JP7143680B2 - 画像形成装置 - Google Patents
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Description
しかしながら、この画像形成装置では、ベルト定着手段では、記録媒体に熱が奪われることから、接触領域の記録媒体の搬送方向上流側がより高温となる傾向があり、そこで融解温度が低い離型剤が気化し易い。また、気化した離型剤は、装置内の空気中で再凝固することで、直径100nm以下の粒子(所謂、UFP(Ultra-Fine Particle)ともいう)が生成してしまうことがある。そして、発生した直径100nm以下の粒子(UFP)は、画像形成装置の外部に排出される場合がある。
像保持体と、
前記像保持体の表面を帯電する像保持体用帯電手段と、
帯電した前記像保持体の表面に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、
融解温度が60℃以上100℃以下の離型剤を含むトナー粒子を有するトナーを含む現像剤により、前記像保持体の表面に形成された静電潜像を現像してトナー像を形成する現像手段と、
前記トナー像を記録媒体に転写する転写手段と、
互いの外周面同士が対向接触して接触領域を形成する2つの回転体を有し、前記2つの回転体のうち少なくとも一方がベルト部材であり、転写された前記トナー像を有する前記記録媒体を前記接触領域に挿通させて、前記トナー像を前記記録媒体に定着させる定着手段と、
前記接触領域の前記記録媒体の搬送方向上流側の周辺且つ前記記録媒体の前記トナー像の形成面側に設けられ、粒子を帯電させる粒子帯電手段と、
前記粒子帯電手段に近接して設けられ、粒子とは逆極性に帯電する粒子回収手段と、
を備える画像形成装置。
前記トナー粒子における前記離型剤の融解温度が60℃以上90℃以下である<1>に記載の画像形成装置。
<3>
前記トナー粒子における前記離型剤がパラフィンワックスである<1>又は<2>に記載の画像形成装置。
<4>
前記トナー粒子が結晶性樹脂を含む<1>~<3>のいずれか1に記載の画像形成装置。
<5>
前記結晶性樹脂の含有量が、トナー粒子の質量に対して3質量%以上20質量%以下である<4>に記載の画像形成装置。
<6>
前記結晶性樹脂の含有量が、トナー粒子の質量に対して5質量%以上15質量%以下である<4>又は<5>に記載の画像形成装置。
<7>
前記トナー粒子のトルエン不溶分が25質量%以上40質量%以下である<1>~<6>のいずれか1に記載の画像形成装置。
<8>
前記トナー粒子の形状係数SF1が140以上である<1>~<7>のいずれか1に記載の画像形成装置。
前記2つの回転体のうちの一方の回転体における定着設定温度が100℃以上200℃以下である、<1>~<8>のいずれか1に記載の画像形成装置。
<10>
前記定着設定温度が120℃以上200℃以下である、<9>に記載の画像形成装置。
<11>
前記2つの回転体のうちの一方が内部に加熱手段を有するロールである、<9>又は<10>に記載の画像形成装置。
前記2つの回転体のうちの一方の回転体における定着設定温度T1と、前記トナー粒子における前記離型剤の融解温度T2と、の差[T1-T2]が30℃以上140℃以下である、<9>~<11>のいずれか1に記載の画像形成装置。
前記粒子帯電手段と、前記接触領域の前記記録媒体の搬送方向上流側端部と、の距離が30mm以上70mm以下である、<1>~<12>のいずれか1に記載の画像形成装置。
前記粒子帯電手段と前記記録媒体の搬送経路との最短距離が10mm以上40mm以下である、<1>~<13>のいずれか1に記載の画像形成装置。
本実施形態に係る画像形成装置は、像保持体と、像保持体の表面を帯電する像保持体用帯電手段と、帯電した像保持体の表面に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、融解温度が60℃以上100℃以下の離型剤を含むトナー粒子を有するトナーを含む現像剤により、像保持体の表面に形成された静電潜像を現像してトナー像を形成する現像手段と、トナー像を記録媒体に転写する転写手段と、互いの外周面同士が対向接触して接触領域を形成する2つの回転体を有し、2つの回転体のうち少なくとも一方がベルト部材であり、転写されたトナー像を有する記録媒体を接触領域に挿通させて、トナー像を記録媒体に定着させる定着手段と、接触領域の記録媒体の搬送方向上流側の周辺且つ記録媒体のトナー像の形成面側に設けられ、粒子を帯電させる粒子帯電手段と、粒子帯電手段に近接して設けられ、粒子とは逆極性に帯電する粒子回収手段と、を備える。
なお、以下の説明において、融解温度が60℃以上100℃以下である離型剤を含むトナー粒子を有するトナーを「特定トナー」と称する場合がある。
例えば、低温定着性向上のために、画像形成装置の現像手段に収容される現像剤には、融解温度が低い離型剤(例えば、融解温度が100℃以下である離型剤)を含むトナー粒子を含むトナーが用いられていることがある。この融解温度が低い離型剤を含むトナーを用いて画像を形成し、記録媒体に転写されたトナー像を定着手段で定着するときに、トナー像中に含まれる離型剤が、記録媒体に含まれる水分とともに気化しやすい。気化した離型剤は空気中で再凝固することで、気化した離型剤に由来する100nm以下の粒子(UFP、超微粒子粉じんと呼ばれることもある)が発生する。そして、この発生した粒子が画像形成装置の外部に排出される場合がある。
粒子帯電手段は、UPFが発生しやすい位置に配置されているため、気化した離型剤に由来するUPFを帯電させる。そして、粒子回収手段は、粒子帯電手段に近接し、且つ、粒子(UFP)とは逆極性に帯電しており、粒子帯電手段により帯電したUFPが、これと逆極性に帯電した粒子回収手段へと吸い付けられ、付着するものと考えられる。
その結果、離型剤に由来するUFPは、その多くが粒子回収手段にて回収されるため、UFPの装置外への排出量を低減することができるものと推測される。
本実施形態に係る画像形成装置は、上記のような構成にてUFPの装置外への排出量を低減しうるため、排気口に高性能フィルターを用いずともよいといった付加的な効果を奏するとも考えられる。
中間転写方式の装置の場合、転写装置は、例えば、表面にトナー像が転写される中間転写体と、像保持体の表面に形成されたトナー像を中間転写体の表面に一次転写する一次転写部材と、中間転写体の表面に転写されたトナー像を記録媒体の表面に二次転写する二次転写部材と、を有する構成が適用される。
