以下、本発明に関して実施例を用いて詳細に説明する。なお、特段の断りがない限り、本発明の思想の範囲内において、実施例に記載された各種構成を他の公知の構成に置き換えてもよい。
<実施例1>
(1)画像形成装置の全体構成
本実施例の特徴部分を説明する前に、画像形成装置の全体構成について説明する。図4は画像形成装置の構成を示す図である。図12は制御回路と各構成の関係を示すブロック図である。プリンタ1は、電子写真プロセスを用いる画像形成部で画像を形成し、この画像を転写部にてシートに転写し、画像が転写されたシートを定着部で加熱することでシートPに画像を定着させる装置である。本実施例の説明で用いるプリンタ1は、電子写真プロセスを用いた4色フルカラーのマルチファンクションプリンタ(カラー画像形成装置)である。なお、プリンタ1は、モノクロのマルチファンクションプリンタやシングルファンクションプリンタであってもよい。以下、図を用いて詳細に説明する。
プリンタ1は、装置内の各構成を制御する制御回路Aを備えている。制御回路Aは、CPU等の演算部やROM等の記憶部を備えた電気回路である。制御回路Aは、ROM等に記憶されたプログラムをCPUが読みだすことで各種制御を行う制御部として機能する。制御回路Aは、パーソナルコンピュータ等の外部情報端末(不図示)やイメージリーダ2等の入力装置B、及び操作パネル(不図示)等の各種構成と電気的に接続されており、信号情報のやり取りが可能である。制御回路Aは、入力装置Bから入力された画像信号に基づき装置内の各種構成を統括的に制御してシートP上に画像を形成させる。
シートPは、その表面に画像が形成される記録材(用紙)である。シートPの例としては普通紙・厚紙・OHPシート・コート紙・ラベル紙等が挙げられる。
図4に示すように、プリンタ1はトナー画像を形成する画像形成部5として第1から第4の4つの画像形成ステーション5Y、5M、5C、5K(以下、ステーションと記す)を備えている。ステーション5Y、5M、5C、5Kは、図4に示すように左側から右側にかけて並べて設けられている。
各ステーション5Y、5M、5C、5Kは、用いるトナーの色が異なる以外はほぼ同様に構成されている。そのため、ステーション5Y、5M、5C、5Kの詳細構成について説明する場合はステーション5Kを例に説明する。ステーション5Kは、画像が形成される像担持体としての回転ドラム型の電子写真感光体(以下、ドラムと記す)6を有する。また、ステーション5Kは、このドラム6に作用するプロセス手段としてのクリーニング部材41、現像ユニット9、帯電ローラ(不図示)を有している。
第1のステーション5Yは現像ユニット9のトナー収容室内にイエロー(Y)色の現像剤(以下、トナーと記す)を収容している。第2のステーション5Mは現像ユニット9のトナー収容室内にマゼンタ(M)色のトナーを収容している。第3のステーション5Cは現像ユニット9のトナー収容室内にシアン(C)色のトナーを収容している。第4のステーション5Kは現像ユニット9のトナー収容室内にブラック(K)色のトナーを収容している。
画像形成部5の下側にはドラム6に対する画像情報露光手段としてのレーザースキャナユニット8が配置されている。また画像形成部5の上側には、中間転写ベルトユニット10(以下転写ユニットと呼ぶ)が設けられている。
転写ユニット10は、中間転写ベルト(以下、ベルトと記す)10cとそれを駆動する駆動ローラ10a有する。また、ベルト10cの内側には第1から第4の4つの一次転写ローラ11が平行に配設されている。各一次転写ローラ11は各ステーションのドラム6に対向して配置されている。
画像形成部の各ドラム6は上面部分が各一次転写ローラ11の位置においてベルト10cの下面に接している。この接触部分を一次転写部と呼ぶ。
駆動ローラ10aはベルト10cを回転駆動するローラであり、ベルト10cのうち駆動ローラ10aによりバックアップされた部分の外側には二次転写ローラ12が配設されている。ベルト10cは転写手段である二次転写ローラ12と接触しており、この接触部分を二次転写部12aと呼ぶ。ベルト10cのうちテンションローラ10bによってバックアップされた部分の外側には転写ベルトクリーニング装置10dが配設されている。レーザースキャナユニット8の下部には、シートPを収納するカセット3が配設されている。カセットPに収納されたシートPは、外気の状態にあわせて吸湿を行う。吸湿量の多いシートほど加熱された際に多くの水蒸気を発生させる。
図4に示すように、プリンタ1には、カセット3からピックアップされたシートPを上方へ搬送するシート搬送路(縦パス)Qが配設されている。このシート搬送路Qは、下側から上側に順に、給送ローラ4aとリタードローラ4bとのローラ対、レジストローラ対4c、二次転写ローラ12、定着装置103、排出ローラ対14が配設されている。またイメージリーダ2の下方は排出トレイ16が配置されている。
(1−1)画像形成装置の画像形成シーケンス
プリンタ1が画像形成動作を行う場合、制御回路Aは次のような制御を行う。制御回路Aは、画像形成タイミングに合わせて第1から第4のステーション5Y、5M、5C、5Kのドラム6を図中時計方向に所定の速度で回転駆動させる。制御回路Aは、ドラム6の回転速度に応じた速度且つドラム6の回転方向に対して順回転する方向にベルト10cが回転するように駆動ローラ10aの駆動を制御する。また、制御回路Aはレーザースキャナユニット8や帯電ローラ(不図示)を作動させる。
上述した制御が行われることで、プリンタ1は次にようにしてフルカラー画像を形成する。
まず、帯電ローラ(不図示)はドラム6の表面を所定の極性・電位に均一に帯電させる。次に、レーザースキャナユニット8は、Y・M・C・Kの各色の画像情報信号に応じて変調されたレーザービームを用いてドラム6の表面を走査露光する。こうして、各ドラム6の表面には、対応色応じた静電潜像が形成される。形成された静電潜像は現像ユニット9によりトナー像として現像される。上記のように形成されたYMCK各色のトナー像は、一次転写部において、ベルト10c上に順に重ねて一次転写されることで合成される。こうして、ベルト10c上にはY色+M色+C色+K色の4色のトナー像が合成されたフルカラーの未定着トナー像が形成される。そしてこの未定着トナー像はベルト10cの回転により転写部12aに搬送される。ベルト10cにトナー像を一次転写した後のドラム6の表面はクリーニング部材41によりクリーニングされる。
一方、カセット3内のシートPは、給送ローラ4aとリタードローラ4bによって1枚分給送されてレジストローラ対4cへ搬送される。レジストローラ対4cベルト10c上のトナー像と同期を取ってシートPを二次転写部へと搬送する。二次転写ローラ12は、トナーの正規の帯電極性とは逆極性の二次転写バイアスが印加されている。そのため、シートPが二次転写部に挟持搬送されると、ベルト10c上の4色トナー像はシートP上に一括して二次転写される。
二次転写部から搬送されたシートPがベルト10cから分離されて定着装置103へ搬送されると、トナー像はシートP上に熱定着される。定着装置103から搬送されたシートPは、ガイド部材15と排出ローラ対14を経て排出トレイ16に排出される。シートPに対するトナー像が二次転写された後にベルト10cの表面に残留した残トナーは、転写ベルトクリーニング装置10dによりベルト表面から除去される。
(2)定着装置
次に定着装置103と、定着装置103の近傍で発生するダストDについて説明する。
(2−1)定着装置103
図5(a)は定着ユニットの断面を示す図である。図5(b)はベルトユニットを分解した様子を示す図である。本実施例における定着装置103は、ヒータ101aによって加熱された小径の定着ベルト105(以後ベルトと呼ぶ)を用いてトナー画像をシートPに定着させる低熱容量な定着装置である。定着装置103は、加熱回転体としてのベルト105を備えた定着ベルトユニット101(定着ユニットと呼ぶ)と、加圧回転体としての加圧ローラ102と、加熱部としての面状のヒータ101aと、筐体100とを備えている。図5の(a)に示すように筐体100にはシート入口400とシート出口500が設けられており、定着ユニット101と加圧ローラ102の間のニップ部101bにシートPが通過させることができる。本実施例では、シート入口400がシート出口500よりも重力方向下方に配置されているため、シートPが重力方向下方から上方に向けて搬送される。この構成を縦パス構成と称する。
シート入口400には、薄板状の回転円板からなるコロ100aが、ベルト105の回転軸方向に複数並べて設けられている。コロ100aは、搬送パスから外れたシートPを案内することで筐体100にトナーが付着することを抑制している。
シート出口500よりもシートPの搬送方向の下流側には、ニップ部101bを通過してシートの搬送をガイドするガイド部材15(案内部材)が設けられている。以後の説明において、シートPの搬送方向下流側を下流側と呼び、シートPの搬送方向上流側を上流側と呼ぶ。
(2−2)定着ユニット101の構成
定着ユニット101は、後述する加圧ローラ102に当接して加圧ローラ102との間にニップ部101bを形成し、ニップ部101bにおいてトナー画像をシートPに定着させる定着ユニットである。定着ユニット101は、図5(a)・図5(b)に示すように、複数の部材で構成された組み立て体である。
定着ユニット101は、面状のヒータ101aと、ヒータ101aを保持するヒータホルダ104と、ヒータホルダ104を支持する加圧ステー104aと、を備えている。更に、定着ユニット101は、エンドレス状のベルト105と、ベルト105の幅方向一端側と他端側を保持するフランジ106L・106Rと、を備えている。
ヒータ101aは、ベルト105の内面に当接してベルト105を加熱する加熱部材である。本実施例ではヒータ101aとして、通電によって発熱するセラミックヒータを用いている。セラミックヒータは、細長で薄板状のセラミック基板と、この基板面に具備された抵抗層と、を備えており、抵抗層に通電することで全体が速やかに発熱する低熱容量のヒータである。
