まず、本発明の背景について説明する。建築物等においては、予め定められた床面積を越えて構築される場合には、火災や地震等の災害に対応するために、例えば、消防法では建築基準法を引用し防火シャッター等の防火設備を設けることになっている。建築物には、物品等の保管倉庫や、製造設備、搬送設備等の建屋も対象となる。
具体的には、建築物における防火区画について、例えば、床面積≧1,500m2等、所定の面積区画により防火設備等の設置が義務付けられており(建築基準法施行令第112条)、消防法においても引用されていることである。
例えば、図9は背景技術としての搬送装置と防火設備等、所定の区画を遮断する遮断設備(以下、遮断壁または遮断設備ともいう。)との関係を説明する図で、図9に示すように、規定される広さ以上の広域の建屋内には、建屋の柱92、93等の他に、遮断壁(防火シャッター等)をガイドする設備を含め防火設備94が設けられている(遮断壁自体は図示略)。この防火設備94にまたがって搬送装置91が配置される場合、火災等の災害発生時に遮断壁が防火設備94のガイドに沿って降下すると、遮断壁の下にある搬送路の該当部分または遮断壁自体が破損することになる。また、遮断壁の下面に障害物の検出機能を有する場合には、この搬送装置を検知することで停止し、防火機能を果たさなくなるといった問題も発生する。
そこで防火設備94の遮断壁の降下を妨げないように、搬送装置91の搬送路を2つに分離し、その間に可動式の搬送路を設けることも考えられている。
また、分割された搬送装置の搬送路に段差がある場合には、搬送路間に傾斜板を設けることも考えられている。
本発明は、この高さの異なる搬送装置の段差のある搬送路間を接続するために設けられる傾斜を持たせた搬送路に関し、この搬送路に2種の弾性のある板材を組み合わせて用いるといった新しい着想のもとに、通常は傾斜を持たせた搬送路として機能し、遮断の必要時には退避を容易とした遮断機構を提供することにある。以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る搬送路の遮断機構を説明する斜視図である。
図1に示すように、遮断壁が遮断動作として、例えば、降下し所定の区画内を遮断する設備2が配置される場所において、搬送装置1は、それぞれ高さが異なる第1の搬送装置11と第2の搬送装置12からなり、この遮断間隙を避けるように配置されている。この第1の搬送装置11および第2の搬送装置12とも搬送路111,121としてベルトコンベヤを例に示している。これらベルトコンベヤは一例を示すものであり、ベルトコンベヤ型に限定されるものではなく、ローラコンベヤ構成のもの、その他の搬送手段によるもの等であってよい。以下、単にコンベヤといい、またはコンベヤを搬送路と同義として用いる。遮断設備2には遮断壁(図示略)が降下する際に案内するガイドレール21が配されている。遮断壁の降下部分を含め所定の間隙(矢線Aで示す)に配置された搬送装置11の搬送路(コンベヤ)111と搬送装置12の搬送路(コンベヤ)121との間を連結する搬送路13が設けられている。搬送路13の上方両側部分は搬送装置11の端部の軸131に回転可能に取り付けられている。この搬送路13は、搬送路(コンベヤ)111と搬送路(コンベヤ)121間の段差を吸収するように傾斜を持たせている。即ち、この搬送路13は傾斜板として機能する。
本発明の一つの特徴は、搬送路(傾斜板)13が異なる材質を有する板状体により構成したことにある。板状体とは平面を持つ板状の板材でよく、上側に配置する部分の弾性と下側に配置する部分の弾性とを異ならせ、下側に配置する部分の弾性を大きくし、退避動作を含め下流の搬送路(コンベヤ)と親和性を持たせたものである(以下同様)。
この板状体(搬送路13)は一つの部材(一枚板状のもの)から構成されるものでもよいが、図示例では、2枚構成のもので以下説明する。板状体(搬送路13)は、第1の弾性をもつ材質からなる板材13aと第1の板材13aの弾性よりも大きい弾性を有する第2の弾性をもつ材質からなる板材13bにより構成したものを示している。なお、板材とは、板状の形状物であればよく、その材質が木材や鋼材に限定されるものではない。また、弾性のある板材として、弾力があり変形が容易で復元可能であればよく、柔軟性や可撓性を持つものでよい(以下同様)。
