおよびそのプロファイリング次第である。表10では、「HCC」は肝細胞癌を意味し、「ALL」は急性リンパ性白血病を意味し、「RCC」は腎臓細胞癌を意味し、「CLL」は慢性リンパ球白血病を意味し、「MALT」は粘膜内リンパ組織を意味する。
表10.mirs、組織/細胞発現および疾患
特定の種類の免疫細胞に濃縮されるマイクロRNAが表11に列挙される。さらに、ミクロアレーハイブリダイゼーションおよびミクロトーム分析によって、当該技術分野で、新規のマイクロRNAが免疫細胞で発見されている(Jima DD et al.,Blood,2010,116:e118−e127;Vaz C et al.,BMC
Genomics,2010,11,288,各内容は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)。表11では、「HCC」は肝細胞癌を意味し、「ALL」は急性リンパ性白血病を意味し、「CLL」は慢性(chrominc)リンパ性白血病を意味する。
表11.免疫細胞のマイクロRNA
III.修飾
本明細書におけるシグナルセンサーポリヌクレオチド(一次構築物またはmRNA分子等)において、「修飾」または必要に応じて「修飾された」という用語は、A、G、U、またはCリボヌクレオチドに対する修飾を指す。概して、本明細書において、これらの用語は、天然に存在する5’末端mRNAキャップ部分におけるリボヌクレオチド修飾を指すようには意図されていない。ポリペプチドにおいて、「修飾」という用語は、基準の組の20個のアミノ酸と比較した修飾を指す。
この修飾は、様々なはっきりと異なる修飾であり得る。いくつかの実施形態において、コーディング領域、隣接領域、および/または末端領域は、1つ、2つ、または2つ以上の(任意に異なる)ヌクレオシドまたはヌクレオチド修飾を含有し得る。いくつかの実施形態において、細胞に導入された修飾シグナルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物、またはmmRNAは、未修飾シグナルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物、またはmmRNAと比較して、細胞における分解の減少を呈し得る。
シグナルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物、およびmmRNAは、糖、核酸塩基、またはヌクレオシド間結合(例えば、結合リン酸/ホスホジエステル結合/ホスホジエステル骨格への)等に対する任意の有用な修飾を含み得る。ピリミジン核酸塩基の1個以上の原子は、任意に置換されたアミノ、任意に置換されたチオール、任意に置換されたアルキル(例えば、メチルもしくはエチル)、またはハロ(例えば、クロロもしくはフルオロ)と置き換えれ得るか、またはこれらで置換され得る。ある特定の実施形態において、修飾(例えば、1つ以上の修飾)は、糖およびヌクレオシド間結合の各々において存在する。本発明に従う修飾は、デオキシリボ核酸(DNA)、トレオース核酸(TNA)、グリコール核酸(GNA)、ペプチド核酸(PNA)、ロックド核酸(LNA)、またはこれらのハイブリッド)に対するリボ核酸(RNA)の修飾であり得る。さらなる修飾が本明細書に記載される。
本明細書に記載されるように、いくつかの実施形態では、本発明のシグナルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物、およびmmRNAは、mRNAが導入される細胞の自然免疫応答を実質的に誘導しない。誘導された自然免疫応答の特徴には、1)炎症誘発性サイトカインの発現の増加、2)細胞内PRR(RIG−I、MDA5等の活性化、および/または3)タンパク質翻訳の終結もしくは減少が含まれる。他の実施形態では、免疫応答が誘導される。
ある特定の実施形態において、細胞に導入された修飾核酸分子を細胞内で分解することが望ましくあり得る。例えば、修飾核酸分子の分解は、タンパク質産生の正確なタイミングが所望される場合に好ましくあり得る。したがって、いくつかの実施形態において、本発明は、指向された様式で細胞内で作用され得る、分解ドメインを含有する修飾核酸分子を提供する。
別の態様において、本開示は、シグナルセンサーポリヌクレオチドとの主溝相互作用(例えば、結合)パートナーの結合を攪乱し得るヌクレオシドまたはヌクレオチドを含むポリヌクレオチドを提供する(例えば、修飾ヌクレオチドは、未修飾ヌクレオチドと比較して、主溝相互作用パートナーに対して低下した結合親和性を有する場合)。
シグナルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物、およびmmRNAは、他の作用物質(例えば、RNAi誘導剤、RNAi剤、siRNA、shRNA、miRNA、アンチセンスRNA、リボザイム、触媒DNA、tRNA、三重らせん形成を誘導するRNA、アプタマー、ベクター等)を任意に含み得る。いくつかの実施形態において、シグナルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物、またはmmRNAは、1個以上のメッセンジャーRNA(mRNA)および1個以上の修飾ヌクレオシドまたはヌクレオチド(例えば、mmRNA分子)を含み得る。これらのシグナルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物、およびmmRNAについての詳細は、以下に続く。
シグナルセンサーポリヌクレオチドおよび一次構築物
本発明のシグナルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物、およびmmRNAは、目的とする腫瘍学関連ポリペプチドをコードする結合ヌクレオシドの第1の領域、第1の領域の5’末端に位置する第1の隣接領域、および第1の領域の3’末端に位置する第2の隣接領域を含む。
いくつかの実施形態において、シグナルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物、またはmmRNAは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、2012年10月3日(M9)に出願された国際出願第PCT/US12/058519号の方法および修飾に従って構築される。
シグナルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物、およびmmRNAは、本明細書に記載の5’および/または3’隣接領域を任意に含み得る。
シグナルセンサー修飾RNA(mmRNA)分子
本発明は、修飾シグナルセンサーmRNA(mmRNA)分子のビルディングブロック、例えば、修飾リボヌクレオシド、修飾リボヌクレオチドも含む。例えば、これらのビルディングブロックは、本発明のシグナルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物、またはmmRNAの調製に有用であり得る。そのようなビルディングブロックは、同時係属出願である、2012年10月3日(M9)に出願された国際出願第PCT/US12/058519号で教示され、この内容は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
核酸塩基における修飾
本開示は、修飾ヌクレオシドおよびヌクレオチドを提供する。本明細書に記載の「ヌクレオシド」は、有機塩基(例えば、プリンもしくはピリミジン)またはその誘導体(本明細書において「核酸塩基」とも称される)と組み合わせて糖分子(例えば、ペントースもしくはリボース)またはその誘導体を含有する化合物と定義される。本明細書に記載される「ヌクレオチド」は、リン酸基を含むヌクレオシドと定義される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるヌクレオシドおよびヌクレオチドは通常、主溝面上で化学的に修飾される。非制限的な例となる修飾には、アミノ基、チオール基、アルキル基、ハロ基または本明細書に記載されるいずれかのものが含まれる。修飾ヌクレオチドは、(1個以上の修飾または非天然ヌクレオシドを含めるために、例えば、化学的、酵素的、または組換え的に)本明細書に記載の任意の有用な方法によって合成され得る。
修飾ヌクレオシドおよびヌクレオチドは、修飾核酸塩基を含み得る。RNAに見られる核酸塩基の例には、アデニン、グアニン、シトシン、およびウラシルが挙げられるが、これらに限定されない。DNAに見られる核酸塩基の例には、アデニン、グアニン、シトシン、およびチミンが挙げられるが、これらに限定されない。これらの核酸塩基は、修飾または完全に置換されて、強化された特性を有するシグナルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物、またはmmRNA分子を提供し得る。例えば、本明細書に記載されるヌクレオシドおよびヌクレオチドは、化学的に修飾され得る。いくつかの実施例では、化学修飾にはアミノ基、チオール基、アルキル基またはハロ基が含まれ得る。
ヌクレオシド間結合における修飾
シグナルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物、またはmmRNA分子に組み込まれ得る修飾ヌクレオチドは、ヌクレオシド間結合(例えば、リン酸骨格)において修飾され得る。本明細書において、ポリヌクレオチド骨格との関連で、「リン酸塩」および「ホスホジエステル」という表現は、同義に使用される。骨格リン酸基は、酸素原子のうちの1個以上を異なる置換基で置換することによって修飾され得る。さらに、修飾ヌクレオシドおよびヌクレオチドは、未修飾リン酸塩部分の別の本明細書に記載のヌクレオシド間結合との大規模な置換を含み得る。修飾リン酸基の例には、ホスホロチオエート、ホスホロセレナート、ボラノホスフェート、ボラノホスフェートエステル、水素ホスホネート、ホスホロラミデート、ホスホロジアミデート、アルキルまたはアリールホスホネート、およびホスホトリエステルが挙げられるが、これらに限定されない。ホスホロジチオエートは、硫黄で置換された両方の非結合酸素を有する。リン酸リンカーは、結合酸素の窒素(架橋ホスホロアミデート)、硫黄(架橋ホスホロチオエート)、および炭素(架橋メチレンホスホネート)での置換によっても修飾され得る。
α−チオ置換リン酸部分は、非天然ホスホロチオエート骨格結合を介してRNAおよびDNAポリマーに安定性を付与するように提供される。ホスホロチオエートDNAおよびRNAは、ヌクレアーゼ耐性の増加、続いて細胞環境においてより長い半減期を有する。ホスホロチオエート結合シグナルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物、またはmmRNA分子は、細胞の自然免疫分子のより弱い結合/活性化によって自然免疫応答も低下させることが見込まれている。
特定の実施形態において、修飾ヌクレオシドは、α−チオ−ヌクレオシド(例えば、5’−O−(1−チオホスフェート)−アデノシン、5’−O−(1−チオホスフェート)−シチジン(α−チオ−シチジン)、5’−O−(1−チオホスフェート)−グアノシン、5’−O−(1−チオホスフェート)−ウリジン、または5’−O−(1−チオホスフェート)−シュードウリジン)を含む。
リン原子を含有しないヌクレオシド間結合を含む本発明に従って用いられ得る他のヌクレオシド間結合は、以下の本明細書に記載される。
修飾糖、核酸塩基、およびヌクレオシド間結合の組み合わせ
本発明のシグナルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物、およびmmRNAは、糖、核酸塩基、および/またはヌクレオシド間結合への修飾の組み合わせを含み得る。これらの組み合わせは、本明細書、または、参照によりその内容全体が本明細書に組み込まれる2012年10月3日(M9)に出願された国際出願第PCT/US12/058519号に記載のいずれか1つ以上の修飾を含み得る。
シグナルセンサー一次構築物およびmmRNA分子の合成
本発明に従って用いるシグナルセンサーポリペプチド、一次構築物、およびmmRNA分子は、本明細書に記載の任意の有用な技法に従って調製され得る。本明細書に開示のシグナルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物、およびmmRNA分子の合成において用いられる修飾ヌクレオシドおよびヌクレオチドは、以下の一般的な方法および手順を用いて容易に入手可能な出発物質から調製され得る。典型的なプロセス条件または好ましいプロセス条件(例えば、反応温度、時間、反応物質のモル比、溶媒、圧力等)が提供される場合、当業者であれば、さらなるプロセス条件を最適化および開発することができるであろう。最適な反応条件は、用いる特定の反応物または溶媒によって異なり得るが、そのような条件は、日常的な最適化手順を用いて当業者によって決定され得る。
本明細書に記載のプロセスは、当技術分野で既知の任意の好適な方法に従って監視され得る。例えば、産物形成は、核磁気共鳴分光学(例えば、1Hもしくは13C)、赤外線分光学、分光測光(例えば、紫外線可視)、もしく質量分析等の分光学的手段、または高速液体クロマトグラフィー(HPLC)もしくは薄層クロマトグラフィー等のクロマトグラフィーによって監視され得る。
本発明のシグナルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物、およびmmRNA分子の調製は、様々な化学基の保護および脱保護を伴い得る。保護および脱保護の必要性、ならびに適切な保護基の選択は、当業者によって容易に決定され得る。保護基の化学は、例えば、参照により全体が本明細書に組み込まれる、Greene,et al.,Protective Groups in Organic Synthesis,2d.Ed.,Wiley & Sons,1991において見出され得る。
本明細書に記載のプロセスの反応は、有機合成分野の技術者によって容易に選択され得る好適な溶媒において行われ得る。好適な溶媒は、反応が行われる温度、すなわち、溶媒の凍結温度から溶媒の沸点の範囲であり得る温度で、出発物質(反応物)、中間体、または産物とは実質的に非反応性であり得る。所与の反応は、1つの溶媒または2つ以上の溶媒の混合物において行われ得る。特定の反応ステップに応じて、特定の反応ステップに好適な溶媒が選択され得る。
修飾ヌクレオシドおよびヌクレオチド(例えば、mmRNA分子)のラセミ混合物の分解は、当技術分野で既知の多数の方法のうちのいずれかによって行われ得る。方法の例には、光学活性の塩形成有機酸である「キラル分解酸」を用いた分別再結晶が挙げられる。分別再結晶法に好適な分解酸には、例えば、酒石酸、ジアセチル酒石酸、ジベンゾイル酒石酸、マンデル酸、リンゴ酸、乳酸、または様々な光学活性カンファースルホン酸のDおよびL形態等の光学活性酸がある。ラセミ混合物の分解は、光学活性分解剤(例えば、ジニトロベンゾイルフェニルグリシン)を充填したカラム上での溶出によっても行われ得る。好適な溶出溶媒組成物は、当業者によって決定され得る。
修飾ヌクレオシドおよびヌクレオチド(例えば、ビルディングブロック分子)は、各々が参照によりそれらの全体が組み込まれる、Ogata et al.,J.Org.Chem.74:2585−2588(2009)、Purmal et al.,Nucl.Acids Res.22(1):72−78,(1994)、Fukuhara et al.,Biochemistry,1(4):563−568(1962)、およびXu et al.,Tetrahedron,48(9):1729−1740(1992)に記載の合成方法に従って調製され得る。
本発明のシグナルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物、およびmmRNAは、分子の全長に沿って均一に修飾されてもされなくてもよい。例えば、1種類以上またはすべての種類のヌクレオチド(例えば、プリンもしくはピリミジン、またはA、G、U、Cのうちのいずか1つ以上もしくはすべて)は、本発明のポリヌクレオチドまたはその所与の既定の配列領域(例えば、図1に表される配列領域のうちの1つ以上)において均一に修飾されてもされなくてもよい。いくつかの実施形態において、本発明のシグナルセンサーポリヌクレオチド(またはその所与の配列領域)におけるすべてのヌクレオチドXが修飾され、ここでXは、ヌクレオチドA、G、U、Cのうちのいずれか1つ、または組み合わせA+G、A+U、A+C、G+U、G+C、U+C、A+G+U、A+G+C、G+U、もしくはA+G+Cのうちのいずれか1つであり得る。
異なる糖修飾、ヌクレオチド修飾、および/またはヌクレオシド間結合(例えば、骨格構造)は、シグナルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物、またはmmRNAの様々な位置で存在し得る。当業者であれば、ヌクレオチド類似体または他の修飾(複数可)が、シグナルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物、またはmmRNAの機能が実質的に低下するように、シグナルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物、またはmmRNAの任意の位置(複数可)に位置し得ることを認識する。修飾は、5’または3’末端修飾でもあり得る。シグナルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物、またはmmRNAは、約1%〜約100%の修飾ヌクレオチド(全ヌクレオチド含量または1種類以上のヌクレオチド、すなわち、A、G、U、もしくはCのうちのいずれか1つ以上のいずれかと関連したもの)または任意の中間の割合(例えば、1%〜20%、1%〜25%、1%〜50%、1%〜60%、1%〜70%、1%〜80%、1%〜90%、1%〜95%、10%〜20%、10%〜25%、10%〜50%、10%〜60%、10%〜70%、10%〜80%、10%〜90%、10%〜95%、10%〜100%、20%〜25%、20%〜50%、20%〜60%、20%〜70%、20%〜80%、20%〜90%、20%〜95%、20%〜100%、50%〜60%、50%〜70%、50%〜80%、50%〜90%、50%〜95%、50%〜100%、70%〜80%、70%〜90%、70%〜95%、70%〜100%、80%〜90%、80%〜95%、80%〜100%、90%〜95%、90%〜100%、および95%〜100%)を含有し得る。
いくつかの実施形態において、シグナルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物、またはmmRNAは、修飾ピリミジン(例えば、修飾ウラシル/ウリジン/Uまたは修飾シトシン/シチジン/C)を含む。いくつかの実施形態において、シグナルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物、またはmmRNA分子中のウラシルまたはウリジン(概して、U)は、約1%〜約100%の修飾ウラシルまたは修飾ウリジン(例えば、1%〜20%、1%〜25%、1%〜50%、1%〜60%、1%〜70%、1%〜80%、1%〜90%、1%〜95%、10%〜20%、10%〜25%、10%〜50%、10%〜60%、10%〜70%、10%〜80%、10%〜90%、10%〜95%、10%〜100%、20%〜25%、20%〜50%、20%〜60%、20%〜70%、20%〜80%、20%〜90%、20%〜95%、20%〜100%、50%〜60%、50%〜70%、50%〜80%、50%〜90%、50%〜95%、50%〜100%、70%〜80%、70%〜90%、70%〜95%、70%〜100%、80%〜90%、80%〜95%、80%〜100%、90%〜95%、90%〜100%、および95%〜100%の修飾ウラシルまたは修飾ウリジン)と置換され得る。修飾ウラシルまたはウリジンは、単一の固有の構造を有する化合物または異なる構造(例えば、本明細書に記載の2、3、4つ以上の固有の構造)を有する複数の化合物に置換され得る。いくつかの実施形態において、シグナルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物、またはmmRNA分子中のシトシンまたはシチジン(概して、C)は、約1%〜約100%の修飾シトシンまたは修飾シチジン(例えば、1%〜20%、1%〜25%、1%〜50%、1%〜60%、1%〜70%、1%〜80%、1%〜90%、1%〜95%、10%〜20%、10%〜25%、10%〜50%、10%〜60%、10%〜70%、10%〜80%、10%〜90%、10%〜95%、10%〜100%、20%〜25%、20%〜50%、20%〜60%、20%〜70%、20%〜80%、20%〜90%、20%〜95%、20%〜100%、50%〜60%、50%〜70%、50%〜80%、50%〜90%、50%〜95%、50%〜100%、70%〜80%、70%〜90%、70%〜95%、70%〜100%、80%〜90%、80%〜95%、80%〜100%、90%〜95%、90%〜100%、および95%〜100%の修飾シトシンまたは修飾シチジン)と置換され得る。修飾シトシンまたはシチジンは、単一の固有の構造を有する化合物または異なる構造(例えば、本明細書に記載の2、3、4つ以上の固有の構造)を有する複数の化合物に置換され得る。
ヌクレオチドの組み合わせ
修飾ヌクレオチドと修飾ヌクレオチドの組み合わせのさらなる例が2012年10月3日(M9)に出願された国際出願第PCT/US12/058519号で提供され、参照によりその内容全体が本明細書に組み込まれる。
いくつかの実施形態において、シチジンの少なくとも25%は置換される(例えば、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または約100%)。
いくつかの実施形態において、ウラシルの少なくとも25%は置換される(例えば、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または約100%)。
いくつかの実施形態において、シチジンの少なくとも25%は置換され、ウラシルの少なくとも25%は置換される(例えば、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または約100%)。
IV.薬学的組成物
製剤化、投与、送達、および投薬
本発明は、1つ以上の薬学的に許容される賦形剤と組み合わせたシグナルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物、およびmmRNAの組成物および複合体を提供する。薬学的組成物は、任意に、1つ以上のさらなる活性物質、例えば、治療上および/または予防上活性物質を含んでもよい。医薬品の製剤および/または製造における一般の考慮事項は、例えば、参照により本明細書に組み込まれる、Remington:The Science and Practice of Pharmacy 21st ed.,Lippincott Williams&Wilkins,2005において見出され得る。
いくつかの実施形態において、組成物は、ヒト、すなわちヒト患者または対象に投与される。本開示の目的のために、「活性成分」という表現は、一般に、本明細書に記載の送達対象のシグナルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物、およびmmRNAを指す。
本明細書に提供される薬学的組成物の説明は、原則的に、ヒトへの投与に好適である薬学的組成物を対象とするが、そのような組成物は一般に、任意の他の動物への、例えば、非ヒト動物、例えば、非ヒト哺乳動物への投与に好適であることが当業者によって理解されるであろう。組成物を種々の動物への投与に好適であるようにするための、ヒトへの投与に好適な薬学的組成物の修飾は、よく理解されており、獣医薬理学の専門家は、たとえ用いるとしても単なる通常の実験法を用いて、そのような修飾を設計および/または実施することができる。薬学的組成物の投与が企図される対象には、ヒトおよび/もしくは他の霊長類;ウシ、ブタ、ウマ、ヒツジ、ネコ、イヌ、マウス、および/もしくはラット等の商業的に関連性のある哺乳動物を含む哺乳動物;ならびに/または家禽類、ニワトリ、アヒル、ガチョウ、および/もしくはシチメンチョウ等の商業的に適切な鳥類を含む鳥類が含まれるが、これらに限定されない。
本明細書に記載の薬学的組成物の製剤は、薬理学の技術分野で既知であるか今後開発される、任意の方法によって調製されて得る。一般に、そのような調製方法は、活性成分を賦形剤および/または1つ以上の他の副成分と混合し、次いで、必要かつ/または望ましい場合、生成物を所望の単回または複数回用量単位へと分割、成形、および/またはパッケージ化するステップを含む。
本発明に従う薬学的組成物は、バルクで、1つの単回単位用量として、および/または複数の単回単位用量として、調製され、パッケージ化され、かつ/または販売され得る。本明細書で使用されるとき、「単位用量」は、既定量の活性成分を含む、薬学的組成物の個別的な量である。活性成分の量は一般に、対象に投与されるであろう活性成分の投薬量、および/または例えば、そのような投薬量の2分の1もしくは3分の1等の、そのような投薬量の好都合な分率に等しい。
本発明に従う薬学的組成物中の活性成分、薬学的に許容される賦形剤、および/または任意のさらなる成分の相対的な量は、治療される対象の素性、大きさ、および/または状態に応じて変化し、組成物が投与されるべき経路に応じてさらに変化するあろう。例として、組成物は、0.1%〜100w/w%、例えば、0.5〜50w/w%、1〜30w/w%、5〜80w/w%、少なくとも80w/w%の活性成分を含み得る。
製剤化
本発明のシグナルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物、およびmmRNAは、:(1)安定性を増加させ、(2)細胞形質移入を増加させ、(3)(例えば、シグナルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物、またはmmRNAのデポー製剤からの)持続放出もしくは遅延放出を可能にし、(4)生体分布を変化させ(例えば、ポリヌクレオチド、一次構築物、またはmmRNAの標的を特定の組織または細胞型に定める)、(5)コードされたタンパク質の翻訳をインビボで増加させ、かつ/または(6)コードされたタンパク質の放出プロファイルをインビボで変化させるために、1つ以上の賦形剤を用いて製剤化することができる。ありとあらゆる溶媒、分散媒体、希釈剤、または他の液体ビヒクル、分散もしくは懸濁助剤、界面活性剤、等張剤、増粘剤もしくは乳化剤、防腐剤等の伝統的な賦形剤に加えて、本発明の賦形剤は、制限なく、リピドイド、リポソーム、脂質ナノ粒子、ポリマー、リポプレックス、コア−シェルナノ粒子、ペプチド、タンパク質、シグナルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物、もしくはmmRNA(例えば、対象への移植のために)で形質移入された細胞、ヒアルロニダーゼ、ナノ粒子模倣体、およびこれらの組み合わせを含むことができる。さらに、本発明のシグナルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物またはmmRNAを、自己組織化核酸ナノ粒子を用いて製剤化し得る。
したがって、本発明の製剤は、1つ以上の賦形剤を含むことができ、各々は一緒にシグナルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物、もしくはmmRNAの安定性を増加させる、シグナルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物、もしくはmmRNAによる細胞形質移入を増加させる、ポリヌクレオチド、一次構築物、もしくはmmRNAによりコードされるタンパク質の発現を増加させる、および/またはシグナルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物、もしくはmmRNAによりコードされるタンパク質の放出プロファイルを変化させる量である。さらに、本発明の一次構築物およびmmRNAは、自己集合性核酸ナノ粒子を用いて製剤化されてもよい。
本明細書に記載の薬学的組成物の製剤は、薬理学の技術分野で既知であるか今後開発される、任意の方法によって調製され得る。一般に、そのような調製方法は、活性成分を賦形剤および/または1つ以上の他の副成分と混合するステップを含む。
本開示による薬学的組成物は、バルクで、1つの単回単位用量として、および/または複数の単回単位用量として、調製され、パッケージ化され、かつ/または販売されてもよい。本明細書で使用されるとき、「単位用量」は、既定量の活性成分を含む、薬学的組成物の個別的な量を指す。活性成分の量は一般に、対象に投与されるであろう活性成分の投薬量、および/または例えば、そのような投薬量の2分の1もしくは3分の1を含むが、これらに限定されない、そのような投薬量の好都合な分率に等しい。
本開示による薬学的組成物中の活性成分、薬学的に許容される賦形剤、および/または任意のさらなる成分の相対的な量は、治療されている対象の素性、サイズ、および/または状態に応じて変化し、組成物が投与されるべき経路に応じてさらに変化するであろう。例えば、組成物は、0.1w/w%〜99%の活性成分を含み得る。
いくつかの実施形態において、本明細書に記載の製剤は、少なくとも1つのシグナルセンサーmmRNAを含有し得る。非限定的な例として、製剤は、1、2、3、4、または5つのシグナルセンサーmmRNAを含有してもよい。一実施形態において、製剤は、タンパク質といったカテゴリーから選択されるタンパク質をコードする修飾mRNAを含有し得る。一実施形態において、製剤は、少なくとも3つのシグナルセンサー修飾mRNAがコードする腫瘍学関連タンパク質を含有する。一実施形態において、製剤は、少なくとも5つのシグナルセンサー修飾mRNAがコードする腫瘍学関連タンパク質を含有する。
薬学的製剤は、所望される特定の剤形に適している、本明細書で使用されるときにありとあらゆる溶媒、分散媒体、希釈剤、または他の液体ビヒクル、分散もしくは懸濁助剤、界面活性剤、等張剤、増粘剤もしくは乳化剤、防腐剤等を含むが、これらに限定されない、薬学的に許容される賦形剤をさらに含んでもよい。薬学的組成物を製剤化するための種々の賦形剤および組成物を調製するための技法は、当技術分野で知られている(参照により本明細書に組み込まれる、Remington:The Science and Practice of Pharmacy,21st Edition,A.R.Gennaro,Lippincott,Williams&Wilkins,Baltimore,MD,2006を参照のこと)。任意の従来の賦形剤媒体が任意の望ましくない生体影響を引き起こすか、またはさもなければ薬学的組成物の任意の他の構成成分(複数可)と有害な様態で相互作用するといった、物質またはその誘導体と不適合性である場合を除いて、その使用が本開示の範囲内で企図され得る。
いくつかの実施形態において、脂質ナノ粒子の粒径は、増加および/または減少し得る。粒径の変化は、炎症等であるが、これらに限定されない生体反応に対抗する一助となることが可能であり得るか、または哺乳動物に送達されるシグナルセンサー修飾mRNAの生体効果を増加させ得る。
薬学的組成物の製造に使用される薬学的に許容される賦形剤には、不活性希釈剤、界面活性剤および/もしくは乳化剤、防腐剤、緩衝剤、滑沢剤、ならびに/または油が含まれるが、これらに限定されない。そのような賦形剤が任意に本発明の薬学的製剤に含まれてもよい。
本発明の薬学的組成物は、化学補助剤であり得る共補助剤を少なくとも1つ含み得る。化学補助剤および化学補助剤を含む送達システムの非制限的な例が、参照によりその内容全体が本明細書に組み込まれる国際公開第WO2013134349号で説明されている。化学補助剤は、本明細書に記載される送達ビヒクルと結合もしくは非共有結合し得、または、本明細書に記載される送達ビヒクル内に被包され得る。
リピドイド
リピドイドの合成が詳細に記載されており、これらの化合物を含有する製剤は、シグナルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物、またはmmRNAの送達に特に適している(これらすべてが参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる、Mahon et al.,Bioconjug Chem.2010 21:1448−1454、Schroeder et al.,J Intern Med.2010 267:9−21、Akinc et al.,Nat Biotechnol.2008 26:561−569、Love et al.,Proc Natl Acad Sci USA.2010 107:1864−1869、Siegwart et al.,Proc Natl Acad Sci USA.2011108:12996−3001を参照のこと)。
これらのリピドイドを用いて、齧歯類および非ヒト霊長類において2本鎖低分子干渉RNAが有効に送達されているが(これらすべて、それらの全体が本明細書に組み込まれる、Akinc et al.,Nat Biotechnol.2008 26:561−569、Frank−Kamenetsky et al.,Proc Natl Acad Sci USA.2008 105:11915−11920、Akinc et al.,Mol Ther.2009 17:872−879、Love et al.,Proc Natl Acad Sci USA.2010 107:1864−1869、Leuschner et al.,Nat Biotechnol.2011 29:1005−1010を参照のこと)、本開示は、1本鎖シグナルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物、またはmmRNAを送達することにおけるそれらの製剤化および使用を記載する。これらのリピドイドを含有する複合体、ミセル、リポソーム、または粒子が調製され得、したがって、局所および/または全身投与経路を介したリピドイド製剤の注入後に、コードされたタンパク質の産生によって判定するとき、シグナルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物、またはmmRNAの有効な送達をもたらすことができる。シグナルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物、またはmmRNAのリピドイド複合体は、静脈内、筋肉内、または皮下経路を含むが、これらに限定されない、種々の手段によって投与することができる。
核酸のインビボ送達は、製剤組成、粒子PEG化の性質、負荷の程度、オリゴヌクレオチド対脂質比を含むが、これらに限定されない多くのパラメータ、および粒径といった生物物理学的パラメータによって影響を受け得る(参照により全体が本明細書に組み込まれる、Akinc et al.,Mol Ther.2009 17:872−879)。例として、ポリ(エチレングリコール)(PEG)脂質のアンカー鎖長のわずかな変化が、インビボ有効性に対する大きな効果をもたらし得る。ペンタ[3−(1−ラウリルアミノプロピオニル)]−トリエチレンテトラミン塩酸塩(TETA−5LAP(98N12−5としても知られる)、Murugaiah et al.,Analytical
Biochemistry,401:61(2010)を参照のこと)、C12−200(誘導体および変異形を含む)、およびMD1を含むが、これらに限定されない、異なるリピドイドを有する製剤がインビボ活性について試験され得る。
本明細書において「98N12−5」と称されるリピドイドは、参照によりその全体が組み込まれる、Akinc et al.,Mol Ther.2009 17:872−879によって開示されている。
本明細書において「C12−200」と称されるリピドイドは、両方ともに参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる、Love et al.,Proc Natl
Acad Sci USA.2010 107:1864−1869およびLiu and Huang,Molecular Therapy.2010 669−670によって開示されている。リピドイド製剤は、シグナルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物、またはmmRNAに加えて、3つもしくは4つのいずれかまたはそれよりも多い構成成分を含む粒子を含むことができる。例として、ある特定のリピドイドを有する製剤は、98N12−5を含むが、これらに限定されず、42%リピドイド、48%コレステロール、および10%PEG(C14アルキル鎖長)を含有してもよい。別の例として、ある特定のリピドイドを有する製剤は、C12−200を含むが、これらに限定されず、50%リピドイド、10%ジステアロイルホスファチジル(disteroylphosphatidyl)コリン、38.5%コレステロール、および1.5%PEG−DMGを含有してもよい。
リピドイドは、シグナルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物、またはmmRNAによる細胞形質移入を増加させ、かつ/またはコードされた腫瘍学関連タンパク質の翻訳を増加させることが可能であり得るため、異なるリピドイドの組み合わせを用いて、シグナルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物、またはmmRNAの指示によるタンパク質産生の有効性を改善し得る(参照により全体が本明細書に組み込まれる、Whitehead et al.,Mol.Ther.2011,19:1688−1694を参照のこと)。
いくつかの実施形態では、脂質ナノ粒子の粒径は増大および/または低下し得る。粒径の変化は、限定はしないが炎症といった生物学的反応に抵抗する手助けができ得、または、対象に送達されるシグナルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物またはmmRNAの生物学的効果を増大し得る。
リポソーム、リポプレックス、および脂質ナノ粒子
本発明のシグナルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物、およびmmRNAは、1つ以上のリポソーム、リポプレックス、または脂質ナノ粒子を用いて製剤化することができる。一実施形態において、シグナルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物、またはmmRNAの薬学的組成物は、リポソームを含む。リポソームは、主に脂質二重層から構成され得、栄養素および薬学的製剤の投与のための送達ビヒクルとして使用され得る、人工的に調製された小胞である。リポソームは、直径数百ナノメートルであり得、かつ狭い水性の区画によって分離される一連の同心状二重層を含有し得る多層小胞(MLV)、直径50nmよりも小さい場合がある小さい単細胞小胞(SUV)、および直径50〜500nmであり得る大きい単層小胞(LUV)等であるが、これらに限定されない、異なるサイズのものであり得る。リポソーム設計は、不健康な組織へのリポソームの結合を改善するため、またはエンドサイトーシス等であるが、これらに限定されない事象を活性化するための、オプソニンまたはリガンドを含むが、これらに限定されない。リポソームは、薬学的製剤の送達を改善するために低pHまたは高pHを含有してもよい。
リポソームの形成は、封入される薬学的製剤およびリポソーム成分、脂質小胞が分散される媒体の性質、封入される物質の有効濃度およびその潜在的な毒性、小胞の適用および/または送達中に伴われる任意のさらなるプロセス、意図される適用のための小胞の最適化サイズ、多分散性、および貯蔵寿命、ならびに安全かつ効率的なリポソーム生成物のバッチ間の再現性および大規模産生の可能性等であるが、これらに限定されない、物理化学特性に依存し得る。
一実施形態において、本明細書に記載の薬学的組成物は、制限なく、1,2−ジオレイルオキシ−N,N−ジメチルアミノプロパン(DODMA)リポソーム、Marina Biotech(Bothell,WA)によるDiLa2リポソーム、1,2−ジリノレイルオキシ(dilinoleyloxy)−3−ジメチルアミノプロパン(DLin−DMA)、2,2−ジリノレイル−4−(2−ジメチルアミノエチル)−[1,3]−ジオキソラン(DLin−KC2−DMA)、およびMC3(参照により全体が本明細書に組み込まれる、米国特許公開第20100324120号)から形成されるもの等のリポソーム、ならびにJanssen Biotech,Inc.(Horsham、PA)によるDOXIL(登録商標)等であるが、これらに限定されない小分子薬物を送達し得るリポソームを含んでもよい。
一実施形態において、本明細書に記載の薬学的組成物は、制限なく、以前に記載されており、インビトロおよびインビボでのオリゴヌクレオチド送達に好適であることが示された、安定化プラスミド−脂質粒子(SPLP)または安定化核酸脂質粒子(SNALP)の合成から形成されるもの等のリポソームを含んでもよい(これらすべてが参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる、Wheeler et al.Gene Therapy.1999 6:271−281、Zhang et al.Gene Therapy.1999 6:1438−1447、Jeffs et al.Pharm Res.2005 22:362−372、Morrissey et al.,Nat
Biotechnol.2005 2:1002−1007、Zimmermann et al.,Nature.2006 441:111−114、Heyes et al.,J Contr Rel.2005 107:276−287、Semple et al.,Nature Biotech.2010 28:172−176、Judge et al.,J Clin Invest.2009 119:661−673、deFougerollesHum Gene Ther.2008 19:125−132を参照のこと)。Wheelerらによる元の製造方法は、洗浄剤透析法(detergent dialysis method)であり、それは後にJeffsらによって改善され、自発的小胞形成法(spontaneous vesicle formation method)と称される。リポソーム製剤は、シグナルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物、またはmmRNAに加えて、3〜4つの脂質構成成分から構成される。例としてリポソームは、Jeffsらによって記載されるように、55%のコレステロール、20%のジステアロイルホスファチジル(disteroylphosphatidyl)コリン(DSPC)、10%のPEG−S−DSG、および15%の1,2−ジオレイルオキシ−N,N−ジメチルアミノプロパン(DODMA)を含有することができるが、これらに限定されない。別の例として、ある特定のリポソーム製剤は、Heyesらによって記載されるように、48%のコレステロール、20%のDSPC、2%のPEG−c−DMA、および30%のカチオン性脂質を含有してもよいが、これらに限定されず、このカチオン性脂質は、1,2−ジステアリルオキシ(distearloxy)−N,N−ジメチルアミノプロパン(DSDMA)、DODMA、DLin−DMA、または1,2−ジリノレニルオキシ−3−ジメチルアミノプロパン(DLenDMA)であり得る。
一実施形態において、薬学的組成物は、少なくとも1つの免疫原をコードし得るシグナルセンサーmmRNAを送達するために形成され得る、リポソームを含んでもよい。mmRNAは、リポソームによってカプセル封入されてもよく、かつ/またはそれは、水性コアに含有されてもよく、それが次いでリポソームによってカプセル封入されてもよい(参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる、国際公開第WO2012031046号、同第WO2012031043号、同第WO201203091号、および同第WO2012006378号を参照のこと)。別の実施形態において、免疫原をコードし得るシグナルセンサーmmRNAは、カチオン性水中油型エマルション中で製剤化されてもよく、そのエマルション粒子は、シグナルセンサーmmRNAと相互作用して分子をエマルション粒子に固着させることができる油中子およびカチオン性脂質を含む(国際公開第WO2012006380号を参照のこと)。さらに別の実施形態において、脂質製剤は、形質移入を向上させ得る脂質である少なくともカチオン性脂質、および脂質部分に連結された親水性頭頂基を含有する少なくとも1つの脂質を含んでもよい(参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる、国際公開第WO2011076807号および米国公開第20110200582号を参照のこと)。別の実施形態において、免疫原をコードするシグナルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物、および/またはmmRNAは、官能化脂質二重層の間に架橋を有し得る脂質小胞中に製剤化されてもよい(参照により全体が本明細書に組み込まれる、米国公開第20120177724号を参照のこと)。
一実施形態において、シグナルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物、および/またはmmRNAは、官能化脂質二重層の間に架橋を有し得る脂質小胞中に製剤化されてもよい。
一実施形態において、シグナルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物、および/またはmmRNAは、脂質−ポリカチオン複合体中に製剤化されてもよい。脂質−ポリカチオン複合体の形成は、当技術分野で既知の方法によって、および/または参照により全体が本明細書に組み込まれる米国公開第20120178702号に記載されるように遂行されてもよい。非限定的な例として、ポリカチオンには、ポリリジン、ポリオルニチン、および/またはポリアルギニンといったカチオン性ペプチドまたはポリペプチドが含まれてもよい。別の実施形態において、シグナルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物、および/またはmmRNAは、コレステロールまたはジオレオイルホスファチジルエタノールアミン(DOPE)等であるが、これらに限定されない中性脂質をさらに含み得る、脂質−ポリカチオン複合体中に製剤化されてもよい。
リポソーム製剤は、カチオン性脂質構成成分の選択、カチオン性脂質飽和の程度、PEG化の性質、すべての構成成分の比率、およびサイズ等の生物物理学的パラメータによって影響を受け得るが、これらに限定されない。Sempleら(Sempleら、Nature Biotech.2010 28:172−176)による一例において、リポソーム製剤は、57.1%のカチオン性脂質、7.1%のジパルミトイルホスファチジルコリン、34.3%のコレステロール、および1.4%のPEG−c−DMAから構成された。別の例として、カチオン性脂質の組成を変化させることにより、siRNAを種々の抗原提示細胞により有効に送達することができた(参照により全体が本明細書に組み込まれる、Basha et al.,Mol Ther.2011 19:2186−2200)。
いくつかの実施形態において、LNP製剤中のPEGの比率は、増加もしくは減少し得、かつ/またはPEG脂質の炭素鎖長がC14からC18に修飾されて、LNP製剤の薬物動態および/もしくは生体分布を変化させ得る。非限定的な例として、LNP製剤は、カチオン性脂質、DSPC、およびコレステロールと比較して、1〜5%の脂質モル比のPEG−c−DOMGを含有してもよい。別の実施形態において、PEG−c−DOMGは、PEG−DSG(1,2−ジステアロイル−sn−グリセロール、メトキシポリエチレングリコール)またはPEG−DPG(1,2−ジパルミトイル−sn−グリセロール、メトキシポリエチレングリコール)等であるが、これらに限定されないPEG脂質と置き換えられてもよい。カチオン性脂質は、DLin−MC3−DMA、DLin−DMA、C12−200、およびDLin−KC2−DMA等であるが、これらに限定されない、当技術分野で既知の任意の脂質から選択されてもよい。
一実施形態において、シグナルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物、および/またはmmRNAのLNP製剤は3%の脂質モル比でPEG−c−DOMGを含有してもよい。別の実施形態では、シグナルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物および/またはmmRNAのLNP製剤は、1.5%の脂質モル比でPEG−c−DOMGを含有してもよい。
一実施形態において、薬学的の組成物シグナルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物、および/またはmmRNAは、参照により本明細書に組み込まれる国際公開第WO2012099755号に記載のPEG化脂質のうちの少なくとも1つを含んでもよい。
一実施形態において、薬学的組成物は、DiLa2リポソーム(Marina Biotech,Bothell,WA)、SMARTICLES(登録商標)(Marina
Biotech,Bothell,WA)、中性DOPC(1,2−ジオレオイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン)系リポソーム(例えば、卵巣癌に対するsiRNA送達(Landen et al.,Cancer Biology&Therapy 2006 5(12)1708−1713))、およびヒアルロナンコーティングリポソーム(Quiet Therapeutics,Israel)等であるが、これらに限定されないリポソーム中に製剤化されてもよい。
いくつかの実施形態では、リポソームは、がんおよび他の疾患の治療または細胞のコレステロール代謝を制御するために製剤化されたリポソームナノ構造であり得る。リポソームナノ構造はまた、がん細胞を殺すためにスカベンジャー受容体B−1型(SR−B1)を含み得る。本明細書に記載されるシグナルセンサーポリヌクレオチドと一緒に用いられ得るリポソームナノ構造の非制限的な例が、国際公開第WO2013126776号に記載されており、参照によりその内容全体が本明細書に組み込まれる。
一実施形態において、本明細書に記載されるリポソームは、限定はしないがサイトカインといった免疫調節因子を少なくとも1つ含み得る。少なくとも1つの免疫調節因子を含むリポソームを用いる製剤および方法が、国際公開第WO2013129935号および同第WO2013129936号で記載されており、各内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。非制限的な例として、少なくとも1つの免疫調節因子を含むリポソームは、がんの治療で用いられ得る。免疫調節因子を含むリポソームは、本明細書に記載されるシグナルセンサーポリヌクレオチドを含み得る。非制限的な例として、免疫調節因子を含むリポソームは、参照によりその内容全体が本明細書に組み込まれる国際公開第WO2013129936号に記載される、粒子性または小胞性免疫調節因子といった少なくとも1つの抗体を組み合わせて使用され得る。
脂質ナノ粒子製剤は、カチオン性脂質を、急速排出(rapidly eliminated)脂質ナノ粒子(reLNP)として知られている生分解性カチオン性脂質と置き換えることによって改善されてもよい。DLinDMA、DLin−KC2−DMA、およびDLin−MC3−DMA等であるが、これらに限定されない、イオン化できるカチオン性脂質は、時間とともに血漿および組織中に蓄積することが示されてきており、潜在的な毒性の源であり得る。急速排出脂質の急速な代謝は、ラットにおいて1mg/kg用量〜10mg/kg用量の1桁分、脂質ナノ粒子の耐性および治療指数を改善することができる。酵素的に分解されるエステル結合の組み込みは、reLNP製剤の活性を依然として維持しながら、カチオン性構成成分の分解および代謝プロファイルを改善することができる。エステル結合は、脂質鎖の内部に位置することができるか、またはそれは、脂質鎖の末端において末端に位置してもよい。内部エステル結合は、脂質鎖内の任意の炭素を置き換えてもよい。
一実施形態において、内部エステル結合は、飽和炭素のいずれの側に位置してもよい。
一実施形態において、免疫応答が、ナノ化学種、ポリマー、および免疫原を含み得る脂質ナノ粒子を送達することによって、誘発され得る。(参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる、米国公開第20120189700号および国際公開第WO2012099805号)。ポリマーは、ナノ化学種をカプセル封入しても、ナノ化学種を部分的にカプセル封入してもよい。免疫原は、本明細書に記載の組換え腫瘍学関連タンパク質、シグナルセンサー修飾RNA、および/または一次構築物であってもよい。一実施形態において、脂質ナノ粒子は、病原体に対するもの等であるが、これらに限定されないワクチンにおいて使用するために製剤化されてもよい。
脂質ナノ粒子は、脂質ナノ粒子が粘膜関門を透過するように、粒子の表面特性を変化させるように操作されてもよい。粘液は、口腔(例えば、周口膜および食道膜ならびに扁桃組織)、眼、胃腸(例えば、胃、小腸、大腸、結腸、直腸)、鼻、呼吸器(例えば、経鼻、咽頭、気管、および気管支膜)、生殖器(例えば、膣内、子宮頚部、および尿道膜)上に位置する粘膜組織等であるが、これらに限定されない。より高い薬物カプセル封入効率および幅広い薬物の持続送達を提供する能力のために好ましい10〜200nmよりも大きいナノ粒子、は、粘膜関門を通って急速に拡散するには大きすぎると考えられている。粘液は、継続的に分泌され、脱落し、破棄されるかまたは消化され、再生されるため、捕捉された粒子のほとんどは、数秒または数時間以内に粘膜(mucosla)組織から除去され得る。低分子量ポリエチレングリコール(PEG)で密にコーティングされた大きいポリマーナノ粒子(直径200nm〜500nm)は、水中で拡散している同じ粒子よりもわずか4〜6倍低く、粘液を通って拡散した(参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる、Lai et al.,PNAS 2007 104(5):1482−487、Lai et al.,Adv Drug Deliv Rev.2009 61(2):158−171)。ナノ粒子の輸送は、蛍光退色後回復測定(FRAP)および高解像度多数粒子追跡(MPT)を含むが、これらに限定されない、透過速度および/または蛍光顕微鏡技法を用いて決定され得る。
粘液を透過するように操作された脂質ナノ粒子は、ポリマー材料(すなわちポリマーコア)および/またはポリマー−ビタミン複合体および/またはトリブロックコポリマーを含んでもよい。ポリマー材料には、ポリアミン、ポリエーテル、ポリアミド、ポリエステル、ポリカルバメート、ポリ尿素、ポリカーボネート、ポリ(スチレン)、ポリイミド、ポリスルホン、ポリウレタン、ポリアセチレン、ポリエチレン、ポリエチレンイミン、ポリイソシアネート、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリアクリロニトリル、およびポリアリレートが含まれてもよいが、これらに限定されない。ポリマー材料は、生分解性および/または生体適合性であってもよい。具体的なポリマーの非限定的な例としては、ポリ(カプロラクトン)(PCL)、エチレン酢酸ビニルポリマー(EVA)、ポリ(乳酸)(PLA)、ポリ(L−乳酸)(PLLA)、ポリ(グリコール酸)(PGA)、ポリ(乳酸−co−グリコール酸)(PLGA)、ポリ(L−乳酸−co−グリコール酸)(PLLGA)、ポリ(D,L−ラクチド)(PDLA)、ポリ(L−ラクチド)(PLLA)、ポリ(D,L−ラクチド−co−カプロラクトン)、ポリ(D,L−ラクチド−co−カプロラクトン−co−グリコリド)、ポリ(D,L−ラクチド−co−PEO−co−D,L−ラクチド)、ポリ(D,L−ラクチド−co−PPO−co−D,L−ラクチド)、ポリアルキルシアノアクリレート(cyanoacralate)、ポリウレタン、ポリ−L−リジン(PLL)、ヒドロキシプロピルメタクリレート(HPMA)、ポリエチレングリコール、ポリ−L−グルタミン酸、ポリ(ヒドロキシ酸)、ポリ無水物、ポリオルトエステル、ポリ(エステルアミド)、ポリアミド、ポリ(エステルエーテル)、ポリカーボネート、ポリエチレンおよびポリプロピレン等のポリアルキレン、ポリ(エチレングリコール)(PEG)、ポリアルキレンオキシド(PEO)等のポリアルキレングリコール、ポリ(エチレンテレフタレート)等のポリアルキレンテレフタレート、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルエーテル、ポリ(酢酸ビニル)等のポリビニルエステル、ポリ(塩化ビニル)(PVC)等のハロゲン化ポリビニル、ポリビニルピロリドン、ポリシロキサン、ポリスチレン(PS)、ポリウレタン、アルキルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース、セルロースエーテル、セルロースエステル、ニトロセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース等の誘導体化セルロース、ポリ(メチル(メタ)アクリレート)(PMMA)、ポリ(エチル(メタ)アクリレート)、ポリ(ブチル(メタ)アクリレート)、ポリ(イソブチル(メタ)アクリレート)、ポリ(ヘキシル(メタ)アクリレート)、ポリ(イソデシル(メタ)アクリレート)、ポリ(ラウリル(メタ)アクリレート)、ポリ(フェニル(メタ)アクリレート)、ポリ(メチルアクリレート)、ポリ(イソプロピルアクリレート)、ポリ(イソブチルアクリレート)、ポリ(オクタデシルアクリレート)等のアクリル酸のポリマー、ならびにそのコポリマーおよび混合物、ポリジオキサノンおよびそのコポリマー、ポリヒドロキシアルカノエート、ポリプロピレンフマル酸塩、ポリオキシメチレン、ポロキサマー、ポリ(オルト)エステル、ポリ(酪酸)、ポリ(吉草酸)、ポリ(ラクチド−co−カプロラクトン)、およびトリメチレンカーボネート、ポリビニルピロリドンが挙げられる。脂質ナノ粒子は、ブロックコポリマー、および(ポリ(エチレングリコール)−(ポリ(プロピレンオキシド)−(ポリ(エチレングリコール)トリブロックコポリマー(参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる、米国公開第20120121718号および米国公開20100003337号を参照のこと)等であるが、これらに限定されない、コポリマーでコーティングされるか、またはそれと会合されてもよい。コポリマーは、一般に安全と認められる(GRAS)ポリマーであってもよく、脂質ナノ粒子の形成は、新たな化学実体が何ら作り出されないような方式であってもよい。例えば、脂質ナノ粒子は、新たな化学実体を形成することなく、依然としてヒト粘液に急速に透過可能である、ポロキサマーコーティングPLGAナノ粒子を含んでもよい(参照により全体が本明細書に組み込まれる、Yang et al.,Angew.Chem.Int.Ed.2011 50:2597−2600)。
ポリマー−ビタミン複合体のビタミンは、ビタミンEであってもよい。この複合体のビタミン部分は、ビタミンA、ビタミンE、他のビタミン、コレステロール、他の界面活性剤の疎水性部分または疎水性構成成分(例えば、ステロール鎖、脂肪酸、炭化水素鎖、およびアルキレンオキシド鎖)等であるが、これらに限定されない他の好適な構成成分で置換されてもよい。
粘液を透過するように操作された脂質ナノ粒子には、表面変質剤が含まれ、例えば、シグナルセンサーmmRNA、アニオン性タンパク質(例えば、ウシ血清アルブミン)、界面活性剤(例えば、ジメチルジオクタデシル−アンモニウムブドミド等の、例えば、カチオン性界面活性剤)、糖または糖誘導体(例えば、シクロデキストリン)、核酸、ポリマー(例えば、ヘパリン、ポリエチレングリコール、およびポロキサマー)、粘液溶解剤(例えば、N−アセチルシステイン、餅草、ブロメライ、パパイン、クレロデンドロン、アセチルシステイン、ブロムヘキシン、カルボシステイン、エプラジノン、メスナ、アンブロキソール、ソブレロール、ドミオドール、レトステイン、ステプロニン、チオプロニン、ゲルゾリン、サイモシンβ4ドルナーゼα、ネルテネキシン、エルドステイン)、およびrhDNaseを含む種々のDNaseであるが、これらに限定されない表面変質剤が含まれてもよい。表面変質薬剤は、粒子の表面に包埋されるもしくは絡ませられるか、または脂質ナノ粒子の表面上に(例えば、コーティング、吸着、共有結合、または他のプロセスによって)配置されてもよい。(参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる、米国公開20100215580号および米国公開20080166414号を参照のこと)。
粘液透過性脂質ナノ粒子は、本明細書に記載されるシグナルセンサーmmRNAを少なくとも1つ含み得る。シグナルセンサーmmRNAは脂質ナノ粒子に被包され得、および/または、粒子の表面上に配置され得る。シグナルセンサーmmRNAは、脂質ナノ粒子に共有結合し得る。粘液透過性脂質ナノ粒子の製剤は、複数のナノ粒子を含み得る。さらに、製剤は、粘液と相互作用し得る粒子を含み得、周囲の粘液の構造上および/または粘着性特性を改変し、粘液透過性脂質ナノ粒子の粘膜組織への送達を増大し得る粘膜付着を低下し得る。
脂質ナノ粒子は、脂質ナノ粒子が粘膜関門を透過するように、粒子の表面特性を変化させるように操作されてもよい。粘液は、限定はしないが、口腔(例えば、周口膜および食道膜ならびに扁桃組織)、眼、胃腸(例えば、胃、小腸、大腸、結腸、直腸)、鼻、呼吸器(例えば、経鼻、咽頭、気管、および気管支膜)、生殖器(例えば、膣内、子宮頚部、および尿道膜)といった粘膜組織上に位置する。より高い薬物カプセル封入効率および幅広い薬物の持続送達を提供する能力のために好ましい10〜200nmよりも大きいナノ粒子、は、粘膜関門を通って急速に拡散するには大きすぎると考えられている。粘液は、継続的に分泌され、脱落し、破棄されるかまたは消化され、再生されるため、捕捉された粒子のほとんどは、数秒または数時間以内に粘膜(mucosla)組織から除去され得る。低分子量ポリエチレングリコール(PEG)で密にコーティングされた大きいポリマーナノ粒子(直径200nm〜500nm)は、水中で拡散している同じ粒子よりもわずか4〜6倍低く、粘液を通って拡散した(参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる、Lai et al.,PNAS 2007 104(5):1482−487、Lai et al.,Adv Drug Deliv Rev.2009 61(2):158−171)。ナノ粒子の輸送は、蛍光退色後回復測定(FRAP)および高解像度多数粒子追跡(MPT)を含むが、これらに限定されない、透過速度および/または蛍光顕微鏡技法を用いて決定され得る。
粘液を透過するように操作された脂質ナノ粒子は、ポリマー材料(すなわちポリマーコア)および/またはポリマー−ビタミン複合体および/またはトリブロックコポリマーを含んでもよい。ポリマー材料には、ポリアミン、ポリエーテル、ポリアミド、ポリエステル、ポリカルバメート、ポリ尿素、ポリカーボネート、ポリ(スチレン)、ポリイミド、ポリスルホン、ポリウレタン、ポリアセチレン、ポリエチレン、ポリエチレンイミン、ポリイソシアネート、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリアクリロニトリル、およびポリアリレートが含まれてもよいが、これらに限定されない。ポリマー材料は、生分解性および/または生体適合性であってもよい。具体的なポリマーの非限定的な例としては、ポリ(カプロラクトン)(PCL)、エチレン酢酸ビニルポリマー(EVA)、ポリ(乳酸)(PLA)、ポリ(L−乳酸)(PLLA)、ポリ(グリコール酸)(PGA)、ポリ(乳酸−co−グリコール酸)(PLGA)、ポリ(L−乳酸−co−グリコール酸)(PLLGA)、ポリ(D,L−ラクチド)(PDLA)、ポリ(L−ラクチド)(PLLA)、ポリ(D,L−ラクチド−co−カプロラクトン)、ポリ(D,L−ラクチド−co−カプロラクトン−co−グリコリド)、ポリ(D,L−ラクチド−co−PEO−co−D,L−ラクチド)、ポリ(D,L−ラクチド−co−PPO−co−D,L−ラクチド)、ポリアルキルシアノアクリレート(cyanoacralate)、ポリウレタン、ポリ−L−リジン(PLL)、ヒドロキシプロピルメタクリレート(HPMA)、ポリエチレングリコール、ポリ−L−グルタミン酸、ポリ(ヒドロキシ酸)、ポリ無水物、ポリオルトエステル、ポリ(エステルアミド)、ポリアミド、ポリ(エステルエーテル)、ポリカーボネート、ポリエチレンおよびポリプロピレン等のポリアルキレン、ポリ(エチレングリコール)(PEG)、ポリアルキレンオキシド(PEO)等のポリアルキレングリコール、ポリ(エチレンテレフタレート)等のポリアルキレンテレフタレート、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルエーテル、ポリ(酢酸ビニル)等のポリビニルエステル、ポリ(塩化ビニル)(PVC)等のハロゲン化ポリビニル、ポリビニルピロリドン、ポリシロキサン、ポリスチレン(PS)、ポリウレタン、アルキルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース、セルロースエーテル、セルロースエステル、ニトロセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース等の誘導体化セルロース、ポリ(メチル(メタ)アクリレート)(PMMA)、ポリ(エチル(メタ)アクリレート)、ポリ(ブチル(メタ)アクリレート)、ポリ(イソブチル(メタ)アクリレート)、ポリ(ヘキシル(メタ)アクリレート)、ポリ(イソデシル(メタ)アクリレート)、ポリ(ラウリル(メタ)アクリレート)、ポリ(フェニル(メタ)アクリレート)、ポリ(メチルアクリレート)、ポリ(イソプロピルアクリレート)、ポリ(イソブチルアクリレート)、ポリ(オクタデシルアクリレート)等のアクリル酸のポリマー、ならびにそのコポリマーおよび混合物、ポリジオキサノンおよびそのコポリマー、ポリヒドロキシアルカノエート、ポリプロピレンフマル酸塩、ポリオキシメチレン、ポロキサマー、ポリ(オルト)エステル、ポリ(酪酸)、ポリ(吉草酸)、ポリ(ラクチド−co−カプロラクトン)、およびトリメチレンカーボネート、ポリビニルピロリドンが挙げられる。脂質ナノ粒子は、ブロックコポリマー、および(ポリ(エチレングリコール)−(ポリ(プロピレンオキシド)−(ポリ(エチレングリコール)トリブロックコポリマー(参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる、米国公開第20120121718号および米国公開20100003337号を参照のこと)等であるが、これらに限定されない、コポリマーでコーティングされるか、またはそれと会合されてもよい。
ポリマー−ビタミン複合体のビタミンは、ビタミンEであってもよい。この複合体のビタミン部分は、ビタミンA、ビタミンE、他のビタミン、コレステロール、他の界面活性剤の疎水性部分または疎水性構成成分(例えば、ステロール鎖、脂肪酸、炭化水素鎖、およびアルキレンオキシド鎖)等であるが、これらに限定されない他の好適な構成成分で置換されてもよい。
粘液に透過するように操作された脂質ナノ粒子には、mmRNA、アニオン性タンパク質(例えば、ウシ血清アルブミン)、界面活性剤(例えば、ジメチルジオクタデシル−アンモニウムブドミド等の、例えば、カチオン性界面活性剤)、糖または糖誘導体(例えば、シクロデキストリン)、核酸、ポリマー(例えば、ヘパリン、ポリエチレングリコール、およびポロキサマー)、粘液溶解剤(例えば、N−アセチルシステイン、餅草、ブロメライ、パパイン、クレロデンドロン、アセチルシステイン、ブロムヘキシン、カルボシステイン、エプラジノン、メスナ、アンブロキソール、ソブレロール、ドミオドール、レトステイン、ステプロニン、チオプロニン、ゲルゾリン、サイモシンβ4ドルナーゼα、ネルテネキシン、エルドステイン)、およびrhDNaseを含む種々のDNase等であるが、これらに限定されない表面変質剤が含まれてもよい。表面変質薬剤は、粒子の表面に包埋されるもしくは絡ませられるか、または脂質ナノ粒子の表面上に(例えば、コーティング、吸着、共有結合、または他のプロセスによって)配置されてもよい。(参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる、米国公開20100215580号および米国公開20080166414号を参照のこと)。
粘液透過性脂質ナノ粒子は、本明細書に記載の少なくとも1つのシグナルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物またはmmRNAを含んでもよい。シグナルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物またはmmRNAは、脂質ナノ粒子中にカプセル封入され、かつ/または粒子の表面上に配置されてもよい。シグナルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物またはmmRNAは、脂質ナノ粒子に共有結合されてもよい。粘液透過性脂質ナノ粒子の製剤は、複数のナノ粒子を含んでもよい。さらに、製剤は、粘液と相互作用し、周囲の粘液の構造特性および/または付着特性を、粘膜付着を減少させるように変質させ得、それにより粘液透過性脂質ナノ粒子の粘膜組織への送達を増加させ得る、粒子を含有してもよい。
一実施形態において、ナノ粒子は、少なくとも1つの治療剤(例えば、本明細書に記載されるシグナルセンサーポリヌクレオチド)を含む、Mieszawskaら(Bioconjugate Chemistry,2013,24(9),pp 1429-1434;その内容が、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)が説明するような二重様式治療のためであり得る。脂質ナノ粒子に製剤化される治療剤または治療剤(複数)は、抗血管新生および細胞傷害剤であり得る(例えば、Mieszawska et al.,Bioconjugate Chemistry,2013,24(9),pp 1429-1434が教示するポリマー−脂質ナノ粒子を参照;その内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)。
別の実施形態では、ナノ粒子は、参照によりその内容全体が本明細書に組み込まれる国際公開第WO2013100869号に記載されるナノ担体といったLyP−1ペプチドを含み得る。LyP−1ペプチドが本明細書で開示されるナノ粒子に含有され得、または、ペプチドの複合体、誘導体、類似体もしくはペグ化形態であり得る。一実施形態において、LyP−1ペプチドを含むナノ粒子は、シグナルセンサーポリヌクレオチドを含み得、がん治療および/または画像処理のために使用され得る。
一実施形態において、シグナルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物、またはmmRNAは、制限なく、Silence Therapeutics(London,United Kingdom)によるATUPLEX(商標)系、DACC系、DBTC系、および他のsiRNA−リポプレックス技術、STEMGENT(登録商標)(Cambridge,MA)によるSTEMFECT(商標)、ならびにポリエチレンイミン(PEI)またはプロタミンベースの標的を定めたおよび標的を定めない核酸送達等の、リポプレックスとして製剤化される(すべてが参照により全体が本明細書に組み込まれる、Aleku et al.,Cancer Res.2008 68:9788−9798、Strumberg et al.,Int J Clin Pharmacol Ther 2012 50:76−78、Santel et al.,Gene Ther 2006 13:1222−1234、Santel et al.,Gene Ther 2006 13:1360−1370、Gutbier et al.,Pulm Pharmacol.Ther.2010 23:334−344、Kaufmann et al.,Microvasc Res 2010 80:286−293Weide et al.,J Immunother.2009 32:498−507、Weide et al.,J Immunother.2008 31:180−188、Pascolo Expert Opin.Biol.Ther.4:1285−1294、Fotin−Mleczek et al.,2011 J.Immunother.34:1−15、Song et al.,Nature Biotechnol.2005,23:709−717、Peer et al.,Proc Natl Acad Sci USA.2007 6;104:4095−4100、deFougerollesHum Gene Ther.2008 19:125−132)。
一実施形態において、そのような製剤は、それらが受動的または能動的に、肝細胞、免疫細胞、腫瘍細胞、内皮細胞、抗原提示細胞、および白血球を含むが、これらに限定されない異なる細胞型をインビボで指向するようにも構築され得るか、または組成を変化し得る(すべてが参照により全体が本明細書に組み込まれる、Akinc et al.Mol Ther.2010 18:1357−1364、Song et al.,Nat
Biotechnol.2005 23:709−717、Judge et al.,J Clin Invest.2009 119:661−673、Kaufmann
