JP3933317B2 - 電子写真装置用フィルタ装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、加熱定着方式の電子写真装置に用いて好適なフィルタ装置に係り、さらに詳しくは、加熱定着部に発生するガスの臭い成分を有効に除去し、微粒子の捕捉率特性に優れ、且つ目詰まりが少ない電子写真装置用フィルタ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
コピー、プリンタ、ファクシミリなどに代表される電子写真装置は、一般に、感光体から紙などの被転写媒体に静電転写されたトナーを定着させるための加熱定着部を有する。加熱定着部では、静電転写されたトナーを加熱するために、煙を含むガスやオゾンが発生し、特に大型プリンタで多用されているフラッシュ定着方式ではこれらの発生が著しい。一般的にこれらを除去するために、フィルタ装置が装着してある(たとえば特開昭63−182682号公報)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、加熱定着方式の電子写真装置のうち、トナーの定着性を向上させるために、ワックスを多量に添加しているトナーを用いる機種では、ワックス少量添加のトナーを用いる機種に比べて、フィルタの目詰まりが著しいという問題を有している。フィルタに目詰まりが生じると、フィルタの圧力損失を上昇させてしまい、フィルタの交換時期が早まってしまう。なお、ワックス多量添加型トナーを使用する機種では、その分解煙の組成は、トナー樹脂分解物/ワックス=約1/8の重量比となっており、ワックス粒子のサイズは、0.3〜0.5μmである。ワックスの材質としては、一般的には、ポリエチレン系、カルナバ系、パラフィン系、シリコン系などがある。分解煙のうちのワックス分が、フィルタの目詰まりを早めてしまうと考えられる。
【0004】
また、従来の電子写真装置用フィルタ装置では、加熱定着部に発生するガスの臭い成分を有効に除去しきれず、電子写真装置の周囲に刺激臭が発生するおそれがあった。さらに、微粒子の捕捉率特性をさらに向上させることが望まれていた。
【0005】
本発明は、このような実状に鑑みて成され、加熱定着部に発生するガスの臭い成分を有効に除去し、微粒子の捕捉率特性に優れ、且つ目詰まりが少ない電子写真装置用フィルタ装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明に係る電子写真装置用フィルタ装置は、
二層以上の積層体であり、風下側により高い捕集率の層が配置され、計数法による0.3μm径の極微細な粉塵の捕集率が50〜60%のプレフィルタと、
前記プレフィルタの風下側に配置され、計数法による0.3μm径の極微細な粉塵の捕集率が99.97%以上のエアフィルタと、
前記エアフィルタの風下側に配置され、少なくとも14mm以上の活性炭層を有するガス除去フィルタと、
前記プレフィルタ、エアフィルタおよびガス除去フィルタの周囲を保持する枠体とを有する。
【0007】
前記プレフィルタが、合成繊維製の濾布を有し、繊維目付量が65〜550g/m2 であることが好ましい。濾布を構成する繊維の素材は、ポリオレフィン系、ポリエステル系などの合成樹脂製で、分極した高分子誘電体(エレクトレット)となっている繊維であることが好ましい。
【0008】
前記ガス除去フィルタが、更に化学反応消臭剤を付着してある合成繊維不織布層を有することが好ましい。
【0009】
前記ガス除去フィルタの風下側には、微細な活性炭の飛散を防止する第2エアフィルタを設けることが好ましい。
【0010】
最も風下側に配置されるフィルタ部材と前記枠体との接合部には、隙間を密封する目張り部材を設けることが好ましい。
【0011】
前記ガス除去フィルタが、化学反応型消臭剤を付着してある二つの合成繊維不織布層と、これら二つの合成繊維不織布層の間に、JIS K 1474による粒度8〜12メッシュ95重量%以上の活性炭を嵩密度0.19〜0.60g/cm3 にて充填してある活性炭層とを有することがさらに好ましい。嵩密度が上記範囲にある時に、ガスに含まれる臭気成分を有効に除去することができると共に、通気抵抗の低減に寄与する。
前記活性炭層は、活性炭素繊維製布帛層であっても良い。
【0012】
