JP6671411B2 - ウェハ保持装置上のメッキの検知 - Google Patents

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Description

[関連出願の参照]
本出願は、参照によりその全体を全ての目的のために本明細書に組み込まれる2013年2月15日に出願された発明の名称を「ウェハ保持装置上のメッキの検知」とする米国仮特許出願第61/765502号に基づく優先権を主張する。
半導体製作及び処理における近年の進歩により、半導体デバイス上に様々な材料を蒸着するための電気メッキの使用が増大している。このような材料には、電解メッキ銅、ニッケル及びスズ−銀合金が含まれる。スズ−銀合金の電気メッキでは、(クラムシェルアセンブリとして実装される場合もある)基板ホルダアセンブリのリップシール及びカップ領域周辺に不要な金属の蓄積が生じることがある。その位置に応じて「リップシールメッキ」及び/又は「カップ底部メッキ」と呼ばれるこの蓄積は、場合によっては基板とリップシールとの間の封止の失敗を引き起こし、潜在的に腐食性である電気メッキ液によってクラムシェルアセンブリの内部が汚染されてしまう。更に、リップシールメッキ又はカップ底部メッキのいずれかが発生した場合、ウェハ上のメッキの均一性及び品質は有意に低下し得、一般に、何らかの補修作業を行わなければ、更なるウェハを効果的にメッキすることはできない。標準以下のメッキ条件化における、ウェハに対するコストがかかる処理を回避するために、リップシールメッキ及びカップ底部メッキが存在する場合等、通常作業からの逸脱を検知する方法が必要とされている。
本明細書で開示する実施形態は、電気メッキ装置で使用する基板ホルダの底部の、望ましくない金属堆積物の存在を検知するための方法及び装置に関する。望ましくない堆積物の存在は、電気メッキ結果にマイナスの影響を及ぼし得るため、このような検知は有用である。本明細書で開示する実施形態の一態様では、電気メッキ装置の基板ホルダ上の金属堆積物の存在又は不存在を検知するための方法が提供され、この方法は、電気メッキ装置の基板ホルダ付近に検知用ハードウェアを配置し(ここで基板ホルダは底部及び内側縁部を有する環状要素であり、基板ホルダは電気メッキ中に基板を支持するよう構成される)及び、基板ホルダ上の検知領域における金属堆積物の存在又は不存在を検知するために検知用ハードウェアを操作する(ここで検知領域は、基板ホルダの内側縁部から少なくとも約5mm以上延在する、基板ホルダの底部上の環状領域である)ことを含む。
いくつかの実施形態では、堆積物は、有意に異なる還元電位を有する複数の金属を含む。特定の実施形態では、堆積物はスズ及び銀を含む。検知用ハードウェアの操作が予定に従って行われる。場合によっては、検知用ハードウェアの操作は、基板ホルダを用いて特定の数の基板を処理した後、基板ホルダを用いた基板上へのメッキ中に特定の量の電荷が通過した後、又は基板ホルダを用いて、基板上に特定の量若しくは厚さの金属を堆積させた後に行われる。別の例では、基板ホルダを洗浄した後、例えば基板ホルダの各洗浄後に検知用ハードウェアの操作が行われる。検知領域は、基板ホルダの底部上の環状領域であってよい。様々な場合において、検知領域は、基板ホルダの内側縁部から少なくとも約5mm延在する。例えば検知領域は、基板ホルダの底部上に、基板ホルダの内側縁部から約10mm以上、又は約15mm以上、又は約20mm以上延在してよい。
特定の場合において、検知用ハードウェアの操作は、基板ホルダの検知領域に光源からの光を照射し(光を当て)、基板ホルダの検知領域から反射した反射光を測定することを含み得る。基板ホルダの検知領域への光源の照射は、検知領域の色に対する相補的な色の光の照射を含んでよい。別の場合においては、検知用ハードウェアの操作は、検知領域付近に位置決めされた円形の一次励起コイルに交番電流(交流電流)を流して、検知領域と相互作用して渦電流を生み出す、変化する磁場(交番磁場)を発生させ、金属堆積物の存在又は不存在を検知するために渦電流の位相及び/又は大きさの測定を含んでよい。ある場合には、測定は、一次励起コイルとは異なる受信コイルを用いて行われ得る。他の場合には、測定は、一次励起コイルを通って流れる交番電流の変化を測定することによって行われ得る。更なる実施形態では、検知用ハードウェアの操作は、検知領域と接触する2つ以上の電気的接触部を提供し(これら2つ以上の電気的接触部間には電気的接続が存在する)、これら2つ以上の電気的接触部の間の検知領域に金属堆積物が存在する場合には、金属堆積物は2つ以上の電気的接触の間に回路を完成し、2つ以上の電気的接触部の間の検知領域に金属堆積物が存在しない場合には、2つ以上の電気的接触部の間に回路が完成されないように、少なくとも1つの電気的接触部を通して電流を流し、検知領域における金属堆積物の存在又は不存在を検知するために電気的特性を測定することを含んでよい。
本明細書で開示する実施形態の別の態様では、電気メッキ装置の基板ホルダ上の金属堆積物の存在又は不存在を検知するための装置が提供され、この装置は、設置用ハードウェア上に配置されている検知用ハードウェアを備え、設置用ハードウェアは、検知用ハードウェアを基板ホルダ上の検知領域付近に移動させるように所定の位置に揺動するスイングアームを備え、基板ホルダは底部及び内側縁部を含み、基板ホルダ上の検知領域は、基板ホルダの底部において、基板ホルダの内側縁部から約5mm以上延在し、検知用ハードウェアは、基板ホルダの検知領域における金属堆積物の存在又は不存在を検知するよう構成されている。
ある場合には、設置用ハードウェアは電気メッキ装置と一体である。代替又は追加的に、金属堆積物の存在又は不存在を検知するための装置は、複数の基板ホルダと協調(相互作用、協働)可能であってもよい。設置用ハードウェアは、検知用ハードウェアを基板ホルダ上の検知領域付近に移動させるように所定の位置に揺動するスイングアームを含んでよい。他のタイプの設置用ハードウェアを使用して、検知用ハードウェアを所定の位置に回転、並進、旋回又はその他の方法で移動させてもよい。いくつかの実施形態では、設置用ハードウェアは、基板ホルダから金属堆積物を除去するための洗浄用アセンブリを更に含む。特定の実施例では、洗浄用アセンブリは、基板ホルダ上へと洗浄溶液をジェット噴射するよう構成された1つ又は複数のノズルを含む。
多くの異なるタイプの検知用ハードウェアを用いてよい。特定の場合において、検知用ハードウェアは光源及び光検知器を含み、光源は、基板ホルダの検知領域に光を照射するよう構成され、光検知器は、基板ホルダの検知領域で反射した光を測定するよう構成される。検知領域と光源との間、又は検知領域と検知器との間に、任意にフィルタが配置されてもよい。このフィルタは、金属堆積物が存在しない場合に検知領域が通常反射する光の波長をフィルタリングし除去できる。特定の場合において、この装置は1つ又は複数の光ファイバを更に含んでよい。この光ファイバは、光源と、検知領域を照射する光導出口との間、又は検知領域付近に配置されている光導入口と光検知器との間で光を搬送するために用いられ得る。特定の場合において、検知領域を照射す光導出口及び検知領域付近に配置されている光導入口は共に、一体化された光ファイバの束として提供される。
別の実施形態では、検知用ハードウェアは、交番電流が流れることにより、検知領域と相互作用して渦電流を生み出すための変化する磁場を発生させる、円形一次励起コイルを含む。検知用ハードウェアはまた、一次励起コイルとは異なる受信コイルを含んでよく、受信コイルは、渦電流の大きさ及び/又は位相の変化を測定するよう構成されている。更なる実施形態では、検知用ハードウェアは、検知領域と接触する2つ以上の電気的接触部、及びこれら2つ以上の電気的接触部間の電気的接続を含み、2つ以上の電気的接触部の間の検知領域に金属堆積物が存在する場合には、金属堆積物は2つ以上の電気的接触部の間に回路を完成し、2つ以上の電気的接触部の間の検知領域に金属堆積物が存在しない場合には、2つ以上の電気的接触部の間に回路は完成されない。
以上の特徴及び他の特徴を、関連する図面を参照して以下に説明する。
電着プロセス中に基板を保持するためのカップの底部上の、望ましくない堆積物の存在を検知するための検知装置の一実施形態を示す説明図。 ウェハを処理し、電着基板ホルダを洗浄し、基板ホルダの底部上の望ましくない堆積物の存在を検知する方法のフローチャート。 基板ホルダの底部上の望ましくない堆積物の存在を検知するための、光ファイバの束を含む光学検知用ハードウェアを示す説明図。 基板ホルダの底部上の望ましくない堆積物の存在を検知するための、光ファイバの束を含む光学検知用ハードウェアを示す説明図。 本明細書で開示する実施形態を実装するために使用可能な、例示的なマルチツール装置を示す説明図。 本明細書で開示する実施形態を実装するために使用可能な、例示的なマルチツール装置を示す説明図。
