本発明は、搬送設備が配備された立体自動倉庫、物流センター等の建築物の大規模化に伴う火災被害の拡大を防止するという社会的背景によって充実してきた防火設備、特に、建築物内の部屋間及び建築物間に亘って搬送物が移動自在に配備された搬送設備の、防火シャッター等の遮断壁による部屋間及び建物間を分断する防火設備において、搬送設備に損傷を与えることなく、安全・安心で、かつ、確実に対応可能で、速やかに復旧可能な搬送装置の遮断機構を提供することを目的としている。
より具体的には、防火シャッター等の遮断壁による部屋間及び建物間の分断する防火設備が必要な異なる部屋の搬送装置間に設置されている、搬送物の受け渡しを行う中継搬送装置が、遮断壁の閉鎖に対し、損傷を受けることなく、確実かつ迅速に待避すると共に、遮断壁の開放においては、速やかに復旧可能な搬送装置の遮断機構を提供することを目的としている。
本発明は、基本的に、遮断壁の降下を検知する手段を備え、その検知手段の信号又は動力により、異なる部屋の搬送装置間に設置されている、搬送物の受け渡しを行う中継搬送装置が、遮断壁が降下する遮断空間から待避することができる駆動装置又は動作部品を備えた構成の遮断機構であるが、検知手段、中継搬送装置、及び、動作部品それぞれに特徴を有する搬送装置の遮断機構である。
検知手段については、遮断壁と接触又は衝突するレバー又はローラの材質及び構成を、中継搬送装置については、回動、摺動、又は、伸縮する仕組みを、そして、駆動装置については、シリンダ及びその動力源等を、動作部品については、バネ、錘、及び、プーリ等の組合せ、並びに、中継搬送装置の保持部品及び保持方法等を検討することによって、本発明の完成に至った。
すなわち、本発明は、部屋間に亘って搬送物を移動可能な搬送設備において、部屋間に始終端が位置する搬送装置と、部屋間の遮断壁が昇降する遮断空間に位置する中継搬送手段と、遮断壁の遮断動作を検知する検知手段と、中継搬送手段を静止及び駆動可能な複動手段とを備え、中継搬送手段が、搬送装置に応動するコンベヤであって、搬送装置の始端又は終端付近に備えた回動側板支持部材の回動軸を中心として支持される回動側板の一端に軸支されると共に、複動手段が、搬送装置に応動するコンベヤを支持可能に及び遮断空間から回動して待避可能に回動側板と接続されていることを特徴とする搬送装置の遮断機構である。
中継搬送手段として適用する搬送装置に応動するコンベヤは、特に限定されるものではなく、部屋間に亘って搬送物が支障なく受け渡しが可能であって、遮断壁の昇降が可能な遮断空間に収まるものであればよく、一般的なローラコンベヤ、ベルトコンベヤ等が適している。ローラコンベヤの場合には、簡単な遮断機構を構築することができるローラ一本だけであることが好ましい。
中継搬送手段を軸支すると共に遮断空間から回動して待避可能に回動側板支持部材に支持される回動側板、及び、回動側板を支持すると共に遮断空間から待避可能に接続される複動手段は、部屋間に始終端が位置する二つの搬送装置のいずれかの少なくとも片側に設置されればよいが、中継搬送装置の搬送物を受け渡しする機能及び中継搬送装置が待避する機能が安定して発現されるためには、両側に設置した方が好ましい。
コンベヤを軸支する回動側板を回動可能に支持する回動側板支持部材は、特別に設けても良いが、搬送装置の側壁で代替することが可能である。同様に、検知手段及び複動手段も固定する支持部材を新たに設けても良いが、搬送装置の側壁を利用して固定してもよい。
このような搬送装置の遮断機構は、遮断壁が降下して部屋を閉鎖する遮断動作を検知した検知手段から信号が発せられると、中継搬送手段を軸支すると共に回動側板支持部材の回動軸を中心として支持される回動側板に接続されている複動手段が、回動側板を下方に回動して、中継搬送手段を遮断空間から待避するように作動する。逆に、検知手段が、遮断壁が上昇して部屋を開放する接続動作を検知した場合、切換信号が発せられ、複動手段が回動側板を上方に回動して中継搬送手段を元の位置に復帰させることができる。
従って、本発明の搬送装置の遮断機構は、遮断壁と中継搬送装置とが接触することなく、検知手段から送信される信号に基づき、中継搬送装置が回動可能に接続された複動手段が作動して中継搬送装置を遮断空間から待避することができるため、中継搬送装置が損傷を受けることなく、確実かつ迅速に待避すると共に、遮断壁の開放においては、速やかに復旧することができる。
更に、本発明の搬送装置の遮断機構は、確実かつ迅速な待避、及び、速やかな復帰という観点から、以下に示すような中継搬送手段を適用することを特徴としている。
第一に、部屋間に始終端が位置する搬送装置と、部屋間の遮断壁が昇降する遮断空間に位置する中継搬送手段と、遮断壁の遮断動作を検知する検知手段と、中継搬送手段を静止及び駆動可能な複動手段とを備えた搬送装置の遮断機構において、中継搬送手段が、搬送装置に応動するコンベヤであって、搬送装置の始端又は終端に隣接した遮断空間外に設けられた摺動部材上を摺動するコンベヤ摺動支持部材に軸支されると共に、複動手段が、コンベヤ摺動支持部材を滑止可能に及び遮断空間から摺動して待避可能に、コンベヤ摺動支持部材と接続されていることを特徴とするものである。
この場合も、中継搬送手段として適用する搬送装置に応動するコンベヤは、特に限定されるものではなく、部屋間に亘って搬送物が支障なく受け渡しが可能であって、遮断壁の昇降が可能な遮断空間に収まるものであればよく、一般的なローラコンベヤ、ベルトコンベヤ等が適している。ローラコンベヤの場合には、簡単な遮断機構を構築することができるローラ一本だけであることが好ましい。
また、搬送装置の始端又は終端に隣接した遮断空間外に設けられる摺動部材、コンベヤを軸支すると共に摺動部材上を摺動するコンベヤ摺動支持部材、及び、コンベヤ摺動支持部材を滑止可能に及び遮断空間から摺動して待避可能に接続される複動手段は、部屋間に始終端が位置する二つの搬送装置のいずれかの少なくとも片側に設置されればよいが、中継搬送装置の搬送物を受け渡しする機能及び中継搬送装置が待避する機能が安定して発現されるためには、両側に設置した方が好ましい。
複動手段及びコンベヤ摺動支持部材を受ける摺動部材も、新たな支持部材を設けて固定しても良いが、搬送装置の側壁を利用して固定してもよい。
このような搬送装置の遮断機構は、遮断壁が降下して部屋を閉鎖する遮断動作を検知した検知手段から信号が発せられと、搬送装置の始端又は終端に隣接した遮断空間外に設けられた摺動部材上を摺動すると共に中継搬送手段を軸支するコンベヤ摺動支持部材と接続されている複動手段が縮退することによって、コンベヤ摺動支持部材が摺動して中継搬送手段が遮断空間から待避するように作動する。逆に、検知手段が、遮断壁が上昇して部屋を開放する接続動作を検知した場合、切換信号が発せられ、複動手段が伸長することによって、コンベヤ摺動支持部材が摺動して中継搬送手段を元の位置に復帰させることができる。
第二に、部屋間に始終端が位置する搬送装置と、部屋間の遮断壁が昇降する遮断空間に位置する中継搬送手段と、遮断壁の遮断動作を検知する検知手段と、中継搬送手段を静止及び駆動可能な複動手段とを備えた搬送装置の遮断機構において、中継搬送手段が、搬送装置に応動するコンベヤであって、搬送装置の始端又は終端に隣接した遮断空間外のコンベヤ固定支持部材で、搬送装置に応動するコンベヤの一端が軸支され、複動手段が、搬送装置に応動するコンベヤの他端と支持可能に及び遮断空間から回動して待避可能に接続されていることを特徴とするものである。
コンベヤとしては、一般的なローラコンベヤ、ベルトコンベヤ等が適しているが、この場合のローラコンベヤは、ローラ一本では中継搬送手段を遮断空間から待避させることができないため、少なくとも二本以上のローラを備えたコンベヤである必要がある。
この搬送装置の遮断機構は、遮断壁が降下して部屋を閉鎖する遮断動作を検知した検知手段から信号が発せられると、搬送装置の始端又は終端に隣接した遮断空間外のコンベヤ固定支持部材に一端が軸支されている中継搬送手段の他端と接続された複動手段が縮退し、中継搬送手段が下方に回動して遮断空間から待避される。逆に、検知手段が、遮断壁が上昇して部屋を開放する接続動作を検知した場合、切換信号が発せられ、複動手段が伸長することによって、中継搬送手段を元の位置に復帰させることができる。
その他、コンベヤ固定支持部材、複動手段の設置方法及び設置場所については、上記遮断機構と同様である為、説明を省略する。
第三に、部屋間に始終端が位置する搬送装置と、部屋間の遮断壁が昇降する遮断空間に位置する中継搬送手段と、遮断壁の遮断動作を検知する検知手段と、中継搬送手段を静止及び駆動可能な複動手段とを備えた搬送装置の遮断機構において、中継搬送手段が、搬送装置に応動するコンベヤであって、搬送装置の始端又は終端付近に備えたコンベヤ伸縮支持部材で支持されると共に、複動手段が、搬送装置に応動するコンベヤを押止可能に及び遮断空間から縮退して待避可能に、コンベヤ伸縮支持部材と接続されていることを特徴とするものである。
この場合は、中継搬送手段であるコンベヤとして、一般的なベルトコンベヤ、ローラコンベヤを適用することはできず、コンベヤを構成する少なくとも二本以上のローラを軸支する支持部材間にバネ等の伸縮手段を設け、この伸縮手段を縮退させると共に、コンベヤを保持することができるように、複動手段を接続する必要がある。
このような構成にすることによって、遮断壁が降下して部屋を閉鎖する遮断動作を検知した検知手段から信号が発せられると、複動手段が縮退することによって、中継搬送手段を構成するローラを軸支する支持部材間の伸縮手段が縮退し、コンベヤの長さが短くなり、中継搬送手段が遮断空間から待避することができる。逆に、検知手段が、遮断壁が上昇して部屋を開放する接続動作を検知した場合、切換信号が発せられ、複動手段が伸長することによって、中継搬送手段を構成するローラを軸支する支持部材間の伸縮手段も伸長し、コンベヤの長さが長くなり、中継搬送手段を元の位置に復帰させることができる。
その他、コンベヤ固定支持部材、複動手段の設置方法及び設置場所については、上記遮断機構と同様である為、説明を省略する。
