JP6729093B2 - 画像形成装置 - Google Patents
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Description
本発明の課題は、角周波数が6.28rad/sec、歪量が0.3%で測定した複素弾性率が1×106Pa以上1×108Pa以下となる範囲において、正接損失の最大値(tanδP1)が2未満であるトナーを用いる場合に比べ、電磁誘導加熱方式の定着手段で生じる定着ムラの発生が抑制された画像形成装置を提供することにある。
像保持体と、
前記像保持体の表面を帯電する帯電手段と、
帯電した前記像保持体の表面に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、
前記像保持体の表面に形成された静電潜像を静電潜像現像剤によりトナー像として現像し、前記静電潜像現像剤として、結晶性ポリエステル樹脂を含む結着樹脂を含有し、角周波数が6.28rad/sec、歪量が0.3%で測定した複素弾性率が1×106Pa以上1×108Pa以下となる範囲において、正接損失の最大値(tanδP1)が2以上2.5以下であるトナー粒子を有する静電潜像現像剤を収容する現像手段と、
前記像保持体の表面に形成されたトナー像を記録媒体の表面に転写する転写手段と、
管状の基材、及び前記基材の外周上に配置され電磁誘導により発熱する金属発熱層を有する定着ベルト、前記定着ベルトの外周面に接触して前記定着ベルトを加圧する加圧部材、並びに前記定着ベルトの前記金属発熱層を電磁誘導によって発熱させる電磁誘導発熱手段を有し、表面に前記トナー像が転写された前記記録媒体を前記定着ベルトと前記加圧部材との接触部で挟み込んで前記トナー像を定着する定着手段と、
を備える画像形成装置である。
前記トナー粒子は、前記正接損失の最大値(tanδP1)が2以上2.3以下である<1>に記載の画像形成装置である。
前記トナー粒子は、角周波数が6.28rad/sec、歪量が0.3%で測定した複素弾性率が1×106Pa以上1×107Pa以下となる範囲において、正接損失の最大値(tanδP2)が2以上2.3以下である<1>または<2>に記載の画像形成装置である。
前記トナー粒子は、前記正接損失の最大値(tanδP2)が2以上2.2以下である<3>に記載の画像形成装置である。
前記トナー粒子は、前記結晶性ポリエステル樹脂の融解温度−30℃での動的複素粘性率(η* −30)が3×107Pa・s以上であり、前記結晶性ポリエステル樹脂の融解温度−10℃での動的複素粘性率(η* −10)が1×106Pa・s以上5×107Pa・s以下である<1>〜<4>のいずれか1項に記載の画像形成装置である。
前記トナー粒子は、前記結晶性ポリエステル樹脂の融解温度−10℃での動的複素粘性率(η* −10)が2×106Pa・s以上3×107Pa・s以下である<5>に記載の画像形成装置である。
前記トナー粒子は、前記結晶性ポリエステル樹脂の融解温度−10℃での動的複素粘性率(η* −10)が4×106Pa・s以上2×107Pa・s以下である<5>または<6>に記載の画像形成装置である。
前記トナー粒子は、前記結晶性ポリエステル樹脂の融解温度−30℃での動的複素粘性率(η* −30)が1×108Pa・s以上である<5>〜<7>のいずれか1項に記載の画像形成装置である。
前記トナー粒子は、前記結晶性ポリエステル樹脂の融解温度−30℃での動的複素粘性率(η* −30)が5×108Pa・s以上である<5>〜<8>のいずれか1項に記載の画像形成装置である。
前記定着手段における前記定着ベルト及び前記加圧部材の少なくとも一方を、前記記録媒体の搬送方向と交差する方向にずらす手段を有する<1>〜<9>のいずれか1項に記載の画像形成装置である。
本実施形態に係る画像形成装置は、像保持体と、前記像保持体の表面を帯電する帯電手段と、帯電した前記像保持体の表面に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、トナー粒子を有する静電潜像現像剤(以下、「現像剤」とも称す)を収容し、前記静電潜像現像剤により前記像保持体の表面に形成された静電潜像を現像してトナー像を形成する現像手段と、前記像保持体の表面に形成されたトナー像を記録媒体の表面に転写する転写手段と、前記記録媒体の表面に転写された前記トナー像を定着する定着手段と、を備える。
この効果が奏される理由は定かではないが、以下のように推測される。
そこで、この通紙傷の発生を抑制する目的で、定着手段における定着ベルト及び加圧部材の少なくとも一方を記録媒体の搬送方向と交差する方向にずらす装置(移動装置)が用いられている。移動装置により、定着手段の定着ベルト及び加圧部材の少なくとも一方を記録媒体の搬送方向と交差する方向にずらすことで、定着ベルト及び加圧部材のニップ部を通過する記録媒体の位置がずれる。つまり、定着時において、定着ベルト及び加圧部材の外周面と記録媒体の端部との接触位置が変えられる。このため、定着ベルト及び加圧部材の外周面の通紙傷の発生が抑制される。
本実施形態におけるトナー粒子において、上記正接損失の最大値(tanδP1)が2以上であるということは、トナー粒子の粘弾性において弾性が支配的になっており、つまりトナー粒子が軟化しがたいことの指標である。
本実施形態に係る画像形成装置では、上記特性を有するトナー粒子を含むトナーを用いて画像を形成することにより、電磁誘導加熱方式の定着手段で生じる定着ムラの発生が抑制される。
その理由は定かではないが、以下に示す理由によるものと考えられる。
電磁誘導発熱手段を有する定着手段では、上述したように、定着ベルト及び加圧部材の軸方向(部材軸方向)において、ニップ圧がより高い箇所とより低い箇所が生じることがある。つまり、ニップ圧が不均一になることがある。また、温度が不均一になることもある。
部材軸方向においてニップ圧又は温度が不均一になると、トナーがニップ部で加圧及び加熱された際に、溶融しすぎるトナーと、溶融が不十分であるトナーとが生じやすくなる。これにより、トナーの定着が不均一に行われやすくなり、その結果、定着ムラが発生しやすくなる。
そこで、本実施形態では、トナー粒子として上記正接損失の最大値(tanδP1)が特定の範囲にあるトナー粒子、つまり軟化しにくいトナー粒子を適用する。
このようなトナー粒子を含むトナーは、ニップ部で加圧及び加熱されても軟化しにくいため溶融しにくいトナー(溶融速度が遅いトナー)である。上記特性のトナー粒子を含むトナーを用いることにより、ニップ部において周囲よりもニップ圧が高い箇所又はニップ温度が高い箇所が生じた場合でも、かかる箇所において、トナーが過度に溶融することが抑制される。つまり、部材軸方向におけるニップ部で付加される圧力、温度の違いによるトナーの溶融の度合い(溶融速度)の差が低減される。
したがって、本実施形態によれば、トナーが定着される際に、ニップ圧又は温度が不均一になった場合でも、部材軸方向でのトナーの定着が均一に近い状態で行われやすくなる。その結果、定着ムラの発生が抑制される。
中間転写方式の装置の場合、転写装置は、例えば、表面にトナー像が転写される中間転写体と、像保持体の表面に形成されたトナー像を中間転写体の表面に一次転写する一次転写装置と、中間転写体の表面に転写されたトナー像を記録媒体の表面に二次転写する二次転写装置と、を有する構成が適用される。
図1に示す画像形成装置は、色分解された画像データに基づくイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色の画像を出力する電子写真方式の第1乃至第4の画像形成ユニット10Y、10M、10C、10Kを備えている。これらの画像形成ユニット(以下、単に「ユニット」と称する場合がある)10Y、10M、10C、10Kは、水平方向に互いに予め定められた距離離間して並設されている。なお、これらユニット10Y、10M、10C、10Kは、画像形成装置に対して脱着するプロセスカートリッジであってもよい。