本実施形態に係る画像形成装置100は、図1に示すように、例えば、一般にタンデム型と呼ばれる中間転写方式の画像形成装置であって、電子写真方式により各色成分のトナー像が形成される複数の画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kと、各画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kにより形成された各色成分トナー像を中間転写ベルト15に順次転写(一次転写)させる一次転写部10と、中間転写ベルト15上に転写された重畳トナー像を用紙(記録媒体の一例)Pに一括転写(二次転写)させる二次転写部20と、二次転写された画像を用紙P上に定着させる定着装置60(定着手段の一例)と、を備えている。また、画像形成装置100は、各装置(各部)との間で情報の授受を行って、各装置(各部)の動作を制御する制御部40を有している。
なお、中間転写ベルト15、一次転写部10、及び二次転写部20を有するユニットが、転写手段の一例に該当する。
なお、上記の各色成分トナーの少なくとも1つとして、特定トナーが用いられる。低温定着性を確保する点で、本実施形態では、各色成分トナーの全てが特定トナーであることが好ましい。
また、定着装置60の接触領域の用紙Pの搬送方向上流側の周辺には、粒子を帯電させる帯電器(粒子帯電手段の一例)80及び粒子とは逆極性に帯電する粒子回収装置(粒子回収手段の一例)82が備えられている。
定着手段、粒子帯電手段、及び粒子回収手段の詳細については、後述する。
本実施形態に係る画像形成装置では、図示しない画像読取装置や図示しないパーソナルコンピュータ(PC)等から出力される画像データは、図示しない画像処理装置により画像処理が施された後、画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kによって作像作業が実行される。
そして、定着装置60の接触領域の用紙Pの搬送方向上流側で発生したUFPは、粒子を帯電させる帯電器80にて帯電され、粒子と逆極性に帯電する粒子回収装置82により回収される。
続いて、定着装置60に搬送された用紙P上の未定着トナー像は、定着装置60によって熱及び圧力で定着処理を受けることで用紙P上に定着される。
本実施形態に係る画像形成装置によれば、定着装置60の接触領域の用紙Pの搬送方向上流側で発生したUFPは、粒子回収装置82にて回収される。その結果、定着装置60の接触領域の用紙Pの搬送方向上流側で発生したUFPは、装置外への排出量が低減されることとなる。
本実施形態に係る画像形成装置に備える、定着手段、粒子帯電手段、及び粒子回収手段について、詳細に説明する。
定着手段は、トナー像を記録媒体に転写する転写手段と、互いの外周面同士が対向接触して接触領域を形成する2つの回転体を有し、2つの回転体のうち少なくとも一方がベルト部材であり、転写されたトナー像を有する記録媒体を接触領域に挿通させて、トナー像を記録媒体に定着させる。
また、粒子帯電手段は、定着手段における接触領域の記録媒体の搬送方向上流側の周辺且つ記録媒体のトナー像の形成面側に設けられ、粒子を帯電させる。
第2帯電手段は、粒子帯電手段に近接して設けられ、粒子とは逆極性に帯電する。
なお、粒子帯電手段は、離型剤に由来するUFPを捕集するだけでなく、離型剤に由来するUFP以外の浮遊粒子を帯電させてもよい。
定着手段、粒子帯電手段、及び粒子回収手段の第1実施形態について、図2を参照して説明する。
図2は、本実施形態に係る画像形成装置が備える、定着装置、帯電器、及び粒子回収装置の一例を示す概略断面図である。
なお、第1実施形態及び第2実施形態において、実質的に同一の機能を有する部材には、同じ符号を付与し、その説明を省略する。
図2に示すように、第1実施形態における定着装置60は、2つの回転体が、内部に加熱手段を有する加熱ロール61及び加圧ベルト62から構成されている。
なお、押圧パッド64は、押圧部材の一例であって、例えば、加圧ベルト62と加熱ロール61とが相対的に加圧されていればよい。従って、加圧ベルト62側が加熱ロール61に加圧されてもよく、加熱ロール61側が加熱ロール61に加圧されてもよい。
押圧パッド64は、例えば、幅の広い接触領域Nを確保するための前挟込部材64aを接触領域Nの入口側に配置し、加熱ロール61に歪みを与えるための剥離挟込部材64bを接触領域Nの出口側に配置している。
なお、摺動部材68は、例えば、その摺動面が加圧ベルト62の内周面と接するように設けられており、加圧ベルト62との間に存在するオイルの保持及び供給に関与する。
図2に示すように、帯電器80及び粒子回収装置82は、いずれも、用紙Pのトナー像が形成された面(トナー像形成面)側に設けられている。
中でも、入手容易性、装置構成の容易性等の観点から、コロナ放電装置が好適である。
また、帯電条件としては、DC帯電方式及びAC帯電方式のいずれを用いてもよいが、安全性のより高いDC帯電方式が好ましい。
なお、定着前のトナー粒子への影響を低くする観点(具体的には、例えば、定着前のトナー像の飛び散り等による像乱れを抑制する観点)から、帯電器80による粒子の帯電は、トナーと同極性とすることが好ましい。
例えば、帯電器80が長尺の帯電装置の場合、1つの帯電装置の長手方向を、記録媒体の搬送方向に対して垂直方向(即ち、上述した加熱ロール61及び加圧ベルト62の軸方向)に沿って配置すればよい。
また、帯電器80が短尺の帯電装置の場合、複数の帯電装置を、記録媒体の搬送方向に対して垂直方向(即ち、上述した加熱ロール61及び加圧ベルト62の軸方向)に沿って、断続的に配置すればよい。
具体的には、接触領域の搬送方向上流側端部から帯電器80までの最短距離が、30mm以上70mm以下であることが好ましい。
また、効率的にUFPを含む粒子を帯電させること及び定着前のトナー像への影響を少なくする観点からは、用紙Pの搬送経路から帯電器80までの最短距離が、10mm以上40mm以下であることが好ましい。
また、効率的にUFPを含む粒子を帯電させる観点からは、加熱ロール61の外周面から帯電器80までの最短距離が、15mm以上50mm以下であることが好ましい。
ここで、本実施形態における搬送経路とは、記録媒体(用紙P)が搬送する際に記録媒体の下面(即ち、定着手段にて定着するトナー像が形成されている面とは反対の面)が通過移動する経路を指す。
中でも、入手容易性、安価である等の観点から、電極が好適である。
粒子回収装置82における帯電条件としては、DC帯電方式及びAC帯電方式のいずれを用いてもよいが、安全性のより高いDC帯電方式が好ましい。
例えば、粒子回収装置82Aが長尺の帯電装置の場合、1つの帯電装置の長手方向を、記録媒体の搬送方向に対して垂直方向(即ち、上述した加熱ロール61及び加圧ベルト62の軸方向)に沿って配置すればよい。