et al.,Microvasc Res 2010 80:286−293、Santel et al.,Gene Ther 2006 13:1222−1234、Santel et al.,Gene Ther 2006 13:1360−1370、Gutbier et al.,Pulm Pharmacol.Ther.2010 23:334−344、Basha et al.,Mol.Ther.2011 19:2186−2200、Fenske and Cullis,Expert Opin Drug Deliv.2008 5:25−44、Peer et al.,Science.2008 319:627−630、Peer and Lieberman,Gene Ther.2011 18:1127−1133)。肝臓細胞に対する製剤の受動的な標的化の一例としては、DLin−DMA、DLin−KC2−DMA、およびMC3ベースの脂質ナノ粒子製剤が挙げられ、それらはアポリポタンパク質Eに結合し、インビボでこれらの製剤の結合および肝細胞中への取り込みを促進することが示されている(参照により全体が本明細書に組み込まれる、Akinc et al.,Mol Ther.2010 18:1357−1364)。製剤は、葉酸塩、トランスフェリン、N−アセチルガラクトサミン(GalNAc)、および抗体で標的を定めるアプローチにより例として示されるが、これらによって限定されない、それらの表面上の異なるリガンドの発現を介して選択的に標的を定めることもできる(すべてが参照により全体が本明細書に組み込まれる、Kolhatkar et al.,Curr Drug Discov Technol.2011 8:197−206、Musacchio and Torchilin,Front Biosci.2011 16:1388−1412、Yu et al.,Mol Membr Biol.2010 27:286−298、Patil et al.,Crit Rev Ther Drug Carrier Syst.2008 25:1−61、Benoit et al.,Biomacromolecules.2011 12:2708−2714、Zhao et
al.,Expert Opin Drug Deliv.2008 5:309−319、Akinc et al.,Mol Ther.2010 18:1357−1364、Srinivasan et al.,Methods Mol Biol.2012 820:105−116、Ben−Arie et al.,Methods Mol Biol.2012 757:497−507、Peer 2010 J Control Release.20:63−68、Peer et al.,Proc Natl Acad Sci USA.2007 104:4095−4100、Kim et al.,Methods Mol Biol.2011 721:339−353、Subramanya et al.,Mol Ther.2010 18:2028−2037、Song et al.,Nat Biotechnol.2005 23:709−717、Peer et al.,Science.2008 319:627−630、Peer and Lieberman,Gene Ther.2011 18:1127−1133)。
一実施形態において、シグナルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物、またはmmRNAは、固体脂質ナノ粒子として製剤化される。固体脂質ナノ粒子(SLN)は、平均直径が10〜1000nmの球状であり得る。SLNは、親油性分子を可溶化することができ、界面活性剤および/または乳化剤により安定化され得る、固体脂質コアマトリックスを有する。さらなる実施形態において、脂質ナノ粒子は、自己集合性脂質−ポリマーナノ粒子であってもよい(参照により全体が本明細書に組み込まれる、Zhang et al.,ACS Nano,2008,2(8),pp 1696−1702を参照のこと)。
リポソーム、リポプレックス、または脂質ナノ粒子は、これらの製剤が、シグナルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物、もしくはmmRNAによる細胞形質移入を増加させ、かつ/またはコードされたタンパク質の翻訳を増加させることが可能であり得るため、シグナルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物、またはmmRNAの指示によるタンパク質産生の有効性を改善するために使用されてもよい。1つのそのような例は、ポリプレックスプラスミドDNAの有効な全身送達を可能にするための脂質カプセル封入の使用を伴う(参照により全体が本明細書に組み込まれる、Heyes et al.,Mol Ther.2007 15:713−720)。リポソーム、リポプレックス、または脂質ナノ粒子は、シグナルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物、またはmmRNAの安定性を増加させるためにも使用され得る。
ポリマー、生分解性ナノ粒子、およびコア−シェルナノ粒子
本発明のシグナルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物、およびmmRNAは、天然および/または合成ポリマーを用いて製剤化することができる。送達に使用され得るポリマーの非限定的な例としては、MIRUS(登録商標)Bio(Madison,WI)およびRoche Madison(Madison,WI)によるDynamic POLYCONJUGATE(商標)製剤、制限なく、SMARTT POLYMER TECHNOLOGY(商標)(Seattle,WA)等のPHASERX(商標)ポリマー製剤、DMRI/DOPE、ポロキサマー、Vical(San Diego,CA)によるVAXFECTIN(登録商標)アジュバント、キトサン、Calando Pharmaceuticals(Pasadena,CA)によるシクロデキストリン、デンドリマーおよびポリ(乳酸−co−グリコール酸)(PLGA)ポリマー、RONDEL(商標)(RNAi/オリゴヌクレオチドナノ粒子送達)ポリマー(Arrowhead Research Corporation,Pasadena,CA)、ならびにPHASERX(商標)(Seattle,WA)等であるが、これらに限定されないpH応答性ブロックコポリマー(co−block polymers)が挙げられる。
PLGA製剤の非限定的な例としては、PLGA注入用デポーが挙げられるが、これらに限定されない(例えば、PLGAを、66%のN−メチル−2−ピロリドン(NMP)中に溶解させることによって形成され、残りの部分が水性溶媒およびロイプロリドである、ELIGARD(登録商標)。一旦注入されると、PLGAおよびロイプロリドペプチドは、皮下腔に沈殿する)。
これらのポリマーアプローチのうちの多くは、インビボでオリゴヌクレオチドを細胞の細胞質中に送達することにおいて有効性を実証している(参照により全体が本明細書に組み込まれる、deFougerolles Hum Gene Ther.2008 19:125−132において概説される)。核酸(この実例では小分子干渉RNA(siRNA)を用いて)の強固なインビボ送達をもたらした2つのポリマーアプローチは、動的ポリ複合体(polyconjugate)およびシクロデキストリンベースのナノ粒子である。これらの送達アプローチのうちの第1のアプローチは、動的ポリ複合体を使用し、マウスにおいてインビボでsiRNAを有効に送達し、肝細胞内で内因性標的mRNAをサイレンシングすることが示されている(Rozema et al.,Proc Natl Acad Sci USA.2007 104:12982−12887)。この特定のアプローチは、多成分ポリマー系であり、その主要な特長として、核酸(この実例ではsiRNA)がジスルフィド結合を介して共有結合され、PEG(電荷遮蔽のため)基およびN−アセチルガラクトサミン(肝細胞標的化のため)基の両方がpH感受性結合を介して連結される、膜活性ポリマーが含まれる(Rozema et al.,Proc Natl Acad Sci USA.2007 104:12982−12887)。肝細胞に結合し、エンドソームに進入すると、ポリマー複合体は、低pH環境において解体し、このポリマーがその陽電荷を露出して、エンドソームからの脱出、およびポリマーから細胞質へのsiRNAの放出をもたらす。N−アセチルガラクトサミン基の、マンノース基との置き換えを介して、アシアロ糖タンパク質受容体を発現する肝細胞から、類洞内皮細胞およびクッパー細胞へと標的合わせを変化させ得ることが示された。別のポリマーアプローチは、トランスフェリンを標的とするシクロデキストリン含有ポリカチオンナノ粒子を使用することを伴う。これらのナノ粒子は、トランスフェリン受容体を発現するユーイング肉腫腫瘍細胞において、EWS−FLI1遺伝子産物の標的を定めたサイレンシングを実証してきており(Hu−Lieskovan et al.,Cancer Res.2005 65:8984−8982)、これらのナノ粒子中に製剤化されたsiRNAは、非ヒト霊長類において耐性が良好であった(Heidel et al.,Proc Natl Acad Sci USA 2007 104:5715−21)。これらの送達戦略の両方は、標的を定めた送達機構およびエンドソームからの脱出機構の両方を用いた合理的なアプローチを組み込む。
ポリマー製剤は、シグナルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物、またはmmRNAの持続放出または遅延放出を可能にし得る(例えば、筋肉内または皮下注入後に)。シグナルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物、またはmmRNAについての変化した放出プロファイルは、例えば、長期間にわたってコードされたタンパク質の翻訳をもたらすことができる。ポリマー製剤をまた使用して、シグナルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物、またはmmRNAの安定性を増加させ得る。生分解性ポリマーが、mmRNA以外の核酸を分解から保護するために以前に使用されており、インビボでペイロードの持続放出をもたらすことが示されている(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、Rozema et al.,Proc Natl Acad Sci USA.2007 104:12982−12887、Sullivan et al.,Expert Opin Drug Deliv.2010 7:1433−1446、Convertine et al.,Biomacromolecules.2010 Oct 1、Chu et al.,Acc Chem Res.2012 Jan 13、Manganiello et al.,Biomaterials.2012 33:2301−2309、Benoit et al.,Biomacromolecules.2011 12:2708−2714、Singha et al.,Nucleic Acid Ther.2011 2:133−147、deFougerolles Hum Gene Ther.2008 19:125−132、Schaffert and Wagner,Gene Ther.2008 16:1131−1138、Chaturvedi et al.,Expert Opin Drug Deliv.2011
8:1455−1468、Davis、Mol Pharm.2009 6:659−668、Davis,Nature 2010 464:1067−1070)。
一実施形態において、薬学的組成物は、持続放出製剤であってもよい。さらなる実施形態において、持続放出製剤は、皮下送達のためであってもよい。持続放出製剤には、PLGAミクロスフェア、エチレン酢酸ビニル(EVAc)、ポロキサマー、GELSITE(登録商標)(Nanotherapeutics,Inc.Alachua,FL)、HYLENEX(登録商標)(Halozyme Therapeutics,San Diego CA)、フィブリノーゲンポリマー(Ethicon Inc.Cornelia,GA)、TISSELL(登録商標)(Baxter International,Inc Deerfield,IL)、PEGベースのシーリング材、およびCOSEAL(登録商標)(Baxter International,Inc Deerfield,IL)等の手術用シーリング材が含まれ得る。
非限定的な例として、修飾mRNAは、調整可能な放出速度を有する(例えば、数日間および数週間)PLGAミクロスフェアを調製し、シグナルセンサー修飾mRNAを、カプセル封入プロセス中にシグナルセンサー修飾mRNAの完全性を維持しながら、PLGAミクロスフェア中にカプセル封入することによって、PLGAミクロスフェア中に製剤化されてもよい。EVAcは、前臨床の持続放出埋込物適用において広範に使用される、非生分解性(non−biodegradeable)の、生体適合性ポリマーである(例えば、緑内障に対するピロカルピン眼内挿入物である持続放出製品Ocusertまたは持続放出プロゲステロン子宮内器具であるProgestasert;経皮送達系Testoderm、Duragesic、およびSelegiline;カテーテル)。ポロキサマー F−407 NFは、5℃未満の温度で低粘度を有する、親水性の非イオン性界面活性剤であるポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン−ポリオキシエチレンのトリブロックコポリマーであり、15℃を超える温度で固体ゲルを形成する。PEGベースの手術用シーリング材は、1分間で調製することができ、3分間でシーリングし、30日以内に再吸収される、送達デバイスにおいて混合された2つの合成PEG構成成分を含む。GELSITE(登録商標)および天然ポリマーは、投与部位におけるインサイツのゲル化が可能である。それらは、イオン性相互作用(ineraction)を介してタンパク質およびペプチド治療候補と相互作用して、安定化効果を提供することが示されている。
ポリマー製剤は、葉酸塩、トランスフェリン、およびN−アセチルガラクトサミン(GalNAc)により例として示されるが、これらによって限定されない異なるリガンドの発現を介して選択的に標的を定めることもできる(参照により全体が本明細書に組み込まれる、Benoit et al.,Biomacromolecules.2011 12:2708−2714、Rozema et al.,Proc Natl Acad Sci USA.2007 104:12982−12887、Davis,Mol
Pharm.2009 6:659−668、Davis,Nature 2010 464:1067−1070)。
本発明のシグナルセンサーmmRNAは、ポリマー化合物とともにまたはポリマー化合物中に製剤化されてもよい。ポリマーには、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリ(l−リジン)(PLL)、PLLにグラフトされたPEG、カチオン性リポポリマー、生分解性カチオン性リポポリマー、ポリエチレンイミン(PEI)、架橋分岐状ポリ(アルキレンイミン)、ポリアミン誘導体、修飾ポロキサマー、生分解性ポリマー、生分解性ブロックコポリマー、生分解性ランダムコポリマー、生分解性ポリエステルコポリマー、生分解性ポリエステルブロックコポリマー、生分解性ポリエステルブロックランダムコポリマー、線状生分解性コポリマー、ポリ[α−(4−アミノブチル)−L−グリコール酸)(PAGA)、生分解性架橋カチオン性マルチブロックコポリマーまたはこれらの組み合わせであるが、これらに限定されない少なくとも1つのポリマーが含まれてもよい。
非限定的な例として、シグナルセンサーmmRNAは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第6,177,274号に記載のPLLでグラフトされたPEGのポリマー化合物とともに製剤化されてもよい。製剤は、インビトロで細胞を形質移入するため、またはシグナルセンサーmmRNAのインビボ送達のために使用されてもよい。別の例において、シグナルセンサーmmRNAは、カチオン性ポリマーを含む溶液もしくは媒体中に、乾燥した薬学的組成物中に、または各々が参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる米国公開第20090042829号および同第20090042825号に記載の乾燥させることができる溶液中に懸濁させてもよい。
ポリアミン誘導体を用いて、核酸を送達するか、または疾患を治療および/もしくは予防するか、または埋込型もしくは注入型デバイスに含めてもよい(参照により全体が本明細書に組み込まれる、米国公開第20100260817号)。非限定的な例として、薬学的組成物は、シグナルセンサーmmRNA、ならびに内容が参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国公開第20100260817号に記載のポリアミン誘導体を含んでもよい。
例えば、本発明のシグナルセンサーmmRNAは、ポリ(アルキレンイミン)、生分解性カチオン性リポポリマー、生分解性ブロックコポリマー、生分解性ポリマー、もしくは生分解性ランダムコポリマー、生分解性ポリエステルブロックコポリマー、生分解性ポリエステルポリマー、生分解性ポリエステルランダムコポリマー、線状生分解性コポリマー、PAGA、生分解性架橋カチオン性マルチブロックコポリマー、またはこれらの組み合わせを含む薬学的化合物中に製剤化されてもよい。生分解性カチオン性リポポリマーは、当技術分野で既知の私の方法、ならびに/または参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる、米国特許第6,696,038号、米国出願第20030073619号、および同第20040142474号に記載の方法によって作製されてもよい。ポリ(アルキレンイミン)は、当技術分野で既知の方法、および/または参照により全体が本明細書に組み込まれる米国公開第20100004315号に記載の方法を用いて作製されてもよい。生分解性(biodegradabale)ポリマー、生分解性ブロックコポリマー、生分解性ランダムコポリマー、生分解性ポリエステルブロックコポリマー、生分解性ポリエステルポリマー、または生分解性ポリエステルランダムコポリマーは、当技術分野で既知の方法、ならびに/または各々の内容が参照により全体が本明細書に組み込まれる、米国特許第6,517,869号および同第6,267,987号に記載の方法を用いて作製されてもよい。線状生分解性コポリマーは、当技術分野で既知であり、かつ/または米国特許第6,652,886号に記載の方法を用いて作製されてもよい。PAGAポリマーは、当技術分野で既知の方法、ならびに/または参照により全体が本明細書に組み込まれる米国特許第6,217,912号に記載の方法を用いて作製されてもよい。PAGAポリマーは、共重合して、ポリ−L−リジン、ポリアルギン(polyargine)、ポリオルニチン、ヒストン、アビジン、プロタミン、ポリラクチド、およびポリ(ラクチド−co−グリコリド)等であるが、これらに限定されないポリマーとともにコポリマーまたはブロックコポリマーを形成してもよい。生分解性架橋カチオン性マルチブロックコポリマーは、当技術分野で既知の方法、ならびに/または参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる、米国特許第8,057,821もしくは米国公開第2012009145号に記載の方法によって作製されてもよい。例えば、マルチブロックコポリマーは、分岐状ポリエチレンイミンと比較して明確に異なるパターンを有する線状ポリエチレンイミン(LPEI)ブロックを用いて合成されてもよい。さらに、組成物または薬学的組成物は、当技術分野で既知の方法、本明細書に記載の方法、または参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる、米国公開第20100004315号もしくは米国特許第6,267,987号および同第6,217,912号に記載の方法によって作製されてもよい。
参照により全体が本明細書に組み込まれる米国公開第20100004313号に記載されるように、遺伝子送達組成物は、ヌクレオチド配列およびポロキサマーを含んでもよい。例えば、本発明(present inveition)のシグナルセンサーmmRNAは、米国公開第20100004313号に記載のポロキサマーを含む遺伝子送達組成物において使用されてもよい。
一実施形態において、本発明のポリマー製剤は、カチオン性担体を含み得るポリマー製剤を、コレステロール基およびポリエチレングリコール基に共有結合され得るカチオン性リポポリマーと接触させることによって、安定化されてもよい。ポリマー製剤は、参照により全体が本明細書に組み込まれる米国公開第20090042829号に記載の方法を用いてカチオン性リポポリマーと接触させてもよい。カチオン性担体には、ポリエチレンイミン、ポリ(トリメチレンイミン)、ポリ(テトラメチレンイミン)、ポリプロピレンイミン、アミノグリコシド−ポリアミン、ジデオキシ−ジアミノ−b−シクロデキストリン、スペルミン、スペルミジン、ポリ(2−ジメチルアミノ)エチルメタクリレート、ポリ(リジン)、ポリ(ヒスチジン)、ポリ(アルギニン)、カチオン化ゼラチン、デンドリマー、キトサン、1,2−ジオレオイル−3−トリメチルアンモニウム−プロパン(DOTAP)、N−[1−(2,3−ジオレオイルオキシ)プロピル]−N,N,N−トリメチルアンモニウムクロリド(DOTMA)、1−[2−(オレオイルオキシ)エチル]−2−オレイル−3−(2−ヒドロキシエチル)イミダゾリニウムクロリド(DOTIM)、2,3−ジオレイルオキシ−N−[2(スペルミンカルボキサミド)エチル]−N,N−ジメチル−1−プロパンアミニウムトリフルオロ酢酸塩(DOSPA)、3B−[N-(N’,N’−ジメチルアミノエタン)−カルバモイル]コレステロール塩酸塩(DC−コレステロールHCl)ジヘプタデシルアミドグリシルスペルミジン(DOGS)、N,N−ジステアリル−N,N−ジメチルアンモニウムブロミド(DDAB)、N−(1,2−ジミリスチルオキシプロパ−3−イル)−N,N−ジメチル−N−ヒドロキシエチルアンモニウムブロミド(DMRIE)、N,N−ジオレイル−N,N−ジメチル塩化アンモニウムDODAC)、およびこれらの組み合わせが含まれてもよいが、これらに限定されない。
本発明のシグナルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物、およびmmRNAは、ポリマー、脂質、および/またはリン酸カルシウム等であるが、これらに限定されない他の生分解性薬剤の組み合わせを用いてナノ粒子として製剤化することもできる。構成成分は、シグナルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物、およびmmRNAの送達が向上し得るようにナノ粒子の微調整を可能にするために、コア−シェル、ハイブリッド、および/または交互積層アーキテクチャとして組み合わされてもよい(参照により全体が本明細書に組み込まれる、Wang et al.,Nat Mater.2006 5:791−796、Fuller et al.,Biomaterials.2008 29:1526−1532、DeKoker et al.,Adv Drug Deliv Rev.2011 63:748−761、Endres et al.,Biomaterials.2011 32:7721−7731、Su et al.,Mol Pharm.2011 Jun 6;8(3):774−87)。
脂質および/またはポリマーと組み合わせた生分解性リン酸カルシウムナノ粒子は、インビボでシグナルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物、およびmmRNAを送達することが示されている。一実施形態において、アニスアミド等の標的化リガンドもまた含有し得る、脂質でコーティングされたリン酸カルシウムナノ粒子を用いて、本発明のシグナルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物、およびmmRNAを送達してもよい。例えば、マウス転移性肺モデルにおいてsiRNAを有効に送達するために、脂質でコーティングされたリン酸カルシウムナノ粒子が使用された(Li et al.,J Contr
Rel.2010 142:416−421、Li et al.,J Contr Rel.2012 158:108−114、Yang et al.,Mol Ther.2012 20:609−615)。この送達系は、siRNAの送達を改善するために、標的を定めたナノ粒子と、エンドソームからの脱出を向上させるための構成成分リン酸カルシウムとの両方を組み合わせる。
一実施形態において、PEG−ポリアニオンブロックコポリマーとともにリン酸カルシウムを用いて、シグナルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物、およびmmRNAを送達してもよい(Kazikawa et al.,J Contr Rel.2004 97:345−356、Kazikawa et al.,J Contr Rel.2006 111:368−370)。
一実施形態において、PEG電荷変換型ポリマー(Pitella et al.,Biomaterials.2011 32:3106−3114)を用いて、本発明のシグナルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物、およびmmRNAを送達するためのナノ粒子を形成してもよい。PEG電荷変換型ポリマーは、酸性pHでポリカチオンへと切断され、それ故に、エンドソームからの脱出を向上させることによって、PEG−ポリアニオンブロックコポリマーを改善し得る。
コア−シェルナノ粒子の使用は、カチオン性架橋ナノゲルコアおよび種々のシェルを合成するための高処理アプローチにさらに焦点を当てている(Siegwart et al.,Proc Natl Acad Sci USA.2011 108:12996−13001)。ポリマーナノ粒子の複合体形成、送達、および内在化は、ナノ粒子のコア構成成分およびシェル構成成分の両方の化学組成を変化させることによって精密に制御することができる。例えば、コア−シェルナノ粒子は、コレステロールをナノ粒子に共有結合させた後に、siRNAをマウス肝細胞に効率的に送達し得る。
一実施形態において、中間のPLGA層およびPEGを含有する外側の中性脂質層を含む、中空の脂質コアを用いて、本発明のシグナルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物、およびmmRNAを送達してもよい。非限定的な例として、ルシフェラーゼ(luciferease)発現腫瘍を担持するマウスにおいて、脂質−ポリマー−脂質ハイブリッドナノ粒子が、従来のリポプレックスと比較して、ルシフェラーゼ発現を有意に抑制することが確認された(Shi et al.,Angew Chem Int Ed.2011 50:7027−7031)。
ペプチドおよびタンパク質
本発明のシグナルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物、およびmmRNAは、ポリヌクレオチド、一次構築物、またはmmRNAによる細胞の形質移入を増加させるために、ペプチドおよび/またはタンパク質とともに製剤化することができる。一実施形態において、細胞透過性ペプチドならびに細胞内送達を可能にするタンパク質およびペプチド等であるが、これらに限定されないペプチドを用いて、薬学的製剤を送達してもよい。本発明の薬学的製剤とともに使用され得る細胞透過性ペプチドの非限定的な例としては、細胞内空間への送達を容易にする、ポリカチオンに結合した細胞透過性ペプチド配列、例えば、HIV由来TATペプチド、ペネトラチン、トランスポータン、またはhCT由来細胞透過性ペプチドである(例えば、すべてが参照により本明細書に組み込まれる、Caron et al.,Mol.Ther.3(3):310−8(2001)、Langel,Cell−Penetrating Peptides:Processes and Applications(CRC Press,Boca Raton FL,2002)、El−Andaloussi et al.,Curr.Pharm.Des.11(28):3597−611(2003)、およびDeshayes et al.,Cell.Mol.Life Sci.62(16):1839−49(2005)を参照のこと)。組成物は、組成物の細胞内空間への送達を向上させる細胞透過性薬剤、例えば、リポソームを含むように製剤化することもできる。本発明のシグナルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物、およびmmRNAは、細胞内送達を可能にするために、Aileron Therapeutics(Cambridge,MA)およびPermeon Biologics(Cambridge,MA)によるペプチドおよび/またはタンパク質等であるが、これらに限定されない、ペプチドおよび/またはタンパク質に複合体形成されてもよい(すべてが参照により全体が本明細書に組み込まれる、Cronican et al.,ACS Chem.Biol.2010 5:747−752、McNaughton et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 2009 106:6111−6116、Sawyer,Chem Biol Drug Des.2009 73:3−6、Verdine and Hilinski,Methods Enzymol.2012;503:3−33)。
一実施形態において、細胞透過性ポリペプチドは、第1のドメインおよび第2のドメインを含み得る。第1のドメインは、超荷電ポリペプチドを含み得る。第2のドメインは、タンパク質結合パートナーを含み得る。本明細書で使用されるとき、「タンパク質結合パートナー」には、抗体およびその機能的断片、足場タンパク質、またはペプチドが含まれるが、これらに限定されない。細胞透過性ポリペプチドは、タンパク質結合パートナーのための細胞内結合パートナーをさらに含み得る。細胞透過性ポリペプチドは、シグナルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物、またはmmRNAが導入され得る細胞から分泌されることが可能であり得る。
ペプチドまたはタンパク質を含む製剤を用いて、シグナルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物、もしくはmmRNAによる細胞形質移入を増加させ、シグナルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物、もしくはmmRNAの生体分布を変化させ(例えば、具体的な組織または細胞型を標的とすることによって)、かつ/またはコードされたタンパク質の翻訳を増加させることができる。
細胞
本発明のシグナルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物、およびmmRNAは、エクスビボで細胞中に形質移入することができ、それがその後、対象に移植される。非限定的な例として、薬学的組成物は、修飾RNAを肝臓および骨髄細胞に送達するための赤血球、修飾RNAをウイルス様粒子(VLP)中で送達するためのビロソーム、ならびにMAXCYTE(登録商標)(Gaithersburg,MD)による細胞、およびERYTECH(登録商標)(Lyon,France)による細胞等であるが、これらに限定されない、修飾RNAを送達するためのエレクトロポレーション処理された細胞を含んでもよい。mmRNA以外のペイロードを送達するための赤血球、ウイルス粒子、およびエレクトロポレーション処理された細胞の使用例が、文書化されている(すべてが参照により全体が本明細書に組み込まれる、Godfrin et al.,Expert Opin Biol Ther.2012 12:127−133、Fang et al.,Expert Opin Biol Ther.2012 12:385−389、Hu et al.,Proc Natl Acad Sci USA.2011 108:10980−10985、Lund et al.,Pharm Res.2010 27:400−420、Huckriede et al.,J Liposome Res.2007;17:39−47、Cusi,Hum Vaccin.2006 2:1−7、de Jonge et al.,Gene Ther.2006 13:400−411)。
本発明のシグナルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物、およびmmRNAの細胞ベースの製剤を用いて、細胞形質移入を確実にし(例えば、細胞担体中の)、シグナルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物、もしくはmmRNAの生体分布を変化させ(例えば、細胞担体の標的を具体的な組織または細胞型に定めることによって)、かつ/またはコードされた腫瘍学関連タンパク質の翻訳を増加させてもよい。
ウイルスおよび非ウイルス媒介性技法を含む、核酸の細胞内への導入に好適である多様な方法が当技術分野で知られている。典型的な非ウイルス媒介性技法の例としては、エレクトロポレーション、リン酸カルシウム媒介性移入、ヌクレオフェクション、ソノポレーション、熱ショック、マグネトフェクション、リポソーム媒介性移入、マイクロインジェクション、マイクロプロジェクタイル媒介性移入(ナノ粒子)、カチオン性ポリマー媒介性移入(DEAE−デキストラン、ポリエチレンイミン、ポリエチレングリコール(PEG)等)、または細胞融合が挙げられるが、これらに限定されない。
ソノポレーション、または細胞超音波処理の技法は、細胞原形質膜の透過性修飾するために音(例えば、超音波周波数)を使用するものである。ソノポレーション法は、当業者に知られており、インビボで核酸を送達するために使用される(すべて参照により全体が本明細書に組み込まれる、Yoon and Park,Expert Opin Drug Deliv.2010 7:321−330、Postema and Gilja,Curr Pharm Biotechnol.2007 8:355−361、Newman and Bettinger,Gene Ther.2007 14:465−475)。ソノポレーション法は、当技術分野で知られており、また、例えば、それが細菌に関する場合には、米国特許公開第20100196983号において、それが他の細胞型に関する場合には、例えば、米国特許公開20100009424号において教示され、これらの各々は、参照によりこれらの全体が本明細書に組み込まれる。
エレクトロポレーション技法もまた、当技術分野で周知であり、インビボでおよび臨床的に核酸を送達するために使用される(すべて参照により全体が本明細書に組み込まれる、Andre et al.,Curr Gene Ther.2010 10:267−280、Chiarella et al.,Curr Gene Ther.2010 10:281−286、Hojman,Curr Gene Ther.2010 10:128−138)。一実施形態において、シグナルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物、またはmmRNAは、実施例12に記載されるようにエレクトロポレーションによって送達され得る。
ヒアルロニダーゼ
本発明のシグナルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物、またはmmRNAの筋肉内または皮下局所注入は、ヒアルロナンの加水分解を触媒する、ヒアルロニダーゼを含むことができる。介在性の関門の構成物質であるヒアルロナンの加水分解を触媒することによって、ヒアルロニダーゼは、ヒアルロナンの粘度を低下させて、それによって組織透過性を増加させる(参照により全体が本明細書に組み込まれる、Frost,Expert Opin.Drug Deliv.(2007)4:427−440)。それらの分散および形質移入された細胞によって産生されるコードされたタンパク質の全身への分布を加速することが有用である。あるいは、ヒアルロニダーゼを用いて、筋肉内にまたは皮下に投与された本発明のシグナルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物、またはmmRNAに曝露される細胞の数を増加させることができる。
ナノ粒子模倣体
本発明のシグナルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物、またはmmRNAは、ナノ粒子模倣体内にカプセル封入されかつ/またはそれに吸収され得る。ナノ粒子模倣体は、病原体、ウイルス、細菌、真菌、寄生虫、プリオン、および細胞等であるが、これらに限定されない、生物または粒子の送達機能を模倣することができる。非限定的な例として、本発明のシグナルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物、またはmmRNAは、ウイルスの送達機能を模倣することができる非バイロン(viron)粒子中にカプセル封入されてもよい(参照により全体が本明細書に組み込まれる、国際公開第WO2012006376号を参照のこと)。
ナノチューブ
本発明のシグナルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物、またはmmRNAは、ロゼットナノチューブ、リンカーを用いたツイン塩基(twin bases)を有するロゼットナノチューブ、カーボンナノチューブおよび/または単層カーボンナノチューブ等であるが、これらに限定されない、少なくとも1つのナノチューブに付着または結合され得る。シグナルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物、またはmmRNAは、立体(steric)力、イオン力、共有結合力、および/または他の力等であるが、これらに限定されない力を介してナノチューブに結合され得る。
一実施形態において、ナノチューブは、1つ以上のシグナルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物、またはmmRNAを細胞内に放出することができる。少なくとも1つのナノチューブのサイズおよび/または表面構造を、体内でナノチューブの相互作用を制御し、かつ/または本明細書に開示のシグナルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物、もしくはmmRNAに付着または結合するように変化させることができる。一実施形態において、少なくとも1つのナノチューブのビルディングブロックおよび/またはそのビルディングブロックに結合される官能基を、ナノチューブの寸法および/または特性を調整するように変化させることができる。非限定的な例として、ナノチューブの長さは、ナノチューブが正常な血管の壁の穴を通過するのを妨害するが、依然として腫瘍組織の血管におけるより大きい穴を通過するのに十分に小さくあるように変化させてもよい。
一実施形態において、少なくとも1つのナノチューブは、ポリエチレングリコール等であるが、これらに限定されないポリマーを含む送達向上化合物でコーティングされてもよい。別の実施形態において、少なくとも1つのナノチューブおよび/またはシグナルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物、またはmmRNAは、薬学的に許容される賦形剤および/または送達ビヒクルと混合されてもよい。
一実施形態において、シグナルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物、またはmmRNAは、少なくとも1つのロゼットナノチューブに付着および/または結合される。ロゼットナノチューブは、当技術分野で既知のプロセスによって、かつ/または参照により全体が本明細書に組み込まれる国際公開第WO2012094304号に記載のプロセスによって形成され得る。少なくとも1つのシグナルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物、および/またはmmRNAは、参照により全体が本明細書に組み込まれる国際公開第WO2012094304号に記載のプロセスによって、少なくとも1つのロゼットナノチューブに付着および/または結合されてもよく、ここでロゼットナノチューブまたはロゼットナノチューブを形成するモジュールは、水性媒体中で、少なくとも1つのシグナルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物、またはmmRNAがロゼットナノチューブに付着または結合するようになり得る条件下で、少なくとも1つのシグナルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物、および/またはmmRNAと混合される。
複合体
本発明のシグナルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物、およびmmRNAは、担体もしくは標的化基に共有結合された、または一緒に融合タンパク質を産生する2つのコード領域を含む(例えば、標的化基および治療的タンパク質またはペプチドを担持する)、ポリヌクレオチド、一次構築物、またはmmRNA等の複合体を含む。
本発明の複合体は、タンパク質(例えば、ヒト血清アルブミン(HSA)、低比重リポタンパク質(LDL)、高比重リポタンパク質(HDL)、またはグロブリン)、炭水化物(例えば、デキストラン、プルラン、キチン、キトサン、イヌリン、シクロデキストリンまたはヒアルロン酸)、または脂質等の、天然に生じる物質を含む。リガンドは、合成ポリマー、例えば、合成ポリアミノ酸、オリゴヌクレオチド(例えば、アプタマー)等の組換えまたは合成分子であってもよい。ポリアミノ酸の例としては、ポリアミノ酸は、ポリリジン(PLL)、ポリL−アスパラギン酸、ポリL−グルタミン酸、スチレン−マレイン酸無水物コポリマー、ポリ(L−ラクチド−co−グリコリド(glycolied))コポリマー、ジビニルエーテル−マレイン無水物コポリマー、N−(2−ヒドロキシプロピル)メタクリルアミドコポリマー(HMPA)、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリウレタン、ポリ(2−エチルアクリル(acryllic)酸)、N−イソプロピルacrylアミドポリマー、またはポリホスファゼン(polyphosphazine)が挙げられる。ポリアミンの例としては、ポリエチレンイミン、ポリリジン(PLL)、スペルミン、スペルミジン、ポリアミン、シュードペプチド−ポリアミン、ペプチド模倣ポリアミン、デンドリマーポリアミン、アルギニン、アミジン、プロタミン、カチオン性脂質、カチオン性ポルフィリン、ポリアミンの第四級塩、αヘリックスペプチドが挙げられる。
ポリヌクレオチド複合体の調製、特にRNAへの調製を教示する、代表的な米国特許には、各々が参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる、米国特許第4,828,979号、同第4,948,882号、同第5,218,105号、同第5,525,465号、同第5,541,313号、同第5,545,730号、同第5,552,538号、同第5,578,717号、5,580,731号、同第5,591,584号、同第5,109,124号、同第5,118,802号、同第5,138,045号、同第5,414,077号、同第5,486,603号、同第5,512,439号、同第5,578,718号、同第5,608,046号、同第4,587,044号、同第4,605,735号、同第4,667,025号、同第4,762,779号、同第4,789,737号、同第4,824,941号、同第4,835,263号、同第4,876,335号、同第4,904,582号、同第4,958,013号、同第5,082,830号、同第5,112,963号、同第5,214,136号、同第5,082,830号、同第5,112,963号、同第5,214,136号、同第5,245,022号、同第5,254,469号、同第5,258,506号、同第5,262,536号、同第5,272,250号、同第5,292,873号、同第5,317,098号、同第5,371,241号、同第5,391,723号、同第5,416,203号、同第5,451,463号、同第5,510,475号、同第5,512,667号、同第5,514,785号、同第5,565,552号、同第5,567,810号、同第5,574,142号、同第5,585,481号、同第5,587,371号、同第5,595,726号、同第5,597,696号、同第5,599,923号、同第5,599,928号および同第5,688,941号、同第6,294,664号、同第6,320,017号、同第6,576,752号、同第6,783,931号、同第6,900,297号、同第7,037,646号が含まれるが、これらに限定されない。
一実施形態において、本発明の複合体は、本発明のシグナルセンサーmmRNAのための担体として機能し得る。複合体は、ポリ(エチレングリコール)でグラフトされ得る、ポリアミン、ポリリジン、ポリアルキレンイミン、およびポリエチレンイミン等であるが、これらに限定されないカチオン性ポリマーを含んでもよい。非限定的な例として、複合体は、ポリマー複合体と同様であってもよく、ポリマー複合体を合成する方法は、参照により全体が本明細書に組み込まれる米国特許第6,586,524号に記載されている。
複合体は、標的化基、例えば、細胞または組織標的化薬剤、例えば、レクチン、糖タンパク質、脂質、またはタンパク質、例えば、腎臓細胞等の指定される細胞型に結合する抗体も含み得る。標的化基は、チロトロピン、メラノトロピン、レクチン、糖タンパク質、サーファクタントタンパク質A、ムチン炭水化物、多価ラクトース、多価ガラクトース、N−アセチル−ガラクトサミン、N−アセチル−グルコサミン多価マンノース、多価フコース、グリコシル化ポリアミノ酸、多価ガラクトース、トランスフェリン、ビスホスホネート、ポリグルタミン酸塩、ポリアスパラギン酸塩、脂質、コレステロール、ステロイド、胆汁酸、葉酸塩、ビタミンB12、ビオチン、RGDペプチド、RGDペプチド模倣体、またはアプタマーであり得る。
標的化基は、タンパク質、例えば、糖タンパク質、またはペプチド、例えば、コリガンド(co−ligand)に対する特異的親和性を有する分子、または抗体、例えば、癌細胞、内皮細胞、もしくは骨細胞等の指定される細胞型に結合する抗体であり得る。標的化基には、ホルモンおよびホルモン受容体も含まれ得る。それらには、等の脂質、レクチン、炭水化物、ビタミン、補因子、多価ラクトース、多価ガラクトース、N−アセチル−ガラクトサミン、N−アセチル−グルコサミン多価マンノース、多価フコース、またはアプタマー等の非ペプチド種も含まれ得る。リガンドは、例えば、リポ多糖、またはp38
MAPキナーゼの活性化因子であり得る。
標的化基は、具体的な受容体を標的とすることが可能な任意のリガンドであり得る。例としては、制限なく、葉酸塩、GalNAc、ガラクトース、マンノース、マンノース−6P、アプタマー(apatamers)、インテグリン受容体リガンド、ケモカイン受容体リガンド、トランスフェリン、ビオチン、セロトニン受容体リガンド、PSMA、エンドセリン、GCPII、ソマトスタチン、LDL、およびHDLリガンドが挙げられる。特定の実施形態において、標的化基は、アプタマーである。アプタマーは、修飾されていないことも、本明細書に開示の修飾の任意の組み合わせを有することもあり得る。
一実施形態において、本発明の薬学的組成物は、ロックト核酸と同様の修飾等であるが、これらに限定されない化学修飾を含んでもよい。
Santarisによるもの等のロックト核酸(LNA)の調製を教示する、代表的な米国特許には、各々が参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、米国特許第6,268,490号、同第6,670,461号、同第6,794,499号、同第6,998,484号、同第7,053,207号、同第7,084,125号、および同第7,399,845号が含まれるが、これらに限定されない。
PNA化合物の調製を教示する、代表的な米国特許には、各々が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第5,539,082号、同第5,714,331号、および同第5,719,262号が含まれるが、これらに限定されない。PNA化合物のさらなる教示は、例えば、Nielsen et al.,Science,1991,254,1497−1500において見出すことができる。
本発明の特色をなすいくつかの実施形態は、ホスホロチオエート骨格を有するシグナルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物、またはmmRNA、ならびに他の修飾骨格、特に、上に参照される米国特許第5,489,677号の−−CH2−−NH−−CH2−−、−−CH2−−N(CH3)−−O−−CH2−−[メチレン(メチルイミノ)またはMMI骨格として知られている]、−−CH2−−O−−N(CH3)−−CH2−−、−−CH2−−N(CH3)−−N(CH3)−−CH2−−、および−−N(CH3)−−CH2−−CH2−−[式中、天然ホスホジエステル骨格は、−−O-P(O)2−−O−−CH2−−として表される]、および上に参照される米国特許第5,602,240号のアミド骨格を有する、オリゴヌクレオシドを含む。いくつかの実施形態において、本明細書の特色をなすポリヌクレオチド(polynucletotides)は、上に参照される米国特許第5,034,506号のモルホリノ骨格構造を有する。
2’位における修飾もまた、送達を補助し得る。好ましくは、2’位における修飾は、ポリペプチドコード配列には位置しない、すなわち、翻訳可能領域にない。2’位における修飾は、5’UTR、3’UTR、および/または尾部領域に位置してもよい。2’位における修飾は、2’位において次のうちの1つを含むことができる:H(すなわち、2’−デオキシ);F;O−、S−、もしくはN−アルキル;O−、S−、もしくはN−アルケニル;O−、S−、もしくはN−アルキニル;またはO−アルキル−O−アルキル(式中、アルキル、アルケニル、およびアルキニルは、置換または非置換C1〜C10アルキルまたはC2〜C10アルケニルおよびアルキニルであってもよい。例示の好適な修飾には、O[(CH2)nO]mCH3、O(CH2)nOCH3、O(CH2)nNH2、O(CH2)nCH3、O(CH2)nONH2、およびO(CH2)nON[(CH2)nCH3)]2が含まれ、式中、nおよびmは、1〜約10である。他の実施形態において、シグナルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物、またはmmRNAは、2’位において次のうちの1つを含む:C1〜C10低級アルキル、置換低級アルキル、アルカリール、アラルキル、O−アルカリールもしくはO−アラルキル、SH、SCH3、OCN、Cl、Br、CN、CF3、OCF3、SOCH3、SO2CH3、ONO2、NO2、N3、NH2、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルカリール、アミノアルキルアミノ、ポリアルキルアミノ、置換シリル、RNA切断基、レポーター基、インターカレーター、薬物動態特性を改善するための基、または薬力学特性を改善するための基、および同様の特性を有する他の置換基。いくつかの実施形態において、修飾は、2’−メトキシエトキシ(2’−O−−CH2CH2OCH3(2’−O−(2−メトキシエチル)または2’−MOE)としても知られている)(Martinet al.,Helv.Chim.Acta,1995,78:486−504)すなわち、アルコキシ−アルコキシ基を含む。別の例示の修飾は、本明細書の以下の実施例に記載の2’−ジメチルアミノオキシエトキシ、すなわち、O(CH2)2ON(CH3)2基(2’−DMAOEとしても知られている)、および同様に本明細書の以下の実施例に記載の2’−ジメチルアミノエトキシ(当技術分野で2’−O−ジメチルアミノエトキシエチルまたは2’−DMAEOEとしても知られる)、すなわち、2’−O−−CH2−−O−−CH2−−N(CH2)2である。他の修飾は、2’−メトキシ(2’−OCH3)、2’−アミノプロポキシ(2’−OCH2CH2CH2NH2)、および2’−フルオロ(2’−F)を含む。同様の修飾は、他の位置、特に3’末端ヌクレオチド上の糖の3’位で、または2’−5’結合dsRNAにおいて、および5’末端ヌクレオチドの5’位で行われてもよい。本発明のシグナルセンサーポリヌクレオチドは、ペントフラノシル糖の代わりに、シクロブチル部分等の糖模倣体を有してもよい。そのような修飾糖構造の調製を教示する代表的な米国特許には、各々が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第4,981,957号、同第5,118,800号、同第5,319,080号、同第5,359,044号、同第5,393,878号、同第5,446,137号、同第5,466,786号、同第5,514,785号、同第5,519,134号、同第5,567,811号、同第5,576,427号、同第5,591,722号、同第5,597,909号、同第5,610,300号、同第5,627,053号、同第5,639,873号、同第5,646,265号、同第5,658,873号、同第5,670,633号、および同第5,700,920号が含まれるが、これらに限定されない。
依然として他の実施形態において、シグナルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物、またはmmRNAは、細胞透過性ポリペプチドに共有結合的に複合体化される。細胞透過性ペプチドは、シグナルペプチド配列も含み得る。本発明の複合体は、増加した安定性、増加した細胞形質移入、および/または変化した生体分布(例えば、具体的な組織または細胞型に標的を定められる)を有するように設計することができる。
自己集合性核酸ナノ粒子
自己集合性ナノ粒子は、核酸鎖が容易にリプログラミング可能であり得るように精密に制御され得る、明確に定義されたサイズを有する。例えば、20nm超の直径が、向上した透過性および保持効果により腎クリアランスを回避し、ある特定の腫瘍への送達を向上させるため、癌標的化ナノ送達担体のために最適な粒径は、20〜100nmである。自己集合性核酸ナノ粒子を用いて、向上した送達のために癌標的化リガンドの精密に制御された空間定位および密度を有する、サイズおよび形が均一な単一の集団。非限定的な例として、オリゴヌクレオチドナノ粒子が、短いDNA断片および治療的siRNAのプログラミング可能な自己集合を用いて調製された。これらのナノ粒子は、制御可能な粒径ならびに標的リガンド箇所および密度を有して、分子的に同一である。DNA断片およびsiRNAは、1ステップ反応へと自己集合して、標的を定めたインビボ送達のためにDNA/siRNA四面体ナノ粒子を生成した。(Lee et al.,Nature Nanotechnology 2012 7:389−393)。
賦形剤
薬学的製剤は、本明細書で使用されるとき、所望される特定の剤形に適している、ありとあらゆる溶媒、分散媒体、希釈剤、または他の液体ビヒクル、分散もしくは懸濁助剤、界面活性剤、等張剤、増粘剤もしくは乳化剤、防腐剤、固体結合剤、滑沢剤等を含む、薬学的に許容される賦形剤をさらに含んでもよい。参照により本明細書に組み込まれる、Remington’s The Science and Practice of Pharmacy,21st Edition,A.R.Gennaro(Lippincott,Williams & Wilkins,Baltimore,MD,2006は、薬学的組成物を製剤化するのに使用される種々の賦形剤およびこれらの調製のための既知の技法を開示する。任意の従来の賦形剤媒体が任意の望ましくない生体影響を引き起こすか、またはさもなければ薬学的組成物の任意の他の構成成分(複数可)と有害な様態で相互作用するといった、物質またはその誘導体と不適合性である場合を除いて、その使用が本開示の範囲内で企図される。
いくつかの実施形態において、薬学的に許容される賦形剤は、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%純粋である。いくつかの実施形態において、賦形剤は、ヒトにおける使用および獣医学的使用に対して認可されている。いくつかの実施形態において、賦形剤は、米国食品医薬品局(United States Food and Drug Administration)によって認可されている。いくつかの実施形態において、賦形剤は、医薬品等級である。いくつかの実施形態において、賦形剤は、米国薬局方(United States Pharmacopoeia(USP))、欧州薬局方(European Pharmacopoeia(EP))、英国薬局方(British Pharmacopoeia)、および/または国際薬局方(International Pharmacopoeia)の基準を満たしている。
薬学的組成物の製造に使用される薬学的に許容される賦形剤には、不活性希釈剤、分散化剤および/もしくは造粒剤、界面活性剤および/もしくは乳化剤、崩壊剤、結合剤、防腐剤、緩衝剤、滑沢剤、ならびに/または油が含まれるが、これらに限定されない。そのような賦形剤が任意に薬学的組成物中に含まれてもよい。
例示の希釈剤には、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、リン酸カルシウム、リン酸二カルシウム、硫酸カルシウム、リン酸水素カルシウム、リン酸ナトリウム、ラクトース、ショ糖、セルロース、微小結晶セルロース、カオリン、マンニトール、ソルビトール、イノシトール、塩化ナトリウム、乾燥デンプン、トウモロコシデンプン、粉糖等、および/またはこれらの組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。
例示の造粒剤および/または分散化剤には、ジャガイモデンプン、トウモロコシデンプン、タピオカデンプン、デンプングリコール酸ナトリウム、粘土、アルギン酸、グアーガム、柑橘パルプ、寒天、ベントナイト、セルロースおよび木質製品、天然スポンジ、カチオン交換樹脂、炭酸カルシウム、ケイ酸塩、炭酸ナトリウム、架橋ポリ(ビニル−ピロリドン)(クロスポビドン)、ナトリウムカルボキシメチルデンプン(デンプングリコール酸ナトリウム)、カルボキシメチルセルロース、架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム(クロスカルメロース)、メチルセルロース、α化デンプン(デンプン1500)、微小結晶デンプン、水不溶性デンプン、カルシウムカルボキシメチルセルロース、ケイ酸アルミニウムマグネシウム(VEEGUM(登録商標))、ラウリル硫酸ナトリウム、第四級アンモニウム化合物等、ならびに/またはこれらの組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。
例示の界面活性剤および/または乳化剤には、天然乳化剤(例えば、アカシア、寒天、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、トラガント、コンドラックス(chondrux)、コレステロール、キサンタン、ペクチン、ゼラチン、卵黄、カゼイン、羊毛脂、コレステロール、ワックス、およびレシチン)、コロイド状粘土(例えば、ベントナイト[ケイ酸アルミニウム]およびVEEGUM(登録商標)[ケイ酸アルミニウムマグネシウム])、長鎖アミノ酸誘導体、高分子量アルコール(例えば、ステアリルアルコール、セチルアルコール、オレイルアルコール、モノステアリン酸トリアセチン(triacetin
monostearate)、ジステアリン酸エチレングリコール、モノステアリン酸グリセリル、およびモノステアリン酸プロピレングリコール、ポリビニルアルコール)、カルボマー(例えば、カルボキシポリメチレン、ポリアクリル酸、アクリル酸ポリマー、およびカルボキシビニルポリマー)、カラギーナン、セルロース誘導体(例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、粉末化セルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース)、ソルビタン脂肪酸エステル(例えば、モノラウリル酸ポリオキシエチレンソルビタン[TWEEN(登録商標)20]、ポリオキシエチレンソルビタン[TWEENn(登録商標)60]、モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン[TWEEN(登録商標)80]、モノパルミチン酸ソルビタン[SPAN(登録商標)40]、モノステアリン酸ソルビタン[Span(登録商標)60]、トリステアリン酸ソルビタン[Span(登録商標)65]、モノオレイン酸グリセリル、モノオレイン酸ソルビタン[SPAN(登録商標)80])、ポリオキシエチレンエステル(例えば、モノステアリン酸ポリオキシエチレン[MYRJ(登録商標)45]、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリエトキシル化(polyethoxylated)ヒマシ油、ステアリン酸ポリオキシメチレン、およびSOLUTOL(登録商標))、ショ糖脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル(例えば、CREMOPHOR(登録商標))、ポリオキシエチレンエーテル、(例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル[BRIJ(登録商標)30])、ポリ(ビニル−ピロリドン)、モノラウリル酸ジエチレングリコール、オレイン酸トリエタノールアミン、オレイン酸ナトリウム、オレイン酸カリウム、オレイン酸エチル、オレイン酸、ラウリル酸エチル、ラウリル硫酸ナトリウム、PLUORINC(登録商標)F 68、POLOXAMER(登録商標)188、臭化セトリモニウム、塩化セチルピリジニウム、塩化ベンザルコニウム、ドキュセートナトリウム等、ならびに/またはこれらの組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。
例示の結合剤には、デンプン(例えば、トウモロコシデンプンおよびデンプンペースト);ゼラチン;糖類(例えば、ショ糖、グルコース、デキストロース、デキストリン、糖蜜、ラクトース、ラクチトール、マンニトール、);天然および合成ガム(例えば、アカシア、アルギン酸ナトリウム、アイリッシュ・モスの抽出物、パンワールガム(panwar gum)、ガッチガム(ghatti gum)、イサポール皮(isapol husk)の粘液、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、微小結晶セルロース、酢酸セルロース、ポリ(ビニル−ピロリドン)、ケイ酸アルミニウムマグネシウム((VEEGUM(登録商標))、およびカラマツアラビノガラクタン(larch arabogalactan));アルギン酸塩;ポリエチレンオキシド;ポリエチレングリコール;無機カルシウム塩;ケイ酸;ポリメタクリレート;ワックス;水;アルコール等;ならびにこれらの組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。
例示の防腐剤には、酸化防止剤、キレート剤、抗菌性防腐剤、抗真菌性防腐剤、アルコール防腐剤、酸性防腐剤、および/または他の防腐剤が含まれ得るが、これらに限定されない。例示の酸化防止剤には、αトコフェロール、アスコルビン酸、パルミチン酸アスコルビル(ascorbic)、ブチル化ヒドロキシアニソール、ブチル化ヒドロキシトルエン、モノチオグリセロール、メタ重亜硫酸カリウム、プロピオン酸、没食子酸プロピル、アスコルビン酸ナトリウム、重亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、および/または硫酸ナトリウムが含まれるが、これらに限定されない。例示のキレート剤には、エチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA)、クエン酸一水和物、エデト酸二ナトリウム、エデト酸二カリウム、エデト酸、フマル酸、リンゴ酸、リン酸、エデト酸ナトリウム、酒石酸、および/またはエデト酸三ナトリウムが含まれる。例示の抗菌性防腐剤には、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、ベンジルアルコール、ブロノポール、セトリミド、塩化セチルピリジニウム、クロルヘキシジン、クロロブタノール、クロロクレゾール、クロロキシレノール(chloroxylenol)、クレゾール、エチルアルコール、グリセリン、ヘキセチジ、イミド尿素、フェノール、フェノキシエタノール、フェニルエチルアルコール、硝酸フェニル水銀、プロピレングリコール、および/またはチメロサールが含まれるが、これらに限定されない。例示の抗真菌性防腐剤には、ブチルパラベン、メチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン、安息香酸、ヒドロキシ安息香酸、安息香酸カリウム、ソルビン酸カリウム、安息香酸ナトリウム、プロピオン酸ナトリウム、および/またはソルビン酸が含まれるが、これらに限定されない。例示のアルコール防腐剤には、エタノール、ポリエチレングリコール、フェノール、フェノール系化合物、ビスフェノール、クロロブタノール、ヒドロキシ安息香酸塩、および/またはフェニルエチルアルコールが含まれるが、これらに限定されない。例示の酸性防腐剤には、ビタミンA、ビタミンC、ビタミンE、β−カロテン、クエン酸、酢酸、ジヒドロ酢酸、アスコルビン酸、ソルビン酸、および/またはフィチン酸が含まれるが、これらに限定されない。他の防腐剤には、トコフェロール、酢酸トコフェロール、メシル酸デテロキシム(deteroxime mesylate)、セトリミド、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、ブチル化ヒドロキシトルエン(hydroxytoluened)(BHT)、エチレンジアミン、ラウリル硫酸ナトリウム(SLS)、ラウリルエーテル硫酸ナトリウム(SLES)、重亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、メタ重亜硫酸カリウム、GLYDANT PLUS(登録商標)、PHENONIP(登録商標)、メチルパラベン、GERMALL(登録商標)115、GERMABEN(登録商標)II、NEOLONE(商標)、KATHON(商標)、および/またはEUXYL(登録商標)が含まれるが、これらに限定されない。
例示の緩衝剤には、クエン酸緩衝液、酢酸緩衝液、リン酸緩衝液、塩化アンモニウム、炭酸カルシウム、塩化カルシウム、クエン酸カルシウム、グルビオン酸カルシウム、グルセプチン酸カルシウム、グルコン酸カルシウム、d−グルコン酸、グリセロリン酸カルシウム、乳酸カルシウム、プロパン酸、レブリン酸カルシウム、ペンタン酸、第二リン酸カルシウム、リン酸、第三リン酸カルシウム、リン酸水素カルシウム、酢酸カリウム、塩化カリウム、グルコン酸カリウム、カリウム混合物、第二リン酸カリウム、第一リン酸カリウム、リン酸カリウム混合物、酢酸ナトリウム、二炭酸ナトリウム、塩化ナトリウム、クエン酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、第二リン酸ナトリウム、第一リン酸ナトリウム、リン酸ナトリウム混合物、トロメタミン、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、アルギン酸、発熱性物質除去水、等張食塩水、リンゲル液、エチルアルコール等、および/またはこれらの組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。
例示の滑沢剤には、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸、シリカ、タルク、麦芽、ベヘン酸(behanate)グリセリル、水素化植物油、ポリエチレングリコール、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウム、ロイシン、ラウリル硫酸マグネシウム、ラウリル硫酸ナトリウム等、およびこれらの組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。
例示の油には、アーモンド油、杏仁油、アボカド油、ババス油、ベルガモット油、ブラックカラント種子油、カデ油、カモミール油、キャノーラ油、キャラウェイ油、カルナウバ油、ヒマシ油、桂皮油、ココアバター油、ココナッツ油、タラの肝油、コーヒー油、トウモロコシ油、綿実油、エミュー油、ユーカリ油、月見草油、魚油、亜麻仁油、ゲラニオール油、ヒョウタン油、ブドウ種子油、ヘーゼルナッツ油、ヒソップ油、ミリスチン酸イソプロピル油、マンゴー種子油、メドウフォーム種子油、ミンク油、ナツメグ油、オリーブ油、オレンジ油、オレンジラフィー油、パーム油、パーム核油、桃仁油、ピーナッツ油、ケシ油、カボチャ種子油、菜種油、コメヌカ油、ローズマリー油、ベニバナ油、ビャクダン油、サスクアナ(sasquana)油、セボリー、シーバックソーン油、ゴマ油、シアバター油、シリコーン油、大豆油、ヒマワリ油、ティーツリー油、アザミ油、ツバキ油、ベチバー油、胡桃油、および小麦胚芽油が含まれるが、これらに限定されない。例示の油には、ブチルステアリン酸、カプリル酸トリグリセリド、カプリン酸トリグリセリド、シクロメチコン、セバシン酸ジエチル、ジメチコン360、ミリスチン酸イソプロピル、鉱油、オクチルドデカノール、オレイルアルコール、シリコーン油、および/またはこれらの組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。
調合者の判断に従って、ココアバターおよび坐剤ワックス、着色剤、コーティング剤、甘味剤、香味剤、ならびに/または芳香剤等の賦形剤が、組成物中に存在し得る。
送達
本開示は、薬物送達の科学進展の見込みを考慮した任意の適切な経路による、治療目的、薬学目的、診断目的、または撮像目的のうちのいずれのためのシグナルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物、またはmmRNAの送達をも包含する。送達は、ネイキッドであっても製剤化されてもよい。
ネイキッド送達
本発明のシグナルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物、またはmmRNAは、ネイキッドで細胞に送達されてもよい。本明細書で使用されるとき、「ネイキッド」とは、形質移入を促進する薬剤を用いずにシグナルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物、またはmmRNAを送達することを指す。例えば、細胞に送達されるポリヌクレオチド、一次構築物、またはmmRNAは、修飾を全く含有しない場合がある。ネイキッドシグナルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物、またはmmRNAは、細胞に、当技術分野で既知であり、かつ本明細書に記載の投与経路を用いて送達されてもよい。
製剤化された送達
本発明のシグナルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物、またはmmRNAは、本明細書に記載の方法を用いて製剤化されてもよい。製剤は、修飾されているかつ/または修飾されていない場合があるシグナルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物、またはmmRNAを含有してもよい。製剤は、細胞透過剤、薬学的に許容される担体、送達剤、生崩壊性または生体適合性ポリマー、溶媒、および持続放出送達デポーをさらに含むことができるが、これらに限定されない。製剤化されたシグナルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物、またはmmRNAは、細胞に、当技術分野で既知であり、かつ本明細書に記載の投与経路を用いて送達されてもよい。
組成物は、直接浸水または浸漬、カテーテルを介して、ゲル、粉末、軟膏、クリーム、ゲル、ローション、および/または液滴によって、組成物でコーティングまたは含浸された織物または生分解性材料等の基質を使用することによって等を含むが、これらに限定されない当技術分野におけるいくつかの方法のうちのいずれかにおける器官または組織への直接送達のためにも製剤化され得る。
投与
本発明のシグナルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物、またはmmRNAは、治療上有効成果をもたらす任意の経路によって投与されてもよい。これらには、経腸、経胃腸、硬膜外、経口、経皮、硬膜外(硬膜上)、脳内(大脳の中へ)、脳室内(脳室の中へ)、皮膚上(皮膚上への適用)、皮内、(皮膚自体の中へ)、皮下(皮膚の下)、経鼻投与(鼻を介して)、静脈内(静脈の中へ)、動脈内(動脈の中へ)、筋肉内(筋肉の中へ)、心臓内(心臓の中へ)、骨内輸注(骨髄の中へ)、髄腔内(脊柱管の中へ)、腹腔内(腹腔の中への輸注または注入)、膀胱内輸注、硝子体内(眼を介して)、空洞内注入(陰茎基部の中へ)、膣内投与、子宮内、羊膜外投与、経皮(全身への分布のための無傷の皮膚(intact skin)を介した拡散)、経粘膜(粘膜を介した拡散)、ガス注入(鼻からの吸引)、舌下、口唇下、浣腸、点眼(結膜上に)、または点耳におけるもの含まれるが、これらに限定されない。特定の実施形態において、組成物は、それらが血液−脳関門、血管関門、または他の上皮関門を横断することを可能にするような方式で投与されてもよい。本発明のシグナルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物、またはmmRNAのための非限定的な投与経路が以下に記載される。