また、各ユニット10Y、10M、10C、10Kの現像装置4Y、4M、4C、4Kのそれぞれには、トナーカートリッジ8Y、8M、8C、8Kに収められたイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4色のトナーを含むトナーの供給がなされる。
なお、一次転写装置5Yは、中間転写体20の内側に配置され、感光体1Yに対向した位置に設けられている。更に、各一次転写装置5Y、5M、5C、5Kには、一次転写バイアスを印加するバイアス電源(図示せず)がそれぞれ接続されている。各バイアス電源は、各一次転写装置に印加する転写バイアスを可変する。
まず、動作に先立って、帯電装置2Yによって感光体1Yの表面が帯電される。
帯電した感光体1Yの表面に、イエロー用の画像データに従って、静電潜像形成装置3により光3Yを出力する。光3Yは、感光体1Yの表面に照射され、それにより、イエロー画像パターンの静電潜像が感光体1Yの表面に形成される。
感光体1Y上に形成された静電潜像は、感光体1Yの走行に従って予め定められた現像位置まで回転される。そして、この現像位置で、感光体1Y上の静電潜像が、現像装置4Yによってトナー像として可視像(現像像)化される。具体的には、感光体1Yの表面が現像装置4Yを通過していくことにより、感光体1Y表面上の除電された静電潜像にイエロートナーが静電的に付着し、潜像がイエロートナーによって現像される。イエローのトナー像が形成された感光体1Yは、引続き予め定められた速度で走行され、感光体1Y上に現像されたトナー像が予め定められた一次転写位置へ搬送される。
感光体1は、例えば、導電性基体と、この導電性基体上に形成された下引き層と、この下引き層の上に形成された感光層と、を有する。この感光層は、電荷発生層と電荷輸送層との2層構造であってもよい。感光層は、有機感光層であってもよいし、無機感光層であってもよい。感光体1は、感光層上に保護層を設けた構成であってもよい。
帯電装置2は、例えば、感光体1表面に接触または非接触で設けられ、図示しないが、感光体1の表面を帯電する帯電部材、及び帯電部材に帯電電圧を印加する電源を備えている。電源は、帯電部材に電気的に接続されている。
静電潜像形成装置3としては、例えば、感光体1表面に、半導体レーザ光、LED光、液晶シャッタ光等の光を、定められた像様に露光する光学系機器等が挙げられる。光源の波長は感光体1の分光感度領域内とする。半導体の波長としては、780nm付近に発振波長を有する近赤外が主流である。しかし、この波長に限定されず、600nm台の発振波長レーザや青色レーザとして400nm以上450nm以下に発振波長を有するレーザも利用してもよい。また、カラー画像形成のためにはマルチビームを出力し得るタイプの面発光型のレーザ光源も有効である。
現像装置4は、例えば、静電潜像形成装置3による光3の照射位置より感光体1の回転方向下流側に設けられている。現像装置4内には、現像剤を収容する収容部(不図示)が設けられている。この収容部には、前述の正接損失の最大値(tanδP1)が特定の範囲にあるトナー粒子を含む静電潜像現像剤が収容されている
感光体1上に供給されたトナーは、例えば、感光体1上の静電潜像に静電力により付着する。詳細には、例えば、感光体1と現像装置4の現像部材との向かい合う領域における電位差、すなわち、該領域における感光体1の表面の電位と現像装置4の現像部材の現像電位との電位差によって、現像剤に含まれるトナーが感光体の静電潜像の形成された領域に供給される。なお、現像剤にキャリアが含まれている場合には、該キャリアは現像部材に保持されたまま現像装置4内に戻る。
一次転写装置5は、例えば、現像装置4の配設位置より感光体1の回転方向下流側に設けられている。一次転写装置5は、図示しないが、例えば、感光体1の表面に形成されたトナー像を中間転写体20へ転写する転写部材と、転写部材に転写電圧を印加する電源と、を備えている。転写部材は、例えば、円柱状とされており、感光体1との間で中間転写体20を挟んで設けられる。転写部材は、例えば、電源に電気的に接続されている。
中間転写体20としては、半導電性を付与したポリイミド、ポリアミドイミド、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエステル、ゴム等を含むベルト状の部材(中間転写ベルト)が使用される。また、中間転写体20の形態としては、ベルト状の部材以外にドラム状の部材であってもよい。
二次転写装置26は、図示しないが、例えば、中間転写体20の表面に形成されたトナー像を記録紙Pへ転写する転写部材と、転写部材に転写電圧を印加する電源と、を備えている。転写部材は、例えば、円柱状とされており、中間転写体20との間で記録紙Pを挟んで設けられる。転写部材は、例えば、電源に電気的に接続されている。
感光体クリーニング装置6は、一次転写装置5より感光体1の回転方向下流側に設けられている。感光体クリーニング装置6は、トナー像を記録紙Pに転写した後に、感光体1に付着した残留トナーをクリーニングする。感光体クリーニング装置6では、残留トナー以外にも、紙粉等の付着物をクリーニングする。
定着装置28は、例えば、図2に示すように、電磁誘導加熱方式の定着装置であり、筐体60の内部に、金属発熱層を有する定着ベルト62と、加圧ロール64(加圧部材の一例)と、電磁誘導部66(電磁誘導発熱手段の一例)と、を備える。また、定着ベルト62の内部には、押圧パッド68と、押圧パッド68を支持するパッド支持部材70とが配置されている。なお、図2中、T1は、定着前のトナー像を示し、T2は、定着画像を示す。
図3は、本実施形態に用いられる定着ベルトの一例を示す概略構成図である。図3に示す定着ベルト62は、管状の基材62Aの外周面上に、金属発熱層と、弾性層62Eと、離型層62Fと、が順に積層された層構成を有する無端ベルトである。なお、金属発熱層は、下地金属層62B、電磁誘導作用により自己発熱する電磁誘導金属層62C、及び金属保護層62Dがこの順に積層されてなる。
基材62Aは、隣接する金属発熱層が発熱した状態でも物性の変化が少なく、高強度を維持する層であることがよい。このため、基材62Aは、主として耐熱性樹脂から構成される(例えば質量比で50%以上含まれる)ことが好ましい。
また、耐熱性樹脂中に断熱効果のある充填材を加えたり、耐熱性樹脂を発泡させることにより、断熱効果を更に向上させてもよい。
なお、基材の引張り強度(MPa)は、基材を幅5mmの短冊形状に切り出し、これを引張試験機Model 1605N(アイコーエンジニアリング社製)に設置し、10mm/sec等速で引張った際の引張破断強度(MPa)にして測定される。
下地金属層62Bは、基材62Aの外周面に電磁誘導金属層62Cを電解めっき法により形成するために予め形成される層であり、必要に応じて設けられる。
電磁誘導金属層62Cは、磁界が印加された際にこの層内に発生する渦電流により発熱する機能を有する発熱層であり、電磁誘導作用を生ずる金属で構成される。
電磁誘導作用を生ずる金属としては、例えば、ニッケル、鉄、銅、金、銀、アルミニウム、クロム、錫、亜鉛などの単一金属、又は、2種類以上の金属を含む合金を選択してもよい。コスト、発熱性能、及び加工性を考慮すると、銅、ニッケル、アルミニウム、鉄、クロムが適しており、その中でも特に、銅又は銅を主成分とする(例えば質量比で50%以上含まれる)合金が望ましい。
電磁誘導金属層62Cの外周表面側には、膜強度を向上させ、繰り返しの変形による亀裂や、長時間の繰り返し加熱による酸化劣化等を抑制し、発熱特性を維持するために、金属保護層62Dを電磁誘導金属層62Cと接触して設けることが好ましい。
電界めっき法により形成する場合、まずニッケルイオン等の金属イオンを含むめっき液を準備し、このめっき液に下地金属層62B及び電磁誘導金属層62Cを有する基材62Aを浸漬して電解めっきを行い、求められる厚さの電解めっき層を形成する。
