JP2014501097A - 生物由来物質の産生を高めるための組成物及び方法 - Google Patents

生物由来物質の産生を高めるための組成物及び方法 Download PDF

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Abstract

本発明は、宿主細胞から生物由来物質を産生するための組成物及び方法を提供する。種々の実施形態において、生物由来物質は、ポリペプチド、代謝産物、機能性食品、化学中間体、バイオ燃料、食品添加物、又は抗生物質である。一つの態様において、本発明は、宿主細胞から生物由来物質を産生する方法を提供する。この方法は、一般的に、宿主細胞をRNAエフェクター分子(その一部分は、標的遺伝子と相補的である)と接触させ、宿主細胞を大規模バイオリアクター内で標的遺伝子の発現を調節するのに十分な時間保持し(この場合、前記調節は、前記細胞の生物由来物質の産生を高める)及び生物由来物質を前記細胞から単離することを含む。

Description

関連出願
本出願は、Maraganoreらによって、生物由来物質の産生を高めるための組成物及び方法(COMPOSITIONS AND METHODS FOR ENHANCING PRODUCTION OF A BIOLOGICAL PRODUCT)という名称で、2009年7月6日付けで出願された米国仮特許出願第61/223,370号、Maraganoreらによって、生物由来物質の産生を高めるための組成物及び方法(COMPOSITIONS AND METHODS FOR ENHANCING PRODUCTION OF A BIOLOGICAL PRODUCT)という名称で、2009年9月22日付けで出願された米国仮特許出願第61/244,868号、Manoharanらによって、治療薬の送達のための新規な脂質及び組成物(NOVEL LIPIDS AND COMPOSITIONS FOR THE DELIVERY OF THERAPEUTICS)という名称で、2009年12月7日付けで出願された米国仮特許出願第61/267,419号、Manoharanらによって、核酸送達のための荷電脂質及び組成物(CHARGED LIPIDS AND COMPOSITIONS FOR NUCLEIC ACID DELIVERY)という名称で、2010年5月13日付けで出願された米国仮特許出願第61/334,398号、Rossomandoらによって、生物由来物質の産生を高めるための組成物及び方法(COMPOSITIONS AND METHODS FOR ENHANCING PRODUCTION OF A BIOLOGICAL PRODUCT)という名称で、2010年1月11日付けで出願された米国仮特許出願第61/293,980号、Rossomandoらによって、細胞に基づいたバイオプロセシング(CELL−BASED BIOPROCESSING)という名称で、2010年3月31日付けで出願された米国仮特許出願第61/319,589号、及びRossomandoらによって、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞トランスクリプトーム、対応するsiRNA及びその使用(CHINESE HAMSTER OVARY (CHO) CELL TRANSCRIPTOME,CORRESPONDING SIRNAS AND USES THEREOF)という名称で、2010年6月15日付けで出願された米国仮特許出願第61/354,932号の利益を請求し、これらの出願のそれぞれは、参照することにより本明細書で完全に援用される。
(配列に関する言及)
本明細書は、配列表を最初に出願された主題の一部として含む。配列番号1〜3,290,939の配列表は、本明細書において電子フォーマットで、ファイル名「51058066.TXT」として「CRF」、「COPY 1」、「COPY 2」及び「COPY 3」とラベルを貼った4枚のコンパクトディスク(CD−R)で提供され、本出願においてこれらの全体を参照することによって本明細書で援用される。
本出願は、プリントされた紙コピーの代わりにCD−Rで提出された「長い」配列表を含み、該配列表は、その全体を参照することによって本明細書で援用される。2010年7月1日付けで記録された前記CD−Rは、「CRF」、「Copy 1」、「Copy 2」及び「Copy 3」それぞれとしてラベルが貼られ、それぞれは、一つの同じ774,635KBのファイル(51058066.TXT)だけを含む。
本発明は、一般的にはバイオプロセシングの分野に関し、さらに詳しくは宿主細胞を標的遺伝子の発現を調節できるRNAエフェクター分子と接触させることによって宿主細胞において生物由来物質を産生するための方法であって、前記調節が生物由来物質の産生を高める方法に関する。また、本発明は、一般的にはトランスクリプトーム、組織的なトランスクリプトーム、並びに細胞において生体分子産生の標的とされる調節を設計するためにトランスクリプトームを使用するシステム及び方法に関する。さらにまた、本発明は、生体分子のより効果的及び効率的な産生のための工学細胞及び細胞株に関する。本発明はまた、前記方法を実施するのに有用な分子、組成物、細胞、及びキット並びに前記方法によって産生される生物由来物質に関する。
細胞培養技術は、種々様々な生物由来物質、例えば生物医薬、バイオ燃料、代謝産物、ビタミン類及び機能性食品を製造するのに使用される。工業規模生産を促進し及び製品の品質及び一致性について適用規格を満たすことを目的として、多数の方法が、細胞培養バイオプロセスの生産性、収量、効率及びその他の面を高めるために開発されている。細胞培養バイオプロセスを最適化するための伝統的な方法は、物理的及び生化学的パラメータ、例えば培地(例えば、pH、養分)及び条件(例えば、温度、期間)を調整すること並びに所望の表現型を有する宿主細胞を選択することを伴う。遺伝学的方法もまた、組換えDNAを宿主細胞に導入することによって細胞培養バイオプロセスを最適化するために開発されており、この場合に前記DNAは、生物由来物質の産生に影響を及ぼす外来性タンパク質をコードするか又は生物由来物質の産生に影響を及ぼす内在性タンパク質の発現を調節する。しかし、このような方法は、費用がかかり、時間のかかる実験室操作を必要とし、ある種の遺伝子、タンパク質、宿主細胞及び生物由来物質と適合しないものであり得る。従って、当該技術において、種々様々な宿主細胞及び生物由来物質に関係する細胞培養バイオプロセスを最適化するための新規な遺伝学的方法の必要性がある。
最近、生物学的産生のための宿主細胞が、生物由来物質の産生に影響を及ぼす遺伝子のサイレンシングのためにshRNAを発現するゲノム遺伝子に組み込むために修飾されている。しかし、これらの場合には、産生物の収量は、宿主細胞の生存率を低下させるshRNAの制御されない、意図されない発現のために、調節することが困難であると判明している。また、shRNAを組み込む方法も、時間のかかる細胞工学を必要とする。さらにまた、制御されない発現は、最終的に表現型の変化を招き、時間外に、発現されたshRNAのための遺伝子を有する宿主細胞は、任意の有意な収量でその生物由来物質を産生する能力を失う。
例えば、チャイニーズハムスター(Cricetulus griseus)卵巣(CHO)細胞が、種々のバイオプロセスで広く使用されているが、これらの細胞での遺伝子発現についてはまだ比較的わずかしか知られていない、従って、これらの細胞におけるバイオプロセスの標的とした及びインテリジェントな調節は、容易に、行うことができない又は設計することができない。従って、当該技術において、種々様々な宿主細胞、例えばCHO細胞、及びこれらの細胞において産生される生物由来物質に関係する細胞培養バイオプロセスを最適化するための新規な遺伝学的方法の必要性がある。
本発明は、少なくとも部分的には、宿主細胞によって産生される生物由来物質の品質及び量を大規模な細胞株の操作を必要とせずに向上させることができるように、RNAエフェクター分子を、培養において細胞に低濃度で適用して遺伝子発現の効果のある永続的な調節を行うことができるという意外な発見に基づく。従って、第一の態様において、本発明は、宿主細胞から生物由来物質を産生させるための組成物及び方法を提供する。種々の実施形態において、生物由来物質は、ポリペプチド、代謝産物、機能性食品、化学中間体、バイオ燃料、食品添加物又は抗生物質である。特定の実施形態において、生物由来物質は、ポリペプチドである。
別の態様において、本発明は、宿主細胞から生物由来物質を産生させるための方法を提供する。この方法は、一般的に、宿主細胞を、RNAエフェクター分子(その一部分は、標的遺伝子と相補的である)と接触させ、大規模バイオリアクターにおいて宿主細胞を、標的遺伝子の発現を調節するのに十分な時間保持する(この場合に、前記調節は、宿主細胞から生物由来物質の産生を高める)ことを含む。一つの実施形態において、この方法は、さらに、生物由来物質を宿主細胞から単離することを含む。
一つの実施形態において、RNAエフェクター分子は、標的遺伝子の発現を一時的に調節する。別の実施形態において、RNAエフェクター分子は、標的遺伝子の発現を一時的に抑制する。
別の実施形態において、宿主細胞は、動物細胞、植物細胞、昆虫細胞、又は真菌細胞である。一つの実施形態において、動物細胞は、哺乳動物細胞である。別の実施形態において、哺乳動物細胞は、ヒト細胞、齧歯類動物細胞、イヌ細胞、又は非ヒト霊長類動物細胞である。特定の実施形態において、宿主細胞は、チャイニーズハムスター卵巣から誘導される細胞である。別の特定の実施形態において、宿主細胞は、MDCK細胞である。別の実施形態において、宿主細胞は、生物由来物質又はウイルス受容体をコードする導入遺伝子を含有する。
一つの実施形態において、宿主細胞を、複数の異なるRNAエフェクター分子と接触させる。前記複数のRNAエフェクター分子は、単一の標的遺伝子又は多数の標的遺伝子の発現を調節するのに使用できる。
別の実施形態において、前記組成物は、本明細書に記載の投与計画に従って、例えば6時間、12時間、24時間、36時間、48時間、72時間、84時間、96時間、108時間又はそれ以上の頻度で細胞に投与するために製剤される。前記組成物の投与は、一つ又はそれ以上の細胞増殖期、例えば誘導期、初期対数期、中期対数期、後期対数期、定常期又は死滅期の間に維持することができる。
別の実施形態において、別個の標的遺伝子に指向する2つ又はそれ以上のRNAエフェクター分子を含有する組成物が、培養細胞において第一の標的遺伝子及び少なくとも第二の標的遺伝子の発現を調節することによって細胞培養において生物由来物質の産生を高めるのに使用される。別の実施形態において、同じ標的遺伝子に指向する2つ又はそれ以上のRNAエフェクター分子を含有する組成物が、培養細胞において標的遺伝子の発現を調節することによって細胞培養において生物由来物質の産生を高めるのに使用される。
別の実施形態において、第一のRNAエフェクター分子が、培養細胞に投与され、次いで第二のRNAエフェクター分子が、前記細胞に投与される(又は逆の場合も同様)。別の実施形態において、第一及び第二のRNAエフェクター分子が、培養細胞に実質的に同時に投与される。
一つの実施形態において、RNAエフェクター分子が、生物由来物質の産生を可能にする条件下で細胞を保持するのに使用される細胞培地に加えられる。RNAエフェクター分子は、異なる時間で又は同時に加えることができる。一つの実施形態において、異なるRNAエフェクター分子の一つ又はそれ以上が、例えば連続平均抑制率又はRNAエフェクター分子濃度を維持するために、細胞培養培地に連続注入によって加えられる。別の実施形態において、異なるRNAエフェクター分子の一つ又はそれ以上が、例えば最小平均抑制率又はRNAエフェクター分子濃度を維持するために、細胞培養培地に連続注入によって加えられる。一つの実施形態において、連続注入は、少なくとも一つの標的遺伝子について所定の平均抑制率を達成する速度で投与される。一つの実施形態において、連続注入は、異なる時間、例えば1時間、2時間、3時間、4時間、8時間、16時間、18時間、24時間、48時間、72時間又はそれ以上行われる(これは、反復することができる)。複数の異なるRNAエフェクター分子を施用する場合には、前記複数のRNAエフェクター分子のそれぞれは、同じ頻度で又は異なる頻度で加えることができる。前記複数の異なるRNAエフェクター分子は、同じ濃度で又は異なる濃度で加えることができる。いくつかの実施形態において、細胞とRNAエフェクター分子の最後の接触は、生物由来物質の単離又は上清を収穫する少なくとも24時間前、48時間前、72時間前、120時間又はそれ以上前である。
一般的に、RNAエフェクター分子は、200nM以下(例えば、100nM、80nM、50nM、20nM、10nM、1nM以下)の所定の濃度で加えられる。本明細書に記載のように、低濃度のRNAエフェクター分子が、大規模バイオプロセシングにおいて効率的に標的遺伝子を調節するために使用できる。低濃度のRNAエフェクター分子を使用することについて、顕著な経済的及び商業的利点(例えば、より低いコスト及びより容易な除去)がある。従って、一つの実施形態において、細胞は、RNAエフェクター分子と100nM以下、50nM以下、20nM以下、10nM以下、5nM以下又は1nM以下の濃度で接触させる。特定の実施形態において、一つ又はそれ以上のRNAエフェクター分子が、細胞培養培地に、増殖期及び/又は産生期の間に1nMの最終濃度で少なくとも1回(例えば、少なくとも2回、少なくとも3回、少なくとも4回又はそれ以上)投与される。
さらに別の実施形態において、RNAエフェクター分子は、異なるRNAエフェクター分子のそれぞれの所定の開始濃度で(例えば、1nMそれぞれで)加えられ、さらにRNAエフェクター分子の連続注入で補充される。
細胞と接触させるべきRNAエフェクター分子は、細胞内への取り込み及び送達を促進する製剤に組み込むことができる。異なるRNAエフェクター分子の一つ又はそれ以上は、細胞を、RNAエフェクター分子及びRNAエフェクター分子の取り込みを促進する試薬、例えば、エマルジョン、陽イオン性脂質、非陽イオン性脂質、荷電脂質、リポソーム、陰イオン性脂質、浸透促進剤、トランスフェクション試薬、又は結合のためのRNAエフェクター分子に対する修飾、例えばリガンド、標的部分、ペプチド、親油性基などと接触させることによって加えることができる。
特定の実施形態において、脂質製剤が、RNAエフェクター分子組成物に、RNAエフェクター分子の取り込みを促進する試薬として加えられる。特定の実施形態において、脂質製剤は、本明細書に記載のようなLNP製剤、LNP01製剤、XTC−SNALP製剤又はSNALP製剤であることができる。関連する実施形態において、XTC−SNALP製剤は、次の通りであり:2,2−ジリノレイル−4−ジメチルアミノエチル−[1,3]−ジオキソラン(XTC)を、XTC/DPPC/コレステロール/PEG−cDMAが57.1/7.1/34.4/1.4の比率で及び約7の脂質:siRNA比率で使用する。さらに別の関連する実施形態において、RNAエフェクター分子は、dsRNAであり、次の通り:2,2−ジリノレイル−4−ジメチルアミノエチル−[1,3]−ジオキソラン(XTC)を、XTC/DPPC/コレステロール/PEG−cDMAが57.1/7.1/34.4/1.4の比率で及び約7の脂質:siRNA比率で使用してXTC−SNALP製剤に製剤化される。あるいは、RNAエフェクター分子、例えば本明細書に記載のRNAエフェクター分子は、次の通り:XTC/DSPC/Chol/PEG2000−C14を50/10/38.5/1.5モル%の比率で及び約11:1の脂質:siRNAの比率で使用してLNP09製剤に製剤化することができる。いくつかの実施形態において、RNAエフェクター分子は、次の通り:MC3/DSPC/Chol/PEG2000−C14を50/10/38.5/1.5モル%の比率で及び約11:1の脂質:siRNAの比率で使用してLNP11製剤に製剤化される。さらに別の実施形態において、RNAエフェクター分子は、LNP09製剤又はLNP11製剤に製剤化され、PBS対照群に比べて、標的遺伝子mRNA量を0.3mg/kgの用量で約85〜90%減少させる。さらに別の実施形態において、RNAエフェクター分子は、LNP09製剤又はLNP11製剤に製剤化され、PBS対照群に比べて、標的遺伝子mRNA量を0.1mg/kgの用量で約50%減少させる。さらに別の実施形態において、RNAエフェクター分子は、LNP09製剤又はLNP11製剤に製剤化され、標的遺伝子タンパク質量を、ウェスタンブロットによって測定されるようにPBS対照群に比べて用量に依存した方法で低下させる。さらに別の実施形態において、RNAエフェクター分子は、次の通り:DlinDMAをDLinDMA/DPPC/コレステロール/PEG2000−cDMAが57.1/7.1/34.4/1.4の比率で及び約7の脂質:siRNA比率で使用してSNALP製剤に製剤化される。
いくつかの実施形態において、脂質製剤は、次式:
Figure 2014501097
{式中:
及びRは、それぞれの存在についてそれぞれ独立して、場合により置換されていてもよいC10〜C30アルキル、場合により置換されていてもよいC10〜C30アルコキシ、場合により置換されていてもよいC10〜C30アルケニル、場合により置換されていてもよいC10〜C30アルケニルオキシ、場合により置換されていてもよいC10〜C30アルキニル、場合により置換されていてもよいC10〜C30アルキニルオキシ、又は場合により置換されていてもよいC10〜C30アシルであり;
Figure 2014501097
は、LとLの間の結合を表し、この結合は:
(1)Lの一つの原子とLの一つの原子の間の単結合であり〔この場合、
は、C(R)、O、S又はN(Q)であり;
は、−CR−、−O−、−S−、−N(Q)−、=C(R)−、−C(O)N(Q)−、−C(O)O−、−N(Q)C(O)−、−OC(O)−、又は−C(O)−である〕;
(2)Lの一つの原子とLの一つの原子の間の二重結合であり〔この場合、
は、Cであり;
は、−CR=、−N(Q)=、−N−、−O−N=、−N(Q)−N=、又は−C(O)N(Q)−N=である〕;
(3)Lの第一の原子とLの第一の原子の間の単結合、及びLの第二の原子とLの第一の原子の間の単結合であり〔この場合、
は、Cであり;
は、次式:
Figure 2014501097
を有し、式中のXは、Lの第一の原子であり、Yは、Lの第二の原子であり、−−−−−は、Lの第一の原子に対する単結合を表し、並びにX及びYは、それぞれ独立して、−O−、−S−、アルキレン、−N(Q)−、−C(O)−、−O(CO)−、−OC(O)N(Q)−、−N(Q)C(O)O−、−C(O)O、−OC(O)O−、−OS(O)(Q)O−、及び−OP(O)(Q)O−からなる群から選択され;
及びZは、それぞれ独立して、−O−、−S−、−CH−、−CHR−、又は−CR−であり;
は、CH又はNであり;
は、CH又はNであり;
あるいは、ZとZは、一緒になって、単一のC原子であり;
及びAは、それぞれ独立して、−O−、−S−、−CH−、−CHR−、又は−CR−であり;
それぞれのZは、N、C(R)、又はC(R)であり;
kは、0、1、又は2であり;
それぞれのmは、独立して0〜5であり;
それぞれのnは、独立して0〜5であり;
この場合に、mとnは、一緒になって3、4、5、6、7又は8員環を生じる〕;
(4)Lの第一の原子とLの第一の原子の間の単結合、及びLの第一の原子とLの第二の原子の間の単結合であり〔この場合に、
(A)Lは、次式:
Figure 2014501097
を有し、式中のXは、Lの第一の原子であり、Yは、Lの第二の原子であり、−−−−−は、Lの第一の原子に対する単結合を表し、並びにX及びYは、それぞれ独立して、−O−、−S−、アルキレン、−N(Q)−、−C(O)−、−O(CO)−、−OC(O)N(Q)−、−N(Q)C(O)O−、−C(O)O、−OC(O)O−、−OS(O)(Q)O−、及び−OP(O)(Q)O−からなる群から選択され;
は、CH又はNであり;
は、CH又はNであり;
あるいは、TとTは、一緒になって、C=Cであり;
は、CRであるか;又は
(B)Lは、次式:
Figure 2014501097
を有し、式中のXは、Lの第一の原子であり、Yは、Lの第二の原子であり、−−−−−は、Lの第一の原子に対する単結合を表し、並びにX及びYは、それぞれ独立して、−O−、−S−、アルキレン、−N(Q)−、−C(O)−、−O(CO)−、−OC(O)N(Q)−、−N(Q)C(O)O−、−C(O)O、−OC(O)O−、−OS(O)(Q)O−、及び−OP(O)(Q)O−からなる群から選択され;
は、−CR−、−N(Q)−、−O−、又は−S−であり;
は、−CR−、−N(Q)−、−O−、又は−S−であり;
は、CR又はNである〕;
は、次式:
Figure 2014501097
を有し、式中、
、Y、Y及びYのそれぞれは、独立して、アルキル、シクロアルキル、アリール、アラルキル、又はアルキニルであるか;あるいは、
、Y及びYの任意の2つは、これらを結合しているN原子と一緒になって3〜8員複素環を形成するか;あるいは、
、Y及びYは、全てがこれらを結合しているN原子と一緒になって二環式5〜12員複素環を形成し;
それぞれのRは、独立して、H、ハロ、シアノ、ヒドロキシ、アミノ、アルキル、アルコキシ、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、又はヘテロシクリルであり;
は、結合、−N(Q)−、−O−、−S−、−(CR−、−C(O)−、又はこれらの任意の2つの組み合わせであり;
は、結合、−N(Q)−、−O−、−S−、−(CR−、−C(O)−、又はこれらの任意の2つの組み合わせであり;
は、結合、−N(Q)−、−O−、−S−、−(CR−、−C(O)−、又はこれらの任意の2つの組み合わせであり;
及びRのそれぞれの存在は、独立して、H、ハロ、シアノ、ヒドロキシ、アミノ、アルキル、アルコキシ、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、又はヘテロシクリルであり;あるいは、隣り合った2個の炭素原子上の2個のR基は、一緒になってこれらのそれぞれの炭素原子の間で二重結合を形成するか;又は隣り合った2個の炭素原子上の2個のR基と、同じ隣り合った炭素原子上の2個のR基は、一緒になってこれらのそれぞれの炭素原子の間で三重結合を形成し;
それぞれのaは、独立して、0、1、2、又は3であり;
この場合に、
、L又はLのいずれかに由来するR又はR置換基は、場合によりL、L又はLのいずれかに由来するR又はR置換基と一緒になって、3〜8員シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、又はヘテロアリール基を形成し;及び
、Y及びYの任意の一つは、場合により、L、L又はLのいずれかに由来するR又はR基、及びこれらを結合している原子と一緒になって、3〜8員ヘテロシクリル基を形成し;
それぞれのQは、独立して、H、アルキル、アシル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール又はヘテロシクリルであり;並びに
それぞれのQは、独立してO、S、N(Q)(Q)、アルキル又はアルコキシである}
を有する脂質を含んでなる。
特定の実施形態において、前記製剤は、第四級アミンを含有する脂質、例えば本明細書に記載の脂質(例えば、脂質H、脂質K、脂質L、脂質M、脂質P及び脂質R)を、RNAエフェクター分子取り込みを促進する試薬として含む。標準的な方法又は押出しを含まない方法のいずれかで調製できる「脂質H」、「脂質K」、「脂質L」、「脂質M」、「脂質P」及び「脂質R」のための製剤は、以下の通りに示される:
Figure 2014501097
RNAエフェクター分子組成物が送達促進剤を用いて製剤化される実施形態において、前記組成物は、溶液(例えば、滅菌溶液、例えば単位剤形で包装された滅菌溶液)であることができるし、又は滅菌凍結乾燥組成物(例えば、1リットルの細胞培養培地に使用のための単位で予備投与される)としてあることができる。
別の実施形態において、RNAエフェクター分子を含む組成物は、さらに増殖培地、例えば合成培地を含む。
さらに別の実施形態において、RNAエフェクター分子を含むRNAエフェクター分子組成物は、さらに、増殖培地補助物質、例えば、必須アミノ酸(例えば、グルタミン)、2−メルカプト−エタノール、ウシ血清アルブミン(BSA)、脂質濃縮物、コレステロール、カタラーゼ、インスリン、ヒトトランスフェリン、スーパーオキシドジスムターゼ、ビオチン、酢酸DLα−トコフェロール、DLα−トコフェロール、ビタミン類(例えば、ビタミンA(酢酸エステル)、塩化コリン、D−パントテン酸カルシウム、葉酸、ニコチンアミド、塩酸ピリドキサール、リボフラビン、塩酸チアミン、i−イノシトール)、コルチコステロン、D−ガラクトース、エタノールアミンHCl、グルタチオン(還元型)、L−カルニチンHCl、リノール酸、リノレン酸、プロゲステロン、プトレッシン2HCl、亜セレン酸ナトリウム、T3(トリヨード−I−チロニン)、増殖因子(例えば、EGF)、鉄、L−グルタミン、L−アラニル−L−グルタミン、ヒポキサンチンナトリウム、アミノプテリン及びチミジン、アラキドン酸、エチルアルコール100%、ミリスチン酸、オレイン酸、パルミチン酸、パルミトオレイン酸、PLURONI CF68(登録商標)、ステアリン酸10、TWEEN 80(登録商標)非イオン性界面活性剤、ピルビン酸ナトリウム、及びグルコースからなる群から選択される作用物質を含む。
種々の実施形態において、RNAエフェクター分子は、siRNA、miRNA、dsRNA、saRNA、shRNA、piRNA、tkRNAi、eiRNA、pdRNA、ギャップマー、アンタゴミア(antagomir)又はリボザイムを含むことができる。一つの実施形態において、RNAエフェクター分子は、shRNAではない。一つの実施形態において、RNAエフェクター分子は、dsRNA(例えば、siRNA、shRNA、miRNAなど又はこれらの組み合わせ)である。
いくつかの実施形態において、RNAエフェクター分子は、一つの鎖が少なくとも16個の連続したヌクレオチド(例えば、17個のヌクレオチド、18個のヌクレオチド又は19個のヌクレオチド)を含む二本鎖オリゴヌクレオチドのセンス鎖及びアンチセンス鎖を含む。一つの実施形態において、前記アンチセンス鎖は、少なくとも16個の連続したヌクレオチドを含む。一つの実施形態において、前記アンチセンス鎖は、少なくとも17個の連続したヌクレオチドを含む。一つの実施形態において、前記アンチセンス鎖は、少なくとも18個の連続したヌクレオチドを含む。一つの実施形態において、前記アンチセンス鎖は、少なくとも19個の連続したヌクレオチドを含む。一つの実施形態において、前記アンチセンス鎖は、さらに、少なくとも1個のデオキシリボヌクレオチドを含む。一つの実施形態において、前記アンチセンス鎖は、さらに、少なくとも2個のデオキシリボヌクレオチドを含む。一つの実施形態において、前記アンチセンス鎖は、さらに、少なくとも2個のデオキシチミジン残基を含む。
いくつかの実施形態において、RNAエフェクター分子は、アンチセンス鎖が少なくとも16個の連続したヌクレオチド(例えば、17個のヌクレオチド、18個のヌクレオチド又は19個のヌクレオチド)を含む二本鎖オリゴヌクレオチドのアンチセンス鎖を含む。一つの実施形態において、前記アンチセンス鎖は、少なくとも16個の連続したヌクレオチドを含む。一つの実施形態において、前記アンチセンス鎖は、少なくとも17個の連続したヌクレオチドを含む。一つの実施形態において、前記アンチセンス鎖は、少なくとも18個の連続したヌクレオチドを含む。一つの実施形態において、前記アンチセンス鎖は、少なくとも19個の連続したヌクレオチドを含む。一つの実施形態において、前記アンチセンス鎖は、さらに、少なくとも1個のデオキシリボヌクレオチドを含む。一つの実施形態において、前記アンチセンス鎖は、さらに、少なくとも2個のデオキシリボヌクレオチドを含む。一つの実施形態において、前記アンチセンス鎖は、さらに、少なくとも2個のデオキシチミジン残基を含む。
一つの実施形態において、RNAエフェクター分子は、標的遺伝子を活性化することができる。
別の実施形態において、RNAエフェクターは、標的遺伝子を抑制することができる。
いくつかの実施形態において、少なくとも一つの測定可能なパラメータ、例えば細胞密度、培地pH、酸素濃度、グルコース濃度、乳酸濃度温度及びタンパク質産生のいずれか一つは、生物由来物質の産生中に監視することができる。
別の実施形態において、前記方法は、さらに、宿主細胞に第二の作用物質を投与することを含む。第二の作用物質は、増殖因子;アポトーシス阻害剤;キナーゼ阻害剤;ホスファターゼ阻害剤;プロテアーゼ阻害剤;病原体の阻害剤(例えば、ウイルスが生物由来物質である場合には、その他のウイルスあるいは真菌性又は細菌性病原体の増殖及び/又は繁殖を抑制する作用物質);ヒストン脱メチル化剤;抗生物質;抗真菌剤;代謝拮抗物質(例えば、メトトレキセート);増殖因子(例えば、インスリン);アポトーシス阻害剤;キナーゼ阻害剤、例えばMAPキナーゼ阻害剤;CDK阻害剤及び/又はK252a;ホスファターゼ阻害剤、例えばバナジン酸ナトリウム及びオカダ酸;プロテアーゼ阻害剤;及びヒストン脱メチル化剤、例えば5−アザシチジンであることができる。繁殖するウイルスがインフルエンザである場合には、第二の物質は、インフルエンザ赤血球凝集素を切断するプロテアーゼ、例えばプロナーゼ、サーモリシン、スブチリシンA又は組換えプロテアーゼであることができる。
別の実施形態において、本明細書に記載のRNAエフェクター分子、例えば宿主細胞標的遺伝子に指向するdsRNAを含有する組成物は、培養細胞に、細胞による生物由来物質の産生を高めるのに有用な非RNA作用物質と共に投与される。
いくつかの実施形態において、生物由来物質は、ポリペプチドであり、及び標的遺伝子は、宿主細胞において翻訳後修飾に影響を及ぼすタンパク質をコードする。種々の実施形態において、翻訳後修飾は、タンパク質グリコシル化、タンパク質脱アミド化、タンパク質ジスルフィド結合形成、メチオニン酸化、タンパク質ピログルタミン酸化、タンパク質折りたたみ又はタンパク質分泌であることができる。
更なる実施形態において、標的遺伝子は、宿主細胞の生理学的プロセスに影響を及ぼすタンパク質をコードする。種々の実施形態において、生理学的プロセスは、アポトーシス、細胞周期の進行、炭素の代謝又は輸送、乳酸形成、RNAi取り込み及び/又は効率、又はアクチン動態である。
別の実施形態において、標的遺伝子は、酸化促進酵素をコードするか、又は細胞pHに影響を及ぼすタンパク質をコードする。
別の態様において、本発明は、本明細書において提供される少なくとも一つのRNAエフェクター分子を含有する培養真核細胞を提供する。前記細胞は、哺乳動物細胞、例えば齧歯類動物細胞、イヌ細胞、非ヒト霊長類動物細胞、又はヒト細胞である。
別の態様において、本発明は、宿主細胞において標的遺伝子の発現を調節することによって細胞培養において生物由来物質の産生を高めるための組成物を提供する。前記組成物は、典型的には、本明細書に記載の一つ又はそれ以上のRNAエフェクター分子と、適当な担体又は送達ビヒクル、例えば許容される担体及び/又はRNAエフェクター分子の取り込みを促進する試薬とを含む。RNAエフェクター分子組成物は、水性媒体、非水性媒体又は混合媒体中の懸濁物として製剤化でき、また脂質又非脂質製剤に製剤化できる。RNAエフェクター分子組成物は、滅菌溶液で提供することができるし又は凍結乾燥できる(例えば、濃縮及び/又は体積による離散単位で提供できる)。
一つの実施形態において、RNAエフェクター組成物は、RNAエフェクター分子の取り込みを促進する試薬、例えばエマルジョン、陽イオン性脂質、非陽イオン性脂質、荷電脂質、リポソーム、陰イオン性脂質、浸透促進剤、トランスフェクション試薬又は結合のためのRNAエフェクター分子に対する修飾、例えばリガンド、標的部分、ペプチド、親油性基などを含む。
一つの実施形態において、培養細胞において標的遺伝子の発現を調節するためのベクターが提供され、この場合に前記標的遺伝子は、細胞による生物由来物質の産生に影響を及ぼすタンパク質をコードする。一つの実施形態において、前記ベクターは、RNAエフェクター分子の少なくとも一つの鎖をコードするヌクレオチド配列に操作により連結された少なくとも一つの調節配列を含む。一つの実施形態において、RNAエフェクター分子は、ベクターによってコードされない。
別の実施形態において、本発明は、細胞において標的遺伝子の発現を抑制するためのベクターを含有する細胞を提供する。前記ベクターは、RNAエフェクター分子の少なくとも一つの鎖をコードするポリヌクレオチドに操作により連結された調節配列を含む。
本発明のさらに別の態様は、本明細書に記載のRNAエフェクター分子を含むキットを包含する。一つの実施形態において、前記キットは、生物由来物質の産生に影響を及ぼすタンパク質をコードする標的遺伝子の発現を調節するRNAエフェクター分子を含む。別の実施形態において、前記キットは、さらに、生物由来物質の産生に影響を及ぼすタンパク質の発現を調節するRNAエフェクター分子を発現する修飾細胞株を含む。また、前記キットは、本明細書において提供される方法を実施するための取扱説明書も含む。
一つの実施形態において、前記キットは、さらに、宿主細胞を増殖させるのに適した培養及び/又はRNAエフェクター分子をコードする核酸配列を宿主細胞に導入するための構造物(例えば、プラスミド、ウイルスなど)含む。さらに別の実施形態において、前記キットは、さらに、生物由来物質を検出及び/又は精製するための試薬を含むことができる。適当な試薬の非限定的な例としては、PCRプライマー、ポリクロナール抗体、モノクロナール抗体、アフィニティークロマトグラフィー媒体などが挙げられる。
一つの実施形態において、キットは、潜在ウイルス、外来ウイルス又は内在性ウイルスの発現を抑制するために、従って所望の生物由来物質の産生に影響を及ぼすために標的遺伝子の発現を調節するRNAエフェクター分子を含む。別の実施形態において、キットは、所望の生物由来物質の産生に影響を及ぼす潜在ウイルス、外来ウイルス又は内在性ウイルスの発現を調節するRNAエフェクター分子を発現する宿主細胞を含む。このようなキットは、本明細書において提供される方法を実施するための取扱説明書も含むことができる。キットはまた、RNAエフェクター分子の取り込みを促進する少なくとも一つの試薬であって、荷電脂質、エマルジョン、リポソーム、陽イオン性又は非陽イオン性脂質、陰イオン性脂質、トランスフェクション試薬又は浸透促進剤を含む少なくとも一つの試薬含むこともできる。特定の実施形態において、RNAエフェクター分子の取り込みを促進する試薬は、荷電脂質を含む。
本発明のいくつかの実施形態は、収穫した生物由来物質の収量及び/又は品質を低下させることができる内在性ウイルス、潜在ウイルス又は外来ウイルスの発現を抑制するために、微生物接種又はベクター形質導入の間又は後に、宿主細胞においてRNA干渉を開始することに関する。例えば、実施形態は、siRNA、又は例えばshRNAを、内在性、潜在又は外来ウイルス経路(例えば、トリ細胞内の内在性トリ白血病ウイルス(ALV−E)のev遺伝子座;CHO細胞内の内在性C型レトロウイルス様粒子ゲノム;又はベロ細胞内のブタサーコウイルス1型(PCV−1)のrep遺伝子)を標的とし、それによって所望の生物由来物質の品質及び/又は収量を上昇させるむき出しの形態、複合化形態又は製剤化形態(例えば、ナノ粒子)で投与する。
本発明のいくつかの実施形態において、単純な(むき出しの(すなわち非複合化)RNAエフェクター分子)又は複合した(例えば、コレステロール又はその他の標的リガンドに直接に複合した)RNAエフェクター分子が使用できる。別の実施形態において、shRNAについてプラスミドベクター又はウイルスベクターにコードされたRNAエフェクター分子が使用できる。
本発明のいくつかの実施形態において、LNP製剤又は別のポリマー製剤が使用される。いくつかの実施形態において、前記製剤は、RNAエフェクター分子の取り込みを促進する作用物質、例えば荷電脂質、エマルジョン、リポソーム、陽イオン性又は非陽イオン性脂質、陰イオン性脂質、トランスフェクション試薬又は浸透促進剤を含む。特定の実施形態において、RNAエフェクター分子の取り込みを促進する試薬は、荷電脂質を含む。また、前記製剤は、前記作用物質/ベクターが所望の産生物を産生できる関連細胞に対する送達を促進するか又はRNAi物質を安定化させるために感染性種子又はベクターそれ自体に同時に製剤化するか又は組み込むことができる。
特定の実施形態において、標的遺伝子は、内在性、外来又は潜在ヘルペスウイルス、ポリオーマウイルス、肝炎ウイルス、パピローマウイルス、アデノウイルス、ポックスウイルス、ボルナウイルス、レトロウイルス、アレナウイルス、オルトミクソウイルス、パラミクソウイルス、レオウイルス、ピコルナウイルス、フラビウイルス、ラブドウイルス、ハンタウイルス、サーコウイルス又はベシウイルスに関連する。
本発明の方法によって標的とすることができる具体的な内在性ウイルス及び潜在ウイルスとしては、マウスの微小ウイルス(MVM)、ネズミ白血病/肉腫ウイルス(MLV)、サーコウイルス、例えばブタサーコウイルス(PCV−1、PCV−2)、ヒトヘルペスウイルス8(HHV−8)、アレナウイルス、リンパ球性脈絡髄膜炎ウイルス(LCMV)、乳酸デヒドロゲナーゼウイルス(LDH又はLDV)、ヒト種C型アデノウイルス、トリアデノ随伴ウイルス(AAV)、霊長類内在性レトロウイルスファミリーK(ERV−K)及びヒト内在性レトロウイルスK(HERV−K)が挙げられる。
さらにERVに関して、本発明の実施形態において、ERVの標的遺伝子は、霊長類/ヒトクラスIガンマERV類 pt01−Chr10r−17119458、pt01−Chr5−53871501、BaEV、GaLV、HERV−T、ERV−3、HERV−E、HERV−ADP、HERV−I、MER4様、HERV−FRD、HERV−W、HERVH−RTVLH2、HERVH−RGH2、HERV−Hconsensus、HERV−Fc1;霊長類/ヒトイプシロンERV hg15−chr3−152465283;霊長類/ヒト中間(イプシロン様)HERVL66;霊長類/ヒトクラスIIIスプーマ様ERV類 HSRV、HFV、HERV−S、HERV−L、HERVL40、HERVL74;霊長類/ヒトデルタERV類 HTLV−1、HTLV−2;霊長類/ヒトレンチERV類 HIV−1、HIV−2;霊長類/ヒトクラスII、ベータERV MPMV、MMTV、HML1、HML2、HML3、HML4、HML7、HML8、HML5、HML10、HML6又はHML9の標的遺伝子であることができる。
本発明の別の実施形態において、ERVは、齧歯類動物クラスIIベータERV MMTV;齧歯類動物クラスIガンマERV MLV;ネコクラスIガンマERV FLV;有蹄動物クラスIガンマERV PERV;有蹄動物デルタERV BLV;有蹄動物レンチウイルスビスナ、EIAV;有蹄動物クラスII、ベータERV JSRV;トリクラスIII、スプーマ様ERV類 gg01−chr7−7163462;gg01−chrU−52190725、gg01−Chr4−48130894;トリアルファERV類 ALV、gg01−chr1−15168845;トリ中間ベータ様ERV類 gg01−chr4−77338201;gg01−ChrU−163504869、gg01−chr7−5733782;爬虫類中間ベータ様ERV インドニシキヘビ;魚類イプシロンERV WDSV;魚類中間(イプシロン様)ERV SnRV;両生類イプシロンERV Xen1;昆虫エランティウイルスERV Gypsyから選択される。
本発明の他の実施形態は、動物起源の外来ウイルス、例えばベシウイルス、サーコウイルス、ハンターンウイルス、マルブルグウイルス、SV40、SV20、セムリキ森林ウイルス(SFV)、サルウイルス5(sv5)、リンパ球性脈絡髄膜炎ウイルス、ネコ肉腫ウイルス、ブタパルボウイルス、アデノ随伴ウイルス(AAV)、マウス肝炎ウイルス(MHV)、ネズミ白血病ウイルス(MuLV)、マウス肺炎ウイルス(PVM)、タイラー脳脊髄炎ウイルス(THEMV)、ネズミ微小ウイルス(MMV又はMVM)、マウスアデノウイルス(MAV)、マウスサイトメガロウイルス(MCMV)、マウスロタウイルス(EDIM)、キルハムラットウイルス(KRV)、トゥーランH−1ウイルス、センダイウイルス〔SeV、ネズミパラインフルエンザ1型ウイルス又は日本のヘマグルチン化ウイルス(HVJ)としても知られている〕、パーカーラットコロナウイルス(RCV又はSDA)、偽狂犬病ウイルス(PRV)、レオウイルス、カシェ渓谷ウイルス、ウシウイルス性下痢症ウイルス、ウシパラインフルエンザ3型ウイルス、ウシ呼吸器合胞体ウイルス、ウシアデノウイルス、ウシパルボウイルス、ウシヘルペスウイルス1(ウシ伝染性鼻気管炎ウイルス)、その他のウシヘルペスウイルス、ウシレオウイルス、狂犬病ウイルス、ブルータングウイルス、ウシポリオーマウイルス、ウシサーコウイルス、及び牛痘以外のオルトポックスウイルス、偽牛痘ウシ(ヒトに感染することができる広範囲にわたるパラポックスウイルス)、パピローマウイルス、ヘルペスウイルス、又はレポリポックスウイルスを標的とする。
他の実施形態は、ヒト起源の外来物質、例えばHIV−1及びHIV−2;ヒトT細胞リンパ指向性I型ウイルス(HTLV−I)及びHTLV−II;ヒト肝炎A、B及びC型ウイルス;ヒトサイトメガロウイルス;エプスタイン・バーウイルス(EBV又はHHV−4);ヒトヘルペスウイルス6、7及び8;ヒトパルボウイルスB19;レオウイルス;ポリオーマ(JC/BK)ウイルス;SV40ウイルス;ヒトコロナウイルス;ヒトパピローマウイルス;インフルエンザA、B及びC型ウイルス;ヒトエンテロウイルス;ヒトパラインフルエンザウイルス;及びヒト呼吸器合胞体ウイルスを標的とする。
本発明のさらにその他の実施形態は、内在性ウイルス、潜在ウイルス又は外来ウイルスが結合するか又はウイルス複製に必要である宿主細胞表面受容体又は細胞内タンパク質を標的とする。例えば、特定の実施形態において、標的遺伝子は、CHO細胞MVM受容体遺伝子、例えば細胞シアル酸産生に関連する遺伝子である。
本明細書に記載のようなシアル酸に関連する標的遺伝子の他に、生物由来物質の収量及び/又は品質は、宿主細胞においてグリコシル化に関連する遺伝子を標的とすることによって最適化し得る。Gale遺伝子は、UDP−ガラクトース−4−エピメラーゼ、例えば、CHO Gale転写産物配列番号:5564をコードし、Galeヌクレオチド配列及び/又は例えば配列番号:1888656−1889007に提供されるような配列の少なくとも16個のヌクレオチド(例えば、少なくとも17個、少なくとも18個、少なくとも19個のヌクレオチド)を含む典型的なRNAエフェクター分子(例えば、siRNA、shRNAなど)を使用して標的とすることができる。この酵素は、前記細胞がガラクトースをグルコースに転化させる(及びその逆も同様)ことによってラクトースを処理することを可能にする。UDP−ガラクトースは、化学的シグナル伝達、細胞構造の構築、分子の輸送及びエネルギー生産において重要な役割を果たすガラクトース含有タンパク質及び脂肪を作り上げるのに使用される。ハムスターGDP−マンノース4,6−デヒドラーゼ(GMDS)に対する典型的なdsRNA配列が、配列番号:3152754−3152793として本明細書に開示され、偶数番号を付した配列番号(例えば、配列番号:3152754)は、センス鎖を表し、奇数番号を付した配列番号(例えば、配列番号:3152755)は、相補的アンチセンス鎖を表す。
従って、本明細書に記載の実施形態において、GMDSの発現は、センス鎖とアンチセンス鎖〔その一つは、配列番号:3152754−3152793からなる群から選択されるヌクレオチド配列の少なくとも16個の連続したヌクレオチド(例えば、17個のヌクレオチド、18個のヌクレオチド又は19個のヌクレオチド)を含む〕を含む対応RNAエフェクター分子を使用して調節できる。一つの実施形態において、一つの鎖は、配列番号:3152754−3152793からなる群から選択されるヌクレオチド配列の少なくとも16個の連続したヌクレオチドを含む。一つの実施形態において、一つの鎖は、配列番号:3152754−3152793からなる群から選択されるヌクレオチド配列の少なくとも17個の連続したヌクレオチドを含む。一つの実施形態において、一つの鎖は、配列番号:3152754−3152793からなる群から選択されるヌクレオチド配列の少なくとも18個の連続したヌクレオチドを含む。一つの実施形態において、一つの鎖は、配列番号:3152754−3152793からなる群から選択されるヌクレオチド配列の少なくとも19個の連続したヌクレオチドを含む。一つの実施形態において、アンチセンス鎖は、配列番号:3152754−3152793からなる群から選択されるヌクレオチド配列の少なくとも16個のヌクレオチド(例えば、17個のヌクレオチド、18個のヌクレオチド又は19個のヌクレオチド)を含み、さらに少なくとも1個のデオキシリボヌクレオチドを含む。一つの実施形態において、アンチセンス鎖は、配列番号:3152754−3152793からなる群から選択されるヌクレオチド配列の少なくとも16個のヌクレオチド(例えば、17個のヌクレオチド、18個のヌクレオチド又は19個のヌクレオチド)を含み、さらに少なくとも2個のデオキシリボヌクレオチドを含む。一つの実施形態において、アンチセンス鎖は、配列番号:3152754−3152793からなる群から選択されるヌクレオチド配列の少なくとも16個のヌクレオチド(例えば、17個のヌクレオチド、18個のヌクレオチド又は19個のヌクレオチド)を含み、さらに少なくとも2個のデオキシチミジン残基を含む。
種々の実施形態において、生物由来物質は、ポリペプチド、代謝産物、機能性食品、化学中間体、バイオ燃料、食品添加物又は抗生物質である。さらに詳しくは、いくつかの実施形態において、生物由来物質は、ポリペプチドである。ポリペプチドは、組換えポリペプチドであるか又は宿主細胞に内在性のポリペプチドであることができる。いくつかの実施形態において、ポリペプチドは、抗原、糖タンパク質、受容体、膜タンパク質、サイトカイン、ケモカイン、ホルモン、酵素、増殖因子、増殖因子受容体、抗体、抗原結合ペプチド又はその他の免疫エフェクター、インターロイキン、インターフェロン、エリスロポエチン、インテグリン、可溶性主要組織適合性複合抗原、結合タンパク質、転写因子、翻訳因子、腫瘍性タンパク質又は腫瘍原性タンパク質、筋タンパク質、骨髄タンパク質、神経活性タンパク質、腫瘍増殖抑制剤、構造タンパク質又は血液タンパク質(例えば、トロンビン、プロトロンビン、血清アルブミン、第VII因子、第VIII因子、第IX因子、第X因子、タンパク質C又はフォンウイルブランド因子)である。特定の実施形態において、生物由来物質は、抗体(例えば、組換えモノクロナール抗体)である。
本発明の方法はまた、宿主細胞培養物の増殖、産生及び活性化レベルを監視する工程も含むことができ、並びに宿主細胞の増殖、産生及び活性化レベル並びに所望の産生物を最大にするために宿主細胞培養の条件を変化させるために、及び生物由来物質を細胞又は培養物から収穫し、収穫した生物由来物質を用いて製剤を調製するために、及び前記方法によって得られた製剤を、疾患の治療及び/又は予防を必要とする対象に投与することによって疾患の治療及び/又は予防するために含むことができる。
一つの実施形態において、宿主細胞は、多数の標的遺伝子の発現を調節するために複数の異なるRNAエフェクター分子が投与される。複数のRNAエフェクター分子は、異なる時間で又は同時に、同じ頻度で又は異なる頻度で、同じ濃度で又は異なる濃度で投与することができる。
別の実施形態において、本発明は、細胞での標的遺伝子の発現を調節することによって宿主細胞において生物由来物質の産生を高めるための組成物を提供する。前記組成物は、典型的には、一つ又はそれ以上のオリゴヌクレオチド、例えば本明細書に記載のRNAエフェクター分子と、適当な担体又は送達ビヒクルとを含む。
さらなる実施形態において、標的遺伝子は、宿主細胞の生理学的プロセスに影響を及ぼすタンパク質をコードする。種々の実施形態において、前記生理学的プロセスは、アポトーシス、細胞周期の進行、炭素の代謝又は輸送、乳酸形成又はRNAi取り込み及び/又は効果である。
さらに具体的には、いくつかの実施形態において、第二の標的遺伝子は、宿主細胞免疫反応に関連する遺伝子、並びにTLR3、TLR7、TLR21、RIG−1、LPGP2、RIG1様受容体、TRIM25、IFN−α、IFN−β、IFN−γ、MAVS/VISA/IPS1/Gardif、IFNAR1、IFNR2、STAT−1、STAT−2、STAT−3、STAT−4、JAK−1、JAK−2、JAK−3、IRF1、IRF2、IRF3、IRF4、IRF5、IRF6、IRF7、IRF8、IRF9、IRF10、2’,5’−オリゴアデニル酸シンテターゼ、RNaseL、dsRNA−dPKR、Mx、IFITM1、IFITM2、IFITM3、炎症誘発性サイトカイン、MYD88、TRIF、PKR、及びこれらのいずれかの調節領域からなる群から選択される標的遺伝子である。
他の特定の実施形態において、第二の標的遺伝子は、宿主細胞の生存率、増殖又は細胞周期に関連する遺伝子であり、並びに該標的遺伝子は、Bax、Bak、LDHA、LDHB、BIK、BAD、BIM、HRK、BCLG、HR、NOXA、PUMA、BOK、BOO、BCLB、CASP2、CASP3、CASP6、CASP7、CASP8、CASP9、CASP10、BCL2、p53、APAF1、HSP70、TRAIL、BCL2L1、BCL2L13、BCL2L14、FASLG、DPF2、AIFM2、AIFM3、STK17A、APITD1、SIVA1、FAS、TGFβ2、TGFBR1、LOC378902,又はBCL2A1、PUSL1、TPST1、WDR33、Nod2、MCT4、ACRC、AMELY、ATCAY、ANP32B、DEFA3、DHRS10、D0CK4、FAM106A、FKBP1B、IRF3、KBTBD8、KIAA0753、LPGAT1、MSMB、NFS1、NPIP、NPM3、SCGB2A1、SERPINB7、SLC16A4、SPTBN4、TMEM146、CDKN1B、CDKN2A、FOXO1、PTEN、FN1、CSKN2B、miRNAアンタゴニスト、宿主シアリダーゼ、NEU2シアリダーゼ2、NEU3シアリダーゼ3、ダイサー、ISRE、B4GalT1、B4GalT6、Cmas、Gne、SLC35A1及びこれらのいずれかの調節領域からなる群から選択される。
一つの態様において、本明細書に記載の方法は、培養において哺乳動物細胞の生存率を向上させる方法であって、(a)前記細胞を、Bax、Bak及びLDHの発現の抑制を可能にする複数の異なるRNAエフェクター分子と接触させ;及び(b)前記細胞を、Bax、Bak及びLDHの発現を抑制するのに十分な時間保持する(この場合に、発現の抑制は、哺乳動物細胞の生存率を向上させる)ことを含む方法に関する。この態様の一つの実施形態において、BAXを標的とするRNAエフェクター分子は、センス鎖を含み、少なくとも一つの鎖は、配列番号:3152412−3152539、配列番号:3152794−3152803、配列番号:3023234−3023515、配列番号:3154393−3154413、配列番号:3154414−3154434、配列番号:3154923−3154970、及び配列番号:3154971−3155018からなる群から選択されるヌクレオチド配列の少なくとも16個の連続したヌクレオチド(例えば、少なくとも17個のヌクレオチド、少なくとも18個のヌクレオチド、少なくとも19個のヌクレオチドなど)を含む。この態様の別の実施形態において、BAKを標的とするRNAエフェクター分子は、センス鎖を含み、少なくとも一つの鎖は、配列番号:3152412−3152475、配列番号:3152804−3152813、配列番号:2259855−2260161、配列番号:3154393−3154413、配列番号:3154414−3154434、配列番号:3154827−3154874、配列番号:3154875−3154922及び表22に列記した配列からなる群から選択される配列を有するオリゴヌクレオチドの少なくとも16個の連続したヌクレオチド(例えば、少なくとも17個のヌクレオチド、少なくとも18個のヌクレオチド、少なくとも19個のヌクレオチドなど)を含む。この態様の別の実施形態において、LDHを標的とするRNAエフェクター分子は、センス鎖を含み、少なくとも一つの鎖は、配列番号:3152540−3152603、配列番号:3152814−3152823、配列番号:1297283−1297604、配列番号:3154553−3154578、配列番号:3154579−3154604、配列番号:3155589−3155635,及び配列番号:3155636−3155682からなる群から選択される配列を有するオリゴヌクレオチドの少なくとも16個の連続したヌクレオチド(例えば、少なくとも17個のヌクレオチド、少なくとも18個のヌクレオチド、少なくとも19個のヌクレオチドなど)を含む。
一つの態様において、本明細書に記載の方法は、大規模宿主細胞培養において生物由来物質を産生させる方法であって、
(a)宿主細胞を、大規模宿主細胞培養において、少なくとも第一のRNAエフェクター分子(その一部分は、宿主細胞の少なくとも一つの標的遺伝子と相補的である)と接触させ;(b)宿主細胞培養物を、前記少なくとも一つの第一の標的遺伝子の発現を調節するのに十分な時間保持し(この場合、発現の調節は、宿主細胞において生物由来物質の産生を向上させる);(c)生物由来物質を宿主細胞から単離する;ことを含み、前記大規模宿主細胞培養が、少なくとも1リットルの規模であり、及び前記RNAエフェクター分子を大規模宿主細胞培養の培地に標的遺伝子の発現が一時的に抑制されるように加えることによって、前記宿主細胞を少なくとも第一のRNAエフェクター分子と接触させる、生物由来物質を産生させる方法を提供する。
また別の態様において、大規模宿主細胞培養において生物由来物質を産生させる方法であって、(a)宿主細胞を、大規模宿主細胞培養において、少なくとも第一のRNAエフェクター分子(その一部分は、宿主細胞の少なくとも一つの標的遺伝子と相補的である)と接触させ;(b)宿主細胞培養物を、前記少なくとも一つの第一の標的遺伝子の発現を調節するのに十分な時間保持し(この場合、発現の調節は、宿主細胞において生物由来物質の産生を向上させる);(c)生物由来物質を宿主細胞から単離する;ことを含み、前記RNAエフェクター分子を大規模宿主細胞培養の培地に、標的遺伝子の発現が一時的に抑制されるように生物由来物質の産生全体を通じて多数回加えることによって、前記宿主細胞を少なくとも第一のRNAエフェクター分子と接触させる、生物由来物質を産生させる方法が、本明細書において提供される。
本明細書に記載の態様の一つの実施形態において、前記宿主細胞を、大規模宿主細胞培養において、複数のRNAエフェクター分子と接触させ、前記複数のRNAエフェクター分子が、少なくとも一つの標的遺伝子、少なくとも2つの標的遺伝子又は複数の標的遺伝子の発現を調節する。
別の態様において、前記方法は、細胞において生物由来物質を産生させる方法であって、(a)宿主細胞を、複数のRNAエフェクター分子と接触させ(この場合、2つ又はそれ以上のRNAエフェクター分子が、複数の標的遺伝子の発現を調節する);(b)前記細胞を、前記複数の標的遺伝子の発現を調節するのに十分な時間保持し(この場合、発現の調節は、宿主細胞において生物由来物質の産生を向上させる);及び(c)生物由来物質を細胞から単離する;ことを含み、前記複数の標的遺伝子が少なくともBax、Bak及びLDHを含む、生物由来物質を産生させる方法に関する。
本明細書に記載の態様の一つの実施形態において、前記RNAエフェクター分子を大規模宿主細胞培養の培地に、標的遺伝子の発現が一時的に抑制されるように加えることによって、前記宿主細胞を少なくとも第一のRNAエフェクター分子と接触させる。
本明細書に記載の態様の別の実施形態において、前記RNAエフェクター分子又は複数のRNAエフェクター分子は、二本鎖リボ核酸(dsRNA)を含み、前記dsRNAは、相互に相補的である少なくとも2つの配列を含み並びにセンス鎖は、第一の配列を含み及びアンチセンス鎖は、標的遺伝子の少なくとも一部分と実質的に相補的である相補性の領域を含む第二の配列を含み、並びに前記相補性の領域は、10〜30個のヌクレオチドの長さである。
本明細書に記載の態様の別の実施形態において、前記接触工程は、前記RNAエフェクター分子又は複数のRNAエフェクター分子を、前記宿主細胞培養物を保持して生物由来物質を産生させるために使用する培地に連続的に注入することによって行う。
本明細書に記載の態様の別の実施形態において、前記発現の調節は、発現の抑制であり、及び前記抑制は、部分抑制である。本明細書に記載の態様の別の実施形態において、前記部分抑制は、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、及び85%からなる群から選択される抑制率よりも大きくない。
本明細書に記載の態様の別の実施形態において、前記RNAエフェクター分子は、100nM未満の濃度で接触させる。
本明細書に記載の態様の別の実施形態において、前記RNAエフェクター分子は、50nM未満の濃度で接触させる。
いくつかの実施形態において、少なくとも一つのRNAエフェクター分子(その一部分は、標的遺伝子と相補的である)は、ヌクレオチド配列の少なくとも16個の連続したヌクレオチド(例えば、少なくとも17個のヌクレオチド、少なくとも18個のヌクレオチド、少なくとも19個のヌクレオチド)を含むアンチセンス鎖を含む対応siRNAであり、前記ヌクレオチド配列は、本明細書に示す表(例えば、表1〜16、21〜25、27〜30、31、33、35、37、39、41、43、45、47、51〜61、65及び66参照)のいずれかに記載される。
また、生物由来物質の産生を高めるのに有用な組成物が、本明細書において提供される。一つの態様において、少なくとも一つのRNAエフェクター分子(その一部分は、宿主細胞の少なくとも一つの標的遺伝子と相補的である)と、宿主細胞を培養するのに適した細胞培地とを含んでなる組成物であって、前記RNAエフェクター分子が、標的遺伝子の発現を調節でき及び前記発現の調節が、生物由来物質の産生を高め、前記少なくとも一つのRNAエフェクター分子が、配列番号:9772−3152339及び配列番号:3161121−3176783からなる群から選択されるヌクレオチド配列の少なくとも16個の連続したヌクレオチド(たとえば、少なくとも17、少なくとも18、少なくとも19個のヌクレオチド)を含むアンチセンス鎖を含むsiRNAである組成物が、提供される。
また、複数のRNAエフェクター分子を含んでなる組成物であって、それぞれのRNAエフェクター分子の一部分が、宿主細胞の少なくとも一つの標的遺伝子と相補的であり、並びに前記組成物がBax、Bak及びLDHの発現を調節することができ及び前記発現の調節が生物由来物質の産生を高める組成物が、本明細書において提供される。
本明細書に記載の別の態様は、培養細胞による生物由来物質の産生を高めるキットであって、(a)生物由来物質が産生される条件下で細胞を培養するのに適した一つ又はそれ以上のアッセイ表面を含む支持体;(b)一つ又はそれ以上のRNAエフェクター分子(それぞれのRNAエフェクター分子の少なくとも一部分は、標的遺伝子と相補的である);及び(c)生物由来物質又はその細胞による産生を検出するための試薬;を含み、前記一つ又はそれ以上のRNAエフェクター分子が、配列番号:9772−3152339及び配列番号:3161121−3176783からなる群から選択されるヌクレオチド配列の少なくとも16個の連続したヌクレオチドを含むアンチセンス鎖を含むsiRNAであるキットを提供する。
また、培養細胞による生物由来物質の産生を最適化するためのキットであって、(a)複数のアッセイ表面を含むマイクロアレイ支持体(前記アッセイ表面は、生物由来物質が産生される条件下で細胞を培養するのに適している);(b)一つ又はそれ以上のRNAエフェクター分子(それぞれのRNAエフェクター分子の少なくとも一部分は、標的遺伝子と相補的である);及び(c)前記一つ又はそれ以上のRNAエフェクター分子の生物由来物質の産生に対する効果を検出するための試薬;を含み、前記一つ又はそれ以上のRNAエフェクター分子が、配列番号:9772−3152339及び配列番号:3161121−3176783からなる群から選択されるヌクレオチド配列の少なくとも16個の連続したヌクレオチを含むアンチセンス鎖を含むsiRNAであるキットが、本明細書において提供される。
また、細胞においてタンパク質の発現を調節するのに適した少なくとも一つのRNAエフェクター分子のヌクレオチド配列を選択するためのシステムであって、(a)少なくとも一つのプロセッサと関連メモリとを含むコンピュータシステム(前記メモリは、コンピュータシステムの操作を制御するための少なくとも一つのコンピュータプログラムを格納する);(b)前記コンピュータシステムに連結され、少なくとも一つの細胞の少なくとも一つのトランスクリプトーム(細胞トランスクリプトーム)のトランスクリプトーム情報(前記情報は、前記トランスクリプトームのそれぞれの転写産物のための配列、及び場合により前記転写産物の名前、及び場合により前記転写産物が役割を果たす分子経路の名前を含む)と;少なくとも一つのRNAエフェクター分子に関する情報(前記情報は、少なくともRNAエフェクター分子の配列、及び場合により前記RNAエフェクター分子の標的特異性を含み、それぞれのRNAエフェクター分子は、少なくとも一つの細胞トランスクリプトームの少なくとも配列にマッチさせるために設計される)とを含むデータベース;(c)前記コンピュータシステムによって実行され並びに細胞型選択、標的生物選択、細胞経路選択、交差反応性選択、転写産物量選択、標的遺伝子名及び/又は配列選択、及び場合により生体内又は生体外送達選択肢のいずれかを含む送達選択の方法の少なくとも一つを含むユーザパラメータと;さらに、場合によりユーザアドレス情報とを受け取るために構成されたユーザインターフェースプログラムモジュール;(d)前記コンピュータシステムによって実行され並びに前記パラメータのマッチする組み合わせのためのデータベース中の配列及びトランスクリプトーム転写産物配列と照合するために構成された第一のモジュール;及び(e)前記コンピュータシステムによって実行され及び細胞でのタンパク質の発現を調節するのに適した少なくとも一つのRNAエフェクター分子の選択された配列を示すために構成された第二のモジュール;を含むシステムが、本明細書において提供される。
また、本明細書に記載のいずれか一つのシステムを使用して細胞においてタンパク質の発現を調節するためのRNAエフェクター分子の選択方法が、本明細書において提供される。
別の態様において、配列番号:1〜9771を有する転写産物の選択又は編集を含むチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞トランスクリプトームが、本明細書において提供される。別の態様において、配列番号:3157149〜3158420を有する転写産物の選択又は編集を含むチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞トランスクリプトームが、本明細書において提供される。これらの態様の一つの実施形態において、前記CHO細胞トランスクリプトーム配列は、データベースの一部である。
また、本明細書に記載のCHO細胞トランスクリプトームのいずれか一つに指向するsiRNA(一つ又は複数)が、本明細書において提供される。
別の態様において、細胞株を改良する方法であって、本明細書に示す表、例えば表1〜16のいずれかから選択される転写産物から翻訳される少なくとも一つのタンパク質を調節することを含む方法が提供される。
別の態様において、細胞株を改良する方法であって、少なくとも2つの転写産物を、エフェクターRNA分子を使用して調節することを含み、第一の転写産物が、第一の細胞培養表現型に影響を及ぼし及び第二の転写産物が、第二の異なる細胞培養表現型に影響を及ぼし、前記細胞培養表現型が、細胞増殖速度、細胞生産性、ピーク細胞密度、持続した細胞生存率、アンモニア産生及び消費の速度、又は乳酸産生もしくは消費の速度からなる群から選択され;並びに前記第一及び第二の転写産物が、配列番号:1〜9771及び配列番号:3157149〜3158420からなる群から選択される方法が、提供される。
一つの実施形態において、本発明は、本明細書において提供される少なくとも一つのRNAエフェクター分子を含有する宿主細胞を提供する。宿主細胞は、昆虫、両生類、魚類、爬虫類、鳥類、哺乳動物又はヒトから誘導することができるし又はハイブリドーマ細胞であることができる。例えば、前記細胞は、ヒトNamalwa Burkittリンパ腫細胞(BLcl−kar−Namalwa)、ベビーハムスター腎線維芽細胞(BHK)、CHO細胞、ネズミ骨髄腫細胞(NSO、SP2/0)、ハイブリドーマ細胞、ヒト胎児由来腎臓細胞(293HEK)、ヒト網膜由来細胞〔PER.C6(登録商標)細胞〕、昆虫細胞株〔Sf9(ヨトウガのサナギ卵巣組織から誘導される);又はHi−5(イラクサギンウワバ卵細胞ホモジネートから誘導される)〕、Madin−Darbyイヌ腎細胞(MDCK)、初代マウス脳細胞又は組織、初代子牛リンパ細胞又は組織、初代サル腎細胞、孵化鶏卵、初代ニワトリ胚線維芽細胞(CEF)、アカゲザル胎児肺細胞(FRhL−2)、ヒト胎児肺細胞(WI−38、MRC−5)、アフリカミドリザル腎臓上皮細胞(Vero、CV−1)、アカゲザル腎細胞(LLC−MK2)又は酵母細胞であることができる。特定の実施形態において、細胞は、MDCK細胞である。
本発明の他の実施形態は、CHO細胞によって発現される遺伝子を含むCHO細胞のトランスクリプトーム及びこれらの転写産物を標的とする一組のsiRNAを提供する。これらの実施形態は、CHOトランスクリプトームデータ及びそれぞれの転写産物の少なくとも一つの機能的面を概説するCHOトランスクリプトームデータの系統的な編集を使用するために構成されるシステム、並びに適切な標的の設計及び選択を可能にするための対応siRNA及び特にCHO細胞において生物学的プロセスの最適化のためのエフェクターRNA分子を含む。
従って、本発明の実施形態は、細胞においてタンパク質の発現を調節するのに適した少なくとも一つのRNAエフェクター分子のヌクレオチド配列を選択するためのシステムであって、一つ又はそれ以上のプロセッサと関連メモリを含むコンピュータシステム、及び少なくとも一つの細胞の少なくとも一つのトランスクリプトーム情報(前記情報は、前記トランスクリプトームのそれぞれの転写産物のための配列、及び場合により転写産物の名前、及び転写産物が役割を果たす分子経路の名前を含む)と;少なくとも一つのRNAエフェクター分子情報(前記情報は、少なくともRNAエフェクター分子の配列、及び場合によりRNAエフェクター分子の標的特異性を含み、それぞれのRNAエフェクター分子は、少なくとも一つの細胞トランスクリプトームの少なくとも配列にマッチさせるために設計される)とを含むデータベース;細胞型選択、標的生物選択、細胞経路選択、交差反応性選択、転写産物量選択、標的遺伝子名及び/又は配列選択、及び場合により生体内又は生体外送達選択肢のいずれかを含む送達方法選択の少なくとも一つを含むユーザインプットパラメータと;さらに、場合によりユーザアドレス情報;とを受け取るために適合させ、構成される前記コンピュータシステムのプログラム;前記パラメータとトランスクリプトーム転写産物配列のマッチする組み合わせについて前記パラメータを前記データベース中の配列と照合するために構成される第一のモジュール;並びに細胞においてタンパク質の発現を調節するのに適した少なくとも一つのRNAエフェクター分子の選択された配列を示すための第二のモジュール;を含むシステムを提供する。前記システムはまた、適切なRNAエフェクター分子を、確認された標的の関数として決定するための一つ又はそれ以上のデータ処理アルゴリズムを実行するためのモジュールも含む。
いくつかの実施形態において、前記システムは、さらに、少なくとも一つのRNAエフェクター分子をコンテナに格納するための記憶モジュール(この場合、2つ又はそれ以上のRNAエフェクター分子が存在する場合には、それぞれのRNAエフェクター分子は、別個のコンテナに格納される)及びロボットハンドリングモジュール(これは、前記マッチする組み合わせの選択の際に、マッチングコンテナを選択し、及び場合により前記コンテナに生体内又は生体外送達のためのユーザ選択に基づいた付加物を加え、及び場合によりさらに、ユーザアドレスに送るべき前記マッチングRNAエフェクター分子を含むコンテナをパッケージする)を含む。
いくつかの実施形態において、本発明は、前記のシステムのいずれか一つのシステムを使用して細胞においてタンパク質の発現を調節するためのRNAエフェクター分子を選択する方法を提供する。
いくつかの実施形態において、前記システムは、さらに細胞のゲノム情報を含み、ユーザ選択によって、前記RNAエフェクター分子を、ゲノムに存在するプロモーター、エンハンサー、イントロン及びエクソンを含む標的ゲノム配列にマッチさせることができる。
他の実施形態において、本発明は、CHO細胞トランスクリプトーム配列がデータベースの一部であるCHO細胞トランスクリプトームを提供する。関連する実施形態において、siRNA配列が、データベースの一部である。
また、本発明は、細胞株を改良する方法であって、少なくとも2つの転写産物を、エフェクターRNA分子を使用して調節することを含み、第一の転写産物が、第一の細胞培養表現型に影響を及ぼし及び第二の転写産物が、第二の異なる細胞培養表現型に影響を及ぼし、前記細胞培養表現型が、細胞増殖速度、細胞生産性、ピーク細胞密度、持続した細胞生存率、アンモニア産生及び消費の速度、又は乳酸産生もしくは消費の速度からなる群から選択される方法を提供する。いくつかの実施形態において、前記方法は、さらに、第一及び第二の細胞培養表現型と異なる第三の細胞培養表現型に影響を及ぼす第三の転写産物を調節することを含む。特定の実施形態において、細胞株はCHO細胞株である。
また、本発明の実施形態は、改良された細胞生産性、改良された細胞増殖速度、又は改良された細胞生存率を有する組換え細胞株であって、組換え細胞の個体群を含み、そのそれぞれが一つ又はそれ以上の転写産物を調節する組換え構造物を含む組換え細胞株を提供する。
いくつかの実施形態において、siRNAは、siRNAの群から選択され、RNAエフェクター分子は、少なくとも16個の連続したヌクレオチド(例えば、少なくとも17個のヌクレオチド、少なくとも18個のヌクレオチド、少なくとも19個のヌクレオチドなど)を含むアンチセンス鎖を含む。
実施形態はまた、宿主細胞から、特にCHO細胞から生物由来物質を産生させるための組成物及び方法を提供し、前記方法は、前記細胞を、RNAエフェクター分子、例えばCHOトランスクリプトーム転写産物(その一部分は、標的転写産物と相補的である)を標的とする一つ又はそれ以上のsiRNA分子と接触させ、前記細胞をバイオリアクター中で、標的遺伝子の発現を調節するのに十分な時間保持し(この場合、前記調節は、細胞から生物由来物質の産生を高める)、及び生物由来物質を前記細胞から単離することを含む。
本発明の利点は、宿主細胞によって産生される生物由来物質の収量及び/又は純度を実質的に上昇させることができ、従って生産コストを低下させることができること又は開発時間を著しく短縮できることである。改良された製造ロジスティクスは、品質を高める、及び生物由来物質供給を拡大するという後から続く効果を有する。
本発明の一つ又はそれ以上の実施形態の詳細を、以下の記載において明らかにする。本発明のその他の特徴、目的及び利点は、本明細書の記載及び図面から、並びに特許請求の範囲から明らかであろう。
2日目のCHO−S細胞中のBaxタンパク質を標識する免疫ブロットである。Baxの発現は、CHO−S細胞培養物において時間と共に生存率の低下と相関する。Baxの発現は、CHO−S細胞培養物において時間と共に生存率の低下と相関する。 細胞生存率、全細胞数、及び生存細胞の割合を細胞培養の日数の関数として表すCHO−S細胞の増殖曲線を表すグラフである。生存率は、おおよそ6日目に急激に低下する。 ハムスターBak及びBax遺伝子(表3及び4それぞれ)に対するRNAエフェクター分子によるCHO細胞でのBaxの発現の濃度に依存した抑制を表すグラフである。試験したRNAエフェクター分子のそれぞれは、低いナノモル範囲のIC50で発現を抑制したBaxに対するRNAエフェクター分子B2を除いて、サブナノモル範囲のIC50で発現を抑制した。 ハムスターBak及びBax遺伝子(表3及び4それぞれ)に対するRNAエフェクター分子によるCHO細胞でのBakの発現の濃度に依存した抑制を表すグラフである。試験したRNAエフェクター分子のそれぞれは、低いナノモル範囲のIC50で発現を抑制したBaxに対するRNAエフェクター分子B2を除いて、サブナノモル範囲のIC50で発現を抑制した。 ハムスター乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)遺伝子に対するRNAエフェクター分子によるCHO細胞におけるLDH(LDH活性として測定される)の発現の濃度に依存した抑制を表すグラフである。試験したRNAエフェクター分子のそれぞれは、サブナノモル範囲のIC50で発現を抑制した。 ハムスター乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)に対するRNAエフェクター分子は、対照細胞と比較してC2、C16及びC36CHO細胞株においてLDH−A mRNAの量を低下させる。LDHの抑制は、CHO細胞株の生産性を著しく高める(図4D)。 ハムスター乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)に対するRNAエフェクター分子は、対照細胞と比較してC2、C16及びC36CHO細胞株においてLDH−Aタンパク質の量を低下させる。 ハムスター乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)に対するRNAエフェクター分子は、対照細胞と比較してC2、C16及びC36CHO細胞株においてLDH−A活性の量を低下させる。 LDHの抑制は、CHO細胞株の生産性を著しく高める。 培養CHO細胞の生存率に関してBax/Bak及びLDHに対するRNAエフェクター分子の効果を示す棒グラフ。siRNA(1nM)を、培養細胞に0時間、48時間及び96時間の時間点(曲線上の矢印)で加え、細胞生存率を、5日目(グラフ)で及び時間と共に(曲線)積分細胞面積(ICA)として測定した。対照細胞は、Stealth siRNA(スクランブル対照)で処理した。Bax/Bak及びLDHに対するsiRNAで処理した細胞は、測定した時間点の全てにおいて対照細胞と比較して高められた生存率を示した。 培養CHO細胞の生存率に関してBax/Bak及びLDHに対するRNAエフェクター分子の効果を示す線グラフ。siRNA(1nM)を、培養細胞に0時間、48時間及び96時間の時間点(曲線上の矢印)で加え、細胞生存率を、5日目(グラフ)で及び時間と共に(曲線)積分細胞面積(ICA)として測定した。対照細胞は、Stealth siRNA(スクランブル対照)で処理した。Bax/Bak及びLDHに対するsiRNAで処理した細胞は、測定した時間点の全てにおいて対照細胞と比較して高められた生存率を示した。 Bax/Bak/LDH siRNAの添加が、生存CHO細胞密度を少なくとも90%上昇させることを表すグラフである。対照細胞(■)及び処理細胞(▲)の密度を、細胞生存率が50%に達するまで毎日測定した。積分細胞面積(IGA)を、測定した(差し込み図;対照に対するBax/Bak/LDH siRNA処理)。X軸の矢印は、siRNA投与日数又は栄養分供給日数を示す。 Bax/Bak/LDH siRNAの添加が、CHOの生存率を少なくとも50%上昇させることを表すグラフである。対照細胞(■)及びBax/Bak/LDH siRNA処理細胞(▲)の生存率を、トリパンブルーを使用して測定した。アポトーシス細胞死の割合を、5日目から12日目までそれぞれの試料の傾きを測定することによって調べた(差し込み図;対照に対するBax/Bak/LDH siRNA処理)。X軸の矢印は、siRNA投与日数を示す。 LDH酵素活性が、Bax/Bak/LDH siRNA処理細胞において低下することを表すグラフである。毎日のLDH活性を、対照処理細胞(■)及びBax/Bak/LDH siRNA処理細胞(▲)において監視した。X軸に沿った矢印は、siRNAの投与日数を示す。 乳酸量が、対照処理細胞培地と比べてBax/Bak/LDH siRNA処理細胞培養培地では低いことを示すグラフである。培養培地の乳酸量は、対照siRNA処理細胞培養(■)及びBax/Bak/LDH siRNA処理細胞培養(▲)において毎日監視した。X軸の矢印は、siRNAの投与日数を示す。 対照siRNA処理細胞におけるグルコース消費が増殖曲線の7日後に減少することを示すグラフである。Bax/Bak/LDH siRNA処理細胞培地(▲)からのグルコース濃度は、対照siRNA処理細胞培地(■)よりも著しく低い。X軸に沿った矢印は、栄養分の供給日数を示す。 Bax/Bak/LDH siRNA処理CHO細胞が、対照と比較して対数期増殖後のカスパーゼ3活性を低下させたことを示すグラフである。Bax/Bak/LDH siRNA処理細胞は、6日より前では対照siRNA処理細胞と同様のカスパーセ3活性を実証するが、その後の時間点では、対照細胞ではそれよりも高いカスパーゼ活性を示す。Bax/Bak/LDH siRNA処理細胞でのカスパーゼ3活性と対照処理細胞でのカスパーゼ3活性との間の比(▲)は、二相性活性反応を示す。 Bax、Bak及びLDH siRNA添加後のmRNA量の抑制率を示すグラフである。 Bax/Bak/LDH siRNAが、CHO細胞アポトーシス死亡率を〜300%減少させることを示すグラフである。 対照FITC−siRNA(1nM)と比較したBax/Bak siRNA(それぞれ1nM)で処理した細胞の生存率及び細胞密度を示すグラフである。 対照処理細胞と比較したBax/Bak/LDHを標的とするsiRNAで処理した細胞の細胞密度比及び生存率比を示すグラフである。 Bax/Bak/LDH siRNAが、大規模1LバイオリアクターでのCHO細胞の密度及び生存率の両方を向上させることを示す。 本発明の一つの実施形態のコンピュータシステムの線図を示す。 本発明の別の実施形態のコンピュータシステムの線図を示す。 本発明の一つの実施形態のデータ構造のダイアグラムを示す。 本発明の一つの実施形態の方法のフローダイアグラムを示す。 37℃及び28℃の温度で、脂質RNAiMaxで処理し、siRNAで処理していない対照DG44 CHO細胞、すなわち脂質処理対照での日数での経過時間(X軸)にわたるGFPの発現量(蛍光分析単位、y軸)を示すグラフである。 37℃及び28℃の温度で、脂質RNAiMax又はsiRNAで処理していない対照DG44 CHO細胞、すなわち未処理対照での日数での経過時間(X軸)にわたるGFPの発現量(蛍光分析単位、y軸)を示すグラフである。 日数での経過時間(X軸)にわたる37℃及び28℃の温度で、GFPに対して一時的形質移入siRNAによるDG44 CHO細胞でのGFP発現の抑制%(y軸)を示すグラフである。図22Aは、0.1nM siRNAである。 日数での経過時間(X軸)にわたる37℃及び28℃の温度で、GFPに対して一時的形質移入siRNAによるDG44 CHO細胞でのGFP発現の抑制%(y軸)を示すグラフである。図22Bは、1.0nM siRNAである。 日数での経過時間(X軸)にわたる37℃及び28℃の温度で、GFPに対して一時的形質移入siRNAによるDG44 CHO細胞でのGFP発現の抑制%(y軸)を示すグラフである。図22Cは、10nM siRNAである。 リポフェクタミンRNAiMaxと比較した9個の取り込み増強製剤を使用する相対%GFPシグナルノックダウン(y軸)を示す棒グラフである。x軸に示した9個の製剤については、表19を参照。 K8(製剤4)を種々の濃度で使用するLDH活性(y軸)が、250mL振盪フラスコ中のDG44細胞内のLDHに対するsiRNAの取り込みエンハンサーとして有効であったことを示す棒グラフである。 K8(製剤4)、L8及びP8製剤を種々の濃度で使用するLDH活性(y軸)が、懸濁物中のDG44内のLDHに対するsiRNAの取り込みエンハンサーとして有効であったことを示す棒グラフである。 P8製剤又は市販製剤RNAiMaxを推奨濃度で使用して懸濁CHO細胞50mL振盪フラスコ中での時間にわたる細胞密度を示すグラフである。脂質製剤は、0日目に細胞に投与した。 P8製剤又は市販製剤RNAiMaxを推奨濃度で使用して懸濁CHO細胞50mL振盪フラスコ中での時間にわたる%細胞生存率を示すグラフである。脂質製剤は、0日目に細胞に投与した。 P8NDLを使用する場合には、乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)に指向するsiRNAが、1Lバイオリアクターで、単回1nM用量で6日間LDHの80%〜90%ノックダウンを達成することを示すグラフである。 3L及び40L培養において6日間の経過時間にわたる生存細胞密度及び%LDH活性に対するP8脂質を用いて製剤された1nM LDH siRNAの単回投与の結果を示すグラフである。 P8をトランスフェクション試薬として使用する40LのDG44細胞培養のトランスフェクション後の日数での経過時間にわたる生存細胞密度及び%生存率(y軸)を示すグラフである。 40LのDG44細胞培養及び0日目でのsiRNAの単回投与において経過時間にわたる%LDH活性の低下を示すグラフである。 フコシルトランスフェラーゼ(FUT8)及びGDP−マンノース4,6−デヒドラーゼ(GMDS)遺伝子を標的とするdsRNAと接触させた細胞の対照細胞から調製された抗体の棒グラフである。図31Aは、これらの細胞によって産生された抗体の濃度を示すグラフである。 フコシルトランスフェラーゼ(FUT8)及びGDP−マンノース4,6−デヒドラーゼ(GMDS)遺伝子を標的とするdsRNAと接触させた細胞の対照細胞から調製された抗体の棒グラフである。図31Bは、FUT8及びGMDS dsRNA処理細胞から産生された抗体が、フコース特異的レクチンに対して>85%減少した結合を有することを示すグラフである。
詳細な説明
本発明は、本明細書に記載の特定の方法、プロトコル及び組成物などに限定されず、それ自体変化し得る。本明細書で使用する用語は、特定の実施形態のみを説明することを目的とするものであり、特許請求の範囲によって単に定義されるだけである本発明の範囲を限定することを意図するものではない。
本明細書及び特許請求の範囲で使用されるように、単数形は、特にその内容が明確に示されない限りは、複数言及を含み及びその逆も同様である。操作実施例又は別の方法で示した場合以外は、本明細書で使用する成分の量又は反応条件を表す全ての数値は、全ての場合において用語「約」で修飾されると解釈されるべきである。
本明細書において特定される全ての特許、遺伝子識別番号によって識別されるオリゴヌクレオチド配列及びの他の刊行物は、例えば本発明に関連して使用し得るような刊行物に記載される方法を記載及び開示することを目的として参照することによって明確に援用される。これらの刊行物は、これらの本出願の出願日前の開示についてのみ提供される。これに関して、先行発明によって又は任意のその他の理由で、本発明者らが、このような開示に先行する資格がないと認められると解釈されるべきではない。日付に関する全ての陳述又はこれらの文書の内容に関する説明は、本出願人らが入手できる情報に基づくものであり、これらの文書の日付又は内容の正確さに関して承認を構成するものではない。
特に定義されない限りは、本明細書で使用する全ての技術及び科学用語は、本発明が属する当業者に一般に理解されている意味と同じ意味を有する。ヒト遺伝子記号は、典型的には大文字で示されるが、本願明細書では、大文字又は小文字の遺伝子記号の使用は、同じ意味で使用し得、ヒト種又は非ヒト種の両方を含む。従って、例えば、「LDHA」(又は「LdhA」)のような遺伝子又は遺伝子標的「乳酸デヒドロゲナーゼA」に関する本明細書の言及は、ヒト及び/又は非ヒト(例えば、トリ、齧歯類、イヌ)遺伝子及び遺伝子標的を含む。すなわち、特定の遺伝子記号において大文字又は小文字は、遺伝子又は遺伝子標的の範囲をヒト種又は非ヒト種に限定しない。本明細書において提供される全ての遺伝子識別番号(遺伝子ID)は、特に特定されない限りは、国立生物工学情報センター(National Center for Biotechnology Information)「Entrez Gene」ウェブサイトの遺伝子識別番号である。
本発明は、宿主細胞において生物由来物質を産生する方法であって、宿主細胞を、少なくとも一つのRNAエフェクター分子(その一部分は、標的遺伝子の少なくとも一部分と相補的である)と接触させ、前記細胞を、標的遺伝子の発現を調節するのに十分な時間保持し(この場合に、前記調節は、生物由来物質の産生を高める)、及び前記生物由来物質を前記細胞から回収する工程を含む方法を提供する。本明細書に提供される記載は、本明細書において提供される方法に従って宿主細胞において生物由来物質を産生させるためにどのようにRNAエフェクター分子を調製し、使用するかを開示する。また、開示された方法を実施するための細胞培養試薬及びRNAエフェクター分子を含む組成物並びにキットが開示される。
I.定義
本明細書で使用する用語「を含む(comprising)」又は「を含む(comprise)」は、本発明に不可欠であるが、不可欠であろうとなかろうと、特定されていない要素を含むことができる組成物、方法、及びこれらのそれぞれの成分(一つ又は複数)に関連して使用される。
本明細書で使用する用語「から本質的になる」は、所定の実施形態に必要とされる要素を指す。この用語は、本発明のその実施形態の基本的及び新規又は機能的特徴に実質的に影響を及ぼさない要素の存在を可能にする。
用語「からなる」は、実施形態のその記載に挙げられていない任意の要素を含まない、本明細書に記載のような組成物、方法及びこれらのそれぞれの成分を指す。
本発明の文脈において、用語「オリゴヌクレオチド」又は「核酸分子」は、発現されるか又は自然界に見出される核酸分子ばかりではなく、本明細書に記載のような又は当該技術において知られているような一つ又はそれ以上のリボ又はデオキシリボヌクレオチド/ヌクレオシド類似体又は誘導体を含む核酸の類似体又は誘導体も包含する。このような修飾又は置換オリゴヌクレオチドは、本明細書においてさらに論じられる、例えば高められた細胞取り込み、ヌクレアーゼの存在下での上昇した安定性などの特性から、多くの場合、天然型全体にわたって使用される。「ヌクレオシド」は、ヌクレオシド塩基及びリボース糖を含み、「ヌクレオチド」は、1個、2個又は3個のリン酸部分を有するヌクレオシドである。用語「ヌクレオシド」及び「ヌクレオチド」は、本明細書で使用されるように同等物であるとみなすことができる。オリゴヌクレオチドは、RNAヌクレオチドのDNAヌクレオチドへの修飾を含め、例えば本明細書に記載のように核酸塩基構造又はリボース−リン酸主鎖構造において修飾することができる。ヌクレオシド類似体又は誘導体を含む分子は、二重鎖を形成する能力を保持しなければならない。
