JP6983498B2 - 止水扉 - Google Patents
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Description
従来、このような止水扉には、例えば特許文献1に記載されるように、構造物の開口に設けられる枠体と、この枠体に回動可能に支持されて前記開口を開閉する扉体と、この扉体を回動可能かつ枠厚方向へ平行移動可能に支持する二軸蝶番と、閉鎖状態の扉体と枠体との間に挟まれて弾性変形するパッキンと、扉体の両面から突出したグレモンハンドルとを具備したものがある。
この従来技術によれば、扉体表面のレバーハンドルの操作により扉体を閉鎖した後、その閉鎖状態で、グレモンハンドルを回転操作すれば、扉体をパッキンへ強く押し付けるように平行移動させることができ、良好な水密性能を得ることができる。
しかしながら、前記のように扉体内に骨材を有する止水扉では、図8に示すように、屋外側から水圧を受けて、扉体110が屋内側へ弓形に変形すると、骨材111が屋内側の板状部112に当接して、その当接箇所に対応する板状部112の屋内側面P(露出面)に、内部から押されて屋内側へ突出した押し跡が形成されてしまう場合がある。
中央側に開口を有する環状の枠体に、上流側から扉体の周縁側を重ね合わせるようにした止水扉において、前記扉体が、扉厚方向の両側に間隔を置いた板状部と、これら板状部の間に位置する横骨材および縦骨材を備え、前記横骨材は、下流側の前記板状部の内面との間に弾性部材を挟むことで下流側の前記板状部の内面から離れ、かつ戸尻側の前記縦骨材に対し扉幅方向の空間を置いて離れていることを特徴とする止水扉。
第1の特徴は、中央側に開口を有する環状の枠体に、上流側から扉体の周縁側を重ね合わせるようにした止水扉において、前記扉体が、扉厚方向の両側に間隔を置いた板状部と、これら板状部の間に位置する骨材とを備え、前記骨材は、下流側の前記板状部の内面から離間して設けられている(図7参照)。
次に、上記特徴を有する具体的な実施態様について、図面に基づいて詳細に説明する。
以下の説明において、「上流側」とは、前記開口部を水が通過するものと想定した場合において、水が流れて来る方向側を意味する。また、「下流側」とは、水が流れて行く方向側を意味する。図示例では、止水扉Aよりも上流側を屋外側とし、同止水扉Aよりも下流側を屋内側としている。
また、以下の説明において、「戸先側」とは、第1扉体21又は第2扉体22の扉幅方向における先端側(自由端側)を意味し、「戸尻側」とは、前記戸先側に対する逆側を意味する。
この止水扉Aは、中央側に開口を有する環状の枠体10と、この枠体10に対し、その上流側から周縁側を重ね合わせて閉鎖される第1扉体21及び第2扉体22とを備え、先に回動し閉鎖した第1扉体21の戸先側に、後から回動し閉鎖する第2扉体22の戸先側を水密に押し付けるよう構成される。
横枠部材10aと縦枠部材10bの各々は、鋼板等の金属材料を曲げ加工してなり、その中央の開口側に、下流側へ凹んで枠内側へ突出する略凹状の受片11を有する。各受片11は、第1扉体21及び第2扉体22の外縁側部分を、気密部材1及び枠側止水部材2を介して、その下流側から受けている(図5参照)。
四方枠12は、枠体10の下流側にて、枠内の通路を上下左右から囲む板金製の矩形状枠体である。この四方枠12は、枠体10の受片11に嵌め合せられ、周知の止着手段(例えば溶接やネジ止め等)によって止着されている。
この気密部材1は、例えば、エラストマー樹脂やその他の弾性樹脂材料、合成ゴム等から形成され、図示例によれば、断面中空状に形成される。
この枠側止水部材2は、主に水の浸入を阻む作用を奏するが、気体や音の浸入を阻む作用も兼ね備えている。
枠側止水部材2は、例えば、エラストマー樹脂やその他の弾性樹脂材料、合成ゴム等から形成され、図示例によれば、先端側を枠外方向へ向けた断面中実状に形成され、気密部材1よりも柔軟性を有し且つ強い弾発力を有する。
なお、枠側止水部材2の他例としては、独立気泡を有する軟質樹脂材料や、スポンジ状の軟質樹脂材料、中空部を有する軟質樹脂材料等から形成した態様や、図示例以外の断面形状とした態様等とすることも可能である。