金属発熱層の最外表面を構成する層(図3では金属保護層62D)と弾性層62Eとの間には、両層の接着性を向上させる観点で、接着剤層を介在させてもよい。
弾性層62Eは、記録媒体上のトナー像の凹凸に追従して、定着ベルトの表面がトナー像に密着する役割を担う層である。特に、多色画像を形成する場合、弾性層62Eにより、記録媒体及びトナー像の加熱ムラによる発色性低下及び光沢ムラが抑制された画像が得られる。また、弾性層62Eが加圧部材との接触領域内で変形し、低荷重でも接触幅が得られることから、プロセス速度(記録媒体の搬送速度)が速くなってもトナー像への熱の受け渡しがなされて定着が行われ、白黒画像を形成する場合でも、高速化が実現される。
なお、本実施形態における弾性層62Eには、弾性材料としてシリコーンゴムが好ましく用いられる。シリコーンゴムとしては、例えば、RTVシリコーンゴム、HTVシリコーンゴム、液状シリコーンゴムなどが挙げられ、具体的には、ポリジメチルシリコーンゴム(MQ)、メチルビニルシリコーンゴム(VMQ)、メチルフェニルシリコーンゴム(PMQ)、フルオロシリコーンゴム(FVMQ)等が挙げられる。
市販品としては、例えば、東レダウコーニングシリコーン社製の液状シリコーンゴムSE6744等が挙げられる。
市販品としては、例えば、DuPont Dow elastmers社製のバイトンB−202等が挙げられる。
例えば、弾性層62Eの熱伝導性を向上させる観点から、フィラーを添加することが好ましい。
離型層62Fは、記録媒体と接触する側の面(外周面)に、定着時に溶融状態のトナー像が固着するのを抑制する役割を担う層である。離型層62Fは、必要に応じて設けられる。
金属発熱層上に、弾性層62Eと離型層62Fを塗布法により形成する場合には、これらの層を塗布形成する前に、金属発熱層表面や弾性層62E表面に必要に応じて適切なプライマー材料による前処理を行うことが望ましい。この前処理を行うことにより各層間の接着性がより向上される。
加圧ロール64は、不図示の駆動源により矢印R方向に回転可能に筐体60により支持されている。なお、図2では加圧部材としてロール状である加圧ロール64を示したが、加圧部材はベルト状の部材であってもよい。ただし、転写ニップでのニップ圧力をより簡便に高くし定着性を向上させる観点から、ロール状の部材であることが好ましい。
ここで、加圧ロール64は、弾性体72(例えばバネ等)により、定着ベルト62を介して押圧パッド68に押圧された状態で支持されている。そして、加圧ロール64は、弾性体72の押圧力に抗って定着ベルト62から離間させる駆動部材74(例えば、伸縮駆動するアクチュエータ等)が連結されている。
電磁誘導部66は、定着ベルト62の外周面に離間して配置される電磁誘導コイル66Aを有している。電磁誘導コイル66Aは、電磁誘導コイル66Aに対して定着ベルト62の外周面と反対側に設けられたコイル支持部材66Bにより固定されている。電磁誘導コイル66Aは不図示の電源に接続されており、電磁誘導コイル66Aに交流電流が流された際に、電磁誘導コイル66Aに定着ベルト62の外周面と交差(例えば直交)する磁界を発生し得る。なお、前記磁界は不図示の励磁回路により、定着ベルト62に有する金属発熱層中に渦電流を発生し得るよう、磁界の方向を変動するものである。
移動装置80は、例えば、図示しないが、回転モータと、回転モータの回転トルクを記録紙Pの搬送方向に交差する方向の直進動作に変換する動作変換機構と、を備えている。この動作変換機構の動作により、定着装置28の筐体60に作用し、定着装置28(つまり定着ベルト62及び加圧ロール64)が記録紙Pの搬送方向に交差する方向にずれる。
この動作変換機構としては、例えば、ボールネジ機構、ピニオン−ラック機構等がある。回転モータには、例えば、目的とする動作量で動作させることが可能なモータ(サーボモータ、ステッピングモータ等)がある。
なお、移動装置80のモータとして、直進動作を行うモータ(リニアモータ等)を採用してもよい。この場合、動作変換機構は不要である。
定着装置及び移動装置の動作について説明する。なお、この動作は、制御装置50の制御により実施される。
まず、加圧ロール64を矢印R方向へ回転させ、加圧ロール64の回転に伴い、定着ベルト62を従動回転させる。次に、電磁誘導コイル66Aにより磁界を発生させ、回転する定着ベルト62に磁界を曝す。この際、電磁誘導コイル66Aにより定着ベルト62中の金属発熱層には渦電流が発生し発熱する。これにより、定着ベルト62の外周面が定着可能な温度(例えば150℃以上200℃以下)にまで加熱される。
まず、定着ベルト62に加圧ロール64を押圧している状態(具体的には、加圧ロール64が定着ベルト62を介して押圧パッド68に押圧された状態:図4(A)参照)から、駆動部材74を駆動し、定着ベルト62から離間する方向に、加圧ロール64を弾性体72の押圧力に抗って退避させる(図4(B)参照)。これにより、加圧ロール64による押圧を解除する。
(A)定着ベルト62と加圧ロール64とのニップ部における記録紙Pの通過時間(定着が実施された時間)が、予め定められた通過時間に達するごとに、周期的に実施する。
(B)定着ベルト62と加圧ロール64とのニップ部を通過する記録紙Pの通過量が予め定められた通過量に達するごとに、周期的に実施する。
(C)画像形成停止中(例えば、画像濃度又は階調の補正データを取得する動作等の初期設定動作中)に実施する。
制御装置50は、装置全体の制御及び各種演算を行うコンピュータとして構成されている。具体的には、制御装置は、図示しないが、CPU(中央処理装置; Central Processing Unit)、各種プログラムを記憶したROM(Read Only Memory)、プログラムの実行時にワークエリアとして使用されるRAM(Random Access Memory)、各種情報を記憶する不揮発性メモリ、及び入出力インターフェース(I/O)を備えている。CPU、ROM、RAM、不揮発性メモリ、及びI/Oの各々は、バスを介して接続されている。
なお、画像形成部は、画像形成装置10の主要構成として説明したものである。つまり、画像形成部は、感光体1、帯電装置2、静電潜像形成装置3、現像装置4、一次転写装置5、中間転写体20の駆動ロール22、二次転写装置26、定着装置28、移動装置80の各々は、制御装置50と接続されている。制御装置50は、これら各装置との間で情報の授受を行って各装置を制御する。
本実施形態に係る画像形成装置において、現像手段に収容される現像剤は、以下に示すトナー粒子を含む静電潜像現像用トナー(以下、トナーとも称する)を有する。
本実施形態におけるトナー粒子は、結晶性ポリエステル樹脂を含む結着樹脂を含有し、角周波数が6.28rad/sec、歪量が0.3%で測定した複素弾性率が1×106Pa以上1×108Pa以下となる範囲において、正接損失の最大値(tanδP1)が2以上2.5以下である。
本実施形態におけるトナー粒子は、角周波数が6.28rad/sec、歪量が0.3%で測定した複素弾性率が1×106Pa以上1×108Pa以下となる範囲において、正接損失の最大値(tanδP1)が2以上2.5以下である。なお、この正接損失の最大値(tanδP1)は、2以上2.3以下であることが好ましい。
上記正接損失の最大値(tanδP1)が2以上であることで、電磁誘導加熱方式の定着手段で生じる定着ムラの発生が抑制される。
一方、上記正接損失の最大値(tanδP1)が2.5以下であることで、粘性が高まり過ぎることが抑制されるため、オフセットが抑制できる。
上記正接損失の最大値(tanδP2)が2以上であることで、電磁誘導加熱方式の定着手段で生じる定着ムラの発生が抑制される。
一方、上記正接損失の最大値(tanδP2)が2.3以下であることで、粘性が高まり過ぎることが抑制されるため、オフセットが抑制できる。