第四に、部屋間に始終端が位置する搬送装置と、部屋間の遮断壁が昇降する遮断空間に位置する中継搬送手段と、遮断壁の遮断動作を検知する検知手段と、中継搬送手段を静止及び駆動可能な複動手段とを備えた搬送装置の遮断機構において、中継搬送手段が、搬送装置に応動するローラであって、搬送装置に応動するローラがローラ回動支持部材に軸支されると共に、ローラ回動支持部材が、搬送装置の始端又は終端付近の球面軸受支持部材に備えた球面軸受を用いて軸支され、更に、ローラ回動支持部材を遮断空間から待避可能に摺接する案内プレートを備え、複動手段が、搬送装置に応動するローラを支持可能に及び遮断空間から鉛直方向に引き続き水平方向に回転して待避可能に、ローラ回動支持部材と接続されていることを特徴とするものである。
この場合、中継搬送手段は一本のローラに限定される。このローラが軸支されたL字型ローラ回動支持部材は、球面軸受けで軸支されると共に、L字型ローラ回動支持部材のアームに複動手段が接続され、複動手段の伸長及び縮退に伴ってローラが遮断空間から待避及び遮断空間に復帰することができる軌道に誘導する案内プレートが、L字型ローラ回動支持部材のアームと摺動可能に接触されている。
この構成の遮断機構の案内プレートによるローラの軌道を更に詳しく説明する。L字型ローラ回動軸支持部材は球面軸受けで軸支されているため、L字型ローラ回動軸支持部材が立体的に移動することができる。従って、L字型ローラ回動軸支持部材のアームに接続された複動手段が伸長すると、L字型ローラ回動軸支持部材に軸支されたローラが、異なる部屋に設置された搬送装置の位置から上方に回動し、更に、複動手段が伸長すると、搬送装置と直角方向に回動して待避することができる案内プレートの形状としておけば、複動手段がローラの回転運動に変換でき、容易に遮断空間から待避及び遮断空間に復帰することができる。
この遮断機構の場合には、球面軸受け支持部材、L字型ローラ回動軸支持部材、複動手段の設置方法及び設置場所は、上述した遮断機構と異なり、球面軸受け支持部材及び複動手段は、搬送装置の下方に固定することが好ましく、L字型ローラ回動軸支持部材は、当然、中継搬送手段のローラの片側に備えることになる。
第五に、部屋間に始終端が位置する搬送装置と、部屋間の遮断壁が昇降する遮断空間に位置する中継搬送手段と、遮断壁の遮断動作を検知する検知手段と、中継搬送手段を静止及び駆動可能な複動手段とを備えた搬送装置の遮断機構において、搬送装置の始端と終端に段差を設け、中継搬送手段を、前記搬送装置に応動するコンベヤ又は傾斜板とし、段差を中継するように、搬送装置の始端又は終端に隣接した遮断空間外のコンベヤ固定支持部材又は傾斜板固定支持部材で、搬送装置に応動するコンベヤ又は傾斜板の一端が軸支され、複動手段が、搬送装置に応動するコンベヤ又は傾斜板を押止可能に及び遮断空間から回動して待避可能に、搬送装置に応動するコンベヤ又は傾斜板と接続されていることを特徴とするものである。
この場合のコンベヤは、一般的なローラコンベヤ、ベルトコンベヤ等を適用することができ、これらを支持するコンベヤ固定支持部材又は傾斜板固定支持部材及び複動手段は、搬送装置の少なくとも片側に設置すればよいが、安定したコンベヤ又は傾斜板の待避及び復帰を確保するため、搬送装置の両側に設けることが好ましい。また、こられを固定する方法は、新たな支持部材を設けてもよいが、搬送装置の側壁等を利用することができる。
また、本発明の搬送装置の遮断機構は、複動手段についても、中継搬送手段を確実かつ迅速に待避すると共に、速やかに復帰させることを目的として、以下に示すような解決手段を提供している。
第一に、複動手段が、検知手段の指示に従って、中継搬送手段を遮断空間から待避及び中継搬送手段を遮断空間に復帰するようにピストンを往復運動するエアシリンダ及び電動シリンダであることを特徴とするものである。
エアシリンダは、動力が圧縮空気であるため、簡便な構造でサイズが小さく、安全性が高い清潔な装置であり、高温環境下でも使用できるという特徴があり、火災時に駆動させる複動手段に適している。また、圧縮空気には弾力性があるため、本発明の中継搬送手段の待避及び復帰において、中継搬送手段に損傷を与える可能性が少なくなる。
エアシリンダのエア供給切換弁は、空気式切換弁と電磁式切換弁とがあるが、特に限定されない。電気を使用しないという観点からは、空気式切換弁である方が好ましく、全空気圧回路による装置が可能である。ただし、電源の問題は、後述するように、非常用電源又は自己発電装置を適用することによって解決することができるので、切換速度を考慮して両者を使い分けることが望ましい。
そして、エアシリンダへのエア供給手段として、開閉弁を介してコンプレッサと接続された、高圧空気を貯留するエアタンクを備えておくことによって、本発明の搬送装置の遮断機構のように、火災時だけに使用するという場合には、装置を大型化する必要がないという特徴もある。更に、主エアタンクの故障等に対応するため、開閉弁を介して補助タンクを備えていることが好ましく、開閉弁を介してコンプレッサと接続された補助タンクを備えていることがより更に好ましい。最悪の場合には、エアシリンダへのエア供給手段は、本発明の搬送装置の遮断機構は火災時だけに使用されるので、エアシリンダと開閉弁とから形成されるエア配管で十分作動させることも可能である。このように、エアシリンダは、安全性という観点から特に優れている。
一方、本発明の搬送装置の遮断機構の複動手段が、電動シリンダであることを特徴としているのは、エアシリンダとは異なる特徴を有していることに起因する。
特に、電動シリンダは、制御性に優れているという大きな特徴があり、位置及び速度調整が容易で、初動が速い。そのため、制御性の高さは、損傷を防止することができ、初動の速さは、緊急性を要する中継搬送手段の待避に適している。
電源が必要であるという点については、後述するように、非常用電源又は自己発電装置を適用することによって解決することが可能である。
第二に、本発明の複動手段が、検知手段の指示に従って、中継搬送手段を遮断空間から待避及び前記中継搬送手段を遮断空間に復帰するようにピストンを往復運動するエアシリンダ又は電動シリンダに、機械的伸縮装置を並設した機構であることを特徴とするものである。
このように、機械的伸縮装置をエアシリンダ又は電動シリンダに並設することによって、エアシリンダ又は電動シリンダのピンストンの往復運動を補助し、エアシリンダ又は電動シリンダに係る動力源の負荷を低減するだけでなく、中継搬送手段の動作を制御するものである。
機械的伸縮装置としては、特に限定されるものではないが、錘付きワイヤ、圧縮バネ、及び、引張りバネであることが好ましい。錘付きワイヤの場合は、中継搬送手段の待避において、中継搬送手段に迅速な動作を促すものである。圧縮バネの場合、異なる部屋の搬送装置の受け渡しを行う中継搬送装置の保持を補助すると共に、中継搬送手段の待避における動作に弾力性を与え、中継搬送手段の損傷防止を補うものである。そして、引張りバネの場合は、錘付きワイヤと同様、中継搬送手段に迅速な動作を促すものである。
更に、部屋間に亘って搬送物を移動可能な搬送設備における、部屋間に始終端が位置する搬送装置と、部屋間の遮断壁が昇降する遮断空間に位置する中継搬送手段と、遮断壁の遮断動作を検知する検知手段と、中継搬送手段を静止及び駆動可能な複動手段とを備えた、本発明の搬送装置の遮断機構の特徴として、検知手段を挙げることができる。
本発明の検知手段は、遮断空間に位置し、遮断壁が降下することによって遮断壁と接触又は衝突するレバーと、レバーの変位を信号に変換する切換装置と、その信号を複動手段及び/又は搬送装置に送信する配線とを備えていることを特徴としている。
本発明の検知手段を配備することによって、遮断壁と中継搬送手段とが接触又は衝突することなく中継搬送手段の待避動作に移行できるため、中継搬送手段の損傷を抑えることができることはいうまでもなく、検知手段のレバーの位置に応じて、中継搬送手段の待避動作に移行できると共に、搬送装置を停止することが可能であるため、中継搬送手段の速やかな待避だけでなく、搬送装置からの搬送物の落下を防止することも可能となる。
逆に、火災が鎮火した後、又は、遮断壁が誤動作した後、遮断壁が上昇すると共に、検知手段のレバーによって信号が切換えられ、中継搬送手段は、異なる部屋の搬送装置間で搬送物を受け渡しする元の位置に復帰させることができる。
更に、このような検知手段は、遮断壁が降下及び上昇することによって遮断壁と接触又は衝突するレバーを工夫することによって、電源の必要ない中継搬送手段の待避動作及び復帰動作を誘導することができる。すなわち、検知手段が、搬送装置の始端又は終端付近に固定された第一の検知ローラ支持部材に軸支される、遮断壁と接触回転する輪軸状の発電ローラであって、増幅器を備えた回転式発電機と回転可能に連接されると共に、エアシリンダと配線され、前記エアシリンダの電磁式切換弁を駆動する電源として活用することを特徴とするものである。この検知手段によって、電源を全く必要としないでエアシリンダを駆動して中継搬送手段を待避及び復帰させることができるという特徴がある。また、電動シリンダを用いた場合の電源にもなりうる。
一方、本発明の搬送装置の遮断機構が、中継搬送手段を待避させる複動手段として、エアシリンダ又は電動シリンダを用いる場合、検知手段は、遮断壁と接触又は衝突するレバーである必要はなく、火災報知器及び/又はスプリンクラーであってもよい。火災報知器及び/又はスプリンクラーの信号が複動手段及び/又は前記搬送装置に送信されることによって、中継搬送手段の待避動作に移行できると共に、搬送装置を停止することが可能であるため、中継搬送手段の速やかな待避だけでなく、搬送装置からの搬送物の落下を防止することも可能となる。
以上、エアシリンダや電動シリンダのように、少なからず電源を必要とする複動手段を本発明の搬送装置の遮断機構に採用した場合、火災時には停電することが予想されるので、非常用電源に切換え可能としておくことが好ましい。
このように、部屋間に亘って搬送物を移動可能な搬送設備における、部屋間に始終端が位置する搬送装置と、部屋間の遮断壁が昇降する遮断空間に位置する中継搬送手段と、遮断壁の遮断動作を検知する検知手段と、中継搬送手段を静止及び駆動可能な複動手段とを備えた、本発明の搬送装置の遮断機構の特徴として、中継搬送手段、検知手段について説明したが、更に、検知手段と複動手段とを複合化した解決手段を見出した。