非経口および注入による投与
経口および非経口投与のための液体剤形には、薬学的に許容されるエマルション、マイクロエマルション、溶液、懸濁液、シロップ、および/またはエリキシルが含まれるが、これらに限定されない。活性成分に加えて、液体剤形は、例えば、水または他の溶媒、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、ベンジル安息香酸塩、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジメチルホルムアミド、油(具体的には、綿実油、ラッカセイ油、トウモロコシ、胚芽油、オリーブ油、ヒマシ油、およびゴマ油)、グリセロール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ソルビタンのポリエチレングリコールおよび脂肪酸エステル等の可溶化剤および乳化剤、ならびにこれらの混合物等の、当技術分野で一般的に使用される不活性希釈剤を含んでもよい。不活性希釈剤の他に、経口組成物は、湿潤剤、乳化剤および懸濁化剤、甘味剤、香味剤、および/または芳香剤等のアジュバントを含むことができる。非経口投与のためのある特定の実施形態において、組成物は、CREMOPHOR(登録商標)、アルコール、油、変性油、グリコール、ポリソルベート、シクロデキストリン、ポリマー、および/またはこれらの組み合わせ等の可溶化剤と混合される。
注入用調製物、例えば、滅菌注入用水性または油性懸濁液は、既知の技術に従って、好適な分散化剤、湿潤剤、および/または懸濁化剤を用いて製剤化されてもよい。滅菌注入用調製物は、非毒性の非経口的に許容される希釈剤および/または溶媒中の、滅菌注入用溶液、懸濁液、および/またはエマルション、例えば、1,3−ブタンジオール中の溶液としてのものであってもよい。用いられ得る許容されるビヒクルおよび溶媒の中には、水、リンゲル液、U.S.P.、および等張塩化ナトリウム溶液がある。無刺激の固定油が溶媒または懸濁化媒体として慣習的に用いられる。この目的のために、合成モノグリセリドまたはジグリセリドを含む、任意の無菌性の固定油が用いられ得る。オレイン酸等の脂肪酸が注入物の調製において使用され得る。
注入用製剤は、例えば、細菌保持フィルターを通した濾過によって、かつ/または使用前に滅菌水または他の滅菌注射用媒体中に溶解もしくは分散させることができる滅菌固体組成物の形態で滅菌剤を組み込むことによって、滅菌することができる。
活性成分の効果を延長するために、皮下または筋肉内注入からの活性成分の吸収を緩徐化することがしばしば望ましい。これは、水への溶解度が低い結晶質または非晶質材料の液体懸濁液の使用によって遂行されてもよい。薬物の吸収速度は次いで、その溶解速度に依存し、溶解速度が今度は、結晶サイズおよび結晶形に依存し得る。あるいは、非経口的に投与される薬物形態の遅延吸収は、薬物を油性ビヒクル中に溶解させるまたは懸濁させることによって遂行される。注入用デポー形態は、薬物のマイクロカプセルマトリックス(microencapsule matrices)を、ポリラクチド−ポリグリコライド等の生分解性ポリマー中に形成することによって作製される。薬物対ポリマーの比および用いられる特定のポリマーの性質に応じて、薬物放出の速度を制御することができる。他の生分解性ポリマーの例としては、ポリ(オルトエステル)およびポリ(無水物)が挙げられる。デポー注入用製剤は、薬物を、身体組織と適合性のリポソームまたはマイクロエマルション中に封入することによって調製される。
直腸および膣内投与
直腸または膣内投与のための組成物は、典型的に坐剤であり、それは組成物を、周囲温度では固体であるが、体温では液体であり、したがって直腸または膣腔で溶解して活性成分を放出する、ココアバター、ポリエチレングリコール、または坐剤ワックス等の好適な非刺激性賦形剤と混合することによって調製することができるる。
経口投与
経口投与のための固体剤形には、カプセル、錠剤、丸薬、粉剤、および顆粒が含まれる。そのような固体剤形において、活性成分は、クエン酸ナトリウムもしくはリン酸二カルシウム等の少なくとも1つの不活性な薬学的に許容される賦形剤、および/または充填剤もしくは増量剤(例えば、デンプン、ラクトース、ショ糖、グルコース、マンニトール、およびケイ酸)、結合剤(例えば、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸塩、ゼラチン、ポリビニルピロリジノン、ショ糖、およびアカシア)、保水剤(例えば、グリセロール)、崩壊剤(例えば、寒天、炭酸カルシウム、ジャガイモまたはタピオカデンプン、アルギン酸、ある特定のケイ酸塩、および炭酸ナトリウム)、溶解遅延剤(solution retarding agents)(例えば、パラフィン)、吸収促進剤(例えば、第四級アンモニウム化合物)、湿潤剤(例えば、セチルアルコールおよびモノステアリン酸グリセロール)、吸収剤(例えば、カオリンおよびベントナイト粘土)、ならびに滑沢剤(例えば、タルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム)、ならびにこれらの混合物と混合される。カプセル、錠剤、および丸薬の場合、剤形は、緩衝剤も含んでもよい。
局所または経皮投与
本明細書に記載されるように、本発明のシグナルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物、またはmmRNAを含有する組成物は、局所的な投与のために製剤化されてもよい。皮膚は、それが容易に接触可能であるため、送達に理想的な標的であり得る。遺伝子発現は、皮膚に対してのみ制限され、非特異的な毒性を回避する可能性があるだけでなく、皮内の特定の層および細胞型にも制限され得る。
送達された組成物の皮膚発現の部位は、核酸送達の経路に依存する。次の3つの経路がシグナルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物、またはmmRNAを皮膚へと送達するために考慮される:(i)局所適用(例えば、局所/局部治療および/または腫瘍学関連用途のため)、(ii)経皮注入(例えば、局所/局部治療および/または腫瘍学関連用途のため)、ならびに(iii)全身送達(例えば、皮膚領域および皮膚外領域の両方を侵す皮膚疾患の治療のため)。シグナルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物、またはmmRNAは、当技術分野で既知のいくつかの異なるアプローチによって皮膚に送達することができる。非カチオン性リポソーム−DNA複合体、カチオン性リポソーム−DNA複合体の局所適用、粒子媒介性(遺伝子銃)、穿刺媒介性遺伝子形質移入、およびウイルス送達アプローチ等であるが、これらに限定されない、ほとんどの局所送達アプローチが、DNAの送達に有効であることが示されている。核酸の送達後に、遺伝子産物が、基底角化細胞、皮脂腺細胞、真皮線維芽細胞、および真皮マクロファージを含むが、これらに限定されない、いくつかの異なる皮膚細胞型において検出されている。
一実施形態において、本発明は、本発明の方法を好都合にかつ/または有効に行うための多様なドレッシング(例えば、創傷ドレッシング)または包帯(例えば、粘着包帯)を提供する。典型的に、ドレッシングまたは包帯は、使用者が対象(複数可)の複数の治療を行うことを可能にするために、本明細書に記載の十分な量の薬学的組成物および/またはシグナルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物、もしくはmmRNAを含むことができる。
一実施形態において、本発明は、1回を超える注入で送達されるシグナルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物、またはmmRNA組成物を提供する。
一実施形態において、局所および/または経皮投与の前に、皮膚等の少なくとも1つの組織の領域が、透過性を増加させ得るデバイスおよび/または溶液に供されてもよい。一実施形態において、組織は、皮膚の透過性を増加させるために、研磨デバイスに供されてもよい(参照により全体が本明細書に組み込まれる、米国特許公開第20080275468号を参照のこと)。別の実施形態において、組織は、超音波強化デバイスに供されてもよい。超音波強化デバイスには、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる、米国公開第20040236268号ならびに米国特許第6,491,657号および同第6,234,990号に記載のデバイスが含まれてもよいが、これらに限定されない。組織の透過性を向上させる方法は、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる、米国公開第20040171980号および同第20040236268号ならびに米国特許第6,190,315号に記載されている。
一実施形態において、デバイスを用いて、本明細書に記載の修飾mRNA製剤を送達する前に組織の透過性を増加させてもよい。皮膚の透過性は、当技術分野で既知の方法、および/または参照により全体が本明細書に組み込まれる米国特許第6,190,315号に記載の方法によって測定することができる。非限定的な例として、修飾mRNA製剤は、参照により全体が本明細書に組み込まれる米国特許第6,190,315号に記載の薬物送達方法によって送達されてもよい。
別の非限定的な例において、組織は、透過性を増加させ得るデバイスに組織が供され得る前、その間および/またはその後に、局所麻酔薬の共融混合物(EMLA)クリームで処理されてもよい。Katzら(参照により全体が本明細書に組み込まれる、Anesth Analg(2004);98:371−76)は、EMLAクリームを低エネルギーと組み合わせて使用して、表在性皮膚鎮痛の発生が低エネルギー超音波での前処理の早くも5分後に見られたことを示した。
一実施形態において、透過性を増加させるために組織が処理される前、その間、および/またはその後に、促進剤が組織に適用されてもよい。促進剤には、輸送促進剤、物理的促進剤、および空洞形成(cavitation)促進剤が含まれるが、これらに限定されない。促進剤の非限定的な例は、参照により全体が本明細書に組み込まれる米国特許第6,190,315号に記載されている。
一実施形態において、デバイスを用いて、免疫応答を呼び起こす物質をさらに含有し得る、本明細書に記載の修飾mRNAの製剤を送達する前に、組織の透過性を増加させてもよい。別の非限定的な例において、免疫応答を呼び起こす物質を含有する製剤は、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる、米国公開第20040171980号および同第20040236268号に記載の方法によって送達されてもよい。
組成物の局所および/または経皮投与のための剤形には、軟膏、ペースト、クリーム、ローション、ゲル、泡状物質、粉末、溶液、スプレー、吸入剤、および/またはパッチが含まれてもよい。一般に、活性成分は、滅菌条件下で、必要とされ得る通りに薬学的に許容される賦形剤ならびに/または任意の必要とされる防腐剤および/もしくは緩衝液と混和される。さらに、本発明は、経皮パッチの使用を企図し、それはしばしば、身体への化合物の制御送達を提供するという追加の利点を有し得る。そのような剤形は、例えば、化合物を適正な媒体中に溶解させるおよび/または分与することによって、調製することができる。あるいは、またはさらに、速度は、速度制御膜を提供することかつ/または化合物をポリマーマトリックスおよび/もしくはゲル中に分散させることによってのいずれかで制御することができる。
局所投与に好適な製剤には、リニメント剤、ローション等の液体および/もしくは半液体調製物、クリーム、軟膏、および/もしくはペースト等の水中油型および/もしくは油中水型エマルション、ならびに/または溶液および/もしくは懸濁液が含まれるが、これらに限定されない。
局所的に投与可能な製剤は、例えば、約0.1w/w%〜約10w/w%の活性成分を含み得るが、活性成分の濃度は、最大で溶媒中の活性成分の可溶性の限度まで高くてもよい。局所投与のための製剤は、本明細書に記載のさらなる成分のうちの1つ以上をさらに含んでもよい。
透過エンハンサー
一実施形態において、本発明のシグナルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物およびmmRNAは、様々な透過エンハンサーを用いて、シグナルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物およびmmRNAを、1つ以上の過剰増殖性疾患、障害または状態に関連する少なくとも1つの領域に送達し得る。ほとんどの薬剤は、イオン化および非イオン化形態の双方で溶液に存在する。しかし、通常は、脂質溶解性または脂溶性薬剤のみが容易に細胞膜を超える。超える膜を透過エンハンサーで処理した場合、非脂溶性薬剤でさえも、細胞膜を超え得ることが分かっている。細胞膜を超えて非脂溶性薬剤を拡散する手助けをするのに加え、透過エンハンサーは脂溶性薬剤の透過性も強化する。
透過エンハンサーは、5つの幅の大きいカテゴリー、すなわち、界面活性剤、脂肪酸、胆汁酸塩、キレート化剤および非キレート非界面活性剤の1つに属するものとして分類され得る(Lee et al.,Critical Reviews in Therapeutic Drug Carrier Systems,1991,p.92)。透過エンハンサーの上記クラスはそれぞれ、下記でさらに詳細に説明する。例えば胆汁酸/塩と組み合わせた脂肪酸/塩というように、透過エンハンサーの組み合わせも、本発明の範囲に包含され得る。透過エンハンサーの組み合わせの他の非制限的な例として、ラウリン酸、カプリン酸およびUDCAのナトリウム塩の組み合わせが含まれる。
界面活性剤
本発明と関わりの中で、界面活性剤(または、「表面活性剤」)は、水性溶液に溶解した際に、溶液の表面張力、または、水性溶液と他の液体との間の界面張力を低下し、粘膜経由のシグナルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物およびmmRNAの吸収を高める結果を伴う、化学物質である。胆汁酸塩および脂肪酸の加え、これらの透過エンハンサーには、例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレン−9−−ラウリルエーテルおよびポリオキシエチレン−20−セチルエーテル)(Lee et al.,Critical Reviews in Therapeutic Drug Carrier
Systems,1991,p.92);およびFC−43といった全フッ素置換エマルション(Takahashi et al.,J.Pharm.Pharmacol.,1988,40,252)が含まれる。
脂肪酸
透過エンハンサーとして作用する様々な脂肪酸およびその誘導体には、オレイン酸、ラウリン酸、カプリン酸(n−カプリン酸)、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、リノール酸、リノレン酸、ジカプレート、トリかプレート、モノオレイン(1−モノオレオイル−ラック−グリセロール、ジラウリン、カプリル酸、アラキドン酸、グリセロール1−モノかプレート、1−ドデシルアザシクロヘプタン−2−オン、アシルカルニチン、アシルコリン、そのC1−C10アルキルエステル(例えば−メチル、イソプロピルおよびt−ブチル)、およびそのモノ−、ジ−グリセリド(すなわち、オレアート、ラウレート、かプレート、ミリステート、パルミテート、ステアレート、リノレエートなど)が挙げられるが、これらに限定されない(Lee et al.,Critical Reviews in Therapeutic Drug Carryier Systems,1991,p.92;Muranishi,Critical Reviews in Therapeutic Drug Carrier Systems,1990,7,1−33;El Hariri et al.,J.Pharm.Pharmacol.,1992,44,651−654)。
胆汁酸塩
胆汁の生物学的役割としては、脂質および脂溶性ビタミンの分散および吸収の助長が挙げられる(Brunton,Chapter 38 in:Goodman&Gilman’s The Pharmacological Basis of Therapeutics,9th Ed.,Hardman et al.,Eds.,McGraw−Hill,New York,1996,pp.934−935)。様々な天然の胆汁酸塩およびその合成誘導体が、透過エンハンサーとして作用する。このように、「胆汁酸塩」という語句には、胆汁に天然に存在するいずれかの成分およびその合成誘導体のいずれもが包含される。本発明の胆汁酸塩としては、コール酸(またはその薬剤的に許容できるナトリウム塩コール酸ナトリウム)、デヒドロコール酸(デヒドロコール酸ナトリウム)、デオキシコール酸(デオキシコール酸ナトリウム)、グルコール(glucholic)酸グルコール酸(glucholate)ナトリウム)、グリコール(glycholic)酸(グリココール酸ナトリウム)、グリコデオキシコール酸(グリコデオキシコール酸ナトリウム)、タウロコール酸(タウロコール酸ナトリウム)、タウロデオキシコール酸(タウロデオキシコール酸ナトリウム)、ケノデオキシコール酸(ケノデオキシコール酸ナトリウム)、ウルソデオキシコール酸(UDCA)、タウロ−24,25−ジヒドロ−フシジン酸ナトリウム(STDHF)、グリコジシドロフシジン酸ナトリウムおよびポリオキシエチレン − 9 − ラウリルエーテル(POE)が挙げられるが、これらに限定されない(Lee et al.,Critical Reviews in Therapeutic Drug Carrier Systems,1991,page 92;Swinyard,Chapter 39 In:Remington’s
Pharmaceutical Sciences,18th Ed.,Gennaro,ed.,Mack Publishing Co.,Easton,Pa.,1990,pages782−783;Muranishi,Critical Reviews in Therapeutic Drug Carrier Systems,1990,7,1−33;Yamamoto et al.,J.Pharm.Exp.Ther.,1992,263,25;Yamashita et al.,J.Pharm.Sci.,1990,79,579−583)。
キレート化剤
本発明との関わりで使用されるキレート化剤は、金属イオンと複合体を形成して金属イオンを溶媒から取り除き、粘膜経由のシグナルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物およびmmRNAの吸収が強化される結果を伴う化合物として定義され得る。本発明における透過エンハンサーとしての使用に関して、キレート化剤はDNase阻害剤としても役立ち得る追加的な効果を有し、なぜなら、多くの特徴づけられたDNAヌクレアーゼは、触媒作用のために二価金属イオンを必要とし、こうしてキレート化剤によって阻害されるからである(Jarrett,J.Chromatogr.,1993,618,315−339)。本発明のキレート化剤としては、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム(EDTA)、クエン酸、サリチレート(例えばサリチル酸ナトリウム、5−メトキシサリチレートおよびホモバニレート)、コラーゲンのN−アシル誘導体、ラウレス−9およびベータ−ジケトン(エナミン)のN−アミノアシル誘導体が挙げられるが、これらに限定されない(Lee et al.,Critical Reviews in Therapeutic Drug Carrier Systems,1991,page 92;Muranishi,Critical Reviews in Therapeutic Drug Carrier Systems,1990,7,1−33;Buur
et al.,J. Control Rel.,1990,14,43−51)。
非キレート化非界面活性剤
本明細書で使用される非キレート化非界面活性剤透過強化性化合物は、キレート化剤または界面活性剤としては取るに足らない活性を示すが、それにも関わらず、消化の粘膜経由のシグナルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物およびmmRNAの吸収を強化する化合物として定義され得る(Muranishi,Critical Reviews in Therapeutic Drug Carrier Systems,1990,7,1−33)。このクラスの透過エンハンサーとしては、不飽和環状尿素、1−アルキル−および1−アルケニルアザシクロ−アルカノン誘導体(Lee et al.,Critical Reviews in Therapeutic Drug Carrier Systems,1991,page 92);ならびに、ジクロフェナクナトリウム、インドメタシンおよびフェニルブタゾンといった非ステロイド性抗炎症剤が挙げられるが、これらに限定されない(Yamashita et al.,J.Pharm.Pharmacol.,1987,39,621−626)。
細胞レベルでシグナルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物およびmmRNAの取り込みを強化する剤も、本発明の薬剤および他の組成物に添加してもよい。例えば、リポフェクチンといったカチオン性脂質(Junichi et al.,U.S.Pat.No.5,705,188)、カチオン性グリセロール誘導体およびポリリジンといったポリカチオン性分子(Lollo et al.,PCT国際公開第WO 97/30731号)も、シグナルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物およびmmRNAの細胞の取り込みを強化することで知られている。
他の剤を用いて投与するシグナルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物およびmmRNAの透過を強化し得、例えば、エチレングリコールおよびプロピレングリコールといったグリコール、2−ピロールといったピロール、アゾン、リモネンおよびメントンといったテルペンが挙げられる。
デポー投与
本明細書に記載されるように、いくつかの実施形態において、組成物は、持続放出のためのデポー中に製剤化される。一般に、具体的な器官または組織(「標的組織」)が、投与のための標的とされる。
本発明のいくつかの態様において、シグナルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物、またはmmRNAは、標的組織内またはその近位で空間的に保持される。標的組織(1つ以上の標的細胞を含有する)を組成物と、組成物、特に組成物の核酸構成成分(複数可)が標的組織内に実質的に保持される、つまり、組成物の少なくとも10、20、30、40、50、60、70、80、85、90、95、96、97、98、99、99.9、99.99、または99.99%超が標的組織内に保持されるような条件下で接触させることによって、組成物を哺乳類対象の標的組織に提供する方法が提供される。有利なことに、保持は、1つ以上の標的細胞に進入する、組成物中に存在する核酸の量を測定することによって決定される。例えば、投与の一定期間後に、対象に投与される核酸の少なくとも1、5、10、20、30、40、50、60、70、80、85、90、95、96、97、98、99、99.9、99.99、または99.99%超が、細胞内に存在する。例えば、哺乳類対象への筋肉内注入が、リボ核酸および形質移入試薬を含有する水性組成物を用いて行われ、組成物の保持は、筋肉細胞内に存在するリボ核酸の量を測定することによって決定される。
本発明の態様は、標的組織(1つ以上の標的細胞を含有する)を組成物と、組成物が標的組織内に実質的に保持されるような条件下で接触させることによって、組成物を哺乳類対象の標的組織に提供する方法を対象とする。組成物は、目的とするポリペプチドが少なくとも1つの標的細胞内で産生されるように、有効量のシグナルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物、またはmmRNAを含有する。組成物は一般に、細胞透過剤、および薬学的に許容される担体を含有するが、「ネイキッド」核酸(細胞透過剤または他の薬剤を含まない核酸等)もまた企図される。
いくつかの状況において、組織内の細胞によって産生される腫瘍学関連タンパク質の量は、望ましくは増加される。好ましくは、腫瘍学関連タンパク質産生のこの増加は、標的組織内の細胞に空間的に制限される。したがって、哺乳類対象の組織内における目的とする腫瘍学関連タンパク質の産生を増加させる方法が提供される。標的組織の既定体積内に含有される細胞の実質的な割合(%)において目的とするポリペプチドを産生するように組成物の単位量が決定されていることで特徴付けられる、シグナルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物、またはmmRNAを含有する組成物が提供される。
いくつかの実施形態において、組成物は、複数の異なるシグナルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物、またはmmRNAを含み、このシグナルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物、またはmmRNAのうちの1つ以上が目的とする腫瘍学関連ポリペプチドをコードする。任意に、組成物は、組成物の細胞内送達を補助するための細胞透過剤も含有する。標的組織の既定体積内に含有される細胞のかなりの割合(%)において目的とする腫瘍学関連ポリペプチドを産生する(一般に、既定体積に隣接した、または標的組織に遠位の組織において、目的とする腫瘍学関連ポリペプチドの大幅な産生を誘導することなく)のに必要とされる組成物の用量の決定が行われる。この決定に次いで、決定された用量が哺乳類対象の組織に直接導入される。
一実施形態において、本発明は、1回を超える注入でまたは分割用量注入によって送達される対象となるシグナルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物、またはmmRNAを提供する。
一実施形態において、本発明は、小型の使い捨て薬物リザーバまたはパッチポンプを用いて、標的組織の付近で保持されてもよい。パッチポンプの非限定的な例としては、BD(登録商標)(Franklin Lakes,NJ)、Insulet Corporation(Bedford,MA)、SteadyMed Therapeutics(San Francisco,CA)、Medtronic(Minneapolis,MN)、UniLife(York,PA)、Valeritas(Bridgewater,NJ)、およびSpringLeaf Therapeutics(Boston,MA)によって製造および/または販売されるものが挙げられる。
肺投与
薬学的組成物は、口腔を介した肺投与に好適な製剤中に調製され、パッケージ化され、かつ/または販売されてもよい。そのような製剤は、活性成分を含み、かつ約0.5nm〜約7nmまたは約1nm〜約6nmの範囲の直径を有する、乾燥粒子を含んでもよい。そのような組成物は、好適には、噴射剤の流れが粉末を分散するようにそこに向けられ得る乾燥粉末リザーバを含むデバイスを用い、かつ/または密封容器中の低沸点噴射剤中に溶解および/もしくは懸濁させた活性成分を含むデバイス等の自己噴射溶媒/粉末分与容器を用いた投与のために、乾燥粉末の形態にある。そのような粉末は、粒子の少なくとも98重量%が0.5nm超の直径を有し、粒子の少なくとも95%(数量)が7nm未満の直径を有する、粒子を含む。あるいは、粒子の少なくとも95重量%は、1nm超の直径を有し、粒子の少なくとも90%(数量)は、6nm未満の直径を有する。乾燥粉末組成物は、糖等の固体微粉末希釈剤を含んでもよく、それは単位用量形態で好都合に提供される。
低沸点噴射剤には一般に、大気圧で65°F(約18.3℃)を下回る融点を有する液体噴射剤が含まれる。一般に、噴射剤は、組成物の50w/wv%〜99.9w/wv%を構成し得、活性成分は、組成物の0.1w/w%〜20w/w%を構成し得る。噴射剤は、液体非イオン性および/もしくは固体アニオン性界面活性剤ならびに/または固体希釈剤(活性成分を含む粒子と同じ規模の粒径を有し得る)等のさらなる成分をさらに含んでもよい。
肺送達のために製剤化される薬学的組成物は、溶液および/または懸濁液の液滴の形態で活性成分を提供してもよい。そのような製剤は、任意に滅菌された、活性成分を含む、水性および/または希釈アルコール溶液および/または懸濁液として調製され、パッケージ化され、かつ/または販売されてもよく、好都合に、任意の噴霧および/または微粒化デバイスを用いて投与され得る。そのような製剤は、サッカリンナトリウム等の香味剤、揮発性油、緩衝剤、界面活性剤、および/または安息香酸メチルヒドロキシ等の防腐剤を含むが、これらに限定されない1つ以上のさらなる成分をさらに含んでもよい。この投与経路によって提供される液滴は、約0.1nm〜約200nmの範囲の平均直径を有し得る。
鼻腔内、経鼻、および頬側投与
肺送達に有用であるとして本明細書に記載される製剤は、薬学的組成物の鼻腔内送達に有用である。鼻腔内投与に好適な別の製剤は、活性成分を含み、約0.2μm〜500μmの平均粒子を有する、粗粉である。そのような製剤は、鼻からの吸入が行われる様態で、すなわち、鼻に近接して保持された粉末の容器からの鼻孔を通じた急速な吸入によって、投与される。
経鼻投与に好適な製剤は、例えば、最少約0.1w/w%〜最大100w/wv%の活性成分を含んでもよく、本明細書に記載のさらなる成分のうちの1つ以上を含んでもよい。薬学的組成物は、頬側投与に好適な製剤中に調製され、パッケージ化され、かつ/または販売されてもよい。そのような製剤は、例えば、従来の方法を用いて作製される錠剤および/またはロゼンジの形態にあってもよく、また、例えば、0.1w/w%〜20w/w%の活性成分であってもよく、残りが経口的に溶解性および/または分解性の組成物、ならびに任意に、本明細書に記載のさらなる成分のうちの1つ以上を含む。代わりに、頬側投与に好適な製剤は、活性成分を含む、粉末ならびに/またはエアロゾル化および/もしくは微粒化溶液および/もしくは懸濁液を含んでもよい。そのような粉末化、エアロゾル化、および/またはエアロゾル化製剤は、分散されるとき、約0.1nm〜約200nmの範囲の平均粒径および/または液滴径を有し得、本明細書に記載の任意のさらなる成分のうちの1つ以上をさらに含んでもよい。
眼内投与
薬学的組成物は、眼内投与に好適な製剤中に調製され、パッケージ化され、かつ/または販売されてもよい。そのような製剤は、例えば、水性または油性液体賦形剤中に、例えば、0.1/1.0w/w%の活性成分の溶液および/または懸濁液を含む、点眼の形態にあってもよい。そのような液滴は、緩衝剤、塩、および/または本明細書に記載の任意のさらなる成分のうちのもう1つ以上をさらに含んでもよい。有用である他の眼内投与可能な製剤には、微小結晶形態でおよび/またはリポソーム調製物中に活性成分を含むものが含まれる。点耳および/または点眼は、本発明の範囲内にあるものとして企図される。
ペイロード投与:検出可能な薬剤および治療剤
本明細書に記載のシグナルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物、またはmmRNAは、物質(「ペイロード」)の生体標的への送達、例えば、標的の検出のための検出可能な物質の送達、または治療剤の送達が所望される、いくつかの異なるシナリオにおいて使用することができる。検出方法には、インビトロ画像法およびインビボ画像法の両方、例えば、免疫組織化学、生物発光画像法(BLI)、磁気共鳴画像法(MRI)、ポジトロン放出断層撮影法(PET)、電子顕微鏡法、X線コンピュータ断層撮影法、ラマン画像法、光干渉断層撮影法、吸収画像法、熱画像法、蛍光反射画像法、蛍光顕微鏡法、蛍光分子トモグラフィー画像法、核磁気共鳴画像法、X線画像法、超音波画像法、光音響画像法、研究室アッセイ、またはタギング/染色/画像法が必要とされる任意の状況における方法が含まれ得るが、これらに限定されない。
シグナルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物、またはmmRNAは、任意の有用な定位でリンカーおよびペイロードの両方を含むように設計することができる。例えば、2つの末端を有するリンカーを用いて、デアザ−アデノシンもしくはデアザ−グアノシンのC−7もしくはC−8位において、またはシトシンもしくはウラシルのN−3もしくはC−5位に等、一方の末端がペイロードに、および他方の末端が核酸塩基に結合される。本発明のシグナルセンサーポリヌクレオチドは、1つを超えるペイロード(例えば、標識および転写阻害剤)、ならびに切断可能リンカーを含むことができる。一実施形態において、修飾ヌクレオチドは、切断可能リンカーの一方の末端が7−デアザ−アデニンのC7位に結合され、リンカーの他方の末端が阻害剤(例えば、シチジン上の核酸塩基のC5位)に結合され、標識(例えば、Cy5)がリンカーの中心に結合される、修飾7−デアザ−アデノシン三リン酸塩である(例えば、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第7,994,304号の図5におけるA*pCp C5 Parg Caplessの化合物1ならびに第9および10欄を参照のこと)。修飾7−デアザ−アデノシン三リン酸塩がコード領域へと組み込まれると、結果として生じる切断可能リンカーを有するシグナルセンサーポリヌクレオチドは、標識および阻害剤(例えば、ポリメラーゼ阻害剤)に結合される。リンカーが切断されると(例えば、切断可能ジスルフィド部分を有するリンカーを還元するための還元条件により)、標識および阻害剤が放出される。さらなるリンカーおよびペイロード(例えば、治療剤、検出可能な標識、および細胞透過性ペイロード)が本明細書に記載される。
例えば、本明細書に記載のシグナルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物、またはmmRNAは、人工多能性幹細胞(iPS細胞)を再プログラミングするのに使用することができ、それによりクラスター中の総細胞と比較して、形質移入される細胞を直接追跡することができる。別の例において、リンカーを介してシグナルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物、またはmmRNAに結合され得、また蛍光標識され得る薬物を用いて、薬物をインビボで、例えば、細胞内で追跡することができる。他の例としては、細胞内への可逆的な薬物送達におけるシグナルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物、またはmmRNAの使用が挙げられるが、これらに限定されない。
本明細書に記載のシグナルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物、またはmmRNAは、ペイロード、例えば、検出可能な薬剤または治療剤の、特定の細胞小器官への細胞内標的化において使用することができる。例示の細胞内標的には、高度なmRNAプロセシングのための核局在化、または阻害剤を含有するmRNAに連結された核局在化配列(NLS)が含まれ得るが、これらに限定されない。
さらに、本明細書に記載のシグナルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物、またはmmRNAを用いて、例えば、生存動物において、治療剤を細胞または組織に送達することができる。例えば、本明細書に記載のシグナルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物、またはmmRNAを用いて、癌細胞を死滅させるために高極性化学療法剤を送達することができる。リンカーを介して治療剤に結合されるシグナルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物、またはmmRNAは、部材の透過を容易にすることにより、治療剤が細胞内に移動して細胞内標的に到達することを可能にし得る。
別の例において、シグナルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物、またはmmRNAは、切断可能リンカーを介してポリヌクレオチド、一次構築物、またはmmRNAウイルス阻害性ペプチド(VIP)に結合され得る。切断可能リンカーは、VIPおよび色素を細胞内に放出することができる。別の例において、シグナルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物、またはmmRNAは、リンカーを介して、コレラ毒素、ジフテリア毒素、および百日咳毒素等のいくつかの細菌毒素の作用に関与する、ADP−リボシレートに結合され得る。これらの毒素タンパク質は、ヒト細胞において標的タンパク質を修飾するADP−リボシルトランスフェラーゼである。例えば、コレラ毒素ADP−リボシレートGタンパク質は、致命的な下痢をもたらす、小腸の内壁からの大量の体液分泌を引き起こすことによって、ヒト細胞を変性させる。
いくつかの実施形態において、ペイロードは、細胞毒、放射性イオン、化学療法剤、または他の治療剤等の治療剤であってもよい。細胞毒または細胞傷害性薬剤には、細胞に有害であり得るいずれの薬剤も含まれる。例としては、タキソール、サイトカラシンB、グラミシジンD、臭化エチジウム、エメチン、マイトマイシン、エトポシド、テニポシド、ビンクリスチン、ビンブラスチン、コルヒチン、ドキソルビシン、ダウノルビシン、ジヒドロキシアントラセンジオン(dihydroxyanthracinedione)、ミトキサントロン、ミトラマイシン、アクチノマイシンD、1−デヒドロテストステロン(dehydrotestosterone)、糖質コルチコイド、プロカイン、テトラカイン、リドカイン、プロプラノロール、ピューロマイシン、マイタンシノイド、例えば、マイタンシノール(参照により全体が本明細書に組み込まれる、米国特許第5,208,020号)、ラケルマイシン(CC−1065、すべてが参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第5,475,092号、同第5,585,499号、および同第5,846,545号を参照のこと)、ならびにこれらの類似体または相同体が挙げられるが、これらに限定されない。放射性イオンには、ヨウ素(例えば、ヨウ素125またはヨウ素131)、ストロンチウム89、リン、パラジウム、セシウム、イリジウム、リン酸塩、コバルト、イットリウム90、サマリウム153、およびプラセオジミウムが含まれるが、これらに限定されない。他の治療剤には、代謝拮抗薬(例えば、メトトレキサート、6−メルカプトプリン、6−チオグアニン、シタラビン、5−フルオロウラシルダカルバジン(decarbazine))、アルキル化剤(例えば、メクロレタミン、チオテパクロラムブシル、ラケルマイシン(CC−1065)、メルファラン、カルムスチン(BSNU)、ロムスチン(CCNU)、シクロホスファミド、ブスルファン、ジブロモマンニトール、ストレプトゾトシン、マイトマイシンC、およびcis−ジクロロジアミン白金(II)(DDP)シスプラチン)、アントラサイクリン(例えば、ダウノルビシン(かつてはダウノマイシン)およびdオキソルビシン)、抗生物質(例えば、ダクチノマイシン(かつてはアクチノマイシン)、ブレオマイシン、ミトラマイシン、およびアントラマイシン(AMC))、および抗有糸分裂剤(例えば、ビンクリスチン、ビンブラスチン、タキソール、およびマイタンシノイド)が含まれるが、これらに限定されない。
いくつかの実施形態において、ペイロードは、種々の有機小分子、無機化合物、ナノ粒子、酵素もしくは酵素基質、蛍光物質、発光物質(例えば、ルミノール)、生物発光物質(例えば、ルシフェラーゼ、ルシフェリン、およびイクオリン)、化学発光物質、放射性物質(例えば、18F、67Ga、81mKr、82Rb、111In、123I、133Xe、201Tl、125I、35S、14C、3H、またはr99mTc(例えば、過テクネチウム酸塩(テクネチウム酸塩(VII)、TcO4−として)、および造影剤(例えば、金(例えば、金ナノ粒子)、ガドリニウム(例えば、キレート化Gd)、酸化鉄(例えば、超常磁性酸化鉄(SPIO)、単結晶酸化鉄ナノ粒子(MION)、および極小超常磁性酸化鉄(USPIO)、マンガンキレート(例えば、Mn−DPDP)、硫酸バリウム、ヨード系造影剤媒体(イオヘキソール(Iohexol))、微小気泡、またはペルフルオロ炭素)等の検出可能な薬剤であり得る。そのような光検出可能な標識には、例えば、制限なく、4−アセトアミド−4’−イソチオシアン酸スチルベン−2,2’ジスルホン酸;アクリジンおよび誘導体(例えば、アクリジンおよびアクリジンイソチオシアネート);5−(2’−アミノエチル)アミノナフタレン−1−スルホン酸(EDANS);4−アミノ−N−[3−ビニルスルホニル)フェニル]ナフタルイミド−3,5ジスルホン酸塩;N−(4−アニリノ−1−ナフチル)マレイミド;アントラニルアミド;BODIPY;ブリリアントイエロー;クマリンおよび誘導体(例えば、クマリン、7−アミノ−4−メチルクマリン(AMC、クマリン120)、および7−アミノ−4−トリフルオロメチルクマリン(クマリン151);シアニン色素;シアノシン;4’,6−ジアミジノ−2−フェニルインドール(DAPI);5’5”−ジブロモピロガロール−スルホナフタレン(naphthalein)(ブロモピロガロールレッド);7−ジエチルアミノ−3−(4’−イソチオシアン酸フェニル)−4−メチルクマリン;ジエチレントリアミン五酢酸塩;4,4’−ジイソチオシアン酸ジヒドロ−スチルベン−2,2’−ジスルホン酸;4,4’−ジイソチオシアン酸スチルベン−2,2’−ジスルホン酸;5−[ジメチルアミノ]−ナフタレン−1−スルホニルクロリド(DNS、ダンシルクロリド);4−ジメチルアミノフェニルアゾフェニル−4’−イソチオシアネート(DABITC);エオシンおよび誘導体(例えば、エオシンおよびエオシンイソチオシアネート);エリスロシンおよび誘導体(例えば、エリスロシンBおよびエリスロシンイソチオシアネート);エチジウム;フルオロセインおよび誘導体(例えば、5−カルボキシフルオロセイン(FAM)、5−(4,6−ジクロロトリアジン−2−イル)アミノフルオロセイン(DTAF)、2’,7’−ジメトキシ−4’5’−ジクロロ−6−カルボキシフルオロセイン、フルオロセイン、フルオロセインイソチオシアネート、X−ローダミン−5−(および−6)−イソチオシアネート(QFITCまたはXRITC)、およびフルオレスカミン);2−[2−[3−[[1,3−ジヒドロ−1,1−ジメチル−3−(3−スルホプロピル)−2H−ベンズ[e]インドール−2−イリデン]エチリデン]−2−[4−(エトキシカルボニル)−1−ピペラジニル]−1−シクロペンテン−1−イル]エテニル]−1,1−ジメチル−3−(3−スルホプロピル(sulforpropyl))−1H−ベンズ[e]インドリウム水酸化物、分子内塩、n,n−ジエチルエタンアミン(1:1)(IR144)との化合物;5−クロロ−2−[2−[3−[(5−クロロ−3−エチル−2(3H)−ベンゾチアゾール−イリデン)エチリデン]−2−(ジフェニルアミノ)−1−シクロペンテン−1−イル]エテニル]−3−エチルベンゾチアゾリウム過塩素酸塩(IR140);マラカイトグリーンイソチオシアネート;4−メチルウンベリフェロンオルトクレゾールフタレイン;ニトロチロシン;パラローザニリン;フェノールレッド;B−フィコエリトリン;o−フタルジアルデヒド;ピレンおよび誘導体(例えば、ピレン、酪酸ピレン、およびスクシンイミジル1−ピレン);酪酸塩量子ドット;リアクティブレッド4(CIBACRON(商標)ブリリアントレッド3B−A);ローダミンおよび誘導体(例えば、6−カルボキシ−X−ローダミン(ROX)、6−カルボキシローダミン(R6G)、リサミンローダミンBスルホニルクロリドローダミン(rhodarnine)(Rhod)、ローダミンB、ローダミン123、ローダミンXイソチオシアネート、スルホローダミンB、スルホローダミン101、スルホローダミン101のスルホニルクロリド誘導体(テキサスレッド)、N,N,N’,N’テトラメチル−6−カルボキシローダミン(TAMRA)テトラメチルローダミン、およびテトラメチルローダミンイソチオシアネート(TRITC);リボフラビン;ロゾール酸;テルビウムキレート誘導体;シアニン−3(Cy3);シアニン−5(Cy5);シアニン−5.5(Cy5.5)、シアニン−7(Cy7);IRD 700;IRD 800;Alexa 647;La Jolta Blue;フタロシアニン;ならびにナフタロシアニンが含まれる。
いくつかの実施形態において、検出可能な薬剤は、活性化されると検出可能となる、検出不可能な前駆体(例えば、蛍光発生テトラジン−フルオロフォア構築物(例えば、テトラジン−BODIPY FL、テトラジン−オレゴングリーン488、またはテトラジン−BODIPY TMR−X)、または酵素により活性化可能な蛍光発生剤(例えば、PROSENSE(登録商標)(VisEn Medical))であってもよい。酵素標識組成物が使用され得るインビトロアッセイには、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、免疫沈降アッセイ、免疫蛍光法、酵素免疫アッセイ(EIA)、放射免疫アッセイ(RIA)、およびウェスタンブロット分析が含まれるが、これらに限定されない。
組み合わせ
シグナルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物、またはmmRNAは、1つ以上の他の治療剤、予防剤、診断剤、または撮像剤と組み合わせて使用されてもよい。「と組み合わせて」とは、薬剤が同時に投与されるかつ/または一緒に送達するために製剤化される必要があることを暗示するようには意図さないが、これらの送達方法は、本開示の範囲内にある。組成物は、1つ以上の他の所望の治療薬または医療処置と並行して、その前に、またはその後に投与することができる。一般に、各薬剤は、その薬剤のために決定された用量でおよび/または時間スケジュールに基づいて投与されるであろう。いくつかの実施形態において、本開示は、薬学的、予防的、診断的、または撮像組成物を、それらの生体利用能を改善し、それらの代謝を低減および/もしくは修飾し、それらの排泄を阻害し、かつ/またはそれらの体内分布を修飾し得る薬剤と組み合わせて、送達することを包含する。非限定的な例として、シグナルセンサー核酸またはmmRNAは、癌の治療のためまたは過剰増殖性細胞を制御するための医薬品と組み合わせて使用されてもよい。参照により全体が本明細書に組み込まれる米国特許第7,964,571号において、リポポリマーとともにインターロイキン−12をコードするDNAプラスミドを含む薬学的組成物を使用し、また少なくとも1つの抗癌剤または化学療法剤を投与する、原発性または転移性固形腫瘍の治療のための併用療法が記載される。さらに、抗増殖性分子をコードする本発明のシグナルセンサー核酸およびmmRNAは、リポポリマーとともに薬学的組成物中にあってもよい(例えば、抗増殖性分子をコードするDNAプラスミドおよびリポポリマーを含む薬学的組成物を特許請求する、参照により全体が本明細書に組み込まれる、米国公開第20110218231号を参照のこと)、それは少なくとも1つの化学療法剤または抗癌剤とともに投与され得る。
投薬
本発明は、本発明に従う修飾mRNAおよびそれらのコードされたタンパク質または複合体をそれを必要とする対象に投与することを含む方法を提供する。核酸、タンパク質、もしくは複合体、またはその薬学的、画像化、診断的、もしくは予防的組成物は、疾患、障害、および/または状態(例えば、記憶障害の取り組みに関連した疾患、障害、および/または状態)の予防、治療、診断、または画像化に有効な任意の量および任意の投与経路を用いて対象に投与することができる。必要とされる正確な量は、対象の種、年齢、および全身状態、疾患の重症度、特定の組成物、その投与方法、その活性方法等に応じて、対象によって異なる。本発明に従う組成物は、投与を容易にし、かつ投薬量を均一にするために、典型的には、単位剤形で製剤化される。しかしながら、本発明の組成物の総1日使用量は、適切な医学的判断の範囲内で担当医によって決定されてもよいことが理解される。任意の特定の患者の特定の治療上有効、予防上有効、または適切な画像化用量レベルは、治療される障害および障害の重症度;用いられる特定の化合物の活性;用いられる特定の組成物;患者の年齢、体重、全体的な健康状態、性別、および食生活;投与時間、投与経路、および用いられる特定の化合物の排泄速度;治療の持続期間;用いられる特定の化合物と組み合わせて、またはそれと同時に使用される薬物;医学分野で周知の要素等を含む様々な要素に依存する。
ある特定の実施形態において、本発明に従う組成物は、所望の治療的、診断的、予防的、または画像効果を得るために、1日当たり約0.0001mg/kg〜約100mg/kg、約0.001mg/kg〜約0.05mg/kg、約0.005mg/kg〜約0.05mg/kg、約0.001mg/kg〜約0.005mg/kg、約0.05mg/kg〜約0.5mg/kg、約0.01mg/kg〜約50mg/kg、約0.1mg/kg〜約40mg/kg、約0.5mg/kg〜約30mg/kg、約0.01mg/kg〜約10mg/kg、約0.1mg/kg〜約10mg/kg、または約1mg/kg〜約25mg/kg(対象の体重)を1日1回以上送達するのに十分な投薬量レベルで投与され得る。所望の投薬量は、1日3回、1日2回、1日1回、1日おきに、2日おきに、週1回、2週間に1回、3週間に1回、または4週間に1回送達されてもよい。ある特定の実施形態において、所望の投薬量は、複数回の投与(例えば、2回、3回、4回、5回、6回、7回、8回、9回、10回、11回、12回、13回、14回以上の投与)によって送達されてもよい
本発明に従って、分割用量レジメンでのmmRNAの投与が哺乳類対象においてより高いレベルのタンパク質を産生することが見出されている。本明細書で使用されるとき、「分割用量」とは、単回単位用量または総1日用量の2つ以上の用量、例えば、単回単位用量の2回以上の投与への分割である。本明細書で使用されるとき、「単回単位用量」とは、1回用量で/一度に/単一経路で/単一接触点で、すなわち、単回投与事象で投与される任意の治療薬の用量である。本明細書で使用されるとき、「総1日用量」は、24時間内に所与または処方される量である。これは、単回単位用量として投与されてもよい。一実施形態において、本発明のmmRNAは、分割用量で対象に投与される。mmRNAは、緩衝液のみまたは本明細書に記載の製剤中で製剤化されてもよい。
剤形
本明細書に記載の薬学的組成物は、局所、鼻腔内、気管内、または注入用(例えば、静脈内、眼内、硝子体内、筋肉内、心臓内、腹腔内、皮下)等の本明細書に記載の剤形に製剤化され得る。
液体剤形
非経口投与用の液体剤形には、薬学的に許容されるエマルション、マイクロエマルション、溶液、懸濁液、シロップ、および/またはエリキシルが含まれるが、これらに限定されない。活性成分に加えて、液体剤形は、水または他の溶媒、可溶化剤および乳化剤、例えば、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジメチルホルムアミド、油(具体的には、綿実油、ラッカセイ油、トウモロコシ、胚芽油、オリーブ油、ヒマシ油、およびゴマ油)、グリセロール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ソルビタンポリエチレングリコールおよび脂肪酸エステル、ならびにこれらの混合物を含むが、これらに限定されない当技術分野で一般に使用される不活性希釈剤を含んでもよい。非経口投与についてのある特定の実施形態において、組成物は、可溶化剤、例えば、CREMOPHOR(登録商標)、アルコール、油、修飾油、グリコール、ポリソルベート、シクロデキストリン、ポリマー、および/またはこれらの組み合わせと混合されてもよい。
注入物
注入用調製物、例えば、滅菌注入用水性または油性懸濁液は、既知の技術に従って製剤化されてもよく、好適な分散化剤、湿潤剤、および/または懸濁化剤を含んでもよい。滅菌注入用調製物は、非毒性の非経口的に許容される希釈剤および/または溶媒、例えば、1,3−ブタンジオール溶液中の滅菌注入用溶液、懸濁液、および/またはエマルションであり得る。用いられ得る許容されるビヒクルおよび溶媒の中には、水、リンガー溶液、U.S.P.、および等張性塩化ナトリウム溶液が含まれるが、これらに限定されない。無刺激固定油が溶媒または懸濁化媒体として慣習的に用いられる。この目的のために、合成モノグリセリドまたはジグリセリドを含む任意の無刺激固定油が用いられ得る。オレイン酸等の脂肪酸が注入物の調製において使用され得る。
注入用製剤は、例えば、細菌保持フィルターを通した濾過によって、かつ/または使用前に滅菌剤を滅菌水または他の滅菌注入用媒体中に溶解もしくは分散され得る滅菌固体組成物の形態で組み込むことによって滅菌され得る。
活性成分の効果を長引かせるために、皮下または筋肉内注入からの活性成分の吸収を遅延させることが所望され得る。これは、水への溶解度が低い結晶質または非晶質材料の液体懸濁液の使用によって遂行されてもよい。その後、シグナルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物、またはmmRNAの吸収速度は、その溶解速度に依存し、次いで、結晶の大きさおよび結晶形態に依存し得る。あるいは、非経口的に投与されたシグナルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物、またはmmRNAの遅延吸収は、シグナルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物、またはmmRNAを油ビヒクル中に溶解または懸濁させることによって遂行され得る。注入用デポー形態は、シグナルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物、またはmmRNAのマイクロカプセルマトリックスを、ポリラクチド−ポリグリコリド等の生分解性ポリマー中に形成することによって作製される。シグナルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物、またはmmRNAとポリマーとの比率、および用いられる特定のポリマーの性質に応じて、シグナルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物、またはmmRNAの放出速度を調節することができる。他の生分解性ポリマーの例としては、ポリ(オルトエステル)およびポリ(無水物)が挙げられるが、これらに限定されない。デポー注入用製剤は、シグナルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物、またはmmRNAを、身体組織と適合性のリポソームまたはマイクロエマルション中に封入することによって調製されてもよい。
肺
肺送達に有用であるとして本明細書に記載される製剤は、薬学的組成物の鼻腔内送達にも使用され得る。鼻腔内投与に好適な別の製剤は、活性成分を含み、約0.2μm〜500μmの平均粒子を有する粗粉であってもよい。そのような製剤は、鼻からの吸入が行われる様態で、すなわち鼻に近接して保持された粉末の容器からの鼻孔を通じた急速な吸入によって投与されてもよい。
経鼻投与に好適な製剤は、例えば、最少約0.1w/w%〜最大100w/w%の活性成分を含んでもよく、本明細書に記載のさらなる成分のうちの1つ以上を含んでもよい。薬学的組成物は、頬側投与に好適な製剤中に調製され、パッケージ化され、かつ/または販売されてもよい。そのような製剤は、例えば、従来の方法を用いて作製される錠剤および/またはロゼンジの形態であってもよく、例えば、約0.1w/w%〜20w/w%の活性成分を含有してもよく、この平衡物は、経口溶解性および/または分解性組成物と、任意に、本明細書に記載のさらなる成分のうちの1つ以上とを含んでもよい。代わりに、頬側投与に好適な製剤は、活性成分を含む、粉末ならびに/またはエアロゾル化および/もしくは微粒化溶液および/もしくは懸濁液を含んでもよい。そのような粉末化、エアロゾル化、および/またはエアロゾル化製剤は、分散されるとき、約0.1nm〜約200nmの範囲の平均粒径および/または液滴径を有し得、本明細書に記載の任意のさらなる成分のうちの1つ以上をさらに含んでもよい。
医薬品の製剤および/または製造における一般の考慮事項は、例えば、Remington:Science and Practice of Pharmacy21sted.,Lippincott Williams & Wilkins,2005において見出され得る(参照により本明細書に組み込まれる)。
コーティング剤またはシェル
錠剤、糖衣錠、カプセル、丸剤、および顆粒の固体剤形を、コーティング剤およびシェル、例えば、腸溶性コーティング剤および医薬品製剤化分野で周知の他のコーティング剤で調製することができる。それらは、任意に、乳白剤を含んでもよく、それらが、腸管のある特定の部分において、任意に、遅延様式で、活性成分(複数可)のみを放出するか、またはそれを優先的に放出する組成物であり得る。使用することができる包埋組成物の例としては、ポリマー物質およびワックスが挙げられる。同様の種類の固体組成物は、そのような賦形剤をラクトースまたは乳糖、ならびに高分子量ポリエチレングリコール等として使用した軟質および硬質充填ゼラチンカプセル中の充填剤として用いてもよい。
薬学的組成物の特性
本明細書に記載の薬学的組成物は、生物学的利用能、治療域、および/または分布量のうちの1つ以上によって特徴付けられ得る。
生物学的利用能
シグナルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物、またはmmRNAは、本明細書に記載の送達剤で組成物に製剤化されるとき、本明細書に記載の送達剤を欠いた組成物と比較して、生物学的利用能の増加を呈し得る。本明細書で使用されるとき、「生物学的利用能」という用語は、哺乳動物に投与されるシグナルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物、またはmmRNAの所与の量の全身利用能を指す。生物学的利用能は、化合物を哺乳動物に投与した後に、変化していない形態の化合物の曲線下面積(AUC)または最大血清または血漿濃度(Cmax)を測定することによって評価され得る。AUCは、縦座標(Y軸)に沿った化合物の血清または血漿濃度を横座標(X軸)に沿った時間に対してプロットした曲線下面積の決定である。一般に、特定の化合物のAUCは、当業者に既知の方法、および参照により本明細書に組み込まれるG.S.Banker,Modern Pharmaceutics,Drugs and the Pharmaceutical Sciences,v.72,Marcel Dekker,New York,Inc.,1996に記載の方法を用いて算出され得る。
Cmax値は、化合物を哺乳動物に投与した後に哺乳動物の血清または血漿において達成される化合物の最大濃度である。特定の化合物のCmax値は、当業者に既知の方法を用いて測定され得る。「生物学的利用能の増加」または「薬物動態の改善」という表現は、哺乳動物においてAUC、Cmax、またはCminとして測定された第1のシグナルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物、またはmmRNAの全身利用能が、本明細書に記載の送達剤と共投与された場合、本明細書に記載の送達剤との共投与が行われない場合よりも高いことを意味する。いくつかの実施形態において、シグナルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物、またはmmRNAの生物学的利用能は、少なくとも約2%、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または約100%増加し得る。
治療域
シグナルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物、またはmmRNAは、本明細書に記載の送達剤で組成物に製剤化されるとき、本明細書に記載の送達剤を欠いた投与されたシグナルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物、またはmmRNA組成物の治療域と比較して、投与されたシグナルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物、またはmmRNA組成物の治療域の増加を呈し得る。本明細書で使用されるとき、「治療域」は、治療的効果を誘発する可能性の高い、血漿濃度の範囲、または作用部位における治療上活性物質のレベルの範囲を指す。いくつかの実施形態において、シグナルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物、またはmmRNAの治療域は、本明細書に記載の送達剤と共投与されるとき、少なくとも約2%、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または約100%増加し得る。
分布量
シグナルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物、またはmmRNAは、本明細書に記載の送達剤で組成物に製剤化されるとき、本明細書に記載の送達剤を欠いた組成物と比較して、分布量(Vdist)の改善、例えば、低減または標的化を呈し得る。分布量(Vdist)は、体内の薬物の量を血液または血漿中の薬物の濃度と関連付ける。本明細書で使用されるとき、「分布量」という用語は、血液または血漿中の濃度と同一の濃度で体内の薬物の総量を含有するよう要求される液量を指し、Vdistは、体内の薬物の量/血液または血漿中の薬物の濃度に等しい。例えば、用量10mgおよび血漿濃度10mg/Lの場合、分布量は、1リットルである。分布量は、薬物が血管外組織に存在する程度を反映する。大量の分布量は、血漿タンパク質結合と比較して組織構成成分に結合する化合物の傾向を反映する。臨床現場において、Vdistを用いて負荷用量を決定し、定常状態濃度を達成することができる。いくつかの実施形態において、シグナルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物、またはmmRNAの分布量は、本明細書に記載の送達剤と共投与されるとき、少なくとも約2%、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%減少し得る。
生物学的効果
一実施形態において、動物に送達されるシグナルセンサー修飾mRNAの生物学的効果は、動物におけるタンパク質発現を分析することによって分類され得る。タンパク質発現は、本発明のシグナルセンサー修飾mRNAを投与した哺乳動物から収集された生体試料を分析することによって決定され得る。一実施形態において、哺乳動物に投与されるシグナルセンサー修飾mRNAによってコードされた少なくとも50pg/mLの発現タンパク質が好ましくあり得る。例えば、哺乳動物に送達されるシグナルセンサー修飾mRNAによってコードされるタンパク質の50〜200pg/mLの発現タンパク質が、哺乳動物における治療上有効量のタンパク質と見なされ得る。
質量分析による修飾核酸の検出
質量分析(MS)は、分子のイオン変換後の分子の構造質量および分子量/濃度情報を提供することができる分析的技法である。分子は、最初に、イオン化されて正電荷または負電荷を得て、次いで、それらは、質量分析器を通って移動して、それらの質量/電荷(m/z)比に従って検出器の異なる領域に到達する。
質量分析は、分画された試料をイオン化し、かつさらなる分析のために荷電分子を作成するためのイオン源を含む質量分析計を用いて行われる。例えば、試料のイオン化は、エレクトロスプレーイオン化(ESI)、大気圧化学イオン化(APCI)、光イオン化、電子イオン化高速原子衝撃(FAB)/液体二次イオン化(LSIMS)、マトリックス支援レーザー脱離/イオン化(MALDI)、電界イオン化、電界脱離、サーモスプレー/血漿スプレーイオン化、および粒子ビームイオン化によって実施され得る。当業者であれば、イオン化方法の選択が、測定される分析物、試料の種類、検出器の種類、正モードと負モードの選択等に基づいて決定され得ることを理解する。
試料がイオン化された後、その結果作成される正電荷イオンまたは負電荷イオンが分析されて、質量対電荷比(すなわち、m/z)を決定することができる。質量対電荷比の決定に好適な分析器には、四重極分析器、イオントラップ分析器、および飛行時間分析器が含まれる。イオンは、いくつかの検出モードを用いて検出され得る。例えば、選択されたイオンは、検出され得る(すなわち、選択的イオン監視モード(SIM)を用いて)か、またはあるいは、イオンは、走査モード、例えば、多重反応監視(MRM)もしくは選択反応監視(SRM)を用いて検出され得る。
ペプチド標準物の安定した同位体標識化希釈と連動した液体クロマトグラフィー−多重反応監視(LC−MS/MRM)が、タンパク質の検証に有効な方法であることが示されている(例えば、Keshishian et al.,Mol Cell Proteomics 2009 8:2339−2349、Kuhn et al.,Clin Chem 2009 55:1108−1117、Lopez et al.,Clin
Chem 2010 56:281−290)。バイオマーカー発見の研究で頻繁に用いられる標的化されていない質量分析とは異なり、標的化されたMS方法は、計器の完全な分析能力を複合体混合物中の何十〜何百もの選択されたペプチドに集中させるMSのペプチド配列に基づくモードである。検出および断片化を目的とするタンパク質に由来するペプチドのみに制限することによって、感受性および再現性は、発見モードのMS方法と比較して劇的に改善される。このタンパク質の質量分析に基づく多重反応監視(MRM)定量化方法は、臨床試料の迅速な標的化された多重化タンパク質発現プロファイリングを介してバイオマーカーの発見および定量化に劇的に影響を与えることができる。
一実施形態において、本発明の少なくとも1つの修飾mRNAによってコードされる少なくとも1つのタンパク質を含有し得る生体試料は、MRM−MS法によって分析され得る。生体試料の定量化は、内部標準物として同位体標識ペプチドまたはタンパク質をさらに含むことができるが、これらに限定されない。
本発明に従って、生体試料は、対象から得られた時点で、酵素消化に供されてもよい。本明細書で使用されるとき、「消化」という用語は、より短いペプチドに分裂することを意味する。本明細書で使用されるとき、「タンパク質を消化するために試料を処理する」という表現は、試料中のタンパク質を解体するような方法で試料を操作することを意味する。これらの酵素には、トリプシン、エンドプロテイナーゼGlu−C、およびキモトリプシンが含まれるが、これらに限定されない。一実施形態において、本発明の少なくとも1つの修飾mRNAによってコードされる少なくとも1つのタンパク質を含有し得る生体試料は、酵素を用いて消化され得る。
一実施形態において、本発明の修飾mRNAによってコードされるタンパク質を含有し得る生体試料は、エレクトロスプレーイオン化を用いてタンパク質について分析され得る。エレクトロスプレーイオン化(ESI)質量分析(ESIMS)は、それらが質量分析によって分析される前に溶液から気相へのイオンの移動を支援するために電気的エネルギーを用いる。試料は、当技術分野で既知の方法を用いて分析され得る(例えば、Ho et al.,Clin Biochem Rev.2003 24(1):3−12)。溶液に含有されるイオン種は、液滴の微粒スプレーを分散させ、溶媒を蒸発させ、高度に帯電した液滴の噴霧を生成するためにイオンを液滴から排出させることによって気相に移動し得る。高度に帯電した液滴の噴霧は、四重極質量分析器等であるが、これに限定されない、少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、または少なくとも4つの質量分析器を用いて分析され得る。さらに、質量分析法には、精製ステップが含まれ得る。非限定的な例として、第1の四重極は、単一m/z比を選択するように設定されてもよく、従って、異なるm/z比を有する他の分子イオンを濾去することができ、これは、MS分析前に複雑で時間のかかる試料精製手順を排除し得る。
一実施形態において、本発明の修飾mRNAによってコードされるタンパク質を含有し得る生体試料は、タンデムESIMS系(例えば、MS/MS)において、タンパク質について分析され得る。非限定的な例として、液滴は、産物スキャン(もしくは娘スキャン)、前駆体スキャン(親スキャン)、中性損失、または多重反応監視を用いて分析され得る。
一実施形態において、本発明の修飾mRNAによってコードされるタンパク質を含有し得る生体試料は、マトリックス支援レーザー脱離/イオン化(MALDI)質量分析(MALDIMS)を用いて分析され得る。MALDIは、タンパク質等の巨大分子および小分子の両方の非破壊蒸発およびイオン化を提供する。MALDI分析において、分析物は、最初に、紫外線吸収弱有機酸も含み得るが、これに限定されない高モル過剰のマトリックス化合物と共結晶化される。MALDIに用いられるマトリックスの非限定的な例としては、a−シアノ−4−ヒドロキシ桂皮酸、3,5−ジメトキシ−4−ヒドロキシ桂皮酸、および2,5−ジヒドロキシ安息香酸がある。分析物−マトリックス混合物のレーザー放射は、マトリックスおよび分析物の蒸発をもたらし得る。レーザー誘起脱離は、無傷の分析物の高イオン収率を提供し、高精度の化合物の測定を可能にする。試料は、当技術分野で既知の方法を用いて分析され得る(例えばLewis,Wei and Siuzdak,Encyclopedia of Analytical Chemistry 2000:5880−5894)。非限定的な例として、MALDI分析に用いられる質量分析器には、線形飛行時間(TOF)、TOFリフレクトロン、またはフーリエ変換質量分析器が含まれ得る。
一実施形態において、分析物−マトリックス混合物は、乾燥液滴法を用いて形成され得る。生体試料は、マトリックスと混合されて飽和マトリックス溶液を作成し、マトリックスと試料の比率は、およそ5000:1である。その後、一定分量(およそ0.5〜2.0μL)の飽和マトリックス溶液が、乾燥させられて分析物−マトリックス混合物を形成する。
一実施形態において、分析物−マトリックス混合物は、薄層法を用いて形成され得る。マトリックス均質薄膜が最初に形成され、その後、その試料が適用され、マトリックスによって吸収されて分析物−マトリックス混合物を形成し得る。
一実施形態において、分析物−マトリックス混合物は、厚層法を用いて形成され得る。マトリックス均質薄膜は、ニトロ−セルロースマトリックス添加剤で形成される。均一なニトロ−セルロースマトリックス層が得られた時点で、試料が適用され、マトリックスに吸収されて、分析物−マトリックス混合物を形成する。
一実施形態において、分析物−マトリックス混合物は、サンドイッチ法を用いて形成され得る。マトリックス結晶の薄層が、薄層法にあるように調製され、その後、水性トリフルオロ酢酸、試料、およびマトリックスの液滴が添加される。その後、試料はマトリックスに吸収されて、分析物−マトリックス混合物を形成する。
V.本発明のシグナルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物、およびmmRNAの使用
本発明のシグナルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物、およびmmRNAは、好ましい実施形態において、免疫応答および/もしくは分解経路等の有害な生体応答の回避(avoidance)もしくは回避(evasion)、発現の閾値の克服および/もしくはタンパク質産生能力の改善、改善された発現率もしくは翻訳効率、改善された薬物もしくはタンパク質半減期および/もしくはタンパク質濃度、最適化されたタンパク質局在化を提供して、組織内の安定性および/もしくはクリアランス、受容体による取り込みおよび/もしくは動態、組成物による細胞到達、翻訳機構との関わり、分泌効率(該当する場合)、血液循環への到達可能性、ならびに/または細胞の状態、機能、および/もしくは活性の調節のうちの1つ以上を改善するように設計される。
治療薬
治療剤
本明細書に記載される、修飾核酸および修飾RNA等の本発明のシグナルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物、またはmmRNA、ならびにそれらから翻訳されるタンパク質は、治療剤または予防剤として使用することができる。それらは、医薬において使用するために提供される。例えば、本明細書に記載のシグナルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物、またはmmRNAは、対象に投与することができ、このシグナルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物、またはmmRNAは、インビボで翻訳されて、対象において治療的または予防的腫瘍学関連ポリペプチドを産生する。ヒトおよび他の哺乳動物における疾患または状態の診断、治療、または予防のための組成物、方法、キット、および試薬が提供される。本発明の活性治療剤は、シグナルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物、もしくはmmRNA、ポリヌクレオチド、一次構築物、もしくはmmRNAを含有する細胞、またはシグナルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物、またはmmRNAから翻訳されるポリペプチドを含む。
ある特定の実施形態において、抗体依存性細胞傷害性を誘導するタンパク質とともに、哺乳類対象の免疫性を後押しするタンパク質(単数または複数)をコードする翻訳可能領域を含有する、1つ以上のシグナルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物、またはmmRNAを含有する、組み合わせ治療薬が本明細書に提供される。