非限定的な例として、オリゴヌクレオチドは、少なくとも一つの修飾ヌクレオシド、例えば以下に限定されないが、2’−O−メチル修飾ヌクレオシド、5’−ホスホロチオエート基を含むヌクレオシド、コレステロール誘導体又はドデカン酸ビスデシルアミド基に連結されたに末端ヌクレオシド、固定化ヌクレオシド、脱塩基ヌクレオシド、2’−デオキシ−2’−フルオロ修飾ヌクレオシド、2’−アミノ−修飾ヌクレオシド、2’−アルキル−修飾ヌクレオシド、モルホリノヌクレオシド、ヌクレオシドを含むホスホロアミデート又は非天然塩基、あるいはこれらの任意の組み合わせを含むことができる。あるいは、オリゴヌクレオチドは、少なくとも2個の修飾ヌクレオシド、少なくとも3個、少なくとも4個、少なくとも5個、少なくとも6個、少なくとも7個、少なくとも8個、少なくとも9個、少なくとも10個、少なくとも15個、少なくとも20個又はそれ以上の修飾ヌクレオシドを、最大オリゴヌクレオチドの全長まで含むことができる。修飾は、オリゴヌクレオチドのこのような複数の修飾ヌクレオシドのそれぞれについて必ずしも同じである必要はない。RNAエフェクター分子が二本鎖である場合には、それぞれの鎖は、独立して、修飾ヌクレオシドの数、型及び/又は位置について修飾することができる。一つの実施形態において、本明細書に記載の方法及び組成物に使用することを意図する修飾オリゴヌクレオチドは、必要な二重鎖構造を形成する能力を有し及びRISC経路による標的RNAの特異的分解を可能にするか又は仲介するペプチド核酸(PNA)である。
用語「リボヌクレオシド」、「リボヌクレオチド」、「ヌクレオチド」、又は「デオキシリボヌクレオチド」は、本明細書でさらに詳述するような修飾ヌクレオチド、又は代理置換部分を指すこともできる。当該技術では、チミン塩基を含むリボヌクレオチドは、5−メチルウリジンともいい、ウラシル塩基を含むデオキシリボヌクレオチドは、デオキシウリジンともいう。グアニン、シトシン、アデニン、チミン及びウラシルは、このような置換部分を有するヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチドの塩基対合特性を実質的に変えることなく他の部分で置換することができる。例えば、限定されることなく、イノシンをその塩基として含むヌクレオチドは、アデニン、シトシン又はウラシルを含有するヌクレオチドと塩基対合できる。従って、ウラシル、グアニン又はアデニンを含有するヌクレオチドは、本発明において特徴付けられるdsRNAのヌクレオチド配列において、例えばイノシンを含有するヌクレオチドで置換することができる。別の例において、オリゴヌクレオチドのどこでもアデニン及びシトシンは、グアニン及びウラシルで置換して、それぞれ標的mRNAとG−Uウォッブル塩基対合を形成することができる。このような置換部分を含有する配列は、本発明において特徴付けられる組成物及び方法に適する。
同様に、当業者は、用語「RNA分子」又は「リボ核酸分子」が、発現されるか又は自然界に見出されるRNA分子ばかりではなく、本明細書に記載のような又は当該技術において知られているような一つ又はそれ以上のリボヌクレオチド又はリボヌクレオシド類似体又は誘導体を含むRNAの類似体又は誘導体も包含することを理解するであろう。用語「リボヌクレオシド」及び「リボヌクレオチド」は、本明細書で使用するように同等物であるとみなすことができる。RNAは、例えば本明細書に記載のように、核酸塩基構造又はリボース−リン酸主鎖構造において修飾することができる。
一つの態様において、RNAエフェクター分子は、デオキシリボヌクレオシド残基を含むことができる。このような場合には、RNAエフェクター分子作用物質は、dsRNAの二本鎖部分内に、一つ又はそれ以上のデオキシヌクレオシド、例えばデオキシヌクレオシドオーバーハング(一つ又は複数)又は一つ又はそれ以上のデオキシヌクレオシドを含むことができる。
いくつかの実施形態において、複数のRNAエフェクター分子が、一つ又はそれ以上の標的遺伝子の発現を調節するために使用される。「複数」とは、少なくとも2個又はそれ以上のRNAエフェクター分子、例えば、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個、20個、30個、40個、50個、60個、80個、100個のRNAエフェクター分子又はそれ以上を指す。「複数」とは、少なくとも2個又はそれ以上の標的遺伝子、例えば、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個、20個、30個、40個、50個、60個、70個、80個、90個、100個の標的遺伝子又はそれ以上を指すことができる。
本明細書で使用する「宿主細胞を接触させる」という用語は、作用物質が細胞に導入されるような作用物質による宿主細胞の処理を指す。典型的には、宿主細胞は、例えば培地に組成物を加えることによって培養物中で細胞を接触させるために、例えば多くの場合に細胞内へのRNAエフェクターの取り込みを促進する送達剤を含む組成物中で調製される、少なくとも一つのRNAエフェクター分子(例えば、siRNA)を使用する培養物中にある。一つの実施形態において、宿主細胞は、RNAエフェクター分子をコードするベクター、例えば組込み又は非組込みベクターと接触させる。一つの実施形態において、宿主細胞は、生物学的産生のために宿主細胞を培養する前に、例えばトランスフェクション又は形質導入によって、RNAエフェクター分子をコードするベクターと接触させる。
一つの実施形態において、宿主細胞を接触させるとは、宿主細胞を、RNAエフェクター分子をコードするベクターと接触させることを含まない。一つの実施形態において、宿主細胞を接触させるとは、宿主細胞を、生物学的産生のために宿主細胞を培養する前にRNAエフェクター分子をコードするベクターと接触させることを含まない、すなわち、宿主細胞は、例えば生物由来物質を産生する方法中に宿主細胞培養物に加えられる細胞増殖培養物のRNAエフェクター分子のみと接触させる。宿主細胞を、培養において、RNAエフェクター分子(一つ又は複数)と接触させる工程は、2回以上(例えば、2回、3回、4回、5回、6回、7回、8回、9回、10回、11回、12回、13回、14回、15回、16回、17回、18回、19回、20回、30回、40回、50回、60回、70回、80回、90回、100回又はそれ以上)繰り返すことができる。一つの実施形態において、前記細胞は、例えば生物由来物質の産生のために使用される細胞培地にRNAエフェクター分子組成物を加えることによって、標的遺伝子が一時的にのみ調節されるように接触させる(この場合、RNAエフェクター分子の存在は、経時的に消失する、すなわちRNAエフェクター分子は、細胞において構成的に発現されない)。
「細胞に導入する」とは、RNAエフェクター分子について言及する場合には、当業者によって理解されるように、細胞内への取り込み又は吸収を促進する又は行うことを意味する。RNAエフェクター分子の吸収又は取り込みは、磁力拡散又は活性細胞プロセスによって、あるいは補助剤又は補助デバイスによって生じさせることができる。例えば、細胞に導入するとは、宿主細胞を少なくとも一つのRNAエフェクター分子と接触させることを意味するか、又は多くの場合にRNAエフェクター分子及びRNAエフェクター分子の取り込みを促進する送達剤(例えば、トランスフェクション試薬、エマルジョン、陽イオン性脂質、非陽イオン性脂質、荷電脂質、リポソーム、陰イオン性脂質、浸透促進剤、又は例えばリガンド、標的部分、ペプチド、親油性基などを結合するためにRNAエフェクター分子に対する修飾)を含む組成物中で調製される、少なくとも一つのRNAエフェクター分子及び細胞への取り込み又は吸収を促進するか又は行う作用物質による細胞の処理を意味する。細胞内への生体外導入としては、当該技術で公知の方法、例えば電気穿孔法及びリポフェクションが挙げられる。別のアプローチは、本明細書において以下に記載されるか又は当該技術で公知である。
本明細書で使用する「RNAエフェクター組成物」は、有効量のRNAエフェクター分子と許容される担体とを含む。本明細書で使用する「有効量」とは、生物由来物質の産生のためのバイオプロセスに効果(例えば、調節効果)をもたらすのに有効なRNAエフェクター分子の量を指す。一つの実施形態において、RNAエフェクター組成物は、RNAエフェクター分子の取り込みを促進する試薬(例えば、トランスフェクション試薬、エマルジョン、陽イオン性脂質、非陽イオン性脂質、荷電脂質、リポソーム、陰イオン性脂質、浸透促進剤、又は例えばリガンド、標的部分、ペプチド、親油性基などを結合するためにRNAエフェクター分子に対する修飾)を含む。
用語「許容される担体」は、RNAエフェクター分子を培養細胞に投与するための担体を指す。このような担体としては、以下に限定されないが、食塩水、緩衝食塩水、デキストロース、水、グリセロール、エタノール及びこれらの組み合わせが挙げられる。一つの実施形態において、用語「許容される担体」は、具体的には細胞培地を除外する。
本明細書で使用する用語「発現」は、RNA及び/又はポリペプチドの配列をコードする標的遺伝子からRNAへの転写及び/又は一つ又はそれ以上のポリペプチドへの翻訳を意味することを意図する。
本明細書で使用する「標的遺伝子」とは、遺伝子の発現の調節が生物由来物質の産生を高めるように、宿主細胞による生物由来物質の産生の一つ又はそれ以上の態様に影響を及ぼすタンパク質をコードする遺伝子を指す。標的遺伝子は、宿主細胞から誘導できるし、宿主細胞に内在する(宿主細胞ゲノムに存在する)ことができるし、導入遺伝子(宿主細胞ゲノムの異所性部位で挿入される遺伝子構造物)であることができるし、あるいは宿主細胞に又は生物由来物質又はその誘導体を使用するであろう被験者(例えば、ヒト)に感染することができる病原体(例えば、ウイルス、真菌類又は細菌類)から誘導できる。また、いくつかの実施形態において、「標的遺伝子」とは、遺伝子の発現の調節が生物由来物質の産生を高めるように、細胞による生物由来物質の産生の一つ又はそれ以上の態様に影響を及ぼす核酸の発現を調節する遺伝子(すなわち、非コード遺伝子)を指す。
「標的遺伝子RNA」又は「標的RNA」とは、標的遺伝子から転写されるRNAを意味する。従って、標的遺伝子は、標的遺伝子のコード領域、プロモーター領域、3’非翻訳領域(3’−UTR)及び/又は5’−UTRであることができる。
ポリペプチドをコードする標的遺伝子RNAは、メッセンジャーRNA(mRNA)としてより一般的に知られている。標的遺伝子は、宿主細胞から誘導できるし、宿主細胞中に潜在することができるし、宿主細胞に内在する(宿主細胞ゲノムに存在する)ことができるし、導入遺伝子(宿主細胞ゲノムの異所性部位で挿入される遺伝子構造物)であることができるし、あるいは宿主細胞に又は生物由来物質あるいはその誘導体又は産生物を使用するであろう被験者に感染することができる病原体(例えば、ウイルス、真菌類又は細菌類)から誘導できる。いくつかの実施形態において、標的遺伝子は、宿主細胞による翻訳後修飾の一つ又はそれ以上の態様、例えばペプチドグリコシル化に影響を及ぼすタンパク質をコードする。例えば、翻訳後プロセシングに関与するタンパク質をコードする遺伝子の発現の調節は、少なくとも一つの末端マンノースを含むポリペプチドの産生を高める。
いくつかの実施形態において、標的遺伝子は、非コードRNA(ncRNA)、例えば非翻訳領域をコードする。本明細書で使用するように、ncRNAとは、タンパク質に翻訳されない標的遺伝子RNAを指す。また、ncRNAは、当該技術において非タンパク質コードRNA(npcRNA)、非メッセンジャーRNA(nmRNA)、小分子非メッセンジャーRNA(snmRNA)及び機能性RNA(fRNA)と呼ぶこともできる。標的遺伝子であってそれからncRNAが最終生成物として転写される標的遺伝子もまた、RNA遺伝子又はncRNA遺伝子と呼ばれる。ncRNA遺伝子としては、極めて豊富な及び機能的に重要なRNA類、例えば転移RNA(tRNA)及びリボソームRNA(rRNA)、並びにRNA類、例えばsnoRNA、microRNA、siRNA及びpiRNAが挙げられる。本明細書で使用されるように、RNAエフェクター分子は、RNAエフェクター分子が特定の部位内のどこでも転写産物の切断を促進する場合には、RNA転写産物の特定の部位内を標的とすると言われる。
いくつかの実施形態において、標的遺伝子は、宿主細胞の内在性遺伝子である。例えば、標的遺伝子は、生物由来物質がポリペプチドである場合には、生物由来物質又はその一部分をコードすることができる。また、標的遺伝子は、生物由来物質の産生の一つ又はそれ以上の態様に直接的に又は間接的に影響を及ぼす宿主細胞タンパク質をコードすることもできる。ポリペプチドの産生に影響を及ぼす標的遺伝子の例としては、ポリペプチドの分泌、折りたたみ又は翻訳後修飾(例えば、グリコシル化、脱アミド化、ジスルフィド結合形成、メチオニン酸化又はピログルタミン酸化)に関与するタンパク質をコードする遺伝子;宿主細胞の性質又は表現型(例えば、増殖、生存率、細胞pH、細胞周期の進行、アポトーシス、炭素の代謝又は輸送、乳酸形成、細胞骨格構造(例えば、アクチン動態)、ウイルス感染に対する感受性あるいはRNAi取り込み、活性又は効果)に影響を及ぼすタンパク質をコードする遺伝子;及び宿主細胞による生物由来物質の産生を損なうタンパク質(例えば、生物由来物質を結合するか又は生物由来物質と同時精製するタンパク質)をコードする遺伝子が挙げられる。
いくつかの実施形態において、生物由来物質の産生は、該産生物に結合するタンパク質の発現を標的とすることによって高められる。例えば、増殖因子、ホルモン又は細胞シグナル伝達タンパク質の産生において、細胞においてその産生が生物学的反応を誘発しないように、その受容体/リガンドの発現を低下させるか又は抑制することが好都合であり得る。受容体は、細胞表面受容体又は内部(例えば、核)受容体であることができる。従って、例えば、生物由来物質、インターフェロン(例えば、インターフェロンβ)の産生は、宿主細胞に存在するインターフェロン受容体、例えばIFNAR1又はIFNAR2の発現量を低下させることによって(例えば、配列番号:2436536−2436863からなる群から選択される配列を有するオリゴヌクレオチドの少なくとも16個の連続したヌクレオチド(例えば、少なくとも17個の連続したヌクレオチド、少なくとも18個の連続したヌクレオチド、少なくとも19個の連続したヌクレオチドを含む)アンチセンス鎖を含む対応RNAエフェクター分子を使用することにより宿主細胞を接触させることによって)は高めることができる。結合パートナーの発現は、本明細書に記載の方法に従って、宿主細胞を、前記受容体遺伝子を標的とするRNAエフェクター分子と接触させることによって調節できる。
いくつかの実施形態において、標的遺伝子は、標的遺伝子の発現の抑制が生物由来物質の産生を高めるように生物由来物質の産生に間接的に影響を及ぼす宿主細胞タンパク質をコードする。例えば、標的遺伝子は、生物由来物質の産生に直接影響を及ぼさないが、例えば他の方法で生物由来物質の産生を高めることができる細胞源を利用することによってその産生を間接的に低下させる豊富に発現される宿主細胞タンパク質をコードすることができる。標的遺伝子は、本明細書でさらに詳細に説明する。
用語「の発現を調節する」及びその他は、それが標的遺伝子に言及する限りには、本明細書において、第一の細胞又は細胞の群と実質的に同じであるがそのように処理されていない第二の細胞又は細胞の群(対照細胞)と比較して、標的遺伝子が転写され及び標的遺伝子の発現が調節されるように処理されている第一の細胞又は細胞の群から単離できるかあるいは前記第一の細胞又は細胞の群において検出できる標的遺伝子mRNAの量の変化(例えば、増加又は減少)によって明らかにされるような、標的遺伝子の発現の調節を指す。調節の度合いは、
Figure 2014501097
で表すことができる
あるいは、調節の度合いは、標的遺伝子発現と機能的に関連があるパラメータ、例えば標的遺伝子によってコードされるタンパク質の量、又は特定の表現型、例えば微小管の安定化を示す細胞の数に関して示すことができる。原則として、標的遺伝子の調節は、標的遺伝子を発現する任意の宿主細胞において、構成的に又はゲノム工学によって、及び当該技術において公知の適切なアッセイによって調べることができる。
例えば、場合によっては、標的遺伝子の発現は抑制される。例えば、標的遺伝子の発現は、本明細書において提供されるRNAエフェクター分子の投与によって少なくとも約10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%又は50%抑制される。いくつかの実施形態において、標的遺伝子は、RNAエフェクター分子の投与によって少なくとも約60%、70%、又は80%抑制される。いくつかの実施形態において、標的遺伝子は、本明細書に記載のようなRNAエフェクター分子の投与によって少なくとも約85%、90%、又は95%あるいはそれ以上抑制される。他の場合には、標的遺伝子の発現は、本明細書において提供されるRNAエフェクター分子の投与によって少なくとも約10%、20%、25%、50%、100%、200%、400%又はそれ以上活性化される。いくつかの実施形態において、前記発現の調節は、部分抑制である。いくつかの態様において、部分抑制は、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%及び85%からなる群から選択される抑制率よりも大きくない。
本明細書で使用する用語「RNAエフェクター分子」は、宿主細胞内で本明細書において定義されるような標的遺伝子の発現を調節できるオリゴヌクレオチド作用物質、又は場合により宿主細胞内で(すなわち、宿主細胞に導入されると)このようなオリゴヌクレオチドを形成することができるオリゴヌクレオチド作用物質を指す。RNAエフェクター分子の一部分は、標的遺伝子の少なくとも一部分、例えば標的遺伝子のコード領域、プロモーター領域、3’非非翻訳領域(3’−UTR)及び/又は5’−UTRと実質的に相補的である。いくつかの実施形態において、RNAエフェクター分子は、標的とすべきヌクレオチド配列の少なくとも16個の連続したヌクレオチド(例えば、標的とすべきヌクレオチド配列の少なくとも17個、少なくとも18個、少なくとも19個又はそれ以上の連続したヌクレオチド)を含む。
本明細書に記載のRNAエフェクター分子は、一般的に第一の鎖と第二の鎖(これらの一つは、少なくとも標的遺伝子の一部分と実質的に相補的である)を有し、種々様々なメカニズム、例えば以下に限定されないが、標的遺伝子mRNA転写産物のArgonaute介在転写後切断(時には、当該技術においてRNAiと呼ばれる)及び/又はその他の転写前及び翻訳前メカニズムの一つ又はそれ以上によって標的遺伝子発現を調節する。
RNAエフェクター分子は、一本鎖又は二本鎖以上の鎖を含むことができ、例えば二本鎖RNA(dsRNA)、microRNA(miRNA)、アンチセンスRNA、プロモーター指向RNA(pdRNA)、Piwi相互作用RNA(piRNA)、発現干渉RNA(eiRNA)、短ヘアピンRNA(shRNA)、アンタゴミア(antagomir)、decoy RNA、DNA、プラスミド及びアプタマーを含むことができる。RNAエフェクター分子は、一本鎖又は二本鎖であることができる。一本鎖RNAエフェクター分子は、二本鎖領域を有することができ、二本鎖RNAエフェクターは、一本鎖領域を有することができる。
用語「一部分」とは、オリゴヌクレオチド(例えば、RNAエフェクター分子)に関連して使用される場合には、標的遺伝子の領域に相補的結合を行う所望の長さを有するか又は所望の長さの二重鎖領域を有するRNAエフェクター分子の一部分を指す。例えば、「一部分」又は「領域」とは、少なくとも3個、少なくとも4個、少なくとも5個、少なくとも6個、少なくとも7個、少なくとも8個、少なくとも9個、少なくとも10個又はそれ以上で最大完全RNAエフェクター分子よりも1個短いヌクレオチドまでの核酸配列を指す。いくつかの実施形態において、「領域」又は「一部分」は、RNAエフェクター分子に関連して使用される場合には、RNAエフェクター分子の鎖の完全核酸配列よりも短いヌクレオチドの核酸配列を含む。当業者は、標的遺伝子と相補的であるか又は所望の特徴(例えば、標的遺伝子の抑制又は安定性)を有するRNAエフェクター分子が産生されるように二重鎖に配置される前記「一部分」の長さを変化させることができる。理論に束縛されないが、本明細書において提供されるRNAエフェクター分子は、種々様々なメカニズム、例えば以下に限定されないが、標的遺伝子mRNA転写産物のArgonaute介在転写後切断(時には、当該技術でRNAiと呼ばれる)及び/又はその他の転写前及び翻訳前メカニズムの一つ又はそれ以上によって標的遺伝子発現を調節できる。
本明細書に開示されるRNAエフェクター分子は、30ヌクレオチド以下の長さ、例えば、10〜30個のヌクレオチドの長さ又は19〜24個のヌクレオチドの長さである領域を有するRNA鎖(アンチセンス鎖)を含み、その領域は、生物由来物質の産生の一つ又はそれ以上の態様、例えば生物由来物質の収量、純度、均一性、生物活性又は安定性に影響を及ぼす標的遺伝子の少なくとも一部分と実質的に相補的である。RNAエフェクター分子は、標的遺伝子のRNA転写産物と相互作用し、その選択的分解に介在するか又はその翻訳を妨害する。
用語「アンチセンス鎖」は、標的配列に実質的に相補的である領域を含むRNAエフェクター分子、例えばdsRNAの鎖を指す。用語「相補性の領域」は、本明細書で定義するような配列、例えば標的配列と実質的に相補的であるアンチセンス鎖の領域を指す。相補性の領域が標的配列と完全に相補的でない場合には、誤対合が、分子の内部又は末端領域に存在し得る。一般的に、最も許容される誤対合は、末端領域、例えば5’及び/又は3’末端の5、4、3又は2ヌクレオチド内にある。
用語「センス鎖」は、この用語が本明細書において定義されるようなアンチセンス鎖の領域と実質的に相補的である領域を含むRNAエフェクター分子の鎖を指す。
本明細書で使用されるように及び特に明示されない限りは、用語「相補的な」は、第二のヌクレオチド配列に関連して第一のヌクレオチド配列を説明するのに使用される場合には、当業者によって理解されるように、第一のヌクレオチド配列を含むオリゴヌクレオチド又はポリヌクレオチドが、第二のクレオチド配列を含むオリゴヌクレオチド又はポリヌクレオチドと特定の条件下でハイブリダイズし、二重鎖構造を形成できることを指す。「相補的」配列はまた、前記ヌクレオチドがハイブリダイズすることができることに関して上記の要件が満たされる限りにおいて、非ワトソン・クリック塩基対及び/又は非天然及び修飾ヌクレオチドから形成される塩基対を含むことができるし又はこれらの塩基対から完全に形成されることができる。このような非ワトソン・クリック塩基対としては、以下に限定されないが、G:Uウォッブル又はフーグステイン塩基対が挙げられる。ハイブリダイゼーション条件は、例えば、ストリンジェントな条件であることができ、この場合、ストリンジェントな条件は、400mM NaCl、40mM PIPES(pH6.4)、1mM EDTA、50℃又は70℃、12〜16時間、次いで洗浄を含むことができる。その他の条件、例えば生物内で遭遇し得るような生理学的に関連する条件が適用できる。当業者は、ハイブリダイズしたヌクレオチドの最終的な用途に従って、2つの配列の相補性の試験に最も適した一組の条件を決定できるであろう。
本明細書において用語「相補的な」、「完全に相補的な」及び「実質的に相補的な」は、使用する文脈から理解されるように、dsRNAのセンス鎖とアンチセンス鎖の間又はRNAエフェクター分子作用物質のアンチセンス鎖と標的配列の間の塩基対合に関して使用できる。本明細書で使用されるように、標的遺伝子「の少なくとも一部分と実質的に相補的である」オリゴヌクレオチドとは、関心の標的遺伝子の近接部分と実質的に相補的であるオリゴヌクレオチド(例えば、標的遺伝子によってコードされるmRNA、標的遺伝子のプロモーター領域又は3’UTR、又はERV LTR)を指す。例えば、オリゴヌクレオチドは、配列が標的遺伝子によってコードされるmRNAの非中断部分と実質的に相補的である場合には、少なくとも標的mRNAの一部分と相補的である。
RNAエフェクター分子内、例えば、本明細書に記載のdsRNA(二本鎖リボ核酸)内の相補的配列は、ヌクレオチド配列の一つ又は両方の全長にわたって第二のヌクレオチド配列を含むオリゴヌクレオチド又はポリヌクレオチドに対する第一のヌクレオチド配列を含むオリゴヌクレオチド又はポリヌクレオチドの塩基対合を含む。このような配列は、本明細書において互いに関して「完全に相補的である」ということができる。第一の配列が本明細書において第二の配列に対して「実質的に相補的である」という場合には、この2つの配列は、完全に相補的であることができるし、又はこの2つの配列は、その最終用途、例えばRISC経路による遺伝子発現の抑制に最も適切な条件下でハイズリダイズする能力を保持しながら、最大30塩基対までの二重鎖のためのハイブリダイゼーションに際して一つ又はそれ以上であるが、一般的には5個以下、4個以下、3個以下又は2個以下の誤対合塩基対を形成できる。2つのオリゴヌクレオチドが、ハイブリダイゼーションに際して、一つ又はそれ以上の一本鎖オーバーハングを形成するために設計される場合には、このようなオーバーハングは、相補性の決定に関して誤対合とみなされないであろう。例えば、21個のヌクレオチドの長さの一方のオリゴヌクレオチドと、23個のヌクレオチドの長さの他方のオリゴヌクレオチドとを含むdsRNA(前記長いオリゴヌクレオチドは、前記短いオリゴヌクレオチドと完全に相補的である21個のヌクレオチドの配列を含む)は、本明細書に記載の目的に「完全に相補的」とさらにいうことができる。
いくつかの実施形態において、RNAエフェクター分子は、標的遺伝子のRNA転写産物と相互作用し、該RNA転写産物の切断を指示する一本鎖オリゴヌクレオチドを含む。例えば、一本鎖RNAエフェクター分子は、該エフェクター分子をヌクレアーゼ分解から保護するために一つ又はそれ以上のリン酸基又はその類似体を含む5’修飾を含む。RNAエフェクター分子は、少なくとも標的遺伝子の「センス」核酸の一部分、例えば二本鎖cDNA分子のコード鎖と相補的であるヌクレオチド配列又はRNA配列、例えばpre−mRNA、mRNA、miRNA又はpre−miRNAを有する一本鎖アンチセンス核酸であることができる。従って、アンチセンス核酸は、センス核酸標的と水素結合を形成できる。別の実施形態において、RNAエフェクター分子は、少なくとも9個のヌクレオチドの長さの二重鎖領域を含む。
コード鎖配列(例えば、cDNA分子のセンス鎖の配列)を考慮に入れて、アンチセンス核酸は、ワトソン・クリック塩基対合の規則に従って設計できる。アンチセンス核酸は、RNAのコード領域又は非コード領域の一部分、例えばpre−mRNA又はmRNAの翻訳開始部位の周囲の領域、例えば5’UTRと相補的であることができる。アンチセンスオリゴヌクレオチドは、例えば、約10〜25個のヌクレオチドの長さ(例えば、10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個、20個、21個、22個、23個又は24個のヌクレオチドの長さ)であることができる。いくつかの実施形態において、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、その分子の生物学的安定性及び/又はアンチセンス核酸と標的核酸の間で形成される二重鎖の物理的安定性を高めるために設計される、一つ又はそれ以上の修飾ヌクレオチド、例えばホスホロチオエート誘導体及び/又はアクリジン置換ヌクレオチドを含む。アンチセンスオリゴヌクレオチドは、リボヌクレオチドのみ、デオキシリボヌクレオチドのみ(例えば、オリゴデオキシヌクレオチド)を含むことができるし又はデオキシリボヌクレオチドとリボヌクレオチドの両方を含むことができる。例えば、リボヌクレオチドのみからなるアンチセンス剤は、相補的RNAとハイブリダイズし、標的RNA転写産物への翻訳機構のアクセスを防止し、それによってタンパク質合成を防止することができる。デオキシリボヌクレオチドのみを含むか又はデオキシリボヌクレオチドとリボヌクレオチドとを含むアンチセンス分子は、相補的RNAとハイブリダイズすることができ、RNA標的は、その後に翻訳を防止するために酵素、例えばリボヌクレアーゼHによって実質的に切断されることができる。フランキングRNA配列は、2’−O−メチル化ヌクレオチド、及びホスホロチオエート連鎖を含むことができ、内部DNA配列は、ホスホロチオエートヌクレオチド間連鎖を含むことができる。内部DNA配列は、リボヌクレアーゼH活性による標的化が望まれる場合には、少なくとも5個のヌクレオチドの長さであることが好ましい。
いくつかの実施形態において、RNAエフェクター分子は、二本鎖オリゴヌクレオチドである。本明細書で使用する用語「二本鎖RNA」又は「dsRNA」は、標的RNAに関して「センス」及び「アンチセンス」配向を有すると言われるであろう2つの逆平行で実質的に相補的な核酸鎖を含むハイブリダイズした二重鎖領域を有するオリゴヌクレオチド分子又は分子の複合体を指す。典型的には、相補性の領域は、一般的に例えば10〜26個のヌクレオチドの長さ、18〜25個のヌクレオチドの長さ、又は19〜24個のヌクレオチドの長さを含め、30個又はそれよりも少ないヌクレオチドの長さである。標的遺伝子を発現する細胞と接触すると、RNAエフェクター分子は、標的遺伝子の発現を、例えばPCR又は分岐DNA(bDNA)に基づいた方法で、あるいはタンパク質に基づいた方法で、例えばウェスタンブロットでアッセイされるように少なくとも10%抑制する。細胞培養における標的遺伝子の発現は、標的遺伝子mRNA量を、例えばbDNA又はTAQMAN(登録商標)アッセイで測定することによって、あるいはタンパク質量を、例えば免疫蛍光分析又は定量免疫ブブロットで測定することによってアッセイすることができる。
二重鎖領域は、RISC経路による所望の標的RNAの特異的分解を可能にする任意の長さであることができるが、典型的には9〜36個の塩基対の長さ、例えば15〜30個の塩基対の長さの範囲にあるであろう。さらに具体的には、二重鎖領域は、RISC経路による所望の標的RNAの特異的分解を可能にする任意の長さであることができるが、典型的には9〜36個の塩基対の長さ、例えば15〜30個の塩基対の長さの範囲にあるであろう。9〜36個の塩基対の二重鎖を考慮すると、二重鎖は、この範囲内の任意の長さであることができ、例えば9個、10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個、20個、21個、22個、23個、24個、25個、26個、27個、28個、29個、30個、31個、32個、33個、34個、35又は36個の塩基対の長さであることができ、例えば、以下に限定されないが、15〜30塩基対、15〜26個の塩基対、15〜23個の塩基対、15〜22個の塩基対、15〜21個の塩基対、15〜20個の塩基対、15〜19個の塩基対、15〜18個の塩基対、15〜17個の塩基対、18〜30個の塩基対、18〜26個の塩基対、18〜23個の塩基対、18〜22個の塩基対、18〜21個の塩基対、18〜20個の塩基対、19〜30個の塩基対、19〜26個の塩基対、19〜23個の塩基対、19〜22個の塩基対、19〜21個の塩基対、19〜20個の塩基対、20〜30個の塩基対、20〜26個の塩基対、20〜25個の塩基対、20〜24個の塩基対、20〜23個の塩基対、20〜22個の塩基対、20〜21個の塩基対、21〜30個の塩基対、21〜26個の塩基対、21〜25個の塩基対、21〜24個の塩基対、21〜23個の塩基対,又は21〜22個の塩基対を含む任意の部分範囲であることができる。
ダイサー酵素及び類似酵素を用いるプロセシングによって細胞内で生じたdsRNAは、一般的に19〜22個の塩基対の長さの範囲にある。dsDNAの二重鎖領域の一つの鎖は、標的RNAの領域と実質的に相補的である配列を含む。二重鎖構造を形成する2つの鎖は、少なくとも一つの自己相補的領域を有する単一のRNA分子に由来するものであることができるし、又は2個又はそれ以上の別個のRNA分子から形成されることができる。二重鎖領域が、単一分子の2つの鎖から形成される場合には、該分子は、一方の鎖の3’末端と、二重鎖構造を形成するそれぞれの他方の鎖の5’末端の間のヌクレオチドの一本鎖(「ヘアピンループ」)によって隔てられている二重鎖領域を有することができる。ヘアピンループは、少なくとも1個の不対ヌクレオチドを含むことができる;いくつかの実施形態において、ヘアピンループは、少なくとも3個、少なくとも4個、少なくとも5個、少なくとも6個、少なくとも7個、少なくとも8個、少なくとも9個、少なくとも10個、少なくとも20個、少なくとも23個又はそれ以上の不対ヌクレオチドを含むことができる。dsRNAの2つの実質的に相補的な鎖が、別個のRNA分子によって構成される場合には、これらのRNA分子は、必ずしも必要ではないが、共有結合されることができる。前記2つの鎖が、ヘアピンループ以外の手段によって共有結合される場合には、その結合構造は、「リンカー」と呼ばれる。用語「sRNAエフェクター分子」もまた、本明細書においてdsRNAを指すために使用される。
標的遺伝子の発現を調節するRNAエフェクター分子が、本明細書に記載される。一つの実施形態において、RNAエフェクター分子作用物質は、細胞において標的遺伝子の発現を抑制するための二本鎖リボ核酸(dsRNA)分子を含み、前記dsRNAは、標的遺伝子の発現において形成される標的遺伝子の少なくとも一部分と相補的である相補性の領域を有するアンチセンス鎖を含み、前記相補性の領域は、30個以下のヌクレオチドの長さ、一般的には10〜24個のヌクレオチドの長さであり、及び前記dsRNAは、標的遺伝子を発現する細胞と接触すると、標的遺伝子の発現を、例えばPCR、PERT、又は分岐DNA(bDNA)に基づいた方法で、あるいはタンパク質に基づいた方法、例えばウェスタンブロットでアッセイされるように少なくとも10%抑制する。細胞での標的遺伝子の発現は、標的遺伝子mRNA量を、例えばPERT、bDNA又はTAQMAN(登録商標)遺伝子発現アッセイで測定することによって、あるいはタンパク質量を、例えば免疫蛍光分析又は定量タンパク質免疫ブブロットで測定することによってアッセイすることができる。
dsRNAは、dsRNAを使用するであろう条件下でハイブリダイズして二重鎖構造を形成するのに十分に相補的である2つのRNA鎖を含む。dsRNAの一方の鎖(アンチセンス鎖)は、例えば標的遺伝子の発現中に形成されるmRNAの配列から誘導される標的配列と実質的に相補的であり、一般的に完全に相補的である相補性の領域を含む。dsRNAの他方の鎖(センス鎖)は、前記2つの鎖が、ハイブリダイズし、適当な条件下で結合した場合に二重鎖構造を形成するようにアンチセンス鎖と相補的である領域を含む。一般的に、二重鎖構造は、例えば9〜36個の塩基対、10〜30個の塩基対、18〜25個の塩基対、19〜24個の塩基対又は19〜21個の塩基対の長さを含む。同様に、標的配列と相補性の領域は、例えば、10〜30個、18〜25個、19〜24個、又は19〜21個のヌクレオチドの長さを含む。いくつかの実施形態において、dsRNAは、10〜20個のヌクレオチドの長さを含む。その他の実施形態において、dsRNAは、25〜30個のヌクレオチドの長さを含む。従って、一つの実施形態において、切断のために所望のRNAを標的とする例えば15〜30個の塩基対の機能的二重鎖に処理される程度まで、RNA分子又は30個を超える塩基対の二重鎖領域を有するRNA分子の複合体は、dsRNAである。当業者が認識するであろうように、切断のために標的とされるRNAの標的領域は、ほとんどの場合により大きいRNA分子、多くの場合にはmRNA分子の一部分であろう。一つの実施形態において、dsRNAは、siRNAである。
適切な場合には、mRNA標的の「一部分」は、RNAi指向切断(すなわち、RISC経路による切断)のための支持体であるのに十分な長さのmRNA標的の連続配列である。9個の塩基対ほどの短い二重鎖を有するdsRNAは、ある状況下では、RNAi指向RNA切断に介在する。ほとんどの場合、標的は、少なくとも10個のヌクレオチドの長さ、例えば15〜30個のヌクレオチドの長さを含むであろう。
当業者は、20〜23個の塩基対、具体的には21個の塩基対の二重鎖構造を有するdsRNAが、RNA干渉を誘導することに特に有効であると認められていることをよく分かっている。Elbashirら、20 EMBO 6877−88(2001)。前記の実施形態において、オリゴヌクレオチド配列の性質によって、本明細書に記載のdsRNAは、21個のヌクレオチドの長さの少なくとも一つの鎖を含むことができる。一端又は両端の数個のヌクレオチドのみがない配列を有する短い二重鎖が、詳細に記載したdsRNAと比較して同様に有効であることができることが合理的に予測できる。従って、所定の配列由来の少なくとも10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個、20個、又はそれ以上の連続したヌクレオチドの部分配列を有し、完全な配列を含むdsRNAとは標的遺伝子の発現を5%、10%、15%、20%、25%、又は30%以下の抑制率まで抑制できることにおいて異なるdsRNAが、本発明によって意図される。
dsRNAは、以下でさらに論じるような当該技術で公知の標準方法によって、例えば、自動化DNA合成装置、例えばBiosearch Technologies(Novato、CA)から商業的に入手できるような自動化DNA合成装置を使用することによって合成できる。一つの実施形態において、標的遺伝子は、ヒト標的遺伝子である。特定の実施形態において、第一の配列は、センス配列を含むdsRNAのセンス鎖であり、及び第二の配列は、アンチセンス配列を含むdsRNAの鎖である。標的配列のほかの部分を標的とする別のdsRNA作用物質は、標的配列及びフランキング標的配列を使用して容易に決定できる。この態様において、2つの配列の一つは、この2つの配列の他方と相補的であり、これらの配列の一つは、標的遺伝子の発現において生じたmRNAの配列と実質的に相補的である。従って、この態様において、dsRNAは、2つのオリゴヌクレオチドを含むであろうし、一つのオリゴヌクレオチドは、センス鎖として記載され及び第二のオリゴヌクレオチドは、アンチセンス鎖として記載される。本明細書の他の個所に記載されるように及び当該技術において知られているように、dsRNAの相補的配列は、別個のオリゴヌクレオチド上に存在するのとは対照的に、単一の核酸分子の自己相補的領域として含まれることもできる。
二本鎖オリゴヌクレオチドは、一つ又はそれ以上の一本鎖ヌクレオチドオーバーハングを含むことができる。本明細書で使用する用語「ヌクレオチドオーバーハング」は、二本鎖オリゴヌクレオチド、例えばdsRNAの二重鎖構造の末端から突き出る少なくとも一つの不対ヌクレオチドを指す。例えば、二本鎖オリゴヌクレオチドの一方の鎖の3’末端が、他方の鎖の5’末端を越えて伸びるか又はその逆の場合には、ヌクレオチドオーバーハングが存在する。二本鎖オリゴヌクレオチドは、少なくとも一つのヌクレオチドのオーバーハングを含むことができる;あるいは、前記オーバーハングは、少なくとも2個のヌクレオチド、少なくとも3個のヌクレオチド、少なくとも4個のヌクレオチド、少なくとも5個のヌクレオチド又はそれ以上を含むことができる。ヌクレオチドオーバーハングは、ヌクレオチド/ヌクレオシド類似体を含むことができるし又はヌクレオチド/ヌクレオシド類似体からなることができる。オーバーハング(一つ又は複数)は、センス鎖、アンチセンス鎖又はこれらの任意の組み合わせに存在することができる。また、オーバーハングのヌクレオチド(一つ又は複数)は、dsRNAのアンチセンス鎖又はセンス鎖いずれかの5’末端、3’末端又は両端に存在することができる。
一つの実施形態において、dsRNAの少なくとも一つの末端は、1〜4個、一般的には1個又は2個のヌクレオチドの一本鎖ヌクレオチドオーバーハングを有する。少なくとも一つのヌクレオチドオーバーハングを有するdsRNAは、その平滑末端化対応物に比べて意外にも優れた阻害特性を有する。また、一方の鎖(dsRNAの一方の末端)にのみヌクレオチドオーバーハングが存在すると、その全体の安定性に影響を及ぼすことなくdsRNAの干渉活性を増強する。このようなオーバーハングは、必ずしも単一のヌクレオチドオーバーハングである必要はなく;ジヌクレオチドオーバーハングも存在することができる。
二本鎖オリゴヌクレオチドのアンチセンス鎖は、3’末端及び/又は5’末端に1〜10個のヌクレオチドのオーバーハングを有し、例えば二本鎖オリゴヌクレオチドは、3’末端及び/又は5’末端に1〜10個のヌクレオチドのオーバーハングを有する。オーバーハングのヌクレオチド間連鎖の一つ又はそれ以上は、ホスホロチオエートで置換することができる。いくつかの実施形態において、オーバーハングは、一つ又はそれ以上のデオキシリボヌクレオシドを含むか又はオーバーハングは、一つ又はそれ以上のdT、例えば配列5’−dTdT−3’又は5’−dTdTdT−3’を含む。いくつかの実施形態において、オーバーハングは、配列5’−dTdT−3(式中、は、ホスホロチオエートヌクレオシド間連鎖である)を含む。
理論に束縛されることなく、少なくとも一つのヌクレオチドオーバーハングを有する二本鎖オリゴヌクレオチドは、その平滑末端化カウンターパートに比べて意外にも優れた阻害特性を有する。また、一方の鎖(dsRNAの一方の端部)にのみヌクレオチドオーバーハングが存在すると、二本鎖オリゴヌクレオチドの干渉活性を、その全体の安定性に影響を及ぼすことなく増強する。
一つのオーバーハングだけを有するdsRNAは、生体内で、並びに種々様々な細胞、細胞培養培地、血液及び血清内で特に安定で、有効であることを証明している。一般的に、一本鎖オーバーハングは、アンチセンス鎖の3’末端、あるいはセンス鎖の3’末端に配置される。一端にのみオーバーハングを有するdsRNAもまた、一般的にアンチセンスの鎖の5’末端に配置された一つの平滑末端を有するであろう。このようなdsRNAは、優れた安定性及び阻害活性を有し、従って低用量で、すなわち1日当たり5mg未満/受容者体重kgで投与することを可能にする。一つの実施形態において、dsRNAのアンチセンス鎖は、3’末端及び/又は5’末端に1〜10個のヌクレオチドのオーバーハングを有する。別の実施形態において、オーバーハングのヌクレオチドの一つ又はそれ以上は、ヌクレオシドホスホロチオエートで置換することができる。
二本鎖オリゴヌクレオチドに関連して本明細書で使用する用語「平滑末端」又は「平滑末端化」は、二本鎖オリゴヌクレオチドの所定の末端に不対ヌクレオチド又はヌクレオチド類似体が存在しない、すなわちヌクレオチドオーバーハングが存在しないことを意味する。二本鎖オリゴヌクレオチドの一端又は両端は、平滑末端であることができる。両端が平滑末端である場合には、オリゴヌクレオチドは、二重平滑末端化されるという。明確にするために、「二重平滑末端化」オリゴヌクレオチドは、両端が平滑末端である、すなわち分子のいずれかの端部にヌクレオチドオーバーハングが存在しない二本鎖オリゴヌクレオチドである。ほとんどの場合、このような分子は、その全長にわたって二本鎖であろう。一端のみが平滑末端である場合には、オリゴヌクレオチドは、単一平滑末端化されるという。明確にするために、「単一平滑末端化」オリゴヌクレオチドは、一端でのみ平滑末端である、すなわち分子の一端にヌクレオチドオーバーハングが存在しない二本鎖オリゴヌクレオチドである。一般的に、単一平滑末端化オリゴヌクレオチドは、センス鎖の5’末端で平滑末端化される。
本明細書に記載のRNAエフェクター分子は、標的配列に対する一つ又はそれ以上の誤対合を含有することができる。例えば、本明細書に記載のRNAエフェクター分子は、3個以下の誤対合を含有する。RNAエフェクター分子のアンチセンス鎖が、標的配列に対する誤対合を含有する場合には、誤対合の領域は、相補性の領域の中心に配置されないことが好ましい。RNAエフェクター分子のアンチセンス鎖が、標的配列に対する誤対合を含有する場合には、誤対合は、相補性の領域の5’末端又は3’末端のいずれかから最後の5個のヌクレオチド内にあるように制限されることが好ましい。例えば、標的遺伝子の領域と相補的である23個のヌクレオチドのRNAエフェクター分子作用物質RNA鎖について、RNA鎖は、一般的に中心の13個のヌクレオチド内に何ら誤対合を含有しない。本明細書に記載の方法又は当該技術で公知の方法が、標的配列に対して誤対合を含有するRNAエフェクター分子が、標的遺伝子の発現を抑制することにおいて有効であるか否かを調べるのに使用できる。特に標的遺伝子の相補性の特定の領域が、その集団内に多型配列変異を有することが知られている場合には、標的遺伝子の発現の抑制において誤対合を有するRNAエフェクター分子の効果を考慮することが重要である。
いくつかの実施形態において、RNAエフェクター分子は、標的遺伝子のmRNA転写産物の非コード領域の少なくとも一部分と実質的に相補的であるプロモーター指向RNA(pdRNA)である。一つの実施形態において、pdRNAは、転写開始部位から上流に配置された部位、例えば転写開始部位から100塩基を越える、200塩基を越える又は1,000塩基を越える上流に配置された部位の標的遺伝子mRNAのプロモーター領域の少なくとも一部分と実質的に相補的である。別の実施形態において、pdRNAは、標的遺伝子mRNA転写産物の3’−UTRの少なくとも一部分と実質的に相補的である。一つの実施形態において、pdRNAは、場合によりそれぞれの鎖に3’ジ又はトリヌクレオチドオーバーハングを有する18〜28個の塩基のdsRNAを含む。前記dsRNAは、標的遺伝子mRNA転写産物のプロモーター領域又は3’−UTR領域の少なくとも一部分と実質的に相補的である。別の実施形態において、pdRNAは、標的遺伝子mRNA転写産物のプロモーター領域又は3’−UTR領域の少なくとも一部分と実質的に相補的であるDNA配列含む一本鎖ポリヌクレオチドからなり、ギャップマーを細胞ヌクレアーゼから保護する一つ又はそれ以上の修飾ヌクレオチド、例えば2’MOE、2’OMe、又は固定化核酸塩基(LNA)を含むポリヌクレオチド配列(例えば、ギャップマーの5’末端及び3’末端のそれぞれに5個の末端塩基を含む)に隣接するギャップマーを含む。
pdRNAは、標的遺伝子の発現を選択的に高めるか、低下させるか又は調節するのに使用できる。理論に制約されることなく、pdRNAは、標的遺伝子mRNA転写産物の非コード領域とオーバーラップする内在性アンチセンスRNA転写産物に結合し、Argonauteタンパク質(dsRNAの場合)又は宿主細胞ヌクレアーゼ(例えば、リボヌクレアーゼH)(ギャップマーの場合)補充して内在性アンチセンスRNAを選択的に分解することによって標的遺伝子の発現を調節すると考えられる。いくつかの実施形態において、内在性アンチセンスRNAは、標的遺伝子の発現を負に調節し、pdRNAエフェクター分子は、標的遺伝子の発現を活性化する。従って、いくつかの実施形態において、pdRNAは、内在性アンチセンスRNAによる標的遺伝子発現の負の調節を抑制することによって標的遺伝子の発現を選択的に活性化させるのに使用できる。標的遺伝子のプロモーター配列によってコードされるアンチセンス転写産物を同定する方法及びプロモーター指向RNAを調製及び使用する方法が知られている。例えば、国際公開第WO2009/046397号明細書参照。
いくつかの実施形態において、RNAエフェクター分子は、非核酸リガンド、例えば有機小分子又はタンパク質、例えば転写又は翻訳因子に結合し、その後に活性を修飾する(例えば、抑制する)アプタマーを含む。アプタマーは、非核酸リガンドの標的化結合部位の認識を指示する特異構造に折り畳むことができる。アプタマーは、本明細書に記載の修飾のいずれかを含有することができる。
いくつかの実施形態において、RNAエフェクター分子は、アンタゴミア(antagomir)を含む。アンタゴミアは、microRNAを標的とする一本鎖、二本鎖、部分的二本鎖又はヘアピン構造である。アンタゴミアは、内在性miRNA、さらに詳しくはmiRNA又はpre−miRNAヌクレオチド配列の標的配列と実質的に相補的である少なくとも10個又はそれ以上の連続したヌクレオチドから本質的になるか又は該ヌクレオチドを含む。アンタゴミアは、アンタゴミアが標的配列にハイブリダイズすることを可能にするために約12〜25個のヌクレオチド、例えば約15〜23個のヌクレオチドのmiRNA標的配列と十分と相補的なヌクレオチド配列を有することが好ましい。さらに好ましくは、標的配列は、アンタゴミアの配列とは1個、2個又は3個以下のヌクレオチドが異なる。いくつかの実施形態において、アンタゴミアは、オリゴヌクレオチド作用物質の3’又は5’末端に結合させることができる非ヌクレオチド部分、例えばコレステロール部分を含む。
いくつかの実施形態において、アンタゴミアは、修飾、例えばヌクレオチド修飾の組み込みによって核酸分解に対して安定化される。例えば、いくつかの実施形態において、アンタゴミアは、ヌクレオチド配列の5’末端又は3’末端に少なくとも第一、第二及び/又は第三のヌクレオチド間連鎖を含むホスホロチオエートを含有する。別の実施形態において、アンタゴミアは、2’−修飾ヌクレオチド、例えば、2’−デオキシ、2’−デオキシ−2’−フルオロ、2’−O−メチル、2’−O−メトキシエチル(2’−O−MOE)、2’−O−アミノプロピル(2’−O−AP)、2’−O−ジメチルアミノエチル(2’−O−DMAOE)、2’−O−ジメチルアミノプロピル(2’−O−DMAP)、2’−O−ジメチルアミノエチルオキシエチル(2’−O−DMAEOE)、又は2’−O−N−メチルアセトアミド(2’−O−NMA)を含む。いくつかの実施形態において、アンタゴミアは、少なくとも一つの2’−O−メチル−修飾ヌクレオチドを含む。
いくつかの実施形態において、RNAエフェクター分子は、標的遺伝子のmRNA転写産物の非コード領域の少なくとも一部分と実質的に相補的であるプロモーター指向RNA(pdRNA)である。一つの実施形態において、pdRNAは、転写開始部位から上流に配置された部位、例えば転写開始部位から100塩基を越える、200塩基を越える又は1,000塩基を越える上流に配置された部位の標的遺伝子mRNAのプロモーター領域の少なくとも一部分と実質的に相補的であることができる。また、pdRNAは、標的遺伝子mRNA転写産物の3’−UTRの少なくとも一部分と実質的に相補的であることができる。例えば、pdRNAは、場合によりそれぞれの鎖に3’ジ又はトリヌクレオチドオーバーハングを有する18〜28個の塩基のdsRNAを含む。前記dsRNAは、標的遺伝子mRNA転写産物のプロモーター領域又は3’−UTR領域の少なくとも一部分と実質的に相補的である。別の実施形態において、pdRNAは、標的遺伝子mRNA転写産物のプロモーター領域又は3’−UTR領域の少なくとも一部分と実質的に相補的であるDNA配列含む一本鎖ポリヌクレオチドからなり、ギャップマーを細胞ヌクレアーゼから保護する一つ又はそれ以上の修飾ヌクレオチド、例えば2’MOE、2’OMe、又は固定化核酸塩基(LNA)を含むポリヌクレオチド配列(例えば、ギャップマーの5’末端及び3’末端のそれぞれに5個の末端塩基を含む)に隣接するギャップマーを含む。
pdRNAは、標的遺伝子の発現を選択的に高めるか、低下させるか又は調節するのに使用できる。理論に制約されることなく、pdRNAは、標的遺伝子mRNA転写産物の非コード領域とオーバーラップする内在性アンチセンスRNA転写産物に結合し、Argonauteタンパク質(dsRNAの場合)又は宿主細胞ヌクレアーゼ(例えば、リボヌクレアーゼH)(ギャップマーの場合)補充して内在性アンチセンスRNAを選択的に分解することによって標的遺伝子の発現を調節し得る。いくつかの実施形態において、内在性アンチセンスRNAは、標的遺伝子の発現を負に調節し、pdRNAエフェクター分子は、標的遺伝子の発現を活性化する。従って、いくつかの実施形態において、pdRNAは、内在性アンチセンスRNAによる標的遺伝子発現の負の調節を抑制することによって標的遺伝子の発現を選択的に活性化させるのに使用できる。標的遺伝子のプロモーター配列によってコードされるアンチセンス転写産物を同定する方法及びプロモーター指向RNAを調製及び使用する方法が知られている。例えば、国際公開第WO2009/046397号明細書参照。
発現干渉RNA(eiRNA)は、標的遺伝子の発現を選択的に高めるか、低下させるか又は調節するのに使用できる。典型的には、eiRNA、すなわち前記dsRNAは、発現ベクター由来の第一の形質移入細胞で発現される。このようなベクターにおいて、dsRNAのセンス鎖及びアンチセンス鎖は、例えば核酸配列のいずれかの末端で2つの収束型プロモーターを使用するか、あるいはセンス配列又はアンチセンス配列を転写する別個のプロモーターを使用して同じ核酸配列から転写できる。あるいは、2つのプラスミドは、dsRNAの一方の鎖を転写するために設計され、同時に他方が他方の鎖を転写するために設計される複数のプラスミドの一つを用いて形質移入できる。eiRNAエフェクター分子を調製し、使用する方法は、当該技術において公知である。例えば、国際公開第WO2006/033756号、米国特許出願公開第2005/0239728号及び同第2006/0035344号明細書参照。
いくつかの実施形態において、RNAエフェクター分子は、本明細書で定義されるような標的遺伝子の少なくとも一部分と実質的に相補的であり及びArgonauteタンパク質のPiwi又はAubergineサブクラスのタンパク質に選択的に結合する小さな一本鎖Piwi相互作用性RNA(piRNAエフェクター分子)を含む。特定の理論に制約されることなく、piRNAエフェクター分子は、標的遺伝子のRNA転写産物と相互作用し、Piwi及び/又はAubergineタンパク質を補充して標的遺伝子の転写及び/又は転写後遺伝子サイレンシングを誘導するリボ核タンパク質(RNP)複合体を形成すると考えられる。piRNAエフェクター分子は、約10〜50個のヌクレオチドの長さ、約25〜39個のヌクレオチドの長さ又は約26〜31個のヌクレオチドの長さであることができる。例えば、米国特許出願公開第2009/0062228号明細書参照。
microRNAは、植物及び動物のゲノムのDNAから転写されるが、タンパク質に翻訳されない高度に保存されたクラスの小RNA分子である。pre−microRNAは、miRNAに処理される。処理されたmicroRNAは、RNA誘導サイレンシング複合体(RISC)に組み込まれようになり及び発生、細胞増殖、アポトーシス及び分化の重要な調節剤として確認されている一本鎖〜17−25個のヌクレオチド(nt)RNA分子である。これらの処理されたmicroRNAは、特異的mRNAの3’非翻訳領域に結合することによって遺伝子発現の調節において役割を果たすと考えられる。microRNAは、例えば標的mRNAの翻訳を抑制するか又は分解を開始することによって特異的標的遺伝子の転写後サイレンシングを引きこす。いくつかの実施形態において、miRNAは、標的核酸と完全に相補的である。別の実施形態において、miRNAは、標的核酸と非相補性の領域を有し、非相補性の領域で「バルジ」をもたらす。いくつかの実施形態において、非相補性の領域(バルジ)は、二重鎖の形成を可能にするために、十分な相補性、例えば完全な相補性の領域が側面に配置されている。例えば、相補性の領域は、少なくとも8〜10個のヌクレオチドの長さ(例えば、8個、9個又は10個のヌクレオチドの長さ)である。
miRNAは、例えばmiRNAが標的核酸と完全に相補的でない場合には、例えば翻訳を抑制することによって、又はmiRNAが完全な又は高度の相補性を有するその標的に結合する場合には標的RNAの分解を生じることによって、遺伝子の発現を抑制することができる。別の実施形態において、RNAエフェクター分子は、内在性miRNA又はpre−miRNAを標的とするオリゴヌクレオチド作用物質を含むことができる。例えば、RNAエフェクターは、RNAエフェクターが標的遺伝子のmiRNAに基づいた抑制を緩和するように、標的遺伝子の発現を負に調節する内在性miRNAを標的とすることができる。オリゴヌクレオチド作用物質は、天然核酸塩基、糖、及び共有ヌクレオチド間(主鎖)連鎖及び/又は望ましい特性、例えば高められた細胞取り込み、内在性miRNA標的に対する高められた親和性、及び/又はヌクレアーゼの存在下での高められた安定性を付与する一つ又はそれ以上の天然に存在しない特徴を有するオリゴヌクレオチドを含むことができる。いくつかの実施形態において、特異的内在性miRNAに結合するために設計されたオリゴヌクレオチド作用物質は、標的miRNAの少なくとも10個、20個又は25個あるいはそれ以上の塩基と相当な相補性、例えば少なくとも70%、80%、90%、又は100%の相補性を有する。miRNA及びpre−miRNAを標的とする典型的なオリゴヌクレオチド作用物質は、例えば米国特許出願公開第20090317907号、同第20090298174号、同第20090291907号、同第20090291906号、同第20090286969号、同第20090236225号、同第20090221685号、同第20090203893号、同第20070049547号、同第20050261218号、同第20090275729号、同第20090043082号、同第20070287179号、同第20060212950号、同第20060166910号、同第20050227934号、同第20050222067号、同第20050221490号、同第20050221293号、同第20050182005号、及び同第20050059005号各明細書に記載されている。
miRNA又はpre−miRNAは、10〜200個のヌクレオチドの長さ、例えば16〜80個のヌクレオチドの長さであることができる。成熟miRNAは、16〜30個のヌクレオチドの長さ、例えば21〜25個のヌクレオチドの長さ、特に21個、22個、23個、24個又は25個のヌクレオチドの長さを有することができる。miRNA前駆物質は、70〜100個のヌクレオチドの長さを有することができ、ヘアピン立体配置を有することができる。いくつかの実施形態において、miRNAは、生体内で酵素cDicer及びDroshaによりpre−miRNAから生じる。miRNA又はpre−miRNAは、細胞に基づいた系で、生体内で合成できるし又は化学的に合成できる。miRNAは、例えばエンドサイトーシス依存又は非依存メカニズムによって、一つ又はそれ以上の所望の特性、例えば優れた安定性、標的核酸とのハイブリダイゼーション熱力学、特定の組織又は細胞型に対する標的化、及び/又は細胞透過性を付与する修飾を含むことができる。修飾はまた、配列特異性を高め、その結果として部位外標的化を減少させることもできる。
別の実施形態において、RNAエフェクター分子は、内在性miRNA又はpre−miRNAを標的とするオリゴヌクレオチド作用物質を含むことができる。例えば、RNAエフェクターは、RNAエフェクターが標的遺伝子のmiRNAに基づいて抑制を緩和するように、標的遺伝子の発現を負に調節する内在性miRNAを標的とすることができる。
本明細書で使用する「少なくとも一つのRNAエフェクター分子の存在下で」という語句は、細胞で発現されたRNAエフェクター分子、例えばshRNAへの細胞の暴露、又は細胞へのRNAエフェクター分子の外からの添加、例えば場合により細胞内への取り込みを促進する作用物質を使用する細胞へのRNAエフェクター分子の送達による暴露を包含する。RNAエフェクター分子の一部分は、標的遺伝子RNAの少なくとも一部分、例えば標的遺伝子RNAのコード領域、プロモーター領域、3’非翻訳領域(3’−UTR)又は長い末端反復(LTR)と実質的に相補的である。本明細書に開示されるRNAエフェクター分子は、30個以下のヌクレオチドの長さ、例えば10〜200個のヌクレオチドの長さ又は19〜24個のヌクレオチドの長さである領域を有するRNA鎖(アンチセンス鎖)を含み、その領域は、生物由来物質の産生の一つ又はそれ以上の態様、例えば生物由来物質の収量、純度、均一性、生物活性又は安定性に影響を及ぼすタンパク質をコードする標的遺伝子の少なくとも一部分と実質的に相補的である。RNAエフェクター分子は、標的遺伝子のRNA転写産物と相互作用し、その選択的分解に介在するか又はその翻訳を妨害する。本発明の種々の実施形態において、RNAエフェクター分子は、少なくとも一つのギャップマー、あるいはsiRNA、miRNA、dsRNA、saRNA、shRNA、piRNA、tkRNAi、eiRNA、pdRNA、アンタゴミア又はリボザイムである。
RNA干渉を誘導するのに有効である二本鎖及び一本鎖オリゴヌクレオチドは、本明細書ではsiRNA、RNAi剤又はiRNA剤ともいう。これらのRNA干渉誘導オリゴヌクレオチドは、RNAi誘導サイレンシング複合体(RISC)として知られている細胞質多タンパク質複合体と会合する。理論に拘束されることなく、RNA干渉は、標的遺伝子mRNA転写産物のArgonaute介在転写後切断をもたらす。多くの実施形態において、一本鎖及び二本鎖RNAi作用物質は、内在性分子、例えばダイサーで切断され、RISC機構に入り、標的配列、例えば標的mRNAのRISC介在切断に関与できるより小さいオリゴヌクレオチドを生じることができるのに十分に長い。
いくつかの実施形態において、本明細書において提供されるRNAは、RISC介在切断の影響を受け易い標的転写産物の部位を特定する。従って、本発明は、さらに、このような配列の一つの内部を標的とするRNAエフェクター分子を特徴とする。このようなRNAエフェクター分子は、一般的に標的遺伝子内の選択された配列に隣接する領域から採取されるさらなるヌクレオチド配列に結合された提供される配列の一つに由来する少なくとも10個の連続したヌクレオチドを含む。
本明細書において並びに特許請求の範囲及び明細書全体を通じて使用する「ゲノム情報」という語句は、生物の部分ゲノム又は全ゲノム、例えばタンパク質コード領域又は非コード領域由来の配列情報を指すことを意味する。これらの配列は、同じ生物から生じるどんな細胞にも存在する。トランスクリプトーム配列情報とは対照的に、ゲノム情報は、コード領域ばかりではなく、例えばイントロン配列、プロモーター配列、サイレンサー配列及びエンハンサー配列も含む。従って、「ゲノム情報」とは、例えばヒトゲノム、マウスゲノム、ラットゲノムを指すことができる。データベース配列にさらなる長さを付加するために完全ゲノム情報又は部分ゲノム情報を使用して、RNAエフェクター分子を用いて修飾する可能性のある標的を増加させることができる。
「役割を果たす」という語句は、当業者に知られているか又は本明細書の他の個所に特定されている分子経路における転写産物又はタンパク質の任意の活性を指す。細胞活性のような経路は、以下に限定されないが、アポトーシス、細胞分裂、グリコシル化、増殖速度、細胞生産性、最大細胞密度、持続細胞生存性、アンモニア産生又は消費の速度、あるいは乳酸産生の速度を含む。
本明細書で使用する「バイオリアクター」とは、一般的に、宿主細胞が生物由来物質を産生するように宿主細胞を増殖させ、保持するのに適した任意の反応容器、及びこのような生物由来物質を回収するのに適した任意の反応容器を指す。本明細書に記載のバイオリアクターとしては、種々の大きさの細胞培養装置、例えば小培養フラスコ、Nunc多層細胞工場、小さな高収量バイオリアクター(例えば、MiniPerm、INTEGRA−CELLine)、スピナーフラスコ、中空線維−WAVEバッグ(Wave Biotech、Tagelswangen、Switzerland)及び工業規模バイオリアクターが挙げられる。いくつかの実施形態において、生物由来物質は、生物由来物質の製薬学的又は工業的生産に適した1L又はそれ以上の容量(例えば、少なくとも1L、少なくとも2L、少なくとも5L、少なくとも10L、少なくとも25L、少なくとも50L、少なくとも100L又はそれ以上の容量を含む)を有し、多くの場合pH、グルコース、乳酸、温度及び/又はその他のバイオプロセスパラメータを監視する手段を含む「大規模培養」バイオリアクターで生産される。一つの実施形態において、大規模培養は、少なくとも1Lの容量である。
一つの実施形態において、大規模培養は、少なくとも2Lの容量である。一つの実施形態において、大規模培養は、少なくとも5Lの容量である。一つの実施形態において、大規模培養は、少なくとも25Lの容量である。一つの実施形態において、大規模培養は、少なくとも40Lの容量である。一つの実施形態において、大規模培養は、少なくとも50Lの容量である。一つの実施形態において、大規模培養は、少なくとも100Lの容量である。
本明細書で使用する「宿主細胞」は、本明細書で定義するように、生物由来物質の有用量の産生及び回収を可能にする条件下で細胞培養において増殖させ、保持することができる任意の細胞、細胞培養物、細胞バイオマス又は組織である。宿主細胞は、酵母、昆虫、両生類、魚類、爬虫類、鳥類、哺乳動物又はヒトから誘導できるし、あるいはハイブリドーマ細胞であることができる。宿主細胞は、未変性細胞又は細胞株、あるいは(例えば、生物由来物質の産生を促進するために)遺伝子組換えされている細胞株であることができる。いくつかの実施形態において、宿主細胞は、所定の条件、例えば血清無含有培地、細胞懸濁培養又付着細胞培養での増殖を可能にするために変性されている細胞株である。
哺乳動物宿主細胞は、生物由来物質が哺乳動物組換えポリペプチドである場合、特に前記ポリペプチドが生物学的治療剤であるか又はヒトへの投与又はヒトによる消費を目的とする場合に好都合であり得る。いくつかの実施形態において、宿主細胞は、多数の組換えタンパク質の発現に使用される細胞株であるCHO細胞である。組換えタンパク質の発現に一般的に使用されるさらなる哺乳動物細胞としては、293HEK細胞、HeLa細胞、COS細胞、NIH/3T3細胞、ジャーカット細胞、NSO細胞及びHUVEC細胞が挙げられる。
いくつかの実施形態において、宿主細胞は、組換えタンパク質又はその他の生物由来物質の産生を促進するために遺伝子組換えされているCHO細胞誘導体である。例えば、細胞の特定の遺伝子又は発現領域への組換えDNAの安定した挿入、挿入されたDNAの増幅、及び組換えタンパク質の高レベル発現を示す細胞の選択を可能にする種々のCHO細胞株が、開発されている。本明細書において提供される方法に有用なCHO細胞誘導体としては、以下に限定されないが、CHO−K1細胞、CHO−DUKX、CHO−DUKX B1、CHO−DG44細胞、CHO−ICAM−1細胞,及びCHO−hlFNγ細胞が挙げられる。CHO細胞において組換えタンパク質を発現させる方法は、当該技術において知られており、例えば米国特許第4,816,567号及び同第5,981,214号明細書に記載されている。
本明細書において提供される方法に有用なヒト細胞の例としては、細胞株293T(胎児腎臓)、786−0(腎臓)、A498(腎臓)、A549(肺胞基底上皮)、ACHN(腎臓)、BT−549(乳房)、BxPC−3(膵臓)、CAKI−1(腎臓)、Capan−1(膵臓)、CCRF−CEM(白血病)、COLO205(結腸)、DLD−1(結腸)、DMS114(小細胞肺)、DU145(前立腺)、EKVX(非小細胞肺)、HCC−2998(結腸)、HCT−15(結腸)、HCT−116(結腸)、HT29(結腸)、HT−1080(線維肉腫)、HEK293(胎児腎臓)、HeLa(子宮頸癌)、HepG2(肝細胞癌)、HL−60(TB)(白血病)、HOP−62(非小細胞肺)、HOP−92(非小細胞肺)、HS578T(乳房)、HT−29(結腸腺癌)、IGR−OV1(卵巣)、IMR32(神経芽細胞腫)、ジャーカット(Tリンパ球細胞)、K−562(白血病)、KM12(結腸)、KM20L2(結腸)、LAN5(神経芽細胞腫)、LNCap.FGC(Caucasian前立腺癌)、LOX IMVI(黒色腫)、LXFL529(非小細胞肺)、M14(黒色腫)、M19−MEL(黒色腫)、MALME−3M(黒色腫)、MCFlOA(乳房上皮)、MCF7(乳腺)、MDA−MB−453(乳房上皮)、MDA−MB−468(乳房)、MDA−MB−231(乳房)、MDA−N(乳房)、MOLT−4(白血病)、NCI/ADR−RES(卵巣)、NCI−H226(非小細胞肺)、NCI−H23(非小細胞肺)、NCI−H322M(非小細胞肺)、NCI−H460(非小細胞肺)、NCI−H522(非小細胞肺)、OVCAR−3(卵巣)、OVCAR−4(卵巣)、OVCAR−5(卵巣)、OVCAR−8(卵巣)、P388(白血病)、P388/ADR(白血病)、PC−3(前立腺)、PERC6(登録商標)(E1形質転換胎生網膜)、RPMI−7951(黒色腫)、RPMI−8226(白血病)、RXF393(腎臓)、RXF−631(腎臓)、Saos−2(骨)、SF−268(CNS)、SF−295(CNS)、SF−539(CNS)、SHP−77(小細胞肺)、SH−SY5Y(神経芽細胞腫)、SK−BR3(乳房)、SK−MEL−2(黒色腫)、SK−MEL−5(黒色腫)、SK−MEL−28(黒色腫)、SK−OV−3(卵巣)、SN12K1(腎臓)、SN12C(腎臓)、SNB−19(CNS)、SNB−75(CNS)、SNB−78(CNS)SR(白血病)、SW−620(結腸)、T−47D(乳房)、THP−1(単細胞由来マクロファージ)、TK−10(腎臓)、U87(膠芽細胞種)、U293(腎臓)、U251(CNS)、UACC−257(黒色腫)、UACC−62(黒色腫)、UO−31(腎臓)、W138(肺)及びXF498(CNS)が挙げられる。
本明細書において提供される方法に有用な非ヒト霊長類細胞株の例としては、細胞株サル腎(CVI−76)細胞、アフリカミドリザル腎(VERO−76)細胞、ミドリザル線維芽(COS−1)細胞、及びSV40(COS−7)によって形質転換されたサル腎(CVI)細胞が挙げられる。さらなる哺乳動物細胞株が、当業者に知られており、アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(the American Type Culture Collection)カタログ(Manassas、VA)に掲載されている。
本明細書において提供される方法に有用な齧歯類動物細胞株の例としては、細胞株ベビーハムスター腎(BHK)細胞(例えば、BHK21、BHK TK)、マウスセルトリ(TM4)細胞、バッファローラット肝(BRL3A)細胞、マウス乳腺腫瘍(MMT)細胞、ラット肝癌(HTC)細胞、マウス骨髄腫(NSO)細胞、ネズミハイブリドーマ(Sp2/0)、マウス胸腺腫(EL4)細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞及びCHO細胞誘導体、ネズミ胎児(NIH/3T3、3T3 L1)細胞、ラット心筋(H9c2)細胞、マウス筋芽(C2C12)細胞及びマウス腎(miMCD−3)細胞が挙げられる。
いくつかの実施形態において、宿主細胞は、多能性幹細胞又は前駆細胞である。本明細書において提供される方法に有用な多能性細胞の例としては、ネズミ胚性幹(ES−D3)細胞、ヒト臍帯静脈内皮(HuVEC)細胞、ヒト臍帯動脈平滑筋(HuASMC)細胞、ヒト分化幹(HKB−I1)細胞、ヒト間葉幹(hMSC)細胞及び人工誘導多能性幹(iPS)細胞が挙げられる。
いくつかの実施形態において、宿主細胞は、植物細胞である。培養において容易に増殖する植物細胞の例としては、シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)(クレソン)、ニンニク(Allium sativum)中国イチイ(Taxus chinensis)、イチイ(T.cuspidata)、ヨーロッパイチイ(T.baccata)、タイヘイヨウイチイ(T.brevifolia)及び南方イチイ(T.mairei)、ニチニチソウ(Catharanthus roseus)、ベンサミアナタバコ(Nicotiana benthamiana)(ナス科)、タバコ(N.tabacum)、例えばタバコ細胞株、例えばNT−1又はBY−2(NT−1細胞は、ATCC、No.74840から入手できる、米国特許第6,140,075号明細書も参照)、イネ(Oryza sativa)、トマト(Lycopersicum esulentum)、アルファルファ(Medicago sativa)、ダイズ(Glycine max)、タルウマゴヤシ(Medicago truncatula)及びクローバ(M.sativa)、インゲンマメ(Phaseolus vulgaris)、ジャガイモ(Solanum tuberosum)、テンサイ(Beta vulgaris)、サトウキビ(Saccharum)種、チーク(Tectona grandis)、バナナ(Musa)種、クロチク(Phyllostachys nigra)、ヨーロッパブドウ(Vitis vinifera)及びビチス・ガメイ(ブドウ)、ポプラ(Popuius alba)、アブラヤシ(Elaeis guineensis)、ニレ(Ulmus)種、アキカラマツ(Thalictrum minus)、イボツヅラフジ(Tinospora cordifolia)、ツルニチニチソウ(Vinca rosea)、モロコシ(Sorghum)種、ホソムギ(Lolium perenne)、キュウリ(Cucumis sativus)、アスパラガス(Asparagus officinalis)、ニガキモドキ(Brucea javanica)、ドリティノプス(Doritaenopsis)属及びフェラノプシス(Phalaenopsis)属(ラン)、ホムロイイチゴ(Rubus chamaemorus)、コーヒーノキ(Coffea arabica)、コムギ(Triticum timopheevii)、キウイ(Actinidia deliciosa)、ガマ(Typha latifolia)、インドセンダン(Azadirachta indica)(ニーム)、キャッツクロー(Uncaria tomentosa)及びキャッツクロー(U.guianensis)、キキョウ(Platycodon grandiflorum)、カイガンタバコ(Calotropis gigantea)、コツレッキア・バージニカ(Kosteletzkya virginica)(アオイ科植物)、リンゴ(Pyrus malus)、ケシ(Papaver somniferum)、カンキツ(Citrus)種、メキシカンオレンジ(Choisya ternata)、トゲナシヌグラ(Galium mollugo)、ジギタリス(Digitalis lanata及びD.purpurea)、ステビア(Stevia rebaudiana)、ハッショウマメ(Stizolobium hassjoo)(スベリヒユ)、オオクサキビ(Panicum virgatum)、Rudgea jasminoides、アメリカニンジン(Panax quinquefolius)、イトスギ〔モントレーイトスギ(Cupressus macrocarpa)及びアリゾナイトスギ(C.arizonica)〕、ベチベルソウ(Vetiveria zizanioides)、インドニンジン(Withania somnifera)、ササゲ(Vigna unguiculata)、キダチミカンソウ(Phyllanthus niruri) (トウダイグサ属)、インドクズ(Pueraria tuberosa)及びクズ(P.lobata)、シナカンゾウ(Glycyrrhiza echinata)、ヨコマメヒ(Cicer arietinum)、オオアザミ(Silybum marianum)、キンポウジュ(Callistemon citrinus)、タネツケバナ(Astragalus chrysochlorus)、コロニラ・バギナリス(Coronilla vaginalis)、例えば細胞株39RAR(クラウンベッチ)、タンジン(Salvia miltiorrhiza)、リョクトウ(Vigna radiata)、ギセキア・ファルナセオイデス(Gisekia pharnaceoides)、ヨウシュチョウセンアサガオ(Datura tatula)及びシロバナヨウシュチョウセンアサガオ(D.stramonium)並びにトウモロコシ(Zea mays)種が挙げられる。
本明細書において提供される植物細胞培養は、植物細胞を形質転換する任意の特定の方法に限定されない。DNAを植物細胞に導入する方法は、当業者には周知である。例えば、米国特許出願公開第2010/0009449号明細書参照。外来DNAを植物細胞中に送達させる基本的な方法、例えば化学的方法〔Graham&van der Eb,54 Virol.,536−39(1973);Zatloukalら、660 Ann.NY Acad.Sci.,136−53(1992)〕;物理的方法、例えば微量注入法〔Capeechi,22 Cell.,479−88(1980)〕、電気穿孔法〔Wong&Neumann,107 Biochem.Biophys.Res.Commn.,584−87(1982);Frommら、82 PNAS,5824−28(1985);米国特許第5,384,253号明細書〕及び「遺伝子銃」法〔Johnston&Tang,43 Met.Cell.Biol.,353−65(1994);Fynanら、90 PNAS,11478−82(1993)〕;ウイルス法〔Clapp,20 Clin.Perinatol.,155−68(1993);Luら、178 J.Exp.Med.,2089−96(1993);Eglitis&Anderson,6 Biotechs.,608−14(1988);Eglitisら、241 Avd.Exp.Med.Biol.,19−27(1988)〕;及び受容体媒介法〔Curielら、88 PNAS,8850−54(1991);Curielら、3 Hum.Gen.Ther.,147−54(1992);Wagnerら、89 PNAS,6099−103(1992)〕が、記載されている。遺伝子導入植物は、本明細書では、植物細胞培養物、植物細胞株、植物組織培養物、下等植物、単子葉植物細胞培養物、双子葉植物細胞培養物、又は形質転換植物細胞又はプロトプラストから誘導されるこれらの後代として定義され、前記形質転換植物のゲノムは、実験室技法によって導入され、同じ種の天然の非遺伝子導入植物細胞中に本来存在しない外来DNAを含有する。
いくつかの実施形態において、宿主細胞は、真菌類、例えばサッカロミセス・セレヴィシエ(Sacharomyces cerevisiae)、ピキア・パルトリス(Pichia pastoris)又はピキア・メタノリカ(P.methanolica)、リゾープス(Rhizopus)属、アスペルギルス(Aspergillus)属、シゾサッカロミセス・ボンベ(Scizosacchromyces pombe)、ハンセヌラ・ポリモルファ(Hansanuela polymorpha)又はクルイベロマイセス・ラクティス(Kluyveromyces lactis)である。例えば、Petranovic&Vemuri,144 J.Biotech.,204−11(2009);Bollokら、3 Recent Pat.Biotech.,192−201(2009);Takegawaら、53 Biotech.Appl.Biochem.,227−35(2009);Chiba&Akeboshi,32 Biol.Pharm.Bull.,786−95(2009)参照。
いくつかの実施形態において、宿主細胞は、昆虫細胞、例えばSf9細胞株〔ヨトウガ(Spodoptera frugiperda)のサナギ卵巣組織から誘導される〕;Hi−5〔イラクサギンウワバ(Trichoplusia ni)卵細胞ホモジネートから誘導される〕;又はS2細胞〔キイロショウジョウバエ(Drosophila melanogaster)から誘導される〕である。
いくつかの実施形態において、宿主細胞は、懸濁培養での増殖に適している。懸濁適格宿主細胞は、一般的に単分散性であるか又は実質的な凝集なしにゆるい凝集物で増殖する。懸濁適格宿主細胞としては、順化又は操作なしで懸濁培養に適した細胞(例えば、造血細胞、リンパ系細胞)及び付着依存性細胞の修飾又は順化によって懸濁適格性にされている細胞(例えば、上皮細胞、線維芽細胞)が挙げられる。
いくつかの実施形態において、宿主細胞は、付着培養において増殖し、保持される付着依存性細胞である。本明細書において提供される方法に有用なヒト付着細胞株の例としては、ヒト神経芽細胞腫(SH−SY5Y、IMR32及びLAN5)細胞、ヒト子宮頸癌(HeLa)細胞、ヒト胸部上皮(MCFlOA)細胞、ヒト胎児腎(293T)細胞、及びヒト乳癌(SK−BR3)細胞が挙げられる。
いくつかの実施形態において、宿主細胞は、所定の条件下で、例えば血清無含有培地において、細胞懸濁培養において又は付着細胞培養において増殖を可能にするために変性されている細胞である。前記宿主細胞は、例えば、ヒトNamalwa Burkittリンパ腫細胞(BLcl−kar−Namalwa)、ベビーハムスター腎線維芽細胞(BHK)、CHO細胞、ネズミ骨髄腫細胞(NS0、SP2/0)、ハイブリドーマ細胞、ヒト胎児腎細胞(293HEK)、ヒト網膜由来細胞〔PER.C6(登録商標R)細胞、米国特許第7,550,284号明細書〕、昆虫細胞株{Sf9〔ヨトウガ(Spodoptera frugiperda)のサナギ卵巣組織から誘導される〕;又はHi−5〔イラクサギンウワバ(Trichoplusia ni)卵細胞ホモジネートから誘導される〕;米国特許第7,041,500号明細書も参照}、Madin−Darbyイヌ腎細胞(MDCK)、初代マウス脳細胞又は組織、初代子牛リンパ細胞又は組織、初代サル腎細胞、孵化鶏卵、初代ニワトリ胚線維芽細胞(CEF)、アカゲザル胎児肺細胞(FRhL−2)、ヒト胎児肺細胞(WI−38、MRC−5)、アフリカミドリザル腎臓上皮細胞(Vero、CV−1)、アカゲザル腎細胞(LLC−MK2)又は酵母細胞であることができる。組換えタンパク質の発現の一般的に使用される別の哺乳動物細胞株としては、以下に限定されないが、HeLa細胞、COS細胞、NIH/3T3細胞、ジャーカット細胞、及びヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)細胞が挙げられる。
宿主細胞は、未変性であることができるし又は遺伝子組換えすることができる(例えば、遺伝子導入動物由来の細胞)。例えば、遺伝子導入鶏卵由来のCEFは、IFN経路に不可欠な一つ又はそれ以上の遺伝子を有することができ、例えばインターフェロン受容体、STAT1などは、破壊されている、すなわち「ノックアウト」である。例えば、Sang,12 Trends Biotech.,415(1994);Perryら、2 Transgenic Res.,125(1993);Stern,212 Curr Top Micro.Immunol.,195−206(1996);Shuman,47 Experientia,897(1991)参照。また、宿主細胞は、所定の条件下で、例えば30℃でのインキュベーション下で増殖を可能にするために変性させることができる。
いくつかの実施形態において、宿主細胞は、懸濁培養物での増殖に適している。懸濁適格宿主細胞は、一般的に単分散性であるか又は実質的な凝集なしにゆるい凝集物で増殖する。懸濁適格宿主細胞としては、順化又は操作なしで懸濁培養に適した細胞(例えば、造血細胞、リンパ系細胞)及び付着依存性細胞の修飾又は順化によって懸濁適格性にされている細胞(例えば、上皮細胞、線維芽細胞)が挙げられる。いくつかの実施形態において、宿主細胞は、付着培養において増殖し、保持される付着依存性細胞である。いくつかの実施形態において、宿主細胞は、卵、例えば魚類、両生類又はトリの卵に含有される。
「生物由来物質を宿主細胞から単離する」とは、生物由来物質を、宿主細胞物質、例えば宿主細胞、宿主細胞培養培地、宿主細胞バイオマス又は宿主組織から分離する少なくとも一つの工程を意味する。従って、宿主細胞培養培地に分泌され、最終的に収穫される生物由来物質を単離することは、「宿主細胞から単離する」という語句に包含される。有用な量とは、例えばアリコート又は試料を含め、標的遺伝子発現の調節を監視することを含め産生について選別するか又は産生を監視するのに使用される量を包含する。
本発明は、生物由来物質、例えばポリペプチド、代謝産物、機能性食品、化学中間体、バイオ燃料、食品添加物、抗生物質、又は免疫原性作用物質の製造を提供する。さらに具体的には、「生物由来物質」としては、宿主細胞によって産生され、有用な量で回収することができる任意の物質、例えば以下に限定されないが、ポリペプチド(例えば、糖タンパク質、抗体、ペプチド基剤の増殖因子)、糖質、脂質、脂肪酸、代謝産物(例えば、ポリケチド、マクロライド)及び化学中間体を挙げることができる。この「生物由来物質」はまた、用語「生物製剤(biologics)」、すなわち製剤、例えば生物(living organisms)又はその産生物から合成され、診断薬、予防薬又は治療薬として使用される薬物、ワクチン又は抗毒素も包含する。従って、生物由来物質は、種々様々な用途、例えば生物学的治療薬、ワクチン、研究又は診断試薬、発酵食品、食品添加物、機能性食品、バイオ燃料、工業用酵素(例えば、グルコアミラーゼ、リパーゼ)、工業薬品(例えば、乳酸塩又はエステル、フマル酸塩又はエステル、グリセロール、エタノール)などとして使用できる。
いくつかの実施形態において、生物由来物質は、ポリペプチドである。ポリペプチドは、組換えポリペプチド又は宿主細胞に内在するポリペプチドであることができる。いくつかの実施形態において、ポリペプチドは、糖タンパク質であり及び宿主細胞は、哺乳動物細胞である。本明細書において提供される方法に従って産生させることができるポリペプチドの非限定的な例としては、受容体、膜タンパク質、サイトカイン、ケモカイン、ホルモン、酵素、増殖因子、増殖因子受容体、抗体、抗体誘導体及びその他の免疫エフェクター、インターロイキン、インターフェロン、エリスロポエチン、インテグリン、可溶性主要組織適合性複合体抗原、結合タンパク質、転写因子、翻訳因子、腫瘍性タンパク質又は腫瘍原性タンパク質、筋タンパク質、骨髄タンパク質、神経活性タンパク質、腫瘍増殖抑制剤、構造タンパク質及び血液タンパク質(例えば、トロンビン、血清アルブミン、第VII因子、第VIII因子、第IX因子、第X因子、プロテインC、フォンウイルブランド因子など)が挙げられる。本明細書で使用するように、ポリペプチドは、翻訳後修飾、例えば脱アミド化、糖化などを受けている糖タンパク質又はその他のポリペプチドを包含する。いくつかの実施形態において、生物由来物質は、抗体(例えば、モノクロナール抗体)である。哺乳動物宿主細胞において産生されるモノクロナール抗体は、それぞれの重鎖にN−結合グリコシル化部位を含有する。重鎖グリカンは、典型的には、高レベルのコアフコシル化を有する複合構造物である。Fc領域N−結合オリゴサッカライドの最内部N−アセチルグルコサミン(GlacNAc)残基にα1,6結合によって結合されたフコース残基は、抗体活性に最も重要な糖鎖構造である。例えば、非フコシル化抗体は、劇的に上昇した抗体依存性細胞障害性(ADCC)活性に関連する。従って、一つの実施形態において、モノクロナール抗体の産生は、フコシルトランスフェラーゼ、例えばFUT8をコードする標的遺伝子の発現を調節することによって、例えば配列番号:209841−210227からなる群から選択される配列を有するオリゴヌクレオチドヌクレオチドの少なくとも16個の連続したヌクレオチド(例えば、少なくとも17個のヌクレオチド、少なくとも18個のヌクレオチド、少なくとも19個のヌクレオチド)を含むアンチセンス鎖を含む対応RNAエフェクター分子を使用することによって宿主細胞を接触させることによって高められる。特定の実施形態において、細胞(例えば、CHO細胞)を、ヌクレオチド配列の少なくとも16個の連続したヌクレオチド(例えば、少なくとも17個、少なくとも18個、少なくとも19個のヌクレオチド又はそれ以上)を含む一つ又はそれ以上のRNAエフェクター分子と接触させて生物由来物質のフコシル化を調節することによって生物由来物質、例えば組換え抗体あるいはその断片又は誘導体の産生を高める方法が提供される。例えば、前記細胞は、配列番号:3152714−3152753の一つ又はそれ以上のRNAエフェクター分子と接触することができ、前記接触は、CHO細胞フコシルトランスフェラーゼ(FUT8)の発現を調節する。ADCC活性は、生体外ADCCアッセイ(例えば、米国特許同第5,500,362号、同第5,821,337号及び同6,737,056号明細書に記載のADCCアッセイ)並びに末梢血単核細胞(PBMC)及びナチュラルキラー(NK)細胞をエフェクター細胞として使用して評価することができる。また、ADCC活性は、例えば動物モデルで、例えばClynesら、95 PNAS,652−56(1998)に開示されている動物モデルで生体内で評価することもできる。