ここで、正接損失の値の算出は、正弦波振動法により測定した動的粘弾性から求められる。動的粘弾性の測定には、レオメトリックサイエンティフィック社製ARES測定装置を用いる。動的粘弾性の測定は、錠剤状に成形したトナー粒子を、8mm径のパラレルプレートにセットし、ノーマルフォースを0とした後に6.28rad/secの振動周波数で正弦波振動を与えて実施する。測定は60℃から開始し、150℃まで継続する。測定時間インターバルは30秒、昇温は1℃/minとし、歪量を0.3%にし、複素弾性率及び正接損失を求め、そこから複素弾性率1×106Pa以上1×108Pa以下の範囲における正接損失の最大値(tanδP1)、及び複素弾性率1×106Pa以上1×107Pa以下の範囲における正接損失の最大値(tanδP2)が求められる。
トナー粒子における正接損失の最大値(tanδP1)及び上記正接損失の最大値(tanδP2)を上記範囲に制御する方法について説明する。制御方法としては、特に限定されるものではないが、後述する凝集合一法によってトナー粒子を得る場合であれば、凝集粒子を形成する際に、ステアリン酸ステアリル、パルミチン酸パルミチル、ベヘン酸ベヘニル、モンタン酸ステアリル等の炭素数12〜30の高級アルコールと炭素数12〜30の高級脂肪酸とからなるエステル類;ステアリン酸ブチル、ベヘン酸イソブチル、モンタン酸プロピル、オレイン酸2−エチルヘキシル等の炭素数12〜30の高級脂肪酸と低級モノアルコールとからなるエステル類;モンタン酸モノエチレングリコールエステル、エチレングリコールジステアレート、モノステアリン酸グリセリド、モノベヘン酸グリセリド、トリパルミチン酸グリセリド、ペンタエリスリトールモノベヘネート、ペンタエリスリトールジリノレート、ペンタエリスリトールトリオレエート、ペンタエリスリトールテトラステアレート等の炭素数12〜30の高級脂肪酸と多価アルコールとからなるエステル類;ジエチレングリコールモノベヘネート、ジエチレングリコールジベヘネート、ジプロピレングリコールモノステアレート、ジステアリン酸ジグリセリド、テトラステアリン酸トリグリセリド、ヘキサベヘン酸テトラグリセリド、デカステアリン酸デカグリセリド等の炭素数12〜30の高級脂肪酸と多価アルコール多量体とからなるエステル類;グリセリンモノアセトモノステアレート、グリセリンモノアセトモノリノレート、ジグリセリンモノアセトジステアレート等の炭素数12〜30の高級脂肪酸と多価アルコールの単量体又は多量体(短鎖の官能基が含有されていてもよい)とからなるエステル;ソルビタンモノステアレート、ソルビタンジベヘネート、ソルビタントリオレエート等のソルビタン高級脂肪酸エステル類;コレステリルステアレート、コレステリルオレエート、コレステリルリノレート等のコレステロール高級脂肪酸エステル類等のエステル化合物を、樹脂粒子分散液等が混合された混合分散液中に含有させ、その量を調整する方法が挙げられる。
ステアリン酸ステアリル等のエステル化合物は、凝集粒子を形成する際に樹脂粒子表面に付着し、表面の見かけ上のガラス転移温度を低下させ、凝集粒子の安定性を向上させるとともに樹脂の表面に付着し粒子の熱に対する応答性を向上させるように作用する。このため上記条件での正接損失の最大値(tanδP1及びtanδP2)が高められるものと考えられる。
なお、エステル化合物は、予め分散液中に分散したエステル化合物分散液とした上で、凝集粒子形成の際に前記混合分散液中に添加してもよい。
水ガラス等の金属酸化物は、凝集粒子を形成する際に樹脂粒子内に適当な距離をおいて存在しやすくなるため、定着時に加熱されると樹脂分子に対しより粘度を低下させるように作用する。このため上記条件での正接損失の最大値(tanδP1及びtanδP2)が高められる。
本実施形態におけるトナー粒子は、トナー粒子中に含まれる結晶性ポリエステル樹脂の融解温度−30℃の条件における動的複素粘性率(η* −30)が、3×107Pa・s以上であり、かつ前記結晶性ポリエステル樹脂の融解温度−10℃の条件における動的複素粘性率(η* −10)が、1×106Pa・s以上5×107Pa・s以下の範囲であることが好ましい。
結晶性ポリエステル樹脂の融解温度−30℃でのトナー粒子の動的複素粘性率(η* −30)は、溶融する前つまり固体状態でのトナー粒子の動的複素粘性率として捉えることができ、一方結晶性ポリエステル樹脂の融解温度−10℃でのトナー粒子の動的複素粘性率(η* −10)は、溶融し始めた状態でのトナー粒子の動的複素粘性率として捉えることができる。そして、トナー粒子において、固体状態での動的複素粘性率(η* −30)が上記下限値以上の範囲でありつつも、さらに溶融し始めた状態での動的複素粘性率(η* −10)が上記範囲に収まっているということは、トナー粒子の溶融特性に関して溶融しづらくなっていることの指標である。
トナー粒子の動的複素粘性率(η* −30及びη* −10)が上記範囲であることにより、上記トナー粒子を含むトナーがニップ部で加圧及び加熱されても、より軟化しにくくなるため、より溶融しにくくなる。つまり、トナーの溶融速度が遅くなりやすい。これにより、トナーが定着される際に、ニップ圧又は温度が不均一になった場合でも、部材軸方向におけるニップ部で付加される圧力、温度の違いによるトナーの溶融の度合い(溶融速度)の差がより低減される。その結果、定着ムラの発生がより抑制されやすくなる。
また、前記結晶性ポリエステル樹脂の融解温度−10℃でのトナー粒子の動的複素粘性率(η* −10)が1×106Pa・s以上であることで、上記トナー粒子を含むトナーが前記融解温度に近い温度でも融解し難くなるため(つまり、溶融速度が遅くなるため)、ニップ部において周囲よりも温度が高い箇所が生じた場合でも、かかる箇所において、トナーが過度に溶融することが抑制されやすくなる。これにより、部材軸方向におけるニップ部で付加される圧力、温度の違いによるトナーの溶融の度合い(溶融速度)の差がより低減されやすくなる。
一方、前記結晶性ポリエステル樹脂の融解温度−10℃でのトナー粒子の動的複素粘性率(η* −10)が5×107Pa・s以下であることで、上記トナー粒子を含むトナー全体の定着温度を適度に低下させることができ、同時に表面の光沢が適当に制御される。これはトナーのり量の差により発生する光沢差を抑制できる点で好ましい。
また、前記結晶性ポリエステル樹脂の融解温度−30℃でのトナー粒子の動的複素粘性率(η* −30)は、1×108Pa・s以上の範囲が好ましく、5×108Pa・s以上の範囲がより好ましい。
トナー粒子における動的複素粘性率(η*)の測定は、レオメーターを使用し、周波数1rad/秒の条件で、昇温は、トナー粒子中に含まれる結晶性ポリエステル樹脂の融解温度から、昇温速度1℃/分で加熱して行い、1℃毎に動的複素粘性率を測定する。測定歪みは20%以下とし、測定トルクに応じて、8mmφ、25mmφのパラレルプレートを使い分ける。
トナー粒子における動的複素粘性率(η* −30)及び動的複素粘性率(η* −10)を上記範囲に制御する方法としては、特に限定されるものではないが、例えばコア−シェル構造のトナー粒子の場合であればコア部とシェル部における結着樹脂の割合や、結着樹脂の分子量、特にコア部に含有される結晶性樹脂の分子量の調整による方法が挙げられる。また、結晶性樹脂の酸価、トナー粒子を作る際の凝集・合一工程において用いる凝集剤の添加の有無、又はその種類の調製による方法も挙げられる。
また、動的複素粘性率(η* −30及びη* −10)を制御する観点で、前述のステアリン酸ステアリル等のエステル化合物を含有させその量を調整する方法、前述の水ガラス等の金属酸化物を含有させその量を調整する方法を採用することも好ましい。
さらに、動的複素粘性率(η* −30及びη* −10)を制御する観点で、凝集合一法に用いる樹脂粒子分散液として、結晶性ポリエステル樹脂を含む結晶性樹脂と非晶性樹脂とを共に分散媒に分散させその後転相乳化することで得られる、結晶性樹脂−非晶性樹脂混合粒子が分散した分散液を用いることも好ましい。