本明細書に記載のシグナルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物、またはmmRNAを用いて、細胞集団内で組換えポリペプチドの翻訳を誘導する方法が、本明細書に提供される。そのような翻訳は、インビボ、エクスビボ、培養下、またはインビトロであり得る。細胞集団は、少なくとも1つのヌクレオシド修飾および組換え腫瘍学関連ポリペプチドをコードする翻訳可能領域を有するシグナルセンサー核酸を含有する有効量の組成物と接触させられる。集団は、シグナルセンサー核酸が細胞集団の1つ以上の細胞内に局在化され、組換え腫瘍学関連ポリペプチドが細胞内でシグナルセンサー核酸から翻訳されるような条件下で接触させられる。
組成物の「有効量」は、少なくとも部分的に、標的組織、標的細胞型、投与手段、核酸の物理的特徴(例えば、サイズ、および修飾ヌクレオシドの程度)、および他の決定因子に基づいて提供される。一般に、有効量の組成物は、細胞内での効率的な、好ましくは対応する未修飾核酸を含有する組成物よりも効率的な、タンパク質産生を提供する。増加した効率は、増加した細胞形質移入(すなわち、核酸で形質移入された細胞の割合(%))、核酸からの増加したタンパク質翻訳、減少した核酸分解(例えば、修飾核酸からのタンパク質翻訳の増加した持続期間によって実証される)、または宿主細胞の低減された自然免疫応答によって実証され得る。
本発明の態様は、必要性のある哺乳類対象において組換えポリペプチドのインビボ翻訳を誘導する方法を対象とする。その中で、少なくとも1つの構造修飾または化学修飾および組換えポリペプチドをコードする翻訳可能領域を有する核酸を含有する、有効量の組成物が、本明細書に記載の送達方法を用いて対象に投与される。核酸は、核酸が対象の細胞内に局在化され、組換えポリペプチドが細胞内で核酸から翻訳されるような量および他の条件下で提供される。核酸が局在化される細胞、または細胞が存在する組織は、1周期以上の核酸投与により標的とされ得る。
ある特定の実施形態において、投与されるシグナルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物、またはmmRNAは、組換え腫瘍学関連ポリペプチドが翻訳される細胞、組織、または生物内で実質的に不在である機能的活性を提供する、1つ以上の組換えポリペプチドの産生を指示する。例えば、欠損した機能的活性は、酵素的活性、構造的活性、または遺伝子調節活性の性質を有し得る。関連する実施形態において、投与されるシグナルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物、またはmmRNAは、組換え腫瘍学関連ポリペプチドが翻訳される細胞内に存在しているが、実質的に不全である機能的活性を増加させる(例えば、相乗的に)、1つ以上の組換え腫瘍学関連ポリペプチドの産生を指示する。
他の実施形態において、投与されるシグナルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物、またはmmRNAは、組換え腫瘍学関連ポリペプチドが翻訳される細胞内で実質的に不在である1つの腫瘍学関連ポリペプチド(または複数の腫瘍学関連ポリペプチド)を置き換える、1つ以上の組換えポリペプチドの産生を指示する。そのような不在性は、コード遺伝子の遺伝子突然変異またはその調節経路に起因し得る。いくつかの実施形態において、組換え腫瘍学関連ポリペプチドは、細胞内の内因性腫瘍学関連タンパク質のレベルを所望のレベルまで増加させ、そのような増加は、内因性腫瘍学関連タンパク質のレベルを正常未満のレベルから正常なレベルへと、または正常なレベルから過正常なレベルへと至らせ得る。
あるいは、組換え腫瘍学関連ポリペプチドは、細胞内に存在する、最上の表面上にある、または細胞から分泌される内因性タンパク質の活性に拮抗するように機能する。通常、内因性腫瘍学関連タンパク質の活性は、例えば、内因性腫瘍学関連タンパク質の突然変異が変化した活性または局在化をもたらすことに起因して、対象に有害である。さらに、組換え腫瘍学関連ポリペプチドは、細胞内に存在する、最上の表面上にある、または細胞から分泌される生体部分の活性に、直接的または間接的に拮抗する。拮抗対象の生体部分の例としては、脂質(例えば、コレステロール)、リポタンパク質(例えば、低比重リポタンパク質)、核酸、炭水化物、志賀毒素および破傷風毒素等のタンパク質毒素、またはボツリヌス毒素、コレラ毒素、およびジフテリア毒素等の小分子毒素が挙げられる。さらに、拮抗対象の生物学的分子は、細胞傷害性活性または細胞増殖抑制性活性等の望ましくない活性を示す内因性タンパク質である場合がある。
本明細書に記載の組換え腫瘍学関連タンパク質は、細胞内、可能性としては核等の特定の区画内での局在化のために操作されてもよく、または細胞からの分泌もしくは細胞の原形質膜への移行のために操作される。
いくつかの実施形態において、本発明に従った修飾シグナルセンサーmRNAおよびそのコードされた腫瘍学関連ポリペプチドを本明細書に記載される様々な疾患、障害、および/または状態のいずれかの治療のために使用され得る。
腫瘍学関連の適用
一実施形態において、シグナルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物および/またはmmRNAを、がん、がん関連および/またはがん治療関連障害、副作用および/または状態の治療、管理、特徴づけおよび/または診断に使用し得る。そのような疾患、障害および状態には、副腎皮質癌、進行癌、肛門癌、再生不良性貧血、胆管癌、膀胱癌、骨がん、骨転移、脳腫瘍、脳がん、乳癌、小児癌、原発不明のがん、キャッスルマン病、子宮頸癌、大腸/直腸癌、子宮内膜癌、食道癌、ユーイング腫瘍、眼癌、卵管癌、胆嚢癌、胃腸カルチノイド腫瘍、消化管間質腫瘍、妊娠性絨毛性疾患、ホジキン病、カポジ肉腫、腎細胞癌、喉頭および下咽頭癌、急性リンパ性白血病、急性骨髄白血病、慢性リンパ球性白血病、慢性骨髄性白血病、慢性骨髄単球性白血病、肝臓癌、非小細胞肺癌、小細胞肺癌、肺カルチノイド腫瘍、皮膚のリンパ腫、悪性中皮腫、多発性骨髄腫、骨髄異形成症候群、鼻腔および副鼻腔癌、鼻咽腔癌、神経芽細胞腫、非ホジキンリンパ腫、口腔および中咽頭癌、骨肉腫、卵巣癌、膵臓癌、陰茎癌、下垂体部腫瘍、前立腺癌、網膜芽細胞腫、横紋筋肉腫、唾液腺癌、成人軟組織の肉腫、基底および扁平細胞皮膚癌、黒色腫、小腸癌、胃癌、睾丸癌、胸腺癌、甲状腺癌、子宮肉腫、膣癌、外陰癌、ワルデンシュトレームマクログロブリン血症、ウィルムス腫瘍が含まれるが、これらに限定されない。
別の実施形態では、シグナルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物および/またはmmRNAを、ケモブレイン(chemo brain)、末梢性ニューロパシー、疲労、鬱、吐き気および嘔吐、痛み、貧血、リンパ浮腫、感染症、がん治療によって引き起こされる二次発癌、性的副作用、妊孕能の低下または不妊症、オストミー、不眠症および脱毛といった、少なくとも1つのがん関連またはがん治療関連障害、副作用または状態の治療、管理および操作に使用され得る。
一実施形態において、シグナルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物および/またはmmRNAを用いて、対象のがんの少なくとも1つの症状の効果を低減し得る。症状としては、脱力感、疼痛および痛み、熱、疲労、体重減少、血液凝固、血液のカルシウム量の上昇、白血球数の低下、息切れ、めまい、頭痛、色素沈着過剰、黄疸、紅斑症、そう痒症、多毛症、排便習慣の変化、膀胱機能の変化、永続的な潰瘍、口内の白い斑点、舌上の白点、異常な出血または排泄、身体部分の肥大またはこぶ、消化不良、呑み込みにくさ、いぼまたはほくろの変化、新しい皮膚の変化ならびにしつこい咳またはしわがれ声が挙げられ得るが、これらに限定しない。
一実施形態において、シグナルセンサーポリヌクレオチドを、任意の数のがん細胞または正常な細胞株で調査し得る。これらの調査で有用であり得る細胞株の非制限的な例としては、MRC−5、A549、T84、NCI−H2126[H2126]、NCI−H1688[H1688]、WI−38、WI−38VA−13亜系統2RA、WI−26VA4、C3A[HepG2/C3A、HepG2の誘導体(ATCCHB−8065)]、THLE−3、H69AR、NCI−H292[H292]、CFPAC−1、NTERA−2cl.D1[NT2/D1]、DMS79、DMS53、DMS153、DMS114、MSTO−211H、SW1573[SW−1573、SW1573]、SW1271[SW−1271、SW1271]、SHP−77、SNU−398、SNU−449、SNU−182、SNU−475、SNU−387、SNU−423、NL20、NL20−TA[NL20T−A]、THLE−2、HBE135−E6E7、HCC827、HCC4006、NCI−H23[H23]、NCI−H1299、NCI−H187[H187]、NCI−H358[H−358、H358]、NCI−H378[H378]、NCI−H522[H522]、NCI−H526[H526]、NCI−H727[H727]、NCI−H810[H810]、NCI−H889[H889]、NCI−H1155[H1155]、NCI−H1404[H1404]、NCI−N87[N87]、NCI−H196[H196]、NCI−H211[H211]、NCI−H220[H220]、NCI−H250[H250]、NCI−H524[H524]、NCI−H647[H647]、NCI−H650[H650]、NCI−H711[H711]、NCI−H719[H719]、NCI−H740[H740]、NCI−H748[H748]、NCI−H774[H774]、NCI−H838[H838]、NCI−H841[H841]、NCI−H847[H847]、NCI−H865[H865]、NCI−H920[H920]、NCI−H1048[H1048]、NCI−H1092[H1092]、NCI−H1105[H1105]、NCI−H1184[H1184]、NCI−H1238[H1238]、NCI−H1341[H1341]、NCI−H1385[H1385]、NCI−H1417[H1417]、NCI−H1435[H1435]、NCI−H1436[H1436]、NCI−H1437[H1437]、NCI−H1522[H1522]、NCI−H1563[H1563]、NCI−H1568[H1568]、NCI−H1573[H1573]、NCI−H1581[H1581]、NCI−H1618[H1618]、NCI−H1623[H1623]、NCI−H1650[H−1650、H1650]、NCI−H1651[H1651]、NCI−H1666[H−1666、H1666]、NCI−H1672[H1672]、NCI−H1693[H1693]、NCI−H1694[H1694]、NCI−H1703[H1703]、NCI−H1734[H−1734、H1734]、NCI−H1755[H1755]、NCI−H1755[H1755]、NCI−H1770[H1770]、NCI−H1793[H1793]、NCI−H1836[H1836]、NCI−H1838[H1838]、NCI−H1869[H1869]、NCI−H1876[H1876]、NCI−H1882[H1882]、NCI−H1915[H1915]、NCI−H1930[H1930]、NCI−H1944[H1944]、NCI−H1975[H−1975、H1975]、NCI−H1993[H1993]、NCI−H2023[H2023]、NCI−H2029[H2029]、NCI−H2030[H2030]、NCI−H2066[H2066]、NCI−H2073[H2073]、NCI−H2081[H2081]、NCI−H2085[H2085]、NCI−H2087[H2087]、NCI−H2106[H2106]、NCI−H2110[H2110]、NCI−H2135[H2135]、NCI−H2141[H2141]、NCI−H2171[H2171]、NCI−H2172[H2172]、NCI−H2195[H2195]、NCI−H2196[H2196]、NCI−H2198[H2198]、NCI−H2227[H2227]、NCI−H2228[H2228]、NCI−H2286[H2286]、NCI−H2291[H2291]、NCI−H2330[H2330]、NCI−H2342[H2342]、NCI−H2347[H2347]、NCI−H2405[H2405]、NCI−H2444[H2444]、UMC−11、NCI−H64[H64]、NCI−H735[H735]、NCI−H735[H735]、NCI−H1963[H1963]、NCI−H2107[H2107]、NCI−H2108[H2108]、NCI−H2122[H2122]、Hs573.T、Hs573.Lu、PLC/PRF/5、BEAS−2B、HepG2、Tera−1、Tera−2、NCI−H69[H69]、NCI−H128[H128]、ChaGo−K−1、NCI−H446[H446]、NCI−H209[H209]、NCI−H146[H146]、NCI−H441[H441]、NCI−H82[H82]、NCI−H460[H460]、NCI−H596[H596]、NCI−H676B[H676B]、NCI−H345[H345]、NCI−H820[H820]、NCI−H520[H520]、NCI−H661[H661]、NCI−H510A[H510A、NCI−H510]、SK−HEP−1、A−427、Calu−1、Calu−3、Calu−6、SK−LU−1、SK−MES−1、SW900[SW−900、SW900]、Malme−3MおよびCapan−1を包含するATCC(Manassas,VA)由来のものが挙げられる。
一実施形態において、本明細書に記載されるシグナルセンサーポリヌクレオチドを、ヒト肺腺癌で調査し得る。非制限的な例として、5−メチルシチジンおよび1−メチルシュードウリジンで完全に修飾または1−メチルシュードウリジンで完全に修飾した構成的活性型カスパーゼ3をコードするシグナルセンサーポリヌクレオチドを、培養したヒト肺腺癌A549細胞に送達し得る(例えば、実施例53に説明される実験を参照)。別の非制限的な例として、5−メチルシチジンおよび1−メチルシュードウリジンで完全修飾または1−メチルシュードウリジンで完全に修飾した構成的活性型カスパーゼ6をコードするシグナルセンサーポリヌクレオチド培養したヒト肺腺癌A549細胞に送達し得る(例えば、実施例53に説明される実験を参照)。
別の実施形態では、本明細書に記載されるシグナルセンサーポリヌクレオチドを、ヒト肝細胞癌で調査し得る。非制限的な例として、5−メチルシチジンおよび1−メチルシュードウリジンで完全に修飾したまたは1−メチルシュードウリジンで完全に修飾した構成的活性型カスパーゼ3をコードするシグナルセンサーポリヌクレオチドをヒト肝細胞癌Hep3B細胞に送達し得る(例えば、実施例54に記載される実験を参照)。
一実施形態において、シグナルセンサーポリヌクレオチドを動物モデルで調査し得る。非制限的な例として、動物モデルは、Fukazawaら(Anticancer Research,2010;30:4193−4200)の肺癌モデルといった肺癌のためであり得、ここでは、一様にドミナントネガティブを発現するMyc(Omomyc)マウスを、KRAS突然変異ポジティブ肺癌モデルマウスと交雑させることで、類遺伝子マウスを作製する。Omomycの存在下で、突然変異したKRASの発現によって生じるがん腫瘍が類遺伝子マウスで退縮し、OmomycがKRAS突然変異ポジティブ肺癌の腫瘍細胞死を引き起こしたことを示す。
非制限的な例として、ヒト肺癌異種移植もFukazawaの方法によって準備され、ここでは、背側の横腹に4×106個のA549細胞を皮下接種することで、4週齢の雌のBALB/Cヌードマウスに、ヒト肺癌異種移植を確立する(Charles River Laboratories Japan,Kanagawa,Japan)。マウスを無作為に6つのグループに割り当てる(n=6/グループ)、腫瘍が約0.5cmの直径に到達後(腫瘍接種からおよそ6日後)。各グループのマウスの背側の横腹に、選択した投薬レジメンに関して、PBS、5×1010vpの対照物、またはシグナルセンサーポリヌクレオチドを含む100μlの溶液を注射する。次いで動物をじっくり観察し、生存実験または他の分析が実施される。
一実施形態において、シグナルセンサーポリヌクレオチドをトランスジェニック動物モデルで調査し得る。非制限的な例として、トランスジェニック動物モデルは、LSL−KRASG12D:TRE Omomyc:CMV rtTAトリプルトランスジェニック動物であり、これは、吸入を通して投与されloxPを導入した終止コドンの切除を通して癌遺伝子の発現を誘導するCreリコンビナーゼを発現するアデノウイルスの使用に関わり、ドキシサイクリンを介して広範囲であるOmomyc発現を制御する。モデルはSoucekら(Nature,1−5(2008))で報告されている。別の非制限的な例として、SoucekのマウスをLSLKRASG12Dシングルトランスジェニックマウス(Jackson Laboratories)と交雑し得、MYC阻害剤Dまたは本明細書に記載される他の腫瘍学関連ポリペプチドを発現するシグナルセンサーポリヌクレオチドの吸入送達、または、そうでなければ肺送達の実験のために使用され得る。
別の実施形態では、シグナルセンサーポリヌクレオチドをマウス内マウスモデルで調査し得、例えば、Zenderのp53−/−:c−Myc過剰発現HCCモデルであるが、これに限定されない(Cell.2006 June 30;125(7):1253-1267)。
一実施形態において、シグナルセンサーポリヌクレオチドを非生殖系列遺伝子操作マウス(NGEMM)で調査し得る。非制限的な例として、マウス内マウスモデルの設計は、WTまたは腫瘍抑制因子欠失(p53−/−といった)129 Sv/Ev Mm ES細胞クローンから始まり;肝臓特異的画像処理のための肝臓活性化タンパク質(LAP)プロモーター指向性テトラサイクリントランス活性化因子(tTA)およびtetO−ルシフェラーゼを導入し;結果として得られる、c−Mycおよび他の肝臓関連プログラム癌遺伝子のために使用されるLAP−tTA:tetO−ルシフェラーゼクローンを凍結し;tetO駆動型癌遺伝子、例えばtetOcMycを添加し;結果として得られるLAP−tTA:tetO−ルシフェラーゼ:tetO−MYCクローンを凍結し;結果として得られるESクローンをC57Bl/6胚細胞に注入して偽妊娠マザーに移植し、それによって、得られたキメラ動物は、ドキシサイクリンの除去の後、腫瘍モデルである(すなわちTet−Off)。モデルの種類は理想としては、正常な肝細胞に囲まれた、c−Myc駆動型、ルシフェラーゼ発現HCCの誘導性小結節をはっきり表す。
別の実施形態では、シグナルセンサーポリヌクレオチドをマウスのHEP3B細胞を用いた同所HCCモデルで調査し得る(Crown Bio)。
非制限的な例として、上記の動物はいずれもMYC阻害剤Dをコードするシグナルセンサーポリヌクレオチドを調査するために使用され得る。実験には、限定はしないが、MYC阻害剤Dのための非翻訳可能mRNAおよびビヒクル単独送達といった陰性対照をコードするシグナルセンサーポリヌクレオチドも含み得る。動物は遺伝子発現、腫瘍状態および/またはがん表現型または遺伝子型に通常関わる特徴のいずれかに関して評価され得る。
別の非制限的な例として、上記の動物モデルのいずれかを用いてドミナントネガティブhTERTをコードするシグナルセンサーポリヌクレオチドを調査し得る。実験にはまた、限定はしないがドミナントネガティブhTERTのための非翻訳可能mRNAおよびビヒクル単独送達といった陰性対照をコードするシグナルセンサーポリヌクレオチドが含まれ得る。動物は遺伝子発現、腫瘍状態および/またはがん表現型または遺伝子型に通常関わる特徴のいずれかに関して評価され得る。
別の非制限的な例として、上記の動物モデルのいずれかが、ドミナントネガティブサバイビンをコードするシグナルセンサーポリヌクレオチドを調査するために使用され得る。実験にはまた、限定はしないがドミナントネガティブサバイビンのための非翻訳可能mRNAおよびビヒクル単独送達といった陰性対照をコードするシグナルセンサーポリヌクレオチドが含まれ得る。動物は遺伝子発現、腫瘍状態および/またはがん表現型または遺伝子型に通常関わる特徴のいずれかに関して評価され得る。
一実施形態において、細胞傷害性または細胞保護性mRNA治療薬を、限定はしないが、本明細書に記載される動物モデルの正常および/またはがん細胞といった特定の細胞に指向するために、シグナルセンサーポリヌクレオチドは少なくとも1つのmiRNA結合部位を3’UTRに含み得る。非制限的な例として、強いアポトーシスシグナルおよび少なくとも1つのmiR−122a結合部位がシグナルセンサーポリヌクレオチドによってコードされ、ここで、当該少なくとも1つのmiR−122a結合部位は3’UTRに位置する。別の非制限的な例として、アポトーシス誘導因子短アイソフォーム(AIFsh)および少なくとも1つのmiR−122a結合部位がシグナルセンサーポリヌクレオチドによってコードされ、ここで、当該少なくとも1つのmiR−122a結合部位は3’UTRに位置する。さらに別の非制限的な例として、構成的活性型(C.A.)カスパーゼ6および少なくとも1つのmiR−122a結合部位がシグナルセンサーポリヌクレオチドによってコードされ、ここで、当該少なくとも1つのmiR−122a結合部位は3’UTRに位置する。別の非制限的な例として、HSV1−tkおよび少なくとも1つのmiR−122a結合部位がシグナルセンサーポリヌクレオチドによってコードされ、ここで、当該少なくとも1つのmiR−122a結合部位が3’UTRに位置する。
別の実施形態では、細胞傷害性または細胞保護性mRNA治療薬を、限定はしないが、本明細書に記載される動物モデルの正常および/またはがん細胞といった特定の細胞に指向するために、シグナルセンサーポリヌクレオチドは3つのmiRNA結合部位を3’UTRに含み得る。非制限的な例として、強いアポトーシスシグナルおよび3つのmiR−122a結合部位がシグナルセンサーポリヌクレオチドによってコードされ、ここで、当該3つのmiR−122a結合部位は3’UTRに位置する。別の非制限的な例として、アポトーシス誘導因子短アイソフォーム(AIFsh)および3つのmiR−122a結合部位がシグナルセンサーポリヌクレオチドによってコードされ、ここで、当該3つのmiR−122a結合部位は3’UTRに位置する。さらに別の非制限的な例として、構成的活性型(C.A.)カスパーゼ6および3つのmiR−122a結合部位がシグナルセンサーポリヌクレオチドによってコードされ、ここで、当該3つのmiR−122a結合部位は3’UTRに位置する。別の非制限的な例として、HSV1−tkおよび3つのmiR−122a結合部位がシグナルセンサーポリヌクレオチドによってコードされ、ここで、当該3つのmiR−122a結合部位が3’UTRに位置する。
がんの一般的なカテゴリー
脳がん
脳がんは、通常悪性脳腫瘍の成長に関連する、脳の組織における異常な細胞の成長である。脳腫瘍は成長して脳の付近の領域を圧迫し、これによって、脳のその部分は本来働くべくように働くことを阻害され得る。脳がんが脳外部の他の組織に転移することはめったにない。顕微鏡下でがん細胞がどれだけ異常に見えるかに基づいた腫瘍の悪性度を用いて、成長の遅い腫瘍と成長の速い腫瘍との間の違いを区別し得る。悪性度Iの腫瘍は成長が遅く、付近の組織にはめったに転移せず、正常な細胞に似た細胞を有し、腫瘍全体を外科手術で取り除くことが可能である。悪性度IIの腫瘍も成長は遅いが、付近の組織に転移し得、再発し得る。悪性度IIIの腫瘍は成長が速く、付近の組織に転移する可能性が高く、腫瘍細胞は正常な細胞とはかなり異なって見える。高悪性度である悪性度IVは成長も転移も早く、腫瘍に死細胞の領域があり得る。脳がんの症状には、起床時の頭痛または嘔吐後になくなる頭痛、頻繁に起こる吐き気および嘔吐、視覚、聴覚および発話問題、平衡感覚障害および歩行困難、片方側の身体の脱力感、異常な眠気または活動レベルの変化、人格または行動の異常な変化、発作が包含されるが、これらに限定されない。
本発明の一実施形態において、本発明のシグナルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物またはmmRNAを用いて、脳がんと診断されたまたは診断され得る対象の疾患、障害および/または状態を治療し得、前記対象に目的とする腫瘍学関連ポリペプチドをコードする単離ポリヌクレオチドを投与することで治療し得る。一実施形態において、本発明のポリヌクレオチド、一次構築物またはmmRNAを用いて、脳がんと診断されたまたは診断され得る対象の腫瘍の成長を軽減、除去または阻害し得、前記対象に目的とする腫瘍学関連ポリペプチドをコードする単離ポリヌクレオチドを投与することで軽減、除去または阻害し得る。一実施形態において、本発明のシグナルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物またはmmRNAを用いて、脳がんと診断されたまたは診断され得る対象の少なくとも1つのがんの症状を軽減および/または改善し得、前記対象に目的とする腫瘍学関連ポリペプチドをコードする単離ポリヌクレオチドを投与することで軽減および/または改善し得る。
乳癌
乳癌は、限定はしないが、管および小葉といった、男女双方の胸の組織で形成される。最も一般的な乳癌の種類は、乳管癌であり、これは、管の細胞で始まる。ローブまたは小葉で始まる小葉癌は、双方の胸でしばしば発見される。珍しい種類の乳癌である炎症性乳癌では、胸が温かくなり、赤くなって腫れる。遺伝性乳癌は、全乳癌のおよそ5〜10%を占め、改変された遺伝子がいくつかの民族でよく見られ、それによってその民族は乳癌に対してより高い感受性を有する。乳癌の症状として、胸部もしくは胸部付近またはわきの下領域での塊または肥厚部、胸のサイズまたは形状の変化、胸の皮膚のくぼみまたは歪み、内向きになった胸の乳首、乳首から出る母乳ではない流体、うろこ状、赤色または腫れている、胸、乳首または乳輪の皮膚、オレンジの皮膚(橙皮上皮膚(peau d’orange))のような胸のくぼみが挙げられるが、これらに限定されない。
一実施形態において、本発明のシグナルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物またはmmRNAを用いて、乳癌と診断されたまたは診断され得る対象の疾患、障害および/または状態を治療し得、前記対象に目的とする腫瘍学関連ポリペプチドをコードする単離ポリヌクレオチドを投与することで治療し得る。一実施形態において、本発明のポリヌクレオチド、一次構築物またはmmRNAを用いて、乳癌と診断されたまたは診断され得る対象の腫瘍の成長を軽減、除去または阻害し得、前記対象に目的とする腫瘍学関連ポリペプチドをコードする単離ポリヌクレオチドを投与することで軽減、除去または阻害し得る。一実施形態において、本発明のシグナルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物またはmmRNAを用いて、乳癌と診断されたまたは診断され得る対象の少なくとも1つの癌の症状を軽減および/または改善し得、前記対象に目的とする腫瘍学関連ポリペプチドをコードする単離ポリヌクレオチドを投与することで軽減および/または改善し得る。
子宮頚癌
子宮頚癌は、子宮頚部の組織で形成され、通常成長速度は遅い。子宮頚癌の原因は通常ヒトパピローマウイルス(HPV)感染と関係がある。子宮頚癌はいずれの徴候も示さないが、可能性のある症状としては、膣の出血、異常な膣分泌物、骨盤痛および性行の際の痛みが挙げられ得るが、これらに限定されない。
一実施形態において、本発明のシグナルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物またはmmRNAを用いて、子宮頚癌と診断されたまたは診断され得る対象の疾患、障害および/または状態を治療し得、前記対象に目的とする腫瘍学関連ポリペプチドをコードする単離ポリヌクレオチドを投与することで治療し得る。一実施形態において、本発明のシグナルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物またはmmRNAを用いて、子宮頚癌と診断されたまたは診断され得る対象の腫瘍の成長を軽減、除去または阻害し得、前記対象に目的とする腫瘍学関連ポリペプチドをコードする単離ポリヌクレオチドを投与することで軽減、除去または阻害し得る。一実施形態において、本発明のシグナルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物またはmmRNAを用いて、子宮頚癌と診断されたまたは診断され得る対象の少なくとも1つの癌の症状を軽減および/または改善し得、前記対象に目的とする腫瘍学関連ポリペプチドをコードする単離ポリヌクレオチドを投与することで軽減および/または改善し得る。
食道癌
食道癌は、食道の内側を覆う組織に形成される癌である。2種類の一般的な食道癌が存在し、これらは悪性になる細胞の種類から名前が付けられる。扁平上皮癌は、食道の内側を覆う薄く平らな細胞に形成される癌である(類表皮癌とも呼ばれる)。粘液といった流体を生産および放出する腺(分泌)細胞で始まるがんは、腺癌と呼ばれる。食道癌に関連する一般的な症状としては、痛みを伴う嚥下または嚥下困難、体重の軽減、胸骨の奥の痛み、しわがれ声および咳、ならびに消化不良および胸やけが挙げられるが、これらに限定されない。
一実施形態において、本発明のシグナルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物またはmmRNAを用いて、食道癌と診断されたまたは診断され得る対象の疾患、障害および/または状態を治療し得、前記対象に目的とする腫瘍学関連ポリペプチドをコードする単離ポリヌクレオチドを投与することで治療し得る。一実施形態において、本発明のシグナルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物またはmmRNAを用いて、食道癌と診断されたまたは診断され得る対象の腫瘍の成長を軽減、除去または阻害し得、前記対象に目的とする腫瘍学関連ポリペプチドをコードする単離ポリヌクレオチドを投与することで軽減、除去または阻害し得る。一実施形態において、本発明のシグナルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物またはmmRNAを用いて、食道癌と診断されたまたは診断され得る対象の少なくとも1つの癌の症状を軽減および/または改善し得、前記対象に目的とする腫瘍学関連ポリペプチドをコードする単離ポリヌクレオチドを投与することで軽減および/または改善し得る。
家族性がん症候群
家族性がん症候群は、対象ががんを進行する遺伝的素因を表す。全てのがんの5〜10%は遺伝性であり、ある血縁者から別の血縁者に受け継がれる特定の遺伝子を通して継承される。これらの遺伝子変化の1つを遺伝した対象は、その生涯でがんを進行させる可能性がより高くあり得る。家族性がん症候群としては、毛細血管拡張性運動失調、基底細胞母斑症候群、母斑性基底細胞癌症候群、ゴーリン症候群、ベックウィズ・ヴィーデマン症候群、バート・ホッジ・デューブ症候群、ブルーム症候群、遺伝性乳癌および/または卵巣癌、カーニー複合疾患、位I型およびII型タイプ、家族性脊索腫、大腸癌、遺伝性非ポリポーシスリンチ症候群、コステロ症候群、顔皮膚骨格症候群(Facio−Cutaneous−Skeletal Syndrome)、カウデン病、先天性角化異常症、食道癌との肥厚化、食道癌との手掌足底角化症、ハウエル・エバンス症候群、遺伝性多発性外骨症、ファンコーニ貧血、遺伝性びまん性胃癌、消化管間質腫瘍、多発性消化管間質腫瘍、家族性上皮小体機能亢進症、急性骨髄白血病、家族性白血病、慢性リンパ球性白血病、リー・フラウメニ症候群、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、遺伝性多発性黒色腫、多彩異数性モザイク、多発性内分泌新生物I型、2A型および2B型、家族性甲状腺髄様癌、家族性多発性骨髄腫、遺伝性神経芽細胞腫、神経繊維腫症1型および2型、ナイミーヘン症候群、遺伝性膵癌、遺伝性傍神経節腫、ポイツ・ジェガース症候群、家族性大腸腺腫症、家族性若年性ポリポーシス、MYH関連ポリポーシス、遺伝性前立腺癌、多発性皮膚子宮筋腫を伴う遺伝性腎細胞癌、遺伝性腎細胞癌、遺伝性乳頭状腎細胞癌、ラブドイド素因症候群(Rhabdoid Predisposition Syndrome)、ロスムンド・トムソン症候群、シンプソン・ゴラビ・ベーメル症候群、家族性精巣胚細胞性腫瘍、家族性非甲状腺髄様癌、結節性硬化症、フォンヒッペル・リンダウ病、家族性ワルデンシュトレームマクログロブリン血症、ウェルナー症候群、家族性ウィルムス腫瘍および色素性乾皮症といった障害が挙げられるが、これらに限定されない。
一実施形態において、本発明のシグナルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物またはmmRNAを用いて、家族性がん症候群と診断されたまたは診断され得る対象の疾患、障害および/または状態を治療し得、前記対象に目的とする腫瘍学関連ポリペプチドをコードする単離ポリヌクレオチドを投与することで治療し得る。一実施形態において、本発明のシグナルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物またはmmRNAを用いて、家族性がん症候群と診断されたまたは診断され得る対象の腫瘍の成長を軽減、除去または阻害し得、前記対象に目的とする腫瘍学関連ポリペプチドをコードする単離ポリヌクレオチドを投与することで軽減、除去または阻害し得る。一実施形態において、本発明のシグナルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物またはmmRNAを用いて、家族性がん症候群と診断されたまたは診断され得る対象の少なくとも1つのがんの症状を軽減および/または改善し得、前記対象に目的とする腫瘍学関連ポリペプチドをコードする単離ポリヌクレオチドを投与することで軽減および/または改善し得る。
白血病
白血病は、多くの血液細胞が生産され、血流に入るようすることができる骨髄などの血液形成組織で始まるがんの一形態である。白血病は中枢神経系にも転移し得、脳および脊髄がんを引き起こし得る。白血病の種類には、成人急性リンパ球性、小児急性リンパ急性、成人急性骨髄性、慢性リンパ性、慢性骨髄性および毛様細胞が挙げられるが、これらに限定されない。白血病の非制限的な症状の例としては、脱力感または疲労感、熱、あざができやすい、出血しやすい、点状出血、息切れ、体重の軽減または食欲低下、骨または胃の痛み、肋骨下部の満腹感、および、首、わき、胃または鼠径部の痛みの伴わない塊が挙げられる。
一実施形態において、本発明のシグナルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物またはmmRNAを用いて、白血病と診断されたまたは診断され得る対象の疾患、障害および/または状態を治療し得、前記対象に目的とする腫瘍学関連ポリペプチドをコードする単離ポリヌクレオチドを投与することで治療し得る。一実施形態において、本発明のシングルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物またはmmRNAを用いて、白血病と診断されたまたは診断され得る対象の腫瘍の成長を軽減、除去または阻害し得、前記対象に目的とする腫瘍学関連ポリペプチドをコードする単離ポリヌクレオチドを投与することで軽減、除去または阻害し得る。一実施形態において、本発明のシグナルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物またはmmRNAを用いて、白血病と診断されたまたは診断され得る対象の少なくとも1つのがんの症状を軽減および/または改善し得、前記対象に目的とする腫瘍学関連ポリペプチドをコードする単離ポリヌクレオチドを投与することで軽減および/または改善し得る。
肝臓癌
肝臓癌には、肝臓の組織で形成される原発性肝臓癌と、身体の別の部分から肝臓に転移した続発性肝臓癌、または転移性肝臓癌の2種類がある。肝臓癌の可能性のある症状としては、胸郭の真下の右部分上の硬い塊、右上腹部における不快感、右肩甲骨周囲の痛み、原因不明の体重軽減、黄疸、異常な疲労感、吐き気および食欲低下が挙げられるが、これらに限定されない。
一実施形態において、本発明のシグナルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物またはmmRNAを用いて、肝臓癌と診断されたまたは診断され得る対象の疾患、障害および/または状態を治療し得、前記対象に目的とする腫瘍学関連ポリペプチドをコードする単離ポリヌクレオチドを投与することで治療し得る。一実施形態において、本発明のシングルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物またはmmRNAを用いて、肝臓癌と診断されたまたは診断され得る対象の腫瘍の成長を軽減、除去または阻害し得、前記対象に目的とする腫瘍学関連ポリペプチドをコードする単離ポリヌクレオチドを投与することで軽減、除去または阻害し得る。一実施形態において、本発明のシグナルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物またはmmRNAを用いて、肝臓癌と診断されたまたは診断され得る対象の少なくとも1つの癌の症状を軽減および/または改善し得、前記対象に目的とする腫瘍学関連ポリペプチドをコードする単離ポリヌクレオチドを投与することで軽減および/または改善し得る。
肝細胞癌
c−mycタンパク質は、通常の細胞プロセスでの重要な役割を有する多機能性bHLHZip転写因子であり、ヒトのがんの大部分で異常に制御される。c−、N−およびL−Mycは、Max、MadおよびMiz−1といったパートナーと二量体化し得るファミリーメンバーである。このタンパク質は多数の示唆される転写標的のトランス活性化および抑制に関わり、近年の研究によって、Mycのために、進行するがんでトランス活性化される遺伝子の「転写増幅因子」としての役割が示された。これは、がん細胞増殖、成長、生合成代謝、リボ合成および翻訳ならびにおそらく発癌性シグナルが通らなくてはいけない非重複節において、良く確立された機能を有する。
MYC阻害剤D(Omomycとしても知られる)は、4つの突然変異E57T、E64I、R70Q、R71Nが導入されたヒトc−Mycオリゴマー化ドメインからなる、特殊なドミナントネガティブ90a.a.タンパク質である(Soucek et al.,Oncogene,1998;17, 2463−2472)。重要なことに、結合および阻害能力で選択性を示す:c−Myc、N−Myc、MaxおよびMiz−1に結合する。Miz−1指向性トランス抑制を維持する一方で、E−box媒介性トランス活性化を阻害し得る。MYC阻害剤Dの治療上の可能性は、OMOMYCのトランスジェニック発現がMycERTAM誘導性角化細胞増殖を遮断したインビボで具体的に示されており(Soucek et al.,CDD 2004;11,1038−1045);トランスジェニックOmomycは、可逆的毒性を有するLSL−KrasG12Dマウスモデルで、それぞれ、成熟肺腫瘍の形成の確立を阻害し、成熟肺腫瘍の形成の退縮を誘導し(Soucek et al.,Nature 2008,455,679−683);トランスジェニックOmomycは、腫瘍形成を阻害し、制御可能な副作用を有する膵臓神経内分泌癌のRIP1−TAG2モデルにおいて、確立された腫瘍を退縮させ、さらに、がん細胞Mycに関して許容的な腫瘍微小環境の維持における役割を示し(Sodir et al.,Genes and Development 2011,25,907−916);ならびに、「OmomycはインビトロおよびインビボでKRAS突然変異性ヒト肺腺癌A549細胞の細胞死を誘導する」と報告された(Fukazawa
et al.,Anticancer Res,2010,30,4193−4200)。
MYC阻害剤Dの指向性発現を通した発癌性c−Mycの阻害が少なくともHCCのサブセットで効果的な療法になり得ることは理にかなっているが、HCCにおける概念の証拠はまだ実証されていない。
いくつかの実施形態では、本発明には、肝細胞癌(HCC)の治療のためのセンサー配列の有無に関わらず、関連ポリペプチドとしてMYC阻害剤Dをコードするシグナルセンサーポリヌクレオチドが含まれる。HCCの研究は、Hoshidaらが説明するHCC細胞株のサブクラスのいずれかで実施され得る(Cancer Research 2009;69:7385−7392)。これらは、より多いTGF−ベータおよびWNTシグナル伝達を有し、早期再発のより高いリスクを示し、および早期再発のより高いリスクに関連するS2細胞、mycおよびAKT発現の増加および最も高い量のアルファ胎児タンパク質を示すS2、または、幹細胞様表現型を維持するS3を包含する。S1およびS2型はまた、増加したE2F1発現および低下したp53発現を表すことが示されており;一方で、S2単独はインターフェロンの低下した量を示した。S1細胞株としては、SNU‐387、SNU‐423、SNU‐449、SNU‐475、SNU‐182、SK‐Hep1、HLE、HLFおよびFocusが挙げられ、一方で、S2細胞株としては、Huh‐1、Huh‐6、Huh‐7、HepG2、Hep3B、Hep3B‐TR、Hep40およびPLC/PRF/5細胞が挙げられる。
肺癌
肺癌は、肺の組織、通常は、気道に並ぶ細胞に形成され、小細胞肺癌または非小細胞肺癌のいずれかとして分類される。小細胞肺癌には2種類あり、小細胞癌と、複合型小細胞癌である。非小細胞肺がんの種類としては、扁平上皮癌(癌は扁平細胞で始まる)、大細胞癌(癌は複数の種類の細胞で始まり得る)および腺癌(癌は肺胞に並ぶ細胞および粘液を作る細胞で始まる)がある。肺癌の症状としては、胸の不快感または痛み、時間が経ってもなくならないまたは悪化する咳、呼吸困難、喘鳴、唾液の血液、しわがれ声、食欲低下、理由不明の体重軽減、疲労感、嚥下困難ならびに顔および/または首の静脈の腫れが挙げられるが、これらに限定されない。
一実施形態において、本発明のシグナルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物またはmmRNAを用いて、肺癌と診断されたまたは診断され得る対象の疾患、障害および/または状態を治療し得、前記対象に目的とする腫瘍学関連ポリペプチドをコードする単離ポリヌクレオチドを投与することで治療し得る。一実施形態において、本発明のシグナルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物またはmmRNAを用いて、肺癌と診断されたまたは診断され得る対象の腫瘍の成長を軽減、除去または阻害し得、前記対象に目的とするポリペプチドをコードする単離ポリヌクレオチドを投与することで軽減、除去または阻害し得る。一実施形態において、本発明のシグナルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物またはmmRNAを用いて、肺癌と診断されたまたは診断され得る対象の少なくとも1つの癌の症状を軽減および/または改善し得、前記対象に目的とする腫瘍学関連ポリペプチドをコードする単離ポリヌクレオチドを投与することで軽減および/または改善し得る。
リンパ腫
リンパ腫は、免疫系の細胞で始まるがんである。ホジキンリンパ腫を有する対象は、リード・シュテルンベルク細胞呼ばれる細胞を有し、非ホジキンリンパ腫には、大きな群の免疫系細胞のがんが包含される。リンパ腫の例としては、頚部、わきの下または鼠径部の痛みのない腫れたリンパ節、理由不明の熱、あふれ出る寝汗、理由不明の体重軽減、皮膚のかゆみおよび疲弊が挙げられるが、これらに限定されない。
一実施形態において、本発明のシグナルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物またはmmRNAを用いて、リンパ腫と診断されたまたは診断され得る対象の疾患、障害および/または状態を治療し得、前記対象に目的とするポリペプチドをコードする単離ポリヌクレオチドを投与することで治療し得る。一実施形態において、本発明のシグナルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物またはmmRNAを用いて、リンパ腫と診断されたまたは診断され得る対象の腫瘍の成長を軽減、除去または阻害し得、前記対象に目的とするポリペプチドをコードする単離ポリヌクレオチドを投与することで軽減、除去または阻害し得る。一実施形態において、本発明のポリヌクレオチド、一次構築物またはmmRNAを用いて、リンパ腫と診断されたまたは診断され得る対象の少なくとも1つのがんの症状を軽減および/または改善し得、前記対象に目的とする腫瘍学関連ポリペプチドをコードする単離ポリヌクレオチドを投与することで軽減および/または改善し得る。
卵巣癌
卵巣癌は、卵巣上皮癌(卵巣の表面で始まる)または悪性生殖細胞腫瘍(がんは卵細胞で始まる)のいずれかである、卵巣組織に形成される癌である。卵巣癌の症状としては、腹部の痛みまたは腫れ、骨盤での痛み、おなら、腹部膨満または便秘といった胃腸管の問題および月経停止後の膣出血が挙げられるが、これらに限定されない。
一実施形態において、本発明のシグナルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物またはmmRNAを用いて、卵巣癌と診断されたまたは診断され得る対象の疾患、障害および/または状態を治療し得、前記対象に目的とする腫瘍学関連ポリペプチドをコードする単離ポリヌクレオチドを投与することで治療し得る。一実施形態において、本発明のシグナルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物またはシグナルセンサーmmRNAを用いて、卵巣癌と診断されたまたは診断され得る対象の腫瘍の成長を軽減、除去または阻害し得、前記対象に目的とする腫瘍学関連ポリペプチドをコードする単離ポリヌクレオチドを投与することで軽減、除去または阻害し得る。一実施形態において、本発明のシグナルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物またはシグナルセンサーmmRNAを用いて、卵巣癌と診断されたまたは診断され得る対象の少なくとも1つの癌の症状を軽減および/または改善し得、前記対象に目的とする腫瘍学関連ポリペプチドをコードする単離ポリヌクレオチドを投与することで軽減および/または改善し得る。
前立腺癌
前立腺の組織に形成される前立腺は、主に年配の男性が患う。前立腺癌の非制限的な例としては、弱いまたは断続的な尿の流れ、頻尿、排尿困難、排尿の際の痛みまたはひりひりした痛み、尿または精液の血液、なくならない背中、おしりまたは骨盤の痛みおよび痛みを伴う射精が挙げられるが、これらに限定されない。
一実施形態において、本発明のシグナルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物またはmmRNAを用いて、前立腺癌と診断されたまたは診断され得る対象の疾患、障害および/または状態を治療し得、前記対象に目的とする腫瘍学関連ポリペプチドをコードする単離ポリヌクレオチドを投与することで治療し得る。一実施形態において、本発明のシグナルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物またはmmRNAを用いて、前立腺癌と診断されたまたは診断され得る対象の腫瘍の成長を軽減、除去または阻害し得、前記対象に目的とする腫瘍学関連ポリペプチドをコードする単離ポリヌクレオチドを投与することで軽減、除去または阻害し得る。一実施形態において、本発明のシグナルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物またはmmRNAを用いて、前立腺癌と診断されたまたは診断され得る対象の少なくとも1つの癌の症状を軽減および/または改善し得、前記対象に目的とする腫瘍学関連ポリペプチドをコードする単離ポリヌクレオチドを投与することで軽減および/または改善し得る。
睾丸癌
睾丸癌は1つまたは双方の睾丸の組織に形成され、若いまたは中年男性に最も見られる。多くの睾丸癌は、生殖細胞にあり、睾丸生殖細胞腫瘍と呼ばれる。睾丸細胞腫瘍には、精上皮種および非精上皮種と呼ばれる2種類がある。睾丸癌の一般的な症状としては、いずれかの睾丸における痛みのない塊または腫れ、睾丸の感じ方における変化、下腹部または鼠径部の鈍痛、陰嚢における流体の突然の形成、および、睾丸または陰嚢における痛みまたは不快感が挙げられるが、これらに限定されない。
一実施形態において、本発明のシグナルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物またはmmRNAを用いて、睾丸癌と診断されたまたは診断され得る対象の疾患、障害および/または状態を治療し得、前記対象に目的とする腫瘍学関連ポリペプチドをコードする単離ポリヌクレオチドを投与することで治療し得る。一実施形態において、本発明のシグナルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物またはmmRNAを用いて、睾丸癌と診断されたまたは診断され得る対象の腫瘍の成長を軽減、除去または阻害し得、前記対象に目的とする腫瘍学関連ポリペプチドをコードする単離シグナルセンサーポリヌクレオチドを投与することで軽減、除去または阻害し得る。一実施形態において、本発明のポリヌクレオチド、一次構築物またはmmRNAを用いて、睾丸癌と診断されたまたは診断され得る対象の少なくとも1つの癌の症状を軽減および/または改善し得、前記対象に目的とする腫瘍学関連ポリペプチドをコードする単離ポリヌクレオチドを投与することで軽減および/または改善し得る。
咽頭癌
咽頭癌は、咽頭の組織で形成され、鼻咽腔(鼻咽腔癌)、中咽頭(中咽頭癌)、下咽頭(咽頭下部癌)および喉頭(喉頭癌)の癌を包含する。咽頭癌の一般的な症状には、なくならないのどの痛み、耳の痛み、頚部の塊、痛みの伴う嚥下または嚥下困難、声の変化またはしわがれ声、呼吸困難または発話困難、鼻血、難聴、耳の痛みまたは耳鳴り、頭痛、胸骨奥の鈍痛、咳および理由不明の体重軽減が挙げられるが、これらに限定されない。
一実施形態において、本発明のシグナルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物またはmmRNAを用いて、咽頭癌と診断されたまたは診断され得る対象の疾患、障害および/または状態を治療し得、前記対象に目的とする腫瘍学関連ポリペプチドをコードする単離ポリヌクレオチドを投与することで治療し得る。一実施形態において、本発明のシグナルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物またはmmRNAを用いて、咽頭癌と診断されたまたは診断され得る対象の腫瘍の成長を軽減、除去または阻害し得、前記対象に目的とする腫瘍学関連ポリペプチドをコードする単離ポリヌクレオチドを投与することで軽減、除去または阻害し得る。一実施形態において、本発明のシグナルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物またはmmRNAを用いて、咽頭癌と診断されたまたは診断され得る対象の少なくとも1つの癌の症状を軽減および/または改善し得、前記対象に目的とする腫瘍学関連ポリペプチドをコードする単離ポリヌクレオチドを投与することで軽減および/または改善し得る。
低酸素誘導因子(HIF)の阻害
低酸素誘導因子(HIF)は、酸素欠乏への細胞順応を制御する。がん細胞は、HIFに結合して有害状況での成長を持続し、こうして代謝、増殖、存続および移動性を包含する細胞再プログラムを促進する。ヒトのがん生検でのHIF過剰発現は、高転移性および脂肪率と相互関連する。
HIFはGLUT1、GLUT3、ALDOA、ENO1、GAPDH、HK1、HK2、PFKL、PGK1、PKM2、LDHAといった代謝に関する遺伝子、IGF−2、TGFA、VEGFAといった増殖に関する遺伝子、TERT、NANOG、OCT4といった存続に関する遺伝子、ZEB1、ZEB2、SNAI2、MMP14、MMP9、AMF、MET、PTHrPといった細胞移動−湿潤に関する遺伝子を制御する(Keith、etalNatRevCancer2012;12:9−22)。
一実施形態において、1つ以上のシグナルセンサーポリヌクレオチドをがん細胞に投与し、がんの不安定化を調査し得る。配列、用量、投与経路の選択は、細胞、腫瘍、組織または生物体の診断的評価によって知らされてもよく、その診断的評価としては、がんの発現プロファイリング、代謝的評価(低酸素性、アシドーシス性)、アポトーシス対存続プロファイリング、細胞周期対老化プロファイリング、免疫感受性、および/またはストロマ因子の評価が挙げられるが、これらに限定されない。
一実施形態において、シグナルセンサーポリヌクレオチドは、腫瘍学関連ポリペプチド、CITED4およびSHARP1のいずれかまたは双方をコードし得る。シグナルセンサーポリヌクレオチドは次いで、いずれかまたは双方の投与ががん細胞においてHIF−1アルファのトランスクリプトームの阻害につながる箇所へ投与する。HIF1−アルファ遺伝子制御発現の抑制は、双方のポリヌクレオチドが一緒に投与される際により高い抑制を伴って投与の際に生じる。HIF1−アルファ下でのルシフェラーゼといったレポーター構築物を、van de Sluisらが開示した方法と同様の方法で使用する(J
Clin Invest.2010;120(6):2119-2130)。CITED4およびSHARP1双方の発現は低下したHIF1−アルファ発現および同時に付随するHIF1−アルファ制御遺伝子発現の低下につながることが知られている。シグナルセンサーポリヌクレオチドの有効性を決定するために、細胞死および/または増殖も評価し得る。
別の実施形態では、CITED4およびSHARP1は低酸素状況でそれ自体が下方制御されるがん細胞株を用いてさらに実験を実施し得る。陽性結果は、天然タンパク質をシグナルセンサーポリヌクレオチドで置き換えた代謝プロファイル(この場合、CITED4およびSHAPR1の低酸素性順応)を特異的に標的にすると、このプロファイルを有するがん細胞のトランスクリプトームおよび生存優位性に直接影響を及ぼし得ることを実証するであろう。データはさらに、低酸素状況下のシグナルセンサーポリヌクレオチド対ビヒクルの相対的影響は、正常な細胞よりもがん細胞に関してより有意であったことを示し得(すなわち、がん細胞はCITED4+SHARP1下方制御に基づいて不釣り合いな生存優位性を有する)、これによって、正常な細胞がこのタンパク質の過剰生産に対するよりも、このタンパク質の置き換えに対してがん細胞は感受性がさらに高くなることを示し得る。がん細胞は低酸素状況を経験する可能性が高く、正常酸素圧状況下の正常な細胞は、生存優位性に関してHIF1アルファに依存していないため、CITED4およびSHARP1過剰発現に耐容性を示し得ることが理解される。
一実施形態において、インビボ実験が、インビトロ実験の設計に従って実施され、ここで、HIF−1アルファは転移性においてその最大部分の利点を与えるようなので、動物モデルは、がん設定で転移性を確実に示すものである。動物には、未治療または対照ポリヌクレオチドと比較して、シグナルセンサーポリヌクレオチドを投与する。動物細胞、組織および/または器官を次いで、遺伝子発現プロファイルまたはトランスクリプトームレベルでの変化に関して評価する。
補因子間の滴定
2つの補因子間の結合親和性を滴定するために、実験を実行し得る。本明細書で使用される「滴定」という語句は、1つ以上の因子を、目的とする特性を評価するために、その溶液、シナリオまたはシリーズに体系的に(例えば、増加量で、または、1つ以上の因子が体系的に修飾される)導入する方法を指す。本実施形態では、目的とする特性は2つの補因子間の親和性である。1つの実施形態では、2つの補因子をコードする構築物を得て、および/または合成して、変異体構築物のシリーズを準備および/または合成する。変異構築物には、切断変異体(NまたはC末端ドメインのいずれかで1つ以上のアミノ酸が欠如する変異体タンパク質)、領域的欠失[タンパク質の(1つ以上のアミノ酸を含む)内部領域が不在であるタンパク質]を有する変異体、単一のアミノ酸置換(正常に発現されるアミノ酸が代替アミノ酸で置換される)を有する変異体、1つ以上の追加アミノ酸が、内部に、または、いずれかの末端に追加された変異体、領域的置換[タンパク質の(1つ以上のアミノ酸を含む)内部領域が、(1つ以上のアミノ酸を含む)代替領域および/またはこれらのいずれかの組み合わせで置換されるタンパク質]を有する変異対が包含され得る。変異体構築物はランダムに突然変異され、または、調査されている2つの補因子間の結合に必要な分子相互作用の既存の知識に基づいて、標的とする突然変異に供する。
いくつかの実施形態では、変異体タンパク質のシリーズを、突然変異がポリペプチド鎖に沿って進行パターンを追うように設計する。そのようなシリーズによって、補因子間の相互作用の特定の側面または特長をより把握することができ得る。変異体シリーズには、例えば、それぞれ単一のアミノ酸が置換された変異体の生産が包含され、ここで、各変異体は、その突然変異したポリペプチド配列に沿って異なるアミノ酸を有する(例えば、アラニンが置換されており、それによって、各位置のアミノ酸側鎖の影響が除去される)。他の実施例では、変異体シリーズは、シリーズの変異体が増加するサイズの切断を含むように設計される。別の例では、類似した方法で翻訳後修飾(例えば、リン酸化、アセチル化、ユビキチン化、グリコシル化など)が可能なアミノ酸を変異体シリーズのポリペプチド配列に沿って突然変異させ得る。
変異体補因子での滴定実験では、結合に有利な状況下で双方の補因子をまとめることで、2つ補因子間のベースライン親和性を確立し、補因子間の結合親和性がアッセイされる。結合親和性は、当該技術分野で知られる様々な方法のいずれかを用いて評価され得る。そのような方法としては、ウェスタンブロット分析、免疫沈澱、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、蛍光共鳴エネルギー転移(FRET)、蛍光退色後回復測定(FRAP)、蛍光極性化技術および/または表面プラズモン共鳴(SPR)系技術が挙げられるが、これらに限定されない。滴定では、一方法に従うと、1つまたは双方の補因子の変異体シリーズを2つの未突然変異補因子と組み合わせ(て、野生型と突然変異タンパク質との間の結合競合を可能にす)る。異なる変異体の増加する濃度の存在下で、2つの補因子間の親和性における変化が評価され、比較および/または結合に関して競合している変異体シリーズに存在する特定の突然変異に対してプロット化する。または、シリーズの変異体補因子を、対応する未突然変異結合パートナーと別々に組み合わせ、結合親和性を評価する。野生型補因子(変異体補因子に対応)の増加する濃度が導入され、変異体補因子と対応する未突然変異結合パートナーとの間の結合における変化が評価される。結果として得られる結合曲線と他の試験変異体の結合曲線との間で比較を行う。
いくつかの実施形態では、2つの補因子間の結合親和性の滴定を、第3の因子の増加する濃度の存在または不在下で評価する。そのような第3の因子は、2つの補因子間の結合の阻害剤または活性剤であり得る。上記の通り、変異体のシリーズが第3の因子のために作製され得、そのようなシリーズを滴定実験で用い、2つの補因子間の結合に対する突然変異の効果を評価し得る。
滴定実験で得た情報を用いて、補因子間の相互作用を調節する因子をコードする修飾mRNAを設計し得る。
いくつかの実験では、HIF1サブユニット(HIF1−アルファ、HIF2−アルファおよびARNT)および/または突然変異HIF1サブユニットおよび/またはHIF1と相互作用する他のタンパク質の間の結合親和性を評価する滴定実験を実行する。滴定実験では、HIF1−アルファ、HIF2−アルファ、ARNTおよび/または第3の相互作用因子のうち1つ以上に関して、構築物を用いて作製される変異体シリーズを用い得る。いくつかの実施形態では、変異体シリーズはHIF1−アルファに関して作製される。HIF1−アルファおよびHIF2−アルファは、細胞内の正常なレベルの酸素の下で、HIFヒドロキシラーゼによってヒドロキシル化され、分解の助長および/または転写活性を遮断する。ヒドロキシル化は、酸素のレベルが低下するに伴って低下し、HIF1−アルファおよび/またはHIF2−アルファがその補因子、ARNTと結合することを可能にし、HIF−応答要素(HRE)を含む遺伝子の発現上昇につながる(Keith,B.et al.,HIF1α and HIF2α:sibling rivalry in hypoxic tumour growth and progression.Nat Rev Cancer. 2011 Dec 15;12(1):9−22)。一実施形態では、HIF1−アルファ変異体シリーズが作製され、ここでは、シリーズの突然変異がポリペプチド鎖(プロリン402、プロリン564および/またはアスパラギン803を包含するが、これらに限定されない)に沿ってヒドロキシル化部位を1つ以上漸進的に除去し、それによってHIF1−アルファの変異体バージョンの安定性および/または転写活性を調節する。別の実施形態では、代替補因子、HIF2−アルファを用いて変異体シリーズを作製する。そのような変異体シリーズは、ポリペプチド鎖(プロリン405、プロリン531および/またはアスパラギン847を包含するが、これらに限定されない)に沿ってヒドロキシル化部位を1つ以上漸進的に除去し、それによってHIF2−アルファの変異体バージョンの安定性および/または転写活性を調節する。別の実施形態では、ARNTとの相互作用に必要な領域を漸進的に突然変異し、それによってARNTと結合し、HIF依存性遺伝子発現を調節する改変した能力を有する変異体を作るHIF1−アルファおよび/またはHIF2−アルファ変異体シリーズを作製する。別の実施形態では、他のHIFサブユニットとの相互作用に必要な領域を漸進的に突然変異し、それによって、HIFサブユニットと結合し、HIF依存性遺伝子発現を調節する改変した能力を有する変異体を作るARNT変異体シリーズを作製する。
いくつかの実施形態では、変異体シリーズをVon Hippel−Landau腫瘍抑制タンパク質(pVHL)のために作製する。このタンパク質は、ヒドロキシル化HIF1−アルファおよびHIF2−アルファに結合し、そのユビキチン化および分解を助長する。一実施形態では、HIF1サブユニットとの相互作用に必要な領域を漸進的に突然変異し、それによって、HIF1サブユニットと結合し、HIF依存性遺伝子発現を調節する改変した能力を有する変異体を作る変異体シリーズを作製する。
滴定実験で使用され得る転写物およびポリペプチド配列の非制限的な例は、表27(転写物)および表28(ポリペプチド)に示される。
VI.キットおよびデバイス
キット
本発明は、好都合におよび/または効果的に本発明の方法を行うための多様なキットを提供する。典型的には、キットは、使用者が対象の(複数可)複数の治療を実施する、および/または複数の実験を実施することを可能にするのに十分な量および/または数の構成成分を含む。
一態様において、本発明は、本発明の分子(シグナルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物、またはmmRNA)を含むキットを提供する。一実施形態において、キットは、1つ以上の機能的抗体またはその機能断片を含む。
そのキットは、翻訳可能領域を含む第1のシグナルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物、またはmmRNAを含む、腫瘍学関連タンパク質産生のためのものであり得る。キットは、製剤組成物を形成するための包装および説明書ならびに/または送達剤をさらに含んでもよい。送達剤は、本明細書で開示される食塩水、緩衝液、リピドイド(lipidoid)、または任意の送達剤を含んでもよい。
一実施形態において、緩衝液には、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、リン酸塩、および/またはEDTAが含まれてもよい。別の実施形態において、緩衝液は、食塩水、2mMカルシウムを含有する食塩水、5%ショ糖、2mMカルシウムを含有する5%ショ糖、5%マンニトール、2mMカルシウムを含有する5%マンニトール、Ringerの乳酸塩、塩化ナトリウム、2mMカルシウムを含有する塩化ナトリウムを含み得るが、これらに限定されない)。さらなる実施形態において、緩衝液は沈殿されてもよく、または凍結乾燥されてもよい。各構成成分の量は、一貫した、再現性のある高濃度食塩水または単純緩衝製剤を可能にするように変更され得る。構成成分は、一定期間にわたって、および/または多様な条件下での緩衝液中における修飾RNAの安定性を増加させるようにも変更され得る。一態様において、本発明は、標的細胞内に導入されるとき、所望の量の翻訳可能領域によってコードされる腫瘍学関連タンパク質を産生するのに有効な量で提供される、翻訳可能領域を含むシグナルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物、またはmmRNAと、細胞の自然免疫応答を実質的に阻害するのに有効な量で提供される、阻害性核酸を含む第2のシグナルセンサーポリヌクレオチドと、包装および説明書と、を含む、腫瘍学関連タンパク質産生のためのキットを提供する。
一態様において、本発明は、シグナルセンサーポリヌクレオチドが細胞ヌクレアーゼによる低減された分解を示す、翻訳可能領域を含むシグナルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物、またはmmRNAと、包装および説明書と、を含む、腫瘍学関連タンパク質産生のためのキットを提供する。
一態様において、本発明は、そのポリヌクレオチドが細胞ヌクレアーゼによる低減された分解を示す、翻訳可能領域を含むシグナルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物、またはmmRNAと、第1の核酸の翻訳可能領域の翻訳に適した哺乳類細胞と、を含む、腫瘍学関連タンパク質産生のためのキットを提供する。
デバイス
本発明は、目的とするポリペプチドをコードするシグナルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物、またはmmRNAを組み込み得るデバイスを提供する。これらのデバイスは、安定した製剤中に、ヒト患者等のそれを必要とする対象に即時に送達されることができる製剤中にシグナルセンサーポリヌクレオチドを合成するための試薬を含有する。
いくつかの実施形態において、デバイスは、自己完結型であり、任意に、生成されたシグナルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物、またはmmRNAの合成および/または分析のための指示を得るための無線遠隔通信が可能である。デバイスは、少なくとも1つのシグナルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物、またはmmRNA、および好ましくは無制限の異なるシグナルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物、またはmmRNAのモバイル合成が可能である。ある特定の実施形態において、デバイスは、1または少数の個体によって輸送されることができる。他の実施形態において、デバイスは、卓上または机に合うように調整される。他の実施形態において、デバイスは、スーツケース、バックパック、または同様の大きさの対象に収まるように調整される。別の実施形態において、デバイスは、ポイントオブケアまたは手持ち式デバイスであってもよい。さらなる実施形態において、デバイスは、乗用車、運搬車、もしくは救急車等の自動車、または戦車もしくは兵員輸送車等の軍用車両に収まるように調整される。目的とする腫瘍学関連ポリペプチドをコードする修飾シグナルセンサーmRNA生成するために必要な情報は、デバイスに存在するコンピュータ可読媒体内に存在する。
一実施形態において、デバイスは、シグナルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物、またはmmRNAの形態で投与された腫瘍学関連タンパク質のレベルを評価するために使用され得る。デバイスは、血液、尿、または他の生物流体(biofluidic)検査を含んでもよい。
いくつかの実施形態において、デバイスは、シグナルセンサー核酸および腫瘍学関連ポリペプチド配列であり得る核酸およびポリペプチド配列のデータベースを用いて通信(例えば、無線通信)が可能である。デバイスは、1つ以上の試料容器を挿入するための少なくとも1つの試料ブロックを含む。そのような試料容器は、テンプレートDNA、ヌクレオチド、酵素、緩衝剤、および他の試薬等の任意の数の材料の液体または他の形態を受け入れることが可能である。試料容器は、試料ブロックとの接触によって加熱または冷却されることも可能である。試料ブロックは、一般的に、少なくとも1つの試料ブロックのための1つ以上の電子制御装置を有するデバイス基部と通信している。試料ブロックは、好ましくは、試料容器およびその構成要素を約−20℃〜+100℃を超える温度に加熱および/または冷却することができるような加熱モジュールである、加熱モジュールを含む。デバイス基部は、電池または外部電圧源等の電圧源と通信している。デバイスは、RNA合成のための材料を貯蔵および分配するための手段も含む。
任意に、試料ブロックは、合成された核酸を分離するためのモジュールを含む。あるいは、デバイスは、試料ブロックに作動可能に連結される分離モジュールを含む。好ましくは、デバイスは、合成された核酸を分析するための手段を含む。そのような分析には、配列同一性(ハイブリダイゼーション等によって実証される)、望ましくない配列の不在、合成されたmRNAの完全性の測定(分光光度法と組み合わせた微小流体粘度測定によるもの等)、ならびに修飾RNAの濃度および/または効力(分光光度法によるもの等)が挙げられる。
ある特定の実施形態において、デバイスは、対象から得られた生物材料中に存在する病原体の検出のための手段、例えば、微生物同定用のIBIS PLEX−IDシステム(Abbott,Abbott Park,IL)と組み合わせられる。
本明細書に記載の薬学的組成物を皮内送達する際に用いるのに適したデバイスには、米国特許第4,886,499号、同第5,190,521号、同第5,328,483号、同第5,527,288号、同第4,270,537号、同第5,015,235号、同第5,141,496号、および同第5,417,662号に記載のデバイス等の短針デバイスが挙げられる。皮内組成物は、PCT出願第WO99/34850号に記載のデバイスおよびその機能的等価物等の皮膚の中への針の有効な貫通長さを制限するデバイスによって投与され得る。液体ジェット式注入器を介して、および/または角質層に穴を開ける針を介して、液体組成物を真皮に送達し、真皮に到達するジェットを生じるジェット式注入デバイスが好適である。ジェット式注入デバイスは、例えば、米国特許第5,480,381号、同第5,599,302号、同第5,334,144号、同第5,993,412号、同第5,649,912号、同第5,569,189号、同第5,704,911号、同第5,383,851号、同第5,893,397号、同第5,466,220号、同第5,339,163号、同第5,312,335号、同第5,503,627号、同第5,064,413号、同第5,520,639号、同第4,596,556号、同第4,790,824号、同第4,941,880号、同第4,940,460号、ならびにPCT出願第WO97/37705号および同第WO97/13537号に記載されている。圧縮ガスを用いて、粉末形態にあるワクチンを加速させ、皮膚の外層を通して真皮に到達させる弾道粉末/粒子送達デバイスが、好適である。あるいは、またはさらに、従来のシリンジを皮内投与の古典的なマントゥー法で用いることができる。
いくつかの実施形態において、デバイスは、ポンプであってもよく、または血液脳関門を横断する本発明の化合物または組成物の投与用のカテーテルを含む。そのようなデバイスには、加圧嗅覚送達デバイス、イオン泳動デバイス、多層微小流体デバイス等が挙げられるが、これらに限定されない。そのようなデバイスは、携帯型または固定型であってもよい。それらは、身体に埋め込み可能であるか、または身体に外的に係留されるか、またはそれらの組み合わせであってもよい。
投与用デバイスを用いて、本発明で教示される単回、複数回、または分割投薬レジメンに従って、本発明のシグナルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物、またはmmRNAを送達してもよい。そのようなデバイスは、以下に記載される。
細胞、器官、および組織への複数回投与のための当技術分野で既知の方法およびデバイスは、本発明の実施形態として本明細書で開示される方法および組成物とともに使用されることが企図される。これらには、例えば、複数の針、例えば、ルーメンまたはカテーテルを用いるハイブリッドデバイスならびに熱、電流、または放射線駆動機構を利用するデバイスを有する方法およびデバイスが挙げられる。
本発明に従って、これらの複数回投与デバイスを利用して、本明細書で企図される単回用量、複数回用量、または分割された用量が送達されてもよい。
治療剤を固体組織に送達するための方法は、Bahramiらによって説明されており、例えば、米国特許公開第20110230839号に教示され、この内容は、参照によりこれらの全体が本明細書に組み込まれる。Bahramiによると、一連の針はデバイス内に組み込まれ、各針の長さに沿ってその固体組織内の任意の箇所で実質的に同量の流体を送達する。
生物組織を横断して生物材料を送達するためのデバイスは、Kodguleらによって説明されており、例えば、米国特許公開第20110172610号に教示され、この内容は、参照によりこれらの全体が本明細書に組み込まれる。Kodguleによると、1つ以上の金属から作製され、かつ約200ミクロン〜約350ミクロンの外径および少なくとも100ミクロンの長さを有する複数の中空型マイクロニードルがデバイス内に組み込まれ、ペプチド、タンパク質、炭水化物、核酸分子、脂質、および他の薬学的に有効な成分またはそれらの組み合わせを送達する。