本出願では、用語「半導体ウェハ」「ウェハ」「基板(基材)」「ウェハ基板」及び「部分的に製造された集積回路」は相互に交換可能なものとして使用される。用語「部分的に製造された集積回路」は、シリコンウェハ上での集積回路製造の多数の段階のうちのいずれかにおけるシリコンウェハを表すことができることは、当業者には明らかであろう。半導体デバイス産業において使用されるウェハ又は基板は、典型的には200mm又は300mm又は450mmの直径を有する。更に、用語「電解質」、「メッキ浴」、「浴」及び「メッキ液」は相互に交換可能なものとして使用される。以下の詳細な説明は、本発明をウェハ上に実装することを想定している。しかしながら、本発明はこのように限定されない。被加工物は様々な形状、サイズ及び材料のものであってよい。本発明の利点を利用できる他の被加工物には。半導体ウェハに加えて、プリント回路基板等の様々な物品が含まれる。
以下の説明では、提示する実施形態の完全な理解を提供するために、多数の具体的な詳細を挙げる。開示する実施形態は、これらの具体的な詳細の一部又は全てを用いずに実施してよい。他の例では、開示する実施形態を不必要に不明瞭にすることのないよう、公知のプロセス操作については詳細に説明しなかった。開示する実施形態は特定の実施形態と関連付けて説明するが、これは開示する実施形態を限定することを意図するものではないことを理解されたい。
本明細書の説明は、カップ及びリップシールで構成される基板ホルダに焦点を合わせたものであるが、他の構成が用いられてもよい。一般に、本明細書において用語「カップ底部」又は「基板ホルダ底部」を使用する場合、これらの用語は、ウェハホルダが図示したようなカップで構成されているか否かにかかわらず、いずれのウェハホルダの底部を包含することを意図したものである。ウェハホルダの底部は一般に、ホルダの、電気メッキ液に面する側である。ウェハホルダの底部は典型的には、メッキされる基板の面と実質的に同一の方向に配向され、ウェハとほぼ同一平面となるのが普通である。典型的には、基板ホルダの底部は、(基板のホルダが基板の縁部を支持するように)基板の周縁部分の周囲に位置決めされ、基板から径方向外向きに延伸する。本明細書で使用する用語「リップシール」は一般に、ウェハの縁部と係合して、ウェハの全メッキ面を電気メッキ液に曝露しながらウェハホルダの内側を電気メッキ液から保護するシールを生成する、ウェハホルダの一部を指す。いずれの様々な設計のリップシールを使用してよい。
簡単化及び明確化のために、本明細書の実施例の大半は、ウェハ面が下を向いた「噴射(吐出)型」メッキ装置に関するものとする。このような装置では、メッキされる加工品(典型的には半導体ウェハ又はその他の基板)が、一般に、実質的に水平な配向を有し(いくつかの場合においては、メッキプロセスの一部又は全部にわたって、完全な水平状態から数度だけ変更する場合があり得る)、また、メッキ中に駆動されて回転させられることで、概ね垂直方向上向きの電解質対流パターンを得ることができる。ウェハの中心から縁部への衝突流の統合、及び回転するウェハの中心に比べて縁部の角速度が増大する性質によって、径方向に増大する、鋭く回転する流れのパターンが生成される。カップ?コーン構成を有するクラムシェル型電気メッキ装置は、電気メッキ前及び電気メッキ中にウェハを所定の位置に保持するために頻繁に使用される。クラムシェル型及び噴射型メッキセル/装置の一例は、Lam Research,Inc.(カリフォルニア州フリーモント)が製造し市販しているSabre(登録商標)シリーズの電気メッキシステムである。更に、クラムシェル噴射型電気メッキシステムは、例えば2001年8月10日に出願された米国特許第6800187号、及び2010年2月11日に出願された米国特許第8308931号に記載されており、これらは参照によりその全体が本明細書に援用される。本明細書の説明は主に、ウェハ及びホルダが下向きであり、その場所の地表面の平面に対して平行となる配向に焦点を合わせたものであるが、地表面に対して角度を有する配向又は垂直な配向等の他の配向は排除されておらず、これらも想定可能であることを理解されたい。
更に、本明細書の説明及び実施例は概して、スズ/銀の蓄積の検知に焦点を合わせているが、検知器が検知対象とする領域におけるいずれの反射性及び/又は導電性材料の存在を検知するために、実施形態が実施されてもよい。スズ/銀蓄積プロセスのメカニズムについてはこれ以降及び他の箇所においてある程度詳細に説明する。別の関連するシステムの一例として、銅の電気メッキ中に、銅メッキがリップシール/カップ底部領域に蓄積し得る。銅堆積物は、部分的に還元された第2銅イオンからの第1銅イオンの生成、又はウェハ表面における還元性有機添加物種(これはウェハ縁部、リップシール及びカップ底部領域にわたって広がり得る)の生成によって形成され得る。この銅堆積手順は、以下の反応で表される。
堆積手順の第1の例:
ウェハ表面:Cu+2+e-(ウェハ表面)→Cu+1
カップ底部:2Cu+1→Cu+Cu+2
堆積手順の第2の例:
ウェハ表面:A +e-→A-(還元性添加物の形成)
カップ底部:Cu+2+2A-→Cu+2A
リップシール及びカップ底部上の不要な金属堆積物に関連する問題は、ウェハの縁部付近により多くの特徴部分を有するようにウェハを設計するにつれて悪化する。これら特徴部分はこのようなメッキによって特に影響を受けやすい。更に、縁部付近の特徴部分の存在は、ウェハホルダ及びシール上の不要な堆積物の生成を促進する。縁部付近の特徴部分と、シップシールのメッキとの間の干渉は、縁部付近の特徴部分の密度が高くなると大きく増大する。単一のウェハから得られる半導体デバイスの数を最大化するという要求によって、縁部付近のより多くの特徴部分が要求される。
本明細書で提示する実施例では、メッキ装置はメッキ中にウェハを支持するカップを含む。カップは、ウェハの外周を支持することによって、ウェハを所定の位置に保持する。従ってカップはその中心に大型の開口部を有し、この開口部はウェハの直径よりわずかに小さい直径を有する。図1は、ウェハ位置決めシステム101における、カップ底部103を有するカップ102の一例を示す。特定の場合において、カップ102及び/又はカップ底部103を、ポリビニリデンフルオライド(PVDF、例えばArkema社(フランス、コロンブ)製のKynar(登録商標)等)若しくはポリテトラフルオロエチレン(PTFE、例えばDupont社(デラウェア州ウィルミントン)製のTeflon(登録商標))、シリコーン、又はシリコン及び酸素ガラス様セラミック非接着性材料(例えばCuisinart社製「Ceramica(登録商標)」若しくは「Thermolon(登録商標)」等)のような、接着特性を有しない物質でコーティングしてよい。
カップ102は一般に、短い(例えば高さ約1.0〜1.5mmの)垂直内壁を有する。薄い(例えば0.75〜1.5mmの)リップシール104は、この垂直内壁の頂部に位置決めされ、メッキ中にウェハと係合して周縁部シールを形成する。電気メッキ中、リップシール104は、リップシール104の径方向外側に位置する電気的接触(図示せず)を保護する。カップの垂直内壁の底部において、カップは径方向外側に水平に(径方向外側かつウェハに平行に)延伸する。この水平な表面は、カップ底部103である。
カップ自体への望ましくないメッキは、先ず、カップ102がリップシール104と接するカップの垂直内壁上から始まり、メッキは、この垂直内壁表面を下向きに進行し、続いてカップ102の角部の周囲へ、そしてカップ底部103上で径方向外向きに進行する。メッキがカップ底部103に到達すると、有意な製造欠陥が発生する可能性があり、カップ底部103にメッキが存在するまま処理されるウェハは、しばしば破損し、または、収率が極めて低いことが多い。カップ底部へのメッキの移行及びメッキ成長への移行の原因の一部は、リップシール104に比べてカップ102(特にカップ底部103)上に金属が付着しやすいことである。カップ底部103及びカップ102の他の部分を、フッ化ポリマーコーティング(例えばポリテトラフルオロエチレン、PTFE)等の非接着性コーティングでコーティングして、表面への金属付着の阻止を補助してもよいが、それでも時を経るにつれて、堆積物はカップ底部103上に形成され得る。多くの場合、メッキがカップ底部103で発生し始めると、堆積速度は有意に上昇し、堆積の制御はすぐに不可能となり、堆積はカップ底部103全体をメッキしてしまう。図1は、ウェハ位置決めシステム101に加えて、光学カップ底部メッキ検知に関わるハードウェアを示す。このハードウェアについて、以下で更に説明する。
スズ−銀合金は半導体製造プロセスの最後に(例えばスズ−銀ハンダ接触として)堆積されることが多いため、スズ−銀堆積プロセスで使用されるウェハは典型的には極めて高価であり、全製造プロセスにおいてこの段階に到達するまでに、多くの処理操作を経る。従って、カップ底部上のメッキの検出に失敗し、それに伴って収率が低い又は仕様外のウェハを形成してしまうと、特にコストの増大を招くことになり得る。
特定の理論に制限されるものではないが、スズ−銀合金の不要な堆積の原因の少なくとも一部は、スズ原子と銀原子の還元電位が大きく異なることであると考えられ、更に、不要な堆積物の成長は、リップシールとウェハの境界面における(銀を殆ど含まない)スズのメッキによってまず発生し、リップシールの表面及びカップ底部上での置換反応(Sn+2Ag+→Sn2++2Ag)によってフィルムが成長し、これによって各スズ原子(酸化状態+2を有する)が2個の銀原子(酸化状態+1を有する)で置換され、これに対応して不要なフィルムの容積が成長すると考えられる。これも特定の理論に制限されるものではないが、大きく異なる還元電位、例えば約100mV以上の還元電位差を有する金属で形成される他の金属又は合金の堆積物は、電気メッキ装置のリップシール及びカップ底部上の不要な金属堆積に関わる同一又は同様の問題につながり得ると考えられる。