トナー粒子は、例えば、結着樹脂と、必要に応じて、着色剤と、離型剤と、その他添加剤と、を含んで構成される。そして、結着樹脂は少なくとも結晶性ポリエステル樹脂を含む。
結着樹脂としては、例えば、スチレン類(例えばスチレン、パラクロロスチレン、α−メチルスチレン等)、(メタ)アクリル酸エステル類(例えばアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸2−エチルヘキシル等)、エチレン性不飽和ニトリル類(例えばアクリロニトリル、メタクリロニトリル等)、ビニルエーテル類(例えばビニルメチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル等)、ビニルケトン類(ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルイソプロペニルケトン等)、オレフィン類(例えばエチレン、プロピレン、ブタジエン等)等の単量体の単独重合体、又はこれら単量体を2種以上組み合せた共重合体からなるビニル系樹脂が挙げられる。
結着樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、ポリエーテル樹脂、変性ロジン等の非ビニル系樹脂、これらと前記ビニル系樹脂との混合物、又は、これらの共存下でビニル系単量体を重合して得られるグラフト重合体等も挙げられる。
これらの結着樹脂は、1種類単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
ポリエステル樹脂としては、例えば、公知の非晶性ポリエステル樹脂が挙げられる。ポリエステル樹脂は、非晶性ポリエステル樹脂と共に、結晶性ポリエステル樹脂を併用してもよい。但し、結晶性ポリエステル樹脂は、全結着樹脂に対して、含有量が2質量%以上40質量%以下(好ましくは2質量%以上20質量%以下)の範囲で用いることがよい。
一方、樹脂の「非晶性」とは、半値幅が10℃を超えること、階段状の吸熱量変化を示すこと、又は明確な吸熱ピークが認められないことを指す。
非晶性ポリエステル樹脂としては、例えば、多価カルボン酸と多価アルコールとの縮重合体が挙げられる。なお、非晶性ポリエステル樹脂としては、市販品を使用してもよいし、合成したものを使用してもよい。
多価カルボン酸は、ジカルボン酸と共に、架橋構造又は分岐構造をとる3価以上のカルボン酸を併用してもよい。3価以上のカルボン酸としては、例えば、トリメリット酸、ピロメリット酸、これらの無水物、又はこれらの低級(例えば炭素数1以上5以下)アルキルエステル等が挙げられる。
多価カルボン酸は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
多価アルコールとしては、ジオールと共に、架橋構造又は分岐構造をとる3価以上の多価アルコールを併用してもよい。3価以上の多価アルコールとしては、例えば、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールが挙げられる。
多価アルコールは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
なお、ガラス転移温度は、示差走査熱量測定(DSC)により得られたDSC曲線より求め、より具体的にはJIS K 7121−1987「プラスチックの転移温度測定方法」のガラス転移温度の求め方に記載の「補外ガラス転移開始温度」により求められる。
非晶性ポリエステル樹脂の数平均分子量(Mn)は、2000以上100000以下が好ましい。
非晶性ポリエステル樹脂の分子量分布Mw/Mnは、1.5以上100以下が好ましく、2以上60以下がより好ましい。
なお、重量平均分子量及び数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)により測定する。GPCによる分子量測定は、測定装置として東ソー製GPC・HLC−8120GPCを用い、東ソー製カラム・TSKgel SuperHM−M(15cm)を使用し、THF溶媒で行う。重量平均分子量及び数平均分子量は、この測定結果から単分散ポリスチレン標準試料により作成した分子量校正曲線を使用して算出する。
なお、原料の単量体が、反応温度下で溶解又は相溶しない場合は、高沸点の溶剤を溶解補助剤として加え溶解させてもよい。この場合、重縮合反応は溶解補助剤を留去しながら行う。共重合反応において相溶性の悪い単量体が存在する場合は、あらかじめ相溶性の悪い単量体とその単量体と重縮合予定の酸又はアルコールとを縮合させておいてから主成分と共に重縮合させるとよい。
結晶性ポリエステル樹脂は、例えば、多価カルボン酸と多価アルコールとの重縮合体が挙げられる。なお、結晶性ポリエステル樹脂としては、市販品を使用してもよいし、合成したものを使用してもよい。
ここで、結晶性ポリエステル樹脂は、結晶構造を容易に形成するため、芳香族を有する重合性単量体よりも直鎖状脂肪族を有する重合性単量体を用いた重縮合体が好ましい。
多価カルボン酸は、ジカルボン酸と共に、架橋構造又は分岐構造をとる3価以上のカルボン酸を併用してもよい。3価のカルボン酸としては、例えば、芳香族カルボン酸(例えば1,2,3−ベンゼントリカルボン酸、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸等)、これらの無水物、又はこれらの低級(例えば炭素数1以上5以下)アルキルエステルが挙げられる。
多価カルボン酸としては、これらジカルボン酸と共に、スルホン酸基を持つジカルボン酸、エチレン性二重結合を持つジカルボン酸を併用してもよい。
多価カルボン酸は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
多価アルコールは、ジオールと共に、架橋構造又は分岐構造をとる3価以上のアルコールを併用してもよい。3価以上のアルコールとしては、例えば、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等が挙げられる。
多価アルコールは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
なお、融解温度は、示差走査熱量測定(DSC)により得られたDSC曲線から、JIS K7121−1987「プラスチックの転移温度測定方法」の融解温度の求め方に記載の「融解ピーク温度」により求める。
着色剤としては、例えば、カーボンブラック、クロムイエロー、ハンザイエロー、ベンジジンイエロー、スレンイエロー、キノリンイエロー、ピグメントイエロー、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、バルカンオレンジ、ウオッチヤングレッド、パーマネントレッド、ブリリアントカーミン3B、ブリリアントカーミン6B、デュポンオイルレッド、ピラゾロンレッド、リソールレッド、ローダミンBレーキ、レーキレッドC、ピグメントレッド、ローズベンガル、アニリンブルー、ウルトラマリンブルー、カルコオイルブルー、メチレンブルークロライド、フタロシアニンブルー、ピグメントブルー、フタロシアニングリーン、マラカイトグリーンオキサレートなどの種々の顔料、又は、アクリジン系、キサンテン系、アゾ系、ベンゾキノン系、アジン系、アントラキノン系、チオインジコ系、ジオキサジン系、チアジン系、アゾメチン系、インジコ系、フタロシアニン系、アニリンブラック系、ポリメチン系、トリフェニルメタン系、ジフェニルメタン系、チアゾール系などの各種染料等が挙げられる。
着色剤は、1種類単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