また、粒子回収装置82Aが短尺の帯電装置の場合、複数の帯電装置を、記録媒体の搬送方向に対して垂直方向(即ち、上述した加熱ロール61及び加圧ベルト62の軸方向)に沿って、断続的に配置すればよい。
具体的には、帯電器80から粒子回収装置82Aまでの最短距離が、粒子の回収効率を高める観点から、10mm程度であることが好ましい。
また、粒子の回収効率を高める観点から、帯電器80の上方(重力方向における上方)であることが好ましい。
帯電条件としては、DC帯電方式及びAC帯電方式のいずれを用いてもよいが、安全性のより高いDC帯電方式が好ましい。
定着手段、粒子帯電手段、及び粒子回収手段の第2実施形態について、図3を参照して説明する。
図3は、本実施形態に係る画像形成装置が備える、定着装置、帯電器、及び粒子回収装置の別の一例を示す概略断面図である。
図3に示すように、第2実施形態における定着装置90は、2つの回転体が、内部加熱手段を有する加熱ベルト91及び加圧ロール95から構成されている。
加熱ベルト91と加圧ロール95との外周面は、互いに接触し、接触領域Nを形成している。そして、加熱ベルト91と加圧ロール95とは、共に回転(矢印x方向及び矢印y方向)して、接触域にて用紙Pを搬送する。
加熱ベルト91の厚さは、例えば、低熱容量化の観点から、110μm以上450μm(好ましくは110μm以上430μm)とする。
加圧ロール95は、一例として、樹脂製又は金属製であり、円筒状又は円柱状に形成されている。加圧ロール95の外周面の一部は、図示しない軸受部材が弾性部材(バネ等)によって、加熱ベルト91を介して加圧パッド92側に押し付けられている。それにより、加圧ロール95と加熱ベルト91とは、接触領域N(いわゆる、ニップ部)を形成している。すなわち、加圧ロール95は、接触領域Nにおいて、加圧パッド92と共に、加熱ベルト91(つまり、用紙P及びトナー画像)を挟んで加圧する機能を有する。
なお、加圧ロール95の回転駆動により、加熱ベルト91が従動回転する構成であってもよい。
加圧パッド92は、一例として、樹脂製又は金属製の柱状部材で構成されている。
加圧パッド92は、加圧ロール95が加熱ベルト91を介して加圧パッド92側に押し付けられることにより、接触領域Nにおいて、加圧ロール95と共に、加熱ベルト91(つまり、用紙P及びトナー画像)を挟んで加圧する機能を有する。
また、加圧パッド92に代えて、ロール状の加圧部材を設ける態様であってもよい。
反射板94は、一例として、板状の金属部材、又は、反射面に金属層を蒸着した板状の樹脂部材で構成されている。反射板94は、例えば、接触領域N側が凹状となるように湾曲している。
反射板94は、ハロゲンランプ93からの輻射熱を接触領域Nに向けて反射する機能を有している。
なお、図3に示す第2実施形態では、粒子回収装置82Bは、円弧状の断面形状を有する。
即ち、このような態様の構成とすることで、UFPの装置外への排出量をより低減し易くなる。
粒子回収装置82Bとしては、電極の他、金属材料、黒鉛、シリコンカーバイドなどの半導体を用いた帯電部材等が用いられる。
例えば、UFPを含む粒子の回収効率を高めるためには、接触領域Nの用紙の搬送方向上流側端部から帯電器及び粒子回収装置へと流れる気流を形成すればよいため、このような気流を形成する整流板を設けてもよい。
整流板は、帯電器及び粒子回収装置へと流れる気流を形成し易い観点から、長尺の板状部材を用い、その板状部材の長手方向を、記録媒体の搬送方向に対して垂直方向(即ち、加熱ベルト91及び加圧ロール95の軸方向)に沿って配置することが好ましい。
なお、整流板の材質は特に限定されず、例えば、樹脂でもよく、金属でもよく、セラミックでもよい。
次いで、本実施形態に係る画像形成装置において、現像手段に収容される現像剤が有するトナーについて、詳細に説明する。
トナー粒子は、例えば、結着樹脂と、離型剤と、必要に応じて、着色剤と、その他添加剤と、を含んで構成される。
離型剤の融解温度は、60℃以上100℃以下であり、60℃以上90℃以下が好ましく、60℃以上75℃以下がより好ましい。
離型剤の融解温度が100℃以下であることで、トナーの低温定着性が高められ、これにより画像形成装置での定着温度を低減し得る。ただし、離型剤の融解温度が100℃以下であるとトナーの定着の際に離型剤の気化が生じ易く、気化した離型剤が空気中で再び凝固することでUFPが発生し易い。しかし、その場合でも、本実施形態によればUFPの画像形成装置外への排出量が低減される。
一方、離型剤の融解温度が60℃以上であることで、トナーの定着の際に離型剤が溶融し過ぎることで定着部材へ離型剤が付着することが抑制される。また、UFPが発生し過ぎることを抑制し得る。
離型剤の融解温度は、離型剤の種類の選択等の公知の方法により制御される。
なお、これらの中でも、トナーの低温定着性の観点から、パラフィンワックス、セシレンワックス、カルナバワックス、脂肪酸エステル、モンタン酸エステルが好ましく、パラフィンワックスがより好ましい。
なお、離型剤の融解温度[T2]は、画像形成装置の定着部材(つまり、2つの回転体のうちの一方の回転体)における定着設定温度[T1]に対して、その差[T1-T2]が30℃以上140℃以下であることが好ましく、40℃以上120℃以下であることがより好ましく、50℃以上100℃以下であることが更に好ましい。
離型剤の融解温度[T2]よりも定着設定温度[T1]が高く且つその差[T1-T2]が140℃以下であることで、画像形成装置での定着温度を低減し得る。一方、前記差[T1-T2]が30℃以上であることで、トナーの定着の際における定着部材へのトナーの付着を抑制し得る。ただし、前記差[T1-T2]が30℃以上であるとトナーの定着の際に離型剤の気化が生じ易く、気化した離型剤が空気中で再び凝固することでUFPが発生し易い。しかし、その場合でも、本実施形態によればUFPの装置外への排出量が低減される。
結着樹脂としては、例えば、スチレン類(例えばスチレン、パラクロロスチレン、α-メチルスチレン等)、(メタ)アクリル酸エステル類(例えばアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n-プロピル、アクリル酸n-ブチル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸2-エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n-プロピル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸2-エチルヘキシル等)、エチレン性不飽和ニトリル類(例えばアクリロニトリル、メタクリロニトリル等)、ビニルエーテル類(例えばビニルメチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル等)、ビニルケトン類(ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルイソプロペニルケトン等)、オレフィン類(例えばエチレン、プロピレン、ブタジエン等)等の単量体の単独重合体、又はこれら単量体を2種以上組み合せた共重合体からなるビニル系樹脂が挙げられる。