一つの実施形態において、生物由来物質(例えば、抗体)の産生は、宿主細胞を、FUT8、TSTA3及びGMDSからなる群から選択される標的遺伝子に対する少なくとも一つのRNAエフェクター分子と接触させて、例えばフコシル化を調節することによって高められる。一つの実施形態において、FUT8、TSTA3及びGMDSからなる群から選択される標的遺伝子に対する少なくとも2つのRNAエフェクター分子が、使用される。これらの実施形態の一つの態様において、宿主細胞は、さらに、シアリルトランスフェラーゼ、例えばST3β−ガラクトシドα−2,3−シアリルトランスフェラーゼ1、ST3β−ガラクトシドα−2,3−シアリルトランスフェラーゼ4、ST3β−ガラクトシドα−2,3−シアリルトランスフェラーゼ3、ST3β−ガラクトシドα−2,3−シアリルトランスフェラーゼ5、ST6(α−N−アセチル−ノイラミニル−2,3−β−ガラクトシル−1,3)−N−アセチルガラクトサミニドα−2,6−シアリルトランスフェラーゼ6、又はST3β−ガラクトシドα−2,3−シアリルトランスフェラーゼ2をコードする遺伝子を標的とするRNAエフェクター分子と接触させることができる。
一つの実施形態において、シアリルトランスフェラーゼをコードする標的遺伝子は、配列番号:2088、配列番号:2167、配列番号:3411、配列番号:3484、配列番号:4186、配列番号:4319からなる群から選択される。一つの実施形態において、RNAエフェクター分子は、シアリルトランスフェラーゼ配列の及び/又はST3β−ガラクトシドα−2,3−シアリルトランスフェラーゼ1、ST3β−ガラクトシドα−2,3−シアリルトランスフェラーゼ4、ST3β−ガラクトシドα−2,3−シアリルトランスフェラーゼ3、ST3β−ガラクトシドα−2,3−シアリルトランスフェラーゼ5、ST6(α−N−アセチル−ノイラミニル−2,3−β−ガラクトシル−1,3)−N−アセチルガラクトサミニドα−2,6−シアリルトランスフェラーゼ6、又はST3β−ガラクトシドα−2,3−シアリルトランスフェラーゼ2それぞれを標的とする、配列番号:681105−681454、配列番号:707535−707870、配列番号:1131123−1131445、配列番号:1155324−1155711、配列番号:1391079−1391449及び配列番号:1435989−1436317からなる群から選択される少なくとも16個の連続したヌクレオチドを含むsiRNAである。
さらなる実施形態において、生物由来物質は、抗体誘導体、例えばヒト化抗体、キメラ抗体、一本鎖抗体、二重特異性抗体、Fab又はF(ab’)断片、抗イディオタイプ(抗Id)抗体、又は抗体のエピトープ結合部分である。抗体及び抗体断片の産生方法は、当該技術において公知である。例えば、米国特許第4,816,3971号、同第4,376,110号、同第4,946,778号、同第4,816,567号、同第5,816,397号、同第5,585,089号、同第5,225,539号各明細書、Kohler&Milstein,256 Nature,495−97(1975);Kozborら、4 Immunol.Today,72−79(1983);Coleら、80 PNAS,2026−30(1983)参照。
他の実施形態において、生物由来物質は、免疫原性のウイルスタンパク質、細菌タンパク質、原虫タンパク質、又は発現ベクターから誘導される組換えタンパク質である。ウイルス性ワクチンを製造する典型的なアプローチは、複製できるが病原性がない、従って持続免疫を提供し、疾患に対してより大きな保護を提供する弱毒化生ウイルスワクチンの使用を含む。弱毒化ウイルスを産生させる従来の方法は、宿主域突然変異体の偶然単離を含み、これらの宿主域突然変異体の多くは温度感受性であり、例えば、前記ウイルスは、非天然宿主によって継代され、免疫原性であるが病原性でない子孫ウイルスが選択される。効率的なワクチン生産は、宿主系から高収量で産生される多量のウイルスの増殖を必要とする。異なる型のウイルスは、許容される収量を得るために異なる増殖条件を必要とする。従って、ウイルスを増殖させる宿主が、極めて重要である。ウイルス型に応じて、ウイルスは、孵化鶏卵、初代組織培養細胞又は確立された細胞株で増殖させることができる。
従って、本発明のいくつかの実施形態において、生物由来物質は、ウイルス産生物、例えば天然ウイルス株、変異体又は突然変異体;突然変異ウイルス(例えば、突然変異原への暴露、反復継代及び/又は非許容宿主での継体によって生じる)、再集合体(分節ウイルスゲノムの場合)、及び/又は所望の表現型を有する遺伝子組換えウイルス(例えば、「逆遺伝学」技法を使用する)である。これらの実施形態のウイルスは、弱毒化することができる;すなわち、ウイルスは、感染性であり、生体内で複製できるが、一般的に非病原性である無症状レベルの感染をもたらす低い力価を生じる。
また、本発明の生物由来物質は、生物由来物質を本発明の組成物、細胞及び/又は方法を使用して、例えばRNAエフェクター分子を使用して高めることができるための細胞内寄生体から誘導できる。例えば、本発明の別の実施形態は、真核細胞における細菌性免疫原の産生を提供する。これらの細菌としては、シゲラ・フレキシネリ(Shigella flexneri)、リステリア・モノサイトゲネス(Listeria monocytogenes)、恙虫病リケッチア(Rickettsiae tsutsugamushi)、ロッキー山紅斑熱リケッチア(Rickettsiae rickettsiae)、ライ菌(Mycobacterium leprae)、結核菌(Mycobacterium tuberculosis)、レジオネラ・ニューモフィラ(Legionella pneumophila)、クラミジア(Chlamydia)亜種が挙げられる。本発明の別の実施形態は、真核細胞における原虫免疫原の産生を提供する。これらの原虫としては、熱帯熱マラリア原虫(Plasmodium falciparum)、クルーズトリパノソーマ(Tripanosoma cruzi)及びドノヴァンリーシュマニア(Leishmania donovani)が挙げられる。
いくつかの実施形態において、生物由来物質の産生の増強は、培養における細胞の生存率を向上させることによって達成される。本明細書で使用するように、用語「細胞生存性を向上させる」とは、RNAエフェクター分子(一つ又は複数)の存在下で、このような処理の不存在下での細胞密度又はアポトーシスレベルと比較して少なくとも10%の細胞密度の上昇(例えば、トリパンブルー排除アッセイで評価される)又はアポトーシスの減少(例えば、TUNELアッセイを使用して評価される)を指す。いくつかの実施形態において、RNAエフェクター分子(一つ又は複数)による処理に応答する細胞密度の上昇又はアポトーシスの減少は、未処理細胞と比較して少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は100%でさえある。いくつかの実施形態において、RNAエフェクター分子(一つ又は複数)による処理に応答する細胞密度の上昇は、RNAエフェクター分子(一つ又は複数)の不存在下での細胞密度よりも少なくとも2倍、少なくとも5倍、少なくとも10倍、少なくとも20倍、少なくとも50倍、少なくとも100倍、少なくとも1000倍又はそれよりも高い。
本明細書で使用するように、「免疫原性作用物質」とは、被験者の免疫系を刺激するのに使用され、それによって前記免疫系の一つ又はそれ以上の機能が上昇し、免疫原性作用物質に指向する作用物質を指す。抗原又は免疫原とは、宿主免疫系を刺激して分泌性免疫反応、体液性免疫反応及び/又は細胞性免疫反応をその抗原に特異的にすることができる一つ又はそれ以上のエピトープを含有する分子を意味することを意図する。免疫原性作用物質は、当該技術で公知の方法を使用する抗体、単離ポリクロナール抗体及びモノクロナール抗体の両方の産生において使用できる。免疫原性作用物質としては、ワクチンが挙げられる。
本明細書で使用するように、「ワクチン」とは、被験者の免疫系によって自己免疫として認識されない抗原に対して保護が提供されるように被験者の免疫系を刺激するのに使用される作用物質を指す。免疫処置とは、被験者において高レベルの抗体及び/又は細胞性免疫反応を誘導するプロセスであって、生体が暴露されている病原体又は抗原に指向するプロセスを指す。本明細書で使用するワクチン及び免疫原性作用物質とは、被験者の免疫系:すなわち被験者が、被験者の細胞又は細胞外液に侵入する抗原性物質に対して抗体及び/又は細胞免疫反応を産生する解剖学的特徴及びメカニズムを指す。抗体産生の場合には、そのように産生された抗体は、免疫学的分類、例えば免疫グロブリンA、D、E、G又はMのいずれかに属することができる。免疫グロブリンA(IgA)の産生を刺激するワクチンは、IgAが温血動物の分泌系の主要な免疫グロブリンであることから、重要である。ワクチンは、IgA形成の他に種々様々な免疫反応、例えば細胞性免疫及び体液性免疫を生じる可能性がある。抗原に対する免疫反応は、よく研究され、広く報告されている。例えば、Elgert,IMMUNOL.(Wiley Liss,Inc.,1996);Stitesら、BASIC&CLIN.IMMUNOL.,(7th Ed.,Appleton&Lange,1991)参照。対照的に、「宿主細胞の免疫反応」という語句は、異物の存在に対する単細胞宿主生物の反応を指す。
本明細書で使用する「バイオプロセシング」とは、典型的には以下の工程:(a)異種タンパク質をコードする導入遺伝子を含有する哺乳動物宿主細胞を、細胞培養培地を入れた種培養容器に接種し、前記細胞を最小閾値交差接種密度に達するまで増殖させ;(b)増殖させた種培養細胞又はその一部を、大規模バイオリアクターに移し;(c)大規模培養物を、迅速な増殖及び細胞分裂を可能にする条件下で前記細胞が所定の密度に達するまで増殖させ;(d)培養物を、連続的な細胞増殖及び/又は宿主細胞分裂を嫌い、異種タンパク質の発現を促進する条件下で保持する;工程を含む、細胞培養において(例えば、哺乳動物宿主細胞において)生物由来物質(例えば、異種ポリペプチド)の工業規模の産生のために典型的な方法を指す。
前記方法の工程(a)〜(c)は、一般的に「増殖」期を含み、これに対して工程(d)は、一般的に「産生」期を含む。いくつかの実施形態において、流加培養又は連続細胞培養条件は、増殖期の宿主細胞の増殖及び分裂を高め、産生期の間の細胞の増殖及び/又は分裂を嫌い、異種タンパク質の発現を促進するために調整される。例えば、いくつかの実施形態において、異種タンパク質は、約1mg/L、又は約2.5mg/L、又は約5mg/L、又は約1g/L、又は約5g/L、又は約15g/L、又はそれよりも高いレベルで発現される。細胞の増殖及び/又は分裂の速度は、培養条件、例えば温度、pH、溶存酸素(dO)などを変化させることによって調節できる。例えば、増殖期に適した条件としては、約pH6.5〜pH7.5の間のpH、約30℃〜38℃の間の温度、及び約5%〜90%飽和の間のdOを挙げることができる。いくつかの実施形態において、異種タンパク質の発現は、産生期において、より低い培養温度への温度変化(例えば、約37℃から約30℃に)を誘導するか、細胞培養培地中の溶質の濃度を上昇させるか又は毒素(例えば、酪酸ナトリウム)を細胞培養培地に加えることによって高めることができる。いくつかの実施形態において、異種タンパク質の発現は、産生期において、温度変化を約28℃に誘導して、例えば細胞分裂の不存在下でタンパク質の発現を増加させることによって高めることができる(例えば、実施例12参照)。産生期の間の増殖及び/又はタンパク質発現を高めるための種々のさらなるプロトコル及び条件は、当該技術において知られている。
宿主細胞は、宿主細胞と培地を最初にバイオリアクターに供給し、さらなる培養養分を、細胞培養法全体を通じて連続的に又は徐々に供給する流加培養法において撹拌タンク式バイオリアクター装置で培養できる。流加培養法は、定期的に全培養物(細胞及び培地を含む)を取り出し、新しい培地に置き換える半連続法であることができる。あるいは、細胞培養のための全成分(細胞及び培地を含む)を方法の最初に培養容器に供給する単純回分培養法を使用できる。細胞を培養中に例えばろ過、カプセル化、微小担体への固定などによって固定化し、方法中に上清を培養容器から連続的に取り出し、新しい培地に置き換える連続灌流法も使用できる。
一つの実施形態において、産生期の後に、生物由来物質は、細胞培養培地から当該技術で公知の種々の方法を使用して回収される。例えば、分泌された異種タンパク質の回収は、典型的には、培地から、例えば遠心分離又はろ過による宿主細胞及び破片の除去を含む。ある場合には、特に、生物由来物質が分泌されないタンパク質である場合には、タンパク質の回収は、培養宿主細胞を、例えば機械的剪断、浸透圧衝撃又は酵素処理によって溶解して細胞の内容物をホモジネート中に放出させることによって行うこともできる。次いで、タンパク質は、細胞よりも小さい断片、不溶物などから、分画遠心分離、ろ過、アフィニティークロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、サイズ排除クロマトグラフィー、電気泳動法〔例えば、分取等電点電気泳動(IEF)〕、硫酸アンモニウム沈降などによって分離できる。特定の種類のタンパク質を回収し、精製する方法は、当該技術で公知である。
いくつかの実施形態において、細胞を血清無含有培地に順応させ、付着細胞を懸濁において細胞増殖に順応させることが望ましい。いくつかの実施形態において、細胞は、血清無含有培地で増殖させるのに順応させる。本発明の一つの態様において、細胞の順応は、可塑性の制御に関与する遺伝子を標的とするRNAエフェクター分子を使用することによって細胞可塑性を増大させることによって促進される。例えば、細胞周期調節因子(例えば、本明細書に記載のサイクリンキナーゼなど)を標的とするRNAエッフェクター〔例えば、表13参照、これは例示的CHO転写産物標的遺伝子及び典型的siRNA(アンチセンス鎖)を特定する〕;ヒストンデアセチラーザ及びDNAメチラーゼ〔例えば、表2〜3参照、これは、例示的CHO転写産物標的遺伝子及び典型的siRNA(アンチセンス鎖)を特定する〕、p53〔例えば、表13参照、これは、例示的CHO転写産物標的遺伝子及び典型的siRNA(アンチセンス鎖)を特定する〕;及びストレス応答タンパク質、例えば熱ショックタンパク質(例えば、HSP40など)〔例えば、表15及び/又は表55参照、これは、例示的CHO転写産物標的遺伝子及び典型的siRNAs(アンチセンス鎖)を特定する〕などが使用できる。一つの実施形態において、RNAエフェクターは、配列番号:4957を含む形質転換関連タンパク質P53(CHO4957.1)をコードする転写産物を標的とする。一つの実施形態において、RNAエフェクター分子は、配列番号:1649857−1650157からなる群から選択される配列を有するオリゴヌクレオチドヌクレオチドの少なくとも16個の連続したヌクレオチド(例えば、少なくとも17個のヌクレオチド、少なくとも18個のヌクレオチド、少なくとも19個のヌクレオチド)を含むアンチセンス鎖を含む。
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用語「システム」、「計算デバイス」及び「コンピュータベース・システム」は、本発明の情報を解析するのに使用するコンピュータハードウエア、関連ソフトウエア及びデータ記憶デバイスを指す。一つの実施形態において、本発明のコンピュータベース・システムは、一つ又はそれ以上の中央演算処置装置(例えば、CPU、PAL、PLA、PGA)、入力手段(例えば、キ−ボード、カーソルコントロールデバイス、タッチスクリーン)、出力手段(例えば、コンピュータディスプレイ、プリンター)及びデータ記憶デバイス(例えば、RAM、ROM、揮発性及び不揮発性メモリデバイス、ハードディスクデバイス、ネットワーク接続記憶、光記憶デバイス、磁気デバイス、固体記憶デバイス)を含む。このように、任意の都合のよいコンピュータベース・システムが、本発明において使用できる。また、計算デバイスは、コンピュータハードウエアと関連ソフトウエア又はファームウエアの組み合わせに基づいた組み込みシステムを含むことができる。
「プロセッサ」は、プログラム制御下で諸機能を実行することができる任意のハードウエア及び/又はソフトウエアの組み合わせを含む。例えば、本明細書において任意のプロセッサは、組み込みシステムの形態で入手できるようなプログラム可能デジタルマイクロプロセッサ、プログラム可能コントローラー、メインフレーム、サーバー又はパーソナルコンピュータ(デスクトップ又はポータブル)であることができる。プロセッサが選択的にプログラム可能な適当なプログラムである場合には、ソフトウエア又はファームウエアは、遠隔地からプロセッサにつながることができるし又はコンピュータプログラム製品(例えば、磁気デバイス、光デバイス又は固体デバイスに基づこうと基づかなかろうとポータブル又は固定コンピュータ読み取り可能記憶媒体)にあらかじめ保存することができる。例えば、磁気媒体又は光ディスクは、プログラム又は操作命令を記憶することができ、読み取り、その対応ステーションのそれぞれのプロセッサに移すことができる。
本明細書で使用する「コンピュータ読み取り可能媒体」とは、実行及び/又は処理のためにコンピュータに命令及び/又はデータを提供するのに関与する任意の記憶又は伝送媒体を指す。記憶媒体の例としては、フロッピーディスク、磁気媒体(テープ、ディスク)、UBS、光媒体(CD−ROM、DVD、ブルーレイ)、固体媒体、RAM、ROM又は集積回路、光磁気ディスク又はコンピュータ読み取り可能カード、例えばPCMCIAカードなどが、このようなデバイスがコンピュータの内部又は外部にあるか否かに関係なく挙げられる。情報を含むファイルは、コンピュータ読み取り可能媒体に「記憶させる」ことができ、この場合に「を記憶する」とは、後日コンピュータがアクセスでき、検索できるように情報を記録することを意味する。
コンピュータ読み取り可能媒体に関して、「固定メモリ」又は「不揮発性メモリ」とは、データ記憶媒体に永久に保存されるメモリを指す。固定メモリは、コンピュータ又はプロセッサへの電源供給の停止によって消去されない。コンピュータハードドライブ、ROM、CD−ROM、フロッピーディスク及びDVDは、全て固定メモリの例である。ランダムアクセスメモリ(RAM)は、非固定又は揮発性メモリの例である。
データ、プログラミング情報又はその他の情報をコンピュータ読み取り可能媒体に「記録する」又は「保存する」とは、任意の都合のよい方法を使用して情報を保存する方法を指す。任意の都合のよいデータ記憶構造物が、保存される情報に基づいて選択することができる。
「メモリ」又は「記憶装置」とは、プロセッサによる後の検索のための情報を保存できる任意のデバイスを指し、磁気デバイス又は光デバイス(例えば、ハードディスク、フロッピーディスク、CD又はDVD)又は固体記憶デバイス(例えば、揮発性又は不揮発性RAM)を挙げることができる。メモリ又は記憶装置は、同じ種類又は異なる種類の2つ以上の物理的記憶デバイスを有することができる(例えば、メモリは、多数のメモリデバイス、例えば多数のハードドライブ又は多数の固体メモリデバイス又はハードドライブと固体メモリデバイスとのいくつかの組み合わせを有することができる)。
本出願は、種々の遺伝子、転写産物、タンパク質などを核酸配列について公知の名前を使用して記載する。特定の配列識子がこのような名前と相互参照されない範囲において、当業者は公知の手段によって容易にそのように記載することができる。例えば、多数の検索可能サイト、例えばGeneCards.org(全ての公知の及び予測されるヒト遺伝子に関する簡潔なゲノム、トランスクリプトーム、遺伝子、プロテオーム、機能及び疾患に関連した情報を提供するヒト遺伝子の共同検索可能な統合データベース;Crown Human Genome Center、Department of Molecular Genetics、Weizmann Institute of Scienceで開発されたデータベース)、及びこのようなサイトの基本となる刊行物がある。配列を位置づけるために前記の名前を容易に使用でき、このような配列を使用して本明細書で使用する配列番号を相互参照できる。同様に、少なくとも15個の核酸の相補的配列を探索することによって、このような遺伝子に対して対応siRNAを特定する。
明細書全体を通じて、場合によっては、本発明者らは、標的遺伝子の遺伝子略号又は別名及びその遺伝子の対応siRNA配列番号を示す。場合によっては、本発明者らは、標的遺伝子の完全な遺伝子名、その標的遺伝子の対応配列番号(例えば、転写産物配列)及び標的遺伝子に指向する例示的siRNA配列番号を示す。本発明の種々の実施形態において、RNAエフェクター分子は、配列番号によって本明細書において特定されるsiRNA配列のいずれかのsiRNAヌクレオチド配列の少なくとも16個の連続したヌクレオチドを含むアンチセンス鎖を含むiRNAであり、例えば表1〜16、21〜25、27〜30、31、33、35、37、39、41、43、45、47、51〜61、65及び66が参照される。
配列番号によって特定されるsiRNAは、多くの場合、本明細書において配列番号の範囲内で、例えば配列番号:2480018−2480362から参照されることが理解されるべきである。この範囲は、全ての配列番号を含み:その範囲内には、例えば配列番号:2480018、配列番号:2480019、配列番号:2480020などから配列番号:2480362まで幅広く含む。
II.バイオプロセシングを高める
本発明は、本明細書に記載のRNAエフェクター分子を使用して生物由来物質(例えば、ポリペプチド、代謝産物、機能性食品、化学中間体、バイオ燃料、食品添加物、抗生物質など)の産生を高める方法を提供する。この方法は、一般的に、細胞をRNAエフェクター分子(その一部分は、標的遺伝子と相補的である)と接触させ、細胞を培養物(例えば、大規模バイオリアクター)中で標的遺伝子の発現を調節するのに十分な時間保持する(この場合、前記調節は、宿主細胞から生物由来物質の産生を高める)ことを含む。次いで、生物由来物質は、細胞から単離される。RNAエフェクター分子は、細胞を生物由来物質の産生を可能にする条件下で保持するために、例えば標的遺伝子の一時的な調節するために使用する細胞培養培地に加えて、それによって生物由来物質の発現を高めることができる。
当業者には知られているように、脂質ポリヌクレオチド担体を使用するsiRNAのリポソーム介在送達は、一般に研究用途で使用される。しかし、PCT公開第WO2009/012173号明細書(2008年7月11日付けで出願された)に記載のように、脂質ポリヌクレオチド担体、例えば一般的なリポソームトランスフェクション試薬の使用は、タンパク質のバイオプロセシングにおいて使用すると有害であることが認められている。ポリヌクレオチド担体は、宿主細胞が工業規模で所望の生物由来物質の産生能力を損なうような毒性のために、宿主細胞に対して有毒であることが報告されている。また、ポリヌクレオチド担体は、宿主細胞が関心の生物由来物質を産生する能力を損なう宿主細胞、例えばCHO細胞の表現型の悪い及び望まれない変化を引き起こすことが観察されている。従って、当業者は、このようなポリヌクレオチド担体の使用は、細胞が所望のタンパク質を産生する能力を妨げることを予期するであろう。意外にも、本発明者らは、本明細書全体を通じて記載するように、RNAエフェクター分子(例えば、BAX、BAC及び/又はLDHを標的とする)は、大規模培養(例えば、1L、例えば40L)でのバイオプロセス手順中にポリヌクレオチド担体(例えば、製剤化された脂質介在送達)を使用することによって、細胞に悪に影響を及ぼすことなく、培養において宿主細胞に一時的に送達させることができる、例えば細胞生存性及び密度が保持されることを見出した。従って、生物由来物質の大規模生産は、細胞が培養(例えば、懸濁培養)中である場合にはRNAエフェクター取り込みを促進するために、例えば生物学的タンパク質産生を増大させる遺伝子の一時的な調節をもたらすために、脂質試薬を使用して工業規模で行うことができる。本発明の特定の実施形態は、脂質製剤介在送達によるRNAエフェクター分子の送達に限定されないことが理解されるべきである。
一つの実施形態において、生物由来物質(例えば、異種タンパク質)の産生は、タンパク質発現、翻訳後修飾、折りたたみ、分泌、及び/又は異種タンパク質の産生及び/又は回収に関連したその他のプロセスに影響を及ぼすタンパク質をコードする標的遺伝子の発現を調節するために、培養細胞を、産生期中に本明細書において提供されるRNAエフェクター分子と接触させることによって高められる。別の実施形態において、異種タンパク質の産生は、培養細胞を、産生期の間の細胞増殖及び/又は細胞分裂を阻止するRNAエフェクター分子と接触させることによって高められる。
いくつかの実施形態において、培養宿主細胞における生物由来物質の産生は、細胞を、宿主細胞においてウイルスの感染力及び/又は量が低下するように、混入ウイルスのタンパク質の発現を調節するRNAエフェクター分子と接触させることによって高められる。別の実施形態において、培養宿主細胞における生物由来物質の産生は、細胞を、宿主細胞において混入ウイルスの感染力及び/又は量が低下するように、ウイルス感染に関与する宿主細胞タンパク質、例えば細胞膜リガンドの発現、又はウイルスの増殖を調節するRNAエフェクター分と接触させることによって高められる。
いくつかの実施形態において、標的遺伝子の調節の際の生物由来物質の産生の増強は、一つ又はそれ以上の測定可能なバイオプロセスパラメータ、例えば細胞密度、pH、酸素濃度、グルコース濃度、乳酸濃度、温度及びタンパク質産生からなる群から選択されるパラメータを監視することによって検出される。タンパク質産生は、特定生産性(SP)(溶液中の産生物、例えば異種発現されるポリペプチドの濃度)として測定でき、mg/L又はg/Lとして表すことができる;あるいは、特定生産性は、pg/細胞/日として表すことができる。SPの増大は、2組の規定された条件下で産生される産生物の濃度の絶対的又は相対的増加〔例えば、RNAエフェクター分子(一つ又は複数)で処理されていない対照と比較した場合に〕を指すことができる。
いくつかの実施形態において、標的遺伝子の調節の際の生物由来物質の産生の増強は、一つ又はそれ以上の測定可能なバイオプロセスパラメータ、例えば細胞密度、培地pH、酸素濃度、グルコース濃度、乳酸濃度、温度、ウイルスタンパク質又はウイルス粒子産生を監視することによって検出される。例えば、タンパク質産生は、特定生産性(SP)(溶液中の産生物の濃度)として測定でき、mg/L又はg/Lとして表すことができる;あるいは、特定生産性は、pg/細胞/日として表すことができる。SPの増大は、2組の規定された条件下で産生される生物由来物質の濃度の絶対的又は相対的増加を指すことができる。あるいは、ウイルス粒子産生物は、周知のプラークアッセイで力値測定でき、mL当たりのプラーク形成単位(PFU/mL)として測定される。
いくつかの実施形態において、RNAエフェクター組成物は、2つ又はそれ以上のRNAエフェクター分子を含有し、例えば2つ、3つ、4つ又はそれ以上のRNAエフェクター分子を含む。種々の実施形態において、2つ又はそれ以上のRNAエフェクター分子は、同じ標的遺伝子及び/又は一つ又はそれ以上の追加標的遺伝子の発現を調節できる。都合のよいことに、多数のRNAエフェクター分子を含む特定の組成物は、生物由来物質の産生を高めることにおいて、あるいはこのような産生の一つ又はそれ以上の態様において、個々のRNAエフェクター分子を含む別個の組成物よりも効果がある。
他の実施形態において、複数の異なるRNAエフェクター分子は、細胞培養物と接触し、一つ又はそれ以上の標的遺伝子の調節を可能にする。一つの実施形態において、複数の異なるRNAエフェクター分子の少なくとも一つは、グルタミナーゼ、グルタミンシンテターゼ又はLDHの発現を調節するRNAエフェクター分子である。別の実施形態において、Bax及びBakを標的とするRNAエフェクター分子は、生物由来物質の産生中に細胞培養物に同時投与され、場合により少なくとも一つの追加RNAエフェクター分子又は作用物質を含有することができる。別の実施形態において、複数の異なるRNAエフェクター分子は、細胞と培養において接触してBax、Bak及びLDHの発現の調節を可能にする。別の実施形態において、複数の異なるRNAエフェクター分子は、細胞と培養において接触してBax及びBak並びにグルタミナーゼ及び/又はグルタミンシンテターゼの発現の調節を可能にする。
複数の異なるRNAエフェクター分子が一つ又はそれ以上の標的遺伝子の発現を調節するために使用される場合には、複数のRNAエフェクター分子は、同時に又は別個に細胞と接触させることができる。また、それぞれのRNAエフェクター分子は、それ自体の投与計画を有することができる。例えば、細胞と接触させる複数のRNAエフェクター分子を含む組成物を調製することができる。あるいは、一つのRNAエフェクター分子を細胞培養物に一度に投与することができる。このようにして、それぞれの標的遺伝子に望まれる平均抑制率を、特定のRNAエフェクター分子の投与の頻度を変えることによって容易に調整することができる。例えば、乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)の強力な抑制(例えば、>80%抑制)は、必ずしも生物由来物質の産生を著しく向上させる必要があるとは限らないかもしれず、ある条件下では、若干の残留LDH活性を有することが好ましいものであり得る。従って、細胞を、LDHを標的とするRNAエフェクター分子と、他のRNAエフェクター分子の投与よりも低い頻度(例えば、より少ない頻度)で又は低い投与量(例えば、IC50を越える低い倍量)で接触させることが望ましいものであり得る。細胞と各RNAエフェクター分子それぞれとの接触は、標的遺伝子の調節の効率を低下させることができるRNAエフェクター分子同士の間の相互作用を防止することができる。使い易いために及び混入可能性を防ぐために、複数の異なるRNAエフェクター分子のカクテルを投与し、それによって必要な投与の回数を減らし、細胞又は細胞培養物に混入物を導入する機会を最小限にすることが好ましいものであり得る。
いくつかの実施形態において、生物由来物質の産生は、細胞増殖、細胞分裂、細胞生存性、アポトーシス、養分処理及び/又は細胞増殖及び/又は分裂に関連するその他の特性に影響を及ぼすタンパク質をコードする標的遺伝子の発現を調節するために、培養細胞を、増殖期の間に、本明細書において提供されるRNAエフェクター分子と接触させることによって高められる。別の実施形態において、異種タンパク質の産生は、培養細胞を、増殖期の間に、異種タンパク質の発現を一時的に抑制するRNAエフェクター分子と接触させることによって高められる。
さらに別の実施形態において、RNAエフェクター分子による標的遺伝子の発現の調節(例えば、抑制)は、細胞を、第二のRNAエフェクター分子(この場合に、第二のRNAエフェクター分子の少なくとも一部分は、宿主細胞においてRNAiに介在するタンパク質をコードする標的遺伝子と相補的である)と接触させることによって弱めることができる。例えば、標的遺伝子の発現の調節は、細胞を、アルゴノートタンパク質(例えば、Argonaute−2)又は細胞のRNAi経路のその他の成分の発現を抑制するRNAエフェクター分子と接触させることによって弱めることができる。一つの実施形態において、生物由来物質は、組換えタンパク質であり、及び産生物の発現は、細胞を、産生物をコードする導入遺伝子を標的とする第一のRNAエフェクター分子と接触させることによって一時的に抑制される。産生物の発現の抑制は、この場合には、宿主細胞を、細胞のRNAi経路のタンパク質をコードする遺伝子を標的とする第二のRNAエフェクター分子と接触させることによって弱められる。
宿主細胞の免疫反応
別の実施形態において、宿主細胞における生物由来物質の産生は、さらに、微生物の感染力及び/又は量が増大するように微生物感染又は増殖に関与する宿主細胞タンパク質の発現を調節するRNAエフェクター分子を導入することによって高められる。また、宿主細胞の免疫反応の調節は、それ自体免疫反応を調節するのに関与する特定の生物由来物質(例えば、インターフェロンなど)の産生に役立ち得る。
いくつかのヒトウイルス、哺乳動物ウイルス及びトリウイルスが、ウイルス産生(例えば、最終的にワクチン生産のために)のために又は異種タンパク質発現のために培養細胞に導入される。感染又はトランスフェクションは、細胞又は細胞用培地から適当な培養時間の後に収集できる生物由来物質、例えば免疫原(生ウイルス粒子)の蓄積をもたらす。例えば、ワクチン生産の標準的な方法は、細胞を培養し、生ウイルス(例えば、ロタウイルス、インフルエンザウイルス、黄熱ウイルス)に感染させ、インキュベーションし、細胞又は細胞用培地を収穫し、下流処理し、並びに充填し及び仕上げることからなる。古典的不活性化インフルエンザワクチンについては、この収穫した免疫原性作用物質の精製、不活性化及び安定化は、生物学的ワクチン製品を生成し、これらの技術は、当該技術で周知である。
組換えDNA技術及び遺伝子組換え技術は、理論において、特異的突然変異がウイルスゲノム中に計画的に操作されることから、弱毒化ウイルスを生産する優れた方法を提供し得る。しかし、ウイルスの弱毒化に必要な遺伝子変化は、必ずしも実行できるとは限らない。一般に、組換えDNA技術を使用してウイルスワクチンを操作する試みは、牛痘ウイルス又はバキュロウイルスなどの組換えウイルスベクターにおいて発現される、免疫反応に関与する病原体のタンパク質サブユニットだけを含有するサブユニットワクチンの生産に向けられている。最近になって、組換えDNA技術は、天然又は公知の宿主域突然変異体において見出される弱毒化ウイルスを模倣するヘルペスウイルス欠失突然変異体又はポリオウイルスを生産するのに利用されている。
宿主細胞で作られる生物由来物質、例えば弱毒化生インフルエンザウイルス又は免疫調節ポリペプチドの収量は、宿主細胞の免疫反応、例えばウイルス又はウイルスベクターを複製する宿主細胞のインターフェロン応答によって悪影響を受ける可能性がある。さらに、感染した宿主細胞(一つ又は複数)は、ウイルス収量が最大になる前にアポトーシス性になる可能性がある。従って、これらの弱毒化ウイルスは、免疫原性及び非病原性であるが、多くの場合、ワクチンを作るために従来の細胞基質において増殖させることが困難である。従って、本発明のいくつかの実施形態は、逆の宿主細胞応答の発現を調節するために、従って収量を増加させるためにRNAエフェクター分子を使用する組成物及び方法を提供する。例えば、本発明のいくつかの実施形態は、産生物収穫の収量及び品質を損なう細胞プロセス及び抗ウイルスプロセスを抑制するために、ウイルス又はベクターの投与の前に、間に又は後に細胞をRNAiに基づいた産生物siRNAと接触させることに関する。
生物由来物質の製造のための細胞に基づいたバイオプロセスの使用は、いくつかの実施形態において、ウイルス感染に対する宿主細胞の反応に影響を及ぼす標的遺伝子の発現を調節することによって高められる。このアプローチは、生物由来物質がウイルスであるか又は免疫調節性である場合、あるいはウイルスベクターが、異種タンパク質を宿主細胞に導入するのに使用される場合には有用である。
例えば、いくつかの実施形態において、標的遺伝子は、細胞インターフェロンタンパク質であるか又はインターフェロンシグナル伝達に関連するタンパク質である。具体的には、標的遺伝子は、インターフェロン遺伝子、例えばIFN−α〔例えば、ニワトリ(Gallus gallus)IfnA、遺伝子ID:396398〕;IFN−β〔例えば、野鶏属(Gallus)IfnB、遺伝子ID:554219〕;又はIFN−γ(例えば、野鶏属IfnG、遺伝子ID:396054)であることができる。標的遺伝子は、インターフェロン受容体、例えばIFNAR1(インターフェロンα、β及びω受容体1)(例えば、野鶏属IFNAR1、遺伝子ID:395665)、IFNAR2(インターフェロンα、β及びω受容体2)(例えば、野鶏属IFNAR2、遺伝子ID:395664)、IFNGR1(インターフェロンγ受容体1)(例えば、野鶏属IFNGR1、遺伝子ID:421685)又はIFNGR2〔インターフェロンγ受容体2(インターフェロンγトランスデューサー1)(例えば、野鶏属IFNGR2、遺伝子ID:418502)であることができる。
例えば、いくつかの実施形態において、標的遺伝子は、細胞インターフェロンタンパク質であるか又はインターフェロンシグナル伝達に関連するタンパク質である。具体的には、標的遺伝子は、インターフェロン遺伝子、例えばIFN−α(例えば、野鶏属INF−α、遺伝子ID:396398);IFN−β(例えば、野鶏属IFN−β、遺伝子ID:554219);又はIFN−γ(例えば、野鶏属IFN−γ、遺伝子ID:396054)であることができる。従って、例えば、IFN−βの発現は、培養細胞に応じて、配列番号:3156155−3156180(野鶏属、センス)、配列番号:3156181−3156206(野鶏属、アンチセンス)、配列番号:3155493−3155540〔イヌ属(Canis)、センス〕、配列番号:3155445−3155492(イヌ属、アンチセンス)からなる群から選択される配列を有するオリゴヌクレオチドヌクレオチドの少なくとも16個の連続したヌクレオチド(例えば、少なくとも17個のヌクレオチド、少なくとも18個のヌクレオチド、少なくとも19個のヌクレオチド)を含むアンチセンス鎖を有する対応RNAエフェクター分子を使用することによって調節することができる。
あるいは、標的遺伝子は、インターフェロン受容体、例えばIFNAR1(インターフェロンα、β及びω受容体1)(例えば、野鶏属IFNAR1、遺伝子ID:395665)、IFNAR2(インターフェロンα、β及びω受容体2)(例えば、野鶏属IFNAR2、遺伝子ID:395664)、IFNGR1(インターフェロンγ受容体1)(例えば、野鶏属IFNGR1、遺伝子ID:421685)又はIFNGR2〔インターフェロンγ受容体2(インターフェロンγトランスデューサー1)〕(例えば、野鶏属IFNGR2、遺伝子ID:418502)であることができる。従って、例えば、IFNAR1の発現は、培養細胞に応じて、配列番号:2436536−2436863(CHO細胞、アンチセンス)、配列番号:3154605−3154633(野鶏属、センス)、配列番号:3154634−3154662(野鶏属、アンチセンス)、配列番号:3155397−3155444(イヌ属、センス)、配列番号:3155445−3155492(イヌ属、アンチセンス)からなる群から選択される配列を有するオリゴヌクレオチドヌクレオチドの少なくとも16個の連続したヌクレオチド(例えば、少なくとも17個のヌクレオチド、少なくとも18個のヌクレオチド、少なくとも19個のヌクレオチド)を含むアンチセンス鎖を有する対応RNAエフェクター分子を使用することによって調節することができる。
いくつかの実施形態において、遺伝子は、インターフェロンシグナル伝達、例えばSTAT−1(シグナル伝達兼転写活性化因子1)(例えば、野鶏属Stat1、遺伝子ID:424044)、STAT−2、STAT−3(例えば、野鶏属Stat3、遺伝子ID:420027)、STAT−4(例えば、野鶏属Stat4、遺伝子ID:768406)、STAT−5(例えば、野鶏属Stat5、遺伝子ID:395556);JAK−1(ヤーヌスキナーゼ1)(例えば、野鶏属Jak1、遺伝子ID:395681);JAK−2(例えば、野鶏属Jak2、遺伝子ID:374199)、JAK−3(例えば、野鶏属Jak3、遺伝子ID:395845)、IRF1(インターフェロン調節因子1)(例えば、野鶏属IRF1、遺伝子ID:396384)、IRF2(例えば、野鶏属IRF2、遺伝子ID:396115)、IRF3、IRF4(例えば、野鶏属IRF4、遺伝子ID:374179)、IRF5(例えば、野鶏属IRF5、遺伝子ID:430409)、IRF6(例えば、野鶏属IRF6、遺伝子ID:419863)、IRF7(例えば、野鶏属IRF7、遺伝子ID:396330)、IRF8(例えば、野鶏属IRF8、遺伝子ID:396385)、IRF9又はIRF10(例えば、野鶏属IRF9、遺伝子ID:395243)に関連することができる。
従って、例えば、IRF3の発現は、培養細胞に応じて、配列番号:1430473−1430786(CHO細胞、アンチセンス)、配列番号:3288948−3289249(野鶏属、センス)、配列番号:3289250−3289551(野鶏属、アンチセンス)、配列番号:3290142−3290445(イヌ属、センス)、配列番号:320446−320749(イヌ属、アンチセンス)からなる群から選択される配列を有するオリゴヌクレオチドヌクレオチドの少なくとも16個の連続したヌクレオチド(例えば、少なくとも17個のヌクレオチド、少なくとも18個のヌクレオチド、少なくとも19個のヌクレオチド)を含むアンチセンス鎖を有する対応RNAエフェクター分子を使用することによって調節することができる。
同様に、標的遺伝子は、インターフェロン誘導タンパク質、例えば2’,5’オリゴアデニル酸シンテターゼ(2−5OAS)、インターフェロン誘導抗ウイルスタンパク質;RNアーゼL〔リボヌクレアーゼL(2’,5’−オリゴイソアデニル酸シンテターゼ依存性)、遺伝子ID:424410(Silvermanら、14 J.Interferon Res.,101−04(1994));dsRNA依存性タンパク質キナーゼ(PKR)aka:真核生物翻訳開始因子2−αキナーゼ2(EIF2AK2)〔Liら、106 PNAS,16410−05(2009)〕;Mx〔MX1ミクソウイルス(インフルエンザウイルス)耐性1、インターフェロン誘導性タンパク質p78〕(例えば、野鶏属MX、遺伝子ID:395313);IFITM1〔Brassら、139 Cell,1243−54(2009)〕;IFITM2、IFITM3〔Hallerら、9 Microbes Infect.,1636−43(2007)〕;炎症誘発性サイトカイン;ウイルス感染の際に上方調節されるMYD88(骨髄様分化一次応答遺伝子)(例えば、野鶏属Myd88、遺伝子ID:420420)、又はTRIF(toll様受容体アダプター分子1)(例えば、野鶏属TRIF、遺伝子ID:100008585)〔Hghighiら、Clin.Vacc.Immunol.,(2010年1月13日)〕をコードすることができる。
従って、例えば、MX1の発現は、培養細胞に応じて、配列番号:2588615−2588951(CHO細胞、アンチセンス)、配列番号:326682−3286975(野鶏属、センス)、配列番号:3286976−3287269(野鶏属、アンチセンス)、配列番号:3286132−3286406(イヌ属、センス)、配列番号:3286407−3286681(イヌ属、アンチセンス)からなる群から選択される配列を有するオリゴヌクレオチドヌクレオチドの少なくとも16個の連続したヌクレオチド(例えば、少なくとも17個のヌクレオチド、少なくとも18個のヌクレオチド、少なくとも19個のヌクレオチド)を含むアンチセンス鎖を有する対応RNAエフェクター分子を使用することによって調節することができる。
また、例えば、IFTM1の発現は、配列番号:3155115−3155161(イヌ属、センス)、配列番号:3155162−3155208(イヌ属、アンチセンス)からなる群から選択される配列を有するオリゴヌクレオチドヌクレオチドの少なくとも16個の連続したヌクレオチド(例えば、少なくとも17個のヌクレオチド、少なくとも18個のヌクレオチド、少なくとも19個のヌクレオチド)を含むオリゴヌクレオチド鎖を有する対応RNAエフェクター分子を使用することによって調節することができる。
さらに、IFITM2の発現は、培養細胞に応じて、配列番号:3156587−3156633(CHO細胞、センス)、配列番号:3156634−3156680(CHO細胞、アンチセンス)、配列番号:2685171−2685550(CHO細胞、アンチセンス)、配列番号:3155209−3155255(イヌ属、センス)、配列番号:3155256−3155302(イヌ属、アンチセンス)からなる群から選択される配列を有するオリゴヌクレオチドヌクレオチドの少なくとも16個の連続したヌクレオチド(例えば、少なくとも17個のヌクレオチド、少なくとも18個のヌクレオチド、少なくとも19個のヌクレオチド)を含むオリゴヌクレオチド鎖を有する対応RNAエフェクター分子を使用することによって調節することができる。
同様に、IFITM3の発現は、培養細胞に応じて、配列番号:3156681−3156727(CHO細胞、センス)、配列番号:3156728−3156774(CHO細胞、アンチセンス)、配列番号:2696169−2696546(CHO細胞、アンチセンス)、配列番号:3155303−3155349(イヌ属、センス)、配列番号:3155350−3155350(イヌ属、アンチセンス)からなる群から選択される配列を有するオリゴヌクレオチドの少なくとも16個の連続したヌクレオチド(例えば、少なくとも17個のヌクレオチド、少なくとも18個のヌクレオチド、少なくとも19個のヌクレオチド)を含むアンチセンス鎖を有する対応RNAエフェクター分子を使用することによって調節することができる。
さらに、例示的インターフェロン誘導発現に関して、PKR(EIF2AK2)の発現は、以下の表67及び68から選択される配列を有するオリゴヌクレオチドヌクレオチドの少なくとも16個の連続したヌクレオチド(例えば、少なくとも17個のヌクレオチド、少なくとも18個のヌクレオチド、少なくとも19個のヌクレオチド)を含むアンチセンス鎖を有する対応RNAエフェクター分子を使用することによって調節することができる。
Figure 2014501097
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Figure 2014501097
Figure 2014501097
別の実施形態において、生物由来物質は、一つ又はそれ以上のレトロウイルスベクターを用いて形質移入した細胞によって産生される。第一のレトロウイルスベクターを用いたトランスフェクションの際に、レトロウイルスベクターEnv及び/又はGag分子の発現は、細胞を第一のRNAエフェクター分子と接触させ(すなわち、env遺伝子又はgag遺伝子を標的とし)、第二のレトロウイルスベクターを用いたより効率的なトランスフェクションを可能にすることによって一時的に抑制される。例えば、第一のレトロウイルスベクターは、第一の抗体鎖をコードすることができ、第二のレトロウイルスベクターは、第二の相補的抗体鎖をコードすることができる。さらに、発現の抑制は、RNAi経路のタンパク質をコードする遺伝子を標的とするRNAエフェクター分子を導入することによって弱めることができる。
いくつかの実施形態において、標的遺伝子は、細胞のERVの調節要素又は遺伝子である。例えば、特定の実施形態において、標的遺伝子は、ポリペプチド又はタンパク質、例えばERV LTR、envタンパク質、又はgagタンパク質をコードすることができる。いくつかの実施形態において、標的遺伝子は、潜在ウイルス、例えばヘルペスウイルス又はアデノウイルスの遺伝子である。特定の実施形態において、例えば、標的遺伝子は、ポリペプチド又はタンパク質、例えば潜在HSV糖タンパク質D又はPCV−1 Repタンパク質をコードすることができる。PCV−1を標的とするための典型的なRNAエフェクター分子を、本明細書の表64に提供する:
Figure 2014501097
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いくつかの実施形態において、標的遺伝子は、内在性非ERV遺伝子である。例えば、標的遺伝子は、生物由来物質がポリペプチドである場合には、生物由来物質又はその一部分をコードすることができる。
また、生物由来物質の産生は、生物由来物質又はそのベクターに結合するタンパク質の発現を低下させることによっても高めることができる。例えば、組換えタンパク質の産生において、宿主細胞におけるその発現は、組換えベクターによる重複感染を抑制しないように、ERVによって産生される受容体/リガンドの発現を低下させるか又は抑制することが好都合であり得る。別の例として、増殖因子、ホルモン又は細胞シグナル伝達タンパク質の産生において、宿主細胞におけるその産生が、細胞による生物学的反応を誘発しないようにその受容体/リガンドの発現を低下させるか又は抑制することが好都合であり得る。受容体が細胞表面受容体又は内部(例えば、核)受容体であることができることは、当業者には公知である。従って、一例を挙げると、インターフェロン(例えば、βインターフェロン)などの生物由来物質の産生は、細胞に存在する受容体(例えば、IFNAR1受容体又はIFNAR2受容体)の量を調節する(例えば、減少させる)ことによって高めることができる。結合パートナーの発現は、宿主細胞を、本明細書に記載の方法に従って受容体遺伝子に指向するRNAエフェクター分子と接触させることによって調節できる。
さらなる実施形態において、標的遺伝子は、ウイルス感染性に介在する細胞タンパク質、例えばdsRNAを検出するTLR3(例えば、野鶏属TLR3、遺伝子ID:422720)、ssRNAを検出するTLR7(例えば、野鶏属TLR7、遺伝子ID:418638)、CpGモチーフを有する非メチル化DNAを認識するTLR21(例えば、野鶏属Tlr3、遺伝子ID:415623)、ウイルス検出に関与するRIG−1〔Myongら、323 Science,1070−74(2009)〕;ウイルス検出の陽性レギュレータであるLPGP2受容体及びその他のRIG−1様受容体〔Satohら、107 PNAS,1261−62(2010);Nakhaeiら、2009〕;TRIM25〔例えば、野鶏属Trim25、遺伝子ID:417401;Gackら、5 Cell Host Microb.,439−49(2009)〕又はRIG−1と相互作用して抗ウイルスシグナル伝達カスケードを開始するMAVS/VISA/IPS−1/Gardif〔Cuiら、29 Mol.Cell.,169−79(2008);Kawaiら、6 Nat.Immunol.,981−88(2005)〕である。
従って、例えば、TLR3の発現は、培養細胞に応じて、配列番号:3156491−3156538(CHO細胞、センス)、配列番号:3156539−3156586(CHO細胞、アンチセンス)、配列番号:2593179−2593525(CHO細胞、アンチセンス)、配列番号:3155965−3156011(野鶏属、センス)、配列番号:3156012−3156058(野鶏属、アンチセンス)、配列番号:315777−3155823(イヌ属、センス)及び配列番号:3155824−3155870(イヌ属、アンチセンス)からなる群から選択される配列を有するオリゴヌクレオチドヌクレオチドの少なくとも16個の連続したヌクレオチド(例えば、少なくとも17個のヌクレオチド、少なくとも18個のヌクレオチド、少なくとも19個のヌクレオチド)を含むアンチセンス鎖を有する対応RNAエフェクター分子(一つ又は複数)を使用することによって調節することができる。
さらに、例えば、MAVSの発現は、培養細胞に応じて、3156397−3156443(CHO細胞、センス)、配列番号:3156444−3156490(CHO細胞、アンチセンス)、配列番号:1607184−1607527(CHO細胞、アンチセンス)、配列番号:3286682−3286975(野鶏属、センス)、配列番号:3286976−3287269(野鶏属、アンチセンス)、配列番号:3286132−3286406(イヌ属、センス)及び配列番号:3286407−3286681(イヌ属、アンチセンス)からなる群から選択される配列を有するオリゴヌクレオチドヌクレオチドの少なくとも16個の連続したヌクレオチド(例えば、少なくとも17個のヌクレオチド、少なくとも18個のヌクレオチド、少なくとも19個のヌクレオチド)を含むアンチセンス鎖を有する対応RNAエフェクター分子を使用することによって調節することができる。
特異的な方法でウイルス複製に影響を及ぼす宿主細胞タンパク質が存在するが、この活性の正確なメカニズムは、解決されていない。例えば、細胞タンパク質カゼインキナーゼ2β(CSKN2B)の抑制は、インフルエンザウイルス複製、タンパク質産生及びウイルス力価を増大させる。Marjukiら、3 J.Mol.Signal.,13(2008)。CSKN2Bの発現は、培養細胞に応じて、配列番号:2634978−2635358(CHO細胞、アンチセンス)、配列番号:3289552−3289846(野鶏属、センス)、配列番号:3289847−3290141(野鶏属、アンチセンス)、配列番号:3288368−3288657(イヌ属、センス)、配列番号:3288658−3288947(イヌ属、アンチセンス)からなる群から選択される配列を有するオリゴヌクレオチドヌクレオチドの少なくとも16個の連続したヌクレオチド(例えば、少なくとも17個のヌクレオチド、少なくとも18個のヌクレオチド、少なくとも19個のヌクレオチド)を含むアンチセンス鎖を有する対応RNAエフェクター分子を使用することによって調節することができる。
別の実施形態において、組成物は、細胞の一般的な生物学的プロセス又は性質、例えばIFNを含むインターフェロンシグナル伝達経路、JAK−STATシグナル伝達経路におけるSTATタンパク質又はその他のタンパク質、IFNRA1及び/又はIFNRA2を含むに関連する一つ又は多数の遺伝子の発現を調節できる一つ又はそれ以上のRNAエフェクター分子を含むことができる。例えば、ウイルス感染は、IFNα及びIFNβの産生に特徴がある、可能な溶菌感染、形質転換及び/又はアポトーシスに対して感染細胞において迅速な生得応答をもたらす。このシグナル伝達は、IFNの効果に介在するIFN刺激遺伝子(ISG)の活性化をもたらす。IFN調節因子(IRF)は、コンセンサスIFN刺激応答要素(ISRE)に結合し、その他のISGを誘導する9種類の細胞因子のファミリーである。Kirshnerら、79 J.Virol.,9320−24(2005)参照。IFNは、内在性タンパク質、例えばTRIM5α、Fv、Mx、eIF2α及び2’−5’OASの発現を高め、ウイルス感染細胞のアポトーシス及びウイルス感染に対する細胞抵抗性を誘導する。Koyamら、43 Cytokine,336−41(2008)。従って、特定の実施形態は、IFNR1遺伝子を標的とするRNAエフェクター分子を提供する。他の実施形態は、IFNシグナル伝達経路の一つ又はそれ以上の遺伝子を標的とする。
IFNシグナル伝達応答の抑制は、ウイルス感染の後にIFN経路の成分、例えばIRF−3(これは、ウイルスdsRNAに応答してリン酸化される)のリン酸化された状態を測定することによって調べることができる。I型IFNに応答して、Jak1キナーゼ及びTyK2キナーゼ、IFN受容体のサブユニット、すなわちSTAT1及びSTAT2が、容易にチロシンリン酸化される。従って、RNAエフェクター分子がIFN応答を抑制するか否かを調べるために、細胞を、RNAエフェクター分子と接触させ、その後にウイルス感染させ、細胞を溶解する。IFN経路成分、例えばJak1キナーゼ又はTyK2キナーゼは、特異ポリクロナール血清又は抗体を使用して感染細胞溶解液から免疫沈降させ、キナーゼのチロシンリン酸化状態は、抗ホスホチロシン抗体を用いた免疫ブロットアッセイによって調べられる。例えば、Krishnanら、247 Eur.J.Biochem.,298−305(1997)参照。ウイルスに感染した後のIFN経路の成分のいずれかのリン酸化状態の低下は、RNAエフェクター分子(一つ又は複数)に応答してウイルスによるIFN応答の低下を示す。
また、IFNシグナル伝達抑制の効果も、特定のDNA配列を結合する能力又はウイルス感染、及び例えばIRF3、STAT1、STAT2などを標的とするRNAエフェクター分子処理に応答して誘導される転写因子のトランスロケーションを測定することによって調べることができる。特に、STAT1及びSTAT2は、リン酸化され、I型IFNに応答して細胞質から核に移される。特定のDNA配列を結合する能力又は転写因子のトランスロケーションは、当業者に公知の方法、例えば電気移動性ゲルシフトアッセイ、細胞染色などによって測定できる。IFN誘導の抑制を測定する別のアプローチは、所望のウイルス産生物を産生し、RNAエフェクター分子と接触させる細胞培養由来の抽出物が、ウイルス感染に対して保護活性を付与することができるか否かを調べる。さらに具体的には、例えば、細胞は、所望のウイルスに感染させ、RNAエフェクターと接触させる。感染後約15〜20時間で、細胞又は細胞培養培地が収穫され、ウイルス力価についてアッセイされるか又は定量的産生物増強逆転写酵素(PERT)アッセイ、免疫アッセイ又は生体内感染によってアッセイされる。
宿主細胞受容体
いくつかの実施形態において、標的遺伝子は、膜受容体又はその他の部分をコードするかあるいは膜受容体又はその他の部分の合成又は調節に関する宿主細胞遺伝子(内在性)である。細胞膜の発現の調節は、ウイルス感染を高めるか又は低下させることができる(例えば、受容体の発現を高めるか又は低下させることによって)が、あるいは他の方法で宿主細胞膜に吸着するであろう(受容体の発現を低下させることによって)産生物の回収を増加させることができる。
例えば、多くのウイルスが、宿主細胞表面ヘパリン、例えばPCV〔Misinzoら、80 J.Virol.,3487−94(2006)〕;CMV〔Comptonら、193 Virology,834−41(1993)〕;偽性狂犬病ウイルス〔Mettenleiterら、64 J.Virol.,278−86(1990)〕;BHV−1〔Okazakiら、181 Virology,666−70(1991)〕;ブタ水疱病ウイルス〔Escribano−Romeroら、85 Gen.Virol.,653−63(2004)〕;及びHSV〔WuDunn&Spear,63 J.Virol.,52−58(1989)〕に付着する。さらに、表面ヘパリン結合に関連する感染力を有するエンベロープウイルスとして、HIV−1〔Mondorら、72 J.Virol.,3623−34(1998)〕;AAV−2(Summerford&Samulski,72 J.Virol.,1438−45(1998)〕;ウマ動脈炎ウイルス(Asagoeら、59 J.Vet.Med.Sci.,727−28(1997)〕;ベネズエラウマ脳炎ウイルス〔Bernardら、276 Virology,93−103(2000)〕;シンドビスウイルス〔Byrnes&Griffin,72 J.Virol.,7349−56(1998);Chungら、72 J.Virol.,1577−85(1998)〕;ブタコレラウイルス〔Hulstら、75 J.Virol.,9585−95(2001)〕;ブタ生殖器呼吸器症候群ウイルス〔Jusaら、62 Res.Vet.Sci.,261−64(1997)〕;及びRSV〔Krusat&Streckert,142 Arch.Virol.,1247−54(1997)〕が挙げられる。さらに、多数の非エンベロープウイルスが、細胞表面ヘパリンに結合する。いくつかのピコルナウイルス科のメンバーは、細胞表面ヘパリン、例えば口蹄疫ウイルス(FMDV)(生体外培養において結合する)〔Fryら、18 EMBO J.,543−54(1999);Jacksonら、70 J.Virol.,5282−87(1996)〕;コクサッキーウイルスB3(CVB3)〔Zautnerら、77 J.Virol.,10071−77(2003)〕;タイラーネズミ脳脊髄炎ウイルス〔Reddi&Lipton,76 J.Virol.,8400−07(2002)〕;及びある種のエコーウイルス血清型〔Goodfellowら、75 J.Virol.,4918−21(2001)〕に結合する。
従って、本発明の特定の実施形態において、ヘパリンの細胞発現は、宿主細胞へのウイルス吸着を減少又は増加させるために調節できる。例えば、一つ又はそれ以上のRNAエフェクター分子は、ヘパリン合成又は構造に関連する一つ又はそれ以上の遺伝子、例えばエピメラーゼ、キシロシルトランスフェラーゼ、ガラクトシルトランスフェラーゼ、N−アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼ、グルクロノシルトランスフェラーゼ又は2−O−スルホトランスフェラーゼを標的とすることができる。例えば、Rostand&Esko、65 Infect.Immun.,1−8(1997)参照。
細胞表面ヘパリンの発現が増加する場合には、RNAエフェクター分子は、ヘパリン分解に関連する遺伝子、例えばヘパラナーゼ(hep)〔例えば、マウスhep遺伝子ID:15442、マウスhep2遺伝子ID:545291、ラットhep遺伝子ID:64537、ラットhep2遺伝子ID:368128、ヒトHEP遺伝子ID:10855、ヒトHEP2遺伝子ID:60495、クセノプス(Xenopus)属hep遺伝子ID:100145320、野生ブタ(Sus scrofa)hep遺伝子ID:100271932、ニワトリ(G.gallus)hep遺伝子ID:373981、ニワトリhep2遺伝子ID:423834、イヌhep遺伝子ID:608707、ウシhep遺伝子ID:8284471、コモンマーセット(Callithrix)サルhep遺伝子ID:100402671、コモンマーセットhep2遺伝子ID:100407598、チンパンジー(P.troglodytes)hep遺伝子ID:461206、ウサギhep遺伝子ID:100101601、アカゲザル(Rhesus Macaque)hep遺伝子ID:707583、又はゼブラフィッシュhep遺伝子ID:563020〕をコードする遺伝子を標的とすることができる。Gingis−Velitskiら、279 J.Biol.Chem.,44084−92(2004)。
同様に、インフルエンザウイルスの感染力は、ロタウイルス〔Isaら、23 Glycoconjugate J.,27−37(2006);Fukudomeら、172 Virol.,196−205(1989)〕、その他のレオウイルス〔Paulら、172 Virol.,382−85(1989)〕、及びウシコロナウイルス〔Schulze&Herrler,73 J.Gen.Virol.,901−06(1992)〕の感染力のように、細胞表面のシアル酸の存在に依存する〔Pedrosoら、1236 Biochim.Biophys.Acta.,323−30(1995)〕。このように、宿主シアリダーゼ遺伝子を標的とするRNAエフェクターは、宿主細胞感染力を調節するのに使用できる(例えば、実施例7参照)。さらなる宿主細胞表面受容体としては、脳心筋炎ウイルスについてはVCAM1〔Huberm 68 J.Virol.,3453−58(1994)〕;エコーウイルスについてはインテグリンVLA−2〔Bergelsonら、1718−20(1992)〕;及びポリオウイルスについては免疫グロブリンスーパーファミリーのメンバー〔Mendelsonら、56 Cell,855−65(1989)〕が挙げられる。このように、宿主シアリダーゼ遺伝子を標的とするRNAエフェクターは、宿主細胞感染力を調節するのに使用できる。
従って、いくつかの実施形態において、遺伝子標的は、シアリダーゼに関与する宿主細胞遺伝子を含む〔Wangら、10 BMC Genomics,512(2009)参照〕。例えば、インフルエンザは、細胞表面シアル酸残基に結合するので、減少したシアリダーゼは、精製の速度を増大することができる。標的遺伝子としては、例えば、NEU2シアリダーゼ2(細胞質ゾルシアリダーゼ)(野鶏属Neu2、遺伝子ID:430542);NEU3シアリダーゼ3(膜シアリダーゼ)(野鶏属Neu3、遺伝子ID:68823);溶質担体ファミリー35(CMP−シアル酸輸送体)メンバーA1(Slc35A1)が挙げられる。SCL35A1を標的とする例示的RNAエフェクター分子は、SLC35A1配列の少なくとも16個の連続したヌクレオチド含むことができるし又は配列番号:3154345−3154368(野鶏属、センス)及び配列番号:3154369−3154392(野鶏属、アンチセンス)に提供される配列を有することができ;及びSCL35A2については、配列番号:464674−465055(CHO細胞、アンチセンス)に提供される配列を有することができる。UDP−N−アセチルグルコサミン2−エピメラーゼ/N−アセチルマンノサミンキナーゼ(Gne)については、例示的siRNAは、Gne配列の少なくとも16個の連続したヌクレオチドを含むことができる及び/又は例えば、配列番号:2073971−2074368(CHO細胞、アンチセンス)、配列番号:3154297−3154320(野鶏属、センス)及び配列番号:3154321−3154344(野鶏属、アンチセンス)も含むことができる;シチジンモノホスホ−N−アセチルニラミン酸シンテターゼ(Cmas)については、例示的siRNAは、配列番号:1633101−1633406(CHO細胞、アンチセンス)、配列番号:3154249−3154272(野鶏属、センス)及び配列番号:3154273−3154296(野鶏属、アンチセンス)に示される;UDP−Gal:βGlcNAcβ1,4−ガラクトシルトランスフェラーゼ(B4GalT1)については、例示的siRNAは、配列番号:2528454−2528763(CHO細胞、アンチセンス)、配列番号:3154153−3154176(野鶏属、センス)及び配列番号:3154177−3154200(野鶏属、アンチセンス)から選択される配列を有する;及びUDP−Ga1:βGlcNAcβ1,4−ガラクトシルトランスフェラーゼ、ポリペプチド6(B4GalT6)については、例示的siRNAは、配列番号:1635173−1635561(CHO細胞、アンチセンス)、配列番号:3154201−3154224(野鶏属、センス)及び配列番号:3154225−3154248(野鶏属、アンチセンス)に示される。
宿主細胞生存性
いくつかの実施形態において、宿主細胞における生物由来物質の産生は、細胞増殖、細胞分裂、細胞生存性、アポトーシス、養分処理及び/又は細胞の増殖及び/又は分裂に関連するその他の特性に影響を及ぼすさらなるRNAエフェクター分子を導入することによって高められる。また、標的遺伝子は、生物由来物質の産生の一つ又はそれ以上の態様に直接又は間接的に影響を及ぼす宿主細胞タンパク質もコードすることができる。ポリペプチドの産生に影響を及ぼす標的遺伝子の例としては、ポリペプチドの分泌、折りたたみ又は翻訳後修飾(例えば、グリコシル化、脱アミド化、ジスルフィド結合形成、メチオニン酸化、ピログルタミン酸化)に関与するタンパク質をコードする遺伝子;宿主細胞の性質又は表現型(例えば、増殖、生存率、細胞pH、細胞周期の進行、アポトーシス、炭素の代謝又は輸送、乳酸形成、ウイルス感染に対する感受性又はRNAi取り込み、活性又は効率)に影響を及ぼすタンパク質をコードする遺伝子;及び宿主細胞による生物由来物質の産生を損なうタンパク質(例えば、生物由来物質を結合するか又は同時精製するタンパク質)をコードする遺伝子が挙げられる。
本発明のいくつかの実施形態において、標的遺伝子は、標的遺伝子の発現の抑制が生物由来物質の産生を高めるように生物由来物質の産生に間接的に影響を及ぼす宿主細胞タンパク質をコードする。例えば、標的遺伝子は、例えば別の方法で生物由来物質の産生を高める細胞供給源を利用することによって、生物由来物質の産生に直接影響を及ぼさないが、その産生を間接的に低下させる豊富に発現された宿主細胞タンパク質をコードすることができる。
いくつかの実施形態において、Ago1(真核生物翻訳開始因子2C、1);BLK(Bリンパ系チロシンキナーゼ);CCNB3(サイクリンB3);HILI〔piwi様2(ショウジョウバエ属)〕;HIWI1〔piwi様2(ショウジョウバエ属)〕;HIWI2〔piwi様2(ショウジョウバエ属)〕;HIWI3〔piwi様2(ショウジョウバエ属)〕が、本明細書に記載の方法及び組成物を使用して標的とされる。
本明細書に記載の細胞に基づいたバイオプロセスにおける最適な生物由来物質の産生のために、細胞生存性を最大にすることが望ましい。従って、一つの実施形態において、生物由来物質の産生は、アポトーシス又は細胞生存性に影響を及ぼす細胞タンパク質、例えばBax(BCL2結合Xタンパク質)、Bak(BCL2アンタゴニスト/キラー1)(例えば、野鶏属Bak、遺伝子ID:419912)、LDHA(乳酸デヒドロゲナーゼA)(例えば、野鶏属LdhA、遺伝子ID:396221)、LDHB(例えば、野鶏属LdhB、遺伝子ID:373997)、BIK、BAD(配列番号:3049436−3049721)、BID(配列番号:2582517−2582823)、BIM、HRK(harakiri、BCL2相互作用性タンパク質、BH3ドメインだけを含有する)、BCLG(BCL2様14(アポトーシス促進剤)、HR、NOXA(NADPHオキシダーゼ活性化剤1)、PUMA(配列番号:1712045−1712425)、BOK(BCL2関連卵巣キラー)(例えば、ハツカネズミBok、遺伝子ID:395445、野鶏属Bok、遺伝子ID:995445、ヒトBOK、遺伝子ID:666)、BOO〔BCL2様10(アポトーシス促進剤)〕、BCLB〔BCL2様10(アポトーシス促進剤)〕、CASP2(アポトーシス関連システインペプチダーゼ2)(例えば、野鶏属Casp2、遺伝子ID:395857)(配列番号:2718675−2719039)、CASP3(アポトーシス関連システインペプチダーゼ)(例えば、野鶏属Casp3、遺伝子ID:395476)(配列番号:1924836−1925195)、CASP6(例えば、野鶏属Casp6、遺伝子ID:395477(配列番号:2408466−2408843)、CASP7(例えば、野鶏属、遺伝子ID:423901)(配列番号:2301618−2301960)、CASP8(例えば、野鶏属Casp8、遺伝子ID:395284、ヒトCASP8 GeneD:841、ハツカネズミCasp8、遺伝子ID:12370、イヌ科Casp8、遺伝子ID:488473)(配列番号:2995593−2995870)、CASP9(例えば、野鶏属Casp9、遺伝子ID:426970)(配列番号:1412589−1412860)、CASP10(例えば、野鶏属Casp10、遺伝子ID:424081)、BCL2(B細胞CLL/リンパ腫2)(例えば、野鶏属Bcl2、遺伝子ID:396282)、p53(例えば、野鶏属p53、遺伝子ID:396200)(配列番号:1283506−1283867)、APAFl、HSP70(例えば、野鶏属Hsp70、遺伝子ID:423504)(配列番号:3147029−3147080)、TRAIL(TRAIL様TNF関連アポトーシス誘導リガンド様)(例えば、野鶏属Trail、遺伝子ID:395283)、BCL2L1(BCL2様1)(例えば、野鶏属Bcl2L1,遺伝子ID:373954)BCL2L13〔BCL2様13(アポトーシス促進剤)〕(例えば、野鶏属Bcl2113、遺伝子ID:418163、ヒトBCL2L13、遺伝子ID:23786)、BCL2L14(BCL2様14[アポトーシス促進剤])(例えば、野鶏属Bcl2114、遺伝子ID:419096)、FASLG〔Fasリガンド(TNFスーパーファミリー、メンバー6)〕(例えば、野鶏属Faslg、遺伝子ID:429064)、DPF2(D4、ジンク鉛及び二重PHDフィンガーファミリー2)(例えば、野鶏属Dpf2、遺伝子ID:429064)、AIFM2(アポトーシス誘導因子ミトコンドリア結合2)(例えば、ヒトAIFM2、遺伝子ID:84883、野鶏属Aifm2、遺伝子ID:423720)、AIFM3(例えば、野鶏属Aifm3、遺伝子ID:416999)、STK17A〔セリン/スレオニンキナーゼ17a(アポトーシス誘導性)〕(例えば、野鶏属Stk17A、遺伝子ID:420775)、APITD1(アポトーシス誘導、TAF9−様ドメイン1)(例えば、野鶏属Apitd1、遺伝子ID:771417)、SIVA1(アポトーシス誘導因子)(例えば、野鶏属Siva1、遺伝子ID:423493)、FAS(TNF受容体スーパーファミリーメンバー6)(例えば、野鶏属Fas、遺伝子ID:395274)、TGFβ2(形質転換増殖因子β2)(例えば、野鶏属TgfB2、遺伝子ID:421352)、TGFBR1(形質転換増殖因子、β受容体I)(例えば、野鶏属TgfR1、遺伝子ID:374094)、LOC378902(デスドメインを含有腫瘍壊死因子受容体スーパーファミリーメンバー23)(野鶏属遺伝子ID:378902),又はBCL2A1(BCL2関連タンパク質A1)(例えば、野鶏属Bcl2A1、遺伝子ID:395673)の発現を調節することによって高められる。例えば、BAKタンパク質は、細胞アポトーシス経路を下方制御することが知られている。Suyamaら、S1 Nucl.Acids.Res.,207−08(2001)。従って、特定の実施形態は、BAK1遺伝子を標的とするRNAエフェクター分子を提供する。
例えば、LDHAの発現は、配列番号:3154553−3154578(野鶏属、センス)、配列番号:3154579−3154604(野鶏属、アンチセンス)、配列番号:3152540−3152603(CHO細胞)、配列番号:3152843−3152823(CHO細胞)、配列番号:1297283−1297604(CHO細胞、アンチセンス)、配列番号:3155589−3155635(イヌ属、センス)、配列番号:3154971−3155018(イヌ属、アンチセンス)のヌクレオチドの少なくとも16個の連続したヌクレオチド(例えば、少なくとも17個のヌクレオチド、少なくとも18個のヌクレオチド、少なくとも19個のヌクレオチド)を含むアンチセンス鎖を含む対応RNAエフェクター分子を使用することによって調節できる。
また、例えば、Bakタンパク質は、細胞アポトーシス経路を下方制御することが知られている。従って、Bakを標的とするRNAエフェクター分子は、アポトーシスを抑制し、産生物収量を増加させるのに使用でき、配列番号:3152412−3152475(CHO細胞)、配列番号:3152804−3152813)、配列番号:2259855−220161(CHO細胞、アンチセンス)、配列番号:3154393−3154413(野鶏属、センス)、配列番号:3154414−3154434(野鶏属、アンチセンス)、配列番号:3154827−3154874(イヌ属、センス)、配列番号:3154875−3154922(イヌ属、アンチセンス)のヌクレオチドの少なくとも16個の連続したヌクレオチド(例えば、少なくとも17個のヌクレオチド、少なくとも18個のヌクレオチド、少なくとも19個のヌクレオチド)を含むアンチセンス鎖を含むことができる。Suyamaら、S1 Nucl.Acids.Res.,207−08(2001)。従って、特定の実施形態は、BAK1遺伝子を標的とするRNAエフェクター分子を提供する。
同様に、Baxタンパク質は、細胞アポトーシス経路を下方制御することが知られている。従って、ニワトリBaxを標的とするRNAエフェクター分子は、アポトーシスを抑制し、産生物収量を増加させるのに使用でき、配列番号:3154393−3154413(野鶏属、センス)、配列番号:315414−3154434(野鶏属、アンチセンス)、配列番号:3152412−3152539(CHO細胞)、配列番号:3152794−3152803(CHO細胞)、配列番号:3023234−3023515(CHO細胞、アンチセンス)、配列番号:3154923−3154970(イヌ属、センス)及び配列番号:3154971−3155018(イヌ属、アンチセンス)のヌクレオチドの少なくとも16個の連続したヌクレオチド(例えば、少なくとも17個のヌクレオチド、少なくとも18個のヌクレオチド、少なくとも19個のヌクレオチド)を含むアンチセンス鎖を含むことができる。
いくつかの実施形態において、アポトーシスに関与する少なくとも一つの遺伝子(例えば、Bak、Bax、カスパーゼなど)を標的とするRNAエフェクター分子の投与の後に、細胞を乳酸利用モードに切り替えるために細胞培養培地へのグルコースの投与が続く。いくつかの実施形態において、グルコースの濃度は、少なくとも2倍、少なくとも3倍、少なくとも4倍又は少なくとも5倍上昇する。
別の実施形態は、複数の異なるRNAエフェクター分子を、Bax、Bak及びLDHの発現の調節を可能にするために、培養において細胞と接触させることを提供する。別の実施形態において、Baxを標的とするRNAエフェクター分子とBakを標的とするRNAエフェクター分子は、生物由来物質の産生の間、同時投与され、場合により少なくとも一つの追加RNAエフェクター分子又は作用物質を含有することができる。
あるいは、一つのRNAエフェクター分子を、細胞培養物に一度に投与することができる。このようにして、特定のRNAエフェクター分子の投与の頻度を変えることによってそれぞれの標的遺伝子に望まれる平均抑制率を容易に調整できる。例えば、乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)の>80%の抑制は、必ずしも生物由来物質の産生を著しく向上させるのに必要ではないかもしれないし、ある条件下では細胞生存性に悪影響をもたらす場合にさえあり得る。従って、細胞を、LDHを標的とするRNAエフェクター分子と、他のRNAエフェクター分子(例えば、Bax/Bak)と接触させる頻度より低い頻度(例えば、より少ない頻度で)接触させることが望ましいものであり得る。あるいは、細胞は、LDHを標的とするRNAエフェクター分子と、他のRNAエフェクター分子(例えば、Bax/Bak)の投与量よりも少ない投与量(例えば、IC50を越える低い倍量)で接触させることができる。使い易いために及び混入可能性を防ぐために、複数の異なるRNAエフェクター分子のカクテルを投与し、それによって必要な投与の回数を減らし、細胞培養物に混入物を導入する機会を最小限にすることが好ましいものであり得る。
本明細書に記載の細胞に基づいたバイオプロセスにおける最適な生物由来物質の産生は、選別によって特定されている遺伝子を標的とすることによっても最適化できる。これらの遺伝子としては、例えば、PUSL1(pseudouridylate synthase様1)(CHO−Pusl1:配列番号:3157237、siRNA配列番号:3249217−3249316)、TPST1(チロシルタンパク質スルホトランスフェラーゼ1)(例えば、野鶏属Tpst1、遺伝子ID:417546)(CHO TPST1:配列番号:2613、siRNA:配列番号:858808−859104)及びWDR33(WD反復ドメイン33)(例えば、野鶏属Wdr33、遺伝子ID:424753)(CHO:配列番号:3433、siRNA:配列番号:1138341−1138649)〔Brassら、139 Cell,1243−54(2009)〕、Nod2(ヌクレオチド結合オリゴマー化ドメイン含有2)(CHO:配列番号:6858、siRNA配列番号:2322123−2322429)〔Sabbahら、10 Nat.Immunol.,1973−80(2009)〕、MCT4(溶質担体ファミリー16、メンバー4[モノカルボン酸輸送体4])(例えば、ニワトリMct4、遺伝子ID:395383)、ACRC(酸性反復含有)(例えば、野鶏属AcrC、遺伝子ID:422202)、AMELY、ATCAY(小脳、Cayman型[カイタキシン])(例えば、野鶏属Atcay、遺伝子ID:420094)、ANP32B(酸性[ロイシンリッチ]核リンタンパク質32ファミリーメンバー)(例えば、野鶏属Anp32B、遺伝子ID:420087)、DEFA3、DHRS10、DOCK4(サイトキエシス4のデジケーター)(例えば、野鶏属Dock4、遺伝子ID:417779)、FAM106A、FKB1B(FK506結合タンパク質1B)(例えば、ヒトFKCB1B、遺伝子ID:2281、ハツカネズミFkbp1b、遺伝子ID:14226、野鶏属Fkbp1B、遺伝子ID:395254)、IRF3、KBTBD8(kelch反復及びBTB[POZ]ドメイン含有8)(例えば、野鶏属Kbtbd8、遺伝子ID:416085)、KIAA0753(例えば、野鶏属Kiaa0753、遺伝子ID:417681)、LPGAT1(リソホスファチジル−グリセロールアシルトランスフェラーゼ1)(例えば、野鶏属Lpgat1、遺伝子ID:421375)、MSMB(マイクロセミノタンパク質β)(例えば、野鶏属Msmb、遺伝子ID:423773)、NFS1(窒素固定1ホモローグ)(例えば、野鶏属Nfsl、遺伝子ID:419133)、NPIP、NPM3(ヌクレオホスミン/ヌクレオプラスミン3)(例えば、野鶏属Npm3、遺伝子ID:770430)、SCGB2A1、SERPINB7、SLC16A4(溶質担体ファミリー16、メンバー4[モノカルボン酸輸送体5](例えば、野鶏属Slc16a4、遺伝子ID:419809)、SPTBN4(スペクトリン、β、non−erythrocytic 4)(例えば、野鶏属SptBn4、遺伝子ID:430775)、又はTMEM146(Krishnanら、2008)が挙げられる。前記標的用の典型的なdsRNA(例えば、siRNA、shRNAなど)は、標的ヌクレオチド配列の少なくとも16個の連続したヌクレオチド(例えば、17個のヌクレオチド、少なくとも18個のヌクレオチド、少なくとも19個のヌクレオチド又はそれ以上)を含むことができる。
生物学的産生を最適化するのに影響を及ぼすことができる他の標的遺伝子としては、細胞周期及び/又は細胞増殖に関連する遺伝子、例えばCDKN1B(サイクリン依存キナーゼ阻害剤1B、p27、kip1)(例えば、野鶏属Cdkn1b、遺伝子ID:374106)、すなわちp27kip1に対するsiRNAが増殖を誘導するための標的〔Kikuchiら、47 Invest.Opthalmol.,4803−09(2006)〕、又はFOX01、すなわちsiRNAが大動脈内皮細胞の増殖を誘導するための標的〔Fosbrinkら、J.Biol.Chem.,19009−18(2006)〕が挙げられる。従って、例えば、CEF又はその他のニワトリの細胞において、細胞分裂に関連したCDKN2Aの発現は、センス鎖及びアンチセンス鎖を有し、その一つの鎖が配列番号:3154663−3154696(野鶏属、センス)及び配列番号:3154697−3154730(野鶏属、アンチセンス)からなる群から選択される配列を有するオリゴヌクレオチドヌクレオチドの少なくとも16個の連続したヌクレオチド(例えば、17個のヌクレオチド、少なくとも18個のヌクレオチド、少なくとも19個のヌクレオチド又はそれ以上)を含む対応RNAエフェクター分子を使用して調節できる。
活性酸素種(ROS)は、宿主細胞に毒性があり、生物由来物質の非特異的酸化、分解及び/又は切断、並びに本明細書において提供される方法によって産生される生物製剤の不均一性の増大、生物活性の低下、回収の低下及び/又はその他の機能障害を招くその他の構造修飾に介在することができる。従って、生物由来物質の産生は、酸化促進酵素、例えばNAD(p)Hオキシダーゼ、ペルオキシダーゼ、例えばグルタチオンペルオキシダーゼ〔例えば、配列番号:7213、配列番号:7582、配列番号:8011及び配列番号:9756それぞれのオリゴヌクレオチド(RNAエフェクター分子:配列番号:2439217−2439612、配列番号:2560559−2560895、配列番号:2703865−2704225、配列番号:3151589−3151685)によってコードされるグルタチオンペルオキシダーゼ1、グルタチオンペルオキシダーゼ4、グルタチオンペルオキシダーゼ8(推定される)、グルタチオンペルオキシダーゼ3〕、ミエロペルオキシダーゼ、構成性神経型一酸化窒素合成酵素(cnNOS)、キサンチン オキシダーゼ(XO)(配列番号:374846−375216)及びミエロペルオキシダーゼ(MPO)、15−リポキシゲナーゼ−1(配列番号:2480018−2480362)、NADPHシトクロムcレダクターゼ、NAPHシトクロムcレダクターゼ、NADHシトクロムb5レダクターゼ(配列番号:569460−569777、配列番号:1261910−1262218、配列番号:2195311−2195681、配列番号:3146048−3146071、配列番号:259827−260060)及びシトクロムP4502E1からなる群から選択されるタンパク質の発現を調節することによって高められる。前記標的用の典型的なdsRNA(例えば、siRNA、shRNAなど)は、標的ヌクレオチド配列の少なくとも16個の連続したヌクレオチド(例えば、17個のヌクレオチド、少なくとも18個のヌクレオチド、少なくとも19個のヌクレオチド又はそれ以上)を含むことができる。
さらに、タンパク質の産生は、配列番号:2447340−2447632、配列番号:2463782−2464073、配列番号:2466004−2466274、配列番号:2659502−2659871、配列番号:2731076−2731440、配列番号:2748583−2748914、配列番号:28950152895359、配列番号:2904183−2904530、配列番号:2966362−2966657、配列番号:3088848−3089061、配列番号:3107706−3107919及び配列番号:3122589−3122734それぞれからなる群から選択される配列を有するヌクレオチドの少なくとも16個の連続したヌクレオチド(例えば、少なくとも17個のヌクレオチド、少なくとも18個のヌクレオチド、少なくとも19個のヌクレオチド)を含むアンチセンス鎖を含む対応RNAエフェクター分子、又はサイクリン依存性キナーゼ(CDK)を使用することによって、宿主細胞の細胞周期に影響を及ぼすタンパク質、例えばサイクリン〔例えば、サイクリンM4、サイクリンJ、サイクリンT2、サイクリン依存性キナーゼ阻害剤1A(P21)、サイクリン依存性キナーゼ阻害剤1B、サイクリンM3、サイクリン依存性キナーゼ阻害剤2B(p15、CDK4を阻害する)、サイクリンE2、S100カルシウム結合タンパク質A6(カルサイクリン)、サイクリン依存性キナーゼ5、調節サブユニット1(p35)、サイクリンT1、CDKの阻害剤、サイクリンA1相互作用性タンパク質1〕の発現を調節することによって高めることができる。いくつかの実施形態において、サイクリン依存性キナーゼは、CDK2(配列番号:1193336−1193684)、CDK4(配列番号:1609522−1609852)、P10(配列番号:3013998−3014274)、P21(配列番号:2659502−2659871)、P27(配列番号:2731076−2731440)、p53、P57、p16INK4a、P14ARF及びCDK4(配列番号:1609522−1609852)からなる群から選択される。例えば、種々の実施形態において、細胞周期の進行に影響を及ぼす一つ又はそれ以上のタンパク質の発現は、異種タンパク質の発現及び回収を高めるために増殖及び/又は異種タンパク質産生の産生期の間に一時的に調節することができる。