通常は、搬送装置11と搬送装置12とその間を連結する搬送路13により、物品等を搬送する装置として使用される。例えば、物流システム等にて使用され、図示例では、左側から右側へ、搬送路(コンベヤ)111,搬送路(傾斜板)13,搬送路(コンベヤ)121へと物品等が送られる。物品等には、各種商品に限らず、開封後の不要となったダンボールなどの搬送材(端材、破材、廃材、不要材あるいはリサイクル材を含む。)の搬送にも使用される。
火災発生等、遮断壁が降下する遮断動作が生じた場合には、搬送路(傾斜板)13が回転軸131を中心に下側へ回転動作し遮断動作の範囲外へ移動退避する。この傾斜板13の回転動作は、遮断壁が降下し、その遮断壁の下端が傾斜板13の板材13aを押圧することによる。この傾斜板13は第1の弾性のある板材13aと第1の板材13aよりも大きな弾性をもつ板材13bの組み合わせ構造からなる。通常時は、板材13bの下側先端は搬送路12上に配置され物品等が傾斜面からコンベヤ上へ滑り移動する。また、板材13aの上端は回転軸131に所定の挟持力により保持する係合関係であればよい。即ち、板材13aの保持力は遮断壁下端が障害物として検出する押圧力よりも少ない押圧力で回転動作可能となるようにすれば足りる。即ち、遮断壁の下端に障害物を検出する圧力スイッチ等がある場合でも、それが作動しない程度の押圧力で回転動作可能となるようにすればよく、火災等の発生に伴い電力停止の場合であっても対応可能とできる。
また、この搬送路(傾斜板)13が回転移動する際に、板材13bはより大きな弾性を有するので、その先端側は搬送路(コンベヤ)121と接触し搬送路121に反して下方へ移動しても破損等の障害を生じることはない。
弾性のある板材13bとしては、プラスチック、硬質ビニール、板状ゴム材等、摩耗や破断に耐え得る難燃材、不燃材等であればよい。
この弾性の板材13bとすることで、下流の搬送路(コンベヤ)121へ物品等を移動する際に脱落や挟み込みを防ぐことができ、特にダンボールを含め搬送材(端材、破材、廃材、不要材あるいはリサイクル材等を含む。)を搬送するのに好適である。
図2A、図2Bは、図1に示した本発明の一実施形態に係る搬送路装置の遮断機構を説明する側面図であり、図2Aは通常の使用状態および遮断壁の降下前の状態を説明する図、図2Bは、遮断壁の降下に伴い搬送路が退避した状態を説明する図である。図2A、図2B共に、図1と同一符号は同じ対象物を示している(以下同じ)。
図2Aにおいて、通常の使用状態および遮断壁の降下前の状態では、搬送路(コンベヤ)111,搬送路(傾斜板)13を形成する板材13a、板材13b、搬送路(コンベヤ)121の上部にて物品等が左側から右側へ搬送される。搬送路(傾斜板)13を形成する板材13aと板材13bは互いにずらした状態で接着やビス等で固定され、搬送路(コンベヤ)111と搬送路(コンベヤ)121間に橋渡しするように配置形成している。板材13aの上部の両サイドが回転軸131に回転可能に取り付けられている。板材13bは、その下側が搬送路(コンベヤ)121に載るかたちで配置される。
この状態で、遮断動作が始まり、遮断壁(図示略)がガイドレール21により上から降下してくると、当該遮断壁の下端が傾斜板13の板材13aの上面より押圧し、傾斜板(搬送路)13全体を下方へ押すことになる。傾斜板(搬送路)13はその上方の回転軸を中心に下方へ回転し、図2Bに示される状態となる。このとき傾斜板13の板材13bの弾性により搬送路121の端部から湾曲し外れて図2Bの図示のごとくなる。この間、物品等の搬送物は傾斜板を通過中であるとしても、その傾斜角により摺動し搬送路121に移動しているので、障害物とならない。
また、搬送材が障害物となる場合には、火災等の発生通知により、上段(上流)の搬送路(コンベヤ)を動作停止あるいは逆回転動作により流れを止め、下段(下流)の搬送路(コンベヤ)は非常用電源等により所定時間稼動させることで対応できる。
以上、図1、図2A、図2Bに示される搬送路の遮断機構としては、物理的、機械的に可動するので、火災発生等で停電となった場合であっても有効に退避動作できる。
また、図3Aに示すように、第1の搬送路111と第2の搬送路121間に傾斜を持たせた搬送路13を備えたものにおいて、遮断動作を事前に検知することで、遮断壁の力を借りずに搬送路13を退避させるようにしてもよい。
図3Aは、本発明の第2の実施形態に係る搬送路の遮断機構を説明する斜視図である。本発明は、例えば、遮断壁の降下を事前に検出することで、その下にある搬送路を退避させる遮断機構に特徴をおくものである。