結着樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、ポリエーテル樹脂、変性ロジン等の非ビニル系樹脂、これらと前記ビニル系樹脂との混合物、又は、これらの共存下でビニル系単量体を重合して得られるグラフト重合体等も挙げられる。
これらの結着樹脂は、1種類単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
ポリエステル樹脂としては、例えば、公知の非晶性ポリエステル樹脂が挙げられる。ポリエステル樹脂は、非晶性ポリエステル樹脂と共に、結晶性ポリエステル樹脂を併用してもよい。
一方、樹脂の「非晶性」とは、半値幅が10℃を超えること、階段状の吸熱量変化を示すこと、又は明確な吸熱ピークが認められないことを指す。
非晶性ポリエステル樹脂としては、例えば、多価カルボン酸と多価アルコールとの縮重合体が挙げられる。なお、非晶性ポリエステル樹脂としては、市販品を使用してもよいし、合成したものを使用してもよい。
多価カルボン酸は、ジカルボン酸と共に、架橋構造又は分岐構造をとる3価以上のカルボン酸を併用してもよい。3価以上のカルボン酸としては、例えば、トリメリット酸、ピロメリット酸、これらの無水物、又はこれらの低級(例えば炭素数1以上5以下)アルキルエステル等が挙げられる。
多価カルボン酸は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
多価アルコールとしては、ジオールと共に、架橋構造又は分岐構造をとる3価以上の多価アルコールを併用してもよい。3価以上の多価アルコールとしては、例えば、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールが挙げられる。
多価アルコールは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
なお、ガラス転移温度は、示差走査熱量測定(DSC)により得られたDSC曲線より求め、より具体的にはJIS K 7121-1987「プラスチックの転移温度測定方法」のガラス転移温度の求め方に記載の「補外ガラス転移開始温度」により求められる。
非晶性ポリエステル樹脂の数平均分子量(Mn)は、2000以上100000以下が好ましい。
非晶性ポリエステル樹脂の分子量分布Mw/Mnは、1.5以上100以下が好ましく、2以上60以下がより好ましい。
なお、重量平均分子量及び数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)により測定する。GPCによる分子量測定は、測定装置として東ソー製GPC・HLC-8120GPCを用い、東ソー製カラム・TSKgel SuperHM-M(15cm)を使用し、THF溶媒で行う。重量平均分子量及び数平均分子量は、この測定結果から単分散ポリスチレン標準試料により作成した分子量校正曲線を使用して算出する。
なお、原料の単量体が、反応温度下で溶解又は相溶しない場合は、高沸点の溶剤を溶解補助剤として加え溶解させてもよい。この場合、重縮合反応は溶解補助剤を留去しながら行う。共重合反応において相溶性の悪い単量体が存在する場合は、あらかじめ相溶性の悪い単量体とその単量体と重縮合予定の酸又はアルコールとを縮合させておいてから主成分と共に重縮合させるとよい。
結晶性ポリエステル樹脂は、例えば、多価カルボン酸と多価アルコールとの重縮合体が挙げられる。なお、結晶性ポリエステル樹脂としては、市販品を使用してもよいし、合成したものを使用してもよい。
ここで、結晶性ポリエステル樹脂は、結晶構造を容易に形成するため、芳香族を有する重合性単量体よりも直鎖状脂肪族を有する重合性単量体を用いた重縮合体が好ましい。
多価カルボン酸は、ジカルボン酸と共に、架橋構造又は分岐構造をとる3価以上のカルボン酸を併用してもよい。3価のカルボン酸としては、例えば、芳香族カルボン酸(例えば1,2,3-ベンゼントリカルボン酸、1,2,4-ベンゼントリカルボン酸、1,2,4-ナフタレントリカルボン酸等)、これらの無水物、又はこれらの低級(例えば炭素数1以上5以下)アルキルエステルが挙げられる。
多価カルボン酸としては、これらジカルボン酸と共に、スルホン酸基を持つジカルボン酸、エチレン性二重結合を持つジカルボン酸を併用してもよい。
多価カルボン酸は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
多価アルコールは、ジオールと共に、架橋構造又は分岐構造をとる3価以上のアルコールを併用してもよい。3価以上のアルコールとしては、例えば、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等が挙げられる。
多価アルコールは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
なお、融解温度は、示差走査熱量測定(DSC)により得られたDSC曲線から、JIS K7121-1987「プラスチックの転移温度測定方法」の融解温度の求め方に記載の「融解ピーク温度」により求める。
着色剤としては、例えば、カーボンブラック、クロムイエロー、ハンザイエロー、ベンジジンイエロー、スレンイエロー、キノリンイエロー、ピグメントイエロー、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、バルカンオレンジ、ウオッチヤングレッド、パーマネントレッド、ブリリアントカーミン3B、ブリリアントカーミン6B、デュポンオイルレッド、ピラゾロンレッド、リソールレッド、ローダミンBレーキ、レーキレッドC、ピグメントレッド、ローズベンガル、アニリンブルー、ウルトラマリンブルー、カルコオイルブルー、メチレンブルークロライド、フタロシアニンブルー、ピグメントブルー、フタロシアニングリーン、マラカイトグリーンオキサレートなどの種々の顔料、又は、アクリジン系、キサンテン系、アゾ系、ベンゾキノン系、アジン系、アントラキノン系、チオインジコ系、ジオキサジン系、チアジン系、アゾメチン系、インジコ系、フタロシアニン系、アニリンブラック系、ポリメチン系、トリフェニルメタン系、ジフェニルメタン系、チアゾール系などの各種染料等が挙げられる。