また、バイオプロセシングにおける過剰アンモニアの産生は、一般的な問題である。高いアンモニア濃度は、細胞株及びプロセス条件に応じて細胞及び産生物の収量の低下をもたらす。アンモニアの遊離は、グルタミナーゼによるグルタミンのグルタミン酸への分解による及び/又はグルタミン酸デヒドロゲナーゼによるグルタミン酸のα―ケトグルタル酸への転化によると考えられる。従って、一つの実施形態において、生物由来物の産生は、アンモニア産生に影響を及ぼすタンパク質、例えばグルタミナーゼ又はグルタミン酸デヒドロゲナーゼの発現を調節することによって高めることができる。特定の実施形態は、配列番号:311の転写産物を有するハムスターグルタミナーゼ(CHO311.1)を標的とするRNAエフェクターを提供する。一つの実施形態において RNAエフェクターは、グルタミナーゼを標的とする、配列番号:105170−105438から選択されるsiRNAである。別の実施形態において、RNAエフェクターは、配列番号:569を有するハムスターグルタミン酸デヒドロゲナーゼ(CHO569.1)を標的とする。一つの実施形態において、RNAエフェクターは、グルタミン酸デヒドロゲナーゼ1を標的とする、配列番号:177779−178010から選択されるsiRNAである。
細胞培養における乳酸の産生は、細胞増殖を抑制し、解糖及びグルタミノリシスに関与する代謝経路に影響を及ぼすことが知られている〔Lao&Toth,13 Biotech.Prog.,688−91(1997)〕。細胞内の乳酸の蓄積は、主にグルコースのCO及びHOへの不完全な酸化によって生じ、乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)によってグルコースの大部分がピルビン酸に酸化され、最終的に乳酸に転化される。細胞内の乳酸の蓄積は、高い細胞密度及び生存性を達成するのに悪影響を及ぼす。従って、一つの実施形態において、免疫原性タンパク質産生は、乳酸形成に影響を及ぼすタンパク質、例えば乳酸デヒドロゲナーゼA(LDHA)の発現を調節することによって高められる。従って、特定の実施形態は、LDHA1遺伝子を標的とするRNAエフェクター分子を提供する。
いくつかの実施形態において、細胞のグルコースの利用は、例えば標的遺伝子Myc及びAKTの調節発現によって巧みに操作される。一つの実施形態において、標的遺伝子は、配列番号:2185の配列を含むCHO myelocytomatosis oncogene(CHO2185.1)である。一つの実施形態において、RNAエフェクター分子は、配列番号:713438−713745から選択される配列を有するsiRNAである。一つの実施形態において、RNAエフェクター分子は、配列番号:713438−713473から選択される配列を有するsiRNAである。一つの実施形態において、標的遺伝子は、配列番号:1793の少なくとも16個の連続したヌクレオチド(例えば、少なくとも17個のヌクレオチド、少なくとも18個のヌクレオチド、少なくとも19個のヌクレオチド又はそれ以上)を含むCHO thymoma viral proto−oncogene−1(CHO1793.1)である。一つの実施形態において、RNAエフェクター分子は、配列番号:581286−581643から選択される配列を有するsiRNAである。一つの実施形態において、RNAエフェクター分子は、配列番号:581286−581334から選択される配列を有するsiRNAである。
一つの実施形態において、細胞培養物は、Bax、Bak及びLDH発現の調節を可能にするRNAエフェクター分子を用いて本明細書に記載のように処理される。別の実施形態において、Bax、Bak及びLDHを標的とするRNAエフェクター分子は、一つ又はそれ以上の別のRNAエフェクター分子及び/又は作用物質と組み合わせて投与できる。Bax、Bak及びLDHの発現を標的とするRNAエフェクター分子のカクテルであって、場合により本明細書に記載の別のRNAエフェクター分子又は生物活性作用物質と組み合わせることができるカクテルが本明細書において提供される。
いくつかの実施形態において、生物由来物質の産生は、細胞pHに影響を及ぼすタンパク質、例えばLDH又はリソソームV型ATPアーゼの発現を調節することによって高められる。
いくつかの実施形態において、生物由来物質の産生は、炭素の代謝又は輸送に影響を及ぼすタンパク質、例えばGLUT1〔例えば、細胞をRNAエフェクター分子と接触させることによって、この場合のRNAエフェクター分子は、配列番号:438155−438490からなる群から選択されるヌクレオチド配列を有するオリゴヌクレオチドの少なくとも16個の連続したヌクレオチド(例えば、少なくとも17個のヌクレオチド、少なくとも18個のヌクレオチド、少なくとも19個のヌクレオチド)を含むアンチセンス鎖を含む〕、GLUT2〔溶質担体ファミリー2(促進グルコース輸送体)、メンバー2)〕、GLUT3〔溶質担体ファミリー2(促進グルコース輸送体)、メンバー3)〕、GLUT4〔溶質担体ファミリー2(促進グルコース輸送体)、メンバー4)〕、PTEN(配列番号:69091−69094)〔RNAエフェクター分子を用いて、この場合のRNAエフェクター分子は、配列番号:69091−69404からなる群から選択されるヌクレオチド配列の少なくとも16個の連続したヌクレオチド(例えば、少なくとも17個のヌクレオチド、少なくとも18個のヌクレオチド、少なくとも19個のヌクレオチド)を含むアンチセンス鎖を含む〕又はLDH〔RNAエフェクター分子を用いて、この場合のRNAエフェクター分子は、配列番号:1297283−1297604からなる群から選択されるヌクレオチド配列を有するオリゴヌクレオチドの少なくとも16個の連続したヌクレオチド(例えば、少なくとも17個のヌクレオチド、少なくとも18個のヌクレオチド、少なくとも19個のヌクレオチド)を含むアンチセンス鎖を含む〕の発現を調節することによって高められる−表10も参照。
Figure 2014501097
いくつかの実施形態において、生物由来物質の産生は、コフィリン(例えば、筋肉コフィリン2又は非筋肉コフィリン−1)の発現を調節することによって高められる。一つの実施形態において、RNAエフェクター分子を有する細胞〔この場合のRNAエフェクター分子は、配列番号:435213−435610からなる群から選択されるヌクレオチド配列を有するオリゴヌクレオチドの少なくとも16個の連続したヌクレオチド(例えば、少なくとも17個のヌクレオチド、少なくとも18個のヌクレオチド、少なくとも19個のヌクレオチド)を含むアンチセンス鎖を含む〕は、ハムスター筋肉コフィリン2(配列番号:1366)を標的とする。別の実施形態において、RNAエフェクター分子を有する細胞〔この場合のRNAエフェクター分子は、配列番号:1914036−1914356からなる群から選択されるヌクレオチド配列を有するオリゴヌクレオチドの少なくとも16個の連続したヌクレオチド(例えば、少なくとも17個のヌクレオチド、少なくとも18個のヌクレオチド、少なくとも19個のヌクレオチド)を含むアンチセンス鎖を含む〕は、ハムスター非筋肉コフィリン1(配列番号:5716)を標的とする。
別の実施形態において、調節に有用なハムスター宿主細胞標的遺伝子としては、以下の表1に記載の標的遺伝子が挙げられる(Avg Covは、average coverageを指す):
Figure 2014501097
Figure 2014501097
いくつかの実施形態において、生物由来物質の産生は、宿主細胞においてRNAエフェクター分子の取り込み又は効力に影響を及ぼすタンパク質、例えばApoE、マンノース/GalNAc−受容体の(例えば、アシアロ糖タンパク質受容体)及びEri1の発現を調節することによって高められる。種々の実施形態において、細胞においてRNAiの取り込み又は効力に影響を及ぼす一つ又はそれ以上のタンパク質の発現は、本明細書において提供される方法に従って、一つ又はそれ以上の追加の標的遺伝子の調節の程度及び/又は範囲を高めるために一つ又はそれ以上の追加の標的遺伝子、例えば本明細書に記載の標的遺伝子の調節と同時に調節される。
いくつかの実施形態において、生物由来物質の産生は、増殖停止及び生産性の上昇を生じる宿主細胞におけるストレス応答を誘導することによって高められる。ストレス応答は、例えば、養分利用性を制限し、溶質濃度あるいは低い温度又はpHシフト、及び酸化ストレスを上昇させることによって誘導できる。生産性の上昇と共に、ストレス応答はまた、タンパク質の折りたたみ及び分泌に対して悪影響も及ぼし得る。いくつかの実施形態において、このような悪影響は、ストレス応答タンパク質、例えば本明細書に記載のタンパク質の折りたたみ及び/又は分泌に影響を及ぼすタンパク質をコードする標的遺伝子の発現を調節することによって改善される。
いくつかの実施形態において、生物由来物質の産生は、細胞骨格構造に影響を及ぼすタンパク質の発現を調節することによって、例えば単量体アクチンと繊維状アクチンの間の平衡を変えることによって高められる。一つの実施形態において、標的遺伝子は、コフィリンをコードし及びRNAエフェクター分子は、コフィリンの発現を抑制する。一つの実施形態において、少なくとも一つのRNAエフェクター分子は、細胞質アクチンキャッピングタンパク質(CapZ)、エズリン(VIL2)及びラミニンAからなる群から選択される標的遺伝子の発現を増加させる。例えば、例示的CHO転写産物標的遺伝子及びsiRNA(アンチセンス鎖)を特定する表5参照:
Figure 2014501097
RNAエフェクター分子による標的遺伝子の発現の調節(例えば、抑制)は、さらに、第二のRNAエフェクター分子を導入することによって弱めることができ、前記第二のRNAエフェクター分子の少なくとも一部分は、宿主細胞においてRNAi仲介するタンパク質をコードする標的遺伝子と相補的である。例えば、標的遺伝子の発現の調節は、細胞に、細胞のRNAi経路のArgonauteタンパク質(例えば、アルゴノート−2)又はその他の成分の発現を抑制する細胞RNAエフェクター分子を導入することによって弱めることができる。一つの実施形態において、生物由来物質は、細胞を、生物由来物質を標的とする第一のRNAエフェクター分子と接触させることによって一時的に抑制される。生物由来物質の発現の抑制は、この場合には、RNAi経路のタンパク質をコードする遺伝子を標的とする第二のRNAエフェクター分子を細胞に導入することによって弱められる。
また、所望の生物由来物質の産生は、産生期の間に細胞にRNAエフェクター分子を導入して、タンパク質の発現、翻訳後修飾、折りたたみ、分泌、及び/又は所望の生物由来物質の産生及び/又は回収に関連するその他のプロセスに影響を及ぼすタンパク質をコードする標的遺伝子の発現を調節することによって高めることができる。あるいは、生物由来物質の産生は、産生期の間に細胞に、細胞の増殖及び/又は細胞分裂を抑制するRNAエフェクター分子を導入することによって高められる。
翻訳後プロセシング
翻訳後修飾は、生物製剤の産生の費用を上昇させ及び効率を低下させる修飾及び非修飾ポリペプチドを分離するために追加のバイオプロセス工程を必要とすることができる。従って、いくつかの実施形態において、細胞におけるポリペプチド作用物質の産生は、翻訳後修飾に影響を及ぼすタンパク質をコードする標的遺伝子の発現を調節することによって高められる。別の実施形態において、生物製剤の産生は、第一の翻訳後修飾に影響を及ぼすタンパク質をコードする第一の標的遺伝子の発現を調節し及び第二の翻訳後修飾に影響を及ぼすタンパク質をコードする第二の標的遺伝子の発現を調節することによって高められる。
さらに具体的には、真核細胞において発現されるタンパク質は、生物由来物質の産生及び/又は構造、生物活性、安定性、均一性及び/又はその他の特性を損なうことができるいくつかの翻訳後修飾を受けることができる。これらの修飾の多くは、細胞の増殖及びポリペプチドの発現中に自然に生じ、所定のポリペプチドのいくつかの部位で、例えばペプチド主鎖、アミノ酸側鎖、及びアミノ末端及び/又はカルボキシル末端で生じることができる。また、所定のポリペプチドは、いくつかの異なる型の修飾を含むことができる。例えば、トリ及び哺乳動物細胞において発現されるタンパク質は、アセチル化、アシル化、ADP−リボシル化、アミド化、ユビキチン化、メチオニン酸化、ジスルフィド結合形成、メチル化、脱メチル化、硫酸化、システインの形成、ピログルタミン酸の形成、ホルミル化、γ−カルボキシル化、ヒドロキシ化、ヨウ素化、ミリストイル化、酸化、タンパク質分解処理、リン酸化、プレニル化、ラセミ化、グリコシル化、グルコニル化、配列変異、N末端グルタミン環化及び脱アミド化、並びにアスパラギン脱アミド化を受けることができる。N末端アスパラギン脱アミド化は、細胞を、N末端Asnアミダーゼ(例えば、配列番号:5950によってコードされる)を標的とするRNAエフェクター分子と接触させることによって抑制することができ、この場合のRNAエフェクター分子は、配列番号:1999410−1999756からなる群から選択されるヌクレオチド配列を有するオリゴヌクレオチドの少なくとも16個の連続したヌクレオチド(例えば、少なくとも17個のヌクレオチド、少なくとも18個のヌクレオチド、少なくとも19個のヌクレオチド)を含むアンチセンス鎖を含む。
いくつかの実施形態において、タンパク質の産生は、タンパク質の脱アミド化に関与するタンパク質をコードする標的遺伝子の発現を調節することによって高められる。タンパク質は、いくつかの経路、例えばN末端グルタミンの環化及び脱アミド化並びにアスパラギンの脱アミド化によって脱アミド化できる。従って、一つの実施形態において、タンパク質の脱アミド化に関与するタンパク質は、N末端アスパラギンアミドヒドロラーゼである。タンパク質の脱アミド化は、構造特性の変化、有効性の低下、生物活性の低下、効力の低下、免疫原性の上昇、及び/又はその他の望ましくない特性をもたらすことができ、いくつかの方法、例えば、以下に限定されないが、例えばイオン交換クロマトグラフィー、HPLC、等電点電気泳動、キャピラリー電気泳動、天然ゲル電気泳動、逆相クロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、質量分析又はL−イソパルチルメチルトランスフェラーゼの使用による電荷に基づいたタンパク質の分離によって測定できる。
生物由来物質が、糖タンパク質、例えばウイルス表面膜タンパク質を有するウイルス産生物又はグリコシル化アミノ酸残基を有するモノクロナール抗体を含む場合には、生物製剤の産生は、タンパク質グリコシル化に関与するタンパク質をコードする標的遺伝子の発現を調節することによって高めることができる。グリコシル化パターンは、多くの場合、哺乳動物糖タンパク質の構造及び機能の重要な決定因子であり、糖タンパク質の溶解性、熱安定性、プロテアーゼ耐性、抗原性、免疫原性、血中半減期、安定性及び生物活性に影響を及ぼすことができる。
種々の実施形態において、グリコシル化に影響を及ぼすタンパク質は、ドリチル−ジホスホオリゴサッカライド−タンパク質グリコシルトランスフェラーゼ(チャイニーズハムスター遺伝子配列番号:2742894−2743239)、UDPグリコシルトランスフェラーゼ、UDP−Gal:βGlcNAcβ1,4−ガラクトシルトランスフェラーゼ(配列番号:851115−851489、配列番号:1552461−1552728、配列番号:1562813−1563108、及び配列番号:1635173−1635561)、UDP−ガラクトース−セラミドガラクトシルトランスフェラーゼ、フコシルトランスフェラーゼ(209841−210227)、タンパク質O−フコシルトランスフェラーゼ(配列番号:916726−917035)、N−アセチルガラクトサミニルトランスフェラーゼ(配列番号:57147−57422、配列番号:65737−65999、配列番号:1013002−1013376、配列番号:1363583−1363970、配列番号:1546609−1546999、配列番号:1965217−1965613、配列番号:2876241−2876595)、特にT4(配列番号:2876241−2876595)、O−GlcNAcトランスフェラーゼ(配列番号:607012−607348)、オリゴサッカリルトランスフェラーゼ(配列番号:89738−90024、配列番号:262368−262621)、O−結合N−アセチルグルコサミントランスフェラーゼ、並びにα−ガラクトシダーゼ(配列番号:1600968−1601288)及びβ−ガラクトシダーゼ(配列番号:690601−690989)からなる群から選択される。上記の標的のための典型的なdsRNA(例えば、siRNA、shRNAなど)は、標的ヌクレオチド配列の少なくとも16個の連続したヌクレオチド(例えば、少なくとも17個のヌクレオチド、少なくとも18個のヌクレオチド、少なくとも19個のヌクレオチド又はそれ以上)を含むことができる。
他の実施形態において、グリコシル化に影響を及ぼすタンパク質は、例示的チャイニーズハムスター転写産物標的遺伝子及び典型的なsiRNA(アンチセンス鎖)を特定する以下の表6から選択される:
Figure 2014501097
Figure 2014501097
別の実施形態において、糖タンパク質の産生は、シアリダーゼ又はシアリルトランスフェラーゼ酵素の発現を調節することによって高められる。糖タンパク質の末端シアル酸残基は、糖タンパク質の溶解性、熱安定性、プロテアーゼ作用に対する耐性、抗原性及び特異活性の特に重要な決定因子である。例えば末端シアル酸が血清糖タンパク質から除去されると、脱シアリル化タンパク質は、シアリル化された対応物に比べて著しく低下した生物活性及び低い循環半減期を有する。糖タンパク質中のシアル酸の量は、2つの対立するプロセス、すなわちシアリルトランスフェラーゼによるシアル酸の細胞内付加及びシアリダーゼによるシアル酸の除去の結果である。従って、いくつかの実施形態において、糖タンパク質の産生は、シアリダーゼの発現を抑制する及び/又はシアリルトランスフェラーゼの発現を活性化させることによって高められる。例示的シアリルトランスフェラーゼ標的及び典型的なsiRNAは、表7に見出される。
Figure 2014501097
Figure 2014501097
いくつかの実施形態において、タンパク質の産生は、アンモニアを放出するN末端グルタミン残基のピログルタミン酸への分子内環化(ピログルタミン酸化)を触媒するグルタミニルシクラーゼの発現を調節することによって高められる。グルタミニルシクラーゼの調節は、細胞を、グルタミニルシクラーゼ遺伝子を標的とするRNAエフェクター分子(例えば、配列番号:5486によってコードされる)と接触させることによって達成でき、この場合のRNAエフェクター分子は、配列番号:1832626−1832993(ハムスター)からなる群から選択されるヌクレオチド配列を有するオリゴヌクレオチドの少なくとも16個の連続したヌクレオチド(例えば、少なくとも17個のヌクレオチド、少なくとも18個のヌクレオチド、少なくとも19個のヌクレオチド)を含むアンチセンス鎖を含む。
いくつかの実施形態において、生物由来物質は、イズロン酸2−スルファターゼ(IDS)である。IDSは、ヒトリソソームにおいて硫酸エステルを加水分解するエキソスルファターゼである。ヒトでの活性IDSの欠損は、リソソームのヘパラン硫酸及びデルマタン硫酸断片の蓄積に特徴があるハンター症候群(ムコ多糖症II型)を招く。ハンター症候群は、外来性IDS、例えば野生型組換えヒトIDSの投与によって治療できる。
ヒトIDSは、糖タンパク質であり、その活性は、グリコシル化の度合いを調節することによって高めることができる。従って、一つの実施形態において、培養宿主細胞を、組換えIDSのグリコシル化に関与する宿主細胞遺伝子の発現を調節できるRNAエフェクター分子と接触させることによって宿主細胞において組換えヒトIDSの産生を高める方法が、本明細書において提供される。典型的な標的遺伝子としては、例えばグリコシル化酵素が挙げられる。組換えIDSは、哺乳動物細胞、例えばCHO細胞、例えばCHO−KI細胞及びCHO−Lec1細胞において産生させることができる。組換えIDSは、野生型IDS(例えば、ヒトの肝臓から単離されるIDS)と比べて同じグリコシル化パターンであるが、高められたグリコシル化の度合いを有することができる。本明細書において提供される方法によって産生されるIDSの高グリコシル化された形の高められたグリコシル化は、野生型IDSよりも少なくとも5kDa大きいか又は野生型IDSよりも少なくとも10kDa大きい、野生型IDSよりも少なくとも15kDa、20kDa、25kDa又はそれ以上大きい分子量を有するIDSをもたらす。本明細書において提供される方法によって産生される組換えIDSの高グリコシル化体は、野生型酵素(例えば、平均的なグリコシル化の度合いを有するIDS)と比べて高められた酵素活性を示す。組換えIDS及び野生型IDSの酵素活性は、当該技術で公知の方法、例えば放射標識二糖支持体IdoA2S−anM6Sを使用するBielickiら、271 Biochem.J.,75−86(1990)に記載の方法を使用してアッセイできる。
別の実施形態において、生物由来物質は、アリールスルファターゼAである。ヒトのアリールスルファターゼAの欠損は、特に神経系の細胞において、神経系に進行性障害をもたらすスルファチドの蓄積を招く。イズロン酸2−スルファダーゼのように、アリールスルファターゼAは、最適酵素活性にグリコシル化を必要とする糖タンパク質である。従って、一つの実施形態において、培養宿主細胞を、組換えIDSのグリコシル化に関与する宿主細胞遺伝子の発現を調節できるRNAエフェクター分子と接触させることによって宿主細胞において組換えヒトIDSの産生を高める方法が、本明細書において提供される。組換えIDSは、哺乳動物細胞、例えばCHO細胞において産生される。
いくつかの実施形態においてジスルフィド結合を含んでいるタンパク質の産生は、ジスルフィド結合の酸化、還元及び/又は異性化に影響を及ぼすタンパク質、例えばタンパク質ジスルフィドイソメラーゼ又はスルフヒドリルオキシダーゼの発現を調節することによって高められる。ジスルフィド結合の形成は、真核細胞培養においてマルチサブユニットタンパク質又はペプチドの産生に特に問題となり得る。マルチサブユニットタンパク質又はペプチドの例としては、受容体、細胞外マトリックスタンパク質、免疫調節剤、例えばMHCタンパク質、完全鎖抗体及び抗体断片、酵素及び膜タンパク質が挙げられる。
いくつかの実施形態において、タンパク質の産生は、メチオニン酸化に影響を及ぼすタンパク質の発現を調節することによって高められる。活性酸素種(ROS)は、メチオニン(Met)をメチオニンスルホキシド(MetO)に酸化することができ、分解及び産生物不均一性の増加並びに生物活性及び安定性の低下をもたらす。いくつかの実施形態において、標的遺伝子は、MetO残基のメチオニンへの還元を触媒するメチオニンスルホキシドレダクターゼをコードする。例えば、RNAエフェクター分子は、配列番号:2044387−2044676、配列番号:2557492−2557809、及び配列番号:3076104−3076309(チャイニーズハムスター)からなる群から選択されるヌクレオチド配列を有するオリゴヌクレオチドの少なくとも16個の連続したヌクレオチド(例えば、少なくとも17個のヌクレオチド、少なくとも18個のヌクレオチド、少なくとも19個のヌクレオチド)を含むアンチセンス鎖を含む。
工業規模の細胞培養において産生される生物由来物質(いくつかの生弱毒化ウイルスを含む)は、典型的には培養細胞によって分泌され、周囲の細胞培養培地から回収され、精製される。一般に、タンパク質産生の割合及び回収タンパク質の収量は、タンパク質の折りたたみの割合及び宿主細胞による分泌に直接関係する。例えば、宿主細胞の小胞体(ER)における異常な折りたたみ構造のタンパク質の蓄積は、小胞体ストレス応答(UPR)経路によって分泌を遅らせるか又は停止することができる。UPRは、過剰の変性タンパク質を検出するER膜においてストレス感受性タンパク質によって引き金が引かれる。UPR活性化は、異常タンパク質に結合し、適切な折りたたみを促進するシャペロンタンパク質〔例えば、Bip(熱ショック70kDaタンパク質5(グルコース調節タンパク質、78kDa)〕の上方制御を招く。UPR活性化はまた、転写因子XBP−1(配列番号:187955−188152)及びCHOP(配列番号:2813622−2813956)(チャイニーズハムスター)も上方制御する。CHOPは、一般的に細胞の増殖、分化及び生存の負の調節因子として機能し、UPRによるその上方制御は、細胞周期の停止を引き起こし、タンパク質折りたたみ及び分泌の割合を増大して過剰な変性タンパク質を細胞から取り除く。従って、細胞周期は、最初に促進され、次いでウイルス産生期の間に抑制されてウイルス産生物の収量を増大させることができる。宿主細胞による免疫原性タンパク質分泌の割合の増大は、例えば経時的に培養物に存在するタンパク質の量を監視することによって測定できる。
本発明は、宿主細胞によるタンパク質の分泌に影響を及ぼすタンパク質をコードする標的遺伝子の発現を調節することによって培養真核宿主細胞において分泌ポリペプチドの産生を高める方法を提供する。いくつかの実施形態において、標的遺伝子は、UPR経路のタンパク質、例えばIRE1、PERK、ATF4(配列番号:1552067−1552460)、ATF6(配列番号:570138−570498)(チャイニーズハムスター)、eIF2α(配列番号:1828122−1828492)(チャイニーズハムスター)、GRP78〔熱ショック70kDAタンパク質5(グルコース調節タンパク質、78kDa、配列番号:292590−292837〕(チャイニーズハムスター)、GRP94(配列番号:180574−180954)(チャイニーズハムスター)、カルレチクリン(配列番号:895691−896051)(チャイニーズハムスター)又はこれらの変異体、あるいはUPR経路を調節するタンパク質、例えば転写調節因子〔例えば、cis作用UPR因子(UPRE)〕をコードする。上記の標的のための典型的なdsRNA(例えば、siRNA、shRNAなど)は、標的ヌクレオチド配列の少なくとも16個の連続したヌクレオチド(例えば、少なくとも17個のヌクレオチド、少なくとも18個のヌクレオチド、少なくとも19個のヌクレオチド又はそれ以上)を含むことができる。
タンパク質の分泌に関与するその他の標的遺伝子を、例示的チャイニーズハムスター転写産物標的遺伝子及び典型的なsiRNA(アンチセンス鎖)を特定する以下の表8に列記する。
Figure 2014501097
いくつかの実施形態において、タンパク質の分泌に影響を及ぼすタンパク質は、Hsp40(配列番号:677203−677558)、HSP47(セルピンペプチダーゼインヒビター、クレードH;熱ショックタンパク質47ともいう)(配列番号:777036−777317)、HSP60(配列番号:494743−495086)、Hsp70(配列番号:3147029−3147080)、HSP90、HSP100、タンパク質ジスルフィドイソメラーゼ(配列番号:72748−72996)、ペプチジルプロリルイソメラーゼ(配列番号:38781−39067、配列番号:1074139−1074475、配列番号:1127061−1127426、配列番号:1649170−1649515、配列番号:2197146−2197532、配列番号:2253978−2254373、配列番号:2261765−2262058、配列番号:2275330−2275633、配列番号:2579547−2579908、及び配列番号:3115010−3115199)、カルネキシン(配列番号:61559−61785)、Erp57(タンパク質ジスルフィドイソメラーゼファミリーA、メンバー3;配列番号:774355−774677)及びBAG−1(前記は、チャイニーズハムスターを指す)からなる群から選択される分子シャペロンである。
いくつかの実施形態において、タンパク質の分泌に影響を及ぼすタンパク質は、γ−セクレターゼ、p115(例えば、配列番号:89340−89737)(チャイニーズハムスター)、シグナル認識粒子(SRP)タンパク質、セクレチン及びキナーゼ(例えば、MEK)からなる群から選択される。
細胞培養における生物由来物質の産生は、生物由来物質に親和性を有するタンパク質あるいは生物由来物質に特異的に結合する分子又は因子によって悪影響を及ぼされ得る。例えば、多数の異種タンパク質が、宿主細胞表面で糖タンパク質ヘパリン及びヘパラン硫酸を結合することが明らかにされている。これは、ヘパリン、ヘパラン硫酸、及び/又はヘパリン/ヘパラン硫酸−結合タンパク質と、回収タンパク質の収量を低下させ並びに均一性、安定性、生物活性、及び/又はその他の特性の低下させる、組換えタンパク質産生物との同時精製をもたらすことができる。ヘパリン及び/又はヘパラン硫酸を結合することが明らかにされている異種タンパク質の例としては、BMP3(骨形成タンパク質3又はオステオゲニン)、TNF−α、GDNF、TGF−βファミリーメンバー及びHGFが挙げられる。従って、一つの実施形態において、培養宿主細胞において異種タンパク質、例えばBMP3、TNF−α、GDNF、TGF−βファミリーメンバー又はHGF、あるいはその他の生物由来物質の産生は、細胞を、ヘパリン及び/又はヘパラン硫酸の発現及び/又は産生を調節する(例えば、抑制する)RNAエフェクター分子と接触させることによって高められる。一つの実施形態において、ヘパリン及び/又はヘパラン硫酸の量は、ヘパリン及び/又はヘパラン硫酸の産生に関与する宿主細胞酵素、例えば宿主細胞キシロシルトランスフェラーゼ(配列番号:1554774−1555054)(チャイニーズハムスター)、及び本明細書において提供される表に列記される配列の発現を調節することによって減少する。
いくつかの実施形態において、例えば、生物由来物質が、ウイルス、例えばインフルエンザウイルスである場合には、標的遺伝子は、ウイルス結合を減少させ、従って細胞培養培地においてウイルスの回収を増加させる(すなわち、依然として宿主細胞膜にくっついているウイルスは少ない)宿主細胞表面からシアル酸を減少させることに関与する遺伝子である。これらの標的としては、溶質担体ファミリー35(CMP−シアル酸輸送体)メンバーA1(SLC35A1)(例えば、ハツカネズミSlac35a1から推測されるハムスター遺伝子、遺伝子ID:24060)(配列番号:3154345−3154368及び配列番号:3154369−3154392から選択される野鶏属標的遺伝子配列)(配列番号:464674−465055から選択されるハムスター遺伝子配列);溶質担体ファミリー35(UDP−ガラクトース輸送体)、メンバーA2(SLC35A2)(例えば、ハツカネズミSlc35a2から推測されるハムスター遺伝子、遺伝子ID:22232)UDP−N−アセチルグルコサミン 2−エピメラーゼ/N−アセチルマンノサミンキナーゼ(GNE)(例えば、ハツカネズミGneから推測されるハムスター遺伝子、遺伝子ID:10090)(配列番号:3154297−3154320及び配列番号:3154321−3154344から選択される野鶏属標的遺伝子配列)(配列番号:2073971−2074368から選択されるハムスター細胞標的遺伝子配列);シチジンモノホスホ−N−アセチルノイラミン酸シンテターゼ(Cmas)(例えば、ハツカネズミCmasから選択されるハムスター遺伝子、遺伝子ID:12764)(配列番号:3154249−3154272及び配列番号:3154273−3154296から選択される野鶏属標的遺伝子配列)(配列番号:1633101−1633406から選択されるハムスター標的遺伝子配列);UDP−Gal:βGlcNAcβ1,4−ガラクトシルトランスフェラーゼ(B4GalT1)(例えば、ハツカネズミB4galT1から推測されるハムスター遺伝子、遺伝子ID:14595)(配列番号:3154153−3154176及び配列番号:3154177−3154200から選択される野鶏属標的遺伝子配列)(配列番号:2528454−2528763から選択されるハムスター標的遺伝子配列);及びUDP−Gal:βGlcNAcβ1,4−ガラクトシルトランスフェラーゼ、ポリペプチド6(B4GalT6)(例えば、ハツカネズミB4GalT6から推測されるハムスター遺伝子、遺伝子ID:56386)(配列番号:3154201−3154224及び配列番号:3154225−3154248から選択される野鶏属標的遺伝子配列)(配列番号:1635173−1635561から選択されるハムスター細胞標的遺伝子配列)が挙げられる。上記の標的のための典型的なdsRNA(例えば、siRNA、shRNAなど)は、標的ヌクレオチド配列の少なくとも16個の連続したヌクレオチド(例えば、少なくとも17個のヌクレオチド、少なくとも18個のヌクレオチド、少なくとも19個のヌクレオチド又はそれ以上)を含むことができる。
さらなる標的としては、トリ細胞において宿主シアリダーゼに関与する標的を挙げることができる〔Wangら、10 BMC Genomics,512(2009)参照〕、なぜならば、インフルエンザは、細胞表面シアル酸残基に結合し、従って減少したシアリダーゼが、感染又は精製の割合を増加し得るからである:NEU2シアリダーゼ2(細胞質ゾルシアリダーゼ)(例えば、野鶏属Neu2、遺伝子ID:430542)及びNEU3シアリダーゼ3(膜シアリダーゼ)(例えば、野鶏属Neu3、遺伝子ID:68823)。さらなる標的遺伝子としては、細胞において十分に増殖しないいくつかのウイルスの基礎となるか否かを調べるために使用できるmiRNAアンタゴニスト、例えばダイサーのノックダウンが感染の割合の適度の増加を招くことからダイサー(ダイサー1、リボヌクレアーゼIII型)〔Matskevichら、88 J.Gen.Virol.,2627−35(2007)〕;又はデコイ核酸がISRE含有プロモーターから離れているTFを滴定することからISRE(インターフェロン刺激応答要素)が挙げられる。シアリダーゼ(ノイラミニダーゼ)に関連する遺伝子及び標的の例を、以下の表9に示す:
Figure 2014501097
生物由来物質、例えばポリペプチドを工業規模で製造するためのバイオプロセスの使用は、病原体、例えば活性ウイルス粒子及びその他の外来作用物質(例えば、プリオン)の存在によって困惑させられ、調節手順に従うために検出、除去(例えば、ウイルスろ過)及び/又は不活性化(例えば、加熱処理)のための費用がかかり、時間のかかる工程の使用を必要とする場合が多い。このような問題は、このようなウイルスの存在を検出及び監視することが困難であるために深刻化し得る。従って、いくつかの実施形態において、病原性感染に対する宿主細胞の感受性に影響及ぼす標的遺伝子の発現を調節することによって生物由来物質の産生を高める方法が提供される。例えば、いくつかの実施形態において、標的遺伝子は、ウイルス感染性に介在する宿主細胞タンパク質、例えば貫膜タンパク質XPR1(配列番号:62021−62362)(チャイニーズハムスター)、RDR、Flvcr、CCR5、CXCR4、CD4、Pit1及びPit2(配列番号:3068222−3068455)(チャイニーズハムスター)である。
標的配列は、一般的に10〜30個のヌクレオチドの長さであるが、任意の所定の標的RNAの切断を指示することに対するこの範囲内の特定の配列の適合性には多様性がある。本明細書に記載の種々のソフトウエアパッケージ及び指針は、任意の所定の遺伝子標的に最適な標的配列の特定のための手引きを提供するが、所定のサイズ(非限定的な例として、21個のヌクレオチド)の「ウインドウ」又は「マスク」が、標的配列として働くことができるサイズ範囲内の配列を特定するために標的RNA配列に遂語的に又は比喩的に(例えば、コンピュータ内で)配置される実験的アプローチを採用することもできる。配列「ウインドウ」を最初の標的配列の配置の1個のヌクレオチド上流又は下流に徐々に移動することによって、可能な配列の完全な一組が選択された任意の所定の標的サイズについて同定されるまで、次の可能性のある標的配列を特定することができる。この方法は、最適に機能を果たす配列を特定するために(本明細書に記載のアッセイ又は当該技術で公知のアッセイを使用して)特定された配列の系統的合成及び検査と結び付けて、RNAエフェクター分子作用物質を標的に向けた場合に、標的遺伝子の発現の最もよい抑制に介在するRNA配列を特定できる。従って、例えば、本明細書、表の範囲内で、及び配列番号:1−9771、配列番号:3154148及び配列番号:3157149−3158420(チャイニーズハムスター)において、本明細書において特定された配列は、有効な標的配列に相当するが、同等の又はより良い抑制特性を有する配列を特定するために、所定の配列の一つのヌクレオチド上流又は下流に徐々に「ウインドウを歩行させる」ことによって、抑制効率のさらなる最適化が達成できることが意図される。
また、特定された任意の配列について、例えば本明細書の表において及び配列番号:9772−3152399及び配列番号:3161121−3176783(チャイニーズハムスター)において特定された任意の配列について、ヌクレオチドを系統的に付加するか又は除去してより長い又はより短い配列を生じさせ、これらの配列及び前記のより長い又はより短いサイズのウインドウを、その位置から標的RNAの上下に歩行させることによって生じた配列を検査することによって、さらなる最適化が達成できることが意図される。当該技術で知られているかような又は本明細書に記載されているような抑制アッセイにおいて、新しい候補標的を生じさせるこのアプローチを、これらの標的配列に基づいてRNAエフェクター分子の有効性の検査と結び付けると、抑制の効率のさらなる向上をもたらすことができる。さらにまた、このような最適化された配列は、例えば、本明細書に記載されているような又は当該技術で知られているような修飾ヌクレオチドの導入、オーバーハングの付加又は改変、あるいは当該技術で知られているような及び/又は本明細書で論じたその他の修飾によって調整して、前記分子を発現抑制剤としてさらに最適化できる(例えば、血清安定性又は循環半減期の増大、熱安定の安定性の上昇、貫膜送達の増強、特定の位置又は細胞型へのターゲテッィング、サイレンシング経路酵素との相互作用の増大、エンドソームからの放出の増加など)。
III.生物汚染
生物工学製造方法において一般的に使用される細胞株、例えばCHO細胞及びMDCK細胞は、レトロウイルス様粒子を産生することが実証されている。また、大規模生物製剤製造方法においてMMV(ネズミ微小ウイルス)の混入が生じており、製造に使用する原料の偶発的汚染に起因すると考えられた。その結果、国際規制機関は、生物製剤製造業者に、包括的ウイルス排除方策、例えば細胞株及び原料の特性決定、しっかりとしたウイルス不活性化及び除去工程の採用、並びにプロセス中間物及び最終製品の検査を採用するように要求している。多数の直交する工程、例えばクロマトグラフ法、物理化学的不活性化(例えば、低pH、溶剤洗浄)及びサイズ排除ろ過は、一緒になってウイルスの累加的不活性化及び除去を生じる。例えば、Marquesら、25 Biotech.Prog.,483−91(2009);Khanら、52 Biotech.Appl.Biochem.,293−301(2009)参照。ウイルス排除及び排除有効性確認は、バイオプロセシングにおいて最も時間のかかり、費用を要する活動のいくつかである:下流プロセシングは、生物製造コスト全体の約70%を占める。Chochoisら、36 Bioprocess Intl.,(June,2009)。下流バイオプロセシングフィルター製品は、単独で、生物工学及びワクチン製造業者に毎年10億ドルを越える費用を費やさせる。
従って、別の実施形態において、産生は、細胞に、宿主細胞においてウイルスタンパク質の発現を抑制する細胞RNAエフェクター分子を導入することによって高められる。さらに具体的には、例えば、潜在DNAウイルス(例えば、ヘルペスウイルス)及び内在性レトロウイルス(ERV)、又はレトロウイルス要素は、おそらく全ての脊椎動物に存在するであろう。内在性レトロウイルス配列は、真核生物ゲノムの不可欠な部分であり、これらの配列の大部分は、欠陥があるが、いくつかは、感染性ウイルスを、自然に又は長期培養で産生させることができる。ERVウイルス産生は、標準的な産生系の一部であることができる種々の化学物質又はその他の作用物質で処理すると誘導することができる。また、多くの内在性レトロウイルスは、それ自体の細胞には容易に再感染しないが、他の種には生体外で及び生体内で感染することができる。例えば、ブタERV(PERV)の3つの亜群のうちの2つは、ヒト細胞に生体外で感染できる。
少なくとも26の異なる群のヒト内在性レトロウイルス(HERV);並びに関連する外来性ウイルスと相互作用することができるマウス、ネコ及びブタに宿る複製可能ERVが存在する。レトロウイルス誘導腫瘍形成は、複製可能配列と複製欠損配列の間の組換えによる新規な病原性ウイルスの発生及び/又はレトロウイルス配列の上流又は下流挿入による長い末端反復(LTR)による細胞性癌遺伝子の活性化を伴うことができる。従って、生物製剤の生産に使用される細胞基質における内在性の感染性レトロウイルスの活性化は、特に最小限の精製及び不活性化工程が高いワクチン効果を保つために使用される生ウイルスワクチンの場合には、重要な安全上の懸念がある。
外来ウイルスは、ヒト使用について、細胞基質由来の生物製剤、例えばワクチン及び抗体の使用に付随した大きな危険性を示す。ウイルス混入の可能性は、一次培養物及び確立された培養物、並びにマスターセルバンク、産生終了細胞及びバルク収穫液に存在する。例えば、これは、形質転換のメカニズムが知られていない新生物不死化細胞の使用に対する大きな障害である。なぜならば、これらの細胞は、発癌ウイルスを含むという高い危険性を有し得るからである。従って、可能性のある外部作用物質の存在についての広範な検査が、ワクチンの安全性を保証するために必要とされる。生物製剤の外来ウイルス混入について最も一般的な状況として、ウシ胎仔血清中のウシウイルス性下痢症ウイルス;ブタ基質中のブタパルボウイルス;並びにチャイニーズハムスター細胞由来のバルク収穫物中のネズミ微小ウイルス、レオウイルス、ベシウイルス及びカシェ渓谷ウイルスが挙げられる。3つの最後に名前を挙げたウイルス実体は、製造プロセス中に(スケールアップ中に又は全プロセス中に)使用されるウシ血清によって導入されると考えられる。
生弱毒化ウイルスワクチンの生産中に、混入するウイルス粒子、核酸又はタンパク質の除去は、任意の抗ウイルスアプローチはウイルス産生物をそのままに及び免疫原性の状態にしておかなければならないので、問題になる。実際に、内在性トリウイルス粒子が、ニワトリ胚線維芽細胞から誘導された商業的に発売されているヒトはしか及びおたふく風邪ワクチンに見出されている。また、内在性ウイルスタンパク質、特にエンベロープタンパク質は、多くの場合に、形質転換細胞株の作製において使用される組換えウイルスベクターの有効性を阻害する。また、内在性ウイルスは、多くの場合にウイルス産生又はレトロウイルス形質導入の間に引き金を引かれる宿主細胞の免疫反応をさらに悪化させることができる。従って、外来ウイルス、潜在ウイルス及び内在性ウイルスの活性を抑制し、従って細胞において産生される生物由来物質、例えば免疫原性作用物質の純度及び収量を増大させる技術について未だに要求がある。
本発明は、場合により外来ウイルス、潜在ウイルス又は内在性ウイルスの発現に関与するタンパク質をコードする標的遺伝子の発現を調節するために、細胞にRNAエフェクター分子を導入することによって生物由来物質の産生を高めることを提供する。従って、いくつかの実施形態において、宿主細胞において生物由来物質の産生は、細胞において所望の生物由来物質の感染力及び/又は量が増大するように、細胞に潜在又は内在性ウイルスタンパク質の発現を抑制するRNAエフェクター分子を導入することによって高められる。
例えば、細胞培養に基づいた不活性インフルエンザウイルス又はインフルエンザウイルス抗原の特別な利点は、卵タンパク質に対するアレルギー反応の引き金を引き得る卵特異的タンパク質が存在しないことである。従って、本発明の使用は、特に、高リスク群を構成する人々、例えば喘息患者、アレルギーを有する喘息患者、並びに抑制免疫系を有する人々及び高齢者においてインフルエンザウイルス感染症の予防に特に適している。
ウイルス株が細胞培養において増殖する培養条件もまた、ウイルス株の許容できる高い収量を達成することに関して極めて重要である。所望のウイルス株の収量を最大にするために、宿主系及び培養条件の両方は、所望のウイルス株の産生に都合の良い環境を提供するために特異的に適合させなければならない。多くのウイルスは、極めて特異的な宿主系に限定されており、そのいくつかは、ウイルス収量に関して極めて不十分である。ウイルス宿主系として使用される哺乳動物細胞のいくつかは、ウイルスを高収量で産生するが、このような細胞の腫瘍原性は、ワクチン生産のための使用に対して調節制限を引き起こす。
細胞培養における血清及び/又は培地に添加される動物又はヒト起源に由来するタンパク質添加物の使用により生じる問題、例えば、異なるバッチの様々な品質及び組成並びにマイコプラズマ、ウイルス又はBSE作用物質による混入の危険性は、周知である。一般に、アルブミン、トランスフェリン又はインスリンのような血清又は血清由来物質は、培養物及びそれから産生される生物由来物質に混入することができる望まれない作用物質を含有することができる。また、ヒト血清由来の添加物は、血清によって感染されることができる肝炎又はHIVのような全ての公知のウイルスについて検査されなければならない。ウシ血清及びそれから誘導される製品、例えばトリプシンは、ウシ海綿状脳症混入の危険性を有する。また、全ての血清由来製品は、未だ知られていない作用物質によって汚染される可能性がある。従って、血清又はその他の血清由来化合物を必要としない細胞及び培養条件が、探求中である。
例えば、天然痘ワクチン、変性ワクシニアウイルスアンカラ(MVA)の産生は、一次又は二次ニワトリ胚線維芽細胞(CEF)の細胞培養において増幅される。CEFは、10〜12日間インキュベートされている鶏卵の胚から得られ、次いでそれから細胞が分離され、精製される。これらの一次CEF細胞は、直接使用できるか、又は1回さらに細胞継代後に二次CEF細胞として使用できる。その後に、一次又は二次CEF細胞に、MVAを感染させる。MVAの増幅のために、感染細胞は、37℃で2〜3日間インキュベートされる。例えば、Meyerら、72 J.Gen.Virol.,1031−38(1991);Sutterら、12 Vaccine,1032−40(1994)参照。多数のポックスウイルスは、37℃よりも低い温度、例えば30℃でインキュベートされたCEFにおいて効率的に複製する。米国特許第6,924,137号明細書参照。
確立された哺乳動物細胞株、例えばメイディン・ダービーイヌ腎(MDCK)細胞株の使用が、いくつかのウイルス株の複製において成功しており、ワクチン生産において頻繁に使用される。それにもかかわらず、多数のウイルス株が、MDCK株において複製しないであろう。また、ヒトワクチン生産のために腫瘍形成能を有する細胞を用いることに関連した起こり得る悪影響に対する恐れが、MDCK、これに関連して高形質転換細胞株の使用を排除している。
代替ワクチン生産方法を開発する他の試みが、行われている。米国特許第第4,783,411号明細書は、金魚細胞培養物においてインフルエンザワクチンを調製する方法を論じている。金魚細胞培養物に感染させるためのウイルス粒子は、その確立後に、ニワトリ胚培養物から又は感染CD−I株マウスから得られた。このウイルスは、金魚細胞培養物中で少なくとも2回継代され、生ワクチンとして使用できる弱毒化インフルエンザウイルスをもたらす。また、アフリカミドリザル腎臓上皮細胞(Vero)及びニワトリ胚細胞(CEC)が、血清を含有していない、タンパク質も含有していない培地においてインフルエンザウイルス及び組換えインフルエンザタンパク質を増殖させ、産生させるのに適合させられている。国際公開第WO96/015231号明細書参照。
タンパク質及び血清を含有していない培地の使用は、外来ウイルス混入の危険性を制限するが、細胞バンクに存在する潜在ウイルス又は内在性レトロウイルスによって引き起こされる継続する危険性に対処しない。生物製剤の生産に使用される細胞基質における内在性感染性レトロウイルスの活性化は、特に高いワクチン効果を保つために最小限の精製及び不活性化工程がある生ウイルスワクチンの場合には、重要な安全性に対する懸念がある。
いくつかの実施形態において、ベシウイルスを標的とするRNAエフェクター分子は、本明細書に記載の方法及び組成物と共に使用できる。ベシウイルスを標的とする典型的なRNAエフェクター分子としては、以下に限定されないが、以下の表63に記載のものが挙げられる:
Figure 2014501097
Figure 2014501097
Figure 2014501097
内在性レトロウイルス
レトロウイルスは、ウイルスpol遺伝子によってコードされるRNA依存性DNAポリメラーゼ(逆転写酵素)によって介在される逆転写によって複製する。レトロウイルスはまた、さらに少なくとも2つの遺伝子:gag遺伝子及びenv遺伝子を有する:前記gag遺伝子は、ウイルス骨格、マトリックス、ヌクレオカプシド及びカプシドのタンパク質をコードし;前記env遺伝子は、エンベロープ糖タンパク質をコードする。さらに、レトロウイルス転写は、レトロウイルスゲノムの両端に存在する高反復領域(LTR)にあるプロモーター領域又は「エンハンサー」によって調節される。
細胞の感染中に、逆転写酵素は、RNAゲノムのDNAコピーを作製する;このコピーは、次いで、宿主細胞ゲノムに組み込むことができる。レトロウイルスは、胚細胞又は胚に初期に感染でき、垂直メンデル伝達によって伝達される。これらの内在性レトロウイルス(ERV)は、宿主生物の発生中に退化し、その初期特性を失うことができる。いくつかのERVは、その特性又はその構成モチーフの特性の全部又は一部を保存するか、あるいは宿主生物のための利点を有する新規な機能的特性を獲得する。また、これらのレトロウイルス配列は、何世代にもわたって、その潜在能力のいくつかの引き金を引き、病理学的プロセスを生じるか又は促進することができる個別の修飾を受けることもできる。
ヒト内在性レトロウイルス配列(HERV)は、ヒトゲノムの相当な部分に相当する。これらのレトロウイルス領域は、いくつかの形態で存在する:すなわち感染性レトロウイルスのLTR−gag−pol−env−LTR構造との重要な類似性を示す反復核酸配列が側面に配置されているgag、pol及びenvモチーフを組み合わせる完全内在性レトロウイルス構造;先端切断レトロウイルス配列(例えば、そのレトロトランスポゾンは、そのenvドメインを欠いている);及びenv及びLTR領域を欠いているレトロポゾンで存在する。ウイルス粒子を取り除くことができるERVは、多くの場合、C型ERVと呼ばれる。
重要なERVとしては、ヒトテラトカルシノーマレトロウイルス(HTDV)、又はHERV−K(内在性プロウイルスからウイルス粒子を産生することが知られている内在性レトロウイルス)が挙げられる。Loewerら68 J.Gen.Virol.,2807−15(1987);Moldら、4 J.Biomed.Sci.,78082(2005)。HERV−Rは、それが多数の組織、例えば副腎皮質及び種々の腎臓腫瘍、例えば皮質腺腫及び褐色細胞腫で発現されることが認められていることから、別の重要なERVである。Katsumataら、66 Pathobiology,209−15(1998)。ネズミ白血病ウイルス(MLV)は、誘導時に齧歯類動物由来の細胞培養物中で感染性ウイルス粒子を産生する別の重要なERVである。Khan&Sears,106 Devel.Biol.,387−92(2001)。実際に、細胞の代謝状態及び/又はタンパク質発現の速度を著しく変える細胞培養変化(例えば、pH、温度変化、酪酸ナトリウムの添加)は、CHO細胞における内在性レトロウイルス合成の速度を測定できるほど増大させた。Brorsonら、80 Biotech.Bioengin.,257−67(2002)。
HERVd(ヒト内在性レトロウイルスデータベース)(NAR Molecular Biology Database Collection entry number 0495)と呼ばれるオンラインデータベースは、種々の進行中のヒトゲノムプロジェクトにおいて主として得られたヒトゲノムヌクレオチド配列から編集されている。これは、HERVをスクリーニングするための比較的簡単で迅速な環境を提供し、レトロウイルスファミリーの分類及び特性決定を絶え間なく向上させることを可能にする。HERVdデータベースは、現在、ヒトゲノムの90%を越えるヒトゲノム由来のレトロウイルスを含有する。また、ERV配列は、国立衛生研究所のオンライン「Entrez Gene」サイトによって容易に得ることができる。
さらにERVに関して、本発明の実施形態は、霊長類/ヒトクラスIガンマERV類、pt01−Chr10r−17119458、pt01−Chr5−53871501、BaEV、GaLV、HERV−T、HERV−R(HERV−3、ERV3 env遺伝子、遺伝子ID:2086)、HERV−E(ERVE1、遺伝子ID:85314)、HERV−ADP、HERV−1、MER4様、HERV−FRD〔ERVFRD1、Envタンパク質、遺伝子ID:405754;チンパンジーEnvタンパク質、遺伝子ID:471856;ドブネズミHerv−frd Envポリタンパク質、遺伝子ID:290348〕、HERV−W〔ERVWE2、ERV−W、env(C7)、メンバー2、チンパンジー、遺伝子ID:100190905;HERVWE1、ERV−W、env(C7)、メンバー1、遺伝子ID:30816〕、HERV−H(HHLA1、HERV−H LTR結合タンパク質1、遺伝子ID:10086、チンパンジー、遺伝子ID:736282;Hhla1、マウス遺伝子ID:654498;HHLA2、HERV−H LTR結合タンパク質2、遺伝子ID:11148;HHLA3、HERV−H LTR結合タンパク質3、遺伝子ID:11147;クセノプス属 hhla2、遺伝子ID:734131)、HERVH−RTVLH2、HERVH−RGH2、HERV−Hコンセンサス、HERV−Fc1;霊長類/ヒトイプシロン内在性レトロウイルスhg15−chr3−152465283;霊長類/ヒト Intermediate(イプシロン様)HERVL66;霊長類/ヒトクラスIIISpuma様ERV類 HSRV、HFV、HERV−S、HERV−L、HERVL40、HERVL74;霊長類/ヒトデルタERV HTLV−1、HTLV−2;霊長類/ヒトレンチERV(レンチウイルス)HIV−1、HIV−2;霊長類/ヒトクラスII、ベータERV類 MPMV、MMTV、HML1、HML2、HML3、HML4、HML7、HML8、HML5、HML10、HML6、HML9、ヒトテラトカルシノーマ由来レトロウイルス(HTDV/HERV−K)、又はHERV−V(HERV−V1 Env1、遺伝子ID:147664;HERV−V2、HSV2、遺伝子ID:100271846)の少なくとも一つの遺伝子又はLTRを標的とする。
本発明の方法で標的とすることができるさらなる霊長類ERV遺伝子としては、LOC471586(以下に類する:ERV−BabFcenvプロウイルス祖先Envポリプロテイン、チンパンジー遺伝子ID:471586)、LOC470639(以下に類する:ERV−BabFcenvプロウイルス祖先ポリプロテイン、チンパンジー遺伝子ID:470639)、LOC100138322〔以下に類する:HERV−K_7p22.1プロウイルス祖先Polタンパク質、ウシ(Bos taurus)遺伝子ID:10013822〕;LOC110138431(以下に類する:HERV−K_1q22プロウイルス祖先 Polタンパク質、ウシ遺伝子ID:100138431);LOC100137757(以下に類する:HERV−K_6q14.1プロウイルス祖先 Gag−Polポリプロテイン、ウシ遺伝子ID:100137757);LOC100141085(以下に類する:HERV−K_8p23.1プロウイルス祖先 Polタンパク質、ウシ遺伝子ID:100141085);LOC100138106〔以下に類する:HERV−F(c)1_Xq21.33プロウイルス祖先 Gagポリプロテイン、ウシ遺伝子ID:LOC100138106〕;LOC100140731(以下に類する:HERV−W_3q26.32プロウイルス祖先 Gagポリプロテイン、ウシ、遺伝子ID:100140731);LOC100139657(以下に類する:HERV−W_3q26.32プロウイルス祖先 Gagポリプロテイン、ウシ、遺伝子ID:100139657)が挙げられる。
本発明の別の実施形態において、ERVは、齧歯類動物クラスII、ベータERVマウス乳腺腫瘍(MMTV、遺伝子ID:2828729;MMTVgp7、遺伝子ID:1491863;MMTV env遺伝子ID:1491862;MMTVgp1、遺伝子ID:1724724;MMTVgp2、遺伝子ID:1724723;MMTV pol遺伝子ID:1491865;MMTV pro、遺伝子ID:1491865;MMTV gag、遺伝子ID:1491864);齧歯類動物クラスIガンマERV MLV(Mlv1、マウス遺伝子ID:108317);ネコクラスIガンマERV FLV;有蹄動物クラスIガンマERV PERV;有蹄動物デルタERV BLV;有蹄動物レンチウイルスビスナ、EIAV;有蹄動物クラスII、ベータERV JSRV;トリクラスIII、Spuma様ERV類 gg01−chr7−7163462;gg01−chrU−52190725、gg01−Chr4−48130894;トリアルファERV類 ALV(ALV pol遺伝子ID:1491910;ALV p2、遺伝子ID:1491909;ALY p10、遺伝子ID:1491908;ALV env、遺伝子ID:1491907;ALV貫膜タンパク質、tm、遺伝子ID:1491906;ALVトランス作用因子、遺伝子ID:1491911)、gg01−chr1−15168845;トリ Intermediate ベータ様ERV類 gg01−chr4−77338201;gg01−ChrU−163504869、gg01−chr7−5733782;爬虫類Intermediate ベータ様ERV インドニシキヒビ;魚類イプシロンERV WDSV;魚類Intermediate(イプシロン様)ERV SnRV;両生類イプシロンERV Xen1;昆虫エランティウイルスERV Gypsy;又はサッカロミセス・セレヴィシエ、酵母ORF161のTy1〔ERV−1様タンパク質、シオミドロウイルス1、遺伝子ID:920716〕である。
また、本明細書に述べるERVに関して、HERV−K ERV類が、種々の刺激によって活性化することができることから、特に関連性がある。従って、本発明の態様は、HERV−Kファミリー、例えばHERV−K3、遺伝子ID:2088;HERV−K2、遺伝子ID:2087;HERV−K_11q22.1プロウイルス祖先Polタンパク質、遺伝子ID:100133495;HERV−K7、遺伝子ID:449619;HERV−K6、遺伝子ID:64006;HERV−K(1)、ERVK4、遺伝子ID:60359;及びHERV−K(II)、ERVK5、遺伝子ID:60358;LOC100133495(HERV−K_11q22.1プロウイルス祖先Polタンパク質、遺伝子ID:100133495)の遺伝子を標的とする。
本明細書に記載のように、本発明の特定の態様において、標的遺伝子は、ERV env遺伝子、例えばeERVファミリーW、env(C7)、メンバー1(ERVWE1)、遺伝子ID:30816;LOC147664(HERV−V1又はEnvV1)、遺伝子ID:147664;HERV−FRDプロウイルスEnvポリタンパク質(ERVFRDE1)、遺伝子ID:405754及び遺伝子ID:471856;ERV配列K、6(ERVK6又はHERV−K108)、遺伝子ID:64006;ERV配列3エンベロープタンパク質(ERV3)、遺伝子ID:2086及び遺伝子ID:100190893;ALVEnvタンパク質、遺伝子ID:1491907、又はHERV−K18のEnvタンパク質である。
一つの実施形態において、HERV−K Env1の発現は、配列番号:3287270−3287569(センス)及び配列番号:3287570−3287869(アンチセンス)からなる群から選択される配列を有するオリゴヌクレオチドの少なくとも16個の連続したヌクレオチド(例えば、少なくとも17個のヌクレオチド、少なくとも18個のヌクレオチド、少なくとも19個のヌクレオチド)を含むセンス鎖及びアンチセンス鎖を有する対応RNAエフェクター分子を使用することによって調節できる。
ERV遺伝子及び調節配列を標的とする他に、本発明のいくつかの実施形態は、ERV受容体を標的とする。例えば、ヒト溶質担体ファミリー1(中性アミノ酸輸送体)、メンバー5(SLC1A5、遺伝子ID:6510)は、サルD型レトロウイルス及びネコ内在性RD−114ウイルスの受容体である。溶質担体ファミリー1(グルタミン酸/中性アミノ酸輸送体)、メンバー4(Slc1a4、遺伝子ID:55963)及びメンバー5(Slc1a5、遺伝子ID:20514)は、関連タンパク質のマウスバージョンである。ヒト溶質担体ファミリー1(グルタミン酸/中性アミノ酸輸送体)、メンバー4(SLC1A4、遺伝子ID:6509)は、HERV−W Env糖タンパク質によって受容体として使用される。従って、細胞ウイルス受容体の抑制は、受容体干渉、潜在ウイルス、内在性ウイルス又は外来ウイルスの感染を減少させることができ、従って細胞において生物由来物質の産生を増大させることができる。
潜在ウイルス
ボルナウイルスは、細胞核において持続感染を確立する非分節マイナス一本鎖非レトロウイルスRNAウイルスの属である。ボルナウイルス核タンパク質(N)遺伝子と相同性の要素が、いくつかの哺乳動物種のゲノムに存在し、内在性Borna様N(EBLN)要素をコードするmRNAを産生する。Horieら、463 Nature,84−87(2010)。従って、本発明のいくつかの実施形態において、標的遺伝子は、ボルナウイルス遺伝子である。
本発明の方法で標的とすることができる潜在DNAウイルスとしては、アデノウイルスが挙げられる。例えば、血清型Cアデノウイルスの種は、ヒト組織において潜伏感染を確立することができる。Garnettら、83 J.Virol.,2417−28(2000)参照。トリアデノウイルス及びアデノウイルス随伴ウイルス(AAV)タンパク質は、特異的病原体を含まないニワトリによって産生されており、トリAAVがニワトリの生殖細胞系において潜伏感染として存在し得ることを示す。Sadasivら、33 Avian Dis.,125−33(1989);またKatanoら、36 Biotechniq.,676−80(2004)も参照。本発明のいくつかの実施形態において、標的遺伝子は、潜在DNAウイルスである。例えば、標的遺伝子は、HHV−4(EBV)、遺伝子ID:3783751由来の潜在性膜タンパク質(LMP)−2Aであることができ、そのタンパク質もHERV−K18のEnvタンパク質を転写活性化する。
サーコウイルス科は、潜在期を示すDNAウイルスである。ブタサーコウイルス1型(PCV1)は、ロタウイルスワクチンが調製されるVero細胞バンクに混入することが見出され、ワクチンの投与に関して一時的なFDA停止命令を生じる。Assoc.Press.,March 23(2010)。PCV1のrep遺伝子は、ウイルスDNAの複製に不可欠である。Mankertz&Hillenbrand,279 Virol.,429−38(2001)。従って、本発明の特定の実施形態は、PCV1 rep遺伝子を抑制するRNAエフェクター分子を提供する。例示的dsRNA分子が、本明細書において提供される。
本発明の実施形態は、PCV1 rep又はcap遺伝子を抑制するRNAエフェクター分子を提供する。PCV1のrep遺伝子は、ウイルスDNAの複製に不可欠である。Mankertz&Hillenbrand,279 Virol.,429−38(2001)。特定の実施形態において、PCV1 Repタンパク質の発現は、配列番号:3152824−3153485(センス)、配列番号:3153486−3154147(アンチセンス)、及び本明細書に提供される表からなる群から選択される配列を有するオリゴヌクレオチドの少なくとも16個の連続したヌクレオチド(例えば、少なくとも17個のヌクレオチド、少なくとも18個のヌクレオチド、少なくとも19個のヌクレオチド)を含むセンス鎖及びアンチセンス鎖を有する対応RNAエフェクター分子を使用することによって調節できる。
別の特定の実施形態において、PCV1 Capタンパク質の発現は、配列番号:3154731−3154778(センス)、配列番号:3154778−3154826(アンチセンス)、及び本明細書において提供される表からなる群から選択される配列を有するオリゴヌクレオチドヌクレオチドの少なくとも16個の連続したヌクレオチド(例えば、少なくとも17個のヌクレオチド、少なくとも18個のヌクレオチド、少なくとも19個のヌクレオチド)を含むアンチセンス鎖を有する対応RNAエフェクター分子を使用することによって調節できる。
外来ウイルス
本明細書で使用する「外来ウイルス」又は「外来ウイルス作用物質」とは、生物由来物質内に存在するウイルス混入物、例えばワクチン、細胞株及びその他の細胞由来物質を指す。ワクチン製品に関して、例えば、外来性の外来ALVは、種々の製造業者によってCEF又はDEF細胞培養において増殖された市販のマレック病ワクチンにおいて認められた。また、これらのワクチンのいくつかも、内在性ALVを混入している。Fadlyら、50 Avian Diseases,380−85(2006);Zavala&Cheng,50 Avian Diseases,209−15(2006)。
本発明の他の実施形態は、外来動物ウイルス、例えばベシウイルス、ブタサーコウイルス、リンパ球性脈絡髄膜炎ウイルス、ブタパルボウイルス、アデノ随伴ウイルス、レオウイルス、狂犬病ウイルス、パピローマウイルス、ヘルペスウイルス、レポリポックスウイルス、及び白血病ウイルス(ALV)、ハンターンウイルス、マルブルグウイルス、SV40、SV20、セムリキ森林ウイルス(SFV)、サルウイルス5(sv5)、ネコ肉腫ウイルス、ブタパルボウイルス、アデノ随伴ウイルス(AAV)、マウス肝炎ウイルス(MHV)、モロニーネズミ白血病ウイルス(MoMLV又はMMLV、gagタンパク質遺伝子ID:1491870)、ネズミ白血病ウイルス(MuLV)、マウスの肺炎ウイルス(PVM)、タイラー脳脊髄炎ウイルス(THEMV)、ネズミ微小ウイルス(MMV又はMVM、遺伝子ID:2828495、vp1、遺伝子ID:148592;vp、遺伝子ID:1489591;ns1、遺伝子ID:1489590)、マウスアデノウイルス(MAV)、マウスサイトメガロウイルス(MCMV)、マウスロタウイルス(EDIM)、キルハムラットウイルス(KRV)、トゥーランH−1ウイルス、センダイウイルス〔SeV、ネズミパラインフルエンザ1型ウイルス又は日本のヘマグルチン化ウイルス(HVJ)としても知られている〕、ラットコロナウイルス〔RCV又は唾液腺涙腺炎ウイルス(SDA)〕、偽性狂犬病ウイルス(PRV)、カシェ渓谷ウイルス、ウシ下痢症ウイルス、ウシパラインフルエンザウイルス3型、ウシ呼吸器合胞体ウイルス、ウシアデノウイルス、ウシパルボウイルス、ウシヘルペスウイルス1(ウシ伝染性鼻気管炎ウイルス)、その他のウシヘルペスウイルス、ウシレオウイルス、その他のウシヘルペスウイルス、ウシレオウイルス、ブルータングウイルス、ウシポリオーマウイルス、ウシサーコウイルス、及び牛痘以外のオルトポックスウイルス、偽牛痘ウシ(ヒトに感染し得る広範囲にわたるパラポックスウイルス)、パピローマウイルス、ヘルペスウイルス、レポリポックスウイルス、又は外来性レトロウイルスの遺伝子を標的とする。
特定の実施形態において、MMLV Gagタンパク質の発現は、配列番号:3287870−3288118:(センス)及び配列番号:3288119−3288367(アンチセンス)からなる群から選択される配列を有するオリゴヌクレオチドヌクレオチドの少なくとも16個の連続したヌクレオチド(例えば、少なくとも17個のヌクレオチド、少なくとも18個のヌクレオチド、少なくとも19個のヌクレオチド)を含むセンス鎖及びアンチセンス鎖を有する対応RNAエフェクター分子を使用することによって調節できる。
特定の実施形態において、ベシウイルスの発現は、配列番号:3152604−3152713及び本明細書に提供される表からなる群から選択される配列を有するオリゴヌクレオチドヌクレオチドの少なくとも16個の連続したヌクレオチド(例えば、少なくとも17個のヌクレオチド、少なくとも18個のヌクレオチド、少なくとも19個のヌクレオチド)を含むアンチセンス鎖を有する対応RNAエフェクター分子を使用することによって調節できる。
他の実施形態は、ヒト起源の外来作用物質、例えばHIV−1及びHIV−2;ヒトT細胞リンパ指向性ウイルスI型(HTLV−I)及びHTLV−II;ヒト肝炎A型、B型及びC型ウイルス;ヒトサイトメガロウイルス(CMV);EBV;HHV6、7及び8;ヒトパルボウイルスB19;レオウイルス;ポリオーマ(JC/BK)ウイルス;SV40ウイルス;ヒトコロナウイルス;ヒトパピローマウイルス;インフルエンザA型、B型及びC型ウイルス;種々のヒトエンテロウイルス;ヒトパラインフルエンザウイルス;及びヒト呼吸器合胞体ウイルスを標的とする。
パルボウイルス科は、約4〜5kbのゲノムを有する一本鎖DNAウイルスである。このファミリーとしては、ディペンドウイルス、例えばヒトヘルパー依存性アデノ随伴ウイルス(AAV)血清型1−8、自律性トリパルボウイルス及びアデノ随伴ウイルス(AAV1−8);エリスロウイルス、例えばウシ、シマリス及び自律性霊長類パルボウイルス、例えばヒトパルボウイルスB19(第五病の原因)及びV9;並びにその他の動物及び齧歯類動物、肉食性動物及びブタのパルボウイルスを含むパルボウイルス、例えばMVMが挙げられる。これらのパルボウイルスは、いくつかの細胞型に感染することができ、臨床試料に記載されている。AAVは、特に、その他のウイルスの複製、増殖及び成長の低下に関与している。
MVMは、ビリオンタンパク質1(VPl、MMVgp3とも呼ばれる)、すなわちMVMマイナーコートタンパク質、遺伝子ID:1489592のN末端で発現される脂肪分解酵素、ホスホリパーゼA2(PLA2)を配置することによって細胞に侵入する。Farrら、102 PNAS,17148−53(2005)。他のMVMの標的はMVM VP(MMVgp2とも呼ばれる)、遺伝子ID:1489591;及びMVM非構造、開始タンパク質(NS1、MMVgp1とも呼ばれる)、遺伝子ID:1489590から選択することができる。特定の実施形態において、MVM NS2タンパク質の発現は、配列番号:3285524−3285827(センス)及び配列番号:3285828−3286131(アンチセンス)からなる群から選択される配列を有するオリゴヌクレオチドヌクレオチドの少なくとも16個の連続したヌクレオチド(例えば、少なくとも17個のヌクレオチド、少なくとも18個のヌクレオチド、少なくとも19個のヌクレオチド)を含むセンス鎖及びアンチセンス鎖を有する対応RNAエフェクター分子を使用することによって調節できる。
ポリオーマウイルスは、例えば、ヒト、霊長類、齧歯類動物、ウサギ及び鳥類に感染することができる二本鎖DNAウイルスである。ポリオーマウイルス(PyV)としては、SV40、JC及びBKウイルス、ネズミ肺向性ウイルス、ハムスターPyV、ネズミPyVウイルス及びリンパ指向性パポーバウイルス(LPV、アフリカミドリザルパポーバウイルス)が挙げられる。これらのウイルスの配列は、GenBank経由で入手できる。また、米国特許出願公開第2009/0220937号明細書も参照。これらの腫瘍形成能及び発癌能のために、ワクチン生産に使用される細胞基質においてこれらのウイルスを排除することが重要である。
パピローマウイルス科は、種々様々な宿主特異性及び配列相同性を示す150を越える公知の種を含む。これらは、哺乳動物(ヒト、サル、ウシ、イヌ、ヒツジ)及び鳥類において特定されている。ヒトパピローマウイルス(HPV)の大部分、例えば生殖器及び粘膜HPVと伝統的に呼ばれる全てのHPV種は、スーパーグループ(supergroup)Aに属する。スーパーグループAの中には、11の群がある;これらの群の最も医学的に重要なものは、ヒトパピローマウイルスHPV16、HPV18、HPV31、HPV45、HPV11、HPV6及びHPV2である。これらのヒトパピローマウイルスのそれぞれは、医学文献において「危険度の高いウイルス」として報告されている。
外来性レトロウイルスは、種々様々な種にわたる動物において種々の悪性及び非悪性疾患を引き起こすことが知られている。これらのウイルスは、ほとんどの公知の動物及び齧歯類動物に感染する。例として、デルタレトロウイルス(HTLV−1、−2、−3、及び−4、STLV−1、−2及び−3)、ガンマレトロウイルス(MLV、PERV)、アルファレトロウイルス(トリ白血病ウイルス及びトリ内在性ウイルス)、並びにHIV1及び2が挙げられる。
本発明の実施形態が関連する可能性のある外来混入物であるその他のウイルスファミリーとしては、ブニヤウイルス科(LCMV、ハンタウイルス)、ヘルペスウイルス科(ヒトヘルペスウイルス1−8型、ウシヘルペスウイルス、イヌヘルペスウイルス及びサルサイトメガロウイルス)、肝炎ウイルス科(B型肝炎ウイルス)、ヘペウイルス科(E型肝炎ウイルス)、デルタウイルス(肝炎デルタウイルス)、アデノウイルス科(ヒトアデノウイルスA−F型及びネズミアデノウイルス)、コロナウイルス科、フラビウイルス科(ウシウイルス性下痢症ウイルス、TBE、黄熱ウイルス、デング熱ウイルス1−4型、WNV及びC型肝炎ウイルス)、オルトミクソウイルス科(インフルエンザ)、パラミクソウイルス科(パラインフルエンザ、おたふく風邪、はしか、RSV、マウスの肺炎ウイルス、センダイウイルス及びサルパラインフルエンザウイルス5型)、トガウイルス科(西部ウマ脳脊髄炎ウイルス、風疹ウイルス)、ピコルナウイルス科(ポリオウイルス1−13型、コクサッキーB型、エコーウイルス、ライノウイルス、ヒト肝炎A、ヒトコクサッキーウイルス、ヒトカルジオウイルス、ヒトライノウイルス及びウシライノウイルス)、レオウイルス科(マウスロタウイルス、レオウイルス3型及びコロラドダニコレラウイルス)及びラブドウイルス科(水疱性口内炎ウイルス)が挙げられる。
例えば、生物由来物質を調製するのに使用されるマウス及びハムスター細胞バンクは、ヒトに対して病原性であることが知られているウイルスに感染させることができる。マウス細胞バンクは、リンパ球性脈絡髄膜炎ウイルス(LCM)、センダイウイルス、ハンターンウイルス及び/又は乳酸デヒドロゲナーゼウイルスを保有することができる;ハムスター細胞バンクは、LCM、センダイウイルス及び/又はレオウイルス3型を保有することができる。実際に、遺伝子導入マウス由来の細胞から産生される商業的に入手できるモノクロナール抗体は、ウイルス、例えばLCM、エクトロメリアウイルス(MEV)、マウス脳脊髄炎ウイルス(GDVII)、ハンターンウイルス、MVM、マウスアデノウイルス(MAV)、マウス肝炎イルス(MHV)、マウスの肺炎ウイルス(PVM)、ポリオーマウイルス、レオウイルス3型(REO−3;ウイルス標的)、センダイウイルス(SeV)、未成熟マウス伝染性下痢症ウイルス(EDIM)、マウスサイトメガロウイルス(MCMV)、パポーバウイルスK及びLDVHウイルス;Thymic Agentウイルス;ウシウイルス性下痢症ウイルス(BVD)、感染性ウシ鼻気管炎(IBR)ウイルス、呼吸器感染パラインフルエンザ−3(PI−3)ウイルス、パピローマウイルス(BPV)及びアデノウイルス−3(BAV−3)ウイルス;及びヤギ(goat)アデノウイルス(CAV)、ヘルペスウイルス(CHV)及び関節炎脳炎ウイルス(CAEV)ウイルスについて検査される。Geigert,CHALLENGE OF CMC REGULATORY COMPLIANCE FOR BIOPHARMACEUTICALS、109−11(Springer,New York,NY,2004);BLA reference No.98−9912,Centocor,Infliximab Detailed Product Review(1997);BioProcessing J.(Fall,2009)参照。
いくつかの実施形態において、宿主細胞における生物由来物質の産生は、細胞に、細胞増殖、細胞分裂、細胞生存性、アポトーシス、細胞の免疫反応、養分取り込み及び/又は細胞内の細胞増殖及び/又は分裂に関連するその他の特性に影響を及ぼすさらなるRNAエフェクター分子を導入することによって高められる。別の実施形態において、産生は、細胞に、増殖期の間に生物由来物質の発現を一時的に抑制する細胞RNAエフェクター分子を導入することによって高められる。
IV.トランスクリプトーム
また、本発明の実施形態は、「CHO細胞トランスクリプトーム」とも呼ばれるCHO細胞において発現される一組の転写産物を提供し、またCHO細胞トランスクリプトームの転写産物のいずれか一つを標的とするために設計されたsiRNA分子を提供する。エフェクターRNAを調節するCHO細胞を選択し、設計するための系統的CHO細胞転写産物配列データベースの形でのトランスクリプトームの使用が、方法及びシステムの形で提供される。別の実施形態は、さらに、CHOトランスクリプトームにおける転写産物のそれぞれを標的とするsiRNAの選択、及び例えば、生体分子の産生を向上させるためのCHO細胞を操作又は修飾するためのその使用を提供する。従って、特定の実施形態は、修飾CHO細胞を提供する。
種々の条件下でプールされたCHO細胞、例えば早期、中期及び後期対数期細胞において発見された一組の転写産物を、合成培地の下での標準的な条件で37℃及び28℃で増殖させた。転写産物を、例えば、表1〜16に、並びに配列番号:1−9771(37℃)及び配列番号:3157149−3158420(28℃)に示す。
CHOトランスクリプトームの発見は、CHO細胞において一つ又はそれ以上の細胞プロセスを特異的に部分変更するのに有用であり、例えばこのような細胞における生体分子の産生に有用である。例えば、公知の発現された転写産物に基づいて、アポトーシス調節遺伝子、細胞周期遺伝子、DNA増幅(DHFR)調節遺伝子、ウイルス遺伝子産生調節遺伝子、例えば、細胞において生体分子の産生を駆動するのに使用されるウイルスプロモーターの場合には、グリコシル化関連遺伝子、炭素代謝調節遺伝子、酸化促進酵素コード遺伝子を調節できる。公知の発現された遺伝子又は転写産物を調節することによって、タンパク質折りたたみ、メチオニン酸化、タンパク質ピログルタミン酸化、ジスルフィド結合形成、タンパク質分泌、細胞生存性、細胞の特異的生産性、栄養必要量、細胞内pHを調節できる。
宿主細胞、特にCHO細胞において生物由来物質の産生を調節する方法であって、宿主細胞を、RNAエフェクター分子(その一部分は、少なくとも標的遺伝子の一部分と相補的である)と接触させ、宿主細胞を、バイオリアクター中で前記標的遺伝子の発現を調節するのに十分な時間保持し(この場合、前記調節は、生物由来物質の産生を高める)及び生物由来物質を宿主細胞から単離する工程を含む方法が、提供される。
この開示は、CHOトランスクリプトームの転写産物の核酸配列、前記転写産物が翻訳されるタンパク質、及び転写されたタンパク質が役割を果たすいくつかの経路を含む。また、この記載は、トランスクリプトームの配列を標的とするために設計されるRNAエフェクター分子としてのsiRNA分子の編集も記載する。また、公知のトランスクリプトーム転写産物配列に基づいて、細胞、特にCHO細胞において遺伝子の発現を調節するのに適切なRNAエフェクター分子を選択するためのシステム、例えばコンピュータ支援システム、及び方法、例えばコンピュータ支援方法も記載される。
CHO細胞トランスクリプトーム:本発明者らは、CHO細胞において発現された定義された一組の転写産物を発見した。定義された一組の転写産物は、本明細書において「トランスクリプトーム」と呼ぶ。転写産物名、転写産物が役割を果たす少なくとも一つの経路、関連する配列番号(一つ又は複数)及び対応する典型的なsiRNA分子配列番号を、本明細書に示す表(例えば、表1〜16、21〜25、27〜30、31、33、35、37、39、41、43、45、47、51〜61、65及び66参照)のいずれかにリストとして示す。
CHO細胞トランスクリプトームにおける転写産物の配列は、関連する配列番号:1−9771及び配列番号:3157149−3158420に示す。
従って、一つの実施形態において、本発明は、配列番号:1−9771(37℃)及び/又は配列番号:3157149−3158420(28℃)を有する転写産物の選択又は編集を含むチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞トランスクリプトームを提供する。いくつかの実施形態において、前記CHOトランスクリプトームは、本質的に配列番号:1−9771及び/又は配列番号:3157149−3158420を有する転写産物の選択又は編集からなる。いくつかの実施形態において、前記CHO細胞トランスクリプトームは、配列番号:1−9771を有する転写産物の選択又は編集からなる。いくつかの実施形態において、前記CHOトランスクリプトームは、配列番号:1−9771及び/又は配列番号:3157149−3158420を有する転写産物の選択又は編集からなる。いくつかの実施形態において、前記CHO細胞トランスクリプトームは、配列番号:3157149−315842を有する転写産物の選択又は編集からなる。
いくつかの実施形態において、本発明は、本明細書に示す表(例えば、表1〜16、21〜25、27〜30、52〜61、65及び66参照)のいずれかに示すCHO細胞トランスクリプトーム転写産物のいずれか一つに向けられる少なくとも一つのsiRNAを提供する。いくつかの実施形態において、前記siRNAは、表1〜16、21〜31、33、35、37、39、41、43、45、47、52〜61及び63に示すsiRNAの群から選択される。いくつかの実施形態において、全ての転写産物配列番号が本明細書に記載の表に示されているとは限らない。いくつかの実施形態において、RNAエフェクター分子は、配列番号:9772−3152399及び配列番号:3161121−3176783からなる群から選択されるヌクレオチド配列の少なくとも16個の連続したヌクレオチド(例えば、少なくとも17個のヌクレオチド、少なくとも18個のヌクレオチド、少なくとも19個のヌクレオチド)を含むアンチセンス鎖を含む。発現の改良された品質/量のために調節できるさらなる標的が、本明細書に示される。
CHO転写産物、すなわち配列番号:1−9771及び配列番号:3157149−3158420が、本明細書において提供される。これらの転写産物は、コードされるタンパク質名に割り当てることができ、機能群に分類することができる。特定の機能を有することが知られている配列に対する相同性によって転写産物を分類するために機能群を容易に調べることができる。一つの実施形態において、公知の機能的ドメインを使用し、少なくとも40%、50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%の相同性を探す。例えば、配列番号転写産物を、コードされるタンパク質及び機能の説明、例えば、表13の細胞周期/細胞分裂転写産物と相互に関連付ける表10〜16を参照。転写産物を分類できる典型的なカテゴリーは、本出願明細書全体を通じて記載され、例えばアポトーシス、細胞周期遺伝子、DNA増幅(DHFR)、グリコシル化、炭素代謝、酸化促進酵素、タンパク質折りたたみ、メチオニン酸化、タンパク質ピログルタミン酸化、ジスルフィド結合形成、タンパク質分泌、免疫反応、細胞栄養必要量、及びRNA干渉シャットダウンに関与するタンパク質をコードする転写産物(すなわち、標的遺伝子)を含む。機能が本明細書に具体的に挙げられていない本明細書に開示される転写産物について、当業者は、容易に、配列番号:1−9771及び配列番号:3157149−3158420の転写産物配列を、種々の生物のいずれかに見出される転写産物の配列情報と比較し(公知のアルゴリズム及びプログラムを使用して)、前記の機能及び/又はタンパク質コード名に割り当てることができる。例えば、当業者は、Freitasら、7 IEEE/ACM Transactions on Computational Biology and Bioinformatics(TCBB)172−82(2010);Rentzscha&Orengoa,27 Trends in Biotech.,210−19(2009);Lowensteinら、10 Genome Biol.,207(2009)又はFriedberg,7 Briefings in Bioinformatics,225−42(2006)のいずれかに概説されているように、ワールドワイドウェブに見出される任意の予測方法、アルゴリズム及び/又は供給源及び用途を使用してタンパク質機能を予測するために、本明細書に記載の配列情報を使用できる。あるいは、転写産物配列は、生物の部分又は完全ゲノム(ゲノム情報)、例えばタンパク質コード又は非コード領域と比較することができる。
例えば配列番号:9772−3152399及び配列番号:3161121−3176783に記載されるようなsiRNAを使用して標的転写産物を抑止することができる。特定のsiRNAは、90%相補的である相補的配列を含有する転写産物を探索することによって、その対応する標的と容易にマッチさせることができる。周知のアルゴリズムを使用して、本明細書において特定される転写産物を標的とするのに適切なRNAエフェクター分子を決定することができる。例えば、当業者は、Pappasら、12 Exp.Op.Therapeutic Targets,115−27(2008);Kurreckら、2009,48 Angewandte Chemie,1378−98(2009);Gredellら、16 Engin.Cell Funct.by RNA Interference in Cell Engin.,175−94(2009);国際出願第PCT/US2005/044662号(2006年6月15日);同PCT/US2009/039937号(2009年10月15日);又は同PCT/US2009/051648号(2010年1月28日)の各明細書に概説されているか又は記載されているように、ワールドワイドウェブに見出される任意の予測方法、アルゴリズム及び/又は供給源及び用途を使用して、本明細書に記載の転写産物を標的とするのに適切なRNA配列を決定するために、及びこれらのRNA配列に対する免疫反応を防止/促進するために、本明細書に記載の配列情報を使用できる。
従って、本明細書に記載のシステム(すなわち、細胞においてタンパク質の発現を調節するのに適した少なくとも一つのRNAエフェクター分子の配列を選択するために)は、宿主細胞における任意の特定の機能を調節するのに使用できるCHO転写産物配列及びRNAエフェクター分子(例えば、siRNA)の両方を同定するのに使用できる。CHO転写産物は、転写産物配列が、機能及びタンパク質名が知られている生物の転写産物に対して少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、又は少なくとも90%配列同一性を有する場合には、割り当てられた機能及び/又はコードされたタンパク質名である。
RNAエフェクター分子を選択するためのシステム及び方法:
既知のCHOトランスクリプトームに基づき、本発明者らは、例えば、細胞における生体分子の産生を改善する細胞プロセスを操ることを通じて細胞に影響を与えるRNAエフェクター分子を選択するための方法及びシステムを開発した。