これまでの複動手段は、水、エア、油、電気等を動力源としたシリンダのピストンの往復運動を利用することによって、中継搬送手段の待避及び復帰を行うものであったが、次に示す本発明の複動手段は、エアや電気等の動力源を用いることなく往復のいずれの方向の運動時にも作用圧力が加わった状態で動くことが可能な複動手段を適用したことに特徴がある。
すなわち、本発明の搬送装置の遮断機構は、部屋間に亘って搬送物を移動可能な搬送設備において、部屋間に始終端が位置する搬送装置と、部屋間の遮断壁が昇降する遮断空間に位置する中継搬送手段と、遮断壁の遮断動作を検知する検知手段と、中継搬送手段を静止及び駆動可能な複動手段とを備え、中継搬送手段が、搬送装置に応動するコンベヤであって、搬送装置の始端又は終端に隣接した遮断空間外に設けられた摺動部材上を摺動するコンベヤ摺動支持部材に軸支され、複動手段が引張りバネであって、ストッパによりコンベヤ摺動支持部材を滑止可能に及び遮断空間から摺動して待避可能に、コンベヤ摺動支持部材と接続されており、検知手段が、遮断空間に位置するレバーを備えた巻取り装置であって、ストッパと巻取り装置とが、遮断壁がレバーと接触又は衝突してストッパが解除可能に接続されていることを特徴とするものである。引張りバネの代わりに、錘を使用することもできる。
この遮断機構も、検知手段が遮断壁と接触又は衝突することによって、中継搬送手段が待避するため、中継搬送手段に損傷を与えることはないと共に、バネ又は錘を動力源としているため、穏やかな中継搬送手段の待避動作で、安全性が高い遮断機構である。また、電源を必要とせず、火災時に作動させる装置として相応しい。
以上、部屋間に亘って搬送物を移動可能な搬送設備において、部屋間に始終端が位置する搬送装置と、部屋間の遮断壁が昇降する遮断空間に位置する中継搬送手段と、遮断壁の遮断動作を検知する検知手段と、中継搬送手段を静止及び駆動可能な複動手段とを備えた搬送装置の遮断機構について説明した。しかしながら、本発明の課題である、遮断壁の降下による搬送設備への損傷がなく、安全・安心で、かつ、確実に対応可能で、速やかに復旧可能な遮断機構の実現は、このような構成に限定されるものではなく、様々な部品を組合せたことを特徴とした、電源を要することのない遮断機構によっても実現可能である。
このような本発明の搬送装置の遮断機構としては、まず、部屋間に亘って搬送物を移動可能な搬送設備において、部屋間に始終端が位置する搬送装置と、部屋間の遮断壁が昇降する遮断空間に位置する中継搬送手段と、中継搬送手段を静止可能な係止手段と、遮断壁の遮断動作を検知する検知手段とを備え、遮断壁の遮断動作を検知する検知手段と中継搬送手段を静止可能な係止手段とを一体化させた中継搬送手段解除アームとし、搬送装置の始端又は終端付近に備えた支柱の軸を回転中心として中継搬送手段解除アームが支持され、中継搬送手段が、搬送装置に応動するローラであって、搬送装置の始端又は終端付近に備えた回動側板支持部材の回動軸を支点として支持される吊持ピンを付設した回動側板の一端に軸支され、係止手段で吊持ピンを用いて回動側板を吊持すると共に、検知手段が、遮断空間に位置するレバーを備えた切換装置であることを特徴とする搬送装置の遮断機構をあげることができる。この遮断機構では、遮断壁の降下によって遮断壁がレバーと接触又は衝突して、係止手段が回動側板の吊持を解除することによって中継手段が待避する。
この遮断機構によれば、極めて簡単な構造で、遮断壁と中継搬送手段が接触又は衝突することなく、中継搬送手段が速やかに待避することができる。逆に、簡単な構造であるため、自動的ではないが、容易に復旧することが可能である。
この遮断機構の吊持ピンにベアリングを取付けることによって、中継搬送手段の待避動作をより円滑にすることができ好ましい。逆に、検知手段であるレバーと搬送装置の始端又は終端付近に備えた支柱とを引張りバネで接続することによって、中継搬送手段が安定して保持される。
様々な部品を組合せたことを特徴とした、電源を要することのない第二の遮断機構としては、部屋間に亘って搬送物を移動可能な搬送設備において、部屋間に始終端が位置する搬送装置と、部屋間の遮断壁が昇降する遮断空間に位置する中継搬送手段と、中継搬送手段を静止可能な係止手段と、遮断壁の遮断動作を検知する検知手段とを備え、遮断壁の遮断動作を検知する検知手段と中継搬送手段とを一体化させた中継搬送手段待避アームとし、中継搬送手段が、搬送装置に応動するローラであって、中継搬送手段待避アームの先端で軸支され、搬送装置の始端又は終端付近に備えた支柱の軸を回転中心として中継搬送手段待避アームが支持され、係止手段が、圧縮バネであって、搬送装置に固定されて中継搬送手段待避アームを押圧し、検知手段が、遮断空間に位置するレバーを備えた切換装置であることを特徴とする搬送装置の遮断機構をあげることができる。この遮断機構によれば、遮断壁の降下によって遮断壁がレバーと接触又は衝突して、係止手段が縮退することによって中継手段が待避する。
この第二の遮断機構も、極めて簡単な構造で、遮断壁と中継搬送手段が接触又は衝突することなく、中継搬送手段が速やかに待避することができる上、中継搬送手段が圧縮ばねで押圧されているため、中継搬送手段が自由落下しないので、作業員に対して安全で、搬送装置に対して損傷を与えないという特徴を有している。
簡単な構造であるため、自動的ではないが、容易に復旧することが可能であるが、この第二の遮断機構の場合、後述するように、検知手段のレバーを工夫することによって、遮断壁の上昇に伴って、中継搬送手段を自動的に復帰させることが可能である。
本発明の課題を解決する様々な形式の遮断機構を記載してきたが、これらに共通した本発明の種々の課題解決手段がある。これらは、検知手段として使用しているレバーの材質や構成であり、遮断壁及び遮断機構の衝撃及び損傷を緩和すること、及び、遮断壁を開放する際の搬送設備の復旧を容易にすることを目的とするものである。
検知手段に備えられた遮断空間に位置するレバーが、降下してくる遮断壁との接触又は衝突によって変位することによって、電気的な信号が中継搬送手段の待避動作を始動させる場合においても、機械的な動作が中継搬送手段の待避動作を始動させる場合においても、レバーが少なくとも弾性構造体であれば、レバーは変位して本発明の遮断機構を機能させることができる。
しかし、耐火性を有し重量のある遮断壁が、高速で降下してレバーと接触又は衝突することによって受ける遮断壁及びレバーの衝撃は、極めて大きく、遮断壁及びレバーが損傷することも予想される。従って、検知手段に備えられた遮断空間に位置する弾性構造体のレバーは、衝撃を緩和するために、ゴム状物質で被覆されるか、ゴム風船内に閉じ込められることが好ましい。また、レバー自体を、遮断壁との接触又は衝突によるレバーの変位が損なわれない程度の弾性率を有するゴム状物質で形成することがより好ましい。このような材質で構成されたレバーも、降下してくる遮断壁との接触又は衝突によって変位することによって、電気的な信号が中継搬送手段の待避動作を始動させる場合においても、機械的な動作が中継搬送手段の待避動作を始動させる場合においても、弾性構造体のレバー同様、変位して本発明の遮断機構を機能させることができることはいうまでもない。そして、遮断壁が降下した後も接触した状態を保つことができるので、遮断壁とレバーとの摩擦力により、遮断壁の上昇に伴う中継搬送手段の復帰において、レバーの電気的信号又は機械的動作を逆に切換えることが可能となり、中継搬送手段の復帰を半自動化又は自動化することができる。
このようなレバーの材質だけではなく、レバーの構成を検討した結果、次のように改造することによって、レバー本来の機能を損なうことなく、弾性構造体及び材質を改良したレバーよりも好ましい結果が得られ、本発明の完成に至った。
第一に、レバーの先端において、降下する遮断壁と接触するようにローラを軸支している構成であることを特徴とするレバーである。ローラは、降下する遮断壁と接触して回転しながら変位するので、遮断壁及びレバーが受ける衝撃が一層緩和される。この際、遮断壁と接触して回転し易くするため、更に、衝撃を緩和するため、ゴム状物質で被覆されたローラ又はゴム状物質で形成されたローラであることがより好ましい。ローラが軸支されたレバーは、衝撃を緩和するだけでなく、上述したように、遮断壁との接触を保つローラが、遮断壁の上昇に伴う中継搬送手段の復帰を半自動化又は自動化することができる。
第二に、検知手段において、遮断空間に位置するレバーが、降下する遮断壁の下端と接触又は衝突して筒状部品内を伸縮する柱状部品を備えた構成であることを特徴とするレバーである。柱状部品を伸縮させる方法は、筒状部品内に備えた圧縮バネにより柱状部品を保持する方法又は筒状部品と柱状部品とで形成された密閉空間の圧縮気体により保持する方法が、簡便で好ましい。上記ローラの材質同様、この柱状部品の先端も、ゴム状物質で被覆された柱状部品又はゴム状物質で形成された柱状部品であることが好ましい。柱状部品が伸縮するレバーも、衝撃を緩和するだけでなく、上述したように、遮断壁の上昇に伴う中継搬送手段の復帰の半自動化又は自動化においても重要な役割を果たす。
更に、レバーの材質及び構成に加え、特徴を付与した遮断壁を含めた搬送装置の遮断機構とすることによっても、本発明の課題解決手段を提供することができる。
すなわち、遮断壁の下端付近であって、遮断壁の降下によって検知手段を構成するレバー、ローラを軸支したレバー、又は、柱状部品と接触又は衝突する位置に突起部、より好ましくは、ゴム状物質で形成された突起部が付設されている突起遮断壁を遮断機構に含めることを特徴とする搬送装置の遮断機構である。このような構成とすることによって、遮断壁と検知手段とが直接接触することが回避されるため、耐火性を有し重量のある遮断壁が、高速で降下した場合、突起部で衝撃が緩和され、遮断壁及びレバーが受ける衝撃を緩和することができる。
更に好ましくは、遮断壁の下端付近であって、遮断壁の降下によって検知手段を構成するレバー、ローラを軸支したレバー、又は、前記柱状部品と接触又は衝突する位置にローラが付設されているローラ遮断壁を含めることを特徴とする搬送装置の遮断機構である。この場合も、遮断壁に付設されるローラは、ゴム状物質で被覆されたローラ又はゴム状物質で形成されたローラであることがより好ましい。