図3Aにおいて、図1、図2A、図2Bに使用した符号と同じものは同じ対象物を示し、遮断壁が遮断動作として、例えば、所定の区画内を遮断する設備2が配置される場所において、搬送装置1は、互いに高さの異なる第1の搬送装置11と第2の搬送装置12からなり、その搬送装置間に間隙を設けてある。その間隙に傾斜を持たせた搬送路13が配置してある。遮断設備2には遮断壁が降下する際に案内するガイドレール21が配されている。本発明は、ガイドレール21に沿って降下してくる遮断壁を事前に検知し、搬送装置間の間隙にある搬送路(傾斜板)13を退避するようにしたものであり、設備2側に、遮断壁を検出する検出機構4と、エア切替スイッチ42、エア給排用のエア配管43,44が取付けられている。検出機構4には、遮断壁のガイドレールに交叉して検出ピン41が取付けられている。この検出ピン41が遮断壁の降下に伴い下側に回転することでエア切替スイッチ42を動作させ、搬送路13を退避させることになる。
この搬送路(傾斜板)13は、先の実施形態にて説明したように、板材13a、板材13bからなり、互いにずらした状態で接着固定されている。板材13aの上部の両サイドが回転軸131に回転可能に取り付けられている。板材13bは、その下側が搬送路121に載るかたちで配置される。板材13aは比較的に小さい弾性の材質からなり、板材13bは板材13aの弾性よりも大きい弾性の材質からなる。
また、板材13aの両側には、その所定位置311にエアシリンダ3から伸びるピストンロッド31が取付けられ、搬送路(傾斜板)13全体を支持し、必要に応じて退避可能としている。退避時は、回転軸131を軸として搬送路(傾斜板)13が、矢線aに示すように回転される。
エアシリンダ3の一端は搬送装置11側板に揺動可能に固定部34に取付けられ、傾斜板(搬送路)13の回転軸131に対してピストンロッドの摺動に応じて傾斜板(搬送路)13を回動させる。
エアシリンダ3は、両側に給排用のエア給排口321,322が設けられ、各エア配管32,33に接続されている。遮断壁が降下してきた場合に、この搬送路(傾斜板)13が退避し、遮断壁により搬送装置間を遮断することになる。なお、搬送路(傾斜板)13を構成する板材13a、板材13bの役割については、先に図2A、図2Bにて説明したとおりである。なお、これら板材は、先に説明したように板状体として1枚板であってもよい。
図3Bは、図3Aにて説明した本発明の第2の実施形態に係る搬送路の傾斜を持たせた搬送路の別の実施形態を説明する斜視図である。図3Bに図示の構成において、図3Aに使用した符号と同じものは同じ対象物を示している。図3Bにおいて、先の実施形態と大きく異なる特徴点は、傾斜を持たせた搬送路13として、その搬送路(傾斜板)13の待避機構として下段(下流)の搬送装置12側に設けた点にある。
板材13bの両側には、その所定位置311にエアシリンダ3から伸びるピストンロッド31が取付けられ、搬送路(傾斜板)13全体を支持し、必要に応じて退避可能としている。退避時は、回転軸132を軸として搬送路(傾斜板)13が、矢線aに示すように回転される。また、搬送路(傾斜板)13が回動退避する場合には、板材13bが取付けられた回転軸132を中心に下方に回転動作することになり、上方の板材13aの搬送路111に対向した辺側が図示矢線aの方向に移動する。
エアシリンダ3の一端は搬送装置11側板に揺動可能に固定部34に取付けられ、搬送路(傾斜板)13の回転軸131に対してピストンロッドの摺動に応じて搬送路(傾斜板)13を回動させる。
エアシリンダ3には、給排用のエア給排口321,322が設けられ、各エア配管32,33に接続されている。遮断壁が降下してきた場合に、この搬送路(傾斜板)13が退避し、遮断壁により搬送装置間を遮断することになる。斯くして、遮断壁の降下動作を検出ピン41が検知し回転することでエア切替スイッチ42を動作させ、搬送路13を退避させることができる。
図3Cは、図3Aにて説明した本発明の第2の実施形態に係る搬送路の傾斜を持たせた搬送路のさらに別の実施形態を説明する斜視図である。図3Cに図示の構成において、図3Aに使用した符号と同じものは同じ対象物を示している。図3Cにおいて、先の実施形態と大きく異なる特徴点は、傾斜を持たせた搬送路13は、上段(上流)の搬送装置側に回転軸133として前後左右に自由に回転可能に、例えば自在継手(ユニバーサルジョイント)等により接続されている点にある。