カップ底部上の金属堆積物は、(1)電流及び電位分布の局所的な変動による、カップ底部堆積物付近の領域における局所的な不均一性、並びに(2)ウェハ全体に渡る堆積物の平均厚さの減少を引き起こし得る。従って、収率の損失は、漂遊する金属粒子の生成に関連するだけでなく、ウェハ自体上にメッキするための電荷の除去又は「電流シンク」によるものでもある。第1の影響は、その周りにカップ底部メッキが発生したウェハ上の領域に対して局所的なものであり、基板の縁部付近の特徴部分からカップ底部へと電流が局所的に流れるので、この縁部付近の特徴部分が所望の厚さより薄くなる。カップ底部メッキの範囲が増大すると、カップ底部上のメッキ処理に使用された電流の総量が、ウェハ全体をメッキするために必要な電流の総量に対して大きくなり、ウェハ上にメッキされた特徴部分の平均厚さが、目標の平均厚さ未満に低下するので、(ウェハ全体にわたる所望の平均メッキ厚さより薄い)第2の影響が発生する。
開領域(電気メッキが必要な領域)が少ない基板は、開領域が多い基板よりも、カップ底部メッキの存在に関してより繊細である。開領域が少ない/特徴部分密度が低いこれらの基板がより繊細なのは、所望の基板メッキ領域に対するカップ底部メッキ領域の割合が比較的高いという事実による。言い換えると、電流が基板供給される領域(面積)が基板に対して小さいため、カップ底部メッキが存在する場合、この電流のうちの有意な量が容易に再配向される。対照的に、開領域が多い/特徴部分密度が高い基板については、電流を供給される領域(面積)が大きい。従って、カップ底部メッキの開始は、ウェハに供給される電流のうち比較的少量を利用することになる。しかしながら両方の場合において、目標となる平均厚さの均一性を有さないメッキを施すようなウェハの処理を回避するために、少量のメッキをできる限り迅速に検知することが重要である。
上述のメッキに関する問題の両方において、金属堆積物がウェハの表面から電流を効果的に除去して(これは望ましいことである)、この電流を金属堆積物自体へと再配向する(これは望ましくないことに、堆積物の部位において更に多くのメッキを発生させる)ため、悪影響が発生する。メモリデバイス上での比較的低いI/Oカウントバンプの形成等の多くのスズ/銀堆積プロセスでは、ウェハ上の開領域(即ち電流を配向してメッキを発生させる領域)は極めて小さい(例えばウェハの面の約0.5〜3%)場合がある。従って、電流はウェハ上のかなり小さい領域に配向され、この領域は、カップ底部上の金属堆積物のサイズと同等であり得る。これら2つの領域のサイズが同等であることを一因として、ウェハ上の開領域に配向されるべき電流量に相当する電流が、ウェハの代わりにカップ底部へと配向される。よって、カップ底部上にメッキが少量でも形成されると、これは特徴部分の周りのウェハのメッキに大いに影響し得る上、堆積物が十分に大きければ、ウェハ全体のメッキ厚さに影響し得る。これは当然、ウェハ上の多くの又は全てのダイの不良を引き起こし得る。300mmウェハホルダの場合のカップ底部表面の面積は、典型的には約200cm2であってよい。300mmウェハの露出面積は約700cm2であり、この300mmウェハにマスキングを施して、ウェハ表面のうち小さな部分(例えば1%)を露出させる場合、約7cm2の面積にメッキを施すことになる。カップ底部の極めて小さい部分、例えばカップ底部のわずか約0.5%又は約1×1cmのセグメント(1cm2)を最終的にメッキする場合、ウェハ上のメッキ処理の平均速度は有意量、例えば約1/7×100=14%減少し得る。
不要なスズ/銀の蓄積は上述のような問題につながり得るため、スズ/銀堆積物を検知し、これをリップシール及びカップ底部から除去若しくは洗浄するか、又はカップ底部及びリップシールを交換することが重要である。この望ましくない堆積物を除去するために、様々な洗浄技術が用いられ得る。場合によっては、洗浄は自動的に行われても良い。他の場合においては、洗浄は手動で開始及び/又は実行されても良い。基板基板ホルダを洗浄するための技術として、たとえば、として、2012年7月31出願の米国特許出願第13/563619号「ウェハメッキアセンブリの自動洗浄」、2013年3月29日出願の米国特許出願第13/853935号「逆電流メッキ除去を用いる、電気メッキ基板ホルダの洗浄」、及び2013年3月28日出願の米国特許出願第13/852767号「電気メッキ基板ホルダを洗浄するための方法及び装置」において更に考察及び説明されており、これらの文献はそれぞれその全体が参照により本明細書に援用される。
いくつかの実施形態では、洗浄技術は、リップシール及び/又はカップ底部の方向に洗浄液(例えば脱イオン水(以下で議論するように、これ以外の洗浄液も使用してよい))をジェット噴射することを伴う。洗浄液は、クラムシェルと洗浄液のジェット流が互いに対して回転することにより、スズ/銀の蓄積を除去する。
幅広い様々な洗浄剤/洗浄液が用いられ得る。いくつかの実施形態では、洗浄剤を選択は、除去するべき望ましくない堆積物の組成に依存する。例えば、望ましくないスズ−銀合金堆積物の除去は、スズ及び銀の金属及び塩を酸化及び/又は溶解できる酸化酸溶液を効果的に利用できる。よっていくつかの実施形態では、洗浄剤は酸及び/又は酸化剤を含んでよい。スズ−銀合金堆積物を除去するための適切な洗浄剤又は洗浄液の特定の例は、硝酸溶液である。このような溶液は例えば、約5重量%、10重量%、15重量%、20重量%、25重量%、35重量%若しくは50重量%以上の硝酸濃度を有してよく、又はこれらの濃度のいずれか1つ以下の濃度を有してよく、又はこれらの濃度のうちのいずれか2つによって画定される範囲内の濃度を有してよい。いくつかの実施形態では、洗浄剤/洗浄液は、例えば硝酸と塩酸の組み合わせ(即ちこれによって王水を形成する)等、複数の酸を利用してよく、これら2つの酸はいずれも上述の濃度のいずれか又は上述の濃度範囲内で存在する。しかしながら、他の酸及び酸の組み合わせを、これもまた上述の濃度のいずれか又は上述の濃度範囲内で使用されてもよい。いくつかの実施形態では、洗浄剤は金属錯化剤であってよく、典型的には、除去するべき堆積物を形成する金属を錯化させる性質のために選択された錯化剤であってよい。例えば、洗浄剤として選択される錯化剤は、シュウ酸イオンであってもよく、これはシュウ酸イオンがスズを錯化するためである。いくつかの実施形態では、様々なメルカプト誘導体化合物等の銀錯化剤を洗浄剤として選択されても良い。
残念なことに、洗浄プロセスは100%の効果を常に発揮できるわけではなく、スズ/銀材料は洗浄後に電気メッキ装置上に残留し得る。洗浄液のジェット噴射を用いて望ましくない堆積物を除去する場合、例えば、ジェット噴射は典型的にはウェハホルダの内側垂直領域(特にリップシール領域及びカップの垂直内壁表面)を標的とする。スズ/銀材料は特に可撓性が低い垂直内壁表面及びカップ底部に接着するため(スズの性質により、ここに「固着」する場合がある)、自動洗浄後に内壁表面上にスズ/銀材料がある程度残留するのは珍しいことではない。このプロセスを高度に効率的及び効果的なものにするために、多くの研究が行われてきた。スズ−銀粒子はリップ及び垂直壁表面上でウェハ処理とともに成長するため、これら粒子は、水ジェット噴射による自動洗浄プロセスの力を受けやすくなり、除去される(現行のデータでは、通常の製造作業条件下において約99.98%の除去効率が示されている)。残念なことに、このプロセスは100%の効率を有するものではなく、5000〜100000個の処理済みウェハにおいて約1回、洗浄プロセスが失敗となり得る。更に特定の場合において、自動洗浄プロセスは、自動洗浄がうまくいかないような、ハードウェア又はプロセスの欠陥が発生に直面する。例えば洗浄用ジェット噴射の位置合わせがずれる場合、ハードウェア上のアームが揺動して物理的に破損する場合、洗浄用ジェット噴射の圧力が低すぎる場合等が起こり得る。
一旦、カップ底部上にメッキが発生すると、自動洗浄プロセスでは堆積物を除去できない場合があり、自動洗浄プロセスの代わりに、浸漬法又は手動スワイプ化学エッチング(例えば塩化水素を伴う若しくは伴わない濃縮硝酸の化学溶液混合物を用いて手動で堆積物を除去する)等の異なるプロセスによって除去を行う必要がある。自動洗浄を確実に行うための何らかの検査(例えば、自動洗浄アームを所定の位置に移動させることを保証するための検査並びに適切な流れ及び/又は圧力を補償するためのセンサ)が整えられているものの、従来の自動洗浄システムは、洗浄プロセスが成功したか否かを検知するための機構を全く含んでいなかった。従って、様々な洗浄の欠陥が気付かれないままとなり得、これは後のウェハに対する低品質のメッキにつながる。高価なウェハを処理する前にカップ底部のメッキが存在しないことを確認する技術が強く求められている。