前記枠体の風下側端面には、ゴムパッキンが装着してあり、前記枠体は、前記ゴムパッキンを介して、電子写真装置の加熱定着部からの排気通路に設置してあり、前記ゴムパッキンが、SRIS0101タイプC硬度が5〜30で、ASTM D 1056の圧縮永久歪み30%以下であることがさらに好ましい。硬度が5〜30で、圧縮永久歪みが30%以下の場合に、特にシール特性が向上する。
【0013】
【作用】
本発明に係る電子写真装置用フィルタ装置では、計数法(DOP法)による0.3μm径の極微細な粉塵の捕集率が99.97%以上のエアフィルタを有することから、微粒子の捕捉率特性に優れ、しかも、少なくとも14mm以上の活性炭層を有するガス除去フィルタを有することから、臭気ガス成分を有効に除去することができる。
【0014】
しかも、本発明に係る電子写真装置用フィルタ装置では、エアフィルタの風上側に計数法(DOP法)による0.3μm径の極微細な粉塵の捕集率が50〜60%のプレフィルタを配置してあるので、このプレフィルタにより、主としてワックス分を捕集し、極微細な粉塵の捕集率が単体できわめて高いエアフィルタへの負荷を軽減することができる。そのため、ワックス多量添加型トナーを使用する機種でも、エアフィルタの目詰まりを軽減することが可能になり、圧力損失の上昇が少なく、結果として、フィルタ全体の交換時期を遅らせることができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を、図面に示す実施形態に基づき説明する。
図1(A)は本発明の1実施形態に係る電子写真用フィルタ装置の要部断面図、同図(B)は同図(B)に示すIB部の要部断面図、図2(A)は図1(A)に示す電子写真装置用フィルタ装置の概略斜視図、同図(B)は本発明の他の実施形態に係る電子写真装置用フィルタ装置の分解斜視図、図3はフラッシュ定着式プリンタ装置の概略構成図である。
【0016】
図1(A)に示す本実施形態に係るフィルタ装置2は、たとえば図3に示す電子写真装置としてのフラッシュ定着式プリンタ4に装着され、加熱定着部6内またはその付近のガスをファン8で吸引し、フィルタ装置2を通してケーシング10の外部に排気する位置に設置してある。なお、ファン8は、フィルタ装置2の風上側に配置し、加熱定着部6内またはその付近のガスをフィルタ装置2へ強制的に送り込むように構成しても良い。
【0017】
図3に基づきプリンタ4の概略について説明する。
図3に示すように、プリンタ4は、感光ドラム12を有し、その周囲に、現像部14、転写部16、クリーニング部18、前帯電器18およびレーザ照射部22が配置してある。クリーニング部18では、感光ドラム12の外周面を清掃し、前帯電器20では、清掃された感光ドラム12の外周面を均一に帯電する。レーザ照射部22では、回転している感光ドラム12の均一帯電面に所定パターンの光を照射することにより、光が当たった部分の帯電電荷を除去し、電荷が残った部分に静電潜像を形成する。
【0018】
現像部14では、静電潜像と逆極性に帯電した着色微粒子であるトナーを潜像に付着させて可視像とする。次に、転写部16では、ホッパ24から送られてくる記録紙25(被転写媒体)を感光体12の外周面に重ねる。そして、記録紙25の裏側からコロナ放電などでトナーの帯電極性とは逆極性の電荷を記録紙に与え、静電力により感光体上のトナー像を記録紙に転写する。トナー像が転写された記録紙25は、定着部6へと送られ、そこでキセノンランプなどにより加熱され、トナー像を融着して記録紙に定着させる。トナー像が定着された記録紙25は、スタッカ26の上に重ねられる。
【0019】
定着部6では、トナーの加熱により、臭い成分や煙成分(ワックス成分も含む)を含んだガスが発生するが、このガスは、本実施形態に係るフィルタ装置2により濾過され、脱煙および脱臭が図られる。
【0020】
図1に示すように、本実施形態に係るフィルタ装置2は、フィルタ本体30と、このフィルタ本体30の外周を囲む枠体32とを有する。枠体32は、たとえば木材またはステンレスなどの金属で構成してあり、フィルタ本体30の表裏面が外部に露出するための風上側開口部34と風下側開口部36とを有する。
【0021】
枠体32の風下側端面には、図2に示すように、枠体32の全周に沿って、ゴムパッキン38が装着してあり、枠体32は、ゴムパッキン38を介して、図3に示す電子写真装置4の加熱定着部6からの排気通路に設置してある。なお、ゴムパッキン38は、枠体32の風上側端面にも、全周に沿って装着しても良い。このようなゴムパッキン38を、枠体32の少なくとも風下側端面に全周にわたり装着することで、一方の風上側開口部34から導入されてフィルタ本体30の表裏面を貫通して他方の風下側開口部36から流出するガスが他へ漏洩することを防止する。