図3Cにおいて、板材13aの片側の所定位置311にエアシリンダ3から伸びるピストンロッド31が取付けられ、搬送路(傾斜板)13全体を支持し、必要に応じて退避可能としている。
エアシリンダ3の一端は搬送装置11側板に揺動可能に固定部34に取付けられ、傾斜板(搬送路)13の回転軸133に対してピストンロッドの摺動に応じて傾斜板(搬送路)13を回動させる。退避時は、回転軸132を軸に傾斜板(搬送路)13を矢線aに示すように回転させると共に矢線bに示すように引き寄せ(図示例では手前側に)待避させる。斯くして、遮断壁の降下動作を検出ピン41が検知し回転することでエア切替スイッチ42を動作させ、搬送路13を退避させることができる。
なお、上記検出ピン41は、棒状のものを示したが、この検出ピンの先端部を曲線状に成型してもよく、また曲線状の弾性体(例えば、チューブや風船状のもの等)を付加あるいは覆うことなどしてもよい。このようにすることによって、復帰時の遮断壁が上昇する場合に検出ピンの先端部が遮断壁に引っ掛かるのを防ぎ、下降時とは逆にエアの流れを切り換えてスムーズに対応できる。
図示されていないが、反対側の側面にも同様に、遮断壁の降下を検出し搬送路(傾斜板)13を退避する構成を備え、搬送路(傾斜板)13の両端より駆動されることになる。また、搬送路の部材と強度との関係により物理的に片側だけで制御可能である場合には両端に同構成を備える必要はない。
図4は、本発明の第2の実施形態に係る搬送路の遮断機構にエアシリンダを用いた場合の空気圧の供給ルートを説明する図である。
図3Aおよび図3Bに図示したエアシリンダ-3は、搬送装置の両サイドあるいは搬送路の下側中央に設けたものでも、また、搬送路(傾斜板)の剛性が高ければ片側でもよく、二重に設けた例として、図4においては、エアシリンダ3a、3bと区別して示す。このエアシリンダ-3a、3bに対応して各配管等の区別を符号a、bと付して以下説明する。なお、図3Cに図示してシリンダー3としては片側の手前側あるいは反対側に設置されるものでよく、以下、図4において説明する空気圧の供給ルートとしては、一方の物だけでよい。
エアシリンダ3a、3bと遮断壁の検出機構4は、エア供給配管によりエア供給源39に接続されている。エア供給源39からは、エア切替器38、エア分岐供給器36、エア分岐供給器37を介してエアシリンダ3a、3bに配管32a、33a、32b、33bを介してエアを供給するとともに、配管43からエア切替スイッチ42にエアを供給する。図4の図示例では、エア切替器38により各エアシリンダ3a、3bの左側給排口321a、321bヘエア供給し、エアシリンダ3a、3bのピストンロッドを右側へ、即ち、図3A乃至図3Cに図示したように間隙に配置された搬送路としての傾斜板13を支持している。
ここで遮断壁の検出機構4の検出ピン41が、遮断壁の降下を検出し下側へ回動すると、エア切替スイッチ42が切替えられエア配管43とエア配管44を接続し、エア配管44を介してエア切替器38にエア圧がかかり、エア切替器38は図示右側ヘエア供給を切替える。従って、各エアシリンダ3a、3bへのエア給排が逆転しピストンロッド31a、31bを左側へ収納する方向へ動作する。即ち、図3A乃至図3Cのエアシリンダが逆方向へ動作し搬送路(傾斜板)13を下方へ回転移動させ、間隙から退避させることになる。この場合、エアを抜くことで搬送路(傾斜板)をより早く自重で回動退避するようにしてもよい。
一方、復旧時には、検出ピン41を元に戻すことでエア切替器38に加わるエア圧が解除されエアルートが元にもどり、エアシリンダ3a、3bの動作により傾斜板(搬送路)13が元の位置に復帰する。
かかる復帰の他、解除スイッチ45を設け、エア切替器38を駆動させてもよい。
なお、検出ピン41は針金等の細い棒状のピンであり、遮断壁に障害物の検出機能があるものであっても検出ピン自体影響されることはない。また、遮断壁の障害物の検出に影響を与えないような物であれば、必ずしも棒状のピンに限られるものではなく、遮断動作を検出するものであればよく種々の形状、構造が考えられる。
また、図3A乃至図3Cおよび図4にて説明した本発明の実施形態において、図示される構成に限定解釈すべきでなく、また、図示されたものは模式図的なものを含みその寸法等に限定解釈されるべきではない。