ヒータホルダ104は、ヒータ101aを保持する保持部材である。本実施例のホルダ104は、横断面が半円弧状をしており、ベルト105の周方向の形状を規制している。ホルダ104の材料には耐熱性の樹脂を用いることが望ましい。
加圧ステー104aは、ヒータ101a及びホルダ104を長手方向で均一にベルト105に押し当てる部材である。加圧ステー104aは高い加圧力がかかっても撓みにくい材質であることが望ましい。本実施例では加圧ステー104aの材質としてステンレス鋼であるSUS304を用いた。加圧ステー104a上には温度センサとしてのサーミスタTHが設けられている。サーミスタTHはベルト105の温度に応じた信号を制御回路Aに出力する。
ベルト105は、シートPに接触してシートPに熱を付与する回転体である。ベルト105は、円筒状(エンドレス状)のベルトであり、全体的に可撓性を有している。ベルト105は、ヒータ101a、ヒータホルダ104、加圧ステー104aを外側から覆うように設けられている。
フランジ106L・106Rはベルト105の長手方向端部を回転可能に保持する一対の部材である。フランジ106L・106Rは、図2に示すように、それぞれ、フランジ部106aとバックアップ部106bと被押圧部106cとを有する。フランジ部106aはベルト105の端面を受け止めてベルト105のスラスト方向への移動を規制する部分であり、ベルト105の径よりもより大きな外形をしている。バックアップ部106bは、定着ベルト内面を保持してベルト105の円筒形状を保つ部分である。被押圧部106cはフランジ部106aの外面側に設けられており、後述する加圧バネ108Lと108R(図7参照)による押圧力を受ける。
(2−2−1)定着ベルトの構成
図6(a)は定着ユニットのニップ部近傍まで搬送されたシートを示す図である。図6(b)はベルトの層構成を示す図である。図6(c)は加圧ローラ102の層構成を示す図である。
本実施例のベルト105は、複数の層によって構成されている。詳細に述べるとベルト105は、内側から外側に順に、エンドレス(円筒状)の基層105aと、プライマ層105bと、弾性層105cと、離型層105dを備えている。
基層105aはベルト105の強度を確保するための層である。基層105aはSUS(ステンレス)等の金属製のベース層であり、熱ストレスと機械的ストレスに耐えられるように、30μm程度の厚みを有している。
プライマ層105bは、基層105aと弾性層105cを接着するための層である。プライマ層は基層105aの上に、プライマを5μm程度の厚みで塗布することによって形成されている。
弾性層105cは、ニップ部101bにてトナー画像を圧接する際に変形して離型層105dをトナー画像に密着させる役目を果たす。弾性層105cとしては耐熱ゴムを用いることができる。
離型層105dは、トナーや紙粉がベルト105に付着することを防止する機能を有する層である。離型層105dとしては離型性と耐熱性に優れたPFA樹脂等のフッ素樹脂を用いることができる。本実施例の離型層105dの厚さは伝熱性を考慮して20μmである。
(2−3)加圧ローラの構成と加圧方法
図6の(c)は加圧ローラ102の層構成を示す図である。加圧ローラ102は、ベルト105の外周面に当接してベルト105との間にニップを形成するニップ形成部材である。本実施例の加圧ローラ102は、複数の層によって構成されたローラ部材である。詳細に述べると、加圧ローラ102は、金属(アルミや鉄)の芯金102aと、シリコンゴム等で形成された弾性層102b、弾性層102bを被覆する離型層102cを有している。離型層102cはPFA等のフッ素系樹脂を材料するチューブであり弾性層102b上に接着されている。
図7に示すように、芯金102aの一端側は軸受113を介して側板107Lに回転可能に支持されている。芯金102aの他端側は軸受113を介して側板107Rに回転可能に支持されている。このとき、加圧ローラ102のうち、弾性層102bと離型層102cを有する部分は、側板107Lと側板107Rの間に位置する。
芯金102aの他端側はギアGに接続されており、ギアGが駆動モータ(不図示)から駆動を受けると加圧ローラ102は回転駆動する。
定着ユニット101は、加圧ローラ102対して近接離間する方向にスライド移動できるように側板107Lと側板107Rに支持されている。詳細には、フランジ106Lと106Rが側板107Lと側板107Rのガイド溝に嵌め合わさるように設けられている。そして、バネ支持部109Rと109Lに支持された加圧バネ108Lと108Rにより、フランジ106Lと106Rの被押圧部106cは、加圧ローラ102に向かう方向に所定の押圧力Tで押圧されている。
押圧力Tにより、フランジ106L・106R、加圧ステー104a、ヒータホルダ104の全体が加圧ローラ102の方向に付勢される。ここで、定着ユニット101はヒータ101aを有する側が加圧ローラ102を向いている。そのため、ヒータ101aは、ベルト105を加圧ローラ102に向けて押圧する。このような構成により、ベルト105及び加圧ローラ102が変形し、ベルト105と加圧ローラ102との間にニップ部101b(図6参照)が形成される。
このように、定着ユニット101と加圧ローラ102が密着した状態で加圧ローラ102が回転すると、ニップ部101bにおけるベルト105と加圧ローラ102との摩擦力により、ベルト105に回転トルクが作用する。ベルト105は、加圧ローラ102に対して従動回転(R105)する。このときのベルト105の回転速度は、加圧ローラ102の回転速度にほぼ対応している。つまり本実施例では、加圧ローラ102は、ベルト105を回転駆動する駆動ローラとしての機能を担っている。
なおこのとき、ベルト105の内周面とヒータ101aが摺動するため、ベルト105の内面にグリスを塗布して摺動抵抗を低減することが望ましい。
(2−4)定着処理
上述した構成を用いて定着装置103は画像形成処理中に定着処理を行う。定着処理を行う際、制御回路Aは駆動モータ(不図示)を制御して、加圧ローラ102を回転方向R102(図1(a))に所定の速度で回転駆動させ、ベルト105を従動回転させる。
また、制御回路Aは電源回路(不図示)を介してヒータ101aに通電を開始する。この通電により発熱したヒータ101aは、摺動するベルト105に対して熱を付与する。こうして熱を付与されたベルト105は次第に高温になっていく。このベルト105の温度が目標温度TPとなるように、制御回路AはサーミスタTHの出力する信号に基づいてヒータ101aへの供給電力を制御する。本実施例の目標温度TP(図14の(a))は約170℃である。
ベルト105が目標温度TPまで加熱されると、制御回路Aは各構成を制御してトナー画像Sを担持したシートPを定着装置103へと搬送させる。定着装置103に搬送されたシートPはニップ部101bによって挟持搬送される。
シートPはニップ部101bにおいて挟持搬送される過程で、ヒータ101aの熱がベルト105を介して付与される。未定着トナー画像Sはヒータ101aの熱によって溶融され、ニップ部101bにかかっている圧力によってシートPに定着される。ニップ部101bを通過したシートPは、ガイド部材15によって排出ローラ対14に案内され排出ローラ対14によって排出トレイ16上に排出される。本実施例では上述した工程を定着処理と呼ぶ。
(3)ダストDの発生
次に、トナーSに含有された離型剤(以下、ワックスと称する)に起因する超微粒子(以下、ダストDと称する)の発生と、ダストDの性質について説明する。
(3−1)トナーSに含有されるワックス
上述したように定着装置103は、シートPに高温のベルト105を接触させることでシートにトナー画像を定着させている。このような構成を用いて定着処理を行う場合、定着処理時に一部のトナーSがベルトに転移(付着)してしまうことがある。これをオフセット現象と呼ぶ。オフセット現象は画像不良の原因となるためこれを解決することが望ましい。
そこで本実施例では、トナー画像の形成に用いるトナーSにワックス(離型剤)を内包させている。このトナーSは、加熱されると内部のワックスが溶解して染み出す構成となっている。そのため、このトナーSによって形成された画像に定着処理を施すと、溶解したワックスによってベルト105の表面が覆われる。表面がワックスによって覆われたベルト105は、ワックスの離型作用により、トナーSが付着し難くなる。
なお、本実施例では純粋なワックスの他に、ワックスの分子構造を含んだ化合物をワックスと呼んでいる。例えば、トナーの樹脂分子と炭化水素鎖等のワックス分子構造が反応した化合物もワックスと称する。また、離型剤としては、ワックスの他にシリコンオイル等の離型作用を有する物質を用いてもよい。
ワックスは、ベルト105が目標温度Tpに維持されている場合、ニップ部101bにおいて瞬時に溶解してトナーSから染み出すものを用いることができる。本実施例では、目標温度Tpが170℃であるのに対して、融点Tmが75℃であるパラフィンワックスを用いた。
なお、ワックスが溶融する際、一部のワックスは気化(揮発)してしまう。これは、ワックスが含有する分子成分の大きさにバラつきがあるためであると考えられる。つまり、ワックスには、鎖が短く沸点の低い低分子成分と、鎖が長く沸点の高い高分子成分が含まれており、沸点の低い低分子成分が先に気化すると考えられる。
気化(ガス化)したワックス成分が空気中で冷やされると、数nm〜数百nm程度の微粒子(ダストD)が発生する。但し、発生する微粒子の多くは数nm〜数十nmの粒径であると推察される。
このダストDは粘着性を有するワックス成分であり、プリンタ1の内部構成の各所に付着しやすい。例えば、定着装置103の熱に起因する上昇気流によってダストDがガイド部材15や排出ローラ対14の周辺まで運ばれた場合、ガイド部材15や排出ローラ対14にワックスが付着・体積し、固着してしまう虞がある。ガイド部材15や排出ローラ対14がワックスで汚れていると、シートPにワックスが付着して画像不良の発生原因となる。
(3−2)定着処理に伴いワックスから発生する粒子(ダスト)