【0022】
ゴムパッキン38としては、特に限定されないが、SRIS0101タイプC硬度が5〜30で、ASTM D 1056の圧縮永久歪み30%以下であるゴムパッキンが好ましく用いられる。このようなゴムパッキン38の材質としては、特に限定されないが、たとえば、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)、イソプレンゴム(IR)、ニトリルブタジエンゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)などのジエン系ゴム、ブチルゴム(IIR)、エチレン−プロピレン−ジエンターポリマーゴム(EPDM)、アクリルゴム、クロロスルホン化ポリエチレンゴム、フッ素ゴムなどのオレフィン系ゴム、シリコーンゴム、ウレタンゴム、多硫化ゴム、またはこれらの発泡体、またはウレタンもしくはナイロンの発泡体、軟質塩化ビニル樹脂などで構成される。好ましくは、ゴムパッキン38は、独立気泡型発泡体ゴムで構成される。
【0023】
図1(A)に示すように、フィルタ本体30は、枠体32により保持され、その最も風上側に、プレフィルタ40を有する。プレフィルタ40は、合成繊維製またはガラス繊維製の濾布から成り、繊維目付量が65〜550g/m2 である。合成繊維の素材は、ポリオレフィン系、ポリエステル系などが好適で、分極した高分子誘電体(エレクトレット)となっている繊維であることが好ましい。
【0024】
本実施形態のプレフィルタ40は、計数法(DOP法)による0.3μmの極微細な粉塵の捕集率が50〜60%である。このプレフィルタは、二層以上の積層シートであり、風上側のプレフィルタ用シートの捕集率が風下側のプレフィルタ用シートの捕集率よりも低いことが必要である。目詰まりを起こし難いからである。その場合、プレフィルタ全体としての捕集率は最も風下の層の捕集率となる。本実施形態のプレフィルタ40は、単純なシート形状であるが、場合によっては、下述するエアフィルタ41と同様に、プリーツ加工しても良い。
【0025】
図1(A)に示すように、枠体32により保持されたプレフィルタ40の風下側には、エアフィルタ41が積層してある。エアフィルタ41は、清浄化されるべきガスの流れ(矢印X)に対して垂直の平面方向に沿って複数回屈曲加工(たとえばプリーツ加工)してある。本実施形態では、エアフィルタ41は、極微細な粉塵の捕集率が計数法(DOP法)による0.3μm径の極微細な粉塵の捕集率が99.97%以上の高性能フィルタで構成してある。高性能フィルタとしては、特に限定されないが、HEPAエアフィルタ(High Efficiency Particle Air Filterの略)が好ましく用いられる。HEPAエアフィルタは、計数法(DOP法)による0.3μmの極微細な粉塵の捕集率が99.97%以上であるガラス繊維濾紙製フィルタである。
【0026】
枠体32に保持されたエアフィルタ41の風下側には、ガス除去フィルタ42が装着してある。ガス除去フィルタ42は、図1(B)に示すように、化学反応型消臭剤を付着してある二つの合成繊維不織布層44,46と、これら二つの合成繊維不織布層44,46の間に、JIS K 1474による粒度8〜12メッシュ95重量%以上の活性炭を厚さ1mmより厚くなるように嵩密度0.19〜0.60g/cm3 にて充填してある活性炭層48とを有する。
【0027】
合成繊維不織布44,46としては、特に限定されないが、厚み2〜10mm程度のポリエステル、レーヨン、ポリプロピレンなどから成る不織布を例示することができる。合成繊維不織布44,46には化学反応型消臭剤を付着させることが好ましい。化学反応型消臭剤としては、特に限定されないが、たとえばリン酸エステルと銅(II)との化合物から成り、たとえば4大悪臭であるアンモニア臭、メルカプタン臭、硫化水素臭およびアミン臭を消臭する機能を持つ。
【0028】
活性炭層48に含まれる活性炭粒子の平均粒径は、特に限定されないが、1〜5mm程度が好ましい。活性炭は粒子の代わりに繊維を編んだ布帛であっても良い。活性炭層48の厚みは、3〜20mm程度が好ましい。合成繊維不織布44,46は、粒状の活性炭が外側へ飛び出さないようにする機能もある。