図示例では、間隙に設けられた搬送路13の退避構造として、搬送路に対し両側にエアシリンダを配置する構成としているが、力学的な動作と機械的な強度を考慮するならば傾斜板13の中央部または一方の側面にのみにエアシリンダを設けたものであってもよい。また、エアシリンダのエア給排口を退避動作・復帰動作の両方を想定して構成してあるが、エアシリンダによるピストンロッドを一方向へ横圧させ、非常時にエアを抜くことで搬送路を退避させてもよい。この非常時の退避動作のみとする場合、復帰についてはマニュアルにて行われることでもよい。このマニュアル復帰の場合には、エアシリンダ3へのエア供給は搬送路13を押圧維持する方向への供給ルートだけでもよい。搬送路を退避させる場合には、エア圧を解除するだけとなる。
なお、遮断動作の検出から搬送路の退避制御が終わるまでの間、既存のエア配線(配管)内の残存エアにより所定時間は継続維持可能であるので、エア供給源(例えば、エアタンク)39の代わりに、エア配線(配管)の内部に残存するエアを用いることもできる。また、エア供給源(エアタンク)39の他に、さらに補助エア供給源(補助タンク)を設けてもよい。運用時には搬送路を維持している必要があり、仮に、エア供給源(例えば、エアタンク)39のエア供給圧が低下しても、エア供給源39と補助エア供給源によりエア供給することで搬送路を継続維持でき、また退避時のエア制御もできる。さらには、エア供給源39、補助エア供給源のそれぞれのエア圧をコンプレッサにて維持し、エア圧低下を防ぐようにしてもよい。
また、図3A乃至図3Cに示すエアシリンダ-3に代えて、バネ材を用いて搬送路13を一方向へ横圧維持させ、遮断壁の遮断動作を検出したときストッパを外して退避動作をしてもよい。バネ材の一例としてスプリングや錘等を使用した実施形態について後述する。
エアシリンダやバネ材、錘等を用いるのは、停電等、電力供給の有無に寄らず対応できるメリットがある。
また、エアシリンダ-3に代えて、横圧棒(ピストンロッド相当)をモータ駆動等により伸縮させてもよい。また、ピニオン&ラックのギヤ組み合わせを用いモータ駆動させてもよい。このモータ駆動等の駆動電源として、災害時、緊急時等の停電に際し、非常用電源(緊急時電源、予備電源、無停電電源装置UPSともいう)を用いることでもよい。これら退避機構として非常用電源等を使用する場合は、検出機構4は電源供給による駆動回路とし検出結果を信号線により退避機構へ伝達することでよい。
また、遮断壁の稼働に伴う搬送路(傾斜板)13の退避動作に先立ち或いは退避動作の開始と共に上流の搬送路111を逆回転に、または/および搬送物を上流側で一時滞留させるように、切替え駆動させてもよい。これにより、搬送路(傾斜板)13の退避動作中、上流の搬送路111からの搬送物品の流入を防ぐことができる。
また、遮断壁の遮断動作に伴い下流の搬送路121を所定時間継続して駆動させておいてもよい。これにより、搬送路(傾斜板)13の前後の搬送物品の滞留を防ぐことができる。
搬送路(傾斜板)13の駆動電源、搬送路111、搬送路121の駆動電源等、これらの駆動電源として、災害時、緊急当の停電に際しては、非常用電源(緊急時電源、予備電源、無停電電源装置UPSともいう)を用いることができる。
また、図3A乃至図3Cにて説明した本発明の実施形態では、遮断壁が降下してくるタイプのものを示しているが、事前に遮断動作を検出するものにおいては、床等の下に遮断壁を収納し床面等から上に遮断壁が上昇してくるタイプであっても同様に構成できる。遮断壁が上昇するタイプの場合には、遮断壁の遮断動作を検出する検出機構を搬送装置の搬送路よりも下側に設けることでよい。また、遮断壁が横壁面等に収容され、遮断動作の時に横方向からスライドする様なスライド扉のタイプやジャバラタイプ(アコーディオンタイプ)等のものであってもよい。この横方向から遮断動作する遮断壁の場合には、その検出機構を搬送路に並列に配置することでよい。さらには、ヒンジ扉のように開閉する扉のタイプでもよい。この開閉する扉の場合には、扉の開閉動作の幅(範囲)を考慮に入れて搬送路を遮断する遮断距離(間隔)を決めることでよい。
以下も同様であり、遮断壁の遮断動作として降下するタイプのもので各実施形態を説明するが、これら遮断壁の動作方向に限定されるものではない。
図5は、本発明の第3の実施形態に係る搬送路の遮断機構の要部構成を説明する図である。
