JP6543443B2 - 止水扉 - Google Patents

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Description

本発明は、止水扉に関する。
従来の止水扉として、例えば、特許文献1には、環状の枠部材と、この枠部材の開口を塞止する扉部材とを備え、この扉部材にて開口を塞止することによって、開口からの浸水を阻止する止水扉装置が開示されている。この止水扉装置は、枠部材に、扉部材の周縁部を受ける環状の受部が設けてあり、この受部の適宜位置に扉部材に当接させる枠側凸部が開口に倣って延設してある。そして、この止水扉装置は、受部の枠側凸部の当接部分に、弾性材を用いてなる止水部材が延設してある。
特開2007−023540号公報
ところで、上述の特許文献1に記載の止水扉装置は、上記の構成により開口を密閉し、建物内部への浸水を防止しているが、枠部材の隅に位置する止水部材と扉部材との間にすきまが生じやすいなどの、止水性能の向上の点で更なる改善の余地がある。
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであって、止水性能を向上することができる止水扉を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の止水扉は、構造物の開口に設けられる枠体と、前記枠体に回動可能に支持され前記開口を開閉する扉体と、前記扉体が前記開口を閉塞させる閉塞位置にある状態で、前記扉体が前記枠体に押し付けられる押付方向において当該枠体と当該扉体との間に介在する帯状の止水ゴムと、シールゴムと、変位手段と、を備えた止水扉であって、前記止水ゴムは、前記枠体と前記扉体とのうちの一方に取り付けられる取付部と、前記枠体と前記扉体とのうちの他方に当接する平坦な当接面を有する中実な当接部と、前記取付部と前記当接部とを連結しかつ前記取付部と前記当接部との双方よりも幅が狭い連結部とを一体に備え、前記シールゴムよりも硬度が低く形成され、長手方向に交差する断面において、前記枠体の外周側の前記当接部の一端部と前記連結部との間の距離が、前記枠体の内周側の前記当接部の他端部と前記連結部との間の距離よりも大きく形成されており、前記シールゴムおよび前記止水ゴムは、それぞれ、前記扉体が前記閉塞位置にある状態で、前記扉体の戸先側の端部の、当該扉体が前記開口を閉塞する閉塞時回動方向側、に位置した部分を有し、前記シールゴムの前記部分は、前記扉体が前記閉塞位置にある状態で、前記止水ゴムの前記部分と並列して位置しかつ前記止水ゴムの前記部分よりも前記扉体の戸先側に位置し、前記止水ゴムの前記当接部は、前記扉体が前記閉塞位置にあり水圧非作用時に、前記枠体と前記扉体とのうちの他方に弾性変形せずに当接する位置又は前記扉体から間隔をあける位置に配置されており、前記シールゴムは、前記扉体が前記閉塞位置にある状態で、前記扉体と前記枠体との双方に当接して弾性変形するとともに、前記扉体が前記閉塞時回動方向に回動する際に、前記枠体と前記扉体とのうちの他方に前記止水ゴムよりも先に当接し、前記変位手段は、前記扉体に設けられ、かつ、前記閉塞位置にあり水圧非作用時の前記扉体を、前記止水ゴムの前記当接部が前記枠体と前記扉体とのうちの他方に弾性変形せずに当接する位置又は前記扉体から間隔をあける非止水位置から、前記止水ゴムの前記当接部が前記枠体と前記扉体とのうちの他方から押圧されて弾性変形する止水位置に変位させ、前記シールゴムは、前記扉体が前記閉塞位置にある状態にあり水圧非作動時には、前記シールゴムが前記扉体と前記枠体との双方に当接し、前記扉体が前記止水位置に変位しているときには、前記止水ゴムとともに弾性変形していることを特徴とする。
上記止水扉は、隅においても、当接面を平坦に保つことができる止水ゴムを備えているので、止水性能を向上することができる。
また、止水扉は、止水ゴムがこの止水ゴムよりも先に当接するシールゴムよりも硬度が低く形成されているので、隅などで屈曲される際の当接部の他端部の弾性復元力をより小さくでき、隅においても当接面を平坦に保つことができる。よって、止水扉は、止水性能を向上することができる。
また、止水扉は、止水ゴムよりもシールゴムが先に当接して弾性変形するので、シールゴムの弾性復元力によって、扉体が閉塞位置にある状態で、止水ゴムが他方に接触したり他方から押圧されて弾性変形することを抑制できる。したがって、扉体が開口を開閉する際には、硬度の低く柔らかい止水ゴムの弾性変形を抑制できるので、硬度の低く柔らかい止水ゴムが癖付けられることを抑制できる。したがって、止水扉は、止水時に止水ゴムが枠体と扉体との間を止水することができ、止水性能を向上することができる。
また、止水扉は、水圧非作用時には、他方に当接しない又は当接しても弾性変形しない(ほとんど弾性変形しない)ので、扉体が開口を開閉する際に止水ゴムが癖付けられることを抑制できる。
また、止水扉は、水圧非作用時に非止水位置から止水位置に扉体を変位させる変位手段を備えているので、水圧が止水ゴムに作用していない時に変位手段により扉体を止水位置に変位させることができる。したがって、止水扉は、止水ゴムの当接面を他方に当接させることができる。よって、止水扉は、止水性能を向上することができる。
また、上記止水扉では、前記枠体と前記扉体とのうちの一方に取り付けられ、かつ、前記止水ゴムの前記取付部を縮小させた状態で前記一方に固定する止水ゴム固定部を有する受け材を備えるものとすることができる。
この場合、止水扉は、止水ゴムの取付部を縮小させて固定する受け材を介して、止水ゴムを枠体と扉体とのうちの一方に取り付ける。このために、成型時に止水ゴムに寸法誤差が生じても、止水ゴムの取付部の寸法誤差が受け材により吸収されることとなる。したがって、止水扉は、止水ゴムの当接部の枠体と扉体とのうちの他方との当接状態のばらつきを抑制でき、止水性能を向上することができる。