このような突起遮断壁及びローラ遮断壁も、遮断壁が上昇する際に、突起部及びローラがレバー、ローラを軸支したレバー、及び、柱状部品と接触又は衝突することによって、レバーの電気的信号又は機械的動作を逆に切換えることが可能となり、中継搬送手段の復帰を半自動化又は自動化することができる。
最後に、ローラ、プーリ、錘、バネ等の様々な部品を組合せた、電源を必要としない、本発明の課題を解決する遮断機構として、検知手段に、レバーではなくローラを適用したことを特徴とする遮断機構を提供する。
すなわち、部屋間に亘って搬送物を移動可能な搬送設備において、部屋間に始終端が位置する搬送装置と、部屋間の遮断壁が昇降する遮断空間に位置する中継搬送手段と、中継搬送手段を静止可能な係止手段と、遮断壁の遮断動作を検知する検知手段とを備え、中継搬送手段が、搬送装置に応動するコンベヤであって、搬送装置の始端又は終端付近に備えた回動側板支持部材の回動軸を中心として支持される回動側板の一端に軸支されており、検知手段が、搬送装置の始端又は終端付近に固定された第一の検知ローラ支持部材に軸支される、遮断壁と接触回転する輪軸状の第一のローラと、搬送装置の始端又は終端付近に固定された第二の検知ローラ支持部材に軸支された輪軸状の第二のローラとが逆回転可能に連接されると共に、第二のローラと中継搬送手段が一端に軸支された回動側板の他端とが接続されると共に、回動側板の他端が中継搬送手段を支持可能に及び遮断空間から待避可能に機械的収縮装置と接続されていることを特徴とする搬送装置の遮断機構である。この遮断機構によれば、遮断壁が降下すると共に、中継搬送装置が下方に待避し、遮断壁が上昇すると共に、中継搬送装置が元の前記遮断空間に復帰することを特徴とする搬送装置の遮断機構である。
機械的収縮装置としては、錘付きワイヤであることが好ましく、遮断機構の安定した動作を実現するためには、引張バネであることがより好ましい。
第一のローラが、降下してくる遮断壁との接触を確実なものとするためには、第一の検知ローラと第二の検知ローラとが連結アームで接続され、第一の検知ローラ、第二の検知ローラ、又は、連結アームが、一端が固定された伸縮手段と接続され、第一の検知ローラに押圧が付加されていることが好ましい。この伸縮手段は、その接続方法により、圧縮バネ又は引張りバネであることが簡便な構造で好ましい。
このように、検知手段として、降下する遮断壁と接触して回転するローラを採用することによって、高速で降下してくる耐火性を有し重量のある遮断壁が、検知手段と衝突することはなく、検知手段を構成するローラが回転するだけであるため、遮断壁及び検知手段が受ける衝撃がなく、搬送設備の損傷の問題を解決することができる。また、電源を必要としないので、火災時に適した装置である。更に、火災鎮火後又は誤動作後に、遮断壁を上昇して復旧する場合、遮断壁の上昇に伴って、検知手段を構成するローラが逆回転し、中継搬送手段が自動的に復帰することができる。
以上、本発明の搬送装置の遮断機構を説明したが、遮断機構は、火災時に使用されるため、エア配管系及び電気配線系は、全て、不燃性材料で保護される必要があり、不燃性有機材料又は金属材料で被覆されることが好ましい。
本発明の搬送装置の遮断機構は、火災時に降下する防火シャッター等の遮断壁が、各部屋に配備された搬送装置、各部屋に配備された搬送装置間の搬送物を受け渡しする中継搬送装置等の搬送設備と直接接触することなく、中継搬送装置が、遮断壁が降下する遮断空間から待避することができる。また、中継搬送装置の待避及び復帰が、シリンダ、バネ、ローラ、プーリ等の従来技術を用いているため、遮断壁の降下上昇に対して確実な動作を行うことができる。更に、遮断壁の動作を検知する装置には、ゴム状物質のレバー、ローラ、ピストン等を適用することによって、遮断壁と検知装置との衝突による衝撃を緩和することができ、遮断壁及び検知装置の損傷も回避できる。
従って、本発明によれば、搬送設備が配備された立体自動倉庫、物流センター等の建築物の大規模化に伴う火災被害の拡大を防止するという社会的背景によって充実してきた防火設備、特に、建築物内の部屋間及び建築物間に亘って搬送物が移動自在に配備された搬送設備の、防火シャッター等の遮断壁による部屋間及び建物間を分断する防火設備において、搬送設備に損傷を与えることなく、安全・安心で、かつ、確実に対応可能で、速やかに復旧可能な搬送装置の遮断機構を提供することができる。
以下、本発明を図面に示した一実施形態を用いてより詳細に説明するが、本発明を代表する形態を例示するものであって、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することが可能であり、特許請求の範囲に記載した技術思想によってのみ限定されるものである。
図2Aは、回転側板6が回動側板回動軸6−1を中心として回動して、回動側板6のローラ回動軸6−2で軸支された中継搬送手段である中継ローラ1−71を回動側板6のローラ回動軸6−2で軸支し、搬送装置である第二の部屋に備えられたローラコンベヤ1−51の側壁1−512の回動側板支持部材兼シリンダ固定部7に取付けられた回動側板回動軸6−1で回動可能な回動側板6が、エアシリンダ5により遮断空間から待避及び復帰可能に、エアシリンダ5のピストン5−1の先端と回動側板支持軸5−11で接続された、請求項1に包摂される搬送装置の遮断機構を示す斜視模式図である。
この遮断機構は、第一の部屋1−1に配備された搬送装置1−41から第二の部屋1−2に配備された搬送装置であるローラコンベヤ1−51への搬送物の受け渡しをする中継ローラ1−71が、部屋を区画する壁1−3に備えられたガイドレール2−2に沿って降下する防火シャッター2−1の遮断空間にあり、この遮断空間から中継ローラ1−71を待避及び復帰させるために、第二の部屋に備えられたローラコンベヤ1−51の側壁1−512の回動側板支持部材兼シリンダ固定部7に取付けられた回動側板回動軸6−1で回動可能な回動側板6が、エアシリンダ5により遮断空間から待避及び復帰可能にエアシリンダ5のピストン5−1の先端の回動側板支持軸5−11と接続されると共に、防火シャッター2−1と衝突することによって、防火シャッターの遮断動作を検知する検知装置4が備えられている。検知装置4は、防火シャッター2−1と衝突する検知レバー4−1、検知レバーの変位を電気信号に変換する切換スイッチ4−2、及び、電気信号を送信する信号配線4−3から構成されている。また、エアシリンダ5は、ピストン5−1を複動させるための高圧エアが供給されるエア配管5−2、5−3が、エア給排気口5−21、5−31で接続されている。
この遮断機構は、次のように動作することによって、中継ローラ1−71が防火シャッターの遮断空間から待避及び復帰する。防火シャッター2−1がガイドレール2−2に沿って降下すると、検知レバー4−1と衝突し、防火シャッターの遮断動作が開始されたことが切換スイッチ4−2から電気信号として信号配線4−3を経由し、後述する高圧エアタンク供給系5−8に接続されている(図示されていない)エア切換弁5−7に送信される。この信号に基づき、エア配管5−3から高圧エアが供給されてピストン5−1が縮退し、回転側板6が回動側板回動軸6−1を中心として回動して、回動側板6のローラ回動軸6−2で軸支された中継ローラ1−71が遮断空間から待避する(回動側板6は、破線の回動側板6’に移動する。以下同様である。)。逆に、防火シャッター2−1が上昇して切換レバー4−1が復帰すると、同様の経路で、エア切換弁5−7に信号が送信され、エア配管5−2から高圧エアが供給されてピストン5−1が伸長し、回転側板6が回動側板回動軸6−1を中心として回動して、回動側板6のローラ回動軸6−2で軸支された中継ローラ1−71が遮断空間に復帰する。
この遮断機構は、図2Aでは、第二の部屋に備えられたローラコンベヤ1−51の搬送方向の左側だけに遮断機構が設けられていないように見えるが、図2Aに示す搬送装置の遮断機構の平面模式図である図2Bから明らかなように、遮断機構の安定した動作という観点から、第二の部屋に備えられたローラコンベヤ1−51の両側に備えていることが好ましい。ただし、搬送装置の種類や規模等によるが、片側だけでも十分な対応が可能である。
図2Cは、図2Aに示す搬送装置の遮断機構の側面模式図で、遮断機構の位置関係や動作をより明確にするために記載した。
ここで、第一及び第二の部屋に備えられた搬送装置1−41、1−51として、ローラ1−411、1−511からなるローラコンベヤを図示したが、これに限定さるものではなく、ベルトコンベヤ、スラットコンベヤ等一般的なあらゆるコンベヤに対して、この遮断機構は適用できる。また、第二の部屋に備えられたローラコンベヤ1−51の側壁1−512の回動側板支持部材兼シリンダ固定部7を設け、そこに、エアシリンダ5をエアシリンダ固定部材5−4で固定すると共に、回動側板6を回動側板回動軸6−1で回動可能に接続しているが、第二の部屋に備えられたローラコンベヤ1−51の側壁1−512に直接設置しても良い。これは、検知装置についても同様である。
図3Aは、中継搬送手段である第一の中継ベルトコンベヤ1−72を支持し、搬送装置であるベルトコンベヤ1−52に取付けられた第一の中継ベルトコンベヤ摺動レール1−723上に配備された、第一の中継ベルトコンベヤ摺動部材1−722を備えた第一の中継ベルトコンベヤ支持部材1−721が、エアシリンダ5により遮断空間から待避及び復帰可能にピストン5−1と第一の中継ベルトコンベヤ支持部材支持部5−12で接続された、請求項2に包摂される搬送装置の遮断機構を示す斜視模式図である。ここで、第一の中継ベルトコンベヤ摺動レール1−723は、防火シャッター2−1が降下する遮断空間外に配備される必要がある。
この遮断機構が配備される環境は、図2A〜Cと同様であり、この遮断機構の動作についても、防火シャッター2−1の作動からエアシリンダ5の作動に至る工程は、防火シャッター2−1の降下及び上昇共に、図2A〜Cと同様である。
この遮断機構は、搬送装置であるベルトコンベヤ1−52に取付けられた第一の中継ベルトコンベヤ摺動レール1−723上を、第一の中継ベルトコンベヤ摺動部材1−723を備えた第一の中継ベルトコンベヤ1−72を支持する第一の中継ベルトコンベヤ支持部材1−722が、エアシリンダ5のピストン5−1により摺動し、第一の中継ベルトコンベヤ1−72が、遮断空間から待避及び復帰することに特徴がある。ここで、中継搬送手段として、ベルトコンベヤを図示したが、これに限定されるものではなく、ローラコンベヤ等の一般的なコンベヤを適用することができるが、遮断空間の広さに応じた長さに設計する必要がある。