離型剤としては、例えば、炭化水素系ワックス;カルナバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス等の天然ワックス;モンタンワックス等の合成又は鉱物・石油系ワックス;脂肪酸エステル、モンタン酸エステル等のエステル系ワックス;などが挙げられる。離型剤は、これに限定されるものではない。
なお、融解温度は、示差走査熱量測定(DSC)により得られたDSC曲線から、JIS K 7121−1987「プラスチックの転移温度測定方法」の融解温度の求め方に記載の「融解ピーク温度」により求める。
その他の添加剤としては、例えば、磁性体、帯電制御剤、無機粉体等の周知の添加剤が挙げられる。これらの添加剤は、内添剤としてトナー粒子に含まれる。
トナー粒子は、単層構造のトナー粒子であってもよいし、芯部(コア粒子)と芯部を被覆する被覆層(シェル層)とで構成された所謂コア・シェル構造のトナー粒子であってもよい。
ここで、コア・シェル構造のトナー粒子は、例えば、結着樹脂と必要に応じて着色剤及び離型剤等のその他添加剤とを含んで構成された芯部と、結着樹脂を含んで構成された被覆層と、で構成されていることがよい。
測定に際しては、分散剤として、界面活性剤(アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウムが好ましい)の5%水溶液2ml中に測定試料を0.5mg以上50mg以下加える。これを電解液100ml以上150ml以下中に添加する。
試料を懸濁した電解液は超音波分散器で1分間分散処理を行い、コールターマルチサイザーIIにより、アパーチャー径として100μmのアパーチャーを用いて2μm以上60μm以下の範囲の粒径の粒子の粒度分布を測定する。なお、サンプリングする粒子数は50000個である。
測定される粒度分布を基にして分割された粒度範囲(チャンネル)に対して体積、数をそれぞれ小径側から累積分布を描いて、累積16%となる粒径を体積粒径D16v、数粒径D16p、累積50%となる粒径を体積平均粒径D50v、累積数平均粒径D50p、累積84%となる粒径を体積粒径D84v、数粒径D84pと定義する。
これらを用いて、体積粒度分布指標(GSDv)は(D84v/D16v)1/2、数粒度分布指標(GSDp)は(D84p/D16p)1/2として算出される。
まず、測定対象となるトナー粒子を吸引採取し、扁平な流れを形成させ、瞬時にストロボ発光させることにより静止画像として粒子像を取り込み、その粒子像を画像解析するフロー式粒子像解析装置(シスメックス社製のFPIA−2100)によって求める。そして、平均円形度を求める際のサンプリング数は3500個とする。
なお、トナーが外添剤を有する場合、界面活性剤を含む水中に、測定対象となるトナー(現像剤)を分散させた後、超音波処理をおこなって外添剤を除去したトナー粒子を得る。
外添剤としては、例えば、無機粒子が挙げられる。該無機粒子として、SiO2、TiO2、Al2O3、CuO、ZnO、SnO2、CeO2、Fe2O3、MgO、BaO、CaO、K2O、Na2O、ZrO2、CaO・SiO2、K2O・(TiO2)n、Al2O3・2SiO2、CaCO3、MgCO3、BaSO4、MgSO4等が挙げられる。
疎水化処理剤の量としては、通常、例えば、無機粒子100質量部に対して、1質量部以上10質量部以下である。
次に、本実施形態におけるトナーの製造方法について説明する。
本実施形態におけるトナーは、トナー粒子を製造後、トナー粒子に対して、外添剤を外添することで得られる。
これらの中でも、凝集合一法により、トナー粒子を得ることがよい。
さらに、凝集合一法によってトナー粒子を得る場合に、凝集粒子を形成する際に、前述のステアリン酸ステアリル等のエステル化合物を含有させその量を調整する方法、前述の水ガラス等の金属酸化物を含有させその量を調整する方法を採用することも好ましい。
結着樹脂となる樹脂粒子が分散された樹脂粒子分散液を準備する工程(樹脂粒子分散液準備工程)と、樹脂粒子分散液中で(必要に応じて他の粒子分散液を混合した後の分散液中で)、樹脂粒子(必要に応じて他の粒子)を凝集させ、凝集粒子を形成する工程(凝集粒子形成工程)と、凝集粒子が分散された凝集粒子分散液に対して加熱し、凝集粒子を融合・合一して、トナー粒子を形成する工程(融合・合一工程)と、を経て、トナー粒子を製造する。
なお、以下の説明では、着色剤、及び離型剤を含むトナー粒子を得る方法について説明するが、着色剤、離型剤は、必要に応じて用いられるものである。無論、着色剤、離型剤以外のその他添加剤を用いてもよい。
まず、結着樹脂となる樹脂粒子が分散された樹脂粒子分散液と共に、例えば、着色剤粒子が分散された着色剤粒子分散液、離型剤粒子が分散された離型剤粒子分散液を準備する。
水系媒体としては、例えば、蒸留水、イオン交換水等の水、アルコール類等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
界面活性剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
なお、転相乳化法とは、分散すべき樹脂を、その樹脂が可溶な疎水性有機溶剤中に溶解せしめ、有機連続相(O相)に塩基を加えて、中和したのち、水媒体(W相)を投入することによって、W/OからO/Wへの、樹脂の変換(いわゆる転相)が行われて不連続相化し、樹脂を、水媒体中に粒子状に分散する方法である。
なお、樹脂粒子の体積平均粒径は、レーザー回折式粒度分布測定装置(例えば、堀場製作所製、LA−700)の測定によって得られた粒度分布を用い、分割された粒度範囲(チャンネル)に対し、体積について小粒径側から累積分布を引き、全粒子に対して累積50%となる粒径を体積平均粒径D50vとして測定される。なお、他の分散液中の粒子の体積平均粒径も同様に測定される。
次に、樹脂粒子分散液と共に、着色剤粒子分散液と、離型剤粒子分散液と、を混合する。
そして、混合分散液中で、樹脂粒子と着色剤粒子と離型剤粒子とをヘテロ凝集させ目的とするトナー粒子の径に近い径を持つ、樹脂粒子と着色剤粒子と離型剤粒子とを含む凝集粒子を形成する。
凝集粒子形成工程においては、例えば、混合分散液を回転せん断型ホモジナイザーで攪拌下、室温(例えば25℃)で上記凝集剤を添加し、混合分散液のpHを酸性(例えばpHが2以上5以下)に調整し、必要に応じて分散安定剤を添加した後に、上記加熱を行ってもよい。
凝集剤の金属イオンと錯体もしくは類似の結合を形成する添加剤を必要に応じて用いてもよい。この添加剤としては、キレート剤が好適に用いられる。
キレート剤としては、水溶性のキレート剤を用いてもよい。キレート剤としては、例えば、酒石酸、クエン酸、グルコン酸等のオキシカルボン酸、イミノジ酸(IDA)、ニトリロトリ酢酸(NTA)、エチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA)等が挙げられる。
キレート剤の添加量としては、例えば、樹脂粒子100質量部に対して0.01質量部以上5.0質量部以下が好ましく、0.1質量部以上3.0質量部未満がより好ましい。
次に、凝集粒子が分散された凝集粒子分散液に対して、例えば、樹脂粒子のガラス転移温度以上(例えば樹脂粒子のガラス転移温度より10から30℃高い温度以上)に加熱して、凝集粒子を融合・合一し、トナー粒子を形成する。
なお、凝集粒子が分散された凝集粒子分散液を得た後、当該凝集粒子分散液と、樹脂粒子が分散された樹脂粒子分散液と、をさらに混合し、凝集粒子の表面にさらに樹脂粒子を付着するように凝集して、第2凝集粒子を形成する工程と、第2凝集粒子が分散された第2凝集粒子分散液に対して加熱をし、第2凝集粒子を融合・合一して、コア/シェル構造のトナー粒子を形成する工程と、を経て、トナー粒子を製造してもよい。
洗浄工程は、帯電性の点から充分にイオン交換水による置換洗浄を施すことがよい。また、固液分離工程は、特に制限はないが、生産性の点から吸引濾過、加圧濾過等を施すことがよい。また、乾燥工程も特に方法に制限はないが、生産性の点から凍結乾燥、気流ジェット乾燥、流動乾燥、振動型流動乾燥等を施すことがよい。