着色剤は、1種類単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
その他の添加剤としては、例えば、磁性体、帯電制御剤、無機粉体等の周知の添加剤が挙げられる。これらの添加剤は、内添剤としてトナー粒子に含まれる。
トナー粒子は、単層構造のトナー粒子であってもよいし、芯材(コア粒子)と芯材を被覆する被覆層(シェル層)とで構成された所謂コア・シェル構造のトナー粒子であってもよい。
ここで、コア・シェル構造のトナー粒子は、例えば、結着樹脂と必要に応じて着色剤及び離型剤等のその他添加剤とを含んで構成された芯材と、結着樹脂を含んで構成された被覆層と、で構成されていることがよい。
測定に際しては、分散剤として、界面活性剤(アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウムが好ましい)の5%水溶液2ml中に測定試料を0.5mg以上50mg以下加える。これを電解液100ml以上150ml以下中に添加する。
試料を懸濁した電解液は超音波分散器で1分間分散処理を行い、コールターマルチサイザーIIにより、アパーチャー径として100μmのアパーチャーを用いて2μm以上60μm以下の範囲の粒径の粒子の粒度分布を測定する。なお、サンプリングする粒子数は50000個である。
測定される粒度分布を基にして分割された粒度範囲(チャンネル)に対して体積、数をそれぞれ小径側から累積分布を描いて、累積16%となる粒径を体積粒径D16v、数粒径D16p、累積50%となる粒径を体積平均粒径D50v、累積数平均粒径D50p、累積84%となる粒径を体積粒径D84v、数粒径D84pと定義する。
これらを用いて、体積粒度分布指標(GSDv)は(D84v/D16v)1/2、数粒度分布指標(GSDp)は(D84p/D16p)1/2として算出される。
ここで、トナー粒子が混練粉砕法等の粉砕法によって作製された場合、その形状は不定形になり、例えば形状係数SF1は140以上となる。そして、形状係数SF1が140以上であるトナー粒子では、その製法に由来して表面に離型剤が露出し易くなる。表面に露出している離型剤は、トナーの定着の際に熱によって気化しやすいため、結果としてUFPが発生し易い。しかし、その場合でも、本実施形態によればUFPの画像形成装置外への排出量が低減される。
式:SF1=(ML2/A)×(π/4)×100
上記式中、MLはトナーの絶対最大長、Aはトナーの投影面積を各々示す。
具体的には、形状係数SF1は、主に顕微鏡画像又は走査型電子顕微鏡(SEM)画像を画像解析装置を用いて解析することによって数値化され、以下のようにして算出される。すなわち、スライドガラス表面に散布した粒子の光学顕微鏡像をビデオカメラによりルーゼックス画像解析装置に取り込み、100個の粒子の最大長と投影面積を求め、上記式によって計算し、その平均値を求めることにより得られる。
トナー粒子のトルエン不溶分が上記範囲であることで、離型剤がトナー粒子中に閉じ込められて、離型剤の表面への露出が抑制される。その結果、離型剤によるUFPの発生が抑制される。
秤量したガラス繊維製の円筒ろ紙に秤量したトナー粒子(又はトナー)を1g投入し、加熱式ソックスレー抽出装置の抽出管に装着する。そして、フラスコにトルエンを注入して、マントルヒーターを用いて110℃に加熱する。また、抽出管に装着した加熱ヒーターを用いて抽出管の周部を125℃に加熱する。抽出サイクルが4分以上5分以下の範囲で1回となるような還流速度で抽出を行う。10時間抽出した後、円筒ろ紙とトナー残渣を取り出して乾燥し、秤量する。
そして、式:トナー粒子(又はトナー)残渣量(質量%)=[(円筒ろ紙量+トナー残渣量)(g)-円筒ろ紙量(g)]÷トナー粒子(又はトナー)質量(g)×100に基づいて、トナー粒子(又はトナー)残渣量(質量%)を算出し、このトナー粒子(又はトナー)残渣量(質量%)をトルエン不溶分(質量%)とする。
なお、トナー粒子(又はトナー)残渣は、着色剤、外添剤等の無機物、及び結着樹脂の高分子量成分等からなる。また、トナー粒子に離型剤を含む場合、加熱による抽出を行うことから、離型剤はトルエン可溶分となっている。
外添剤としては、例えば、無機粒子が挙げられる。該無機粒子として、SiO2、TiO2、Al2O3、CuO、ZnO、SnO2、CeO2、Fe2O3、MgO、BaO、CaO、K2O、Na2O、ZrO2、CaO・SiO2、K2O・(TiO2)n、Al2O3・2SiO2、CaCO3、MgCO3、BaSO4、MgSO4等が挙げられる。
疎水化処理剤の量としては、通常、例えば、無機粒子100質量部に対して、1質量部以上10質量部以下である。
次に、本実施形態におけるトナーの製造方法について説明する。
本実施形態におけるトナーは、トナー粒子を製造後、トナー粒子に対して、外添剤を外添することで得られる。
これらの中でも、凝集合一法により、トナー粒子を得ることがよい。
具体的には、例えば、トナー粒子を凝集合一法により製造する場合、
結着樹脂となる樹脂粒子が分散された樹脂粒子分散液を準備する工程(樹脂粒子分散液準備工程)と、樹脂粒子分散液中で(必要に応じて他の粒子分散液を混合した後の分散液中で)、樹脂粒子(必要に応じて他の粒子)を凝集させ、凝集粒子を形成する工程(凝集粒子形成工程)と、凝集粒子が分散された凝集粒子分散液に対して加熱し、凝集粒子を融合・合一して、トナー粒子を形成する工程(融合・合一工程)と、を経て、トナー粒子を製造する。
なお、以下の説明では、着色剤、及び離型剤を含むトナー粒子を得る方法について説明するが、着色剤、離型剤は、必要に応じて用いられるものである。無論、着色剤、離型剤以外のその他添加剤を用いてもよい。
まず、結着樹脂となる樹脂粒子が分散された樹脂粒子分散液と共に、例えば、着色剤粒子が分散された着色剤粒子分散液、離型剤粒子が分散された離型剤粒子分散液を準備する。
水系媒体としては、例えば、蒸留水、イオン交換水等の水、アルコール類等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
界面活性剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
なお、転相乳化法とは、分散すべき樹脂を、その樹脂が可溶な疎水性有機溶剤中に溶解せしめ、有機連続相(O相)に塩基を加えて、中和したのち、水媒体(W相)を投入することによって、W/OからO/Wへの、樹脂の変換(いわゆる転相)が行われて不連続相化し、樹脂を、水媒体中に粒子状に分散する方法である。