本願発明者等の検討によれば、上述したダストDの多くは定着装置103のシートのシート入口(図1)の近傍に存在することが分かった。また、ダストDは、気温が高い状況では大粒径化して近傍部材に付着しやすくなることが分かった。以下、詳細に説明する。
(3−2−1)ダストの性質
ワックスに起因するダストの性質として、高温下で大粒径化する性質と、大粒径化したダストDが周辺の固形物に付着する性質が挙げられる。図8(a)はダストの合体現象を説明するための図である。図8(b)はダストの付着現象を説明する模式図である。
図8(a)に示すように、加熱源20aの上に沸点が150〜200℃の高沸点物質20を置き、200℃前後に加熱すると、高沸点物質20から揮発物21aが発生する。揮発物21aは常温空気に触れると直ちに沸点温度以下となって空気中で凝縮し、数nm〜数十nm程度の粒径の微小微粒子21bに変化する。この現象は、水蒸気が露点温度を下回ると、微小水滴になって霧を発生させる現象と同じものである。
この時、気中におけるガスの凝集/粒子化は、気中温度が高いほど阻害され易い。これは気中温度が高いほどガスの蒸気圧が上がり、ガス分子は気体状態を維持し易いからである。そのため、気中温度が高くなるにつれて微小微粒子21bの生成個数は少なくなっていく。
また、気中に存在するガスは既に生成された微小微粒子21bの周りに集まって凝集し易い。これは、ガス分子が凝集して新たに微小微粒子21bを生成するのに必要なエネルギーに比べて、ガス分子が微小微粒子21bの周囲に凝集するのに必要なエネルギーの方が、より低いためである。
また、微小微粒子21bは、ブラウン運動により空気中を移動しているため、互いに衝突して合体し、より大きな粒径の微粒子21cに成長することが知られている。この成長は、微小微粒子21bが活発に移動すればするほど、言い換えると気中温度が高温状態(ブラウン運動が強くなる)にあればあるほど、促進される。結果として、ベルト105から発生する微粒子は、ベルト105近辺の空間温度が高いほどの粒径が大きくなり且つ個数が減少する。なお微粒子の大型化は、微粒子が一定サイズ以上になると次第に鈍化して止まる。これは、合体によって微粒子が大型化するとブラウン運動が不活発になり、粒子同士の衝突頻度が減るためだと推定される。
次に、図8(b)を用いて、微粒子の付着について説明する。微小微粒子21bとこれより大きな微粒子21cを含んだ空気αが、気流22に沿って壁23に向かった場合、微小微粒子21bよりも大きな微粒子21cの方が壁23に付着しやすい。
これは、微粒子21cの方が慣性力が大きく、壁23に勢いよく衝突するためであると推定される。従って、ベルト105の近傍の雰囲気を高温に保ってダストDの大粒径化を促進すればするほど、ダストDは定着装置内の構成(大半はベルト105)に付着しやすくなる。そのため、ダストDの大粒径化を促進されているほど結果的にダストDは定着装置外に拡散され難くなる。
このように、ダストDは高温下で合体が促進されて大粒径化する性質と、大粒径化によって周辺物体に付着し易くなるという二つの性質を持っている。なおダストDの合体のし易さは、ダストDの成分と温度、濃度に依存する。例えば、ダストDの濃度が高いほどダストD同士の衝突確率が上がり、ダストDの粘度が低いほどダストD同士は合体し易くなる。
(3−2−2)ダストDの発生箇所
次に、ダストDの発生箇所について、図10と図11に基づいて説明する。図10(a)は定着処理の進行に伴い拡大する定着ベルト上のワックス付着領域の様子を示す図である。図10(b)は、ワックスの付着領域とダストDの発生領域の関係を示す図である。図11は定着ベルトの周辺の気流の流れを説明する図である。
本発明者等が検証したところ、定着装置103から発生するダストDは、ニップ部101bの下流側よりもニップ部101bの上流側において発生量が多いことが分かった。以下そのメカニズムについて説明する。
ニップ部101bを通過した直後のベルト105の表面(離型層105d)はシートPによって熱を奪われているため、その温度は100℃程度まで低下している。一方で、ベルト105の内面・裏面(基層105a)の温度はヒータ101aとの接触によって高温に保たれている。そのためベルト105がニップ部101bを通過した後、高温に保たれた基層105aの熱が、プライマ層105bと弾性層105cを経由して離型層105dに伝わっていく。その為、ベルト105の表面(離型層105d)の温度は、R105方向(図10)に回転する過程で、ニップ部101bを通過した後に上昇してゆき、ニップ部101bの入口側付近で最高温度に達する。
一方、シートP上のトナーSから染み出したワックスは、定着処理が行われるときにベルト105とトナー像の界面に介在する。その後、ワックスの一部はベルト105に付着する。図10(a)に示すようにシートPの先端側の一部がニップ部101bを通過した段階では、トナーSからベルト105に移行したワックスは領域135aに存在している。この領域ではベルト105の温度が低くワックスが揮発し難いためダストDはほとんど発生しない。シートPがニップ部101bを進行すると、ワックスはベルト105の略全周(135b)に存在した状態となる。このうち、領域135cではベルトが高温になっているため、ワックスが揮発し易い。そして、領域135cから揮発したワックスが凝縮するとダストDが発生する。そのため、領域135cの近傍、すなわちニップ部101bの入口付近(上流側)には多くのダストDが存在する。
また、ニップ部101bの入口付近のダストDは、図11に示すエアフローによって矢印W方向に拡散していく。詳細に説明すると次の通りである。図11に示すように、ベルト105がR105方向に回転していると、ベルト105の表面付近にはR105方向に沿ったエアフローF1が発生する。また、シートPがX方向に沿って搬送されるとシートPの搬送方向Xに沿ったエアフローF2が発生する。ニップ部101bの近傍においてエアフローF1とエアフローF2が衝突すると、ニップ部101bから離れていく方向(W方向)に沿ってエアフローF3が発生する。
(3−2−3)検証
次にダストDの発生量と温度の関係について検証すべく試験を行った。図9(a)は、試験1における画像形成処理の経過時間とダストD発生量の関係を説明するグラフである。
図9(b)は、試験2における画像形成処理の経過時間とダストD発生量の関係を説明するグラフである。
試験では、プリンタ1による画像形成処理中にシート入口400近傍のエアをサンプリングし、ナノ粒子粒径分布計測器を用いて粒子の個数濃度を計測する。
ここで、試験1では画像形成処理中に何も手を加えず、シート入口400(ニップ部近傍)のエアが暖まるようしている。試験2では、画像形成処理中にシート入口400近傍に外気を吹き付け、シート入口400(ニップ部近傍)のエアが冷めるようにしている。
図9(a)に示すように、試験1におけるダストDの発生量は、画像形成処理の開始直後に上昇し、約100秒後にピークになった後は徐々に低下していく。図9(a)において、時間の経過とともにダストDの発生量が低下している理由は、画像形成処理の進行に伴いベルト105の周辺の気温が上昇していくためである。
図9(b)に示すように、試験2におけるダストDの発生量は、画像形成処理の開始直後に試験1よりも急激に上昇し約20秒後にピークを迎えていることがわかる。このとき、画像形成処理の開始から200秒経過後までのダストDの発生量は、試験2において試験1の2〜5倍である。
一方で画像形成処理が開始して300秒を超えると、試験1と試験2のダストD発生量に大きな差は生じていない。これは、定着装置103の熱によって加熱された周辺のユニット(不図示)が、シート入口400に向かう外気を事前に暖めるからだと推定される。
上述したように、ダストDはシート入口400の近傍において発生しやすい。そのため、画像形成装置は、シート入口400の近傍においてダストDを除去することが望ましい。
また、シート入口400のエアが冷めているとダストDが発生しやすくなる。そのため、プリンタ1はシート入口400のエアを冷まさず、ダストDの発生を抑制することが望ましい。また、上述したようにダストDは画像形成処理の開始直後の一定期間において顕著に発生する。そのため、プリンタ1は画像形成処理の開始直後にダストDを効率良く回収(濾過)することが望まれる。
(4)ダストDの回収方法
以上で述べたダストDの性質を踏まえて、ダストDの回収方法を説明する。初めにダストDを濾過するフィルタユニット50の構成と動作を説明し、次にフィルタユニット50近辺からのダストDの流出を抑制するエアフロー構成を説明する。最後にエアフローの動作シーケンスを説明する。
図1(a)はフィルタユニットの配置位置を説明する図である。図1(b)はシートの後端ハネの様子とフィルタユニットの形状を説明する図である。図2(a)は定着装置周辺の構成を並べて斜視した図である。図2(b)は定着装置の周辺におけるシートの通過位置を示す図である。図3(a)はフィルタユニットを分解して斜視した図である。図3(b)はフィルタユニットが動作する様子を示す図である。図12は、制御回路と各構成の関係を示すブロック図である。図13は各ファンを制御するためのフローチャートである。図14(a)は実施例1におけるサーミスタのシーケンス図である。図14(b)は実施例1における第一ファンのシーケンス図である。図14(c)は実施例1における第二ファンのシーケンス図である。図14(d)実施例1における第三ファンのシーケンス図である。図15(a)は風量制御の効果を説明する第1のグラフである。図15(b)は風量制御の効果を説明する第2のグラフである。図15(c)は風量制御の効果を説明する第3のグラフである。図15(d)は風量制御の効果を説明する第4のグラフである。図17(a)はフィルタユニットの吸引風量Q(L/min)とフィルタユニットの作動によって低減されたダストの割合α(%)の関係、及びα=50%以上とするときに必要な吸引風量Qを示すグラフである。図17(b)はα=60%以上とするときに必要な吸引風量Qを示す。図18は、ベルト105とフィルタユニット吸気口の距離d(mm)と、所定のαを達成するために必要な吸引風量Qの関係を示すグラフである。図19は距離d(mm)と、フィルタ51の必要面積Fs(cm2)との関係を示すグラフである。