本明細書に記載した問題は、他のタイプの洗浄技術においても遭遇され得る。ある代替洗浄方法は、洗浄流体を含む洗浄ディスクを回転させることを含み、この回転によって、ディスクの周縁孔から洗浄流体が放たれる。そして洗浄液は基板ホルダに接触し、望ましくない堆積物を除去する。いくつかの実施形態では、ディスクは、実質的に円形の上側表面、実質的に円形の下側表面、これら上側表面及び下側表面と連接する実質的に円形の縁部、並びに縁部に開いた複数の孔を有してよい。ディスクはまた、ディスクの内側へと延伸する内側領域も有してよい。いくつかの実施形態では、洗浄剤と孔の内側表面との間の粘着(接着)力によって洗浄剤を孔の内部に保持するように、孔の寸法を定める。このような洗浄ディスクを使用する1つの方法は、洗浄ディスクの複数の孔に洗浄剤を装填すること、半導体処理装置内に洗浄ディスクを位置決めすること、及びディスクを回転させるか又はその他の方法でディスクを操作して、複数の孔から洗浄剤を放出し、放出された洗浄剤が装置の要素に接触するようにすることを伴ってよい。従ってこの洗浄技術及び装置は、米国特許出願第13/563619号に更に記載されており、この文献は既に参照により本明細書に援用されている。
別の代替自動洗浄技術は、逆電流メッキ除去を伴う。この洗浄は、通常の処理を受けた基板と同様に、電気メッキカップ内に洗浄(メッキ除去)ディスクを位置決めすることを伴う。洗浄ディスクの前部表面は、カップの表面上の堆積物への電気的接続を形成するための腐食耐性導電性材料を含む。ディスクはカップ内に封止され、メッキ液中に沈められる。そして、逆電流(即ち、基板上に材料をメッキするために典型的に使用される電流とは逆の電流)をディスクの前部導電性表面に印加し、堆積物のメッキ除去を開始する。封止の圧迫を洗浄中に変更して、リップシールの異なる変形を引き起こし、堆積物への新規の電気的接続を形成してよい。この洗浄技術は、米国特許出願第13/853935号に更に記載されており、この文献は既に参照により本明細書に援用されている。
一般に、自動洗浄を実装する前に、洗浄を手動で行う。操作者は、濃縮硝酸溶液、又は金属の蓄積を除去するために金属を溶解させ得る他の試薬に含浸させた綿棒を使用する。操作者は、金属の完全な除去を保証するために、リップシール及びカップ底部を視覚的に検査できる。これは当然時間が掛かりかつ非効率的なプロセスであり、操作者にとって危険となり得る。自動洗浄はこれらの問題を排除し、従来の手動技術に対して有意な進歩を示す。しかしながら、自動洗浄の実装によって、蓄積を定期的に視覚的に検査する操作者がいなくなり、ウェハはカップ底部のメッキが発生した後でも処理し続けられ得るため、これらの高価なウェハの損失につながる。操作者はメッキ装置を定期的に検査しに来てよいが、時間的制約及び他の様々な因子により、操作者が蓄積をチェックする能力には限界がある。よって、例えば1日に1回又は2回しか視覚的な検査を行うことができない。視覚的な検査を行う時点までに、多くの高価なウェハは、カップ底部にメッキが存在する条件下で処理済みの可能性があり、これらの高価なウェハの損失(又は低収率)につながる。この難点に照らして、メッキ装置のカップ底部がその上に残留金属を有するか否かを検知するための方法及び装置は有用である。このような方法及び装置は、全てのウェハを処理するのと同等の高い頻度で運用され得る。
カップ底部上の残留金属堆積物を検知する方法
本明細書の特定の実施形態は、残留金属堆積物がカップ底部上に存在するか否か、及びどの程度存在するかを検知する方法を提供する。これらの方法は洗浄操作と同時に、又はその直後に実行されてよいが、メッキが発生しない任意の時に実施されてもよい。ある場合には、検知方法は自動洗浄プロセスを行う度に実行される。他の場合には、検知方法はこれより高い又は低い頻度で実行される。例えば、各ウェハを処理した後、特定の数のウェハを処理した後、電着プロセス中に特定の量の電荷(例えばクーロンで測定)が移動した後、又は電着プロセス中にフィルムの特定の総量若しくは厚さが蒸着された後に、検知を行ってよい。
検知器は通常、垂直内壁付近のカップ底部上の堆積物を検知するよう設計されている。例えば検知器は、垂直内壁の約20mm以内、又は約10mm以内、又は約5mm以内のカップ底部上の堆積物を検知できる。この領域の金属堆積物を検知することは、いくつかの理由から有益である。まず、カップ底部上に金属メッキが形成され始めると、これは上述のメカニズムによって迅速に成長して制御不可能となり得る。よって、自動洗浄の効果が及ぶ地点を越えて堆積物が最初に延伸するウェハ縁部に極めて近いカップ底部上の堆積物を検知することが望ましい。このようにして、カップ底部メッキの問題を検知して、これが制御不可能になる前に補修できる。
大まかに類似したものとして、前がん状態の皮膚障害の除去及びがん状態の皮膚腫瘍の形成が挙げられる。疑わしい病変(リップシールメッキ粒子のアナロジー)を、前がん状態の病変として定期的に除去する。しかしながら、いくつかの病変は除去されず、より制御が困難な(潜在的に危険な)がん状態の病変(カップ底部メッキのアナロジー)に成長し得る。自動洗浄プロセスは、リップシール粒子(前がん状態の病変)を除去することを意図したものであり、自動検知用ハードウェアは、より広範囲の介在を必要とすることになるカップ底部メッキ(がん状態の病変)の存在を決定する。
リップシール自体の上の堆積物を検知することが可能であるが、これらリップリールの堆積物を除去するために自動洗浄技術がかなり頻繁に実施されるため、このような検知は限定的な価値しか有しない。金属堆積物は、リップシール領域上に頻繁に発生し、カップ底部メッキの開始より早く形成されなければならない(が、リップシール堆積物が除去され、カップ底部メッキが発生しない場合もある)。自動洗浄用ハードウェア及び処理は、堆積物が成長してカップ底部に到達する前に、リップシール及び基板ホルダ/カップ垂直内壁から材料を除去するよう設計される。リップシール及び内壁のわずかな残留堆積物が、堆積物が最初に形成される時点と、これらが最終的に除去される時点との間に、ウェハ上における堆積に関する有意な問題を必ずしも引き起こすわけではないことがはっきりしている。例えば場合によっては、複数のウェハを処理するにつれて、少量の金属がリップシール領域上に堆積してそこに残留し、処理の度に幾分大きく成長する。最終的に自動洗浄プロセスが実施され、カップ底部に到達する前堆積物が除去される。場合によっては、弾性リップシールの屈曲又は粒子自体のサイズによってリップシールにおける堆積物の除去が促進される。自動洗浄は一般にリップシール堆積物を抑制し、非ゼロ信号はリップシール領域において予期されていないため、またこの領域のメッキは致命的ではないため、本明細書で開示する検知の実施形態は、リップシール領域よりもカップ底部上の金属堆積物の検知に焦点を合わせている。カップ底部領域の金属堆積物は、問題となるメッキ状態の極めて有用な指標を提供する。
様々な検知方法のうちのいずれかを用いて、ウェハの処理を継続するためにカップ底部が十分に洗浄されているか否かが決定されてよい。典型的には、これらの方法は導電性又は非導電性表面上の金属の薄層の存在に敏感である。一実施形態では、光学検知方法が使用される。別の実施形態では、渦電流方法が使用される。更なる実施形態では、転がり抵抗方法が使用される。
光学検知方法を実装するための1つの技術は、カップ底部の検知領域に光源からの光を照射し、反射した光の量を測定することを含んでよい。この技術は、ウェハホルダ及び/又は検知器を回転させながら実施される。金属堆積物は、ウェハホルダ底部上の1箇所又は数カ所のみに存在し得る。図1の実施形態に戻ると、光学検知用ハードウェア106は、スイングアーム駆動装置108上に配置されてよい。光学検知用ハードウェア106は、2つの基本的な構成部品、光源110及び検知器111を含み得る。スイングアーム108はまた、カップ底部103から堆積物を除去するために使用される洗浄液のジェット噴射を提供するためのノズル107を含み得る。他の洗浄方法を使用する場合、スイングアーム108はノズル107を含まなくてよい。
検知を実施するための1つの方法では、黒色の又は着色されたカップ底部と共に広域スペクトル(例えば白色)光源を用いる。黒色の又は着色されたカップ底部は、白色光の波長のいくらか又は全てを吸収し、バックグラウンド反射信号は極めて小さくなる。しかしながら、金属上に金属が存在すると、金属は光源からの光のかなりの量を反射し、この反射光を検知器が検知する。
いくつかの実装形態では、光源からの光は着色されており、カップ底部は光源からの光の色と相補的な色に着色されている(例えば赤色光及び緑色のカップ底部)。相補的な色を使用することにより、着色されたカップ底部が光源の周波数の光を吸収するため、バックグラウンド信号は最小化され、反射信号が存在する場合、この反射信号は極めて容易に検知される。堆積物が存在し、これが入射光を反射する場合を除いて、相補的な色のカップ底部は光源からの光の殆どを吸収する。入射光の色は、カップ底部を覆う金属堆積物の色と区別できるよう選択してよい(例えば青色、緑色又は青緑色のカップを使用して銅堆積物を検知する)。
着色されたカップ底部が使用される場合、カップ底部コーティングによってこの色が得られてもよい。特定の実施形態では、コーティングは、フッ化ポリマー(例えばPTFE及び/又はPVDF)で作製され、カップ底部上への堆積物の形成防止を補助する。コーティングはまた、着色料を含み得る。