なお、樹脂粒子の体積平均粒径は、レーザー回折式粒度分布測定装置(例えば、堀場製作所製、LA-700)の測定によって得られた粒度分布を用い、分割された粒度範囲(チャンネル)に対し、体積について小粒径側から累積分布を引き、全粒子に対して累積50%となる粒径を体積平均粒径D50vとして測定される。なお、他の分散液中の粒子の体積平均粒径も同様に測定される。
次に、樹脂粒子分散液と共に、着色剤粒子分散液と、離型剤粒子分散液と、を混合する。
そして、混合分散液中で、樹脂粒子と着色剤粒子と離型剤粒子とをヘテロ凝集させ目的とするトナー粒子の径に近い径を持つ、樹脂粒子と着色剤粒子と離型剤粒子とを含む凝集粒子を形成する。
凝集粒子形成工程においては、例えば、混合分散液を回転せん断型ホモジナイザーで攪拌下、室温(例えば25℃)で上記凝集剤を添加し、混合分散液のpHを酸性(例えばpHが2以上5以下)に調整し、必要に応じて分散安定剤を添加した後に、上記加熱を行ってもよい。
凝集剤の金属イオンと錯体若しくは類似の結合を形成する添加剤を必要に応じて用いてもよい。この添加剤としては、キレート剤が好適に用いられる。
キレート剤としては、水溶性のキレート剤を用いてもよい。キレート剤としては、例えば、酒石酸、クエン酸、グルコン酸等のオキシカルボン酸、イミノジ酸(IDA)、ニトリロトリ酢酸(NTA)、エチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA)等が挙げられる。
キレート剤の添加量としては、例えば、樹脂粒子100質量部に対して0.01質量部以上5.0質量部以下が好ましく、0.1質量部以上3.0質量部未満がより好ましい。
次に、凝集粒子が分散された凝集粒子分散液に対して、例えば、樹脂粒子のガラス転移温度以上(例えば樹脂粒子のガラス転移温度より10から30℃高い温度以上)に加熱して、凝集粒子を融合・合一し、トナー粒子を形成する。
なお、凝集粒子が分散された凝集粒子分散液を得た後、当該凝集粒子分散液と、樹脂粒子が分散された樹脂粒子分散液と、を更に混合し、凝集粒子の表面に更に樹脂粒子を付着するように凝集して、第2凝集粒子を形成する工程と、第2凝集粒子が分散された第2凝集粒子分散液に対して加熱をし、第2凝集粒子を融合・合一して、コア/シェル構造のトナー粒子を形成する工程と、を経て、トナー粒子を製造してもよい。
洗浄工程は、帯電性の点から充分にイオン交換水による置換洗浄を施すことがよい。また、固液分離工程は、特に制限はないが、生産性の点から吸引濾過、加圧濾過等を施すことがよい。また、乾燥工程も特に方法に制限はないが、生産性の点から凍結乾燥、気流乾燥、流動乾燥、振動型流動乾燥等を施すことがよい。
また、本実施形態におけるトナー粒子は、混練粉砕法等の粉砕法によって作製してもよい。なお、粉砕法により作製された場合、その形状は不定形になり、例えば形状係数SF1は前述の範囲となる。そして、その製法に由来して表面に離型剤が露出し易くなるため、UFPが発生し易くなる。しかし、その場合でも、本実施形態によればUFPの装置外への排出量が低減される。
以下、混練粉砕法の各工程の詳細について説明する。
混練工程は、結着樹脂及び離型剤を含む構成成分(樹脂粒子形成材料)を溶融混練し、混練物を得る工程である。
混練工程に用いられる混練機としては、例えば、三本ロール型、一軸スクリュー型、二軸スクリュー型、バンバリーミキサー型が挙げられる。
また、溶融温度としては、混練する結着樹脂及び離型剤の種類、配合比等に応じて決定されればよい。
冷却工程は、上記混練工程において形成された混練物を冷却する工程である。
冷却工程では、混練工程終了直後の分散状態を保つために、混練工程終了の際における混練物の温度から4℃/sec以上の平均降温速度で40℃以下まで冷却することが好ましい。
なお、平均降温速度とは、混練工程終了の際における混練物の温度から40℃まで降温させる速度の平均値をいう。
冷却工程により冷却された混練物を、粉砕工程で粉砕することで粒子が形成される。
粉砕工程では、例えば、機械式粉砕機、ジェット式粉砕機等が使用される。
粉砕工程で得られた粉砕物(粒子)は、必要に応じて、分級工程にて分級を行ってもよい。
分級工程においては、従来から使用されている遠心式分級機、慣性式分級機等が使用され、微粉(目的とする範囲の粒径よりも小さい粒子)及び粗粉(目的とする範囲の粒径よりも大きい粒子)が除去される。
本実施形態における現像剤は、本実施形態におけるトナーを少なくとも含むものである。
本実施形態における現像剤は、本実施形態におけるトナーのみを含む一成分現像剤であってもよいし、当該トナーとキャリアと混合した二成分現像剤であってもよい。
なお、磁性粉分散型キャリア及び樹脂含浸型キャリアは、当該キャリアの構成粒子を芯材とし、これに被覆樹脂により被覆したキャリアであってもよい。
なお、被覆樹脂、及びマトリックス樹脂には、導電性粒子等、その他添加剤を含ませてもよい。
導電性粒子としては、金、銀、銅等の金属、カーボンブラック、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズ、硫酸バリウム、ホウ酸アルミニウム、チタン酸カリウム等の粒子が挙げられる。
具体的な樹脂被覆方法としては、芯材を被覆層形成用溶液中に浸漬する浸漬法、被覆層形成用溶液を芯材表面に噴霧するスプレー法、芯材を流動エアーにより浮遊させた状態で被覆層形成用溶液を噴霧する流動床法、ニーダーコーター中でキャリアの芯材と被覆層形成用溶液とを混合し、溶剤を除去するニーダーコーター法等が挙げられる。
まず、三口フラスコに、セバシン酸ジメチル100質量部と、ヘキサンジオール67.8質量部と、ジブチルすずオキサイド0.10質量部とを窒素雰囲気下で、反応中に生成された水は系外へ除去しながら、185℃で5時間反応させた後、徐々に減圧しながら220℃まで温度をあげて、6時間反応させた後、冷却した。こうして、重量平均分子量が33700の結晶性樹脂(A)を用意した。
(非晶性樹脂(1)の作製)
また、三口フラスコに、テレフタル酸ジメチル61質量部、フマル酸ジメチル75質量部、ドデセニルコハク酸無水物34質量部、トリメリット酸16質量部と、ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物137質量部と、ビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物191質量部と、ジブチルすずオキサイド0.3質量部とを窒素雰囲気下で、反応により生成された水は系外へ除去しながら、180℃で3時間反応させた後、徐々に減圧しながら280℃まで温度をあげて、2時間反応させた後、冷却した。こうして、重量平均分子量が19000の非晶性樹脂(1)を用意した。