治療剤の組織への送達のための送達プローブは、Gundayらによって説明されており、例えば、米国特許公開第20110270184号に教示され、この内容は、参照によりこれらの全体が本明細書に組み込まれる。Gundayによると、複数の針がデバイス内に組み込まれ、デバイスは、付加されたカプセルを作動位置と非作動位置との間で移動させ、その針を通してカプセルの外に薬剤を出させる。
複数回注入医療器具が、Assafによって説明されており、例えば、米国特許公開第20110218497号に教示され、この内容は、参照によりこれらの全体が本明細書に組み込まれる。Assafによると、複数の針がデバイス内に組み込まれ、デバイスは、その針のうちの1つ以上に接続するチャンバと、各注入の後、連続的にそのチャンバに医療用流体を補充する手段と、を有する。
一実施形態において、シグナルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物、またはmmRNAは、少なくとも3つの針を介して皮下にまたは筋肉内に、同時または60分以内に3つの異なる、任意に隣接した部位へ投与される(例えば、同時または60以内に4、5、6、7、8、9、または10個の部位への投与)。分割された用量は、各々が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許公開第20110230839号および同第20110218497号に記載のデバイスを用いて、同時に隣接した組織に投与され得る。
物質を患者の身体に注入するための少なくとも部分的に埋め込み可能なシステム、具体的には陰茎勃起刺激システムが、Forsellによって説明されており、例えば、米国特許公開第20110196198号に教示され、この内容は、参照によりこれらの全体が本明細書に組み込まれる。Forsellによると、複数の針がデバイス内に組み込まれ、デバイスは、患者の左および右の陰核海綿体に隣接する1つ以上の筐体とともに埋め込まれる。また、針を通して薬物を供給するためにリザーバおよびポンプも埋め込まれる。
治療的有効量の鉄分の経皮送達のための方法が、Berensonによって説明されており、例えば、米国特許公開第20100130910号に教示され、この内容は、参照によりこれらの全体が本明細書に組み込まれる。Berensonによると、複数の針を用いて、イオン泳動パッチ上のイオン性鉄分の経皮送達を強化するために角質層内に複数のマイクロチャネルを作製することができる。
生物組織を横断する生物材料の送達のための方法が、Kodguleらによって説明されており、例えば、米国特許公開第20110196308号に教示され、この内容は、参照によりこれらの全体が本明細書に組み込まれる。Kodguleによると、治療的活性成分を含む複数の生分解性マイクロニードルがデバイスに組み込まれ、タンパク質、炭水化物、核酸分子、脂質、および他の薬学的活性成分、またはそれらの組み合わせを送達する。
ボツリヌス毒素組成物を含む経皮パッチが、Donovanによって説明されており、例えば、米国特許公開第20080220020号に教示され、この内容は、参照によりこれらの全体が本明細書に組み込まれる。Donovanによると、複数の針がパッチ内に組み込まれ、血液を破裂させることなく、皮膚の角質層を通して突出するその針を通してボツリヌス毒素を角質層下に送達する。
およそ0.2〜15mLの液体製剤を保持することができる小さい使い捨ての薬物リザーバ、またはパッチポンプを皮膚上に配置し、製剤を細い針(例えば、26〜34ゲージ)を用いて連続的に皮下に送達することができる。非限定的な例として、パッチポンプは、30〜34ゲージ針を有するばね式の50mm×76mm×20mm(BD(商標),Microinfuser,Franklin Lakes NJ)、インスリン等の薬物送達に使用される2mLリザーバを有する41mm×62mm×17mm(OMNIPOD(登録商標),Insulet Corporation Bedford,MA)、または0.5〜10mLリザーバを有する43〜60mm直径、10mm厚(PATCHPUMP(登録商標),SteadyMed Therapeutics,San Francisco,CA)であってもよい。さらに、パッチポンプは、電池式および/または充電式であり得る。
低温治療の箇所への活性剤の投与用の凍結探針が、Toubiaによって説明されており、例えば、米国特許公開第20080140061号に教示され、この内容は、参照によりこれらの全体が本明細書に組み込まれる。Toubiaによると、複数の針がプローブ内に組み込まれ、プローブは、チャンバ内への活性剤を受容し、薬剤を組織に投与する。
炎症を治療するか、もしくは予防し、または健常な関節を促進するための方法が、Stockらによって説明されており、例えば、米国特許公開第20090155186号に教示され、この内容は、参照によりこれらの全体が本明細書に組み込まれる。Stockによると、複数の針がデバイスに組み込まれ、シグナル伝達調節因子化合物を含有する組成物を投与する。
多部位注入システムが、Kimmellらによって説明されており、例えば、米国特許公開第20100256594号に教示され、この内容は、参照によりこれらの全体が本明細書に組み込まれる。Kimmellによると、複数の針がデバイス内に組み込まれ、その針を通して薬物を角質層内に送達する。
インターフェロンを皮内区画に送達するための方法が、Dekkerらによって説明されており、例えば、米国特許公開第20050181033号に教示され、この内容は、参照によりこれらの全体が本明細書に組み込まれる。Dekkerによると、0〜1mmの露出された高さを持つ放出口を有する複数の針がデバイス内に組み込まれ、それが0.3mm〜2mmの深さで物質を送達することによって、薬物動態およびバイオアベイラビリティを改善する。
遺伝子、酵素、および生物薬剤を組織細胞に送達するための方法が、Desaiによって説明されており、例えば、米国特許公開第20030073908号に教示され、この内容は、参照によりこれらの全体が本明細書に組み込まれる。Desaiによると、複数の針が体内に挿入されるデバイス内に組み込まれ、その針を通して薬物流体を送達する。
線維芽細胞を用いて不整脈を治療するための方法が、Leeらによって説明されており、例えば、米国特許公開第20040005295号に教示され、この内容は、参照によりこれらの全体が本明細書に組み込まれる。Leeによると、複数の針がデバイス内に組み込まれ、線維芽細胞を組織の局所的領域に送達する。
磁力制御されたポンプ使用して脳腫瘍を治療するための方法が、Shacharらによって説明されており、例えば、米国特許第7799012号(方法)および同第7799016号(デバイス)に教示され、それらの内容は、参照によりこれらの全体が本明細書に組み込まれる。Shacharによると、複数の針がポンプに組み込まれ、ポンプは、制御された速度でその針を通して薬物治療剤を押す。
雌哺乳類における膀胱の機能的障害を治療する方法が、Versiらによって説明されており、例えば、米国特許第8,029,496号に教示され、この内容は、参照によりこれらの全体が本明細書に組み込まれる。Versiによると、一連のマイクロニードルがデバイス内に組み込まれ、その針を通して直接膀胱の膀胱三角部内に治療剤を送達する。
マイクロニードル経皮輸送デバイスが、Angelらによって説明されており、例えば、米国特許第7,364,568号に教示され、この内容は、参照によりこれらの全体が本明細書に組み込まれる。Angelによると、複数の針がデバイス内に組み込まれ、デバイスは、異なる方向から表面内に挿入されるその針を通して物質を体表内に輸送する。マイクロそのニードル経皮輸送デバイスは、中実型マイクロニードルシステムまたは中空型マイクロニードルシステムであってもよい。非限定的な例として、中実型マイクロニードルシステムは、薬物で被覆された約150〜700μmの高さの、cm2当たり300〜1500の中実マイクロニードルを伴う最大0.5mgの容量を有し得る。マイクロニードルは、角質層に透過し、短い持続期間(例えば、20秒間〜15分間)、皮膚に残存する。別の例において、中空型マイクロニードルシステムは、最大3mLの容量を有し、およそ950μmの高さであるcm2当たり15〜20マイクロニードルを用いて液体製剤を送達する。マイクロニードルは皮膚に透過し、液体製剤がデバイスから皮膚内に流れることを可能にする。中空型マイクロニードルシステムは、製剤体積および粘度に応じて、1〜30分間で消耗し得る。
皮下輸注用デバイスが、Daltonらによって説明されており、例えば、米国特許第7,150,726号に教示され、この内容は、参照によりこれらの全体が本明細書に組み込まれる。Daltonによると、複数の針がデバイス内に組み込まれ、その針を通して流体を皮下組織に送達する。
マイクロカニューレを通したワクチンおよび遺伝子治療剤の皮内送達用デバイスおよび方法が、Miksztaらによって説明されており、例えば、米国特許第7,473,247号に教示され、この内容は、参照によりこれらの全体が本明細書に組み込まれる。Mitsztaによると、少なくとも1つの中空型マイクロニードルがデバイス内に組み込まれ、0.025mm〜2mmの深さでワクチンを対象の皮膚に送達する。
インスリンを送達する方法が、Pettisらによって説明されており、例えば、米国特許第7,722,595号に教示され、この内容は、参照によりこれらの全体が本明細書に組み込まれる。Pettisによると、2つの針はデバイス内に組み込まれ、第1の針はインスリンを皮内区画に送達するように2.5mm未満の深さで、第2の針はインスリンを皮内区画に送達するように2.5mm超えかつ5.0mm未満の深さで、両方の針は基本的に同時に皮膚内に挿入される。
吸引下での皮膚注入送達が、Kochambaらによって説明されており、例えば、米国特許第6,896,666号に教示され、この内容は、参照によりこれらの全体が本明細書に組み込まれる。Kochambaによると、互いに比較的に隣接した複数の針がデバイス内に組み込まれ、皮膚層の下に流体を注入する。
皮膚を通して物質を取り除くか、または送達するためのデバイスが、Downらによって説明されており、例えば、米国特許第6,607,513号に教示され、この内容は、参照によりこれらの全体が本明細書に組み込まれる。Downによると、複数の皮膚透過メンバーがデバイス内に組み込まれ、約100ミクロンから約2000ミクロンの長さを有し、約30〜50ゲージである。
物質を皮膚に送達するためのデバイスが、Palmerらによって説明されており、例えば、米国特許第6,537,242号に教示され、この内容は、参照によりこれらの全体が本明細書に組み込まれる。Palmerによると、一連のマイクロニードルがデバイス内に組み込まれ、その針と皮膚との接触を強化するために引っ張りアセンブリを使用し、物質のより均一な送達をもたらす。
局所薬物送達のための灌流デバイスが、Zamoyskiによって説明されており、例えば、米国特許第6,468,247号に教示され、この内容は、参照によりこれらの全体が本明細書に組み込まれる。Zamoyskiによると、複数の皮下針が、皮下注射器が後退するときに皮下注射器の内容物を組織内に注入するデバイス内に組み込まれる。
マイクロニードルおよびヒト皮膚との間の相互作用を改善することによる組織を横断する薬物および生体分子の増強された輸送のための方法が、Prausnitzらによって説明されており、例えば、米国特許第6,743,211号に教示され、この内容は、参照によりこれらの全体が本明細書に組み込まれる。Prausnitzによると、複数のマイクロニードルがデバイス内に組み込まれ、デバイスは、そこにマイクロニードルが適用される、より強固で、より変形しにくい表面を示すことができる。
医薬剤の器官内投与のためのデバイスが、Tingらによって説明されており、例えば、米国特許第6,077,251号に教示され、この内容は、参照によりこれらの全体が本明細書に組み込まれる。Tingによると、増強投与のための側面開口部を有する複数の針がデバイス内に組み込まれ、デバイスは、その針を針チャンバからおよび針チャンバ中へ伸長および後退することによって医薬剤をリザーバからその針の中へ押し進め、その医薬剤を標的器官に注入する。
複数の持針器および皮下多重チャネル輸注ポートが、Brownによって説明されており、例えば、米国特許第4,695,273号に教示され、この内容は、参照によりこれらの全体が本明細書に組み込まれる。Brownによると、持針器上の複数の針が輸注ポートの中隔を通して挿入され、その輸注ポート内の単離されたチャンバと連通する。
二重皮下シリンジが、Hornによって説明されており、例えば、米国特許第3,552,394号に教示され、この内容は、参照によりこれらの全体が本明細書に組み込まれる。Hornによると、デバイス内に組み込まれる2つの針が、68mm未満の間隔で離間され、異なるスタイルおよび長さであってもよく、このため注入が異なる深さで行われることを可能にする。
複数の針および複数の流体区画を有するシリンジが、Hershbergによって説明されており、例えば、米国特許第3,572,336号に教示され、この内容は、参照によりこれらの全体が本明細書に組み込まれる。Hershbergによると、複数の針が複数の流体区画を有するシリンジ内に組み込まれ、1つの注入に混合することができない相性の悪い薬物を同時に投与することができる。
流体の皮内の注入のための外科用器具が、Eliscuらによって説明されており、例えば、米国特許第2,588,623号に教示され、この内容は、参照によりこれらの全体が本明細書に組み込まれる。Eliscuによると、複数の針がその器具内に組み込まれ、流体を皮内により幅広い分散で注入する。
複数の乳房内の乳管への物質の同時送達のための装置が、Hungによって説明されており、例えば、欧州特許第1818017号に教示され、この内容は、参照によりこれらの全体が本明細書に組み込まれる。Hungによると、複数のルーメンがデバイス内に組み込まれ、乳管網のオリフィスを通して挿入し、流体を乳管網に送達する。
心臓または他の器官の組織への薬物の導入のためのカテーテルが、Tkebuchavaによって説明されており、例えば、国際公開第WO2006138109号に教示され、この内容は、参照によりこれらの全体が本明細書に組み込まれる。Tkebuchavaによると、平坦な軌道で器官壁に進入する2つの湾曲針が組み込まれる。
医薬剤を送達するためのデバイスが、Mckayらによって説明されており、例えば、国際公開第WO2006118804号に教示され、この内容は、参照によりこれらの全体が本明細書に組み込まれる。Mckayによると、各針上に複数のオリフィスを有する複数の針がデバイス内に組み込まれ、脊髄円板の内部円板空間等の組織への局部送達を容易にする。
哺乳類皮膚内の皮内空間内に免疫調節物質を直接送達するための方法が、Pettisによって説明されており、例えば、国際公開第WO2004020014号に教示され、この内容は、参照によりこれらの全体が本明細書に組み込まれる。Pettisによると、複数の針がデバイス内に組み込まれ、針を通して物質を0.3mm〜2mmの深さに送達する。
全身性吸収および改善された薬物動態のための皮膚の少なくとも2つの区画内へ物質を投与するための方法およびデバイスが、Pettisらによって説明されており、例えば、国際公開第WO2003094995号に教示され、この内容は、参照によりこれらの全体が本明細書に組み込まれる。Pettisによると、約300μm〜約5mmの長さを有する複数の針がデバイス内に組み込まれ、皮内および皮下組織区画へ同時に送達する。
針およびローラーを有する薬物送達デバイスが、Zimmermanらによって説明されており、例えば、国際公開第WO2012006259号に教示され、この内容は、参照によりこれらの全体が本明細書に組み込まれる。Zimmermanによると、ローラー内に位置する複数の中空針がデバイス内に組み込まれ、ローラーが回転すると、針を通してリザーバ内の内容物を送達する。
カテーテルおよび/またはルーメンを利用する方法およびデバイス
カテーテルおよびルーメンを使用する方法およびデバイスを用いて、単回、複数回、または分割された投薬スケジュールにおいて本発明のmmRNAを投与することができる。そのような方法およびデバイスを、以下に記載する。
骨格筋芽細胞から損傷された心臓の心筋へのカテーテルベースの送達が、Jacobyらによって説明されており、例えば、米国特許公開第20060263338号に教示され、この内容は、参照によりこれらの全体が本明細書に組み込まれる。Jacobyによると、複数の針がデバイス内に組み込まれ、その少なくとも一部が血管内に挿入され、針を通して細胞組成物を対象の心臓の局所領域に送達する。
神経毒素を用いて喘息を治療するための装置が、Deemらによって説明されており、例えば、米国特許公開第20060225742号に教示され、この内容は、参照によりこれらの全体が本明細書に組み込まれる。Deemによると、複数の針がデバイス内に組み込まれ、その針を通して神経毒素を気管支組織内に送達する。
複数成分療法を施すための方法が、Nayakによって説明されており、例えば、米国特許第7,699,803号に教示され、この内容は、参照によりこれらの全体が本明細書に組み込まれる。Nayakによると、複数の注入カニューレがデバイス内に組み込まれてもよく、深さを制御するための深度スロットが含まれてもよく、治療用物質はそこで組織内に送達される。
チャネルを切断し、少なくとも1つの治療剤を組織の所望の領域内に送達するための外科用デバイスが、McIntyreらによって説明されており、例えば、米国特許第8,012,096号に教示され、この内容は、参照によりこれらの全体が本明細書に組み込まれる。McIntyreによると、複数の針がデバイス内に組み込まれ、これはチャネルを取り囲む組織の領域内に治療剤を分注し、特に経心筋血行再建手術によく適している。
雌哺乳類における膀胱の機能的障害を治療する方法が、Versiらによって説明されており、例えば、米国特許第8,029,496号に教示され、この内容は、参照によりこれらの全体が本明細書に組み込まれる。Versiによると、一連のマイクロニードルがデバイス内に組み込まれ、その針を通して直接膀胱の膀胱三角部内に治療剤を送達する。
流体を柔軟な生体バリアーに送達するためのデバイスおよび方法が、Yeshurunらによって説明されており、例えば、米国特許第7,998,119号(デバイス)および同第8,007,466(方法)号に教示され、それらの内容は、参照によりこれらの全体が本明細書に組み込まれる。Yeshurunによると、デバイス上のマイクロニードルが柔軟な生体バリアーに透過および伸長し、流体は中空型マイクロニードルの孔を通して注入される。
心外膜表面を有し、心外膜を有する心臓の組織の領域に物質を介して注入するための、胴体内に配置される方法が、Bonnerらによって説明されており、例えば、米国特許第7,628,780号に教示され、この内容は、参照によりこれらの全体が本明細書に組み込まれる。Bonnerによると、デバイスは、針を組織内に操縦し、その針を通して医薬剤を組織内に注入するための細長いシャフトおよび遠位注入ヘッドを有する。
穿刺創を密封するためのデバイスが、Nielsenらによって説明されており、例えば、米国特許第7,972,358号に教示され、この内容は、参照によりこれらの全体が本明細書に組み込まれる。Nielsenによると、複数の針がデバイス内に組み込まれ、穿刺路を取り囲む組織内に閉鎖剤を送達する。
筋形成および血管形成のための方法が、Chiuらによって説明されており、例えば、米国特許第6,551,338号に教示され、この内容は、参照によりこれらの全体が本明細書に組み込まれる。Chiuによると、少なくとも1.25mmの最大直径と、6〜20mmの穿刺深度を提供するのに有効な長さと、を有する5〜15の針がデバイス内に組み込まれ、心筋近くに挿入し、外因性血管新生または筋原性因子をその針の少なくとも一部の中にある導管を通してその心筋に供給する。
前立腺組織の治療ための方法が、Bolmsjらによって説明されており、例えば、米国特許第6,524,270号に教示され、この内容は、参照によりこれらの全体が本明細書に組み込まれる。Bolmsjによると、尿道を通して挿入されるカテーテルを含むデバイスが、周囲の前立腺組織内に伸長可能な少なくとも1つの中空端を有する。収斂薬および鎮痛薬は、その端部を通してその前立腺組織内に投与される。
流体を骨内部位に輸注する方法が、Findlayらによって説明されており、例えば、米国特許第6,761,726号に教示され、この内容は、参照によりこれらの全体が本明細書に組み込まれる。Findlayによると、軟質材料の層で覆われた材料の硬質殻を貫通することが可能な複数の針がデバイス内に組み込まれ、その材料の硬質殻から下へ規定の距離で流体を送達する。
薬物を血管壁内に注入するためのデバイスが、Vigilらによって説明されており、例えば、米国特許第5,713,863号に教示され、この内容は、参照によりこれらの全体が本明細書に組み込まれる。Vigilによると、複数の注入器がデバイス内の可撓管のそれぞれの上に設置され、血管壁内への輸注のためにマルチルーメンカテーテルを通してその可撓管の中へ、およびその注入器の外へ薬物流体を導入する。
治療用および/または診断用薬剤を身体通路を取り囲む組織に送達するためのカテーテルが、Faxonらによって説明されており、例えば、米国特許第5,464,395号に教示され、この内容は、参照によりこれらの全体が本明細書に組み込まれる。Faxonによると、少なくとも1つの針カニューレがカテーテル内に組み込まれ、カテーテルの外部へ突出するその針を通して所望の薬剤を組織に送達する。
治療剤を送達するためのバルーンカテーテルが、Orrによって説明されており、例えば、国際公開第WO2010024871号に教示され、この内容は、参照によりこれらの全体が本明細書に組み込まれる。Orrによると、複数の針がデバイス内に組み込まれ、治療剤を組織内の異なる深さに送達する。
電流を利用する方法およびデバイス
本明細書に教示される単回、複数回、または分割された投薬レジメンに従って、電流を利用する方法およびデバイスを用いて、本発明のmmRNAを送達することができる。そのような方法およびデバイスが、以下に記載される。
電気コラーゲン誘導治療デバイスが、Marquezによって説明されており、例えば、米国特許公開第20090137945号に教示され、この内容は、参照によりこれらの全体が本明細書に組み込まれる。Marquezによると、複数の針がデバイス内に組み込まれ、皮膚を繰り返し穿刺し、最初に皮膚に適用される物質の一部を皮膚部分に引き込む。
動電システムが、Etheredgeらによって説明されており、例えば、米国特許公開第20070185432号に教示され、この内容は、参照によりこれらの全体が本明細書に組み込まれる。Etheredgeによると、マイクロニードルがデバイス内に組み込まれ、電流によって、針を通して薬物を標的とされる治療部位に推進する。
イオン泳動デバイスが、Matsumuraらによって説明されており、例えば、米国特許第7,437,189号に教示され、この内容は、参照によりこれらの全体が本明細書に組み込まれる。Matsumuraによると、複数の針がデバイス内に組み込まれ、イオン化可能薬物をより速い速度で、またはより高効率で生体内に送達することができる。
無針注入およびエレクトロポレーションによる生物活性剤の皮内送達が、Hoffmannらによって説明されており、例えば、米国特許第7,171,264号に教示され、この内容は、参照によりこれらの全体が本明細書に組み込まれる。Hoffmannによると、1つ以上の無針注入器がエレクトロポレーションデバイスに組み込まれ、無針注入とエレクトロポレーションとの組み合わせは、薬剤を皮膚、筋肉、または粘膜の細胞内に導入するのに十分である。
電気透過化処理(electropermeabilization)を介した細胞内送達のための方法が、Lundkvistらによって説明されており、例えば、米国特許第6,625,486号に教示され、この内容は、参照によりこれらの全体が本明細書に組み込まれる。Lundkvistによると、一対の針電極がカテーテル内に組み込まれる。そのカテーテルは体内ルーメン内に位置し、そのルーメンを取り囲む組織内に透過させるためのその針電極が続く。次いでデバイスは、その針電極のうちの少なくとも1つを通して薬剤を導入し、その針電極で電界をかけ、その薬剤が細胞膜を通して治療部位の細胞内へ通過することを可能にする。
経皮免疫化のための送達システムが、Levinらによって説明されており、例えば、国際公開第WO2006003659号に教示され、この内容は、参照によりこれらの全体が本明細書に組み込まれる。Levinによると、複数の電極がデバイス内に組み込まれ、電気エネルギーを電極間に印加し、経皮送達を容易にするためのマイクロチャネルを皮膚内に生成する。
RFエネルギーを皮膚の中へ送達するための方法が、Schomackerによって説明されており、例えば、国際公開第WO2011163264号に教示され、この内容は、参照によりこれらの全体が本明細書に組み込まれる。Schomackerによると、複数の針がデバイス内に組み込まれ、針がRFエネルギーをプレート上の孔を通して皮膚に挿入し、送達するように、皮膚をプレートとの接触に誘引するために減圧する。
VII.定義
本明細書中の種々の箇所で、本開示の化合物の置換基が、群においてまたは範囲において開示される。本開示は、そのような群および範囲のメンバーのありとあらゆる個々の部分的組み合わせを含むことが具体的に意図される。例えば、「C1−6アルキル」という用語は、メチル、エチル、C3アルキル、C4アルキル、C5アルキル、およびC6アルキルを個々に開示することが具体的に意図される。
約:本明細書で使用されるとき、「約」という用語は、列挙される値の+/−10%を意味する。
組み合わせて投与される:本明細書で使用されるとき、「組み合わせて投与される」または「組み合わせた投与」という用語は、2つ以上の薬剤が、同時にまたは患者に対する各薬剤の効果の重複があるような間隔内で、対象に投与されることを意味する。いくつかの実施形態において、それらは、互いの約60、30、15、10、5、または1分以内に投与される。いくつかの実施形態において、薬剤の投与は、組み合わせ(例えば、相乗的)効果が達成されるように、互いに十分に近接して間隔を置かれる。
動物:本明細書で使用されるとき、「動物」という用語は、動物界の任意のメンバーを指す。いくつかの実施形態において、「動物」は、任意の発達段階にあるヒトを指す。いくつかの実施形態において、「動物」は、任意の発達段階にある非ヒト動物を指す。ある特定の実施形態において、非ヒト動物は、哺乳動物(例えば、齧歯類、マウス、ラット、ウサギ、サル、イヌ、ネコ、ヒツジ、ウシ、霊長類、またはブタ)である。いくつかの実施形態において、動物には、哺乳動物、鳥類、爬虫類、両生類、サカナ、および蠕虫が含まれるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、動物は、トランスジェニック動物、遺伝子操作動物、またはクローンである。
目的とする抗原または所望の抗原:本明細書で使用されるとき、「目的とする抗原」または「所望の抗原」という用語は、本明細書に記載の抗体、ならびにそれらの断片、変異体、変異形、および改変体によって免疫特異的に結合される、本明細書に提供されるタンパク質および他の生体分子を含む。目的とする抗原の例としては、インスリン、インスリン様成長因子、hGH、tPA、インターロイキン(IL)、例えば、IL−1、IL−2、IL−3、IL−4、IL−5、IL−6、IL−7、IL−8、IL−9、IL−10、IL−11、IL−12、IL−13、IL−14、IL−15、IL−16、IL−17、IL−18、インターフェロン(IFN)α、IFNβ、IFNγ、IFNω、またはIFNτ、TNFαおよびTNFβ、TNFγ、TRAIL等の腫瘍壊死因子(TNF);G−CSF、GM−CSF、M−CSF、MCP−1、およびVEGF等のサイトカインが挙げられるが、これらに限定されない。
およそ:本明細書で使用されるとき、目的とする1つ以上の値に適用される「およそ」または「約」という用語は、定められる参照値と同様である値を指す。ある特定の実施形態において、「およそ」または「約」という用語は、別途定められるか、または文脈から別途明白でない限り、定められる参照値のいずれかの方向(それよりも大きいまたはそれよりも小さい)における、25%、20%、19%、18%、17%、16%、15%、14%、13%、12%、11%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、またはそれ未満の内に該当する値の範囲を指す(そのような数字が可能な値の100%を超えるような場合を除く)。
と会合される:本明細書で使用されるとき、2つ以上の部分に関して使用される際、「と会合される」、「複合体化される」、「連結される」、「結合される」、および「係留される」という用語は、直接、または連結剤としての役目を果たす1つ以上のさらなる部分を介してのいずれかで、その部分が互いに物理的に会合されるか、または結合されて、その部分が、構造が使用される条件下、例えば、生理的条件下で、物理的に会合されたままであるように十分に安定した構造を形成することを意味する。「会合」は、厳密に直接的な共有化学結合を経る必要はない。それは、「会合した」実体が物理的に会合したままであるように十分に安定したイオン結合もしくは水素結合またはハイブリダイゼーションベースの結合性も示唆し得る。
二機能性:本明細書で使用されるとき、「二機能性」という用語は、少なくとも2つの機能を維持することが可能である任意の物質、分子、または部分を指す。この機能は、同じ結果または異なる結果を達成してもよい。この機能をもたらす構造は、同じであることも、異なることもある。例えば、本発明の二機能性修飾RNAが、細胞傷害性ペプチド(第1の機能)をコードし得る一方で、コードRNAを含むヌクレオシドは、それ自体として、細胞傷害性(第2の機能)である。この例において、癌細胞への二機能性修飾RNAの送達は、癌を寛解させ得るまたは治療し得るペプチドまたはタンパク質分子をもたらすだけでなく、万一、修飾RNAの翻訳の代わりに分解が生じることがあった場合、ヌクレオシドの細胞傷害性ペイロードを細胞に送達するであろう。
生体適合性:本明細書で使用されるとき、「生体適合性」という用語は、損傷、毒性、または免疫系による拒絶の危険性をほとんどもしくは全くもたらさず、生細胞、組織、器官、または系と適合性であることを意味する。
生分解性:本明細書で使用されるとき、「生分解性」という用語は、生き物の作用によって無害の生成物へと分解されることが可能であることを意味する。
生物学的に活性:本明細書で使用されるとき、「生物学的に活性」という表現は、生体系および/または生物において活性を有する任意の物質の特徴を指す。例えば、生物に投与されるときに、その生物に対して生物学的効果を有する物質は、生物学的に活性であると見なされる。特定の実施形態において、本発明のシグナルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物、またはmmRNAは、そのシグナルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物、またはmmRNAのほんの一部分でも、生物学的に活性であるか、生物学的に関連性があると見なされる活性を模倣する場合、生物学的に活性であると見なされ得る。
がん:本明細書で使用されるとき、対象の「がん」という用語は、制御不能の増殖、不死、転移能、速い成長および増殖速度といった特徴、ならびに、一定の特徴的な形態学的特長を保有する細胞の存在を指す。しばしばがん細胞は腫瘍の形態であるが、そのような細胞は対象内に単独で存在し得、または、白血球細胞のように独立した細胞として血流内を循環し得る。
細胞の成長:本明細書で使用されるとき、「細胞の成長」という用語は、主に細胞の数における成長と関連し、これは、細胞の再生の速度が細胞死(例えば、アポトーシスまたは壊死)の速度よりも大きいときに、細胞の再生によって発生する(すなわち、増殖)。
化学用語:以下は、「アシル」から「チオール」までの種々の化学用語の定義を提供する。
本明細書で使用されるとき、「アシル」という用語は、本明細書に定義されるカルボニル基を介して親分子基に結合される、本明細書に定義される水素またはアルキル基(例えば、ハロアルキル基)を表し、ホルミル(すなわち、カルボキシアルデヒド基)、アセチル、プロピオニル、ブタノイル等により例として示される。例示の非置換アシル基は、1〜7、1〜11、または1〜21個の炭素を含む。いくつかの実施形態において、アルキル基は、本明細書に記載の1、2、3、または4個の置換基でさらに置換される。
本明細書で使用されるとき、「アシルアミノ」という用語は、本明細書に定義されるアミノ基を介して親分子基に結合される、本明細書に定義されるアシル基を表す(すなわち、−N(RN1)−C(O)−Rであり、式中、Rは、Hであるか、または任意に置換されるC1−6、C1−10、もしくはC1−20アルキル基であり、RN1は、本明細書に定義される通りである)。例示の非置換アシルアミノ基は、1〜41個の炭素(例えば、1〜7、1〜13、1〜21、2〜7、2〜13、2〜21、または2〜41個の炭素)を含む。いくつかの実施形態において、アルキル基は、本明細書に記載の1、2、3、もしくは4個の置換基でさらに置換され、かつ/またはアミノ基は、−NH2もしくは−NHRN1であり、式中、RN1は、独立して、OH、NO2、NH2、NRN2 2、SO2ORN2、SO2RN2、SORN2、アルキル、またはアリールであり、各RN2は、H、アルキル、またはアリールであり得る。
本明細書で使用されるとき、「アシルオキシ」という用語は、酸素原子を介して親分子基に結合される、本明細書に定義されるアシル基を表す(すなわち、−O−C(O)−Rであり、式中、Rは、Hであるか、または任意に置換されるC1−6、C1−10、もしくはC1−20アルキル基である)。例示の非置換アシルオキシ基は、1〜21個の炭素(例えば、1〜7または1〜11個の炭素)を含む。いくつかの実施形態において、アルキル基は、本明細書に記載の1、2、3、もしくは4個の置換基でさらに置換され、かつ/またはアミノ基は、−NH2もしくは−NHRN1であり、式中、RN1は、独立して、OH、NO2、NH2、NRN2 2、SO2ORN2、SO2RN2、SORN2、アルキル、またはアリールであり、各RN2は、H、アルキル、またはアリールであり得る。
本明細書で使用されるとき、「アルカリール(alkaryl)」という用語は、本明細書に定義されるアルキレン基を介して親分子基に結合される、本明細書に定義されるアリール基を表す。例示の非置換アルカリール基は、7〜30個の炭素(例えば、C1−6アルク−C6−10アリール、C1−10アルク−C6−10アリール、またはC1−20アルク−C6−10アリール等の、7〜16または7〜20個の炭素)である。いくつかの実施形態において、アルキレンおよびアリールは各々、それぞれの基について本明細書に定義される1、2、3、または4個の置換基でさらに置換され得る。接頭辞「アルク−」に続く他の基は、同じように定義され、ここで「アルク」は、別途注記のない限り、C1−6アルキレンを指し、結合される化学構造は、本明細書に定義される通りである。
「アルクシクロアルキル(alkcycloalkyl)」という用語は、本明細書に定義されるアルキレン基(例えば、1〜4、1〜6、1〜10、または1〜20個の炭素のアルキレン基)を介して親分子基に結合される、本明細書に定義されるシクロアルキル基を表す。いくつかの実施形態において、アルキレンおよびシクロアルキルは各々、それぞれの基について本明細書に定義される1、2、3、または4個の置換基でさらに置換され得る。
本明細書で使用されるとき、「アルケニル」という用語は、別途明記されない限り、1つ以上の炭素−炭素二重結合を含有する、2〜20個の炭素(例えば、2〜6または2〜10個の炭素)の、一価の直鎖または分岐鎖基を表し、エテニル、1−プロペニル、2−プロペニル、2−メチル−1−プロペニル、1−ブテニル、2−ブテニル等により例として示される。アルケニルは、シスおよびトランス異性体の両方を含む。アルケニル基は、本明細書に定義されるアミノ、アリール、シクロアルキル、もしくはヘテロシクリル(例えば、ヘテロアリール)から独立して選択される1、2、3、もしくは4個の置換基、または本明細書に記載の例示のアルキル置換基のうちのいずれかで、任意に置換されてもよい。
「アルケニルオキシ」という用語は、式−ORの化学置換基を表し、式中、Rは、別途明記されない限り、C2−20アルケニル基(例えば、C2−6またはC2−10アルケニル)である。例示のアルケニルオキシ基には、エテニルオキシ、プロペニルオキシ等が含まれる。いくつかの実施形態において、アルケニル基は、本明細書に定義される1、2、3、または4個の置換基(例えば、ヒドロキシ基)でさらに置換され得る。
「アルクヘテロアリール」という用語は、本明細書に定義されるアルキレン基を介して親分子基に結合される、本明細書に定義されるヘテロアリール基を指す。例示の非置換アルクヘテロアリール基は、2〜32個の炭素(例えば、C1−6アルク−C1−12ヘテロアリール、C1−10アルク−C1−12ヘテロアリール、またはC1−20アルク−C1−12ヘテロアリール等の、2〜22、2〜18、2〜17、2〜16、3〜15、2〜14、2〜13、または2〜12個の炭素)である。いくつかの実施形態において、アルキレンおよびヘテロアリールは各々、それぞれの基について本明細書に定義される1、2、3、または4個の置換基でさらに置換され得る。アルクヘテロアリール基は、アルクヘテロシクリル基の部分集合である。
「アルクヘテロシクリル」という用語は、本明細書に定義されるアルキレン基を介して親分子基に結合される、本明細書に定義されるヘテロシクリル基を表す。例示の非置換アルクヘテロシクリル基は、2〜32個の炭素(例えば、C1−6アルク−C1−12ヘテロシクリル、C1−10アルク−C1−12ヘテロシクリル、またはC1−20アルク−C1−12ヘテロシクリル等の、2〜22、2〜18、2〜17、2〜16、3〜15、2〜14、2〜13、または2〜12個の炭素)である。いくつかの実施形態において、アルキレンおよびヘテロシクリルは各々、それぞれの基について本明細書に定義される1、2、3、または4個の置換基でさらに置換され得る。
「アルコキシ」という用語は、式−ORの化学置換基を表し、式中、Rは、別途明記されない限り、C1−20アルキル基(例えば、C1−6またはC1−10アルキル)である。例示のアルコキシ基には、メトキシ、エトキシ、プロポキシ(例えば、n−プロポキシおよびイソプロポキシ)、t−ブトキシ等が含まれる。いくつかの実施形態において、アルキル基は、本明細書に定義される1、2、3、または4個の置換基(例えば、ヒドロキシまたはアルコキシ)でさらに置換され得る。
「アルコキシアルコキシ」という用語は、アルコキシ基で置換されるアルコキシ基を表す。例示の非置換アルコキシアルコキシ基は、2〜40個の炭素(例えば、C1−6アルコキシ−C1−6アルコキシ、C1−10アルコキシ−C1−10アルコキシ、またはC1−20アルコキシ−C1−20アルコキシ等の、2〜12または2〜20個の炭素)を含む。いくつかの実施形態において、各アルコキシ基は、本明細書に定義される1、2、3、または4個の置換基でさらに置換され得る。
「アルコキシアルキル」という用語は、アルコキシ基で置換されるアルキル基を表す。例示の非置換アルコキシアルキル基は、2〜40個の炭素(例えば、C1−6アルコキシ−C1−6アルキル、C1−10アルコキシ−C1−10アルキル、またはC1−20アルコキシ−C1−20アルキル等の、2〜12または2〜20個の炭素)を含む。いくつかの実施形態において、アルキルおよびアルコキシは各々、それぞれの基について本明細書に定義される1、2、3、または4個の置換基でさらに置換され得る。
本明細書で使用されるとき、「アルコキシカルボニル」という用語は、カルボニル原子を介して親分子基に結合される、本明細書に定義されるアルコキシを表す(例えば、−C(O)−ORであり、式中、Rは、Hであるか、または任意に置換されるC1−6、C1−10、もしくはC1−20アルキル基である)。例示の非置換アルコキシカルボニルは、1〜21個の炭素(例えば、1〜11または1〜7個の炭素)を含む。いくつかの実施形態において、アルコキシ基は、本明細書に記載の1、2、3、または4個の置換基でさらに置換される。
本明細書で使用されるとき、「アルコキシカルボニルアルコキシ」という用語は、本明細書に定義されるアルコキシカルボニル基で置換される、本明細書に定義されるアルコキシ基を表す(例えば、−O−アルキル−C(O)−ORであって、式中、Rは、任意に置換されるC1−6、C1−10、またはC1−20アルキル基である)。例示の非置換アルコキシカルボニルアルコキシは、3〜41個の炭素(例えば、C1−6アルコキシカルボニル−C1−6アルコキシ、C1−10アルコキシカルボニル−C1−10アルコキシ、またはC1−20アルコキシカルボニル−C1−20アルコキシ等の、3〜10、3〜13、3〜17、3〜21、または3〜31個の炭素)を含む。いくつかの実施形態において、各アルコキシ基は、独立して、本明細書に記載の1、2、3、または4個の置換基(例えば、ヒドロキシ基)でさらに置換される。
本明細書で使用されるとき、「アルコキシカルボニルアルキル」という用語は、本明細書に定義されるアルコキシカルボニル基で置換される、本明細書に定義されるアルキル基を表す(例えば、−アルキル−C(O)−ORであって、式中、Rは、任意に置換されるC1−20、C1−10、またはC1−6アルキル基である)。例示の非置換アルコキシカルボニルアルキルは、3〜41個の炭素(例えば、C1−6アルコキシカルボニル−C1−6アルキル、C1−10アルコキシカルボニル−C1−10アルキル、またはC1−20アルコキシカルボニル−C1−20アルキル等の、3〜10、3〜13、3〜17、3〜21、または3〜31個の炭素)を含む。いくつかの実施形態において、各アルキルおよびアルコキシ基は、独立して、本明細書に記載の1、2、3、または4個の置換基(例えば、ヒドロキシ基)でさらに置換される。
本明細書で使用されるとき、「アルキル」という用語は、別途明記されない限り、1〜20個(例えば、1〜10または1〜6個)の炭素の直鎖および分岐鎖両方の飽和基を含む。アルキル基は、メチル、エチル、n−およびイソ−プロピル、n−、sec−、イソ−、およびtert−ブチル、ネオペンチル等により例として示され、次のものからなる群から独立して選択される1、2、3個の置換基で、または2個以上の炭素のアルキル基の場合には4個の置換基で、任意に置換されてもよい:(1)C1−6アルコキシ;(2)C1−6アルキルスルフィニル;(3)本明細書に定義されるアミノ(例えば、非置換アミノ(すなわち、−NH2)または置換アミノ(すなわち、−N(RN1)2、式中、RN1は、アミノについて定義される通りである);(4)C6−10アリール−C1−6アルコキシ;(5)アジド;(6)ハロ;(7)(C2−9ヘテロシクリル)オキシ;(8)ヒドロキシ;(9)ニトロ;(10)オキソ(例えば、カルボキシアルデヒドまたはアシル);(11)C1−7スピロシクリル;(12)チオアルコキシ;(13)チオール;(14)−CO2RA’(式中、RA’は、(a)C1−20アルキル(例えば、C1−6アルキル)、(b)C2−20アルケニル(例えば、C2−6アルケニル)、(c)C6−10アリール、(d)水素、(e)C1−6アルク−C6−10アリール、(f)アミノ−C1−20アルキル、(g)−(CH2)s2(OCH2CH2)s1(CH2)s3OR’のポリエチレングリコール(式中、s1は、1〜10(例えば、1〜6または1〜4)の整数であり、s2およびs3の各々は、独立して、0〜10(例えば、0〜4、0〜6、1〜4、1〜6、または1〜10)の整数であり、R’は、HまたはC1−20アルキルである)、および(h)−NRN1(CH2)s2(CH2CH2O)s1(CH2)s3NRN1のアミノ−ポリエチレングリコール(式中、s1は、1〜10(例えば、1〜6または1〜4)の整数であり、s2およびs3の各々は、独立して、0〜10(例えば、0〜4、0〜6、1〜4、1〜6、または1〜10)の整数であり、各RN1は、独立して、水素であるか、または任意に置換されるC1−6アルキルである)からなる群から選択される);(15)−C(O)NRB’RC’(式中、RB’およびRC’の各々は、独立して、(a)水素、(b)C1−6アルキル、(c)C6−10アリール、および(d)C1−6アルク−C6−10アリールからなる群から選択される);(16)−SO2RD’(式中、RD’は、(a)C1−6アルキル、(b)C6−10アリール、(c)C1−6アルク−C6−10アリール、および(d)ヒドロキシからなる群から選択される);(17)−SO2NRE’RF’(式中、RE’およびRF’の各々は、独立して、(a)水素、(b)C1−6アルキル、(c)C6−10アリール、および(d)C1−6アルク−C6−10アリールからなる群から選択される);(18)−C(O)RG’(式中、RG’は、(a)C1−20アルキル(例えば、C1−6アルキル)、(b)C2−20アルケニル(例えば、C2−6アルケニル)、(c)C6−10アリール、(d)水素、(e)C1−6アルク−C6−10アリール、(f)アミノ−C1−20アルキル、(g)−(CH2)s2(OCH2CH2)s1(CH2)s3OR’のポリエチレングリコール(式中、s1は、1〜10(例えば、1〜6または1〜4)の整数であり、s2およびs3の各々は、独立して、0〜10(例えば、0〜4、0〜6、1〜4、1〜6、または1〜10)の整数であり、R’は、HまたはC1−20アルキルである)、および(h)−NRN1(CH2)s2(CH2CH2O)s1(CH2)s3NRN1のアミノ−ポリエチレングリコール(式中、s1は、1〜10(例えば、1〜6または1〜4)の整数であり、s2およびs3の各々は、独立して、0〜10(例えば、0〜4、0〜6、1〜4、1〜6、または1〜10)の整数であり、各RN1は、独立して、水素であるか、または任意に置換されるC1−6アルキルである)からなる群から選択される);(19)−NRH’C(O)RI’(式中、RH’は、(a1)水素および(b1)C1−6アルキルからなる群から選択され、RI’は、(a2)C1−20アルキル(例えば、C1−6アルキル)、(b2)C2−20アルケニル(例えば、C2−6アルケニル)、(c2)C6−10アリール、(d2)水素、(e2)C1−6アルク−C6−10アリール、(f2)アミノ−C1−20アルキル、(g2)−(CH2)s2(OCH2CH2)s1(CH2)s3OR’のポリエチレングリコール(式中、s1は、1〜10(例えば、1〜6または1〜4)の整数であり、s2およびs3の各々は、独立して、0〜10(例えば、0〜4、0〜6、1〜4、1〜6、または1〜10)の整数であり、R’は、HまたはC1−20アルキルである)、および(h2)−NRN1(CH2)s2(CH2CH2O)s1(CH2)s3NRN1のアミノ−ポリエチレングリコール(式中、s1は、1〜10(例えば、1〜6または1〜4)の整数であり、s2およびs3の各々は、独立して、0〜10(例えば、0〜4、0〜6、1〜4、1〜6、または1〜10)の整数であり、各RN1は、独立して、水素であるか、または任意に置換されるC1−6アルキルである)からなる群から選択される);(20)−NRJ’C(O)ORK’(式中、RJ’は、(a1)水素および(b1)C1−6アルキルからなる群から選択され、RK’は、(a2)C1−20アルキル(例えば、C1−6アルキル)、(b2)C2−20アルケニル(例えば、C2−6アルケニル)、(c2)C6−10アリール、(d2)水素、(e2)C1−6アルク−C6−10アリール、(f2)アミノ−C1−20アルキル、(g2)−(CH2)s2(OCH2CH2)s1(CH2)s3OR’のポリエチレングリコール(式中、s1は、1〜10(例えば、1〜6または1〜4)の整数であり、s2およびs3の各々は、独立して、0〜10(例えば、0〜4、0〜6、1〜4、1〜6、または1〜10)の整数であり、R’は、HまたはC1−20アルキルである)、および(h2)−NRN1(CH2)s2(CH2CH2O)s1(CH2)s3NRN1のアミノ−ポリエチレングリコール(式中、s1は、1〜10(例えば、1〜6または1〜4)の整数であり、s2およびs3の各々は、独立して、0〜10(例えば、0〜4、0〜6、1〜4、1〜6、または1〜10)の整数であり、各RN1は、独立して、水素であるか、または任意に置換されるC1−6アルキルである)からなる群から選択される);ならびに(21)アミジン。いくつかの実施形態において、これらの基の各々は、本明細書に記載されるようにさらに置換され得る。例えば、C1−アルカリールのアルキレン基は、オキソ基でさらに置換されて、それぞれのアリーロイル(aryloyl)置換基をもたらすことができる。
本明細書で使用されるとき、「アルキレン」および接頭辞「アルク−」という用語は、2つの水素原子の除去によって直鎖または分岐鎖の飽和炭化水素に由来する、飽和二価炭化水素基を表し、メチレン、エチレン、イソプロピレン等により例として示される。「Cx−yアルキレン」および接頭辞「Cx−yアルク−」という用語は、x〜y個の炭素を有するアルキレン基を表す。xに関する例示の値は、1、2、3、4、5、および6であり、yに関する例示の値は、2、3、4、5、6、7、8、9、10、12、14、16、18、または20である(例えば、C1−6、C1−10、C2−20、C2−6、C2−10、またはC2−20アルキレン)。いくつかの実施形態において、アルキレンは、アルキル基について本明細書に定義される1、2、3、または4個の置換基でさらに置換され得る。
本明細書で使用されるとき、「アルキルスルフィニル」という用語は、−S(O)−基を介して親分子基に結合されるアルキル基を表す。例示の非置換アルキルスルフィニル基は、1〜6、1〜10、または1〜20個の炭素である。いくつかの実施形態において、アルキル基は、本明細書に定義される1、2、3、または4個の置換基でさらに置換され得る。
本明細書で使用されるとき、「アルキルスルフィニルアルキル」という用語は、アルキルスルフィニル基によって置換された、本明細書に定義されるアルキル基を表す。例示の非置換アルキルスルフィニルアルキル基は、2〜12、2〜20、または2〜40個の炭素である。いくつかの実施形態において、各アルキル基は、本明細書に定義される1、2、3、または4個の置換基でさらに置換され得る。
本明細書で使用されるとき、「アルキニル」という用語は、炭素−炭素三重結合を含有する、2〜20個の炭素原子(例えば、2〜4、2〜6、または2〜10個の炭素)の、一価の直鎖または分岐鎖基を表し、エチニル、1−プロピニル等により例として示される。アルキニル基は、本明細書に定義されるアリール、シクロアルキル、またはヘテロシクリル(例えば、ヘテロアリール)から独立して選択される1、2、3、もしくは4個の置換基、または本明細書に記載の例示のアルキル置換基のうちのいずれかで、任意に置換されてもよい。
「アルキニルオキシ」という用語は、式−ORの化学置換基を表し、式中、Rは、別途明記されない限り、C2−20アルキニル基(例えば、C2−6またはC2−10アルキニル)である。例示のアルキニルオキシ基には、エチニルオキシ、プロピニルオキシ等が含まれる。いくつかの実施形態において、アルキニル基は、本明細書に定義される1、2、3、または4個の置換基(例えば、ヒドロキシ基)でさらに置換され得る。
本明細書で使用されるとき、「アミジン」という用語は、−C(=NH)NH2基を表す。
本明細書で使用されるとき、「アミノ」という用語は、−N(RN1)2を表し、式中、各RN1は、独立して、H、OH、NO2、N(RN2)2、SO2ORN2、SO2RN2、SORN2、N−保護基、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アリール、アルカリール、シクロアルキル、アルクシクロアルキル、カルボキシアルキル、スルホアルキル、ヘテロシクリル(例えば、ヘテロアリール)、またはアルクヘテロシクリル(例えば、アルクヘテロアリール)であり、これらの列挙されるRN1基の各々は、各基について本明細書に定義されるように任意に置換され得るか、または2つのRN1が組み合わさって、ヘテロシクリルもしくはN保護基を形成し、各RN2は、独立して、H、アルキル、またはアリールである。本発明のアミノ基は、非置換アミノ(すなわち、−NH2)または置換アミノ(すなわち、−N(RN1)2)であり得る。好ましい実施形態において、アミノは、−NH2または−NHRN1であり、式中、RN1は、独立して、OH、NO2、NH2、NRN2 2、SO2ORN2、SO2RN2、SORN2、アルキル、カルボキシアルキル、スルホアルキル、またはアリールであり、各RN2は、H、C1−20アルキル(例えば、C1−6アルキル)、またはC6−10アリールであり得る。
本明細書に記載の「アミノ酸」という用語は、側鎖、アミノ基、および酸性基(例えば、−CO2Hのカルボキシ基または−SO3Hのスルホ基)を有する分子を指し、このアミノ酸は、側鎖、アミノ基、または酸性基(例えば、側鎖)によって親分子基に結合される。いくつかの実施形態において、アミノ酸は、カルボニル基によって親分子基に結合され、この側鎖またはアミノ基は、カルボニル基に結合される。例示の側鎖には、任意に置換されるアルキル、アリール、ヘテロシクリル、アルカリール、アルクヘテロシクリル、アミノアルキル、カルバモイルアルキル、およびカルボキシアルキルが含まれる。例示のアミノ酸には、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン酸、グルタミン、グリシン、ヒスチジン、ヒドロキシノルバリン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、ノルバリン、オルニチン、フェニルアラニン、プロリン、ピロリジン、セレノシステイン、セリン、タウリン、スレオニン、トリプトファン、チロシン、およびバリンが含まれる。アミノ酸基は、次のものからなる群から独立して選択される1、2、3個の置換基で、または2個以上の炭素のアミノ酸基の場合には4個の置換基で、任意に置換されてもよい:(1)C1−6アルコキシ;(2)C1−6アルキルスルフィニル;(3)本明細書に定義されるアミノ(例えば、非置換アミノ(すなわち、−NH2)または置換アミノ(すなわち、−N(RN1)2(式中、RN1は、アミノについて定義される通りである));(4)C6−10アリール−C1−6アルコキシ;(5)アジド;(6)ハロ;(7)(C2−9ヘテロシクリル)オキシ;(8)ヒドロキシ;(9)ニトロ;(10)オキソ(例えば、カルボキシアルデヒドまたはアシル);(11)C1−7スピロシクリル;(12)チオアルコキシ;(13)チオール;(14)−CO2RA’(式中、RA’は、(a)C1−20アルキル(例えば、C1−6アルキル)、(b)C2−20アルケニル(例えば、C2−6アルケニル)、(c)C6−10アリール、(d)水素、(e)C1−6アルク−C6−10アリール、(f)アミノ−C1−20アルキル、(g)−(CH2)s2(OCH2CH2)s1(CH2)s3OR’のポリエチレングリコール(式中、s1は、1〜10(例えば、1〜6または1〜4)の整数であり、s2およびs3の各々は、独立して、0〜10(例えば、0〜4、0〜6、1〜4、1〜6、または1〜10)の整数であり、R’は、HまたはC1−20アルキルである)、および(h)−NRN1(CH2)s2(CH2CH2O)s1(CH2)s3NRN1のアミノ−ポリエチレングリコール(式中、s1は、1〜10(例えば、1〜6または1〜4)の整数であり、s2およびs3の各々は、独立して、0〜10(例えば、0〜4、0〜6、1〜4、1〜6、または1〜10)の整数であり、各RN1は、独立して、水素であるか、または任意に置換されるC1−6アルキルである)からなる群から選択される);(15)−C(O)NRB’RC’(式中、RB’およびRC’の各々は、独立して、(a)水素、(b)C1−6アルキル、(c)C6−10アリール、および(d)C1−6アルク−C6−10アリールからなる群から選択される);(16)−SO2RD’(式中、RD’は、(a)C1−6アルキル、(b)C6−10アリール、(c)C1−6アルク−C6−10アリール、および(d)ヒドロキシからなる群から選択される);(17)−SO2NRE’RF’(式中、RE’およびRF’の各々は、独立して、(a)水素、(b)C1−6アルキル、(c)C6−10アリール、および(d)C1−6アルク−C6−10アリールからなる群から選択される);(18)−C(O)RG’(式中、RG’は、(a)C1−20アルキル(例えば、C1−6アルキル)、(b)C2−20アルケニル(例えば、C2−6アルケニル)、(c)C6−10アリール、(d)水素、(e)C1−6アルク−C6−10アリール、(f)アミノ−C1−20アルキル、(g)−(CH2)s2(OCH2CH2)s1(CH2)s3OR’のポリエチレングリコール(式中、s1は、1〜10(例えば、1〜6または1〜4)の整数であり、s2およびs3の各々は、独立して、0〜10(例えば、0〜4、0〜6、1〜4、1〜6、または1〜10)の整数であり、R’は、HまたはC1−20アルキルである)、および(h)−NRN1(CH2)s2(CH2CH2O)s1(CH2)s3NRN1のアミノ−ポリエチレングリコール(式中、s1は、1〜10(例えば、1〜6または1〜4)の整数であり、s2およびs3の各々は、独立して、0〜10(例えば、0〜4、0〜6、1〜4、1〜6、または1〜10)の整数であり、各RN1は、独立して、水素であるか、または任意に置換されるC1−6アルキルである)からなる群から選択される);(19)−NRH’C(O)RI’(式中、RH’は、(a1)水素および(b1)C1−6アルキルからなる群から選択され、RI’は、(a2)C1−20アルキル(例えば、C1−6アルキル)、(b2)C2−20アルケニル(例えば、C2−6アルケニル)、(c2)C6−10アリール、(d2)水素、(e2)C1−6アルク−C6−10アリール、(f2)アミノ−C1−20アルキル、(g2)−(CH2)s2(OCH2CH2)s1(CH2)s3OR’のポリエチレングリコール(式中、s1は、1〜10(例えば、1〜6または1〜4)の整数であり、s2およびs3の各々は、独立して、0〜10(例えば、0〜4、0〜6、1〜4、1〜6、または1〜10)の整数であり、R’は、HまたはC1−20アルキルである)、および(h2)−NRN1(CH2)s2(CH2CH2O)s1(CH2)s3NRN1のアミノ−ポリエチレングリコール(式中、s1は、1〜10(例えば、1〜6または1〜4)の整数であり、s2およびs3の各々は、独立して、0〜10(例えば、0〜4、0〜6、1〜4、1〜6、または1〜10)の整数であり、各RN1は、独立して、水素であるか、または任意に置換されるC1−6アルキルである)からなる群から選択される);(20)−NRJ’C(O)ORK’(式中、RJ’は、(a1)水素および(b1)C1−6アルキルからなる群から選択され、RK’は、(a2)C1−20アルキル(例えば、C1−6アルキル)、(b2)C2−20アルケニル(例えば、C2−6アルケニル)、(c2)C6−10アリール、(d2)水素、(e2)C1−6アルク−C6−10アリール、(f2)アミノ−C1−20アルキル、(g2)−(CH2)s2(OCH2CH2)s1(CH2)s3OR’のポリエチレングリコール(式中、s1は、1〜10(例えば、1〜6または1〜4)の整数であり、s2およびs3の各々は、独立して、0〜10(例えば、0〜4、0〜6、1〜4、1〜6、または1〜10)の整数であり、R’は、HまたはC1−20アルキルである)、および(h2)−NRN1(CH2)s2(CH2CH2O)s1(CH2)s3NRN1のアミノ−ポリエチレングリコール(式中、s1は、1〜10(例えば、1〜6または1〜4)の整数であり、s2およびs3の各々は、独立して、0〜10(例えば、0〜4、0〜6、1〜4、1〜6、または1〜10)の整数であり、各RN1は、独立して、水素であるか、または任意に置換されるC1−6アルキルである)からなる群から選択される);ならびに(21)アミジン。いくつかの実施形態において、これらの基の各々は、本明細書に記載されるようにさらに置換され得る。
本明細書で使用されるとき、「アミノアルコキシ」という用語は、本明細書に定義されるアミノ基によって置換された、本明細書に定義されるアルコキシ基を表す。アルキルおよびアミノは各々、それぞれの基について本明細書に記載の1、2、3、または4個の置換基(例えば、CO2RA’(式中、RA’は、(a)C1−6アルキル、(b)C6−10アリール、(c)水素、および(d)C1−6アルク−C6−10アリール、例えば、カルボキシからなる群から選択される))でさらに置換され得る。
本明細書で使用されるとき、「アミノアルキル」という用語は、本明細書に定義されるアミノ基によって置換された、本明細書に定義されるアルキル基を表す。アルキルおよびアミノは各々、それぞれの基について本明細書に記載の1、2、3、または4個の置換基(例えば、CO2RA’(式中、RA’は、(a)C1−6アルキル、(b)C6−10アリール、(c)水素、および(d)C1−6アルク−C6−10アリール、例えば、カルボキシからなる群から選択される))でさらに置換され得る。
本明細書で使用されるとき、「アリール」という用語は、1つまたは2つの芳香族環を有する単環式、二環式、または多環式の炭素環式環系を表し、フェニル、ナフチル、1,2−ジヒドロナフチル、1,2,3,4−テトラヒドロナフチル、アントラセニル、フェナントレニル、フルオレニル、インダニル、インデニル等により例として示され、次のものからなる群から独立して選択される1、2、3、4、または5個の置換基で任意に置換されてもよい:(1)C1−7アシル(例えば、カルボキシアルデヒド);(2)C1−20アルキル(例えば、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ−C1−6アルキル、C1−6アルキルスルフィニル−C1−6アルキル、アミノ−C1−6アルキル、アジド−C1−6アルキル、(カルボキシアルデヒド)−C1−6アルキル、ハロ−C1−6アルキル(例えば、ペルフルオロアルキル)、ヒドロキシ−C1−6アルキル、ニトロ−C1−6アルキル、またはC1−6チオアルコキシ−C1−6アルキル);(3)C1−20アルコキシ(例えば、ペルフルオロアルコキシ等のC1−6アルコキシ);(4)C1−6アルキルスルフィニル;(5)C6−10アリール;(6)アミノ;(7)C1−6アルク−C6−10アリール;(8)アジド;(9)C3−8シクロアルキル;(10)C1−6アルク−C3−8シクロアルキル;(11)ハロ;(12)C1−12ヘテロシクリル(例えば、C1−12ヘテロアリール);(13) (C1−12ヘテロシクリル)オキシ;(14)ヒドロキシ;(15)ニトロ;(16)C1−20チオアルコキシ(例えば、C1−6チオアルコキシ);(17)−(CH2)qCO2RA’(式中、qは、0〜4の整数であり、RA’は、(a)C1−6アルキル、(b)C6−10アリール、(c)水素、および(d)C1−6アルク−C6−10アリールからなる群から選択される);(18)−(CH2)qCONRB’RC’(式中、qは、0〜4の整数であり、RB’およびRC’は、(a)水素、(b)C1−6アルキル、(c)C6−10アリール、および(d)C1−6アルク−C6−10アリールからなる群から独立して選択される);(19)−(CH2)qSO2RD’(式中、qは、0〜4の整数であり、RD’は、(a)アルキル、(b)C6−10アリール、および(c)アルク−C6−10アリールからなる群から選択される);(20)−(CH2)qSO2NRE’RF’(式中、qは、0〜4の整数であり、RE’およびRF’の各々は、独立して、(a)水素、(b)C1−6アルキル、(c)C6−10アリール、および(d)C1−6アルク−C6−10アリールからなる群から選択される);(21)チオール;(22)C6−10アリールオキシ;(23)C3−8シクロアルコキシ;(24)C6−10アリール−C1−6アルコキシ;(25)C1−6アルク−C1−12ヘテロシクリル(例えば、C1−6アルク−C1−12ヘテロアリール);(26)C2−20アルケニル;ならびに(27)C2−20アルキニル。いくつかの実施形態において、これらの基の各々は、本明細書に記載されるようにさらに置換され得る。例えば、C1−アルカリールまたはC1−アルクヘテロシクリルのアルキレン基は、オキソ基でさらに置換されて、それぞれのアリーロイルおよび(ヘテロシクリル)オイル置換基をもたらすことができる。
本明細書で使用されるとき、「アリールアルコキシ」という用語は、酸素原子を介して親分子基に結合される、本明細書に定義されるアルカリール基を表す。例示の非置換アルコキシアルキル基は、7〜30個の炭素(例えば、C6−10アリール−C1−6アルコキシ、C6−10アリール−C1−10アルコキシ、またはC6−10アリール−C1−20アルコキシ等の、7〜16または7〜20個の炭素)を含む。いくつかの実施形態において、アリールアルコキシ基は、本明細書に定義される1、2、3、または4個の置換基で置換され得る。
「アリールオキシ」という用語は、式−OR’の化学置換基を表し、式中、R’は、別途明記されない限り、6〜18個の炭素のアリール基である。いくつかの実施形態において、アリール基は、本明細書に定義される1、2、3、または4個の置換基で置換され得る。
本明細書で使用されるとき、「アリーロイル」という用語は、カルボニル基を介して親分子基に結合される、本明細書に定義されるアリール基を表す。例示の非置換アリーロイル基は、7〜11個の炭素のものである。いくつかの実施形態において、アリール基は、本明細書に定義される1、2、3、または4個の置換基で置換され得る。
「アジド」という用語は、−N3基を表し、それは、−N=N=Nとしても表され得る。
本明細書で使用されるとき、「二環式」という用語は、芳香族でも非芳香族でもあり得る2つの環を有する構造を指す。二環式構造には、本明細書に定義されるスピロシクリル基、および1つ以上の架橋を共有する2つの環が含まれ、そのような架橋は、1個の原子、または2個、3個、もしくはそれよりも多い原子を含む鎖を含むことができる。例示の二環式基には、二環式カルボシクリル基(その第1および第2の環は、本明細書に定義されるカルボシクリル基である);二環式アリール基(その第1および第2の環は、本明細書に定義されるアリール基である);二環式ヘテロシクリル基(その第1の環は、ヘテロシクリル基であり、第2の環は、カルボシクリル(例えば、アリール)またはヘテロシクリル(例えば、ヘテロアリール)基である);および二環式ヘテロアリール基(その第1の環は、ヘテロアリール基であり、第2の環は、カルボシクリル(例えば、アリール)またはヘテロシクリル(例えば、ヘテロアリール)基である)が含まれる。いくつかの実施形態において、二環式基は、シクロアルキル、ヘテロシクリル、およびアリール基について本明細書に定義される1、2、3、または4個の置換基で置換され得る。
本明細書で使用されるとき、「炭素環式」および「カルボシクリル」という用語は、芳香族でも非芳香族でもあり得る環が炭素原子によって形成される、任意に置換されるC3−12単環式、二環式、または三環式構造を指す。炭素環式構造には、シクロアルキル、シクロアルケニル、およびアリール基が含まれる。
本明細書で使用されるとき、「カルバモイル」という用語は、−C(O)−N(RN1)2を表し、式中、各RN1の意味は、本明細書に提供される「アミノ」の定義において見出される。
本明細書で使用されるとき、「カルバモイルアルキル」という用語は、本明細書に定義されるカルバモイル基によって置換された、本明細書に定義されるアルキル基を表す。アルキル基は、本明細書に記載の1、2、3、または4個の置換基でさらに置換され得る。
本明細書で使用されるとき、「カルバミル」という用語は、構造−NRN1C(=O)ORまたは−OC(=O)N(RN1)2を有するカルバメート基を指し、式中、各RN1の意味は、本明細書に提供される「アミノ」の定義において見出され、Rは、本明細書に定義されるアルキル、シクロアルキル、アルクシクロアルキル、アリール、アルカリール、ヘテロシクリル(例えば、ヘテロアリール)、またはアルクヘテロシクリル(例えば、アルクヘテロアリール)である。
本明細書で使用されるとき、「カルボニル」という用語は、C(O)基を表し、それは、C=Oとしても表され得る。
「カルボキシアルデヒド」という用語は、構造−CHOを有するアシル基を表す。
本明細書で使用されるとき、「カルボキシ」という用語は、−CO2Hを意味する。
本明細書で使用されるとき、「カルボキシアルコキシ」という用語は、本明細書に定義されるカルボキシ基によって置換された、本明細書に定義されるアルコキシ基を表す。アルコキシ基は、アルキル基について本明細書に記載の1、2、3、または4個の置換基でさらに置換され得る。
本明細書で使用されるとき、「カルボキシアルキル」という用語は、本明細書に定義されるカルボキシ基によって置換された、本明細書に定義されるアルキル基を表す。アルキル基は、本明細書に記載の1、2、3、または4個の置換基でさらに置換され得る。
本明細書で使用されるとき、「シアノ」という用語は、−CN基を表す。
「シクロアルコキシ」という用語は、式−ORの化学置換基を表し、式中、Rは、別途明記されない限り、本明細書に定義されるC3−8シクロアルキル基である。シクロアルキル基は、本明細書に記載の1、2、3、または4個の置換基でさらに置換され得る。例示の非置換シクロアルコキシ基は、3〜8個の炭素である。いくつかの実施形態において、シクロアルキル基は、本明細書に記載の1、2、3、または4個の置換基でさらに置換され得る。
本明細書で使用されるとき、「シクロアルキル」という用語は、別途明記されない限り、3〜8個の炭素の一価の飽和または不飽和非芳香族環状炭化水素基を表し、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、ビシクロ[2.2.1.]ヘプチル等により例として示される。シクロアルキル基が1つの炭素−炭素二重結合を含むとき、シクロアルキル基は、「シクロアルケニル」基と称され得る。例示のシクロアルケニル基には、シクロペンテニル、シクロヘキセニル等が含まれる。本発明のシクロアルキル基は、次のもので任意に置換され得る:(1)C1−7アシル(例えば、カルボキシアルデヒド);(2)C1−20アルキル(例えば、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ−C1−6アルキル、C1−6アルキルスルフィニル−C1−6アルキル、アミノ−C1−6アルキル、アジド−C1−6アルキル、(カルボキシアルデヒド)−C1−6アルキル、ハロ−C1−6アルキル(例えば、ペルフルオロアルキル)、ヒドロキシ−C1−6アルキル、ニトロ−C1−6アルキル、またはC1−6チオアルコキシ−C1−6アルキル);(3)C1−20アルコキシ(例えば、ペルフルオロアルコキシ等のC1−6アルコキシ);(4)C1−6アルキルスルフィニル;(5)C6−10アリール;(6)アミノ;(7)C1−6アルク−C6−10アリール;(8)アジド;(9)C3−8シクロアルキル;(10)C1−6アルク−C3−8シクロアルキル;(11)ハロ;(12)C1−12ヘテロシクリル(例えば、C1−12ヘテロアリール);(13) (C1−12ヘテロシクリル)オキシ;(14)ヒドロキシ;(15)ニトロ;(16)C1−20チオアルコキシ(例えば、C1−6チオアルコキシ);(17)−(CH2)qCO2RA’(式中、qは、0〜4の整数であり、RA’は、(a)C1−6アルキル、(b)C6−10アリール、(c)水素、および(d)C1−6アルク−C6−10アリールからなる群から選択される);(18)−(CH2)qCONRB’RC’(式中、qは、0〜4の整数であり、RB’およびRC’は、(a)水素、(b)C6−10アルキル、(c)C6−10アリール、および(d)C1−6アルク−C6−10アリールからなる群から独立して選択される);(19)−(CH2)qSO2RD’(式中、qは、0〜4の整数であり、RD’は、(a)C6−10アルキル、(b)C6−10アリール、および(c)C1−6アルク−C6−10アリールからなる群から選択される);(20)−(CH2)qSO2NRE’RF’(式中、qは、0〜4の整数であり、RE’およびRF’の各々は、独立して、(a)水素、(b)C6−10アルキル、(c)C6−10アリール、および(d)C1−6アルク−C6−10アリールからなる群から選択される);(21)チオール;(22)C6−10アリールオキシ;(23)C3−8シクロアルコキシ;(24)C6−10アリール−C1−6アルコキシ;(25)C1−6アルク−C1−12ヘテロシクリル(例えば、C1−6アルク−C1−12ヘテロアリール);(26)オキソ;(27)C2−20アルケニル;ならびに(28)C2−20アルキニル。いくつかの実施形態において、これらの基の各々は、本明細書に記載されるようにさらに置換され得る。例えば、C1−アルカリールまたはC1−アルクヘテロシクリルのアルキレン基は、オキソ基でさらに置換されて、それぞれのアリーロイルおよび(ヘテロシクリル)オイル置換基をもたらすことができる。
本明細書で使用されるとき、「ジアステレオマー」という用語は、互いの鏡像でなく、互いの上に重ね合わせ不可能である、立体異性体を意味する。
本明細書で使用されるとき、本明細書で使用される薬剤の「有効量」は、有益なまたは所望の結果、例えば、臨床結果をもたらすのに十分な量であり、したがって、「有効量」は、それが適用されている前後関係に依存する。例えば、癌を治療する薬剤を投与することの前後関係において、有効量の薬剤は、例えば、薬剤の投与を伴わずに得られる反応と比較して、本明細書に定義される癌の治療を達成するのに十分な量である。
本明細書で使用されるとき、「鏡像異性体」という用語は、少なくとも80%(すなわち、一方の鏡像異性体が少なくとも90%および他方の鏡像異性体が多くても10%)、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも98%の光学純度または鏡像異性体過剰率(当技術分野で標準の方法によって決定するとき)を有する、本発明の化合物の各個々の光学活性型を意味する。
本明細書で使用されるとき、「ハロ」という用語は、臭素、塩素、ヨウ素、またはフッ素から選択されるハロゲンを表す。