また、上記止水扉では、前記止水ゴム固定部は、前記他方側に開口を有する断面コの字型形状に形成されかつ前記止水ゴムの前記取付部を収容する受け本体と、前記受け本体の両先端部に設けられかつ前記取付部に接触して当該取付部を前記受け本体に係止する係止爪を備えるものとすることができる。
止水扉は、受け本体の先端部に取付部を受け本体に係止する係止爪を備えているので、止水テープにより止水ゴムを固定することなく、受け材からの止水ゴムの脱落を抑制でき、止水性能を向上することができる。また、止水テープにより止水ゴムを固定する必要がないので、止水ゴムを容易に交換することができる。
また、上記止水扉では、前記止水ゴム固定部は、前記受け本体の底部から突出した高さ調整突起を備えるものとすることができる。
止水扉は、受け本体の底部から突出した高さ調整突起を備えているので、受け材が止水ゴムの取付部を縮小させて固定でき、成型時に止水ゴムに寸法誤差が生じても、止水ゴムの当接部の枠体と扉体とのうちの他方との当接状態のばらつきを抑制でき、止水性能を向上することができる。
また、上記止水扉では、前記扉体が前記開口を閉塞させる閉塞位置にある状態で、前記扉体と前記枠体との双方に当接して弾性変形するとともに、前記扉体が前記開口を閉塞する閉塞時回動方向に回動する際に、前記枠体と前記扉体とのうちの他方に前記止水ゴムよりも先に当接するとともに前記止水ゴムよりも硬度が高いシールゴムを備え、前記受け材は、前記シールゴムを取り付けるシールゴム取付部を有するものとすることができる。
止水扉は、受け材がシールゴムを取り付けるシールゴム取付部を備えているので、シールゴムが取り付けられる枠体と扉体とのうち一方の形状の簡略化を図ることができ、金属板などを折り曲げて枠体を製造する際の精度の要求が緩やかになり、枠体を容易に製造することができる。したがって、止水扉の製造に係るコストを抑制でき、止水扉の低コスト化を図ることができる。
また、上記止水扉では、前記枠体は、鉛直方向に沿って設けられる一対の縦枠部材と、前記一対の縦枠部材の下端同士を連結する下枠部材と、前記一対の縦枠部材の上端同士を連結する上枠部材と、を備え、前記止水ゴムは、前記下枠部材と前記一対の縦枠部材と前記上枠部材とに連続的に形成され、両端が前記上枠部材上で連結されるものとすることができる。
止水扉は、止水ゴムを一本で構成し、両端を上枠部材上で連結しているので、止水性能を向上することができる。
また、上記止水扉では、前記押付方向は、前記扉体の厚さ方向に沿い、前記扉体は、前記閉塞位置において、前記枠体に対して前記押付方向と平行に移動可能であるものとすることができる
本発明に係る止水扉は、止水性能を向上することができる、という効果を奏する。
図1は、実施形態に係る止水扉の概略構成を表す模式的な正面図である。 図2は、図1に示すII−II断面図である。 図3は、図2に示された止水扉の扉体が止水位置に位置付けられた状態を示す断面図である。 図4は、図2中のIV部を拡大して示す断面図である。 図5は、図3中のV部を拡大して示す断面図である。 図6(a)は、実施形態に係る止水扉の止水ゴムの枠体当接面を示す平面図であり、図6(b)は、実施形態に係る止水扉の止水ゴムの扉体当接面を示す平面図である。 図7は、図6(a)に示すVII−VII断面図である。 図8は、実施形態に係る止水扉の止水ゴムとゴム受け材を示す断面図である。 図9は、実施形態に係る止水扉の止水ゴムと枠体などを示す平面図である。 図10は、実施形態の変形例に係る止水扉の扉体が非止水位置に位置付けられた状態を示す要部の断面図である。 図11は、実施形態の変形例に係る止水扉の受け材を示す斜視図である。 図12は、図11に示された受け材に設計時の寸法よりも大きく形成された止水ゴムが取り付けられた状態を示す断面図である。 図13は、図11に示された受け材に設計時の寸法よりも小さく形成された止水ゴムが取り付けられた状態を示す断面図である。
以下に、本発明に係る実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
[実施形態]
図1は、実施形態に係る止水扉の概略構成を表す模式的な正面図である。図2は、図1に示すII−II断面図である。図3は、図2に示された止水扉の扉体が止水位置に位置付けられた状態を示す断面図である。図4は、図2中のIV部を拡大して示す断面図である。図5は、図3中のV部を拡大して示す断面図である。図6(a)は、実施形態に係る止水扉の止水ゴムの枠体当接面を示す平面図であり、図6(b)は、実施形態に係る止水扉の止水ゴムの扉体当接面を示す平面図である。図7は、図6(a)に示すVII−VII断面図である。図8は、実施形態に係る止水扉の止水ゴムとゴム受け材を示す断面図である。図9は、実施形態に係る止水扉の止水ゴムと枠体などを示す平面図である。
図1、図2及び図3に示す実施形態の止水扉1は、ビル、家屋、倉庫等の建築物を含む構造物Sに形成された開口Oを開放あるいは閉塞するものである。開口Oは、構造物Sの第1空間側(例えば、屋外空間側)と第2空間側(例えば、屋内空間側)とを連通するように形成される。本実施形態の止水扉1は、開口Oを通して構造物Sの内部に水が浸入することを防止する、いわゆる止水扉である。また、止水扉1は、開口Oを開閉して、開口Oを通して構造物Sに人などを出入りさせるものである。本実施形態の止水扉1は、図2及び図3に示すように、枠体4と、扉体5と、シールゴム6と、止水ゴム7と、複数のグレモンハンドル9(変位手段に相当)などを備える。