テレフタル酸ジメチル60質量部、フマル酸ジメチル74質量部、ドデセニルコハク酸無水物30質量部、トリメリット酸22質量部とした以外は非晶性樹脂(1)の作製と同様にして非晶性樹脂(2)を作製した。非晶性樹脂(2)の重量平均分子量は19500であった。
テレフタル酸ジメチル60質量部、フマル酸ジメチル70質量部、ドデセニルコハク酸無水物29質量部、トリメリット酸29質量部とした以外は非晶性樹脂(1)の作製と同様にして非晶性樹脂(3)を作製した。非晶性樹脂(3)の重量平均分子量は18200であった。
テレフタル酸ジメチル55質量部、フマル酸ジメチル64質量部、ドデセニルコハク酸無水物27質量部、トリメリット酸46質量部とした以外は非晶性樹脂(1)の作製と同様にして非晶性樹脂(4)を作製した。非晶性樹脂(4)の重量平均分子量は17200であった。
(トナー粒子(1)の作製)
非晶性樹脂(1)79質量部と、着色剤(C.I.Pigment Blue 15:1)7質量部と、離型剤(パラフィンワックス、融解温度73℃、日本精鑞株式会社製)5質量部と、結晶性樹脂(A)(融点71℃)8質量部とを、ヘンシェルミキサ(日本コークス工業株式会社製)に投入し、周速15m/秒で5分間撹拌混合した後、得られた撹拌混合物をエクストルーダー型連続混練機で溶融混練した。
ここで、エクストルーダーの設定条件は、供給側温度が160℃、排出側温度が130℃、冷却ロールの供給側温度が40℃、排出側温度が25℃であった。なお冷却ベルトの温度を10℃に設定した。
得られた溶融混練物を冷却させた後、ハンマーミルを用いて粗粉砕し、次いでジェット式粉砕機(日本ニューマチック工業社製)を用いて6.5μmに微粉砕し、更にエルボージェット分級機(日鉄鉱業株式会社製、型式:EJ-LABO)を用いて分級して、体積平均粒子径6.9μmのトナー粒子(1)を得た。
トナー粒子(1)のSF1は145であり、トルエン不溶分は25質量%であった。
非晶性樹脂(1)の代わりに非晶性樹脂(2)を用いた以外はトナー(1)の作製と同様の方法で、体積平均粒子径6.8μmのトナー粒子(2)を得た。
トナー粒子(2)のSF1は147であり、トルエン不溶分は29質量%であった。
非晶性樹脂(1)の代わりに非晶性樹脂(3)を用いた以外はトナー(1)の作製と同様の方法で体積平均粒子径7.0μmのトナー粒子(3)を得た。
トナー粒子(3)のSF1は149であり、トルエン不溶分は35質量%であった。
非晶性樹脂(1)の代わりに非晶性樹脂(4)を用いた以外はトナー(1)の作製と同様の方法で体積平均粒子径7.3μmのトナー粒子(4)を得た。
トナー粒子(4)のSF1は151であり、トルエン不溶分は40質量%であった。
トナー(1)の作製で用いた離型剤:パラフィンワックスの代わりにセレシンワックス(融解温度92℃)を用いた以外はトナー(1)の作製と同様の方法で体積平均粒径6.8μmのトナー粒子(5)を得た。
トナー粒子(5)のSF1は148であり、トルエン不溶分は33質量%であった。
トナー(1)の作製で用いた離型剤:パラフィンワックスの代わりにパラフィンワックス(ベーカーペトロライト製:ポリワックス725、融解温度105℃)を用いた以外はトナー(1)の作製と同様の方法で体積平均粒子径7.0μmのトナー粒子(C1)を得た。
トナー粒子(C1)のSF1は146であり、トルエン不溶分は45質量%であった。
各トナー粒子100質量部と、外添剤として市販のヒュームドシリカRX50(日本アエロジル製)1.2質量部とを、ヘンシェルミキサー(三井三池製作所製)を使用して周速30m/s、5分の条件で混合し、トナー(1)~(5)、(C1)を得た。
続いて、得られた各トナー8質量部と、キャリア100質量部とを混合して、各々、現像剤(1)~(5)、(C1)を作製した。
なお、キャリアは、フェライト粒子(体積平均粒径:50μm)100質量部と、トルエン14質量部と、スチレン-メチルメタクリレート共重合体(成分比:スチレン/メチルメタクリレート=90/10、重量平均分子量Mw=80000)2質量部とを、まず、フェライト粒子を除く上記成分を10分間スターラーで撹拌させて分散した被覆液を調製し、次に、この被覆液とフェライト粒子とを真空脱気型ニーダー(井上製作所製)に入れて、60℃において30分撹拌した後、さらに加温しながら減圧して脱気し、乾燥させ、その後105μmで篩分して得たものである。
画像形成装置として、画像形成装置(富士ゼロックス社製、製品名「700 Digital Color Press」)を用い、図2に類似する構成の定着装置(定着装置Aともいう)、帯電器及び粒子回収装置を備える装置に改造した。
具体的には、加熱ロールと加圧ベルトとの間に形成される接触領域よりも、記録媒体の搬送方向上流側の周辺に帯電器及び粒子回収装置を図2に示すように配置した画像形成装置に改造した。更に、画像形成装置の排気口に設けられているフィルターを取り外した。
ここで、改造機において、接触領域の搬送方向上流側端部から帯電器までの最短距離は35mmであり、用紙の搬送経路から帯電器までの最短距離は10mm以上40mm以下の範囲内であった。また、帯電器と粒子回収装置との最短距離は10mmであった。
なお、加熱ロールの定着設定温度は、155℃とした。
帯電器としては、長尺のコロナ放電装置(キーエンス(株)社製のコロナ放電装置の改造品)を1つ用いており、帯電条件は印加電圧-5kVであった。また、粒子回収装置としては、長尺の電極(東海カーボン社製の電極の改造品)を1つ用いており、帯電条件は印加電圧+5kVであった。
そして、この画像形成装置の現像装置内に、表1に示す現像剤を収容した。
画像形成装置として、画像形成装置(富士ゼロックス社製、製品名「700 Digital Color Press」)を用い、図3に類似する構成の定着装置(定着装置Bともいう)、帯電器及び粒子回収装置を備える装置に改造した。
具体的には、加熱ベルトと加圧ロールとの間に形成される接触領域よりも、記録媒体の搬送方向上流側の周辺に帯電器及び粒子回収装置を図3に示すように配置した。更に、画像形成装置の排気口に設けられているフィルターを取り外した。
ここで、改造機において、接触領域の搬送方向上流側端部から帯電器までの最短距離は35mmであり、用紙の搬送経路から帯電器までの最短距離は10mm以上40mm以下の範囲内であった。また、帯電器と粒子回収装置との最短距離は10mmであった。