したがって、本実施態様は、CHOトランスクリプトーム配列、及び、場合により、各転写産物の少なくとも一つの機能的態様(例えば、特定の細胞プロセスまたは経路における転写産物の役割、ならびに対応するsiRNA)を概説して、特にCHO細胞における生物学的プロセスの最適化に関して標的及びエフェクターRNA分子の設計及び選択を可能にするCHOトランスクリプトームの体系的編集物も含む及び使用するデータベースならびにシステムを提供する。
転写産物の機能的態様は、例えば、アポトーシス、細胞周期、DNA増幅(DHFR)、ウイルス遺伝子産生(例えば、細胞における生体分子の産生を推進するのに使用されるウイルスプロモーターの場合)、グリコシル化、炭素代謝、酸化促進酵素、タンパク質折り畳み、メチオニン酸化、タンパク質ピログルタミン酸化、ジスルフィド結合形成、タンパク質分泌、細胞生存性、細胞の特異的生産性、栄養要求、細胞内pHにおけるそれらの役割に関する。他の細胞プロセスは、当業者に知られており、例えば、ワールドワイドウェブを通じて利用可能な遺伝子オントロジーデータベースで見ることができる。
したがって、図16に示されるように、本発明は、細胞におけるタンパク質発現を調節するのに好適な少なくとも一つのRNAエフェクター分子の配列を選択するためのシステム100であって、処理装置112及び関連記憶装置114を有する計算装置110、ならびに、トランスクリプトームの各転写産物に関する配列、及び場合により転写産物の名称、及び転写産物が役割を果たす経路を含む少なくとも一つの細胞トランスクリプトーム情報;及び、RNAエフェクター分子の少なくとも一つの配列、及び場合によりRNAエフェクター分子の標的特異性を含む少なくとも一つのRNAエフェクター分子情報を含むデータベース120、ここで、各RNAエフェクター分子は、少なくとも一つの細胞トランスクリプトームにおける少なくとも一つ以上の配列に適合するように設計される;計算装置110によって実行され、ユーザ入力装置118を介してユーザから受け取るように設定される、記憶装置114に保存されるコンピュータプログラム、細胞型選択、標的生物選択、細胞経路選択、交差反応性選択、標的遺伝子名称及び/または配列選択を含むパラメータ、ならびに、場合によりインビボまたはインビトロ送達オプションのいずれかを含む送達選択の方法;ならびに、さらに場合によりユーザアドレス情報;適合する組み合わせのパラメータ及びトランスクリプトーム転写産物配列に関して、パラメータをデータベース中の配列と照合するように設定された第一のモジュール;ならびに、細胞におけるタンパク質発現を調節するのに好適な少なくとも一つのRNAエフェクター分子の選択された配列を表示する第二のモジュール、を含むシステムを提供する。
計算装置110、及び記憶装置114に保存される関連プログラムは、例えば、一つ以上のドロップダウン手段または構造化テキスト入力もしくは自由形式テキスト入力を使用して検索ターゲットパラメータをユーザが入力することを可能にし、所望の細胞における適切な標的を見つけるのに適切なパラメータを選択するグラフィカルユーザインターフェースなどのユーザインターフェースを提供するように改造ならびに設定され得る。例えば、ユーザが、CHO細胞における炭素代謝を調節するための標的を見つけたい場合、ユーザが、標的細胞を「CHO」として、そして経路を「炭素代謝」として特定すると、サーバーは、例えば、Gluts、PTEN及びLDH遺伝子に関する転写産物を同定するであろうデータベースを通じて検索を実行し、それらをsiRNAデータベース部分の適切なsiRNA分子と照合する。この出力情報は、コンピュータディスプレー116または他の出力装置(例えば、印刷装置)でユーザに提示され得る。
システムは、独立型システムまたはインターネットを利用したシステムであり得、ここで、エフェクターRNA分子の計算及び選択は、同じまたは別の場所で実行される。図16に示されるように、トランスクリプトーム情報は、データベース120に保存され、計算装置110によってアクセスされ得る。本明細書において使用される場合、データベースという用語は、それが、要求された情報の検索を可能にする構造化または非構造化されたものであるかどうかにかかわらず、任意のデータ編成を含む。データベースは、記憶装置に保存されるフラットファイルまたはフラットファイルのセット、記憶装置に保存される一つ以上のテーブル、記憶装置に保存される不連続データ要素のセットであり得る。データベースはまた、ユーザがデータに直接的または間接的に(別のプログラムを通じて)アクセスすることを可能にする任意の周知データベースプログラムを含み得る。これらの例としては、MICROSOFT(登録商標)ACCESS(登録商標)及びORACLE(登録商標)データベースならびにMYSQL(登録商標)オープンソースデータベースが挙げられる。
図17に示される本発明の代替的な実施態様では、システム200は、ネットワークを基盤にしたシステムであり得る。システム200は、サーバーシステム210、ならびに、ネットワーク230(例えば、プライベートユーザネットワーク、またはイーサネット(登録商標)、またはインターネット)に接続された一つ以上のクライアントシステム240及び250、を含み得る。サーバーシステム210ならびにクライアントシステム240及び250は、本明細書において記載されるように、計算装置であり得る。サーバーシステム210は、一つ以上の処理装置212、ならびに、関連記憶装置214、ならびに、サーバーシステム210の動作及び機能を管理するように改造及び設定された一つ以上のコンピュータプログラムまたはソフトウェアを含み得る。サーバーシステム210は、ワイヤーを介してまたは無線でネットワーク230に接続するための一つ以上のネットワークインターフェースを含み得る。サーバーシステムの例としては、ヒューレットパッカード開発会社、有限パートナーシップ;デル;及びAPPLE(登録商標)社から入手可能なINTEL(登録商標)及びAMDマイクロプロセッサのアーキテクチャに基づくコンピュータサーバーが挙げられる。
クライアントシステム240及び250は、一つ以上の処理装置242及び252、ならびに、関連記憶装置244及び254、ならびに、クライアントシステム240及び250の動作及び機能を管理するように改造及び設定された一つ以上のコンピュータプログラムまたはソフトウェア、を含み得る。クライアントシステム240及び250は、ワイヤーを介してまたは無線でネットワーク230に接続するための一つ以上のネットワークインターフェースを含み得る。クライアントシステムの例としては、ヒューレットパッカード開発会社、有限パートナーシップ;デル;及びAPPLE社から入手可能なINTEL(登録商標)及びAMDマイクロプロセッサのアーキテクチャに基づくデスクトップコンピュータ及びポータブルコンピュータ、ならびに、パーソナルデジタルアシスタント(PDA)(例えば、DROID(登録商標)、HTC社)、スマートフォン(例えば、BLACKBERRY(登録商標)スマートフォン、リサーチ・イン・モーション社)、iPod(登録商標)、iPad(商標)及びiPhone(登録商標)装置(APPLE(登録商標)社)などのより小さなネットワークを可能にする携帯端末、が挙げられる。
一実施態様によれば、サーバーシステム210は、例えば、Windows(登録商標)もしくは.NET FRAMEWORK製品(MICROSOFT(登録商標)社)またはアパッチオープンソースHTTPサーバー(アパッチソフトウェア財団)のインターネット情報サービス(IIS)に基づくウェブサーバーであり、インターネットを介して遠隔クライアントシステムによってアクセスされるウェブ基盤アプリケーションを使用して、トランスクリプトーム情報のデータベースを検索し、細胞におけるタンパク質発現を調節するのに好適であり得るRNAエフェクター分子を同定する。システムは、ユーザに配送されるべき同定されたRNAエフェクター分子の所望量をユーザが選択及び購入することを可能にするフルフィルメントシステムを含み得るか、またはこれに接続され得る。
また、コンピュータによって実行されるソフトウェアを販売することによってもシステムを提供することができ、ここで、パラメータを配列情報及び他の情報と照合するデータベースならびにアルゴリズムは、ユーザに提供される。次いで、ユーザは、エフェクターRNA分子を合成するか、またはそれらを第三者供給業者に別々に注文することができる。
いくつかの実施態様では、システムは、少なくとも一つのRNAエフェクター分子をコンテナに保存するための記憶モジュールをさらに含み、ここで、2つ以上のRNAエフェクター分子が存在する場合、各RNAエフェクター分子は別々のコンテナに保存され、ロボット式操作モジュールは、適合する組み合わせを選択すると、適合するコンテナを選択し、場合により、インビボまたはインビトロ送達に関するユーザの選択に基づいて添加物をコンテナに添加し、場合により、ユーザの住所に送られるべき適合するRNAエフェクター分子を含むコンテナをさらに梱包する。siRNAまたはsiRNAの混合物に添加され得る例示的な添加物は、本明細書において記載されている。
記憶モジュールは、システムコンポーネントに連結された冷却モジュールであり得る。
システムはまた、核酸または他の生体分子合成装置にも連結され得る。
ロボット式操作モジュールは、記憶モジュール及びまたは生体分子合成装置から成分を取り出し、場合により混合し、場合によりコンテナを梱包する任意のシステムであり得る。ロボット式操作モジュールは、システムからの命令に基づき機能する一つ以上の部分を含み得る。ロボット式操作モジュールは、計算が実行される場所と同じまたは別の場所に存在し得る。
いくつかの実施態様では、システムは、細胞のゲノム情報をさらに含み、ここで、ユーザの選択によって、RNAエフェクター分子は、ゲノム中に存在するプロモーター、エンハンサー、イントロン及びエクソンを含む標的ゲノム配列と照合され得る。
本発明のいくつかの実施態様では、システムは、システムの特定のタスク(例えば、情報の入力及び出力を管理すること、情報を処理することなど)を実行し、システムを構成する一つ以上の計算装置上で及び該計算装置全体を通じてソフトウェアアプリケーションを実行することによって実行され得るハードウェアコンポーネント、またはハードウェアコンポーネント及びソフトウェアコンポーネントのシステム、を含み得る。本発明は、任意の便利な種類の計算装置(例えば、サーバー、メインフレームコンピュータ、ワークステーションなど)を含み得る。2つ以上の計算装置が存在する場所で、各装置は、例えば、イーサネット(登録商標)(有線または無線「WiFi」)、BLUETOOTH(登録商標)技術、ZIGBEE(登録商標)無線技術、AT&T(商標)3Gネットワーク、またはSPRINT(商標)3Gもしくは3G/4Gネットワークを含む周知の相互接続技術を使用する任意の便利な種類のコミュニケーション相互接続(本明細書においてネットワークと称される)を介して接続され得る。2つ以上の計算装置が使用される場所で、装置は同じ場所に配置され得るか、またはそれらは物理的に離され得る。様々なオペレーティングシステムソフトウェアが任意の計算装置に採用され得、ここで、代表的なオペレーティングシステムとしては、MICROSOFT(登録商標)WINDOWS(登録商標)オペレーティングシステム、MACOS(商標)オペレーティングシステムソフトウェア(APPLE(登録商標)社)、SOLARIS(登録商標)オペレーティングシステム(オラクル社)、LINUX(登録商標)(リナックスオンライン社)、UNIX(登録商標)サーバーシステム及びOS/400ソフトウェア(IBM社)、ANDROID(商標)(スプリント)、Chrome OS(グーグル社)などが挙げられる。システムの機能要素もまた、様々なソフトウェアファシリテイター、プラットホームまたは他の便利な方法にしたがって実装され得る。
同じデータ入力(例えば、ファイル名またはディレクトリ名または検索語)がリンク項目(同じファイル中かどうかを問わず)を読み出すか、または一つ以上のリンク項目の入力が一つ以上の他のものを読み出す場合、データの項目は、記憶装置において互いに「リンク」され得る。
図18は、本発明の一実施態様によるデータ構造の線図を示す。この実施態様では、入力フィールドの語は、例えば、データベース中の関連配列IDによって標的RNAにリンクされ得、本発明によれば、一つ以上の入力フィールドの語を検索するソフトウェアモジュールを実行すると、一つ以上の標的の配列IDが返ってくる。加えて、各標的RNAは、例えば、関連配列IDによって一つ以上のRNAエフェクター分子にリンクされ得、本発明によれば、同定された各標的に関して、ソフトウェアモジュールは、実行されて続いて同定された標的の一部またはすべてを検索し得、所望のRNAエフェクター分子に関する一つ以上の配列IDを返し、RNAエフェクター分子及びそれらの配列IDのリストを返し得る。
または、同定された各標的に関して、所望のRNAエフェクター分子を決定するための一つ以上の周知のアルゴリズムを実行するソフトウェアモジュールは、実行され、RNAエフェクター分子及びそれらの配列IDのリストを返し得る。
図19は、本発明の一実施態様によるRNAエフェクター分子を同定するための方法のフローチャートを示す。方法400は、所望の細胞における標的を見つけるための所望のパラメータをユーザが入力することを可能にする入力スクリーン402をユーザに提示する段階を含む。入力は、自由形式テキスト、またはユーザが所定の語を選択することを可能にする一つ以上のドロップダウンボックスであり得る。工程404において、ユーザが、適切なユーザインターフェース要素(例えば、「検索」ボタン)を選択すると、システムは、入力パラメータに関連する標的に関するデータベースを検索する。工程406において、ユーザは、各々がチェックボックスに関連する標的のリストを提示され得、ユーザは、各標的に関連するチェックボックスを選択または非選択して、検索をさらに絞り込むことができる。工程408において、ユーザが、適切なユーザインターフェース要素(例えば、「検索」ボタン)を選択すると、システムは、入力標的に関連するRNAエフェクター分子に関するデータベースを検索して、及び/または、周知のアルゴリズムを使用して、入力標的に関連するRNAエフェクター分子を決定し得る。システムは、例えば、RNAエフェクター分子を検索して、もし何も見つからない場合は周知のアルゴリズムを使用して、適切なRNAエフェクター分子を決定し得る。続いて、決定された分子は、データベースに追加され、その後の検索で表示され得る。または、RNAエフェクター分子が見つからない場合でも、システムは、さらに、周知のアルゴリズムを使用して、さらなる適切なRNAエフェクター分子を決定し得る。工程410において、ユーザは、データベースで見つかった情報から、報告されたRNAエフェクター分子を注文するなどの任意の機能を提供され得る。例えば、米国特許公開第2005/0240352号に記載されるように、オンライン入手が提供され得る。
システム、及びシステムを使用する方法の一例において、顧客などの者は、細胞株を使用したタンパク質生産の問題を経験している。問題は、例えば、グリコシル化(例えば、過度のフコシル化)などのタンパク質の翻訳後修飾及び/または別のプロセス(例えば、過度の乳酸の蓄積または過度の低収率)であり得る。
本発明のシステムは、ユーザが経験している問題もしくは複数の問題(過度に低い細胞増殖速度または過度のフコシル化)、及び/またはユーザが調節したい標的遺伝子もしくは転写産物、または複数の標的遺伝子もしくは転写産物(例えば、FUT8、GMDS及び/またはTSTA3)などのパラメータを、ユーザがユーザインターフェースに入力することを可能にする。
システムは、パラメータを取り上げ、それらを配列データ及びRNAエフェクター分子データと照合し、提案されたRNAエフェクター分子を顧客に配送する。例えば、システムは、細胞経路(例えば、グリコシル化)の問題を、グリコシル化において役割を果たすことが知られている転写産物と照合し得、次いで、これらの配列を標的とするRNAエフェクター分子とマッチさせ、例えば、顧客が実験を行うことができるsiRNAのリストを配送する。
顧客が一つ以上の配列を受け取ることを希望する場合、顧客は、適切な核酸を顧客が定義した場所に合成及び/もしくは送付するようシステムに命令または指示することができる。システムはまた、配列を作製するようヌクレオチド合成システムに指示を送り得る。合成装置は、他のシステム部分と同じ場所か、または他のシステム部分から遠く離れた場所に存在し得る。システムはまた、顧客が定義した場所に適切な分子が送付され得るように、記憶場所から既存の配列を選択し、包装情報を提供し得る。顧客が、RNAエフェクター分子の異なる混合物を取得することを希望する場合、当該物は、最終的な発注前に定義され得、次いで、システムは、例えば、アンチセンス及びセンス鎖を含むsiRNA二本鎖などの適切なRNAエフェクター分子を、一つのバイアルまたはチューブまたは他のコンテナ中で混合するようロボットコンポーネントに指示するであろう。
本発明者らは、CHO細胞トランスクリプトームにおける少なくとも一つの転写産物を標的とするsiRNA分子のセットをさらに見出した。表1はまた、CHO細胞トランスクリプトームにおける転写産物を標的とするsiRNA分子のセットを記載する。
したがって、本明細書において、例えば、細胞(例えば、CHO細胞)を、組換え抗体もしくは部分またはそれらの誘導体のフコシル化の調節を可能にする一つ以上のRNAエフェクター分子と接触させることによって、組換え抗体もしくは部分またはそれらの誘導体の産生を増強するための方法が提供される。例えば、配列番号3152714〜3152753は、フコシルトランスフェラーゼ(FUT8)の発現を調節するために、細胞と接触され得る。別の実施態様では、細胞は、一つ以上のRNAエフェクター分子と接触され、ここで、該接触は、GDP0マンノース4,6−デヒドラターゼ(GMDS)(例えば、配列番号5069によってコードされる)の発現を調節する。GMDSを標的とするRNAエフェクター分子は、配列番号1688202〜1688519からなる群から選択されるヌクレオチド配列を有する少なくとも16個の連続するヌクレオチド(例えば、少なくとも17個、少なくとも18個、少なくとも19個のヌクレオチド)のオリゴヌクレオチドを含むアンチセンス鎖を含み得る。
別の実施態様では、細胞は、一つ以上のRNAエフェクター分子と接触され、ここで、該接触は、GDP−4−ケト−6−デオキシ−D−マンノースエピメラーゼ−レダクターゼ(TSTA3によってコードされる)(例えば、配列番号5505によってコードされる)をコードする遺伝子の発現を調節する。TSTA3を標的とするRNAエフェクター分子は、配列番号1839578〜1839937からなる群から選択される少なくとも16個の連続するヌクレオチド(例えば、少なくとも17個、少なくとも18個、少なくとも19個のヌクレオチド)のオリゴヌクレオチド分子を含むアンチセンス鎖を含み得る。さらに別の実施態様では、細胞は、FUT8、GMDS及びTSTA3の2つ以上の発現を標的とする多数のRNAエフェクター分子と接触される。
抗体のシアル含有量の減少は、ADCCをさらに増加させると考えられる。したがって、さらに別の実施態様では、細胞は、一つ以上のRNAエフェクター分子と接触され、ここで、該接触は、シアリルトランスフェラーゼの発現を調節する。細胞におけるシアリルトランスフェラーゼ活性は、細胞を、少なくとも一つのシアリルトランスフェラーゼ遺伝子を標的とするRNAエフェクター分子と接触させることによって調節され得る。調節され得るシアリルトランスフェラーゼのいくつかの例、及びシアリルトランスフェラーゼを標的とするsiRNA(アンチセンス鎖)の例は、例えば、調節され得るいくつかのシアリルトランスフェラーゼ、及びシアリルトランスフェラーゼを標的とするRNAエフェクター分子を掲載する表7に開示されている。
ハムスターのシアリルトランスフェラーゼを標的とするRNAエフェクター分子は、本明細書において提示される配列番号(すなわち、配列番号681105〜681454、配列番号707535〜707870、配列番号1131123〜1131445、配列番号1155324〜1155711、配列番号1391079〜1391449、配列番号1435989〜1436317)のヌクレオチド配列を有する少なくとも16個の連続するヌクレオチド(例えば、少なくとも17個、少なくとも18個、少なくとも19個のヌクレオチド)のオリゴヌクレオチドを含むアンチセンス鎖を含む。
さらに別の実施態様では、細胞は、FUT8、GMDS及びTSTA3の一つを標的とする少なくとも一つのRNAエフェクター分子、ならびに一つのシアリルトランスフェラーゼを標的とする別のRNAエフェクター分子と接触される。特定の実施態様では、細胞は、FUT8及びST6(α−N−アセチル−ノイラミニル−2,3−β−ガラクトシル−1,3)−N−アセチルガラクトサミニドα−2,6−シアリルトランスフェラーゼ6を標的とするRNAエフェクター分子と接触される。
本発明の実施態様は、当業者に知られているか、もしくは本明細書中の他の部分で同定された分子経路における転写産物またはタンパク質の活性を調節した。このような分子経路細胞活性としては、アポトーシス、細胞分裂、グリコシル化、増殖速度、細胞生産性、細胞密度のピーク、持続性細胞生存性、アンモニア産生もしくは蓄積の速度、または乳酸産生の速度が挙げられるが、これらに限定されない。表10〜16は、標的が細胞において果たすそれらの機能または役割に基づき、標的の例を示す:
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V.RNAエフェクター修飾
本発明のいくつかの実施態様では、オリゴヌクレオチド(例えば、RNAエフェクター分子)は、安定性または他の有益な特性を増強するために、化学修飾されている。一実施態様では、RNAエフェクター分子は、化学修飾されていない。
オリゴヌクレオチドは、エンドヌクレアーゼ及びエクソヌクレアーゼによるオリゴヌクレオチドの急速な分解を防止し、望ましくないオフターゲット効果を避けるために、修飾され得る。本発明において特徴付けられる核酸は、当技術分野で確立された方法(例えば、CURRENT PROTOCOLS IN NUCLEIC ACID CHEMISTRY(Beaucageら編、John Wiley&Sons,Inc.,NY)において記載されているもの)によって、合成及び/または修飾され得る。修飾としては、例えば、(a)末端修飾、例えば、5’末端修飾(リン酸化、結合、逆結合など)または3’末端修飾(結合、DNAヌクレオチド、逆結合など)、(b)塩基修飾、例えば、安定化塩基、不安定化塩基もしくは拡張レパートリーのパートナーと塩基対をつくる塩基による置換、塩基の除去(脱塩基ヌクレオチド)、または結合塩基、(c)糖修飾(例えば、2’位または4’位における)または糖の置換、及び(d)ホスホジエステル結合の修飾または置換などのインターヌクレオシド結合修飾が挙げられる。本発明に有用なオリゴヌクレオチド化合物の具体例としては、修飾骨格を含むかまたは天然のインターヌクレオシド結合を含まないRNAが挙げられるが、これらに限定されない。修飾骨格を有するRNAとしてはとりわけ、骨格においてリン原子を有しないものが挙げられる。本発明に有用なオリゴヌクレオチド化合物の具体例としては、修飾または非天然のインターヌクレオシド結合を含むオリゴヌクレオチドが挙げられるが、これらに限定されない。修飾インターヌクレオシド結合を含むオリゴヌクレオチドとしてはとりわけ、インターヌクレオシド結合においてリン原子を有しないものが挙げられる。
本明細書の目的のために、そして当技術分野で時々参照されるように、そのインターヌクレオシド結合においてリン原子を有しない修飾オリゴヌクレオチドもまた、オリゴヌクレオシドであると考えられ得る。特定の実施態様では、修飾オリゴヌクレオチドは、そのインターヌクレオシド結合においてリン原子を有するであろう。本明細書の目的のために、そして当技術分野で時々参照されるように、そのインターヌクレオシド骨格においてリン原子を有しない修飾RNAもまた、オリゴヌクレオシドであると考えられ得る。特定の実施態様では、修飾RNAは、そのインターヌクレオシド骨格においてリン原子を有するであろう。
修飾インターヌクレオシド結合(例えば、RNA骨格)としては、例えば:ホスホロチオエート、キラルホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、ホスホトリエステル、アミノアルキルホスホトリエステル、3’−アルキレンホスホネート及びキラルホスホネートなどのメチル及び他のアルキルホスホネート、ホスフィネート、3’−アミノホスホルアミデート及びアミノアルキルホスホルアミデートなどのホスホルアミデート、チオノホスホルアミデート、チオノアルキルホスホネート、チオノアルキルホスホトリエステル、及び通常の3’−5’結合、これらの2’−5’結合類似物を有するボラノホスフェート、ならびにヌクレオシド単位の隣接対が、3’−5’から5’−3’に結合か、または2’−5’から5’−2’に結合する逆極性を有するものが挙げられる。上記修飾物の種々の塩、混合塩、及び遊離酸形態もまた含まれる。
上記リン含有結合の調製を教示する代表的な特許としては、米国特許第3,687,808号、米国特許第4,469,863号、米国特許第4,476,301号、米国特許第5,023,243号、米国特許第5,177,195号、米国特許第5,188,897号、米国特許第5,264,423号、米国特許第5,276,019号、米国特許第5,278,302号、米国特許第5,286,717号、米国特許第5,321,131号、米国特許第5,399,676号、米国特許第5,405,939号、米国特許第5,453,496号、米国特許第5,455,233号、米国特許第5,466,677号、米国特許第5,476,925号、米国特許第5,519,126号、米国特許第5,536,821号、米国特許第5,541,316号、米国特許第5,550,111号、米国特許第5,563,253号、米国特許第5,571,799号、米国特許第5,587,361号、米国特許第5,625,050号、米国特許第6,028,188号、米国特許第6,124,445号、米国特許第6,160,109号、米国特許第6,169,170号、米国特許第6,172,209号、米国特許第6,239,265号、米国特許第6,277,603号、米国特許第6,326,199号、米国特許第6,346,614号、米国特許第6,444,423号、米国特許第6,531,590号、米国特許第6,534,639号、米国特許第6,608,035号、米国特許第6,683,167号、米国特許第6,858,715号、米国特許第6,867,294号、米国特許第6,878,805号、米国特許第7,015,315号、米国特許第7,041,816号、米国特許第7,273,933号、米国特許第7,321,029号、及び米国特許第RE39464号が挙げられるが、これらに限定されない。
その中にリン原子を含まない修飾オリゴヌクレオチドインターヌクレオシド結合(例えば、RNA骨格)は、短鎖アルキルもしくはシクロアルキルインターヌクレオシド結合、混合ヘテロ原子及びアルキルもしくはシクロアルキルインターヌクレオシド結合、または一つ以上の短鎖ヘテロ原子もしくはヘテロ環式インターヌクレオシド結合によって形成されるインターヌクレオシド結合を有する。これらとしては、モルホリノ結合(ヌクレオシドの糖部分からの一部に形成された)、シロキサン骨格、スルフィド、スルホキシド、及びスルホン骨格、ホルムアセチル及びチオホルムアセチル骨格、メチレンホルムアセチル及びチオホルムアセチル骨格、アルケン含有骨格、スルファメート骨格、メチレンイミノ及びメチレンヒドラジノ骨格、スルホネート及びスルホンアミド骨格、アミド骨格、ならびに混合N、O、S及びCH成分部分を有する他のものを有するものが挙げられる。
上記オリゴヌクレオシドの調製を教示する代表的な特許としては、米国特許第5,034,506号、米国特許第5,166,315号、米国特許第5,185,444号、米国特許第5,214,134号、米国特許第5,216,141号、米国特許第5,235,033号、米国特許第5,64,562号、米国特許第5,264,564号、米国特許第5,405,938号、米国特許第5,434,257号、米国特許第5,466,677号、米国特許第5,470,967号、米国特許第5,489,677号、米国特許第5,541,307号、米国特許第5,561,225号、米国特許第5,596,086号、米国特許第5,602,240号、米国特許第5,608,046号、米国特許第5,610,289号、米国特許第5,618,704号、米国特許第5,623,070号、米国特許第5,663,312号、米国特許第5,633,360号、米国特許第5,677,437号、及び米国特許第5,677,439号が挙げられるが、これらに限定されない。
RNAエフェクター分子に使用するのに好適なまたは企図される他の修飾オリゴヌクレオチドにおいて、ヌクレオチド単位の糖及びインターヌクレオシド結合の両方、すなわち骨格を、新規の基で置換する。塩基単位は、適切な核酸標的化合物とのハイブリダイゼーションのために維持される。優れたハイブリダイゼーション特性を有すると示されているこのようなオリゴマー化合物の一つであるRNA模倣体は、ペプチド核酸(PNA)と称される。PNA化合物において、RNAの糖骨格は、アミド含有骨格、特にアミノエチルグリシン骨格で置換される。核酸塩基は保持され、骨格のアミド部分のアザ窒素原子に直接的または間接的に結合されている。PNA化合物の調製を教示する代表的な特許としては、米国特許第5,539,082号、米国特許第5,714,331号、及び米国特許第5,719,262号が挙げられるが、これらに限定されない。PNA化合物のさらなる教示は、例えば、Nielsenら、254 Science 1497−1500(1991)において見られ得る。
本発明において特徴付けられるいくつかの実施態様は、ホスホロチオエートインターヌクレオシド結合を有するオリゴヌクレオチド、ならびにヘテロ原子骨格、そして特に−CH−NH−CH−、−CH−N(CH)−O−CH−[メチレン(メチルイミノ)またはMMI骨格として知られる]、−CH−O−N(CH)−CH−、−CH−N(CH)−N(CH)−CH−及び−N(CH)−CH−CH−[ここで、天然のホスホジエステルインターヌクレオシド結合は−O−P−O−CH−として表される](米国特許第5,489,677号参照)及びアミド骨格(米国特許第5,602,240号参照)を有するオリゴヌクレオチドを含む。いくつかの実施態様では、本明細書において特徴付けられるオリゴヌクレオチドは、モルホリノ骨格構造を有する(米国特許第5,034,506号参照)。
修飾オリゴヌクレオチドはまた、一つ以上の置換糖部分も含み得る。本明細書において特徴付けられるRNAエフェクター分子(例えば、dsRNA)は、2’位に以下の一つを含み得る:H(デオキシリボース)、OH(リボース)、F、O−、S−もしくはN−アルキル、O−、S−もしくはN−アルケニル、O−、S−もしくはN−アルキニル、またはO−アルキル−O−アルキル、ここで、アルキル、アルケニル及びアルキニルは、置換もしくは非置換のC〜C10アルキルまたはC〜C10アルケニル及びアルキニルであり得る。例示的な好適な修飾としては、O[(CHO]CH、O(CHOCH、O(CHNH、O(CHCH、O(CHONH、及びO(CHON[(CHCH]]が挙げられ、ここで、n及びmは1から10である。いくつかの実施態様では、オリゴヌクレオチドは、2’位に以下の一つを含む:C〜C10の低級アルキル、置換低級アルキル、アルカリール、アラルキル、O−アルカリールもしくはO−アラルキル、SH、SCH、OCN、Cl、Br、CN、CF、OCF、SOCH、SOCH、ONO、NO、N、NH、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルカリール、アミノアルキルアミノ、ポリアルキルアミノ、置換シリル、RNA切断基、レポーター基、インターカレーター、オリゴヌクレオチド(例えば、RNAエフェクター分子)の薬物動態特性を向上するための基、またはオリゴヌクレオチド(例えば、RNAエフェクター分子)の薬理特性を向上するための基、ならびに同様の特性を有する他の置換基を含む。いくつかの実施態様では、修飾としては、2’−メトキシエトキシ(2’−O−CHCHOCH、2’−O−(2−メトキシエチル)または2’−MOEとしても知られる)(Martinら、78 Helv.Chim.Acta 486−504(1995))、すなわち、アルコキシアルコキシ基が挙げられる。別の例示的な修飾は、2’−ジメチルアミノオキシエトキシ、すなわち、本明細書における実施例に記載されるように、2’−DMAOEとしても知られるO(CHON(CH基、及び2’−ジメチルアミノエトキシエトキシ(当技術分野において2’−O−ジメチルアミノエトキシエチルまたは2’−DMAEOEとしても知られる)、すなわち2’−O−CH−O−CH−N(CHである。
他の修飾としては、2’−メトキシ(2’−OCH)、2’−アミノプロポキシ(2’−OCHCHCHNH)及び2’−フルオロ(2’−F)が挙げられる。同様の修飾もまた、オリゴヌクレオチドの他の位、特に3’末端ヌクレオチドまたは2’−5’結合オリゴヌクレオチド中の糖の3’位及び5’末端ヌクレオチドの5’位において作製され得る。オリゴヌクレオチドはまた、ペントフラノシル糖の代わりにシクロブチル部分などの糖模倣体も有し得る。このような修飾糖構造の調製を教示する代表的な特許としては、米国特許第4,981,957号、米国特許第5,118,800号、米国特許第5,319,080号、米国特許第5,359,044号、米国特許第5,393,878号、米国特許第5,446,137号、米国特許第5,466,786号、米国特許第5,514,785号、米国特許第5,519,134号、米国特許第5,567,811号、米国特許第5,576,427号、米国特許第5,591,722号、米国特許第5,597,909号、米国特許第5,610,300号、米国特許第5,627,053号、米国特許第5,639,873号、米国特許第5,646,265号、米国特許第5,658,873号、米国特許第5,670,633号、及び米国特許第5,700,920号が挙げられるが、これらに限定されず、これらのいくつかは、本出願によって一般に所有される。
オリゴヌクレオチド(例えば、RNAエフェクター分子)はまた、核酸塩基(しばしば当技術分野において単に「塩基」と称される)修飾または置換も含み得る。本明細書において使用される場合、「非修飾」または「天然」核酸塩基は、プリン塩基アデニン(A)及びグアニン(G)、ならびにピリミジン塩基シトシン(C)及びウラシル(U)を含む。修飾核酸塩基としては、他の合成及び天然の核酸塩基、例えば、イノシン、キサンチン、ヒポキサンチン、ヌブラリン(nubularine)、イソグアニシン(isoguanisine)、ツベルシジン、2−(ハロ)アデニン、2−(アルキル)アデニン、2−(プロピル)アデニン、2(アミノ)アデニン、2−(アミノアルキル)アデニン、2(アミノプロピル)アデニン、2(メチルチオ)N6(イソペンテニル)アデニン、6(アルキル)アデニン、6(メチル)アデニン、7(デアザ)アデニン、8(アルケニル)アデニン、8−(アルキル)アデニン、8(アルキニル)アデニン、8(アミノ)アデニン、8−(ハロ)アデニン、8−(ヒドロキシル)アデニン、8(チオアルキル)アデニン、8−(チオール)アデニン、N6−(イソペンチル)アデニン、N6(メチル)アデニン、N6,N6(ジメチル)アデニン、2−(アルキル)グアニン、2(プロピル)グアニン、6−(アルキル)グアニン、6(メチル)グアニン、7(アルキル)グアニン、7(メチル)グアニン、7(デアザ)グアニン、8(アルキル)グアニン、8−(アルケニル)グアニン、8(アルキニル)グアニン、8−(アミノ)グアニン、8(ハロ)グアニン、8−(ヒドロキシル)グアニン、8(チオアルキル)グアニン、8−(チオール)グアニン、N(メチル)グアニン、2−(チオ)シトシン、3(デアザ)5(アザ)シトシン、3−(アルキル)シトシン、3(メチル)シトシン、5−(アルキル)シトシン、5−(アルキニル)シトシン、5(ハロ)シトシン、5(メチル)シトシン、5(プロピニル)シトシン、5(プロピニル)シトシン、5(トリフルオロメチル)シトシン、6−(アゾ)シトシン、N4(アセチル)シトシン、3(3アミノ−3カルボキシプロピル)ウラシル、2−(チオ)ウラシル、5(メチル)2(チオ)ウラシル、5(メチルアミノメチル)−2(チオ)ウラシル、4−(チオ)ウラシル、5(メチル)4(チオ)ウラシル、5(メチルアミノメチル)−4(チオ)ウラシル、5(メチル)2,4(ジチオ)ウラシル、5(メチルアミノメチル)−2,4(ジチオ)ウラシル、5(2−アミノプロピル)ウラシル、5−(アルキル)ウラシル、5−(アルキニル)ウラシル、5−(アリルアミノ)ウラシル、5(アミノアリル)ウラシル、5(アミノアルキル)ウラシル、5(グアニジニウムアルキル)ウラシル、5(1,3−ジアゾール−1−アルキル)ウラシル、5−(シアノアルキル)ウラシル、5−(ジアルキルアミノアルキル)ウラシル、5(ジメチルアミノアルキル)ウラシル、5−(ハロ)ウラシル、5−(メトキシ)ウラシル、ウラシル−5オキシ酢酸、5(メトキシカルボニルメチル)−2−(チオ)ウラシル、5(メトキシカルボニル−メチル)ウラシル、5(プロピニル)ウラシル、5(プロピニル)ウラシル、5(トリフルオロメチル)ウラシル、6(アゾ)ウラシル、ジヒドロウラシル、N3(メチル)ウラシル、5−ウラシル(すなわち、シュードウラシル)、2(チオ)シュードウラシル、4(チオ)シュードウラシル、2,4−(ジチオ)シュードウラシル(psuedouracil)、5−(アルキル)シュードウラシル、5−(メチル)シュードウラシル、5−(アルキル)−2−(チオ)シュードウラシル、5−(メチル)−2−(チオ)シュードウラシル、5−(アルキル)−4(チオ)シュードウラシル、5−(メチル)−4(チオ)シュードウラシル、5−(アルキル)−2,4(ジチオ)シュードウラシル、5−(メチル)−2,4(ジチオ)シュードウラシル、1置換シュードウラシル、1置換2(チオ)−シュードウラシル、1置換4(チオ)シュードウラシル、1置換2,4−(ジチオ)シュードウラシル、1(アミノカルボニルエチレニル)−シュードウラシル、1(アミノカルボニルエチレニル)−2(チオ)−シュードウラシル、1(アミノカルボニルエチレニル)−4(チオ)シュードウラシル、1(アミノカルボニルエチレニル)−2,4−(ジチオ)シュードウラシル、1(アミノアルキルアミノカルボニルエチレニル)−シュードウラシル、1(アミノアルキルアミノ−カルボニルエチレニル)−2(チオ)−シュードウラシル、1(アミノアルキルアミノカルボニルエチレニル)−4(チオ)シュードウラシル、1(アミノアルキルアミノカルボニルエチレニル)−2,4−(ジチオ)シュードウラシル、1,3−(ジアザ)−2−(オキソ)−フェノキサジン−1−イル、1−(アザ)−2−(チオ)−3−(アザ)−フェノキサジン−1−イル、1,3−(ジアザ)−2−(オキソ)−フェンチアジン(フェンチアジン(phenthiazin))−1−イル、1−(アザ)−2−(チオ)−3−(アザ)−フェンチアジン−1−イル、7−置換1,3−(ジアザ)−2−(オキソ)−フェノキサジン−1−イル、7−置換1−(アザ)−2−(チオ)−3−(アザ)−フェノキサジン−1−イル、7−置換1,3−(ジアザ)−2−(オキソ)−フェンチアジン−1−イル、7−置換1−(アザ)−2−(チオ)−3−(アザ)−フェンチアジン−1−イル、7−(アミノアルキルヒドロキシ)−1,3−(ジアザ)−2−(オキソ)−フェノキサジン−1−イル、7−(アミノアルキルヒドロキシ)−1−(アザ)−2−(チオ)−3−(アザ)−フェノキサジン−1−イル、7−(アミノアルキルヒドロキシ)−1,3−(ジアザ)−2−(オキソ)−フェンチアジン−1−イル、7−(アミノアルキルヒドロキシ)−1−(アザ)−2−(チオ)−3−(アザ)−フェンチアジン−1−イル、7−(グアニジニウムアルキルヒドロキシ)−1,3−(ジアザ)−2−(オキソ)−フェノキサジン−1−イル、7−(グアニジニウムアルキルヒドロキシ)−1−(アザ)−2−(チオ)−3−(アザ)−フェノキサジン−1−イル、7−(グアニジニウムアルキル−ヒドロキシ)−1,3−(ジアザ)−2−(オキソ)−フェンチアジン−1−イル、7−(グアニジニウムアルキルヒドロキシ)−1−(アザ)−2−(チオ)−3−(アザ)−フェンチアジン−1−イル、1,3,5−(トリアザ)−2,6−(ジオキサ)−ナフタレン、イノシン、キサンチン、ヒポキサンチン、ヌブラリン、ツベルシジン、イソグアニシン、イノシニル、2−アザ−イノシニル、7−デアザ−イノシニル、ニトロイミダゾリル、ニトロピラゾリル、ニトロベンズイミダゾリル、ニトロインダゾリル、アミノインドリル、ピロロピリミジニル、3−(メチル)イソカルボスチリリル(isocarbostyrilyl)、5−(メチル)イソカルボスチリリル、3−(メチル)−7−(プロピニル)イソカルボスチリリル、7−(アザ)インドリル、6−(メチル)−7−(アザ)インドリル、イミジゾピリジニル(imidizopyridinyl)、9−(メチル)−イミジゾピリジニル、ピロロピリジニル(pyrrolopyrizinyl)、イソカルボスチリリル(isocarbostyrilyl)、7−(プロピニル)イソカルボスチリリル、プロピニル−7−(アザ)インドリル、2,4,5−(トリメチル)フェニル、4−(メチル)インドリル、4,6−(ジメチル)インドリル、フェニル、ナフタレニル(napthalenyl)、アントラセニル、フェナントラセニル(phenanthracenyl)、ピレニル、スチルベニル(stilbenyl)、テトラセニル(tetracenyl)、ペンタセニル(pentacenyl)、ジフルオロトリル、4−(フルオロ)−6−(メチル)ベンゾイミダゾール、4−(メチル)ベンゾイミダゾール、6−(アゾ)チミン、2−ピリジノン、5ニトロインドール、3ニトロピロール、6−(アザ)ピリミジン、2(アミノ)プリン、2,6−(ジアミノ)プリン、5置換ピリミジン、N2−置換プリン、N6−置換プリン、O6−置換プリン、置換1,2,4−トリアゾール、ピロロ−ピリミジン−2−オン−3−イル、6−フェニル−ピロロ−ピリミジン−2−オン−3−イル、パラ−置換−6−フェニル−ピロロ−ピリミジン−2−オン−3−イル、オルソ−置換−6−フェニル−ピロロ−ピリミジン−2−オン−3−イル、ビス−オルソ−置換−6−フェニル−ピロロ−ピリミジン−2−オン−3−イル、パラ−(アミノアルキルヒドロキシ)−6−フェニル−ピロロ−ピリミジン−2−オン−3−イル、オルソ−(アミノアルキルヒドロキシ)−6−フェニル−ピロロ−ピリミジン−2−オン−3−イル、ビス−オルソ−(アミノアルキルヒドロキシ)−6−フェニル−ピロロ−ピリミジン−2−オン−3−イル、ピリドピリミジン−3−イル、2−オキソ−7−アミノ−ピリドピリミジン−3−イル、2−オキソ−ピリドピリミジン−3−イル、またはそれらの任意のO−アルキル化もしくはN−アルキル化誘導体が挙げられる。修飾核酸塩基としては、結合部分(例えば、リガンド)を含む天然の塩基も挙げられ得る。
さらなる核酸塩基としては、米国特許第3,687,808号、MODIFIED NUCLEOSIDES BIOCHEM.,BIOTECH.&MEDICINE(Herdewijn編、Wiley−VCH,2008)、国際公開公報第WO2009/120878号、CONCISE ENCYCLOPEDIA OF POLYMER SCIENCE&ENGIN.858−59(Kroschwitz編、John Wiley&Sons,1990)、Englischら、30 Angewandte Chemie,Intl.Ed.613(1991)、Sanghvi,15 DSRNA RESEARCH&APPLICATIONS 289−302(Crooke及びLebleu編、CRC Press、Boca Raton、FL、1993)において開示されているものが挙げられる。これらの核酸塩基のいくつかは、本発明において特徴付けられるオリゴマー化合物の結合親和性を増加させるのに特に有用である。これらとしては、2−アミノプロピルアデニン、5−プロピニルウラシル及び5−プロピニルシトシンなどの5−置換ピリミジン、6−アザピリミジンならびにN−2、N−6及び0−6置換プリンが挙げられる。5−メチルシトシン置換は、核酸二本鎖安定性を0.6〜1.2℃増加させることが示されており(Sanghvi、276−78において)、さらにとりわけ2’−O−メトキシエチル糖修飾と組み合わせた場合、例示的な塩基置換である。
上記修飾核酸塩基のいくつか及び他の修飾核酸塩基の調製を教示する代表的な特許としては、上記米国特許第3,687,808号、米国特許第4,845,205号、米国特許第5,130,30号、米国特許第5,134,066号、米国特許第5,175,273号、米国特許第5,367,066号、米国特許第5,432,272号、米国特許第5,457,191米国特許第5,457,187号、米国特許第5,459,255号、米国特許第5,484,908号、米国特許第5,502,177号、米国特許第5,525,711号、米国特許第5,552,540号、米国特許第5,587,469号、米国特許第5,594,121,米国特許第5,596,091号、米国特許第5,614,617号、米国特許第5,681,941号、米国特許第6,015,886号、米国特許第6,147,200号、米国特許第6,166,197号、米国特許第6,222,025号、米国特許第6,235,887号、米国特許第6,380,368号、米国特許第6,528,640号、米国特許第6,639,062号、米国特許第6,617,438号、米国特許第7,045,610号、米国特許第7,427,672号、及び米国特許第7,495,088号、及び米国特許第5,750,692号が挙げられるが、これらに限定されない。
オリゴヌクレオチドはまた、一つ以上のロックド核酸(LNA)を含むように修飾され得る。ロックド核酸は、修飾リボース部分を有するヌクレオチドであり、リボース部分は、2’及び4’炭素を接続する特別な架橋を含む。この構造は、3’末端構造立体配座において、リボースを効果的に「ロック」する。ロックド核酸のオリゴヌクレオチド分子への付加は、血清中のオリゴヌクレオチド分子安定性を増加させ、オフターゲット効果を減少させることが示されている。Elmenら、33 Nucl.Acids Res.439−47(2005)、Mookら、6 Mol.Cancer Ther.833−43(2007)、Grunwellerら、31 Nucl.Acids Res.3185−93(2003)、米国特許第6,268,490号、米国特許第6,670,461号、米国特許第6,794,499号、米国特許第6,998,484号、米国特許第7,053,207号、米国特許第7,084,125号、及び米国特許第7,399,845号。
場合によっては、RNAエフェクター分子のオリゴヌクレオチドは、非リガンド基によって修飾され得る。オリゴヌクレオチドの活性、細胞分布または細胞取り込みを増強するために、多数の非リガンド分子がオリゴヌクレオチドに結合されており、このような結合を実施するための手順は科学文献で利用可能である。このような非リガンド部分としては、コレステロールなどの脂質部分(Kuboら、365 Biochem.Biophys.Res.Comm.54−61(2007))、Letsingerら、86 PNAS 6553(1989))、コール酸(Manoharanら、1994)、チオエーテル、例えば、ヘキシル−S−トリチルチオール(Manoharanら、1992、Manoharanら、1993)、チオコレステロール(Oberhauserら、1992)、脂肪族鎖、例えば、ドデカンジオールもしくはウンデシル残基(Saison−Behmoarasら、1991、Kabanovら、259 FEBS Lett.327(1990)、Svinarchukら、75 Biochimie 75(1993))、リン脂質、例えば、ジ−ヘキサデシル−rac−グリセロールもしくはトリエチルアンモニウム1,2−ジ−O−ヘキサデシル−rac−グリセロ−3−H−ホスホネート(Manoharanら、1995)、Sheaら、18 Nucl.Acids Res.3777(1990))、ポリアミンもしくはポリエチレングリコール鎖(Manoharanら、Nucleosides&Nucleotides,1995)、またはアダマンタン酢酸(Manoharanら、Tetrahedron Lett.,1995)、パルミチル部分(Mishraら、1995)、またはオクタデシルアミンもしくはヘキシルアミノ−カルボニル−オキシコレステロール部分(Crookeら、1996)が挙げられている。このようなRNA複合体の調製を教示する代表的な米国特許は、本明細書において掲載されている。典型的な結合プロトコルは、配列の一つ以上の位置にアミノリンカーを有するオリゴヌクレオチドの合成を含む。次いで、適切なカップリング剤または活性化剤を使用して、アミノ基を結合すべき分子と反応させる。結合反応は、液相中で、固体支持体に常に結合しているRNA、または以下のRNAの切断のいずれかと一緒に実施し得る。HPLCによるRNA複合体の精製によって、通常、純粋な複合体が得られる。
例示的なRNAエフェクター分子の核酸配列は、表17の正式名称及び特に略号を使用して、以下に示される:
Figure 2014501097
リガンド
本発明において特徴付けられるオリゴヌクレオチド(例えば、RNAエフェクター分子)の別の修飾は、オリゴヌクレオチドの活性、細胞分布もしくは細胞取り込みを増強する一つ以上のリガンド、部分または複合体にオリゴヌクレオチドを化学的に結合することを含む。このような部分としては、コレステロールなどの脂質部分(Letsingerら、86 PNAS 6553−56(1989)、コール酸(Manoharanら、4 Biorg.Med.Chem.Let.1053−60(1994))、チオエーテル、例えば、ベリル−S−トリチルチオール(Manoharanら、660 Ann.NY Acad.Sci.306309(1992)、Manoharanら、3 Biorg.Med.Chem.Let.2765−70(1993))、チオコレステロール(Oberhauserら、20 Nucl.Acids Res.533−38(1992))、脂肪族鎖、例えば、ドデカンジオールもしくはウンデシル残基(Saison−Behmoarasら、10 EMBO J.1111−18(1991)、Kabanovら、259 FEBS Lett.327−30(1990)、Svinarchukら、75 Biochimie 49−54(1993))、リン脂質、例えば、ジ−ヘキサデシル−rac−グリセロールもしくはトリエチルアンモニウム1,2−ジ−O−ヘキサデシル−rac−グリセロ−3−ホスホネート(Manoharanら、36 Tetrahedron Lett.3651−54(1995)、Sheaら、18 Nucl.Acids Res.3777−83(1990))、ポリアミンもしくはポリエチレングリコール鎖(Manoharanら、14 Nucleosides&Nucleotides 969−73(1995))、またはアダマンタン酢酸(Manoharanら、Tetrahedron Lett.,1995)、パルミチル部分(Mishraら、1264 Biochim.Biophys.Acta 229−37(1995))、またはオクタデシルアミンもしくはヘキシルアミノ−カルボニル−オキシコレステロール部分(Crookeら、227 J.Pharmacol.Exp.Ther.923−37(1996))が挙げられるが、これらに限定されない。
一実施態様では、リガンドは、リガンドが組み込まれるRNAエフェクター分子剤の分布、ターゲッティング、または寿命を変える。いくつかの実施態様では、リガンドは、例えば、リガンドなどの種が存在しない場合と比較して、選択された標的(例えば、分子、細胞または細胞型、コンパートメント(例えば、細胞内または器官内コンパートメント)、組織、器官または身体の領域)に対する増強された親和性を提供する。
リガンドとしては、天然に存在する物質、例えば、タンパク質(例えば、ヒト血清アルブミン(HSA)、低比重リポタンパク質(LDL)、またはグロブリン)、炭水化物(例えば、デキストラン、プルラン、キチン、キトサン、イヌリン、シクロデキストリン、またはヒアルロン酸)、または脂質が挙げられ得る。リガンドはまた、合成高分子(例えば、合成ポリアミノ酸)などの組換えまたは合成分子であり得る。ポリアミノ酸の例としては、ポリリシン(PLL)、ポリL−アスパラギン酸、ポリL−グルタミン酸、スチレン無水マレイン酸共ポリマー、ポリ(L−ラクチド−co−グリコリド)コポリマー、ジビニルエーテル無水マレイン酸共ポリマー、N−(2−ヒドロキシプロピル)メタクリルアミド共ポリマー(HMPA)、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリウレタン、ポリ(2−エチルアクリル酸)、N−イソプロピルアクリルアミドポリマー、またはポリホスファジンが挙げられる。ポリアミンの例としては、ポリエチレンイミン、ポリリシン(PLL)、スペルミン、スペルミジン、ポリアミン、擬ペプチドポリアミン、ペプチド模倣ポリアミン、デンドリマーポリアミン、アルギニン、アミジン、プロタミン、カチオン性脂質、カチオン性ポルフィリン、ポリアミンの第4級塩、またはαヘリックスペプチドが挙げられる。
リガンドとしては、標的基、例えば、細胞または組織標的薬剤、例えば、レクチン、糖タンパク質、脂質、またはタンパク質、例えば、腎細胞などの特定の細胞型に結合する抗体も挙げられ得る。標的基は、甲状腺刺激ホルモン、メラノトロピン、レクチン、糖タンパク質、サーファクタント・タンパク質A、ムチン炭水化物、多価乳糖、多価ガラクトース、N−アセチル−ガラクトサミン、N−アセチル−グルコサミン、多価マンノース、多価フコース、グリコシル化ポリアミノ酸、多価ガラクトース、トランスフェリン、ビスホスホネート、ポリグルタミン酸塩、ポリアスパラギン酸塩、脂質、コレステロール、ステロイド、胆汁酸、葉酸塩、ビタミンB12、ビオチン、またはRGDペプチドもしくはRGDペプチド模倣薬であり得る。
リガンドの他の例としては、染料、挿入剤(例えば、アクリジン)、架橋剤(例えば、プソラレン、マイトマイシンC)、ポルフィリン(TPPC4、テキサフィリン、サップフィリン)、多環式芳香族炭化水素(例えば、フェナジン、ジヒドロフェナジン)、人工エンドヌクレアーゼ(例えば、EDTA)、親油性分子、例えばコレステロール、コール酸、アダマンタン酢酸、1−ピレン酪酸、ジヒドロテストステロン、1,3−ビス−O(ヘキサデシル)グリセロール、ゲラニルオキシヘキシル基、ヘキサデシルグリセロール、ボルネオール、メントール、1,3−プロパンジオール、ヘプタデシル基、パルミチン酸、ミリスチン酸、O3−(オレオイル)リトコール酸、O3−(オレオイル)コレン酸、ジメトキシトリチル、またはフェノキサジン)及びペプチド複合体(例えばアンテナペディアペプチド、Tatペプチド)、アルキル化薬、ホスフェート、アミノ、メルカプト、PEG(例えば、PEG−40K)、MPEG、[MPEG]、ポリアミノ、アルキル、置換アルキル、放射性標識マーカー、酵素、ハプテン(例えば、ビオチン)、輸送/吸収促進剤(例えば、アスピリン、ビタミンE、葉酸)、合成リボ核酸(例えば、イミダゾール、ビスイミダゾール、ヒスタミン、イミダゾールクラスター、アクリジン−イミダゾール複合体、テトラアザ大環状分子のEu3+錯体)、ジニトロフェニル、HRP、またはAPが挙げられる。
リガンドは、タンパク質(例えば、糖タンパク)、またはペプチド(例えば、コリガンドに対して特異親和性を有する分子)、または抗体(例えば、癌細胞、内皮細胞、または骨細胞などの特定の細胞型に結合する抗体)であり得る。リガンドとしては、ホルモン及びホルモン受容体も挙げられ得る。それらとしては、脂質、レクチン、炭水化物、ビタミン、補因子、多価ラクトース、多価ガラクトース、N−アセチル−ガラクトサミン、N−アセチル−グルコサミン多価マンノース、または多価フコースなどの非ペプチド種も挙げられ得る。リガンドは、例えば、リポ多糖、p38MAPキナーゼの活性化因子、またはNF−κBの活性化因子であり得る。
リガンドは、例えば細胞骨格を破壊するによって(例えば、細胞の微小管、微小繊維、及び/または中間径繊維を破壊することによって)、RNAエフェクター分子剤の細胞内への取り込みを増大させることができる物質(例えば、薬物)であり得る。薬物は、例えば、タクソール、ビンクリスチン、ビンブラスチン、サイトカラシン、ノコダゾール、ジャプラキノリド(japlakinolide)、ラトランクリンA、ファロイジン、スウィンホライドA、インダノシン、またはミオセルビン(myoservin)であり得る。
リガンドの例は、脂質または脂質に基づく分子である。このような脂質または脂質に基づく分子は、好ましくは血清タンパク質(例えば、ヒト血清アルブミン(HSA))に結合する。HSA結合リガンドは、複合体の標的組織(例えば、身体の非腎標的組織)への分配を可能にする。例えば、標的組織は、肝実質細胞などの肝臓であり得る。HSAに結合することができる他の分子もまた、リガンドとして使用され得る。例えば、ネプロキシンまたはアスピリンが使用され得る。脂質または脂質に基づくリガンドは、(a)複合体の分解に対する耐性を増大させ、(b)標的細胞もしくは細胞膜へのターゲッティングまたは輸送を増大させ得、及び/または(c)血清タンパク質(例えば、HSA)への結合を調整するのに使用され得る。
脂質に基づくリガンドは、標的組織への複合体の結合を調節(例えば、制御)するのに使用され得る。例えば、HSAにより強く結合する脂質または脂質に基づくリガンドは、腎臓を標的とする可能性が低く、したがって、胚から取り除かれる可能性が低い。HSAにあまり強く結合しない脂質または脂質に基づくリガンドは、複合体を腎臓に標的とするのに使用され得る。例えば、脂質に基づくリガンドはHSAに結合するか、またはそれは、複合体が非腎組織に可逆的に分配されるように、十分な親和性によってHSAに結合する。または、脂質に基づくリガンドは、複合体が腎臓に分配されるように、HSAに弱く結合するか、または全く結合しない。腎細胞を標的とする他の部分もまた、脂質に基づくリガンドの代わりに、またはそれに加えて使用され得る。
別の態様では、リガンドは、胚細胞(例えば、増殖細胞)によって取り込まれる部分(例えば、ビタミン)である。例示的なビタミンとしては、ビタミンA、E及びKが挙げられる。他の例示的なビタミンとしては、ビタミンB(例えば、葉酸)、B12、リボフラビン、ビオチン、ピリドキサール、または胚細胞によって取り込まれる他のビタミンもしくは栄養素が挙げられる。また、HSA及び低密度リポタンパク質も挙げられる。
別の態様では、リガンドは、細胞浸透物質、好ましくはヘリックス細胞浸透物質(helical cell−permeation agent)である。好ましくは、物質は両親媒性である。例示的な物質は、tatまたはアンテナペディアなどのペプチドである。物質がペプチドである場合、それは、ペプチジル模倣、逆転異性体、非ペプチドまたは擬ペプチド結合、及びD−アミノ酸の使用などの修飾をされ得る。ヘリックス物質(helical agent)は、αヘリックス物質であり得、親油性相及び疎油性相を含み得る。
リガンドは、ペプチドまたはペプチド模倣薬であり得る。ペプチド模倣薬(本明細書においてオリゴペプチド模倣薬とも称される)は、天然ペプチドに類似する規定の3次元構造に折り畳まれることができる分子である。ペプチド及びペプチド模倣薬のRNAエフェクター分子物質への付加は、例えば、細胞認識及び吸収を増大させることによってRNAエフェクター分子の薬物動態分布に影響を及ぼし得る。ペプチドまたはペプチド模倣薬部分は、約5〜50アミノ酸長、例えば、約5、10、15、20、25、30、35、40、45または50アミノ酸長であり得る(例えば、表18参照)。
Figure 2014501097
ペプチドまたはペプチド模倣薬は、例えば、細胞浸透ペプチド、カチオン性ペプチド、両親媒性ペプチド、または疎水性ペプチド(例えば、主にTyr、Trp、またはPheからなる)であり得る。ペプチド部分は、デンドリマーペプチド、拘束ペプチド(constrained peptide)、または架橋ペプチドであり得る。別の実施態様では、ペプチド部分は、疎水性膜輸送配列(MTS)を含み得る。例示的な疎水性MTS含有ペプチドは、アミノ酸配列AAVALLPAVLLALLAP(配列番号3284958)を有するRFGFである。疎水性MTSを含むRFGF類似物(例えば、アミノ酸配列AALLPVLLAAP(配列番号3284959))もまた、ターゲッティング部分であり得る。ペプチド部分は、ペプチド、オリゴヌクレオチド、及びタンパク質などの大きな極性分子を細胞膜のいたる所で運ぶ「送達」ペプチドであり得る。例えば、HIV Tatタンパク質(GRKKRRQRRRPPQ(配列番号3284960))及びショウジョウバエ・アンテナペディア・タンパク質(RQIKIWFQNRRMKWKK(配列番号284961))に由来する配列は、送達ペプチドとして機能し得る。ペプチドまたはペプチド模倣薬は、ファージディスプレイライブラリー、または1ビーズ1化合物(OBOC)コンビナトリアルライブラリーから同定されたペプチドなどのランダム配列のDNAによってコードされ得る。Lamら、354 Nature 82−84(1991)。ペプチドまたはペプチド模倣薬は、組み込まれたモノマー単位を介してdsRNA物質に繋留され得、アルギニン−グリシン−アスパラギン酸(RGD)−ペプチド、またはRGD模倣薬などの細胞標的ペプチドである。記載されるように、ペプチド部分は、安定性を増大させるか、または配座特性を管理するなどの構造修飾を有し得る。本明細書において記載される任意の構造修飾が利用され得る。
RGDペプチド部分は、内皮系腫瘍細胞または乳癌腫瘍細胞などの腫瘍細胞を標的とするのに使用され得る。Zitzmannら、62 Cancer Res.5139−43(2002)。RGDペプチドは、dsRNA物質が、肺、腎臓、脾臓、または肝臓を含む様々な他の組織の腫瘍にターゲッティングするのを容易にし得る。Aokiら、8 Cancer Gene Ther.783−87(2001)。好ましくは、RGDペプチドは、RNAエフェクター分子物質が腎臓にターゲッティングするのを容易にするであろう。RGDペプチドは、直線状または環状であり得るか、または特定の組織にターゲッティングするのを容易にするために修飾(例えば、グリコシル化またはメチル化)され得る。例えば、グリコシル化RGDペプチドは、RNAエフェクター分子物質を、αVβ3を発現する腫瘍細胞に送達し得る。Haubnerら、42 J.Nucl.Med.326−36(2001)。
「細胞浸透ペプチド」は、細胞を浸透することができる。それは、例えば、αヘリックス直鎖ペプチド(例えば、LL−37またはセロピンP1)、ジスルフィド結合含有ペプチド(例えば、α−ディフェンシン、β−ディフェンシン、またはバクテネシン)、または一つもしくは2つの支配的アミノ酸(dominating amino acid)のみを含むペプチド(例えば、PR−39またはインドリシジン)であり得る。細胞浸透ペプチドはまた、核局在化シグナル(NLS)も含み得る。例えば、細胞浸透ペプチドは、HIV−1 gp41の融合ペプチドドメイン及びSV40ラージT抗原のNLSに由来する二部分両親媒性ペプチド(例えば、MPG)であり得る。Simeoniら、31 Nucl.Acids Res.2717−24(2003)。
オリゴヌクレオチド複合体の調製を教示する代表的な特許としては、米国特許第4,828,979号、米国特許第4,948,882号、米国特許第5,218,105号、米国特許第5,525,465号、米国特許第5,541,313号、米国特許第5,545,730号、米国特許第5,552,538号、米国特許第5,578,717,米国特許第5,580,731号、米国特許第5,591,584号、米国特許第5,109,124号、米国特許第5,118,802号、米国特許第5,138,045号、米国特許第5,414,077号、米国特許第5,486,603号、米国特許第5,512,439号、米国特許第5,578,718号、米国特許第5,608,046号、米国特許第4,587,044号、米国特許第4,605,735号、米国特許第4,667,025号、米国特許第4,762,779号、米国特許第4,789,737号、米国特許第4,824,941号、米国特許第4,835,263号、米国特許第4,876,335号、米国特許第4,904,582号、米国特許第4,958,013号、米国特許第5,082,830号、米国特許第5,112,963号、米国特許第5,214,136号、米国特許第5,082,830号、米国特許第5,112,963号、米国特許第5,214,136号、米国特許第5,245,022号、米国特許第5,254,469号、米国特許第5,258,506号、米国特許第5,262,536号、米国特許第5,272,250号、米国特許第5,292,873号、米国特許第5,317,098号、米国特許第5,371,241,米国特許第5,391,723号、米国特許第5,416,203,米国特許第5,451,463号、米国特許第5,510,475号、米国特許第5,512,667号、米国特許第5,514,785号、米国特許第5,565,552号、米国特許第5,567,810号、米国特許第5,574,142号、米国特許第5,585,481号、米国特許第5,587,371号、米国特許第5,595,726号、米国特許第5,597,696号、米国特許第5,599,923号、米国特許第5,599,928号、米国特許第5,688,941号、米国特許第6,294,664号、米国特許第6,320,017号、米国特許第6,576,752号、米国特許第6,783,931号、米国特許第6,900,297号、及び米国特許第7,037,646号が挙げられるが、これらに限定されない。
所定の化合物中のすべての位置が均一に修飾されることは必要ではなく、実際に、2つ以上の上記修飾は、単一の化合物中に、またはオリゴヌクレオチド内の単一のヌクレオシドにおいても組み込まれ得る。本発明はまた、キメラ化合物であるオリゴヌクレオチド分子化合物を含む。本発明の文脈において、「キメラ」RNAエフェクター分子化合物または「キメラ」は、2つ以上の化学的に異なる領域を含むオリゴヌクレオチド化合物(例えば、dsRNA)であり、dsRNA化合物の場合、それぞれが少なくとも一つのモノマー単位(すなわち、ヌクレオチド)で構成されている。これらのRNAエフェクター分子は、典型的には少なくとも一つの領域を含み、ここで、RNAは、ヌクレアーゼ分解耐性の増大、細胞取り込みの増大及び/または標的核酸に対する結合親和性の増大をRNAエフェクター分子に付与するように修飾される。オリゴヌクレオチドのさらなる領域は、RNA:DNAまたはRNA:RNAハイブリッドを切断することができる酵素の基質として働き得る。例として、RNase Hは、RNA:DNA二本鎖のRNA鎖を切断する細胞性エンドヌクレアーゼである。したがって、RNase Hの活性化は、RNA標的の切断をもたらし、それによって遺伝子発現のRNAエフェクター分子阻害の効率を非常に高める。その結果として、キメラdsRNAが使用される場合、同一の標的領域に対してハイブリダイズするホスホロチオエートデオキシdsRNAと比較して、より短いRNAエフェクター分子を用いて同程度の結果がしばしば得られる。オリゴヌクレオチドの切断は、ゲル電気泳動によって、そして必要な場合には当技術分野において既知の関連する核酸ハイブリダイゼーション技術によって、通常検出され得る。
VI.RNAエフェクター分子の導入/送達
本明細書で提供される方法によるオリゴヌクレオチド(例えばRNAエフェクター分子)の細胞への送達は、多くの異なる方法で達成され得る。例えば、RNAエフェクター分子、例えばdsRNAを含有する組成物を細胞培養物に投与することによって直接的に送達を実施することができる。あるいは、RNAエフェクター分子をコードし、その発現を指令する1またはそれ以上のベクターを細胞に投与することによって間接的に送達を実施することができる。これらの選択肢を本明細書中でさらに論じる。
一部の実施形態では、RNAエフェクター分子は、1もしくはそれ以上のsiRNAもしくはshRNAエフェクター分子または1もしくはそれ以上のsiRNAもしくはshRNAエフェクター分子をコードするDNAを含有する侵入性細菌を細胞に導入すること(時としてトランスキングダムRNAi(tkRNAi)と称されるプロセス)によって細胞に導入されるsiRNAまたはshRNAエフェクター分子である。侵入性細菌は、リステリア属、赤痢菌属、サルモネラ属、大腸菌もしくはビフィドバクテリウム属の弱毒株、または、例えば侵入性細菌が細胞の細胞質にアクセスすることを可能にする1もしくはそれ以上の遺伝子を導入することによって、その侵入特性を高めるように遺伝的に修飾された非侵入性細菌であり得る。そのような細胞質標的遺伝子の例は、リステリア属のリステリオリシンO及び偽結核エルジニア菌のインベーシンタンパク質を含む。トランスキングダムRNAi(tkRNAi)を誘導するためにRNAエフェクター分子を動物細胞に送達する方法は当技術分野において公知である。例えば、米国特許出願公開第2008/0311081号及び同第2009/0123426号参照。一つの実施形態では、RNAエフェクター分子はsiRNA分子である。一つの実施形態では、RNAエフェクター分子はshRNA分子ではない。
本明細書で述べるように、オリゴヌクレオチドは、エンドヌクレアーゼ及びエキソヌクレアーゼによるdsRNAの迅速な分解を防ぎ、望ましくないオフターゲット効果を回避するように修飾され得る。例えば、RNAエフェクター分子を、細胞取込みを増強し、分解を防ぐためにコレステロールなどの親油基に化学結合することによって修飾できる。一つの実施形態では、RNAエフェクター分子は親油基、例えばコレステロールへの化学結合によって修飾されない。
選択的実施形態では、ナノ粒子、デンドリマー、ポリマー、リポソームまたはカチオン送達システム(cationic delivery system)などの薬剤送達システムを用いてRNAエフェクター分子を送達することができる。正に荷電したカチオン送達システムは、RNAエフェクター分子(負に荷電している)の結合を促進し、また効率的な細胞取込みを可能にする負に荷電した細胞膜での相互作用を増強する。カチオン性脂質、デンドリマーまたはポリマーをRNAエフェクター分子に結合するか、またはRNAエフェクター分子を包み込む小胞またはミセルを形成するように誘導することができる。例えば、Kimら、129 J.Contr.Release 107−16(2008)参照。カチオン−RNAエフェクター分子複合体を作製し、使用するための方法は、十分に当業者の能力の範囲内である。例えば、Sorensenら、327 J.Mol.Biol.761−66(2003)、Vermaら、9 Clin.Cancer Res.1291−1300(2003)、Arnoldら、25 J.Hypertens. 197−205(2007)参照。
RNAエフェクター分子が、センス鎖とアンチセンス鎖を含む、低分子干渉RNA(siRNA)などの二本鎖分子である場合は、センス鎖とアンチセンス鎖を別々にかつ経時的に細胞、細胞溶解物、組織または細胞培養物に暴露することができる。「別々にかつ経時的に」という語句は、二本鎖RNAエフェクター分子の各々の鎖を一本鎖形態で、例えば両方の鎖のアニーリングしていない混合物の形態でまたは各々の鎖の別々の、すなわち非混合製剤を細胞、細胞溶解物、組織または細胞培養物に導入することを指す。一部の実施形態では、各々の鎖の導入の間に、数秒間から数分間、さらには約1時間またはそれ以上、例えば12時間、24時間、48時間、72時間、84時間、96時間または108時間またはそれ以上にわたり得る時間間隔が存在する。別々かつ経時的な投与は、正準または非正準RNAエフェクター分子を用いて実施できる。
複数のRNAエフェクター分子を別々にかつ経時的に投与することも本明細書で企図される。従って、標的遺伝子に対する所望の平均パーセント阻害を達成するために複数のRNAエフェクター分子の各々を別々の時点でまたは異なる頻度間隔で投与できる。例えば、Bakを標的するRNAエフェクター分子はLDHを標的するRNAエフェクター分子よりも頻繁に投与することができ、これは、Bakの発現がBak RNAエフェクター分子での処理後により速く回復するためである。一つの実施形態では、RNAエフェクター分子を約0.01nM〜200nMの濃度で添加する。別の実施形態では、RNAエフェクター分子を約50 分子/細胞〜500,000分子/細胞の量で添加する。別の実施形態では、RNAエフェクター分子を約0.1fmol/10細胞〜約 1pmol/10細胞の濃度で添加する。
別の態様では、標的遺伝子の発現を調節するためのRNAエフェクター分子を、DNAまたはRNAベクターに挿入した転写単位から発現させることができる。例えば、Coutureら、12 TIG 5−10(1996)、国際公開広報第WO00/22113号、国際公開広報第WO00/22114号、米国特許第6,054,299号参照。発現は、使用される特定の構築物及び標的組織または細胞型に依存して、一過性(およそ数時間から数週間)または持続性(数週間から数か月間またはそれ以上)であり得る。これらの導入遺伝子は、組込みまたは非組込みベクターであり得る、線状構築物、環状プラスミドまたはウイルスベクターとして導入できる。導入遺伝子はまた、染色体外プラスミドとして遺伝されることを可能にするように構築することもできる。Gassmannら、92 PNAS 1292(1995)。
RNAエフェクター分子の個々の鎖または両方の鎖は、発現ベクター上のプロモーターから転写され得る。2つの別々の鎖を、例えばdsRNAを生成するように発現させる場合、2つの別々の発現ベクターを標的細胞に同時導入することができる(例えばトランスフェクションまたは感染によって)。あるいは、dsRNAの各々個々の鎖は、両方ともが同じ発現プラスミド上に位置するプロモーターによって転写され得る。一つの実施形態では、dsRNAは、dsRNAがステム及びループ構造を有するようにリンカーポリヌクレオチド配列によって連結された逆方向反復配列として発現される。
RNAエフェクター分子発現ベクターは、一般にDNAプラスミドまたはウイルスベクターである。真核細胞と適合性の発現ベクター、例えば脊椎動物細胞、昆虫細胞または酵母細胞と適合性のものは、本明細書で述べるRNAエフェクター分子の発現のための組換え構築物を作製するために使用できる。真核細胞発現ベクターは当技術分野において周知であり、多くの商業的供給元から入手可能である。典型的には、所望核酸セグメントの挿入のために好都合な制限部位を含むそのようなベクターが提供される。RNAエフェクター分子発現ベクターは、標準的なトランスフェクション及び形質導入法を用いて標的細胞に直接的に送達できる。
RNAエフェクター分子発現プラスミドは、カチオン性脂質担体(例えばOLIGOFECTAMINE(商標)トランスフェクション試薬)または非カチオン性脂質ベースの担体(例えばTRANSIT−TKO(登録商標)トランスフェクション試薬、Mirus Bio LLC,Madison,WI)との複合体として標的細胞にトランスフェクトできる。1週間またはそれ以上の期間にわたって標的RNAの種々の領域を標的するRNAエフェクター分子を介したノックダウンのための複数の脂質トランスフェクションも本発明によって企図される。宿主細胞へのベクターの導入の成功は、様々な公知の方法を用いて観測できる。例えば、一過性トランスフェクションは、蛍光マーカー、例えば緑色蛍光タンパク質(GFP)などのレポーターで示され得る。エクスビボでの細胞の安定なトランスフェクションは、ハイグロマイシンB耐性などの特定の環境因子(例えば抗生物質及び薬剤)に対する耐性を備えたトランスフェクト細胞を提供するマーカーを使用して確保され得る。RNAエフェクター分子発現プラスミドは、カチオン性脂質担体(例えばOLIGOFECTAMINE(商標)試薬)または非カチオン性脂質ベースの担体(例えばTRANSIT−TKO(登録商標)トランスフェクション試薬)との複合体として標的細胞にトランスフェクトできる。1週間またはそれ以上の期間にわたって標的RNAの種々の領域を標的するRNAエフェクター分子を介したノックダウンのための複数の脂質トランスフェクションも本発明によって企図される。宿主細胞へのベクターの導入の成功は、様々な公知の方法を用いて観測できる。例えば、一過性トランスフェクションは、蛍光マーカー、例えばGFPなどのレポーターで示され得る。エクスビボでの細胞の安定なトランスフェクションは、ハイグロマイシンB耐性などの特定の環境因子(例えば抗生物質及び薬剤)に対する耐性を備えたトランスフェクト細胞を提供するマーカーを使用して確保され得る。
本明細書で述べる方法及び組成物に関して利用できるウイルスベクター系は、(a)アデノウイルスベクター、(b)レンチウイルスベクター、モロニーマウス白血病ウイルス等を含むがこれらに限定されない、レトロウイルスベクター、(c)アデノ随伴ウイルスベクター、(d)単純ヘルペスウイルスベクター、(e)SV40ベクター、(f)ポリオーマウイルスベクター、(g)パピローマウイルスベクター、(h)ピコルナウイルスベクター、(i)オルトポックス、例えばワクシニアウイルスベクターまたはアビポックス、例えばカナリアポックスまたはニワトリポックスウイルスベクターなどのポックスウイルスベクター、及び(j)ヘルパー依存型またはガットレスアデノウイルスを含むが、これらに限定されない。複製欠損ウイルスも好都合であり得る。種々のベクターが細胞のゲノムに組み込まれるまたは組み込まれない。構築物は、所望する場合は、トランスフェクションのためのウイルス配列を含み得る。あるいは、構築物を、エピソーム複製することができるベクター、例えばEPV及びEBVベクターに組み込むことができる。RNAエフェクター分子の組換え発現のための構築物は、一般に、標的細胞におけるRNAエフェクター分子の発現を確実にするための調節エレメント、例えばプロモーター、エンハンサー等を必要とする。ベクター及び構築物について考慮する他の態様を本明細書でさらに説明する。
RNAエフェクター分子の送達のために有用なベクターは、所望標的細胞または組織におけるRNAエフェクター分子の発現のために十分な調節エレメント(プロモーター、エンハンサー等)を含む。調節エレメントは、構成的または調節的/誘導的発現のいずれかを提供するように選択され得る。
RNAエフェクター分子の発現は、例えば、特定の生理的調節因子、例えばグルコースレベルに対して感受性である誘導的調節配列を使用することによって正確に調節できる。Dochertyら、8 FASEB J.20−24(1994)。細胞におけるdsRNA発現の制御のために適切な、かかる誘導的発現系は、例えば、エクジソン、エストロゲン、プロゲステロン、テトラサイクリン、二量体化の化学的誘導物質及びイソプロピル−β−D1−チオガラクトピラノシド(IPTG)を含む。当業者は、RNAエフェクター分子導入遺伝子の意図される用途に基づいて適切な調節/プロモーター配列を選択することができる。
特定の実施形態では、RNAエフェクター分子をコードする核酸配列を含むウイルスベクターが使用できる。例えば、レトロウイルスベクターが使用できる。Millerら、217 Meth.Enzymol.581−99(1993)、米国特許第6,949,242号参照。レトロウイルスベクターは、ウイルスゲノムの正しいパッケージングと宿主細胞DNAへの組込みのために必要な成分を含有する。RNAエフェクター分子をコードする核酸配列を1またはそれ以上のベクターにクローニングし、これによって細胞への核酸の送達が促進される。レトロウイルスベクターについてのさらなる詳細は、例えば、幹細胞を化学療法に対してより耐性にするためにmdr1遺伝子を造血幹細胞に送達するレトロウイルスベクターの使用を述べる、Boesenら、6 Biotherapy 291−302(1994)に見出される。遺伝子治療におけるレトロウイルスベクターの使用を説明する他の参考文献は、Clowesら、93 J.Clin.Invest.644−651(1994)、Kiemら、83 Blood 1467−73(1994)、Salmons&Gunzberg,4 Human Gene Ther.129−11(1993)、Grossman&Wilson,3 Curr.Opin.Genetics Devel.110−14(1993)を含む。使用のために企図されるレンチウイルスベクターは、例えば、米国特許第6,143,520号、同第5,665,557号、及び同第5,981,276号に記載されているHIVベースのベクターを含む。
本明細書で論じるように、レトロウイルスの侵入のための宿主細胞表面受容体がERV Envタンパク質によって占拠され得ること(ウイルス干渉)に留意すべきである。Miller,93 PNAS 11407−13(1996)参照。レトロウイルスエンベロープ(Env)タンパク質は、ウイルス粒子のそれらの細胞受容体への結合を媒介し、ウイルスの侵入を可能にする、新たな複製周期の第一段階である。ERVが細胞において発現された場合、関連する外因性レトロウイルスによる再感染が干渉を介して阻止される(受容体干渉とも呼ばれる)、細胞膜に挿入されたERVのEnvタンパク質は、受容体競合によって対応する外因性ウイルスを妨げる。これは、細胞をレトロウイルスの過剰負荷から保護する。例えば、外因性JSRVはすべて細胞ヒアルロニダーゼ2を受容体として利用するので、内因性JSRVは外因性JSRVの侵入をブロックすることができる。Spencerら、77 J.Virol.5749−53(2003)。欠損ERVは全く干渉しないことに注目すべきである。2つの内因性JSRV、内因性JS56A1及び内因性JSRV−20は、外因性JSRVの後期複製を妨げ得る突然変異型Gagポリタンパク質を含有する。Arnaudら、2 PLoS e170(2007)。従って、欠損レトロウイルスと自律複製可能なレトロウイルスの間の干渉は、ERVコピー数の制御の重要な機構を提供する。ERVによって発現されるEnv分子(例えばHERV−Hファミリーによって発現される)による受容体干渉は、組換えタンパク質を生産することを意図された細胞のトランスフェクションまたは再感染を妨げ得る。そのような作用は、各々が一本の相補的な抗体鎖をコードする2つのレトロウイルスベクターでトランスフェクトされた宿主細胞のような、レトロウイルスベクターを介した組換え宿主細胞における低いコピー数または低い発現を説明し得る。従って、ERV Envタンパク質の発現を阻害する本実施形態の標的遺伝子は、宿主細胞におけるレトロウイルスベクターの多重度の上昇及び生物由来物質の収量の増大を提供する。
アデノウイルスもRNAエフェクター分子の送達における使用のために企図される。本発明を特徴付けるRNAエフェクター分子を発現するための適切なAVベクター、組換えAVベクターを構築するための方法、及びベクターを標的細胞に送達するための方法は、Xiaら、20 Nat.Biotech.1006−10(2002)に記載されている。
アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターの使用も企図される(Walshら、204 Proc.Soc.Exp.Biol.Med.289−300(1993)、米国特許第5,436,146号)。一つの実施形態では、RNAエフェクター分子は、例えばU6もしくはH1 RNAプロモーターまたはサイトメガロウイルス(CMV)プロモーターのいずれかを有する組換えAAVから2つの別々の相補的な一本鎖RNA分子として発現され得る。本発明を特徴付けるdsRNAを発現するための適切なAAVベクター、組換えAVベクターを構築するための方法、及びベクターを標的細胞に送達するための方法は、Samulskiら、61 J.Virol.3096−101(1987)、Fisherら、70 J.Virol.70:520−32(1996)、Samulskiら、63 J.Virol.3822−26 (1989)、米国特許第5,252,479号及び同第5,139,941号、国際公開広報第WO94/13788号、同第WO93/24641号に記載されている。
もう一つのウイルスベクターは、ワクシニアウイルス、例えば改変ウイルスアンカラ(MVA)もしくはNYVACなどの弱毒ワクシニアウイルス、ニワトリポックスもしくはカナリアポックスなどのアビポックスウイルスのようなポックスウイルスである。
ウイルスベクターの指向性は、適宜に、他のウイルスからのエンベロープタンパク質もしくは他の表面抗原でベクターを偽型化することによって、または異なるウイルスキャプシドタンパク質を代用することによって改変できる。例えば、レンチウイルスベクターは、水疱性口内炎ウイルス(VSV)、狂犬病ウイルス、エボラウイルス、モコラウイルス、バキュロウイルス等からの表面タンパク質で偽型化できる。モノネガウイルス目(Mononegavirales)、例えばVSVまたはRSウイルス(RSV)は、バキュロウイルスで偽型化できる。米国特許第7,041,489号。AAVベクターは、異なるキャプシドタンパク質血清型を発現するようにベクターを遺伝子操作することによって異なる細胞を標的させることができる。例えば、Rabinowitzら、76 J.Virol.791−801(2002)参照。
一つの実施形態では、本発明は、本明細書で述べるRNAエフェクター分子及び許容される担体を含有する組成物を提供する。RNAエフェクター分子を含有する組成物は、細胞における標的遺伝子の発現または活性を調節することによって細胞による生物由来物質の産生を増強するために有用である。そのような組成物は、送達の方法に基づいて製剤される。生物由来物質の産生を改善するうえで有用な例示的RNAエフェクター分子が本明細書で提供される。一つの実施形態では、組成物中のRNAエフェクター分子はsiRNAである。あるいは、組成物中のRNAエフェクター分子はsiRNAではない。
別の実施形態では、INFRA1またはIFNB遺伝子及びPTEN、BAK、FN1またはLDHA遺伝子などの、免疫応答経路及び細胞プロセスの発現の阻害を可能にする複数のRNAエフェクター分子を含有する組成物が本明細書で提供される。組成物は、場合により、以下を含むがこれらに限定されない付加的な細胞プロセスを標的する少なくとも一つの付加的なRNAエフェクター分子と組み合わせる(または投与する)ことができる:炭素の代謝及び輸送、アポトーシス、RNAiの取込み及び/または効率、反応性酸素種の産生、細胞周期の制御、タンパク質の折りたたみ、ピログルタミン酸化タンパク質修飾、デアミダーゼ、グリコシル化、ジスルフィド結合の形成、タンパク質分泌、遺伝子増幅、ウイルス複製、ウイルス感染、ウイルス粒子の放出、pHの制御ならびにタンパク質産生。
一つの実施形態では、本明細書で述べる組成物は複数のRNAエフェクター分子を含有する。この態様の一つの実施形態では、複数のRNAエフェクター分子の各々は異なる濃度で提供される。この態様の別の実施形態では、複数のRNAエフェクター分子の各々は同じ濃度で提供される。この態様の別の実施形態では、複数のRNAエフェクター分子の少なくとも2つは同じ濃度で提供され、複数のうちの少なくとも一つの他のRNAエフェクター分子は異なる濃度で提供される。RNAエフェクター分子及び濃度の様々な組合せが、本明細書で述べる所望作用を生じさせるために培養細胞に提供され得ることは当業者に認識される。
一つの実施形態では、第一RNAエフェクター分子を培養細胞に投与し、次に第二RNAエフェクター分子を細胞に投与する(または逆も同様である)。さらなる実施形態では、第一RNAエフェクター分子と第二RNAエフェクター分子を実質的に同時に培養細胞に投与する。
別の実施形態では、本明細書で述べるRNAエフェクター分子、例えば宿主細胞標的遺伝子に対するdsRNAを含有する組成物を、細胞による生物由来物質の産生を増強するために有用な非RNA物質と共に培養細胞に投与する。