図5において、搬送装置間の間隙にある傾斜を持たせた搬送路13に対して付勢するスプリング5を設け、そのスプリング5の一端52は、案内板53に摺動可能に取付けられ、スプリング531,532により引張されると共にストップピン54にて固定維持され、他端は搬送路13の側壁51に取付けられている。
一方、遮断壁の遮断動作を検出する検出機構4は、遮断壁の降下を検出する検出ピン41を備え、検出機構4にはエア切替スイッチに代えてワイヤ56が接続されている。このワイヤ56はコマ55を介してストップピン54に接続されている。
遮断壁が降下し、検出ピン41が遮断壁の降下を検出すると検出機構4は回転しワイヤ56を引っ張ることになる。このワイヤ56に生じた張力によりストップピ54が抜け、スプリング5の一端52はスプリング531,532により図示左方向に引張られ傾斜を持たせた搬送路13は間隙から左横方向に回動し退避する。このようにして遮断壁の降下に伴う破損等を防止できる。
図6は、本発明の第4の実施形態に係る搬送路の遮断機構の要部構成を説明する図である。
図6において、搬送装置間の間隙にある傾斜を持たせた搬送路13に対して付勢するスプリング6を設け、そのスプリング6の一端62には錘621が取付けられるとともに、案内板63に上下方向に摺動可能に取付けられ、ストップピン64にて固定維持され、他端は搬送路13の側壁61に取付けられている。
一方、遮断壁の降下を検出する検出機構は、図5に示すものと同様であり図示省略してあるが、ワイヤがコマ65、66を介してストップピン64に接続されている。
遮断壁が降下し、これを検出すると検出機構は回転しワイヤを引っ張ることになる。このワイヤに生じた張力によりストップピン64が抜け、またはバネ6方向に回転し錘621の自重により案内板63にそって下方へ下降しスプリング6の他端が接続された搬送路(傾斜板)13の側壁61が図示左方向に引張られ、搬送路(傾斜板)13は間隙から退避する。このようにして遮断壁の降下に伴う破損等を防止できる。
図7Aは本発明の第5の実施形態に係る搬送路の遮断機構の要部構成を説明する側面図である。
図7Aにおいて、遮断設備2を境に所定の間隙をもって搬送装置11と搬送装置12が配置され、搬送装置間の間隙に傾斜を持たせた搬送路13が回転退避可能に配置されている。搬送装置11と搬送装置12は高さが異なり装置間で形成られる搬送路は、搬送装置11に設けられるコンベヤ111、搬送路(傾斜板)13、搬送装置12に配されるコンベヤ121により形成される。
図7Aにおける遮断壁の降下検出に伴うローラの退避構造として、先に説明した図3A乃至図3Cと異なる点は、エア給排機構を用いずに機械的な動作により退避させることにある。
遮断壁22の降下を検出する機構として、遮断壁22の側面に接触する回転体としてホイール72を用い、ホイール72と遊車73がアーム71の両端に固定されている。アーム71の遊車73側は搬送装置11側に回動可能に取付けられ、押圧スプリング76によりホイール72側へ押圧している。ホイール72が遮断壁22の壁面を摺動するに伴い下方へ働く力によりアーム71全体が下方へ移動しないようにストッパ78が設けられている。
ホイール72、アーム71、遊車73、押圧スプリング76等により遮断壁22の降下を検出する機構を構成しているといえる。
一方、搬送路(傾斜板)13の側壁には回動可能な固定部材79に取付けられ、その他端には所定の重量を持つ錘77が取付けられている。
また、錘77が取付けられる固定部材79の端部762とホイール72の回転軸との間に、遊車73を周回してワイヤ75が取付けられている。
遮断壁72の降下に伴い、ホイール72が遮断壁22の壁を摺動回転すると、ワイヤ75がホイール軸に巻き取られ、遊車73を介して錘77を引上げる。これに伴い、固定部材79が回動し、搬送路(傾斜板)13は上部の回転軸(図示省略)を中心に回転移動し間隙から退避される。
本発明によれば、遮断動作の検出に遮断壁の壁面を利用するので、遮断壁の降下に伴い遮断壁下面に障害物検出による自動停止機能があっても影響されない。即ち、錘77の上方への移動に合せて固定部材79が回動し、搬送路(傾斜板)13を間隙から所定位置に回動退避させることになる。このようにして遮断壁の降下に伴う破損等を防止できる。
なお、退避と復帰を錘77の上下動により自動復帰を可能とした構成であるが、ワイヤに代えてタイミングベルトを用いることで錘を不要とでき、ホイール72の回転によるタイミングベルトの往復動作でも復帰可能となる。