なお、以下の説明では、扉体5を閉塞位置に回動させる際の回動方向を「閉塞時回動方向」といい、扉体5を開放位置に回動させる際の回動方向を「開放時回動方向」という場合がある。また、閉塞時回動方向は、典型的には、開口Oを介して一方の空間側(屋外空間側)から他方の空間側(屋内空間側)へ水が浸入する可能性がある場合に、水が流動する可能性がある方向に沿った方向である。つまり、水の流動方向は、典型的には、開放時回動方向側が上流側、閉塞時回動方向側が下流側となる。また、水平方向に沿った方向であって後述の一対の縦枠部材41が向かい合う方向を「扉幅方向」という場合がある。即ち、下流側(屋内空間側)とは、水の浸入を阻止や抑制したい側であり、上流側(屋外空間側)とは、浸入可能性のある水が流れてくる側のことである。なお、屋外空間側や屋内空間側とは水が浸入する可能性がある場合の上流側や下流側を意味する便宜上の文言であり、本発明は、例えば廊下等の通路のような家屋や部屋等の概念が必ずしも明確にならない場所に設置された扉に対しても適用できる。
枠体4は、構造物Sの開口Oに設けられる。枠体4は、一対の縦枠部材41と、上枠部材42及び下枠部材43とを備えて構成される四方枠タイプとなっている。
一対の縦枠部材41は、それぞれ開口Oの鉛直方向に沿った端面に1つずつ設けられる。一対の縦枠部材41は、水平方向において開口Oの空間部分を挟んで対向し、扉幅方向において左右一対で設けられる。一対の縦枠部材41は、鉛直方向に沿って設けられる。
上枠部材42及び下枠部材43は、それぞれ開口Oの水平方向に沿った端面に1つずつ設けられる。ここでは、上枠部材42は、開口Oの水平方向に沿った端面であって鉛直方向上側の端面に設けられる。上枠部材42は、一対の縦枠部材41の上端同士を連結する。下枠部材43は、開口Oの水平方向に沿った端面であって鉛直方向下側の端面に設けられる。下枠部材43は、一対の縦枠部材41の下端同士を連結する。上枠部材42及び下枠部材43は、鉛直方向において開口Oの空間部分を挟んで対向する。上枠部材42及び下枠部材43は、水平方向に沿って設けられる。
枠体4は、開口Oの内面側にて一対の縦枠部材41の端部と上枠部材42、下枠部材43の端部とが連結されており、全体として開口Oに対応した環状のロの字型形状に構成される。ここでは、一対の縦枠部材41、上枠部材42、下枠部材43は、それぞれ板状の金属材により中空状の断面形状に形成されている。一対の縦枠部材41は、それぞれ板状の金属材により、略T字型中空状の断面形状に形成される。枠体4は、開口Oの周囲を囲むように構造物Sに固定的に取り付けられている。一対の縦枠部材41、上枠部材42、下枠部材43は、開口Oの各端面との間がコーキング材等により水密状態とされる。
さらに、枠体4は、各縦枠部材41、上枠部材42、下枠部材43における開口Oの空間部分側に、後述の止水ゴム7など保持するための保持部44を有する。保持部44は、枠体4の各縦枠部材41、上枠部材42、下枠部材43に沿って、全体として環状のロの字型形状に構成される。
保持部44は、図2及び図3に示すように、開放時回動方向側、即ち、屋外空間側に開口したシール用凹溝44aと、止水用凹溝44bとを備えている。シール用凹溝44aと、止水用凹溝44bとは、それぞれ、縦枠部材41、上枠部材42、下枠部材43に沿って、全体として環状のロの字型形状に構成され、シール用凹溝44aは、止水用凹溝44bよりも枠体4の外周側に配置されている。
扉体5は、枠体4に回動可能に支持され開口Oを開閉する開閉体である。即ち、扉体5は、開口Oを開放あるいは閉塞する。本実施形態の扉体5は、片開き式の扉である。扉体5は、例えば、框、縦桟、横桟等の骨格部材51を組んだものに対して両面から板状の扉表面材52を組み付けることで、全体として矩形パネル状の部材として構成される。なお、閉塞時回動方向側、即ち、屋内空間側の扉表面材52と骨格部材51とは、溶接により固定されて、屋内空間側の扉表面材52と骨格部材51とに亘って溶接部53が形成されている。
扉体5は、扉幅方向の一方の端部に当該扉体5を開閉するためのドアノブ54等が設けられる。また、扉体5は、扉幅方向の他方の端部に2軸蝶番55が設けられている。2軸蝶番55は、鉛直方向と平行な回動軸を水平方向にずれた位置に二つ設け、扉体5を枠体4の一方の縦枠部材41に回動可能に支持する。本実施形態の2軸蝶番55は、鉛直方向に間をあけて2箇所に設けられる。また、扉体5は、扉幅方向の一方の端部側の端面に、枠体4の縦枠部材41に形成される係合穴56(図2及び図3に示す)と係合するラッチ57(図2及び図3に示す)を設けている。
扉体5は、水平方向において2軸蝶番55が設けられる基端部側が吊り元側(言い換えれば、戸尻側)となる一方、吊り元側とは反対側、即ち、ラッチ57が設けられる先端部側が戸先側となる。扉体5は、さらに、不図示のドアクローザー等を備えていてもよい。
したがって、扉体5は、2軸蝶番55の二つの回動軸を回動中心として、開口Oを閉塞させる閉塞位置と、開口Oを開放させる開放位置とに亘って枠体4に対して回動可能となる。そして、この扉体5は、閉塞位置にある状態でラッチ57が縦枠部材41に形成された係合穴56に係合する。扉体5は、閉塞位置から開放位置側に枠体4に対して回動されることで、屋外空間側に進出し開口Oを開放する。
また、扉体5は、2軸蝶番55の二つの回動軸を回動中心として枠体4に回動可能に支持されているので、閉塞位置において、扉体5が枠体4に押し付けられる押付方向P(図2、図3などに矢印で示す)に水平移動可能となっている。扉体5は、閉塞位置において、ラッチ57が係合穴56に係合して、止水ゴム7とシールゴム6とのうちシールゴム6のみが弾性変形する非止水位置(図2に示す)と、非止水位置よりも屋外空間側に位置して止水ゴム7とシールゴム6との双方が弾性変形する止水位置(図3に示す)とに亘って枠体4に対して押付方向Pと平行に水平移動可能となる。
ここで、押付方向Pとは、扉体5が枠体4に押し付けられる方向をいい、典型的には、扉体5に対して屋外空間側から水圧が作用した際に当該水圧による押し付け力が作用する方向であり、第1空間側(例えば、屋外空間側)から第2空間側(例えば、屋内空間側)に向う方向である。本実施形態では、押付方向Pは、閉塞位置にある扉体5の扉表面材52と直交する方向で屋内空間側に向う方向に相当する。