第1扉体21は、先に閉鎖される方の扉体であって子扉と呼称される場合もある。第2扉体22は、第1扉体21よりも後に閉鎖される方の扉体であって親扉と呼称される場合もある。
これら第1扉体21と第2扉体22の幅寸法の大小関係は、図示例によれば略同一としているが、その一方が他方よりも大きくてもよい。
この第1扉体21は、上側の横枠部材10aに設けられる周知の閉鎖順序規制装置15(図2参照)により、第2扉体22が先に閉鎖動作した場合でも該第2扉体22よりも先に全閉するように規制される。
なお、図2において、符号16は、第1扉体21及び第2扉体22の閉鎖速度を調整するドアクローザである。
この第2扉体22は、閉鎖順序規制装置15(図2参照)により、第1扉体21よりも後に全閉されるように閉鎖動作が規制されている。
この第2扉体22の戸先側には、第1扉体21の戸先側の受部21bの表面に重なり合うようにして押し付けられ弾性変形する召合せ止水部材22aが嵌合されている(図5および図6参照)。
この召合せ止水部材22aは、図示例によれば断面中実状に形成されるが、他例としては、独立気泡を有する軟質樹脂材料や、スポンジ状の軟質樹脂材料、中空部を有する軟質樹脂材料等から形成した態様等とすることも可能である。
さらに、この召合せ止水部材22aは、その上端側と下端側において、第1扉体21及び第2扉体22が止水位置になる際に、第1の受部21b1と、枠側止水部材2及び気密部材1に対し、扉幅方向へ跨って押し付けられ、弾性変形する(図示せず)。
さらに、この二軸蝶番3は、第1扉体21と第2扉体22が全閉した閉鎖位置において、これら第1扉体21及び第2扉体22を、二つの回転軸を支点にして、下流側へ略平行に移動させる。この平行移動により、第1扉体21及び第2扉体22は、枠側止水部材2を所定量弾性的に押し潰して止水位置となる。
また、図1及び図2において、符号7は、第2扉体22側のサムターン又はキーの操作によりデッドボルト(図示せず)を出没させて、第1扉体21戸先面の凹状の受座(図示せず)に嵌脱する施錠機構である。
第1及び第2扉体21,22の戸尻側の係脱機構31,34は、それぞれ、出没する係合部材31bを、対向する縦枠部材10b内の被係合部(図示せず)に係合させる。
また、第2扉体22戸先側の係合部材33は、出没する係合部材31bを、対向する第1扉体21戸先部内の被係合部40に係合させる。
この係脱機構32を支持する基台は、第1扉体21の裏面を貫通することなく、該裏面に溶接等によって固定されている。
第2扉体22の係脱機構33,34は、それぞれ、第2扉体22の表裏両側にレバー31aを有する。
各基台31cは、第1扉体21又は第2扉体22の表面又は裏面を貫通する止着部材31d(例えば、ネジやボルト等)によって、第1扉体21内又は第2扉体22内の支持部材31eに止着されている。
第1扉体21及び第2扉体22は、第1扉体21の戸先側における所定幅X1内において、上下方向の撓み強度を、第2扉体22の戸先側における同幅X2内の上下方向の撓み強度よりも大きくしている。
この段部21c21は、図5に示す一例によれば、裏面側の板状部21c2の戸先側から延設された表面側の部分の先端側を、横断面クランク状に曲げた形状を呈し、後述する縦骨材21fの表側の一片部21f1に、内側から重なり合っている。
この段部21c21は、特に、第1扉体21の戸先面近傍が、上下方向において弓形に変形するのを抑制し、召合せ止水部材22a等による止水性能を向上する。
なお、段部21c21の他例としては、表面側の板状部21c1の戸先側端部を曲げた態様や、縦骨材21fのみによって形成した態様等とすることも可能である。
同様にして、第2扉体22における縦骨材22e〜21kは、その上端部と下端部に、それぞれ、横骨材22mと横骨材22nを接続している(図4参照)。
これら縦横の骨材を接続する手段は、例えば溶接等とすればよい。
同様に、第2扉体22における戸尻側の二つの縦骨材22j,22kの間には、係脱機構34の支持部材31eが装着される箇所の下方側に、横骨材22qが設けられている(図4参照)。