なお、加熱ベルトの定着設定温度は、155℃とした。
帯電器としては、長尺のコロナ放電装置(キーエンス(株)社製のコロナ放電装置の改造品)を1つ用いており、帯電条件は印加電圧-5kVであった。また、粒子回収装置は、円弧状の断面形状を有する長尺の電極(東海カーボン社製の電極の改造品)を1つ用いており、帯電条件は印加電圧+5kVであった。
そして、この画像形成装置の現像装置内に、表1に示す現像剤を収容した。
比較例1は、実施例A1の画像形成装置から帯電器、及び粒子回収装置を除いた画像形成装置とした。
比較例2は、実施例B1の画像形成装置から帯電器、及び粒子回収装置を除いた画像形成装置とした。
参考例は、実施例A1の画像形成装置から帯電器及び粒子回収装置を除き、現像装置内にトナー粒子(C1)を含む現像剤を収容した画像形成装置とした。
なお、加熱ロールの定着設定温度は、表1に示す通りとした。
(低温定着性の評価)
J紙(A4)上にトナーの載り量が4.0g/m2になる4cm×5cmの未定着画像のパッチを作成し、これをプロセススピード140mm/secに固定した条件で印画し、定着温度を80~180℃の範囲で5℃おきに温度を変えて定着し、オフセットの起こらない最も低い定着温度(最低定着温度)を測定し、以下の基準で評価した。
評価基準は、次の通りである。
A(◎): 最低定着温度が120℃未満
B(○): 最低定着温度が120℃以上130℃未満
C(△): 最低定着温度が130℃以上140℃未満
D(×): 最低定着温度が140℃以上
温度22℃、湿度55%RHの環境下、A3サイズの用紙1000枚の両面に、画像濃度100%の画像を連続して形成した。画像形成中に、画像形成装置から排出されるUFPを、富士ゼロックス社内国際検証センターにおいて、RAL UZ-171に基づいて、粒子エミッション率(PER10 PW)を測定した。
測定された粒子エミッション率の値[単位(粒子数/10分)]を元に、G1~G3の3段階で評価した。なお、比較例の捕集部材を配置しない定着装置を備えた場合を基準(G3)として相対評価で行った。G1が最も値が小さく、UFPが少ないことを示す。
なお、参考例は、トナーに含まれる離型剤の融解温度が100℃を超えているため、トナーに含まれる離型剤に由来するUPFの排出量が少なかった。
また、参考例では、最低定着温度が、実施例及び比較例に比べて高いため、低温定着性は低い結果となった。
11 感光体(像保持体の一例)
12 帯電器(像保持体帯電手段の一例)
13 レーザ露光器(静電潜像形成手段の一例)
14 現像器(現像手段の一例)
15 中間転写ベルト
16 一次転写ロール(転写手段の一例)
17 感光体クリーナ
20 二次転写部
22 二次転写ロール(転写手段の一例)
25 背面ロール
26 給電ロール
31 駆動ロール
32 支持ロール
33 張力付与ロール
34 クリーニング背面ロール
35 中間転写ベルトクリーナ
40 制御部
42 基準センサ
43 画像濃度センサ
50 用紙収容部
51 給紙ロール
52 搬送ロール
53 搬送ガイド
55 搬送ベルト
56 定着入口ガイド
60、90 定着装置(定着手段の一例)
80 帯電器(粒子帯電手段の一例)
82、82A、82B 粒子回収装置(粒子回収手段の一例)
P 用紙(記録媒体の一例)
K 記録媒体の搬送経路
Claims (15)
- 像保持体と、
前記像保持体の表面を帯電する像保持体用帯電手段と、
帯電した前記像保持体の表面に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、
融解温度が60℃以上100℃以下の離型剤を含むトナー粒子を有するトナーを含む現像剤を収容し、前記現像剤により前記像保持体の表面に形成された静電潜像を現像してトナー像を形成する現像手段と、
前記トナー像を記録媒体に転写する転写手段と、
互いの外周面同士が対向接触して接触領域を形成する2つの回転体を有し、前記2つの回転体のうち少なくとも一方がベルト部材であり、転写された前記トナー像を有する前記記録媒体を前記接触領域に挿通させて、前記トナー像を前記記録媒体に定着させる定着手段と、
前記接触領域の前記記録媒体の搬送方向上流側の周辺且つ前記記録媒体の前記トナー像の形成面側に設けられ、粒子を帯電させる粒子帯電手段と、
前記粒子帯電手段に近接して設けられ、粒子とは逆極性に帯電する粒子回収手段と、
を備える画像形成装置。 - 前記トナー粒子における前記離型剤の融解温度が60℃以上90℃以下である請求項1に記載の画像形成装置。
- 前記トナー粒子における前記離型剤がパラフィンワックスである請求項1又は請求項2に記載の画像形成装置。
- 前記トナー粒子が結晶性樹脂を含む請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
- 前記結晶性樹脂の含有量が、トナー粒子の質量に対して3質量%以上20質量%以下である請求項4に記載の画像形成装置。
- 前記結晶性樹脂の含有量が、トナー粒子の質量に対して5質量%以上15質量%以下である請求項4又は請求項5に記載の画像形成装置。
- 前記トナー粒子のトルエン不溶分が25質量%以上40質量%以下である請求項1~請求項6のいずれか1項に記載の画像形成装置。
- 前記トナー粒子の形状係数SF1が140以上である請求項1~請求項7のいずれか1項に記載の画像形成装置。
- 前記2つの回転体のうちの一方の回転体における定着設定温度が100℃以上200℃以下である、請求項1~請求項8のいずれか1項に記載の画像形成装置。
- 前記定着設定温度が120℃以上200℃以下である、請求項9に記載の画像形成装置。
- 前記2つの回転体のうちの一方が内部に加熱手段を有するロール又はベルトである、請求項9又は請求項10に記載の画像形成装置。
- 前記2つの回転体のうちの一方の回転体における定着設定温度T1と、前記トナー粒子における前記離型剤の融解温度T2と、の差[T1-T2]が30℃以上140℃以下である、請求項9~請求項11のいずれか1項に記載の画像形成装置。
- 前記粒子帯電手段と、前記接触領域の前記記録媒体の搬送方向上流側端部と、の距離が30mm以上70mm以下である、請求項1~請求項12のいずれか1項に記載の画像形成装置。
- 前記粒子帯電手段と前記記録媒体の搬送経路との最短距離が10mm以上40mm以下である、請求項1~請求項13のいずれか1項に記載の画像形成装置。
- 前記粒子帯電手段が浮遊している前記粒子を帯電させる手段である、請求項1~請求項14のいずれか1項に記載の画像形成装置。
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