シールゴム6は、枠体4と扉体5との一方としての枠体4の全周に取り付けられている。シールゴム6は、扉体5が開口Oを閉塞させる閉塞位置にある状態で、押付方向Pにおいて当該枠体4と当該扉体5との間に介在し、扉体5と枠体4との双方に当接して弾性変形して、扉体5と枠体4との間を気体が流れることを抑制するものである。シールゴム6は、扉体5が、開口Oを閉塞する方向に回動する即ち閉塞時回動方向に回動する際に、枠体4と扉体5との他方としての扉体5に止水ゴム7よりも先に当接するものである。本実施形態のシールゴム6は、枠体4側に設けられるものとして説明するがこれに限らず、扉体5側に設けられてもよい。
シールゴム6は、所定の弾性を有する弾性部材(ゴム)であり、例えば、独立気泡型の樹脂(ゴム)材や気泡を有しない柔らかめの樹脂等を用いることができる。本実施形態のシールゴム6は、硬度が1〜30までの発泡ゴムで構成されて、止水ゴム7よりも硬度が高く構成されている。なお、本発明でいう硬度とは、JIS(日本工業規格)K6253−1〜5で定められた数値をいう。
シールゴム6は、一対の縦枠部材41のシール用凹溝44a内に取り付けられる一対の縦側シールゴム61と、上枠部材42のシール用凹溝44a内に取り付けられる上側シールゴム62と、下枠部材43のシール用凹溝44a内に取り付けられる下側シールゴム63とを含んで構成される。一対の縦側シールゴム61は、鉛直方向に沿って設けられる一対の鉛直部材である。上側シールゴム62と、下側シールゴム63は、水平方向に沿って設けられる一対の水平部材である。一対の縦側シールゴム61と、上側シールゴム62と、下側シールゴム63とは棒状の部材として形成される。シールゴム6は、一対の縦側シールゴム61の端部と上側シールゴム62の端部と下側シールゴム63の端部とが密着状態となるように連続的に連結されている。一対の縦側シールゴム61と、上側シールゴム62、及び、下側シールゴム63によって構成されるシールゴム6は、全体として枠体4に対応した枠状のロの字型形状に構成される。
シールゴム6の縦側シールゴム61、上側シールゴム62及び下側シールゴム63は、図4及び図5に示すように、それぞれ、シール用凹溝44a内に収容される被収容部64と、被収容部64に連なる中空の円環状のリップ部65とを一体に備えている。被収容部64は、シール用凹溝44a内に固定される。被収容部64は、シール用凹溝44aの内面を押圧する押圧リップ64aが設けられて、押圧リップ64aがシール用凹溝44aの内面を押圧することで、シール用凹溝44a即ち枠体4からの脱落が規制されている。
リップ部65は、開口Oを閉塞する閉塞時回動方向に回動する扉体5に当接し、閉塞位置の扉体5から押圧されると、押圧された箇所が内側に向かうように弾性変形する。リップ部65は、弾性変形すると、扉体5を開放時回動方向、即ち、屋外空間側に向かって押圧する弾性復元力を生じる。
止水ゴム7は、扉体5が閉塞位置でかつ止水位置にある状態で、押付方向Pにおいて枠体4と扉体5との間に介在する。止水ゴム7は、枠体4と扉体5との一方としての枠体4の全周に取り付けられて、開口Oを閉塞した閉塞位置でかつ止水位置の扉体5に当接して、枠体4と扉体5との間を止水して開口Oを止水するものである。本実施形態の止水ゴム7は、枠体4側に設けられるものとして説明するがこれに限らず、扉体5側に設けられてもよい。
止水ゴム7は、所定の弾性を有する弾性部材(ゴム)であり、例えば、独立気泡型の樹脂(ゴム)材や気泡を有しない柔らかめの樹脂等を用いることができる。止水ゴム7は、シールゴム6よりも硬度が低く形成されている。本実施形態の止水ゴム7は、硬度が1〜30までの発泡ゴムで構成されている。
本実施形態の止水ゴム7は、一本の帯状の部材により構成され、一対の縦枠部材41の止水用凹溝44b、下枠部材43の止水用凹溝44b、上枠部材42の止水用凹溝44b内に取り付けられ、上枠部材42の止水用凹溝44b内で両端が密着状態となるように連続的に連結されている。即ち、止水ゴム7は、図9に示すように、下枠部材43と一対の縦枠部材41と上枠部材42とに連続的に沿って一本で形成され、両端が上枠部材42上で連結されている。止水ゴム7は、全体として枠体4に対応した枠状のロの字型形状に構成される。
そして、本実施形態の止水ゴム7は、その断面形状を工夫することで、特に枠体4の隅においても枠体4及び扉体5との双方と密着することで、止水性能を向上することができるようにしている。
具体的には、止水ゴム7は、図7に示すように、前述した硬度の発泡ゴムから中実に構成され、取付部71と、当接部72と、連結部73とを一体に備えている。なお、本発明でいう中実とは、金型に中空を形成する部分を設けることなく、成型されたものをいう。即ち、金型により中空部分が形成されていなければ、多数の気泡が形成された発泡材も本発明でいう中実に含まれる。取付部71は、枠体4と扉体5とのうちの一方としての枠体4に取り付けられる。取付部71は、平坦な枠体当接面71a(図6(a)などに示す)を有しているとともに、枠体当接面71aから徐々に幅が増加するように形成されている。取付部71は、ゴム受け材8を介して止水用凹溝44b内に収容されて、枠体4に取り付けられる。取付部71は、枠体4に取り付けられると、枠体当接面71aがゴム受け材8を介して止水用凹溝44bの底面に当接する。