本明細書で使用されるとき、「ハロアルコキシ」という用語は、ハロゲン基(すなわち、F、Cl、Br、またはI)によって置換された、本明細書に定義されるアルコキシ基を表す。ハロアルコキシは、1、2、3個のハロゲンで、または2個以上の炭素のアルキル基の場合には4個のハロゲンで置換されてもよい。ハロアルコキシ基には、ペルフルオロアルコキシ(例えば、−OCF3)、−OCHF2、−OCH2F、−OCCl3、−OCH2CH2Br、−OCH2CH(CH2CH2Br)CH3、および−OCHICH3が含まれる。いくつかの実施形態において、ハロアルコキシ基は、アルキル基について本明細書に記載の1、2、3、または4個の置換基でさらに置換され得る。
本明細書で使用されるとき、「ハロアルキル」という用語は、ハロゲン基(すなわち、F、Cl、Br、またはI)によって置換された、本明細書に定義されるアルキル基を表す。ハロアルキルは、1、2、3個のハロゲンで、または2個以上の炭素のアルキル基の場合には4個のハロゲンで置換されてもよい。ハロアルキル基には、ペルフルオロアルキル(例えば、−CF3)、−CHF2、−CH2F、−CCl3、−CH2CH2Br、−CH2CH(CH2CH2Br)CH3、および−CHICH3が含まれる。いくつかの実施形態において、ハロアルキル基は、アルキル基について本明細書に記載の1、2、3、または4個の置換基でさらに置換され得る。
本明細書で使用されるとき、「ヘテロアルキレン」という用語は、構成炭素原子のうちの1個または2個が各々、窒素、酸素、または硫黄によって置き換えらた、本明細書に定義されるアルキレン基を指す。いくつかの実施形態において、ヘテロアルキレン基は、アルキレン基について本明細書に記載の1、2、3、または4個の置換基でさらに置換され得る。
本明細書で使用されるとき、「ヘテロアリール」という用語は、芳香族である、本明細書に定義されるヘテロシクリルの部分集合を表し、すなわち、それらは単環式または多環式環系内に4n+2個のπ電子を含有する。例示の非置換ヘテロアリール基は、1〜12個(例えば、1〜11、1〜10、1〜9、2〜12、2〜11、2〜10、または2〜9個)の炭素ものもである。いくつかの実施形態において、ヘテロアリールは、ヘテロシクリル基について定義される1、2、3、または4個の置換基で置換される。
本明細書で使用されるとき、「ヘテロシクリル」という用語は、別途明記されない限り、窒素、酸素、および硫黄からなる群から独立して選択される1、2、3、または4個のヘテロ原子を含有する、5、6、または7員環を表す。5員環は、0〜2つの二重結合を有し、6および7員環は、0〜3つの二重結合を有する。例示の非置換ヘテロシクリル基は、1〜12個(例えば、1〜11、1〜10、1〜9、2〜12、2〜11、2〜10、または2〜9個)の炭素のものである。「ヘテロシクリル」という用語は、1個以上の炭素および/またはヘテロ原子が単環式環の2つの隣接していない員を架橋する、架橋多環式構造を有する複素環式化合物、例えば、キヌクリジニル基も表す。「ヘテロシクリル」という用語は、上記の複素環式環のうちのいずれかが1、2、もしくは3つの炭素環式環、例えば、アリール環、シクロヘキサン環、シクロヘキセン環、シクロペンタン環、シクロペンテン環、またはインドリル、キノリル、イソキノリル、テトラヒドロキノリル、ベンゾフリル、ベンゾチエニル等の別の単環式の複素環式環に縮合される、二環式、三環式、および四環式基を含む。縮合ヘテロシクリルの例としては、トロパンおよび1,2,3,5,8,8a−ヘキサヒドロインドリジンが挙げられる。複素環には、ピロリル、ピロリニル、ピロリジニル、ピラゾリル、ピラゾリニル、ピラゾリジニル、イミダゾリル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、ピリジル、ピペリジニル、ホモピペリジニル、ピラジニル、ピペラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、オキサゾリル、オキサゾリジニル、イソオキサゾリル、イソオキサゾリジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、チアゾリル、チアゾリジニル、イソチアゾリル、イソチアゾリジニル、インドリル、インダゾリル、キノリル、イソキノリル、キノキサリニル、ジヒドロキノキサリニル、キナゾリニル、シノリニル、フタラジニル、ベンズイミダゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアジアゾリル、フリル、チエニル、チアゾリジニル、イソチアゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、オキサジアゾリル(例えば、1,2,3−オキサジアゾリル)、プリニル、チアジアゾリル(例えば、1,2,3−チアジアゾリル)、テトラヒドロフラニル、ジヒドロフラニル、テトラヒドロチエニル、ジヒドロチエニル、ジヒドロインドリル、ジヒドロキノリル、テトラヒドロキノリル、テトラヒドロイソキノリル、ジヒドロイソキノリル、ピラニル、ジヒドロピラニル、ジチアゾリル、ベンゾフラニル、イソベンゾフラニル、ベンゾチエニル等が含まれ、1つ以上の二重結合が還元され、水素と置き換えられる、それらのジヒドロおよびテトラヒドロ形態を含む。さらに他の例示のヘテロシクリルには、2,3,4,5−テトラヒドロ−2−オキソ−オキサゾリル;2,3−ジヒドロ−2−オキソ−1H−イミダゾリル;2,3,4,5−テトラヒドロ−5−オキソ−1H−ピラゾリル(例えば、2,3,4,5−テトラヒドロ−2−フェニル−5−オキソ−1H−ピラゾリル);2,3,4,5−テトラヒドロ−2,4−ジオキソ−1H−イミダゾリル(例えば、2,3,4,5−テトラヒドロ−2,4−ジオキソ−5−メチル−5−フェニル−1H−イミダゾリル);2,3−ジヒドロ−2−チオキソ−1,3,4−オキサジアゾリル(例えば、2,3−ジヒドロ−2−チオキソ−5−フェニル−1,3,4−オキサジアゾリル);4,5−ジヒドロ−5−オキソ−1H−トリアゾリル(例えば、4,5−ジヒドロ−3−メチル−4−アミノ5−オキソ−1H−トリアゾリル);1,2,3,4−テトラヒドロ−2,4−ジオキソピリジニル(例えば、1,2,3,4−テトラヒドロ−2,4−ジオキソ−3,3−ジエチルピリジニル);2,6−ジオキソ−ピペリジニル(例えば、2,6−ジオキソ−3−エチル−3−フェニルピペリジニル);1,6−ジヒドロ−6−オキソピリジミニル;1,6−ジヒドロ−4−オキソピリミジニル(例えば、2−(メチルチオ)−1,6−ジヒドロ−4−オキソ−5−メチルピリミジン−1−イル);1,2,3,4−テトラヒドロ−2,4−ジオキソピリミジニル(例えば、1,2,3,4−テトラヒドロ−2,4−ジオキソ−3−エチルピリミジニル);1,6−ジヒドロ−6−オキソ−ピリダジニル(例えば、1,6−ジヒドロ−6−オキソ−3−エチルピリダジニル);1,6−ジヒドロ−6−オキソ−1,2,4−トリアジニル(例えば、1,6−ジヒドロ−5−イソプロピル−6−オキソ−1,2,4−トリアジニル);2,3−ジヒドロ−2−オキソ−1H−インドリル(例えば、3,3−ジメチル−2,3−ジヒドロ−2−オキソ−1H−インドリルおよび2,3−ジヒドロ−2−オキソ−3,3’−スピロプロパン−1H−インドール−1−イル);1,3−ジヒドロ−1−オキソ−2H−イソ−インドリル;1,3−ジヒドロ−1,3−ジオキソ−2H−イソ−インドリル;1H−ベンゾピラゾリル(例えば、1−(エトキシカルボニル)−1H−ベンゾピラゾリル);2,3−ジヒドロ−2−オキソ−1H−ベンズイミダゾリル(例えば、3−エチル−2,3−ジヒドロ−2−オキソ−1H−ベンズイミダゾリル);2,3−ジヒドロ−2−オキソ−ベンゾオキサゾリル(例えば、5−クロロ−2,3−ジヒドロ−2−オキソ−ベンゾオキサゾリル);2,3−ジヒドロ−2−オキソ−ベンゾオキサゾリル;2−オキソ−2H−ベンゾピラニル;1,4−ベンゾジオキサニル;1,3−ベンゾジオキサニル;2,3−ジヒドロ−3−オキソ,4H−1,3−ベンゾチアジニル;3,4−ジヒドロ−4−オキソ−3H−キナゾリニル(例えば、2−メチル−3,4−ジヒドロ−4−オキソ−3H−キナゾリニル);1,2,3,4−テトラヒドロ−2,4−ジオキソ−3H−キナゾリル(例えば、1−エチル−1,2,3,4−テトラヒドロ−2,4−ジオキソ−3H−キナゾリル);1,2,3,6−テトラヒドロ−2,6−ジオキソ−7H−プリニル(例えば、1,2,3,6−テトラヒドロ−1,3−ジメチル−2,6−ジオキソ−7H−プリニル);1,2,3,6−テトラヒドロ−2,6−ジオキソ−1H−プリニル(例えば、1,2,3,6−テトラヒドロ−3,7−ジメチル−2,6−ジオキソ−1H−プリニル);2−オキソベンズ[c,d]インドリル;1,1−ジオキソ−2H−ナフト[1,8−c,d]イソチアゾリル;および1,8−ナフチレンジカルボキサミドが含まれる。さらなる複素環には、3,3a,4,5,6,6a−ヘキサヒドロ−ピロlo[3,4−b]ピロl−(2H)−イル、および2,5−ジアザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−イル、ホモピペラジニル(またはジアゼパニル)、テトラヒドロピラニル、ジチアゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾチエニル、オキセパニル、チエパニル、アゾカニル、オキセカニル、およびチオカニルが含まれる。複素環基は、式:
の基も含み、式中、
E’は、−N−および−CH−からなる群から選択され、F’は、−N=CH−、−NH−CH2−、−NH−C(O)−、−NH−、−CH=N−、−CH2−NH−、−C(O)−NH−、−CH=CH−、−CH2−、−CH2CH2−、−CH2O−、−OCH2−、−O−、および−S−からなる群から選択され、G’は、−CH−および−N−からなる群から選択される。本明細書で言及されるヘテロシクリル基のうちのいずれかは、次のものからなる群から独立して選択される1、2、3、4、または5個の置換基で任意に置換されてもよい:(1)C1−7アシル(例えば、カルボキシアルデヒド);(2)C1−20アルキル(例えば、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ−C1−6アルキル、C1−6アルキルスルフィニル−C1−6アルキル、アミノ−C1−6アルキル、アジド−C1−6アルキル、(カルボキシアルデヒド)−C1−6アルキル、ハロ−C1−6アルキル(例えば、ペルフルオロアルキル)、ヒドロキシ−C1−6アルキル、ニトロ−C1−6アルキル、またはC1−6チオアルコキシ−C1−6アルキル);(3)C1−20アルコキシ(例えば、ペルフルオロアルコキシ等のC1−6アルコキシ);(4)C1−6アルキルスルフィニル;(5)C6−10アリール;(6)アミノ;(7)C1−6アルク−C6−10アリール;(8)アジド;(9)C3−8シクロアルキル;(10)C1−6アルク−C3−8シクロアルキル;(11)ハロ;(12)C1−12ヘテロシクリル(例えば、C2−12ヘテロアリール);(13) (C1−12ヘテロシクリル)オキシ;(14)ヒドロキシ;(15)ニトロ;(16)C1−20チオアルコキシ(例えば、C1−6チオアルコキシ);(17)−(CH2)qCO2RA’(式中、qは、0〜4の整数であり、RA’は、(a)C1−6アルキル、(b)C6−10アリール、(c)水素、および(d)C1−6アルク−C6−10アリールからなる群から選択される);(18)−(CH2)qCONRB’RC’(式中、qは、0〜4の整数であり、RB’およびRC’は、(a)水素、(b)C1−6アルキル、(c)C6−10アリール、および(d)C1−6アルク−C6−10アリールからなる群から独立して選択される);(19)−(CH2)qSO2RD’(式中、qは、0〜4の整数であり、RD’は、(a)C1−6アルキル、(b)C6−10アリール、および(c)C1−6アルク−C6−10アリールからなる群から選択される);(20)−(CH2)qSO2NRE’RF’(式中、qは、0〜4の整数であり、RE’およびRF’の各々は、独立して、(a)水素、(b)C1−6アルキル、(c)C6−10アリール、および(d)C1−6アルク−C6−10アリールからなる群から選択される);(21)チオール;(22)C6−10アリールオキシ;(23)C3−8シクロアルコキシ;(24)アリールアルコキシ;(25)C1−6アルク−C1−12ヘテロシクリル(例えば、C1−6アルク−C1−12ヘテロアリール);(26)オキソ;(27)(C1−12ヘテロシクリル)イミノ;(28)C2−20アルケニル;ならびに(29)C2−20アルキニル。いくつかの実施形態において、これらの基の各々は、本明細書に記載されるようにさらに置換され得る。例えば、C1−アルカリールまたはC1−アルクヘテロシクリルのアルキレン基は、オキソ基でさらに置換されて、それぞれのアリーロイルおよび(ヘテロシクリル)オイル置換基をもたらすことができる。
本明細書で使用されるとき、「(ヘテロシクリル)イミノ」という用語は、イミノ基を介して親分子基に結合される、本明細書に定義されるヘテロシクリル基を表す。いくつかの実施形態において、ヘテロシクリル基は、本明細書に定義される1、2、3、または4個の置換基で置換され得る。
本明細書で使用されるとき、「(ヘテロシクリル)オキシ」という用語は、酸素原子を介して親分子基に結合される、本明細書に定義されるヘテロシクリル基を表す。いくつかの実施形態において、ヘテロシクリル基は、本明細書に定義される1、2、3、または4個の置換基で置換され得る。
本明細書で使用されるとき、「(ヘテロシクリル)オイル」という用語は、カルボニル基を介して親分子基に結合される、本明細書に定義されるヘテロシクリル基を表す。いくつかの実施形態において、ヘテロシクリル基は、本明細書に定義される1、2、3、または4個の置換基で置換され得る。
本明細書で使用されるとき、「炭化水素」という用語は、炭素および水素原子のみからなる基を表す。
本明細書で使用されるとき、「ヒドロキシ」という用語は、−OH基を表す。
本明細書で使用されるとき、「ヒドロキシアルケニル」という用語は、1〜3個のヒドロキシ基によって置換された、本明細書に定義されるアルケニル基を表すが、但し、1個を超えるヒドロキシ基がアルキル基の単一の炭素原子に結合することはないことを条件とし、それはジヒドロキシプロペニル、ヒドロキシイソペンテニル等により例として示される。
本明細書で使用されるとき、「ヒドロキシアルキル」という用語は、1〜3個のヒドロキシ基によって置換された、本明細書に定義されるアルキル基を表すが、但し、1個を超えるヒドロキシ基が、アルキル基の単一の炭素原子に結合することはないことを条件とし、それはヒドロキシメチル、ジヒドロキシプロピル等により例として示される。
本明細書で使用されるとき、「異性体」という用語は、本発明の化合物のいずれかの任意の互変異性体、立体異性体、鏡像異性体、またはジアステレオマーを意味する。本発明の化合物は、1つ以上のキラル中心および/または二重結合を有することができ、したがって、二重結合異性体(すなわち、幾何E/Z異性体)またはジアステレオマー(例えば、鏡像異性体(すなわち、(+)または(−))またはシス/トランス異性体)等の立体異性体として存在し得ることが認識される。本発明に従って、本明細書に描写される化学構造、したがって本発明の化合物は、対応する立体異性体のすべて、つまり、立体異性的に純粋な形態(例えば、幾何的に純粋、鏡像異性的に純粋、またはジアステレオマー的に純粋)と、鏡像異性体混合物および立体異性体混合物、例えば、ラセミ体との両方を包含する。本発明の化合物の鏡像異性体混合物および立体異性体混合物は、キラル相ガスクロマトグラフィー、キラル相高性能液体クロマトグラフィー、キラル塩錯体としての化合物の結晶化、またはキラル溶媒中の化合物の結晶化等の周知の方法によって、典型的にそれらの構成要素の鏡像異性体または立体異性体へと分解することができる。鏡像異性体および立体異性体は、周知の不斉合成法によって、立体異性的または鏡像異性的に純粋な中間体、試薬、および触媒からも得ることができる。
本明細書で使用されるとき、「N保護アミノ」という用語は、本明細書に定義される1つまたは2つのN保護基に結合している、本明細書に定義されるアミノ基を指す。
本明細書で使用されるとき、「N保護基」という用語は、合成手順中に、望ましくない反応に対してアミノ基を保護するよう意図される基を表す。一般的に使用されるN保護基は、参照により本明細書に組み込まれる、Greene,“Protective Groups in Organic Synthesis,” 3rd Edition(John Wiley & Sons,New York,1999)に開示されている。N保護基には、ホルミル、アセチル、プロピオニル、ピバロイル、t−ブチルアセチル、2−クロロアセチル、2−ブロモアセチル、トリフルオロアセチル、トリクロロアセチル、フタリル、o−ニトロフェノキシアセチル、α−クロロブチリル、ベンゾイル、4−クロロベンゾイル、4−ブロモベンゾイル、4−ニトロベンゾイル等の、アシル、アリーロイル、またはカルバミル基、および保護されたまたは保護されいないD、L、またはD等のキラル助剤、アラニン、ロイシン、フェニルアラニン等のL−アミノ酸;ベンゼンスルホニル、p−トルエンスルホニル等のスルホニル含有基;ベンジルオキシカルボニル、p−クロロベンジルオキシカルボニル、p−メトキシベンジルオキシカルボニル、p−ニトロベンジルオキシカルボニル、2−ニトロベンジルオキシカルボニル、p−ブロモベンジルオキシカルボニル、3,4−ジメトキシベンジルオキシカルボニル、3,5−ジメトキシベンジルオキシカルボニル、2,4−ジメトキシベンジルオキシカルボニル、4−メトキシベンジルオキシカルボニル、2−ニトロ−4,5−ジメトキシベンジルオキシカルボニル、3,4,5−トリメトキシベンジルオキシカルボニル、1−(p−ビフェニルyl)−1−メチルエトキシカルボニル、α,α−ジメチル−3,5−ジメトキシベンジルオキシカルボニル、ベンズヒドリルオキシカルボニル、t−ブチルオキシカルボニル、ジイソプロピルメトキシカルボニル、イソプロピルオキシカルボニル、エトキシカルボニル、メトキシカルボニル、アリルオキシカルボニル、2,2,2,−トリクロロエトキシカルボニル、フェノキシカルボニル、4−ニトロフェノキシカルボニル、フルオレニル−9−メトキシカルボニル、シクロペンチルオキシカルボニル、アダマンチルオキシカルボニル、シクロヘキシルオキシカルボニル、フェニルチオカルボニル等のカルバメート形成基、ベンジル、トリフェニルメチル、ベンジルオキシメチル等のアルカリール基、ならびにトリメチルシリル等のシリル基が含まれる。好ましいN保護基は、ホルミル、アセチル、ベンゾイル、ピバロイル、t−ブチルアセチル、アラニル、フェニルスルホニル、ベンジル、t−ブチルオキシカルボニル(Boc)、およびベンジルオキシカルボニル(Cbz)である。
本明細書で使用されるとき、「ニトロ」という用語は、−NO2基を表す。
本明細書で使用されるとき、「オキソ」という用語、=Oを表す。
本明細書で使用されるとき、「ペルフルオロアルキル」という用語は、アルキル基に結合した各水素ラジカルがフッ化物ラジカルによって置き換えられた、本明細書に定義されるアルキル基を表す。ペルフルオロアルキル基は、トリフルオロメチル、ペンタフルオロエチル等により例として示される。
本明細書で使用されるとき、「ペルフルオロアルコキシ」という用語は、アルコキシ基に結合した各水素ラジカルがフッ化物ラジカルによって置き換えられた、本明細書に定義されるアルコキシ基を表す。ペルフルオロアルコキシ基は、トリフルオロメトキシ、ペンタフルオロエトキシ等により例として示される。
本明細書で使用されるとき、「スピロシクリル」という用語は、その両端が親基の同じ炭素原子に結合してスピロ環式基を形成するC2−7アルキレンジラジカル、およびまた、その両端が同じ炭素原子に結合するC1−6ヘテロアルキレンジラジカルを表す。スピロシクリル基を形成するヘテロアルキレンラジカルは、窒素、酸素、および硫黄からなる群から独立して選択される1、2、3、または4個のヘテロ原子を含有することができる。いくつかの実施形態において、スピロシクリル基は、そのジラジカルが結合する炭素原子を除いて、1〜7個の炭素を含む。本発明のスピロシクリル基は、シクロアルキル基および/またはヘテロシクリル基に対する任意の置換基として本明細書に提供される1、2、3、または4個の置換基で任意に置換されてもよい。
本明細書で使用されるとき、「立体異性体」という用語は、化合物(例えば、本明細書に記載の任意の式の化合物)が有し得るすべての可能性のある様々な異性型ならびに立体配座型、特にすべての可能性のある立体化学的および立体配座的異性型、基本的な分子構造のすべてのジアステレオマー、鏡像異性体、および/または配座異性体を指す。本発明のいくつかの化合物は、異なる互変異性型として存在してもよく、後者のすべてが本発明の範囲内に含まれる。
本明細書で使用されるとき、「スルホアルキル」という用語は、−SO3Hのスルホ基によって置換された、本明細書に定義されるアルキル基を表す。いくつかの実施形態において、アルキル基は、本明細書に記載の1、2、3、または4個の置換基でさらに置換され得る。
本明細書で使用されるとき、「スルホニル」という用語は、−S(O)2−基を表す。
本明細書で使用されるとき、「チオアルカリール」という用語は、式−SRの化学置換基を表し、式中、Rは、アルカリール基である。いくつかの実施形態において、アルカリール基は、本明細書に記載の1、2、3、または4個の置換基でさらに置換され得る。
本明細書で使用されるとき、「チオアルクヘテロシクリル」という用語は、式−SRの化学置換基を表し、式中、Rは、アルクヘテロシクリル基である。いくつかの実施形態において、アルクヘテロシクリル基は、本明細書に記載の1、2、3、または4個の置換基でさらに置換され得る。
本明細書で使用されるとき、「チオアルコキシ」という用語は、式−SRの化学置換基を表し、式中、Rは、本明細書に定義されるアルキル基である。いくつかの実施形態において、アルキル基は、本明細書に記載の1、2、3、または4個の置換基でさらに置換され得る。
「チオール」という用語は、−SH基を表す。
化合物:本明細書で使用されるとき、「化合物」という用語は、描写される構造のすべての立体異性体、幾何異性体、互変異性体、および同位体を含むことが意図される。
本明細書に記載の化合物は、不斉であり得る(例えば、1つ以上の立体中心を有する)。別途指定されない限り、鏡像異性体およびジアステレオマー等の、すべての立体異性体が意図される。不斉置換炭素原子を含有する本開示の化合物は、光学活性型またはラセミ型で単離することができる。光学活性型を光学活性の出発物質からどのように調製するかに関する方法は、ラセミ混合物の分解によって、または立体選択的合成によって等、当技術分野で知られている。オレフィンの多くの幾何異性体、C=N二重結合等もまた、本発明に記載の化合物中に存在することができ、すべてのそのような安定な異性体が本開示において企図される。本開示の化合物のシスおよびトランス幾何異性体が記載され、それは異性体の混合物としてまたは分離した異性型として単離され得る。
本開示の化合物は、互変異性型も含む。互変異性型は、単結合の隣位二重結合との交換、およびプロトンの付随する移動からもたらされる。互変異性型は、同じ実験式および総電荷を有する異性体プロトン化状態である、プロトン互変異性体(prototropic tautomers)を含む。例示のプロトン互変異性体には、ケトン−エノール対、アミド−イミド酸対、ラクタム−ラクチム対、アミド−イミド酸対、エナミン−イミン対、およびプロトンが複素環式系の2つ以上の位置を占有し得る環状型、例えば、1H−および3H−イミダゾール、1H−、2H−、および4H−1,2,4−トリアゾール、1H−および2H−イソインドール、ならびに1H−および2H−ピラゾールが含まれる。互変異性型は、平衡し得るか、または適切な置換によって1つの形態へと立体的に固定され得る。
本開示の化合物は、中間体または最終化合物中で生じる原子の同位体もすべて含む。「同位体」は、同じ原子番号を有するが、核内の中性子の数が異なることに起因して異なる質量数を有する、原子を指す。例えば、水素の同位体には、トリチウムおよびジュウテリウムが含まれる。
本開示の化合物および塩は、通例の方法によって、溶媒または水分子と組み合わせて溶媒和物および水和物を形成することにより調製することができる。
状態:本明細書で使用されるとき、「状態」という用語は、観察可能な症状と一緒に現れる障害を指す。
保存される:本明細書で使用されるとき、「保存される」という用語は、比較されている2つ以上の配列の同じ位置において変化することなく生じる残基である、それぞれ、ポリヌクレオチド配列またはポリペプチド配列のヌクレオチド残基またはアミノ酸残基を指す。比較的保存されているヌクレオチドまたはアミノ酸は、配列内の他の箇所に現れるヌクレオチドまたはアミノ酸よりも関連した配列の間で保存されているものである。
いくつかの実施形態において、2つ以上の配列は、それらが互いに100%同一である場合、「完全に保存される」と言われる。いくつかの実施形態において、2つ以上の配列は、それらが互いに少なくとも70%同一、少なくとも80%同一、少なくとも90%同一、または少なくとも95%同一である場合、「高度に保存される」と言われる。いくつかの実施形態において、2つ以上の配列は、それらが互いに約70%同一、約80%同一、約90%同一、約95%、約98%、または約99%同一である場合、「高度に保存される」と言われる。いくつかの実施形態において、2つ以上の配列は、それらが互いに少なくとも30%同一、少なくとも40%同一、少なくとも50%同一、少なくとも60%同一、少なくとも70%同一、少なくとも80%同一、少なくとも90%同一、または少なくとも95%同一である場合、「保存される」と言われる。いくつかの実施形態において、2つ以上の配列は、それらが互いに約30%同一、約40%同一、約50%同一、約60%同一、約70%同一、約80%同一、約90%同一、約95%同一、約98%同一、または約99%同一である場合、「保存される」と言われる。配列の保存は、オリゴヌクレオチドまたはポリペプチドの全長に適用してもよく、またはその一部分、領域、または特長に適用してもよい。
環状または環化:本明細書で使用されるとき、「環状」という用語は、連続ループの存在を指す。環状分子は、円形である必要はなく、単に連結してサブユニットの途切れのない鎖を形成すればよい。本発明の操作されたRNAまたはmRNA等の環状分子は、単一ユニットであっても多量体であってもよく、または複合体もしくは高次構造の1つ以上の構成要素を含んでもよい。
細胞増殖抑制性:本明細書で使用されるとき、「細胞増殖抑制性」は、細胞(例えば、哺乳類細胞(例えば、ヒト細胞)、細菌、ウイルス、真菌、原虫、寄生虫、プリオン、またはこれらの組み合わせの成長、分裂、または増殖を阻害する、低減する、抑制することを指す。
細胞傷害性:本明細書で使用されるとき、「細胞傷害性」は、細胞(例えば、哺乳類細胞(例えば、ヒト細胞)、細菌、ウイルス、真菌、原虫、寄生虫、プリオン、またはこれらの組み合わせを死滅させるか、あるいはそれらに有害、有毒、または致命的な影響を引き起こすことを指す。
送達:本明細書で使用されるとき、「送達」は、化合物、物質、実体、部分、積荷、またはペイロードを送達する作用または様態を指す。
送達剤:本明細書で使用されるとき、「送達剤」は、標的とされる細胞へのシグナルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物、またはmmRNAのインビボ送達を少なくとも部分的に容易にする、任意の物質を指す。
不安定化される:本明細書で使用されるとき、「不安定な」、「不安定化する」、または「不安定化領域」という用語は、同じ領域または分子の出発形態、野生型、または天然型よりも安定性が低い領域または分子を意味する。
検出可能な標識:本明細書で使用されるとき、「検出可能な標識」は、放射線写真撮影、蛍光、化学発光、酵素的活性、吸光等を含む当技術分野で既知の方法によって容易に検出される別の実体と結合されるか、それとともに組み込まれるか、またはそれと会合される1つ以上のマーカー、シグナル、または部分を指す。検出可能な標識には、放射性同位体、フルオロフォア、発色団、酵素、色素、金属イオン、リガンド、例えば、ビオチン、アビジン、ストレプトアビジンおよびハプテン、量子ドット等が含まれる。検出可能な標識は、本明細書に開示のペプチドまたはタンパク質における任意の位置に位置してもよい。それらは、アミノ酸、ペプチド、もしくはタンパク質の内にあっても、またはN末端もしくはC末端に位置してもよい。
疾患:本明細書で使用されるとき、「疾患」という用語は、しばしば特定の身体上の症状を示す、生物体の身体に影響を及ぼす異常な状態を指す。
障害:本明細書で使用されるとき、「障害」という用語は、身体の正常な機能または確立した系の破壊または正常な機能への干渉を指す。
消化:本明細書で使用されるとき、「消化」という用語は、より小さい片または構成成分へと分解することを意味する。ポリペプチドまたはタンパク質に言及するとき、消化は、ペプチドの産生をもたらす。
遠位:本明細書で使用されるとき、「遠位」という用語は、中心ら離れて、または目的とする点もしくは領域から離れて位置することを意味する。
用量分割係数(DSF)−用量分割治療のPUDを、総1日用量または単回単位用量のPUDで割った比率。値は、投薬レジメンの群の比較から導出される。
コードされたタンパク質の切断シグナル:本明細書で使用されるとき、「コードされたタンパク質の切断シグナル」は、タンパク質切断シグナルをコードするヌクレオチド配列を指す。
操作:本明細書で使用されるとき、本発明の実施形態は、それらが、構造的であろうと化学的であろうと、出発点分子、野生型分子、または天然分子から異なる特長または特性を有するように設計されるとき、「操作」される。
エクソソーム:本明細書で使用されるとき、「エクソソーム」は、哺乳類細胞によって分泌される小胞、またはRNA分解に関与する複合体である。
発現:本明細書で使用されるとき、核酸配列の「発現」は、次の事象のうちの1つ以上を指す:(1)DNA配列からのRNAテンプレートの生成(例えば、転写による)、(2)RNA転写のプロセシング(例えば、スプライシング、編集、5’キャップ形成、および/または3’末端プロセシングによる)、(3)RNAのポリペプチドまたはタンパク質への翻訳、および(4)ポリペプチドまたはタンパク質の翻訳後修飾。
特長:本明細書で使用されるとき、「特長」は、特徴、特性、または特有の要素を指す。
製剤:本明細書で使用されるとき、「製剤」は、少なくともシグナルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物、またはmmRNAと、送達剤とを含む。
断片:本明細書で使用されるとき、「断片」は、一部分を指す。例えば、タンパク質の断片は、培養細胞から単離された完全長タンパク質を消化することによって得られる、ポリペプチドを含み得る。
機能的:本明細書で使用されるとき、「機能的」生体分子は、それが特徴付けられる特性および/または活性を示す形態にある、生体分子である。
遺伝子型:本明細書で使用されるとき、「遺伝子型」は、対象、細胞、組織、器官および/または生物体の遺伝子型、すなわちは遺伝的体質の変化を指す。
相同性:本明細書で使用されるとき、「相同性」という用語は、ポリマー分子間、例えば、核酸分子(例えば、DNA分子および/またはRNA分子)間、および/またはポリペプチド分子間の全体的な関連性を指す。いくつかの実施形態において、ポリマー分子は、それらの配列が少なくとも25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、または99%同一または同様である場合、互いと「相同」であると見なされる。「相同」という用語は必然的に、少なくとも2つの配列(ポリヌクレオチドまたはポリペプチド配列)間の比較を指す。本発明に従って、2つのポリヌクレオチド配列は、それらがコードするポリペプチドが、少なくとも約20アミノ酸の少なくとも一続きにわたって少なくとも約50%、60%、70%、80%、90%、95%、またはさらに99%である場合、相同であると見なされる。いくつかの実施形態において、相同ポリヌクレオチド配列は、少なくとも4〜5つの固有に指定されるアミノ酸の一続きをコードする能力によって特徴付けられる。60ヌクレオチド長未満のポリヌクレオチド配列について、相同性は、少なくとも4〜5つの固有に指定されるアミノ酸の一続きをコードする能力によって特徴付けられる。本発明に従って、2つのタンパク質配列は、タンパク質が、少なくとも約20アミノ酸の少なくとも一続きにわたって少なくとも約50%、60%、70%、80%、または90%同一である場合、相同であると見なされる。
同一性:本明細書で使用されるとき、「同一性」という用語は、ポリマー分子間、例えば、オリゴヌクレオチド分子(例えば、DNA分子および/またはRNA分子)間、および/またはポリペプチド分子間の全体的な関連性を指す。2つのポリヌクレオチド配列の同一性パーセントの算出は、例えば、最適な比較目的のために2つの配列を整列させることによって行うことができる(例えば、最適なアライメントのために第1および第2の核酸配列の一方または両方にギャップを導入することができ、比較目的のために非同一配列を無視することができる)。ある特定の実施形態において、比較目的のために整列される配列の長さは、参照配列の長さの少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、または100%である。対応するヌクレオチド位置におけるヌクレオチドが次いで比較される。第1の配列内の位置が、第2の配列内の対応する位置と同じヌクレオチドによって占有されるとき、その分子は、その位置で同一である。2つの配列間の同一性パーセントは、2つの配列の最適なアライメントのために導入する必要があるギャップの数および各ギャップの長さを考慮に入れながら、配列によって共有される同一位置の数の関数である。2つの配列間の配列の比較および同一性パーセントの決定は、数学的アルゴリズムを用いて遂行することができる。例えば、2つのヌクレオチド配列間の同一性パーセントは、各々が参照により本明細書に組み込まれる、Computational
Molecular Biology,Lesk,A.M.,ed.,Oxford University Press,New York,1988;Biocomputing:Informatics and Genome Projects,Smith,D.W.,ed.,Academic Press,New York,1993、Sequence Analysis in Molecular Biology,von Heinje,G.,Academic Press,1987、Computer Analysis of Sequence Data,Part I,Griffin,A.M.,and Griffin,H.G.,eds.,Humana Press,New Jersey,1994、およびSequence Analysis Primer,Gribskov,M.and Devereux,J.,eds.,M
Stockton Press,New York,1991に記載の方法の等を用いて決定することができる。例えば、2つのヌクレオチド配列間の同一性パーセントは、MeyersおよびMiller(CABIOS,1989,4:11−17)のアルゴリズムを用いて決定することができ、それはPAM120重量残基表、12のギャップ長ペナルティ、および4のギャップペナルティを用いてALIGNプログラム(第2.0版)に組み込まれている。2つのヌクレオチド配列間の同一性パーセントは、あるいは、NWSgapdna.CMPマトリックスを使用するGCGソフトウェアパッケージにおけるGAPプログラムを用いて決定することができる。配列間の同一性パーセントを決定するために一般的に用いられる方法には、参照により本明細書に組み込まれるCarillo,H.,and Lipman,D.,SIAM J Applied Math.,48:1073(1988)に開示の方法が含まれるが、これらに限定されない。同一性を決定するための技法は、公的に利用可能なコンピュータプログラムにおいて成文化されている。2つの配列間の相同性を決定するための例示のコンピュータソフトウェアには、GCGプログラムパッケージ、Devereux,J.,et al.,Nucleic Acids Research,12(1),387(1984))、BLASTP、BLASTN、およびFASTA、Altschul,S.F.et al.,J.Molec.Biol.、215、403(1990))が含まれるが、これらに限定されない。
遺伝子の発現を阻害する:本明細書で使用されるとき、「遺伝子の発現を阻害する」という表現は、遺伝子の発現産物の量の低減を引き起こすことを意味する。発現産物は、遺伝子から転写されたRNA(例えば、mRNA)、または遺伝子から転写されたmRNAから翻訳されたポリペプチドであり得る。典型的に、mRNAのレベルの低減は、そこから翻訳されたポリペプチドのレベルの低減をもたらす。発現のレベルは、mRNAまたはタンパク質を測定するための標準的な技法を用いて決定されてもよい。
インビトロ:本明細書で使用されるとき、「インビトロ」という用語は、生物(例えば、動物、植物、または微生物)内ではなく、例えば、試験管または反応槽中、細胞培養物中、ペトリ皿中等の、人工的な環境で生じる事象を指す。
インビボ:本明細書で使用されるとき、「インビボ」という用語は、生物(例えば、動物、植物、もしくは微生物、またはその細胞もしくは組織)内で生じる事象を指す。
単離された:本明細書で使用されるとき、「単離された」という用語は、それが会合された(自然にであるか、実験的設定であるかにかかわらず)構成成分のうちの少なくとも一部から分離された物質または実体を指す。単離された物質は、それが会合した物質に関して様々なレベルの純度を有し得る。単離された物質および/または実体は、それらが最初に会合されたその他の構成成分の少なくとも約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、またはそれよりも多くから分離され得る。いくつかの実施形態において、単離された薬剤は、約80%超、約85%超、約90%超、約91%超、約92%超、約93%超、約94%超、約95%超、約96%超、約97%超、約98%超、約99%超、または約99%超純粋である。本明細書で使用されるとき、物質は、他の構成成分が実質的にない場合、「純粋」である。実質的に単離される:「実質的に単離される」とは、化合物が、それが形成されたまたは検出された環境から実質的に分離されることを意味する。部分的分離には、例えば、本開示の化合物を豊富に含んだ組成物が含まれ得る。実質的な分離には、少なくとも約50重量%、少なくとも約60重量%、少なくとも約70重量%、少なくとも約80重量%、少なくとも約90重量%、少なくとも約95重量%、少なくとも約97重量%、または少なくとも約99重量%の本開示の化合物、またはその塩を含有する組成物が含まれ得る。化合物およびそれらの塩を単離するための方法は、当技術分野で通例である。
リンカー:本明細書で使用されるとき、リンカーは、例えば、10〜1,000原子の原子団を指し、炭素、アミノ、アルキルアミノ、酸素、硫黄、スルホキシド、スルホニル、カルボニル、およびイミン等であるが、これらに限定されない、原子または群からなり得る。リンカーは、第1の末端で核酸塩基または糖部分上の修飾ヌクレオシドまたはヌクレオチドに、および第2の末端でペイロード、例えば、検出可能な薬剤または治療剤に、結合され得る。リンカーは、核酸配列への組み込みを干渉しないような十分な長さものもであり得る。リンカーは、任意の有用な目的のため、例えば、mmRNA多量体(例えば、2つ以上のシグナルセンサーポリヌクレオチド、一次構築物、もしくはmmRNA分子の連鎖を介して)またはmmRNA複合体を形成するため、かつ本明細書に記載のペイロードを投与するために使用することができる。リンカーに組み込むことができる化学基の例としては、アルキル、アルケニル、アルキニル、アミド、アミノ、エーテル、チオエーテル、エステル、アルキレン、ヘテロアルキレン、アリール、またはヘテロシクリルが挙げられるが、これらに限定されず、これらの各々は、本明細書に記載されるように任意に置換され得る。リンカーの例としては、不飽和アルカン、ポリエチレングリコール(例えば、エチレンまたはプロピレングリコールモノマー単位、例えば、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコール、テトラエチレングリコール、またはテトラエチレングリコール)、ならびにデキストランポリマーが挙げられるが、これらに限定されない。他の例としては、還元剤または光分解を用いて切断され得る、例えば、ジスルフィド結合(−S−S−)またはアゾ結合(−N=N−)等の、リンカー内の切断可能部分が挙げられるが、これらに限定されない。選択的に切断可能な結合の非限定的な例としては、例えば、トリス(2−カルボキシエチル)ホスフィン(TCEP)、または他の還元剤および/もしくは光分解の使用によって切断され得る、アミド結合、ならびに例えば、酸性または塩基性加水分解によって切断され得る、エステル結合が挙げられる。
転移:本明細書で使用されるとき、「転移」という用語は、がんが初めに原発腫瘍として生じた場所から身体の遠位の箇所に転移するプロセスを意味する。
治療の方法:「治療の方法」という表現またはそれに同等する表現は、例えばがんに適用される場合、がん細胞の数を低下または除去する、がん細胞の数の増加を阻止する、または、対象のがんの症状を緩和するように設計される行動の手順または過程を指す。がんまたは他の腫瘍学関連障害を治療する方法は、必ずしも、がん細胞または他の障害が実際に完全に除去されること、細胞の数または障害が実際に軽減すること、または、がんまたは他の障害の症状が実際に緩和されることを意味するわけではない。しばしば、がんを治療する方法は、成功率は低くても、対象の病歴および推定される生存予期を踏まえて、それでも全体的に有益な行動過程と考えられる状況で、実施されるだろう。
マイクロRNA(miRNA)結合部位:本明細書で使用されるとき、マイクロRNA(miRNA)結合部位は、miRNAの少なくとも「シード」領域が結合する、核酸転写物のヌクレオチド箇所または領域を表す。
修飾された:本明細書で使用されるとき、「修飾された」とは、本発明の分子の変化した状態または構造を指す。分子は、化学的、構造的、および機能的修飾を含む、多くの方式で修飾されてもよい。一実施形態において、本発明のmRNA分子は、例えば、それが天然リボヌクレオチドA、U、G、およびCに関わるとき、非天然ヌクレオシドおよび/またはヌクレオチドの導入によって修飾される。キャップ構造等の非標準のヌクレオチドは、それらがA、C、G、Uリボヌクレオチドの化学構造とは異なっていても「修飾される」と見なされない。
粘液:本明細書で使用されるとき、「粘液」は、粘性であり、ムチン糖タンパク質を含む、天然物質を指す。
天然に生じる:本明細書で使用されるとき、「天然に生じる」は、人工的補助を伴わずに自然界に存在することを意味する。
非ヒト脊椎動物:本明細書で使用されるとき、「非ヒト脊椎動物」には、野生種および家畜化された種を含む、ホモサピエンスを除くすべての脊椎動物が含まれる。非ヒト脊椎動物の例としては、アルパカ、バンテン、バイソン、ラクダ、ネコ、ウシ、シカ、イヌ、ロバ、ガヤル、ヤギ、モルモット、ウマ、ラマ、ラバ、ブタ、ウサギ、トナカイ、ヒツジ、水牛、およびヤク等の哺乳動物が挙げられるが、これらに限定されない。
オフターゲット:本明細書で使用されるとき、「オフターゲット」は、任意の1つ以上の標的、遺伝子、または細胞転写物への任意の意図されない効果を指す。
腫瘍学関連:本明細書で使用されるとき、「腫瘍学関連」という用語は、限定はしないががんを包含する、過剰増殖疾患、障害および/または状態のうち1つ以上のいずれかの側面に関連する、あらゆる疾患、障害、状態、治療、プロセス、物質または化合物を指す。
オープンリーディングフレーム:本明細書で使用されるとき、「オープンリーディングフレーム」または「ORF」は、所与のリーディングフレーム内に終止コドンを含有しない配列を指す。
作動可能に連結される:本明細書で使用されるとき、「作動可能に連結される」という表現は、2つ以上の分子、構築物、転写物、実体、部分等の間の機能的結合を指す。
パラトープ:本明細書で使用されるとき、「パラトープ」は、抗体の抗原結合部位を指す。
患者:本明細書で使用されるとき、「患者」は、治療を求め得るもしくは治療を必要とし得る、治療を要する、治療を受けている、治療を受けることになる、または特定の疾患もしくは状態のために訓練を受けた専門家の看護下にある、対象を指す。
任意に置換される:本明細書において、「任意に置換されるX」(例えば、任意に置換されるアルキル)という形態の語句は、「Xであって、式中、Xは、任意に置換される」(例えば、「アルキル、式中、該アルキルは、任意に置換される」)と同等であることが意図される。特長「X」(例えば、アルキル)自体が任意であることを意味することは意図されない。
ペプチド:本明細書で使用されるとき、「ペプチド」は、50アミノ酸長以下、例えば、約5、10、15、20、25、30、35、40、45、または50アミノ酸長である。
薬学的組成物:「薬学的組成物」という表現は、疾患、障害および/または状態の原因を変える組成物を指す。
薬学的に許容される:「薬学的に許容される」という表現は、本明細書で、健全な医療判断の範囲内で、過度の毒性、刺激、アレルギー反応、または他の問題もしくは合併症を伴わずにヒトおよび動物の組織と接触して使用するのに好適であり、妥当な便益/危険性比率に見合った、化合物、材料、組成物、および/または剤形を指すように用いられる。
薬学的に許容される賦形剤:本明細書で使用されるとき、「薬学的に許容される賦形剤」という表現は、本明細書に記載の化合物以外のものであり(例えば、活性化合物を懸濁させるまたは溶解させることが可能なビヒクル)、かつ患者において実質的に非毒性および非炎症性である特性を有する、任意の成分を指す。賦形剤には、例えば、粘着防止剤(antiadherents)、酸化防止剤、結合剤、コーティング剤、圧縮助剤(compression aids)、崩壊剤、色素(色)、軟化剤、乳化剤、充填剤(希釈剤)、薄膜形成剤またはコーティング剤、香味剤、着香剤、流動促進剤(流動性促進剤)、滑沢剤、防腐剤、印刷インキ、吸着剤、懸濁化剤または分散化剤、甘味剤、および水和水が含まれてもよい。例示の賦形剤には、次のものが含まれるが、これらに限定されない:ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム(第二)、ステアリン酸カルシウム、クロスカルメロース、架橋結合ポリビニルピロリドン、クエン酸、クロスポビドン、システイン、エチルセルロース、ゼラチン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ラクトース、ステアリン酸マグネシウム、マルチトール、マンニトール、メチオニン、メチルセルロース、メチルパラベン、微小結晶セルロース、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、ポビドン、α化デンプン、プロピルパラベン、パルミチン酸レチニル、シェラック、二酸化ケイ素、カルボキシメチルセルロースナトリウム、クエン酸ナトリウム、デンプングリコール酸ナトリウム、ソルビトール、デンプン(トウモロコシ)、ステアリン酸、ショ糖、タルク、二酸化チタン、ビタミンA、ビタミンE、ビタミンC、およびキシリトール。
薬学的に許容される塩:本開示は、本明細書に記載の化合物の薬学的に許容される塩も含む。本明細書で使用されるとき、「薬学的に許容される塩」は、既存の酸または塩基部分をその塩形態に変換する(例えば、遊離塩基を好適な有機酸と反応させることによって)ことによって親化合物が修飾される、開示される化合物の誘導体を指す。薬学的に許容される塩の例としては、アミン等の塩基性残基の鉱酸塩または有機酸塩、カルボン酸等の酸性残基のアルカリ塩または有機塩等が挙げられるが、これらに限定されない。代表的な酸付加塩には、酢酸塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスコルビン酸塩、アスパラギン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、重硫酸塩、ホウ酸塩、酪酸塩、樟脳酸塩、樟脳スルホン酸塩、クエン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、フマル酸塩、グルコヘプトン酸塩、グリセロリン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプトン酸塩、ヘキサン酸塩、臭化水素酸塩、塩酸塩、ヨウ化水素、2−ヒドロキシ−エタンスルホン酸塩、ラクトビオン酸塩、乳酸塩、ラウリル酸塩、ラウリル硫酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、メタンスルホン酸塩、2−ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、オレイン酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、パモ酸塩、ペクチニン酸塩(ペクチンate)、過硫酸塩、3−フェニルプロピオン酸塩、リン酸塩、ピクリン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、ステアリン酸、コハク酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、チオシアネート、トルエンスルホン酸塩、ウンデカン酸塩、吉草酸塩等が含まれる。代表的なアルカリ金属またはアルカリ土類金属塩には、ナトリウム、リチウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム等、ならびにアンモニウム、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、エチルアミン等を含むが、これらに限定されない、非毒性アンモニウム、第四級アンモニウム、およびアミンカチオンが含まれる。本開示の薬学的に許容される塩には、例えば、非毒性無機酸または有機酸から形成される、親化合物の従来の非毒性塩が含まれる。本開示の薬学的に許容される塩は、従来の化学方法によって、塩基性または酸性部分を含有する親化合物から合成することができる。一般に、そのような塩は、これらの化合物の遊離酸型または遊離塩基型を、化学量論的量の適切な塩基または酸と、水中もしくは有機溶媒中で、またはその2つの混合物中で反応させることによって調製することができ、一般に、エーテル、酢酸エチル、エタノール、イソプロパノール、またはブタノール)、またはアセトニトリル等の非水性媒体が好ましい。好適な塩の一覧は、各々が参照により全体が本明細書に組み込まれる、Remington’s Pharmaceutical Sciences,17th ed.,Mack Publishing Company,Easton,Pa.,1985,p.1418、Pharmaceutical Salts:Properties,Selection,and Use,P.H.Stahl and C.G.Wermuth(eds.),Wiley−VCH,2008、およびBerge et al.,Journal of Pharmaceutical Science,66,1−19(1977)において見出される。
薬学的に許容される溶媒和物:本明細書で使用されるとき、「薬学的に許容される溶媒和物」という用語は、好適な溶媒の分子が結晶格子に組み込まれる、本発明の化合物を意味する。好適な溶媒は、投与される投薬量で生理学的に耐性がある。例えば、溶媒和物は、結晶化、再結晶化、または沈殿によって、有機溶媒、水、またはそれらの混合物を含む溶液から調製されてもよい。好適な溶媒の例としては、エタノール、水(例えば、一、二、および三水和物)、N−メチルピロリジノン(NMP)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、N,N’−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N’−ジメチルアセトアミド(DMAC)、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン(DMEU)、1,3−ジメチル−3,4,5,6−テトラヒドロ−2−(1H)−ピリミジノン(DMPU)、アセトニトリル(ACN)、プロピレングリコール、酢酸エチル、ベンジルアルコール、2−ピロリドン、ベンジル安息香酸塩等が挙げられる。水が溶媒であるとき、その溶媒和物は、「水和物」と称される。
薬物動態:本明細書で使用されるとき、「薬物動態」は、生存生物に投与される物質の運命の決定に関わるような、分子または化合物の任意の1つ以上の特性を指す。薬物動態は、吸収、分布、代謝、および排泄の程度および速度を含む、いくつかの領域に分割される。これは、一般的に、ADMEと称され、ここで(A)吸収は、物質が血液循環に進入するプロセスであり、(D)分布は、身体の流体および組織全体にわたる物質の分散または散布であり、(M)代謝(または生体内変換)は、親化合物の娘代謝産物への不可逆的な変換であり、(E)排泄(または排除)は、身体からの物質の排除を指す。まれな場合において、いくつかの薬物は、身体組織内に不可逆的に蓄積する。
表現型:本明細書で使用されるとき、「表現型」は対象、細胞、組織、器官および/または生物体の観察可能な特徴のセットを指す。
物理化学:本明細書で使用されるとき、「物理化学」は、物理特性および/または化学特性のものまたはそれに関わることを意味する。
予防する:本明細書で使用されるとき、「予防する」という用語は、感染、疾患、障害、および/もしくは状態の発症を部分的もしくは完全に遅延させること;特定の感染、疾患、障害、および/もしくは状態の1つ以上の症状、特長、もしくは臨床徴候の発症を部分的もしくは完全に遅延させること;特定の感染、疾患、障害、および/もしくは状態の1つ以上の症状、特長、もしくは徴候の発症を部分的もしくは完全に遅延させること;感染からの、特定の疾患、障害、および/もしくは状態の進行を部分的もしくは完全に遅延させること;ならびに/または感染、疾患、障害、および/もしくは状態に関連した病理を発症する危険性を減少さることを指す。
プロドラッグ:本開示は、本明細書に記載の化合物のプロドラッグも含む。本明細書で使用されるとき、「プロドラッグ」は、化学的または物理的変化を経ると治療薬として作用する物質、分子、または実体に属する形態にある、任意の物質、分子、または実体を指す。プロドラッグは、何らかの方式で共有結合されるかまたは隔離され得、哺乳類対象に投与される前、投与されると、または投与された後に、活性薬物を放出するか、または活性薬物部分に変換される。プロドラッグは、化合物中に存在する官能基を、修飾部分が通例の操作でまたはインビボでのいずれかで親化合物へと切断されるような方式で修飾することによって、調製することができる。プロドラッグは、ヒドロキシル、アミノ、スルフヒドリル、またはカルボキシル基が任意の基に結合される化合物であり、それは哺乳類対象に投与されると、切断されてそれぞれ遊離ヒドロキシル、アミノ、スルフヒドリル、またはカルボキシル基を形成する。プロドラッグの調製および使用は、両方とも参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる、T.Higuchi and V.Stella,“Pro−drugs as Novel Delivery Systems,”Vol.14 of the A.C.S.Symposium Seriesに、およびBioreversible Carriers in Drug Design,ed.Edward B.Roche,American Pharmaceutical
Association and Pergamon Press,1987で論じられている。
増殖する:本明細書で使用されるとき、「増殖する」という用語は、成長する、拡大する、もしくは増加する、または急速な成長、拡大、もしくは増加を引き起こすことを意味する。「増殖性」は、増殖する能力を有することを意味する。「抗増殖性」は、増殖特性に反するか、または増殖特性に不適切である特性を有することを意味する。
タンパク質切断部位:本明細書で使用されるとき、「タンパク質切断部位」は、化学的、酵素的、または光化学的手段によってアミノ酸鎖の制御された切断が遂行される部位を指す。
タンパク質切断シグナル:本明細書で使用されるとき、「タンパク質切断シグナル」は、切断のためにポリペプチドにフラグまたはマークを付ける少なくとも1つのアミノ酸を指す。
進行:本明細書で使用されるとき、「進行」という用語(例えば、がんの進行)は、疾患もしくは状態の発達もしくは悪化、または、疾患もしくは状態への発達もしくは悪化を指す。
目的とするタンパク質:本明細書で使用されるとき、「目的とするタンパク質」または「所望のタンパク質」という用語は、本明細書に提供されるもの、ならびにそれらの断片、変異体、変異形、および改変体を含む。
近位:本明細書で使用されるとき、「近位」という用語は、中心の、または目的とする点もしくは領域のより近くに位置することを意味する。
シュードウリジン:本明細書で使用されるとき、シュードウリジンは、ヌクレオシドウリジンのC−グリコシド異性体を指す。「シュードウリジン類似体」は、シュードウリジンの任意の修飾、変異形、アイソフォーム、または誘導体である。例えば、シュードウリジン類似体には、1−カルボキシメチル−シュードウリジン、1−プロピニル−シュードウリジン、1−タウリノメチル−シュードウリジン、1−タウリノメチル−4−チオ−シュードウリジン、1−メチル−シュードウリジン(m1ψ)、1−メチル−4−チオ−シュードウリジン(m1s4ψ)、4−チオ−1−メチル−シュードウリジン、3−メチル−シュードウリジン(m3ψ)、2−チオ−1−メチル−シュードウリジン、1−メチル−1−デアザ−シュードウリジン、2−チオ−1−メチル−1−デアザ−シュードウリジン、ジヒドロシュードウリジン、2−チオ−ジヒドロシュードウリジン、2−メトキシウリジン、2−メトキシ−4−チオ−ウリジン、4−メトキシ−シュードウリジン、4−メトキシ−2−チオ−シュードウリジン、N1−メチル−シュードウリジン、1−メチル−3−(3−アミノ−3−カルボキシプロピル)シュードウリジン(acp3ψ)、および2’−O−メチル−シュードウリジン(ψm)が含まれるが、これらに限定されない。
精製される:本明細書で使用されるとき、「精製する」、「精製される」、「精製」は、実質的に純粋にするか、または望ましくない構成成分、汚染材料、混和物、もしくは不完全性を取り除くことを意味する。
退縮:本明細書で使用されるとき、「退縮」または「退縮の度合い」という用語は、表現型的または遺伝子型的のいずれかで、がん進行が逆行することを指す。がん進行を遅めるまたは止めることは退縮と見なされてよい。
効果を軽減する:本明細書で使用されるとき、「効果を低下させる」という表現は、症状を指している場合、対象の症状を軽減、除去または緩和することを意味する。必ずしも、症状が実際に完全に除去、軽減または緩和されるという意味ではない。
試料:本明細書で使用されるとき、「試料」または「生体試料」という用語は、その組織、細胞、または構成部分の部分集合(例えば、血液、粘液、リンパ液、滑液、脳脊髄液、唾液、羊水、臍帯血、尿、膣液、および精液を含むが、これらに限定されない体液)を指す。試料には、例えば、血漿、血清、脊髄液、リンパ液、皮膚の外部切片、呼吸器管、腸管、および尿生殖器管、涙液、唾液、乳、血液細胞、腫瘍、器官を含むが、これらに限定されない、全生物、またはその組織、細胞、もしくは構成部分の部分集合、またはその画分もしくは一部分から調製される、ホモジネート、可溶化液、または抽出物がさらに含まれ得る。試料はさらに、タンパク質または核酸分子等の細胞構成成分を含有し得る、栄養ブロスまたはゲル等の培地を指す。
副作用:本明細書で使用されるとき、「副作用」という表現は治療の二次的な効果を指す。
シグナルぺプチド配列:本明細書で使用されるとき、「シグナルぺプチド配列」という表現は、タンパク質の輸送または局在化を指示することができる配列を指す。
シグナルセンサーポリヌクレオチド:本明細書で使用されるとき、「シグナルセンサーポリヌクレオチド」は、翻訳された時に「シグナル」を細胞(がん細胞または非がん細胞)に送達し、がん細胞に有害または正常な細胞に有益であるか、がん細胞に有害かつ正常な細胞に有利であるかのいずれかである治療効果を生物体にもたらす、目的とする腫瘍学関連ポリペプチドを1つ以上コードする核酸転写物である。シグナルセンサーポリヌクレオチドは、ポリヌクレオチドの微小環境を「感知」し、(a)翻訳されるペプチドまたはタンパク質に関連する機能または表現型的結果、(b)シグナルセンサーポリヌクレオチドの発現量、および/または双方を変化する配列(翻訳可能または不可能)をさらに含んでいてもよい。
単回単位用量:本明細書で使用されるとき、「単回単位用量」は、1回用量/一度に/単一経路/単一接触点、すなわち、単一の投与事象において投与される、任意の治療薬の用量である。
類似性:本明細書で使用されるとき、「類似性」という用語は、ポリマー分子間、例えば、ポリヌクレオチド分子(例えば、DNA分子および/またはRNA分子)間、および/またはポリペプチド分子間の全体的な関連性を指す。ポリマー分子の互いとの類似性パーセントの算出は、同一性パーセントの算出と同様に行うことができるが、当技術分野で理解されるように、類似性パーセントの算出が保存的置換を考慮に入れることを除く。
皮膚:「皮膚」という用語は対象の身体の天然の外部被覆を形成する組織の薄い層であり、表皮および真皮を包含する。真皮は皮膚の表面上皮である表皮の下部にある生組織の厚い層である。
分割用量:本明細書で使用されるとき、「分割用量」は、単回単位用量または総1日用量の、2つ以上の用量への分割である。
安定した:本明細書で使用されるとき、「安定した」は、反応混合物から有用な純度で単離後に残存するのに十分に強固であり、好ましくは効果的な治療剤へと製剤可能である、化合物を指す。
安定化される:本明細書で使用されるとき、「安定化」、「安定化される」、「安定化領域」という用語は、安定させるまたは安定となることを意味する。
対象:本明細書で使用されるとき、「対象」または「患者」という用語は、本発明に従う組成物が、例えば、実験、診断、予防、および/または治療目的のために投与され得る、任意の生物を指す。典型的な対象には、動物(例えば、マウス、ラット、ウサギ、非ヒト霊長類、およびヒト等の哺乳動物)および/または植物が含まれる。
実質的に:本明細書で使用されるとき、「実質的に」という用語は、目的とする特徴または特性の全範囲もしくは程度またはほぼ全範囲もしくは程度を示す、定性的状態を指す。生物学技術分野の専門家であれば、生物学的および化学的現象が、完了するかつ/もしくは完了まで進行する、または絶対的な結果を達成するもしくはそれを回避することは、あってもまれであることを理解するであろう。「実質的に」という用語は、したがって、多くの生物学的および化学的現象に本来的に存在するの完全性の潜在的な欠如を捕捉するように本明細書で使用される。
実質的に等しい:それが用量間の時差に関するように本明細書で使用されるとき、この用語は、プラス/マイナス2%を意味する。
実質的に同時に:本明細書で使用され、かつそれが複数の用量に関するとき、この用語は、2秒以内を意味する。
を患う:疾患、障害、および/または状態「を患う」個体は、疾患、障害、および/もしくは状態であると診断されているか、または疾患、障害、および/もしくは状態の1つ以上の症状を呈する。
に罹患しやすい:疾患、障害、および/または状態「に罹患しやすい」個体は、疾患、障害、および/もしくは状態であると診断されておらず、かつ/または疾患、障害、および/もしくは状態の症状を呈しないことがあるが、疾患もしくはその症状を発症する傾向を内部に持つ。いくつかの実施形態において、疾患、障害、および/または状態(例えば、癌)に罹患しやすい個体は、次のうちのうちの1つ以上によって特徴付けられ得る:(1)疾患、障害、および/または状態の発症に関連した遺伝子突然変異、(2)疾患、障害、および/または状態の発症に関連した遺伝子多型、(3)疾患、障害、および/または状態に関連したタンパク質および/または核酸の増加したおよび/または減少した発現および/または活性、(4)疾患、障害、および/または状態の発症に関連した習慣および/または生活様式、(5)疾患、障害、および/または状態の家族歴、ならびに(6)疾患、障害、および/または状態の発症に関連した微生物への曝露および/またはその微生物への感染。いくつかの実施形態において、疾患、障害、および/または状態に罹患しやすい個体は、その疾患、障害、および/または状態を発症することになる。いくつかの実施形態において、疾患、障害、および/または状態に罹患しやすい個体は、その疾患、障害、および/または状態を発症することにはならない。
症状:本明細書で使用されるとき、「症状」という用語は、疾患、障害および/または状態の兆候である。例えば、症状は、それを有する対象は感じ得る、または、気づき得るが、対象の外面的な見た目または挙動を見ることでは容易に評価され得ない。症状の例としては、脱力感、疼痛および痛み、熱、疲労、体重減少、血液凝固、血液のカルシウム量の上昇、白血球数の低下、息切れ、めまい、頭痛、色素沈着過剰、黄疸、紅斑症、そう痒症、多毛症、排便習慣の変化、膀胱機能の変化、永続的な潰瘍、口内の白い斑点、舌上の白点、異常な出血または排泄、身体部分の肥大またはこぶ、消化不良、呑み込みにくさ、いぼまたはほくろの変化、新しい皮膚の変化およびしつこい咳またはしわがれ声が挙げられるが、これらに限定されない。
合成:「合成」という用語は、人間の手によって生成される、調製される、および/または製造されることを意味する。本発明のシグナルセンサーポリヌクレオチドもしくはポリペプチドまたは他の分子の合成は、化学的であっても酵素的であってもよい。
標的とされる細胞:本明細書で使用されるとき、「標的とされる細胞」は、目的とする任意の1つ以上の細胞を指す。この細胞は、インビトロで、インビボで、インサイツで、または生物の組織もしくは器官内で見つけられ得る。生物は、動物、好ましくは哺乳動物、より好ましくはヒト、最も好ましくは患者であり得る。
治療剤:「治療剤」という用語は、対象に投与されたときに、治療、診断、および/もしくは予防効果を有し、かつ/または所望の生物学的および/もしくは薬理学的効果を誘発する、任意の薬剤を指す。
治療上有効量:本明細書で使用されるとき、「治療上有効量」という用語は、感染、疾患、障害、および/または状態を患うか、またはそれらに罹患しやすい対象に投与されたときに、感染、疾患、障害、および/または状態を治療する、その症状を改善する、診断する、予防する、かつ/またはその発症を遅延させるのに十分である、送達対象の薬剤(例えば、核酸、薬物、治療剤、診断剤、予防剤等)の量を意味する。
治療上有効成果:本明細書で使用されるとき、「治療上有効成果」という用語は、感染、疾患、障害、および/または状態を患うか、またはそれらに罹患しやすい対象において、感染、疾患、障害、および/または状態を治療し、その症状を改善し、診断し、予防し、かつ/またはその発症を遅延させるのに十分である成果を意味する。
総1日用量:本明細書で使用されるとき、「総1日用量」は、24時間の期間に与えられるまたは処方される量である。それは、単回単位用量として投与されてもよい。
転写因子:本明細書で使用されるとき、「転写因子」という用語は、例えば、転写の活性化または抑制によって、DNAのRNAへの転写を調節する、DNA結合タンパク質を指す。いくつかの転写因子は、転写の調節を単独でもたらす一方で、他の転写因子は、他のタンパク質と協働して作用する。いくつかの転写因子は、ある特定の条件下で、転写の活性化および抑制の両方を行うことができる。一般に、転写因子は、標的遺伝子の調節領域内の特定のコンセンサス配列に非常に類似した、特定の標的配列(単数または複数)に結合する。転写因子は、標的遺伝子の転写を単独でまたは他の分子と複合して調節し得る。
治療する:本明細書で使用されるとき、「治療する」という用語は、特定の感染、疾患、障害、および/もしくは状態の1つ以上の症状または特徴を、部分的にまたは完全に緩和すること、寛解させること、改善すること、軽減すること、その発症を遅延させること、その進行を阻害すること、その重症度を低減すること、および/またはその発生率を低減することを指す。例えば、癌を「治療する」とは、腫瘍の生存、成長、および/または転移を阻害することを指し得る。治療は、疾患、障害、および/または状態に関連した病理を発症する危険性を減少させる目的のために、疾患、障害、および/もしくは状態の徴候を呈しない対象に、ならびに/または疾患、障害、および/もしくは状態の早期徴候のみを呈する対象に投与されてもよい。
腫瘍:本明細書で使用されるとき、「腫瘍」は良性であろうと悪性であろうと、組織の異常な成長を指す。
腫瘍の成長;本明細書で使用されるとき、「腫瘍の成長」または「腫瘍の転移」という用語は、腫瘍の質量もしくは体積の増加または腫瘍分布の拡大を指す。
未修飾:本明細書で使用されるとき、「未修飾」は、任意の方式で変化させられる前の任意の物質、化合物、または分子を指す。未修飾は、生体分子の野生型または天然型を指し得るが、必ずしもそうとは限らない。分子は、一連の修飾を経てもよく、それによって各修飾分子は、その後の修飾のための「未修飾」出発分子としての役目を果たし得る。
均等物および範囲
当業者であれば、ほんの日常的な実験を用いて、本明細書に記載の本発明に従う具体的な実施形態に対する多くの均等物を認識するか、解明することができる。本発明の範囲は、上記の説明に限定されるようには意図されず、むしろ添付の特許請求の範囲に記載されるように限定されることが意図される。
特許請求の範囲において、「a」、「an」、および「the」等の冠詞は、それとは反対の指定があるか、または文脈から別途明白でない限り、1つまたは2つ以上を意味し得る。群の1つ以上の構成員の間に「または」を含む特許請求項または記述は、それとは反対の指定があるか、または文脈から別途明白でない限り、その群の構成員のうちの1つ、2つ以上、またはすべてが、所与の生成物またはプロセスにおいて存在するか、それにおいて用いられるか、あるいはそれと関連性がある場合、満たされると見なされる。本発明は、群の厳密に1つの構成員が所与の生成物またはプロセスにおいて存在するか、それにおいて用いられるか、あるいはそれと関連性のある実施形態を含む。本発明は、群の構成員のうちの1つを超えるものまたはすべてが所与の生成物またはプロセスにおいて存在するか、それにおいて用いられるか、あるいはそれと関連性のある実施形態を含む。
また、「含む」という用語は、制限がないことが意図され、さらなる要素またはステップの組み込みを許容するが、それを必要とするわけではないことに留意する。「含む」という用語が本明細書で使用されるとき、「からなる」という用語もそれ故に包含され、開示される。
範囲が与えられる場合、端点が含まれる。さらに、別途指定されるか、または文脈および当業者の理解から別途明白でない限り、範囲として表される値は、文脈上、そうでないとする明確な指示がない限り、本発明の異なる実施形態において定められる範囲内で、その範囲の下限の単位の10分の1までの任意の具体的な値または部分範囲をとることができることを理解されたい。
さらに、先行技術の範囲内に該当する本発明の任意の特定の実施形態が、請求項のうちの任意の1つ以上から明示的に除外されてもよいことを理解されたい。そのような実施形態は当業者に既知であるとされるため、その除外が本明細書に明示的に記載されないとしても、それらは除外されてもよい。本発明の組成物の任意の特定の実施形態(例えば、任意の核酸またはそれによってコードされるタンパク質、任意の産生方法、任意の使用方法等)が、先行技術の存在に関連するか否かに関わらず、任意の理由で、任意の1つ以上の請求項から除外され得る。
すべての引用される情報源、例えば、参考文献、刊行物、データベース、データベースエントリ、および本明細書に引用される技術は、引用文に明示的に述べられないとしても、参照により本出願に組み込まれる。引用される情報源および本出願の相反する記述がある場合には、本出願における記述が優先されるものとする。
節および表の見出しは、限定するようには意図されない。
実施例1.シグナルセンサーポリヌクレオチドの産生
本発明に記載の修飾シグナルセンサーmRNA(mmRNA)は、標準的な実験室方法および材料を用いて作製することができる。目的とする遺伝子のオープンリーディングフレーム(ORF)は、ポリA尾部の鋳型付加のために、強力なコザック翻訳開始シグナルを含有し得る5’非翻訳領域(UTR)および/またはオリゴ(dT)配列を含み得るα−グロビン3’UTRに隣接し得る。修飾mRNAは、細胞の自然免疫応答を低減させるように修飾され得る。細胞の応答を低減させる修飾には、シュードウリジン(ψ)および5−メチル−シチジン(5meC、5mc、またはm5C)が含まれ得る(参照により本明細書に組み込まれる、Kariko KらImmunity 23:165−75(2005)、Kariko K et al.Mol Ther 16:1833−40(2008)、Anderson BRらNAR(2010)を参照のこと)。
ORFは、DNA2.0(Menlo Park、カリフォルニア州)等であるが、これに限定されない最適化サービスから購入することができる、様々な上流または下流付加(β−グロビン、タグ等であるがこれらに限定されない)も含み得、XbaI認識を有し得る複数のクローニング部位も含有し得る。構築物を受容すると、それが再構築され、化学的にコンピテントな大腸菌に変換され得る。
本発明には、NEB DH5−αコンピテント大腸菌を使用してもよい。変換は、NEBの指示に従って、100ngのプラスミドを用いて行う。プロトコルは次の通りである。
氷上のNEB 5−αコンピテント大腸菌細胞の管を10分間解凍する。
1pg〜100ngのプラスミドDNAを含有する1〜5μlを細胞混合物に添加する。管を慎重に4〜5回振り、細胞とDNAを混合する。ボルテックスしないこと。
混合物を30分間氷上に置く。混ぜないこと。
42℃で正確に30秒間熱ショックを与える。混ぜないこと。
5分間氷上に置く。混ぜないこと。
室温のSOCを950μlピペットで混合物に入れる。
37℃で60分間置く。激しく振盪させる(250rpm)か、または回転させる。
選択プレートを37℃に温める。
管を振り、逆さにすることによって完全に細胞を混合する。
50〜100μlの各希釈物を選択プレートに広げ、37℃で一晩インキュベートする。あるいは、30℃で24〜36時間または25℃で48時間インキュベートする。
次いで、単一コロニーを使用し、適切な抗生物質を用いて5mlのLB成長培地を接種し、5時間成長させる(250RPM、37℃)。次いで、これを使用して、200mlの培養培地を接種し、同じ条件下で一晩成長させる。