図示されていないが、反対側の側面にも同様に、遮断壁22の降下を検出し搬送路(傾斜板)13を退避する構成を備え、搬送路(傾斜板)13の両端より駆動されることになる。また、搬送路の部材と強度との関係により物理的に片側だけで制御可能である場合には両端に同構成を備える必要はない。
図7Bは、図7Aにて説明した本発明の第5の実施形態に係る搬送路の遮断機構の別実施形態の要部構成を説明する側面図である。図7Bに図示の構成において、図7Aに使用した符号と同じものは同じ対象物を示している。図7Bにおいて、先の実施形態と大きく異なる特徴点は、遮断壁22の降下を検出する回転体72を支持するアーム71の横圧スプリング76に代えて、支持アーム(支持部材)71を引張するスプリング(バネ)761を支持アーム71の中央部分762に設けたことにある。
遮断壁22が動作しない通常時は、引張するスプリング(バネ)761によりアーム71を下方へ付勢しホイール72は遮断設備2側の所定位置にある。遮断壁22の降下動作があると、この降下動作に伴いホイール72が遮断壁22の壁面に接触しホイール72の回転動作を持って遮断壁22の降下検出となる。引張するスプリング(バネ)761は、この降下検出手段としてのホイール72を維持すると共に、遮断壁の降下に伴うホイール72の回転動作による搬送路の待避動作を維持することになる。
以上、搬送路の維持と退避動作にスプリング(バネ)を用いた例を示したが、これに限定されず、搬送路を通常時の維持と退避動作時の移動に対応したバネ材を用いることができる。
なお、図7A、図7Bにおいて、ホイール72の自重が一定以上ある場合には、バネ部材(スプリング76、763)は省略することができる。
図8Aは、本発明の第6の実施形態に係る搬送路の遮断機構の要部構成を説明する側面図である。
図8Aにおいて、遮断設備2を境に所定の間隙をもって段差のある搬送装置11と搬送装置12が配置され、搬送装置間の間隙に傾斜を持たせた搬送路13が回転退避可能に配置されている。物品等を搬送する搬送路としては、搬送装置11に配される搬送路(コンベヤ)111、搬送路(傾斜板)13、搬送装置12に配される搬送路(コンベヤ)121により形成される。
図8Aにおける遮断壁の降下検出に伴い間隙にある搬送路(傾斜板)13の退避構造として、図3A乃至図3Cと異なる点は、エア給排機構を用いずに機械的な動作により退避させることにある。
さらに、注目すべき特徴点は、遮断壁22の下方から所定位置の側部にホイール等の回転体または突起部23を備えたことにある。遮断壁22が矢線aのように降下する場合、この回転体または突起部23を検出して搬送路(傾斜板)13を退避させるものである。なお、回転体または突起部23の図示例では回転体として示しているが、遮断壁22の動作を検知する部材81の先端に引っ掛かり押動させるものであればよく、出っ張りや突状のものでもよい。
図8Aにおいて、遮断壁22の降下検出と搬送路(傾斜板)13の退避を図示例では逆コの字形の部材81を用い、上辺先端部を回転体または突起部23の検出部とし、上辺の他端を回転軸83として回転可能に部材取付部82に取付けられている。この上辺が部材81の駆動バーとなる。また、部材81の下辺先端部は搬送路(傾斜板)13の側壁85に取付けられ、その反対端部84側に押圧スプリング86が取付けられている。遮断壁22が収納された通常時は、逆コの字形部材81は押圧スプリングの押圧力により搬送路(傾斜板)13を所定位置に維持し、搬送装置11のコンベヤ111、搬送路(傾斜板)13、搬送装置12のコンベヤ121による搬送路を形成している。この場合遮断壁の降下力は押圧スプリングに比し十分大きいとする。
また、押圧スプリング86に代えて、回転軸83と端部84の中間に矢線cの方向と反対側に引張するスプリングを設けることで搬送路13の運用時の位置を保つこともできる。また、これらスプリングに代えて錘により引張させることもできる。また、押圧スプリング86の押圧力のバランスによっては位置決めのストッパを設けてあってもよい。
遮断壁22が降下してくると、遮断壁22の側面に配置される回転体または突起部23が逆コの字形部材81の回転軸83を軸に上辺を下方へ回動させる。これに伴い下辺もスプリング86に抗して回動し図示中の点線で示すように搬送路(傾斜板)13が間隙から退避される。
斯くして、搬送路(傾斜板)13を間隙から所定位置に回動退避させ、遮断壁の降下に伴う破損等を防止できる。