なお、ゴム受け材8は、シールゴム6と同等の硬度の発泡ゴムで構成されている。ゴム受け材8は、図8に示すように、断面コの字形状のゴム保持部81と、ゴム保持部81の底部に複数設けられた高さ調整部材82と、ゴム保持部81の外側面から突出して止水用凹溝44bの内面を押圧する押圧リップ83を備えている。ゴム保持部81は、取付部71に係止する係止爪81aが先端に設けられて、係止爪81aが取付部71に係止することで、取付部71を固定する。高さ調整部材82は、ゴム受け材8と止水ゴム7を止水用凹溝44b即ち枠体4に取り付ける際に、止水ゴム7の扉体5への当接状態に応じて、適宜の数が除去されたり、除去されないことで、止水ゴム7の止水用凹溝44bに対する押付方向Pの位置を調整するものである。押圧リップ83は、止水用凹溝44bの内面を押圧することで、ゴム受け材8の止水用凹溝44b即ち枠体4からの脱落を規制するものである。また、押圧リップ83は、止水用凹溝44bの内面を押圧した時の反力により、ゴム保持部81の先端間の間隔を狭くして、ゴム保持部81からの止水ゴム7の脱落を規制するものでもある。
当接部72は、枠体4と扉体5とのうちの他方としての扉体5の扉表面材52に当接する平坦な扉体当接面72c(当接面に相当し、図6(b)などに示す)を有しているとともに、中実に形成されている。連結部73は、取付部71と当接部72とを連結しかつ取付部71と当接部72との双方よりも幅が狭く形成されている。
また、止水ゴム7は、長手方向に交差する断面において、図7に示すように、枠体4の外周側の当接部72の一端部72aと連結部73との間の距離L1が、枠体4の内周側の当接部72の他端部72bと連結部73との間の距離L2よりも大きく形成されている。そして、当接部72の他端部72bは、取付部71の幅方向の外端よりも止水ゴム7の幅方向の中央寄りに配置されている。なお、当接部72の一端部72aと連結部73との間の距離L1は、当接部72の一端部72aの連結部73の外周側の最もくびれた箇所からの突出量をなしており、当接部72の一端部72aと連結部73の外周側の最もくびれた箇所との間の距離L1となっている。当接部72の他端部72bと連結部73との間の距離L2は、当接部72の他端部72bの連結部73の内周側の最もくびれた箇所からの突出量をなしており、当接部72の他端部72bと連結部73の内周側の最もくびれた箇所との間の距離L2となっている。図4や図5に示されているように、扉体当接面72cは、ゴム受け材8よりも屋外空間側に位置しており、当接部72の一端部72aは扉体5の扉幅方向および扉上下方向における、当接部72に近い側の扉端部側方向(言い換えれば、四方枠側)に向いている。
止水ゴム7の当接部72は、扉体5が開口Oを閉塞させる閉塞位置にあり水圧非作用時の非止水位置では、扉体5から間隔をあける位置に配置されている。また、本発明では、止水ゴム7の当接部72は、扉体5が開口Oを閉塞させる閉塞位置にあり水圧非作用時の非止水位置では、扉体5に弾性変形せず(又は、癖がつかない程度に若干弾性変形する程度)に当接する位置に配置されてもよい。また、止水ゴム7の当接部72は、扉体5が開口Oを閉塞させる閉塞位置にあり水圧作用時の止水位置では、扉体5から押圧されて弾性変形して、扉体5を屋外空間側に押圧する弾性復元力を生じる。
止水ゴム7は、当接部72の他端部72bの距離L2が一端部72aの距離L1よりも小さく形成されているので、略90度屈曲されても、屈曲されると縮められる当接部72の他端部72bに生じる弾性復元力を抑制することとなる。このために、止水ゴム7は、略90度屈曲される際の当接部72の他端部72bの抵抗を抑制でき、屈曲された隅においても、図6(a)及び図6(b)に示すように、枠体当接面71aと扉体当接面72cとの双方を閉塞位置の扉体5の扉表面材52と平行な方向に平坦に維持することができる。
グレモンハンドル9は、扉体5に複数設けられ、かつ、閉塞位置にあり水圧非作用時の扉体5を非止水位置から止水位置に変位させるものである。グレモンハンドル9は、扉体5に回動自在に設けられたハンドル部91と、枠体4に設けられた凸部92とを備えている。ハンドル部91は、屋外空間側と屋内空間側との双方に設けられかつ使用者が把持できる操作部91aと、屋内空間側の操作部91aに一体に設けられた乗りあがり部91bとを備えている。凸部92は、枠体4の縦枠部材41の屋内空間側の表面から凸に形成されて、乗りあがり部91bが乗り上げることで、扉体5を非止水位置から止水位置に変位させるものである。グレモンハンドル9は、本実施形態では、扉体5の鉛直方向の中央部に二つと、下端部に二つ、合計四つ設けられている。
上記のように構成される止水扉1は、開口Oを通して構造物S内に出入りする際には、使用者はドアノブ54などを操作して、扉体5を2軸蝶番55により開放位置と閉塞位置の非止水位置とに亘って回動させる。止水扉1は、開口Oを開閉する。このとき、扉体5が閉塞位置にある状態であっても、止水ゴム7は、図2及び図4に示すように、扉体5に当接しないとともに、シールゴム6が扉体5に当接して弾性変形する。
そして、止水扉1は、開口Oを止水する際には、使用者がグレモンハンドル9を回転する。すると、グレモンハンドル9の乗りあがり部91bが凸部92に乗りあがって、扉体5を非止水位置から止水位置まで屋内空間側に移動させる。扉体5が止水位置にある状態では、図3及び図5に示すように、止水ゴム7は、扉体5に当接して弾性変形するとともに、扉体5の扉表面材52に密着して、扉体5と枠体4との間を止水する。
また、止水扉1は、止水ゴム7の取付部71の枠体当接面71aと当接部72の扉体当接面72cとの双方が閉塞位置の扉体5の扉表面材52と平行であり、かつ扉体5が押付方向Pに沿って非止水位置から止水位置に移動する。このために、止水扉1は、扉体5が非止水位置から止水位置に移動する際に、扉体当接面72cが扉表面材52と平行なまま扉表面材52に近づいて当接することとなる。したがって、止水扉1は、止水位置では、枠体当接面71a全体がゴム受け材8を介して枠体4に接触するとともに、扉体当接面72c全体が扉体5の扉表面材52に当接することとなる。したがって、止水扉1は、止水位置では、止水ゴム7が枠体4及び扉体5の双方と全周に亘って面接触するので、止水ゴム7が開口Oを止水することができる。