プラスミドを単離するために(最大850μg)、製造業者の指示に従ってInvitrogen PURELINK(商標)HiPure Maxiprep Kit(カールスバッド、カリフォルニア州)を用いてマキシプレップを行う。
in vitro転写(IVT)のためのcDNAを生成するために、プラスミドを、XbaI等の制限酵素を用いてまず線形化する。XbaIでの典型的な制限消化には、以下が含まれる:プラスミド1.0μg、10倍緩衝液1.0μl、XbaI1.5μl、dH20最大10μl、37℃で1時間のインキュベーション。実験室規模(5μg未満)で行う場合、製造業者の指示に従ってInvitrogenのPURELINK(商標)PCR Micro Kit(カールスバッド、カリフォルニア州)を用いて、反応物を浄化する。より大規模な精製は、Invitrogenの標準的PURELINK(商標)PCR Kit(カールスバッド、カリフォルニア州)等、より大きな充填容量を有する製品を用いて行う必要があり得る。浄化した後、線形化されたベクターを、NanoDropを用いて定量化し、アガロースゲル電気泳動を用いて分析して線形化を確認する。
非限定的な例として、G−CSFは、目的とするポリペプチドを表し得る。実施例1〜5に概説されるステップに使用される配列を、表12に示す。開始コドン(ATG)は、表12の各配列中に下線で示されていることに留意されたい。
表12.G−CSFの配列
実施例2:cDNA産生のためのPCR
cDNAの調製のためのPCR手順を、Kapa Biosystems(ウーバン、マサチューセッツ州)による2×KAPA HIFI(商標)HotStart ReadyMixを用いて行う。このシステムには、2×KAPA ReadyMix12.5μl、順方向プライマー(10uM)0.75μl、逆方向プライマー(10uM)0.75μl、鋳型cDNA100ng、および25.0μlに希釈したdH20が含まれる。反応条件は、95℃で5分間、98℃で20秒間を25サイクル、その後58℃で15秒間、続いて72℃で45秒間、次いで72℃で5分間、次いで4℃で終了までである。
本発明の逆方向プライマーは、mRNAにおけるポリA120のためのポリT120を組み込む。より長いかまたは短いポリ(T)路を有する他の逆方向プライマーを使用して、mRNAにおけるポリ(A)尾部の長さを調節することができる。
反応物を、製造業者の指示に従ってInvitrogenのPURELINK(商標)PCR Micro Kit(カールスバッド、カリフォルニア州)を用いて浄化する(5μgまで)。より大規模な反応は、より大容量の製品を用いて浄化する必要がある。浄化した後、cDNAを、NanoDropを用いて定量化し、アガロースゲル電気泳動によって分析して、cDNAが予測した大きさであることを確認する。次いで、cDNAを、シークエンシング分析に出した後に、in vitro転写反応を進める。
実施例3.in vitro転写(IVT)
in vitro転写反応により、修飾ヌクレオチドまたは修飾RNAを含有するmRNAを生成する。投入するヌクレオチドトリホスフェート(NTP)混合物は、天然および非天然のNTPを用いて自家作製したものである。
典型的なin vitro転写反応物には、次のものが含まれる。
鋳型cDNA 1.0μg
10倍転写緩衝液(400mM Tris−HCl pH8.0、190mM MgCl2、50mM DTT、10mMスペルミジン)2.0μl
カスタムNTP(25mMずつ)7.2μl
RNase阻害剤 20U
T7 RNAポリメラーゼ 3000U
dH20 最大20.0μl
37℃で3時間〜5時間のインキュベーション。
粗製IVT混合物を、翌日の浄化のために4℃で一晩保管され得る。次いで、1UのRNase不含DNaseを使用して、元の鋳型を消化させる。37℃で15分間のインキュベーションの後、mRNAを、製造業者の指示に従ってAmbionのMEGACLEAR(商標)キット(オースチン、テキサス州)を用いて精製する。このキットは、最大500μgのRNAを精製することができる。浄化させた後、RNAを、NanoDropを用いて定量化し、アガロースゲル電気泳動によって分析して、RNAが適正な大きさであること、およびRNAの分解が生じていないことを確認する。
実施例4.mRNAの酵素キャッピング
mRNAのキャッピングを、次のように行い、混合物には、IVT RNAが60μg〜180μgおよびdH20が最大72μl含まれる。混合物を、65℃で5分間インキュベートしてRNAを変性させ、その後すぐに氷上に移す。
このプロトコルは、次いで、10倍キャッピング緩衝液(0.5M Tris−HCl(pH8.0)、60mM KCl、12.5mM MgCl2)(10.0μl)、20mM GTP(5.0μl)、20mM S−アデノシルメチオニン(2.5μl)、RNase阻害剤(100U)、2’−O−メチルトランスフェラーゼ(400U)、ワクシニアキャッピング酵素(グアニリルトランスフェラーゼ)(40U)、dH20(28μlまで)、および60μgのRNAについては37℃で30分間のインキュベーションまたは180μgのRNAでは最大2時間のインキュベーションを伴う。
次いで、mRNAを、製造業者の指示に従ってAmbionのMEGACLEAR(商標)キット(オースチン、テキサス州)を用いて精製する。浄化させた後、RNAを、NANODROP(商標)(ThermoFisher、ウォルサム、マサチューセッツ州)を用いて定量化し、アガロースゲル電気泳動によって分析して、RNAが適正な大きさであること、およびRNAの分解が生じていないことを確認する。また、配列決定のためのcDNAを生成するために、RNA産物に、逆転写PCRを実行して配列決定を行ってもよい。
実施例5.ポリAテーリング反応
cDNAにポリTがない場合、最終産物を浄化する前に、ポリAテーリング反応を行う必要がある。これは、キャップされたIVT RNA(100μl)、RNase阻害剤(20U)、10倍テーリング緩衝液(0.5M Tris−HCl(pH8.0)、2.5M NaCl、100mM MgCl2)(12.0μl)、20mM ATP(6.0μl)、ポリAポリメラーゼ(20U)、dH20最大123.5μlを混合し、37℃で30分間インキュベートすることによって行う。ポリA尾部が既に転写物中に存在する場合、テーリング反応を省略し、直接AmbionのMEGACLEAR(商標)kit(オースチン、テキサス州)(最大500μg)での浄化に進んでもよい。ポリAポリメラーゼは、好ましくは、酵母に発現される組み換え酵素である。
本明細書において実行および記載される試験においては、ポリA尾部は、160ヌクレオチド長を含むように、IVT鋳型にコードされる。しかしながら、ポリAテーリング反応の進行性または完全性は、常に正確に160個のヌクレオチドをもたらすわけではないことを理解されたい。したがって、約160ヌクレオチド、例えば、約150〜165、155、156、157、158、159、160、161、162、163、164、または165のポリA尾部は、本発明の範囲内である。
実施例6.天然の5’キャップおよび5’キャップ類似体
修飾RNAの5’キャッピングは、製造業者のプロトコルに従って、次の化学的RNAキャップ類似体を用いたin vitro転写反応の際に付随して完了し得、5’グアノシンキャップ構造が生成される:3’−O−Me−m7G(5’)ppp(5’)G[ARCAキャップ]、G(5’)ppp(5’)A、G(5’)ppp(5’)G、m7G(5’)ppp(5’)A、m7G(5’)ppp(5’)G(New England
BioLabs,Ipswich 、マサチューセッツ州)。修飾RNAの5’キャッピングは、ワクシニアウイルスキャッピング酵素を用いて転写後に完了し、「キャップ0」構造:m7G(5’)ppp(5’)G(New England BioLabs,Ipswich、マサチューセッツ州)を生成し得る。キャップ1構造は、ワクシニアウイルスキャッピング酵素および2’−Oメチルト−ランスフェラーゼの両方を用いて生成され得、m7G(5’)ppp(5’)G−2’−O−メチルが得られる。キャップ2構造は、2’−Oメチル−トランスフェラーゼを用いて、5’末端から3番目のヌクレオチドの2’−O−メチル化の後に、キャップ1構造から生成され得る。キャップ3構造は、2’−Oメチル−トランスフェラーゼを用いて、5’末端から4番目のヌクレオチドの2’−O−メチル化の後に、キャップ2構造から生成され得る。酵素は、好ましくは組み換え源に由来する。
哺乳動物細胞に形質移入する場合、修飾mRNAは、12〜18時間、または18時間を超える、例えば、24、36、48、60、72、もしくは72時間を超える安定性を有する。
実施例7.キャッピング
A.タンパク質発現アッセイ
ARCA(3’O−Me−m7G(5’)ppp(5’)G)キャップ類似体またはキャップ1構造を含有する、ヒトG−CSFをコードする合成mRNA(cDNAは配列番号6567に示され、各シトシンにおける5−メチルシチジンおよび各シチジン部位におけるシュードウリジン置換で完全に修飾されたmRNA配列は配列番号6570に示され、約160ヌクレオチド(nucletoidie)長のポリA尾部は配列内には示されない)を、等濃度でヒト初代ケラチノサイトに形質移入することができる。形質移入の6、12、24、および36時間後に、培養培地に分泌されたG−CSFの量を、ELISAによってアッセイすることができる。培地中により高レベルのG−CSFを分泌する合成mRNAは、より高度は翻訳的にコンピテントなキャップ構造を有する合成mRNAに対応する。
B.純度分析合成
ARCAキャップ類似体またはキャップ1構造の粗製合成産物を含有する、ヒトG−CSFをコードする合成mRNA(cDNAは配列番号6567に示され、各シトシンにおける5−メチルシチジンおよび各シチジン部位におけるシュードウリジン置換で完全に修飾されたmRNA配列は配列番号6570に示され、約160ヌクレオチドのポリA尾部は配列内に示されない)を、変性アガロース−尿素ゲル電気泳動またはHPLC分析を用いて、純度について比較することができる。電気泳動により単一の集約された帯域を有する合成mRNAは、複数の帯域または筋状の帯域を有する合成mRNAと比較して、より高い純度の産物に対応する。単一のHPLCピークを有する合成mRNAもより高い純度の産物に対応する。より高効率のキャッピング反応により、より純粋なmRNA集団が得られる。
C.サイトカイン分析
ARCAキャップ類似体またはキャップ1構造を含有する、ヒトG−CSFをコードする合成mRNA(cDNAは配列番号6567に示され、各シチジンにおける5−メチルシチジンおよび各ウリジン部位におけるシュードウリジン置換により完全に修飾されたmRNA配列は配列番号6570に示され、約160ヌクレオチド長のポリA尾部は配列内に示されない)を、複数の濃度でヒト初代ケラチノサイトに形質移入することができる。形質移入の6、12、24、および36時間後に、培養培地に分泌されたTNF−αおよびIFN−β等の炎症促進性サイトカインの量を、ELISAによってアッセイすることができる。培地中により高レベルの炎症促進性サイトカインを分泌する合成mRNAは、免疫活性化キャップ構造を有する合成mRNAに対応する。
D.キャッピング反応効率
ARCAキャップ類似体またはキャップ1構造を含有する、ヒトG−CSFをコードする合成mRNA(cDNAは配列番号6567に示される、各シチジンにおける5−メチルシチジンおよび各ウリジン部位におけるシュードウリジン置換により完全に修飾されたmRNA配列は各シトシンにおける配列番号6570に示され、約160ヌクレオチド長のポリA尾部は、配列内に示されない)を、キャップされたmRNAのヌクレアーゼ処理の後に、LC−MSによってキャッピング反応効率について分析することができる。キャップされたmRNAのヌクレアーゼ処理により、LC−MSによって検出可能な遊離ヌクレオチドとキャップされた5’−5−トリホスフェートキャップ構造の混合物が得られる。LC−MSスペクトル上のキャップされた生成物の量は、反応からの全mRNAの割合として表すことができ、キャッピング反応効率に対応するであろう。より高いキャッピング反応効率を有するキャップ構造は、LC−MSにより、より高い量のキャップされた生成物を有するであろう。
実施例8.修飾RNAまたはRT PCR産物のアガロースゲル電気泳動
個々の修飾RNA(20μl体積中200〜400ng)または逆転写されたPCR産物(200〜400ng)を、非変性1.2%アガロースE−ゲル(Invitrogen、カールスバッド、カルフォルニア州)のウェルに充填し、製造業者のプロトコルに従って12〜15分間泳動させる。
実施例9.Nanodrop修飾RNAの定量化およびUVスペクトルデータ
TE緩衝液(1μl)中の修飾RNAを、Nanodrop UV吸光読み取りに使用して、in vitro転写反応からの各RNAの収率を定量化する。
実施例10.シグナルセンサーポリヌクレオチドの製剤化
シグナルセンサーポリヌクレオチドを、in vitroおよびin vivo実験のために製剤化してもよく、2012年12月14日に提出された国際出願番号第PCT/US12/069610号に教示の方法に従い、内容は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
実施例11.シグナルセンサーポリヌクレオチドの検出または分析のアッセイおよび方法
シグナルセンサーポリヌクレオチドを、同時係属出願の2013年3月9日に提出された国際出願番号第PCT/US2013/030070号および2012年8月10日に提出された米国特許第61/681,742号(MNC2)に記載の方法を使用して観察してもよく、内容は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
実施例12.シグナルセンサーポリヌクレオチドの試験のための細胞株
シグナルセンサーポリヌクレオチドを任意の数の癌または正常な細胞株で研究してもよい。本発明に有用な細胞株として、ATCC(マナサス、バージニア州)のものが挙げられ、表13に列挙する。
表13.細胞株
実施例13.シグナルセンサーポリヌクレオチド試験のための動物モデル
本発明のシグナルセンサーポリヌクレオチドの試験のために様々な動物モデルを使用することができる。とりわけ肺癌および肝癌についてのモデルが挙げられる。
Fukazawaらの肺癌モデル(Anticancer Research、2010;30:4193−4200)をシグナルセンサーポリヌクレオチドの試験に適用する。簡潔に言えば、コンジェニックマウスが、KRAS変異−陽性肺癌モデルマウスで遍在的に発現しているドミナントネガティブのMyc(Omomyc)マウスを交配することによって作成される。Omomycの存在下では、突然変異したKRASの発現によって引き起こされる肺腫瘍がコンジェニックマウスでは退行し、OmomycがKRAS変異陽性肺癌の腫瘍細胞死を引き起こしたことを示している。
ヒト肺癌異種移植片はまた、Fukazawaの方法によって調製される。簡潔には、ヒト肺癌異種移植片を、背側脇腹に4倍の106のA549細胞の皮下接種によって4週齢の雌BALB/cヌードマウス(Charles River Laboratories Japan、神奈川県、日本)に確立する。マウスを無作為に6群(n=6/群)に割り当てる。腫瘍の直径が約0.5cm(腫瘍接種後約6日)に到達した後、各群のマウスに、選択された投与方法について、dorsalflank腫瘍にPBS、5×1010vpの対照または信号センサポリヌクレオチドを含む100μlの溶液を注射する。動物を近くで観察し、survival studiesor他の分析を行う。
LSL−KRASG12D:TRE Omomyc:CMV rtTAのトリプルトランスジェニックモデルは、flox化終止コドンの切除によって、癌遺伝子の発現を誘導するために、吸入を介して投与されるCreリコンビナーゼを発現するアデノウイルスの使用することを含み、広範なOmomyc発現をドキシサイクリンによって制御する。モデルはSoucekら(Nature、1−5(2008))に報告されている。SoucekのマウスはLSLKRASG12D単一のトランスジェニックマウス(Jackson Laboratories)と交配することができ、MYC阻害剤Dまたはポリペプチドが関連する他の腫瘍を発現するシグナルセンサーポリヌクレオチドの吸入送達または他の肺送達の試験に使用することができる。
マウスインマウスモデルを使用してもよい。当該モデルは、ツェンダーのHCCモデルを過剰発現するp53−/−:c−Mycに似ている(Cell.2006 June 30;125(7):1253-1267)。
当該モデルの設計は、WTまたは腫瘍抑制因子が削除された(p53−/−等)129
Sv/EvのMm ES細胞クローンから始まり、肝臓活性化タンパク質(LAP)プロモーター向けテトラサイクリントランス活性化因子(tTA)および肝臓特異的イメージングのためのtetO−ルシフェラーゼの導入、得られたLAP−tTAの凍結、tetO−ルシフェラーゼをクローン化し、c−Mycおよび他の肝臓関連のプログラム癌遺伝子に使用すること、tetO駆動癌遺伝子、例えばtetOcMycの追加、得られるLAP−tTA:tetO−ルシフェラーゼ:tetO−MYCクローンの凍結、得られたESクローンをC57Bl/6胚細胞に注射し、擬似妊娠中の母親に移植し、それによって得られたキメラ動物はドキシサイクリンの除去(すなわちTet−Off)の際に腫瘍モデルとなる。このモデルは、理想的には、正常な肝細胞に囲まれるc−Myc駆動、ルシフェラーゼを発現するHCCの誘導性小結節を明示する。
また、マウスのHEP3B細胞株を用いた同所性HCCのモデルを、使用してもよい(Crown Bio)。
非生殖細胞系遺伝子操作されたマウスモデル(NGEMM)プラットフォームは、シグナルセンサーポリヌクレオチドを探索するために利用することもできるプラットフォームである。
実施例14. HIF1−αの阻害:SHARP1およびCITED4
低酸素誘導因子(HIF)は、酸素欠乏に対する細胞の適応を制御する。癌細胞は、不利な条件での成長を維持するためにHIFと関わり、代謝、増殖、生存および移動を含む細胞再プログラムを促進する。ヒト癌生検のHIFの過剰発現は、高転移および死亡率と相関する。
HIFは、GLUT1、GLUT3、ALDOA、ENO1、GAPDH、HK1、HK2、PFKL、PGK1、PKM2、LDHA等代謝、IGF−2、TGFA、VEGFA等の増殖、TERT、NANOG、OCT4等の生存、ZEB1、ZEB2、SNAI2、MMP14、MMP9、AMF、MET、PTHrP等の細胞移動−侵入に関連する遺伝子を制御する(Keithら、Nat Rev Cancer 2012;12:9−22)。
癌の不安定化を調べるために、1つ以上のシグナルセンサーポリヌクレオチドを、癌細胞に投与することができる。配列、用量または投与経路の選択は、細胞、腫瘍、組織または生物の診断評価によって知らされてもよく、限定されないが、癌の発現プロファイリング、代謝の評価(低酸素、アシドーシス)、アポトーシス対生存プロファイリング、細胞周期対老化プロファイリング、免疫感受性、および/または間質因子の評価が挙げられる。
腫瘍関連ポリペプチドのいずれかまたは両方をコードする試験シグナルセンサーポリヌクレオチドのアームでは、CITED4とSHARP1のいずれかまたは両方が、癌細胞におけるHIF−1αのトランスクリプトームの阻害をもたらす場所に投与される。HIF1−α遺伝子の制御された発現の抑制は、両方のポリヌクレオチドを一緒に投与する場合、より高い抑制で投与されるときに発生する。HIF1−αの下でルシフェラーゼ等のレポーター構築物は、van de Sluisらによって開示された方法に類似する様式で使用される(J Clin Invest. 2010;120(6):2119-2130)。CITED4とSHARP1の両方の発現によって、HIF1−αが減少し、HIF1−α制御遺伝子発現が同時に減少することが知られている。細胞死および/または増殖の評価も行う。
追加の実験は、低酸素条件下で、CITED4とSHARP1がそれ自体下方制御される癌細胞株を使用することを含む。したがって、陽性の結果は、シグナルセンサーセンサポリヌクレオチドを経由して、天然タンパク質を置換して、代謝プロファイル(この場合、CITED4とSHAPR1の低酸素適応)を特に標的とすることが、直接的にこのプロファイルで、癌細胞のトランスクリプトームおよび生存優位性に影響を与えることができることを実証する。さらに、データは、低酸素条件下でシグナルセンサーポリヌクレオチド対ビヒクルの相対的影響が、正常細胞よりも癌細胞により顕著であったことを示す。(すなわち、癌細胞は、それらのCITED4+SHARP1下方制御に基づいて、不均衡な生存優位性を持っている)当該タンパク質の置換により感受性を持たせ、その後、正常な細胞がそれを過剰産生する。癌細胞はおそらく低酸素状態を経験し、正常な細胞は生存率有意性について、HIF1−αトランスクリプトームに依存しないため、正常酸素圧条件下で、CITED4とSHARP1の過剰発現を許容することができることが理解される。
HIF−1αは転移の場合に最大部分の有利性を与えるように思われるため、動物モデルが癌の設定の転移を表すものであるin vitro実験の設計に従って、in vivo実験を行う。無処置または対照ポリヌクレオチドと比較して、動物にシグナルセンサーポリヌクレオチドを投与する。その後、動物細胞、組織および/または器官を、遺伝子発現プロファイルまたはトランスクリプトームレベルの変化について評価する。
実施例15. シグナルセンサーポリヌクレオチド輸送の変更:NLSおよびNES
本発明のシグナルセンサーポリヌクレオチドに組み込むことができる2つの核輸出シグナル(NES)は、ミュラーらによって報告されたものを含み(Traffic、2009、10:514−527)、遺伝子COMMD1を介したシグナル伝達に関連している。これらはNES1、PVAIIELEL(配列番号6596)およびNES2、VNQILKTLSE(配列番号6597)である。
核局在化シグナルも使用することもできる。当該配列は、PKKKRKV(配列番号:6598)である。
細胞株またはマウスに、その中にコードされたNLSまたはNESを有する1つ以上のシグナルセンサーポリヌクレオチドを投与する。投与時、ポリヌクレオチドを代わりの場所、例えば、NLSを使用して核内に輸送する。NLSを有する癌関連ポリペプチドは、それが核微小環境に生存しているまたは死んだシグナルのいずれかを伝達する核に輸送されることになる。核に局在化することができるポリペプチドとして、細胞、組織または生物に治療上有益な様式で、細胞の発現プロファイルを変更するために機能するDNAについて改変された結合特性を有するものが挙げられる。
1つの実験では、シグナルセンサーポリヌクレオチドを、Mullerら(Traffic 2009;10:514−527)およびvan de Sluisら、(J Clin Invest.2010;120(6):2119-2130)の方法に従って、COMMD1 mut1/mut2+NLS(例えば、攪乱されたNESシグナルと加えられたNLSの両方)をコードする。シグナル配列は、腫瘍関連ポリペプチドまたは翻訳可能ではないスクランブル配列をコードすることができる。コードされるシグナル配列はHIF1−αと相互作用し、癌細胞のトランスクリプトームを変更する。
実験は、正常および低酸素条件下で繰り返される。
一度特定されると、HIF1−α依存シグナルセンサーポリヌクレオチドを、癌細胞系クローン生存で試験し、またはアポトーシスのマーカーを測定し、対照またはモック処理細胞と比較する。
実施例16. 原発性肝細胞癌(HCC)治療の場合のシグナルセンサーポリヌクレオチド:癌細胞のトランスクリプトームの攪乱
実施例13で概説した動物モデルを用いて、動物を、MYC阻害剤についてのシグナルセンサーポリヌクレオチド対負対照(MYC阻害剤Dについて翻訳不可能なmRNA)対ビヒクルで処理する。また、KRasモデルについて、既存の形質導入されたOmoMycモデル追加を利用することができる。次に、動物の遺伝子発現、腫瘍状態、または癌表現型または遺伝子型に関連する特徴のいずれかを評価する。
実施例17.細胞保護シグナルセンサーポリヌクレオチド
癌治療薬(mRNAおよび非mRNAの両方)の設定の場合に、正常細胞に細胞保護の利点を付与するタンパク質(天然または非天然、細胞内または細胞外)を生じる複数のmRNAの治療薬を送達する。
実施例18. シグナルセンサーポリヌクレオチドにおけるセンサー配列として有用なmiRNA結合部位(BS)
特定の細胞(正常および/または癌)に、直接細胞毒性または細胞保護mRNA治療薬を指示するためのmRNA治療薬の3’UTRに、miRNAの結合部位を使用する。
強いアポトーシスシグナル(すなわち、AIFsh−Apoptosis Inducing Factor short isoform、構成的活性型(C.A.)カスパーゼ6(Rev−カスパーゼ−6としても知られる)は、HSV1−tk−単純ヘルペスウイルス1−チミジンキナーゼの要素である)を、癌関連ポリペプチドまたは「シグナル」としてコードされ、mir−122a等の一連の3’UTR miR結合部位と一緒にコードされ、比較的、シグナルセンサーポリヌクレオチドを、正常細胞より癌細胞内で、はるかに安定にする。
癌細胞株が特異的なmiRシグネチャを有する癌細胞株対正常heaptic細胞株を比較する実験をin vitroで行う。SNU449またはHEP3B細胞(ヒト由来のHCC細胞株)は、両方とも「検出不能のmiR−122a」を有することが示されているため、使用され、正常な肝細胞は非常に高いmiR−122aのレベルを有する。
A. AIFshをコードしたポリペプチドの試験
まず、AIFshグナルセンサーポリヌクレオチドに感受性のある(すなわちアポトーシスをもたらす)癌細胞を選択する。
3つのmiR−122a結合部位をAIFshについてmRNA配列の3’UTRにコードし、試験のアームは、2つの細胞株(正常肝細胞、SNU449またはHEP3B)×5治療群(ビヒクルのみ、翻訳不可能なシグナルセンサーポリヌクレオチド、シグナルセンサーポリヌクレオチドAIFsh(3’UTRにmiR BSがない)、3’UTR[miR122a BS x3]−翻訳不可能なシグナルセンサーポリヌクレオチド、3’UTR[miR122a BS x3]−シグナルセンサーポリヌクレオチドAIFsh)を含む。
期待される結果は、任意の3’UTR−miR122a BSの非存在下で、正常および癌(HEP3BまたはSNU449)細胞株の両方のシグナルセンサーポリヌクレオチドAIFshに対して、重要なアポトーシスであることである。しかし、3’UTR[miR122a BS×3]の−シグナルセンサーポリヌクレオチドAIFshに対して、正常な細胞株対癌細胞株の相対的なアポトーシスの有意差。
効果の可逆性は、癌細胞株へのmiR122aの同時投与(例えば、miR122a活性を癌細胞株に後退させていくらか形質導入することによって)で示される。
B. C.A.カスパーゼ6をコードしたポリペプチドの試験
まず、C.A.カスパーゼ6シグナルセンサーポリヌクレオチド(すなわち、それがアポトーシスをもたらす)に感受性がある癌細胞を選択する。
3つのmiR−122a結合部位をC.A.カスパーゼ6についてmRNA配列の3’UTRにコードし、試験のアームは、2つの細胞株(正常肝細胞、SNU449またはHEP3B)×5治療群(ビヒクルのみ、翻訳不可能なシグナルセンサーポリヌクレオチド、シグナルセンサーポリヌクレオチドAIFsh(3’UTRのmiR BSでない)、3’UTR[miR122a BS x3]−翻訳不可能なシグナルセンサーポリヌクレオチド、3’UTR[miR122a BS x3]−シグナルセンサーポリヌクレオチドC.A.カスパーゼ6)を含む。
期待される結果は、任意の3’UTR−miR122a BSの非存在下で、正常および癌(HEP3BまたはSNU449)細胞株の両方のシグナルセンサーポリヌクレオチドC.A.カスパーゼ6に対して、重要なアポトーシスであることである。しかし、3’UTR[miR122a BS×3]の−シグナルセンサーポリヌクレオチドC.A.カスパーゼ6に対して、正常な細胞株対癌細胞株の相対的なアポトーシスの有意差。
C. HSV1−tkをコードしたポリペプチドの試験
まず、HSV1−tkシグナルセンサーポリヌクレオチドに感受性がある(すなわち、アポトーシスをもたらす)癌細胞を選択する。
3つのmiR−122a結合部位をHSV1−tkについてmRNA配列の3’UTRにコードし、試験のアームは、2つの細胞株(正常肝細胞、SNU449またはHEP3B)×5治療群(ビヒクルのみ、翻訳不可能なシグナルセンサーポリヌクレオチド、シグナルセンサーポリヌクレオチドHSV1−tk(3’UTRのmiR BSでない)、3’UTR[miR122a BS x3]−翻訳不可能なシグナルセンサーポリヌクレオチド、3’UTR[miR122a BS x3]−シグナルセンサーポリヌクレオチドHSV1−tk)を含む。
期待される結果は、任意の3’UTR−miR122a BSの非存在下で、正常および癌(HEP3BまたはSNU449)細胞株の両方のシグナルセンサーポリヌクレオチドHSV1−tkに対して、重要なアポトーシスであることである。しかし、3’UTR[miR122a BS×3]の−シグナルセンサーポリヌクレオチドHSV1−tkに対して、正常な細胞株対癌細胞株の相対的なアポトーシスの有意差。
効果の可逆性は、癌細胞株へのmiR122aの同時投与(例えば、miR122a活性を癌細胞株に後退させていくらか形質導入することによって)で示される。
D. シグナルセンサーポリヌクレオチドのin vivo試験
in vivo動物実験を、本明細書に開示されたモデルまたは市販の同所性HCCモデルのいずれかを使用して、AIFsh、C.A.カズパーゼ6、HSV1−tkについて行う。
実施例19. マイクロRNA結合部位を有する修飾された核酸の発現
ヒト胎児腎臓上皮細胞(HEK293A)および一次ヒト肝細胞(肝細胞)を、500μlの細胞培養培地(InVitro GRO medium 、セルシス、シカゴ、イリノイ州)にウェル当たり200,000の密度で播種した。α−グロビン3’UTR
を有するG−CSF mRNA(G−CSFα)(mRNA配列は配列番号6599に示される、配列には示されていない約160ヌクレオチドのポリA尾部、5’キャップ、キャップ1、5−メチルシチジンおよびプソイドウリジンで完全修飾された)
、α−グロビン3’UTRおよびmiR−122結合部位を有するG−CSF mRNA(G−CSF
miR−122)(mRNA配列は配列番号6600に示される、配列には示されていない約160ヌクレオチドのポリA尾部、5’キャップ、キャップ1、5メチルシチジンとシュードウリジンで完全修飾された)、または
、種が削除され
、4つのmiR−122結合部位でαグロビン3’UTRを有するG−CSF mRNA
(G−CSF種なし)(mRNA配列は配列番号6601に示される、配列には示されていない約160ヌクレオチドのポリA尾部、5’キャップ、キャップ1、5−メチルシチジンおよびプソイドウリジンで完全修飾された
)を、24ウェルプレートにウェルあたり250ngの濃度で試験した。G−CSFの発現をELISAによって測定し、結果を表14に示す。
表14.miR−122結合部位
HEK293細胞はmiR−122を発現しないため、miR−122を含む配列からG−CSFタンパク質の下方制御がなかった。一方、ヒト肝細胞は、高レベルのmiR−122を発現し、G−CSF配列がmiR−122標的配列を含む場合に観察されるG−CSFタンパク質の劇的な下方制御があった。その結果、mRNAは栄養要求性mRNAとして機能した。
実施例20. 細胞株におけるMYC阻害剤Dの試験
本明細書に記載のように肝臓癌および肺癌の細胞株を、生理食塩水中でMYC阻害剤D修飾mRNAを形質移入する、または本明細書または国際出願第PCT/US2012/69610号(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に記載のように製剤化する。MYC阻害剤D修飾mRNAで選択性および/または治療効果を評価するために、正常な肝細胞もMYC阻害剤D修飾mRNAを形質移入する。
実施例21. シグナルセンサーポリヌクレオチドの製剤化
シグナルセンサーポリヌクレオチドを、本明細書に記載され、当技術分野で周知であり、および/または国際出願第PCT/US2012/69610号(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に記載のように、脂質ナノ粒子中に製剤化する。腫瘍送達のために、脂質ナノ粒子製剤を、in vitroまたはin vivo投与の前に、効率的に送達するために適合する。標的化送達、および/または毒性を低減するために、シグナルセンサーポリヌクレオチドは、少なくとも一つのmiR結合部位を含む。
脂質ナノ粒子の製剤を、当技術分野で周知であり、または本明細書に記載の方法によって、肝臓癌および肺癌モデル(例えば、本明細書に記載のもの、およびマウスの皮下ヒト異種移植片、マウスの同所性ヒト異種移植片およびトランスジェニック/遺伝子操作されたマウスモデル)に(例えば、静脈内、筋肉内およびまたは鼻腔内)投与する。
実施例22. 哺乳動物へのシグナルセンサーポリヌクレオチドの送達
シグナルセンサーポリヌクレオチドを肺および/または肝臓癌モデル(例えば、本明細書に記載のもの)をin vivo送達するために製剤化する。シグナルセンサーポリヌクレオチドを、本明細書に記載され、当技術分野で周知であり、および/または国際出願第PCT/US2012/69610号(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に記載のように、脂質ナノ粒子中に製剤化する。
肺および/または肝臓癌モデルを、タンパク質発現、アポトーシス、毒性、腫瘍容積による有効性、肝臓酵素レベルおよび腫瘍組織への効果について分析し、製剤化されたシグナルセンサーポリヌクレオチドの肺および/または肝癌モデルへの投与の効果を評価する。シグナルセンサーポリヌクレオチドのタンパク質発現を評価するためにアッセイを使用する。アポトーシス、毒性、腫瘍体積による有効性、肝酵素レベルおよび腫瘍組織を、当技術分野で周知の一般的な方法を用いて評価する。
実施例23. 用量反応
98N12−5(NPA−005)およびDLin−KC2−DMA(NPA−003)のナノ粒子製剤を、様々な濃度で試験し、FL4またはmCherryのMFIを決定する(配列番号6602に示されるmRNA配列、配列には示されていない約160ヌクレオチドのポリA尾部、5’キャップ、キャップ1、5メチルシチジンおよびプソイドウリジンで完全修飾)を、あらゆる用量範囲で決定する。試験した製剤を表15に概説する。98N12−5のナノ粒子製剤の最適濃度を決定するために、製剤化された修飾RNA(ウェル当たり100ng、10ng、1.0ng、0.1ngおよび0.01ng)の様々な濃度を、HEK293の24ウェルプレートで試験した。
ヒト胎児腎臓上皮(HEK293)(LGC standards GmbH、ウェーゼル、ドイツ)を、96ウェルプレート(Greiner Bio−one GmbH、フリッケンハウゼン、ドイツ)に播種し、プレートをコラーゲンタイプ1でプレコーティングした。HEK293を、100μlの細胞培養培地中にウェル当たり30,000細胞の密度で播種した。細胞培養培地は、DMEM、10%FCS、2mMのL−グルタミンの添加、1mMのSodiumpyruvateおよび1倍の非必須アミノ酸(Biochrom AG、ベルリン、ドイツ)および1.2mg/mlの重炭酸ナトリウム(Sigma−Aldrich、ミュンヘン、ドイツ)であった。mCherry mRNAを含有する製剤を、細胞を播種した後、直接、4つに添加してインキュベートした。
96ウェルのプロバインドU底プレート(Beckton Dickinson GmbH、ハイデルベルク、ドイツ)に培養培地上清を移すことによって、細胞を収集した。細胞を1/2量のトリプシン/EDTA(Biochrom AG、ベルリン、ドイツ)でトリプシン処理し、それぞれの上清と共にプールし、1容量のPBS/2%FCS(両方ともBiochrom AG、ベルリン、ドイツ)/0.5%ホルムアルデヒド(Merck、ダルムシュタット、ドイツを追加することによって固定した。次に、LSRIIサイトメーター(Beckton Dickinson GmbH、ハイデルベルク、ドイツ)で、532nmの励起レーザーおよびPE−テキサスレッド用の610/20フィルターで、試料をフローサイトメーター測定に供した。すべてのイベントの平均蛍光強度(MFI)を分析し、各用量のFL4 MFIの結果を表16に示す。同様に、DLin−KC2−DMAのナノ粒子製剤の最適な濃度を決定するために、製剤化された修飾RNAの濃度を変化させる試験を(ウェルあたり、250ng、100ng、10ng、1.0ng、0.1ngおよび0.01ng)をHEK293の24ウェルプレートで行い、各用量のFL4 MFIの結果を表17に示す。DLiN−KC2−DMAのナノ粒子製剤を、HEK293の24ウェルプレート中で、製剤化修飾されたRNAの濃度を変化させて(ウェルあたり250ng、100ng、および30ng)、各用量のFL4 MFIの結果を表18に示す。98N12−5のための1ng/wellの用量およびDLin−KC2−DMAのための10ng/wellの用量はバックグラウンドのFL4 MFIに近いことを見出した。
濃度がバックグラウンドにどの程度近いかを決定するために、mCherry発現の検出のために最適化されたフィルターセットと共にフローサイトメーターを使用して、バックグラウンドレベルと比較して感受性が増加した結果を得ることができた。25ng/ウェル、0.25ng/ウェル、0.025ng/ウェルおよび0.0025ng/ウェルの用量を、98N12−5(NPA−005)およびDLin−KC2−DMA(NPA−003)について分析し、mCherryのMFIを決定した。表19に示されるように、0.025ng/ウェルの濃度とそれより低い濃度は、約386.125であるmCherryのバックグラウンドMFIレベルに類似している。
表15.製剤
表16.HEK293、NPA−005、24ウェル、n=4
表17.HEK293、NPA−003、24−ウェル、n=4
表18.HEK293、NPA−003、24ウェル、n=4
表19.濃度およびMFI
実施例24. LNP製剤
DLin−DMA、DLin−K−DMA、DLin−KC2−DMA、98N12−5、C12−200およびDLin−MC3−DMAの製剤を、HEK293のプレートでは60ng/ウェルまたは62.5ng/ウェルのプレートの濃度で、HepG2細胞のプレートでは62.5ng/ウェルの濃度で24時間インキュベートし、mCherryのMFI(配列番号6602に示されるmRNA配列)、配列には示されていない約160ヌクレオチドのポリA尾部、5’キャップ、キャップ1、5メチルシチジンおよびプソイドウリジンで完全に修飾された)を各製剤について決定した。
ヒト胎児腎臓上皮(HEK293)および肝細胞癌上皮(HepG2細胞)細胞(LGC standards GmbH、ウェーゼル、ドイツ)を、96ウェルプレート(Greiner Bio−one GmbH、フリッケンハウゼン、ドイツ)に播種し、HEK293細胞のプレートをコラーゲンタイプ1でプレコーティングした。HEK293を30,000の密度で播種し、HepG2細胞を100μlの細胞培養培地中に、ウェルあたり35,000細胞の密度で播種した。HEK293については、細胞培養培地はDMEM、10%FCSであり、2mMのL−グルタミン、1mMのSodiumpyruvateおよび1倍の非必須アミノ酸(Biochrom AG、ベルリン、ドイツ)および1.2mg/mlの重炭酸ナトリウム(Sigma−Aldrich、ミュンヘン、ドイツ)を加え、HepG2については、細胞培地はMEM(Gibco Life Technologies、ダルムシュタット、ドイツ)、10%FCSであり、2mMのL−グルタミンを追加し、1mMのSodiumpyruvateおよび1倍の非必須アミノ酸(Biochrom AG、ベルリン、ドイツ)を加えた。mCherry mRNAを含有する製剤(配列番号6602に示されるmRNA配列、配列には示されていない約160ヌクレオチドのポリA尾部、5’キャップ、キャップ1)、細胞を播種した後、直接4つに添加し、インキュベートした。in vitro転写(IVT)に使用されるT7プロモーター、5’非翻訳領域(UTR)および3’UTRを伴うmCherry cDNAは、配列番号6603に記載されている。mCherry mRNAを、各ウリジンサイトで、5meCで修飾し、各シチジンおよびプソイドウリジン置換で修飾した。
96ウェルのプロバインドU底プレート(Beckton Dickinson GmbH、ハイデルベルク、ドイツ)に培養培地上清を移すことによって、細胞を収集した。細胞を1/2量のトリプシン/EDTA(Biochrom AG、ベルリン、ドイツ)でトリプシン処理し、それぞれの上清と共にプールし、1用量のPBS/2%FCS(両方ともBiochrom AG、ベルリン、ドイツ)/0.5%ホルムアルデヒド(Merck、ダルムシュタット、ドイツを追加することによって固定した。次に、LSRIIサイトメーター(Beckton Dickinson GmbH、ハイデルベルク、ドイツ)で、532nmの励起レーザーおよびPE−テキサスレッド用の610/20フィルターで、試料をフローサイトメーター測定に供した。すべてのイベントの平均蛍光強度(MFI)を測定した。
試験を行った製剤を以下の表20に概説する。60ng/ウェルについては表21に示し、62.5ng/ウェルについては表22、23、24および25に示すように、NPA−003およびNPA−018の製剤は最も高いmCherry MFIを有し、NPA−008、NPA−010およびNPA−013の製剤は、バックグラウンド試料mCherry MFI値に最も類似している。
表20.製剤
表21.HEK293、96ウェル、60ngの修飾RNA/ウェル
表22.HEK293、62.5ng/ウェル
表23.HEK293、62.5ng/ウェル
表24.HepG2細胞、62.5ng/ウェル
表25.HepG2細胞、62.5ng/ウェル
実施例25. LNPのin vivo試験
mCherry mRNA(配列番号6604、配列には示されていない約160ヌクレオチドのポリA尾部、5’キャップ、キャップ1、5−メチルシチジンとプソイドウリジンで完全修飾された)を、シリンジポンプ法を用いて脂質ナノ粒子(LNP)として製剤化した。LNPを、最終の脂質モル比が50:10:38.5:1.5(DLin−KC2−DMA:DSPC:コレステロール:PEG−c−DOMG)の20:1重量比の修飾mRNAに対する総脂質で製剤化した。mCherry製剤を、表26に列挙し、粒子サイズ、ゼータ電位、およびカプセル化によって特徴づけた。
表26.mCherry製剤
100μgの修正されたmRNA用量のLNP製剤を、マウス(n=5)に静脈内投与した。マウスは、投与から24時間後に屠殺した。mCherry修飾mRNAの製剤を投与したマウスの肝臓および脾臓は、免疫組織化学ソーティング(IHC)、ウェスタンブロット、または蛍光活性化セル(FACS)により分析した。
肝臓の組織学は、セクション全体に均一なmCherry発現を示し、未処理の動物は、mCherryを発現しなかった。また、ウェスタンブロットも使用して、処理動物のmCherry発現を確認し、未処理動物ではmCherryは検出されなかった。チューブリンを対照マーカーとして使用し、処理された、未処理マウスの両方で検出し、肝細胞の正常なタンパク質の発現は影響を受けなかったことを示した。
mCherryおよび未処理マウスの脾臓でFACSおよびIHCも行った。FACS分析によって、すべての白血球細胞集団はmCherryの発現について陰性であった。IHCによって、また、mCherry処理マウスと未処理マウスとの間で、脾臓に観察可能な差はなかった。
実施例26. 2補因子間の結合親和性の滴定
2つの補因子間の結合親和性を滴定するために、実験を実施した。本明細書に使用するとき、用語「滴定」は、目的の特性を評価するために、1つ以上の因子を系統的に導入する方法(例えば、増加しているレベル、または1つ以上の因子を系統的に改変する)、溶液、シナリオまたはその系列を意味する。本実施形態では、目的の特性は、2つの補因子間の結合親和性である。一実施形態では、2つの補因子をコードする構築物を得て、および/または合成し、一連の変異体構築物を調製および/または合成する。変異体構築物は、補因子変異体をコードし、補因子変異体として、切り詰め変異体(N末端またはC末端ドメインのいずれかから1つまたは複数のアミノ酸を欠いている変異タンパク質)、局地的に削除された変異体(タンパク質の内部領域(1つ以上のアミノ酸を含む)が不在である)、単一のアミノ酸置換を有する変異体(正常に発現したアミノ酸が代替アミノ酸で置換される)、内部またはいずれかの末端に加えられる1つ以上の追加のアミノ酸を有する変異体が挙げられ、タンパク質の局所的置換を有する変異体(一つ以上のアミノ酸を含む)は、代替領域(一つ以上のアミノ酸を含む)および/またはこれらの任意の組み合わせで置換される。変異体構築物は無作為に変異し、または観察されている2つの補助因子間の結合に必要な分子間相互作用の既存の知識に基づいて、標的変異に供される。
いくつかの実施形態では、一連の変異タンパク質は、ポリペプチド鎖に沿って漸進的なパターンに従うように設計されている。このような系列によって、補因子間の相互作用の特定の側面または特徴のより良い理解が可能になる。変異体系列として、例えば、それぞれ単一のアミノ酸置換を有する変異体の一連の産生が挙げられ、各変異体は変異したポリペプチド配列に沿って、異なるアミノ酸を有する(例えば、アラニンは置換され、それによって各位置のアミノ酸側鎖の影響を排除する)。別の例では、一連の変異体は、その系列の変異体がサイズの大きい切断を含むように設計される。別の例では、同様の方法で翻訳後修飾され得るアミノ酸(例えば、リン酸化、アセチル化、ユビキチン化、グリコシル化等)は、一連の変異体のポリペプチド配列に沿って変異させることができる。
変異体補因子を用いた滴定実験について、2つの補因子間のベースライン親和性は、結合に好ましい条件下で両方の補因子を結合することによって確立され、補因子間の結合親和性がアッセイされる。結合親和性を、当該分野で周知の種々の方法のいずれかを用いて評価することができる。当該方法として、限定されないが、ウェスタンブロット分析、免疫沈降法、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)、光退色後(FRAP)の蛍光回復、蛍光偏光技術および/または表面プラズモン共鳴に(SPR)に基づく技術が挙げられる。滴定のために、一つの方法によれば、一方または両方の補因子の変異体系列を、2つの突然変異していない補因子と組み合わせる(野生型と変異タンパク質間の競合結合を可能にするために)。異なる変異体の濃度が増加している存在下で、2つの補因子間の親和性の変化を評価し、結合について競合している変異体の系列に存在する特定の突然変異に対して、比較および/またはプロットする。あるいは、系列内の変異体補因子は、個々に、対応する非変異結合パートナーと結合し、結合親和性について評価する。野生型の補因子(変異体補因子に相当)の濃度の増加が導入され、変異体補因子と対応する非変異結合パートナーとの間の結合の変化を評価する。得られた結合曲線と試験された他の変異体の結合曲線との間で比較を行う。
いくつかの実施形態では、2つの補因子間の結合親和性の滴定は、増加する濃度の第三因子の存在下または非存在下で評価する。そのような第三因子は、2つの補助因子間の結合の阻害剤または活性剤とすることができる。一連の変異体は、上記のように、第三因子のために生成されてもよく、当該系列を滴定実験に使用して、2つの補因子間の結合への突然変異の影響を評価することができる。
滴定実験から得られた情報は、補因子間の相互作用を調節する因子をコードするように、修飾mRNA分子を設計するために使用することができる。
いくつかの実施形態では、滴定実験を行い、HIF1サブユニット(HIF1−α、HIF2−αおよびARNT)、および/または変異HIF1サブユニットおよび/またはHIF1と相互作用する他のタンパク質間の結合親和性を評価する。滴定実験は、HIF1−α、HIF2−α、ARNTおよび/または第三相互作用因子のうちの1つ以上についての構築物を使用して生成された変異体系列を使用してもよい。いくつかの実施形態では、変異体系列はHIF1−αについて生成される。HIF1−αおよびHIF2−αを、細胞内の酸素の正常なレベルの下でHIFヒドロキシラーゼ酵素によってヒドロキシル化し、分解を促進しおよび/または転写活性を遮断する。ヒドロキシル化は酸素レベルの低下に伴って減少し、HIF1−αおよび/またはHIF2−αがそれらの補因子と結合することを可能にし、ARNTがHIF応答要素(HRE)を含む遺伝子の発現を増加させる(Keith,B.ら、HIF1α and HIF2α: sibling rivalry in hypoxic tumour growth and progression.Nat Rev Cancer.2011 Dec 15;12(1):9−22)。一実施形態では、HIF1−αの変異体系列が生成され、この系列内の変異が、ポリペプチド鎖に沿って、1つ以上のヒドロキシル化部位を進行性に排除し(限定されないが、プロリン402、プロリン564および/またはアスパラギン803を含む)、それによってHIF1−αの変異体版の安定性および/または転写活性を調節する。別の実施形態では、変異体系列を生成するために、代替の補因子であるHIF2−αを使用する。当該変異体系列は、ポリペプチド鎖(限定されないが、プロリン405、プロリン531および/またはアスパラギン847を含む)に沿って1つ以上のヒドロキシル化部位を進行性に排除し、それによってHIF2−αの変異体版の安定性および/または転写活性を調節する。別の実施形態では、ARNTとの相互作用に必要な領域を進行性に変異させるHIF1−αおよび/またはHIF2−α変異体系列を生成し、それによってARNTと結合し、HIF依存性遺伝子発現を調節するために改変された能力を有する変異体を作成する。別の実施形態では、他のHIFサブユニットとの相互作用に必要な領域を進行性に変異させるARNT変異体系列を生成し、それによってHIF サブユニットと結合し、HIF依存性遺伝子発現を調節するために改変された能力を有する変異体を作成する。
いくつかの実施形態では、フォン・ヒッペル・ランダウ腫瘍抑制タンパク質(pVHL)のために変異体系列を生成する。このタンパク質は、ヒドロキシル化HIF1−αおよびHIF2−αに結合し、そのユビキチン化および分解を促進する。一実施形態では、HIF1サブユニットとの相互作用に必要な領域を進行性に変異させる変異体系列を生成し、それによってHIF1サブユニットと結合し、HIF依存性遺伝子発現を調節するために改変された能力を有する変異体を作成する。
滴定実験で使用するためのタンパク質標的のための転写配列およびポリペプチド配列を(それぞれ)表27と表28に示す。目的のポリペプチドをコードする遺伝子の名前と記述は、ENSEMBLトランスクリプトID(ENST)および転写配列(表27)またはENSEMBLタンパク質ID(ENSP)およびペプチド配列(表28)を伴う。本発明のいくつかの実施形態では、HIFサブユニットおよび/またはHIF依存性遺伝子発現との間の親和性を調節する因子をコードするように、修飾mRNAを設計することができる。このような修飾されたmRNAは、滴定実験から得られた知識を用いて設計することができる。
表27.滴定実験のための追加の標的の転写産物配列
表28.滴定実験のための追加のターゲットのためのペプチド配列
実施例27〜33の材料
表29は、実施例27〜33に記載の修飾mRNA配列を説明している。
表29
実施例27. アポトーシス誘導因子の短いタンパク質の検出:ウエスタンブロット法
CD1マウス(Harlan Laboratories、サウスイーストン、マサチューセッツ州)に、lipolex化アポトーシス誘導因子ショート(AIFsh)修飾mRNA(表29に示されるmRNA配列、配列に示されていない約140ヌクレオチドのポリA尾部、5’キャップ、キャップ1)を静脈投与し、当該修飾mRNAは、5メチルシチジンおよびプソイドウリジン(5mC/pU)で完全修飾され、および5メチルシチジンおよび1−メチルプソイドウリジン(5mC/1mpU)で完全修飾され、2−チオウリジンで修飾された25%のウリジン、および5メチルシチジン(s2Uと5mC)で修飾された25%のシチジン、プソイドウリジン(pU)で完全修飾され、または1−メチルプソイドウリジン(1mpU)で完全修飾された。マウスに、100μlの滅菌基礎DMEM培地(添加剤なし、LifeTechnologies、グランドアイランド、ニューヨーク州)中、2μlのリポフェクタミン2000(LifeTechnologies、グランドアイランド、ニューヨーク州)と複合された2μgのmRNAの用量を投与した。
6時間後、動物を屠殺し、血清と脾臓を収集する。脾臓を6ウェルプレートに移し、1mlのPBSの存在下で、氷に維持した。1つの脾臓をメスで数回切り分け、PBSが細胞の放出によって濁るまで、脾細胞をゴム細胞スクレーパーで絞り出した。
線維状成分を残して、細胞を12ウェル細胞培養プレートに位置する100μm細胞ストレーナー(BD Biosciences社、サンノゼ、CA)に移した。重力により細胞を細胞ストレーナーに通し、12ウェル培養皿の下に収集した。1mlのPBSをエッペンドルフチューブに自由に浮遊している脾細胞と共に移動させ、2000rpmで5分間遠心した。PBSを捨て、細胞ペレットを500μlの新鮮なPBSと合わせた。脾細胞を、2000rpmで5分間の短時間ボルテックスすることにより再懸濁した。PBSを捨て、1mlのBD Pharmlyseを細胞ペレットに添加した。脾細胞を短時間のボルテックスによって再懸濁した。細胞を、室温で3分間インキュベートし、次に5分間、200rpmで遠心した。細胞を500μlのPBSで2回洗浄し、上記のように遠心した。細胞を500μlのPBSで再懸濁し、上記のように遠心した。
250μlの脾臓細胞を1倍のPharmlyse緩衝液と合わせ、短時間ボルテックスあるいはピペットで再懸濁し、2000rpmで2分間遠心した。
一本のチューブ中、哺乳動物細胞(BostonBioproducts、アッシュランド、マサチューセッツ州)のためのプロテアーゼ阻害剤カクテルで、500μlのRIPA緩衝液中に細胞ペレットを再懸濁し、溶解物を凍結するか、すぐにBCAアッセイを続行する。第二のチューブ中、250μlのFACS染色キット固定液(4%のホルムアルデヒド、R and D Systems、ミネアポリス、ミネソタ州)を加え、次に室温で10分間インキュベートする。細胞を500μlのPBSで2回洗浄し、上記のように遠心した。細胞ペレットを500PBSに再懸濁し、4℃で保存した。
タンパク質溶解物を、1.5mmのすぐに使用できるビス−トリス ゲルを有するNuPAGE SDS−PAGEシステム(チャンバーと電源)に、助剤としてのMOPS緩衝液と共に4〜12%のアクリルアミド勾配に充填した(全てLife Technologies社、グランドアイランド、ニューヨーク州)。各溶解物の試料を40μlの最終容量に調製した。当該試料は、可変体積の25μgのタンパク質溶解物、体積26μlを作製するためのRIPA緩衝液、4μlの10倍還元剤および10μlの4倍のSDSローディング緩衝液(両方とも Life Technologies、グランドアイランド、ニューヨーク州)を含有した。試料を5分間95℃で加熱し、ゲルに充填した。メーカーによって、200V、120mAおよび最大25Wの標準設定を選択した。実行時間は60分であったが、色素が移動しゲルの下端に到達する時間を超えることはなかった。
実行を終了した後、プラスチックケースを割り、容器に入っていたゲルは、すぐに使用できるニトロセルロース膜キットおよび電源(iBLOT、LifeTechnologies、グランドアイランド、ニューヨーク州)に移動した。デフォルト設定を使用して、タンパク質溶解物を、高アンペアの電力によって、ゲルから膜に移した。
移動後、膜を15分間、1倍のTBS中、5%のBSA中でインキュベートし、次にさらに15分間、1倍のTBS+0.1%のTween中、5%のBSA中でインキュベートした。AIFshタンパク質に対する一次抗体(AIFshウサギポリクローナル抗体、Abcam、ケンブリッジ、マサチューセッツ州)を、室温で3時間、1:500〜1:2000の希釈の1倍のTBS溶液中、3mlの5%BSAに適用し、オービタルシェーカーで穏やかに撹拌した。膜を、1倍のTBS/0.1%のTweenで、穏やかに撹拌しながら、5分ずつ3回洗浄する。二次抗体(ヤギ抗ウサギHRPコンジュゲート、Abcam、ケンブリッジ、マサチューセッツ州)を、西洋ワサビペルオキシダーゼとコンジュゲートし、一次抗体に複合体化した。二次抗体を1倍のTBS中、5%BSAで、1:1000〜1:5000で希釈し、室温で3時間インキュベートした。
インキュベーション時間の終わりに、1倍のTBS/0.1%のTweenで穏やかに撹拌しながら、膜を5分ずつ3回洗浄した。指示通りに、膜を5mlのPierce WestPico Chemiluminescent Subtrate(Thermo
Fisher、ロックフォード、イリノイ州)で展開した。
図3Aおよび図3Bに示すように、ウェスタンブロットは、各化学的性質について評価された2つの試料それぞれについて、60kdの予想されるサイズの周りにタンパク質を検出した。
実施例28. Siah E3ユビキチンタンパク質リガーゼ1タンパク質の検出:ウエスタンブロット法
CD1マウス(Harlan Laboratories、サウスイーストン、マサチューセッツ州)に、ipolexed siahE3ユビキチンタンパク質リガーゼ1(SIAH1)修飾mRNAを静脈内投与した(配列番号6618に示されるmRNA配列(表29)、配列には示されていない約140ヌクレオチドのポリA尾部、5’キャップ、キャップ1)、当該修飾mRNAは、5−メチルシチジンとプソイドウリジンで完全修飾され(5mC/pU)、5メチルシチジンおよび1−メチルプソイドウリジンで完全修飾され(5mC/pU)、2−チオウリジンで修飾された25%のウリジンおよび5−メチルシチジンで修飾された25%のシチジン(s2Uおよび5mC)、プソイドウリジンで完全修飾され(pU)、または1−メチルプソイドウリジンで完全修飾された(1mpU)。マウスに、100μlの滅菌基礎DMEM培地(添加剤なし、LifeTechnologies、グランドアイランド、ニューヨーク州)中、2μlのリポフェクタミン2000(LifeTechnologies、グランドアイランド、ニューヨーク州)と複合された2μgのmRNAの用量を投与した。
6時間後、動物を屠殺し、血清および脾臓を収集する。脾臓を6ウェルプレートに移し、1mlのPBSの存在下で、氷に維持した。1つの脾臓をメスで数回切り分け、PBSが細胞の放出によって濁るまで、脾細胞をゴム細胞スクレーパーで絞り出した。
線維状成分を残して、細胞を12ウェル細胞培養プレートに位置する100μm細胞ストレーナー(BD Biosciences社、サンノゼ、CA)に移した。重力により細胞を細胞ストレーナーに通し、12ウェル培養皿の下に収集した。1mlのPBSをエッペンドルフチューブに自由に浮遊している脾細胞と共に移動させ、2000rpmで5分間遠心した。PBSを捨て、細胞ペレットを500μlの新鮮なPBSと合わせた。脾細胞を、2000rpmで5分間の短時間ボルテックスすることにより再懸濁した。PBSを捨て、1mlのBD Pharmlyseを細胞ペレットに添加した。脾細胞を短時間のボルテックスによって再懸濁した。細胞を、室温で3分間インキュベートし、次に5分間、200rpmで遠心した。細胞を500μlのPBSで2回洗浄し、上記のように遠心した。細胞を500μlのPBSで2回洗浄し、上記のように再懸濁した。
250μlの脾臓細胞を1倍のPharmlyse緩衝液と合わせ、短時間ボルテックスあるいはピペットで再懸濁し、2000rpmで2分間遠心した。
1本のチューブ中、哺乳動物細胞(BostonBioproducts、アッシュランド、マサチューセッツ州)のためのプロテアーゼ阻害剤カクテルで、500μlのRIPA緩衝液中に細胞ペレットを再懸濁し、溶解物を凍結するか、すぐにBCAアッセイを続行する。2番目のチューブ中、250μlのFACS染色キット固定液(4%のホルムアルデヒド、R and D Systems、ミネアポリス、ミネソタ州)を加え、次に室温で10分間インキュベートする。細胞を500μlのPBSで2回洗浄し、上記のように遠心した。細胞ペレットを500 PBSに再懸濁し、4℃で保存した
タンパク質溶解物を、1.5mmのすぐに使用できるビス−トリス ゲルを有するNuPAGE SDS−PAGEシステム(チャンバーと電源)に、助剤としてのMOPS緩衝液と共に4〜12%のアクリルアミド勾配に充填した(全てLife Technologies社、グランドアイランド、ニューヨーク州)。各溶解物の試料を、最終容量を40μlに調製した。当該試料は、可変体積の25μgのタンパク質溶解物、体積26μlを作製するためのRIPA緩衝液、4μlの10倍還元剤および10μlの4倍のSDSローディング緩衝液(両方ともLife Technologies、グランドアイランド、ニューヨーク州)を含有した。試料を5分間95℃で加熱し、ゲルに充填した。メーカーによって、200V、120mAおよび最大25Wの標準設定を選択した。実行時間は60分であったが、色素が移動しゲルの下端に到達する時間を超えることはなかった。
実行を終了した後、プラスチックケースを割り、容器に入っていたゲルは、すぐに使用できるニトロセルロース膜キットおよび電源(iBLOT、LifeTechnologies、グランドアイランド、ニューヨーク州)に移動した。デフォルト設定を使用して、タンパク質溶解物を、高アンペアの電力によって、ゲルから膜に移した。
移動後、膜を15分間、1倍のTBS中、5%のBSA中でインキュベートし、次にさらに15分間、1倍のTBS+0.1%のTween中、5%のBSA中でインキュベートした。SIAH1タンパク質に対する一次抗体(SIAH1ウサギポリクローナル抗体、Abcam、ケンブリッジ、マサチューセッツ州)を、室温で3時間、1:500〜1:2000の希釈の1倍のTBS溶液中、3mlの5%BSAに適用し、オービタルシェーカーで穏やかに撹拌した。膜を、1倍のTBS/0.1%のTweenで、穏やかに撹拌しながら、5分ずつ3回洗浄する。二次抗体(ヤギ抗ウサギHRPコンジュゲート、Abcam、ケンブリッジ、マサチューセッツ州)を、西洋ワサビペルオキシダーゼとコンジュゲートし、一次抗体に複合体化した。二次抗体を1倍のTBS中、5%BSAで、1:1000〜1:5000で希釈し、室温で3時間インキュベートした。
インキュベーション時間の終わりに、膜を、1倍のTBS/0.1%のTweenで穏やかに撹拌しながら、5分ずつ3回洗浄した。指示通りに、膜を5mlのPierce WestPico Chemiluminescent Subtrate(Thermo Fisher、ロックフォード、イリノイ州)で展開した。
図4Aおよび図4Bに示すように、ウェスタンブロットは、各化学的性質について評価された2つの試料それぞれについて、31kdの予想されるサイズの周りにタンパク質を検出した。
実施例29. リバースカスパーゼ3タンパク質の検出:ウエスタンブロット法
CD1マウス(ハーランラボラトリーズ、サウスイーストン、マサチューセッツ州)に、lipolex化構成的活性型(C.A.)カスパーゼ3(リバースカスパーゼ3またはRev−カスパーゼ3としても知られる)修飾mRNA(配列番号6619に示されるmRNA)を静脈投与し、配列には示されていない約140ヌクレオチドのポリA尾部、5’キャップ、キャップ1)は5−メチルシチジンとプソイドウリジンで完全修飾され(5mC/pU)、5メチルシチジンおよび1−メチルプソイドウリジンで完全修飾され(5mC/pU)、2−チオウリジンで修飾された25%のウリジンおよび5−メチルシチジンで修飾された25%のシチジン(s2Uおよび5mC)、プソイドウリジンで完全修飾され(pU)、または1−メチルプソイドウリジンで完全修飾された(1mpU)。マウスに、100μlの滅菌基礎DMEM培地(添加剤なし、LifeTechnologies、グランドアイランド、ニューヨーク州)中、2μlのリポフェクタミン2000(LifeTechnologies、グランドアイランド、ニューヨーク州)と複合された2μgのmRNAの用量を投与した。
6時間後、動物を屠殺し、血清および脾臓を収集する。脾臓を6ウェルプレートに移し、1mlのPBSの存在下で、氷に維持した。1つの脾臓をメスで数回切り分け、PBSが細胞の放出によって濁るまで、脾細胞をゴム細胞スクレーパーで絞り出した。
線維状成分を残して、細胞を12ウェル細胞培養プレートに位置する100μm細胞ストレーナー(BD Biosciences社、サンノゼ、カリフォルニア州)に移した。重力により細胞を細胞ストレーナーに通し、12ウェル培養皿の下に収集した。1mlのPBSをエッペンドルフチューブに自由に浮遊している脾細胞と共に移動させ、2000rpmで5分間遠心した。PBSを捨て、細胞ペレットを500μlの新鮮なPBSと合わせた。脾細胞を、2000rpmで5分間の短時間ボルテックスすることにより再懸濁した。PBSを捨て、1mlのBD Pharmlyseを細胞ペレットに添加した。脾細胞を短時間のボルテックスによって再懸濁した。細胞を、室温で3分間インキュベートし、次に5分間、200rpmで遠心した。細胞を500μlのPBSで2回洗浄し、上記のように遠心した。細胞を500μlのPBSで再懸濁し、上記のように遠心した。
250μlの脾臓細胞を1倍のPharmlyse緩衝液と合わせ、短時間ボルテックスあるいはピペットで再懸濁し、2000rpmで2分間遠心した。
1本のチューブ中、哺乳動物細胞(BostonBioproducts、アッシュランド、マサチューセッツ州)のためのプロテアーゼ阻害剤カクテルで、500μlのRIPA緩衝液中に細胞ペレットを再懸濁し、溶解物を凍結するか、すぐにBCAアッセイを続行する。2番目のチューブ中、250μlのFACS染色キット固定液(4%のホルムアルデヒド、R and D Systems、ミネアポリス、ミネソタ州)を加え、次に室温で10分間インキュベートする。細胞を500μlのPBSで2回洗浄し、上記のように遠心した。細胞ペレットを500 PBSに再懸濁し、4℃で保存した。
タンパク質溶解物を、1.5mmのすぐに使用できるビス−トリス ゲルを有するNuPAGE SDS−PAGEシステム(チャンバーと電源)に、助剤としてのMOPS緩衝液と共に4〜12%のアクリルアミド勾配に充填した(全てLife Technologies社、グランドアイランド、ニューヨーク州)。各溶解物の試料を、最終体積を40μlに調製した。当該試料は、可変体積の25μgのタンパク質溶解物、体積26μlを作製するためのRIPA緩衝液、4μlの10倍還元剤および10μlの4倍のSDSローディング緩衝液(両方ともLife Technologies、グランドアイランド、ニューヨーク州)を含有した。試料を5分間95℃で加熱し、ゲルに充填した。メーカーによって、200V、120mAおよび最大25Wの標準設定を選択した。実行時間は60分であったが、色素が移動しゲルの下端に到達する時間を超えることはなかった。
実行を終了した後、プラスチックケースを割り、容器に入っていたゲルは、すぐに使用できるニトロセルロース膜キットおよび電源(iBLOT、LifeTechnologies、グランドアイランド、ニューヨーク州)に移動した。デフォルト設定を使用して、タンパク質溶解物を、高アンペアの電力によって、ゲルから膜に移した。
移動後、膜を15分間、1倍のTBS中、5%のBSA中でインキュベートし、次にさらに15分間、1倍のTBS+0.1%のTween中、5%のBSA中でインキュベートした。標的タンパク質に対する一次抗体(カスパーゼ3ウサギポリクローナル抗体、Abcam、ケンブリッジ、マサチューセッツ州)を、室温で3時間、1:500〜1:2000の希釈の1倍のTBS溶液中、3mlの5%BSAに適用し、オービタルシェーカーで穏やかに撹拌した。膜を、1倍のTBS/0.1%のTweenで、穏やかに撹拌しながら、5分ずつ3回洗浄する。二次抗体(ヤギ抗ウサギHRPコンジュゲート、Abcam、ケンブリッジ、マサチューセッツ州)を、西洋ワサビペルオキシダーゼとコンジュゲートし、一次抗体に複合体化させた。二次抗体を1倍のTBS中、5%BSAで、1:1000〜1:5000で希釈し、室温で3時間インキュベートした。
インキュベーション時間の終わりに、膜を、1倍のTBS/0.1%のTweenで穏やかに撹拌しながら、5分ずつ3回洗浄した。指示通りに5mlのピアースWestPico化学発光Subtrate(サーモフィッシャー、ロックフォード、IL)で膜を展開した。
図5Aおよび図5Bに示すように、ウェスタンブロットは、各化学的性質について評価された2つの試料それぞれについて、32kdの予想されるサイズの周りにタンパク質を検出した。
実施例30. グラニュライシンタンパク質の検出:ウエスタンブロット法
CD1マウス(Harlan Laboratories、サウスイーストン、マサチューセッツ州)に、lipolex化グラニュライシンmRNA(配列番号6620(表29)に示されるmRNA、配列には示されていない約140ヌクレオチドのポリA尾部、5’キャップ、キャップ1)を静脈内投与し、当該mRNA配列は、5−メチルシチジンとプソイドウリジンで完全修飾され(5mC/pU)、5メチルシチジンおよび1−メチルプソイドウリジンで完全修飾され(5mC/1mpU)、2−チオウリジンで修飾された25%のウリジンおよび5−メチルシチジンで修飾された25%のシチジン(s2Uおよび5mC)、プソイドウリジンで完全修飾され(pU)、または1−メチルプソイドウリジンで完全修飾された(1mpU)。マウスに、100μlの滅菌基礎DMEM培地(添加剤なし、LifeTechnologies、グランドアイランド、ニューヨーク州)中、2μlのリポフェクタミン2000(LifeTechnologies、グランドアイランド、ニューヨーク州)と複合された2μgのmRNAの用量を投与した。
6時間後、動物を屠殺し、血清および脾臓を収集する。脾臓を6ウェルプレートに移し、1mlのPBSの存在下で、氷に維持した。1つの脾臓をメスで数回切り分け、PBSが細胞の放出によって濁るまで、脾細胞をゴム細胞スクレーパーで絞り出した。
線維状成分を残して、細胞を12ウェル細胞培養プレートに位置する100μm細胞ストレーナー(BD Biosciences社、サンノゼ、カリフォルニア州)に移した。重力により細胞を細胞ストレーナーに通し、12ウェル培養皿に下に収集した。1mlのPBSをエッペンドルフチューブに自由に浮遊している脾細胞と共に移動させ、2000rpmで5分間遠心した。PBSを捨て、細胞ペレットを500μlの新鮮なPBSと合わせた。脾細胞を、2000rpmで5分間の短時間ボルテックスすることにより再懸濁した。PBSを捨て、1mlのBD Pharmlyseを細胞ペレットに添加した。脾細胞を短時間のボルテックスによって再懸濁した。細胞を、室温で3分間インキュベートし、次に5分間、200rpmで遠心した。細胞を500μlのPBSで2回洗浄し、上記のように遠心した。細胞を500μlのPBSで再懸濁し、上記のように遠心した。
250μlの脾臓細胞を1倍のPharmlyse緩衝液と合わせ、短時間ボルテックスあるいはピペットで再懸濁し、2000rpmで2分間遠心した。
1本のチューブ中、哺乳動物細胞(BostonBioproducts、アッシュランド、マサチューセッツ州)のためのプロテアーゼ阻害剤カクテルで、500μlのRIPA緩衝液中に細胞ペレットを再懸濁し、溶解物を凍結するか、すぐにBCAアッセイを続行する。2番目のチューブ中、250μlのFACS染色キット固定液(4%のホルムアルデヒド、R and D Systems、ミネアポリス、ミネソタ州)を加え、次に室温で10分間インキュベートする。細胞を500μlのPBSで2回洗浄し、上記のように遠心した。細胞ペレットを500 PBSに再懸濁し、4℃で保存した。
タンパク質溶解物を、1.5mmのすぐに使用できるビス−トリス ゲルを有するNuPage SDS−PAGEシステム(チャンバーと電源)に、助剤としてのMOPS緩衝液と共に4〜12%のアクリルアミド勾配に充填した全てLife Technologies社、グランドアイランド、ニューヨーク州)。各溶解物の試料を、最終体積を40μlに調製した。当該試料は、可変体積の25μgのタンパク質溶解物、体積26μlを作製するためのRIPA緩衝液、4μlの10倍還元剤および10μlの4倍のSDSローディング緩衝液(両方ともLife Technologies、グランドアイランド、ニューヨーク州)を含有した。試料を5分間95℃で加熱し、ゲルに充填した。メーカーによって、200V、120mAおよび最大25Wの標準設定を選択した。実行時間は60分であったが、色素が移動しゲルの下端に到達する時間を超えることはなかった。
実行を終了した後、プラスチックケースを割り、容器に入っていたゲルは、すぐに使用できるニトロセルロース膜キットおよび電源(iBLOT、LifeTechnologies、グランドアイランド、ニューヨーク州)に移動した。デフォルト設定を使用して、タンパク質溶解物を、高アンペアの電力によって、ゲルから膜に移した。
移動後、膜を15分間、1倍のTBS中、5%のBSA中でインキュベートし、次にさらに15分間、1倍のTBS+0.1%のTween中、5%のBSA中でインキュベートした。グラニュライシンタンパク質に対する一次抗体(グラニュライシンマウスモノクロナール抗体、Abcam、ケンブリッジ、マサチューセッツ州)を、室温で3時間、1:500〜1:2000の希釈の1倍のTBS溶液中、3mlの5%BSAに適用し、オービタルシェーカーで穏やかに撹拌した。膜を、1倍のTBS/0.1%のTweenで、穏やかに撹拌しながら、5分ずつ3回洗浄する。二次抗体(ロバ抗マウスHRPコンジュゲート,Abcam社、ケンブリッジ、マサチューセッツ州)を、西洋ワサビペルオキシダーゼにコンジュゲートし、一次抗体の抗体に結合した。二次抗体を1×TBS中、5%BSAで、1:1000〜1:5000で希釈し、室温で3時間インキュベートした。