図3Bは、中継搬送手段がローラ一本で、第二の中ローラ1−73を支持し、搬送装置である第二の部屋に備えられたローラコンベヤ1−51に取付けられた第二の中継ローラ摺動レール1−733上に配備された、第二の中継ローラコンベヤ摺動部材1−732を備えた第二のローラコンベヤ支持部材1−731が、エアシリンダ5により遮断空間から待避及び復帰可能にピストン5−1と第二のローラコンベヤ支持部材支持部5−13で接続されたことが異なっている、請求項2に包摂される搬送装置の遮断機構を示す斜視模式図である。この場合も、第二の中継ローラ摺動レール1−733は、防火シャッター2−1が降下する遮断空間外に配備される必要がある。この遮断機構の動作は、図3Aと全く同じであるため、詳細については省略する。
図4は、搬送装置であるベルトコンベヤ1−52に隣接して備えられた第二の中継ベルトコンベヤ支持部材1−741が、中継搬送手段である第二の中継ベルトコンベヤ1−74の搬送方向の最も下流に位置する第二の中継ベルトコンベヤの回転中心ローラ1−742を軸支し、エアシリンダ5により第二の中継ベルトコンベヤ1−74が遮断空間から待避及び復帰可能に、ピストン5−1の先端と、第二の中継ベルトコンベヤの回転中心ローラ1−742の上流側に位置する第二の中継ベルトコンベヤの回転誘導ローラ1−743とが、第二の中継ベルトコンベヤの支持軸5−14で接続された、請求項3に包摂される搬送装置の遮断機構を示す斜視模式図である。
この遮断機構の動作は、防火シャッター2−1の作動からエアシリンダ5の作動に至る工程は、防火シャッター2−1の降下及び上昇共に、図2A〜Cと同様であるが、第二の中継ベルトコンベヤ1−74が、第二の中継ベルトコンベヤの回転中心ローラ1−742を中心として大きく回動する点が異なっている。
ここで、中継搬送手段として、4本のロールから成る第二の中継ベルトコンベヤ1−74が図示されているが、これに限定されることはなく、防火シャッター2−1が降下する遮断空間やロールの直径等に応じてロールの本数が決定される。また、第二の中継ベルトコンベヤ1−74は、ベルトコンベヤである必要はなく、一般的なローラコンベヤ等を適用することも可能である。
図5は、中継搬送手段である中継伸縮搬送コンベヤ1−75の伸縮ローラ1−752を伸縮可能に支持する伸縮可能なローラ伸縮アーム1−753が、搬送装置である第二の部屋に備えられたベルトコンベヤ1−52の側壁1−522に取り付けられ、エアシリンダ5により中継伸縮搬送コンベヤ1−75が遮断空間から待避及び復帰可能に、エアシリンダ5のピストン5−1の先端と中継伸縮搬送コンベヤ1−75を構成する上下動ローラ1−751とが中継伸縮ベルトコンベヤ支持部5−15で接続された、請求項4に包摂される搬送装置の遮断機構を示す斜視模式図である。
この遮断機構の動作についても、防火シャッター2−1の作動からエアシリンダ5の作動に至る工程は、防火シャッター2−1の降下及び上昇共に、図2A〜Cと同様であり、防火シャッター2−1が降下する場合には、エアシリンダ5のピストン5−1が縮退し、防火シャッター2−1が上昇する場合には、エアシリンダ5のピストン5−1が伸長する。この遮断機構では、ピストン5−1の縮退に伴って上下動ローラ1−751が降下して、中継伸縮搬送コンベヤ1−75を構成する伸縮ローラ1−752がローラ伸縮アーム1−753に沿って縮退して、中継伸縮搬送コンベヤ1−75が遮断空間から待避することに特徴がある。防火シャッター2−1が上昇する場合は、その反対の動作を行う。
図6は、第三の中継ローラ1−76を支持すると共に、ローラ回転軸案内プレート1−763上を摺動するように球面軸受1−762で支持されるローラ回転支持部材1−761が、エアシリンダ5のピストン5−1と第三の中継ローラ回転支持部材支持軸で接続された、請求項5に包摂される搬送装置の遮断機構を示す概要模式図である。
図6では、検知レバー4−1、切換スイッチ4−2、及び、信号配線からなる検知装置4は省略されているが、この遮断機構は、次のような工程で作動する。防火シャッター2−1がガイドレール2−2に沿って降下すると、検知レバー4−1と衝突し、防火シャッターの遮断動作が開始されたことが切換スイッチ4−2から電気信号として信号配線4−3を経由し、後述する高圧エアタンク供給系5−8に接続されている(図示されていない)エア切換弁5−7に送信される。この信号に基づき、エア配管5−2から高圧エアが供給されてピストン5−1が伸長し、球面軸受1−762で支持されるローラ回転支持部材1−761がローラ回転軸案内プレート1−763上に沿って摺動し、第三の中継ローラ1−76が上方に持ち上がる。更に、ピストン5−1が伸長すると、球面軸受1−762で支持されるローラ回転支持部材1−761がローラ回転軸案内プレート1−763上に沿って摺動し、第二の部屋に備えられた搬送装置1−5の搬送方向に対して直角方向に回動することによって、第三の中継ローラ1−76が遮断空間から待避する。逆に、防火シャッター2−1が上昇して切換レバー4−1が復帰すると、同様の経路で、エア切換弁5−7に信号が送信され、エア配管5−3から高圧エアが供給されてピストン5−1が縮退し、待避とは逆の工程で、第三の中継ローラ1−76が遮断空間に復帰する。
図7は、第一の部屋の搬送装置1−42と、第二の部屋の搬送装置1−52に段差がある場合の遮断機構を示す斜視模式図である。第二の部屋の搬送装置に1−52に隣接して備えられた中継傾斜板回転ローラ支持部材1−524に軸支されている中継傾斜板回転ローラ1−523が、中継搬送手段である中継傾斜板1−77と、その搬送方向の最も下流側で結合され、エアシリンダ5により中継傾斜板1−77が遮断空間から待避及び復帰可能に、ピストン5−1の先端と中継傾斜板1−77とが、中継傾斜板1−77の中継傾斜板支持軸5−16で接続された請求項6に包摂される搬送装置の遮断機構を示している。ただし、この図7の場合は、搬送物の移動方向が、これまでの実施形態とは逆で、第一の部屋1−1から第二の部屋1−2に搬送物が移動する場合の実施形態である。
この遮断機構の動作は、図4に示した遮断機構と同様の動作を行うため、説明を省略するが、中継傾斜板1−77については、傾斜板である必要はなく、ローラコンベヤ、ベルトコンベヤ、スラットコンベヤ等の一般的なコンベヤを適用することが可能である。これらの駆動が可能なコンベヤを中継傾斜板1−77の代わりに適用する場合は、搬送物の移動方向が限定されることはなく、第一の部屋1−1から第二の部屋1−2の方向でも、その逆でも、搬送物は支障なく移動される。
以上、本発明の搬送装置の遮断機構における、中継搬送手段を作動させる複動手段として、エアシリンダを使用した実施形態を説明した。これは、エアシリンダは、動力が圧縮空気であるため、簡便な構造でサイズが小さく、安全性が高い清潔な装置であり、高温環境下でも使用でき、火災時に駆動させる複動手段に適していること、及び、圧縮空気には弾力性があるため、本発明の中継搬送手段の待避及び復帰において、中継搬送手段に損傷を与える可能性が少なくなることに基づいている。
エアシリンダのエア切換弁については、一般的に、空気式切換弁及び電磁式切換弁が用いられ、本発明の遮断機構においても、特に限定されるものではない。電気を使用しないという観点からは、空気式切換弁である方が好ましく、全空気圧回路による装置が可能であるが、切換速度という観点からは、電磁式切換弁が優れており、適宜選択して用いることができる。特に、本発明の遮断機構においては、非常用電源又は自己発電装置を用いることができるので、切換速度を考慮して、両者から選択されることが好ましい。
一方、エアシリンダの特徴を発現する動力源の高圧エアは、様々な方法で供給されるが、本発明の遮断機構に適したエア供給方式の代表的な実施形態を図8A〜Dに示す。
図8Aは、本発明の遮断機構を駆動するエアシリンダ5の高圧エア供給系5−8に係る一実施形態であって、エアシリンダ5の給排気を切換えるエア切換弁5−7へのエア供給手段が、コンプレッサ5−84と切換弁5−831を介して接続された主エアタンク5−81である、請求項10に包摂される高圧エア供給系5−8の配管の模式図である。
図から明らかなように、エアシリンダ5には、コンプレッサ5−84と開閉弁5−831を介して接続された主エアタンク5−81から、エア切換弁5−7、絞り弁5−5、5−6を介してエア配管5−2、5−3が接続され、エア給排気口5−21、5−31を通じて、高圧エアの給排気が行われる。ここでは、エアシリンダ5のピストンが縮退している場合の高圧エアの流れを示している。エア切換弁5−7は、特に限定しておらず、空気式切換弁又は電磁式切換弁のいずれでも支障はない。
このように、高圧エア供給手段として、開閉弁を介してコンプレッサと接続された、高圧空気を貯留するエアタンクを備えておくことによって、装置を大型化する必要がなく、本発明の搬送装置の遮断機構のように、火災時だけに使用するという場合には好適である。
しかし、非常時に使用する遮断機構においては、主エアタンクの故障等に対応するため、開閉弁を介して補助エアタンクを備えていることが好ましい。その一実施形態を図8Bに示す。図8Bは、本発明の遮断機構を駆動するエアシリンダ5の高圧エア供給系5−8に係る一実施形態であって、図8Aの主エアタンク5−81に補助エアタンク5−82を備えた、請求項11に包摂される高圧エア供給系の配管の模式図である。
更に、開閉弁を介してコンプレッサと接続された補助タンクを備えていることがより更に好ましく、その一実施形態を図8Cに示す。図8Cは、本発明の遮断機構を駆動するエアシリンダ5の高圧エア供給系5−8に係る一実施形態であって、図8Aの主エアタンク5−81にコンプレッサ5−84が開閉弁5−842を介して接続された補助エアタンク5−82を備えた、請求項11に包摂される高圧エア供給系の配管の模式図である。
最悪の場合には、エアシリンダ5へのエア供給手段は、エアシリンダと開閉弁とから形成されるエア配管で十分作動させることも可能である。この一実施形態を図8Dに示す。図8Dは、本発明の遮断機構を駆動するエアシリンダ5の高圧エア供給系5−8に係る一実施形態であって、エアシリンダ5の給排気を切換えるエア切換弁5−7へのエア供給手段がエア配管5−2、5−3である、請求項12に包摂される高圧エア供給系の配管の模式図である。このように、エアシリンダは、安全性という観点から特に優れている。