さらに、止水扉1は、止水位置の扉体5の屋外空間側に水圧が作用すると、扉体5が押付方向Pに沿って屋内空間側、言い換えれば、枠体4側に押し付けられることとなるとともに、枠体4と扉体5との間に水が浸入する。枠体4と扉体5との間に侵入した水の水圧は、シールゴム6のリップ部65をつぶす方向に作用する。枠体4と扉体5との間に侵入した水の水圧が、シールゴム6のリップ部65の弾性復元力を超えると、中空であるリップ部65がつぶれて、水が止水ゴム7と扉体5との間に浸入する。すると、止水ゴム7の当接部72の一端部72aの連結部73からの距離L1が大きく形成されているために、止水ゴム7と扉体5との間に浸入した水の水圧は、止水ゴム7の当接部72の一端部72aを扉体5の扉表面材52に密着させる方向に作用することとなる。したがって、止水扉1は、止水位置の扉体5に水圧が作用しても、適正な止水性能を確保することができる。
以上で説明した実施形態に係る止水扉1によれば、止水位置において扉体5と当接する中実な当接部72を備え、かつ当接部72の外周側の一端部72aと連結部73との距離L1よりも当接部72の内周側の他端部72bと連結部73との距離L2が小さく形成された止水ゴム7を備えている。止水ゴム7は、枠体4の隅などで屈曲される際の当接部72の他端部72bの弾性復元力を小さくすることができ、枠体4の隅においても、枠体当接面71a及び扉体当接面72cを平坦に保つことができる。したがって、止水扉1は、止水ゴム7が、枠体4の隅であっても枠体当接面71a及び扉体当接面72c全体で枠体4及び扉体5に当接することができ、開口Oを止水でき、止水性能を向上することができる。
また、止水扉1は、止水ゴム7が、この止水ゴム7よりも先に閉塞時回動方向に回動される扉体5に当接するシールゴム6よりも硬度が低く形成されている。このために、止水扉1は、止水ゴム7が、枠体4の隅などで屈曲される際の当接部72の他端部72bの弾性復元力をより小さくでき、枠体4の隅においても枠体当接面71a及び扉体当接面72cを平坦に保つことができる。
また、止水扉1は、止水ゴム7よりもシールゴム6が先に扉体5に当接して、扉体5から押圧されて弾性変形するので、シールゴム6の弾性復元力によって、扉体5が閉塞位置にありかつ非止水位置にある状態で、止水ゴム7が扉体5に接触したり扉体5から押圧されて弾性変形することを抑制できる。したがって、止水扉1は、扉体5が開口Oを開閉する際には、硬度の低く柔らかい止水ゴム7の弾性変形を抑制できるので、硬度の低く柔らかい止水ゴム7が扉体5から癖付けられることを抑制できる。したがって、止水扉1は、止水時に止水ゴム7が枠体4と扉体5との間を止水することができ、止水性能を向上することができる。
また、止水扉1は、扉体5の水圧非作用時の非止水位置では、止水ゴム7が扉体5に当接しないので、扉体5が開口Oを開閉する際に止水ゴム7が扉体5から癖付けられることを抑制できる。さらに、止水扉1は、止水位置にある扉体5に水圧が作用してシールゴム6のリップ部65がつぶれて扉体5から離間しても、止水ゴム7が中実に形成されているので、止水ゴム7自体が変形しにくく、当接部72が扉体5から離間することを抑制できる。よって、止水扉1は、止水性能を向上することができる。
また、止水扉1は、非止水位置から止水位置に扉体5を変位させるグレモンハンドル9を備えているので、水圧が扉体5に作用していない時にグレモンハンドル9により扉体5を止水位置に変位させることができる。このために、扉体5、シールゴム6及び止水ゴム7に水圧が作用していない状態で、扉体5を止水位置に変位させることで、止水ゴム7の枠体当接面71a全体をゴム受け材8を介して枠体4に当接させることができ、扉体当接面72c全体を扉体5に当接させることができる。したがって、止水扉1は、止水性能を向上することができる。
止水扉1は、止水ゴム7を一本で形成し、両端を上枠部材42上で連結しているので、止水ゴム7の継ぎ目を最小限として、止水性能を向上することができる。
[変形例]
図10は、実施形態の変形例に係る止水扉の扉体が非止水位置に位置付けられた状態を示す要部の断面図である。図11は、実施形態の変形例に係る止水扉の受け材を示す斜視図である。図12は、図11に示された受け材に設計時の寸法よりも大きく形成された止水ゴムが取り付けられた状態を示す断面図である。図13は、図11に示された受け材に設計時の寸法よりも小さく形成された止水ゴムが取り付けられた状態を示す断面図である。なお、図10〜図13において、実施形態と同一部分には、同一符号を付して説明を省略する。
実施形態の変形例は、保持部44の構成と、ゴム受け材8の代わりに受け材10を備えている点が、実施形態と異なり、他の構成は、実施形態と等しい。変形例では、枠体4の各縦枠部材41、上枠部材42及び下枠部材43に亘って設けられた保持部44は、図10に示すように、扉体5側に開口を有する断面コの字型形状の一つの凹溝に形成されている。なお、図10では、縦枠部材41に設けられる保持部44のみ示し、他を省略している。
受け材10は、枠体4と扉体5とのうちの一方としての枠体4の保持部44の全周に取り付けられる。受け材10は、縦枠部材41の保持部44内に取り付けられる一対の縦側受け材と、上枠部材42の保持部44内に取り付けられる上側受け材と、下枠部材43の保持部44内に取り付けられる下側受け材とを含んで構成される。一対の縦側受け材は、鉛直方向に沿って設けられる一対の鉛直部材である。上側受け材と、下側受け材は、水平方向に沿って設けられる一対の水平部材である。一対の縦側受け材と、上側受け材と、下側受け材とは棒状の部材として形成される。受け材10は、一対の縦側受け材の端部と上側受け材の端部と下側受け材の端部とが図示しない止水テープなどにより密着状態となるように連続的に連結されている。一対の縦側受け材と、上側受け材、及び、下側受け材によって構成される受け材10は、全体として枠体4に対応した枠状のロの字型形状に構成される。変形例の受け材10は、枠体4に設けられるものとして説明するがこれに限らず、扉体5に設けられてもよい。