【0029】
図1(B)に示すように、ガス除去フィルタ42の風下側には、第2エアフィルタ50が積層してある。第2エアフィルタ50は、エアフィルタ41よりも単体での捕集率が低い中性能エアフィルタから成るガラス繊維濾紙や合成繊維濾紙や合成繊維不織布などで構成してある。第2エアフィルタ50は、エアフィルタ41に比較し、フィルタ自体の材質は同様であるが、目の粗さなどが異なり、単独で比較した場合には、エアフィルタ41の方が第2エアフィルタ50よりも粉塵の捕集率が高い。この第2エアフィルタ50は、活性炭層48に充填された微細な活性炭の飛散を防止する機能も有する。
【0030】
本実施形態では、ガス除去フィルタ42の風上側表面には、風上側金網52が積層してあると共に、第2エアフィルタ50の風下側表面には、風下側金網54が積層してある。これら金網52および54は、ガス除去フィルタ42の活性炭層48に含まれる粒状活性炭の重力により、合成繊維不織布44および46が第2エアフィルタ50と共に外側に膨らみすぎることを有効に防止するために装着する。このような目的からは、金網52および54は、フィルタ本体30の表面および背面の全面を必ずしも覆う必要がなく、たとえば合成樹脂製または金属製の帯状またはリボン状の金網を、フィルタ本体30の表面および背面の一部に装着し、合成繊維不織布44および46が第2エアフィルタ50と共に外側に膨らみすぎることを有効に防止しても良い。
【0031】
図1(A),(B)および図2(A)に示すように、目張り部材56が、第2エアフィルタ50の風下側表面の周囲と枠体32との接合部を密封するように、枠体32の全周にわたり装着してある。目張り部材56は、枠体38と第2エアフィルタ50との隙間を密封するためのものであり、たとえば接着剤を塗布して硬化させたものである。この目張り部材56は、金網54の上から、第2エアフィルタ50の風下側表面の周囲と枠体32との接合部を密封するように、枠体32の全周にわたり装着しても良い。なお、図2(B)に示すように、目張り部材56aとして矩形リング枠を用い、電子写真装置用フィルタ装置2aを構成しても良い。目張り部材56aを構成する矩形リング枠の材質としては、特に限定されないが、合成樹脂、木材、金属などが例示される。矩形リング枠から成る目張り部材56aは、タッカー、釘、ステープルなどにより枠体32の風下側開口部36に装着される。
【0032】
本実施形態に係る電子写真装置用フィルタ装置2を図3に示す電子写真装置4の排気通路に装着した場合には、加熱定着部6に発生するガスの臭い成分を有効に除去し、微粒子の捕捉率特性に優れている。しかも、本実施形態に係る電子写真装置用フィルタ装置2では、エアフィルタ41の風上側に特定のプレフィルタ40を配置してあるので、このプレフィルタ40により、主としてワックス分を捕集し、極微細な粉塵の捕集率が単体できわめて高いエアフィルタ41への負荷を軽減することができる。そのため、ワックス多量添加型トナーを使用する機種であっても、エアフィルタ41の目詰まりを軽減することが可能になり、圧力損失の上昇が少なく、結果として、フィルタ本体30の交換時期を長くすることができる。
【0033】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で種々に改変することができる。
【0034】
たとえば、上記実施形態では、ガス除去フィルタ42の活性炭層48として、粒状の活性炭を充填した層を例示したが、活性炭層48としては、厚みが1〜30mm程度の活性炭素繊維製布帛層であっても良い。活性炭炭素繊維布帛層は、粒状活性炭と同様に、消臭効果に優れている。
【0035】
また、図1に示す実施形態では、活性炭層48の両側に合成繊維不織布44および46を配置したが、たとえば風下側の不織布46は必ずしもなくても良くても良い。また、本発明では、ガス除去フィルタ42の具体的構成は、特に限定されない。
【0036】
【実施例】
以下、本発明を、さらに詳細な実施例に基づき説明するが、本発明は、これら実施例に限定されない。
【0037】
実施例1
図1(A)に示す構造のフィルタ装置2を作製した。木製枠体32の縦寸法は320mmであり、横寸法は170mmであり、厚みは90mmであった。
【0038】