しかしながら、本発明の搬送装置の遮断機構の複動手段は、エアシリンダに限定されるものではなく、電動シリンダも好ましく用いられる。これは、電動シリンダがエアシリンダとは異なる特徴を有していることに起因する。特に、電動シリンダは、制御性に優れているという大きな特徴があり、位置及び速度調整が容易で、初動が速い。そのため、制御性の高さは、損傷を防止することができ、初動の速さは、緊急性を要する中継搬送手段の待避に適している。電源が必要であるという点については、後述するように、非常用電源又は自己発電装置を適用することによって解決することが可能である。
この複動手段として電動シリンダを採用した本発明の搬送装置の遮断機構の一実施形態を図9に示す。図9は、第一の中継ローラ1−71を軸支し、搬送装置である第二の部屋に備えられたベルトコンベヤ1−51の側壁1−512に備えられた回動側板支持部兼シリンダ固定部材7に取付けられた回動可能な回動側板6が、電動シリンダ10により遮断空間から待避及び復帰可能に電動シリンダ10のピストン10−1の先端と回動側板支持軸10−11で接続された、請求項13に包摂される搬送装置の遮断機構を示す斜視模式図である。
電動シリンダ10は、ピストン10−1を複動するモーター10−2を備え、第二の部屋に備えられたベルトコンベヤ1−51の側壁1−512に備えられた回動側板支持部兼シリンダ固定部材7の電動シリンダ固定部材10−5に固定され、コントローラ/PLC10−3を介して電源11及び検知装置4の信号配線4−3と接続されており、検知装置4の指示に従って電動シリンダ10が駆動する。
本発明の搬送装置の遮断機構の中継搬送手段の待避及び復帰を司る複動手段は、上述したように、シリンダ、特に、エアシリンダ又は電動シリンダを用いることが好ましいが、シリンダに係る動力源の負荷を低減すると共に、中継搬送手段の動作を制御するために、シリンダに機械的伸縮装置を並設した機構とすることが好ましい。このような遮断機構の一実施形態を図10A及びBに示す。
図10Aは、図2Aの遮断機構のエアシリンダ5において、エアシリンダ5に機械的伸縮装置として錘9−1を備えたエアシリンダ補助機構9を並設した、請求項14及び15に包摂される搬送装置の遮断機構を示す斜視模式図である。回動側板6のワイヤ連結部9−21と錘9−1とが、ワイヤ誘導プーリ9−22を介してワイヤ9−2で、回動側板6にローラ回転軸6−2で軸支された第一の中継ローラ1−71が遮断空間から待避及び復帰可能に接続されており、第一の中継ローラ1−71の迅速な待避動作を促すものである。
図10Bは、図2Aの遮断機構のエアシリンダ5において、エアシリンダ5に機械的伸縮装置としてバネ9−3を備えたエアシリンダ補助機構9を並設した、請求項14及び16に包摂される搬送装置の遮断機構を示す斜視模式図である。回動側板6のバネ連結部9−31とエアシリンダ固定部材5−4のバネ連結部9−32とが、バネ9−3で接続されている。バネ9−3には、圧縮バネと引張りバネが目的に応じて使い分けられる。圧縮バネの場合、回動側板6にローラ回転軸6−2で軸支された第一の中継ローラ1−71を安定して保持すると共に、第一の中継ローラ1−71の待避における動作に弾力性を与え、第一の中継ローラ1−71の損傷防止を補うものである。引張りバネの場合は、第一の中継ローラ1−71の迅速な待避動作を促すものである。
以上、部屋間に亘って搬送物を移動可能な搬送設備における、部屋間に始終端が位置する搬送装置と、部屋間の遮断壁が昇降する遮断空間に位置する中継搬送手段と、遮断壁の遮断動作を検知する検知手段と、中継搬送手段を静止及び駆動可能な複動手段とを備えた、本発明の搬送装置の遮断機構について、検知手段は、遮断壁と接触又は衝突するレバーと、レバーの変位を信号に変換する切換装置と、その信号を複動手段に送信する配線とから構成される検知装置を用いると共に、複動手段としてシリンダを用い、中継搬送手段の待避動作及び復帰動作に特徴を有する請求項1〜17に包摂される実施形態を説明した。次いで、検知手段に特徴を有する本発明の遮断機構の一実施形態を説明する。
図11は、図2Aの遮断機構の検知手段として、検知装置4の代わりに発電用シャッター接触ローラ11−1を採用したことを特徴とする、請求項18に包摂される本発明の搬送装置の遮断機構を示す概要模式図である。図から明らかなように、この検知手段は、発電用シャッター接触ローラ11−1と増幅器付き発電機11−3とが発電装置支持部材11−4に固定され、発電機駆動ワイヤ11−2で両者が連動して回転可能に直結される自己発電装置でもあることに大きな特徴を有する。発電用シャッター接触ローラ11−1が降下する防火シャッー2−1との接触、回転により発電した電力で、エアシリンダ5に繋がる電磁式切換弁5−71に配線11−5を通じで送電されると、エアシリンダ5のピストン5−1が縮退して、回動側板6に軸支されている第一の中継ローラ1−71が待避する。逆に、防火シャッター2−1が上昇するとピストン5−1が伸長して、第一の中継ローラ1−71が復帰する。
この自己発電可能な検知装置は、電動シリンダと接続することによって、電動シリンダを作動させることも可能である。
電源で作動する複動手段を用いる場合、検知手段は、例えば、検知装置4や発電用接触ローラ11−1だけでなく、図示していないが、火災報知器及び/又はスプリンクラーとも接続されている。同様に図示していないが、少なからず電源を必要とする複動手段を本発明の搬送装置の遮断機構に採用する場合、火災時には停電することが予想されるので、非常用電源に切換え可能としてある。
次に、部屋間に亘って搬送物を移動可能な搬送設備における、部屋間に始終端が位置する搬送装置と、部屋間の遮断壁が昇降する遮断空間に位置する中継搬送手段と、遮断壁の遮断動作を検知する検知手段と、中継搬送手段を静止及び駆動可能な複動手段とを備えた、本発明の搬送装置の遮断機構として、検知手段と複動手段とを複合化した、エアや電気等の動力源を用いることなく往復のいずれの方向の運動時にも作用圧力が加わった状態で動くことが可能な複動手段を適用した実施形態を例示する。
図12Aは、エアや電気等の動力源を用いない複動手段を適用した遮断機構の一実施形態であり、第二の中継ローラ1−73を軸支し、搬送装置である第二の部屋に備えられたローラコンベヤ1−51に取付けられた第二の中継ローラ摺動レール1−733上を摺動可能な第二の中継ローラ支持部材1−731が、引張りバネ12−31、12−32を用いた第二の中継ローラ引張りバネ駆動装置12−3−1により遮断空間から待避及び復帰可能に接続された、請求項21に包摂される搬送装置の遮断機構を示す側面模式図である。
「検知手段と複動手段とを複合化した」という意味は、防火シャッター検知レバー12−1、ワイヤ巻取装置12−2、ワイヤ12−21、ワイヤ誘導プーリ12−22とから構成される検知手段と、第一の引張りバネ12−31、第二の引張りバネ12−32、第二の引張りバネストッパ12−33、第二の引張りバネストッパ保持部材12−34とから構成される複動手段である第二の中継ローラ引張りバネ駆動装置12−3−1とを連動させて第二の中継ローラを待避する遮断機構に基づいている。つまり、この遮断機構は、防火シャッター2−1が降下すると、防火シャッター検知レバー12−1が下方に回動すると共に、ワイヤ巻取装置12−2でワイヤ12−21を引張り、第二の引張りバネストッパ保持部材12−34で保持された第二の引張りバネストッパ12−33が上方に解除され、第一の引張りバネ12−31及び第二の引張りバネ12−32とで、第二の中継ローラ1−73が、遮断空間から待避するという動作を行う。防火シャッター2−1が上昇すると、防火シャッター検知レバー12−1が復帰することによって第二の引張りバネストッパ12−33が降下し、半自動ではあるが、第二の中継ローラ1−73を復帰することができる。なお、第一の引張りバネ12−31は、必ずしもバネである必要はないが、第二の中継ローラ1−73の動作を緩和し、第二の部屋に備えられたローラコンベヤ1−51との衝突による損傷を防止するための圧縮バネが好ましい。
図12Bも本発明の一実施形態であって、第二の中継ローラ1−73を軸支し、搬送装置である第二の部屋に備えられたローラコンベヤ1−51に取付けられた第二の中継ローラ摺動レール1−733上を摺動可能な第二の中継ローラ支持部材1−731が、錘12−35を用いた第二の中継ローラ錘駆動装置12−3−2により遮断空間から待避及び復帰可能に接続された、請求項22に包摂される搬送装置の遮断機構を示す側面模式図である。
この場合は、検知手段は図12Aと同じ機構で作動するが、第二の中継ローラ1−73を待避させる第二の中継ローラ錘駆動装置12−3−2が、第一の引張りバネ12−31、錘12−35、錘ストッパ12−36、錘ストッパ保持部材12−37とから構成され、ワイヤ12−21が引っ張られることによって、錘ストッパ12−36が解除され、錘12−35が落下することによって、第二の中継ローラ1−73が待避する。第二の中継ローラ1−73の復帰及び第一の引張りバネ12−31については、図12Aと同様である。
更に、本発明は、遮断壁の降下による搬送設備への損傷がなく、安全・安心で、かつ、確実に対応可能で、速やかに復旧可能な遮断機構の実現という課題を、様々な部品を組合せた、電源を要することのない遮断機構によっても実現している。その一実施形態を図13A、13B、及び、図14に示す。
図13Aは、第一の中継ローラ1−71をローラ回転軸6−2で軸支し、搬送装置である第二の部屋に備えられたローラコンベヤ1−51の側壁1−512に取付けられた回動側板回動軸6−1で回動可能な回動側板6の回動側板吊持ピン12−42が、防火シャッター検知レバー12−1と回動側板吊持レバー12−41とが一体化された第一の中継ローラ解除アーム12−4により、防火シャッターの降下に従って第一の中継ローラ1−71が遮断空間から待避するように吊持された、請求項23に包摂される搬送装置の遮断機構を示す斜視模式図である。また、回動側板吊持ピン12−42にベアリング12−42を備えた、請求項24に包摂される搬送装置の遮断機構も示す斜視模式図である。