本明細書を特徴付ける組成物は、標的遺伝子の発現を阻害するのに十分な量で投与される。一般に、RNAエフェクター分子の適切な用量は、1日につき単位容量当たり0.001〜200.0mgの範囲内である。別の実施形態では、RNAエフェクター分子を1日当たり0.001nM〜200mMの範囲内、一般に0.1 nM〜500nM(両端を含む)の範囲内で提供する。例えば、dsRNAは単回用量当たり0.01nM、0.05nM、0.1nM、0.5nM、0.75nM、1nM、1.5nM、2nM、3nM、10nM、20nM、30nM、40nM、50nM、100nM、200nM、400nMまたは500nMで投与し得る。一つの実施形態では、RNAエフェクター分子を50nM未満の濃度で投与するまたは細胞と接触させる。
組成物は1日1回投与することができ、またはRNAエフェクター分子を、1日を通して適切な間隔で2、3もしくはそれ以上の分割用量としてまたは制御放出製剤による送達として投与できる。その場合、各分割用量に含まれるRNAエフェクター分子は、総1日用量を達成するために対応してより少用量でなければならない。投与単位はまた、例えば数日間にわたるRNAエフェクター分子の持続放出を提供する従来の持続放出製剤を用いて、数日間にわたる送達用に配合され得る。持続放出製剤は当技術分野で周知であり、本発明の物質に関して使用できるような、特定部位への薬剤の送達のために特に有用である。留意すべき点として、複数のRNAエフェクター分子を投与する場合、RNAエフェクター分子の総用量が各々を単独で投与した場合よりも高くなることを考慮しなければならない。例えば、各々1nMの3つのRNAエフェクター分子の投与(例えば標的遺伝子発現の有効な阻害のため)は、必然的に細胞への3nMの総用量を生じさせる。当業者は、RNAエフェクター分子または送達剤のいずれかの高濃度から生じる胚への望ましくない毒性作用を予防しつつ、各標的遺伝子の有効な阻害を生じさせるように各RNAエフェクター分子の必要量を変更することができる。
標的遺伝子の転写産物レベルへの単回用量の作用は、その後の用量が多くても3、4もしくは5日の間隔で、または多くても1、2、3または4週間の間隔で投与されるように、長時間作用性であり得る。
一つの実施形態では、RNAエフェクター分子の投与を、生物由来物質の単離の少なくとも6時間前、少なくとも12時間前、少なくとも18時間前、少なくとも36時間前、少なくとも48時間前、少なくとも60時間前、少なくとも72時間前、少なくとも96時間前または少なくとも120時間前または少なくとも1週間前に停止する。従って一つの実施形態では、RNAエフェクター分子と宿主細胞(例えば大規模宿主細胞培養物中の)との接触は、生物由来物質の単離の少なくとも6時間前、少なくとも12時間前、少なくとも18時間前、少なくとも36時間前、少なくとも48時間前、少なくとも60時間前、少なくとも72時間前、少なくとも96時間前または少なくとも120時間前または少なくとも1週間前に完了する。
また、特定の実施形態では、各細胞につき一定数(または少なくとも最小数)のRNAエフェクター分子が維持されるように培養細胞をRNAエフェクター分子と接触させることが有益であり得ることが留意される。RNAエフェクター分子自体のレベルを維持することにより、高い細胞密度であっても標的遺伝子発現の調節を確実に維持することができる。
あるいは、細胞密度に応じたRNAエフェクター分子の量を投与することができる。かかる実施形態では、RNAエフェクター分子を少なくとも0.01fmol/10細胞、少なくとも0.1fmol/10細胞、少なくとも0.5fmol/10細胞、少なくとも0.75fmol/10細胞、少なくとも1fmol/10細胞、少なくとも2fmol/10細胞、少なくとも5fmol/10細胞、少なくとも10fmol/10細胞、少なくとも20fmol/10細胞、少なくとも30fmol/10細胞、少なくとも40fmol/10細胞、少なくとも50fmol/10細胞、少なくとも60fmol/10細胞、少なくとも100fmol/10細胞、少なくとも200fmol/10細胞、少なくとも300fmol/10細胞、少なくとも400fmol/10細胞、少なくとも500fmol/10細胞、少なくとも700fmol/10細胞、少なくとも800fmol/10細胞、少なくとも900fmol/10細胞または少なくとも1pmol/10細胞またはそれ以上の濃度で添加する。
選択的実施形態では、RNAエフェクター分子を細胞につき少なくとも10分子、細胞につき少なくとも20分子(分子/細胞)、少なくとも30分子/細胞、少なくとも40分子/細胞、少なくとも50分子/細胞、少なくとも60分子/細胞、少なくとも70分子/細胞、少なくとも80分子/細胞、少なくとも90分子/細胞、少なくとも100分子/細胞、少なくとも200分子/細胞、少なくとも300分子/細胞、少なくとも400分子/細胞、少なくとも500分子/細胞、少なくとも600分子/細胞、少なくとも700分子/細胞、少なくとも800分子/細胞、少なくとも900分子/細胞、少なくとも1000分子/細胞、少なくとも2000分子/細胞、少なくとも5000分子/細胞またはそれ以上(包括的)の用量で投与する。
一部の実施形態では、RNAエフェクター分子を10〜100分子/細胞、10〜90分子/細胞、10〜80分子/細胞、10〜70分子/細胞、10〜60分子/細胞、10〜50分子/細胞、10〜40分子/細胞、10〜30分子/細胞、10〜20分子/細胞、90〜100分子/細胞、80〜100分子/細胞、70〜100分子/細胞、60〜100分子/細胞、50〜100分子/細胞、40〜100分子/細胞、30〜100分子/細胞、20〜100分子/細胞、30〜60分子/細胞、30〜50分子/細胞、40〜50分子/細胞、40〜60分子/細胞の範囲内またはそれらの間の任意の範囲内の用量で投与する。
本明細書で述べる方法の一つの実施形態では、RNAエフェクター分子を持続注入中で細胞に提供する。持続注入は、ゼロ日目(例えば細胞培養の1日目またはRNAエフェクター分子の接種の当日)に開始し得るかまたは生物由来物質の生産工程の間の任意の時点で開始できる。同様に、持続注入は生物由来物質の生産工程の間の任意の時点で停止できる。従って、RNAエフェクター分子または組成物の注入は、細胞増殖の特定の期、生産工程中の時間帯または任意の他の所望時点で提供及び/または除去できる。持続注入はまた、標的遺伝子に対する「所望平均パーセント阻害」[この用語が本明細書で使用される場合]を達成するように提供できる。
一つの実施形態では、細胞培養物へのRNAエフェクター分子の初期ボーラス投与後に持続注入を使用することができる。この実施形態では、持続注入は、所望期間にわたってRNAエフェクター分子の濃度を最小レベルより上に維持する。持続注入は、培養物0.03pmol/L/時〜培養物3pmol/L/時、例えば0.03pmol/L/時、0.05pmol/L/時、0.08pmol/L/時、0.1pmol/L/時、0.2pmol/L/時、0.3pmol/L/時、0.5pmol/L/時、1.0pmol/L/時、2pmol/L/時または3pmol/L/時またはそれらの間の任意の値の速度で送達され得る。
一つの実施形態では、RNAエフェクター分子を滅菌水溶液として投与する。一つの実施形態では、RNAエフェクター分子を非脂質製剤中に製剤する。別の実施形態では、RNAエフェクター分子をカチオン性または非カチオン性脂質製剤中に製剤する。さらに別の実施形態では、RNAエフェクター分子を、宿主細胞を培養するのに適した細胞培地(例えば無血清培地)中に製剤する。一つの実施形態では、RNAエフェクター分子の初期濃度を、標的遺伝子の発現の調節を維持するためにRNAエフェクター分子の持続注入で補完する。別の実施形態では、RNAエフェクター分子を、一定濃度(例えば1nM)を達成するためにボーラス投与において細胞増殖の特定の段階(例えば初期対数期)で培養細胞に適用し、RNAエフェクター分子の持続注入を行う。
RNAエフェクター分子は1日1回投与することができ、またはRNAエフェクター分子治療は、生物由来物質の生産中を通して適切な間隔/頻度で組成物を培地に添加することによって反復できる(例えば2回、3回またはそれ以上の投与)。本明細書で使用される「頻度」という用語は、細胞培養物のトランスフェクションが生じる間隔であり、各標的遺伝子に対する所望阻害レベルを維持するように当業者によって最適化され得る間隔を指す。一つの実施形態では、RNAエフェクター分子を48時間ごとの頻度で培養細胞と接触させる。他の実施形態では、RNAエフェクター分子を、生物由来物質の生産期間中、例えば4時間ごと、6時間ごと、12時間ごと、18時間ごと、24時間ごと、36時間ごと、72時間ごと、84時間ごと、96時間ごと、5日ごと、7日ごと、10日ごと、14日ごと、3週間ごとまたはそれ以上の期間ごとの頻度で投与する。頻度はまた、各々の投与の間の間隔が異なるように(例えば最初は36時間の間隔;2回目は48時間の間隔;3回目は72時間の間隔等)変化させ得る。
「頻度」という用語は、同様に生物由来物質の生産の間の細胞培養物の栄養供給にも適用され得る。RNAエフェクター分子での処理の頻度と栄養供給の頻度は同じである必要はない。明瞭にするため、栄養分は、RNAエフェクター処理の時点でまたは交互に添加することができる。栄養供給の頻度は、RNAエフェクター分子処理より短い間隔であってもよくまたはより長い間隔であってもよい。例えば、RNAエフェクター分子の用量を48時間の間隔で適用し、栄養供給を24時間の間隔で適用することができる。生物由来物質を生産するための間隔全体(例えば3週間)の間に、RNAエフェクター分子より多い栄養分の投与量またはRNAエフェクター分子より少ない栄養分の投与量が供給され得る。あるいは、RNAエフェクター分子での処理の量は栄養供給の量に等しい。
RNAエフェクター分子処理の頻度は、特定標的遺伝子の「平均パーセント阻害」を維持するように最適化できる。本明細書で使用される、「所望平均パーセント阻害」という用語は、所望作用を生じさせるのに必要であり、かつ望ましくないまたは負の作用を生じさせる阻害の程度よりも低い、経時的な標的遺伝子発現の阻害の平均度合を指す。例えば、Bax/Bakの所望阻害は、典型的にはアポトーシスの低減を生じさせるために>80%阻害であり、一方LDHの所望平均阻害は、高度のLDH平均阻害(例えば90%)は細胞生存能を低下させるので、より低くてよい(例えば70%)。一部の実施形態では、所望平均パーセント阻害は、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも 99%、さらには100%(すなわち不在)である。当業者は、所望パーセント阻害についての上限(例えば望ましくない作用を生じさせる阻害のレベル)を決定するために通常の細胞死アッセイを使用することができる。当業者はまた、遺伝子調節を生じさせるRNAエフェクター分子の量を決定するために標的遺伝子発現を検出する方法(例えばPERT)が使用できる。Zhangら、102 Biotech.Bioeng.1438−47(2009)参照。阻害の量は動的であり、RNAエフェクター分子の用量間でわずかに変動し得るので、本明細書ではパーセント阻害を経時的な平均値として述べる。
本明細書で述べる方法の一つの実施形態では、RNAエフェクター分子を培養細胞の培地に添加する。本明細書で述べる方法は、任意の大きさの細胞培養フラスコ及び/またはバイオリアクターに適用できる。例えば、該方法は、1L、3L、5L、10L、15L、40L、100L、500L、1000L、2000L、3000L、4000L、5000Lまたはそれ以上のバイオリアクターまたは細胞培養物において適用できる。一部の実施形態では、細胞培養物の大きさは、0.01L〜5000L、0.1L〜5000L、1L〜5000L、5L〜5000L、40L〜5000L、100L〜5000L、500L〜5000L、1000L〜5000L、2000L〜5000L、3000L〜5000L、4000L〜5000L、4500L〜5000L、0.01L〜1000L、0.01L〜500L、0.01L〜100L、0.01L〜40L、15L〜2000L、40L〜1000L、100L〜500L、200L〜400Lまたはそれらの間の任意の整数にわたり得る。
RNAエフェクター分子は、誘導期、定常期、初期対数期、中間対数期、後期対数期、指数期または死滅期を含むがこれらに限定されない、細胞増殖の任意の期の間に添加できる。細胞が死滅期に入る前に細胞をRNAエフェクター分子と接触させることが好ましい。アポトーシス経路を標的する場合のような、一部の実施形態では、誘導期、初期対数期、中間対数期または後期対数期などの早期増殖期に細胞を接触させることが望ましいと考えられる(例えばBax/Bak阻害)。他の実施形態では、例えば乳酸塩などの増殖制限生成物が形成される場合(例えばLDH阻害)、細胞増殖周期の後期(例えば後期対数期または定常期)に標的遺伝子発現を阻害することが望ましいまたは許容されると考えられる。
組成物
宿主細胞中の標的遺伝子の発現を調節することによって細胞培養物における生物由来物質の産生を増強するための組成物も提供される。
一つの実施形態では、本発明は、本明細書で述べるRNAエフェクター分子及び許容される担体を含有する組成物を提供する。RNAエフェクター分子を含有する組成物は、細胞における標的遺伝子の発現または活性を調節することによって細胞による生物由来物質の産生を増強するために有用である。そのような組成物は、送達の方法に基づいて製剤される。生物由来物質の産生を改善するうえで有用な例示的RNAエフェクター分子が本明細書で提供される。一つの実施形態では、組成物中のRNAエフェクター分子はsiRNAである。あるいは、組成物中のRNAエフェクター分子はsiRNAではない。
本発明のRNAエフェクター分子組成物は、水性、非水性または混合媒質中の懸濁液として製剤でき、また、例えば本明細書で述べるような、脂質または非脂質製剤中に製剤できる(例えば、本明細書の以下の表題の章参照:リガンド、脂質/オリゴヌクレオチド複合体、乳剤、界面活性剤、透過促進剤及び付加的な担体)。
一つの実施形態では、組成物は、少なくとも一つのRNAエフェクター分子及びRNAエフェクター分子の取込みを促進する試薬、例えば乳剤、カチオン性脂質、非カチオン性脂質、荷電脂質、リポソーム、アニオン性脂質、透過促進剤、トランスフェクション試薬または結合のためのRNAエフェクター分子への修飾物、例えばリガンド、標的部分、ペプチド、親油基等を含有する。
一部の実施形態では、RNAエフェクター分子組成物は、脂質No.200としても知られる「脂質H」、脂質No.201としても知られる「脂質K」、脂質No.202としても知られる「脂質L」、脂質No.203としても知られる「脂質M」、脂質No.204としても知られる「脂質P」または脂質No.205としても知られる「脂質R」を含む、RNAエフェクター分子の取込みを促進する試薬を含有し、前記脂質の式は以下のように示される:
Figure 2014501097
別の実施形態では、RNAエフェクター分子を含有する組成物は、例えば宿主細胞の増殖に適した、増殖培地をさらに含有する。一つの実施形態では、増殖培地は、Biowhittaker(登録商標)POWERCHO(登録商標)(Lonza,Basel,Switzerland)、HYCLONE PF CHO(商標)(Thermo Scientific,Fisher Scientific)、GIBCO(登録商標)CD DG44(Invitrogen,Carlsbad,CA)、Medium M199(Sigma−Aldrich)、OPTIPRO(商標)SFM(Gibco)等のような化学的組成の明らかな培地である。RNAエフェクターは、理想的には、再溶解されたとき、好都合な投与単位であるような濃度、例えば1L培養物中での使用のために有用な濃度である。
さらに別の実施形態では、RNAエフェクター分子組成物は、増殖培地添加物、例えば必須アミノ酸(例えばグルタミン)、2−メルカプトエタノール、ウシ血清アルブミン(BSA)、脂質濃縮物、コレステロール、カタラーゼ、インスリン、ヒトトランスフェリン、スーパーオキシドジスムターゼ、ビオチン、DL α−トコフェロールアセテート、DL α−トコフェロール、ビタミン類(例えばビタミンA(アセテート)、塩化コリン、D−パントテン酸カルシウム、葉酸、ニコチンアミド、塩酸ピリドキサール、リボフラビン、塩酸チアミン、i−イノシトール)、コルチコステロン、D−ガラクトース、エタノールアミンHCl、グルタチオン(還元型)、L−カルニチンHCl、リノール酸、リノレン酸、プロゲステロン、プトレシン2HCl、亜セレン酸ナトリウム、T3(トリヨード−I−チロニン)、増殖因子(例えばEGF)、鉄、L−グルタミン、L−アラニル−L−グルタミン、ヒポキサンチンナトリウム、アミノプテリン及びチミジン、アラキドン酸、エチルアルコール100%、ミリスチン酸、オレイン酸、パルミチン酸、パルミトオレイン酸、プルロニックF−68(登録商標)(Invitrogen,Carlsbad,CA)、ステアリン酸10、TWEEN 80(登録商標)非イオン性界面活性剤(Invitrogen)、ピルビン酸ナトリウム及びグルコースから成る群より選択される物質を含有する。
RNAエフェクター分子組成物は、滅菌溶液中でまたは凍結乾燥されて提供され得る。一つの実施形態では、組成物は、例えば様々な投与頻度及び用量、例えば本明細書で述べる頻度及び用量での投与に適したRNAエフェクター分子を供給するために、濃度及び/または容量別に個別単位で包装される。
一つの実施形態では、組成物は、本明細書で述べる投与レジメンに従った、例えば6時間、12時間、24時間、36時間、48時間、72時間、84時間、96時間、108時間またはそれ以上の頻度での、細胞への投与用に製剤される。あるいは、組成物は持続注入用の用量で製剤される。
別々の標的遺伝子に対する2またはそれ以上のRNAエフェクター分子を含有する組成物も提供される。組成物は、培養細胞中の第一標的遺伝子及び少なくとも第二標的遺伝子の発現を調節することによって細胞培養物における生物由来物質の産生を増強するために使用できる。別の実施形態では、同じ標的遺伝子に対する2またはそれ以上のRNAエフェクター分子を含有する組成物が提供される。
脂質/オリゴヌクレオチド複合体
一部の実施形態では、RNAエフェクター分子の取込みを促進する試薬は、本明細書で述べる荷電脂質、乳剤、リポソーム、カチオン性または非カチオン性脂質、アニオン性脂質、トランスフェクション試薬または透過促進剤を含む。一つの実施形態では、本明細書で使用されるRNAエフェクター分子の取込みを促進する試薬は、2009年12月7日出願の米国仮特許出願第61/267,419号に記載されている荷電脂質を含む。
本発明のオリゴヌクレオチドは、リポソーム内に封入され得るかまたはリポソームとの複合体、特にカチオン性リポソームとの複合体を形成し得る。あるいは、RNAエフェクター分子は、脂質、特にカチオン性脂質と複合体を形成し得る。適切な脂肪酸及びエステルは、アラキドン酸、オレイン酸、エイコサン酸、ラウリン酸、カプリル酸、カプリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、リノール酸、リノレン酸、ジカプレート、トリカプレート、モノオレイン、ジラウリン、グリセリル1−モノカプレート、1−ドデシルアザシクロヘプタン−2−オン、アシルカルニチン、アシルコリンまたはC1〜20アルキルエステル(例えばイソプロピルミリステートIPM)、モノグリセリド、ジグリセリドまたはそれらの許容される塩を含むが、これらに限定されない。
一つの実施形態では、RNAエフェクター分子は脂質製剤中に完全に封入される(例えばSPLP、pSPLP、SNALPまたは他の核酸−脂質粒子を形成するように)。「SNALP」という用語は、安定な核酸−脂質粒子:RNAエフェクター分子またはRNAエフェクター分子がそこから転写されるプラスミドなどの核酸を含有する、水分量の低い内部を被覆する脂質の小胞を指す。SNALPは、例えば米国特許出願公開第2006/0240093号、同第2007/0135372号、同第2009/0291131号、米国特許出願第12/343,342号、同第12/424,367号に記載されている。「SPLP」という用語は、脂質小胞内に封入されたプラスミドDNAを含有する核酸−脂質粒子を指す。SNALP及びSPLPは、典型的にはカチオン性脂質、非カチオン性脂質、及び粒子の凝集を防ぐ脂質(例えばPEG−脂質コンジュゲート)を含有する。SPLPは「pSPLP」を包含し、pSPLPは、国際公開広報第WO00/03683号に示されている封入された縮合剤−核酸複合体を含む。この実施形態の粒子は、典型的には約50nm〜約150nm、または約60nm〜約130nm、または約70nm〜約110nm、または典型的には約70nm〜約90nm(両端を含む)の平均直径を有し、実質的に非毒性である。加えて、本発明の核酸−脂質粒子中に存在する場合の核酸は、水溶液中でヌクレアーゼによる分解に対して抵抗性である。核酸−脂質粒子及びそれらの作製方法は、例えば米国特許第5,976,567号、同第5,981,501号、同第6,534,484号、同第6,586,410号、同第6,815,432号、及び国際公開広報第WO96/40964号に報告されている。
脂質対薬剤の比率(質量/質量比)(例えば脂質対dsRNA比)は、約1:1〜約50:1、約1:1〜約25:1、約3:1〜約15:1、約4:1〜約10:1、約5:1〜約9:1または約6:1〜約9:1(両端を含む)の範囲内であり得る。
製剤のカチオン性脂質は、4〜15のpKaを有する少なくとも一つのプロトン化可能な基を含有し得る。カチオン性脂質は、例えば、N,N−ジオレイル−N,N−ジメチルアンモニウムクロリド(DODAC)、N,N−ジステアリル−N,N−ジメチルアンモニウムブロミド(DDAB)、N−(I−(2,3−ジオレオイルオキシ)プロピル)−N,N,N−トリメチルアンモニウムクロリド(DOTAP)、N−(I−(2,3−ジオレイルオキシ)プロピル)−N,N,N−トリメチルアンモニウムクロリド(DOTMA)、N,N−ジメチル−2,3−ジオレイルオキシ)プロピルアミン(DODMA)、1,2−ジリノレイルオキシ−N,N−ジメチルアミノプロパン(DLinDMA)、1,2−ジリノレニルオキシ−N,N−ジメチルアミノプロパン(DLenDMA)、1,2−ジリノレイルカルバモイルオキシ−3−ジメチルアミノプロパン(DLin−C−DAP)、1,2−ジリノレイルオキシ−3−(ジメチルアミノ)アセトキシプロパン(DLin−DAC)、1,2−ジリノレイルオキシ−3−モルホリノプロパン(DLin−MA)、1,2−ジリノレオイル−3−ジメチルアミノプロパン(DLinDAP)、1,2−ジリノレイルチオ−3−ジメチルアミノプロパン(DLin−S−DMA)、1−リノレオイル−2−リノレイルオキシ−3−ジメチルアミノプロパン(DLin−2−DMAP)、1,2−ジリノレイルオキシ−3−トリメチルアミノプロパンクロリド塩(DLin−TMA.Cl)、1,2−ジリノレオイル−3−トリメチルアミノプロパンクロリド塩(DLin−TAP.Cl)、1,2−ジリノレイルオキシ−3−(N−メチルピペラジノ)プロパン(DLin−MPZ)、または3−(N,N−ジリノレイルアミノ)−1,2−プロパンジオール(DLinAP)、3−(N,N−ジオレイルアミノ)−1,2−プロパンジオ(DOAP)、1,2−ジリノレイルオキソ−3−(2−N,N−ジメチルアミノ)エトキシプロパン(DLin−EG−DMA)、2,2−ジリノレイル−4−ジメチルアミノメチル−[1,3]−ジオキソラン(DLin−K−DMA)、2,2−ジリノレイル−4−ジメチルアミノエチル−[1,3]−ジオキソラン、またはそれらの混合物であり得る。カチオン性脂質は、粒子中に存在する総脂質の約20モル%〜約70モル%(両端を含む)、または約40モル%〜約60モル%(両端を含む)を構成し得る。一つの実施形態では、カチオン性脂質はリガンドにさらに結合できる。
非カチオン性脂質は、アニオン性脂質または中性脂質、例えばジステアロイルホスファチジルコリン(DSPC)、ジオレオイルホスファチジルコリン(DOPC)、ジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)、ジオレオイルホスファチジルグリセロール(DOPG)、ジパルミトイルホスファチジルグリセロール(DPPG)、ジオレオイルホスファチジルエタノールアミン(DOPE)、パルミトイルオレオイルホスファチジルコリン(POPC)、パルミトイルオレオイルホスファチジルエタノールアミン(POPE)、ジオレオイルホスファチジルエタノールアミン4−(N−マレイミドメチル)−シクロヘキサン−1−カルボキシレート(DOPE−mal)、ジパルミトイルホスファチジルエタノールアミン(DPPE)、ジミリストイルホスホエタノールアミン(DMPE)、ジステアロイルホスファチジルエタノールアミン(DSPE)、16−O−モノメチルPE、16−O−ジメチルPE、18−1−トランスPE、1−ステアロイル−2−オレオイルホスファチジルエタノールアミン(SOPE)、コレステロール、またはそれらの混合物であり得る。非カチオン性脂質は、粒子中に存在する総脂質の約5モル%〜約90モル%(両端を含む)、またはコレステロールが含まれる場合は、約10モル%〜約58モル%(両端を含む)であり得る。
粒子の凝集を阻害する脂質は、例えば、以下に限定しないが、PEG−ジアシルグリセロール(DAG)、PEG−ジアルキルオキシプロピル(DAA)、PEG−リン脂質、PEG−セラミド(Cer)またはそれらの混合物を含むポリエチレングリコール−脂質であり得る。PEG−DAAは、例えば、PEG−ジラウリルオキシプロピル(C12)、PEG−ジミリスチルオキシプロピル(C14)、PEG−ジパルミチルオキシプロピル(C16)またはPEG−ジステアリルオキシプロピル(C18)を含むポリエチレングリコール(PEG)リピドであり得る。粒子の凝集を防ぐ脂質は、粒子中に存在する総脂質の0モル%〜約20モル%または約2モル%であり得る。一つの実施形態では、PEG脂質はリガンドにさらに結合できる。
一部の実施形態では、核酸−脂質粒子は、例えば粒子中に存在する総脂質の約10モル%〜約60モル%(両端を含む)または約48モル%の、コレステロールなどのステロイドをさらに含む。
一つの実施形態では、脂質粒子は、ステロイド、PEG脂質及び式(I):
Figure 2014501097
[式中、各々のXa及びXbは、存在する各々の場合に、独立してC1〜6アルキレンであり、
nは0、1、2、3、4または5であり、各々のRは、独立してH、
Figure 2014501097
[式中、mは0、1、2、3または4であり;Yは、存在しないか、O、NRまたはSであり、Rは、各々が場合により1またはそれ以上の置換基で置換されたアルキル、アルケニルまたはアルキニルである]
であり;及びRは、H、各々が場合により1またはそれ以上の置換基で置換されたアルキル、アルケニルまたはアルキニルである]
のカチオン性脂質を含有する。
一例では、脂質RNAエフェクター分子ナノ粒子(例えばLNP01粒子)を作製するためにリピドイドND98・4HCl(分子量1487)(式2)、コレステロール(Sigma−Aldrich)及びPEG−セラミドC16(Avanti Polar Lipids)が使用できる。エタノール中の各々の保存溶液は以下のように調製できる:ND98、133mg/mL、コレステロール、25mg/mL、PEG−セラミドC16、100mg/mL。ND98、コレステロール及びPEG−セラミドC16保存溶液を、次に、例えば42:48:10のモル比で合わせることができる。合わせた脂質溶液を、最終エタノール濃度が約35%〜45%及び最終酢酸ナトリウム濃度が約100mM〜300mM(両端を含む)になるように水性RNAエフェクター分子と混合し得る(例えばpH5の酢酸ナトリウム中で)。脂質RNAエフェクター分子ナノ粒子は、典型的には混合時に自発的に形成される。所望粒子径分布に依存して、生じたナノ粒子混合物を、例えばLipex Extruder(Northern Lipids,Inc)などのサーモバレル押出機を使用してポリカーボネート膜(例えば100nmカットオフ)を通して押し出すことができる。一部の場合は、押出工程を省くことができる。エタノール除去及び同時緩衝液交換は、例えば透析または接線流ろ過によって達成し得る。緩衝液は、例えば約pH7、例えば約pH6.9、約pH7.0、約pH7.1、約pH7.2、約pH7.3または約pH7.4のリン酸緩衝食塩水(PBS)と交換できる。
Figure 2014501097
LNP01製剤は、例えば国際公開広報第WO2008/042973号に記載されている。
一つの実施形態では、本明細書で使用されるRNAエフェクター分子の取込みを促進する試薬は、例えば2009年12月7日出願の米国仮特許出願第61/267,419号及び2010年5月13日出願の米国仮特許出願第61/334,398号に記載されているようなカチオン性脂質を含む。様々な実施形態において、本明細書で述べるRNAエフェクター分子組成物は、「脂質H」、「脂質K」、「脂質L」、「脂質M」、「脂質P」または「脂質R」から成る群より選択されるカチオン性脂質を含有し、前記脂質の式は以下のように示される:
Figure 2014501097
また、例えば、それぞれ脂質K、P及びLを含有する製剤を指すK8、P8及びL8などの、上述した脂質の様々な製剤も本明細書で企図される。本明細書で述べる方法及び組成物に関する使用のための一部の例示的な脂質製剤は、例えば表19に認められる:
Figure 2014501097
別の実施形態では、本明細書で述べるRNAエフェクター分子組成物は、脂質H、脂質K、脂質L、脂質M、脂質P及び脂質Rから成る群より選択される脂質を含む脂質製剤をさらに含有し、中性脂質及びステロールをさらに含有する。特定の実施形態では、脂質製剤は約25モル%〜100モル%の脂質を含む。別の実施形態では、脂質製剤は約0モル%〜50モル%のコレステロールを含む。さらに別の実施形態では、脂質製剤は30モル%〜65モル%の中性脂質を含む。特定の実施形態では、脂質製剤は、以下のように表20に列挙される相対モル%の成分を含有する:
Figure 2014501097
さらなる例示的な脂質−siRNA製剤は、以下の表69に示されているとおりである。
Figure 2014501097
Figure 2014501097
LNP09製剤及びXTC含有製剤は、例えば、参照により本明細書に組み込まれる、2009年9月3日出願の米国仮特許出願第61/239,686号に記載されている。
LNP11製剤及びMC3含有製剤は、例えば、参照により本明細書に組み込まれる、2009年9月22日出願の米国仮特許出願第61/244,834号に記載されている。
LNP12製剤及びTechG1含有製剤は、例えば、参照により本明細書に組み込まれる、2009年5月5日出願の米国仮特許出願第61/175,770号に記載されている。
標準法または押出フリー法のいずれかによって調製される製剤を同様の方法で特徴付けることができる。例えば、典型的には目視検査によって製剤を特徴付ける。それらは、凝集体または沈降物を含まない白っぽい透明な溶液であるはずである。脂質−ナノ粒子の粒径及び粒径分布は、例えばMalvern Zetasizer Nano ZS(Malvern,PA)を用いて光散乱によって測定できる。粒子は約20〜300nm、例えば40〜100nmの大きさであるはずである。粒径分布は単峰型であるはずである。製剤ならびに取り込まれた画分中の総dsRNAエフェクター分子濃度は、色素排除アッセイを用いて推定される。製剤されたRNAエフェクター分子の試料を、製剤破壊界面活性剤、例えば0.5%Triton−X100の存在下または不在下でRibogreen(Molecular Probes)などのRNA結合色素と共にインキュベートすることができる。製剤中の総RNAエフェクター分子は、標準曲線と比較した、界面活性剤を含有する試料からのシグナルによって決定できる。取り込まれた画分は、総RNAエフェクター分子含量から「遊離」RNAエフェクター分子含量(界面活性剤の不在下でのシグナルによって測定される)を差し引くことによって決定される。取り込まれるRNAエフェクター分子のパーセントは、典型的には>85%である。脂質ナノ粒子製剤に関して、粒径は少なくとも30nm、少なくとも40nm、少なくとも50nm、少なくとも60nm、少なくとも70nm、少なくとも80nm、少なくとも90nm、少なくとも100nm、少なくとも110nmまたは少なくとも120nmである。適切な範囲は、典型的には少なくとも約50nm〜少なくとも約110nm、少なくとも約60nm〜少なくとも約100nm、または少なくとも約80nm〜少なくとも約90nm(両端を含む)である。
リポソームは、親油性物質から形成される膜と水性内部を有する単層または多重層の小胞である。水性部分は送達される組成物を含有する。カチオン性リポソームは、細胞壁に融合することができるという利点を有する。非カチオン性リポソームは、効率的に細胞壁と融合することはできないが、インビボでマクロファージによって取り込まれる。無傷細胞膜を越えるために、脂質小胞は、適切な経皮勾配の影響下で、各々が直径50nm未満の一連の微細孔を通り抜けなければならない。従って、高度に変形可能であり、そのような微細孔を通過できるリポソームを使用することが望ましい。
リポソームのさらなる利点は、天然リン脂質から得られるリポソームは生体適合性及び生分解性であること;リポソームは広範囲の水溶性及び脂溶性薬剤を組み込み得ること;ならびにリポソームは、その内部区画内に封入された薬剤を代謝及び分解から保護し得ることを含む。例えば、Wangら、DRUG DELIV.PRINCIPLES&APPL.(John Wiley&Sons,Hoboken,NJ,2005);Rosoff,1988参照。リポソーム製剤の調製において考慮すべき重要な点は、脂質表面の電荷、小胞の大きさ及びリポソームの水分容量である。
リポソームは、作用部位への有効成分の輸送及び送達のために有用である。リポソーム膜は構造的に生体膜に類似するので、リポソームを組織に適用した場合、リポソームは細胞膜との融合を開始し、リポソームと細胞の融合が進行すると共に、リポソームの内容物が細胞内に流入して、そこで活性物質が作用し得る。リポソーム製剤は多くの薬剤のための送達方法として広範な研究の中心となってきた。局所投与に関して、リポソームが他の製剤に比べていくつかの利点を示すことの証拠が増えつつある。かかる利点は、投与された薬剤の高い全身吸収に関連する副作用の低減、所望標的における投与薬剤の蓄積の増大、ならびに親水性及び疎水性の両方の多種多様な薬剤を皮膚内に投与できることを含む。
リポソームは2つの大きなクラスに分類される。カチオン性リポソームは、負に荷電したポリヌクレオチド分子と相互作用して安定な複合体を形成する、正に荷電したリポソームである。正に荷電したポリヌクレオチド/リポソーム複合体は、負に荷電した細胞表面に結合し、エンドソーム内にインターナライズされる。エンドソーム内の酸性pHにより、リポソームは破裂して、その内容物を細胞質中に放出する。Wangら、147 Biochem.Biophys.Res.Commun.,980−85(1987)。
pH感受性であるかまたは負に荷電したリポソームは、ポリヌクレオチドと複合体を形成するのではなくポリヌクレオチドを取り込む。ポリヌクレオチドと脂質の両方が同様に荷電しているので、複合体形成ではなく斥力が生じる。それにもかかわらず、一部のポリヌクレオチドはこれらのリポソームの水性内部に捕捉される。pH感受性リポソームは、チミジンキナーゼ遺伝子をコードするDNAを培養下の細胞単層に送達するために使用されてきた。外因性遺伝子の発現が標的細胞において検出された。Zhouら、19 J.Controlled Rel.269−74(1992)。
リポソーム組成物の主要なタイプの一つは、天然由来のホスファチジルコリン以外のリン脂質を含む。中性リポソーム組成物は、例えば、ジミリストイルホスファチジルコリン(DMPC)またはジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)から形成できる。アニオン性リポソーム組成物は、一般にジミリストイルホスファチジルグリセロールから形成されるが、アニオン性の膜融合性リポソームは主としてジオレオイルホスファチジルエタノールアミン(DOPE)から形成される。別のタイプのリポソーム組成物は、ホスファチジルコリン(PC)、例えばダイズPC及び卵PCなどから形成される。別のタイプは、リン脂質及び/またはホスファチジルコリン及び/またはコレステロールの混合物から形成される。
リポソームはまた、「立体的に安定化された」リポソームを含み、この用語は、本明細書で使用される場合、リポソームに組み込まれたとき、そのような特殊な脂質を欠くリポソームと比較して長い循環寿命を生じさせる1またはそれ以上の特殊な脂質を含むリポソームを指す。立体的に安定化されたリポソームの例は、リポソームの小胞を形成する脂質部分の一部が、(A)モノシアロガングリオシドGM1のような1もしくはそれ以上の糖脂質を含む、または(B)ポリエチレングリコール(PEG)部分のような1またはそれ以上の親水性ポリマーで誘導体化されているものである。いかなる特定の理論にも拘束されることを望むものではないが、少なくとも、ガングリオシド、スフィンゴミエリンまたはPEGで誘導体化された脂質を含有する立体的に安定化されたリポソームに関しては、これらの立体的に安定化されたリポソームの循環半減期の延長は、細網内皮系(RES)の細胞内への取込みの減少に由来すると当技術分野では考えられている。Allenら、223 FEBS Lett.42(1987);Wuら、53 Cancer Res.3765(1993)。
1またはそれ以上の糖脂質を含有する様々なリポソームが当技術分野において公知である。Papahadjopoulosら(507 Ann.NY Acad.Sci.64(1987))は、モノシアロガングリオシドGM1、硫酸ガラクトセレブロシド及びホスファチジルイノシトールがリポソームの血中半減期を改善する能力を報告した。これらの所見は、Gabizonら(85 PNAS 6949(1988))によって詳しく説明された。いずれもAllenらへの米国特許第4,837,028号及び国際公開広報第WO88/04924号は、(1)スフィンゴミエリン及び(2)ガングリオシドGM1または硫酸ガラクトセレブロシドエステルを含むリポソームを開示する。米国特許第5,543,152号(Webbら)は、スフィンゴミエリンを含むリポソームを開示する。1,2−sn−ジミリストイルホスファチジルコリンを含むリポソームは、国際公開広報第WO97/13499号(Limら)に開示されている。
1またはそれ以上の親水性ポリマーで誘導体化された脂質を含む多くのリポソーム及びその調製法が当技術分野において公知である。Sunamotoら(53 Bull.Chem.Soc.Jpn.2778(1980))は、PEG部分を含む非イオン性界面活性剤2C1215Gを含有するリポソームを記述した。Illumら(167 FEBS Lett.79(1984))は、高分子グリコールでのポリスチレン粒子の親水性コーティングが血中半減期の有意の延長を生じさせることを指摘した。ポリアルキレングリコール(例えばPEG)のカルボキシル基の結合によって修飾された合成リン脂質がSears(米国特許第4,426,330号及び同第4,534,899号)によって記述されている。加えて、ポリアルキレンで誘導体化されたリポソームに抗体を結合することができる(例えば、PCT特許出願第US2008/0014255号参照)。Klibanovら(268 FEBS Lett.235(1990))は、PEGまたはPEGステアレートで誘導体化されたホスファチジルエタノールアミン(PE)を含むリポソームが血液循環半減期の有意の延長を有することを実証する実験を記述した。Blumeら(1029 Biochim.Biophys.Acta 1029,(1990))は、そのような所見を他のPEG誘導体化リン脂質、例えばジステアロイルホスファチジルエタノールアミン(DSPE)とPEGの組合せから形成されるDSPE−PEGに拡大適用した。外表面上にPEG部分が共有結合しているリポソームが欧州特許第0445131B1号及びFisherへの国際公開広報第WO90/04384号に記載されている。
1〜20モル%のPEGで誘導体化されたPEを含有するリポソーム組成物及びその使用方法は、Woodleら(米国特許第5,013,556号及び同第5,356,633号)ならびにMartinら(米国特許第5,213,804号及び欧州特許第0496813B1号)によって記述されている。多くの他の脂質−ポリマーコンジュゲートを含むリポソームが、国際公開広報第WO91/05545号及び米国特許第5,225,212号及び国際公開広報第WO94/20073号に開示されている。PEG修飾されたセラミド脂質を含むリポソームは、国際公開広報第WO96/10391号に記載されている。米国特許第5,540,935号及び同第5,556,948号は、表面上の官能基部分でさらに誘導体化され得るPEG含有リポソームを記述する。PEGを含むリポソームに関する方法及び組成物は、例えば米国特許第6,049,094号、同第6,224,903号、同第6,270,806号、同第6,471,326号、同第6,958,241号に認められる。
上述したように、リポソームは、場合により、抗体または抗体フラグメント、細胞表面受容体と相互作用するための小さなエフェクター分子、抗原及び他の同様の化合物などの表面基を含むように作製することができ、これらの基は特定の細胞集団へのリポソーム及びその内容物の送達を促進し得る。標的分子で誘導体化された脂質またはあらかじめ形成されたリポソーム中の標的分子で誘導体化され得る極性頭部化学基を有する脂質をリポソーム脂質に含めることにより、そのようなリガンドをリポソームに含めることができる。あるいは、あらかじめ形成されたリポソームをリガンド−ポリマー−脂質コンジュゲートと共にインキュベートすることにより、標的部分をあらかじめ形成されたリポソームに挿入できる。
脂質は、リガンド、細胞表面受容体、糖タンパク質、ビタミン類(例えばリボフラビン)及びモノクロナール抗体などの様々な標的部分を用いて、リガンドを親水性ポリマー鎖の遊離遠位端に共有結合し、それを近位端で小胞形成脂質に結合することによって誘導体化できる。選択した親水性ポリマーを選択した脂質に結合し、選択したリガンドとの反応のためにポリマーの遊離非結合末端を活性化するための多種多様な技術が存在し、上述したように、親水性ポリマーであるポリエチレングリコール(PEG)は広く検討されてきた。Allenら、1237 Biochem.Biophys.Acta 99−108(1995)、Zalipsky,4 Bioconj.Chem.296−99(1993)、Zalipskyら、353 FEBS Lett.1−74(1994)、Zalipskyら、Bioconj.Chem.705−08(1995)、Zalipsky,in STEALTH LIPOSOMES(Lasic&Martin,eds.CRC Press,Boca Raton,FL,1995)。
高分子量核酸をリポソームに封入するための方法のような、核酸を含有する多くのリポソームが当技術分野において公知である。国際公開広報第WO96/40062号。Tagawaらへの米国特許第5,264,221号はタンパク質結合リポソームを開示し、そのようなリポソームの内容物はdsRNAを含み得ると主張している。Rahmanらへの米国特許第5,665,710号は、オリゴデオキシヌクレオチドをリポソームに封入する特定の方法を記述する。Loveらへの国際公開広報第WO97/04787号は、raf遺伝子を標的とするdsRNAを含むリポソームを開示する。加えて、核酸を含有するリポソーム組成物を作製するための方法は、例えば、米国特許第6,011,020号、同第6,074,667号、同第6,110,490号、同第6,147,204号、同第6,271,206号、同第6,312,956号、同第6,465,188号、同第6,506,564号、同第6,750,016号、同第7,112,337号に見出される。
トランスファーソーム(Transfersome)はさらに別のタイプのリポソームであり、薬剤送達ビヒクルの魅力的な候補物である高度に変形可能な脂質凝集体である。トランスファーソームは、高度に変形可能な脂質小滴であるため該小滴よりも小さい細孔を容易に通り抜けることができる脂質小滴と表すことができる。トランスファーソームは、それらが使用される環境に適応性であり、例えばそれらは自己最適化性であり、自己修復性であり、しばしば分断されることなく標的に到達し、そしてしばしば自己充填性である。トランスファーソームを作製するために、標準的なリポソーム組成物に表面端活性化剤、通常は界面活性剤を添加することが可能である。
封入されたナノ粒子もRNAエフェクター分子の送達に使用できる。そのような封入ナノ粒子の例は、酵母細胞壁粒子(YCWP)を用いて作製されるものを含む。例えば、グルカンが封入されたsiRNA粒子(GeRP)は、酵母細胞壁粒子(YCWP)外部及び多層ナノ粒子内部から作られるペイロード送達系であり、該多層ナノ粒子内部は、捕捉剤と複合体形成したペイロードを含むコアを有する。2008年10月29日出願の米国特許出願第12/260,998号に記載されているもののような、グルカン封入送達システムは、インビトロ及びインビボでサイレンシングを達成するためにsiRNA二本鎖を送達するのに使用できる。
乳剤
本発明の組成物は、乳剤として調製し、製剤することができる。乳剤は、典型的には一方の液体が通常は直径0.1μmを超える小滴の形態で他方の中に分散している不均一系である。例えば、Ansel’s PHARM.DOSAGE FORMS&DRUG DELIV.SYS.(8th ed.Allenら、eds.,Lippincott Williams&Wilkins,NY,2004)、Idson,in 1 PHARM.DOSAGE FORMS 199(Liebermanら、eds.,Marcel Dekker,Inc.,NY,1988)、Rosoff,in 1 PHARM.DOSAGE FORMS 245(Liebermanら、eds.,Marcel Dekker,Inc.,NY,1988)、Block in 2 PHARM.DOSAGE FORMS 335(Liebermanら、eds.,Marcel Dekker,Inc.,NY,1988)、Higuchiら、in REMINGTON’S PHARM.SCI.301(Mack Publishing Co.,Easton,PA,1985)参照。乳剤は、しばしば、互いに十分に混合され、分散された2つの非混和性の液相を含む二相系である。
一般に、乳剤は油中水型(w/o)または水中油型(o/w)のいずれかであり得る。水相が大量の油相中に微細に分割され、細かい小滴として分散される場合、生じる組成物は油中水型(w/o)乳剤と呼ばれる。あるいは、油相が大量の水相中に微細に分割され、細かい小滴として分散される場合、生じる組成物は水中油型(o/w)乳剤と呼ばれる。乳剤は、分散相に加えて、付加的な成分及び、水相、油相中またはそれ自体が分離した相としての溶液として存在し得る活性薬剤を含有し得る。乳化剤、安定剤、染料及び酸化防止剤などの医薬賦形剤も、必要に応じて乳剤中に存在し得る。医薬乳剤はまた、例えば油中水中油型(o/w/o)乳剤及び水中油中水型(w/o/w)乳剤の場合のような、3以上の相で構成される多相乳剤であり得る。そのような複雑な製剤は、単純な2成分の乳剤にはない特定の利点をしばしば提供する。o/w型乳剤の個々の油滴が小さな水滴を囲む多相乳剤は、w/o/w型乳剤を構成する。同様に油性連続相中に安定化された水の小球に囲まれた油滴の系は、o/w/o型乳剤を提供する。
乳剤は、熱力学的安定性がほとんどまたは全くないことを特徴とする。多くの場合、乳剤の分散相または不連続相は、外相または連続相中に十分に分散しており、乳化剤の使用または製剤の粘性を介してこの形態に維持される。乳剤型の軟膏基剤及びクリームの場合のように、乳剤の相のいずれかは半固体または固体であり得る。乳剤を安定化する他の手段は、乳剤のいずれかの相に組み込むことができる乳化剤の使用を必要とする。乳化剤は、大きく4つのカテゴリー:合成界面活性剤、天然に存在する乳化剤、吸収基剤及び微細分散固体に分類できる。例えば、ANSEL’S PHARM.DOSAGE FORMS&DRUG DELIV.SYS.,2004、Idson,in PHARM.DOSAGE FORMS,1988参照。
表面活性剤としても知られる合成界面活性剤は、乳剤の製剤において広い適用性が認められており、文献で総説されている。例えば、ANSEL’S PHARM.DOSAGE FORMS&DRUG DELIV.SYS.,2004、Idson,in PHARM.DOSAGE FORMS,1988、Rieger,in PHARM.DOSAGE FORMS,1988参照。界面活性剤は、典型的には両親媒性であり、親水性部分と疎水性部分を含む。界面活性剤の親水性と疎水性の比率は親水/親油バランス(HLB)と称されており、製剤の調製において界面活性剤を分類し、選択するうえで有益なツールである。界面活性剤は、親水基の性質に基づいて種々のクラス:非イオン性、アニオン性、カチオン性及び両性に分類できる。例えば、ANSEL’S PHARM.DOSAGE FORMS&DRUG DELIV.SYS.,2004、Idson,in PHARM.DOSAGE FORMS,1988、Rieger,in PHARM.DOSAGE FORMS,1988参照。
乳剤製剤において使用される天然の乳化剤は、ラノリン、蜜ろう、ホスファチド、レシチン及びアラビアゴムを含む。無水ラノリン及び親水ワセリンなどの吸収基剤は、水分を吸収してw/o型乳剤を形成し、それでもなおそれらの半固体粘稠度を維持できるように親水性特性を有する。微粉固体も、特に界面活性剤と組み合わせて及び粘性製剤において、良好な乳化剤として使用されてきた。これらは、重金属水酸化物などの極性無機固体、ベントナイト、アタパルジャイト、ヘクトライト、カオリン、モンモリロナイト、コロイド状ケイ酸アルミニウム及びコロイド状ケイ酸マグネシウムアルミニウムなどの非膨潤性粘土、色素ならびに炭素またはトリステアリン酸グリセリルなどの非極性固体を含む。
乳化作用のない種々様々な物質も乳剤製剤中に含まれ、乳剤の特性に寄与する。これらは、脂肪、油、ろう、脂肪酸、脂肪族アルコール、脂肪酸エステル、湿潤剤、親水コロイド、防腐剤及び酸化防止剤を含む。Block,in 1 PHARM.DOSAGE FORMS 335(Liebermanら、eds.,Marcel Dekker,Inc.,NY,1988)、Idson,in PHARM.DOSAGE FORMS(1988)。
親水コロイドまたはハイドロコロイドは、天然に存在するゴム及び合成ポリマー、例えば多糖類(例えばアラビアゴム、寒天、アルギン酸、カラゲナン、グアーガム、カラヤゴム及びトラガント)、セルロース誘導体(例えばカルボキシメチルセルロース及びカルボキシプロピルセルロース)ならびに合成ポリマー(例えばカルボマー、セルロースエーテル及びカルボキシビニルポリマー)を含む。これらは水中で分散または膨張し、分散相の小滴の周囲に丈夫な界面膜を形成すること及び外相の粘性を高めることによって乳剤を安定化するコロイド溶液を形成する。
乳剤はしばしば、微生物の増殖を容易に促進し得る炭水化物、タンパク質、ステロール及びホスファチドなどの多くの成分を含有するので、これらの製剤には防腐剤が組み込まれることが多い。乳剤製剤に含められる一般的に使用される防腐剤は、メチルパラベン、プロピルパラベン、第四級アンモニウム塩、塩化ベンザルコニウム、p−ヒドロキシ安息香酸のエステル及びホウ酸を含む。酸化防止剤も、製剤の劣化を防ぐために乳剤製剤に一般的に添加される。使用される酸化防止剤は、フリーラジカル捕捉剤、例えばトコフェロール、没食子酸アルキル、ブチル化ヒドロキシアニソール、ブチル化ヒドロキシトルエンなど、または還元剤、例えばアスコルビン酸及びメタ重亜硫酸ナトリウムなど、ならびに酸化防止相乗剤、例えばクエン酸、酒石酸及びレシチンなどであり得る。
一つの実施形態では、RNAエフェクター分子及び核酸の組成物はマイクロエマルジョンとして製剤される。マイクロエマルジョンは、単一の光学的に等方性で熱力学的に安定な溶液である、水、油及び両親媒性物質の系と定義され得る。例えば、ANSEL’S PHARM.DOSAGE FORMS&DRUG DELIV.SYS.(8th ed.,Allenら、eds.,Lippincott Williams&Wilkins,NY,2004)、Rosoff,in PHARM.DOSAGE FORMS,1988参照。典型的には、マイクロエマルジョンは、最初に油を水性界面活性剤溶液中に分散させ、次に十分な量の第四成分、一般には中鎖長アルコールを添加して透明な系を形成することによって調製される系である。従って、マイクロエマルジョンはまた、表面活性分子の界面膜によって安定化された2つの非混和性液体の、熱力学的に安定で等方的に透明な分散液とも表されてきた。Leung&Shah,in CONTROLLED RELEASE DRUGS:POLYMERS&AGGREGATE SYS.185−215(Rosoff,ed.,VCH Publishers,NY,1989)。マイクロエマルジョンは一般に、油、水、界面活性剤、共界面活性剤及び電解質を含む3〜5の成分の組合せによって調製される。マイクロエマルジョンが油中水型(w/o)であるか水中油型(o/w)であるかは、使用される油及び界面活性剤の性質ならびに界面活性剤分子の極性頭部及び炭化水素尾部の構造及び幾何学的充填に依存する。Schott,in REMINGTON’S PHARM.SCI.271(1985)。
状態図を利用する現象学的アプローチが広汎に検討されており、マイクロエマルジョンを製剤する方法についての包括的な知識が当業者にもたらされている。例えば、ANSEL’S PHARM.DOSAGE FORMS&DRUG DELIV.SYS.(8th ed.,Allenら、eds.,Lippincott Williams&Wilkins,NY,2004)、Rosoff,1988、Block,1988参照。従来の乳剤と比較して、マイクロエマルジョンは、自然に形成される熱力学的に安定な小滴の製剤中に水不溶性の薬剤を可溶化するという利点を提供する。
マイクロエマルジョンは、本明細書でさらに論じる界面活性剤、例えば、限定されることなく、イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、Brij96、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリグリセロール脂肪酸エステル、テトラグリセロールモノラウレート(ML310)、テトラグリセロールモノオレエート(MO310)、ヘキサグリセロールモノオレエート(PO310)、ヘキサグリセロールペンタオレエート(PO500)、デカグリセロールモノカプレート(MCA750)、デカグリセロールモノオレエート(MO750)、デカグリセロールセキオレエート(SO750)、デカグリセロールデカオレエート(DAO750)などを、単独でまたは共界面活性剤と組み合わせて含み得る。通常は、エタノール、1−プロパノール及び1−ブタノールなどの短鎖アルコールである共界面活性剤は、界面活性剤の界面膜に浸透し、その結果として界面活性剤分子の間に生じた空隙による不規則な膜を作り出すことによって界面の流動性を高める役割を果たす。マイクロエマルジョンは、しかしながら、共界面活性剤を使用せずに調製され得、アルコール不含の自己乳化型マイクロエマルジョン系が当技術分野において公知である。水相は、典型的には水、薬剤の水溶液、グリセロール、PEG300、PEG400、ポリグリセロール、プロピレングリコール及びエチレングリコールの誘導体であり得るが、これらに限定されない。油相は、Captex300、Captex355、Capmul MCM、脂肪酸エステル、中鎖(C8〜C12)モノグリセリド、ジグリセリド及びトリグリセリド、ポリオキシエチル化グリセリル脂肪酸エステル、脂肪族アルコール、ポリグリコール化グリセリド、飽和ポリグリコール化C8〜C10グリセリド、植物油及びシリコーン油を含み得るが、これらに限定されない。
マイクロエマルジョンは、より良好な薬剤の可溶化、酵素加水分解からの薬剤の保護、界面活性剤が誘導する膜の流動性及び透過性の変化による薬剤吸収の増大の可能性、調製の容易さ、ならびに低い毒性という利点を提供する。例えば、米国特許第6,191,105号、同第7,063,860号、同第7,070,802号、同第7,157,099号、Constantinidesら、11 Pharm.Res.1385(1994)、Hoら、85 J.Pharm.Sci.138−43(1996)参照。多くの場合、マイクロエマルジョンはその成分を周囲温度で組み合わせた場合に自然に形成され得る。このことは、熱不安定薬剤、ペプチドまたはRNAエフェクター分子を製剤する場合に特に有利であり得る。
本発明のマイクロエマルジョンはまた、製剤の性質を改善し、本発明のRNAエフェクター分子及び核酸の吸収を高めるために、ソルビタンモノステアレート(Grill3)、Labrasol及び浸透促進剤などの付加的な成分及び添加剤も含み得る。本発明のマイクロエマルジョンにおいて使用される浸透促進剤は、5つの広いカテゴリー、すなわち界面活性剤、脂肪酸、胆汁酸塩、キレート剤及び非キレート化非界面活性剤の一つに属すると分類され得る。Leeら、Crit.Rev.Therapeutic Drug Carrier Sys.92(1991)。
マイクロエマルジョン以外にも薬剤の製剤のために検討され、使用されてきた多くの組織化された界面活性剤構造体が存在する。これらは、単層、ミセル、二重層及び小胞を含む。リポソームなどの小胞は、薬剤送達の見地から、それらが提供する特異性及び作用持続時間のゆえに大きな関心を集めてきた。本発明において使用される、「リポソーム」という用語は、球状の1またはそれ以上の二重層中に配置された両親媒性脂質から成る小胞を意味する。
界面活性剤
一部の実施形態では、本発明を特徴付けるRNAエフェクター分子は、1またはそれ以上の浸透促進剤、界面活性剤及び/またはキレート剤と共に投与される。適切な界面活性剤は、脂肪酸及び/またはそのエステルもしくは塩、胆汁酸及び/またはその塩を含む。適切な胆汁酸/塩は、ケノデオキシコール酸(CDCA)及びウルソデオキシケノデオキシコール酸(UDCA)、コール酸、デヒドロコール酸、デオキシコール酸、グルコール酸、グリコール酸、グリコデオキシコール酸、タウロコール酸、タウロデオキシコール酸、タウロ−24,25−ジヒドロ−フシジン酸ナトリウム及びグリコジヒドロフシジン酸ナトリウムを含む。適切な脂肪酸は、アラキドン酸、ウンデカン酸、オレイン酸、ラウリン酸、カプリル酸、カプリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、リノール酸、リノレン酸、ジカプレート、トリカプレート、モノオレイン、ジラウリン、グリセリル1−モノカプレート、1−ドデシルアザシクロヘプタン−2−オン、アシルカルニチン、アシルコリンまたはモノグリセリド、ジグリセリドまたはそれらの医薬的に許容される塩(例えばナトリウム塩)を含む。一部の実施形態では、浸透促進剤の組合せ、例えば胆汁酸/塩と組み合わせた脂肪酸/塩が使用される。一つの例示的な組合せは、ラウリン酸、カプリン酸及びUDCAのナトリウム塩である。さらなる浸透促進剤は、ポリオキシエチレン−9−ラウリルエーテル、ポリオキシエチレン−20−セチルエーテルを含む。
界面活性剤は、乳剤(マイクロエマルジョンを含む)及びリポソームなどの製剤において広く適用される。天然及び合成の両方の多くの異なるタイプの界面活性剤の特性を分類し、ランクづける最も一般的な方法は、親水/親油バランス(HLB)の使用によるものである。親水基(「頭部」としても知られる)の性質は、製剤に使用される種々の界面活性剤を分類するために最も有用な手段を提供する。例えば、Malmsten,SURFACTANTS&POLYMERS IN DRUG DELIV.(Informa Health Care,NY,2002)、Rieger,in PHARM.DOSAGE FORMS 285(Marcel Dekker,Inc.,NY,1988)参照。
界面活性剤分子がイオン化されない場合、その分子は非イオン性界面活性剤として分類される。非イオン性界面活性剤は、医薬品及び化粧品に広い用途が見出され、広範囲のpH値にわたって使用可能である。一般にそれらのHLB値は、それらの構造に依存して2〜約18の範囲である。非イオン性界面活性剤は、エチレングリコールエステル、プロピレングリコールエステル、グリセリルエステル、ポリグルセリルエステル、ソルビタンエステル、スクロースエステル及びエトキシ化エステルなどの非イオン性エステルを含む。非イオン性アルカノールアミド及びエーテル、例えば脂肪族アルコールエトキシレート、プロポキシ化アルコール及びエトキシ化/プロポキシ化ブロックポリマーなどもこのクラスに含まれる。ポリオキシエチレン界面活性剤は非イオン性界面活性剤クラスの最も一般的な成員である。
界面活性剤分子が、水に溶解または分散されたとき負電荷を担持する場合、その界面活性剤はアニオン性として分類される。アニオン性界面活性剤は、セッケン、アシルラクチレート、アミノ酸のアシルアミドなどのカルボキシレート、硫酸アルキル及びエトキシ化硫酸アルキルなどの硫酸エステル、アルキルベンゼンスルホネートなどのスルホネート、アシルイセチオネート、アシルタウレート及びスルホスクシネートならびにホスフェートを含む。アニオン性界面活性剤クラスの最も重要な成員は硫酸アルキル及びセッケンである。
界面活性剤分子が、水に溶解または分散されたとき正電荷を担持する場合、その界面活性剤はカチオン性として分類される。カチオン性界面活性剤は、第四級アンモニウム塩及びエトキシ化アミンを含む。第四級アンモニウム塩はこのクラスの最も広く使用される成員である。界面活性剤分子が正電荷または負電荷のどちらも担持する能力を有する場合、その界面活性剤は両性として分類される。両性界面活性剤は、アクリル酸誘導体、置換アルキルアミド、N−アルキルベタイン及びホスファチドを含む。
浸透促進剤
一つの実施形態では、本発明は、細胞への核酸、特にRNAエフェクター分子の効率的な送達を生じさせるために様々な浸透促進剤を使用する。大部分の薬剤は、イオン化形態及び非イオン化形態の両方で溶液中に存在する。通常は、脂溶性または親油性薬剤だけが容易に細胞膜を横断する。横断する細胞膜が浸透促進剤で処理されている場合、非親油性薬剤であっても細胞膜を横断し得ることが発見された。、浸透促進剤はまた、非親油性薬剤が細胞膜を越えて拡散するのを助けることに加えて、親油性薬剤の透過性も上昇させる。
浸透促進剤は、5つの広いカテゴリー:界面活性剤、脂肪酸、胆汁酸塩、キレート剤及び非キレート化非界面活性剤の一つに属すると分類され得る。例えば、Malmsten,2002、Leeら、Crit.Rev.Therapeutic Drug Carrier Sys.92(1991)参照。
本発明に関連して、浸透促進剤は界面活性剤(または「表面活性剤」)を含み、界面活性剤とは、水溶液中に溶解された場合、溶液の表面張力または水溶液と別の液体との間の界面張力を低下させ、その結果として細胞膜及び他の生物学的障壁を通してのRNAエフェクター分子の吸収を増大させる化学的実体である。胆汁酸塩及び脂肪酸に加えて、これらの浸透促進剤は、例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレン−9−ラウリルエーテル及びポリオキシエチレン−20−セチルエーテル(例えば、Malmsten,2002、Leeら、1991参照)、ならびにFC−43(Takahashiら、40 J.Pharm.Pharmacol.252(1988))などのペルフルオロケミカル乳剤を含む。
浸透促進剤として働く様々な脂肪酸及びそれらの誘導体は、例えばオレイン酸、ラウリン酸、カプリン酸(n−デカン酸)、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、リノール酸、リノレン酸、ジカプレート、トリカプレート、モノオレイン(1−モノオレオイル−rac−グリセロール)、ジラウリン、カプリル酸、アラキドン酸、グリセリル1−モノカプレート、1−ドデシルアザシクロヘプタン−2−オン、アシルカルニチン、アシルコリン、それらのC1〜20アルキルエステル(例えばメチル、イソプロピル及びt−ブチル)、ならびにそれらのモノグリセリド及びジグリセリド(すなわちオレエート、ラウレート、カプレート、ミリステート、パルミテート、ステアレート、リノレエート等)を含む。例えば、Touitouら、ENHANCEMENT IN DRUG DELIV.(CRC Press,Danvers,MA,2006)、Leeら、1991、Muranishi,7 Crit.Rev.Therapeutic Drug Carrier Sys.1−33(1990)、El Haririら、44 J.Pharm.Pharmacol.651−54(1992)参照。
胆汁の生理的役割は、脂質及び脂溶性ビタミンの分散及び吸収の促進を含む。例えば、Malmsten,2002、Brunton,Chapt.38 in GOODMAN&GILMAN’S PHARMACOLOGICAL BASIS THERAPEUTICS,9TH ED.934−35(Hardmanら、eds.,McGraw−Hill,NY,1996)参照。様々な天然胆汁酸塩及びそれらの合成誘導体は浸透促進剤として働く。従って「胆汁酸塩」という用語は、天然に存在する胆汁の成分の任意のものならびにそれらの合成誘導体の任意のものを包含する。適切な胆汁酸塩は、例えばコール酸(またはその医薬的に許容されるナトリウム塩であるコール酸ナトリウム)、デヒドロコール酸(デヒドロコール酸ナトリウム)、デオキシコール酸(デオキシコール酸ナトリウム)、グルコール酸(グルコール酸ナトリウム)、グリコール酸(グリコール酸ナトリウム)、グリコデオキシコール酸(グリコデオキシコール酸ナトリウム)、タウロコール酸(タウロコール酸ナトリウム)、タウロデオキシコール酸(タウロデオキシコール酸ナトリウム)、ケノデオキシコール酸(ケノデオキシコール酸ナトリウム)、ウルソデオキシコール酸(UDCA)、タウロ−24,25−ジヒドロフシジン酸ナトリウム(STDHF)、グリコジヒドロフシジン酸ナトリウム及びポリオキシエチレン−9−ラウリルエーテル(POE)を含む(例えば、Malmsten,2002、Leeら、1991、Swinyard,Chapt.39 in REMINGTON’S PHARM.SCI.,18th Ed.782−83(Gennaro,ed.,Mack Publishing Co.,Easton,PA,1990)、Muranishi,1990、Yamamotoら、263 J.Pharm.Exp.Ther.25(1992)、Yamashitaら、79 J.Pharm.Sci.579−83(1990)参照)。
キレート剤は、本発明に関連して使用される場合、金属イオンと複合体を形成することによって溶液から金属イオンを除去し、その結果として粘膜を介したRNAエフェクター分子の吸収を高める化合物と定義され得る。本発明における浸透促進剤としてのそれらの使用に関して、特徴付けられている大部分のDNAヌクレアーゼは、触媒作用のために二価金属イオンを必要とし、従ってキレート剤によって阻害されるので、キレート剤はDNアーゼ阻害剤としての役割も果たすという付加的な利点を有する。Jarrett,618 J.Chromatogr.315−39(1993)。適切なキレート剤は、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム(EDTA)、クエン酸、サリチレート(例えばサリチル酸ナトリウム、5−メトキシサリチレート及びホモバニレート)、コラーゲンのN−アシル誘導体、ラウレス−9ならびにβ−ジケトンのN−アミノアシル誘導体(エナミン)を含むが、これらに限定されない。例えば、Katdareら、EXCIPIENT DEVEL.PHARM.BIOTECH.& DRUG DELIV.(CRC Press,Danvers,MA,2006)、Leeら、1991、Muranishi,1990、Buurら、14 J.Control Rel.43−51(1990)参照。
本明細書で使用される場合、非キレート化非界面活性剤である浸透促進化合物は、キレート剤としてまたは界面活性剤としては有意ではない活性を示すが、それにもかかわらず消化管粘膜を介したRNAエフェクター分子の吸収を高める化合物と定義され得る。例えば、Muranishi,1990参照。このクラスの浸透促進剤は、例えば、不飽和環状尿素、1−アルキル−及び1−アルケニルアザシクロアルカノン誘導体(Leeら、1991)ならびにジクロフェナクナトリウム、インドメタシン及びフェニルブタゾンなどの非ステロイド系抗炎症薬を含む(Yamashitaら、1987)。
細胞レベルでRNAエフェクター分子の取込みを増強する作用物質も、本発明の医薬組成物及び他の組成物に添加し得る。例えば、リポフェクチン(米国特許第5,705,188号)などのカチオン性脂質、カチオン性グリセロール誘導体、及びポリリシン(国際公開広報第WO97/30731号)などのポリカチオン分子も、dsRNAの細胞内取込みを増強することが公知である。市販のトランスフェクション試薬の例としては、例えば、数ある中でも特に、LIPOFECTAMINE(商標)、LIPOFECTAMINE 2000(商標)、293FECTIN(商標)、CELLFECTIN(商標)、DMRIE−C(商標)、FREESTYLE(商標)MAX、LIPOFECTAMINE(商標)2000CD、LIPOFECTAMINE(商標)、RNAiMAX、OLIGOFECTAMINE(商標)及びOPTIFECT(商標)トランスフェクション試薬(各々Invitrogenより)、ならびにX−tremeGENE Q2トランスフェクション試薬(Roche Applied Science;Grenzacherstrasse,Switzerland)、DOTAPリポソームトランスフェクション試薬(Avante Polar Lipids,Inc.,Alabaster,AL)、DOSPERリポソームトランスフェクション試薬(Roche)、またはFuGENE(登録商標)、TRANSFECTAM(登録商標)試薬、TRANSFAST(商標)トランスフェクション試薬、TFX(商標)−20試薬、TFX(商標)−50試薬(各々Promega,Madison,WIより)、DREAMFECT(商標)(OZ Biosciences,Marseille,France)、EcoTransfect(OZ Biosciences)、TRANSPASS(登録商標)D1トランスフェクション試薬(New England Biolabs;Ipswich,MA)、LYOVEC(商標)/LIPOGEN(商標)(InvivoGen;San Diego,CA)、PerFectinトランスフェクション試薬、NEUROPORTERトランスフェクション試薬、GENEPORTERトランスフェクション試薬、GENEPORTER 2トランスフェクション試薬、CYTOFECTINトランスフェクション試薬、BACULOPORTERトランスフェクション試薬もしくはTROGANPORTER(商標)トランスフェクション試薬(各々Genlantis San Diego,CAより)、RIBOFECT(Bioline;Taunton,MA,U.S.)、PLASFECT(Bioline)、またはUNIFECTOR、SUREFECTORもしくはHIFECT(商標)(各々B−Bridge International,Mountain View,CAより)が含まれる。
付加的な担体
投与した核酸の浸透を促進するために、エチレングリコール及びプロピレングリコールなどのグリコール、2−ピロールなどのピロール、アゾン、ならびにリモネン及びメントンなどのテルペンを含む他の作用物質を利用し得る。
本発明の特定の組成物はまた、製剤中に担体化合物を組み込む。本明細書で使用される、「担体化合物」または「担体」は、不活性である(すなわちそれ自体は生物学的活性を有さない)が、例えば生物学的に活性な核酸を分解するまたはその除去を促進することにより、生物学的活性を有する核酸のバイオアベイラビリティーを低下させるインビボプロセスによって核酸として認識される、核酸またはその類似体を表し得る。
本発明の組成物は、他の補助成分を、添加された場合にかかる物質が本発明の組成物の成分の生物学的活性を過度に妨げない限り、付加的に含有し得る。製剤は、滅菌することができ、所望する場合は、製剤のRNAエフェクター分子と有害な相互作用を生じない補助剤と混合し得る。
水性懸濁液は、例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ソルビトール及び/またはデキストランを含む、懸濁液の粘度を増大させる物質を含み得る。懸濁液はまた、安定剤も含み得る。
そのような化合物の毒性及び治療効果は、例えばLD50(集団の50%を死に至らせる用量)及びED50(集団の50%において治療上有効な用量)を決定するために、細胞培養物または細胞における標準的な薬学的手順によって測定し得る。毒性作用と治療効果との間の用量比が治療指数であり、治療指数はLD50/ED50比として表すことができる。高い治療指数を示す化合物は特に有用である。細胞培養アッセイ及び動物実験から得られたデータを、本発明の方法における使用のための用量範囲の策定に使用できる。本発明を特徴付ける組成物の用量は、一般に毒性をほとんどまたは全く伴わないED50を含む濃度範囲内にある。用量は、使用される剤形及び利用される投与経路に依存してこの範囲内で変動し得る。
さらに別の態様では、本発明は、標的遺伝子の発現が長期間、例えば少なくとも2日間、3日間、4日間またはそれ以上、例えば1週間、2週間、3週間または4週間またはそれ以上にわたって低下するように、本発明を特徴付ける組成物を宿主細胞に投与することによって宿主細胞における標的遺伝子の発現を阻害するための方法を提供する。標的遺伝子の発現低下の作用は、好ましくは、処置前のレベルと比較して、標的遺伝子によってコードされるタンパク質のレベルの少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%または少なくとも60%またはそれ以上の低下を生じさせる。
VII.キット及びアッセイ
一部の実施形態では、細胞による生物由来物質の産生への1個のRNAエフェクター分子または一連のRNAエフェクター分子の作用を試験するためのキットが提供され、該キットは、生物由来物質の産生を可能にする条件下で細胞を培養するのに適した1またはそれ以上のアッセイ表面を有する支持体を含む。一部の実施形態では、支持体の外側は、アッセイ表面に対応する位置に穴、刻み目、境界等を含む。一部の実施形態では、穴、刻み目、境界等は、アッセイ表面の上に細胞培養培地などの液体を保持する。
一部の実施形態では、支持体上のアッセイ表面は無菌であり、生物由来物質の大規模(例えば工業規模)生産の間の培養条件を代表する条件下で宿主細胞を培養するのに適する。好都合には、本明細書で提供されるキットは、生物由来物質の生産に関して広い範囲の作用物質及び/または条件を試験するための迅速で費用効率が高い手段を提供し、生物由来物質の本格的生産に先立って細胞培養条件を確立することを可能にする。
一部の実施形態では、支持体の1またはそれ以上のアッセイ表面は、アッセイ表面に適切な培地を添加することによってアッセイ表面の周囲のRNAエフェクター分子の所望濃度がもたらされるように、RNAエフェクター分子などの濃縮試験物質を含有する。一部の実施形態では、RNAエフェクター分子は、アッセイ表面にプリントし得るもしくは染み込ませ得るか、または、適切な量の培地を添加したときエフェクター分子が再構成され得るように、例えば穴内に、凍結乾燥形態で提供され得る。一部の実施形態では、RNAエフェクター分子は、支持体のアッセイ表面に細胞を塗布することによって再構成される。
一部の実施形態では、本明細書で提供されるキットは、対象とする生物由来物質の産生を可能にする条件下で細胞を培養するのに適した細胞培養培地をさらに含む。培地は、すぐに使用できる形態であり得るか、または濃縮され得る(例えば保存溶液として)、凍結乾燥され得るもしくは別の再構成可能な形態で提供され得る。
さらなる実施形態では、本明細書で提供されるキットは、細胞、細胞培養物または組織培養物による生物由来物質の産生を検出するのに適した1またはそれ以上の試薬を含む。さらなる実施形態では、試薬は、所望生物由来物質の生産を示す、最大細胞密度、細胞生存能等のような細胞の特性を検出するのに適する。一部の実施形態では、試薬は、生物由来物質またはその特性、例えば生物由来物質のインビトロまたはインビボでの生物学的活性、均一性または構造などを検出するのに適する。
一部の実施形態では、支持体の1またはそれ以上のアッセイ表面は、細胞によるRNAエフェクター分子の取込みを促進するための担体をさらに含む。RNAエフェクター分子のための担体は当技術分野において公知であり、本明細書で説明する。例えば、一部の実施形態では、担体は、LIPOFECTAMINE(商標)トランスフェクション試薬(Invitrogen;Carlsbad,CA)などの脂質製剤または関連製剤である。そのような担体の製剤の例は本明細書に記載されている。一部の実施形態では、RNAエフェクター分子の取込みを促進する試薬は、本出願全体にわたって述べる荷電脂質、乳剤、リポソーム、カチオン性または非カチオン性脂質、アニオン性脂質、トランスフェクション試薬または透過促進剤を含む。特定の実施形態では、RNAエフェクター分子の取込みを促進する試薬は、2009年12月7日出願の米国仮特許出願第61/267,419号に記載されている荷電脂質を含む。
一部の実施形態では、支持体の1またはそれ以上のアッセイ表面は、試験細胞をアッセイ表面に塗布することにより、細胞によるRNAエフェクター分子の取込み及びRNAエフェクター分子によって標的される1またはそれ以上の遺伝子の発現の調節を促進するために有効なRNAエフェクター分子及び担体の濃度がもたらされるように、各々濃縮された形態の、1個のRNAエフェクター分子または一連のRNAエフェクター分子及び担体を含む。
一部の実施形態では、支持体は、3次元細胞増殖及び/または細胞による生物由来物質の産生を促進する基材をさらに含む。さらなる実施形態では、基材は、細胞の足場依存性増殖を促進する。本明細書で述べる様々なキットに関する使用に適する基材の材料の非限定的な例は、寒天、アガロース、メチルセルロース、アルギネートヒドロゲル(例えば5%アルギネート+5%I型コラーゲン)、キトサン、ハイドロアクティブな親水コロイドポリマーゲル、ポリビニルアルコール−ヒドロゲル(PVA−H)、ポリアクチド−コ−グリコリド(PLGA)、コラーゲンビトリゲル、PHEMA(ポリ(2−ヒドロキシルメタクリレート))ヒドロゲル、PVP/PEOヒドロゲル、BD PURAMATRIX(商標)ヒドロゲル、及び2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン(MPC)のコポリマーを含む。
一部の実施形態では、支持体は、培養細胞による生物由来物質の産生に関する様々な試験物質、条件及び/またはそれらの組合せの高処理能力の自動検査を可能にする、マイクロアレイプレート、バイオチップ等を含む。例えば、支持体は、アッセイ表面のm縦列とn横列を有する(例えば穴内に存在する)2次元マイクロアレイプレートまたはバイオチップを含み得、それらは試験物質及び/または条件のm×nの組合せの検査を可能にする(例えば24穴、96穴または384穴マイクロアレイプレート上で)。マイクロアレイ支持体は、好ましくは、すべての必要な陽性及び陰性対照が試験物質及び/または条件の検査と並行して実施できるように設計される。
さらなる実施形態では、生物由来物質の生産に影響を及ぼす特定の経路、機能または細胞の特性を調節するように設計されたひと組のRNAエフェクター分子を接種した1またはそれ以上のマイクロアレイ支持体を含むキットが提供される。例えば、一部の実施形態では、RNAエフェクター分子は、細胞による組換えタンパク質産物の発現、折りたたみ、分泌または翻訳後修飾に関与する経路を含む標的遺伝子を対象とする。
さらなる実施形態では、細胞ベースの系における免疫原性物質の生産に関連する特定の問題または問題のクラスに対処するように設計されたひと組のRNAエフェクター分子を接種した1またはそれ以上のマイクロアレイ支持体を含むキットが本明細書で提供される。例えば、一部の実施形態では、RNAエフェクター分子は、潜在もしくは内在性ウイルスによって発現される標的遺伝子、または生物由来物質の生産もしくは精製を阻害するもしくは妨げる、細胞周期進行、細胞代謝もしくはアポトーシスなどの細胞プロセスに関与する標的遺伝子を対象とする。さらなる実施形態では、RNAエフェクター分子は、生物由来物質の活性、均一性、安定性及び/または他の品質を低下させる酵素分解、凝集、ミスフォールディングまたは他のプロセスを媒介する標的遺伝子を対象とする。なおさらなる実施形態では、エフェクター分子は、外因性または偶発的汚染微生物の感染性に影響を及ぼす標的遺伝子を対象とする。一つの実施形態では、生物由来物質は糖タンパク質を含み、RNAエフェクター分子は、グリコシル化(例えばフコシル化)及び/または宿主細胞による糖タンパク質のタンパク質分解プロセシングに関与する標的遺伝子を対象とする。別の実施形態では、生物由来物質はマルチサブユニット組換えタンパク質であり、RNAエフェクター分子は、宿主細胞によるタンパク質の折りたたみ及び/または分泌に関与する標的遺伝子を対象とする。別の実施形態では、RNAエフェクター分子は、細胞における生物由来物質の翻訳後修飾、例えばメチオニン酸化、グリコシル化、ジスルフィド結合形成、ピログルタミン酸化及び/またはタンパク質の脱アミド化などに関与する標的遺伝子を対象とする。
一部の実施形態では、本明細書で提供されるキットは、生物由来物質の生産を増大させるための少なくとも一つの因子の選択または最適化を可能にする。例えば、キットは、一連の候補RNAエフェクター分子の中から1個のRNAエフェクター分子を選択すること、または所与のRNAエフェクター分子のより広い範囲の濃度から一つの濃度もしくは濃度範囲を選択することを可能にし得る。一部の実施形態では、キットは、共通の標的遺伝子に対する一連の候補RNAエフェクター分子の中から1またはそれ以上のRNAエフェクター分子を選択することを可能にする。さらなる実施形態では、キットは、2もしくはそれ以上の機能的に関連する標的遺伝子または共通の宿主細胞経路の2もしくはそれ以上の標的遺伝子に対する一連の候補RNAエフェクター分子の中から1またはそれ以上のRNAエフェクター分子を選択することを可能にする。
一部の実施形態では、本明細書で提供されるキットは、生物由来物質の生産における2またはそれ以上の因子の組合せの選択または最適化を可能にする。例えば、キットは、一連の候補RNAエフェクター分子の中から1個の適切なRNAエフェクター分子を選択することならびにRNAエフェクター分子の一つの濃度を選択することを可能にし得る。さらなる実施形態では、本明細書で提供されるキットは、第一シリーズの候補RNAエフェクター分子から第一RNAエフェクター分子を選択し、第二シリーズの候補RNAエフェクター分子から第二のRNAエフェクター分子を選択することを可能にする。一部の実施形態では、第一及び/または第二シリーズの候補RNAエフェクター分子は、共通の標的遺伝子を対象とする。さらなる実施形態では、第一及び/または第二シリーズのRNAエフェクター分子は、2もしくはそれ以上の機能的に関連する標的遺伝子または共通の宿主細胞経路の2もしくはそれ以上の標的遺伝子を対象とする。
別の実施形態では、細胞における生物由来物質の産生を増大させるためのキットは、少なくとも、その一部が少なくとも潜在または内在性ウイルスの第一標的遺伝子に相補的である第一RNAエフェクター分子、その一部が少なくとも細胞免疫応答の第二標的遺伝子に相補的である第二RNAエフェクター分子、及び、場合により、その一部が少なくとも細胞プロセスの第三標的遺伝子に相補的である第三RNAエフェクター分子を含む。例えば、第一標的遺伝子はERV env遺伝子であり、第二標的遺伝子はIFNAR1またはIFNB遺伝子であり、及び第三標的遺伝子はPTEN、BAK1、FN1またはLDHA遺伝子である。キットは、少なくとも、炭素の代謝及び輸送、アポトーシス、RNAiの取込み及び/または効率、反応性酸素種の産生、細胞周期の制御、タンパク質の折りたたみ、ピログルタミン酸化タンパク質修飾、デアミダーゼ、グリコシル化、ジスルフィド結合の形成、タンパク質分泌、遺伝子増幅、ウイルス複製、ウイルス感染、ウイルス粒子の放出、pHの制御ならびにタンパク質産生を含むがこれらに限定されない細胞プロセスを標的する付加的なRNAエフェクター分子をさらに含み得る。
さらに別の態様では、本発明は、細胞における標的遺伝子の発現を阻害するための方法を提供する。該方法は、標的遺伝子の発現が、例えば長期間、例えば少なくとも2日間、3日間、4日間またはそれ以上にわたって低下するように、本発明を特徴付ける組成物を細胞に投与することを含む。本発明を特徴付ける方法及び組成物のために有用なRNAエフェクター分子は、標的遺伝子のRNA(一次またはプロセシングされた)を特異的に標的する。RNAエフェクター分子を使用してこれらの標的遺伝子の発現を阻害するための組成物及び方法は、本明細書で述べるように作製し、実施し得る。
本発明は、以下の番号を付したパラグラフのいずれか一つに定義される通りであり得る。
1.大規模宿主細胞培養において生物由来物質を産生する方法であって、
(a)宿主細胞を、大規模宿主細胞培養において、少なくとも第一のRNAエフェクター分子(その一部分は、宿主細胞の少なくとも一つの標的遺伝子と相補的である)と接触させ;
(b)宿主細胞培養物を、前記少なくとも一つの第一の標的遺伝子の発現を調節するのに十分な時間保持し(この場合、発現の調節は、宿主細胞において生物由来物質の産生を向上させる);
(c)生物由来物質を宿主細胞から単離する;
ことを含み、前記大規模宿主細胞培養が、少なくとも1リットルの規模であり、及び前記RNAエフェクター分子を大規模宿主細胞培養の培地に標的遺伝子の発現が一時的に抑制されるように加えることによって、前記宿主細胞を少なくとも第一のRNAエフェクター分子と接触させる、生物由来物質を産生させる方法。
2.大規模宿主細胞培養において生物由来物質を産生する方法であって、
(a)宿主細胞を、大規模宿主細胞培養において、少なくとも第一のRNAエフェクター分子(その一部分は、宿主細胞の少なくとも一つの標的遺伝子と相補的である)と接触させ;
(b)宿主細胞培養物を、前記少なくとも一つの第一の標的遺伝子の発現を調節するのに十分な時間保持し(この場合、発現の調節は、宿主細胞において生物由来物質の産生を向上させる);
(c)生物由来物質を宿主細胞から単離する;
ことを含み、前記RNAエフェクター分子を大規模宿主細胞培養の培地に、標的遺伝子の発現が一時的に抑制されるように生物由来物質の産生全体を通じて多数回加えることによって、前記宿主細胞を少なくとも第一のRNAエフェクター分子と接触させる、生物由来物質を産生させる方法。
3.前記宿主細胞を、大規模宿主細胞培養において、複数のRNAエフェクター分子と接触させ、前記複数のRNAエフェクター分子が、少なくとも一つの標的遺伝子、少なくとも2つの標的遺伝子又は複数の標的遺伝子の発現を調節する、パラグラフ1〜2のいずれかに記載の方法。
4.細胞において生物由来物質を産生する方法であって、
(a)宿主細胞を、複数のRNAエフェクター分子と接触させ(この場合、2つ又はそれ以上のRNAエフェクター分子が、複数の標的遺伝子の発現を調節する);
(b)前記細胞を、前記複数の標的遺伝子の発現を調節するのに十分な時間保持し(この場合、発現の調節は、宿主細胞において生物由来物質の産生を向上させる);及び
(c)生物由来物質を細胞から単離する;