(4−1)フィルタユニットの構成
フィルタユニット50は、図1(a)に示すように、シートPの搬送方向において定着ユニット101と、転写ユニット10の間に位置している。あるいは、シートPの搬送方向において定着装置103のニップ部101bと、転写手段の転写部12aの間に位置している。
フィルタユニット50は、図1(a)に示すようにダストDを含むエアを、吸気口52aに設けた不織布フィルタであるフィルタ51に引き込むことによって、ダストDをフィルタ51上に回収する。図2と図3に示すようにフィルタユニット50は、フィルタ51と、エアを吸引するための吸気部である第一ファン61と、シート入口400近傍のエアがフィルタ51を通過するようにエアを案内するダクト52と、を有している。
第一ファン61はシート入口400近傍のエアを機外に吸引するための吸気部である。第一ファン61は、定着ユニット101の長手方向において、シートPの通過領域よりも外側の領域に設けられている。また、第一ファンは、定着ユニット101の長手方向において、ニップ101bよりも外側の領域に設けられている。第一ファン61は吸気口61aと排気口61bを備えており、吸気口61aから排気口61bに向けてエアフローを発生させる。吸気口61aは、ダクト52の排気口52eに接続されダクト52内のエアを吸引するための開口である。排気口61bは、プリンタ1の外側に向けて設けられ、吸気口61aから吸引したエアを機外に向けて排出するための開口である。
本実施例では第一ファン61としてブロワファンを用いている。ブロワファンは高静圧を特徴としており、フィルタ51のような通気抵抗体があっても一定の風量(吸気量)を確保することができる。
ダクト52は、シート入口400近傍のエアを機外に向けて案内するための案内部である。ダクト52は、シート入口400近傍の吸気口52aと、シート入口400近傍から離れた排気口52eを備えている。
吸気口52aはニップ部101bと二次転写ローラ12の間に位置する開口であり、ニップ部側を向くように設けられている。このような構成により、吸気口52aはエアフローF3によって運ばれてくるダストDを図1のように受け止めることができる。
排気口52eは、吸気口52aよりもその長手方向の外側において、ダクト52の複数の側面のうち吸気口52aとは反対側の側面に設けられている。上述したように排気口52eは吸気口61aに接続されている。
また、ダクト52は吸気口52aを覆うようにフィルタ51を取り付け可能である。詳細には、ダクト52は吸気口52aの縁部52cと、湾曲部52dを備えるリブ52bと、を備えている。縁部52cとリブ52bによって支持されるように、フィルタ51をダクト52に固定すると、吸気口52aはフィルタ51によって覆われる。本実施例のフィルタ51は、耐熱性接着剤によって縁部52c及びリブ52bに隙間なく接着されている。そのため、吸気口52aを通過するエアがフィルタ51を必ず通過する。また本実施例のフィルタ51は縁部52cの湾曲部52dに沿って接着されている。換言すると、ダクト52は、フィルタ51を湾曲させた状態で保持している。このとき、フィルタ51は、その短手方向の中央部がニップ部101bから離間する方向に湾曲している。換言すると、フィルタ51はその短手方向の中央部がダクト52の内側に向かって突出している。
なお、フィルタ51の配置位置は吸気口52aには限られない。たとえば図20に示すように、フィルタ51が、ダクト57の吸気口58よりも所定長さH(例えば3mm)だけ奥まった位置に設けられていてもよい。奥まった位置に設ければ、分解メンテナンス等の作業をするときに、作業者が不用意にフィルタ51に触れて損傷させる危険を低減できる。ただし、フィルタユニットのサイズを小型化する観点からは、図1に示すように吸気口にフィルタ51を設けた方が良い。フィルタ51の位置は、フィルタ51の保護とフィルタユニットの小型化のどちらを優先するかによって決められるべきである。
このときダクト57の内部の通気経路は、吸気口58からフィルタ51に至る領域において、図20の紙面垂直方向(ベルト105の回転軸線方向)の通気経路長さである長さ範囲Aの少なくとも一部が、同方向における画像形成領域の範囲Bと重複する。この関係は図1のように吸気口52aにフィルタ51を装着した場合も同様である。図2(b)を用いて説明すると、後述するWfが長さ範囲Aに相当し、同じく後述するWp−maxが長さ範囲Bに相当する。ダストはシートP上に形成されたトナー画像からベルト105に移行したワックスから発生するため、ダストを確実に吸引できる範囲である長さ範囲Aの少なくとも一部が、長さ範囲Bと重複している必要がある。
本実施例では、長さ範囲Aを350mmとしているが、長さ範囲Aが使用頻度の高いA4サイズシートの標準的な最大画像幅である200mm(A4サイズシートの長手方向を搬送方向に一致させた時)を超えていれば良い。そうすることによって、実際の使用条件において効果的にダスト低減を図ることができる。
一方で長さ範囲Aをさらに長くすれば、より大きなサイズのシートに対応できるだけでなく、ダストが周辺のエアフロー等によって画像形成領域の外側に拡散した場合でも、ダストをフィルタ51によって確実に回収することができる。しかし長さ範囲Aを長くすぎると、フィルタ51はダスト発生領域の外側にあるクリーンなエアを吸引してしまい、フィルタユニットのダスト吸引効率を低下させてしまう。以上の考察より、長さ範囲Aの上限は、一般的な電子写真式プリンタにおいて使用可能な最大サイズシートの最大画像幅に、その外側にダストが拡散する可能性がある領域の長さを足した値にすれば良いとわかる。
例えば、A3サイズシートの短手方向幅297mmから端部の空白領域(非画像領域)約5mmを除いた287mmを最大画像幅とした場合、その外側に約100mm離れた位置までダストが拡散すると仮定する。その場合、長さ範囲Aの上限は、287mmに200mm(=100mm×2)を足した値である487mmに若干の余裕を持たせた500mmとするのが適切である。
以上をまとめると、長さ範囲Aは、使用するシートのサイズとエアフローによるダストの拡散程度を考慮して、200mm〜500mmの範囲から適宜選択されれば良いとわかる。ただし、様々なサイズの記録材の使用を想定し、長さ範囲Aは、画像形成装置に使用可能な最小幅の記録材の幅以上に設定するのが好ましい。
以上で述べたように、フィルタ51はベルト105の長手方向に延伸する形状を有しているが、このような形状とすることにより、ダクトの吸気口52aにおけるエアの通過風速を長手方向で均一にすることができる。換言すると、吸気口52aに通気抵抗体であるフィルタ51を配置することで、フィルタ51の背面領域の全域を一定の負圧に保つことができる。すなわち図3の(b)に示すポイント53aと53bと53cの負圧は、略同じ値になっている。これは、フィルタ51の通気抵抗が、ダクト52内の通気抵抗よりも格段に大きいためである。ポイント53aと53bと53cの負圧が同レベルであれば、フィルタ51に吸引されるエアF4の風速は、フィルタ51の全面にわたって均一化される。風速が均一化された結果、フィルタユニット50は、ベルト105から発生するダストDを効率良く(最小限の風量で)回収することができる。
フィルタユニット50による吸気量が小さいと、ベルト105の近傍に流れ込むエアの量も小さくなる。そのため、ベルト105の近傍のエアの温度低下を小さくすることができる。その結果、ダストDの発生を抑制することができる。また、ベルト105の温度低下を抑えられるため省エネにも有利である。
(4−1−1)フィルタの性質
フィルタ51は、吸気口52aを通過するエアからダストDを濾過(回収、除去)するための濾過部材である。ワックスに起因するダストDを回収する場合、フィルタ51は、静電不織布フィルタであることが望ましい。静電不織布フィルタとは静電気を保持した繊維を不織布状に形成したもので、ダストDを高効率で濾過することができる。
静電不織布フィルタは、繊維が高密度であるほど濾過性能が高いが、半面、圧力損失が大きくなりやすい。この関係は静電不織布の厚さを厚くした場合も同様である。また繊維の帯電強度(静電気の強さ)を高くすれば、圧力損失を一定にしたまま濾過性能を向上させることができる。静電不織布の厚さと繊維密度、及び繊維の帯電強度は、フィルタに求められる濾過性能に応じて適宜設定することが望ましい。本実施例のフィルタ51に用いられる静電不織布は、通過風速が15cm/sのときにおける通気抵抗が約90Pa、ダストの濾過率が80%程度になるように、繊維密度と厚さ、帯電強度が設定されている。なお帯電強度は技術的に上限があり、静電不織布の性能を調整するときは繊維密度と厚さを変えることによって行う。たとえば繊維密度と厚さを上げる等すればダストの濾過率をさらに高めることができる。しかしその場合は通気抵抗が高くなってしまい、事務機等で使う標準的なブロワファンの発生圧力では十分な風量を確保できなくなる。一方で繊維密度と厚さを下げる等すれば通気抵抗が下がり、より安価で発生圧力の低いファンを使用できるようになるが、ダストの濾過率も下がってしまうので実用的でなくなってしまう。さらに通気抵抗が過度に下がってしまうと、フィルタ51を通過するエアの風速について長手方向でムラが生じ易くなってしまう。具体的には、第一ファンに近い個所ではエアの通過風速が速くなり、遠い個所では遅くなってダストを回収できなくなる。通気抵抗は少なくとも50Pa以上であるのが好ましい。以上に述べた要因、すなわち静電不織布の帯電処理技術の水準、標準的なブロワファンの使用、フィルタ51の通過エア風速の均一化を考慮すれば、使用すべき静電不織布のスペック範囲がおのずと決まってくる。前述の数値を中心としたスペック、すなわち通過風速15cm/sにおける通気抵抗(Pa)が50以上130以下、ダスト濾過率が60%以上90%以下の範囲にあるものが、使用に適しているといえる。