この遮断機構の動作は極めて簡単で、防火シャッター検知レバー12−1と回動側板吊持レバー12−41とが一体化された第一の中継ローラ解除アーム12−4を軸支する第一の中継ローラ解除アーム支持部材12−43に固着された第一の中継ローラ解除アーム回動軸12−44を支点として、第一の中継ローラ1−71をローラ回転軸6−2で軸支し、回動側板回動軸6−1で回動可能な第二の部屋に備えられたローラコンベヤ1−51の側壁1−512に取付けられた回動側板6を吊持しているので、防火シャッター2−1が降下し、防火シャッター検知レバー12−1と衝突することによって、回動側板吊持レバー12−41が第一の中継ローラ解除アーム回動軸12−44を回動軸として回動側板吊持ピン12−42から容易に外れて、第一の中継ローラ1−71が遮断空間から待避する。回動側板吊持ピン12−42にベアリング12−45を嵌合することは、回動側板吊持レバー12−41が中継ローラ解除アーム回動軸12−44を回動軸として回動側板吊持ピン12−42から更に容易に外れる効果をもたらす。防火シャッター2−1を上昇させて、遮断機構を復旧する作業は自動的に行われないが、簡単な構造である為、回動側板吊持ピン12−42に回動側板吊持レバー12−41を容易に吊着、復旧することができる。
図13Bは、図13Aの防火シャッター検知レバー12−1と第一の中継ローラ解除アーム支持部材12−43とを回動側板吊持レバー安定化バネ12−46で回動側板6の吊持を補助した、請求項25に包摂される搬送装置の遮断機構を示す斜視模式図である。この回動側板吊持レバー安定化バネ12−46は、引張バネが使用され、第一の中継ローラ1−71の安定した搬送物の受け渡しを可能にすると共に、遮断機構の復旧作業を行い易くさせる効果がある。
図14は、防火シャッター検知レバー12−1と第四の中継ローラ1−78とが一体化された第四の中継ローラ待避アーム12−5が、第四の中継ローラ待避アームの支柱12−51に固着された第四の中継ローラ待避アーム支持軸12−52で回動可能に軸支されると共に、防火シャッター12−1の降下により第四の中継ローラ1−78が遮断空間から待避するように、第四の中継ローラ待避アーム保持バネ12−53で第四の中継ローラ1−78を保持するように押圧した、請求項26に包摂される搬送装置の遮断機構である側面模式図である。
この遮断機構は、圧縮バネである第四の中継ローラ待避アーム保持バネ12−53が、第四の中継ローラ待避アーム保持バネ固定部材12−532で固定されると共に、第四の中継ローラ待避アームと待避アーム接続部12−531で第四の中継ローラ待避アーム12−5を押圧しているため、第四の中継ローラ1−78は、第一の部屋に備えられたローラコンベヤ1−41と第二の部屋に備えられたローラコンベヤ1−51との間で搬送物の受け渡しを安定して行うが、防火シャッター2−1が降下すると、第四の中継ローラ待避アーム12−5の防火シャッター検知レバー12−1と衝突し、第四の中継ローラ待避アーム12−5が、第四の中継ローラ待避アーム保持バネ12−53を縮退させると共に、第四の中継ローラ待避アーム支持軸12−52を中心として回動し、第四の中継ローラ1−78が遮断空間から待避する(第四の中継ローラ1−78は、破線の第四の中継ローラ1−78’に待避する。)。遮断機構の復旧は、防火シャッター2−1が上昇することによって、防火シャッター検知レバー12−1が元の位置に復帰するので、第四の中継ローラ待避アーム保持バネ12−53の作用により第四の中継ローラ待避アーム12−5が復帰すると共に第四の中継ローラ1−78が元の位置に自動的に復帰する。
以上、本発明の課題を解決する様々な形式の遮断機構の実施形態を説明してきたが、これらは一例であって、本発明はこれらに限定されるものではなく、特許請求の範囲を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することが可能である。更に、本発明は、上述した遮断機構に共通した種々の課題解決手段として、検知手段に使用されるレバーの材質や構成の様々な実施形態を説明する。これらは、遮断壁及び遮断機構の衝撃及び損傷を緩和すると共に、遮断壁を開放する際の搬送設備の復旧を容易にすることを主たる目的とするものである。ここでは、検知レバー4−1、切換スイッチ4−2、及び、信号配線4−3から構成される検知装置4を代表例とした図を用いて説明するが、本発明の別の実施形態の検知レバー12−1にも適用することができる。
図15Aは、本発明の検知手段が、検知レバー4−1、切換スイッチ4−2、及び、信号配線4−3を備えている検知装置4の場合、検知レバー4−1が弾性物質検知レバー4−11を備え、弾性物質検知レバー4−11が切換スイッチ4−2で回動可能に軸支された検知装置を示す概要模式図である。この弾性物質検知レバー4−11は、防火シャッター等の高速で降下する重量のある遮断壁と直接接触又は衝突して生じる変位を、電気的信号に切換えて、中継搬送手段の待避動作を始動しなければならないため、少なくとも弾性を有する構造体である必要がある。検知レバー12−1のように、高速で降下する重量のある遮断壁と接触又は衝突して生じる変位を、機械的動作に切換える場合も同様である。従って、以下の実施形態では、検知レバー4−1、切換スイッチ4−2、及び、信号配線4−3から構成される検知装置4を代表例とした図を用いて説明するが、本発明の別の実施形態の検知レバー12−1にも適合することであるため、説明を省略する。特別な意義や作用効果がある場合にのみ記載することとする。
しかしながら、高速で降下する重量のある遮断壁との接触又は衝突は、想像を超える衝撃があり、接触又は衝突する検知レバーだけでなく、検知装置及び遮断壁の損傷又は破壊につながる危険性がある。そのため、遮断壁と直接接触又は衝突する検知レバーは、衝撃を緩和するゴム状物質で被覆されていることが好ましい。
図15Bは、図15Aの弾性物質検知レバー4−1が、弾性物質4−121がゴム状物質4−122で被覆されたゴム状物質被覆検知レバー4−12を備え、ゴム状物質被覆検知レバー4−12が切換スイッチ4−2で回動可能に軸支された検知装置4を示す概要模式図である。弾性物質4−121を被覆するゴム状物質4−122としては、弾性率の低い有機高分子材料であれば、特に限定されないが、天然ゴム及び合成ゴムであることが好ましく、特に、ブタジエン系ゴム、クロロプレン系ゴム、ニトリル系ゴム、各種サーモプラスチックエラストマーが適している。繰返し使用を考慮しないのであれば、熱可塑性高分子材料も適用することができる。なお、この場合の弾性物質4−121は、図15Aの弾性物質検知レバー4−11と同じ弾性体であっても問題はないが、ゴム状物質の被覆に適した、例えば、ゴム状物質との接着性がよい弾性構造体等であることが好ましい。
図15Cは、同様の目的で、図15Aの検知レバー4−1が、弾性物質4−131がゴム風船4−132で被覆されたゴム風船被覆検知レバー4−13を備え、ゴム風船被覆検知レバー4−13が切換スイッチ4−2で回動可能に軸支された検知装置4を示す概要模式図である。この場合の弾性物質4−131も、図15Aの弾性物質検知レバー4−11と同じ弾性体であっても問題はないが、ゴム風船の被覆に適した弾性構造体であることが好ましい。
図15Dは、同様の目的で、図15Aの検知レバー4−1が、ゴム状物質だけで形成されているゴム状物質検知レバー4−14を備え、ゴム状物質検知レバー4−14が切換スイッチ4−2で回動可能に軸支された検知装置を示す概要模式図である。この場合、弾性構造体を有していないため、弾性構造体の被覆に使用するゴム状物質と同じ材料系であるが、より高い弾性を有するものが好ましい。
図15Eは、同様の目的で、図15Aの検知レバー4−1が、弾性アーム4−153の先端に、ゴム状ローラタイヤ4−152で被覆されたローラホイール4−151が取付けられているゴム状物質被覆ローラ付き検知レバー4−15を備え、ゴム状物質被覆ローラ付き検知レバー4−15が切換スイッチ4−2で回動可能に軸支された検知装置を示す概要模式図である。この検知レバーは、ローラが回転するため、衝撃の緩和効果が最も優れている。なお、ここでは、ゴム状ローラタイヤ4−152を用いているが、必ずしもゴム状物質のタイヤである必要はなく、有機高分子材料であれば特に限定されない。また、ローラホイール4−151を必ずしも必要とするものではなく、ローラ全体がゴム状タイヤである方がより好ましい。
図16Aは、図15Aの検知レバー4−1が、バネ式伸縮性検知レバー4−16であって、バネ式伸縮性検知レバー4−16が切換スイッチ4−2で回動可能に軸支された検知装置を示す概要模式図である。図から明らかなように、バネ式伸縮性検知レバー4−16は、筒状部材4−161の中に圧縮バネ4−163を装入し、柱状部材4−162を嵌合すると共に圧縮バネ4−163に直結させたピストンであって、遮断壁との接触又は衝突により縮退する。図には、柱状部材4−162がゴム状物質で形成されたものを示したが、ゴム状物質で被覆された柱状部品又は先端だけがゴム状物質で形成された柱状部品であってもよい。
図16Bは、図15Aの検知レバー4−1が、エアピストン式伸縮性検知レバー4−17であって、エアピストン式伸縮性検知レバー4−17が切換スイッチ4−2で回動可能に軸支された検知装置を示す概要模式図である。このエアピストン式伸縮性検知レバー4−17は、シリンダ4−171の中にピストン4−172で空気4−173を密封して嵌合したエアシリンダであって、遮断壁との接触又は衝突により縮退する。この場合、ピストン4−172は、空気4−173を密封する必要があり、シリンダ4−171と摺動する材質の本体の先端にゴム状物質4−174を固着、被覆、又は、一体成型したものを使用する必要がある。
このような検知レバーを採用する目的は、高速で降下する重量のある遮断壁との接触又は衝突による検知装置及び遮断壁の損傷又は破壊を回避することに加え、次のような目的がある。まず、防火シャッター等の遮断壁との接触における摩擦力を高め、検知レバーが確実に作動させること可能となる。また、火災鎮火後や遮断壁誤動作後の遮断壁上昇による検知レバーの電気的信号又は機械的動作を逆に切換えることが容易となり、中継搬送手段の復帰を半自動化又は自動化することができる。