ことを含み、前記複数の標的遺伝子が少なくともBax、Bak及びLDHを含む、生物由来物質を産生させる方法。
5.前記RNAエフェクター分子を大規模宿主細胞培養の培地に、標的遺伝子の発現が一時的に抑制されるように加えることによって、前記宿主細胞を少なくとも第一のRNAエフェクター分子と接触させる、パラグラフ4に記載の方法。
6.前記RNAエフェクター分子又は複数のRNAエフェクター分子が、二本鎖リボ核酸(dsRNA)を含み、前記dsRNAが、相互に相補的である少なくとも2つの配列を含み並びにセンス鎖が、第一の配列を含み及びアンチセンス鎖が、標的遺伝子の少なくとも一部分と実質的に相補的である相補性の領域を含む第二の配列を含み、並びに前記相補性の領域が、10〜30個のヌクレオチドの長さである、パラグラフ1〜5のいずれかに記載の方法。
7.前記接触工程を、前記RNAエフェクター分子又は複数のRNAエフェクター分子を、前記宿主細胞培養物を保持して生物由来物質を産生させるために使用する培地に連続的に注入することによって行う、パラグラフ1〜6のいずれかに記載の方法。
8.前記発現の調節が発現の抑制であり、及び前記抑制が部分抑制である、パラグラフ1〜7のいずれかに記載の方法。
9.前記部分抑制が、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、及び85%からなる群から選択される抑制率よりも大きくない、パラグラフ7に記載の方法。
10.前記接触工程を、6時間、12時間、24時間、36時間、48時間、72時間、84時間、96時間及び108時間からなる群から選択される頻度で多数回繰り返す、パラグラフ1〜6又は8〜9のいずれかに記載の方法。
11.前記接触工程を少なくとも1回繰り返す、パラグラフ1〜6又は8〜9のいずれかに記載の方法。
12.前記発現の調節が、発現の抑制であり及び前記接触工程を、生物由来物質の産生全体を通じて標的遺伝子(一つ又は複数)について少なくとも50%の平均抑制率を維持するために、多数回繰り返すか又は連続的に注入する、パラグラフ1〜11のいずれか1に記載の方法。
13.前記平均抑制率が、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%、又は100%からなる群から選択される、パラグラフ12に記載の方法。
14.前記RNAエフェクター分子を、100nM未満の濃度で接触させる、パラグラフ1〜13のいずれかに記載の方法。
15.前記RNAエフェクター分子を、50nM未満の濃度で接触させる、パラグラフ1〜14のいずれかに記載の方法。
16.宿主細胞を、大規模宿主細胞培養において、RNAエフェクター分子と接触させる前記接触を、生物由来物質を単離する少なくとも6時間前、少なくとも12時間前、少なくとも18時間前、少なくとも36時間前、少なくとも48時間前、少なくとも60時間前、少なくとも72時間前、少なくとも96時間前又は少なくとも120時間前あるいは少なくとも1週間前に行う、パラグラフ1〜15のいずれかに記載の方法。
17.前記RNAエフェクター分子が、脂質製剤に製剤された組成物である、パラグラフ1〜16のいずれかに記載の方法。
18.前記RNAエフェクター分子が、非脂質製剤に製剤された組成物である、パラグラフ1〜17のいずれかに記載の方法。
19.前記RNAエフェクター分子が、shRNAではない、パラグラフ1〜18のいずれかに記載の方法。
20.前記RNAエフェクター分子が、siRNAである、パラグラフ1〜19のいずれかに記載の方法。
21.前記RNAエフェクター分子が、化学的に修飾される、パラグラフ1〜20のいずれかに記載の方法。
22.前記RNAエフェクター分子が、化学的に修飾されない、パラグラフ1〜21のいずれかに記載の方法。
23.さらに、細胞密度、培地pH、酸素濃度、グルコース濃度、乳酸濃度、温度及びタンパク質産生からなる群から選択される少なくとも一つの測定可能パラメータを監視することを含む、パラグラフ1〜22のいずれかに記載の方法。
24.前記複数の異なるRNAエフェクター分子のそれぞれを、同時に又は異なる時間で加える、パラグラフ2〜23のいずれかに記載の方法。
25.前記複数の異なるRNAエフェクター分子のそれぞれを、同じ濃度で又は異なる濃度で加える、パラグラフ2〜23のいずれかに記載の方法。
26.前記複数の異なるRNAエフェクター分子を、同じ頻度で又は異なる頻度で加える、パラグラフ2〜6又は8〜25のいずれかに記載の方法。
27.さらに、前記細胞を、第二の作用物質と接触させることを含む、パラグラフ1〜26のいずれかに記載の方法。
28.前記第二の作用物質が、抗体、増殖因子、アポトーシス阻害剤、キナーゼ阻害剤、ホスファターゼ阻害剤、プロテアーゼ阻害剤及びヒストン脱メチル化剤からなる群から選択される、パラグラフ27に記載の方法。
29.前記キナーゼ阻害剤が、MAPキナーゼ阻害剤、CDK阻害剤及びK252aからなる群から選択される、パラグラフ28に記載の方法。
30.前記ホスファターゼ阻害剤が、バナジン酸ナトリウム及びオカダ酸からなる群から選択される、パラグラフ28に記載の方法。
31.前記ヒストン脱メチル化剤が、5−アザシチジンである、パラグラフ28に記載の方法。
32.前記生物由来物質が、ポリペプチドである、パラグラフ1〜31のいずれかに記載の方法。
33.前記生物由来物質が、代謝産物である、パラグラフ1〜31のいずれかに記載の方法。
34.前記生物由来物質が、機能性食品である、パラグラフ1〜31のいずれかに記載の方法。
35.前記細胞を、RNAエフェクター分子と、定常期、初期対数期、中期対数期、後期対数期、誘導期及び死滅期からなる群から選択される細胞増殖の期で接触させる、パラグラフ1〜34のいずれかに記載の方法。
36.前記少なくとも第一のRNAエフェクター分子、又は前記複数のRNAエフェクター分子の少なくとも一つが、二重鎖領域を含む、請パラグラフ1〜35のいずれかに記載の方法。
37.前記少なくとも第一のRNAエフェクター分子、又は前記複数のRNAエフェクター分子の少なくとも一つが、15〜30個のヌクレオチドの長さである、パラグラフ1〜36のいずれかに記載の方法。
38.前記少なくとも第一のRNAエフェクター分子、又は前記複数のRNAエフェクター分子の少なくとも一つが、17〜28個のヌクレオチドの長さである、パラグラフ1〜37のいずれかに記載の方法。
39.前記少なくとも第一のRNAエフェクター分子、又は前記複数のRNAエフェクター分子の少なくとも一つが、少なくとも一つの修飾ヌクレオチドを含む、パラグラフ1〜38のいずれかに記載の方法。
40.前記細胞が、植物細胞、真菌細胞、又は動物細胞である、パラグラフ1〜39のいずれかに記載の方法。
41.前記細胞が哺乳動物細胞である、パラグラフ1〜40のいずれかに記載の方法。
42.前記哺乳動物細胞がヒト細胞である、パラグラフ41に記載の方法。
43.前記ヒト細胞が、SH−SY5Y細胞、IMR32細胞、LAN5細胞、HeLa細胞、MCFlOA細胞、293T細胞及びSK−BR3細胞からなる群から選択される付着細胞である、パラグラフ42に記載の方法。
44.前記ヒト細胞が、HuVEC細胞、HuASMC細胞、HKB−I1細胞及びhMSC細胞からなる群から選択される初代細胞である、パラグラフ42に記載の方法。
45.前記ヒト細胞が、U293細胞、HEK293細胞、PERC6(登録商標)細胞、ジャーカット細胞、HT−29細胞、LNCap.FGC細胞、A549細胞、MDA MB453細胞、HepG2細胞、THP−I細胞、MCF7細胞、BxPC−3細胞、Capan−1細胞、DU145細胞及びPC−3細胞からなる群から選択される、パラグラフ42に記載の方法。
46.前記哺乳動物細胞が、BHK21細胞、BHK(TK)細胞、NS0細胞、Sp2/0細胞、EL4細胞、CHO細胞、CHO細胞誘導体、NIH/3T3細胞、3T3−L1細胞、ES−D3細胞、H9c2細胞、C2C12細胞,及びmiMCD3細胞からなる群から選択される齧歯類動物細胞である、パラグラフ41に記載の方法。
47.前記CHO細胞誘導体が、CHO−K1細胞、CHO−DUKX、CHO−DUKXB1及びCHO−DG44細胞からなる群から選択される、パラグラフ46に記載の方法。
48.前記細胞が、PERC6細胞、HT−29細胞、LNCaP−FGC細胞、A549細胞、MDA MB453細胞、HepG2細胞、THP−1細胞、miMCD−3細胞、HEK293細胞、HeLaS3細胞、MCF7細胞、Cos−7細胞、BxPC−3細胞、DU145細胞、ジャーカット細胞、PC−3細胞及びCapan−1細胞からなる群から選択される、パラグラフ42に記載の方法。
49.前記細胞が、BHK21、BHK(TK)、NS0細胞、Sp2/0細胞、U293細胞、EL4細胞、CHO細胞,及びCHO細胞誘導体からなる群から選択される齧歯類動物細胞である、請求項41に記載の方法。
50.前記細胞が、さらに、前記生物由来物質をコードする遺伝子構造物を含む、パラグラフ1〜49のいずれかに記載の方法。
51.前記細胞が、さらに、ウイルス受容体をコードする遺伝子構造物を含む、パラグラフ1〜50のいずれかに記載の方法。
52.前記標的遺伝子が、タンパク質グリコシル化に影響を及ぼすタンパク質をコードする、パラグラフ1〜51のいずれかに記載の方法。
53.前記標的遺伝子が、前記生物由来物質をコードする、パラグラフ1〜52のいずれかに記載の方法。
54.前記少なくとも第一のRNAエフェクター分子、又は前記複数のRNAエフェクター分子の少なくとも一つを、0.1nM、0.5nM、0.75nM、1nM、2nM、5nM、10nM、20nM、30nM、40nM、50nM、及び60nMからなる群から選択される濃度で加える、パラグラフ1〜53のいずれかに記載の方法。
55.前記少なくとも第一のRNAエフェクター分子、又は前記複数のRNAエフェクター分子の少なくとも一つを、50分子/細胞、100分子/細胞、200分子/細胞、300分子/細胞、400分子/細胞、500分子/細胞、600分子/細胞、700分子/細胞、800分子/細胞、900分子/細胞、1000分子/細胞、2000分子/細胞、又は5000分子/細胞の量で加える、パラグラフ1〜53のいずれかに記載の方法。
56.前記少なくとも第一のRNAエフェクター分子、又は前記複数のRNAエフェクター分子の少なくとも一つを、0.01フェムトモル/10細胞、0.1フェムトモル/10細胞、0.5フェムトモル/10細胞、0.75フェムトモル/10細胞、1フェムトモル/10細胞、2フェムトモル/10細胞、5フェムトモル/10細胞、10フェムトモル/10細胞、20フェムトモル/10細胞、30フェムトモル/10細胞、40フェムトモル/10細胞、50フェムトモル/10細胞、60フェムトモル/10細胞、100フェムトモル/10細胞、200フェムトモル/10細胞、300フェムトモル/10細胞、400フェムトモル/10細胞、500フェムトモル/10細胞、700フェムトモル/10細胞、800フェムトモル/10細胞、900フェムトモル/10細胞,及び1ピコモル/10細胞からなる群から選択される濃度で加える、パラグラフ1〜53のいずれかに記載の方法。
57.前記少なくとも第一のRNAエフェクター分子、又は前記複数のRNAエフェクター分子の少なくとも一つが、siRNA、miRNA、dsRNA、saRNA、shRNA、piRNA、tkRNAi、eiRNA、pdRNA、ギャップマー、アンタゴミア、リボザイム及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、パラグラフ1〜56のいずれかに記載の方法。
58.前記方法が、さらに、前記細胞を、炭素の代謝及び輸送、アポトーシス、RNAi取り込み及び/又は効率、活性酸素種産生、細胞周期の調節、タンパク質折りたたみ、タンパク質ピログルタミン酸化、タンパク質脱アミド化、タンパク質グリコシル化、ジスルフィド結合形成、タンパク質分泌、遺伝子増幅、ウイルス複製、ウイルス感染、ウイルス粒子放出、細胞pHの調節、及びタンパク質産生からなる群から選択される細胞プロセスを調節する少なくとも一つの追加のRNAエフェクター分子又は作用物質と接触させることを含む、パラグラフ1〜57のいずれかに記載の方法。
59.前記少なくとも一つの標的遺伝子が、GLUT1、GLUT2、GLUT3、GLUT4、ホスファチジルイノシトール−3,4,5−三リン酸 3−ホスファターゼ(PTEN)及び乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)からなる群から選択され、及び前記発現の調節が、細胞内の炭素の代謝又は輸送を調節することによって細胞において生物由来物質の産生を向上させる、パラグラフ1〜3又は6〜58のいずれかに記載の方法。
60.前記少なくとも一つの標的遺伝子が、乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)であり及び前記RNAエフェクター分子が、配列番号:3152540−3152603からなる群から選択される、パラグラフ1〜3又は6〜58のいずれかに記載の方法。
61.前記少なくとも一つの標的遺伝子が、Bcl−G、Bax、Bak、Bok、Bad、Bid、Bik、Blk、Hrk、BNIP3、PUMA、NOXA、BimL、Bcl−2、Bcl−xL、Bcl−B、Bcl−w、Boo、Mcl−1、CASP2、CASP3、CASP6、CASP7、CASP8、CASP9及びCASP10からなる群から選択され、及び前記発現の調節が、細胞のアポトーシスを調節することによって細胞において生物由来物質の産生を向上させる、パラグラフ1〜3又は6〜58のいずれかに記載の方法。
62.前記少なくとも一つの標的遺伝子がBakであり及び前記RNAエフェクター分子が、配列番号:3152412〜3152475からなる群から選択される、パラグラフ1〜3又は6〜58のいずれかに記載の方法。
63.前記少なくとも一つの標的遺伝子がBaxであり及び前記RNAエフェクター分子が、配列番号:3152476〜3152539からなる群から選択される、パラグラフ1〜3又は6〜58のいずれかに記載の方法。
64.前記RNAエフェクター分子が、初期アポトーシスに入る細胞の比率を著しく低下させる、パラグラフ16又は17に記載の方法。
65.前記複数の標的遺伝子が、少なくともBax及びBakである、パラグラフ3に記載の方法。
66.前記複数の標的遺伝子が、少なくともBax、Bac及びLDHである、パラグラフ3に記載の方法。
67.その一部分がBaxと相補的である前記RNAエフェクター分子が、配列番号:3152476〜3152539からなる群から選択され、その一部分がBakと相補的である前記RNAエフェクター分子が、配列番号:3152412〜3152475からなる群から選択される、パラグラフ4、5、65又は66のいずれかに記載の方法。
68.その一部分がLDHと相補的である前記RNAエフェクター分子が、配列番号:3152540〜3152603からなる群から選択される、パラグラフ4又は66に記載の方法。
69.前記の少なくとも2つの標的遺伝子の発現が調節され及び前記少なくとも2つの標的遺伝子が、Bcl−G、Bax、Bak、Bok、Bad、Bid、Bik、Blk、Hrk、BNIP3、PUMA、NOXA,及びBimLからなる群から選択される、パラグラフ1〜3又は6〜58のいずれかに記載の方法。
70.さらに、前記細胞を、乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)と相補的な配列を含むRNAエフェクター分子と接触させることを含む、パラグラフ1〜3又は6〜58のいずれかに記載の方法。
71.前記少なくとも一つの標的遺伝子が、Ago1、Ago2、Ago3、Ago4、HIWI1、HIWI2、HIWI3、HILI、インターフェロン受容体、ApoE、Eri1及びマンノース/GalNAc受容体からなる群から選択され、及び前記発現の調節が、細胞でのRNAi取り込み及び/又は効率を調節することによって細胞において生物由来物質の産生を向上させる、パラグラフ1〜3又は6〜58のいずれかに記載の方法。
72.前記少なくとも一つの標的遺伝子が、NAD(p)Hオキシダーゼ、ペルオキシダーゼ、構成性神経一酸化窒素シンターゼ(cnNOS)、ミエロペルオキシダーゼ(MPO)、キサンチンオキシダーゼ(XO)、15−リポキシゲナーゼ−1、NADPHシトクロムc2レダクターゼ、NAPHシトクロムcレダクターゼ、NADHシトクロムb5レダクターゼ及びシトクロムP4502E1からなる群から選択され、及び前記発現の調節が、細胞での活性酸素種の産生を抑制することによって細胞において生物由来物質の産生を向上させる、パラグラフ1〜3又は6〜58のいずれかに記載の方法。
73.前記少なくとも一つの標的遺伝子が、MuLVタンパク質、MVMタンパク質、Reo−3タンパク質、PRVタンパク質及びベシウイルスタンパク質からなる群から選択され;及び前記発現の調節が、細胞のウイルス感染を抑制することによって細胞において生物由来物質の産生を向上させる、パラグラフ1〜3又は6〜58のいずれかに記載の方法。
74.前記少なくとも一つの標的遺伝子が、キシロシルトランスフェラーゼである、パラグラフ1〜3又は6〜58のいずれかに記載の方法。
75.前記少なくとも一つの標的遺伝子が、ベシウイルスタンパク質であり及び前記少なくとも一つのRNAエフェクター分子が、配列番号:3152604〜3152713からなる群から選択される、パラグラフ73に記載の方法。
76.前記少なくとも一つの標的遺伝子が、CCNA1、CCNA2、CCNB1、CCNB2、CCNB3、CCND1、CCND2、CCND3、CCNE1、CCNE2、サイクリンB、サイクリンD、サイクリンE、CDK2、CDK4、P10、P21、P27、p53、P57、p16INK4a、P14ARF及びCDK4からなる群から選択され、及び前記発現の調節が、細胞の細胞周期を調節することによって細胞において生物由来物質の産生を向上させる、パラグラフ1〜3又は6〜58のいずれかに記載の方法。
77.前記少なくとも一つの標的遺伝子が、IRE1、PERK、ATF4、ATF6、eIF2α、GRP78、GRP94、Bip、Hsp40、HSP47、HSP60、Hsp70、HSP90、HSP100、タンパク質ジスルフィドイソメラーゼ、ペプチジルプロリルイソメラーゼ、カルレチクリン、カルネキシン、Erp57及びBAG−1からなる群から選択され;及び前記発現の調節が、タンパク質の折りたたみを高めることによって細胞においてタンパク質の産生を向上させる、パラグラフ1〜3又は6〜58のいずれかに記載の方法。
78.前記少なくとも一つの標的遺伝子が、宿主細胞内のメチオニンスルホキシドレダクターゼ遺伝子であり、及び前記発現の調節が、メチオニン酸化によるタンパク質の修飾を抑制することによって細胞においてタンパク質の産生を向上させる、パラグラフ1〜3又は6〜58のいずれかに記載の方法。
79.前記標的遺伝子が、宿主細胞内のグルタミニルシクラーゼ遺伝子であり、及び前記発現の調節が、ピログルタミン酸化によるタンパク質の修飾を抑制することによって細胞でのタンパク質の産生を向上させる、パラグラフ1〜3又は6〜58のいずれかに記載の方法。
80.前記少なくとも一つの標的遺伝子が、アスパラギンデアミダーゼ及びグルタミンデアミダーゼからなる群から選択され;及び前記発現の調節が、脱アミド化によってタンパク質の修飾を抑制することによって細胞においてタンパク質の産生を向上させる、パラグラフ1〜3又は6〜58のいずれかに記載の方法。
81.前記少なくとも一つの標的遺伝子が、ドリチル−ジホスホオリゴサッカライド−タンパク質グリコシルトランスフェラーゼ、UDPグリコシルトランスフェラーゼ、UDP−Gal:βGlcNAcβ1,4−ガラクトシルトランスフェラーゼ、UDP−ガラクトース−セラミドガラクトシルトランスフェラーゼ、フコシルトランスフェラーゼ、タンパク質O−フコシルトランスフェラーゼ、N−アセチルガラクトサミニルトランスフェラーゼT−4、O−GlcNAcトランスフェラーゼ、オリゴサッカリルトランスフェラーゼ、O−結合N−アセチルグルコサミントランスフェラーゼ、α−ガラクトシダーゼ及びβ−ガラクトシダーゼからなる群から選択され;及び前記発現の調節が、タンパク質のグリコシル化を調節することによって細胞においてタンパク質の産生を向上させる、パラグラフ1〜3又は6〜58のいずれかに記載の方法。
82.前記少なくとも一つの標的遺伝子が、タンパク質ジスルフィドイソメラーゼ及びスルフヒドリルオキシダーゼからなる群から選択され;及び前記発現の調節が、タンパク質においてジスルフィド結合形成を調節することによって細胞においてタンパク質の産生を向上させる、パラグラフ1〜3又は6〜58のいずれかに記載の方法。
83.前記少なくとも一つの標的遺伝子が、γ−セクレターゼ、p115、シグナル認識粒子(SRP)タンパク質、セクレチン及びキナーゼからなる群から選択され;及び前記発現の調節が、タンパク質の分泌を調節することによって細胞においてタンパク質の産生を向上させる、パラグラフ1〜3又は6〜58のいずれかに記載の方法。
84.前記少なくとも一つの標的遺伝子が、宿主細胞内のデヒドロ葉酸レダクターゼ遺伝子であり、及び前記発現の調節が、細胞での遺伝子増幅を高めることによって細胞においてタンパク質の産生を向上させる、パラグラフ1〜3又は6〜58のいずれかに記載の方法。
85.前記少なくとも一つの標的遺伝子が、ウイルスの遺伝子又は細胞の標的遺伝子であり、それによって減少したウイルス量を有する宿主細胞から生物由来物質を産生させる、パラグラフ1〜3又は6〜58のいずれかに記載の方法。
86.前記ウイルスが、ベシウイルス、MMV、MuLV、PRV及びReo−3からなる群から選択される、パラグラフ85に記載の方法。
87.前記少なくとも一つの標的遺伝子が、ウイルスタンパク質をコードする、パラグラフ85に記載の方法。
88.前記少なくとも一つの標的遺伝子が、非ウイルスタンパク質をコードする、パラグラフ85に記載の方法。
89.前記少なくとも一つの標的遺伝子が、酸化促進酵素、BIK、BAD、BIM、HRK、BCLG、HR、NOXA、PUMA、BOK、BOO、BCLB、CASP2、CASP3、CASP6、CASP7、CASP8、CASP9、CASP10、BAX、BAK、BCL2、p53、APAFI及びHSP70からなる群から選択され;及び前記発現の調節が、細胞の生存率を高めることによって細胞において生物由来物質の産生を向上させる、パラグラフ1〜3又は6〜58のいずれかに記載の方法。
90.前記少なくとも一つの標的遺伝子が、CCNA1、CCNA2、CCNB1、CCNB2、CCNB3、CCND1、CCND2、CCND3、CCNE1、CCNE2、サイクリンB、サイクリンD、サイクリンE、CDK2、CDK4、P10、P21、P27、p53、P57、p16INK4a、P14ARF、CDK4、Bcl−G、Bax、Bak、Bok、Bad、Bid、Bik、Blk、Hrk、BNIP3、PUMA、NOXA、BimL、Bcl−2、Bcl−xL、Bcl−B、Bcl−w、Boo、Mcl−1、A1、CASP2、CASP3、CASP6、CASP7、CASP8、CASP9、CASP10、GLUT1、GLUT2、GLUT3、GLUT4、ホスファチジルイノシトール−3,4,5−三リン酸 3−ホスファターゼ(PTEN)及び乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)からなる群から選択され;及び前記発現の調節が、細胞の特異的生産性を高めることによって細胞において生物由来物質の産生を向上させる、パラグラフ1〜3又は6〜58のいずれかに記載の方法。
91.前記少なくとも一つの標的遺伝子が、GLUT1、GLUT2、GLUT3、GLUT4、ホスファチジルイノシトール−3,4,5−三リン酸 3−ホスファターゼ(PTEN)、乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)、CCNA1、CCNA2、CCNB1、CCNB2、CCNB3、CCND1、CCND2、CCND3、CCNE1、CCNE2、サイクリンB、サイクリンD、サイクリンE、CDK2、CDK4、P10、P21、P27、p53、P57、p16INK4a、P14ARF及びCDK4からなる群から選択され;及び前記発現の調節が、細胞の栄養必要量を調節することによって細胞において生物由来物質の産生を向上させる、パラグラフ1〜3又は6〜58のいずれかに記載の方法。
92.前記少なくとも一つの標的遺伝子が、乳酸デヒドロゲナーゼ及びリソソームV型ATPアーゼからなる群から選択され;及び前記発現の調節が、細胞のpHを調節することによって細胞での生物由来物質の産生を向上させる、パラグラフ1〜3又は6〜58のいずれかに記載の方法。
93.前記少なくとも一つの標的遺伝子が、細胞質アクチンキャッピングタンパク質(CapZ)、エズリン(VIL2)、ラミニンA及びコフィリン(CFL1)からなる群から選択され;及び前記遺伝子発現の調節が、細胞のアクチン動態を調節することによって細胞において生物由来物質の産生を向上させる、パラグラフ1〜3又は6〜58のいずれかに記載の方法。
94.少なくとも一つのRNAエフェクター分子が、標的遺伝子コフィリンの発現を調節する、パラグラフ93に記載の方法。
95.少なくとも一つのRNAエフェクター分子が、細胞質アクチンキャッピングタンパク質(CapZ)、エズリン(VIL2)及びラミニンAからなる群から選択される標的遺伝子の発現を増加させる、パラグラフ93に記載の方法。
96.前記少なくとも一つの標的遺伝子が、宿主細胞潜在ウイルス、外来ウイルス又は宿主細胞内在性レトロウイルスの遺伝子であるか、あるいはこのようなウイルスの宿主細胞結合リガンドである、パラグラフ1〜3又は6〜58のいずれかに記載の方法。
97.前記標的遺伝子が、HERV−K、pt01−Chr10r−17119458、pt01−Chr5−53871501、BaEV、GaLV、HERV−T、ERV−3、HERV−E、HERV−ADP、HERV−I、MER4様、HERV−FRD、HERV−W、HERVH−RTVLH2、HERVH−RGH2、HERV−Hコンセンサス、HERV−Fc1、hg15−chr3−152465283、HERVL66、HSRV、HFV、HERV−S、HERV−L、HERVL40、HERVL74、HTLV−1、HTLV−2、HIV−1、HIV−2、MPMV、MMTV、HML1、HML2、HML3、HML4、HML7、HML8、HML5、HML10、HML6、HML9、MMTV、FLV、PERV、BLV、EIAV、JSRV、gg01−chr7−7163462、gg01−chrU−52190725、gg01−Chr4−48130894、ALV、gg01−chr1−15168845、gg01−chr4−77338201、gg01−ChrU−163504869、gg01−chr7−5733782、ニシキヘビ、WDSV、SnRV、Xen1、Gypsy及びTy1から選択される内在性レトロウイルス(ERV)の遺伝子である、パラグラフ96に記載の方法。
98.前記標的遺伝子が、C血清型アデノウイルス、トリアデノウイルス、トリアデノウイルス随伴ウイルス、ヒトヘルペスウイルス−4(EBV)及びサーコウイルスからなる群から選択される潜在ウイルスの遺伝子である、パラグラフ96に記載の方法。
99.前記潜在ウイルスがサーコウイルスであり、及び前記標的遺伝子が、ブタサーコウイルス1型(PCV1)又はサーコウイルス2型(PCV2)のrep遺伝子である、パラグラフ98に記載の方法。
100.前記潜在ウイルスがEBVであり及び前記標的遺伝子が潜在膜タンパク質(LMP)−2Aである、パラグラフ98に記載の方法。
101.前記標的遺伝子が、外来性レトロウイルス、ヒト免疫不全ウイルス1型(HIV−1)、HIV−2、ヒトT細胞リンパ指向性ウイルスI型(HTLV−I)、HTLV−II、ヒト肝炎A型(HHA)、HHB、HHC、ヒトサイトメガロウイルス、EBV、ヘルペスウイルス、ヒトヘルペスウイルス6型(HHV6)、HHV7、HHV8、ヒトパルボウイルスB19、レオウイルス、ポリオーマ(JC/BK)ウイルス、SV40、ヒトコロナウイルス、パピローマウイルス、ヒトパピローマウイルス、インフルエンザA型、B型及びC型ウイルス、ヒトエンテロウイルス、ヒトパラインフルエンザウイルス、ヒト呼吸器合胞体ウイルス、ベシウイルス、ブタサーコウイルス、リンパ球性脈絡髄膜炎ウイルス(LCMV)、乳酸デヒドロゲナーゼウイルス、ブタパルボウイルス、アデノ随伴ウイルス、レオウイルス、狂犬病ウイルス、レポリポックスウイルス、トリ白血病ウイルス(ALV)、ハンターンウイルス、マルブルグウイルス、SV20、セムリキ森林ウイルス、ネコ肉腫ウイルス、ブタパルボウイルス、マウス肝炎ウイルス(MHV)、ネズミ白血病ウイルス(MuLV)、マウスの肺炎ウイルス(PVM)、タイラー脳脊髄炎ウイルス、ネズミ微小ウイルス、マウスアデノウイルス(MAV);マウスサイトメガロウイルス、マウスロタウイルス(EDIM)、キルハムラットウイルス、トゥーランH−1ウイルス、センダイウイルス、ラットコロナウイルス、偽性狂犬病ウイルス、カシェ渓谷ウイルス、ウシウイルス性下痢症ウイルス、ウシパラインフルエンザウイルス3型、ウシ呼吸器合胞体ウイルス、ウシアデノウイルス、ウシパルボウイルス、ウシ伝染性鼻気管炎ウイルス、ウシヘルペスウイルス、ウシレオウイルス、ブルータングウイルス、ウシポリオーマウイルス、ウシサーコウイルス、牛痘、牛痘以外のオルトポックスウイルス、偽牛痘ウイルス及びレポリポックスウイルスからなる群から選択される外来ウイルスの遺伝子である、パラグラフ96に記載の方法。
102.標的遺伝子が、内在性ウイルス、潜在ウイルス又は外来ウイルスのための宿主細胞結合リガンドである、パラグラフ96に記載の方法。
103.前記標的遺伝子が、SLC35A1、Gne、Cmas、B4GalT1又はB4GalT6である、パラグラフ102に記載の方法。
104.前記少なくとも一つの標的遺伝子が、FUT8、TSTA3及びGMDSからなる群から選択され;及び前記発現の調節が、フコシル化を調節することによって細胞において生物由来物質の産生を向上させる、パラグラフ1〜3又は6〜58のいずれかに記載の方法。
105.さらに、宿主細胞を、シアリルトランスフェラーゼをコードする遺伝子を標的とする少なくとも一つのRNAエフェクター分子と接触させることを含む、請パラグラフ104に記載の方法。
106.前記シアリルトランスフェラーゼが、ST3β−ガラクトシドα−2,3−シアリルトランスフェラーゼ1、ST3β−ガラクトシドα−2,3−シアリルトランスフェラーゼ4、ST3β−ガラクトシドα−2,3−シアリルトランスフェラーゼ3、ST3β−ガラクトシドα−2,3−シアリルトランスフェラーゼ5、ST6(α−N−アセチル−ノイラミニル−2,3−β−ガラクトシル−1,3)−N−アセチルガラクトサミニドα−2,6−シアリルトランスフェラーゼ6及びST3β−ガラクトシドα−2,3−シアリルトランスフェラーゼ2からなる群から選択される、パラグラフ105に記載の方法。
107.前記少なくとも一つの標的遺伝子が、グルタミナーゼ及びグルタミンデヒドロゲナーゼからなる群から選択され;及び前記発現の調節が、アンモニア増強を調節することによって細胞において生物由来物質の産生を向上させる、パラグラフ1〜3又は6〜58のいずれかに記載の方法。
108.さらに、前記宿主細胞を、グルタミナーゼの発現を調節する少なくとも一つのRNAエフェクター分子と接触させることを含む、パラグラフ1〜108のいずれかに記載の方法。
109.さらに、前記宿主細胞を、グルタミンシンテターゼの発現を調節する少なくとも一つのRNAエフェクター分子と接触させることを含む、パラグラフ1〜108のいずれかに記載の方法。
110.少なくとも一つのRNAエフェクター分子(その一部分は、宿主細胞の少なくとも一つの標的遺伝子と相補的である)と、宿主細胞を培養するのに適した細胞培地とを含んでなる組成物であって、前記RNAエフェクター分子が、標的遺伝子の発現を調節でき及び前記発現の調節が、生物由来物質の産生を高め、前記少なくとも一つのRNAエフェクター分子が、配列番号:9772−3152339及び配列番号:3161121−3176783からなる群から選択されるヌクレオチド配列の少なくとも16個の連続したヌクレオチドを含むアンチセンス鎖を含むsiRNAである組成物。
111.2つ又はそれ以上のRNAエフェクター分子を含んでなり、前記2つ又はそれ以上のRNAエフェクター分子がそれぞれ異なる標的遺伝子と相補的である、パラグラフ110に記載の組成物。
112.複数のRNAエフェクター分子を含んでなる組成物であって、それぞれのRNAエフェクター分子の一部分が、宿主細胞の少なくとも一つの標的遺伝子と相補的であり、並びに前記組成物がBax、Bak及びLDHの発現を調節することができ及び前記発現の調節が生物由来物質の産生を高める組成物。
113.さらに、少なくとも一つの追加のRNAエフェクター分子又は物質を含む、パラグラフ110又は112に記載の組成物。
114.前記少なくとも一つのRNAエフェクター分子がsiRNAである、110又は112に記載の組成物。
115.前記少なくとも一つのRNAエフェクター分子が二重鎖領域を含む、パラグラフ110又は112に記載の組成物。
116.前記少なくとも一つのRNAエフェクター分子が、15〜30個のヌクレオチドの長さである、パラグラフ110又は112に記載の組成物。
117.前記少なくとも一つのRNAエフェクター分子が、17〜28個のヌクレオチドの長さである、パラグラフ110又は112に記載の組成物。
118.前記少なくとも一つのRNAエフェクター分子が、修飾ヌクレオチドを含む、パラグラフ110又は112に記載の組成物。
119.前記細胞培地が血清無含有培地である、パラグラフ110に記載の組成物。
120.前記組成物が、非脂質製剤に製剤される、パラグラフ110〜119のいずれかに記載の組成物。
121.前記組成物が、脂質製剤に製剤される、パラグラフ110〜119に記載の組成物。
122.前記製剤中の脂質が、陽イオン性又は非イオン性脂質を含む、パラグラフ121のいずれか1つに記載の組成物。
123.前記組成物が、さらに一つ又はそれ以上の細胞培養培地補助物質を含む、パラグラフ110〜122のいずれかに記載の組成物。
124.前記少なくとも一つのRNAエフェクター分子が、二本鎖リボ核酸(dsRNA)を含み、前記dsRNAが、相互に相補的である少なくとも2つの配列を含み及び前記センス鎖が、第一の配列を含み及びアンチセンス鎖が、標的遺伝子の少なくとも一部分と実質的に相補的である相補性の領域を含む第二の配列を含み、並びに前記相補性の領域が、10〜30個のヌクレオチドの長さである、パラグラフ110〜123のいずれかに記載の組成物。
125.培養細胞による生物由来物質の産生を高めるキットであって、
(a)生物由来物質が産生される条件下で細胞を培養するのに適した一つ又はそれ以上のアッセイ表面を含む支持体;
(b)一つ又はそれ以上のRNAエフェクター分子(それぞれのRNAエフェクター分子の少なくとも一部分は、標的遺伝子と相補的である)、及び
(c)生物由来物質又はその細胞による産生を検出するための試薬、
を含み、前記一つ又はそれ以上のRNAエフェクター分子が、配列番号:9772−3152339及び配列番号:3161121−3176783からなる群から選択されるヌクレオチド配列の少なくとも16個の連続したヌクレオチドを含むアンチセンス鎖を含むsiRNAであるキット。
126.前記一つ又はそれ以上のアッセイ表面が、さらに宿主細胞の増殖及び維持を支持するための基材を含む、パラグラフ125に記載のキット。
127.前記一つ又はそれ以上のRNAエフェクター分子が、前記支持体表面に沈着している、パラグラフ125に記載のキット。
128.さらに、前記宿主細胞によるRNAエフェクター分子の取り込みを促進するための担体を含む、パラグラフ125に記載のキット。
129.前記担体が陽イオン性脂質組成物を含む、パラグラフ128に記載のキット。
130.前記担体が、支持体表面に沈着している、パラグラフ128に記載のキット。
131.さらに、宿主細胞を培養するのに適した細胞培養培地を含む、パラグラフ125に記載のキット。
132.さらに、一つ又はそれ以上のRNAエフェクター分子の存在下で宿主細胞を培養し、前記細胞を生物由来物質の産生についてアッセイするための取扱説明書を含む、パラグラフ125に記載のキット。
133.培養細胞による生物由来物質の産生を最適化するためのキットであって、
(a)複数のアッセイ表面を含むマイクロアレイ支持体(前記アッセイ表面は、生物由来物質が産生される条件下で細胞を培養するのに適している);
(b)一つ又はそれ以上のRNAエフェクター分子(それぞれのRNAエフェクター分子の少なくとも一部分は、標的遺伝子と相補的である);及び
(c)前記一つ又はそれ以上のRNAエフェクター分子の生物由来物質の産生に対する効果を検出するための試薬;
を含み、前記一つ又はそれ以上のRNAエフェクター分子が、配列番号:9772−3152339及び配列番号:3161121−3176783からなる群から選択されるヌクレオチド配列の少なくとも16個の連続したヌクレオチを含むアンチセンス鎖を含むsiRNAであるキット。
134.前記支持体が、マルチウエルプレート又はバイオチップである、パラグラフ133に記載のキット。
135.前記支持体が、二次元マイクロアレイプレート又はバイオチップある、パラグラフ133に記載のキット。
136.前記一つ又はそれ以上のRNAエフェクター分子が、支持体のアッセイ表面に沈着している、パラグラフ133に記載のキット。
137.複数の異なるRNAエフェクター分子が、マイクロアレイの第一の寸法にわたってアッセイ表面に沈着している、パラグラフ135に記載のキット。
138.前記複数のRNAエフェクター分子が、それぞれ異なる標的遺伝子と相補的である、パラグラフ137に記載のキット。
139.前記異なる標的遺伝子が、Bax、Bak及びLDHである、パラグラフに記載のキット。
140.複数のRNAエフェクター分子が、それぞれ同じ標的遺伝子の異なる領域と相補的である、パラグラフ137に記載のキット。
141.前記複数を含むRNAエフェクター分子のそれぞれが、マイクロアレイの第二の寸法に沿ったアッセイ表面に種々の濃度で沈着している、パラグラフ137に記載のキット。
142.前記RNAエフェクター分子(その一部分は、標的遺伝子と相補的である)が、ヌクレオチド配列の少なくとも16個の連続したヌクレオチドを含むアンチセンス鎖を含む対応siRNAであり、前記ヌクレオチド配列が、表1〜16、21〜25、27〜30、31、33、35、37、39、41、45、47、51〜61、65及び66のいずれかに記載される、請求項1〜109のいずれかに記載の方法。
143.細胞においてタンパク質の発現を調節するのに適した少なくとも一つのRNAエフェクター分子のヌクレオチド配列を選択するためのシステムであって、
(a)少なくとも一つのプロセッサと関連メモリとを含むコンピュータシステム(前記メモリは、コンピュータシステムの操作を制御するための少なくとも一つのコンピュータプログラムを格納する);
(b)前記コンピュータシステムに連結され、少なくとも一つの細胞の少なくとも一つのトランスクリプトーム(細胞トランスクリプトーム)のトランスクリプトーム情報(前記情報は、前記トランスクリプトームのそれぞれの転写産物のための配列、及び場合により前記転写産物の名前、及び場合により前記転写産物が役割を果たす分子経路の名前を含む)と;少なくとも一つのRNAエフェクター分子に関する情報(前記情報は、少なくともRNAエフェクター分子の配列、及び場合により前記RNAエフェクター分子の標的特異性を含み、それぞれのRNAエフェクター分子は、少なくとも一つの細胞トランスクリプトームの少なくとも配列にマッチさせるために設計される)とを含むデータベース;
(c)前記コンピュータシステムによって実行され並びに細胞型選択、標的生物選択、細胞経路選択、交差反応性選択、転写産物量選択、標的遺伝子名及び/又は配列選択、及び場合により生体内又は生体外送達選択肢のいずれかを含む送達選択の方法の少なくとも一つを含むユーザパラメータと;さらに、場合によりユーザアドレス情報とを受け取るために構成されたユーザインターフェースプログラムモジュール;
(d)前記コンピュータシステムによって実行され並びに前記パラメータとトランスクリプトーム転写産物配列のマッチする組み合わせについて前記パラメータをデータベース中の配列と照合するために構成される第一のモジュール;及び
(e)前記コンピュータシステムによって実行され及び細胞でのタンパク質の発現を調節するのに適した少なくとも一つのRNAエフェクター分子の選択された配列を示すために構成された第二のモジュール;
を含むシステム。
144.さらに、少なくとも一つのRNAエフェクター分子をコンテナに格納するための記憶モジュール(この場合、2つ又はそれ以上のRNAエフェクター分子が存在する場合には、それぞれのRNAエフェクター分子は、別個のコンテナに格納される)及びロボットハンドリングモジュール(これは、前記マッチする組み合わせの選択の際に、マッチングコンテナを選択し、及び場合により前記コンテナに生体内又は生体外送達のためのユーザ選択に基づいた付加物を加え、及び場合によりさらに、ユーザアドレスに送るべき前記マッチングRNAエフェクター分子を含むコンテナをパッケージする)を含む、パラグラフ144に記載のシステム。
145.前記少なくとも一つの細胞トランスクリプトーム配列情報が、本質的に配列番号:1−9771及び配列番号:3157149−3158420からなる、パラグラフ143〜144のいずれかに記載のシステム。
146.前記RNAエフェクター分子が、siRNA、miRNA、dsRNA、saRNA、shRNA、piRNA、tkRNAi、eiRNA、pdRNA、ギャップマー、アンタゴミア、リボザイム及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、パラグラフ143〜145のいずれかに記載のシステム。
147.前記RNAエフェクター分子が、siRNA、製剤化siRNA、siRNA混合物及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、パラグラフ143〜145のいずれかに記載のシステム。
148.前記RNAエフェクター分子が、配列番号:9772−3152399及び配列番号:3161121−3176783からなる群から選択されるヌクレオチド配列の少なくとも16個の連続したヌクレオチドを含むアンチセンスRNA鎖を含む、パラグラフ143〜147のいずれかに記載のシステム。
149.前記RNAエフェクター分子が、配列番号:9772−3152399及び配列番号:3161121−3176783からなる群から選択されるヌクレオチド配列の少なくとも16〜19個の連続したヌクレオチドを含むアンチセンスRNA鎖を含む、パラグラフ143〜147のいずれかに記載のシステム。
150.前記の少なくとも一つのRNAエフェクター分子の配列が、本質的に配列番号:9772−3152399及び配列番号:3161121−3176783からなる、パラグラフ143〜149のいずれかに記載のシステム。
151.少なくとも一つのトランスクリプトーム中の少なくとも一つ又はそれ以上の配列とマッチする複数のRNAエフェクター分子が選択される、パラグラフ143〜150のいずれかに記載のシステム。
152.前記パラグラフのいずれか一つに記載のシステムを使用して細胞においてタンパク質の発現を調節するためのRNAエフェクター分子の選択方法。
153.さらに細胞のゲノム情報を含み、ユーザ選択によって、前記RNAエフェクター分子を、ゲノムに存在するプロモーター、エンハンサー、イントロン及びエクソンを含む標的ゲノム配列にマッチさせることができる、前記パラグラフのいずれかに記載のシステム。
154.配列番号:1−9771を有する転写産物の選択又は編集を含むチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞トランスクリプトーム。
155.配列番号:3157149−3158420を有する転写産物の選択又は編集を含むチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞トランスクリプトーム。
156.前記CHO細胞トランスクリプトーム配列が、データベースの一部である、パラグラフ154又は155に記載のCHO細胞トランスクリプトーム。
157.パラグラフ154又は155に記載のCHO細胞トランスクリプトームのいずれか一つに指向するsiRNA。
158.前記siRNAが、配列番号:9772−3152399及び配列番号:3161121−3176783からなる群から選択されるヌクレオチド配列の少なくとも16個の連続したヌクレオチドを含むアンチセンス鎖を含む、パラグラフ157に記載のsiRNA。
159.前記siRNAが、配列番号:9772−3152399及び配列番号:3161121−3176783からなる群から選択されるヌクレオチド配列の少なくとも16〜19個の連続したヌクレオチドを含むアンチセンス鎖を含む、パラグラフ157又は158に記載のsiRNA。
160.前記siRNAが、配列番号:9772−3152359及び配列番号:3161121−3176783からなる群から選択される、パラグラフ156〜159のいずれか一つに記載のsiRNA。
161.前記siRNA配列又はそのアンチセンス配列が、データベースの一部である、前記請求項のいずれかに記載のsiRNA。
162.細胞株を改良する方法であって、表1〜16から選択される転写産物から翻訳される少なくとも一つのタンパク質を調節することを含む方法。
163.細胞株を改良する方法であって、少なくとも2つの転写産物を、エフェクターRNA分子を使用して調節することを含み、第一の転写産物が、第一の細胞培養表現型に影響を及ぼし及び第二の転写産物が、第二の異なる細胞培養表現型に影響を及ぼし、前記細胞培養表現型が、細胞増殖速度、細胞生産性、ピーク細胞密度、持続した細胞生存率、アンモニア産生及び消費の速度、又は乳酸産生もしくは消費の速度からなる群から選択され;並びに前記第一及び第二の転写産物が、配列番号:1−9771及び配列番号:3157149−3158420からなる群から選択される方法。
164.さらに、第一及び第二の細胞培養表現型と異なる第三の細胞培養表現型に影響を及ぼす第三の転写産物を調節することを含む、パラグラフ163に記載の方法。
165.前記RNAエフェクター分子が、siRNA、miRNA、dsRNA、saRNA、shRNA、piRNA、tkRNAi、eiRNA、pdRNA、ギャップマー、アンタゴミア又はリボザイムからなる群から選択される、パラグラフ163〜164のいずれかに記載の方法。
166.前記RNAエフェクター分子が、配列番号:9772−3152359及び配列番号:3161121−3176783からなる群から選択されるヌクレオチド配列の少なくとも16個の連続したヌクレオチドを含むアンチセンス鎖を含む、パラグラフ163〜165のいずれかに記載の方法。
167.前記RNAエフェクター分子が、配列番号:9772−3152399及び配列番号:3161121−3176783からなる群から選択されるヌクレオチド配列の少なくとも16〜19個の連続したヌクレオチドを含むアンチセンス鎖を含む、パラグラフ163〜167のいずれかに記載の方法。
168.前記エフェクターRNA分子が、配列番号:9772−3152399及び配列番号:3161121−3176783からなる群から選択される、パラグラフ163〜167のいずれかに記載の方法。
169.前記細胞株がCHO細胞株である、パラグラフ163〜168のいずれかに記載の方法。
170.改良された細胞生産性、改良された細胞増殖速度、又は改良された細胞生存率を有する組換え細胞株であって、組換え細胞の個体群を含み、そのそれぞれが、表1〜16、21〜25、27〜30、52〜61、65及び66から選択される一つ又はそれ以上の転写産物を調節する組換え構造物を含む組換え細胞株。
171.前記の一つ又はそれ以上の転写産物を調節する組換え構造物が、siRNA、miRNA、dsRNA、saRNA、shRNA、piRNA、tkRNAi、eiRNA、pdRNA、ギャップマー、アンタゴミア、リボザイム及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択されるRNAエフェクター分子を含む、パラグラフ170に記載の組換え細胞株。
172.前記RNAエフェクター分子が、配列番号:9772−3152399及び配列番号:3161121−3176783からなる群から選択されるヌクレオチド配列の16〜19個の連続したヌクレオチドを含むアンチセンス鎖を含む、パラグラフ171に記載の組換え細胞株。
173.前記組み換え構造物が、配列番号:9772−3152399及び配列番号:3161121−3176783からなる群から選択されるsiRNAを含む、パラグラフ169〜172のいずれかに記載の組換え細胞株。
174.前記脂質製剤が、次式:
Figure 2014501097
{式中:
及びRは、それぞれの存在についてそれぞれ独立して、場合により置換されていてもよいC10〜C30アルキル、場合により置換されていてもよいC10〜C30アルコキシ、場合により置換されていてもよいC10〜C30アルケニル、場合により置換されていてもよいC10〜C30アルケニルオキシ、場合により置換されていてもよいC10〜C30アルキニル、場合により置換されていてもよいC10〜C30アルキニルオキシ、又は場合により置換されていてもよいC10〜C30アシルであり;
Figure 2014501097
は、LとLの間の結合を表し、この結合は:
(1)Lの一つの原子とLの一つの原子の間の単結合であり〔この場合、
は、C(R)、O、S又はN(Q)であり;
は、−CR−、−O−、−S−、−N(Q)−、=C(R)−、−C(O)N(Q)−、−C(O)O−、−N(Q)C(O)−、−OC(O)−、又は−C(O)−である〕;
(2)Lの一つの原子とLの一つの原子の間の二重結合であり〔この場合、
は、Cであり;
は、−CR=、−N(Q)=、−N−、−O−N=、−N(Q)−N=、又は−C(O)N(Q)−N=である〕;
(3)Lの第一の原子とLの第一の原子の間の単結合、及びLの第二の原子とLの第一の原子の間の単結合であり〔この場合、
は、Cであり;
は、次式:
Figure 2014501097
を有し、式中のXは、Lの第一の原子であり、Yは、Lの第二の原子であり、−−−−−は、Lの第一の原子に対する単結合を表し、並びにX及びYは、それぞれ独立して、−O−、−S−、アルキレン、−N(Q)−、−C(O)−、−O(CO)−、−OC(O)N(Q)−、−N(Q)C(O)O−、−C(O)O、−OC(O)O−、−OS(O)(Q)O−、及び−OP(O)(Q)O−からなる群から選択され;
及びZは、それぞれ独立して、−O−、−S−、−CH−、−CHR−、又は−CR−であり;
は、CH又はNであり;
は、CH又はNであり;
あるいは、ZとZは、一緒になって、単一のC原子であり;
及びAは、それぞれ独立して、−O−、−S−、−CH−、−CHR−、又は−CR−であり;
それぞれのZは、N、C(R)、又はC(R)であり;
kは、0、1、又は2であり;
それぞれのmは、独立して0〜5であり;
それぞれのnは、独立して0〜5であり;
この場合に、mとnは、一緒になって3、4、5、6、7又は8員環を生じる〕;
(4)Lの第一の原子とLの第一の原子の間の単結合、及びLの第一の原子とLの第二の原子の間の単結合であり〔この場合に、
(A)Lは、次式:
Figure 2014501097
を有し、式中のXは、Lの第一の原子であり、Yは、Lの第二の原子であり、−−−−−は、Lの第一の原子に対する単結合を表し、並びにX及びYは、それぞれ独立して、−O−、−S−、アルキレン、−N(Q)−、−C(O)−、−O(CO)−、−OC(O)N(Q)−、−N(Q)C(O)O−、−C(O)O、−OC(O)O−、−OS(O)(Q)O−、及び−OP(O)(Q)O−からなる群から選択され;
は、CH又はNであり;
は、CH又はNであり;
あるいは、TとTは、一緒になって、C=Cであり;
は、CRであるか;又は
(B)Lは、次式:
Figure 2014501097
を有し、式中のXは、Lの第一の原子であり、Yは、Lの第二の原子であり、−−−−−は、Lの第一の原子に対する単結合を表し、並びにX及びYは、それぞれ独立して、−O−、−S−、アルキレン、−N(Q)−、−C(O)−、−O(CO)−、−OC(O)N(Q)−、−N(Q)C(O)O−、−C(O)O、−OC(O)O−、−OS(O)(Q)O−、及び−OP(O)(Q)O−からなる群から選択され;
は、−CR−、−N(Q)−、−O−、又は−S−であり;
は、−CR−、−N(Q)−、−O−、又は−S−であり;
は、CR又はNである〕;
は、次式:
Figure 2014501097
を有し、式中、
、Y、Y及びYのそれぞれは、独立して、アルキル、シクロアルキル、アリール、アラルキル、又はアルキニルであるか;あるいは、
、Y及びYの任意の2つは、これらを結合しているN原子と一緒になって3〜8員複素環を形成するか;あるいは、
、Y及びYは、全てがこれらを結合しているN原子と一緒になって二環式5〜12員複素環を形成し;
それぞれのRは、独立して、H、ハロ、シアノ、ヒドロキシ、アミノ、アルキル、アルコキシ、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、又はヘテロシクリルであり;
は、結合、−N(Q)−、−O−、−S−、−(CR−、−C(O)−、又はこれらの任意の2つの組み合わせであり;
は、結合、−N(Q)−、−O−、−S−、−(CR−、−C(O)−、又はこれらの任意の2つの組み合わせであり;
は、結合、−N(Q)−、−O−、−S−、−(CR−、−C(O)−、又はこれらの任意の2つの組み合わせであり;
及びRのそれぞれの存在は、独立して、H、ハロ、シアノ、ヒドロキシ、アミノ、アルキル、アルコキシ、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、又はヘテロシクリルであり;あるいは、隣り合った2個の炭素原子上の2個のR基は、一緒になってこれらのそれぞれの炭素原子の間で二重結合を形成するか;又は隣り合った2個の炭素原子上の2個のR基と、同じ隣り合った炭素原子上の2個のR基は、一緒になってこれらのそれぞれの炭素原子の間で三重結合を形成し;
それぞれのaは、独立して、0、1、2、又は3であり;
この場合に、
、L又はLのいずれかに由来するR又はR置換基は、場合によりL、L又はLのいずれかに由来するR又はR置換基と一緒になって、3〜8員シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、又はヘテロアリール基を形成し;及び
、Y及びYの任意の一つは、場合により、L、L又はLのいずれかに由来するR又はR基、及びこれらを結合している原子と一緒になって、3〜8員ヘテロシクリル基を形成し;
それぞれのQは、独立して、H、アルキル、アシル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール又はヘテロシクリルであり;並びに
それぞれのQは、独立してO、S、N(Q)(Q)、アルキル又はアルコキシである}
を有する脂質を含んでなる、パラグラフ121に記載の方法。
175.前記哺乳動物細胞が、MDCK細胞である、パラグラフ41に記載の方法。
(実施例)
(実施例1) RNAエフェクター分子合成
試薬の供給源が本明細書中で具体的に記載されていない場合、そのような試薬は、分子生物学における応用に標準的な品質/純度で分子生物学用試薬の任意の供給元から入手することができる。
オリゴヌクレオチド合成:オリゴヌクレオチドは全てAKTAoligopilot合成装置で合成する。市販のコントロールドポアガラス固体支持体(dT−CPG、500Å、Prime Synthesis)及び標準的保護基を有するRNAホスホルアミダイト、5’−O−ジメトキシトリチルN6−ベンゾイル−2’−t−ブチルジメチルシリル−アデノシン−3’−O−N,N’−ジイソプロピル−2−シアノエチルホスホルアミダイト、5’−O−ジメトキシトリチル−N4−アセチル−2’−t−ブチルジメチルシリル−シチジン−3’−O−N,N’−ジイソプロピル−2−シアノエチルホスホルアミダイト、5’−O−ジメトキシトリチル−N2−-イソブチル−2’−t−ブチルジメチルシリル−グアノシン−3’−O−N,N’−ジイソプロピル−2−シアノエチルホスホルアミダイト、及び5’−O−ジメトキシトリチル−2’−t−ブチルジメチルシリル−ウリジン−3’−O−N,N’−ジイソプロピル−2−シアノエチルホスホルアミダイト(Pierce Nucleic Acids Technologies)をオリゴヌクレオチド合成のために使用した。2’−Fホスホルアミダイト、5’−O−ジメトキシトリチル−N4−アセチル−2’−フルロ−シチジン−3’−O−N,N’−ジイソプロピル−2−シアノエチル−ホスホルアミダイト及び5’−O−ジメトキシトリチル−2’−フルロ−ウリジン−3’−O−N,N’−ジイソプロピル−2−シアノエチル−ホスホルアミダイトを(Promega)から購入する。10%THF/ANC(v/v)中0.2Mの濃度で使用するグアノシン以外、全てのホスホルアミダイトはアセトニトリル(CHCN)中0.2Mの濃度で使用する。16分のカップリング/リサイクリング時間を使用する。アクチベータは、5−エチルチオテトラゾール(0.75M、American International Chemicals)であり;PO酸化には、ヨウ素/水/ピリジンを使用し、PS酸化には、2,6−ルチジン/ACN(1:1v/v)中PADS(2%)を使用する。
3’−リガンド結合鎖は、対応するリガンドを含む固体支持体を使用して合成する。例えば、配列中のコレステロール単位の導入は、ヒドロキシプロリノール−コレステロールホスホルアミダイトから実施する。コレステロールを6−アミノヘキサノエート結合によりtrans−4−ヒドロキシプロリノールと結合させて、ヒドロキシプロリノール−コレステロール部分を得る。5’末端Cy−3及びCy−5.5(フルオロフォア)標識されたRNAエフェクター分子を、対応するQuasar(登録商標)570インドカルボシアニンから合成する。Cy(商標)3ホスホルアミダイトをBiosearch Technologies(Novato,CA)から購入する。リガンドの5’末端及び又は内部位置への結合は、適切に保護されたリガンド−ホスホルアミダイトビルディングブロックを用いることによって達成される。ホスホルアミダイトの無水CHCN中0.1M溶液の、5−(エチルチオ)−1H−テトラゾールアクチベータの存在下での固体支持体結合オリゴヌクレオチドへの拡大された15分のカップリング。ヌクレオチド間ホスファイトのホスフェートへの酸化は、文献で報告されているように、標準的ヨウ素−水を用いるか、又はtert−ブチルヒドロペルオキシド/アセトニトリル/水(10:87:3)での処理(10分間の酸化待ち時間を伴う)によって実施する。ホ硫黄転移試薬、例えばDDTT(AM Chemicalsから購入)、PADS及び又はBeaucage試薬を使用することによりホスファイトをホスホロチオエートに酸化することによって、スホロチオエートを導入する。コレステロールホスホルアミダイトを自家合成し、ジクロロメタン中0.1Mの濃度で使用する。コレステロールホスホルアミダイトのカップリング時間は16分である。
脱保護I(核酸塩基脱保護):合成完了後、支持体を100mLのガラスビン(VWR)に移す。80mLのエタノール性アンモニア混合物[アンモニア:エタノール(3:1)]で6.5時間55℃にて、塩基及びリン酸基を同時に脱保護して、オリゴヌクレオチドを支持体から切断する。ビンを氷上で短時間冷却し、次いでエタノール性アンモニア混合物を新しい250mLビン中にろ過する。CPGを2×40mLのエタノール/水(1:1v/v)で洗浄する。混合物の体積を次いでロト・バップにより〜30mLまで減じる。混合物を次いでドライアイス上で凍結させ、スピード・バックで真空乾燥する。
脱保護II(2’−TBDMS基の除去):乾燥残留物を26mLのトリエチルアミン、トリエチルアミン三フッ化水素酸塩(TEA・3ΗF)又はピリジン−HF及びDMSO(3:4:6)中に再懸濁させ、60℃で90分間加熱して、2’位のtert−ブチルジメチルシリル(TBDMS)基を除去する。反応を次いで50mLの20mM酢酸ナトリウムでクエンチし、pHを6.5に調節する。オリゴヌクレオチドを精製するまで冷凍庫中で保存する。
分析:オリゴヌクレオチドを精製前に高性能液体クロマトグラフィー(HPLC)により分析し、緩衝液及びカラムの選択は、配列及び又は結合リガンドの性質に依存する。
HPLC精製:リガンド結合オリゴヌクレオチドを逆相分取HPLCにより精製する。非結合オリゴヌクレオチドを、自家充填したTSKゲルカラム上アニオン交換HPLCにより精製する。緩衝液は、10%CHCN中20mMリン酸ナトリウム(pH8.5)(緩衝液A);及び10%CHCN中20mMリン酸ナトリウム(pH8.5)、1M NaBr(緩衝液B)である。全長オリゴヌクレオチドを含むフラクションをプールし、脱塩し、凍結乾燥する。約0.15ODの脱塩されたオリゴヌクレオチドを水中で150μLに希釈し、次いでCGE及びLC/MS分析用の特別なバイアル中にピペッティングする。化合物を次いでLC−ESMS及びCGEにより分析する。
RNAエフェクター分子調製:RNAエフェクター分子の一般的な調製のために、等モル量のセンス鎖及びアンチセンス鎖を1×PBS中、95℃で5分間加熱し、そして室温までゆっくりと冷却する。二本鎖の完全性をHPLC分析により確認する。
ハムスターBax、Bak、及びLDH mRNAを分解するように設計されたsiRNAを、一般公開されている配列データに基づいて合成した。約32のsiRNAの1セットを各標的に関して設計し、合成した。各siRNAを細胞培地に10nMで3日間添加して、効果についてスクリーニングした。96ウェルプレート中で、29.5μLのCDCHO培地(Gibco)を試験ウェルに添加し、47μLを対照ウェルに添加した。このために、CDCHO培地中100nMのsiRNA(17.5μL)を試験ウェルに添加した。全てのウェルに対して、CDCHO培地中で1:10に希釈した3μLのLipofectamine(商標)RNAiMAXトランスフェクション試薬(Invitrogen)を添加した。混合物を室温で15分間インキュベートし、次いで20,000〜30,000細胞を含有する125μLのCDCHO培地を全てのウェルに添加した。プレートを次いで37℃COインキュベータ中に3日間入れた。
3日後、細胞を毒性について視覚的に調査し、次いで製造業者の指示にしたがってMagMAX(商標)96ウェルRNA抽出キット(Applied Biosys./Ambion(登録商標),Austin,TX)を使用して、RNAを抽出した。製造業者の指示にしたがってHigh Capacity cDNA Reverse Transcription Kit(Applied Biosys.)を使用して、cDNAをRNAから作製した。最後に、qPCRを用いて、Roche Lightcycler 480 PCR装置及びRoche PCR Probesマスターミックスで標的cDNAの25倍希釈を定量化した。APDHを内部標準として使用するΔΔCt法を用いて、標的遺伝子の相対的ノックダウンを計算した。
qPCRに関して、以下のプライマー及びプローブを使用した:
Bax
順方向プライマー 5’−GGAGCAGCTCGGAGGCG−3’(配列番号3152400)
逆方向プライマー 5’−AAAAGGCCCCTGTCTTCATGA−3’(配列番号3152401)
プローブ 5’−6FAM−CGGGCCCACCAGCTCTGAGCA−TAMRA−3’(配列番号3152402)
Bak
順方向プライマー 5’−CCTCCTAGGCAGGACTGTGA−3’(配列番号3152403)
逆方向プライマー 5’−CCAAGATGCTGTTGGGTTCT−3’(配列番号3152404)
プローブ 5’−6FAM−TCAGGAACAAGAGACCCAGG−TAMRA−3’(配列番号3152405)
LDH
順方向プライマー 5’−TCTGTCTGTGGCTGACTTGG−3’(配列番号3152406)
逆方向プライマー 5’−TCACAACATCGGAGATTCCA−3’(配列番号3152407)
プローブ 5’−6FAM−TGAAGAATCTTAGGCGGGTG−TAMRA−3’(配列番号3152408)
GAPDH
順方向プライマー 5’−TGGCTACAGCAACAGAGTGG−3’(配列番号3152409)
逆方向プライマー 5’−GTGAGGGAGATGATCGGTGT−3’(配列番号3152410)
プローブ 5’−VIC−AGTCCCTGTCCAATAACCCC−TAMRA−3’(配列番号3152411)
10nMでの最初のスクリーンの後、17.5μLのCDCHO培地中のsiRNAの濃度を必要に応じて変更して所望の最終濃度を得る以外は、前述と同じ条件下、100nM〜1pMの範囲の濃度で、最も強力なsiRNAをさらに試験した。この手順を用いて同定される、さらに強力なsiRNAのいくつかを表25に示す。
LDH活性アッセイキット(Cayman Chemical,Ann Arbor,MI)を使用して、3〜4日のLDH siRNAでの処理後のLDHのレベルの低下について試験した。96ウェルプレートのウェル中で、細胞を175μLの培地中に溶解させるために、20μLの1%TritonX−100を添加し、プレートを10分間室温にて振盪した。アッセイを製造業者のプロトコルにしたがって実施した。
ハムスター(モンゴルキヌゲネズミ(Cricetulus griseus))Bakに対する例示的dsRNA配列は本明細書中で配列番号:3152412〜3152145として開示され、ここで、偶数の配列番号(たとえば、配列番号3152412)はセンス鎖を表し、奇数の配列番号(たとえば、配列番号3152413)は相補性アンチセンス鎖を表し;本明細書中で記載される実施形態では、RNAエフェクター分子は、これらの配列の少なくとも16個の連続するヌクレオチドを含み得る。
Figure 2014501097
Figure 2014501097
ハムスター(モンゴルキヌゲネズミ)Baxに対する例示的dsRNA配列を本明細書中では配列番号:3152476〜3152539として開示し、ここで、偶数の配列番号(たとえば、配列番号3152476)はセンス鎖を表し、奇数の配列番号(たとえば、配列番号3152477)は相補性アンチセンス鎖を表し;本明細書中で記載される実施形態では、RNAエフェクター分子はこれらの配列の少なくとも16個の連続するヌクレオチドを含み得る。
ハムスター(モンゴルキヌゲネズミ)LDH−Aに対する例示的dsRNA配列を、本明細書中では配列番号3152540〜3152603として開示し、ここで、偶数の配列番号(たとえば、配列番号3152540)はセンス鎖を表し、奇数の配列番号(たとえば、配列番号3152541)は相補性アンチセンス鎖を表し;本明細書中で記載される実施形態では、RNAエフェクター分子はこれらの配列の少なくとも16個の連続するヌクレオチドを含み得る。
Figure 2014501097
(実施例2) ヒトHT−1080細胞におけるグルコセレブロシダーゼの増大した産生
ヒトグルコセレブロシダーゼの産生は、ヒトHT−1080細胞において増大し、この場合、グルコセレブロシダーゼ遺伝子は、細胞を1以上のRNAエフェクター分子と接触させることにより、米国特許第5,641,670号(Gene−Activated(登録商標)GCB(GA−GCB))で記載されるように活性化され、ここで、各RNAエフェクター分子の少なくとも一部は、宿主細胞マンノシダーゼをコード化する標的遺伝子に相補的である。RNAエフェクター分子は、ゴルジマンノシダーゼIA、ゴルジマンノシダーゼIB、ゴルジマンノシダーゼIC、及び/又はゴルジマンノシダーゼIIなどのクラス1プロセシング及び/又はクラス2プロセシングマンノシダーゼをコード化する標的遺伝子の発現を阻害する。種々のマンノシダーゼのコーディング鎖配列が開示されている。たとえば、Bause,217 Eur.J.Biochem.535−40(1993);Gonzalezら、274 J.Biol.Chem.21375−86(1999);Misagoら、92 PNAS 11766−70(1995);Tremblayら、8 Glycobio.585−95(1998);Tremblayら、275 J.Biol.Chem.31655−60(2000)を参照。マンノシダーゼを標的とするRNAエフェクター分子を、ワトソン・クリックの塩基対合則及び本明細書中に開示されているか、さもなければ当該技術分野で公知の他の検討事項にしたがって設計することができる。
GA−GCB糖型に対するRNAエフェクター分子の影響:GA−GCBを産生するHT−1080細胞を蒔き、生産培地を、0(薬剤を含まない)〜10μg/mLの範囲のRNAエフェクター分子濃度が得られるように調節する。培地を収集し、細胞を24時間ごとに3日間再供給する。第3日からの試料を等電点電気泳動(IEF)分析に付して、発現されたグルコセレブロシダーゼに対するRNAエフェクター分子の影響を分析する。タンパク質の見かけの等電点(pI)は、RNAエフェクター分子の濃度に依存して増大する。最も急なpIの増大を示すRNAエフェクター分子は、グルコセレブロシダーゼの産生を増大させるための好ましいRNAエフェクター分子と認定される。
GA−GCB産生に対するRNAエフェクター分子の影響:10本のローラービン(表面積、それぞれ1700cm2)に、増殖培地(10%仔ウシ血清を含むDMEM)中、GA−GCBを産生するHT−1080細胞を播種する。2週間の増殖後、培地を吸引し、200mLの新しい生産培地(DMEM/F12、0%仔ウシ血清)を3セットのローラービンに添加する。4本のローラービンの2セットを〜1μg/mLのRNAエフェクター分子で処理する。2本のローラービンの第3群には薬物処置をしない。約24時間後、各ローラービンからの培地を収集し、プールし、そしてGA−GCB酵素活性分析のために試料を採取する。酵素活性分析を次のように実施する:試験物を酵素基質(4−メチルウンベリフェリル−β−D−グルコピラノシド)と混合し、1時間、37℃でインキュベートする。NaOH/グリシン緩衝液を添加することにより反応を停止させ、蛍光分光光度計の使用により蛍光を定量化する。比活性は2,500単位/mgと表され、ここで、1単位は、37℃で1時間に1マイクロモルの基質が変換されることと定義される。全処理を7日間繰り返す。GA−GCBの安定な産生が7つの毎日収集したもの全てにわたって全ローラービンで観察される。しかし、酵素の絶対レベルは、RNAエフェクター分子処理群によって変化し得る。
hmGCBの精製及び特性化:hmGCBを、RNAエフェクター分子の存在下で増殖させたヒトヒト繊維芽細胞の培地から精製する。hmGCB上に存在する4つのN結合グリカンは、ペプチドN−グリコシダーゼFにより放出され、Sep−pak C18カートリッジを用いて精製する。5%酢酸フラクション中に溶出するオリゴ糖を、水酸化ナトリウム及びヨウ化メチルを用いて過メチル化し、メタノール:水(80:20)中に溶解させ、過メチル化グリカン混合物の一部をマトリックス支援レーザー脱離イオン化飛行時間質量分析法(MALDI−TOF−MS)により分析する。2,5−ジヒドロキシ安息香酸のマトリックスを使用した遅延引き出しを伴うVOYAGER(商標)STRBIOSPECTROMETRY(商標)Research Stationレーザー脱離質量分析計(Applied Biosys.)で試料を分析する。擬分子(pseudomolecular)イオンのパターンがm/z1500〜2500の範囲で見られ、このことは、Man5GlcNAc2からMan9GlcNAc2までの範囲の高マンノースグリカンの存在を示す。
存在する最も多量の高マンノースグリカンは、Man9GlcNAc2及びMan8GlcNAc2であり、Man7GlcNAc2、Man6GlcNAc2、及びMan5GlcNAc2の量は減少する。2個のシアル酸残基を含む微量のフコシル化二分岐複合型グリカンが観察される。各グリカンの相対量の近似表示は、ピークの高さを測定することにより得られる。高マンノースグリカンの平均鎖長のより正確な評価は、インタクト糖タンパク質のMALDI−TOF−MS分析により得られる。グリカン鎖の均一性のために、およそm/z62,483.1で鋭いピークが得られる。アミノ酸配列から計算される成熟ペプチドの質量は、約55,577.6であり、このことは、4個のN結合グリカン鎖がhmGCBの合計量に対する寄与は6905.5であることを示す。この数値から、平均グリカン長さは8.15マンノース残基であると計算できる。
マクロファージ中へのGA−GCB取り込みに対するRNAエフェクター分子の効果:
HT−1080細胞において産生されるGA−GCBをインビトロアッセイで使用して、マウスマクロファージ細胞系における取り込み効率を測定する。実験の具体的な目的は、マウスJ774E細胞におけるGA−GCBの絶対及びマンノース受容体特異的取り込みを測定することである。アッセイの1日前に、J774E細胞を50,000細胞/cmで12ウェルプレートにおいて増殖培地中に蒔く。アッセイのために、50nMのビタミンD3(1,2−5,ジヒドロキシビタミンD3)を含む0.5mLの生産培地(DMEM/F12、0%仔ウシ血清)を細胞に添加する。未精製GA−GCBを、2μg/mLマンナン(マンノース受容体の競合相手)の存在下又は非存在下で10μg/mLの最終濃度にて試験ウェルに添加する。
以下の形態のGA−GCBを使用する:RNAエフェクター分子(1μg/mL)で処理した細胞由来のGA−GCB及び未処理細胞由来のGA−GCB(1μg/mL)。対照ウェルにはGA−GCBを加えない。ウェルを4時間37℃でインキュベートし、次いで緩衝塩溶液中でよく洗浄し、GA−GCB酵素反応緩衝液中にかき落とし、2回の凍結/解凍サイクルを経て、遠心分離により清澄化する。上清を次いで酵素活性及び全タンパク質について定量的に試験する。酵素活性を次のように測定する:試料を酵素基質(4−メチルウンベリフェリル−β−D−グルコピラノシド)と混合し、1時間、37℃でインキュベートする。NaOH/グリシン緩衝液を添加することにより反応を停止させる。蛍光分光光度計の使用により蛍光を定量化する。全タンパク質をビシンコニン酸(BCA)により凍結/解凍細胞可溶化物中で測定する。活性を単位/mg全タンパク質として報告し、ここでは、1単位は、37℃で1時間での1マイクロモルの基質の変換と定義される。RNAエフェクター分子で処理された細胞は、マンナン(2μg/mL)の存在下又は非存在下でRNAエフェクター分子を受ける。GA−GCBのマウスJ744E細胞中へのインタナリゼーションを単位/mg細胞可溶化物で報告する。
結果は、RNAエフェクター分子処理細胞からのGA−GCBの取り込みは、バックグラウンドよりも約7倍〜14倍高く、マンナンにより約67%〜73%阻害可能であることを示す。加えて、この結果により、未処理細胞からのGA−GCBの取り込みがバックグラウンドよりも約3倍高く、マンナンにより53%阻害可能であることも示される。したがって、RNAエフェクター分子による細胞内マンノシダーゼの阻害の結果、マンノース受容体により効率的に細胞中に輸送できるGA−GCBが得られる。マンノース受容体による細胞に対するGA−GCBの標的化における改善は、したがって、1以上のRNAエフェクター分子の存在下でのGA−GCBの産生により最適化することができる。
(実施例3) 様々なsiRNAで処理された懸濁CHO−S細胞の増殖曲線
50mLの全体積中約400,000細胞/mLでフラスコを準備した。まず、20μMのInvitrogen Stealth FITC−siRNA2.5μL又は1μMのBax siRNA50μL及び1μMのBak siRNA50μLの又は1μMのLDH siRNA50μLを、3つの異なる14.3mLの体積のCDCHO培地(GIBCO)に添加した。溶液を穏やかに混合し、次いで85.5μLのLIPOFECTAMINE(商標)RNAiMAXトランスフェクション試薬(Invitrogen)をそれぞれに添加し、溶液を穏やかに再度混合した。溶液を室温で15分間インキュベートした。15分後、32.8mLの温めた培地を各溶液に添加した。最後に、2.9mLの培地を7,000,000細胞/mLで添加し、フラスコを37℃COインキュベータ中、160rpmに設定されたシェーカープレート上に置いた。翌日、アリコートを培地からとり、Beckman−Coulter細胞カウンターで細胞を計数し、それらの生存度を測定した。
2及び4日に、さらなるsiRNAを添加した。これを行うために、25mLを各フラスコから取り出し、〜400×gで5分間回転させて、細胞をペレット化した。次いで、14.3mLの無細胞培地を別の試験管に取り出し、LIPOFECTAMINE(商標)RNAiMAX試薬を前述のように添加した。溶液を穏やかに混合し、室温で15分間インキュベートした。溶液を各細胞ペレットに戻し、ピペットで混合して、細胞集塊を壊し、次いでもとのフラスコに戻した。
(実施例4) Bax、Bak及びLDHの阻害は、培養における細胞の生存度を増強する。
Bax及びBakは、重要なプロアポトーシス(プログラムされた細胞死を誘発できる)機能を果たすミトコンドリア調節BCL−2タンパク質ファミリーのメンバーである。前述のように、低ピコモル濃度範囲内にIC50を有するBax及びBakに対して有効なsiRNAを、1Lのバイオリアクター中で増殖させたCHO細胞に周期的間隔で添加した。加えて、乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)に対するsiRNAもsiRNA配合物中に含める。LDHは嫌気性ストレスの期間中のピルビン酸から乳酸への変換を触媒する。乳酸は、培養中で増殖させた細胞で産生された主要代謝老廃物であり、細胞増殖及び代謝経路の両方を阻害することが示された。Bax/Bak及びLDH経路の活性化は、培養中の細胞の増殖可能性を制限すると考えられるので、これらの遺伝子に対する有効なsiRNAを1Lのバイオプロセシング様条件下で、懸濁液中で増殖させたCHO細胞に添加する効果を評価した。非特異的FITCで標識されたsiRNAで処理されたCHO細胞と比較した場合、Bax/Bak/LDH siRNA処理細胞は、対照よりも90%高い細胞密度まで増殖し、対応してアポトーシス死亡率が2倍減少した。
材料及び方法:懸濁適応させたCHO細胞をInvitrogenから入手し、1Lの使い捨てバイオリアクター(Sartorius,Bohemia,NY)中、37℃及び5.5%COでDG44既知組成培地(Invitrogen;#12610−010)を用いて、製造業者により指示された速度で一定して撹拌しながら増殖させた(0.2×10細胞/mL播種密度)。播種後4日から始めて、CHOCD Efficient Feed培地(Invitrogen;10234,10240)を用いて細胞培養に5%培養量(30mL)を追加した。培養に次いで48時間ごとに同じフィード培地及び体積を用いて供給した。
Bax、Bak、及びLDH siRNA配列を表26に示し、まずRLD小規模合成により修飾なしに小規模で合成し(3’dTdTを除く)、続いて中規模合成を行った。対照siRNAをInvitrogenから購入した(FITC標識されたoligo;#44−2926)。各siRNAを1Lのバイオリアクターに1nMの最終濃度で添加し、Lipofectamine RNAiMaxトランスフェクション試薬(Invitrogen)を用いてトランスフェクション用に処方した。Bax、Bak、及びLDH siRNAをあわせて混合して、最終合計siRNA濃度3nMにした。対照siRNA配合物は、6mLのDG44培地、240μLのLIPOFECTAMINE(商標)RNAiMax試薬、及び30μLのFITC標識オリゴ(20μMストック濃度)を含んでいた。実験のsiRNA配合物は、6mLのDG44培地、240μLのLIPOFECTAMINE RNAiMax試薬、及びそれぞれ6uLのBax、Bak、及びLDH siRNA(100μMストック濃度)を含んでいた。0日から始めて培地に添加する前に、対照及び実験siRNAの両方を室温で15分間インキュベートし、同様の濃度で48時間ごとに合計6回再度添加した。毎日、5mLの培養試料を取り出し、細胞を計数し、血球計でトリパンブルー色素(Sigma Aldrich)排除を用いて生存度を測定した。すべての細胞試料を、siRNA又は栄養フィードのさらなる添加の前に採取した。残りの細胞を等分し、細胞ペレットを沈降させ、次のアッセイ:qPCR、乳酸塩、グルコース、LDH、及びカスパーゼ3に必要になるまで−70℃で凍結した。
Figure 2014501097
結果:Bax/Bak/LDH siRNAをCHO細胞培養に添加することにより、非特異的FITC標識siRNAを用いた対照トランスフェクションと比較した場合、生存細胞密度が約2倍改善される(図6)。対照細胞集団は、6日に〜1.5×10細胞/mLの最大細胞密度に達し;一方、Bax/Bak/LDH siRNA処理細胞は、7日に〜1.8×10細胞/mLの最大細胞密度を達成した。Bax/Bak/LDH処理細胞の総細胞面積(IGA)は対照siRNA処理細胞よりも〜90%増大した(図6、挿入画)。
対照細胞の50%生存度がBax/Bak/LDH処理細胞について10日及び16日で観察された(図7)。両試料は0日から始まって5日まで比較的安定した生存度を示した。細胞生存度は、対照処理試料については6日、実験試料については7日からはじまって90%以下に減少し始めた。細胞死亡速度は%生存度反応曲線の傾きに正比例する。傾斜が鋭い方が、なだらかな傾斜に比べてアポトーシス死亡速度が速いことを示す。アポトーシス細胞死の速度は、Bax/Bak/LDH siRNA処理培養物と比較して対照について2.8倍速かった(図7、挿入画)。
これらのデータは、1Lのバイオリアクターにおいて懸濁液中で増殖させたCHO細胞に添加した場合の可溶性siRNAが、非特異的対照siRNAと比較した場合、細胞密度と生存度との両方に対してプラスの影響を及ぼし得ることを強力に支持する。
乳酸デヒドロゲナーゼ酵素活性及び乳酸レベルはどちらも、Bax/Bak/LDH siRNA処理後のCHO細胞において減少する。
乳酸デヒドロゲナーゼ酵素活性を細胞増殖曲線のコースで追跡した(図8)。曲線下面積(AUC)分析は対照siRNA処理細胞と比較してBax/Bak/LDH siRNA処理細胞において酵素活性の67%減少を示した。乳酸レベルにおいて対応する減少が観察された(図9)。AUC分析により測定されるように、Bax/Bak/LDH siRNA処理培養物において観察される乳酸レベルの減少は約33%であり、酵素活性減少について観察されるものの約半分であり、このことは、LDHピルビン酸から乳酸への変換率が増大して、減少した酵素濃度が相殺されたことを示す。
対照siRNA処理細胞におけるグルコース消費量は増殖曲線の7日後に減少する。グルコースを培養フィーディイング法の一部として使用し、増殖曲線全体にわたってモニタリングした。7日の前に、対照と実験培養とはどちらも、グルコースを同じ程度まで利用した(図10)。7日の後に、Bax/Bak/LDH siRNA処理細胞は、7日の前と同様に引き続きグルコースを使用するが、対照細胞集団はそれらのグルコース消費量が減るようである。
これらのデータは、Bax/Bax/LDH siRNAが、1LのCHOバイオプロセシング培養物に添加された場合、対照siRNA処理培養物と比較して対数期増殖後のグルコース利用を促進することを証明し(対照siRNA処理培養物は促進しなかった)、このことは、対照細胞が死滅するか、またはグルコース代謝ができないことを示唆する。
Bax/Bak/LDH siRNAは、1LのCHOバイオプロセシング培養物に添加された場合に、対照siRNAと比較して、カスパーゼ3活性を有意に減少させる。カスパーゼ3活性化は、アポトーシス死を遂げる細胞におけるDNA分解に至る最後から2番目のステップである。Baxタンパク質及びBakタンパク質はどちらもこのプロセスの上流であるので、Bax/Bakノックダウンは、カスパーゼ3活性も減少させることが予想される。二相カスパーゼ3活性反応が対照条件と実験条件との両方について観察された(図11)。対数期増殖中に、Bax/Bak/LDH−siRNA処理細胞培養及び対照siRNA処理細胞培養はどちらも類似したカスパーゼ3レベルを有していた。非アポトーシス細胞において活性なカスパーゼ3の理由はわからないが、対数期後に、Bax/Bak/LDH siRNA処理細胞培養は対照細胞集団と比較して著しく低いカスパーゼ3活性を有し、9日にカスパーゼ3活性は観察されず、対照と比較して12日の実験細胞集団では<10%活性であった。
これらのデータから、Bax/Bak/LDH siRNAは、Bax及びBakがミトコンドリアにより誘発されるアポトーシスを活性化する能力をブロックし、適切な標的経路が影響を受けたことを示す。
Bax/Bak/LDH siRNAは、2週間にわたって複数回投与された場合、>80%mRNAノックダウンを維持することができる。最近の刊行物では、アポトーシスの最大ブロックを維持するために、Bax及びBak mRNAはどちらも相当ノックダウンされなければならないことが報告されているが(Limら、8 Metabolic Eng.509−22(2006))、別のグループは、LDHがLDH活性を減少させるには>80% mRNAノックダウンで十分であることを示唆した(Kim&Lee,74 Appl.Microbiol.Biotech.152−59(2007))。したがって、複数回siRNAを投与する目的は、3つの遺伝子全てについて%ノックダウンを>80%に維持することであった。時間経過のほとんどにわたってBax及びLDHメッセージノックダウンは実際に>80%であった(図12)。Bak mRNAノックダウンは時間経過を通して80%前後で推移した。このsiRNAは、それぞれの新しい用量と相関するようであるジグザグ反応パターンにより示唆されるように、複数の用量から最も恩恵を受けるようであった。ジグザグ効果は、他のsiRNAについても観察されるが、Bak siRNAほど大きくはなかった。
これらのデータは、この研究で使用した3つのsiRNA全てが2週間にわたってmRNAノックダウンを維持したことを示す。Bak siRNAについてのメッセージノックダウンIC50がBax(表26)と類似していても、時間経過にわたるmRNAノックダウンの維持は匹敵しなかった。この理由はわからないが、他のBak siRNAを評価すべきであることが示唆される。
まとめ:アポトーシス調節因子Bax及びBakに対するサイレンシングRNAを、重要な代謝酵素である乳酸デヒドロゲナーゼに対するsiRNAと組み合わせて、1Lのバイオリアクターを使用して、2週間にわたりチャイニーズハムスター卵巣細胞におけるノックダウン活性について評価した。本明細書中で提示する結果は、サイレンシングRNAがバイオプロセシング様条件下、懸濁液中で増殖させたCHO細胞中への効率的な取り込みのために適切に処方することができるという考えを明らかに支持する。Bax/Bak/LDH siRNAは、2週間にわたって複数回投与された場合、>80%mRNAノックダウンを維持し、これは、カスパーゼ3及びLDH活性の両方を低下させ、結果として非特異的siRNA対照と比較して細胞密度及び生存度を増大させるのに十分であった。さらに、これらのデータは、複数のsiRNAs(少なくとも3)をそれぞれがその所望のノックダウン効果を有する懸濁細胞培養において複数量と同時に添加することができ、生存度に対する影響が最小でCHO細胞により十分に許容されるトランスフェクション試薬を認定できることを示す。
(実施例5) RNAエフェクターの使用による抗体の改善されたADCC