なお、排気エア中のトナーを濾過しようとした場合、静電不織布は通過風速が10cm/sにおいて通気抵抗が10Pa以下で用いられる。したがって、本実施例のフィルタ51は通気抵抗が比較的大きな静電不織布を用いていると言える。
次に、フィルタ51を通過するエアの通過風速Fvについて述べる。通過風速が速ければ速いほどフィルタ51を通過する単位時間あたりのエア風量は多くなり、ダストを確実に回収できるようになる。しかしながら通過風速が速すぎると、シート入口400の近傍のエアの温度を低下させ、その結果としてダストDの発生量を増やしてしまう。さらに通過風速の上昇は、フィルタ51の通気抵抗上昇と、ダスト濾過率低下をもたらす。
そのため、通過風速は最大でも30cm/s以下に抑えることが望ましく、エア風量を確保する観点からは少なくとも5cm/s以上にすることが望ましい。つまり、通過風速Fv(cm/s)は、5以上30以下にするのが好ましい。本例では30cm/sと5cm/sの略中間値であり、風量とフィルタ性能の確保、ダストDの発生量抑制の観点から最もバランスのとれた風速15cm/sを通過風速設定値としている。
以上述べたフィルタ51を通過するエアの風速及びフィルタ51の通気抵抗は、マルチノズルファン風量測定装置 F−401(ツクバリカセイキ)により測定した。フィルタ51のダスト濾過率はフィルタ51の上流と下流のダスト濃度をTSI社Fast Mobility Particle Sizer(FMPS)を用いて測定することにより求めた。上流と下流の濃度差を上流の濃度で割って、百分率で表現した数値がダストの濾過率である。
(4−1−2)フィルタの長さ
フィルタ51は、図2(a)と図2(b)に示すように、シート搬送方向と直交する方向(回転体であるベルト105の回転軸方向)を長手とする細長い形状をしている。図2(b)のシートP上に斜線で示した領域は、所定の幅サイズのシートPを使用した場合の画像形成が可能な領域Wp−max(前述の長さ範囲Bに相当)である。なお、実際には図2(b)で見えているシートPの裏面側に画像が形成される。図2(b)に示すように、領域Wp−maxはシートPの幅サイズ以下の領域である。この領域においてシートP上にトナー画像が形成され、この領域において、ベルト105にワックスが付着し、この領域においてダストDが発生する。
そのため、前述したようにダクト52の通気経路は、ベルト105の回転軸方向の長さ範囲Aの少なくとも一部が、同方向における画像形成領域の長さ範囲B、すなわちWp−maxと重複していなければならない。そのため図2(b)に示すフィルタ51の長さWfは、長さ範囲Aと同等の長さを有していなければならず、Wp−maxを上回る長さに設定されている。
ところで、本実施例の定着装置103は、ベルト105の幅方向の中央を基準にシートPを搬送する。そのため、使用頻度の高いシートサイズの領域Wp−maxでは、シートの幅サイズによらずダストDが発生し易い。ダストDを効率良く回収するためには、フィルタ51の長さWfは使用頻度の高いシートサイズの領域Wp−maxを上回る必要がある。その結果、Wfは好ましくは使用頻度の高いA4サイズシートの標準的な最大画像幅200mm(A4サイズシートの長手方向を搬送方向に一致させた時)を超えていることが望ましい。
(4−1−3)フィルタの面積と位置
フィルタ51の面積と位置は、フィルタ51によるダストの低減量を決める重要パラメータである。ダストを多く低減したいときは、フィルタ51をダスト発生箇所であるベルト105に近接させてダストをより効果的に吸引するとともに、フィルタ51の面積Fs(cm2)をより大きくすれば良い。図24(a)に示すようにフィルタのエア通過風速Fvが小さくなればなるほど、フィルタ通気抵抗は下がり、ダスト濾過率は上昇する。通過風速Fvが小さくなれば、エアに含まれるダストの移動速度も下がるため、ダストはフィルタを構成する静電不織布の繊維にキャッチされやすくなる為である。また図24(b)に示すように、通過風速Fvはフィルタの面積Fs(cm2)と反比例の関係にある。すなわち、フィルタ面積Fsが大きくなれば通過風速Fvが下がり、フィルタ通気抵抗も下がる。フィルタ通気抵抗が下がれば、同じファンを用いた時にフィルタに吸引されるエアの風量Q(L/min)が増加して、より多くのダストをフィルタ51に引き込むことができる。さらに通過風速Fvの低下とともにフィルタ51のダスト濾過率が上昇する。つまりプリンタ1から発生するダストは、フィルタ面積Fsを大きくすればするほど低減できるわけである。以下、フィルタの面積と位置、フィルタによるダスト低減量の関係をより詳細に解説し、フィルタの面積と位置を決める数式を導出する。
図17(a)と図17(b)は、実験によって求めたフィルタユニット50の吸引風量Qとダスト低減率αの関係を示している。ダスト低減率αは、フィルタ51を用いない時にプリンタ1から発生するダスト量Doと、フィルタ51を用いることによって低減されるダスト量Deにより、以下式にて表わされる。
α(%)=De÷Do×100
図17(a)と図17(b)より、吸引風量Qが上昇すれば、ダスト低減率αも上昇することがわかる。これは、吸引風量Qの上昇に伴い、ベルト105から発生したダストDがフィルタ51により多く引き込まれる為である。
また、フィルタの長さ(ベルト105回転軸方向長さ)Wf(mm)と、ベルト105とフィルタ51の間の距離d(mm)に応じて、図中に3本の線(Line.A、Line.B、Line.C)を引いている。距離dは、図20に示すように、ベルト105の表面と、ダクト57の吸気口58の中心57c(吸気口の端部57aと57bの中点)の間の距離を意味する。なお、図1の例でいうと、図20の中心57cが図1の中心50dに相当し、端部57aと57bはそれぞれ50bと50cに相当する。
図17のLine.AとLine.Bを比較すると、Wfはともに350mmであり、dがそれぞれ20mm、35mmとなっている。d=20であるLine.Aは、d=35であるLine.Bを上回っているが、これはフィルタ51がベルト105に近くなればなるほどベルト105から発生するダストを効果的に吸引できるためである。
Line.Cは、フィルタ51の長さWfを、画像形成領域の長さより短い40mmとした時のラインである。Line.Cの条件ではベルト105上のダスト発生領域(画像が通過してトナーのワックスが付着する領域)の中央部分だけをフィルタ51に吸引しているため、Line.CはLine.AとLine.Bを大きく下回る。
また、図17(a)はα≧50%とした場合に必要な吸引風量Qが、d=20mm(Line.A)の時は16.3L/min以上、d=35mm(Line.B)の時は35L/min以上であることを意味している。図17(b)はα≧60%とした場合に必要な吸引風量Qが、d=20mm(Line.A)の時は35L/min以上、d=35mm(Line.B)の時は78.4L/min以上であることを意味している。α≧50%は、フィルタによるダスト低減目標を考える際の指標となる数値である。
多くの電子写真式プリンタは、ダストを50%程度低減すれば、装置内部のダスト汚れに起因する画像不良等の問題を効果的に防ぐことができる為である。ただし一部のプリンタはα≧60%としないと十分な効果を得られない場合もあるので、本例ではα≧60%とした場合に必要な吸引風量Qを図17(b)で見積もっている。なお実験に用いたフィルタ51は、通過風速15cm/sのときの通気抵抗が約90Paであり、ダスト濾過率が約80%である。
次に図18について説明する。図18は、目標とするダスト低減率αを達成するために必要な吸引風量Q(L/min)と距離d(mm)の関係を、図17(a)と図17(b)のデータに基づいてプロットしたものである。α=50%を目標とする場合、d=20の時はQ=16.5であり、d=35の時はQ=35である。これらを結んだ線はQ=1.25×d−8.67により表わされる。同様にα=60%を目標とする場合、Q=2.89×d−22.9となる。そしてαを50%以上、又は60%以上としたいときは、Qをより大きくすれば良いので以下の関係が成立する。
α≧50%:1.25×d(mm)−8.67≦Q(L/min)
α≧60%:2.89×d(mm)−22.9≦Q(L/min)
なお吸引風量Qは、大きくしすぎるとベルト105の表面の熱を過度に奪ってしまう。熱が過度に奪われると、その分、制御回路Aはヒータ101aに電力を投入するのでプリンタ1全体の消費電力を増やしてしまう。消費電力抑制の観点から、吸引風量Qは200L/min以下とするのが良い。この条件を上記式に加えると以下式を得ることができる。
α≧50%:1.25×d(mm)−8.67≦Q(L/min)≦200
α≧60%:2.89×d(mm)−22.9≦Q(L/min)≦200
次に、フィルタ面積Fs(cm2)を決定する。フィルタ面積Fs(cm2)は、フィルタ通過風速Fv(cm/s)によって決まる。
Q(L/min)=Fs(cm2)×Fv(cm/s)÷1000×60
Fs(cm2)=Q(L/min)÷Fv(cm/s)×1000÷60
前述したQの範囲を記述する式を、上記式によってFsを用いた式に書き直せば、フィルタの位置と面積を決定する下記式を得ることができる。
α≧50%:
ここで、通過風速Fvを15cm/sとすれば、Fsは以下式により表現される。
α≧50%:
図19は、上記式の範囲をグラフに表したものである。ダスト濾過率αを50%以上としたい場合は、Fsとdを図中の範囲1に入るように設定すれば良い。ダスト濾過率αを60%以上としたい場合は、Fsとdを図中の範囲2に入るように設定すれば良い。
なお上記式によって決まるdの範囲とは別に、dの値には注意を要する制限がある。フィルタ51とベルト105を近づけ過ぎると、ベルト105からの輻射によりフィルタ51が熱的に劣化し、濾過性能が低下してしまう虞がある。そのため、フィルタ51は、ニップ部101bに対して適度な距離に配置されていることが望ましい。具体的には、フィルタ51とベルト105の間隔d(最短距離)は5以上100以下であることが望ましい。