特定の実施形態では、反射信号(又は入射信号)から特定の波長をフィルタリングして除去するために、カップ底部と検知器との間(又は光源とカップ底部との間)にフィルタを配置することによって白色光源からの光はフィルタリングされる。光学フィルタは、カップ底部と同色の反射スペクトルの光を阻害するように調整されてよい。例えば緑色のカップ底部が使用される場合、カップ底部と検知器との間(又は光源とカップ底部との間)で緑色光を遮るためにフィルタが用いられ得る。このようにして、フィルタはカップ底部自体から反射されるバックグラウンド信号を最小化し、検知器の感度を改善する。場合によっては、検知器自体を、選択されたカップ底部の設計の色の光に対して比較的無感度としてよい。
どのような方法を使用するかにかかわらず、(a)堆積物から光が反射される場合に検知器が受信する信号と、(b)堆積物が存在しない場合に検知器が受信する信号との間に、大きな差分が存在することが重要である。
他の検知技術を用いてもよい。特定の実装形態では、渦電流方法が使用される。渦電流試験は、電磁誘導を使用して、導電性材料の存在(又は導電性材料の欠陥)を検知する。試験対象(この場合カップ底部)の付近に電流を搬送する円形コイルを配置し、コイルの交番電流が交番磁場を生成し、この磁場が試験対象の導電性部分と相互作用して渦電流を生成する。(例えば可塑性カップ底部上の金属堆積物の存在による)試験対象の導電率又は透磁率の変化に対応する、渦電流の大きさ及び位相の変化(又は単にこのような電流の存在)、又は試験対象の欠陥の存在が測定され得る。この変化は、第2の受信コイルを使用して、又は一次励起コイルの電流の変化を測定することによって測定され得る。
渦電流技術は、全ての応用例において適切であるわけではない。例えばこの技術は、望ましくないことにカップ底部にメッキされた金属と、もともとカップの一部である金属(又はこの領域に存在する他の金属)との間の差異に対する感度があまり高くない。例えば、カップ底部が絶縁性コーティングを有する金属要素からなる場合、カップ底部にメッキされた金属の検知は困難となり得る。特定の実装形態では、カップ底部は、構造的安定性を提供する補助とするための金属補強底部等の金属構造を含む。このような場合、渦電流検知は避けられるべきである。しかしながら、カップが金属を含まない場合、渦電流検知は使用され得る。
特定の更なる実施形態では、金属堆積物の存在を検知するために、転がり抵抗又は運動抵抗測定方法が使用される。この方法では、カップ底部の表面の周囲を移動する2つ以上の接触部が存在する。2つ(又はそれ以上、例えば4点測定技術を使用する場合は4つ)の電気ブラシ又はローラの組を、カップ底部表面を横切るように滑らせ又は転がし、複数のブラシ又はローラの間の抵抗が測定される。金属堆積物が存在するカップ底部位置において測定する場合、2つ以上のカップ底部の電気的接触要素の間の電流の経路に対する抵抗は減少する。この検知のために抵抗メータが使用され得る。いくつかの実施形態では、電圧は複数の接触部にわたって印加されてよく、検知器は、複数の接触部間の閾値電流を探知するよう構成されてよい。金属堆積物が存在しない場合、複数の接触部間に完全な電気的接触は存在せず、高抵抗であり、電流は流れない。しかしながら、金属が存在する場合、この金属が複数の接触部間の電気的接触を提供する働きをし、これによって回路が完成し、測定可能な電流値又は抵抗値が確立される。一般に、接触部は針ではなくブラシ又はローラとするべきである。カップ底部の構成及びその周囲環境が、カップ底部のメッキが存在しない場合と、カップ底部のメッキが存在する場合との間で差異を有する信号を生成できる場合、プローブ周辺の周囲環境のキャパシタンスに対する感度を有する静電容量センサも同様に有用である。ある場合において、カップ底部のメッキの厚さは約5〜10μmであってよい。
カップ底部全体にわたる堆積を測定することは有利なので、検知器及びカップ底部は、相対的に回転又は走査するように設計され得る。更に、本明細書で詳細に議論した特定の実施形態において、カップ底部は典型的には回転可能であるため、検知器自体は回転しなくてよい。しかしながら、特定の実装形態では、検知器を回転させて及び/又は他の方法で移動させてよい(例えばカップ底部に対して並進させてよい)。いくつかの実施形態では、検知中の回転速度は約1〜500RPM、例えば約30〜150RPMである。カップ底部がメッキモジュール回転固定器具の一部ではなく、ウェハがメッキステーションへと移動する場合(例えば、ウェハホルダがメッキツール内でメッキステーションへと移動するような工具構成)、カップ底部の縁部に沿って走査するための機構が別個必要となる。検知器がカップ底部の縁部を走査できるようにする任意のハードウェアが使用されてよい。
図2は、本明細書の実施形態による方法のフローチャートである。プロセス200は、新規のウェハの処理を開始するブロック201から始まる。ブロック203に示すように、ウェハが電気メッキ装置に装填される。ブロック205において、ウェハにメッキ及び/又はその他の処理が実行される。ブロック207において、ウェハが基板ホルダから取り外される。次にブロック209において、リップシール洗浄プロセスが、予定され、または、予定されない。リップシール洗浄プロセスが実施されない場合、新規のウェハの処理がブロック201で開始されてよい。しかしながら、リップシール洗浄プロセスが予定され/実行される場合、プロセス200は、自動洗浄アセンブリが洗浄位置へと移動される、ブロック211において続行される。ブロック213において自動洗浄プロセスが実行される。次にブロック215において堆積物検知が実行される。ブロック215/217において残留堆積物が検知されない場合、自動洗浄アセンブリはブロック229の停止位置に戻されてもよく、ブロック201において新規のウェハの処理が開始されてもよい。停止(待機)位置に自動洗浄アセンブリを配置することにより、当該アセンブリが後続の基板の処理に干渉しないことを保証する。ブロック215/217において残留堆積物が検知された場合、ブロック201において新規のウェハの処理が開始される前に、ブロック219において何らかの補修(改善)作業が実行される。補修作業は、例えば、自動洗浄を再び実行するステップ221、メッキセルをシャットダウンするステップ(即ちメッキセルを非作動状態とするステップ)223、アラームを鳴動又はその他の方法で操作者に警告するステップ225、又は手動洗浄を実行するステップ227を含んでよい。自動洗浄の後に残留堆積物が存在する場合、これらの補修作業のうちの1つ又は複数が実行されてよい。任意で、補修作業が実行された後に堆積物検知が再び実行され、更なるウェハをメッキする前にカップ底部が十分に洗浄されていることを保証してよい。
図2に示す実施形態は、典型的なプロセスフローを示すが、このフローチャートに関連する要素の多くは、本明細書の実施形態を実行するために不可欠ではない。例えば、検知はメッキ実施中でなければどの時点で行われてもよく、メッキ又は自動洗浄手順の後である必要はない。更に、自動洗浄プロセスが実行されない場合、又は使用する洗浄プロセスがウェハの取り外しを必要としない場合、検知を実行する前にウェハが取り外される必要はない。言い換えると、検知は電気メッキセル内で実行され得る。図2に示すように、残留堆積物が検知された場合、様々な補修作業を取ってよい。例えばカップ底部上に堆積物が残留している場合、アラームを鳴らして、メッキセルが汚れていることを操作者に知らせてよい。ある場合においては、自動洗浄プロセスが繰り返されてもよい。しかしながら、スズ/銀材料はカップ底部表面に固着し得るため、追加の自動洗浄は、カップ底部からの堆積物の除去には十分でない場合がある。手動洗浄を実施してカップ底部上の堆積物が除去されてもよい。いずれの場合においても、カップ底部がメッキされた電気メッキ装置において、堆積物を除去するまでメッキ処理は続行されるべきではない。そうでなければ、汚れた電気メッキ装置における更なるウェハのメッキにより、使用不可能な基板又は基板の低収率がもたらされ得る。カップ底部がメッキされた装置を直ちに洗浄できない場合、後続のウェハの損傷を回避するために装置は非作動状態とされてもよい。電着および自動洗浄プロセスを説明する更なるフローチャートは、米国特許出願第13/852767号の図7に見出すことができ、この文献は既に参照により本明細書に援用されている。これに対応する説明は、特定の実施形態においてこれらのプロセスがどのように実行されるかについて、更なる詳細を提供する。
検知装置
一実施形態では、電気メッキ装置は装置に組込まれた検知機構を含む。電気メッキ装置は、メッキ中にウェハを保持するためのカップ、ウェハとカップの間の境界面を封止する役割を果たすリップシール、メッキ中にウェハに電流/電位を印加するための電気的接触、及び従来の電気メッキ装置の他の構成部品(例えば入口及び出口を有する電気メッキチャンバ等)を含む。検知機構は、異なるウェハの処理の間に所定の位置に揺動するアーム上に配置され得る。更に、検知機構は自動洗浄アセンブリ上に直接組み込まれても良い(自動洗浄アセンブリ自体は、電気メッキ装置に組込まれていてもいなくてもよい)。この実施形態は、図1に示すように、検知機構及び自動洗浄機構の両方を、必要な場合に所定の位置に移動する単一のスイングアーム上に配置し得るので、有利である。単一のスイングアームを有すれば、装置がよりコンパクトになり、使用が容易になり、また製造コストが低くなるため、有益である。更に、複数のスイングアームを使用する場合と比較して、潜在的に故障の可能性がある箇所(ポイント)が少なくなるため、単一のスイングアームは有利となり得る。別の実施形態では、検知機構はスタンドアロン型の機器であってよく、自動洗浄ステーション内、メッキセル内、又は検知を目的とする何らかの他の場所に設置されてよい。多数の電気メッキセル内の複数のウェハホルダが単一の検知機構を容易に共有できるため、このスタンドアロン型実施形態は有益であり得る。