本実施形態における静電潜像現像剤は、本実施形態におけるトナーを少なくとも含むものである。
本実施形態における静電潜像現像剤は、本実施形態におけるトナーのみを含む一成分現像剤であってもよいし、当該トナーとキャリアと混合した二成分現像剤であってもよい。
なお、磁性粉分散型キャリアおよび樹脂含浸型キャリアは、当該キャリアの構成粒子を芯材とし、これに被覆樹脂により被覆したキャリアであってもよい。
なお、被覆樹脂、及びマトリックス樹脂には、導電性粒子等、その他添加剤を含ませてもよい。
導電性粒子としては、金、銀、銅等の金属、カーボンブラック、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズ、硫酸バリウム、ホウ酸アルミニウム、チタン酸カリウム等の粒子が挙げられる。
具体的な樹脂被覆方法としては、芯材を被覆層形成用溶液中に浸漬する浸漬法、被覆層形成用溶液を芯材表面に噴霧するスプレー法、芯材を流動エアーにより浮遊させた状態で被覆層形成用溶液を噴霧する流動床法、ニーダーコーター中でキャリアの芯材と被覆層形成用溶液とを混合し、溶剤を除去するニーダーコーター法等が挙げられる。
(結晶性樹脂(A)の作製)
まず、三口フラスコに、セバシン酸ジメチル100質量部と、ヘキサンジオール67.8質量部と、ジブチルすずオキサイド0.10質量部とを窒素雰囲気下で、反応中に生成された水は系外へ除去しながら、185℃で5時間反応させた後、徐々に減圧しながら220℃まで温度をあげて、6時間反応させた後、冷却した。こうして、重量平均分子量が33700の結晶性樹脂(A)を用意した。
また、三口フラスコに、テレフタル酸ジメチル60質量部、フマル酸ジメチル82質量部、ドデセニルコハク酸無水物34質量部と、ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物137質量部と、ビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物191質量部と、ジブチルすずオキサイド0.3質量部とを窒素雰囲気下で、反応により生成された水は系外へ除去しながら、180℃で3時間反応させた後、徐々に減圧しながら240℃まで温度をあげて、2時間反応させた後、冷却した。こうして、重量平均分子量が17100の非晶性樹脂(1)を用意した。
更に、シアン顔料(銅フタロシアニン、C.I.Pigment blue15:3、大日精化社製)50質量部と、非イオン性界面活性剤ノニポール400(花王社製)5質量部と、イオン交換水200質量部とを混合し、高圧衝撃式分散機アルティマイザー((株)スギノマシン製、HJP30006)を用いて1時間分散し、水分量を調整した。こうして、着色剤分散液を用意した。
パラフィンワックス(日本精蝋(株)製:HNP9、融解温度77℃)60質量部と、アニオン性界面活性剤(第一工業製薬(株):ネオゲンRK)4質量部と、イオン交換水200質量部とを混合した溶液を120℃に加熱して、ホモジナイザー(IKA社製:ウルトラタラックスT50)を用いて分散した後、マントンゴーリン高圧ホモジナイザー(ゴーリン社)で120℃、350kg/cm2、1時間の条件にて分散処理した。こうして、体積平均粒径が250nmの離型剤が分散した、分散液中の離型剤濃度が20質量%となるように水分量が調整された離型剤分散液を用意した。
ステアリン酸ステアリル(日油社製)100質量部と、メチルエチルケトン55質量部と、n−プロピルアルコール23質量部とを三口フラスコに収容し、攪拌ながら樹脂を溶解させた後、イオン交換水350質量部を加え、その後ホモジナイザー(IKA社製、ウルトラタラックスT50)にて分散を行った後、脱溶媒を行った。体積平均径は195nmであった。これにイオン交換水を加え、固形分濃度が25質量%のエステル化合物分散液を作製した。
結晶性樹脂(A)10質量部と、非晶性樹脂(1)90質量部と、メチルエチルケトン50質量部と、イソプロピルアルコール15質量部とを三口フラスコに収容し、攪拌しながら60℃に加熱して樹脂を溶解させた後、10質量%アンモニア水溶液25質量部を加え、さらにイオン交換水400質量部を徐々に加えて転相乳化を行い、その後減圧し、脱溶媒することで、体積平均粒径が158nmの結晶性樹脂−非晶性樹脂混合粒子が分散された、固形分濃度25質量%の結晶性樹脂−非晶性樹脂混合粒子分散液(A1)を作製した。
結晶性樹脂(A)の量を15質量部に、非晶性樹脂(1)の量を85質量部に、変更した以外は、結晶性樹脂−非晶性樹脂混合粒子分散液(A1)と同様にして、体積平均粒径が155nmの結晶性樹脂−非晶性樹脂混合粒子が分散された、固形分濃度25質量%の結晶性樹脂−非晶性樹脂混合粒子分散液(A2)を作製した。
結晶性樹脂(A)の量を0質量部に、非晶性樹脂(1)の量を100質量部に、変更した以外は、結晶性樹脂−非晶性樹脂混合粒子分散液(A1)と同様にして、体積平均粒径が175nmの結晶性樹脂−非晶性樹脂混合粒子が分散された、固形分濃度25質量%の非晶性樹脂粒子分散液(A3)を作製した。
結晶性樹脂−非晶性樹脂混合粒子分散液(A1)720質量部と、着色剤分散液50質量部と、離型剤分散液70質量部と、エステル化合物分散液0.9部と、水ガラス(日産化学社製スノーテックス(登録商標)OS)2.5部と、カチオン界面活性剤(花王(株)製:サニゾールB50)1.5質量部とを丸型ステンレス製フラスコに収容し、0.1規定の硫酸を添加してpHを3.8に調整した後、凝集剤としてポリ塩化アルミニウムの濃度が10質量%の硝酸水溶液30質量部を添加し、その後、ホモジナイザー(IKA社製、ウルトラタラックスT50)を用いて30℃において分散した。加熱用オイルバス中で1℃/分で40℃まで加熱し、40℃で30分間保持した後、この分散液中に、非晶性樹脂粒子分散液(A3)を160質量部追加して、さらに1時間保持した。
その後、0.1規定の水酸化ナトリウムを添加してpHを7.0に調整した後、攪拌を継続しながら1℃/分で95℃まで加熱して5時間保持した後、20℃/分の速度で20℃まで冷却し、これをろ過し、イオン交換水で洗浄した後、真空乾燥機を用いて乾燥させて、体積平均粒径が6.1μmのトナー粒子1を得た。
角周波数が6.28rad/sec、歪量が0.3%で測定した複素弾性率が1×106Pa以上1×108Pa以下となる範囲において、正接損失の最大値(tanδP1)
角周波数が6.28rad/sec、歪量が0.3%で測定した複素弾性率が1×106Pa以上1×107Pa以下となる範囲において、正接損失の最大値(tanδP2)
トナー粒子中に含まれる結晶性ポリエステル樹脂の融解温度−30℃の条件における動的複素粘性率(η* −30)
トナー粒子中に含まれる結晶性ポリエステル樹脂の融解温度−10℃の条件における動的複素粘性率(η* −10)
なお、キャリアは、フェライト粒子(体積平均粒径:50μm)100質量部と、トルエン14質量部と、スチレン−メチルメタクリレート共重合体(成分比:スチレン/メチルメタクリレート=90/10、重量平均分子量Mw=80000)2質量部とを、まず、フェライト粒子を除く上記成分を10分間スターラーで撹拌させて分散した被覆液を調製し、次に、この被覆液とフェライト粒子とを真空脱気型ニーダー(井上製作所製)に入れて、60℃において30分撹拌した後、さらに加温しながら減圧して脱気し、乾燥させ、その後105μmで篩分して得たものである。
トナー粒子1の作製において用いたエステル化合物分散液を0.9部から2.7部に変更した以外は、トナー粒子1と同様にしてトナー粒子2を作製した。
トナー粒子1の作製において用いたエステル化合物分散液を0.9部から2.7部に、水ガラスを2.5部から5.0部に変更した以外は、トナー粒子1と同様にしてトナー粒子3を作製した。