(4−1−4)フィルタの曲面形状
上述したように、フィルタ51をベルト105の近傍に配置した場合、フィルタ51と搬送されるシートPとの距離も近くなる。そのためシートPの搬送が乱れた場合にフィルタ51の吸気面51aとシートPが接触する虞がある。フィルタ51とシートPが接触すると、シートP上のトナー画像が乱れる虞がある。また、シートPによってフィルタ51が傷つき、ダストDの回収効率が低下する虞がある。
そこで、本実施例ではシートPとフィルタ51の接触を抑制する工夫を行っている。
前述したシートPの搬送の乱れとしてはシートPの後端ハネという現象が挙げられる。後端ハネは、ニップ部101bと転写部12aによって挟持搬送されるシートPの後端Pendが転写部12aを通過したときに、後端Pendが図中Vの方向に大きく変位する現象である。
後端ハネは、もともとのシートPの形状が変形(カール)していた場合に生じ易い。また、シートPが剛性の低い薄紙である場合もニップ部101bの形状に沿ってシートPが変形するため後端ハネが生じやすい。
この後端ハネに対処すべく本実施例ではフィルタ51を図1(a)のように配置している。すなわち、フィルタ51の短手方向の端部のうちシート搬送方向の下流側の端部は、フィルタ51の短手方向の端部のうちシート搬送方向の上流側の端部よりも、ニップ部101bと転写部12aを直線で結んだときの搬送経路から離れている。このような構成により、転写部12aを通過したシートPの後端部Pendが搬送の進行とともにV方向へしだいに大きく変位したとしても、フィルタ51とシートPが接触し難くなる。本実施例では、シートPの搬送路から離間する方向にフィルタ51が湾曲している。このような構成により、後端ハネに対処しながらもベルト105とフィルタ51の間隔を近距離に保っている。
また、フィルタ51をこのような曲面形状にした場合、限られたスペースの中でフィルタ51の表面積を増大させることができる。フィルタ51の表面積が増えるとダストDとフィルタ51が接触しやすくなるため、ダストDの回収効率が向上する。
(4−2)エアフロー構成
次にプリンタ内のエアフローについて説明する。ダストDを効率良く回収する場合、プリンタ内のエアフロー、特に定着装置103の周辺のエアフローについて適切に制御することが望ましい。以下、定着装置103の周辺のエアフローに関わる構成について詳細に説明する。
(4−2−1)第一ファン
上述したように、第一ファン61の風量が多いとエアを多く吸引できる一方で、シート入口400の近傍のエアの温度を低下させやすい。すなわち、第一ファン61の風量が多いとダストを多く回収できる一方で多くのダストDを発生させやすい。そのため、フィルタユニット50によってダストDを効率よく低減させるには、第一ファン61の風量を適切に保つことが望ましい。以後、第一ファン61による吸気によってダストDが回収されることをダスト回収作用と呼び、第一ファン61の吸気によって、ダストの発生量が増加することをダスト増大作用と呼ぶ。
ここで、第一ファン61の風量とダストDの発生量の関係について検証すべく試験をおこなった。試験では、画像形成処理中にプリンタから排出されるダストDの量を測定する。詳細には、チャンバ内に設置されたプリンタ1に画像形成処理を実行させ、プリンタの全排気を取得する。そして、排気されたエアをナノ粒子粒径分布計測器でサンプリングしダストDの排出量を測定する。この試験を、画像形成処理中の第一ファン61の風量をそれぞれ異ならせて複数回行う。ここでは複数通り行われた試験を、試験A、試験B、試験C、試験Dと呼ぶ。
試験Aでは、画像形成処理中に第一ファン61を全速で作動させた状態で、定着装置外に排出されるダストDの量を計測する。試験Bでは、画像形成処理中に第一ファン61を停止させた状態で、定着装置外に排出されるダストDの量を計測する。試験Cでは、画像形成処理中に第1のファンを正常動作可能な最小速度(全速風量の7%となる速度)で作動させた状態で、定着装置外に排出されるダストDの量を計測する。試験Dでは、画像形成処理中に第1のファンを全速風量の20%となる速度で作動させた状態で、定着装置外に排出されるダストDの量を計測する。
試験Aと試験Bにおけるプリント開始後の経過時間とダストD発生量の関係について、図15(b)に示す。試験Bと試験Cにおけるプリント開始後の経過時間とダストDの発生量の関係について、図15(b)に示す。試験Cと試験Dにおけるプリント開始後の経過時間とダストDの発生量の関係について、図15(C)に示す。試験Bと本実施例(E)におけるプリント開始後経過時間とダストDの発生量の関係について、図15(D)に示す。
(A)は、試験Aにおける画像形成処理開始からの経過時間とダストDの排出量の関係を示している。(B)は、試験Bにおける画像形成処理開始からの経過時間とダストDの排出量の関係を示している。(C)は、試験Cにおける画像形成処理開始からの経過時間とダストDの排出量の関係を示している。(D)は、試験Dにおける画像形成処理開始からの経過時間とダストDの排出量の関係を示している。
図15(a)によれば、プリント開始後約70秒までは(A)が(B)のダスト排出量を上回っており、その後は(A)が(B)のダスト排出量を下回っている。これは、プリント開始後約70秒までは、ダスト増大作用がダスト回収作用を上回っていることを意味する。上述したように第一ファン61の風量が小さいほどダスト増大作用は小さくなる。そのため、第一ファン61の風量を試験Aの状態から下げていけば、いずれプリント開始初期におけるダスト回収作用がダスト増大作用を上回るはずである。
本発明者等の検討したところ、第一ファン61の風量を全速風量の10%(フィルタ51におけるエアの通過風速は5cm/s)まで低下させた時、プリント開始初期におけるダスト回収作用がダスト増大作用を上回ることができた。
図15(b)によれば、プリント開始後の全期間において(B)が(C)のダスト排出量を上回っている。これは、(B)においてダスト回収作用がダスト増大作用を常に上回っていることを意味する。
図15(c)によれば、プリント開始後90秒までは(D)が(C)のダスト排出量を上回っており、その後しばらくの間はダスト排出量がほぼ同等となる。そしてプリント開始後150秒を過ぎたあたりから(D)が(C)のダスト排出量を下回っている。
このことから、プリント開始後90秒(所定時間)までは第一ファン61を7%の風量で動作させ、プリント開始後150秒からは第一ファン61を20%の風量で動作させることで、ダストDの排出量をより低減できることが分かる。つまり、プリント開始後の初期は第一ファン61を少ない風量で動作させ、時間経過とともに第一ファン61の風量を増加させることが望ましい。上述した結果をもとに、本実施例では第一ファン61の風量制御を行う。図14(b)に示すように、本実施例ではプリント開始後90秒までは、第一ファン61を7%の風量で動作させている。この風量は、ファン61を最小の速度で回転させた場合の風量以上(吸気量以上)で且つファン61を最大の速度で回転させた場合の風量の10%以下の風量である。プリント開始後90秒から390秒までは第一ファン61を20%の風量で動作させている。プリント開始後390秒以降は第一ファン61を100%で動作させている。(E)は、本実施例における画像形成処理開始からの経過時間とダストDの排出量の関係を示している。
図15(d)によれば、本実施例では試験Bと比べてダストDの排出量が半分以下となっている。すなわち、本実施例では画像形成の開始初期から600秒経過するまでの間においてダストDの排出量を半減することができた。
(4−2−2)第二ファン及び第三ファン
水分を含むシートPが定着装置103で加熱されると、シートPからは水蒸気が発生する。この水蒸気によって、空間Cは湿度が高い状態になる。空間Cは、シート搬送方向において定着装置103よりも下流側で且つ排出ローラ14よりも上流側の空間領域である。空間Cの湿度が高いと結露が発生し易いため、ガイド部材15上には水滴が付着しやすい。搬送されてきたシートPにガイド部材15上の水滴が付着すると画像不良の発生を招く。
そのため、シートPから発生する水蒸気によって空間Cの湿度が高くなった場合、この湿度を低下させることが望ましい。
第二ファン62はガイド部材15に結露が発生することを防止するためのファンである。
第二ファン62はプリンタ1の外部からエアを機内に引き込んで、ガイド部材15にエアを吹き付けることで、空間Cの湿度を低下させる。詳細には、第二ファン62からエアが吹き付けにより、ガイド部材15近傍の水蒸気が空間Cの周囲に拡散するため、ガイド部材15近傍の局所的な湿度上昇が抑制される。第二ファン62のみを用いる場合であっても、ガイド部材15における結露を有る程度の期間は抑制できる。しかしながら、水蒸気の排出先が排出ローラ対14の周囲に生じた隙間のみとなるので、空間Cにおける湿度は次第に上昇してしまう。そこで本実施例では、第二ファン62からの吹き付けによって空間Cから追い出された水蒸気を第三ファン63によって機外に排出している。
第三ファン63は、図2の(a)に示すように、定着装置103の周辺にエアフロー63aを生じさせる。第三ファン63は、エアフロー63aによって空間Cの水蒸気と熱気を機外に排出する役目を果たす。一方で、第三ファン63は、ベルト105のニップ部101bの近傍にあるダストDを吸い出して、フィルタを経由せずに機外に排出してしまう虞がある。
第三ファン63によって画像形成装置外に排出されるダストDを低減するために、第三ファン63の下流に別途フィルタを設けてもよい。しかしながら、第三ファン63にフィルタを付けると、フィルタの通気抵抗によって排気が妨げられるため、空間Cの熱と水蒸気を機外に十分に排出することが困難となる。
そこで本実施例では、ダストDが第三ファン63に向かって引き込まれることを抑制できるようにプリンタ1の機内のエアフローを調整している。具体的には、定着装置103よりもシート搬送方向の下流側の空間の気圧が、定着装置103よりもシート搬送方向の上流側の空間の気圧よりも高くなるように、プリンタ1内のエアフローの調整している。