プレフィルタ40としては、風上側に計数法による0.3μmの微細粉塵の捕集率が単体で18%であり、目付量65g/m2 のガラス繊維製ろ布(Lydall Inc.製、品番1909、厚さ0.33mm)、風下側に計数法にろる0.3μmの微細粉塵の捕獲率が単体で50%であり、目付量65g/m2 のガラス繊維製ろ布(Lydall Inc.製、品番号1894、厚さ0.33mm)の二層構造をプリーツ加工したものを用いた。プリーツのジグザグ単位幅は約3mmであり、ジグザグ高さは25mmであった。また、ろ布の表面積は0.6m2 であった。
【0039】
エアフィルタ41としては、DOP法による0.3μmの微細粉塵の捕集率が単体で99.97%であるHEPAガラス繊維濾紙(厚み0.4mmの北越製紙株式会社製の品番H320−A)をプリーツ加工(凹凸加工)したものを用いた。プリーツ加工後のエアフィルタ41のジグザグ単位幅Uは約3mmであり、ジグザグ厚みT2は25mmであった。また、濾材表面積は0.75m2 であった。
【0040】
ガス除去フィルタ42としては、化学反応型消臭剤を付着してある二つの合成繊維不織布層44,46と、これら二つの合成繊維不織布層44,46の間に、JIS K 1474による粒度8〜12メッシュ95重量%以上の活性炭を嵩密度0.45±0.03g/cm3 にて充填してある活性炭層48とを用いた。化学反応型消臭剤を付着してある合成繊維不織布層44,46としては、それぞれ厚み3mmのリン酸エステルと銅(II)化合物よりなる化学反応型消臭剤を付着させたポリエステル不織布(ゼオン化成株式会社製の品番ZCL−F3002)を用いた。活性炭層48には、平均粒径3mmの粒状活性炭を、層48の厚みが14mmとなるように、ガス除去フィルタ42の風上側表面と合成繊維不織布層44,46の面方向に均一に充填した。
【0041】
合成繊維不織布層46の風下側に積層した第2エアフィルタ50としては、DOP法による0.3μmの微細粉塵の捕集率が単体で90%である厚み0.4mmの中性能エアフィルタ(北越製紙株式会社製の品番H730−A)を用いた。図1(B)に示すように、ガス除去フィルタ42の風上側表面と第2エアフィルタ50の風下側表面にそれぞれ金網52と54を設置し保護した。
【0042】
枠体32の風下側開口端面には、厚み5mmの独立発泡型ネオプレン製パッキン38(株式会社イノアックコーポレーション製のスポンジゴム製品番号C−4205)を装着した。パッキン38のSRIS0101タイプC硬度が10で、ASTM D 1056の圧縮永久歪みが16.5%であった。また、目張り部材56としては、ポリウレタン系2成分型接着剤(サンユレジン(株)社製の製品番号A−404および製品番号H−110A)を用いた。
【0043】
このように構成したフィルタ装置2を、図3に示す電子写真装置4(富士通(株)製のプリンタ装置:製品番号F6712E)の加熱定着部6の排気ラインに取り付けた。電子写真装置4では、印刷用トナーとして、ワックス多量添加型の定着性の良いトナーを用いた。
【0044】
この電子写真装置4を、プリンタ印字率20%として実際に印字試験を行い、排気ラインの排気口からの初期排出粉塵量と臭気とフィルタ寿命とを調べた。結果を表1に示す。表1に示すように、初期排出粉塵量は、0.011mg/m3 であった。また、寿命は50,000枚であり、臭気は極僅かな甘味臭であった。
【0045】
【表1】
【0046】
なお、排出粉塵量は、光散乱積分方式の浮遊粉塵相対濃度測定機(デジタル粉塵計:P−5H、SHIBATA製)を用いて、排気口より約30cm離れた位置の排気をサンプリングして測定した。また、フィルタ寿命は、フィルタ装置が一定圧力損失差に到達するまでの印刷枚数により評価した。すなわち、プリンタによりA4版紙面に印字率20%で印刷した場合、トナー定着煙によってフィルタ装置の初期の圧力損失より50mmAq上昇したときの印刷枚数をフィルタ寿命とした。さらに、臭気は、3名のパネリストにより官能評価した。
【0047】
実施例2
プレフィルタ40として、風下側のフィルタを下記に示すフラットな単純シート状のフィルタに取替えた以外は、実施例1と同様にして電子写真装置用フィルタ装置を組み立て、測定した。
【0048】
すらわち、実施例1のプレフィルタの内、風下側のプリーツフィルタの代わりに、計数法による0.3μmの微細粉塵の捕集率が単体で60%であり、目付量550g/m2 のガラス繊維製ろ布(東洋紡績(株)製、品番EF−200BX、厚さ3.6mm)からなるフラットのシートを用い、風上側は実施側1と同じプリーツフィルタとしてプレフィルタを構成した。