なお、図示されていないが、防火シャッター反対側の側面にも同様の構成を備え、搬送路(傾斜板)13の両端より駆動されることになる。また、搬送路の部材と強度との関係により物理的に片側だけで制御可能である場合には両端に同構成を備える必要はない。また、上辺と下辺とその間を連結する辺で構成する図示の逆コの字形の部材としては、一体成型により作られたものであってよい。
図8Bは、図8Aにて説明した本発明の第6の実施形態に係る搬送路の遮断機構の別形態の要部構成を説明する側面図である。図8Bに図示の構成において、図8Aに使用した符号と同じものは同じ対象物を示している。図8Bにおいて、先の実施形態と大きく異なる特徴点は、遮断壁の降下動作を検出する上辺部材の回転動作となる支点を上辺中央に設けた点にある。
図8Bにおいて、遮断壁22の降下動作を検出する上辺の部材81の中央部分に回転軸831を持ち、回転可能に取付部821に取付けられている。この上辺が部材81の駆動バーとなる。上辺部材81の先端部分が遮断壁22の回転体または突起部23に接触することにより上辺の他端部分が上方に回動し押圧スプリング86に抗して下辺が回動して傾斜板13を退避させることになる。
なお、図8Aにて説明したのと同様、図8Bにおいても、押圧スプリング86に代えて、部材81の上方部と端部84の中間に矢線cの方向と反対側に引張するスプリングを設けることで搬送路13の運用時の位置を保つこともできる。また、これらスプリングに代えて錘により引張させることもできる。また、押圧スプリング86の押圧力のバランスによっては位置決めのストッパを設けてあってもよい。
図8Bに示す実施形態では上辺の中央部に回転軸831を設けるものであるが、先に図8Aにて説明した上辺の他端に回転軸83を持つ場合の何れにあっても支点をもって回転動作を与える梃子(てこ)の原理を用いることができる。即ち、何れの実施形態においても、遮断壁の降下を検出する一端に対し回転動作を与える支点を有し、他端にて搬送路の退避動作を行うように構成したものである。
以上各図により説明したように、災害時等における防火シャッター等の遮断壁を、搬送装置等の破損、損傷することなく安全に降下させることができる。図1乃至図8にて説明した例では、搬送路の遮断機構は電気系統による電力に依存せず、エア駆動あるいは機械的駆動によるものであり停電しても対応できる。
また、火災等の災害時に電気系統が確保可能な設備においては、図3A乃至図3Cおよび図4にて説明したエア駆動に変えて非常用電源、無停電電源装置等によるモータ駆動等により間隙にある搬送路を退避するようにしてもよい。
なお、各図により説明した各実施形態は一例を示すものであり、搬送路と遮断壁との関係において搬送路の退避、遮断機構として同様に適用可能な構成であれば、搬送路として例示した、ベルトコンベヤ型に限定されるものではなく、ローラコンベヤ構成のもの、その他の搬送手段によるもの等であってよい。
以上説明した各実施形態において、搬送路および/または搬送路の一部にある搬送物を排除する手段をさらに具備することもできる。搬送物を排除する手段は遮断壁の遮断動作に妨げとなる範囲にある搬送路上の搬送物を排除する機構であればよい。その機構は、搬送路上の搬送物を検知することで搬送路から払い出したり排出したりする機能を有するものであればよい。
以上説明した各実施形態においては、退避機構として搬送装置11側に退避させる例として説明したが、搬送装置12側に退避させる構成であってもよく、退避する方向に限定されるものではない。
以上各図により説明したように、災害時等における防火シャッター等の遮断壁を破損、損傷することなく、また、搬送装置等の破損、損傷することなく安全に遮断動作させることができる。また、搬送路の遮断機構は停電や電源遮断があっても非常電源により駆動することができ、また、エア駆動あるいは機械的駆動によれば電力に依存せずに対応できる。
また、図示例としてあげられた配置構成、各機器構造、寸法等に限定して解釈されるものではない。また、本発明に直接関係のない部分は省略されている場合があり、図示例に限定して解釈されるべきでもない。
以上説明した各実施形態は、本発明の理解のために例示されたものであり、本発明は、これら実施形態に限定されず、特許請求の範囲の記載によって定義される。また、本発明の技術思想から離れるものでない限り、特許請求の範囲に記載の構成と均等であるものも本発明の保護の範囲に含まれるものである。