図17Aは、図15Bのゴム状物質被覆検知レバー4−12が防火シャッター2−1と接触して、切換スイッチ4−2を作動させる状況を示す概要模式図である。ゴム状物質4−122が被覆されているため、防火シャッター2−1の降下に従い、摩擦力により確実に下方に回動して変位し、切換スイッチ4−2から信号配線4−3を経由して、信号がシリンダに送信されて中継搬送手段を遮断空間から待避することができる。逆に、防火シャッター2−1を上昇させて遮断装置を復旧させる場合、ゴム状物質被覆検知レバー4−12が確実に復帰し、切換スイッチ4−2から信号配線4−3を経由して、信号がシリンダに送信されて中継搬送手段を元の位置に復帰することができる。この図から明らかなように、ゴム状物質4−122が被覆されているため、遮断壁との衝突によるゴム状物質被覆検知レバー4−12、検知装置4、及び、遮断壁への損傷を防止することができる。
図17Bは、図16Eのゴム状物質被覆ローラ付き検知レバー4−15が防火シャッター2−1と接触して、切換スイッチ4−2を作動させる状況を示す概要模式図である。この場合は、ローラ4−151、4−152が回転するため、本発明の目的を図17Aに示したゴム状物質被覆検知レバー4−12以上の効果を発現する。特に、復旧時のローラ4−151、4−152の回転は、検知装置4をより確実に作動させることが可能になる。
図17Cは、図17Bのエアピストン式伸縮性検知レバー4−17が防火シャッター2−1と接触して、切換スイッチ4−2を作動させる状況を示す概要模式図である。この検知レバーは、空気4−173を動力源としてピストン4−171が防火シャッター2−1を押圧するため、より確実な検知装置4の作動が可能である。
更に、このようなレバーの材質及び構成に加え、遮断壁の下端付近であって、遮断壁の降下によって検知手段を構成する各種検知レバーと接触又は衝突する位置に、突起部又はローラを付設した突起遮断壁又はローラ遮断壁を遮断機構に含めた搬送装置の遮断機構とすることによって、遮断壁と検知手段とが直接接触することが回避されるため、耐火性を有し重量のある遮断壁が、高速で降下した場合、突起部又はローラで衝撃が緩和され、検知手段及び遮断壁が受ける衝撃を緩和することができる。この場合も、遮断壁が上昇する際に、突起部及びローラが各種検知レバーと接触又は衝突することによって、各種検知レバーの電気的信号又は機械的動作を逆に切換えることが可能となり、中継搬送手段の復帰を半自動化又は自動化することができる。
図18A及び図18Bには、これらの実施形態の一例を示したが、様々な検知レバーと防火シャッターとの組合せの遮断機構とすることが可能である。図18Aは、ゴム状物質被覆検知レバー4−12と検知レバー押圧突起部2−12を具設した防火シャッター2−1との組合せ、図18Bは、ゴム状物質被覆検知レバー4−12と検知レバー押圧ローラ2−11を具設した防火シャッター2−1との組合せによる検知装置4を作動させる状況を示す概要模式図である。図には、検知レバー押圧突起部2−12が、ゴム状物質で強固に防火シャッターに固着された例を、検知レバー押圧ローラ2−11は、弾性アーム2−113で軸支されたローラホイール2−111がゴム状ローラタイヤ2−112で被覆されたローラが、弾性アーム2−113と防火シャッターとが溶接などで固定された例を示しているが、これらに限定されるものではない。
特に、検知レバー押圧ローラ2−11を具設した防火シャッター2−1は、本発明の目的を達成するための効果的な解決手段であるので、その一実施形態を遮断機構の概要も含めて図19に示す。
図19は、図14に示す搬送装置の遮断機構において、検知レバー押圧ローラ2−11が具設された防火シャッター2−1を含む遮断機構で、防火シャッター2−1に弾性アーム2−113で固定された(図示していない)ローラホイール2−111がゴム状ローラタイヤ2−112で被覆されたローラ2−11と防火シャッター検知レバー12−1とが接触し、第四の中継ローラ待避アーム12−5を作動させる状況を示す側面模式図である。図から明らかなように、防火シャッターに具設された検知レバー押圧ローラ2−11が、防火シャッター降下時には防火シャッター検知レバー12−1を確実に下方に回動して変位すると共に第四の中継ローラ待避アーム支持軸を支点として第四の中継ローラ待避アーム12−5が下方に回動して、第四の中継ローラ1−78が遮断空間から待避することができる(第四の中継ローラ1−78は、破線の第四の中継ローラ1−78’に待避する。)。逆に、防火シャッター2−1が上昇すると、検知レバー押圧ローラ2−11が、防火シャッター降下時には防火シャッター検知レバー12−1を確実に上方に回動して変位すると共に第四の中継ローラ待避アーム支持軸を支点として第四の中継ローラ待避アーム12−5が上方に回動して、第四の中継ローラ1−78が元の位置に復帰することができる。
最後に、ローラ、プーリ、錘、バネ等の様々な部品を組合せた、電源を必要としない、本発明の課題を解決する遮断機構として、検知手段に、レバーではなくローラを適用したことを特徴とする遮断機構の実施形態を図20A〜20Dに示す。
図20Aは、防火シャッター2−1と接触する第一の検知ローラ13−1と逆回転するように接続された第一の中継ローラを駆動する第二の検知ローラ13−2と、第一の中継ローラ1−71をローラ回動軸6−2で軸支すると共に搬送装置である第二の部屋に備えられたローラコンベヤ1−51に取付けられた回動側板回動軸6−1を中心として回動する回動側板6とが、防火シャッター2−1の降下に伴う防火シャッターと接触する第一の検知ローラ13−1の回転によって第一の中継ローラ1−71が遮断空間から待避するようにワイヤで接続されると共に、回動側板6と回動側板保持錘13−23とが、第一の中継ローラ1−71を保持するように接続された、請求項39に包摂される搬送装置の遮断機構を示す側面模式図である。
ここで、防火シャッターと接触する第一の検知ローラ13−1は、輪軸状のプーリで、防火シャッター2−1と接触する円周上にゴム状物質を被覆するものを用いることが好ましい。
この遮断機構は、次のようにして第一の中継ローラを待避すると共に復帰するように作動する。防火シャッター2−1が降下すると、第一の検知ローラ支持部材13−11に固定された防火シャッターと接触する第一の検知ローラ13−1が回転すると共に、これと逆回転するようにワイヤ等で接続された第二の検知ローラ支持部材13−21に固定された第一の中継ローラを駆動する第二の検知ローラ13−2も回転する。そして、第一の中継ローラ1−71をローラ回動軸6−2で軸支すると共に搬送装置である第二の部屋に備えられたローラコンベヤ1−51に取付けられた回動側板回動軸6−1を中心として回動する回動側板6の回動側板支持軸13−25に取り付けられた回動側板駆動ワイヤ13−22が、第一の中継ローラを駆動する第二の検知ローラ13−2の回転により巻き上げられ、回動側板6の回動側板支持軸13−25側が回動側板回動軸6−1を支点にして持ち上げられると共に、回動側板保持錘13−23が持ち上げられ、第一の中継ローラ1−71を下方に回動して待避させる(第一の中継ローラ1−71は、破線の第一の中継ローラ1−71’に待避する。以下同様である。)。逆に、防火シャッター2−1が上昇すると、二つの検知ローラ13−1、13−2が逆回転するので、回動側板保持錘13−23が降下し、回動側板6のローラ支持軸6−2側が回動側板回動軸6−1を支点として持ち上げられ、第一の中継ローラが元の位置に復帰する。
この遮断機構は、動力源を用いることなく、遮断壁の降下運動だけを利用して、本発明の課題であった、防火シャッター等の遮断壁による部屋間及び建物間の分断する防火設備が必要な異なる部屋の搬送装置間に設置されている、搬送物の受け渡しを行う中継搬送装置が、遮断壁の閉鎖に対し、損傷を受けることなく、確実かつ迅速に待避すると共に、遮断壁の開放においては、速やかに復旧可能な搬送装置の遮断機構を提供している。
図20Bは、図20Aの回動側板保持錘13−23の代わりに、回動側板保持バネ13−24を用いたこと以外は全く同じ構造の、請求項39に包摂される搬送装置の遮断機構を示す側面模式図であるため、詳細な説明は省略するが、回動側板保持バネ13−24は、引張りバネであることが好ましく、一端を回動側板支持軸13−25に接続し、他端は下方の床等に固定する。
図20Cは、図20Aの遮断機構と同じ構造をしているが、防火シャッターと接触する第一の検知ローラ13−1と防火シャッター2−1との接触を確実にして空回転が生じないように、検知ローラ連結アーム13−3で防火シャッターと接触する第一の検知ローラ13−1と第一の中継ローラを駆動する第二の検知ローラ13−2とを連結すると共に、第二の部屋に備えられたローラコンベヤ1−51の側壁1−512と第一の中継ローラを駆動する第二の検知ローラ13−2とを圧縮バネ13−4で連結し、防火シャッターと接触する第一の検知ローラ13−1が防火シャッター2−1を押圧するようにした、請求項43に包摂される搬送装置の遮断機構を示す側面模式図である。
図20Dも、図20Cと同じ目的で、防火シャッターと接触する第一の検知ローラ13−1と防火シャッター2−1との接触を確実にして空回転が生じないように、検知ローラ連結アーム13−3で防火シャッターと接触する第一の検知ローラ13−1と第一の中継ローラを駆動する第二の検知ローラ13−2とを連結すると共に、第二の部屋に備えられたローラコンベヤ1−51の側壁1−512と第一の中継ローラを駆動する第二の検知ローラ13−2とを引張りバネで連結し、防火シャッターと接触する第一の検知ローラ13−1が防火シャッター2−1を押圧するようにした、請求項44に包摂される搬送装置の遮断機構を示す側面模式図である。
本発明の搬送地の遮断機構は、火災が発生した後に作動するため、特別に図示して説明していないが、エア配管系及び電気配線系は、全て、不燃性材料で保護される必要があり、不燃性有機材料又は金属材料で被覆される必要がある。
以上、本発明の搬送装置の遮断機構の技術思想を具体的に反映した実施形態を用い、本発明を詳細に説明することによって、従来技術の課題解決手段として本発明が効果的に機能することを明らかにすることができたが、実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された技術思想にのみ限定されるものである。