また、上述したエアフローの調整を行っても少なからずダストDが第三ファン63に引き込まれるため、ダストDの発生量が多い画像形成処理の開始初期(図9(b)参照)では第三ファン63の動作を抑えてダストDの排出を抑制している。そして、画像形成処理が進行してダストDの発生が少なくなった時点で第三ファン63を作動させ、空間Cの水蒸気と熱気を機外に排出している。
なお、第三ファン63の動作を抑制する期間は、プリンタ1に熱的な問題が生じない程度の期間である。画像形成処理の開始初期は画像形成装置内の各構成がまだ十分に加熱されていないため、数分程度であれば排熱が行われなくても問題がない。また、上述したように、数分程度の期間であれば第二ファン62のみで結露を防止できる。
(4−3)制御フロー
上述したように、ダストDはシート入口400の近傍において発生し易い。しかしながら、一部のダストDはシート出口500の近傍で発生する場合がある。また、定着装置103の近傍に存在する一部のダストDは、シートPの搬送に伴って定着装置103よりもシート搬送方向の下流側の空間Cに運ばれる場合がある。あるいは、シート入口400近傍で発生したダストDの一部が熱対流によって空間Cへと運ばれる場合がある。
こうした一部のダストDはフィルタユニット50で回収することが難しく、定着装置103よりもシート搬送方向の下流側の部材に付着するか機外に排出されてしまう。シート搬送方向の下流側の部材としてはガイド部材15や、排出ローラ対14が挙げられる。これらの部材にダストDが付着した場合、画像不良の発生を招く。そのため、フィルタユニット50を用いてダストDを回収する場合、回収効率を高めるためにフィルタユニット50の近傍にダストDを封じ込めることが望ましい。換言すると、ダストDが定着装置103よりもシート搬送方向の下流側に向かわないように画像形成装置内のエアフローを調整することが望ましい。
そこで、本実施例では、画像形成の連続処理中において、上述した第一ファン61の制御に加えて、第二ファン62と第三ファン63の制御を行っている。各ファンは、定着装置103の周辺の温度状態に応じて適切に制御されることが望ましい。本実施例では、プリント開始からどれだけ時間が経過したかに基づいて定着装置103の周辺の温度状態を推測し、画像形成処理の第1の期間と、第2の期間と、第3の期間においてそれぞれ異なるファン制御をおこなっている。
第1の期間とは、画像形成処理が開始されてから第1の所定時間(例えば90秒)に達するまでの期間である。換言すると、第1の期間とは、画像形成の連続処理の最初のシートPがニップ部101bを通過してから所定時間に達するまでの期間である。
第2の期間とは、第1の所定時間が経過してから第2の所手時間(例えば360秒)に達するまでの期間である。第3の期間とは、第2の所定時間が経過した後の期間である。本実施例では、制御回路Aが備えるタイマ部によってプリンタ開始からの経過時間を計測している。
なお、プリント開始からの経過時間を取得する方法は、タイマ部には限られない。例えば、制御回路Aは、シートPの処理枚数をカウントするカウンタ部に基づいてプリント開始からの経過時間を取得してもよい。したがって、画像形成処理が開始されてから第1の所定枚数(例えば75枚)のシートPに画像形成処理を施すまでの期間を第1の期間として定めてもよい。換言すると、画像形成の連続処理の最初のシートPがニップ部101bを通過してから第1の所定枚数(例えば75枚)のシートPがニップ部101bを通過するまでの期間を第1の期間として定めてもよい。第1の所定枚数のシートPに画像形成処理を施してから第2の所定枚数(例えば300枚)のシートPに画像形成処理を施すまでの期間を第2の期間として定めてもよい。第2の所定枚数のシートPに画像形成処理を施してから後の期間を第3の期間として定めてもよい。
なお、定着装置103の周辺温度を検知できる温度センサがある場合は、定着装置103の周辺温度を推測しなくてよい。したがって、制御回路Aは。プリント開始からの経過時間を取得しなくてよい。このような温度センサがある場合、検知温度が第1の所定の温度となった場合にS107を実行し、検知温度が第1の所定の温度よりも高い第2の所定の温度となった場合にS109を実行すればよい。
なお、第二ファン62は定着装置103の上方の空間Cにエアを吹き付けるための送風部として機能し、第三ファン63は定着装置103の上方の空間Cからエアを吸引して画像形成装置の外部に排出する送風部(排気部)として機能する。
以下、図13と図16に基づいて各ファンの動作シーケンスの詳細を説明する。図16(a)は、実施例2におけるサーミスタTHのシーケンス図である。図16(b)は、実施例2における第一ファンのシーケンス図である。図16(c)は、実施例2における第二ファンのシーケンス図である。図16(d)は、実施例2における第三ファンのシーケンス図である。
プリンタ1の電源がONになる(電源が投入される)と制御回路Aは制御プログラムを実行する(S101)。
制御回路Aはプリント命令信号を受信するとS103へとステップを進める(S102)。制御回路Aは、サーミスタTHの出力信号を取得してその検知温度が所定の温度(例えば100℃)以下である場合(YES)はS104へとステップを進め、所定の温度(例えば100℃)よりも高い場合(NO)はS112へとステップを進める(S103)。
なお、S103は、プリンタ1の内部が冷えているかどうか、特に定着装置103の周辺気温が冷えているかどうかを判定するステップである。つまり、制御回路Aは、定着装置103の周辺気温に関する情報をサーミスタTHから取得する取得部として機能する。
なお、制御回路Aは、定着装置103の周辺温度に関する情報をサーミスタTH以外から取得してもよい。例えば、定着装置103の周辺気温を検知できる温度センサがある場合、制御回路Aはこの温度センサから情報を取得してもよい。
ステップがS112に進むと、制御回路Aはプリント開始にともない第二ファン62と第三ファン63を全速風量である100(%)に設定する。そして、制御回路Aはプリント終了後に第二ファン62と第三ファン63の動作を停止させる(S112)。
プリント開始時にサーミスタTHの検知温度が100℃よりも高い場合は、定着装置103の周辺気温は十分に高いと考えられる。そのためダストDの発生量が少ないので、本実施例では第一ファン61を作動させていない。しかしながら、微小に発生するダストDを回収するために、第一ファン61を動作させても構わない。このとき、第一ファン61の風量が全速風量の100(%)であるとダストDの回収効率が高くて好ましい。
プリント開始時にサーミスタTHの検知温度が100℃よりも低い場合は、定着装置103の周辺気温が低いと考えられる。定着装置103の周辺気温が低いと、プリントを開始した際にガイド部材15において結露が発生しやすく、また、ダストDが発生しやすい。そのため、これらの課題をそれぞれ解決することが求められる。
ステップがS104に進みプリントが開始されると、制御回路Aは第一ファン61の風量を7(%)に設定し、第二ファンの風量を100(%)に設定する(S104、S105)。
ステップがS105に進み、プリント開始から第1時間(例えば90秒)が経過すると(YES)、制御回路AはS107へとステップを進める(S106)。そうでない場合(NO)、制御回路Aは各ファンの風量を維持する。
ステップがS107に進むと、制御回路Aは第一ファン61の風量を20(%)に設定し、第三ファン63を100(%)に設定する。このとき、第三ファン63の風量が、第一ファン61の風量と第二ファン62の風量の和を上回ると、ダストDが第三ファン63
に引き込まれてしまう。そこで本実施例では、第二ファンの風量を“100”に維持して、
第三ファン63の風量が、第一ファン61の風量と第二ファン62の風量の和を下回るようにしている。換言すると、第一ファン61による送風と第三ファン63による送風が並行して行われる場合、第二ファンは、第三ファンの風量と第一ファンの風量の差の風量よりも多い風量で送風を行う。
プリント開始から第2時間(例えば90秒)が経過すると(YES)、制御回路AはステップをS109へと進める(S108)。そうでない場合(NO)、制御回路Aは各ファンの風量を維持する。
プリント開始から第3時間(例えば390秒)が経過すると(YES)、制御回路AはステップをS109へと進める(S108)。そうでない場合(NO)、制御回路Aは各ファンの風量を維持する。
ステップがS109に進むと、制御回路Aは、第一ファン61の風量を100(%)に設定しS110に進む(S109)。
プリントが終了すると(S110)、制御回路Aは、第1のファンと第2のファンと第3のファンを停止させる(S111)。
なお、画像形成処理の開始から10分程度が経過すると、ダストDの発生量が著しく少なくなる。そのため、S109の後でプリントが長期にわたって実行される場合、プリントの終了を待たずに第一ファン61の送風を停止(OFF)してもよい。
本実施例では、画像形成処理の実行中において、風量の多い第二ファン62を常に全速で作動させている。したがって、空間Cは常に陽圧状態となっている。そのため、空間Cにはシート入口400からのダストDが流れ込みにくい。また、本実施例では画像形成処理の実行途中で第3のファンを作動させている。しかしながら、第三ファン63の風量は第二ファン62の風量と第一ファン61の和の風量以下であるため空間Cを陽圧に維持することができる。
また、本実施例では、プリント開始時点における第三ファンの風量を0(OFF)に設定しているが、図16に示すように、第三ファンの風量を50(%)に設定してもよい。この場合であっても第三ファン63の風量は第二ファン62の風量と第一ファン61の和の風量以下であるため空間Cを陽圧にすることができる。また、こうすることで、ガイド部材15の周辺の結露を確実に防止すると同時に、定着装置103の周辺装置の温度上昇をさらに抑制することが可能である。