受け材10は、アルミニウム合金などの金属で構成され、止水テープ11により保持部44の内面に取り付けられる。受け材10は、図11に示すように、止水ゴム固定部101と、シールゴム取付部102とを一体に有する。止水ゴム固定部101と、シールゴム取付部102とは、それぞれ、縦枠部材41、上枠部材42、下枠部材43に沿って、全体として環状のロの字型形状に構成され、シールゴム取付部102は、止水ゴム固定部101よりも枠体4の外周側に配置されている。
止水ゴム固定部101は、止水ゴム7の取付部71を縮小させた状態で枠体4に固定するものである。止水ゴム固定部101は、受け本体101aと、係止爪101bと、凹凸部101cと、高さ調整部材としての高さ調整突起101dとを備えている。受け本体101aは、扉体5側に開口を有する断面コの字型形状に形成され、内側に止水ゴム7の取付部71を収容する。
係止爪101bは、受け本体101aの両先端部に設けられかつ取付部71に接触して当該取付部71を受け本体101aに係止するものである。係止爪101bは、受け本体101aの互いに平行な一対の平行部の両先端から互いに近づく方向に突出している。係止爪101bは、取付部71を縮小させるように弾性変形させた状態で取付部71の外側に係止して、受け本体101aに取付部71を固定(係止)する。凹凸部101cは、受け本体101aの平行部の扉体5寄りの両先端部の内面に設けられ、小さな凹みと凸部とを複数備えて構成されている。凹凸部101cは、係止爪101bよりも受け本体101aの底部側に配置されている。凹凸部101cは、受け本体101a内に収容した止水ゴム7の取付部71を食い込ませて、止水ゴム7の受け材10からの脱落を抑制するものである。
高さ調整突起101dは、受け本体101aの底部から受け材10の内側、即ち、屋外空間側に突出している。高さ調整突起101dは、受け本体101a内に収容した止水ゴム7の取付部71に当接して、取付部71を押圧することで、取付部71を受け本体101a内で縮小させるとともに、係止爪101bを取付部71に係止させるものである。
高さ調整突起101dは、設計時の寸法よりも大きく形成された止水ゴム7が取り付けられると、図12に示すように、止水ゴム7の取付部71内に食い込んで、取付部71を受け本体101a内で縮小させるとともに、凹凸部101cに取付部71を食い込ませて、係止爪101bを取付部71に係止させる。また、高さ調整突起101dは、設計時の寸法よりも小さく形成された止水ゴム7が取り付けられると、図13に示すように、止水ゴム7の取付部71内に食い込むことなく又は若干食い込んで取付部71を押圧することで、取付部71を受け本体101a内で縮小させるとともに、係止爪101bを取付部71に係止させる。
シールゴム取付部102は、シールゴム6を取り付けるものであり、取付部71の受け本体101aの底部に連なった平板状に形成されている。シールゴム取付部102は、止水ゴム固定部101の受け本体101aと保持部44の内面との間にシールゴム6が圧入され、シールゴム6の押圧リップ64aが受け本体101aと保持部44の内面を押圧することで、シールゴム6を取り付ける。
前述した構成の受け材10は、止水ゴム固定部101とシールゴム取付部102とに亘って止水テープ11が貼り付けられ、止水テープ11により保持部44の内面に取り付けられる。
変形例の止水扉1−1は、前述した実施形態と同様に、止水ゴム7が枠体4の隅であっても枠体当接面71a及び扉体当接面72c全体で枠体4及び扉体5に当接することができ、開口Oを止水でき、止水性能を向上することができる。
また、止水扉1−1は、止水ゴム7の取付部71を縮小させて固定する受け材10を介して、止水ゴム7を枠体4と扉体5とのうちの一方としての枠体4に取り付ける。このために、成型時に止水ゴム7に寸法誤差が生じても、止水ゴム7の取付部71の寸法誤差が受け材10により吸収されることとなる。したがって、止水扉1−1は、止水ゴム7の当接部72の枠体4と扉体5とのうちの他方としての扉体5との当接状態のばらつきを抑制でき、止水性能を向上することができる。
また、上記止水扉1−1は、受け材10の受け本体101aの先端部に取付部71を受け本体101aに係止する係止爪101bを備えているので、止水テープにより止水ゴム7を受け材10に固定することなく、受け材10からの止水ゴム7の脱落を抑制でき、止水性能を向上することができる。また、止水テープにより止水ゴム7を受け材10に固定する必要がないので、止水ゴム7を容易に交換することができる。
また、上記止水扉1−1は、受け本体101aの底部から突出した高さ調整突起101dを備えているので、成型時に止水ゴム7に寸法誤差が生じても、受け材10が取付部71を縮小させて固定でき、止水ゴム7の当接部72の扉体5との当接状態のばらつきを抑制できる。
止水扉1−1は、受け材10がシールゴム6を取り付けるシールゴム取付部102を備えているので、枠体4の形状の簡略化を図ることができ、金属板などを折り曲げて枠体4を製造する際の精度の要求が緩やかになり、枠体4を容易に製造することができる。したがって、止水扉1−1の製造に係るコストを抑制でき、止水扉1−1の低コスト化を図ることができる。
前述した実施形態及び変形例では、止水扉1,1−1は、扉体5の開閉時に扉体5に当接するシールゴム6と、開口Oの止水時に扉体5に当接する止水ゴム7とを備えている。しかしながら、本発明では、止水ゴム7が扉体5の開閉時に扉体5に当接しても癖が付けられないのであれば、止水扉1,1−1は、止水ゴム7のみを設けてもよい。また、本発明では、シールゴム6と止水ゴム7との双方を設けた場合において、開放位置から閉塞位置に移動する扉体5にシールゴム6が止水ゴム7よりも先に当接するのであれば、非止水位置であっても、止水扉1,1−1は、止水ゴム7が扉体5に当接して弾性変形してもよい。