【0049】
実施例1と同じ試験を行った結果を表1に示す。
【0050】
表1に示すように、初期排出粉塵量は、0.024mg/m3 であった。また、寿命は60,000枚であり、臭気は刺激臭は取れたが、極僅かな甘味臭が残った。
【0051】
比較例1
プレフィルタ40を装着しなかった以外は、前記実施例1と同様にして、電子写真装置用フィルタ装置を組み立て、実施例1と同じ試験を行った。結果を表1に示す。表1に示すように、初期排出粉塵量は、0.028mg/m3 であり、臭気は刺激臭は取れたものの、極僅かな甘味臭であったが、フィルタ寿命が8,000枚と実施例に比べて短かった。
【0052】
比較例2
プレフィルタ40としては、風上側に計数法による0.3μmの微細粉塵の捕集率が単体で70%であり、目付量が120g/m3 のポリプロピレン繊維製ろ布(東洋紡績(株)製、品番EFU−95、厚さ約1mm)、風下側に計数法による0.3μmの微細粉塵の捕集率が単体で18%であり、目付量が65g/m3 のガラス繊維製ろ布(Lydall Inc.製、品番1909、厚さ0.33mm)の二層構造をプリーツ加工したものを用いた。プリーツのジグザグ単体幅は約3mmであり、ジグザグ高さは25mmであった。また、ろ布の表面積は0.6m3 であった。プレフィルタ以外のフィルタ装置の構成及び電子写真装置は実施例1と同じにして、実施例1と同様な測定項目につき試験をした。結果を表1に示す。初期排出粉塵量は0.030g/m3 で比較的少なく、臭気も極僅かな甘味臭であったが、フィルタ寿命は7,000枚と短かった。
【0053】
比較例3
ガス除去フィルタとして、化学反応型消臭剤を付着させていない二つの合成繊維付着層と、これら二つの合成繊維不繊布層の間にJIS K 1474による粒度8〜12メッシュ95重量%以上の活性炭を厚さ1mm以下狭んだものを用いた以外は前記実施例1同様にして電子写真装置用フィルタ装置を組み立て、実施例1と同じ試験を行った。結果を表1に示す。表1に示すように、初期排出粉塵量は0.011mg/m3 で、フィルタ寿命も50, 000枚である点は実施例1と同様の結果であったが、臭気は刺激臭及び甘味臭が強かった。
【0054】
【発明の効果】
以上説明してきたように、本発明に係る電子写真装置用フィルタ装置によれば、加熱定着部に発生するガスの臭い成分を有効に除去し、微粒子の捕捉率特性に優れ、且つ目詰まりが少なく、フィルタの寿命が長い。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1(A)は本発明の1実施形態に係る電子写真用フィルタ装置の要部断面図、同図(B)は同図(B)に示すIB部の要部断面図である。
【図2】 図2(A)は図1(A)に示す電子写真装置用フィルタ装置の概略斜視図、同図(B)は本発明の他の実施形態に係る電子写真装置用フィルタ装置の分解斜視図である。
【図3】 図3はフラッシュ定着式プリンタ装置の概略構成図である。
【符号の説明】
2… フィルタ装置
4… レーザプリンタ装置(電子写真装置)
6… 加熱定着部
30… フィルタ本体
32… 枠体
34… 風上側開口部
36… 風下側開口部
38… パッキン
40… プレフィルタ
41… エアフィルタ
42… ガス除去フィルタ
44,46… 合成繊維不織布層
48… 活性炭層
50… 第2エアフィルタ
52,54… 金網
56,56a… 目張り部材
Claims (2)
- 二層以上の積層体であり、風下側により高い捕集率の層が配置され、計数法による0.3μm径の極微細な粉塵の捕集率が50〜60%のプレフィルタと、
前記プレフィルタの風下側に配置され、計数法による0.3μm径の極微細な粉塵の捕集率が99.97%以上のエアフィルタと、
前記エアフィルタの風下側に配置され、少なくとも14mm以上の活性炭層を有するガス除去フィルタと、
前記プレフィルタ、エアフィルタおよびガス除去フィルタの周囲を保持する枠体とを有する電子写真装置用フィルタ装置。 - 前記プレフィルタが、合成繊維製またはガラス繊維製の濾布を有し、繊維目付量が65〜550g/m2 である請求項1に記載の電子写真装置用フィルタ装置。
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