検知機構は、検知機構を使用する際に、検知機構がカップの垂直内壁の約20mm以内、又は約10mm以内、又は約5mm以内のカップ底部上の堆積物を検知するよう配置される。場合によっては検知機構は、自動洗浄ノズルに流体を供給する流体供給ライン上に設置され得る。検知機構は着脱可能であってよく、又は検知機構は自動洗浄アセンブリ若しくは電気メッキ機構に恒久的に取り付けられていてもよい。検知機構を別の要素に恒久的に取り付ける場合、メッキ中に検知機構を作動位置外へと移動させるための方法が存在するべきである(例えば検知機構を、所定の位置へと揺動するアーム上に恒久的に固定してよい)。検知機構は、検知器の適切な位置合わせ(例えば光学反射強度検知器を用いる場合、光源と光受信器との間の位置合わせ)を維持するために、比較的安定した方式で設置するべきである。
光学検知方法の様々な実装形態が利用可能である。ある場合においては、光源及び光検知器は、カップ底部上の堆積物を検知するために、カップ底部の付近に別個に配置され得る。この実施形態は、光源110及び検知器111を有する図1に示されている。このような設計において、光源及び光検知器は、これらがカップ底部に対する垂線から同一の角度で反対側にある(即ち、入射角が反射角と等しくなる)ように配置される。別の実装形態では、光源からの光及び/又は検知器への光は、光ファイバ又は他の導波管を通って進む。光ファイバの端部がカップ底部の近傍にあるため、光源又は光検知器の位置及び角度は、この場合カップに対するものとして考えることができる。
いくつかの設計においては、入射光及び反射光は、自由空間を通って進む。いくつかの設計においては、光は、光ファイバの端部とカップ底部表面との間の水の層を通って進む。光ファイバを用いる設計では、光源及び検知器はより高い自由度で配置され得る。言い換えると、光源及び検知器自体は、上記垂線から同一の角度にずらす必要はなく、また同一平面上にある必要はない。しかしながら、光ファイバの端部(例えば、光源からの光が放出されるファイバの端部、及び検知器に接続されたファイバに反射光が入射する端部)は、それでもなお慎重に位置決めする必要がある。本明細書で使用する「光源」は(そうでないと特記されていない限り)、そこからカップへと光が放出される1つ又は複数の光ファイバを含んでよく、光受信器は、反射光が入射する、光検知器と接続された1つ又は複数の光ファイバを含んでよい。各光ファイバは、光入口及び光出口を有する。光源からの光ファイバの出口及び光を受信する光ファイバの入口は、基板ホルダ付近に配置されるべきである。特定の有用なコンパクトな設計は、光源及び光受信器の端部が極めて近接している設計である。一実施例では、光源及び/又は光受信器は、多数のファイバ(例えば場合によっては少なくとも約10本、又は少なくとも約50本のファイバ)で形成され、これらファイバは一束にまとめられていてよく、カップ底部付近に配置される。いくつかの実施形態では、光ファイバの束で作製された光源は、光源からの光をカップ底部に直接(即ち垂直に)照射する。いくつかの実施形態では、ファイバは、ある程度の距離にわたって実質的に同軸に配設される。束になったファイバのうちのいくつか又は全てが光源からの光を伝送し得る。ある場合には、束のうちの他のファイバを使用して、反射光を受信し、これを検知器に伝送できる。一実装形態では、ファイバのうちの約半分が離れた光源からの光を提供し、ファイバのうちの約半分は、カップ底部から反射した光を受信し、反射光を検知器へと搬送する。調査用の光を送達するためのファイバの数と、反射光を収集するためのファイバの数との他の比率を使用することもできる。
図3A及び3Bは、カップ底部303を有するカップ302、リップシール304、及び電気的接触バスシリンダ320を含む基板ホルダと相互作用する光検知用ハードウェア301を示す。いくつかの実施形態では、電気的接触バスシリンダ320は、カップ302と一体であってよい。電気メッキに使用する場合、基板は基板ホルダ内の位置325に配置され、これを点線のボックスで示す。検知を行う際、基板は位置325にあってもなくてもよい。光学検知用ハードウェア301は、光源310及び光検知器311並びに光ファイバ312及び313を含み、光ファイバ312及び313は組み合わさって光ファイバ束315を形成する。312で示す光ファイバは、光源310から光を搬送し、束315からカップ底部303に光を照射する。光ファイバ312/315から放出されている入射光を矢印330で示す。313で示す光ファイバは、カップ底部表面303から反射した光を検知器311へ搬送する。カップ底部303から反射する光を、矢印340A及び340Bで示す。図3Aでは、カップ底部表面303の、評価対象となっている部分上に、金属堆積物は存在しない。従って、束315へと反射して戻る光340Aは極めて少ない。矢印340Aが相対的に細いのは、相対的に少量の光が反射して戻っていることを意味することを意図している。対照的に図3Bでは、カップ底部上(及び垂直内壁/リップシール304領域上)に金属堆積物350が存在する。従って、入射光330のうちのより多くの部分が340Bで反射して戻る。340Aと比較して矢印340Bが相対的に太いのは、入射光330のうちのより多くの部分が束315に向かって反射して戻ることを意味することを意図している。
典型的には、検知器は、光学的に反射された光の強度を測定できるデバイスである。このようなデバイスの例としては、半導体フォトダイオード、光電子倍増管等の光検知器が挙げられる。選択されたデバイスのタイプにかかわらず、設置されたデバイスは、表面/対象から反射した後に検知器へ入射する光の強度を測定する。検知器は、反射した光の強度を広帯域又は狭帯域の波長全体にわたって測定できる。検知器及びこれに関連する光学部品は、(a)堆積物から光が反射される場合に検知器が受信する信号と、(b)堆積物が存在しない場合に検知器が受信する信号とを区別できるように設計される。
検知器の感度又は識別能力を向上するための特定の改造が可能である。例えば、洗浄されたカップ底部が光を実質的に吸収する及び/又は金属堆積物が光を反射するように光源からの光が着色されてもよい。よって特定の実施形態では、カップ底部の色は、光源からの光の色に対して相補的とされ得る。特定の実装形態では、フィルタを用いて特定の波長、特に通常カップ底部が反射する(又は吸収しない)波長の光を遮断する。これらの改造については、上記により詳しく議論されている。
いくつかの実装形態では、検知器は渦電流センサである。渦電流センサは、ドライバからの交番電流を受信する一次励起コイルを含んでよい。交番電流は、標的材料内の渦電流を含む、交番磁場を生成する。特定の場合において、第2の受信コイルを用いて渦電流が測定される。代替として、又はこれに加えて、一次励起コイルを流れる電流の変化を測定することによって渦電流が測定されても良い。渦電流検知器を使用する場合、検知中に検知器及びカップ底部は均一の距離に維持されるべきである。これは、この技術が距離の変化に極めて敏感だからである。
検知器は、転がり抵抗検知器であってもよい。このタイプの検知器は、試験表面(例えばカップ底部)に接触する2つの電気的接触部、これら2つの電気的接触部の間の電気的接続、及び電源を含む。2つの接触部は、これらの間に短い距離を有して(例えば、これらの接触はカップ底部上で約0.25〜4mm離間してよい)カップと接触するように配置される。堆積物が存在しない場合、接触部間の回路は完成されず、信号は生成されない。堆積物が存在する場合、金属堆積物は2つの接触部の間に回路を完成させ、検知可能な信号が生成される。場合によっては、接触部はローラであってよく、他の場合には接触部はブラシであってよい。
本開示の範囲内において、他のタイプの検知器も使用できる。例として、静電容量センサ又は磁気センサが挙げられる。使用する材料が永久的な磁性を有するか、又は磁力に敏感である場合(例えばFe、Ni、Co)、磁気センサが適切であり得る。
本明細書に記載の実施形態に従って、多くの装置構成を使用してよい。ウェハホルダの一例としては、ウェハの背面側をメッキ液から離間させて封止する一方で、ウェハの表面上でメッキを進行させることができる、上述のようなクラムシェル固定器具が挙げられる。クラムシェル固定器具は、例えばウェハの面取り部(ベベル)にわたって配置されたシールを介して、又はこの面取り部付近に適用されているシールと共にウェハ背部に印加される機械的な力等を用いて、ウェハを支持してよい。機械的な力を提供するために「コーン」が利用される場合もある。
電気メッキシステム