第一ファン61の風量は第二ファン62の風量より小さく、第三ファン63の風量よりも小さい。本実施例では、第一ファン61を100%で作動させた場合の風量は5l/sであり、7%で作動させた場合の風量は0.5l/sである。第二ファン62を100%で作動させた場合の風量は10l/sである。第3のファンを100%で作動させた場合の風量は10l/sである。このように、第一ファン61を全速で動作させても第一ファン61の風量は第二ファン62及び第三ファン63の風量に比べて小さい。そのため、空間Cの気圧状態は、第二ファン62及び第三ファン63によって支配的に制御される。つまり、制御回路Aは第二ファン62及び第三ファン63を制御することで、空間CにダストDが流れることを抑制できる。
本実施例によれば、ニップ部101bの近傍において、ニップ部101bの長手方向に沿ってムラなく吸気を行い、ダストDを効率良く回収することができる。本実施例によれば、ニップ部101bの近傍において、吸気が局所的に強くなることを抑制し、定着ベルト105の局所的な温度低下を抑制できる。本実施例によれば、ニップ部101bの近傍において、ニップ部101bの長手方向端部側のエアを確実に吸気し、ニップ部101bの長手方向端部側のダストDを確実に回収できる。
本実施例によれば、ベルト105の近傍のエアを冷まし過ぎないように吸気し、ダストDの発生を抑制できる。本実施例によれば、ベルト105の近傍の気温に応じて、ダストDの効率良く回収できる。
本実施例によれば、画像形成装置内のエアフローを制御し、定着装置103の下流側にダストDが流出することを抑制できる。
本実施例によれば、定着装置103のシート入口400の近傍にダストDを封じ込め、フィルタユニット50によって効率良くダストDを回収できる。
<実施例2>
次に、実施例2について説明する。図21は実施例2におけるフィルタユニットの配置と輻射熱Eの関係を示す図である。図22は変形例1におけるフィルタユニットの配置と輻射熱Eの関係を示す図である。図23は変形例2におけるフィルタユニットの配置と輻射熱Eの関係を示す図である。
実施例1では、ダストDの回収効率を向上させるため、ダクト52の吸気口52a及びフィルタ51をニップ部101b側(ベルト105側)に向けていた。一方、実施例2では、ダクト52の吸気口52aを転写部12a側に向けることで、フィルタ51が過剰に加熱されることを抑制している。実施例2のプリンタ1は、フィルタユニット50の配置が異なる点以外は実施例1と同様である。そのため同様の構成に関しては同様の符号を付し、詳細な説明を省略する。
ダストDの回収に用いるフィルタ51としては不織布等が用いられるが、この不織布は高温環境下において熱的に劣化する場合がある。フィルタ51の熱的な劣化が促進されるとフィルタ51の寿命が低下するため、フィルタを高頻度で交換することが求められる。しかしながら、フィルタ51を高頻度で交換すると、交換の手間が発生するだけでなく、ランニングコストが増加してしまう。そのため、フィルタ51は加熱され過ぎないことが望ましい。
フィルタ51が温度上昇する原因の一つは、シート入口400近傍のエアの熱である。しかしながら、フィルタ51は、シート入口400近傍のエアからダストDを回収することを目的としており、シート入口400近傍の気温に対して十分な耐熱性を持っている。そのため、シート入口400近傍のエアの熱のみでフィルタ51の寿命低下が急激に促進されることはない。
フィルタ51が温度上昇する原因のもう一つは、定着ユニット101からの輻射熱Eである。輻射熱Eとは、高温の固体表面から低温の固定表面に電磁波の形で直接伝わる熱のことである。フィルタ51は、熱源である定着ユニット101の近傍に位置しているため、定着ユニット101からの輻射熱Eの影響が大きい。
つまり、フィルタ51の吸気面51aは、シート入口400近傍のエアの熱による温度上昇に加え、定着ユニット101から照射される輻射熱Eによって高温状態となる。
そこで、本実施例では、定着ユニット101からフィルタ51への輻射熱Eを低減することで、フィルタ51の寿命を向上させる。
定着ユニット101において、輻射熱Eを最も強く放射する部材は、最も温度の高いベルト105である。ベルト105から放射される輻射熱Eは、定着ベルト105の表層のあらゆる点から放射状に拡散する。したがって、フィルタ51の温度上昇を低減するためには、ベルト105からの輻射熱Eが吸気面51aに照射されない位置にフィルタ51を配置すればよい。
そこで本実施例では、ダクト52の吸気口52aを転写部12a側(転写ローラ12側)に向けて配置している。フィルタ51は吸気口52aを覆うように設けられているため、上述した構成ではフィルタ51の表面が転写部12a側(転写ローラ12側)を向く。そして、ベルト105とフィルタ51間の空間がダクト52によって遮られる。
ベルト105とフィルタ51とダクト52の位置関係についた図21を用いて詳細に述べる。吸着面51aとダクト上壁との接点をM1、同じくダクト下壁との接点をN1と称する。M1とN1を結んだ線M1−N1を、定着ベルト105表層まで延伸させた際のベルト105表層との接点をL1と称する。輻射熱Eをフィルタ51に向かい難くするため、接点L1の位置は領域135dの範囲内にあることが望ましい。領域135dは、定着ベルト105を周方向に4つの領域に区切り、ニップ部101bから回転方向に沿って数えたときに4つ目となる領域である。
本実施例では、線L1−N1は接点L1におけるベルト105の接線である。このような構成では、ベルト105からの輻射熱Eが吸気面51aに向かわない。そのため、フィルタ51の温度上昇を抑制できる。
なお、線M1−N1の延長線がベルト105と交差しないように、吸気口52aの角度をより急勾配にしてもよい。このような構成でもベルト105からの輻射熱Eはフィルタ51に向かわない。例えば、図22に示す変形例1のように吸気口52aの角度をさらに急勾配にして加圧ローラ102からの輻射熱E’を遮ってもよい。
線M1−N1を加圧ローラ102表層まで延伸させた際の加圧ローラ102表層との接点をL2と称する。輻射熱Eを吸気面51aに向かい難くするため、接点L1の位置は領域135dの範囲内にあることが望ましい。領域135eは、加圧ローラ102を周方向に4つの領域に区切り、ニップ部101bから回転方向に沿って数えたときに3つ目となる領域である。変形例1では、線L2−N1は接点L2における加圧ローラ102の接線である。このような構成では、ベルト105の輻射熱E及び加圧ローラ102からの輻射熱E’が吸気面51aに向かわない。そのため、フィルタ51の温度上昇を抑制できる。
なお、フィルタ51は必ずしもシート搬送方向に対して傾斜させなくてもよい。例えば。図23に示す変形例2のように、シートPの搬送方向と並行となるようにフィルタ51を配置してもよい。この場合、フィルタ51に輻射熱Eが向かわないように、ダクト52に遮蔽部55を設けることが望ましい。
フィルタ51とダクト上壁でかつ搬送面側の端部をM3、フィルタ51とダクト下壁との接点をN3と称する。M3とN3を結んだ線M3−N3を、定着ベルト105表層まで延伸させた際のベルト105表層との接点をL3と称する。輻射熱Eをフィルタ51に向かい難くするため、接点L3の位置は領域135dの範囲内にあることが望ましい。本実施例では、線L3−N3は接点L3におけるベルト105の接線である。このような構成では、ベルト105からの輻射熱Eが吸気面51aに向かわない。そのため、フィルタ51の温度上昇を抑制できる。
本実施例によれば、フィルタ51の温度上昇抑制できる。本実施例によればフィルタ51の寿命の低下を抑制できる。本実施例によれば、フィルタの交換頻度を低減できる。しかしながら、ダストDを確実に回収できる点において実施例1の構成が好ましい。
(その他の実施例)
以上、本発明について実施例を用いて説明したが、本発明は実施例に記載の構成に限られるものではない。実施例で例示した寸法等の数値は一例であって、本発明の効果が得られる範囲においては適宜設定してよい。また、本発明の効果が得られる範囲において実施例に記載の一部構成を同様の機能を有する他の構成に置き換えてもよい。
フィルタ51の吸気面51aは曲面形状でなくてもよい、吸気面51aが平面形状であってダストDの回収は可能である。フィルタ51として、不織布フィルタではなくハニカムフィルタ等の別のフィルタを用いてもよい。フィルタ51として静電処理された不織布フィルタである静電フィルタを用いる場合、ダストDを帯電装置で帯電させてからフィルタ51で回収してもよい。フィルタ51の配置構成は実施例に記載のものには限られない。例えば、ベルト105の長手方向両端部に二つ以上のフィルタ51が設置されていても良い。フィルタ51は、シート搬送路に対して加圧ローラ側に設置されていても良い。
定着装置103は縦パスでシートを搬送する構成には限定されない。例えば定着装置103は横パスや斜めにシートを搬送する構成であっても良い。
シート上のトナー画像を加熱する加熱回転体は、ベルト105には限られない、加熱回転体は、ローラであってもよく、複数のローラにベルトが架け渡されたベルトユニットであってもよい。しかしながら、加熱回転体の表面が高温となり、ダストDが発生し易い実施例1の構成の方が大きな効果を得ることができる。
加熱回転体とニップ部を形成するニップ形成部材は、加圧ローラ102には限られない。例えば、複数のローラにベルトが架け渡されたベルトユニットを用いてもよい。
加熱回転体を加熱する加熱源は、ヒータ101aのようなセラミックヒータには限られない。例えば、加熱源はハロゲンヒータであってもよい。また加熱回転体を直接電磁誘導発熱させてもよい。このような構成であってもシート入り口400近傍でダストDが発生し易いため、実施例1の構成を適用できる。
プリンタ1を例に説明した画像形成装置は、フルカラーの画像を形成する画像形成装置に限られず、モノクロの画像を形成する画像形成装置でもよい。また画像形成装置は、必要な機器、装備、筐体構造を加えて、複写機、FAX、及び、これらの機能を複数備えた複合機等、種々の用途で実施できる。