さらに、第2扉体22における戸先側の二つの縦骨材22e,21fの間には、開閉用ノブ6及び施錠機構7が挿着される支持部材31eが装着される箇所の下方側と、支持部材31eが装着される下方の下方側に、それぞれ、横骨材22o,22pが設けられている(図4参照)。
この支持部材31eには、前記部品を取り付けるための貫通部やネジ孔等が適宜に形成される。
すなわち、第1扉体21の戸先側の所定幅X1内には、4つの縦骨材21e,21f,21g,21hが設けられ、第2扉体22の戸先側の所定幅X2内には、3つの縦骨材22e,22f,22gが設けられる。
また、他方の縦骨材21fは、第1扉体21の表面に沿う一片部21f1が、裏面に沿う他片部21f2よりも戸先側へ長い略溝形鋼状の呈し、その横断面の開口を戸先側へ向けるとともに背面を縦骨材21gの背面に重ね合わせ接触させている。
この縦骨材22fと戸先面との間隔は、第1扉体21の縦骨材21gと戸先面との間隔よりも若干長く設定される。
そして、これら横骨材22o,22p,22qも、それぞれ、第2扉体22の屋内側の板状部22cとの間に、前記弾性部材を挟むようにして、第2扉体22内の不動部位(縦柱やブラケット等)に溶接等によって固定されている。
先ず、第1扉体21を回動させて閉鎖位置にした後、この第1扉体21を係脱機構31,32の操作により下流側へ押し込めば、第1扉体21の裏面側(下流側面)においてその外周側の部分が、枠体10側の気密部材1及び枠側止水部材2に押し付けられる。
したがって、比較的変形の小さい第1扉体21における戸先側の第1の受部21bに対し、第2扉体22の戸先側の召合せ止水部材22aが略均等な面圧で押し付けられる。このため、これら第1の受部21bと召合せ止水部材22aの間に隙間を生じ難く、高い止水性能を得ることができる。
この際、横骨材21p,22o,22p,22qの各々と、板状部21c2(又は22c2)の間には弾性部材21qが介在するため(図7参照)、板状部21c2(又は22c2)に金属製の横骨材21p(22o,22p又は22q)が直接当接して、第1扉体21及び第2扉体22の屋内側面が変形するのを防ぐことができる。
なお、第1扉体21及び第2扉体22における戸先面と戸尻面には、落下して横骨材21p,22o,22p又は22q上に位置する支持部材31eを、扉外へ取り出すための開口部(図示せず)が、開閉可能に設けられている。
21:第1扉体
22:第2扉体
22e〜22k:縦骨材
21c1,21c2,22c1,22c2:板状部
21p,22o,22p,22q:横骨材
21e〜21m,22e〜22k:縦骨材
21p:横骨材
21q:弾性部材
31,32,33,34:係脱機構
31e:支持部材
X1,X2:所定幅
Claims (6)
- 中央側に開口を有する環状の枠体に、上流側から扉体の周縁側を重ね合わせるようにした止水扉において、
前記扉体が、扉厚方向の両側に間隔を置いた板状部と、これら板状部の間に位置する横骨材および縦骨材を備え、
前記横骨材は、下流側の前記板状部の内面との間に弾性部材を挟むことで下流側の前記板状部の内面から離れ、かつ戸尻側の前記縦骨材に対し扉幅方向の空間を置いて離れていることを特徴とする止水扉。 - 前記扉体が、前記横骨材の下方側にブラケットを備え、
前記横骨材は、前記ブラケットに止着されていることを特徴とする請求項1記載の止水扉。 - 前記扉体には、前記両側の板状部のうち、少なくともその一方を貫通して前記扉体の内部側の支持部材に止着される部品が設けられ、前記横骨材は、前記支持部材が落下した場合にこの支持部材を受ける位置に設けられていることを特徴とする請求項1又は2記載の止水扉。
- 前記扉体には、落下して前記横骨材上に位置する前記支持部材を、扉外へ取り出すための開口部が設けられていることを特徴とする請求項3記載の止水扉。
- 前記横骨材は、前記扉体の戸尻側に設けられていることを特徴とする請求項1〜4何れか1項記載の止水扉。
- 前記横骨材と上流側の前記板状部との間には前記弾性部材が設けられず、前記横骨材は、両側の前記板状部の間で上流側に偏って位置することを特徴とする請求項1〜5何れか1項記載の止水扉。
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