図4は、電着装置の概略平面図である。電着装置400は、3つの個別の電気メッキモジュール402、404及び406を含んでよい。電着装置400はまた、様々な他のプロセス動作のために構成されている3つの別個のモジュール412、414及び416も含むことができる。例えば、いくつかの実施形態では、モジュール412、414及び416のうちの1つ又は複数は、急速回転すすぎ乾燥(SRD)モジュールであってよい。別の実施形態では、モジュール412、414及び416のうちの1つ又は複数は、ポストエレクトロフィル(ポスト電界メッキ処理)モジュール(PEM)であってよく、これらはそれぞれ、電気メッキモジュール402、404及び406のうちの1つによって処理した後、縁部の面取り部の除去、背面側エッチング、及び基板の酸洗浄等の機能を実施するよう構成される。
電着装置400は、中央電着液リザーバ424を含む。中央電着液リザーバ424は、電気メッキモジュール402、404及び406において電気メッキ液として使用される化学溶液を保持するチャンバである。電着装置400はまた、電気メッキ液のための添加剤を所蔵及び送達できる注入システム426を含む。化学稀釈モジュール422は、エッチング液として使用できる化学薬品を貯蔵及び混合できる。濾過及びポンプ輸送ユニット428は、中央電着液リザーバ424からの電気メッキ液を濾過し、これを電気メッキモジュールにポンプ輸送できる。特定の実施形態では、電着装置400は更に、電気メッキ装置の一部における、例えばカップ底部上の金属堆積物を検知するための検知デバイス(図示せず)を含んでよい。装置400はまた、電着装置400の一部(例えば基板ホルダのカップ底部)を洗浄するための、自動洗浄ノズル又は他のハードウェア(図示せず)を含んでよい。
システムコントローラ430は、電着装置400を操作するための電気的制御及びインタフェース制御を提供する。システムコントローラ430(これは1つ又は複数の物理又は論理コントローラを含み得る)は、電着装置400の特性のうちのいくつか又は全てを制御する。システムコントローラ430は典型的には、1つ又は複数のメモリデバイス及び1つ又は複数のプロセッサを含む。プロセッサは中央処理ユニット(CPU)又はコンピュータ、アナログ及び/又はデジタル入出力接続、ステッパモータコントローラボード、並びに他の同様の構成部品を含んでよい。本明細書に記載の適切な制御動作を実装するための命令は、プロセッサ上で実行され得る。これらの命令は、システムコントローラ430に関連付けられているメモリデバイスに格納され、又はネットワークを介して提供され得る。ある実施形態では、システムコントローラ430は、システム制御ソフトウェアを実行する。
電着装置400内のシステム制御ソフトウェアは、タイミング、(1つ又は複数の電解質組成物の濃度を含む)電解質組成物の混合、流入圧力、メッキセル圧力、メッキセル温度、基板温度、基板及びいずれの他の電極に印加される電流及び電位、基板の位置、基板の回転、並びに電着装置400が実施する特定のプロセスのその他のパラメータを含んでよい。
システム制御論理はまた、自動洗浄システムを洗浄位置に移動させ、自動洗浄方法を実施するための命令を含んでよい。また、システム制御論理は、検知機構を所定の位置に移動させ、検知方法を実施するための命令を含んでよい。特定の実装形態では、洗浄プロセスを完了した後、又は他の何らかの時点若しくは頻度で検知を開始するよう、コントローラはプログラムされ得る。検知命令は、検知器の向きを変更するため、検知器に対して電気メッキ装置(又はその一部)を回転させるため、及び検知器からの信号を記録するための命令を含んでよい。制御論理は更に、更なるウェハのメッキを続行するために十分にカップ底部が洗浄されているか否か(即ちカップ底部に検知可能な堆積物が存在するか否か)を決定するために、検知器からの信号を解釈するための論理を含んでよい。更に制御論理は、洗浄器/検知器が不要となった後に洗浄システム及び/又は検知機構を停止位置に戻すための命令を含んでよい。
制御論理は、カップ底部が金属堆積物を含むこと又はその他の理由で汚れていることの検知に反応して、1つ又は複数の補修作業を実行するための命令を含んでよい。例えばコントローラは、堆積物の存在の決定に反応してアラームを鳴らすか、又は他の方法で操作者に警告できる。代替として、又はこれに加えて、コントローラは、カップ底部の堆積物の存在の決定に反応して、電気メッキセルを非作動状態にすることができる。場合によっては、コントローラは堆積物の存在の決定に反応して、自動洗浄プロセス又はその他の洗浄プロセスを再開できる。洗浄/検知シーケンスの一例としては、自動的な硝酸洗浄スプレー、カップ及びカップ底部のすすぎ、並びにカップ底部のメッキの再検知と、これに続く動作状態への復帰が挙げられる。特定の場合において、コントローラは、手動洗浄が必要であることを操作者に指示できる。
システム制御論理は、いずれの適切な方法で構成してよい。例えば様々なプロセスツール構成要素のサブルーチン又は制御オブジェクトを書いて、様々なプロセスツール処理を実行するために必要なプロセスツール構成要素の動作を制御してよい。システム制御ソフトウェアは、いずれのコンピュータ可読プログラミング言語でコード化されていてよい。論理はまた、プログラム可能な論理デバイス(例えばFPGA)、ASIC、又はその他の適切な媒体内のハードウェアとして実装してもよい。
いくつかの実施形態では、システム制御論理は、上述の様々なパラメータを制御するための入出力制御(IOC)シーケンス処理命令含む。例えば、電気メッキプロセスの各段階は、システムコントローラ430が実行するための1つ又は複数の命令を含んでよい。浸漬プロセス段階のためのプロセス条件を設定するための命令が、例えば対応する浸漬レシピ段階に含まれて得る。同様に、メッキ段階、自動洗浄段階、ウェハホルダ検査段階等に対して別個のレシピが設けられてよい。いくつかの実施形態では、電気メッキレシピ段階を順次設けられてよく、これにより電気メッキプロセス段階のための全ての命令がこのプロセス段階と同時に実行される。
いくつかの実施形態では、制御論理は、プログラム又はプログラムのセクション等の様々な構成要素へと分割され得る。この目的のための論理構成要素の例としては、基板位置決め用構成要素、電解質組成制御用構成要素、圧力制御用構成要素、ヒータ制御用構成要素、電位/電流供給源制御用構成要素、自動洗浄用構成要素、及びウェハホルダ検査用構成要素が挙げられる。
いくつかの実施形態では、システムコントローラ430と関連付けられているユーザインタフェースが設けられ得る。ユーザインタフェースは、ディスプレイスクリーン、装置及び/又はプロセスの状態のグラフィカルソフトウェアディスプレイ、並びに指示デバイス、キーボード、タッチスクリーン、マイク等のユーザ入力デバイスを含んでよい。
いくつかの実施形態では、システムコントローラ930が調整するパラメータはプロセス条件に関連してよい。非限定的な例としては、浴の条件(温度、組成及び流量)、様々な段階における基板の位置(回転速度、直線(垂直方向)速度、水平面からの角度)等が挙げられる。これらのパラメータは、レシピの形態でユーザに提供され得、ユーザインタフェースを利用して入力され得る。
システムコントローラ430のアナログ及び/又はデジタル入力接続によって、様々なプロセスツールセンサから、プロセスを監視するための信号が提供され得る。プロセスを制御するための信号は、プロセスツールのアナログ及びデジタル出力接続において出力され得る。監視され得るプロセスツールセンサの非限定的な例としては、質量流量コントローラ、圧力センサ(マノメータ等)、熱電対、光学位置センサ、金属堆積物検知器(光学反射強度検知器、渦電流センサ、又は転がり抵抗検知器)等が挙げられる。メッキ動作及び非メッキ動作の両方に関するプロセス条件を維持するために、適切にプログラムされたフィードバック及び制御アルゴリズムをこれらのセンサからのデータが用いられ得る。
一実施形態では、命令は、ウェハホルダに基板を挿入すること、基板を傾斜させること、浸漬中に基板を付勢すること、基板上にスズ/銀材料を電着すること、検知機構を所定の位置に移動させること、及びカップ底部上に金属堆積物が存在するかどうかを検知することを含むことができる。
ハンドオフツール440は、カセット442又はカセット444等の基板カセットから基板を選択できる。カセット442又は444は、前面開閉一体型ポッド(FOUP)であってよい。FOUPは、基板を制御された環境に固定的かつ安全に保持するように、並びに適切な装填ポート及びロボット式取扱いシステムを備えるツールによる処置又は測定のために基板を取り外すことができるように設計されたエンクロージャである。ハンドオフツール440は、真空アタッチメント又は他の何らかの取付け機構を用いて基板を保持してよい。
ハンドオフツール440は、ウェハ取扱いステーション432、カセット442若しくは444、輸送ステーション450、又は位置合わせ器具448と協働(連動)してよい。輸送ステーション450からは、ハンドオフツール446が基板へのアクセスを得ることができる。輸送ステーション450は、ハンドオフツール440及び446が、そこからまたはそこへ、位置合わせ器具448を通過することなく基板を渡す(通す)ことができる、スロットまたは位置であっても良い。しかしながらいくつかの実施形態では、電気メッキモジュールへの正確な搬送のために基板がハンドオフツール446上に適切に位置合わせされていることを保証するために、ハンドオフツール446は、位置合わせ器具448を用いて基板を位置合わせされてよい。ハンドオフツール446はまた、電気メッキモジュール402、404または406のうちの1つ、又は様々なプロセス動作のために構成されている3つの別個のモジュール412、414及び416のうちの1つへと基板を搬送してよい。