また、本発明では、グレモンハンドル9を設けなくてもよい。詳しくは、閉塞位置の非止水位置で、止水ゴム7の枠体当接面71a全体が枠体4に当接し、扉体当接面72c全体が扉体5に当接する場合には、本発明では、グレモンハンドル9を必ずしも設けなくてもよい。また、閉塞位置の非止水位置で、例えば、当接部72が扉体5に当接しなくても、扉体5に水圧が作用すると、扉体5が水圧によって押付方向Pに移動されると、止水ゴム7の枠体当接面71a全体が枠体4に当接し、扉体当接面72c全体が扉体5に当接する場合には、本発明では、グレモンハンドル9を必ずしも設けなくてもよい。
なお、上述した本発明に係る止水ゴム7及び止水扉1,1−1は、上述した実施形態及び変形例に限定されず、特許請求の範囲に記載された範囲で種々の変更が可能である。即ち、本発明に係る止水ゴム7及び止水扉1,1−1は、以上で説明した実施形態及び変形例の構成要素を適宜組み合わせることで構成してもよい。
1,1−1 止水扉
4 枠体
5 扉体
6 シールゴム
61 縦側シールゴム(部分)
65 リップ部
7 止水ゴム
71 取付部
71a 枠体当接面
72 当接部
72a 一端部
72b 他端部
72c 扉体当接面(当接面)
73 連結部
9 グレモンハンドル(変位手段)
10 受け材
101 止水ゴム固定部
101a 受け本体
101b 係止爪
101d 高さ調整突起
102 シールゴム取付部
S 構造物
O 開口
P 押付方向
L1 距離
L2 距離

Claims (7)

  1. 構造物の開口に設けられる枠体と、
    前記枠体に回動可能に支持され前記開口を開閉する扉体と、
    前記扉体が前記開口を閉塞させる閉塞位置にある状態で、前記扉体が前記枠体に押し付けられる押付方向において当該枠体と当該扉体との間に介在する帯状の止水ゴムと、
    シールゴムと、
    変位手段と、
    を備えた止水扉であって、
    前記止水ゴムは、
    前記枠体と前記扉体とのうちの一方に取り付けられる取付部と、
    前記枠体と前記扉体とのうちの他方に当接する平坦な当接面を有する中実な当接部と、
    前記取付部と前記当接部とを連結しかつ前記取付部と前記当接部との双方よりも幅が狭い連結部とを一体に備え、前記シールゴムよりも硬度が低く形成され、
    長手方向に交差する断面において、前記枠体の外周側の前記当接部の一端部と前記連結部との間の距離が、前記枠体の内周側の前記当接部の他端部と前記連結部との間の距離よりも大きく形成されており、
    前記シールゴムおよび前記止水ゴムは、それぞれ、前記扉体が前記閉塞位置にある状態で、前記扉体の戸先側の端部の、当該扉体が前記開口を閉塞する閉塞時回動方向側、に位置した部分を有し、
    前記シールゴムの前記部分は、前記扉体が前記閉塞位置にある状態で、前記止水ゴムの前記部分と並列して位置しかつ前記止水ゴムの前記部分よりも前記扉体の戸先側に位置し、
    前記止水ゴムの前記当接部は、前記扉体が前記閉塞位置にあり水圧非作用時に、前記枠体と前記扉体とのうちの他方に弾性変形せずに当接する位置又は前記扉体から間隔をあける位置に配置されており、
    前記シールゴムは、前記扉体が前記閉塞位置にある状態で、前記扉体と前記枠体との双方に当接して弾性変形するとともに、前記扉体が前記閉塞時回動方向に回動する際に、前記枠体と前記扉体とのうちの他方に前記止水ゴムよりも先に当接し、
    前記変位手段は、前記扉体に設けられ、かつ、前記閉塞位置にあり水圧非作用時の前記扉体を、前記止水ゴムの前記当接部が前記枠体と前記扉体とのうちの他方に弾性変形せずに当接する位置又は前記扉体から間隔をあける非止水位置から、前記止水ゴムの前記当接部が前記枠体と前記扉体とのうちの他方から押圧されて弾性変形する止水位置に変位させ、
    前記シールゴムは、前記扉体が前記閉塞位置にある状態にあり水圧非作動時には、前記シールゴムが前記扉体と前記枠体との双方に当接し、前記扉体が前記止水位置に変位しているときには、前記止水ゴムとともに弾性変形していることを特徴とする、
    止水扉。
  2. 前記枠体と前記扉体とのうちの一方に取り付けられ、かつ、前記止水ゴムの前記取付部を縮小させた状態で前記一方に固定する止水ゴム固定部を有する受け材を備えることを特徴とする、
    請求項1に記載の止水扉。
  3. 前記止水ゴム固定部は、
    前記他方側に開口を有する断面コの字型形状に形成されかつ前記止水ゴムの前記取付部を収容する受け本体と、前記受け本体の両先端部に設けられかつ前記取付部に接触して当該取付部を前記受け本体に係止する係止爪を備えることを特徴とする、
    請求項2に記載の止水扉。
  4. 前記止水ゴム固定部は、
    前記受け本体の底部から突出した高さ調整突起を備えることを特徴とする、
    請求項3に記載の止水扉。
  5. 前記受け材は、前記シールゴムを取り付けるシールゴム取付部を有することを特徴とする、
    請求項2から請求項4のうちいずれか一項に記載の止水扉。
  6. 前記枠体は、鉛直方向に沿って設けられる一対の縦枠部材と、前記一対の縦枠部材の下端同士を連結する下枠部材と、前記一対の縦枠部材の上端同士を連結する上枠部材と、を備え、
    前記止水ゴムは、前記下枠部材と前記一対の縦枠部材と前記上枠部材とに連続的に形成され、両端が前記上枠部材上で連結されることを特徴とする、
    請求項1から請求項5のうちいずれか一項に記載の止水扉。
  7. 前記押付方向は、前記扉体の厚さ方向に沿い、
    前記扉体は、前記閉塞位置において、前記枠体に対して前記押付方向と平行に移動可能である、請求項1から請求項6のうちいずれか一項に記載の止水扉。
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