トナー粒子1の作製において用いた結晶性樹脂−非晶性樹脂混合粒子分散液(A1)を結晶性樹脂−非晶性樹脂混合粒子分散液(A2)に、エステル化合物分散液を0.9部から2.7部に、水ガラスを2.5部から5.0部に変更した以外は、トナー粒子1と同様にしてトナー粒子4を作製した。
トナー粒子4の作製において用いたエステル化合物分散液を2.7部から9部に変更した以外は、トナー粒子4と同様にしてトナー粒子5を作製した。
トナー粒子4の作製において用いたエステル化合物分散液を2.7部から9部に、水ガラスを5.0部から15.0部に変更した以外は、トナー粒子4と同様にしてトナー粒子6を作製した。
上記で得られたトナー粒子1〜6の正接損失の値の算出は、正弦波振動法により測定した動的粘弾性から求めた。動的粘弾性の測定には、レオメトリックサイエンティフィック社製ARES測定装置を用い、動的粘弾性の測定は、錠剤状に成形したトナー粒子を、8mm径のパラレルプレートにセットし、ノーマルフォースを0とした後に6.28rad/secの振動周波数で正弦波振動を与えて実施した。測定は60℃から開始し、150℃まで継続した。測定時間インターバルは30秒、昇温は1℃/minとし、歪量を0.3%にし、複素弾性率及び正接損失を求め、そこから複素弾性率1×106Pa以上1×108Pa以下の範囲における正接損失の最大値(tanδP1)、及び複素弾性率1×106Pa以上1×107Pa以下の範囲における正接損失の最大値(tanδP2)を求めた。
各例で得られた現像剤を、評価装置「DocuCentreIV C3370(富士ゼロックス社製)」の現像装置に充填した。
この評価装置は、電磁誘導加熱方式の定着装置を搭載している。また、評価装置は、定着装置の定着ベルト幅を460mmとし、加圧ロールの幅(軸方向長さ)を480mmとして、電磁誘導加熱方式の定着装置を記録紙の搬送方向に交差する方向(加圧ロールの軸方向に沿った方向)にずらし、ニップ部における記録紙の通過位置を変更可能に改造した。また、この定着装置を、外付けの駆動用モータで駆動し、温度制御ができるように改造した。
そして、この評価装置を用いて、次の評価を行った。結果を表1に示す。
現像剤を現像器に入れ、補給トナー(現像剤に含まれるトナーと同じトナー)をトナーカートリッジに入れた。続けて、厚紙(富士ゼロックス社製、製品名:Ncolor209gsm)に対して、横幅20mm、縦長さ20mm、画像濃度Cin100%の正方形画像が用紙縦横方向に各3点ずつ計9点含まれる画像を20枚出力し、1枚目〜10枚目及び20枚目の計11枚について光沢性(75°グロス)を評価機器(村上色彩技術研究所社製GM−26D)により評価した。9点の標準偏差を算出し、評価した11枚の標準偏差の最悪値(最も大きい値)を定着ムラとして評価した。評価基準は以下の通りでありBまでが許容できるものである。
A:定着ムラ≦10
B:10<定着ムラ≦20
C:定着ムラ>20
定着性の評価は上記定着ムラ評価の画像を用いて、以下のテープ剥離試験方法で行なった。1cm2角の用紙上の定着トナー像のステータスA濃度を測定し、次いで、用紙の定着トナー像上に剥離テープ(商品名「スコッチメディングテープ」(住友 3M 社製))を粘着させた後にテープを剥離し、剥離後の用紙上の上記ステータスA濃度を測定した。その後、剥離前の用紙上の画像印字濃度を100とした場合、剥離後の用紙上の画像印字濃度をパーセンテージで表し、これをトナー定着率として評価した。なお、カラー濃度の測定には、分光光度計 938 Spectro densitometer(X-Rite社製)を用いた。評価基準は以下の通りでありBまでが許容できるものである。
A:定着率≧90%
B:80%≦定着率<90%
C:定着率<80%
2Y、2M、2C、2K 帯電装置
3 静電潜像形成装置
3Y、3M、3C、3K 光
4Y、4M、4C、4K 現像装置
5Y、5M、5C、5K 一次転写装置
6Y、6M、6C、6K 感光体クリーニング装置
8Y、8M、8C、8K トナーカートリッジ
10Y、10M、10C、10K 画像形成ユニット
20 中間転写体
22 駆動ロール
24 支持ロール
26 二次転写装置
28 定着装置
30 中間転写体クリーニング装置
50 制御装置
60 筐体
62 定着ベルト
62A 基材
62B 下地金属層
62C 電磁誘導金属層
62D 金属保護層
62E 弾性層
62F 離型層
64 加圧ロール
66 電磁誘導部
66A 電磁誘導コイル
66B コイル支持部材
68 押圧パッド
70 パッド支持部材
72 弾性体
74 駆動部材
80 移動装置
P 記録紙(記録媒体の一例)
Claims (10)
- 像保持体と、
前記像保持体の表面を帯電する帯電手段と、
帯電した前記像保持体の表面に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、
前記像保持体の表面に形成された静電潜像を静電潜像現像剤によりトナー像として現像し、前記静電潜像現像剤として、結晶性ポリエステル樹脂を含む結着樹脂を含有し、角周波数が6.28rad/sec、歪量が0.3%で測定した複素弾性率が1×106Pa以上1×108Pa以下となる範囲において、正接損失の最大値(tanδP1)が2以上2.5以下であるトナー粒子を有する静電潜像現像剤を収容する現像手段と、
前記像保持体の表面に形成されたトナー像を記録媒体の表面に転写する転写手段と、
管状の基材、及び前記基材の外周上に配置され電磁誘導により発熱する金属発熱層を有する定着ベルト、前記定着ベルトの外周面に接触して前記定着ベルトを加圧する加圧部材、並びに前記定着ベルトの前記金属発熱層を電磁誘導によって発熱させる電磁誘導発熱手段を有し、表面に前記トナー像が転写された前記記録媒体を前記定着ベルトと前記加圧部材との接触部で挟み込んで前記トナー像を定着する定着手段と、
を備える画像形成装置。 - 前記トナー粒子は、前記正接損失の最大値(tanδP1)が2以上2.3以下である請求項1に記載の画像形成装置。
- 前記トナー粒子は、角周波数が6.28rad/sec、歪量が0.3%で測定した複素弾性率が1×106Pa以上1×107Pa以下となる範囲において、正接損失の最大値(tanδP2)が2以上2.3以下である請求項1または請求項2に記載の画像形成装置。
- 前記トナー粒子は、前記正接損失の最大値(tanδP2)が2以上2.2以下である請求項3に記載の画像形成装置。
- 前記トナー粒子は、前記結晶性ポリエステル樹脂の融解温度−30℃での動的複素粘性率(η* −30)が3×107Pa・s以上であり、前記結晶性ポリエステル樹脂の融解温度−10℃での動的複素粘性率(η* −10)が1×106Pa・s以上5×107Pa・s以下である請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
- 前記トナー粒子は、前記結晶性ポリエステル樹脂の融解温度−10℃での動的複素粘性率(η* −10)が2×106Pa・s以上3×107Pa・s以下である請求項5に記載の画像形成装置。
- 前記トナー粒子は、前記結晶性ポリエステル樹脂の融解温度−10℃での動的複素粘性率(η* −10)が4×106Pa・s以上2×107Pa・s以下である請求項5または請求項6に記載の画像形成装置。
- 前記トナー粒子は、前記結晶性ポリエステル樹脂の融解温度−30℃での動的複素粘性率(η* −30)が1×108Pa・s以上である請求項5〜請求項7のいずれか1項に記載の画像形成装置。
- 前記トナー粒子は、前記結晶性ポリエステル樹脂の融解温度−30℃での動的複素粘性率(η* −30)が5×108Pa・s以上である請求項5〜請求項8のいずれか1項に記載の画像形成装置。
- 前記定着手段における前記定着ベルト及び前記加圧部材の少なくとも一方を、前記記録媒体の搬送方向と交差する方向にずらす手段を有する請求項1〜9のいずれか1項に記載の画像形成装置。
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