メッキ、すすぎ、乾燥及びPEMプロセス動作を順次通過する基板の効率的なサイクルを可能とするために構成されている装置は、銅を電気メッキするシステム等の特定のメッキシステムにおいて使用するための実装形態として有用であり得る。これを達成するために、モジュール412を急速回転すすぎ乾燥装置及び縁部の面取り部除去装置として構成できる。このようなモジュール412を用いると、電気メッキモジュール404と、メッキ及びEBR操作のためのモジュール412との間でしか基板を輸送する必要がなくなる。
図5に、電着装置500の代替実施形態を概略的に示す。この実施形態では、電着装置500は電気メッキセル507の組を有し、各電気メッキセル507は、電気メッキ浴を対になった構成即ち複数の「デュエット」構成で含む。電気メッキ自体に加えて、電着装置500は、例えば急速回転すすぎ、急速回転乾燥、金属及びシリコンのウェットエッチング、無電解堆積、電解研磨(電気研磨)、予備湿潤処理及び予備化学処理、還元、アニーリング、フォトレジスト剥離、及び表面の予備賦活等、電気メッキに関連する他の様々なプロセス又はサブステップを実行できる。図5は電着装置500を上から見た概略図を示しており、図面では単一の面、即ち「床」しか明らかでないが、例えばLam Research社製Sabre(登録商標)3Dツール等のこのような装置は、それぞれが同一のタイプ又は異なるタイプの処理ステーションを有する可能性がある2つ以上の面を、互いの上に「積層された」状態で有し得ることは、当業者には容易に理解できるであろう。
再び図5を参照すると、電気メッキされる基板506は一般に、前側装填用FOUP501を通して電着装置500に供給され、この例では、FOUPから電着装置500の主たる基板処理領域へと、前側ロボット502によって移動され、このロボット502は、スピンドル503によって駆動される基板506を、アクセス可能なステーションのうちのあるステーションから別のステーションへ、複次元に牽引して移動させることができ、この例では2つの前側アクセス可能ステーション504及び2つの前側アクセス可能ステーション508が示されている。前側アクセス可能ステーション504及び508は、例えば予備処置ステーション及び急速回転すすぎ乾燥(SRD)ステーションを含んでよい。前側ロボット502の一方の側から他方の側への横方向の運動は、ロボットトラック502aを利用して実現される。各基板506は、モータ(図示せず)に接続されたスピンドル503によって駆動されるカップ/コーンアセンブリ(図示せず)によって保持してよく、このモータは設置用ブラケット509に取り付けてよい。この例ではまた、電気メッキセル507の4つの「デュエット」が示されており、電気メッキセル507は合計8つである。電気メッキ装置はまた、電気メッキ装置のある領域上、例えばカップ底部上の金属堆積物を検知するための検知機構(図示せず)を含んでよい。電気メッキセル507は、銅、ニッケル、スズ−銀合金等の電気メッキに使用してよい。電着装置500の特性のうちのいくつか又は全てを制御するために、システムコントローラ(図示せず)は電着装置500に接続され得る。本明細書で既に記載したプロセスに応じて命令を実行するように、このシステムコントローラをプログラムするか、又はそうでない場合は、上記のような命令を実行するように構成してよい。
以上に説明した電気メッキ装置/方法を、例えば半導体、ディスプレイ、LED、光電池パネル等の製作又は製造のためのリソグラフィパターニングツール又はプロセスと組み合わせて使用してよい。一般に、ただし必ずしもそうではないが、このようなツール/プロセスは従来の製作設備において共に使用又は実行されることになる。フィルムのリソグラフィパターニングは一般に、以下のステップのうちのいくつか又は全てを含み、各ステップは多数の可能なツールによって実施できる。(1)スピンオン又はスプレーオンツールを用いた、加工品、即ち基板上へのフォトレジストの塗布、(2)ホットプレート又は炉又はUV硬化ツールを用いた、フォトレジストの硬化、(3)ウェハステッパ等のツールを用いた、可視光、UV光又はX線光へのフォトレジストの曝露、(4)レジストを選択的に除去することにより、ウェットベンチ等のツールを用いてパターン形成するための、レジストの現像、(5)電気メッキによる、柱又は他の構造(例えばスズ銀ハンダ構造)の堆積パターンへのレジストパターンの転写、及び(6)RF又はマイクロ波プラズマレジストストリッパ等のツールを用いた、レジストの除去。

Claims (14)

  1. 電気メッキ装置であって、
    電解質を含むよう構成された反応チャンバと、
    前記反応チャンバ内で基板の周囲を支持する基板ホルダであって、前記基板ホルダは底部及び内側縁部を有する基板ホルダと、
    前記基板ホルダの前記底部上における金属堆積物の存在又は不存在を検知するように構成されている検知用ハードウェアと、
    コントローラであって、
    前記反応チャンバで前記基板受け取り、
    前記基板上に材料を電気メッキし、
    前記基板ホルダの前記底部上における前記金属堆積物の存在又は不存在を検知するために前記検知用ハードウェアを操作すること、を行わせるように構成されているコントローラと、を備える、電気メッキ装置。
  2. 請求項1に記載の電気メッキ装置において、前記コントローラは、前記基板ホルダの前記底部上における前記金属堆積物の存在の検知に応答して、補修作業を行わせるように構成されている、電気メッキ装置。
  3. 請求項2に記載の電気メッキ装置において、前記補修作業を行うことは、前記基板ホルダを洗浄することを含む、電気メッキ装置。
  4. 請求項3に記載の電気メッキ装置において、前記補修作業を行うことは、前記基板ホルダを自動的に洗浄することを含む、電気メッキ装置。
  5. 請求項3に記載の電気メッキ装置において、前記補修作業を行うことは、前記基板ホルダを手動で洗浄することを含む、電気メッキ装置。
  6. 請求項2から5のいずれか一項に記載の電気メッキ装置において、前記補修作業を行うことは、前記反応チャンバをシャットダウンすることを含む、電気メッキ装置。
  7. 請求項2から6のいずれか一項に記載の電気メッキ装置において、前記補修作業を行うことは、アラームを起動させることを含む、電気メッキ装置。
  8. 請求項1から7のいずれか一項に記載の電気メッキ装置において、前記コントローラは、前記基板ホルダの前記底部上における前記金属堆積物の不存在の検知に応答して、前記基板ホルダを洗浄することなく、前記反応チャンバで第2の基板を受け取って前記第2の基板上に材料を電気メッキさせるように構成されている、電気メッキ装置。
  9. 請求項1から8のいずれか一項に記載の電気メッキ装置において、前記検知用ハードウェアは、前記基板ホルダの前記底部上の検知領域における前記金属堆積物の存在又は不存在を検知し、前記検知領域は前記基板ホルダの前記内側縁部から約5mm以上延在する、電気メッキ装置。
  10. 請求項1から9のいずれか一項に記載の電気メッキ装置において、
    前記基板ホルダは、前記電気メッキ装置における複数の基板ホルダの1つであり、
    前記検知用ハードウェアは、前記複数の基板ホルダの各々の上における前記金属堆積物の存在又は不存在を検知するように構成されている、電気メッキ装置。
  11. 請求項1から10のいずれか一項に記載の電気メッキ装置において、前記基板ホルダから前記金属堆積物を除去するための洗浄用アセンブリを更に備える、電気メッキ装置。
  12. 請求項1から11のいずれか一項に記載の電気メッキ装置において、前記検知用ハードウェアの操作は、前記基板ホルダの前記底部に光源からの光を照射し、前記基板ホルダの前記底部から反射した反射光を測定することを備える、電気メッキ装置。
  13. 請求項1から11のいずれか一項に記載の電気メッキ装置において、前記検知用ハードウェアの操作は、
    前記基板ホルダの前記底部付近に配置されている円形の一次励起コイルに交番電流を流し、これにより、前記基板ホルダの前記底部と相互作用して渦電流を発生させる交番磁場を生成し、
    前記金属堆積物の存在又は不存在を検知するために、前記渦電流の位相及び/又は大きさを測定すること
    を備える、電気メッキ装置。
  14. 請求項1から11のいずれか一項に記載の電気メッキ装置において、前記検知用ハードウェアの操作は、
    前記基板の前記底部と接触する2つ以上の電気的接触部を提供し、前記2つ以上の電気的接触部間には電気的接続が存在し、
    前記2つ以上の電気的接触部の間の前記基板ホルダの前記底部上に前記金属堆積物が存在する場合には、前記金属堆積物は前記2つ以上の電気的接触部の間に回路を完成し、前記2つ以上の電気的接触部の間の前記基板ホルダの前記底部上に前記金属堆積物が存在しない場合には、前記2つ以上の電気的接触部の間に回路が完成されないように、少なくとも1つの前記電気的接触部を介して電流を流し、
    前記基板ホルダの前記底部上における前記金属堆積物の存在又は不存在を検知するために、電気的特性を測定すること、を備える、電気メッキ装置。
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