多くの治療抗体、特に抗癌治療抗体は、有効性のために抗体依存性細胞障害(ADCC)を必要とする。高ADCCを達成するために、抗体の適切なグリコシル化が必要であると考えられる。例えば、Fcオリゴ糖のコアフコースが無い抗体は、それらのフコシル化カウンターパートよりもヒトにおいてはるかに高いADCCを示すことが判明した。加えて、抗体におけるN結合オリゴ糖の広範囲のα2,6−シアル化はまた、ADCCを減少させると考えられる。
したがって、フコシル化の量が実質的に減少し、またα2,6−シアル化が減少した抗体を産生するのが望ましい。

抗体のフコシル化、特にα1,6−フコシル化は、
(i)GDP−マンノース4,6デヒドラターゼ(GMDSによりコード化される)(GDP−マンノースのGDP−4−ケト−6−デオキシマンノースへの変換を触媒する);
(ii)GDP−D−マンノース代謝における2ステップエピメラーゼ及びリダクターゼ反応を触媒するGDP−4−ケト−6−デオキシ−D−マンノースエピメラーゼリダクターゼ(TSTA3によりコード化される)(GDP−4−ケト−6−D−デオキシマンノースをGDP−L−フコースに変換する。ここで、GDP−L−フコースは、いくつかのフコシルトランスフェラーゼの基質である);及び
(iii)GDP−フコースからN結合型複合糖ペプチドへのフコースの転移を触媒するフコシルトランスフェラーゼ8(アルファ(1,6)フコシルトランスフェラーゼ)(FUT8によりコード化される)
を含む多くの酵素ステップにより行う。
アルファ1,6,フコシルトランスフェラーゼにおいて欠失又は不足している細胞を単離し、本発明で使用して、フコシル化が減少した抗体を産生する。しかし、細胞の倍加時間はゆっくりであり、増殖するために特別な条件を必要とする。さらに、細胞は多くの遺伝的背景で利用できない。
抗体の高シアル化はまた、ADCCの減少をもたらすことも示唆されている。シアル化は、表7に記載されているものなどのシアリルトランスフェラーゼの作用により起こる。
したがって、抗体の増大したADCCは、本明細書中に記載されている方法を用いて宿主細胞において抗体を産生することによって達成される。例えば、抗体を発現する宿主細胞を:
・FUT8:配列番号209841〜210227の少なくとも16個の連続するヌクレオチドを含むアンチセンス配列;又は配列番号3152714〜3152753から選択される少なくとも一つの鎖を含むsiRNA、若しくは表43及び44に記載されているもの;
・GMDS:配列番号1688202〜1688519;及び配列番号3152754〜3152793からなる群から選択されるヌクレオチド配列を有するオリゴヌクレオチドの少なくとも16個の連続するヌクレオチド(たとえば、少なくとも17、少なくとも18、少なくとも19ヌクレオチド)を含むアンチセンス鎖を含むdsRNA;
・TSTA3:TSTA3を標的とするdsRNA分子は、配列番号1839578〜1839937からなる群から選択されるオリゴヌクレオチド分子の少なくとも16個の連続するヌクレオチド(たとえば、少なくとも17、少なくとも18、少なくとも19ヌクレオチド)を含むアンチセンス鎖を含み得る
のいずれか一つに対するsiRNAと接触させる。
ヒト抗CD20抗体を発現するCHO細胞の12の別個の培養を培養フラスコ中で増殖させ、まず1日に〜200,000細胞/mlの密度で播種し、2日に以下の処理を施す:
フラスコA:トランスフェクション剤のみ;
フラスコB:負の対照として1nM(添加後の最終濃度)のルシフェラーゼdsRNAを含むトランスフェクション剤;
フラスコC:トランスフェクション試薬中1nMのFUT8 dsRNA;
フラスコD:トランスフェクション試薬中1nMのTSTA3 dsRNA;
フラスコE:トランスフェクション試薬中1nMのGMDS dsRNA;
フラスコF:トランスフェクション試薬中1nM TSTA3 dsRNA+1nM FUT8 dsRNA;
フラスコG:トランスフェクション試薬中1nMのGMDS dsRNA+1nM FUT8 dsRNA;
フラスコH:トランスフェクション試薬中1nMのTSTA3 dsRNA+1nMのGMDS dsRNA;
フラスコI:トランスフェクション試薬中1nMのSt6GalNac6 dsRNA+1nMのFUT8 dsRNA;
フラスコJ:トランスフェクション試薬中1nMのSt6GalNac6 dsRNA+1nMのGMDS dsRNA;
フラスコK:トランスフェクション試薬中1nMのSt6GalNac6 dsRNA+1nMのTSTA3 dsRNA;
フラスコL:トランスフェクション試薬中1nMのSt6GalNac6 dsRNA+1nM FUT8 dsRNA+1nMのGMDS dsRNA;
細胞をさらに4日間増殖させ、各フラスコの上清を集める。タンパク質A−セファロースクロマトグラフィーを用いて上清から抗体を単離する。部分的に精製された抗体を全収率(抗ヒトAbを用いたELISAによる)、抗原結合(たとえば、CD20結合)、及びADCC(例えば、乳酸デヒドロゲナーゼ放出アッセイを使用)について特性化する。様々な細胞から単離された抗体のオリゴ糖構造を陽イオンモードのMALDI−TOF質量分析により特性化する。
ハムスター(モンゴルキヌゲネズミ)フコシルトランスフェラーゼ(FUT8)に対する例示的dsRNA配列を本明細書中では配列番号3152714〜3152753として開示し、ここで、偶数の配列番号(たとえば、3152714)はセンス鎖を表し、そして奇数の配列番号(たとえば、3152715)は相補性アンチセンス鎖を表し;本明細書中で記載される実施形態では、RNAエフェクター分子はこれらの配列の少なくとも16個の連続するヌクレオチドを含み得る。
Figure 2014501097
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(実施例9) 細胞生存度と関連した標的遺伝子
本明細書中で議論するように、宿主細胞生存度と関連する遺伝子を標的として、細胞ベースのバイオプロセシングにおいて生体適合材料産物の収率を改善することができる。標的遺伝子の例にはニワトリ(セキショクヤケイ)(Bak、配列番号3154393〜3154413(センス)及び
配列番号3154414〜3154434(アンチセンス)が例示的siRNAであり、PTEN、配列番号3154493〜3154522(センス)及び配列番号3154523〜3154552(アンチセンス)が例示的siRNAであり、LDHA、配列番号3154553〜3154578(センス)及び配列番号3154579〜3154604(アンチセンス)が例示的siRNAであり、FNl番号3154435〜3154463(センス)
番号3154464−3154492(アンチセンス)が例示的siRNAである)及びイヌ(ケイネス・ファミリアリス)(Bakl、配列番号3154827〜3154874(センス)及び配列番号:3154875−3154922(アンチセンス)が例示的siRNAであり、Bax、配列番号3154923〜3154970(センス)及び配列番号3154971〜3155018(アンチセンス)が例示的siRNAである)が含まれる。
(実施例10) 高グルコース条件におけるバイオプロセス
一般的に、バイオプロセシングにおいて細胞の増殖中に高濃度のグルコース(たとえば、少なくとも15mM)を含めると、増殖培地中に乳酸が蓄積し、このことは細胞増殖にとって有害であり得る。乳酸蓄積の結果、早期アポトーシスが起こる。それを別にすれば高レベルの炭素源、例えばグルコースを提供することは非常に有利であるので、乳酸蓄積及びその後のアポトーシスを引き起こすことなく高グルコースで細胞を増殖させる方法が非常に望ましい。
この実施例では、プロアポトーシス遺伝子を標的とするRNAエフェクター分子を用いて、アポトーシスを受けることなく増殖培地中、少なくとも10mM(例えば、少なくとも15mM、少なくとも20mM、少なくとも25mM、少なくとも30mM又はそれ以上)のさらに高いグルコース濃度で細胞を増殖させる。
0日目に、生物由来物質を発現できる宿主細胞を、通常のグルコースレベル(約4〜6mM)を含む増殖培地中でそれぞれ1nMのBax及びBakを標的とするRNAエフェクターと(場合によって1nMのLDHを標的とするdsRNAとも)接触させる。約24時間後に、15mMのグルコースを含む培地に細胞を切り替える。その後、Bax及びBakを標的とするRNAエフェクターをさらに3〜5日ごとに1nMで提供する。これらの細胞におけるタンパク質産生を、RNAエフェクター分子でトランスフェクトされていない(又は非特異的対照RNAエフェクターでトランスフェクトされた)細胞からのものと比較する。
高グルコースでの増殖を可能にするために有用な他のRNAエフェクターは、表14で記載されているものをはじめとする、任意のプロアポトーシス遺伝子を標的とするものを含み得る。他の例には、表30からの以下のものからなる群から選択される配列を有するオリゴヌクレオチドヌクレオチドの少なくとも16個の連続するヌクレオチド(たとえば、少なくとも17、少なくとも18、少なくとも19ヌクレオチド)を含むアンチセンス鎖を含むRNAエフェクター分子が含まれる:
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(実施例11) PK15細胞及びDG44細胞におけるsiRNAの有効性
DG44細胞におけるsiRNAスクリーニング:対象のCHO標的に対するsiRNAを設計し、合成する。数セットのスクリーンされるsiRNA(二本鎖)を細胞培地に100pM〜10nMで1〜4日間効果を得るために添加する。96ウェルプレート中、8mMのL−グルタミン及び0.18%のPLURONIC F68(登録商標)を追加した29.5μLのCD DG44培地(GIBCO(商標) Invitrogen)を試験ウェルに添加し、47μLを対照ウェルに添加する。このために、CD DG44培地中所望の最終濃度の10倍で17.5μLのsiRNAを試験ウェルに添加する。全てのウェルに、CD DG44培地中1:10に希釈した3μLのLIPOFECTAMINE(登録商標)トランスフェクション試薬RNAiMAx(Invitrogen)を添加する。混合物を15分間室温でインキュベートし、次いで約20,000DG44細胞を含む125μLのCD DG44培地を全てのウェルに添加する。プレートを次いで37℃COインキュベータ中に1〜4日間入れる。
インキュベーション後、細胞を毒性について視覚的に調査し、MagMax96ウェルRNA抽出キット(Ambion,Life Technologies Corp.,Carlsbad,California)を製造業者の指示に従って使用してRNAを抽出する。High Capacity cDNA Reverse Transcription Kit(Applied Biosystems,Life Technologies Corp.)を製造業者の指示に従って使用して、cDNAをRNAから作製する。最後に、qPCRを用いて、Roche Lightcycler 480 PCR装置及びRoche PCR Probesマスターミックスで標的のcDNAの適切な希釈を定量化する。GAPDHを内部標準として使用するΔΔCt法を用いて標的遺伝子の相対的ノックダウンを計算した。標的遺伝子cofilinl、LDLR、GNE、SLC35A1.GALE、FUT8、GMDS、及びXYLATの%mRNAノックダウンは本明細書中の他の場所で示されている。
最も有効なsiRNAを様々な濃度で更に試験する。この試験法は、種々のsiRNA濃度を同時に試験する以外は前記と同じであった。
PKl5細胞におけるsiRNAスクリーニング:対象のPCVl標的に対するsiRNAを設計し、合成する。スクリーンする数セットのsiRNAを、効果を得るために、細胞培地に10nMで1日間添加する。96ウェルプレートにおいて、アールの平衡塩を含むイーグル(EMEM)最小必須培地培地(ATCC)29.5μLを試験ウェルに添加し、47μLを対照ウェルに添加する。このために、17.5μLのsiRNA(CD DG44培地中100nM)を試験ウェルに添加する。全てのウェルに、4μLのLIPOFECTAMlNE(登録商標)RNAiMAx試薬(Invitrogen)(EMEM培地中1:10に希釈)を添加する。混合物を室温で15分間インキュベートし、次いで約20,000PKl5細胞を含む125μLのEMEM培地を全てのウェルに添加する。プレートを次いで37℃CO2インキュベータ中に1日間入れた。
インキュベーション後、細胞を毒性について視覚的に調査し、次いでMagMax96ウェルRNA抽出キット(Ambion)を製造業者の指示にしたがって使用して、RNAを抽出する。High Capacity cDNA Reverse Transcription Kit(Applied Biosystems)を製造業者の指示に従って使用して、cDNAをRNAから作製した。最後に、qPCRを使用して、Roche Lightcycler 480 PCR装置及びRoche PCR Probesマスターミックスで標的cDNAの適切な希釈を定量化する。GAPDHを内部標準として使用するΔΔCt法を用いて標的遺伝子の相対的ノックダウンを計算する。
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(実施例12) 種々の温度で増殖させたDG44懸濁培養中の一時的にトランスフェクトされたsiRNAは、0.1nMもの低い濃度で最高18日まで遺伝子発現の有意かつ永続的なノックダウンを示す。
種々の温度で増殖させた懸濁培養のRNA干渉:細胞系ベースの生物学的産生は、典型的には常温(すなわち37℃)又は(28℃以下のような)低温で起こる。細胞を、多くの場合、まず高温で増殖させて急速な細胞増殖を促進し、次いで、理想的な細胞密度に達したら、場合によって低温に切り替えて、細胞周期停止を誘発して、細胞源のより多くが細胞分裂よりもタンパク質産生に使用されるようにする。そのような「生産段階」になったら、細胞をバイオリアクター中に数日間維持して、タンパク質産生を継続することができる。したがって、バイオプロセシングで用いられるものと類似した条件下で培養された細胞におけるRNA干渉の程度及び期間を測定するために実験を設計した。
CMV−GFP構築物(Stratagene,Santa Clara,CA)で安定してトランスフェクトされたGFP発現CHO DG44細胞を、96ウェルマイクロタイタープレートのウェル中に0日で(37℃細胞について2×10細胞/ウェルで、そして28℃細胞については10細胞/ウェルで)播種し、これもまた0日に、0.1、1、及び10nM(Lipofectamine RNAiMaxと混合)でGFPに対するsiRNAで一時的にトランスフェクトした。蛍光測定によりGFP発現を測定し、発現の阻害(各温度及び時間で、RNAiMaxのみの対照と比較した発現の%として表す)。発現の阻害を、初期siRNAトランスフェクション後、18日までの間モニタリングした。
対照実験:
未処理であるか又はRNAiMaxのみで処理されたかのいずれかのCHO DG44細胞におけるGFPの発現を時間とともにモニタリングした。結果を図20(未処理)及び図21(脂質(LIPOFECTAMINE(商標)RNAiMax試薬のみで処理、siRNAはなし)に示す。GFPは全期間にわたって発現されるが、28℃細胞におけるGFPの発現は、最終的にはるかに高くなり、このことは、細胞分裂の非存在下でも、継続してタンパク質が発現されることを示す(図20及び21)。
脂質処理対照(図20)を、RNA干渉の有効性を測定するための対照として使用した。図22A〜22Cのグラフは、0.1nMもの低いsiRNA濃度でGFPの発現の有意な阻害を示す(図22A)。さらに、発現の阻害は、測定値が得られるかぎり維持された(すなわち、数例では初期発現後18日まで)。この実験は、RNA干渉を細胞培養で使用して、バイオプロセスに適した温度で、遺伝子の強力かつ永続的な阻害をもたらすことができることを示す。
(実施例13) 40Lバイオリアクター中で増殖させたCHO細胞の計測可能なsiRNA取り込みプロトコル
当業者には公知のように、脂質ポリヌクレオチド担体を使用したsiRNAのリポソーム介在性送達を、研究用途で一般的に使用するが、PCT公開WO2009/012173(2008年7月11日出願)で記載されているように、脂質ポリヌクレオチド担体、例えば一般的なリポソームトランスフェクション試薬の使用は、タンパク質のバイオプロセシングで使用される場合、有害であることが判明している。ポリヌクレオチド担体は、おそらくは毒性のために典型的に使用される濃度で宿主細胞の増殖に有害であり、したがって宿主細胞が所望の生物由来物質を工業的レベルで産生する能力を損なうことが報告されている。加えて、ポリヌクレオチド担体は、宿主細胞、例えばCHO細胞の表現型における有害かつ望ましくない変化を引き起こし、宿主細胞が対象の生物由来物質を産生する能力を損なうことが観察されている。したがって、当業者は、そのようなポリヌクレオチド担体の使用が所望のタンパク質を産生する細胞の能力を損なうであろうと予想する。驚くべきことに、本発明者等は、明細書全体にわたって記載されるように、細胞に関して試験される条件下で細胞に対して有害な影響をおよぼすことなく(たとえば細胞生存度及び密度が維持される)、大規模培養(たとえば、1L及び、たとえば40L)でのバイオプロセシング処理の間、ポリヌクレオチド担体(たとえば、リポソーム介在性送達)を用いることによって(たとえば、BAX、BAC及び/又はLDHを標的とする)RNAエフェクター分子を宿主細胞へ一時的に送達することができることを見出した。したがって、生物由来物質の大規模産生は、培養(たとえば、懸濁培養)中にある場合に細胞中のRNAエフェクター取り込みを促進するために、例えば、生物由来物質(例えば、ポリペプチド)の産生を改善する遺伝子発現の有効な一時的調節をもたらすために、脂質試薬を用いて工業的規模で実施することができる。
さらに、本発明者らは、細胞増殖や生存度に対する影響を最小にして産生細胞系中への効率的なsiRNA取り込みを促進する、効率的な取り込みを増強する試薬を同定するために種々の脂質組成物を調査した。本発明者らは、第四カチオン性脂質配合物のパネルをスクリーニングして、96ウェルプレート培養において、LDH活性が90%を超えて減少すること(LDHに対するsiRNAを使用)を以前に証明した(データは省略)。この実施例では、本発明者らは、取り込みインデューサとしてP8と混合したsiRNA(たとえば表19を参照)は、50ml培養における細胞密度及び細胞生存度に対する各配合物の影響に関して市販のRNAiMaxよりも十分に寛容性であることを示す。本発明者らは、本発明者らの培養を大規模バイオリアクターにスケールアップし、LDHに対するP8配合siRNAを使用することによって、1回の1nM量で6日間LDH活性において80〜90%減少したことを見出した。本発明者らは次いで、本発明者らの培養を3L及び40Lにスケールアップした。本発明者らは、配合物P8が乳酸デヒドロゲナーゼに対するsiRNA(LDH−A)の効率的な取り込みを促進し、その結果、3L又は40Lバイオリアクターのいずれかで増殖させたCHO細胞においてLDH活性の>90%LDH減少がもたらされたことを見出した。驚くべきことに、3L培養を40L培養と比較するスケールアップ実験では、サイレンシング効率は完全に直線的である。結果を本明細書中に示す。
材料/方法
トランスフェクション試薬の処方:クロロホルム中のカチオン性脂質及びコリピッド(たとえば、コレステロール及びDOPE)をN流とそれに続く真空乾燥により乾燥して、有機溶媒を除去した。乾燥した脂質フィルムを、10mMのHEPES緩衝液、pH7.4を37℃で使用して水和した。形成されたリポソームを押し出して、〜200nmの平均粒径を得た。
播種されたGFP−CHO細胞に対するトランスフェクション試薬の試験:9の異なる登録商標のトランスフェクション配合物(たとえば表19を参照)及びLipofectamine RNAiMax(Invitrogen)を用いて、GFPに対する有効なsiRNA(1nM)をGFP−CHO細胞系に送達した。RNAiMaxを0.4μL/mLで試験し、9の配合物を0.5、1、及び2.5μg/mLで使用した。トランスフェクション試薬とsiRNAとの混合物を光学用黒底96ウェルプレート中で作製し、次いで細胞を添加した。2日後、蛍光プレートリーダーを用いて相対的GFP強度を測定した。
懸濁されたDG44CHO細胞に関するトランスフェクション試薬の試験:GFP−CHO試験からの3つの最も活性なトランスフェクション剤(K8、L8及びP8)を用いて、懸濁されたCHO細胞をトランスフェクトした。5μLの10μM LDH−A siRNAのアリコートを試験管に添加し、500μLのCD DG44培地をこれに添加した。トランスフェクション試薬を混合物に添加し、試験管をピペット吸引により混合し、そして室温で15分間インキュベートした。次いで、200,000細胞/mlを含む培地49.5mLに混合物を添加した。フラスコをインキュベートし、120rpmで数日間振とうした。LDH活性をVetTest8008スライドアナライザにより測定した。
40Lのトランスフェクション:DG44細胞をInvitrogen CD DG44培地中で増殖させた。40Lバイオリアクターに播種するために、細胞を4つの1Lの使い捨てバイオリアクターからとった。40Lの培養物中の出発細胞密度は120,000細胞/mlであった。バイオリアクターを添加された細胞とトランスフェクション前1時間平衡化させた。トランスフェクションのために、400μLのLDH−A siRNA(配列番号3152560及び3152561の対)(100uMストック溶液)を400mLの培地に添加し、混合した。次いで1mg/mLのP8試薬32mLを添加し、再度混合した。これを室温で15分間インキュベートし、次いで40Lのバイオリアクターに添加した。Vi−Cell細胞カウンターを用いて細胞密度及び生存度を測定し、トランスフェクションの効率を測定し、VetTest8008スライドアナライザを用いてLDH活性を測定した。
結果及び考察
9のカチオン性脂質配合物の振とうフラスコ中のCHO細胞における取り込み効率に関する評価:脂質配合物の有効性を測定するために、GFP−CHO細胞において強力なGFP siRNAとともに使用した。有効濃度のLIPOFECTAMlNE(登録商標)RNAiMAx試薬と比較すると、3つの化合物は活性であった(図23)。これらの処方をK8、L8、及びP8と表示した。任意の配合物の試験した濃度で明らかな細胞毒性は観察されなかった。
K8はGFP−CHO細胞において最も活性な配合物であったので、250mLの振とうフラスコにおいて、50mLの培養物中DG44CHO細胞及び強力なLDH siRNAを用いて試験した。種々のK8濃度を、LIPOFECTAMlNE(登録商標)RNAiMAxトランスフェクション試薬の有効濃度とともに試験した。3日後、LDH活性は、K8を使用した培養物中で低かった(図24)。RNAiMAx試薬と比較して、フラスコ中の細胞密度もさらに高く、0.6μg/mL又は1.2μg/mLのK8であった。RNAiMAx試薬は、K8処理細胞と比較した場合、懸濁液中でCHO細胞の増殖を阻害したようである。K8の最高濃度は、LDH活性がさらに減少する場合でも細胞密度を減少させた。
一部のトランスフェクション試薬は振とうフラスコ中で96ウェルプレート中と同じ活性を有さないように見えたので、3つの最も活性の高い配合物を、250mLの振とうフラスコ中、50mLのDG44中で同様に試験した。驚くべきことに、GFP−CHO細胞に対してごくわずかしか活性でなかった配合物P8が、懸濁されたDG44細胞培養を用いて最も良好に機能した(図25)。5日後、0.8μg/mLのP8の結果、最高のLDH活性ノックダウンが得られた。また、P8の存在下での細胞密度が、トランスフェクション試薬が添加されていない対照細胞以上であったということは重要である。0.8μg/mLの最終濃度でのP8をさらに小さなバイオリアクター中で多数回使用し(データは省略)、40Lの系で試験した。
図26は、推奨される濃度でP8配合物又は市販のRNAiMax配合物を使用して、50mLの振とうフラスコ中懸濁CHO細胞において長時間にわたる細胞密度(図26A)又は%細胞生存度(図26B)を示す。脂質配合物を0日に細胞上に添加した。P8は市販のRNAiMaxよりも十分に寛容性であることが判明した。図30は、乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)に対するP8混合siRNAを使用した場合、1Lのバイオリアクター中で1回の1nM用量で6日間にLDH活性の80%〜90%ノックダウンが達成されることを示す。LDH活性のノックダウンは永続的であり、効果が6日間にわたって持続することが見いだされた。
カチオン性脂質配合物P8の3L対40Lバイオリアクターにおける取り込み効率に関する評価。図28は、P8脂質と混合した1nMのLDH siRNAの1回投与の、3L及び40L培養において6日間の経過時間にわたる生存細胞密度及び%LDH活性に対する結果を示す。驚くべきことに、3L培養を40L培養と比較するスケールアップ実験では、サイレンシング効率は完全に直線的であり、このことは、さらに大規模でも成功することを示す。複数用量のプロトコルを用いて、効果の期間を延長することができる。
カチオン性脂質配合物P8の40Lバイオリアクターにおける取り込み効率に関する評価。40Lのバイオリアクターに播種した後、細胞は一般的に約24時間の倍加時間で増殖し、細胞生存度は98%超であった(図26B)。細胞は5日で3.1×10細胞/mLの最高濃度に達し、その後、減少し始めた。この無供給バッチ培養で予想されるように、6日までに細胞は減少した。
siRNA処理細胞のLDH活性は、播種及びトランスフェクション後に細胞が増殖するにつれ、減少した。LDH活性は、3回以上に倍加した後でも〜80%減少した(図30)。実験全体にわたってLDH活性が減少した。有意に減少したLDH活性に基づいて、トランスフェクションはCHO細胞において検出可能な毒性がなく成功した。
これらの実験は、siRNAでの培養における細胞のトランスフェクションは、生物学的産生に必要な大きな体積で機能できることを示す。
(実施例14) 標的遺伝子の発現を滴定するためのRNAエフェクターの使用
安定にトランスフェクトされたshRNAを有する細胞と異なり、dsRNA分子の使用により、細胞工学を必要とすることなく宿主細胞内で実際的に任意の標的遺伝子の発現を調節することが可能になる。加えて、前述のように、構成的に阻害された標的遺伝子を有する細胞は十分に増殖することができず、望ましくない特性(たとえば、特別な増殖培地又は他の増殖条件の必要性、増大した変異率など)を示す可能性がある。細胞の増殖又は生物学的産生中の所望の時点で、標的遺伝子の発現を調節する能力を有することが、したがって非常に望ましい。
安定なトランスフェクションに依存しないdsRNA剤などのRNAエフェクター分子を使用するさらに別の利点は、所定の標的遺伝子の発現を微調整する潜在能力である。数例では、標的遺伝子の発現を調節して、その発現レベルが中程度にのみ変更され(たとえば、未処理状態から〜50%減少し)、望ましくない表現型を回避するか、又は生物学的産生の質を改善することが重要であり得る。このように、本発明者らは所定の標的遺伝子の発現を滴定できる条件を見いだすために実験を行った。
0日に、CD DG44培地(Invitrogen)中で増殖させたCHO DG−44細胞を、500μLの体積で配合物8中脂質Pを含む配合物(すなわち、配合物「P8」;表19を参照)中、LDHA遺伝子を標的とするdsRNA(本明細書中で記載のとおり;例えば表62を参照)で、0nM、10pM、50pM、100pM、500pM、1nM及び5nM(25mLの培養中最終濃度)にてトランスフェクトした。使用したdsRNA二本鎖は同様の条件下で〜50pMの見かけのEC50を有する。トランスフェクション後、24.5mLの培地を含むフラスコに細胞を添加し(200,000細胞/mlの細胞密度)、そして37℃で増殖させた。3日後、LDH活性を測定し、細胞密度に対して正規化した。
LDH活性を下記表62に示す:
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結果から、dsRNAの濃度を滴定することにより、LDH活性を15%〜75%超阻害の範囲に調節できることがわかる。したがって、本明細書中に示すdsRNAなどのRNAエフェクター分子を使用して、標的遺伝子の所望の発現レベルを達成することができる。加えて、先の実験(不掲載)に基づいて、部分的阻害が達成される濃度(例えば、10〜100pM)で処理された細胞は、さらに高濃度で処理されたものよりも迅速にRNA干渉から回復すると予想される。このように、細胞が標的遺伝子の阻害からより早く回復することが望ましい(すなわち、遺伝子発現の阻害の持続時間が短い)場合、低濃度のRNAエフェクター分子(たとえば、見かけのEC50の3倍以下、例えば見かけのEC50の2倍、見かけのEC50の1倍など)を提供することができる。
下記表は、本明細書中に記載する方法及び組成物に関して有用な標的遺伝子及びsiRNA配列を例示する。
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Claims (175)

  1. 大規模宿主細胞培養において生物由来物質を産生する方法であって、
    (a)大規模宿主細胞培養において、宿主細胞を少なくとも第一のRNAエフェクター分子と接触させる工程であって、第一のRNAエフェクター分子の一部分は宿主細胞の少なくとも一つの標的遺伝子と相補的である工程と、
    (b)宿主細胞培養物を、少なくとも一つの第一の標的遺伝子の発現を調節するのに十分な時間保持する工程であって、発現の調節が宿主細胞における生物由来物質の産生を向上させる工程と、
    (c)生物由来物質を宿主細胞から単離する工程と
    を含み、大規模宿主細胞培養が、少なくとも1リットルの規模であり、かつRNAエフェクター分子を大規模宿主細胞培養の培地に添加することによって宿主細胞を少なくとも第一のRNAエフェクター分子と接触させることにより、標的遺伝子の発現が一時的に抑制される方法。
  2. 大規模宿主細胞培養において生物由来物質を産生する方法であって、
    (a)大規模宿主細胞培養において、宿主細胞を少なくとも第一のRNAエフェクター分子と接触させる工程であって、第一のRNAエフェクター分子の一部分は宿主細胞の少なくとも一つの標的遺伝子と相補的である工程と、
    (b)宿主細胞培養物を、少なくとも一つの第一の標的遺伝子の発現を調節するのに十分な時間保持する工程であって、発現の調節が宿主細胞における生物由来物質の産生を向上させる工程と、
    (c)生物由来物質を宿主細胞から単離する工程と
    を含み、生物由来物質の産生全体を通じてRNAエフェクター分子を大規模宿主細胞培養の培地に多数回加えることによって宿主細胞を少なくとも第一のRNAエフェクター分子と接触させることにより、標的遺伝子の発現が一時的に抑制される方法。
  3. 大規模宿主細胞培養において、宿主細胞を複数のRNAエフェクター分子と接触させ、複数のRNAエフェクター分子が、少なくとも一つの標的遺伝子、少なくとも2つの標的遺伝子又は複数の標的遺伝子の発現を調節する、請求項1または2に記載の方法。
  4. 細胞において生物由来物質を産生する方法であって、
    (a)宿主細胞を複数のRNAエフェクター分子と接触させる工程であって、2つ又はそれ以上のRNAエフェクター分子が複数の標的遺伝子の発現を調節する工程と、
    (b)細胞を、複数の標的遺伝子の発現を調節するのに十分な時間保持する工程であって、発現の調節が細胞における生物由来物質の産生を向上させる工程と、
    (c)生物由来物質を細胞から単離する工程と
    を含み、複数の標的遺伝子が少なくともBax、Bak及びLDHを含む方法。
  5. RNAエフェクター分子を大規模宿主細胞培養の培地に添加することによって宿主細胞を複数のRNAエフェクター分子と接触させることにより、標的遺伝子の発現が一時的に抑制される請求項4に記載の方法。
  6. RNAエフェクター分子又は複数のRNAエフェクター分子が、二本鎖リボ核酸(dsRNA)を含み、dsRNAが相互に相補的である少なくとも2つの配列からなり、センス鎖が第一の配列からなるとともにアンチセンス鎖が標的遺伝子の少なくとも一部分と実質的に相補的である相補性の領域を含む第二の配列からなり、かつ、相補性の領域が10〜30ヌクレオチド長である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
  7. 接触させる工程が、宿主細胞培養物を保持して生物由来物質を産生するために使用する培地にRNAエフェクター分子又は複数のRNAエフェクター分子を連続的に注入することによって実施される、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
  8. 発現の調節が発現の抑制であり、かつ前記抑制が部分的抑制である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
  9. 部分的抑制が、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、及び85%からなる群から選択される抑制率以下である、請求項7に記載の方法。
  10. 接触させる工程が少なくとも1回繰り返される、請求項1〜6及び8〜9のいずれか一項に記載の方法。
  11. 接触させる工程を、6時間、12時間、24時間、36時間、48時間、72時間、84時間、96時間及び108時間からなる群から選択される頻度で多数回繰り返す、請求項1〜6及び8〜9のいずれか一項に記載の方法。
  12. 発現の調節が発現の抑制であり、かつ、生物由来物質の産生全体を通じて一つまたは複数の標的遺伝子に対して少なくとも50%の平均抑制率を維持するために、接触させる工程を多数回繰り返すか又は連続的に注入する、請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法。
  13. 平均抑制率が、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%、又は100%からなる群から選択される、請求項12に記載の方法。
  14. RNAエフェクター分子を100nM未満の濃度で接触させる、請求項1〜13のいずれか一項に記載の方法。
  15. RNAエフェクター分子を20nM未満の濃度で接触させる、請求項1〜14のいずれか一項に記載の方法。
  16. 大規模宿主細胞培養における宿主細胞のRNAエフェクター分子との接触が、生物由来物質の単離又は上清の回収の少なくとも6時間、少なくとも12時間、少なくとも18時間、少なくとも36時間、少なくとも48時間、少なくとも60時間、少なくとも72時間、少なくとも96時間又は少なくとも120時間あるいは少なくとも1週間前に実施される、請求項1〜15のいずれか一項に記載の方法。
  17. RNAエフェクター分子が、脂質製剤に製剤化された組成物である、請求項1〜16のいずれか一項に記載の方法。
  18. RNAエフェクター分子が、非脂質製剤に製剤化された組成物である、請求項1〜17のいずれか一項に記載の方法。
  19. RNAエフェクター分子がshRNAではない、請求項1〜18のいずれか一項に記載の方法。
  20. RNAエフェクター分子がsiRNAである、請求項1〜19のいずれか一項に記載の方法。
  21. RNAエフェクター分子が化学的に修飾される、請求項1〜20のいずれか一項に記載の方法。
  22. RNAエフェクター分子が化学的に修飾されない、請求項1〜21のいずれか一項に記載の方法。
  23. 細胞密度、培地pH、酸素濃度、グルコース濃度、乳酸濃度、温度及びタンパク質産生量からなる群から選択される少なくとも一つの測定可能パラメータを監視することをさらに含む、請求項1〜22のいずれか一項に記載の方法。
  24. 複数の異なるRNAエフェクター分子のそれぞれを、同時に又は異なる時間で添加する、請求項2〜23のいずれか一項に記載の方法。
  25. 複数の異なるRNAエフェクター分子のそれぞれを、同じ濃度で又は異なる濃度で添加する、請求項2〜23のいずれか一項に記載の方法。
  26. 複数の異なるRNAエフェクター分子を、同じ頻度で又は異なる頻度で添加する、請求項2〜6及び8〜25のいずれか一項に記載の方法。
  27. 細胞を第二の作用物質と接触させる工程をさらに含む、請求項1〜26のいずれか一項に記載の方法。
  28. 第二の作用物質が、抗体、増殖因子、アポトーシス阻害剤、キナーゼ阻害剤、ホスファターゼ阻害剤、プロテアーゼ阻害剤及びヒストン脱メチル化剤からなる群から選択される、請求項27に記載の方法。
  29. キナーゼ阻害剤が、MAPキナーゼ阻害剤、CDK阻害剤及びK252aからなる群から選択される、請求項28に記載の方法。
  30. ホスファターゼ阻害剤が、バナジン酸ナトリウム及びオカダ酸からなる群から選択される、請求項28に記載の方法。
  31. ヒストン脱メチル化剤が5−アザシチジンである、請求項28に記載の方法。
  32. 生物由来物質がポリペプチドである、請求項1〜31のいずれか一項に記載の方法。
  33. 生物由来物質が代謝産物である、請求項1〜31のいずれか一項に記載の方法。
  34. 生物由来物質が機能性食品である、請求項1〜31のいずれか一項に記載の方法。
  35. 細胞を、RNAエフェクター分子と、定常期、初期対数期、中期対数期、後期対数期、誘導期及び死滅期からなる群から選択される細胞増殖期で接触させる、請求項1〜34のいずれか一項に記載の方法。
  36. 少なくとも第一のRNAエフェクター分子、又は複数のRNAエフェクター分子の少なくとも一つが二重鎖領域を含む、請求項1〜35のいずれか一項に記載の方法。
  37. 少なくとも第一のRNAエフェクター分子、又は複数のRNAエフェクター分子の少なくとも一つが15〜30ヌクレオチド長である、請求項1〜36のいずれか一項に記載の方法。
  38. 少なくとも第一のRNAエフェクター分子、又は複数のRNAエフェクター分子の少なくとも一つが17〜28ヌクレオチド長である、請求項1〜37のいずれか一項に記載の方法。
  39. 少なくとも第一のRNAエフェクター分子、又は複数のRNAエフェクター分子の少なくとも一つが、少なくとも一つの修飾ヌクレオチドを含む、請求項1〜38のいずれか一項に記載の方法。
  40. 細胞が、植物細胞、真菌細胞、又は動物細胞である、請求項1〜39のいずれか一項に記載の方法。
  41. 細胞が哺乳動物細胞である、請求項1〜40のいずれか一項に記載の方法。
  42. 哺乳動物細胞がヒト細胞である、請求項41に記載の方法。
  43. ヒト細胞が、SH−SY5Y細胞、IMR32細胞、LAN5細胞、HeLa細胞、MCFlOA細胞、293T細胞及びSK−BR3細胞からなる群から選択される付着細胞である、請求項42に記載の方法。
  44. ヒト細胞が、HuVEC細胞、HuASMC細胞、HKB−I1細胞及びhMSC細胞からなる群から選択される初代細胞である、請求項42に記載の方法。
  45. ヒト細胞が、U293細胞、HEK293細胞、PERC6(登録商標)細胞、ジャーカット細胞、HT−29細胞、LNCap.FGC細胞、A549細胞、MDA MB453細胞、HepG2細胞、THP−I細胞、MCF7細胞、BxPC−3細胞、Capan−1細胞、DU145細胞及びPC−3細胞からなる群から選択される、請求項42に記載の方法。
  46. 哺乳動物細胞が、BHK21細胞、BHK(TK)細胞、NS0細胞、Sp2/0細胞、EL4細胞、CHO細胞、CHO細胞誘導体、NIH/3T3細胞、3T3−L1細胞、ES−D3細胞、H9c2細胞、C2C12細胞、及びmiMCD3細胞からなる群から選択される齧歯類動物細胞である、請求項41に記載の方法。
  47. CHO細胞誘導体が、CHO−K1細胞、CHO−DUKX、CHO−DUKXB1及びCHO−DG44細胞からなる群から選択される、請求項46に記載の方法。
  48. 細胞が、PERC6細胞、HT−29細胞、LNCaP−FGC細胞、A549細胞、MDA MB453細胞、HepG2細胞、THP−1細胞、miMCD−3細胞、HEK293細胞、HeLaS3細胞、MCF7細胞、Cos−7細胞、BxPC−3細胞、DU145細胞、ジャーカット細胞、PC−3細胞及びCapan−1細胞からなる群から選択される、請求項42に記載の方法。
  49. 細胞が、BHK21、BHK(TK)、NS0細胞、Sp2/0細胞、U293細胞、EL4細胞、CHO細胞、及びCHO細胞誘導体からなる群から選択される齧歯類動物細胞である、請求項41に記載の方法。
  50. 細胞が、生物由来物質をコードする遺伝子構造物をさらに含む、請求項1〜49のいずれか一項に記載の方法。
  51. 細胞が、ウイルス受容体をコードする遺伝子構造物をさらに含む、請求項1〜50のいずれか一項に記載の方法。
  52. 標的遺伝子が、タンパク質グリコシル化に影響を及ぼすタンパク質をコードする、請求項1〜51のいずれか一項に記載の方法。
  53. 標的遺伝子が生物由来物質をコードする、請求項1〜52のいずれか一項に記載の方法。
  54. 少なくとも第一のRNAエフェクター分子、又は複数のRNAエフェクター分子の少なくとも一つを、0.1nM、0.5nM、0.75nM、1nM、2nM、5nM、10nM、20nM、30nM、40nM、50nM、75nM及び100nMからなる群から選択される濃度で加える、請求項1〜53のいずれか一項に記載の方法。
  55. 少なくとも第一のRNAエフェクター分子、又は複数のRNAエフェクター分子の少なくとも一つを、50分子/細胞、100分子/細胞、200分子/細胞、300分子/細胞、400分子/細胞、500分子/細胞、600分子/細胞、700分子/細胞、800分子/細胞、900分子/細胞、1000分子/細胞、2000分子/細胞、又は5000分子/細胞の量で加える、請求項1〜53のいずれか一項に記載の方法。
  56. 少なくとも第一のRNAエフェクター分子、又は複数のRNAエフェクター分子の少なくとも一つが、0.01フェムトモル/10細胞、0.1フェムトモル/10細胞、0.5フェムトモル/10細胞、0.75フェムトモル/10細胞、1フェムトモル/10細胞、2フェムトモル/10細胞、5フェムトモル/10細胞、10フェムトモル/10細胞、20フェムトモル/10細胞、30フェムトモル/10細胞、40フェムトモル/10細胞、50フェムトモル/10細胞、60フェムトモル/10細胞、100フェムトモル/10細胞、200フェムトモル/10細胞、300フェムトモル/10細胞、400フェムトモル/10細胞、500フェムトモル/10細胞、700フェムトモル/10細胞、800フェムトモル/10細胞、900フェムトモル/10細胞,及び1ピコモル/10細胞からなる群から選択される濃度で添加される、請求項1〜53のいずれか一項に記載の方法。
  57. 少なくとも第一のRNAエフェクター分子、又は複数のRNAエフェクター分子の少なくとも一つが、siRNA、miRNA、dsRNA、saRNA、shRNA、piRNA、tkRNAi、eiRNA、pdRNA、ギャップマー、アンタゴミア、リボザイム及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、請求項1〜56のいずれか一項に記載の方法。
  58. 細胞を、炭素の代謝及び輸送、アポトーシス、RNAi取り込み及び効率の少なくとも一方、活性酸素種産生、細胞周期の調節、タンパク質折りたたみ、タンパク質ピログルタミン酸化、タンパク質脱アミド化、タンパク質グリコシル化、ジスルフィド結合形成、タンパク質分泌、遺伝子増幅、ウイルス複製、ウイルス感染、ウイルス粒子放出、細胞pHの調節、及びタンパク質産生からなる群から選択される細胞プロセスを調節する少なくとも一つの追加のRNAエフェクター分子又は作用物質と接触させる工程をさらに含む、請求項1〜57のいずれか一項に記載の方法。
  59. 少なくとも一つの標的遺伝子が、GLUT1、GLUT2、GLUT3、GLUT4、ホスファチジルイノシトール−3,4,5−三リン酸3−ホスファターゼ(PTEN)及び乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)からなる群から選択され、かつ発現の調節が、細胞内の炭素の代謝又は輸送を調節することによって細胞における生物由来物質の産生を向上させる、請求項1〜3及び6〜58のいずれか一項に記載の方法。
  60. 少なくとも一つの標的遺伝子が乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)であり、かつRNAエフェクター分子が配列番号3152540〜3152603からなる群から選択される、請求項1〜3及び6〜58のいずれか一項に記載の方法。
  61. 少なくとも一つの標的遺伝子が、Bcl−G、Bax、Bak、Bok、Bad、Bid、Bik、Blk、Hrk、BNIP3、PUMA、NOXA、BimL、Bcl−2、Bcl−xL、Bcl−B、Bcl−w、Boo、Mcl−1、CASP2、CASP3、CASP6、CASP7、CASP8、CASP9及びCASP10からなる群から選択され、かつ発現の調節が、細胞のアポトーシスを調節することによって細胞における生物由来物質の産生を向上させる、請求項1〜3及び6〜58のいずれか一項に記載の方法。
  62. 少なくとも一つの標的遺伝子がBakであり、かつRNAエフェクター分子が配列番号3152412〜3152475からなる群から選択される、請求項1〜3及び6〜58のいずれか一項に記載の方法。
  63. 少なくとも一つの標的遺伝子がBaxであり、かつRNAエフェクター分子が配列番号3152476〜3152539からなる群から選択される、請求項1〜3及び6〜58のいずれか一項に記載の方法。
  64. RNAエフェクター分子が、初期アポトーシスに入る細胞の比率を著しく低下させる、請求項16又は17に記載の方法。
  65. 複数の標的遺伝子が、少なくともBax及びBakである、請求項3に記載の方法。
  66. 複数の標的遺伝子が、少なくともBax、Bac及びLDHである、請求項3に記載の方法。
  67. その一部分がBaxと相補的であるRNAエフェクター分子が、配列番号3152476〜3152539からなる群から選択され、その一部分がBakと相補的であるRNAエフェクター分子が、配列番号3152412〜3152475からなる群から選択される、請求項4、5、65及び66のいずれか一項に記載の方法。
  68. その一部分がLDHと相補的であるRNAエフェクター分子が、配列番号3152540〜3152603からなる群から選択される、請求項4又は66に記載の方法。
  69. 少なくとも2つの標的遺伝子の発現が調節され、かつ少なくとも2つの標的遺伝子が、Bcl−G、Bax、Bak、Bok、Bad、Bid、Bik、Blk、Hrk、BNIP3、PUMA、NOXA,及びBimLからなる群から選択される、請求項1〜3及び6〜58のいずれか一項に記載の方法。
  70. 細胞を、乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)と相補的な配列を含むRNAエフェクター分子と接触させる工程をさらに含む、請求項1〜3及び6〜58のいずれか一項に記載の方法。
  71. 少なくとも一つの標的遺伝子が、Ago1、Ago2、Ago3、Ago4、HIWI1、HIWI2、HIWI3、HILI、インターフェロン受容体、ApoE、Eri1及びマンノース/GalNAc受容体からなる群から選択され、かつ発現の調節が、細胞でのRNAi取り込み及び効率の少なくとも一方を調節することによって細胞における生物由来物質の産生を向上させる、請求項1〜3及び6〜58のいずれか一項に記載の方法。
  72. 少なくとも一つの標的遺伝子が、NAD(p)Hオキシダーゼ、ペルオキシダーゼ、構成型神経性一酸化窒素シンターゼ(cnNOS)、ミエロペルオキシダーゼ(MPO)、キサンチンオキシダーゼ(XO)、15−リポキシゲナーゼ−1、NADPHシトクロムc2レダクターゼ、NAPHシトクロムcレダクターゼ、NADHシトクロムb5レダクターゼ及びシトクロムP4502E1からなる群から選択され、かつ発現の調節が、細胞での活性酸素種の産生を抑制することによって細胞における生物由来物質の産生を向上させる、請求項1〜3及び6〜58のいずれか一項に記載の方法。
  73. 少なくとも一つの標的遺伝子が、MuLVタンパク質、MVMタンパク質、Reo−3タンパク質、PRVタンパク質及びベシウイルスタンパク質からなる群から選択され、かつ発現の調節が、細胞のウイルス感染を抑制することによって細胞における生物由来物質の産生を向上させる、請求項1〜3及び6〜58のいずれか一項に記載の方法。
  74. 少なくとも一つの標的遺伝子がキシローストランスフェラーゼである、請求項1〜3及び6〜58のいずれか一項に記載の方法。
  75. 少なくとも一つの標的遺伝子がベシウイルスタンパク質であり、かつ少なくとも一つのRNAエフェクター分子が配列番号3152604〜3152713からなる群から選択される配列を有するオリゴヌクレオチドの少なくとも16個の連続したヌクレオチドを含む少なくとも一つの鎖を含む、請求項73に記載の方法。
  76. 少なくとも一つの標的遺伝子が、CCNA1、CCNA2、CCNB1、CCNB2、CCNB3、CCND1、CCND2、CCND3、CCNE1、CCNE2、サイクリンB、サイクリンD、サイクリンE、CDK2、CDK4、P10、P21、P27、p53、P57、p16INK4a、P14ARF及びCDK4からなる群から選択され、かつ発現の調節が、細胞の細胞周期を調節することによって細胞における生物由来物質の産生を向上させる、請求項1〜3及び6〜58のいずれか一項に記載の方法。
  77. 少なくとも一つの標的遺伝子が、IRE1、PERK、ATF4、ATF6、eIF2α、GRP78、GRP94、Bip、Hsp40、HSP47、HSP60、Hsp70、HSP90、HSP100、タンパク質ジスルフィドイソメラーゼ、ペプチジルプロリルイソメラーゼ、カルレチクリン、カルネキシン、Erp57及びBAG−1からなる群から選択され、かつ発現の調節が、タンパク質の折りたたみを高めることによって細胞におけるタンパク質の産生を向上させる、請求項1〜3及び6〜58のいずれか一項に記載の方法。
  78. 少なくとも一つの標的遺伝子が、宿主細胞内のメチオニンスルホキシドレダクターゼ遺伝子であり、かつ発現の調節が、メチオニン酸化によるタンパク質の修飾を抑制することによって細胞におけるタンパク質の産生を向上させる、請求項1〜3及び6〜58のいずれか一項に記載の方法。
  79. 標的遺伝子が、宿主細胞内のグルタミニルシクラーゼ遺伝子であり、かつ発現の調節が、ピログルタミン酸化によるタンパク質の修飾を抑制することによって細胞におけるタンパク質の産生を向上させる、請求項1〜3又は6〜58のいずれか一項に記載の方法。
  80. 少なくとも一つの標的遺伝子が、アスパラギンデアミダーゼ及びグルタミンデアミダーゼからなる群から選択され、かつ発現の調節が、脱アミド化によってタンパク質の修飾を抑制することによって細胞におけるタンパク質の産生を向上させる、請求項1〜3及び6〜58のいずれか一項に記載の方法。
  81. 少なくとも一つの標的遺伝子が、ドリチル−ジホスホオリゴサッカライド−タンパク質グリコシルトランスフェラーゼ、UDPグリコシルトランスフェラーゼ、UDP−Gal:βGlcNAcβ1,4−ガラクトシルトランスフェラーゼ、UDP−ガラクトース−セラミドガラクトシルトランスフェラーゼ、フコシルトランスフェラーゼ、タンパク質O−フコシルトランスフェラーゼ、N−アセチルガラクトサミニルトランスフェラーゼT−4、O−GlcNAcトランスフェラーゼ、オリゴサッカリルトランスフェラーゼ、O−結合N−アセチルグルコサミントランスフェラーゼ、α−ガラクトシダーゼ及びβ−ガラクトシダーゼからなる群から選択され、かつ発現の調節が、タンパク質のグリコシル化を調節することによって細胞におけるタンパク質の産生を向上させる、請求項1〜3及び6〜58のいずれか一項に記載の方法。
  82. 少なくとも一つの標的遺伝子が、タンパク質ジスルフィドイソメラーゼ及びスルフヒドリルオキシダーゼからなる群から選択され、かつ発現の調節が、タンパク質においてジスルフィド結合形成を調節することによって細胞におけるタンパク質の産生を向上させる、請求項1〜3及び6〜58のいずれか一項に記載の方法。
  83. 少なくとも一つの標的遺伝子が、γ−セクレターゼ、p115、シグナル認識粒子(SRP)タンパク質、セクレチン及びキナーゼからなる群から選択され、かつ発現の調節が、タンパク質の分泌を調節することによって細胞におけるタンパク質の産生を向上させる、請求項1〜3及び6〜58のいずれか一項に記載の方法。
  84. 少なくとも一つの標的遺伝子が、宿主細胞内のデヒドロ葉酸レダクターゼ遺伝子であり、かつ発現の調節が、細胞での遺伝子増幅を高めることによって細胞におけるタンパク質の産生を向上させる、請求項1〜3及び6〜58のいずれか一項に記載の方法。
  85. 少なくとも一つの標的遺伝子が、ウイルスの遺伝子又は細胞の標的遺伝子であり、それによって減少したウイルス量を有する宿主細胞から生物由来物質を産生させる、請求項1〜3及び6〜58のいずれか一項に記載の方法。
  86. ウイルスが、ベシウイルス、MMV、MuLV、PRV及びReo−3からなる群から選択される、請求項85に記載の方法。
  87. 少なくとも一つの標的遺伝子がウイルスタンパク質をコードする、請求項85に記載の方法。
  88. 少なくとも一つの標的遺伝子が非ウイルスタンパク質をコードする、請求項85に記載の方法。
  89. 少なくとも一つの標的遺伝子が、酸化促進酵素、BIK、BAD、BIM、HRK、BCLG、HR、NOXA、PUMA、BOK、BOO、BCLB、CASP2、CASP3、CASP6、CASP7、CASP8、CASP9、CASP10、BAX、BAK、BCL2、p53、APAFI及びHSP70からなる群から選択され、かつ発現の調節が、細胞の生存率を高めることによって細胞における生物由来物質の産生を向上させる、請求項1〜3及び6〜58のいずれか一項に記載の方法。
  90. 少なくとも一つの標的遺伝子が、CCNA1、CCNA2、CCNB1、CCNB2、CCNB3、CCND1、CCND2、CCND3、CCNE1、CCNE2、サイクリンB、サイクリンD、サイクリンE、CDK2、CDK4、P10、P21、P27、p53、P57、p16INK4a、P14ARF、CDK4、Bcl−G、Bax、Bak、Bok、Bad、Bid、Bik、Blk、Hrk、BNIP3、PUMA、NOXA、BimL、Bcl−2、Bcl−xL、Bcl−B、Bcl−w、Boo、Mcl−1、A1、CASP2、CASP3、CASP6、CASP7、CASP8、CASP9、CASP10、GLUT1、GLUT2、GLUT3、GLUT4、ホスファチジルイノシトール−3,4,5−三リン酸3−ホスファターゼ(PTEN)及び乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)からなる群から選択され、かつ発現の調節が、細胞の特異的生産性を高めることによって細胞における生物由来物質の産生を向上させる、請求項1〜3及び6〜58のいずれか一項に記載の方法。
  91. 少なくとも一つの標的遺伝子が、GLUT1、GLUT2、GLUT3、GLUT4、ホスファチジルイノシトール−3,4,5−三リン酸 3−ホスファターゼ(PTEN)、乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)、CCNA1、CCNA2、CCNB1、CCNB2、CCNB3、CCND1、CCND2、CCND3、CCNE1、CCNE2、サイクリンB、サイクリンD、サイクリンE、CDK2、CDK4、P10、P21、P27、p53、P57、p16INK4a、P14ARF及びCDK4からなる群から選択され、かつ発現の調節が、細胞の栄養必要量を調節することによって細胞における生物由来物質の産生を向上させる、請求項1〜3及び6〜58のいずれか一項に記載の方法。
  92. 少なくとも一つの標的遺伝子が、乳酸デヒドロゲナーゼ及びリソソームV型ATPアーゼからなる群から選択され、かつ発現の調節が、細胞のpHを調節することによって細胞における生物由来物質の産生を向上させる、請求項1〜3及び6〜58のいずれか一項に記載の方法。
  93. 少なくとも一つの標的遺伝子が、細胞質アクチンキャッピングタンパク質(CapZ)、エズリン(VIL2)、ラミニンA及びコフィリン(CFL1)からなる群から選択され、かつ遺伝子発現の調節が、細胞のアクチン動態を調節することによって細胞における生物由来物質の産生を向上させる、請求項1〜3及び6〜58のいずれか一項に記載の方法。
  94. 少なくとも一つのRNAエフェクター分子が標的遺伝子コフィリンの発現を調節する、請求項93に記載の方法。
  95. 少なくとも一つのRNAエフェクター分子が、細胞質アクチンキャッピングタンパク質(CapZ)、エズリン(VIL2)及びラミニンAからなる群から選択される標的遺伝子の発現を増加させる、請求項93に記載の方法。
  96. 少なくとも一つの標的遺伝子が、宿主細胞潜在ウイルス、外来ウイルス又は宿主細胞内在性レトロウイルスの遺伝子であるか、あるいはこのようなウイルスの宿主細胞結合リガンドである、請求項1〜3及び6〜58のいずれか一項に記載の方法。
  97. 標的遺伝子が、HERV−K、pt01−Chr10r−17119458、pt01−Chr5−53871501、BaEV、GaLV、HERV−T、ERV−3、HERV−E、HERV−ADP、HERV−I、MER4様、HERV−FRD、HERV−W、HERVH−RTVLH2、HERVH−RGH2、HERV−Hコンセンサス、HERV−Fc1、hg15−chr3−152465283、HERVL66、HSRV、HFV、HERV−S、HERV−L、HERVL40、HERVL74、HTLV−1、HTLV−2、HIV−1、HIV−2、MPMV、MMTV、HML1、HML2、HML3、HML4、HML7、HML8、HML5、HML10、HML6、HML9、MMTV、FLV、PERV、BLV、EIAV、JSRV、gg01−chr7−7163462、gg01−chrU−52190725、gg01−Chr4−48130894、ALV、gg01−chr1−15168845、gg01−chr4−77338201、gg01−ChrU−163504869、gg01−chr7−5733782、インドニシキヘビ(Python−molurus)、WDSV、SnRV、Xen1、Gypsy及びTy1から選択される内在性レトロウイルス(ERV)の遺伝子である、請求項96に記載の方法。
  98. 標的遺伝子が、C血清型アデノウイルス、トリアデノウイルス、トリアデノウイルス随伴ウイルス、ヒトヘルペスウイルス−4(EBV)及びサーコウイルスからなる群から選択される潜在ウイルスの遺伝子である、請求項96に記載の方法。
  99. 潜在ウイルスがサーコウイルスであり、かつ標的遺伝子がブタサーコウイルス1型(PCV1)又はサーコウイルス2型(PCV2)のrep遺伝子である、請求項98に記載の方法。
  100. 潜在ウイルスがEBVであり、かつ標的遺伝子が潜在膜タンパク質(LMP)−2Aである、請求項98に記載の方法。
  101. 標的遺伝子が、外来性レトロウイルス、ヒト免疫不全ウイルス1型(HIV−1)、HIV−2、ヒトT細胞リンパ指向性ウイルスI型(HTLV−I)、HTLV−II、ヒト肝炎A型(HHA)、HHB、HHC、ヒトサイトメガロウイルス、EBV、ヘルペスウイルス、ヒトヘルペスウイルス6型(HHV6)、HHV7、HHV8、ヒトパルボウイルスB19、レオウイルス、ポリオーマ(JC/BK)ウイルス、SV40、ヒトコロナウイルス、パピローマウイルス、ヒトパピローマウイルス、インフルエンザA型、B型及びC型ウイルス、ヒトエンテロウイルス、ヒトパラインフルエンザウイルス、ヒト呼吸器合胞体ウイルス、ベシウイルス、ブタサーコウイルス、リンパ球性脈絡髄膜炎ウイルス(LCMV)、乳酸デヒドロゲナーゼウイルス、ブタパルボウイルス、アデノ随伴ウイルス、レオウイルス、狂犬病ウイルス、レポリポックスウイルス、トリ白血病ウイルス(ALV)、ハンターンウイルス、マルブルグウイルス、SV20、セムリキ森林ウイルス、ネコ肉腫ウイルス、ブタパルボウイルス、マウス肝炎ウイルス(MHV)、ネズミ白血病ウイルス(MuLV)、マウスの肺炎ウイルス(PVM)、タイラー脳脊髄炎ウイルス、ネズミ微小ウイルス、マウスアデノウイルス(MAV);マウスサイトメガロウイルス、マウスロタウイルス(EDIM)、キルハムラットウイルス、トゥーランH−1ウイルス、センダイウイルス、ラットコロナウイルス、偽性狂犬病ウイルス、カシェ渓谷ウイルス、ウシウイルス性下痢症ウイルス、ウシパラインフルエンザウイルス3型、ウシ呼吸器合胞体ウイルス、ウシアデノウイルス、ウシパルボウイルス、ウシ伝染性鼻気管炎ウイルス、ウシヘルペスウイルス、ウシレオウイルス、ブルータングウイルス、ウシポリオーマウイルス、ウシサーコウイルス、牛痘、牛痘以外のオルトポックスウイルス、偽牛痘ウイルス及びレポリポックスウイルスからなる群から選択される外来ウイルスの遺伝子である、請求項96に記載の方法。
  102. 標的遺伝子が、内在性ウイルス、潜在ウイルス又は外来ウイルスのための宿主細胞結合リガンドである、請求項96に記載の方法。
  103. 標的遺伝子が、SLC35A1、Gne、Cmas、B4GalT1又はB4GalT6である、請求項102に記載の方法。
  104. 少なくとも一つの標的遺伝子が、FUT8、TSTA3及びGMDSからなる群から選択され、かつ発現の調節が、フコシル化を調節することによって細胞における生物由来物質の産生を向上させる、請求項1〜3及び6〜58のいずれか一項に記載の方法。
  105. 宿主細胞を、シアリルトランスフェラーゼをコードする遺伝子を標的とする少なくとも一つのRNAエフェクター分子と接触させる工程をさらに含む、請求項104に記載の方法。
  106. シアリルトランスフェラーゼが、ST3β−ガラクトシドα−2,3−シアリルトランスフェラーゼ1、ST3β−ガラクトシドα−2,3−シアリルトランスフェラーゼ4、ST3β−ガラクトシドα−2,3−シアリルトランスフェラーゼ3、ST3β−ガラクトシドα−2,3−シアリルトランスフェラーゼ5、ST6(α−N−アセチル−ノイラミニル−2,3−β−ガラクトシル−1,3)−N−アセチルガラクトサミニドα−2,6−シアリルトランスフェラーゼ6及びST3β−ガラクトシドα−2,3−シアリルトランスフェラーゼ2からなる群から選択される、請求項105に記載の方法。
  107. 少なくとも一つの標的遺伝子が、グルタミナーゼ及びグルタミンデヒドロゲナーゼからなる群から選択され、かつ発現の調節が、アンモニア増強を調節することによって細胞における生物由来物質の産生を向上させる、請求項1〜3及び6〜58のいずれか一項に記載の方法。
  108. 宿主細胞を、グルタミナーゼの発現を調節する少なくとも一つのRNAエフェクター分子と接触させる工程をさらに含む、請求項1〜108のいずれか一項に記載の方法。
  109. 宿主細胞を、グルタミンシンテターゼの発現を調節する少なくとも一つのRNAエフェクター分子と接触させる工程をさらに含む、請求項1〜108のいずれか一項に記載の方法。
  110. その一部分が宿主細胞の少なくとも一つの標的遺伝子と相補的である少なくとも一つのRNAエフェクター分子と、宿主細胞を培養するのに適した細胞培地とを含む組成物であって、RNAエフェクター分子が標的遺伝子の発現を調節可能であり、かつ発現の調節が生物由来物質の産生を高めるとともに、少なくとも一つのRNAエフェクター分子が、配列番号9772〜3152339及び配列番号3161121〜3176783からなる群から選択されるヌクレオチド配列の少なくとも16個の連続したヌクレオチドを含むアンチセンス鎖を含むsiRNAである組成物。
  111. 2つ又はそれ以上のRNAエフェクター分子を含み、前記2つ又はそれ以上のRNAエフェクター分子がそれぞれ異なる標的遺伝子と相補的である、請求項110に記載の組成物。
  112. 複数のRNAエフェクター分子を含む組成物であって、それぞれのRNAエフェクター分子の一部分が宿主細胞の少なくとも一つの標的遺伝子と相補的であり、かつ組成物がBax、Bak及びLDHの発現を調節可能であるとともに、発現の調節が生物由来物質の産生を高める組成物。
  113. 少なくとも一つの追加のRNAエフェクター分子又は作用物質をさらに含む、請求項110又は112に記載の組成物。
  114. 少なくとも一つのRNAエフェクター分子がsiRNAである、請求項110又は112に記載の組成物。
  115. 少なくとも一つのRNAエフェクター分子が二重鎖領域を含む、請求項110又は112に記載の組成物。
  116. 少なくとも一つのRNAエフェクター分子が15〜30ヌクレオチド長である、請求項110又は112に記載の組成物。
  117. 少なくとも一つのRNAエフェクター分子が17〜28ヌクレオチド長である、請求項110又は112に記載の組成物。
  118. 少なくとも一つのRNAエフェクター分子が修飾ヌクレオチドを含む、請求項110又は112に記載の組成物。
  119. 細胞培地が血清非含有培地である、請求項110に記載の組成物。
  120. 組成物が非脂質製剤に製剤化される、請求項110〜119のいずれか一項に記載の組成物。
  121. 組成物が脂質製剤に製剤化される、請求項110〜119のいずれか一項に記載の組成物。
  122. 製剤中の脂質が陽イオン性又は非イオン性脂質を含む、請求項121に記載の組成物。
  123. 組成物が、さらに一つ又はそれ以上の細胞培養培地補助物質を含む、請求項110〜122のいずれか一項に記載の組成物。
  124. 少なくとも一つのRNAエフェクター分子が二本鎖リボ核酸(dsRNA)を含み、dsRNAが相互に相補的である少なくとも2つの配列からなり、センス鎖が第一の配列からなり、アンチセンス鎖が標的遺伝子の少なくとも一部分と実質的に相補的である相補性の領域を含む第二の配列からなり、かつ相補性の領域が10〜30ヌクレオチド長である、請求項110〜123のいずれか一項に記載の組成物。
  125. 培養細胞による生物由来物質の産生を高めるキットであって、
    (d)生物由来物質が産生される条件下で細胞を培養するのに適した一つ又はそれ以上のアッセイ表面を含む支持体、
    (e)一つ又はそれ以上のRNAエフェクター分子であって、それぞれのRNAエフェクター分子の少なくとも一部分は標的遺伝子と相補的であるRNAエフェクター分子、及び
    (f)生物由来物質又はその細胞による産生を検出するための試薬
    を含み、一つ又はそれ以上のRNAエフェクター分子が、配列番号9772〜3152339及び配列番号3161121〜3176783からなる群から選択されるヌクレオチド配列の少なくとも16個の連続したヌクレオチドを有するアンチセンス鎖を含むsiRNAであるキット。
  126. 一つ又はそれ以上のアッセイ表面が、さらに宿主細胞の増殖及び維持を支持するための基材を含む、請求項125に記載のキット。
  127. 一つ又はそれ以上のRNAエフェクター分子が支持体表面に沈着している、請求項125に記載のキット。
  128. 宿主細胞によるRNAエフェクター分子の取り込みを促進するための担体をさらに含む、請求項125に記載のキット。
  129. 担体が陽イオン性脂質組成物を含む、請求項128に記載のキット。
  130. 担体が支持体表面に沈着している、請求項128に記載のキット。
  131. 宿主細胞を培養するのに適した細胞培養培地をさらに含む、請求項125に記載のキット。
  132. 一つ又はそれ以上のRNAエフェクター分子の存在下で宿主細胞を培養し、細胞を生物由来物質の産生についてアッセイするための取扱説明書をさらに含む、請求項125に記載のキット。
  133. 培養細胞による生物由来物質の産生を最適化するためのキットであって、
    (a)生物由来物質が産生される条件下で細胞を培養するのに適した複数のアッセイ表面を含むマイクロアレイ支持体、
    (b)一つ又はそれ以上のRNAエフェクター分子であって、それぞれのRNAエフェクター分子の少なくとも一部分は標的遺伝子と相補的であるRNAエフェクター分子、及び
    (c)生物由来物質の産生に対する一つ又はそれ以上のRNAエフェクター分子の効果を検出するための試薬
    を含み、一つ又はそれ以上のRNAエフェクター分子が、配列番号9772〜3152339及び配列番号3161121〜3176783からなる群から選択されるヌクレオチド配列の少なくとも16個の連続したヌクレオチを有するアンチセンス鎖を含むsiRNAであるキット。
  134. 支持体がマルチウェルプレート又はバイオチップである、請求項133に記載のキット。
  135. 支持体が二次元マイクロアレイプレート又はバイオチップある、請求項133に記載のキット。
  136. 一つ又はそれ以上のRNAエフェクター分子が支持体のアッセイ表面に沈着している、請求項133に記載のキット。
  137. 複数の異なるRNAエフェクター分子が、マイクロアレイの第一の寸法にわたってアッセイ表面に沈着している、請求項135に記載のキット。
  138. 複数のRNAエフェクター分子が、それぞれ異なる標的遺伝子と相補的である、請求項137に記載のキット。
  139. 異なる標的遺伝子が、Bax、Bak及びLDHである、請求項に記載のキット。
  140. 複数のRNAエフェクター分子が、それぞれ同じ標的遺伝子の異なる領域と相補的である、請求項137に記載のキット。
  141. 複数を含むRNAエフェクター分子のそれぞれが、マイクロアレイの第二の寸法に沿ったアッセイ表面に様々な濃度で沈着している、請求項137に記載のキット。
  142. その一部分が標的遺伝子と相補的であるRNAエフェクター分子が、ヌクレオチド配列の少なくとも16個の連続したヌクレオチドを有するアンチセンス鎖を含む対応siRNAであり、前記ヌクレオチド配列が、表1〜16、21〜25、27〜30、31、33、35、37、39、41、43、45、47、51〜61、65及び66のいずれかに記載される、請求項1〜109のいずれか一項に記載の方法。
  143. 細胞においてタンパク質の発現を調節するのに適した少なくとも一つのRNAエフェクター分子のヌクレオチド配列を選択するためのシステムであって、
    (a)少なくとも一つのプロセッサ及び関連付けられたメモリを含むコンピュータシステムであって、メモリは、コンピュータシステムの操作を制御するための少なくとも一つのコンピュータプログラムを格納するコンピュータシステムと、
    (b)コンピュータシステムに連結され、少なくとも一つの細胞の少なくとも一つのトランスクリプトーム(細胞トランスクリプトーム)のトランスクリプトーム情報(前記情報は、トランスクリプトームのそれぞれの転写産物に関する配列、及び任意で転写産物の名前、及び任意で転写産物が役割を果たす分子経路の名前を含む)、及び少なくとも一つのRNAエフェクター分子に関する情報(前記情報は、少なくともRNAエフェクター分子の配列、及び任意でRNAエフェクター分子の標的特異性を含み、それぞれのRNAエフェクター分子は、少なくとも一つの細胞トランスクリプトームの少なくとも配列にマッチするように設計される)を含むデータベースと、
    (c)コンピュータシステムによって実行され、かつ細胞型選択、標的生物選択、細胞経路選択、交差反応性選択、転写産物量選択、標的遺伝子名及び配列の少なくとも一方の選択、及び任意で生体内送達か生体外送達かの選択肢を含む送達方法の選択のうちの少なくとも一つを含むユーザパラメータ、さらに任意でユーザアドレス情報を受け取るように構成されたユーザインターフェースプログラムモジュールと、
    (d)コンピュータシステムによって実行され、かつパラメータとトランスクリプトーム転写産物配列とのマッチする組み合わせのために、パラメータをデータベース中の配列と照合するように構成された第一のモジュールと、
    (e)コンピュータシステムによって実行され、かつ細胞におけるタンパク質の発現を調節するのに適した少なくとも一つのRNAエフェクター分子の選択された配列を示すように構成された第二のモジュール
    を含むシステム。
  144. 少なくとも一つのRNAエフェクター分子をコンテナに格納するための記憶モジュール(2つ又はそれ以上のRNAエフェクター分子が存在する場合、それぞれのRNAエフェクター分子は別個のコンテナに格納される)及びロボットハンドリングモジュールをさらに含み、ロボットハンドリングモジュールは、マッチする組み合わせの選択の際にマッチングコンテナを選択し、かつ任意でコンテナに生体内送達又は生体外送達に関するユーザ選択に基づいた付加物を加え、かつ任意でさらにユーザアドレスに送るべきマッチングRNAエフェクター分子を含むコンテナをパッケージする、請求項143に記載のシステム。
  145. 少なくとも一つの細胞トランスクリプトーム配列情報が、本質的に配列番号1〜9771及び配列番号3157149〜3158420からなる、請求項143又は144に記載のシステム。
  146. RNAエフェクター分子が、siRNA、miRNA、dsRNA、saRNA、shRNA、piRNA、tkRNAi、eiRNA、pdRNA、ギャップマー、アンタゴミア(antagomir)、リボザイム及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、請求項143〜145のいずれか一項に記載のシステム。
  147. RNAエフェクター分子が、siRNA、製剤化siRNA、siRNA混合物及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、請求項143〜145のいずれか一項に記載のシステム。
  148. RNAエフェクター分子が、配列番号9772〜3152399及び配列番号3161121〜3176783からなる群から選択されるヌクレオチド配列の少なくとも16個の連続したヌクレオチドを含むアンチセンスRNA鎖を含む、請求項143〜147のいずれか一項に記載のシステム。
  149. RNAエフェクター分子が、配列番号9772〜3152399及び配列番号3161121〜3176783からなる群から選択されるヌクレオチド配列の16〜19個の連続したヌクレオチドを含むアンチセンスRNA鎖を含む、請求項143〜147のいずれか一項に記載のシステム。
  150. 少なくとも一つのRNAエフェクター分子の配列が、本質的に配列番号9772〜3152399及び配列番号3161121〜3176783からなる、請求項143〜149のいずれか一項に記載のシステム。
  151. 少なくとも一つのトランスクリプトーム中の少なくとも一つ又はそれ以上の配列とマッチする複数のRNAエフェクター分子が選択される、請求項143〜150のいずれか一項に記載のシステム。
  152. 請求項1〜151のいずれか一項に記載のシステムを使用して細胞におけるタンパク質の発現を調節するためのRNAエフェクター分子の選択方法。
  153. さらに細胞のゲノム情報を含み、ユーザ選択によって、RNAエフェクター分子を、ゲノムに存在するプロモーター、エンハンサー、イントロン及びエクソンを含む標的ゲノム配列にマッチさせることができる、請求項1〜152のいずれか一項に記載のシステム。
  154. 配列番号1〜9771を有する転写産物の選択又は編集を含むチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞トランスクリプトーム。
  155. 配列番号3157149〜3158420を有する転写産物の選択又は編集を含むチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞トランスクリプトーム。
  156. CHO細胞トランスクリプトーム配列がデータベースの一部である、請求項154又は155に記載のCHO細胞トランスクリプトーム。
  157. 請求項154又は155に記載のCHO細胞トランスクリプトームのいずれか一つに指向するsiRNA。
  158. siRNAが、配列番号9772〜3152399及び配列番号3161121〜3176783からなる群から選択されるヌクレオチド配列の少なくとも16個の連続したヌクレオチドを含むアンチセンス鎖を含む、請求項157に記載のsiRNA。
  159. siRNAが、配列番号9772〜3152399及び配列番号3161121〜3176783からなる群から選択されるヌクレオチド配列の少なくとも16〜19個の連続したヌクレオチドを含むアンチセンス鎖を含む、請求項157又は158に記載のsiRNA。
  160. siRNAが、配列番号9772〜3152359及び配列番号3161121〜3176783からなる群から選択される、請求項156〜159のいずれか一項に記載のsiRNA。
  161. siRNA配列又はそのアンチセンス配列がデータベースの一部である、請求項1〜160のいずれか一項に記載のsiRNA。
  162. 細胞株を改良する方法であって、表1〜16から選択される転写産物から翻訳される少なくとも一つのタンパク質を調節することを含む方法。
  163. 細胞株を改良する方法であって、エフェクターRNA分子を使用して少なくとも2つの転写産物を調節することを含み、第一の転写産物が第一の細胞培養表現型に影響を及ぼし、かつ第二の転写産物が第二の異なる細胞培養表現型に影響を及ぼし、細胞培養表現型が、細胞増殖速度、細胞生産性、ピーク細胞密度、持続した細胞生存率、アンモニア産生及び消費の速度、又は乳酸産生もしくは消費の速度からなる群から選択され、かつ第一及び第二の転写産物が、配列番号1〜9771及び配列番号3157149〜3158420からなる群から選択される方法。
  164. 第一及び第二の細胞培養表現型とは異なる第三の細胞培養表現型に影響を及ぼす第三の転写産物を調節することをさらに含む、請求項163に記載の方法。
  165. RNAエフェクター分子が、siRNA、miRNA、dsRNA、saRNA、shRNA、piRNA、tkRNAi、eiRNA、pdRNA、ギャップマー、アンタゴミア(antagomir)又はリボザイムからなる群から選択される、請求項163又は164に記載の方法。
  166. RNAエフェクター分子が、配列番号9772〜3152359及び配列番号3161121〜3176783からなる群から選択されるヌクレオチド配列の少なくとも16個の連続したヌクレオチドを有するアンチセンス鎖を含む、請求項163〜165のいずれか一項に記載の方法。
  167. RNAエフェクター分子が、配列番号9772〜3152399及び配列番号3161121〜3176783からなる群から選択されるヌクレオチド配列の16〜19個の連続したヌクレオチドを有するアンチセンス鎖を含む、請求項163〜167のいずれか一項に記載の方法。
  168. エフェクターRNA分子が、配列番号9772〜3152399及び配列番号3161121〜3176783からなる群から選択される、請求項163〜167のいずれか一項に記載の方法。
  169. 細胞株がCHO細胞株である、請求項163〜168のいずれか一項に記載の方法。
  170. 改良された細胞生産性、改良された細胞増殖速度、又は改良された細胞生存率を有する組換え細胞株であって、組換え細胞の個体群を含み、そのそれぞれが、表1〜16、21〜25、27〜30、52〜61、65及び66から選択される一つ又はそれ以上の転写産物を調節する組換え構造物を含む組換え細胞株。
  171. 一つ又はそれ以上の転写産物を調節する組換え構造物が、siRNA、miRNA、dsRNA、saRNA、shRNA、piRNA、tkRNAi、eiRNA、pdRNA、ギャップマー、アンタゴミア(antagomir)、リボザイム及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択されるRNAエフェクター分子を含む、請求項170に記載の組換え細胞株。
  172. RNAエフェクター分子が、配列番号9772〜3152399及び配列番号3161121〜3176783からなる群から選択されるヌクレオチド配列の16〜19個の連続したヌクレオチドを有するアンチセンス鎖を含む、請求項171に記載の組換え細胞株。
  173. 組み換え構造物が、配列番号9772〜3152399及び配列番号3161121〜3176783からなる群から選択されるsiRNAを含む、請求項169〜172のいずれか一項に記載の組換え細胞株。
  174. 脂質製剤が、次式:
    Figure 2014501097
    {式中:
    及びRは、それぞれの存在についてそれぞれ独立して、任意に置換されたC10〜C30アルキル、任意に置換されたC10〜C30アルコキシ、任意に置換されたC10〜C30アルケニル、任意に置換されたC10〜C30アルケニルオキシ、任意に置換されたC10〜C30アルキニル、任意に置換されたC10〜C30アルキニルオキシ、又は任意に置換されたC10〜C30アシルであり;
    Figure 2014501097
    は、LとLの間の結合を表し、この結合は:
    (1)Lの一つの原子とLの一つの原子との間の単結合であり〔この場合、
    は、C(R)、O、S又はN(Q)であり;
    は、−CR−、−O−、−S−、−N(Q)−、=C(R)−、−C(O)N(Q)−、−C(O)O−、−N(Q)C(O)−、−OC(O)−、又は−C(O)−である〕;
    (2)Lの一つの原子とLの一つの原子との間の二重結合であり〔この場合、
    は、Cであり;
    は、−CR=、−N(Q)=、−N−、−O−N=、−N(Q)−N=、又は−C(O)N(Q)−N=である〕;
    (3)Lの第一の原子とLの第一の原子との間の単結合、及びLの第二の原子とLの第一の原子との間の単結合であり〔この場合、
    は、Cであり;
    は、次式:
    Figure 2014501097
    を有し、式中のXはLの第一の原子であり、YはLの第二の原子であり、−−−−−はLの第一の原子に対する単結合を表し、かつX及びYは、それぞれ独立して、−O−、−S−、アルキレン、−N(Q)−、−C(O)−、−O(CO)−、−OC(O)N(Q)−、−N(Q)C(O)O−、−C(O)O、−OC(O)O−、−OS(O)(Q)O−、及び−OP(O)(Q)O−からなる群から選択され;
    及びZは、それぞれ独立して、−O−、−S−、−CH−、−CHR−、又は−CR−であり;
    は、CH又はNであり;
    は、CH又はNであり;
    あるいは、ZとZは、一緒になって、単一のC原子であり;
    及びAは、それぞれ独立して、−O−、−S−、−CH−、−CHR−、又は−CR−であり;
    それぞれのZは、N、C(R)、又はC(R)であり;
    kは、0、1、又は2であり;
    それぞれのmは、独立して0〜5であり;
    それぞれのnは、独立して0〜5であり;
    この場合、mとnは、一緒になって3、4、5、6、7又は8員環を生じる〕;
    (4)Lの第一の原子とLの第一の原子との間の単結合、及びLの第一の原子とLの第二の原子との間の単結合であり〔この場合、
    (A)Lは、次式:
    Figure 2014501097
    を有し、式中のXはLの第一の原子であり、YはLの第二の原子であり、−−−−−はLの第一の原子に対する単結合を表し、かつX及びYは、それぞれ独立して、−O−、−S−、アルキレン、−N(Q)−、−C(O)−、−O(CO)−、−OC(O)N(Q)−、−N(Q)C(O)O−、−C(O)O、−OC(O)O−、−OS(O)(Q)O−、及び−OP(O)(Q)O−からなる群から選択され;
    は、CH又はNであり;
    は、CH又はNであり;
    あるいは、TとTは、一緒になって、C=Cであり;
    は、CRであるか;又は
    (B)Lは、次式:
    Figure 2014501097
    を有し、式中のXはLの第一の原子であり、YはLの第二の原子であり、−−−−−はLの第一の原子に対する単結合を表し、かつX及びYは、それぞれ独立して、−O−、−S−、アルキレン、−N(Q)−、−C(O)−、−O(CO)−、−OC(O)N(Q)−、−N(Q)C(O)O−、−C(O)O、−OC(O)O−、−OS(O)(Q)O−、及び−OP(O)(Q)O−からなる群から選択され;
    は、−CR−、−N(Q)−、−O−、又は−S−であり;
    は、−CR−、−N(Q)−、−O−、又は−S−であり;
    は、CR又はNである〕;
    は、次式:
    Figure 2014501097
    を有し、式中、
    、Y、Y及びYのそれぞれは、独立して、アルキル、シクロアルキル、アリール、アラルキル、又はアルキニルであるか;あるいは、
    、Y及びYのうち任意の2つは、これらと結合しているN原子と一緒になって3〜8員複素環を形成するか;あるいは、
    、Y及びYは、全てがこれらと結合しているN原子と一緒になって二環式5〜12員複素環を形成し;
    それぞれのRは、独立して、H、ハロ、シアノ、ヒドロキシ、アミノ、アルキル、アルコキシ、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、又はヘテロシクリルであり;
    は、結合、−N(Q)−、−O−、−S−、−(CR−、−C(O)−、又はこれらの任意の2つの組み合わせであり;
    は、結合、−N(Q)−、−O−、−S−、−(CR−、−C(O)−、又はこれらの任意の2つの組み合わせであり;
    は、結合、−N(Q)−、−O−、−S−、−(CR−、−C(O)−、又はこれらの任意の2つの組み合わせであり;
    及びRのそれぞれの存在は、独立して、H、ハロ、シアノ、ヒドロキシ、アミノ、アルキル、アルコキシ、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、又はヘテロシクリルであり;あるいは、隣り合った炭素原子上の2個のR基は、一緒になってこれらのそれぞれの炭素原子の間で二重結合を形成するか;又は隣り合った炭素原子上の2個のR基と、隣り合った同じ炭素原子上の2個のR基は、一緒になってこれらのそれぞれの炭素原子の間で三重結合を形成し;
    それぞれのaは、独立して、0、1、2、又は3であり;
    この場合、
    、L又はLのいずれかに由来するR又はR置換基は、任意にL、L又はLのいずれかに由来するR又はR置換基と一緒になって、3〜8員シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、又はヘテロアリール基を形成し;かつ
    、Y及びYのうち任意の一つは、任意にL、L又はLのいずれかに由来するR又はR基、及びこれらと結合している原子と一緒になって、3〜8員ヘテロシクリル基を形成し;
    それぞれのQは、独立して、H、アルキル、アシル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール又はヘテロシクリルであり;かつ
    それぞれのQは、独立してO、S、N(Q)(Q)、アルキル又はアルコキシである}
    を有する脂質を含む、請求項121に記載の方法。
  175. 哺乳動物細胞がMDCK細胞である、請求項41に記載の方法。
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