インキュベーション時間の終わりに、膜を、1倍のTBS/0.1%のTweenで穏やかに撹拌しながら、5分ずつ3回洗浄した。指示通りに膜を5mlのピアースWestPico化学発光Subtrate(サーモフィッシャー、ロックフォード、IL)で展開した。
図6Aおよび図6Bに示すように、ウェスタンブロットは、各化学的性質について評価された2つの試料それぞれについて、16kdの予想されるサイズの周りにタンパク質を検出した。
実施例31. ペプチドの識別の確認
ペプチドの識別を確認するために,定量的LC−多重反応モニタリング(MRM)を用いて質量分析(LC−MS/MS)と並行して、液体クロマトグラフィー−質量分析法を用いてタンパク質を評価することができる。本明細書に記載の任意のタンパク質標的の特定は、定量的LC−多重反応モニタリング(MRM)アッセイ(Biognosys AG、スイス)を用いて質量分析(LC−MS/MS)と並行して、液体クロマトグラフィー−質量分析法を用いて評価することができる。修飾されたmRNAから発現されたタンパク質を含有するHeLa細胞溶解物は、細胞溶解物中のペプチドの識別を確認するために定量的LC−MRMアッセイ(Biognosys、スイス)を有するLC−MS/MSを使用して評価される。特定されたペプチド断片は、当該技術分野で周知および/または記載された方法を用いてアイソフォームを含む、既知のタンパク質と比較される。
A. 試料の準備
溶解緩衝液中の各試料のタンパク質は、5mMのトリス(2−カルボキシエチル)ホスフィン(TCEP)を用いて37℃で1時間インキュベートすることによって還元する。アルキル化は、室温で、暗所で30分間、10mMのヨードアセトアミドを用いて行われる。タンパク質は、プロテアーゼでトリプシン(シーケンスグレード、PromegaCorporation、マディソン、ウィスコンシン州)を用いてペプチドに消化され、タンパク質比は1:50である。消化は、37℃(合計消化時間は12時間である)で一晩行われる。ペプチドは、製造業者の指示に従ってC18スピンカラム(The Nest Group、サウスボロ、マサチューセッツ州)を使用して質量分析のためにクリーンアップされる。ペプチドを、完全に乾燥させ、LC溶媒A(1%アセトニトリル、0.1%ギ酸(FA))に再懸濁する。全ての溶媒は、SIGMA−ALDRICH(登録商標)(セントルイス、ミズーリ州)からのHPLCグレードであり、全ての化学物質は、特に明記しない限り、SIGMA−ALDRICH(登録商標)(セントルイス、ミズーリ州)から得られる。
B. LC−MS/MSおよびLC−MRM
ペプチドが、すべての質量分析について、Proxeon Easy nLCナノ液体クロマトグラフィーシステム上で、充填されたC18カラムに注射される(Magic AQ、3μmの粒子サイズ、200オングストロームの細孔サイズ、Michrom Bioresources,Inc(オーバーン、カリフォルニア州)、11cmのカラムの長さ、75μmの内径、New Objective(マサチューセッツ州))。LC溶媒は、A:0.1%のFAを含む水中の1%アセトニトリル、B:0.1%FAを有するアセトニトリル中の3%の水。ショットガン分析のためのLC勾配は、120分で5〜35%の溶媒B、次に2分で35〜100%の溶媒B、8分間で100%溶媒Bである(総勾配の長さは130分)。ペプチドの検出のために実行されるLC−MS/MSショットガンは、標準的なナノエレクトロスプレー源を装備したThermo Scientific(Thermo Fisher Scientific)(ビレリカ、マサチューセッツ州)Q Exactive質量分析計で実施される。LC−MRMのためのLC勾配は、30分で5〜35%の溶媒B、次に2分で35〜100%の溶媒B、8分間で100%溶媒B(総勾配の長さは40分)である。Thermo Scientific(Thermo Fisher Scientific)(ビレリカ、マサチューセッツ州)TSQ Vantageのトリプル四重極質量分析計は、標準的なナノエレクトロスプレー源を装備している。再校正のため予定外のMRMモードでは、遷移ごとに20ミリ秒の滞留時間で運転される。試料間のペプチドの相対的定量のためにTSQ Vantageを4分の取得ウィンドウ長で、スケジュールMRMモードで動作させる。LC溶離液は、1.9kVでエレクトロスプレーされ、MRM分析は、0.7DaのQ1ピーク幅を使用して実行される。衝突エネルギーは、ベンダーの仕様に従って線形回帰によってTSQ Vantageについて計算する。
C. アッセイのデザイン、データ処理と解析
LC−MRMアッセイの生成のために、LC−MS/MS分析からの12の最も強いフラグメントイオンを、スケジュールLC−MRMモードで測定し、データはMQUEST(登録商標)(Cluetec、カールスルーエ、ドイツ)、mProphetのスコアリング部分を使用して処理した(Reiterら、mProphet:Automated data processing and statistical validation for large−scale SRM experiments,Nature Methods,2011(8),430−435;内容は参照により本明細書に取り込まれる)。アッセイは手動で検証され、正確なフラグメント強度が決定され、iRT(indexed retention times)がBiognosysのiRTペプチドに対して割り当てられる(Escherら.Using iRT,a normalized retention time for more targeted
measurement of peptides,Proteomics,2012(12),1111−1121、内容は参照により本明細書に取り込まれる)。試料の系列に渡るペプチドの相対的定量化のために、各アッセイの8つの最も強い遷移を試料の系列に渡って測定する。データ分析はSpectroDive(商標)を用いて行う(Biognosys、Schlieren、スイス)。総ピーク面積を、選択されたペプチドについて比較し、0.05の偽発見率を適用する。0.05以下のQ値を有するペプチドを排除し、それぞれの試料中に検出されないと考えられている。
実施例32. 確認および化学修飾mRNAからのペプチド識別の確認
siah E3ユビキチンタンパク質リガーゼ1(SIAH1)修飾mRNAから製造されるタンパク質含む細胞溶解物(配列番号6618(表29)によって示されるmRNA、配列には示されていない約140ヌクレオチドのポリA尾部、5’キャップ、キャップ1)、MYC阻害剤D(ヒトc−mycを構成する固有のドミナントネガティブな90アミノ酸タンパク質)修飾mRNA(配列番号6621(表29)に示されるmRNA、配列には示されていない約140ヌクレオチドのポリA尾部、5’キャップ、キャップ1)、当該修飾mRNAは、5−メチルシチジンおよびプソイドウリジン(5mCおよびpU)で完全修飾され、5−メチルシチジンと1−メチルプソイドウリジン(5mCおよび1mpU)で完全修飾され、25%のウリジンの場合は2−チオウリジンで修飾され、25%のシチジンの場合は5−メチルシチジンで修飾され(s2Uおよび5mC)、プソイドウリジン(pU)で完全修飾され、または1−メチルプソイドウリジン(1mpU)で完全修飾され、実施例31に記載されるように、手定量的LC−MRMのLC−MS/MSを使用して評価する。評価されたタンパク質について特定されたペプチド断片を、表30に示す。
表30.タンパク質およびペプチド断片配列
実施例33. 確認および1−メチルプソイドウリジン修飾mRNAからのペプチド識別の確認
グラニュライシンmRNAから産生されたタンパク質を含有する細胞溶解物(表29に示すmRNA配列、配列には示されていない約140ヌクレオチドのポリA尾部、5’キャップ、キャップ1)は1−メチルプソイドウリジン(1mpU)で完全修飾され、実施例31に記載したように定量的LC−MRMのLC−MS/MSを用いて評価した。評価されたタンパク質について同定されたペプチド断片を、表31に示す。表31では、「Uniprot ID」は、ペプチド断片配列が、データベース内のすべてのレビュータンパク質に対してブラストしたときに、UniProtのデータベースからのタンパク質識別子を意味する。
表31.タンパク質およびペプチド断片配列
実施例34. 癌の治療における信号センサポリヌクレオチド(HCC):ドミナントネガティブSTAT3およびAkt mRNAを用いた癌細胞のトランスクリプトームの攪乱
実施例13で概説した動物モデルを用いて、動物を、ドミナントネガティブSTAT3分子またはドミナントネガティブAkt分子をコードするシグナルセンサーポリヌクレオチドで処置し、その発現によってPI−3キナーゼ誘導発癌性形質転換が妨げられることが示され、神経膠芽腫細胞(Vogt and Hart,Cancer Discov,2011 1:481−486;参照によりその全体が本明細書に含まれる)に含まれる。動物に、ドミナントネガティブSTAT3 mRNAをコードするmRNA対ドミナントネガティブ Akt mRNA対負の対照mRNA(複数の終止コドンを含む同mRNAの非翻訳版)対送達および製剤の適切な経路を使用したビヒクルを注射する。次に、動物の遺伝子発現、腫瘍状態、または癌表現型または遺伝子型に関連する特徴のいずれかを評価する。癌のためのドミナントネガティブアプローチの他の例は概説されており、同様に修飾mRNAと使用することができる(Moss and Lemoine Chapter 15 RNA Interference and Dominant Negative Approaches in Viral Therapy of Cancer Harrington et al., eds. Wiley & Sons、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)。
実施例35. 癌の治療におけるシグナルセンサーポリヌクレオチド(HCC):ドミナントネガティブhTERT mRNAを用いた癌細胞のトランスクリプトームの攪乱
実施例13で概説した動物モデルを用いて、ドミナントネガティブhTERTをコードするシグナルセンサーポリヌクレオチドで動物を処理し、その発現が、テロメラーゼ活性を妨害し、癌細胞のアポトーシスを引き起こすことが示されている(Agrawalら2012 Recent Pat Anricancer Drug Discov 7:102−117,Samyら2012 Mol Cancer Ther 11:2384−2393,Nguyenら2009 Cell Cycle.8:3227−3233、参照によりその全体が本明細書に含まれる)。特殊なRNA指向性DNAポリメラーゼであるテロメラーゼは、真核生物の染色体の末端にテロメアを拡張し、安定化させる。テロメアの進行性の喪失は、限られた数の細胞分裂をもたらし、ヒト細胞の老化のメカニズムに関連づけられている。不定増殖によって特徴付けられる腫瘍細胞は、テロメラーゼによって維持される安定したテロメアの長さを有している。正常細胞と癌細胞のテロメラーゼ酵素の発現の差は、癌細胞を老化に導くテロメアを不安定にし、短くするために、テロメラーゼ酵素活性を阻害する腫瘍特異的抗テロメラーゼのアプローチの発展につながっている。そのような1つのアプローチは、ドミナントネガティブのhTERTを発現するように修飾mRNAを使用することである。したがって、動物にドミナントネガティブhTERTのmRNAをコードしているmRNA対負の対照mRNA(複数の終止コドンを含む同mRNAの非翻訳版)対送達および製剤の適切な経路を用いたビヒクルを注射する。次に、動物の遺伝子発現、腫瘍状態、または癌表現型または遺伝子型に関連する特徴のいずれかを評価する。癌のためのドミナントネガティブアプローチの他の例は概説されており、同様に修飾mRNAと使用することができる(Moss and Lemoine
Chapter 15 RNA Interference and Dominant Negative Approaches in Viral Therapy of Cancer Harringtonら、eds.Wiley&Sons、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)。
実施例36. 癌の治療におけるシグナルセンサーポリヌクレオチド(HCC):ドミナントネガティブサバイビンmRNAを用いた癌細胞のトランスクリプトームの攪乱
実施例13で概説した動物モデルを用いて、ドミナントネガティブサバイビン(C84A他)をコードするシグナルセンサーポリヌクレオチドで、動物を処置し、その発現が癌細胞のアポトーシスを引き起こすことが示されている(Cheungら2010CancerCell Int. 10:36、参照によりその全体が本明細書に含まれる)。サバイビンは、多くの異なる癌で広く発現されるアポトーシスの阻害剤(IAP)ファミリーのメンバーである。サバイビンの過剰発現は、癌細胞の薬物耐性と関連し、化学療法および放射線療法後の患者の生存率を低下させる。サバイビンの機能に拮抗する薬剤は、多くの形態の癌の治療に期待される。そのようなアプローチの1つは、ドミナントネガティブサバイビンを(C84A変異は記載される例である)を発現するように修飾mRNAを使用することである。したがって、動物に、ドミナントネガティブサバイビンmRNAをコードするmRNA対負の対照mRNA(複数の終止コドンを含む同mRNAの非翻訳版)対送達および製剤の適切な経路を用いたビヒクルを注射する。次に、動物の遺伝子発現、腫瘍状態、または癌表現型または遺伝子型に関連する特徴のいずれかを評価する。癌のためのドミナントネガティブアプローチの他の例は、概説されており、同様に修飾mRNAと使用することができる(Moss and Lemoine Chapter 15
RNA Interference and Dominant Negative Approaches in Viral Therapy of Cancer Harringtonら, eds.Wiley&Sons、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)。
実施例37. マイクロRNA結合部位を有する修飾された核酸の発現
ヒト胎児腎臓上皮細胞(HEK293A)、または単球由来樹状細胞(MDDC)またはPBMC等の高発現のmir−142/146を有する細胞または細胞株を示す抗体を、500μlの細胞培養培地(CelsisのInVitro GRO培地、シカゴ、イリノイ州)を、ウェル当たり200,000密度で播種する。G−CSF mRNA(配列番号6595に示されるmRNA、配列には示されていない少なくとも140ヌクレオチドのポリA尾部、5’キャップ、キャップ1)miR−142−5pの結合部位を有するG−CSFのmRNA(G−CSFのmiR−142−5p)(cDNA配列は配列番号6627に示され、mRNA配列は配列番号6628に示されている、配列中に示されていない少なくとも140ヌクレオチドのポリA尾部、5’キャップ、キャップ1)、miR−142−5p結合部位から種配列を有するG−CSF mRNA(G−CSF miR−142−5p−seed)(cDNA配列は、配列番号6629に示されている、mRNA配列は、配列番号6630に示されている、配列には示されていない少なくとも140ヌクレオチドのポリA尾部、5’キャップ、キャップ1)種配列なしのmiR−142−5p結合部位を有するG−CSF mRNA(G−CSF miR−142−5p−seedless)(cDNA配列は配列番号6631で示される、mRNA配列は配列番号6632で示される、配列中に示されていない少なくとも140ヌクレオチドのポリA尾部、5’キャップ、キャップ1)miR−142−3p結合部位を有するG−CSF mRNA(G−CSF miR−142−3p)(cDNA配列は、配列番号6633に示されている、mRNA配列は、配列番号6634に示されている、配列には示されていない少なくとも140ヌクレオチドのポリA尾部、5’キャップ、キャップ1)、miR−142−3p結合部位から種配列を有するG−CSF mRNA(G−CSF miR−142−3p−seed)(cDNA配列は配列番号6635で示される、mRNA配列は配列番号6636で示される、配列中に示されていない少なくとも140ヌクレオチドのポリA尾部、5’キャップ、キャップ1)、種配列なしのmiR−142−3p結合部位を有するG−CSF mRNA(G−CSF miR−142−3p−seedless)(cDNA配列は配列番号6637で示される、mRNA配列は配列番号6638で示される、配列中に示されていない少なくとも140ヌクレオチドのポリA尾部、5’キャップ、キャップ1)miR−146a結合部位を有するG−CSF mRNA(G−CSF miR−146a)(cDNA配列は、配列番号6639に示されている、mRNA配列は配列番号6640に示されている、配列中に示されていない少なくとも140ヌクレオチドのポリA尾部、5’キャップ、キャップ1)miR−146a結合部位から種配列を有するG−CSF mRNA(G−CSF miR−146a−seed)(cDNA配列は、配列番号6641に示されている、mRNA配列は配列番号6642に示されている、配列には示されていない少なくとも140ヌクレオチドのポリA尾部、5’キャップ、キャップ1)種配列なしのmiR−146a結合部位を有するG−CSF
mRNA(G−CSF miR−146a−seedless)(cDNA配列は配列番号6643で示される、mRNA配列は配列番号6644に示されている、配列には示されていない少なくとも140ヌクレオチドのポリA尾部、5’キャップ、キャップ1)を、24ウェルプレート中、ウェルあたり250ngの濃度で試験する。mRNA配列を、本明細書に記載および/または当該技術分野で周知の様々な化学修飾で評価し、5−メチルシチジンおよびプソイドウリジンで完全修飾され、5−メチルシチジンおよび1−メチルプソイドウリジンで完全修飾され、プソイドウリジンで完全修飾され、1−メチルプソイドウリジンで完全修飾され、ウリジン残基の25%は2−チオウリジンで修飾され、シチジン残基の25%は5−メチルシチジンで修飾される。各試料中のG−CSFの発現をELISAによって測定する。
前述のmiR結合部位を有するDNAおよびmRNA G−CSF配列を表32に示す。表では、各配列の開始コドンに下線が引いてある。
表32.miR結合部位を有するG−CSF構築物
結合部位「種」配列はmircoRNA結合を誘導するのに十分であるようであり、G−CSFの発現は、miR−142−3p、miR−142−3p−seed、miR−142−5p、miR−142−5p−seed、miR−146aまたはmiR−146a−seedを形質移入された細胞で下方制御されるはずである。一方、miR−142−3p−seedless、miR−142−5p−seedless、miR−146a−seedlessは、マイクロRNA結合部位のないG−CSF mRNAを形質移入された細胞と比較して、G−CSFの発現を変化させないはずである。
実施例38. 修飾された核酸媒介免疫刺激を抑制するためのAPC特異的マイクロRNA結合部位
マイクロRNAの結合部位をmRNA治療薬の3’UTR に使用し、選択的に免疫細胞のmRNA治療薬を分解し、mRNA治療薬の送達によって引き起こされる望ましくない免疫原性反応を抑える。
抗原提示細胞(APC)でシグナルセンサーポリヌクレオチドをより不安定にする一連の3’UTR miR部位を含むシグナルセンサーポリヌクレオチド、例えば、限定されないが、mir−142−5p、mir−142−3p、mir−146a−5pおよびmir−146a−3pは、本発明の腫瘍関連ポリペプチドをコードする。シグナルセンサーポリヌクレオチドを不安定にする3’UTRのmiR結合部位の追加は、修飾mRNA媒介免疫刺激を抑えるであろう。
APC特異的マイクロRNAシグネチャー対当該シグネチャーを持たないものとのシグナルセンサーポリペプチドによって誘導されるサイトカイン発現(例えば、TNF−α)の比較実験を、本明細書に記載および/または当技術分野で周知の方法によりin vitroで実施する。
実施例39. miR結合部位を有するmRNAのin vitro発現
ヒト胎児腎臓上皮細胞(HEK293A)、高発現のmir−146/142を有する提示細胞または細胞株、例えば、単球由来樹状細胞(MDDC)またはPBMCを、500μlの細胞培養培地中、ウェルあたり200,000密度で播種する(CelsisのInVitro GRO培地、シカゴ、イリノイ州)。実施例37に記載したように、培養細胞を、マイクロRNAシグネチャーのある場合とない場合とで、G−CSF mRNAを形質移入する。細胞は、5日間連続して形質移入される。形質移入複合体を、形質移入の各ラウンドから4時間後に除去する。
培養上清を、分泌G−CSF(R&D Systems、カタログ番号DCS50)、腫瘍壊死因子α(TNF−α)およびインターフェロンα(形質移入し、製造業者のプロトコルの後に毎日ELISAによるIFN−α)についてアッセイする。形質移入の最初のラウンドから6時間および18時間後、その後の隔日にCELL TITER GLO(登録商標)(Promega、カタログ番号G7570)を使用して生存率について、細胞を分析する。回収した細胞から同時に、全てのRNAを単離し、製造業者のプロトコルに従ってRNAEASYマイクロキット(カタログ番号74004)を使用してDNASE(登録商標)で処理する。100ngの総RNAを、製造業者のプロトコルに従って、大容量のcDNA逆転写キット(Applied Biosystems、カタログ番号4368814)を用いてcDNA合成のために使用する。その後、製造業者のプロトコルに従ってBiorad CFX 384機器でSybrGreenを用いた定量的リアルタイムPCRによって先天的免疫応答遺伝子の発現について、cDNAを分析する。
実施例40. 先天性免疫応答の試験のin vivo検出
シグナルセンサータンパク質発現およびin vivo免疫反応を試験するために、雌のBALB/cマウス(n=5)を実施例37に記載したようにマイクロRNAシグネチャーのある場合とない場合で、G−CSF mRNAを筋肉内に注射する。血液を投与から8時間後に回収する。G−CSF、TNF−αおよびIFN−αのタンパク質レベルは、ELISAによって決定される。
サイトカイン産生の差は、血清中のマウスTNF−αおよびIFN−αレベルによって測定するときに見られる。miR−142およびmiR−146aは結合部位または結合部位種を有するG−CSF修飾mRNAの注射は、より低いレベルのin vivoのサイトカイン応答を示す。
実施例41. 初代肝細胞におけるmiR−122の発現
ラットおよびヒト初代肝細胞の肝細胞特異的miR−122のレベルを測定した。Hela細胞および初代ラットおよびヒト肝細胞を培養し、RNAを細胞溶解物から抽出した。ラットおよびヒト初代肝細胞のmiR−122レベルを、Hela細胞のそれと比較した。miR−122レベルは、Hela細胞に比べて、それぞれ初代ヒト肝細胞では約6倍増加し、初代ラット肝細胞では約12倍増加した。
実施例42. 肝細胞におけるmir−122結合部位を有する修飾された核酸の発現
初代ラットおよびヒト肝細胞およびHela細胞を、500μlの細胞培養培地中でウェル当たり200,000密度(CelsisのInVitro GRO培地、シカゴ、イリノイ州)に播種した。3’UTRにmiR−122結合部位を有するG−CSF mRNA(G−CSF miR−122−1X)(配列番号6600に示されるmRNA配列、配列には示されていない約140ヌクレオチドのポリA尾部、5’キャップ、キャップ1)は5メチルシチジンおよびプソイドウリジン(5mC/pU)で完全修飾され、またはプソイドウリジン(pU)または削除された種子(G−CSF種なし)を有する4つのmiR−122結合部位を有するG−CSF mRNAで完全修飾され(配列番号6601に示されるmRNA配列、配列には示されていない約140ヌクレオチドのポリA尾部、5’キャップ、キャップ1)は、5−メチルシチジンとプソイドウリジン(5MC/pU)で完全修飾され、またはプソイドウリジン(pU)で完全修飾され、24ウェルプレート中、ウェルあたり250ngの濃度で試験した。形質移入から24時間後に、G−CSFの発現をELISAによって測定し、結果を表33に示す。
表33.G−CSF mir122発現
実施例43. 肝細胞のmir−122結合部位を有する修飾された核酸の発現
翻訳の抑制および/または標的メッセンジャーRNAの分解によるマイクロRNA制御遺伝子の発現。G−CSF mRNAを含むMir−122結合部位を、肝細胞に翻訳による調節を行った。
初代ラットおよびヒト肝細胞およびHela細胞を、500μlの細胞培養培地中でウェル当たり200,000密度(InVitro GRO medium from Celsis、シカゴ、イリノイ州)に播種した。G−CSFのmRNA(G−CSFα)(配列番号6659に示されるmRNA配列、配列には示されていない約140ヌクレオチドのポリA尾部、5’キャップ、キャップ1)は5−メチルシチジンとプソイドウリジン(5mC/pU)3’UTR(G−CSF miR−122−1X)のmiR−122結合部位を有するG−CSF mRNA(配列番号6600に示されるmRNA、配列には示されていない約140ヌクレオチドのポリA尾部、5’キャップ、キャップ1)は5メチルシチジンおよびプソイドウリジン(5mC/pU)で完全修飾され、または削除された種(G−CSF種なし)を有する4つのmiR−122結合部位を有するG−CSF
mRNAで完全修飾され(配列番号6601に示されるmRNA配列、配列には示されていない約140ヌクレオチドのポリA尾部、5’キャップ、キャップ1)は、5−メチルシチジンとプソイドウリジン(5mC/pU)で完全修飾され、またはプソイドウリジン(pU)で完全修飾され、24ウェルプレート中、ウェルあたり250ngの濃度で試験した。形質移入から24時間後に、G−CSFの発現をELISAによって測定した。G−CSF薬剤(mRNA)レベルおよびタンパク質レベルを、表34に示す。
表34.G−CSF薬剤およびタンパク質レベル
実施例44.微小生理系
ポリヌクレオチド、一次構築物および/または本発明のmmRNAを、緩衝液、脂質ナノ粒子およびPLGA等の本明細書に記載される方法1つを使用して製剤化する。これらの製剤を、その後に投与するか、または国際公開番号WO2013086502号、WO2013086486号およびWO2013086505号(その各々の内容は参照により全体が本明細書に組み込まれる)に記載のように臓器チップから作成された微小生理系と接触させる。
実施例45. 非翻訳領域の翻訳エンハンサー要素(TEE)
シグナルセンサーポリヌクレオチドの5’および/または3’非翻訳領域(UTR)、一次構築物および/または本明細書に記載のmmRNAは、少なくとも1つの翻訳エンハンサー要素(TEE)を含むことができる。5’UTRおよび/または3’UTRに含むことができるそのようなTEEとして、限定されないが、表35に列挙したものが挙げられ、部分および/またはその断片を含む。TEE配列は、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%または99%以上の表35に開示されたTEE配列を含むことができ、および/またはTEE配列は、5〜30ヌクレオチド断片、5〜25ヌクレオチド断片、5〜20ヌクレオチド断片、5〜15ヌクレオチド断片、5〜10ヌクレオチド断片の表35に開示されたTEE配列を含みことができる。
表35.TEE配列
実施例46. miR−122で修飾された核酸のin vitro発現
翻訳抑制および/または標的メッセンジャーRNAの分解によるマイクロRNA遺伝子発現。ヒトまたはマウスのα−グロビン3’翻訳不可能領域(UTR)でのG−CSF mRNAおよび第IX因子mRNAの発現を、3’UTRのmiR−122配列を使用してヒト初代肝細胞において下方制御した。
初代ヒト肝細胞を、500μlの細胞培養培地(CelsisのInVitro GRO培地、シカゴ、イリノイ州)に、ウェル当り350000の密度で播種した。
ヒトα−グロビン3’UTR(G−CSF Hs3’UTR、配列番号7320に示されるmRNA配列、配列には示されていない約140ヌクレオチドのポリA尾部、5’キャップ、キャップ1)またはマウスα−グロビン3’UTR(G−CSF Mm3’UTR、配列番号7321に示されるmRNA配列、配列には示されていない約140ヌクレオチドのポリA尾部、5’キャップ、キャップ1)は、5−メチルシチジンおよび1−プソイドウリジンで完全修飾された。3’UTRにmiR−122配列を有するヒト3’UTRを含むG−CSF mRNA(G−CSF Hs3’UTR miR−122、配列番号7322に示されるmRNA配列、配列には示されていない約140ヌクレオチドのポリA尾部、5’キャップ、キャップ1)、または3’UTR中のmiR−122種配列(G−CSF Hs3’UTR miR−122種、配列番号7323に示されるmRNA配列、配列には示されていない約140ヌクレオチドのポリA尾部、5’キャップ、キャップ1)または3’UTRに種配列のないmiR−122配列(G−CSF Hs3’UTR miR−122種なし、配列番号7324に示されるmRNA配列、配列には示されていない約140ヌクレオチドのポリA尾部、5’キャップ、キャップ1)は、5−メチルシチジンおよび1−メチルプソイドウリジンで完全修飾された。3’UTRにmiR−122配列を有するマウス3’UTRを含むG−CSF mRNA(G−CSF Mm3’UTR miR−122、配列番号7325に示されるmRNA配列、配列には示されていない約140ヌクレオチドのポリA尾部、5’キャップ、キャップ1)、または3’UTR中のmiR−122種配列(G−CSF Mm3’UTR miR−122種、配列番号7326に示されるmRNA配列、配列には示されていない約140ヌクレオチドのポリA尾部、5’キャップ、キャップ1)または3’UTRに種配列がないmiR−122配列(G−CSF Mm3’UTR miR−122種なし、配列番号7327に示されるmRNA配列、配列には示されていない約140ヌクレオチドのポリA尾部、5’キャップ、キャップ1)は5−メチルシチジンおよび1−メチルプソイドウリジンで完全修飾された。
ヒトα−グロビン3’UTRを有する第IX因子mRNA(Factor IX Hs3’UTR、配列番号7328に示されるmRNA配列、配列には示されていない約140ヌクレオチドのポリA尾部、5’キャップ、キャップ1)またはマウスα−グロビン3’UTR(Factor IX Mm3’UTR、配列番号7329に示されるmRNA配列、配列には示されていない約140ヌクレオチドのポリA尾部、5’キャップ、キャップ1)は、5−メチルシチジンおよび1−メチルプソイドウリジンで完全修飾された。3’UTRにmiR−122配列を有するヒト3’UTRを含む第IX因子mRNA(Factor IX Hs3’UTR miR−122、配列番号7330に示されるmRNA配列、配列には示されていない約140ヌクレオチドのポリA尾部、5’キャップ、キャップ1)、または3’UTR中のmiR−122種配列(Factor IX Hs3’UTR miR−122種、配列番号7331に示されるmRNA配列、配列には示されていない約140ヌクレオチドのポリA尾部、5’キャップ、キャップ1)または3’UTRに種配列がないmiR−122配列(Factor IX Hs3’UTR miR−122種なし、配列番号7332に示されるmRNA配列、配列には示されていない約140ヌクレオチドのポリA尾部、5’キャップ、キャップ1)は、5−メチルシチジンおよび1−メチルプソイドウリジンで完全修飾された。3’UTRにmiR−122配列を有するマウス3’UTRを含む第IX因子mRNA(Factor IX Mm3’UTR miR−122、配列番号7333に示されるmRNA配列、配列には示されていない約140ヌクレオチドのポリA尾部、5’キャップ、キャップ1)、または3’UTR中のmiR−122種配列(Factor IX Mm3’UTR miR−122種、配列番号7334に示されるmRNA配列、配列には示されていない約140ヌクレオチドのポリA尾部、5’キャップ、キャップ1)または3’UTRに種配列がないmiR−122配列(Factor IX Mm3’UTR miR−122種なし、配列番号7335に示されるmRNA配列、配列には示されていない約140ヌクレオチドのポリA尾部、5’キャップ、キャップ1)は5−メチルシチジンおよび1−メチルプソイドウリジンで完全修飾された。
G−CSFまたは第IX因子mRNA配列を、24ウェルプレートにウェルあたり500ngの濃度で試験した。形質移入から24、48および72時間後に、タンパク質の発現をELISAで測定した。G−CSFのタンパク質レベルを表36に示し、第IX因子のタンパク質レベルを表37に示す。
表36.G−CSFタンパク質発現
表37.第IX因子タンパク質発現
実施例47. mir−142またはmiR−146結合部位で修飾された核酸のin vitro発現
HeLaおよびRAW264細胞をそれぞれ、100μlの細胞培養培地(DMEM+10%FBS)ウェル当り17000および80000の密度で播種した。
G−CSF mRNA(G−CSF、配列番号6595に示されるmRNA配列、配列には示されていない約140ヌクレオチドのポリA尾部、5’キャップ、キャップ1)は5−メチルシチジンおよび1−メチルプソイドウリジンで完全修飾された。
3’UTRにmiR−142−3p配列を有するG−CSF mRNA(G−CSF miR−142−3p、配列番号6634に示されるmRNA配列、配列には示されていない約140ヌクレオチドのポリA尾部、5’キャップ、キャップ1)、または3’UTR中のmiR−142−3p種配列(G−CSF miR−142−3p種、配列番号6636に示されるmRNA配列、配列には示されていない約140ヌクレオチドのポリA尾部、5’キャップ、キャップ1)または3’UTRに種配列がないmiR−142−3p配列(G−CSF miR−142−3p種なし、配列番号6638に示されるmRNA配列、配列には示されていない約140ヌクレオチドのポリA尾部、5’キャップ、キャップ1)は5−メチルシチジンおよび1−メチルプソイドウリジンで完全修飾された。
3’UTRにmiR−142−5p配列を有するG−CSF mRNA(G−CSF miR−142−5p、配列番号6628に示されるmRNA配列、配列には示されていない約140ヌクレオチドのポリA尾部、5’キャップ、キャップ1)、または3’UTR中のmiR−142−5p種配列(G−CSF miR−142−5p種、配列番号6630に示されるmRNA配列、配列には示されていない約140ヌクレオチドのポリA尾部、5’キャップ、キャップ1)または3’UTRに種配列がないmiR−142−5p配列(G−CSF miR−142−5p種なし、配列番号6632に示されるmRNA配列、配列には示されていない約140ヌクレオチドのポリA尾部、5’キャップ、キャップ1)は5−メチルシチジンおよび1−メチルプソイドウリジンで完全修飾された。
3’UTRにmiR−146a配列を有するG−CSF mRNA(G−CSF miR−146a、配列番号6640に示されるmRNA配列、配列には示されていない約140ヌクレオチドのポリA尾部、5’キャップ、キャップ1)、または3’UTR中のmiR−146a種配列(G−CSF miR−146a種、配列番号6642に示されるmRNA配列、配列には示されていない約140ヌクレオチドのポリA尾部、5’キャップ、キャップ1)もしくは3’UTRに種配列がないmiR−146a配列(G−CSF
miR−146a種なし、配列番号6644に示されるmRNA配列、配列には示されていない約140ヌクレオチドのポリA尾部、5’キャップ、キャップ1)は5−メチルシチジンおよび1−メチルプソイドウリジンで完全修飾された。
G−CSF mRNA配列のそれぞれを、各細胞型について24ウェルプレートにウェルあたり500ngの濃度で試験した。形質移入から24時間後、タンパク質の発現をELISAで測定し、タンパク質レベルを表38に示す。3’UTRのmiR−142−3p配列とのG−CSF配列は、RAW264のG−CSF発現を下方制御したが、3’UTRのmiR−142−5pまたはmiR−146a配列とのG−CSF配列はG−CSF発現を下方制御しなかった。
表38.G−CSF発現
実施例48. 修正された核酸の発現へのコザック配列の影響
HeLa細胞を100μlの細胞培養培地(DMEM+10%FBS)にウェルあたり17000の密度で播種した。IRES配列およびコザック配列を有するG−CSF mRNA(G−CSF IRES Kozak、配列番号7336に示されるmRNA配列、配列には示されていない約140ヌクレオチドのポリA尾部、5’キャップ、キャップ1)、IRES配列を有するがコザック配列を有さないG−CSF mRNA(G−CSF IRES、配列番号7337に示されるmRNA配列、配列には示されていない約140ヌクレオチドのポリA尾部、5’キャップ、キャップ1)、IRESもコザック配列も有さないG−CSF mRNA(GCSF no Kozak、配列番号7338に示されるmRNA配列、配列には示されていない約140ヌクレオチドのポリA尾部、5’キャップ、キャップ1)、またはコザック配列を有するG−CSF配列(G−CSF Kozak、配列番号7339に示されるmRNA配列、配列には示されていない約140ヌクレオチドのポリA尾部、5’キャップ、キャップ1)は5−メチルシチジンおよび1−メチルプソイドウリジンで完全修飾され、24ウェルプレートにウェルあたり75ngの濃度で試験を行った。形質移入から24時間後に、G−CSFの発現をELISAで測定し、結果を表39に示す。
表39.G−CSF発現
実施例49. MALAT1構築物
ヒトまたはマウスMALAT1配列で、G−CSFまたはmCherryをコードしている修飾mRNAおよび対応するcDNA配列を以下の表40に示す。表40では、各配列の開始コドンに下線を引き、MALAT1配列を太字にしている。
表40.MALAT1構築物
これらの修飾されたmRNA配列は、本明細書に記載の少なくとも一つの化学的修飾を含むことができる。G−CSFまたはmCherry修飾mRNA配列を、本明細書に記載および/または当技術分野に周知の方法を用いて、形質移入および/または投与の前に製剤化することができる。
G−CSFまたはmCherryをコードする修飾mRNA配列を、本明細書に開示の方法および/または当技術分野に周知の方法を使用して、様々な細胞型にin vitroの形質移入することができ、例えば、HEK293、HeLa、PBMCおよびBJ線維芽細胞および2013年6月27日に提出された同時係属中の米国仮出願第61/839903号(内容は参照により本明細書に取り込まれる)の表25に記載されているものが挙げられる。次に、細胞を本明細書に開示、および/または当技術分野周知の方法を用いて分析し、G−CSFまたはmCherryの濃度、および/または細胞生存率を決定する。
実施例50. 癌関連の標的
セプチン4は、対象の腫瘍関連ポリペプチドであり得る。目的の癌関連ポリペプチドをコードする遺伝子の名前と説明の他に、ENSEMBLトランスクリプトID(ENST)、ENSEMBLタンパク質ID(ENSP)を表41に示し、それぞれ適用可能な場合に存在し、最適化された配列番号(OPT.SEQ ID)が使用可能であるときに存在する。
表41.癌関連の標的
実施例51. 確認と化学修飾mRNAからのペプチド識別の確認
以下から産生されたタンパク質を含む細胞溶解物、以下、(a)アポトーシス誘導因子1、ミトコンドリアの短いアイソフォーム(AIFsh、遺伝子名AIFM1)修飾mRNA(配列番号6617(表42)に示されるmRNA配列、配列には示されていない約140ヌクレオチドのポリA尾部、5’キャップ、キャップ1)、(b)1(COMMD1)修飾mRNAを含む銅代謝(Murr1)領域(配列番号7491(表42)に示されるmRNA配列、配列には示されていない約140ヌクレオチドのポリA尾部、5’キャップ、キャップ1)、および(d)diablo、IAP結合性ミトコンドリアタンパク質(DIABLO)修飾mRNA(配列番号7494(表42)に示されるmRNA配列、配列には示されていない約140ヌクレオチドのポリA尾部、5’キャップ、キャップ1)、5−メチルシチジンおよびプソイドウリジン(5mCおよびpU)で完全修飾され、5−メチルシチジンと1−メチルプソイドウリジン(5mCおよび1mpU)で完全修飾され、2−チオウリジンで修飾された25%のウリジンおよび5−メチルシチジンで修飾された25%の2−シチジン(s2Uおよび5mC)、プソイドウリジン(pU)で完全修飾され、または1−メチルプソイドウリジン(1mpU)で完全修飾され、実施例31に記載されるように、定量的LC−MRMのLC−MS/MSを使用して評価した。表42.標的配列
評価されたタンパク質について同定したペプチド断片を表43に示す。
表43.タンパク質およびペプチド断片配列
実施例52. C.A.カスパーゼ3およびC.A.カスパーゼ6の検出
ヒト肺癌A549細胞を6ウェルに播種し、リポフェクタミン2000(Life Technologies)および5μgの構成的活性型(C.A.)カスパーゼ3mRNAを形質移入した(配列番号6619(表44)に示されるmRNA配列、配列には示されていない約140ヌクレオチドのポリA尾部、5’キャップ、キャップ1)または構成的活性型(C.A.)カスパーゼ6mRNA(配列番号7506(表44)に示されるmRNA配列、配列には示されていない約140ヌクレオチドのポリA尾部、5’キャップ、キャップ1)を形質移入し、当該修飾mRNAは、5メチルシチジンおよび1−メチルプソイドウリジン(5MCおよび1mpU)で完全修飾され、1−メチルプソイドウリジン(1mpU)で完全修飾された。細胞を、形質移入から7〜10時間後に収集し、プロテアーゼ阻害剤カクテル(Roche、インディアナポリス、インディアナ)を含むRIPA緩衝液に溶解した。レーンあたり20μgの細胞溶解物に、ウェスタンブロットを実行し、内因性および導入されたカスパーゼ3、内因性および導入されたカスパーゼ6、カスパーゼ3下流基質PARPおよびカスパーゼ6下流基板ラミンA/Cを検出した。対照の溶解物と比較して、C.A.カスパーゼ3およびC.A.カスパーゼ6修飾mRNAが形質移入された細胞に、それぞれ、高いレベルの切断されたカスパーゼ3および切断されたカスパーゼ6を検出した。図7に示すように、下流の基質のPARPおよびラミンA/Cの切断が、C.A.カスパーゼ3修飾mRNA(図7A)およびC.A.カスパーゼ6修飾mRNA(図7B)で処理した細胞で検出された。図7Aおよび7Bに示したウエスタンブロットの5つレーンは、1)形質移入されていないHeLa細胞、2)形質移入されていないA5495MC、3)A549のリポフェクタミンのみの対照、4)5mC、1mpU修飾mRNAを形質移入されたA549からの溶解物を含む。
表44.C.A.カスパーゼ配列
実施例53. 修飾C.A.カスパーゼ3およびC.A.カスパーゼ6mRNAの発現
培養ヒト肺腺癌A549細胞の活性を、WST−1基質(Roche、インディアナポリス、インディアナ州)のミトコンドリアデヒドロゲナーゼによって変換されたホルマザンを測定することによって評価した。96ウェルあたり7500の細胞を、様々な用量のリポフェクタミン2000リポプレックス化構成的活性型(C.A.)カスパーゼ3mRNA(配列番号6619(表44)に示されるmRNA、配列には示されていない約140ヌクレオチドのポリA尾部、5’キャップ、キャップ1)または構成的活性型(C.A.)カスパーゼ6mRNA(配列番号7506(表44)に示されるmRNA配列、配列には示されていない約140ヌクレオチドのポリA尾部、5’キャップ、キャップ1)は完全に1−メチルプソイドウリジン(5mCおよび1mpU)で完全修飾され、1−メチルプソイドウリジン(1mpU)もしくは対照タンパク質(eGFP(配列番号7507に示されるmRNA)で完全修飾され、配列には示されていない約140ヌクレオチドのポリA尾部、5’キャップ、キャップ1、5−メチルシチジンおよび1−メチルプソイドウリジン(5MCおよび1mpU)で完全修飾され、または1−メチルプソイドウリジン(1mpU)およびルシフェラーゼで完全修飾され、(配列番号7508に示されるmRNA配列、配列には示されていない約140ヌクレオチドのポリA尾部、5’キャップ、キャップ1、5−メチルシチジンおよび1−メチルプソイドウリジン(5MCおよび1mpU)で完全修飾され、または1−メチルプソイドウリジン(1mpU)で完全修飾された))の単回投与で処理した。細胞活性は、WST−1製造業者のプロトコルに従ってmRNAの処置から1日後に培養した細胞で測定し、バックグラウンドシグナルについて補正された変換されたホルマザンの450nmの吸光度の読み取りとしてプロットされる。表45に示すように、形質移入されたC.A.カスパーゼmRNA(0ng、2ng、10ng、50ngおよび250ng)の量が増加し、対照と比較して(細胞活性の読み出しのときに)光学密度(OD)シグナルを著しく阻害した。同様の結果が、ヒト肺腺癌H441細胞およびヒト子宮頸癌HeLa細胞で得られた。
表45.細胞活性
実施例54. MYC阻害剤で修飾されたmRNA
ヒト肝細胞癌HEP3B細胞を3×10
6細胞/ウェルの播種密度で6ウェルプレートに播種し、mRNAを形質移入したリポフェクタミン−2000は、5メチルシチジンおよび1−メチルプソイドウリジン(5MCおよび1mpU)で完全修飾され、または1−メチルプソイドウリジン(1mpU)で完全修飾され、以下をコードするように設計され、以下、蛍光タンパク質mCherry(配列番号に示されるmRNA配列6602、配列には示されていない約140ヌクレオチドのポリA尾部、5’キャップ、キャップ1)、非翻訳可能な第IX因子(配列番号7509に示されるmRNA配列、配列には示されていない約140ヌクレオチドのポリA尾部、5’キャップ、キャップ1)、完全長の野生型C−MYC配列番号に示される(配列番号7510に示されるmRNA配列、配列には示されていない約140ヌクレオチドのポリA尾部、5’キャップ、キャップ1)、MYC阻害剤A(配列番号7511(表46)に示されるmRNA配列、配列には示されていない約140ヌクレオチドのポリA尾部、5’キャップ、キャップ1)、MYC阻害剤B(配列番号7513(表46)に示されるmRNA配列、配列には示されていない約140ヌクレオチドのポリA尾部、5’キャップ、キャップ1)、MYC阻害剤C(配列番号7418(表46)に示されるmRNA配列、配列には示されていない約140ヌクレオチドのポリA尾部、5’キャップ、キャップ1)、MYC阻害剤D(配列番号7515(表46)に示されるmRNA配列、列には示されていない約140ヌクレオチドのポリA尾部、5’キャップ、キャップ1)。細胞を、形質移入から8時間後に収集し、溶解物を、プロテアーゼ阻害剤カクテル(Roche、インディアナポリス、インディアナ州)を含むRIPA溶解緩衝液を用いて作製した。BCAアッセイにより決定された等量の溶解物を、4〜12%のビス−トリス ゲルを介してSDS−PAGEにより溶解し、ニトロセルロースブロットに移動させ、適切な一次抗体および二次抗体でプローブした。ウエスタンブロットは、HEP3B細胞で、4つ修飾mRNA MYC阻害剤の陽性発現および全長C−MYCを明らかにした。
表46.MYC阻害剤配列
実施例55. MYC阻害剤で修飾されたmRNAの発現
Hep3B細胞を、2500細胞/ウェルの播種密度で96ウェルプレートに播種し、0、0.2nM、0.7nM、2nMまたは6nMの修飾mRNAを形質移入したリポフェクタミン2000は、1−メチルプソイドウリジン(1mpU)で完全修飾され、以下をコードするように設計され、以下、mCherry(配列番号6602に示されるmRNA配列、配列には示されていない約140ヌクレオチドのポリA尾部、5’キャップ、キャップ1)、非翻訳可能な第IX因子(配列番号7509に示されるmRNA配列、配列には示されていない約140ヌクレオチドのポリA尾部、5’キャップ、キャップ1)、完全長の野生型C−MYC(配列番号7510に示されるmRNA配列、配列には示されていない約140ヌクレオチドのポリA尾部、5’キャップ、キャップ1)、MYC阻害剤A(配列番号7511に示されるmRNA配列、配列には示されていない約140ヌクレオチドのポリA尾部、5’キャップ、キャップ1)、MYC阻害剤B(配列番号7513に示されるmRNA配列、配列には示されていない約140ヌクレオチドのポリA尾部、5’キャップ、キャップ1)、MYC阻害剤C(配列番号7515に示されるmRNA配列、配列には示されていない約140ヌクレオチドのポリA尾部、5’キャップ、キャップ1)およびMYC阻害剤D(配列番号6621に示されるmRNA配列、配列には示されていない約140ヌクレオチドのポリA尾部、5’キャップ、キャップ1)。細胞活性を、製造業者の指示(Roche、インディアナポリス、インディアナ州)に従ってWST−1を用いた形質移入から48時間後に測定した。吸光度の読み取りを、WST−1を添加してから4時間後に、450nm収集し、バックグラウンド補正された結果を表47に示す。阻害剤(MYC阻害剤A、MYC阻害剤B、MYC阻害剤C、およびMYC阻害剤D)のそれぞれの3つ最高濃度は、対照に比べ吸光度信号を減少させた。
表47.細胞の活動
実施例56. 修飾mRNAのin vivo発現
A. BALB/C ヌードマウス
BALB/cヌードマウスに、miR−122結合部位のない0.1ミリグラム/kgのルシフェラーゼ修飾mRNAを静脈投与し(「非標的mRNA」、配列番号7518に示されるmRNA、配列には示されていない約140ヌクレオチドのポリA尾部、5’キャップ、キャップ1、5−メチルシチジンおよび1−メチルプソイドウリジンで完全修飾された)、当該ルシフェラーゼ修飾mRNAは、表48に記載の脂質ナノ粒子、またはルシフェラーゼ修飾mRNAは、表49に記載の脂質ナノ粒子中に製剤化された3’UTRにmiR−122結合部位を有するルシフェラーゼ修飾mRNAで製剤化された(「miR−122標的mRNA」、配列番号7519に示されるmRNA配列、配列には示されていない約140ヌクレオチドのポリA尾部、5’キャップ、キャップ1、5メチルシチジンおよび1−メチルプソイドウリジンで完全修飾された)である。
表48.非標的mRNAの脂質ナノ粒子
表49.標的mRNAの脂質ナノ粒子
処置から24時間後、動物に麻酔をかけ、ルシフェラーゼ基質D−ルシフェリンを注射し、15分後に、生きている動物からの生物発光イメージング(BLI)をIVISイメージャーで評価した。シグナルが非標的mRNAを注射した動物から、およびmiR−122標的mRNAから得られ、表50に示す。miR 122標的mRNAで処理した動物の肝臓から産生される全体の光シグナルは、非標的mRNAより29倍低く、3’UTRの操作された要素が正常組織のタンパク質発現を阻害し得ることを示している。
表50.操作されたmiR122結合部位によって調整された修飾mRNAのin vivo発現
B. 肝細胞癌Hep3B細胞を有するBALB/cヌードマウス
BALB/cヌードマウスの肝臓内に、2×106の肝細胞癌HEP3B細胞を移植し、同所性腫瘍が24日間で増殖した。腫瘍を有するマウスに、miR−122結合部位のない0.1mg/kgのルシフェラーゼ修飾mRNAを静脈投与し、当該修飾mRNAは、(「非標的mRNA」、配列番号7518に示されるmRNA7518、配列には示されていない約140ヌクレオチドのポリA尾部、5’キャップ、キャップ1、5−メチルシチジンおよび1−メチルプソイドウリジンで完全修飾された)または3’UTRにmiR−122結合部位を有するルシフェラーゼ修飾mRNA(「miR−122標的mRNA」配列番号7519に示されるmRNA、配列には示されていない約140ヌクレオチドのポリA尾部、5’キャップ、キャップ1、5メチルシチジンおよび1−メチルプソイドウリジンで完全修飾された)であり、当該ルシフェラーゼ修飾mRNAは、表45に記載の脂質ナノ粒子中に製剤化された。処理から24時間後の動物に麻酔をかけ、ルシフェラーゼ基質D−ルシフェリンを注射し、20分後に、生きている動物からの生物発光イメージング(BLI)をIVISイメージャーで評価した。隣接する正常肝臓と比較して、同所性腫瘍からの信号を定量化、およびmiR−122標的mRNAは、正常肝臓と比較して腫瘍において2倍の濃縮にわたって達成された脂質ナノ粒子を介して、全身に送達された。
実施例57. mir−122配列で修飾された核酸
A. HeLa細胞
HeLa細胞を100μlの細胞培地(DMEM+10%FBS)中、ウェル当たり15,000の密度で播種した。3’UTRにmiR−122の配列を有するG−CSF mRNA(G−CSF miR122、配列番号7325に示されるmRNA配列、配列には示されていない約140ヌクレオチドのポリA尾部、5’キャップ、キャップ1、5−メチルシトシンおよび1−メチルプソイドウリジンで完全修飾された)または3’UTRに種配列のないmiR−122の配列を有するG−CSF mRNA配列(G−CSF種なし、配列番号7327に示されるmRNA、配列には示されていない約140ヌクレオチドのポリA尾部、5’キャップ、キャップ1、5−メチルシトシンおよび1−メチルプソイドウリジンで完全修飾)を、96ウェルプレート中、75ngのmRNAの濃度でウェル当たり0.3μlのリポフェクタミン2000を形質移入した。上清は形質移入後、16〜18時間の間に収集し、G−CSFの発現をELISAにより測定し、結果を表51に示す。
表51.HeLaのG−CSF細胞発現
B. 初代ヒトおよびラット肝細胞細胞
初代ヒトまたはラット肝細胞細胞を500μlの細胞培養培地中でウェルあたり350,000細胞の密度で播種した(in vitroGRO CPおよびInVitroGRO HI培地+2.2%のTorpedo Antibiotic Mix)。3’UTRにmiR−122の配列を有するG−CSF mRNA(G−CSF miR122、配列番号7520に示されるmRNA配列、配列には示されていない約140ヌクレオチドのポリA尾部、5’キャップ、キャップ1、5−メチルシトシンおよび1−メチルプソイドウリジンで完全修飾)または3’UTRにG−CSFの種配列のないmiR−122配列を有するG−CSF mRNA(G−CSF種なし、配列番号7521に示されるmRNA配列、配列には示されていない約140ヌクレオチドのポリA尾部、5’キャップ、キャップ1、5−メチルシトシンおよび1−メチルプソイドウリジンで完全修飾された)を、一次ヒト肝細胞および初代ラット肝細胞について24ウェルプレート中、ウェルあたり500ngのmRNAの濃度で、ウェル当たり1μlのリポフェクタミン2000を形質移入した。上清は形質移入後、16〜18時間の間に収集し、G−CSFの発現をELISAにより測定し、結果を表52に示す。mRNAのmir−122結合部位配列は、初代肝細胞のG−CSFタンパク質の発現の勢いを弱める。
表52.肝細胞のG−CSF発現
実施例58. mir−122配列を有する修飾された核酸の時間経過
A.HeLa細胞
HeLa細胞を100μlの細胞培地(DMEM+10%FBS)中、ウェル当たり17,000の密度で播種した。3’UTRにmiR−122配列を有さないG−CSF mRNA(G−CSF、配列番号7321に示されるマウス3’UTR mRNA配列、配列には示されていない約140ヌクレオチドのポリA尾部、5’キャップ、キャップ1。5−メチルシトシンおよび1−メチルプソイドウリジンで完全修飾され、配列番号7320に示されるヒト3’UTR mRNA配列、配列には示されていない約140ヌクレオチドのポリA尾部、5’キャップ、キャップ1、5−メチルシトシンおよび1−メチルプソイドウリジンで完全修飾された)、3’UTRにmiR−122配列を有するG−CSF mRNA(G−CSF miR122、配列番号7325に示される3’UTR mRNA配列、配列には示されていない約140ヌクレオチドのポリA尾部、5’キャップ、キャップ1、5−メチルシトシンおよび1−メチルプソイドウリジンで完全修飾され、配列番号7322に示されるヒト3’UTR mRNA配列、配列には示されていない約140ヌクレオチドのポリA尾部、5’キャップ、キャップ1、5−メチルシトシンおよび1−メチルプソイドウリジンで完全修飾された)、3’UTRにmiR−122種配列を有するG−CSF mRNA(G−CSF種、配列番号7326に示されるマウス3’UTR mRNA配列、配列には示されていない約140ヌクレオチドのポリA尾部、5’キャップ、キャップ1。5−メチルシトシンおよび1−メチルプソイドウリジンで完全修飾され、配列番号7323に示されるヒト3’UTR mRNA配列、配列には示されていない約140ヌクレオチドのポリA尾部、 5’キャップ、キャップ1、5−メチルシトシンおよび1−メチルプソイドウリジンで完全修飾された)、3’UTRに種配列のないmiR−122配列を有するG−CSF mRNA(G−CSF種なし、配列番号7327に示されるマウス3’UTR mRNA配列、配列には示されていない約140ヌクレオチドのポリA尾部、5’キャップ、キャップ1、5−メチルシトシンおよび1−メチルプソイドウリジンで完全修飾され、配列番号7324に示されるヒト3’UTR mRNA配列、配列には示されていない約140ヌクレオチドのポリA尾部、5’キャップ、キャップ、5−メチルシトシンおよび1−メチルプソイドウリジンで完全修飾)、3’UTRにmiR−122配列のない第IX因子mRNA(FIX、配列番号7329に示されるマウス3’UTR mRNA配列、配列には示されていない約140ヌクレオチドのポリA尾部、5’キャップ、キャップ1、5−メチルシトシンおよび1−メチルプソイドウリジンで完全修飾され、配列番号7328に示されるヒト3’UTR mRNA配列、配列には示されていない約140ヌクレオチドのポリA尾部、5’キャップ、キャップ1、5−メチルシトシンおよび1−メチルプソイドウリジンで完全修飾された)、3’UTRにmiR−122配列を有する第IX因子mRNA(FIX miR122、配列番号7333に示されるマウス3’UTR mRNA配列、配列には示されていない約140ヌクレオチドのポリA尾部、5’キャップ、キャップ1、5−メチルシトシンおよび1−メチルプソイドウリジンで完全修飾され、配列番号7330に示されるヒト3’UTR mRNA配列、配列には示されていない約140ヌクレオチドのポリA尾部、5’キャップ、キャップ1、5−メチルシトシンおよび1−メチルプソイドウリジンで完全修飾された)、3’UTRにmiR−122の種配列を有する第IX因子mRNA(FIX種、配列番号7334に示されるマウス3‘UTR mRNA配列、配列には示されていない約140ヌクレオチドのポリA尾部、5’キャップ、キャップ1、5−メチルシトシンおよび1−メチルプソイドウリジンで完全修飾され、配列番号7331に示されるヒト3’UTR mRNA配列、配列には示されていない約140ヌクレオチドのポリA尾部、5’キャップ、キャップ1、5−メチルシトシンおよび1−メチルプソイドウリジンで完全修飾された)または3’UTRに種配列のないmiR−122配列を有する第IX因子mRNA(FIX種なし、配列番号7335に示されるマウス3’ UTR mRNA配列、配列には示されていない約140ヌクレオチドのポリA尾部、5’キャップ、キャップ1、5−メチルシトシンおよび1−メチルプソイドウリジンで完全修飾され、配列番号7332に示されるヒト3’UTR mRNA配列、配列には示されていない約140ヌクレオチドのポリA尾部、5’キャップ、キャップ1、5−メチルシトシンおよび1−メチルプソイドウリジンで完全修飾された)を6ウェルプレートにウェル当たり75ngのmRNAの濃度でリポフェクタミン2000のウェルあたり0.3μlを形質移入した。上清を形質移入後16〜18時間の間に収集し、G−CSFまたは第IX因子の発現をELISAにより測定し、結果を表53に示す。
表53.HeLaの発現
B. 初代ヒトおよびラット肝細胞
初代ヒトまたはラット肝細胞細胞を、500μlの細胞培養培地中でウェルあたり350,000の細胞密度で播種した(in vitro GRO CPおよびInVitroGRO HI培地+2.2%のTorpedo Antibiotic)。3’UTRにmiR−122配列を有さないG−CSF mRNA(G−CSF、配列番号7321に示されるマウス3’UTR mRNA配列、配列には示されていない約140ヌクレオチドのポリA尾部、5’キャップ、キャップ1、5−メチルシトシンおよび1−メチルプソイドウリジンで完全修飾され、配列番号7320に示されるヒト3’UTR mRNA配列、配列には示されていない約140ヌクレオチドのポリA尾部、5’キャップ、キャップ1、5−メチルシトシンおよび1−メチルプソイドウリジンで完全修飾された)、3’UTRにmiR−122配列を有するG−CSF mRNA(G−CSF miR122、配列番号7325に示される3’UTR mRNA配列、配列には示されていない約140ヌクレオチドのポリA尾部、5’キャップ、キャップ1、5−メチルシトシンおよび1− メチルプソイドウリジンで完全修飾され、 配列番号7322に示されるヒト3’UTR mRNA配列、配列には示されていない約140ヌクレオチドのポリA尾部、
5’キャップ、キャップ1、5−メチルシトシンおよび1−メチルプソイドウリジンで完全修飾された)、3’UTRにmiR−122種配列を有するG−CSF mRNA(G−CSF種、配列番号7326に示されるマウス3’UTR mRNA配列、配列には示されていない約140ヌクレオチドのポリA尾部、5’キャップ、キャップ1。5−メチルシトシンおよび1−メチルプソイドウリジンで完全修飾され、配列番号7323に示されるヒト3’UTR mRNA配列、配列には示されていない約140ヌクレオチドのポリA尾部、5’キャップ、キャップ1、5−メチルシトシンおよび1−メチルプソイドウリジンで完全修飾された)、3’UTRに種配列のないmiR−122配列を有するG−CSF mRNA(G−CSF種なし、配列番号7327に示されるマウス3’UTR
mRNA配列、配列には示されていない約140ヌクレオチドのポリA尾部、5’キャップ、キャップ1、5−メチルシトシンおよび1−メチルプソイドウリジンで完全修飾され、配列番号7324に示されるヒト3’UTR mRNA配列、配列には示されていない約140ヌクレオチドのポリA尾部、5’キャップ、キャップ、5−メチルシトシンおよび1−メチルプソイドウリジンで完全修飾された)、3’UTRにmiR−122配列のない第IX因子mRNA(FIX、配列番号7329に示されるマウス3’UTR mRNA配列、配列には示されていない約140ヌクレオチドのポリA尾部、5’キャップ、キャップ1、5−メチルシトシンおよび1−メチルプソイドウリジンで完全修飾され、配列番号7328に示されるヒト3’UTR mRNA配列、配列には示されていない約140ヌクレオチドのポリA尾部、5’キャップ、キャップ1、5−メチルシトシンおよび1−メチルプソイドウリジンで完全修飾された)、3’UTRにmiR−122配列を有する第IX因子mRNA(FIX miR122、配列番号7333に示されるマウス3’ UTR mRNA配列、配列には示されていない約140ヌクレオチドのポリA尾部、5’キャップ、キャップ1、5−メチルシトシンおよび1−メチルプソイドウリジンで完全修飾され、配列番号7330に示されるヒト3’UTR mRNA配列、配列には示されていない約140ヌクレオチドのポリA尾部、5’キャップ、キャップ1、5−メチルシトシンおよび1−メチルプソイドウリジンで完全修飾)、第3’UTRにmiR−122の種配列を有するIX因子mRNA(FIX種、配列番号7334に示されるマウス3’UTR mRNA配列、配列には示されていない約140ヌクレオチドのポリA尾部、5’キャップ、キャップ1、5−メチルシトシンおよび1−メチルプソイドウリジンで完全修飾され、配列番号7331に示されるヒト3’UTR mRNA配列、配列には示されていない約140ヌクレオチドのポリA尾部、5’キャップ、キャップ1、5−メチルシトシンおよび1−メチルプソイドウリジンで完全修飾された)または3’UTRに種配列のないmiR−122配列を有する第IX因子mRNA(FIX種なし、配列番号7335に示されるマウス3’UTR mRNA配列、配列には示されていない約140ヌクレオチドのポリA尾部、5’キャップ、キャップ1、5−メチルシトシンおよび1−メチルプソイドウリジンで完全修飾され、配列番号7332に示されるヒト3’UTR mRNA配列、配列には示されていない約140ヌクレオチドのポリA尾部、5’キャップ、キャップ1、5−メチルシトシンおよび1−メチルプソイドウリジンで完全修飾された)を一次ヒト肝細胞および初代ラット肝細胞について24ウェルプレート中、ウェルあたり500ngの濃度でウェル当たり1μlのリポフェクタミン2000を形質移入した。上清を形質移入後、24時間、48時間、72時間で採取し、G−CSFおよび第IX因子の発現をELISAにより測定し、結果を表54に示す。mRNA中のmir−122結合部位の配列は、初代肝細胞の第IX因子タンパク質の発現を減衰させた。
表54.肝細胞のG−CSF発現
実施例59. 癌細胞にmir−122配列を有する修飾された核酸の時間経過
A. miR−122のベースレベル
ヒト肝細胞、ラット肝細胞、ヒト肝細胞癌細胞(HEP3B)およびHeLa細胞のmir−122の基準レベルは、製造業者のプロトコルを使用して、TAQMAN(登録商標)分析により決定した。レベルをU6に正規化し、その結果を表55に示す。
表55.様々な細胞型のmiR−122レベル
B. 初代ヒト肝細胞およびHEP3B細胞
初代ヒト肝細胞を、100μlの細胞培養培地中にウェルあたり50,000細胞の密度で播種した(in vitro GRO CPおよびInVitroGRO HI培地+2.2%Torpedo Antibiotic Mix)およびHEP3B細胞を、100μlの細胞培養培地MEM+10%FBSでウェルあたり20,000細胞の密度で播種した。3’UTRにmiR−122配列を有さないG−CSF mRNA(G−CSF、配列番号7320に示されるマウス3’UTR mRNA配列、配列には示されていない約140ヌクレオチドのポリA尾部、5’キャップ、キャップ1、5−メチルシトシンおよび1−メチルプソイドウリジンで完全修飾された)、3’UTRにmiR−122配列を有するG−CSF mRNA(G−CSF miR122、配列番号7322に示されるmRNA配列、配列には示されていない約140ヌクレオチドのポリA尾部、5’キャップ、キャップ1、5−メチルシトシンおよび1−メチルプソイドウリジンで完全修飾された)、3’UTRにmiR−122の種配列を有するG−CSF mRNA(G−CSF種、配列番号7323に示されるmRNA配列、配列には示されていない約140ヌクレオチドのポリA尾部、5’キャップ、キャップ1、5−メチルシトシンおよび1−メチルプソイドウリジンで完全修飾された)または3’UTRに種配列のないmiR−122配列を有するG−CSF mRNA(G−CSF種なし、配列番号7324に示されるmRNA配列、配列には示されていない約140ヌクレオチドのポリA尾部、5’キャップ、キャップ1、5−メチルシトシンおよび1−メチルプソイドウリジンで完全修飾された)を6ウェルプレートにウェル当たり75ngのmRNAの濃度で、ウェルあたり0.3μlのリポフェクタミン2000を形質移入した。上清を形質移入後、24時間、48時間、72時間で採取し、G−CSFの発現をELISAにより測定し、結果を表56に示す。mRNA中のmir−122結合部位の配列は、初代ヒト肝細胞ではG−CSFタンパク質の発現が減衰したが、HEP3B細胞では減衰しなかった。
表56.G−CSF発現
実施例60. mir−142 3p配列を有する修飾された核酸の時間経過
A. miR−143 3pのベースレベル
RAW264.7細胞およびHeLa細胞のmiR−142 3pのベースレベルは、製造業者のプロトコルを使用して、TAQMAN(登録商標)分析により決定した。レベルをU6に正規化し、その結果を表57に示す。
表57.種々の細胞型におけるmiR−142 3pのレベル
B. HeLaおよびRAW264.7細胞
HeLa細胞を、100μlの細胞培養培地DMEM+10%FBSに、ウェル当たり17,000の密度で播種し、RAW264.7細胞を100μlの細胞培養培地DMEM+10%FBSに、ウェル当たり200,000密度で播種した。3’UTRにmiR−142 3p配列を有さないG−CSF mRNA(G−CSF、配列番号7522に示されるmRNA配列、配列には示されていない約140ヌクレオチドのポリA尾部、5’キャップ、キャップ1、5−メチルシトシンおよび1−メチルプソイドウリジンで完全修飾された)、3’UTRにmiR−142 3p配列を有するG−CSF mRNA(G−CSF miR−142 3p、配列番号7523に示すmRNA配列、配列には示されていない約140ヌクレオチドのポリA尾部、5’キャップ、キャップ1、5−メチルシトシンおよび1−メチルプソイドウリジンで完全修飾された)、3’UTRにmiR−142 3pの種配列を有するG−CSF mRNA(G−CSF種、配列番号7524に示すmRNA配列、配列には示されていない約140ヌクレオチドのポリA尾部、5’キャップ、キャップ1、5−メチルシトシンおよび1−メチルプソイドウリジンで完全修飾された)または3’UTRに種配列のないmiR−142 3p配列を有するG−CSF mRNA(G−CSF種なし、配列番号7525に示されるmRNA配列、配列には示されていない約140ヌクレオチドのポリA尾部、5’キャップ、キャップ、5−メチルシトシンおよび1−メチルプソイドウリジンで完全修飾)を、HeLaについては、96ウェルプレート中、ウェルあたり75ngのmRNA濃度で、ウェル当たり0.3μlのリポフェクタミン2000を播種し、または、RAW264.7については、24ウェルプレート中、ウェルあたり250ngのmRNA濃度で、ウェル当たり1μlのリポフェクタミン2000を播種した。上清は形質移入後、16〜18時間の間に収集し、G−CSFの発現をELISAにより測定し、結果を表58に示す。G−CSFのmiR−142 3p部位が、RAW264.7細胞ではG−CSFの発現を下方制御することが示された。
表58.発現
C. RAW264.7細胞の時間経過
RAW264.7細胞を、100μlの細胞培地(DMEM+10%FBS)中、ウェルあたり60,000細胞の密度で播種した。3’UTRにmiR−142 3p配列を有さないG−CSF mRNA(G−CSF、配列番号7522に示されるmRNA配列、配列には示されていない約140ヌクレオチドのポリA尾部、5’キャップ、キャップ1、5−メチルシトシンおよび1−メチルプソイドウリジンで完全修飾)、3’UTRにmiR−142 3p配列を有するG−CSF mRNA(G−CSF miR142 3p、配列番号7523に示されるmRNA配列、配列には示されていない約140ヌクレオチドのポリA尾部、5’キャップ、キャップ1、5−メチルシトシンおよび1−メチルプソイドウリジンで完全修飾)、3’UTRにmiR−142 3pの種配列を有するG−CSF mRNA(G−CSF種、配列番号7524に示すmRNA配列、配列には示されていない約140ヌクレオチドのポリA尾部、5’キャップ、キャップ1、5−メチルシトシンおよび1−メチルプソイドウリジンで完全修飾された)または3’UTRも種配列のないmiR−142 3p配列を有するG−CSF mRNA(G−CSF種なし、配列番号7525に示されるmRNA配列、配列には示されていない約140ヌクレオチドのポリA尾部、5’キャップ、キャップ1、5−メチルシトシンおよび1−メチルプソイドウリジンで完全修飾)を96ウェルプレートに、ウェル当たり75ngのmRNAの濃度で、ウェルあたり0.3μlのリポフェクタミン2000を形質移入した。上清を形質移入後、24時間、48時間、72時間で採取し、G−CSFの発現をELISAにより測定し、結果を表59に示す。mRNA中のmiR−142 3p結合部位配列は、経時的に、RAW264.7細胞のG−CSFの強力な発現を抑制することを示した。表59.G−CSF発現
D. PBMCのmiR−142 3p
末梢血単核細胞(PBMC)を100μlの細胞培養培地中のウェルあたり150,000細胞の密度で播種した(Opti−MEMおよび形質移入後10%FBSを追加)。3’UTRにmiR−142 3pの配列を有するG−CSF mRNA(G−CSF miR142 3p、配列番号7523に示されるmRNA配列、配列には示されていない約140ヌクレオチドのポリA尾部、5’キャップ、キャップ1、5−メチルシトシンおよび1−メチルプソイドウリジンで完全修飾)、3’UTRにmiR−142 3pの種配列を有するG−CSF mRNA(G−CSF種、配列番号7524に示すmRNA配列、配列には示されていない約140ヌクレオチドのポリA尾部、5’キャップ、キャップ1、5−メチルシトシンおよび1−メチルプソイドウリジンで完全修飾)または3’UTRに種配列がないmiR−142 3pを有するG−CSF mRNA(G−CSF種なし、配列番号7525に示されるmRNA、配列には示されていない約140ヌクレオチドのポリA尾部、5’キャップ、キャップ1、5−メチルシトシンおよび1−メチルプソイドウリジンで完全修飾)を、2つまたは3つのドナーのために、96ウェルプレート中のウェルあたり500ngのmRNAの濃度で、ウェルあたり0.4μlのリポフェクタミン2000を3つ組で形質移入した。上清を形質移入後24時間で回収し、G−CSFの発現は、ELISAによって測定した。2つのドナーについての結果を、表60に示し、3つのドナーについての結果を表61に示す。mRNA中のmiR−142 3p結合部位配列は、ヒトPBMCでG−CSFの発現を下方制御することを示した。
表60.PBMC発現(2つのドナー)
表61.PBMC発現(3つのドナー)
その他の実施形態
使用されている言葉は、説明するためにあり、限定するものではなく、そのより広い態様で、本発明の真の範囲および精神から逸脱することなく、変更が添付の特許請求の範囲内でなされ得ることを理解されたい。
本発明は、いくつかの記載の実施形態に関して、いくらかの長さで、いくらかの具体性をもって説明してきたが、任意の詳細または実施形態または特定の実施形態に限定されることを意図せず、先行技術の観点で当該請求項を可能な限り広く解釈するため、したがって、本発明の意図する範囲を効果的に包含するために、添付の特許請求の範囲を参照して解釈されるべきものである。
本明細書で言及される全ての刊行物、特許出願、特許、および他の参考文献は、参照によりその全体が組み込まれる。矛盾する場合、定義を含む本明細書が制御する。さらに、セクションの見出し、材料、方法、および実施例は単なる例示であり、限定することを意図するものではない。